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1957-10-10 第26回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十日(木曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――   委員異動 八月六日委員最上英子辞任につき、 その補欠として吉田萬次君を議長にお いて指名した。 八月十二日委員光村甚助君及び横川正 市君辞任につき、その補欠として松本 治一郎君及び亀田得治君を議長におい て指名した。 八月十五日委員亀田得治君及び松本治 一郎君辞任につき、その補欠として光 村甚助君及び荒木正三郎君を議長にお いて指名した。 八月十六日委員鈴木強辞任につき、 その補欠として松本治一郎君を議長に おいて指名した。 八月二十二日委員吉田萬次辞任につ き、その補欠として堀木鎌三君を議長 において指名した。 九月十一日委員荒木正三郎君及び光村 甚助辞任につき、その補欠として横 川正市君及び千葉信君を議長において 指名した。 九月十二日委員森中守義辞任につ き、その補欠として占部秀男君を議長 において指名した。 九月二十一日委員松本治一郎君、千葉 信君及び占部秀男辞任につき、その 補欠として光村甚助君、鈴木強君及び 森中守義君を議長において指名した。 十月九日委員小西英雄辞任につき、 その補欠として松平勇雄君を議長にお いて指名した。 本日委員森中守義辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            鈴木  強君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            宮田 重文君            横川 信夫君            久保  等君            三木 治朗君            光村 甚助君            山田 節男君            横川 正市君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選郵政事業運営に関する調査の件  (郵便貯金及び特定郵便局制度等に  関する件)   ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会開会いたします。  委員会開会につきましては、過般来要求がありましたので、理事方々が協議されまして、本日と明日二日間委員会を開くことに決定いたしました。  次に、委員異動につきましては、一報告を省略さしていただき、公報により御了承願います。   ―――――――――――――
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、去る八月六日最上英子君及び同月十六日鈴木強君が委員辞任されております。従って、それぞれ理事欠員となりました。この際、欠員となりました理事互選を行いたいと思います。  理事互選は、先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、松平勇雄君及び鈴木強君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、本日は郵政事業運営に関する調査を議題といたします。  順次御発言を願います。
  6. 横川正市

    横川正市君 きょう一口、大体郵政関係の問題について質問をするということになっておりますので、私の方から、最初に、最近の郵政事業の中で、郵便貯金が赤信号になったという記事が日本経済新聞の最近のものの中に現われておるわけですが、ことに、これの不振になってきた理由については明らかにされておりませんが、まず第一点としては、市中銀行預金伸び、それから大体農村あるいは中都市等では、農協関係貯金とのせり合いが非常に激しいわけでありますが、そういうような農協関係貯金伸び問題等と関連して、郵政貯金伸びがどういうふうな関係になっておるか、その点について第一点質問をしておきます。それから第二点としては、これの打開のための方法としては、末尾に、郵便貯金利子引き上げが必要だ、こういうふうにいわれておりますが、最近の金詰まり状態とか、あるいは庶民一般生活物価上昇に従って非常に窮乏してくる結果から、こういうようなかってない貯金預金額の払い戻しの増が出てきたというふうに見られておるのでありますが、そういうふうに、一般的な市中経済状態等を見たときに、果して金利だけの問題なのかどうか、この点について当局としてはどう考えておるか、この二点についてまず御質問いたします。
  7. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答え申し上げます。郵便貯金の本年度目標は、千百五十億という目標を立てておるわけでありますが、四月、五月、六月、七月までは、前年度と大体変らない率で行っておるわけでありますが、八月、九月が非常に悪いようであります。これは、今年度市中貯金状況及び農協等の問題を見ますと、多少ただいま仰せられたような、原因があるようでありますので、省としては、この目標達成に対しての見通しを立てるため、この間省議を開いて、いろいろな面に対して検討したわけでありますが、八月、九月は比較的悪いようでありますが、いずれにしても、十月、十一月になると、本年度は御承知通り豊作でありますので、これからの努力のいかんによっては、大体当初の目的千百五十億の線には何とかこぎつけるのではないかという見通しを持っております。もう一つは、千百五十億にするには、相当努力をしなければならぬというので、貯金の増大に対しては一つPR活動等をやって、万全を期したいという考えであります。ただ、九月の半ばぐらいまでには、大蔵当局等金利引き上げをしなくても、十分千百五十億を達成できるのじゃないかというような甘い考えを持っておったようでございますので、郵政当局としては、金利値上げ制限額引き上げ等、当然やることをやらないで、そういう甘い状態にはないのだということをしばしば申し上げてあるのでありますが、現在の状況では、相当程度努力しなければ目標額をこえるというところまでは行かないじゃないかという状態でございます。
  8. 横川正市

    横川正市君 一点は、農協貯金とか、それから市中銀行伸びについて、郵政省はどういうふうに把握されているかということですね、それと、郵便貯金が八月、九月に赤字になってきたということとの関連について、どう分析しておられるのか。
  9. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、郵便貯金市中金融機関、特に銀行との関係に対しては、あまり競合していないじゃないかという考えを原則的に持っているわけであります。農協等の窓口と郵便貯金とは、これは関係があります。ありますが、農協預金自体もふえてはおらない、減っております。これはいつでもの例でありますが、九月一ぱいまではほとんど払い出しを全部やめてしまう、純増を求めることが農協自体むずかしいのだという原則通り、いつでも減っておりますから、農協郵便貯金関係が密接であって、農協等がふえておるので郵便貯金が減るんだということは考えておりません。郵便貯金に対しては、私は端的に申し上げると、物価幾らかの値上りということとあわせ、国民消費が相当程度伸びているという数字が出ておるようであります。郵便貯金は、御承知通り、零細な資金郵便貯金として貯蓄をせられるということでありまして、郵便貯金目標が達成できるような場合は、国民消費幾らか押さえられるというような状態でないと、なかなか郵便貯金預金額が上らないということだと思います。そういう意味で、事実経済企画庁、日銀等調査を見ましても、今年度の七、八、九月の三ヵ月等は顕著に消費伸びておるようでありますので、私たちとしましては、どうしても金利引き上げ制限額引き上げを行なって、この消費部門伸びておるところの消費郵便貯金吸収するという方向方策をとっていくことが正しい、また、とらなければならない、こういう見方をしておるわけであります。
  10. 横川正市

    横川正市君 大体郵便貯金預託者の分野と、それから農協貯金関係というのが、私は、これは今大臣の言われておるように、金利引き上げ等でそういう吸収をはかることはできるのじゃないかというふうに思う。ですから、実際上、金利が差ができたということから、今までかつてない、三月、四月ごろの赤字になったことはあっても、八月、九月に赤字になったことのない郵便貯金赤字になったということに対する郵政当局の対処というのは、この点にかかっているのじゃないかと思う。ですから、その点では、大臣としては何回か新聞郵便貯金金利引き上げについて意見を出しておるようでありますが、これについての見通しについてどうか、それをまず一つお聞きしたい。
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私たちの今の郵便貯金に対する問題は、制限額引き上げ及び金利引き上げ及び新種郵便貯金の制定という三つに分けて今大蔵当局と折衝しておるわけであります。大蔵事務当局も、先ほど申し上げました通り金利引き上げをやらなくても目標額を達成できるじゃないかという甘い考えから脱しまして、現在のところでは、幾らかの金利及び制限ワク引き上げをしなければならないというように基本的な観念は変ってきたようであります。これは郵政事務当局との間の折衝においては、いまだ私が言っておるような最終的な段階まで引き上げに賛成いたしておりませんが、私は当然、この問題はどうしても通常国会法律改正しまして、私が言っておるものを最低として、ワク引き上げ及び利子引き上げは当然なすべきだという考えであります。これは郵便貯金金利引き上げたり、ワク引き上げたりすることによって、一般市中金融機関、すなわち銀行預金に非常に大きく響くというようなことをいっておることは、先ほど申し上げましたように、原則的に当らないという基本的な考えを私は持っておるわけであります。だから、金融機関、特に銀行吸収されるものと郵便貯金吸収されるものは対象が違うのだ。だから、そういう意味でいわゆる平仄を合わすという意味でも、金利引き上げは当然なさなければならぬ、こういう考えであります。本年度は千百五十億でありますが、来年度は千二百億余を最小目標として掲げておるわけでありますので、私も初志を貫徹いたしたいと思いますが、両院の皆様にも、ぜひ応援をいただいて、これが貫徹をするようにしていただきたいということをお願い申し上げるわけでございます。  特に私がこの金利引き上げ考えておりますのは、国際収支のバランスの悪化によりまして、非常に予算上も均衡予算を組まなければならないというような議論がありますが、私は国際収支改善一つの処置として、コストダウン考える場合には、ただ全般的に、一律に金融を締めても実効が上らないのじゃないかという考えを持っております。やはりコストダウンに必要な隘路産業基礎産業に対しては、出すものは計画的にこれを出さなければならない。そうしてその半面国民の少しがまんのできるところの消費伸びは、幾らかでも貯金としてこれを吸収するという両面の施策を並行して行うところに初めて国際収支改善ができるのだという考えでありますので、私は今田の大きな原資となり、しかも、計画的に隘路産業基幹産業に投資をせられる原資面の大きな地位を占めるところの郵便貯金を増大させるためにも、金利引き上げ制限ワク引き上げをともにやらなければならないという強い考えを持ち、その実現に努力をいたしておるわけでございます。
  12. 横川正市

    横川正市君 さらに御質問申し上げたいと思うのですが、なぜ赤字になったかという、現在の情勢分析の中の第二として、物価、特に食料品値上り家庭経済に響いているのだ、これは一般物価上昇が目立って庶民階級台所に響いているのだということが、最も郵便貯金を利用される層の台所状況だというふうに分析をされておるわけです。そうすると大臣が今、この赤字の克服のための努力方向は、ここでは先ほど私の方が指摘したように、金利引き上げをやれば、これは大体解決がつくのだというふうに考えておるようでありますが、私はもっと困難な庶民経済状態というものがあるから、努力方向というのは、金利と違った別途の努力というものが相当必要なんじゃないかと思うのでありますが、その点大臣のお考えはどうですか。
  13. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 確かに台所経済値上りの傾向を示しておるようであります。これは、特に値上り率を見ますと、生鮮食料品が一番率が多いということでありますので、台所に響いておるという御説になると思います。しかし、国民全体の経済状態から見ますと、今年度の上半期、特に七、八月から花月にかけての郵便貯金吸収率が非常に悪くなったという時期においても、半面消費経済といいますか、国民消費は相当伸びておるのです。一向ダウンしないのです。これは中元から今日に至るまでのデパート等の成績も全然落ちない。非常に消費面伸びておるということ、これはいなめない事実であります。だから、生鮮食料品幾らかの値上りによって台所経済が非常に圧迫を受けておるといわれる半面台所の自力も相当あるのだ、値上げの主なお相当消費伸びておると、こういう状態でありますので、その面を土台にして考えますときには、金利引き上げ等をやることによって目標を達成するというような状態までこぎつけられるのじゃないかという考えでありますが、それが甘いということになりますと、具体的な問題になります。具体的な問題になりますと、これは特にあなたにもお願いを申し上げたいのですが、これは貯金を勧誘いたしましたり、保険募集をしたりするのは、夜間にわたってはならないなどと申しますと、七月、八月においては農繁期でほとんどたんぼに出ておって、昼間七、八時間では仕事にならないというので、手数料を少し引き上げても国家的な預金吸収というような立場には、そういう面でもう少し現実的な施策があるのでありますが、これはやっていただく下部方々と完全に一体にならなければどうにもならない仕事でありますので、全逓の諸君とも連絡をとりつつ、大きな国家目標を達成するために具体的な施策を今考究中でありますので、もうすでに十月も半ばでありますから、米がちょうどこれからできるので、しかも、全国的に二割の豊作ということになると非常に大きな収入増であります。しかし、これがさなきだに伸びておるところの消費経済に拍車をかけるようなことであってはまずいので、君方ともじっくりと腰を落ちつけて、預金に御協力を願うというような体制もとらなければならないと考えておるわけであります。
  14. 横川正市

    横川正市君 私は大臣の勘のよいのにはちょっと驚いたわけですがね。ただ金利引き上げだけでこの赤字が克服できるかというふうに私が質問したのに対しまして、直観的に保険とか貯金なんかの場合の夜間募集に頭がすぐ働くというのは、これは私は策がなさ過ぎると思う。ことに、この機会ですから申し上げて、これは大胆就任以来大へん勉強されておるようでありますが、ぜひ参考にしていただきたいと思うのですが、たとえば年賀はがきが今年七億枚と新聞に出ております。七億枚ときめられたのは、これは大臣厚生大臣と自民党の三役の方々だというように聞いておるわけです。私はこれがいいか悪いかはまた別個の問題ですから、あえて例にとる必要心ないかと思いますが、こういうきめ方が実際上協力を得る省側態度かどうかという点については、一考を要する例になるのじゃないか。ことに、貯金とか保険募集する側とそれから募集される側というのは、これは非常に機械的に行かないむずかしい問題があるわけです。しかも、相手側はなるべくしたいと思っておるのだけれども、ないというやつを、それを今度は消費経済の方を節約させてまで持ってこようというのでありますから、これはもう大へんむずかしい問題で、それから保険なんかの場合でいいますと、保険は一切きらいだというのを保険を好きにさせなければ加入してくれない、こういうのでありますから、一番末端で業務に携わっている人たちの日常というのは、これはもう察してあげなければならない多くのものが私はあると思うのです。その点が、ことに、この貯金赤字の問題に結びついてきている物価上昇というような問題が出てきて、下部募集状況というのがますます困難になってきているさ中のように思われるものですから、当局態度としては、金利値上げだけが今の対策であるということでなしに、もっと積極的に下部の実務についている方々とどうやったら打開できるかについての話し合いをすべきではないか、こういうふうに私は思うのです。もしも、これを機械的に表現すると、現在定員というのは、いわば、これは石田労働大臣に言わせれば、太政官布告当時からの法規で、今の法規に当てはまっておらないものを労働組合が一々教えてくれることはまことにありがたいから、というような、言い方をして、現在の業務運行上いろいろきめられている細則についての不備を政府当局も感じておられるようでありますが、その業務細則にのっとってそれぞれの人たちが働いているその労働量というものは、私はこれはばかってもなかなかはかり切れないものだろうと思うのです。そこで、いろいろ困難な状態というものが次から次へと出てくる。出てくると、法律を守ってこれを拒否するというふうに行くのか、それとも法律法律だけれども、何とか一つこれはやってくれないかというふうにいくのか。現在定員というのはさまっているのですから、方策としては、そこに持ち味を出して郵政当局が働きかけないと、なかなか問題は解決しないと思うのです。ですから、法律一点張りではこの問題は解決しない。ことに、従事している従業員側からいえば、これはこうだからと言ってたてをついてくる、あるいは省側もこれはこうだからというので法律たてをつくというのでは、私は今の郵便貯金とか、あるいは保険等募集業務というのはなかなか困難な問題ではないか、こういうふうに思っておるわけです。ですから、たまたま新聞で、こういうふうにかつて例のない八月、九月に赤字になったというようなことは、これは田中大臣としては不名誉きわまりないことでありまして、一般情勢は、大臣分析では、そう辛くない、甘く見ているようでありますが、私は、かつてない赤字状況というものを克服するための努力というものは相当大臣努力してもらわなければ、それこそ解決つかないものではないか、こういうふうにも思うのであります。ことに不満なのは、私はこの貯金のこういうふうな状況をいろいろ下部に押しつけて募集をさせておるのでありますが、たとえば、今年の貯金会計予算編成方針をちょっと聞いて驚いたことなのですが、今までは大体預託金に対して六分五厘で郵政省は一切の業務を行なっておるのだと私どもは思っておったのです。今年はそれを六分に引き下げた。引き下げた理由の大本は何かといいますと、かつては三千億程度の預託金があったので、それに対する事業経費その他を入れると六分五厘だった、それでも二十八年、二十九年、三十年と赤字を出して一般会計からの繰り入れ、さらには運用部資金からの事業経営残ですか、これの繰り入れ等でまかなっているようでありますが、それが五千億を突破したから六分に下げて現在経費をまかなうのだ、という計算を成り立たせたところに私は大体貯金経営の無理があると思うのです。実際上、下部従事員労働に対して、幾らかでも常日項よりこれを多く要求するということになれば、その意味ではいろいろまあ見てやらなければならない問題がある。しかし、それは手当その他で見てやろうとしても、予算上これがまかない切れない、こういうところに私は今までの紛争の一つ原因があったように思うのです。ですから、解決をするとすれば、大体経営それ自体から根本的に――預託されておる額に対する金利の問題から解決していって、根本的にこれはやってもらわなければいけないのだというふうに思っておるのでありますけれども、実際上は、私が今そこまで触れて伺うということは、なかなか大臣の方でも即答しかねる問題でありましょうから、その点は強く要望いたしておきまして、この赤字になった、しかも、かつてない例で示されている現状をぜひ一つ解決するために努力をしていただきたい、かように考えるわけであります。その努力方向が一方的に従事員に無理のかかる――簡単にいえば、先ほど言いましたように、夜間もやってもらわなければ困るのだ、これが解決なんだというような簡単な割り切り方では問題にならないので、その点は私は決して最善の方向とは思われませんので、そういったことのないように、無理をしないようにして、なおかつ問題を解決するような努力方向というものを出していただきたい、こう思うのです。  それから二番目の問題は、大臣が就任されてからまことに活発に郵政業務内容新聞に出るものでありますから、いろいろな点で疑問を生ずるわけでありますが、その点についてざっとお聞きしていって、本格問題はあとに回しておきたいと思いますが、逓信省へ改名したいのだということが、大体大臣が就任されてからの省議できまったようであります。私も感じとしては、逓信省という昔の名称に――実体が伴っておった昔の内容に郷愁を感ずるものもあるわけでありますが、しかし、今郵政省として発足してから逓信省に変えなければいけないのだという省議決定を見ますと、その中にはいろいろ事業増とか、あるいは監督官庁としてのいろいろな内容の強化とかというような問題があるわけですね。そこで、第一点としては、逓信省として改名しなければならなかったいろいろないきさつについてお聞きしておきたいと思う。  それから第二点として、との改正をするという中に、電気通信及び電波監理機構を拡充するのだということがあるのでありますが、これは前大臣、前々大臣等々との質疑の中にも、いろいろ私どもは危惧される点として質問申し上げておりまして、電波法改正問題等のことがありまして、当時はそれらの問題については、一般国民改正に対する世論というものをそんたくをして省としてはこれをきめていきたい、こういうことで手をつけることを今までおもんばかっておられたようであります。しかし、今度の場合は、田中大臣が就任されて、それらの問題について触れるのか触れないのか、とのことは監理機構を拡充するのだということの中に一体どういう意味が含まれているのか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
  15. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 貯金業務の問題に対しては、御説の通り慎重に、しかも、迅速に具体策を講ずるつもりであります。  第二の逓信省の問題でありますが、逓信省の名前を変えるために法律改正しようというのじゃありません。郵政省設置法を大幅に改正をするという段階におきまして、改正一つとして省名逓信省に改めたい、こういう考えであります。逓信省省名を変えて内容を改めようということは、内容的に見ますと、ほかの並列官庁と一緒に見る場合に、国有鉄道に対する運輸省という官制を見ますと、郵政省電電公社との官制とは全く違っております。こういうものも、平仄を合せるという意味から直さなければならぬという面もありますし、官房長制度のないのが文部省と郵政省だけのようであります。これもなぜ今まで官房長制度をとらない、制定しなかったという問題も当然起きてくる問題であります。特に申し上げたいのは、先ほど申し上げましたように、電気通信監理官制度が現在の設置法においてはとられておりますが、これは建設省が公団に対し監理官制度をとっておるということと、それから公社に対して運輸省設置法がとっております機構とは全くのちぐはぐであります。これはどっちかに合せることが正しいのでありまして、そういう意味では運輸省の例にならって電気通信監理局を設けたいということであります。特にただ平仄を合せるだけではなく、電気通信の分野は御承知通り非常に大きくなっておりまして、電電公社だけでいろいろな折衝を行なったり、計画を立てたりすることに対しては、どうも省との間に一貫性を欠くというような問題もありますので、当然、戦後もう十二年、爆撃の復旧という段階をもう越えて、新しい立場から国際的な電気通信事業を進めなければならないという立場から電気通信監理局を作り、整備拡充をしたいということもまた当然の結論だと思います。  電波の問題に対しては、これは今まで御承知通り電波省を設置する、電波省として独立をしなければならないというようないろんな議論がありましたが、私たちは八月の末から九月の初めにかけて大蔵省に対して三十三年度予算の大綱を提出をしなければならないという立場に追い込まれておりますので、当然その予算の大綱を提出をするときと合せて最小やむを得ざる程度の機構改正はいたしたいというので、現在省で考えておりますのは、電波監理局に部制を設けて今よりもより合理的にいたしたい、しかも、民放にテレビが近く非常に多数に免許をされますので、そういう意味からも現在の電波監理局の状態だけでは万全を期し得られないという新しい事態も起っておりますので、あわせて電波監理局の内部の拡充強化をはからなければならない、こういう問題にぶつかっておるわけでございます。その上なおどうも運輸省設置法及び国有鉄道電電公社を合せて見ますと、どうも三公社五現業といいますか、郵政省の現業は公社でもなしで非常にむずかしい機構にあることは御承知通りであります。で、非常に大きな機構であります。そういう意味郵政省では、ちょうど国有鉄道運輸省が一緒になったようなものが郵政省の現在の機構でありますので、どうしても現在の人事部を人事局もしくは職員局に改めなくちゃいかぬじゃないか、こういうふうな、もう今までなぜ手をつけなかったのだろうというような、当然手をつけなければならない問題がたくさんあるわけであります。そういうものを自動的に拡充強化をしなければならない、この問題に対しては行政機構の整備、行政機構の簡潔化を目的としております行政管理庁でも、これは郵政省設置法の現在の機構そのものが小さいのであって、これはやはり郵政当局がそういう考え方であるならば、大体それが正しいでしようと、こういうことで、案外、機構の改革に対してはみんなが反対するのでありますが、郵政省設置法をよく今までがまんをしておったというように相当同情がありますので、好機のがすべからずと、こういう考え方でやっておるわけであります。  逓信省省名変更に対しては、これは古く逓信省を使っておったので、いわゆる懐古趣味、何だかなつかしいという意味逓信省という名前に変えようということでは絶対にありません。現在電波、国際電気通信等の非常に大きな問題、特にきょうあたり空を飛んでおるあの人工衛星も日本の官庁の中で大体やるとすれば、私の所管であります。そうなりますと郵政省という名前そのものがおかしいのであります。郵政省以外に逓信省という名前じゃなく、いわゆるコミュニケーションという名前かなにかでいい名前があればそれでもけっこうであります。どういう名前がいいかというと、通信省はどうかというのでありますが、これは党あたりでは通信部会という名前を使っております。衆参両院はさすがに逓信委員会でありますが、こういうことになりますと、もっといい名前があるかというと、現在の郵政省という名前よりも、郵政省の実体をより合理的に第三者に表明するためには、逓信省の方がより合理的だという考え逓信省にこの際改めたいということであります。二十三年に三省分離になり、二十七年に電電公社が発足し、電電公社監督の業務郵政省に帰ってき、電波監理委員会機構が全部電波監理局として内局になったというときに、衆参両院においては、逓信省とこの際改めないのかという質問があるようでありますが、当時の郵政大臣は佐藤榮作氏だと思います。変えてもいいのだが、変えるとかえって幾らか金がかかるかわからぬというような答弁をしておられるようであります。どういうふうに金がかかるかというと、財閥解体のメモランダムが出たときに、財閥が判こを変えるだけでも何千万円の金を要したから、逓信省に変えると相当程度の判こも変えなければいかぬじゃないかというような根拠で発言をしておられるようでありますが、私が調べましたら、昔の、航空機、船舶を持っておった当時の逓信省の判こがみな今あるわけであります。だから逓信賀を二つ作ってもまだ間に合うというくらいにありますので、郵政省という名前を逓信省に書き変えるのは、看板を一削りするという程度でほとんど金がかからないのでありますし、特に国際的な面から見ましても、通信省というと、先ほど言われたように、貯金及び保険等はその通信には入らないということになりますし、郵政省の郵は郵便のためというだけで使われたようでありますし、逓信は逓信とか逓送とかいろいろな問題もありますし、特に従業員組合が全逓、全特定でありますが、そういう意味で、組合の意向はどうかというと、それはもちろん逓信省であるというように、少くとも郵政業務に携わる人たちはほとんどすべてが郵政省より逓信省省名が正しい、非常に合理的だという結論に達しましたので、以上申し上げました機構の整備拡充に合せて省名逓信省に変更なさんとするのであります。  電波法の問題は、私が大臣就任のと章に、ここで御説明申し上げておりますが、電波法は、できれば次の通常国会改正案を提出いたしたい考えであります。
  16. 横川正市

    横川正市君 その改正したいといろ意思が表明されたから、今までのいきさつもあることでありますので、私の方ではこの問題一を非常に重視して今まで取り扱ってきた案件でありますので、意思に従って、一つどういうような改正をしようとされておるのか、本日もしその内容を説明することができなければ、きわめて早い機会にその内容を明示していただきたいと思います。  第二の問題は、私は今大臣の言われたような、機構上の問題から逓信省にしたいのだという一連の考え方には必ずしも反対はしません。しかし、今年の予算編成の大綱というのを、これは新聞で知る限りでありますから、実際に説明を受けてみないとわからないわけでありますけれども、二、三拾ってみますと、たとえば職員の新陳代謝をはかるために、今年もまた一時金制度だけで三十年、四十年と勤続した者をやめさすのだと、こういう岩戸、方になっておるようであります。私は、今私の方で本委員会にかけております退職年金というようなものをこそ成立させて、そうして何十年間かお世話になった郵政省に、まことにどうもありがとうございましたという感謝の気持で、勇退をしないでも――郵政省側が勇退させるというのではなくて、本人が勇退するという方向に持っていくとのが、大体竹としてとるべき方法ではないか、最近は郵政省も一生懸命やってくれているようでありますが、そういう方法がとられるべきだと私は思う。 それから今町では野菜屋さんにしても魚屋さんにしても三輪車を持ってどんどんやっておるのに、郵政だけが炎熱やけるようなコンクリートの上をリヤカーを引っぱって小包を配達をしておる、あるいはその取り集めをしておる、こういうような問題を一体拡充しない、あるいは充実しないで、そうして何かはなばなしい面だけの充実に重点を置くということは、私は必ずしもいい方法だというようには思わないのです。最近の郵政の目ざましい私は内容の充実というものを見ときに、どうしてこんな点が取り残されているのか、非常に残念に思うわけなんですが、その点一体、ことしの予算幾らかでも改善をするという意思があるのかどうか、この中には出ておらないようでありますからお開きしたいと思います。ことに、今まで各郵便局あたりでは、スクーターが一台行きますと、何人何分定員減、あるいは逓送車が行きますと、何人これを逓送の方の充員にしてしまって、職員からはずしてしまうとか、いわゆる機械化とまでいかない、動力化即定員減という問題にこれは結びついているわけなんです。そういうことでは、私は今の郵便企業の経営に当っている人たちのものの考え方には、どうも私たちとしては納得いかない問題がたくさん出てくるわけですが、その点についてどう改善されようとしているか、一つ触れて説明願いたいと思います。
  17. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 電波法改正は慎重を期さるべきであることは論を待たないと思います。この点電波法の要綱ができましたら、委員会一つ御相談を申し上げたいという考えであります。  なお、企業の能率化、合理化いう面から、リヤカー等を使っているのは一体どうするのかということでありますが、これは昭和三十三年度予算に機械化をいたしたい、自動車を可及的すみやかに整備をしたい、将来五カ年計画に基いて大体リヤカーのなくなるようにしたいということで、相当大幅な予算の要求をいたしております。  退職者の問題でありますが、これに対しては私も真剣に今考えておるわけであります。昭和三十三年度予算に対しては、概算要求で老齢者、特に老齢者の勇退という意味で、二千名二十億を概算的に要求しておりますが、これは老齢者というよりも功績者でありますので、これは私自体も近く省議を開いて言うつもりでおりまして、今ひそかに成案を練っておるのでありますが、この前でも、やはり電話一本で四十年も勤めた局長さんが、おやめなさい、金の百万円もらうよりも、御苦労さんでございましたという意味で、大臣室に呼ばれて杯の一つももらった方がよかったという、非常に真剣な抗議もあります。これはもう大臣としては当然考えなければならない問題でありまして、そういうりっぱな功労者に対しての官僚的な態度は、これはもう直ちに是正しなければならぬということを今深刻に考えておりますし、具体的な処置に対しても、的確な施策を行うつもりでおります。二千名二十億というと一人百万円でありますが、私も省議でこの数字を見て、三、四十年働いた者がたった百万円かといって明確に発言をしているような状況でありまして、これが退職年金の問題その他に対して、この委員会に継続審議になっている法律案もありますし、省は省自体としてもっと抜本的な、また前にもこの委員会で一質問がありましが、恩給法の制度をどうするのか、恩給法と国からの退職年金関係をどうする、しかも、雇で入って、それから本採用になってからの者をどういうふうにして通算をするかというような問題に対しては、もっと合理的に、もっと真剣な態度一つ予算がないから予算ワクを制限するからなどということの原則だけでこれを放擲しておれば、恩給法自体の存廃の問題にも関連する問題でありますから、これは一つ省に特別な制度を設けて、非常に慎重に、しかも、可及的すみやかに結論が出せるような何らかの措置をとりたい。これは私が就任第一歩から一番大きな仕事として考えている問題でありますので、おざなりな考えではなく、もっと真剣にこの問題と取り組んで何らか成案を符たいという考えであります。
  18. 横川正市

    横川正市君 ただいまの問題は、私は、内容の充実について大臣就任以来努力されて、それがことしの予算で出てくるということになれば、非常にこれは私たちとしても願ったりかなったりで、幸いなことだと思うのですが、これはもう五年間計画だというような、そういう何といいますか、計画内で徐々にということでなしに、定員問題等とも関連させてすみやかに一つ実施するようにしていただきたいと思う。ことにひどいのは、一キロくらいもあるような所をリヤカーを自転車で引っぱって一日に三回も四回も逓送をやっているというようなことがあるわけであります。それこそ三輪車を要求したらどうかというと、定員五名のところを三名にしてしまうというようなことで、それでは困るということで話をしている。動力化が即定員に響くというようなやり方は必ずしもほめたやり方ではないと思う。その他にいろいろ改善すべき幾多の点があるのじゃないかと思うのですが、そういうことで、ぜひ一つ動力化ということで犠牲の出るようなことのないように注意をされて実施をしていただきたい。  それからも一つは、先月の十九日の新聞紙に出ていたのですが、これはどうも見出しが見出しでありまして、業務内容を知っている者は一体これは何のことを言っているのかわからないのでありますが、その中に「官庁では責任のない者が窓口事務を行っている場合が多いが、窓口責任体制を確立し、書類の受付などは課長以上に限ることとする。」という話であります。郵便局の仕事というものには、集配の人たちが郵便局から出ていけば、局長さんの仕事をしているくらいの気概でやっておりますし、それから会計事務の分任官の問題にしても、判こを押して出してくるのは局長の判こ押して出してくるのじゃなくして、個人のものを出してくるのであります。大体大臣が何か職員に手紙を出したようでありますが、非常にまじめな職員であって間違いがないということを信用されて動いているのでありまして、一人々々が窓口なんであります。そういうことからいいますと、ここには唐突もなく職制の課長が飛び出してきているので、ちょっと理解しがたい問題があるのです。これはどういうことを言ったのか、まずそれを一つ説明していただいておきたいと思います。
  19. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは今あなたが言われたように、郵政省や電信電話、特に電話などは窓口は「もしもし」という人ですから、課長がやりようはずはないのであります。こういうものと競合しておりません。この問題は通帳省等でもって汚職一件がありましたり、農林省で多久鳥事件があうたり、こういう問題は課長が一体知らないというのはおかしいじゃないか、つまり深長が知らないのに何千万円の金が出されているということ自体がおかしいのだ、昔の出納官、出納方式はどうなっておったかというと、大体各省では官房会計課長の判こがなければ、日銀の小切手が出ないという原則が確立されておったのでありますし、そういう問題に対しては、いわゆる業務犯罪に対しては直接な主管者までがぴしゃっと責任を負うようになっておったのですが、戦後はこういう組織が非常に縦の組織よりも横の組織を重点にして今作られておりますので、どうも課長の知らないことが下部においてやられている。特にこの問題が閣議等で論じられましたのは、割当などに対しましても、特に外貨の割当等に対する問題を取り上げてみますと、課長や局長のところへ行くときには、すでにがんじがらめになっているので、窓口に何々天皇というのがあって、これを通さなければ何にも行政はできないのだという組織があるそうであります。私は必ずしもそういうことがあるかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういうエキスパートでなければならないというむずかしい問題、特に私の省で例をとって言うと、純技術的である電波の窓口というようなものがあるでしょう、そういうものは課長や局長まで行くまでに窓口でもって何カ月も、長いのは何年間も書類がとめ置かれるというようなこともなくはないようであります。そういうことでは行政の渋滞であり、一般国民に非常に迷惑をかけるのであるから、これはやはり国民から受けたものに対しては、官は明らかに、これを却下するのにはこれはどういうことで却下するのだ、受け付けた場合には、その責任は最終責任者が負うのだということを明確にするには、窓口の秩序を保たなければならない。戦後は、銀行などは支店長代理などが波乱のときには窓口にすわっておったのでありますから、いずれにしても、そういうふうにいわゆる下の方でもって、法律的な責任のない人が行政を壟断ずることがないように、窓口事務の明確化をはかろう、こういうことを各省申し合せて通達をしただけでありまして、これは郵便局長が窓口に立って全部の貯金の出納を行えという4のでは全然ございませんから、誤解なさらないようにお願い申し上げます。
  20. 横川正市

    横川正市君 たくさん出たうちで、言われるとそういうことならということに理解のできる問題がたくさんありますし、それならば郵政にはそういう窓口はあまりないから、これはどうももう少し的確に知らしておいてもらった方がいいのじゃないかというふうに思う程度のものになってしまうというわけで、そういった点はぜひ一つ、これからもあまり出てきますと、私の方もちょっと何だろうといってよけいな神経を使うことになりますので、言うときにはもう少しわかるように説明を加えて新聞に出してもらうようにしていただきたいと思います。  それからこれは、以下私の方では、大臣は非常に勉強された、勉強された結果だということで出ておりますから、この勉強された結果については、私も敬意を表するのでありますが、ただ、私たちのように郵便事業に何十年かいて、それでこの事業の甘い辛いも、それから過去の歴史もみな知っておる立場から、終戦後組合の動きにずっと携わってきた者からものを考えてみますと、それから大臣が就任されて、若さ意気で事業の持っておりますいろいろな点に対して活を入れようとして努力されておるのとでは、どこかちょっとはだ合いが少し違うような印象も受けますし、いわばそのことが誤解になっておるのかもわからないのです。しかし、どうもこれはどうかと思われる問題もたくさんあるものですから、私の方で今日はその点について少し時間をとって御質問していきたいと思うのであります。実は私はこういうふうにまだるっこしい言い回しをしないで、いわば今の自民党の政府の労働政策がこういうふうになってきて、田中郵政大臣がその任務を負うて郵政省に来られておるのだ、だからその任務を遂行するに当って、お前たちとは意見が違うのは当りまえだという点がこれはあるのだとすれば、私はその点で論議しなければいけないと思う。しかし、私たちが今まで田中さんが就任されてから何回か会見もし、受けた印象からすると、そうばかしでもなしに、ほんとうに郵政事業のために一生懸命にやろうとしておるのだと、こういう点も私たちはずいぶん感じておるものですから、そういう意味では、これはけんかをするよりも、話し合って解決した方がいいということになるわけで、ことに、私たち委員会で七月の二十三日に大臣と第一回ここでお会いいたしましてからきようで一回目なんですが、一回目にお会いしていろいろ大臣の就任のあいさつ等をお受けいたしましたり、あるいは顔なじみの政務次官のあいさつを受けたときには、私は少くとも逓信委員会というのは、これは今までの逓信委員会とは質的にも、内容的にも変っておらないと思っておったのですが、そういうふうに変らないのだと思っていたことが、実はこれは変っておったということになりますと、私どももうかつだったということになりますから、今から一つ締め直して参らなければいかぬということになるので、重要な一つ問題なので、大臣から誠意を持ってお答えをしていただきたいと思います。その点から一つ
  21. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先に一つ基本的な問題に対して私の意見を申し上げましょう。これは郵政大臣として就任をいたした当初ここで申し上げた基本観念は全然変えておりません。これだけ一つ再確認をしていただきたいと思います。  ただ、私がいろいろな談話を発表したり、いろいろなことをしておりますが、これは話してみると案外納得することだと、これは新聞に出ておることは、またこれから質問のあることは、大体話せば納得することであります。これは善意に私がやっておることでありますから、悪意を前提にしておらぬのでありますから、話せばわかることでありますが、これは新聞に十行か十五行出ましても、私のしゃべっているのは二時間か三時間しゃべっているのです。それを集約して十行か二十行、二十行出しているときは、新聞も重要視して出しておるのでありまして、私たちは、これはこういうことですと、こういう言葉で言っているのですけれども新聞の紙面の都合で私が言うような意が尽せないということに対して、これから一つ発表の場合は、各新聞社にお願いして、ポイントだけははずさないようにぜひお願いを申し上げたい、こういうことを要請するつもりであります。ただし、そこをはずさないと、あまりいい記事にならないという場合もあるでありましょうが、これは私の立場から、一つ正式に要請するつもりでございます。  もう一つ、私が郵政省に参りましてからもう九十日を過ぎたのでありますが、いろいろなことを新聞等で報道をされておるが、どうも岸内閣の反動的な政策の一つとしてというような表現があったようでありますが、労働政策として、労働者とほんとうに対決しようというような考えは岸内閣も持っておりませんし、もちろん先ほども申し上げましたように、郵政事業というものは非常にむずかしい機構の中にありますものでありますし、特に一つの過渡的な組織体でありますので、今は一番人間に対しては慎重を期さなければならないということを考えておるわけであります。事業は、大臣の一片の指令をもって、二十五万の職員が動くとは毛頭考えておらないわけであります。これはまさに一体となって、国民に奉仕しなければならない機関だと思います。そういう意味で、私はあくまでも郵政省の持つ歴史と伝統を守ってもらいたい、いい意味の郵政一家となって国民に奉仕しなければならぬということは、再三私が申し上げておるのであります。だから結論的には、歴史と伝統を守ると同時に、秩序を正して参りたい、こういう考えでありますから、だから話し合えば、何ら組合と私たちの間には問題はない、円満に解決できるという見通しでありますし、現在まで円満に解決いたしております。だから、石田労働大臣平仄を合せて労働者弾圧をやるのだろうというようなことは一切払拭していただきたいということでありますし、私は特に気負い立ってものをやっているというようなことを、特に人は見がちであり、言いがちであります。見られがち、言われがちであるだけに、より常識的に行動しようということを原則といたしておりますので、これからも今までの歴史通り、また今までの伝統を守って、正しく郵政事業運営して参りたいのであります。だから、この委員会でも、前大臣と同じような空気で一つこれに対処していただきたい。また頭が違うのだから、思想が違うのだからといって、そういう考えで、対立したり、いじめたり、方針を変えたりなどということをお考えにならないようにお願いいたします。
  22. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  23. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始め て。
  24. 横川正市

    横川正市君 それじゃ私の方から――今何となく抽象的な意見のやり取りをやったわけなんですが、以下私の方から説明申し上げる点については、ことに、ことしの暮れから来年の春へかけて重要な問題に関連することなので、いろいろとその点について一つ大胆から真意を――ここでやったんだけれども、あっちでは違ったんだということのないようにお答え願っておきたいと思います。その第一は、これは九月の六日の日に新聞で明らかにされておりますし、それから職員側への大臣態度というのは、九月の五日に出されている問題なんです。この具体的な問題について、私は実は法律的にこれはどうかということは、これは、裁判所にやってもらえばいいのですから、あえてここでとやかく言う必要はないと思う。ただ、この中に出ている問題の中で非常に重要な問題だと思うのは、たとえば点検闘争という闘争に対する大臣考え方が、いわば二、三行で出ているわけです。二、三行に出ているその内容を見ますと、私はこれは非常に誤解もあるようだし、それから気負い込んでどうこうされる問題はないのに、なぜこういうふうに結果的になったかという点では、これはジャーナリズムの問題もあるかと思うのですが、実際上は、私はこれはあるべくしてあったものがたまたま新聞に載ったので有名になってきたんだという程度のものなのではないか。それならば、ここまでその違法性についてこれを指弾するような出し方というのはちょっと解せないと思う。ところが、そういうふうに思っているやさきに、あなたが二十五万の組合員に対して文書を出された中を見ますと、みずから原稿を書かれただろうと私は思うので、そういうことになると実は私どもは非常に心外に思う点が多々あるわけです。この中に「組合運動は労働者政権を樹立する革命の道具であり、闘争は革命訓練であるとの単純、かつ、公式論的行き方をとる一部少数の尖鋭分子に組合運動が利用され、経済的要求の域を脱して政治闘争、同請ストに走る傾向にあることも見のがせない大きな原因であると思います。」というのは、これは全逓の職員に出した文書ですから、全逓の職員の中にこういうものがあるというふうに大臣考えておられるのじゃないか。そうなりますと、いわば思想的に大臣のものの考え方が、全逓にこういうふうにレッテルを張ってしまって、そしてひいて点検闘争というものを、いわゆる「人民裁判とも見られる」云々というふうに書いたのだとすると、私はこれは非常に認識が違う、誤っておるのじゃないかというふうに思う。ことに、今まで点検闘争で、私はこの点は言いたくはないのでありますが、特定局ができましてから六十年も七十年もたつわけですね。その中に郵政省には監察制度というのがありまして、監察が一年に一度ないし二度業務監査を行なって、そして正常業務に訓練させておるわけです。ところが、監察が終戦後も非常にいろいろな意味で強化されまして、司法権までも持って――私はこれは反対だった――これはやはり業務指導、監察が至当であって、司法権を持った監察制度というものが郵政省にあるというのはこれはけしからんと思っておったのですが、終戦後の混乱で当時やむを得なくあれを実施したいきさつがあるわけでありまして、監察制度そのものは業務指導というのが重点でなければならぬと思う。ところが、その監察が手を入れて、実際上特定局の業務運営に対して何ら不正行為あるいは不法行為はなかった、こういうふうに言われて何年か過ごしておる。そういう局があって、しかも、その局で驚くことには、何人かいる職員が自分の給料が幾らなのか知らないでいた。給料というのはこれは特定局でありましても、昭和十一年にここの手島さんが直轄化されてから、郵政本省の方から支払われることでありまして、いわゆる賃金請負というのはなくなっておるのですから、しかし、それがもうすでに当時からいきますと、三十年を過ぎておるのに、職員が自分の給料を知らなかったなんということは、これはあり得べきものではないわけなんです。しかし、それがたまたま組合運動業務の中から明らかにされてきた。人間の心理として、自分の行なった行為というものにとやかく理由をつけて隠そうとしたり、あるいは言いのがれをしようとするということはこれは当然でありまして、行なった行為がはっきりと証拠としてわかっておった場合に、したでしょうということを言って、正当な団体交渉の席上で相手側に話すというような場合が私はこれはあり得ると思う。そういうようなことが田中大臣の言をかりますと、組合運動というのは労働者の政権を樹立する革命の道具であるとか、それの訓練をするのだとか、あるいは人民裁判を行なっているのだというふうに思われるということは、私はこれはちょっと行き過ぎもはなはだしい意見の開陳じゃないか、こういうふうに思うので、この点についてまず御意見を伺います。
  25. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは、あなたが今言われるような見方も、それをずっと一読しますと出てくると思いますが、これは私も平たく申し上げますが、私の書簡は五十行くらいになっておるのです。五十行の中の一行が今表現されたことです。あとの四十九行は泣くがごとくむせぶがごとく訴えているはずなのです。そうしますと、全文を読みますと、そういう思想が根底になっているというふうには絶対に読めないはずです。私がまた申し上げておるのは、全従業員に対してもそういうことを言っておるのです。いわゆる伝統と歴史を守り、そうして国民のよき奉仕者として、国民に支持を受ける全従業員になってもらわなければならない、そのためには、あなたの列挙するような管理者の弊もある、事実ある。これに対して監察官が消極的であったという事例もありますし、いなめない事実であります。同時に、であるからといって、組合活動が円満に行われることは組合活動の成長のために国民のだれもが望むことでありますから、そういう国民が支持し、われわれも願っておることよりも行き過ぎのあるような行動は、ともにお互いが一つ常識化そうじゃないかということを前提にして、るるそこに述べておるわけであります。特に私が言っておるのは、全逓の組合との最初の会見においても明確にしておりますが、世の中には、全逓というものは大へんな連中だと、こういうことを言っておる、一部にはこういう議論があるが、私はそうは思っていないのだ、昭和二十二年の二・一ゼネスト当時は、全逓、国鉄といわれるように大きな過激な闘争が事実あった、この問題に対しては私はこういう表現を使っておるのです。これはちょうどはしかのようなものであって、はしかはだれもが一ぺんやることである、過渡的な現象としてこういうことはやむを得ない、しかし、これを再びやるということもないでしょうし、はしかを二度やるということはおかしいので、もうここまで常識化されておる全逓とはお互いに話し合いで円満に国民の奉仕者としての実をあげることを確信すると、こういうことを就任の第一番目に、全逓との会見で私の意思を明らかに表明しておるわけです。そういう意味で私は全逓に対して一連の強硬施策をとっておる、またその書簡を出したものの末尾に一行あることが、これが全逓を対象としてやっておるのだとにわかに断定していただくことは、私としては非常に悲しいのであります。そういう意味で、これは一般論として、世に、そのような組合の存在しないということはないのです。存在しておるのですから、そういうようなものでなくて、よき全逓一家といわれるようにお互いに育とうとしておるのを、いわゆる一部過激な人たちがやっておるような状態で全逓組合の活動がどうも行き過ぎであってはならない。特に自殺者を出したところの特定郵便局長の問題があるので、こういう問題に対してはお互いに一つ厳粛にものを考えて、双方ともに行き過ぎないようにしなければならない。ただ、これはどうも私が行き過ぎないようにするということではいかぬので、組合員が当然管理者の非を知り得た場合には監察官に訴えていただきたい。監察官に訴えるだけではなまぬるいといえば、検察官にこれを訴えて捜査権の発動を求める、そういうことでなかったら検察庁にこれを告発するという権利をお互いにみな持っておるのだから、そういうこともあるのだから、お互いが業務の内部でもって話し合いをしようということを全逓でも申し入れてきておるし、私の方でも申し入れておるのだから、だから、監察官制度というものを有効的に、場合によっては郵政省設置法の一部を改正してもいいし、もっと予算を回してもいいし、職分というものを明確にしてもいいし、場合によっては警察権の介入などを排するために、郵政大臣と国家公安委員長との間に、少くとも監察官が発動を要請しないうちは警察は手は入れないということを協定してもいいし、お互いにでき得る可能の範囲で円満にやろうということを口をすっぱくして言っておるのです。ただ、組合は十日置き、一週間置きに出しておって、せめて大臣が全郵政事業のために国民の支持を受けるために、こうしたらいいのじゃないかという意味で私が初めて手紙を出したのですが、これは私としても郵政大臣としての立場で、最も公けの立場で、公けの公文を出したわけであります。だから、いわゆるあなた方の要求に対して――これは簡単な話であって、そんなことではなく、郵政全事業の将来というものを私は訴えておるのです。全逓の一部で突っ返そうというような動きもあるようでありますが、そういう考え方じゃだめなので、全逓から出されたものも私もよく読みます、私どもの出したものもよく読んでもらうという考え方でなければ円満な解決はできない、こういう考え方でありまして、あなたのような、どうも全逓を一部過激分子と感じ、不遇なやからじゃないかと大臣考えておるのじゃないかという考えは毛頭ありませんから、一つそういう考えをお持ちにならないようにお願いを申し上げます。
  26. 横川正市

    横川正市君 まあ大体、平たくいえばそういうことなら、これは大体そういうふうに一貫して書かれた方がよかったと思うのですが、まあこれもあれもそういうふうに平たくいえばこういうことだといえば、私の質問がおかしくなってしまうのですが、ただ、私の方で、今まで問題の解決に、この中でも大臣も言われておりますように、郵政当局がその聖業の実体というものをよく知っておる。だから、その職員の要求はまことに御無理ごもっともだ、それで何とかその職員の要求はいれてやりたい、こういうふうに思っておったのだが、さあどっこいそうはいかなかったという事例が非常にたくさんある。ことに、今国鉄なんかの問題をとってみましても、これは小倉副総裁とそれから小柳委員長との間ではまあつうつうで話をし、しかも、その過程では大蔵省から何回かそれでは困るということが言われておったけれども、その困ると言われておったことをなお押し切って組合と当局との間で話をした。ところが、それに対して今度は政治的介入があってついにそれを実施することができなかった。そうすると、これは組合の方は不履行にされた当局を責めるけれども、責められる方はこれはお手あげだといって手をあげてはいけない。ところが、責めている方の組合側は、下部は国鉄の場合は四十万の人たちが口をあけて待っておるところに、入るべきだんごが入らなかったというところに紛争が起ったというのが今度の今一番むずかしくなっている原因なのですが、ですから、郵政省の場合には、今郵政省と組合の間で、これは一つやってもらいたいと思っておったことも、最後になってこれはやれなかったという事例が非常にたくさんあると思う。しかも、そういうようなことが原因して紛争というものがもう収拾つかなくなってしまっておる、こういうようなことを話し合いをしている段階では経済問題なんだけれども、ところが、一つ飛び出して政府を相手にしてけしからぬじゃないかということになると、これは政治闘争になってくる。経済闘争はいいが、政治闘争はだめだという判定の中に、しかも、きぜんとあなたの文書や警告の中には、断固処分をするという、その断固がずいぶんたくさん使われておるのですが、よほど決意をされて断固ということを言われたと思うのですが、そうすると経済闘争が発展して政治闘争になった切れ目ということを大臣としてはどういうふうに心得て断固処分をされるのか。これは労働運動というものは生きた問題なのですから、運営上は非常にむずかしい。しかも、機微に触れて大切な問題だろうと思う。その点で一つお聞きしておきたい。
  27. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは非常に基本的に重大な問題でありますから、私もまじめに申し上げますから一つお聞きをいただきたいと思います。これは先ほどあなたが申された通り、われわれが郵政事業の飯を食って二十年、三十年の歴史を持っている者の目から見るというと、ということを言われましたが、私もこれはその通りであると思います。私が就任のときに申し上げましたのは、私は全くのしろうとであります。しかし、しろうとでありますが、場合によっては血の純潔というもの、また血をよくするためにはしろうと々入れることも悪くはないのだ、またしろうとはしろうとながらおか目八目、ある意味からいうと、国民の側に立って判断もできるので、私も意見を言いますと、しかし、これは平たい意味で意見を言うのであるから、組合員の諸君も平たく判断してもらいたい、こういうことを原則的に申し上げております。特に私自身が新しく入ってきたのは、しろうとだからほとんどわからない、しろうとに何がわかるかというようなことを考えないで、しろうとと専門家が話し合って、より合理的な結論を見出そうじゃないかという立場で私を使ってもらえば全逓は損はない、こういう表現で私ははっきり言っているのです、損はないのだと。私は初めからもう全逓にマイナスになるようなことを絶対に考えておらない、だから郵政事業が円満にいくために、何らか仲介の労をとれればいいのだという立場できているのだから、いわゆる管理者と一般組合員がお互いに敵と味方とに分れて、言うには敵として言うというのじゃ話にならないので、今までは団体交渉の相手は大臣だということを考えておったかもしらぬが、まあ世界のどこの例を見ても、大臣が毎日々々団体交渉の席に出てくるという例もないでしょう。私も選挙によって出てきたのであるから、いずれにしても管理者が兄であり、組合側は弟であるならば、兄弟いろいろな立場でもって意見が衝突するときもあるだろうが、私はその意味で中に入ってお互いの間を円満に話し合いで解決できるような方法をとるから、行き過ぎたものはお互いに徐々に直そうということを明確にしておりますので、今でも将来でもこの私の基本的な観念は絶対に変えておらないということだけ一つ考えになっていただきたいと思います。  もう一つは、私が九十日にわたる間にどういう態度をとったか。新聞から見ると、また報道された面から見ると、非常に横川さんがおしかりになっておられるように、田中はどうも言うこととすることと逆じゃないかと、こう言われておりますが、新聞に出ている、面から見ると、どうも田中は危ない思想を持っているというような懸念よりも、私がやった一つ一つの現実的実例を見るというと、そうじゃないということは明確になると思うのです。今、国鉄の副総裁が小柳委員長との間できめたものが、大蔵当局の反対でもってうまくいかなかったのが今日の政治闘争になったのだということを言われましたが、私のところにも仲裁裁定の実施という問題で裁定があったわけなんです。これに対しては、今までの例からいうと、大体一カ月くらいごたごたして、ついには結論が出る、どうせ出すものをどうして一カ月もごたごたするのだ、もうすでに一カ月後に実施するといっても、もうそのときには大勢は政治闘争に突入しているのだ、これを呼び戻すのは大へんなんだということはあったと思うのです。私はそういう意味では、この問題が起きると同時に、全逓もいかに大臣が気負い立っておってもまあ二週間くらいかかるだろうと思っておったようであります。ところが、私は総理大臣に御報告を申し上げて、こういうことは当然受くべきであるから、今日これを実施したい、こういうことで私は自分の責任と権限をもって直ちに通告をしておるわけなんです。これに対しては組合員もなかなかやるなと、こういうことを現に私の通告に対して言っておったのでありますから、私もなるべく国鉄が今追い込まれておるような態度は、なるべくというよりも絶対に排除しなければいかぬ、こういう原則をとっておりますし、過去にも組合の要求に対してはそういうふうな原則を堅持して対処をしておりますので、将来もこの線を堅持して、予測せざる事態に追い込むようなことは絶対にしたくないという考えは文章の言葉じりでなくて、私は大体これは一つ一つが根本問題に触れていると思うものですから、その点でお聞きをしているわけですから、そういう点で一つお答え願いたいと思いますが、この文書の末尾を読むと「一人一人の良識ある判断と信念に基く事業人としての勇気ある行動にあることを申し上げたいと思います。」というふうに結んでおるわけなんです。これは今大臣の言われたことでは、ちょっと私の方としては理解しにくいのでありますが、組合員にこの文書は出されておるのでありまして、しかも、その中には、大臣が郵政従業員がいかに苦労をして今まで郵政事業というものを守り育て、現在に至ったかという点について、非常にいろいろ検討された結果として、その点を十分感じられて書かれておると思いますが、組合運動の大本に触れておられるわけでありますから、大本に触れられて一番最後に、一人一人の個人に大臣から勇気ある行動をせよ、そういうことをおれは要望しておるのだということになりますと、ちょっと私はどうもこの文章の勇気というのは、いろいろな差しさわりのある意味が含まれておるというように思うのですが、この勇気は一体どういうふうに、平たくいえば解釈されるのですか。
  28. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは私は文章家じゃありませんので、しかも、テレビその他でもって頭が一ぱいになっておる倉卒の間にものしたものでありますので、もちろん万全なものではありません。また、私の考えがそのまま表現されておるものとも考えておりません。今日あなたにそこで読まれると、もう少し平たく、もっとわかりやすく、もっと疑義のない表現をすべきだったと感ずるわけでありますが、いずれにしても、倉卒の間において、しかも、組合が私にとって非常に好意を持っておるときにそれを出したのです。これを、十分その間の事情を状況判断の資料に一つ申し上げたいのですが、組合がこの要求をのまざれば明日から突入するのだというようなときに、そういうものを出したら、これは私がどういう前提に立って好意的な文書を出したにしても、これは大へんなことだったと思うのです。ところが、二週間くらいかかるだろうと、とにかく大臣のお手並み拝見じゃわい、しかし、これでのまれれば大したものですと言っておったものを、私が早急に仲裁裁定をのみましたので、やりますねと、こういうことでもってお互いがいけば非常にうまくいきますよというときに、ちょろりと出したのがそれなんです。だから、それは九月の幾日の日付になっているかわかりませんが、出したのは仲裁裁定をのんだ直後であります。そういう意味で私自身もまあ少しくらいどぎつく表現してもすなおに読みとってもらえるという、うちうちに出す言葉だから、そうむずかしく解釈しなくてもよかろう、こういう考えで書いたのでありまして、それは平たく読める、こういう考えです。  ことに、この結びの「勇気ある行動」というのは、これも善意に一つ解釈していただきたいのです。また、その勇気はどこに結びつくかというと、その全文に結びつくのでしょう。いわゆる国民の奉仕者として、国民から支持を受ける郵政従業員となるためには、お互い各自の自覚と勇気をもって善処せられたい。これはどこにもつくことであって、組合が闘争指令を出すときの突入せよというような景気のいいものじゃなく、その全文を読んでいただくと、勇気の前に出てくる先ほど言われたどぎつい表現がありましたが、それに比べれば、結びとすれば、そんなにかどを立てて言うほどの文句じゃない。私も文学的才能がありませんので、勇気とはいかなるものかと言われると全く困るのですが、そういう意味でこれは全文をお読みになって、字句は不問に付されて、一つ底に流れる組合を愛する――それは組合だけじゃなく、管理者にも送っているのです。これは全部に送っているのであります。これはどういうふうにして送ったかというと、組合の指令等は非常に早く届きますが、管理者に送達をするものは、昔は文書課長通達でぴしゃっとその日のうちに全従業員に行き渡ったようでありますが、このごろは次官通達でも大臣通達でも、どこに張ってあるのかわらない、廊下に幾百枚か張ってあっても、その中の小さいものが大臣通達ということじやこれはどうにもならないから、今後もう一ペくんらい、無料郵便制度があるならば、大臣名で一つ平たく訴えようということで出したのでありますので、その書簡の件はこのくらいに一つ御了解願えれば幸甚だと思います。
  29. 横川正市

    横川正市君 あまり今までの質問大臣の答えられた内容からいけば、私の力から取り立ててどうこう言うものはないのでありまして、その趣旨では、私はこれから起り得べき事態というもの、予測される秋から春にかけての事態に、大臣として十分一ついろいろな面で今の言葉の真意にのっとって善処されるものと期待するわけであります。  そこでもう一つ、私は要望として申し上げて、ここで大臣からイエス、ノーというふうにはお答えを願えなくてもいいのでありますが、私の質問の趣旨は、ぜひイエスであってほしいという趣旨でありますから、そういう意味一つお答え願いたいと思うのであります。それは全郵政で十一月を目途ということで特定局の制度調査会がそれぞれこの関係者に諮問し、従来の行きがかり等も検討しながら、細部にわたって制度のあり方について検討しているようです。もちろん私は、これは私どもも傍聴をして、その検討されている内容について聞きたいというふうに思っているわけでありますが、私たちが行くことは差しさわりがあると思いまして遠慮しておりました。ただ、私はきょうここで大臣一つぜひお願いしたいというのは、大臣がこの前の七月二十三日のときにも明らかにされておりますように、この委員会の答申案そのものに対して、大臣は、おれは郵政大臣だから大臣としての建前に立ってこの扱いをどうするかを決定しますよ、これはよくいくのか悪くいくのか、まことに私たちとしては、大臣の気持に私はいろいろ差しはさんで解釈しなければならぬ問題があると思うのですが、少くともこれは法案となった場合には、国会で論議されるものでありますから、そのとき十分論議すればいいのでありますけれども、まあ今までの行きがかりからいきましても、それから歴史的な経過からいきましても、ぜひ一つその点では慎重を期していただきたい、これが一つであります。そこで、この中で最近私は、ちょっと情報をもらった中によりますと、今のところ諮問をされましたのは局長会とそれから組合側、二つに諮問されたようでありますが、その諮問の結果ですね、大体まあ特定局長会の答申は、自分の一身上の問題について十分言われたようであります。ですからこれは歴史的過程において果してきた任務からいいますと、さもあらんという内容だろうと思うのでありますが、しかし、実際上感銘を与えた内容というのは、少くとも組合側が過去五年間にわたって検討をし、いろいろ隘路等についても実際に実地に入って検討した結果としてある結論を持ったものを答申したようであります。過去の例からいいますと、私どもも実際上努力してみたんでありますが、昭和二十三年に松江で全逓の全国大会というものがありまして、その席上で簡易保険の運用の所管省を郵政省に移管すべきだという一つの方針を立てて、それが七年たって実を結んで、現在まあ曲りなりにも運用しているという実績があるわけであります。組合側は個人の利益ということより事業の全体的な利益を考えて、ある意味では理想的に走らないとも限りませんが、相当真剣な討論の結果として出された案なんですから、私はできれば大臣以下事務当局も真剣になって一つこの案については検討していただきたい、これが要望の第一なんです。  それから第二の問題は、最近になりましてから私はちょっと支障を来たして――どこに支障を来たしておるのかわからないのでありますが、支障を来たして実施がおくれておった。たまたまそれが九局だけ実施をしたのだから、これはまたあまり支障がなかったのじゃないかと思うわけです。支障がなくなったものなのですから、要望に従って、これは大体百二十局くらいあるわけですから、すみやかにこれは一つ種別改定実施をされてはどうだろうか、これは大義名分は大臣の方にはあまりなさそうな問題ですから、ぜひ一つこれは早急に実施方を取り運んでいただきたい。ことに、調査委員会の結論を待ってというふうに一言われていたのが、九局結論を待たずにやったのですから、大体その点は割り切ってやられたのじゃないかと私は思うわけですが、その点で一つ大臣のお答えを、これはここで言われてしまってあとで引っ込みがつかなくなってしまいましても困りますから、あまりはっきりしたことを、言われなくても実施さえしてもらえばいいのだから、その点を一つくみ取ってお答えを願います。
  30. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 格別な御発言でありますから御答弁を申し上げます。特定郵便局制度調査会の問題につきましては、今あなたの言われたように、組合側も傍聴をして審議の進捗状況をつまびらかにしたいというお考えでありますが、そうではあるが、今日まで出ておらないということでありましょう。私の方でも、諮問は御承知通り、全く今までの現状そのままを諮問しただけでありまして、省の意見は全然出しておりません。これはやはりお互いの話し合いの信義ということを守って今日まで私もきております。だから、私も特定郵便局制度調査会には出ておりません。今まで大臣が一回も出ないじゃ困るというので、一回か二回、十分か二十分あそこにすわっておったととがありますが、それ以外には出ておらないのであります。これは私にも、今あなたが言われたように、私がしょっちゅう行っておって、組合側が行っておらないということになると、どうしても先入観が入ってくるのじゃないかということを言われることをおそれるために、私の方でも政治的な発言をしやすい――これは私はできるだけ遠慮した方がよかろうというので、今日までそういう意味で遠慮しているのであります。だから、特定郵便局制度調査会の自主的な結論を促そうというために非常に慎重な態度をとっているわけであります。だから特定郵便局制度調査会の結論が出た場合には、もちろん公表さるべき問題でありますし、この問題に対しては前回の委員会で申し上げているように、慎重な態度をとって、いわゆる調査会の結論に対しては尊重をいたして参りたい、ということを変えておらないわけであります。  もう一つ、特定局制度の問題とともに論議をせられました特定局から一般局への編成がえという問題に対してでありますが、これは何だか私もちょっとおかしいと思うのであります。この十月闘争の目標に掲げられたようでありますが、百二十三局の特定局を一般局に格上げすベきであるにもかかわらず、大臣はやらないから闘争をやるんだというようでありますが、これは少しおかしいと私は思うのであります。私はまあ議論のために議論をするのじゃありませんが、これは御承知通り管理部門の問題でありますし、こういう問題を闘争時の第一スローガンに掲げるということに対しては、掲げないでもらいたいということを私もやったのですが、きっと掲げる目標がなかったから、だから、そういうことになったようでありますが、(笑声)これはどうも筋からいっておかしいと思います。  もう一つ、今あなたいい発言をされましたから、速記録に載っておりますが、これは私が特定局長の任命権の委任条項を大臣に返せという問題を提議したことがあります。それはなぜかと言いますと、三年も五年もごたごた話合いがつかないで郵便局長の任命ができないという事例が全国にたくさんありますので、これは昭和十七年に省令によって地方郵政局長に移管した権限々号令変更で削除しまして、大臣が最終責任を負って任命する、こういうことはどうですかと省議に諮つたところが、いち早く全逓側からそれはおかしいじゃないか、それはあえて事をかまえるものだ、あなたはあえて事をかまえないと言っておきながら、そういうことを言うのはよくないので、特定局長の任命の問題とか、それから特定局の制度の問題は特定局制度調査会の結論を待ってやろうじゃないかということでお互いに了解しているわけであります。ところが、先日全逓の諸君が会いたいというので、会うのは一向差しつかえないからいらっしゃいと、こういったら、三十人ばかりおいでになって、前々大臣それから前大臣の当時に、一課長との間に申し合せがある、百二十三局は、これは昭和三十二年六月三十日までに全部格上げをしたい、こういうことを言っておるのに、大臣は自分の部下を信任しないのかと、こういうので、ひどく私はしかられたのです。これは管理部門の問題だから、全逓側が団付交渉と言ってくるのはおかしいと思ったのですが、先ほどるる申し述べましたように、何事も円満にやろうという私の考えでありますから、一つ議論をお聞きしましょうというので話し合いをしたのです。そしてそのときには、相当過激な発言があったようです。約束を守れない大臣であるならば、直ちに指令をして、全逓の全業務をストップさせるぞという、こういうえらい発言もあったようでありますが、私もそれに対してどうこうということもないと思ったので、追って調査した結果を後日もう一度お話ししましょうということでありました。そこで、私の方も事務的に上ってきておる書類を全部調べましたところ、その当時あなたにきっと連絡をする約束であったが、五十局のうち九局は常識的に見ても一般局にしてもいいと思うから、特定局制度調査会の結論を待たずして、九局ばかりやりますから、一つ御了解を願いたい、全逓の方はよろしくごあっせんをと、こういうことをやればよかったのですが、私の方も忙しいときでありましたし、あなたの方もおいでにならなかったのでしょう。そういうような行き違いで翌日ありましたか、調査結果に基いて一般局に格上げをしたわけです。あと何局か残っておりますが、これは申し合せというよりも、お互いの話し合いによって十月末には特定局制度調査会の結論が出るということでありましたので、できればこれまで待ってやった方がより円満じゃないかということを考えておりますが、しかし、それまで審議しないというのじゃありません。今残余の四十局に対して、地方の郵政局に対して実情を調査をし、それから局長との間に、郵政局長の前に呼び出されて、やめたまえと言われたので、やむを得ず辞表は書いたが、私の子供が今ちょうど大学一年生で、あと二年間たつと最後の子供が大学を出るので、もう二年間はぜひおりたいというのですが、それは電話一本で断わられるよりも、四十年間も上司として仰いだ局長に言われるのだから判こを押さざるを得なかったのです、という陳情もあるわけです。そういうことに対して、もっとほかに救済の道はないのかということを一応郵政局長がよく組合と話して、もっと合理的にものを解決したらどうかということで、円満を期すために今調査中であります。今あなたが言われたように、九局もやったのだから、もうあっさり踏み切ったのですから、あと右へならえしてと、こういうことじゃないのです。だから、お互いの話し合いの原則を破らないで、私もそのかわりに特定局長の任免権を強引にやってるわけじゃありませんので、特に全逓が横やりを入れてきた問題に対しても、もうすでに内命を出したものに対しても、慎重にやっておる事例がたくさんあるのですから、そういうものもみんな合せて大臣がやっておる、省側がやっておる好意的な立場と、全逓が言ってきたところの五十局のうちの九局はすでに処理されておるのだということをいろいろ抱き合せて考えられて、特定局の一般局への編成がえの問題に対しては、お互いにもう少し話し合いをしながら円満を期して参りたい、こういうことであります。
  31. 横川正市

    横川正市君 そうすると、今の大臣調査の主たる内容ですね、主たる内容というのは、今事例にあげられたような身分保全の問題とか、あるいは生活上の問題とか、そういうようなことによって、いろいろ陳情のあったものについて主として調査されている、そういうことじゃないのですか。
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういうものもありますが、全般的には、特定郵便局長の問題とか、陳情に基いて延ばしておるというものは全然ありません。これは三十三年度予算案の概算要求を御説明するといいのですが、今まで年間五十局程度しか増設をやっておりませんが、今度最低の計画、三カ年計画で五百局やりたい、昭和三十三年度までに五百局窓口をふやしたい、こういう考えを今持っているのです。これが特定局になるか普通局になるか、これはとにかく特定局制度調査会の結論を待ってもおそくない。とにかく二百局分の予算要求をしておるのです。これは五百局を三年間の計画でも絶対不足だと思うのです。なぜかといいますと、東京には七百五十万当時の戦前すでに六百五十局あったのですが、現在八百二十万にふえても四百五十局しか復活していない。当時の状況からいえば、もう百局ふえてもいいという勘定になりますから、三百局戦前よりも窓口が縮小されておる、こういうような現実問題を考えますときに、特定局、普通局のいかんを問わず、いずれにしても窓口を整備したい、こういう問題があります。この窓口の問題を考えますときに、特定局制度が残るという場合に、郵政定員の二十五名でいいのか、三十名でいいのか、三十五名でいいのか、そういうことを根本的に考えなければならぬ問題がある。で、前々大臣、前大臣のときに百二十三局上げようと、言ったのは、これは前提条件であるところの窓口は年間五十局しかふやさぬという観念に基いてこういうことがあったのですが、私の考えておりますのは、ちょうど特定局制度調査会が発足しておりますし、十月末には結論が出るというのと平仄を合せて三十三年度予算要求をしておりますが、そういう問題もからみ合せて、慎重を期すというよりも、より合理的な結論をもう一ぺん考えてみたいというようなものもあわせて検討いたしておるわけであります。
  33. 横川正市

    横川正市君 そうすると、現在の種別改定のために、その必要要件として出されておりますその郵政定員定員数について、多くなる場合と少くなる場合とあると思うのです。多くなる場合が予想されるのですか、それとも少くとも現在よりか郵政定員が少くなるということなんですか。
  34. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 定員としては増加をするように、要求をいたしております。ただ、数字は概算でありますし、なおまだ調査会等の問題もありますので、もう少し検討してみたいと思いますが、増員の方向に行っております。増員ということと、もう一つは、先ほど質問がありました合理化によるものもありますから、定員としては、私たちの要求がふえれば相当な定員増になるわけであります。
  35. 横川正市

    横川正市君 私の質問は、種別改定の基本要件というものは、郵政定員四十名ということになっておるわけです。ところが、ただいま大臣の言われておるそういう方向から行くと、郵政定員二十五名とか、その他に三十名とか、現在の引かれている一線よりかさらに低いところに線を引いて種別の改定をするという意思が含まれておりますかということです。
  36. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) だんだんとこまかくなってきたようでありますが、そういうふうに私が今ここで言質を差し上げるというわけにもいかないと思うのです。この問題は平たくもう一カ月ぐらい慎重に審議をさしていただくということの方がいいのじゃないかと思います。それはなぜかといいますと、大体今お互いに話し合いできめたのは、郵政定員四十名ということであったのですが、それが三十名になり、今の百二十三局のうちに郵政定員二十五名というのがあるのです、現実に。これを課長と全逓の組合本部との間に協定をしたからそのままやれ、やらない大臣は不信任案だということは、どうも私の平たい考えに特に向うが気負い立っておるようでありまして、そういう感情的にものを言わないで、特定郵便局制度調査会という最もお互いが合理化そうと思っておる調査会が始まっておるのだし、十月末には結論を出して下さい、こう言っておるのですから、郵政定員四十名以下――四十名以上のものは全部種別がえをやったのでありますから、あと残っているのは三十九名から二十五名までのものなんです。こういうものに対しては、そういういきさつなどということを言わないで、もう少し審議の時間をかしてもらいたい、こう言っているのです。
  37. 横川正市

    横川正市君 時間がないから、また三時からにやりたいと思いますが、ただ一つだけ、特定局制度に対しての大臣の認識と、それから職員側の要求とがぶつかっておるのか、認識の違いがぶつかっておるのか、そうでなしに大臣は白紙なんだけれども、まあ調査委員会を持ったのだから、調査委員会の結論を待ちたいのだという技術的な問題なんだと、こういうことで急げ、早くやれというのとぶつかっておるのか、その点は大臣はどういうように認識されておりますか。
  38. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 大臣としては白紙だと考えていただいてけっこうです。
  39. 横川正市

    横川正市君 それではこれで一まず終って、あとまた三時に質問します。
  40. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、しばらく休憩をいたします。    午後零時三十二分休憩    ―――――・―――――    午後三時四十二分開会
  41. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会を再開いたします。  委員の移動について御報告いたします。本日森中守義君が辞任せられ、久保等君が選任されました。   ―――――――――――――
  42. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、これより午前に引き続き質疑を行います。
  43. 光村甚助

    光村甚助君 大体さっき横川委員の方から質問されたののおさらいになるかもしれませんが、大臣言うことを聞いておると、自分の方からは私は気負い込んじゃいない、なかなかいい人間だから真髄を見てくれというようなお話です。それで「夢声対談」なんかでも盛んにそういうことが出ておるようですが、実際大臣労働組合に接している態度というものは、私はそれと違うのじゃないかと思う。正直に例を引いて申し上げますと、清盛が衣の下によろいを着て、ときどきちらつかせるような態度が出ておるのではないか、それでは誠意ある団体交渉をやって事業を円満にやりたいと幾ら言っても、私は大臣のほんとうの真意というものがそこにないのじゃないかと考えられる、と申しますのは、全逓が第一波、第二波と闘争をやりまして、大臣はその当時就任早々であったのですが、その後第三波、第四波の闘争をやるということが新聞に出たときに、これは大臣言ったかどうか知りませんが、第一波、第二波は就任当時だから黙っておったのですけれども、第三波、第四波をやるということになれば、厳重に処分するのだということを一方的に言っておるわけです。幸いそのときは第三波、第四波はやらずに、大臣との交渉で片づいたのは非常にけっこうなんでありますけれども、ああいう声明をやる場合に、大臣の方がほんとうに誠意ある態度があるものなら、もっと前にああいう手を打たなかったか、こういうことが私の方言いたいわけです。その点についてまず一つお聞きしておきたいと思います。
  44. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はまだ就任後九十日でございますから、実績は何もありませんが、ただ表に出ておる新聞紙上の記事等によって、どうもいかに円満にやろうと言っておっても、基本的に円満にやれそうもないというようなお考えでありますから、この発言は、私の言う通り、在職中の将来の実績も一つ照らして見ていただく以外はないと思います。これは明らかに公けの席上で、公けの立場で私の基本的な感情を申し上げておるのでありますから、間違いはいささかもないということを重ねて申し上げるわけであります。  なお一つ、今第三波の問題が出ましたが、これは第二波の問題――今まで昭和二十年からこれまで十二年の労働争議の問題を見ておるときに、闘争指令を発して、あのくらい大規模な闘争に突入する寸前において、円満に解決したという例はなかなかないと思っておるのです。だから、全逓と私との間に団体交渉がまとまって、非常に円満に、戦後初めてとも言うべき大規模のものが、最悪の事態に至らないで片づいたということ一つを取り上げていただいても、お互いが協調精神でいこうという一つの実例だと、私は自身で考えておるのでありまして、いずれにしても、私は就任後行われた闘争に対しては処分をやっておらないのでありますし、こういうことの事情を見られて、声は大にするかもしれぬが、実際はなかなか穏健であり、円満であるというような御批判がちょうだいできるとさえ考えておったのです。これは互いに労働組合が言っておることと、管理者であるところの私が言っておることを比べたら、私の何倍も組合は言っております。どうして一体管理者である大臣が、少し言うことが行き過ぎであるのかということを考えているのですが、私はいずれにしても議論しようとするのではありません。私の大臣就任の当初、在職中一人の犠牲者も出したくないということを、何回か懇談会等の席上口をすっぱくして言っておるのでありますから、私もこれを基本的に円満に解決していきたいという、同じ釜の飯を食って兄弟かきに相せめぐようなことはどうしても避けなければならない、こういう基本的な観念を変えておりません。円満にやっていけるという確信を持っているわけであります。
  45. 光村甚助

    光村甚助君 そういうお考えなら、ことさら組合を刺激するような、二十何万の組合員に対して、大臣の通告というのですか、自分の就任あいさつというのですか、その中に、これは管理者にも出したとおっしゃっているのですが、その中に法令を無視し、事業の信用を失墜するような闘争訓令、こういう文句があるわけですね、ことさらに私はそういった組合を刺激するようなことをする必要はないと思うのです。  それからもう一つは、これも新聞に出たことですが、郵政弾道弾という新聞を見ましたが、大臣は。あれは組合が赤旗を掲げて逃げているのです。弾道弾の話を率直に言って新聞が響いたのだといえばそれまでです。逆じゃないですか、あなたの私がおとなしくて組合の方がなかなか大きなことを言ったりしていると言うが、第三者で見て、新聞には全逓とは書いてないけれども、赤旗を掲げて逃げている、あなたに顔が似せて書いてあるのです。これから見ると、ああいうことから見れば、なかなか、今度の大臣というものは労働組合弾圧のためにやってきたのじゃないかという印象を受けるのです。新聞が書いたのだから仕方がないといえば、それまでですが、そういうことと、今も大臣の言われることと、午前中から言われることとはどうもわれわれは納得できない点があるのです。しかし、これは言っても水かけ論になるのですが、それで組合が法令を無視し、事業の信用を失墜するということなんですが、これは官側の方にもあるのです。その場合大臣は、この法令を無視し、事業の信用を失墜するようなことが、官側と言ったらおかしいが、管理者側にあった場合には、どうされますか、その点伺いたいと思います。
  46. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 弾道弾の問題は、あなたが御発言なされた通りであって、実はひどい表現だなと思っておったのですが、これはいかんともなしがたい問題であります。しかし、こういうふうに社会の目に映るのであれば、私はこれは相当自戒しなければならぬ、こういうふうに考えております。ただこれは、私は会ってみますと、何だ至極円満である、円満というより常識的過ぎるじゃないかと言われるのですが、ただ私と会ったことのない方が、年が若い大臣で、気負い立っているのだろうと、こういうただ一ぺんの先入観で書かれることや批評されることは、私個人にとっては非常に迷惑であるという考えであります。私は社会的にも経験が浅いのでありますし、社会の人たちが私を知る機会もないのでありますので、まあなるべくこの先入観を解くように努力をして参らなければ、実際私は何を考えておっても組合に逆にとられるようであったら実効を上げられないのでありますから、こういうことに対しては自粛自戒をして参らなければならぬと、こういうふうに考えております。  それから法令無視は、これは私が今考えてみますと、組合の方にもあるようでありますし、まあ管理者にもあることは、これはいろいろな非違事項を指摘されておりますから、これはあります。あるだけじゃなく、どうもお互いに戦後は法律を身勝手に解釈をしたり、どうもお互いに話さえつけば法律の条文はどうあろうともかまわないのだ、これでも円満にいくならば法律とは別な協定を結んでもいいんじゃないかというようなこともあるようであります。しかし、これは私はもう戦後十二年たった今日でありますから、やはりお互いに正すべきは正していかなければならぬ。これを正すこと自体がよき慣例を全部破ることだと、こういうお考えは当らないと考えております。ただ、これを一挙に慣習と法律とは違うからといって、今まで円満にいっておるものをただ常道に戻すのだ、法律的に四角定木にやるのだということだけで混乱をもたらすような処置はしちゃならぬ、お互いが了解を得つつおのずから正さるべき道に正したいという考えでございます。だから、監察制度等に対しては、今まで全逓の諸君が局長の非違をあばいてもさっぱり監察権が発動されないじゃないかということがありました。されないからこそ確認交渉をやるのだ、こういう問題もありましたし、南御牧の局長の自殺ということもあったのだから、私たちもできるだけ警察権の発動というようなことをしないようにお互いにするから、こういう事件、犠牲を契機にしてお互いが自粛自戒をしようじゃないか、省の中にある機構を最高度に活用できればいいし、現行法でもって不足であるならば、お互いにもっと効率的に監察制度等が活用できるように法律改正の道を開けばいいのだということを話し合っておるのでありますから、これはもう労働組合法律違反だけをただして管理者の違反をたださないのだという考えは毛頭ありません。これはもう万人は法のもとに平等であるという原則を一歩も譲るものではないのであります。
  47. 光村甚助

    光村甚助君 まあ今点検闘争の話が出ましたからついでに申し上げますが、大臣の言っておられること自体は、官側も反省しなければならないということを私は今度聞き初めなんですが、ただ、全逓の点検闘争があれは人民裁判だというので、一方的に全逓にやめろということを言って、監察制度や警察を利用したらいいじゃないかというお話ですが、例を一つあげますと、私は出身が大阪郵政だったのですが、おととし草津の点検闘争があったのです。幾ら警察官に言ってもやらないのです。私は議員になる前ですが、晩の八時から朝の五時まで団体交渉をやって、あそこの草津の局長の非行をあげて、点検闘争をやりたくないからこれを処分しなさいと一言ってもやらないのです。郵政局も監察自体の調書も非行はないと言ってがんばっている。これは聞くところによると、向うの監察官というのが、われわれがそれをやっている間にやはりいろんな事情を監察官が局長に教えているのです。これじや幾ら監察機構を利用しろと言ってもほとんど信用がならない。結果的には、あの局長は四人か五人のところへかえられましたが、そういうのが一つと、また京都府にも兵庫県にもあった。これも点検闘争といってやらない前から、幾ら郵政局長に交渉をしてもてんで取り上げない。ああいう局長がそういうことをやるわけがないといって全然やらないのです。郵政局も監察局もやらないから、全逓がこういう点検闘争をやっておるのです。こういう場合がるる今まで蓄積されているのです。こういう点を見ても、大臣は全逓のあのやり方が一方的に行き過ぎだと思われますか。
  48. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはお互いにもっと深く掘り下げて常識的に考える問題だと思うのですが、私は点検闘争という問題は好ましくないということをはっきり明確に答えているわけであります。なぜかといいますと、あなたが今言われたように、点検闘争の結果、局長の非違があばかれて、このあばかれた非違に対して監察官は処分の上申をしろと言っても、監察官がやらないから点検闘争になり、確認闘争になるのだ、現実はその通りでありましょう。しかし、私が申し上げるのは、監察当局が――今まで監察局制度が作られたものが、業務犯罪というような縛られたものとして作られたということに非常に重点を置いておりまして、その他業務上百般のものに対して非違行為があっても、特に組合運動に加担をしないし、また組合運動に不当労働行為になるような、こういうものは努めて避けようという因循こそくな体制が今日まで続いてきたことはこれは私も認めます。そういう結果あばかれた非違に対して監察権が発動せられない。せられても局長側、管理者側の言のみを聞いて、これだけ明確になっている非違事項に対しても、簡単に酒を飲んで一晩調査をした結果、非違はないというようなことをするから確認交渉に発展するのだ、こういうことを言っておる。だから私もその通りその事実は認めます。認めますが、これは監察官だけの因循こそくなやり方によって点検闘争が確認交渉まで発展したとだけ断ずるわけにはいかぬと思うのです。これはその組合の中闘の諸君とも話をしたときに、点検闘争の結果あばかれた非違を、衆人監視の中で特定の人を呼んで確認交渉の名のもとにこれをやることが日本人の常識として考えていいことかどうか。それは人間的にいいことだとも思わぬが、道がないからしようがないじゃないかという答弁であります。点検闘争というものは一体どういうことを目標にして点検闘争という新しい戦術を編み出したのだ、こう私が聞いたときには、これは労働基準法が確実に適用せられておるかどうか、われわれが法律上よりも過重な労働条件をしいられて、もらうべきものをもらっておらないという場合があるので、こういうものの法律が的確に行われておるかどうかを調べるために点検闘争という新戦術を採用したのだ、ところが、組合員も多いし、全国的な問題でありますので、点検闘争から出てきた非違、特に労働基準法上のものだけではなく、いろいろな個人的な問題までがやはり出てくる、しかも、そこに監察局も動かないということなので、われわれは警察という部外者に頼むよりも、告発するよりも、内々で確認をする方がより合理的だと思ってやった、こう言っておるのであります。これもわかります。私が答弁をしてもきっとそう言うでしょう。しかし、私の考えは、そういうふうな経路をとってきた点検闘争ではあるが、これはやはり同じ組織の中に管理者と、片方は組合と、こういう状態にあるのですから、非違があったらこれはなるべく将来片づけるように、今までの監察局制度や別のものを考えてもいいから、これは一つ何とか点検闘争というようなことをやめるようにすることが望ましい、こう私は言っておるわけであります。で、監察局があなたがそう言っても過去と同じように動かない場合はどうする。その場合は警察権を、逆に労働組合から捜査を要求するという手もあるであろうし、告訴の手があるじゃないか、だから、そういうことをしないということを前提に円満にやろうというのだから、だから、点検闘争は好ましくない、こういうことです。だから、私の第一回の委員会における答弁は、点検闘争は好ましくないという常識的な答弁しかやってないのです。ところが、組合がそれに対して反駁声明を出しておるのです。点検闘争は違法ではない、合法だ。これからうんとやるのだ、点検闘争で直ちに突き上げをやるのだ、こういう指令を出したから、そこまでいったら遺憾ながら非合法と断ざるを得ない、こういうことを私は言ったのです。これは段階があってきているのです。私は点検闘争、血で血を洗うような、戦後はやった密告制度、こういうことを一あまりやらないで、お互いが何とかうまくいく機関を、いわゆる裁定機関のような、こういうものを将来にも何らか円満にいくものを作った方がいい、とにかく点検闘争から生れた確認交渉というものだけはこれはやめてもらいたい、こういうことを言つたのです。確認交渉なぜ悪いというから、これは点検闘争よりも明らかに悪いということを私は大臣として答えた。これはなぜかというと、これは逆に考えても、私でも、こう何十人かの前で答弁を求められるとやはり相当緊張いたします。ところが、一つの例からいいますと、二百人の組合員に呼び出されて確認交渉を受けているという例もあります。そうしますと、普通の人間であるとこれは少くとも自分の非違があって、しかも、それは監察局が指摘をすれば辞表を出さなければならぬと思い、自分の不正におののいておる人を組合員多数の前に呼び出して、そうだろう、そうだろう、そうじゃなかったらこちらから証人を出すぞと、こう言われることはこれはどう考えても人民裁判的な色彩をぬぐい去るわけにはいかないので、こういう荒っぽいやり方は何とかやめてもらいたい。これは私はもう明らかに禁止をしたい事項でもあり、まあ憲法上から考えても個人の自由権といいますか、自由権というよりも個人の秘密というものが不特定多数の人の前でこうやられるということになると、明らかに憲法違反の疑いもあるのだから、こういうことは一つやめてほしい。私はこの確認交渉は確実に違法なりとこう断定したわけであります。ところが、これは蛇足でありますが、現行憲法さえも守らない政府が何を言うというまあ言葉で別れておるのですが、新聞にいろいろ報道せられておりますが、私が衆参両院の委員会で公けに答えているのは、ただいま申し上げた通りのことを答えておるのであります。
  49. 光村甚助

    光村甚助君 組合自体でも点検闘争をおもしろ半分にやっているのじゃないだろうと思うのです。これは今まで特定局長さんに対してはずいぶんいろいろな注意もしているはずなのです。それが全然結局は守られていない。大臣はそれで組合の方だけに法令の無視だとか、事業の信用を失墜するとかということを言っておられるが、これは特定局長の方にも一つ全逓に点検闘争を受けるようなことをするやつは断固処分をするぞと言って、一万なんぼの局長にもやはりこれは出すべきなのです。相当事業の信用を失墜している局長が多いのですよ、法令を無視して。だから、組合だけにこういうことをやられて、局長の方にやられないから、一つはますますまあ全逓に反駁される原因がここにあると思う。だから、こういうことのないように、われわれがずっと全国をオルグをして回ってみても、まだまだ不在局長がたくさんいるのです。私らが回ってみても兼業をしている局長もある。私らは不在局長の名前をあげよといえば今あげてもいいですが、そういうことは言わなくてもいいですが、便所へ行くにもかさをさしていかなければならないような局舎も相当あるのです。そういうような、自分が法を守らずに相手に法の精神を説かれることは片手落ちだと思いますが、そういう点のないように、全逓から点検闘争をやられるような局長自身が悪いのだから、お前らもそういうことがないように、そういうことがあったら断固処分をするぞという警告書か何かを管理者にも出してもらいたいと言っておきます。  それからその特定局の昇格の問題を一つ言いますと、これも例ですが、こういう局がありますから注意してもらいたいと思う。以前には自分の局が大きくなるために、特定局がですよ、指定局事務を扱わしてくれという運動をやって、それで指定局事務をやって、そうすると人が何人かふえているわけですね。そうすると今度は人が多いから普通局に昇格されるという、こういううわさを聞いてきて指定局事務を返すから取ってくれと、こういうことをやっておる。あるいは郵便局と駅と遠いので、そこで逓送の人がいるわけですね。それを請負にして、たとえば三十人の局だったら二十八人までしておいて、これを特定局に維持しようと、こういうようなことをやっておる局長もいるのです。こういう点なんかは大臣はどうお考えですか。
  50. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 組合にだけ警告書を出したのではなく、管理者の規律も正さるべきだということは、先ほどから申し上げておる通りでありまして、これもいろいろな事例をあげたりして、通達をするように今考えております。これは私はいつでも申し上げておるように、組合員に対して特別な感情や考え方を持っておるということはないのです。先ほど申した通り、私は選挙で出てきた者だし、いつ首も飛ぶかわからないが、できるだけ私の在職中にお互いが円満にいくように道を開きたいということが私の考えの焦点ですから、いずれにしても、今までうまくいかなかった組合側と、それから管理者側との間にいい面を一つ求めたい、こういう考えでありますから、これは組合だけに出して、管理者に出さないというようなことは全然考えておりません。管理者に対してはより厳密な規律を要求するつもりであります。だから、そういうことを私正してから――まあ中には入ってから三十年たつが、大臣から手紙をもらったのは初めてだと言っておりながら、封を切ってまた返してくるのもいるのですが、やはり管理者側にも出す予定であるならば、管理者に出すまでは待っておいて、管理者に届いたならばこちらも見ようということならいいのですが、組合もすごく挑戦的なんです。大臣から三十年ぶりで手紙が来たので見たが、見ないふりをして返そうと、まあそういうことだと思っておりますが、お互いにこれから口をかけ、お互いに長い懇談を何回か重ねていくことによって、こういう対立を原則的に取り除こうということも考えておるわけであります。  特定局の問題に対しては、いろいろな議論もありますが、午前中もお話を申し上げましたように、その特定局に対しては、組合側と私たちが将来円満に一つ話をしようということで、まあすべてを特定局制度調査会のその結論待ちということでいった方がいいのじゃないかということを言われておりますので、私は、先ほどその原則を犯してさえ九局格上げをしたじゃないかということもありましたが、これは問題じゃないと思ってやったので、あとの問題はお互いに議論があるが、なるべく慎重に円満にいくように一つこの調査会の結論が出るときには、特定局制度に対する議論に終止符を打ちたいということを、私は当委員会でも明確にいたしております。そういう意味で特定局の問題に対しては、いろいろ御議論がありますでしょうが、もう少し答弁を延ばさせていただければ一番いいと、こういう考えであります。まああなたの今言われました個々の事例に対しましては、私の方でも答弁の用意もありますが、特定局の問題はもうしばらく省側として意見を言う段階にありませんので、次の機会にしていただければ幸いと、こう思います。
  51. 光村甚助

    光村甚助君 もう一つは、午前中問題になった貯金の赤の問題ですが、これはまあ大臣も言っておるように七、八が赤になったというのは、民間側の利子値上げをした理由も確かにあると思うのです。そのときに、そういう時分だったのですが、大臣貯金保険の最高額を引き上げなければならない。これは景気のいい話で私たちも賛成しますが、しかし、花火を上げるだけではこれは効果がない。去年でも大体私たちの方は三十万円くらいの保険引き上げ考えておったが、やはり自民党の政調会に対して相当保険協会というのですか、働きかけがあって、いつでもおじゃんになる。大臣はおれを三年置いてくれたら五十万円にするということも言われておるそうですが、何年おいででもけっこうですが、これは一つ必ず口先だけでなく、今年は貯金も三十万円、保険も三十万円、ここでは必ずやるのだという言明はできないかもしれませんが、ほんとうに大臣になったら職を賭してでもやる元気があるかどうか、一つ元気のいいところを聞かしていただきたい。
  52. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 貯金金利引き上げ及び貯金、簡易保険制限ワクの撤廃、このワクは原案を三十五万円ということで大蔵省と折衝いたしておるわけでありますが、この問題はただ景気よくアドバルーンを上げるというような問題ではなく、これは必ずやりたいと思っております。これは特に来年度予算国際収支改善の延長予算であるというようなことをもし仮定とするならば、そういうときこそ七国民消費に回る面からはどうしても、貯金、簡易保険として国は大きく吸収すべきである、これは国策として一番大きな問題として考えておりますので、相当異論もあり、抵抗もあると思いますが、私はこの問題に対しては、就任当初私もはっきりとした政策を掲げておるのでありますし、党でもこの問題は政策審議会を通過いたしたようであります。特に社会党の方々からも賛成であるということになれば、これは異議の出ようはずがないのでありますから、これはガソリン税の五カ年計画法を作ったような勢いで、一つ衆参両院の皆さんも超党派的に御後援願いたいと思います。私はこの問題はどうしてもこの国会に実現いたしたいという確信をさらに深めておる次第であります。
  53. 光村甚助

    光村甚助君 最後に、機構改革の問題ですが、官房長のないのは郵政、文部省だけだというお話がありましたが、郵政にもこういう制度を作るのか、それとも職員局にするのか、もう一つは、資材部を大臣官房でなくて独立するのか、そういう点が一つと、もう一つは、定員の面ですが、との間の新聞を見ますと、農林省に大体二万人くらいの非常勤がいる、そして非常勤で雇っておいて二月して書きかえさせて六年春七年も使っておる。郵政省にも長いのは十年くらいの非常勤がいる。これは実際はほとんど仕事が忙しくて、定員がないから非常勤で雇っておるのですね。この間定員法の改正のときに、ただ世間ていだけをごまかすために定員を減らしておいて、実際は郵便局でも非常勤を使っているわけです。こういう問題について、この前の国会で総理大臣がこういう制度はいけないから何とか早く定員化しなければいけない、こういうことを言っておられる。さっき管理課長に聞いてみたら、郵政でも三千人近くそういう人がいるということですが、大臣はそれについてどういうお考えを持っておられるか。
  54. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいま仰せになりましたように、潜在定員と申しますか、ワク定員といいますか、いずれにしても非常勤職員が各事業におりますことは事実であります。この問題に対しては法律を守るという建前、また正すべきところは正す、いい加減なことはしておかないという建前から考えても当然整理をすべきだと私も考えております。特に総理大臣もこの問題に対しましてはできるだけ早く定員化するようにという、明確な考えを発表いたしておりますので、当然定員化いたさなければならないと考えております。郵政省で三千名あるという話でありますが、私のところに報告をされており、私が調査いたしたものは、直ちに定員化しなければならない者は九百七十四名であります。なお、この上に二千六百名と言われますと、これはきっと特定局等で将来統廃合するとかいうことで、電通の電信電話の婦人などを臨時に雇い入れておるという者を含めてだろうと思います。これは一つ調査をいたしますが、これは今までの制度からしましても、一カ年間据え置きましてなおそのまま使用する場合には、当然定員に組み入れるということになっておりますので、今定員として入れなければならないのは、看護婦とかその他いろいろありますが、こういう者は九百七十何名、約千名に近い者であるというふうに記憶をいたしておるわけであります。これは三十三年度予算定員化するように予算要求をいたしております。  機構改革の問題は官房長を置くつもりであります。  それから職員局の問題については人事局、もしくは職員局として官制上特に昇格をして内容を整備をいたすつもりであります。この中にできれば組合と法律解釈の違うことのないように、いろいろな問題を円満に解決できるような、ほんとうに現業として考えなければならない新しい制度も入れたいという熱意を持っておるわけであります。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 私午前中の横川委員質問をされた牛の郵政事業の労使関係について、大臣にちょっと質問したいと思います。七月二十三日の本委員会において、大臣就任されて初の所見の発表を聞いたのでありますが、私ども郵政事業の今後の発展は、そこに働く職員がほんとうに事業に対して協力するかしないかにかかっていると思います。従って、いろいろと問題がある労務対策に対して、大臣も、私も非常に苦労してきているのでよく気持はわかる。従って、誠心誠意話し合っていきたい、こういうことでしたから、非常にわれわれ期待を持っておりました。もちろん、大臣は若いというお話もあるのですが、これはもう非常にけっこうなことであって、たとえ三十二でも五でも才能のある人たちがどんどんその立場に立っていただくと、私たち非常に喜ぶわけであります。そういう点は他党といえども、私たち大臣の個々の活躍に対しては非常に期待を持っております。ただ、御指摘にあるように、いろいろ就任以来九十日間各地を回られておりますが、その先々でいろいろな大臣の抱負を発表になり、それが新聞等にも発表になっておるのですが、私たちそれを見るときに非常に心配するのは、さっき横川委員がおっしゃったように、いろいろな点で新聞の書き力が不十分な点があるかもしれませんけれども、たとえばラジオの教養番組なんかの問題につきましても、厳密に言うと、あそこにはこれは放送番組の編成委員会がありまして、そこが厳正に放送番組をすることになっております。ですから、政府がそれに干渉することは私はできないと思うのです。この前も石田官房長官当時に本委員会に来ていただきまして、今行いつつある「政府の時間」――民放を利用されておりますが――これについても、私たちは鋭く当時の政府が民放に対して若干行き過ぎな干渉をしたことがありましたその点を指摘して、そういうことのないように大いに要請もしたわけですが、そうした点からいきましても、放送法なり、電波法なり、いろいろ法律もあります。そうした問題に若干疑義を持つような発言等もありまして、われわれ心配しているのです、いい意味においてですね。そういういろいろな点は私はまたあすに譲らせていただきますが、その中でさっき横川委員が郵政職員の皆さんへという、この大臣の何かわかりませんが、メッセージか何か知りませんが、ずいぶん御丁寧なものを配っておるようですが、その中で最初に聞きたいのは、あなたは組織というものについてどうお考えになるかということです。私は一般の郵政職員に対して大臣がいろいろ書簡を送ることはいいと思うのです。ただ、事が内容的に見まして完全に労務問題に集中されておりますから、組織というものに中央本部がある以上は、やっぱりそこと大臣はあくまでも話し合っていくということが一番大事だと思う。こういう形でやられますと、中央本部の職員からすると、何しろ先を抜かれたような気がするのでしょう、通すところを通さないでやったというようなことになりまして。なるほど全逓への申し入れの要旨はありますけれども、その辺の組織に対するものの判断、考え方、その点がやっぱりもらったものを全部あなたの方に返そうということになるだろうと思うのです。ですから、この点の配慮の仕方に問題はあると思います。特に私の質問したいのは、午前中の横川委員質問で、労働組合の運動は労働者政権を樹立する革命の道具だと、一部先鋭分子が組合運動をやっている、そういうものに利用されているのだ、そういう声を私は聞くのですが、これに対して、しかし、これは全逓に言ったのじゃない、要するに、そういうこともあるということであって、全逓にそのことを言ったのじゃない、こうおっしゃっているのですよ。私さっきからずっとこれを読んでみるのですけれども、ずっと流れている思想の中には、やはり現在郵政は世上いろいろと批判を受けている、その中には郵政当局の、経営者諸君の方にも、われわれの中にも努力が足りない点があったのだが、その原因一つには、まだこういうこともあるのだということで書いてありますから、これはどうしても私は大臣の言いのがれじゃないかと思うのです。要するに、言葉は悪いのですけれども、ごまかされているような気がするのですね、私はね。ですから、物がわかればはっきりするので、その点でどうも言っていることが、大臣の答弁だけでは、ここで聞きのがすことができないと思いましたから、どうぞその点を一つはっきりしていただいた方がいいと思うのですね。  それから第三点としては、点検闘争のことですが、全逓の申し入れについても、ここで読ましていただいたのですが、これは光村委員も触れておりますが、私も特定局におったことがあります。非常に悪い局長がおりまして、実は金のことですが、ボーナスを年に百円としますと、五十円だけポツポに入れて、五十円だけくれるのです。それで監察が来ると、お前は百円もらったと言ってくれというのだ。そうして自分たちに判こを押させてやっているのですよ。これは監察が幾ら行ったってわかりませんよ。そういう傾向を直すことが大事なのですよ。それから勤務上のいろいろの不備もあると思います。ですから、大臣新聞に発表されたところを見ると、全逓の点検闘争は人民裁判にひとしいものである、違法であるというので、こういうふうに言っております。だから、私はそのやり方についてはいろいろあると思います。大臣のお考え方もですね。しかし、一番大事なのは、労働組合が取り上げる要求が正しいか正しくないかということですよ。取り上げていることは私は基準法にやはり示された方向に行ってもらいたいし、やはり前進していってもらいたいということを言っているのですから、それは私は正しいと思うのです、その取り上げた目的は。その目的をやる手段がいろいろあると思うのです。ですから、あすこにほしかったのは、大臣のその――特定局制度の抜本的改革になるかどうか知りませんけれども、審議会が持たれる予定です。ですから、問題のある特定局に対しては、将来政府としても十分考えていくのだし、また具体的に出された問題等についても、政府として積極的にこれは対策を立てていくから、全逓の諸君も一つあまり先ばしらずにやってくれないか、こういうことだったら話はわかるのですけれども、どうも話を聞いていると、監察制度というものだけに転嫁して、みずからのそういった、自分の陣容における管理者の非行というか、あるいはまずい点を率直に取り上げてやるというような熱意がないように思われるのです。ですから、そういう片手落ちなことをやると問題がなおこじれると思います。この点に対する大臣のおやりになった経過を見ておりましても、どうも若干軽率の点があったのじゃないかと思うのです。  それから最後にあったこの勇気ある行動ということに対しても、大臣がそれはあまりその当時考えなかった、こういうふうなことを言っているのです。私は非常に軽率だと思うのですよ。少くとも、大臣がこういうものを公文書で出すのには、相当な決意と勇気と努力が必要だったと思うのです。だからやったと思うのですよ。それをあなたが御自分で書いたかどうかはわかりませんが、少くとも、だれが書いたにしても、あなたのサインが入っているのですから、全責任は負うべきであると思うのです。ですから、あとから言われてみると、ちょっとそう言われれば誤解があったかしらぬと言うけれども、そんなことはないと思うのです。こういう点から考えても、もう少し落ちついて、ゆっくり考えてそれからおやりになった方がいいと思いますから、その点、長くなって失礼でありますけれども、ちょっとその点だけ伺っておきたいのです。
  56. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) われわれの組織に対する考えはどうかということでありますが、これに対して、私は組合の組織活動をどうこうしようなんて考えはありません。私はそれよりももう一歩進んで、組合が組織活動をしていることによって、労働者の権利が向上するのだという考えを持っております。これは私は昭和二十年に、私の所属しておる会社で一番初めに労働組合を作らしたという経験者でありますから、私はこういう問題に対して、組織に対して反発をしょうなんて考えはありません。ただ、円満な労働組合運動こそ私も大いに発達せらるべきだと思いますが、どうも戦後急激に労働権が理想的に拡張せられましたので、これは御承知通り、まあ普通からくると何十年かかかってかち得るものでありますが、それは占領軍政策という非常に大きなもので、憲法と軌を一にして非常に労働権というものが拡張せられましたし、今の労働法規というものはある意味において非常に理想的な条文を具備した法規であります。そういう意味で、いわゆるその組織活動によって、組合運動の運動史に金字塔を建てたいということはいいのですが、それから逸脱をして、いわゆる団結の力をもってすれば何でもできるのだということになってはいかぬと思うのです。私はだから組合に対してしごく常識的であり、私自身が労働の体験がありますので、その組合活動に対しては、私は好意を持っておるという考えをみずから持っておるもので、あります。だから、組織に対してはこれからもより団結をせられて、よりいい方向に持っていってもらいたいという考えであります。  ただ、私が書簡を出したことが、前大臣も元大臣も何も出さないのに私が出したから、妙に激しいことをやったように言われておりますが、私はそう思わないのです。これはもう出すのが当りまえであって、出さなかったのがおかしいのだ。ということは、私は先ほども言ったように、大臣考え、上部の考えが末端にまで浸透しておらぬというような事実も、これは認めていただきたい。私のところにも、組合員の名でもって、たくさん手紙が来ております。私たち初めてだ、こういうふうにお互いにもっと話し合うように、私たち末端機構は政府に対してどういう考えを持っているのだということをどうして聞かないのです、新聞やラジオを通じて聞くだけじゃありませんか、こういうことも言ってきておるのです。だから、私は一つの例を言いますと、仲裁裁定をのんで、これを組合員に通告をして、そのときには、中闘と私と会うときには、さすがにやはりわかるなと、こう言って和気あいあいに別れておるのですが、その翌日の全逓新聞を見ると、どうですか。われわれの団結でかちとったのだ、もっとストをやればもっととれるのだ、こういうことにする。これは正しい表現じゃないと思うのです。私はだから和気あいあいでもってこうお互いが握手した、その写真の一枚をお互いに全逓新聞に載せてくれれば、もっと組合と私たちとの間がうまくいくと思うのです。それをやらない。やらないこともわかりますよ。われわれがかちとっておるのだということを言わなければ、組合の団結も、ある意味においてしぼっていけないのでしょうから、これはわかりますが、私がとにかくまじめな考えでもって、郵政全従業員に大臣はこういう考えを持っておるのです、また世の中にも批判があるのだから、お互いに弊は正して円満にやろうじゃないですかと、こういうふうに一枚くらい出しても、なおそれを突っ返さなきゃならぬのか、全条に対してもっと平たく好意を持って読んでもらえないかということを私は申し上げたいのです。その意味で、組織に話してもなかなか全員に徹底をしないので、在職中一回くらい全員に私の考えを言っても、それが他山の石になれば幸甚だと、こういう考えでやったのであります。だから、組織に対してこれを分断しようとか、いろいろな危険な思想は一切持っておりませんし、私自身も組織に対しては十分認識を深めるとともに、いい意味労働活動に対しては、組織の円満な発達をこいねがっておるわけでございます。  申し入れに対しては、これは先ほど非常に含みのある御発言でありましたが、だれが書いたものであっても、署名があれば最終的な責任は負わなければならぬことは当然であります。しかし、先ほどまあいろいろな、午前中から引き続いて、どうもこの申し入れが過激である、大臣の反動性がどうも出ておるのだ、もう非常に労働経験もあるし、いいなと思ったのが、いろいろな面から見てもう期待はずれだ、その時代感覚がこの書簡にも現われておるのじゃないかと言われましたが、それは私もよくお聞きいたしておきましょう。しかし、これは全逓の方々がお読みになったり、全逓関係者が読んで、これは不当だと言われるけれども、これは一般国民にそれを読んでいただいて、必ずしも不当だという議論は出てこないと思うのです。私はその全条に対してじゅんじゅんと自分の思うことを述べておるのです。だから、前段においてはお互いに協力をして、お互いに円満に郵政事業のために働こうじゃないかと、その間に対していろいろなことを、一番最後にも述べておる勇気ある行動ということは、私はどういう意味で表現したか、今手元に文章がありませんのでよくわかりませんが、結びとして、そういう言葉になったのでしょう。それは組合分断という場合にも勇気を持てというようなことを言ったのじゃないでしょう。やはり世論もあるのだし、自分の良心に従ってお互いが勇気を持って一つ郵政全事業のために働こう、こういう言葉を言ったのであって、ただ、どうも一部何々というどぎつい表現だけでもって全文の、前後を縛られるようでありますが、これは例を申し上げますと、三ヵ月私が大臣になってからたっております。私は処分を一つもしていない。向うは二回闘争した。この現実を見ても、私は少くとも常識的に全逓よりも激しいなどということを言われる筋合いのものじゃないと思う。だからそういう意味で、これはお互いにそういう全く議論のための議論ということじゃなく、私のこれからの実績を見ていただきたい、皆様と協調してやろう、こういうことを言っているのですから、まあこの問題に対しては一つ常識的によくやってもらいたいということを御了解願えればけっこうだと思います。  もう一つは、管理者の非違の問題でありますが、これは新聞には全逓に申し入れたもの、違法行為があったら処分するぞというものがでかでかと出されておりますが、私が委員会で言っても、その裏には必ず管理者こそなおその非違は正さるべきというのじゃなくて、規律は正さるべしという非常に強い表現言っているのですが、管理者に規律を正せといっても記事にきっとならないのでしょう。そういう意味で、また田中にちょうどいいような面だけが新聞に大きく報道されるということじゃないかと私は思うのです。だから、今までのいろいろなことを総合されて、どうも期待はずれだというような御結論でありましたが、私がここで申し上げた、しかも、私が国会議員として国会の席上で申し上げるのですから、自分の良心に恥ずる発言はしない、その場のがれのことをやろうとは考えておりません。だから、その意味で、まだこれから十月の十二日からまた闘争をやろうという、私は何のためにやろうというのかよくわからないのです。わからないけれども、管理部門の問題をひっさげて一つ大闘争をやろうということでありましたが、きょうまでは、これは少くとも国鉄がやろう、何がやろうといっておっても、全逓は出てこないのです。私は少くともいろいろ今までお互いに角突き合いもしたけれども、腹の底ではお互いが協調して話し合いでやろうという気持がある。いわゆる第三波を中止をしたあの底流が今までもずっと全逓を貫いておるという考えで、私も非常に安堵をしておるのでありまして、私自身がもしこの安堵をしておる気持に裏切られて違法を含む闘争行為が行われたような場合でも、どういうふうな態度で出るかということがこれからの問題だと、少くとも過去三カ月の問題は、新聞にはどう出ても私が行なった行政権というものに対しては、少くとも労働組合よりも私が行き過ぎたなんというものは一つもないので、警告を発するぐらいなことでそうむきになられないように一つお願いを申し上げたい。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 一つだけ簡単に言っておきますが、それはよくわかりますけれども、私は第一点の組織の問題についても、要するに、大臣はおれが組合を作らしたというようなお話ですが、なるほどそういう点であればあるほど、組織というものを通してやはり労働運動というものを――大臣としては組織を通すということが私は正道だと思うのですよ。あなたが中央本部を全然抜きにして現場にああだこうだといっているのじゃ組織と秩序が保てないのです。世の中には法律が必要であるように、組織と秩序を保つことが大事だと思いますから、今後やはり原則的な行き方としては、中央本部を通して組合員に伝達してもらうということが正しいと思うのです。そういう点で申し上げたのですから、あとの問題については私もよくわかりますが、ただ、私が一番心配するのは、歴代大臣もやったことはないのでしょう、確かに。しかも、ないものをやる場合、その中にあくまでも明らかに読んでみると、大臣はごまかしていると思うのですがね、革命の手段だとか、一部の極左的な連中に利用されているのだという文字が入っておるのです。これは全逓労働史を読んでみて下さい。それは戦後二十一、二年ごろの四十万の全逓が官業の先頭に立って戦ったことは事実です。その当時日本共産党の支配に屈服しておったことも事実ですよ。そういう極左的な運動に対してみな反対をして、やはり民主的な労働組合を作ろうとしてやった連中が今全逓の本部にいるのですよ。そのことを理解できるとすれば、やはりあくまで話し合いの中でやっていこうということが私は大尉だと思う。そういう労働運動史の中におるにかかわらず、あなたが大臣になってきたら、何か全逓の労働運動が革命のためにやっているんだとか、一部の極左的な連中がやっているのだというようなことをわざわざ二十二万の組合員に対して、こういう金を使って、料金は無料かもしれません。これは郵政省の金が出ていると思うのですが、そういう挑発的なことを組合に対して、お前ら知らぬかもしれぬが、おれが見ると全逓がちょっとおかしいぞという印象を受けるものをやったということはマイナスだと思う。その点を考えていただいて、もっとほんとうに、誠意があるようですから、あるならばへたなことをやらずに、もう少し時間をかけて考えてみて行動に移った方がいいように思いましたから、私は特に申し上げたのです。
  58. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 一言申し上げます。私の方でも組合を分断するようなおそれのあるような行為はやりません。やりませんが、組合の方もあまりそういう一方的なことでもって郵政当局が悪い、大臣がわからずやだと毎日の新聞で教育しないように、あるいは中央にまかしておけば話ができるのだ、こういうふうに一つ御指導願いたい。これは私も非常に感じているのです。私の関係者、私の一族の中でも全逓の組合員がおります。だから非常によく知っている。お互いが行き過ぎということ、相手を刺激するようなことは、これは一つやらないようにということで組合にも申し上げておるのです。だから、私の方で貴組合というような不見識な話はやめなさい、同時に組合側も敵などというようなおもしろくない言葉は、少くともどんなに年末であってもお互いやめようじゃないか、お互いがさらさらと話せる、当局側、組合側というほんとうに平等な立場でもって話しができるようにまずしようじゃないかということを申し入れている。同時に私は、これは自己弁護になるようでありますが、せめて壁訴訟として聞いていただきたいのは、九十日間で組合と一番会った大臣は私だそうであります。私はいつでもいらっしゃい、こういうことを言っているのです。いずれにしても反動的でないということだけ一つもう一ぺん御了解願いたいと思います。
  59. 前田佳都男

    前田佳都男君 先ほどから郵便貯金の話がたびたび出たようでありますが、私郵便貯金について一つ大臣にぜひお願いしたい問題があります。郵便貯金は郵政大臣が管理するということになっている。だから、郵便貯金は、御承知のように郵便局が集めるだけでありまして、運用についてはほとんどタッチしていない。これは私は非常に残念なことで、郵便貯金の運用権というものを何としても郵政省に持ってきたい、こういう念願を私今持っておりますが、ところが、運用権を直ちに郵政省に持ってくるということはなかなか簡単にいかない問題だろうと思うのですが、現在どうなっているかと申しますと、資金運用部の資金運用審議会で副会長として郵政大臣がお入りになっている。その委員貯金局長がたしかなっていると思います。ところが、率直に運用の実態を見ますると、大体従来の姿では据えぜんを食っているような格好でありまして、郵便貯金の預入者の意向といいますか、あるいは資金吸収する官庁としての意向が反映されていないように思います。たとえば、あした私お話ししようと思ったのでありますけれども、電信電話の第二次五カ年計画の資金あたりでも、やはりこういう資金を還元するというような点から見まして、どうしても運用部の資金から少しそれを持ってこなくちゃならぬ、そういうような問題に対しても、なかなか従来の姿では簡単にわれわれの意向というものは反映できない。ぜひこの点は運用権を直ちに持ってきてもらいたいということは申し上げません。しかしながら、少くとも現在の機構の中において、大臣の馬力によって一つぜひ郵便貯金の運用に強力に一つ関与していただきたいということを特に私はお願い申し上げます。
  60. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 運用権の問題につきましては、確かにただいま仰せられたように、大蔵大臣、自治庁長官、郵政大臣の協議の上やることになっておりますが、私のところにはあまり協議が来ないのです。おかしいな、こういう考えで事務当局をして調べさせましたところ、前に大蔵大臣、自治庁長官、郵政大臣の三者で申し合せをやっております。そして自治庁長官が各地方公共団体から要請のあったものを調べて、大蔵大臣と協議をしてきめるというふうになっております。その過程において郵政大臣のところへは回ってきますが、そのときにはすでにもうすっかりきめてしまって、地方公共団体はもうもらったのだと、郵政省には行かなくてもいいのだということで全く形式上の問題になっております。今特に、この間地方自治庁に対して、郵政大臣はそれを認めないという場合、一体これは一部修正できるのかと、修正さるべきだと思うが、どうなんだと、こう言いましたら、黙して声なしというような状態でございます。こういうものが元大臣間において協定をされておりますから、あなた方がお守りになるかならないかということでありますので、こういうので、近い将来に実態をもう少し調査の上、郵政大臣はあらためて一つ態度を表明するからということで、今日に至っておるわけでございます。この問題を私がなぜ取り出したかというのは、運用権の問題に対して私も相当考えを持っておるからであります。ただ運用権の問題に対しては、にわかに、われわれが集めたものを、全部郵政省によこせということに踏み切っても事実上なかなか困難な問題もありますし、特に国の原資を幾つかに運用権を分けるという問題に対しても相当問題があると思うのです。だから、私は現在のようなまだ国がよちよち歩きをしているときに、ただ理想的にのみ走るということに踏み切るわけにはまだいかないのであります。ただし、大蔵省に対し申し入れましたのは、電電公社の六十億ぐらいは郵政大臣の伝票が来たら大蔵大臣の承認を得なくても使えるというようなことは当りまえじゃないか、そういうことさえあなた方がおやりにならないで、一切のものが大蔵省にあるのだ、大蔵省の主計局がうんといわなければ、郵政大臣幾ら金を集めても使えないのだということになると、問題はそこから起きてくるのだ、だから、先ほども申し上げました通り、いろいろな合理化のために必要な経費を百数十億、今年度よりも多くいたしております。一般会計も二十数億というものを三十六億か三十八億を要求をしておりますから、これは十四、五億多いのであります。私はもうどうしてもこれは引きませんぞということを九月の初めに早々と大蔵省を回ったのです。そうしましたら、まあ予算で九月の初めに大臣みずから渡りをつけて来られたのはあなたが一番早いでしょう、こういうことを言われておりますが、これはわれわれが集めた金があなた方のところへ預けてあるので、これはこんな渡りをつけなくても当然もらえるのだという観点に立って申し入れをしておるのだが、これは私が簡単にただアドバルーンを上げているのじゃないのだ、だからあなた方が、われわれがとにかく非常にむずかしい現状を抱いておりながら、より合理的にやろうとしても合理化資金さえも出さない。しかも、第一五カ年計画の最終年度であるところの電電公社の六十億さえも出せないということになるので、私は基本的にはいろんな問題があるが、政治的に運用権の問題は、立法化の措置を考えなければならないということを明確に大蔵当局に話してあります。これは和気あいあいに解決すべき問題でありますし、国会に対しては連帯して責任を持つ閣僚の一人でありますので、これは円満に話をつけてもらいたいという考えでございます。大体運用権の基本的な問題に対しては、もうしばらく時間をかしていただきたいと考えるわけであります。
  61. 横川正市

    横川正市君 時間ですね、大臣が少しおそく来られたので少しはみ出すかもしれませんが、まず私は先ほどから関連質問をされた二人の委員方々質問に対して、大臣の答弁している態度を見て、実は私たち質問が何か大臣の非常に積極的にやろうという意思に対して、やると頭をぶつけるから、なるべくやらぬようにするということにとられるとまずいのです。私たちはやはりあなたに仕事をしてもらう点については、大いに期待をしておるわけですから、その期待に、まあ期待しているのに、その期待とははずれてしまった方向に行かれると困るので、事前にいろいろ発表せられた点について私の方では聞いているわけですから、その点は一つ誤解のないようにしていただきたいと思います。それで確かに文書の内容等から行くと、私は率直にいって、これはやはり大臣の不徳のいたすところだろうと思う。だから、これはこれからいろいろな問題については、もっとやはり過去における歴史、それから経過というものをもっとやはり知っていただいて、そうしてものの処理をしていただきたい。というのは、現在の全逓の中闘と大臣の話し合いをちょっと仄聞すると、非常に何か感情的にとんがってしまっているのじゃないか、そのとんがったやつだけがたまたまひらめいてくるので、こういうふうな印象を与えているのじゃないか、これは非常にまずいので、できるだけ感情問題というのは抜きにして、実際問題で解決をはかっていただきたい。そういうことになれば、あなたの今まで行なった実際問題というのは、私はやはり認めるべきものを認めるという立場に立っていますから、感情を抜きにしていえば、実際問題は認められたということになるだろうと思います。そういう点から、これからの行動をぜひお願いしたいと思います。  そこで、午前から午後にかけていろいろ質疑をいたしまして、率直に私の考え、感じた感じを申し上げますと、ことしの暮の闘争目標としては、種別改定を入れたのはどうもおかしいといわれる。種別改定も入れ、そのほか手当問題とか、賃金問題とか、勤務時間であるとか等の問題等がかかってくるようでありますが、これは私は郵政当局と全逓の話し合いでありましょうから、その話し合いの中ですみやかに解決方向に持っていかれて、ことに、郵政当局は年末にかかりますと、ほかの官庁とは全く類を見ない多忙な官庁になるわけでありまして、これをスムースに運行されることを切にお願いします。そのことでどうも私はふに落ちかねておりますのは、最近「週刊労働」に発表されました政府見解というのがあるわけなんです。この政府見解を読んでみますと、今までやはり労働運動が終戦後権利的に非常に高く認められて、その権利をふり回すことだけに終始しているから、このようなことを今までいわばおとがめなかった、しかし、おれたちはそうではないぞ、今度はおとがめをいたしますよ、という内容じゃないかと思うのです。そとで、その組合運動そのものに対して、今までの経過から行きますと、私はそれほど問題がこじれないで済んだものをこじらしたといういろいろ原因というものを知っておるわけです。ですから、おそらく大臣が午前中から答弁されたような態度で臨まれれば、それは解決はするだろうと思うのです。そういう法解釈をして、この法解釈から行きますと、何もやれないわけですね。何もやれないで、やると必ず首が飛ぶという法解釈をしております。ですから私は、そういう法解釈よりか、問題がやはりこういうふうに紛争する原因について、当局者として善処されることの方が賢明だろうと思うのです。そこで、この警告と関連して、一体郵政当局では、大臣も大体十月闘争というようなことを予想しておるようでありますが、目標は別問題として、予想しておられるようでありますが、これに対処して郵政当局として、何か労働関係のいろいろな取締りに対して具体的ま方針というものを立てておられるのでしょうかどうか、その点をお聞きしたい。
  62. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。全逓との会議がどうも感情的であるというような話でありますが、さようなことは絶対にありません。しごく円満に会談が続けられております。ただ、横川君が言われましたのは、この前に、一番最後の何回目かのきっと会談でしょう、会談でもうすでに全逓の申し入れが管理部門の問題であるから、少し無理じゃなと思っておったのですが、いずれにしても、皆さんの御意思に沿うように努力をいたしましょうと私が言ったにもかかわらず、その方法は、その時期は明日中に全部やるか、やってくれなければわれわれの面子がないんだと、こういうふうな問題があったので、多少お互いに激高したようであります。これはまあその程度のことはお互いにあるでしょう。しかし、すわり込みをやられたわけじゃありませんし、もう再び会わぬぞと私も言ったわけではありませんし、向うも、もう来るもんかと言ったわけじゃない。もうしごく円満でありますから、そういうことはどうぞ一つお間違いないようにしていただきたいと思います。私はきようでもいつでも全逓に会うのでして、もうそういうように感情的になっているというようなこともありませんし、私もしごく短気な人間でありますから、がんがんと言います。言っても、しかし、それを根に持つような人間じゃありません。これは今からお願いしておきますが、これから通常国会になりますと、あなた方から、あまりいじめられると、ここで私も少し激高して、不信任案を出されるような状態もあるかもしれませんけれども、これは根は非常にいいのでありまして、あしたはさらっと忘れて、あなた方の所にあやまりの電話をかけるような人間でありますから、どうぞ一つ、全逓も一回ぐらいはがちゃがちゃ言っても、あれでもうけんか別れだというようなことをお考えにならないようにしていただきたいと思います。  それから種別改定の問題が出ましたが、これは私は、ほんとうからいうと、こういう問題を年末闘争というような大きな闘争をもしやるとしたならば、こういうものはやはり書くべきではないと思うのです。こういうものを掲げるものだから、また省側にも、私のような人ばかりじゃなく、法律一本でもって生きておる人もあるのですから、そうしますと、管理部門の問題であって、全然関係ないじゃないか、そんなものを第一に掲げてストライキをやっていて国民の支持が得られるかということになって、ますますこうなるので、私はあくまでも組合闘争というものは、政治闘争であってはならない、こういうことをまあ言っておるわけです、組合との第一回の会見にも、第二回の会見にもそうなんで。これはもうお互いに経済闘争であって、お互いが話し合いでできるというなら、これは幾らでもやりましょう、そういうものなら私も先頭に立って、閣内においていろいろな交渉もしましょう、こういうことを言っておるのですから、政治闘争でない、政治的な色彩が非常に強いものでない以上は、私としても、経済闘争には大いに一つ合理的な協力をいたしましょうと、こう言っておるわけです。だからその意味で、全逓には何にも闘争目標はないんだが、総評がやる年中行事だからといって、全逓だけが大臣とうまくいっているからやらないわけにはいかないから、まあ管理部門の問題でも掲げてやろうじゃないかというようなことは私は困る、こういうふうに私は明確に言っております。これは横川委員にもそういうことをしないようにといってお願いしているような状態でありまして、人から同情してもらうことはいいのだが、こっちが人の政治闘争に同情するような組合活動はしないでほしい、こう言っておるのでありまして、まあこれは私が幾らお願いしても、闘争目標に掲げられれば、これはもうこれをやらなければ、最後に大臣不信任という、きっと闘争スローガンが出るかもしれません。これに通ずるものであります。大体こういう問題はなるべく政治的な問題を離れて、年末等においては、経済的な問題をお互いに一つ話し合おうという考えであります。  法解釈の問題は、これは政府は、憲法が規定いたしますように、国会に対して連帯責任を負っておるのでありますので、郵政大臣としては、労働大臣の見解、これは労働省だけでなく、法務省その他との共同の研究の結果に基くものだと思いますが、この法律解釈は正しい、こういう見解をとっております。ただ、そういうふうに、何でも今まではかまわなかったんだが、今度はこういうふうにがんじがらめにすると何もできないじゃないか。もう一つは、これは正常な組合活動さえも侵すおそれがある。もう一つは、もうこういうことを正規に解釈せらるると何もできないんだ、やればみんな首になるんだ、こういうことでありましたが、法解釈と行政の実態が完全にイコールのものであるというふうにもお考えになっておらないと思います。米を一升持ち出しても違法であります。違法でありますが、微罪釈放、これはもう行政的なものにはいろいろあるのでありまして、ただ違法性というものは、これはやはりまじめに考えて違法であると思えば、そういう法律解釈は、これはやることが正しい、こう思っておりまして、私はこの法律解釈をやったことが、これで十月闘争及び年末闘争を縛っていとうなどという考えは毛頭ありません。これは法律解釈は、政府が共同の責任でやったのでありまして、これは十月闘争及び年末闘争に対して先手を打ったのであるなどというふうに激しくお考えにならないことが正しいし、またそういうふうにはお考えにならないでいただきたいと思うのであります。  年末闘争及び十月闘争に対して政府はどう考えているか、郵政当局は全逓に対してどう考えているかということでありますが、これは絶対にやってもらいたくない。やらないためには、いかなる交渉にも応じよう、お互いがこれはもううんと話し合ってやろうという考えであります。それでこういう問題には、特に郵政関係に御関係の議員の皆さんにも大いに協力をしていただいて、年末に国鉄が何かストライキをやっておっても、全逓だけはやらないというような、いい姿を必ず作りたいんです。そのときに、もうこれは右へならえでしょうがないんだというようなことは、これはそうなると行き過ぎになりますから、これは私は何とか一つやらないでいただきたい。そのためには、私は全逓とは、年末年始に当って、国民の指弾を受けるような態勢がこないように、誠意をもって交渉に当るつもりであります。ただ、今から私はこういう法解釈を出しておって、やるならやれ、こういうふうな法解釈で指弾をするんだぞなどという景気のいい考えは全然持っておりませんし、全く白紙でありますから、きょうその御質問がありましたから、一つ皆さんに御相談して、一つ円満な方法を考えたいと思います。
  63. 横川正市

    横川正市君 最後の締めくくりの方はいいんですが、ただ、なぜ種別改定が目標になったかについては、少し認識が違うようであります。種別改定そのものはやはりこれは非常に重要問題の一つでありますから、それを今までの経過からいくと、田中郵政大臣考え方というものが入っておらなかった。しかし、これに対しては、おそらく組合でも大会、中央委員会を通じて、二度ぐらい明確に執行部の態度として確約をしたはずであります。この確約は、前大臣ですか前々大臣ですかとの話し合いの結果、ことに、事務当局とも十分話し合いの結果として確約をしたものだろうと思います。ですから、これを実施できなかったということになりますと、やはり私は執行部としても、おそらくまあその責任を追及される立場にあろうと思います。それは会議上の問題ですから、まずその点が一つと、もう一つは、このことが果して純然たる管理運営機構がどうかということについては、だいぶやはり意見が違うのじゃないかと思うのです。ですから、私は先ほどは、実は明確にここで論議をして結論を出すことを避けたいということで避けたわけなんですが、ただ大臣は、このことは重大だからといってはっきり意見を述べられたので、私もやはり意見を、この際ですから、はっきりしておかなければいかぬと思います。種別改定の根本的な原因というのは、やはり現在まで労働条件の問題と関連して出てきた問題なんですね。ところが、郵政当局では、特定局と普通局との実際上の運営上の違いというものはないからというので、昇格を二十八年からやめておるわけであります。そのやめておる結果から来る給与上、労働条件上のいろいろな不利というものが個々の局に出てきておって、今も普通局と特定局を比べてもらえばわかるわけでありますが、そういう相違に対して、ぜひこれは普通局へ昇格してもらいたいという、こういう組合側の考え方で話し合いが出てきたわけなんです。その話が、たまたま実施途上で現存のような段階になってきたということで、これは目標に掲げざるを得ない、ここに第二の理由があると思うんです。  そこで第三番目は、大臣の私はこれは不信問題にも関連するのですが、どうも必要でもないのに田中郵政大臣はけしからぬという組合側の意思があり、田中郵政大臣は全逓の最近の若いのはけしからぬという、まあこういう考え方があるという、そういうことではこの問題はちょっと解決しないのであって、もっとやはりじっくり話し合っていただいて、ことに、この調査会の結論が云々ということであっても、なかなかこれはどうなるかさえ不審も抱いている時期ですから、なかなか信用しがたいという段階なんです。そこで、話し合いの結果としては、あなたの誠意でそれならやりましょうという、そういったことが今までのいきさつからいって出てきてもらうこと、そのことが私は問題の解決だろうと思うのです。だから闘争目標にあげたかあげないかということは、やはり時間的に次のたとえば会議までには解決したいということで、おそらく第一項目にあげられた問題で、今までの経過から来たものだろうというふうに私は思っております。それですからね、もう一つは、認識の相違だということがはっきりわかるのは、この闘争にスケジュールを持たせるようになったこと、それから闘争に連帯性と共同性を持たせるようになったのは、これはやはり今まで政府に対する労働組合の不信の結果だと思うのです。なぜかというと、これは個々では問題が解決しなかったのですね、過去において、一つの単産ぐらいでは。今でさえですね、これはまあ田中さんがこちらへ来て郵政の問題はこの間も薪炭手当、それから石炭手当、それから八八協約の未処理事項、それからさらに今度の仲裁裁定、解決しましたが、印刷とか林野とかいうのはまだ団体交渉しているのです。これは一体どういうことかといいますと、やはりその小さなところだけではどうにもならないわけなんですね。だから、そのともに手を結んで一つおれの方は少しぐらいよくなってもお前の方が悪ければともに戦おうじゃあないかという連帯性を持たせたのは、やはりこれは政府の今までの行なってきたことの不信行為の固まりだといってもいいと思うのです。そういうことでですね、総評がこれをやるからおれはこれをやりますよではないんですね。これは全逓の場合にあなたが誠意を尽して問題を解決すれば、全逓はまあ闘争をしないで済みましたということで私は済むと思うのです。去年もそういうふうに済ましたのですからね。ですから、そういうことで済むのにあなたの考え方の中に、おれがこれだけやっていっても総評のスケジュ―ルでやるんだろうというふうな考え方を持つことは、私はこれは非常に意識的に過剰になっているんじゃないか、だから誠意を尽してやってもらうことについては、私は十分ですね、これはやってもらっていい、そのためにはやはりあなたの功績というのは結果的に成果を上げてくるだろうと、こういうふうに私は思うのです。その点で今言った種別改定の問題は、単にこれは管理運営事項だということではなしに、今まで部分的ではありますけれども、非常に大きな、特定局の大きな局の労働条件に関係した、給与に関係した問題として現在まで相当長い年月かけて論議されてきた、まあそういうことでありますので、その点は一つ間違わないでいただきたい、こう思うのです。
  64. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お話もよくわかりましたが、私の話も少し聞いていただきたいのは、私は組合の立場を大臣として必要以上に認めてやらなければ円満にいかないのだと、だれか譲らなければいかぬのだと、こういう考えを持って今まで譲ってきたことは、私が先ほどから申し上げている通りです。ただいまあなたが言われたように、他の五現業も郵政がきまればまあ右ならえでやるんだよと言うような方もありましたが、私はそれじゃいかぬ。だから、郵政がきまったら同日少くともみんなきめればいいじゃないかと法律は守るということを言っておるのであるし、特に一つの現業がきまってほかの現業がきまらぬというのはおかしいのであって、少くとも信頼をかち得るためには、まず譲るべきものは譲って、共通の広場を早く作るように努力しなければいかぬということで、私はまあお説のように非常に早く解決をしてきております。それだけじゃなく、私がどうもそういうことをやっている実績をさっぱり認めないで、どうも種別改定の問題だけを私が組合の意見をいれないような状態であるように受け取れる発言でありましたが、必ずしもそうじゃないんだ、必ずしもそうじゃないというよりも、私はもう全然そういう意識を持っておらぬということを申し上げたいんです。これは組合員の立場を尊重するということに対しても一つの例がありますが、これはその三六協定と二四協定があります。これは三六協定と二四協定は能率的に行うべきことは当りまえなんです。ところが、いろいろもめた問題がありますが、最後には、私の裁定にまかそうということになってきめたものを、三六協定は十日間でやってくれ、何で一体十日でやるのだ、これは大会できまったのでどうしようもないのじゃと、こう言うものだから、大会できまってどうしようもないというならば、お互いに今あなた方と僕らが話をするのだから認めようと、こう言いましたから、事務当局としまして、それは大臣はそういうことで一体うまくいくのですかということを相当言われたのです。私は見ている前で議論をしたのですから、おったのですが、大臣が最高でしょう、決定して何が文句があるのだと、決定したらしようがないから十日で結びなさい、組合は私が言う通り結んでよろしい、こう言うたのです。こういうことがある以上、これ以上私に好意を求められることはどうも少し困ると思うくらいに好意を持っておるのです。そのかわり、あとは大臣の言われる通り、最終意思がこう決定したのだから、私どもも結ばざるを得ないのだが、事実結んだあとはどうなりますかと言った。ところが、二一六は今月の十日まであるわけです。二四は先月末で切れたわけです。月給から差し引いているので、組合費は今月の九日支給――きのう支給のものから差し引くわけです。三六は十日まであるわけですよ。平仄を合せる意味でやはり二四をまた十日間結んで、今月の組合費はこれはもう当りまえのことだから天引してあげましょうと、まあ非常に譲れるだけ譲っておるのです、私の方は。さて、これからさあ十一日から一カ月でも二カ月でも一年でも結びましょうと言うと、十一日からは闘争スケジュールがありますのでだめですと、こう言うのです。これはその通りでしょう。そうすると十一月の十五日ごろまでやって、闘争が終ったら翌日から結ぼう――これはきっと十一月八日に終るでしょう。で、そうすると九日には二四と三六と両方協定するのですが、これは両方とも戦術に過ぎる、こういうことをやっておっちゃいかぬ。ところが、ほんとうに国民大衆の支持を受けてやるなら、一年間三六も二四も結んでけっこうだと思うのです。私は一向――そういうことは取引の具にすべきじゃない。そうして違法じゃないというなら、三六協定でもとにかく結んで職場大会を開けばいい。お互いにどこかで譲り合って統一解釈をとらなければならぬと思うのですが、それを今私がここで言うのじゃないのですが、とにかく私が誠意を持っているという一つの例証をあげたにすきない。その時から問題になっているのがこの種別改定の問題なんです。これは私は管理部門の問題で労働組合がスケジュールとして組むべき問題じゃないというふうな画一的な解釈をもってぱんと言っているのじゃないのです。これもまあいろいろないきさつがあって、長いことであり、あなたが言う通り、どこかの大会でこれがいれられずんば無期限闘争をやるのじゃということで、もう大会決議になってしまった、百二十三局は。その百二十三局で大会決議になったので中闘としてはこれをどうしてものまなければいかぬということで、相当強い折衝を本省とやったのです。本省側としては、そういう問題があっても何か身分の問題であるし、まあ少しまかせてもらえないかと言っておったのですが、ついに最後には、きょう現在でもって結ばなければ、とにかくわれわれは大会決議に反することであるので非常に困ると、困るから何とかしろと言うので、それをしもけって、何とかしない場合には局舎統合に対してはもう絶対的に反対する、配置転換には絶対に応じないのだ、こういう取引があるわけなんです。それでもうそこまでいったらしようがないから、局舎統合に反対するというのをおそれたのじゃないでしょう。おそれたのじゃないでしょうが、とにかくお互いの立場で譲れるべきものは譲ろうということで某課長から全逓に対して覚え書を交付した。これに対してはいろいろ議論がある。議論がありますが、少くともいろいろな段階を経てそういう実態を認めて何とかやろうということになったのだから、だから、私もそれに対して誠意をもってやりましょう、だからまあ省議がきまつているとかいろいろな理屈を言わないで、誠意をもってとにかくお互いゆっくり一つやりましょう、こういう答弁をして、うまくいくと思ったのです。そうすると、そこで先ほどちょっと言ったように、私が誠意をもってやりますと言明したにもかかわらず、明日中にやらなければストをやるぞと、こういう表現があったので、ついに私もこんなに誠意を持っているのにわからぬのかと、こういうことになってしまったのです。それで両方泣き別れということで今日まできておるようですが、今日まで泣き別れできているわけではないのです。これは闘争の目標の決定が先月の二十何日でありましたか、十七日ですか、これは最後の戦術会議できめなくちゃならないので、それまでに今来ておる五十局を全部やってくれるか、無条件に全部やってくれるか、もしくは一局もやらないか、どっちかにしろ、こういうことだったのです。それではどうも少し大臣の立場をあまりにも考えなさ過ぎる問題だと私は思うのです。私は全部やるか、全部もうやらないかというようなことに答弁をするわけにはいかないのです。誠意をもってやるということでもって、直ちに、私は今まで研究をしておらなかったのですが、積み重ねてきておるものを二時間か三時間質問をし、また報告を求めて、いずれにしても郵政定員四十名以上のものはこれは待ったなしでやろうじゃないかということで、同日付でこれを決裁したのです。そうしましたら、九つばかりやってくれてあと四十何局残されたことは困る。困ってもどうせわれわれも誠意をもってやろうと言っているのだから、それをあらためて闘争目標の第一号に掲げなくてもいいじゃないかということで、いろいろ手を尽し、懇談をいたしたのですが、ついに聞き入れられずして十一月からの闘争の第一号スローガンになったわけです。だから、私の方では全然大会決議に縛られておる全逓の中闘の諸君の立場を無視して今までさばかないのではないのです。それで、しかも、私の方では皆さんとのお話で、特定郵便局長の任命権の問題も一切みな特定郵便局制度調査会の結論待ちということにしておるのでありますし、特に私はこの問題には全逓と話し合った通り、この問題だけは調査会の結論待ちまで引っぱろうというのではなく、各地方郵政局長とも連絡をとって調査に万全を期しておるというのですから、今の段階においてこの種別改定が少くとも全逓の第一目標だと掲げられることは、私としては非常に不満でありますし、ある意味において不信行為だとさえ考えておるのです。だから、これはお互いに努力をして、また十一日からの闘争が私の発言によってより刺激になっては困りますから、私も非常に慎重にやっておりますが、できるだけこの問題に対しても早急に結論を出すようにいたしたいというふうに考えております。
  65. 横川正市

    横川正市君 私たちの発言が労働組合の代弁者のようになってしまってここで陰の団体交渉をやる、こういうことになってしまってはまことにこれはまずいのですが、私はまああなたの誠意がほんとうに今までの努力の見せどころとして出てくるのだとすれば、この種別改定などでとやかく始まるということに対してはまことにこれは心外だと思っているのです。なるべくそういうようにならないようにしてもらいたいという考え方なんですが、ただ、私たちも職員側の動きというものを見て、予想されるような方向にいかないような、そういうことで私たち努力というものが結実するならば、これはまあ私はこの委員会努力というものがあずかってもう多とするものがあったというふうに考えるべきだと思うのですよ。そこで、私たちの確聞することしの暮れからの来年の春への動きというようなものを感じたときに、率直に感ずるのは、今度の石田さんが労働大臣になってからぽんぽこと警告が出される内容とか、それからあなたが郵政大臣になってから実に活発にやられる中で端々そういうようなものが出てくるとか、それともう一つ、去年の暮れから大体闘争の内容が、ぐっと一般的にジャーナリズムをにぎわしてきておる大きな原因というものは、やはり郵政当局とそれから労働組合との関係にも何か人間的なつながりが切れて、労使間の対立が非常に明確化してきた、内容が人間的な一つの人員、人の配置の問題からも出てきているのじゃないか、そういうふうに考えられて、終戦後十何年かでようやく民主化してきた労働運動を感情問題でがたがたさせるようなことはさせたくない、これが私たちのやはり一つ考え方なんです。ことに、私たち仕事そのものが、年末へ行ってからうんと困難になるようなことは絶対これは避けたいということで、きょう一般問題で質問申し上げたわけですが、できれば私は、今月一ぱいに重要問題については、あなたの方もてきぱきとした一つ能力で片づけてもらって、十一月、十二月――そろそろ小包その他で多忙になる時期には、すべての問題がなくなったというところまで努力をしていただきたい。このことを最後に一つ要望いたしまして、少し時間過ぎているようですから、私の質問を終りたいと思います。
  66. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 非常に示唆に富んだ御要望でありまして、私も感謝をするわけでございます。せっかくここまできたものを、感情的なものでまた逆戻りをするようなことは、お互いに厳に慎しまなければならぬことだと思います。しかも、種別改定の問題等でひっからんでおって、円満にいくにもかかわらず、こんなことで十月闘争のはしりになり、また年末闘争になることは非常に遺憾だ、こう言われることに対しては、私もしごく同感であります。しかし、私はここで最後に横川さんに申し上げることとすると、もしこの種別改定がここまでよくやってきたのだから、最後に九仭の功を一簣に欠かないで、何とか種別改定もやった方がいいのじゃないか、こういう示唆に富まれた御発言でありますが、私がこれをやったら、来年の三月の末まで一つ闘争しない、あしたからの闘争スケジュールはやめるということはできますか。もしそういうことがあるならば、これは一つあとからでももう一ぺん御発言願えれば、私もこれは、そういうことに対しては真剣に考えて、そういうことこそ、私は、そういうことを習うこと自体が批判をされるかもわかりませんが、これはお互いに真剣にそういう問題を考えなければならぬ、こう思うのですが、それはやっても十一日からのスケジュールはこの通りにやるのだ、こういうことであるとちょっと困るのだが、きょうは非常に時期がいいのです。そういうことで一つ御意見が承われれば幸甚です。
  67. 横川正市

    横川正市君 私は、大臣のこれはちょっとここが一つ違うところだと思う。私たちは、こういう行動をとったら相手側が何かくれるだろうというくれるものを期待しないで誠意を尽そうというのが私たちの立場ですから、大臣はやっぱり商売根性があり過ぎて、これをやるとこれをくれというのが多過ぎるので、ただ保証をすることが、あなたがほんとうに誠意をもって解決されれば、闘争目標がないのにスケジュール通りにやるなんという労働組合は世界中どこにもないのであります。私は誠意を尽してもらうことに対して、私は郵政大臣の成果というものをおみやげとして上げることはできるだろう、こういうふうに思いますが……。
  68. 久保等

    久保等君 先ほど来、いろいろ私大臣の御高説を拝聴しておって、非常に労使関係の問題については円満にやっていきたいのだし、それからまた円満に事が解決することを心から念願しておるというお考えがるる御答弁としてあった。私そのことに対しましては、もろ手をあげて賛成するところなんです。ただしかし、じゃ具体的な個々の問題についての扱い、考え方の問題については、やはり私ども聞いておって、言やよし、行なっていることはどうもあまり円満に事を解決するような具体的な措置はとられておらぬのじゃないかというような気がする。それは今の――時間がありませんから簡単に御質問しますから簡単に御答弁願いたいと思うのですが、種別改定の問題についても、これは大臣御着任前の話であったか知らないけれども、百二十三局とかいう普通局に認可される問題については、六月末あたりまでにやろうという話になっておったのじゃないですか。
  69. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど申し上げた通り、先ほど申し上げた理由によって、大会決議であるとかいう立場でお互いに了解し合って課長が出したのです。この課長が出したことに対しては、いろんな議論があるのです。あるのですが、及ぶところが大きいので、こういう問題をあまり表向きにしないで、全逓の申し入れに対しては誠意をもって解決しようと、こう言って、もうすでに五十何局しかないのです。五十何局出てきております中に、郵政定員二十五名というものもあるのです、現実問題としては。これはもういろんな問題があるが、ただ、二十五名だろうが二十名であろうが、百二十三局をやります、と一札を出したときには、調べないで判を押したお前たちが悪いんだ、こういうことになってくると、こちらだけが感情的じゃないので、これはやっぱり同じ状態において誠意をもって解決しようというので、郵政定員四十名以上のものをもう文句なく九局やったのです。だから、今まで全逓から申し入れられたたくさんのものがこの九十日にありますが、解決未済のものがあるとすれば、これだけなんです。あとは、各五現業で片づかない問題も全部片づけたのです。一番最後に残った問題でさえも、当然やるべきものだというものは、その日のうちに結論を出して九局やっているのです。あとの四十何局も、これからまだやりますと、こう言っているのですし、百二十三局というところの七十局は、全然本省にまだ進達もないのです。調査中の問題だって全然ないのですから、私の立場から言いますと、全逓の言うことはほとんど九九%のんでいるんだ、こういう考えであります。
  70. 久保等

    久保等君 簡単に、時間がありませんから、一問一答式にお答え願ってけっこうなんですが、百二十三局のうち決定済みのものは九局だけということなんですか。
  71. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そうです。
  72. 久保等

    久保等君 そうだとすると、省内においては、いろいろ手続的には、今大臣の言われた意見の統一が必ずしも省内で完全になされていなかったとかいう問題はあるかもしれませんが、私は、あの問題についても、一夜づけでちょっと話し合いがされてそれですぐ覚書がかわされたという形じゃなくて、相当な年月を経過して百二十三局という数字が出たと思う。そうだとすると、あなたが大臣においでになる前のそういう覚書であろうと、あるいは一課長から渡したものであるかないかという問題は別として、対外的な組合に対する意思表示は、百二十三局やりましょうという意思表示がされておったものが、今日現に九局だけしかやられておらないとすると、これは円満に事を解決し、きわめて常識的に事を運ぶのがモットーであるとしておる大臣の言明からすると、私は、ちょっと客観的に経過を考えてお聞きすると、なぜ、一つすっきりお約束されたものはやってしまわれないか。特に、田中大臣のような非常に実行力のある大臣であるから、なおさらそういう懸案事項を一挙にやらないか。非常にミスがあって、百二十三局の中には四、五名や十名程度の局員しかいないものが含まれておるということになると、事情が変ってくる。しかし、二十五名やそれ以上の局ということになれば、相当な大局だと思うのです。そうだとすると、百二十三局のうちの九局、それで大半は約束を実行したという御説明には、どうも私はあまりこまかい経過は知りませんが、ちょっと御答弁としては納得できかねるのですが、大臣、どうですか。
  73. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 百二十三局というのは、私はどの局かわからないのです。現在本省に書類が来ているのが約五十局であります。この五十局を調べましたところ、郵政定員四十名以上というのは九局であります。あとの四十一局でありますか、四十局ばかりは、これは中には二十五名というのもあります。なおいろんな問題もあるのです。それは、先ほど申し上げた通り定員の問題もありますし、局長も実際はやめないんだという問題もありますし、その局長をやめさせるならばその統合に反対だという地元の陳情もありますし、いろんな問題があるのでし。だから、そういう問題も、九局はさあっとやりまして、もう一つ、ここですから私は申し上げますが、私の方でも一方的なことをやってるんじゃないのです、特定局の問題に対しては。少くとも特定局長の任命が三年も四年もかかるから、大臣の責任でもって内閣が責任を負ってやろうという考えのときも、特定郵便局制度調査会の結論待ちにしようじゃないかと、こういうことで、私もはいはいと言ってのんでいるのです。私にはのませるものをのましておいて、そして自分たちが一札もらったからこれだけやれということだけを言われて、しかも、私が実績がなければいいんですが、とにかく五現業でもって片づけておらないものでさえもみんな間髪を入れずに片づけているのです、私は。そういうことだから、この問題に対して誠意がないんだというようなことを考えられないで、もう少しこの問題をお互いが研究する間、もう半月か一カ月でありましようから、そういう問題もあわせて一つ研究をさしてもらって円満な結論を得たいと、こういうふうに全逓にも言っておるのですから、課長と全逓との間でもって協定したものを私が何も破棄するとも言っておらないのです。いろいろな協定したときの政治的な要因は相当あるようでありますが、それもなおみな前提として認めてお互いが一つ円満にやろうじゃないかと言っておるにもかかわらず、九月の十七口の戦術会議の前日までにこれをやってくれなければ闘争するんだと、こう言うのですからね。それは、私にもう少ししゃべらせると、どっちが誠意を持っているか、よくわかると思うのです。
  74. 久保等

    久保等君 私のお聞きをしておるのは、数の問題であり、それから今までの経過の骨子だけを申しあげたのですがね。特定局制度調査会の問題も、これはまあ新大臣が御着任になってから考えられた問題じゃないので、前の大臣のときからすでにこの問題についての閣議決定がなされておる。そうだとすると、百二十三局の問題も、これはおそらくただ単に抽象的に百二十三局という半端な数が出てくるくらいなんですから、大体どういった局だというくらいのことはおそらくお話し合いなり議論の過程では出てくるのじゃないかと思うのですがね。だから、やみくもで、百二十三局というのは何のことだからちっとも見当がつかない、従って、郵政局から出てきておらなければ全然問題にならぬのだというほど未成熟な問題じゃないんじゃないかと思うのですかね。そうだとすると、やっぱり、出てこない資料なんかについては、郵政局なりそれからそれぞれの当該局あたりをそれこそ郵政大臣の意気込みで大いに叱咤勉励して、資料を取り寄せるものは取り寄せる、それで百二十三局の問題なら問題について片づけるという方向に持っていかぬと、それを、何か特定局制度調査会が発足しておるんだから、そっちで十分に論議してもらってその中で一つ片づけていこうじゃないかということになると、従来の経過とは私はちょっと違ってくると思うのですね。そういう点、私はどっち側の立場ということじゃなくて、先ほどの大臣の答弁を聞いたり、事実の経過を、両方といいますか、いろいろあっちこっち各委員からの御質問なんか総合して判断してみて、第三者として判断した場合、大臣、円満々々と誓われるが、この種別改定の問題を一つ具体的に取り上げると、何かどうもしり切れトンボで、百二十三局が九局になって九九%は実行したという答弁のようですからね、内容は、いろいろにたくさん御説明になられましても、そうだとすると、当然片づければいい問題じゃ、ないか。そういうものは六月の末ごろ片づける問題であったのならば、むしろおくれているのだから、これを年末闘争にくっつけたのがけしかるとかけしからぬとかいう問題じゃ、なくて、早く片づけるものが遷延されておるのだから、その問題の解決努力せられるのが筋合いじゃ、ないかという気が実はするのですがね。私の質問が奇想天外なピントはずれの御質問かもしれませんが、ぜひ一つその点については大臣の大いに機動性を発揮していただいて解決を願いたいと思うのですね。結論的には、私の質問が特に非常に間違っておるならば、一つ考えなきゃ、いかぬところで、御説明願いたい。百二十三局のうちで九局というものは九九%の解決をしたということになるかならないか。
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御発言を承わっておきます。
  76. 久保等

    久保等君 それで一つぜひ御郷力を願いたいと思うのですが、どうですか。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、努力をするということを全逓に話してあるのです。話してありますが、私はしつこく言われて特に私の誠意がくまれなかったということが二つあるのです。いろいろな問題があるのですが、これはのんで下さいよ、事情はこういう状態でしたからというお話があったので、私も、片づけよう、何とか一つやろうじゃ、ないか、こう言っておるにもかかわらず、そのあとから、先ほども横川さんが言われたように、いつやるんじゃ、一体大臣はうそを言うのじゃないかというような無礼なことがあった。それで私は、人の誠意に対して何という一体態度をとるんだということが一つある。もう一つは、十七日までにはうまくできなかったけれども、少くとも第一陣をやってうまくやろうと思っておったにもかかわらず、一局もやらないかもしくは全部やるか、どっちか二者択一をやれ、そうでなかったらあしたのスケジュールには組み込むんじゃ、こう言ってついに組み込んだのです。しかも、それが、大臣が忙しいといって会わないからだ、こういうのですが、そのとき会って、私が誠意をもってやると言ったこと以外に、何月何日までにやるということは言えることではないし、蓄える状態にないほどこれは相当大きな問題であります。中には定員二十五名になるという問題もあるのでありまして、これは地方郵政当局と十分事務連絡をしなければならない問題であり、今それをしておる段階であるにもかかわらず、誠意のないものだ、直ちに組合は指令を出して、局舎統合に対して中止指令を出しております。私たち考えるいとまも何も与えず、ばんばんやっておるということは、これこそ一方的だと言いたいのですが、そこまで言うと及ぼす影響が雄大だと思いますので、あえて明言いたしません。いたしませんが、誠意をもってやっております。この特定郵便局は、五十局にまたがるものを、何年にも積み重ねられたものを一応説明を聞くだけでも大へんですが、説明を聞かないで、めくら判を押せばいいんじゃ、ないかという議論が全逓の諸君からありましたが、そういうことを、めくら判をついても一向差しつかえないと言う。それなら仙台郵政局長から出てきたものをめくら判をついてやるのか。仙台局長から出てきたけれども、絶対いかぬ、大臣は再調査をやれということも一方では要求しているのだから、私の立場も考えられて一つ慎重に、円満にやろうと考えているのだから、しばらく時をかしてもらいたい、こう私が懇願したのですが、ついにいれられず今日の段階になったことは非常に残念でありますが、いずれにしても全逓がそういう態度をとったから、私も激高して――もうやらないのだということは考えないで円満にやっておるつもりであります。
  78. 光村甚助

    光村甚助君 大臣、ちょっと激高しておるようだけれども、私は全逓の団体交渉のおさらいをしておるのではない。それぞれ国会議員としての立場で、普通局を何局にするのかということを聞いているのですから、全逓が無礼なことを言って、ああだこうだということではないのですから、そういう点もやはり今後質問に答えていただきたい。
  79. 久保等

    久保等君 大臣に私御答弁を伺わなくともけっこうなんですが、ただ、大臣の言われる労務対策といいますか、労働組合に対するやっぱり私は態度というものは、これは大臣は一人ですから、団体交渉に臨まれる場合に。しかし、組合の幹部というものは、少くともこれはやっぱり二十数万の組織を代表した形で、しかも、権力というものは何も持っていないのです、率直に申し上げまして。組合の内部において、組合幹部が組合に対する権力は持っておらない。従って、その間にいろいろかんにさわるようなことも、これは実際問題としてあると思う。しかし、そこは大きな組織に対する労務管理といいますか、いい意味での、労使のいい労使慣行を作っていこうと考えるならば、やはりその間の団体交渉における片言句々の問題で、一つ大臣がひんぴんと、非常に明敏な頭だから、ぴんぴん来るのは私はわかるけれども、そういった形では円満に解決しない。特に警告書を出されたそのいきさつを先ほどから伺っておって私の感ずるのは、やっぱりああいう形でやられるのは組織を無視したものだ。労働組合には労働組合としてのちゃんとした段階があり、責任者もちゃんとあるのですから、それを無視した形で全組合員に直接ストレートでもって手紙を出されるようなやり方は、これはやはり、組合の組織活動を尊重すると言われておるが、組織活動だけでなくて、組織そのものの存在をいわば否定した形になる、見方によっては。そういう点で、大臣非常に若いので元気があるのはけっこうだけれども、しかし、それが団体交渉の過程で何か、何と申しましょうか、多少かんにさわったというようなことでは話が進展していくとは思わない。これではまとまる話もぶちこわしになるということも間々あると思います。今の特定局なんかの問題にしても、これは私は大臣非常に誠意があられることは先ほど来の答弁を伺っておっても一応わかる。しかし、結果が今日こういうことになっているとすると、この事態をどう解決していくかということを考えていただかないと、今までのいきさつはこうなっているのだという話では問題は解決しない。ぜひ一つそういう、労働組合というものは民主的な労働組合であればあるほど、これは組合の幹部は組合運営については苦労があるのです。従って、そういう立場も一つ考え願って、十分に私は話し合っていただきたい。団体交渉におけるたまたまの言動だけで問題を判断せられないように一つお願いしたい。
  80. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど御注意がありましたが、これは私も国会議員の発言に対して大臣として答えているのでありますが、先ほどあなたの御質問の中に、全逓との間にこういうふうな状況で、こういう段階を経てこういう結果になっているんだ、そうなっているにもかかわらず、やらないのはどうだと言ったので、私も組合とはこういう結果で、こういう段階の交渉をやっているんでありますから、私のやっている現在の状態が必ずしも円満を欠いているとは思わないという発言をしたわけであります。これは一つ誤解のないように願いたい。  それからもう一つ、組織に対しての問題は、組織活動を認める、法律上認められる労働組合に対して団体交渉を行う、団体交渉に応じているのであります。でありますからして、これは尊重していることも事実でありますし、尊重することは当然であります。ただ、ここで議論をするのでありませんから、私の立場になって一つ考えていただくと、私も国民の代表として郵政省をまかされているんでありますし、郵政省設置法によっていわゆる義務を行わなければならないという責任ある地位にあります。だから、この私が、従業員全部二十五万の諸君に私の意思を通じようとすると、新聞やラジオをもって通ずるだけでは足らないわけであります。そうしますと組織を通さないで今度二十五万へ出したので、組織を無視したじゃないかという議論でありまして、これは私幾らか組織を無視した、軽率だったということは認めます。今度出しますときは組合員二十五万通出します。それを私の言うことは全部正しくないと思っている。大臣から出たものをやはりこれは配ってやるということで、批判は自由にしなければいかぬ。組合幹部が出すものだけが正しいことであって、大臣が出すものはいかぬのだという考え方は行き過ぎがあると思います。私は全逓の組合の組織に対してこういうものを出したい、組合のあり方、十月闘争、年末闘争に対してはこうしてもらいたい、そのかわりにわれわれもこういうような措置をとって話し合いをつけたいと今努力しているのだということで、私組合員にこうした依頼をしたときに、それを全面的にやってくれるという道が開ければ、こういうことはなかったのです。やってくれるか、やってくれないかという念を押しておいて、直接発送すべきであったかもしれませんが、まあこれに対しては多少私問題を認めます。今度は組織を利用するというよりも、組織をこれはほんとうに尊重するということにはこういうこともあるのです。これは大臣としてほんとうに職責を全うするには、政府の考えていることを新聞やラジオだけを通じて組合員の耳に入れる以外にどうも方法がない、国会議員が内閣の施策新聞やラジオを通じて耳に入れるということでは非常にけしからぬことであって、われわれ自体もそういうことがあってはいかぬ、政府の人たちをここに呼んでたださるべきでありますから、私もそういう意味で何らか組合員全部が政府とほんとうにひざを交えて話せるような態勢を考えて、その一つの方法としてやったのでありますから、一つ具体的な問題に対しては、もう一ぺん私も慎重に考えて全逓の諸君とも相談をしてみたいと思います。いずれにしても、私が先ほどから申し上げているように、円満にものを運びたい、一人の犠牲者も出したくないという考え方は、一つ重ねて御認識願いたいと思います。
  81. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十九分散会