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1957-03-07 第26回国会 参議院 内閣委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年三月七日(木曜日) 午前十時五十分開会
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
亀田
得治
君 理事 上原 正吉君
大谷藤
之介君 秋山 長造君
竹下
豐次君
委員
寺本 広作君
松岡
平市君
荒木正三郎
君 伊藤
顕道
君
田畑
金光君 永岡 光治君 八木 幸吉君 国務大臣 法 務 大 臣 中村 梅吉君 国 務 大 臣 宇田 耕一君
政府委員
調達庁長官
今井 久君
調達庁不動産部
長 松木 豐馬君
行政管理政務次
官
楠美
省吾君
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
法務政務次官
松平
勇雄
君
法務省刑事局長
井本 臺吉君
外務省欧米局長
千葉 皓君
厚生政務次官
中垣 國男君
厚生大臣官房総
務課長
牛丸
義留
君
事務局側
常任委員会専門
員
杉田正三郎
君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
派遣委員
の
報告
○
厚生省設置法
の一部を改正する
法律
案(
内閣送付
、
予備審査
) ○
科学技術庁設置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
法務省設置法
の一部を改正する
法律
案(
内閣送付
、
予備審査
) ○国の
防衛
に関する
調査
の件(
相馬ケ
原演習場事件
に関する件)
—————————————
亀田得治
1
○
委員長
(
亀田得治
君) これより
内閣委員会
を開会いたします。 まず、
派遣委員
の
報告
の件を議題に供します。
九州班
の
派遣報告
につきましては、
委員長
である私も参加いたしましたので、
派遣委員
を代表して、便宜私から
報告
させていたたきたいと存じます。
竹下委員
、
松岡委員
と私の三名は、
内閣委員会
の決定に基きまして、二月十九日より同月二十七日までの九日間、
福岡
、
大分
及び宮崎各県下の
飛行場基地
及び国の
出先機関
の
業務運営等
の
実情
を
調査
して参りました。
視察先
は、
福岡管区監察局
、
福岡調達局
、
板付飛行場
、
九州大学
、
福岡県庁
、
築城飛行場
、第七
管区海上保安本部
、
八幡製鉄所
、
大分県庁
、
大分地方監察局
、
宮崎地方監察局
、
宮崎県庁
、
新田原基地
、航空大学校でありまして、以下視察いたして参りました順序に従いまして、御
報告
いたしたいと思います。 まず、
日程
の第二日は、
福岡管区監察局
に参りまして、
監察業務運営
の
状況
並びに今年度中に実施した
監察
の
具体的成果
などについて
調査
いたしました。特に
監察業務運営
の
説明
に当って、第一に、
監察
を行う者として、特にその身を持することに厳でなければならないことは、言うまでもないことであるが、
福岡管区
内においては、一般的に見て、清廉の点においては、他の官公庁にその比を見ないものがあると自負しており、
職員
は、乏しい日常の
生活
に耐え、職務に関連する誘惑を排除しつつ、黙々とその職貴を果しつつあること、第二に、
行政監察
は、
会計検査
と異なり、
政府
に対して独立の存在をなすものではなく、
一般行政機関
の一つとして、
政府
の政策に服し、完全にその
益統制
に従う仕組みになっているが、その
益性格
上、
監察行政
の
執行自体
については、ある程度の
独立性
を保持すべきであろうと考えていること、第三に、
監察
の
手段方法
の問題として、
公共企業体
や公団、
公庫等
の
業務
全体の
経営分析
をなし、
企業体
としての
能率増進
に寄与すること、及び
行政機関
の各種の
行政
に関し、その執行の大体の傾向を把握し、制度、
法律
上所要の改正を促すという
方法
はもとより必要であるが、一面、これらと並行して、個々の
不当不正事例
を求めて、即座にその
不当不正行為
の是正を求めるとともに、具体的に責任の所在を追及し、
責任者
に対する適当なる
措置
を促し、もって綱紀の粛正をはかるという
方法
も、
監察
の
効果挙揚
のために併用する必要があるということ、第四に、各
省内部
でそれぞれ行なっている
自体監察
との
益重複
の問題については、各省の
自体監察
は、それぞれ
かなり
の
成果
をあげているようであるが、
自体監察
の宿命的な問題として、ある程度以上触れ得ないことがあり、やはり
監察局
は、独自の立場より
監察
を行う必要があり、
現状
においては二本立の
監察
はやむを得ないこと、第五に、
監察業務
は、これを受ける機関からは例外なしに敬遠され、いやがられる仕事であるのみならず、世間的にもきわめて地味な、俗受けのしない性格の仕事である
関係
上、
職員
をして感奮興起せしめ、もって
監察業務
の完璧を期するため、国会初め
政府
並びに
社会一般
の理解と特段の配慮を
要望
する旨の
意見
がそれぞれ述べられたのであります。 なお、
苦情相談業務
は、厚生、
農林関係
に多く、直接自分に
関係
のある問題で、
関係官庁
に手続をしてもなかなかはかどらないものについて、
相談
を持ち込まれることが多く、これらを解決して
感謝状
の送られてくることがしばしばあり、非常に好評を博している旨の
説明
を聞き、喜ばしい傾向であると感じた次第であります。私
ども
は、時間の
関係
上、
監察業務実績
については、
説明
を受けることを省略し、資料によって
調査
いたしたの益でありますが、相当の
成果
をあげておるように思われました。
最後
に、人員、旅費、
予算等
について、
具体的事例
をあげてその不足を訴えられました。 終って、
監察局長
の
益あっせん
により、
福岡管区監察局職員組合
の
代表者
から、今般の
公務員
の
給与改訂
問題について
陳情
を受けました。その趣旨は、切りかえにより、当初は少額のアップを見るにしても、
昇給期間
が延長され、直ちに
昇給率
が減少されること、新
俸給表
によっては、
給与
の頭打ちは何ら解決されないこと、
俸給表
を中央、
地方
の二表に分けたことは、
地方
にいる
公務員
を極度に冷遇するもの益で、ひいては中央、
地方
の
人事交流
の円滑を欠くこと、
監察局
の
業務
の
特殊性
から、
年令層
が高く、逆ピラミッド型を形成しているため、大多数のものの
昇給期間
が十五カ月以上となり、
昇給率
が
事務能率
の向上に支障を来たすおそれがある。以上の観点から、
政府案
の益ごとき
給与改訂
がなされるよりは、むしろ現在の
給与体系
の存置を希望するというにあり益ました。 以上で
福岡管区監察局
を終り、ついで
福岡調達局
へ参りまして、
行政事務運営
の
現状
、
板付飛行基地
及び
築城飛行基地
の
現状等
につきまして、
局長
より概略の
説明
を受けました。
局長
の
説明
によりますと、
板付飛行場
は、国内でも比較的容易に
ジエット機
を発着せしめ得る
飛行場
の一つであって、わが国の
民間航空
が使用するとともに、米第五
空軍指揮下
の第八
戦闘爆撃隊
がこれを使用しており、昨年十一月から、従来のF86
ジェット機
にかわって、一そう高性能のF100
ジェット機
が配置されたので、これに伴う
騒音
その他の問題につき目下
調査
中であり、なお、
提供関係
の
懸案事項
として、
計器着陸信号装置
及び
航空標識灯用地等
の
追加要求
があるが、これらの必要な土地はすべて
民有地
であり、買収しなければならないのであるが、種々折衝の結果、現在においては、
買収価格
につき
関係者
と
協議
を進めている段階であるとの
説明
がありました。 次いで、
学校騒音防止対策工事
、
航空機
による
事故補償
、
航空機
の
離着陸
による住家の
移転
問題及び
農耕阻害
問題、
板付基地移転促進協議会
の結成と
活動状況
、
米空軍
の
板付配置
に伴う軍の
施策等
について
説明
を聴取いたしましたが、
調達同
としては、
板付飛行基地
の
移転
問題は、軍の立場からは、戦略的、経費、時間的の問題から、なかなか困難なものがあるようであり、
基地反対
の
運動趣旨
も十分理解しており、局全体をあげて、住民の迷惑となることは、直接間接を問わず、これが排除に努め、排除し得ないものについては、完全なる
補償
を行うことを心がけ、今後ともあらゆる努力を尽したい旨の
発言
がありました。 なお、
米軍
による
災害事故
の
補償
問題について、
地元関係者
と
調達局
との間に
意見
の食い違いが見られますので、この問題につき、
調達局長
にただしましたところ、
事故補償
は、
昭和
二十九年三月以前はすべて県において取り扱い、
講和発効
後、
調達局
へ引き継いだときは、
未済事件
として六件だけ
引き継ぎ
、これらはすでに
処理済み
であり、
地元関係者
の言う二十八件というのは、正確に掌握していないので、さっそくこの問題につき
調査
する旨の
発言
がありました。 次に、
築城飛行場地区
についての
説明
を受けたのでありますが、
調達局
の
説明
によりますと、
築城飛行場地区
は、
飛行場
及び
稲童高射砲陣地
からなる総面積約六十八万坪の区域であり、
飛行場
は、
駐留軍
の
使用度
が減少するとともに、
航空自衛隊
がこれが
返還引き継ぎ
を
要望
したが、
日米双方
に、
引き継ぎ
に関する合意が見られず、今日に及んでおり、現在では、すでに
防衛庁
は
飛行場
のほとんどすべてを使用中であり、
米軍
は、わずかに
軍事顧問団
を残すのみとなっておるとのことであります。
高射砲陣地
は、
講和発効
後引き続き
在日駐留軍
各部隊並びに
陸上自衛隊関係部隊
の
射撃演習場
として使用されておったところ、たまたま昨年十一月
射撃砲弾
の
暴発事故
が発生し、一時
演習
を中止していたが、
調達局
としては、
現地軍
と再三折衝した結果、
軍側
において砲座の移動、
射撃方向
の変更などの
安全措置
を講ずることとなり、他面、従前の
補償案件
についてはできる限り善処することで、
演習再開
に関し地元民の了解を得るに至り、今日に及んでおるとの
説明
がありました。なお、先般
板付墓地
において発生した
米軍
の
発砲事件
につきまして、
調達局長
と
福岡
県
警察本部長
から
説明
を受けました。
調達局
の
説明
を聴取した後、私
ども
一行は、
板付飛行基地
へ参りまして、
板付空軍基地司令官オニール大佐
の案内で
施設
内を視察し、終って
板付飛行基地
問題について、同
司令官
と懇談いたしました。まず
司令官
より、
米空軍
が
板付
に駐留することの必要なるゆえんの
説明
があり、さらに
ジェット
の
騒音
問題については十分なる考慮を払っており、たとえば、離陸の際はできる限り早く旋回して、市の
中心部
から離れること、
演習
は必ず海上において行うこと、着陸の際は、できる限りエンジンを吹かさぬようにすること、地上における
始動テスト
は、特別の
防音壁
内でやること等をパイロットに指示している旨の
説明
がありました。次いで、私から若干の質問をいたしました。その第一は、
板付
が
重要飛行基地
となっておれば、事あるときは攻撃されるおそれがあると考えるが、今後の
飛行墓地
は、住民の多い場所を離れるのが原則ではないかと思うがいかん。第二に、F100
ジェット機
は
原爆攻撃機
ではないか。第三に、
ジェット音
は将来ますます大きくなると思うが、完全な解決はアメリカにおいても困難ではないかの質問に対して、第一点は、第二次大戦に経験したことであるが、戦争になれば、
基地
のあるなしにかかわらず、大都市は
爆撃目標
になる。第二点は、現在の
ジェット機
は、すべて
原爆搭載能力
を持っている。第三点については、非常に困難な問題であることは十分承知している旨の答えがありました。 次に私
ども
は、
滑走路
の
延長線下
にある
月隈地区
及び
二股瀬地区
を経て、
筥松小学校
の
防音装置
を見て参りましたが、ここは、
昭和
二十九年度に工事を施行したため、現在のF100
ジェット機
に対してはあまり効果が上らず、また、室内を密閉するため、空気の汚染、温度、湿度の上昇に対する
処置等
が大きな問題となっているようでありました。 この後、さらに
九州大学
に参りまして、
大学当局
より、
飛行機爆音調査記録
に基き、
騒音
の強度、頻度につき詳細なる
説明
を受けるとともに、すでに夕方になり、時間の
関係
上、実際に
ジェット機
が飛来しませんでしたので、
録音再生
により、ほぼ
現実
に近い音を出してもらってその音を聞き、
測定器
で測定いたしましたが、密閉した鉄筋コンクリートの中の
教室
においてすら、その音のいかに大であるか、
騒音
の披露について認識を新たにいたした次第であります。このあと、
大学当局
より、講義中に
ジェット音
の振動がテーブル、椅子、靴の裏から感ぜられ、講義は中断し、実験については、能率がきわめて低下する。さらに
墜落事故
は、離陸後二、三分の間が最も危険であり、九大はちょうどその脅威にきらされており、もし墜落したときは、若い貴重な
生命
が一度に大
被害
を受けるため、安んじて講義。が受けられない等の切なる訴えを聞いたのであります。 以上で
九州大学
における
調査
を終えましたが、
日程
を強行いたしまして、夜に入ってから、
県庁関係
の
調査事項
について、
土屋知事
の
説明
を受けました。 第一に、
給与改訂
に関する
人事院勧告
に対する
所見
でありますが、
地方公務員
の
給与改訂
に要する
必要財源
は、
全額国
において特別の
措置
をされたいこと、
改訂方法
のいかんによっては、各都道府県間の
職員給与
にはなはだしい不均衡を生ずることもあるので、実施に当っては、
給与切替準則
を定め、
国家公務員
に準じた、統一された
給与改訂
が行われることが望ましい。また、
勤務地手当制度
の廃止には原則的には賛成するが、
勤務地手当
の廃止または減額により、
職員
の
給与
が実質的に減額されることのないよう、慎重に配慮されたい旨の
所見
が述べられました、 第二に、国の
出先機関
の問題でありますが、
耕地関係
の
事業等
で、
補助金
の決定がおくれ、支障を来たす事例が多いので、改善をはかられたいという点、財務局の
融資関係事務
で、膨大な資料を要求されることがあるので、
必要最小限度
にとどめるよう、
事務
の
簡素化
をはかられたいという点、
労働関係施設
の人事で、中央の干渉が強すぎる面があるので、改善をはかられたいという点、
業務監査
の場合、
関係各省別個
の監査があって、
県庁
においては、その応接にいとまがなく、
業務
に支障を来たすので、同時にあるいは統合して行われたいという点、以上四点が
要望
せられました。
日程
第三日は、午前中
県庁
において、
福岡
市当局及び
地元関係者
の方々の
陳情
を受け、懇談いたしたのでありますが、その趣旨の概略を御
報告
申し上げますと、まず、
板付基地移転促進協議会関係者
から、
協議会
は
福岡
市の
貧民一体
となって超党一派的に構成されており、全市をあげて
市民運動
により、
板付基地
の
移転促進
をはかることに努めている。不断の
爆音
は、
教育
、衛生、産業にまで重大な
悪影響
を与えつつあり、ことに
一朝有事
の際は、まっ先に爆撃を受け、六十万市民の
生命財産
も、一瞬にして灰じんとなるおそれがあるのみならず、
現実
に頻発する
事故
により、各種の
被害
が続出している。
軍事基地
は、
人口密度
の
少い所
に設置すべきである。
ジェッ音
は、三時間も聞けば、もはや人間の住む世界ではない、会話、
ラジオ聴取
も不能であり、空を見てうらまずにはおれない旨の
発言
があり、
市教育長
からは、
基地
の
移転
は望ましいが、
現実
問題として容易なことではない。従って、次善の策として、とりあえず学校の
防音装置
に全力を尽すべきである。防音のための
教室
の密閉によって起る
空気汚染
、湿度、温度の
上昇等
の問題があり、これが
対策
として、
教室数
を増加して、一
教室当り
の
生徒数
を減少きせることが必要で、その
予算措置
について尽力されたい旨の
発言
があり、
農耕関係者
からは、
耕作地
は戦後年々減少し、今や日雇の出かせぎに出たり、あるいは
遠隔地
に田畑を買って出作りしている状態で、
生活
は困窮し切っている。加えて、
事故
による危険にさらされて、今日の
生命
を守るために、残り少い土地を売ろうかとさえ考えるようになる。今回、さらに
付帯施設設置
のための
拡張計画
があるが、今度の拡張は、国会においてぜひ阻止されたい。また、子供の
通学距離
が長くなり、不便と危険が増大し、住民が農協へ行くにも、歩いて一時間を要し、
燃料採取
のため、山へ行くにも三、四倍の労力を要し、農耕中は、
ジェット音
で馬が狂奔して、すきを折り、馬がけがをすることもあった旨の切実な訴えがありました。
県庁
において
陳情
を受けた後、私
ども
は、
板付飛行場
から
航空自衛隊
の
輸送機
で
築城飛行場
へ飛び、現地の視察をいたしました。まず、
航空自衛隊臨時築城派遣隊隊長
より、当隊の任務、編成、
教育
の
状況
、
管理状況等
につき簡単な
説明
を受けた後、
施設
を視察しました。なお、この際、
田原代議士
の
あっせん
により、
築城町長
から、
ジェット機
の
爆音
による
被害対策
、
離着陸
の
低空飛行
による
農耕阻害
と、
危険区域
に対する
防止対策
並びに
被害補償
及び
軍事基地
としての
飛行場存続
によって、
被害
をこうむる
築城
町に対する
特別交付金
の
交付方
について
陳情
を受けました。 次いで、
築城飛行場地区
内にある
米軍高射砲
の
射撃場
を視察した後、行橋市公民館において、
地元関係者
の
陳情
を受け、懇談いたしました。 この概略につき御
報告
申し上げますと、
行橋市長
からは、
射撃演習
のための
無人機
の落下による危険に加えて、昨年末砲弾の
暴発事故
があり、ついに
隠忍自重
も限界に達し、最近
板付基地関係者
にならい、
基地対策委員会
を構成するに至り、
基地撤廃
が最良の
方法
であるとの結論に達すると同時に、
現実
の問題として、
生命
、林産の保全並びに正当なる
補償
を要求したい。敗戦の責を負わねばならぬのは国民全体であるにもかかわらず、何ゆえわれわれのみが、しかも、子孫に至るまでそれをしいられる理由があるのであろうかと、強い訴えがなされました。また、
漁業関係者
からは、
射撃演習
の間断を利用して、危険を冒して出漁している状態であり、ことに午前午後にわたる終日
演習
は、
漁船
による漁撈時間を皆無にし、漁民の
生活
を根底からくつがえすものである。また、
損失補償金
は、申請に対して支払われる額は微々たるものであるが、この
補償金
に対して、税務署では課税の
対象
として徴税する方針であり、不合理きわまりないものであるから、ぜひとも免税の
措置
をとられるよう願いたい旨の
要望
があり、さらに
学校関係者
からは、
登校下校
の際の不安、
教室
内における
ジェット騒音
の
防止装置
の
設備等
について、強い
要望
がありました。
日程
第四日の午前中は、門司の第七
管区海上保安本部
に参りまして、
行政事務運営
の
現状
及び管内における
業務実績等
につき
説明
を受けました。詳細につきましては、別
添資料
に譲らせていただきまして、第七
管区
における
業務
上の
特殊性
について、簡単に御
報告
いたします。 第七
管区
におきましては、対馬、壱岐、五島列島、
奄美群島
などの離島が多く、
管轄区域
が広大であり、また、朝鮮、中共、中国などと近距離の間にあるため、密入出国及び
密貿易
、公海での
日本漁船
に対する
韓国
その他からする脅威などの国際的な問題が比較的多いのが特色であります。 第一に、密入出国及び
密貿易
は、
韓国
と
至近距離
にある
関係
から、非常に多く、
昭和
三十一年十月までにおける当
管区
内での
検挙件数
は、全
管区
の総
検挙件数
に対し、前者は六一%、後者は七六・三%を占めております。 第二に、いわゆる
李ライン
をめぐり、
韓国艦艇
による
日本漁船
の
拿捕
、銃撃あるいは
追跡等
の
不祥事件
がきわめて多く、
昭和
三十一年中における
韓国
による
拿捕事件発生状況
は、
総計拿捕隻数
十九隻、
拿捕人員
二百三十五名となっております。なお、最近の
拿捕事件
の趨勢として特筆すべき点として、次の四点を指摘しております。第一は、既往の
拿捕対象船舶
は、主として
以西底曳網漁船
、
あぐり網漁船
などの
中型漁船
であったが、最近においては、
対馬周辺
の
小型漁船
までがその
対象
となっている点、第二は、これら被
拿捕船
の
拿捕位置
は、
韓国側
の報道では
李ライン
内、
漁船
の
報告
では
李ライン外
となっており、その当否は判断しがたいが、
巡視船
の実証その他諸般の
状況
より推断して、
李ライン外拿捕
が敢行されていることが推察される点、第三は、
警備艇
は被
拿捕漁船
の釈放を要求する
巡視船
に対して応答しないばかりでなく、あまつさえ
停船命令
、追跡、
自動小銃
による威嚇などの挙に出ることもあり、事態は楽観を許さない
現状
にある点、第四に、昨年十二月の第一千
鳥丸脱出事件
に刺激されて、
警備艇
の
警備力
は相当強化された模様であり、
現実
に、今年一月に入って、七隻の
大量拿捕事件
が発生しておることを考えるとき、今後は一そう厳重な警戒が必要である等の四点であります。 以上の
実情
にかんがみ、現在、もっぱら
韓国側
の
拿捕
に備えて、済州島の
周辺海域
に、常時四百五十トン
型巡視船
二隻ないし三隻を配置して、
特別哨戒
を行なっているとのことであります。 なお、
説明
の中で、
韓国側
の
拿捕件数
が
昭和
二十八年当時と比較して半数以下に減少してきているが、これは、
特別哨戒
を行なっているという理由のほかに、
漁船
の方で、
拿捕
をおそれて、
李ライン
に近づきあるいは
李ライン
の中へ入ることをためらうようになってきたためであり、事実上は、
李ライン
から締め出されているのであり、
韓国側
の態度が緩和されたためではないという
説明
がありましたが、この点は、注目すべきことではなかろうかと考える次第であります。
最後
に、
巡視船
と
航空機
の
急速増強
の必要を痛感する旨の
所見
が述べられました。 午後は、
防衛産業
の一環としての
基礎産業
という観点から、
八幡製鉄所
を視察いたしました。同
製鉄所
は、現在
防衛庁
とは直接の
発注関係
はございませんが、
製鉄所
の好意によりまして、所内を視察いたしました。
日程
第五日は、
大分県庁
と
大分地方監察局
に参りました。まず、
大分県庁
において、
給与改訂
に関する
人事院勧告
に対する
所見
について
説明
を受けましたが、
俸給表
の種類については、
行政職
、
公安職
、
教育職
、
医療職
、
技能職
の五種類でよいものと思われるが、
行政職
の(ニ)については賛成できない。等級については、現行の十五級の分類は不合理であり、すでに行き詰まっているので、新
等級制度
の採用は賛成である。
号俸
については、
本県
の実態とは多少遊離しているので、
国家公務員
の
俸給表
をそのまま適用できない個所が多く、
本県
としては、現員の
分布状況
と将来の
昇進政策
とを考慮して定めたいと思っている。
通し号俸制
の否定については、それなりに意味はあると思われるが、
号俸数
の繁雑、
昇給率
の
減少率
の大きき、
事務
上の煩らわ
しき等
から考えたときは、
通し号俸制
の方が利便が大きいと考えられる。
昇給期間
については、一応妥当なものと思われる。ことにこのことによって、
号俸数
が
簡素化
され、
号俸
の幅をある程度延伸する余地を得たことは適当である。
勤務地手当
の廃止については、一応妥当と思われるが、
生活給
の一部として観念されている現在、これを一挙に廃止することは、
職員
の士気に著しい
悪影響
を与えるおそれがあるので、
職員
の感情の納得の範囲内で、漸次これを解消していく
方法
をとるよう考慮する必要がある。
最後
に、切りかえ
措置
については、
本県職員
の
俸給額
は、むしろ
国家公務員
の
給与水準
より低下していると思量されるので、今回の
給与改訂
に当っては、
本県職員
についても、当然
国家公務員
に準じた同様の切りかえ
措置
をとる必要がある旨の
意見
が述べられました。なお、
大分
県における新
給与
切りかえに要する経費は、市町村を含めて約三億円を要するとのことであり、この財源については、
全額国
において
措置
されるよう願いたい旨の
要望
がありました。 次に、
大分地方監察局
に参りまして、
監察業務運営
の
状況
並びに本年度中に実施した
監察
の
具体的成果
などにつき
調査
いたしましたが、同
監察局
と、後に視察いたしました
宮崎地方監察局
における
調査
の結果は、便宜上別
添資料
に譲らせていただきますが、両局とも、
監察
の
具体的成果
については、
かなり
の効果をあげているようであり、
苦情相談業務
についても、それぞれ好評を博しているようであります。なお、
福岡管区監察局
においても
要望
せられた問題でありますが、
旅費予算等
の不足のため、十分なる
監察計画
の樹立が困難となり、自然、
近接区域
あるいは交通便利な地域に偏し、
調査対象
も固定化する
実情
であり、
旅費予算
の増加を切望している旨、及び
監察職員
の待遇について、
行政官
と
判検事
の
中間程度
のものを考慮されたい旨の
要望
がありました。なお、このあと、
局長
の
あっせん
に、より、
職員組合
より、今般の
給与改訂
についての
陳情
を受けました。
日程
第六日は、
大分
より宮崎までの車中の旅行に費しまして、次いで、
日程
第七日には、午前中
宮崎県庁
において、
給与改訂
に関する
人事院勧告
に対する
所見
及び
新田原基地
問題に対する県当局の見解について
説明
を受けました。 まず第一の、
人事院勧告
については、その内容は、等級制による職階制の実施と、これに伴い職務給的性格を強く打ち出しており、
生活給
的な従来の考え方から見ると、画期的な変革であり、今後はこういう方向に当然転換すべきものと考えるが、
地方
公共団体と
政府
機関とは、職制、機構、
職員
の構成
状況
等において若干の開きがあるので、
人事院勧告
に基く
給与改訂
方式をそのまま適用することはなお相当検討の余地が残されているものと考えられるので、
地方
公共団体における
給与
の基準については、自治庁においてこれらの
実情
を検討した上、技術的な助言と指導が行われることが望ましいと考える。なお、
給与改訂
に要する財行源としては、市町村を入れて約二億円の経費を要することとなり、
政府
の財源
措置
が前提要件をなしておるのであって、そのため、
地方
交付税交付率の引き上げ、国庫補助
職員
の補助率並びに補助単価の引き上げを強く
要望
する旨の
発言
がありました。 第二の
新田原基地
問題については、
防衛庁
側と当該地区の土地所有者との間で、
買収価格
の点等で交渉中であったが、昨今ようやく解決の段階に到達し、県としては、地元の意向を第一義的に考えており、その
要望
が全面的に受け入れられることを希望する旨の
所見
が述べられました。 この後、
給与
問題について、
宮崎県庁
職員
労働組合、市
職員組合
及び教
職員組合
の
代表者
からそれぞれ
陳情
を受けました。 次いで午後、私
ども
は
新田原基地
に参りまして、現地を視察したのでありますが、この
基地
は、旧陸軍
飛行場
跡でありまして、
防衛庁
において、
航空自衛隊
第三操縦学校分校をここに設置する計画を立て、現地測量を終り、用地買収について交渉中のものであります。現地視察の後、新田村役場において、
地元関係者
の賛成者、反対者双方とともに一堂に会しまして、それぞれの
意見
を聞いたのでありますが、双方より、率直で熱心なる
意見
の発表がありました。 まず、大木新田村村長より、経過の
説明
がありましたが、それによると、一昨年末頃、初めて新田村旧陸軍
飛行場
跡を
防衛庁
において
ジェット
分校として使用したいという話が持ち出されてから、賛否両論が出て、新田、富田両村でも、村議会その他各種団体が
板付
及び
築城
両
基地
の現地を
調査
の上、村議会においては、一度反対の決議がなされたが、その後の
防衛庁
との折衝により、
関係者
の多数が賛成の意向を持つようになり、昨年七月には、村議会で用地の
買収価格
及び
補償
、道路橋梁の整備、学校の
防音装置
、地元労務者の優先採用、
事故
に対する損害
補償
等についての
要望
をつけて賛成の決議を見るに至ったのである旨の
説明
がありました。この後、賛成、反対双方の
意見
を聞いたのでありますが、その概略を申し上げますと、まず、賛成
意見
としては、農民としてはあまり利益とはならないが、国防の必要性という見地に立って賛成している。反対者の中には、圧力をかけられて賛成に導いたという
発言
があるが、それは誤まりであって、かかる事実はない。
買収価格
等についての交渉はほとんど妥結しており、希望には限りがなく、この線ならばやむを得ないという態度である旨の
発言
がありました。反対
意見
としては、まず、反対地主の立場から、
飛行場
ができることにより、役場までは現在三キロあるのが、迂回するため二倍にもなり、非常な不便となり、農産物の搬出にも響き、ひいては価格にまで影響を来たさぬとも限らない、旧
滑走路
が現在澱粉かすの乾燥場となっているが、その従業員二百人以上の
生活
の基礎を奪うことになる。そして、賛成者の中には、本心では反対であるが、
防衛庁
において
ジェット
分校設置を決定すれば、反対をしても取り残されてしまい、後になっては買上値段も安くなるかもしれないし、また、
防衛庁
相手に土地収用の裁判問題になれば、とても勝てぬという説が流れたりして、不本意ながら賛成派になった者が
かなり
いる。また、
関係者
の大部分が賛成であるといっても、それは、買上予定地主だけのものであって、村民の大部分は反対なのであり、村民大会の開会を要求したが、いまだ何ら開かれたことはない等の
意見
が述べられました。また、宮崎地評の
代表者
より、村当局は、ただ買上予定地主及び
飛行場
入植者を中心として話し合いを進め、地主の
意見
のみで設置賛成を表明しておるが、土地に
関係
がなく、飛行
基地
のできることにより影響を受ける村民多数の声が聞かれていない。地主は、土地を売って金を受け取り、村を出ていけばそれで済むが、あとに残って、長い将来にわたり
ジェット機
の影響を受ける多数の村民の声なき声を
内閣委員会
で審議の上、
飛行場
設置を中止されるよう願いたい旨の
発言
がありました。また、中学校が現在村内一校のみであり、最も遠い距離の生徒は、往復十六キロメートルを通学しているが、
ジェット
分校設置により、通学道路が変更になり、さらに四キロくらい迂回せねばならぬこととなれば、毎日の登下校の心身の疲労及び飛行機の
離着陸
による危険等の見地から、生徒はもちろんのこと、父兄の心配もきわめて大きいので、上新田に中学校の分校を設置されたいという、村民大多数の強い
要望
が訴えられました。 なお、念のために申し上げますと、現在絶対反対の立場をとっている地主は、全地主約三百四十名中八名いるとのことであります。
日程
第八日、午前中は航空大学校を視察いたしました。本校は、運輸省の附属機関として、
民間航空
従事者を養成するために、
昭和
二十九年七月一日に設立されたものでありまして、本科と専修科に分れており、本科は二年課程で、卒業後は事業用操縦士となるもので、現在学生は二十名であり、専修科は、事業用操縦士の資格のある者を上級事業用操縦士を
対象
に
教育
するもので、修業期間は四ヵ月、現在学生は八名であります。
教育
の
特殊性
と、発足後日も浅い
関係
で、きわめて小規模なものでありますが、わが国の
民間航空
の発達のために符与することは大なるものがあろうと考えた次第であります。 以上をもちまして、私
ども
の視察、
調査
の経過の概要を申し述べました。なお、その詳細につきましては、別
添資料
として、
委員
会会議録の末尾に添付することといたしますから、御了承願います。 以上をもって
報告
を終ります。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
亀田得治
2
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記を始めて。 ただいまの
派遣報告
にかかわる別
添資料
につきましては、これを本日の会議録の末尾に添付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
亀田得治
3
○
委員長
(
亀田得治
君) 御異議ないと認めまして、さよう
決定
いたしました。別に御
発言
がなければ、
派遣委員
の
報告
は、これをもって終了いたします。ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
亀田得治
4
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記つけて。
—————————————
亀田得治
5
○
委員長
(
亀田得治
君) 次に、
厚生省設置法
の一部を改正する
法律案
を議題に供します。まず、提案
理由
の
説明
を願います。
中垣國男
6
○
政府委員
(中垣國男君) ただいま議題となりました
厚生省設置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その提案の
理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
厚生
省の大臣官房に新たに官房長を置くこと、
厚生
省の付属
機関
として、国立ろうあ者更生指導所及び国立精神薄弱児
施設
を設置すること並びに水道及び下水道に関する権限規定等を改めることをその主な内容とするものであります。 改正の第一点は、官房長の設置についてであります。御承知のごとく、近年における社会保障
制度
の目ざましい進展に伴い、
厚生
省の所管する
行政
が質量ともに、著しく拡充されて参りました結果、現在各部局に分掌されております各般の
事務
の増嵩のほか、さらに、これらを社会保障という統一的見地から、部内並びに部外にわたり連絡調整すべき新たなしかもきわめて重要な
事務
がとみに増加しつつある
傾向
にあるのであります。官房長の設置は、かかる
実情
に即応して、これらの
事務
を一体的に処理し推進する機能の強化をはかるとともに、官房
事務
のより効率的な運営を確保しようとするものであります。 改正の第二点は、国立ろうあ者更生指導所の設置についてであります。身体障害者福祉法に規定するろうあ者更生
施設
は、現在公私ともに設置されておらず、聴覚障害者、音声機能障害者及び言語機能障害者の福祉に欠ける
状態
にありますので、明年度においてこの国立ろうあ者更生指導所を設置いたしまして、これらの障害者を収容しその更生に必要な治療及び訓練を行う等、その福祉の向上に努めようとするものであります。 改正の第三点は、国立精神薄弱児
施設
の設置についてであります。精神薄弱児のうち、その程度が著しい児童または盲もしくはろうあとの二重の障害を持つ児童は、精神的にも肉体的にもきわめて複雑な問題を有し、一般の精神薄弱児とは別個に、特別な保護及び指導を行う必要がありますので、今回国立の
施設
を設置いたしまして、これらの児童を収容し、早期より一貫した保護及び指導を行うことにより、その福祉の向上をはかろうとするものであります。 改正の第四点は、水道及び下水道の権限規定等を改正することについてであります。御承知の通り、従来水道及び下水道の
事務
は
厚生
、建設両省の共管するところとなっておりましたため、この
行政
の
責任
の明確性が必ずしも十分とは言えず、また、
事務
の
簡素化
にも欠くるところがありましたので、
政府
といたしましては、今回水道及び下水道に関する
事務
のうち、水道及び下水道の終末処理場を
厚生
省において、終末処理場以外の下水道を建設省において、それぞれ処理することといたしたのであります。従いまして、これに伴い、
厚生
省の権限及び分掌規定を整理しようとするものであります。 以上が、この
法律案
を提出いたしました
理由
であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
亀田得治
7
○
委員長
(
亀田得治
君) 別に御
発言
もなければ、本案については、本日はこの程度にいたしまして……
—————————————
永岡光治
8
○永岡光治君
委員長
、議事進行について。 大へん政務次官を前にして恐縮でございますけれ
ども
ね。やはり
予備審査
といえ
ども
、これは本会議の提案
理由
にかわるものです。で、大臣が出て、私は、参議院軽視という、こういう形をなさぬように、十分大臣が出て
説明
すべきだと思うのですがね。何か特別な
理由
があったのですか。どうして大臣が出ないのか、
理由
もわからずに。そういう不見識なことは私はいかんと思います。
中垣國男
9
○
政府委員
(中垣國男君) お答えいたします。ただいま
厚生
大臣は、参議院の社会労働の
委員
会におきまして答弁中でございまして、ここへ出ることができませんでしたので、私がかわって参りました次第でございます。
永岡光治
10
○永岡光治君 そういう事情なら、そうせくことはないんですからね。大臣があいたときに私は出て、そして
説明
するべきだと思うのです。あまりすうすう、大臣も出ないで
説明
を聞くという、これはきわめて不見識だと思うのですが、どうですか。これは、院の権威にかかる問題だと思うのです。こういう癖をつけちゃいかぬと思うのですがね。
荒木正三郎
11
○
荒木正三郎
君 私も非常に、今日はそのほかの法案
説明
もなさる予定のようですがね。今日は、大臣が出られるかどうか疑問に思っておったのです。少くとも提案
理由
の
説明
は、原則として大臣がすべきということは、これは常識ですよ。それはまあやむを得さる場合、それは、政務次官がかわっておやりになることについては、別に異議は申しませんが、しかし、そのほかにも今日は法案の
説明
があるようですがね。これ、大臣が出られるのかどうかですね。私は、やっぱりこの原則は、提案
理由
の
説明
というような重要な問題については、これは、
委員
会には、大臣が出席されて
説明
なさるのが私は当然だと思うのですがね。こういうことが確認されておって、今日はやむを得ないからこうなったんだというなら、若干の了承はいたしますがね。今日はどうも、衆議院の予算
委員
会等の
関係
からみて、大臣出られないんじゃないかと私は思っておったのですが、そういう点ですね。私はやっぱり、
委員長
、理事の方のまあ
協議
においても、私
ども
のそういう考えを尊重してもらいたいと思います。きょうは
要望
しておきたいと思います。
寺本廣作
12
○寺本広作君 原則としては、永岡さん、荒木さんの言われることに賛成ですが、まあ両院の運営を
能率
的にやるためには、ほかの
委員
会との
関係
もありますことですし、原則通りいかぬ場合もあろうかと思います。おそらく今日、こういうふうに提案
趣旨
説明
を、すっと並べられた際、理事会では、そこいらの打ち合せもあったんじゃないですか。まあ原則としては、おっしゃる通りだけれ
ども
、衆議院との
関係
、他の
委員
会との
関係
などで、必ずしも大臣が政務次官に代行していただく場合もあり得ると、これは、
委員
会の運営上やむを得ぬことじゃないかと思います。そのために、大臣の代理をする政務次官
制度
というのがあるわけですから、必ず大臣でなければならぬという結論にはならぬように思います。
永岡光治
13
○永岡光治君 おいでになっている政務次官をどうこうと言うんじゃないですから、その点は御了解願います。そうでなくて、承われば、社労
委員
会に出ておられる。その方を政務次官かわって答弁されるなりして、いやしくも提案ですから、これは、そういう重要な問題について、それじゃ社労
委員
会の方が
内閣委員会
より大切なんだ、
内閣委員会
の方は、これは軽視してもいいんだと、こういう理論にもこれはなりますよ、あなたのような理論なら。だから、そういうことのないように、それで、
委員長
、理事の打ち合せも、大へん御迷惑ですけれ
ども
、少くともこの提案
理由
の
説明
というものは、大臣の出られる日を選んでやってもらいたいと思うのです。
中垣國男
14
○
政府委員
(中垣國男君) もう少し具体的にお答えいたしますと、実は、ただいま参議院の社労
委員
会におきまして、食品衛生法がかかっておるのでありますが、
厚生
省といたしましては、引揚者に関する給付の問題がございまして、連日ほとんど徹夜同様のことを四、五日繰り返しておりまして、大臣がここ四、五日その
委員
会に出ておりません。そこで、参議院の社労の
委員
会から、大臣が出席しなければ審議をしないといったような強い
要望
がございましたので、それまでは、私がかわって答弁いたしておったのでありますが、きょうは、そういう意味で、参議院の社労の
委員
会に大臣は出席をきれたわけであります。まことにやむを得ないということで、私がかわって参ったわけでございます。
寺本廣作
15
○寺本広作君 事情を承わってみますと、まことにやむを得ぬものがあるようですから、そういう場合もあり得るということで、
一つ
政務次官が代ってすることを御了承いただきたい。
亀田得治
16
○
委員長
(
亀田得治
君) ちょっと速記とめて下さい。 〔速記中止〕
亀田得治
17
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記をつけて。 午後二時まで休憩いたします。 午前十一時四十六分休憩 —————・————— 午後二時十一分開会
亀田得治
18
○
委員長
(
亀田得治
君) 休憩前に引き続き、
委員
会を再開いたします。 まず、
科学技術庁設置法
の一部を改正する
法律案
を議題に供します。 宇田国務大臣から、提案
理由
の
説明
を願います。
宇田耕一
19
○国務大臣(宇田耕一君) ただいま議題となりました
科学技術庁設置法
の一部を改正する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。 原子力の平和的利用は、ここ二、三年の間に急速な進展を見つつあります。近く日本原子力研究所においてわが国最初の原子炉が運転を開始し、来年は引き続き第二号炉が設置されんとしておる
状況
にあります。他方アイソトープについてもその研究と利用とは、急速な発展を遂げ官民の多数の試験研究
機関
、事業所等において広範に
使用
され、わが
産業
面、医療面、その他において多大の
成果
が期待されておる次第であります。 しかしながら、これら原子力の利用には、一面ややもすれば放射線の障害というマイナス面を伴うので、今後原子力の開発の進むに従い、厳重な放射線管理と放射線の障害防止
措置
を講するとともに、放射線による障害の診断、治療等医学的
調査
研究の急速なる確立をはかることの必要性が痛感される次第であります。 従って
政府
としては、別途原子炉等の規制に関する
法律案
(仮称)及び放射性同位原素等の放射線による障害の防止に関する
法律案
(仮称)を今
国会
に提案することとし、目下これが準備を急いでおりますが、これとともに、放射線医学に関する総合的
調査
研究等を行うため、科学技術庁の附属
機関
として、放射線医学総合研究所を設置することとしたのであります。もともとこのような研究所の設立につきましては、従来、日本学術会議等の
要望
もありましたので、本案の
決定
までには、科学技術庁及び原子力
委員
会において日本学術会議初め学界、業界における学識経験者の
意見
を徴し、慎重にその計画について検討を行なったものであります。 放射線医学総合研究所はその所掌実務として放射線による人体の障害並びにその予防、診断及び治療に関する
調査
研究を行うことはもちろんでありますが、あわせて放射線の医学的利用並びに放射線による障害防止、及び医学的利用に
関係
する技術者の養成訓練を行うこととしております。 なお本研究所は、三ケ年計画をもって茨城県東海村の国有地に新設いたしたい考えでありますが、用地取得の手続等の
関係
上最終的結論に至っておりませんので、とりあえず設置場所は政令をもって定めることにいたし、結論を得ますればあらためて
国会
の承認を仰ぐことにいたしたい考えであります。 以上が
科学技術庁設置法
の一部を改正する
法律案
の
趣旨
でございます。 何とぞ慎重御審議の上御賛成あらむことをお願いいたします。
亀田得治
20
○
委員長
(
亀田得治
君) 別に御
発言
がなければ、本案については、本日はこの程度にいたします。
—————————————
亀田得治
21
○
委員長
(
亀田得治
君) 次に、
法務省設置法
の一部を改正する
法律案
を議題に供します。 まず、提案
理由
の
説明
を願います。
中村梅吉
22
○国務大臣(中村梅吉君)
法務省設置法
の一部を改正する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。 出入国管理
行政
は、申すまでもなく、わが国における外国人の公正な管理を目的とするものでありまして、その基調は、あくまで円満な国際常識にのっとりつつ、国内治安その他国の安全及び利の面をも考慮し、円滑かつ強力にこれを実施することでなければならないと考えておりますが、最近における諸外国との国交の回復、国際連合加盟等によりわが国と外国との往来はますますひんぱんとなり、外国人管理
行政
は今後ますますその複雑性と困難性とを加えるものと思われるのであります。 そこで、
政府
といたしましては、これらの新事態に対処するため、この際出入国管理
行政
の機構上の不備を
改善
いたしまして、適切な
業務
の運営を行ない得るようにその体制を整備いたしたいと存じまして、本
法律案
を提出いたしました次第でございます。 以下本
法律案
の内容について概要を御
説明
申し上げます。 第一は、広島入国管理
事務
所の新設であります。出入国管理
行政
の
地方
機関
の中枢をなす入国管理
事務
所は全国十二箇所に設けられておりますが、現在中国
地方
は下関、高松及び松江の三入国管理
事務
所の管轄下に分れているばかりでなく、その中心地たる広島市には下関入国管理
事務
所の港出張所が設けられているのみで
独立
の入国管理
事務
所はございません。中国
地方
における統一的な治安
対策
の実施等について
関係
機関
との連絡にも事を欠きまして、
業務
の遂行に種々不便を来たしているのであります。 そこで、この際、松江入国管理
事務
一所を
廃止
して、新たに広島市に広島入国管理
事務
所を設置し、広島県、岡山県、鳥取県、島根県及び山口県のうち岩国市をその
管轄区域
といたしますとともに、従前の高松入国管理
事務
所宇野港出張所並びに下関入国管理
事務
所の広島港出張所、同じく尾道港出張所及び同岩国空港出張所を広島入国管理
事務
所に所属を変更いたしまして、またこれに新たに松江出張所を配属し、もって中国
地方
における出入国管理
行政
の円滑な運営をはかろうとするものであります。 第二は、日ソ国交回復に伴う新事態に対処するため、新たに稚内港、根室港、酒田港および敦賀港に、それぞれ入国管理
事務
所の出張所を設けまして、一応臨機の必要に応ずる体制を整えるとともに、従来駐在官を派遣して出入国管理
事務
に当らしめておりました立川空港及び
板付
空港に出張所を設け、これらの空港における出入国審査
事務
の充実を期したいと存ずるのであります。 第三は、神戸入国管理
事務
所の
管轄区域
中、兵庫県伊丹市を特に大阪入国管理
事務
所の管轄に変更することであります。 現在神戸入国管理
事務
所の管内にある伊丹空港は、客年九号日本航空株式会社の沖縄定期航路が開設されて以来、同社
航空機
の発着がとみに増加いたしまして、乗員乗客の出入国ないし寄港地上陸もこれに伴なってひんぱんになってきたのでありますが、地理的にもまた時間的にも大阪入国管理
事務
所をしてその審査に当らしめるのが便利でありますので、この際伊丹市を大阪入国管理
事務
所の
管轄区域
といたしたいのであります。 以上が
法務省設置法
の一部を改正する
法律案
の
趣旨
でございます。なにとぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
亀田得治
23
○
委員長
(
亀田得治
君) 別に御
発言
がなければ、本案については、本日はこの程度にいたします。
—————————————
亀田得治
24
○
委員長
(
亀田得治
君) 次に、国の
防衛
に関する
調査
のうち、
相馬ケ
原演習場事件
に関する件を議題に供します。 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
亀田得治
25
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記をつけて。 まず、
当局
から、本件に関するその後の経過について御
報告
を願います。
中村梅吉
26
○国務大臣(中村梅吉君) いわゆる
相馬ケ
原事件につきましては、去る二月九日に、前橋
地方
検察庁におきまして、高崎警察署から、被疑者ジラード・S・ウイリアムズにかかる傷害致死被疑事件として事件の送致を受けました。自来同地検において、鋭意
関係者
の取調べその他証拠の収集に従事して参りました。 過般、本件は、結局被疑者ジラード・S・ウイリアムズが傷害の意思をもって発砲し、その結果
被害
者坂井なかさんを死亡するに至らしめたという結論に到達をいたしました。なお同時に、被疑者の本件行為は、
行政
協定にいう公務
執行
中の作為または不作為から生ずる罪ではないという認定をするに至ったのであります。 しかしながら、
米軍
側は、本件は公務
執行
中の作為または不作為から生じたものとの見解を持っておりましたために、本件は日米合同
委員
会に提案されて、目下その合同
委員
会にかかってきたわけでありますが、提案後、本日開かれました合同
委員
会におきまして、この件は、合同
委員
会の刑事裁判権分科
委員
会に付議して、ここで討議
決定
をする、こういうことに相なりました。刑事裁判権分科
委員
会は、今月の来たる十二日に開こう、こういう予定になっております。ここで、わが方といたしましては、主張の根拠を十分示しまして、日本側の主張を貫くようにいたしたい、かように考えております。
亀田得治
27
○
委員長
(
亀田得治
君) 質疑に入る前に、先般、当
委員
会
委員長
及び理事打合せ会の申し合せに基き、各会派有志の
委員
による
現地
視察
を行いましたので、便宜その
報告
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
亀田得治
28
○
委員長
(
亀田得治
君) 御異議ないと認めます。
伊藤顕道
29
○伊藤
顕道
君
内閣委員会
の
委員長
及び理事打合せの結果に基きまして、二月十四日に
亀田
委員長
外大谷、上原、
竹下
、荒木、伊藤の五
委員
は、群馬県
相馬ケ
原の
米軍
演習
場内において、一月三十日発生した米兵の日本婦人射殺事件を
調査
するため、
現地
を
視察
して参りました。 私
ども
は、まず、熊谷市にある
米軍
籠原キャンプへ参りまして、レスター・J・チェース副
司令官
と会見し、本事件に関する
米軍
の地元
現地
部隊
の見解をただした後、群馬県警察本部、前橋
地方
検察庁
当局
より、日米合同
調査
の
状況
や、犯罪容疑の点などについて現在の
状況
を聴取し、引き続き現場を実地に
視察
いたしました。 なお、現場
調査
の後、引き続いて相馬村中
学校
において、地元の相馬村村長及び日本側の事件目撃者三名にも会って、当時の模様や、その後の
対策
などについて聴取して参りましたので、以下、
視察
の順序に従いまして、簡単に御
報告
いたしたいと思います。 私
ども
は、二月十四日朝自動車で
国会
を出発いたしまして、まず、
米軍
籠原キャンプにおいて、チェース副
司令官
と会見いたしました。私
ども
内閣
委員
とチェース副
司令官
との間にかわされた質疑応答のおもな点を申し上げますと、その第一点は、今回の
相馬ケ
原事件の裁判管轄権問題については、日米間に若干
意見
の食い違いがあるようだが、この事件の裁判管轄権は日本側にあると確信するので、早急にそのような
措置
をとってもらいたいと思うが、これに対する米側の見解はどうかという
質問
がなされましたが、これに対しまして、現在はまだ事件の
調査
中であり、第一次裁判権が
日米双方
のいずれの側にあるかという点についての最終的結論はまだ出ていないと思う。なお、この問題は、上級司令部と日本
政府
との間で
協議
された結果
決定
されることであって、
現地
部隊
の
立場
からは何も言明できない旨の答弁がありました。 その第二点は、事件発生以来今日まで、だいぶ時日が経過しておるが、何ゆえかように長引くのであるか。公務
執行
中の事件か公務外の事件かという点、あるいは傷害致死罪か殺人罪かという点について、日米間に
意見
の食い違いあるため手間取っているのであるか、一体、事実
関係
についての
現地
部隊
としての
調査
は完了したのであるか、続行中であるかという点について
質問
がなされましたのに対しまして、
米軍
は、日本側警察と協力し、双方の
調査
の結果を照り合せるため手間取っているのであって、公務
執行
中かいなかの点や、傷害致死か殺人かの点は、上級司令部と日本側との間で
決定
されるべき問題である。なお、事件の性質上、慎重に
調査
は続行中である旨の答弁がありました。 その第三点は、二月七日の新聞の報道によると、
米軍
当局
は、加害者米兵はねらい撃ったのではなく、空に向って発砲したのだと公式発表しているが、これは、今から見ると、誤まりであったことがわかるが、かかる軽率な内容をもった公式発表がなされたことは遺憾であると思う。この公式発表は、この司令部でなされたのであるかという
質問
に対しまして、この司令部ではなく、第一騎兵師団から出されたと思う旨の答弁がありました。 第四点は、この事件の収拾策としては、第一に、事件の
実情
を誇張せず、また隠蔽もせずして、公正な結論を出すこと。第二には、将来再びかかる不祥事を繰り返すことなきよう
対策
を考える必要ありと思うが、これに対する
所見
いかんとの
質問
がなされましたのに対しまして、
米軍
側は、隠しだてはしない。日本側と協力して、公正な結論を出すよう努力している。なお、事件防止の具体的
対策
は、目下検討中であるが、また結論は出ない旨の答弁がありました。なお、この行ほか、事件発生当日の
演習
は、いかなるスケジュールによってなされたか。また、上級司令部から
部隊
内に対し、今後再びこの種の不祥事を繰り返さぬよう注意を喚起した布告が出されたかどうかというような点について
質問
がなされましたが、これらの点については、通訳不十分のため、
質問
の
趣旨
が徹底しないままに終りました。 なおまた、内閣
委員
側より、
被害
者の家庭は窮状にあるので、特に遺族に対し、十分なる
補償
を考慮してもらいたいという点、さらに、異民族間の接触は、とかく誤解を生じやすいから、この点、
米軍
側においても、日米友好
関係
をそこなわぬ上からも、特に今後慎重に配慮してもらいたいという点等が強く
要望
せられ、チェース副
司令官
も、これを了承したのであります。 チェース副
司令官
と会見後引き続き、自動車で群馬県警察本部に参りまして、石岡県
警察本部長
及び岡田刑事部長と会見し、若干質疑応答を行いましたが、そのおもな点を申し上げますと、 その第一点は、加害者の身柄を
米軍
に預けたまま事件の
調査
を行うことは、捜査上不便であり、かつ捜査も長引き、事実
関係
もゆがんでくる危険はないか。また、捜査の上での日米間の
意見
の食い違いはどういう点にあるか。殺人罪か傷害致死罪かという点については、いかなる
所見
を持っているかという点につき
質問
がなされましたのに対しまして、通常の事件であれ、は、三日ぐらいで片付く事件であるが、日米共同捜査方式をとっておるため、
調査
が長引いたが、大体現在は完了した。米側の捜査
機関
は公正かつ協力的である。物的、人的証拠を集めて捜査することが基本であるから、加害者の身柄を
米軍
にとられておるために、特にやりにくいということはなかった。日米間の
意見
の食い違いいかんの点は、たまを撃ったのは一発か二発かという点、また、空に向け撃つたか、ねらい撃ちかという点等である。なお、理論を突き詰めると、殺人罪を構成できないこともないし、これまでの捜査途上において、そのような
意見
も事実出てきたが、加害者が驚いて
被害
者にかけ寄った点、殺意の有無の不明瞭なる点等より、傷害致死と考えるのが妥当と思う旨の答弁がありました。 その第二点は、去る二月八日、地元の県警察
当局
で、殺人罪として
決定
したにもかかわらず、九日正午ごろ、
中央
の警察庁と打合せの結果、夕刻に傷害致死に変更したものと聞くが、
中央
から何らかの形で地元警察に圧力がかけられたのではないかという点が
質問
せられましたのに対し、さような事実はない旨の答弁がありました。 こののち、私
ども
は、すぐ近くの前橋地検に参りまして、杉本次席検事と会見し、今回の事件についての地検としての結論いかんという点、いつごろ起訴するか、起訴の問題は、裁判管轄権がいかにきめられるかという問題にかかわりなく、並行的に進めるべきではないかという点、罪状
決定
につき、
中央
から何らかの圧力がかけられているのではないかという点、また、殺人罪にきめることについて自信はないのかという点等について
質問
がなされましたのに対し、本日、十四日最高検との打合せの結果、大体の最終的結論が出てくるはずである。事実
関係
は固まる見通しが大体がついたが、最終的にはもう少し調べる必要がある。いつごろ起訴できるか、まだ言えぬが、上司の指示を受けてやりたい。なお、
中央
からの圧力がかかっておるという事実はない。捜査途上において見解を発表することは、事態をかえって紛糾させ、真相の究明に害を与えるから、何も言明できぬ旨の答弁がありました。 杉本次席検事と会見後、私
ども
は、再び自動車で、事件発生の現場である
相馬ケ
原
演習
場に向いました。射殺現場である物見塚へは、チェース副
司令官
の案内で、ジープに乗りかえて参りましたが、現場では、チェース副
司令官
のほか、マーキュリ憲兵隊長、下平県警捜査課長、地元県議会議員、
県庁
職員
数名、MP十名近くの立ち会いのもとに、岡田刑事部長より実況検分の結果について詳細なる
説明
がなされました。この
説明
によると、加害者ジラルド特務三等兵の自供と日本側目撃者の証言が、距離、方向などについて大きく食い違っておるとのことでありました。特に日本側目撃者は、加害者が二発をねらい撃ちしたと証言しているのに対し、加害者米兵は、一発しか撃たなかったと自供しておるという点、また、犯行が行われたとき、加害者の近くにいた直属小隊長モーホン少尉、ジガンテ少尉、ホートンペリー一等軍曹の三名は、米側証人として、発射音を聞かなかったと証言しておるとの
説明
は、強く私
ども
の印象に残った点であります。 私
ども
は、この現場
視察
後、引き続き相馬村中
学校
において、事件の目撃者である小野関英治、坂井軍平、坂井久司の三君及び相馬村村長久保田浅次君等に会って、いろいろと当時の模様について聴取いたしました。この五名の目撃者の
説明
の中で、私
ども
の印象に残った点は、加害者米兵は、薬莢を十個ばかりばらまいて、日本式の手まねきをして、おびきよせるのを自選したという点であります。 次に、内閣
委員
と久保田村長との間に行われた質疑応答の主な点を申し上げますと、たま拾いに集まる村民の数はどのくらいであるかという点、
相馬ケ
原
演習
場は、日米
行政
協定による正式の指定地域になっておらないが、これは、農民の耕作要求が強く、これとの調整がつかぬために指定が延びておるのかどうかという点、
演習
場周辺の日米間の平素の感情問題はどうかという点、このほか、
演習
場があるために、特に
住民
が受ける利益があるかどうかという点等について
質問
がなされましたが、これらの点につきまして、次のごとき答弁がありました。すなわち、たま拾いをする人数は、相馬村の人口約四千人のうち約百五十人、桃井村人口約五千人のうち約百五十人、合せて約三百人の
住民
がたま拾いをしており、そのうちの約一割は婦人であるということ、なお、人数の多い日は、五百人くらいの村民がたま拾いに集まるときもある。
演習
場が指定地域になっておらない
理由
については、自分は、戦時中この村で組織された満州移民団の一員としてこの村を離れ、村長になったのも最近であるため昔の事情や経過を知らないからわからないが、農民の耕作要求が相当強いことは事実である。
演習
場周辺における平素の日米間の感情問題いかんとの点については、
米軍
は
住民
に対し好感を持っており、個人的に親切である。なお、
演習
場のため受ける利益の有無の点については、常駐の米兵はいないし、特に村が受ける利益はない。道路等公共
施設
がよくなるという利益もあるが、むしろ
演習
場のため、大水、旱魃の
被害
を受けることの方が多いという答弁がありました。 なお、久保田村長より、左のごとき強い
要望
がなされましたので、この際あわせて御
報告
を申し上げます。 その第一点は、
演習
場のための
土地
接収は、村の経済
状態
を著しく圧迫しておる
状態
にあるので、
土地
を返還してもらうことが一番望ましいことであるが、日米
行政
協定の存在する現在の
状況
下では、
補償
の強化により、村に対する経済的うるおいを与えるよう努力してもらいたい。なお、耕地として利用できる面積が約百五十町。歩あるが、そのうちの五十町歩だけでもとりあえず返還してもらいたい旨、第二点は、将来
演習
地立入り禁止を強化されると、たま拾いにより
生活
を支えている零細農民の死活問題となるので、この点、あまり厳格にしてもらいたくない旨、以上二点が強く
要望
せられました。 私
ども
は、以上の通り
視察
を終りまして、午後六時ごろ
現地
を出発し、帰京いたしました。 以上、御
報告
を終ります。
亀田得治
30
○
委員長
(
亀田得治
君) 御質疑のおありの方は、順次御
発言
を願います。
八木幸吉
31
○八木幸吉君 所管大臣でありませんから、伺うのはどうかと思いますけれ
ども
、たま拾いの問題ですね。立入り禁止のところであれば、やはり……。
亀田得治
32
○
委員長
(
亀田得治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
亀田得治
33
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記を始めて。
八木幸吉
34
○八木幸吉君 それで、これは、隣接の村が請負うというとおかしいのですが、村で一定の期日をきめて、たまを全部拾う、そうしてそれを売った金で、その村の比較的
生活
の困難な人のためにその金を使うといったような、ごくこれは思いつきのような何でございますけれ
ども
、
方法
はお考えになりませんでしょうか。今の
報告
を伺いますと、たま拾いをあまり厳格にすると、隣接の
生活
困難な人の生計を奪うので、困難だということ、これはごもっともでありますけれ
ども
、同時に、立ち入り禁止のところに入ってくると、また同じようなことが起ることがだんだんあると思いますので、
演習
のない日は、村で話し合って、その人が公然とそこに落ちておるたまを拾う。しかし、だれが売るということになると問題になるから、隣接の村なら村で売り、今までたま拾いをしておった人で、あまり
生活
の豊かでない人に分けるといったようなことを
当局
ではお考えにならないか、伺ってみたのですが。
今井久
35
○
政府委員
(今井久君) お答え申し上げます。このたま拾いの問題は、御承知のごとく、
事故
の発生ということをできるだけ防止するという点が
一つ
の目標であります。それから、先ほど御指摘になりました通りに、できる限り村の人がたま拾いをして、それによって収益が村に落ちるようにするという、この二点にあると存じます。
相馬ケ
原につきましても、
事故
の直後、二月の十日過ぎに、群馬
県庁
が中心になりまして、
関係
町村、相馬村、桃井村という村の
代表者
たちと、それから軍の方からも出まして、そうしてこのたま拾いの問題について、円滑にやるようにということで、いろいろ話し合いをしておる次第でございます。軍といたしましては、ただいままでの話し合いでは、
事故
の発生ということを非常に心配をしておりまして、できる限り、そのような組織につきましては、これは統制あるものであって、その統制のもとにたま拾いをしてもらう。勝手に
演習
地に入ってもらうというようなことのないようにということだけはぜひ保証してもらいたいというようなことで、いろいろ話し合いをしておる次第でございます。私
ども
といたしましても、ぜひそのようなことで話し合いがまとまりまするように、いろいろ話を
あっせん
したり、進めておるような次第でございます。
八木幸吉
36
○八木幸吉君 村の方で、統制団体というか、村営というか、その話は進まないのですか。進まないとすればどういうところに隘路があるのですか。
今井久
37
○
政府委員
(今井久君) ただいままでのところは、県が中心になっておりまして、やっておる次第でございますが、これは、
相馬ケ
原の
演習
につきましては、こういう日に射撃がある、こういうところで立ち入りの注意を与えてもらうというような通報が
基地
の
司令官
の方から県に参りまして、県から
関係
町村にさらに通知をして、十分
事故
の防止をするという建前で従来やっておったのでございます。そういうような
関係
で、県が中心になって、そうして
関係
町村が集まって、いろいろお話し合いになっておるようでございますが、私
ども
が聞いておりまするところでは、やはり軍の方が、なるべく県とか町村とかというものは、絶対
責任
を持ってやるようにしてほしい、できれば組合等でなく、そういう
責任
の所在をはっきりして
一つ
やってもらいたいという、こういう希望が強いように聞いております。そういうような点について、まだ細目的には話し合いがまとまらぬというふうに聞いておる次第でございます。
八木幸吉
38
○八木幸吉君 今のお話ですと、軍から県にいって、県から村へいって、村から村民にそれを伝えるという経路のよううかがえますが、
県庁
の
仕事
なんかは、なかなかどうしたってにぶいものですから、その
演習
場の近くに、村が二つなら二つ、三つなら三つあるとすれば、そこの村
当局
が連合して、
代表者
にだれかをきめて、軍と、
出先機関
ですな、村とすぐに連絡できるように、もっと早い経路でお話せぬと、また問題が起るのじゃないかと思いますけれ
ども
、それはいかがですか。
今井久
39
○
政府委員
(今井久君) ただいま、私お話申し上げましたのは、
演習
場の射撃等につきましては、一週間前でございましたか、大体こういうふうな予定で
演習
をする、射撃をするという通知が参っております。それが県へ参りますものですから、県の方では、ちゃんと
責任者
を作ってありまして、通報がしてありまして、この人が
責任者
だということがきまっておりまして、その
責任者
から
関係
町村に知らせる。
関係
町村から周囲の人に、
演習
があるということをすぐ通報するように、平素から連絡会議を常にやって、今日まで来ておる次第であります。たま拾いの点につきましては、
関係
町村が、相馬村と、桃井村と、箕郷町と三つあるようでございますが、おもにそういう村で、早く村と軍との間に話し合いができまして、そうして
責任
ある組織を作るようにすることが必要であるという考えを持っておりますことは、御指摘の通りでございます。
八木幸吉
40
○八木幸吉君 その村で組織は早急にできないのですかな、話し合ってやるということに。もっと簡単に話ができるように思うのですが、積極的にお進めになっていますか。
今井久
41
○
政府委員
(今井久君) 村では、たまを拾う組合を作りまして、そうしてその組合で拾わせてもらいたいというような意向があるようでございますが、その組合というものが、本当に統制力ある組合であって、その組合以外のものは絶対に入らないと、こういうような統制あるものになりますれば、やはり
事故
の発生ということが非常に心配になるものでございますからできれば町村とか県とかいうものが
責任
の地位に立ってもらいたい、こういう話し合いが進められておるような次第でございます。私といたしましては、ただいま御指摘になりました通りに、なるべく早く組織あるものにして、そうして
事故
の防止をすると同時に、地元の方へたま拾いを合法的にさしてもらいたいということにつきまして、十分
一つ
努力いたしたいというふうに考えております。
八木幸吉
42
○八木幸吉君 強力迅速に
一つ
、その組織をお進めになるようにお願いしておきます。
竹下豐次
43
○
竹下
豐次君 今のに関連して、簡単にお尋ねしたいのですが、県が仲に立って、町村と、それから軍との間の話を進めていく、調達庁はどの程度にそれに関与しておられるのですか。もう
県庁
の方や町村の方へおまかせになって、別にあなたの方で御
意見
としてどうしろとか、どうした方がいいというようなことはお出しにならないのでしょうか、陰でやっていらっしゃるのでしょうか、表向きに
関係
してやっていらっしゃるのでしょうか。
今井久
44
○
政府委員
(今井久君) お答えいたします。調達庁
当局
の、前橋に調達
事務
所というのがございまして、その前橋の調達
事務
所が、
相馬ケ
原の
演習
場につきまして、調達庁の第一線の
出先機関
になっております。従来
相馬ケ
原の
演習
場につきましては、日米の打ち合せ会議というもの、が開かれておりまして、そこで、県、
関係
町村、それから米側から三ケ尻の司令部から参りまして、そうして打ち合せをいたしております。その席に、やはり私
ども
の方の調達
事務
所の
責任者
も出ておりまして、そうしてそれらの打ち合せに従っておるような次第でございます。私
ども
の所管といたしましては、
施設
の提供、返還、それから
米軍
による不法行為がありました場合の
補償
等の
事務
を所管いたしておりますけれ
ども
、今回のような
事故
の発生につきまして、今後再びそのようなことがないようにということで、実は先般も、全国に
調達局
が八つございますが、この八つの
調達局長
を招集いたしまして、そうしておのおの所管内におきまして、
演習
、射撃における
状況
等も実は聴取いたしまして、今後の
事故
の発生について、いろいろ
協議
をいたしたのでございますが、いろいろ聞いてみますると、その
地方
々々でいろいろ事情が違うようでございます。従いまして、これらの事情をまあ十分のみ込みまして、その事情に即したいろいろな
対策
を講じていくということが必要であるように実は存じまして、その
調達局長
に指示をいたしておる次第でございます。今回、
相馬ケ
原の問題につきましても、私の方から、地元の調達所長はむろんのこと、本庁の東京局の部長を派遣いたしまして、そして県の意向を聞き、地元の
要望
も聞きまして、一切それらの点についてすみやかに、先ほど御指摘のありましたような点について、組織あるものができるように、実は努力いたしておるような次第でございます。
竹下豐次
45
○
竹下
豐次君 先ほど、八木さんからもちょっとお話がありました通りに、知事も熱心に世話して下さるでしょうけれ
ども
、ややもすると、ゆっくりになりやしないかという懸念がないでもないのであります。私
ども
などが
国会
で会って、お尋ねしたり、御
意見
を聞いたりしていても、知事といっても、なかなかまどろっこしくてしょうがないのであります。どうしてもあなたの方がむしろ実質的に中心になって努力していただかないと、延び延びになってしまうのです。そうむずかしいことでなく、割合に短い期間でなんとか話し合いがつかなければならないことのように思うのであります。ことにこういう事件がはっきり起りましたのでありますから、こういう機会にそれでおきめになることの方が、
仕事
がしやすいように思うのでありますが、このことも、特別の御努力を希望しておきます。
今井久
46
○
政府委員
(今井久君) ただいま御指摘になりました通り、十分すみやかにその組織ができるように、私
ども
の方としても努力いたしたいと思っております。
伊藤顕道
47
○伊藤
顕道
君 今井長官に伺いますが、先ほどのたま拾いの問題に連関して、
相馬ケ
原では、地元民の要求をいれないで、正式の払い下げに応じていないわけです。そうすることによって、地元民の
生活
もいろいろ気づかわれるのですが、この点について、どうお考えになっておりますか。
今井久
48
○
政府委員
(今井久君) この点につきましては、二月の十三日でございましたか、初めて県
関係者
が集まりまして、そしていろいろ米側とお話いたしました。自乗数回話し合いが進んでおるのでございますが、先ほど申し上げました通りに、組織ある強力なものができて、今後
事故
の発生が再びないようにしたいという米側の希望もありまして、それらの点について、
最後
の話し合いができておりませんということは、まことに遺憾に存じております。すみやかにその点はできるように、実は先日も本庁から部長をやりまして、東京
調達局
の総務部長が参りまして、そして群馬県の
当局
その他の
関係
当局
といろいろ話し合いまして、すみやかに組織を作るように、実は強く
要望
しておるような次第でございます。今後さらに十分努力するつもりでおります。
伊藤顕道
49
○伊藤
顕道
君 このたま拾いに対する
米軍
の態度が地区によってまちまちなんですね。報道によりますと、水戸では協約ができておるように聞いておるのです。それから、前に新聞で見ましたが、京都、宇治等では、たま拾いを窃盗罪として警察は扱いたいと、また、扱うように進めておる、そういうようなことも聞き及んでおるわけです。今回の
相馬ケ
原では、地元民の
要望
をいれていない、正式な払い下げはしないというふうに、幾つかの地区を拾ってみても、皆まちまちなんです。この点について、どういうふうにお考えですか。
今井久
50
○
政府委員
(今井久君) 今御指摘になりました通りに、地区によってまちまちであることは事実のようでございます。ただ、たま拾いの問題につきましては、一応落ちましたたまは、
米軍
でこれの所有権を放棄するということがありませんと、一応これは
米軍
に所有権があるんだ、こういう建前をとっておる次第でございます。で、そのようなことが、ときによりまして、ただいま御指摘のありましたような窃盗罪で問われるというようなことになったんではないかと実は思うんですが、そのようなことがありまするから、ぜひとも各地区において、
米軍
との話し合いをつけまして、そうして今のようなことの起らないように
協議
いたさなければならないというふうに実は私
ども
も考えまして、先日、各
調達局長
に、その
土地
の事情に応じて適切なる方策をとるように、
米軍
と話し合いをするように、指示をいたした次第でございます。なお、ただいま御指摘のございました茨城県の水戸の
飛行場
におきましては、地元でありますところの勝田市が
米軍
と話し合いをいたしまして、勝田市の経営といたしまして、たま拾いをきせておるのでございます。勝田市で人を雇いまして、その人にたま拾いをさせる、こういうことで、
米軍
との間に協定を結んでおりまして、茨城県の水戸
飛行場
におきましては、その点がきわめて円滑になっておる次第でございます。で、これらの点につきましても、
調達局長
に実は私
ども
の方から指示をいたしましたが、その
関係
市町村がそこまで、全部市営なり町村営なりでこれを行うんだというところまで、実は熱意を示して参りますれば、比較的それらの点も円滑に運ばれるんじゃないかと思いますが、全国で、所によりますと、実は町村としても、広い
演習
場のところを全部町村で
責任
を負うということは、なかなか容易でないというような
観点
で、それらの話し合いが進んで参っておらないところもあるようでございます。そのように、事情がいろいろ違うのでありますが、要は、たま拾いを円滑に組織的にやらせてもらうということが、これが根本であると思いまして、その目的のもとに、すみやかに組織を作るということが必要であるというふうに考えまして、その
趣旨
のもとに努力をいたしておるような次第でございます。
伊藤顕道
51
○伊藤
顕道
君 今の水戸の例もありまするし、やはり農民がそういう危険を冒してまでもたま拾いをしなければならない、そういう窮地に追い込んだのはだれかということを考えた場合に、やはり一番安全を考えて、正式に払い下げて、それを
演習
休止の
状態
にあるときに、村民の連中からなるところのそういうたま拾いの組合、そういうものを作って、それに正式に払い下げるのが一番安全だと思うんですね。正式でないと、やはりわれ勝ちに、また
危険区域
に入るような面も出てくるし、そういう
観点
から、そういう原因を作ったのはとにかくどこにあるかということを考えた場合、正式に払い下げるという程度のことは、水戸の例もあるし、今回の
相馬ケ
原でもできないことはないと思うんですがね。そういう意味で、
一つ
正式に、今後再びこういうあやまちを繰り返さないためにも正式に払い下げそれを
演習
の休止
状態
のときに村民に、組合に渡してやる、そういうことを徹底さすということがあやまちを防ぐゆえんだと思うんですが、その点いかがですか。
今井久
52
○
政府委員
(今井久君) ただいま御指摘になりました点は、その通りでございまして、組織をすみやかに作りまして、そして軍との話し合いをしていくということが必要になっておるのでございます。ただ、先ほどちょっと申し上げましたが、たまというものは、一応軍に所有権があるのだという建前をとっておりまして、これは、やはり軍の規則に根拠があるように聞いておりますが、そういう点がございますものですから、それらの点について、どういう形で契約を結んだらいいかということは、おのおの各地の軍によって多少
意見
が違うところがあるように聞いております。おのおのの規則に応じまして、円滑にそういう点を統制してやっていくようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
伊藤顕道
53
○伊藤
顕道
君 同じく
相馬ケ
原の問題に関連して、前からあったことですが、
相馬ケ
原の
演習
地域外の民家や
民有地
に、流れだまがしばしば落ちているということに基いて、前橋の調達
事務
所でも、その現場を
調査
したところ、その事実を確認しておるのです。こういうようにして、
区域
内でしたらまた話が別ですが、
区域
外の民家や
民有地
に流れだまが落ちる。現にそういうことを前橋の
事務
所が確認しているのですから、これは事実と見て差しつかえないと思うのですが、そういうことでは、いつ農民がたまに見舞われるかわからない、非常に不安だと思います。私
ども
、離れておればさほど感じませんけれ
ども
、
現地
周辺の農にとっては、一大
脅威
だと思うのですね。そういう点については、何とか
一つ
抜本的な方策でも講じないと、なかなかこういう悲劇は次々と繰り返されていくと思うのです。今までの
事例
を見ても、これはやはりあやまちがあった、聞違いがあった、これを
調査
して
補償
すると、そういうことを繰り返していったのでは、なかなかこういう悲劇はやまないと思うのです。そういう点についての具体的なお考えがあったら、承わりたいと思います。
今井久
54
○
政府委員
(今井久君) ただいま御指摘になりました、
区域
外に流れだまが出るということは、これはきわめて遺憾なことでございます。これらの事実につきましては、よく
調査
いたしまして、これがどういう事情で御指摘のようなことが起きたかということは、十分根本的に調べてみまして、これの
対策
を講じなければならないと思います。また、そのようなことによりまして、付近の方々に損害を生じました事柄につきましては、十分
調査
いたしまして、
補償
もいたきなければならないというふうに考えております。
亀田得治
55
○
委員長
(
亀田得治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
亀田得治
56
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記を始めて下さい。
伊藤顕道
57
○伊藤
顕道
君 今の
演習
地外の
被害
の問題で、ごく最近ですが、五日の新聞によりますと、例の東富士の
演習
地
区域
から約一里離れた所で、静岡県の須山村ですか、その付近に爆弾が二個落されたということで、ちょうど近くに農夫二十人ぐらいがおったけれ
ども
、あらかじめ危険を察知したので、危うく難を逃れたというような事態は同じような問題なのですね。これはまあ、一里も離れておるのだから、
飛行場
からもまさしく
区域
外であるということは飛行士も確認できる、そういうふうに目撃者は見ておるわけです。わずか距離でしたら、あやまちもときにはあるでしょうが、一里、四キロも離れておる所で、そういうようなことは、とうていこれは過失とは考えられないのですけれ
ども
、こういう点は、最近の
一つ
の
事例
ですけれ
ども
、今までもこのような問題はあったと思うのですけれ
ども
、こういう点は、やはり根本的に改めないと、こういう面の悲劇も繰り返されると思うのですけれ
ども
、この点についての東富士の問題については、
調査
済みですか、それともどういうふうになっているのですか。
今井久
58
○
政府委員
(今井久君) 東富士の、今御指摘になりました駿東郡の須山村という所に、先日爆弾らしきものが落ちた、そのために穴があきまして、樹木等に損害を与えたというのは事実でございます。私
ども
といたしまして、それがどういうことで落っこったかということにつきまして、早速司令部の方に申し入れまして、司令部の方から、
現地
の方を調べてもらうことにいたしたのであります。まだ、その結果につきましては、私
ども
の方へ
報告
が参っておらない次第でございます。すみやかにその
報告
を聞きまして、そうしてその点についての十分原因をきわめまして、
措置
をいたしたいというふうに考えております。
伊藤顕道
59
○伊藤
顕道
君 まあ今のは、
一つ
、二つの例を申し上げたわけですが、要するに、
演習
地
区域
外に爆弾を落すとか、流れたまが飛んでくるとか、そういうようなことは、日本側でよほど強い態度に出ない限りは、繰り返されると思うのですね。今後は、
区域
外に爆弾を落すという、そういう大それたこと、この東富士の問題も、場合によれば、二十人、三十人の
被害
があったと思いますが、これこそ大問題です。幸い
事故
がなかったから、これで済んだと思いますけれ
ども
、そういうふうに、金属的には、問題にされない問題が相当あると思います。たまたま
国会
で問題になり、あるいは報道
機関
で伝えられて、初めて問題化されるというのでなく、やみからやみへほうむられておる、泣き寝入りしておるという問題が山積しておると思います。こういう点については、私
ども
、前にもよく承知したわけでありますが、ここで、こういうようなことについては、
米軍
に厳重な申し入れをして、そういう大それた問題を起した場合には、日本側で
基地
をもう回収してしまう、そのくらいの強い申し入れをしない限りは、向うでも馬耳東風で軽くあしらって、同じあやまちを繰り返しておると、こういうふうに受け取れるのですが、全国的に見ると、たまたま新聞の報道の面を見たたけでも、相当あるわけです。まだそういう新聞の記事に載らないようなのは、はかり知れないと思います。
一つ
、そういうような意味合いで、もうそういう問題を起した場合には、徹底的な
一つ
追及をしていただかない限りは、あやまちが繰り返されると思うのですが、これは、尋常一様の申し入れぐらいでは、相手が相手で、問題にしないと思います。今までの
事例
から、こういう点について、
一つ
断固たる
措置
をとっていただきたいと思います。その点について、どういうふうにお考えですか。
今井久
60
○
政府委員
(今井久君) 地域と指定された外に爆弾が落ちるというようなことは、これはもう、申し上げるまでもなく、非常に遺憾なことであります。今回、東富士におきまして、そのような
事故
の発生があったということを承知いたしましたので、直ちに総司令部へ行きまして、これらについて、厳重な
調査
を要求いたしておる次第であります。そのような
事故
がもし発生するようなことがありました場合には、御指摘の通り、相当の決心をもちまして、強く善処を
要望
いたす考えであります。
竹下豐次
61
○
竹下
豐次君 たまの所有権ですね、これは、
地方
民や警察官の間に、今、長官のお話があったように、アメリカ軍にその所有権は依然として残っておるのだというふうに考えないでですね、アメリカ軍はもう放棄しておるのだというふうに考えているのが相当にあるのじゃなかろうか。現に私、今まで、やはりアメリカが放棄しておるのだ、それで実際困っているということを聞かされまして、そう思い込んでおったところが、今、そういう御
説明
がありましたので、やっとわかった。私自身がそうなんであります。そういうふうに誤解をしておる警察官や
地方
民が多いと存じます。警察官や
地方
民の
立場
とすれば、もう所有権がないとすると、だれが拾っても拾い得だという気持になるし、所有権はまたアメリカに残っているのだ、これはうっかり取ってしまえば、窃盗罪でやられるのだということをはっきり認識したら、今までのようなむちゃなことをしなかった人も相当に多かったのじゃないか。
生命
の危険のほかに、窃盗罪で検挙されるという危険があるわけですから、その点がどうなんですかね。所有権は皆アメリカにある。検挙されれば窃盗罪が成立するということがわかっているんですか。どういうふうにごらんになっておりますか。
今井久
62
○
政府委員
(今井久君) その点につきましては落ちましたたまは、アメリカが所有権を放棄しておるのだという気持で、事実上の問題として今日まで来ておるというのが事実だと思います。ただ、今度の場合に、もしそういう点についてどうなっておるのかということで、実は、私
ども
の方も、司令部の意向等も聞いてみたのであります。そういたしますと、これを放棄しない。所有権は放棄しない。放棄していない限りはアメリカのものだ、こういう結論が一応出まして、この間、群馬県の
当局
の三ケ尻の
司令官
に対して、その点を聞いてみましたところが、やはり所有権は、放棄しない限りはアメリカにあるのだ、こういう
立場
をとっておるわけでございます。しかし、それは、こと改めて聞きますればそういうことでございますが、要は、やはり安全にたまを拾うということが目的でございますから、向うに所有権を放棄してもらうといいますか、何といいますか、いろいろ言葉の
関係
はございましょうが、こちらで拾っても差しつかえないのだという話し合いをしまして、そうしていくのがいいのじゃないかというふうに実は考えておる次第でございます。あるいは所によりますと、まあ向うは捨てておくのだから、放棄されたものだという建前で、そこの地元の人たちがたまを拾っておるというのが事実じゃないかと思います。こと改めてそこを聞きますると、そういうことになるのじゃないかということになりますので、そういうことを先ほど申し上げた次第でございます。
竹下豐次
63
○
竹下
豐次君 私も、うっかりしておったんですが、だれからそういう話を聞いたか、いつであったかということも記憶しないぐらいぼんやりしておりましたが、そういう問題が起ったときに、裁判になったところが、所有権がないという例まであるのだという話まで、どっかで聞かれされたことがあるのです。そこは、所有権があるということがはっきりしますれば、窃盗罪をしちやいけないということぐらい、日本国民は皆考えておる。だから、今後の交渉をきれる、両方で話し合いをきれる上においても、所有権が向うにはっきり残っておるのだということをはっきりさせた上で、そうして話を進めていかれるということは、私は話を進める上においてもやはり非常に有益だ。それを逆に考えて話をするということになったら、これは、話はしにくくなりますよ。これは、われわれ、ああいう
相馬ケ
原の事件が起ったのは、日本国民としてまことに遺憾千万だ。日本人をばかにしているという感情も起ります。それはそれとして、窃盗になるということを承知しながら、日本人が取ってしまうというようなことは、これはまた、許すべからざることです。それはそれで、厳重に制裁を加えなければならない。
生活
権の問題と言ってみたところで、
生活
権の問題があるから泥棒していいということは言えないわけですから、警察としても、きぜんたる態度をとらなければならない。その点はあなたの方としても……。それから、アメリカの軍隊でも、
地方
によっては、そこを誤解しておるところがあるのじゃないか、こう思いますが、その点をもう少しはっきりさせるお考えはございませんか。これは、法務大臣の方でも、
一つ
お考えを願いたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
今井久
64
○
政府委員
(今井久君) 先ほどのお話は、まことにごもっともでございます。
相馬ケ
原の問題につきましても、県と
米軍
、
関係
町村の方々との打ち合わせ会議には、警察の人も出ておるわけでございます。この組織ができまして、そうしてたまを拾うという形が整いますれば、それらの点も自然に解決する。そういう組織がちゃんとできているのに、ほかの者がこっそりやるというようなことは、これは非常に困る問題でございます。自然にそういうようなことも解決するのではないかと思います。そういうような会合の際にも、
米軍
としてはやはり所有権は一応あるのだということを前提として、いろいろ話し合いをしておるようでございます。ただ、先ほど御指摘のように、そういう点が、従来とかく不明確な点をはっきりする。また、不明確のために、いろいろ問題があったと思います。これらの点につきましても、今後気をつけまして、対処していきたいというふうに考えております。
伊藤顕道
65
○伊藤
顕道
君 法務大臣に伺いますが、二月二十二日、わが党の代表が石田官房長官とか検事総長にお会いしておるわけです、
相馬ケ
原の件で。その際、官房長官は、日本の裁判権を確認して、
政府
としては、既定方針通り強力にやる、そういう回答があったわけです。また、検事総長としても、
米軍
もおそらく日本の裁判権を認めるであろうというような
所見
を発表しているわけです。それが、先ほどの御
報告
で、この公務中か公務外かということで対立のために、刑事裁判権分科
委員
会で問題になっているというように聞いているのですけれ
ども
、そのときの発表の動向とだいぶかけ離れているように思うのです。この点につきましては、どうなのですか、見通し等については……。
中村梅吉
66
○国務大臣(中村梅吉君) 本日の合同
委員
会で刑事裁判権分料
委員
会におろされたわけでありますが従来の例を私、この事件が起きましてからいろいろ聞いてみましたところ、従来も、分科
委員
会までおろした事案は、たくさんあるそうでございます。しかし、ここで双方がそれぞれの主張をいたし、その主張の裏付けとなるべき論拠を明確にいたしまして、論拠が明確になって、日本側の主張が正しいという大体態勢になりますと、アメリカ側でなお固執して、折り合いがつかなかったということは一ぺんもありませんで、なるほどという、日本側の主張すべき主張とその論拠を明示することによって、だれが聞いても納得のいくという線の場合には、必ず向うも譲歩いたしまして、
最後
の折り合いがついておるようでございますから、本件の場合におきましても、日本側としましては、これは、単なる出先の検察庁が一存できめたわけでもありませんし、いろいろ
調査
をいたしまして、取り調べその他を通じての
資料
を
現地
の検事正、次席検事等が
中央
に持って参りまして、最高検で会議を開いて得た結論でございますから、もちろんこれは、日本側の主張が是なり、正しいという論拠を十分に裏付できるものと、私は確信をいたしております。従いまして、本日の合同
委員
会の分科
委員
会の方に下りましたが、十二日に分科
委員
会を開かれて、即日は、もちろん
意見
が対立して、相違している以上は、
決定
はできないかもしれませんが、必ず日本側の主張を通して解決できるだろう、こういう実は目下のところ見通しになっておる次第でございます。
伊藤顕道
67
○伊藤
顕道
君 私
ども
として考えても、アメリカ側の目撃者の証言と、日本側の目撃者の証言を比べた場合、その確実性において、相当隔たりがあるのです。日本の目撃者の証言は、三人が三人みんな同じことを、何回聞いても明確に発表をしておるわけですね。アメリカ側の証言については、あるものは全然たまの者を聞かなかった。あるものは一発だったというふうに、まちまちであった。そういう点からも、これは十二分に根拠があると思うのです、こちらに有力な。やはり問題は、故意か過失か、勤務中か勤務外か、こういうような点が重大な問題で、特に、勤務外か勤務中かという点に争点がしぼられておるのですけれ
ども
、そうしますと、先ほどの
報告
で、アメリカ側では、故意であったということは認めておるわけですね。そうして、勤務中の故意の
事故
であったと、そういうふうに解釈してよろしいのですか。
中村梅吉
68
○国務大臣(中村梅吉君) 私も、直接みずから事件の取調べに当ったわけではありませんから、なんですが、察するところ、アメリカ側としては、勤務中のできごとであるから公務である、こう言っているのだと思います。しかし、勤務中といえ
ども
、公務にはおのずから限度がございますから、人を傷つけるような行為は、これは公務であると認めるわけにいかないというのが日本側の建前であると思います。かつてのやはり裁判権の管轄で対立をいたしました事件等を聞きましても、勤務中のできごとであっても、そのこと自体が公務と認められない場合には、公務にあらざるものとして、日本側が裁判権を持って裁判をいたしました例もございます。それから、京都に起きました事件等を聞いてみますと、これが合同
委員
会までかかりまして、アメリカ側は、日本側のその主張をいれて、そうして、日本に裁判権を渡して、日本側が裁判をいたしたのでありますが、被告自身が、自分の行為はあくまで公務中の行為である。従って、日本が裁判管轄権を持つということは、
行政
協定からいっても違法である。こういう抗弁をいたしまして、これが一審、二審、
最後
、上告まで参りまして、日本の最高裁判所で、その事案は、たとい勤務中といえ
ども
、それは勤務中即公務であるという解釈はできないから、やはり日本側に裁判権があるのだ。こうい6最高裁判所の最終判決、が下って、確定した事案等もあるようであります。従いまして、本件については、私
ども
は、最高検察庁が、
現地
の直接調べに当りました担当官を集めまして、そうして合議をして、
協議
の上得た結論というものは正しいものであると、かように私も信じておる次第でございます。
伊藤顕道
69
○伊藤
顕道
君 その点は了承しますが、そこで、故意か過失かということも、本問題処理に当って非常に大事な問題だと思うわけですけれ
ども
、明らかに薬莢を二回まで銃口に差し込んでおる。そういう過失ということは考えられないわけですけれ
ども
、一応、そういう
観点
から、これは故意であるということに解釈してよろしいのですか。日本側では、そういう態度をとっておるわけですね。
中村梅吉
70
○国務大臣(中村梅吉君) きょうでございます。私
ども
、調べた調書をみずから読んだわけでもありませんから、そういう具体的な点についてはなんですが、とにかく前橋の
地方
検察庁が十分の
調査
をいたしまして、証人も調べ、検証等もいたしまして、そうして得た
資料
を持ち寄って、専門家の最高検で、故意の傷害致死である、こういう結論を得たのでありますから、私
ども
は、その裏づけとなるべき材料は、今までの証拠調べ、証拠の収集、
調査
によって、明確になっておるものと、かように信じておる次第でございます。
伊藤顕道
71
○伊藤
顕道
君 その点は了承しますが、そこで、前の
報告
でも申し上げましたように、前に、籠原キャンプで一方的な声明を発表した。それに対して、
政府
側で強力な抗議を出してもらうことになっておったわけですが、そういう
相馬ケ
原事件等を通して、
米軍
がどのように自粛してきたか、そういう具体的な動きは見えませんか。ただ、今まで通りで、何らたとえば、全軍に対して最高
司令官
の訓示を出すとか、そういうような面は何も出ていないわけですか。どういうふうなものが具体化しておるか。もしそういう
措置
が講じられていないとすると、日本
政府
を全然問題にしていないということにも解釈できるわけで、非常に大事な問題だと思いますから、そういう点について承わりたい。
中村梅吉
72
○国務大臣(中村梅吉君)
現地
の指揮官が声明か談話を発表したというように伝えられたのでありますが、
国会
でももちろん問題になりまして、われわれも非常に重視いたしまして、直ちに、あのときに、法務省としましては、裁判権管轄に関する分科
委員
会が法務省にありますので、その
委員長
をして
米軍
側の
委員長
を訪問さして、あのように、まだ事態も明瞭ではないじゃないか。おそらく
米軍
側としても、真相が究明されていない段階で、こちらも
調査
に着手したばかりの段階で、ああいう一方的の声明をきれることは、非常に国民も心配するし、迷惑である。つつしんでもらわなければならないということを申し入れましたところが、よくその
趣旨
は了承をきれたが、しかし、私
ども
のレベルだけの話では、全体に
趣旨
が徹底することが至難だと思うから、日本の合同
委員
会の
代表者
から
米軍
側の
代表者
に、なお念のため正式に話をしてもらいたい、こういうことになりましたそうで、外務省の欧米
局長
が日本側の合同
委員
会の代表だそうでありますから、直ちにその方に連絡をいたしました。そして日本側の代表から
米軍
側の代表に、同様のことを申し入れておりますわけで、この点は、よく
趣旨
が徹底しておると思います。アメリカ側としましては、それは、正式の談話とか声明とかというものではないので、新聞記者が来て尋ねられたので、そういう見解を発表した。なるほど、それは軽率であるといえば、それは軽率であるが、そういう事態であって、改めて出したものではない。こういうような弁明等もあったように聞いております。かようなわけでありますから、そのこと事態は、これは、全体に徹底すべきものかどうかわかりませんが、とにかく個々のケースとしては、そのような処置を一応あの当時われわれとしては直ちにとりましたような次第であります。
伊藤顕道
73
○伊藤
顕道
君 この
相馬ケ
原事件に限らず、先ほど重ねて申し上げておりますように、各
基地
周辺で、そういう不祥事が次々に繰り返されておる。
米軍
の方で、日本人に対する態度を根本的に改めない限り、これは繰り返されると思うのですよ。そういう点、きわめて重大な問題であるので、
一つ
この点について、強力な申し入れをしてほしい。これは、尋常一様の
方法
では、なかなか徹底しないと思うのです。もう繰り返し、厳重な態度で臨んでほしい、そういうことを要求したいと思うわけなんです。
田畑金光
74
○
田畑
金光君 ただいまの伊藤
委員
の
質問
に対しまして、大臣から御答弁になりましたが、特に伊藤
委員
の念を押された点について、何
一つ
、日本
政府
としても、具体的な
手段方法
を講じていないと判断せざるを得ないのです。と申しますのは、その後の事件の頻発というものは各地に見受けられるわけでありますが、たまたまきょうの日本経済新聞を見ますと、
福岡
で起きた事件でありますけれ
ども
、米兵になぐり殺された。この記事は見られたと思うのですが、二月二十六日の夜、
福岡
市で人夫をしておる秋田国広さんという人が、同市の鹿児島本線踏切付近で、こん棒のようなものでなぐられ、頭蓋骨骨折で死んでいた。ちょうどまた、同じ夜に、女給の林百合子という女の人が米兵二名から顔面をなぐられ、全治十日の傷を負った、こういう事実を聞き込んで、警察署で直ちに調べたところ、
板付
の
基地
にいる空軍憲兵の協力で調べたところが、そのなぐられた林さんという女給さんに顔を点検させた。ところが二人、案の定出てきた。それで、この二人が女給さんをなぐった張本人であったが、だんだん調べていったところが、そのうちの一人が人夫の秋田国広さんをなぐった。
福岡
地検では、七日傷害致死容疑で二人の身柄引き渡しを
米軍
に要求する一方、
板付基地
副
司令官
ウェプスター大佐と、空路誘導中隊長キャンベル少佐は、六日
県庁
を訪れ、
補償
を申し出た。この事件は、本日の朝刊にれっきとして載っておるわけであります。しかも、
福岡
の地検は、傷害致死容疑で、本日二人の身柄引き渡しを
米軍
に要求しておる。この事件の
性格
を見ますと、これは、公務中だ、公務外だという問題外であって、まさにこれは、公務外における夜遊びに乗じた米兵の暴行事件であることは、はっきりしておるわけなんです。 この事件の経過を見ましても、今論議されているこの
相馬ケ
原の農婦射殺事件と、そのやり方、その手口、その
性格
というものは全く同一なんです。一体、こういう事件を頻発さしていて、日本
政府
としては、一連の最近のこの悲しむべき事件に対して、何の反省もやっていないのか、何の具体的な手も打っていないのか、こういう問題になって参ると思いますが、まず最初に、この事件について、
当局
の聴取されておる現在の段階における
報告
の内容について、承わっておきたいと思います。
中村梅吉
75
○国務大臣(中村梅吉君) 九州の事件でございますか。
田畑金光
76
○
田畑
金光君 そうです、今言っているのは。
中村梅吉
77
○国務大臣(中村梅吉君) 御指摘の事件は、私
ども
も聞いておりますが、今、日本側におきましても、捜査に着手して、調べておるという段階でございます。犯罪の
状態
については、新聞に出ているほどに、具体的には連絡がきていないようでありますが、
現地
の検察庁で今取調べ中のおもむきであります。
田畑金光
78
○
田畑
金光君 大臣の御答弁というのは、まことに熱意のない御答弁ですね。日本の人が二人なぐられ、一人は頭蓋骨骨折で死亡しておるのです。しかも、あんたの所管
行政
の下にある
福岡
地検は、傷害致死容疑で、二人の身柄引き渡しを求めておる。しかも、これは、決して日本人同士の暴行事件でもなく、しかも、それは、
基地
の問題、
基地
にある米兵の問題で、そうして米兵と日本人との間に起きている事件なんです。こういう重大な、外交的にも、あるいは国際的にも、あるいは国内の治安の面からいっても重大な事件について、大臣の今のお話というのは、きっぱりどうも、その辺の市井のちまたで夜ごとに起きている事件を扱っておられるような態度ですが、そういうような態度では、これは、問題の解決は、一歩も前進せぬと思うのです。もう少しこの事件の真相、
性格
についてどう判断しておるのか、御答弁を願いたいと思います。
中村梅吉
79
○国務大臣(中村梅吉君)
現地
の検察庁ですでに捜査に着手しておる事件でありまして、御指摘の通り、きわめて重大な日米間における性質の事件ではございますが、私
ども
として、まだ詳細な
報告
を入手いたしておりません。ここに参りました刑事
局長
は、若干私
ども
よりは詳しい事情を承知しておると思いますから、私からお答え申し上げますよりは、知っておると思いますから、
政府委員
から事の成り行き、
現状
を御
説明
申し上げたいと思います。
田畑金光
80
○
田畑
金光君
政府委員
に御
説明
を求められ、井本さんから御
報告
なさることはけっこうですが、大臣としてですね。私は、こういう重大な所管に属する問題が起きて、こういうような事件の取扱いというものについての大臣の熱意というものがどの程度あるのか、疑わざるを得ない。これは、
相馬ケ
原事件とその
性格
が同じです。この事件は、
相馬ケ
原事件がまだおさまらない……先ほどからの
質問
を聞いておりますと、ちょっと私調べてみましたが、二月七日に本
委員
会で
相馬ケ
原事件を取り上げて、そうしてこれは、早急に検察庁としての結論を出して起訴をやりたい。こういうような話があったわけなんです。かれこれ一ヵ月後、この点については、私たちは、あの当時の
政府
関係者
の答弁によると、いずれ合同
委員
会あるいは刑事裁判権分科小
委員
会に移して結論を得るのも、もう二月いっぱいで出てくるだろう、こういう期待を持っておりましたが、たまたま本日、ようやく刑事裁判権分科小
委員
会に移される。こういうような問題は、時間を放っておくと、結局やみの中に葬むられる、こういう心配をわれわれは強く持っておったから、衆参両院の
内閣委員会
あるいは本会議等で、この問題を常に追及しておったわけですが、なお今日、同じような
状況
にある。こういう態度であるから、こういう重大な問題で、先ほどのような御答弁を承わらなければならぬ。新聞の朝の報道で、われわれの知っておる以上のものが大臣からお答えが期待できない。これは私は、熱意の問題であり、気がまえ、態度の問題だと思う。私はこういう大臣の態度では、
相馬ケ
原事件あるいは
福岡
におけるこのような事件というものは、今後とも頻発するだろうと思うのです。日本人がかくのごとく惨殺されて、これは、即死ではないようですが、翌日死亡したとなっておりますが、頭蓋骨骨折で、いずれにしても、こういう残虐な扱いを各地で受けておる。この問題についてはもう少し大臣として真剣に取り組んでもらわなければならぬと、こう思うのです。私はこの点について大臣にはなお
質問
を継続いたしますが、新聞を見られたのですか、見られなかったのですか。それから
一つ
承わりたいと思います。
中村梅吉
81
○国務大臣(中村梅吉君) 私
ども
は
責任
ある
立場
でございますから、新聞社でありましたら
現地
の検察庁あるいは警察の動き等を見まして情報を収集して、記事に直ちに書くことはできると思いますが、われわれといたしましては
現地
に役所の
機関
がございまして、ことに検察庁がそれぞれの地域にありまして、その地域の検察庁が
責任
を持って捜査段階にあります事件を、公式の
報告
を入手いたさないで、それはこうでございます、ああでございますということは、実は言いかねるものでございますから、差し控えておるような次第でございます。いずれ捜査の適当な段階において
報告
をこちらからも求めますし、当然
現地
からも
報告
がくるものと思いますから、明確になりました際に、
責任
ある事態の明確化を
委員
会においてもはかりたい、かように考えます。 なお、それから
相馬ケ
原事件の結論が非常に延びておりますことは私
ども
非常に遺憾に思いますが、日本側の結論はあの当時申し上げましたように、最高検で最終的な討議をいたしまして結論を出して、そしてアメリカ側に犯罪通告と同時に管轄権の通報をいたしました。その後、アメリカ側ではこの出来事の結論を得るのに非常に手間取っておりまして、こちらからその間何回か非公式に催促をきしておったのでありますが、もう少し結論を出すまで待ってもらいたいということで延びてきまして、ようやく本日の合同
委員
会ということになりましたわけでありますが、その結果、分科会に移されまして、分科会が来たる十二日に開かれる。御指摘の通り先月中にでも結論を得べく私
ども
は期待を十分持っておったのでありますが、さようなことで延び延びになっておる。 それからあわせてお答えを申し上げておきますが、この種の事件というものが各地で起って参りますことは、これは非常に日米間の国交の上にも、国民感情の上にも、また日本のいろいろ法を保護する上からいいましても、非常に遺憾至極にたえないところでございます。従いまして、御指摘のありましたように、事件の起きましたつどはもちろんのこと、その他の場合におきましても、日米側の接触をしておる
機関
におきましては、かようなことのないように、
米軍
側で駐留中遺憾な事件の起きないように、最善の手配をするようにということは、常に申してあるはずでございます。私
ども
自分の国から直接アメリカ側に言うておるわけではありませんから、必要がございましたら、その
関係者
から直接お答えをきせるようにいたしたいと思いますが、もちろんこの種の事件の絶滅をわれわれは望んでおるのでありますが、残念なことにはしばしばこういう事件が起きまして、ことに九州の事件は大体今聞いておるところによりますと、
相馬ケ
原の事件よりはまだ何といいますか、質が悪いといいますか、
相馬ケ
原の事件というのは
演習
場であり、その
演習
場へ日本の人が入っておった、その機会におきましての事件ということでありますが、一方はまだこれよりも質が悪いとさえ言えるような事案のように、感じでは持っておるのでありますが、いずれにいたしましても事案の真相については、これは私
ども
としては軽々にこの事案はこういうものでございますからということを公式の
資料
を得るまでは慎しんだ方がよかろうかと、かように考えておるような次第でございます。
田畑金光
82
○
田畑
金光君 今の大臣の御答弁は、これはどうも言いのがれですね。この事件の起きたのは二月の二十六日の夜です。もう十日もたっておるではありませんか。十日も。しかも
福岡
地検は直ちに捜査し、検察権を発動しているでしょう……。少くとも十日間には相当の証拠の収集、その他身柄はもちろんこれは引き渡しを受けておるのかと思うのですが、少くとも中間
報告
ということは検察の中においてもあることだし、またそれが当然のことだと思うのです。
相馬ケ
原事件についても常に中間
報告
を
内閣委員会
において行われておる。
国会
についても行なわれている。この事件はすでに十日を経過しているのですから、今事件の真相が明らかにならないから、ここで話すわけには参らぬということは、まことにこれは怠慢を隠すためとしかわれわれは見るわけに参らぬ。この点に関しまして、これはまことに今の大臣の態度は遺憾であり、そういうようなことだから万事こういうような事件が次から次へと起きてくるわけで、後ほど大臣の考え方についてはさらにお尋ねいたしますが、この事件の真相について、井本刑事
局長
から現在承知される限りにおいて御
報告
願いたいと思います。
井本臺吉
83
○
政府委員
(井本臺吉君) 本日詳細な別途
報告
が
現地
の検察庁から来るわけでございますので、正確なことはその別途
報告
によってお答えした方が間違いないと思いますが、
概略
私
ども
が電話で
報告
を受けておりました
状況
をお答え申し上げます。 被疑者はロバート・ウオルシュ二等兵という者でありまして、先月の二十六日に新聞にありますような
福岡
市の出来町国鉄鹿児島本線踏み切り付近で根棒状のものでなぐられて死亡した事件がありまして、その事件についていろいろ捜査をいたしました結果、犯人がロバート・ウオルシュという者であるという大体の推定がつきましたので、これは日米両国で共同して調べをしておったのでありますが、三月の四日にアメリカ側がロバート・ウオルシュと同時に、その共犯の疑いのあるエドワード・ライスという二等兵両名を逮捕したのでございます。日本側ではすぐその翌日検事が一応両名について取調べをしております。六日には、かような犯罪があるというので、ロバート・ウオルシュにつきまして傷害致死罪でアメリカ側に犯罪の通報をやっております。新聞に身柄の引き渡しを米側に行要求してあると書いてございますのは、これは日本側の取調べに応じて、随時出頭きせるということを確約させた
趣旨
であるということを
現地
から言って参っております。 なおエドワード・ライス二等兵につきましては、ロバート・ウォルシュ二等兵と共謀してこの秋田という
被害
者を殴打したという嫌疑はやや薄いので、共犯の事実は現在のところははっきり認められないのでございますが、他の日本人に対する傷害事件があるらしいという見込みがありますので、その点につきましてもなお厳重に取調べを進めているわけでございます。 なお、かような事件につきましては、これはもう当然日本側に裁判権があるので、
相馬ケ
原事件のように、裁判権がどちらにあるかというような問題は全然起きないというように考えております。
田畑金光
84
○
田畑
金光君 これは明らかに公務外の私用中の、しかもこれはおそらく夜飲んで歩いていた、そういうさなかにおける事件だと思うのです。従って、裁判権もこれは当然日本にあるわけで、また身柄も日本において留置して取調べを進める、こういうことなどが当然とらるべき
方法
だと思うのです。こういう事件が起きた場合、今お聞きしますと、ようやくきょうあたり電話連絡で
現地
と話をなされたようでありまするが、おそらく新聞に出たから皆さんの方でもあわてて、あるいは
現地
の方からもあわてて
中央
に
報告
がなされたような感じが起きるわけです。こういう日米の重大な問題等について、事件が起きた場合、この種の事件が起きた場合の取扱いというのは、これはどうなっているのですか。
井本臺吉
85
○
政府委員
(井本臺吉君) とにかく二月の二十六日に
被害
者が倒れておったというような
状況
があったわけであります。この
被害
者に対する犯人は、急遽検挙しなければいかぬということに当然なると思うのでありますが、ようやく三月四日に一応犯人とおぼしき者を確定しまして、取調べ始めたということで、おそらく、これはまだ正確な
報告
ではありませんが、三月五日の検事の取調べで、被疑者ロバート・ウォルシュ二等兵であろうという大体の想定がつきましたので、先方から昨夜おそく電話がかかったのでございますけれ
ども
、その後の調べを正確にいたしまして、可能な範囲で一応本日電報で
報告
をよこすと言うておりますので、本日はもう少し正確な事情がわかると考えるわけでありまして、ただいま申しましたように、
現地
の検察官といたしましては、まず第一に迅速な犯人の検挙並びにその被疑者の確定、取調べということを主にしておると思います。と同時に、事情がわかりますれば、その
状況
は電報なりあるいは電話なりでわれわれの方にも
報告
して参るというふうに考えております。
田畑金光
86
○
田畑
金光君 大臣はこの問題について先ほど一応型通りの御答弁はなされたわけですが、何せ
相馬ケ
原事件でまだ最終的な第一次裁判権の話し合いもつかぬこの段階において、お言葉を借りるとより悪質だ、よりこの事件は重大だと、そう大臣自身がお認めになるような
基地
に伴うこういう事件が起きておるわけなんです。こういうような事件について、最近
国会
が開かれて、
国会
がこういう問題をやかましく取り上げて、ようやく世論もこれを注目する、こういうようなさ中において、このような事件が次から次に起きてくるということ、これはもう少し私は真剣に考えてもらう必要がありはせぬかと思うわけです。こういう各地に起きておる事件の
性格
を見ますと、とにかく占領中の考え方というものが、抜け切れぬのじゃなかろうか。あるいは人種差別的な考え方すらもその人方のどこかにひそんでいやせぬか、こういう印象を受けるわけなんです。日本がやはりまだ隷属しておるというような感じ、日本はまだ
独立
をしていないのだ、占領されておるのだという意識が、アメリカの兵隊たちのどこかにあるから、こういうような事件が起きやせぬかと思うのです。大根でもゴボウでも切るようなものじゃないですか。こういう人間軽視とか人権尊重とか抽象的な言葉では常に論議されておるが、実際このような事件が起きてみた場合、これはどう考えられますか。また単に成規の手続を経て申し入れをするときはちっとも力の入っていない型通りの文句で抗議を申し入れる。そんなことでこれは済まされるものかどうか。この
基地
問題あるいはこれに伴う問題というものは、もう少しこれは真剣に考えてみる必要がありはせぬかということですね。大臣は
一つ
この点について、このような事件が頻発しておるのですが、どうこれから具体的に対処されようとしておるのか、これは大臣だけに聞いてもどうかと思うのですが、これは岸総理にも聞かなければならぬと思いますが、まず
関係
大臣として法務大臣はどうこれを処理されようというお気持なのか、お答えを承わりたいと思います。
中村梅吉
87
○国務大臣(中村梅吉君) 犯罪
関係
を担当いたしておりますわれわれといたしましては、直接なまの事件を取り扱っておりますから、一そう
田畑
委員
と同じような感じを強く持たざるを得ないのであります。なるほど
米軍
の首脳部においては、もうすでに占領中と講和条約が発効して安保条約の段階に入りましてからとは、おのずから考え方は当然達っておると私は信じておりますが、ただ、米兵全体から見ますならば、下の方の者については、何か引き続き日本に駐留をいたしておりますので、まだそういうような誤まった考えを持った者があるかもしれない、あるのじゃないかという疑いすら御同様私も感ずるのであります。従いまして、機会あるごとに日本側としましてはアメリカの
駐留軍
はもちろんアメリカの
政府
機関
に対しましても、強くこの点は反省を促し、こういうことの再発をいたしませんように、十分の注意を喚起するように今後一そう努めたいと思います。
田畑金光
88
○
田畑
金光君 十分の注意をすることに努められるということは、これはまあ当然のことで、よくわかるわけです。先ほどの相馬ヶ原事件に関する伊藤
委員
の
質問
に対しましても、大臣からはしかるべき御答弁があったわけですが、しかし具体的に何をなされたかということは、われわれは承知していないのです。ただ
相馬ケ
原事件が世論の激しい批判を浴びて注目を集めるに至って、ようやく
政府
は動き出した。それがまだ解決されないうちにこの問題が再び起きてきた。これはもう少し掘り下げて考える必要があると、こう思うのです。
基地
問題に伴ういろんな犯罪事件、あるいは
教育
上に及ぼす影響、あるいはまた日本人との
関係
、こういうようなことを考えたとき、今のような言葉だけでは、これは私たちは納得はできないのですが、もう少し何か日本
政府
の腹あるいはまた日本人としての気持を強く
訴え
る
方法
はないのかどうか、この点もう一度
一つ
承わりたいと思います。
中村梅吉
89
○国務大臣(中村梅吉君) 私
ども
考えますのに、一片の文書をもってアメリカに抗議を申し込むことは簡単でありますが、そういうことで効を奏するのではなくして、日本側とアメリカ側と接する
機関
ことごとくがその気持を、ちょうどあなたのおっしゃるような意を体して、そうして機会あるごとに十分の注意を喚起する、これが私は最も
効果
的であり、そうすべきであると思うのであります。おそらく従来も私
ども
は最近就任をいたしたのでありまするが従来も
政府
の各
機関
といたしましては、それぞれの機会に十分努めては参ったと思うのでありますが、御指摘の点はまことにごもっともでありますから、私
ども
としては一そう注意を喚起するということに努力をいたしたい、こう申し上げる以外にどうも
方法
がないと思うのであります。
田畑金光
90
○
田畑
金光君 井本刑事
局長
にお尋ねいたしますが、この種の事件というものは今までもたびたびあったかと思います。この種の事件の取扱い、これは
相馬ケ
原事件とお話のように
性格
は違っておるわけでありますし、裁判管轄権が当然日本にあるわけでありまするから、この事件の処理というものは、もう少し積極的に、またスピーディにできると考えまするが、このような事犯の処理というものは、一体どのような時間を一応かけて判決あるいは最終的な処理画までに至っているのか、従来の経験に照らしてお答えを願いたいと思います。
井本臺吉
91
○
政府委員
(井本臺吉君) 詳細な
報告
がきませんので、この事件はどういう経過で検挙したかよくわからないのでございます。とにかく二月二十六日に
被害
者が倒れておったのを、いろいろな
関係
から割り出して、アメリカ人の犯行であるという見込みをつけて、俗に面通しと申しますが、アメリカ兵を集めて顔を見せたりいたしまして検挙したのでございまするから、おそらく相当
現地
の検察官は努力をしておる
状況
は見受けられまするし、ある程度これはほめてやってもいいんじゃないかというふうに考えております。 かような事件の大体の処理の見込みでございますが、どのくらい、何日でどうなるかということを明確には申し上げられませんけれ
ども
、日本の
法律
によりますると、検事の起訴前の捜査に使われる日数が、警察の分と合せて二十三日ございますから、大体その限度内には必ず調べが終了いたしまして、日本側の裁判所に、普通の事情でありますれば起訴されるということになると存じます。起訴いたしますれば、これは一、二カ月のうちに全部一審の裁判が済んで、一審の判決がおりる。さらに高裁、最高裁とあるわけでございまするけれ
ども
、そう長い期間はかからずに裁判が済むので、これが何カ月も何ヵ月もかかるということは、従来の例に徹しまして考えられないのでございます。大体今まで相当むずかしい事件でも四、五カ月のうちに全部、最高裁までいきましても、事件は済んでおるようであります。
田畑金光
92
○
田畑
金光君 この事件は、
法律
的な取扱いとしてもきることながら、もう少し政治的な
観点
から、
政府
としてはきぜんたる態度をもってこの事件の処理促進をはかっていただきたいと思うし、従いましてまた私は本日のところお話を承わっておりますと、事件の詳細な内容等も承知することができぬわけでありますが、少くともこういう事件については、問題の性質上、
国会
で取り上げられる以前において、私は十分に
関係者
においては経緯等について把握しておかれることを
要望
するし、そのことがまた、
政府
がこの種問題についてほんとうに真剣に熱意を持って取り組んでおるという具体的な
一つ
の基準であろうと思うわけであります。不幸にして先ほどお見受けするところ、大臣も
質問
されてあわてられる、これではまことに遺憾だと思うのです。先ほど相馬ヶ原事件に関連いたしまして、この刑事裁判管轄権分科会に本日ようやく移されて、十二日ですか、初めて分科会が開かれる、こういうような御答弁でありましたが、私たちもお話のように、この種のはっきりとした証拠あるいはその他の
資料
が収集されている以上は、日本に第一次裁判権がある、このことを相手側も認めるとは思いますけれ
ども
、しかし、なお相手方は全面的にそれを認めておる段階でもなさそうです。そうなって参りますとこの分科
委員
会における今後の見通しでありますが、この点についてはどういうような判断を持っておられるのか、もし、この分科
委員
会等で処理できないとするならば、それはさらに上級の
機関
に移される、あるいは外交折衝というか、外交
当局
の話し合いに移される、こういうようなことになってきょうと思いますが、せっかく外務省の方からだれか
局長
が見えておるようでありますが、この点、外務省としてはどのようにタッチされてきておるのか、伺いたいと思います。
千葉皓
93
○
政府委員
(千葉皓君) お答え申し上げます。外務省といたしましては、この問題を合同
委員
会に移しまして、裁判管轄権分科
委員
会の開催を要求いたしておりましたところ、先ほど御
報告
ございましたように、本日いよいよそれにかけることに先方の同意が得られました。これはもちろん私
ども
といたしましては、その分科
委員
会で解決がつくものと考えております。そういうことはないと存じますが、もしそこで話がつかなければ、合同
委員
会の本会議においてさらに討議をしなければならぬ、そういうことになるわけでございますが、しかし司法
当局
が中心になって構成しております裁判管轄権分科
委員
会で解決がつく、私
ども
はそういうように思っております。
秋山長造
94
○秋山長造君 ちょっと関連して。
局長
に私ちょっとお尋ねしますが、あなたは日米合同
委員
会の日本側の
委員
なんですね。
千葉皓
95
○
政府委員
(千葉皓君) そうでございます。
秋山長造
96
○秋山長造君 この問題は、合同
委員
会の本会議といいますか合同
委員
会で話し合いをしたけれ
ども
、なかなか込み入って話し合いがつかないから、分科
委員
会におろして、その結果を待って、あらためて本
委員
会でやるという順序になるのですか。それともこれは問題が刑事事件だから、その方の専門家で構成した分科
委員
会へ初めからおろしてしまって、その結果を見るという順序になるのですか。
千葉皓
97
○
政府委員
(千葉皓君) お答え申し上げます。この事案は、刑事裁判管轄権にかかわる非常に技術的な問題が含まれております。初めからこれは分科
委員
会で討議することが適当と考えまして、そういうふうにいたして参っております。
秋山長造
98
○秋山長造君 先ほど法務大臣のお話では、従来この分科
委員
会で解決した先例がたくさんあるというお話があったのですが、こういう事件は今おっしゃるようなやり方で、最初からもうあなた方がタッチされないで、すぐ分科
委員
会へおろしてしまう、こういうやり方をしてこられたのですか。
千葉皓
99
○
政府委員
(千葉皓君) 合同
委員
会にわかります
案件
は、本会議にかかりますものも、それから分科
委員
会にかかりますものも、全部一応合同
委員
会そのものの議題として、全部合同
委員
会本会議にかかるわけであります。しかし問題によりまして、合同
委員
会の本会議において、討議を経ておろされるものと、しからずして直ちに分科会におろされるものと、二通りになるわけであります。
秋山長造
100
○秋山長造君 ではこの事件は、最初合同
委員
会の方でこの事件を受け取ったのはいつであって、そうして今日分科
委員
会に付託されるまでの合同
委員
会としての取扱いということがどういうことになっておるか、その点を
一つ
具体的かつ詳細に知らせていただきたい。
千葉皓
101
○
政府委員
(千葉皓君) ちょっと正確に記憶いたしませんですが、たしか二月の十八日に合同
委員
会を通しまして、この問題についてはわが方に裁判管轄権があると思われるから、それについて
米軍
側との話し合いをしたいという申し出をいたしたわけでございます。その話し合いの場所といたしましては、裁判管轄権分科
委員
会が適当であるということもその当時申し出たわけでございます。これはあるいは二、三日前後しておるかもしれませんが、その二月十八日ごろに申し出ましたに対しまして、今日御
報告
がございましたような返事があったわけでございます。
秋山長造
102
○秋山長造君 そうすると、合同
委員
会ですでに二月十八日に取り上げられたのだから、そのときまでには少くとも日本の
政府
側としての態度、方針というものは、はっきりきまっておったわけだろうと思うのですがね。そうしてそれを合同
委員
会に二月の十八日に持ち込んで、そしてこれを分科
委員
会でやろうということを向うへ提案した、そうしてそれに対する返事が今日まで十何日間かかった、こういうことですか。
千葉皓
103
○
政府委員
(千葉皓君) その通りでございます。
秋山長造
104
○秋山長造君 その点が先ほど
田畑
君も繰り返し
質問
されていましたが、私
ども
もやはりきわめて遺憾な感じを受けるのですね。大体もう事実そのものはこれはアメリカ側が見ても日本側が見ても、だれが見てもはっきりしておるのです。これはもうねらって撃ったにきまっているので、問題は、ただ公務
執行
中の行為であるかどうかというようなことなんですけれ
ども
、しかしそれにしてもこの事件そのものが事案問題としてははっきりしておること、だし、それからどうせ従来分科
委員
会でささいな問題まで扱ってやっておるということだったら、先方としても当然十八日にこちらが提案すれば、もう二つ返事で、じゃそれでやろう、こう応じてこなければ私はうそだと思うのですね。いわんや、新聞であれだけ大きく騒がれて日本の国論を沸騰させた事件なんですから。これはどういう事情なんですか、今日まで延び延びになってやっときょうになってそれに応じてきたというのは。
千葉皓
105
○
政府委員
(千葉皓君) ただいまの御
質問
について明確なお答えいたしかねるのでございますが、私
ども
といたしましては、これはアメリカ側からすぐにも回答はもらえるものと実は考えておりまして、再々督促いたしましたが、何か先方の事情があって今日まで遷延いたしました。
秋山長造
106
○秋山長造君 まあ先方の事情については、これは
局長
に聞いても想像以上の御答弁は得られないと思います。日本の
政府
の方の態度というものは、まあこれも先ほどの皆さんの御
質問
をまた繰り返すことになると思いますが、これははっきりしているのでしょうね、この合同
委員
会に持ち込むまでにはっきりしているのですか、もう一度お尋ねします。
千葉皓
107
○
政府委員
(千葉皓君) わが方の態度ははっきりしております。
秋山長造
108
○秋山長造君 はっきりしているのですね。で、そのはっきりしているということは、これはジラードというアメリカ兵が空砲に薬莢を詰めて故意に坂井なかさんに対して発砲した、その結果死に至らしめた、傷害致死だ、この事実がまずはっきりしているということです。それからさらに第二として、この問題はこれは公務
執行
中の行為とは認めがたい、従って裁判の管轄権は日本側にある、この二点を含んでいると思う、両点ともはっきり明確になっているのか、
政府
の態度ですね。
千葉皓
109
○
政府委員
(千葉皓君) 私がただいま
政府
の態度がはっきりしていると申しましたのは、この事案についての裁判管轄権は日本側にあるの、が至当である、そのことにつきましてわが方の態度がはっきりしているということを申しました。私の
立場
におきましては、その事件にかかる事実についてどうであるということは申し上げられません。
秋山長造
110
○秋山長造君 今の第一点の方は法務大臣から御答弁をいただきたい。
中村梅吉
111
○国務大臣(中村梅吉君) この点は日本で結論を得て、犯罪通報いたしますまでに、先刻も申し上げましたように、
現地
の捜査に当りました検察庁の
関係
官と最高検の
関係
官とが合議をいたしまして、その
決定
をして、その結論を得て犯罪通報をいたしているのでありますから、これは日本側としては動かすことのできない結論であるし少くとも検察庁陣としては動かし得ない結論である、かように考えます。
秋山長造
112
○秋山長造君 ただいまの大臣と
局長
の御答弁で、日本の
政府
側の態度、見解はきわめて明確だということはわかります。 そこで、ついでに法務大臣にお尋ねしたいと思うのですが、先ほ
ども
るる御答弁がありましたように、勤務時間中のたとえ行為であっても、その行為自体は公務と認めがたい、これは公務
執行
中の行為とは言えない、これは日本の国内法では、これは判例においてもはっきり確定された原則なんだというお電話があった、これはその通りだと思います。で、おそらくこれはアメリカの国内法においてもやはり同じようなんじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。公務であるかないかという解釈は、アメリカの国内法においてどういうふうに扱われているかということは御存じですか。
井本臺吉
113
○
政府委員
(井本臺吉君) 公務
執行
中に対する見解でございますが、
法律
的な見解はございまするが、大体そうアメリカ側と日本側と違うわけじゃございませんが、しかし微細な点につきましていろいろ説がありまして、日本側でも、たとえば公務
執行
中の時間中の行為は全部公務
執行
中の行為であるという見解もあるやに聞いておりますが、アメリカがどのような態度をとっているか、現在のところはまだはっきりわかっておりません。
八木幸吉
114
○八木幸吉君 今のお話ですけれ
ども
、そういったようなアメリカの判例のようなものを当然この際お調べになる必要があると思います。お調べになって至急ここに提出してもらいたいと思いますが。調べればこれはわかると思いますが。
井本臺吉
115
○
政府委員
(井本臺吉君) 自動車で人を傷害したというような事案につきまして、たとえばある車で官舎から役所に出勤の途中であるというような場合には、その行為は公務中のものであるというようなことをアメリカでは主張しているわけでございます。日本側では従来は公務
執行
妨害などはごくせまく解釈いたしまして、現に公務を行なっている者についての妨害行為が、刑法の公務
執行
妨害になるわけでございますが、かような点につきまして、少し前に、アメリカ側の軍人が出勤の途上で日本人を自動車で傷害した事件がありまして、その事件につきましてこれは公務
執行
中の行為であるか、あるいはせまく解釈して公務
執行
中とは認められないということになるかということで、だいぶ討議したのでございますが、この点につきましては、日本側でも災害の
補償
などをやる場合には、たとえば出勤の途上でけがをしたとか、あるいは死亡したというような。者につきまして、ある程度公務
執行
中もしくはそれに準じて扱うというようなことにかんがみまして、いろいろ討議をした結果、さようなものはアメリカ側の主張も、いろいろ検討いたしましてもっともであるという
観点
に立ちまして、役所に出勤する途上の行為につきましては、公務
執行
中というふうに認定したことがございます。さようなものにつきましても、アメリカ側の判例はありますが、本件のような、
演習
中に薬莢を鉄砲に詰めまして、付近におった者に傷害を与えたというようなものに対しての判例は、ただいま調べましたところでは、まだ見当らないのでございます。この前にもたしか申し上げたと存じますが、これがわれわれが認定したような傷害致死罪であるというようなことになりますれば、どうも公務
執行
中の過程における行為とは考えられませんので、私
ども
は、これは公務
執行
中にあらずという結論を出しておるのでございますが、アメリカ側がどういうことを言って参るか、まだわかっておりませんので、この十二日に開かれまする刑事裁判権分科
委員
会の席で、先方の言い分もはっきりするというように考えております。
八木幸吉
116
○八木幸吉君 先ほど法務大臣が、勤務中にあった行為でも、それが公務以外の行為であるならば、公務
執行
中の行為と認めない、こういう最高裁か、大審院の判決例があったという、きわめて明確なお話でしたが、私の伺うのは、日米の交渉の過程において、先方がどう言った、こちらがどう言ったということでなしに、アメリカの国内法として、主として、まず第一に、軍隊を中心として勤務中に行なった行為が公務以外の行為で、何か民間に対して損害を与えた場合に、それを公務
執行
中の行為と見るか見ないかという、ちょうど先ほどお話の判例と同じようなものが、アメリカの大審院と申しますか、判決例的なものがあるかどうか。第二は、軍隊でなくて、民間の同じような場合でも、あるかないかということをお調べにならなければならないのじゃないか。それを調べておけば、日米交渉の場合に、その判例がこちらの
一つ
の有力な武器になるじゃないか。ただ、向うとの日米交渉の間だけで話をやりとりするのでなしに、アメリカ自体の国内法的な判決をお調べになるだけの用意が必要ではないかということを伺っておるので、もしお調べでないなら、お調べを願いたいということを伺っておるわけであります。
中村梅吉
117
○国務大臣(中村梅吉君) これは、私、
事務
当局
のような知識はございませんが、おそらくアメリカの判例を調べるということになりますと、アメリカは
行政
関係
でもそうでありますし、司法
関係
におきましても、州によってそれぞれ異なった
法律
解釈をしたり、判例を下したりしておりますようで、そういうものをこちら側が
調査
研究して、それをたてにして、この問題を論争するということになりますと、かえって論争の幅が広くなって、適当じゃないのじゃないか。日本のこうした事件についての管轄権の争いについては、
行政
協定に明確な文句が書いてありますから、その
行政
協定の正しい解釈を下し、その解釈に当てはまるかどうか、公務としての作為か不作為か、こういうことの判断で、日本は日本側のやはり十分の論拠と、それを裏づけする
資料
とをもって主張すべきものは主張する。この方がどうもよろしいのではないか、かように考えておる次第でございます。
八木幸吉
118
○八木幸吉君 お調べになって有力なものがあれば使うし、あまり気のきいたものがなければだまっているだけのことで、調べるだけの手数はするのが当然ではないかと思いますが……。
井本臺吉
119
○
政府委員
(井本臺吉君) ただいままでのところ、私
ども
も刑事事件に回顧のものがないかということで、いろいろ調べておるのでございますが、今までのところは適当な判例が見当らないのであります。しかし、この上ともなお努力いたしまして、われわれに有利な判例を調べてみたいと思っております。
秋山長造
120
○秋山長造君 どうも私もアメリカの国内法のことはよく知りませんけれ
ども
、しかし聞くところによると、やはり公務というものの解釈は非常に狭いのじゃないですか、アメリカの国内法では。ところがこの
行政
協定の場合にうたわれている公務ということは、やはりアメリカと日本という御承知のような
関係
で、非常に広く解釈して押しつけてきている。これは断言してもいいと思うのです。だからこういう点については、われわれは何も反米感情をあおるものではありませんけれ
ども
、これは反米とか親米とかいうこととは別のことです。純
法律
的なことですから、だから日本の
政府
当局
はもう少し腰を据えて、たまには
一つ
国民のりゅういんを下げるようなてきぱきした処理をやってもらいたいと思うのです。これはきわめて公務という範囲を拡げて押しつけてきていると思うのです。アメリカの国内法というものに比べて、はるかに拡げて押しつけてきていると思うのです。吹っかけているのですよ。現にいつだったか舞鶴で、MPがパトロール中に、日本の婦人を強姦未遂でつかまったことがあるでしょう。あれなんかだって、パトロール中の行為だから公務だと言って
最後
まで吹っかけてきたでしょう。それとこれとが同じだとは、私は言いませんけれ
ども
、これはやはりアメリカ対日本という
関係
になると、何と言っても向うは国内法における公務というものよりはるかに広げて、何でもかでも公務のワクに入れて押しつけようという態度が見える。これははなはだ遺憾です。だからいやしくもそういうことをうやむやのうちに多少でもこちらが譲歩して、ほかの
法律
的な
立場
以外の政治的その他の考慮に押されて、そういう法の筋というものをいききかも曲げられるようなことのないように、事態をはっきりしていただきたい、
責任
の所在をはっきりしていただきたい、こういうことを重ねて
当局
にお願いしておきます。法務大臣のその点につきましての御見解をもう一度、しつこいようですけれ
ども
、お尋ねしておきたい。
中村梅吉
121
○国務大臣(中村梅吉君) お説の通りわれわれとしてはあくまで
行政
協定に明記してございますその文理並びに精神解釈、この成文の解釈を正しくとりまして、この主張で一貫をいたしたい、かように考えております。ただ、先ほど刑事
局長
が申し上げました交通事犯等は、賠償との
関係
等がございまして、結局出勤するときの
事故
を、公務中の
事故
ということに、両方でいろいろ分科
委員
会で
協議
した結果、なっております。帰りに途中で一ぱい飲んで帰るというのは、たとえ宿舎へ帰る途上でありましても、これは公務ではない、その区分けをいたしまして、分科
委員
会でかつてそういうような基本的な話し合いをつけてあるそうでございます。本件につきましては、御指摘のように非常に重大な
案件
でもありますし、われわれとしましては、わが方の是なりと信ずる現在の主張を貫くことに最善を尽したいと思います。
上原正吉
122
○上原正吉君 私はアメリカの国内法で、公務に従事しておる場合の犯罪と、そうでない場合の犯罪の、裁判の管轄権が違うということはないのじやなかろうかと思うのです。ただ考えられますことは、往年の陸軍刑法のようなものがあって軍人の犯罪は陸軍刑法によって律するということがあるかもしれません。おそらく軍人の身分によって、陸軍の軍人は陸軍刑法によってやるというようなことになるのではないかと想像しているわけです。 そこで、問題になりますことは、アメリカでは、アメリカの
公務員
が民衆に危害を加え、損害を与えたら、国家はこれを賠償するというような
制度
があるかどうか。これもついでにお調べ願いたいと思います。これは先ほどの公務によるのと、公務によらないのと、裁判権の管轄があるのかないのか、これはなかろうかと思いますが、こういう点をお調べいただきますと、お調べが早くなるのじゃないかと思いますが、その点お願いしておきたい。
中村梅吉
123
○国務大臣(中村梅吉君) 御注意いろいろ感謝いたします。確かに、お話しの通りアメリカの国内としては、おそらく公務ということは、公務
執行
妨害罪とか、いろいろそういう犯罪を通して、公務とは何かという解釈の仕方は一応あると思います。日本におきましても公務
執行
妨害の場合における公務とは何かという判例もこれはあるわけでありますから。しかし日米
行政
協定における公務としての作為か、不作為かということになりますと、公務
執行
妨害罪に言う公務の範囲と、おのずから別な角度からこれを見て判断をしなければならない性質のものかと思います。 なお、御注意をいただきました点につきましては、
政府
機関
によりまして、できるだけそういうような研究も至急いたしたいと思います。
田畑金光
124
○
田畑
金光君
事務
的にお尋ねしますが、日米
行政
協定の第二条のいわゆる
施設
とか
基地
、これは一体現在いくらくらいあるわけですか。特に協定に基く
施設
、
基地
ですね。これの数はいくらくらいあるのか。
今井久
125
○
政府委員
(今井久君) お答え申し上げます。日米
行政
協定の第二条によります
施設
は、現在五百四十五と記憶しております。
田畑金光
126
○
田畑
金光君
相馬ケ
原の
演習
地は、いわゆる第二条に基いて協定された
演習
地ではなくして、これは岡崎・ラスク会談に基く、一応占領中から引き続き
使用
するのだ、そういう内容の
演習
地であると、こう聞いておるわけでありますが、このような
演習
地というものは一体どれくらいあるのか。いわゆる正規に協定された
施設
というものと、今言われるような、そうでない
施設
というものの法的な
性格
の相違というか、これについて御
説明
願いたいと思います。
今井久
127
○
政府委員
(今井久君) お答え申し上げます。今御指摘になりました岡崎・ラスク協定によりまして、占領中より引き続き今日まで
使用
れております
施設
は二十三でございます。これは
施設
の
性格
といたしましては、第二条によりますのと何ら変ったところはないのでございます。
田畑金光
128
○
田畑
金光君 井本さんにお尋ねいたしますが、
相馬ケ
原の
演習
地はいわゆる岡崎・ラスク会談に基くものである。従ってこの地区に刑事特別法の第二条の
施設
侵入というこの条文を適用するということは妥当でない。こういうような解釈をとられておるということをわれわれは聞いておるわけなんです。この解釈は、われわれといたしましてもこの
関係
条文を見ますと非常にデリケートな解釈を生むと思いますが、しかしやはり日本側の
立場
としては、少くともそのような考え方のもとにできるだけ
基地
を日本に返還きせる、あるいは解放する、こういう考え方でいくのが私は適切なあるいは妥当な態度であり、解釈ではなかろうかと、こう思うのです。この解釈について私のお尋ねしたいことは、アメリカ側はこれを認めたのかどうか。この点どうですか。
亀田得治
129
○
委員長
(
亀田得治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
亀田得治
130
○
委員長
(
亀田得治
君) 速記を起して。
井本臺吉
131
○
政府委員
(井本臺吉君)
相馬ケ
原
演習
場が
行政
協定二条一項の
施設
、
区域
であるという一般論につきましては、私
ども
別に争わないのでございます。ただ、
行政
協定二条一項のこの
施設
、
区域
と一応認めて、諸般の、たとえば
政府
が損料を払うとかいうようなことについての問題につきましては、私何ら異論はないのでございますが、
昭和
二十七年の外務省告示の第三十三号などを見ましても、
行政
協定二条一項の
施設
、
区域
として次に掲げるのはそうであるといううちに明らかに「保留」と書いてあるものは除くというような記載がございます。それらの点から見ますと、果して二条一項の
施設
、
区域
ということができるかどうか、多少の疑問があるのでありまして、この問題の
昭和
二十七年外務省告示第三十三号の見方によりましては、さような保留のものを含めて
行政
協定二条一項の
施設
、
区域
だと言えないこともないのでございますが、われわれといたしましては、刑事法規を扱うのでございますから、それはなるべく厳格に解釈しなければいかぬという
観点
で、刑事特別法の二条の立ち入り禁止の規定を適用して処罰するのは穏当ではない。これは積極的適用は慎しむべきであろうという結論に達しまして、もし処罰するならば、軽犯罪法か何かでやるべきだという考えを持っておることは、先般申し上げたようなわけでございます。
田畑金光
132
○
田畑
金光君 その点は私たちも新聞で見まして、井本さんの解釈というものは私たちは非常にまあほめるようだが、りっぱだとこう思うのです。そういうような解釈で私はやるべきだと思うのです。そこで、その解釈についてアメリカ側は、とにかく、またさきに所有権の問題が出ておりましたが、この薬爽や廃弾はアメリカの所有だ、こういうようなことになってきますと、また同様にこの刑事特別法の適用があるのだという解釈等もアメリカとしては主張してくることも心配されるわけですが、今までの話し合いの中で、刑事特別法を適用するとかしないとか、こういうような問題等は、両者の話し合いにのらなかったかどうか。この点は井本さんの解釈のような態度で向うも臨んでおるのかどうか。この点をお聞きしたいのです。
井本臺吉
133
○
政府委員
(井本臺吉君) 少くとも私
ども
に関する限り、
相馬ケ
原の
演習
場につきまして、刑事特別法二条を適用すべしというようなことを言って参ったことはございません。アメリカ側といたしましては、ほかの
演習
地と同じように、自分たちが
演習
に使えればそれで十分満足ではないかというように思っておるのでございます。それに、かような
演習
地で、しかも立ち入りを禁止された地域に入っておるものが処分されるのでございますから、もし処分するのであれば、これはまあ刑事特別法の第二条の方が重いわけですけれ
ども
、軽犯罪法でもやればやれるのでありまして、何もこれを無理してやることはないというように考えるのでございます。少くとも私
ども
に関する限りは、この問題について刑事特別法の二条を適用すべしというようなことを言って参ったことは全然ございません。
松岡平市
134
○
松岡
平市君 議事進行。
田畑
議員が聞いておられるのは、アメリカ側も日本のあなたの解釈に同意するとかあるいは、同意せぬとかいうような意思表示をしたことがあるかどうか。折衝の過程はどうかということを聞いておられるのだから、そこのところをもう少しはっきりして、あまり時間をかけないようにして下さい。もう少しはっきりわかるように。
井本臺吉
135
○
政府委員
(井本臺吉君) この問題についてアメリカが何ら意思表示をしたことはございません。
田畑金光
136
○
田畑
金光君 それでは私先ほど
委員長
からお話がありましたように、
福岡
事件のより詳細な
報告
があったとするならば、
報告
をこの際お受けしたいと思います。
井本臺吉
137
○
政府委員
(井本臺吉君) ただいま手元に入りました電信の要領を申し上げます。 この事件の被疑者はアメリカ軍の所属
部隊
一九五五航路航空通信中隊の階級兵籍番号A/2cAF一一三〇四七〇六という番号ですが、ロバート・エイ・ウォルシュという十八才になる者であります。いま一人は同じ
部隊
で階級兵籍番号A/2cAF一二四七六五四四エドワード・ダブリュ・ライスという者で、年は二十才になるのであります。この両名が飲酒の上で
昭和
三十二年二月二十六日の午後十一時三十分ごろに
福岡
市の馬場新町、花月というバーでささいなことから憤慨いたしまして、このロバート・エイ・ウォルシュという者が、女給の林百合子当二十四年の顔を手拳で殴打いたしまして、同人に治療十日を要する顔面挫創を負わしめた後、さらに同日午後十一時五十五分ごろに同市上辻堂姫野理髪店前路上におきまして、折から通行中の
福岡
市人夫秋田国広当六十一年の次次を認めるや、被疑者ロバート・エイ・ウォルシュにおきまして、やにわに同人の顏面を手拳で一回殴打して路上に転倒せしめ、後頭部を強打し、翌二十七日午後十一時二十分ごろに同市の斉藤外科病院で頭蓋骨折等の傷害によって死亡するに至らしめたものであるというのが容疑事実でございます。 犯罪発覚の事情といたしましては、この(ニ)の秋田国広の死亡が警察にすぐわかりまして、博多警察署で鋭意聞き込み中でありましたところが、その問題の死亡事件の直前に、先ほど申し上げました女給を殴打した事実が判明いたしましたので、三月四日に
板付飛行場
のアメリカ空軍第八憲兵隊前におきまして、二月の二十六日に夜外出をいたしました同
飛行場
所属の将兵を百五十名ほど集めまして、この
被害
者の林百合子ほか三名の者に面通しをさせた結果、本件の被疑者二人がその犯人と認められるということになりましたので、これは直ちにアメリカ側で被疑者二人を逮捕いたしまして取り調べましたところが、(ニ)の犯行も一緒にこのウォルシュの方で自白いたしまして、大体犯罪事実がわかったわけでございます。 この事実のほかに、さらに外出いたしました二月二十六日の午前零時三十分ごろに、
板付飛行場
付近でこのニドワード・タブリュ・ライスという者が、日本人をなぐったということを自白しておりますので、この
被害
者を調べ中でありますが、まだ現在まで
被害
者の方がわかっていない模様であります。なお、このライスの方は傷害致死事件の方には直接の
関係
は現在のところはない見込みのようであります。身柄の処置につきましては、
米軍
側で逮捕いたしましたが、検察庁において取調べの際は何どきでも出頭きせるという確約のもとに、三月二日には一応検事が被疑者両名の取調べをいたしましたが、先ほど申し上げたような事実を自白しておるわけでございます。 なお詳細につきましては、後から調べの結果を
報告
するという建前になっておりますが、犯罪の事実、並びに検挙の事情はさようなことになっております。
田畑金光
138
○
田畑
金光君
報告
を承われば承わるほど、この問題は非常に悪質、凶悪な犯罪事件のように見受けるわけです。私はこの問題についてさらに
質問
を継続したい、こう思うけれ
ども
、時間でありまするから、さらに詳細の
報告
を待って、適当な時期に
質問
いたしますが、特に私はこの問題、この事件の処理に対して、
当局
がどのように適時適応の処置をとられたか、これも強くこの次の機会に御
報告
をお願いすることにしたいと思います。またさらに、私は
質問
を継続しようとしましたが、合同
委員
会に、あるいは刑事裁判権の分科
委員
会等に外務省の代表も入っておられわけなので、私はこの種事件は単に刑事犯罪事件としてではなくして、より高位の政治外交の問題として適時適応の
対策
が当然とられるべきだ、こう考えているわけで、その具体的な手段は、
方法
は何であったか、こういうようなことを実はお尋ねしたかったわけでありますけれ
ども
、これはこの次の機会に譲りたいと思います。
亀田得治
139
○
委員長
(
亀田得治
君) じゃちょっと
最後
に一点だけ
相馬ケ
原の問題についてお聞きしておきたいと思います。 それは、先ほどたま拾いの質疑がありましたが、例の地元の
農耕
地の問題ですね。地元では実際に
演習
場に使われておらない所がある。しかし地元では非常に
土地
がほしい、少くともこれは正規の指定がしてない、そういうわけですから、私は最少限これは
一つ
農耕
地を地元に返すように、何かそういう
措置
をとる方がいいのじゃないかという感じを、現場を見て、実は持っておるのです。その点についての検討をされておられるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
松木豐馬
140
○
政府委員
(松木豐馬君) お答えをいたします。ただいまのお話の
相馬ケ
原の
演習
場の
農耕
地の一部分は、大体私たちの調べでは、十五町歩ばかり
農耕
可能
区域
があると思っておりますが、そのうちの
演習
に差しつかえない部分を返せということは、前から米側と交渉して参っておりまするけれ
ども
、米側の砲座の位置が非常に工合が悪くなるということがございまして、非常に話のらちがあかんということで、まことに申しわけないと思うのですが、この問題は今後もそこを返還してもらうように努力を続けていきたい、かように考えております。
伊藤顕道
141
○伊藤
顕道
君 今のお話によると、ちょっと食い違いがあるようなので……、私
ども
現地
で村長を中心に聴取したところによると、耕地として利用できる面積は約百五十町歩である。それを全部返してとは申し出ていないわけです。せめてその三分の一の五十町歩でも返していただけると、農業経営上非常にありがたい、そういう切なる念願であったわけで、その点はどうですか。
松木豐馬
142
○
政府委員
(松木豐馬君) お話のように
農耕
可能地が非常に広いということでございますが、私たちの方で調べておりますところは、今申し上げたような程度でございまして、食い違いの点は、早急に
一つ
調査
してみたいと思いますが、いずれにいたしましても、
農耕
地を返してほしいという線で交渉を続けていきたい、かように考えております。
伊藤顕道
143
○伊藤
顕道
君
委員長
からも
要望
がありましたように、これは私
ども
現地
視察
に行った際、切なる願いとして受けとめてきたわけです。
一つ
緊急に農民の納得するようないい結論を出して解決を急いでいただきたいと思います。そういうふうにお願いしておきたいと思います。 以上です。
亀田得治
144
○
委員長
(
亀田得治
君) それでは、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十六分散会