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1957-09-11 第26回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年九月十一日(水曜日) 午後一時四十八分
開会
—————————————
委員
の異動 本日
委員横川正
市君及び
千葉信
君辞任 につき、その
補欠
として
荒木正三郎
君 及び
光村甚助
君を議長において指名し た。
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
藤田
進君
理事
上原 正吉君
大谷藤之助
君 永岡 光治君
竹下
豐次君
委員
迫水 久常君 松岡 平市君
荒木正三郎
君
伊藤
顕道
君 亀田 得治君 鈴木 強君
光村
甚助
君 八木 幸吉君 国務大臣 労 働 大 臣 石田 博英君 国 務 大 臣 津島 壽一君
事務局側
参 事 (
委員部
第二課
勤務
)
指宿
清秀
君
常任委員会専門
員
杉田正三郎
君
説明員
人事院総裁
淺井 清君
人事院事務総局
給与局長
瀧本
忠男君
人事院事務総局
給与次長
木村 又雄君
人事院事務総局
給与局
第二課長 平井
迪郎
君 調産
庁長官
上村健太郎
君
防衛政務次官
小山
長規
君
防衛庁事務次官
今井 久君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長
加藤 陽三君
防衛庁経理局長
山下 武利君
防衛庁装備局長
小山
雄二君
労働省職業安定
局長
百田 正弘君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
派遣委員
の
報告
○国の
防衛
に関する
調査
の件 (国の
防衛
に関する件) ○
国家公務員制度
及び恩給に関する調 査の件 (
公務員
の
給与
に関する件)
—————————————
藤田進
1
○
委員長
(
藤田進
君) これより
内閣委員会
を
開会
いたします。
委員
の
変更
について
参事
より
報告
いたさせます。
指宿清秀
2
○
参事
(
指宿清秀
君) 本
日付横川正
市君及び
千葉信
君が辞任されまして、
荒木正三郎
君及び
光村甚助
君がそれぞれその
補欠
に選任されました。
—————————————
藤田進
3
○
委員長
(
藤田進
君) まず先般当
委員会
が行いました
委員派遣
について、
派遣委員
から御
報告
を願います。まず
中国
、
四国班
にお願いいたします。
伊藤顕道
4
○
伊藤顕道
君 それでは第二班の
調査報告
を申し上げます。
藤田委員長
、
大谷理事
、私の三名は
内閣委員会
の決定に基きまして、去る六月十七日より二十三日までの七日間、
広島
、
愛媛
両県下の
陸上
及び
海上自衛隊
及び国の
出先機関
の
業務運営
並びに
公務員
の新
給与制度
に関する
現地
の
実情等
について
調査
いたして参りました。
視察先
を申し上げますと、
広島
県下におきましては
広島県庁
、
下関入国管理事務所広島
港出張所
、
広島管区監察局
、
陸上自衛隊海田市駐屯地業務隊
、
呉調達局
、
呉市役所
、
海上自衛隊呉地方総監部
、
愛媛
県下におきましては
愛媛県庁
、
愛媛地方監察局
、
農林省愛媛統計調査事務所
であります。 以下
調査
の
概要
を御
報告
申し上げます。 まず国の
出先機関
の
業務運営
並びに
公務員
の新
給与制度
について一括して申し上げます。
広島管区監察局
、
愛媛地方監察局
における
業務運営
の
状況
を申し上げます。なおこの
管区監察局
及び
地方監察局
は本年八月一日から前
国会
で行われました
機構改正
によりまして、
管区行政監察局
及び
地方行政監察局
とそれぞれ
名称
が
変更
されましたことをここに付言しておきます。
出先
の
監察局
が行う
監察業務
は、
中央
の
行政管理庁
において立てた
統一計画
に基きまして行なっておりますが、
局長
の
説明
によりますと、
管区局
、
地方局
においても、
監察
の結果気づいた点を随時
所見表示
の名のもとに
関係行政機関
に示して、その
行政運営
の
能率化
をはかり、その結果、
不正不当行為
の排除及び
国損
の
防止
に
相当
寄与しているとのことでありました。 また
出先
の
監察局
は数年前より本来の
監察業務
のほかに、
行政
の
民衆化
に資するために、その窓口となって各
出先行政機関
の
行政措置
についての不服や
苦情
を
一般民衆
より受け付け、これらの問題の
早期解決
をはかる
苦情相談業務
を行なっておりますが、この
業務実施
の結果について
一般民衆
より非常に感謝され、また好評を博しているとのことであります。 なお、両
監察局長
より、
人員
、
旅費予算等
の
不足
のため周到な
監察計画
の樹立が困難となり、これがため自然、
監察
の
対象
は
近接区域
あるいは交通の便利な
地域
に偏する
実情
であるので、観察を周到に行い得るよう、
出先監察局
の
旅費予算
について特段の配慮を切望するとともに、今回の新
給与実施
に際し、
監察局
の
監察業務
と
職員構成
が
一般行政庁
に比し特殊な
実情
にあるので、
監察局
の
職員
の
給与
の
格つけ
については、
関係当局
において
十分理解
を賜わるよう配慮されたい旨強い
所見
が述べられました。 また
広島管区監察局長
のあっせんによりまして、
広島管区監察局職員組合
の
代表
より、
職員
の
給与
について同
趣旨
の
陳情
を受けました。 次に
呉調達局
について申し上げますと、
呉調達局管轄地域
内には、従来、
米軍
と
国連英連邦軍
の二系統の軍隊が駐留しておりましたが、昨年十一月下旬、
国連英連邦軍
の
全面的日本全土
よりの
撤退
によりまして、現在では呉市に将校一名が
残務処理
に当つているのみであるが、
米軍
は現在
広島
県下においては
呉キャンプ
、
陸軍輸送部隊呉派遣隊
、
山口
県下においては、
岩国飛行場
に第一
海兵航空師団米海軍航空部隊
、鳥取以下においては
美保航空基地
六一三五
部隊
、
米子通信施設
、島根県下においては
高尾山通信施設
がおかれ、陸海空の各
部隊
が駐留しておりまして、これらの
施設
に関する
業務
のほかに、
呉調達局
は、現在
施設提供
の
懸案業務
として、徳島県
小松島湾水上機発着訓練場
の
要求
、
山口
県
阿川無線中継所施設設置
のための
立ち入り予備調達要求
、
岩国飛行場上空航空地役権
の
要求
、
岩国米海軍航空部隊
の
対地爆撃演習場
の
要求
、
美保飛行場地区通信施設拡張用地
に対する
立ち入り予備調査要求等
がありまして、昨年以来
地元側
と
米軍
との間に
折衝
が重ねられておりますが、その
解決
は今日もなお依然としてきわめて困難が予想されているので、これらの問題の
解決
にはなお
相当
の
期間
と努力を要するものと考えている旨、
局長
より
所見
が述べられました。 また
駐留軍労務者
の問題としては、本年五月
美保航空基地
六一三五
部隊
の
任務変更
の
理由
で、同
基地軍雇用日本人労務者全員
五百六十名を六月三十日付で一斉解雇する旨の
解雇予告
が通告されて、
労務者
に非常な動揺を与えたとのことでありますが、
県当局
と
極東軍司令部
との
折衝
の結果、
米陸軍部隊
が
空軍部隊
と交代することとなりますので、さきに
解雇予告
されている
労務者
をこの
米陸軍部隊
に引き続き七月一日付をもって雇用することの了解が成立いたしましたので、同
基地
の
労務者
大量解雇問題は一応円満に
解決
される見通しであるとのことでありました。 次に
下関入国管理事務所広島
港出張所
について申し上げますと、本
広島
港出張所
は私
ども
参りました当時は、
下関入国管理事務所
の
管轄下
にありましたが、前
国会
で行われました
機構改正
によりまして、現在では
広島入国管理事務所
の
管轄下
におかれておりますが、
出入国管理行政
の
地方機関
の中枢をなす
入国管理事務所
は、全国に十二カ所設けられており、
中国地方
には
下関
、高松及び松江の三
入国管理事務所
がありまして、
広島
市には従来独立の
入国管理事務所
がなく、
広島
港出張所
があるのみで、
中国地方
における統一的な
治安対策
の
実施等
について、
関係機関
との
連絡
にも事欠き、
業務
の遂行に種々不便をきたしている等の
実情
でありましたが、先般の
法務省設置法改正
によりまして、本年七月一日より
広島入国管理事務所
が新設されまして、
広島
港出張所
はこの
事務所
の
管轄下
に
編成
がえとなりました。 本来、
港出張所
における
業務
は、
外国人
の上陸の
審査
及び許可に関する
事項
、
外国人
及び
日本人
の出国並びに
日本人
の帰国に関する
事項
、
出入国管理
に関する
船舶等
の長及び
運送業者
の責任に関する
事項
でありますが、本
広島
港出張所
におきましては、特に
外国人
の
在留資格取得
並びに
在留期間
の更新に関する
事項
、
違反審査
に関する
事項
、
不法入国者
の
防止
に関する
嘉禎
、
違反調査
に関する
事項
、
収容令書発付請求
に関する
事項
、
収容場
への護送に関する
事項等
の
業務
の
処理
をも、わずかに
入国審査官
一名、同
警備官
三名によって行なっている
実情
でありますので、今般の
機構改革
は
実情
に即した適切な
措置
であることがうかがわれました。 次に
農林省愛媛統計調査事務所
について申し上げます。 本
統計調査事務所
は、
農林省愛媛作物報告事務所
として発足したが、その後
名称
の
変更
、
組織
の
改廃等
が行われて、現在
農林
、水産、
畜産業全般
にわたる広範囲の
調査業務
を行い、その正確なる
統計
を期しているとの
説明
がありましたが、これらの
調査業務
がさらに一そう正確であり、かつ
能率
をあげるために特に
機動力
の
新規増強
、
常勤調査員
、
常勤的非常勤職員
の
処遇改善
、
庁舎
新営費、
旅費予算等
の考慮を望む旨の
要望
が述べられました。また
職員組合
の
代表
よりも同
趣旨
の
陳情
を受けました。 次に、
地方公務員
の
給与制度
の
改訂
、並びに国の
出先機関
と
地方
自治体との間における
専務処理
上の問題について申し上げます。
広島
、
愛媛
両県における
職員給与
につきましては、
国家公務員
の
給与制度
の
改正
に伴い、
自治庁
の
指導方針
に沿って
地方公務員
の
給与体系
の
改訂
を行うことになりましたので、両県においては目下九月に
開会予定
の
県議会
に提案すべく
具体案
を検討中であるが、
地方公共団体
としては、
政府機関
とは職制、
機構
、
職員
の
構成等
に若干の
異差
もみられるので、
国家公務員
の
給与体系
をそのまま
地方公務員
に適用することに問題もあり、特に現員の
分布状況
を将来の
昇進計画
とを十分考慮して立案しなければならないという点で苦慮しており、この点
国会
においても十分御
理解
を願いたい旨が述べられるとともに、新
制度
への切りかえ
措置
については、
国家公務員
に準じて同様の切りかえ
措置
をとる
方針
であるが、この際
県財政
の赤字を
理由
に、先般来
昇給ストップ等
の
措置
をとつてきたこの分の補てんをしてほしいとの
要望
もあるが、この問題については今回は何ら触れずに、別途考慮するとの
所見
が述べられました。 また
事務機構
の問題としては、
地方
の
事務
とすべき
事務
を扱つている国の
出先機関
、すなわち
職業安定所
、
労働基準監督署
、
陸運局等
の
事務
を
都道府県
に統合するよう国の
行政機構
を改め、今日の
都道府県
の
業務
の
実態
に即応して
措置
せられたい旨の
所見
が述べられました。 次に
自衛隊関係
の
視察
の結果を申し上げますと、私
ども
は
広島
県
海田市駐屯地業務隊
におもむき、この
業務隊
の
任務
、
編成
、
教育
の
状況
、
管理
の
状況等
について隊長より
説明
を聴取した後、その
施設
を
視察
いたしました。 また
海上自衛隊呉地方総監部
におもむき、ここでは
総監
より
呉地方総監部並び
に
呉地方隊
の
担当区域
及び
組織
、
人員
、
装備
、
施設
の
現状
、
隊員
の募集及び
訓練状況
、
防衛
及び
警備
、隊内における諸
物資調達
の
状況等
について詳細なる
説明
を聴取いたしましたが、特に
総監
より、
海上自衛隊
の小艦艇による
海上勤務
の
実情
より見て、
厚生施設
の充実と、また
基地
としてぜひ必要な固有の
病院施設
の
設置
の実現を強く
要望
する旨の
所見
が述べられました。 また
海上自衛隊呉地方総監部所在地
の
呉市役所
におきまして、現在市
当局
と
海上自衛隊
との間に
懸案
となっている旧
海軍下士官
の
宿舎
であった
呉ハウス
の使用問題と、呉港湾使用問題についての
実情
について
説明
を聴取いたして参りましたが、
内容
を簡単に申し上げますと、
呉ハウス
四千坪の使用については、呉市
当局
においては
庁舎
の
建設
に際して一時これを使用したいと考えているのに対し、
海上自衛隊呉総監部
においては
病院施設
として使用したい、しかし現在
防衛庁
の
予算
との
関係
で当面それが実現できないので、
隊員
の
厚生施設
に使用し、将来
予算
が計上された際に実現することにいたしたいというのであります。また港湾使用問題というのは、
海上自衛隊
が現在専用している
港湾地区
を
隣接地域
に拡張したいという
呉地方総監部
の
要求
に対し、呉市
当局
は、
公共港湾施設
として計画されている
地域
はその目的に沿って使用することとし、
専用地区
とすることには同意できないというのであります。なおこれらの問題につきましては、
地元
における両
当局
が今後さらに話し合いを行うとの意向を示しておりましたことを申し添えておきます。 以上をもちまして私
ども
の
視察調査
の
報告
を終ります。
光村甚助
5
○
光村甚助
君
議事進行
。
議事
の
進行
について発言を求めているのですよ。
藤田進
6
○
委員長
(
藤田進
君) ちょっと
速記
やめて。 〔
速記中止
〕
藤田進
7
○
委員長
(
藤田進
君)
速記
をつけて。次に
東北班
にお願いいたします。
竹下豐次
8
○
竹下豐次君
田畑委員
と私、今回
改正
せられました
公務員給与
の
実施
の
状況
並びに
陸上
、
航空自衛隊
及び国の
地方支分部局
中
監察局
と
調達局
の
業務運営
の
実情調査
のために、去る七月の一日から五日までの五日間にわたって、
富城
県及び
福島
県に出張いたしまして、
宮城県庁
、
仙台管区監察局
、
仙台調達局
、
航空自衛隊
第二
操縦学校
、
福島県庁
、
福島地方監察局
及び
陸上自衛隊福島駐屯部隊
を
視察
して参りました。以下
調査
の
概要
を御
報告
申し上げます。 まず
宮城県庁
におきましては、第一に、今回の
一般職公務員
の
改正給与法
と
自治庁
において指示された
地方公務員
の
改正給与体系
についての
県当局
の
所見
、第二に
寒冷地手当等
についての
要望点
、第三に
駐留軍労務者
の
現状
、第四に国の
地方支分部局
に対し、その
機構
、
事務運営等
についての
改善点等
の諸点について
調査
をいたしたのでありますが、まず
調査
の第一につきましては、
地方公務員
の
給与体系
は
地方公共団体
がその条例によって自由にきめられるので、
自治庁
の
通知自体
には問題はないが、
国家公務員
、
地方公務員相互
間の
人事交流等
のため、各
団体
が独自の
給与体系
を持つことは好ましくないので、特に
東北地方
各県は同一
方針
をとり、
自治庁
の示した
給与体系
で
地方公務員
の
給与
を決定していきたいが、
地方公務員
の
給与
の
実態
より見て
給与
の
頭打ち等
を緩和するため、上位の号俸について多少の
調整
をはかる必要があるとの
説明
がありました。この
給与体系
は九月の
県議会
で決定いたしたいとのことでありました。また
暫定手当
につきましては、今回の
改正
により無
級地
が解消されるのはありがたいが、
宮城
県のごとくほとんどの
地域
が無
級地
であるため、新たに
暫定手当
を支給することは
財政
上大きな負担となるので、特に
再建団体
に対しては特別の
財政措置
がとられるよう
要望
されました。
調査
の第二点
寒冷地手当
につきましては、
宮城
県
人事委員会
が昨年七月
寒冷地手当
の
適正化
に対する
調査
を行いましたが、この
調査
の結果より見まして
宮城
県の
現行級地
は非常に低位にあり、
他府県
特に
北陸地方
に比較して不利な取り扱いを受けておるので、この点
国会
においてもよく
調査
の上是正せられたき旨が述べられました。
調査
の第三点
駐留軍労務者
の
現状
につきましては、現在
駐留軍
に対する労務の
提供
の実務は、
都道府県知事
に委任せられており、
知事
は
駐留軍労務者
の法律上の
雇用主
となっているのでありますが、本年六月一日現在
宮城
県の雇用しておる
労務者
は二千八百九十一名となっております。最近
駐留軍
の
撤退
及び
移動等
に伴う
駐留軍施設
の
閉鎖等
によりまして、
労務者
は逐次解雇され、本年は一月から六月までにすでに三百五十八名が解雇されておりますが、今回さらに第一
騎兵師団所属部隊
が九月上旬までに
移動
を完了いたすことに決定しておりますので、それに伴い県が雇用しておる
労務者
約二千百名と、
駐留軍
が直接雇用しておる
労務者
約五百名が解雇されることが必至の情勢にあり、そのうち県が雇用しておる
労務者
については、六月二十七日までにすでに九百五十二名の
整理
の
請求
が県に対して行われておるとのことであります。
宮城
県におきましては最近の
駐留軍労務者
の
解雇状況
にかんがみ、昨年十月
宮城
県
駐留軍離職者対策本部
を
設置
し、
知事
が
本部長
となりこれが
対策推進
に当つてきておるのでありますが、特に今回のごとく同一時期に多量の
解雇者
を出すと、第一に
宮城
県は工業が発達しておらず、千名以上の
雇用者
を持つ工場はわずか三カ所しかないという純
農業県
でありますので、県内にはその
雇用力
が全くない。第二に
東京等
の
駐留軍基地
への
配置転換
についても、
宿舎等
の
関係
から
希望者
が少ない。第三に当地の
労務者
は引揚者、
農家等地元出身者
が多い上、
年配者
が多く平均三名の
扶養家族
を抱えているなど、家庭的にも
他府県
への転職は容易でない等の
理由
によりまして、その
離職
後の
対策
に非常な困難を来たしているとのことであります。
調査
の第四点、国の
出先機関
に対する
要望
につきましては、まず第一に
国家機関
による
監査
を一本化ないし簡素化してほしいという点であります。現在
国家機関
による
監査
は
会計検査院
を初め、大蔵省、
建設
省、
行政管理庁等
、
中央
及び
地方出先機関
より重複して
実施
されるので、これが
事務処理
に忙殺されている
現状
である、
会計検査院
の
監査
以外はやめてほしいとは言わないが、
検査機関
はよく横の
連絡
をとり、
地方
庁がこれに対する準備が一度にでき得るようにしてほしい旨が述べられました。その第二は国及び県による二重
行政
の弊を改められたいという点であります。現在
陸運事務所
、
社会保険
、
職業安定等
の
事務
は
知事
の
監督下
にありながら、
予算
及び
人事権
は国が持っておるため種々不便を来たしておるので、
陸運事務所
についてはこれを
国家機関
とし、
社会保険等
は国または県のいずれかにすつきり
所属
を変えてほしい旨が述べられました。 次に
福島県庁
におきましては
宮城県庁
と大体同様の
調査
を行なつたのでありますが、
福島県庁
において特に問題になりました主な点としては、その第一に
義務教育職員
の
給与
の点であります。すなわち
教職員
の
給与
は
県公務員給与
のうち最も大きい面を占めておるにもかかわらず、その
昇給予算
については
一般公務員
が年間四%の
予算
であるのに対し
教職員
は二%となっており、これがため
地方
によっては
人件費
が非常に窮屈になっておるので、これが
対策
として年々
教職員
に対し退職を勧奨し、これによってその
財政
をまかなっておる
実情
とのことであります。その第二は国の
地方出先機関
に対する
要望
として、
福島営林局新設
の問題であります。現在
福島
県は
前橋営林局
の
管内
にあるため地理的にも不便が多く、十分な
連絡
と
調整
が困難であり、また
前橋営林局管内
の
国有林面積
の約四二%に当る四十五万町歩は
福島
県に所在しておる
現状
より見て、
福島
市に
営林局
を新設せられたい、もしこれが不可能の場合には
福島
県は
東京営林局
の
管轄区域
に
変更
せられたい旨が強く述べられました。なおこの問題は去る
昭和
二十七年第十三
国会
において、
政府
より
前橋営林局
を廃止し、
福島
市に
福島
県及び
宮城
県を
管轄区域
とする
福島営林局
を
設置
する案が提出せられたのでありますが、当
委員会
においてこの問題はなお検討する余地があるとの
理由
をもって、
現状
通り修正せられたのであります。このほか国の
出先機関
に対する
要望
として、
統計事務
を一本化してほしい旨が述べられました。すなわち現在
各種統計
は非常に多岐にわたっておるが、特に
農林省統計調査事務所
の行なっておる
統計
には、
林業統計
のごとく全く県に委嘱しておるものもあり、県の応援なくしてはでき得ない状態であり、
統計調査事務所
は以前と事情も変つてきた今日、その存置の必要があるかどうか疑問である、県においても多数の
統計職員
を配置しておるのであるから、
統計事務
はむしろ県へ移譲すべきではないかとの意見が述べられたのであります。 次に
仙台管区監察局
および
福島地方監察局
における
監察業務
の
現状
について申し上げます。
調査
いたしましたおもな点は、第一に三十一年度に
実施
した
監察
の成果及び本年度第一
四半期
に
実施
したおもなる
監察事項
の
内容
、第二に
監察局
における
定員
及び
予算
に関する
要望点
、第三に今回の
改正給与法
に関する
実情等
であります。 まず
調査
の第一点につきましては、
監察局
においては
現地
において
監察
した結果を本庁に
報告
するとともに、
現地
において
監察対象機関
に対し、その
監察
結果を表示しその
改善
を求め、
効果
を上げておるとのことでありますが、
仙台管区監察局
においては、三十一年度に行な
つた社会福祉行政監察
、
郵政野業特別会計経営監察等
において
所見表示
を行い、
監察対象機関
でもその
指摘事項
につき鋭意
改善
に努力し、
相当
の
効果
を上げておるとのことであります。また
仙台管区監察局
において
実施
した
農林漁業金融公庫
が行う
融資運営
に関する
調査
において、
東邦塩業株式会社
という
資本金
百二十五万円の
会社
に対し、
製塩施設
を経常するため
公庫
は一億二千三百万円を融資し、しかもこの
会社
は
経営計画
のずさんのため、設立以来わずか三年で
事業
を停止し、資金の返還も不能になっておる事例を指摘いたしておるのであります。また
福島地方監察局
が行な
つた郵政事業特別会計経営監察
においては、
郵政職員
に支給せられる諸
手当
の数が非常に多く、
一般公務員
に支給せられる
手当
以外に、
特殊勤務手当
が十二種類あり、その
手当
のうちの一つである
特殊有技者手当
はさらに十七種類にわかれ、中には重複または不必要と認められるものもあるので、これら諸
手当
は
圧縮整理
をする必要がある旨を指摘いたしております。また本年第一
四半期
に
実施
した
監察
のうち、
福島地方監察局
においては、
公共専業
に従与する
職員等
の
実態調査
を行なっております。これは
定員外
の
職員
すなわち
常勤職員
、
常勤的非常勤職員
を
定員
内に繰り入れられたいという
要望
に対し、適切な
措置
をとるための
基礎資料
を
提供
するために
実施
したのであるとのことであります。この
調査
は、
農地事務局建設事務所
、
地方建設局工事事務所
、及び
営林署
を
対象
に
調査
をいたしておりますが、これら
常勤職員等
の数は
建設事務所
、
営林署
においては約五〇%、
工事事務所
においては約七〇%を占めており、学歴、
勤務年数
及び
仕事
の
内容
も
定員内職員
とほぼ同様であり、しかも
相当
責任ある
仕事
に従事しておるが、一方待遇は
定員外
のため非常に不利を来たしておる事実が明らかになつたとのことであります。なお
監察局
においては
監察計画
に基く
監察
のほか、
監察
上の
問題点
となるものを常に把握するため
監察情報
を収集し、また
行政監察
の一環として
苦情相談
の
業務
を開き、それぜれ
効果
を上げ、特に
苦情相談
は
陳情者
より非常に感謝されておるとのことであります。
調査
の第二点につきましては、その
定員
は、
管区監察局
及び
地方監察局
も同様に、現在の
監察業務
を十分に遂行するためには
人員不足
は免れず、一人当りの
業務量
は
相当
過重になっておるため、適正な
定員
の設定、特に
下級職員
の増員を配慮せられたき旨が述べられ、また
予算
につきましては
監察旅費
及び
筆耕料
の
不足
を訴え、特に
旅費予算
の過少のため、
監察計画
を樹立する上において、
監察対象機関
は近距離に限定せられる等のため、その
対象
を十分に選定することができす、また
監察
を途中にて打ち切らざるを得ない場合も生じてくるとのことであります。特に
福島
県のごとく広域な県は困難を来たす場合が多いとの
説明
でありました。
調査
の第三点につきましては、今回の
改正給与法
に伴う格づけ
基準
によれば、
地方出先機関
は
中央機関
より
一等級下位
に格づけされることが
一般原則
となっておるが、
監察局
はその
業務
の
特殊性
により
高級者
が多く、また
監察業務
の
実体
はむしろ
地方
にあり、
他省
のごとく
中央
と
地方
とにおいて
業務
の隔たりがない。従って格づけに当
つて一般原則
がそのまま適用されると、
監察職員
は非常に不利な立場になるため、その点特に考慮せられたき旨が述べられました。最後に、
仙台管区監察局
において、
行政監察
に関する
実体法
を制定せられたい旨が強く
要望
せられました。すなわち現在
行政監察
については、
行政管理庁設置法
にその権限が示されておるのみで
実体法
がない。従って現在の
監察
にはおのずからその限界が生ずるので、民間を含む
監察対象機関
の協力を得るためにも、また
行政監察
の永続性を確保するためにも、この際ぜひ
行政監察
の定義、目的、権限等を明記した
実体法
を制定せられたき旨が述べられたのであります。 次に
仙台調達局
における調達
業務
の
状況
について申し上げますと、現在
仙台調達局
管内
に駐留する
米軍
は、青森県三沢地区及び新潟地区の
空軍部隊
並びに仙台地区の陸軍
部隊
がそのおもなものでありますが、そのうち陸軍
部隊
ば昨年より逐次
移動
が開始されて、これに伴い種々その
施設
が返還されておりますが、特に従来は建物の返還が主となっておりましたが、最近は大高根演習場等を初め土地の返還が多く、これに伴う補償が重要な
業務
の一つになってきておるとのことであり、土地の補償
処理
はその性質上複雑困難な
内容
を含んでおるとのことであります。また
駐留軍
の
撤退
に伴う
労務者
の解雇につきましては、各県においてその救済に当つておりますが、
調達局
においても
関係
担当官を県の
対策
本部に派遣し、特に今後予想せられる大量解雇に対する万全の
措置
を講じつつあるとのことであります。なお陸軍
部隊
の
撤退
後における
調達局
の
業務量
については、
仙台調達局
の
管内
に駐留する
米軍
の主体は
空軍部隊
であるため、陸軍
部隊
が
撤退
してもその
業務量
にはあまり変化を来たさないとの
説明
でありました。 次に調達庁を
防衛庁
の機関とする
行政機構
改革の問題につきましては、
仙台調達局
長は全面的に賛意を表し、調達庁の
業務
は国防という見地より
防衛庁
と一貫した
仕事
として行うのがよい。
駐留軍
の
施設
返還後これを
防衛庁
へ引き継ぐ場合が多いが、その場合も
仕事
がやりやすくなるという
理由
のほかに、戦後国民と
駐留軍
との間に入って幾多苦労してきている
職員
を救済するがためにも、
防衛庁
と合体するのが望ましいという
理由
をあげて、この際ぜひ
防衛庁
への合体の実現を望む旨が述べられました。
調達局
の
調査
終了後
局長
の案内によりまして、
駐留軍
の
施設
のうち苦竹キャンプ、キャンプ川内を
視察
いたしました。このキャンプはいずれも近く日本側に返還されるとのことであります。 次に
航空自衛隊
第二
操縦学校
について申し上げますと、本校は
航空自衛隊
操縦者養成課程のうち第二初級操縦課程の
教育
を施す機関となっております。すなわち現在操縦者養成課程は英語
教育
隊、第一
操縦学校
を経て本校に入校し、六カ月間操縦
教育
を受け、さらに築城派遣隊において高度の
教育
を受けた後、航空団に配置されることになっておるのであります。本校は
昭和
二十九年七月発足以来六百八十八名の学生が入校し、四百九十名の卒業者を出しておるのでありますが、その
教育
内容
は先に申し述べました第二初級操縦課程としてT6の航空機を用い、基本操縦
教育
を行うほか、操縦経験者の技量回復課程及び第二初級操縦教官の養成をも行なっておるとのことであります。 第二
操縦学校
は私
ども
の
視察
当時は松島
基地
にその本校を置くほか、
宮城
県矢ノ目
基地
に第一分校が置かれてありましたが、八月一日に行われる
航空自衛隊
の新
編成
により、本校は宇都宮に移転いたすことになっておるとのことでありましたからすでに移転しておることと思います。私たちの参りましたときはすでに一部は宇都宮に移転を開始いたしておりました。本校移転後の松島
基地
には第二
操縦学校
の松島訓練隊及び松島派遣隊が
設置
されることになっており、また近く静岡県焼津に第二分校が
設置
される予定とのことでありました。本校においては分校をも含めT6航空機百十七機を使用しておりますが、その飛行の安全を期するため学校長の下に飛行安全班を作り、特に航空機の予防整備等を行い、事故の発生を防いでおるとのことでおります。松島
基地
は旧海軍飛行場であり、戦後
米軍
に接収され
昭和
三十年十月に返還されております。当
基地
は現在総面積六十八万坪、約六十フィートの主滑走路を持っておりますが、当
基地
には今回第三、第四航空団が新設されることになっており、このためジェット機の発着も可能にするため、新しく二千四百メートルの滑走路を
設置
するとともに、
基地
面積も八十六万坪に拡張することになっておりますが、これに伴う農地の買収、民家四十九戸の立ちのき等につきましても、このほど
現地
との間に円満な了解がつき、七月より工事に着工、十二月までには大部分が完成する予定とのことであり、これに伴い十二月には第三航空団が当地に
編成
されるとのことであります。 最後に
陸上
自衛隊
福島
駐屯地
部隊
について申し上げます。本駐屯地は
昭和
二十八年十月に
設置
され、
施設
大隊一カ大隊、駐屯地
業務隊
、警務分遣隊が駐屯いたしており、
隊員
は自衛官、非自衛官を合せて八百八十一名であり、
隊員
の約六一%は
地元
の
東北地方
出身者であります。
施設
大隊は旧陸軍の工兵隊に該当するものであり、この
部隊
の
特殊性
のため、その
装備
等も
施設
関係
の
装備
が特に目につき、このため当
部隊
においては特殊技能者を養成することが特に必要である旨の
説明
がありました。なお当
部隊
において特に注目をひきましたのは、部外工事が数多く
実施
されておることであります。すなわち
部隊
外より各種の
建設
工事を依頼されております。工事のおもなるものは学校の運動場の整地、新道の
建設
及び除雪作業等であり、昨年度
実施
した工事は十八件に上っており、
地元
福島
県下の依頼によるものが大半を占めておりますが、最近は
宮城
県、新潟県等よりも依頼を受け出動しておるとのことであります。部外工事はその依頼が殺到しその
処理
に困るほどであるが、この種の工事は住民に非常に感謝されておるので、
部隊
訓練に支障のない限りできるだけ出動いたしたい考えであるとのことであります。 以上をもちまして
報告
を終ります。
藤田進
9
○
委員長
(
藤田進
君) 別に御発言がなければ、本
委員会
派遣委員
の
報告
はこれをもって終了いたします。
—————————————
藤田進
10
○
委員長
(
藤田進
君) 次に国の
防衛
に関する
調査
を議題に供します。 本日の
政府
側の出席は津島
防衛
庁長官
、石田労働大臣、上村調達
庁長官
、
小山
防衛政務次官
、今井
防衛庁事務次官
、門叶
防衛庁長官官房
長、加藤
防衛庁防衛局長
、百田
労働省職業安定
局長
、
小山
防衛庁装備局長
、山下
防衛庁経理局長
、以上であります。 なお
小山
防衛庁
防衛政務次官
から、当
委員会
に対してあいさつを述べたいとのお申し出があります。お受けして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤田進
11
○
委員長
(
藤田進
君) どうぞ。
小山長規
12
○
説明員
(
小山
長規
君)
小山
でございます。今度
防衛政務次官
に任命されましたので、たびたび当
委員会
に出席する機会が多かろうと思いますがよろしくお願いいたします。
藤田進
13
○
委員長
(
藤田進
君) 先ほど議題に供しました国の
防衛
に関する
調査
に関し、御質疑のおありの力は順次御発言を願います。
伊藤顕道
14
○
伊藤顕道
君 アメリカの地上
部隊
撤退
に伴う
駐留軍労務者
の失業
対策
について、若干労働大臣にお伺いしたいと思います。 まず御承知のように本年内に米
駐留軍
の
陸上
部隊
の全面的の
撤退
が日米両
当局
者によって発表されたわけですが、そのためこれら
陸上
関係
の
労務者
が大体約六万六千くらいと聞いておりますが、全面的に失業の脅威にされておると、こういう事態を私
ども
は見つめておるわけです。労働大臣としてこのような事態をどのように考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
石田博英
15
○国務大臣(石田博英君)
駐留軍労務者
の失業の状態、見通し等につきましてはただいまお説の通りでありまして、陸軍
部隊
について間接
雇用者
は大体六万六千、これに直用
労務者
一万三千というものが
駐留軍
の
撤退
に伴いまして順次職を失っていく状態にございます。これはその雇用の条件、あるいはその失業が
地域
的にも時間的にも集約的に現われるという点についてきわめて重大な問題だと考えておりまするので、
政府
といたしましては、前内閣に引き続き内閣に設けられてあります特需等
対策
協議会を中心といたしまして各般の施策を目下検討中でございます。労働省といたしましてはまず終局的にはこれら失業者、失業せられる諸君の雇用の安定を目ざして、最初の目標は、返還せられる設備その他を産業に転換をいたしまして、新しい産業の誘致等によりましてそこへ吸収して雇用の安定をはかって参りたいということを目標といたしまして、諸般の作業を進め具体的な検討を行なっておるわけでありますが、とりあえずは
関係
各県にありまする職業補導の機関を整備拡充をいたしまするとともに、その取扱い範囲をさらに広くいわゆる職業紹介の拡充をはかって参りまするとともに、
仕事
の転換その他によって生じまする住宅問題等についての
解決
も検討いたしておるような次第であります。それと同時に失業
対策
事業
、あるいは特別失業
対策
事業
、あるいは公共
事業
等の重点的な
実施
をもって恒久的な産業誘致に伴う雇用安定までのつなぎにいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。 具体的な施策といたしましては、二、三年前に呉市で発生をいたしました、国連軍の
撤退
に伴いまする失業問題が生じましたときにとりました処置を
基準
といたしまして、積極的な
対策
を講じつつあるのでありますが、何と申しましても今度の
駐留軍労務者
の失業ということは非常に広範な
地域
で、しかもいろいろの条件が違った状態のもとで起って参りまするから、産業誘致を行うにいたしましてもそれぞれ産業条件を整備すべき要点が違っておるのであります。従って
政府
といたしましては、先般
関係
府県
知事
が労働省にお見えになりましたときに、
政府
の力は具体的な施策に対する協力、あるいは問題の難点
解決
に対するあっせん等は積極的にやるつもりであるから、具体的な計画と
調査
とを進めてくれるようにということを私から口頭をもって依頼をいたしまするとともに、近日産業誘致計画の樹立についての
政府
側の、ただいま申しましたような
方針
を文書をもって
地方
官庁に通達をいたすつもりでおります。いずれにいたしましても、この
駐留軍労務者
の失業問題はきわめて重大であると考えられまするから、積極的にその
解決
に当って努力をいたして参るつもりでございます。
伊藤顕道
16
○
伊藤顕道
君 大臣は
職員
補導所とか、住宅あるいは公共非業、失対
事業
、このようなことで
解決
をはかりたい、そのような要旨であったわけですが、過去においても年々失業をしてきた者があって、これを加えますと大体十二万くらいになっていると思うのですが、しかしながら今回のごとく一度に六万六千というような大量な失業者を出そうというような事態は、これはまことに容易ならざる事態であると思うのです。今幾つか言われたようなことではなかなか
解決
ははかれない。よほど抜本的な方策を講じない限りは
解決
をはかることは不可能であろうと私
ども
は考えるわけです。そこで
政府
としては抜本的な方策をこの際樹立する必要があろうと思うのです。そういう点についてお尋ねしたいと思います。
石田博英
17
○国務大臣(石田博英君) 抜本的と申しますか、恒久的な
解決
は先ほ
ども
申しましたように、
駐留軍
撤退
に伴いまする諸設備その他を利用いたしまして、新しい産業を誘致してそこにできるだけ吸収する。それからその以前にもあるいは自衛隊、あるいは既存産業にあとう限り職業補導、あるいは職業紹介の労をとって雇用を安定させるということであろうと思います。それまでのつなぎといたしましては先ほど言ったようなことをやって参りたいということであります。 そこでただいま申しましたようなことは、実はまあ非常に困難なことが多いのでありますけれ
ども
、先般先ほ
ども
申しました、呉で発生いたしましたとき
処理
いたしました経験を簡単に申しますると、呉で当時発生いたしました失業者は約九千名でございました。その九千名のうち現在の状態を申しますと、約三千名は
撤退
後誘致せられました産業に吸収されております。しかしなお三千名は目下
職業安定所
の窓口に来ているわけであります。残余の約三千名はそのいずれにも入っておりません。つまり言いかえると中小企業その他あるいは自家営業に帰るとか、そういう点で吸収されていったのではないかと考えるわけでございます。そこで現在
職業安定所
の窓口へ今でも来ております約三千名というものに対しましては、いま一方におきまして産業誘致計画が進んで、それぞれ具体化されつつございますので、その具体化される経過に従っておよそそれに近い数は吸収される見込みであるという
報告
は参っておるのであります。基本的にはやはり産業誘致計画を強力に推進していくということが、私は恒久的かつ抜本的
対策
であると考えておるわけでありますが、その産業誘致計画を強力に推進して参るに当りましても、各地によりまして返還される設備条件その他が違っているのであります。あるいはその産業誘致のための基礎条件を整備する要素もまた違っておるわけでざこいます。呉の場合におきましては、そのおもな産業誘致上の弱点と申しますかネックは工業用水の問題でございまして、そこでその当時
政府
は工業用水の新設に際しまして特別な融資
措置
をとりまして、工業用水の供給をはかりました結果、先ほど申しましたような
進行
を示しておるわけでございます。従って労働省としましては、
関係
各省と
連絡
いたしました上で、各種各様の条件のもとにおける産業誘致の具体的な計画の樹立を求めまして、そしてそれを実現いたしますために必要な処置を
政府
としてその計画に基いて協力していきたいと思っているわけであります。その計画樹立に際しましてもただ
地方
にまかせるというのではなくて、
政府
側として積極的にその指導の任に当って促進をしていきたい、こう考えておるわけであります。
伊藤顕道
18
○
伊藤顕道
君 呉の場合には六億以上の失対
事業
費が使われたけれ
ども
、実際の結果としては一部の
労務者
の一時的な救済にしかならなかったというふうに私
ども
は把握しておるわけですが、こういう問題について一時的でなく恒久的な、たとえばこれを法律化して永久に救おうというようなお考えがあるかどうか。なおこのことについては昨年労働省の試案として次官会議と閣議に出された雇用安定基本法案ですか、こういうものはせっかく労働省の試案として作られたのに、これが閣議あるいは次官会議で決定に至らなかったということについては、非常に遺憾の意を表せざるを得ないのですが、こういうものを一つさっそく成文として、法律によって失業救済を行うという考え方はぜひ必要だろうと思うのですが、労働大臣はどのように考えられるか。
石田博英
19
○国務大臣(石田博英君) 一般的な失業
対策
の問題でありますが、雇用安定基本法というようなものの構想を労働省がいまだ捨てているわけではございませんが、とりあえず今の失業及び雇用の状態というものを大ざっぱに申し上げますと、昨年度約六十万おりましたものが、本年五月は約四十七万程度に減少をいたしたのであります。しかしその後政策の転換、あるいはただいまの議題になっておりまする
駐留軍
の
撤退
ということに伴いまして、本年度末にはかなりの程度増加いたすのではないかと思っております。その上に今非常に危惧されておりますることは、明年新春発生をいたす、発生というと語弊がありますが、学校卒業生が約百六十万、そのうち労働人口に参加してきまするものが約百万から百五万くらいではないかと思っているのですが、そのうちからかなりの数、私は二割五分か、あるいは三割近いものになるのじゃないかと思うのでありますが、そういうものが取り残される危険がございます。従って失業問題というものは、これは本年度及び明年度の前半くらいではありましょうけれ
ども
、非常に逆に悪化しつつある状態にあるのでありまして、これに対する基本的な
対策
を積極的に立てて今研究中でございますが、その反面、本年七月末日現在で未充足求人が約十三万人ほど全国にございます。これは特殊な職域、職能に限られておるのでございますが、従って雇用の増大と安定のために職業訓練制慶の拡充をはかりまして、少くともこの未充足求人を満たすような方向に施策を講じて参りたいと思っておるわけでございます。しかし、先ほど呉の場合の例をとられまして、呉に特別、一般失対及び公共
事業
をもって六億数千万円の国費が投ぜられました。しかし、非常に遺憾なことと申しますか困ったことには、その
事業
によって救済をしようと思った
対象
の国連軍の引き揚げに伴う失業者は、その
事業
に参加した全員から比べますると一割五、六分にしか当らない、他はやっぱり
現地
の他の労働力をもってその
事業
を行ったという
実情
にございます。しかも、失業
対策
事業
及び公共
事業
はあくまで御承知の通り一時的のものでございます。この安定をはかるのにはやはり何と申しましても産業条件を整備いたしまして、新しい産業を誘致する以外にはこれはないのであります。従って、少し時間はかかります、それまでのつなぎとして、公共
事業
及び特別一般失対
事業
を行うということであります。それの
対象
になっております失業者諸君を吸収いたすためには、施行の時期等について検討を加え、あるいは業種等について検討を加える必要があろうかと思っております。と申しますのは、失業保険が給付されております
期間
はなかなか参加いたして参りませんので、工事施行の時期等はその失業保険給付
期間
等のかね合いを考えなければならないと思っておりますが、今までの経験にかんがみまして実効ある
措置
をとりたいと思っております。恒久的な
措置
は先ほどから繰り返して申しております通り、その
地方
々々によりまする特殊条件を整備いたしまして、産業誘致をしてそれの大部分を吸収する。でき得るものについては自衛隊及び既存産業に吸収するという方向をとっていきたい、こう思っておるわけでございます。
伊藤顕道
20
○
伊藤顕道
君 いろいろ
対策
を打ち立てられても、法律と
予算
の裏付けのない限りなかなか実際には効率は上らないと思います。そういうような意味で今申し上げた雇用安定基本法案、こういうようなことに関連して
駐留軍
の引揚
対策
善後
処理
費というようなものを
予算
化することがきわめて大事だと思いますが、
予算
化という点についてはどのように考えておりますか。
石田博英
21
○国務大臣(石田博英君) 私は特別にそういう款項目を設けて
予算
化するという問題よりは、やはり現実に出て参りまする状態をつかまえて計画を立てることだと思います。一般及び特別
対策
事業
につきまして、特別は
予算
を作らなくとも既存の項目による
予算
要求
を増加することによって
解決
のつく問題と考えております。それから産業誘致等についての
予算
的
措置
は、その誘致計画それ自身の
仕事
が先行しなければならないと思っておるわけであります。従って、いろいろの自立計画産業誘致計画が具体的にでき上りました際、必要とあらばそれに伴う
予算
的
措置
を講じなければならないのでありますが、今のところはすみやかにその具体的計画を立てるのに今
地方
と
連絡
をとりつつある状態でございます。産業誘致計画は、計画が立って
実施
までの問に
相当
時間がかかります。その時間の埋め合せを先ほど申したような
措置
でやる、やるのには今特別にそういう
措置
をとらなくとも現実的にやり得ると考えております。特別の立法
措置
がしばしば前にも問題になったのでありますが、それは国有財産の
処理
その他についてよくそういう議論が出て参ります。しかし、その国有財産の
処理
等につきましても、現実に一つ一つのケースによって、呉の場合はこれは当時は私が自分であっせんをいたしましたが、法律的
改正
を待たないでもすべて
解決
をいたしておるのであります。まあ最終的にどうしてもという場合が生ずれば別でありますが、そういう
措置
を講じなくても現在は万全の
措置
をとり得ると思っております。もし金融上必要であるということになりますれば、それは国民金融
公庫
あるいは中小企業金融
公庫
その他に対しまして、
駐留軍
の引き揚げに伴う失業者の諸君が、企業組合その他による新しい
事業
計画を立てられた場合の融資等の処置について、別ワクの資金面を考慮するということであろうと思うのです。そういう点につきましてもあとう限りの努力をいたすつもりでございます。
藤田進
22
○
委員長
(
藤田進
君) ちょっと関連してお伺いしますが、聞いていると安心していいような印象を受けるのでありがたいわけですが、しかしほとんどすべてと言っていいくらい産業誘致による吸収消化ということに尽きると思うのですね。いま呉市の問題に触れられていたが、私のところに
提供
されている呉市
当局
や
広島
県からの資料によりますと、今言われた
駐留軍労務者
約三千名の失業であって、あとは、三千はすでに吸収され、三千名はいずれにか吸収されるであろうということですが、数字においても
相当
に食い違いがあります。そこで今たまたまいい例が出たが、呉市の場合にしからばどういう産業を誘致する、
地元
にまかすのでなく、
政府
がこれを指導するとおっしゃっているのですが、現に淀川製鋼、日立競願によっていまだに国有財産の、あの旧軍
施設
の問題は
解決
しないままに放置されていて、しかも工業用水だけではなしに、他に立地条件がいろいろ問題があるわけですね。電気の問題もありましょう、また輸送その他
地域
的な、海軍軍港としては成り立ったけれ
ども
、そういう非常な悪条件がある。またがって平和転換法等によって誘致された、非常に期待していた工場NBC及び播磨造船、日亜製鋼等々いずれを上げてもいわゆるオートメーションという形で、雇用
関係
は拡大していない。まことに驚くべき小人数のために呉市、あの狭い所で一万人あまり失業者が現在いるわけです。NBC、播磨造船いわゆる造船業にしてもすでに頭打ちの形になっている。こうなりますと、産業を誘致されるといっても過剰投資過剰設備ということになるので、今度の
予算
の
編成
方針
を見ても引き締めを継続されるわけです。しかし、こうなってくると、産業誘致並びにこれに対して吸収するというものはいわば絵に書いたもちで、ここだけではなるほどと思われるが、現実を知っている
委員会
の
委員
の方々は少し納得がいかないのじゃないだろうか。そこまで言われるとすれば、かりに呉市に対してはどういう産業をいつ誘致する手はずがあるのか。淀川なり日立の今競願になっている、市、県、そして利害
関係
者の両企業において、なかなか苛烈な競争が今なされておると思うのですが、これすら
解決
ができない。これも国有財産の
処理
については、失業
対策
ということの論争が中心になって
関係
者はやっきになっていると思うのです。こういう面について、もっと具体的に工場誘致については計画を盛った資料が出せるなら、後刻その資料をいただきますが、おそらくないのではないか。今度の
政府
の
方針
から見ても、そんなに産業誘致、新しい工場がどんどんできてくるということは予想がつかないのです。むしろ産業設備等は整備される状態にあるのであります。
石田博英
23
○国務大臣(石田博英君) 私が呉市の場合に申し述べた数字は、それはこまかいはしばしを言ったのではなくて、九千人という数字に対して大ざっぱなつかみを申し上げたのでございますから、具体的な数字についてはいずれ詳細な資料を提出するつもりでございます。それから呉市の場合にどういう産業が誘致され、それにより吸収されてきたかということは、これは後刻、ここに資料があるようですから申し上げます。非常にこまかいものがたくさんございますから一々申し上げるまでもなかろうと思います。小さいのもたくさんありますが、大きいのだけを大ざっぱに申し上げますと、誘致の計画がすでに
実施
せられているものは呉興業、これは従業員が五百二名、それから大呉興産七百十名、旭糠油百名、それから呉飼糧四百七十名、中本工作所百五十三名、百名以下は申し上げませんが東洋機械百二十名、淀川製鋼の拡充によりまして千百名、日本酸素百四十名、三豊製作所三百五名、今田哲三大化ポリコー百六名、弥生工業協同組合が八百二十六名、芸南プレス百名、トキワ工業百三十名、
中国
工業三百五十六名、
中国
チップ工業二百十名、帝国金ペン百名、こういうのが問題発生後誘致され、あるいは新設せられて吸収せられたおもなあれであります。目下話し合いが
進行
中のものの大口を申し上げますと、日立製作所二千三百名、それから広洋興業三百七十五名、それから北星船舶工業百四十九名、大同
建設
産業百十五名、三和興業百五名、そういうようなものが現在
建設
中、あるいは話し合いが
進行
中のものであります。日立製作所と淀川製鋼とが今競願になっている問題は、競願になっていること自体が産業誘致計画の成功だと思うのですが、問題をそれだからといって競争さして放りっぱなしにしておけばいいというものではないので、やはりあっせんして
解決
をすみやかにしなければならぬと思っております。それから呉市の問題についても具体的な産業誘致上のネックが提示せられ、
政府
にその
解決
を求められれば、積極的に
処理
に当ることは申すまでもないことであります。それから今の経済政策と産業誘致との
関係
をおっしゃったのでありますが、私の今のような国際収支
改善
を目的とする経済政策というものは、そう長
期間
続くものであるとは思っておりません。日本経済はやはり当然ある程度の幅を持ってその規模を増大して行くのでありますから、私は条件の整備さえすれば、産業の誘致によっての
解決
は望み得るものと確信をいたしておりまするし、また雇用の安定は新しい産業の誘致以外にはほんとうの安定は今はでき得ないことでありますから、その方向に向って施策を重点的に施行して参りたいと思っております。
藤田進
24
○
委員長
(
藤田進
君) 今言われた日立との競願が成功だと言われますけれ
ども
、一方のは材料置場にしてほとんど雇用はない。日立は今言われたように若干の雇用があるということなんです。今聞くと、その日立の方に財産の
処理
で軍配が上るのだというふうに聞こえるわけですが、そういうふうにきまったわけですか。
石田博英
25
○国務大臣(石田博英君) 私は国有財産の
処理
についてどちらに軍配を上げるという立場にはございません。しかし私
ども
の方から見れば、
委員長
は少しとおっしゃいましたが、二千三百名の雇用量をふやすということは少しとは思っておらないのでありますが、そういう点で雇用量増大の方に
解決
することを労働大臣としては希望をいたすわけでありますが、いずれにするかしないかは私の権限でもなく、また最終的に決定を見たという
報告
も受けておりません。
藤田進
26
○
委員長
(
藤田進
君) 私が申し上げたのは、片一方は競願になっている淀川ですか、これは材料を置くだけだから人はわずかしか要らない。しかし今言われたように日立の方は
相当
雇用量がある。それが今きまったように
委員会
で発表されるから、おれの権限じゃないと言われるが、この問題を
処理
されるに当っては
相当
な発言権がなければならないはずですよ。
石田博英
27
○国務大臣(石田博英君) 片方の淀川製鋼は材料置場として前から話をしておるのであります。競願になっていることは前から聞いております。そこできまったということを言っているのでなくして、今
進行
中の計画の中でこういうものがするということを申し上げたのであります。そこで労働大臣としては、雇用量の増大を見込まれるようにきまることを希望をいたすのでありますが、最終的にそういうものを
処理
する権限を私は持っておるわけではありませんが、労働大臣としての希望はどうかと言われれば、人がたくさん雇用される方にきまることを希望いたす。こういうことであります。
藤田進
28
○
委員長
(
藤田進
君) なお一点。希望し、かつ努力をするという
趣旨
ですか。
石田博英
29
○国務大臣(石田博英君) 私の責任もできるだけ失業者をなくすことにあるのでありますから、努力をすることは当然であります。
伊藤顕道
30
○
伊藤顕道
君 失業
労務者
の自力更生という面について、
政府
としてこれに対しての特別
措置
を講ずるというようなことは、きわめて大事なことの一つだと思うのです。この例によりますと、昨年の二月三日閣議了解
事項
によって閣僚が
行政措置
による方法を講じてきたのでありますが、先ほどから私は繰り返して申し上げておるように、
予算
と法律の裏づけがなかったために、あまりかんばしい成果が上っていないと私
ども
は見ているわけです。そこで何とかして自力更生の面について、
政府
が具体的に一つ
団体
あるいは個人に対しても、特別な
措置
を講じていただきたいということを強く
要望
しておるわけであります、
労務者
自体が。その点についてどういうふうにお考えですか。
石田博英
31
○国務大臣(石田博英君) 自力更生の処置と申しますと、個人の計画もありますが、最近企業組合の計画が寄り寄りでき上って参っております。それに対しての金融上の便宜供与については努力をいたします。努力をいたすということは、特殊の別ワクなり何なりで処置したいと思っておりますが、具体的に自力更生の処置、それに伴う金融の援助ということをいたすためには、計画それ自身の具体性がなければならぬ。ところがなかなかそれが抽象的な
要求
だけで、具体的なものがないとは申しません、ぼつぼつ参っておるのでございますけれ
ども
具体的なものが乏しいので、労働省といたしましても、企業組合等の
設置
に際しての具体性を持ち、計画性を持つような指導や希望をいたしておるようなわけであります。そういうものについての金融その他の必要なる処置は積極的にとって参りたいと思っております。
伊藤顕道
32
○
伊藤顕道
君 今の点について中小企業等協同組合法ですか、この法に基いて設立された
団体
、それについては中小企業金融
公庫
とかあるいは国民金融
公庫
こういうものを利用しておるようでありますけれ
ども
、これらに対して特別なワクを設けて
相当
額を
予算
化しないとなかなか実効が上らないと思うわけです。そこで
労務者
に対しては特にワクを設けてやるべきではないかと思うのです、そういう点についてはどうですか。
石田博英
33
○国務大臣(石田博英君) それは特需等
対策
協議会の重要な議題となって目下検討中でございます。ただし先ほ
ども
申します通り金融のワクの問題ももちろん必要でありましょうが、それに先行するやはり計画の具体性というものを指導いたしませんと、金を出しても使えないという状態が起る。それからもう一つは、やはりそれぞれの窓口になります
地元
金融機関の
理解
と協力がどうしても必要であります。呉の場合もそういうあっせんをしたのでありますが、そういう点についてもそれぞれの
地方
におきまして、そういうふうに御了解や協力を得られるように努力をしておるわけでございます。
伊藤顕道
34
○
伊藤顕道
君 今の点については企業体自体の信用度とかあるいは企業の実績、こういうようなことが非常にやかましく論議せられて、結局実際問題としては一般の失業者に対する面とあまり選ぶところがない、そういうような
実態
のようなことと聞いておるわけです。そこで特に
駐留軍
の
労務者
失業者のこのような企業体に対しては、そういう点についても特別
措置
として別途考えるべきではないか。そうしない限りなかなかそういうりっぱな機関ができても、実際にこれを活用することは至難であろうと思うのです。そういう点についていかがですか。
石田博英
35
○国務大臣(石田博英君) それは失業問題の発生の事情が特殊でありますから、過去の信用とか実績とかいうことによって
処理
することは不可能であります。従ってそういうことの今までのような融資
基準
だけによってやりますと、御説のようなことになることは当然であります。そういう点についての金融機関の
理解
を深めるために、できるだけの努力はいたして参っておるつもりでありますが、しかしその一面、他の一般の失業者の諸君の
仕事
とそう明確に区別するわけには参りません。それからいま一つは融資すべき金がやはり大衆から集められた預金であり、あるいは公金である限りにおいては、その
対象
について
相当
の
調査
と指導とが必要であります。従ってその絵にもちを書くような簡単な
解決
はいたしませんが、具体的にケース・バイ・ケースで
処理
できるようにあとう限り努力をいたしておるわけであります。 それからもう一つ、先ほど私は六万六千人くらいと申しましたが、
米軍
の補給
部隊
は残るそうでありまして、六万六千という数字がそのまま失業者になるというのはちょっと誤りではないかと思いますので、それはちょいと訂正させていただきます。明確な数字はいずれ調達庁の方から
説明
させていただきたいと思います。
伊藤顕道
36
○
伊藤顕道
君 この労務省の方々が今言った自力更生するためにも、大量解雇をするこのときを機会として、更生資金として
相当
額の退職金を支給するということがきわめて適切な
措置
であろうと思うわけです。このことについては
駐留軍
の
労務者
の方々が二十九年以来
国会
並びに
政府
に対して強く
要望
を続けてきておるわけです。なかなかに特別退職
手当
あるいはまた失業
対策
筆の面についても希望がいれられていなし
実情
であるわけです。この点について
政府
としてはどのように考えておられるか。
津島壽一
37
○国務大臣(津島壽一君) ただいまの
駐留軍労務者
の退職資金の問題、これは私の方の所管でございます、調達庁の所管でございますから私から便宜お答えいたします。
駐留軍
労務
離職
者の退職資金の問題は長い間の
懸案
でございましたが、幸いにして新労務契約が十月一日から実行になることになりました。この中に退職資金の増額のことも書いてございます。その他労務
管理
についてのいろいろな希望が盛り込まれた契約ができたわけでありまして、
実施
は十月一日となっておりまするが、退職資金に関する限りはさかのぼって七月三十一日から適用する。こういう規定でございまして、これは
駐留軍労務者
組合においても十分了承してこれが決定した、こういう段階になっております。
伊藤顕道
38
○
伊藤顕道
君 そのことについては大体現行よりは七%幾つかの増である、そういうように承知しておるのです。ところが
駐留軍労務者
の方々の二十九年以来の
要求
としては、現行より三三%ほど増ということを念願しておると思うのです。こういう点についてまあ御承知だろうと思うのですが、この点についてはまことにかけ離れておるわけですけれ
ども
、この点についてどういうふうに考えておられますか。
津島壽一
39
○国務大臣(津島壽一君) ただいまの御質問は率について
労務者
側において十分満足を得てない、こういうお話であるように承わりました。しかし担当の調達庁の
報告
によりますと、この
内容
については
労務者
側もこれによって了解を得て円満に協定ができ上った、こういうように
報告
を受けております。もし詳細なことでございましたら、ここに調達
庁長官
がおりますから、その方からお答えさせることにいたします。
伊藤顕道
40
○
伊藤顕道
君 この三三%増というこういう強い念願が大体七%くらいで了承しようはずがないと私
ども
は考えるのです。なおこの問題は私
ども
も十分検討して、次回にまた重ねてお伺いしたいと思います。額については。しかしながら先ほ
ども
自力更生の立場からも、
相当
額をこの際
政府
は捻出することが、結局失業
対策
の一つの有力な柱ともなろうと思う。この点については強く
要望
しておきたいと思うのです。
光村甚助
41
○
光村甚助
君 労働大臣お急ぎのようですから先に質問をいたします。 さっき労働大臣の答弁では、基礎産業に吸収するとか新しい産業を誘致するとか、こういうことは大体これは実際小学生か中学生の作文のようなもので、一つのこれははったりだと私は思っている。基礎産業に吸収するというような簡単なことで失業者がなくなるなら、今までに失業者があるはずがないし、大体幾らか吸収するということも部分的には少しあると思いますが、大部分の産業が、ことに紡績あたりは一時帰郷するというような不景気なときに、この失業者を基礎鷹巣に吸収するとかまた新しい産業を誘致するといいますが、打ち出の小づちでぽんとたたけばここに一つの
会社
ができるというようなそういう甘いものでなくして、どこの
基地
にどういう
会社
を誘致してそこに何人くらいの人を吸収するかというくらいのやはりそういう実を示さなければ、アメリカ軍が帰ったらあしたから飯が食えないと思って戦戦きょうきょうとしている失業者を、新しい産業を誘致するからそれで安心だというような考え方というものは、これは一つの作文だと思うのです。全く労働大臣のいつものはったりとしかわれわれは考えられない。 それからもう一つ失業救済
事業
、そういうもので救済するとおっしゃいますが、
政府
事業
の中でも百億以上というような
事業
の繰り延べをやる。一つの省を例にとっても数十億というようないわゆる
建設
事業
の繰り延べをやっておる。こういうような中で失業者を救済するのに
政府
事業
でやる……これだけ聞いても全く労働大臣の言っていることは現実と私は合わないと思う。こういう点でただここにきて作文的にはったりでなくして、私がほんとうにさっき言ったように、どこの
基地
には何々
会社
を持ってきて、そこに幾らくらいの人を吸収するのだというような案があるなら発表してもらわなければ、おそらく数万の労働者は安心しておられぬと思う。その点をお聞きしたい。
石田博英
42
○国務大臣(石田博英君) 小学生の作文ではなくて、先ほど興市の場合に具体的に実行しております具体的な事例をあげて申し上げました。従ってこれは努力によっては当然でき得るものであると思っており、現在やっておることを具体的に事例をあげて申し上げたのであります。 それからどこの
基地
、どこの返還される
施設
に対してどれだけのものを吸収されるかというような計画は、それぞれ条件が違いますから、その条件整備にどういうことが必要であるか、それは一つ一つの具体的に生じてくる場合に応じて研究をいたさなければならないと思う。また各
地方
庁には呉市の事例を示して、かくのごとく
政府
としては
処理
する
方針
であるから、それぞれの土地によって返還される
対象
物を目当てとして、いかなる産業が適当であるか、あるいはその産業誘致にいかなる条件整備が必要であるか、そういうことについてすみやかなる
調査
と計画を立てるようにということを指示いたしております。さらに近く文書をもってその指示をするつもりでおります。それを今日ただいま日本中にあるものについていかなる産業をどうするかというようなことは、産業誘致については相手ももちろんでございまするし、競合、競争もありましょうが、それを今日ここで数字をあげて明らかにしろということは、私の先ほど申しました
方針
が小学生の作文とするなら、それは逆に神様か何かに八卦見のようなことを言えということに私はなるのじゃないかと思うのであります。
光村甚助
43
○
光村甚助
君 だから、あしたから首になるという人間が、将来ここへこれからどういう
調査
研究してそこの土地にく合った
会社
を持ってくるというだけでは安心ならないというのですよ、私の言っていることは。だから少くとも具体的にそういうことが、何
会社
をあしたから持ってくるということができなければ、もう少し
調査
研究というものは具体性をもってそうしなければ、数万の人間が近いうちに首になるのですよ。将来
会社
を持ってくるんだからそれでしんぼうしろと言っただけでば、ほんとうの労働者の失業の救済にならないということを私は言っているのです。
石田博英
44
○国務大臣(石田博英君) 従って私はむしろ逆に言いたいことは、今
地方
庁あるいは各組合の方からいろいろな
陳情
や
要求
があります。問題はたとえば、自力更生についての処置を
要求
する前に、ここに具体的な自力更生のどういう方法があるかということを計画を立てて持ってくることが先決である。それを
地方
庁の場合におきましては、その
地方
その
地方
における、先ほどから申しました立地条件にのっとった計画を立て、あるいはその条件整備に必要な
要求
というものを具体的に立て、持ってきてもらうことが先であるということを、しばしば私は労働大臣でなく官房長官の時代からも申し上げておきましたし、また呉の問題を
処理
しておりますときに、これは呉だけでなく将来日本中各地に波及する問題であるから、呉の問題にならって早く今のうちからそういう具体的計画を立てるべきであるということを、神奈川県、
宮城
県その他問題の生ずべき
地域
に対してはしばしば申しておったのであります。ところが残念なことには、一般的な金額の
要求
であるとか、あるいは立法
措置
の
要求
であるとかいうことは持って参りますけれ
ども
、具体的な問題の計画は幾ら指示しても今日までに、呉の場合は別ですが、呉は積極的に
政府
の
方針
に協力いたしまして、非常に熱心に産業誘致計画というものを立てました結果、先ほど私が読み上げましたような実績を上げておる。従って相互に呼吸を含わせてやりますならば、
政府
は十分にその問題の
処理
についての熱意と準備がありますから、具体的な計画を立てて納得のいく方法を
要求
されるなら、現に呉において
解決
をしておるのでありますから、その通りやり得るのだということを申しているのであります。従ってそれに今までもっと早くやってもらえばよかったのでありますが、なかなかやらない。しかし今そんなことも言っていられないでありましょうから、先月の八月二十六日であったと記憶しているのでありますが、
関係
府県
知事
が私のところへ参りましたときに、呉市の実例をあげた資料を添えてすみやかに計画の樹立を
要求
いたしておきました。従って各
地方
においてはその準備をすでに行なっておるのでありましょうし、私
ども
の方から督促もいたします。また内閣の特に特需等の協議会においても協議いたしました結果、そういう具体的指示も行いたいと思っておるわけであります。そのつなぎとして特別、一般失対
事業
あるいは公共
事業
あるいはその前にはいうまでもないことでありますが、失業保険の給付であるとか、それはつなぎであってそれで十分だとは思っておりません。それから
事業
の繰り延べ、あるいは圧縮というようなことは行われておりますが、私は三十三年度
予算
の
編成
に当りましても、その
予算
及び
財政
政策の転換に伴いまして、当然その転換の結果として生ずる失業問題でありまするから、それに対する施策の
予算
はこれは当然別個に確保せらるべきものであると考えております。
光村甚助
45
○
光村甚助
君 労働大臣とここで議論したって失業者が救われるわけじゃありませんから、私は希望を申し上げておるのですから、とにかくどういう
基地
にはなるべく早くどういう
仕事
ができるのだということをなるべく早く
調査
研究だけじゃなくして、実行に移すようにしてもらいたいということを
要望
しておきます。
永岡光治
46
○永岡光治君
防衛
庁長官
おいでになりますから、この際私は次の問題についてどういう経過になっているのか全貌を明確にしていただいて、それから質問に移りたいと思うのですが、それは、この何回か今安保
委員会
が開催されておるわけでありますけれ
ども
、その概括的な経過、特にあなたの立場からその経過を
説明
していただきたいのですが、その中で
駐留軍
の
撤退
という問題が論議されているはずでありますが、その計画の全貌はどうなっておるのか。それからそれに対する
対策
、それは国の
防衛
対策
もあります、それから今問題になっておりました
駐留軍
撤退
に伴う
労務者
の失業についての
対策
、これは労働大臣から
報告
がありましたが、また調達
庁長官
をもあなたは兼務されておるわけでありますが、そういう
関係
からどういう考えでおるのか。特に
駐留軍
の諸君からはいきなり何千名あるいは何万名の
整理
の通告があっても、その準備ができないという問題もありますし、そういう
関係
もこの際一つ詳しく御
説明
をいただき、さらに失業になるそれらの
労務者
の諸君から、当座の生活の保障といいましょうか、そういう問題についての
要望
がしばしばなされておると思うのですが、そういう問題についてどういうように考えて、そうしてどういうように実行されているのか。そういう問題を一つ御
説明
願いたい。 もう一つは、この前の本参議院の
内閣委員会
におきまして、機密保護法というものを
政府
は制定するというような考えがあるのではないか、こういう質問をいたしました際に、今すぐどうということは考えておりませんが、そういうことになるであろうと、こういうような御答弁があったわけでありますが、そうであるならばその進捗
状況
といいましょうか、あるいは何といいましょうか作業
状況
といいましょうか、そういう問題を今どう考えておるのか、その
状況
をあわせてこの際概括的に
報告
をいただきたいと思うのであります。
津島壽一
47
○国務大臣(津島壽一君) 永岡
委員
の御質問にお答えいたします。 第一点は、日米安保
委員会
の経過はどうか。特に
駐留軍
の
撤退
、またこれに関連した問題、並びに
労務者
対策
、こういうことに関連しての日米安保
委員会
の経過はどうか。こういうことが第一点だったと思います。御承知のように、日米安保
委員会
は第一回は八月十六日に開かれました。第二回は九月四日、今日まで二回開いたのでございます。第一回はこれは新聞で発表したところでございまして、御承知でございまするが、米側
委員
としてマッカーサー大使及び
委員
代理という意味でスミス司令官、日本側からは藤山外相、私と四人が出たのでございます。で、この会合におきましては、
当局
の問題でありまする進駐軍の
撤退
に関して質問応答をいたしました。これより先八月一日また八日に第一騎兵師団の
撤退
、並びに第三海兵師団の
撤退
とかいうことが日本に話し合いがあったことでございますが、発表になったと、こういう事態を受けましてそういった議題が協議されたと、こういうわけでございます。で、将来どの程度に
撤退
をするかという全貌はまだ決定しておらない模様でありますが、陸軍の戦闘
部隊
はすみやかに
撤退
する、こういう
方針
でございます。 ただし、先ほどの質疑応答の中にありましたが、陸軍
関係
においても補給
関係
のものはこれをすぐ
撤退
するという計画はない、なお、今後の
撤退
の問題は十分打ち合せて実行する、こういう建前でございました。これに伴ってわが方といたしましては、
相当
多数の
陸上
戦闘
部隊
の引き揚げといった事態に関しまして、
施設
の返還ということが起ります。これも一挙に多数の
施設
が引き継がれるわけではございません。これらについては時期、方法等について今後十分な打ち合せをしようということに相なったのでございます。なお、
駐留軍
の
労務者
の
離職
という問題が当然考慮される問題でございます。この点については、長い間この
駐留軍
のために、また大きく申しますればわが国のために、非常な苦労をして
勤務
された方々が、こういった政策上の変化で
離職
するといったようなことは、まことに同情にたえないし、
政府
においても万全の施策を講ずると同時に、現に
勤務
しておる米側においても、できる限りの援助をしてもらいたい、便宜を与えてもらいたい、こういった話があったわけでございます。どの具体的の便宜であるかというところまでは、この
委員会
として協議する段階には、ほかの問題もあったために、なかったわけでございます。こういったのが第一回の会合の大体でございます。 第二回の九月四日は、これまた新聞発表の通りでございまして、ハワイから
委員
であるスタンプ司令官が出席されまして、他の
委員
とともに協議をしたわけでございます。その際はスタンプ司令官初めての出席でありますし、いろいろ極東全体の軍事の情勢についての陳述を聞いたわけでございます。なお、
撤退
に関連し
施設
の返還といったような問題についても、第一回の話の続きをしたということでございます。今の御質問に関する限りはそういった
状況
でございまして、この会談はきわめて形式を抜いて、いわゆる率直なる意見の交換、情報の交換、こういったものに終始したものでございます。 大体が以上の通りでございまして、御了承を願いたいと存じます。 なお、第二の御質問の点、すなわち秘密保護法の問題でございます。この問題につきましては、八月十六日の当
委員会
において、私は
藤田委員長
の御質問に対して一応の答弁をいたし、また過日これは二日と思いますが、総理大臣からも衆議院の
内閣委員会
において答弁があったわけでございます。その当時と今日と何ら考え方は違っておりませんでございます。なお、どういった研究を続けておるかという具体的の問題でございますが、こういった問題は常に検討は進めております。しかし、具体化する段階に至っておらない点、前回の
委員会
で申し上げたという事態が今日の
現状
である、こういうことを申し上げるほかないと思います。
永岡光治
48
○永岡光治君 大体安保
委員会
の経過はわかったようでありますが、
駐留軍
の
陸上
戦闘
部隊
は全部
撤退
する、こういうことになっておるわけでありますが、そのわが国の今
政府
で考えておる
防衛
対策
、これはどういうものか。こういう
撤退
という事態が起きても、この前五月でしたか、六月でしたか、岸さんが向うに行く前に
防衛
計画は作成されたように承わっておりますが、そういう計画に何ら
変更
の必要がないのかどうか、あるとすればどういう方面にどのように計画を変えようと考えておるのか、その辺の
対策
が今検討されておるかどうか、具体的にそれが、今日の段階の時点でけっこうでございますが、どうなっておるか御
説明
願いたい。
津島壽一
49
○国務大臣(津島壽一君) 米
駐留軍
の
陸上
部隊
の
撤退
に伴って、わが国の
防衛
整備計画が何らかの
変更
を受けるか、またこれに対応する
措置
はどうであるか、こういうような御質疑だと拝承いたしました。この
米軍
の
撤退
問題は、御承知のように岸総理が六月に渡米されて、アイゼンハワーその他の幹部とのお話し合いの中に出たものでありまして、同時に一方わが国の国防会議の基本
方針
並びに
防衛
整備の目標といったものも、国防会議で決定したその直後でございまして、私
ども
総理から承わったところによると、この
方針
並びに
防衛
整備計画というものを先方に話をした、そうして先方は、コミュニケの文句を引用すれば、これを先方は歓迎した。そうして同時に
駐留軍
の
撤退
の問題もここに話されて、そうしてああいったコミュニケが出たわけであります。従って、この
撤退
により、つまりこの
防衛
整備計画にかりにもしそこに何らかの
変更
を加える必要があれば、そのときに問題があるわけでございます。当方の
防衛
整備計画というものはよく知ってやるわけであります。私
ども
はこの
防衛
整備計画を、今後、来年度から三年間、あるものは五年間といったその計画に対しては、この
駐留軍
の
撤退
というものによって
変更
を受け、改廃をする必要はないと認めます。しかし、とにかく米
陸上
部隊
の
撤退
は、私
ども
の自衛隊の責任を非常に加重するものであるということは当然のことでありまして、特に陸に対しては、十分
防衛
の態勢を完備してやるという建前になるべきだと思います。しかしながら、全体の目標はこれを
変更
する必要は認めておりません。来年度の計画としては、今これから
予算
を作るところでございまするが、いわゆる
業務
計画という一つの計画でございますが、内部の計画であります、それによっては、
陸上
自衛隊は一万人増強したい、二万人を増強する目標に対してやりたい。こういう必要を特に感じてこの計画を
予算
化すべく、今
防衛庁
内部で作業をいたしておるという
状況
でございます。
永岡光治
50
○永岡光治君 そういたしますと、今のお話によれば、岸さんが渡米する前に一応計画を決定をいたしましたそのことを変える考えはない、こういう今の御
説明
のようであります。だとしますならば、この
防衛
計画をきめる際において、たとえば日米双方の話し合いによって出るであろう
陸上
戦闘
部隊
の全部の
撤退
というものを予想してあの計画は立てられておったのかどうか、そういうことを考慮せずにあの計画というものは考えておったのかどうか、その辺はどういう事情になっておるのでありましょうか。
津島壽一
51
○国務大臣(津島壽一君) 精細な事実は、私当時、局におりませんでしたから、ここに確言するということはおこがましいことだと思います。しかしながら、
米軍
の
撤退
問題は、今日具体化したのでありますけれ
ども
、安保条約制定以来の
懸案
でございます。日本の自衛隊が、
防衛
計画がだんだん整備されるとともに、
米軍
の
撤退
と、そうしてあるいは変るべき安全保障の
機構
ができた時分に、この安保条約そのものも廃止するのだということが既定の
方針
であります。そこで、国防会議においては、数年にわたって研究したこの
防衛庁
の試案というものを、ここに事態に即応するためにああいったような決定を見たわけでございます。でありますから、具体的にこの
部隊
がいつ帰るかというような問題を相談してやったわけではなく、端的に言えば、総理も言っておるように、国防会議は国防会議として、わが国が増強すべき自衛隊の計画を自主的にきめたと、そういうことで、それに応じて具体的な
撤退
が始まった、こういうのが順序になっておる、こう思っております。
永岡光治
52
○永岡光治君 そういたしますと、お話の中から感じとれることは、安保条約というものを廃止したいという考えから出発を当初からしておる、そのためには日本が自衛力を増強しなければこれは廃棄にならないのだ、こういう意識があって、それに従って
防衛
計画も暗に立てられてきたようにも受けとれるのですが、そういう意味で今の自衛力増強というものを考えておられるのか、念のためにお尋ねいたしたいと思います。
津島壽一
53
○国務大臣(津島壽一君) 安保条約を廃止する目的をもって国防の長期計画、整備計画ができたと、こういうことになっておらぬと思います。と申しますのは、あの
防衛
計画そのものの実現によっても、果して今日の内外の情勢からいって、わが国が果して独力で
防衛
の力を持ち得るかどうかは疑問であります。しかしながら、いわゆる安保条約の精神としては、日本が自衛体制を作ること々期待しておるという文句があるのでございます。その精神からいって、日本は自分の国は自分で守るという体制を作るというその気持を持って、常に増強の計画が行われてきたというわけでございます。すぐこれだけできれば安保条約が廃止になるのだという目途であの国防会議の基本
方針
が作られたのだと、こういうことになっておらぬわけであります。
永岡光治
54
○永岡光治君 その辺のところはデリケートなことになるかもしれませんが、どうもやはりお話を承わると安保条約を作った当初からこれではやはりよくないという一つの
要望
といいますか、欲望があって、そうして
防衛
計画を立てる、つまり増強という方向でこれを進めてきた、今度の
防衛
計画においてもやはりアメリカと
連絡
するようなことはなしに、今のお話によれば、アメリカ軍が
撤退
しょうとしまいにかかわらず、こういうものを計画をきめたのだと、こういうことになりますと、それではもし撤返しないとすればそれでも日本がそれを受けて、やはり今の
防衛
計画でよろしいと、こういうことを考えておったというふうにとれるわけですが、そうなりますと、
駐留軍
に対する
防衛
費の負担ということは、御承知の通りきめられておるのですが、そういうものも考慮しつつ、私は
防衛
計画を立てられたとするならば、アメリカ軍も
撤退
しない、それから
防衛
計画はあれでいいという前提も考えて、これを作ったというようにも考えるわけですが、そういうこともやっぱり考えておるのでしょうか。そうなると、今の
政府
の
方針
というものが何だか私は明確になってないように、従来の答弁から受けとれば違っておるような印象を受けるのですが、どうなんでしょうか。やはり自衛力を増強することによって安保条約を廃止したい、こういうように先ほどの答弁から受け取れるわけですが、それが本心ではないでしょうか。
津島壽一
55
○国務大臣(津島壽一君) この安保条約締結の当時と、事態は非常に変っているわけです。従って、この条約自体にも、これが暫定的の
措置
であるということに相なっているわけです。この言葉は岸アイゼンハワー共同声明にも、安保条約が暫定的のものであるということは、お互いに確認したという格好になっているわけです。で、その意味においては、これは永久条約ではないわけです。戦後占領軍の管下にあって防御を担当しておった異常な事態であって、そのためにこういった
組織
、いわゆる条約
機構
ができたわけでございます。それが今日まで長く続いてきて、だんだん
防衛
の強化というものができた、その機会にまず
陸上
部隊
を引き揚げようという段階に今日は来た、で、今後どうなるかということは、これは内外の情勢等も非常に考慮しなければならぬわけでございまして、また、空海の方面においてはなかなか整備ということは
相当
の時間を要する問題であろうと思うのでございまして、安保条約を直ちに廃止する目途のもとに、
防衛
整備計画をすぐ立てたというふうには考えられないのでございます。
永岡光治
56
○永岡光治君 それで念のために一点だけ。この問題についてはお尋ねしておきたいんですが、
政府
の今の考えは
駐留軍
を
撤退
してもらいたい、こういう意思があるのかどうか、このままとどまってもらいたいという意思があるのか、それともやはり
撤退
してもらいたいというそういう方向で努力しようとしているのか、どっちなんでありましょうか。
津島壽一
57
○国務大臣(津島壽一君) その問題は非常にむずかしい問題でございまして、
駐留軍
とおっしゃるのは陸海空全部を含めてという問題でございます。それは希望としてはわが国をわが国の
防衛
組織
の力で守っていくということは、これは当然あるべきです。しかし、現実の政治としては、ただみんなそう言って帰ってもらったらいいということを、
防衛
の
当局
者としては、今日の段階で申し上げることは、非常に私は、何というか言い過ぎになると思うのでございまして、これは一に国際情勢その他を考えてやるべきことでありまして、これは自分の国がすべての整備、軍艦その他を持ってやっていくという事態になることは、これはけっこうなことだと思うのでありますが、実際の政治面において果して可能であるか、
現状
においては。また一方世界の平和というものはどういう格好で維持されていくかという問題にも関連するわけです。ただ、こういった念願をここで言ったところが、
防衛
庁長官
としてはどうも一定の
方針
にはならぬだろうと思う、具体的の政治の
方針
には。まあそういうことで御了承を願いたいと思います。
永岡光治
58
○永岡光治君 これは重要な問題ですが、やはり
防衛
計画を立てるものと関連して参りますが、やはりそのとき、そのときの国際情勢というものはもちろん判断されましょうが、その際におけるやはり
政府
の考えておる
防衛
規模というものがあろうかと思うのですが、その際に一つやはり意欲、目標がなくては計画が立たないと思うのですが、やはり来年すべて
撤退
してもらいたいという希望があるかどうかは、それは別として、やはり方向として
政府
の考えは
駐留軍
に
撤退
してもらって、日本で自衛力を増強してこれを守ってゆこう、こういう一つの方向で進みつつあるのか。その度合いはその年次年次によって変ってくることは、
政府
の考え方もあり得ると思うんですが、方向としてどうなんですか、ただ漠然として、
撤退
をしてもらうというような、そういう考えも別段ない、そして防御計画というものは向うが
撤退
したならばこっちが作ろう、増強してゆこう、そういう程度にとどまるものなのかどうか。これはやはり大きな
方針
になると思うのですが、そういう
方針
がなくて
防衛
計画を立てるということは、これは無定見じゃないかと私は思うんですが、あってしかるべきじゃないかと思うんですが、その点をもう一度私は
防衛
庁長官
の立場から御答弁をいただきたいと思います。
津島壽一
59
○国務大臣(津島壽一君) 現在の
防衛
整備計画、この実行の暁において、国際情勢のいかんによっては、まだ日本を自分の力で守るだけの整備はできないと思います。空において特に、また海においても同様でございましょう。でありまするから希望として、わが国が全部の整備を完成して、そうして共同
防衛
の体制をなくしてもいいという段階にはなかなか私は至らないものと思うのです。現在の計画として具体化されたものならば、私は、その段階は、もし世界の平和というものの
状況
がこういう状態であれば、私はその実現はむずかしいのじゃないかと思うのです。希望はどうだということであれば、これは日本の国力相応、国情に相応した最小限度の負担をかけて、徐々にいわゆる漸増していこうという体制が基本の
方針
でございます。これを非常な大きな強力な金をかけて急激にやるということは、これはわれわれの
防衛
の
方針
じゃないわけであります。また国民の意思もそこにないと思うわけでございますから、いわゆるステップ・バイ・ステップ、漸増の
方針
で、まず三十五年、あるものについては三十七年までの計画というものを実行する。この程度ならば国力相応である。そういったような
趣旨
で基本
方針
が立てられて今日できておるわけでございます。で、防備の体制とかいろいろな問題は、今後の情勢によって変るでございましょう。あるいは遠くから共同
防衛
の手段を講じ得るというような
装備
の方法もあるかもわかりません。そういうような将来のいろいろなあらゆる条件々考慮して、こうあるべきだという議論になりますと、これは非常に複雑になってくると思うので、まあ今言ったようなことで御了承願いたいと思います。
藤田進
60
○
委員長
(
藤田進
君) ちょっと関連して。言葉をかえてお伺いしてみるのですが、どうもあなたの御答弁で私
ども
把握しにくいわけですが、津島
防衛
庁長官
とされては、安全保障条約の建前から見て、日本の国土を守る
防衛
の見地からした場合に、その
防衛
責任というものがアメリカと日本の共同責任なのかわが国のことだから日本が責任をとるのか、日本
政府
が。そういう点はどう考えておるか。
津島壽一
61
○国務大臣(津島壽一君) その点は、守るのは第一義的には、日本なら日本というものが第一義的でございましょう。それに対して共同
防衛
の体制でこれが援助するという格好なら、主体はやっぱりその国すなわち日本の
防衛
は日本でやる。しかしながら、いわゆる不時の面接侵害であるとか、まあ間接侵害も含んで、そういったような場合にこれを援助すると、こういう建前になっておると思います。
藤田進
62
○
委員長
(
藤田進
君) そういたしますと、安全保障条約面から見た場合に、日本が
防衛
の責任があるので、一方アメリカはそれを援助するにとどまる、援助しないといえば援助しないこともできる。そう解釈されるわけですか。
津島壽一
63
○国務大臣(津島壽一君) これは、日本の防御が侵略によって危殆に陥った場合に、アメリカはこれは共同の
防衛
をやる。しかし、日本がまず自分の国を守るというのは第一義的であるが、あわせて一緒にやろうということに安全保障条約はなっておるわけですね。
行政
協定においても、そういった事態が起ったという場合は、協議してその
措置
をとる。こういうわけになっているのであります。
藤田進
64
○
委員長
(
藤田進
君) ですから日本の安全を保障するためには、日米共同でこれを守ろうというのではなくて、それでは日本がまず第一義的に守っていく、アメリカがこれを援助するというふうに解釈されているようにも思うし、共同で相談していくのだと
行政
協定になっておるというならば、二つの解釈に立たれて、どちらかということは、私はこれからやはり出発するものと思うのですが。
津島壽一
65
○国務大臣(津島壽一君) まず日本の
防衛
は自分でやるということは、条約の文面の問題じゃないのです。これは日本国民の覚悟として考えるべきことであり、条約の文筆の中で、日本は自分が守るのだ、自分はこれを援助するという、こういったようないわゆる法制的の、条約の文章じゃないのであります。私が言ったのは、そういった
趣旨
で守るのだという、これは道徳、徳義的の問題であるか、祖国愛の問題であるか、条約の法律的の問題ではなくして、そうあるべきだ、こういう
趣旨
なんでございます。
藤田進
66
○
委員長
(
藤田進
君) ですからポイントがずれていたのですが、私のお伺いしているのは日米安全保障条約から見ますと、
防衛
責任はいずくにあるのか、共同なのか、単独に日本だけなのか、それをどう解釈されているかという条約上の解釈をお尋ねしているわけです。
津島壽一
67
○国務大臣(津島壽一君) 文章は、共同とか単独とか援助とかいうことはございません。しかし、やはり共同で
防衛
するという結果になる、そういうわけでございます。
藤田進
68
○
委員長
(
藤田進
君) そう解釈される、しかし共同責任において日本を守る。それは一方においてはアメリカを守るための安全保障条約という議論もございましょうが、あなたの考えとしては共同して日本を守ってくれるのだ、こういうふうに解釈されると思うのですね。そういたしますと
防衛
を百パーセント全からしめるために、これは事態において、時期において違うでしよう。相手国のいわゆる仮想敵国というか、その
防衛
力なり兵器なりによって違うでしょうが、いずれにしても百パーセント守っていくのだという前提のもとに
防衛
計画を立てるならば、アメリカが百を持っていてわが方がゼロの場合、またあなたの御発言でいまますと、漸増主義で一〇%、三〇%、五〇%、そしてやがて百パーセントわが方で守っていく、こういうふうになれば相手国のアメリカとしては漸次九〇%から八〇%、七〇%、五〇%、二〇%、ゼロと
撤退
なり何なりする、こういうふうになると思われるのですね。そうすれば岸総理の言われたというのを引用されての御答弁である、わが国の
防衛
計画については自主的に独自の立場でこれはやるべきであって、アメリカとは全然
関係
ないのたとおっしゃる点は少しどうも今の計画から見て筋が違うのではなかろうか。アメリカの方の
撤退
、
防衛
力の漸減、わが国の漸増、寄せて百パーセント常にあれば、アメリカのそういう
撤退
計画なりその他新兵器の配置
状況
なり、そういうものを相談しつつこれに補足するように、漸増でそれではわが方の防備はこういうふうに増強しよう、こういうことが当然出てくるのじゃないですか。その点を強く否定されるところが私
ども
よくわからない。
津島壽一
69
○国務大臣(津島壽一君) 自主的の
防衛
計画を立てるという言葉の問題であろうと思うのですが、これは、過去何年間にわたって、先方の軍事ないし
政府
の
当局
とは、日本の
防衛
力をどの程度に増強するかという話し合いはあったと思います。これは数年前からあったと思います。今回のこの
防衛
整備計画なり、
防衛
の
方針
としてきまったものは、それらの事実は考慮したでしょう。しかしながら、日本でこの程度のものはでき得、現在の状態においてはこれが適切であるという案は、その案自体のことである。それは、国防会議においてきまったものは、ここにきまった後に向うへ持っていった、こういう意味です。自主的という意味は、今回の決定に当っては、国防会議においてきめた案は、わが
政府
としてこれで適当であるということを決定した、その意味が自主的という意味です。一緒になってこうしようじゃないかというような手続というものはなかった。しかし、過去の沿革はいろいろあったということは、これは見逃し得ない事実であろうと思うのであります。
荒木正三郎
70
○
荒木正三郎
君 長官の先ほどの
説明
は、日本が自衛力をだんだん増強していけば、その結果安保条約は当然廃止になる、これは安保条約締結当時の
趣旨
である、こういうふうに
説明
されたと思う。それからもう一つの表現を使われたのは、日本は独力で
防衛
できないのだ、だから安保条約によって共同で守っていくのだ。それから国際情勢の変化がない限り安保条約は廃止にならない、こういう表現をしておられる。これは若干取り方が違ってくると思うのですが、若干
内容
も異なってくると私は考えるのですが、長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
津島壽一
71
○国務大臣(津島壽一君) 今の安保条約の規定するところによると、日本の増強を期待するということはある、しかしながら、日本の兵力の増強によって安保条約はなくなるのだということは書いてないのです。これは御承知のように第四条に、平和維持のために十分なところの国際連合の
措置
とか、または個別保障、集団保障というものができた時分には、これはそう認めたときは、両国でこの安全保障の条約は自然に効力を失うと書いてある。日本の増強を希望してやるということは事実だけれ
ども
、どの程度増強すればこれは廃棄になるという法律上の規定というか、条約上の明文はないわけです。これは実際問題としてはどうあるかということは別ですけれ
ども
、今の安保条約の規定自体は、そういったような平和安全を守り得るだけの国際連合の
措置
なり、または個別的集団安全保障のあれができた時分に、両国がそれを認めたときは、この安保条約は効力を失う、こう書いてあるわけです。だから法律上の問題を、現行はどうなっているかという問題と、今後どういう事態が起るかということとは、別の問題じゃないかと思うのです。
荒木正三郎
72
○
荒木正三郎
君 そうすると、各地の演説会で、
政府
並びに自民党の皆さんがおっしゃっていることは、日本が自衛力を増強すればアメリカさんは帰っていくのだ、アメリカさんに帰ってもらおうと思えば、自衛力をふやさなきやしようがないのだと、こういう演説を
政府
の方もしておられますし、大臣の方もそれから自民党の代議士の皆さんもしておられる、これは間違いですか。
津島壽一
73
○国務大臣(津島壽一君) その問題は別でございます。日本の増強に伴って現在おるものが何万人帰るか、これはだんだん増強の度合いによって
撤退
する、しかし、安保条約はそれで廃棄するかどうかという問題とは、これは別な問題でございます。二つあると思います。安保条約上の
駐留軍
の配置とか、その他の
関係
においてだんだんその増強の状態に応じて
撤退
していくということはあり得るわけです。現にそれが今行われつつあるわけです。であるから、日本の増強と同時にだんたん
撤退
するということは、これは現実の政策の問題で、しかし、それならばいつ安保条約がすぐ当然に効力を失うのかという問題がここに条約上の規定としてあるのであります。これは条約上の問題でございます。そういうわけでございます。二つあると思うのであります。
荒木正三郎
74
○
荒木正三郎
君 そうすると、先ほど言ったように、皆さんがおっしゃっておるのは、日本が自衛力を増強すればアメリカさんは帰るのだということは、一部分帰るのだ、こういうことですか。私はアメリカ軍が全部帰ってしまえば、安保条約は要らないと思うのです。今の安保条約の
内容
は、アメリカ軍が日本に駐留しないのに安保条約というものは存在する意義がないと思う。そういう意味で、自衛力を増強していけばアメリカさんは帰るのだということは、これは違うということは言えないと思う。アメリカ軍が駐留しない安保条約というものは考えられないのですよ。アメリカ軍が
撤退
するといえば、当然安保条約というものはそのときに廃棄になるのが当然ではないですか。同じことですよ。どこが違うのです。
津島壽一
75
○国務大臣(津島壽一君) 日本の自衛力の増強は、段階があるわけでございます。それで、漸増の度合いに応じて米
駐留軍
が
撤退
するということは、われわれは期待しているわけです。しかし、全部帰ってしまうという時期が、今の国防のいわゆる整備計画において、あるいは予想されるところのその程度において、すぐみんな帰ってしまうかどうかということは、私はまあ明言できないことだと思うのです。特に空においてはなかなか日本の増強というものはそう急速には行われない事情がある。これは事実問題でございます。もし全部がいなくなれば、安保条約はどうなるか、そういった場合において、これはその事態に応じてあらためて協議されるべき問題であろうと思うのでございます。
撤退
はしない、幾ら増しても。そういうことは私は申し上げておるわけではございません。現実にそういった事態が起っておるわけでございますから……。今後もあるいは空その他の海の部面においても、これは岸総理、アイゼンハワーの共同声明の中にも書いてある、全体の軍隊について漸次
撤退
するのだということが書いてある。特に
陸上
戦闘
部隊
については、すみやかに
撤退
する、こういうわけです。全部とは書いてありませんが、その他の
部隊
について、それは逐次情勢に応じて
撤退
する、こういうことはわれわれも期待し、また共同声名にも載っておるわけです。それであるから、安保条約はそのときになくなるかどうかという問題、一人もいなくなった場合は、これは仮定の問題でございますが、そういった事態においては、これは当然に再検討されるか、現実において
行政
協定の規定なんというものはほとんど必要なくなる問題だと思います。そういう事態だと思います。
荒木正三郎
76
○
荒木正三郎
君 それでは
政府
の私は
方針
を伺っておきたいと思うのですが、
政府
は、国力に応じた自衛力の増強をやりたいということで、どんどん進められておるわけです。そこで、今日の段階では、アメリカの
陸上
の戦闘
部隊
は一応
撤退
するという段階にきておるわけです。
政府
としてはさらにアメリカの空軍あるいは海軍、それから日本の
基地
は当然関連しますが、空軍、海軍そういうものが
撤退
するということを、そういう条件を作り出すという方向で、この日本の自衛力の増強の問題を考えておられるのかどうか、その
方針
をはっきりしていただきたいと思います。
津島壽一
77
○国務大臣(津島壽一君) 陸のことについては申し上げた通りでございます。今のは海空の問題であろうと思います。特に空の問題が非常に重大だと思います。そうして
航空自衛隊
の増強に応じて、先方の航空
部隊
あるいは
施設
、それがだんだん縮小されるという方向には向っております。そういったような事態に
進行
しております。その程度は急速にいっていないのですけれ
ども
、あるいは
施設
の面からいっても、航空
施設
等については、日本自衛隊——
航空自衛隊
の方に織き継ぐといったようなものが、徐々に出てきておるわけでございます。
荒木正三郎
78
○
荒木正三郎
君 今の
現状
の問題もさることながら、将来
政府
の
方針
として、アメリカの海、空軍については全部引き揚げてもらうのだ、そういうための
方針
といいますか、日本の自衛力の増強ということは、そういうことも考えているのですか。その三カ年計画を言っているのじゃないのです。
津島壽一
79
○国務大臣(津島壽一君) 将来という意味は、いつごろまでのことを想像されて言っておるのでありますか、今の具体的の計画においては、どうしてもある程度空軍というものは、今の
防衛
計画においては残るだろうと予想されるわけです。しかし、国力の充実に応じて必要な自衛隊というものを、今度は充実するということになったならば、だんだん事態が変ってくるだろうと思うのです。将来とはどういうことか、その
期間
等についてはなかなか今日逆睹しがたいものがあると思うのでございます。
荒木正三郎
80
○
荒木正三郎
君 それではもう一つの表現、日本は自力で
防衛
できないのだ、だから安保条約が必要なんだ、国際情勢が変らない限り、この安保条約は廃棄できないのだ、こういう表現をしておられる。これは従来
政府
もしばしば安保条約を締結するときもそういう
説明
をしておられるわけです。国際情勢の変化ということは、私は端的に伺いますが、米ソの対立が緩和すれば、これは安保条約は廃棄になる、こういうふうにお考えになっていいのですか。
津島壽一
81
○国務大臣(津島壽一君) 対立緩和ということは、どの程度にこれが行われるか、どの程度にいけばこういう条約を廃棄できるか、将来長きにわたってそういった安定があるかどうかということも、考慮に入れなくちゃならぬわけです。一時の安定であるか、
相当
長期にわたる永久的な安定であるかということも考えなくちゃいかぬので、単純に、いわゆる対立緩和、安定という事態がここに目先に見えたというので、直ちに今日これを廃止するということは、ちょっと不可能だろうと思います。
永岡光治
82
○永岡光治君 どうも
防衛
庁長官
の御答弁を聞いておりますと、やはりもやもやしたまま、はっきりしないのですが、たとえば、
撤退
の問題にいたしましても、日本が増強いたしました結果、向うが
撤退
することに、なるだろうという、そういう表現ですね。言うならば、結果としてそれが出てくる。だから、そこには
撤退
してもらいたいために増強するという意欲はないわけです。その表現法をもってすれば。かと思うと、この
防衛
計画を策定するに当っては、アメリカと相談する、しないという表現は別として、自主的にきめる際においても、
撤退
するであろうということを、この程度
撤退
するからこの程度増強しなければならぬということで計画をした、こういうことで、非常にあいまいなんですが、その点を一つ明確にしてもらいたいと思います。 もう一つ。私はなぜこれを問題にするかというと、この前の当
委員会
において、岸総理に質問いたしましたところが、日米安保
委員会
において、あなたは何を一番重点において論議をしようとしているのかという質問に対して、岸総理は、はっきりこう言っているわけです。それは、安保条約の
改正
と言いましょうか、改廃と言いましょうか、そういうものを意図しておる、こういうことを言っておる。だとするならば、どういう具体的なものを考えているのか、その
改正
というものは、これはやはり当然向うの
撤退
、そういうものが予想されるのですよ。でなければ、
改正
とか何とかいう問題は出てこないと思うのですがね。そういう点とも関連があるのでして、これは一つ明確にしておいてもらいたいと思います。
津島壽一
83
○国務大臣(津島壽一君) 前の点でございますが、地上
部隊
、普通の地上
部隊
、外国の軍隊が内地に長期にわたって駐在するということは、これは非常に両国のためにも好ましくないいろんな影響が起るわけです。これは、なるべく早く
撤退
してもらいたいというのは、私は国民の輿望だろうと思います。それについては、わが方で、国防の
方針
、特に地上
部隊
にかわるべきわが
陸上
自御隊の強化増強をはかって、そうして
撤退
の実現を期する、こういうことは当然にあるわけです。今日の
陸上
戦闘隊の
撤退
も、そういったような日本のつまり事情、また、自衛隊の増強その他もすっかり考慮に入れて、これが急速に実現した、こう思っておるわけでございます。でありますから、外国の軍隊なり、そういったものが外国に、日本なら日本に長く駐在、駐屯するということは、あまり好ましいことではない、これは最小限度にとどめるべきだと思っております。そういった感じは当然に皆さんもお持ちだろうと、こう思うのであります。 それから第二の、安保条約の
改正
問題、これが日米安保
委員会
で議題になる、こういう問題でございます。これは、岸総理の言われた通り、いろいろ当面の問題を今議論しておるわけでございますが、そこで、あの課題と申しますか、
議事
の
事項
、協議
事項
の第三にもございますように、すべての問題を通じて、両国の国民の願望に沿うようなことについて協議する、こういう築三の項目があるわけです。これは直接には安保条約の
改正
とか何とかいう問題を指してはおりません。しかしながら、だんだん協議の
事項
の進展というか、に伴って、われわれ国民の願望をそこで協議するという段階にもくるものだと思っております。しかし、この問題は、なかなかアメリカ側にとっても
相当
重大な問題でございまして、今日はまだその問題を協議する段階には至っていなかったというのが事実でございます。しかしながら、今日の事態において、あれを廃止するということを議論するというようなところまでは、この安保
委員会
でやる問題外であろうと、私は
委員
の一員としてそう考えておるわけでございます。
上原正吉
84
○上原正吉君 ちょっとお伺いしたいのですが、安保条約なるものは、日本にアメリカ軍が駐留するから必要な条約である、アメリカ軍が日本に駐留するのは、日本が日本の自衛力だけで日本を十分守り得ると、日本も認め、アメリカも認めた場合には
駐留軍
は
撤退
する、私はこう了解しておるのですが、それで間違いないのかどうか、ということと、いま一つ、そうして日本もアメリカも、日本の自衛力は日本を守るに十分だと認めて、
駐留軍
が
撤退
したときに、安保条約というものはそのまま消滅するものなのか、条約は存続していく、また必要が起れば、駐留は開始されるものなのかどうか、これを一つ伺っておきたい。
津島壽一
85
○国務大臣(津島壽一君) そういった場合には、当然この問題は実効のない条約になる。適用のない……。でありますから、形式的にこれを効力をなくするといったような事態だろうと思う。そういう、全部
撤退
して、日本の安全保障というものはやっていけるという事態ができれば、これは
撤退
するでしょう。そういった場合には、安全保障条約、これに伴う
行政
協定の規定は、全部アメリカの
駐留軍
に関連したいろいろな
行政措置
が書いてあるので、適用のないものだ、当然、何というか、適用のないものであるということで、形式的にこれを廃止すると宣言するかどうかという条約の手続は別であろうと思いますが、そうだろうと思います。
上原正吉
86
○上原正吉君 私がお尋ねしているのは、そういうことになって、
駐留軍
が
撤退
したら、そのまま条約は自然と消滅するものなのか、あるいはまた、条約は残っておって、必要が生じたら、つまり、日本の自衛力が日本を守るに足りなくなったと、日本も認め、アメリカも認めたら、また駐留が再開されるかどうかということを伺っているのです。
津島壽一
87
○国務大臣(津島壽一君) これは、条約の文言の解釈だろうと思います。この前文には、日本は自衛権を持っておる、しかしながら、それを実行する手段を有しないと書いてある。それからこれは発足しているわけです。今度は、手段を持っておる、こういう事態が起ったならば、これは当然に、この条約というものは、いわゆる前文から見ましても効力がなくなる。あるいはこれを法律的に見て——これは専門家に聞こうと思いますが、これは廃止するものとするという一方的の宣言でこれは効力があるかどうか。これは条約の専門家にただしたいのですが、法律問題だろうと思います。
永岡光治
88
○永岡光治君 今のお話ですと、安保条約の廃止というまでは考えていないということ、それから問題にはなかなか困難だというような、そういう安保条約の
改正
についてもなかなか困難だというような答弁がありましたが、これは岸総理の本
委員会
における答弁と全く食い違った答弁なんですが、岸総理は、この前の
委員会
では、日米安保
委員会
に何を期待するのか、何を一番最重点としてこの
委員会
に期待するものがあるのかと言ったところが、それは、安保条約の
改正
と言ったか、改廃と言ったか、よくわかりませんが、少くとも
改正
になるわけですが、それを期待するとはっきり答弁しておられる。そういうことになれば、また私も当然そうだろうと思うのですが、そうであれば、
防衛
計画と不可分では考えられない問題だと思う。ですから、私は、一体
改正
の具体的な項目について、こういうように
改正
したいという日本の願望があってしかるべきだと思う。そういうものがなしに、ただ
改正
を期待すると言っても、私は問題にはならぬと思うのですが、そういうものは全然今お持ち合せになっていないですか。
津島壽一
89
○国務大臣(津島壽一君) ちょっと前段に御質問があった点ですが、岸総理の発言と違っておるという点、私が今申し上げたのは、
改正
問題については、いずれある段階において協議する時期がくるだろう、こう言ったのです。
改正
問題は触れないということは申し上げたことはない。ただ、これを廃止するかどうかということを、この
委員会
で協議するかといえば、これを廃止する議論をあすこでするということには私は考えておらぬ。
委員
の一員としてそういうことを申し上げたので、岸総理も、あれは廃止するということでこの
委員会
でやらすのだと、もしそういったことがございますれば、これは私の今のお答と矛盾する、食い違いがあると思いますが、そういう
趣旨
じゃないと思います。前段の方の岸総理の
委員会
における答弁と私の答弁とに食い違いがあるとは私思っておりませんが、それはまあそれといたしまして、いかなる問題がこのうちで協議の問題になるかという具体的の問題でございます。これは研究中でございます。しかし、少くともこのうちで、まあ言葉としては悪いですが、一方的になっておる問題は、条文の上にあるわけです。たとえば、アメリカ軍が合衆国は日本に軍を駐留する権利を持っているというような言葉があるのでございます。まあその他研究すればある問題でございまして、どのポイントどのポイントをこの協議の問題にするかという具体的のことはちょっと今言明することを差し控えることをお許し願いたい。慎重に研究しておる問題でございます。
永岡光治
90
○永岡光治君 それでは次に、今の二回にわたる日米安保
委員会
の話し合いの結果が
報告
されたわけでありますが、今のお話によりましても、
撤退
の全貌というものはまだ決定されていないと、こういう話ですね。これに実は問題があるわけです。そういうことがあるために、たとえば相模工場等の問題に例をとりましても、絶えず浮動しているわけですね。しばらくは大丈夫たという言明をしてみるかと思うと、一週間後には何千名かの首切りを強要してきた。こういうことで非常に混乱をしておる事態があるわけですから、私は当然これは全貌を明確にして、それに対する
対策
も計画的に行なって混乱のないようにすべきが当然だと思うのですが、いまだにその全貌がはっきりされていない。そしてまた、時々刻刻に起る、緊急に向うからいきなりこれをやめてくれとか言われることになりますと混乱が起るのですが、そういう混乱を、
防衛
庁長官
としてあるいは調達
庁長官
としてどういうふうに解釈しているか。非常に大きな問題だと思うのです。
津島壽一
91
○国務大臣(津島壽一君) 今の御質問は、まことに私も同感するものであります。
撤退
計画の全貌、またそれに伴う
人員
解雇の全貌ですね、そういったことは、この
委員会
でも特に私は
要求
をいたしておるわけです。先方としてもその事情は十分了承いたしております。しかし、何分にも広範にわたり、また輸送
関係
、向う側の
配置転換
の計画といったようなことで、十分にまだ確定しないものが
相当
あるのでございます。そういうものがはっきりしてくれば、これは一つ全貌を出していこうということは申しております。この点は非常に大事な点でございます。今日まで、何月にどこが帰ってどこがあくといったような時期的に見てもはっきりしたものは、今日は向うで検討中であると、こういう事態でありまして、私
ども
は、お説のようにはっきりとした、また具体的なそういったものを希望いたしておる次第であります。
永岡光治
92
○永岡光治君 それは何かこちらから早く示せというようなことをおそらく
要望
されておると思うのです。お話によっても、何か見通しをつけるようなあれはないのですが、全然今は五里霧中で、ただ向うから言われるままに混乱が起きている、そういうことなのでしょうか。
津島壽一
93
○国務大臣(津島壽一君) これは、二回にわたって非常に強く申しておきました。そういうものができ上り次第これを差し出すということになっております。今日はその程度でございます。ある
施設
については、これとこれとは返すと、これは全貌とは言えないものでございまするが、
相当
の数の話はございました。
相当
の数の
施設
の返還の計画ですね。しかし、それは全部じゃないのです。そういった次第です。
竹下豐次
94
○
竹下豐次君
先ほどからの質問、お答えを聞いておりました中に、はっきりしない点がありますから、念のためにお伺いしたいと思います。 日本からアメリカがすべての軍隊を
撤退
するというような事態になったときには、安保条約というのは当然消滅すべきものじゃなかろうか、消滅さしてもいいんじゃなかろうか、こういう御質問に対して、お考えがありましたけれ
ども
、そうであるかのようなお答えであったように聞きましたけれ
ども
、どうもはっきりしませんでした。私といたしましては、こういう場合も予想されるように思うのです。全部アメリカの兵隊を
撤退
するということ、日本の
防衛
が安全であるということは合致しないのじゃなかろうか。日本の近辺に、アメリカの空軍等が
装備
を完全にしておるならば日本だけで
防衛
が完全にできない場合でも飛んできて、また一緒に共同
防衛
に当って日本を守るということも考えられる。そうしまするというと、日本からアメリカ兵が全部
撤退
したらすぐに安保条約が不必要になるのだという結論は当然に出てこないのじゃないか。私はこういうふうに思っておりますが、その点に対するお答えが、私は十分了解することができませんでしたから、もう一ぺん御
説明
を願いたい。
津島壽一
95
○国務大臣(津島壽一君) それは条約の効力の法律問題ろうと思います。私も確信をもって先ほど言ったわけではございません。全部いなくなれば適用する客体がないわけでございますね。それは、
行政
協定で、
宿舎
はどうするとか、何はどうするとか、こういうものは適用のないものが残る。しかしこれは、そういった場合、宣言を出して、これはないものとするか、または、これは眠った状態に置くかという法律上の問題もあり、その事態においてのまた政策上の問題もあると思うのです。しかし、全部帰ってしまうということによって当然に条約が廃止になるということには今の規定はできてない、こういう意味でございます。実質上の客体がなくなって、適用のないものになるのじゃないかということを今申し上げたのです。こういう
趣旨
でございますから、この問題は、条約上の解釈の問題でございまして、この集団安全保障で十分な安全を企図できるような場合を両国が認めた場合には、これは効力がなくなるということの場合は書いてある。しかし、
撤退
の場合はこの条約がなくなるということは書いてない問題でございますから、これは、条約上の解釈としては、専門的な法律の解釈を必要とすると、私はその方の専門じゃないですから確言はできかねる。こういうことでございます。
竹下豐次
96
○
竹下豐次君
私は、実際上の問題としては、先に申しましたようにアメリカでは全部
撤退
しても、衣だ両方安保条約を存続しておく必要のある場合が残り得るという
実態
の生ずることもあるであろうということが一つと、それからもう一つは、完全に日本が日本だけで
防衛
ができる、アメリカの加勢を仰がないでもいいんだという
実態
ができておるか否かということは考え方によりて違う、認識によって違うのでありまして、もう絶対にないのだということをはっきりだれにも言い得るか否かが問題なのであって、しかもただ一方的にそういう状態であるからもう効力がなくなったのだとか、まだそうでないから効力が残っているんだからというようなことを、勝手に両方で言い出すようなことになったら、これはその問題だけでも両方の争いが起ってくる。だから条約の解釈としては、私はやはりそういう場合には両方の意思表示をはっきりしておくというところまでいかなければ間違いじゃないか。こういうふうに私は法律解釈としては考えておるわけです。その点がはっきりしませんでしたから重ねてお伺いいたしましたが、大体今の答弁で見当がついた次第であります。
津島壽一
97
○国務大臣(津島壽一君) この安保条約の規定では、単純に
撤退
する事態が全部ですね。これはいつあるかどうかということは、ほとんどこれは仮定の問題ですが、その場合に効力がなくなるのか、当然に廃止になるのかという御質問があった。実際問題として日本の
防衛
が、先ほど申しましたように、今考慮されておるような整備計画において単独に、かりにこれがなくなっても防備が完全になる、安全が保障できるかといったら、私は、まだその段階に至らないのでありますから、いわゆる日米共同という言葉はどうですか、この安保条約における防備体制というものは必要だろうということでございます。それから、この条約を廃止する時分には、個別的かまたは集団安全保障でこの日本の安全を保障できるという、できたということを両国が認めた時分には、これにかわるものとしてそれが出てくるのだと、いうことでございますから、そういったようなことが予見されているのだと思うのです。たとえば国際連合の集団安全保障
措置
ですね、これがあれば、これで十分だと言えればこれは効力がなくなる。その時の両国のいわゆる考え方、認定でございます。それによって初めて効力を失う。またそれによらないでも、外の形体の集団安全保障ができるということによって安全が保障される場合には、もうこれにかわるものとして乗り移ろうということが書いてあるわけでございます。現実の問題としては、私は今の
防衛
…だびたび繰り返しますが、現在われわれの作っておる
防衛
計画が達成されたからといって、これは直ちに単独な事態で安全が保障できるという認定は、私は困難であろうと思うのです。そういう事実なんでございます。
竹下豐次
98
○
竹下豐次君
もう一つお尋ねいたしますが、九月四日の朝日新聞に出ておるのを私ちょっと見たのであります。それを見ますというと、自民党の辻政信氏が質問しておるわけです。「日本とアメリカとの間に共同
防衛
に関する協定ができていないのか。」こういう質問に対しまして長官が「
防衛庁
としてはないが、自衛隊と
米軍
の幕僚との間ですでに話し合いが行われているので、その点に関する了解はあると思う。」と、これだけしか新聞に出ておりませんが、
速記
録を私見ておりませんから、実はその問答の意味を了解しかねておるので、今お尋ねしておるわけですが、こういう疑問を起しましたのは、実はこれと直接
関係
があるのかどうか、ほかのことかもしれませんが、前にこの
委員会
におきまして問題になったのが、昨年九州方面で行われた防空演習の問題であります。そのときにアメリカの空軍と日本の空軍とが一緒に作戦をしたと申しますが、演習をした、その時に両方が協議してやったのか別々にやったのか。ほかの言葉で言うならば、向うに従属した形で演習が行われたのではないかという質問が出たことがあります。それに対して別々だったというようなお答えが、その当時の
防衛
庁長官
からありました。私といたしましては、別々にやると言っても、両翼張って編隊飛行しているような場合、まちまちで左と右が相談なくやれるはずのものじゃないじゃないかというようなことの質問をしたのでありますが、どうも返事がはっきりしなかったのであります。あるいはそういうことと、この新聞に出ております問答が
関係
があるのか、あるいは全く別のことでありますのか、この点がはっきりしませんのでお伺いしておるのでございますが、これはどういうことだったのでしょうか、御記憶だろうと思いますが。
津島壽一
99
○国務大臣(津島壽一君) その質問は、衆議院の
内閣委員会
だったと思います。辻
委員
からの質問であったと思います。それで、日米間において
防衛
の具体的計画というものについて協定ができているか、文書によってそういうものができておるか、こういう質問だったと思います。それについて私は、そういった協定はできておりません、しかし、幕僚会議においては、そういったような
防衛
に関したいろいろ協議なり、また意思の疎通をはかって、いろいろ検討しておるものと思います。しかしながら、そういった具体的計画の今日日米間に協定があるかということは、これはございません。こう申し上げたわけであります。お話の今の航空
関係
の訓練ですが、演習の問題については、これは、二年前か何かだったと思いますが、十分に私は話をまだ聞いておりません。ここに
防衛
局長
がおりますから、その当時の様子をお答えいたします。
加藤陽三
100
○
説明員
(加藤陽三君) あの演習は、昨年の秋にたしか行われたと思います。米空軍が日本及び韓国の上空におきまして独自の演習計画を立ててやったわけであります。それに対しまして、わが方の
航空自衛隊
といたしましても参加をいたしました。向うと
連絡
をとりながら、源田空将を司令とする演習
部隊
を
編成
いたしまして、F86数機、T33十機くらいだろうと思います。北海道及び九州方面の上空におきまして、それぞれ目標機及び要撃機と会って訓練をしたということでございます。
竹下豐次
101
○
竹下豐次君
そうしますと、もう一ぺん加藤さんにお伺いいたしますが、この新聞に出ております衆議院の
内閣委員会
の問答は、去年の演習の問題とは全く
関係
のないことでありますか。私ちょっと想像しますのは、あの問題についてこの
委員会
でも問題になったことがあって、この
委員会
では必ずしも
政府
の答弁に満足した形でなくて済んでしまったわけであります。だからそういう問題を含めて、この際、アメリカと日本との間に話し合いがあって、そうしてこの後の方策を御協議になったのかもしれない、こういう疑問を持って新聞を読んだわけでありますが、それは違いますか。
加藤陽三
102
○
説明員
(加藤陽三君) お答え申し上げます。 昨年の演習は、米空軍が毎年行なっております演習の一つなんでございます。そのときに演習の計画を立てましたときに参加をしないかというお話がございました。当時の長官の御承認を得まして、演習に参加をしたのでございます。この間衆議院の
内閣委員会
で問題になりましたのは、これとは別の事柄であると承知をいたしております。
竹下豐次
103
○
竹下豐次君
この新聞記事によりまして、もう一つ疑問にいたしましたのは、
政府
の方では協定はないのだ、しかし
米軍
の幕僚と日本の自衛隊との間に話し合いが行われている、こういうお答えがあったわけであります。これは
米軍
の幕僚と自衛隊との間で話し合いが行われておるということは、
政府
の
方針
を考えないで、勝手に両方で話し合いをしているはずはないと、まあ想像されるわけであります。この話し合いを進めるということについては、もとより
政府
の方でも了承しておられるのだろうと思っております。もしそうであったならば、話し合いが進まないと、あと
政府
同士にまた協定でも結ぶというふうにお考えになっておるのでありますか。
津島壽一
104
○国務大臣(津島壽一君) それは、
防衛庁
の
設置
法にもありますように、幕僚会議というのがございまして、そういった計画を策定する機関であります。しかし、これはあくまでも
防衛
庁長官
の補佐機関でございます。常にその研究をし、情報により、また米側とも意思の疎通をはかるということは、これは当然やるべきことだと思います。しかしながら、一致したところの計画、またそれが具体化したものであって、
防衛
庁長官
がこれをいいと認めるかどうかというような段階にはまだきておりません。でありますから、幕僚はあくまでも補佐機関でございます。それは決定機関でも何でもないのでございます。そういったような研究をやっているということだけを申し上げまして、
政府
間でどうしようかというようなところまでには今日まではいっておらぬ、こういうことを申し上げたわけでございます。
竹下豐次
105
○
竹下豐次君
私いろいろお尋ねいたしましたが、私の気持は、両方でできるだけ確かな協定を作って、そして日本の
防衛
を完全にしていただきたい、こういう気持を強く持っておるわけであります。で、別に協定をされる、その準備中であるから、それがいけないのだというような意味でお尋ねしておるわけじゃございません。むしろ逆でありますから、その点は十分御了解をお願いしておきたいと思います。
永岡光治
106
○永岡光治君 先ほど
竹下
委員
の安保条約の効力の問題についての質問に対して答弁されたので、またちょっと疑問が出てきましたので、明確にしておきたいと思うのですが、先ほど、上原
委員
の質問に対しては、
実情
から効力がなくなったのだ、あと手続の問題だけが残っておる。つまり日本が
防衛
力を増強されまして、アメリカが
撤退
してしまった、そういう事態においてこの効力があるのかないのかという質問に対して、それは効力がなくなっているのだけれ
ども
、それをどういう外交方式といいましょうか、条約の方式の上でどうするかということは研究してもらいたいがというようなことを言っておりましたが、私は、ここでもう一つ明確にしてもらいたいことは、イエスかノーか、簡単でいいのですが、日本の考えで、アメリカ軍が
撤退
した、日本も、これでもって増強して守り得る、自分の力で守り得る兵力は日本が認定した、アメリカは認定しないというときに、この安保条約は残るのか残らないのか、その点はどうなのですか。
津島壽一
107
○国務大臣(津島壽一君) 先ほど申しましたように、現行の安保条約の第四条では、両国が安全が保障できるということがまずきまって、その上でこれが効力をなくする。その場合に、ただ
撤退
したらどうだということは一つの事実でございまして、他にかわるべき個別または集団の安全保障の体制ができて、安心だということを両国が認めた場合にこれが効力がなくなると、こういうわけでございます。
永岡光治
108
○永岡光治君 明確にしておきますが、安保条約の日本の守り得るのかどうかというかというその認定は、自主的に日本がこれを増強したから安保条約は要らないのだといって主張しておる。ところが、日本が完全に守られるかどうかということは、日本の意思ではきまらぬ、アメリカの意思によってきまる、こういうことですね結局は。
津島壽一
109
○国務大臣(津島壽一君) これは、日本とアメリカ合衆国の
政府
が認めたときはと、こういうわけで、日本が今はもういいのだというだけで、これ自体が効力がなくなるという条約の規定にはなっていないわけでございます。現行のこの条約は、一方的に判断して、これで自分の安全は守れるということを認定したからといって、これは効力がなくなったということにはならぬように現行条約はなっておる、こういう事実を申し上げております。
永岡光治
110
○永岡光治君 もう一問念を押したいのですが、自分の国を守る自衛力が完全であるかどうかという認定は、つまり日本の
防衛
力に関する限りは、日本には自主的に決定権がない。いかに日本ががんばってみたところで、アメリカがこれがだめだと言えばそれまでだと、日本の
防衛
力が完全であるかどうかということは、日本の認定じゃなくして、アメリカの認定によってきまる、こういうことなのですね。
津島壽一
111
○国務大臣(津島壽一君) これは、条約の場合、同国でもって作ったものでありますから、アメリカが単独で認めても、これはわれわれが認めぬ場合もある。相互的になっているわけです。そういうような規定である、こういうわけでございます。
八木幸吉
112
○八木幸吉君
防衛
庁長官
にお伺いいたします。 御承知の通り、ICBMの実験にソ連が成功したと報ぜられておりますが、アメリカでも、
相当
軍の方面でいろいろ再検討を加えておる、こういうふうに伝えられておりますが、また、原水爆のソ連、アメリカにおける貯蔵量も
相当
ふえておる。こういう状態から、全面戦争は
相当
遠のいておるのではないかというふうに一般的に言われておるわけであります。そこで、当面の日本の自衛隊は、まず極東における局地戦に対応するということが第一段階の
任務
であろうと、かように考えるわけでありますが、この局地戦に、つまり相手方が原子兵器を持たない国に対して日本がその侵略を完全に防御できる、こういう少くとも今の自衛隊の体制になっておるかどうかという点を第一に伺ってみたいと思います。
津島壽一
113
○国務大臣(津島壽一君) 今日、核兵器が非常な急速な進歩をいたしておるわけであります。わが自衛隊は、この核兵器を持たぬという
方針
で訓練され、またこれが
編成
されておるわけでございます。こういった場合に、万一の事態が起った場合にどういった事態になるかということは、まことに重大なことであろうと思います。しかしながら、今日のどの国もそうだと思いますが、大体一国の防備で、そういったような、これが局地戦であれ、全面戦争であれ、完全なる防備を持っておるということに自信を持っておる国というものはほとんど私はないのじゃないかと思っておるわけです。その意味において、わが国は核兵器進歩の時代、ことに非常な誘導弾の発展した時代において、現在の
装備
、また
編成
において、一国でもってこれを守り得るかということを御質問になれば、非常な困難が伴う。しかしながら、とにかく侵略のあった場合に、最善を尽してこれを破砕するといったあらゆる方途を講じなければならなぬことはもちろんでございます。しかし、そこにわれわれは、国際連合の集団安全保障、また先ほど来の問題になりました日米の安全保障の規定というものは、おのずからここに生きておるわけございます。そういったような点において、われわれは自分で自分のできるだけのことをやる。そうしてまた、こういったような力と相待ってこれをやっていく。こういう体制で押し進む、こういう
方針
でございます。
八木幸吉
114
○八木幸吉君 私のお伺いしたいのは、日本は核兵器を持たない、こういう前提であり、局地戦の相手方も核兵器を持っていない。両方とも核兵器を持っていない。在来の兵器で対戦した場合に、さような国から侵略を受けたときに、少くともこれを完全に防げるというだけの現在の
防衛
体制になっておるか、こういうことを実は伺うわけであります。
津島壽一
115
○国務大臣(津島壽一君) それは、その事態の大小その他の具体的の場合に関連があると思います。核兵器の利用されるその兵器の種類等もありましょう。また非常にこれが防備に困難なものもありましょう。そういった場合に、困難な場合と、ややこれと対抗し得る場合もあると思います。これは一般的に、いけないとか、これは不可能であるというようなことを言うのは、これはきわめて抽象的な問題になるのであって、適切でないと思うのでございます。そこで、万一一国でもって防備できない程度の核兵器のここに実力行使があったという場合に守り得るかということを、もしそういった質問であれば、私はなかなか困難であろうと思うのです。
八木幸吉
116
○八木幸吉君 ちょっと質問がこんがらがって、私の申し上げるのは、敵が核兵器を持たない、その仮想敵国が在来兵器で攻めてきた場合に、在来兵器しか持っていない日本がこれを少くとも防ぐだけの
防衛
体制を今持っておりますか、こういうことを伺っておるのです。
津島壽一
117
○国務大臣(津島壽一君) その点は、今申しましたように、どの程度の先方の兵力によってわが国を直接侵略するかという程度の問題でございます。核兵器を持っていない国が全力をあげて、またそれが非常な強力なるところの軍備を持っておる国であるか、あるいはそれが全面的に動いてくるか、そういったような条件もあろうと思う。しかしながら、わが国は現在の
防衛
態勢、いわゆる今回確立した国防基本
方針
並びに計画においては、これは
相当
の私は、国防の自衛の態勢というものはでき上るものだ、こう考えております。
八木幸吉
118
○八木幸吉君 そうしますと、ちょっと観点を変えて伺いますが、三十五年度に完成されるという
防衛
目標である
陸上
十八万、海上十二万四千、航空千三百機、これの数字のよって来るその根拠になっている大体の、何と申しますか、目安はどの程度ならこれでいけるという大体の基本、仮想敵国というと語弊があるかもしれませんが、大体の基本があるはずでありますが、その点はいかがですか。
津島壽一
119
○国務大臣(津島壽一君)
陸上
自衛隊は十八万にしようと、こういうわけです。そうして十単位の
陸上
部隊
を全国に配置しよう、こういうわけであります。守るばかりでありまするが、敵の攻めるのに対しては、かえって
陸上
部隊
は守りに強いという点があるので、これは
相当
の兵力を迎え撃つことができる。これは、十単位の戦闘
部隊
というか、自衛隊もこれででき上ろう、こういうわけでございます。それから、海上につきましては十三万四千、これは沿岸の防備、港湾の
防衛
並びに海上船団の護衛ということなんです。護衛ということであります。これは、わが国の輸出入の物資の運送等のいろいろな
状況
々見計らって、この護衛並びに沿岸防御に当ろうという計画として、十二万四万並びにこれに伴う航空機を整備しよう、こういうことでございます。空につきましては、大体千三百機というものをここで整備しよう、こういうわけでございます。これでどの程度空においての防備が達成できるかどうかという問題は、一に相手方の侵略態様その他戦力のいかんによることでございます。これは、単独で空を守り通せるかという問題になると、この計画では、私は十分でないと思うが、しかし、今日のわが国の国力その他に応じて、この程度のいわゆる航空防備、こういうものを整備していくということに今日の段階では妥当である、こういうことになったわけです。
八木幸吉
120
○八木幸吉君 例としては必ずしも妥当でないと思いますが、現在
陸上
約六十万、海、空も
相当
の
装備
をしているという朝鮮の
装備
と、日本の三十五年度における自衛隊の
装備
と比べて見まして、かりにこれが両方戦うというような場合に、防ぎ得るというだけの一体力があるのかないのか伺いたい。
津島壽一
121
○国務大臣(津島壽一君) 実は、はなはだ、韓国の軍備の内府ですね、ばく然とは知っていますが、どの程度の
装備
があって、まあ
内容
、実力がどういうものであるかというところの確実な情報を打っていないわけでございます。でありまするから、今の御質問に対して、的確なる御答弁をここに申し上げることはちょっと差し控えたいと思いますが、お許し願いたいと思います。
八木幸吉
122
○八木幸吉君 どうも日本がどれだけ一体強いのか、われわれとしては非常に不安なんですけれ
ども
、まあそれ以上に立ち入ることを差し控えますが、第二回の安全保障
委員会
で、スタンプ司令官から極東の情勢についてお話があった、こういうことを先ほど長官もお話しになりましたが、その
内容
の詳細は、むろん御発表はいかがかと思いますが、われわれに、つまり当分戦争はないのだ、あるいはどれぐらいまでは日本は安心であるのだという、いわゆる国代に対する安心感を与える意味で、差しつかえない限りの極東の軍事情勢ということをこの際、アウト・ラインだけでもいいですから、伺いたいと思うのです。
津島壽一
123
○国務大臣(津島壽一君) 防御
局長
の力から答弁さしていただきます。
加藤陽三
124
○
説明員
(加藤陽三君) 八木先生のお尋ねも、スタンプ司令官のお話の
内容
ということにも限らないようでございますので、巷間の資料によりまして、どれくらいの兵力が現在極東に配置されておるかということを参考のために申し上げたいと思います。これはもう御承知だろうと思いますが、ことしの七月一日のAPのニュースでございます。太平洋戦略における
米軍
の配置について申しますと、兵員が約五十万、航空機七千余機、艦艇四百隻、内訳は、海軍は、第七艦隊及び第一艦隊、艦船四百隻、航空機六千機余り、兵員二十万、空軍は航空機千百機余り、うち九〇%はジェット機、兵員が九万、陸軍が四個師団、兵員九万、海兵師団六個師団、兵員六万というのが極東における兵員の配置でございます。 相手方という意味で申しては国際信義に反すると思いますが、ソ連の方が、これも巷間の資料によりますと、バイカル等の兵力は
陸上
約五十万、艦艇七百隻、空軍四千九百ということでございます。
八木幸吉
125
○八木幸吉君 今私が伺ったのは、相手国が核兵器を持っていないということを前提として伺ったのですが、現在のこの世界の軍事情勢からいえば、原子力
部隊
が軍備の中心になるということは世界の趨勢であろうと思う。そこで、もし核兵器によって日本が不正急迫した侵略を受けた場合には、当然これは、日米安保条約によって
米軍
がこれを迎え撃つ、こういうことに私はなろうと思うのでありますが、その
米軍
がかような原子兵器による日本の侵略を迎え撃つということは、言葉をかえていえば、
米軍
がやはり原子兵器によってこの原子兵器の侵略に対応する、こういうことになるわけでありますが、その場合における自衛隊の
任務
としては何カ月間か、衆議院の
内閣委員会
における長官のお話によれば、抽象的な、短
期間
自衛隊が持ちこたえ得るだけの力は少くとも持たなければならない。これは私はわかるのですが、この短
期間
日本が持ちこたえた後に、
米軍
とその侵略を予想される原子兵器を持つ
部隊
とが衝突した場合には、やはり日本は結局原子戦争の戦場になるということに私はなると思うのです。そういたしますと、岸総理の言われる、原子兵器を日本が持たないということを非常に強調されることは、これは国民感情としてはもっともでもあり、また、原子戦が行われるということは、人類の滅亡を意味するわけでありますから、いかなる方法をもってもこれは防がなければならないということは当然でありますが、しかし、安保条約によって
米軍
がこれに対して対戦するということと、日本が原子兵器を持って、これに対応するということとは、日本国そのものが原子戦の戦場になるということでは同じではないか、結果においてかように考えるのでありますが、その点について、長官はいかがお考えになりますか。
津島壽一
126
○国務大臣(津島壽一君) 日本が核兵器を
装備
しない、また米の核兵器持ち込みを受け入れない、こういう
方針
は一貫したものでございます。それで、万一の場合に、そういったような核兵器を用いる戦闘が起って、日本を直接侵略にするといったような事態が起った場合にどう対処するか、これはお説の通りであります。わが国自体でこれに防備し得る限界以上をこえたものは、これは日米安全保障条約の建前、また国際連合の集団保障といったものによってこれを防備するということは、これは
現状
としては仕方がないと思うのであります。それがどういった形になって現われるかということは、一にそれは、そのときの戦争の様相である。日本自身がこれを持ち込むことにするということは、今日言うわけにはいかないし、また日本としては、国民感情からいっても、またそういうものを認めるということでは……、防御の力というものは国民の共鳴、
理解
と認識と協力によらなくてはいかぬ、
防衛
の力というものは、単純に人数の問題とか
装備
の問題だけではないという見解で、われわれは
防衛
力というものの増強を考えているわけでございます。そういった場合でございまして、ただいまのような仮想の場合にどうするかという問題は、これは一にその情勢によることだと思うのです。しかし日本としては、核兵器、核戦争というものをやるというような意向はないということだけははっきり申し上げておきます。
八木幸吉
127
○八木幸吉君 日本が核兵器の持ち込みを歓迎しない、またそれを使う意思はない。これはもう
政府
——総理初め御
当局
のしばしばの言明で、きわめてはっきりしているのですが、しかし何時に、今の戦争では、核兵器のもし攻撃があった場合には、核兵器によってこれがなされるということも、これは十分予想される事実である。そういたしますと、これに対応するために、
米軍
はやはり核兵器を日本が好むと好まざるとにかかわらず防御のためには持つ、これを使うということもまた十分予想されるところでありますし、これを使うか使わぬかということは、これは持っている国が考えるべきことで、日本がそれに非常に強力に反対をいたしましても、時と場合によってはこれを使わなければ日本が
防衛
ができないというときには、アメリカそのものが使う可能性は十分あるわけでありますから、そういうときには、結局日本が原子戦の戦場になるおそれがないとは言えない。であれば、日本が持たなくても同じ結果になるのではないかという心配をするのですが、その点はどうですか、重ねて伺います。
津島壽一
128
○国務大臣(津島壽一君) 今日の事態においては、核兵器持ち込みないしは使用ということは、やらないという
方針
であります。今のおっしゃった点は、万一こういう場合があればどうなるか、こういう問題だろうと思うのであります。これは、現在の法制では、かりにこの場合、アメリカといたしまして、それの使用なり、また実際に直接侵略があった場合においての、出動するに当っての協議をすることになっております。協議、そういうことになっております。それなしには、単独にやらない、こういう建前になっておる。その場合の問題だろうと思うのです。日本は、そういった点において、従来の
方針
というものを慎重に、またこれを自己の
方針
として持っておるという事態でなければならぬ。いろいろな場合もあると思いますが、これはそういった事態は応じて考慮する問題だろうと思います。
八木幸吉
129
○八木幸吉君 この問題はこの程度にしておきまして、次に移りますが、この前の八月十六日のこの
委員会
で、
藤田委員長
から総理に対して、核兵器を持たないという信念ならば、戦争に負けてもいいのか、やむを得ないという総理の御答弁がありました。その問題は、衆議院の
内閣委員会
で非常にまた再燃されて、いろいろな質問応答があったことを私は
速記
録で拝見したわけでありますが、そのときに岸総理は、こういうことを言っておられる。つまりICBMの実験成効の問題に関連してですが、そういうような日本に攻撃があった場合に、「科学的な研究をして、日本の
防衛
の立場を十分に果していかなければなりませんので、こういうものをとらえ、途中においてこれがその効力を失うようにする研究も同時に行われておるわけでありまして、」云々と、こういうことを岸総理がおっしゃっておるわけであります。これは結局、原爆を使わなければ、有力な誘導兵器に普通の火薬を装てんして、ICBMなり、あるいはIRBMなり、先方から来る弾頭兵器を途中で叩き落す、こういうことを私は意味しておると思うのですが、その誘導兵器の先に原子弾頭を装着しなくても、普通の火薬だけでさようなものを叩き落す確率というものは
相当
強いかどうかということを、これは長官かだれかに一つ御返事をいただきたいのですが。
津島壽一
130
○国務大臣(津島壽一君) 今のは、非常に専門的なことでございまして、いろいろと技術研究所においては、誘導弾兵器に関しては研究部を設け、また熱心に研究いたしております。まだ詳細の
報告
を聞く時間もないのでございますが、それは、
装備
局長
からでもお答えした方がいいだろうと思います。
小山雄二
131
○
説明員
(
小山
雄二君) われわれ目下研究開発をしておりますのは、現実的な攻撃のやり方としては、現在では、爆撃機からかりに核兵器を核弾頭を持ったもので攻撃する、あるいは爆撃機その他の航空機から誘導弾で攻撃する、核弾頭を持ったようなもので攻撃する、あるいは潜水艦から攻撃するというような形が現在では非常に現実的なものですから、われわれの研究は、そういうことを目標にいたしまして、空から、航空機から向うの爆撃機を打つ誘導弾、それから地から爆撃機等を要撃する誘導弾、あるいはその他潜水艦を捕捉する訓練だとか、
装備
の研究とか、そういうことを研究開発しておる段階であります。それで、ただいまお話の対BMに対する、弾道弾に対する要撃の問題でございますが、これは、新聞情報等によりますると、米英でも研究を始めたということがありますので、こういうものの技術情報、資料等はなかなか入手がむずかしいと思いますが、われわれとしても、そういうものは入手にできる限り努めまして、できればそういうものの検討もしていかなければならぬと、こういうふうに考えておる段階でございます。今聞きますと、向うが原子あるいは水爆の弾頭を持ったICBM、IRBMを持ってきまして、かりにそれを要撃するBMを考える場合には、原子弾頭は要らぬだろう、原子弾頭でもTNTでも、普通の爆撃機で落せば済むだろう、要するに向うの弾道をうまくつかまえてぶつければ済むという段取りでございます。私も直接の専門家でございませんけれ
ども
、そういう要撃の場合には、必ずしも核兵器はこっちは要らぬだろうと、こういうことを専門家は言っております。
八木幸吉
132
○八木幸吉君 私もまた聞きまた読みで、はっきりしたことはわからぬのですが、その弾頭兵器を核兵器なしに落す確率というものは非常に薄いのだ、これが原子弾頭をつけて
相当
広い範囲で爆撃すれば、ICBMが飛び出てきまして、そこで捉えられるけれ
ども
、そうでない、原子弾頭のないものであれば、非常に確率は薄いのだと、こういうことをくろうとからしばしば私は聞かされておるので、それでなしに、今のお話のように、原子弾頭をつけないで、しかも誘導兵器でそれが落されるということなら、これは岸さんの思ったつぼに当てはまるので、非常に日本国民としてもけっこうだと思うのでありますけれ
ども
、どうも少し楽観に過ぎるじゃないかと思うのでありますが、これ以上申し上げましても、御返事は得られぬと思いますが、別にアメリカでは、すでに二千五百マイルの地点、つまりICBMなら十五分間まだ飛んで来るだけの時間的余裕があるところに、すでにレーダーで向うの来たことをキャッチすることができるというようなものが発明されたということがニューズウイーク誌に出ているが、きょうの東京新聞にも、やはり同じように、四千キロのところまではキャッチできるということがコロンビヤ大学やあるいはベル研究所ですでにわかってきておるというふうなことが出ておりますが、
防衛庁
の方はさような何か情報をお持ちですか。
加藤陽三
133
○
説明員
(加藤陽三君) 私
ども
も、新聞等によりましてさようなことを承知いたしております。米国といたしましては、先ほ
ども
お話にありましたごとく、ICBMともなりますれば、非常な長距離を飛ぶわけでありますから、早くこれをキャッチするということで、
相当
努力しておるようでございます。早くキャッチできますれば、それの対抗策も考えられるということで、ICBMに対する有効な方策の一つといたしまして、非常に長距離に有効なるレーダー等を考えているようであります。
藤田進
134
○
委員長
(
藤田進
君) ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
藤田進
135
○
委員長
(
藤田進
君)
速記
をつけて。
八木幸吉
136
○八木幸吉君 スイスの誘導弾エリコンが来るそうですが、これには原子弾頭はつけられないということを長官この前おっしゃったようですが、そうなのですか。これは、
内閣委員会
でさような御答弁があったのですが。
小山雄二
137
○
説明員
(
小山
雄二君) エリコンの誘導弾には、原子弾頭はつけられないのであります。
八木幸吉
138
○八木幸吉君 それから今度は、技術研究所の
予算
のことを伺いたいのですが、毎年
防衛庁
は、御承知の通り、二百五十億余りの金を余しておられる。技術研究所の
予算
も、三十年度は十三億六千万円で、九億二千万円余っている。三十一年度は、十八億のうち十四億円余り余っておると伝えられていますが、これは技術研究所本来の
予算
と、ほかに移しかえられたのと、両方なんですが、もう少しやはり、御承知の通り、アメリカなんかでも、一九六 ○年代には、航空機とそれから誘導兵器とに使用する金額はほぼ四十億ドル以上も、同等ぐらい金を使うといっているのですが、技術研究所の
予算
ももう少し、なぜこんなに余っておるのか、その点簡単でいいですが、伺いたいのです。
小山雄二
139
○
説明員
(
小山
雄二君) 従来技術研究所の施策あるいは外部に委託してやります
調査
、研究、これは、事柄が非常に新らしいものでもむずかしいというようなことのために、設計その他の
関係
で時間を要しまして、
防衛庁
全体の繰り越しから見ますと金額はわずかですが、比率から見ますと
相当
繰り越しを出しておりまして、非常に遺憾に存じております。これを極力促進しょうということにいたしておりまして、
予算
的に見ますと、大体今の
人件費
だとか、設備費だとか、機械器具費等は除いて、純粋の研究施策費等でございますが、要するに、研究のものになって出てくるものといたしましては、大体誘導弾
関係
が三分の一、航空機
関係
が三分の一、その他水中武器等その他のもので合せて三分の一ということで、
相当
重点をしぼりまして、また、研究の遅延の問題も、ことしはこの問題のみならず、繰越金全体の問題につきまして、長官の御
趣旨
もありまして、非常に段取りを早くしておりまして、ちょうど研究の進み工合も、去年の二月頃の状態まで準備ができているというようなことで、総体的にも促進しているわけでありまして、今後はなるべくあてがわれた
予算
は、完全に消化するようにしたいと思っております。
八木幸吉
140
○八木幸吉君 これは、長官に伺いたいのですが、アメリカなんかも、ペントミック軍と名づけられる特殊の軍に改編されつつあるが、日本も、原子攻撃に対応するために、師団
編成
をやはり細分化して、小隊や大隊をやめて、小銃中隊を中心とする師団に
編成
がえされるというようなことはありますか。そういったような、原子攻撃に対応する軍の
編成
を変えるというような計画がおありになりますか、従来のままでございますか。
加藤陽三
141
○
説明員
(加藤陽三君) 米国の方におきましては、従来の歩兵師団の
編成
は一万八千名あまりでありますが、ペントミックが改まりまして、一万三千名ぐらいの縮小
編成
をいたしまして、非常に融通性と機動性を持った
編成
をしたいということで、
相当
数の師団は改編をしているようであります。日本の
陸上
自衛隊におきましても、御承知のように、管区隊と申しますのは一万二千七百名になっております。機甲団と申しますものは、六千百名の
編成
になっております。私
ども
といたしましては、やはり将来は、機甲団というものを中心といたしまして、非常に融通性のある、
機動力
のあるものに変えていきたいと思っております。ただいまのところ、今すぐ米国の例にならいまして、ペントミックのようなものにするということは考えておりません。
八木幸吉
142
○八木幸吉君 もう一点だけ、これは長官に伺うのですが、ナイキの
基地
が沖繩で八カ所、すでに入札に付されたというようなことが新聞に出ております。その問題をこの前の
委員会
で、岸総理に、安保
委員会
で議題になりますかと、お伺いしましたら、そういう問題もやはり議題にすることになりましょうが、さしあたっては、安保条約の問題の方が中心になるのじゃないかというような、ぼやっとした返事だったのですが、長官は、衆議院の
内閣委員会
では、あまりこの問題についてはくわしく知らないといったようなふうな御答弁があったように、ちょっと拝見したのでございますけれ
ども
、ナイキの
基地
があるということは、逆に申して、沖繩が原子攻撃を受けるというプロバビリティというのは非常に多いわけなんですが、長官は、このことを御存じないでしょうか。あるいは安保
委員会
で問題にならないのでしょうか。重ねて伺ってみたいと思います。
津島壽一
143
○国務大臣(津島壽一君) 沖繩にナイキの
基地
があるということの情報は聞いております。しかし、安保
委員会
でこの問題が取り上げられて、具体的に話し合いがあるかという点については、大体安保
委員会
は、間接には非常な重大なことがありましょう。これは情勢として話がある場合です。しかし、日本におけるアメリカ軍の配置、使用というものについて協議しようというような安保
委員会
の題目でございますね。そういうところから、この
委員会
というものは三つの課題をもって協議するというようになっておる。今後の運営の如何によっては、そういった問題が起るかもしれません。しかしながら、今日までのところ、日本内におけるアメリカの、何というか、
駐留軍
というか、軍隊その他の設備等について、われわれが協議の題目としてやるかということについては、私ははっきりした見通しを持っておりません。情報としてはそういったようなことは聞いておりますということでございます。
八木幸吉
144
○八木幸吉君 まだ私伺いたいことがたくさんございますが、二十一日にまた
委員会
がおありになるということで、そこで、これは
議事進行
に関連するのですが、一言
委員長
にお願いをしておきたいと思います。と申しますのは、この前の
委員会
で、岸総理が、御承知の通り、核兵器を持たなくて負けてもしようがないというお話がございました。それから後に、ソ連のICBMの実験の成功の
報告
がございました。そこで、イギリスの方では、この核兵器を完全に防ぐ方法はないから、自分の方でもそれを持って、威圧によってこれを防ごう、こういう考えのようです。ところが日本の方はそうでなくて、平和攻勢によって何とかかような戦争を
防止
したいということに非常な熱烈な気持を持っておられるのですが、そこで私は、これは非常に重要な問題でありますから、この前の
委員会
も、総理は二時間ばかりここにおいでになりましたけれ
ども
、あとで自由民主党の方の政治計画の会か何かにおいでになって、一時間半ばかり講義なさるそうですが、もう少し時間をとって、この
委員会
でも、外交でもつまり全面戦争を防ぐだけの国防の最も大きなポイントを持つわけですから、ほんとうならば私は、外務大臣の列席の上でこの
委員会
に出席をお願いしたいのでありますけれ
ども
、外相は十四日にお立ちになるそうでありますから、少く上もこの次の
委員会
では、この前の
委員会
に関連する跡始末として、国民に安心感を与えることが——
防衛
庁長官
はもちろんのことでありますが、岸総理にももう少し時間をとって、納得のいくまで質問することができるように、総理の出席を、
委員長
の方で各
理事
ともお打ち合せの上で、次の
委員会
にお出ましを願うようにということを、特にこの機会にお願いをいたしておきまして、以下の質問は次の
委員会
に譲ります。
藤田進
145
○
委員長
(
藤田進
君) ただいまの総理出席の件は、
委員長
としては異議はございませんが、しかし、
委員長
理事
打合会等をもちまして、今の八木
委員
の御希望がいれられるように努力はいたしますが、この点なお各会派の
理事
等にも、もっと
趣旨
が徹底するように、八木
委員
からもお働きかけ願いたいと思います。
—————————————
藤田進
146
○
委員長
(
藤田進
君) 次は、
国家公務員制度
及び恩給に関する
調査
のうち、
公務員
の
給与
に関する件を議題に供します。 なお、本件につきましては、
委員長
理事
打会におきまして、暫時懇談の形で
人事院総裁
等との質疑をし、
要望
をすべきものを
要望
したらどうだろうということになっておりますから、
委員長
としては、さように取りはからいたいと思います。 ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
藤田進
147
○
委員長
(
藤田進
君)
速記
をとって下さい。 まず、私が
委員
の皆さんの意向をいわば
代表
したような形でお伺いをし、
要望
をいたしたいのでありますが、
相当
御苦心をされておることは認めるのでありますが、当
委員会
としては、過般の法律成立に関連して、御承知の付帯決議を付しましてこれを成立さしたわけでありますけれ
ども
、その後の作業
状況等
を見、さらに漏れ聞くところによると、必ずしも付帯決議の
趣旨
を万全に生かしての御
処理
になっていないようにも受け取れるわけであります。ここでしかし抽象的に議論いたしましても、ただ時間を空費するだけでありますので、若干の事例を申し上げて、これに対する御
所見
なり、また資料に対する態度なりをお伺いいたしたいと思うのであります。 その第一の点は、付帯決議に十六項目ありましたが、それが全部が全部付帯決議の通りになっていないとは申し上げていないのであります。特に、たとえば
行政管理庁
のような特殊な人的構成、あるいはその主査、官補といったような職制、またこれに類する各省庁の中の一部の職種等については、表面的にバランスのとれたように見えても、事実上
相当
なアンバランスを生じているやに思われるわけです。
会計検査院
においては、四等級以下の事情を仄聞しても、まだ公式に伺っておりませんから、真偽は別といたしましても、百パーセントの格付けがなされるのに、他の省庁においてはそれがなされていないのではないかというような点もあって、当
委員会
としては、これら各省庁に
勤務
せられる幹部その他の
職員
に対しても、もし付帯決議が生かされていないとすれば、意に反するわけでありまして、現在各省庁の中でもかなり問題になっているし、またわれわれ議会側としても、実は
委員
間にもそれぞれの話があるわけでありまして、かかる状態が巷間に伝えられるという形では、議論の
対象
に実はなりませんので、少くともこの際作業が完了し、御発表になり、あるいはやがて手直しをするという段取りになるかもしれないが、その前に、各省庁それぞれにおいて現在査定がなされているわけですから、その各省庁の定数比較表といいますか、格付比較表というか、これがもし外部に発表等が事の性質上困ると言われれば、その扱いは十分慎重に扱うといたしましても、ぜひこれの御提示を願いたいし、先ほど来申し上げたように、
行政管理庁
あるいは医療職のうちの研究職であるとかいうような、特殊な
職員
に対しての
措置
についても、私が今申し上げたような、実質的にアンバランスないものが、具体的にこのようになるのだということについての御
説明
と、この二つの点について御答弁なり、資料については提出できるかできないかの御答弁をいただきたいと思うのであります。
淺井清
148
○
説明員
(淺井清君) 具体的のことは、
給与局長
から申し上げさせることにいたしますが、われわれといたしましては、
国会
の付帯決議は十分尊重するつもりで、人事院会議等におきましても、そのことをやかましく申しまして、
給与局
におきましても、そのつもりでやっておると思いますし、今後もそのつもりでやるつもりでございます。その具体的の事例につきましては、
給与局長
から一々御答弁をさせたいと思います。 それから、その次の級別定数は、これは人事院指令をもって出されておりますので、これはいつでもお目にかけることができると思っております。
瀧本忠男
149
○
説明員
(
瀧本
忠男君) これは今、
人事院総裁
が申し上げましたように、人事院といたしましては、七月三十一日までに新しい
給与
法に基きまする等級別定数というものを設定いたしまして、そうしてこれに基きまして、各省庁におきましては、これは任命権者がやられるわけでありまするが、その範囲で個々の
職員
の格づけをされたわけであります。で、これは何回も申し上げておりますが、人事院といたしましては、法律の通過後七月三十一日までという
期間
は非常に短かかった。その前に、われわれはいろいろ準備はいたしておいたのでございますけれ
ども
、なおかつ、その
期間
に問題を十分よく見きわめて
処理
するということが事実上できなかった。それは、各省庁から提出されまする資料に不十分なものもございましたし、また、時間的に余裕がなかったというようなこともあるのであります。しかし、七月三十一日の定数配分におきましては、われわれは、付帯決議の
趣旨
はでき得る限りこれを尊示したつもりでおるのであります。まあ
行政管理庁
のような例もお出しになりましたが、これは、各省庁と比較してこれをごらん願えれば、われわれが付帯決議の
趣旨
を、各省庁の均衡の上に、考え得る限度におるということも御
理解
願えるのではなかろうかというふうに思うのでありますが、なおかつ、われわれとしましても、これはもう一度補正をする必要があるということで、現在各省庁に、実際格付された
現状
等はどういうふうになっておるかということにつきまして照会させております。これは、各省におきまして作業が手間どりましたために、われわれの力にその解答が参っておるものがまだごくわずかでございます。これは、催促をいたしておるのでありまするが、これが出次第、十分われわれとしては検討いたしまして、さらに均衡がとれるように、十月にこの問題をもう一度
調整
しよう、こういうことでやっておるのであります。現在のところ、まだそれが
調査
が十分われわれのところに届いていないという
現状
であります。われわれとしまして提出し得る資料と申しますものは、いわゆる等級別定数表、これは人事院指令できめておりますが、それでございまして、これは、個々の
職員
がそれでどういうふうに決定されておるかということは、それではわからないという資料でございます。それは御提出いたします。
藤田進
150
○
委員長
(
藤田進
君)
速記
をとめて下さい。 午後五時二十二分
速記中止
—————・————— 午後五時四十九分
速記
開始
藤田進
151
○
委員長
(
藤田進
君)
速記
をつけて下さい。
速記
をとめて、暫時懇談をいたしましたが、なお問題もあるようでありますし、次期
委員会
にまた
調査
を進めることといたしたいと思います。なお資料を
要求
いたしましたが、本件については、二十一日の
委員会
までに間に合うように御提出を願うことといたしまして、本日はこれにて敬会いたします。 午後五時五十一分散会