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国務大臣(
松浦周太郎君) 田畑
委員の御
指摘になりました問題は、日本
経済——日本の現在において最も大きな問題であると思います。また非常に御研究なさっておられる、うんちくを傾けられまして、私ども非常に参考になるのであります。御同様に考えております。やはりこの第一次産業、第三次産業というものは、ふえるということは望ましいことではございません。しかし
政府の施策が、今、決議を皆さんにしていただきました脊梁山脈を縦貫する道路を作るということは、大きな国土開発になるんですね。もう
一つは、私は北海道でありますけれども、今年農林省が考えておりますところの寒地農業転換策がほんとうに具体的に今考えておるようにやれますというと、デンマークのような農業経営に——暖地農業が亜寒帯農業経営にかわって参りましたならば、一千万人ぐういの収容力がある、あれだけの広い所でありますから、あると思うのです。その施策を行えば、第一次産業であっても完全な
雇用量であると思うのです。そうでない現在の状況で、二三男が農村に潜在失業の姿においております場合においては、ほとんど第一次産業には
雇用量を吸収する能力がないと私は思っております。そこで、第一次産業をふやそうとするならば、今の目先といたしましては、縦貫道路の完成を急ぐ。もう
一つは、東北、北海道の暖地農業経営というものを亜寒帯農業経営に切りかえる——寒地農業経営に切りかえる。それに対する総合施策をやるということが行われた場合においては、これは第一次産業がふえますから、その施策をある
程度来年度から、幾らの金が見込まれるかわかりませんけれども、その金が投じられるに従って、その資金の効率は上っていくものと思っております。それから第二次産業の問題であります。今も御
指摘になりました、オートメーションあるいは大企業の企業
合理化あるいは労働の生産性ということによって、日本の産業がむしろ失業者を出す形体ではないかという御
指摘でありますが、これはごもっともであります。しかし私はオートメーション、近代設備、生産性向上ということは、一時失業者が出ても、これはやるべきであるという考えの上に立っております。そこで大企業の方は大体その方向に向っておりますから、今後やらなければならぬのは
中小企業であると思うのです。この
中小企業そのものは、日本の貿易に対して大きな役割を果しておりますが、現在の設備、現在の科学化というか、
技術化というか、他国と比べてみるというと非常に劣っております。劣っておるが、日本の労力が非常に安いものですから、それに勤勉ですから、どうやら貿易をやっておるのでございますが、この貿易量をふやすということについては、やはり
中小企業を育成していく、
中小企業を近代設備化していくということなんです。その近代設備化するといいましても、大企業のオートメーションのようなふうにはできませんから、まあ近代的な機械と
技術を導入するということであります。そうして日本の使命は、これらによって良品廉価で国際市場を獲擬することに成功したならば、
仕事の量はますますふえますから、そこで初めて
雇用量が増大される。現在の二十四億あるいはことしは二十八億でありますが、それだけのものを作るだけのオートメーションや機械化であったのでは、それは何にもならないと思うのです。私は、日本の
経済の発展というもの、日本の
雇用量の増大というものは、二つの柱の上に考えるべきだ。
一つは国土総合開発
計画の完成、地下資源も海洋資源もあるいは農業の方面もみな入るのでありますが、それの完成、
一つはやはり加工貿易の線において生命をつなぐ。でございますから、加工貿易を自国の産業の中心と考えるのであるならば、他国の設備よりも優秀なものであって、優秀な設備でなければならない。そうしてそれがどこの国よりもよいものであって、どこの国よりも安いものでなければならないということが、私は
一つの条件であると思う。それを行うためには、やはり関税障壁なんかの問題がございますから、
経済外交というものをかね備えていかなければならない。そういうことになって参りましたならば、一時的には失業者があるいは出るかもしれません。あるいは一時的に。今日非常なへんぱな労働時間になっております。第二次産業がある
程度進化してきた。ところが
技術者がないものでありますから、一週六十時間も七十時間も働かせられる。それはかわりがないというようなことでありますから、こういうような問題についても、これは完全
雇用に
関係するものでございますが、日本の
教育はやっぱり変えていかなければならない。文科本位のものを八〇%も出しておる。日本の産業
経済の要求しておるものは、逆に八〇%の
技術員であって、二〇%はこの文科でいい。オートメーション時代に帳づけするだけなのですから、何も文科出はあまり要らない。ところが
教育はそうではないというようなことでありますから、こういう点も、今申しましたような日本の産業が進み、日本の貿易が伸展するとともに、並行して、日本の
教育制度、日本の
技術者の
養成ということも、これは忘れてはならない要素であると思うのであります。今申しましたような総合施策を立てていくもとの
審議をすることが、
雇用審議会の私は一番大きな要素であると思っております。でありますから、今お問いがありましたからお答えいたしたのでありますが、私は議員もいたしておりますけれども、小さな商売をいたしております。毎日私は朝は貿易の報告を受けております。私の携わっておるのは材木でありまして、ヨーロッパにはナラのインチ材、アメリカには北海道の特殊合板を出しております。その報告を毎日聞いております。ところが最近の状況は楽観を許しません。それはなぜかというと、やはり日本のコストが上ってきておる。これを克服していくのでなければ、日本の貿易は発展しないと思うのです。日本の貿易が発展しなければ、あとの金の分け合いを何ぼ協議したり、何ぼ論争したりしたって、もとがふえなければ何にもならないのでありますから、私はどうしてもこの他国と競争していくということについては、加工貿易と国内の資源の総合開発、この二つの線の上に沿って、この
雇用量の増大をし、完全
雇用に持っていきたいというのが私の考えであり、現
内閣におきましてもこの考え方は変らないと思います。その線に沿って努力いたしたいと思いますかう、御協力願います。