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1957-04-04 第26回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月四日(木曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員迫水久常君辞任につき、その 補欠として井上知治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            木村篤太郎君            西岡 ハル君            松岡 平市君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            北村  暢君            田畑 金光君            永岡 光治君            森中 守義君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     大山  正君    調達庁長官   今井  久君    行政管理政務次    官       楠美 省吾君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    大蔵大臣官房長 石原 周夫君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○国家行政組織に関する調査の件  (堺市における公団住宅問題に関す  る件) ○国の防衛に関する調査の件  (伊丹飛行場基地返還問題に関する  件)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それではこれより内閣委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。本日付迫水久常君が辞任され、子の補欠井上知治君が選任されました。
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案攻議題に供します。本案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 田畑金光

    田畑金光君 大蔵省森永主計局長にお尋ねいたしますが、行政機関職員定員法の問題で、この数年来問題になっておるのは、定員法の外にある常勤労務者、並びに非常勤労務者の問題であるわけです。資料によりますと、現在の常勤労務者というのが六万六百三十一名に上り、あるいは非常勤職員になってきますと、五十四万八千九百六十名に上っておるわけです。今回定員法改正によりまして、行政機関職員定員法の第二条に基く定員というものは、六十四万三千九百七十四名、ちょうど同じ程度常勤労務者、非党勤労務者というのがいるわけです。このことは、必要だからしてこれだけの定員外職員を置いておるわけであって、しかも、しさいに検討してみると、業務内容においても、あるいは業務の上の責任度合いにおいても、定員内職員と同一のことをやっておる人々なんです。本内閣委員会におきましてたびたびこの問題は出ておりまして、歴代の内閣が、この問題については善処をするという答弁に終っておるわけですが、つき詰めて追及してみますと、大きな一つのガンは大蔵省考え方の中にある、こう判断したわけですが、大蔵省としてはこの点についてどういう考え方を持っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  5. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現在の公務員制度におきまして、定員内職員定員外職員として、常勤労務者ないしは常勤的非常勤職員等、いろいろ複雑にわたっているわけでありまして、それらの点につきましては、それぞれ拠ってきたる沿革があるわけでございますが、しかし何分にも現行の制度は複雑で、何とかこの点をすっきりさせたいという希望は私どもも前から持っておるわけでございます。公務員制度調査会におきましても、その点に触れられまして、これらの点をもう少し合理化をしなくちゃならんというような結論も出ておるわけでございまして、目下その答申に基きまして、公務員制度調査室で鋭意検討中であることは御存じ通りでございます。そこで本年度予算編成に際しまして、実は常勤労務者皆さん、なかんずく公共事業に従事しておられる常勤労務者皆さん、並びに各省から、定員内職員に切りかえるようにという御要請も実はあったのでございますが、私どもただいま申し上げましたように、制度全体の合理化をはかる必要はむろん認めるわけでございますが、公務員制度調査室結論も間もなく出ることでございますので、全体の公務員制度一環としてこの常勤労務者の問題をどう考えたらいいか、その結論を待ってすっきりした制度に改めたいというような考え方から、本年度予算編成に際しましては遺憾ながら御要請に応ずることができませんで、問題をもうしばらく将来に残したと、さような経過になっているわけでございます。私どもといたしましても、この常勤労務者の中に定員内職員と同じような仕事をしておられる方、同じような格づけをすべき方もあるということにつきましては、よくわかるのでございますが、ただ一般の定員内職員と全く同じような性質の勤務かどうか、この点につきましてはいろいろ問題がございます。たとえば特に公共事業につきましては、年々予算の額によって事業量が変動するわけでございまして、その意味で、ある程度雇用の弾力性も必要であるというようなことにもなってくるわけでございまして、その問題をどう取扱うか。先ほど申し上げましたように、私どもも協力をいたしまして、公務員制度調査室結論も本年内に出していただきまして、出た結論に従いまして、来年度予算におきましてはこの問題を何とか合理的に解決をいたさなければならぬ。さように考えておる次第でございます。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 お話の趣旨は、昭和三十年の十一月に出ました公務員制度調査会に基いて、今公務員調査室諸般検討を進めておる公務員制度全般検討結論を待って処理しよう、こういう御答弁であると承わりましたが、一応順序として、あるいは考え方としては、われわれとしても理解できるのです。しかしこの制度調査会答申というものは、公務員制度全般にわたる答申であって、その中にはいろいろな面に触れているのです。その第一段階として、今年の国会給与体系改正あるいはまた地域給の廃止の問題が出てきておるわけですが、さらに全般の問題となりますと、公務員性格をどう規定づけるか、あるいは今定員法との関連の問題となっている公務員範囲をどの限界にとどめるかというような問題、あるいは労働権労働条件の問題、服務の問題、あるいは恩給の問題等諸般の問題にわたると見ているわけなんです。人事行政機構の問題もそうでしょう。そういう公務員制度全般結論を待って処理するということは、なるほど名分は立つようだが、実際いつしからばやるのだというようなことになってきょうと思うのです。これは森永さんも今に始まったことじゃなくて、二年三年前から同じようなことをこの内閣委員会で聞かれて答弁をしておると思うのです。鳩山内閣のもとにおいて河野さんが行政管理庁長官をやられたときも、同じような答弁をされておる。同じような答弁をあなたもやってきておるわけです。来年度国会には、次の通常国会にはこの問題が解決できるという見通しなのか。これは大久保行政管理庁長官にも合せてお伺いいたしますが、次の通常国会までにこの問題を解決される見通しが立っておるのかどうか。それを大久保さんにお答え願うとともに、大蔵省としては、その結論が出てくるなら、実際現在の定員法職員六十四万余だが、その結論によっては定員法の大幅な改正等考慮する、あるいは受け入れるだけの考え方を持っておるのかどか、承わっておきたいと思います。
  7. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) お説のようにこの二、三年来この問題は非常に論議されたのでございますが、ただまあ論議の焦点は、私ども予算編成をいたしました上から申しますと、今年は常勤労務者定員化の問題でございましたが、昨年はむしろその前の段階非常勤職員常勤労務者化の問題、これが非常に切実な要請でございました。その問題につきましては、予算編成上におきましても私どもといたしましては相当考慮をいたしておるつもりでございます。しかしいずれにいたしましても、ただいまお話のようないろいろな問題がございますので、私どもといたしましては、公務員制度全体の結論も、できれば本年度中に出ししいただきまして、本年度と申しますか、予算編成期の前に出していただきまして、公務員制度全体の問題としてただいま問題になっておりますものも合理的な解決をはかりたい、これが私ともの第一の念願であります。しからばその公務員制度全体の合理化結論か万一年内に出なかった場合にどうするか。その場合には、来年度予算編成に際して、この常勤労務者定員化の問題をどう考えるかという第二段りお尋ねと存じますが、そのことにつきましては極力公務員制度全体の結論を急ぎたいと思います。急がなければならぬと思いますが、不幸にして結論が出ない場合におきましては、私どもといたしましても、この技能労務職の問題を来年度予算編成までには何とか切り離してでも結論を出したいというふうに考えております。もっとも、そう申し上げましたからといいましても、ただいまお話がございましたように、この五十何万人の者が全部定員化されるわけではもちろんございません。この中の常勤労務者、その常勤労務者にも、やはりおのずから仕事継続性につきましてはいろんなニュアンスがございまして、またポストによりまして、やっておりまする仕事も非常に公務員的な意味からの濃淡があるわけでございまして、それらの点の実態をまずこれは調査しなければ結論は出ないわけでございます。ところによりましては、常勤労務者として臨時的な性格のものに残しておくことが合理的であり、必要なものも相当ございましょうし、結局、範囲の問題が一番重要な問題になってくるわけでございまして、その点につきましては、まず何よりも常勤労務者勤務実態を把握することが必要なことである。その調査につきましては即刻にでも各省と協力して取りまとめなければならぬ、大体今のところさような考え方をいたしております。  繰り返して申し上げますれば、相願わくば年内公務員制度全体の結論をぜひ出していただいた上で、その中の一環としてのこの問題の処理にまず力をいたさなければならぬと思います。万一それがおくれる場合につきましても、決してこの問題をなおざりに付するというわけではございません。
  8. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この問題につきましては、先日来たびたび論議されました。まあ来年度にはおそらく調査室におきましても案ができるだろうという見通しは立ったのです。今大蔵省の方の意見を聞いてみましても、やはり同じような気分でおられるようであります。私ども大蔵省ともはかって一そうこの公務員制度調査室を督励して、なるべく早くできて、来年度に間に合わせるように鞭撻努力いたしております。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 森永主計局長もよく御存じのように、たとえば建設省の例をとりますと、これは一例ですが、定員法内の職員というのが九千八百八十三名、それから常勤労務者というのが、これは準職員と呼ばれるものでしょうが、一万一千四百三十九名、非常勤職員というものが五千六百九十五名ですね。定員法内の職員のほとんど倍を占めておるということなんです。これはお話のように、公共事業というものの量的な動きからいたしましても、従ってそういう公共事業にたずさわる人員動きもあることは予測されますけれども、しかしこの数年来、政府職員全体の各省関係非常勤常勤労務者の数を調べてみますと、ほとんど定員内と同じ数を常に維持しておるということ、このことなんです。そういうことを考えましたとき、これは、いつまでも、仕事内容責任度合いにおいては同じ条件にある人々が、身分的な、あるいは待遇上の不安定な条件の中に置かれるということは、遺憾なことだと思うのです。要するにこれがもう少し大蔵省としてもこの実態というものを把握されて、善処することが必要だと思う。昭和二十四年以降たびたびの定員法改正、あるいは人員整理をやってみたが、やった直後から出てくる。一方においてはこういうものがふくれ上ってきておる。現実に即さない行政整理であったということなんです。しかもそれがいかなる名目であれ、国民の税金から給与は支払われておる。こういうことを考えたとき、業務能率向上のためにも、あるいはまた公務員が安心して働ける体制を確立するためにも、この問題は早急に解決しなくちゃならない。こう思うんです。  たとえば昨日も問題になりましたが、これは郵政省関係です。本年度特定郵便局五十をふやすんです。その中には局長を入れて局員が三名平均は必要なんだが、五十名の局長だけしか認めてない。あとの五十局に対する職員百名はどうするかというと、二十六万近い職員がいるんだから、そこからの流用によっていけるであろう、こういう考え方なんですね。昨年もことしも同じことなんです。現在聞いてみますと、特定郵便局設置希望というものが千五百あるんです。それで郵政大臣お話を聞いても、そのうちやはり少くとも五百はとりあえず必要だというんです。毎年五十ずつ作っていくと十年かかるんです。政府の認めておる最小限の特定郵便局設立も十年かかる。しかもわずか五十を認めておるその中で、職員はここから持ってこいと、こういっている。こういうようなことをだんだん聞いてみますと、結局大蔵省行政管理庁——行政管理庁は一生懸命やってるつもりだろうが、大蔵省へ行くと、なかなかこれは大蔵省納得できない。いわんや各省においては大蔵省の壁にぶつかって何とも処理ができぬ。一例ですが、こういうようなことがだんだん波及して、こういうふうに大きな常勤労務者非常勤労務者の数を膨脹さしている。もう少し大蔵省としても実態に即して問題の処理をはかるべきだと、こう考えますが、森永さんどう考えられますか。
  10. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 常勤労務者の問題は、先ほどもちょっと申し上げましたが、やはりそれ相当の実は沿革があったと私は考えております。また現状におきましても、大部分の常勤労務者につきましてはその存在理由が私はあると思います。しかし先ほど申し上げましたように、定員内職員常勤労務者とが入り乱れて、制度が非常に複雑化しておる。現に、ある一つの現場をとってみますと、同じようなポストが、ある者は定員外の、常勤労務者であり、ある者は定員内の常勤労務者である。これは何としても割り切れない問題を残しておるわけでざいまして、そこで、技能職としての特別の制度をこの際確立する方が、公務員全体の合理化をはかる上に必要ではないか、さような意味で、私どもといたしましても、この現状を何とか改善したいということで検討いたしておりますことは先ほど申し上げた通りでございます。もちろんそういう調査をいたし、結論を出すにつきましては、実態も十分調査して遂げなければならぬというふうに考えております。  なお、お言葉中に、郵政省定員問題がございましたが、郵政省は合計千九百六十一人の定員増加をはかっております。その前提といたしまして、実は電信電話設備の一部を電々公社へ移管するということに伴いまして、五百人余り移管をいたしておりますので、その点を考慮に入れますと、二千四百八十五人、実人員としては増加を認めておるということになるわけでございます。定員増加を認めるにつきましては、まあ国家公務員の数が戦前に比べて三倍にもなっておる、しかも一たびこれを認めると、それが恒久化することによって、国民租税負担にも永久に響くことでございますから、できるだけ慎重な態度をとって臨んでおることはおわかりいただけると思います。特に昨年は行管長管の閣議における御発言もございまして、極力増加を抑制しよう、どうしてもふやさなくちゃならぬものにつきましては、まず部内の振りかえでいくのを原則にしよう、それでもなおかつ、現業官庁等でふやさなければならぬ場合におきましても、極力能率向上ということを、一面では、はかって、それによって増加する人員最小限度にしようというような御方針の決定をみたわけでありまして、さような一般的な方針に基きまして、個々の査定に臨んだ次第でございます。御例示がございました特定郵便局でございますが、五十を認めるのがいいか、百を認めるがいいか、郵便局の数として。その点につきましてはいろいろ問題がございましょう。しかし結論といたしましては、郵政省と私どもとの間に、本年度は五十局の新設を認めるということに意見の一致をみたわけでありますが、その定員として五十人しかみてないのはいかにもひどいではないかという御意見でございますが、実はその点につきましては、一局当り三人弱くらい要るということは、私どもはよく調査の上わかっておるつもりでございます。ただ本年度の場合、ほかに当然減少を行うべき定員、これが百人足らず実はあったわけでございまして、そのものを考慮に入れまして、特定局分としては表面に出ましたのは五十人でございますが、実際の人員配置といたしましては、私ども査定でも百三、四十人の配置ができ得ることになっておりますので、既存の定員のそういったやりくり等によりまして、新設される特定局業務の遂行にも遺憾のないようにということを考えておりますことだけは御了承をいただきたいと思います。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 この点は森永さん、単に一例を申し上げただけで、郵政関係の問題は各般にわたっているんです。毎年増員をしなければならぬというところに業務量の拡大していく姿が出ておるわけなんです。これは私はただ一端を申し上げたわけだが、そういうようなことがだんだん、だんだん、しわ寄せをされていくと、その考え方が、先ほど私が申し上げておるように、この膨大な常勤労務者非常勤職員という形に発展していくわけなんです。この点についてあなたの答弁は、年内にはとにかく成案ができるように努力していこうという御答弁でありますけれども、もう少し大蔵省としても実態を把握されたならば、その実態に即して予算措置等については考えてもらわなくちゃならぬと思うのです。配置転換が必要であり、あるいは能率を高めるということは、これは原則論であって、いかなる官庁においても、あるいは今日においては民間会社においても、公社においても、その心がけはすべて持っておると思う。けれども行政事務分量というものは毎年々々拡大していくということ。とにかく福祉国家ということを言っておるが、福祉行政が発展するということは各般にわたってくると思うんです。特定郵便局設置をふやさなければならぬということも、それはある面からいうと福祉国家の一面であり、あるいは国の行政分量が増大していくということは近代国家の趨勢なんです。これは免れない傾向なんです。その実態に即して、やはり大蔵省大蔵省としての、国の全体の行政能率的に、しかも国民のためにサービスするという体制を築くことが、私は大事だと思うのであります。予算を削る、これは、まことに不要な、あるいは無用な予算を削減するために皆様方が努力しなければならぬということは、国の財政にしても限界があるのですからして、それは考慮できましょうけれども、必要な人件費予算については十分考慮を払い、現に先ほど来たびたび申し上げておるように、これだけの六十万前後の定員外職員をかかえて、現に何らかの費目によって予算を出しておるのです。こういうことを考えたときに、大蔵省態度というものがどうもわれわれとしては理解がいかない。こまかいことを申し上げますと、たくさんあるのですよ。ありますけれども、時間の関係で申し上げませんが、もう一度……。この定員外職員に対しまして来年度は一体どの程度考え得るか。たとえば昭和三十一年度を聞いてみますと、やっぱり常勤労務者が一万六千人前後が定員内に繰り入れられているというのです。大久保さんの答弁を聞いてみると、また昭和三十年度について約三千名、こういう答弁がなされているのです。常勤労務者だけでも六万いるわけですが、一体来年度は何ぼくらい考えておるのか。非常勤労務者が先ほど申し上げたように五十四万八千。この点、数字の上からいって、あなた方はどのように考えておるのか。これは一つ行政管理庁長官からも御答弁願いたいと思うのですが、主管大臣大久保さんであるし、大久保さんにしっかりしてもらわぬとこの問題はちっとも解決できないので、大久保さんの考え方もあわせて、善処する、努力する、こういう御答弁だけでやられたのでは、まことにこれは時間のむだというもので、大久保さんは有力な閣僚でもありますし、どういうような程度来年は考えておられるのか。もう少し具体的にお答えをこの際お願いしたいと思うのです。
  12. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) せんだって、常勤労務者やあるいは非常勤職員についての昇給昇格と言いますか、そういう問題について数字に触れました次第でございます。その際、非常勤職員で上の級に上った者が三十一年度においては一万六千と言いました。それから三十年度においては三千人ぐらい、こういうことを申しました。これはその年度における概数でありまして、今数字が示す通り、三十年度においては三千であるが、三十一年度においては一万以上になるという工合で、その年の工合によって非常に違いますから、あらかじめ何人くらい予定して常勤職員にするとかということは、ちょっと予定がしにくいのでありますが、できるだけ欠員あり次第、そのうちの成績のいい者からできる機会を与えるというふうにするのが、私どものとっております態度であります。何人という数字をあらかじめこうするんだということは、ちょっと今数字が出て参りません。この点を御了承願います。
  13. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 制度全体の問題の一環としてこの問題について結論を出す努力をいたしておる、いたさなければならぬと申しましたのは、もちろんこれは予算編成前提として年内結論を出していただきたいということで申し上げておるのでございまして、その結論が出まして、また一方先ほど申し上げましたように、実態調査いたしまして、その実態の結果に基いて具体的な計数が出てくるわけでございまして、目下のところ、どのくらいということは、あらかじめここで申し上げる準備もございませんし、また今のような筋道から申し上げまして、ちょっとそれは御答弁できない問題でございますので、御了承いただきたいと思います。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 岡部さんに一つ大臣答弁でよろしいのか、行政管理庁としてはああいう考え方でまだいるのか。そうなれば、あなた方はこの間から答弁したことは、まるっきり何のために答弁したのかわからぬのです。この間からの答弁を聞いてみますと、公務員制度全般に再検討を加えておる。この一環として定員法定員問題についても検討を進めているのだ。さらにその公務員制度検討の結果は、数年来問題になっておる常勤労務者非常勤労務者について、実際その仕事内容とか、責任とか、定員法内の職員と同じようなものについては、同様の取扱いをする方向に持っていこうというのが、あなた方の答弁だったと思う。昭和三十一年度は一万六千人入れた、三十年度は三千人も入れた、それは今までは制度全般検討の中にそのようなことが出たのではなくして、自然発生的にそのようなことが行われたにすぎないのである。今度は公務員制度全般について再検討を加えたならば、その結論によっては大幅にこの問題については具体的な処理が進められるものと、われわれは期待し、そういうような答弁だと思って今まで聞いてきたのだが、先ほどの大久保国務大臣答弁を聞いていると、ちっとも今まで言ってきたことと変りない答弁です。
  15. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 大久保国務大臣及び森永主計局長から申し上げました答弁につきましては、その趣旨において一致していると思うのであります。すなわち現在六万の常勤職員のうち、これを定員化すべきものについては、公務員制度改正と相待って年度内に解決したい。けれども、もし万一公務員制度改正が具体化しない場合におきましても、この点については善処したい、その解決をはかりたい、その数字については、現在のところ、実態調査も必要であるから、今ここで申し上げることはできません、こういう工合に解釈しておりまして、私ども一貫してその態度をとってきているつもりでございます。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 最後に一声だけ……。これは私は大久保さんに特に希望として申し上げておきますが、悪い点だけを答申の中から取り上げて、あるいは人事院の廃止だの、あるいは給与体系の職階制への移行だの、あるいは定年制の実施だの、こういうことをやることが答申案の内容じゃないと思うのです。もう少し近代的な、民主的な人事行政をやることも政府として考えてもらわなくちゃならないと思う。ことに年来問題になっているこの定員外の膨大な職員について定員内に繰り入れるべし、こういうことは、公務員の民主的な運営のためから、人事行政の健全なあり方からいっても、これは速急にやってもらわなければならないことであるので、少くとも年内にはこういう面についても結論を出して、次期通常国会等には法案を出せるように善処を強く要望申し上げておきます。
  17. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 私どもの連日にわたっての説明と田畑さんのお考えと私は一致していると思うのです。多数のこういう職員に同情して、給与をよくしたい、給与を上げていこうという精神は一致しておりますから、せいぜい努力いたします。
  18. 北村暢

    ○北村暢君 私は農林省の農地局の問題に限って質問いたしたいと思います。  まず農地局の仕事が、公共事業関係で、昨日も岡部管理部長から言われているように、従来の公共事業、災害があったりあるいは予算がつかなかったりして一部の工事の事業所が予算関係その他でロスがあった、こういうことが指摘されておった。従ってそれによる定員配置ということが合理的になされるということが一つ考えられるべきであったということでありますが、私も率直にその意見は認めたい。そこで昨年の公共事業特別調査委員会の答申に基いて、今度の特定土地改良特別会計が創設せられまして、それらの事業のロスというものをなくして、継続事業が計画的に進められると言うような建前のもとに、この特別会計が創設せられた、これは大蔵当局も十分御承知のことだと思う。従って全国の現在継続中の事業、新規の事業におきましても今後計画的に実施いたしまするので、きのう指摘されましたような事業のロスというものはなくして、一せいに計画的な仕事がなされる、こういうことになったということは率直に認められるだろうと思うのです。それで、昨日の農地局長答弁の中に、今でも五百六十六名の新規の定員増を要求したことについての考え方は正しいと思っておって、これを要求した当時の気持と変ってしなし、こういうことを農地局長は言われておる。それが政治的な関係もあって、これが切られたので、やむを得ず何かやりくりをしてやらなければならないだろう、こういうことを言っておられた。そこで行政管理庁としては、そういうことも知っておられるのだが、毎回何回か行政管理庁と農林省の折衝があったはずなんだ。その中で、岡部管理部長は、昨日もちょっと触れておりますが、農林省の農地局に対しては手直しをしなければならないであろうということを言っておられますが、今でもその気持に変りないかどうか、一つお伺いしたい。
  19. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 簡単にお答え申し上げますと、農地関係常勤労務者三百五十八人につきましては、これはその大部分が定員内の職員とかなり同じような性質の仕事をしている、従いまして機会があればできるだけこれを定員内に繰り入れるように努力したい、こういう気持を持っていることはたびたび申し上げた通りであります。
  20. 北村暢

    ○北村暢君 私はその点については、一般的な、今、田畑さんからも質問がありまして、その点を言っておるのではないので、実際に昨年度の北海道の篠津のこれは北海道開発庁の定員、これがやはり篠津の工事が、あれが約七十何億かの仕事だと思いますが、それに対して初年度四億幾らの予算がついている。そしてそれに対して百名の定員、それから百四十名の常勤労務者定員を昨年度は認めておるのです。従って私は、今度の農地局の八郎潟の干拓事業、これは篠津の農業利水の事業より倍の規模をもって、百五十億の予算をもってやる、しかもこれを効率的にやるために五年ないし七年で完成しよう、そういう考え方で、昨日のお話では、八郎潟の干拓は、初年度として、調査事業その他であるから定員は少くてもいい、こういうふうに言われたけれども、実際はそうではないのでありまして、三十一年度調査事業は終っているのであります。そうして今年度から事業は着工するのである、そういう段階に入りまして、やはり初年度四億か四億五千万の予算がすでについておる。従ってこれはほかの六つの新設事業というものは、従来の仕事の終っていく事業所の振りかえが可能にしても、この八郎潟の干拓については、これ振りかえす余地のないものなんだ、絶対にこれは必要だということなんです。ですから、私はそういう点からするならば、これは当然認められるべき定員であったと思うのですが、それについて行政管理庁ではどういうふうな見解を持っておられるのか。
  21. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) これもごく簡単に申し上げますと、農林省の要求の五百六十六人のうち三百五十八人の常勤労務者定員化の問題につきましては、他の常勤労務者の問題と一緒に解決する、それから新規の二百名の増員の問題につきましては、これは八郎潟なら八郎潟その他の新設個所の業務量の増減に応じまして、これは実際問題になるのでありますから、主として農林当局と大蔵省との業務量査定の話合い、それに基きまして、私どもに異議がなければ異議がないということになっておりまするので、そういう話合いに基くわけでありまして、この八郎潟の、三十三年度は、私、昨日御説明申し上げましたような、これは簡単に申し上げましたが、調査、設計その他の表現を用いましたが、約五億の予算がつきまして、三十二年度からは実際の大体準備的な作業の段階に入るということは了承しております。
  22. 北村暢

    ○北村暢君 そこで大体私は、行政管理庁でも、この要求というものは大蔵省との話合いがつけば正しいと思うのだということをいっていると思うのです。ところがこれが全然ゼロになっているということは、一体大蔵省はこの農地局の定員要求に対してゼロに予算でもって切っているわけです。これは私は大蔵省が非常に巨大な力を持っていて、吹けば飛ぶような行政管理庁なんというものは問題にしていないのじゃないか。これが大蔵省の従来の考え方として非常に強圧的に出て、当然認められるべき定員に対して大蔵省はこれはもう強引にこれを切ってきているというふうにしか思えないのです。それで一体、農地局長も正しいと思っているし、今要求したものは変える意思はないといっているし、行政管理庁も正しいということをいっているようである、それに対して大蔵省がゼロでこの予算査定しているということは、大体その定員法定員というものを一体行政管理庁がきめるのか、大蔵省がきめるのか、それをはっきりしてもらいたいのだ。そこのところを大蔵省の見解をお伺いしたい。
  23. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 定員法の所管はもちろん行政管理庁でございまして、予算編成の最後の段階におきまして、私ども行政管理庁ともよく相談をいたしました上で、予算定員の方をきめておる次第でございます。一般的な定員査定方針は、先ほども申し上げましたが、具体的に農林省の農地局関係かどうかという問題でございますが、なるほど新規着工個所が八郎潟を含めまして七個所でございますか、あるわけでございます。それにつきまして仕事もふえるわけでございますが、しかし他面、完成をいたしまする個所もあるわけでございまして、工専の施行個所といたしましては大体前年度と同じくらいの個所数になるわけでございます。もちろんその工事の内容がたとえば八郎潟みたいな大きなものか加わってきたという面で、質的な面では若干違いがきておるということもございましょう。しかし個所数が同じであるということから判断いたしまして、現在の農地局職員配置転換、完了地区からの移しかえ、あるいは農地局間の移しかえというようなことを極力行なっていただき、またこれはほかの官庁についても同じでございますが、職務執行体制合理化をはかっていただきまして、能率をあげていただくということであるならば、大体現在の定員でまかなえるという結論に達したわけでございまして、そういう趣旨で農林省とも予算折衝の過程におきまして十分折衝いたしました結果、政府結論として、こういう結論になっておるわけでございます。
  24. 北村暢

    ○北村暢君 その点、大蔵省が一体予算定員査定するのか、何かはっきりしないようでございますけれども行政管理庁だと言っているけれども、実際的には大蔵省査定している、こういうふうにしか私ども了解できない。それで事業所が今個所数が大体同じだと、こうおっしゃられた。実際になくなる事業所は四つなんです。そしてふえる専業所は六つなんです。そして、その減っていく専業所というものの配置転換というものは、大体において農地局の事業の運営というものは専業が終るときには大体配置転換というものが終って、新設なら新設なりやるところへ配置転換をして、そして円滑にやってきているのは、従来もうずっとやってきている。それでなおかつ、また事業量よりもまかなえないということで、八郎潟の干拓等においては、これは最盛期において三百五十名くらいの定員を必要とするくらいの大きな工平なんです。ですから、これはどうしても従来のことではできない、こういうことは、はっきり農地局長は言っているのです。それを政府の政策によって押えられたと、こう言っている。政府の政策は一体だれが出すのか、大蔵省が出している。そういうふうにしか思えない。行政管理庁もそういうことを言っている。よく打ち合せた結果こういうふうになったと言っているけれども、非常に無理な査定をやっている。これでは実際に事業の運営ができない。先ほども私が言っておりますように、この特別会計が創設されまして、かつ、ここにあり、ます千幾つかの代行工専も含めて膨大な事業を持っておる。それが一齊にロスのないしかも満度な事業の態勢というものを、整えてやっていくというのですから、実際に割りふりをするといっても、十年、二十年かかっていたのを五年か七年でやろうと言っているのですから、そういう点については、大蔵省の主張する生産性の向上には農地局は非常に協力したわけなんです。そういう中で絶対に必要だとするこの人員すら認めないということは、どうしても納得がいかないのですよ。事業がこれは円滑にできないということになれば、一体だれがこれは責任をとるのか。
  25. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算上の定員につきましては、私ども査定をいたしまして、これは各省とも十分予算折衝を遂げた上で結論が出るわけでございます。定員法上の定員は、これは行管で所管をしておられるわけでございまして、これは従来は個々別々に参っておったきらいがございましたが、本年度は特にその間の連絡を緊密にしようということで、最後の段階におきまして行管にも私ども意見を申し上げ、また行管の方の御意見も承わりまして、農林省も経過におきましてはいろいろ要求もございましたし、また復活要求もございましたし、いろいろな過程を経たわけでございますが、結論といたしましては、御同意を得ていただいて、この予算案が政府の案として国会に提出せられ、またこの定員法国会に提出されておるわけでございまして、その点につきましては、政府といたしましての意見の相違はないはずだと私は心得る次第でございます。私ども査定をいたしました気持は、先ほど申し上げましたような個所数の関係配置転換等によって、来年度三十二年度における農地局の業務執行には支障がないというふうな考え方をいたしておるわけでございます。
  26. 北村暢

    ○北村暢君 主計局長政府意見の不一致はないと、こう言っておるけれども、現実に、きのうからきょうの答弁の中で不一致が起っておる。従ってこの事業の運営ということについて、質問に対しても不一致が起っているということは、はっきりしておる。ですから私は、今後ここにこれ以上は追及いたしませんが、農地局のこの問題の処理に当っては、一つ大蔵省行政管理庁と農地局と、三者そろって事業の円滑にいくような方法を一つよく相談をしてもらいたい。この点はいかがです。
  27. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私、昨日農地局長がどういう御答弁をなされたのか、直接には聞いておりませんけれども、おそらく予算の要求をされたときの気持が今でも変っていない、しかし予算としてまた定員法としてきまっておるわけでございますので、これでやっていくという御答弁であったのではないかと想像するわけでございます。今後の問題といたしまして、これは毎年各省から予算の要求かございまして、それに対して私どもは私ども考え方をお示しして、両方が折衝し合って予算をまとめていくわけでございますから、おそらく農地局長としては、将来また定員の要求をされることもございましょうし、私どもといたしましても、その問題につきましては、将来慎重にこれを検討して参らなければならぬことは当然でございます。
  28. 北村暢

    ○北村暢君 今のその予算で通らなかったからといって、農地局長は、気持はそうであって、実際にはそれでやってくのだということを了解したのだと、こういうことを言うのですけれども、了解したとかしないとかいう問題じゃなく、現実には予算には、ついていないのですから、ゼロになっておるのですから、それはその通りでしょう。政府意見が一致した、こういうのでしょうが、実際は事業の運営上において非常に支障が起きておるということは事実なんです。その点について今善処せられるというのでございますから、それで了承いたしますけれども一つこの問題については、大久保国務大臣大蔵省も農林省も、三者でよく善処する方法を検討していただきたい。検討されるということですから、これ以上答弁いただきませんけれども一つ善処を重ねて要望いたして終ります。
  29. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  30. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは速記を始めて。
  31. 森中守義

    ○森中守義君 私はあとで、きのう質問を保留した事項についてやりたいと思いますが、その最初に大久保国務大臣森永主計局長に質問いたします。それは、行政管理庁の設置法の二条の四項には、明らかに定員の設置、それから増減及び廃止に関する審査を行う、こういうことが行政管理庁の権限行使事項としてあります。そこで各省から集まってきた、出されてきた定員について、大蔵省と行管とはどういう関係を生じておるか。今まで田畑委員あるいは北村委員の質問に対して、どうしても最終的には大蔵省予算編成権ということが優位に立つような印象を特に強く受けるんです。従って、もしそういうことであるならば、この行政管理庁設置法に言う権限の行使という、ものは有名無実であって、むしろこの定員の審査については大蔵省の方が権桁限を拡大しているんじゃないか、こういう逆説も成り立つのですが、行政管理庁としてはどういうようにこの問題を取り扱ってこられたか。大蔵省関係を最初に明らかにしてもらいたいと思います。
  32. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 大蔵省と行管との関係の御質問でございますが、私どもは規定によって権限を与えられておりますから、その権限は十分発揮しておるつもりであります。いかに大蔵省がいばっても、やっぱり私どもが判こを押さぬ、限りはなかなか進行できないのであります。十分この点はやっておると心得ますので、御了承願います。
  33. 森中守義

    ○森中守義君 大久保さん、それはほんとうですか。
  34. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ほんとうです。
  35. 森中守義

    ○森中守義君 さっきから主計局長は、田畑委員あるいは北村委員の賛同に対して、みずから査定をやったと、行管のことなんか一つも言っていないのだが、どうなんですか。
  36. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私が申し上げたのは、予算に関する限り、予算定員につきましては、これは私ども各省と折衝して意見をまとめて、これは閣議決定を経て最終的に予算案になるわけでございます。定員法上の権限は、これはおっしゃる通り行管の権限でございまして、行管としては、私ども査定をいたしました定員に対して、多過ぎるとお考えになれば、それをお認めにならぬということも、これは行管長官の権限でございまするし、また足りないというふうにお考えになれば、予算がないけれども定員をふやすという事態も理論的には考えられるわけでございます。しかし、さように両方の建現の行使がばらばらになりましては、これ迷惑をされるの各省でございますから、そこのところを両方相談し合って、具体的に意見の一致を見たところで政府としての態度を統一しようじゃないかということで、実は本年度、これは従来からもそうでございましたが、特に本年度予算編成に際しましては緊密な連絡をとりまして、両方の意見の一致を見たところで定員法ができ、また予算定員ができました。さような経過に相なっておりまして、決して私ども行政管理庁を無視をいたしておるような考え方もしておりませんし、また事実もございませんので、御了承いただきたいと思います。
  37. 森中守義

    ○森中守義君 形式的には森永さんの言われる通りかわかりませんか、実質的に、行政管理庁定員に対する権限よりも、むしろ大蔵省の方を各省は困っておる、今まで私どもがしばしば、行政管理庁の方では、この程度のことはというように、理論的にも実質的にも認めたものを、大蔵省予算上というので査定した実例は、これはたくさんあると思う。最終的に閣議の決定と言われるが、それはもちろんそうなくちゃいかぬと思うんですけれども、実質的にあなたの方が権限としては優位になっているのじゃないか。各省に迷惑かけておるんじゃないですか。
  38. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算と法律との関係の問題になるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、その両者が相対立しないようにということで努力をいたしたつもりでございますが、今後もその点の連絡につきましては、私どもの力としましては一そう緊密なる連絡を行政管理庁当局と、とることにいたしたいと考えております。
  39. 森中守義

    ○森中守義君 それで私はきのう質問を保留した事項で、今の問題に関連する事項を若干質問したいと思いますが、行管では肯定をされたのか、どうか、昨日明確な答えは得ておりません。私も正確にその質問に対する答えをとってはいないのですが、郵政省の場合には四十六億通の郵便物の増加、それから施設の拡充として、先刻田畑委員が言われた特定郵便局の新設の問題、あるいは特定郵便局から普通郵便局に昇格をさせる問題がある。さらにまた六大都市に対しては現在集配区が六百九十でありますが、この六百九十のうちの二日六十三区に限っては、もう少し公衆に利便をはかる、サービス・アップをやろう、こういうことで二百六十三区の増使を考えておる。ところが、これに対して大蔵省が結果的に査定をしたのは六百九十六名、もちろん郵政省はいわゆる定員の復活として復活要求を千五百五十一名出しております。これを六百九十六名に落してしまった。明らかに私は、これは大蔵省がやはり行管の定員に持っておる権限をある意味では逸脱をして、結局大蔵省の否定があったのではないか、こういう工合に考える。それで、予算定員なり、あるいは実態定員なり、要するに、こういったように、郵政省は四十六億通も郵便物の増がある、あるいは新設がある、昇格がある、または郵便区の増便がある、こういう問題で、六百九十六名では私はとても郵政省の事業は円滑にいかない、こういう工合に考える。昨日郵政省の当局では、その足りない分は賃金要員に待つとか、あるいは弾力条項に期待する、こういうことで何とか消化していきたい、こういうような答弁でありましたが、結果的に賃金要員、あるいは弾力条項の発動というと、同じ国の金で、予算に計上された、あるいは計上されない内輪の金でやる、これだけであって、国の金を使うことに達しないのですよ。結局弾力条項の発動や、賃金要員でやらなければならないとする郵政当局の見解というものは、六百九十六名に落された大蔵省査定定員では仕事がやれぬ、こういうことを私は裏づけしておるし、物語っておると思う。これに対して森永さんどうですか。
  40. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 郵政省定員否定の内応は、これは複雑にわたっておりまして、その全貌をここで御披露することは、時間の余裕あるいはその他の関係からいたしまして差し控えた方がよろしいと思いますが、私ども否定に当りましては、物数の増加を基準にいたしております。その場合の物数が増加いたしますと、差し立てであるとか、あるいは集配の物量がふえるわけでございますが、従来よりも若干否定の基準を精密にいたしまして、たとえばその物数が増加する地域的な状態はどうであるか、あるいは比較的郵便物の集中状況が混んでいるところと、混んでないところと、あるわけでございますが、混んでないと思われる田舎の方につきましては、若干既定の人員でやりくる余地もあるであろうというようなことも考え、また集配と申しましても、まあ配達の方が多いかもしれませんですが、配達につきましても、現在すでに配達の行のうがはち切れるようになって少しの余裕もないということ、あるいはその集配区間がもうある一人の人間の能力を越えておるというような地域、これにつきま“しては、これは比例的に物量の増加を反映させなければならぬと思いますが、これもやはり地域によりまして、非常に忙しいところと、そうでないところがあるわけでございまして、まあそういった面の分布をどういうふうに考えるか、そういったいろいろな点を考えまして、他面また、最近、配達に当りまして、自転車は無論でございますが、スクーター等の運転もだんだん増強されて充実されて参りましたので、その面から能率の増進というような事実もやはりこれは考慮していかなくちゃならぬわけでございまして、そういうあらゆる点を考慮に入れまして、まあ最小限度増加を必要とする人員として六百何十名という結論を出したわけでございます。これは今予定されておる物数に対して当然に弾力条項の発動を予定しなければならぬという前提はないわけでございまして、私どもはこの査定に当りまして、考えました物数より以上にさらに収入がふえる、物数がふえる、その結果収入がふえるという事態になりますれば、これは弾力条項の問題にもなると思いますが、今予定せられておる人員から考えますれば、能率増進その他あらゆる要素を考慮に入れていただきまして、何とか支障なく事務を遂行していただける定員ではないか。さように私どもといたしましては考えておるわけでございます。
  41. 森中守義

    ○森中守義君 こういうことですよ。郵政省では最初から賃金要員あるいは弾力条項の発動ということを考えてはいないにしろ、きのう私の、六百九十六名の増員でほんとうにこれだけの仕事が回せるのか、責任が持てるか、こういう質問に対して、最終的に郵政当局は、できなければ、あるいは大体できないだろうという一種の先入意識が私はあろうと思う、六百九十六名の増員程度では。だから賃金要員あるいはまた弾力条項の発動だ、こう言っている。そこで賃金の場合を見ても、昨年が十三億三千七百万、ことしは十二億六千八百万に下る。六千八百九十五万円も下って、果してこういうものに期待しなければ、所期の事業計画が果させないところに、まで定員が落されてしまったのは、これはどうしても私は承服できないし、私は郵政省が困っているのじゃないかと思うのですよ。だから今も申し上げたように、結果的に国の金を使うのだから、正規の予算に計上したらどうか。弾力条項の発動だとか、あるいは資金要員というようりな糊塗的な手段によらずして、大蔵省は最初からもう少し真剣に、六百九十六名というのは私はやはりこれは当を得ていないと思うので、千五百五十一名の復活要求を出しているのですが、この程度の分くらいは大蔵省は認むべきじゃないかと、こういうことを言っているのです。
  42. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) まあ予算編成に当りましては、これは要求をされる側とこれを編成する側、もう少し端的な言葉葉を申し上げますと、まあ査定と申しますか、言葉は悪いのですが、この立場が両方ございまして、その両方の立場でさんざん折衝し合ったあげく、まあ両方が納得して一応こういう結論になるわけでございます。先ほどの農地局長お話もございましたが、要求をされた官庁の立場から申しますと、それは要求をされたときの気持が今でも残っておるというようなことは、想像にかたくないわけでございますが、私どもといたしましては、やはり一週間なり十日間、両方が、何と申しますか、精魂を尽してお互いに折衝し合って、一致したところでこの予算をお出ししておるわけでございまして、私どもといたしましては、ぜひこの予算の中でやりくって事業遂行に当っていただきたいと、そういう気持でございます。まあ弾力条項のお話がございましたが、これはむろん郵政省当局としても、物数がふえないのに、今から弾力条項を発動をするというふうにおっしゃっておられるのでないことは、ただいまのお話にもございまして、私もその通りだと思いますが、万一将来私どもが予想いたしました以上に物数が増加し、収入もふえるということでございますれば、これはそのときの情勢で、予算総則の規定に従いまして、弾力条項の発動も可能なわけでございまして、そういう今後の情勢の推移も見ました上で、運営、業務の遂行に万全一を期する。そういうお気持を述べられたのではないかと、そういうふうに私はこれはまあ想像でございますが、いたすわけでございます。
  43. 森中守義

    ○森中守義君 今、主計局長は、納得というようなことが出たのですが、私の考えは、郵政省に限らず、対大蔵省に限っては、各省は合議、和平納得と、こういう言葉は当らないと思う。なかなかけっこうな言葉ですがね。あなたの方で無理やり納得させるのでしょう。金がないのだ、しようがないから、これであきらめるというようなことが大体私は実質としては妥当じゃないかと思うのですよ。これは先刻の農地事務局の問題でもしかり、あるいは、ほかの方でもそうじゃないかと思うのですよ。
  44. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 森中君ちょっと。総理が来ましたから、ちょっと保留しておいて下さい。
  45. 森中守義

    ○森中守義君 ああそうですか。
  46. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃ質問の途中ですか……。  それでは始めます。定員法に関連して岸総理大臣に対し、公務員制度に関する全般的な問題について質問をしたいという要求がありましたので、本日御出席を願いましたが、時間等の関係に制約されますので、詳細な質疑は無理かとも思います。それらの点に関しては、いずれ審議する給与法の審議の際にあらためてそういう点についての時間を十分設けたいと思いますから、この点御了承瀬っておきます。従いまして質問者も相当多数あるわけですが、あらかじめ打ち合せた程度の時間で終了できるように一つ協力を願います。従って答弁の方も質問の方も、できるだけ要点を簡略にやるように委員長から要望いたしておきます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 時間がありませんので、簡潔に質問申し上げ、また総理から簡潔に御答弁をお願いしたいと思いますが、まず第一に公務員制度の問題に関しまして、現内閣はどういう御方針でおられるか。ことに昭和三十年十一月十五日の公務員制度調査会答申に基いて、この国会には給与法の一部を改正するの法律案、すなわち給与体系改正地域給の廃止の問題が、具体的に出て参っているわけであります。しかし公務員制度調査会答申については、その他各般の問題にまたがっているわけでありますが、国家公務員性格の問題とか、あるいは職階制の問題、任用試験制度の問題、服務制度、恩給制度問題等にまたがっております。現内閣といたしましては、今後どういう具体的な内容について公務員制度の改革を考えておられるか。これを承わりたいと思います。
  48. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 公務員制度の改革につきましては、公務員制度調査会答申に従って、今事務的にこれを検討いたさしております。私が申し上げるまでもなく、現行のこの公務員側度というものは、戦前の封建的な官吏制度というものを改めて、民主的な、近代的な公務員制度というものに切りかえてきているのでありまして、この根本精神を、あくまでも新制度の、やはりこの根本理念はあくまでもこれを徹底して、これを貫くように努めなければならないことは言うを待ちませんが、しかしさらにこの実行の実際から見まして、わが国の実情に即し、かつ、こういう制度はいうまでもなくできるだけ簡素にするということは、責任の所在を明確ならしめ、いろいろ綱紀粛正の上から申しましても、簡素な形にすることが必要であり、またこういう制度が陥りやすい非能率的な面というものを改めて、能率的な運営のできるものにしなければならない、かように考えております。いろいろ具体的の問題に関しましては、今事務的に検討をいたしておりますから、私はただ根本の私ども考え方を申し上げるにとどめておきます。なお、この給与の問題につきましては、人事院の勧告に従いまして今回の案を提案いたした次第であります。
  49. 田畑金光

    田畑金光君 巷間伝うるところによりますと、現内閣は人事院の廃止をこの国会でやり遂げたい、こういう御方針であるように承わっております。公務員制度調査会昭和三十年十一月の答申を見ますと、人事院はこれを存置するということになっておるわけです。ところが同じ鳩山内側のもとに、昨年の二月二十三日に行政審議会の当時の河町行政管理庁長官に対する答申は、人事行政機構の改革を主張しているわけです。すなわちそれは人事院の廃止をうたっておるわけです。現内閣は、公務員制度調査会答申に基いて存置の方針か、それとも同じ内閣のもとで行政審議会は人事院の廃止を答申しておるか、この廃止の方をとられようとする御方針なのか、いずれを現内閣はとられるか、明確にしていただきたいと思います。
  50. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 人事院の制度につきましては、今行政改革の河野改革案として衆議院で検討をいたしておりますが、私どもは大体今の人事院制度というものは、これを廃止して、総理府に内局として人事局を置いて、また外局に国家人事委員会というものを設置するということを大体の内容として参りたい、かように考えております。
  51. 田畑金光

    田畑金光君 今の総理の方針は、明らかに、行政審議会の答申に基いて、鳩山内閣がすでに前国会行政機構改革の一環として提案して参った内容で、あります。そうしますと、人事院廃止の問題については、与党の昨日の政調会等においても、この国会で出すのだ。出すよりも、この国会で成立を強行するのだ。こういう御方針のように聞いておりますが、この国会であくまでも人事院の廃止をやり遂げようという政府方針であるか、あるいは少くともこういう重要な法案については、岸総理は、社会党の委員長との話し合いで、あるいは四者会談等においても話し合いの場を広げる。重要法案については事前に話し合いをやろう、こういうことになっておりますが、社会党との話し合いをやられる準備なのかどうか。
  52. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 御承知のように、この機構改正の案は、前内閣からずっと継続審議になっておりまして、今衆議院で、審議中でございます。しこうして、政府としては一応政府の案として提案をいたしております。趣旨において成立を望むものでありますが、同時に、これらの行政機構につきましては、党としても十分に一つその方針をきめる必要がある。また二大政党であります限りにおいて、これらの案の取扱い等につきましては、十分に話し合いをいたしまして、そうして国会の運営の正常化をはかって参りたい、かように考えております。
  53. 田畑金光

    田畑金光君 国会正常化の意味から社会党とも話し合いをなされる。しごく賢明なことだと思いますが、そういたしますと、この国会で強行するというようなことは、よもや考えておられないと、われわれ思いますが、この点に関しまして、総理はどういう見解でおられるのですか。
  54. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) お言葉でありますが、強行するという言葉はどういう……、何か私は、非常に国会の運営を正常化すという意味から言って、強行するということは、はなはだ穏やかでない言葉でありますが、どの案に関しましても……。しかし両党必ずしも意見が一致しないというものが、もちろん議案として私はあると思います。そうして、すべてのものは十分に論議を尽し、なにされるけれども、しかし意見がどうしても合わないという場合においては、それではいかなる場合においても、そういう案は議決できないか、こう申しますというと、これは私は決して今お言葉のような強行するというような意思ではございませんけれども、民主主義のルールとして、意見が違う、どうしても対立しているという問題であっても、全体からみて多数できめるということは、これは民主主義政治の私はルールであろうと思う。しかしそれに至る間において、両党がたとえ意見を異にしても、十分話し合いもし、また論議も尽して、そうして最後にそのルールで決定するということが、国会運営の正常化の要諦である、かように考えております。
  55. 田畑金光

    田畑金光君 時間がないので非常に残念ですが、特に私は総理に考えていただきたいことは、総理は民主政治家としての態度に徹する。過去の戦争責任については十分反省をしておる。こう言われております。このことは私は具体的にどういう姿で反省なされるか、すなわち憲法を守ることであり、教育基本法を守ることであり、民主的公務員制度を守ることだと思う。民主的な公務員制度を守るとするならば、もしお話のように人事院廃止を考えるならば、当然公務員に対しましては別の保証というものを考えるべきだと思う。すなわち、労働条件労働権に関しまして、別に具体的なものを作るべきだと考える。この点に関しまして総理の見解を承わるとともに、またもう一つ関連して人事院廃止の問題が出て参りましたのは、春季闘争から強く政府は刺激されたようにお見受けします。この春季闘争の結果、公社制度についても改正を加える。公社制度についても検討を加える。こういうことを言われております。あるいは公労法についても再検討すると言われております。人事院廃止の思想は、公社制度を再検討し、公労法を検討する思想と同じ流れにあるわけです。一体これは、同時にこの国会でやろうとする腹なのか。私はほんとうに総理が民主政治家としての責任に徹する、あるいは責任を過去の反省するということであるならば、憲法を守り、教育基本法を守り民主的な、近代的な諸制度を守っていくということが、具体的な態度でなければならない。こう考えますが、これらの点についてどういうお考えでおられるか。非常に質問はたくさんありますが、時間の制限で残念ですが、一つそういうことをはっきり聞かしていただきたい。
  56. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 人事院の廃止の問題が、今度の春季闘争関連があるようにお考えでありますが、絶対にそれはないのであります。この人事院の廃止の問題につきましては、以前からの研究の結果によって出したものでありまして、決してそういう今度の春闘とは関係ないものであります。そうして同時に、この人事院は廃止いたしますけれども、外局として置く国家人事委員会というものがやはり同様な公務員の待遇改善等につきましては勧告をいたしまして、政府はそれを尊重してこの改善に当るというような仕組みに考えておりますので、十分一つ人事院の廃止という言葉だけでなしに、政府の考えておる具体的の案を御検討の上で、いろいろの御主張なり御意見を承わりたい、かように考えております。なお、公労法やその他の公社等に関する構成の改正の問題を、春闘と結びつけて考えているかどうかという点でありますが、今、私はそういうことは考えておりません。しかし今回の春闘について、いろいろの点においてわれわれは検討もし、反省をしなければならない点が幾多あることは考えておりますが、今国会においてその公労法等の改正をする意図は持っておりません。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 私は、岸総理が最初に、日本の古い官吏制度が新しい公務員制度に変えられて、この精神を守りつつ早く公務員制度を改革したい、こういうふうに言われておるのでありますが、私は、この前の公務員制度調査会答申、まずこの公務員制度調査会調査委員のメンバーについて、私どもは全幅の信頼をすることがまずできない。進歩的な行政学者というのはボイコットされておったという事実が私どもあるというふうに思っておりますし、従ってこの調査会の答申というものによって、そうして公務員制度が改革されるとするならば、岸総理の言っておる新しい公務員制度というものをさらに民主的な公務員制度に発展するというふうには考えられないのであります。しかもこの調査会の答申案をしさいに検討いたしまするというと、表題においては新しい公務員制度を守るかのごとくに言っておりますけれども内容的には、やはり古い公務員制度へ帰っていくというふうに見られるものが非常にたくさん含んでおるのであります。従ってこれを元に公務員制度を改革するということになると、人事院廃止の問題もありましょうし、またいわゆる古い、戦前の官僚制度の中に大きく君臨をしていた官僚政治というものがまた再び復活する。いわゆる公務員国民全体の、国民主権主義の上に立ったところの、国民の公僕としての公務員制度というものがくずれて再び官僚政治というものが復活するおそれが多分にある。その例として、いわゆる管理職というものを求める、職階制の中に出ている管理職、いわゆるそのための将来の幹部の養成ということが従来の公務員制度の実質的な復活である。こういうようなことから考えるならば、現在の公務員制度がまだ完全に実施されておらない段階に、逆行する方向にいくんじゃないかということがまず心配せられる。  もう一つの点は、私は最初の公務員法が制定せられた当時の公務員法、これは相当進歩的な公務員法であったが、あの二・一スト以後におけるマッカーサーの書簡によって公務員法が改正されたことによりまして、公務賃という名のもとに、公務員国民的な、基本的な権利というものが大幅に侵害されるようになった。これがさらに人事院の廃止というようなことになるならば、これは今では、あってなきがごとき人事院であるけれども、労働基本権というものを奪ったために設けられた人事院というものがさらに廃止せられる。そういう中において、一体公務員というものがこの基本的な国民的な権利というものを守る上に一体どこによりどころを求めるかということについては、これはどうしてもあの答申案の中から見出すことができないのであります。そういう答申案に基いて大きな改正がなされるということになるならば、これは非常に大きな、日本の政治全体の、国民全体の不幸になるのじゃないかという心配を持っているのであります。そういうような点からするならば、今度の国会等において人事院の廃止ということがもし出されるとするならば、その反対給付としての公務員国民的な権利についての明確な措置がなされない限り、これは私どもは承服するわけにいかないと思うのだが、そこら辺の点について、岸総理は公務員制度調査会のあの趣旨に沿うて公務員制度改正しようとするのかどうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
  58. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたように、今この公務員制度の改革につきましては、われわれとしては検討中でございまして、その方向としては、先ほど申しましたような根本方針、民主主義の公務員制度というものをわれわれは堅持していく、そうして実情に合って、能率的に、また簡素な形でこれを結論を出すということを考えておるわけであります。決して今御指摘になりしなしたように、幹部職員の養成の問題についても、旧文官制度の復活ということを考えているのじゃないのであります。どの民主主義の国におきましても、やはり英米等の実情を見ましても、幹部職員というものに対する養成につきましては特別に考慮をいたしておりますし、私は公務員の民主主義の制度、精神と矛盾するものではないと思うのであります。  またこの人事院の廃止につきましても、先ほど申しますように、われわれはやはり国家人事委員会というものを置いて、この公務員の権利やあるいは待遇の問題等につきましては、やはりこれを擁護するところの方法を講ずる考えでおりまして、ただ人事院を廃止、しっ放しというわけでは絶対ないのでございます。  それから公務員国民としての権利——基本的人権はもちろんのことでありますが——国民としての権利との関係でありますが、やはり、ある点におきましては公務員たる地位、公務員たる職責を行う上において、今お言葉にもありました、いわゆる公僕としての立場、地位から、当然ある程度の義務であるとか、あるいは一般の国民と比べてみてある種の制約を受けるということも、私は決してこれが封建的であり、あるいは民主主義公務員制度に反するのでなしに、むしろ公務員たる、公僕たるこの地位と職務の執行上は考えていかなきゃならぬ点が当然あるのだと、かように考えておりますが、決してわれわれは公務員制度の改革に当りましても、旧制度を復活するとか、封建的なものにまた逆行するとかというふうな考えは毛頭持っておらないことを、特に申し上げておきます。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は行政改革の根本について伺いたいと思います。戦後、御承知の通り、わが国の行政機構は、非常に膨大、複雑化いたしまして、これを簡素化し、能率化し、国民全体の奉仕者たる責務を全うするというふうに改組するということは、これは国民一般の輿望であろうと思います。今総理のお言葉にも、簡素、能率化、責任化というようなお言葉がありまして、非常に私うれしく感じたわけであります。御承知の通り公務員の数は、大体戦前の三倍と俗に言われております。現在の数で申しますと、中央は、一般職と特別職を通じまして、ざっと九十五万、それから政府関係諸機関は六十七万、合せまして、中央は百六十二万の公務員がおります。そのほかに、地方は百四十二万、合計いたしまして、三百万人余りの公務員があるわけでありますが、そのほかに、なおし’ばしば問題になりまする非常勤職員も約五十数万おります。ところが、一方、国民の方を見てみますと、現在の税負担が一人当り一万七千百八十円、これが昭和三十二年の予算であります。生活保護者は百六十八万が生活保護の対象になっておりますけれども、これは非常に少いと、こう言われておるのでありまして、国民の方じゃ重税にあえぎ、生活保護を受けなければならぬ国民が非常に多いというのに、国土が四割五分も減って、しかも、敗戦の日本が戦前の三倍以上の公務員を擁しておるということは、果たしてこれが国力、国情から見て妥当であるかどうかという点は、私は非常な問題があると思いますので、そこで、一体これをどういうふうにするかという、ごく大体の御構想をまず承わってみたいと思います。
  60. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 御指摘のごとく、戦後公務員の数というものが非常にふえております。また、行政機構も腹雑になってきております。これは、もちろん時勢の進運と諸種の行政事務の多くなった結果でございますが、同時に、やはりこれを検討してみますというと、人が多くなり、機構が繊維になりますというと、それから当然不必要な仕事も出てきて、イタチごっこのような点も考えられるのであります。従いまして、われわれは、やはりこの行政機構またこれに関連する公務員制度というものは、一方において、あく玄でも民主的なものでなければならない。この民主主義を貴く上におきまして、いわゆる政治が、国会が、二大政党なり、あるいは政党政治によって民主化、されても、実際の行政というものが、非常に封建的であり、旧態依然たるものであっては、決して民主主義の政治というものはできないわけであります。従って、その点にはよほど重点をおいて考えなければなりませんが、従来、ややともすれば、民主主義政治というものが非常に非能率的な複雑なものになるというふうな傾向が、日本だけじゃなしに、各国の事例を見ましてもあるわけでありまして、これは、やはり国民の税負担の点から考えましても、簡素な形でやることが非常に必要である。能率的な点におきましても、また簡素ということが必要である。また、先ほどちょっと一言しましたが、最近、綱紀、官紀の問題について、いろんないまわしい事態があります。それを検討してみるというと、責任の所在がきわめて不明瞭であるというような事例もございます。そこで、行政機構全体を検討して、一方においては、民主主義の精神を貫くと同時に、これを能率的に、また責任制を明確ならしめるような意味において簡素化していくということは、私はきわめて必要であると思う。また、仕事のとり方につきましても、もちろん、一方においては民主的な考え方を貫かなければなりませんが、民主的な考えを貫くということが、また、こういう組織上において、決して指導者とかあるいは幹部職員というものの実質的の養成なりあるいはそのものの責任制なりを不明確ならしめるものであってはならないと思います。こういうような点を十分に検討して、行政機構の改革を考えなければならぬと思いますが、実は、抽象的に申すことは、一応の理論は立つのでありますが、さて、具体的にこの行政機構の改革に手をつけてやってみますると、歴代の内閣がそうでありますが、なかなか掛け声のように、また、そのねらっている方針のように実現ができない点があるのであります。これを断行する上においては、強い政治力と、また、政治的な何といいますか、勇気とを要する問題であると、かように思っております。しかし、そうであるからといって、やはりこれは、一方から言うと、政治の徹底を期する上からいい、また、国民負担の上からいい、また、政治に対する国民の信頼の上から申しまして、ぜひとも今言ったような方針検討して、行政機構の改革をやりたい、こう考えます。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 第十九国会でありましたか、東京大学の田中教授に内閣委員会にお越しを願いまして、この問題についての御意見を伺ったのであります。そのときに、田中教授のお話では、一九五三年のドイツの実情を調べたときに、ドイツの予算規模は、日本の金に換算して二兆五千億円である。しかるにもかかわらず、人件費かわずかに五百億円で、物件費が百三十億円、人員は八万三千四百二名で、そのときの教授の言葉を借りて言えば、日本の農林省と同じくらいの人員である、こういうお話があったわけでございます。その他、しばしば引用されますアメリカの一九四七年のフーバー委員会のことでございますが、御承知の通り、当時は、官吏が、二〇年以前に比べて、五十七万人が三百十万人にふえた。部局は四倍になって千八百になった。国費が、三十六億ドルから四百二十億ドルにふえた。こういう情勢にありまして、御承知の通り、十二人の委員と三百人の専門家を動員して、百九十万ドルの費用で三十億ドルの節約案を立てまして、すでに八割まで実行されておるというのがアメリカの今から十年ほど前の状態でございます。そこで、今もお話かございました通り、歴代内閣がいろいろこの問題と取り組みましたけどれも、結局においてなかなか成功しない。しかし、前の総理である石橋さんだとか、あるいはこの内閣委員である木村篤太郎さんなんかお入りになってできた政令諮問委員会で、占領行政の是正を中心において、今申し上げました田中教授が主となって案を立てられたことがありますけれども、現在でもなかなかこれは示唆に富む点が相当ございます。それから今の自民党の政調会長の塚田さんも相当の案をお立てになりましたけれども、実際にこれが実行されたことは割合に少いのであります。そこで、私が総理にこの機会に特にお願いしておきたいのは、歴代の内閣でいろいろな行政改革案というものができていますけれども、実行はなかなかむずかしい。今総理からもお話がありました通り、具体問題になりますと、これをやるのになかなか大きな政治力といろいろな関係がありますので、むずかしいのであります。しかし、やはり、国の要請として、どうしてもこれはやらなければならぬことである。そこで、やる方法について、たとえば、今行政審議会がございますが、大きな一つの組織でやるというのも一つの方法でありましょうし、私はフーバー委員会のような超党派的な一つの機関ができまして、そうして日本でこれが行われるのが一番いいと思うのですけれども、それがかりに行われなければ、たとえば政令諮問委員会のごときは、たった七人分委員で、田中君が一人一生懸命やりましたために、わずか二、三ヵ月であれだけの大きな一つの改革案ができたわけでありますから、その人を得てそうして首脳者につまり総理に非常な熱意がおありになれば、これは方法は必ずしもそうむずかしい問題ではない。今までいろいろな先例があることでありますから、どうか一つこの問題を着実に一つお考えになりまして、一歩々々お進め願いたいということを特にお願いをしておきたいと思うのであります。一例だけ申しますと、たとえば審議会のような問題でも昭和二十六年の八月は百八十三あったのが、近年非常にふえまして、昨年ではすでに二百二十四に審議会がふえております。この中で最も私の目につきますのは農林省でありますが、農林省に二十六の審議会がございますけれども、一年のうちで一ぺんも開かないのが二つ、一回開いたのが六つ、二回開いたのが七つ、三回開いたのが四つ、四回開いたのが二つあります。実に二十六のうちで二十二までは四回以下しか開いておりません。でありますから、これはつまり一つのゼスチュアとして、審議会が往々できるけれども、できたときは非常に声が高いけれども、あとは開かれないというような実情でありまして、今まで農林省の例でいえば十三回開いたのが二つ、十一回が一つ、六四が一つといったような割合でありまして、しょっちゅう方々に目をお開きになる必要がありますが、しかしこれは個々の問題でありまして、全体的に着実に一つこの方向に向っての方策を立てていただきたい。時間もありませんので、これだけのことをお願いをしておきたいと思います。
  62. 森中守義

    ○森中守義君 私は総理に一つの点について御質問いたします。先般岸内閣の重要政策といたしまして、完全雇用ということを国民に誓約をされたのでありますが、果してこの完全雇用がどこまで実施されていくのか、私どもはこれから先、重要な関心を持つものであります。そこで今当面しているこの雇用の問題で、国家行政機関の中にきわめて不完全な雇用状態が存在をいたしております。昭和二十四年から今日まで五十数万人に及ぶ者がいわゆる臨時者ということで各省庁にわたって採用になっておる。しかもそれは一月二十五日間の雇用日数、一日二百三、四十円という、こういう低賃金で雇われております。しかもこの長い歳月を費して、衆議院あるいは参議院のこのような委員会の席上で、しばしば本採用にするということを各院はその意思としてまとめました。二十二特別国会においては本院における決議となっております。しかしそれが本年度予算編成に当り、一昨日来この委員会で行政管理庁を中心に、私どもは当局の勇断を促しておりますが、一向にこのことが実現しそうにありません。飜って考えてみますと、岸総理が戦時閣僚時代、陸軍、海軍の工廠にいわゆる挺身隊と称して、きわめて身分の不安定の状態の中に、国民が動員をされたあの忌まわしい事態を想起するのであります。私はこの国家機関に採用されておる臨時者というものは、いってしまえば戦時中におけるこのような一極の挺身隊的な色彩を持つのではないかと考えるのであります。多くしかも安くという、こういう今日の歴代保守党内閣の政策の一端をこの辺にうかがい知ることができるのでありまして、かように二百三、四十円という低賃金で、一月に二十五日の雇用日数の中に、一家五人、六人という扶養家族を抱えて生活ができるはずはないのであります。先刻国民の負担ということで、あたかも今日の国家公務員の数が非常に多いような御答弁でありましたが、私は、戦前と戦後における国家構造、社会構造が根底から異っておりますから、今急激に国家公務員のこの機構の改革なり、あるいはそのあり方を戦前に復元するような意図であるとするならば、これは、どうしても許しがたい問題であると思いますが、要するに、五十数万に及ぶこの臨時採用者というものは今日の各行政機関にとってどうしてもなくてはならない人たちであるということに考えますと、しかも三十四年以来打ち続く保守党内閣行政整理の結果、こういう変則的ないわける準公務員的なものの存在を余儀なくしていると存ずるのでありまして、今予算が両院を通過した今日であります。制度の改革を待たず、この際、総理の勇断、決断をもって、この五十有余万人のものを本務者に切りかえるような御意思はないか、閣議の中ですみやかに御検討を加えてほしいと思うのでありまして、この点に対しての総理の所見を承わりたいと思います。
  63. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 定員法定員外にいろいろ臨時職員が相当多数に存在しておるという事実、これが起りました事情等もそれぞれ事情もあるのでありますが、また役所についても、たとえばは建設省、農林省、恩給局というようなところは非常に多いのであります。これらの待遇なりあるいは身分上の問題というようなものが、今御指摘にありましたように、いろいろ不合理な点が多々あるようであります。従ってこれをいつまでもこのまま放置しておくということは、これは適当でないのでありまして、やはりこの公務員制度検討とあわせて、これを検討して、そうしてそういうものに対する今の不合理な点を除いた形を作っていかなきゃならぬ。ただしわれわれは一方行政機構の改革をやりますというと、一面において行政整理というような問題が起って参りまして、従って、そうでなくとも、先ほど八木委員も御指摘のあったように、非常に多過ぎるから、これを整理しろというような一方要望もございますが、これらの点と十分ににらみ合せていかなければならぬ、問題であって、決してただ行政整理を目標として多数の失業者を出すということも適当でない、またそれら定員の人を定員外の臨時職員のような形のもとに、待遇も悪く、身分も不安定な形に追いやるということも、これも適当でないのでありまして、われわれはこの臨時職員の問題に関しましては、その不合理を除くように、一般公務員制度の改革とあわせて検討をいたして適当な方策を立てたい。かように考えております。
  64. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 集約して一つ
  65. 森中守義

    ○森中守義君 昨日も総理と同じような答弁大久保国務大臣からもありました。しかし、ただいま申し上げたように、かなり長期にわたっている問題であるし、公務員調査制度が果していつの日にその結論を得るか、その答えすらも明確でありません。かようになると、再び今総理のお言葉からいくならば、結論が出るまでということになれば、これはかなり私は将来の問題ではなかろうか、このように考えるのであります。従いまして、みんなこの公務員制度調査会というものを隠れみのにして、当面のこの問題を糊塗されているような印象を強く受けるのでありますが、ほんとうに完全雇用、そうしてまた今日の行政実態を総理も十二分に理解し、認識をされておるとするならば、当然私は予算が通過したあとではありますが、現在低賃金ではありますが、国の予算は出されております、若干程度予算の増をみる程度であって、三十二年度予算の根幹をゆすぶるような予算増には断じてならない。かように考えますので、予算の補正という方法もありましょう。従って制度調査、会の結論を待たずして、すみやかに本国会の会気中に閣議としてこの結論をお出しになる意向はないかということを、重ねて御質問いたします。
  66. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 調査会の答申結論は出ておるのでありますが、今事務的に検討いたしております。なかなか実情は、私まだ全体をはっきりと把握してはおりませんけれども、とにかく相当それが起ってきた理由もそれぞれありますし、またこれらの役所における実際の事務の性質等も考えてみなければなりませんし、必ず国会開会中にそれをきめるということは、私お約束できませんけれども、十分一つ責任をもって検討いたして不合理な点を除くようにいたしたいと思います。
  67. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 総理大臣に対する質疑はこれをもって終了いたします。引き続いて大久保国務大臣に対する質疑をお願いいたします。
  68. 森中守義

    ○森中守義君 先刻私がちょっと言及いたしました郵政関係の問題でありますが、昨日保留した中に鉄道郵便関係があります。これは御承知のように、最近の国鉄の運営は非常に拡大、強化、充実をされまして、ダイヤはそれぞれ増発あるいはスピードアップになっております。おそらく郵政事業も、その根幹をなすものは全国にわたる鉄道郵便でありまして、この鉄道郵便も、郵政当局では当然の問題でありますが、国鉄のダイヤの改正に伴い、いわゆる結束の強化をはかるのが至当だと考えるのであります。そこで昨年十一月の国鉄のダイヤ改正以来、郵政省における鉄道郵便の増員は行われておりません。また予算書によっても、さらには昨日行管が配布したその内容についても、その片りんも見ることができないのでありまして、こういう点について行政管理庁としては、郵政当局からその意向をお聞きになったことがあるか。あるいは聞かれたとすれば、それに対して、どういう措置をおとりになったか。この点について御答弁を承わりたい。
  69. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 鉄郵関係につきましては、鉄郵関係職員約四千人が特殊な勤務状態のもとにおきまして勤務していることも承知しておるわけであります。これは他の一般の郵政職員と違いまして、特殊な勤務形態でありますし、またその特殊な勤務形態はダイヤの変更によっても起きてくる問題でもありますので、ダイヤの変更に応じましてどういう勤務形態をとるか、その勤務形態に基きまして特別な手当をどうするかというような事柄があるわけであります。これらの事柄につきましては、ダイヤの変更ごとに郵政当局が組合等とも十分話し合いをして、その仕事を進めているということを聞いておるのであります。最近のダイヤの変更に伴う勤務形態の変更については、両当事者で目下話が逆捗中と承わっております。  なお、この鉄郵関係につきましては、本年度定員増加はございません。
  70. 森中守義

    ○森中守義君 それではこの問題はまだ正式に表に出ていないとすれば、郵政省の方に聞かなければわからないのでやめておきます。  冒頭の問題に返って、いわゆる行政管理庁の設置法ですね、この問題の中にいう二条の一項四号、それと大蔵省関係をもう少し具体的に承りたいと思います。たとえばこういうことですよ。行政管理庁は、農林省あるいは警察庁、各省庁から定員の問題が出てくる。ところが行管と各省が話をする、行管と大蔵省が話をする、こういう三角関係が自動的に生じて来ると思いますが、その行政管理庁はこの設置法の二条の一項四号によって、どの程度まで大蔵省定員の問題に関しての発言力をおもちであるのか、その点を明らかにして、もらいたいと思う。
  71. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) この問題につきましては、先ほど大久保大臣及び森永主計局長からお話がありましたし、また具体的には、この委員会の当初におきまして具体例を引きまして、私竹下委員に御説明申し上げた点において尽きていると思っております。
  72. 森中守義

    ○森中守義君 御答弁はそれで尽きておるかもしれませんが、納得できない。要するに行政管理庁の方では、農林省なり、建設省が出してきた問題については、大体これは妥当であろう。定数の問題の場合ですね。妥当であろうという承認ではないけれども、暗示なり何なりを与えておる。ところがさて大蔵省に行って予算の問題というので、行政管理庁が、妥当と認めたことが削られる。こういう事例は私は年度予算編成に当っては、しばしば起り得ると思うのです。先刻私はその事例として郵政省の問題を申し上げたのですが、そういうことになれば、行政管理庁の持っておる権限の行使というものは予算編成の前にあえなくもこれがくつがえってしまう、こういうようなことをしてきておるのです。
  73. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 具体的な例について申し上げますと、一々申し上げますと長くなりますから、二、三の例について申し上げてもよろしゅうございますが、たとえば警察員の定員をどうするか、あるいは行政整理に伴う厚生省の引揚援護局の職責の問題をどうするか、あるいは常勤労務者六万人の問題をどうするか、それから科学技術関係、原子力関係についての職員をどうするか、学校関係職員をどうするかという基本問題につきまして、大蔵省行政管理庁とが二重の査定にならないように十分連絡をいたしまして、意見の一致をみたところによりまして、予算査定において大蔵省が具体的に査定して、それにつきましてさらに行管の方に連絡を願いまして、行管の方も各省と話しまして異存のないところで定員法に計上し、また大蔵省で、は、予算に計上する、両者協力して適正な定員配置するということに全力を傾けるつもりであります。
  74. 森中守義

    ○森中守義君 一般論的なことになるのですが、私は今、行管の権限と大蔵省の権限の問題で両々相待って遺憾のないようにしておる、こういうことでありますから、それはそれなりに信用したい思うのです。ただしかし一般的な風潮として必ずしもそのことが額面通りに受け取れない。特に大蔵省が強すぎる。先刻森永主計局長は納得しておる、こういうことでありますが、その納得は無理に納得させる。極端にいうならば、相当抵抗も私はあると思う。そこでただその場限りの問題であればいいですが、そういうことが全体的な潮流として今日の各行政機関を通じて精彩を欠いておるということは、これは私は見のがしてはならない事実だと思う。それは行政管理庁においてもいえると思います。各省全体についてもいえるのじゃないか。年間の事業計画なり、行政計画を立てる。ところがたまたま大蔵省定員の問題に限らず、予算ということで何にもかにも制約を加える結果、今日の官界というものは私はほんとうに精彩を欠いて、何となしに沈欝な空気というものが充満しておるのではないかと思います。これは私は何をおいても大蔵省当局は猛省をしてもらわなければいかぬと思うのですが、要するにこういうような今日の官界が現実の中に存在するということを認識してもらいたいと思います。この点について行政管理庁は、特に定員の問題を今論議しておりますから、定員の問題に対して、もう少し大蔵当局に、これは査定すべきでない、そのまま採用すべきであるというような勧告あたりは私は出せないのか、もう少し行政管理庁はきぜんたる態度をもって大蔵当局に臨むべきではないか、こういう工合に考えるのですが、国務相どうですか。
  75. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただいま御質問のようなうわさが廊下あたりに、ちょこちょこ聞えておるのは認めます。(笑声)その通りでありますけれども、これはどの程度信用していいか、これは私はわかりませんけれども、少くもそういう風潮があるということはよい現象ではございませんので、私はさらに一そう自分の職権を発動するに勇敢でありたいと思います。
  76. 森中守義

    ○森中守義君 今大久保大臣の非常に力強い演説を聞いて、若干安心しましたが、それは単なるこの場限りの答弁であったり、この場限りの所信であっては困る。先刻私は岸総理に今国会中に具体的な方法がとれないか、こういうことを申し上げたのでありますが、おそらくこの定員法の修正というものは、今明日中にこの委員会で上るということになりましょうが、上るについては今出されているいろいろな意見を集約をして、農林省あるいは建設省、法務省、全省にわたる定員の修正をやるということにはなりませんか。今のことを私は信用します。
  77. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これはすでに衆議院の委員会においても付帯決議が付きましたけれども、満場一致で可決になっております。こういう点から考えてみましても、ぜひ参議院におきましても可決せられるようお願いいたしたいと存じます。
  78. 森中守義

    ○森中守義君 どうも今の答弁は違います。付帯決議が付くということですが、付帯決議の問題になると私は若干意見がある。もちろん付帯決議というのはわれわれが付けるのですから、われわれが付けるものを信用しないというわけにもいかぬのですけれども、付帯決議が付いた問題が政府の方で実行されたという実例は少い。二十二特別国会の問題を一昨日から論議していますが、もう何年もたっていますが、しかも、本院の院議で決定されたものが実行されていない。付帯決議では私はさして大きな期待が持てないというような気がするのです。従って付帯決議の中に、本年の補正予算の中できめるならきめる、臨時国会に提案するならする、こういう約束でもあればいいのですけれども、そういうことじゃない。そうだとすれば、先刻私が御質問申し上げたのは、補正予算で組むとか、あるいは次の通常国会には必ず出す、そういう明確な言質をわれわれはとりたいし、しかも願くは今国会中にこの定員法が今明日中に上るに際してもう一回大蔵省に話をしてもらって、郵政省では何名、農林省では幾ら、建設省では幾ら、法務省では幾ら、検察庁では幾ら、行管では幾らというように具体的な数字の修正はできないのか、こういうことを言っているのです。
  79. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先ほど申し上げました通り、衆議院の委員会におきましては通過いたしました今日でありますから、さらに大蔵省と折衝を重ねて定員を変更するということはむずかしいと思いますから、一つ原案通りの御承知を私は希望しております。
  80. 森中守義

    ○森中守義君 参議院は衆議院の付属機関じゃないのですよ。だから衆議院かそういう付帯決議をつけても、参議院は独自な立場で修正案を出すことは当然可能であるし、私は可能にしたいと思う。だからさっきからも大蔵省が行き過ぎであれば、それを是正をするとか、行管の立場からきぜんたる態度をとるということを国務大臣がおっしゃっているから、急速に今からでも、岡部管理部長も一昨日来ずっとお聞きになっておりますので、果して各省はどの程度の人間をふやせば当面いいのかということを、もう一回検討されて、森永主計局長も一緒に入ってもらって、私は修正をしてもらいたい、そういうことを言っているのですが、これに対してどうですか。
  81. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 重ねて御答弁申し上げますが、この定員法につきましては、関係各省と十分打ち合わせいたしまして、定員内の職員につきましてはいろいろ苦しい点もあるけれども、全能率を上げて今年度の事業計画をこの定員でやるという各省の決意でございますので、私どももこの定員で今年度はやっていただくことにぜひいたしたい、こう思っておりますが、ただ問題は定員外職員の問題が残っているわけでございますが、これはたびたび関係者から御答弁申し上げました通りで、できるだけ最近の機会におきまして、すなわち次の通常国会においてできるだけ適当な解決策を実施したい、こうたびたび申し上げておる通りでございますから、この点含みの上御了承いただきたいと思います。
  82. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  それでは暫時休想いたします。    午後一時十八分休憩    —————・—————    午後二時四十四分開会
  84. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは休憩前に引き続き委員会を開会いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。——別に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
  85. 上原正吉

    ○上原正吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成いたすものでございます。  賛成するに先立ちまして修正案を提案いたします。その案文を朗読いたします。    行政機関職員定員法の一部をする法律案に対する修正案改正   行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一条を次のように改める。   (施行期日)  第一条 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十二年四月一日から適用する。  この修正案の趣旨を申し上げますと、この法律案の付則第一条におきましては、「この法律中、附則第四条の改正規定は、公布の日から、その他の規定は、昭和三十二年四月一日から施行する。」となっておりますが、この四月一日の期日が今日すでに経過いたしておりますので、この第一条の施行期日をこの際修正せんとするものであります。  この法律はまことに機宜に適しました提案でございまして、このように修正して、修正部分を除きまする原案に賛成するものでございます。  一言この機会に政府当局にお願いを申し上げておきたいと思うのでございます。累次にわたりまする行政整理、いわゆる行政機関の縮小と定員の減少とが行われましたが、これはこの施行に大きな困難を伴いまするゆえかもしれませんが、いつも定員の一割を目標に減少するとか、あるいは一割何分を目標に縮小をはかるとか、こういう方法がとられましたために、玉石混淆で、どの行政機関も一律に減少するというやり方になっております。そのために非常にたくさんな仕事を持っており、重要な仕事に従事しておりまする機関、また戦後統制の解除その他によりまして仕事の少くなった行政機関も、同じような比率で人員、機構の縮小が行われる。ここにいまだにその禍根が残っておると思われるのでございます。従いまして、この点をよく勘案されまして、監督行政機関でおいでの行政管理庁定員増加等を審議なさいます場合、現業事業官庁事業量増加による職員増加というものには特に意を用いられたい、かようにお願いを申し上げたいのでございます。  国民行政機関の縮小を熱望いたしておりまするのは、実際に国民のために仕事をされておる行政機関が縮小されることを望んでおるのではないのでございまして、やはり戦中戦後に行われました煩雑な統制とか、あるいは指導とか監督とか補助とか、こういうことのために国民がわずらわしいと思うようなことすらありましたので、そういう機関の縮小は心から願っておりまするが、国民に真にサービスをしてくれる機関、役所の縮小を願っておるのではないということを心に置かれまして、ぜひとも今後の御参考にせられ、あるいはまた行政機構の整備拡大あるいは整理緒小等の場合には、この点に十分御留意あられんことをお願いいたしまして、修正案を提出いたしまするとともに、その部分を除く原案に賛成するものでございます。
  86. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私はただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に反対するものでございます。以下、簡単にその理由を申し上げます。  その第一は、定員増加の裏づけとなるべき行政機構そのものの根本的改革の構想は、政府の御説明では何ら表明されておらず、ただそのときの必要を満たすだけの改正にすぎません。現状では毎年その年の必要に応じ若干ずつ定員増加の要求をされておりますが、戦後わが国の行政機構は複雑膨大化いたしまして、その簡素能率化は、国民各層にわたっての要望されておるところでございます。しかるに昨年の鳩山内閣でもこの問題を取り上げましたが、定員の問題には触れないで、単に機構のみの改正にとどまっておるありさまであります。今回の約三千人の増加要求の経過を承わってみましても、行政管理庁への各省の要求は六万人に上っておるとのことであり、あたかも予算編成時の各省の分取り競争とその軌を一にしておる状態でございます。まず、わが国の国力、国情に相応した簡素能率的な行政機構改革の構想を決定いたしまして、定員の増減のごときも、この大方針に沿うた年次計画が立てらるべきであると思うのであります。  第二は、欠員並びに退職者の問題でありますが、昭和三十二年一月一日付の各省全般の欠員は、合計八千二百四十二人でありまして、また年間自然退職者は約二万人でございますから、これらのものを総合的に考えるべきであるにもかかわらず、その努力の跡が見られないのは遺憾でございます。  第三は、現在常勤労務者は約六万人に及んでおります。仕事内容は一般公務員と同じで、すでに勤続数年に及び、ただ身分が違うがために不利益をこうむっておるという状態にありながら、これを一般公務員定員に繰り入れないのは、定員法設置の精神を没却したものでありまして、一種の脱法的行為とも申すべきものであります。従って、この業務内容によりまして定員中にこれを繰り入れ、しかる後に定員の多少を論議するのが本筋であると思うのであります。  第四に、昨今の官界の腐敗は目に余るものがありまして、ことに農林省のごときは、連日にわたってその汚職が新聞紙に報ぜられておるにもかかわらず、これが対策といたしまして、何らの抜本的機構改革を断行したことを聞かないのであります。定員の問題とこれらの問題とはあわせ考えるべきはずでありますのに、これがなされておらないのは遺憾でございます。けだし、定員の増減を議するときには、必ず機構改革を検討すべきでありまして、機構と関連して初めて定員の妥当性がきめらるべきであると存ずるのであります。  以上をもって私の反対論といたします。
  87. 森中守義

    ○森中守義君 私は日本社会党を代表いたしまして、政府の提案になる行政機関職員員巨法の一部を改正する法律案に賛成をいたします。ただし若干の意見をこの際申し上げておきたいと思うのであります。  一昨日来、政府当局と本委員会における委員との質疑応答の中で明らかになった問題が多々ありますが、その中で要約をいたしますと、今この定員法に定めるいわゆる定員の基準そのものについて、相当検討の余地があるということでございます。たとえば、農林省においてもしかり、文部省、建設省あるいは総理府、郵政省、かように全省にわたりまして、いわば二十四年以来、数次にわたる行政整理の結果、今この定員の設置基準になっておるのでありますが、これはすでに数年を経過した今日、必ずしも行政の実情にマッチするものかどうかということは、はなはだ疑問とせざるを得ません。従ってこの際、私は政府当局におかれまして、総体的な行政機関職長の各省における配置が妥当であるか、あるいはどうであるかということの抜本的再検討をまず政府当局に要請をしたいと思うのであります。その次に、年度ごとに、ことに三十二年度における各省が行管を通じ、さらには大蔵省に対して要求をいたしました定員の算出の根拠であります、積算の根拠につきまして、一例をあげるならば、郵政省は事業官庁でありますが、各地域々々におけるいわゆる実体定員の中から若干不足しておる、あるいはこれだけが必要だという実体定員の要求ではなくて、ややもすると想定的な、あるいは予算上の定員要求になっておりまして、果して想定要求あるいは予算要求というものが、各行政機関ごとに正当な定員の適正な配置となり得るかどうか、その要求の根拠の脆弱性を指摘しなければなりません。来年度以降におきましては、この各省大蔵省あるいは行管に対する定員要求の積算の根拠というものは、あくまでも実態に照らして、あくまでも国民に奉仕する行政機関としての正しい適正なる定員の算出を私は要望して、おきたいと思うのであります。  さらにもう一つは、行政管理庁態度でありますが、今朝来、大蔵当局及び行管をまじえた私どもとの一問一答の中に、ややもすると行政管理庁が保有する権限、大蔵省が保持する権限が、一致協力の態勢にあるとはいいながら、ややもすると大蔵省予算査定の建前といい、行政管理庁はそのことをあえて実行するというようなこういう気魄に欠けておるのじゃないかと思います。従いまして、行政管理庁はあくまでも全省にわたっての定員の審査権を持っております。きぜんたる態度をもって、大蔵省予算を理由にして定員査定をしようとするならば、あくまでも各省の立場に立って定員の要求に私は実現をはかられたい、かように考える次第であります。  さらにもう一つ大蔵省に対する問題でありますが、これは今申し述べましたように、予算編成を理由にややもすると各省に対し実質的な、結果的な行政、干渉を行うようなきらいが私は随時あるのではないかと考えております。もちろん国全体の財政方針あるいは経済の面から、一面そのことは了解できる点もありますが、そのことによって行政干渉にわたり、結果的に国民行政が萎縮したり、あるいは十分なる満足なる行政の執行ができない、こういうことであるといたしまするならば、正にこれは悔いを千載に残さなければなりませんし、今朝来大久保国務相はそのことを若干肯定されたようでありますけれども大蔵省予算編成の理由のもとに行政干渉を行うという事実があるとするならば、これは私は徹底的に究明しなければならないし、これに対する行政管理庁の私は大蔵省に対してきぜんたる態度をこの際要望したいと思うのであります。さらに非常勤の問題でありますが、これは今朝岸総理に質問をいたしましたように、二百三十円あるいは二百四十円、こういうきわめて殺人的な低賃金のもとに採用され、しかもその低賃金における稼働の期間というものは、長きに至っては八年、短かくても三年、四年というこの状態は、今日の岸内閣が完全雇用政策を掲げ、国民に完全、雇用を誓約している以上、絶対に容認さるべき問題では断じてありません。しかも戦前におけるいわゆる陸軍や海軍の工廠に多くの青少年を動員いたしまして、しかも不安定な身分の中にその人たちを使ったと同じような残滓が、私はこの非常勤制度の二面を物語るものと考えております。かつまた、全省を通じ三九十数万余にわたるこの種の人たちが国の機関に働いているわけでありますが、先刻も申し上げたように二百三十円、四十円ということで家族四名、五を抱えて、果たして私は完全な国民に奉仕する国の機関で働けるかどうか。今までのこの種の悲惨なるできごとを調査すれば、私は際限なく発見できると思うのでありまして、すみやかにこの賃金の向上と同時に、五十数万に上る人たちは、るる申し上げたように、打ち続く行政整理の結果、国の全行政機関には五十数万人が必要であるということを物語っているではありませんか。午前中に、国の行政機構を簡素化する、こういっような意向がありましたが、戦前と戦後における社会構造あるいは国家構造は、本質的にその姿を変えております。従って、あくまでも現状定員を縮減すべきではなくして、すみやかに非常勤五十数万人のものを一挙に、あるいは漸進的にでも、この際本定員に組みかえることこそが至当ではないかと考える次第であります。そして、この委員会における答弁において、政府当局は口をそろえて、国家公務員調査制度のこの結論を待って総合的に検討を加え、そしてそのことを実施したい、かような答弁であります。どうしてもこの制度結論を待つには若干の時間がかかりましょうし、その期間を待つということには、ただいま申し上げた非常勤のごときは時間的に余裕のできない問題であります。従いまして、この制度調査は、一日もその日の早からんことを望むものであります。いわんやこの制度公務員の諸権利を剥奪する、あるいは国の機関が国民に奉仕することにふさわしくないような、人事院の廃止であるとか、あるいは公社制度の改革であるとか、一連のいわゆる反動的な政府の意図がかりにもこの制度調査の中にあるとするならば、これは私は断じて排除してもらいたいと思います。むしろ今日の国情に合うような、そして国家百年の大計がこの制度の中に生かされるように要望を申し上げてやまない次第であります。さらに最後に申し述べたいことは、いわゆる定員法の中に事業官庁をしばっておりますが、このことの当否は、私はかなり喫緊の問題ではないかと考えております。郵政あるいは五現菜、こういったような官庁は、おのおのがその省における、その庁における収入によって、私は大いに自主性を発揮し、国民に対するサービスの提供を、国家機関としての本質を発揮しなければならないと思いますので、この五現業に対する定員法のワクをはめておくこと自体に対しては、いささか問題があろうかと考える次第でございますので、これもまた制度調査の中において十二分に検討を加えられて、願わくば定員法撤廃の方向に私はぜひ進めていただきたいと存ずる次第でございます。そして具体的に、農林省あるいは郵政省、あるいは建設省、総理府の中における恩給局、その他全省が、少くともこれこれの人間は必要であると出している、こういう問題点につきましては、具体的に閣議で検討を願うなり、あるいは次官会議や、あるいは行政管理庁大蔵省と即刻御協議の上、今、予算の修正が困難であり、そしてまたこのことをこの委員会で決定することも困難であることは、私は認識をいたしますけれども、だからといってこれを来年に持ち越すということは、これまたきわめて重要な問題でありますので、ただいま申し上げたように、すみやかに関係者御協議の上、とり得る最大の、しかも最良の手段、方法をもってこの実現をはかられんことを切に要望する次第であります。  このように、私は若干の問題点を摘出、かつ要望いたしまて、以下付帯決議をつけてこの政府原案に賛成をいたします。  ただいまから付帯決議案の案文の朗読をいたします。    附帯決議(案)         参議院内閣委員会   現在行政機関職長定員法の枠外にある常勤労務者常勤職員)及び非常勤職員中その職務の性質、勤務実態において定員法上の職員と何ら異ならない者が多数に上っている。   本委員会は従来、これら職員の処遇改善につき再三決議を行い、政府もまた早急に解決をはかる旨を屡々言明せるに拘わらず、今日に至るまでの何らの具体的措置がとられていないことは甚だ遺憾である。   政府は速かに本問題の抜本的解決をはかり、もって各行政機関における定員配置の適正化と勤務条件の改善を期すべきである。以上であります。(拍手)
  88. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は上原委員の修正意見及びその修正意見を除く政府原案に賛成の意を表するものであります。ただ一、二私の要望を申し上げておきたいと思います。私は、行政機関職員定員法改正は、いま少し大々的にやっていただきたいというのが平素の念願であります。しかるに政府は、そのことをなさず、きわめて一部分に触れておるこの小さい法律案を提出しておるのでありまして、私は決してこの改正案に十分の満足の意を表することはできないのでありまするけれども、しかし、それが一部分であるとはいえ、一歩前進しておるんだという意味におきまして賛成するものであります。なお、質疑中に、ちょうど大臣が席をはずしておられるときであったかと配慮しておりまするが、私は、この定員法改正について政府部内で研究しておられる途中、行政管理庁はどのくらいの役割を果しておられるか、どういうふうにしてこの定員法改正に関与しておられるかということについてお尋ねいたしましたのに対して、岡部政府委員からお答えをいただいたのでありまするけれども、そのお答えによりまして私は十分に納得するところまで遺憾ながら到達することができなかったのであります。と申しまするのは、どうも大蔵省と各官庁との間の交渉が主になって、行政管理庁のそれに関する関与の程度が弱過ぎたきらいがあったのではないかという感じを今もって去ることができないのであります。元来、こういう問題につきましては、各省庁は一人でも多くの定員をとろうとする、一方大蔵省におきましては、その逆に、一文でも金の節約をしようとする、そこに意見の極端な開きがあるのであります。これでほんとうの裁定ができるはずはないのであります。幸いにして行政管理庁という官庁が特設せられまして、その間に立って第三者の立場において正しい意見をお出しになるに最ももふさわしい行政官庁なのであります。私決して大蔵省及び各官庁が不誠意であるとかというところまでは申したくないのでありますけれども、三つの官庁を比較いたしまするときに、だれが一番公平であるかということを考えるときに、行政管理庁が一番公平な判断を下すであろうということは、私の人ならず、国民一般が考えてしかるべきことであると私は思っておる次第であります。かように考えておりますから、しっかり関与していただきたいというふうに希望しておりましたのでありまするけれども、この結果等から見まして、私はそれが、まだ不十分ではなかったのかということを疑わざるを得ないのであります。この点特に今後御留意になりまして、一段強く関与をしていただきたいというのか私の希望であります。   それから、先ほど岸総理が同僚の質問に対して、行政機構の改革等につき簡素を旨とする、能率を上げるようにしたいというお答えでありました。これはまことにその通りのことでありまして、代々の総理がこれとほとんど同じ答弁をしておられるのであります。これに加えて綱紀の粛正ということがまた非常に大きな問題になった国会もかつてあったのでございます。一番大きく取り上げられたのは吉田内閣のときであったかと思いまするが、あるいは行政委員会の整理、あるいは各種審議会の整理、あるいは全般にわたる職員の大々的あるいは全般にわたる職員の大々的の縮減というようなことに触れられまして、ある程度の効果をおさめられたのでありまするが、一部の強い反対にあいまして、その目的を十分達せられることはできなかったのであります。その後数年たちましても、今日までかような問題について政府のほんとうの決意を示すほどの強い改正案というものが出たことはないと私は記憶しております。今度こそ非常に大きな政党のバツクを持っておられる政府でありまするから、ほんとうに決意してお出しになるということを、私は心から期待しておったのでありまするけれども、これまた当てが大いにはずれたのであります。なるほど行政機構の改革あるいは行政整理というような問題は、非常にむずかしい問題であります。これは普通の問題と違って、外部からだけの反対があるだけでなしに、内部からの反対がより以上に強く起る場合が多いのでありまして、非常なる政府の決意を要する次第であります。しかし今日までの経過を見まするというと、各代々の政府において相当に研究はしておられる、またその関係の審議会の答申も得ておる。官庁内部におきましては、その関係の幹部の諸君の間にも相当に深く、検討されまして、大体この問題に関する意見というものは出尽しておるのじゃないかと私は思います。この後さらに政府が、あるいは何とかの審議会にもう一ぺん諮問してその答申を待ってというようなことをなさるようなお考えがあるのかどうか知りませんが、私はもうそんな必要はないのじゃないか。何べんやられても同じようなことじゃないか。いたずらにじんぜん日を延ばすことじゃないか、もう出尽しておるのだから、そのうちどれが正しい意見であるかということを政府において認定されまして、それを決行されていい時期が来ておるのではないか。つきましては、そのうち政府と申しましても、その中心となる人はもとより総理と主管大臣であります。この両人が断の一字をこの際励行されまして、できるだけ早くその問題に着手され、法案を正しくお作りになりまして、提案されることの一日も早からんことを私は切に希望する次第でございます。   以上を申し述べまして、私の賛成の討論といたします。
  89. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めます。   それではこれより行政機関職員定農法の一部を改正する法律案について採決に入ります。   まず、討論中にありました上原君提出の修正案を問題に供します。上原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 多数でございます。よって上原君提出の修正案は可決されました。   次にただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  91. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 多数でございます。よって本案は多数をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その地自後の手続は、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。    多数意見者署名      松村 秀逸  永岡 光治      木村篤太郎  北村  暢      伊藤 顕道  森中 守義      西岡 ハル  大谷藤之助      上原 正吉  竹下 豐次      秋山長造
  93. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、討論中に述べられました森中君提出の付帯決議案を議題に供します。   森山君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 全会一致と認めます。よって本付帯決議案は一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、ただい決定されました付帯決議案につきまして、大久保国務大臣からのご発言を願います
  95. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただいま御決議に相なりました付帯決議の趣旨は、政府におきましても十分に尊重いたしたいと存じます。一言所感を申し上げます。   —————————————
  96. 亀田得治

    委員長亀田得治君) なお、大臣の出席の機会を利用いたしまして、秋山委員より、行政管理了としても関系のある問題であるというので、住宅公団の問題について若干質問したいとの希望でありまするので、皆さんの御了承を得て、さよう取り計らいたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣お急ぎのようですから、きわめて簡明に御質問したいとます。  極端にお伺いしますが、大臣は、前々回の本委員会で問題になりました堺市の金岡にある日本住宅公団の住宅の問題について御承知でございましょうか。
  98. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 詳しいことは存じませんか、一通り、ちょっと承知しております。
  99. 秋山長造

    ○秋山長造君 実は、もう私詳しいことは申し上げませんが、新聞紙上によりますと、行政管理庁の方でも、同庁の原田弘成監察官を専任監察官として、大阪管区監察局に同公団大阪支所の資料調査を命ずることになった、こういうことが書いてある。これはその通りと了承してよろしゅうございますか。
  100. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この問題が参議院の問題となりまして、ことに読売新聞において現地にわたっての記事がありますので、私の力としても住宅問題としては注意しなければならぬ、問題である。私初めに申し上げたと思いますが、道路問題とか住宅問題とか、問題を起しやすいことについては、私ども行政管理庁としては特に目を離してはいかぬと、こう思っております。そのやさきでありますから、こういう問題が起りましたので、とりあえず事情を内偵せよという話をしておるのは事実であります。
  101. 秋山長造

    ○秋山長造君 あの問題は実は私ども現在われわれとしても究明中ですし、また建設省あるいは住宅公団においても真相を調査、究明中でございますが、今日までのところ、あの用地の買収について、あるいはまた請負契約の適正か不適正かという点について、さらにまた工事を施行する過程における当局の監督が十分であったかどうかというような点、さらにまた竣工検査が十分に行われていなかったのではないかというような点、さらに竣工後のあの住宅の管理がきわめて不行き届きであった点、こういう問題点があると思うのです。本年度においては政府は住宅建設ということに一そう力を入れて、日本住宅公団に対する財政投融資にしても、昨年度の二百十三億円からことしは一躍三百六十五億円というように大幅にふやされて、そうしてさらにこの公団住宅の増設ということに力を注がれることになっておる。で、こういうやさきに今の金岡団地の住宅のような問題があちこちで起るということになったら、これは私は大へんな問題だと思うのです。勢い政府の住宅政策そのものがこれはもう根本からくずれると思う。幸いにして行政管理庁におきましては、本年度行政監察計画の中に公団の監察ということを承点的に取り上げておられる。どうか一つこういう具体的な問題の起っておるやさきでもございますから、一つ今後の行政監察のスケジュールを思い切って繰り上げていただいて、今直ちに、この金岡団地の問題に限らず、住宅公団全般に対して徹底して行政監察をおやりになるように私はこの際お願いしたい。特に長官は、行政管理庁の長官であると同時に、国家公安委員会の最高責任者でもあられるのです。だからこの公団の監察については最適任者であると私は確信をするものです。どうか一つ、いやしくも公団の経理あるいは事業運営等についても不明瞭があったり、あるいは不正があったり、不適正な点があったりして、そのために世間の指弾を受けるということの万々ないように、一つ全力をあげてやっていただきたいと思う。この点についての御用意のほどをお伺いしたい。
  102. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) さっきも申しました通り、この事件については相当の関心を持って、直ちに内偵せよという指令を発してありますが、実を申せば、ただいま行管で一番力を入れておるのは、防衛庁の調査と食管会計の調査であります。これは二つとも重要な問題で、ほとんど全力をあげて、と言っては語弊があるかもしれませんが、皆力を入れておる最中である。その最中にこういう問題が起ったのでありますけれども、これはある程度手をさいてもこの問題の調査に当りたいと、こう思います。
  103. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう一点だけお伺いします。  さらに、今もちょっと一言申し上げたことなんですけれども、この金岡団地の問題については、用地の買収についての手続、それからまた請負契約についての手続、そういう問題をめぐって刑事事件も起りかねないのじゃないかというようなことすら私どもは聞いているのです。こういう点につきましても、これは大臣は国家公安委員会の委員長なんですから、この行政監察の面と、それからこの警察行政の面と、両面から私は一つこういう問題はこの際徹底的にやはり究明していただきたいと思うのです。で、その点についても特にお願いをしておきたいと思いますので、その点の御用意あるかどうか伺いたい。
  104. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 行管について指示したのは事実であります。それについてのまだ詳しき調査の報告はきておりません。そのうちに参ると思います。その結果を見てまた決意を新たにして大々的に話し合うこともあるかもしれませんが、今のところはそういう状況であります。  また警察の発動問題でありますが、これは私から特に指令いたしませんでも、地元の警察は当然内偵しておると信じます。   —————————————
  105. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは次に国の防衛に関する調査を議題に供します。  伊丹基地返還に関する事情及びその善後措置等についてまず御報告を願いたいと存じます。
  106. 今井久

    政府委員(今井久君) 伊丹飛行場につきましては、昨三日付をもちまして米極東軍司令部の施設委員会代表より私あてといたしまして、近き将来において伊丹飛行場を返還するという簡単な書面を受け取つた次第でございます。本日まだそれを受けました程度でございまして、正式に返還に相なりまする時期がいつであるかということは、まだはっきり確定いたしておりません。また返還の内容等につきましてもまだわかっておらないのでございます。私どもといたしましては、さっそくこれらの事情等も聞き合せまして、返還に相なりました後におきましては、調達庁を離れまして、政府部内の関係各省の間のまた打ち合せ等もあろうかと存じます。  以上、簡単でございますが、御報告を終ります。
  107. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  108. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 返還されたらどこの管轄になりますか。
  109. 今井久

    政府委員(今井久君) 一応この国有につきましては、私の方で返還事務といたしまして返還を受けまして、そうして大蔵省に引き継ぐと、こういう順序になるかと存じます。
  110. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 従来基地を返還された場合、大体そういう通知が出てから何カ月くらいで返還が実現いたしましたか。
  111. 今井久

    政府委員(今井久君) この本日受けました通知は、きわめてばく然としておりますのでございますが、近い将来において伊丹の、飛行場を返還する意思であると、こういう簡単な書面でございます。従来このような内報というものがありませんで、正式なものといたしまして返還すると、こういうふうに私の方に参ります場合が大部分でございます。これはおそらくまあ伊丹の飛行場というものがいろいろな面で大事なところであるというようなことで、好意的に早く知らせるということで、私どもに参ったのではないかと存じておる次第でございます。
  112. 秋山長造

    ○秋山長造君 伊丹の飛行場を返された理由は、まあ今おっしゃるようににわかにはっきりっかめないのですが、私想像するのに、幾つかの理由の中の一つの理由としては、やはりあそこのああいう土地柄、いろいろなこれは経済的あるいは文化的、まあその他いろいろな面での、土地柄からいって、どうも軍用飛行場として不向きだということが一つあるのじゃないかと思うのですがね。その点いかがでしょう。
  113. 今井久

    政府委員(今井久君) どういう理由であるかということは、実は私の方に、先ほど申しました通りに、今のところわかっておらぬのでございます。まあ軍といたしまして配備計画というものがときどき変っておりますので、そういうような計画の変更というようなことがございまして、そうしてまた、なるべく早く施設を返還するようにした方がいい、こういうような見地で参ったのではないかと存じておる次第でございます。ただいま御指摘に相なりましたような理由がどうかということは、ちょっと私といたしまして、ただいま推察できないのでございます。
  114. 秋山長造

    ○秋山長造君 伊丹の基地については、地元でずいぶん反対運動等が従来あったことは御承知だと思うのでありますが、これは、アメリカ軍の基地であろうと、あるいは自衛隊の基地であろうと、いずれにしても、あそこに軍事基地があるということは適当でないということから出発したものだと私は思うのです。よく今まであちこちの基地で例があるように、駐留軍は返したけれども、そっくりそのまま今度は自衛隊の基地になる、自衛隊の演習場になる、自衛隊の飛行場になるという形は、伊丹の場合、最も好ましくないのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうなりますでしょうか。今後のことに属するわけですけれども、あなたの方で、どういうようなおつもりでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  115. 今井久

    政府委員(今井久君) 調達庁といたしましては、施設の提供、返還というような事務をいたしております関係上、先ほど御報告申し上げました通りに、先方の施設委員会の代表から、同じく私が日本の施設委員会の代表をいたして、私どものところへ返還の通知があった次第でございます。今後これがどうなるかということにつきましては、実は、これは私ども調達庁の仕事の外にあるような関係でございまして、私からどうこうということはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  116. 秋山長造

    ○秋山長造君 将来どうするかという問題については、あなたの方に権限がないというようなお話ですけれども、しかしこれは、返された後、将来どうするかということについては、調達庁長官もこれは重要な相談にあずかられるお一人だと思いますが、全然そういうことには関係なさらぬのですか、あなたは。
  117. 今井久

    政府委員(今井久君) 私が従来やっております仕事から申し上げますと、窓口といたしまして返還を受けまして、そしてそれが個人のものであれば、私どもの方から個人に返す、国有に属するものにつきましては国有の施設の所管の方へ返還をいたす、こういうことでやっておるような次第でございます。従いまして、今後それをどうするかということは、おのおのの権限のある役所、所管をする役所において相談をしていくことになるように仕事をしておる次第でございます。
  118. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう二点お伺いしますが、一点は、返還の予定されておる伊丹の飛行場は全部が国有地であるのかどうかという点と、それからもう一点は、従来自衛隊の方から、この伊丹の駐留軍飛行場を自衛隊の飛行場にしたいという話があったのかどうか、その二点お伺いします。
  119. 今井久

    政府委員(今井久君) 第一点の御質問でございますが、土地といたしましては、伊丹の総面積は六十六万四千八百四十五坪、そのうちで六千九百七十九坪というものが民有地でございまして、あとの六十五万七千八百六十六坪というものが国有地になっております。このほかに、建物といたしまして、二百二十九棟、一万五千四百一坪というものが建物として使われております。その中で、民有建物が三千二百坪ということに相なっております。  それから第二点に御質疑のございました従来自衛隊が共同使用するという点についての話があったかということにつきましては、私の方にその点につきまして正式の話は聞いておりませんのでございます。
  120. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今お話の民有地六千何百坪、建物三千何百坪、それが返ってさましたら、従来の持主との関係で補償等の関係が出てくると思いますが、どういうふうな関係になりますか。
  121. 今井久

    政府委員(今井久君) これが返ります場合に、接収いたしました当時と返りましたときとを比べまして、損害等がございますれば、これは返還する場合に補償をいたすということに相なる次第でございます。
  122. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現場を調達庁で御調査になって、妥当と認める線で補償する必要があればする、こういうことでございますか。
  123. 今井久

    政府委員(今井久君) 現場を調査いたしまして、そうして補償する必要があるかどうかということを調べまして、その上で補償するということに相なると思います。
  124. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと私二、三伊丹のことで確かめてみたいと思うのですが、従来は内報がなかったようですが、今回は特に内報があったというのは、これは何か特別な背後の事情等があるのでしょうか。
  125. 今井久

    政府委員(今井久君) その点は、特段に背後の事情というようなことは私はないと存じます。ただ、伊丹の方の航空基地というものが非常に大事なところでありますし、また先般来御承知の通りに、国際空港というようなことでずいぶん新聞等にも出ておりました。そういうようなことで、なるべく早く知らせる、こういうことじゃないかと私どもは想像しておる次第でございます。
  126. 亀田得治

    委員長亀田得治君) もう一つ条件というようなものがついておるのかおらぬのか。表面上の文章としては、近き将来返還する、それだけになっておるというのですか。たとえば、将来国際空港にするとか、あるいは米軍側にも若干使わすとかあるいは自衛隊にも若干使わすとか、何かそういうようなものが背後にあって、従って内報というようなものを一つ出してみて、その点はどうかというふうな点を確かめて、どうもそれがうまく行かなかったらだめだという含みが若干あるような感じも実はこの問題についてはいろいろいきさつがあるものですから感ずるのですが、そういうような条件などはないでしょうか。
  127. 今井久

    政府委員(今井久君) 私の方へ三日付で参りました書面は、御報告申し上げました通りに、近き将来において伊丹飛行場を返還をする用意がある、こういう簡単な文書でございましてその通りでございます。今後その時期とか、あるいは返還につきましての問題等がありますれば、それはその機会に正式に表明されるのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  128. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 地元では、これは非常にその将来の扱い方を実は関心を持っておるのです。地元では軍事基地反対ということで非常なああいう反対運動が盛んに起きていたわけですが、これは特殊な場所なんですね。ああいう三都市に囲まれた、極端にいえば再軍備政策をとるというような立場に立っても、これからの飛行場はああいうところはとても無理だ、軍用飛行場は。そういう感じは強く一致して出ておるわけです。そういう点からいきますと、たとえば自衛隊に使わとすか、君の方にやるが、国際空港にすれば地元の反対は緩和できて、そうして拡張しやすい、そのかわりあとを若干はおれにも使わせろというようなものが出てくるような話であれば、今後の具体的なあなたとの折衝によって、これはよほど注意してもらわないと、おそらくけさの報道で、地元の人たちは非常に喜んでおると思うのですが、そういう問題が背後に伏在しておるとすると、相当問題が紛糾してくると思うのですね。そういう問題が出てきた場合に、長官としては、この場所柄からいってどういうふうな気持でおられるか。若干仮定のようなことにもなりますが、しかしこれは現実にみんな先ばしって関心を持っておる問題であるだけに、ちょっと聞いておきたいと思います。
  129. 今井久

    政府委員(今井久君) その点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、昨日付で私が受けました書面は、きわめて簡単なものでございまして、内容等はないのでございます。私といたしましては、できるだけ完全なもので返還を受けたいという気持を持っておる次第でございます。
  130. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まあ今の段階では無理かと思いますが、私が申し上げたような点、十分一つこれは慎重に取り扱ってもらいたいということを要望しておきます。  それから近き将来というのは、大体六月ころを予定しておるというふうにもちょっとうわさに聞いたのですが、どういう程度なんですか。
  131. 今井久

    政府委員(今井久君) この近き将来ということが文字にございましたが、私どもといたしましてもその時期をはっきり知っておきたい、こう思いまして、実はけさほども問い合したような次第でございますが、向うといたしましては、ただいまのところ、いつごろであるかということは申しかねる状況であるという答えでございまして、私どもといたしまして、今日いつごろであるかということを申し上げることができない次第でございます。
  132. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そうしますと特にこういう内報をしてくれた意味が実はなくなって、そうするとやはり一部の人が憶測するように、何か観測気球を上げてみて、その反響を見るというふうな憶測もやはり出てくるのですね。今までにない方法でやってきたのだから、だからこの辺は重ねてこれはよく御注意されていろいろ折衝してもらいたい。それから施設委員会の日本側のあなたが責任者というわけですが、その具体的な返還についてのしからば施設委員会としての交渉ですね、これはいつごろから始まることになるのですか。
  133. 今井久

    政府委員(今井久君) 私どもといたしましては、向うの返還する状況、またいつごろ——時期的にいうといつごろになるかというような点につきましては、さっそく私どものところでなるべく早く知りたいと実は考えております。さっそくそれらの状況を向うに聞き合せたいということを考えておる次第でございます。ただ、ただいままでのところは、先ほど申しました通り、時期につきましても明確にいつごろということを聞いておらなかったのでございますが、そのうちには大体の時期等もわかるかと思っておる次第でございます。
  134. 永岡光治

    ○永岡光治君 大へんいい機会がありますので、一つお尋ねいたしますが、先般、内閣委員会調査で東海地方へ参りました節、名古屋郵政局がいまだに病院に使われて返っていない。しばしばこの問題については関係委員会の方で強い要望が出ております。当局に返還してくれと、聞けばその方向に進みつつあるというお話しを聞いておるわけです。今日の時点においてどの程度進んでおるのか、ぜひその辺の事情をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 今井久

    政府委員(今井久君) お答え申し上げます。名古屋郵政局が現在米軍に使われておりまして、非常に御不便をかけておる次第でございます。この点につきましては、昨年十一月ごろかと存じますが、私、これら郵政関係の各施設で現在まだ解除になってないもの等も調査いたしたのでございます。それで、あるいはここに資料を持っておりませんので、間違っておるかと存じますが、名古屋郵政局のほかに仙台にもまだあるというふうに伺います。それでこれらの郵政局の建物につきましてなるべくすみやかに返還をしてもらうように、その当時さっそく施設委員会にも要求をいたしました。また私自身、米軍の施設委員会の代表にも折衝をいたしたのでございます。そうしてなるべくすみやかに一つ返還をしてもらいたいということを強く要望いたしました。これに関する公式な一つ表示をしてもらいたいということを要望いたしましたところ、本年度の十一月以前には返還をする見込みであるという実は回答をもらっておる次第でございます。
  136. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは私たちも実情を拝見さしていただいたわけですけれども、御承知の通り、あすこは陳列館といいますか、何かそういう商工会館みたいなことになっておる、事務室にはきわめて不適当な建物です。大へん暗い中で仕事をしておる。暖房装置もついていない、きわめて不便な状況であり、能率も上らないということ、はなはだしいという陳情も受けておりますので、十一月までに返還するということであれば、そう間もないことであると思います。なおすみやかに返還方を、最善の努力をしていただくようにお願いをいたして、私の質問を終りたいと思います。
  137. 今井久

    政府委員(今井久君) その点につきましては、さらに最善の努力をいたして御要望に沿いたいと存じます。
  138. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 伊丹飛行場の返還に関連して二、三お伺いしたいと思うのですが、例のあの相馬ケ原の演習地を初めとして、全国には演習地の一部分的に全く使われていない不用地が相当あるように聞いておるのですけれども、調達庁は全国的な実態調査したものでもございますかどうか。まずそれをお伺いしたいと思います
  139. 今井久

    政府委員(今井久君) ただいまの御質問の点につきましては、ただいまここに資料は持っておりませんが、多分調達庁にはそれらの点の詳細に調べたものがあろうかと存じます。
  140. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 もしございますればけっこうなんですが、ない場合には一つ早急にその実態調査していただきたい。御承知のように相馬ケ原では現地の農民は、よく長官も御承知のように、相当熱心に、たとい一部分でもいいから戻していただきたいということを叫び続けておるわけですね。そういう実情にかんがみて、今後一つ米軍に交渉して、全く使われない不用地等については、一つ部分的でもよろしいから、まず米軍との交渉によって、農民の要求にかなうよう一つそういう交渉をとってもらえるかどうか、ぜひわれわれとしてはそういう交渉を強力に持っていただきたいということをお願いしたいわけです。その点について……。
  141. 今井久

    政府委員(今井久君) まことにごもっともな御要望でございまして、相馬ケ原につきましても、御承知の通りに十五町歩でございますか、農耕しておる土地につきまして現在の施設区域からはずしてもらいたいという御要望があることは、私どもよく承知しております。この点につきましては、私どもといたしましても米軍に対して強く折衝しておる次第でございます。相馬ケ原以外のものにつきましても、私どもの方で常に演習地その他、検討いたしまして、そうしていやしくも使っておらないというようなものがありますものは、常に一部返還というようなことを米軍に対して施設委員会を通じて要望しておりまして、たびたびそれらのことが議題に上っておる次第でございます。先日九十九里浜につきましても、従来保留施設として二十六万坪ございましたのですが、これら使っておらない大部分の土地を正式に認めます場合に返してもらいまして、残り六万坪を正式協定により施設区域とした次第でございます。  御不審の点につきましては、今後さらにに十分検討いたしまして、努力いたしたいと存じます。
  142. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今、百里原の話が出ましたけれども、私も先般、内閣委員会委員として茨城県下へ参りまして神ノ池、百里原飛行場、こういう面について実態調査して参ったのですけれども、その後調達庁としては神ノ池、百里原についてはどういうふうに考えておられますか。
  143. 今井久

    政府委員(今井久君) 百里原、それから神ノ池は、米軍に提供しておりますものでないのでございまして、たしか防衛庁の管轄かと存じます。私どもとしてあの問題は取り扱っておらない次第でございます。
  144. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今これを調達庁にお伺いするのは筋違いかと思いますが、法務省にお伺いしたいと思いますが、やはり調達庁に相当関連があることでありますので……。例の日米合同委員会の小委員会は先月の十一日に第一回を持たれ、日本側としては十九日に第二回をしたいという御要望でありましたけれども、これは退けられて、米軍の意思に従って先月の二十六日に第二回の合同委員会の小委員会を持たれたはずでありますが、それから十日もたっております。これはまた機会を得て法務省に十分お聞きしたいと思いますが、これと関連が相当おるので、御承知だったらその実態を伺わせていただきたいと思います。
  145. 今井久

    政府委員(今井久君) 今の御質問の点は、刑事特別、委員会のことではないかと思いますが、あの点につきましては、私ども全然関係しておりませんので、お答え申し上げることができません。
  146. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 御存じなければけっこうです。また法務省に伺いますから。
  147. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは本件に関する質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会