○亀田得治君 この所有者の諸君は、収用法を発動するのであれば、
政府の私法上の使用権というものを放棄してもらいたいと、まずそう言っているのです。ところが
政府の方はなかなかそうは言わない。実際はどうもこれは使用権がないんじゃないかというふうに、腹の中じゃ思っているようですがね。……いやあなたはそういうふうに笑われますが、たとえば六月十八日に立川の調達事務所長石井君が
新聞でこういうことを言っております。「無契約のままいつまでも使用することができないので、土地収用
委員会にかけるための書類作成の測量である。」これが本心なんですよ、実際は。この立場なら地元の諸君は了解するんです。そのかわりその公法上の手続が完了するまでは所有者としての立場を認めてもらいたいと、これなんです。ところがあなたの力は公けになると、いや、おれの方は使用権があるのだ、こういうことでもう突っ張っている。この収用の問題においてもそのことを言っておる。但しこれはいろんな
事情から念のためにこういうことをさらにやるんだと、こういうことなんです。そこで他の場合にもこういうことをやっていると言われますが、これはおそらく松本
委員の、九州の板付飛行場のときも実はこういうケースになっている。こういうこと自体がこれは聞違いなんですね。そして、方訴訟で所有権、使用権かあると言って争っているんでしょう。これがずうっと最後の段階までゆけばいいんですよ。何年かかるかわかりません。その間あなたの方の立場として、あすこは使用してゆけるわけですからね。実際問題から言ったって何も差支えがないんです。それをいやしくも収用というような立場をはっきり出してくるのであれば、今後所有者としては、それはちょっと待って下さいと、単に私法上の問題として裁判上で争っている、そうのんきなわけにゆかないと、こうこちらが出てきているわけなんです。
それからもう
一つは、この土地収用法の建前というものは、これは強制的に人の権利を国がやはり取るわけですから、これはもう必要最小限度の止むを得ざる立場においてやられるわけなんですね。これは当然なことですよ。それを国が必要だからと言ってどんどん拡張する、そんなことは絶対許されません。そういう立場から
考えれば、自分が正しい契約上の権利を持っているというものについて、どうしてあなたそんなことを、同じ使用権なのに収用法を用いて取ると、こんなことができましょうか。収用法を発動したって結果においてはやはり契約
関係になるんですよ。取り方が公けになるというだけであって、取った結果の法律的な性格というものは、これはやはり賃料も払わなければいかんのです。やはり
一つの契約
関係なんです。これはそんな同じものが重なるということだけであって、そんな法律の専門家じゃなくたって、常識的に
考えても何だか割り切れないのです。常識の発達している人ならそう思うのは当り前で、そんなことを幾ら納得せいと言っても、純朴な農民であればあるほどそんなことを納得できるものじゃないんですよ。それを私は言っておる。そういうあなたは、一体どのような
考えで収用法の発動をどんどんやっておるのですか、あなたの方はほかにも例があるというのは、私は
松本治一郎さんの板付の飛行場についで同じようなことがやられておる。これは前例であっても、はなはだ悪い前例として、私
どもは実は攻撃しておる問題で、それ以外にももっとあるということなら、これをお示し願いたい、これを機会に私
どももそういうものはないようにするようにもっと努力しなければいかぬです。どなたがこれは
政府になったって、これは立場の問題じゃない、
一つの人権、権利の問題なんです。
基本的な権利の問題なんです。いやしくも国がこういう安易なやり方で私権を処理しちゃいかぬですよ。ほかの例を
一つ示してもらいたい。