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1957-04-23 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十三日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員異動 四月二十日委員山本經勝君辞任につ き、その補欠として木下友敬君を議長 において指名した。 本日委員成田一郎辞任につき、その 補欠として森田豊壽君を議長において 指名した。  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小林 武治君            小柳 牧衞君            館  哲二君            安井  謙君            吉江 勝保君            占部 秀男君            鈴木  壽君            森 八三一君   国務大臣   国 務 大 臣 大久保留次郎君    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任連合審査会開会に関する件 ○消防団員等公務災害補償責任共済基  金法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○国有提供施設等所在市町村助成交付  金に関する法律案内閣送付予備  審査) ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○地方財政法及び地方財政再建促進特  別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  委員異動がございました。去る二十日山本經勝君辞任されまして、木下友敬君が補欠選任されました。また本日成田一郎君が辞任されまして、森田豊壽君が補欠選任されました。  以上御報告いたします。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。理事小林武治君より、書面をもって理事辞任したい旨のお申し出でがございました。小林君の理事辞任を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、連合審査会開会についてお諮りいたします。昨日委員長及び理事打合会を開き、協議いたしました結果、ただいま内閣委員会において審査中の給与法について、連合審査会を開くことを決定いたしました。つきましては、理事会決定通り一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、内閣委員会に対し、連合審査会開会の申し入れを行うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時は、内閣委員長と協議の上決定いたすこととなりますので、この点、あらかじめ委員長に御一任を願っておきます。   —————————————
  7. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、ただいままで本委員会予備審査のため付託されております法案中、いまだ政府より提案理由説明を聴取しておりませんものが三件ございますので、この際これらについて、政府より提案理由説明を聴取いたします。まず、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案について、説明を聴取いたします。
  8. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 今回提案いたしました消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  消防団員等公務災害補償責任共済基金法は、第二十四国会において成立し、昭和三十一年五月二十一日法律第百七号として公布され、昭和三十一年十一月二十日から施行されたものであります。また、同日付をもって消防団員等公務災害補償責任共済基金も成立したのでありますが、この基金法審議の過程におきまして、水防団員等に関しても、本法と同様の措置をすみやかに講ずることとの附帯決議が行われ、また強い意見が述べられたのであります。  御承知のように、この基金法は、非常勤消防団員及び消防作業に協力援助した者に対する措置について規定しているのでありますが、政府といたしましては、右の経緯にかんがみ、水防団員等に対する損害補償の現状を検討いたしました結果、非常勤水防団長もしくは水防団員または水防に協力援助した者についても、非常勤消防団員等と同様に、この基金において市町村その他の水防管理団体支払責任を共済することとすることが、非常勤水防団員等損害補償の確立のために最も適切な措置であると考えましたので、今回消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案として、ここに提案いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたします。   —————————————
  9. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して説明を聴取いたします。
  10. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  昨年創設されました国有資産等所在市町村交付金制度は、固定資産税を課さないものとされていた国または地方公共団体が所有する固定資産についても、そのうち、国または当該地方公共団体以外の者が使用している固定資産国有林野土地及び発送変電施設の用に供する固定資産については、現に固定資産税の課されている他の同種固定資産との均衡及び当該固定資産所在市町村との間における受益の関係等を考慮して、所有者たる国または当該地方公共団体から固定資産税相当額資産所在市町村交付することとするものでありますが、これに該当する固定資産でありましても、行政協定によりアメリカ合衆国軍隊使用させている固定資産につきましては、この制度を適用しないものといたしているのであります。しかしながら、アメリカ合衆国軍隊使用させている固定資産の中には、住宅施設福利厚生または娯楽施設工場倉庫ドツク等企業的施設等のごとく、現に固定資産税を課されているものとその性格または使用実態の異ならないものがありますし、また、飛行場演習場の用に供する土地のごとく、市町村の区域内に広大な面積を占有し、かつ、市町村財政に著しい影響を及ぼしているものが存するのであります。  このような事情によりまして、当委員会からも、これらの施設所在市町村について適切な財政措置を講ずべき旨の御決議をいただいたのでありますが、これらの固定資産を直ちに国有資産等所在市町村交付金対象に加えますことは、資産性格上若干問題のあることでもありますので、この御決議にこたえ、かつは、これらの施設所在市町村財源を与えるため、別途国有提供施設等所在市町村助成交付金交付するものとする制度を創設いたしまして、その交付を受ける市町村交付基準等につきまして、所要規定を設ける必要があるのでございます。  これがこの法律案提案する理由でございます。  次に、この法律案具体的内容を簡単に御説明申し上げます。  第一に、本助成交付金交付を受ける市町村は、すでに御説明いたしましたように、国が所有する固定資産のうち、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律第二条の規定により使用させている固定資産並びに自衛隊が使用する飛行場及び演習場の用に供する固定資産政令で定めるものが所在する市町村といたしております。固定資産範囲は、さらに政令で定めることになっているのでありますが、現に固定資産税を課されております同種固定資産との均衡等も考慮して、おおむね、住宅施設の用に供する固定資産福利厚生または娯楽施設の用に供する固定資産工場倉庫及びドックの用に供する固定資産飛行場及び演習場の用に供する土地等は、この範囲に加えたいと考えているのであります。  第二に、本助成交付金の額は、予算で定める金額範囲内において、政令で定めるところにより、当該固定資産価格当該市町村財政状況等を考慮して決定するものといたしております。具体的な交付基準は、政令で定めるのでありますが、原則として、本助成交付金交付対象となる固定資産価格を基礎として算定した額によるものとするとともに、とくにこれらの固定資産が所在することによって財政運営に著しい支障があると認められる市町村に対しましては、その財政状況等を考慮して算定した額を加算するものといたしたいと考えているのであります。なお、本助成交付金の総額は、昭和三十二年度におきましては、五億円を予定しております。  第三に、本助成交付金算定及び交付に関する事務は、自治庁長官が行うものとされているのでありますが、その交付時期等につきましては、政令所要規定を設けることといたしております。  以上が、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案趣旨でございます。  なお、続いて、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  すでに本国会におきまして成立いたしております地方税法の一部を改正する法律によりまして、大規模償却資産に対して課する固定資産税につきましては、所在市町村課税限度額引き上げが行われているのであります。国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度は、国もしくは地方公共団体または公社が、その所有する固定資産にかかる固定資産税相当額固定資産税にかえて所在市町村交付し、または納付する制度でありますから、固定資産税課税限度額引き上げに対応して、大規模償却資産にかかる市町村交付金算定標準額または納付金算定標準額限度額につきましてもこれを引き上げる必要があります。さらに、日本国有鉄道が直接その本来の事業の用に供するために借り受けている車両につきましては、その使用実態によりまして、これを市町村納付金対象とするものとするほか、所要規定整備を図る必要があります。これがこの法律案提案する理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、市町村納付金客体日本国有鉄道使用する民有車両を加えたことであります。さきに述べましたように、日本国有鉄道が直接その本来の事業の用に供するため車両製造業者より借り受けている車両につきましては、その使用及び借り受けの実態にかんがみ、所有者固定資産税を課するかわりに、これを日本国有鉄道が所有する償却資産とみなしまして、市町村納付金客体とすることを適当と考えたからであります。  第二は、大規模償却資産にかかる市町村交付金算定標準額または納付金算定標準額限度額は、改正されました固定資産税の場合に準じまして引き上げることとしたのであります。大規模償却資産に対する固定資産税についての所在市町村課税限度額さき地方税法改正に際して引き上げられましたので、これに対応して、人口段階ごとにきめました該当資産価格限度額引き上げるとともに、これらの制度を適用した結果当該市町村基準財政収入見込額基準財政需要額一定割合に相当する額を下回ることとなるときはその割合に相当する額となるまで課税限度額引き上げるものとする財源保障率を現行の百分の百二十から百分の百三十に引き上げ、また、新たに建設された工場または発電所の用に供する大規模償却資産につきましては、右の財源保障率を、当該償却資産について市町村交付金交付することとなった最初の年度から五年度間に限りまして特に引き上げるものとしているのであります。なお、公社が所有する償却資産で、鉄道または電気通信の用に供するもののうち総理府令できめるものにつきましては、大規模償却資産にかかる市町村納付金算定標準額限度をきめる規定は、これは適用しないものといたしております。これは、自治庁長官価格関係市町村に配分いたしております日本国有鉄道または日本電信電話公社の所有する償却資産のうち、軌道の延長キロメートル数または開通電話の数に按分して配分しているものにつきましては、その配分方法特殊性にかんがみ、とのような償却資産について納付金算定標準額制限規定を適用することは適当でないと考えられることによるものであります。  以上御説明申し上げましたもののほか、公社の所有いたしております固定資産価格関係市町村に配分した後において、その配分した価格に錯誤があることを発見いたしました場合においては、翌年度においてこれを修正するものとし、また、交付金算定標準額または納付金算定標準額端数計算につきましては固定資産税課税標準額端数計算の、交付金額または納付金額端数計算については固定資産税額端数計算の、それぞれ例によるものとする等の規定整備をはかっております。  以上が国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。
  11. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいま説明を聴取いたしました三法案質疑は後日に譲ります。   —————————————
  12. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案提案理由説明は、すでに聴取いたしておりますが、この際、さらに内容の詳細について、政府委員より説明を聴取いたします。
  13. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手元にお配りしてございます「地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案要綱」、これに基きまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  その一つは、地方財政法改正でございます。  一は「地方公共団体は、予算編成し、執行し、その他支出の増加又は収入の減少の原因となる行為をしようとする場合においては、当該年度のみならず、翌年度以降における財政の健全な運営をそこなうことのないようにしなければならないものとすること。」財政法四条の二の改正でございます。その改正は、きわめて書いてありますことはしごくもっともなことでございまして、これは、財政運営建前からいえば、いやしくも後年度以降に影響のあるような行為をしようとするときには、後年度以降の健全な財政計画を頭に置いて作るべきことは当然な次第なのでございます。しいて書かなくてもいいじゃないかという理屈さえあるくらいの当然の規定でございますが、御承知通り、現在の財政法におきましては、地方財政運営基本方針を数条にわたって規定いたしておるのでございます。第二条において財政運営基本を書き、それをやや細目的に、三条において予算編成を書き、四条において予算執行を書き、それから、四条の二において、財源年度間の調整の規定を置いておるのでございまして、これらの規定とともに、もう一つは、個々の財政行為をする場合において、後年度以降における問題を考えるようにということを書く必要を認めて、特にこれを明らかにいたしたのでございます。特に再建団体だけでございませんで、いろいろの団体財政執行を見ておりますと、特に極端なのは、予算外義務負担行為というような行為予算を通ぜずにやるものでございまして、それが後年度に非常に影響を与える、それがやや行き過ぎておりまして、たとえば、橋をかけたり何かするようなことまで、予算外義務負担でやったりしておるような傾向さえあるくらいでございまして、財政運営上はなはだ適当ではない。そこらの点をはっきりさせまして、地方団体運営基準を明かにしたい、こういう趣旨でございます。  それから次の二は、「地方公共団体が行う事業のうち、主としてその経費当該事業経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めるものについては、特別会計を設けて経理すべきものとすること。」これは六条の改正でございまして、現在の六条におきまして、公営企業経営について特別会計を設けて、もっぱら企業経営に伴う収入をもって充てる原則を書いておるのでございます。しかしながら、ものによりましては、こうして純粋に公営企業で当然全部行うべきもの、それほどでございませんが、相当収益が上って、主たる財源当該収入をもって充てるべきものが少くないのであります。たとえば、簡易水道のごときものとか、あるいは港湾埋立事業のごときものとか、屠場のような事業が実はございまして、これは、今まで一般会計で持っておったのでございます。しかし、これらも経営を合理化する精神から申しますというと、むしろ特別会計を設けて、経理の厳正を期した方がよかろう、こういうことを考えまして、特にこの六条の二項を設けまして、こういうものは特別会計経理して、経営合理的運用をはかるべきことを明らかにいたしたものでございます。中身は政令で定めることにしておりますが、政令では、今申しましたように、簡易水道とか、あるいは屠場とか、港湾埋立事業というふうなものを考えたいと思っております。これは、ちょうど本年度起債計画のときに御説明申しましたが、いわゆる公営企業でなしに、準公営企業とでも申しますか、収益的な建設事業として一つのワクを設けて、一般会計からはずす扱いをいたしまして、そういうものの主たる財源起債でやる、そしてあと経営は、その事業からあげる収入中心にしてやる、そういうものとのかね合いで、ここにこういう規定を設けて、受け入れの態勢もはっきりすることにいたしたのでございます。  それから三番目は、「内閣総理大臣が定める特定計画に基く地籍調査に要する経費については国庫がその一部を負担することとする等負担区分に関する規定整備すること。」これが十条の二十三号の二の改正でございます。国土調査法に基く改正でございまして、十条では、御承知通り、国が負担すべき経費につきまして、ここに各法律経費を列挙いたしておるのでございます。今度国土調査法が変りまして、内閣総理大臣が定める特定計画に基く地籍調査に要する経費につきましては、国が負担金を出すという建前になりましたので、その関係改正をこの機会にいたしたいと存ずるのでございます。  第四は、「その他規定整備をはかること。」でございまして、これは、特別に申し上げるような大きな規定はございません。いろいろこの負担金支出その他につきまして文句がある場合に、公共団体が不服を申し出る手続が書いてございますが、その手続上の規定を是正いたし、自治庁長官を経由して内閣に申し出すというふうな手続規定整備いたしたのでございます。それが中心でございます。  それから次に、地方財政再建促進特別措置法改正を第二条において行うことにいたしました。この規定は、法律の条文はちょっとわかりにくいと思いますが、要綱をごらん願いますというと、「財政再建団体(法第二十二条第一項の規定による財政再建団体を除く。)が財政再建計画承認を受けた日以後に法第二十四条第一項の規定により起した退職手当債もこれを財政再建債とみなして、利子補給を行うものとすること。」これは何でもない規定でございます。従来の規定が少しミスといえばミスだったのでございまして、施行期日等関係でずれてしまったのですが、財政再建債には利子補給をやる、そのうちに、例の退職手当債につきましても利子補給をやることになっておるのでございますが、この退職手当債が、再建団体になる前にすでに退職手当債承認を受けておるものがあるのでございまして、その前にやった退職手当債につきまして、この規定の上ではどうも読みにくいものが実は一つありましたので、そういうものにつきましては、文句なしにこれは財政再建債とみなして利子補給をやるのだ、こういうことをはっきり書いたのでございます。財政再建計画承認を受けた日以後に起したと、そこの起したというところの感じで、妙な解釈がありまして、一部のものが当らぬということになっておりまして、ちょうど団体の数にすると六十一ですか、利子補給額二千八百万円くらいの金額のところだけブランクがこれはできておりまして、これは規定読み方だけの問題でございますが、その読み方を整理しょう、こういうのがこの改正でございます。
  14. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより本案について質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  15. 占部秀男

    占部秀男君 ただいまの御説明の中で、財政法の第六条の追加の問題ですが、見出しで「公営企業」とあるやつを「公営企業等」と改めた。等と改めるということは、内容的には政令で定めるものという形のものが等という内容をなすのではないかというふうに考えるのですが、この具体的な例はどういうことになりますか。
  16. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お話の通りでありまして、今の財政法の第六条では、いわゆる純粋と申しますか、公営企業として軌道地方鉄道自動車交通電気、ガス、水道、こういう、純粋に企業と同様に考えられる、私企業と同一に考えられるものを公営企業と言っているわけであります。今度二項を設けましたのは、そこまでいきませんが、簡易水道、それから港湾埋立事業屠場、そういうものを政令で列挙したい、こういう考えであります。
  17. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、今度は屠場であるとか、港湾その他は、経理はすべて特別会計で行わなければならないというふうに限定されるわけですね。
  18. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そういうものを政令できめますと、そういうことになるわけであります。
  19. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、たとえば、地方によっては、その政令できめる対象の問題なんですけれども、これはなかなか特別会計でやっても、たとえば、同じ港湾にしても、大きな港湾事業の場合と、東京のような場合と、他の小さいような土地の、何と申しますか、地方団体の特色によって、いろいろ複雑な事情があると思うのですね。かりに、この中でどういうものが指定されるか、政令で見ないとわからないのですが、たとえば、病院のような場合も、やはりこの中に入りますか。
  20. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 病院はこの中には入りません。
  21. 占部秀男

    占部秀男君 公営企業として入っているわけですね。
  22. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そういうわけです。
  23. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、主として土木関係のものが多いわけですね。
  24. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今申しました通り簡易水道が典型的なものだと思います。普通の上水道十分企業として成り立ちますが、簡易水道はそうはいかない。そこで、御承知のように、一部補助を出しまして、そのあと起債でみよう。それから港湾につきましては、埋立事業です。普通の岸壁とか、護岸とか、それはもちろん、一般公共事業で全部まかなうのでございます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 今御説明の、新らしく入りました四条の二、これを特別入れなければならない理由は何ですか。
  26. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、今申しましたけれども、第二条で「地方財政運営基本」と書いてありまして、地方財政の健全な運営を考えろといえば、当然こういうことを考えるのは当りまえだという理屈も成り立つだろうと思うのであります。しかしそこで、三条四条で「予算編成」とか、「予算執行等」につきまして、分けて原則を書いておるわけです。そこで、実際の運営を見ますというと、当該年度だけのバランスを考えておっては、財政の健全な運営ができない。どうしてもあとに尾を引くものにつきましては、あとのことを特に考えろ。そのうちで、特に最近の現象では、予算外契約というものがぼんぼん行われまして、そして、それが後年度の負担になることが、予算に現われずにきまってる形勢が実は少くないのでございます。それは、もちろん事柄の性質上、契約して一向にかまわぬと思いますが、そういう場合には、常に翌年度以降に及ぶ状況を考慮してやるようにという、財政運営基本的な考え方というものを明らかにして、地方団体が合理的にやってもらいたい。財政法は、そういう財政運営の方針を明らかにする法律でございますので、非常に重要な問題でありますから、これを明らかにいたしておきたい。こういうことでございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 これは、四条の二というものを入れたところで、別に罰則規定があるわけじゃないわけでしょう。予算外契約、今行われているようなもので、やっぱりやろうと思えば、地方団体はやってしまうと思うのです。ただ、今御指摘のように、地方財政運営基本を第二条に掲げておるわけです。その第二条の前項で、十分今のような予算外契約の問題なども、行政的には指導も措置もできるのじゃないか。それを、新しく予算外契約ということだけを問題にして、四条の二を入れた結果、実際入れただけのことで、実際的効果というものが何もないじゃないかという気がするのですが、それはどうですか。
  28. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、この法律は別に、運営基本方針ですから、強制力どうこうという問題でもございませんが、現在二条を基礎にして、三条四条、それから四条の二という、年度間の財源調整の規定も実はあるわけです。これは、財源の点から見たのでございまして、いわばその前提として、まず、そもそもこういう行為をやる場合には、数年度にわたる財政運営を考慮をするということを、これはやっぱり、はっきりさしておいた方がよかろう。明確にしておけば、それぞれこういう条章を基礎にして、自治団体が自主的な財政運営をやるだろう。それを期待しておるわけでございます。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、地方財政法というものを尊重して、地方団体財政運営をしなければならない、また尊重するような一つの風習といいますか、財政運営の確実性といいますか、こういうものを助長しなければならないという点は、私どもも同感であります。それならば、やはり第二条の二項の「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」こういう条項がありますね。それと、一部修正が出ておりますけれども、地方財政再建促進特別措置法というものは、との第二条の二項の精神からいえば、非常にまだ改正しなければならない点が多々あると私どもは思うのですが、この点はどうですか。
  30. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 再建促進法につきましては、まあ、いろいろ御議論があり得ると思うのでございます。われわれも、全然問題が一つもないという気はございません。この改正を考える場合、いろいろ検討をいたしたのでございますが、今回の段階におきましては、なお改正する必要もあるまい。滑り出したばかりで、ようやく再建団体が再建計画を基礎にして再建計画をやり出しておるのでございますから、その状況推移を見て考えたい。幸いにして、多少財政状況も一般的によくなっておる状況でもございますので、その運営を見て、なおかつ、問題があるならば、必要な改正を考えようじゃないか。こういうことで、今度は見送ることにいたしたのでございます。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 この地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する問題と、財政法の一部を改正する問題で、知事会等から陳情が私どもの方に出ておりまして、これはおそらく自治庁でも御承知だろうと思いますが、結局行政に、たびたびここで問題になるように、各団体間が格差を生じておるので、もっと標準の行政が行なえるような財政措置というものを講じてもらわなければならないというふうな点が述べられておるわけでございますが、こういう点は、自治庁は賛成なさいますか。
  32. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今、加瀬委員のおっしゃいましたのは、指定事業についての陳情だと思いますが、そうではありませんか。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 指定事業、その他もございますね、
  34. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 指定事業の問題につきましては、知事会の要望の趣旨は、われわれも十分承知いたし  ております、これは、財政再建促進特別措置法政令の問題でございまして、これにつきましては、われわれも現行の政令が十分だとは考えておりません。御案内の通り再建団体がこのいろいろな公共事業をやる場合には、その仕事は、過去二十七、八、九年度の七五%の仕事を押えたならば、補助率を二割かさ上げをしてやろうと、こういう建前になっておりまして、過去の三年間の七五%ということが実は建前になっておるのでございます。これは、その作ったときには、その作った理屈はあったろうと思います。一般的に国の公共事業が伸びる場合には、再建団体におきましても、当然に再建計画上支障がない限りは、公共事業はさせるのは当然でありまして、単に過去の何パーセントと、こういう組み方をすることが私は必ずしも適当ではあるまい、こういうて、この政令につきましては、全面的に検討しようというので、今大蔵省と折衝をしておる最中でございます。その基本的の考え方は、知事会の陳情にあります趣旨通りの考え方で実はやっております。大体ことし、事業は三〇%くらい、ほかから見るとふえておるのでありまして、そうすれば、再建団体におきましても、これくらい仕事を伸ばしてやる必要がある。特に再建団体は、未開発地帯が多いのでありまして、そういうところでは、公共事業をある程度やって、開発の基礎を固めておかなかったならば、再建期間は七カ年なり八カ年、長いものは十何年もかかると、経済的格差が大きくなるばかりでございます。そういう意味で、それはできるだけ、そういう権衡不権衡の生じないような仕事がやり得るように、事業上の考え方を根本的に変えたいというので、まあ折衝をいたしております。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 知事会の指摘しておりますのは、主として指定事業でありますが、行政の格差を生じておるのは、指定事業のみにとどまらないと思う。投資的経費といいますか、指定事業関係を大きく引っくるめれば、投資的事業関係はいくらかワクをゆるめようという御意向が、自治庁においても政府においてもあるように、われわれもその点よくわかります。しかし、格差を生じておるのは、一般行政の面でも格差を生じておる点は多々ある、こういう点については、あまり積極的に触れておらない。その格差を生じておる原因がやはり会計法にある。基因しておるところが多いと思う。こういう点を自治庁としてどのように捕捉しておられるか。
  36. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 一般的な行政も、再建団体が再建計画を達成するために、いろいろ財政的の運営上相当切りつめておるということは、これは私は事実だと思います。しかし、これはまあ、再建法そのものの法律的な規制から来ておるものはないのでありまして、まあ再建計画そのものを立てられるか立てられぬかという、それぞれの団体の実情の問題だろうと思います。法令上きちっと、動きがつかなくなっておるのがいわゆる指定事業でございまして、指定事業は、ある程度補助率を高めなければやりようがない。しかしながら、再建団体にだけ特別に金をたくさん出してやって、どれだけでも仕事をさせるというわけにはいかぬ。こういうので、一応基準事業量という考え方をとりまして、ある程度仕事を保障するかわりに、仕事の総額は多少は減ってもやむを得ない、こういう考え方をとっておるのでございます。それ以外の一般の経費につきましては、法令上の問題というよりも、それぞれの団体の再建計画の立て方の問題、立て得る赤字の額と、それを解消し得る団体財政力とのこれは相関的なからみ合いの問題だろうと思うのでございます。ですから、この問題を合理的に解決するためには、むしろやっぱり一般財源の補強の問題として考えなくちゃならないのじゃないか、この再建法そのものの制度的の改廃によっては、その目的は達し難い。そういうわけで、われわれといたしましては、一般的に財源を増強する問題として、その改善をはかっていきたい、こういうふうに存じておるのでございます。
  37. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私、再建団体の指定事業のことが論議されておりますので、これに関連しまして、お伺いやら希望やら申し上げたいと思いますが、現在、指定事業内容、種別等についても再検討が行われておりましょうか。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 事業内容につきましても検討をいたしております。まあお尋ねでございますから、一つ議論になっておる問題を申し上げますというと、大きなのは造林、林道でございます。現行法では、河川、海岸、堤防、砂防、まあ森林につきましては、保安施設がみな入っておるのですが、あとは道路、港湾、漁港、土地改良と土地区画整理、こういうことになっておりまして、造林、林道が入っておりません。特に未開発地帯には、森林資源の開発という問題がありまして、これを入れたらどうかと議論をいたしておるのでございますが、これにつきましては、なかなか政府部内で話がまとまりません。と申しますのは、造林、林道は木を植えることでございますから、将来、当然それは、いわば営林財産としてのものであって、普通公共事業と違うじゃないかという議論がございます。それから林道につきましては、民有林道については受益者負担金を取るので、特に国が高額補助をする必要はないのじゃないか、こういうので、これはちょっと話がつかぬのでございます。その他、砂防とかその他の問題につきまして、地すべりとかいうような問題につきましては、まあほとんどこれは字句整理程度のものかと思いますが、今まで落ちておったものを、規定整備いたしたいと存じております。
  39. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 そこで私、お願いしたいのでございますが、指定事業の指定の際、たとえば、同じ河川の橋梁にいたしましても、これが両県にまたがっておるというような仕事があるわけでございます。そういう場合に、注意をして御指定を願いませんと、他の関係県が事業の進行上非常に迷惑を受けるというふうなことが出て参りまするので、特に両都県の間にまたがっておる橋梁の改築とかいうような問題については、十分一つ注意をいたしていただきまして、両県共同でやっている場合、その一方が再建団体である、そのためにその仕事が指定事業から落されるというようなことがあって、他の県に迷惑がいくというようなことのないように、一つ十分御注意をお願いしたいと思います。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 一応再建団体があの現状におきまして、再建特別措置法が講ぜられたわけでありますが、事情は若干違ってきていると思う。しかし、再建法の内容というものは、どうしても国に、政府に主導権があって、議会がどうきめようが、条件をつけたり変更を加えたり、そういう権限というものは、自治庁といいますか、政府にある限りは、地方事情に応じて若干修正をしようと思いましても、自主的な変更の権限というのは、全然まだ地方団体にまかせられておらない、こういう財政事情になってきて、一応また再建計画を実施した結果、非常に行政的な格差を生ずるという新しい弊害が出て来たわけでありますから、それらを勘案して、自主的に地方団体において、財政的な事情ともにらみ合せて再建計画を変更する権限というものを地方にもっと留保されてもいい、こういう点については、どのように自治庁は考えておられますか。部分的な修正、部分的な変更というものはお考えになっておられるようですが、基本的な地方の自主権といいますか、自治権といいますか、こういうものをある程度生かしてやるといいますか、そういう立場で、幅を持った変更ができる権限というものを復活するといいますか、こういうことは、もう少し考えてもらってもいいんじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  41. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはごもっともでございます。われわれといたしましても、作った早々この問題でありますから、すぐにどうこうというわけにはいきませんが、幸いにいたしまして、財政状況もずいぶん変ってきております。それで、あの計画を作った当時と客観的な事情が変っておりまして、作った当時は、にっちもさっちもいかぬ、再建の見通しもないというので、非常に無理をして、計画の上から見ましても、とてもそれはやれそうもない計画を作っておるところがございます。幸いにして、三十二年度は、財政状況もよくなりましたので、私は、もう一ぺん根本的に再建計画を検討せざるを得ないだろう、こういうふうに実は存じております。まあ税も相当に伸びておりますし、交付税もある程度ふえております。それから、公債費の対策も、不十分でしょうが、一部とられております。まあ片一方ではベース・アップの問題があったり、昇給の問題があったりいたしまして、不確定の要素もございますが、そういう問題がみなきまれば、もう一度計画を作り変える必要は私はあろうと思うのでございます。それで、見通しのついた非常に無理のある部分は、ある程度調整をせざるを得なくなるのでございまして、そういうことで、もう少しきちんとした計画ができるようになりますれば、そのワク内で、ごく小さな問題につきましては、私はあまりとやかく言う必要がなくなると思うのでございまして、軽微な変更としての扱いを次第にふやしていくべきだろうと、基本的にはそういうふうに考えております。なお、この市町村の問題につきましても、従来いろいろ中央に来て、めんどうくさいという問題がありまして、これはもう、ほとんど大幅に市町村計画変更の問題は、府県にこの四月から下すことにいたしておりまして、大きな市は別といたしまして、その他のものは、みな府県にまかしております。そういうことで、できるだけ運用上支障のないように考えて参りたいと存じております。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 この改正案の中に、退職債の問題がありますが、現在退職債の借り入れ状況といいますか、府県だけの単位でもいいですから、どんなふうになっておりますか。それから本年あたり、この退職債による整理状況というものがどんなふうになっていますか。具体的に言いますと、退職条件というものが退職債を借り入れることによって何か特別な方法が考えられたか、あるいはまた、その退職債というものを利用することによって、特別行政整理の進捗というのが具体的に現われているかといったような点について、御調査がありましたら、お話いただきます。
  43. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 退職債の起債の状況は、実は三月五日現在でございまして、その後これはもう少し、三月一ぱいでは、もっとこれは進んでおるはずでございますが、団体数が四百三十二、許可額が八十四、それから該当人員数が二万九千九百人、こういう数字が一応ございます。しかし、実際問題といたしましては、もう退職債は、いわゆる積極的な行政整理というもののとうげも、大体三十一年度で大きなところは越しております。あと特殊な団体は、もちろん三十二年度に残っておりますが、大勢は大部分越しておりまして、この金額のうちには、いわゆるほとんど新陳代謝と見ていいものが実は相当に入っておるはずでございます。そこの内訳がはっきりわかりませんが、ほんとうに毎年経常的にある程度行われるものは除きまして、少し大幅の新陳代謝とみなすべきものについては、できるだけ退職手当債として見てやろうというわけで、この数字をきめたのでございます。この手当債によりまして、今言う行政整理そのものが何か特別にどう行われておるか、こういう問題は、私は、特殊な再建団体等は別といたしまして、もうあまりないのじゃないか、むしろ高給の老齢者にやめてもらって、そして新しく若い人を採りたい。それがために退職の手当の財源がないというのが大半の大勢だろうと思います。そこらのこまかい資料は、ちょっと今手元にございませんが、大づかみに申しますというと、それがその傾向だろうと存じております。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 再建団体自体は、退職債を使って整理計画を進めるという形をとらないで、他の方法で——他の方法でと申しますのは、退職に特別条件をつけるような形をとらないで、新陳代謝とか、一般の自然退職というふうな形で、一応計画をいたしました再建法による再建計画に基く整理人員というものを整理しようといたしておりますために、整理があまりはかどらない、進捗しない、それからいろいろの摩擦を起しておる、こういう事実は、私どもはいろいろ聞いておるのでありますが、自治庁は御調査になっておりませんか。
  45. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ちょっと、お尋ねの趣旨がよくわからないのですが、退職の条件につきましては、それぞれ団体で、この一時退職金につきましては、それぞれの扱いを私はいたしておったろうと思うのでございます。これは、退職債の問題と直接関係はございませんで、退職債は、結局それに要する財源を一般財源でやるか、退職債でやるか、こういう問題でございまして、大ていある程度の数字を考えておるところは、その資金を起債の方に求めておるのでございます。これは、再建団体だけに限りませんで、非再建団体でも、みんな起債に求めておると思うのでございます。お尋ねの問題は、むしろ具体の、退職の条件の扱いがいいか悪いか、厚いか薄いか、こういうような問題が中心じゃないだろうかと存じます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 退職債というものが生まれた経過を考えますと、再建団体が再建計画を進捗していく上には、どうしてもやむなく人員整理をせざるを得ない。特別な人員の縮減計画というものを進捗させるためには、退職そのものの条件にも特別な方法を考えなきゃならない。といって、一般財源はない団体でありますから、退職債というものを考えてやろうという形で、退職債というのが再建計画の中に大きく浮び上ってきたと思うのであります。ところが、現実の退職債というものは、再建団体に非常に使われておるかというと、再建団体は、新しく赤字のふえるのをおそれて、なるべく退職債を借りないという方法をとっておるところが多いのじゃないかと思う。そのために、整理をしなければならないけれども、特別な条件はつけたくない。退職債という新しい負担を生じたくない。そこで、過酷な条件で退職を進めておる、こういったような事例が再建団体に多いと私どもは承知をしておるわけですが、自治庁の御見解はそうではないのですか、こういう点です。
  47. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、今お話のようなことは、私はないと思っております。再建団体におきましては、再建計画上ある程度職員組織を合理化したいというのが大きな問題の一つでございまして、それのために必要な財源として退職債は、まあ公債費で将来にあとに尾を引くからといって、退職債を遠慮して計上しておることは私はなかろうと思うのでございます。自治庁といたしましても、必要な退職債ならば、これはつけておるはずでございます。具体の問題は、そうじゃなしに、一般の退職条件としての退職金の計算の仕方が、多少団体によって違い得るのじゃないか、こういう問題だろうと思います。これも、われわれといたしましては、国の退職金の法律がございまして、その法律に準ずるように、地方では条例を作っておるはずでございまして、大体国並みのことはみなやっておるはずだと思います。それ以上特別にやっておるところがあるいはあり得るかと思いますが、一般的には、国並みの退職金は当然にやっておるはずだと存じております。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 私の伺っておりますのは、退職債がどうして生まれたかという、その目的を現実においては現わしておらないのじゃないか。再建団体は、人員の整理をするということは一つの至上命令みたいな形でかぶさってきておりますから、人員の整理はするわけですが、何とか退職債によらない方法というものでやっておるというのが再建団体の大体の傾向じゃないか。三十一年度以降、再建団体で、退職債を借りないで人員整理を進めておる団体はございませんか。あるいは整理人員の割に退職債というものの借り方が、自治庁で考えて、少いじゃないかという団体はございませんか。
  49. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私は、その再建団体で退職債が少いという団体は、これは私はなかろうと思います。必要なものは、全部こっちも見ておるわけでございます。ただ、退職債は、いわゆる整理退職が中心でございますので、普通の新陳代謝につきましてはつけておりません。大量なやつはもちろんつけております。毎年退職するうちの一%とか五%……パーセントは忘れましたが、五%ぐらいのものは差し引いて、そうしてそれ以上のものにつきましては、みんなつけようという運用をいたしております。それで、再建団体のところを特別に押えておるということはもちろんありません。ただ、これは再建団体も考えましたが、非再建団体でも、多量に職員組織を合理化しようとする整理退職にはみなつけようという考え方でおりますので、もちろん、非再建団体にも、必要なところにはみなつけております。そこらの点は、再建団体に特別にどうこうということはないはずでございます。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 私は、再建団体に自治庁が退職債の出し惜しみをしていると、そういうことを言ってるんじゃない。退職債を借りて退職を進めておるのが、むしろ再建団体でない方に多くて、再建団体は、退職はさせるんだけれども、退職債を借りると、新しい赤字の原因になるというので、退職債の借り惜しみをしている形になっておるので、退職の条件が悪くなる、そこで、初め計画したような整理の進捗率というものをあげ得ない、また、その関係の公務員は、他の再建団体でない公務員の退職と比べると、悪い条件に置かれておる、これが大体今の傾向ではないか、こういう点を伺っておるんです。
  51. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そこは、どうもちょっと、私の方の認識は違いまして、借り惜しみをしておるということは私はないと思うのです。借り惜しみをしておるがために退職の条件が逆に悪くなっておると、こういう点を御心配のようでございますが、退職の条件というのは、条例でぴしっときめておりまして、その条例は、国家公務員に準ずる扱いをいたしておるのでございます。それでございますから、その条件通りのことはみなやっておりまして、そして、それに必要な退職債を求めておる。再建団体が退職債を借り惜しみをするということは、私は実はないはずだと存じております。何か具体的事例でもあれば、一つ御連絡願いたいと思います。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 逆に、それじゃあなたの方で、退職債を借りておる団体の、府県だけでもいいから、団体の名前、それから退職債の額、それから、退職債による整理人員、それから退職の条件、この一覧表を出して下さい。
  53. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 府県別の数字と金額は、これは許可しておりますから、私の方でもすぐわかりますから、まあここにも、ちょっと古いですが、資料がありますから、いつでも報告いたします。それから、退職の条件というのは、今のお話の通り、退職金に対する条例の問題でございまして、これは、今私のところの手元にございません。準則はもちろんございます。準則はもちろん差し上げていいと思いますが、府県の個々の条例になれば、少し集めなければ、手元にないのでございます。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 私がこういうことを伺っておりますのは、結局再建計画を実施したあとからの退職債に対して利子補給をするということは、非常に必要なことだと思うのです。このことについては、私は法案そのものについては賛成なんです。しかし、こういうような利子補給をしなければならないという現実は、今私がいろいろと伺いましたように、現実は、退職の条件というのが、再建団体再建団体でない団体に比べて非常に悪い。退職債を借りて、もっと優遇すればいいじゃないかということであったはずなんだが、その退職債を借りて優遇するということも考えておらない。具体的に言うならば、たとえば東京都と、どこでもいいです、再建団体あるいは再建団体に近い、関東なら、千葉でも茨城でも、比べてみた場合に、退職の条件からいっても、あらゆる条件が悪い。何も東京と同じにしろということじゃないんですけれども、それなら、退職債を借りて、もう少し条件を緩和して、退職しやすい、させやすいような方法を講ずればいいだろうと思うのですが、この再建法そのものの中で与えられているところの権利といいますか、特権といいますか、そういうものも事実使っておらない、これが現状じゃないか。それでは、これはいろいろ較差を生ずる較差を生ずるという言葉が出ますが、退職させるについても、非常に団体によって優遇されるものもあれば、優遇されないものもある。こういうことでは、ある程度の人員整理という計画を立てましても、人員整理を進めようがないのです。そこで、取り違えておるのが現状じゃないか。そこでもっと、退職債というものがどうして設けられたものか、再建計画で人員整理をするときにこれがどう使われるべきものかという点は、具体的にあの法のように利用されなければうそじゃないか、こういう点を自治庁はもっと的確に資料をつかんでもらいたいということなんです。
  55. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 御趣旨はよくわかりました。結局私は、退職債の問題でなしに、退職の条件の問題だと思います。それぞれの府県が退職する場合の手当の出し方の問題でございまして、きまった出し方につきましては、必要な起債をつけておるわけです。これは、東京の話が出たから、あるいは東京に比較がありましょうと思いますが、多いにこしたことはござい幸せんが、現在の建前は、国の退職手当に準ずるものを条例で作っておりまして、私は、その条例の線は、どこの県も、再建団体でも、みんなやっておるはずだと思います。だから、一部の富裕な県がそれよりも条件がいいというものがあるからへそことの比較が出てくる問題じゃないか。われわれといたしましては、やっぱり国並みにやるという建前を基礎にして再建団体がやっていただくのが普通の筋だろう、こういうふうに存じております。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 その条例は、再建計画団体のように、大量に整理をする場合の条例というものではないはずです。通常これは退職する者に対する条例であって、大量に特別整理をしなければならない場合では、それらに対する特別条例なり条件というものが出されなければならない。その場合に退職債という問題が出てきた。ところが、その精神というのは、一つもそういうふうに現われておらない。これではだめじゃないか。
  57. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) もう一度お答えいたしますが、その条例には、普通の何でもない任意退職の場合と、整理退職の場合と、率の扱いを別にしておりまして、組織機構とか定員を減らした場合に、特に高率になっておるのでございます。今、手元にございませんが、このそれぞれ段階を設けておりまして、整理退職なら整理退職に応ずるようには、実は一応考えておるのでございます。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかりますよ。だけれども、それよりももっと過度に整理をしなければならないというのが再建計画の整理でしょう。それならば、やっぱり新しい条例を制定するという行政指導というものが伴わなければ、これは再建計画が一方的に、公務員なら公務員だけにしわが寄ってきて、それによって行政整理ということの節減計画だけが進められるということになると、特別にここに整理をしなければならないというならば、特別の条例が作られるはずなんです。そのために財源として再建債というのができたんです。いつも条例や法律ができても、財源がなくて困っておるんだけれども、これは財源ができても、財源が具体的な方法になって現われるところの条例その他のものが伴っておらないということになるだろうと思うんです。とういう点、はなはだ円滑を欠いておると私は思うんです。
  59. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局、御趣旨はよくわかりましたが、こういう整理退職では、もう少し従来の方式と違った手当を考えるべきじゃないかというのが根本の御主張だろうと思います。  それで、先ほど申しました通り、国の方でもあの特別の条例を作りますときには、大幅の行政整理をやったときに、整理退職の場合は特別の高額にせんければいかぬ。こういう考え方で整理退職、勧奨退職、それから任意退職というようなことで、実は段階を設けてやったわけでございます。そこで、現在行われておりますのは、そのうちの純粋の整理退職になるか、私は勧奨退職だろうと思いますが、そういう建前でやっておるのだろうと思いまして、私は、一応退職金の額といたしましては、まああの程度がほどほどじゃなかろうか。実際の数を見ましても、再建団体だけでございませんで、全体の府県におきまして、ある程度の職員の合理化が行われておるのでございまして、今のととろは、大体国に準ずる建前でいいんじゃないか。なおこれは、多くの御意見もございますから、そうしたものにつきましては、なお検討いたしたいと思っております。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 最終に一つ、希望を申し上げておきます。  それは、さっき私がお願いいたしました資料を確実に調べてお出し下されば、あなたのおっしゃっておることが妥当であるか、私の質問がいいか、おわかりになると思う。その資料を出していただきたいと思う。私の質問しているのは、利子補給をしたって、再建債の借り手がなければ、利子補給の意味がないじゃないか。法律を改訂した意味がない。そこで、利子補給をして再建債を借りさして、そして今のような退職債に対する措置を講じさせたいというなら、その退職債が確実に目的を達するような行政措置というものを伴わなければ意味をなさない。その行政措置を伴っていないと思うので、この点、御留意を願いたいということなのです。
  61. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御質疑はございませんか。
  62. 鈴木瀞

    ○鈴木瀞君 実は、委員長にお願いしたいのですが、直接きょうのこの改正部分に対するそれではなしに、再建法なり、そういうものに関連したいろいろの問題についてお尋ねしたいことがあるのでございますが、これはいずれ、たとえば地方財政計画というような格好ででもお許しいただければきょうはやめますが、私やるとすれば、もう二、三時間ほどある……。
  63. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの質問、いつでもけっこうでございます。地方制度全般の改正についての検討は。そういうことで後日研究を……。  他に御質疑ございませんか。
  64. 占部秀男

    占部秀男君 希望だけ。さっきお伺いした第六条の問題ですが、小林さん。この政令をきめるときに、事業対象対象となる事業をよく一つ調べていただきたいと思うことは、簡易水道というようなものは業態がはっきりしておりますが、屠場なんかは、地方を歩くと何か二、三人でちょこちょこやっているところがある。特別会計にして、それでほんとうにいいものかどうかという、かえって特別会計にしたことの方が複雑になってしまって、どうもやりにくいということが私は出てくると思う。そういう点の何か幅のあるものを考えていただかなければならないというように希望しておきます。
  65. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の説明で、たとえば港湾の埋め立てとかいっても、これは、利益があがってくるのはいつのことだかわからない。急に今使うために埋め立てする場合と、長い将来に備えてやる場合とあると思うのですよ。その場合に、それを特別会計にして、実質的に経理が償わないような格好で、ずっと長くやっていくことがいいのかどうかということもありますし、これは、今の占部君のお話のように、政令としてきめる場合に、そういうものを含めたとしても、実際の適用の場合はいろいろ問題があると思います。私は、そういうような感じがいたします。
  66. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今いろいろ御意見のありましたことを十分検討いたしまして、政令を作りたいと存じております。
  67. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御質問はございませんか。……御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めて、直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 質問の中にお答えがございましたが、これは、地方財政再建促進特別措置法は、一部の修正だけにとどまらないで、全面的に御考慮を願うということを前提として、賛成いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  70. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言はございませんか。……別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて採決に入ります。  地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  71. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     大沢 雄一  小林 武治     吉江 勝保  館  哲二     森 八三一  安井  謙     小柳 牧衞  加瀬  完     鈴木  壽  占部 秀男
  73. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、にて散会いたします。    午後零時五分散会    —————・—————