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政府委員(
小林與三次君) 今大臣からも答弁がございましたが、この
制度につきましては実は作ったときにいろいろ経緯もあって、御
承知の
通り昭和二十五年に政令を
改正して作ったのでございます。その従来の
扱いは
金庫銀行が公金の管理及び
保管をやる、そしてそれは
銀行に実は限られておったのでございます。それを
銀行に限らずに
銀行その他の
金融機関、こういうことに一点変えましたのが
一つと、それからもう
一つは、
金庫銀行が出納
保管とあったのを出納と改めたのであります。出納事務は全部金庫で当然やる。しかしながら
保管については必ずしも
金庫銀行に限らぬ、だから実質的な
改正は二点あるわけでございます。それでございますから第一に、
金庫銀行というものを
銀行に限らずにほかの
金融機関にやるという問題がございます。それでおそらく市町村あたりでは、この農協あたりに
金庫銀行の事務を扱わせている所が相当私はあると思うのであります。そこの問題が
一つございます。これは市町村の実態を
考えれば
銀行だけに限ることはいかがかと、こういうのが私は当時の議論だったと思います。
それからもう
一つは、出納
保管と限っておったのを
保管を外したということは、その当時県の金とか市町村の金は相当多額の金でありまして、
一つの
銀行だけでもっぱら取引をやるということにつきまして、いろいろ他の
金融機関からの運動というお言葉がございましたが、ある
程度分散させる道も
考えられるじゃないか、こういう問題も私はあったのだろうと思います。それからまたいろいろこの県の行政上の必要で、たとえば労働金庫の資金が要るとか、あるいは県信連の方で農業政策上ある
程度資金が要るとか、中小企業金融のために商工金庫なり商工組合なりにある
程度資金が要るとか、そういう問題につきましても自治団体はある
程度行政上活動していいじゃないか、こういう含みであったのだろうと私は思います。そういう
意味で
歳計現金に余裕があって、そして相手が確実であればそれをそういう
目的にも活用していいじゃないか。
それからまた従来
金庫銀行だけにやっておりますと、
金庫契約で条件を定めておったのですが、大ていもうほとんど利息をとらずに、むしろ手数料を納めるとか納めぬとかいうような
扱いでこれはやっておったのであります。そうするとむしろ
財政的な見地から、ある
程度の正確な金利を獲得した方が団体の
財政にも道が開けるじゃないか。私はそういういろいろな
考え方が元になってそういうふうに政令が
改正になったものと今了解をいたしておるのであります。ただしそうするとやはりいろいろ危険がこれはあり得るのでございまして、現在の建前では
出納長が出納
保管について全責任を持っておるが、
出納長だけにそういう事務を責任でやらせるということは
扱い上適当であるまい、こういうことで当時
地方自治庁と言っておった時代ですが、
地方自治庁次長の通牒で、この政令
改正の際に、もしそういうことをする場合においては、知事部局に協議をしてその了解のもとにやるということを明らかにし、その他この
扱いにつきましての注意を実は明示してこれをやったのが実情でございます。そこで今のような事件が起ったのは、結局
信用組合にある多額の金が
預託された。こういうところが問題の発端になっておるのでございますが、現在のような経緯にもかんがみまして、一体今の政令の
制度がそのままで置いておいていいか悪いか。単に
運用上の改善だけで済むのか。そうでなしに政令自体についてもう少し検討を加えて、何か制限を加えるべきじゃないか。あるいは
銀行だけに限るか限らぬか、これは
銀行だけに限れば相当その他の、労働金庫
預託の問題とか、
信用組合とかいろいろの問題で議論が出てきます。そこの
対象をどうするかということが
一つの問題、かりに
金融機関、ほかの
金融機関全部排除することができぬとしても、その間に何か条件をつける必要がありはしないか、あるいはこの
預託をする場合には、当然に
予算に計上してはっきり
議会の議決を経てやることにした方がいいか悪いかとか、かりにそうでなしにやはり盆暮あたりでちょっと金融政策上要るということも私はあり得ると思うのでありまして、そういう場合に、全部道をふさいだ方がいいのか悪いのか、かりに道を開くとすれば、その
扱いをどうするか、何らかの規制を政令でやるか条例でやるか、そこは、やはり規制の
方法も
考える必要がありはしないか、そういうことがありまして、今全府県の実情を調べて、資料を至急集めておるところでございます。これは府県だけでは問題が解決しない。市町村の実態も全部調べなければ、急激な
制度の変更はできぬと思いますが、その実情も全部調べまして、
制度的について検討すべき問題は至急対策を立てなくちゃならない、こういうふうに存じておる次第でございます。