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1957-06-06 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月六日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 五月十八日委員小林孝平辞任につ き、その補欠として松浦清一君を議長 において指名した。 五月十九日委員羽生三七君及び松浦清 一君辞任につき、その補欠として戸叶 武君及び河合義一君を議長において指 名した。 五月二十一日委員近藤鶴代君及び小沢 久太郎辞任につき、その補欠として 佐藤清一郎君及び関根久藏君を議長に おいて指名した。 五月三十日委員雨森常夫辞任につ き、その補欠として平井太郎君を議長 において指名した。 本日委員戸叶武辞任につき、その補 欠として小林孝平君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君            北村  暢君            小林 孝平君            上林 忠次君            島村 軍次君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  尾村 偉久君    食糧庁長官   小倉 武一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (昭和三十二年産米麦価に関する  件)  (鮮魚保存用オーレオマイシンに関  する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。五月十八日、小林孝平君が辞任され、松浦清一君が選任されました。五月十九日、羽生三七君及び松浦清一君が辞任されて、戸叶武君及び河合義一君が選任され、五月二十一日、近藤鶴代君及び小沢久太郎君が辞任されまして、佐藤清一郎君及び関根久藏君が選任されました。なお、五月三十日、雨森常夫君が辞任され、平井太郎君が選任されました。本日、戸叶武君が辞任されて、小林孝平君が選任されました。
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 昭和三十二年産米麦価に関する件を議題といたします。  この際、三十二年産の米及び麦の価格に関する政府方針について、説明を求めることといたします。  なお、この件については、食糧庁小倉長官が見えております。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと、私はお尋ねしたいことがあるのですがね。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 説明前にですか、緊急に。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 説明前に。
  7. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、どうぞ。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 説明の中にもあるでしょうが、第一に伺いたいことは、希望配給を減らした理由を伺いたいのです。どういう根拠で希望配給日数を減らしたのか。
  9. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 希望配給日数内地米について減らしまして、調整をいたしました理由でございますが、本年の産米需給計画を立てます際に、昨年の持ち越し、前年度の米穀年度豊作による持ち越しが相当見込まれますし、また、昨年産米集荷相当量予想されましたので、需給状況は比較的ゆとりがあったのであります。御承知のように、そういうわけでございまするので、従来の希望配給日数を大幅に昨年の十月にふやしまして、約十日ということにいたしまして発足をしたのであります。当初大体所期のようなことで配給ができたのでございますが、その初期のことを申し上げますと、十日配給と申しましても、十日の配給できる現実の量が必ずしもあるわけではございませんで、当時の諸般事情からいたしまして、希望配給現実の受け取り方は、地方によって若干相違は来たしておりますが、半分以下であったわけです。従いまして、四日とかそういった程度受配率しか予想されなかったのでございます。本米穀年度の需要の見込みといたしましても、一応四割七分というのが希望配給受配率である、こういう見込みを立てまして、なお本年の十月末の持ち越し相当量持ち越しができるという想定をいたしたのでございますが、この二月、三月ごろから、希望配給受配率が非常に急激に変って参りまして、これも地方によっては違いまするけれども東北の諸県だけはほほ例外でございますが、その他の府県におきましては、生産地消費地とを問わず、希望配給受配率がふえて参っておりまして、そのままの推移で参りますと、現在の手持米でもって操作をすることが非常に困難な実情に相なったのであります。そういうわけでございまして、この六月から希望配給日数削減をいたしまして、需給操作に支障のないようにしたいというのが、その間の事情でございます。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、希望配給の数量が非常にふえてきた、このままでいくと米が足りなくなる、だから減らした、こういうことですか。それ以外の理由はないのですか。
  11. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 簡単に要約してしまえば、おっしゃるようなことでございます。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 私は、今の理由一つの大きな理由であることはわかります。これについてはあまりにも政府は無策だと思うのですが、もう一つ私が考えられる理由は、食管会計に、今のような状態希望配給がふえていくと、特に生産地におけるところの予想だもしないところの希望配給がふえていくと、食管会計により一そう赤字を積み重ねるということになるので、赤字防止のために希望配給を減らしたという理由はあるでしょう。それは全然ないとは言えないでしょう。
  13. 小倉武一

    説明員小倉武一君) それは理由じゃございません。説明はちょっとむずかしいのですが、十日配給でございますると、消費地の方は十日取るわけです。ところが、幾ら希望配給がふえましても、東北諸県その他生産地は一〇〇%というわけには参りませんので、むしろ十日というふうに全国的に続いた方が、採算関係上よろしいのではないかと私は思います。今度のように、多少生産地消費地と区別いたしましても、それはほとんど全国的には大体八割近くの受配率になると思います。従いまして、単なる採算関係だけから申しますと、十日配給をやった方が若干、ごくわずかでございましょうけれども損益関係から申しまして、よろしいのではないかと思います。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 それはよろしいのでございますとか何とかということでなしに、あなたの方でそろばんをはじいておられると思うのでありますが、生産地希望配給が非常にふえてきたんでしょう。生産地希望配給は安いのでしょう、同じ配給でも。消費地希望配給の高いところでも、これをみな大体考えておられると思うのです。ところが、予想だもしなかった生産地希望配給がふえてきたんです。この単価は安い。単価の安いものがよけい出れば、食管会計上には赤字を増すのでしょう。そうなるのじゃないですか。
  15. 小倉武一

    説明員小倉武一君) それはもちろんそうでございますが、いずれにいたしましても、日数全国画一になる、その他制限がありますから、その制限の範囲内でどうかということになるわけであります。ところが、その制限がゆるくて日数が多ければ多いほど、消費地の受ける量というものは総体的に多くなるわけです。こちらの方が消費人口が多いわけでございますから、日数的には一本でございますけれども、内容的には消費地の量が多くなりますから、日数が多くなれば多くなるほど、損得から申しますと得のように思うわけです。日数削減すれば削減するほど、日数は同一でありましても、高く売れる方の分量が減りますから、比率から申しますと、比率は同じでありましても、採算関係から申しますと損のような気がいたします。  これは精密な計算をいたしておりませんが、たとえて申しますと、これまでの受配率状況で申しまして、昨年の十月ごろは八百五十円、希望配給平均が。八百五十円平均に置いておったのであります。ところが、予算ではたしか八百五十一円という計算をいたしておるのであります。この二、三月ごろまでは大体それ以上だったのでございまして、八百五十一円をたしかこえておったと思います。全国平均は。それは御承知のように、生産地受配率が少くて消費地の方がむしろ多いということであったのでありますが、今度の削減の結果は、おそらく八百五十円をむしろ切るのではないかと思います。十日配給を続けておれば、おそらく八百五十円を切ることはまずまずあるまいと思いますが、今度の削減の結果は八百五十円をちょっと切るのではないか、そういう検討を実はいたしておりまして、損益関係から申しますとさような実情でございますので、そこは今度の削減事情は全くといっちゃ語弊がございますが、関係がないものでございまして、その点も一にらみ合せて、削減の結果著しく損をするということでは、今の特別会計状況から申しましてないわけでございまして、その辺の状況もにらみ合せる必要ももちろんあったわけでございますが、利益を多くするということは少くとも、全く考えておらないのであります。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 今一般の御説明があるでしょうから、あとでまたゆっくり伺いますが、大体御説明の前に、そのことだけ私ちょっと予備知識として聞いておきたかったから質問したのですが、これでやめますが、結局消費地生産地と、二つの値段になって希望配給があるわけですね。それで、生産地希望配給がふえてきたということは、この平均単価が非常に下ってきたから、食管の方では予算よりも希望配給によるところの負担がふえてきたことは間違いないのですね、現在までは。そこで、今度は希望配給を切る場合には、もちろん生産地も切る、消費地も切る。両方切るから、あなたの方は別にそれによってもうけようと思っているのじゃないということはわかりますけれども生産地が安い単価希望配給がふえてきたために、食管会計狂いがきたから、そこで希望配給を削るということは、それによって消費地の、希望配給というのは、本来消費地を目的にやったものですよ。大体がそうでしょう。生産地を切ると同時に、消費地も同じような率で切ったら、消費地が困る。そこで今度はやみが上ってきたと、こういうことですね。米なり麦の価格の安定のためにやっている食管会計を、農林省が逆に米のやみ価格をあおるような措置をとったというのが、今度の希望配給削減ですよ。私はそう思うのですよ。結果においては、何といってもそうだ。まず希望配給を切った。何だといったら、米が足りなくなった。足りなくなったら、米は上りますよ。希望配給を切ったのだから、あなたの方で米の値段をあおっているようなものだ。  あとで私は大きな問題でゆっくり伺いますが、ことしの予約集荷は絶対に集まりませんよ。これは二年豊作が続いたから予約集荷に行ったので、偶然、豊作予約集荷が結びついたからです。予約集荷をすれば、ここに農家の方もおられるでしょうが、一応は申し込みますよ。ところが、夏から出来秋にいって米の値段が上ってくる、外米輸入緊急措置をやらなければならぬ、その場合に、農家政府なんかに米を売るものですか。食糧管理法によって縛るといっても、その時期にはそんなことはできませんよ、幾ら法律があっても。そういう重大な壁にぶつかっているということをあなたたちは、小倉さん、あなたはお気づきになっていると思うのです。政府はどうか知らぬが、小倉さんはお気づきになっていると思う。そういうことを前提に置いて私たちは考えているので、予約集荷が、去年、一昨年と同じように、歯車が回ると思ったら間違いですよ。断言する。そういうようなことを考えたら、今は万難を排して、希望配給を削るという時期じゃないですよ。根本的に狂っている。この点だけ私は、意見になりますけれども、ちょっと申し上げて、あとでまた御説明を伺って、ゆっくり質問をしようと思います。
  17. 堀末治

    委員長堀末治君) あらためて申し上げますが、三十二年産の米及び麦の価格に関する政府方針について説明を求めます。
  18. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 先ほどの委員長のお尋ねでございますが、三十二年産の米麦の価格につきましては、まだ政府といたしましても、農林省といたしましても、省としての、あるいは政府といたしましての案は持ち合せておりません。従いまして、こういう考え方でいくのだ、金額はこうだということをお話しするわけには実は参りませんのでございます。  それからもう一つ食糧管理に関する臨時の調査会ができておりますことは、御承知通りでございますが、三月の中ごろから審議が続けられておりまして、現在までに八回、小委員会がおそらく五回ということになりますか、御審議を願って、だんだん結論に近づいて参っておりますが、まだ最終的な結論を得ておりません。この四、五日中に、今週末から来週にかけましては、これもおそらく結論が出るのではないかと思っておりますが、その結論いかんも、本年産麦価、少くとも価格体系全般の問題としては参照すべきものであろうというふうに存じまするので、その結論も見て検討をしたい、かように存じております。  ただいままで検討いたしておりますのは、御承知通り予算米価基礎にしたものでございまして、予算の御審議の際にも、御承知通り予算では一万円ということで組んでございますので、あの方式前提にいたしますると、当時は昨年の十一月のパリティ基礎にいたしておりましたのでございますが、最近のパリティは四月でございまして、当時のパリティ指数よりはその後上昇をいたしております。たしか十一月では一二〇・九二であったのでありますが、この四月では一二四・三五に相なっておりまして、その関係を是正をいたしますと、一万百六十六円ということに相なるのであります。で、これにつきましては、なおいろいろ各方面の御意見もございまするし、また諸般調査資料等も、参照いたしまして実は検討を進めて参っておりますけれども、まだ結論的なものを得ておりません。  それからもう一つ、この価格につきましては、従来の方針と若干違います点もございますが、たとえば早場米奨励金と申しまして早場の時期別格差をどういうふうにするとか、あるいは品種、銘柄と申しましてはまたあまりにも広範な問題になりますが、もちでありますとか、陸稲、あるいは軟質米硬質米等の格差について、だんだんと措置を講じた方がよくはないかというふうなことで、検討を進めている次第でございます。  なお、麦の価格につきましては、これは法律にもございますようなことで、従来のやり方もしんしゃくしながらきめて参りたいと存じております。これも米の価格を先にきめまして、そのあとというようなことになりますので、まだしかとした数字をはじいておりませんけれどもパリティが上っておりますので、当然そういう点のことは考えに入れて措置さるべきものである、かように考えている次第でございます。
  19. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまの御説明に対して御質疑がございましたら……。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 ただいまのところでは、今、小倉長官のおっしゃった程度説明しかできないと思うのですが、一体予算編成当時の食管のたとえばいろんな予算単価、これと現在とは、どのくらい狂ってきていますか、現在すでにわかっているもので。たとえば今の希望配給が狂ったという点でも、予算に影響があるわけです。そういうものを一つ一つとらえていって、たとえば百四十二億からの赤字想定しておったのが、百四十二億が百七十億になったのか、百六十億になったのか、どういうところが狂っているのでしょうか。
  21. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これは、お話のように、予算編成は昨年末、ものによりましてはもう少し先の事情を織り込んでの予算でございますから、今日においてこれをながむれば、お話のように、単価等において変化を来たしているものがあるはずでございます。また現にあるのでございます。しかしながら、そういう観点から予算を見直すということになりますると、四月から現在までだけではなくて、今後のアウトルックと申しますか、これも考慮に入れませんと、現在の事情だけでもって収支なり損益がこうなるのだということを申し上げると、またこれ非常な間違いを起すもとになりますので、私どもとして予算の全面的な検討、そういう意味での検討は実はいたしておりません。しかしながら、非常に顕著な変動があるもの、また将来もこうであるというふうに今から予測のできるものは、これは当然ある程度織り込んで、価格決定の際も考える必要があるということでございますれば、これ全くその通りでございまして、そういった趣旨で私どもも考えたいと存じます。  その中で一番大きなものは、今のパリティ上昇分でございます。これによって米麦価が当然上るだろうと。もちろん算式のいかんによりましては、パリティ上昇そのものがどうなるかということも、若干変動はございますが、予算でとりました方式、麦については法律の規定もございまするが、そういうことを前提にすれば、それで当然何ほどかの損益変動が出て参ります。  たとえば二、三気づいた点を申しますれば、まだ十分整理してございませんが、かりに米が一万円と予算でしてあったわけでございますが、それがもしそのベースで考えましても、当然に百六十六円はアップする。二千七百五十万石でございますから、二千七百万石に百六十六円かけますと幾らになりますか、四十億余り程度になりますか、その程度の損の増になります。それから麦も同じくパリティが上りましたので、これも十億余りの損の増になる。  それから価格の点は、簡単に直ちに申し上げることは何でございますが、なお輸入食糧価格につきましては、最近フレートが下っておるから、これは逆にその辺から益が出るのではないか、こういうような想定は当然ある程度できるものでございます。ただし、物の価格、FOBの価格自体は、予算想定しておったものよりも最近高うございます。たとえばアメリカのダブダブと称しておる麦につきましては、予算想定しておったものよりも、どうもトン六ドルくらい最近の価格が高うございます。従いまして、フレート値下りがそのまま益の方に計上されるというわけには実は参らないのでございます。また今後価格がどうなるか、あるいはフレート値下りがそのまま続いていくかどうかという点も、将来の考慮を要することになるので、外国食糧見通しについては非常に困難でございますが、おしなべて申しますと、予算想定したよりは若干ゆとりがあるのではないか、こうなりますが、そのゆとりがどの程度かというと、その点はむずかしいことでございまして、ここで御議論願うような数字はまだできておりません。  それから、こまかい数字になりますが、たとえば中間経費等につきましては、金利関係等については予想とそう大した変りはなく続いてきておりますから、その観点から金利負担の増ということはないと存じます。運賃につきましては、予算のときもたしか御審議願ったことと存じますが、運賃の、鉄道納金の大体の上昇率は実は織り込んでなかったのでございます。予算説明にございました一三%アップということでございまして、実は貨物の運賃自体値上りだけ、われわれの関係だけかもしれませんけれども、になりますと、一五、六%のアップになりまして、その間の負担増ということになります。しかし、これは諸経費の節減でまかなえるのではないかという見方もできますので、これがそのまま損の増となるというふうには直ちに言えない面もございます。また最近トラック運賃等が上っておりますが、それも見込めば増ということになりますが、これも運送賃諸掛りの圧縮ということで解消できはしないかということも考えられます。  それからなお、一つ大きな問題は、今後の需給関係がどうなるかということも予算との相違の大きな要素になりますが、これもまだ的確には把握できませんので、どう織り込むか、あるいは織り込むべきではないかという点についての判断はむずかしいのでございます。わわれ今的確に申し上げられますのは、内地米値上りによる損の増ということだけはほぼ考えられると存ずるのであります。  なお、もう一つ、去年からでございますが、営業倉庫の方で保管料の料率の改訂ということが言われておりました。だんだん運輸省の方での検討が進んでおるようでございます。食糧庁も事務的な話し合いはいたしておりますが、これがどういうふうになるかということと、またそれが一体内部操作で吸収できる程度のものであるかどうかということなども、損の限度の一つ要素になるのではないか、まあかように考えております。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 私は、小倉さん、ざっくばらんにあなたのお考えなり、政府方針を伺いたいのですが、たとえばですよ、今食糧調査会をやっておりますね。これはいろいろな広範な問題について答申を求めているのだが、そのやはり大きな一つ食糧調査会議題というものは、食管赤字をいかにして克服するかということと思うのですよ。それが今結論を出すのが、食糧調査会の大きな問題でしょう。それなら、その食糧調査会にあなたの方から、今年の需給推算はどうなる、それから今保管料はどうなる、運賃はどうなる、外米外麦買付単価フレート値下りや何かによってどういうふうに見込まれるか、今年の今度決める米価パリティ上昇によりどのくらいかということを、一応そろえて差引して幾ら赤字になるかということが、食糧調査会にあなたの方から説明されてないわけではないと思います。そういう資料を提出されなければ、食糧調査会審議できないと思うのだ。そうでしょう。それを私、聞きたいのですよ。われわれ聞いて、ちっとも越権ではないと思う。食糧調査会でそういうものを説明しておりませんか。今あなたの御説明を聞いたと同じようなことでは、何もわかりません。そんなこともあります、こんなこともあります。問題だけ提起されて、あとあなたの方で御自由に御相談下さい、こういうことを食糧調査会でやっておるのですか。そうじゃないと思う。もう少し——それは見通しですから。しかし大体政府の、あなたの方には専門家がおられて、まとめたところで、大体こういう見通しになっております、その上で御審議願いたい、こうやっておるのでしょう。こうじゃないのですか。
  23. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 別段隠しだてをしているわけでもございませんし、河野委員のおっしゃることもごもっともでございまして、違いないと存じます。調査会審議は実はそういう意味で、おっしゃるようなことに基いて、一切現在の状態で考えて、そういう関係はどうなるのだ、そういう関係から始めなければならないのではないかと、こういうお説もございました。だんだん月日がたってみますと、先ほども申しましたように、改正があるとか何とかいうことがはっきりして参りますけれども、必ずしも当初からそういうことが明瞭であったわけでもございませんし、それに、一応本年の予算というものが成立して間もなく、あるいはその前後にかかっての審議でございました、という経過もございまして、一応赤字問題の処理ということを考える場合の前提は、予算上の損益ということを前提として考えてもそう大きな狂いはないではないかと、こういうことで企画をしておったような事情でございまして、調査審議の初めから、一体損益がどうなるのだということを、予算とは別に、あるいは予算を再検討して始めるというやり方はとっていないのでございます。従いまして、私どもといたしましても、今日までその関係がこうなるのだということについては御説明をしておりません。  ただ、先ほど申しましたように、ごく最近になりまして、パリティが非常に上るというようなことが明瞭になりましたので、その関係からいけばどういうことになるのか、損益関係が相当振れるという程度のことは申し上げておるのであります。また、それ以上のアウトルックをするということも、なかなか困難な実情でございまして、ある程度数字を固めるという必要性のあることも、もちろんよく私どもわかりますけれども、今の段階では、数字が固まりますというと、何かそれが一つ前提になって議論をされるということになりまするというと、今後長い会計年度がまだ残っておることでございますので、その間またいろいろ問題が出て参るというようなこともございますので、そこの関係は、ごく明瞭な点だけ一応頭に置いて調査審議しても、さほど支障はないではないか、こういうようなことで御審議を願っておるような次第でございます。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 私はどうしても腑に落ちないのですがね。今私が申し上げたような資料、材料が出なければ、全然議論できないと思う。たとえば最近食糧調査会方面の意見だろうということで、消費者米価は百二十円にしたらいいか百二十五円にしたらいいかということが出て、ここで消費者米価を、上げるか下げるかわからないが、きめるでしょう。消費者米価を百二十円にしなければならぬというその結論を出すまでには、食管赤字幾ら出るかということが出ていないと、消費者米価が出てこないじゃないか。そうでしょう。それは消費者米価を上げる場合に、財政負担もしなければならぬ、事務費も節約をしなければならぬ、いろいろなものを積み上げていくでしょうけれども、とにかくそういうものは、一番基本になるのは、食管赤字が一体幾らになるかということが土台でしょう。それで、たとえば百七十億赤字が出てくる、それを全部消費者にふっかけるわけにいかぬから、とりあえず消費者価格が百二十円なら百二十円にして、あとの足らぬ分を一般会計でやるとか、その他事務費の節約でやる。そしてその三つを合せて食管会計を埋めようと、そういうことでしょう。だとすれば、一応あなたの手元で想定される今年度の食管赤字というものは一体幾らに見込まれるかということが、すべての基礎になるのじゃないですか、そうじゃないですか。
  25. 小倉武一

    説明員小倉武一君) その点はまあその通りでございまして、それはそうでないということは私申し上げておるのではないのでございます。ただ、そういうことをこの段階でやることが非常に至難なことである。もちろんその至難なことは予算でもやっておる。予算では年度の始まる前からやっておりますしするので、全く不可能ということはないと思いますが、しかし、その不可能でないことをやった予算を、さらに現在予算検討するには、より確実性のあるものでなくちゃならぬということだろうと思いますが、そういう確実性のあるものをここの段階で出せるかということになりますと、これはまた非常にむずかしいことでございまして、なかなか日数の要ることでございます。予算でございますれば、予算だからということで御了解願えることも、この段階での再審査だということでございますれば、なかなかまた御了解願えない。予算で御了解願えることも、この段階では願えない。たとえば米価幾らだ。予算では一万円ということで御了解願ったものが、この段階ではそれではどうすべきかということになりますと、なかなか、そこだけでも損益関係が変ってくるわけでございますので、調査会といたしましては、一応予算での損益ということを頭に置いて物事を考えても、さほどの大きな狂いはないのではないか。もし狂いがあれば、それはそのときに明瞭なものをあとまた頭に入れていけばいいということで、全体の損益の概要、概況というものは、一応予算を頭に置いて考えたらよろしいのではないか、こういうことでやっております。全然やみくもにということではございせん。  それから、もう一つは、消費者米価についてお触れになりましたが、そういうわけでございますので、調査会としては、米の買入価格幾らで、中間経費関係幾らかかって、その後の要素考慮して、従って、コストはこうなるというふうな、たとえばコスト価格という立場をとるにいたしましても、そういうことから消費者価格がこうであるべきだという具体的な金額を示唆するような、明瞭な価格を示すというようなことでなくても、価格がこの辺だというようなことで示唆することも、なかなか容易でないのでございます。おそらく調査会としても一消費者価格幾らだというような御結論を出せられないのではないかと思います。それは、お話のようなことも一方あるわけでございます。現在の段階でコストがどうである、あるいは生産者価格がどうであるということを、あの調査会として審議することはいかがかと、こう、米審等の関係ということも一方ございますので、今のような精密に計算を立ててみるということは、なかなかむずかしい問題でございますので、そういう運びに実はなっておりまして、従って、私どもが隠しておるとか話すべきを話さないとか、こういうことでは実はないのであります。
  26. 小林孝平

    小林孝平君 関連。私、委員長にお尋ねしますが、この食糧調査会政府が出したいろいろな資料は全部、農林委員会に出してもらいたいということを、この委員会で要求されて、政府もそういうことにしましょうと、こういうことになっていたと思うのです。
  27. 堀末治

    委員長堀末治君) その通りです。
  28. 小林孝平

    小林孝平君 それで、その資料は出ておりますか。    〔「出ておる」と呼ぶ者あり〕
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) だいぶたくさん今まで出ておると思いますが。
  30. 小林孝平

    小林孝平君 出ていない……。
  31. 田中啓一

    ○田中啓一君 出ておる。
  32. 小林孝平

    小林孝平君 あなたに言っていることではない。——全部出ておりますか。
  33. 堀末治

    委員長堀末治君) 全部とは申されませんが、だいぶ大部の資料をいただいております。あれ以上のものが出たかどうかということは、向うに一々確めてはおりませんが、だいぶ大部の資料をいただいております。
  34. 小林孝平

    小林孝平君 それで、私は農林委員をこの間やめたから、私のところに来ないだけの話で、だから聞いているのです。  そこで、私は、きょうの委員会で、ただこういうやり方をやれば、結果は先ほどから河野さんがやられておる通りになると思う。政府食糧調査会というものを作って、一切これの結論待ちということでやってきておるのですね。米価については白紙だということで、何もしゃべらぬで今まで来ているわけです。だから、ここで長官が来たり、あるいは大臣が来たって、大した結論が出ないことは、その説明はなかなか聞きにくいと思う。むしろその資料を、われわれのところにも来ておるその調査会に出した資料をもとにして、どういう議論が行われたということを聞かなければ、話にならないじゃないですか。せっかく人を集めてやる以上は、その調査会においてどういう議論があったかということを説明を聞かなければ、話は進展しないのじゃないでしょうか。そうして一方は、政府はただ調査会結論待ちだということで、何も答弁しないということで、進展しないじゃないですか、どうなんですか、この審議やり方について。
  35. 堀末治

    委員長堀末治君) それは、小林さんに申し上げますが、実は国会中の委員会にも、この米価の問題が取り上げられておったのです。その当時私も考え、また二、三の人の意向では、とにかく、もうそろそろ植付の時期になるし、米価問題というものは非常に農民の作付意欲に関係してくることでありますから、当委員会としてこの問題を一ぺん取り上げて、政府の意向を尋ね、あるいはまた皆様方の御希望もあれば、この委員会を通して政府委員各位の希望をできるだけ開陳して置こう、こういう大体考えで、これは非常に大切なことでありまして、私、はなはだこの問題にしろうとでありますが、ごもっともだと、こう思って、国会中の委員会にぜひやりたいと思っておりました。ところが、御承知のような状況で、この問題に触れることなしに国会は終ってしまったわけであります。そういうことで、できれば今のような考えで政府の意向も聞き、ないしはこの通り陳情もどんどん来ておりますから、そういうことでありますから、いろいろと委員各位の米価の問題、あるいは続いては、まだそこまでは行っておりませんが、これもぜひやりたいと思っておりますが、いわゆる食管問題等についても、要するに、当委員会として希望があればできるだけ一つ希望を開陳して、政府をして督励をし善処させるという方向に行ったらどうか。これは私の考えで、そんなことできょうこれを第一に取り上げたのであります。
  36. 小林孝平

    小林孝平君 あなたを今追及しようとして言っているのじゃありません。河野さんの言われたような気持はみんなにあると思います。いつまでたっても、これは、農林大臣、大蔵大臣は一貫して、白紙だ、米価については白紙で、この調査会結論待ちだ。そこで昨日衆議院では、米価は中旬以後に決定するということを大臣は言ったらしいが、そうして今までの答弁によれば、農林省の原案というものは、この調査会の答申を原案にして米審にかけるということを言っているのです。近くその調査会結論は出ることになっている。そうすれば、大体どういう結論が出るかということはわかりそうなんです。それは調査会としてだから、農林省が知らぬというのはおかしいと思う。そういう説明を、委員長は当然農林省説明をさせるべきじゃないか。それがわからなければ、大臣がここに出てくるかどうか知りませんが、近く米価を米審にかけるというようなことは言えないと思います。
  37. 堀末治

    委員長堀末治君) 大臣も要求してありますが、きょう来るという約束でおりました。きょうは衆議院の方はやめてもらって、こちらに出ることになっておりましたが、急に向うに愛知用水公団の問題が出まして、そこで向うへ公団の総裁も出て来るのだからということで、とにかくどうしても向うに出なければ都合が悪いから、まず向うに出たい、こういうことで一向うの方が済み次第、何とかこちらの方に出たいということを、前に申し入れが来ております。
  38. 小林孝平

    小林孝平君 大臣が出られる前に長官から聞くことは、食糧調査会の大体の審議はどういう点に重点を置いて審議されたか、その中間経費がどうとか、こまかいことでなしに、結論的に消費者米価を上げるのはどうであるというように、長官はしばしば言われたようだけれども、そういう論議はどういうふうにして行われたのか、あるいは生産者米価についてはこのパリティ上昇分を認めるとかどうとかというような議論が行われたというような説明を、まず聞かなければ困る。
  39. 堀末治

    委員長堀末治君) それは、小林さんの、あなたのお説の通り、私も先ほど長官の御説明を聞いて、私自身も非常に不満足に思っている。河野さんの御指摘の通りであります。しかし、せっかく河野さんがしきりとその点について御質問なさっていますから、そこで私はあえて長官に、もう少し突っ込んだ説明をしたらどうかということも、私は言わずにおったのであります。なるべく、そういうわけですから、長官お聞き及びの通りですから、これはほんとうを言うと、今聞いた通りの経過で、私の気持もそうでありまするし、委員各位もやっぱり同様。きょうもたくさんこうして傍聴に見えておられるのも、すべておわかりの通り、やっぱり米価のことが一番心配で、みんな陳情に来ている。ですから、これは政府の方で説明を、この際速記をとられて都合が悪いというようなことは速記をとめても、話せる範囲で、委員各位が御満足のいくような突っ込んだ説明を、一つお願いいたします。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここで、審議を進めていく線でいろいろあれしているならば、まず僕は伺いたいことが一つあるのだ。新聞を見ますと、何か、今小林君が言う通り食管制度調査会か、特別調査会か、その結論を待って米価審議会にかけるということでもあるし、新聞に見ると、生産者米価が一万百六十六円だとか、あるいは消費者米価が百二十何円で、八円五十銭上げるというようなことが、確定的な線でとらえて発表せられているのだ。これらは一体どういう経路でああいうものが、まあ新聞はよく見ておりませんから、確定と書いてあったかどうか知らないが、大体のものが、ああいうものが大体政府方針でなかろうかと、こういうようにとれるような記事が、大体どこから出ているのか。どこを根拠にして出ているのか。それから先に僕は聞きたいのだ。
  41. 堀末治

    委員長堀末治君) 今、それですから、もう少し長官、突っ込んだ説明しようと言っておりますから、もう少し長官の突っ込んだ説明を聞いてから、あらためて、おそらくその問題も触れられると思いますから、まず長官の説明一つ聞くことにして下さい。
  42. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 調査会審議の模様を主として御説明をいたします。調査会審議について、経過的に申し上げますと、非常に込み入りまするし、また私も十分覚えているわけではございませんので、思いつくままに、ごく要点を申し上げます。  今、清澤委員からもお話のございました、まず生産者の価格でございますが、これにつきましての議論のごくあらましは、一体現在の生産者価格は抑制価格であるのか、あるいは支持価格要素を持っておるのか、政府はときどき需給均衡価格に近づけていると、こう言っておられるが、果してそうなのかといったようなことについて、主として論議が尽されたのであります。価格算定方式につきましては、具体的な審議がございませんでしたけれども、どうもこれまでの算定方式はいろいろ加算などが行われて、実際上米価を引き上げてきておった。しかしながら、その加算の仕方は必ずしも合理的であるとは考えられない面があるのではないか、従って、今後米価を算定するに当っては、その辺一般の納得のいくような方式というようなことを考えてやる必要があるのではないか、こういうまあ議論がございました。もちろん調査会設置の趣旨から見ましても、生産者米価をどうするということが主たる議題ではなかったのでございまするけれども、米麦の価格ということが、食管会計の経理の面に非常に重要な関係がございまするので、そういう意味で議論がございます。  それから、今の一万百六十六円というものにつきましては、予算米価方式、すなわち三十一年の手取り米価基礎にいたしまして、パリティ指数を乗ずるというやり方でございますが、その後パリティ価格パリティ指数が上っているので、あれでやれば一体どのくらいになるのかということは、調査会のみならず、衆議院の農林委員会におきましても御質問等がございまして、そういう意味ではじいたのが、三月に一度はじいたことがございまするし、四月パリティが出ますれば、四月パリティでやってみる。これはしかも算出が非常に簡単でございますので、パリティが出ますれば、だれでも計算できるようなことになっておりますので、これが役所でやったというようなことがなくても、多少米の価格のことについて知識を持っている方は算出できるようなことでございます。そういう意味でもございましたし、私どもといたしまして、パリティ指数が出ているにかかわらず、それは米価はもうはじけないのだと言うわけには参りません。かりに予算米価方式ということを前提にすればこうなるという意味で、調査会にも打診をいたしました。それが一万百六十六円でございまして、これにつきまして、一万百六十六円が妥当であるかどうかという直接的な御議論はなかったのでございます。先ほど河野委員もお尋ねがございましたが、一万円ベースで、損益のことはある程度頭に置いて、全体の赤字の問題なり、あるいは消費者価格との関連を考えていきました場合に、一万百六十六円ということになりまするならば、それも一つの目安になって、多少考え方を変えなくてはならないのではないか、こういったような参考資料的に扱われたのでございます。そのこと自体の是非についての論議は、必ずしも十分あったわけではございません。  次は、消費者価格の点でございますが、これにつきましてもいろいろ考え方がございまして、一つは、コスト主義と申しますか、本来価格は生産者の原価に中間経費を加えたコストといったようなものであるべきではないか、こういう一つの議論がございます。まあ原価主義と申しますか、それからもう一つの全く違った考え方は、消費者価格であるからには、家計の安定を旨としなければならない。従って、家計米価というものをはじいて、これによって一体どの程度消費者価格が適正に値上げできるかどうか、そこを考えなくてはならない。もしそういうことで考えられた消費者米価が、先ほどのコスト主義による消費者価格との間に差額が出るならば、その差額は当然に財政負担をしなければならぬではないか、こういう御議論があったのであります。  もう一つの御議論は、ちょうどその中間的なものともあるいは言えるかもしれませんが、消費者価格というものを論ずるには、まず消費者の納得ということを第一義として考えるべきではないか。ところが、現在コストというものとして考えられるものの中には、本来消費者が負担すべきでないものが入っているではないかということ、あるいはもっと節約できるものがあるのではないか、こういう議論が当然これはあるわけでございます。そういう立場から消費者にかけてしかるべきコストと、そうでないものと区分したらどうか。さらに、消費者にかけてしかるべきものは、これはかけられてもやむを得ない。かけらるべきでないものは、これは財政負担にやるべきだ。  大きく分けますと、三つの見解がございまして、今日に至るまで、この基礎見解につきましては完全な意見の一致を見ておりません。きょうまた午後調査会がございますので、最終的なおそらく調整などがこの二、三日中に行われると思いますが、そういう次第でございます。しかして、消費者に転嫁すべきでないというふうにして、明瞭に委員各位の一致を見ましたものは、農産物価格安定法によるもの、飼料需給安定法によるもの、それからてん菜生産臨時振興措置法によるもの、こういう措置によるものが、いわば消費者、特に米、麦という関係になりますが、そういう消費者のためというよりは、農業政策の目的に出ずるものであるから、その損失は当然に一般会計負担であってしかるべきであるということ、この点については何人も異論のなかったところでございます。  一番大きな問題になりましたのは、事務人件費でございます。それから、同じことでございますが、検査に要す費用、一体現在米にやっております検査は、消費者のためと言えるかどうか。一方の人は、それは結局消費者のためではないか、現在の検査は歩どまりということを主たるメルクマールにした検査であるから、最終的にはやはり消費者のためではないか。そうでないという意見の方は、現在の検査はむしろ生産者保護のための検査であって、あの検査に要する費用はむしろ一般会計負担とすべきものではないか。こういう議論がありまして、これにつきましても、甲論乙駁で、なかなか議論が尽きておりません。それから、いわゆる中間経費のうち事務人件費といったような行政費の面につきましては、少くともその一部には消費者に転嫁すべからざるものがあるのではないか。この点は、抽象的には各委員意見の一致をしたところというふうに大体考えていいと思います。しからば、消費者に転嫁すべからざる行政費的なものは何か、その金額はどうかということになると、これは現在の食糧の管理のやり方が、特に末端におきましては万般を担当しておるわけでございますので、どれが米の検査である、どれが調査の費用であるという負担区分をすることは、はなはだ困難なふうな状態にあるということも、またおよそ見解が一致したところでございます。そういう点からさらに進んで論ずる方の中には、そういうわけであるならば、むしろ事務人件費は全部一般会計負担であるべきである、こういう御議論もございました。しかし、必ずしもこれは多数説ではないようでございます。従いまして、事務人件費については、本来をいえば、食糧管理の業務に属するものと、むしろ一般行政に属するものと、分けて負担区分をいたすべきであるという点に原則が一致し、その原則をどう具体化するか、特に本年の食糧管理特別会計の処理の問題としてどうするかということが、それからきめられるべきものであるというふうなことに相なるように思います。  中間経費につきましては、これは項目がいろいろございまして、今の事務人件費等もさようでございますが、これは特段の合理化措置によって節約をはかるということは、要約して言えば言えるわけでございます。個々の費目についてどうやるかということについては、なかなかむずかしい問題がございますが、そういう趣旨で、この点については、先ほどの事務人件費の負担ということを除きますれば、大よその意見の一致を見るように思います。  それから、消費者価格につきましてちょっと申し落したので、申し上げますが、八円五十銭値上げをしてしかるべきかどうかといったようなことの御質問でございましたので、申し述べますが、これは一升当りの現在の基本配給価格と、希望配給価格、これは地域差がございますので、その地域差を平均いたしました希望配給価格でございますが、それとの差額でございまして、希望配給価格と基本配給価格の差額が、ほほ、一升当りにすれば八円五十銭ということでございまして、その点についての金額が明瞭に、調査会としてそれだけ上げてもよいかどうかということについては結論は出ておりません。おそらくまた、具体的に金額的に結論が出されるというようなことはないのではないかというふうに推察をいたしております。  なお、中間経費の中で一、二申しますと、事務人件費につきましては、先ほど申しました負担区分のほかに、食糧管理の仕事は季節的に非常に繁閑が多い。従って、人員の配置、あるいは人員の構成といったようなことをもっと適正にしてやれば、少くとも業務の能率化がはかられるのではないか、あるいは節約される面もあるのではないか、こういう御意見がございました。  それから、運送費あるいは保管料の節約等についても、いろいろやり方は、具体的になりますると、個々にいろいろ分れるわけでございますが、そういう措置を通じて節約をする。  なお、集荷経費でございますが、この中には集荷協力費と集荷奨励金がございますが、これはどうも交付の仕方が必ずしも合理的ではない。また交付された府県あるいは団体、これが必ずしも集荷協力というか、集荷というために全面的に合理的に使われているということは言いがたい実情にあるのではないかというふうな意見がございました。特に行政管理庁からもそういう点の指摘がございまして、この経費についての使途、あるいは交付の仕方等については、もっと合理化して節約をする余地があるような意見がございまして、おそらくそういった意味での趣旨をかねた結論が出るのではないかというふうに存じます。もっとも予算上は、これはだんだんと節減も年々されてきておりますので、絶対額として本年さらに節約をしなければならぬという積極的な、金額的な点からいえば、事情はないのでございますが、どうも使い方が必ずしもおもしろくない、こういう印象を持っておられたようでございます。  金利につきましては、大体三割程度が国庫余裕金でございますので、その点利子負担が軽減されておるのでございますが、国庫余裕金の性質上、時期的に非常に利用率の変動があるわけでございます。そこで、この利用率を安定させるとともに、またその利用率を高めるということによって、借り入れによる金利負担を軽減すべきであるということに、これは大よその意見の一致を見ておるのであります。  輸入食糧関係につきましては、必ずしも中間経費というようなことにはいかないかもしれませんが、これについては、登録商社の問題、あるいは買い入れの方法の問題、あるいは売り方の問題等によって、輸入諸がかりの節減をはかるべきであるという、こういう御趣旨であるように思います。  それから、最後になりますが、特別会計の経理の問題、経理と申しましても、赤字の要因の克服というよりも、技術的な面でございますが、よく言われますように、どんぶり勘定ではないか、そこで、どこの益がどう処理され、どこの損がどう処理されているかということが明瞭でない。それがはなはだ不明確であるから、その点をはっきりしたらどうか、こういう意見、これがまあ支配的な意見でございました。部門別に経理を明確にしろという御意見でございます。もっとも、部門別といいましても、その部門をどう分けるかという細目までには至っていないのでございますが、思想としては、現在のいわゆるどんぶり勘定はよくないのではないか、こういう考え方であるようでございます、  なお、食糧管理損益変動要因というものは、非常に外来的な要因が若干大きなものとしてある。特に輸入食糧につきましては、フレートでございますとか、買入価格変動によって当初予想いたしました損益が大きく変る。こういうようなこともありまするので、これはなかなか政策的にあらかじめ防止するということは現在の体制ではできない。従いまして、何かそこを調整するような特段の措置があってしかるべきではないか。さらにそれを拡張、拡大いたしますと、輸入食糧に限らず、内地米、内地麦についても、需給変動、あるいは公定価格の変化というようなことによって、予測と違った要素が多分に年度の途中に入ってくる。そういうことによって、収支が撹乱される。それを何か少し長期的に見て、調整をする。そして一年限りでのバランスはとれなくても、二、三年といったような長期に見ればバランスがとれるという仕組みが本来されてしかるべきじゃないかというような御意見もございました。これも一つの経理のやり方と、特別会計の仕組みに関係をしての問題でございます。  なお、麦の問題につきましては、十分まだ審議をされておりませんが、この最近の審議会、前回の調査会等においても、主として麦の問題に審議があったわけでございます。特に関税の問題につきましては、米価問題とからみまして、しばしば議論になりまして、輸入関税をどうするかということ、一部の意見といたしましては、特に外麦については一般会計が関税をとって、そして内麦の損は一般会計から埋める、あるいは内麦に必要な特段の農業政策的な費用は一般会計から出す、こういったようなことにした方が、むしろ経理の上、あるいは損益の上からよろしいのではないか。また関税といったような建前からもそうあってしかるべきではないか、こういう御議論もあったのであります。麦の買入価格方式につきましては、どうも現在の方式はあまりにも固定的で好ましくないのではないかという御議論もございました。その点については、なお審議の途上でございます。  大体のことを申しますと、以上のようなことになります。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 私、さっきちょっと質問の途中でありましたが、この消費者価格の問題です。調査会で消費者価格についての考え方が三つある。原価主義をとる人と、家計米価から算出する方法と、その中間の消費者に転嫁すべからざる中間経費というものは一般会計に持っていく、この三つということですが、その三つの意見基礎にしてそれぞれ計算されますと、一体原価主義の場合には消費者価格幾らになりますか。それから家計米価から出した場合は幾らになりますか。それと、もう一つのやつは幾らになるか。それをちょっと教えてもらいたい。
  44. 小倉武一

    説明員小倉武一君) それはちょっとむずかしい点もございますが、第一のコスト価格の問題でございます。この米価はどうなるかということが響きますので、かりに一万百六十六円、こういうことをベースに置いてずっと計算をいたしますと、消費者価格は完全精白米で十キロ八百七十四円ということであります。それから第二の家計米価、これは前回の消費者米価がきまりましたのは二十九年一月でございますので、それ以後ほぼ三年、それから最近の半年の家計支出の伸びを現在の基本価格でございます七百九十円、完全精白にしましての価格でございますが、それにかけますと八百七十五円ということになります。これは三月までの家計の上昇率をとらえておりますので、これまで申し上げた数字より高くなっておる。たとえば二月のベースとしますれば、家計米価は第一のコスト価格よりは上るのでございまして、たとえば御配付してあるかもしれませんが、八百七十五円と申し上げましたのは、二月までの家計の伸びでありますと八百六十七円ということになります。資料の取り方によりますと、最近のものをとりますれば、先ほど申し上げたようなことでございます。これは最高でございます。八百六十七円なり八百七十五円と申しますのが、いわば家計米価という立場に立てばこれは最高でございまして、その範囲内で消費者価格は一体幾らが適正か、こういうことでございます。  それから第二の点でございますが、これは何を一体一般会計で持つかどうかという点に非常にかかってきまして、そこがわからないということが、この第二案が非常に実現のむずかしい点であったのでございますが、かりに、これはかりにということでお聞き取り願います。従って、調査会でもそういう議論が、必ずしもあったというわけではないのですが、事務人件費が約百億余りでございます。そのうち、米にかかりますのが五十七億でございます。米にかかる五十七億を全部一般会計負担するということでやったらどうなるかということになりますと、たとえば、これは非常にラフな計算でございますが、本年の集荷予算上の目標二千七百万石でございますので、石当り二百十円ぐらいになりまして、一升にいたしますれば二円というような見当になりますので、この程度が差額、先ほどコストという立場からとって、その程度のものが八百七十四円と申しました、これは十キロでございますが、八百七十四円は一升にしますと百二十四円六十銭、この見当でございますので、一升で申しますと、今の半分持つ、事務人件費のかかるものを国に持つということになりますと、これから二円ぐらい下る、こういう計算になろうかと存じます。
  45. 河野謙三

    河野謙三君 ほかの方のいろいろ御質問があるでしょうから、私はちょっと意見をまじえて申しますが、調査会の人のいろいろりっぱな意見は出るでしょうけれども、結局実施するのは政府です。責任を持つのは政府です。米は幾ら以上買えないとか、配給幾らにしなければいかぬとかやってみたところで、やってみて米が集まらなかったら困るし、また消費者価格をきめまして、消費者にいろいろ問題があっては困る。最後はやはり、調査会とかどうとかいうけれども、やはり政府がそろそろここで、生産者価格にしろ消費者価格にしろ、大体の方針をきめて、腹をきめなければならぬと思うのです。大体生産者なり消費者価格について、調査会意見意見として、政府の方の意見もあるはずだと思うのです。ないはずはないと思うのです。  このごろ非常に政府は悪い癖がついて、何か行き詰まってしまうと、すぐに調査会とか、やれ審議会とかいって、縁もゆかりもない人を自分の土俵に引っぱり込んで、そうして相撲の相手にする。私はこの間肥料審議会でも言ったのですが、肥料二法案がいいとか悪いとか、肥料行政がどうとかこうとか、肥料審議会の懇談会を開いて井出さんが何と言うかと思ったら、肥料行政全般についての御意見を伺いたい。審議会はそんな権限はないと言ったのです。それは要するに、肥料の場合で言うならば、肥料の問題に行き詰まってしまって、困ったもので、ずるをきめて、いつの間にかわれわれ審議会を政府の土俵の中に引っぱり込んで、そして相撲の相手にして世間をごまかしている。肥料審議会はこう言いましたといってごまかしている。食糧の場合はまさしくその傾向があるんですよ。それは私はいかぬと思うのです。これは私の意見ですよ。  話はもとへ戻りますけれども、大体政府は、ことしの米を集めるためには、幾らぐらいの値段で買わなきゃいかぬ、どういう方法をとらなきゃいかぬ、予約集荷を続けるのか続けないのか、また消費者価格調査会でかりに百二十円とか百二十四円とかいっても、こういうもので一体おさまるのかおさまらないのか、政府方針は一体どうなのですか。私は農林大臣に伺いたいと思いますけれども、農林大臣だって長官だって同じですよ。形式は違うけれども、あなたの方がむしろ正確だと思います。一体消費者価格を上げる方がいいのですか、生産者価格は一体どうなるのですか。政府調査会とは別に、調査会の答申を待ってなんということでなしに、そんな水くさいことを言わないで、この段階まで来たら、政府は一体どうなのか。私は調査会意見なんて聞きたくない。また議会が調査会意見なんて聞く必要はないのです、そんなことは。これは単なる、極端にいえば、学者が集まって理屈を言っているだけであって、私は、世間では、よく新聞あたりで政治米価、政治米価と言うけれども、政治米価でなければならぬはずなんですよ。物を集めるためには、理屈以外に、やはり一つのプラス・アルファがなければいかぬ。消費者に納得させるためには、やはり政治消費者価格というものがなければならぬ。それが当りまえなんです。そこで、調査会意見に今度政治的の考慮を加えた責任をとれる生産者米価、責任をとれる消費者米価というのは、どういうふうにしたらいいかということを伺いたいのですが。
  46. 小倉武一

    説明員小倉武一君) その点は、実は政府としてまだ結論を得ておりませんのです。従いまして、私からとかくのことを申し上げるわけにもまた参らないのでございますが、それは一つは、調査会結論をどうこうということもございまするけれども河野先生の言われるように、調査会調査会として、政府の見解があるんじゃないか、こういう御議論もあるかと思いますが、これはかねてから大臣からも申し上げました通り調査会結論を待って一つ考えるということに相なっておりまするし、それからもう一つは、調査会諸般の準備等もございまして、私どもの事務的な作業も例年よりはおくれて参っております。従いまして、私ども農林省だけの案というものも、まだ出てきておりません。まして価格になりますれば、他の省との関係も出て参るのでございますが、そういう大蔵省等との話し合いが一応できた価格、あるいは話し合いまではできなくても、大よそこの辺であるというふうな価格もまだできて参っておりません。隠しだてをするわけではございませんで、それが実は実情でございます。もちろん近々のうちに決定をしなきゃならぬということも、またその通りでございまして、そういう趣旨で今後馬力をかけてやるつもりになっておるのでございます。  それから予約制度の問題等もございまして、ことしの状況から見て幾らぐらいでなければ集まらぬかというようなことも、これは当然米価決定に当っては考慮されなければならぬ事情であるというお説については、私どももこれに特段異論を申し上げる趣旨ではございません。そういうことも十分織り込んで考えられなければならぬ、かように存じます。なお、予約制につきましては、これまで実施をいたして参りました経緯にかんがみまして、今後も一つ継続して参る、こういうのが私どもの気持でございまするし、その点につきましては、別段異論は部内にもございませんし、政府として予約制は継続して参るというふうにほぼ申し上げてよろしいと存じます。ただ、予約制に伴う各般の処置をどうするかという問題になりますと、これはやはり今年産米米価決定とほぼ同時に決定をして参る、こういうことに相なりまするので、内容の詳細についてはまだ決定を見ておりません。できるだけの措置は講じなければならぬということについては、これは私どももさように存じております。  集まるか集まらぬか、ことしの今のような様子では、なかなか予約と申しましてもむずかしいのではないか、去年、おととしがほぼ成果を得たのは、豊作の影響ではないか、こういうことの御見解もございましたが、私どももそういう要素が多分あったかと存じますが、そういうことで一応軌道に乗ったという点もあろうかと思います。今後それがどうなるか、なかなか予断を許しませんし、それがどうなるかということが、いわば予約制度、ひいては食糧管理制度の将来に大きな影響を与えるというお示しがございましたが、私どももさように考えております。
  47. 河野謙三

    河野謙三君 小倉さん、今やみ価格が百六十円も百七十円もしておりますが、そのやみ価格のあなたは見通しはどうなんですか。見通しというよりは、あなたが見通しを立てるというよりは、やみ価格を安定させる責任者なんです。やみ価格の安定というのはおかしいけれどもやみ価格を下げる責任者です。どういう方途をもって、今のやみ価格を下げるつもりでございますか。私は、ほかの方がつかえておりますから、一ぺんに言ってしまいますが、やみ価格を下げなければ予約制度というものは成り立たぬですよ。予約制度というものは、その希望配給というものと……。やみ価格というものは、希望配給によってやみ価格が下る。やみ価格が下ったら、予約制度ができるわけです。やみ価格はこんなに上っておる、まださらに上るということで、三年四年前の統制を非常に強硬にやったというようなこと以外に、予約制度で、やみ価格が上っても予約制度ができるというのは、大きな間違いです。あなたは気づいておるのだと思うのです。ことし、もし予約制度を続けるならば、予約制度を続けるような地ならしをしておかなければならぬ。その地ならしということは、需給関係というものを安定させて、やみ価格を下げて、その基盤の上に予約制度というものは成り立つのです。私は今のような状態で、ことしの予約制度というものは全然できない。というのは、やみ価格がこんなに上ってきて、これはもうサーベルによって、おまわりさんによって、昔のような強制供出か何かやる以外に手はないのですよ、こういうふうなことで、もっとさらにやみ価格が上るということなら。予約制度を続けざるを得ないでしょう。続けるなら続けるで、なぜもっと食糧の需給関係を、もし必要があれば緊急で外米輸入するなり、あらゆる方途を講じて、希望配給も、苦しいけれども、この際少し出してもらうということで、希望配給をもっとふやす。そうして押えておいて、そうして予約制度というものはその上に乗っかって回ってくるのだと思うのです。さもなければ、全然車は回りませんよ。それはあなたもお気づきになっておると思う。私の言うことは違いますか。やみ価格をどうして下げるということを考えておられるか、このままほうっておかれるのですか、ほうっておいて予約制度を続けるのですか、その点を伺いたい。
  48. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 御意見まことにごもっともでして、やみ価格の動向ということが予約制に影響を与える大きな一つ要素になりますことは、お話通りでございます。私どもといたしましても、その点についてはいろいろ研究は実はいたしておりますが、別段的確な施策を今持ち合せておるわけではございません。従いまして、こうするということを明確に申し上げることはできないのでございますが、ちょっと考えておりますことは、実は希望配給削減率に関係するわけでございますが、済んでしまったことを申し上げることははなはだまずいのでございますが、もう少し早く希望配給日数削減をしておいて、端境期に相当余力を持っておるということが、必要じゃないか、こう思うのです。少しおそ目に過ぎたのですけれども、また現在の段階で削減することすら、これはおもしろくないわけでございますが、現在の段階において削減をいたしましても、出来秋の状況に向って何ほどかの余裕を持っておるかということの方が、より必要ではないか。出来秋がどうなるかわからぬという状態では、農家も、これはある程度約束だけしてもらって、現実にそれが出せるかどうかということは、出来秋の需給関係ということになりますので、今後作況のいかんにもよりますけれども、そういう動向をにらみ合せて、むしろ出来秋にはできるだけの一つ措置を考えてみたいというふうなつもりで、現在そういう考えで、今から準備をしたわけであります。こういうつもりでおるのでございます。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、私のお伺いすることはちょっと無理かもしれませんが、どうも米の統制問題に対する根本が、事務当局の中でも、農林省の中でも、方針がきちんときまらないんだよ。また自由党を中心にした雰囲気の中にも、これがきまっておらない。ややもすれば、中間統制にするとか、あるいは撤廃の原因を作るなどとかいうようなものがあったりしておったり、これは何をやっても根本がきまらなかったら、先がぐらついてきて、いろんな議論が、今の制度調査会の中で出てくるような議論が、もやもや出てくる前提になる。なかなかきまらぬじゃないか。そこで大体事務当局としては、どういう考え方が一番いいんだ、こういうものを一つ考えてみたいと思うのです。この間もだれか、大阪の商大か何かの教授が新聞に書いておったが、戦前の統制は不足であって、不足のものを配給する都合上の統制であったが、今の統制は、同じ統制だけれども、性質が変って、米価の安定を中心にした、農家生活を中心にした経済価格の統制として、今度は農民を保護する立場に入っておるのだ。こういうものがきちんときまれば、やっていくことが至って私は簡単に片づくのだと思う。それをきめないでおいて、やっしゃもっしゃ、やっしゃもっしゃやってみたところで、これは考え方の基本によっては、とほうもない食い違いが出る。おそらくは今の特別調査会がどういう結論を出そうと、これが統制撤廃等を前提にした建前においてものがきめられたら、米審に少くとも集まる人は大体農民を中心にした人でありまするから、これは安定米価を中心にした、農家保護を中心にした統制に移すべきであるという基本に立っておるから、これは根底からおさまりがつかない。衝突が起きるであろう。これは明らかな事実だと思う。そういうようなものを、大体農林省内部の事務当局での考え方は、一体ある程度までまとまっているのか。あるいは政府の考え方等が、そういう点で一応の基本を置いて考えているのかどうか。行き当りばったりで、一応結論出して、それによっていくのだという格好でやっておるのかどうか。それらの点を、できたらざっくばらんに聞かしてもらいたい。そうでなかったら、私はなかなかやってみたところが結論が出ないと思う。ものの歩み出し基本がつかめない。腹の置きところが違っていたら、どうにも……。
  50. 小倉武一

    説明員小倉武一君) まことにごもっともなことでございまして、制度の根本がどうだということが、たとえば生産者米価、あるいは消費者米価をどういうようにやる、あるいは決定するという場合に、大きな影響を持つということでございます。そういうことで、調査会におきましても、制度の根本をどうするということは、直接の主たる議題ではもちろんございませんけれども特別会計の健全化等に関連いたしまして、一体制度をどう持っていくのだということについて、一応前提を置いておかなければ、議論の一致を見るわけにはいかないではないか、こういう御議論もございました。従って、調査会としても、その保護制度のあり方についての一応の前提としての考え方は、おそらく出て参るような気もいたします。  しかし、この点につきましては、制度の根本をどうするということは直接の議題ではない関係上、そう時間をかけての精細な審議があったわけではございません。一、二、折りに触れて出ました議論を御紹介しておきますと、どうも現在の制度は行き詰まっておるのではないか。従いまして、今後どうするかということについて考えなければならぬということについては、大方の方の御意見の一致を見ておるようでございます。この点だけは。しかし今後どうするかということにつきましては、大きく見解が分れておりまして、一つは、いわゆる間接統制的なものへ移すべきではないかという御意見がございました。もう一つの御見解は、これは間接統制と申してもなかなかむずかしい問題があるので、むしろ現在の制度そのままを持続しておいて、自然に次の段階に移る諸条件の成熟を待つべきではないかと、こういう御議論もございました。それからもう一つは、内容ははっきりしないわけでございますが、今のうちから次の段階に移る方向をはっきりさしておいて、その前提で事を運ぶべきではないか。次の方向がどうであるかというようなことについての御議論は実はなかったのでございますが、大きく申せばそういう三通りの見解があったわけでございます。  私どもとして、しからばどう考えておるかということになりますと、実はまだ研究が十分でございません。内々ごく研究的な段階でのことは、通常の業務の余裕があるときに議論しておりますが、おしなべて申しますと、二年豊作続きでありました昨今の段階と、それ以前の段階とは、ものの考え方が相当違ってきておりまして、豊作以前のときは、やみ配給価格よりも非常に高いという前提でものが考えられた。従って、そういう考え方が豊作続きの昨今ではどうも妥当でないような考え方が多いのではないか。そこで現在の状況では豊作続きはそろそろ終りではないかという現在の段階においては、それをどう考えるかということについては、まだ研究がないのでございまして、私どもとしても、現在の段階に即しての食管制度のあり方についての一応の検討はしておく必要を、十分感じておる次第でございます。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言うのは、農産物価の価格安定を中心にした統制を継続していくという考え方が基本になるのか、そうでなく、一つの統制が壁にぶつかったから、何とかこれを直さなければならぬとただそれだけの考え方でいくのかと、こういうことなんです。私は、農産物価の価格安定は、米麦中心に日本としては置かれることは当りまえだから、これを中心にしての安定させるための統制ということになったら、いろいろな問題で大体結論は出てくるんだ、問題の結論はね。今、現在の程度が、壁にぶつかったからそれを直していく、そして次の段階は間接統制から自由販売に移すんだという前提であれば、これはあまり難儀したくない。ここで骨を折るよりも、別の方で骨を折った方がいいと思うし、それで大体空気はどうなんだと言うんです。
  52. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 米麦を初め農産物価格の安定をはかる、その必要性があり、またその措置を恒久的にといえば語弊がありますが、恒久的に持続していく必要があるということについては、おそらく御異論のないところでございまして、これは今お話しの調査会においても、そういう趣旨に異論があったというふうには思いません。ただ、農産物価格安定と申しましても、これはまた人によって受け取り方が違うのでございます。その受け取り方の違いに応じて、どういう政策なり措置がいいかということが、また見解の相違を来たすところでございまして、その見解の相違について、先ほどちょっと触れたわけでございますが、その問題は直接に調査会としても審議の対象には必ずしもなっていなかったといったような感じもございまして、調査会としてどうだということを、はっきりここで申し上げられる筋ではございません。しかし、一般的な方針と申しまして、調査会のことを別にいたしましても、農産物価格の安定をはかるという趣旨、これはわれわれも異存のないところでございまして、その通りでございます。そういうことのための施策はどうあるべきか、こういうことに当然なろう、こう存じます。
  53. 小林孝平

    小林孝平君 さっき河野委員から、調査会審議の経過などは聞く必要はあまりない、あまり聞きたくもないというお話がありましたけれども、この調査会の権限とか性格なりというものは、これができるときずいぶんわれわは追及したのです。こういうものに、果して結論を待って、政府がそれを原案にするという態度がいいか悪いかということを、非常に議論したんです。しかし、政府は一貫して、この調査会結論待ちである、一切米価については白紙であるという態度をとってきたから、念のため聞いているのです。  そこで、大臣に後ほど聞きますが、事務的に長官でも答えられることを聞きますが、大体その調査会結論というのは、いつ出るのですか。近くというのは、いつですか。
  54. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 実はきょう、まあいわば内々申しますと、結論を取りまとめるための小委員会がございます。きょう果してそれがまとまるかどうか、これは予断を許しませんが、そういうようなことで、それからその次の本会議と申しますか、調査会の全体会議は来週の火曜日に予定をいたしております。私どもといたしましては、従いまして、本日の小委員会でまとまりませんでも、来週の火曜までにはまだ日数がありますことでありますので、来週の火曜日にはおそくとも最終結論が出るのではないか。これはまあ全面的な結論が出るかどうか、これはわかりませんが、当面の特に米の価格を中心にしたものは、結論された答えが出るのではないかと、こう思います。
  55. 小林孝平

    小林孝平君 この調査会を作るときの目的、政府説明によれば、あの消費者米価を引き上げるために非常に混乱をしたと。それで、消費者米価の値上げで政府与党の中が非常に混乱をしたので、調査会を作ってその結論によってやると、こういうことで、この委員会でも、予算委員会でも、政府は一貫して、調査会結論をもって政府の原案として米審にかけると、こう言っていたのです。そういうことが適当であるかどうか非常に疑問であるということを追及したけれども、一貫して、井出農林大臣あるいは政府として、そういう見解をやったんです。  そこで、来週の火曜日に結論が出るというなら、この結論というのは、生産者米価幾ら、消費者米価幾ら、こういうふうに出るのですね。そうでなければ、またおかしいのです。当然そうなると思うのですが、念のためですね。
  56. 小倉武一

    説明員小倉武一君) そういうわけで、当然に生産者米価幾ら、消費者米価幾らといったような結論は出まいと思います。これはむしろ米価審議会の審議の対象になる事項でございまして、調査会としては、米価審議会に対して政府が諮問すべき、今おっしゃられましたような生産者米価幾ら、あるいは消費者米価でございますれば幾らということを政府がきめます場合に……。
  57. 小林孝平

    小林孝平君 委員長、大事なことだから聞いていて下さい。
  58. 小倉武一

    説明員小倉武一君) そういうことをきめます場合、すなわち米審に対する諮問案をきめます場合の政府の態度なりあるいは方針なりがとうあるべきかと、そういうことに関連しての調査会審議でありまするし、これまでの審議の経過から見ましてもそうでございます。おそらく、従って、出て参ります結論みたいなものも、ずばりという価格じゃございませんで、価格の取扱い方、あるいは食管制度の合理化といった面から、諸経費の節減方策、そういった面についてのことでございまして、おそらく具体的な数字ということではないと思います。こういうふうに思っております。
  59. 小林孝平

    小林孝平君 それは非常に重大なんです。私は結局こういうことになりはしないかと思って、そのとき申し上げたのです。もしそういうことが政府の態度であれば、委員長は厳重に政府に警告しなければならぬ。この調査会というものは、米審とこれは違う性格のものじゃないか。これは食管制度全体のあり方とか、そういうものを調査するならいいけれども、この米価を具体的に幾らにするという調査をやるというのはおかしい、そういう結論政府の原案にするのはおかしいということを、繰り返し聞いているのですよ。しかも、その際、今ここにおられる河野委員も、この米審にかけるのに、その調査会のメンバーと重複しておってはおかしいじゃないか、自分が作った答申を、政府が原案として、今度は米審で同じ人がこれを審議するのはおかしいじゃないかというところまで追及されて、このおかしいということを言ったけれども、それはおかしくないのだというので、この調査会結論政府の原案にする、これは予算委員会でもやってですね、大蔵大臣も、私は米価については一切白紙です、調査会結論を待って、その結論政府の原案にしますと言っているのですよ。この農林委員会では、なおそれをはっきり言っているのです。速記録をお調べになればわかるのです。それを、今長官のお話ではね、いや、そういうしっかりしたものは出ないのだと。ぼんやりした基本的なものが出る。初めからそうだろうと思って、そうじゃないかと言っても、そうじゃないと、何べんも農林大臣は言っているのです。私、こんなんなら、農林委員会何やっているかわからないのです。今までわれわれが待ったのは、調査会結論を待っていたのです。ところが、調査会結論はあいまいだ。そのぼんやりしたものをもって、あと何日かの間に……。今政府は白紙なんですよ、今の態度は。政府の公式な態度は白紙なんです、米価に対して。しかも、また長官の態度も、これは白紙に近いものです、一切は。事務的にも明確な答弁はちっともないのです。それが、これから一週間か十日の間に、突如非常にコンクリートな案ができるというのは、これは手品みたいなものです。おかしいと思うのです、こういうやり方は。そんなら、一週間か十日くらいの間に、ばく然としたものから正確なものができるならば、今あるはずなんです、政府は。こう考える。今全然政治的には白紙であり、事務的にも何ら特定な意見がないというのに、一週間や十日のうちに作るなんということは、これはまさに天勝の手品にひとしいものです。こんな審議は農林委員会としてはむだですよ。こんなことを委員長が許しているなら、これはおかしいと思うのです。井出農林大臣のこの前の農林委員会における答弁のごときは、全くこれはでたらめだと言わなければならない。  私はまず、それだから、先ほどから河野委員は、こんな調査会結論なんか、審議の経過なんか聞いてもむだだと言われたけれども、私はむだだと思いながら、聞いたんです。これは一体どうなるのです。みんなが待っているのですよ。この調査会結論政府の原案にすると、しばしば声明しておる。その結果を待っていたら、あれだけ騒がした調査会は何にも……。ぼやっとしたものを出すらしい。しかも、それは出すらしいなんと言っているのだから、何が出るかわからない。これは委員長委員会の運営に関する問題ですよ。これは長官に聞いても、しょうがない。
  60. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと、長官から答えがあるそうですから、まず長官の答えを聞いてやって下さい。
  61. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 御質問の趣旨でございますが、私が誤解しているのか、あるいはそうでないのかわかりませんが、おそらく大臣といたしましても、調査会小林委員の申されましたような消費者米価幾ら、生産者米価幾らといったようなことで答申を期待しておるというふうなことは、おそらくなかったろうと思うのです。まあそのときの私審議の内容を承知しておりませんので、間違っておればこれは訂正をさせていただきますが、さようなことはなかろうかと思います。と申しますのは、調査会設置の閣議決定を見ましても、それからまた調査会審議の経過を見ましても、そういうずばりとした価格を出すということでは審議が行われておりません。審議の経過も、大臣その他も大体御承知でございまして、経過のごく概要は新聞に発表いたしておるのでございますので、もしそういうことでございますれば、審議やり方があまりにも広範にわたり過ぎておりまして、方向づけについて何らか政府の方からも調査会に申し上げなければならなかったわけでございます。さような次第でございまして、私どもといたしましては、米価なりその他をきめたり、あるいは今後の業務運営をいたします場合の指針としてよるべきものを得たい、こういうわけでございます。その指針に基いて、今後の業務の運営を改善し、合理化をはかり、米価等をきめて参りたい。そのきめる際に、政府の案を作りまして、米価審議会にお諮りする。こういうつもりでございましたので、そういうことで一つ御了承を願いたい、かように存じます。
  62. 小林孝平

    小林孝平君 初めから僕らは、調査会の性格とか権限というものは、そういうことになるだろう。またそうでなければおかしい、米審との関係から非常に疑問がある、こういうので、しばしばこれは国会においても論議して、この委員会でもはっきり農林大臣に言ったのです。それから予算委員会において、さらにこの問題を取り上げて、繰り返し政府は原案を作るのだ、こう言っているのです。だから、私は今のような長官の答弁は、その当時私がこの委員会で言いたかったので、それと同じようなことを言ったのです。  それで委員長は、一体そんな、長官が答弁したって、そうなることは初めから、何カ月前からわかっておる。だから、あなたは委員会の運営というものをどう考えられるか。そういうでたらめなことを農林大臣が言って——これは農林大臣だけじゃないのです。政府全体としてそう言っておるのです。
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) 小林さんにお答えいたしますが、私は今あなたのお話をだんだんと聞いて、でたらめだとおっしゃいますけれども、どうも、当時あなたのそういう御質疑があったということはよく存じておりますけれども、内容を一々はっきり記憶しておりません。しかし、あなたの今の御質疑からいうと、きょうの御質疑は、大臣が来なければはっきりしないと、かように思われます。従って、実はきょう出席を求めておったのですが、先ほど申し上げた通り、今まで出てこれないのは、はなはだ遺憾に存じます。
  64. 小林孝平

    小林孝平君 なぜ来られないのですか。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) 向うにおるのです。  実は、きょうだめならば、明日何とか出てほしいということを申しておるのでありますが、そんなことで大臣の都合等も聞きまして、委員会の運営をあらためてやることにいたしますが、きょうはこの問題はこの程度一つとめさせていただきまして、実はきょう予定しておるオーレオマイシンの問題があるのでございまして、政府委員も来ておることでございますから、もし何なら、これは大した長い論議の問題でなかろうか、実はかように存じまして、少し時間がかかりますけれども、午前中それを片づけて、この委員会をそういうことでしていただけたらと、私、かように存じておりますが、なるべくならば、そういうことに御賛成願いたい、かように存じます。
  66. 安部キミ子

    安部キミ子君 一つ委員長。先ほど長官は、需給均衡価格という言葉を言われましたね。この言葉は、私は新米ですからよく知らないのですが、新しい言葉のようにも思うし、また今度の調査会のねらいと政府のねらいが、この言葉の中に非常に意味深く含まれているように思いますが、この意味説明していただきたい。
  67. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 需給均衡価格と申しておりまするのは、これは必ずしも一般には使われていないかとも存じますが、最近の生産者米価は一体どういう性質のものか、こういう場合に、無理々々それは消費者のために押えている価格であるのか、あるいはもうすでに豊作が続いておりまして、ほうっておけばもっと下るのを支持しているための価格であるのか、こういったような議論があるのでございます。その間にあります——必ずしもその間にあるというわけじゃございませんが、そもそも価格というのは需給の均衡したところできまるのであるから、無理なく公定価格制度を持続していくためには、やはり需給が均衡したところで価格をきめるべきではないか。こういった意味におきまして、需給均衡価格ということがやはり米価を決定する場合の一つの考え方として出てくるわけでございます。理屈を申しますれば、自由経済でございますれば、そのときどきの需給の均衡を得たところで価格がきまるのでございますので、需給均衡価格というからには、自由価格と申しますか、自然の需給によってきまってくる価格需給均衡価格でございまして、統制価格というものとは関連が非常に異なるものでございますが、統制を続けていきます場合でも、やはり需給の自主性ということを考えなければならない。そうしなければ、非常に無理な価格になる。そういう意味需給の自主性をある程度考慮した価格であることが公定価格の場合でも望ましいのではないか、こういう考え方で、需給均衡価格ということが言われておるのでございます。
  68. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、生産者米価と消費者米価のこの均衡を近づけていって、一つのものにしたいという考え方に基いたこの解釈になるのですか。
  69. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 消費者米価と生産者米価と合せまして、需給均衡ということでございますれば、お説のようなことになろうかと思います。しかし、需給均衡価格ということで従来言われておりましたのは、生産者価格のことだけでございまして、二重米価といったような立場をとる場合も生産者価格は需要均衡価格でいくということも、これはあり得るかと思いますが、若干そこには御承知のように関連があるかもしれません。しかし、必ずしもそこは、需給均衡価格であるから、当然に消費者米価、生産者米価ともそういう観点から統一さるべきであるということに、明確に打ち出されているわけではないように思います。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 小林先生の御質問に関連するんですがね、大臣はしばしば調査会の答申を待ってということを言っておられるのですよ。その場合に、調査会の答申を参考にしてとか勘案してとかいうことを言っていないのだな。だから、今、小林さんがおっしゃったようなことになる。あなたの方は、調査会は、たとえば消費者米価が百二十何円というような具体的のものは出さないだろうとおっしゃいましたね。私もそうだと思う。しかし、百二十何円と出さなくても、原価主義をとるべきであるとか、中間主義をとるべきであるとか、家計米価をとるべきであるという方針を示せば、具体的に示したとこれは同じことだ。たとえば原価主義をとるべきと答申された、それをそのまま政府がやるのだということになれば。大臣はやると言ったんだから、そうすれば、百二十四円と出てくるわけだね。同じことだ。そこに問題があるのですよ。今まで参考にするとか勘案してとか言っていない。調査会の答申そのままだ。そこに問題があるのだ。それは確かに言っているんですよ。小倉さんのお考えは、どこまでも調査会の答申は答申であるから、勘案してとか、参考にすると、こういうことなんでしょう、あなたは。あなたはやはり大臣と同じように、調査会の答申をそのまま右から左にずばりと出すと、こういうことなんですか。
  71. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 調査会結論につきましての政府の考え方といたしまして、大臣と私どもとの間に見解の相違はあるわけじゃございません。それは大臣が尊重すると申し上げました趣旨で、私どもも尊重すべきものである。答申によって処理すると思いますから、答申によって政府原案を作る、米価については具体的な価格を作る、これはその通りであろうと存じます。ただ、河野先生がおっしゃいましたような表現を用いますならば、これは先ほど小林委員にお答えしたのとは若干間違ったことになると思います。御質問の仕方がちょっと違うものですから。小林さんは、ずばりと価格幾らということで出すか、そういうことではおそらくあるまい。しかし河野委員お話では、たとえばコスト主義によるべし、あるいは家計米価によるべし。そういうことでございますれば、その趣旨に近い結論はこれは出るかもしれぬと思うのです。しかし、家計米価によるべしということはちょっと考えられませんで、おそらく家計米価の範囲内で適正な価格、家計米価主義によりましてもおそらくそういうことになると思います。  そうしますと、家計米価の範囲内で適正な価格は何かというと、これはなかなか算式で出て参らないので、右から左と、こういうことには参らないような要素がございます。もっとも、それは考え方としては右から左でございますが、なかなか参りません。またコスト主義によりましても、一体コストというのは何か、予算ではじいたコストによるのだかどうかというようなことになりまして、そのコストの金額、これにもまた見解の相違というものが当然出てくるのでございまして、主義としては右から左でございましても、金額が出てこない限りは、右から左ということにはなかなか参らないことは、よくおわかり願えると思います。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 主義はとるけれども、具体的にはまたいろいろ政府がやるべきだ。私もそういうことだと思うから、米価審議会なんというのは初めから、大したことではない。結局あなたの方でいろいろ料理するのです。  ただ、私は最後に警告しておきますが、百二十円とか百二十五円とかいうものになったら、絶対これはおさまりません。私自身でも承知できません。百円の米を百姓から百円で買って、百二十何円で消費者に売る。生産者も消費者も両方納得しません。そんなものが重要物資にありますか、二割も口銭を取っておるものが。重要物資で、二割はおろか、一割五分なんて取っているのはありません。政府食糧管理をしているがために、消費者も生産者も、おれたちは二割以上ピンはねされる、こういうことになります。理屈はどうであったって、物価体系からいって、こんなことはだめです。これは絶対にだめだ、あなたばそんなところでとばっちりをくわないように……。
  73. 堀末治

    委員長堀末治君) この点については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) 鮮魚保存用オーレオマイシンの件を議題といたします。  この件については、去る四月二十五日の委員会の問題になり、その際政府委員楠本厚生省環境衛生部長及び奥原水産庁次長から、暑さに向う前に問題の最終的解決をはかり、暫定的にでも結論を出したい趣旨の答弁があり、私から国会開会中によい結果が得られるよう希望しておきましたので、本日重ねて議題にいたしまして、政府当局の善処を求めることにいたします。  まず、政府当局から、その後の措置について説明を求めることにいたします。
  75. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 六月三日に環境衛生部長に任ぜられましたので、よろしくお願いいたします。尾村と申します。  先般、楠本前環境衛生部長がこの前の委員会で、今委員長から申されました通り発言をいたしました、その後の処置につきまして、御説明申し上げます。要は、当時も皆様方に御説明申し上げた通り政府側としての自信のある的確な資料がないというのが、一つの問題でございました。その後資料の収集を極力急ぎまして、ただいままで、アメリカのこの問題に関する資料、それからカナダの資料、これをこちらで集めまして検討をいたして、いつでもその内容を御説明できる程度に集めております。それから国内のこの問題に関する資料は、それほど広くはありませんので、ただ類似の資料は、抗生物質の今まで医薬品としてのいろいろな研究データがあるので、これらの資料を極力集めている。なお五月の下旬に仙台で抗生物質の本年度の大きな学会がございまして、これにも厚生省の専任の学者であり行政官である者を派遣いたしまして、その演説内容を逐一聞かしたのであります。おそらくこれに関連のある資料が、一番ホットなものが得られるのではないかというので発言をいたしましたが、このときには、これにある程度役に立つ演説、あるいは発表の論文はありませんでした。従いまして、国内につきましては、医学界、それからその他の関連のある文献を極力今収集中でございます。  それからなお、厚生省が諮問機関として持っております食品衛生調査会、これの方は、まことにこれはおわびを申し上げなければならぬのでありますが、本日までその後開催をいたしておりません。しかし、何といいましても、厚生省当局としては別に学者それ自身の集まりではない。しかしながら、ペニシリン問題から発しましたこれらの措置は、十分科学的、学術的な意見検討した上でやりませんといけないものでありますので、当然この調査会意見を十分聞かなければいかぬというので、これを早く開くべきであったのですが、諸種の都合でおくれましたが、私がただいま計画いたしておりますのは、早ければ来週中、おそくともそれからごく近い間に、これの調査委員の都合があまりに悪くて、全部ほとんど在京しないというようなことではいけませんので、ただいま方方来週中の在京状況を調べております。できるだけこれを多数集まってもらうことといたしまして、この問題のこちらのデータも十分示しまして討議をしてもらい、その意見を早く聞きたい、こういうふうにいたしております。これはすでに済んだ措置でありませんで、きょうから近くやる措置でございますが、申しわけありませんが、以上、ただいままでのあらましの経過を申し上げたのであります。
  76. 青山正一

    ○青山正一君 先ほど、委員長からもいろいろお話があったわけなんですが、この四月の農林水産委員会で、あなたの前任者の楠本さん、この方が、先ほど委員長お話のあったように、暑さに向っているので、できるだけ早くデータを出したい、暫定的でも調査会結論を出したいというふうに、はっきりおっしゃっているわけなんですが、そう、部長がかわったからといって、前の部長がはっきりおっしゃったことを、衛生部自体としての実行に移さないということは、僕は不届きだと思うのです。ことに、どうも環境衛生部という部は、どういうわけか知らぬけれども、農林関係のものに対しては、事のよしあしを考えずに、昔から反対をなさっているというような向きが非常に多いわけです。今度の部長就任早々、そういうことは絶対になかろうと思いますが、今後そういうふうな点も十分一つ気をつけてやっていただきたいと、こういうふうに考えております。これは質問じゃないのですが。  そこで、御質問申し上げたいということは、どうもオーレオマイシンのこの問題のみを、よく考えて調査を進めているのかどうか。どうも、そのほかの抗生物質と一緒に、全部を考えてやっておるから、その結論がおそくなっておるのじゃないかと、こういうふうに私は考えるわけなのですが、問題は、まあいろいろ魚類とか肉類に関連し合って、鮮度を保つためとか、あるいは殺菌力——こはから非常に菌が多いというふうな関係からして、その殺菌力の強いオーレオマイシンを、これから梅雨どきに向う、あるいは暑さに向う、そのときに使いたいというふうなことで進んでおるわけなのですが、部長の説明によると、来週中に結論を何とか出したいと、こういうふうにおっしゃっておりますが、どうも抗生物質全部を考えてやっておられるのじゃないかと。だから、この問題になっておるオーレオマイシンのみを一つ先立っていろいろ調査をする必要があるのじゃないかと、こういうふうに考えておりまするが、それに対する部長の御意見はいかがでありますか。
  77. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの御質問でございますが、抗生物質全部について考えているわけではございませんのでありますが、といって、今度の魚肉に使うオーレオマイシンだけで、それ以外は何ら顧慮せぬというわけにも少しいかぬと思いますが、そこが非常にむずかしいことだと思うのでございますが、しかし、あくまでオーレオマイシン中心に諮問いたすのは、むろんそういうつもりでおりますが、ただ、これはすべての抗生物質が安全である、ただオーレオマイシンのみが今までデータ不足あるいは使った経験がないので、新たにこれもほかの安全なものと同じであるかどうかという問題でありますと、従来の食品衛生の新しい防腐剤その他のものが出たときと同様に、非常にこれは簡単にいくわけなのでございますが、今のところ、抗生物質全体を人体に使うという問題は、主として最初ペニシリンで始まりまして、これは最初から、ペニシリンは非常に治療効果があって、副作用はないものだという常識で数年やってきた結果、今度新たな知識で、非常に副作用の事実と、それから学理的な点もある程度解明されてきたというようなことになったのが、一番進んだ抗生物質の知識でございますので、従いまして、これがもしオーレオマイシンの問題が人体と関係があるということに相当いろいろと問題があるといたしますと、やはりこれは同様なものの、こういう抗生物質の一つの重大な学理的のもとにもなるのであります。  さような意味と、もう一つは、ペニシリンがああいうことでありましたために、国民が非常に不安に感じておる。ペニシリン自身についても、今わかってきたこと以上に、非常に不安を持っている。ペニシリンと聞くと、もう体質がある程度大丈夫だと言うにもかかわらず、まだ拒否する人が相当あるというようなことがびまんしておりますので、これはよほどしっかりと、オーレオマイシンが同じ抗生物質であっても今までのペニシリンとは組成が違っておる。ペニシリンが人体に最初感作いたしまして、あとから何万単位、あるいは一番最低の実例は二十五単位でございますが、ああいうものを起す原因は、抗生物質と名は共通であるけれども、そういう因子はこっちに入っておらぬとか、あるいはこの免疫を作る原因が、ペニシリンのように一回やった場合でも、あるいは三回やった場合でも、ある程度あらかじめ感作されておりまするが、この場合は、主として今まで内服であったものでありますから、あまり感作が起っていないというようなことがはっきりしておるかどうか。これは間違いがないという実例がなかったわけでありまして、感作問題は、これはまだ人体にそれほど実験がされておらぬものでありますから、そういうような問題で、まだペニシリンのごとき心配の起る因子はこの抗生物質には学理的にないということを確かめれば、こういうものであるから、同じ抗生物質という名前はつけられておるけれども、国民は心配するなということが言えるわけでございますが、そこらになりますと、これの方を扱っております学識経験者に、今までの突っ込んだ点を討論してもらわなければ、今の知識では、実験データは人体について少いけれども、しかし、学理的にペニシリンと違うという点は学問上出てくるから、その部分では心配いらぬ。むしろ残る問題は、加熱等をして、これを破壊してしまえば、アレルギーのみを起すかどうか、その他の拮抗菌がどうなるか、菌の耐性を作る問題は手段方法で改正できる、ペニシリンのように全部加熱して使うものとは違うということがはっきりいたしますれば、これはあらかじめ一々こまかい実験を待たなければ結論が出ないという問題ではないと、これは常識的に考えられるわけであります。  そういうような意味で、なぜ反対が学者の一部にあるか、あるいは賛成されるならば、絶対にペニシリンと共通性がないという根拠に立っているかどうかということを、一応話し合いに立っていただければ、どっちかの結論が出るのじゃないか。その突っ込んだ意味の話し合いをやる機会を持たなかったということは非常に遺憾でありまして、これは深くおわび申し上げなければなりませんが、これは至急取りかかるという、そういうことで御了承をお願いしたいと思っておるわけであります。
  78. 青山正一

    ○青山正一君 もう一点お伺いしたいのですが、諸外国のデータというものは集まっておるかどうか。たとえば、カナダの例は百万分の五、あるいはアメリカは百万分の七というものを公然と使わしておる。その他、ほかの外国にもその例があると。そういうふうなデータを集めておるかどうか、その点について承わりたいと思います。  と同時に、委員長にお願いしたいと思いまするが、この厚生省の方では、来週調査会を開いて結論を出すと、こういうふうにおっしゃっておりますが、その出した直後において、委員会一つこの点を報告願うように、特にお願いしておきたいと思います。
  79. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいま私の方に集まっておりますのは、アメリカの鳥に対する規定、それからカナダの魚に対する規定、外国の例は今のところ入手済みなのはその二つでございます。
  80. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 厚生省は、水産業者が、特にこの以西底びき業者ですが、このオーレオマイシンを使って防腐に役立てておったということを、前もって御承知でありましたか。このオーレオマイシンを使っておるということを、御承知であったのでしょうか。
  81. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 厚生省といたしましては、実験的にこれをやっておられるということは承知しておったわけでございますが、これをほんとうの、何といいますか、鮮度保存ということで、一般的に使っておるということは承知しておらなかったのでございます。
  82. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もとより、そう長い間使っていたわけではないようですけれども、ちょうど使い始めたころに、これがぴしゃりととまった。そこで、この効果も非常に従来のフラスキン等から見るというと、効果ははるかに高いものである。そこで非常な期待を持ち、喜んでこれを使っておったところが、不幸にしてああいうふうな禁止になった。そこで、さっそくいろいろな調査の結果、業者としては、この程度の微量なものでは人体に害のあるはずはないというような見地から、ぜひオーレオマイシンを、従来のような五百万分の一程度のものを氷の中に入れて、魚を保存させるということはやらしてもらいたいということを、昨年さっそく厚生省にお願いをしたのでありますが、その後、今日まで一向その、何といいますか、解決しておらぬ。ことに厚生省の方では、食品衛生調査会結論を待たなければということであるそうでありますが、本年の二月に一回お開きになったというだけで、その前後にいまだ開かれておらない。今部長はおわびをしておられましたけれども、これは単におわびで済む問題じゃないのじゃないか。まことに私は、怠慢じゃないか。そういうふうに試験もされておったということだけでなしに、さらにしばしば陳情をしておるにもかかわらず、その調査会をお開きにならないこの理由はどこにあったのであるか、この点を一つお伺いしたい。なぜその調査会をそんなに長く開かなかったのか。
  83. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これは、あとからの言いわけで申しわけないのでありますが、二月の前回の調査会のときに、当時まで出ました文献その他で非常に学者が判断するに不足である。それで、もっと調査会を開いた場合に十分討論の役に立つ文献を厚生省が責任をもって集めろ、こういうのが調査会結論になっております。で、こちらとしては、ただいま言いましたように、外国の文献、それから国内の発表になりました関連のありそうな諸文献の収集にかかっておったのでありますが、まあこれのスピードの問題は確かに、総がかりでやった場合と、ほかの仕事をしながらやった場合とでは、非常にスピードも違うということはあるわけでありますけれども、これはあとからの言いわけで申しわけないのであります。さような意味で、また調査会に役に立ち得るという自信がつかずに、文献がぼちぼちと集まってきた。あるいはほかの今の学界発表等を、人手を分けて聞きに行く、こういうような処置で今に至ったわけでございまして、ただいま集まりました文献と、学界に出席した者の様子を取りまとめました結果は、来週開けば十分、これは委員会の方々の意見によるわけでありますが、われわれとしてはある程度判断の資料にはなるであろう、こういう自信を持ちましたので、至急招集をすることにいたしておるわけでございます。
  84. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どの程度資料をお集めになったかわかりませんが、今、外国の資料としては、アメリカとカナダの事例、これはわれわれも承知しております。しかし、どうも私どもが想像しておるのに、大体厚生省がこういう物資を水産の方面に使わした方がいい、何とか使わせたいという意欲でいくのと、これは使わしてはいけないのだ、それはどういう理由かわかりませんが、使わしてはいかぬという先入観でやるのとは、非常に違う。委員会を指導する上においても、いろいろ違う点が出てくるのじゃないか。そこで私どもは、もちろん人体に影響するものでありますから、悪いものを使えとは申しませんが、現在においてもある程度の毒性を持ったものも使われておるのでありますから、簡単に使わしておるので、それをオーレオマイシンに限って非常に慎重な態度をとられるということは、ある意味からいうと、あつものにこりてなますを吹くといったそしりもありはしないかと思う。水産業者といたしましても、まるっきりしろうとがデータを作ってはおりません。相当の学者がやっぱり関与して、慎重な試験の結果、データを出しておる。これらのデータも御参考に供されるかどうか。ぜひ供してもらいたいと思いますが、  私は、先ほどもある委員からお話のありました通り、全般の抗生物質の使用について論議を戦わせますというと、おそらく来週や来々週なんかで結論の出るはずはないと思う。まずもって今当面の問題となっておりますオーレオマイシンを水産物の保存に使わしてはどうか。しかも、これは氷に使いますというと、相当氷の値段が高くなります。オーレオマイシンを使いますというと、トンについて千円くらい高くなると言っております。従って、保存を、ある程度長くもたせようとする必要のない魚には、こんな高い氷を使うはずはない。たとえば沿岸でとれる近海物については、こんな高い氷を使ったのでは引き合いません。これを使えと言ったって、使いません。ただ、使いますのは、二十日ないし二十五日、あるいは三十日も沖合いに出て操業する底びき網トロール、これが現在一番必要としておるものであります。これらの魚に限定されてもいいのです。また輸出物に使うというようなことも、全然やっておりません。主として以西底びきトロールの業が、御承知のように、日にちがたつものですから、鮮度が落ちて参ります。そうしますと、食糧にとってきたものが肥料になってしまう。二割くらいのものが肥料に落ちる。またそうでないものも、月日がたつと鮮度が落ちてくる。これが鮮度が落ちずに大部分食糧に供し得るということになれば、これは非常に国益になる。業者はもちろん利益をしますけれども、国益になる。一方からいうと、食糧の増産ということにもなるのでありまして、私は単なる個人の利益をのみ擁護しようとするのではありません。そういう意味から、政府である厚生省も、そういう点から考えてもらいたい。これは単に業者がもうけるのだからと、こういう頭でなしに、これだけ助かるならば、これだけ食糧は増産になるのだ。また新しい、鮮度が落ちないものが国民大衆に供給できるのだ。だからして、何とかこういうものは使えるものなら使わしたいという精神のもとに、これをお取り扱い願いたい。先入観によっては非常に違います。これは絶対使わせないぞというような考え方でこの問題を取り扱ってもらっては、これはいつまでたっても解決せぬと思う。  前の楠本部長が、暫定的にしろ、早急にこれをやろうという御答弁をなすったのも、そういう気持があったのじゃないかと思いますが、もはや六月でありまして、非常に腐りやすい時期になりましたので、これは一刻も早く解決をしていただきたい。私どもは今まで、まあ私は医者でもなければ学者でもない、しろうとでありますから、わかりませんけれども、オーレオマイシンは飲んでおる。ことに虚弱児童に対しては、三年も続けて飲まして、効果はあっても、何ら害はなかったというようなデータもあるように聞いております。それがわずかなものを氷に入れて、そうして魚を冷やして、それが人体に長年——といったところで、何百年も使うものではありません。しかも、それを毎日同じ者が毎日同じような状態で食べておるはずもありません。そういう点から、しろうと考えで考えますと、今日ペニシリンのような害が出たというような話を聞いておりませんし、必要なときにはカプセルでがぶがぶ飲ませるのですから、私はそう無理なものではないと思います。これは私はしろうと考えであります。そこで、何かこれによって非常な害があったということであるならば、私どもは決してこれを解除してくれとは申しませんが、われわれの知識では、そういうような懸念はなさそうに思いますので、そういう精神でもってこれを進めていただきたい。  そうしませんというと、今の資料が、これでは足りない。また今度の調査会結論が出なかったということになると、いつまでたったら結論が出るかわからない。どうしてもいけないというデータが出たなら、もう少し早くやってもらいたい。いずれにしても、そう引きずってもらっては、業者としても困るし、われわれとしても残念に思いますので、新部長がお扱いになって、いわゆる快刀乱麻のような調子で、早急に一つこれを解決するように御努力を願いたい。いろいろ私ども御質問してみたところで、結局結論はいい結論をほしいと思いますので、来週あるいはその次の最も近い機会に開いて、何とか暫定的にしろ結論を出そうという御意思でありますから、それに大きな期待をかけまして、多くを申しません。業者としては昨年からこれを非常に問題としておりますので、早急に一つお願いしたいと思います。
  85. 河野謙三

    河野謙三君 部長は新しくなられたので、ここで一つ具体的に新しい部長として約束されてはどうですか、いつまでに結論を出すという。ここに集まっておる委員の方は、医者でもなければ学者でもない。私どもはいいか悪いかということを言っておるのではない。いいか悪いかということを早くきめたらいい。もちろん何月何日何時までというところまではいかぬでしょうから、来週審議会を開き、月一ぺんというわけにはいかないから、どうせ集まったついでだから、結論を得るまで審議会を三日でも四日でも開いて、結論を出す。それでなければ、暫定的に審議会の結論を出してもろうとか、そういうことはやはりあなたの方で方針を立てなければいかぬ。とにかくきのうきょうの問題じゃないから、そろそろここらで出さぬと、やはりいろいろあなたの方が誤解されても仕方がない。審議会も開かない、だから、厚生省のやってることは何でも反対だと、こう言われても答弁の余地がありません。具体的にあなたの行動がそうなんだから。だから、私が聞かんとするところは、一体新しい部長はいつを目途にしてこの問題の結論を出すつもりか、これを一つ私は言ってもらえばいいと思うんですが。
  86. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 日にちはちょっと、今の委員の方から御質問あった通り、お約束できませんが、今度開く日がきまりましたならば、この問題をできるだけ、結論が出るまでは、一日で済まなければ、もちろん委員の都合もございましょうけれども、できるだけ引き続き結論が出るまでお願いして、無理にお願いしてでも極力お願いして、引き続き議論が尽され、ある程度委員長が何らかの答申を出していただけるに至るまで続行をいたしていく予定でおります。御了承願います。
  87. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、非常にくどいようですが、来週か、もしくは間違っても再来週には委員会を招集すると。そうすると、ここ十日か十五日の間には何らかの結論が出る、また出すように厚生省もわれわれと約束ができる、こういうことで了承してよろしいですか。
  88. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) たとえば四日分あったと。毎日委員に来てもらえば、これは日にちの予定がつきますが、それぞれ相当ないろいろ忙しい方でございますから、これは第一日目に開きまして十分やってもらって、それで結論が出ればその日でいいわけでございますが、あとはすぐ何日置きにこれをやってくれるかというのは、委員会での委員のそれぞれの意向を聞きませんで、あらかじめここでお約束してしまって招集すれば、おそらく非常に工合が悪くなって、自分らの都合——それぞれの公職、あるいは社会で忙しい仕事を、連絡もせぬでお約束したとなると、かえってまずい結果になりますので、今申し上げましたように、開いたならば間を置かずに極力続けて、何とか討論し尽してもらう、この問題については、ということを私どもが責任をもってお願いする、各委員に。もう相当、いろいろと都合を言う人があるそうでございます。出張する予定があるとか、もっと忙しい仕事があるとか、手当も少いのにかえって困るとか、(笑声)今まであったそうでございます。それは私から十分お願いして回って、今のように引き続きやってもらうように、極力短かい間で……。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 くどいが、あまり長引いているからくどくなるんだが、委員会委員長が招集してやるんですから、あなたがいつ幾日に開いて幾日間やれと言うわけにいらぬでしょうけれども、あなたの方としては、先ほどおっしゃったように、今度委員会を続行してもらうか、かりに間を置いても、二日か三日置いて結論を急いでもらう、こういうことで、そうしますと、大体常識的に考えると、委員の都合を聞いても、大体今月一ぱいに片づくという——今月一ぱいじゃ困るでしょうけれども、間違っても今月一ぱいということにはわれわれは了承できますね。
  90. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) その問題は……。
  91. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これはやっぱりそういうことで、河野さんが言うたように、大体日はあなたのところにあるんです。実際今お断わりされたように、これはあなたじゃない、前の部長だけれども、僕は前の部長には、この問題のみならず、非常に遺憾に思っている。ところが、そういう工合だから、あなたが、厚生省が委員会を招集するんだから、何でも頼んで、いろいろ委員に御都合があるのはわかります。だけども、非常に大きい問題だから、どうしてもやはり今月中には何して、来月の八日ですか、これまでには必ずまた招集して、委員が都合が悪かったり、こんなことは言わぬように、これは厚生省としてそんなことは言えないはずはない。はっきりノーかイエスかその理由を付してわれわれは聞きたい。それはお約束していただけるでしょう。従来の経過から見て、どのくらいの余裕があるか。
  92. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) もしお差しつかえなければ、きょうのここでの委員会でこういう非常な御希望になられましたことも、ありのまま委員長に伝えまして、われわれの意思をまじえず伝えて、私の方としては極力急いでやってもらうという厚生省の強い要望を委員長に申し出まして、それを含んでもらっての招集並びにその後の運営をしてもらう、こういうふうに、ここまでは十分私の方でできることでございますから、お約束したいと思います。
  93. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、大体、部長としては、それまでには解決、確答できる結果になるという見通しかどうか、見通しは。
  94. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これは委員会の議事の内容が必ず何かの結論は出してもらうということについて、これはお約束できますが、その内容がどういう結論になるかということは、これはちょっと……。
  95. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは言っておらぬ。とにかく結論が、われわれに発表する結論が出る見通しを部長は持っておるか、厚生省は持っておるかどうかということを、はっきりしていただきたい。
  96. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) だから、私の方としては……。
  97. 河野謙三

    河野謙三君 内容は大へんですよ。どういう、結論が出ないという結論を出すかもしれぬということを含むんでしょう。それは困るというんです。これは技術的な問題であるけれども、とにかくこれまで長くほうっておいて、一国の産業に影響のある問題を、委員会がとにかく構成されておって、その委員会の責任だと思うんです。もしここでもう一ぺん開いて、結論が出ませんという結論を出せば、委員会は問題だと思う。そういうことはあなたたちは想像できないでしょう。結論が出ないという結論が出ることはございませんでしょう。
  98. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 結論が出ないということはないと思うのは、前にも結論が出ない——結論というのは、今のデータに基いて有害かどうか結論が出ない間は、省令が施行されて禁止の状態に現在ございますので、結論が出なくてもう少し先ということは、同時に禁止を続けるということに結果的にはなるわけです。ですから、いずれにしても、そのときの最終の日には実質的な結論は何かなければ、これはいかぬわけでございまして、さようなことでございます。ですから、結論は必ずあると、こう思っております。
  99. 東隆

    ○東隆君 私はこの前のときには、このオーレオマイシンを禁止したのは、ペニシリンのショック死、そういうものを動機にして、ペニシリンだけでなく、オーレオマイシンまで禁止した、こういうふうに聞いておるわけです。そこで、これに対する有毒という反証は日本においてはあがっておらない。そういうものを委員会に諮って、原案をお出しになって、厚生省が政令にそれを規定する、こういう形でもって進められたと思うのです。従って、この際厚生省はその禁止を解いて、しかる後にこの研究その他を続けていくのが、これが当然ではないか、こういうふうにこの前、実はだいぶ主張をしたわけなんです。で、楠本環境衛生部長はそれに対しても、うなずいておりました。そこで、私は委員会が招集されるに反対をする人もあると思うんです。しかし私は魚について有毒だという例証を持って反論をする人はいないと思う。そういうことを考えたときに、私は、この問題を委員会の学者の論議にまかせて、そうしてその委員会でもって賛成、反対の何を採るのかどうか知りませんけれども、あるいは全会一致でもって決定しなければだめなのか、それもわかりませんが、そういうものによってこれを延ばしていくのは、これは非常に間違いがあると思う。それは当初においてペニシリンのショック死を原因にして、それこそあつものにこりてなますを吹くというあれがありましたが、まさにそれと同じような形でもって、オーレオマイシンの禁止をした、こういう形が出ておるわけです。従って、この問題については、その当時厚生省が農林省の方に打ち合せをして、水産庁と十分に話し合いをしたならば、これはあるいは違った形でもって政令が出ていたかもしれない。そういうような中身のものであったと思うのです。  そこで、環境衛生部長はこの際どういう方針をとるかといえば、やはり政令から一応除いて、規定から除いて、オーレオマイシンを暫定措置として除いて、そして研究その他を将来に向って、これはやらなければいかぬ。これはやらなければならぬ問題であって、有毒だという反証の一つもあがらないのに、ぶつっと禁止をしてしまう、そのことが問題なのですから、私はこの際、学者先生の論議は明らかに実験の材料、有毒だという反証が十分にあがって、証明が出て、そうしてしかる後にそういうものが出たならば、これは禁止した方がいい、そういう問題だろうと思うのです。だから、その点を考えられて、いろいろ法規その他の関係でもって、面子の問題もあろうと思う。だから、委員会を相当指導する必要がある。そしてすみやかにこいつに終止符を打って、そして研究は将来に向って進めていく、こういう条件付きでも、私はこれは解決がつく問題だ、こういうふうに考えていますが、その点はどうですか。
  100. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ペニシリンの問題と、それから当時——最近はこういうような世界的に使われている薬、重要な薬でございますと、国際的な意見も非常に参考になるということで、当時は国際連合のWHO、世界保健機構でございますが、これの専門事務当局の意見が、抗生物質については、世界的に一応医薬品以外のものに抗生物質を使うことには、消極的という意向がわが国にも流れてきておりましたから、それも参考にいたしまして、将来まあ日本がどんどん文化的に進歩していくについて、こういうことで妙なことになったら非常に恥をかくということも考慮いたしまして、やったそうでございます。  ただ、ただいまもお話しになりましたように、また先ほども御批判が出ました通り、確かにあつものにこりてなますを吹くということもございましょうが、ただこれは一時的に有毒なような、すなわち一時どうなっても、一たん体外に排出されてしまえばもういいという有害なものと、それから使われているものが、逐次これが生物的に反応を起して、ほんとうの害はその後になって、ある程度の生物反応が起ってから、そこである機会に特殊な量を使ったときに一挙に起る種類の害作用と、医薬品の害作用に二種類ございます。ペニシリンは後者の方で第一の問題を起したわけでございまして、そのほかに、それを使っておりますと、有効なことがまた同時に害をなしまして、従来ほかのからだに余り害にならない菌が、空気とかいろいろなものからからだの中に入っておりますが、これが比較的繁殖をして、からだにしょっ中入ってくる有害な細菌を殺しておるいわゆる拮抗菌、腸にも肺にもありますが、この拮抗をする、殺す方の菌が、逆に非常に鋭敏なものでございまして、これが殺されたために、入ってくる方の有害な菌が繁殖して害をなす。いわゆる真菌症というのが最近は非常に方々で問題になっておりまして、おそらく抗生物質の発展のために、医薬品を使われ過ぎておるということが言われておるのでございますが、さような問題が害作用の主をなす、抗生物質の害の方の問題でございますので、今はずしてしまって、それで結論が、二年か三年やったときにいけないという結論が出た場合に、ほかの一時的な薬でありますと、使ってしまっても死ななかったからよかったで済みますが、こちらの方はその結果が蓄積されておりまして、今から前に使ったものを返してくれというわけにもいかぬような薬の種類でございますので、そこで今わかっておる、ペニシリンであれだけのことがあったから、ペニシリンと同じ性格であるのかどうか、これは学者である程度推定できる問題でございます。一々人体について何百人やらなければならぬという問題じゃなくて、こういう問題は類似の性格を持っている問題で、類似品にも抗生物質を含んでおるかどうか、これは学者の研究で今までもある程度知識をつき合わしていただくとわかるようなことで、今調査会結論を見た上で、もし結論上はずせるとなれば自然に……。行政的にはずすのは、ちょっと私どもとしては自信がないわけであります。
  101. 北村暢

    ○北村暢君 簡単にですが、今調査会結論が出るとか、調査会にまかせるように受けとれて、その日程について自信がないように言われておるのですけれども、私は、この調査会審議する資料というものは、厚生省で集めることを命ぜられておる。環境衛生部で集めているわけです。そういう中に、あなた方はどれだけの結論が出るということは、もうそろそろわかっていいし、あなた方の準備した資料の中から、どういう結論がつくかということは、これは厚生省は膨大な機構を持っているのですから、調査会はあなた方の集めた資料でもって判断する、その努力が今なされてきた段階において、環境衛生部長は大体その見通しというものがつくはずなんです。それを聞いているわけです。それを、調査会結論が出るかわからない、いつごろ出るかわからないというようなことではないと思う。厚生省のあなたの方で準備すれば、その結論調査会でどんどん出すのですよ。重要な問題で、今差し迫られているのですから。それはどういう結論を出せということじゃなくて、あなた方が要請される結論というものが、だんだんわかっているはずです。そこを調査会に逃げないで、環境衛生部長は部長として、どういうふうに計画を持ってやるのか、そこを聞いているのです。
  102. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) それぞれの論文なり、あるいは規定なりの——これの規定はまた別といたしまして、これに関する研究のデータに対する判断、判読というものはできるじゃないかというお話でございますが、これはできないのでございます。われわれの形のような知識の者が、その論文を読んで、この他人のやった論文から、これとこれを照合すれば、必ずこれは有害だ、無害だという判断は、これは一般の学者の類推力というものに待って判断するものでございます。この結論は、遺憾ながら出ないのであります。
  103. 北村暢

    ○北村暢君 私の言っているのは、そういう結論調査会が出すのです。その資料の集め方において、たくさんある資料と言っておりますけれども、大体そうたくさんないようでございますね。今言っているように、そういう資料を提供して、そうしてその委員会で判断する、こういうことでしょう。ですから、その結論が必ずしも、先ほど言ったように、これは有望口であるという判定が出るか出ないか、これはわからないのですよ。わからないけれども、今あなた方が集めている資料というものは、その程度というものはわかっている、それに基いてやるより……。それよりまだ資料が必要だ、調査会資料がなければ判断できないとか何とかというのならば、これは結論が長引きますよ。その結論が、有害という結論を出すのさえわからないという結論を出すのか、有害であるか有害でないかわからないという結論を出すのか、そのくらいのことは、今まで集まっている資料の中で、あなた方は判断できないかと言っている。
  104. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先ほども言いましたように、これに基いて結論に対する判断はできませんが、ただ、今までよりも一歩進歩したことになるのじゃないかと思われますのは、今までの資料を丹念に検討いたしますと、確かに、先ほどの委員の方々から御意見がございましたように、頭から、抗生物質だからこれはやめるとか、あるいは医薬品に使っているから、だから医薬品を中心にしておいて、その他にはなるべく使わぬとか、そういうばく然たるものではなく、論文の資料検討いたしますと、たとえばアメリカの場合でございますが、加熱によっての方法を講ずると、その部分は除外されるわけでございます。たとえば菌に対する活動力というのは、これは非常に阻害されますので、先ほど言いましたような拮抗菌の問題は、これは阻却される。しかし、加熱しても唯一残る問題点は、からだに対する免疫付与能力だけは残る。これは今までの免疫学からもわかる。そうしますと、この資料に基いて、調査会の方に、われわれの要請といたしましては、だから、今の生きた菌に対する問題は、何らかの条件をつければこれは除外される。だから、その問題から見れば、問題点は、免疫能力の問題だけで、これをどうしたら、これまで有害か無害かにすることができると、こういう問題に、こういう研究の結果としてしぼられるわけでございます。  それから、あるいは分量の問題もいろいろなデータが出ておるわけでございます。ことにアメリカは七、それからカナダは五PPMというふうな量が出ておるといたしますと、これをかけ算をいたしまして類推すると、日本人の平均のそういうものを食う頻度から類推すれば、からだにどのくらい入るかということは、これはある程度わかってくるわけです。  そういうふうな場合に、加熱して免疫能力だけを残した場合に、免疫が、今までの免疫学の常識から成立するかどうか、こういうこともわかってくる。免疫の方でありますと、一挙に大量にやった場合に、必ずしもならぬ。逐次上昇をさしていくというのが、免疫成立の、たとえばチフスのワクチンを少量を三回に分けてやるのを、それを一回にやると、反応ばかり多くて、免疫そのものは一向に出てこないというようなこともありますように、免疫学の学者からならば、ある程度これは判断がもう少しつくと、こういうふうにわれわれは考えておりますので、だかう、もっと判断を的確にする資料は提出できる。前のようにばく然と、このオーレオマイシンをそんなに使った場合は、一般的にいいとか悪いとかいうようなことで提出するものでありますから、調査会の方でも手がかりがない。学者が集まりながら、何となしに常識家の討論にすぎないということで、保留々々になる場合があるわけであります。その点を一歩進めるということで、だいぶ学問的な結論が出やすくなるという見通しをつけているわけであります。
  105. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一点だけ。このフラスキンに対して厚生省が許可を——許可といいますか、許しを出している文面がありますが、これは環境衛生部の食品衛生課長名で、水産研究会の会長にあてて出しているのがあります。これは非常に私は要領のいいあれだと思いますが、魚類冷蔵用氷にニトロフラゾーンを使用することについて、差しつかえないかという問いに対して、昭和二十六年十一月十三日付で出ておりますが、「標記については「都道府県知事の許可を得て専ら漁業用のみに使用する白氷」に限りニトロ・フラゾーンを添加して差支えない。但しその添加量はそれを魚体の冷蔵に使用した場合、白氷中のニトロ・フラゾーンが魚体に浸潤しない程度であることが必要である。」、まことにうまい文句であります。こういうことであれば、何もオーレオマイシンだってちっとも差しつかえないように思いますから、この轍をもって一つ御処置を願いたい。
  106. 堀末治

    委員長堀末治君) この件については、本日はこの程度にいたします。  なお、委員長として政府に申し上げますが、関係当局よく連絡いたしまして、当委員会の本日における審査の経過にかんがみ、至急善処せられることを重ねて希望いたしておきます。  なお、申し上げますが、調査会の日程がきまりましたら、委員長一つ聞かして下さい。なお、その間内容の経過等ある程度漏らすことができたら、委員長に報告をしていただくことを希望いたしておきます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十五分散会