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1957-05-17 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十七日(金曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            館  哲二君            成田 一郎君            吉江 勝保君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            森 八三一君            白木義一郎君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君    建設大臣官房会    計課長     関盛 吉雄君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁行政部公    務員課長    角田礼次郎君    自治庁行政部振    興課長     吉浦 浄真君    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君    通商産業省公益   事業局業務課長  井上  猛君    建設省河川局次    長       美馬 郁夫君    建設省河川局計    画課長     中安 米蔵君    建設省道路局路    政課長     三橋 信一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方公共団体財源強化に関する請  願(第一九四号) ○特別地方交付税交付額増額に関す  る請願(第一九五号) ○所得税の減税に伴う地方税減収補て  んの請願(第三五四号) ○昭和三十二年度地方財政確立に関す  る請願(第九五五号) ○昭和三十二年度地方財政施策修正  に関する請願(第一三三八号)(第  一三三九号)(第一三九九号) ○地方財政再建促進及び強化に関する  請願(第一三九二号) ○地方交付税税率改正に関する請願  (第一五九五号)(第一七〇三号) ○地方交付税率改正等に関する請願  (第一七九〇号) ○地方交付税単位費用適正化等に関  する請願(第二〇九八号) ○地方行政の改革に関する調査の件  (中小企業等協同組合法の一部を改  正する法律案に対する決議の件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  昨日に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 きのう振興課長に少し回りくどいような質問をして、結論を得ないままに終ってしまいましたが、新市町村建設関係経費の中に、農林省関係農山漁村建設総合施設費というものが約三十億入っておるわけでございますが、この項目と、いわゆる自治庁関係の新市町村建設促進費と、あるいはまた、その他の問題との間に、どうも私十分なコントロールができておらないのじゃないかというふうな感じをするわけでございます。従いまして、新しいいわゆる合併されました新市町村建設促進のために、育成のためにもし使えるものだとするならば、あなた方の方で、これは使い方なり、地区指定なり、あるいは仕事の種類なりというものについて、もっと権限があっても、権限という言葉は少し変でございますが、もっとコントロールするだけの、調整するだけのそれがあってもいいんじゃないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、きのうも若干指摘しましたように、そういう点では、知事等にまかせているような関係もありますが、どうもうまくいっていないというのが実情でございます。もしそういうふうに、どうしても一方農林省関係のものであり、さらにまた、出発も違った観点からなされておる、そういう施策であるとするならば、こういういわゆるあなた方の言う新市町村建設関係費から省いてしまった方がいいのじゃないか、こういうふうな考えも持たせられるわけでございます。もしあなた方の言うような、こういう新市町村育成のために使うというのであれば、今申しましたように、私、もっと調整コントロールのできる、そういう力をあなた方が持たなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。もっと申しますと、各省に取り上げられておりますところのいろんな仕事が新市町村建設育成に必要な仕事であるとするならば、これは建設省関係でも、あるいは農林省の他の、たとえば漁港の問題にしろ、いろんなそういう問題も当然私はこの中に含められて考えらるべきである、こういうふうなことになると思われるわけでございますので、そこら辺の考え方なり、今後の持っていき方なりについて、一つあらためて御見解を承わりたい。
  4. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) お話の筋は、われわれといたしましても同様に考えていることでございまして、問題は、国なり府県なり、あるいは当該市町村なりの建設計画の実施に対する熱意の問題であり、なお、それを推進して参ります際の態勢整備の問題であろうかと存ずるのであります。もとより新市町村自体におきましては、国の各省が持っております予算市町村が受け取って、それに対しまして、みずからの負担分を出して事業を実施していきます場合に、およそこれを新市町村建設事業といたしまして実施しているわけでございます。従って、従来の建設計画というものは、必ずしもそういった点につきまして、新市町村の基盤を強化し、あるいは住民の福祉増進にかかわる建設計画としての最も効率ある運営が期せられてなかったかのような気もいたしますので、今後におきまして、新市町村におきましては、みずからの持っております建設計画を、合併後の新たな観点からこれを調整いたしまして、効率ある、しかも実行性のある建設計画をいたしました上で実施していきたいということで、現在建設計画調整も進めておるわけでございます。少くとも、末端市町村におきましては、ただいま申し上げましたように、従来ございました市町村当局だけの問題でなしに、商工団体農業団体も含めた、いわゆる市町村あげての推進態勢というものを作らせなければならないと存じておるわけでございます。問題は、府県段階におきまして、結局各新市町村がそれぞれ均衡のとれた、しかも将来、以前からありました市町村と同様のレベルまで、これを持っていくということをどうしてもやっていかなければならない、そのための態勢を現在整えつつある状況でございます。しかし、農村の事業と申しましても、これは、この前のときも御説明申し上げましたように、今までは、新市町村当局がこれにタッチするということがなかなか困難であったわけでございますが、それを補う意味におきましても、都道府県知事におきまして、できる限りこの指定区域を新市町村区域にマッチさせていくという意味におきまして、調整を現在はかっておるわけでございます。ただ、必ずしも新市町村区域でないところにも農山漁村的区域も存在するわけでございますので、これは、全部が合致するというわけにも参りませんけれども、新市町村に関する限りは、その区域を同じくするということで、目下推進をいたしております。ただ、事業の面におきましては、これは、新市町村建設計画内容といたしまして、農業団体が分担する事業、それから市町村当局が分担する事業というふうに、それぞれの立場からしさいに検討いたしました上で、その間における格差のないように現在進めておるわけでございます。国の立場でございますが、これは、従来各省庁あるいはばらばらなような考え方で、府県を通じて予算を流しておったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、府県段階でそれを統制をとりますと同時に、中央におきましても、ただいま新市町村建設促進審議会というふうな委員会が設けられまして、各省庁の次官、次長を委員にいたしまして、横の連絡をとりながら進めております。また、その委員会幹事といたしまして、およそ各省予算関係のある課長幹事をお願いいたしまして、随時適切に幹事会等も開催いたしました上で、でき得る限り新市町村事業を優先するし、また、今後できました建設計画につきましては、これを各関係省庁におきましてとりまとめて、われわれといたしましてもそれを推進していくという態勢を整えたいと存じておるわけでございます。自治庁だけが新市町の建設推進努力するということだけでは効果が上らないわけでありますので関係省庁に御連絡いたしまして、相ともどもに新市町村建設態勢を整えて参りたいと存じておるわけでございます。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 今後の心がまえなりやり方については、そうありたいと思いますが、もしまたそうであるとしますと、この新市町村建設関係経費という、こういうプリントの中にあげられておりますような、こういう範囲だけでは、いわゆる新市町村建設育成のためには足りないのじゃないか、あなたのお話のように、各関係省庁との緊密なる連絡あるいは統合というような形において仕事を進められるならば、特に現在新しい市町村で強い要望のありますところの建設関係のものなんかも、当然やはりこの中へ入ってこなければいけないと思う。むしろ、ここにあげられてありますような、こういう事柄もさることながら、現在の合併に伴って必要な道路であるとか、橋梁であるとか、そういうことがむしろ市町村にとっては大きな問題として、今未解決なままに残されておるわけでございますが、そういうことにつきましては、必ずしも建設省において、新市町村合併、そういうものとマッチしたような考え方をしておらない。私は、実情においてそういうふうな現われ方をしておると思う。でありますから、もし自治庁においてそういうふうなやり方をなさるならば、もっと広範なものについて、ほんとうに総合的な新市町村建設育成という、そういう観点において調整をし、コントロールしていかなければいけないじゃないか。一つの例として、農林省関係のことを申し上げましたが、そういうことにおいても、すでにいろいろなちぐはぐなことができておりますが、道路その他の計画におきましても、地元のそういう要望を満たすような形においては必ずしも施行されておらないというような点で、私は今言ったようなことを考えるわけなんですが、こういう点、いかがでございましょうか。ここにありますところの農林省関係あるいは郵政省、電電公社関係の、こういうものだけでおやりになるというふうなお考えなのか。今私が申し上げましたのは、これは、一つの例として建設省関係のことを申し上げましたが、厚生省関係におきましても、いろいろな関係におきまして、もっと広範に取り入れて調整をし、新市町村建設育成のために進めていかなければいけないというものがたくさんあるわけなんです。そういうところにおいて私は欠けておるじゃないか、どうしてもそれは各省庁間の、まあ言葉は悪いですが、なわ張り的なことがあって、調整が不可能であるとするならば、これはいっそまた別の考え方で、新市町村建設促進費というものをもっとまた別の意味において考え直して、検討していかなければいけないじゃないか。こういうことも考えられるわけでございますので、こういう点、いかがでございましょうか。
  6. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 全くその通りでございまして、今お手元にございますような資料は、従来からの一応新市町村関係のある予算についてただ単に羅列したにすぎないわけでございまして、その他厚生省水道予算につきまして、あるいは病院保育所等予算につきましても、およそそういった予算市町村分につきましては、新市町村に流れる予算がきわめて大きい額を占めるというふうに存じておるわけでございます。現在この計画調整を進めておりますが、ほぼ本年度一ばいに、全国の新市町村数の三分の一足らずでございますが、調整を終るわけでございます。その場合の調整は、実行性のあることということを一つの目標にいたしておりますので、府県各部各課がこれに関係いたしまして、そうして計画調整された事業につきましては、その実行を確保するという態勢を整えつつあるわけでございます。従って、もっと具体的に申し上げますと、保育所なり病院なりの計画を例にとってみますと、それがその地区でどの程度に必要であるか、病院を持ってない所で、病院を持つ必要がどうしてもあるならば、それは、建設計画内容として入ってくるでありましょうし、保育所にいたしましても、ただ単に従前の町村区域に置くという観念でなしに、全体として幾つ要るかということを十分に検討いたしました上で、どうしても保育所建設が必要であるとするならば、その数は確保されるようになると思うのでございます。従って、そういった建設計画調整がなされた所につきましては、これは、補助金申請の場合に、まず高順位になることは間違いないことでございますので、そういった建設計画調整のなされた段階のものから申請が各省庁に出されて参りまして、なおその際、ただいま申し上げましたような、横の連絡態勢を確保することによりまして、厚生省におきましても、真に新市町村を優先するというような態勢になるだろうと存ずるわけでございます。今までのところは、必ずしも新市町村というものの事業を、各省庁におきまして、それが高順位になっておるか、あるいは下の順位になっておるかということを考慮しなかったと存じますけれども、今後におきましては、府県からの申請がそのようになって出てくるということに、まずわれわれとしても指導の方向を向けまして、そうして出てきたものにつきましては、われわれの手元にもそのようなものが出て参っておりますので、それを横につなぎ合せまして、査定を進めて参りたいというふうに存じておりますので、今後におきましては、およそ市町村に流れる予算の大部分は、まず数カ年間は、新市町村建設事業に重点的に参るものであろうというふうに考えておる次第でございます。ただ単に、ここに掲げておりますような、各省庁予算のみではないのでございまして、そういう点につきましては、十分今後とも留意して参りたいと存じております。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回予算で、新市町村建設計画調整費が取れておりますですね。あれによっていわゆる調整するところの町村の数というものは、大体五百くらいだというふうに聞いておりますが、こういう点からしますと、五百というのは、合併町村の大体五分の一程度だと思うのです。今後あれですか、これは、先ほどあなたのお答えから、私大事な問題だと思いますが、調整のできた地域からいろいろな施設その他の建設あるいは補助育成というようなことが行なわれていくとすれば、残りの五分の四近くのものは、これば、相当年数これからたった上でなければ解決できない。こういうふうなことになると思うのですが、一方別に仕事が進められておるのは、きのうもお話がございましたように、農林省関係のものと、こちらの方の新市町村建設促進費のものとの年数ズレがありますね。今の調整するための費用、従って、その町村数で割っていきますと、私大体五年くらいかかるのじゃないかと思います。そこら辺のズレをどう調整されていくつもりですか。
  8. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) ことし五百十程度調整を行ないますが、昨年度すでに二百の調整を行なっておりますので、若干足りませんけれども、三分の一程度の新市町村についての調整を今年度で終るわけでございますが、もちろん、その建設計画という本のは、すべての新市町村がすでに持っておるわけでございます。その中で、調整をしなくても明らかに必要な事業というものは、これはもうすぐ判断がつくわけでございます。現在まで、新市町村につきまして、各省庁予算から事業を進めておりますものにつきましては、そういった観点から、必要なものは、建設計画調整をやろうがやるまいが、進めて参っておるわけでございます。特に調整をやった分につきましては、この調整を、その建設計画について全部をやらせるように努力したい。こういう意味でございまして、建設計画調整をやらない団体には、全然手もつけないという意味ではないわけでございます。  なお、新農山漁村指定の数、これは昨日も会議がございまして九百地域について指定されたと聞いておりますが、われわれの方の指定地域と、それは事実上ズレておると思います。多くは一緒になっておりますが、ズレた分も少くないと存じます。けれども、新市町村の方の今後の調整なり、施設整備なりにつきましては、来年、再来年と、ずっと続けて参りまして、全部の新市町村に均霑するように考えておりますが、農林省の方の計画も、やはり年度計画によって実施しております。あと数年——二、三年たちますならば、すべて合一するという結果には相なるわけでございます。ただ、スタートが違っておりますので、その間につきましては、若干のズレというものはある程度やむを得ないのじゃないか、それで、できるだけ合一するように努力はいたしております。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話のように、スタートズレと、当局の実施するところのねらいのズレと、二つあると思うのですよ。ですから、ここにいろいろ問題が出てくると思うので、今回指定された農林省関係の九百地域は、私詳細は知りませんが、あなたのお話によってもわかりますように、必ずしもこちらで考えておりますところの新市町村のそれとは完全にはマッチしてこないだろうと思う。これは、今申しますように、ねらいのズレがありますから、これは、私そういうことが出てくると思う。従って、今後、あなたのお話のように、もし完全な調整をとっていきたいとするならば、これは並み大ていの努力ではできないのじゃなかろうかという私は心配があるわけです。ことに所管する役所が違うのでありますから、なかなかむずかしい問題がそこにあるのじゃないかと思いますが、一つ重ねてこれは、皆さんの努力によってやっていただきたいということを要望的に申し上げておきます。  それから、いま一つは、計画調整でございますが、調整を必要としないような地域にあっても、必要な事業仕事というものは与えていくのだ、こういう御意見でございますが、それはそれでけっこうだと思います。ただ、計画調整をする場合に、考えなければいかぬことは、私、地方におって、今まで見たり、聞いたりしたところによりますと、ほとんど全部が計画調整を必要とする段階にあると思う。これはもう、合併計画というものは、いわばずさんな、持ち寄りの、何か財源の裏づけのない、そういう上に立って、ただ並べられてあるというように私どもは見てきて、まことに残念だと思っておったのですが、新市町村合併計画におきまして、県の段階におきましても、あなた方の段階におきましても、これはまた、こちらの考えあるいは県の考えで、どうのこうのといじくられないような事情もあったわけでありますので、ほとんど手がつけられないままに合併計画として残されておる。しかし、今言ったように、そういうものを見た場合に、それをそのままやれる計画だとは思われない。当然調整を必要とするものだと思う。まじめに考えれば、一刻も早くほとんど全部調整をしなければいけないのじゃないか。こう思うので、その際に、今回の予算で、五百の町村調整をする対象となっていると、しかし、そのほかの町村におきましても、これは、できればあなた方が指導されまして、自主的な調整といいますか、計画の立て直し、練り直しをしなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、それらの点の指導をどういうふうにおやりになるつもりなのか、最後一つお聞きしておきます。
  10. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 実は、三、四日前から、すでにその計画調整団体について、各府県の職員を東京に集めまして、それぞれ具体的に町村指定を行うべく準備を進めておるわけでありますが、ただいまの実情におきまして、やはり各都道府県とも、この二、三上回った計画調整希望があるようでございます。特に熱心な県におきましては、ほとんどの新市町村について、すみやかに調整したいというふうな希望もございます。けれども、まだ未合併町村を抱えておりまして、今後合併をして、区域一体性をはからたければならない町村もございます。さらには、新市町村みずからがそれに合併したいというところもございまして、特に最近行われた合併区域につきましては、これはやっと建設計画を作ったばかりでございまして、あとしばらく、これによって進めていきました上で、時期がきた場合に計画調整をさしたいというふうに考えておりますが、それでも相当数上回る予定でございますので、これらにつきましては、一応来年度約束するにいう意味において、予備指定的な考え方で、計画調整準備を自主的に進めてもらっておりまして、計画調整につきましては、来年度に回るわけでございますが、そういった指導を続けていきまして、来年度においては、必ず計画調整をやらせるということで、予備指定的な考え方を多少打ち出しておるわけでございます。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 ほかの方も、大蔵省関係と何かあるそうですから、私はあとでまた……。
  12. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ、あとでまた継続していただいて……。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 昭和三十二年度予算編成の過程でも、交付税の問題が最後までもめましたが、当委員会では、相変らずまた、田中長官以下の御努力にもかかわらず、われわれとしては満足できないような点がたくさんあるのですが、私、予算委員を兼ねていまして、欠席していましたので、重複しました」ら大へん恐縮ですが、御了承していただきたいのですが、この付帯決議ですね。衆議院付帯決議というものは、地方交付税法税率を、来年度から一・五上げるというふうにならずに、付帯決議になったいきさつを一つ聞かしていただきたいと思います。
  15. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 政府案は、御案内の通り、二六となっているわけでございますが、これを一・五引き上げることが妥当であろうと、こういう空気が与野党の間に濃厚に持ち上って参りました。そこで、政府としましても、いろいろ考えたわけでございますが、委員会の方と党との間に熱心な御交渉が続いて参りました。その結果、この今度の改正案そのものを二七・五に修正をするということも一つの方法、それから、もう一つの行き方は、何分、何といたしましても、すでに予算が通っていることでもある。むろん予算の補正の道というものはないわけではございませんが、予算が通っているわけでもあるというふうなところから、この案をここで直ちに二七・五に、一・五%を引き上げて修正をするということはいかがなものであろうかという意見が出て参りまして、三十三年度以降ならばよかろう、三十三年度以降においてこれを引き上げるという方針にして、次の通常国会においてこれを修正する、同時に、この線に従って予算編成をすると、こういうことであるならばよかろうではないかという意見が強くなって参りましたわけであります。そこで、こういう内容付帯決議となったものと、私は拝聴しているわけであります。  なお、申し上げておきたいと思います点は、せっかく両院においていつも付帯決議がありましても、その付帯決議通り実現が、なかなか大事なことについて実現を見にくいような情勢もあるものでございますから、与党におきましても、これを正式に党議にかけまして、二七・五%に修正をするということは、大蔵大臣の意向を尋ねまして、正式の党議で、三十三年度以降においては一・五%の引き上げを行うのだということの決定を、時間をかけて論議いたしました結果、党議決定を見ましたわけでございます。そういう党議決定に基いて、与党におきましては、この決議案の提出をし、議決をされるに至ったような次第であります。速記録は、衆議院の方のことでございますから、お読みはいただいてはおらぬと思いますが、その席には、大蔵大臣も私も、付帯決議の際には出まして、大蔵大臣からは明瞭に、御趣旨に沿う努力をするということの言明もございましたわけでございます。そういう事情でございます。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、これは、実質上地方交付税法の一部を改正して、税率のところを二七・五として、ただし来年度から施行するということと同じ、もう外貨事情その他いろいろなことがあっても、国際収支の関係や何かあっても、もう文句なしにやれる、こういうふうに見ていいのですか。
  17. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りでございます。どのような事情がありましても、これを次の国会においてやる。政府はこれに従って予算を盛る。党議決定には、大蔵省といえども従わなければならぬ。こういう結論が出ておるわけでございます。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、大蔵省の方がおられるので、あまり言いたくないが、地方財政を確立する、対大蔵省の折衝からいいますると、やっぱり来年度から行うにしましても、実際ことしこの問題のケリをつけて、そしてなお未解決な、変動の少い税をさらに配分する。たばこ消費税をどうする、あるいは直轄事業の分担金の負担率、あるいは利子をどうするかというような問題をやる際に、私は、この問題がまだこういう決議段階では、それらと総合的に引っかけられてやられると、対大蔵省の折衝が必ずしもうまくいかぬじゃないか、そういう問題は、もうここでケリをつけておいて、この問題は、もう来年は、大蔵省と折衝される際に論を要しないというようにしておいて、懸案の直轄事業の分担金あるいはたばこ消費税、安定したもっと弾力性のある税をよこしてもらうというような折衝をする、作戦上、この措置は、なかなか大蔵省としては、私は、いろいろ理由を付して、それらの問題と総合的にやられて、地方財政確保の対大蔵省との折衝で、この措置は、ここまで積み上げられた労は、非常にわれわれも多としますが、なかなかその辺のかけ引きと言っては語弊がありますが、私は、問題になるのじゃないかと思うのですが、そういうおそれはないのでしょうか。
  19. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) まあこれは、ありのままに申し上げますと、そういうおそれがあったのです。そこで、二七・五という数字を入れなくてはならぬ。この数字を入れることで数日というか、十数日というか、かかっておる。この数字を入れないで、似たような趣旨の決議をするというようなことで何とかいくまいかという意見が強く出たわけでございます、大蔵省側からも。しかし、数字を入れないと、今御心配のようなことが起るおそれがある。そこで数字を入れなければならぬということで、折衝の結果、双方気持よく数字を入れて議決をしたるその背景は、与党党議決定であるから、党議決定に従うということは大蔵省としてはやむを得ない。こういうことに結論が出ておるわけでございますから、この段階におきましては、この議決が行われて、大蔵大臣の言明が行われた以上は、この数字が動く心配は、諸般の情勢がいかに変りましょうとも、ないものと私は見通しておるのであります。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点は、まあ先日来二、三日前、これがきまる前に、大蔵省では、昭和三十二年度交付税総額より百十五億ふやそうというような、あれよりかはるかにこれは取りつけが従前にできておることは、私も了解するのであります。しかし、同じそこまでできるのなら、ことしやっぱし二七・五にして、ただし施行は三十三年度以降にするというふうにすれば、一つの問題が私は解決したのじゃないかというふうに思うわけですが、まあしかし、いかなる事情があろうとも、党議を経、いろいろな下から積み上げて手順を経ているから、公党の立場からしても、変更のないということは了解しましょう。  ところがこの中に、政府地方財政の現況にかんがみ財政の措置を講ずる。そこで、公債費の処理、勤務地手当等の改正云々という、そういうことに関連して、財政事情があるからということで、これではもう公債費問題が解決したということに……、そこで私は、大蔵省もなるほど一・五で譲歩したが、五千二百億もあって、地方団体あげての要望である、この地方団体が問題の解決に悩んでいる公債費の問題もこれで解決したのだ、もう一本の付帯決議があって、交付公債については別な付帯決議がありますが、他の公債費については、これではもう処理が済んだのだということになってしまう。そこで、やっぱし大蔵省がまあ党の大勢に押されながら、なおやはりこの公債費については、まあ結局これでは、この公債費というものは、国がまず責任を負うということがはっきりしていないし、あげて地方にまかしてしまうのじゃないかと思うのですが、それはどうなんですか。
  21. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 各種公債費の利息引下げの問題、あるいは利息をゼロにするという問題、そういう問題を除きまして、この公債費の処理は、七・五に引き上げられるならば、そのワクの中において行おう。のみならず、この勤務地手当の改正に伴うところの増加分についても、同様これにおいてまかなってみよう、そういう気持が背景にあるのではなかろうかと思うわけでございます。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 それではまあ結局、とにかく一・五の中に来年度の公債費の問題をこれで解決済みということに理解していいわけですね。私の党も、実際は本年度二七・五にされて、そうして来年度から行う、しかし地方債の問題は、単独立法をやらないで、別個な立場からこれは共同修正に持っていってもいいというのですがこれはなかなか大蔵省もさる者で、やっぱし公債費の問題ばこれで、一・五で解決済みだ、こういうことになって、地方団体あげての要望がやはり少し、まあここまで、一・五来年必ず施行するということについては、百十五億ということでまあのがれようとされた点を、ここまで積み上げられたことは、ほんとうに私敬服しますが、しかしこの中には、公債費の問題はこれで解決済みだというふうになっているので、私は、これではやつばし地方団体の持っている悩みがいまだ残るのじゃないかと思うのですが、その辺いかがでしょう。
  23. 小林武治

    小林武治君 ちょっと関連して。今の中田委員の質問については、この付帯決議ができる際のいきさつからいうて、長官からもはっきり返事しておいてもらいたい。私どもも、今の交付公債に対する利子をただにする、こういうふうな問題は残ることに了解しておるが、公債問題全般の処理は一応これでケリをつけたと、こういうふうな含みで話し合いを進めておったということは、この際長官も、もうはっきりされておいたらどうか、こう思います。
  24. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) どうも、今の私の答弁が何だかこう、修正をした委員会立場を説明するようなことになっておって、こんがらがっておりますが、(笑声)明瞭に申し上げておく必要があると存じますが、二七・五に、ここに付帯決議通り修正されていくならば、そういうふうにされていきますならば、政府としましては、この財源のワク内において公債費の処理をしていきたい、利息分の話は別である。そういうふうに考えまして、交付公債の分につきましては利息を無税とする、この問題は残っておるわけでございますが、公債費の処理の問題は、これによって処理をしていきたい、こういう決意でございます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 大へん恐縮ですが、今、小林委員から説明がありましたので、小林さんはこの決定に参加されたのでしょうが……。
  26. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  27. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。
  28. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官にお聞きしたいのですが、今のお話で、公債費の中田委員からのお尋ね、それから小林委員からのお尋ねで、政府としても、公債費の問題をこの範囲内でまかなっていきたいという考えを持っておる、こういうお話でございましたですね。これはこの通りでございますか。もう一度念を押しておきますが。
  29. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ええ。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、当委員会におきまして、今まで長官は、例の八十六億の問題にからんで、いろいろあなたの御決意なりの表明がありましたが、これと違ってきておりますね。
  31. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ええ。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 当時八十六億が、交付税のこれは先取りとかなんとか、いろいろ言葉の上でのやりとりはありましたが、ともかく交付税でこういうふうにまかなうものではない。国の責任において別にこれは解決せられなければいけない問題であると考える。私どももその考えを支持し、特に大蔵大臣にまで来てもらって、その点についてどうかと言った際に、大蔵大臣は、将来考えるということだけで、ぼかしていきました。あなたは、そのあとではっきり、私は、これは責任を持ってこの問題の解決に当りたいと、こういうことをおっしゃっていた。それは、いわゆる交付税のワクの中で操作するということでなしに、繰り返しますが、国の責任において別途、金の面においても法的においても、いわゆるあなたの言葉を借りますと別の柱において解決をするのだと、こういうことで、ここではっきりあなたは何べんもおっしゃっておる。私どももいろいろ不満もありましたが、あなたのそういう御決意なり態度表明に対しては、これを支持しようということで一応あの話を打ち切っておるわけなんでございますが、今のお話を聞きますと、それとは、一カ月かあるいはそれまでに至らない間に、考えが変ってきているのではないかと受け取ったのですが、その点、いかがでございますか。
  33. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説の通り、三十二年度交付税を通じての行き方は変則である。これは、本格的には別の柱を立てまして、国の責任を明確にしてやらなければならぬ、こういうふうに申し上げたことは、記録に出ております通り、事実でございます。これを申し上げておりましたのは、閣議決定をいたしました率の改正が一%しか上らない。二六%の政府案というものしか出せなかったという現状におきましては、そういうふうに考えてきたわけでございます。それを何度も申し上げたわけでございます。しかしながら、来会計年度よりは、これが二七・五に引き上げられる見通しがまことに明確になった。こういうふうに考えますときに、そういうものが間違いなく行われる場合においては、交付税をこの中において解決をしよう。してもいい。また、そうしなければなるまいということの決意に、情勢の変化と申しますとおかしいのですが、二六が二七・五に明確に変る、こういう基礎と背景が大なる変化を来たす見通しが立ったものでございますから、そういう見通しのもとにおいては、公債費をこの中でまかなうのには不十分なのでありますが、別のワクでなしに、交付税としてこれを扱うという扱い以外に道はなかろう。こういうふうに私のお答えの内容を変更するわけでございます。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうふうに認めながら、そうしてまた変られると、まことに私ども迷惑するのですが、これは、交付税の率の引き上げという問題は——この付帯決議は別ですよ、当時問題になっておるのは、二六%じゃ足りないという問題は、減になって、国がそのまま地方に知らぬ振りをしていいのかどうか、こういう問題であったと思うのです。そういう意味において、二八%とか、二八・五なければいかぬとか、いろいろ論議されたわけなんでございますが、問題はそういうことであったと思うのです。いま一つは、公債費対策のいわゆるそういう金を国の責任において見るということは、これはあくまでも、交付税の中で見るということと私は違うと思うのです。率が引き上げられたからいいのだという、こういうふうに考え方が変ってきたと、こういうふうにおっしゃるのですね。別の柱を立てて、いわゆる国の責任において措置をしなければならないということは、率の多少の上下によってそういうことになるということではないと私は思うのです。これは、はっきりしておかなければいけないと思うのす。交付税は、あくまでも地方一つの法によって与えられました独立の財源として使われるべきであって、国の責任において措置をしなければならないところの公債費対策のために、勝手に国の意向で、あなた方の意向で使われるべきものでないということは、これは、今さら私が申し上げるまでもなく、あなた自身が認めておったはずなんです。しばしばあなたはそういうことをおっしゃっておる。それが今、率が引き上げられたから、今度はその金の範囲の中でまかなっていいのだ、こういうことになりますと、そもそも公債費対策という国の責任というものは一体どうするのか、こういう問題が私は残ると思うのです。今、急に、せんだってこういう問題を論議してちょうど一カ月とちょっとでありますが、そういうふうに変られると、一体あなた方の言葉をどこまで信用すればいいのか。当委員会におきますところの、公開のこういう席におきますところのあなた方の態度表明というもの、あるいはわれわれの意見というものをどういうふうに持っていけばいいのか、それは変なものになってしまうと思うのです。この問題は、率の多少によって処理されるべき問題じゃない、あくまでも。これは、もう何べんも申しますが、あなたははっきり認めていらっしゃる。こういうことをいいかげんに取り扱われては、まことに困ると思うのですから、重ねてあなたの考え方をお聞きしたいと思います。
  35. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) いいかげんに言葉を適当に変えるというような気持ではないのでありまして、また、実情もそういうことではないのであります。二六%にするよりほかに道がないと考えて閣議決定をいたしました立場から申しますというと、公債費は、あくまでも別個独立の建前において、いわば交付税外において処理をするという理想を振りかぶって、それを信念に持っていたということは、これはまさにいいかげんな話じゃない。間違いのない私の考えであったわけであります。それがいろいろ皆さん御苦心の結果、二七・五に引き上げられることが間違いないという見通しが立ってきた。そこで、それを引き上げることによりまして、財源にゆとりが出て参りますが、これがそのワク内において、交付税の中においてこの公債費をまかなおうじゃないかということの御意向が漸次台頭して参りまして、私がそれに賛成をして、従来の意見を改めたと、情勢が変化をして、その変化をした情勢に即して私の意見が改まってきたということでございまして、突如私の方が方針を変えて、さあついてこいということを言った事実はないわけでございます。ただ、しかしながら、今、先生お説の通りに、私の従来の言質をとらえて、これはどうかと仰せられますと、そういうことになるわけでございますが、情勢は確かに大きな変化でございます。二六以上はむずかしいと考えておったのが、二七・五、それも見込みでなしに、間違いなくいける、こういう見通しが立ったわけで、その折衝の過程においてしばしば、国の財源の都合もあろうから、これを交付税の中でまかなおう、それがだんだん皆さんの空気に出てきて、それもやむを得ないだろう、こういうことで、私がその空気に応じて、これもやむを得なかろう、こういう変化でこれをきめていくということは、あながち御非難に値することでもなかろうではないか、こういうふうに思うわけであります。公債費対策の一つの行き方である。ただ申しわけないのは不交付団体には全く無関係な処理が行われるという点が、私としても、良心の上から大へん気がかりな事柄でございますが、一応この段階におきましては、これを交付税の中においてまかなおう、そのかわりに、二七・五%はゆめ間違わぬように処理してくれ、こういう態度に自分が出て参りますことは、非常に御非難を受けるには当らないのじゃないか、こう考えますので、さような考えに至った次第でございます。
  36. 小林武治

    小林武治君 今の問題ですが、これは私は、田中長官のために弁ずるわけではないが、実は、田中長官が自分でこういう主張をされたのではありません。率直に申せば、三十三年度分からこのような率にすることをあらかじめ定めておくことは、私としてはあまり賛成でなかったのです。そういういきさつから、これをどうしても率を変えなければならぬなら、公債費も、三十一年も一応交付税でもって公債費をまかなって、従って、そのことがあまり筋の違ったことじゃないことだと思うからして、これも処理するなら、処理することにするなら交付税の率を増す、こういうことにして賛成したいきさつもありましてこれはむしろ党の方でもってそういう方針を推し進めていって、田中長官の方もやむなくこれに順応してきた、こういういきさつがあるのでありますから、長官が今も節を変えたとか、言を変えたと、こういうふうなことでもってお話があることは、少しお気の毒のように思いますので、その点を私に弁じさせていただきます。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 今、小林さんからも、いきさつのお話がありましたが、いきさつはわかりました。ただ、田中さん、あなたは、あのくらい公債費対策について熱意としかも努力を傾けた。しかし、まあ完全な格好だとは言いませんけれども、とにかくああいうふうな格好になって出てきた。そのあとの締めくくりについては、先ほど私が申し上げましたように、あなたのほんとうのこれに対する信念あるいは決意というものからして、大いに期待しておったわけでございます。だから私ども、公債費対策の点をこの今回の交付税の率の引き上げとからんで考えることはそもそも間違いだ、こういうふうに思うわけなんで、そして、今あなたのお言葉の中にも、交付税の中に含めて考えた場合には不交付団体に、国の責任で措置をしなければならぬと思うものですら、措置ができない面が出てくるわけなんで、これは、給与関係も、その他義務教育費関係あるいは失対関係費用で、地方で起債をもってまかなった、そういうものに対しては、これはめんどうを見てやれない、めんどうという言葉よりも、国の責任において見てやれない、こういうことになる。ここにも大きな一つの不合理が出てくるわけですね。ですから、この問題はあとやめますが、あなたがみずから説を変じたものでもないようでございますけれども、あなたとしては少し弱かった、信念の士であり、勇敢な田中長官であるということに大いに期待しておったのでございますが、どうも少し弱かったという、まことに遺憾の意を表しておいて、一応関連質問でございますからやめますが、いずれあとの機会にまた一つやります。
  38. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、公債費の問題は、交付公債の利率については別だが、まあ解決したということになると、別個の立法ではないのですが、国が公債費に対して責任を持ったといいますか、国の財政の収支をバランスするために地方にやっておったのをば責任を持ったということに理解していいのですか。そうしますと、まあどこにも出したのだが、富裕団体は財政調整で不交付が出るということで、また事務当局としては、単独立法よりその方がいいというお考えですか。その辺はどうですか。それはやはり、そのお考えがなければ、まあ幾らになりますか、一・五分の、勤務地手当と両方あるんですが、その中の一部を取り出して、単独立法でやられずに、こういう形をとられたのが、富裕団体にはやらぬでもいいとか、どういうのか知りませんが、それが公債費対策としてはいいというお考えですか。小林部長、どうなんですか。
  39. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 公債費の対策に対するやり方につきましては、私は、皆さんいろいろ議論があろうと思います。過去の公債費の元利金そのものを、別途の、国の補助金かもしれないが、そういう形でやるのが一つと、それから交付税を通じて流す方式が一つと、二つあろうと思いまして、今年度の措置は、御案内の通り、いろいろ繰越金の財源に使いたいが、交付税方式を使って公債費の始末をつけることにいたしたのでございます。そこで、公債費の問題は、国の責任論をわれわれかねて主張してきましたので、それですから、これの始末のためには、何らかの形で実質上財源をふやして始末をしなければ、始末にはならぬのではないか、そこは間違いのないことでございまして、いずれにしろ、交付税をふやすか、あるいは特別の金をふやすか、その形は別として、何らかの形で国が特別の措置をしてやる、これはもう絶対的な要件だろうと思うのでございまして、その方式が交付税の方式でいくか、特別の方式でいくか、こういう問題であろうと思います。で、われわれの気持といたしましては、それは、公債費のつけ方にいろいろ議論があったのも事実でございますが、さればといって、非常に富裕な団体という、言葉は語弊がございますが、そういう団体にまで、そのための補給金をやる必要があるかということになれば、これはまた私は、別の議論が出てくるのでございまして、その前の起債でも、それによってやはり何らかの仕事を実はしているわけでございまして、非常に金のあるところは、別な形で金をやるということがいいか悪いかということになれば、やるにこしたことはないという議論もありますが、その必要もないのじゃないか。それよりも、むしろそういう財源があれば、財政の実態に沿うように、交付税の方式を通じて流した方がより合理的ではないかという議論が私は十分に成り立つだろうと思うのであります。そこで、今度の党のお考えは、むしろやるのなら交付税方式を通じてやった方が合理的じゃないかというお考えで、そういう前提で、ある程度率を上げようということが御決議の趣旨ではないか。われわれも、そういう御決議なら、それに従って措置をしてしかるべしと、こういうふうに存じておるのであります。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、これは、富裕団体でもどこでもやったのだが、財源があるから、財政収入と相殺して、行かぬようになったというふうに説明してもいいのですか、どうですか。
  41. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、交付税の算定を通じてやりますから、交付税の算定上この金額が当然計上になりますから、それで、富裕も富裕でないものも、財政需要額の計算の基礎になって参りますから、今おっしゃいましたような議論が成り立つと思います。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 三税にリンクして、交付税がきまっておるわけでありますが、そうすると、今度の改正では、国の施策に伴って千九十何ぼですか、所得税を減税したことによって当然受けらるべき問題が、この税率では調整されていないのです。そうすると、少くとも地方平衝交付金から交付税に変った際には、ちゃんと一定にリンクして、下から積み上げるのではなしに、きちんとして、もう当てがい扶持のようにして、毎年こういう問題で関係当局が係争するようなことを防ぐという趣旨で変っているのですが、昭和二十九年ですか、平衝交付金から地方交付税に変っておるのです。そうすると、一千億以上ということによって起きる——二五%にしても二百五十億起きる、その筋論ですね、それは放棄したと、こういうことなんですか、事実上——。
  43. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の議論は、われわれが本年度交付税率をきめる場合に基本的に議論をした問題でございまして、国、地方の実際の税及びその他のことを総合的に考えて、政府として、党として、あの筋におきめになったのでございまして、われわれといたしましては、おきめになった線に従って、あの始末が一応ついたものだと考えざるを得ないだろうと思うのでございます。そういう点も問題になりまして、おそらく今度の一・五%の率を上げる付帯決議に発展したものだと、そういう点もあわせ考えて御決定になったものだと、われわれは考えておるのでございます。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、この付帯決議の公債費の処理及び勤務地手当の改正に伴うというだけでなしに、原則論の意味も含めて、国税の大幅な減税に伴う分もミックスしてこれはやってあるのですか。小林部長の御発言では、そういうふうになるのですがね。その決議を非常に善意に解釈してあるというが、それはもう不問に付するということで、事実上は交付税の基本的な原則をじゅりんした、多数党である自由民主党さんが筋論をじゅうりんされたということに私はやはりなるだろうと思うのですよ。これはどうなんですか。
  45. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その問題は、結局この政府案で出しております、二十六にしたことがいいか悪いかと、これの根本論だろうと思います。これにつきましては、いろいろ議論があったが、結局二十六でやむを得まいということで、政府は御決定になって、衆議院もそれで御決定になって、こちらへ参っておるのでございまして、本年度に関する問題につきましては、そういうことで、政府も党も、大体これはやむを得ないという御判断になったものだと存ずるのでございます。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、解散はこの秋やるか、来年の春になりますか、いずれ近いうちにあると思うが、そうなれば、三十三予算年度後にあるとすれば、やはり選挙対策も含めて、さらに来年度も減税をやるでしょう、無理しても。そういうことで、またそれを受けて、筋論から減税のはね返りを自動的にふやせという主張はもう放棄する、こういうことになると思うのですが、いかがでしょうか。
  47. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまた、大きな問題になりますが、この御趣旨は、今日の状態を基礎にして、既往におけるいろいろな問題をこういう形で解決をしようと、こういう御趣旨だろうとわれわれは考えておるのでございまして、もっと今日と違った別の事態が起れば、もちろん、それに即応して、しかるべく考えらるべき問題が当然起り得るだろうと、そういうふうに存じております。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは、ほかの何もあるようですから、私は、現段階においてという意味で、そういうふうに理解されて、来年度また新たな情勢が起れば、原則論を主張し得る、この交付税の議論の当然の要求だということは、そういう意味一つやっていただいて私は午後にいたします。   —————————————
  49. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、この際、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案に対する修正方申し入れの件についてお諮りいたします。速記をやめて。    〔速記中止
  50. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。  ただいま御懇談の結果、御意見がまとまりました申入案を当委員会の申入書として決定し、商工委員会に対して申し入れを行うことにいたしたいと思いますが、この決議案文は、朗読を省略して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、これを当委員会決議として、商工委員会に対し申し入れを行うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  委員長より商工委員長に対して、ただいま御決定を願いました申し入書を手交し、善処方要望いたします。   —————————————
  53. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 午前はこれにて休憩いたします。午後は、一時半より再開いたします。    午後零時三十三分休憩    —————・—————    午後二時七分開会
  54. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) それでは、委員会を再開いたします。  委員長が所用のため、暫時理事の私が委員長の職務を行います。よろしくお願いを申し上げます。  この際、交付税関係請願の審査を行いたいと存じます。ただいままでに、交付税に関連のある請願が十二件当委員会に付託されておりまするので、法律案の質疑の間にはさみまして、便宜これらの請願の審査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めます。  請願第百九十四号地方公共団体財源強化に関する請願ほか十一件を便宜一括して議題に供します。  まず、専門員より各請願内容について説明を聴取いたします。
  56. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) 簡単に御説明いたします。  最初の百九十四号と、一つ飛びまして、その次の次、三百五十四号の二件は、国税一千億円減税に伴う措置として、地方交付税交付税率引き上げその他の措置を要望するものでございます。  二番目の百九十五号は、山形県の町村は、新町村建設事業の重点的実施、災害等のために、本年度特に特別交付税の増額交付を切望するというものであります。  その次の九百五十五号から以下九件は、地方財政再建のためまたは確立その他のために、あるいはまた、その方策の一つとして、交付税率の引き上げを要望するものでありまして、その要望の引き上げの額は、あるいは百分の二八、あるいは二八・五、二八・〇五あるいは二八・一と、多少の段階はございますが、いずれも交付税率の率の引き上げ等を要望するものでございます。
  57. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) 次に、各請願に対する政府意見を聴取いたします。
  58. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 地方公共団体財源強化に関連する問題につきまして、交付税交付税率改正は、みんなこれに一連の問題だと思いますが、政府といたしましても、できるだけ請願の趣旨に従って、強化する方向に力をいたしたいと存じております。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連して。小林さんにお聞きしたいのですが、この最後の二千九十八号ですか、そこで、単位費用適正化に関する件でございますが、これは、従来しばしは単位費用の改訂の声は地方にあって、現在の単位費用決定の仕方が、ほんとうの意味でのいわゆる財政需要のそれに適合しないというふうなことで、まあ僕らもしばしば要望されるわけなんですが、この点、自治庁として今どういう見解を持っておいでになりますか。こういう問題がまた一つ交付税の率の問題にも実は関連してくると思いますので、見解を承わっておきたいと思います。
  60. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この単位費用のきめ方の問題でございますが、これはまあ、どっちが先か、これは、理屈からいって、大体経費を先にきめて、率をそこに合せるということでありますが、実際の問題といたしましては、もう率でワクがきまらぬことには、実際単位費用をきめようがない、そういう結果になりまして、予算もきまり、率もきまりますというと、そいつを実際の実情に即して、一番必要とする経費に重点を置いて配分をする、率直な話がそうならざるを得ないのでございます。それで、今度の改正でも、そういう趣旨で、従来から考えておりました、そういう投資的経費等の不十分な点を考えるとか、あるいは今度のベース改訂なり、それらの状況を考えて、そういう意味経費考えるとか、その他いろいろ問題のあった経費考えるとか、こういう仕組みでやったわけでございます。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在では、お話のように、交付税の率がきめられ、ワクがきめられた、その範囲内においてまかなわれるようなことだと思います。そこで、それはそれなりでやむを得ないと思いますが、しかし、こういう問題を未解決のままに置かれておるところに、一つ地方財政の窮迫といいますか、問題があると思うのです。実際は、このような単位費用で見られたのでは困るというのは、これは、具体的に私は幾つも例があげられると思いますが、そういう問題がありますものですから、やむを得ず現在は交付税の率、従ってそれに伴うところの金額がきまって、それによってやらなければいけないということはわかりますが、一つこの問題を、ほんとうに地方の財政需要の実態から検討し直して、それに従って交付税の率等においても再検討しなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。ワクだけ頭を押えておいて、中で多少のいじくり方をしても、これはなかなか解決がつかない。ことしは、新たな測定単位を定め、単位費用がきめられたのもあります。従来からしますと、すこぶる地方でも助かると思いますけれども、しかし、それだけでは、今の地方財政の問題は解決できないと思っておりますので、そういう意味におきまして、これは急速に御検討をいただいて、単なる検討だけでなしに、それに伴うところの交付税の問題等のことも考えていくというふうに私はならなきゃいけないと思いますが、そういう点、今後どういうふうにやっていかれるおつもりなのか、お伺いしたいと思うのです。
  62. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、現在のやつは、いつもこの各県の実態調査をいたしまして、その実態に即するように、経費をしかるべく修正をいたしておるのでございます。だから、今後の問題は、むしろ現在やっておる実態がそもそも行政のレベルとしていいのか悪いのか、地方行政全般の行政水準というものを一体どう考えるかというところに問題を持っていって、現在の県なり市町村なりの行政の実態がどう考えても低い、そういう部面について、それを増強するために、一般財源をどう増強していくかという考え方で問題の展開をしていくべきじゃないだろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。もっとも最後は、一般の税制の問題とともに交付税税率の問題になってきて、交付税税率の問題は、今のところ二七・五に上げるということによって、過去の従来の問題に一応のとどめをさしたということになっておりますが、基本的に、今申しますように、行政水準というもののさらに現状を握把し、今後どう持っていくかという問題をさらに検討いたしまして、この後今の財政対策を考えていきたい、こういうふうに存じております。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 くどいようでございますが、もう少し……。この問題は、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。今回、交付税率を引き上げる問題につきましても、ちゃんと筋は通った主張であるにかかわらず、これをなかなか実現できないというようなこともありますので、そういうものの解決なくしては、こういう今私が申し上げておるような問題の解決はできないと思いますが、さりとて、そういうことにばかり縛られておってもできない。これは、勇断をふるって一つやらなければいけないのじゃないかというふうに思うわけなんです。あなたの今のお話で、たとえば、地方の行政の水準がこれでいいか悪いかの検討が必要だ、こういうお話で、それはそれなりに正しいと思います。ただ、私率直に申し上げたいのは、行政水準がいいとか悪いとかいう一つの例として、たとえば道路ですよ、単位費用がこれでやっていけるか、私は、実はこういうことをざっくばらんな気持で申し上げたいのですが、これは、今回道路の延長なり、橋梁の延長等が加わりまして、そこに多少のゆとりが出てくるかもしれませんが、ところが、そういうところに私は問題があると思う。そこで、いろいろな補正をなされたり、特に昨年ですね、投資的なああいう補正をとられたりなんかして救われておる部面もたくさん出てきておりますが、もともとのこういう特定の単位費用のそういうことに私は大きな問題があると思いますので、一つまあ、先ほどの請願に対して、十分な誠意を持って努力したいというお話でございますので、重ねて、こういう問題を検討すべき時期である。その上に立って、そういう一つの基礎資料をもって、今の交付税の率の問題なり、あるいは地方の税制の問題なり、その他一般の財源付与の問題を私は考えていかなければいけないと思うわけです。今のままにしておいて、地方行政水準がいいとか悪いとかというものをこのままにしておいたら、ここで論じたってらちがあかないところにきておるのじゃないか、こういうことを考えますために、一つぜひともほんとうに誠意をもって御検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
  64. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) 他に御発言ございませんか。——他に御発言もなければ、請願の審査はこの程度にいたしまして、各請願の願意もしんしゃくされまして、法律案の審査を願いたいと存じます。   —————————————
  65. 大沢雄一

    ○理事(大沢雄一君) 午前に引き続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  66. 占部秀男

    ○占部秀男君 小林さんにお伺いをいたしたいのですが、今度の交付税法の改正で、一%原案によれば引き上るわけですが、これはもちろん、今度の地方財政計画にのっとるわけですけれども、現実に地方団体は自然増があるととはいうものの、実際にやった場合に、たとえば、国の事業の増加による地方負担分の増加であるとか、あるいは減税その他の影響で食われておるとか、いろいろな形で、相当楽ではないというふうに私は考えます。そこで、給与の切りかえの場合に、田中長官は、きわめて高い、しかも赤字で、きわめて少いところは仕方がないけれども、その他のところは、もちろん国家公務員の例の六・二と四のパーセントのあれを百パーセントにさせるようにする、こういうふうなお話であったのですが、現在の地方団体の財政状態から見て、一%の引き上げだけで、果して給与のあれが万全にいくかどうかということを非常に危ぶんでおるのでありますけれども、かりに、各県市で、金がないからできないというような場合が起ったには、これはどういうふうな指導をしていただけるか、その点について一つお伺いしたいと思います。
  67. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ベース改訂の問題でございますが、これは、われわれといたしましては、国家公務員に準じて、同じ方式でやり得るように、財政上の措置としては十分にしてあるのでございます。今度の交付税法の単位費用の改訂というのも、そういう点をみな精細に積み上げて変えてあるわけでございますので、一般的な財源措置といたしましては手が尽されておる、こういうふうに考えるのでございます。ただ、あとの問題は個々の団体で、しからば現実の給与を掲げておいて、どういうふうに大体できるかという問題があろうと思うのでございまして、私は、各地方団体におきましても、制度としては、もちろん新しい方式に全部切りかえるということは、これは間違いなく全部やるだろうと思います。ただ、その際に、個々の職員の給与の切りかえ措置というものが、まあこれは、それぞれの団体によって多少のちぐはぐがあり得るじゃないか、こういう問題だろうと思うのでございます。これにつきましても、少くとも切りかえの現状を基礎といたしまして、われわれは制度的に切りかえられることを期待いたしておるのでございますが、その際に、団体によって非常に給与費がかさばって、どうにも動きがつかぬというようなものがある場合にどうするかということだろうと思います。そういうところがどうにも動きがつかぬというときには、それは、多少はしんしゃくをせざるを得ないというところが、これはあり得ると思うのでございますが、しかし、これも、ほんとうにどこの団体があるのかと言われると、われわれも、あり得るという程度の問題で、そういうことで一応これは行われるものだと考えております。そうでなしに、むしろこの際、従来の給与が低いのを上げる問題とか、延伸をどうするとかいう問題をからみ合せると、話がやや逆になりまして、それは、かりにベース改訂をいたしましても、今後の給与費の状況で、多少普通の昇格、昇給をがまんせんならぬ場合もありましようし、そこらの点は、やっぱり切り離して考えるべきじゃないか、こういうふうに存じておるのでございます。
  68. 占部秀男

    ○占部秀男君 私も、実は切り離してお伺いをしておるわけなんです。というのは、金が苦しいときには、いつも一番初めにしわ寄せを受けるのは、これは、小林部長も御存じのように、給与費が何といっても一番手つとり早いといわけで、しわ寄せを受けるわけなんです。そこで、現実に、そういうような場合に、やはり自治庁の切りかえの指導といますか、この前私、自治庁の切りかえについての準則の問題でお伺いしたのですが、そういう場合が、これは相当問題になってくる。自治庁指導によってほうかむりしようというような形が、自治庁がやるわけではないでしょうが、それを利用して出てこられたのでは、これは非常に今度の給与改訂の趣旨とそぐわないものが出てくると思うわけであります。そこで、これは角田さんにお伺いをしたいのでありますけれども、この前、私聞いたときには、自治庁としては、切りかえの準則を出すか、あるいはまた、その準則を出さずに、いわゆる行政指導という形でいくか、いずれにしても、どちらかでいきたい、まだ検討中であるという御答弁であったのですが、もう給与法もいよいよ通るのでありますし、従って、自治庁として、どういう形でいくかということは、もうまとまったと思うのですけれども、その点いかがですか。
  69. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) ちょっと用語の不統一の点があるいはあったかもしれませんが、準則と申しますか、行政指導と申しますか、要するに、今度の国家公務員の給与改訂に伴いまして、原則として国に準じて地方公務員についても給与改訂をやる。ついては、その場合における準則というか、参考となるべきものというか、基準といいますか、その辺は、言葉の使い方にもよりますが、要するに参考となる、これは、国のものそのものが当てはまるわけにはいきませんから、準ずるという範囲内において、いろいろ参考となる事項を通牒によって地方連絡をする、こういう考え方を先般の委員会で申し上げたと思います。どういう事項につきまして地方連絡するかということにつきましては、先般の委員会で、占部委員の御質問に答えまして、いろいろ行政部長から問題点を申し上げたと思いますが、それらの点につきまして、その後いろいろ研究いたしておりますが、国の給与法が今明日中には通ると思いますが、まだ正式に通っておりませんので、今自治庁として、最終的にどういう内容のものということを申し上げるのは困難だと思いますが、大体先般の委員会で申し上げたような、また御質問になりましたような点を十分考慮いたしまして、現在いろいろ案を練っております。
  70. 占部秀男

    ○占部秀男君 自治庁としては、問題が問題でありますので、慎重な態度で……、ただその気持ちはわかるわけですが、やはり給与法が通るという以上は、ほぼ筋というものが大筋的に私はできておるじゃないか、かように考えるわけです。これは、そういう質問の仕方をすると概念的になりますから、この前に確認を得た点については、私は御質問したいとは思いませんが、検討中であるというような点について二、三質問したいと思うのです。  第一に、給与体系の問題、給与表の問題なんですが、七種類十三表という今回のあれで、率直に言えば、あのときもお話したように、とうてい現在の県、市、特に中小都市では、これは当てはまらぬ。そこで、現在ほとんど一本表の形になっておるので、その形の中で、この問題は適宜に一つまとめてやるようにした方が現実に合うじゃないかというふうにわれわれは考えるのですが、その点の検討は終えたですか。
  71. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 先ほどお断わり申し上げましたように、最終的には検討中というお答えしかできないと思いますが、事務的に現在考えておりますことをお許しを得て申し上げたいと思います。  先般の委員会で、行政部長が申し上げました通りでございますが、私どもとしては、やはり地方公務員の俸給表は、できるだけ種類を少くしていきたい。特に、都道府県などは別といたしまして、市町村などの場合は、まあ非常に俸給表の種類をできるだけ少くしていきたい、こういう気持でおります。ただ、たとえば、研究職とか医療職というような特別俸給表が今回国家公務員について設けられました趣旨は、給与制度の合理化という面であると同時に、実質的には、これらの職種の職員に対する給与の改喜ということを含んでおるわけでございます。従いまして、そういう特殊の専門職員に対する給与の改善という趣旨が、特別俸給表を使わないことによって失われてしまうというようなことになりますと、これまた、今回の給与改訂の本旨からははずれるということになりますので、その辺のところは、たとえば、俸給表を使わない場合には、特殊勤務手当で調整するとか、現在これは税務職員について用いておりますが、そのほか資格基準等について考慮するとか、そういうような方法でも用いて、できるだけ俸給表の種類は少くしていきたいと、こういうふうに考えております。
  72. 占部秀男

    ○占部秀男君 非常にけっこうな方向であると思うのですが、今の課長の言われた中で給与改善の問題があるので、その給与改善に見合うところの範囲内においては、最小限度でしょうけれども、一応何か別表も作られるような気もするのですが、かりに給与改善の問題にしても、それは格づけの仕方いかんによっては相当変り得るので、これは、やはり一本表にまとめていただくことが、現在の自治体としては、職場のいわゆる交流的な場面も相当救われるわけでありますし、各職場も、そうした方向でいってもらいたいと思うのですが、一本にするというわけにはいきませんでしょうか。
  73. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 私どもの気持を申し上げますと、原則的に用いるものと、それから用いないものと、それから必要に応じて用いるものと、そういう三本建ての考え方でいかざるを得ないのじゃないか。まあ全部これを一本でやらなければいかぬのだというところまではっきりいうことは、地方団体の自治行政の実態から見て、それまで強く言うことはどうか。特に研究職、医療職というような人々の非常な多年の要望で、こういう特別俸給表ができたわけでございます。むろん今、占部委員からもお話しがありましたように、格づけの基準によって運用のできる面もたしかにございますが、必ずしもそれだけで尽せないものがあると思います。従いまして、まあ私どもとしては、特別俸給表の中で、たとえば、税務職員につきましては、これは用いなくていいのじゃないか、それから研究職、医療職については、絶対に地方団体では用いることが不適当である、全部一本にしなければいかぬというところまではちょっと申し上げにくいのじゃないかという気持でおります。
  74. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の原則的に用いるものと、それから標準的に用いるものと、それからもう一つありましたね。
  75. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 必要に応じて。
  76. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、そういうふうになりますと、これはまあ逆に言うと、確かにこの表は、一本表でなければならぬというきめ方は、自治庁立場としてはできないと思うのですが、結局それじゃ、原則的に用いるものあるいはとの必要に応じて用いるもの、併用をするか、あるいは一本表でいくかというようなことは、それを採用するかいかんは、各自治体の自主性にまかせる、こういうところに前提を置いてこういう形をとられると、こういうことになるわけですか。
  77. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) その通りでございます。    〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
  78. 占部秀男

    ○占部秀男君 なお、それに関連して、今、都道府県の場合と市町村の場合は、ちょっと場合は違うというお言葉がございましたが、この言葉の中には、都道府県の給与表の扱いと市町村の給与表の扱いと、分けて考えるというような流れにあるように感じるのですが、その点はどういうふうなお考えでしょうか。
  79. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 従来、県の場合と市町村の場合、法律の建前においては、実は国家公務員に準ずるという点は、これは変りないわけでございますが、実際のこの給与制度の運用技術的な面におきましては、かなりまあ違った面があると思います。たとえば、市町村の場合におきまして、たまたま定義づければ、研究職の俸給表の対象になるものがあったといたしましても、それは非常に数も少数でございましょうし、そういうものが他の職種との、何といいますか、職場との間に人事交流が全然途絶しているとか、そういうことがない。始終動いているし、土木の技術者がたまたま研究所に行ってみたり、そういうようなことを考えますと、特別俸給表をかりに大府県などで用いるといたしましても、市町村の場合などでは、特に小さな市町村あたりでは、そういうものは用いる必要がないじゃないか。こういう気持で申し上げたのです。
  80. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、なお俸給表の問題で、最後に念を入れておきたいのですが、政府の方は、例の労務技能職ですか、別表を作るわけですが、地方公務員の場合は法律関係を加えた……、合同審査のときに言われておるように思うので、この点については、そういう考えはもう持たないでやっていくということになるわけでございますな。
  81. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 先般の委員会で、いわゆる単純労務者につきましては、これは、法律の建前が一般行政職員と違う、原則として公営企業法の規定に基きまして、条例では非常に簡単な事項だけをきめまして、あと団体交渉できめると、こういう建前になっているということを申し上げたわけです。そういう意味から申しますと、私どもの方で準則とか基準を示す場合には、こういうもっぱら団体交渉によって決定する職員につきまして、私どもの方で基準を示すということは従来やっておりませんし、法律の建前も、そういうふうに私どもは考えております。
  82. 占部秀男

    ○占部秀男君 第二にお伺いしたいのですが、この前の合同審査のときにも、まだこれは研究中であるということで、はっきりした結論は出ていないわけでありますれども、この俸給表の中の各等級の号俸の適用の問題ですね。これは、あの場合にも、中央と地方との現実的な差というもの、姿の違いというものを具体的に説明して、一応自治庁の方からは、それに即したような方向でこれを作りたい、このようなお話でありましたが、その後この問題について結論的——まあ最後の結論でなくてもけっこうですが、何か結論的なものが出ていたら、教えていただきたい。
  83. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) この問題につきましては、都道府県市町村と事情が違うのじゃないかと思います。都道府県は大体、この前も申し上げましたように、大きい府県とか、小さい府県、そういう分け方はしないで、都道府県は一本で俸給の制度を考える場合には考える。しかし、市町村ということになりますと、これは非望に規模の大小がございますから、そういう考え方は必ずしもとれないのじゃないかと、そこで、都道府県市町村の場合でも、多少現実違って参りますけれども、考え方の筋だけを申し上げますと、国の等級の分け方は、やはり国の行政組織というものを前提に置いて分けておると思います。それからまた、実際の国の職員の号俸の分布状態あるいは任用の実態とか、そういうものを現実に頭の中へ入れて、そうしてああいう俸給表を作っておる。それで、地方団体の場合は、これは、そういう国の等級構造の前提となるいろいろの今申し上げたような条件が、国と必ずしも一致していないと、そういう意味におきまして、たとえば行政組織の面におきましては、非常に国の場合には役つきの職員が多い。百人のうち半分近くがいわゆる役づき職員、地方の場合は、地方の場合というと府県の場合ですが、百人のうち二十人ぐらいが役づき職員である。そういうようなところで、実際に役づきになるチャンスも非常に少いわけであります。それからまあ例の定年制の問題とも関連いたすわけでありますが、新陳代謝が非常にしにくいというようなことから、号俸の分布状態も国の場合とは非常に違っていると思います。それから任用面におきましても、府県あたりだといまだに雇用人と吏員というものは、はっきり昇任試験で厳重に区別しておる。国の場合には雇用人から官吏になる場合には、比較的競争試験などという方法を使っていない、従って地方の場合は比較的区別がはっきりしているというようなことから、任用制度との関連も考える必要がある、そういうような点を考慮いたしまして、まあ等級の構造なりあるいは号俸の分布というものを、地方団体、一口で言えば地方団体の実態のうち、少くとも合理的と認められる実態は認めていかなきゃいけない、ただ、まあ率直に申しまして、地方団体で過去において特別の一斉昇給などをやっているために、非常に頭打ちが多くなっている、こういう要素は、これは国に準ずるという建前からいって、そういうものは、実態は別として、そのまま合理的なものとばかりにも言えないと思いますが、しかし多くの場合、今申し上げたような理由で、合理的にいろいろ国と実態が変っているという面は、これは私どもは十分先ほども……、準則等におきましても考慮しなければならないという点じゃないかと考えております。
  84. 占部秀男

    ○占部秀男君 最後の結論が出てないというお話なので、これは非常に言いにくいことになるわけですけれども、このわれわれが心配しておるのは、国と、今課長が言われた地方の実態といいますか、この姿の違いが、国の等級をきちっとやるということを、押しつけられる、押しつけられるという言い方は少しおかしいかもしれませんが、まあ準用という言葉を強くしてやられるということになると、これはどうしても煩雑あるいは不合理、矛盾というものが出てくる、こういうことなんで、その矛盾、不合理がないという形がとれれば、これに越したことはないわけですが、なかなか国の今の給与の内容から見て、あれを相当根底的に、根底的というか、ある程度いじらなければ、そういうことはなかなかできがたいと私は思うのですけれども、そういう点では、国の俸給表を押すということに重点を置くんじゃなくて、地方の実態をまず浮き上らして、それとまあできるだけ今度の国の姿というものを、まあ準ずるという形ですから、そういうふうな考慮を参考的にやっていくんだと、こういう立場に立っていただかぬと、この問題は解決せぬと私は思うのです。従って、そういう点についての課長の御見解を一つ伺いたいと思うわけです。
  85. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) まあ私どもが準則とかそういうものを示す根本の立場というものが、国に準ずるということが法律の建前になっておりますので、そういうことが、まあ実は示すこと自体の根拠にもなっているわけなんですが、従いまして、私どもの立場としてましては、国に準ずるという根本の立場は、やはり変えられないわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、準ずるという言葉そのものに示されるように、当然ある程度のモディファイというものはあるはずであります。そのモディファイというものは、それぞれの団体のそれぞれの実態そのままだということになりますと、これまた全国的な基準というふうなものを私どもが示すことは不可能ということになりますので、まあ先ほど申し上げましたように、共通の合理的なモディファイというものについては、これは私どもの立場として、国に準ずる建前の範囲内において示すことになるんじゃないかと思います。
  86. 占部秀男

    ○占部秀男君 第三に、これは別のあれですが、お伺いしたいのですが、この前のときに、時間がないので実はふれなかったのですが、初任給とか昇級であるとか昇格の基準的な問題については、やはり地方々々の姿があって、もちろん国の姿から全然切り離れた形でどこでもやってないけれども、それぞれのローカルな特殊性があるのです。そういうものが今日実行されておるわけですが、これらの初任給、昇給、昇格の基準の問題については、現行の規定というものを出発点として改善をはかってもらいたいというふうにわれわれ考えておるのですが、この点についての自治庁の方針はどういうふうにお考えになっておりますか。
  87. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 初任給、昇格の基準を含めまして、給与制度の運用につきましては、国に準ずるという根本の建前をとっておる、現実には御指摘のように、多少団体によって違っておる面もあるわけです。そういう違っておる面につきましては、私どもとしては、従来そういうこまかいことまでいいとか悪いとかいうことを申し上げたことは一度もございませんし、今回の場合でも、一応国に準ずるという建前でやってもらうということで、それ以上どうこうというような気持は、ただいまのところ持っておりません。
  88. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは一般の職員ではないのですけれども、臨時職員の給与改善の場合ですね、これはやはり臨時職員とはいえ、御存じのように各県市では自治庁の方とも話し合って、準職員にしたりいろいろと給与あるいは身分の保障をはかっておるのが現実の姿です。これについても、臨時職員の方の給与の面につきましては、一般職員と同様な改訂についての措置が講ぜられることが私は正しいと思いますが、そういう点は、今度自治庁の方としての考え方を持っておられますか。
  89. 角田礼次郎

    説明員角田礼次郎君) 臨時職員の問題につきましては、昨年八月でございましたか、自治庁次長からの通知をもって、地方団体に対しましてできるだけ定数の中に繰り入れるようにと、それから定数の中に繰り入れられるまでの間におきましても、できるだけ一般職員に準じて待遇の改善をするようにと、こういう指導をいたしております。なお、臨時職員という不合理な制度は——これは臨時職員というのは不合理である、新規採用はしないようにということもあわせて申しております。今回の給与改訂につきましては、昨年八月の通牒に示した考え方をそのまま……、別に変える必要はないと思います。ただ、地方団体におきましては、その後あの通牒が契機になりまして、非常に臨時職員制度はいろいろその他の改正によりまして漸次一般職員に近づく待遇改善が、臨時職員について行われております。そういう方向というものを一段と推進して参りたい、今度の給与改訂についてはそういう考え方であります。
  90. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは小林さんにお伺いしたいのですけれども、今の臨時職員の給与の改善問題なんですが、私は見そこなったかもしれませんが、今度の地方財政計画の中には、臨時職員の独立した改訂分というものは見込まれてないような感じがするのですが、そうではなかったですか。その点一つ
  91. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、金額はもとのままになっております。特別に増額になっておりません。
  92. 占部秀男

    ○占部秀男君 一般の職員は、今度の地方財政計画の中にも改善措置がとられておって、臨時職員の分について、そういう同様の措置がとられてないというのは、何かそこに考えがあってやられたことですか。
  93. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この臨時職員については、これはかねてから御意見がありました通り、一般職員に切りかえるべきものは切りかえった方がいい、ほんとうに臨時的な職員は別として、普通の一般職員と変らないものについて、ああいう形で採用することはもうやめさせようというのが、自治庁の基本的な考え方でありまして、各団体にもその趣旨を連絡して、現在は、それは一挙には財政上の関係もあってできませんが、逐次その転換が行われつつあるのでございます。そこで、そういう数字もありますので、そのかわりに普通のあれは、総額として元のままにしておいて、そういうものの振りかえ等は、財源として同じような措置ができる、こういう前提でそういうことにしてあるわけであります。
  94. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうしますと、切りかえで欠員ができた、あるいはまたやめて欠員ができた、そういうようなものの給与のあれというものを、昇給に充てる、改訂に充てると、こういう考え方でやっておるわけですか。
  95. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 財政計画の上ではそういう考え方でございます。
  96. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは、しかし、一応自治庁としてはそういう考え方でも、地方へいくと、やはり財政計画の中に地方のあれがないというと、何かやはりこれはそのまま放っておいてもいいのじゃないか、こういうような知事あるいは市長さんが出ないとも限らないのですね。で、そういう点については、今度の、これは角田さんにお伺いするのですが、何かやはり行政指導の中でこういう点はうたってもらえるのですか。
  97. 柴田護

    説明員(柴田護君) 今の問題につきましては、三月に庶務地方課長会議、財政主管課長会議を開きましたときに、さような考え方を申してあります。  なお、財政運営通達というものを毎年出しますが、その中において、その趣旨のことを触れるつもりであります。
  98. 占部秀男

    ○占部秀男君 それからもう一つ。一般の県や普通の、と言っちゃおかしいですが「大都市、中都市というような場合には、これは割合に問題がないと思いますが、小都市や町村にいきますと、今度の切りかえがなかなか切りかえを行わないという場合が、私は過去の経験からして、起るのではなかろうかと思うわけです。元来町村あるいは小都市は、それぞれの歴史があってでしょうけれども、この前、小林さんにもお話したように、国家公務員のベースから思えば、低いところがほとんど多いわけですが、その上に、そういうような低い市町村では、また逆に切りかえというか、改訂というか、そういうものを渋る傾向が、これは財源関係からかどうかはわかりませんが、非常に強いように私は思うのですが、今度の場合に、特にそういうような小都市、町村については、この切りかえは当然しなければならないという形の指導をはっきりとしてもらいたいと思うのですが、そういう点について特に自治庁の方として考えられておることはございませんですか。
  99. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、今度の切りかえの措置につきましては、先ほど課長の方からお話がありました通りの一般的な何らかの連絡をいたしますが、市町村に関して特別にしなくちゃいかぬ、しろというというような趣旨のことまでこっちで申すのもいかがかと思うのでございます。で、実際問題といたしまして、私は切りかえそのものにつきましては、御心配になるように新市町村については全然やらぬということがあるかということは、私は全然考えられないのじゃなかろうかと思います。それから、ただ、制度はもちろん切りかえますが、あとの個々の格づけやその他については多少のあんばいというものはあり得ると思いますが、制度的な切りかえというものは、まず心配は私はないのだろうと、こういうふうに考えております。
  100. 占部秀男

    ○占部秀男君 実は小林さんの言われるような方向でいけば、われわれも何の心配も要らないのでありますが、もうすでに兵庫県下やそれから二三の県下の町村の方から、町村長は、たとえ国はやってもこっちは金がないのだからやらぬのだという意思表示をした所が、現実の問題として出てきておるわけです。これは先ほど大臣に伺ったときに、昇給ストップの、何といいますか、復元ですね、そういうような問題はとにかくという形ですから、われわれもそれを、そういうような過去の問題を言っておるわけではないのですけれども、過去が悪い上に加えて、今度の改訂をしないというようなことになると、これはもう町村の職員は生活できなくなるので、この点は特に厳重、というと言葉はおかしいのですけれども、改訂はどうしてもしてもらわなくちゃいけないのだということを、そういうような町村には啓蒙的に、積極的な指導をしてもらわなくちゃならぬと思うのですが、一つ緊褌一番やってもらうようなわけにはいきませんですか。具体的な機会を作ってですね。
  101. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ制度改正に伴う措置でございますから、その趣旨は、すべての法令を問わず、趣旨が十分に徹底するようには考えたいと思います。今度の問題は、そういう趣旨で考えたいと思います。それから金が足らないというのの標本は再建団体であろうと思いますが、再建団体等につきましては、どうせわれわれから県の方にそれぞれ相談があろうと思いますから、そういうような場合におきましては、もちろん普通の切り換えはやるように、十分配慮をいたしたいと思います。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回の決議に現われておるような、二七・五というふうになった場合に、どの程度の増になりますか。
  103. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ来年国税三税がどう伸びるかと、こういう問題を含んでございます。かりにこういう本年度通りの額といたしましても、百八億円ふえることとなるのでございます。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは率の引き上げだけで百八億でしょう。
  105. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 一・五%引き上げられので百八億、いわゆる三十一年度のような、税の伸びによる分が見込まれない額ですね。
  107. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方の見当として、来年のことは鬼が笑うかもしれませんが、一つどの程度考えておられますか。
  109. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 来年の問題になりますれば、第一番に三十一年度の、つまり自然増の繰り越し分がございまして、これはほとんど数字的にはまだ確定しておりませんけれども、事実は確定しておるわけですが、百億当然こえるだろうとわれわれは考えております。そのまま精神分が当然にふえます。それからあとは一般の国税三税の伸びでございまして、これはちょっとわれわれも見当がつきかねますが、全然ことしと同様であろうとは考えられないことであろうと思います。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは三十三年度のことですから、的確に額をつかむわけにはいきませんが、およその見当で、率の引き上げによって二五%のときと比べて三百五十億程度伸びるのじゃないかと、私見当をつけてみましたが、これはまあ今言ったように、その百八億の分は、きわめてこれははっきりしますけれども、それ以外の分については推定があるわけでございますから、正確な数字とは申しかねると思うのです。ただ、そういうふうに一応三百五十億程度というふうに押えてみた場合に問題になるのは、先ほど午前の部の委員会でも論議されましたところの公債費の対策の問題ですね、こういうもの、それから給与に伴う増、そういうものを見込まれると、二七・五%にすべきだという決議になるのでございますが、実質的に三十二年度よりそんな程度地方でそれ以外の費用としてどの程度行政水準の引き上げとか何とか、そういうことで使えるかという数字ですね、今言ったように、公債費の分を押える、それから給与関係のそれも寄せた場合に、総括してみます場合に、ほとんど使いどころがなくなるのじゃないかというふうに考えるのですがね、この点どうでしょうか。
  111. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、結局来年度の収支の見通しと、収支に対する国のいろんな財政上の対策の問題を考えぬとしようがないのでございまして、実はまあわれわれもそこまで数字的に問題をつかんでおりません。要するに、今お話通り税は相当伸びるに違いない。国税が伸びれば地方税も伸びるに違いない。国税が伸びたのに対応して交付税ももちろんその二七・五も伸びるに違いないのでございまして、相当財政の規模はふくれるのだとわれわれも想像いたしております。それに伴い、逆に歳出の面にもそれは給与その他の自然増は、これは当然ありましょうし、そういう義務的な経費の増もございまして、それとあと経費の差引増減というものを考えなくちゃいかぬのでございますが、ちょっとまだ今日のところにおきまして、数字的にどうこうという見通しを立てる段階ではないと、われわれもまたそこまで数を突き詰めて考えておらないのでございます。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ、私心配しますのは、これはさきにも申しました通り、私の推定がたくさん入っておる数字でございますから、これを基礎にしてどうのこうのと言えないことは、私自身もわかっておりますが、そういう前提を立てて、不確定性の数字の推定でございますが、そうしますと、今言ったように、私、公債費の問題は、給与関係等において相当な額が、今年度と変らないだけの額が寄せられなければならないとすると、せっかく上げても、実質的に地方が多少とも投資的な経費なり、その他行政水準の引き上げのために使うという金がきわめて少いのじゃないか、こういう心配を持っておりますので、結論として申し上げたいことは、どうも二七・五%じゃ足りないのだ、こういうことなんでございますね。いずれこれは今申しますように、私自身もはっきり自信を持つ数字を正確につかめませんからわからないことで、将来のことの心配だけに終るわけでございますが、これは先ほど大臣と会って、私と大臣との間に話をしましたが、私はやはりあなた方の立場としては、交付税本来のやはり考え方に立ってものを考えていっていただきたい。情勢がこうなったからやむを得ずこういうふうにするのだとか、あるいはこういう考えを持っておったんだが、今度は変ってきたんだというふうなことでなしに物事の処理に当っていただかないと、率は上ってさあ喜んでみたものの、しかし、実質に何もつかめない、こういうことになってしまうのじゃないかと思うのです。こういう点、あなたにあまりこういうことを申し上げても、あるいは悪いかもしれませんが、一つ財政部長としての立場からの強く主張するところははっきりしていただきたいというふうに考えるわけでございますが、今後のこういうふうな問題について、どのような御決意をお持ちになっておられるのか、念のために聞いておきたいと思います。
  113. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 交付税税率の問題につきましては、まあ党の方できめた決議通りで、われわれは現在の情勢を基礎にして、既往の論議はこれでけりをつけるという前提で、党の方針に従わざるを得まい、また、従うのが正しい措置だと考えておるのであります。今後新しい事態が起れば、もちろん事態に即しましてわれわれとして考えていきたいのでございまして、交付税としての本則は、もちろんあらゆる場合にこれは貫くことを考えなくちやならない、こういうふうに存じております。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣が見えておればもっと言いたいのですが、これで……。    〔委員長退席、理事小林武治君着席〕
  115. 中田吉雄

    中田吉雄君 建設省の方においで願いまして、大臣おいでになってからと思ったのでございますが、大へんお待ち願ったので、私こういう角度から御質問申し上げるわけであります。  地方財政の問題は、交付税だけで、まあ一本で解決できるものでなしに、広範な関連で解決しなくちゃならぬ、われわれは不満ですが、幸い来年度からは地方交付税税率を二七・五にしていただける、しかし、なお衆議院付帯決議にもあるように、直轄事業の分担金その他いろいろ問題があるので、これはむしろ自治庁と大蔵省の問題かと思うのですが、分担金と最も関係の深い建設省の方では、この結論から申しますと、私は国がやっておられるような直営事業のような非常に工事費の多いものを、四分の一なりそれぞれの負担率で負担させることが妥当なのかどうか、いろいろまあ直轄河川の改修事業に、昭和三十一年度以降ば再建団体は十分の一、その他の団体は四分の一、あるいは直轄河川の維持については二分の一で再建団体は十分の四というような地元負担を非常に多く持たせることがどうか、これはまあ結局自治庁と大蔵省の問題になると思うんです。そういうことも、今後交付公債の利率の引き下げ等もからんで、問題になるのでございますが、特にお伺いしたいのは、この分担金の関係地方公共団体にこの負担を配分する際の基準の仕方ですね。たとえば利根川の改修にからんでこういうものをどういうふうな配分の基準でやっておられるか、配分の実際の利根川改修のあの関係府県の割当ですね、割当の仕方、そういうことは、公平にやられているかどうか、どういう基準でおやりになっているかどうかということをまず伺いたい。  それから、私この負担のことは不案内ですが、これはやはり受益者負担というようなことが中心なのか、あるいはもし全額国庫負担ならば、もう政治力の強いような所がどんどん取って、少しぐらい負担させぬと抑制作用がないということもあるんでしょうか。一体これは受益者負担ということですか。野放図もなしに政治力のあるような所が、全額国庫だからもうやりほうだいやった方がいいいというような、そういうことを抑制するようなことなんでしょうか。それは大体どういう意味でこの地元負担というものがなされているか、このことについて一つお聞きしたいと思うわけであります。
  116. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) それでは建設省でやっております直轄事業の負担金につきましては、川とか道路とかいろいろございますが、私は川の関係でございますので、川の関係につきまして、ただいま御質問がありました点についてお答えいたします。  最初にこの負担のかけ方の原則でございますが、私ども直轄河川の改修につきましては、これはまあ一般の河川改修の場合とか、あるいは砂防工事の場合とか、あるいはダム工事の場合等によりまして、工事の性格によりましていろいろ考え方も変ってくると思いますが、まず今問題になっておりまする利根川の改修工事でございますが、こういう川の改修工事につきましては、私ども根拠といたしておりまする河川法の考え方は、あくまでも地先主義を原則にしておるのであります。そして特に川の改修工事におきましても、利害の影響するところがはなはだ大きいというふうな場合につきましては、これは建設大臣が工事をやります場合に、影響府県にその率をお互いに分けあってかけることにいたしておるのであります。一般的には、先ほど申し上げましたように地先主義でありますが、特別に、たとえば利根川——この原則をやっておりますのは現在では利根川と瀬田川の二つの川についてでありますが、最も大きいこの利根川につきましては、今申しましたように、上流から下流に至るまで一本にしていろいろ考えなければ利害の影響するところが非常に大きいという考え方をもちまして、新しい方法をとっておるわけでございます。それでは一体利根川の治水分担金のかけ方はどういうふうにやっておるかということでございますが、これば簡単に申し上げますと、大体現在のやり方は、昭和十四年に利根川の増補工率というのがございまして、このときに関係府県の負担しなければならない率をきめたのでありますが、このときのきめ方は、おおむね地先主義の原則によりましてきめておったのでありますが、特に利根川につきましては、昭和二十二、三年ごろに大洪水がありまして、その結果、利根川の改修計画もいろいろ規模が変りました関係で、当初予定しております流域とか、あるいははんらん区域あたりが非常に変ってきましたので、この各府県の分担率も最近検討しなければならぬというふうな事態が生じてきたわけでございます。こういう新しい事態ができましたので、いろいろ関係府県、あるいは自治庁等と相談いたしました結果、一つの新しい分担の方法が利根川についてできたわけでございますが、その考え方は、簡単に申しますと、川の改修の事業費を単独費と共同費と、こういうふうな考え方で分けております。単独費と申しますのは、たとえば堤防のかさ上げであるとか、あるいは護岸とか、水制とか、そういうその施設をした場合に、その施設をやった方側だけが受ける、まあ利益がある工事でありまして、こういうものを単独工事というふうにいたしました。もう一つ、共同費というものを事業費の中に考えまして、この共同費は、たとえば川の掘さくであるとか、浚渫であるとか、そういう両岸に共通する要素を共同費というふうな考え方をとりまして、この単独費につきましては地先の府県が持っていくという原則をとり、共同費につきましてはこの利根川を上から下まで一つの利益を受ける、お互いに利益が相関しておるというふうな区域を三つに分けまして、その三つの区域につきましてはこの共同費はすべてチャンポンにいたしまして、この関係府県が受益率によって按分して分けていくという方法をとっております。この受益率と申しますのはじゃ何を根拠としてやっておるかと申しますと、この関係ある一つの受益地域言葉をかえて申しますと、これは想定はんらん区域と申しておりますが、川が切れた場合にそこまで水が及ぶという区域を想定いたしまして、その区域の固定資産額というものをとりまして、その固定資産額の比率をまあ受益率というふうな考えでやっております。この二つの考えを中心にいたしまして、先般利根川関係の治水分担金を関係府県と協議いたしまして決定して、三十一年度からやっておるわけでございまして、現在川の改修につきましては、こういう利根川の例をとっておりますのは、利根川と、それから近畿方面に瀬田川というのがございますが、その二つでございます。その他ダムであるとか、あるいは砂防工事であるというようなものは、工事の性格によりまして、たとえばダムで申しますと、ダムを設置した地元府県だけに分担金をかけるのは、これは非常に理屈に合いませんので、下流お互いに持ち合いの方法をとっております。大体考え方ば、今も申し上げましたような川の方と同じような方法をとっております。  それからもう一つのお導ねでございますが、分担金は受益者分担金かということでございますが、ただいま申し上げました分担金は、これは河川法に基きまして、当然負担しなければならない負担金でございまして、河川法にいわゆる受益者分担金——これは受益がはっきりしたものが持たなければならぬ——受益者分担金とは別途のものであります。以上簡単でございますが……。
  117. 中田吉雄

    中田吉雄君 道路なんかどうなっておりますか。道路なんか数府県にまたがって、たとえばです、関門トンネル、最近変っておるのですが……。    〔理事小林武治君退席、委員長着席〕
  118. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) 道路の問題でございますが、関門国道につきましては、かつては、直轄事業として国でやっておりましたときは、山口、福岡両県で折半で分担いたしておりました、それが有料道路になりましてからその問題は消えたわけであります。関門につきましてはそういう状況になっております。
  119. 中田吉雄

    中田吉雄君 この負担のさせ方はわかったんですが、どういうわけでこの国と関係府県だけが持つかという……河川法には規定がしてあるのですがね、それはやはり受益ということなんですか、どうなんです。実際はそういうふうにかけるようになった原則というものは、自治庁の方でもよい、それは受益者負担というのを河川法に規定してあることはわかります、自治法に言う分担金と違いますことはわかるのですが、一体これは受益ということなんですか。
  120. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局まあそういう仕事についての、事実国と地方との負担関係をどうするかと、こういう事柄だと思います。今の普通受益者負担金と言っておるのは、そういう個人等を対象にした、法律上、当然きまった負担分以外で、特別の受益のあるものをやるのを受益者と言っております。だから、法律上当然県が負担するというやつは、普通の受益者負担には入らぬと思います。何がゆえに県負担をさせるかということでありますが、そういうことになれば、やはり地元の地方団体に受益があるからほかの団体に負担させずに、地元の団体にある程度負担させるということに、やはり基本的には受益という観念が頭にあって、当該団体にだけ負担させるということになるのだろうと存じます。
  121. 中田吉雄

    中田吉雄君 その前に、道路の問題ですが、私もそういうことが原則で、やはり受益者が、国と府県が分担する受益の度合いに応じて、ということだろうと思うのですが、たとえばこういううわさを聞くのですが、これはどうなんでしょう。東京に長野から出るのに、どこかの道路で一番受益をするのは長野のリンゴ生産販売業者だ、ところがそこに至る国道のその分担金というものは全然持たないのです。それはどの道路でしょうか、そういうことを、私直轄事業の分担金を調べる際に、いろいろこういうケースもあると、私、具体的にその道路を不案内なんですが、どこでしょうか、長野がリンゴを東京に運搬して一番受益するが、ところがそれをやはり維持、改修、補修したりするのは、その関係の受益の薄い所がみな持っている、こういうことが言われているのです。それは一体どの道路でしょうか。
  122. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) ちょっと国道でどの道路かとおっしゃられましても見当がちょっとつきかねますが、おっしゃる所は、おそらくは国道十八号線ではないかと思います。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 どこから出てくるのですか。東京からどう行くのですか。
  124. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) 高崎から直江津まで参りますのが、国道十八号線でございます。この道路は、高崎を起点といたしまして上田、長野、高田を通りまして、直江津へ行く道路でございます。あるいはこれではないかと思われますが……。
  125. 中田吉雄

    中田吉雄君 私がこういう質問をしますのは、これは衆議院決議にもありますように、直轄分担金に対する交付公債というものが、地方財政にもう大へんな重荷になっているのです。これを何とかせぬと、特に関係府県はどうにもならぬ、そしてそれがまた全然それのない所にもそのしわが寄らざるを得ぬ、まあこういうことがあるのです。建設省の方は御案内でないかと思いますが、たとえば千葉県のごときは三十一年度末の交付公債の現在高が十九億六千万あって、千葉県はたしか十六億くらいな赤字で再建団体ですがね、こういう問題が解決すれば簡単に……、千葉県が十九億六千、埼玉が十二億四千四百、茨城が十九億四千七百、栃木が十一億九千八百、新潟が十二億一千四百、こういうふうに直轄工事の、これは農林省、運輸省、建設省三省の合計で、ほとんどこれらの県は千葉県のごときは再建団体指定されている、赤字の額をもう三億も上回っている、こういうような状況でそういう県がまあ十数県あるのです。それがまた他の県の財政に波及するということになりまして、三十一年度末の三百五十億からある交付公債は、これは根本的に検討する段階になっているのです。ですからやっぱり私は河川法やいろいろな関係法規で分担させることに、四分の一なり十分の一なりなっておりますが、これはやはり受益者負担——あるいは有力議員等があって、地元の負担がないということになると、無制限に持っていくというのをコントロールする作用も間接的にはあると思いますが、受益者負担だと思います。そうなると、やはり建設省とされては、経済効果というもの、ほんとうにはんらんする河川を修理して、一帯関係府県の経済効果というものを厳密に査定して、私は、その想定はんらん面積というようなことで——なるほどこれでは簡単にかけられると思いますが、それで果して受益者負担ということで経済効果にほんとうに比例した負担になっているかどうか、非常に疑問だと思うのです。ですから、その額をどれだけにするか、それを交付公債にするかどうかというようなことは、お宅の問題ではないと思うのですが、やはりダムを建設したり道路をつけたり、あるいははんらんする河川を改修したりすることによって生ずるこの経済効果というものは、何らかの仕方でやはり科学的に出していただいて、そして関係府県がバランスの取れたような、負担するならするということをやってもらわにやいかぬと思います。たとえば今関門トンネルということを言われましたが、有料道路になったからいいものの、山口と福岡の取り入れ口だけが大体受益者負担というのは、トラック輸送が今日のようになっている際に、あそこの関門トンネルを通るのは山口と福岡だけじゃない、最大の受益者はそこだと思いますが、もっと鉄道輸送にかわるくらい長距離トラック輸送が興れば、これは受益の範囲が変ってくる、私はそういう点でも、すでに有料道路になったからいいようなものの、かつて負担したものについても非常に問題がある、そう額も大きくはないと思いますが、とにかく関門トンネルを山口と福岡だけに受益者負担で持たせるとはいえ、トラックは私はそれだけじゃないと思う、通るのはもっと中国あるいは北九州とか相当多いと思う。そういうことですから、やはりこれを持たせるからには、建設省とされては、自治庁や大蔵省が適正な措置ができるような、直接の担当省ですから、経済効果というものを、私は、今後一つやってもらわぬと、まあこの利根川関係府県は、だいぶ負担のアンバランス等もあって、去年ごろですか、だいぶ調整されたようですが、とにかく十数億、一番少いところで十一億ぐらいから二十億近いです。利根川改修の地元負担をさせられておるということですから、一つこれは、工事はますますやっていただかなくてはならぬのですが、実際関係府県が東京のためにやっておるというようなことを言っておる人も多いのです。一つむずかしい問題だと思うのですが、私は、特に利根川等の改修費を、分担金をどう持たせるかというには、ほんとうにどういう形で受益がはね返ってくるかということを見ていただきたいと思いますが、ただいま御説明いただいたようなことですか。
  126. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 利根川の分担金につきましては、三十一年度から、新しい受益率を加味した方法によりまして、今年、三十一年度の利根川関係の受益者分担金がたしか四億五、六千万、関係府県にかかっていくことになっておるはずでございますが、その中で、千葉県が、お説のように、非常に今までの地先主義のやり方でいきますと、アンバランスなやり方を受けておったので、これがたしか、今回の新しいやり方によりますと、五千万円程度は軽減されるというふうに私記憶しております。で、今やりました新しいやり方が、私どもも、もちろん利根川につきましても、完全な、理想的なものとは考えておりませんが、まあ現行法が、御承知のように、分担金は各府県の受益の限度に応じてかけるということになっておりまして、この受益の限度とは、何をもって受益の限度とするかということについては、なかなか非常にむずかしいのでありまして、議論もいろいろでございますが、私ども治水工事を中心といたしておりまする改修担当の省としましては、やはり何と申しましても、災害防除の点を中心にいたしましてやった方がいいのじゃないかというふうなことになりまして、そのはんらん区域内の被害率と申しましょうか、被害を受ける家屋とか、工場とか、田畑とか、そういうものを中心にとった方が最も具体的じゃないかというふうに考えまして、固定資産の額をとったわけであります。この固定資産の額にいたしましても、年年いろいろ変動いたしまして、今きめた事柄が、直ちに今後永久に当てはまるとも思いませんが、それはまたそれで、事情の変りましたときに改定の問題も起りましょうし、また私どもも、ただいまやっております方法が理想的であるとは思っておりませんので、今後いい方法が見つかりましたならば、そういう方法をやりたいというふうに考えておりますが、当分といたしましては、自治庁関係府県と協議した結果、こういうことでいこうじゃないかというふうなことにきまったわけでございます。
  127. 中田吉雄

    中田吉雄君 想定はんらん面積、これは一体どういうことなんですか。かつてあったどの辺までを想定されるのですか。明治からはんらんの広さとか頻度とかいうようなことをやっておられるのですか、どうなんです。これは、今お出でになっておる中安さんも鳥取県にお出でになっておるが、明治から私の県のはんらん地帯を調べてみるとどういうわけか、東の方はほとんどほんらんせずに西の方にいくというような、これは、全く最近の災害を見ても非常に移動しておる。どういう形で一体想定はんらん面積というものを出しておるか。私がずっと県会議長をやっているときに、明治から災害を、鳥取県内における地域的な分布を調べたところによると、河川のはんらんする地帯が、改修ともからんで非常に移動している。これは、西と東に決定的に移動しているということがあるのです。私は、関東の地帯は不案内ですが、そういうこともあって、大体無難な想定はんらん面積はどうして出されるか。
  128. 中安米蔵

    説明員(中安米蔵君) 想定はんらん面積につきまして、利根川について御説明申し上げます。  利根川は、昭和四年に第一次の改修が一応済みまして、この新しい改修に移り変るわけでございますが、現在の状態において、新しい改修の計画規模であります利根川で言いますならば、毎秒一万四千立方メートルでございますが、その計画高水流量がきたときに、現在のままでは、一体どこが切れるであろうか、どういった状態になるであろうかということを各個所について検討いたしまして、そうして二十二年に事実切れておりまして、切れておりますところは、その既往の記録を採用します。それから、切れておらないところは測量いたしまして、その地域につきましてはんらんした場合、どこまでいくということを想定いたしまして、現在の状態で測量、それから支川の関係、そういうことを調べまして、きめておるわけでございます。
  129. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、土木工学の専門的なことは不案内ですが、道路についてお尋ねいたしますが、道路は、二県ぐらいにまたがりますが、それは、やはり工事分量に応じて機械的にかけるのですか。
  130. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) お尋ねの通り、大体地先主義で分けているのが普通でございます。つまり工事分量によって分けております。
  131. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、これも、受益が同じようについておっても、たくさん使う県とそうでない県と非常にあるのです。これは、自分の県のことを引いて恐縮ですが、中安さんがやっておられた戸倉、これは、兵庫県と鳥取県とにまたがっている。そういうふうにやっていただいた方が私の県にはありがたいのです。それは、鳥取県が兵庫県以上に、おそらく京阪神に出るので、使うのです。だから、同じ地先主義でかけるといっても、工事分量に比例することは、必ずしも受益の程度に比例していないのです。兵庫県の方から鳥取県に入ってくるのと、鳥取県から京阪神、日本の工業の中心に行く方とでは、てんで私は問題があると思うのです。現行法の方が私の県には利益ですが、しかし、これはやはり公平な分担ということからいえば、私は、よほどその使い方によって、地先主義ですか、それだけでは果して公平であるかどうか、バランスがとれておるかどうかということは問題だと思うのであります。河川局の方にも道路局の人にもお願いしておきますが、道路を直したり、はんらん河川を改修したり、ダムを作ったりする受益をどう、その経済効果といいますか、ほんとうに測定したらいいか、どれだけの負担をするかということは別個の問題ですが、建設省関係部局にお願いしたいことは、やはり非常にこれは、関東数府県では命取りになると。とにかくこの分担金がある。しかも、それがなかなかわれわれのようなしろうとが見ても、必ずしも納得し得るものでない、そういう点で、やはりまあどれだけもたせるかということは別にして、きまった額を、関係府県にバランスのとれた負担をさせるためには、やはりもう少し経済効果というものを、一つめんどうなことだと思うのですが、私はやっていただきたい。そうして、幸い有料道路になりましたが、関門トンネルにしても、山口と福岡だけ、とにかくトンネルの出口と入口だけに受益を負担させるということを見ても、いかにも交通機関の発達しないときの分担金の賦課方法だったと私思うわけです。ですから、私もこの問題は少し調査しただけですが、ぜひ一つ道路、河川、港湾、そういう受益、経済効果というものを一つ、どう見ていくかということを御検討していただくように、そうしてこの各府県の割当に対して最も合理的な方法について、さらに御検討していただくことを私は希望しておきます。  そこで、自治庁にお尋ねしますが、そういうふうにして利根川を改修したりして受益がある。ところが、その想定はんらん面積なんかをやって、なるほど受益があるでしょうが、しかしその受益を受けるたとえば農家、なるほど受益も受けるだろうが、その農家というものは府県税を払わぬものだということは、私は、これは県財政に非常に重大な問題を含んでいると思う。なるほど河川のはんらんするものをはんらんしないようにしてもらう。あるいはダムを建設して生産力が高まるということになるでしょう。しかし、現行地方税の体系では、そういうことによって起きてきたこの交付公債による負担を受益者が払うというのに、百姓は県税を住民税以外には払わぬわけですから、全然受益でないものが負担せねばならぬということから見ても、これは非常にそぐわないのです、実際に。これはどうなりますか。
  132. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局、農業県における税制が現行のままでいいか悪いかという一つの問題点で、これはまあ、かねてから農業事業税ですか、農業施設税か、何らかの形の農業課税というものが徴税としてあるべきではないかという問題が、まさしく今おっしゃいました点になろうと思うのでございます。確かにそういう面があるのでございまして、地方制度調査会その他におきましてもいろいろ意見がある。自治庁内部にもいろいろ意見があるのでございますが、いろいろな事情で、実現に至っていない問題で、今後なおその点は、検討考究すべき一つの大きな問題点じゃないかと思います。
  133. 中田吉雄

    中田吉雄君 部長、今御答弁いただきましたように、なるほど利根川を改修して受益はある。しかし、受益者は現行税法の中ではとにかく払わぬのですからね。なるほど間接的には生産力が高まる。購買力ができて、物を買って、商売人が事業税その他で払うというように、間接的にはくるのですが、私は、そういう点からも、特にこれほど地元の大きな、千葉県においてはとにかく十九億六千万、茨城においても十九億四千七百万というようなことを、受益者が現行税法では全然受益に応ずる納税をせぬでもいいような機構になっている際、私はやはり無理だと思うのです。そういう点だけから見ても、私は、これはやっぱり、とにかく一県に、たとえば昭和三十一年度でも、とにかくこの利根川関係府県に四億四千万も負担さしておるのですが、それほど多く、地元に大規模に、直轄工事に対してこういう負担をさせるということは、私は無理だと思うのですが、それを単に、自治庁とされては、利率を下げるという程度で一体この問題が解決すると思っているのでしょうか、どうでしょうか。
  134. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、建設省の諸君がお帰りになっちまいましたが、問題はむしろ、直轄事業に対する地方と国との負担率をどうするか。そこまで問題が究極にいかなければ、私は解決しない問題があろうと思うのでございます。で、まあわれわれといたしまして今議論しておるのは、その直轄工事の分担金を、まず分担率を前提にして、交付公債で払って、それにおまけに利息があります。利息が、十数年かかれば五、六割の利息がつくのでございまして、そういう五、六割の利息までかけて負担させるということは、全く筋が通らぬじゃないかという議論を展開いたしておるのでございますが、仰せの通り、特定の県、特に直轄が非常に大規模な、けた違いの事業が行われます地元におきましては、単なる交付公債の利子だけで全部問題が解決するかといえば、私は、必ずしも解決しない問題が残るだろうと思うのです。その直轄の事業も、ほんとうに一年間、数年間で終る仕事なら、それは問題ありませんが、ほとんどこれからまだ十年も二十年も継続せざるを得ないと、非常に大規模な仕事を集中的にやらざるを得ないというところが私はないわけじゃないと思うわけでございまして、そういうところにおいては、今の負担率でそのままやっていって動きがつくのかという問題は、なお根本的に残ると思います。
  135. 中田吉雄

    中田吉雄君 しかしわれわれは、この利率の問題だけでは、とても大規模な直轄工事を四分の一も持ったりするというようなことでは、とても私は問題だと思う。それだのに、財政といえば、大体利率を少し考えてくれという程度では困る。直轄工事の分担金が府県財政に及ぼす影響について、あまり軽く見ておられるのじゃないだろうか。
  136. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) いや、これは、われわれは、直轄工事の分担金の問題は、利率だけの問題であろうという気持には実は考えておりません。ただ、まあそれで、直轄工事の全額国庫負担論というのが実はここにあるわけでございます。自治庁といたしましても、直轄工事は、国でやる以上は、国の全責任でやったらいいじゃないかと、こういう一つの議論があるわけでございます。しかし、これにつきましては、やっぱり直轄事業であっても、地元にはそれは最大の利益があるのだから、地元も一部負担すべきじゃないかという理屈もありまして、全額負担理論にはいろいろ議論があろうと思います。しかし、特に道路などのような生産的な仕事は別として、たとえば治水事業のように、あるいは砂防のように、全く消極的な、災害を防禦すると、そういう意味仕事で、おまけに非常に巨額の金がかかるというふうな仕事については、むしろ国が全責任をもってやるべきじゃないかというこれは議論があるのでございまして、われわれといたしましても、今の体制よりも、むしろそういう方向に問題を解決すべき点がこれはあろうということは、そういう問題として考えておるのでございす。少くともその問題はその問題として一方にあり、他方では、この公債費対策の一つの問題といたしまして、この交付公債の利子がまことにばかにならぬものでございまして、公債費対策の一環の面から考えて、直轄事業の分担金の交付公債の利子というものは、何かやはり特別な措置をすべきであろうという考え方を持っておるのでございます。
  137. 中田吉雄

    中田吉雄君 かねて大蔵省と折衝されていると思うのですが、大蔵省の意向はどうですか。
  138. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、この利子の一般的な利率の引き下げの問題がございまして、御承知の通り、預金部の利率は、まあ少いのですが、二厘下げることになったわけです。この預金部の金利を引き下げすることにつきましては、これは、一般の国民の預金を扱っておるのでございますから、資金のコストの関係があって、おのずから限度があろう。それでわれわれといたしましても、まあ二厘でやむを得ないということで、了承いたしたのでございますが、それで、そちらの利子を引き下げる関連から考えましても、交付公債の利子につきましては、何らかの措置をしなければ、全くバランスがとれぬ問題なのでございます。利率の措置について、大蔵省にいろいろ要求を出しておるわけでございますが、しかし、大蔵省といたしましては、何かこのままで放ってはおけないということは、それは考えておるのでございますが、われわれは、政府資金が下ったから、政府資金と同じ割合で下げるのだという態度には、これは理屈もなければ自信もない、納得いたしかねるのでございまして、むしろこの機会に、交付公債というものの筋を立てる、公債費対策の一環としての筋も立てる、こういうことで、本来一時に払うか、地方団体の状況によって分割払いにするか、こういう考え方で、無利子という考え方をとれぬかということがわれわれの考え方でございます。しかし、まあ大蔵省にしてみれば、一時に払う金を十年年賦にすれば、それだけでも得じゃないか。年賦償還すれば、延滞的な利率というものは当然あるのが当りまえじゃないか。公債に利子があるのは当りまえじゃないかというふうなこれはまあ理屈もありまして、現在のところでは、まだこのしかるべき解決には到達いたしておらぬというのが実情でございます。
  139. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ本国会も明日で、この問題を深く掘り下げてやる時間もありませんが、おそらく来年度の大きな問題となると思うのですが、その際一つ検討していただきたい点は、直轄事業の負担率ですね。大てい四分の一なんですが、直轄河川の維持というものと、直轄道路の補修というのが、二分の一も地元負担になっておるというのは、私ちょっと納得できないのですが、これはどういうわけですか、二分の一になっておる。あとは大体ほとんどが四分の一ですがね。これは二分の一、半分、この今申し上げた直轄河川の維持と直轄道路の補修というやつですね。
  140. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、要するに、国と府県との負担関係をどうきめるかというところにいろいろ問題がありまして、結局その改修費のように、非常に多額で一度にやらなくちゃならぬという問題につきましては、地方の負担を考えて、どうしても高率の負担をやらなければならない。しかし、維持補修ということになれば、地方の責任じゃないかという考え方一つあるわけなのでございます。一般の道路の維持補修、河川の維持補修も地方仕事になっておりまして、そこで、地方との関係が特別に深いというような前提がございまして、直轄維持補修をやる場合におきましても、地方の負担率を高めようという、その考え方で、そういう負担率にこれはなっておるのでございます。そこで今、先ほどいろいろ道路の通過、交通の問題などのお話がありましたが、その道路のようなものは、昔の状態を考えればおそらくは地元の府県のものが最大限だったろうと思いますが、今日のように道路交通、自動車交通が非常に盛んになってくるというと、道路の維持補修費というものが半分半分というのは、また地元には負担が重過ぎるのじゃないか。もっと国がやらぬから、むしろ経過地の道路はさっぱり維持補修がうまくいっておらぬという問題が実は新しく出てきておるのでありまして、現在やはり道路交通の実態に即して負担率というものをあるいは調整しなければうまくいかぬじゃないかと、こういう問題が私はあるのじゃないかと存じております。
  141. 中田吉雄

    中田吉雄君 この直轄河川の維持費の二分の一というのを、特に重くしたのはどういうことですか。
  142. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、直轄河川は半分半分だと思います。これはやはり、その直轄河川の維持改修というのは、そもそも維持改修を直轄でどれだけやるかという実は一つの問題がありまして、普通は、直轄工事が終ったら、維持改修はみんな府県にまかして、府県の責任でやっておるのが中心だと思います。しかし、その非常に大きな川とかダムとかで、どうしても国がやらなければ動きがつかぬというやつを実は国がやっておりまして、そういうものについては、そのかわりに、地方と国との折半でいこうじゃないかという考え方で、二分の一にこれはなっておるのでございます。
  143. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、通産省の方に来ていただいておるので、その方をやりますので、あとでやりますが、これは、やはりもっと種別の負担割合、各府県の分担方法、そういうものは、やはり新たな情勢に応じて、もっと検討していただかんと、私は非常に不十分じゃないかと思うわけです。アンバランスができるのじゃないかというふに思うわけであります。この問題、終局的にもう少しお尋ねしたいことがありますが、一つ通産省に伺います。  私は、地方債で地方公共団体の公営発電あるいは調査をやっておりますので、その採算の問題ですね。そういうことが果して地方財政に寄与しているかどうか、こういうことは全く不案内ですが、お教えを受けたい。こういうことなんですが、この府県なり市町村が発電して、そこで、使うのは、自家消費ならば別ですが大てい売電をやっておるのですが、それのやり方と、関係法規をどうしておるか。
  144. 井上猛

    説明員(井上猛君) 地方公共団体がやっておる発電関係でございますが、これは、特別法ができておるというわけじゃございませんので、結局旧公共事業令、現在まあ電気事業方面はできておりませんので、要するに、公共事業令に基いて、一般の電気事業者と同一に取扱っておるわけでございます。それで結局、現在の公営電気の関係は、その公共事業令に基いて大体やっておるわけですが、実情は、ほとんど自家消費というのはございません。全部売電というような格好で、九電力会社に発電した電気を売っておる。こういう実情でございます。
  145. 中田吉雄

    中田吉雄君 その売電をする場合、通産大臣にですか、何かやはり電力会社と話し合いをして、何か認可を受けるとか、そういう関係はどうなんですか。
  146. 井上猛

    説明員(井上猛君) これは、公共事業令に基いてというと、結局公営電気が九電力会社に売るときには、もちろん契約を結ぶことになりますけれども、その契約について、通商産業大臣の認可を得る、こういうことになっております。それから、契約についてのそれじゃ値段はどういうふうにしてきめるのかという御質問がございますと思いますが、これは、事業会に基きまして、結局原価主義、要するに、かかったもので売るという原価主義を原則としてとっておるわけでございますが、ただ、公営電気の関係ではちょっと九電力といろいろ事情が違っておる。と申しますのは、資金の関係でも、九電力は、一般の市中銀行からいろいろ金を借りてるというような点がございますが、公営関係では、当然所要の資金というものは、おのずから政府の財政資金とか、あるいは公募債と、それからまあ、自分のところでかりに資金があれば、それを県の一般の会計から出すような組織もございましょう。そういった、資金のソースが限られておりますので、それの返済に、非常に九電力のようなところと違ってお困りになる。そういうような事情を考えまして、原価の中では、一応建設費の中の二%以内で減債基金といいますか、要するに借金を返す資金を作ろうということで、建設費の二%以内の要するに減債基金を原価の中に入れることができるということでございます。  それからもう一つは、県営の中では、結局現在のところ、やはり一カ所、ニカ所、非常に発電関係が少い発電所でやっておるわけでございますので、非常に危険負担がある。そういう意味で、償却は、もちろん九電力の計画償却ということになっておりますが、そのほかに、特別償却は普通償却の五〇%以内で認める、まあこういうことをやっております。  それからそのほかに、再評価をやったところですが、これはまあ、戦前あるいは戦時中にできた発電所についての問題になりますけれども、そういった再評価をやった発電所につきましては、その差額についてまあ一%以内の特別償却費、それから自己資金を使った場合には、その自己資金に対して四・五%以内の積立金を認める、こういった特殊ないろいろ要素を加味して原価を割り出しておる。それに基いて、九電力と相談してきまった値段で売っておる、こういうふうになっております。
  147. 中田吉雄

    中田吉雄君 各府県の状態についてはわからぬですが、大体償却で採算がとれてるんですか。どうなんですか。
  148. 井上猛

    説明員(井上猛君) これは、今まで出てきております発電単価はまちまちでございますが、いずれも、先ほど申し上げました通り、減債基金なり特別償却なり、そういったものを見ておりますので、十分採算がとれたベースでやっておる、かように考えております。
  149. 中田吉雄

    中田吉雄君 売電をする際に、自治庁とその関係地方団体と、通産省、おたくの方といろいろ話をして、実際の手続としてはやっているんですか。ただ府県が業者と単独にやってるのか、そして認可というのですか、それはどういう形なんですか、どうなんですか。
  150. 井上猛

    説明員(井上猛君) これは、発電の計画なり、あるいは工事なりにつきましては、府県あるいは自治庁関係、いろいろあると思います。しかし、少くとも電気の契約に関する限りにおいては、私の方は、自治庁と協議するということはいたしません。法律では、通産大臣だけの要するに認可事項になっておりますので、私の方だけでやっております。
  151. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、私はよくわからぬのですが、県営発電をやってるところが何か、協議会といいますか、団体でも組織して、有利な取りきめをするという動きはないですか。そうせんでも、十分採算がとれるようになっておるのですか。
  152. 井上猛

    説明員(井上猛君) 公営の電気に関する団体でございますが、これは、最近いろいろ各県県営の発電所の計画、それを実施してございますので、公営電気事業経営者会議というものを組織しておりましておそらく毎年定期的に集まってございますが、またいろいろ、原価の算定の方法とか、経営のやり方とか、いろんなことを内部的に御協議願っておるようです。しかし、現在のところは、まだそれが、いろんな研究段階と申しますか、内部的な打合会議くらいにとどまっておるようでございまして、個々の契約その他について、団体が代表していろいろ折衝するというようなことは、まだやっておりません。
  153. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、まあ発電しても、売るのに梱包してどうするということもできないので、そこにある送電線のある会社に売らざるを得ないという、非常に弱い立場があると思うのです。この立場で、私は、結局発電をやっている会社は、自分のところで資本を投下して発電して売るより、県営の、県費で発電さして、それを買って売った方がはるかに採算がいいのじゃないか、そういうことになってしまっているのではないかという懸念があるのです。私の質問しようとするのは、実際はそこですが、とにかく他の商品とは違って、絶対に買手の独占です、少くとも大てい。そういうことになると、非常に弱い立場になると思うのですが、会社が発電して売っているより、この方がもうけがいいのではないかと私は思うのですが、その関係はどうですか。
  154. 井上猛

    説明員(井上猛君) その御質問、抽象的に申しますと、いろいろまた言いようがございましょうと思いますが、県の発電を抽象的に考えますると、少くとも県営の発電では税金関係が、一応今度は、固定資産税との関係ですか、交付税がかかるくらいなもので、税金関係は少くともかかってこないというような点で、同じかりに県における資金を投じ、同じ発電コストでやれるというような点からしますと、税金がからないだけ少くとも得をする。安くつくはずだ。こういうことも考えられるわけでございますが、ただ、まあ九電の場合は、少くとも数十カ所あるいはそれ以上発電所を持って、総合運転をしている。県の方では、結局一カ所、ニカ所現在のところやっているのが大部分でございます。従って、会社で申し上げますと、本社経営というような一般管理の関係は、おそらく九電その他から見ますと、非常に高くついております。従って、でき上った売電コストから見ると、果して県営が有利であるかどうかということは非常に疑問ではないか。もっと具体的な問題としましては、結局これは、九電の場合その他の発電の場合でも同じでございますが、開発計画をわれわれが認めるというときは、当然その発電所の計画をまず見て、それが当然でき上ったときに経済性に乗る発電計画であるかどうかということをよく見てやるわけです。経済性に乗らないものについては、計画させないというか、計画があっても、これを取り上げないという格好になるだろうと思います。ところが、計画では非常に経済性があるといたしましても、実際上工事中におきまして、いろいろな関係で工事費が多くなるというのが大部分の問題でございます。そこに、非常に県営の発電所ができ上ったときの売電の値段の交渉のときの問題が起ってくるのです。それで、実は発電所ができ上って、その上でいろいろ単価の点を交渉するということになりますというと、今のような、工事費が非常にかさんだ場合に、トラブルが起るという格好になりますので、われわれの方としては、公営の発電関係につきまして、できれば、発電計画を持ってきた場合、そこで、大体このくらいの値段でこの発電所は動き出すだろう、その値段を基礎に置いて、あらかじめ買ってもらう九電力と話し合いをしておく、もしそれ以下に発電所ができ上る。またそれ以下で運営ができるということであれば、当然そこに、県の方としても努力を認めて、十分採算といいますか、利益の上るような単価をきめていくというようなことも、あらかじめ話を十分伺っておかないと、計画だけで経済性があっても、実際にでき上ったときに、工事費がかさんで経済性に乗らないという場合も出てくるわけでありますから、現在のところは、だいぶそういう傾向があるわけです。従って、九電の方から見ますというと、必ずしも経済性に乗っておる発電所ばかりではないのでありまして、場合によっては、九電の方も苦しいことをしているというような点もございます。  それから、九電の方が非常に買う方に圧迫を加えているのではないかというような御懸念もございますが、そういったことは、いろいろ交渉の段階においてまとまらない場合に、私どもの方に相談を持ってくるわけであります。われわれの方は、公平な立場から、いろいろ仲介といいますか、仲裁の労をとって、そう不公平にならないような契約ということを指導しておるわけでございます。
  155. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、課長がさっき言われたように、とにかく税金はかからぬ、コストの中に、そこに携わる官庁の諸君のコストまで含まれるかどうか知りませんが、まあある意味では安く売り得るのです。そういうこともからんで、どうも買いたたかれて、結局電力会社は、自家発電よりこの方がもうけがいいということになりはせぬかと思うのですが、その点はどうですか。  私は、まあ名前のごとく公益事業局ですから、非常に公益的にやっていただけると思うのですが、どの局とは申しません。私も貿易にからんである局に行って、通産省ほど巨大資本の側に立って事をやられるところは、とにかく私の接触した限りではない。まあびっくりするほど大メーカーの立場に立って……私びっくりしたのです、ほんとに。はっきり言いますと、中国貿易の話ができた。主としてそれは中小メーカーである。ところが、三井、三菱、住友というような化学工業の大メーカーが横やりを入れて、局長は縮み上ってしまって、どうにもできないで、こんなばかなことがあるかということで、やっさもっさやった。まあそういうこともあって、いろいろお世話願っているのに大へん恐縮ですが、とにかく自分の所に資金を投じてやるよりか、県なんかのを買ってやった方がいいじゃないかということがあるものですから、結局県庁等が割合そういう採算の問題を厳密にやらずに、県営で発電をやるが、果して実際財政的に、業界の方でやられているような利益で県財政にプラスになるか、その点、非常に不案内の点もあるのですが、まあ一つ、そういうことのないように、私ももう少し勉強して質問したいと思うのですが、どうも私の考えでは、これは非常に弱い立場で売らされているのじゃないかというふうな感じがある。二、三の府県で赤字の県がありますが、これはどういうわけですか。
  156. 井上猛

    説明員(井上猛君) 私、具体的にまだ、どういう県が赤字なのか、ちょっと今のところつかんでおりませんが、具体的にもしどの県ということであれば、御説明申し上げます。
  157. 中田吉雄

    中田吉雄君 たとえば、山口、福島、宮城。
  158. 井上猛

    説明員(井上猛君) これは、料金を申請してきております。これは、原価上からは赤字が出ておらない。ただ、資金の関係で、要するに、公債を返すときにその資金が不足するとか何とかという問題が赤字ということであれば、そういう懸念があるかもしれませんが、しかし、原価上からは少くとも赤字になっておらない、こういうような契約でわれわれは認可しております。
  159. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題は、この程度にいたします。またあとから一つ指導を受けに参りますから、よろしくお願いいたします。
  160. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 暫時休憩いたします。    午後四時十七分休憩    —————・—————    午後四時三十一分開会
  161. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  質問を継続いたします。
  162. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 小林さんにお尋ねしたいと思います。単位費用の点で、まあ消防が非常に問題になるわけですが、消防と警察とを比較するのはかえっていけないかもしれませんが、しかし、一応比較してもいいと思うわけですが、大体警察の方は、今度改正になって、一人当り三十六万四千六百円です。ところが、消防の方を見ますと、こちらは警察職員だ、こちらの方は人口だからということもあるかもしれませんが、五十円ばかり人口一人についてふえている。それで、総額予算で見ますと、一億円くらいふえているように、予算書か何かに出ておったわけですが、何にしても、消防の施設等から考えてみて、いま少し費用等をふやさなければ、たまったものじゃないだろうと思う。きょう、全国の市議会議長会からもらった資料を見ましても、これは山形市の例なんですけれども、大体基準財政需要額に対して需要額のパーセントは七四・三%くらいにしかなっておらぬと、こういうわけですけれども、何かこれは、自治庁関係じゃなくて、国家公安委員会の所属か、自治庁の方はあまり力を入れない、冷や飯を食わしておけというようなことで算定基準をやっておいでになるのか。これでは、一日に一億ずつ、とにかく火事で燃えているわけなんです。三百六十数億というものがとにかく灰になっているのが現実なんですから、いま少しこういうところに力を入れてやれないものだろうか。あなたの方のお考えなり、あるいはこの増額等について、相当大蔵省とも御折衝になっているとは思いますけれども、一応のいきさつ等も御説明願いたいと思います。
  163. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 消防につきましては、自治庁といたしましても、必要な経費はもちろん、可能な限り見なければならぬという考え方をとっておりまして、別に警察と比較してどうこうという考え方はございません。これは、単位のとり方は、警察と消防とは基礎が違いますし、それからまた、実体も違いますので、そこに違いがあっただけでございます。今度の改訂におきましても、人件費の関係はもちろん給与関係で、これは、すべての職務について平等な扱いでございますが、消防につきましては、特に機動力といいますか、機械力といいますか、そういう意味強化というものを頭に置きながら、一応経費を計上いたしたのでございます。
  164. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も、警察のことにちょっと触れますが、こういうことなんですよ。自治体警察のときには、単位費目がうんとこれは少かったと思うのです。このときのこれの伸びと消防の伸びのことを私はさしているわけです。  それからもう一つは、消防でいうと、三百億くらいの年間の予算がないと、十カ年計画が成り立たない。で、十カ年計画を立てたのは、なぜかというと、消防の機械を見ると、十カ年しか使えないから、それで、詰めて三百億くらいになっておる、それに対して、国からは大体百分の一くらいしか出ないという実情なんですから、あなたは力を入れたと言うけれども、実際のことをいえば、少しも力が入っておらなくて、非常にお気の毒じゃないか、これじゃ何といったって、先ほど申したように、実際焼けて、国の宝が灰になってくるんですから、いま少し何とかならないものか。あなたの方は、たとえば、これよりも額を相当上回ったものを大蔵省に出して折衝されたのか、あるいは消防庁の方からもう少し高い額が出てきておるのか、そういうことはわかりませんけれども、何としても、とにかく五十円ばかりの増では少しひど過ぎるじゃないか。だから、あるいは人口だけでこういう測定単位のとり方が妥当なものか、どういうものか、そういうような点も、いろいろと御検討になっているのじゃないか、そういう点について、一応聞かしてもらいたいと思います。
  165. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この経費につきましては、これは大蔵省に折衝をすると——予算の折衝じゃございませんから、補助費の問題はもちろんやっていますが、これは、自治庁の方といたしまして、消防庁とも検討をして、与えられた交付税財源の中で考えるのでございまして、この数字の基礎につきましては、一つ政課長から数字的に説明をしてもらいます。
  166. 柴田護

    説明員(柴田護君) 三十一年度の消防の基準財政需要額というのは、大体百四十五億であります。百四十五億というのは、これは決して多い額じゃございませんで、おっしゃる通り、少いかと思っております。今回単位費用を算定いたしました場合に、基礎といたしましたのは、昨年の秋、人口十万の都市を中心にいたしまして、実態調査をいたしました。この実態調査の結果を基礎にいたしまして、単位費用を組み直しておるのであります。そのねらいは、主として消防の機械装備を充実するということを中心にいたしております。で、この単位費用で試算をいたしますと、補正係数が若干動きますので、試算が狂いますけれども、前年通りの補正係数を使って試算をいたしますと、約百八十億円になります。従いまして、昨年に比べますと、三十三億円の増になります。  警察の問題は、警察費につきましては、同じような試算をいたしますと、昨年に比べまして五十億円くらいの増になります。その後、単位費用を組みました後におきまして、現地について調べまして、地方団体意見——これは補正係数を検討する必要がありますので、現地について一々調べたのでありますが、その結果では、大体機械類等の装備類については満足である、ただ職員数について、まだどうしてもこれではいけないということが大方の意見として聞かれております。私たちも、消防の職員数としてこれが現在単位費用で組んでおりますのは、消防司令以下全部入れまして五十五人でありますが、五十五人じゃ十万の都市はやっていけないというわけであります。市側の主張は、大体あと五、六人はどうしても要るのじゃないかという主張でありますので、なお検討いたしたいと思っております。ただ、御質問の趣旨の、警察に比べまして消防の方が少いとおっしゃいますけれども、われわれの試算では、そうおかしいことはない、警察が五十億伸びておりますのは……。
  167. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、自治警のときから県警への伸びの方がいいと思うのですが……。
  168. 柴田護

    説明員(柴田護君) その問題は、自治体警察の場合は人口を基準にしておりますので、定数も何もございません。で、府県警察になりましてから、ちゃんと政令の定員がきめられておって、政令の定員そのものを測定単位にすることができる。従って、財政需要の測定が正確になるということは言えるかと思います。消防につきましても、それじゃ人口のほかにそういうものをとったらどうかという意見もかつてございましたし、一時、平衡交付金時代に、人口じゃございませんで、床面積をとったことがございます。床面積をとりますと、かえって消防の基準財政需要の測定が不正確になるという結果が出ましたので、人口に戻ったという経緯がございまして、現在のところ、人口以外に測定単位を変えるという気持を持っておりません。中身を洗ってみますと、消防の職員構成が十分でないという点が現在指摘されておりまして、逐次直して参っておりますけれども、なお不十分であるということは、認めざるを得ないと思っております。
  169. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その次に、教育費の点についてお尋ねしたいと思いますが、今度相当上っておるようでして、けっこうだと思うのですが、全国でたしかPTAが負担しておるのは大体まあどのくらいにあなたの方はふんでおいでになるかわかりませんが、今度の単位費用の値上げは、理由としては、賞与であるとかあるいは給与改訂、そういうもののふくらがりを大体逆算されておやりになったと思いますが、しかし、PTA等の負担も相当多いと思いますから、そういうような点については、どんなふうにお考えになっておるのかですね。
  170. 柴田護

    説明員(柴田護君) PTAの問題と申しますのは、結局市町村の小中学校の物件費が少いじゃないかということになろうかと思うのでありますが、この問題につきまして、小中学校の経費につきまして、PTAの負担というものを特には勘案いたしておりません。ただ建物の耐用年数でございますとか、あるいは一般の物件費につきまして、坪数の改訂とかあるいは建築単価引き上げ、こういったようなことから、単位費用を改訂いたしたのであります。PTAの負担というものはどのくらいかということでありますが、これは、実は調べたものもございませんので、正確なものは実は調べかねます。まあ大ざっぱに言って、百億ぐらいになるのではないかと考えられますけれども、この中には、単位費用に織り込んでしかるべきものと、しかるべからざるものとがあろうかと私は考えております。生徒経費の不足分を補う意味におけるPTAの負担というものは、できだけ財政計画の中にも反映せしめていくべきでありましょうし、また従って、単位費用の中にも織り込んでいくべきでありますけれども、そうでない、必要最小限度の経費プラスアルファの経費がPTAの中にあろうかと思います。そういうものは区分けができませんので、現在のところは、そういうことを考えませずに、現実の予算というものを分析した結果、抽象化し得るものから抜き出して単位費用を組んでございますが、なおその辺の分析の結果、当然に財源的に見ていかなければならぬものにつきましては、財政計画も合理化いたしますし、単位費用の合理化にも反映していきたいというふうに考えております。
  171. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 全体、この市町村関係の教育費の単位費用を改訂されたわけですが、これで総額どのくらい伸びることになりますか。
  172. 柴田護

    説明員(柴田護君) 教育費につきましては、高等学校の教育……。
  173. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いやいや市町村だけ、市町村立の……。
  174. 柴田護

    説明員(柴田護君) 小中学校だけですか。
  175. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 小中学校だけになりますね。高等学校もありますが、どういうふうでもいいですから、総額で……。
  176. 柴田護

    説明員(柴田護君) 高等学校の経費につきましては、定時制の高等学校の種別補正の問題が残っておりまして、この問題をどう処理するかという問題がまだ残されておりまして、この試算が今できません。小中学校の改訂単位費用で計算をして参りますと、市町村の小中学校だけでは、大体十五億ぐらいであります。
  177. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 十五億伸びるのですか。
  178. 柴田護

    説明員(柴田護君) はい。
  179. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 承わりますれば、十五億伸びるというお話ですが、もう一つは、PTAの負担が物件費にも関係ありますが、百十億前後私はあるだろうと思うのです。従って、あなたの方の押えておられる数字と大体似ておると思う。しかし、百十億前後の中には、物件費以外のものも含まれているじゃないかとおっしゃるが、まさに私もそれもわかる。それにしましても、PTAというものが非常に一つの天下り的な寄付行為であるということは実際問題なんです。ですから、そういう問題については、私はやはり、あなたの方でもう少し考えていただいて、しかもこれは、市町村でこういうふうに見ていただきますと、片っ方では義務教育半額国庫負担法でくるわけですから、これは県の持ち出し、市町村の持ち出しもありますが、何にしましても、国から半分くるということは強みなんですから、一つこの点について、やはり百十億の国庫負担があるのだということは、現実にあることなんですから、一つ御認識の上に立って、いま少しこれの面の引き上げについて努力していただきたい。それでなければ、やはり寄付行為というものはあまり感心したことでなくて、つい最近の傾向としては、何か金持ちのところにたくさんの寄付を仰がなければならない、それが学校教育等にはいい結果をもたらしておらぬわけですから、そういうような点を十分考慮されて、一つ御善処方をお願いしたいのであります。
  180. 柴田護

    説明員(柴田護君) よろしゅうございます。
  181. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それでは続いて、時間もございませんから、あわてて申し上げますが、生活保護なんですが、今度何か、単位費用を社会福祉費というのと生活保護費というものに、二つにお分けになって、各費とも若干ずつ引き上げておるようなわけですが、実際問題として、このぐらい引き上げても、これじゃ生活保護の対象というのですか、実際やっていけぬわけですが、あなたの方は、これでやっていけというようなつもりなのかどうか。どういうのでこんなところにこんな……。実際これは数字のおもちゃなんだな。どういうふうにお考えになっているか。
  182. 柴田護

    説明員(柴田護君) 生活保護費を分けましたのは、これはきわめて技術的な理由なのであります。と申しますのは、従来は、社会福祉費の中で生活保護費を見ておったのでありますが、つまり社会福祉費関係の人件費と、それからネットの生活保護者の扶助費というものをぶち込みにしておったわけであります。ところが、その計算をいたします場合に、生活保護者数の生活保護者の密度について密度補正をやっております。つまり生活保護者の密度が高いところによけい金がいくように補正をしております。そういたしますと、その密度補正がその他の社会福祉費の人件費までかかってくる。そこで、算定が正確性を欠くわけであります。そこには、生活保護費だけを別に抜き出しまして、これを社会福祉費と分けて単位費用を組んだわけであります。非常に少いとおっしゃいますけれども、これは、昭和三十二年度の国庫予算額を基礎にいたしまして、国庫予算額から標準団体についての額を推定して出しておるわけであります。もしこの額が少い場合、国庫予算そのものが少いということになりますが、現在の状態から言いますと、この生活保護費の単位費用というものは、決して少くないと私は考えております。
  183. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ数字が私たち納得いかないものですから……。あなたが逆計算をしたもので、やむを得ぬとおっしゃれば、それはその通りだと思いまして了承しますが、とにかくおかしな話だと思います。そうして、こういうものが若干ふえたからと言うのは、何か気休め的なものだと思うので、目的はこれで私は達したものとは思いませんので、来年度お変えになるのだから、そのときはもう少し抜本的なものもお考えになるのじゃないかと思いますが、それはそれとして、次にお尋ねしたいと思いますのは、横梁ですね。橋梁の関係では、非常にこれは伸びがよく、一つ木造というようなものは永久橋に切りかえていこうという大きな方針のもとにおやりになったのだろう。こういうことが去年ごろきっと論議されて、こういうことになったと思いますが、これが来年度はまた元通り下るとかということになってしまいますが、少くともこういうことにやられると、来年やられるような場合は、何年ぐらいたったら、およそ日本にある橋ば、木造のものが永久橋に切りかわっていくというような、そういう見通しは、ある程度建設省等とも打ち合せされておると思いますが、どんなふうでしょう。
  184. 柴田護

    説明員(柴田護君) 橋梁の単位費用につきまして、伸びております理由は、新たに、橋梁の面積以外に橋梁の延長、道路につきましても、道路面積以外に道路の延長というようなものをとったわけであります。その関係で大きく伸びておるのでありますが、延長をとりましたのは、御指摘のように、行政水準の確保といいますか、財政計画上の維持修繕費の是正に見合ったものとしてあげておるのであります。これは、木橋を永久橋にかえるという見方をしておるのでございますが、大体橋長三十メートルの橋で、五メートルの幅員を持っておる橋、こういうものを基礎にして、木橋を永久橋にかけかえる計算をいたしております。建設省計画というものも、別に今のところはっきりいたしておりませんし、私たちの方としましては、こういうような考え方で、橋梁の延長をとっていくということでありまして、特にこの単位費用を見込むことによりまして、何年後に全国の木橋が永久橋になるというようなことを頭に置いてやったわけではございません。
  185. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうですが。私は、建設省等と十分打ち合せられて、一つ、木造橋はとてもかなわないから、永久橋に全部かけかえてやろう。だから、ちょっと見ると、府県の方で千六百円ほど一メートルについて伸びておるわけですから、あなたの方は、せっかくこういうことをおやりになれば、永久橋になれば、そう直さなくてもいいことになりますが、何か建設省等と打ち合せをされて、一つ計画的におやりになる、そういうようなことは、道路の問題にしろ何にしろ、一つ計画をもって、木造橋がこれくらいある、延面積というものはこれくらいあるということはあなたの方ですぐおわかりになる。こういうものを全部とは言わないが、その何割かというものを、交通頻度とか重要度というものもありましょうから、そういうことを勘案して、計画に基いておやりにならないと、次にはこれがへこんでくる。次には伸びたというようなことになっては大へんだと思いますから、一つそういうような点も、単位費用を算出される場合の検討のうちの一つの資料にしていただいたら非常にいいのじゃないかと思っております。
  186. 柴田護

    説明員(柴田護君) 私、ちょっと御説明が足りませんでしたが、実は、この橋梁の延長、道路の延長というものも、府県市町村を通じて、どこといってはあれでございますけれども、実ははっきりわかっていないのでございます。道路の延長、橋梁の延長の一応試算はいたしておりますけれども、この延長の実際基準財政需要額を試算してみますと、どの程度になるかということはわかっておりません。これから実際試算してみないとわからない。現在当っておりますが、大体国道、府県道はわかるのでありますが、市町村道は全然わからない。木橋についても、国道、府県道は見当がつきますが、市町村道はわからない、こういう状態でありますので、はっきりした計画が立てられなかったというのが実情であります。そういう実情でございまして、数値をつかんだところで計画的なものに直していきたい。
  187. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 こまかいことですが、補正係数を算定する場合、地域給が補正係数の一つの重要な役割をなしていると思いますが、町村合併をしたようなところ、あるいは現行地域給をやっておみえになっているのか、人事院が一応改訂案を勧告された、その案が基準になるのか。それから、町村合併が行われたところはそのままになっておるのか、あるいはそうではなくて、補正係数をやる場合には、一つ町村合併をやったようなところは、片一方の方の地域給はそのままになっているけれども、補正係数のときは、町村合併をやったようなところは一つ大目に見ていくというようなことで、補正係数を使っておみえになるのか、どういうふうにやっておみえになるのか。
  188. 柴田護

    説明員(柴田護君) 現在の単位補正係数をはじきます場合に、勤務地手当の予算が違ってくるわけでありますが、平衡交付金の初期のときにおきましては、人事院の級地そのものをとっておった時代がありましたが、現在はそのままとっておりません。と申しますのは、平衡交付金を人事院の級地によりまして計算いたしました結果、級地引き上げ運動が猛烈に起りまして、弊害がありますので、それはやめまして、現在は勤務地率、勤務地手当の支給率によって種地をきめております。全部種地によっておりますので、間接的に種地が、勤務地手当というものが反映してくる、こういう形になっております。
  189. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 明十八日は、午前十時より委員長理事打合会を開くこととし、また、午前十一時より委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会