○鈴木強君 関連しますが、私、初めて
国会に入って参りまして、今
官房長官から今度の
広報活動についての
構想を聞いたのですが、まあ
新聞にも伝えられておりますように、今あなたのおっしゃったように、
政府としては
行政施策上の告示とか、あるいは
解説をするのだ、こういうことや言っておられるようですが、お話の中で幾つか私は矛盾を感じましたので、大へんお忙しい時間でしょうが、この際明らかにしておきたいと思います。
まず、今の
政党政治が、いわゆるあなたは確かに党の役員をやっておらないが、極端にいえば、岸
総理大臣は党の総裁でもあるわけです。そういう点からいうと、この施策上の告示なり
解説というものに限っておっしゃるけれ
ども、実際
国民が心配するのは、時の
政府は
与党である、そうなると実際に
行政面における告示や
解説をするといっても、実際にはその
政策というものが入ってくる、こういうことを私は非常に心配するのです。ですから、いろいろと邪推や憶測をしてはいけないのですけれ
ども、歴史的に考えてみると、終戦十年たって、緒方さんの当時に情報局を設置するということも聞いておりましたし、最近では
放送法を
改正して、われわれから言うと、ある
程度の言論の統制というものを考えるようなお考え方もあった。そういう点から非常に心配しておった。ところが、それがなかなか思うようにいかないので、非常に、
国民が聞いてもなるほどというようなことをおっしゃって、そうしてそのことが今言った
行政上の告示や、あるいはその
解説をするのだということに名をかりて、実質的にはそういう制度の活用をやるのではないか、こういうことをわれわれは心配するし、これが現実に、われわれがよくこれからの
放送の
内容を聞いてみませんと、ここでは断言できませんけれ
ども、これは紙一重になると思う。この点を
国民は非常に心配しておると私は思います。もしおやりになるのでありますならば、
構想は
政府としてもっと考えなければならぬ点があるのじゃないか。その点を御
質問したい。
まず聴取者の問題ですが、今日
NHKが約一千二百八十余万人の聴取者を持っております。これは全
日本の世帯数の七七・一%に当っておる。こういう膨大な聴取者を持って、しかも、これが公共性ある事業として公平に
放送をなされておる。今
官房長官が
放送法の建前から
政府が監督しておるから、
政府からこういうふうにやってくれということは、これは催かにおかしなことになる、こうおっしゃる。それはそうでしょう。しかし、これからの新しい
広報活動としては、
民放と
公共放送というものと二つある。ですから、
政府としてはこういう考え方で
広報活動をやりたいという御
説明は、少くとも私は
NHKに対して申し上げることは一向
電波法の侵犯ではないと思う。こういう
構想を
政府が
説明して、それに慕いておそらく
NHKが、私の方はこういう考え方でやるということが出てきていると思うし、またこれは直接
スポンサーになってはおらぬようですし、代理広告業者にやらせるようになっておるのですが、そういう人にいろいろ話して、そうしてその
人たちにある
程度自主性を持たして、この
放送法に基く
放送番組というものが、公共の
立場からやはりやられるわけですから、そういうようにして、おそらく
民放がこうやる、
NHKがこうやるという
意見が
政府に来ておると思う。そこで、従来大衆的な
放送が
NHKではおそらくなかなかうまくいかないからと、こういうことをおっしゃる。そういうことは、
政府がこうこう、こうあるべきだということをおっしゃるならば、大衆的にあまねく公平にやることは差しつかえないのだから、そういう
立場に立ってわかりやすくやるのですから、技術的な問題ですから、これはでき得ることと思います。にもかかわらず、そういうたくさんの聴取者がいる
NHKに対して、あなたに言わせると、
放送法からいうとおかしいから、こっちでやる義務はないのだ、こういうことをおっしゃっておるのだが、その辺はもっと考え方を明確にして、話し合いの中から、もっとくだけたものにすることはより意味があることですから、できると思いますし、そのことをやることが
電波法に抵触するものではないと思う。そういう点が、あなたの言っておる中で、われわれから見ると、きわめて理屈がちぐはぐになっておる、理論に一貫性がないということ、その点がお聞きしたい一点。
ついでに、いま
一つお伺い申し上げますが、
内閣の
広報参与室から、四月から六月の
計画表をいただきました。これを見ると、あなたは家庭におってとかく一面、二面記事を読む機会のない
人たちに、また読もうとする意欲のない
人たちに
放送すると、こうおっしゃるのですが、それでは具体的に
放送の時間を見ますと、たとえば北海道
放送は日曜日の三時から三時半、こうなっておる。それから
ラジオ北陸を見ると、四時半から五時までと、こうなっておる。もう
一つは、深夜にわたる問題としては、
ラジオ新潟が二十二時三十分から二十三時まで、こうなっておるのですが、たとえば北海道の場合ですと、おそらく家庭の婦人というものは、農家の人で野らに出て
仕事をやっている時間です、と私は思う。できるだけ多く聞かせようとするならば、各放局とも大体家庭婦人が野らから帰ってきて、飯を食って、ちょっと一体みするころをねらってやる。そうしてその時間がかりに金がかかっても、使うべき金は使ってもいいと思う。
政府にそういう親切心があって、みんなに聞かせるという気持があれば、あえてそういう金を使ってでもやらなければならないのですが、深夜の二十二時、三時になど、野らから帰った人など疲れてしまって聞いてる人はないんです。そういうことまでなぜ具体的に配慮しないかということが、これはあなたの理論からいっても納骨できない。
番組編成については、
質問者は全部
おまかせする、こうなっていますが、これはたまたま二十日ですか、この前の、例のニッポン
放送でやっているのを聞きました。その次の日の、二十一日の朝日
新聞を見ると、
スポンサーの問題にしても、
政府は出演者が気に入らないからといって、第一回のときにも、現に千葉さんと坂西さんのニ人を
政府の方でけっているんじゃないですか。こういう点からいっても、やはり
自分の方で都合の悪そうな
人たちは、何かし
政府の方でもってけなすということでは、それはもうすでに
放送番組の自主性に関与することであって、あなたの方で
質問者は全部
おまかせするといっても、現に第一回の
放送のときにやっているじゃないですか。それをまるっきりわれわれをごまかしているように聞えるから、私らのように正義感に燃えている
人たちには納得できない。ニッポン
放送のときにあなたが出ておったんですが、
質問者が、
石田さんあたりにしょちゅう出てもらってやらなくちゃまずいということを言った。そしたら、事務官僚というのはテスト・ケースであって、
質問をさしてもその答弁ができないようなやつでは、事務官僚の資格がないというようなことを言っておりましたが、あなたが、もうそれはしょっちゅうここへ来てやるんだと、こういうことを言った。ところが、さっき言った話を聞けば、しばらくの間出るだけであって、あとはまかせると、そういうことを言っている。しかし、あのときはそう言っておりません。
質問者に答えてああいうことを言っているのじゃないですか。そのときばったりのことをやられたのじゃ、われわれ実際
放送関係を担当する
委員として、どうも信頼できない。そういう支離滅裂なことを言わないで、一貫して、われわれに納得できるようなことを言ってもらわないと、どうも
政府としては、
自分たちの思うことを、
政府という名をかりて、
政党の
政策をやるんだというふうに、
国民が心配するのは当然だと思う。こういう点を明確にしてもらいたいと思うのです。