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1957-03-07 第26回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月七日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員異動 本日委員森中守義君辞任につき、その 補欠として片岡文重君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            手島  栄君            最上 英子君            鈴木  強君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            前田佳都男君            松平 勇雄君            宮田 重文君            横川 信夫君            三木 治朗君            光村 甚助君            山田 節男君            横川 正市君            奥 むめお君            野田 俊作君   政府委員    郵政政務次官  伊東 岩男君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    通商産業省重工    業局電気通信機    課長      重見 通雄君   参考人    日本放送協会会    長       永田  清君    日本放送協会理    事       溝上 けい君    日本放送協会理    事       池田 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  送付、予備審査)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会を開きます。  まず、委員異動を御報告いたします。本日、森中守義君が委員を辞任せられ、補欠として片岡文重君が選任されました。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 前田佳都男

    前田佳都男君 この間、放送協会の方からお出し下さいました昭和三十二年度の収支予算編成資料、この資料のうち、1にラジオというところがございますが、このラジオの項のうちで、支出の項の事業支出の中に放送費というのがあります。放送費三十四億八千二百九十九万一千円、この放送費内訳はどういうふうになっておりますか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。    〔速記中止
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  7. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、その放送費内訳を、一つ聞かせていただきたいと思います。
  8. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 御説明申し上げます。ただいま前田先生お話し下さいました放送費の三十四億八千二百九十九万一千円の内訳——目と私たち呼んでおりますが、それは番組編成費番組実施費番組資材費調査費技術費通信施設費その他の諸費、そういうふうに分れておりまして、その内訳の金額を申し上げますと、番組編成費が四億七千八百八十五万六千円、それから番組実施費が十六億六千五百二十一万三千円、番組資材費が一億七千七百七十八万八千円、調査費が七千八百六十九万円、技術費が四億四千九百二十一万七千円、通信施設費が六億一千七百九十一万一千円、諸費が二千八百三十一万六千円、大体以上になっております。
  9. 前田佳都男

    前田佳都男君 今、池田即事から御説明を聞いたのですが、そのうちで、放送した人、いわゆる放送者に対する謝礼というのはどの経費ですか。
  10. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 番組実施費の方でほとんど出ております。
  11. 前田佳都男

    前田佳都男君 それをちょっと今数字を聞き忘れたのですが……。
  12. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 十六億六千五百二十一万三千円でございます。
  13. 前田佳都男

    前田佳都男君 一般日本放送協会放送者に対する謝礼が非常に少い、日本薄謝協会だというような悪口を言うものもあるので、そういうふうなことをよく聞くのですが、よい放送者といいますか、よい芸人とか、あるいはりっぱな講演とか、あるいはよい音楽というふうなものが、お礼が少いというがために断わられた例がありますか。また民間放送会社に比較してどの程度に低いのか。それも一つ常識としてお聞かせを願いたいと思うのです。
  14. 永田清

    参考人永田清君) 今のお話は非常に大事な問題でございまして、放送協会としては、この問題について何らかの基本的な方針をきめなければならぬような段階に立ち至っております。御質問のように、公共放送としてぜひこれは放送したいというものについて、交渉して、謝礼が少かったがために断わられたという事例はございません。幸いにしてございません。しかし、第二の御質問商業放送その他とどれだけ開いているかということになりますと、これは種類がたくさんございまして、まあ講演とか、その他についてはそう大きな開きはございませんが、特に大きな差がついてしまいましたのは人気歌手謝礼でございます。これは、場合によっていろいろ違いますけれども、けたが一けたないし二けたぐらい違うような状況がたまに出てくる問題でございますけれども、しかし、これは公共放送としまして、ただ商業的な広告価値だけでやっております商業放送と同じような条件でお支払いをするものかどうかについては、原則としては、やはり違ったものがあってもよろしいのじゃないかという解釈でおりますが、しかし、それも現状のままで推移いたしますと、これは純然たる契約になるものでございますから、それじゃ困るから出演しないというケースがあるいは起るかもしれないと思っておりますが、これらについては、常識的な判断をして現在までやっておりますが、今後の問題については、十分再考しなければならぬ段階じゃないかと考えております。詳しい事例につきましては、所管者からまた補足的に御説明申し上げさしてもけっこうでございます。
  15. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、ちょっと話題を変えまして、現在国際放送というものをやっておりますが、この国際放送放送法の第三十三条に基いておる放送ですか、どうですか。その点につきまして電波局長からお伺いしたい。
  16. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 放送法第三十三条に基いてやっております。
  17. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、この表にあります交付金収入の一億五百五十六万円というのは、これは、三十三条に基く命令に基きまして三十五条で出しておるこれは負担金ですか。
  18. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) さようでございます。
  19. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは、国際放送費が現在一億六千四百八十万円計上されています。国際放送は、国際親善あるいは貿易振興という、そういう点から絶対必要な放送であるということはよくわかるわけです。ところが、これに対する交付金が一億五百五十六万円であると、こういうことを、郵政大臣国際放送命令をしておきながら、その経費は六千万円程度経費受信料からもらっておる、これは不当じゃないかと私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
  20. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 政府は、日本国際社会においてあるべき今日の状態とか、あるいは国内の情勢をニュースをもって、各国在留日本人をも含めて各国にこれを報告するようになっております。そういう必要な最低の事項をやるために必要な経費は出さなきゃいかぬ、そう考えております。それがまあ三十三条によって放送協会に命ずることができるということをやっておるわけであります。ですから、その最低経費は出さなきゃいけません。しかしながらそれ以外に、必要な放送以外に音楽だとか、あるいはこれに肉をつけたような——骨は今申し上げたことでありますけれども、これにいろいろな肉をつけたような放送をやる必要があると思います。それらは放送協会が自発的に国民を代表して、国民から聴取料を徴収して、そのうちからかような費用を支弁していただくことも差しつかえなかろう、これは国内放送聴取できるためにだけ使うばかりでなく、国民を代表して日本のために発言をする、あるいは親善のために使うことは決して差しつかえなかろう、できますことならば政府が全部をお支払いするのがいいのかもしれませんけれども、しかしながらいろいろ事情がありまするから、放送協会において自発的にこれをやっていただくという、そういう建前をとっておるというわけであります。
  21. 前田佳都男

    前田佳都男君 私どうも、今の電波局長の御説明はもう一つ納得いきにくいのです。と申しますのは、放送受信料というものは、放送受信することができる受信設備を持った者から、ラジオを聞くことに対してもらう料金ではないかと、私はそう思うのです。別にラジオ受信者国際放送をやってもらうために出した料金では私はないと思う。その点どうでしょう。現に、法律建前はそういうふうになっておると思うのですが。
  22. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) その通りだと思うのですけれども、しかしながら国民のための放送でありますから、国家にかわって日本放送協会がかような任務を果されることを、国民として決して反対じゃなかろう、そうまあ考えるのであります。
  23. 前田佳都男

    前田佳都男君 これは非常に電波局長、私は御説明が矛盾していると思うのです。そういう法律解釈は私はないと思うのです。政府は、郵政大臣国際放送命令しておきながら、その交付金は、しかもちゃんと放送法という法律政府負担するということが書いてあるにもかかわらず、政府負担したいで、そのしわ寄せをラジオ受信者にもっていく。私は、その説明はどうも理屈に合わぬ。大体私は日本放送協会放送受信規約というもののひな形をとって見てみました。これを見てみましても、受信料受信契約に基いて払うところの料金であるということをはっきり書いてあるのでございます。別に国際放送をしてもらうために払うということを書いていない、この規約を見ましても。この点から見て、電波局長説明を私はもう一ぺん求めたい。
  24. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 前田委員の御説、まことにごもっともでありますけれども政府は必要と思うこの国際放送に必要な経費最低額を支払うということはしなければならない。ですから放送協会はそれだけやってもいいわけです。私の言い方が悪かったのかもわかりませんが、一億五百万円ですか、それだけしかやらなくていい、それで義務は済むと思います。けれども、それだけでは放送を聞く海外の日本人、あるいは外国人におもしろくなかろう、もう少し肉をつけ、おもしろく放送をやっていく、そうして聞きやすくしてやろうというわけで、自発的に放送協会がこれをおやりになるだろう、そのために予算をとられる、これは決して反対するどころかお願いしたいという、そういう気持であります。
  25. 前田佳都男

    前田佳都男君 どうもそれは、今の電波監理局長の御説明は、先ほどの御説明と矛盾しておる。最初、国際放送は、放送法第三十三条に基きまして国際放送実施命令に基くものであるという御説明をされておる。ところが、今の御説明では、一部は国際放送命令に基くものであるが、一部は放送局が自主的にやっているというような御説明である。放送局がもし自主的にやっているとすれば、これは受信者の少くとも意思以上のことを私はやっておると思うのです。受信料受信すると、ラジオを聞くことに対する双務契約に対する一つの対価です。別に国際放送をやってもらいたい、貿易振興のために一つやってもらいたいということは、私は、この受信料の中の少くとも契約面から見ますると、そういうことは含まれていないと思う。どうも私は納得いかない。その点についてもう一ぺん御説明願いたい。
  26. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) でありまするから、政府といたしましては、必要と思われる経費予算を組んで、いろいろ関係方面と折衝しておったんでありますけれども、私どもが、郵政省希望する額は出す余裕がないという形になりまして、そのために一億五百万円というものしか出せなかった。若干それに対して放送協会としては、今までの慣例からといいますか、今までのやっておられたようにそれに足し増しをして、そうして国際放送として満足なものに持っていこうという、そういう努力を払っているものだと考えております。
  27. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの電波監理局長の御説明を実は聞きましても、率直に、私は納得いきかねる、私の貧弱な法律概念からいいまして、どうもそういう法律解釈は成り立たぬと思うのです。結論は、郵政省はこの予算を削られてしまったしお寄せをラジオ受信者に寄せているという疑問が起るのです。これは大きな問題だと思うのです。よく、電波監理局長、さらに郵政省で上司の方と十分御相談をしていただきたいと思います。そうしてまたこの次の委員会ででも、はっきりした御回答を願いたいと思います。ことに受信料収入限界に来ておるというようなことを、前の委員会におきまして永田会長が、たしか限界に来ておるような御説明だったと思うのでありますが、受信料値上げということは目睫に迫っておる、こういうときにラジオ受信者席望もしない国際放送に六千万円もの金をつぎ込んで参っておる、しかも、これは政府命令である、これは非常に矛盾しておると思うのです。結論は、もっと交付金を出したらいいじゃないか、命令した以上はそれに裏づけするのが当り前じゃないか、これは私は放送協会から頼まれて言っておるのではありません。ラジオ聴取者のためにです、当然のことじゃないかと思います。この点一つ十分御検討願いたいと思うのであります。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 その問題に関連して、私も前田委員と同じような法律解釈をしているのです。監理局長の御説明だとわれわれには全く納得ができないのですが、そこで、放送協会会長さんのこの前の御報告を聞きますと、さらにその国際放送拡充政府から要請されたと私は思うのですが、特に最近の国際関係からして、新たに国際放送拡充するという御意見で、ソ連向け東亜向け送信開始をするということで予算を組んでおるわけですが、こういう問題について、今の前田委員の言われた本質論がわれわれには全く納得できない中でさらに国際放送拡充しようということなんですが、一体何ですか、この国際放送聴取状況等は、政府として責任あるこの資料を持っておられますか、それを一つ先に伺いたいのです。
  29. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 政府みずから調査をしてもおります。同時にNHKはいろいろな機関を使いまして必要な調査は十分にやっていると考えます。でありまするから、その資料は持っておるつもりであります。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ、特にソ連東亜向けに今度新しく放送を開始するということですが、そういうのを具体的に説明して下さい。たとえば上海とか北京とか、そういう所はどういうふうにして非常に要望しておるのを感受しておるのか、そういう点はどうですか。
  31. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) これに関しましては、NHKの方に説明を願いたいと思います。
  32. 永田清

    参考人永田清君) 国際放送全般に関しましてまだ疑義が残っておるように思いますし、少しく敷衍して回答をさしていただきたいと思いますが、国際放送拡充強化については、皆さん方の御意見通りでありまして、NHKといたしましても、日本の環境に応じてその任務をよく果していきたい、こういうふうに考えております。そういう意味で、基本方針としても、国際放送拡大という方向に進んでおる次第でございます。その経費につきましては、国際放送というものの解釈につきまして、少しくばく然としたところがありまして、国際放送というのは、ただストレートニュースだけであるという一方の解釈と、また一方これに前後して文化的な放送もつけ加える、こういう形のものが国際放送と、こういう二つの面があって、その間の規定必ずしも明確でないような次第でございます。通例といたしましては、各国ともストレートニュースだけの国際放送はございませんで、前後に必ず文化紹介とか、その他をつけ加えるというのが国際放送のカテゴリーであるわけであります。その辺の解釈が少しばく然としておるために、今のような前田委員の御質問になったようなことで、まだ不明確な状況が残っております。これは十分当局とも打ち合してその問題を処理していきたいというふうに考えております。それに応じまして拡大のことでございますが、今御質問がありましたように、東亜向け並びにソ連向け方向拡充しまして、従来十三方向、十三時間をこれから十五方向、十五時間に拡大するという方針をとっております。そして従来の十三方向、十三時間の聴取状況につきましては、絶えずその反響を見ておる次第でございます。私ども先年の夏に世界各地を回って、特に国際放送がどういう状況であるか調査したのでございますが、これはいろいろ気象の工合その他で順調に行っているところと、それから必ずしもそうでない場合、それからまたその変調が時期的に起る場合と、こういうのがございますが、総じて非常に熱心に国際放送が聞かれているということが実情でございます。そしてそれはどういうふうにして調整して参りまするかと申しますと、大体在外公館在外商社、それから国際放送についていろいろ熱心にNHKと直接連絡をとっている人たち情報を交換しまして、その国際放送内容状況希望等も聞いて、その効果をためしているような次第であります。  次に、御質問の中心の東ア向け、ソ連向け国際放送につきましては、現在ソ連平野特派員を出しまして、ソ連との間の国際放送なり、あるいは情報その他の連絡に当って、現在すでに赴任いたしております。中共関係は、従来華中、華南、華北向け放送をやっておったわけでありますが、これを統一して、その連絡については、目下考慮中であります。どういう形で効果を上げるように進めていくかについては、具体案を練っているところであります。新しく立てます案につきましては、これから始めるわけでございますので、これについては、今後の送信状況その他の反響を従来の他の国際放送と同じような形で調査して参りたいと思っております。  なお、説明がおくれましたが、御質問に対するお答えがおくれてしまいましたが、今度二方向をふやしますことにつきましては、新しく予算措置を講じていただきまして、約八百万円の追加を得たわけであります。これも原則的に見まして、いわゆる一般にいう国際放送ストレートニュースだけでなくて、その前後の日本文化紹介その他を含めた意味の、普通いう国際放送の形でやって参りたいと思っておる次第であります。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 協会の方でいろいろ御苦労されていることはわかりました。聴取状況につきましては、しかし政府としては、こういう問題について今資料があると言ったのですが、どういうふうな資料がありますか。そこにありましたら一つ説明して下さい。それからそれに対する国としての、少くも国際放送はきわめて重大な私は任務を持っておると思うのです。従いまして、やるからには成果を上げなくちゃいけないと思うのですが、それについて政府としてそういう全世界聴取状況、そういうような問題についての資料を持っておりましたら説明して下さい。あなたは今持っておられると言ったから。それから予算はどのくらい使っているのか、全世界のそういう調査をする費用
  34. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) そういう聴取状況調査には予算をぜひとりまして実施したいという希望を持っておったのでありますけれども、いつも、毎年財政の事情が許しませんでできておりません。そういう方面は、もつはらNHKその他に依存してデータの収集をやっておる次第であります。そういうわけで資料等は、もっぱらNHKその他の資料に立脚しておる、そういうような状態でございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、きわめて私は三十三条の解釈が、政府としてどういうふうに解釈されているのですか。今前田委員の言われたように、私は、少くとも国がこの問題をNHK命令をしてやらせるわけですから、その命令等は、当然施設なり運用に対する予算等は国が見てやるというのがこの建前だと思うのですがね。もちろんさっきお話のありましたように、NHK経営状態相当にそういう方向にさき得る余力があるとするならば、これはまた国の公共事業として、そういうことをお手伝いしていただくこともあり得るのですけれども、御指摘のような聴取者相当にリミットに来ておりますし、あとからまた質問したいと思うのですが、相当にこれは料金値上げの問題とからんで国民としては重大関心を持っております。だからそういう段階で、命令だけでお前らの方で聴取状況もやってくれ、最低限度予算的な措置をやるというようなことでは、あまりにも無責任だと思う。ですから、予算を請求したがけられたといったことであるならば、むしろ政府として、NHKのこういう二方向拡充をさせるということ自体が行き過ぎだと思う。そうであるならば、遠慮してもらうべく、そうしてできないということを、政府責任を持ってくれないから新しく拡充できないということを突っぱねなければ、予算的措置をしませんよ。そうしてずるずるNHK負担をかけさせて命令しておきながら、めんどうを見ないということでは、国際放送の今後の発展は期せられないと思う。この三十三条の放送法解釈というものが、政府はきわめて一方的な解釈をしておるように思うのです。これは前田委員質問であなたが答弁されても下手な答弁しかできない。見解の相違だけでは済まぬ。もう少しこの点は十分意思を統一して次の機会にでも回答してもらいたいと思うのです。NHKのどうも話を聞いておると、もちろんその任務を十分わきまえて協力しようということで苦心されていることはわかるのですが、そういう押しつけられた形の中で、果して今後の運営がうまくいくかどうか心配しておるのです。ですからそういう点をやはり協会としては遠慮しないで、一つ強硬に協会責任者として、政府に強く進言をしなければならぬと思うのです。そういった点もありますので、若干会長意見をこの際お伺いしておきたいと思います。
  36. 永田清

    参考人永田清君) 先ほど申し上げましたように、国際放送概念規定が必ずしも明白でないために、そういった問題が必ずしも明確化しておらない次第でございますが、私どもといたしましては、国際放送ストレートニュースだけではない、その前後に文化放送をつけるのが当然だと、こういう方針で進んでおる次第でございます。そうして実際の国際放送費用の多くのものは、国際電電を通ずる電波使用料に入ってしまいますので、それだけは通り抜け勘定みたいになっておるのでございます。できるだけ編成に苦心いたして最小限度で処理したいという考えでございますから、お説の通り、今後はなかなかこの問題は重大化して参りましたので、内容については十分検討しておりますので、政府とも十分折衝いたしたいと思っております。
  37. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの放送協会会長の御説明で大体わかったのですが、少くとも現在ラジオ聴取者放送協会との受信契約には、いわゆる国際放送というのをやってもらいたいというような、そういう解釈は私どうしてもできないと思うのです。それだけをとくと一つ研究していただきたい。もしそういう国際放送のためにわれわれの聴取料のうちから出すとすれば、契約面をもう少し変えなくちゃいかぬ。それからもう一つこれは、私は技術のことはわかりませんから、一つ電波局長にお伺いしたいのですが、ラジオでこういうことができますか、ABCJOKRだけを聞くという設備ができるか。
  38. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 放送協会受信をしないようにやるという……。
  39. 前田佳都男

    前田佳都男君 そうです。可能でありますか。
  40. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) はあ。
  41. 前田佳都男

    前田佳都男君 私の方はよくいろんな技術屋から聞いておるところを見ると、テレビの場合は一そう可能です。民間テレビだけを聞く設備は、ラジオ以上に簡単だということを聞いておるのです。もしそういうようなABCJOKRラジオ、あるいは民間テレビ放送だけを聞くという設備ラジオが今後相当どんどんふえてくるのではないか、中にはつむじ曲りの者がおりまして、私の方は協会ラジオはいやだ、あるいはテレビはいやだ、広告放送、広告テレビを専門に聞きたい、あるいは見たいと言う人があると思うのです。もちろんこれに対しては受信料はとらないと思うのですが、この点どうですか。
  42. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) その問題はきわめてむずかしい問題でありまして、この放送法建前からいいますと、日本放送協会受信が可能であるように作った受信機を持った者は受信料を払うという建前になっておりますから、故意にと申しますと変でございますけれどもNHK放送が聞えなくしてあるというような受信機の場合は、払わなくてもいいという理屈が出る可能性はあると考えております。しかし、そこらへんの解釈はなかなか微妙なわけでございまして、故意にそういうことをやって日本国民放送に協力しない、あるいは日本全体の放送というものに協力をしないというような批判が出るかもしれません。
  43. 前田佳都男

    前田佳都男君 しかしですよ、国民は別に協会放送を聞いて国民としての義務を履行するというふうな問題はないと思う。民間テレビを見ようと、またJOKRでも、ABCでも、何を聞いても差しつかえないと思う。これが放送法建前じゃないかと思う。無理に協会放送を聞いて国民としての義務を履行するというふうな、私は今の局長のお答えのようでは、これまた行き過ぎではないかと思う。これ以上御質問はいろいろ申し上げてもかえって恐縮ですから、私はこれでやめたいと思いますが、今後、テレビの場合に、民間テレビだけを見るという設備は、相当それだけのものしか見えないというふうなテレビが普及してくるんじゃないかということ——これはしろうとの意見でありまするけれども、私に言った人がおるのです。その場合は、放送協会としても、受信料の取り方という点についても、相当考える必要があるんじゃないか。まず第一は、国際放送の問題で一般聴取者から、あるいは一般の見ておる人から、国際放送の方の金を取られる、あるいは、放送協会受信料を払わないような、それだけのオンリーの設備をしまして、払わないような聴取者、あるいは払わないようなテレビの聴視者というものが出てくるんじゃないか、そういうふうな点に関連しまして、郵政当局は十分今後御検討願いたいと思うのであります。必ず近いうちに受信料値上げ問題というものを持ってくる。非常に重大問題でありまするから、この点今後十分御研究を願いたいと思うのであります。  それからもう一つ放送債券が、放送法によりますと現在限度がたしか三十億円だというふうに書いてあったように思います。これは三十二年度末で放送債券の額が二十六億六百万になっておりますが、どうですか。
  44. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) お答え申し上げます。二十六億六百万になるだろうと思います。
  45. 前田佳都男

    前田佳都男君 この放送債券の限度三十億円というのは、これはラジオの時代の私は額じゃないかと思うのです。テレビというものが出現するということを予想しなかった当時の放送債券の限度じゃないかと思う。この限度を少し上げる必要があるんじゃないか。テレビ施設のためにも相当経費がかかる、長期資金が要る、そういうような点から考えまして、この三十億円というものをもう少し上げる必要があるんじゃないかと思うのですが、この点につきまして郵政当局の御意見を伺いたい。
  46. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) この問題は、私も研究の必要があるかと思っております。
  47. 前田佳都男

    前田佳都男君 研究の必要があるというお答えでございますが、これはどういう方向に持っていこうというようなお考えでしょうか。
  48. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 新時代に即応するために増額することも必要だろうと、そういう意味であります。
  49. 前田佳都男

    前田佳都男君 この点に関連しまして、永田会長の御意見を伺いたい。
  50. 永田清

    参考人永田清君) 資金関係につきましては、御承知のように、放送債券と借入金の方法があるわけでございまして、これも金融の原則的な方針から申しますと、長期資金は、特に設備資金に関連して参りますが、それは放送債券でまかなうことが道理であろうかと思います。しかし、お説にありましたように、テレビ拡充ということが次第に重要になって参りますし、実際従来の放送債券の三十億と規定されておることは、大体これはラジオの時代にできたものでございまして、今日では資金操作としてはなはだ不適当だという状況に立ち至っております。ただ現実としましては、経営から申しますと、放送債券にいたしましても、長期借入資金にいたしましても、金利がそう変らない状況であるものですから、非常に急迫化した問題には立ち至っておらずに、経営としては、まあできるだけ有利な資金操作をやるという方法でやっておる次第でございますが、しかし、現実にはどうしても放送債券の増額によって、その体系化をはかりたいという所存であります。
  51. 前田佳都男

    前田佳都男君 私はこれで打ち切ります。
  52. 山田節男

    ○山田節男君 少し質問が各論から総括論に入りましたが、私はやはり全般的問題から承わりたいと思うのです。今永田会長NHK会長になられてすでに半カ年になっているわけですが、その間、海外に行かれて、欧米の放送事業もつぶさに調査して帰ってきておられるのです。今回の永田会長就任第一回の三十二年度の予算案を、最高の経営委員会を経てここにお出しになり、相当われわれとしては期待しておるわけです。と申しますのは、このNHKは御承知のように三十年の歴史を持っている。約九千人の職員を持ち、しかも、その職員は今日、日本における放送事業の最も練達であるスタッフを持っておられる。しかも、経営委員会については、メンバーを変えまして、ジャーナリズムのベテランである阿部眞之助君が経営委員長についておられる。われわれとしては、この三十二年度の予算をいかなるプランをもってNHKが出すかということにつきましては、少くとも多大な期待を持っておったわけです。これは言うまでもなく、どの事業でも同じですが、少くとも三十年もたちますと、どうしても、ことにこういう膨大なオーガニゼーションは、これは私かつて電電公社創立のときにも強く言ったのですが、知らず知らずにマンネリズムに陥るのです。そういう時代に、せっかくりっぱなスタッフを持っておっても、企業体の一つのこれは、何といいますか、あらゆる通則としてマンネリズムに陥る。これは全く警戒しなければならぬ。そこにフレッシュな永田会長を迎えた。そうして、最高方針をきめてここに出されておるわけでありまするが、過日の永田会長のこの予算案に対する説明を見て、これはいろいろ予算に制限され、またこういう事業の、ことに技術的部面が日進月歩のきわめて急テンポな発達をするものであるだけに、政策そのものについて、これは予算に制約されて十分な永田会長の御方針が表明されておらないのではないかと、こういうように思うわけです。しかし、この三十二年度の予算案を見まして、注目すべき点が、二、三あるわけです。で、私はこれをお伺いしますが、大体この間会長が御報告なさる前に、経営委員会と最高の三十二年度の政策をおきめになる点において、永田会長NHKの組織の問題、この優秀なメンバーをどういうふうに有機的に動かすかということ、並びに制約された予算の中でどこに最も重点を置いてこの予算編成をされたのか、ここに概略の説明はありますが、一つ率直に、まずNHKに入って半年間の経験と海外の放送事業を見られて、日本放送事業はどうあるべきか、これは私、永田会長として何か私はつかんでおられるのではないか。私はNHKのこういう予算に盛られておる政策の内容を検討する前に、率直なあなたの御意見、抱負を一つお伺いしたいと思う。
  53. 永田清

    参考人永田清君) 前回に、放送協会としても事態の進展に応じていろいろと考えていくところがあろうが、それらをできるだけ整理して秩序正しくやっていかないと、あれもやろう、これもやろうといっても、なかなかそうもいかないだろうから、計画的な推進を望むという山田委員からの御意見がございまして、私も、実はその通りに考えておったのでございます。しかし、お説の通り、最近の放送事業の社会的意義なり、あるいは国際的な意義、技術的な発展、そういったことが各国とも急速調でございまして、これはよほど努力をしていかなければ、この責任はなかなか果せないというふうに考えまして、内部機構といたしましては、従来の審議室を強化拡充しまして、長期計画を着々と立てていくという方針をとったわけであります。長期計画というのは、結局将来の方向を十分勘案しまして、計画的に進む、計画的に進むということは、何も問題を先に流すという意味ではなくて、着々仕事をするためには、そういう計画性が必要だ、こういう前提のもとに立っておる次第でございます。そこで、御承知のように、また今お話がございましたように、ことしで三十三年の年を迎えたNHKといたしましては、それはそれなりに歴史的な任務を果して参ったと思うのでございますが、やはり目立ちますのは機械の老朽化という点でございます。これは電波技術そのものが非常に急速に最近進歩しているという客観的状況と相まって、この設備更新というものを急がねばならない、これはなかなか金もかかりますし、同時に国産化だけでは間に合わないというものもございまするので、しかし、さればといってどんどんどんどん外国品を輸入するということは、やはり日本の経済全体にいろいろと影響いたしますので、できるだけ国産化を、長年の技術研究所を通じてメーカーに指導を与えつつ、どうしてもやむを得ない場合は、特にそれから法律的に規定されている特許その他の、ある場合にはむろんそれに従わざるを得ないわけでありますけれども、その国産化の速度、しかし、またそれを待っておれないという場合にはどうするかという方針で機械の更新を進めておる次第でございます。  次に、編成内容につきましては、やはりこの前にもここでお話がございましたように、公共放送という意味任務を果すことが中心でございますので、できるだけ教育、教養の内容を深めたい、そういう意味編成番組の時間的な割合や、進んでその内容について、十分公共放送のあるべき姿を打ち出して参りたい。これは実際問題といたしますとなかなかむずかしい問題を含んでおりまして、何しろラジオについては、千八百三十万世帯の人たちがこれを聞いており、これは一人というのではなく、やはり何人かが聞いておりますので、おそらく六千万の人たちが聞いておる、こういう前提のもとに編成を行うわけでございますが、まあ大別しまして、公共放送任務といたしますところは、これもおっしゃる通りに、健全娯楽と正確な報道とそして教育、教養、こういう三つの支柱に支えられておるわけで、その任務を、どういうふうにバランスをとって仕事をしていくか、任務を果していくか、こういうことになる次第でございます。また、実際に娯楽と申しましても、これを聞く人の立場に立って考えますと、千差万様でございまして、生活構造体が違う、生活環境が違う、経済の地盤が違うと、こういうことになって参り、その全部にどう応ずるかということ、個人々々の意見を全部聞いたんでは放送時間の編成の中にとても入りきれないということにもなりますし、また非常に複雑化しますので、これは一つよく御意見を聞いてその方針を貫きたい。早い話が、たとえば農村に向ってベートーヴェンやショパンを送っても、それは必ずしもその任務を果し得ないじゃないか、やはり一日の勤労を終って、そして明日の労働の再生産への時間というものは、やはりそれにふさわしい編成番組があってしかるべきではないか、あるいはまた都会の文化的な生活環境にある人にとっては、またそれなりに編成を行わねばならないというようなことに相なる次第でございます。ただ、BBCの第三放送が国の名誉として、その効果も歴史的に非常に大きいというふうに判断されますので、特別教養番組を編成いたしまして、これは初めは聴取者が非常に少いじゃないかという覚悟のもとに進んだのでありますが、しかし、これが二年、三年たてば必ずその目的を達するだろうという所信のもとに出発いたしましたが、これは幸いにしましてBBCでは聴取率が一%以下でございますが、NHKの場合には六%乃至八%という聴取率を示しております。聴取率が日本の場合六%乃至八%と申しますと、大体二百万の人たちが聞いておるだろうという推定ができるわけでございます。これではあるいはシェークスピアものとか、あるいは高度の音楽番組であるとか、あるいは学術講演会とか、あるいはまた日本古来の伝統的な芸術を理解してもらうと、こういったことに進んでおる次第でございます。それから総合しまして総括的に、編成についてはできるだけ教育、教養の方向に進んで参りたいというふうに編成変えをいたしました。しかし、やはり大衆の上にNHKは立っておりますので、その大衆の生活意識、考え方というものをよくつかんで、その上に準拠してやりませんと、ただ理想に走り過ぎたんでは、やはりNHK本来の仕事ではないと、これはまあ強く理想を求めて五年、十年後の効果を現わすという方法もいろいろありましょうけれども、現実に大衆の料金の上に立っておるNHKとしては、大衆の希望に沿いながら、しかも大衆一般が何か心に美しい結晶体がどこかへ残っているというような望みをしんぼう強く持ちまして、仕事を続けて参りたいと思っております。  さらに、内部の組織でございますが、これも長い伝統を持っておりまして、いろいろと組織化ができておりますけれども、何しろ最近のように激しい動きを示しますときには、やはり内部も十分合理化して機敏に活動できるように、そしてまたむだなものはどんな小さいものでもこれを省いていくという形に進めて参りたいというわけで、全体の組織も簡素化に進んでいくわけでありますが、しかしこれもやはりいろいろな意味で機械力を利用できるように機械を使い、そして人間の労働はその上にプラスされていく、人間のまた知能的な作業も機械を使いこなして、その上になお効果を現わすように仕事をしていく、こういう方針でおりまして、決して機械化によって作業人員が減るということは、これは事実起りませんし、不可能だと思います。また、仕事そのものが機械工業と違いまして、人間の知能的労働でやっておりますので、そういう意味では、一つの発揮ができるようなことに進んで参りたいし、また実際に仕事がどんどんこれから拡大化しますので、それに応じて合理的な仕事ができるような組織態勢をもって参りたい、かように考えております。  さらに、同じ編成につきましても、仕事につきましても、事情がだんだんラジオからテレビヘというように発展して参りまして、テレビ受像数も、三月末で大体四十万台になりましょうが、これも日本のように非常に山の多い所では、聴視状況が地方によって必ずしも明確でない場合がございますので、それを急速に整備して参りたい。そういう意味で、できるだけ国民に対して機会は均等に与えねばならないという、所信のもとに、全国ネットワークを一日も早く完成して参りたい、かように考えておる次第でありますが、まだこまかいことはたくさんございまして、実際これもやりたい、あれもやりたいという状況でございますけれども、それを十分秩序正しく、ある場合にはしんぼう強く推進していくほか仕方がないし、また実際いい仕事をやろうと思えば、これはやはり素手ではできませんので、どうしても経理的裏づけがなければならない、経理的裏づけは、また一方大衆的負担にもなりますので、それをどういうふうに満たしていくかということについても考慮して進まねばならないと思っております。しかし、概括してやはり経理的な意味で、いろいろと仕事が制約されて参りますので、内部的にはできるだけの節約、合理化をはかって、それを国民にサービスで尽して参りたい。しかしそれでもなおできなかった場合には、一つ皆さん方にも御相談いたしまして、一体このままでいいのか、それともいい仕事をしようというならば、それは国民にすべて返っていくし、また世の中の進展に資することだから、これはこうすべきでなかろうかという御意見もございましょうから、それも拝聴した上で、積極的に推進していくように努力いたしたいと思っておる次第でございます。
  54. 光村甚助

    ○光村甚助君 議事進行についてちょっと。こういうのは文書で出してもらいたいと思うのですよ、今後こういう報告は。一つお願いします。
  55. 山田節男

    ○山田節男君 今の永田会長の心がまえといいますか、これはわかるのですが、商業放送が、ラジオ並びにテレビジョンにおいて非常に飛躍的に発展をしているということは、現状において、ある息吹においてはNHK公共放送という建前に立ってやっておる、しかも聴取料を徴収しておる、こういう特権のもとに経営されておるのですから、このままでいくとどうもNHKが批判の的になるのではないか、商業放送の面からいえば、相当これはひどい批判を聞いておるわけです、これはわれわれとしては、あくまで公共放送というものが、日本放送における最も大衆的なものである、公共的のものであるというならば、これは国会もこれに対して協力しなければならぬ。そういうテレビラジオ商業放送の発達に伴ってNHK放送事業がおくれをとることがあるということは非常に遺憾なことなんです。ですから、そういう方面において永田会長がいわゆる一新した気持をもっておやりになるということ、これは今度永田会長が出られた一大使命だろうと思います。これは余談になりますからこれ以上申し上げませんが、そういったような心がまえでここに現われておるテレビの第二放送で教育放送をやりたい、あるいはBBCに準じてやはりNHKの第三放送も始めたい、この第三放送については、すでにこれは年来の問題であって、今日まで実現されていないわけです。私自身としては、第三放送をやるということは非常によいことだと思いますが、教育放送テレビの第二放送においてやるということは、現在の日本テレビの普及、テレビ技術、それからテレビ一般的な施設、たとえば各大学等におきまして、まだ個別的な有線テレビ放送設備なんかもないようです。それを教育テレビというものを非常に甘く見られて、現に民間放送としての教育放送の新設もありますので、NHKもあせっておられるのじゃないかと思いますが、これは永田会長はアメリカの現状を見てこられたと思うが、テレビの第二放送によって教育テレビをやろうということは、もう少し具体的にこれをやる価値がある、別なチャンネルでやるだけの価値があるというならば、具体的にはどういうふうにしておやりになるのですか。どの程度のものはできるというお見通しでそういう教育のためのテレビの第二放送を実現されるのか、簡単でよろしゅうございますから……。
  56. 永田清

    参考人永田清君) 実は教育テレビ問題につきましては、今までお話がありましたように、なかなか問題が複雑で、またむずかしい仕事でございまして、実際にBBCでも長い年限をかけてこの教育放送については研究を遂げ、第一回実験を終り、またこの秋からようやく第二回の教育テレビの実験をBBCでやっておるということは御承知の通りであります。NHKにおいてはラジオでは二十年来教育放送について研究して参り、いろいろと皆様方の御指導も得たいと思うのであります。テレビについては、NHKとして発足して四カ年を迎えたような状態でまだ年令は若いわけであります。しかし、やはり将来テレビはかなり教育に使われることが来るし、現に各国でもその方向へ進んでおるし、ことに日本の場合は、せっかく公共放送というものを国民が作っておるわけでありますので、これによって教育効果を上げるような段階に進むことは非常に重要ではなかろうかというように感ずる次第であります。わけても重要な面は、しばしば一般的に論議されますように、将来技術教育というものは非常に重要だ、日本の場合、日本の経済の発展のために、また過剰人口をどういうふうにして解決していくかという問題について、やはり単純労働がそのまま実現しますと、それに就業の機会が少くなるわけでありまして、従って、ことに農村関係ではこれが直ちに産業予備軍化するというところに大きな社会不安問題も含むわけでありますし、かつ、農村経済構造から申しましても、もしこのまま行ったならば、再び過小農経営に陥ってしまいはしないか、農業経済そのものを圧迫していくのじゃないか、現に農家の所得を統計的にごらんになりまして、非農家所得が非常にふえていることは、農村の経済力を増しているし、農家収入をふやしている、こういう数字になっておりますが、いずれにしましても、人口の四〇数%に及ぶそういう農村をかかえている日本としてこの問題は非常に重要である、そういう意味技術教育を含めて、できれば昼間働きながら夜技術教育を受ける、職業教育を受けるというふうなこと、これは都会に出てくればけっこうですけれども、農村にあっては、電波という便利なものができましたので、これを公共放送として十分使って、そういった教育が行われるならば、さまざまな意味において、単に放送という狭い意味じゃなくて、経済の問題にしても、社会的の問題にしても、あるいは政治的なことについても、その教育が十分できていくのじゃなかろうかというふうにも考えられる次第でございます。これは万々御承知のことでございますが、放送の仕事そのものが、日本のように公共放送商業放送が混在しているところは大体類例がないので、これは一種の占領中の落し子みたいになってしまったわけであります。アメリカにおきましてはこれは商業主義でありますが、最近御承知のように、商業主義によって放送を行うことの社会的弊害が非常に強くなって、今お話が出ましたように、大きな財団で教育をやる、これはアメリカのように国力のあるところは別でありますが、ほかのところはできない。従って、他国は公共放送中心にして、一部商業放送が何らかの法的規制のもとに許されているというのが状況なわけでございます。従ってアメリカの教育放送は、アメリカの教育放送なりに非常にいろいろ批判が出てうまくいってないということは今お話通りでございまいす。日本の場合は、幸いにして公共放送というものがございますので、これによって教育体系を新しく一つ研究していきたい、こういうふうに考えております。これは全く御承知の通りでありまして、この問題は今後展開していく事柄でありまして、これについてはわれわれも十分研究していきたい。しかし、チャンネルの割当が終りますと、またあとで何かこうしろとおっしゃられても、もう全然方法がないわけでございます。従って、前回お話がありましたように、公共放送一つのチャンネルをとっておいて十分研究しろ、そしてそこでこの重大問題を解決しろ、そういうふうなお考えでありましたら、全く賛成でございます。十分の研究かなければこの教育放送というものはできないし、今後またこれをやっていくについては、いろいろと事情の変化に応じて、これを展開させていく必要のものであって、こういうパターンがあるからこれをやればいいという性質のものではないわけであります。それもお説の通りで、そういうふうに私も承知いたしておる次第であります。
  57. 山田節男

    ○山田節男君 この問題は、テレビのチャンネルの割当の問題について、いずれ郵政大臣が出席された上でいろいろまた詳しくお聞きしたいと思います。きょうはこれ以上いたしません。次に、テレビジョンの視聴者——セットを使っている者が登録約四十万、開局すでに四年で四十万という数字は、各国の例を見ますと、必ずしもそうテンポは早くないと思うのでありますが、やはりその重要な一つの原因は、テレビのセットが価格が高くて、いわゆる庶民階級にとっては高ねの花というようなことが、テレビの加入者がそう思ったほど急激に増加しない原因じゃないかと思うのですが、これはNHKとしてテレビの視聴者開拓上、セットの価格というものが、そういう大きな普及上のハンディキャップといいますか、隘路になっておるということが言えるかどうか、これはNHK並びに電波監理局にお伺いいたしたい。
  58. 永田清

    参考人永田清君) これは技術上の問題でありまして、御説の通りに行動いたしておりますし、技術研究所によってできるだけ価格の低廉化に協力いたしておりますが、その内容につきましては、技術理事が出席しておりますので、回答をいたさせます。
  59. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) このラジオ及びテレビジョンの受信機関係の研究は、非常に研究所の方でも重要に考えておりまして、ラジオの方につきましては大体成果を上げましたが、テレビジョンにつきましては、テレビの開始いたしましたときに二、三の標準回路を考えまして、これをメーカーの方におすすめしたわけです。現在NHKの技研とメーカーとの関係といたしましては、ただ研究した成果をできるだけ有効に使っていただくという努力をするまででありまして、それを強制するとか、あるいは特に価格の問題について何らかの規制をするということはできないわけですが、実際問題といたしまして、非常にいいアイデアが出ますれば、相当実際面で活用されていると思います。それで今まで研究いたしました点は、中の回路の改良、たとえばいろいろな部品の合理的な使い方、あるいは部品そのものの研究といったものもいたしました。それからたとえば電源のトランスを使わないトランスレス型というものも研究いたしましたし、それから今後の問題といたしましては、最近だいぶ使われておりますプリント配線とか、さらに小型にしました。ポータブルのものとか、あるいはもう少し将来の問題といたしましては、トランジスターをどういうふうに使うとか、そういう問題につきましても相当研究を進めております。そのつどいろいろのデータを発表いたしまして、実際面で活用されるように十分周知に努めているつもりでございます。ただ価格の問題、特に市場における現在の受像機の価格の問題につきましては、これは担当の池田理事の方からまた……。
  60. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) お答え申し上げます。テレビジョンの受像機の価格がだんだんと安くなっておりますが、まだそこまでなかなかーーもう少し価格が安くなれば受信者がもっとふえるだろうというような気持を持っております。たとえて申し上げますと、十四インチのテーブル型の機械が、市販されております小売価格は五万五千円から十三万円くらいの間の非常な値幅があります。かりにこれを算術的に平均いたしましたら、平均が八万一千円ぐらいになる。しかし二、三年前のことを比べますと、だいぶ最低のものが安くなっている。もちろん最低のものには近距離用のものが入っているのですが、大体今受信者の方のお持ちになっておりますものは十四インチないし十七インチで、十七インチの方のテーブル型を申し上げますと、十万八千円から十八万円ぐらいの間で小売価格ができているというような形になっております。
  61. 山田節男

    ○山田節男君 ラジオにおいてはラジオ聴取者を普及するために、ラジオ受信機の規格をNHKの方で作られたこともあるし、また今説明されたように、ますます簡易化して低廉なものにするという努力はわかるのですが、テレビのセットについても、やはりNHK技術研究所で、現在の国産の部品で、たとえば日本の座敷で十四インチが最大限度と思いますが、十一インチないし十四インチぐらいのもので、最低限度どのくらいでできるかという一つの規格——これは私一昨年ソ連に行きまして、モスコー、レニングラ、ド、キエフ等、これは非常にテレビが発達しておりまして、これは国営の工場で作って全部画一的に九インチですが、デパートに行ってみますと一千ルーブル、ルーブル九十円ですけれども、九十円として九万円ですけれども、貨幣価値は向うで見ると五分の一、三分の一に見ましても三万円、これを普及型として一般の人が使っておるわけです。ですから、メーカーが作ることは別個にやはり最も普及しやすい、価格の点においても、あるいは安全度の点においても、その他の受像の質から見て、価格をますます安くすると同時に、どの程度までいけば質を下げないで済むかということの研究はこれはできないことはないだろうと思う。こういうことを現在おやりになっているのか、また現在のNHKの研究として、そういう規格品のモデルを作ることが可能かどうか、この点一つお伺いしたい。
  62. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 大体の規格を作ります問題につきましては、在来ともそのつもりで一応進めております。と申しますのは、今日本であります受信管の大きさで、たとえば七インチあるいは十二インチ、十四インチ、こういうものを一応いろいろ比較いたしまして、まあ使います場所によりましては、もちろん七インチくらいでも十分いいのでありますけれども、やはり今の日本の平均した家庭でいきますと、やはり十四インチくらいがいろいろ見るのに適当じゃないかというふうな——これは価格と別にですね、受信する状況から申しまして、そういうふうな考え方で進めておるわけです。それでただ、実際作って売り出す方から申しますと、やはりたとえば店で同じような品物を、小さいのと大きいのとありますというと、やはり大きい方が魅力がある。同時に、かりに七インチと十四インチと比べまして、十四インチの方が倍の価格でありますれば、もちろん七インチの方にも同じような需要がありますけれども、その価格が割に思ったほど違わないものですから、とかく大きい方に魅力がある。従いまして、メーカーの方でもだんだん大きいのを作るというような傾向にあるのです。で、NHKの技研といたしましては、もしもそういう機運になって、こういうものがいいからそれが設計されてできれば、相当実際面で採用されるという見通しがつきましたならば、これは現在の技術で最良のものを作り上げるということができますけれども、今のところは、やはり先ほどもちょっと申し上げましたように、間接的な意味におきましても強制力が全然ないのです。それで大体いろいろな方面と相談いたしまして、今でもそういうものを二、三作っておりますけれども、現在、今の段階でこういうものが一番いいからこれを相当広く広めようという意味で作っておるものはございません。
  63. 山田節男

    ○山田節男君 これはテレビジョンの標準方式がきまり、テレビジョンの放送免許をするということになりましたときに、本院において通産省当局に対しまして、テレビのセットをできるだけ安く、これを輸入にたよらないで部品をできるだけたくさん作って早く値段を下げるように施策し——当時通産省では、このテレビのセットの大量生産、廉価な大量生産のための五カ年計画を立てていることをわれわれに示したのです。当時、一インチ一万円ですから十四インチならば十四万円、今八万円くらいで買えるのですから安いと言われますが、今日依然として一インチ六千円、大体国産で一インチ六千円になっているわけです。これは通産省の責任上、五カ年計画まで立ててテレビのセットを国産でできるだけ安いものを提供すると、こういうことを言っておりますが、そのテンポは必ずしも予想したようなものじゃないんじゃないかという感じがするのでありますが、これは委員長にお願いいたしますが、きょう通産省の方の係官が見えておれば、これは説明員だろうと思いますから、委員会の御承認を求められて一つその経過、それから現在のテレビセットの値段について、通産省としてそれは最低限度のものかどうか、それを一つ説明さしていただきたい。
  64. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 山田君に申し上げますが、ただいま、説明員でございますけれども、電気通信機課長の重見君が参っておりますから、重見君からお答えさしたいと思います。
  65. 重見通雄

    説明員(重見通雄君) テレビの価格の問題でございますが、通産省といたしましては、この五カ年計画に基きまして、直接的に価格に対しまして干渉をいたすというようなことは依然困難でございますが、価格を低下すべく、その環境を作りますためのいろいろな努力をやってきたわけでございまして、諸般の施策を通じまして、これを実施すべく努力中でございます。具体的に例を申し上げますれば、たとえばその部品につきましておのおの品質を上げますとともに、その価格を低下していく、それからなるべく量産的な一つの生産単位を大きくしていくというような線に沿って進めているわけでございまして、その一例を申し上げますと、ブラウン管のガラスを、これは本来輸入あるいは国産で少量生産をやるというようなことでやってきたわけでございますが、これを一カ所専門工場が昨秋できまして、まあこれによりまして、たとえば、ガラスだけについていいますると、ほとんど一社で全国の需要をまかなえるような段階になりまして、これについて価格はもうすでに二割ばかり引き下がるというような状況になっております。このような措置を各部品を通じて行いまして、ただ単に質を落して価格を下げるというようことになりませんように、質の向上を伴いながら価格については、いろいろの環境から下げていきたいというようなことをいろいろはかっているようなわけでございます。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 今の説明、これは前の電気通信機課長は名前は忘れましたが、現在の課長と違うと思うのですが、そのときの意気込みは、われわれは非常に頼もしいと思ったことは、とにかくこれはもちろん外国の特許使用料も含まれるからアメリカほど安くはならないにしても、その他の部面においてコストを切り下げて大衆向きのものにしますということを局長、課長がここに来てちゃんと約束しておる。私ども一般の市場の、ことに大メーカーのテレビのセットなんかを見ますと、たとえば一例を申し上げますと、十四インチのテレビでキャッシュで払った場合は七万四千円、それから月賦では七万九千五百円、約八万円というものをチャージしておるわけですが、これはアメリカの現在のテレビ二十一インチで、一流メーカーのテレビジョンのテーブル型の受像機というものは百五十ドル、あるいはあるものは百三十ドルぐらいのものがある。労働力、賃金の高いアメリカにおいてこのくらいで売れるのです。ところが、日本において十四インチのものがもうすでに七万四千円、キャッシュで払っても二百ドル以上、こういうようなことは、特許使用料があるからということだけでは解決できない。もう一つ私は変に思うことは、昨年の十月に広島にテレビジョンの放送が開始された。七月頃からテレビのセットの乱売戦が行われた。これはいずれも一流のメーカーが広島へ来ておのおの受像機販売合戦をやった。それなんかを見ますと、あるものはもう十四インチを五万五千円で売っておる、こういうような状態、それで損をしているかといいますと、いろいろ調べてみると、そのテレビセットの卸売、小売の価格のマージンは非常に大きいのです。これは電気洗たく機と同じであって、電気洗たく機も二万三千五百円で一流メーカーのものを売っているけれども、これをある所に——東京ですが、いきますと、一万五千円で売る。しかも新品が買える、こういう電気通信機械の販売価格というものは、マージンがあまりに多過ぎるんじゃないか、これは私は通産省としてこれを黙って見ているという手はないと思う。  それから今受像機のブラウン管の話がありましたが、なるほど旭硝子の小会社の特殊ガラス株式会社、これなんか見ますというと、全体の生産能力の半分しか能力を発揮していない、こういうことは、これは決して悪意じゃないだろうと私は思いますが、これほど受像機の値段というものを下げることを、一種の大きなメーカーたちが故意にそういうようなことをやっているんじゃないか、こういうこともわれわれは聞かされるわけなんです。そういう点から見て、どうもこの通産省のこのように最も大衆に関係のある値段を下げるということについての多少私は政策が妥当を欠くのではないか、また不徹底なんじゃないか、こういうように感じるのですが、こういう点についての実態調査をあなたたちしたことがあるかどうか、これをお伺いしたい。
  67. 重見通雄

    説明員(重見通雄君) ただいまの価格の問題でございますが、これは当初テレビの生産数量が非常に少い間におきましては、テレビ工業として健全に育成させますために、ある程度の生産壁を確保することが価格を下げる一番近道だというふうに考えまして、この製造業者の数もある程度技術提携等の点におきまして制限をする、こういうようなことで進めてきておったわけなんでありますが、最近に至りまして、聴視者の数もふえまして、ある程度テレビ工業としての基礎が確立して参りまして、しかも生産がかなり大メーカーに集中するといいますか、集中度が大きくなって参りました。これから逐次販売におきましては自由競争に移っていくべき状況になっておると、こういうふうに考えております。それで先ごろ、従来製造業者の特許契約を三十五社に限っておりましたものを、その他のメーカーにまでふやすべく、一つテレビ振興協会という団体を作りまして、これに対して認可が出ましたので、今後能力のあるその他のメーカーについても逐次生産ができると、こういうようなことになりまして、大メーカーに集中しましたための独占価格をやっていくというようなことをこれから避け得るようになるのではないかと考えております。なお、ブラウン管のガラスにつきましては、現在すでに国内の全需要をまかなう程度になっておりますが、能力のまだ半分近くにしか達していないということは事実でございまして、これ本年度あたり、かなりの需要がふえますとともに、この価格はさらに引き下げられるというように考えられております。従いまして、この価格については、われわれの方も必要に応じましてその調査をいたしておりますが、表面に出ておりますものは、大手筋のメーカーのいわゆる最終販売価格の定価と申しておりますものが出ておりますが、その実態につきましては、非常に複雑でありまして、実態的にどのくらいの価格に割引されておるか、この点は調査が非常に困難でございますので、確実なデータはございません。ただ、その他に中、小メーカーその他の製品がございまして、この価格は必ずしも今お話のございました価格ではございませんので、このようなメーカー岡の競争によりまして、今後逐次価格は引き下げられていくんじゃないか、こういうふうに考えております。なお、本年あたりから生産能力もかなりふえて参りますし、聴視者もふえていくというようなことになりますと、育成当時の独占的な、価格というものは次第に解消して、ある程度競争の状況に立ち至るのではないか。で、先ほどお話のございました技術提携の技術料の問題につきましても、これも政府は積極的に中に入りまして、特許権者たる相手方の会社と交渉するというようなことを重ねまして、比率といたしましては、当初約五%に近い——四・七%でございますが、特許料を払っておりますのが、本年に入りましてこのトータルの特許料が三・八五%まで引き下げられるというようなことで、まあこのようないろいろな方法で逐次価格は下っております。現にメーカーの——これは統計上の平均でございますが、これを調査いたしますと、十四インチを例にとりますと、当初十四万円近くしておりましたものが、昨年に、至りまして平均約五万九千五百円というようなところまで出ております、これは統計上の平均でございまして、各社のおのおのの価格は入っておりませんが、過去五カ年間におきまして半分以下に下ったというようなことでございまして、今後も各社の環境の整備によりまして極力価格を引き下げていきたいと、こういうふうに考えております。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 これはもう今日相当多数の大メーカーが出て、しかもこの昨年度の——今年度もそうですけれども、国税庁の調査によると、こういうテレビとか、ラジオ、電気洗たく機というような電気器具、こういうような製造業者が一番税金をたくさん納めておる、多額納税者の中の順位の高いところにおることを見ても、相当こういうものについては高利をむさぼっておると、どうしてもこう認めざるを得ない。政府としても、このテレビジョンの放送を開始するについては、通産省としては、早急に安く大量生産をせしむるような施策をいたしますと、それがためには五カ年計画まで立てておる。しかもなお、今日物価の高いアメリカにおけるテレビジョンのセットよりも日本のセットが高いということは、これはどうしてもわれわれとして常識から見ても理解できない。しかも、現実にもう七万五千円、八万円近いものが五万五千円で市場において乱売されておるという状態です。ダンピングではなくて、むしろそれはなおマージンが残るということは、これは私は商社みずから聞いているのです。こういうことを政府がじんぜんとして見ておるという手はないと思う。今NHKとしては、テレビのセットの規格品を作ってこれをどうするという力はありませんけれども、しかし、これはそういう商業的でなくて、まじめにいかにこれを普及せしめるかという立場で、あなたのところの研究所なり、あるいはNHKの研究所とタイアップして規格的なものを作って、そうしてやはりテレビのセットの普及をはかっていくということ、これはもう通産省初めからこういうことを本委員会に約束しておる以上は、これはもっと私は推し進めていく義務が断るのではないかと思うのですね。ですから、この点は私はどうも、通産省の努力にかかわらず、われわれが予期した以上の成果が上っていない、こういうように実は考えざるを得ないのです。これは政府としても、再三このことについては重大な関心を持って、今の特許の使用料に対することについても、政府として責任を持って施策しますというようなことを言っておいて、今日アメリカよりもなお高いセットも国民が買わされておるというこの事態を、単なる自由競争にまかせるというだけでは、これはいけないと思う。こういう点について、一つもっと積極的な方法をとって、もらいたい。それがためには、やはりNHKの方も技術研究所を持っておられるのですから、最低の価格で十四インチなら十四インチでもってどのくらいなものができるかというようなことは、これはむしろ通産省から一つNHKなりその他の技術関係を動員して、そういうモデルを作りて、テレビの普及に側面的に援助するということがあってしかるべきだと思うのです。これは、あなたにそんなことを言ってもしょうがないが、一つ局長なり——そのことはもっと審議に日をかけてもいいから、五カ年計画はもうすでに三年を経過している。その結果は、今の御報告のようなことでは満足できない。これは一つ、また次の機会にもう少し積極的にどういうことをするのだということを、これは重大なテレビの普及という根幹の問題として取り上げてもらいたいということを強く要望して、私は質問を打ち切ります。
  69. 奥むめお

    ○奥むめお君 今の問題に関連して、通産省でそういうふうな適正価格の基準を出すというような仕事をおできになるのですか。
  70. 重見通雄

    説明員(重見通雄君) 現在、価格について特別な干渉をいたすということは、特別な事態がない限りなるべく避けるようにいたしておりまして、努めてその価格をただいま申し上げましたような引下げのための環境を作っていく、なるべく独占的な形を続けないようにしていく、こういうような形をとっております。一般的に価格につきまして非常に害を及ぼす、ような事態が出ました場合には、何か勧告をするというようなことはございますけれども、特別の事由がありません限りは、通産省としましては、そういう事態を自然に解消していくような形をとっていくというようにやっております。
  71. 奥むめお

    ○奥むめお君 実は私ども、今山田さんからも出ましたけれども、電気洗たく機で非常に文句が出ているわけです。初めにできたものは悪くて非常に高い、あとに出るものほど安くて性能のいいものが出る、いずれテレビの時代がくるだろうということはだれでも思って、おることだし、言っておりますけれども、今のところ、電気洗たく機でこりごりしているから、もう少しいいのが安くなるまでは買えないという意見が実は私どもの仲間ではずいぶん出ている。いま一つは、放送法案やいろいろなテレビの問題なんか出ておりますから、私なるべくそういう方面でみんなに調べてもらいたいと思いまして、集まりがあるたびに注文を出しておりますけれども、私どものまわりでも、テレビを持っています人はもうきわめて少いのです。とにかく、電気洗たく機でぼられたから、うっかり買えない、もう少し安くなってよくなるのを待とうというのが一つと、もう一つは、やはりテレビといってもいろんなものが出てきますから、自分たちが見たいものだけ見ていればいいけれども、みんなが見ているもののほかに、子供が見たいものがいつでも回せば出てくるものだから、子供が一人前になるまでは買えないという、その方がむしろ声が強いくらいです。これは高いものですから、試みに置いておくというわけにもいかないし、私も持っておりましたけれどもやめました、かなわぬと思いまして。疲れますし、そしていろんな段階で見たがる者がありまして、あまりよくないものは、われわれが見たくないものは小さいものが見たがりますし、ですから、そういう声の方が、私もそう思ったくらいですから、普通の人がそう言うていることは、私もっともだと思って聞いております。それにつきまして、電気洗たく機では私どもみんな集まっていろいろ調べてみておるのです。これは一年計画でやっている。テレビをそういうふうに、いろいろ専門の店へ行きますと、二、三日前の新聞にも出ていましたね、質屋へ行っても、テレビ会社によって値段の段階があるということが出ていました。それはただレッテルだけでなしに、性能の問題とか何か機械に関係もあるんじゃないかと思って私見ておりましたが、あれなんかも、私が聞いていたのとはちょっと順番が違っていましたけれども、それぞれの店へ行きますと、自分の会社のものだけを扱っておりますから、そのものがいいということを非常に言うのです。全体として比較するとか、あるいは機械について説明を聞くとかいうような、そういう機関がどこかにありますか。
  72. 重見通雄

    説明員(重見通雄君) ただいま洗たく機の例も出たわけでございすが、通産省といたしましては、なるべく早く、技術的に固まりましたものについては、例の標準化法に基きますJISの標準制度というのがございますので、これは一定の規格に達したものをJISのマークをつけております。おそらくこういうことでただいま御要望のような点になるべく沿うように努力しておるわけであります。ただ、テレビの場合は、非常に進歩が早いと申しますか、次ぎ次ぎに新しい機構なり方式が出て参ります。たとえばブラウン管一つをとりましても、昨年度までは七十度ぐらいの偏向でやっておったのが、最近はすぐ九十度に変り、現在百十度ぐらいまでの偏向にしまして、ケースを若干小さくしょうというような進み方をしておりますので、旧型については価格が非常に下っておりますが、今度出ますものは、相変らずそう下っていかない、こういう点が非常に特有な点でございまして、ただいまは品質、性能等において非常に進歩の段階にございまして、必ずしもここでよろしいというようなことになっておりませんので、そういうことは、こういう新しい商品の常といたしまして、どうもやむを得ないことじゃないかというふうに考えております。なお、それにいたしましても、早くそれを購入された方はそれだけ利用されたというふうなことでお考えになるのがいいのではないかというふうに考えております。  なお、メーカーごとの品質、性能その他につきましては、これはテレビについてはNHKの技研等でいろいろお調べになっておるようでございまして、私の方も種々密接に連絡をとっておりまして、いろいろ御意見は伺っておりますが、ただどの社のものがいいというようなことは、これはやはり通産省といたしましても、NHKの性格といたしましても、外部に発表するというようなことは困難かと思われます。われわれは、できますれば、規格というようなものの制定で、もし標準回路というようなものができましたら、そういったものに基く表示制度というようなことを、工場の調査等をいたしてやるという程度は可能かと思いますが、現在それに至ります段階技術的にかなり困難がございますので、急に実現することはあるいはむずかしいじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  73. 奥むめお

    ○奥むめお君 私、役所がそういうことをなさるはずはないと思っておりますから、役所に期待しておりません。むしろ、役所はもう少し消費者のために勉強なさった方がいいと思う。その方面の注文ならたくさん持っておりますけれども、ただ、たとえていえば、自分のことを言っては大へん申しわけないけれども、電気洗たく機を買いたいと思っても、どれがどう違うのか、そういうことに判定に苦しむのですよね。買いに行けばそれぞれみな自分の社のことだけほめなさるものですから、そこで自分の財布との相談をせなければなるまいし、大きさの関係もあるでしょうから、ああいう簡単なものは私の方で取りそろえて、お買いになるまでに、私のところへ来てやってみたり、あるいはうちの方で説明がある程度できるようなものを置いておりますけれどもテレビもそういうところがあったらいいと思うのですよ。どれではどう違う、あるいは何も違わないのだ、映って出ているものは何にも違わない、ただ、金額の上で、何しろ大きい金額のも一のですから、買うときにそういう施設のようなものが、民間でもあるいは試験所でも、研究所でもありましょうかということを私伺っている。それはどなたでもけっこうです。
  74. 永田清

    参考人永田清君) 御承知と思いますが、NHK放送文化研究所というのがございまして、愛宕山をそれに当てております。ここでは各メーカーのものを出しまして懇切丁寧な御説明をいたしております。ですから御利用を願いたいと存じます。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 質問したいことが十幾つかありますけれども、きょうは時間の関係もありますので二、三だけに……。  日本放送協会の三十二年度収支予算と事業計画、さらに資金計画を審議する前提として、大事な問題だけちょっとお尋ねしておきたいのですが、大臣がきょうおられないのですが、政務次官がいらっしゃいますので、責任ある答弁をしてもらいたいと思いますが、非常に問題になっております——われわれからいいますと言論統制、監督の強化というような立場で現在の放送法を悪くしよう、改悪しようという考え方が政府の方にあったように思うのですが、大体この放送法の改正といわれておりますこの問題は、これはどうなるのですか。今具体的な事業計画と資金計画が出たのですが、放送法の改正はないという前提に立ってこの計画は出されておるものかどうか。特に、この意見書を付してある郵政大臣の考え方をここで聞きたいのですが、大臣がいませんから、一つ政務次官から御明快な御答弁をお願いしたいと思うのです。また、放送協会の方はその点どういうふうに考えてこの計画を国会に提案されたか。
  76. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 放送法の改正は非常に重大な問題でございまして、また、改正いたさなければならぬ点などもあるように答申もあるわけでございます。しかし、いよいよやろうという場合には、その影響するところが非常に大きいのでございまするので、ただいまどうするかというところまでまだ行きついておりません。検討中でございまするが、なお、この放送協会予算等については、ただいまの現行法を土台にして処していこうという意味合いの編成になっておる、こう思っております。
  77. 永田清

    参考人永田清君) 日本放送協会としても、当然現行法を前提としてやっていくつもりでございます。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、伊東政務次官はあれですか、放送法の改正は考えておるようですね。しかし、今度の国会にはもう当然出さぬでしょうね、これは。そういうふうに理解していいですか。
  79. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) まだ、いよいよ出さないというところの結論までは出ておりませんが、今どうするかということについては相当突っ込んで研究しておるわけでございます。しかし、私の私見をもってすれば、まず今回の国会にはまあ無理ではなかろうか、こういう工合に考えておることだけを申し上げて、おきます。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それでは次に、テレビが非常に発達してきておるのですが、これは電電公社のマイクロ・ウエーブの計画と当然関連があると思うのですが、濱田監理局長にお尋ねしたいのですが、非常にわれわれも民間テレビ、その他の教育テレビとか、いろいろあっちからもこっちからも陳情されておるのですが、大体チャンネル・プランの問題についてどういう方針を持っておるのか、われわれ不幸にして聞く機会がなかったのですけれども、これは大体どうなっておるのですか、いつごろ監理局の方でおきめになるのですか、そういう点、わかりましたら一つ
  81. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) テレビのチャンネル・プランは、郵政省で原案を作りまして、郵政大臣から電波監理審議会に諮問をいたしまして、ただいま審議会は審議した結果の答申を作ることをやっております。その答申がこれは基本方針でありますので、その基本方針についての答申が出ましたならば、これに基きまして具体的の割当計画というものを作ります。これはすでにこの前の原案によって大体作ってあるのでございますが、この答申が大きな修正がなければ、割合に早く具体計画につきまして公聴会等を開きまして、この原案につきまして広く多くの方々の御意見を拝聴いたしまして、それで決定をしようということでございます。でありまするから、ちょうど今郵政大臣が病気静養中であられますので、来月の初めになりましょうが、しかる後全体のチャンネル・プランを決定しまして、またそれによりまして、今度はたくさん出ておりますところの申請、陳情書等につきまして審査の作業を開始する、しかる後に予備免許というような順序になってくるわけでございます。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 答申がだいぶおくれているようですが、私もそうあせって無理なことをやる必要はないと考える、こういうときには。そこで一つ、非常に政治的にいろいろ動きがあるようですから、この際監理局長意見を伺っておいた方がいいと思うのです。さっき永田会長からも教育テレビの問題が出ました。もちろん公共放送としてのNHKがあるわけですから、そのことと民放との関連は私から申し上げるまでもないと思いますが、しかし民放の方でも教育放送ということで盛んにチャンネル獲得に狂奔しているように私たちには見受けられるのですが、郵政省として、もちろん政治的にこういう問題に全然関与しておられるとは、私どもは夢寐にも考えていませんが、ただ、このチャンネル・プランを立てる場合に、しからば日本の教育放送というものを政府としてはどういう格好でやっていくのか、これはたとえば公共放送としてNHKがあるのですから、そういうものが主体になっているのか、あるいは民放にもそういう道を開いていくのか、これはチャンネルとの関係がありますから、しかし簡単にはいかないと思いますが、そういう点の配慮はお持ちになっておりますか、持っておられたら一つ聞きたいと思います。具体的に言うと、日本放送協会に対して政府としては一つやらせるという考え方を基本的に持っておられるのか、それとも民放にも相当割愛をしていくというのか、そういうことは非常に政治的な見地から無理であればいいのですが、しもお考えが中あれば、その点は一つ明確にしておいた方がいいと思うのですが。
  83. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 郵政省といたしましては、電波法ないし放送法の精神に基きまして、今日のテレビ放送の番組等を勘案したあげく、教育的効果を期するようなテレビ放送のために周波数を保留する必要がある、そのために教育放送をもっぱらやるような放送局のために割り当てる——保留する必要があるということをこの際チャンネル・プランの基本方針として考えているわけであります。この機構、形態等につきましては、今後十分できるだけ御意見等を伺って、それによってきめるのがいい、今、教育放送NHKにやらすのがいいとか、あるいは民間放送にやらすべきだとか、あるいは特殊法人を作ってやるのがいいとかというようなことをここで決定的に考えて、ああいうチャンネル・プランを発表したのじゃございません。
  84. 山田節男

    ○山田節男君 今の鈴木君の質問に対する濱田さんの答弁ですが、昨年の十二月のテレビジョンの放送用のチャンネルの割当の基本方針を今度変えた、変えた中に教育の目的のためのチャンネルを割り当てるということをうたった、これはたしか村上大臣のときに第一の基本方針ができて、それから平井郵政大臣の就任前だろうと思いますが、このわずかの間に、しかも私、前から申し上げているように、六チャンネルを五チャンネルふやして、しかも駐留軍が使っているものまでも事前にこれを割り当てるというような計画になっておるから、ああいうふうな問題が出てくる。そこで教育のためといいますけれども、まだ日本テレビジョンによる教育放送の素地があるかどうかということが根本問題だろうと思います。これはあなたはアメリカに行かれて、民間放送テレビジョン教育をやっているのは、NBCが三月一日から一週間五時間で始める、これだけです。あとの二十四というものは、これは純然たる教育関係団体、すなわち教育委員会あるいはPTAあるいは大きな財団の補助で営んでいるのです。前に申し上げたように、ワシントンの教育放送を始める事前に私ども行って、何といったって資金が要るのだから、しかし、民間放送ではいけない、商業放送ではいけない、どうしても教育委員会が中心でなくちゃいかぬのでございます。これがアメリカの今日の教育放送の全貌だと思います。それからまた教育放送、教育放送と言いますけれども、今日の日本にその素地があるかを論議しなくてはなりません。アメリカのほとんどの州立大学ではいわゆるクローズド・サーキット式の有線テレビジョンを使っていないのはありません。また、その他受像の施設範囲がきわめて広い。従って、教育放送を広く受け入れる一つの素地がある。日本ではそんなものは一つもない。日本の工場においてテレビジョンが一体どこに入っているか、電源開発会社が二、三使っているぐらいのものです。そういう素地のところへ、教育目的にチャンネルを政府では割り当てるのだということが、そこに私は非常に政府として、ことにあなたは専門家としていろいろお考えになったと思いますが、教育の放送をやるなんということは今言う必要はない。むしろそのためにとっておくのだということを言うならいいけれども民間の、まるでわれわれから見れば利権屋みたいなもの、出版会社から映画会社まで加わって、そういうチャンネルを、教育放送でなくてはということでやるということは、これは政府当局の発表の仕方が悪かった。ですから今みたいに教育放送民間放送商業放送でやるなんということは、これは世界に類例がない。あの大きなNBCですら、一九五七年の三月一日から一週五時間です。そういったような——教育テレビと簡単に言うけれども、これを実際に価値あらしめる、有効ならしめるためには、まだまだ日本は二年や三年は研究段階です。それをむしろあいているのをNHKでやるなり、あるいは商業放送で勝手にやればいい。そこらあたりどうも政府がチャンネルの割当の基本方針を変えたり何かして、教育目的とうたうから見るにたえない状態になる。実に私見て困っているのですから、ですから私はこの間も言ったように、これをもしやるならば、これは当然NHKでやるべきものだ、しかもこれは、はなはだ意地の悪いことを言うようだが、テレビジョンの割当の基本方針をきめるときにおいても、どのくらい政治的謀略にひっかかるか、しかも公共放送を出し抜いておいて民間放送テレビ放送を先に許すなんということは、これは私は電波監理委員会をつぶした方がいいと思う。そして今度テレビジョンの教育放送についても、これは再びそういったような轍を踏むというようなことは、これは、はなはだ失礼だけれども、今日の政府、いわゆる保守政党というものがいかにこれを利権扱いにしているか。むしろ濱田局長としては、これは純然たる技術的な立場からして、むしろこれはチェックしていかれるということが必要なんじゃないか。ですから今の鈴木君の質問にあるようなことは、これはこの国会におきましても党派を問わず、これは非常に心配していることなんですから、ですから教育テレビというものをああいうふうに簡単に扱わないように、むしろ専門家のあなたがこれを皆に知らしめる必要がるのじゃないか、そのくらいに思うのですが、どうですか。これは平井大臣も来られたらそのことも言いたいと思うのですが、あまりに甘くみている。あまりに無知です。教育放送なんということはそんな簡単なものではない。ですからそこをあなたは専門的な立場でむしろこれをチェックするなり、逆にそんな簡単なものでないということを大臣なり、その申請者にはっきり言うべきだと思う。どうですか。
  85. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 山田委員の御趣旨はよく理解するところでありますが、私どもはいわゆる教育放送をしごく簡単に、あるいはいいかげんに考えているわけではございませんで、やはり相当どもは考慮したあげく、しかも、教育放送日本でやるのだということを決定的に提案しているわけではありません。そのためには、日本は今日の情勢において特にVHSのテレビジョンのチャンネル・プラン、これはある意味では最後的だと思いますけれども、その際においてこの教育目的のためにチャンネル・プランの割当を考慮すべきである。そして国民の多数がこれに賛成されるならば、その経営形態その他を考えて、研究して、そして最も適当な経営形態にこれをやらすのがいいだろうということを提案しているわけでありまして、御説のごとく、アメリカでは約十年くらい前に教育放送というものを開始しております。これはアメリカの青少年の教育あるいは社会教育等の映画その他いろいろ悪い影響を——テレビジョンも入りますが、非常に悪い影響を及ぼしております。それを芟除しよう、そういう考えで教育テレビという構想を打ち出しておりまして、そしてもうアメリカは十年くらいやっております。日本は何の経験もないのに、何の素地もないのに突如としてああいう構想を出したというのは、御心配はごもっともだと思います。私どもは、そういう意味において今後において十分検討して誤りなきを期したい。この貴重な電波を、しかも、今日諸方で言われますように、放送番組の低俗化に対して、商業放送あるいはNHKもその影響を多分に受けている。で、国民は今日の番組には満足いたしておりません。そういう情勢に対して、教育的効果をもっぱら与えるように、そういう放送番組のテレビ放送をやるのが、もはや今日では大事ではなかろうかという多くの方々の意見を総合して、そしてこれは電波の活用において今日の教育放送というものを打ち出すのが最も適切である、そういう確信をもってやったのでありまして、いいかげんに考えたわけではないのでございます。
  86. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  87. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をつけて。
  88. 山田節男

    ○山田節男君 今のいいかげんに考えてないと言われますけれどもテレビの教育放送に関しては、商業放送でやるということは、これは学者から見ても当然いけないということはわかっているのですね。今申し上げたアメリカのような商業放送万能のところにおいてもNBC一つ、一週五時間しかやらない。日本ならば、少くともこの教育放送ならば公共放送でやるか、そうでなくて今のような大きな財団でもできて、少くとも数億の金が要るのですから——そこらあたりがどうも政府が十分な準備なくして、こういう教育目的に使うというようなことを言うから、今のような無政府的な事態が起きたのだ、そこを言うのです。
  89. 濱田成徳

    政府委員濱田成徳君) 山田委員の御説、十分に研究いたしたいと思います。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 時間を僕は急いだものですから失礼いたしました。よけいなことは言いませんが、自分の意見も言いませんが、少くともチャンネル・プランをやる場合に、教育放送の重要性から、一つ周波数をとっておこう、こういう考え方がもしあるとすれば、今あなたは山田さんの質問に答弁されたけれども、何か基本方針がないでしょう。それは必要なんです、教育放送ということは。しかし、この教育放送の重要性から考えてみて、民間なのか、NHKなのか、あるいは特殊法人を作るのか、こういう考え方があるが、とにかくとっておくのだ、こういう御答弁ですが、これはあまりに私は無責任だと思うのです。要するに教育放送の重要性からして、チャンネルを計画する場合に、少くとも一周波数なり二周波数なり割り当てようという考え方があるならば、当然そこまで考えて、教育放送の定義だって質問しなければわからぬと思うのですけれども、これはいろいろ考え方によって違ってくると思うのです。ですから、そういう点を十分考えた上で、少くとも政府自体として、こういう上に立って一つなら一つ、二つなら二つ割り当てるということでなければ、ますます今山田委員の言ったように混乱が起るのです、率直に言って。そこまできめないで、あなた方で一つなり二つなりやるというものだから、われもわれもといって利権がからみ合って政争になってしまう、とり合いになってしまう。そこら辺はいいかげんなことを言っていないと言うが、いいかげんなことじゃありませんか、あなた方の考えていることは。そこまでやはり本質を解明した上で、それからやろうということになって計画をやれば、そう大して問題なくいくと思うのですが、その点きわめて遺憾だと思う。その点、答弁を求めてもしようがないからいいです。  その次に、職員の待遇問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、三十二年度の計画を見ますと、既定計画による中継放送局の五局の建設と、第二放送四局の整備、それから札幌大電力増力継続工事の完成、高知十キロワットの増力継続工事の完成そのほか国際放送等の強化もありまして、相当これは合理化、機械化をやりましても、NHKの職員の数ですが、私はこれを見たのですが、あまりよくわかるように書いてないのです。ラジオの方の建設要員とテレビに分れていますね。大体施設拡充に伴って、私がこうちょっと調べてみると、ラジオの方で四十一人、テレビの方で二百六十人の増員となっておるようなんですが、その数字は間違いないのですか。それでもう一つは、これだけの増員で十分に拡充に伴う運営がスムーズにいかれるという判断を持っておられますか、その点を一つお答えを願いたいと思います。
  91. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) お答え申し上げます。今ラジオの方が四十六、テレビが二百七十五とおっしゃいましたか。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 四十一と二百六十。違うのですか。何か増員は、合理化によって何名ということになっているかわからない。何名ということをはっきりしてくれればいいのです。
  93. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) ラジオの方は三十三、国際放送が八、建設要員が五で、合計四十六でございます。だから今おっしゃいましたのは、ラジオ国際放送で四十一ということだったのじゃないかと思います。それからテレビの方は建設と維持の要員を入れまして二百七十五であります。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 それでうまくできると確信を持っておられるのですか。
  95. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 御承知のようにここ二、三年来、人員の合理化をやってきておりますが、これはもちろん、ただむだな人間がおって合理化するというのじゃなくて、たとえば技術の方だったら機械を簡易化する、あるいは無人化するような方向へ進んでいくというような方向でできるだけやってきておりますので、しかし、急速にふえていく施設に対しては、なかなかたくさんの人間を必要といたしますが、やはり財政状態もございますし、できるだけそういうふうに機械的に合理化することは極力いたしまして、この人数でやっていきたいというように考えております。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 やっていきたいということであって、相当無理があるというように理解します。それから待遇の問題ですが、この最後の方の会長の御説明の中に「三十二年度は定期昇給分の増額と月額七〇〇円の調整原資を見込んでおります。」というように書いてありますが、そのあとに書いてありますように、この点は非常に類似産業等の皆さんの待遇を比較してみましても、これでは非常に不満足だという考え方はわかるのですけれども予算総則上、さらに増収をはかり節約をはかって待遇改善には努めたい、こういうような考え方のようですが、私たち、できるだけ従業員の待遇の問題についても勉強してみましたが、ここに書いてある程度の問題では問題にならぬというように私は判断するのです。七百円の調整原資を見込み、定期昇給分も、何か予算的に調べてみますと、現在は昨年よりか〇・三%ぐらいダウンしているように私には考えられるのですが、こういう点からいきましても、総体的に待遇改善という、一部分はそれはもちろんやれると思うのですが、労働組合もあることですから、組合との団体交渉その他いろいろおやりになってきていると思うのですが、これは非常に私は不満足だと思うのですけれども、その点、会長から特に、就任されましてから職員の待遇問題等についてのお考えもあろうかと存じますので、との程度では私は非常に不満足なものだと考えますが、その点一つちょっとお考えをお伺いしておきたいと思うのですが。
  97. 永田清

    参考人永田清君) 実は私、就任しましてから待遇問題が悪い、あるいは不合理だというように言ってもいいと思うのでありますが、合理的ではありませんので、これをぜひ改善いたしたい。ことにその人は、NHKの場合には、やはり人が率直に申しまして社会的責任に任ずるという責任感に基いてしっかり働きませんと、たとえば工場があって、機械があって、機械が動いているから働いているというのと違って、かなりそういう責任感と熱意が大切な仕事だというふうに思いますので、そのためにはやはり待遇の合理化ということが前提にないと、そういう方向に強力に進んでいけない。それで、ただそれをやっていくためには、結局事業体の中で行うわけでありますから、どうしても収入の道をふやさなければならない。ところが、収入の道は、聴取料が月額にしますと六十七円、三月支払いで二百円ということになっておりまして、これは非常に安い、各国にあまり例がないくらい安い聴取料であることも確かであります。そうしてだんだんこれがふえていく場合にはよろしいのでありますが、すでに千四百万世帯にまで及んでいるという状況であります。御承知のように、日本全戸数を千九百万にしましても、そのうち特別に社会的に扶養しなければならないという世帯数も相当ありますし、そういう意味では、まあ全世帯が持ちましても、これからそうたくさん伸びるということは不可能であります。一方また技術的にも、山間僻地で電灯の行っていない所、あるいは離島関係とかいうふうな所でも、そういう所にも戸数があるわけでありますが、これから世帯数がふえていくことについては、あまり期待が持てない。そうなりますと、どうして収入の道を考えるかということになりますと、これははなはだ腐心をいたしておるところであります。ただ問題を合理的に処理するというためには、そのほかの問題も合理的に一緒に処理されなければ、一部分だけということはなかなか困難であるわけであります。そういう意味で、先ほどからもお話が出ましたように、聴取料の問題についても、一つ合理的に御考慮願いたいと考える次第であります。ただ、内部的にやるべきことは全部やり尽して、そして聴取料の問題ということになるのが筋道でございまして、極力内部の合理化、節約をはかり、そして今年度ではこの程度まで進むことができるだろう、決してこれで満足しておるわけではございませんし、先ほど言ったような意味で合理的な措置が必要だという状況にあることは御承知の通りであります。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 それからこのNHKは全国的な組織ですから、相当に年間を通じて配置転換的なものがあると思うのですが、それはパーセンテージでどのくらいですか、全職員の何%がかわりますか。今わからないですか、数字が。
  99. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 予算として見込んでおりますのは、大体年間平均を見ておりますが、人数にいたしまして五百人分ぐらいであります。大体全職員が九千人前後でございますから、そのくらいと御了承願いたいと思います。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、そういう方々はおもに社の命令によって配置転換をされるわけですね。
  101. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) さようでございます。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、住宅問題が非常に心配になるのですが、これはNHKとして職員の住宅はどんな程度になっておりますか。どのくらい建っているのですか。
  103. 池田幸雄

    参考人池田幸雄君) 社宅の問題でございますが、ことし、今ありますのは社宅が全体で千百戸ばかり確保してございます。まだ全体から見まして、転勤に伴いまして、業務用として転勤させますから、どうしても社宅に入れてやらなければなりませんので、本年度の予算におきましても、大体百五十八人を入れられるような建設を進めております。全体的に見まして非常に苦しい財政でございますが、御承知のように、たとえばアナウンサーなんか転勤を絶えずやらせませんと、土地の言葉になじみませんので、どうしても転勤させなければなりませんので、逐次これを拡充していって、必要な限度まで行かすように努力いたしております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 まあ御答弁で大体わかりましたが、私は、そういう各企業の会社でもそうでしょうが、転勤の問題も最近は特に多くなってきておると思うのです。そういう方々は礼の命令で動くわけですから、さしあたりとしては、住宅を確保してやるのが経営者としては当然やるべきだと思うのですが、そういう意味では決して多いようには思えませんが、できるだけ住宅の問題については、御配慮をいただいて今後とも御努力をしていただきたいと思います。  御質問終りますが、特に会長からこの給与の問題についてお話を伺いました。何といっても現在待遇が適正でないという考え方の中で御苦慮されて最小限度の、今度の予算の中に、計画の中に盛られたのが七百円の月額調整資金だけだと思いますが、これだけでは、私はこれから定員の問題を見ましても、施設増に伴う定員増としてはわずかなものだと考えますので、そういう点からもどうしても従業員にオーバー・ロードがかかってくると思うんです。そういう点からもそこに働いている従業員が、ほんとうに電波法の精神に基いて国の福祉、さらに文化水準の向上をはかるためには、そこに働いている九千人の職員が国のためにやるという気持に立たなければ、ほんとうに国民の期待できる放送はできないと思うのです。そういう点から非常に欠けている点もあると思いますので、さらに特段の御配慮を願いたいと思います。  それから一つ意見として申し上げておきたいのは、今会長の答弁の苦しい中で、そういう中にありながら財源の問題が出ております。これは今さら放送聴取料六十八円を値上げするということは非常にむずかしいでしょうし、今年も四十五万ですか、の聴取者の増加を努力されているようですが、これも非常にむずかしいと思います。次回において、この点については質問したいと思いますが、そういう点で財源に制限がある。また監理局長から明確に答弁をいただかなかったのですが、片や国際放送の三十三条、三十五条と法律を見て参りますと、国際放送費用負担等については、国が責任をもって、協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする、こういうふうにあって、三十五条の第二項には「前二条の命令は、前項の規定により国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。」、こういうふうにはっきりしているんです。ですから率直に言って、ソ連向けなり、あるいは東ア向けについても、そういう苦しい中でNHKにむしろ無理を言ってやらしているということについては、私は非常に問題があると思う。そういう点は会長も、現在の経営状態の中で政府予算を組んだが大蔵省が認めてくれなかった、そういうふうに監理局長が答弁しておられるのですが、そういうことであるので、この第二項によって「国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。」というのですから、それはできないと言ってお返ししてもいいと思うのです。それくらいな考え方をもってやらなければ、今後のNHKの経営というものは非常に行き詰まりが来ると思う。今も横川委員とこれから二、三年のことを雑談でいろいろ話したんですけれども、これは大へんなことになると思う。会長一つ聴取料の適正化ということを考えていただきたいということを言っておるんですが、それは勢い聴取料値上げ意味することだと思うのです。そういうことで大衆に転嫁され、国際放送の分まで一般国内聴取者が出すという、そういう矛盾を一日も早く払拭することが一番大事だと思うのです。そういうところからも私は今後のNHKの経営の問題を考えてゆかなければ、いかに会長が待遇の改善をやろうとしてもできないということにもなると思いますので、その点は一つ十分に、きょうは政務次官もおられるわけですから、国としてもこの公共性のある事業については重大関心を持って、今私が申し上げた点は、私は正しいと判断するんですが、論議があれば十分尽した上で、その方向でやっていただきたい。きょうはこれで質問を終ります。
  105. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは本日は、これにて委員会を散会いたします。    午後零時五十九分散会