運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-05-11 第26回国会 参議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十一日(土曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之介君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            八木 幸吉君   政府委員    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室参事官   尾崎 朝夷君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    人事院事務総局    給与局次長   慶徳 庄意君    厚生省医務局長 小澤  龍君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    建設大臣官房長 柴田 達夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    厚生省医務局次    長       河野 鎮雄君    厚生省医務局管    理課長     戸沢 政方君    建設大臣官房人    事課長     斎藤 常勝君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それではこれより内閣委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、三案を一括して議題に供します。  三案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まず、技能労務者関係についてお伺いしますが、この新しい給与法案を見ますと、現行俸給表を相当細分化しておるということがうかがわれるわけです。それで賃金による身分差を強く打ち出しておることがはっきり察知できるわけです。たとえば技能労務者の例を一つ引いて見ますと、技能労務者を優遇するというようなことを表現しておりますけれども、実際には筋肉労務者を冷遇しておることがこの表から伺われるわけです。表面行政職俸給表の第二表にこれを入れて、外面は着物を着せて改善したというふうに見せかけておりますけれども、中味は依然として改善されていないわけです。まず伺いたいのは、どういうわけでこういう筋肉労務者を冷遇しようとしておるのか、その点をまずお尋ねしたい。
  4. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 改正案におきまして、政府の案といたしましては、技能労務職俸給表を設定いたしましたのは、人事院勧告趣旨に従いまして、技能労務職員につきましての処遇につきまして適正な取扱いをするということで俸給表を設定した次第でございます。で、技能労務職員につきましては、現行制度におきまして、運用上、級別資格区分表によりまして昇格基準職務の種類によっていろいろ設けられておるのでございますが、昇格の年数が、いわゆる通し号俸のようにではなくていろいろ定められておりますが、その現行制度基準にならいまして、それを踏襲しまして俸給表を設定したというふうな次第でございます。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、人事院勧告を尊重して、それを取り入れてということでありますが、まず人事院に伺うのですが、なぜそういうふうにせられたか。
  6. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院が昨年の七月に勧告いたしましたこの俸給表でございまするが、これはあの当時の報告書にもいろいろその理由を申し上げておったのでありますが、現在の一般職俸給表というものが技能労務職関係にも適用になっておるのであります。ところが、この一般俸給表適用いたします際に、ただいま尾崎参事官から申しましたように、いわゆる資格基準表というようなものを作りまして、それを適用して行くという形になっております。それが資格基準表はやはり一つ等級からスムースに上の等級に行くという形になっていないのであります。これは頭打ちをしまして、ワク外に出て、それから上の等級に行くというような形になっておるのでありますが、これはやはり技能労務関係職員給与実態というものがそういうふうでありまするので、それに応じた運用をいたしますために、現在そういう資格基準表ができておる、しかし一つ俸給表適用しながら、いつでも頭打ちになり、ワク外に出なければ上の職務級に行けないというようなやり方は非常におかしいのではないか、それより、むしろこの技能労務職というものの実態に着目いたしまして、それを見まして、それに適当な俸給表を作る方がむしろよろしい、こういう意味で、人事院は現在国家公務員として存職しておられまする技能労務職方々級別区分がどういうふうになっておるかということを調査いたしまして、その結果に基きまして、この技能労務職俸給表(一)、(二)というものを作ったのでございまして、何もこれは身分的にどうのこうのということではございません。現実適用されております実態が、この技能労務職関係について非常にワク外が多い、またそれが必然に起きるような資格基準表を用いている、こういうことは非常におかしいので、現実級別分布等を十分研究いたしまして、技能労務職俸給表の(一)、(二)というものを人事院勧告した次第でございます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一口に技能労務職と言っても、相当多種多様であるということがよくわかるわけです。と申しますのは、たとえば一千トン級の船の勤務者船長以下全員技能労務職であるということを、先日の参考人の公述によって私どもも認識を新たにしたわけですが、そこでお伺いしたいのは、船長以下全員技能労務職であって、これは今のようでは非常に冷遇されておる、そういう幅広い技能労務職があるわけですね。これがいずれも行政職俸給表によって非常に不利になっておることは、現実には非常にはっきりしておる。そういう点についてお伺いしたい。
  8. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま例にお出しになりました点は、北海道開発局関係作業船の場合だろうと思う。まあ一千トンということでありますが、これは作業船でありまするので作業の機械を積んでおります。従いまして、そういうものは非常に目方が重たいというようなことで、千トンというようなことになる場合もあるのでありますが、これは一般に航行を目的といたします船の千トンとは違うのであります。まずその点を一応御認識願っておきたいのであります。それからまた、この北海道開発局関係のいわゆる作業に、港湾修築とか、あるいは河川の浚渫というような作業に従事しておられまする作業実態というものは、これはやはり船に乗ること自体目的ではないのでございまして、作業に従事するということが主たる目的でございますので、そういう観点からいたしまするならば、これは当然その作業船に乗り込み、あるいはそれに乗り組んで作業に従事いたしますものは、一般作業土木作業というようなことで技能労務関係ということになるのであります。しかしこういう方々には、すでに過去において、人事院におきましてもその処遇上いろいろな、たとえばこの俸給の額を調整いたしまするとか、いろいろな措置をとりまして相当の優遇をいたしております。従いまして、こういう方々がこの技能労務俸給表に、技能労務であるということで行政職俸給表の(二)に行くことが不利であるということが、なかなか直ちに断言できないのであります。しかしながら、今の問題はいろいろ、この船長というような方々につきましては問題がございまするので、なおこれはボーダーラインケースといたしまして、いずれを適用いたすかということ等については、今後慎重なる検討をして、これをきめたいということを考えておるのでありまして、一般的に申せば、この技能労務関係仕事として、行政職(二)の適用が適当であろうとは思っておりますけれども、現在人事院としてそれを決定しておるというようなことではございません。現在この問題は非常にむずかしい問題でございまするので、慎重に検討いたしておる次第であります。で、ただいま御指摘になりましたのは、技能労務関係でもボーダーラインケースに属するところでございまするので、そういうふうなボーダーラインケースというものは非常に取扱いがむずかしいので、今申し上げた問題のみならず、ほかのボーダーラインケースにつきましても、人事院といたしましては十分なる研究をいたした上で、いずれの俸給表適用するか、これを決定して行きたい、このように考えております。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは作業船だから、一千トン級であっても船長以下みな技能労務職であるということを伺ったわけですが、そうしますと、一般の普通の汽船の船長等はどういうところに入るのですか。
  10. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 一般の普通の船の船長でございますか。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうでございます。
  12. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) これは平水航路を航行いたしまする場合と、あるいは近海、あるいは遠洋航海をいたしまする場合によりまして違いまするが、これは海事職俸給表でございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この表を見ますと、技能労務職のうちで、高度の技術者については行政職俸給表の第一表を適用されるということで、技能労務職表面上は非常に優遇しようとしておるわけです。そういう点がうかがわれるわけですが、このことは裏を返せば、技能労務職行政職に及ばないということ、行政職よりは非常に冷遇されておるということが、裏返しにすれば、そういうことがはっきり言えるわけですね。こういう点で、一般行政職第一表に入れたということは、優遇するということに変えたわけですけれども、裏を返せば、遙かに及ばないということがはっきりしておるわけです。その点についての見解はどらですか。
  14. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) まあ技能労務と、それから技能労務の中心的なもののことをお考え願いたいのでありますが、ボーダーラインケースでありますと、これはちょっと話がむずかしいわけでありますが、そういうものと、それから一般行政職、すなわち普通の行政権を行使いたしておりまする公務員というものと比較いたすということ自体が非常に無理であろうと思うのであります。で、このことは、やはりその職務内容等に応じまして俸給表というものは定められることでございまするので、その職務内容が違うものに一つ俸給表適用するということが果して公平なのかどうか、やはりその作業実態に応じまして、それに適応したような俸給表適用するということが、これがやはり職務内容あるいは職務責任程度等から考えまして、それが妥当であるというようにわれわれは考えておるのであります。決して冷遇するというような考えからこれが出ておるものではございません。現在の給与法の運営の実態におきましても、先ほどちょっと申し上げましたように、俸給表こそ一表でございまするけれども、それを運営いたしまするには、直ちにそれだけでは工合が悪いという関係上、資格基準表というものを作りまして、そうしてそれぞれの実態に即したような処遇をいたしておるのであります。今回の人事院勧告につきましては、政府案も大体同様でございまするが、人事院勧告につきましては、大体現在のそういう職員級別実態分布というようなもの、あるいは資格基準表というようなものを、両者勘案いたしまして俸給表を作成しておるのでありまするから、そういう意味においては現在の状況を著しく変えようとするものではないのであります。ただ非常に技能の高度な方、あるいは管理的な仕事に従事される方等につきまして、これを行政の(一)の適用をいたすということを、これは実施の問題として人事院もかねて考えてはおったのでありまするが、これは衆議院の御審議の間において、そういうことをはっきりやるということになったのであります。それはやはりこの行政の上の等級に参りますると給与が高い。従いまして、そういうこの技能労務の方の中で、非常に高度な仕事をやっておられる方、あるいは管理的な仕事をやっておられる方というのには、むしろ給与処遇の面からいたしまするならば、行政(一)を適用した方がよいということがございますので、それは適用する、こういうことになっておるのであります。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 しばしば資格基準表によってということを言われておるのですが、その資格基準表そのものが、基準になるその基準表それ自体が公平妥当なものでなければ、やはり妥当適切な措置はできないと思うのですがね。そこで、その資格基準表について、もう少し具体的に御説明願いたいのですけれども、それが基準になるわけでし、占う、資格基準表が。
  16. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) お手元に初任給格外船等関係法令葉というのが差し上げてあると思いますが、この冊子の中に資格基準表が載っております。で、資格基準表は、現在は人事院実施細則というような形でこれはきめております。いろいろ研究いたしまして、この資格基準表等は漸次直して参っているものもあるのでございます。しかし、仰せのように、これは完全無欠なものではございません。で、われわれは先ほども申しましたように、資格基準表完全無欠であるから、それを完全に移したということは申し上げないのでありまして、現在の級別分布、たとえば技能労務関係職員級別分布ということと、資格基準表とを合わせまして俸給表を作ったということを申し上げたのであります。資格基準表の詳細について御質問がございますれば、なお御説明申し上げたいと思います。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 技能労務職については、いささかも冷遇していないというような御説明ですが、実際見ると、繰り返し申し上げているように、たしかに行政職と比較して冷遇されているということが、私どもはどうしてもあるように考えられるわけです。このことは戦前に傭員、雇員というような制度があったわけですが、これの復活とも考えられるが、これについてはどういうふうに考えておりますか。
  18. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今御指摘になりました点につきましては、これは衆議院段階におきましても御議論がございました。しかし人事院俸給表勧告いたしまする際には、これは給与の問題としてやっているのでございまして、公務員制度の問題と関連いたさしておらないのであります。少くとも私どもはいたさせなかったのであります。ただ給与実態作業実態というものを見まして、その作業実態に即応いたしましたような給与をやって行きたい、現在の一般俸給表というものをあらゆる職務の人に適用いたしますると、資格基準表というようなものを持ち出しまして、無理にその適用を異ならしめなければならないというようなことに相なるわけであります。この資格基準表は四十何表もございまして、これは実に複雑をきわめております。そういうことは人事院の権限として残されるということよりも、むしろ作業実態に即したような俸給表を作りまして、そうして資格基準表のようなものはもうあまり作らない、こういうことは法律できめていただき、そうしてそれで運営される方が好ましい、こういうふうに考えまして、人事院は単に給与をどういうふうにきめるか、作業職務実態に応じましてどういうふうにきめるのがよろしいか、そういう観点のみから俸給表を分離するということを考えたわけであります。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以上私の申し上げたようなことから、結論的にどうしても是正しなければならぬというような点は、まず行政職俸給表の(一)と(二)を一本化すべきであるということが当然考えられる、その点についてお伺いしたいのです。
  20. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今いろいろ御質問があったのでございますが、私が答弁申し上げましたように、人事院勧告いたしているのでありますから、勧告の立場からだけお答えできるわけであります。行政職(一)は、これは一般官庁におりまする一般行政関係職員、こういう人々対象として作られている俸給表でありまするし、それから衆議院段階行政の新しい(二)となりましたが、これは技能労務関係職員対象として作られた俸給表でありまして、俸給表の性格が違うのでございます。従いまして、こういうものを一本にするということは、職務責任、あるいは職務内容という観点から見まして、われわれといたしましては適当ではない、このように考えております。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連。今の答弁少し私はおかしいと思う。先ほど伊藤君の質問で明らかになったのですが、技能労務者のうちで高度の技術を持っておる者、高い技術を必要とする者、それは行政職(一)を適用するということを今お話になったのですね。これは、衆議院でも論議されて、高度の技術を必要とする者については、技能労務者であっても、行政職俸給表の(一)を適用する、こういうことになると思う。そうすれば、行政職俸給表の(一)と(二)は、本質的に区分されない。そうでしょう。技能労務者であっても行政職俸給表(一)を適用される。こういうことになれば、その間、道が通じておるわけです。そうすれば、必ずしも二本にしなければならぬということはないと思う。事実二本にしても、破れてくる面が出てきているんじゃないですか。これが本質的に違うものなら、そこへ通ずる道というものはない、やはり技能労務者であっても、俸給表(一)を適用せんならんという事態が来ておるということは、一つに分けることの矛盾がそこにあるからですね。そういう結果が来ているわけです。だから、必ずしも一木にしたって差しつかえないと思う。事実破らざるを得ないような事態が来ているじゃないですか。それをどうあなたは考えますか。
  22. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今お話の点は、ボーダーラインケースで、技能労務とそれから行政の(一)の適用者との間に差別がないということにお話の点はなると思うのです。で、私が先ほど申し上げましたように、非常に高度の技能を有する人々というものは、これは行政職俸給表適用者の中で技術職員というものと非常によく類似しておる、類似の程度が非常に濃くなる。そういう意味におきまして、行政職(一)を適用するということは、それほどおかしなことでないということになりまするし、また、別の意味から申しまするならば、技能労務とはいいながら、管理的要素が非常に多くなった職務に従事される、管理的面仕事がふえるという意味におきましては、これは一般行政関係仕事と非常に類似してくるということでございまして、ボーダーラインケースになって参りますると、両者その共通した部分がないとはいえないのです。従いまして、こういうところは行き得るようにするということでありまするが、それをもって、全部共通にするのがよろしいという議論には、ちょっとわれわれとしてはならないように考えておる次第でございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、先ほどのことに連関して、行政職俸給表の第一表について、八、七、六等級を一本化すべきである、こういうことについては、前回のこの委員会で、荒木委員から強く要請されたところなんです。で、重複を避けまして、その点は省くとして、行政職第二表の四等級、五等級を当然一本にしなければならぬと思うのです。と申しますのは、五等級については、給仕、昇降機手小使清掃婦技能職員、これは見習補助となっていますが、四等級については、小使長守衞技能職員、こういうふうに、技能職員見習補助であって、それが当然技能職員になるわけです。こういうようなことから、四等級と五等級を分けるということの意味はどうも納得できない。これは当然一本化すべきだと思うのです。この点についてお伺いしたい。
  24. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) ただいまの点でありますが、まず私ども考えは、御承知通り人事院としましては、民間賃金とのバランスと、また民間賃金体系というようなことを十分検討いたしまして、どちらかといいますと、民間賃金とのバランスというところに重点を置いて作定し、かつまた勧告をいたしております。で、おそらく御承知と思いますが、民間賃金におきましても、いわゆる初級の係あるいは上級の係というようなものは、おのずからそこの給与やり方等が違っておるのが現状でございます。従いまして、そういう一般的なつまり民間現状、あるいはまた、常識的な分類に準拠いたしまして、六等、七等というようなものが分類基準を作ったのでございます。のみならず、民間とのバランスのみではありませんので、たとえば、郵政省の実際やっておりますやり方を拝見いたしましても、同じように、一般係員について二等級あるいは三等級分類をいたしておる。しかも郵政におきましては、ここに永岡先生がいらっしゃいますけれども官側組合側との団体交渉によりまして、納得ずくでもって、そのような方式をもうすでにおきめになりまして、すでに実行に移された。このことは、また電電においても同様でございます。あるいは国鉄におきましては、四百ぐらいの職種に応じまして、それぞれの実際の運用表を作っておるというような、民間賃金のあり方との均衡を考え、かつまた、広い意味における公務員の現にやっておりますものとのバランスというようなことをあわせて考えまして、六等級、七等級というような分類方式をとることが最も妥当ではなかろうかというような考え方に立ちまして、あのような勧告をいたしたわけであります。政府案におきましても、大体人事院勧告を尊重して、またこれを踏襲して、法律案として出してありますので、大体趣旨とするところは同じであろうと考える次第であります。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 今、慶徳次長の方から御答弁があったわけですが、今技能職体系の問題と関連して参りましたが、郵政電通等が特別に分けて行なっているのではないかという例に引き出ざれたわけであります。なぜ分けたかという理由については、一般の他の公務員よりはこれらの労務職群といいましょうか、労務職に従事する者についての分け方は、俸給を高くするというところにあるのです。つまり初任給が高いのです。一般事務員よりは郵便なり電信電話というのは高いのです。ところが、相当ある一定の生活給を保証される年令ですね。たとえば四十五才になれば、何万円まではぜひ出さなければならないという金額があるわけです。それまではとんとん拍子にずっと上っていくわけです。そこで、一般事務官と交差している。それからの昇給は、若干速度は鈍りますけれども、ある程度生活を保証しなければならないというときまでは、非常に高い俸給を上げているわけです。そのために別にしているわけですが、これはあなた逆じゃないですか。その精神はどこに生かされておるか。私は、そこを問題にしたいと思うのですが、そういうことであれば、あなたの説明によれば、雇用人——昔は非常に雇用人は低いのだという差別観念的な考えがここに、根底に流れているのではないかと思うのですが、そういうような考えがこの中に盛られておるのかいないのか、私たちは、その俸給の中には盛られていないと断定せざるを得ないが、それは盛られておるか、いないか、はっきり御答弁をいただきたい。
  26. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) まず第一に申し上げたいと思いますのは、現在の国家公務員給与法は、御承知通り昭和二十三年から施行されておるわけでありますから、いわゆる二九ベースと称する時代から支給されておるわけでありますが、この当時は、まだ労働基本権が認められておった時代でありますので、団体交渉によってきめられたのが根本になっております。従いまして、先ほど伊藤先生から御指摘がありました、いわゆる資格基準表というものは非常に古うございますけれども、その当時団体交渉によってきめられたものを基本的には踏襲をしておるというやり方をとっておるわけなんです。それは沿革的事由でありますけれども、現在この給与実態のあり方を行政職俸給表の(一)と(二)との対比において比べますというと、少くとも新制高校を出まして、たとえば、タイピストならタイピストの例をとりますると、勤続十四、五年くらいの間は、むしろ行政職俸給表(二)の方が(一)の方よりも実際やってみてよろしいという結果になるとわれわれは考えておるわけです。なお同時に、この際あわせてちょっとお答え申し上げておきたいのでありますが、行政職俸給表一と二と分けた根本がどこかということを、しきりにお尋ねがあったのであります。まず、法律的なことを先に申し上げておきたいのでありますが、現在の給与法の第十条第三項という規定が現行法にございます。で、御承知通り現在の俸給表は五種類に分れておりまして、一般俸給表、税務職員俸給表、警察、海上保安庁職員及び矯正職員俸給表、船員俸給表、教育職俸給表、この五種類にしか分れていないのであります。ところが、その当時から問題がありまして、それは先ほど申し上げた二十三章当時からこの問題があったのでありまするけれども職務内容と複雑の度合いに適合したところの給与にふさわしい俸給表がまだ整備されていない。従って、どうしてもその点については将来にわたって人事院がこれを調査研究をいたしまして、その実体に即応した合理的な俸給表の種類を作る必要があるということが盛んに論議の対象になりました。その結果、お手元にお配りいたしておりまするところの俸給表の四ページ第十条第三項を念のためにごらん願いたいのでありますが、「人事院は、教育職員及びその他特別の勤務に従事する職員に対するこの法律俸給表適用について研究し、教育職員及びその他特別の勤務に従事する職員俸給表その他これに関する事項につき必要と認める勧告を国会及び内閣に同時にしなければならない。」というふうに法律が制定されておるわけであります。従いまして、俸給制度からいたしまするならば、今回の勧告は、ただいま読み上げましたところの第十条第三項の規定に基くものでありまするけれども、その実体は、でき得る限り実態に即応したところの、俸給表を合理化するというところが基本線であったことが、沿革から見ても明らかであります。  さらにもう一つつけ加えておきたいと思いますることは、これは先ほどから申し上げましたように、人事院としては民間給与とのバランスということを中心として考えるわけでありますが、行政職一のような関係を網羅する職員につきましては、この昇給のカーブは、どちらかといえば直線的なカーブによって進んでおりまするのが、これが一般の、何といいますか、昇給曲線でございます。ところが今御指摘行政職俸給表二の適用を受ける者は、ボーダーラインにあるのは違いまするけれども一般的においてはむしろ初任給を高くして、ある程度までいきましたら、むしろ横ばい状態になって進んでいる。極端にいえば、最後のところはおっこっているというような昇給曲線を描いているのが一般の状態であります。これは明らかに民間実態と比べて見ますと、そういう曲線を描き、そういういわば一つの昇進コースをもって進んでいくというのが、この職務実態といいますか、実情に適合したようなやり方のように、われわれは拝見いたしておるのであります。従いまして、ボーダーラインの者につきましては、御指摘のように問題があろうと思いますけれども、やはり大きな建前としては、その昇給曲線が違うというようなことも十分あわせ考えて、俸給表の種類を設定する必要があるであろうというような観点から勧告いたしておりますることも、あわせてお答え申し上げておきたいと思います。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 私は、人事院がその勧告をする権限がどうやこうや言っているわけじゃないのです。あなたの合理化するというその合理化は、具体的に何か。今あなたは、はしなくも例に引きました郵政と電電との労務職については、別に分けているからこれも分けたい。こういうことでありまするから、そういうことであれば、郵政なり電電というものについては、そういう労務職は、この給与表でいくならば俸給表一です。一般事務職よりも高い俸給をやっているというのです。初任給からずっとある年令まで高くなっている。それがここに出ていないじゃないかということを指摘するわけです。あなたは若干これはよくなっていると言うかもしれない。どの程度よくなっているか、これはてんで問題にならぬと思う。郵政、電電の例を引くなら、あなたはおそらく検討されたと思うが、相当な開きがあるのですよ、これは。私は、あなたがこれについて勧告権限があるとかないとかということを問題にしているのじゃなくて、合理化というそのあなたの言う合理化が、具体的に何を考えているのか。そういう労務職の特殊な性格があるから、給与について特段の考慮を払って、他の一般職よりは給与を高くするというそういう特性を認めておるというのを、合理化と称しておるのか。またそうでなくてはならぬと、私たちは郵政、電電を例に引かれる限りにおいては、そうだと判断せざるを得たいのだが、それがどういうふうに現われておるかと言うのです。出ていないじゃないですか。
  28. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) ただいま永岡先生からは、郵政との比較ということを中心としてお話があったのでありまするが、もちろん私先ほど申しましたのは、体系としての比較を申し上げたのでありまして、一般職公務員郵政職員との給与の高さですね。この比較というような問題になりますというと、人事院の報告においてもはっきり述べてありまするように、一般職公務員よりは郵政の方は相当高いというふうに考えておるわけであります。従いまして、水準そのものが相当高いということで具体々々の給与の額におきましても、言うまでもなく高くなっておる。従いまして、私どもの方の一般職公務員郵政省との比較をいたしまする場合に、その水準そのものにある程度の開きがありますので、これは今直ちに是非善悪の問題をこの機会にあまり申し上げることははばかっておきたいと思います。ただ、私ども申し上げられます点は、少くとも一般職公務員としての技能労務関係の今までのやり方と、この新しい制度との比較において、いずれが優劣があるかということだけは、われわれの立場として、はっきり申し上げ得ると思うのであります。具体的に一、二の例を申し上げまするというと、衆議院で修正になりましたけれども行政職俸給表の二が一表になりまして、たとえば一番低い五等級の例を具体的に申し上げますというと、現在の職務の級で申しまするならば、大体三級から八級までこの五等級俸給表の幅の中に入って参るのでございます。それで、人事院勧告におきましては、いわゆる頭打ちワク外が下の職務の級になればなるほど非常に多いということをはっきり勧告で申し上げておるのでありますが、たとえばどういう状態になっておるかと申しまするというと、七級は頭打ちワク外が三二%になっておる。さらにまた三級におきましては三〇・六%、四級は二七・三%、五級は二三・六%、非常にたくさんの頭打ちワク外がありますることは、報告の別表資料に明確に数字をもって御報告申し上げておるわけであります。このような頭打ちワク外の大半というものは、今御指摘技能労務職員がその大半を占めておることも実態が示すところでございます。従いまして、少くとも現在の給与法のままで参りまするならば、今申し上げましたように、三級なら三級の場合に、ある程度までいくというと皆頭打ちになる。それから上の方に昇格しましても、オーバー・ラップいたしておりますから、一年から二年くらいワク内におるとまた頭打ちになる。それからまた上の方に昇給いたしましても、また同じようにオーバー・ラップしておりまするから、二年くらいワク内にいて皆頭打ちになるというような、頭打ち頭打ち頭打ちというような状態。しかも今申し上げましたように二〇%以上、所によっては三〇%以上というような多量の頭打ちワク外を持っておる。そういうような状態で、少くとも現行法は運用されておるのが現実でございます。ところが、先ほど申し上げましたように五等級に三級から八級を今度一本にいたしますから、少くとも今までやっておりますところの頭打ちワク外というものをむしろ原則としてはなくして、ずっとこううまく進んでいくというような格好になるわけでありまして、少くとも現行国家公務員体系における給与との比較において、よくなることは絶対なのだというふうに、実は私どもは意図しておる次第であります。
  29. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  30. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 重ねてお伺いしますが、小使さんが五等級で、小使長は四等級、そうすると、技能職員の見習いが五等級で、見習職員の初級は四等級ということは、先ほども申し上げたわけですけれども、これをいかように御説明なさっても、これを不自然に分けるという根拠がどうにも納得できないのです。なぜ、こう分けなければならないか。小使さんを忠実に長年やっていて、そうして小使さんで終ってしまう。名前はともかくとして、条件は非常に不利になるということ。技能職員の見習いも、見習い職員の初級ということの関係も、同じことが言える。これを納得できるように一つ説明願いたい。どうしてこういう無理な分け方をしておるかということ。
  32. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 等級分類基準につきましては、一般的な標準によりまして分類することが妥当であろうかと考えておるわけでありますが、率直に申しますと、今ごらんになっておりますところの行政職俸給表は、当初の政府提出法律案とは違うのでございまして、衆議院段階におきまして修正されまして、従来の技能労務職俸給表の一と二を合体するというようなことで作っておるわけであります。従いまして、当初政府提出法律案の場合とは相当趣きが違いまして、まあこれはちょっと言葉が悪いかもしれませんが、若干無理をして等級分類基準を作っておるという結果であろうかと実は思うわけです。しかし、いずれにいたしましても、見習いの場合と、大体一人前の場合と、それから役職員というようなふうに実は分けて参りますことが、見る人によりまして、いろいろ議論があろうかと思いまするけれども、まあ一般の社会通念的分類方法としては妥当であるのではなかろうか、ただ、何回も申し上げますように、ボーダーラインにつきましては、部分部分の問題があろうかと思います。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この表をしさいに検討いたしますと、共通的に言える点は、下級の人ほど非常に昇級条件が悪くなっておる、これは人事院といえども確認しておると思う。実際問題として非常に悪い。これは昇給期間を延長するということは、今繰り返し申しあげたように、下級の者ほど非常に不利になっておるということが現実に言えるわけです。そこで私は、何とか再検討して、現行のように六カ月、九カ月に戻すべきだと思うのですが、このことは非常に目に見えないようで、これは各職の俸給について言えることだと思うのです。非常に大事な問題だと思う。結局六カ月、九カ月、十二カ月を、一二カ月、十五カ月、十八カ月、二十一カ月、二十四カ月というふうに、最後に至っては倍加しておる。長いものでは十二カ月の倍の二十四カ月になっており、特に上級の者に重点を置いて、下級の者ほど非常に不利にしたという根拠、これを一つ納得のいくように御説明願いたい。
  34. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの昇給期間の問題でございますが、これは人事院勧告の場合におきましては、現在の給与法にあります六カ月、九カ月、十二カ月というこの線を、原則として採用しておったのであります。政府案におきましては、新行政職の二でございます。技能労務関係俸給でございます。これを除きましては、全部十二カ月ということを標準にして一応考えておられるのであります。従いまして、その昇給期間というものが、人事院勧告とそれから政府案とでは違いがあるのであります。ただ、見かけ上の違いはございまするけれども政府案は、昇給期間を延ばしますために一年間の手取りが減るということがあってはいけないというので、年一回昇給でありましても、年二回昇給の場合と同様に、年間の手取りがなりますように俸給金額が調節してございます。そのことは、われわれは政府側から説明を受けておるのでございます。そのようにいたしまして、この昇給期間が政府案においては延びておりまするけれども、見かけ上の人事院勧告と比べての延びというものは、実体的には不利になっておらないのではなかろうか、このようにわれわれは一応了承しております。  それから、人事院勧告におきましてこの昇給期間を定めておりますが、これはすべて現在の俸給表におきまする昇給期間、これはもちろん昇格基準表等とも関係して参るのでありまするけれども、それをあわせまして、それの平均的なる年間昇給率というものは、上下を通じまして現行を大体踏襲するということでできておるのであります。ただ、一つ等級の中だけについて申しまするならば、初めの方がよくなって、しまいの方が落ちている。ある一定のところ以上になりますると、これは俸給表が、非常に延ばしております関係がありまするので、また落ちているということがございまするけれども等級の上下を通じてみまするならば、人事院勧告においては、平均的には上の等級から下の等級まで、現在の平均昇給率というものを維持している、このような勧告人事院はいたしたのでございます。政府案も大体においてそういう原則的なことは踏襲されておるというふうにわれわれは見ておりまするので、下の等級を特に現在の平均昇給率より落しているということにはなっていない、このように考えております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院勧告については、私も内容承知しておるのですが、これを政府がなぜそういうふうにかえたか、政府の態度を二つお伺いしたい。
  36. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 改正案におきまして技能労務職俸給表を作りました場合におきまして、俸給表の種類及び等級区分につきましては、人事院勧告趣旨を十分尊重いたしまして踏襲したということでございますが、昇給期間につきましては、人事院勧告の場合は各等級ごとに同一昇給額といったような点がございまして、上級の昇給額と下級の昇給額とでは差異がございますために、昇格に当って事務的に若干問題がございますので、政府案におきましては、同じ俸給表におきましては少くとも同じ通し号俸を使うというようなことにいたしまして、昇給期間を、現行制度における昇給の速度を踏襲しまして六カ月、九カ月、十二カ月というふうに定めたのでございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、俸給表について申し上げますと、各俸給表ごとに、現行給与体系においては、各俸給表の額が非常に統一されておるわけですけれども、今回の改正案では、非常に各個ばらばらで、きわめて複雑なんです。非常にわかりにくい。繁雑で統一がない。日ごろ政府では、事務の簡素化ということを非常に強調しておるわけですけれども、こういう面では、実際の問題になると、非常に複雑多岐にわたっておる。そういう点は一貫していない点で、非常に遺憾なんですが、こういう傾向が各表ごとにうかがわれるわけです。この点について一点伺いたいです。
  38. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 現行俸給表におきましては、仰せのように各俸給表を通じまして通し号俸、同じ金額を使っておるのでございますが、実際の運用面におきまして、先ほどいろいろお話のございました級別資格基準表によりまして、各職種ごとに昇格の年数等が違っておりまして、そのために、俸給表のワク内におります場合には、六カ月あるいは九ケ月というような昇給期間で昇級するのでございますが、その期間内にそういうワク内から昇格するということができない場合には、頭打ちワク外という関係で、十一カ月もしくは十八カ月というような昇給期間を使って昇給するということになっているのでございます。で、今回、政府案におきまして昇給期間を各俸給表ごとに変えましたのは、各俸給表ごとの職種におきましての現行制度における昇格のカーブを原則的に踏襲しまして、その同じ俸給表内におきましては昇給、昇任といったようなことが数多くございますので、同じ俸給表内においては同じ金額を使うようにして、事務の簡素化をしたのでございますが、俸給表間におきましては現行制度における昇給のカーブが異なっておりますので、それを踏襲したために異なったということになっている次第でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは政府側、人事院、両者にお伺いしたいと思うのです。いずれも頭打ち是正の方針を立ててそうして給与表を作ったと、そういうふうに伺っておるわけですが、実際これを見ますと、何ら頭打ちの抜本的な改正にはなっていないのですね。事実頭打ちが相当見受けられる。しかも、頭打ちによる損失補償については一切考えられていないということと、いま一つは、切りかえのときにおいても新俸給表ワク外者が考えられるわけです。この点について、一つ明確にお答えいただきたいのです、わかるように。
  40. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 御指摘のように、現在新しい俸給表に切りかえられまするというと、現在の頭打ちワク外というものの大部分は、この俸給表の幅の中に吸収されると思います。で、将来におきましてはどうなるかと申しまするというと、まあ職務給の体系をとっておりまする限りにおいては、ある程度頭打ちワク外が出て参ることもやむを得ないのではなかろうか。ただ、現在のような必要以上の頭打ちワク外が出て参るということは、これは俸給表の不健全性を示す以外の何ものでもないという考えのもとに、合理化いたしたいということを考えたわけでございます。  なお、現在のこの新しい俸給表によりましても、おそらく御指摘のところは、同じ等級の中において昇給期間が折れ曲っておるという点がありまするので、実質的にその部分が頭打ちワク外と同じようなことになるのではなかろうかというような点が、御指摘のポイントであろうかと思います。まあそういう見方をいたしまするならば、ある意味においてはそういう理屈も出てこようかと思うのでありまするけれども、御承知通り、現在の制度におきましては、頭打ちワク外になりまするというと、最初の昇給期間は二倍になります。第二回以降のやつが三倍の昇給期間、非常に長い昇給期間になりまして、ワク内からワク外にいきますというと、昇給曲線がずっと落ちるというのが現在の体系でございます。従いまして、それを合理化するという線に出たのでありまするけれども、一方におきまして、公務員全体の昇給率、これはやはり民間その他とのある程度バランスをとるということも必要でございますので、それらのものもあわせ勘案いたしました結果が、あのような俸給表になったのでございますが、しかしいずれにいたしましても、現在の頭打ちワク外のものよりは、たとい等級内において号俸が延伸された部分がありましても、わずかしか延伸されておりませんので、現在に比べますというと、相当有利になるということも事実だろうと考えております。
  41. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  42. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま委員長からの御発言の通りの事情がありますので、短時間ですけれども、私もきわめて簡単に質問をするわけでありますから、要領よく御答弁いただきたいと思います。  まず、医師の俸給についてでございます。これは民間やその他の三公社等と比較いたしましても、あるいは郵政等の五現業に比較いたしましても、医師の俸給は非常に低いと私は思うのでございますが、その点、実情はどうか尋ねてみたいのです。ちょっと私の知り得る資料によりますと、民間に比べまして、医師の俸給は約二〇%金額が低いように思います。特に北海道等では五〇%も低いというような場合も現われておるのでございます。それから、特に民間あるいは地方自治体等では、研究費であるとかあるいは図書費とか、そういうような名目で多額にさらに手当が出ておるようでありますが、そういう事実があるかないか。第三点は、郵政の医師の初任給を見ますと、一万四千七百円となっております。ところが国立の場合ですと現行一万七百円。ここで新給与になりましても一万一千七百円——三千円からの同じ三公社五現業に比較いたしまして開いておりますが、こういう不合理があるかないか。あるとすれば、あなた方はどういうふうにお考えになっておるか。その点をお尋ねいたします。
  44. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 国立医療施設の医師の俸給民間給与に比べて低いかどうかというお尋ねでございますけれども、御指摘通りでございます。手取り収入から申しますというと、大体二割前後低くなっております。ことに、御指摘通りに、東北、北海道のごとき医師の得にくい地域におきましては、民間におきまして特に多額の給与を出す関係上、それに比較して国家公務員たる医師は低いという実情でございます。それから、民間給与におきましては、俸給のほかに研究費その他の名目でもって給与が出されておる。そのために、俸給の手取り収入の幅ができておるのではないかというお尋ねも、その通りだと存じます。それから郵政等の現業に比べまして、向うの方がわれわれよりもより商いということは聞き及んでおります。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 まあ、その実情はその通りお認めになっておるんですが、この点は人事院は解決をする考えはなかったのですか。何か格づけ等の問題で解決する考えがあるのかないのか、その点をお尋ねいたします。
  46. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 確かにただいまの問題は、医務局長から答弁されましたように、また、私ども民間実態調査から援用いたしましても、公務員の方が、少くともお医者さんに関する限り、低いということは率直に認めざるを得ないと思います。ただ、人事院の立場として、一方において低いということを認めながらも、なぜ医師の分をやらなかったのかという問題に発展してくると思うのでありますが、御承知通り国家公務員の場合においては、厚生省の国立病院のお医者のみがお医者ではないのでありまして、各大学には教授という肩書きを持ちまして自主的に病院を経営しているグループがたくさんおられる。どうしてもやはり公務員相互間のバランスということを一面において考えなければならないというような問題がございまするので、御指摘のように表向き低いというような格好になっておるわけであります。従いまして、そのような実態は私ども認識いたしておりまするので、実際の運営面におきまして、でき得る限りその調整をはかるという運営をいたしておるのであります。と申しますることは、お配り申し上げております俸給表資格基準表でありますが、これをごらん願いますというとすぐわかるのでありまするけれども、お医者さんの方が、たとえば歯科医師であるとかその他に比べましても、少くとも資格基準表としては一番昇給カーブが低いということに現在のやつはなっておるのであります。従いまして、実際の運営面におきましては、まあ現在の制度におきましても、資格基準表を少くとも八割程度はこれをゆるめてもよろしいという制度を、一方持っておりまするので、お医者さんにつきましてはほとんど例外なしに制度的にきめられておりまする資格基準表の八がけというような実態を運営において行なっておるのであります。さらにまたもう一つは、級別定数におきましてもできる限りお医者の実情に合うようにというような意味合いにおきまして、相当幅のある運営もいたしておる。また同時に、紋別定数そのものを改めまするときにも、それらの点も相当配慮いたしておるというように、運用面におきまして、できる限りの措置はいたそう、また現にいたしておるのでございます。しかしそれにいたしましても、率直に申し上げましてお医者に関する限り、民間より若干低いことは認めざるを得ないと考えております。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 人事院もまあ認めておるわけでございますが、これはやっぱり民間々々と絶えず口にするわけでございますが、この勧告に当っては、実際は民間のことは取り上げてない。他の一般職の問題については、民間を非常にやかましく言うようでありますが、本来ならば職種を分けるならば、職種別にこれだけ開きがあるというならば、この職種別によって開きがあることは、当然私は他の均衡、ということは、内部の均衡でなくて、当然外部の均衡をとるということは、人事院の権限として、給与法の精神が示しておるように、当然そういうような形で私は勧告しなければならぬと思うのでありますが、しかし今のお話で、ある程度の誠意は認められると思うのです。従いまして、これは特に医療当局と十分御相談をいただきまして、格づけ等についても、それから級別定数の配算、こういうものについては、誤りないように一つお願いいたしたいと思っております。  それから第二番目は、本来からいうならば、こういうように等級別を区分するのは、医療職については正しくないということを私は主張して参りましたし、これは公務員制度調査会の答申に基く内容を見ましても、やはり区別すべきでないといっておるわけでありますが、これは一つ将来の問題として考えてもらわなければならぬということにもなりましょうが、まず医務局長のお考えを、その点は一体どうなのか、やっぱりこれは等級別を区別する必要はないのじゃないか、それが本来の正しいあり方じゃないかと私は思うのですが、医務局長どういうようにお考えでございましょうか。
  48. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) ただいまのお尋ねにお答えする前に、先ほどの御質問に関連して申し上げたいと存じます。国家公務員たる医師の収入は、給与が低いということは人事院もお認めになっておりましたけれども、現在でも格づけその他につきましてはかなり余裕がある態度をもってわれわれの方は折衝いたしております。今後とも私どもといたしましても、この際態度を一そう前進さして参りまして、新たにこの改正される俸給格づけ等につきましても、医師については特段の御配慮を人事院にお願いする、ワクを広げていただく、こういう態度でお願いする考えでございます。  それから第二の医師の等級別は一本の方がいいのではないか、等級別を一、二、三、四、五と分けるのは不適当ではないかというお尋ねでございますが、これは実は医師の中にもやはり優秀な医師もおりますし、それからさして優秀でない人もままあるのでございます。これが一本になりますと、年限さえくれば優秀な人も、しからざる人も同じ歩調でいくということは、人事運用上どうであろうか、ある程度の区分、運用上の妙味というものが与えられた方がいいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  49. 永岡光治

    永岡光治君 時間があればこの問題についても追及したいのですけれども、時間がありませんので先に進むわけでありますが、ただ、優秀な医師とそうでない者とがあるので、それは一本でやっては困ると。それこそ運用でやるべき筋合いです。等級別にはっきり区分して、優秀な者までがしばられる、たまたま今言う無能な医師までも救済するということに重点を置いた等級ではなくて、むしろ私たち心配するのは、そういう優秀な医師がしばられる、そういう職階制であることをおそれておるのでありますから、そのことを特に考えていただきたいと思うのです。これは人事院の方でも将来一つ課題として考えてもらいたいと思うのですが、そこで、さしむきそれができないというような……、仮定でありますが、やる際においては一体どうすることが一番いいかということになるわけです。それは昇給期間というものが相当——十八カ月、二十一カ月、二十四カ月とあるわけです。そこで、これは運用によるわけでございますが、そういう場合には、五等級の場合は二十二号俸、四等級の場合には十五号俸、三等級の場合は九号俸、これに達するまでは、どうか一つ上の等級にあまり頭打ちせずに昇格できるように、そういう道を開いてもらいたい。それが第一点です。  もう一つは、職務内容の区分でありますが、病院の副院長さんあるいは療養所の医務課長さん、こういう者に対する管理職手当を、今までやってないと思うのですが、そういうものを新設してしかるべきではないかと思いますが、そういう考えをあなたは必要を認めておるかどうか、まずその点をお尋ねして、それから人事院の方にお尋ねしたいと思います。
  50. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) ただいまの昇格は、一年刻みで昇給する年限が、今度は十五カ月で昇給する場合に、上の等級に切りかえておいたらどうであろうかという御指摘でございますけれども、医師を優遇する上からいって、まことに適切なる方法であります。優秀な医師あるいはよく働く医師、能力のある医師につきましてはぜひ人事院とも相談いたしまして、御指摘のように運営をしていきたいと思います。  それから管理職手当の問題でございますが、実はこれも非常に問題のある点でございます。と申しますのは、現在病院長には管理職手当はついております。しかし副院長にはついておりません。ただ大きい病院でありますと、医者の数は多いのでございます。従って副院長が超過勤務をするとか何とかいうことはございませんですが、小さい病院でありますと、医者の数が少いので、時間外に患者の診察をする機会が多いので、管理職手当をつけますと、実は超過勤務手当がもらえないという事情がございます。たとえば超過勤務手当をつけた方がいいか悪いかは、つけた方がよくなる人と、よくならない人と大体半々でございますので、いろいろ対策について頭を悩ましておる現状でございます。もちろん管理職手当をつけた方がよりいいという事情になれば人事院ともお話し合いしてみたい、かように考えております。
  51. 永岡光治

    永岡光治君 人事院にお尋ねいたしますが、後段の方はどうですか、管理職手当の方。
  52. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 特別調整額のことをおっしゃっておるわけでございますが、特別調整額という問題はこれが当初設定されましたときには超過勤務手当の振りかわり、こういう人々に対して打切り超過勤務手当、こういう思想で最初設定されたのでございます。従いまして、当時予算的に超過勤務手当の予算がありましたときに設定された、という状況になっておるのでございますが、その後いわゆる管理職手当という色彩が漸次出てきておることも、これまた否定できないところであります。そういう点より考えまして、この特別調整額が設定されました以後におきまして、人事院は医療関係、研究関係あるいは研究技術医療等の関係につきましても、これを漸次拡大して参っておるのでございます。従いまして今後におきましても、やはりそういう方針で進んでいきたいと思っております。ただこの問題は予算等も伴います問題でございまするので、直ちに大幅な引き上げをやるということが事実上できないのでありますが、人事院は漸進的にこの問題をやはり考えて参りたい、このように考えております。
  53. 永岡光治

    永岡光治君 それから次いで問題になりますのは、医師の場合を例にとりますと、現行でいきますと経験七年になりますと一万九千八百円と大体記憶いたしておりますが、この改正案によりますと逆に下りまして一万九千四百円になると承わっておりますが、そういう事例があるかどうか。あるとすればこれはやはり問題だと思うのでありますが、確かに私たちの見当ではそういう結果にならざるを得ないと思うのですが、これはどういうふうに解決をするのでありますか。
  54. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) ただいまの点は御指摘通りでございます。ちょうど医師になりまして七カ年勤めますと、現行では九級から十級に移るということになります。九級から十級に移るときに現行俸給表では一段急激に高くしてありますので、従って現行では九級から十級に移るときには俸給の割りがよくなる。それがただいまの提案中の俸給表によりますと、全体がならしてございますので、従って今の九級から十級にいくところが階段ではなくて、全体にならされたため、そこのところが新しい給与表では御指摘通り低くなるのであります。しかしこの低いことは一年たちますと、つまり医師となりましてから八年目になりますと大体同じようになりまして、九年以上になりますと、新給与表がより有利になるということになります。
  55. 永岡光治

    永岡光治君 人事院、その不合理はどう是正されますか。
  56. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) ただいま御指摘の一万九千四百円というところは、確かに現在より、二、三百円下るということになることは御指摘通りでございます。つまり、先ほど申し上げましたように現在は医師でありましても初任給が細分されております。細分されておりまして、なるべく医師の実態に適合するようにという運用をいたしておりますので、たとえば今御指摘のところは、九級から十級に上るところにその問題が起って参ります。現在の運営からいたしますると、九級から十級に上りまするときには三号ほど一ぺんに飛び上るのであります。ところが今回の俸給表は全体を通じましてなだらかにいたしまして、幾つかの職務の級を一本の等級の中に入れるということにいたしました関係上、極端に飛び上るところの一万九千四百円のところが、ちょっと二、三百円悪くなるという現象が起っているのでありますけれども、その前後の関係を眺めてみますと、非常によくなる。要するに全体をなだらかにしていくということの技術的な結果として、たまたまそこのところだけが妙なことが出て参ったということでありまして、もっぱらこれは技術的問題と私ども考えておりますが、全体を通じまして非常によくなってきておるという状態でございます。
  57. 永岡光治

    永岡光治君 たまたまでも、たまたまでなくても、これはいやしくも現状より悪くなるということは問題ですから、これは一つ特に考えをいただかなければならぬと思うのです。きょうは時間がないので、はなはだ残念でありますが、そういう点も一つ今後の問題として特に考慮をいただくように、何らかの方法で解決するようにお願いしておきたいと思うのです。  それから次は、これは人事院の方になると思うのですが、人事院規則の九の八の二ですね、その十五項ですが、これは初任給の格づけですが、これはその場合は経験年数をそのまま受け入れてもらいたいというのが私たちの希望なんです。現在は各級の最低号俸が原則でありまして、その号俸に達する昇給期間の二分の三以上、つまり五割方経験年数が余分になければ、上の号俸に格づけされないことになっておりますが、これでは私たちは納得できませんので、そういう場合には、経験年数を八級の場合二年、九級が四年、十級の場合七年、そういうように昇格できるような補正、そういうふうに考えておったのですが、新俸給の場合、一つ等級が非常に幅がずっと長くなっておりますので、是正が簡単には行われなくて、低いままでずっと続けられるおそれがあるのじゃないか。こういう心配も持っておりますが、これはどう解決されるお考えですか。
  58. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) ちょっとおそれ入りますが、その前に先ほど一万九千四百円のところでちょっと私の答弁が不十分なところがありますので、それをちょっと簡単に一言お許しを願います。現在のままで比較すると二、三百円、一万九千四百円のところが下るというのでありまして、今度新しい何でいきますと、平均して六・二%アップいたしますので、アップしたときまで下るという趣旨でございませんので、その点付け加えるのをちょっと忘れましたので、それだけ付け加えさせていただきます。  それからもう一つ初任給及び昇格の方の問題の御指摘でございますが、職務の級、これは新しい場合においては等級でありますけれども、その場合においては初任給とは違うのでありまして、やはりその方の過去の経験あるいは職務内容というようなことを総合いたしまして、新しい職務等級を決定することになるわけであります。従いまして初任給とはこれは違うのであります。まず等級が決定されまして、その後に初任給の決定ということになるわけであります。御指摘のように現在の初任給におきましては、いかに経歴を長く持っておりましても、原則としまして三号しか上に持っていけないという体系になっておるわけであります。ところが今度の俸給表におきましては、少くとも現在の職務の級が三つないし四つ程度が一緒くたに作られて一つ等級構成になっておりますので、現在の三号どまりの初任給基準の運営ということは、これはやはり工合が悪いということに当然なって参ろうと思うのであります。従いまして現在私ども考えております腹案を率直に申し上げますと、ごらんのごとく各等級ごとにオーバー・ラップいたしております。従ってしの級とオーバー・ラップしているところまでは初任給基準において、つまり号俸決定の幅を伸ばしていこうというふうに考えておるわけであります。そうすれば現在の三号俸どまりということをやめました基本的には上の等級にオーバー・ラップしているところまで、ずっと上まで持っていこうというようなふうに直していったならばいかがですか、という点で現在検討しておるということをお答え申し上げます。
  59. 永岡光治

    永岡光治君 どうです医務局長、それで大体いいですか。
  60. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 医師につきましても、ただいまも医師の経験年数は、国家公務員たるといなとを問わず、同様に取り扱っていただいております。それから従来は、各級の三号は主任の場合の等級なんでございます。そのために、引き続き国立病院に勤めておった者と、新たに採用した者とに不均衡が出て困っておるのでございます。その点は今後一応是正されることになりまして、大へんプラスになったと思います。問題は、昇給期間が今度は延びた。ある者は二年たたなければ昇給できない号俸がございます。その場合に、たまたま同じ卒業年次の者が何号俸かになっておりまして、そしてすでに一年経過しておる。その人は、もう一年たつというと、上の号俸にいくわけでございます。ところが、新たにやった者は、もしも下にやりますと、二年たたないとその号俸にならない。つまり同じ卒業年次でありながら、まれには自分の同級生よりかも一年おくれの者ができてくるというような場合も出てき得るわけでございます。その点、永岡先生が御心配になり、御指摘になった点であります。その点は実はかねてから私どもも気にしておる点でございまして、実際運用に当っては、同じ医師としてのりっぱな経験、経歴を持っておる人間が、たまたま昇給の幅が大きくなったことによって不利な取扱いを受けるということがないようにしたい。これは、ひっきょうするところ、運用の面だと存じまするので、今後この俸給表適用につきましては、その点を特に人事院と相談いたしまして、不利にならないようにわれわれとしては努めていきたいと、かように考えております。
  61. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、今も医務局長から言われましたように、普通の場合には、一つの官庁に入っても、係員とか、係長とか、課長、これはまあずっと昇進していくわけですが、医師の場合は必ずしもそうではないわけです。その点、私は非常に心配しているわけです。それで、相当の経験年数を積んで、国立病院なり療養所に採用される場合が多いわけですが、その辺のところは、7の8の9の15になるわけでしょうから、そのまま残るということになりますと、かなり不利な条件がありますので、格づけなり定数の配分については、その辺が十分救済されるような措置を両者の上で御協議願うように、特にお願いしておきます。  それから次は、調整額の点でございますが、現在の医療職関係になりますと、精神病、結核病、こういうようなものになりますと、それぞれ一号から六号俸程度ですが、調整額がつけ加えられることになっておりますが、今度、それが新俸給表に切りかえられた場合においても、そういう既得権は確保してもらいたい、こういうように考えるわけですが、従って、まあ例を申し上げますならば、現行俸給に対するところの調整額の割合、これを下回らないようにしてもらいたい。それから、現行で調整のついているものは、新俸給でも、そういうものについては絶対に落さない、調整額をそのままつける、こういうこと。それから第三番目は、栄養士とか炊夫なんかですが、こういう問題につきましても、勤務の実態によりまして、危険のあるもの、これは適用一つ考慮してもらう、そういうようにお願いしたいのであります。そういうことは、当然考えておられると思いますが、医務局長の方ではどう考えておられますか。
  62. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 私どもの方といたしましては、調整号俸の問題は、従来の既得権と申しまするか、それはそのまま存続し得るものと実は考えておるのであります。この点、不利にならないように、人事院とも話し合いたいと思っております。  それから、新たに栄養士とか炊夫など、いろいろな業種につきまして、業種の度合いに応じまして、新しくそういう調整を考えておるかどうかという問題でございますが、これらについても、絶えず検討しております。昨年でございましたか、エックス線技師につきましては、これは調整号俸ではございませんけれども、危険手当をつけておるのでございます。あるいは伝染病、急性伝染病等を取り扱う人間についても、手当をつけるようにいたしましたので、勤務の実態に応じて、今後ともこの点はつけていきたい。必要とあらば、人事院と話し合って、実情に即するように措置していきたい、こう考えております。
  63. 永岡光治

    永岡光治君 次は、看護婦の問題ですが、この前の公述を受けました際にも、現行より悪くなるということは、それは大へんだということで追及いたしましたが、大山室長さんでしたかね、准看護婦の方が医師よりも高くなるようなことになったのでは、それは困るから、それを医師より低くするために、こういうようなことをしたのだ、こういう話であります。それは逆じゃないか。むしろ現在の既得権を認めつつ、その上で、もし逆転するというのであれば、その医師の方を上げるべきじゃないか、こういう私たちは主張をいたしたわけであります。そこで、こういう看護婦の場合は、今、大山さんの答弁になったようなことでなく、私たちが主張しておるような、そういう方向で改正をしてもらうことが正しいと思うのですが、その点はどう考えておりますか。医務局長の方はどうですか。それから人事院はどう考えておりますか。
  64. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) この問題は、前回お答え申し上げました通りに、まだ必おずしも准看護婦の既得権とはなっておりません。というのは、准看護婦というものが採用されて、まだそこに至るところの年限がたっていないのであります。そこで、従来の俸給表基準表を当てはめるというと、おそらくはそうならない。従って、今回の准看護婦の俸給表は、正看護婦等とのバランス考えて、大体適当である、そう考えておるわけでありますというふうに御答弁申し上げたのでございますけれども、その点は、現在も同様でございます。
  65. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 永岡君、医務局長は退席しなければならない時間ですから、あと次長が残っておりますが、いいですね、——じゃ、どうぞ。
  66. 永岡光治

    永岡光治君 今の答弁ですと、既得権と認めていない、それは、勤続の年数がそこまでいっていないからと、こういうことでございましたが、しかし、この給与法改正なかりせば、そのままいくわけでありますから、当然私は、既得権は認めて差しつかえないと思います。特に人事院でしたか、あるいは大山さんでしたか、どっちか、よく記憶しておりませんが、私の質問に対しまして、それは級別定数の制約もあるから、必ずしもその勤続そのままいってもずっと上るものじゃございません、こういうような答弁もありました。しかし、これは、私どもから言わすならば、それは言いのがれの答弁だと思うのですが、現行の看護婦の例を見ますと、級別定数というものは、五、六、七は一括してたしか定数に入っておると思うのです。そうなりますと、当然私は、この既得権は認めなければならぬと思うのですが、この点はどう考えておるのですかね。私は、これだけでは承服できないと思うのです。まだ経験年数が、それぞれ勤続年数がそこまでいっていないから、今の段階では既得権と見ていないと、こういう答弁でありますが、私は、現在の俸給をそのまま適用していくならば、特に級別定数等で制約を受けない、五、六、七は一本になるのだから、一本できめて配算しておるのだから、それは当然既得権になるのじゃないか、こう考えておるわけです。
  67. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) どうも既得権益ということになりますと、この前、勤務地手当に関連する調整手当の問題で、永岡先生と大平先生の御議論がありましたような、まことにむずかしい議論に発展していくおそれがございますので、既得権益であるかどうかというようなことはしばらくおきまして、別の観点から私はお答え申し上げたいと思うのでありますが、先般、大山室長から答弁がありましたように、級別定数という制約を受けていますことは事実でございまして、これは、准看護婦あるいは一般の看護婦のみならず、あらゆる方面につきまして、級別定数の制約を受けておるわけであります。ある意味におきましては、級別定数というものは、組織との関連が出て参っておるのでありまするので、一種の任用行為というようなことが、そこに実際上は入って参るわけであります。従いまして、俸給制度体系がいわゆる職務の級というような観念がなくて、通し号俸的にすべてでき上っておって、その通し号俸との比較においては若干問題が起って参りまするけれども、どうしても現在の給与法、新しい制度についても同様でありますけれども級別定数あるいは等級別定数で、昇任します場合には、そこに一種の任用行為が行われるという要因が入って参りますので、御指摘の点がにわかにただ悪くなる悪くなるということのみには言えないというふうに私ども考えておる次第であります。同時にこの前大山室長から準看護婦の方がよくなるから云々というような表現をおとりになったかどうかちょっと記憶はいたしておりませんけれども、いずれにしましても、医師、歯科医師、看護婦、準看護婦というような職制があります以上は、相互間のバランスをとるということも必要でございまするので、必ずしも悪くする、悪くするというようなけちな量見をもって作ったつもりではないのでありまして、全体の合理化というような建前のもとにやったつもりでございます。従いまして準看護婦が現在よりも必ずしも悪くなるというふうには、私ども考えていない次第でございます。
  68. 永岡光治

    永岡光治君 これはまあ幾ら繰り返してもそれぞれの主張をただ述べるだけになりますが、私の主張したいのは、それは大山さんがはっきり言っているわけだ、現在のままでいけば、ある段階がくれば、準看護婦の方が医師よりよくなる段階がくるから、そういうことでは医師に対して申しわけないからこれを落しました、こういう説明ですよ。だからそのバランスをとることを私は反対しているわけではないわけです。むしろ既存のものを認めつつ、その上にバランス考えたらいいじゃないかというのが私の主張なのです。だから、そういうことは十分考えてもらわなければ困るのです。そうでなければ、既得権云々のその法律上の解釈は別といたしまして、少くともこのままいけば、看護婦は、先ほど申し上げましたように一万五千百円まで頭打ちにならない、そこで現在の方がよくなる。開きがあるわけです。そういうことではいけない。だから現在の俸給表の方がいいという出張をするのは当りまえじゃないか。だから今度の給与法は改悪の俸給表である、こういうことを主張するのでありまして、そこはまだ問題点がありますので、ここで私は繰り返しませんが、従ってこの運用に際して十分そういうことのないように措置してもらいたいということを要望して、時間の関係で、看護婦の場合に入っていくわけですが、看護婦には、御承知通り看護婦の勤務時間は特殊性がありまして、交代勤務というか、深夜勤務が常態です。これはあなたも御承知通りです。それから勤務時間は一般は一週四十四時間になっておりますけれども、看護婦の場合は四十八時間になっておる。さらにまた一日八時間勤務の場合の例をとっても、こま切れにこれは断続的勤務だ。たとえば七時から十時まで勤務させておいて、あと休憩して、それから一時から七時まで勤務、十時から一時まで休みなさいといったって、休めるものじゃありませんよ。こういう現実に苛酷な労働条件を看護婦の場合持っておるわけです。俸給表の場合でも当然私は今のような四等級でしたか、これではだめだ、もう少しふやさなければならぬ、あるいはそれをふやされた場合におきましても、それぞれの等級の金額というものはまだ上に伸ばされてしかるべきだ、こういう考えを持っておるわけですが、これは一つ医務局の方はどういうお考えを持っておりますか、看護婦について特別な措置を講ずべきだと考えておりますか。この点、あなたの所見を承わりたいと思います。
  69. 河野鎮雄

    説明員(河野鎮雄君) 看護婦はお説の通り一般公務員と違って、四十八時間制をとっておるわけでございますが、これは勤務体制、完全に二十四時間にわたって患者に対して間断なく看護をしていくというふうな建前からいきますと、やはり四十八時間制をとることが非常に勤務の性質等から見ましてやりいいのではないか、そういうことで、この四十八時間制がとられてきておるのであります。ほかとのバランスの問題がそこにあるわけでありますが、現在でも超過勤務手当というのがございますが、こういった制度をできるだけ活用いたしまして、その予算をふやすとかというふうな方向で、待遇の改善がはかられるようにと、かように思っておるわけであります。
  70. 永岡光治

    永岡光治君 人事院の方どうでしょうか。
  71. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 勤務時間の問題につきましては、これは率直に言いますと、古くから問題があったと思います。確かに看護婦の中におきましても、国立医療関係につきましては、たしか四十八時間であると思いますが、そのほかの文部省その他の面においては四十四時間の勤務体制をとっておるというような面もあった、そういうような意味合いから、いろいろ問題があることは御指摘通りであります。それで、たしか一昨年だったかと記憶いたしますけれども、特に国立病院の看護婦さんの方から例の行政措置の要求が出て参りまして、人事院としてはそれに対する判定を下したはずであります。看護婦の勤務の実態に即応いたしまして、現在宿日直とかあるいは超過勤務手当であるとかいうようなものをやってはいるのでありまするけれども、これではまだ不十分だ、従って、これらの実態に即するような措置をとるべきであるというような趣旨の判定になったと、大まかに言えば記憶しておるのでありますが、私どもの方としても、実施面といたしまして、大蔵省に毎年予算の要求をいたし、最善の努力をいたして参ってきておるのであります。しかし、遺憾ながら国立病院関係につきましては、先ほども医務局長の言われましたように、俸給の特別調整額の問題であるとか、あるいは伝染病関係の特殊勤務手当の問題であるとか、その他エキス線技師の問題であるとか、幾多の問題が山積しておりましたので、一ぺんにできないというような関係もございまして、先ほど申し上げた俸給の特別調整額あるいはエキス線技師の特殊勤務手当というような点は、一昨年みな解決をはかっておるのでありますけれども、本年におきましては、伝染病予防従事者に対するところの特殊勤務手当、これも予算を取りまして、直ちに実行いたしたいと思って検討いたしておるような状態であります。従いまして、問題のあることは十分承知いたしておるのでありまするから、やはり財政との関連その他もございまするので、順を追うて合理的に解決をはかっていく、しかも今までの実態からいたしましても、今申しましたように、順を追うて解決し得るような態勢に順次進みつつあるというような形において、最善の努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  72. 永岡光治

    永岡光治君 みんな財源が——財政的問題でこれはみな制約をされておる、その必要性を認めるけれども、財政的制約を受けるから順次解決をしていきたいと、こういうことでありますから、これはどうも人事院が……、従って、そういうことであれば当然この際改訂の必要があると思うのです。人事院はそのベース改訂もしない、単なる職階制をしただけだという主張で、新しく入ってくる人について何ら恩恵がないわけです。その点でもこの不備は大声な問題であるということをしばしば基本的問題として指摘されておるわけですが、これは淺井総裁もはっきり答弁しておるわけです。四十八時間勤務は不当だ、気象台にしましても、電電公社にしましても、四十四時間勤務になっておる、この場合にも四十四時間は認めなければならぬと言っておる。従ってそういうことになれば、これは定員の増員ということになるけれども、ところが増員も今度の定員法の改正では行なっていない。まさに私は政府やり方というものは、不合理きわまりないと思うのです。だから、その点は今度は人事院の方でも、いずれ七月の十人目までですか、新しく勧告ないし報告の義務を負わされている期限があるわけですから、その際にはぜひ抜本的な解決をはかっていただくように私はしたいと思うのですが、ただいまのところでは、医務局の方では超勤その他等で考慮していきたいということではありますが、そこで、超勤で考慮する場合にも実は問題があるわけですが、看護婦の二交代勤務の場合を例にとりますと、先ほど私がこれを例にとりましたとき、中断されて休憩時間をとられているわけでありますが、拘束時間一日十五時間というのがあっても、それについては超勤をつけていないという例があるようでありますが、その場合はつける格好なんですか。当然これはつけてしかるべきものだと思うのですが、どうでしょう。
  73. 戸沢政方

    説明員(戸沢政方君) 超勤の問題でございますが、確かに定員も決して十分とは言えません、しかし、一方四六時中勤務しなければならないというところから、三交代制あるいはお話のありました断続勤務とかあるいは二交代制とか、いろいろ変則的な勤務体制をとらざるを得ないといったような状況でございますけれども、それに対する措置としては、一日八時間以上勤務した場合の超勤、そういったものは考えております、つけておりますが、こういう断続勤務、二交代制等によって休憩時間を途中に置くといったことによって、通計まあ八時間勤務という場合には、超勤はつけておりません。その本来の超勤の趣旨からしまして、正規の勤務時間以上勤務した場合、あるいは深夜の勤務に対する深夜手当とか夜勤手当とか、そういったものはつけておるわけであります。
  74. 永岡光治

    永岡光治君 それは深夜だけ考えて、二交代の場合は考えないということでありますが、第一拘束が十五時間もあってですね、たとえば一つのまあ断続勤務等の例をとってもよくわかるのですが、二時間や三時間途中でとってお前睡眠しろといったって、それはできるものじゃないのですよ。そういう条件の場合は特段と考慮しなければならないと思うのです。運用でできることですから。これは医務局長、医務次長いらっしゃることですから、運用において、十分考慮してもらいたいと思うのです。もちろん財源等の問題はありましょうけれども、特段にこういう深夜勤務等も考えて、これはこの断続勤務制、二交代制の勤務等でも、考慮しなければならないという事情があるのですから、運用においてできるだけこれを考慮してもらうことができないのか。その努力だけしてもらいたいと思いますがどうでしょう。
  75. 河野鎮雄

    説明員(河野鎮雄君) ただいま御指摘のような場合、これは純粋にまあ拘束時間というふうに言えるかどうか、事実上まあ拘束されることになる、こういうことかと思うのであります。従いましてれこれをすぐ超勤と同じような扱いをするということも、いかがかと思うのであります。事実三はいろいろそういった拘束を受けるということは確かにあると……。研究してみたいと思います。
  76. 永岡光治

    永岡光治君 まあ今後の研究ということでありますけれども、ぜひこれはまあ新しい俸給実施された暁においては、そういう問題を特に私たちは考慮してもらいたい。その結果は、この休会中における審議のときもありましょうし、ぜひ私はその点を究明したいと思っておりますので、強くげたをあずけておきますから、その結果だけ知らしていただきたいと思います。  それから、次は医療関係職員で医療職俸給適用を受ける方が妥当ではないかと思われるものがたくさんあるわけでありますが、その点について一つお尋ねしたいわけです。まず薬剤師、それからエキス線技師それから栄養士、歯科技工士、歯科衛生士、それからマッサージ師ですか、こういう者は大体この医療職の俸給表の(二)を適用することになっておりますが、この職員には医療機関特有の職員が付随して出てくるわけでありますが、特に義肢工、それから療工手、物療士ですね、こういう者も当然医療職俸給表の(二)を適用する方が、関連からいっても妥当ではないかと思いますが、そういう考えはありますか、まず厚生省の方からお尋ねいたします。
  77. 戸沢政方

    説明員(戸沢政方君) その医療関係職員の職種は非常に複雑たくさんございますので、その一つ一つについてどの俸給表適用するか、目下人事院の方と協議中でございまして、まだ決定いたしておりませんが、私どもの希望といたしましては、医療関係技術者につきましては、できるだけ妥当なものは医療職の俸給表の(二)でございますか、これを適用したいと考えております。まあエキス線技師とか、病理細菌技術者、それから歯科技工士、それからまあ物療士とかマッサージ師とか、そういう者は医療職を適用することに大体なると思いますが、義肢工とか療工手となりますと、疑問の余地もございまして、目下検討しておりますが、なるべく適用できる者は医療職の方に入れたいと、かように考えております。
  78. 永岡光治

    永岡光治君 これはなるべくということよりも、ぜひこれは義肢工とか療工手、物療士、こういう者はぜひ医療職の(二)を適用してもらいたい、これはみな関連があるわけです。そうしてまた相当の技術を要しなければできないものばかりであります。要望というより、ぜひ考えてもらいたいと思います。この結果につきましても、私は次の機会において明確にしたいと思いますので、これも強く要望しておきます。  それからこういう話を開くのですが、私たちも判断に実は迷っているわけです。歯科衛生士は今医療俸給表の(二)を使うことになっているのでありますが、これは(三)の方がいいのじゃないだろうか、(三)国にしてもらいたいという関係者の意向のようでございますが、どっちが有利なんですか、その点はむしろお扱いになっているあなた方の方が詳しいと思いますので、実情をお伺いしたいと思います。
  79. 戸沢政方

    説明員(戸沢政方君) 歯科衛生士は今のところ医療職の(二)の俸給表適用することになっておりますが、どちらが有利かということになりますと、看護婦の俸給表の方が有利か、あるいはさらにただ損得の問題だけを言えば、技能労務者俸給表適用した方が有利になる場合もあるでありましょうし、やはりその職種の職務内容、それから学歴、修業資格、そういったものなど総合して考えまして、適当な俸給表適用すべきものであろうと考えておるわけでございます。そういたしますと、やはり看護婦の俸給表というのは看護婦独自のもので、職務内容も勤務時間等も違いますし、これはやはり看護婦オンリーの俸給にした方が妥当ではないか。それでその他の医療技術者につきましては(二)の方にまとめて入れる方が妥当ではないかと思うわけであります。それで、歯科衛生士に医療職(二)の俸給表適用することによりまして、少くとも現行よりも不利になるということはございません。初任給も上りますし、その後の伸びも現行よりもよくなっておるわけであります。歯科衛生士はまだ制度が発足して短いのですし、国立の施設にはほんの数えるほどしか病院、療養所には数人ずつしかおらぬものですから、実績もないわけでございまして、医療職(二)の俸給表適用することによって不利な扱いにならないように、十分注意していきたいと思っております。
  80. 永岡光治

    永岡光治君 これは、その筋の専門家ですね、特にお医者さん等からも強い要望があるわけでございますので、実情が私たちは暗いものですから、何とも判断がつきかねるわけでありますけれども、まあ(三)表の方を使って有利だということであれば、またその職種も相当似通ったものもたくさんあるというお話でありますので、そうであれば、むしろ優遇するということが建前でありますから、そういう(三)表を使った方がいいのではないかと思っております。これは、いずれまた皆さんの御意向を聞いて、最終的には判断しなければならぬと思いますが、そういう強い要望がありますので、その際には、もし(三)表を使った方がいいということになれば、そういうふうにぜひしてもらいたい、こういうようにお願いをいたしておきます。あとまだございますが、一応これで医療関係質問は終っておきます。
  81. 亀田得治

    委員長亀田得治君) この前の委員会のときに、現在約三千名おる国立関係の医師について、各新しい俸給表に対する格づけの大まかな割りつけですか、そういう作業を一応参考のためにやってみて下さい、やってみましょうと、そういうことになっていたわけですが、その点はどういうふうにその後なっておるでしょうか。
  82. 戸沢政方

    説明員(戸沢政方君) 前回の委員会で、そういう御要求がございまして、私どもは、さっそくその作業にかかったわけでございますけれども、本日お手元に配付いたしました資料は、三月末の医師関係の現員現給を級別定数別に掲げた資料、あとは調整額の資料、それだけ出してございまして、これを新しい給与制度に切りかえた場合にどんなことになるのかという資料は、資料としてはお出しする程度までには至らなかったわけでございます。申しわけないと思いますが、ゴールデン・ウイークをずっとつぶしまして作業いたしましたが、結局これをやりますと、厚生省の要望だけを適当に出すならばできますけれども、そういいかげんなものもできませんし、結局一人々々について検討しなければならぬというような状況になりまして、しかも人事権が、本省と、下の方は出張所にまかしてある部分もございますので、本省ではわからないこともございまして、数字的に新しい俸給制度に切りかえた場合の資料というものはお出しできませんでしたが、大体その考え方、こんなことでもってうちとしてはいきたいというものはまとまりましたので、もしその程度でお差しつかえなければ、口頭でもって、大ざっぱなところですが、御説明いたしたいと思います。
  83. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 説明して下さい。
  84. 戸沢政方

    説明員(戸沢政方君) この現員表の資料をごらん下さいますとわかります通り、初めに国立病院の現員表、うしろに結核療養所の現員表がございますが、これでごらん願いますように、院長が現在十二級から——十一級が一人ですが——十五級まで、いろいろ分れておりますが、それから副院長、医長、医師についても、何級かの級別定数にまたがっておるわけでございます。これを大体どんなふうに切りかえていくかということは、今後一人々々について調べていくわけでございますけれども、たとえば、院長につきましては、現在十五級の院長が六人おりますが、こういう人は、もう無条件でもって一等級に格づけしていただきたい。それから十四級の院長につきましても、その上位にある者、もう十五級に近いような人で、経験年数、卒業年数等から見まして古い人は、もうできるだけ一等級の方に組み入れてもらいたいというふうに考えておりまして、院長、それから所長につきましては、大ざっぱに見まして、二十名前後くらいは一等級に入れてほしいという気持を持っております。それから院長の二等級は、大体大部分の国立病院長は二等級でございまして、十二級以下の低い人が格づけとして暫定的に三等級になることもあるかと思いますが、あとは大部分みな二等級であります。それから療養所長の方は、この表でおわかりの通り、低い俸給の所長もかなりございますので、まあ半々くらいになりますか、もう少し二等級の方が多くなりますか、そんなところでもって分けていくようになるかと思います。それから病院の副院長は療養所の医務課長に該当いたしますが、その副院長、医務課長につきましては、現在十四級職の副院長、医務課長は、もうみな二等級に入れると、それからさらに、十三級の者でも、経験年数等から見まして上位にある者、長い者、そういう者は、できるだけ二等級の方に格づけしたい。それからそれ以外の副院長の全部は三等級、それから医務課長につきましても、十二級以上の医務課長につきましては、上位にある者はなるべく三等級に入れると、それ以外の医務課長は四等級になるわけでございます。それから医長につきましては、大体医長は、原則として四等級になっておるわけでございますが、やはり上位号俸の者で古い人、あるいはその診療科の規模内容等から見まして、たくさんの医者をかかえておるような診療科、内容が特殊な性格を持った診療科、そういった医長は二等級、三等級の方にもできるだけ入れたい。大体まあ十三級相当者、それから十二級の七位にあるような人、こういった人をできるだけ二等級か三等級の方に組み入れてほしいという気持を持っております。それ以外の医長は四等級になるわけであります。それから平医員につきましては、原則は五等級でございますが、これにつきましても、個人的に救済する制度になっておりますので、特殊な事情にある格の高い人は、二等級、三等級の医師も——まあ二等級は少いと思いますが、三等級あたりの医師も作りたいという気持を持っております。それから医師の大体四等級は、現在の俸給制度に比べてみますと、十級以上になっておりますので、十級以上のお医者さんにつきましては、高い人は四等級の方にできるだけ組み入れる。先ほど永岡先生の方からお話がありましたが、昇給期間が十二カ月から十五カ月に寝るところ、ああいったところまできておるようなお医者さんは、できるだけ四等級の方に、上位等級に組み入れたい。残りの人が五等級になる。大体考え方としてはそんなところで、人事院と折衝したいと考えております。
  85. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっとお尋ねしますが、人事院の方から出しました職務区分表ですね、あとからもらったやつ。それを見ますると、十ページですね。医長というのが二等級、三等級には書いてないのですが、ただいまの管理課長説明で、その点どういうふうになるのですか。その「上記に準ずる医師」という中に医長も含めた書き方ではないと思いますが、二等級、二等級のところにも医長というものが一つ入っておらないと、今、管理課長が言ったようなことになってこないと思うのですが、この点は、これは書き間違いですか、どうなんでしょう。
  86. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) これは、代表官職というような形で作りましたので、あらゆるもの一切、漏れなく網羅したという格好に実は作っておりませんものですから、御指摘の分は当然その中に入るわけであります。一応ここの表現で申し上げまするならば、「上記に準ずる医師」というところに入れて、一応お読み願ったらけっこうじゃないかと思います。
  87. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  88. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して下さい。  暫時休憩いたします。    午後一時三分休憩    —————・—————    午後二時十五分開会
  89. 亀田得治

    委員長亀田得治君) では休憩前に引き続き、内閣委員会を再開いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、三案を一括して議題に供します。三案について、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  90. 永岡光治

    永岡光治君 まず私は基本的な問題からお尋ねしたいわけでありますが、午前中の審議におきましても、同僚議員の方から、その点を質問いたしたかと思っておりますが、重複することをお許しをいただきたいと思うのでありますが、そもそも技能労務職は、当初人事院勧告をいたしました精神の現われて参っておりまする、この俸給表の金額から見ますと、どういう理由説明をいたしましても、やはり技能労務職は、一般行政職に比して、差別待遇をしておるという感じが非常に強いのであります。昔雇用人制度というのがありまして雇用人一般の事務職よりは低いのだ。それは差別待遇をしてもかまわないのだ、こういう観念がいまだに抜け切っていないのではないかということを非常に私はおそれるのであります。従いましてその技能労務職を特に分けなければならなかった理由というものを、この際あらためて明確にしていただきたいと思うのであります。人事院の方から、まずその考え方を明確にしてもらいたいと思います。
  91. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) けさほど伊藤先生の方からその御質問がございまして、御説明申し上げた次第でございますが、もう一度繰り返して申し上げることにいたします。人事院俸給表行政職技能労務職とに分けた。これは医療職及び研究職も分けたのであります。職務実態に適応したような俸給表を作るということが目的であったわけであります。御承知のように、現在は数種の特別俸給表を除きまするならば、ただいま私が申し上げましたように、医療、研究、技能労務関係、それから一般行政関係が皆一般俸給表に入っておるのであります。で、この一般俸給表はそういう職員適用されまして、同様な適用になっておるかといえば、そうではないのであります。けさほども説明申しあげたのでありまするが、資格基準表というものを人事院細則で定めておりまして、この資格基準表の運営によりまして、実は一般俸給表が数種に分れておるのと同じような運営をいたしておるのであります。で、この技能労務職について申し上げまするならば、これはこの職務の特殊性からいたしまして、昇給のカーブと申しますか、これがぐっと直線的ないしはしり上りにずっとしっていくという性質のものではございません。これはあるところまでずっと上っていきましたら、その後横ばい状況をたどっていく、場合によったら、またその先が落ち込んでいくというような性質のものでございます。従いまして現在の一般俸給表適用いたしまして、そういう実態に即応するためには、どういうことをやっておるかと申しまするならば、これはもう御存じの通りでありまするが、まず一つ職務の級を通って参りまして、そうしてわざわざ頭打ちにするわけであります。そういう運営をやっておるのであります。そうしてその次にまた上の等級に進んでいくというような運営を現実にやっております。で、このことは、そういう資格基準表適用されておりまする職員個人から考えてみまするならば、あるときにはスムースに昇給していくものが途中で停滞いたし、またスムースにいく、非常に計画性がないわけです。その全体を通じましてなめらかに進んでいくということの方が現在の実態よりよろしい。なぜ現在はそういうことになっておるかと申しますれば、一般俸給表というものを技能労務職適用いたしますのには無理がある。その無理をわざわざこの資格基準表でまあ何とかつじつまを合せておる、こういう格好になっておるわけです。従いましてそういう実態は是正して適当なものにするということが、人事院一般俸給表から研究職、医療職、また技能労務関係の職種を分離するということをいたしました理由でございます。  で、俸給表の設定に当りましては、けさほども申したのでありますけれども、そういう職員の現在の現給分というものと資格基準表というものをにらみ合せまして、人事院といたしましては俸給表を作成しこれを勧告した、こういう手順になっておるのでありまして、身分的にこれを差別しようとか、あるいは特に給与を低くしようというような意図は全然ないのでございまして、現在の状況をその範囲において合理化いたしたいというだけでございまして、現在の水準を移す、もっとも六%程度の調整措置を行うということを人事院ではやったのでありますけれども、これは全体を通ずる問題でありまするので、まあそれを別といたしますれば、現在の状況をその職種に適応するように、その範囲において合理化する、水準を高めもしないし低めもしない、また昇給速度等につきましても、これを特に早めるとかあるいはおそめるというようなことはいたさない、平均的には現在の給与法における運営と同様のところをねらってやる、こういうことで俸給表は作っております。
  92. 永岡光治

    永岡光治君 いずれその今人事院の方で企図しております内容について、果してそういう企図が現われているかどうかは、後刻私は質問を展開ずることによって明確にして参りたいと思うのでありますが、特にその身分を差別待遇をするという考えのもとでない、こういうことでございますが、公務員制度の全般について人事院もその責任の一端をになっているわけでありますが、この前の公述をいただきました際にも、公述者より強く要望があったことでありますが、このつまり俸給表を分けることは、その次の段階において公務員という身分をこれからはずして、つまり国家公務員からこれをはずしていくという、そういう差別的な取扱いをされるおそれがあるのではないか。こういうことを極力心配をいたしておりましたが、そういう懸念は全然ないものと理解してよろしいか、念のため質問をしておきたいと思うのであります。人事院の方です。
  93. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま公務員制度調査会の答申の問題に関連いたしまして御質問があったわけでございまするが、人事院はあの答申には拘束されていないのであります。で、あの答申にもし拘束されるといたしまするならば、たとえば管理職分というようなものを人事院が出すとかいうことが、まあ想像できるのでありますけれども人事院はそういうことはいたしておりません。それからまた同じ行政職であっても、技術行政に従事しておりまする者と、それから事務系統の者とを区別するというようなことも、あの答申には見えておったようでありますけれども、これも人事院はとっておりません。すなわちあの答申には一切拘束されていないのであります。従いまして人事院といたしましては、今回の給与改正は、公務員法が要求いたしておりまする方向、並びに現在の状況を整理するということに終始いたしておるのでありまして、今度の勧告に当りましては、これを将来行政職から分離する布石にするのである、というようなことを考えたものでは毛頭ないのでありまして、そのことを申し上げておきます。
  94. 永岡光治

    永岡光治君 これは人事院公務員法の指示する、命ずるところに従いまして、その権限において勧告しているということで一応理解はできるのでありますが、しからば私は主管の朝田官房長官にお尋ねしたいと思うわけでございますが、そういう身分的な差別をつける、つまり国家公務員のワクからははずすという企図をお持ちになっておるのかどうか。そういうことであってはならない。こう私は考えておりますが、お答えをいただきたいと思います。
  95. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) ただいまのお話につきましては、公務員制度改正に当りましての根本問題の一つとして重要な問題でありますが、運輸省の考え方だけで御答弁を申し上げるのも適当でないと思いますので、全体を通ずる問題でありまするし、各省にも今のような労務職の問題もございますので、全体の問題として取り扱うべき問題であると思うのでありますが、ただいまお話にありましたようなこの労務職の業務に携わっておりまする方々の、何といいますか、将来公務員制度からはずされるのではないかという不安につきましては、現実の問題として十分そういう実情は存在するのでありまして、この点も十分勘案いたしまして、職務内容等もあわせて全般の公務員制度考えていきたい、こういうふうに考えております。
  96. 永岡光治

    永岡光治君 もとよりこれは全般の問題については、あるいは朝田官房長官の答弁の限りではないかと思いまするけれども、今やはりこの御答弁の中で懸念されることは、そういうおそれもある。従いましてこの職種等の設定についても十分考慮しなければならない、という趣旨の発言があったわけでございます。これはきわめて重大でありますが、しからば運輸省自体としてお尋ねするわけでありますが、そういうことを望ましいと考えておる、またそういう企図を持ってお出でになるのか。その辺の事情を明確にしてもらいたいと思うのであります。
  97. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 運輸省自体といたしましては、この問題につきましては政府全体の問題でありますので、今申し上げましたように態度をはっきりきめておらないのであります。
  98. 永岡光治

    永岡光治君 それではこれは政府全般の問題として、しかるべき機会において責任の国務大臣に質問をいたすことにいたしまして、次に質問を進めたいと思うのでありますが、ただいまの人事院の方からの御答弁の中にありますところによれば、現在でも相当に頭打ちがあるし、現在の俸給表、つまり一般行政職並みの取扱いということについては、かえって技能労務職に該当する方々にとって不遇になる、こういう状況を勘案いたしまして、それを合理化されるようにということで新しく職分を作ったと、こういう説明でございます。そこで私はお尋ねをするわけでございますが、そういう企図がそれでは明確にこの表に現われておるかということであります。つまりもっと突き進めて言えば、この技能労務職というものの俸給のあり方は、一般行政職並みでは頭打ちをするから、これを救済したいというような趣旨でありますが、その精神をさらに発展させて参りますならば、技能労務職にはそれなりの特別の措置を行なってしかるべきだと思うのでありますが、午前中の審議におきましても慶徳次長の方から答弁の中にありましたが、こういう技能労務職分を分けておる企業体系をとっておる官庁はある。たとえば郵政におきましてもそうだ、あるいは電電公社においてもそうだと、こういうことであります。それではそれらの郵政なり電電公社が、なぜこういう特別な職分を設けたかというねらい、そして現実に今現われておる結果というものを、どう把握されておるかということであります。少くともそれらを特別な職分として分けておる官庁、あるいは公社におきましては、一般の事務職員に比べて初任給、及びある一定の年令になり、金額で申し上げますが、たとえば二万五千円であるとか一定の金額がございましょうが、相当の年令に達するまでは、他の一般事務職員よりは優遇する俸給体系をとっておるわけであります。例をあげて申し上げますならば、これは昨年三月二日の労使双方の取りきめによって明確になっておるわけでありますが、電電におきましては、新中卒で行政は五千八百円になっております。それから技能は六千二百円というように、四百円の開きがあるわけであります。これは順次その後におきましても、たとえば二万五百円に達するまでには、むしろそういう技能職に該当する職員の方が優遇されておるわけであります。で、ある交差点、交差する段階になりました後におきましては、確かに技能労務職の方が若干昇給の速度は鈍っておりますが、それまでは技能労務職に対しましては優遇措置を講じております。これは昨年三月二日の取りきめでありますが、今度の給与改訂におきまして、さらにこれが大きな開きを見せることは間違いのない措置であるわけであります。  郵政においても同様のことが言えるわけでありますが、そういう措置を講じておるにもかかわらず、単にこれを技能職だけを行政職俸給表という形に修正はされましたけれども、表われておる結果を見ますると、これは人事院から勧告されました給与体系内容は、金額は採用しておるわけでありますが、それによりますと、新中卒になるわけでありますが、技能労務職の場合は五千三百円であります。そうしてこれは高校を卒業いたしますると、一般行政職の場合は六千百円になるわけでありますが、六千百円になるのに何年かかるかと言いますと、一年、二年、三年、四年約五年近い期間を要するわけであります。高等学校の教育期間は三年でありますが、これを比較いたしてみましても、新中卒で技能労務職で採用されましても、三年にはむしろ六千百円よりは高い金額が支給さるべきが、当然私はこれを分けた精神から考えますならば表われてしかるべきであると思っておるのでありますが、あまりにもひどい待遇であると言わざるを得ないのでありますが、あなた方が分けた、その合理化という点がこの線では救済されていない、これはどう考えておりますか。あまりにも技能労務職について不当なる、過酷な待遇を強いておるということは、これは明確だと思うのでありますが、それでもあなた方がなおかつ分けた理由が存するということは、どこにあるのでありますか。私はその了解に苦しむのであります。
  99. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院勧告におきましては、すでに報告書等におきまして十分御説明を申し上げておるのでありまするが、勧告趣旨といたしまするところは、民間と比べまして、全体的に六%ないし七%程度一般職公務員が低い。従いまして、その程度給与改善をすることが適当であるということで、これは調整措置等によってその程度上げていただくという措置をお願いしたのであります。で一方におきまして給与体系の整備をいたしたのでありまするけれども、それは各その職分別に考えてみまするならば、現在の状況を平準化したという程度にとどまっておりまして、その際に、特にある種の職分をよくするというところまでは、これはいたさなかったのであります。従いまして、先ほど申しましたように、制度といたしましては現状を移していった、平均的には現状を移していった、こういう形になっておるのであります。  いろいろ問題はあろうかと思うのでありまするけれども、それは将来の問題としていろいろ考えていく余地を残しておるということでございまして、今回の改訂に当りましては、その六%というものを、あらゆる職種に大体同様に均霑さすということを目途としてやったのでありまして、特にある種の職種をよくするというようなところまでは手が回りかねた、まあこのようなことが人事院勧告になっておる次第でございます。
  100. 永岡光治

    永岡光治君 六%の均霑をそれぞれ行なったというそのことは、説明としてはわかりましても職分を分けた理由にはならないのであります。ただ移したということでは、なおさらのこと移す必要はないじゃないか。ちっとも改善されていないのですから、そのままそれじゃなぜ一本でいけないのですか、こういうことになるわけです。なぜ分けなければならないのか。移すだけの問題であれば、合理化すると言って何を合理化しようとしているのでありますか。
  101. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それは、先ほども申しましたように、現在の技能労務職の方でありますれば、一般俸給表を使っておりまするために、ある場合においては頭打ちに必然になっていく。そしてワク外に出ていくというような形があるわけでございます。これは職員の側から見まするならば、今までスムースな昇給をしておった者が、とたんにこの頭打ちになり昇給が延伸される。また一定期間がたてば、それがスムースになって六カ月、九カ月というような昇給になっておる。それが非常にもう断続的でございまして、そういうことは、はなはだどうも給与体系としてはおもしろくない。従いまして、そういう職員に対しましては、全体として昇給がスムースに参るようにする方がいいのではないか。従いましてそういう意味において、今回の人事院勧告におきましても、もちろん政府案もそれを提唱しておるのでありまするが、意味があるのでありまして、で、今回分けたことによって、すべて十全に、それでは理想的になっておるかと言えばそこまでではない。しかし意味がないわけではないのでありまして、大きな目的はこれで達しておる、このようにわれわれは考えました。
  102. 永岡光治

    永岡光治君 それは今の説明では、初任給等には影響をせずに、若干の頭打ち等が、号俸を引き延ばすことによって若干救われておるということであります。まあこれといえども問題があるわけでありまして、十五カ月以上の昇給、十五カ月、十八カ月というものに昇給の非常に延伸されている俸給号俸というものは、十八号以上から三十三号までになっておるわけでございますから、これは私は大した救済にはなっていないと思うのでありますが、問題は本質的な問題に触れなければならぬと思うのでありますが、ただいま給与局長もはしなく触れておりましたけれども民間給与等も勘案いたしましてこういうことにいたしたという話でありますが、民間給与はこんな低いものじゃないのであります。技能労務職というのは、やはり一般事務職に比べて、相当ある年令までは優遇される形にいっているわけです。すなわち先ほど例を引き合いに出しまして申しましたが、郵政なり電電なりでとられていると同じようなことが、とられているわけです。しかもこの勧告を行う際に当っては、民間もそういうことになっておるし、同時に三公社五現業、つまり公共企業体等も十分均衡を見てやれということになっているはずであります。故意にこの点は採用せずして、ただそのまま据え置いて、しかも非常に低い金額で押えているというのは、私は人事院のその考え方には承服することはできないのであります。一体その技能労務職とかそういう特別な職分、将来に対する希望をあまり持てない職分、そういう方に対する生活の保障というような面からいきましても、もう少し真剣に考えてもらわにゃならないと思うのであります。いやしくも公務員として国民に奉仕する限りにおいては、それは局長あり課長あり係長あり、あるいは事務職員あり技能労務職あり、それぞれの立場に応じて国民に奉仕することにおいては変りはないのであります。変りがない限りにおいては、一定の年令に達するまでは生活も保障するということは、当然でなくちゃならぬと思うのであります。しかも将来に対する希望がないということであれば、先ほども繰り返し申し上げますが、他の官庁等でとられておりますように、技能職分においては、ある一定の年令に達するまでは、他の事務職員の将来非常に希望の持てる立場にある諸君に比べて、非常にお気の毒な立場にあるわけでありますから、士気を高揚してもらい、国民に対する奉仕も大いに精出していただくという立場におきましても、むしろ私はある一定の年令までは、技能労務職に該当する諸君を、昇給金額なり初任給というもので優遇し、優位にあって然るべきだと思うのであります。もちろんある一定の年令に達した後においては、私は、その昇給は他の事務職員がたどるように、課長になりあるいは局長になるという、そういう道がふさがれておるのでありますから、昇給の期間については、それらの一般事務職に比べて速度がにぶることも、これはやむを得ないと思うのでありますが、そういう措置が講じておられないことに非常に不満なのであります。特に一般事務職に見るならば、高等学校を卒業しますと六千百円です。技能労務職になりますと中学を卒業して五千三百円です。この六千百円までいくには四年以上の期間を要するわけです。高等学校の教育課程は二年なんです。そんなばかなことはないはずなんです。それから、そういう本質的な、あなた方は優遇措置といいましても、給与体系として考える際に、特に離す限りには、そういう技能労務職に相当する諸君についての立場なり、あり方というものを真剣に考えて、こうしたものでない別なあり方、つまり民間でとられておる方式、あるいは他の官庁や公社でとられておる方式、これは当然採用されてしかるべきじゃないかと思うのであります。この点についての誠意が私は足りないと思うのでありますが、その点についていま一度私は明確にしてもらいたいと思うのであります。
  103. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) どうも御質問趣旨が当初、はっきりしなかった点もありまして、ちょっと間違ったことを申し上げたようなことになったのではないかと思いますが、今永岡先生の御指摘になりました、新中卒の五千三百円という初任給というのは、御承知通り衆議院段階におきまして修正されまして、五千三百円というふうになったわけであります。ところがこれはまあ今後の実行上の問題とも関連がございまするけれども、五千三百円というものは給仕の初任給を五千三百円にするというふうに、私は実施面をつかさどる人事院の立場としては考えておるわけです。で、今盛んに御指摘になりましたいわゆる技能職員ですね、技能職員についてまで五千三百円というふうには考えておらないのでありまして、いわゆる新中卒でありましても技能職員でありまする場合には、五千七百円の初任給にいたしたらいかがであろうかというふうに私ども考えておるわけであります。従いましてこの技能の新中卒を五千七百円というふうにして、新高卒の、何といいますか、三年ということをたどってみますると、衆議院修正にかかるところの俸給表でいいますならば、六千八百円という見当に相なるというふうに考えておるわけであります。どうも私の方の認識なり、答弁もまずかったのではないかと思いますが、その前提の理解の仕方が少し違っておったのじゃなかろうか、という感じがいたしまするので、あわせてお答え申し上げておきます。
  104. 永岡光治

    永岡光治君 それですと、これは小使職であろうと技能労務職でないのですから、これから除くのですか、この俸給表適用するのですか、それを明確にしてもらいたい。
  105. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 小使さんであるとか、あるいは清掃夫さんであるとかいうことになりますと、御承知通り学校を出てすぐにそのわれわれの職場にこないでおる例も多いのでありまして、通念といいますか、通常と申しますか、途中に入ってくる方が非常に多うございまして、これはむしろ前歴換算の方の問題もこの場合に問題になってくるわけであります。
  106. 永岡光治

    永岡光治君 いや、この表を適用するかしないか。
  107. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 新行政職俸給表の(二)を適用することにつきましては、適用範囲につきまして資料としてお配りいたしました通りでございまして、適用するわけでございます。
  108. 永岡光治

    永岡光治君 適用するのでしょう、新中を卒業すると五千三百円。六千八百円ですか、最初にするのは。
  109. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 五千七百円です。
  110. 永岡光治

    永岡光治君 技能関係は五千七百円、技能というのは、それはどういう意味ですか、あなたの言う技能というのは。それからもう一つ。今触れられておりましたが、新高卒は六千八百円で採用するといいましたね。技能に該当するのは間違いないんですか。
  111. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) ただいま申し上げました技能職員というものは、資料として御配付申し上げましたものに基いて申し上げますと、等級別の職務区分表というものを資料として提出いたしてあるはずでございます。これの五等級の中に、一般技能職員見習あるいは技術職員見習というものが、五等級の代表官職として並べてございます。一般技能職員といいましてもきわめて幅が広うございますので、特にこの注におきまして「一般技能職員とは、機械工作工、電工、大工、石工、印刷工、製図工」云々と、大体この注の一に書いておりますが、これらが今私の申し上げました、五千七百円の初任給に該当する、という趣旨でお答え申し上げたつもりでございます。それからもう一つの六千八百円と私の申し上げましたのは、これは初任給を申し上げたのではないのでありまして、五千八百円で新規採用いたしまして三年経過したとき、すなわち新高卒と同じ修業年限を経過したときの状態が、五千七百円の初任給であります場合には、大体どのくらいになるかといえば、六千八百円程度になるという意味でお答え申し上げたわけでございます。
  112. 永岡光治

    永岡光治君 そういう例を言われると、私も一つここで申し上げなければならぬと思うのでありますが、それでは新高卒で一般行政職表(一)の適用を受けた場合、二万三百円に達するのには大体二十年三カ月必要と計算されるわけであります。それから行政職(二)表を適用いたしますと、新中卒で二万三百円、それより上の二万五百円まで達するには二十八年三カ月の期間を必要とするわけであります。両者ともに同じ条件という、もちろんそこに前提があるわけであります。そうなりますと、ここにすでに八年間の開きがあるわけです。新高とそれから新中との開きが三年じゃありませんか。これを見ても明らかに非常に大きな食い違いが出ているじゃありませんか。ちっとも優遇されていないじゃないですか。
  113. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) どうもただいまの御質問の算出の基礎が、実はよく存じませんものですから、おそらく永岡先生のおっしゃいます五千三百円を基礎にして計算なされたのではなかろうかと、この推測いたすのでありますが。
  114. 永岡光治

    永岡光治君 私はね、これは非常に新高卒の場合でもおそらく頭打ちでなく、一般行政職を使う場合には、たいがい、頭打ちをされるという人は、そうたくさんないと思うんです。特に下級職においてそうだろうと思う。大体が順調に上っていくと思うのであります。ここにもあげられている十二カ月以上頭打ちをしなければならぬ、とりわけ二年とかあるいは一年九カ月を要する人はそうないと思う。たいがいの人はもう新俸給になれば八等から七等、六等、五等、四等と、そういうふうに順調に進むものと考えられるのでありますが、そうでなくて、そういう進み方をしなくて、技能労務職と同じように、なかなか進みにくい段階をとっても、なおかつ二十年三カ月である。ところがこの新中卒技能労務職となりますと二十八年三カ月を要する、そういう同じ条件のもとにおいて計算しているわけでありますから、その辺に問題はないと思います。いずれにいたしましても、八年の開きがあるということに問題がある。あなたがどう抗弁いたしましても、この点明確に答えられれば私は了承するわけです。事務職員よりは、行政職(一)を適用される人よりは、同じ学歴の場合技能労務職適用される方が昇給が早い、ある一定の、二万五千円までのところにいくのには技能労務職の方が早いのだ、そういう表になっているかどうか。なっておれば了解できるのであります。その表になっていないとすれば技能労務職について苛酷な取扱いをしておるのじゃないかという結論にならざるを得ないのであります。技能労務職というもののあり方について、私は先ほどから申しておるわけです。とにかく技能労務職一般に比べて低い取扱いでいいという考え方が、そもそも本質的に非常に誤まりだということを私は言っておるのです。何回も繰り返しますけれども、国民に奉仕する立場においては変りはないのです。何でも人事の管理の人が一番えらいという考え方が本法に流れている精神が誤まりだと言うのです、私は。それは、やはりこの中に、技能労務職の中においては、相当技能をもって奉仕する立場の人がたくさんおるわけです。そういう方々の立場を考えましても、いやしくも公務員である以上は、ある一定の年令に達するまでは生活を保証してあげる、こういう立場でなくちゃならぬ。とりわけ技能労務職という職務にある方々については、将来に対する希望の持てない、たとえば、課長になることもおそらくむずかしいでございましょう。まして局長になることは、これはまずこんりんざいないと見て差しつかえないのでありますが、そういう立場にある方々に対する俸給のあり方としては、むしろ将来どんどん係長なり課長なり局長に昇進の道を開かれておる立場の人と比較した場合には、ある一定の年令までは優遇してしかるべきだというのが私の主張なんです。そういうことでなくては、一生懸命、一生をささげて国民に奉仕するということにならないわけであります。そういう俸給になっているかどうかということなのであります。
  115. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの技術的な点につきましては、あとでお答えを申し上げるといたしまして、私がさいぜんからお答え申し上げておりまするように、人事院の昨年の勧告におきましては、まず大まかに、職種別にどういうふうに俸給表があるのがよろしいかということで、現在の一般俸給表を分離して、その分離いたしまする際には、現在のそういう方々の紋別分布というものと昇格基準表ということをあわせ考慮しまして、この俸給表を作ったということは、現在の状況をそのままに平均的に移した、こういうことになるのでありまして、その限りにおきまして、今永岡先生がおっしゃったようなある種の理想というものは、そこから先は入っておらないのであります。これはもうその通りなんでありまして、従いまして、おっしゃったようなことは、将来に向って好ましいことであるということにつきましては、われわれは否定はいたさないのでありまするけれども、この今度の勧告におきましては、現在の状況を大まかに職種別に平均化して、その範囲でこの現実の状況をなめらかにするというところに主眼があったわけでございまするので、従いまして、今おっしゃったような理想、ある年令までは給与が早く上るというような理想は、これには入っていないのであります。そのことだけは、一つ御理解願っておきたいと思うのであります。
  116. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 関連。技能職で係長や課長にはなれるのですか、なれないのですか。
  117. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) これは、課長といいますものは、大体行政官庁におきましては、行政管理的事務を行なっておるものでございます。従いまして技能関係の、たとえば運転手さんでありまするとか、あるいは守衛さん、あるいは電工というような方々は、その職務の性質上、課長ということにはその職務ではなれない。そういう方がいろいろ勉強されまして、やはり行政職の方の試験に通られまして、そうして進んでいくということが、全然道がないというわけではございません。しかし、そのままの職務では、やはりそれは課長の職務ではございませんので、そのままでは課長になられるということは、これはおそらくないだろうと思います。ただ、運転手さんあるいは守衛さん等につきましても、守衛長というようなこと、あるいは車庫長というようなことで、ある種の管理的業務に従事される場合に、係長ということは、これはなり得るわけでございます。
  118. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一つ。いわゆる技能職で係長なんかになっている人は、現実にどのくらいありますか。
  119. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 私がただいま申し上げましたのは、車庫長でございまするとか、あるいは守衛長、こういうものが場合によっては係長というようなことに相当するだろう、このようなことを申し上げたのです。今、詳細な数字を持ち合せておりませんので、すぐどのくらい係長がおるということを申し上げかねるのであります。もし必要がございますれば、時間の御猶予をいただきまして差し上げたいと思います。
  120. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今おっしゃられなければ、あとでおっしゃって下さい。
  121. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、今この段階では考えなかった、将来その問題については、理想の問題としてではありますけれども一つの検討の対象になるだろうという趣旨答弁があったわけでありますが、一体技能労務職というものをどう考えるか。ただ、今のままでは頭打ちができる。この頭打ちでも、あなたの方として総別定数のこまかいことを言って、こういう職種は何等級以上上げられないという、やかましいことをあなたたちが言うから、自分みずから縛っているわけです。新しい俸給表をこのように伸ばそうと思えばできるわけです。幾らでもできないわけはないわけです。格づけの運用等によってできるわけです。ことさらこれを分けるという以上は、分けるだけの理由がなければならない。つまり郵政なり、あるいは電電公社がとっている採用方式をなぜあなたたちはとらなかったかということです。とっていいじゃないですか。
  122. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それは、お考えでございまするが、これは、何も技能労務職に限ったことではございませんで、すべての職種に通じているものだというふうに思うのであります。郵政のようなものをかりにとるといたしますと……。
  123. 永岡光治

    永岡光治君 そうじゃないのです。基準ベースが高い低いを私は言っているのじゃないのです。いいですか。郵政の方が一般公務員より若干高いでございましょう。あるいは電電は高いでございましょうが、しかしそれは、給与方式が変っているわけです。それは明らかです。その中で、一般事務職に比べて労務職が高いのです。よろしいですか。郵政も電電もそういう方式だ。あなた方は、この勧告に当って、人事院にはそういう権限を与えられているわけです。三公社五現業の分について検討して、それと均衡がとれる勧告をしなさいということを言っている。検討して勧告しなさいということを書いてあるわけです。大体民間でも同様なことが言えると思う。民間においても、技能労務職として扱われるものは、一般事務職に比べて優遇されている。ある年令までは優遇されている。こういう方式はどこでもとっているにかかわらず、ひとり国家公務員というワクがはめられた場合のみ、そういう方式がとられていないのは、きわめて遺憾である。そういうことをなぜあなた方は考えなかったか。
  124. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘でございますけれども民間におきまして、今なお、永岡先生のおっしゃったようなことが直ちに一般的に行われておるかどうかということには、多少問題があるのではなかろうかと思います。また、国家公務員の場合の技能労務職職務責任というものと、それから現業ですね。郵政なり電電なりにおきまする職務のそういう現業の中におけるウエートと申しますか、この辺には多少の違いがあり、同じ職種では技能労務といいながら、職務内容等にわたりましても、多少違う点があるのではなかろうかということも考えられます。しかしながら、われわれが勧告いたしました際におきましては、現在の状況をあくまで平均的に移すというところが主眼でございますので、こういう俸給表勧告いたしておる、こういう次第でございます。
  125. 永岡光治

    永岡光治君 私は、この点はやはりどこまでも問題点として明確にしておきたいと思うのでありますが、あなたは今、郵政あるいは電電の場合における技能労務職内容につまり特別な違いをつけて、これは内容が違うということを、国家公務員の場合には職種が違うのじゃないかということを言っております。それはある程度ございましょう。ただしそれは、小使とか雑役だとか、そういう方については共通の違う面があろうと思うのです。しかし、ここでいうそういう小使、給仕さん、雑役あるいはエレベーター等、こういうところの技能職員は、この国家公務員法によるところの行政職俸給表(一)に格づけしている、それで運用しているのです。そこで、他に残った、あなたの今あげられました技能職、特別な……。しかもそれは大きなウエート……この俸給のねらいでございましょう。それの大半を占めておりますから、そういうものに匹敵するものを、別の職務を設定して優遇しているわけなんです。だから、そういうことを当然考えるべきじゃないか、おそらくそういうものをあなた方は検討されたと思うのです。これは、この前あなた方が勧告できなかったということはきわめて遺憾でありますが、そういう問題について、次の機会においてでも、これを抜本的に検討してもらわなければいかぬと思うのでありますが、とにもかくにもそういう特別な職務を分けるという限りにおいては、ただいま各官庁、各といいますか、二、三の国家公務員でない、というよりも、給与法適用を受けていない職員の中でそういう行き方として、給与のあり方としての理想形態に近いものが今打ち出されつつあるわけでありますから、そういうものをぜひ取り入れていただきたいと思う。これは、七月の何日か知りませんが、おそらく人事院から勧告ないしは報告をしなければならぬ期限が迫っておるのでありますから、当然そういうようなあり方についての検討をした上で、均衡をとってもらいたいと思うのでありますが、そういう点についてどう考えておいでになりますか、重ねてこの基本的な問題について、さらに私は質問をしたいと思うのでありますが……。
  126. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今のおっしゃった問題につきましては、これはやはり給与問題として重要な問題でございまするので、将来にわたりまして人事院は十分研究いたしたいと思っております。
  127. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、今出ておりますこの内容について、衆議院の場合においては、特に高度なということを入れております。例示をいたしております。その一、二を申し上げますと、鑑定だとか模写とか、あるいは工芸品製作、欧文ステノタイプとかというような例示をして、「その他高度の特殊技能を有する」というふうに言われておりますが、今日こういうふうに社会が進んで参り、科学も非常に進んで参りますと、この技能職というものは非常に大きなウエートを占めてくると思うのであります。これは、この前の委員会で、私は質問をいたしましたけれども、研究職なり教育職なり、あるいは医療職というものについて職階制を設けることが正しくないのだ、むしろそれは、設けない方がいいのだということを公務員制度調査会でも答申しておるように、その人の技能を生かすことによって、何も課長になったからその人はえらいというのじゃないのであります。その技能を生かすことによって国民に奉仕する、社会に奉仕するということの方がよほど大切なのであります。しかしながら、その人は、こういう職階制がきめられますと、課長にならなければ給与を上げることができないと、こういう不合理は訂正さるべきだと、民間においてもそうであります。工場長や、あるいは重役よりはたくさん給料を取っておるところの職場の人がたくさんあるわけでありますから、それがほんとうの給与体系としては望ましいのではないかという私の考え方は御披露申し上げたわけでありますが、そういうことを考えた際に、いよいよこれを実施して格づけ等を決定する際に当っては、特に高度というようなことでなくて、この「特に」にあまり限定されまして、非常に小範囲になりますと、その趣旨が生かされない、こういうことを私はおそれるのでありますが、この運用につきましては、特に慎重を期していただいて、いやしくも技能等において、非常に奉仕するという立場があり、特に他の一般行政職と比較して不遇であるという立場のものは、この文字にかかわらず、私は当然これは格づけ運用においては配慮さるべきものであると考えております。従いまして、級別定数の配算におきましても、特別の考慮が払われてしかるべきでありまするが、この点については、人事院はそういう御考慮を払う用意を持っておるかどうかをお尋ねいたしたいと思うのであります。
  128. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 衆議院の付帯決議におきましては、「行政職俸給表(二)に該当する職員で、鑑定、模写、工芸品製作、欧文ステノタイプその他高度の特殊技能を有する者」、こうありまして、この高度の特殊技能という範囲を具体的にどうきめるのかという、具体的な運用の問題に入っていこうかと思います。従って、高度の特殊技能という言葉でございまして、そこにさらに、特に高度の特殊技能、「特に」という言葉は実はないわけであります。しかしながら、いずれにいたしましても、その範囲を具体的にどうきめるかということが問題でございます。それで、これも本委員会からの要求によりまして、俸給表適用範囲につきまして、その資料を差し上げてあるわけでありますが、原則としては、あそこに掲げてあるものが新行政職俸給表(二)の適用範囲に該当するということになりまするけれども、その中においても、今読み上げましたところの「高度の特殊技能を有する者」というものがございまするならば、選別をいたしまして、行政職俸給表(一)を適用するように検討して参りたいというふうに考えております。大へん一般論でありますけれども、その辺になりますと、個々のたくさんの職種がございますので、十分これは検討いたしまして、国会における審議経過及び付帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして、運用の万全を期したいというふうに考えておる次第であります。
  129. 永岡光治

    永岡光治君 これは、高度のということがありますが、その文字の解釈に限られることのないように、いずれはまた、人事院と事務当局の間で御相談されることだろうと思いますが、その際に当っては、私たち今言わんとする趣旨に沿うように、最善の御努力をいただきたいということをお願い申し上げておくのでありますが、同時にこれは、俸給表ができましても、たとえば行政職俸給表の(二)で、新中卒の何職種は何円からということは、何も法律できめらるべき筋のものじゃないのであります。これは、人事院できめられるわけでありますから、そのときには、私が今申し上げました一般の事務職よりは技能労務職の方が、少くとも初任給からある一定の段階までは有利になる、こういうような格づけをぜひ行なっていただきたいと思うのでありますが、これは、皆さん方の御相談によってできる筋合いのものでありますので、その点をお願いをいたしたいと思うのでありますが、御考慮いただけることになりますか、それを一つお尋ねしたいと思います。
  130. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 御承知通り、特に新行政職俸給表の(二)は、人事院勧告をしましたものに対して政府提出法律案は若干また手を加え、また衆議院においての修正も、相当大幅な修正が加えられてきたというような、特殊の沿革を経て今日の段階まできておるわけであります。ただ、私ども人事院として考えておりますることは、確かに永岡先生のおっしゃいましたように、技能労務職というような俸給表を作ります以上は、やはり初任給はできるだけ引き上げる、そうして相当程度のところまでは、むしろ行政職俸給表(一)よりも水準の高いものを保持する、どの程度からかという、程度の問題は残りますけれども、相当のところまでいってから大体横にいくというような体系であることが、給与理想論として最も望ましいというふうに、率直に申し上げて、考えておるわけであります。ただ、現実給与との、ある程度の断層を持っていない漸進論をとっておりますために、お気に召さない点があちこちに出ておるのではなかろうかというふうに思うのでありますが、そういう精神に従って、漸進的に持って参りたいという考え方については、おそらく大局からいえば同意見であろうと思います。従いまして、運用面におきましても、これも、永岡先生の十分の納得を得るようなところまでいき得るかどうかは、ちょっと問題であろうと思いますけれども、御趣旨は十分これを体して、運用上遺憾なきを期して参りたいというふうに考えております。
  131. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記中止。    〔速記中止〕
  132. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。
  133. 永岡光治

    永岡光治君 そこで私は、具体的に一つの案を考えておるわけでありますが、これで見ますと、四等級は六千二百円になります。それから五等級の一年、二年、三年……六号俸ですか、これは五千八百円ぐらいになります。五等級の六号俸は五千八百円になっておるわけでありますが、そういう私の主張いたします点がもしいれていただけますならば、少くともこの程度の金額が初任給として定められるような方法が講じられないものだろうか。と言う理由は、これまでの、五千三百円から五千八百円までの該当者というものは、そうたくさん数はないのではないか、財源的に見ても、財源でこれを左右されるほどの筋合いのものではない、ごくわずかなものでありますので、せめて俸給はこのままにいたしましても、できることならば、これを切り棄てて、五千八百円のところから大体行われると、従って、四等級、五等級が一木になった形で、五千八百円ぐらいに初任給が設定されるのが一番いいのではないかと思うのでありますが、そういうことはむずかしゅうございましょうか。
  134. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 御指摘通り、この俸給表でいいますところの五千三百円から五千八百円程度の間に分布しておりますところの数は非常に少いと思います。ただ、少いと思いまするけれども、この俸給表におきましては、やはり数は少うございますけれども、新中卒の給仕という者が、その構想のもとにでき上っておりまするし、この五等級の五千三百円も、給仕の初任給を予想してこの俸給表ができ上っておりますので、数は少うございますので、大部分は上の方に行く人が多いかと思いますけれども、今申し上げましたところの、給仕であるというような方々につきましては、やはりこの俸給表に描かれているところの基準に従いまして運用する。もちろん、給仕さんのような方は、夜学に行ったり、さまざまいたしますので、非常に勉強家でありますので、おそらくやこれらの人々は、四級職試験に合格いたしまして、どんどん上の課程に進んで行かれるだろう。まあいわば一つの、何といいますか、勉強課程における現実のものもございますので、その辺のところは、遺憾ながら五千三百円から五千七百円を現実に無にして、五千八百円から運用上スタートを切るということは、運用の権限を委任されまする人事院といたしましては、どうも国権の最高機関に対しおそれ多い話でありますので、(笑声)やはりわずかでありますけれども、御趣旨に従って万全の措置を講じつつ運用いたすというふうにいたさなければならぬであろうと存ずる次第であります。
  135. 永岡光治

    永岡光治君 いや、まあ国権はどうでもいいです。そういうことになれば、国権はいさぎよく捨てまして、むしろ誤まりは——誤まりというよりは、不合理を是正するのが私たちの務めでありますので、ぜひそうしていただければ幸いだと思うのでありますけれども運用において考慮をされるということでありましても、できれば私はそういうようにしてもらいたいと思うので、少くともこの昇給期間ですね。このずっと先に延びておりますが、これは、最初はまあ六カ月の期間になっておりますが、この十二カ月以上、十五カ月、十八カ月というのが、あまりにもこれは数が多いのでありますが、これはどうでしょうかね。もう少し短縮して、たとえば三カ月ぐらいですね。全部とは申し上げなくとも、まあ下級職員に該当する皆さんです。そういうところについては、この十八カ月あるいはそれ以上というものは、短縮していただくように考慮できないものか。もし私たちがそういう修正をしたいということであれば、少くとも下級職員についてはむしろ望ましいのじゃないかと思うのでありますが、これは官房長の方に一つ、主管の預っておいでになる官庁としてでも、親心としてでも、やはりそういう措置をとった方がいいのじゃないかと思うのでありますが、その辺のところを一つお聞かせ願いたいと思います。
  136. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 運輸省だけの点から申し上げますというと、ただいま永岡先生のおっしゃられた線に沿って、期間を短縮する方が望ましいと、しかし、その他の事情を全然捨象いたしましての答弁で、はなはだ相済まぬのでありますが、運輸省に関する限りにおいては、短縮は望ましいと、こう思っております。
  137. 永岡光治

    永岡光治君 他に、農林その他の関係がおいでになっておると思うのでありますが、大体同意見と承わってよろしゅうございますか。建設省でも非常に強い要望があるようでございますが。
  138. 斎藤常勝

    説明員(斎藤常勝君) 若干短縮することにつきましては、われわれは望ましいと思います。ただ、これはこれなりに一応の筋が通っておるのでございますが、どの程度やるかということにつきましては、ちょっと申し上げかねます。
  139. 永岡光治

    永岡光治君 それは、まあ私たちは、次長さんの方から、特に国権の権威をという問題がありますので、そういう意向であれば、また私たちも、どの程度これは実現するかわかりませんけれども、努力はしてみたいと思うのでありますが、よく意向はわかりました。  そこで最後に、人事院の方にお願いするわけでありますが、やはり私が先ほど申し上げました、この技能労務職給与体系のあり方というものについては、ぜひ、短い期間でありましょうけれども、次の機会においては、私たちが主張し、また技能労務職の皆さんが、これはこの前の公述でも承わったわけでありますが、まことに涙の出るような陳述をされているわけです。おそらく任官するまでの間は、共済組合の制度に基いての共済年金というところに希望を抱いて勤務されていると思うのでありますが、それが相当の年限に達しなければ任官できません。十おそらく数年かかるのでございましょうが、そうなりますと、今度任官いたしますと、これも皆さん御承知通りに、乙種組合員というような形で、高い掛金を払わなければ、その年金をもらう年限に達しないのであります。従いまして、それにおそれをなして、途中でやめてしまう。そうしますと、任官をしてからの恩給年限という通算になって参りますが、いよいよ年令も相当に達しておる、いよいよ行政整理その他等で、また上の方からやめろと言われるということになって、やめざるを得ない段階になる、恩給ももらえない、非常に気の毒な立場にあるわけでありますから、もちろん、共済年金全般の問題については退職年金制度として人事院の方から勧告が出ておるのでありまするけれども、これが実現の暁には、ある程度救済はできるかもしれませんけれども、そういう気の毒な状況にあるわけでありますので、この給与のあり方については、どうか、この技能労務職の皆さんにとっては、希望が持てて国民に奉仕できるという、たとえ課長になれなくても、局長になれなくても、この職で国民に奉仕する限りにおいては、自分たちの生活も保障できるのだ、将来も保障していただけるのだと、こういう一つ給与体系をぜひとっていただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終ります。
  140. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃ本日は、委員会はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会