○森中守義君 私は日本社会党を代表いたしまして、
政府の提案になる
行政機関
職員員巨法の一部を
改正する
法律案に賛成をいたします。ただし若干の
意見をこの際申し上げておきたいと思うのであります。
一昨日来、
政府当局と本
委員会における
委員との質疑応答の中で明らかになった問題が多々ありますが、その中で要約をいたしますと、今この
定員法に定めるいわゆる
定員の基準そのものについて、相当
検討の余地があるということでございます。たとえば、農林省においてもしかり、文部省、建設省あるいは総理府、
郵政省、かように全省にわたりまして、いわば二十四年以来、数次にわたる
行政整理の結果、今この
定員の設置基準になっておるのでありますが、これはすでに数年を経過した今日、必ずしも
行政の実情にマッチするものかどうかということは、はなはだ疑問とせざるを得ません。従ってこの際、私は
政府当局におかれまして、総体的な
行政機関職長の
各省における
配置が妥当であるか、あるいはどうであるかということの抜本的再
検討をまず
政府当局に
要請をしたいと思うのであります。その次に、
年度ごとに、ことに三十二
年度における
各省が行管を通じ、さらには
大蔵省に対して要求をいたしました
定員の算出の根拠であります、積算の根拠につきまして、一例をあげるならば、
郵政省は事業
官庁でありますが、各地域々々におけるいわゆる実体
定員の中から若干不足しておる、あるいはこれだけが必要だという実体
定員の要求ではなくて、ややもすると想定的な、あるいは
予算上の
定員要求になっておりまして、果して想定要求あるいは
予算要求というものが、各
行政機関ごとに正当な
定員の適正な
配置となり得るかどうか、その要求の根拠の脆弱性を指摘しなければなりません。来
年度以降におきましては、この
各省が
大蔵省あるいは行管に対する
定員要求の積算の根拠というものは、あくまでも
実態に照らして、あくまでも
国民に奉仕する
行政機関としての正しい適正なる
定員の算出を私は要望して、おきたいと思うのであります。
さらにもう
一つは、
行政管理庁の
態度でありますが、今朝来、大蔵当局及び行管をまじえた私
どもとの一問一答の中に、ややもすると
行政管理庁が保有する権限、
大蔵省が保持する権限が、一致協力の態勢にあるとはいいながら、ややもすると
大蔵省は
予算査定の建前といい、
行政管理庁はそのことをあえて実行するというようなこういう気魄に欠けておるのじゃないかと思います。従いまして、
行政管理庁はあくまでも全省にわたっての
定員の審査権を持っております。きぜんたる
態度をもって、
大蔵省が
予算を理由にして
定員の
査定をしようとするならば、あくまでも
各省の立場に立って
定員の要求に私は実現をはかられたい、かように考える次第であります。
さらにもう
一つ、
大蔵省に対する問題でありますが、これは今申し述べましたように、
予算編成を理由にややもすると
各省に対し実質的な、結果的な
行政、干渉を行うようなきらいが私は随時あるのではないかと考えております。もちろん国全体の財政
方針あるいは経済の面から、一面そのことは了解できる点もありますが、そのことによって
行政干渉にわたり、結果的に
国民の
行政が萎縮したり、あるいは十分なる満足なる
行政の執行ができない、こういうことであるといたしまするならば、正にこれは悔いを千載に残さなければなりませんし、今朝来
大久保国務相はそのことを若干肯定されたようでありますけれ
ども、
大蔵省が
予算編成の理由のもとに
行政干渉を行うという事実があるとするならば、これは私は徹底的に究明しなければならないし、これに対する
行政管理庁の私は
大蔵省に対してきぜんたる
態度をこの際要望したいと思うのであります。さらに
非常勤の問題でありますが、これは今朝岸総理に質問をいたしましたように、二百三十円あるいは二百四十円、こういうきわめて殺人的な低賃金のもとに採用され、しかもその低賃金における稼働の期間というものは、長きに至っては八年、短かくても三年、四年というこの状態は、今日の岸
内閣が完全雇用政策を掲げ、
国民に完全、雇用を誓約している以上、絶対に容認さるべき問題では断じてありません。しかも戦前におけるいわゆる陸軍や海軍の工廠に多くの青少年を動員いたしまして、しかも不安定な身分の中にその人たちを使ったと同じような残滓が、私はこの
非常勤制度の二面を物語るものと考えております。かつまた、全省を通じ三九十数万余にわたるこの種の人たちが国の機関に働いているわけでありますが、先刻も申し上げたように二百三十円、四十円ということで家族四名、五を抱えて、果たして私は完全な
国民に奉仕する国の機関で働けるかどうか。今までのこの種の悲惨なるできごとを
調査すれば、私は際限なく発見できると思うのでありまして、すみやかにこの賃金の
向上と同時に、五十数万に上る人たちは、るる申し上げたように、打ち続く
行政整理の結果、国の全
行政機関には五十数万人が必要であるということを物語っているではありませんか。午前中に、国の
行政機構を簡素化する、こういっような意向がありましたが、戦前と戦後における社会構造あるいは国家構造は、本質的にその姿を変えております。従って、あくまでも
現状の
定員を縮減すべきではなくして、すみやかに
非常勤五十数万人のものを一挙に、あるいは漸進的にでも、この際本
定員に組みかえることこそが至当ではないかと考える次第であります。そして、この
委員会における
答弁において、
政府当局は口をそろえて、
国家公務員調査制度のこの
結論を待って総合的に
検討を加え、そしてそのことを実施したい、かような
答弁であります。どうしてもこの
制度の
結論を待つには若干の時間がかかりましょうし、その期間を待つということには、ただいま申し上げた
非常勤のごときは時間的に余裕のできない問題であります。従いまして、この
制度調査は、一日もその日の早からんことを望むものであります。いわんやこの
制度が
公務員の諸権利を剥奪する、あるいは国の機関が
国民に奉仕することにふさわしくないような、人事院の廃止であるとか、あるいは
公社制度の改革であるとか、一連のいわゆる反動的な
政府の意図がかりにもこの
制度調査の中にあるとするならば、これは私は断じて排除してもらいたいと思います。むしろ今日の国情に合うような、そして国家百年の大計がこの
制度の中に生かされるように要望を申し上げてやまない次第であります。さらに最後に申し述べたいことは、いわゆる
定員法の中に事業
官庁をしばっておりますが、このことの当否は、私はかなり喫緊の問題ではないかと考えております。郵政あるいは五現菜、こういったような
官庁は、おのおのがその省における、その庁における収入によって、私は大いに自主性を発揮し、
国民に対するサービスの提供を、国家機関としての本質を発揮しなければならないと思いますので、この五現業に対する
定員法のワクをはめておくこと自体に対しては、いささか問題があろうかと考える次第でございますので、これもまた
制度調査の中において十二分に
検討を加えられて、願わくば
定員法撤廃の方向に私はぜひ進めていただきたいと存ずる次第でございます。そして具体的に、農林省あるいは
郵政省、あるいは建設省、総理府の中における恩給局、その他全省が、少くともこれこれの人間は必要であると出している、こういう問題点につきましては、具体的に閣議で
検討を願うなり、あるいは次官会議や、あるいは
行政管理庁、
大蔵省と即刻御協議の上、今、
予算の修正が困難であり、そしてまたこのことをこの
委員会で決定することも困難であることは、私は認識をいたしますけれ
ども、だからといってこれを来年に持ち越すということは、これまたきわめて重要な問題でありますので、ただいま申し上げたように、すみやかに
関係者御協議の上、とり得る最大の、しかも最良の手段、方法をもってこの実現をはかられんことを切に要望する次第であります。
このように、私は若干の問題点を摘出、かつ要望いたしまて、以下付帯決議をつけてこの
政府原案に賛成をいたします。
ただいまから付帯決議案の案文の朗読をいたします。
附帯決議(案)
参議院
内閣委員会
現在
行政機関職長
定員法の枠外にある
常勤労務者(
常勤職員)及び
非常勤職員中その職務の性質、
勤務の
実態において
定員法上の
職員と何ら異ならない者が多数に上っている。
本
委員会は従来、これら
職員の処遇改善につき再三決議を行い、
政府もまた早急に
解決をはかる旨を屡々言明せるに拘わらず、今日に至るまでの何らの具体的措置がとられていないことは甚だ遺憾である。
政府は速かに本問題の抜本的
解決をはかり、もって各
行政機関における
定員配置の適正化と
勤務条件の改善を期すべきである。以上であります。(拍手)