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1957-04-25 第26回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十五日(木曜日)    午後二時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            鈴木  強君            長谷部廣子君    委員            石坂 豊一君            新谷寅三郎君            宮田 重文君            山田 節男君            森中 守義君            横川 正市君            野田 俊作君   国務大臣    郵 政 大 臣 平井 太郎君   政府委員    内閣官房長官  石田 博英君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (放送による政府広報活動に関す  る件)  (仲裁裁定に関する件) ○郵政事業運営に関する調査の件  (仲裁裁定に関する件)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会を開会いたします。  郵政事業運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を一括して議題といたします。
  3. 山田節男

    山田節男君 これは官房長官にあらかじめ私の質問の要旨をお諮り願っておけばよかったかと思いますが、そういうようなことがなかったように了解しますが、まあ石田官房長官のおやりになっていることですから、一つ率直に御意見を承わりたい。  それは、石橋内閣が成立しまして石田氏が官房長官になられた。たしかその直後といいますか、石橋内閣に続いて岸内閣になっても石田さんは官房長官という地位にあられる。それで今度政府の、内閣一種広報活動ラジオテレビジョン放送を利用しよう、こういう思いつきになっておる。そうして同時に、内閣にその広報に関する参与といいますか、そういうのをそろえられた。これは私は新しいやり方であって、政治の動きを国民に直接耳あるいは目を通じてやる、これは非常にいいことだと思うのです。ところが御承知のように、今日放送法がありますし、放送法NHK並びに一般放送、すなわち商業放送、これに対する規制が行われているだけであって、今までわれわれが新聞紙上等でお伺いしている点は、法規上これはちょっと何とかしくなちゃいかぬのじゃないか。これに対して善意に解しても疑点があるものですから、官房長官おいでを願って、あなたの政治放送なり、また順次実施に移そうという御構想を承わって、私の意見も申し上げたい、かようなことですが、差しつかえなければ、現在おやりになっている、また将来岸内閣放送を通じての広報活動の概略をお示し願いたいと思います。
  4. 石田博英

    政府委員石田博英君) 最大眼点は、重点は政府と、特に政府のやろうとしておりますることと国民との距離を縮めたいということが一番の主眼でございます。政府のやろうとしていることを完全に理解されて、いろいろの批判を賜わることはこれは当然でありますが、それが完全に理解されないということは、これは結局民主政治を行なっていくために一番大きな障害だろうと思いますので、政府のやろうと思うことを広い、広範な国民層に知ってもらう、それから政治国民との距離を縮めたいということが最大の眼目でございます。なおこのほかに、今、日本では海外に対する宣伝活動というものはNHK海外放送だけでありまして、海外で受信してくれる通信というものをまだ日本ではやっておりません。かつて同盟通信の時代にはやっておったのでありますが、やっておらないのであります。そこで、これは今までまだ計画がすっかりできておりませんので、実施には移っておらないのでありますが、英語だけで海外にまず第一歩として通信を行うという仕事を援助したい、これが第二の仕事目標であります。  そこで、第一の目標をやりまする上にいろいろ考えられるのでありますが、たとえばポスターその他をもって、政府がやろうとしていることを広く国民に周知徹底するということも一つでありましょうし、また今内閣審議室広報室におきまして、まあグラフのようなものを出版をいたしております。あるいは官報資料版と申しまして、法律その他の解説を印刷して配付いたしております。こういうものをもっと大衆的に、あるいはもっと拡大してやろうというのも一つの案でありますが、その一つといたしまして放送活動、これは非常に、新聞の第一面、第二面というものを読む階層は限りがありますが、耳から聞くということは非常にやさしいものでありますから、耳、目を通して、放送テレビを通して政府のやろうとすることを国民各層に知らせたい、総理はもちろんでありますが、閣僚その他も積極的にそういう機会を作っていこう、その企画、あっせん、調整等仕事をいたしますために、内閣広報参与というものを設けまして、常勤四名、非常勤二名を委嘱いたしまして、このラジオテレビを通じて政府国民との距離を縮めていこうという企画の中に、NHK、その他いわゆる公共放送におきましては、この声に応じたと申しますか、それぞれ自分の自発的な企画をもって放送に加えて、それをそのつど実行に移している面もございます。それから民放の方におきましては、自分の方のスポンサーのつかないプログラムとして企画をされて、いわゆるサス・プロと申しますか、で企画をされて、これを実行に移しているところもございます。それからスポンサーがついた企画、つまり政府以外の一般民間企業スポンサーのついた企画として実行に移しているものもございます。それ以外に、政府側として定期的にやりたいと思いますことは、政府のやろうとしている、あるいはやっております仕事について、国民各層の中からいろいろな疑問点が出る、その疑問点をどなたか、だれかに代表してきてもらって、それに政府のまあ担当官が親切に答えていくという時間を作りたい、そういう趣旨で今、先週から定時的を買い取りまして、毎週定期的に行おうといたしておるわけであります。  大体今やっておりまする計画は以上の通りでございます。
  5. 山田節男

    山田節男君 これはまあ時の政府が、新聞以外のマスメディアを通じて、たとえばラジオテレビジョンを通じて広報活動を行うことは、これは私、先ほど申し上げたように非常にいいことと思うのです。現在までの公共放送あるいは商業放送を通じて、たとえば国会討論会であるとか、あるいはラジオにおいては、午後十一時から国会だより、あるいは各会派の代表者のような者が集まって、各政党政策を周知せしむるようなことをやっておるわけです。おそらく官房長官構想としては、それ以上の、今おっしゃるように、政府の、岸内閣のやらんとする点をもう少し直結せしめて、新聞以外のマスメディアをやろう、こういう御構想だと思うのですが、そういたしますと、現在の公共放送商業放送を通じてやっておる、いわゆる国会討論会、あるいは国会だよりとかいうようなもの以上に、いわゆる岸内閣の、たとえば特定の政策はこういうものだというような方面の広報活動もそれの中に入るのかどうか、この点はどうですか。
  6. 石田博英

    政府委員石田博英君) そういうことよりは、たとえばそういう討論会とか、あるいは国会だよりとか、あるいは時事解説とかいうものを聞いて理解して——特別に聞こうとか、そういう人たちより、もっと広範な、そういう表現が悪いかもしれませんが、まあ家庭の奥さん、あるいは日ごろ新聞の第一面等にあまり興味を持たない人、そういう人に、時々の素朴な質問を通じて、疑問を通して政府の施策をわかっていただきたいということが一つでありまするし、あわせていろいろな問題や質問等を募集いたしまして、そしてそれに積極的に答えると同時に、その質問を通じて国民の気持というものもくみ取っていきたい、こういうことでありまして、ねらっておる層はもっと広い、広範な層に対して、言葉は悪いかもしれませんが、政治に対する関心度の低い者に対して、政治との距離を縮めたいということでございます。
  7. 山田節男

    山田節男君 その構想は前申し上げたように非常にいいことなんですが、ただその構想内容がですね、内容がただ単に政府回覧板あるいは告知板という程度のある特殊のサブゼクト——これはこういうつもりなんだと、あるいは民間から投書か何かで、これは一体政府はどういうつもりでこういうことをやるのですかといえば、これに対して平易に答えるという程度のものか、ですね、その限界を私は実はお聞きしておる。なぜ私が聞くかといえば、放送法——これは二十六年にできた放送法ですが、この放送法を立法当時に、いろいろ番組編成であるとか、もちろんこの一般放送——その当時占領軍政下でありましたけれども、それ以外にGHQのプレスコードというものがあった、これは新聞放送行政——これはやはりそれを取り入れて、たとえばこの放送法の第四十四条、これがいわゆるプレスコードであって、これはすべてのマスコミュニケーションに適用すべきものだと。そこで、私が質問しているのは、岸内閣ラジオテレビジョンを利用して広報活動をしようとするが、これは一つ政治的な活動であるかどうか、ここに非常なデリケートな問題がある。これは申すまでもなく、一九三四年にアメリカ連邦通信法を作った。この三百十五条にいわゆる選挙放送というものがあるわけです。これが当時非常な問題になりまして、それでまあ向うは二大政党でありますので、それで党の中で一つ妥協案を作っちゃって、選挙放送だけにはこれは平等に便ってやろうというので、選挙放送に関してだけはこの政治放送はできると、こういうことにきめた。これが日本のいわゆるこの四十五条ですね、いわゆる各候補者公共放送、あるいは五十二条には、商業放送有料であろうと無料であろうとを問わず、同等に選挙放送ができる、これは日本放送法の中にも実はそれを入れたわけです。それで、この今私が再三お伺いしているのは、思いつきは非常にいい、構想は非常にいいと思うんです。ただ、御承知のようにこれが一つ国会だより、あるいはテレビで毎晩やっているニュース焦点——第三者ニュース解説する、あるいは第三者政府意図しているものはこういうものだという解説的な放送と、たとえばあなたが岸内閣官房長官としてマイクの前に立つ、あるいはカメラの前に立ってやる、そこの差が非常にこの放送法改正のときデリケートになってくる。ですから最初に私が申し上げたように、ただ単に回覧板告知板的なものをマスメディアを通じてやるんだと、今あなたのおっしゃったようなことは、ミーチャン・ハーチャンのような新聞を読まないような人に見せてやろう、徹底させてやろう、これは非常にいいことなんです。ただ、今申し上げたことは、これが一つ政治——政党としての、与党としての政治活動として出てくる場合には、この公共放送はもちろん民間放送の場合においても、これはできない。と申しますのは、このやはり同じ年に作った、この放送局開設根本基準というのがある。これは規則でありまするけれども、その法律と同じような実効力を持っている。この第三条によりまするというと、これ明らかにやはり不偏不党でなくちゃいかぬ、特殊の宗教あるいは特殊のイデオロギーのものをまあ放送しちやいかぬという、まあこういうふうになっているのですから、この点が非常にデリケートな点なんですね。それからもう一つ、私がちょっと、非常にいい構想だけれども現行法解釈からすれば疑点がありまする点は、率直に言うとこれは民間放送商業放送スポンサード・プログラム、今まではサス・プロということをおっしゃったけれどもサス・プロというのは向うがやるんだ、スポンサード・プログラムをやるために今数千万円をとったのだ、これは過般三十二年度の予算の審議のときにも、分科会でこういうような質問をしたところが、そういうような答弁があったものですから、そこで、この放送する仕方というものが一つの問題になる。それからなぜ公共放送がありながら、公共放送と同じ拘束を受けておる、プレスコードに縛られている民放を、わざわざ有料民放をもって利用してマスコミュニケーションをおやりになるのか、こういう私は疑念があるわけですが、そういたしますと、今あなたのおっしゃったことは、先ほどおっしゃった程度のものを公共放送、あるいは商業放送を通じてもっぱらサス・ブロでやるのだ、そういう御構想ですか。
  8. 石田博英

    政府委員石田博英君) NHKからも自分の御企画のものは持っておいでになっております。それからほかの多くの民放の中のあるところからも自分企画サス・プロで持っておいでになっておりますし、またスポンサーをつけて持っておいでになっておるものもございます。それぞれ実行に移しておるのでございます。しかし、どうもそれぞれ程度が高いのであります。そうして私どもの考えております、さっきからくどく申しますような目的とは沿わない面があるのであります。しかし、公共放送に対して政府がこういう意図を持って時間をやりたいからというようなことを申しますことは、やはりそれこそ、その編集権の干犯にもなるようにも思われますので、政府は一定時間を買って、そうしてそれによってその政府目的とする趣旨を徹底さしたいと思うわけでありますが、そこで取り上げます問題、あるいは質問者等は、その放送局おまかせをしておるわけであります。ただ私ども趣旨だけは徹底さして、つまりうんとまあ新聞の第一面を読まないような人にわからせるのが目的なんで、ここでその専門家同士程度の高い議論をするのが目的じゃないのであるから、質問者等、あるいはその他については、そういう趣旨をよく御理解を願いたいということはあらかじめ申してあります。
  9. 山田節男

    山田節男君 これは、私は決して野党立場にあるものだから言うのじゃないということは一つ十分御理解を願った上での私の質問解釈をしてもらいたいと思うのです。で、これは今日政党、まあ二大——岸さんがきょうも、まあ何度も二大政党主義だということを言っておられた。これは私も非常にいいことだと思うのですが、まあよしんば二大政党に現在なっていなくても、たとえば参議院のごときは、これはもう小党派がありますけれども、しかし、もし今あなたが構想として持たれるラジオテレビジョン放送により政府政策を大衆化して周知徹底せしめるということは、これは非常にデリケートです。いわばこれは一つ政治活動になる。これは先ほど申し上げているようにですよ、第三者がいわゆるサス・プロだけでもってこの解説をする、解説放送をする、これはまだいいのですね。ところがこの主体に、内閣官房長官のもとに広報部がこれが主体になって企画し、そうして時間を買ってやるということになりますと、この点が、私はもう少しこの放送法精神ですね、ことに、これは私はいろいろ考えてみたのですが、もしどうしてもやるならば、いわゆる今のこの選挙放送、これはまあ別個の問題です。できればこの公共放送無料でもって政府与党もやれば野党もやり得るのだと、これはまあ今日この三十三条において、政府の命令によって国際放送をせしむる、または費用は国が負担するというようなことになっているわけですが、これはやがてまあその放送法改正するのですから、そういうときに一つの新機軸として、やはり一つのちゃんとした届出ある政党について、公共放送においてこれはちゃんと限られた時間においてもなし得ると、まあそういうようなことにすれば、いわゆる放送そのもの民主性というものが保たれながら、しかも、今あなたのおっしゃったようなことが、定められた時間におのおのその放送をやり得る。ただ単に解説でなくて、政党の者が言い得ると、しかし、その一部のものは、今申し上げたような国会討論会、いろいろなところでその当事者が別にやっておるのですから、国民にはわかっておるのです。ですから、それ以外のものをミーチャン・ハーチャンたちにかんで含めるように知らせてやる、これが政治活動か、あるいは広報活動か、政府広報活動か、これは野党に立って言う立場でなくして、第三者から見て、これが政治活動ができない。このデフイニションというものは私は非常にむずかしいと思うんです。ですから、この点を、プログラムの度合いと申しますか、あなたの目的はいいんですよ、けれども、そのプロセスにおいて、そういうような放送法精神を、民間放送でやっても、公共放送でやっても、これを侵犯するものじゃないか、そういう疑いがあるので、あなたはそういうことはよく御存じだしするから、十分研究の上でおやりになるんだろうと思いますので、あなたの御見解を聞きたいと思っておるわけです。
  10. 石田博英

    政府委員石田博英君) 私どもは、決して、今自由民主党内閣でありますけれども自由民主党立場に立っての主張とか、あるいは対立している議論を、一方を代表してやろうというわけではございません。政府がやっておりますこと、あるいはやろうとしておりますことについて、さっきからくどく申します通り、親切に丁寧に説明をしようとすることにとどまるわけでありまして、特に、政府は、両党対立の一方的なものではなくて、やはり理念的には国を代表するものでありますから、そして、それは制度上もその責任があるわけでありますから、従って、政府がやろうとしておることを、できるだけ親切に国民に周知徹底せしめることは、むしろ政府責任である、私どもはそう考えております。従って、この放送はあくまで親切に説明をするという範囲を出ないように留意して参るつもりでありますし、それから問題の取り上げ方、あるいは質問者選び方等について、具体的にはこれは全部おまかせをするわけでありますが、抽象的には、目的はここにあるんだ、つまり、あまりむずかしい話になるようなことでは困りますから、やさしくするように考えてもらいたいというだけの注文はいたしております。
  11. 山田節男

    山田節男君 私が今申し上げたように、選挙放送以外は、政治放送というものは平素だったらできないわけです。たとえば、アメリカ大統領を見ますと、毎週の定期新聞記者会見、これがラジオなりテレビなり、それは非常に大じかけなものであります。例のハガーティという新聞記者、有名な人がおりまして、このアレンジメントなんか見ると、まことに一つの芝居を見ているようだ。これはもうラジオテレビ全国放送で、そして、あらかじめきめた新聞記者質問に対して、大統領みずからが立って、それに対して解説といいますか、方針を述べるわけです。これが一つやり方だと思う。それからもう一つは、これは、ことに、ルーズヴェルトがラジオでよくやっておりました、イギリスでもよくやっておりました、政府の特権として許されている、いわゆるスピーチじゃなくて、ファイアー・サイド・チャット、炉辺談話式のもの、これは一つ説明的のものになっている。そこにはもちろん主張はありますよ。あるが、プレスコードにさわらない程度の、しかし、これは政府がやっておることは何だということは当然言えることですから、だから、新聞以外にラジオテレビを通じて一つ談話ですね、談話式のものならばいいんじゃないか。それはもう各国がやっている。ところが、政府だけでもって、おれはこういう、たとえば憲法改正というものはこういうような意図があるとか、あるいは再軍備はどうしなくちゃいかぬのだというような、そういうトピックスにさわって、しかも、政党首脳部が、特に官房長官にあるあなたが、憲法改正はどうしてもやるべきだなんということをミーチャン・ハーチャンにわかるように周知宣伝するのが広報活動だということになってきた場合に、(政府委員石田博英君「御質問趣旨がわかりました」と述ぶ)そこがデリケートな問題であるから、時の政府がこういう放送憲法を侵犯するという、その憲法を侵犯して憲法改正というようなことを周知宣伝せしめるということになると、政府は二重な一種の罪悪を犯すと私は申し上げたい。そういう非常なデリケートなものがあるから、まあ賢明の、また、ジャーナリズムの経験のあるあなたですから、この点は如才なく、十分御検討の上でやられているものと信じますが、なお、私は、その放送法の番人としてどういうようなものをおやりになっているかということを伺うためにおいで願ったんですが、今あなたのおっしゃった、ミーチャン・ハーチャンにも耳、目を通じて大衆化する、私はこれは非常にいいことだと思う。しかし、そこに政治活動になるか、単なる広報活動になるかというこの限界をどう持っていくかということですね。こいねがわくは、今のプレスコードを破っていただきたくない。これはあなたも従来守っていらっしゃったことですから、ことに官房長官という要職につかれた以上、ちょっとでもそこを破られるというと、非常に大きな問題でありますから、私は、与党野党の問題でなくて、国民として放送法を守っていく責任がありますから、以上のような御質問を申し上げたんです。どうですか、その限界は越えないというちゃんとあなた確信はお持ちになっておられますね。
  12. 石田博英

    政府委員石田博英君) この政府の時間でやろうと思っております問題は、憲法改正とか、あるいは再軍備問題とかというような政治問題の政府立場というものを説明する意思はございません。出席者も、事務当局を主にいたすつもりでございます。事務当局がそれぞれ今担当しておる問題について、国民疑念に答えていく。それは、質問を集めまして、そうして集めた質問にそれぞれ関係の事務当局をして答えさせるという方針をとるつもりでございます。ただ、初めのうちは、どうも事務当局ですとかたくなりますので、私がそばについてやわらかくするあんまの役割くらいは勤めるつもりでありますが、それもだんだんなれてくればやめるつもりであります。  それから、お断り申し上げておきたいことでありますが、一点は、私は自由民主党の幹部の席にはありません。政府の一人でありして、その点には限界を設けておるつもりでございます。それからもう一つは、私は自分で非常に表現を苦しんだのでありますが、私は決して、ミーチャン・ハーチャンというような見方で見て、それを対象としているのではなくて、直接政治問題にあんまり理解を持たない人も政治あるいは政府行政というものについて関心を持ってもらいたいという趣旨でございますから、一つ御了解願いたいと思います。
  13. 山田節男

    山田節男君 まあその程度のことを厳守なさるならば、これは私は、政治民主化ということで、非常にいいことだと思う。ただ、私もう一つこの点において疑点を持ちまする点は、政府が多額の国税をもっていわゆる広報活動に使う。これは、今申し上げたように、外国へ通信なさる方法だ。これは私はいい。ただ、国内放送あるいは海外放送を独自に使うということは、今の放送法三十三条によれば、国際放送NHKしかできぬわけですから、(政府委員石田博英君「その放送というのじゃないんです」と述ぶ)ですから、おそらく国内放送だけだろうと思う。そこで、政府スポンサーになって時間を買って放送するということの行為自体が、これまた、今まで欧米にはございません、私調べてみましたが。しかし、今申し上げたように、大統領とかあるいは総理大臣なりあるいは官房長官が今の何といいますか、ある問題については国民に知らせるというのは、これはもう当然ですけれども、そうでないいわゆる広報活動ということになりますと、今申し上げたように、広報政治活動との限界は、一九三四年、これを作るときも非常な激論があった。それで選挙放送だけは登録した人に対しては無料で堂々と使わせる。これは日本放送法の中にもうたってある。これは国際的な共通な原則になっている。ですから、政府有料放送するという前例を作ると、たとえば、社会党あるいは自民党以外の政党が政権をとった場合、今は、三千万、五千万。あるいは、テレビをやればスポンサー料が高いですから、おそらく億の金がないとできない。そういうことになりますと、国税を使って政府スポンサーになる、こういう前例を将来に残すことがいいかどうか。あなたとしては非常にいい企画を今度おやりになるのであるから、悪いケースをここにお作りになると、この次出たものは、早くいえば社会党がなった場合、今度一億五千万円使え、じゃんじゃんやれというようになるということは、これは私は放送自体を政府がこわすということになりますので、そこに限度というものを厳守いたしませんと非常な危険があるというおそれを持ちますので、私はしつこいようですけれどもそう申し上げたのです。で、私はこれ以上は質問いたしませんが、今のあなたのおっしゃる程度ならば決して危険もないし、大した冒険でもないと思いますけれども、しかしこれはさらに房長官として広報の職務、その放送公共放送による場合も一般放送による場合もちゃんとこういうワクがある、そのワクを逸脱すると悪い前例になる。で、私はあなたの構想新聞で拝見したときに、なぜ公共放送を利用しないか、なぜ民間放送にたよるか、これも私は、失礼ながら、石田官房長官として放送の重要性というものと放送法精神というもの一応知っていただいておれば、ああいうことはやらないと思う。で、私はおそらくNHKもやろうというくらいの希望はあるんじゃないかと思うのです。ところがなぜスポンサーになって商業放送にやらせるのか。これは一つの新らしいケースであるだけに、これまた慎重な態度をとってもらわないと、今日の商業放送というものは、なるほど二、三のネット・ワークができてきておりますけれども、カバレージはきわめて低い。そうしますと政府は、北海道、東北、関東それから中部、近畿、九州、四国というような、そのラジオ放送を通じてやるということになると、これは費用もかかるし、能率が上らない。それよりも全国のネット・ワークの二つの放送網を持っておるNHKを通じてやれば、今おっしゃったような津々浦々にまで一ぺんにできる、それをなぜ公共放送政府が利用しないのか、何を好んで商業放送に依存するのか、これも私はあの構想を拝見したときに直感したことなんですが、これにはどういうような事情、あるいは御意図があってああいう結果になったのか、これも一つついでに承わっておきたいと思います。
  14. 石田博英

    政府委員石田博英君) NHKからもいろいろな企画が参っております。従って、その企画には積極的に応じて、そうしてそれももちろん利用してやるつもりであります。それから商業放送を利用したというのは、さっきから申し上げておりますが私どもの方のねらっておるねらいとちぐはぐな点がございますので、まず、ざっくばらんに申し上げますと、雑誌でいうと総合雑誌のような編集といいますが、そういうのが非常に多いのでありますが、大衆雑誌のようなねらいの企画というものがあまりないわけでございます。しかも、NHK政府の監督下にある機関だけに、それに対してこちらからは具体的に注文をつけていくというようなことは、それこそ放送法精神にも反すると思いましたので、NHKの自発的な御企画に対しては、これに積極的に協力して、またわれわれの方もどんどん出ていくようにいたしております。NHKに対してはそういう事情にあるのであります。  それからどういうわけで商業放送を選んだかというのは、逆に商業放送については、今申しましたこういう目的であるということを理解していただきまして、そうしてその理解のもとにこの時間を作ってもらう。それからこれに対して、どういうわけでその局を選んだかと申しますと、これはまあ純然たる事務的な選考によったものらしいのでありまして、何か入札みたいなことでやったように聞いております。正確なことは、もしあれでしたら田中副長官が知っておりますから……。これは入札か何かでそういうような方法でやったように聞いております。  それから、先ほどから放送に当っての心がまえについていろいろお話がございましたが、御趣旨通りの線に沿いましてやって参るつもりでございます。その点は十分注意して行うつもりでありますし、それから問題の取り上げ方、あるいは質問等も局の方で選んだものに対して、こちらから責任者である取扱いの事務担当官説明に当らせる、こういう方法で参るつもりであります。
  15. 山田節男

    山田節男君 これは念のために申し上げておきますが、今申し上げたように、ただ単に広報部参与というぐらいの程度の人が現場でテレビラジオ説明する、あるいは報告するというようなこと、これは私は解説ぐらいの意味でいいと思いますよ。いいが、国民の要望するのは、これも必要です、大衆雑誌の文芸春秋をもっと格下げたようなものでおやりになる。これも一応私は内容を見なくちゃわからぬけれども一つ思いつきだと思います。ただしかし、少くとも政府責任を持って、政策の周知宣伝ということじゃなくても、少くとも政府がやるということになるならば、これは私は少くともやはり官房長官あるいは総理大臣、あるいは特殊の国務大臣が、今申し上げたように、単なる演説じゃなくして、ほんとうに周知徹底するようなやはり談話式のものでやる、これならば私は公共放送でもできると思う。何を苦しんで数千万円の金を使う必要があるかということです。ことに政府商業放送スポンサーになるという例はこれはございません、絶対に。ですからこのこと自体、私は非常に何といいますか、危惧の念を持っている。何を苦しんで商業放送スポンサーになってまでやるということを考えなくても、いわゆる周知徹底せしめる方法は幾らでもある。  それからもう一つ必要なことは、どうも新憲法以来、これは社会党が政府をとったときにも私は苦言を呈した。政府そのものは相当な尊厳さを保たなければいかぬ。何も大衆にこびる必要はない。アメリカにしても、イギリスにしても、政府政策の周知徹底ということについて、大統領が、あるいはダレスが公式演説をすることがありますけれども、これは政府である、こういうことです。一ついばるということじゃなくて、尊厳さというものを政府は持たなければならぬ。民主政治になれば何でもかんでも雑駁にいえばいいのだ、これでは私はほんとうの民主政治というものは成り立たない。ですから、そういう政府がエージェントを作って、その専門家をもってちょいちょい大衆雑誌的なものを放送するということですね、これはうまくいけばよろしいのでございますが、悪くいくと、政府自体の尊厳を、国民に対する印象というものを一非常に低くするのじゃないか、こういう私は憂いさえ持っているわけですから、これは私はもう決して野党与党というような立場でなく申し上げたのでありますから、一つ初めてのケースであるだけにあらゆる角度からやっていただきたい。  それで今大衆雑誌的なものをやるとおっしゃいますが、相当専門のスタッフには違いないと思います。しかし、これは新聞記者あるいは放送記者のセンスでもってそういうことを一ぺん出してしまいますと、今あなたのおっしゃった逸脱したものであった場合、大きな政治問題になってくるという実は危険もあるわけですから、どうか一つこの点には念には念を入れて、あなたの意図されている点を、一つワク内を逸脱しないように、政府みずからやったというような前例を作らないように、一つ十分の御考慮を払っていただきたい、こういう犬は私は強い願望を持っているわけですから、どうぞ一つお願いいたします。
  16. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連しますが、私、初めて国会に入って参りまして、今官房長官から今度の広報活動についての構想を聞いたのですが、まあ新聞にも伝えられておりますように、今あなたのおっしゃったように、政府としては行政施策上の告示とか、あるいは解説をするのだ、こういうことや言っておられるようですが、お話の中で幾つか私は矛盾を感じましたので、大へんお忙しい時間でしょうが、この際明らかにしておきたいと思います。  まず、今の政党政治が、いわゆるあなたは確かに党の役員をやっておらないが、極端にいえば、岸総理大臣は党の総裁でもあるわけです。そういう点からいうと、この施策上の告示なり解説というものに限っておっしゃるけれども、実際国民が心配するのは、時の政府与党である、そうなると実際に行政面における告示や解説をするといっても、実際にはその政策というものが入ってくる、こういうことを私は非常に心配するのです。ですから、いろいろと邪推や憶測をしてはいけないのですけれども、歴史的に考えてみると、終戦十年たって、緒方さんの当時に情報局を設置するということも聞いておりましたし、最近では放送法改正して、われわれから言うと、ある程度の言論の統制というものを考えるようなお考え方もあった。そういう点から非常に心配しておった。ところが、それがなかなか思うようにいかないので、非常に、国民が聞いてもなるほどというようなことをおっしゃって、そうしてそのことが今言った行政上の告示や、あるいはその解説をするのだということに名をかりて、実質的にはそういう制度の活用をやるのではないか、こういうことをわれわれは心配するし、これが現実に、われわれがよくこれからの放送内容を聞いてみませんと、ここでは断言できませんけれども、これは紙一重になると思う。この点を国民は非常に心配しておると私は思います。もしおやりになるのでありますならば、構想政府としてもっと考えなければならぬ点があるのじゃないか。その点を御質問したい。  まず聴取者の問題ですが、今日NHKが約一千二百八十余万人の聴取者を持っております。これは全日本の世帯数の七七・一%に当っておる。こういう膨大な聴取者を持って、しかも、これが公共性ある事業として公平に放送をなされておる。今官房長官放送法の建前から政府が監督しておるから、政府からこういうふうにやってくれということは、これは催かにおかしなことになる、こうおっしゃる。それはそうでしょう。しかし、これからの新しい広報活動としては、民放公共放送というものと二つある。ですから、政府としてはこういう考え方で広報活動をやりたいという御説明は、少くとも私はNHKに対して申し上げることは一向電波法の侵犯ではないと思う。こういう構想政府説明して、それに慕いておそらくNHKが、私の方はこういう考え方でやるということが出てきていると思うし、またこれは直接スポンサーになってはおらぬようですし、代理広告業者にやらせるようになっておるのですが、そういう人にいろいろ話して、そうしてその人たちにある程度自主性を持たして、この放送法に基く放送番組というものが、公共の立場からやはりやられるわけですから、そういうようにして、おそらく民放がこうやる、NHKがこうやるという意見政府に来ておると思う。そこで、従来大衆的な放送NHKではおそらくなかなかうまくいかないからと、こういうことをおっしゃる。そういうことは、政府がこうこう、こうあるべきだということをおっしゃるならば、大衆的にあまねく公平にやることは差しつかえないのだから、そういう立場に立ってわかりやすくやるのですから、技術的な問題ですから、これはでき得ることと思います。にもかかわらず、そういうたくさんの聴取者がいるNHKに対して、あなたに言わせると、放送法からいうとおかしいから、こっちでやる義務はないのだ、こういうことをおっしゃっておるのだが、その辺はもっと考え方を明確にして、話し合いの中から、もっとくだけたものにすることはより意味があることですから、できると思いますし、そのことをやることが電波法に抵触するものではないと思う。そういう点が、あなたの言っておる中で、われわれから見ると、きわめて理屈がちぐはぐになっておる、理論に一貫性がないということ、その点がお聞きしたい一点。  ついでに、いま一つお伺い申し上げますが、内閣広報参与室から、四月から六月の計画表をいただきました。これを見ると、あなたは家庭におってとかく一面、二面記事を読む機会のない人たちに、また読もうとする意欲のない人たち放送すると、こうおっしゃるのですが、それでは具体的に放送の時間を見ますと、たとえば北海道放送は日曜日の三時から三時半、こうなっておる。それからラジオ北陸を見ると、四時半から五時までと、こうなっておる。もう一つは、深夜にわたる問題としては、ラジオ新潟が二十二時三十分から二十三時まで、こうなっておるのですが、たとえば北海道の場合ですと、おそらく家庭の婦人というものは、農家の人で野らに出て仕事をやっている時間です、と私は思う。できるだけ多く聞かせようとするならば、各放局とも大体家庭婦人が野らから帰ってきて、飯を食って、ちょっと一体みするころをねらってやる。そうしてその時間がかりに金がかかっても、使うべき金は使ってもいいと思う。政府にそういう親切心があって、みんなに聞かせるという気持があれば、あえてそういう金を使ってでもやらなければならないのですが、深夜の二十二時、三時になど、野らから帰った人など疲れてしまって聞いてる人はないんです。そういうことまでなぜ具体的に配慮しないかということが、これはあなたの理論からいっても納骨できない。番組編成については、質問者は全部おまかせする、こうなっていますが、これはたまたま二十日ですか、この前の、例のニッポン放送でやっているのを聞きました。その次の日の、二十一日の朝日新聞を見ると、スポンサーの問題にしても、政府は出演者が気に入らないからといって、第一回のときにも、現に千葉さんと坂西さんのニ人を政府の方でけっているんじゃないですか。こういう点からいっても、やはり自分の方で都合の悪そうな人たちは、何かし政府の方でもってけなすということでは、それはもうすでに放送番組の自主性に関与することであって、あなたの方で質問者は全部おまかせするといっても、現に第一回の放送のときにやっているじゃないですか。それをまるっきりわれわれをごまかしているように聞えるから、私らのように正義感に燃えている人たちには納得できない。ニッポン放送のときにあなたが出ておったんですが、質問者が、石田さんあたりにしょちゅう出てもらってやらなくちゃまずいということを言った。そしたら、事務官僚というのはテスト・ケースであって、質問をさしてもその答弁ができないようなやつでは、事務官僚の資格がないというようなことを言っておりましたが、あなたが、もうそれはしょっちゅうここへ来てやるんだと、こういうことを言った。ところが、さっき言った話を聞けば、しばらくの間出るだけであって、あとはまかせると、そういうことを言っている。しかし、あのときはそう言っておりません。質問者に答えてああいうことを言っているのじゃないですか。そのときばったりのことをやられたのじゃ、われわれ実際放送関係を担当する委員として、どうも信頼できない。そういう支離滅裂なことを言わないで、一貫して、われわれに納得できるようなことを言ってもらわないと、どうも政府としては、自分たちの思うことを、政府という名をかりて、政党政策をやるんだというふうに、国民が心配するのは当然だと思う。こういう点を明確にしてもらいたいと思うのです。
  17. 石田博英

    政府委員石田博英君) まず最初に、言論統制というような傾向とか、底意というものはございません。この問題を、こういうことを計画しました発端な、石橋内閣のときでございます。私も多年言論界に住んでおったものでありまするから、言論統制をしようというかってのいろいろの動きに対して反対してきたものでございますから、そういう考えは全然ございません。  それからNHKを使わないことをいろいろおっしゃいましたが、NHK企画にも当然応じております。しかし、これに対して過度の注文をつけることは、私どもとしては差し控えたいと思っているのであります。  それから民間放送を利用いたしますのに、時間の問題をおっしゃってでありますが、特需は可及的にそういうふうに希望をしてやったのでありますけれども、すでに組まれておりまする時間の関係から結果的にこうなったのでありまして、次の、つまり七月から先の編成に当ってはでき得る限り広く聞かれるように、さらに一そうの努力をしたいと思っております。  それから私が出る出ないの問題は、第一回の放送では、二回目から、すなわち今週からは全く事務的に担当者に説明をしてもらうという計画でありました。しかし、この計画をするために、いろいろ御意見を聴取したわけでありますが、その際に要務官僚が説明しただけでは、どうもわかりにくく、かえってむずかしくなる傾向があるが、そういう傾向については心配ないか、むしろ私が積極的に出るようにした方がいいという御意見がありましたので、そういうご意見があるならば、これは私も出ましょう、毎回出るようにいたしましょうと、こういうお答えをいたしました。毎回出るようにいたしましょうということは、説明者がだん、だんそういうことになれてくると、またそうして聞きやすくなることを希望をしてでありまして、私自身が積極的に毎回出ようという計画は初めからもちろんあったわけではございません。  それからプログラムの話でありますが、プログラムの編成、質問者等につきましては、さっきから申し上げております通り、わかりやすい質問、それから親しみやすい質問者、そういうことを私どもの方は希望いたしておりまして、千葉さんとか、あるいは坂西さんとかという方、今、名前をあげておいででしたが、そういう方がきまって、そうして持ってきましたものを政府が拒否したという事実はございません。私どもの方では、まあわかりやすい、親しみやすい人、こういう人を質問者に選んでもらいたいということを言うたのでありまして、きまったものを政府が拒否したという事実はございません。
  18. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、官房長官責任ある答弁を間きましたので、あなたがほんとうにおっしゃったような精神で今後この時間をやっていただきたいということを特にこの際申し上げておきますが、ただいまのこの番組の問題につきましては、これはあなたがさっきの質問に答えて、これは自由にどなたでもやっていいただくのだ、こういうふうにおっしゃったのです。ところが、私はこの朝日新聞を見ると、千葉さんと坂西さんが——親しみやすい人といいますが、そうでないのですよ、あなたの言っているのは。要するにわかりやすく問題点を言ってもらって、そしてわかりやすく答えていく、そしてそれがみんなに伝わっていくことを希望するのですから、親しみやすいとか何とかいうことでなしに、問題は平易にものをやってくれる人であればいいんでしょう。私も、千葉さんや坂西さんがどういう人であるかほんとうをいうと知らぬのですが、少くともそれぞれの肩書きを持っているのですから、いっぱしの良識のある方ですから、やはりそういう意図があるとすれば、そういう人はそういうように、これは簡単にできると思う。むずかしい話をしようと思えば幾らもむずかしくできるし、簡単にしようと思えばできるのです。何もふだんかたく話をしているからどうもその時間だけ簡単にはできないということはないと思うのですが、その辺はやはりその裏にあるものを心配するのです。たとえば千葉さんもと聞くと、その二人を出したのだが、それもだめだとおっしゃったので、もう一人の人を出したのだがまたそれもだめだということで断わられたということを聞いておるのですが、そうすると、これはだれが一体あったわけですか。たとえばどこのおかみさんでも、どこの人でもいいから、わしはこういうことでやりたいということをおっしゃったときに、あなたの方じゃ何を調べるのですか。この人は今までどういうことをしておったとか、この人を出したらちょっとかたくなるからこの人がいいとか、そういうふうなところまで、思想的な、言論的の方まで調べ上げなければ許可しないという方針なんですか。その辺はもっと私は機動性があってほしい。ただ千葉さんとか坂西さんということだけでなしに、何かしら政府の思うようなことを言ってくれるような人でなければだめだ、思うようなことを言わない人は拒否するのだということがあるのじゃないかということを僕は心配するのですよ。そういう意味で親しみやすい人というのはどういうことなんですか。
  19. 石田博英

    政府委員石田博英君) 千葉さんと坂西さんはあなたがお名前をお出しになったので、私はその名前をあげたのであります。
  20. 鈴木強

    ○鈴木強君 朝日新聞にちゃんと書いてあります。
  21. 石田博英

    政府委員石田博英君) 新聞のことは私は知りません。新聞がどういう報道をされたか私は知りません。それは私も読んで知っておりますけれども、私の関知したことではございません。ただ、私は問題の主眼点は、新聞の第一面を読まないような人々にこの政府行政というものをわかってもらうことが主眼である。従って、まあざっくばらんに申しますと、政府の役人というような名前を出してみましても、そういう人たちに興味を引きません。従って、今度は質問者の方に興味を持たせるということもこれはやはり主眼点であろうと思います。だから、質問者はどういう人であるか、どういう人でないかということは別問題として、政治関心を持たない人でもよく名前を知っているような質問者、これは私ども一つの観点でないかと思っております。  それからそれは相当な良識の人であるから、わかりやすく話をしてくれ、わかりやすく質問をしてくれといえば、そういうふうにやって下さる人もありましょうけれども、おそらくそこにはその人その人の持ち味があることだと思います。しかし、その具体的な人のお名前について、私どもの方からは申したことはありません。私は、この放送目的はそういうところにあるのであるから、答える方の人に、いわゆる何と申しますか、大衆性というものがない場合においては、質問者で聴取者の注意を引くというような心がけを考えてもらいたい。それから問題の出し方は、やはり平易な親しみやすい言葉でやってもらうようにしたい、こういう点だけは繰り返して広報参与室に申しております。しかし、ほかの具体的なことについて、いろいろ注文をしたりなんかしたことはございません。
  22. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、これは私は天下の三大新聞といわれる朝日新聞にこう書いてある。「政府スポンサーとして、気に入らない出演者を拒否できる立場にある。第一回の放送で、放送局が予定した千葉、坂西の二氏は「カオぶれが固すぎる」と政府からけられた。これが政治的な配慮からという場合も起り得るわけである。」、こう書いてある。この事実は、事実じゃないというのですか。それはあなたは知らぬが、だれがこういうことを言ったのか、私は明確にしてもらいたい。
  23. 石田博英

    政府委員石田博英君) おそらくそれは私の趣旨に沿って担当者が相手方と話をするのであります。従って、私の趣旨は大衆性を持っている、さっきから申し上げるような趣旨の人を選んで、そういうふうにやるべきだということは繰り返し言っているのでありまして、そういうことはその趣旨にのっとって人を選んでもらうということが問題なんでありまして、その人の思想的動向等に別に関係はございません。だから、まあいわば今まで政府のやっていることに関心を持たない人でも、あるいは極端なことをいえば、人気歌手が質問をする、政治問題や行政問題の質問をするなら、どんなことかと思って政治に注意を引かせることも、政府国民を近づける私は一つの方法だと思う。そういうことについては、広報参与室に私は繰り返して申しております。従って、その過程におきましてどういうようなことが行われたかということは私は承知いたしませんし、またその新聞の記事の責任を私は負うわけにも参りません。
  24. 鈴木強

    ○鈴木強君 それはいいです。ここであなたと議論しようとは思わないのですが、ただあなたは質問者に対しては放送局にまかせていると、こういうふうに言っているが、このようにここに書いてある。そうであるならば、放送局がこういう人とこういう人に出てもらいたいということを言ってきたのにかかわらず、それを拒否したということは、あなたの理屈からいえば、要するに親しみやすい人、わかりやすくやってくれる人、こういうことをおれは言っているから、おれの部下がやったであろう、こう逃げているが、少くとも責任は、質問者放送局にまかせてあるということを明確に言ったのであるならば、なぜ放送局がこうしてくれということをあなた方が拒否したかということを言っているのですよ。理論的に追究している。
  25. 石田博英

    政府委員石田博英君) 私は二つ申し上げております。一つは、本放送目的が何であるか、その目的に沿っているものであるかどうかということは、私の部下の責任を持っている者は私の趣旨に沿う義務があります。従って、その人がその判断に基いていろいろ相談をすることはあり得ると思います。しかし、私の方からこういう人がどうだ、ああいう人がどうだということを命令したり指図したり、ということはいたしません。その意味においては質問者向うが選はれていいのであると思います。しかし、その選び方において、私の基本的に申しておりまする大衆性を持たしたいということとあまり一致しないという場合におきましては、担当者はそういう意見を述べることもあり得ましょう。だから、私の申しておりますことは二つ、この放送に当っての心がまえとしては二つであります。だから、その二つを一致させていきたいということであります。
  26. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっとくどいようですけれども、大事なことですから、さらに聞きたいのですが……
  27. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 鈴木さん、あまり時間がないようですから……。
  28. 鈴木強

    ○鈴木強君 問題は、あなたが質問者放送局にまかせてあると、こうおっしゃったんですね。おっしゃった。しかし、これは原則的なものであって、要するにあなたが二つある、二つあると言われたその一つだと思うが、あなたの言われている親しみやすい人、あるいはよくわかりやすく上手にやってくれる人、そういう人、でない場合は、要するにそれに対しては政府の方として、これは出てもらっては困る、こういうふうに言うことができるということですな。要するに放送局にまかしたとすれば、放送局はあなたの方の考えている構想なり、そういうものを十分了承した上で引き受けているでしょう。スポンサーもそういう目的でやっているわけですから、政府企画室と実施内容構想等について話い合い、その使命を帯びて民間放送がやるわけですから、その際には、少くともそういう趣旨を体して放送局は適任な人だと思って選んだと思うのです。そうすれば、放送局ではあなたの意に反した人を選んだということになるわけだ、結論として。そういう場合には政府は拒否するのだ、こういうふうに理解していいんですね。
  29. 石田博英

    政府委員石田博英君) それは形式的に向うが決定して、こちらが持ってきたものを拒否するということではないのです。お互いに政府趣旨を徹底させるための相談、こちらにもこういう企画機関があるのでありますから、その人方と相談をされて、相手の時間もございましょうし、都合もありましょうから、そういう相談もございましょう。ただし、意識的に質問者をどうこうということはございません。  それからわかりやすく解説をするということは、むしろ解説をする側におもな責任がありますが、その問題の出し方、聞き方というところが、非常な高度なものになりますと、勢い大衆から遊離する、従って、あまり今まで政治関心を持たなかったような人が質問するのが適当ではないかというのがこの計画の基本的な考え方の一つであります。  大へん恐縮ですが、私三時からの約束、他の会議がございますので……。
  30. 鈴木強

    ○鈴木強君 もう質問しませんが、このところは非常に大事です。官房長官、あなたはうまく答弁しておるのですが、僕らはやはりあなたの言っていることと、次に変ってくる答弁の中身というのは実際納得できないのですよ、率直に言って。僕らは急所だけをじっと聞いておりますから、じゃ、放送局にまかしてあるかといえば、まかしてあると言ってみたり、ないと言ってみたり、拒否することもあり得るかと聞くと、そうでもない、こう逃げるのだが、そこら辺が政治的な答弁で私らにはわからぬのですよ。ここでやっても仕方がないから、私は見ております。あなたの言われるようなふうな趣旨でいかなければあなたの責任を追及します。そういうことで十分国民の納得できるような放送をやってもらいたいと思います。私はこれで終ります。
  31. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 官房長官は三時までの約束でございますが……。
  32. 森中守義

    ○森中守義君 わかっています。私は、さっき山田委員が諸外国の例を引用していろいろ質問されました。これに対する石田さんの答弁というものは、本質的にこういうことを、言論報道機関に政府が手を出すことがほんとうに正しいかどうかという確信があるお答えが出ていない、やはり疑念があると思うのですよ。また私も官房長官の話を聞いて、現在は官房長官のニュアンスでやるんで間違いはなかろう、こういうふうに思いますが、いわゆる内閣がかわる、また官房長官かわるかもしれない。要するに今問題になるだろうというのは、運営上の問題であって、一歩この運用を誤まれば、これは大へんなことになりますよ。それですから今まで長く放送法審議会というものが設置されておりますが、こういうことが、官房長官計画のように、ほんとうにいいことである、しかも、現在の電波法あるいは放送法に照らして間違いないという確信があれば、私は審議会あたりでかなりこの問題はもっと早く論議の対象になったと思う。それが一回もそういうことが論議の対象になっておりません。ということは、学者あり、あるいは放送の経験者あり、そういういわゆる国民を代表するような専門家が寄ってみて間違いないという判定がつかないから、政府がこの言論報道機関にみずから手を出すことについての可否の結論が出ていないと思います。それですから、もう少し私は慎重に政府の方ではおやりにならなければ、言論統制ではないとおっしゃるけれども、下手すると言論統制になります。官房長官の言葉のうらはらの中にも、民間放送が一定のプログラムを持っていた、しかし、それは政府の意思に沿わないから、官房長官みずから出ていったんだというような説明がさっき行われております。すでにしてそういうような民間放送では一定のこの種の計画を持ったという事実を御存じであれば、やはりこれは今日の言論報道機関というものは、私はそれぞれの自主性を持ち、しかも、社会の公器として政府方針を正しく国民に伝え、あるいは国民の批判を培養させていくような、そういう企画やあるいはまた計画というものを民間放送は持っているのではないかと思うのです。ところが、政府趣旨に沿わないから、それははやりみずから出ていったのだ、こういったような説明が途中で行われておるし、一歩、運営を誤まれば、私は大へんなことになると思う。しかも、一体運営が正常であるかどうか、官房長官の言われる通り行われておるかどうかを見るのは、今日、郵政省が以前だとラジオ監督というのをやっておったけれども、今はそれを取り締る、常時見ているところは何もございません。従って、一方郵政省がそういうものをやったとしても、これはやはり内閣方針だということで押えられていけば、政府の思う通りにやはり言論統制、こういうワク内へ私は入っていくのじゃないかと思います。従って、そういうことを後日のために、私どもは十二分にここで論議を尽しておかないと、今政府のそういう措置を一体いいことか悪いことか、判断をつけるものはこの委員会あるいは国会以外にはない。それですから、もう少し私は慎重に放送法審議会あたりにこういう意見を出してもらって、政府がやろうとしているけれども、これは放送法あるいは電波法の精神に合致するだろうか、どうだろうか、言論統制にならないだろうか、こういう程度意見審議会の方にお求めになるのは当然なことだと思うのですが、どうでしょうか。
  33. 石田博英

    政府委員石田博英君) この仕事を始めることについて、さっき山田さんからの御質問の中に、諸外国の例その他について、私のはっきりした答弁がない、それから政府がこれをやるについての確信がないという御質問でありますが、諸外国の例は参考にはいたします。しかし、諸外国がやったことがないからといって、日本がやって悪いことだとは思いません。それから政府自分の行おうとすることを、でき得る限り親切に、そしてでき得る限り広範な層に知らしめようとすることは、むしろ政府責任であると考えております。  それから私がもう一つ申し上げておきたいことは、政府の時間というものでやりますのは、政府の施策の説明であります。他の時間の構成について何らの関与をする意思はございません。言論の統制は、他の言論についてこれを禁止する、制限をするというところに統制の本質があるのでありますが、私どもは、他の放送について、何らそういうことは考えておりませんし、さっきから申します通り、私は操觚界で育った人間でありますから、そういうことは断じていたしません。
  34. 森中守義

    ○森中守義君 それでは、たとえば問題の爼上に出た時事問題について、こういうものを一つ例にとりますと、やはり私はこれが政治的である、そういったようなこともあり得ると思うのです。たとえばこの前の海難事件であるとか、こういう問題をいろいろ爼上に出された場合に、一体なぜああいう事件が起きたか、しかも、その責任をずっと探求していけば、やはりそれは歴代内閣責任であったとか、政治の貧困によるものだとか、そういうことを国会では今追及している。ところが、国民に対してはそういう政府責任というものは巧妙に隠されて、現地でいけないとか、そういうことになれば、ほんとうに国民の公正な政治に対する判断というものができないのじゃないか。それですから、私は運用上非常に危険である、こういうことを強調しているわけです。
  35. 石田博英

    政府委員石田博英君) 私どもは非常に広範な問題について、ただいままで申し上げましたような基本的な方針においてやっていこうとするのであります。その広範な問題の、しかも、まだやってもしない、しかも、私どもが取扱いをしようと思っていない種類の問題であります。さっきの経済とか再軍備あるいは時事問題とかというようなものは、この時間において私どもは取り扱おうとも考えておらぬ問題であります。そういう問題を仮定せられていろいろな御議論をなさることについて、私どもは何とも申し上げようがありません、そういうことをやる意思がないのですから。
  36. 森中守義

    ○森中守義君 大へんけっこうな考えだと思うのですが、過去の日本政治の歴史というものが、やはりそういうことを繰り返しているのですよ。あなたが在任中はそれで済むかもしれない。しかし、あなたのあと、あるいははそのあと何代も官房長官かわるでしょう。おそらく政治情勢はもっと変っていくでしょうが、そういう歴史をわれわれは再び繰り返していかぬ。だから何回も申し上げるように、こういうことが放送法あるいは電波法を中心にして、ほんとうに政府が直接に言論報道機関に手を出すことがいいか、悪いかということを検討してもらったらどうなのだろうか、こういうことなんです。
  37. 石田博英

    政府委員石田博英君) 過去の官僚、軍閥の政治の時代の傾向を、私は少くとも今までの言論生活、政治生活を通じて自由主義者として一貫してきたつもりでありまするから、そういうような傾向を例にとられても、これは私にとっては当てはまらないことでございます。  それから政府行政施策というものを国民に周知徹底させることがいいか、悪いかということは、人に聞くまでもない、私はむしろ政府責任であると考えております。  それから、私のあとの人がその運用を誤まった場合どうするということを私お聞きになりましても、これは答弁をいたす限りではございませんが、しかし、そういうことにならないように、私が運営する時代に、運営のいい前例を作っておきたいと思っております。  時間がどうしても間に合いませんから……。
  38. 森中守義

    ○森中守義君 この問題はやはりかなり重要ですから、郵政大臣の方でも放送法審議会あたりに一回出してもらって、官房長官、ああいう強気で言っておりますけれども、これはやはり重大だと思うのですよ。それでまあ私どもは継続質問という格好で、将来もこの問題については重大な関心を払っていきたいと思いますので、できれば審議会に一回相談してもらいたいと思う。根本的にいいことか悪いことか、そのことの結論が出ないと、運用上間違いがない、あとあと心配がない、こういうことだけでは済まされませんので、その点、特に私は郵政大臣に要望を出しておきます。
  39. 平井太郎

    ○国務大臣(平井太郎君) 承知しました。
  40. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 審議会というのは、臨時放送法審議会ですか。
  41. 森中守義

    ○森中守義君 そうです。
  42. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) それならばただいまもうこれは解散してないわけです。——電波監理審議会……。
  43. 森中守義

    ○森中守義君 放送審議会というのはあるのじゃないですか。
  44. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  45. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をつけて下さい。
  46. 鈴木強

    ○鈴木強君 私はこの際、大臣から答弁は求めませんが、当面する緊急の問題として強く要望をしておきたいと思いますが、それは御承知通り、三公社五現業に対して、仲裁裁定が出され、これに対しては政府実施をするという議決と、それに伴う予算措置をおやりになっておる。参議院では社会労働委員会で、今その議決の案件を審議中ですから、私はその内容については触れませんが、ただ共通して電通の場合も郵政の場合も言えることは、やみだやみだといった問題については、昨日来、私もずっと衆議院の方も傍聴しておりますが、合法的に出し得る金であったということは明確になったわけです。あまりやみなんということを大蔵省で言うもんだから、いつの間にかまじめにやっている従業員が何かしら悪いことをしておったような印象を受けたことは、私どもも残念に思うのですが、その点は明確にされたと思います。そこで、そういう仲裁に対する議決と予算の措置をとっておられるのですが、問題は、昨日の衆議院における社会労働委員会において、いわゆる第一次確定の六百円ですね、これについては、確かに問題があると思う、しかしながら、第二次の確定分——電通で申しますと五百七十円の分につきましては、これは将来何とか調整しなさい、こういうふうに仲裁裁定にも書いてあるのですが、それを政府は今度引いておる、三分の一を。ところが、それに対する藤林委員長のお話ですと、今回からは引かないでおくということが仲裁の趣旨だと、こう言われておるのです。そうしますと、仲裁の解釈上、非常に疑義が国会の中に出ているわけです。私はやはり仲裁を尊重するという態度であるならば、仲裁委員長のおっしゃる、今回は引くべきじゃないという態度に立って政府は予算措置をすべきじゃないか、こう思うのです。その点が非常に不明確である。でありますから、当委員会としては、特に郵政、電通の担当大臣である中井郵政大臣ですね、閣内におきましてもどうか一つ、その点については、非常に不明確ですから、第一点として、仲裁の言われているような形でおやりになるように、格段の御協力を賜わりたいと思うのです。  もう一つは、今回補正予算の提案されましたそれに対する予算総則の中で、給与総額の基準内、基準外を分けまして、従来は公社当局が自主的にできる問題を、あえて基準内、基準外の流用についても——流用というか操作についても、郵政、大蔵大臣が協議をしなければならない、こういうような形に制約を加えてきております。そうなりますと、公労法上の団体交渉権というものは、給与総額内における賃金改訂については、弾力条項を含めて、その範囲であるならばやり得たわけですね。もちろん弾力条項の場合には、郵政大臣の許可が要りましたが、やり得た。ところが、それが、少くとも給与総額の中でもやれないということになると、団体交渉権を否認するような形になるのではないかと私は思うのです。そういう精神からいいましても、今度おやりになっておる給与総額内部を二つに分けて、これに対しても承認を得るということに対しては、非常に問題があると思うのです。こういう点につきましても、問題が二つとして出ておると思いますから、こういう点につきましても、一つ所管大臣として格段の御協力をいただいて、この円満な解決にお骨折りいただきたいと思うわけですが、この点を一つ御要望申し上げておきます。  それからもう一つ、私は、もう三回か四回前に、大臣に特にお願いをいたしまして、国際電電会社の越後屋ビルに引っ越したときの経緯と、それから今度新しく庁舎を作って引っ越したその時の経緯と、それからさらに新しい庁舎を建てたときの契約の内容、それからその実施状況について、資料を求めておったのですが、今日に至るもまだ私たちの手元に来ておりません。一つ、早急に国会へ出していただくように、この点も重ねて要望しておきます。  これで終ります。どうもありがとうございました。
  47. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会