○
説明員(
小倉武一君)
調査会の
審議の模様を主として御
説明をいたします。
調査会の
審議について、経過的に申し上げますと、非常に込み入りまするし、また私も十分覚えているわけではございませんので、思いつくままに、ごく要点を申し上げます。
今、
清澤委員からも
お話のございました、まず生産者の
価格でございますが、これにつきましての議論のごくあらましは、一体現在の生産者
価格は抑制
価格であるのか、あるいは支持
価格的
要素を持っておるのか、
政府はときどき
需給均衡
価格に近づけていると、こう言っておられるが、果してそうなのかといったようなことについて、主として論議が尽されたのであります。
価格算定
方式につきましては、具体的な
審議がございませんでしたけれ
ども、どうもこれまでの算定
方式はいろいろ加算などが行われて、実際上
米価を引き上げてきておった。しかしながら、その加算の仕方は必ずしも合理的であるとは考えられない面があるのではないか、従って、今後
米価を算定するに当っては、その辺一般の納得のいくような
方式というようなことを考えてやる必要があるのではないか、こういうまあ議論がございました。もちろん
調査会設置の趣旨から見ましても、生産者
米価をどうするということが主たる
議題ではなかったのでございまするけれ
ども、米麦の
価格ということが、
食管会計の経理の面に非常に重要な
関係がございまするので、そういう
意味で議論がございます。
それから、今の一万百六十六円というものにつきましては、
予算米価の
方式、すなわち三十一年の手取り
米価を
基礎にいたしまして、
パリティ指数を乗ずるという
やり方でございますが、その後
パリティ価格、
パリティ指数が上っているので、あれでやれば一体どのくらいになるのかということは、
調査会のみならず、衆議院の農林
委員会におきましても御質問等がございまして、そういう
意味ではじいたのが、三月に一度はじいたことがございまするし、四月
パリティが出ますれば、四月
パリティでやってみる。これはしかも算出が非常に簡単でございますので、
パリティが出ますれば、だれでも
計算できるようなことになっておりますので、これが役所でやったというようなことがなくても、多少米の
価格のことについて知識を持っている方は算出できるようなことでございます。そういう
意味でもございましたし、私
どもといたしまして、
パリティ指数が出ているにかかわらず、それは
米価はもうはじけないのだと言うわけには参りません。かりに
予算米価方式ということを
前提にすればこうなるという
意味で、
調査会にも打診をいたしました。それが一万百六十六円でございまして、これにつきまして、一万百六十六円が妥当であるかどうかという直接的な御議論はなかったのでございます。先ほど
河野委員もお尋ねがございましたが、一万円ベースで、
損益のことはある
程度頭に置いて、全体の
赤字の問題なり、あるいは消費者
価格との関連を考えていきました場合に、一万百六十六円ということになりまするならば、それも
一つの目安になって、多少考え方を変えなくてはならないのではないか、こういったような参考
資料的に扱われたのでございます。そのこと自体の是非についての論議は、必ずしも十分あったわけではございません。
次は、消費者
価格の点でございますが、これにつきましてもいろいろ考え方がございまして、
一つは、コスト主義と申しますか、本来
価格は生産者の原価に中間
経費を加えたコストといったようなものであるべきではないか、こういう
一つの議論がございます。まあ原価主義と申しますか、それからもう
一つの全く違った考え方は、消費者
価格であるからには、家計の安定を旨としなければならない。従って、家計
米価というものをはじいて、これによって一体どの
程度消費者
価格が適正に値上げできるかどうか、そこを考えなくてはならない。もしそういうことで考えられた消費者
米価が、先ほどのコスト主義による消費者
価格との間に差額が出るならば、その差額は当然に財政
負担をしなければならぬではないか、こういう御議論があったのであります。
もう
一つの御議論は、ちょうどその中間的なものともあるいは言えるかもしれませんが、消費者
価格というものを論ずるには、まず消費者の納得ということを第一義として考えるべきではないか。ところが、現在コストというものとして考えられるものの中には、本来消費者が
負担すべきでないものが入っているではないかということ、あるいはもっと節約できるものがあるのではないか、こういう議論が当然これはあるわけでございます。そういう立場から消費者にかけてしかるべきコストと、そうでないものと区分したらどうか。さらに、消費者にかけてしかるべきものは、これはかけられてもやむを得ない。かけらるべきでないものは、これは財政
負担にやるべきだ。
大きく分けますと、三つの見解がございまして、今日に至るまで、この
基礎見解につきましては完全な
意見の一致を見ておりません。きょうまた午後
調査会がございますので、最終的なおそらく調整などがこの二、三日中に行われると思いますが、そういう次第でございます。しかして、消費者に転嫁すべきでないというふうにして、明瞭に
委員各位の一致を見ましたものは、農産物
価格安定法によるもの、飼料
需給安定法によるもの、それからてん菜生産臨時振興
措置法によるもの、こういう
措置によるものが、いわば消費者、特に米、麦という
関係になりますが、そういう消費者のためというよりは、農業政策の目的に出ずるものであるから、その損失は当然に一般
会計の
負担であってしかるべきであるということ、この点については何人も異論のなかったところでございます。
一番大きな問題になりましたのは、事務人件費でございます。それから、同じことでございますが、検査に要す費用、一体現在米にやっております検査は、消費者のためと言えるかどうか。一方の人は、それは結局消費者のためではないか、現在の検査は歩どまりということを主たるメルクマールにした検査であるから、最終的にはやはり消費者のためではないか。そうでないという
意見の方は、現在の検査はむしろ生産者保護のための検査であって、あの検査に要する費用はむしろ一般
会計の
負担とすべきものではないか。こういう議論がありまして、これにつきましても、甲論乙駁で、なかなか議論が尽きておりません。それから、いわゆる中間
経費のうち事務人件費といったような行政費の面につきましては、少くともその一部には消費者に転嫁すべからざるものがあるのではないか。この点は、抽象的には各
委員の
意見の一致をしたところというふうに大体考えていいと思います。しからば、消費者に転嫁すべからざる行政費的なものは何か、その金額はどうかということになると、これは現在の食糧の管理の
やり方が、特に末端におきましては万般を担当しておるわけでございますので、どれが米の検査である、どれが
調査の費用であるという
負担区分をすることは、はなはだ困難なふうな
状態にあるということも、またおよそ見解が一致したところでございます。そういう点からさらに進んで論ずる方の中には、そういうわけであるならば、むしろ事務人件費は全部一般
会計負担であるべきである、こういう御議論もございました。しかし、必ずしもこれは多数説ではないようでございます。従いまして、事務人件費については、本来をいえば、
食糧管理の業務に属するものと、むしろ一般行政に属するものと、分けて
負担区分をいたすべきであるという点に原則が一致し、その原則をどう具体化するか、特に本年の
食糧管理特別会計の処理の問題としてどうするかということが、それからきめられるべきものであるというふうなことに相なるように思います。
中間
経費につきましては、これは項目がいろいろございまして、今の事務人件費等もさようでございますが、これは特段の合理化
措置によって節約をはかるということは、要約して言えば言えるわけでございます。個々の費目についてどうやるかということについては、なかなかむずかしい問題がございますが、そういう趣旨で、この点については、先ほどの事務人件費の
負担ということを除きますれば、大よその
意見の一致を見るように思います。
それから、消費者
価格につきましてちょっと申し落したので、申し上げますが、八円五十銭値上げをしてしかるべきかどうかといったようなことの御質問でございましたので、申し述べますが、これは一升当りの現在の基本
配給価格と、
希望配給価格、これは地域差がございますので、その地域差を
平均いたしました
希望配給価格でございますが、それとの差額でございまして、
希望配給価格と基本
配給価格の差額が、ほほ、一升当りにすれば八円五十銭ということでございまして、その点についての金額が明瞭に、
調査会としてそれだけ上げてもよいかどうかということについては
結論は出ておりません。おそらくまた、具体的に金額的に
結論が出されるというようなことはないのではないかというふうに推察をいたしております。
なお、中間
経費の中で一、二申しますと、事務人件費につきましては、先ほど申しました
負担区分のほかに、
食糧管理の仕事は季節的に非常に繁閑が多い。従って、人員の配置、あるいは人員の構成といったようなことをもっと適正にしてやれば、少くとも業務の能率化がはかられるのではないか、あるいは節約される面もあるのではないか、こういう御
意見がございました。
それから、運送費あるいは
保管料の節約等についても、いろいろ
やり方は、具体的になりますると、個々にいろいろ分れるわけでございますが、そういう
措置を通じて節約をする。
なお、
集荷経費でございますが、この中には
集荷協力費と
集荷奨励金がございますが、これはどうも交付の仕方が必ずしも合理的ではない。また交付された府県あるいは団体、これが必ずしも
集荷協力というか、
集荷というために全面的に合理的に使われているということは言いがたい
実情にあるのではないかというふうな
意見がございました。特に行政管理庁からもそういう点の指摘がございまして、この
経費についての使途、あるいは交付の仕方等については、もっと合理化して節約をする余地があるような
意見がございまして、おそらくそういった
意味での趣旨をかねた
結論が出るのではないかというふうに存じます。もっとも
予算上は、これはだんだんと節減も年々されてきておりますので、絶対額として本年さらに節約をしなければならぬという積極的な、金額的な点からいえば、
事情はないのでございますが、どうも使い方が必ずしもおもしろくない、こういう印象を持っておられたようでございます。
金利につきましては、大体三割
程度が国庫余裕金でございますので、その点利子
負担が軽減されておるのでございますが、国庫余裕金の性質上、時期的に非常に利用率の
変動があるわけでございます。そこで、この利用率を安定させるとともに、またその利用率を高めるということによって、借り入れによる
金利の
負担を軽減すべきであるということに、これは大よその
意見の一致を見ておるのであります。
輸入食糧関係につきましては、必ずしも中間
経費というようなことにはいかないかもしれませんが、これについては、登録商社の問題、あるいは買い入れの方法の問題、あるいは売り方の問題等によって、
輸入諸がかりの節減をはかるべきであるという、こういう御趣旨であるように思います。
それから、最後になりますが、
特別会計の経理の問題、経理と申しましても、
赤字の要因の克服というよりも、技術的な面でございますが、よく言われますように、どんぶり勘定ではないか、そこで、どこの益がどう処理され、どこの損がどう処理されているかということが明瞭でない。それがはなはだ不明確であるから、その点をはっきりしたらどうか、こういう
意見、これがまあ支配的な
意見でございました。部門別に経理を明確にしろという御
意見でございます。もっとも、部門別といいましても、その部門をどう分けるかという細目までには至っていないのでございますが、思想としては、現在のいわゆるどんぶり勘定はよくないのではないか、こういう考え方であるようでございます、
なお、
食糧管理の
損益の
変動要因というものは、非常に外来的な要因が若干大きなものとしてある。特に
輸入食糧につきましては、
フレートでございますとか、買入
価格の
変動によって当初
予想いたしました
損益が大きく変る。こういうようなこともありまするので、これはなかなか政策的にあらかじめ防止するということは現在の体制ではできない。従いまして、何かそこを調整するような特段の
措置があってしかるべきではないか。さらにそれを拡張、拡大いたしますと、
輸入食糧に限らず、
内地米、内地麦についても、
需給の
変動、あるいは公定
価格の変化というようなことによって、予測と違った
要素が多分に年度の途中に入ってくる。そういうことによって、収支が撹乱される。それを何か少し長期的に見て、調整をする。そして一年限りでのバランスはとれなくても、二、三年といったような長期に見ればバランスがとれるという仕組みが本来されてしかるべきじゃないかというような御
意見もございました。これも
一つの経理の
やり方と、
特別会計の仕組みに
関係をしての問題でございます。
なお、麦の問題につきましては、十分まだ
審議をされておりませんが、この最近の
審議会、前回の
調査会等においても、主として麦の問題に
審議があったわけでございます。特に関税の問題につきましては、
米価問題とからみまして、しばしば議論になりまして、
輸入関税をどうするかということ、一部の
意見といたしましては、特に
外麦については一般
会計が関税をとって、そして内麦の損は一般
会計から埋める、あるいは内麦に必要な特段の農業政策的な費用は一般
会計から出す、こういったようなことにした方が、むしろ経理の上、あるいは
損益の上からよろしいのではないか。また関税といったような建前からもそうあってしかるべきではないか、こういう御議論もあったのであります。麦の買入
価格の
方式につきましては、どうも現在の
方式はあまりにも固定的で好ましくないのではないかという御議論もございました。その点については、なお
審議の途上でございます。
大体のことを申しますと、以上のようなことになります。