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1957-08-16 第26回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十六日(金曜日)    午後一時七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 八月十五日委員大矢正君及び光村甚助辞任につき、その補欠として亀田得 治君及び松本治一郎君を議長において 指名した。 本日委員松本治一郎辞任につき、そ の補欠として鈴木強君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            大谷藤之助君            永岡 光治君            竹下 豐次君    委員            木村篤太郎君            迫水 久常君            苫米地義三君            伊藤 顕道君            亀田 得治君            鈴木  強君            千葉  信君            横川 正市君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    国 務 大 臣 津馬 壽一君   事務局側    参     事    (委員部第二課    長)      土屋 政三君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    内閣官房長官  愛知 揆一君    調達庁長官   上村健太郎君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (国防計画に関する件)   ―――――――――――――
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会開会いたします。  委員の変更について参事より報告いたきせます。
  3. 土屋政三

    参事土屋政三君) 八月十五日大矢正君、光村甚助君が辞任され、亀田得治君、松本治一郎君がそれぞれその補欠に選任されました。  本日付、松本治一郎君が辞任され、鈴木強君がその補欠に選任されました。  以上でございます。   ―――――――――――――
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 国の防衛に関する調査のうち防衛計画に関する件を議題に供します。本件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 まず私はこの質問に入る前に、一つ総理にただし、また今後の所信をただしておきたいと思うのでありますが、それはアメリカには六月十六日でしたか、十七日に渡ったわけでありますが、六月の十四日に防衛計画がきまり、そういう関係もありまして、ぜひ国会を通じて、特に対外関係でありますので、国民所信を明確にし、また国民意思を代表するわれわれも十分要望申しあげたい、こういうことで委員会開会を要求いたしまして、総理出席を求めたのでありますが、残念ながら総理出席ができなかったわけであります。その理由とするところは、どうも財界の各方面にごあいさつに回る、あるいはまた新聞記者等との話し合いがある、こういうようなことでとうとう委員会には出席できずに、きわめてこれは遺憾な事態であったわけであります。アメリカから帰りましてからも、直ちに委員会を開きまして、どういう経過になったかということについても十分その経過を私たち聞きたい、しかも国会を通じてこれを国民の前に明確にしてもらいたいということで出席をお願いしたのでありますが、今日まで出席がなかったわけであります。きわめてこれは遺憾であります。言うならば、これは国会軽視もはなはだしいと言わなければならぬと思うのであります。国会に、この委員会を開かれまして、出席するように、こういうことを事務当局から、つまり側近の方々からあなたは連絡を受けておって、それを承知の上でなおかつ出てこなかったのか。新聞紙上で拝見いたしますとゴルフをおやりになっておる、こういうお話でありますが、そういうひまがあれば、またこういうことであれば、私は当然国会に出てきて所信を明確にすべきものだと思うのでありますが、そういう連絡を受けておったのか、受けてなかったのか、全然今日まで知らずにおったのか、そういうようなことを明確にし、また今後どういう御決意でおるのかを私はただしたいと思うのであります。
  6. 藤田進

  7. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) 今回はからずも防衛庁の仕事を担当することに相なりました。本委員会には今後格別のお世話に相なることと存ずるのでございます。はなはだ非才また経験に浅い者でございます。どうぞよろしく御支援、御鞭撻のほどを特にお願いを申し上げる次第であります。これをもって就任のごあいさつといたします。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ただいまの永岡委員の御質問でありますが、私は決して国会を軽視するというような考えは毛頭持っておりませんし、また国会開会あるいは委員会開会等につきましては、従来の慣行上、理事会あるいは両党の国会対策委員会等において話し合いをされまして、その結果として開くことになりますならば、私はいかなる場合におきましても、何をおいても出席して、私の所信を申し述べることにやぶさかでないのであります。今回までのこの委員会が開催せられるに至りました事情につきましては、私は何ら聞いておりませんで、本日午後一時からこの委員会が開催される、出て所信を明らかにするようにという与党からの話がありまして、出て参ったような次第であります。今までの経緯につきましては、永岡委員の御質問でありますが、私は何にも承知しておりませんで、これは両党の委員会その他の手続によってきめられたものと承知いたしております。
  9. 永岡光治

    永岡光治君 あまり時間をとることを好まないのでありますが、問題は、委員会開会するに当っては岸総理出席前提条件となるわけであります。出席しないのに委員会を開いても始まらない。というのは、総理に対する質問が重点であるからであります。ところが、その総理に相談したところが、総理が出ないと、こうおっしやる。そのために委員会を開けなかったのが今までの与党理事からの私たちに対する答弁であったわけであります。そのために今日まで開けなかったわけでありますが、そういう連絡はあったですか、なかったですか。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はそういう連絡を受けておりません。従って委員会を開くに当って、自分が出ないということを申したことは絶対にございません。
  11. 永岡光治

    永岡光治君 それではいずれこの問題は理事の方のお話もありましょうが、要は、今後は岸総理出席を求めて委員会を開きたいという申し出があった際には、必ず総理出席していただける、そういうように最大の努力をしてもらうと、いうことに了解してよろしゅうございますか。その際には私は出席できないということでなしに、国会を尊重する、院を尊重するという立場から、そういう要請があって、あなたが出席しなければ委員会が開けないという際には、出席するというふうに了解してよろしゅうございますか。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 所定手続において私に要求がありましたならば、いかなる場合におきましてもこれを断わるようなことはいたしません。
  13. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっとこの際私からも今の御答弁についてお伺いいたしておきたいのでありますが、過去5回にわたって委員会を開いて、当面する国民関心事である防衛関係について、アメリカとの折衝その他お伺いをしたいということで、委員長理事打合会では、与党を含む、過去二回御出席をうながすことにきめて、内閣所定手続をとったわけであります。今聞きますと、総理の耳には本日十六日の委員会以外には何ら聞いていないということでありますが、私は院の役員である委員長といたしまして、与党国会対策委員長その他の了解を取りつけて、しかる後御出席を願うというのが筋ではない、やはり院は院としての成規手続をとるのであって、問題によっては党と党との間で話し合いがあることはしばしばあるでありましょうが、やはり官房長官等を通じて出席をうながした場合には、それが与党政府関係において処理されるべきものはされるのであって、院として与党、それから政府の間の取りなしまでする筋ではないと私は考えているのであります。従って今後の場合、官房長官を通じて要求いたしました場合は、与党政府関係で御調整なさるべきはなさるべきであって、その点までこの内閣委員会が労をとるべき筋ではないと考えているのであります。この点についてはぜひ一つ官房長官におかれても、連絡があった際にはさような方向でお取扱いを願いたいし、この際官房長官にお伺いしておきますが、以上のように、総理が何ら知らなかったということになれば、かつて戦前にあったように、全然責任者は知らないままに側近で問題が消化されてしまうということでは、やはり立法府と行政府関係ではあってならぬと思うのであります。官房長官の過去のとってこられた経緯なり今後の所信についてこの際お伺いしておきたいと思います。
  14. 愛知揆一

    説明員愛知揆一君) まず過去においての取扱い方については、若干のそごがあったかもしれないのでありまして、その点につきましては、今後十分にさようなことのないように取り計らいたいと存じます。今後におきましては、ただいま総理大臣からお答えのありました通り、これも私としても順奉して参りたいと思います。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 大へん私ども今意外なことを聞いて非常に心外に思うのですが、内閣委員会は、何べんも今まで委員長が言ったように出席を要求している。なぜ官房長官から岸総理大臣にそのことを伝えて、伝えた上でいろいろな事情があってだめだというのであれば了承もできるのですが、伝えることをすらしなかったその理由、これは官房長官の私は大きな責任だと思うのです。まきかそんなことになっているとは私どもは予想もしていなかったのです。なぜ伝えることすらもしなかったのか、理由をはっきりしてもらいたいと思うのです。諸般の事情というようなことでは了解できない。
  16. 愛知揆一

    説明員愛知揆一君) ただいまもお答えいたしましたように、若干の食い違い手違いがありましたことは、ただいま申しましたように、今後十分注意をいたして参りたいと考えております。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 若干の手違い食い違いということは一体具体的にはどういうことなんです。はっきりして下さい。
  18. 愛知揆一

    説明員愛知揆一君) たとえば従来の扱い方といたしまして、与党国会対策委員会等との打ち合せ等が若干の手間がとれましたようなことを意味するわけでございます。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 時間がないので私は直ちに本題に入って質問申し上げたいと思うのでありますが、まず当委員会防衛問題が中心で論議される委員会でありますが、従いまして、防衛問題を中心にお尋ねするわけでありますが、渡米に当りまして、この防衛問題を岸総理はどういう観点でどういう態度話し合いを進めていこうと考えたか。そうして話し合いが行われました結果どういうことになったか。それについてあなたはどういう所信を持っておられるかというその結論について、この防衛問題を中心についての話し合いの、私がただいま申し上げました三つについてのあなたの所信をお尋ねいたしたいと思うのであります。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 防衛問題につきましては、かねて私は国会におきましてその所信を明らかにいたしておるのでありますが、いうまでもなく、日本自主独立立場日本防衛というものを考え防衛に関する基本方針を定め、また防衛具体的計画を定めていくべきであるというのが、従来から私の考えている防衛についての基本的な考えでございます。従来ややもすると、日本防衛というものはアメリカ戦略の一環であり、またアメリカからいろいろの指示を受けて、日本がやむを得ず防衛のいろいろの具体的の計画を定めるがごとき印象を従来与えているということは、はなはだ遺憾である。あくまでも日本日本立場自主独立立場から日本に必要な防衛計画を定めて、これに対してあるいはアメリカのいろいろな援助なり協力を求めるなら、これは協力なり援助を求めることも必要なものにつきましては、求めなければならぬけれども、あくまでも基本としては今申しましたように日本自体として考えていくべきである、こういう考えをもちまして、かねてお話し申しあげたように、国防会議を督促しながら、その国防に関する基本方針や、防衛具体的計画目標等につきまして審議を進めて参ったわけであります。アメリカと話をする場合におきましても、今申しました基本的な立場に基いて私の所信、また政府がとろうとしておる、すでに当時発表されておったわけでありますが、基本方針なり、あるいは防衛計画具体的目標なりについて御説明をいたし、これに対する了解なり、またこれに対して援助協力を受くべきものについては援助協力を受ける、またそれが将来におけるところの協力関係についても、十分に理解と信頼関係を作り上げるということが、話し合い基本的な私の考えであり、またそういう話し合いをいたしたわけでございます。
  21. 藤田進

    委員長藤田進君) この際答弁者質疑者に御注意いたしますが、それぞれ簡潔にお答えなり御質疑をお願いいたしたいと思います。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま防衛体制についての話し合い基本的態度は、自主的な立場に立って、つまりアメリカ防衛体制に巻き込まれるということでなくて、日本の判断のもとに自主的な立場防衛する、こういうことで話し合いをするのが基本的態度である、こういろように承わったのでありますが、しかし結果はそういうことになれば、私はそのあなたの考えとは逆なものが出ておるのではないかということを、この際明確にしなければならぬと思うのであります。それは御承知通り今度安保委員会等が作られることになっております。そしてその委員会メンバーの中には、つまり日本にある、日本に駐留しておるアメリカ軍司令官、こういう方が入るのじゃなくて、むしろ日本からずっとひいてハワイにある極東長官がこれに入る。そしてフィリピンなり、ハワイなりあるいは台湾なりあるいはまた沖繩なり、日本なり一連のそういうものが後に控えておるこの極東長官のもとに総括されるという、こういう印象を強くするのです。従いまして撤退後における日本防衛というものは、むしろ自主防衛じゃなくて、アメリカ防衛体制の中に含まれてしまう、アメリカ防衛体制戦略体制の中に巻き込まれてしまう、こういう印象を強くするわけであります。現に先般十四日でしたか、源田空将の言をもってしても、日本防衛のためじゃなくして自由国家群防衛のためにやる、こういうことをおっしゃっている、あいさつの中に。これはきわめて重大なことであります。その基本的な態度ときわめてかけ離れた結果が出ておるのじゃないかということをおそれるのであります。あなたはこの際にそうじゃないという保障がありましたらお示し願いたいと思います。
  23. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いうまでもなく今日の国際情勢のもとにおいて、一国で完全に一国の安全保障を確保することはむずかしいわけであります。日本はその意味において、自由国家群安全保障の一部として安全保障考えられるということは、これは私は広い目から見てそういうことは言えるだろうと思います。しかし私が言いたいのは、日本日本安全保障考え日本防衛体制というものを考えるのは、あくまでも自主的な立場日本のわれわれが決定すべきものである。しかしそれがほんとうに実効をあげて、目的安全保障ができるというのに対しては、あるいは国際連合あるいは日米安全保障体制によって、日本安全保障というものの実効をあげ得る、こういう意味において関連をもっておるのであります。今御質問にありましたスタンプ大将がこの日米安全保障委員会メンバーであるということが、何かアメリカの大きな極東における戦略体制の一部に捲き込まれるのじゃないかという疑問でございますが、アメリカ側としましてははっきりしておりますように、本来この委員としてはマッカーサー大使を当てる、そうして軍事的な意味における問題に関して、その顧問としてスタンプ大将、もしくはスタンプ大将がお差しつかえある場合においては、日本に駐在しているところのスミス中将がこれに当る、こういうことになっておりまして、この構成から、今永岡君の言われるような御懸念をお持ちになることは私は不必要である、かように考えます。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 私の質問は、何と申し上げましてもあなたの基本的な態度の、日本自主的な立場に立って防衛体制を確立したいというそのことが、結果的にはそうでなくなっているというそういう印象を非常に強くしているのであります。そうでないという具体的な保障はこれこれだということをあなたはお示しできるはずであります、もしそうでないとするならば。その保障をこの際ここで明確にしてもらいたい、こういうことであります。アメリカ戦略体制に入っていない、これこれの理由で入っていないのだということを明確にしていただきたい。
  25. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは日本防衛体制につきましては、従来といえども、実は私は従来の政府方針自主独立立場からやるということであったと思います。しかしいろいろな印象から、今永岡君の言われるようにやはりアメリカ戦略体制の一部じゃないかという印象を持ったのです。しかしそうでないということをこれからだんだん明瞭にしていかなければなりませんが、その一つとしては、従来日本に駐在しておったところの陸上部隊あるいは海兵師団を撤退する。そうして日本の国土のなにについては、第一次的には日本自衛隊防衛をする。また安全保障条約から生ずるいろいろな問題も、アメリカの一方的にきめられるというような印象で、日本アメリカに隷属しているのだというような疑いを持つ向きもあるので、今度は両国で、両政府の間において委員会を作ってこれから話し合いでものをきめてゆく、というようなこともその現われでありまして、今後われわれが予算において防衛の実体をきめてゆくというような場合におきましても、これはすでに過般の予算編成においても私はそういう主張をいたしておったのでありますが、防衛折衝というようなことで予算がきまるのじゃなくて、日本各種事情から考え防衛費としてこれくらいのものを必要とするという、政府独自の立場できめたところのものをアメリカ側に通告してゆく、というような態度を明らかにしてゆくということで、これは今までの疑いというものを解くについて、いろいろのそういう懸念を持たれるような事項を一つ一つ自主的に解決してゆくという実績を作ってゆく必要があると私は考えております。
  26. 永岡光治

    永岡光治君 今の御答弁をもってすれば、それは将来の問題だ。将来そういう疑点が取り除かれるように進めていくのだというお話でありますが、これは私は単なる疑点でなくして、たとえば今までは核兵器を持ち込んではいけない、日本は持ってはいけない、こういうふうに答弁しておった岸総理が、この前の委員会承知いたしておりますが、核兵器必ずしも日本が使っていけないということはない、事実今度でも、これは一応後の質問にあろうかと思うのでありますが、原子兵器基地日本は持たなければならないような話し合いになっているやに私たちは思うのであります。あるいはまた七種類の兵器日本が受け入れることになっている、こういう話も承わったのでありますが、そういうことになれば、その疑点が晴れるどころか、ますますどうもアメリカ防衛体制の中に、その意思いかんにかかわず、結果的にはどんどん引き込まれてゆく、という結果になっているのじゃないかということを非常におそれるわけであります。もう少ししっかりと、こういう意味で絶対にそういうことはないのだという保障がとれるような証明はできないのですか。ただ将来考えていこうということじゃなくて、今申し上げました核兵器基地の問題にしましても、あるいはまた核兵器日本が持つ問題にしましても、それはこういうことで日本は持たないのだ、それは持つ必要はないのだ、こういう何かそこにはっきりしたものがなければ安心できないと思うのでありますが、その辺のところを一つ明確にしていただきたいと思うのであります。
  27. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 核兵器の問題につきましては、私所信を明らかにいたしておりますように、これの持ち込みに対してはこれを拒否する、また日本自衛隊核兵器で装備する意思は持たないということは明瞭にいたしております。この前の国会において、憲法上いわゆる核兵器というものが憲法違反であるという議論で、いわゆる純粋の憲法理論として私は私の所感を申し述べたのでありますが、政策としてこれを受け入れない、またこれで装備しないということはきわめて明瞭にいたしております。今回のアメリカとの話し合いにおきましても、そういう問題について私が何らかの言質を与えたとか、あるいはそれについての約束があるというようなことは絶対にございませんので、この点につきましては、私は私が国会を通じて所信を明らかにしておる通りを忠実に守っておりますので、御心配はいらぬと思います。
  28. 永岡光治

    永岡光治君 今の答弁の中でまだ私たちが安心できませんがいずれ時間がありますのでこれは後ほどの機会にただしておかなければならぬと思うのでありますが、先ほど御答弁の中にもありましたように、アメリカ陸上部隊日本から撤退する、日本防衛体制を固めたいというお話でありましたが、このことについてもすでにきまっている既定の事実であって、岸総理アメリカに行ったからそういうことになったのではなくて、すでに数年前よりアメリカ戦略体制というものが、私はやっぱり新しいニュールックの兵器に変っていっているのではないか、おいちにおいちにの兵隊さん、あるいは戦車に乗る兵隊きん、そういうことでは防衛はできない。もうすでに変った、こういうことでアメリカ一つ原子兵器といいますか、科学兵器といいますか、そういう進んだ兵器戦略体制を確立しておりますので、日本からはすでにアメリカ兵隊は撤退するという方針をきめておるのでありますから、それは何もこの際岸総理アメリカに行かれたからそういうことになったというのではなくて、繰り返して申し上げますが、すでにこれは既定方針としてとられておるということか、数年前に明確になっていると思うのであります。そこで今そのお話が出ましたから私はお尋ねするわけでありますが、日米安保委員会等も設けることになったそうですが、この日米安保委員会性格、それからこれに対しまして岸総理、つまりわが方はいかなるものをこの委員会の中に議題として持ち込む、そうしてまたその結論にどういう期待をかけておるのか、これについてお尋ねいたしたい。
  29. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日米安全保障に関する両国政府間の委員会の性質は、いうまでもなくこれが一つ決定機関であったり、あるいは執行機関であるわけではないのでありまして、その性格は当然協議的なものであることは言うまでもないのであります。しからばどういうことをここで取扱っていくかということに関しましては、共同声明にその骨子が明らかにされておりますが、さらに政府がこれに関して声明ではっきりいたしておりますように、第一は日本におけるアメリカの兵力の配備、それから使用というものに関しての協議をする問題であります。これを含めての安全保障条約から生ずる各種の問題を協議する。それから第二は日米安全保障条約国連関係について、この条約が締結された当時は御承知通り国連に加入いたしておりませんでしたから、その国連の憲章の原則に従わしめるようにこの安保条約の実行をしていく、それからさらにこの問題が十分にその本来の目的日本安全保障というものを達するためには、国民的支持が必要なわけでありますから、両国国民国民感情等も十分に取り入れて、これらの案件安全保障条約から生ずるいろいろの問題を検討する、こういうことになっております。しこうして協議した結果として、両国政府がさらに何らかの措置をとらなければならぬという場合におきましては、委員会からそれぞれ両国政府にその意見をただして、そうして両国政府は通常の方法によってそれが処置を決定する、こういう性質及びそういう目的を持っておるのであります。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 重ねて明確にしてもらいたいので、これは重要でございますので端的にお答えいただきたいと思いますが、安保委員会日本から提出される議題、今内閣で予想される、考えておる議題です、どういうものがあるのか、それを明確にしてもらいたいと思います。
  31. 岸信介

    国務大臣岸信介君) それはまだ第一回のこの委員会の会合もいたしておりませんし、委員会においての意見等も一つ十分に聞いて、この運営の方法等も第一回の集まりをしてきめなければならぬ問題でありまして、今日何を一番先委員会にどういう具体的な問題をこれにかけるかということにつきましても、いろいろ研究はいたしておりますが、まだ政府としてこれを最初にかけてこれを提起するのだということは決定をいたしておりません。先ほど申し上げましたところの趣旨に沿うて、いろいろなそれに関連のある問題を提起しよう、それはどういう順序でやるかということにつきましては研究中でございます。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 まだ委員会が開かれておらないからぼちぼちゆっくり考えるというふうにとれるのでありますが、少くともこの安保委員会に期待する最重点の問題は何かという、このことについての答弁は私はできると思うのです。この委員会に岸内閣として何を最重点として期待をしているのか、それを一つ明確にしてもらいたいと思うのです。
  33. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど来申し上げましたように、この委員会安保条約というものに対して日本のわれわれから見ますると、この条約が制定された当時よりは事情が変っておるし、国民感情もこれに対して相当な批判も持っておるので、従ってこれの条約がスムーズに、また日本国民の感情の点から見て、納得できるような方法で少くとも運営されなければならない、これを考えることが第一段である。しかし幾ら運営の面を考えてみても、とうてい今の安保条約では満足せしむることができないというような点に関しては、さらにこれを適当に改訂するというようなことについても意見を交換するということに、当然将来しなければならぬと思いますが、とりあえずは運営をいかにして日本国民が納得し、本来の目的が達せられるのに最も適当であるように運営するにはどうしたらいいかということを、私は第一にこの委員会において取り上げて考究すべきものである、かように考えております。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま最重点は安保条約中心にする問題に限られておりましたが、今日まで安保条約ができましてから運営されました長い実績があるわけでありますが、もう今日までの問題で、たとえばこれから出て参ります日米行政協定等もあるわけでありますが、運用した結果も非常に日本が窮屈な、非常にしかも独立国として忍びないいろいろな結果が出ておると思うのであります。今さらここでもう一度運営について協力を求めた上で、その後を見てそれから改正という問題も起ってきやしないだろうかという、そういう段階ではないのではないか。もういきなり安保条約の改正という問題が、のっけから議題として取り上げられてしかるべき時期ではないだろうか。こう思うのでありますが、岸総理の所見はいかがでございますか。
  35. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はこの前の国会におきましても、また今回のアメリカとの会談におきましても、日本国民の多数がこれが改訂について要望しているという点につきまして意見を述べたのでありますが、これを直ちに改訂するということにいくのには、いろいろ両国とも国内手続等もありますことだし、それよりも実際の問題において解決し得るものが私はまだ少くないと思います。現に今までのごとく、実施の経過にかんがみてみましても、日米両国においてあらかじめ十分な話し合いをし、また、日本国民の感情を取り入れてこれを運営するならば、事態を円満に解決し、もしくは問題を起さなかったであろうと思われることは多々あるのであります。従ってまずわれわれの考えなければならぬことは、現在の条約のもとにおいて、日本国民も納得のできるような運営の仕方というものを両国政府において隔意なく話し合っていくということは、決して無意義ではない。さらに根本の改訂問題というものもあります。われわれは、やはりその問題に関しても深い関心を持っておるわけでありますから、そういう問題についても、これをわれわれは将来取り上げていくということに当然になる、こう思っております。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 どうも時間がないので残念でございますが、次いで、駐留軍の撤退と、これに関係する諸問題の措置の問題があるわけでありますが、これをこの際、総理から明確にお尋ねいたしたいと思うのであります。お考えを聞きたいと思うのでありますが、この米軍の撤退によりまして、先に国防会議で一応決定された防衛計画があるわけでありますが、その整備計画に変更を及ぼすことになるかならないか、この前決定された防衛計画があると思うのです。それはどういうお考えがありますか。
  37. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私どもは、この防衛計画を立てる場合において、先ほど申しましたように、日本独自の立場で、日本自主的な立場日本防衛というものを考えて、それを時に応じ国情に応じて増強していくという長期計画国防会議において検討し、一応の目標を得たわけであります。アメリカ陸上部隊の撤退に関連しまして、直ちにこれを修正し、もしくは改訂しなければならぬとは、実は今日のところは考えておりません。
  38. 永岡光治

    永岡光治君 また、この関連の問題について、後ほど追及するでありましょうが、次に、この米軍の使用いたしておりまする射撃場あるいは演習場その他の施設の返還でございます。当然これは返還されるものと予想しなくちゃならないのでありますが、これらの返還後における使用計画は立てておるのかどうか。
  39. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 米軍の撤退に伴いまして、これが必要としておった基地は、当然返還を受けるということは当然でありますが、いずれも、それをどういうふうに今後使用していくかということにつきましては、防衛庁におきまして具体的に検討中でございます。
  40. 永岡光治

    永岡光治君 特に、撤退をいたしましてから、今問題を起しております、特に防衛庁長官等がその問題に関して折衝も重ねられておると思いますが、駐留軍の使用者の措置の問題であります。それぞれまあ関係者の方から、政府当局に強い要望が出ておると思うのでありますが、予算があるとかないとかいうことでなしに、すでにこの駐留軍が撤退すれば、その分担金の問題についても、余裕を生じて参るのでありますが、その問題についても、当然これは処置すべきであると思うのでありますが、そういう万全の措置を講ずる考えが、所信があるかどうか、それを明確にしてもらいたいと思うのであります。
  41. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この駐留軍の撤退に伴いまして、一番重要な問題の一つである労務者の問題であります。すでに過去におきまして、呉市を中心の英豪軍でありましたかの撤退によって、相当数の失業者が一時に出ますのに対して、政府としても、またわが党としましても、いろいろな具体策を講じて参った経験を持っております。従いまして、これら駐留軍関係の労務者に対して、適当な他に転職の方法を講ずるとともに、これらに対する措置というものは、これに伴って必要な予算的措置が必要であれば、十分これは考えていかなければなりませんし、あらゆる面において、これから失業の大きな不安を生じないように、政府としては万全を尽す考えで、それぞれ具体的に考究をいたしております。
  42. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、国防会議の決定事項に関連して、二、三総理にお伺いいたします。  防衛庁設置法の国防会議の項を見ますと、第四十二条ですか、内閣総理大臣は、国防基本方針とか防衛計画防衛産業の大綱、こういうようなことについて国防会議に諮らなければならない、こういうふうに決定しておると思いますが、この今の防衛計画については、前に一部決定せられたようでありますけれども、まだ年次計画については、決定を見ていないように伺っておるわけであります。果してまだ決定していないのかどうか。もし決定していないとすれば、この段階でまだできていないということは、総理として怠慢のそしりを免かれぬじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますが、もしそうだとすると、いつごろこれを諮られるのか、その点を明確にしておいてもらいたいと思います。
  43. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 国防基本方針並びに防衛力整備目標についてという発表を、六月の十五、六日ごろでありましたか、いたしたのでありますが、それはたしか六月十四日か五日の国防会議において、この両者が決定をいたしたのであります。ところが、国防基本方針の方は、一つの抽象的な何でありますから、一つ方針としてこれを決定したわけでありますから、この防衛力の整備の目標につきましては、一つの目標を決定いたしまして、それに至るこの年次計画や、またそれに伴うところの諸種の細目につきましては、引き続き国防会議においてそれぞれ研究をいたしております。いまだその決定を見るに至っておりません。しかし私どもは、これは来年度の予算編成には非常な重要な関係をもつわけでありますから、そういう予算編成に必要な時期までにその結論を出すように、督励をいたしております。今、何月何日にはそれを決定するということをここで明確に申し上げることはできませんけれども予算編成の時期までに間に合うように、これらの問題を、この細目をできるだけ詳細に決定をいたしたい、かように考えております。
  44. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 同様の意味で、防衛産業調整計画の大綱、これは、防衛計画と密接不可分な関係にあろうと思う。非常に大事な問題だと思う。この点についても、聞くところによりますと、まだ決定していないやに承わる。もしそうだとすれば、前の問題と同様に、非常な責任があるのじゃないかと思いますが、これについてはいつ決定されるか、明確にお答えを願いたい。
  45. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御指摘のごとく、防衛産業の確立ということは、これは防衛の見地から見まして、きわめて重要なことでございます。従来それについての十分な計画が立っておらないし、まだその方面における諸種の措置が有効に働いておらないということは、はなはだ遺憾でございますので、これにつきましても、今申しました目標の細目と並行して、考究をいたしております。
  46. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、国防基本方針に関連して、二、三伺いたいと思いますが、この第二項については、民生の安定と愛国心の高揚、こういう点について強調しておるようなわけですが、もちろん、民生の安定なくして軍事関係を強力にするということは、国民が納得しない、不可能である。そういう点で、私どももそれだけの意味はよくわかりますけれども、さて問題は、民生の安定にしろ、防衛力の充実にしろ、相当巨額な予算を必要とするとともに、このどちらも非常に膨大な金を必要とする、この二つの問題をどちいうふうに調整するかということが非常に重大な問題だと思う。そこで、これをどういうように調整しようと総理考えておられるか。これを具体的に御説明いただきたいと思います。
  47. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御指摘のごとく、この防衛というものを考えていく上におきまして、これは言うまでもなく広い、ただ普通に狭義でいわれる防衛力というものを増強しただけで、国防というものは完成するわけじゃございませんで、民生の安定ということは、私はむしろ基礎的な考え方である。考えをそこに置かなければならぬと思う。われわれが防衛力の漸増を考えた場合におきましても、国会と国情に応じてこれを増強していくという方針を従来とも明らかにいたしておりますが、言うまでもなく、国民が納得し、国民協力し、国民の力によってこの国が守られるということでなければ、ほんとうの意味における国防というものは成り立たないわけであります。従って、われわれが予算を具体的に編成する場合におきまして、民生安定に関する経費と、狭い意味における防衛費関係をどういうふうに調整するかということにつきましては、これは、予算編成に当って、具体的に政府として責任をもってきめなければならない重大な問題であります。今どちらへ、国民所得の何割は民生安定に向け、何割は狭義の防衛に充てるのだと言うことは適当でないと思いますが、私としては、十分にこの民生の安定ということがあって、これが広い意味における真の意味における国防というものの基礎でありますから、そういう点に関しましては、十分に予算編成に当りましては考慮をいたしたいと、かように申し上げておるのであります。
  48. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その問題に関連して、本年度の国の防衛予算を見ますと、大体約千四百億というふうに記憶しておりますが、なおそれには、昨年度からの繰越金と不用額六十億を含めて、大体三百億ぐらいになるわけです。こういうものを本年度に繰越すとすると、膨大な千七百億という数字になる。国の防衛については、そういうような巨額な金が使われておるわけでありますけれども、大事な民生の安定の面についての予算については、私ども一つ一つ検討しても、非常に不十分であるというように考えられるのです。そうして、口では民生の安定と防衛と平行してというふうに言われておりますけれども、果して総理は、民生の安定について、今後どういうふうにお考えになるか。今の予算で十分と思うか。防衛費の千四百億ないし千七百億に対して、現在の民生安定に関する予算がそれで十分と思うかどうか。この点を明確にしていただきたいと思う。
  49. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 申し上げるまでもなく、すでに三十二年度の予算につきましても、御審議をいただく場合に、いろいろな御批判や御意見等も承わったのでありまして、政府も、三十二年度の予算が万全のものであり、これでもってすべてが十分であるということは絶対に考えておりません。従いまして、その意味において、私は、従来政府が処置してきたところの民生安定に関する予算的措置が、現行の予算でもって十分であるということは決して考えておりません。
  50. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この民生の安定とともに、愛国心の高揚ということをこの二項で強調しておられるわけですけれども、この愛国心の高揚については、どのような構想でおられるか。具体的な面について、一つお伺いしたいと思います。
  51. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 愛国心の高揚という問題につきましては、言うまでもなく、国を守るということは、国民がその国を愛し、その国は他から不当に、もしくは不正に侵略を受けないよう、われわれはわれわれの力でもって国を守り、民族を守るという考えに立たなければ、ほんとうの防衛国防にならないということは言うをまたない。その意味において、私どもは、やはり民生の安定と同様に、国民の国を愛し、国を守ろうという気持がなければならぬと、こう考えまして、この愛国心の高揚ということを掲げておるわけであります。しかし、この愛国心の高揚のそれじゃ具体的方法如何という御質問でありますが、これは必ずしも私は説教をして、国を愛さなければならぬというような理論を説くことでもなければ、いわゆるかってありましたような、戦前にありましたような、あるいは国民総動員運動を起すとか、そういうような方向によってやるべきものじゃなくて、十分に国民日本を愛し、またこの社会をりっぱなものにしようという意欲ができるようなりっぱな国をここにおいては政治上作っていって、そして国民が心の中からこの国を守ろうという気持が出てくるような諸種の施設も伴って、この真の愛国心というものは私は涵養でき、これを高揚できるものだと考えております。従いまして、その具体的方法につきましては、決して一にして足りないわけであり、また、従来戦前等において行われたような、いわゆる愛国運動というようなものを私は展開する考えは持っておりませんで、むしろ政治そのものをりっぱなものにして、国をりっぱなものにして、みんながこれを守らなければならぬ、これを愛さなければならぬというような心持を心の中から国民が持つような環境を作り出すことが必要である。かように考えております。
  52. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、基本方針の三の点で、国力、国情に応じて云々とあるわけですが、その三項で問題になるのは、効率的という言葉だと思うのです。この効率的という言葉が核兵器その他を含んでおるのかどうか、あるいはまた、そういう点はわからないで効率的というような意味に解するのか、いずれにも解釈できるわけです。こういう大事なことがあいまい模糊として、非常に都合が悪いと思うのですが、そこで、それをはっきり、どちらを意味するのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  53. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私ども、三十二年度の予算を編成するに当りまして、編成方針として、量よりも質に重きを置いてこの防衛力を増強するということは申し上げましたが、ここに効率的な防衛力ということを言っておりますことにつきましても、これはすなわち、われわれは、できるだけこの予算を有効に使って、そうして最も有効なもので国の防衛というものを完成していかなければならぬ。それには、私は、科学の進歩についての科学的な研究も必要であると思います。また科学的なこの管理方法もしくは組織等についても、十分考えていかなければならぬと思います。しかし、核兵器の問題につきましては、これは、科学の進歩のなには別といたしまして、私どもは、これで装備をする意思は持っておらないということを先ほども明確にいたしておりますように、それは考えておりませんけれども、しかし、いつまでもわれわれは、ただ数でこれでいいのだ、あるいは、もしくは極端に申しますと、旧式の兵器だけでいいのだ、進歩には一切そういうものを度外視して、数と旧来の装備でやるということは、これは間違いであって、やはり装備は、改善した最も有効な方法をとらなければならぬ。しかしわれわれは、われわれの経験から見て、あるいは真の国民感情から見て、核兵器でもってこれを装備するという問題は絶対にない、こういう考えを持っております。
  54. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 もう時間がございませんので、この点だけ重ねてお伺いしますが、今の核兵器については、総理は口ではそうおっしゃいますけれども、例の日米合同声明等を見ましても、核兵器を持ち込まないとか、あるいは核兵器部隊については断固として拒否すると、そういう明確な明文が見られないわけです。ただ、口ではそうおっしゃるわけですが、そういう点を明確にして、不安にかられておる九千万国民を安心させないかということをお伺いしたいわけです。
  55. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今度の日米会談に基きまして、先ほどから御質問ありました通り両国政府間のこの合同委員会というものを作ることになりました。そして、日本における兵力の配備については、ここで協議して、その協議の結果できめるということになっております。われわれ日本政府を代表する委員もすでに明らかにしているように、原子力部隊というものの駐留は許さない、こういう考えを持っておりますから、従来心配されておったように、決して日本が知らないうちに入っておるじゃないかというような、幾ら政府が拒否するということを言うておったって、向うが一方的に持ってきた場合にはしょうがないじゃないかというお話がございましたが、そういうことが絶対にないといち保障は、今度の話し合いの結果きまっているのでありまして、そうして政府方針は、国内的にはっきりいたしているように、これを拒否するということになっておりますから、今御心配のような点は絶対にないと、こう私は了承していただきたいと思うのであります。
  56. 藤田進

    委員長藤田進君) 岸総理にちょっとお伺いいたしますが、国防基本方針の第三という一項をあげて、重要な点を今質疑されたわけですが、効率的な防衛力を漸進的に整備するんだということは、戦争が起った場合に、わが方の殺傷その他被害を最小限に食いとめて、敵側の大量殺戮ないし戦力を破砕するんだ、武器、兵器の面から見ると、そう解釈ができるわけですね。効率ということは果してそうであるかどうかという点をお伺いしたい。
  57. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 言うまでもなく、この防衛力の装備は、敵から攻撃を受けた場合において、こちらにおける損害を最小限度にとどめ、そうしてわれわれに対して不正な侵略をしてくるものに対して大きな損害を与えて、その侵略の意思を破砕し、そうして国の安全を保障するということにあるわけでありますから、今、委員長の御質問のように、そういうような科学的な研究なり、装備の改善というものは、そういう方向にやるべきものである。しかし、核兵器については別個の考えを持っている。こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  58. 藤田進

    委員長藤田進君) そうしますと、核兵器等は使わないで、その侵略に対抗していく。しかし、それでも侵略してきて、負けそうだという場合には、負けても原子兵器は絶対に使わないのだ、そういうふうに割り切れるわけですか。
  59. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは、今お話通り、われわれは効率的な防衛力というものを持つけれども核兵器は持たないということを明らかにしているのでありますから、その持たないために敗れるというようなことがありましても、それはやむを得ない、こう思っております。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 大へん時間が少いようでありますが、私は、この核兵器の問題で、具体的に三点くらいに分けて、簡単に一つお尋ねしたいと思いますので、総理の方でも一つ右か左が、簡単にはっきり答えていただきたいと思います。時間がとられますと、私の方も質問がまた制約されますので、その点お願いしておきます。  それで、第一にお聞きしたいことは、米軍が原子兵器日本に持ってくるのじゃないかということは、米側からのいろいろな情報、いろいろなことから、国民が非常に心配しているわけですねこれに対して岸総理は、いや、それは断わると、こう従来からも害われておりますし、本日もそうおっしゃっているわけですが、しかし実際は、この原子兵器の一部というものは、すでに日本に持ち込まれておるというふうに私ども調査ではなるのですが、そうなりますと、これは単に持ち込み反対とかいうのじゃなしに、重大な問題だと思うのです。で、私具体的にお尋ねしたいのは、たとえば板付、横田、千歳、これらの各飛行場あるいは米軍の横須賀基地、こういう所では、原水爆を搭載する飛行機なり艦船がおる。こういう点については、岸総理はどういうふうにお考えになって、おるのでしょうか。
  61. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、日本の国内でもって原子力部隊が駐留したり、あるいは原子力兵器の一部が持ち込まれておるとは、私はそういう事実は全然知りませんし、また私は、そういう事実はないと思います。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 それは、総理大臣として大へん認識不足だと思うのです。今年の三月でしたが、私ども参議院の内閣委員会で板付基地調査に参りました。そのとき、私ども調査に立ち会って説明をされた基地の副司令官であったと思いますが、板付基地に昨年の十月から来ておるセンチュリー台のジェット機、これは原爆搭載機でありますと、こういうことをはっきり私どもに言っておりました。私どもは、ほかの情報からしても、千歳にも大体同じ戦闘爆撃機連隊がおるとこういうふうに聞いておる。それから、東京の近くの横田、あそこにはB57を中心にした戦術爆撃機隊がおる。これは、原子爆弾を常にいつでも搭載できる飛行機です。それから横須賀の第七艦隊ですね。これも戦術原爆なり小型水爆を常時備え付けておる。こういうものだと私どもは聞いておるのです、これは全くのうそだというのであればその点を明らかにしてほしいし、もしうそであれば、板付の副司令官の言ったことは、これは大へん私失言だと思うのですが、そういう点は、一般的に言われておることなんです。総理大臣も、おそらくうわさとしてはいろいろお聞きになっておるのだろうと思いますがね。率直に一つお答えを願いたいと思います。
  63. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 従来、原子兵器の問題につきまして、各種の具体的な兵器やあるいは飛行機、船舶等について、これが原子兵器といわれるかどうかというような議論も従来十分あったのでありますが、今御指摘になっておるように、その飛行機に原爆が搭載できるとか、あるいは艦船に原爆が搭載できるとかというふうなものにつきましては、私、専門家でありませんので、よく事情はわかりませんけれども、少くともいわゆる原子兵器核兵器というものが日本に持ち込まれ、また現在それでもって装備されておるところの兵力が日本に駐留しておるということは、私は絶対にないと、かように了解をいたしております。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 絶対にないと了解すると言いましても、参議院の内閣委員会調査したときに、そこの副司令官がそう答えておる。これは、参議院の調査報告の速記録にも載っておるのです。そういうことがあるのにですね。そういうことはあるけれども、それを原子兵器と解釈しないという意味なんですか。そういうものは全然おらぬという意味なんですか。どっちなんです。
  65. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今申し上げましたように、私考えるところによれば、今、搭載できる飛行機を原子兵器というか、あるいは搭載し得るような艦艇はこれを原子兵器というかということになれば、これは兵器の解釈の問題でありますが、私はそうは考えないのであります。従って、もしも御調査の場合に、その飛行機には原子兵器を搭載できるのだという話があったとしましても、それでもって直ちに日本原子兵器が持ち込まれておると、こち解釈することは適当でないだろうと、いわゆる原子兵器といろものの意義からみましても、そういう飛行機をつかまえて、すぐそれを原子兵器ということは適当じゃないんじゃないか。この前に、誘導兵器について、誘導兵器というものが、誘導弾に核弾頭をつければ、それは原子兵器になることは言うを待たないのだが、誘導兵器というものことごとく、これが原子兵器なりと断ずることはどうだというような議論も、国会でしばしば行われたと思いますが、私どもは、誘導兵器については、やはり政府自衛隊におきまして研究をいたしております。しかし、原子弾頭を持ち込む、原子弾頭をつけるものについてわれわれが研究をするとか、もしくはそれを使用するということは、これは絶対にいたしておりません。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 まあ原子弾頭の問題は別としまして、原水爆を搭載し得るものがこちらに来ておれば、まあかりに、敵と言っては語弊があるかもしれませんが、敵側から見れば、日本はすでに原水爆基地になっておる、こういうふうに解釈するのが当然じゃありませんか。やはり戦闘ということになれば、その飛行機なら飛行機、兵器が最大の能力を発揮できるような状態でこれが動く、これは私は当然だと思うのです、ほとんど。だから、あちらから見れば、これらに、そこに搭載する原水爆がどこに隠してあるか、これはわからぬ、わからぬけれども、搭載し得るものが来ておれば、近所にあるか、あるいはいざという場合にはすぐ持って来れる状態になっているかどちらかだと、こういうふうに解釈するのは当然じゃありませんか。そうすれば、総理はよく、直接の原子兵器、たとえばオネストジョンの場合の原子弾頭、そういうことをこう切り離してよく説明されるのですが、しかし、海外で一般的に見たら、そういう切り離しは私はきかぬと思うのですよ。そういうふう、に、岸総理日本を原水爆の基地にしないというのであれば、やはり外部から見てそういうふうな印象を受けるようなもの、そのものをもやはり一掃してしまう、こういうことでなければ、私は首尾一貫しないと思うのですが、こちらだげの主観的な主張で、幾ら原子爆弾そのものと飛行機と別だと、こういうふうなことを言っても、相手はそう解釈しないと思うのですが、どうでしょう。
  67. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いわゆるこの防衛の場合におきましては、われわれは、あくまでも侵略を防ぐという、この防衛の、自衛の本旨に徹しているわけでありまして、相手方が、いわゆる侵略して来るもののあることは当然で、実際働くときはそうでありますが、従って、それをどういうふうに考えるかという問題ももちろんありますけれども、私は、一方によるというと、さっきも申し上げたように、科学的な研究なり、あるいは技術の進歩に伴って、効率的な防衛力を持つ必要があることは、これは私は、それをしなければ有効な安全保障はできないと思う。しかし同時に、原水爆については、日本は人道的立場から、すでに世界にもその禁止を強く要望しておりますし、またわれわれの体験から見ましても、これは人類の何として、この原子力というものは福祉のために用いられるべきものであって、破壊的な目的に用いられてはならぬという、強い国民的信念の上に立っているわけでありますから、従って、いかなる意味においても、われわれは原子兵器で武装しないということを明らかにしているわけであります。しかし、今言っておる通り、その飛行機が原子力、原下爆弾も積めるが、その他のものも積めるというよう、なものであり、また、あるいは誘導弾にしましても、原子弾頭をつければ原子兵器になるけれども、その原子弾頭をつけなくても、そのものの効果というものは誘導兵器として効果があるのだというふうなものにつきましてわれわれは研究し、あるいは必要があればそれで装備するということは、これをもって直ちに原子力兵器でもって装備した、もしくはそういうものを、それに関連があるからことごとく、また相手方がそう考えるからことごとく、それを原子兵器考えて、そういうものを一切持たないのだということは、私は行き過ぎであろう、こう思っております。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 その点だけで議論をしておりますと、非常に時間がかかりますから、まあ私の意見としては、少くとも世間から、世界からそういう原水爆基地になっておるのではないかというふうな印象を与えるような政策、これは私はまずいと思うのです。これは十分総理は、板付の基地なり、横田、千歳あるいは第七艦隊の現状、こういうことなんかはよくお知りにならぬようですが、やはりこれは重大なことですから、防衛庁長官をしてでもよく調査させて、調査をしてごらんになれば、また心境は私は変ってくると思うのです。おそらくわれわれと同じような心境になるだろうと思います。だからそういう意味で、これはただ米軍の問題だからということでなしに、徹底的にやはり究明してもらいたいと思うのです。少くとも内容だけはつかんでもらいたい。  それからもう一つは、この鳥取県の米軍の美保の通信基地でございますが、これは、従来はまあ三・四十本ぐらいしかポールが立っていなかったような通信基地ですが、最近、これが約二百町歩の場所に、百八十本余りのポールを立てて、大拡張をやるわけなんですね。従来この通信基地は、まあしろうと目に見ましても、単なる通信であれば、こんな大拡張はとても必要がないというふうに考えておるのです。で、聞くところによると、これは、日本本土では最大の通信基地になるのではないかというふうに聞いているわけですが、一体米軍がなぜこういう大きな通信基地を持つのか、この内容について、総理大臣はどういうふうに考えておるか、具体的にこれはお答え願いたい。現実に調達局長の方から土地をくれとこう言って、農民の方に働きかけてきておるわけでありますから、おそらく総理大臣の方でも、これはおわかりになっていると思うのです。
  69. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 美保の問題につきましては、私は具体的に承知しておりませんから、調達庁長官をしてお答えをきせます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 これは、総理大臣に私は具体的にこういう問題はつかんでほしいのです。調達庁の方は、もし地元の農民が言うことをきかなければ、強制収用をするとは、まだはっきりは言っておりませんが、しかし、しかねまじきやはり態度でいることは事実なんですね。そういう問題については、これは当然総理大臣が認定を下すわけなんです。だから、収用認定の段階になって、初めて総理大臣がそういうことを知るということではまずいと思うのです。重大な問題ですから、私は当初の交渉の段階から、総理大臣みずからがこの問題は知っておってもらわなければ困ると思います。お知りになっておらないのであれば、今一つお聞き下さって、あなたからこれは御答弁願いたいと思います。
  71. 藤田進

    委員長藤田進君) この点の詳細については、後刻、防衛庁長官が担当大臣ですし、それから調達庁長官出席ですから、お答え願うとして、基本的な問題だけを総理大臣からお答願いたいと思います。
  72. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 美保において、米軍の方で、通信部隊における通信の調査基地として、美保を拡張したいという希望があるそうです。それは、純粋に通信のために使用する基地でありまして、それについての具体的の措置等については、調達庁においてそれぞれ措置しているということでございます。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 私どもがいろいろ聞き、あるいは若干そういう専門家の意見等も聞くわけですが、これは、単なる通信ではなくて、もっと進んだもの、たとえば大陸から来る攻撃機に対する哨戒網というのですか、そういうもの、あるいはもっと進んだ、将来の誘導弾基地に備えての施設、こういうふうなことを私ども実は心配しているのです。あまりにも従来のものと規模がかけ離れ過ぎていますから。しかし、この問題について、今こまかくいろいろお聞きしますと時間をとりますから、後ほど防衛庁長官なり、調達庁長官から、もっとくわしく一つ説明を求めてみたいと思っております。  そういうわけで、総理大臣核兵器の持ち込みはしませんと、言っているが、実際はそれに関連する搭載機とか、あるいは原子兵器を動かす施設、こういうものが目の前に出ているわけですよ。次にお聞きしたいのは、現在の日米間の法律的な関係、これは正規にいえば、安保条約と行政協定であるわけですが、純粋に法律的な解釈からいうならば、米策が原子兵器を持ち込んでくるという場合に、これを断わる法律的な根拠は、私はないと思う。総理大臣は持ち込もうとする場合には断わる方針だ、それは大いに断ってもらうのはけっこうです。しかし、一たん事がある場合に、そんなことを言うておれないというので、米軍が持ち込んでくるという場合に、これを断おる法律的な根拠があるのか、あなたの政治的な気持なり、そういうことはわかりますが、安保条約と行政協定のもとにおける状態では、その根拠はないのじゃないかというふうに私ども考えているのですが、その点どうでしょう。
  74. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御指摘のように、現在の安保条約の文言の上から見ますというと、米軍が日本における兵の配置や装備について、一方的にすべてできるような条約の文言になっております。私どもは、それは非常に適当でない、従って、これを改訂して、少くとも日本安全保障については、日米が同等な立場でもってそういうことの必要について十分な意見が一致した場合における装備や配備を考えるべきであるというふうに、従来も考えておるし、また国民の大多数もそう考えておる。ところが、今の条文の上からそうなっておりません。そこで、今度日米両政府間における合同委員会におきまして、そういう問題を含めて安保条約から生起する問題をここで協議するということになっておりますから、日本政府の意見というものは、この協議の場において明確に示し得るのでありまして、これは協議がまとまらなければできないということは当然であろうと思います。従って従来よりは、私が言うていることが、この委員会を通じて実現できる、こう私は確信しております。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの総理答弁から見ましても、安保条約のままでありますと、原子兵器持ち込みについては日本側としては非常に危険な状態にあるというふうに私ども感ずるわけです。そうすれば、単なる日米間の話し合いというものじゃなしに、この原子兵器の問題についての特別な条約なり、新しい正規の合意ですね。こういうものがはっきりするまでは、結局その危険性というものは私は続くと思うのですね。そういう状態にあるのですから、たとえばせんだって岸さんが渡米されたあの場合に、この原子兵器持ち込みについて、何も懇談されなかったようですね、この問題は。懇談されなかったということを新聞で私ども見たのですが、そういう危険な状態にあるのに、それを懇談されなければ、世間が疑うように、原子兵器の持ち込みについて暗黙の了解を与えている、こういうふうにとられますよ、あなたの立場が。だから、ほんとうに危険を感じておるのであれば、アメリカに行かれた場合に、この点については特別の合議をすべきだということを、なぜあなたみずからが積極的に切り出さなかったのかということを、私ども非常に実は不思議に感じているのです。あちらは自分に不利だから言いたくないでしょう。あちらは黙っていてもこっちから持ちかけていくべき重大な問題ではなかったかと思うのですが、それを、なぜあなたが持ち出すことをされなかったのか。
  76. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この問題に関しましては、先国会においても、今、亀田委員が御質問になられたように、また、そういう御懸念を表示された方も少くなかったのでありますが、私は、従来アメリカ国防省やあるいは国務省におきまして、原子兵力を日本に相談せずに持ち込むことはないということを、今年の一月に声明をしたことも、御承知通りあったのでございます。そういう点についてわれわれの意思も、すでにその当時国会を通じて明らかにしていることであって、御懸念いらないということを、私自身は、国会を通じて私の所信として申し上げておいたのであります。そういうような関係から申しまして、今回の合同委員会がそういう細部の問題についても協議してそれをきめるということをしております以上、それに対して日本側の意見を十分に述べて、そうしてこれを拒否することができるという確信を持っておりますので、その点に関する別段の話し合いや取りきめをしなかったわけです。今、いろいろの御心配があるようですけれども、私は、政府方針がはっきりしている限り、この日米合同委員会を通じてこれを拒否することは十分できる、こう思っております。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ次の最後の問題をお尋ねいたしますが、ただいま第三回の原水爆禁止の大会が、きょうが最終日ですが、行われております。大会でこの原水爆と基地の問題が相当論議されました。しかし、大部分の人の意見というものは、原子兵器がこれだけ発達してきて、そうして基地政策というものがとられている今日の状態では、基地と原水爆というものを切り離しては考えられないと、原水爆がいやであれば当然これは基地にも反対をすべきだ、不離一体になっておる。抽象的にはこれは分けて考えることはできます。しかし、現実的にはそうはなっておらない、これがほとんどの人の常識的な判断です。で、そういうことから考えますと、これがもし原水爆禁止運動が――この大会にもメッセージをいただいて、みんな喜んでいるわけですが、もしほんとうにその気持でお考えになるのだとすれば、たとえば砂川、小牧、先ほどの美保、ああいったような新しいこの基地の拡張といったような問題については、よほど慎重にその内容等も検討されて、そうしてやるべきじゃないか、これは社会党と自民党の場合には、再軍備政策については立場が非常に違いますけれども、しかし、原水爆問題については必ずしもそうではないはずです。だから、そこに基地問題というものが結びついておるわけですからね、それを無理やりに引き離して考える方がむしろ現実的じゃない。そうなりますと、もう少し基地問題というものを、これは二、三年前の基地問題よりも、そういう点では質が変ってきておるはずです。ほんとうに原水爆がいやであれば、この基地の問題について、もうちょっと慎重な態度、たとえば、今、総理大臣立場基地反対なんというようなことは当然言えないでしょうが、ともかく原水爆禁止運動というものがまだ完全に実を結んでおらないわけです、現状では。これが実を結んでしまったら、また基地問題というものをあなたのような立場でやられることは若干了解できる、これがそうじゃない現状では、当然これはもっと慎重におやりになるべきじゃないか。ともかく基地問題についてあれだけ全国の人たちが応援に出かけて来る、これは何も社会党や総評がアジるからだけではございません。そういう点をどういうようにお考えになっておるか、端的に、一つ正直なところを。
  78. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 基地、ことに今問題にされている基地というのは、おそらく航空基地――飛行場を中心としている航空基地の問題だろうと思います。これは亀田委員も御承知のように、近時、飛行機が非常に発達をいたしまして、従来のプロペラの飛行機からジエット・エンジンになり、飛行機の大ききも従来よりも大きくなる、あるいはスピードが非常に早くなるというような関係上、離着陸の場合における滑走路の長さが非常に長くなっているというような点から見まして、これらの基地の拡張というものが論ぜられておる一番大きな原因が私はそこにあると思います。これはもちろん今の飛行機の発達に応ずるような必要な距離の滑走路を持たなきゃならぬということは、航空基地を持たなきゃならぬことは、当然であると思います。しかし、それが同時に先ほど来お話しになるように、原水爆を搭載したところの飛行機なり、あるいはそういう核兵器でもって装備をするような飛行機というものは、エンジンにおいても最も性能の高いものになっていくことは、これは当然だろうと思います。そういうものが発着したりするのに、どうしても長い距離が要るということだけを論ずることは、最近の飛行機の発達の状況を見ると、私は言えないのじゃないか。それが本来の飛行機の性能から見て必要なんである。同時に、それが一方から言うと、今御懸念になっているように、原水爆に関係があるのじゃないかという議論も出てくるのだろう、しかし、その原水爆をきらう意味において、ジェット機も発着できないような飛行場では、これは私はやはり飛行機の発達の現状から見て、適当じゃなかろうと思います。  これらの事情から、この基地の拡張の問題は考えるべきものである。しかし、原水爆の禁止問題に関しては、私は、亀田君がお話しになった通り、これは超党派的な問題であり、日本国民は、保守、革新のいかんを問わず、強くこれを熱望しておるのでありますから、世界に向ってこれを強く主張し、これが実現をはかることについては、私、従来にも増して、今後努力をいたしたいと考えております。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 最後に一点、はっきりこれはお答え願いたいのですが、原水爆禁止大会でも、この原水爆実験の問題はこれを無条件で即時停止する、こういうことを国連並びに各国の政府に働きかける、こういう意見がもち圧倒的です。無条件即時です、これは。おそらく岸総理の手元にも、そういうふうな態度国連に行ってもらいたい、外務大臣もそういう立場で派遣してほしいという要求が来ると思いますが、総理大臣はそれに対してどういうお考えでしょうか。
  80. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 気持から申しますというと、私もそういうふうに考えます。即時無条件にやめられるということが最も望ましいと思う。ただ、国連にわれわれがどういう提案をし、どういうふうにやっていくかということにつきましては、なお国連の一般の空気なり、それからそれを有効にやっていく方法というようなものも研究をしたいと思います。しかし、趣旨から申しまして、私も全然そういう気持については同感であります。
  81. 藤田進

    委員長藤田進君) 亀田君に申し上げますが、まだ質問あろうかと思いますが、この程度にお願いしたいと思います。  私は、この際大きな、政治上問題になっている三点について、当委員会を通じて総理所信を伺っておきたいと思うのでありますが、その第一点は、臨時国会開会要求があるわけでありますが、これに対して与党を通じては十一月短期の臨時国会等々発表がなされているようで、しかも総理の了解を取りつけたとも言われているわけでありますが、この臨時国会に対する召集に関して、首相の御所見を伺います。  その次に、参議院としても衆議院の解散というのは非常な影響を持つわけでありますが、これが臨時国会後を予想するのか、あるいは予算成立後の四、五月を予定するのか。相当今日政治問題になっているようにもうかがわれるわけでありますが、これに関する所見。  さらに第三点は、社会党から公開質問書の形で逐次公開質問がなされているようでありますが、これに対して社会党と対決をする立場態度をお持ちになっていると伝えられている岸総理としては、これにお答えになるのかならないのか、この三点を、この際明確にしていただきたいと思います。
  82. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 臨時国会につきましては、正規の要望がございますので、政府といたしましても諸般の準備を整えて、これをできるだけ早い機会に開くという方針のもとに、準備を急いでおります。党の一部等において十一月の初めであるとか、あるいは十月の終りであるとか、いろんな意見も出ているようであります。これは内閣においてそういう議論もあることも事実でありますが、まだ決定をいたしておりません。できるだけ早い機会に開きたい、かように思っております。  それから第二点の解散の点につきましては、現在われわれといたしましては解散ということは全然考えておりません。ことし考えないのみならず、予算が成立したら解散しようなんということも考えておりません。  第三点の公開質問書の点につきましては、実は私は文書で質問されているので、文書でお答えをすべきではないかということを、政府部内で申したのでありますが、当時社会党の代表者、この文書による公開質問書を持っておいでになった方の御意見を聞いてみるというと、必ずしも文書で返事をせよということじゃなしに、できるだけ早く国会を開いて、国会を通じてこれらのわれわれの質問に対して堂々とその所信を明らかにしてもらいたい、こういうことの御趣旨であるように私も伝え聞いておるのでありまして、そうすると、最初の御質問にありました臨時国会を、できるだけ早い機会に開くということによって、これらの御質問にお答えする、国会を通じてお答えしたい、かように考えておりします。
  83. 藤田進

    委員長藤田進君) そういたしますと、先般川島幹事長が岸総理と会見をした後発表された臨時国会は十一月、五日ないし十日間程度の短期に召集をすることにきまったということが伝えられておりますが、その根拠はあるのですか、ないのですか。
  84. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 幹事長及び党でもいろいろ研究をしているようであります。私の方、内閣においても研究をいたしております。そういう話はございましたけれども、こういうふうにしようということを決定をいたしたわけではございません。しかし、そういう意見を幹事長が申していることは事実です。しかし、十分にそれは政府部内の準備その他の関係もあるし、また、臨時国会において取り扱うべき具体的問題等もあるから、一つの意見として聞いているというだけでありまして、政府与党の間の話し合いとして決定をいたしたわけではございません。
  85. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は、第一に在日米軍の撤退のいきさつ、並びに内容についてお伺いいたします。  日米共同声明には、アメリカ日本防衛整備計画を歓迎し、一切の在日地上軍を撤退する、こういうことがうたわれておりますが、この防衛整備計画というのは、陸上十八万、海上十二万四千トン、航空千三百機ということであると思うのですが、さらにそれよりも詳細な計画アメリカお話しのようでありましたならば、その内容を伺いたいと思いますのと、それから、アメリカが地上軍撤退を申し出たことは、この計画の計数そのものに賛意を表して、地上軍を撤退、こういうことに踏み切ったのか、あるいは日本防衛努力をするという、その努力の方向を認めて、地上軍の撤退をやるのだ、こういうふうな腹をきめたのか、あるいはまたアメリカの世界戦略の一環として、各国に派遣しているところの地上軍を撤退する、そのうちの一部として日本の地上軍も撤退する、こういうことに踏み切ったのかどちかという点をまず伺いまして、次には地上軍撤退の計数と、残存部隊がどのくらいの実数になるかということを伺いたい。  それからもう一つは、この日米安全保障委員会共同声明によりますと、米軍の配備並びに使用という言葉がしばしば使ってありますが、兵員の増減に関することは書いてございませんが、今度の地上軍の撤退のような、アメリカの兵員を非常に減らすというようなことは、一体日本の同意を得なくていいのかどうか。将来の日米安全保障委員会議題として海上並びに航空部隊が将来増減されるというときには、あらかじめこれを議題に相談なされるかどうか。  これらの点をまず伺いたいと思います。
  86. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 防衛計画の点につきましては、すでに発表いたしておりまする防衛力整備目標についてというこの数字以外にアメリカに示したものはございません。内容的の細目については、先ほど永岡君の御質問にお答えしたように、目下国防会議において研究中であります。  それからアメリカ日本における地上軍の撤退の問題につきましては、これは今回の話し合いにおきまして、アメリカ側においては日本自主立場から過去においても自衛力の増強に努めてきたし、また、今後も一つの目標を持って、これを努めるというわれわれの考えであるということを述べたわけでありますが、それに対して、従来の全然兵力のなかった、自衛力のなかった時代と違って、日本自衛隊防衛力というものの増強の現状及び将来に対する増強計画から見て、他国になるべく長い間外国の兵隊を駐屯せしめるということは、その駐屯しておる国の国民感情が、これに対してこころよく思わないことはもちろんのこと、これを長く外国に派遣しておる国にとっても、国民感情からいっても、いろいろな問題があるからして、日本の自衛力がその程度まで増強される、また将来増強するということであるならば、まず陸上の部隊はこれを撤退することにしようという結論が出たわけであります。もちろんそれについてはアメリカ側においても各種事情を考慮しただろうと思います。決して私が要求したからそれに応じたというわけでもなければ、すでにきまっておったことをただ発表したということでもなく、両国話し合いの結果、そういうことになったわけでありますが、それは、要するに日本防衛力の漸増及び将来の計画というもので日本の一応の安全というものは考えられるという見地に立っておるものだと思います。  それから、計数につきましては私具体的によく存じませんから、防衛長官から一つお答えを願いたいと思います。
  87. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) 八木委員の御質問のうちで、米地上軍の撤退の計数はどうかという点についてお答えいたします。最近の米陸上部隊全体を通じて約三万駐留しておるということに相なっております。先ごろの第一騎兵師団並びに混成海上兵団、この両者の撤退は、正確なる計数はまだ連絡はございませんが、一万四、五千と見ております。なお、それらの部隊以外の部隊は、補給関係のものはこれは撤退しないということを承知しております。
  88. 岸信介

    国務大臣岸信介君) なお、将来の空軍及び海軍の米軍撤退につきまして、そういう日本のこれらの海上自衛隊や航空隊の増強に伴って、これを撤退するということの方針を明らかにしておりまして、そういう場合においては当然この委員会の協議事項として協議されて、そして実行されるのだ、こう了解しております。
  89. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 第二に伺いたいのは、米地上軍が撤退後の国防上の空白をいかにして埋めるか、こういう問題でありますが、先に発表されました来年度の予算では、陸上自衛隊を一万ふやそうというふうな御計画防衛庁当局においてある、こういうことを承わっておりますが、実質的にこの空白に対して人員を来年度でどういうふうにふやざれるのかどうか、それから、人員だけではなしに、少くとも三、四万の人が減るということでありますから、いずれ装備その他の質的増強ということが考えられなければならぬと思いますが、その実体は一体何であるかという点を伺いたい。
  90. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今回のアメリカの陸上、海上戦闘部隊の撤退ということが、日本安全保障防衛の上に一つの欠陥を生ずるのではないかという御懸念でありますが、この点は十分にわれわれの方におきましても、またアメリカ側において陸上戦闘部隊を撤退するという決意をするにつきましても、これによって日本の安全に非常な危険を及ぼすという欠陥が生ずるという見地はとっておらないのであります。その点は御心配は要らぬと思います。  なお、装備につきましては、もちろん先ほど来議論がありましたように、また、国防基本方針で明らかにしておるように、効率的な防衛力を持つように努力をして、科学的な研究も一面やりますともに装備の改善、改良も十分にやっていくつもりであります。もちろんこれは全体の予算編成の場合における広い意味防衛費全体と、あるいは民生安定に関する費用その他の支出との間のにらみ合せがありますから、われわれがただ理論的に必要なだけの装備が完全にできるかどうか、それにはやはり年次的な計画を立てていかなければならないというふうな問題が当然起ると思います。それらは、今国防会議において、目標内におけるところの細目として、十分に研究をしておるわけでございます。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次はアメリカの世界戦略、もっと縮めて申せば極東戦略自衛隊との関係についての問題でございます。御承知のように八月十三日のニューヨーク・タイムスでしたかに出ておりますところによりますと、アメリカでは戦術核兵器の貯蔵をやって、そうして西独や日本の方の兵力量を増加してもらって、事ある場合には、この貯蔵したところの原子部隊を派遣するがゆえに両国においても兵力増強について、いっそうの責任を加えるであろう、こういうことを言っておるわけですが、予算教書でも、日本、沖繩を含めて六カ所に原子力支援司令部というものを世界各国に派遣する、こういう計画がございます。御承知通り台湾にもマタドール誘導弾部隊というのが来ております。朝鮮にも武器持ち込み禁止の休戦協定というものが破棄になりまして、原子装備をしようとしている。また、沖繩では八カ所に及ぶナイキ誘導弾の基地がすでに設けられたということであります。極東軍司令部も廃止されて、太平洋総司令部がハワイまで一歩下っておる、こういう一連の動きを見てみますると、日本がこれらの台湾、沖繩、朝鮮、あるいはフィリピン、こういったような一連の前線基地の中にある一つとして、自衛隊核兵器で装備されずに、果して世界戦略、あるいはアメリカの希望するところと合致するかどうかという点には、非常な問題が私はあるのではないか、かように思うわけであります。そこで私の伺いたいのは、もし総理の常におっしゃるように、たとえ戦略的でなしに、戦闘的な核兵器でも日本が持たないということであれば、自衛隊というものは非核兵器で武装されたところの自衛隊が、局地戦闘にたえ得るだけの証明がなければ、日本国民としてはとうてい安心ができないのではないか。そこで岸総理にお伺いいたしたいのは、最近では戦術的の核兵器による制限戦争が必ずしも全面戦争を誘発せずしてやり得るという軍事評論家の記録があるし、アメリカでもそのように踏み切っているといわれておるのでありますから、この全面戦争を誘発する危険のない制限戦争というものが可能というふうに日本としてはごらんになるかどうか、これが一点。  それから次には、自衛隊が戦術的の核兵器で装備されなくとも、十分局地戦争にたえ得るという世界の情勢、あるいは極東の情勢であるかどうか、日本国民が安心のできるような一つ説明をしていただきませんと、核兵器は持たない、そうしてしかも日本は非常に不安定であるということは、国民の安全感というものがないわけでありますから、その点に関する総理並びに防衛庁長官の率直な世界情勢なり自衛隊の存在の必要性についての御見解を、この際に承わりたい、こう思います。
  92. 岸信介

    国務大臣岸信介君) どういう形の侵略が行われるかということにつきましても、これは専門家の間であらゆる場合を想定して、それの可能性なりその危険性というものに対処するように、防衛力というものを増強して参って、そしてこの国の安全保障をしなきゃならぬことは言うを待たないところであります。そこで、今お話になったように、局地的な侵略、その結果として局地的な戦争といいますか、事態が起るというものに対処する場合と、それから世界戦争みたいな全面的な一つの戦争に対処する場合と、あるいはまたその全面的な戦争におきましても、兵器についてあらゆる兵器を用いてやる場合と、あるいはそういう場合においても一種の兵器に制限があって、そういう全面戦争ではないというような場合も考えられる。いろんな場合を想定して、これに対処しなきゃならぬことは言うを待ちませんけれども、何といっても日本の国力、また日本防衛力の実情からいい、また国力、国情から申しまして、あらゆる侵略に対してもう万全である、一切の危険がないのだというふうな防衛力を持つということは、これはとうてい不可能だろうと思う。そこで、われわれとしては、一番大事なことは、言うまでもなくこういうものについて、戦争なり侵略が行われないようにするという努力をしていかなきゃならない。だから日本安全保革ということを考えてみますると、ただ単に狹義の防衛力といますか、自衛隊というものを増強する、質的にも数的にも増強するだけでもって、この日本が安全になるというものじゃなしに、あらゆる点における戦争の危険もしくは侵略の危険性というものをなくするように努力しなきゃならぬのは言うを待たない。それが外交であり、もしくはいろいろな機会におけるところの友好の状態を世界平和の理想に向って、国連中心にして今後われわれが努力していかなければならぬ一番大きな道である。しかし、それにもかかわらず起る侵略というものに対して、一応のわれわれが安全感を持つというのが、私は日本が持っておる一切の防衛力の現状であり、また日本の国情なり国力から申して、そういう程度にしか持てないと思うのです。従いまして、私はいかなる場合においても、日本国民感情からいい、またわれわれの理想からいって、核兵器でもってわれわれが装備するならば、非常に強くなるがどうだという考えもありましょうけれども、それはやらない。しかし、いろいろな点におけるところの科学的な兵器についての研究もするし、進歩にもおくれないように努力はする。しかし、それはあくまでも今言ったような程度であって、従って、今おあげになりましたような全面戦争であるとか、あるいは非常な大きな意味のたとえ制限戦争といってもこの全面的な戦争の場合においては、国連中心として、あるいはこの日米安全保障体制によるところの日本の安全ということを考えていかなければなりませんから、これらのものを見合わして、われわれはやっていくというのが現状であり、また、将来の計画をわれわれが立てておる目標も、そういうところにあるわけでございます。
  93. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 最後に、沖繩にナイキの基地がすでに八ヵ所設定されておるということが新聞に伝えられておるのでありますが、日米安全保障委員会でこの問題が議題になるかどうか、もしくは議題にならない場合に、日本の方からこれを取り上げて、あるいはこれを取り上げるというか、賛成をするというか、この問題について意見を積極的に表わされるかどうかという点が一点。  それから第二点は、防衛分担金の問題でありますが、地上軍はすでに撤退しますならば、従来の防衛庁費の増額の半額分の防衛分担金を減らすという方式でなしにあるいは実費はどのくらいかかっておるか知りませんが、実費を半分ぐらいあと日本が持っとか、もう少し減らす方法をお考えになっておるかどうか、これが二点。  それから第三点は、植村構想のアメリカの武器を円建で、円貨で払って、そうしてその金をアメリカが積み立てて置いて、日本防衛産業に発注して、そこでできた兵器を東南アジアの方に援助の形で出すというこの構想について、いかようにお考えになっておるか。  この三つを最後に伺って、私の質問を終ります。
  94. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 沖繩の問題に関しましては、今の沖繩におけるそういうナイキの基地ができておるかどうかという問題もありましょうが、全体として沖繩の地位に関する問題が私はあると思うのです。というのは今度の日米会談においてこの点については意見が全然一致しなかったのであります。しかし、私は日本国民考えておること、また私は、それは長い日米間の関係のためから必要である、すなわちあそこの施政権を返してもらうという問題に関して強く私の考えを述べてあるわけでありますが、これは、今回の会談においてその結論は一致せしめることはできなかった。しかし、今後の問題としてはそういう問題を取り上げていかなければならぬと思います。従いまして、そういう問題も自然この合同委員会においては私はいろいろな話が出てくることになると思います。今すぐというわけじゃございませんけれども。従って、そこのナイキの基地の問題等につきましても、適当な方法によって議論していかなければなりませんけれども、しかし、それは直接に安保条約から出てくる問題じゃございませんから、あの表面的の問題からいうと、すぐ議論される問題じゃなかろうと思います。  それから防衛分担金の問題については、御指摘のように、今後どういう一応ああいうふうに増額の半分というふうにきまっておりますけれども、陸上戦闘部隊の撤退があったわけでありますが、さらに向う側と折衝してみる必要があると思います。  それから最後に植村構想の話でありますが、これは実は新聞に……。私の承知しておるところによると植村構想と言われるけれども、植村君がそういうことを考えておるわけじゃなしに、アメリカの方において、実は外国に対して武器を無償援助するということの計画を縮小すべきだという議論がだんだん国会等において起ってきておる。そこで国防省の当局としては、そういう場合において、日本に有償で売るというような場合において、それをドル建にしておいては、なかなかこの日本の外貨事情からいってむずかしいだろう、また、日本防衛産業というものを確立しなければならないが、その資金も要るだろうし、それの販路といいますか、需要の面も、日本自衛隊だけじゃなかなか応じ切れない、それだけでは産業が十分成り立っていかぬかもしらん。だから、こういうような考えがあるかといって、アメリカの新聞に発表されているような考えを上村君等に話された、国防省の一部において、そういうことを話したということであります。それで、そういう問題についても自分たちとして今後研究してみたいというのが上村君の意見であります。私に報告したのはそういうことであります。従いまして、今まだこれに賛成であるとか、あるいはこれに反対であるとかいうふうな意見を述べるほど具体的にもなっておりませんし、その本体についてもはっきりしないところがありますので、われわれとしては、正式にアメリカ政府から何も話があったわけじゃございませんから、一つ考え方として考究をいたしておるという程度でございます。
  95. 藤田進

    委員長藤田進君) 岸総理は都合により退席したいという連絡でありますので、この際御退席を願って、引き続いて十分程度、津島防衛庁長官質疑のある方からお伺いをしていただくということにしたいと思うのです。  速記をとめて。   [速記中止〕
  96. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ十分程度に縮めて……。最初に、いわゆる通信当地という場合ですね。これは定義としてはどういうことなのか、こういう点をまず明らかにしていただきたいと思う。防衛庁当局で、通信基地と普通いった場合に、どういうものとどういうものがあるか。しろうと考えだと、ただ通信する、こういうことですが、どうもそうではないようです。だから通信基地というものの防衛庁における定義を一つ一ぺん示していただきたい。
  98. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) ただいまの問題は政府委員の方からお答えいたさせます。
  99. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 私の方でやっております通信基地と申しますのは、国定通信といって、いろいろ部隊の通信がありますが、その部隊のおりますところを通信基地、かように考えております。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、部隊と部隊との間の連絡、いわゆる通信、それだけですか。
  101. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 固定通信部隊というものは有線の電話を使う通信部隊でございます。無電通信部隊は無電機を使って通信をやるところであります。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 米軍が通信基地という場合には、どういうものを言っているのです。
  103. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 大体、今、加藤防衛局長からお答え申しました通りだと思います。私もまだその内容、どういう通信をやるのか、どういう目的に利用するのかということは、はっきりわかりませんけれども、しかし無電につきましては、やはり海外との交信があると思いまするし、米本国との通信もございますし、一般に申しまして普通の無電の通信をやっておることだと思います。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 この美保の基地の場合ですね。これは米軍の方からどういう説明を受けているわけですか。
  105. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 美保基地は他の基地と大体同様でございまして、ただ少し規模が大きくて、現在千歳にあるものと同規模のようなものであります。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 現在、今、美保にある通信基地ですね。これは私も見て知っておりますが、それに比較すると、どえらい大きいのです。せんだって、今月の八日にも私現場を見てきたのですが、拡張予定のところが、通信関係が、そんなに一挙にふえる、そういうことは常識的には考えられないわけですがね。米軍が通信基地と言っている場合には、いろんな意味のものを含んでおるというふうに私ども聞いておるのですが、そういう点、皆さんの方がもっとはっきりわかつているはずだと思うのですが、どうなんですか。それは聞いておらぬと言えば、おらぬということになるかもしれませんが、現在、美保基地にある小さな通信基地ですね。それがどうして今度拡張予定のような、大きなものが必要なのか、こちらが土地を提供する立場ですからね。相手から言われたら、何でもはいはい聞く。そんなものではないと思うのですがね。そういう点をどう解釈をしておるのか。米軍が当初要求したのはどれだけであって、どういうふうに圧縮したとか、そういう経緯があればまたそれを聞きたいし、もう少し詳細に聞きたい。なるべく防衛庁長官から一つお答えを願いたい。
  107. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) 美保の通信基地の問題は、私は就任早々一応の報告を受けたのですが、ただし、その実際の内容等についてはまだ詳細な報告を聞いておらぬわけでございます。従って、ただいまのような御質問については、担当官である調達庁長官にお答えしていただく方が適当でないかと思います。これは十分検討いたしたいと存じております。
  108. 藤田進

    委員長藤田進君) 防衛庁長官に私から二点お伺いしたいのでありますが、七種の誘導弾その他の誘導兵器等の要請表を出して、その譲り受けをしたのち研究をするということのようですが、それは研究にとどまるのか、将来わが方の自衛隊として、その兵器を採用するという方針なのかどうか、これが一点と、これに関連して、新しく機密保護法を来国会には提案するという動きがあるやに見受けられるのですが、果してそういう趣旨のさらに高度な機密保護法、いわゆる機密保護法なるものの提案の用意をなさりつつあるのか、その間の事情を明らかにしていただきたい。
  109. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) 誘導兵器の供与要請のことは、これは昨年、前々長官時代にそういった問題を米国側に出したと承わっております。本年の分については、まだそういった要請をしておりません。三十三年度の要請のリストについては、ただいま業務計画と相待って検討中でありまして、最終的の決定をいたしておりませんが、今までにおいては、誘導弾兵器の三十三年度の要請というものは出しておらないという現状でございます。そこで、これらの誘導兵器をこちらに入手した場合に、これによる調査研究と開発といった限度で、技研等においてその検討をする考えでございまして、これを実地に適用するとか、試作するとかいうような段階は、まだ考えておらぬというのが実情でございます。なお、機密保護の問題でございますが、御承知のように、MSA関係における兵器の供与については、これはすでに法律ができておるわけでございます。今後の問題は、これらの新規要請したその兵器の供与に伴って起る問題でございます。現実にこの程度の秘密を要するかどうかということも慎重に研究しなければならぬと思っておりまして、今直ちに法案の準備をすると、こういう段階に至っておりません。
  110. 藤田進

    委員長藤田進君) 将来、かかる兵器を譲り受けた場合には、当然に機密保護法を必要とするという結果になりますか。
  111. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) これらの兵器の供与を受けた場合に、これはその内容いかんによっては機密保護を必要とする点があるだろうと思います。これらの点については十分検討して、最終的の態度を決定してこの問題は処置したいと、こういう考えでございます。
  112. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私ごく簡単に一点だけ。この自衛隊の精神的支柱というものは今日必要じゃないか。先ほども愛国心論争がございましたけれども、その点簡単に伺いたいのと、それに関連して、軍艦三笠が非常に荒廃しておるということを、文芸春秋の八月号に伊藤正徳君が詳しく書いております。これを防衛庁長官一つつぶさにお読み願いたいということをお願いしておきます。御承知通り、イギリスでもネルソン提督の乗っておったビクトリア号が記念物として百九十三年も保存されている。アメリカでも同様であります。三笠が世界の戦史に類例のない、敵艦を殲滅して、こちらには全然損傷がなかった。いわばベース・ボールで言えば完全試合をやったあの三笠が、非常に汚損されておるということは、これは国民として遺憾だ。わが国の歴史に輝かしい記念すべきこの三笠を、防衛庁が主体となって保存するということは、敗戦以来、特にわが国民が卑屈になりがちになっておる現状においては、国民の自尊心を高める上においても非常に必要ではないか。御承知通り、文化財保護法では、あまり国家的見地からして、必ずしも重要でない史蹟の原状変更にも政府の許可が要ることになっているのでありますから、どうか一つ、この皇国の興廃を一挙にかけた三笠の現状の哀れなことを黙視することはできませんから、防衛庁で至急一つこれの記念艦としての保存の方法を考えていただきたい。こういうことをこの機会に、私、意見を開陳して防衛庁長官のあわせてお考えを伺いたい。
  113. 津馬壽一

    国務大臣津馬壽一君) ただいまの第一の御質問ですが、自衛隊の支柱と申しますか、精神的支柱、これはもう申すまでもなく、自衛隊の訓練に当りましては、民主主義を強くして、みずからの国はみずからで守る、この精神を徹底さすように努めておるのでございます。これを祖国愛と申しますか、いろいろな言葉は使うことができると思いますが、とにかく自国防衛の重大なる責任に徹底するという精神によって一貫して訓練いたしておるわけでございます。同時に、単に隊員ということでなくて、社会人としてもりっぱなものに仕立て上げる。こういったことを大きな課題として訓練育成をしておる。こういうことでございます。  第二の問題でございすが、三笠の保存の問題でございますが、八木委員の御質問、御要望に私は全然同感を持つものでございます。こういった歴史的のものが、今日、荒廃の状態に置かれたままになっておるということは、まことに遺憾なことだと思っております。これをどう維持するかということにつきましては、多少経費の問題もあるわけであります。今日の防衛庁のうちには、そういった経費もないし、またすぐ支出の余地もないかと思います。従って、この問題は大蔵省とも協議し、また関係方面とも交渉して何らかの方法を講じたい。こう思っておる次第でございます。
  114. 藤田進

    委員長藤田進君) 防衛庁長官は、実は次の会合があるそうでございますから、ここで退席していただきます。  それでは調達庁長官に対して若干あれば出していただきます。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 美保基地の場合ですね。もう少し具体的な説明をお願いしたいと思うのだが、たとえば沖繩との通信を強化したいんだとか、どういうことでそういう施設の強化が必要になるわけなんですか、そういう点の説明があっておるのですか、どうですか。
  116. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 米軍の通信所につきましては、前々から日本にもう一ヵ所設置してもらいたいという要望があったようでございます。現在、米子に送信所を持っておりまして、それと一体をなす受信所であるようでございます。先ほどお尋ねございましたが、非常に広くはないかというお話、私どもも感じておりまして、ただ現在はあの広いところに立ち入り調査をさしてもらいたいという希望だけでございます。従いまして、必要な土地となりますると、私どもも圧縮してもらいたいと考えております。
  117. 亀田得治

    亀田得治君 まあ米軍はだんだん撤退して行くわけですがね。陸上部隊はもう全部撤退する。それから空軍の方だってですね。それは直ちには撤退することにはなっておりませんが、ああいう通信基地が拡充されてくるところを見ると、こう逆の傾向を地元の人は感ずるわけです。だれが見たってそう感ずる。それは従来から要求があったということもあるかもしらんが、しかし従来から要求のあったものは、ほかの基地の場合だってたくさんある。しかし時勢が変ると、これが撤退でむしろ返還されたものもたくさんあるくらいなんです。だから、こういう情勢の中で、逆にああいう基地が非常な大きな規模で拡張されるということは、どうもそれくらいの説明では納得いかないわけなんですな。どうもあなた自身もあまり納得いっているようじゃないようですが、これはもう少し詳細な説明を米軍からとれないでしょうか。私どもどれだけ聞いても通信基地だと、そう言ったって、それは言葉の一応の説明だけであって、納得がいかなきゃ、そんなものは説明になりませんからね、どうなんでしょうかね。今まで、従来簡単な説明しかないのであれば、この際もっと説明を求めてみるとか、合同委員会で。
  118. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) この通信関係につきましては、一応米国の陸軍が管理をいたしておりまするけれども、このサービス全体は米市の陸海空全部に通ずるもののようでございます。従いまして、今度の引き揚げとは直接関連が薄いように思っております。今度の引き揚げは主として陸上戦闘部隊が引き揚げまするので、海空両軍の管理補給その他サービス部隊に属する陸軍部隊は撤退しないようでございます。今度の通信施設の拡充につきましても、やはり陸軍だけの問題でたくて、米軍が日本防衛するについて全体的に必要であるということの話は聞いておりまするが、現実に、それではどういうような通信をやるのか、あるいは全体的に通信施設をどう運営するのかということにつきましては、私どもも詳しくは承知いたしておりません。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 まあその辺が私は美保基地だけではなく、ほかの場合でも非常に大事な点じゃないかと思うのですね。なるほど軍隊のことですから、おのおの秘密があるのでしょうが、しかし日本におる外国の軍隊ですからね。もら少し日本政府自体が内容を把握しておらなきゃいけないと思う。これは、きょうも総理に聞いてみたあの板付にしたって、横田にしたって、こういうポイントとなるような点は、やはり日本政府自体が知っておらなければいかぬと思うのですがね。説明関係者から求められたら、差しつかえない程度には、やはり話をして安心ができるというものじゃなきゃ、ちっとまずいように思うのですが、どうもそういう点の努力が足らぬようですがね。従来、調達庁はあちらから言うてくると、それをそのままこっちが出す、ところがある場所によっては、これはぜひとも必要だと言うておって、いつのまにか、もうあしたから要らぬのだ、こういう工合にして返されたこともあるのですからね。これは全くけしからんわけです、そういうことは。その辺の努力が私ははなはだ足らぬと思うのですが、どうですか、長官、どういうふうに思いますか。
  120. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 私も最近調達庁に参りましたので、これまでの例につきましては存じておりませんが、全く仰せの通りだと思います。日本アメリカとの共同防衛上必要なりやいなやということについては、私どもやはり合同委員会メンバーになっておりますので、日本側でその必要性の度合及び程度というものをよく納得いくまで聞きまして、そして必要なものは提供するということにいたして参りたいつもりでございます。
  121. 亀田得治

    亀田得治君 これは委員長一つ要求しておきますが、もう少し美保基地に対する米軍側の要求の内容等を一つ調査してもらって、差しつかえない範囲で委員会にやはり報告してもらいたいと思います。で、これはあちら側の言い分だけでなしに、一つ調達庁自体もやはり疑問を持つベき点は持って、そうして質問を発して、内容を明らかにしてほしい。それをお聞きした上で、また私質問したいと思います。  もう一つ、この呉の調達局から地元の方にいろいろ働きかけがあるわけですが、これは話がうまくいかぬ場合には、砂川のような方法で強制測量をやるような腹をあなたの方では固めておるのですか。
  122. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 美保基地につきましては、土地収用等の手段を用いまして、強制的にやる意思はございません。呉の調達局のものが参りましたときに、そういう話はしなかったと言っておりますが、あるいは地元の方がそういうような御心配をされておる向きもありはしないかと思います。しかし、私どもの方といたしましては、これが必要であって、どの範囲で提供しなければならないということがきまりましたならば、あくまでも地元の方々との話し合いで行いたいと思います。
  123. 亀田得治

    亀田得治君 だから、そこで話し合いがつかない場合のことです。その場合にはどういうふうにあなたの方は処理するつもりか、それを聞いておる。
  124. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 今のところ米軍とも話をしておりまして、強制的な収用はしない、あくまでも話し合いでやって行きたい。こういちことで進んでおります。
  125. 亀田得治

    亀田得治君 これは一つあくまでもそれでやってもらいたいと思います。それに違反されますと、これはまた一騒動起きますから、そういうことのないようにお願いしたい。  それからもう一つ、美保基地に関連してお聞きしたいのは、あそこに弾薬庫がございます。これは旧日本軍時代からの場所ですが、弾薬庫がニヵ所ありまして、そのまん中に農道があるわけなんです。これは私、地名などをちょっと今覚えておりませんが、しかし弾薬庫はそこだけしかありませんから、あなたの方ではわかっているはずですが、その農道を米軍が勝手につぶしてしまって、いまだに開いておらないわけなんですね。これは非常にごうごうたる非難があるわけなんです。だから、ああいう勝手なことをする諸君なんだから、いや通信基地だなんといって、土地の一部でも貸したら、貸してしまったらその二百町歩全部かきをされてしまう、こちいうふうにみんな言っております。あの農道なんかは、日本軍時代にはちゃんと二つの弾薬庫の間に農道があって、百姓さんを通しておったんですよ。それでちっとも差しつかえないわけなんです。それを必要以上にとめてしまって、ずっと迂回しなければ、ほかの部落に回らなければ行けないようにしておるのです。これは御存じなはずですが、こういうものは早く開けないのですか。
  126. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 私まだ聞いておりませんので、よく調査いたしまして御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  127. 亀田得治

    亀田得治君 だれか知っておる方がおるでしょう。地元から陳情に行ったら、地名を言わなくても、あそこしかないのだからちゃんと御存じだった、そちいうことなんです。僕の聞きたいのは、そういう御存じのことを、いつまでもほうっておくということ自体、実は心外だと思っているんです。日本軍時代にはちゃんと昔から通っておった道なんです。それはなるほどとめてしまって、なるべくほかの人がこぬようにすれば、米軍の方は都合はいいだろうが、しかし狭い土地で、自分の一方的なそんな都合だけで、そういうことされることははなはだ遺憾と思うのです。もしほんとうに出席されておった方がわからないのであれば、これは至急調査して、調査だげじゃなしに、問題を解決するようにしてもらいたいと思います。これは正規の軍用地としての指定ももちろんなっておらないところのようです。
  128. 上村健太郎

    説明員上村健太郎君) 今すぐお答えができないのは非常に申しわけございませんが、さっそく調査いたしまして、御期待に沿い得るように措置をいたしたいと思います。
  129. 藤田進

    委員長藤田進君) 別に御発言がなければ、委員会はこれにして散会いたします。  次回の委員会につきましては、改めて委員長及び理事において協議の上お知らせすることといたします。    午後三時二十六分散会