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1957-10-11 第26回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十一日(金曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員異動 九月二十一日委員藤原道子辞任につ き、その補欠として占部秀男君を議長 において指名した。 九月二十六日委員成田一郎辞任につ き、その補欠として吉田萬次君を議長 において指名した。 十月十日委員久保等辞任につき、そ の補欠として森中守義君を議長におい て指名した。 本日委員森中守義辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            安井  謙君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    国家消防本部長 鈴木 琢二君    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君    自治庁行政局行    政課長     降矢 敬義君    自治庁行政局振    興課長     吉浦 淨眞君    自治庁行政局公    務員課長    今枝 義信君    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁財政局理    財課長     山野 幸吉君    自治庁選挙局長 兼子 秀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方制度改革に関する件)  (町村合併の現状及び新市町村建設  促進法の運用に関する件)  (消防に関する件)  (選挙制度に関する件)  (静岡市における市当局市職員組  合との間の紛争問題に関する件)  (昭和三十三年度の地方債計画に関  する件)  (福岡市の四エチル鉛被害に対する  財源措置に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  九月二十一日藤原道子君が辞任されまして、占部秀男君が再び委員となられました。また、九月二十六日には成田一郎君が辞任され、吉田萬次君が補欠選任されました。さらに、昨十日に久保等君が辞任され、森中守義君が新たに委員となられましたが、本日森中君が辞任されまして、久保君が再び委員となられました。  以上御報告申し上げます。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、まず地方制度改革に関する件を議題に供します。  お手元地方制度調査会の小委員会案が配付してございますので、この資料に基きまして、調査会審議経過答申案内容について、便宜政府より説明を聴取いたします。
  4. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 私から、ただいまお手元に御配付申し上げました地方制度調査会特別委員会案について、これに至るまでの概要並びにこれについて今まで討議されました事項並びに考え方について、概略説明申し上げます。  地方制度調査会は、前文に書いてあります通り、二月の末から、府県制度中心とする地方制度改革の問題について論議を始めたのでございますが、そのやり方といたしまして、まず学識経験者国会議員地方団体側からの出身者をもって構成いたします特別委員会を設けまして、果して府県制度について根本的改革検討する必要あるかどうかということについての論議をまずやるということで、三月の初めから六月の末に至るまで、やり方といたしましては、各省庁並びに地方公共団体側の御意見をヒヤリングの方法で聴取いたしますとともに、特別委員会聴取事項をきめましたものに基きまして、御回答を文書でいただいたわけでございます。そいうことをまずいたしまして、それから、七月の五日に特別委員会で、さらに特別委員各位の御意見の御披露がございまして、その結果、特別委員会としては、府県制度について根本的改革検討する要がある。こういう結論になりまして、それが七月の二十二日の総会で報告をされ、総会で承認を受けまして、さらに特別委員会で今度は内容について御審議をいたす。こういうことになったわけでございます。七月の二十五日に特別委員会としての意見の御開陳がいろいろございまして、そうしてそこで、今度は具体的な案を練るということについて小委員会を設け、これで審議してもらう。こういうことになりまして、小委員といたしましては、十九人の学識経験者だけでこれを構成する、こういうことにいたしたわけでございます。小委員会といたしましては、八月の二十日、二十一日、二十八日、九月十日、十一日と、合計五回の会合を重ねたわけでございますが、その間、各位の御意見についていろいろの相違があったわけでございます。そこで、たぶん十一日と記憶しておりますが、そういうふうにいろいろの考え方があるのを一つの案にまとめあげるということは、なかなか困難であるので、どういうふうにしてこれをやるかということがございましたときに、東大の田中先生だったと思いますが、それならば、大綱としては、お手元に配付いたしましたような地方案と申しますか、道州案という考え方と、それから二、三府県統合という考え方に分けられますので、各委員はおのおのその立場があって、考え方相違はあるが、かりに道州をとったらどういう考え方が一番いいか、かりに二、三府県案を採用するならばどいいう考え方が一番妥当であるかということを、小委員の方々の間で一つ議論をしてみようじゃないかと、こういうことになりまして、その見地でいろいろ御議論をたたかわしたわけでございます。その大体出たところで、九月十一日に小委員会の中に、さらに起草委員九人を設けまして、その起草委員起草をお願いする、こういうことになったのでございます。  起草委員会といたしましては、九月の十八日、二十一日、二十四日、二十六日、二十七日と、計五回起草委員会をやったわけでございますが、どちしても考え方について、道州案、地方案と申しますものと二、三府県案というのが一致しない。そこで、その考え方を支持する起草委員の中で、それぞれグループを作って考え方起草すると、こういうことになりまして、道州案につきましては四人の委員の方、二、三府県については二人の委員の方が直接の起草に当られたわけでございます。その結果、道州案と申しますか、地方案と、それから三、四県案が作られたわけでございます。最後起草委員の会として、九月の二十七日に、この案を起草委員会案として決定いたしまして、十月の四日に小委員会を開いたわけでございます。そこで、この案を中心に、それぞれ御議論がございましたが、大綱について、一つ考え方だけをはっきり、起草小委員会はどちらをとるのかということをはっきりしようというので、最後に決をとつたわけでございますが、そのときには、出席委員が十六名、委員長を入れまして十七名になりますが、委員長は入りませんので、十六名中、九対七で地方案が小委員会の多数案ということになったわけでございます。ただそのときに、多数案と少数案とにいたしますが、その価値はどういうふうに違うかということがかなり議論になったわけでございます。端的に申し上げますと、この小委員会で、多数となったものだけが特別委員会論議対象となり、少数意見というものは論議対象にならないのかなるのかということでございましたが、その点はもちろん、小委員会特別委員会に報告する場合には、両方論議対象に当然なる、しかしながら、小委員会としてどちらが多数であったかというウェイト、小委員会でのウェイトはつけるべきだ、こういう了解のもとに決がとられ、そして小委員会としては、地方案を多数、三、四県案少数、こういうことで特別委員会に報告することになったわけでございます。特別委員会は、十月の七日、八日に開かれまして、この両案を中心に、活発な御議論がございました。最後に、やはり小委員会で行われたと同じ意味で、総会に報告する態度として、特別委員会の方はどちらにウェイトを置くか、こういうことで、決をとることになったわけでございます。採決に加わりました委員の方は、当時二十二人出席しておったと思いますが、決をとるときは十五人で、地方案が八、三、四府県案が四、それから、いずれも賛成しない方が二人ございまして、地方案特別委員会としては多数ということで総会に報告いたすということにきまつたわけでございます。ただいまお手元に配付いたしました、私の方で印刷いたしました特別委員会案というのは、最初に書いてありますのが地方案でございまして、十三ページ以下に書いてございますのが、「少数意見」というふうに頭の方に表示してございます。これが三、四府県統合案でございます。  以上の経過をもちまして、特別委員会としては、ここに御配付申し上げたような格好総会に報告申し上げるということになっております。なお、総会は、十四日、十五日、十七日、三日間予定されておりまして、これでどういう議論をするかということは、まだ全然予想がつかないのでございます。  大体この案につきまして、概略内容を御説明申し上げます。最初に、地方案、道州案というものと、三、四県統合案建前考え方の違いというものが非常にはっきりしておるのでございまして、両方とも、広域行政と申しますか、そういう観点から見ますと、府県区域は必ずしも満足すべきでない、むしろ拡張すべきだという御意見では、形の上では一致しておるのでございますが、中身に入りますと、三、四府県案は、現行建前をあくまでも堅持する、現行地方制度上とられておる建前府県市町村という二つの構造というもの、それから中間団体を、現在のように、いわゆる完全自治体とするという建前を堅持して、その上で、現行制度上工合の悪い、つまり欠陥と考えられる点をできるだけ是正していくという考え方が三、四府県統合案でございます。従いまして、首長の選任問題というようなものも、現行通り考えられておるわけでございます。ただ、それに対しまして地方案は、区域も狭いということでございますが、そのほか、前文に書いてあります通り市町村自治というものをあくまでも強化して、そこに重点をおけば地方自治が十分であって、中間団体というものは、国と市町村との中間にあり、むしろ広域的な行政を担当すると同時に、国の仕事も相当担当してもらわなければいかぬ、同時に、現在非常にたくさんあります出先機関といもののもすべてことに統合して、そうして一元的行政総合運営というものを中間機構において確保しなければならぬということをかなり重視しておるわけでございます。そういうふうに、両者の考え方というものが根本的に違っておるのでございます。  第一番に、地方案の具体的な内容について若干御説明申し上げますと、三ページ以降でございますが、現行府県は廃止をして、そして「地方」という中間団体を設けるというのがこの地方案の最大の骨子でございます。地方は、地方団体としての側面と、国家的性格を併有する一つのいわば不完全な自治団体だということも言えるわけでございます、それから、区域の点でございますが、区域は、七ないし八ブロックというふうにされております。この点は、必ずしも激しい論議があったわけでございません。ここに参考案として、七ページのうしろの方に、七、八、九地方という三案の参考案をつけてございますし、この参考案備考には、こういう県についてはなお検討を要するというふうに書いてあります通り、厳密な検討の上に、七ないし八ブロックというものは確定された案ではないわけでございまして、そういう意味では、一つ参考として案を考えたという程度でございます。もちろん、このときにも御議論がございましたが、ほんとうにこの問題を検討するならば、区域について、たとえばバウンダリー・コンミッションというものを別に設けて、慎重に検討を要する問題であるということは、特別委員会論議のときにも、はっきり委員長から言われておる通りでございますし、また、小委員会のときにも、そういう御議論があったわけでございます。この区域の点は、三、四府県統合の場合についても、参考案として述べられておるのでございまして、具体的な検討に当っては、別な機関を設けて調査するということは、両案とも大体同じ考え方でございます。  それから、組織の点でございますが、地方にも批判機関として議会を置くということについては、御議論がなかったのでございまして、定数が四十人から百二十人というふうに一応限定したのは、これは、現在の府県の最低の定員から最高の定員の間できめたがよかろう、こういう委員の考えであったわけでございます。  それから2の、「「地方」に執行機関として「地方長」(仮称)を置く」、地方長の選任は、(1)に書いてあります通り、「「地方」の議会の同意を得て内閣総理大臣が任命する」、こういうことになっておりますが、この点は、いろいろの考え方総会あるいは特別委員会、小委員会で述べられたのでございます。しかしながら、ここにおいて、みないろいろな意見がありましたが、地方と国の意思といろものが適当に調和されるような選任方法ということで、結局、最後にはこういう案がとられたわけでございます。  それから(2)は、「「地方長」は、国家公務員とし、その任期は三年とする」、任期については、四年とするか、三年とするか、あるいは任期をつげないかと、いろいろ御議論がございましたが、地方公安委員会とかというような委員会について、三年というのがあるというようなことが参考になって、三年ときまったように記憶しております。  それから三番目の、地方長の資格でございますが、ここに、「政党その他の政治的団体構成員でないことを要するものとすること。」こういう表現でございます。これは、小委員会では、任期の三年ということも関連いたしまして、任期もあることだし、政治的な立場を離れて、中正的な立場でやることを期待するのだという御議論があって、こういう表現になったのでございます。「ないこと」というのは、そのときにも議論がありましたが、それではやめればいいのかといえば、それはやめればいいのだというのが小委員会議論があったことを記憶しております。  それから四番目でありますが、これは、地方議会の方から今現行法では罷免請求の議決ということはあり得ませんので、総理大臣に対して罷免請求をすることができる、こういう制度を四番目に置いたわけでございます。  それから五番目は、これは公務員法上の懲戒事由に相当する場合には罷免できるということ、「職務上の義務違反等一定の要件」というのは、懲戒事由ということを考えて、こういう表現をしたのでございます。  それから三番目に、行政委員会のことが書いてございますが、ここでは、「特定事項に関する裁定、審査の機能を行うものを除き、執行機関たる行政委員会は置かない」、ころいうことがございます。これが特別委員会のときに、警察とか教育とかというものについては、行政委員会というものの建前をどうするのだという質問が二、三の委員からございました。この問いに対して特別委員長から、この御議論の過程でそういうことがございまして、しかしながら、そういう重要な行政事務については、地方庁が執行する前提として特定の審議会と申しますか、諮問機関と申しますか、そういうものに諮って必ずやるようにするとか、あるいはそういうものの議を経てやるようにしたらどうとか、こういう意見が事実ありまして、この表現にはないけれども、そういうことがこの考え方の基礎にあるということが、特別委員長から特別委員会において説明されております。  それから4、5は、特別に御説明申し上げることはございません。  それから、(5)事務でございますが、事務考え方は、三、四県案もこの案もあまり変っておらないのでございます。1に書いてあります通り地方は、「現在国が処理している事務で「地方」又はその機関に移譲できるもの、」国から持ってくるものと、それから後段の市町村に移譲できないものを処理する、これが第一番の考え方でございます。  第二は、「国の地方出先機関が処理している事務は、極力「地方」又はその機関に移譲し、これに伴い、当該地方出先機関は廃止すること。」このことが地方案では非常に重要視されているのでございまして、出先機関ばらばらになってやっているのを、地方という地方団体事務を移譲して、総合的に地方における行政運営させたい、こういうことを非常に強くこの案は強調しているわけでございまして、従いまして、この2というのがこの案の一つの眼目になっているのでございます。  それから3は、市町村に対する事務移譲、これは、現在府県が処理しているもので市町村が処理できるものは移譲する、この場合においては、市町村の規模の能力に応じて移譲する事務に差異を設ける、こういうことにして、市町村に対する事務の移譲ということを積極的にやろうという考え方でございます。この点もあまり変っておらないわけであります。  そこで、1、2、3を通観いたしまして、特別委員会で御議論になりましたのは、具体的にもっと事務をあげるべきではないか、どういう事務市町村に移譲し、どういう出先機関を一体地方というものに統合するのか、具体的にあげるべきじゃないか、むしろそういう議論中心ではないか、こういう御議論がございました。これにつきましては、参考案の二に、一応どちらの案も十一ベージに書いてありますが、参考として、どういう事務を移譲するものと考えるかという、ことでございますが、この表現も「たとえば、次のような事務につき検討を加えること」というふうになっております通り委員会自体として、個々事務について、この事務市町村に移譲する、この事務はどうする、この出先機関はどうするということは、時間の制約もございましたし、また委員会自体としても、そこまで詳しく論議するのはいかがかということでございまして、一つ考え方の方向を示すということで、参考案として付け加えられた次第でございます。  それから、六ページの(6)に「財政」が書いてありますが、この1と3に議論があったのでございますが、この地方は、先ほど申し上げました通り性格地方団体性格を一面持っております。従いまして、当然課税権を与えるということがその第一の問題であり、それから第二は、起債能力をどうするかということは、その点も明瞭に書くということで、三に書いた次第であります。それで、特別委員会で特に議論になりました点は、じゃ課税権内容をどうするのかということが一つ問題になりました。この点は、小委員会でもいろいろ議論があったのでございますけれども、何せ、どういう出先機関事務統合されるのか、どういう事務市町村に移譲するのかとか、具体的な事務内容がまだ明確になりませんので、個々の税目をどうやるかということは、とうてい結論を出し得るものではない、こういうことでございました。それからもう一つは、1の「課税権を有するものとし、その賦課徴収事務は極力簡素化する」、この「極力簡素化する」というのは、どういう意味かという御質問に対しまして、この起草に当られました一委員から、このことは、たとえば地方独立性を持つのでございますが、それをかりに所得税付加税というような格好で、税源の課税権を認めるということもその一つ内容である、こういう発言がございました。  それから、六ページの三でございますが、「「地方」の区域管轄区域とする国の総合地方出先機関(「地方府」(仮称))を置く、」このことがございます。ここがさらに議論があった点でございまして、ちょっと読みます。「(一)「地方府」の首長は、「地方」の執行機関たる「地方長」をもってあてること。(二)国の地方出先機関のうち、その処理する事務を「地方」又はその機関に移譲することができないものは、原則として「地方府」に統合すること」、この地方府という考え方は、国の総合出先機関でありまして、五ページの事務のところの二で申し上げました通り原則として地方出先機関事務は、地方またはその機関に移譲して廃止するのだ、こういう建前をとっております。そこで、この原則を貫いても、なお地方府というものに移譲できない出先機関が残るかもしれない。残り得る。そういう場合は、その出先機関をまた現在のようにばらばらに設置して、ばらばら運営きせるということは望ましくない。そこで、少くともそういうふうにして残る出先機関があれば、その地方府という総合出先機関全部統合してしまえ、そうしてその地方府の長は、地方執行機関たる地方長をもって充てる。つまり一人が地方首長であるとともに、総合出先機関である地方府の首長を兼ねて、そうして行政の総合的な運営をはかる、こういうことで、との三の構想が生れたわけでございます。原則は、あくまでも出先機関事務地方に移譲するという考え方でございますが、その考え方をとっても、なお移譲できないものがある場合に、行政の総合的な運営というものを確保するために、こういうものを設け、首長を共通にする、こういうことでございます。  それから四は、大都市制度首都制度でございますが、大都市制度は、事務配分特例事務処理上の特例、監督上の特例というものを十分考慮すればいいじゃないかという考え方があったのでございます。首都制度につきましても、少しわかりにくい表現をとっておりますので、御趣旨説明したいと思いますが、「首都制度については別途考究するものとし、「地方」の設置に伴い、現行特別区の存する区域については、基礎的地方公共団体を設ける等、必要な調整を講ずること。」これは、首都制度というものについては特に考えるけれども、この地方案を実施して、現行府県というものを廃止する。つまり、都というものを廃止します結果、特別区の区域については、現在のように、不完全な自治団体である特別区というものが残るということは、基礎的な地方公共団体でないある区域ができてしまうという結果になります。そこで、それは憲法の規定に直ちに違反する結果になるのではないか。そこで、そういう状態の発生しないように、特別区の組織区域については、基礎的な地方公共団体を設けるというようなことを特別に考慮する必要があるということを特に加えたわけでございます。そこで、こういう表現に相なったのでございます。  それから備考につきまして、府県制度改革に伴い、国の中央、地方を通ずる行政事務処理そのほかの地方行政機構の全般的の改革についても根本的な検討を加える。こうなっておりますが、この点につきましては、調査会といたしまして、地方制度調査会でもあるし、国の行政機構全般について触れるという任務も持っておらない。しかしながら、このことが同時に伴わなければ、その地方制度改革というものは意味がない。そこで、こういう趣旨を明確にここにうたう必要があるということで、備考という格好でこういう趣旨がとられたことになったわけでございます。  それからその次は、二、三府県統合案について、その概略を申し上げますが、この考え方は、先ほど申し上げました通り、あくまでも現行制度、つまり、府県、終戦後行われました地方制度改革建前というものをあくまで尊重する。しかしながら、欠陥もないことはないので、その点を是正する、こういう程度にとどむべきだということでございます。なお、この点につきまして特に申し上げますと、この考え方を強くとられている点は、十五ページの第三、第二はこの区域の問題でありますが、第三がかなり拡張されてくるのでありまして、ことに書いてありますのは、現在、市町村府県、特に市町村が合併の結果、だんだん能力というものが充実して参る。そうすることが府県市町村との間に機能の衝突を来たし、あるいはひいて行政の非能率というものを導く。そこで、府県のある姿というものは完全自治体であっても、両者の機能、つまり、市町村府県とがどういう機能を果すかと、そういう任務を明確にすることによって、二重構造といわれる非難も是正できるし、そのことが府県の本来あるべき姿ではないか、そのことを田中先生のお考えによりますと、今後の府県というものは、広域的な行政事務というものを担当する、そういう完全自治団体として存在すべきであるということが考えられておるのでございます。そこで、第三のところに、両者の機能、府県市町村間の機能、配分の明確化ということが非常に強調されておる次第でございます。  で、その具体的な内容に入りまして、この十七ページから簡単に内容を御説明申し上げますが、最初の方にこの案の趣旨が出ておるのでございまして、十七ページの一行目から三行目まででございますが、すなわち、「現行府県完全自治体としての性格は、これを維持しつつ、おおむね三、四の府県統合して府県区域を再編成するとともに、国、府県及び市町村を通じて事務の合理的配分を行い、各々の機能を相互の重複なく、十分に発揮きせるような体制を確立する。このことがこの案を貫いている根本的な考え方でございます。そして、統合ざれた府県は、全部統一して、府とか都とかというものをなくして、県とすることで一ができておりす。  二は、この府県区域統合考え方でありますが、これは、先ほど地方案で申し上げたことと同じような考え方、つまり、バウンダリー・コミッションというものを設けて、もっと慎重に具体的にやるのだという考え方が背後に包まれております。  それから組織でありますが、組織の第一番の議会の議員の定数、これは「五十人から百人までの範囲内において人口に応じて定めるものとし、」との考え方ほ、田中先生の御説明によれば、現在よりも少くともよろしいが、しかし、衆議院の議員の定員よりも少いということはあってはならないということで、こういう大体の基準を自分は考えたのだということを特別委員会で御説明しております。  それから、知事については現行通りでございますので、特に選挙のことは触れないのでございますが、任命の方は触れておりませんが、「任期は四年とするが、引き続き再選を認めないこと。」こういう、引き続き再選を認めないというのは、特別委員会であったですか、総会でありましたか、知事の一つの弊害として、在任中選挙運動について相当やるというのが一つの弊害として数えられておる。それならば、引き続き再選を認めない。引き続きの再選を禁止すれば、その点は相当ためることができるのではないか、こういう御意見があって、こういう表現になっておると思っております。  三番目は行政委員会、これは、現行通りでございます。  四番目に、支分庁は原則として置かない。しかし、当分の間、簡素な支分庁を置く。これは、田中先生の御説明によりますと、支分庁というものはできるだけ置かないで、一方では市町村事務を移譲する、一方では広域行政というものを担当していく、こういう格好で、原則としてはやはり置かないということを貫くべきだ、こういう考え方表現になったのでございます。  それから四の事務でありますが、事務の一番目は、ここにおいては、かなり市町村に移譲するものは日常生活に直結する事務府県は、その1、2。  つまり地方の総合開発計画の策定、治山治水事業、それから教育の水準の維持と、こういうような仕事をやるのが府県である。基礎的な地方団体である市町村は、日常生活に直結する事務をやはりやるべきではないか。それで両者の機能をはっきり分けようという考え方を一番目に出したわけでございます。  なおこの十八ページの中ごろに、市町村事務移譲については能力に応じて段階を設けるとともに、「「県は」、過渡的に市町村の能力を補完する機能を担当することができるものとする。」つまり、県の補完的機能というふうに一般にいわれておりますが、それは、この案によりますと、過渡的にやるべきであって、その格好が永遠に続くということは、依然として二重機構とか二重行政とかいう弊を招くことになるので、あくまでも過渡的であり、将来は補完行政もできるだけなくしていきたい、こういうことで、「過渡的に」という表現を特別に使われたわけでございます。  その次の(二)は、これは、出先機関事務は、極力市町村あるいは県に、現在国が処理している事務のらち、県あるいは市町村の処理するものは移譲する、なかんずく出先機関、特にここにわざわざあげております、こういう従来より県単位に置かれている出先機関は県に統合する、こういうことをいっておるわけでございます。この点も参考案についてあります通り、具体的な参考案、二十四ページに、出先機関検討すべきものとして掲げられておりますこの点も、具体的に綿密に研究は尽されておりませんので、なお参考としてこういうことを考えているという表現をしたわけでございます。  それから(三)といたしまして、十九ページの二行目に、「現在府県機関に委任されている国の事務は、できるだけ「県」の自治事務とすること。」これは、現在県が、御承知の通り八〇%といわれますか、その程度の国の事務機関に委任されて、処理しているわけでございますが、それは、できるだけ県の自治事務にしろということを表現したわけでございます。  第四番目に、特にここに少し、この案の特色といえば特色でございますが、考え方が出ているのでございます。この(四)を読んでみますと、「「県」又はその機関の処理する事務のうち、国家的性格の強いものについては、違法な処分の取消を認め、又は違法に処分を行わない場合の代執行について現行制度よりも更に簡素な制度を設けることにより、国家目的の達成に遺憾なからしめること。」現在の府県につきましていろいろ言われておりますのに、国の意思の浸透が十分ではないのではないか、こういうことが議論になったのでありまして、この点に対して、田中先生一つの考えがあったのでありますが、非常に国家的性格の強い場合、明瞭に違法であるというなら、それは取消を認めてもいいじゃないか。それから違法に全然処分をやらないというならば、現行制度よりもさらに簡素な、と申しますのは、現在地方自治法には職務執行命令、マンディマス・ブロシーディングという制度がございまして、二回裁判所の手をわずらわしてからでないと代執行ができないことになっておりますが、それを少し簡素化することによって、代執行という方法を認めてもいいのではないか、こういう趣旨でございます。ただこの場合、田中先生は、特に今、マンディマス・プロシーディング制度の中に羅免の制度がございます。市町村長や知事の罷免の制度がございますが、この罷免の制度につきましては、あくまでも現行通り二回の裁判を経て後にやるべきであって、この点については、主文は現行通りのことを主張しているのである、代執行の点については、現行制度よりももう少し何か簡素な手続を考えていいじゃないか、こういう御趣旨であるということを説明されております。どういうことによって、一面国家目的が達成できないという非難に対して、違法な場合には国の意思の達成を確保する道を開きたい、こういうことで(四)の表現がなされたのでございます。  それから財政につきましては、特にこういう事務の再配分がどうなるのか、まだはっきりいたしませんということで、抽象的な表現になっており、具体的な検討がなされていないということは地方案の場合と同様でございます。  それから第六は、特に地方案と違っておりません。  第七であります。この首都制度については、特別区の存する区域中心とした合理的な区域をもって別途考究する。この案に、この三、四県の統合では、基礎的地方公共団体というものが存在いたしまして、存在しないという状態が予想されましたので、特に地方案のような表現にはいたしておりませんので、ここでは単に首都制度というものを別に考究する、こういうことを表現したまででございます。  備考については、大体地方案と同じような考え方で、こういうい表現になっておる次第でございます。  それから区域につきましても、この二、三府県統合案については、参考案として十五県、十六県、十七県案というのが載っておりますけれども、これはあくまでも参考でありまして、具体的にやるときにはさらに検討を要する、こういう趣旨でございます。  以上、大体この案の内容について御説明申し上げます。
  5. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件について、後刻自治庁長官、局長等も出席いたしますから、その際御質問がおありになると存じますが、とりあえず今の説明について質問があれば、この際ちょっとならば願いたいと思いますが、いかがですか。
  6. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ちょっと……。今の御説明によりますと、地方制も、それからいわゆる県制も、みな区域が狭いから、広域的な行政をするに不便だということが一つの重要な眼目になっておると思います。従ってまた、区域も両案ともいろいろの案が出ておるのでありますが、この基礎となる人口とか区域というものの基準があったのですか。たとえば地方制であれば、人口はどれほど、区域はどれほど、あるいはまた県制においても、人口はどれほど、区域がどれほどという一定の広域行政の基準というものは研究されたのですか。
  7. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 小委員会におきまして、具体的に人口が幾らで、大体幾らがよろしいかという具体的な検討はなかったようであります。
  8. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 区域についても……。
  9. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 区域についても、具体的に面積はどれくらいでなければならぬかという御検討はなかったのであります。
  10. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 そうすると、結局この程度でよかろうというのですか。それじゃ少し何か、今日の広域行政をやるのには、これほどの人口なり、これほどの区域であるかという、科学的根拠といいいますか、そういうようなものがあるというような基礎があってほしいように思うのですが、それは検討されなかったのでしょうか。
  11. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) その点は、たとえば、こういう意味検討になられたということを申し上げておきますと、地方案の第七案で、東北というものがつけられておりますが、この場合に、新潟についてどういう考え方をとるか、こういう議論がありましたときに、たとえば、東北開発促進法では新潟が入っている。そこで、そういう現に行われておる法律の上からして、ある程度ブロックというものを考える考え方がここにとられると申しますか、そういう御議論がありまして、七案あるいは八案というものについて、新潟についてはどうするかということを備考に書くという議論はございました。今、小柳先生の御説のように、具体的に人口がどれくらいでなければならぬか、面積はどらかという非常に詳細な御検討はなかったのでございます。
  12. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 たとえば、今度の新市町村の問題にしても、大体の、この程度でなければ今後の自治行政はやっていけないという一応の想定のもとに整理されたと思うのですが、そういうような頭でいえば、地方制なり県制においても、今後の日本の自治団体のいわゆる広域行政をやる基礎として、区域はこれほどくらい、人口はこれほどくらいとか、何か基礎があってよいと思うのですが、その点は触れなかったのでしょろか。
  13. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 地方案で申し上げますと、地方案では、先ほどもちょっとこの趣旨にも、前文にもあります通り出先機関というものを統合するということも一つの大きな眼目であったわけでございまして、そこで、現在出先機関としてブロック単位の大体とられているものをいろいろ勘案いたしまして、そうしてたとえば、この七地方案ならば、地方警察局の区分だったと思いますが、そういうことで一応の参考案を作るということであったわけでございます。  それから県案では、同じような議論があったのでございますが、たとえば十七県案というのは二十二ページにありますが、これはかなり、推計によって府県区域を考えるという考え方がとられておりまして、推計を中心にした広域行政というものを考えるならば、こういう考え方がとられるのではないかという御議論はございましたけれども、今御指摘になられましたように、面積の基準、人口の基準という込み入った御議論はなかったのでございます。
  14. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 そうすると、たとえば七区域ということもよいし、さらにその倍にして、十四区域でもよいし、さらにもう少しふえて二十一区域でもいい、こういう議論に展開するような感じもするのですが、そういうことについて論及されなかったのでしょうか。
  15. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) この案を作りますときに、今、小柳先生の御指摘になったような御議論はもちろんなかったのでございます。  地方案の方は、大体今のブロック単位の地方出先機関というものを相当考慮に入れた区域というものは考えられたわけでございます。これは、先ほど御説明のときに触れましたごとく、具体的な案を練る場合には、さらにバウンダリー・コミッションというようなものを考えて検討すべきだということは両案の共通した考え方であり、特別委員長からも、この前そういうことが述べられております。
  16. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 別に意見は申しませんが、そのときに……。
  17. 本多市郎

    委員長本多市郎君) どうですか今の点は。ちょっと相当意見があっての御質問のようですが、あとで大臣や局長が見えますから、とりあえずの質問はそれだけにしていただきたいと思います。
  18. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 もう一つだけ言いたいのです。それは、今度のこの考え方は、一つ出先機関統合である、あるいは広域行政の観念である、あるいは財政負担の関係、こういうふうなものを考えて、組み合せて制度を作ったらというふうにとれるのですが、そうすると、一つ地方制案もけっとうです。それから県制案もけっこうでしょう。しかし、二つだけでなく、あるいはもう一つ二つぐらいの組み合せができるんじゃないか。いわば折衷案といいますか、何かその間にもっと別な案が出そうなもので、ただ地方制案と県制案の二つにしぼったということは、どういういきさつでしょうか。
  19. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 第四次調査会におきましていろいろな御意見が出ましたことはございますが、大体六つに分けられるのでございます。それは参考までに申し上げますと、一つ現行府県制度はそのまま維持いたしまして、事務配分なり財源配分を行うという考え方でございます。  それから第二は、二、三府県統合して、完全自治体とするという考え方。  第三は、二、三府県統合して、自治体たる性格国家的性格を併有させるという考え方。  それから第四は、現行府県制度を維持するが、国家的事務の処理については、指揮、監督権を強化するとともに、国の出先機関統合して道州庁を設置する。これは出先機関中間に設置して、それは国の総合的な出先機関、それを道州庁と呼ぶ、現行府県制は維持する。こういう考え方。  第五は、府県は特別地方公共団体とし、その議決機関市町村の連合組織から推薦し、その議長執行機関とする。府県は補助金、分担金をもって財源とし、課税権は認めない。別に国の出先機関を整理統合して道州庁を設けるが、その審議機関には地方代表を加える。これは市の全国議長会の御意見だったと思います。  第六番には、これは府県を廃止して、全国をブロヅクに区分して国の総合出先機関としての道州庁を設置する。これは府県をやめてブロック単位に出先機関を設ける。その六つの御意見調査会で各委員から披瀝されたわけでございます。これが特別委員会から小委員会に移されまして、小委員会でもやはり委員の方々はそれぞれの御意見で、こういう御意見がバラエティとしてはたくさん出たわけでございますが、それでは一つ一つ案を作っていくかということになりましても、それは実際問題としては小委員の間ではできないのじゃないかと、そこで先ほどちょっと触れましたが、田中委員から、それらの大綱というものがあるのではないか、  大まかに言いますと、結局現行のままで事務の配分だけで考える考え方区域を全然触れない、事務の配分と財源配分だけで問題を考える考え方。  第二のグループとしては区域統合する、二府県にするか三府県にするか、ともかくとして、区域統合するという考え方。  第三番目には、ブロック単位にものを何か作ろうという大まかな考え方があって、大まかに三つあるのじゃないか。そこで、そういう考え方の中にどれをとるかということになれば、三つのグループの中でどれかにしようじゃないかと、そこでやりましたところが、小委員の間では第二のグループと第三のグループをとろうということになったわけでございます。ただ、その場合に、グループの中でさらにニュアンスがあるということでは、小委員会としてはまとまらない。田中委員はそれではこういうふうにしょらじゃないか。皆さんがかりに第二の二、三府県統合というものをとったならば、みんなでそれを考えて、一番いい案はどれか。どういうふうに考えたら二、三府県統合案が一番いいものになるか。それから道州をとれば道州についてはどれがいいかは二、三府県の人をまぜて一緒に議論しようじゃないかということで、ついに大綱については同意し、大綱について大体意見の一致を見たところで起草委員の方々がまとめられたといういききつでございます。
  20. 安井謙

    ○安井謙君 内容じゃないのですが、少数意見というのはどの程度の人が支持したのですか。ちょっとその仕組みだけ。
  21. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) これは十月の八日の特別委員会に、二十九人のうち二十二名が出席されたと記憶しております。最初そうだったのでございますが、決をとりますときに、採決に加わりました委員は十五名でございます。それで地方案が八でそれから県案と申しますか、それが四で、それからどちらにも賛成しないというのが二あったわけでございます。十五の中には委員長が一名入っておりますので、採決としては八—四、どちらにも加わらぬ人の二というのがございました。
  22. 安井謙

    ○安井謙君 これは国会議員は入っておらぬわけですか。
  23. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) そのときの模様を申し上げますと、自民党所属の委員の方は退場をされました。
  24. 安井謙

    ○安井謙君 それは二十二人の……。
  25. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) 二十二人の中には最初出席されておったのですが、決をとります場合に、自民党所属の委員の方は退席をされました。それから加賀山先生、加賀山之雄先住ですか、あの方は途中で御意見を述べられましたあとで、席を立たれたように思っております。それから社会党に所属されている二名の委員の方は採決のときも加わっておられまして、加わりましたが、地方案にも賛成をいたしませんし、県案にも賛成をいたさなかった次第でございます。   —————————————
  26. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ本件に対する質疑は後刻に譲りまして、次の議題に入りたいと思います。  次に、町村合併の現況並びに新市町村建設促進法の運用に関する件を議題に供します。政府より町村合併に関する調査資料として資料が出されておりますので、まず、この資料について説明を聴取いたします。吉浦振興課長
  27. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) お手元に配付してございます「町村合併に関する調」十月一日現在の調べでございますが、それに基いて簡単に御説明いたしたいと存じます。  第一ページにございます各都道府県における町村合併の進捗状況総括表でございますが、先般八月の委員会で御説明申し上げたことと数字の上におきましては変化がございません。各地方におきまして徐々にではございますが、町村合併が進捗をいたしておりますが、率の点におきましては、依然として国の合併全体計画に対する進捗率といたしましては一〇一%でございますが、道府県で立てました実際の合併計画に対しましての進捗率は、なお九一%にとどまっておる次第でございます。  第二の、次のページでございますが、これは昭和三十一年十月一日以降、つまり新市町村建設促進法施行になって以来の数字が表の一番末尾に出ておりますが、昨年十月一日以降七百八十五町村を減少する予定になっておりますのに対しまして、百九十二町村の減少を見ておりますので、二四%の進捗率、つまり残ったものは相当困難なものばかりでございますので、わずかに四分の一程度の進捗率を示しておるにすぎないというふうな表でございます。総体を通じて申し上げますと、三ページに表がございますが、これは昭和二八年九月三十日、つまり町村合併促進法の実施の前日、市町村数を合せました合計欄をごらんいただきますとわかりますように、九千八百九十五市町村があったものが、現在では、昭和三十二年十月一日現在の数が、その第四番目にございますが、三千七百八十六ということになって、前回三千八百程度でございましたものから若干減っておることを示しておるものでございます。総体といたしまして一番最後の欄にございますように、六千百九の市町村が減少したことに相なっておるわけでございます。  第四表について申し上げますと、これは昨年十月一日以降の合併勧告状況並びにそのうち合併済みのものに関する調べでございますが、先ほど御説明申し上げておりますように、進捗率はまだ二〇数%にとどまっておるという状況を表にいたしたものでございます。  第五表は、前回も御説明申し上げましたものと同様でございますので、省略きしていただきます。  六の都道府県の境界にわたる市町村の境界変更並びに町村合併に関する調べでございますが、境界変更に関しましては、その後町村合併調整委員というものが中央に置かれておるわけでございまするが、全部の視察を終りまして、ただいま具体的にそれぞれ検討の段階に入っておるわけでございますが、そのうち京都府の亀岡市に関する境界変更の問題は、京都府側の非常な譲歩によりまして、今や話合いによる解決がつきそうな段階でございます。その他につきましては、まだかなり熾烈な反対、賛成の両派が入り乱れて抗争を続けておるという状況でございます。町村合併の方は、これはまるまる一町村が隣の府県の町村に合併したいというものでございまして、埼玉県の元狭山村から愛媛県の生名村に至る五件につきましては、これは三十二年四月十一日に中央審議会にかけられまして、現在審議中でございますが、長野県の神坂村の案件につきましては、合併の申請がおくれましたために、八月三十日の中央審議会に付託いたしたわけでありまして、現在いずれも調査の段階にございます。まだ結論が出ないままでおるわけでございます。  なお、新しい現象といたしまして、七に内閣総理大臣勧告の申請に関する調べがつけてございましすが、これは知事勧告をいたしまして四ヵ月たちましても合併をしない町村がある場合に、知事が内閣総理大臣の勧告を申請することができることに法律上相なっておるわけでございまするが、その条文を適用いたしまして、知事から内閣総理大臣の勧告を申請して参ったものの表でございまして、栃木県の湯津上村を中心とする合併の案件から、石川県の山中町を中心とする合併の案件に至るまで、全部で七件あったわけでございますが、八月三十日の中央審議会に付託いたしまして、審議会といたしましては、小委員会を設けまして、その後三回にわたりまして小委員会を持ちまして、慎重に審議をいたしました結果、去る十月八日の中央審議会におきまして、すべて合併勧告をすることが適当であるというふうな答申がなされておりまするが、そのらち第二の岡山県加茂町阿波村の合併の案件につきましては、ただ山林の処分をめぐっての意見の対立があるわけでございまするが、それにつきましては、ある種の山林処分に対します方針を明確にいたしますとともに、最後の山中町をめぐる石川県のこの十カ町村合併につきましては、これは山中町の反対が非常に熾烈でありましたために、現在完成いたしておりませんが、山中町を除く大聖寺町ほか八カ町村の合併は、来年の一月一日付をもちまして加賀市として発足することに相なっておりますので、この合併勧告の時期等につきましては、関係町村の動向と、民意の推移を十分に考慮して行うように、条件をつけて答申がなされておる段階でございます。その後、表についておりませんけれども、各都道府県の内部におきまして、一部境界変更の問題は、次々に片付けられておるような状況でございまして、その熾烈さは逐次低下いたしておるわけでございます。町村合併そのものも、ようやく落ちつきを取り戻しつつありまして、中には相当熾烈なものもございますけれども、全体といたしましては、今や相当な落ちつきを取り戻しつつあるように観察いたしておるわけでございます。もとより態様が千差万別でございまして、一様に申し上げるわけには参りませんけれども、今や政府といたしましても、新市町村建設促進という線を推し進めるべく、町村合併の法律に対しましても、そういった観点から合併をなお進めていくということで参っておりますので、そのように御承知賜わりたいと存ずる次第であります。一応簡単にその後の経過につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  28. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件について質疑のある方は御発言願います。
  29. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この前、この委員会のときに、この六ページの(2)にある、いわゆる越県合併と申しますか、あれについて、十月中旬頃には大体結論が出るような話に承わっておりましたのですが、今お聞きしますと、中央審議会に付託して、そうして審議中だと、こういうお話なんですが、その後、こういう事態がどのくらい前進しておるのか。
  30. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 当時八月の上旬の委員会であったと存じますが、私そのように申し上げておりましたが、その後、委員各位が、地方制度調査会委員も兼務されておる方もございますし、いろいろ御多忙でもございますし、その後調査及び審議等が順調に進んでおらないわけでございます。その間に、内閣総理大臣の勧告の案件も議題に供するということに相なりまして、これは事柄の性質上、県外合併の問題でもございますし、相当に急を要するものもございまして、その方にかかりきっておったわけでございまして、当時申し上げた状況よりも大分おくれておるという現状でございます。
  31. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私、それもともに問題があって、この次、たとえば新市町村建設促進法の改正と申しますか、何かについて検討をしたというようなことなので、少し実は要望を申し上げておきます。まだ通常国会等にも期間がございますから、まだ検討等もしてお見えにならぬかと思いますけれども、非常に心配する点は、七ページのところの御説明を聞きますと、知事の申請したものそのものがずばりと審議会でパスしておる、こういうことになっております。そこで、知事の権限というものが非常に大きくクローズ・アップされてきていると思います。実際は町村で、たとえばAの町村とBの町村を、地元の町村同士は合併を希望しておる。しかし、知事はその計画に対して反対だから、そういうものは一向申請してこないという問題ですね。とぎれてしまう。非常に知事の権限というものはクローズ・アップされておるのですが、ということは、権限をどうこうということよりも、実際、事実としてそういうことになっておるわけですから、もう少し地元の、何と申しますか、知事がそれに対して反対をしたといったらおしまいになってしまうのですが、そういうことに対して、何かあなたの方でどらもちょっといかぬじゃないか、私たちはいかぬと思うのですが、そういうことに対して、適切な一つ打開策と申しますか、その地元の住民の意向が尊重されるようなことは考えられないものでしょうか。
  32. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 全体としての考え方とまた個々の具体的な案件とによって、見方が若干違ってくるわけでございますが、一応総体的に考え方を申しますと、とにもかくにも過去四カ年にわたりまして、府県の内部におきまする町村合併の問題はずっと知事に、表現は悪いかもしれませんが、一応全権を委任した形で、先ほど申し上げましたような一応の進捗率を示したわけでございます。最後に至りまして、だんだんとむずかしい合併問題になって参りましたので、そういった点から、知事の権限の問題につきまして、若干の御意見が出てくることは、当然考えられるわけでございますが、個々の具体的な問題といたしましては、実は県知事によりましては住民の意向を十分にそんたくいたしまして、よしんば合併勧告につきましては、当時の県で持っております審議会なり、あるいはその他の調査機関を利用して、そういった時期においてそういう判断をいたしたものにつきましても、その後の住民の動向が逐次変化をして参りまして、そのような形における現状を新しく認めてかかろうというふうな知事も相当にあるように思われます。一部の知事は従来の計画を墨守いたしまして、住民の現在の感情と衝突をいたしておるというふうな面も見られるわけでございます。一様に判断はできないのでございますが、そういった住民のその反対理由に、われわれといたしまして正当性があるというふうに判断せられる場合には、しかるべく知事の方に申達いたしまして、個々具体的には片つけてぎたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。事実またそういった合併勧告以外の、いわゆる自主的な合併を現在われわれの段階でも認めておるのも数多くあるわけでございます。これはまあ県の態度そのものが全体として計画を絶対に変更しないという態度で参っておる県も二、三あります。そろいった所がちょっとそういった現象の相剋をきたしておるように聞いております。個々に判断をして参りたいと思っております。
  33. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 町村合併の促進に、知事が相当に強い権限を持っておる、そうして効果を上げてきたんだということは、私は認めます。しかし、もともと法文の書き方からいいますと、市町村が大体民主的に決定することが非常に尊重されている。ただ、知事の権限はそれを適正化するとか、あるいはそれを援助するというような表現に実はなっておるわけであります。それが実際に運営される場合には、知事の意向でどうでもなるというような形になる。もっと言えば、知事は地方議会の議決も経ずに、地方課と申しますか、そういうところで立案したものをのんで、それを勧告する。一方には四ヵ月以内にやらなければ、それを内閣総理大臣に申請してくる。そうして内閣総理大臣は申請通りに決定をされていくというようなことで、住民の意向というものが反映できないのじゃないか。一方では一面非常に成績を上げたということはございますけれども、一方では非常に住民の意思というものが踏みにじられておるという半面があると思います。一方では泣かされた人も非常に多い、こういう結果になっているんだから、そこを何か住民の意思がほんとうに、尊重されるような方向、あるいは方途と申しますか、あなたはただ住民の意向を聞いて、それをただ知事に対して何か申達をして、知事がやってくれるような方向にしむけるというような御答弁なんですが、それだけならば、私は問題はない、とっくに解決しておると思うが、そういうことでは少しも問題が解決せないんじゃないか。前進を続けてきて、そしてここへきたんだから、何か方途というものを別途に立てる必要がなかろうか、こういうことを申し上げているのです。
  34. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 先ほど御説明申し上げましたように、まあ全国八千有余の町村が合併いたしまして、今や五百有余の町村が未合併で残っておりまして、率の上からいえばわずかな問題でございますが、それだけに、まあ今までできなかっただけに、非常に複雑、困難なものばかり残っているということで、実は町村の内部の対立が、一方は知事に結びつき、一方はまた別の方に結びついて、非常に深刻な問題になっているように考えられるわけであります。そこで、具体的にはそういったものにつきまして冷却期間を置くなり、あるいは従来一部の知事がとつておりましたような強硬な方式を、この際緩和していくというふうな措置が考えられるわけでございます。先ほどから申し上げておりますように、全体としてまあ町村合併そのものに対する今までの政府の方針というものを大きく転換する必要があるかどうかという問題も、もとより検討しなければなりません。個々の未合併町村、それを実は合併困難な事情というものをここでこまかく再調査いたしまして、どこに難点があるのか、またその難点はどのようにしたら実は解決できるのか、知事が合併を自分が勧告した合併を固執しているために解決しないという問題がございましたら、その点から問題を解きほぐしていきたい。こういうふうに今考えているわけでございます。決してまあ全部の知事がそういうふうな方針ではないというふうに考えておりますが、一部の知事につきましては、確かにそういった面もうかがわれますので、十分に注意して参りたいというふうに考えております。
  35. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これ以上申し上げたくないのですから、一つあなたの方では、ただ単に知事の運営だけで事が処していけるというのではなく、もう一歩私は食い込んで問題を解決できるようなことを考究していただきたいと思います。
  36. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただい言の成瀬委員の御質問は重要だと思います。どろも法の欠陥ではないか。知事には知事の意見があって、その自分の意見を固執するのは当然だろうと思いますが、そのために取り上げられない。いわば知事の意見によってまあ切り捨てごめんの政治が末端において行われる場合もあり得るように私は思うのであります。これは民主政治の今日、そういうところがあるべきはずはないので、何らかの救済手段を、すなわち第三者的な機関がこれを取り上げて審議会等によって公正な立場結論を出すというような方法がなければならぬように思うのであります。法の改正か、そうでなければ行政的手段によってこれが救済されるように、十分検討される必要があるように思いますから、私からもこれは要請しておきます。  それでは、本件についてはこの程度にいたしまして……。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  37. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて。  次に消防に関する件を議題に供します。  昨日、消防審議会から消防制度改正に関する答申が出されましたので、まず、この答申について政府の説明を聴取いたします。
  38. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 消防審議会の設置につきましては、去る二十六通常国会におきまして、その際御報告申し上げたのでございますが、すなわち二月十五日に閣議決定によりまして消防審議会が設けられ、十七名の委員が委嘱されたのでございますが、その後、四月初旬に第一回の会合を開かれまして、この審議会に対しまして国家公安委員長から、消防の改善強化をはかるため、現行消防制度についていかなる改正を行うべきかということを諮問されたのでございます。その後、審議会が約十回、それから答申案内容起草するための小委員会が十回、都合二十回の会議が開かれまして、結論を得まして、昨日十月十日に国家公安委員長に対して審議会長から答申がなされたわけでございます。  その答申の内容は、お手元に差し上げてあると存じますが、その答申の内容の骨子を概略申し上げますると、現在の消防組織法及び消防法を骨子といたします現在の消防制度は、昭和二十三年にアメリカの指導によって自治体消防として発足いたしたのでございますが、その自治体消防があまりに市町村の自治制を強調いたしましたために、市町村の規模の大小、あるいは財政、あるいは行政能力のいかんにかかわらず、一切をあげて市町村にゆだねたという結果になりましたために、その能力のない、財政力の弱い町村におきましては、必ずしも十分な消防行政の責任を尽せないというような部面が出て参りました。さらに国及び県の消防に対する責任ということが、まことにあいまいでありましたために、結局国及び市町村を通じての総合的な、合理的な消防行政がとられないといううらみがある。そのために、市町村の自治体消防ということを骨子とするということは、もちろんこれは理論的には正しいことではあるが、すなわち消防の任務というのが主として地域的であり、地方的に局限されておることが大部分でありますために、市町村が第一の責任を負うということは当然であるが、さらにこれの足りない分を国及び都道府県において補完的に責任を負って、消防行政を推進すべきものだということの根本観念のもとに、この答申がなされたわけでございます。従って、この答申の主たる内容は、制度につきましては、国及び都道府県の補完行政の分野をどの程度にするかということが、この答申案内容の骨子でございます。さらに、現在消防行政が全国的に見まして十分に遂行されていない一つの大きな原因は、市町村消防財源が非常に少いために、消防組織なり設備を計画的に増強するということがほとんど不可能であります。その欠陥を除去するために、財政的な基礎づけをはっきりさせなければならないということで、財政措置といたしまして、従来消防行政運営の財源は、原則として全部市町村が負担すると、国は御承知のように消防施設助成費等わずかな補助金はありますが、原則として市町村が全面的に財政的な責任を負うということを改めて、確定した財源を得て、消防設備機構を充実するために、国が県及び市町村消防費全体の経費の二分の一を負担する、こういう制度を設けること。第二に、自己財源として固定資産を課税対象とする消防税を目的税として創設することができるものとすること。第三に、さらにその措置に伴って、従来慣行的に行われておりました消防に対する各種の寄付金というものは、これを廃止する。そういう財政措置をとることによって、市町村消防財政を安定させて、消防施設の充実をはかるということが、この答申案の骨子になっておるのでございます。  簡単に申し上げますと、以上の通りでございます。
  39. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ引き続いて昭和三十三年度消防関係要求予算について説明を聴取いたします。
  40. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) ただいま御説明申し上げましたように、消防審議会の諮問に対する答申が出されましたので、これに基いて、本来でしたら三十三年度の予算並びに法律改正、その他の処置をとるべきでございますが、予算概算要求中にはその結論が出なかったものですから、現在出しております概算要求は、一応次の二つの方針のもとに概算要求を提出いたした次第でございます。  お手元に差し上げました資料にも書いてございますが、第一に現行制度のもとにおいても国として力をそそぐべき事項、これが第一。第二としまして、審議会の答申を予想して三十三年度において予算措置を講ずることが適切であると考えられる事項を重点として予算を要求する。この二つの考え方に基きまして、概算要求をいたしたのでございますが、第一に関するものにつきましては、消防施設整備費補助金、消防団員等公務災害補償責任共済基金に対する補助金及び日本消防協会に対する補助金、これがおもなるものでございす。  第二に関するものといたしましては、消防団員の教養訓練に必要な経費、それから都道府県消防職員設置費補助金、さらに制度改正に対処するための国家消防本部職員の増員、これらが第二に属するものとして概算要求を提出した主たる問題でございます。  内容を簡単に申し上げますと、消防施設整備費補助金につきましては、本年度の三十二年度は四億円でございますが、三十三年度の要求額は十九億七千百八十六万円となっております。これは三十二年度を初年度としまして、消防整備十カ年計画に基く施設の整備、これは昨年も当初に要求したのでございますが、それが十五、六億になっております。それに三十三年度はさらに水道の消火せんの施設に対して、三億四千七百万円余りの、やはりこれも三分の一の国庫補助でございますが、それを要求いたしておりますために、合せて十九億七千一百八十六万円となっておるのでございます。  それから次は消防団員等公務災害補償責任共済基金に対する補助金でございますが、これは三十二年度通りに四千万円を要求いたしてございます。  それから第三に、日本消防協会への補助金でございますが、これは本年度は国家消防本部の事業の委託費としまして五百万円組まれておるのでございますが、さらに日本消防協会の事業を拡充し、効果が十分上るようにいたしますために五千五百万円余りの国庫補助を見込んでございます。  それから先ほど申し上げました第二の種類に属します制度改正に伴って、それを予想して掲げたものは、消防団員の教養訓練に必要な経費でございますが、これは大体現在消防団員は全国で百八十万人ございますが、従来の実績から見ますると、年々約一割、十八万程度でございますが、約一割が交代いたしております。この新任の消防団員に対する教養訓練費に対して国がそれの二分の一を補助するということで、一億六千三百四十三万円を要求いたしてございます。  それから都道府県消防職員の設置に対する補助金、これは都道府県の仕事が今後だんだんと消防事務がふえて参りますし、さらには消防団員の教養訓練を県を中心として行わせるためには、都道府県消防職員に対して国家も補助をすべきであるという建前のもとに、都道府県消防職員の設置に対する国庫補助といたしまして、三千四百六十四万円を計上いたしてございます。  それから国家消防本部の増員の要求でございますが、これは予算要求に現われておりますのは、内容を申し上げますと、本部に次長を置くということ、それから消防関係法規の整備、制度の改正に要するための増員、これが十二名、それから消防指導の徹底を期するための制度創設に伴う増員十二名、消防大学校の設置に要する増員七一名、計三十二名の増員を要求いたしまして、これの経費は千四百万円でございます。  これが三十三年度の予算要求のおもなる項目でございますが、全体を申し上げますと、三十三年度の要求総額は二十四億四千三百十八万円となっております。前年度、三十二年度の予算が五億五百六十七万円でございますので、差し引き増加額が十九億三千七百五十一万円となっております。  以上、三十三年度予算要求の概要を御説明申し上げた次第でございます。
  41. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件について、小林委員より質疑の要求がございますので、まず、小林君に発言を許可いたします。
  42. 小林武治

    小林武治君 消防制度の改正、この答申の中でありまするが、これは県と、今の市町村と、どの程度の関係を持たせようという考えですか。今はほとんど関係ないようなんで、たとえば消防の行動について、県知事が多少でも指示とか、そういうふうなことができるようになるのか、その点はどうですか。
  43. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 都道府県並びに都道府県知事の消防に対する責任は、その答申案にも出ているのでございますが、現在の制度によりますると、国も都道府県も、市町村消防行政行政管理、運営管理については全然発言権がないような規定になってございます。それで部分的には消防組織法によりまして、知事の、市町村消防に対する指導とか勧告とか助言とかいうことが規定されておりますけれども、原則として行政管理、運営管理にダッチはできないと、こういうふうになっておりますために、ほとんど都道府県知事は、市町村消防に対してノー・タッチ、責任も持たないということが原則としてとられているわけでございます。これは従来の経験から見まして、非常に不合理な点がございます。さらにその市町村にもいろいろ種類がございまして、非常に消防能力の充実した市もございますし、全く財政的にも行政的にも能力が十分でない所もございます。それらを一律に扱って、都道府県知事はこれに対して何ら発言権がないということは、まことに不合理なことでございますので、国家消防本部といたしましても、何らかこの点について是正を加えて、市町村消防能力の足りない点について、国はもちろんのこと、都道府県知事がこれを補完的に責任を持つべきものだということ、そういうふうにすべきものだということを、国家消防本部としても考えておったことでございますが、今回の答申案によりますと、その答申案にも書いてありますように、都道府県に関する事項の真先に書いてあるのでございますが、都道府県は、「区域内の消防が十分に行われることを確保する責任を有する」、原則として都道府県もその都道府県内の消防を確保する責任を有するのだということ、それから市町村消防の自主性はもちろん尊重ずるが、市町村消防の全般にわたって育成強化をはかるのだといったようなことが書かれているのでございますが、つまり従来のようにノー・タッチということでなしに、都道府県または都道府県知事は、市町村消防に対して十分な遂行ができるように、やはり地域なり県として責任を負うのだということで、市町村消防組織とか、あるいは運営の合理化についても指導あるいは助言、勧告というようなことができるということを、法律上はっきりとさせるということが、答申案内容になっておりますが、これは国家消防本部といたしましても従来考えておったことに合致する答申案内容であるわけでございます。
  44. 小林武治

    小林武治君 それで何か、次の通常国会で法制化しようとでも思っておるのですか。そういう用意をされておりますか。簡単に一つ答えて下ださい。
  45. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) これは財政措置も伴うものでございますので、政府部内といたしまして一番関係の深い自治庁とか大蔵省とかと、それぞれこの答申案をめぐって今後折衝をいたしたいと思っておりますが、国家消防本部といたしましては、ずっと以前から消防法並びに消防組織法の改正については十分研究いたして、着々案ができ上っておりますので、それら関係省庁との事務打ち合わせをなるべく早急にいたしまして、でき得れば財政措置もはっきりとして、消防法並びに消防組織法の改正を次の通常国会に提出したいという目標で作業を進めています。
  46. 小林武治

    小林武治君 今の問題は主として、答申は消防組織あるいは消防行政的の運営、こういうことになっておりますが、消防行動に対する知事の指示とか、あるいは総合的な活動をうながすとか、たとえば今の消防というものはいわばばらばらだ、改正以前の警察制度と同じだ、聞くところによれば、消防が出動したが、火を目の前にして、これはよその管轄だからして関与しないで帰るというような、非常に不合理な態様を示しておる。こういう点について何か規定というか、協力関係というかそれがなければならぬし、また消防は火事ばかりでなく、いろいろの水害、震災等にも出動する場合にも、これの全体としての行動に対する統轄というようなものはほとんどできない。こういうようなことはどうですか、今あなたのおっしゃったことは、ただ消防組織とか運営というもので、消防活動に対する統轄的の指示権と申しますか、指揮権と申しますか、そういうものが必要になってくると思いますが、その点はどうですか。
  47. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) お答え申し上げます。御指摘のように現在の制度下における消防活動は必ずしも統制のある、あるいは合理的な、効率的な消防活動ばかりでないというような現象が現われております。そこで今回の答申に現われておるものにおきましては、大災害の発生した場合、あるいは御指摘のような福岡県に先般発生したような事例に対処する緊急的な問題といたしましては、大体次のようなことが考えられておるようであります。それは結局市町村自治消防という原則はとっておりますので、その原則を維持しながら緊急調整的な作業を営むという意味合におきまして、知事が応援命令を出し得るということを法文上明確に規定する。これは現在の消防組織法の中におきましても、そういった場合の非常事態のときには緊急措置を下し得るという漠然たる規定があるのでありますが、どらも運用して参りますと必ずしも明確でありませんので、応援命令を出し得るというような規定を設ける。もう一つは、市町村の側におきましても、応援協定を義務的に締結していくというような制度を立てていく。さらに知事の側におきましては、応援命令の締結について強力なる指導を行う、と同時に、場合によっては一つの指導命令と申しますか、そうした措置も講じられるようにしていきたいというような考え方がとられております。  もら一つは、消防の現地に即した実際の活動は、何と申しましても、こうした指揮権の確立と同時に、十分事態に即して効率的に活用が行われる平素の訓練が重大な問題と、もう一つは訓練に先立つ周密なる計画が必要であるわけであります。そういう観点から、今度の答申案におきましては、市町村消防計画を樹立いたしますとともに、県におきましても、県全体の消防計画を立てますと同時に、知事は市町村消防計画を指導する、こういう考え方が取り入れられております。この消防計画の内容消防全般にわたるものでありますけれども、御指摘の当面の問題としましては、応援等を含めた場合に、県内を数個のブロックに分けまして、そのブロック内において協定を結んで、互いにその効率的なる応援をし合う。そうして現場の活動が統制ある行動を行われるように平素から計画を立てて、その計画に基く訓練を十分にやっていくというような考え方が取り入れられておるわけでございます。  大体以上申し上げましたような面で、一方においては、訓練、これに先立つ計画と同時に、一つの指導命令というようなものを取り入れまして、やろうという考え方であります。  なお全般の問題といたしましては、この知事に、市町村消防組織運営の合理化に資するという観点から、指導、勧告、助言を強力に行い得るという考え方が出ております。これは現在も指導、勧告、助言はなし得ないことはないのでありますけれども、先ほど本部長から説明のありましたごとく、運営管理、行政管理に服することはないという規定とともに、要求があった場合には指導、助言をすることができるのだというような、非常な消極的な立て方になっております。これを積極化いたしまして、自主性は尊重しつつも、欠陥の排除のために十分なる指導、助言、あるいは勧告を行うというふうな考え方でございます。
  48. 小林武治

    小林武治君 一言にして言えば、今の消防組織あるいは消防活動の総合性というものは、なっておらぬ、こう言える。  それで私は結論だけお聞きすればいいが、知事の指示権、あるいは命令権を認める、これはぜひ必要と思う。それから市町村消防団の相互共助関係、これもぜひ一つ法律的にもっとはっきりさせる必要がある。  もう一つの問題は、警察と消防との関係、これはどういうふうに考えていますか。全然関係を結ばせないのか。たとえば現在でも、犯罪捜査等においては消防団の出動がある程度なければできないような場合もある。また大きな災害等の場合にも、消防と警察というものが、全く別々では十分な効果のある活動ができない。こういうふうに思っておりますので、警察と消防との関係をどういうふうに考えるか、この点はどらですか。
  49. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 警察と消防との共助関係は、現在の法律関係によりましても協定を結んで共助いたすことになっております。それでそのときの指揮関係等も法律に詳しく書いてございます。これは現行法の共助協定を結ぶこと、という現行の規定を十分に運用する運用の面を遺憾ないようにいたして参りますれば、十分目的をとげるものと考えております。
  50. 小林武治

    小林武治君 今運用されていると思っていますか。これはもう、ほとんど運用されておらない、またそういう協定がそうできておらないと思いますが、どですか。
  51. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) これは地方によりまして必ずしも消防と警察が気分的にしっくりいってない所もございまして、しばしばその十分な共助態勢がとられてないという話を聞きますので、実は大分前のことでございますが、消防側からも各都道府県を通じて、市町村当局に警察との協力関係を十分密接にいくように指示いたしますとともに、警察庁から各都道府県の警察本部長に通牒を出しまして、十分共助関係に遺憾のないようにという通牒を出したことがございますので、さらにその趣旨を徹底いたしますように努力していきたい、さように考えております。
  52. 占部秀男

    占部秀男君 ほかの機会に伺いたいと思ったのですが、今、小林先生の方から消防活動という問題について出たのですが、それで私ちょっと伺いたいのですが、今度のこの答申を作るに際して、消防活動の、いわゆる消防に関連のないところの、何といいますか、問題に、市町村長が消防団員を動員するというようなことが最近非常にあちらこちらで、全国的に例があるのです。消防組織法や消防法等では、そういう点についてはあまり触れていないようですけれども、たとえば労働争議の場合に、消防団員を動員してやるというようなことを、市長なんかがやっておる事例が非常に起ってきているので、従ってそういうような問題について、何らかの、何といいますか、処置といいますか、あれをするというようなことが今度のこの答申の中で検討されなかったかどうか、そういう点について。
  53. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 消防団が消防業務、あるいはそれに関係の深い公共の事務以外に動員されるということの防止につきましては、かねがね私どもの指導が徹底するように努力はいたしておるのでございますが、今度のこの答申によりますと、市町村消防運営に関して、都道府県知事が積極的に指導する権限を持つべきであるということが答申に含まれておりますが、国についても同様であります。われわれ国家消防本部といたしましても、その点は従来のようにノータッチということでなしに、消防運営自体について、もう少し都道府県知事あるいは国なりが積極的に指導し、正しく運営されるようにすべきものだという考えをわれわれも持っておるわけであります。法案の改正の際には十分その点の遺憾のないように取り入れたい、かように考えております。
  54. 占部秀男

    占部秀男君 これは希望ですがね。むしろ積極的に、消防及び緊急災害というような場合以外には、消防の動員の乱用のようなことがあってはならないということを、はっきりと規定すべきではないかと私は思うのですが、そういう点について御意見はどうですか。
  55. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) この答申にも実はそろいったニュアンスが出ておるのでございますが、実は消防団員の、昨年設けられました公務災害補償の問題ともからみまして、消防団が公務以外のことに動員されてこれで災害を受けた場合、車を衝突させるとかあるいは死ぬとか、けがをするとかいろような場合には、直ちにそれが重要な問題として浮び上ってくるわけでございますので、この公務災害の制度が徹底的に、全面的に実施されるようになれば、自然やたらに消防団をかり出して、消防業務以外のことに使うということはだんだんなくなってくるのじゃないか、またわれわれもそういうふうに十分指導していきたいと考えております。
  56. 占部秀男

    占部秀男君 その点重ねて希望ですがね、ちょっと僕は本部長さん認識不足じゃないかと思うのですがね。というのはそういう消防関係だけの意味合いじゃなくて、消防団員をほかの事件に利用しようという、そういうような動きがあちらこちらに出てきておるのです。たとえば労働争議の弾圧のために出すとか、そいうようなことについては、そういうことをしてはならないということをやっておかないと、今言ったように、知事の勧告あるいは何とかといっても、そうはっきりしたものにはなかなか今の状態であっては私はできないと思うのです。従って法的にそういうことは禁止きるべきだと、はっきりと僕は改正しておくべきじゃないかと思うのですが、そういう意味合いで私は言っておるわけです。
  57. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 実は労働争議等に消防団員がかり出されておるというような話は初めて伺うのでございますが、そうめちゃくちゃに消防団員を使っておるという話は実は聞いておらないのでございますが、もしそういう不都合なととがあれげ、十分訓査いたしまして、またそれに対する対策を講ずる必要があれげ十全考慮いたしたいと考えております。
  58. 占部秀男

    占部秀男君 この答申の中に「都道府県知事に対し、あらたに、次に掲げる事務を処理せしめるものとすること。」「(イ)市町村消防組織及び運営の合理化に資するため、指導し、助言、勧告すること。」このことと、消防庁の長官に対しての事務処理に関しての(イ)と同じことがあるわけですね。市町村消防組織及び運営に関する指導なり、助言、勧告、これは一体、末端の市町村に対して、県の方からあるいは消防庁の方から二つの道でいくんですか。ここら辺の関係はどうなんですか。
  59. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 現在の組織法下におきましても、実は組織法の二十条と二十条の二でございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、要求があった場合に、指導、勧告、助言という、規定の段階におきましてはやはり同じような規定があるわけでございます。ただ、今御指摘のように、もしも矛盾した指導、勧告、助言が行われる場合の調整の問題がありますので、現行法も二十条の二においては都道府県知事の行う指導、勧告、助言は国家消防本部長の行う指導、勧告、助言の趣旨に沿うものでなければならないという入念な規定があるわけでございまして、これは指導、勧告、助言を行います場合に、どういう態様のものをどの段階において行うかという点については、実際の法を固めていく場合あるいは本制度の運用の段階において十分配慮すべきだと思いますが、結論的には現行法がとっておりますように、矛盾した指導、勧告、助成は行われないようにすべき配慮は当然になさるべきだと思います。従って言わんとするものも、それらを背後に持った意味の規定だと、このように了解しております。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 実際の問題になりますと、府県知事は消防長の方からのそれの範囲内において行う、その趣旨を汲んで。そうすると消防長の方が優先する形でございますね。そう考えていいわけですね。そこで、府県知事と消防長との間に何か事前に打ち合せとか、そういうものが必要じゃないかと思うのですね。これは実際の法の運用なりあるいはいろいろな仕事の進め方、いろいろと打ち合せもあると思うのですがね。この辺をいろいろ考えてみますと、ただ法の上ではうまく調整できるようなことがあっても、心配なところが私はあるんじゃないかと、こういうふうに思うわけですが。
  61. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) これは御指摘のようにいろいろの問題が考えられるかと思うのでありますが、先ほど申し上げました現行制度のもとにおきましても、入念なる規定がありましても運用のいかんによってはいろいろな問題が考えられますけれども、今までそらした事例はありません。のみならず、先ほどの説明にも申し上げましたように、市町村消防計画、都道府県消防計画、それに対しましては、国が県の消防計画を十分指導するということがありますので、一般的な計画自体の問題としては、やはり国の県の消防計画に対する指導ということで、内容の調節をし矛盾がないように行われると思います。  なお個々の指導、助言、勧告というものにつきましては、行政の運用の実際といたしまして県がやる場合に、かねて示しておる国の一般方針というものを十分これは参酌する措置をとりましょうし、なおまた特殊な事態につきましては、国に相談の上で行うというようなことは行われるわけだと思いますので、それらの運用の十全を期することによって御懸念のような矛盾のないように十分していきたい。  なお立法段階の問題としては、現行法がとっておるような入念なる措置は一応考えらるべきものだというように考えております。
  62. 小林武治

    小林武治君 私も当面の問題二、三質問したいのでありますが、消防の公務災害補償の基金ですね、あれは事務所が東京にあるだけて各府県には従たる事務所がない。このために支給その他手続等によって非常に手間がかかりめんどうで困る。従って、従たる事務所をぜひ府県に置いてもらいたい、こういう強い希望がありますが、その点はどうですか。
  63. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 公務災害補償の基金の従たる事務所を各府県に置いてもらいたい、という非常に強い希望があることは私どもも聞いておるのでございますが、現在消防団員の補償の問題が起きた場合に、その支払いは非常に迅速に中央から支払われておりまして、地方に従たる事務所がないために非常におくれておるという事実は一つもないと思っております。ただ現在は比較的仕事が閑散なと申しますか、事故が非常に多いというようなことにぶつかっておりませんので、あるいは将来全市町村が加入して事故が多くなるというような場合になりますと、地方の各都道府県に従たる事務所を設けなければやっていけないような事態になるかもしれませんので、何とかしてわれわれも事務的には都道府県に将来従たる事務所を設けたいと考えておりますけれども、現在まだそれまでに仕事が進展しておりませんし、また一方事務費は全部国庫でみるということになっておりますために、その原則に従えば、都道府県に従たる事務所を設けますと、それの経費は全部国庫で補助するということになりますので、それらの点もございまして急速に進まぬような状態になっているわけでございます。しかし将来何とかしてこの従たる事務所を設けたいし、また設けた方が、受ける方の側からいいますと非常に安心感を受けますので、将来は何とか従たる事務所を設ける方向へ進みたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 小林武治

    小林武治君 これはまだ全国の町村等によって未加入のものがだいぶある。従ってそういうものに対する勧誘、あるいはその他においては現在では地方にはそういう何はない、それで地方には消防協会というようなのが各府県にあるのですね。そういう中にこういうようなものを置いてやると、いろいろの事務の進捗の上に非常に便宜だ、こういうふうに思うのでありまして、われわれも、ぜひ一つ従たる事務所を府県に置いてやったらよかろうと、ころいうふうに考えまずるから、その点を一つあまり先の問題として考えないで、できるだけ早く現在災害補償がなくても、未加入の町村があると、こういうものの勧誘その他のことも、こういう専任の者が一人でもおればやれると、こういうことから考えても私そうしたい、こういうふうに思います。  それからこの基金に対する補助金は、一体これは毎年出すつもりですか。私は一度五千万円出したからそれでいいんじゃないかと、ころいうふうに思っておりましたが、初めから毎年こういうものを積み立てていくつもりですか。この点私は少しおかしいと思うのです。
  65. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) これは一昨年が一千万円、本年度の三十二年度が四千万円、来年度の三十三年度も四千万円補助を要求いたしておるわけでございますが、基金でございますので、ある程度の基金が造成されるまでは国庫補助で援助していきたい、さように考えておるわけでございます。どの程度の基金ができたらそれならいいかということは、仕事の将来の規模とをあわせて考えなければならないことではございますが、およそ私のまあ腹づもりと申しましょうか、一億二、三千万程度の基金ができればもう国庫補助なしに独立してやっていって運営に支障はないのじゃないか、さようにおおよそのめどは考えております。
  66. 小林武治

    小林武治君 もうこの補助金をこれだけ出して、その金はそのまま全部残っているのでしょう。経営的に何か使っておるのですか。残っているのでしょう、積み立てておるのでしょう。
  67. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) お答え申し上げます。まだ発足、間がありませんので正確な何はわからないのでありますが、大体この掛金収入で平常の状態はおおむねまかなわれるよいでありまして、ただ若干水害等が多くなります場合には、現在の団員割四十円と人頭割のものだけではまかないきれないのじゃないかというような感じがいたしておるのであります。この三十二年度の決算を待ちますと、これはちようどまるまる一年を経過した結果が出て参りますので、正確な一つの見通しといいものが一応出るかと思いますが、ちょうど今半ばでありますので確たることは申し上げられませんけれども、御指摘のように引当の積立金というものはできる予定でありますが、補助金がまるまる残るか、あるいは若干掛金の不足額が補助金に食い込んできますか、まあしばらくの状況を見ませんと正確なことは言えないのじゃないかと思います。
  68. 小林武治

    小林武治君 この基金とは積立金か、預金か、そういう形でまたある程度経営費の足しになる道も出てくる、こういうふうに思うわけですね。こういろものがある程度毎年出るとするならば、従たる事務所をもって一人くらい事務員を置くというようなことはだんだんできてくるのじゃ、ないか、ころいうふうに思いますが、その点どえですか。
  69. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) この従たる事務所の問題は先ほど来御説明申し上げましたような状況でございますが、この基金全体の事業費に対する事務費の占める率と申しますか、そういうものが一応事務的に大蔵省等と話し合いをして参ります場合に、かなり問題化してくるわけであります。先ほどの説明のごとく現在の政令の規定のもとにおきましては、事務費に要する経費は全額、当分の間でありますが、国が見るという建前をとっておりますので、そういたしますと、全額国が見る事務費の割合が、基金全体の事業費に対して非常に多くの率を占めて参るということになりますと、勢い基金運営のあり方ということについての問題が起って参りますので、実は小林先生の御指摘のような加入の問題にもからんで、従たる事務所を置くことが適切である、あるいはまた療養補償費の支払いをより敏速にするという意味合いにおいても、従たる事務所を置くことがいいということはわれわれも十分感じまして、そのように努力はして参ったのでありますが、今申しましたような費用の配分等の、そういう関係がありまして、まだはっきりしたことに踏み切れない、成就しないような実情にあるわけでございます。
  70. 小林武治

    小林武治君 もう一つ最後消防税の問題ですが、これはこの委員会でも消防施設税をある程度保険会社等に負担してもらう、こういう考えを持ったことがありますが、これは各町村に目的税としてやろう、ころいう趣旨ですか。
  71. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) さようでございます。
  72. 小林武治

    小林武治君 これは非常に大きな問題になりまして、どの程度あなた方が実現をさせる。たとえばわれわれ問題としては目的税というものはなるべく置きたくない。こういうのが一貫した考え方でありまするし、町村にこういうものを、固定資産等を標準にして設けるということは、これは率の問題もあるし、それから一つ考え方として相当面倒な問題ですが、これは何かあなた方政府当局としてあやふやな考えを持っておるのか。しっかりした御意思があるのか。どういう今までつもりですか。
  73. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) この目的税としての消防税の問題は、審議会の答申に出てきておるのでございますが、お説のごとく相当重要な問題が含まれておると思いますので、これは検討いたして参りたいと思います。
  74. 小林武治

    小林武治君 そうすると、たとえば政府提案となるならだいぶ先の問題と、こういうふうにわれわれも了解しておってよろしゅうございますか。
  75. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 時期につきましてははっきり申し上げる段階には至っておりませんが、昨日実は答申案として正式に出されたものですから、まだ関係省庁と十分打ち合せてもおりませんので、この問題につきましては、まず第一に自治庁と十分に打ち合せなければならないものと考えておりますので、今これの方針決定がいつごろになるかということにつきましては、いつと申し上げる段階には至っておりません。
  76. 小林武治

    小林武治君 答申は昨日でも、これはどうせあなた方で作ったもので、別にほかから出てきた問題でもないと思うので、立案者のあなた方がほんとうに受けたような格好でもっておるのもおかしい。こらいろふうに思いまするが、とにかく固定資産については固定資産税は高い。昨年度はまた都市計画税もできた。こういうふうなわけで、これについての租税負担は相当重くなっている。こういうこともあるので、一つよく御相談なさったらよかろうと思います。こういうふうに思います。
  77. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 答申とは違うのですが、立派な消防会館ができておるのですが、あの構想、特に地方で寄付金を集めるのに、どの家でも火災があるかもしれぬ、その寄付に応じない者は面倒を見てやらぬぞということまでは言わないが、そういうことでかなりの割り当てで建設資金を集めているんですね。あれは消防協会でやるのですか。その構想、金額、資金というようなことについて一つ説明願いたい。
  78. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 消防会館は財団法人日本消防協会の事業としてやっておりますので、直接私どもの方には関係がないのでございます。従って、どういう運営の状況になっておるか詳しくは存じておらないのでございますが、大体伝え聞くところによりますと、あの会館の建設費は四億八百万と聞いております。間組が請け負ってほとんど骨格はでき上ったのでございますが、それの資金調達の方法は、これは会長の大野伴睦先生がいろいろと計画されておるようでございますが、最初計画されました資金調達の方法を伺いますと、消防団員一名当り百円の寄付を仰げばまあ大体二億はできる。あとの半分は財界あるいは関係方面からの寄付金によってまかなう。またその他あらゆる方法を講じて浄財を集め基金をまとめるのだと、こういうお考えのようでございます。その状況がどうなっているかということにつきましては、実は詳しく私存じない状況でございます。
  79. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 きょうは時間もありませんし、一つ財団法へ消防協会の方に御連絡願ってもう少しこれに対する詳しい、関係方面の寄付とか、各県の割当とかそういうものをはっきりしてもらいたいし、ああいう大きな建物を作ることが果してふさわしいかどうか、非常に問題があると思うのです。いろいろな風聞も聞きますし、そういう資料が出てから財団法人消防協会の方も出てもらって聞きたいと思うので、はっきり資金の内容その他も、全貌を知るに足るよろな資料を一つ委員会に、あるいは大野伴睦さんにも出てもらってお願いします。それを知らぬということはない。やはり消防庁と一体でやっているんでしょう。
  80. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 先ほど小林委員から出ました消防税の話ですがね、この前の予算要求に対しても大体十分の一くらいしか確保しておいでにならないわけです。何と申しましても国庫補助だけではやっていけない。どうしたって財政の確立ということになれば、何かそこに別途収入というものを考えなければならぬと思うのです。そうすればかつてこの委員会でも議論があったと思いますけれども、やはり消防施設税、いわゆる火災保険会社を対象にしたものだと思うのです。だから私はここに出たこの固定資産、土地を除くとなっておりますが、固定資産は、先ほど小林委員が言われたように、あるいは都市計画税等の問題でもう検討済みだと思う。だから消防施設にもう一ぺん返って本腰を入れてやらなければだめだと思うのです。そう来年度とかふにゃふにゃでなくて、思い切ったことを一つやってもらいたいと希望を申し上げておきます。
  81. 本多市郎

    委員長本多市君) 本件に対する午前中の質疑はこの程度にいたしまして、午後は二時から再開いたしたいと思います。これをもって休憩いたします。    午後一時十九分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  82. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  午後は、まず選挙制度に関する件を議題に供します。本件については、最近調査会を設けられる由でありますが、この際、自治庁長官より本件についての御所信をお伺いいたしたいと思います。
  83. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 選挙制度調査会は、御承知のように、過去四たび委員任期が来、これを補充いたしまして現在に至っておりまするが、たまたま現在すでに任期が切れまして、委員が欠員に相なっております。委員会の従来の審議におきまして、一応衆議院議員の選挙区等に関しましては答申を得ておりまするが、参議院の選挙区等につきましては、中間的な意見を数回調査会がまとめておりますが、いずれも中間的のものに終っておりまして、前大臣、前々大臣等から、常に国会におきまして、衆議院に関する調査が終りまするならば、参議院に関して諮問をいたしたいという旨の答弁を国会においていたしておるように、私、承知をいたしております。  参議院の選挙区につきましては、現在の制度に相なりましてすでに三回の選挙の経験をいたしており、当初以来いろいろとその適否等について論のありました点もあり、また選挙制度調査会におきましても、これらについて議論のございました経過からかんがみて、学識経験者をもって組織する選挙制度調査会を再発足いたしまして、それらの点について十分公正な審議を尽して承らいたい。また同時に、府県会議員の選挙につきまして、御承知のごとく地区の拡張、町村の合併等によりまして、現在の制度では、市郡の区域により、市郡の区域を合する規定はございまするが、分区の規定がありませんために、まん中に市がはさまりまして、その両わきに郡が分れている、従来の市郡の区域によりまする選挙区によりますると、非常に不合理な飛び地が全国随所に起って参ります。そのほかに、大都市等について、きわめて多数の議員が、市郡の区域によりますために——もちろん六大都市は別でありまするが——その他の大きい市におきまして、分区の希望がしばしば申し述べられている向きもあります。しかし、これらにつきましてもやはり権威のある機関について十分な検討をすることが必要だと考えまして、選挙制度調査会を発足いたし、大体の人選は、全部ではございませんが一応いたしまして、その発令は、来週に相なるだろうと思いまするが、今日までに内定をいたしました分は、きょう一応の発表をいたしておきました。選挙制度調査会において、十分なるこれらのただいま申し述べましたような点についての審議のいたされますることを期待をいたしておる次第でございます。  今日までの経過は、以上のようであります。
  84. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件について、質疑のおありの方は、御発言を願います。
  85. 占部秀男

    占部秀男君 今、長官から調査会を発足して人選をできただけ発表したと、こういうふうな仰せであったのでありますが、この際、第一にお聞きしておきたいことは、今度の調査会の発足が、長官の言われるような公正な審議を尽すために発足したのだという言葉と、現実の動きとの間には、相当私は矛盾というか、隔たりというものがあるとうに感じるのです。というのは、たびたび総理はあちらこちらで全国区の問題については、廃止するとか云々ということを、もうてんから政府の総理大臣としてあちらこちらで言っておるわけですね。そろすると、やはり単なる公正な審議を尽させるために発足するということと、総理の言っておるこのこととの間には、相当な隔たりがあると思うのですが、自治庁として、すでにそういうことについてのある程度の、何といいますか、意見というものを持って、そして今度の調査会を発足したのではないかと私は考えるのでありますが、そういう点について、長官のざっくばらんな話をお伺いしたいと思う。
  86. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 占部さんのお尋ねでありますが、総理大臣にいたしましても、適当な成案を得ます場合、よりよいものにいたして参りたいという希望は強く持っていることと存じまするけれども、選挙制度調査会は、むしろ、国会におきましてたびたびお約束をいたしておりまする公正な検討をいたしたい。しかもこれについては、しばしば立場のいかんを問わず、どういうものであるかというお尋ねが、これは憲法に伴うて衆議院と参議院の異質性を直接選挙のもとで出していかなければならない、そのために現在のような選挙区をこしらえたということはわかるけれども、しかし、これで果していいものであろうかということで、立場のいかんを問わず、議論に相なっておりました。しかも、これについて十分なる検討をいたすだけのことがなく、いつも調査会が、ついでと申しては語弊がありますが、十分な検討をいたさずに、今日までに至っております。従いまして、この際、公正な調査をいたしたい。その場合に、すでに何らかの下心と申しますか、何らかの考えがあっていたしておるというようなことは全然ございません。私は調査会がりっぱな検討をしてくれるものと信じております。
  87. 占部秀男

    占部秀男君 まあ長官の言われるようなことが、そのまま今度行われるならば、われわれとしてもこれは問題はまた別のような点もありますが、現に総理がもういわゆる今度の調査会の発足の前提としてというごとき形で、あちらこちらで全国区の問題を、しかも、内容の具体的な問題を含めて、もろ言っておるわけなんですね。従って、そういうようなこと自体は、やはり同じ党の政府の自治庁長官が、そういった話し合いのないことはないわけなんです。やはりそこには一つの意図というものが、これは明らかにあると私は考えるのです。意図があるならあるで、さっぱりと一つこの際出して、そういう点についてもわれわれに検討の機会を与えてもらいたいと考えるわけなんです。そういう点について、総理と長官との間で話し合い、もしくは了解のし合ったような点について、何かありましたら、一つお話を願いたいと思います。
  88. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 選挙制度は、民主政治の非常に重要な基本であります。従いまして、それについて深い注意をもって事に当っております。総理大臣も、調査会がきわめて中立的な、公正な審議をいたすように希望をいたしておりまするし、総理が、お話にございましたが、具体的な内容というようなことはいまだかつて言うておりません。しかし、選挙制度、選挙区というようなものにつきまして、もっと理想的な形のものにいたしたいという希望は、私は政治家の責任として強く持たれることも当然だと思います。ただいま占部さんの言われましたように、今後何らかの方向と申しますか、考え方をもちまする場合は、率直に申し述べて、皆様方のまた自由な御意見を伺うことは、私どもも希望するところであります。今日そのような意味合いのことは、何ら持っておりません。
  89. 占部秀男

    占部秀男君 長官のお言葉ですけれども、総理の言われた言葉の中に、これはまあ私も総理から直接聞いたことじゃないのですから、新聞を通じて拝見したんですからあれなんですが、言葉の中に、全国区についてはこれをまあ廃止するか、あるいはこれを変えるかわかりませんけれども、とにかく検討するのだという具体的な内容をすでに出しておるのですね。これが調査会なら調査会というものが発足して、現在の参議院の制度全体について一応公正な審議を尽すんだという場合と、全国区については云々というように、具体的になった場合とは、場合が違うのであって、長官の言われたこととは、非常に内容的に総理の発言は違うのじゃないかと僕は思うのですが……。それについて、私は、じゃもう一つお伺いしたいことは、そうすると、今度の調査会に自治庁の方として諮問する諮問の仕方ですね、これはどういうような仕方になりますか。全国区の問題云々というような問題でなくして、単に現在の制度を置いていいのか、改正しなければならないのかというような、一般的な概念的な諮問の仕方をするのですか、どうですか。その点一つお伺いしたいと思います。
  90. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) ただいままだ具体的に諮問の案をどのようにいたすかをきめてはおりませんが、選挙区を除きました制度につきましては、かつて一応、これも最終的のものじゃございませんが、調査会意見も聞いております。しかるに、選挙区に関しましては、現行憲法のもとにおいては、ややむずかしいような意見も出ておりますけれども、いろいろ雑多の議論が出ております。従いまして、このたびの諮問といたしましては、一つは、参議院の選挙区についてどのような考え方を持つか、もう一つは、地方議会の選挙区についてどのような考え方を持つか、これを一本の諮問にいたしまするか、別個のものにいたしまするか、これらは今後の検討にゆだねまするが、それらの参議院及び地方議会の選挙区について、その会の意見を聞くような形に私は相なるものと考えております。
  91. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ただいま占部委員から質問がありましたが、ごく最近、参議院の選挙制度をどうするかという自由民主党の選挙対策委員会というもので、十月三日に全国区を廃止して地方区一本にする、こういう決定をした。さらに、この十日に仙台で、岸総理ははっきりと参議院の全国区の廃止を通常国会に提案して、三十四年から間に合わせる、こういうことをはっきり言っていますし、さらにさかのぼって七月七日にも自由民主党の地方制度調査会、太田正孝きんが委員長をやっているのでも、はっきりそういうことを打ち出しておる。私は、今度の選挙制度調査会の発足というものも、こういう一連の声明と深い関係があって、ただいま郡長官が言われたようなものとは、少し違うように思うのですが、いかがですか。
  92. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 自由民主党の、私はその席におりませんでしたから、正確には事柄を存じませんけれども、自由民主党の選挙対策の委員会でございますから、その場合にそのような話の出たことも確かにあります。しかし、そこで何も決定をいたしたというようなことは全然ございません。それは、おそらく新聞記事でもそのような書き方はいたしてないと思います。また、総理が遊説先で話しをしておられる点も、選挙区についての検討をしたい、(中田吉雄君「そんなことはうそです」と述ぶ)また、参議院の選挙区について検討いたすということになれば、これは当然全国区という問題が出てくるのは、私は当然だと思います。私は、選挙制度調査会も発足します際に、今お話のような決して意図をもってものを動かすというようなことはありません。むしろ何らかの方向ができまするならば、選挙制度調査会でも、私どもは自分らの考えも申しましょう。また国会でも委員会でお話をいたそうと思います。むしろ、非常に重要な問題が十分なる検討を尽ざれずにおったうらみがある。それもこの際十分検討いたしたいということでありまして、中田さんのお話ではありまするが、決してそのような、何かもう土台をとしらえて、そうして選挙制度調査会をその上で動かそうというようなものでないことは、ことに選挙制度調査会の出発の際でありますから、十分御理解をいただいておきたいと思います。
  93. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは、私も記者団会見に同席したわけではありませんから、真偽のほどはどうもわかりませんが、数紙の十月十日の夕刊にはっきり、参議院全国区の廃止を通常国会に提案する、こういうふうに載っておる“ことははっきりしておるのです。郡長官の言明を表明通りに聞くといたしますと、この答申を求めるスピードは大体どういうふうなものですか。これは全く委員会の自主的な運営にまかせておくのか、この通常国会に間に合せるような審議ぶりで運営されるのか。私も、地方制度調査会その他に出て、それを運営するには、自治庁当局、これでいえば選挙の主管課がやるので、そのさじのかげんで、委員会というものは大ていそうなっている。地方制度調査会だって、今度の結論というものは、われわれはすでに審議をせずに、ああいう知事を官選にするということは、もうすでにわが党が予言した通りはっきりしているのであって、こういう委員会で政府の意図をカムフラージュして、あたかも委員会で公正な審議を尽されてそうなったというオブラートに包んで、そういうように持っていかれるのじゃないかと、これまでの前科といいますか、そういうことから考えるのです。  そこで、スピードというものが、果してそうでないかどうかということを判定する真情を吐露されるのですから、岸総理をここに呼んでくるわけにもいかないしするから、このスピードを見れば、大体どういう意図であるかということがわかるのですが、一体次の通常国会に間に合うように、そういうスピードの審議の仕方をするのですか、どらですか。
  94. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 調査会運営につきましては、調査会がまずもってその運営を考えられることでありますけれども、これは私の方も、確かに、きょうのお話にすでに出ておったかと思いますけれども、お話のありました地方制度調査会、これが結局は自治庁にいろいろ意見をお尋ねになる。従ってある程度の仕事になるのですね。それで、地方制度調査会のあります間、なかなか両方調査会というのはむずかしい。従いまして、地方制度調査会が大体結論を得る、選挙制度調査会が出発する。しかし、非常に長く選挙制度調査会ばかりを扱っているわけに参りませんから、選挙制度調査会も可及的すみやかに十分勉強をしていただいて、そう長くかからないようにということは、私は希望するのが当然だと思います。これを非常に学校で長く研究しているような行き方でやっておりましても、まことにきりのないことでありますから、でき得る限り私は、調査会は早く検討をしてもらいたいと思っております。
  95. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 さっきはっきりは聞かなかったのですが、きょうの新聞を見ると、もうほとんど委員も内定している。何か先に発表された……。私はこれをここに示してもらえば、その人の過去の言説、論文その他で、およそどういうことを政府が意図しておられるかということは、もうでに審議せぬだって、そんなにたくさんの日程の旅費を出したり、委員会をせぬでも、委員の名簿を出してもらえば、過去の言説とか行動その他で、政府の意図するのに合致するものであるか、あるいは議会制度全体とからんで、第二院をどうするかというようなことがわかると思うのですが、まずその委員の名簿を一つ出してもらいたい。
  96. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 一つ選挙部長から朗読させますから……。ちょっとその前に申し上げておきます。これは、中田さんなどもよく御存じの通り委員の交渉をいたしておりますと、自然とこういう人の名前というのが出がちであります。ところが、現に旅行しておられる方がありまして、旅行先に電話をしているが、連絡がつかない。こっちから委員に入ってもらいたいということを言うたが、返事をもらえぬという数氏があります。そのことを一つお含みの上、お聞き取りを願いたいと思います。
  97. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) それでは、今までに御内諾を得ました委員の発令の予定者の氏名を申し上げます。敬称は省略いたします。阿部眞之助、明峰嘉夫、次は有馬忠三郎、次は潮田江次、次は内田秀五郎、次は……。
  98. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 言わんでもいい。あとから印刷して下さい。もろ大体わかつている。この委員会に、特に郡長官は参議院の出身でもあるが、どうして参議院議員を入れなかったか、おそらくこれが衆議院の選挙制度に関して、衆議院議員を入れずしてこの委員会が成立するというようなことはなかったと思うのです。参議院議員をどうしてこの委員からはずしたか。特に郡長官が参議院の出身でありながら、いろいろ記者団会見その他新聞紙上に出ているところを見ると、なかなか重大な——どうしてこれを入れなかったか。私は、衆議院の制度に関してだったら、とうてい衆議院の諸君がそういうことは許さなかった。どうしてか、その理由を伺いたい。
  99. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 選挙制度調査会の政令をごらんに相なりますると、……
  100. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それはよく知っている。
  101. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) そこにあります通り、このたび国務大臣は加えんことにいたしましたから、国務大臣は政令からはぶきました。それで、関係団体の職員及び学識経験者と相なっておると思います。私は、純粋の学識経験者をもって組織することがむしろ筋である。過去三回にわたって選挙制度調査会委員選任がえをいたしましたところ、そのうちの二度まではすべて学識経験者、仰せの通り一度だけ国務大臣、学識経験者、関係官庁の人間を入れたことはあります。私は、この調査会は、むしろ学識経験者をもって構成することが適当なものであると考えております。国会の議員の皆様方の御意向につきましては、国会等において十分な御意見を伺って参りたいと思います。従いまして、ときどき今後、私どもの考えがありまするならば、それについて委員会その他で十分な御説明もいたし、また御検討をいただきたいと思っております。
  102. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一ぺん国会議員を入れたというのは、やはり選挙の基本に関する重要な、小選挙区というような重要な問題があるからです。過去二回はなかったということですが、そのときは、根本をゆするような、そういうものはまあなかったのじゃないか。そういう際に、それは、国会議員としていろいろな党派性やその他あるでしょうが、何といっても選挙をやり、実際身を置くものが一番よく知っているので、この選び方で、私はすでに数氏を聞いただけでも、もうすでにそんたくするのに十分だというふうに考えたわけです。過去二回は入れなんだが、三回目に入れた。そのことと今回との関連はどうですか。
  103. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私は、三回目に入れましたことが、国務大臣を入れ、国会議員の方に入っていただいたこと、こういう国務大臣がこの調査会の構成メンバーになりますることは、一体どれだけの意味をもったか、国会議員につきましては、別に十分なる審議の道があるのであります。調査会審議をいたして、そうしてそれをいかに扱うかということは内閣が、国務大臣が判断をし、またそれをどう扱われるかは各政党が考え、また国会において検討される。それぞれの段階において十分な権威のある検討ができるのでありますから、そこに、わざわざ学識経験者という言葉の中に、国会議員をこめますことは、憲法調査会等と、片方は法律、片方は政令でありますが、その根拠法の立て方を異にしておりますこの調査会に、私は必要が——必要がないと言うと語弊がありますが、むしろ学識経験者に十分な審議をしてもらうことがこの場合は望ましい、かように考える次第であります。
  104. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、この前の小選挙に対する答申の際、あの答申には問題なかった。あの答申をどう法制化するかという際に、党と内閣でその答申と全く別個なものをしたところに問題があったので、国会議員が入ったことによって私は弊害はなかったと思うのですが、過去の経験にかんがみられてこうされたのでしょうが、その点ほ、少し私は筋が通らんと思う。あの答申というものは、衆参両院の各党派の国会議員が入っておったが、わが党は反対だが、しかし、世論としては反対はなかった。あの答申通りでなしに、党利党略の区割を、答申をさらに大幅に変更したというところに問題があったので、そういう点からかんがみて、やはり私は、それを入れないところにすでに意図がある、こういうふうに見るのですが、いかがでしょう。
  105. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私は、前回の選挙制度調査会がその審議において弊害があったとは考えません。しかしながら、ただいま申しました通り調査会そのものの構成といたしましては、この三条をごらんくだされば当然出て参りますように、学識経験者を主体として構成すること、国会議員を入れますならば、明瞭に国会議員ということを書くべきものでございまして、学識経験者の名のもとに国会議員を入れるという必要は私はない、かように考えるのであねます。決してそれが何らかの意図を持っておったというような、そのようなところで細工をいたしていることはございませんから、どうか調査会で十分公正な議論をしていただきたい、また、おそらく本委員会においても十分な御審議を今後願うことと思います。両々相まちまして、どういう制度が一番二院制の本義を発揮いたしますのに適当かということ、これを私も及ばずながら十分考えなければいけないと考えております。そういう点についての両々相まった御検討をお願いしたいと思っております。
  106. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、この委員の選び方というものは、今は自由民主党の内閣である。それをおたくの方で任命される。そうして選挙局を通じて、いろいろの意見一つの流れとしてまとまるということになれば、どうしてもこの委員会というものは、少くとも国会に、参議院に三分の一を持ち、そうして国民の相当部分を代表する——まあわが党とはいいませんが、そういうものが入りにくい可能性があるのです。どうしても自由民主党の内閣であり、自由民主党が任命し、そうしてその補佐機関として選挙局がこの委員会運営してゆく。実質上の運営をやってゆく。多くの場合は、この政府の意図を理論ずけてゆくというようなことになるおそれがきわめて多くて、私は、やはり岸内閣といろものはそう長く続くものじゃない、岸内閣の生命よりも議会制度の生命というものがもっと長いので、やはりこれはよほど各党各分野の意見が入るようにしなくては、それは一つの内閣の生命よりも、もっと議会の生命は悠久なものであり、やはり岸さんの過去の行動を見ると全く制度を改めたり、小手先のことだけで多数をとろうということが、ほとんどの組閣以来の行動で、非常にそういうこととこれは関連があって、やはり議会制度を誤まる一つのなにになるじゃないか。私はやはり、特に岸さんが言っておられるように、次の通常国会に間に合わせるというようなことが、議会制度としての衆参両院、第二院の性格をどうするかというようなことは、そう簡単に出ないと思うのですが、それらとからんでこれははなはだしく、私は労働対策その他を見たって、偏向のある結論の出るおそれのある委員会の構成の仕方だ、というふうに考えるのですが、くどいようですがいかがですか。
  107. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 民主政治、議会政治というものが永遠のものであり、そのときの政府というような問題に比べれば、遙かに根本的な問題であればこそ、選挙制度につきましても十分なこれは、もう頭からそれは大体わかっていると、こうおっしゃられますけれども、これは私はそう思わぬのです。そこへいくとちょっと話が食い違ってしまうかもしれませんが、私はこう思います。選挙制度というものが民主政治の非常に基本的なものであるから、ここに主として学者的な、あるいは経験者的と申しますか、そうした、もとより万全は望めませんかもしれませんけれども、でき得る限りそうした配慮もいたし、また正しい運営ができまするようにこれからも努力をしていきますから、もうこれの基本は、中田ざんのおっしゃる通りいかにして民主政治、議会政治というものを健全に発達させて参ろうかということにあることは、まぎれもないことでありまして、そういう点では一つこれからも御一緒に十分、ものがよくなって参りますように努力をいたしたいと考えております。
  108. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 くどいようですが、答申ができたら、現行憲法のワク内でやれるというような改正なら、通常国会に出されるのですかどうですか、答申が間に合えば。これはやはり非常に各地方でも県会、地方議会選挙制度一つ変えるというような問題でも、なかなか波乱が大きいのです。やはりこういう問題は慎重にやっていただかなくてはならぬのですが、答申が間に合えば、現行憲法のワク内でやれるということになるならば、全国区を廃止するという答申が出たならば、それを通常国会では法制化する法案を出される気かどうか、答申が間に合えば。
  109. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 案の適否をよく検討いたし、また諸般の情勢を十分勘案いたしまして結論を出すことにいたします。
  110. 小林武治

    小林武治君 今の地方府県会議員の選挙区の問題についてお尋ねしておきたいのですが、これは実はこの選挙制度調査会にかけるほどの問題じゃないのじゃないか。選挙区等についても根本的の改革というよりか、いわば今の市町村合併の結果による手直し、この程度の問題じゃないか。従ってこういう調査会をわずらわさないでも、政府部内である程度の調整をして国会に諮ればよかろう、ころいうふうに私は思いますがどうですか。それでこの問題は私も二、三日前地方にも出ていろいろ伺いましたが、とにかく早くしたいということで、とれこそ私は次の国会にはどうしても出してもらわなければいけまい、こういうふうに思います。そのことはたとえばこの前地方制度調査会に対して、郡というものを廃止するかどうか、こういうことを質問したことがありますが、もう郡というものは廃止するほどの値打ちもないということで答申も出さなかった。こういう事情で、今度はどうしてもとの県会議員の選挙区は市町村区域による、これの分合、分合というかこれらの区域を合せたものでやる。こういうことでもう一つの問題は、非常にたくさん七人も八人も県会議員が出ておる大都市区域がある。これをある程度分割したらどうかという意見もむろんあります。こういうようなごくどちらかというとむしろ軽微な問題である。とういう趣旨から今先ほど申したように調査会等にかけんでもそれはできるのじゃないか、こういうふうに思いますがそれはどらですか。
  111. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは一つのお考えだと思います。あるいは今の制度で市郡を合区できると書いてあるところは、ただ合区も分区もできると書けばいいということは言えるかもしれない。しかし川崎が、あれは定員四十でしたか、そうすると百に近い候補者が立つ。そこを一体ただ分区してよろしいという法律上の行き方ですね。おそらくどの程度法律上で市郡を合区のほかに、分区してよろしいと書くか。市町村を寄せて選挙区をこしらえるというか、どのようにいたしまして本条例に譲る部分が多いと思うのです。しかしこの問題は、それは考え方調査会にかけないでもということもあるかもしれません。しかし私はむしろこの機会に一つできますならば、一体地方議会の選挙区というものはどいうい形が一番いいか、法律そのものは比較的簡単な書き方をして条例に譲りますが、その条例に譲りまする際に、準則めいたものをこしらえます材料はできる限り慎重にいたしたい。こういう工合に考えておりまするから、ねらいはもつぱら少し丁寧に一つ見てみたいというだけでありまして、御趣旨の点はよくわかっておりまするけれども、私はやはりこれは何とか丁寧に、とかく府県会議員の選挙区というものは、少しずつ手直しをしながらずっと今日に至っておりますので、市の選挙区が今のままではあまり感服せぬという節がありますので、やはりこれについて十分調査をしてもらい、そして答申をもらいたいと思っております。
  112. 小林武治

    小林武治君 それは私の言うのは要するに、この問題は地方でも早くすることを希望している。従って期日も何とかこの次の国会に出してもらいたい、こういうふうな考え方。従って政府でも、私はほかのことは知りませんが、この問題は少くとも次の国会に出したい、こういうふうな意思表示ができるかどうかそれを伺っておきたいと思います。
  113. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは現在のままではどうしても不合理な点でございますね。これの手直しは間に合せるようにしなければいけないと思っております。それをどの程度の書き方にするか、これは今後の研究問題でありますけれども、今のままではいけない。今のままでは実際正しい選挙の執行ができない、というと語弊がありますが、どうもやりにくい。従ってそのためには最小限度であるか、あるいはある程度手を加えたか、とにかくどちらかの直し方はできるようにいたしたいと思っております。
  114. 小林武治

    小林武治君 今の問題で選挙部長にちょっと伺っておきたいのでありますが、地方が今心配するのは、これは直してもらいたいということはいずれも同様な希望を持っている。大部分のことはこれは地方の条例にまかされている。従って具体的な選挙区というものは条例でできる。これはわれわれもそうなると思っております。それについて勝手に地方で県会議員がゲリマンダーみたいのことができないような、ある程度の基準と申しますか、準則というものを何かの形で一つ入れてもらいたい。こういうことを言うておりますが、そういうふうなものは何かできそうな気がいたしておりますか、そういう案持っておられるか。
  115. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) お答えいたします。府県会議員の選挙区の問題はただいま大臣の方から答弁申し上げましたように、町村合併の結果飛び地ができまして、非常に選挙をする候補者の方から見ましても、また投票をする有権者の方から見ましても、変な飛び地等がございまして、変な感じの実態になっておるのであります。その場合にそういう感じをなくするような選挙区を作るようにしたいと考えております。ただ自由に市町村区域をもって府県会議員の選挙区を作るということにいたしますと、ただいま御指摘のように、府県で条例を作ります場合にあまりに幅が広くて、かえって条例が作りにくいという問題になるのではないかという心配を持っております。でございますので、私どもといたしましては、今までの制度、すなわち郡市の区域というその制度をできるだけ生かして、しかも現在の町村合併の結果、飛ひ地等になりましたための要請と申しますか、それを満足させるような考え方、すなわち郡の飛び地というようなものを、たとえば三カ村が飛び地となっております場合に、その三カ村をばらばらに三方面の選挙区に分割するというようなことはしないで、一まとめにそこを扱ったら従来の感覚とも合うのではないか、こういう考え方を簡単に申しますと持っておるのであります。都道府県議会議長会におきましてもこの問題は相当深く研究しております。大体そのような考え方を持っておるよりでございます。私どもはそういう考え方で今までの法制と、現在の町村合併の結果の市町村の境界の変動というものに対処できるのではないか、このように考えております。
  116. 小林武治

    小林武治君 今の問題はいずれの形をとろうが、なるべく早く成案を得られるように、こういうことを特に希望しておきます。
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その県会議員の選挙ですけれども、これはどうも市町村合併等に名をかりて、一区一人のいわば県会選挙の小選挙区制に大きなねらいがあるのじゃないかと付度するのですが、どうなんでしょう。なかなかこれは大きな関心事なんです。どうなんですか。
  118. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) 現在の法制で参りますと、郡市の区域でございますから、人口が小さい市でも定数の割当をしなければならない、とろいうことになっております。それが何らかそこにただいま申し上げましたような、これは調査会で御検討わずらわしたいと思っておりますが、選挙区の区画の区切り方について合理的な基準と申しますか、考え方を出すことによってその点を合理化して参りたい、このように考えております。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それでははっきりしないのです。やはり一つの選挙区に県会議員のような地方議員が一人でいいかどうかという、これは非常に大きな問題です。合理化するというのはどうなんですか。定数に満たない所は若干入れたりして一区一名にするということなんですか、合理化ということは。
  120. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) ただいまの法制で参りますと、先ほど申しましたように非常に人口の小さい市等が、たとえば配当からいきますと、〇・五以下〇・四幾らで一人もらうという場合が考えられるわけです。そういう点等はほかの区域等の関係から、やはり県で条例を作ります場合に、不合理であるという場合には、これはそこの適正化と申しますか、合理化と申しますか、さらに合理的な制度になり得るような考慮を払うべきではないか、このように考えておるのでございます。
  121. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、やはり一つの選挙区に議員が一人で四年間地位が安定しているということは、これはやはり人間的な弱みといいますか、競争がないといいますか、腐敗を起して、住民に対するサービス、清潔な政治生活をやるというようなことから見て、一つの選挙区に一人というのは、これはその議員に独占的な地位を与え、そうして腐敗を起し、弊害がやはり原則的には私の経験からいっては起る。二名なり五名なりあって競争した方が切瑳琢磨もできて、議員の堕落を防ぐ意味からも、住民へのサービスの点からいっても私はそう思うのですが、それはどうです。これはやはり区画を再編成する基本的な問題にからむのです。
  122. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) 国会議員地方議員に対する考え方は違う点があるのではないか。このように考えておりますが、地方議員の選挙区制につきまして、今おっしゃるような定数を、一人の選挙区にするというような考え方を持っているわけではないのでありまして、選挙区の合理化をはかるという考え方調査会で御検討をいただきたいというふうに考えておりますが、調査会の方でやはり地方議員の選挙区制につきましても、あらゆる角度から御検討をわずらわしたい、こういうふうに考えております。
  123. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点はまあ一人の区を作るというのではない、合理的に検討するということですが、私の乏しい経験からすると、やはり一つの選挙区に一人というのではむしろ長所よりかも弊害の方が多いじゃないか。そういう見方をしてそうして再編成をやるのと非常に違って来ると思う。私は、やはり県会議員にしても村会議員でも、一区一人ということでは弊害の方が多いのじゃないかと思うが、その点はどうなんです。
  124. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) 地方議員の選挙区制につきましては、まだ私どもも研究が不十分でございまして、調査会等で十分に研究をしていただきたいと考えておる次第でございますが、先ほど申し上げましたように、何と申しますか、一人区でいいのだというようなとらわれた考え方は持っておらないのでございます。
  125. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはやはりいいんだこいうことではなしに、積極的に弊害り方が多い。一つ委員会ができて発足る場合には、やはり一つの選挙区に一人の議員ということの功罪という原則的な問題をやはり検討していただいし、そうしてやっていただかぬと、これは私は弊害の方が多いとこういうふうに見ているのです。それから大へんくどいようですが、郡大臣にお尋ねしますが、ただいまのようなことですと、今度選任された委員の人に慎重審議、公正にやってもらわれる。そうしまずと岸総理の言明はどうですか。内閣総理大臣が任命するのでしょうが、郡長官の任命ですかね、これは。その辺は、岸総理は、来たる通常国会には全国区を廃止して地方区一本にする、そういう案を出すんだということを言っておられるが、それには全然関係がないのか、所管大臣の郡さんとも相談がなかったんですか。とにかく関係がないのかどうか。それらに拘束されずにやられるのかどうか。その点だけ伺いたい。
  126. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 現状をよくいたしまする成案を得、かつそのときの情勢が十分それを実現しますに適当なときは、よりよいものに移って参ることは私は当然だと思います。しかし同時に調査会というものにはどこまでもその独自の立場からの審議をしてもらら、そういう態度で調査会を進めて参ることは、岸総理にいたしましても、私にいたしましても、何ら意見の違っておる点はございません。
  127. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 どうもわからぬのですがね。岸総理は、とにかく次の通常国会には、全国区を廃止したそういう参議院の選挙制度の法案を出すんだと、こう言っておられることと、この委員会との関連、偶然に一致したら来国会でも出すということですか。
  128. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 繰り返して同じことを申し上げるようでありますが、調査会で成案を得て、そしてそれが十分熟して、できることでありますればいたすということはこれは当然でありましょう。私はその点何ら矛盾があるわけじゃないと思います。しかしだからと言うて、初めから繰り返し申し上げまして御理解いただいたと思いまするが、現に何かの考えを持っておって、それをこうやってくれと言うて、調査会に渡しますようなまねは、決していたしません。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 岸総理はたびたび旅先なんかでああいう声明をされる。最近はまた党内でも、どいも地方区一本に直しても社会党に負けるんじゃないかというよいな、利害得失等についても異論もできて、むしろ選挙制度調査会にエスケープして、岸総理の言明をそこで中和するんじゃないかというような意見も出ているのですが、その関係どうですか。
  130. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) ただいまおっしゃったようなことは全然ございません。
  131. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 しかし郡長官は所管大臣なんです。やはり岸総理がああいう言明をされる際には、担当の大臣とやはり旅先に出られる際に、記者団会見等をされる場合には、やはり相当打ち割った話があったんじゃないかと思うのですがね、その辺はどうですか。
  132. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 事柄についての根本的な考え方については、いつも意見の交換をいたしております。しかしながら、お尋ねのような、党内にどうやら論があるから調査会にエスケープするとか、あるいはまた、すでにしたいことがあるから、そのために選挙制度調査会をこしらえて格好をつけるとか、そのいずれでもございません。基本的な考え方は、いろいろ議論のある問題でありまするから、十分な審議をいたし、そしてよいものができまするならば、それはできるだけ早くよいものに移していく。しかし、こうした初めにお話しもいたしました民主政治、議会制度の根本に関する問題であります。これらについては同時に必要な十分な判断と情勢の分析というものをしながら進んで参る。
  133. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 御迷惑しますのでもうこれでやめますが、郡長官は公務員時代からこの問題についてはたしか権威者だと思うです。特に目を参議院に置かれて、やはりそういう点ではよほど慎重にやってもらいたいという点と、やはりこういう言説が出ますと、国民に対して、参議院制度に対して関心を持つ人に不安動揺を与えたりして、岸さんが声明しておったができやしないじゃないか、言葉だけの政策じゃないかというようなことにもなり、国民をまどわし、やはりこういうことについては責任がある政治家としては、やるならやる、やらぬならやらぬというくらいのことははっきりきるべきじゃないかと思うのですが、一体どうなんですか、その点は。間に合ったら来国会に出されるというのですか。その辺もら少しやはりステーツマンとしてはもっとはっきりされた方がいいと思うのですがね。
  134. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) もうこれはたびたび同じことをお話しているような気がするのですが、幾つかの前提を置きながら、そうして十分改善されるめどがつきまするならば、これを断行いたしますることは政治家の責任だと思います。しかしそれには、先ほど来申し上げましたあらゆる点を十分考えて行うべきことは、これはもうそれ以外にものの考え方がないことだということは、御了解いただけると思います。
  135. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も全国区の問題についていろいろお意見を承わりたいのですが、まあ次の予定もありますからそれは飛ばしまして、買収のいわゆる連帯性の問題なんですが、大体買収をしてそしてやるのですが、まあそれだと普通だと失格すべきなんです。失格すべきなんですけれども大ていぐずぐずしてしまって、失格はあるけれども繰り上げて上ることはできないわけなんです。たとえば三十日間以内でだめになってしまう。そういうような点非常に矛盾だと思いますから、まあ何と申しますか、失格にからんだ場合の繰り上げ当選という問題についてどういうふうに考えるか、あなたの方で今までしばしば研究してみえると思ろ。特に兼子局長等は責任者ですが、あるいは郡長官ば前には選管の事務局長なんかをやっておったが、そういう繰り上げ当選についてはどういうようにお考えになっておるのか承わりたい。
  136. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) 連座のお話でございますが、連座するということはそこに買収……。
  137. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いやいや買収等にからんで失格した場合の繰り上げ当選のことを伺いたいのです。
  138. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) 買収、供応等不正の手段によって投票を得た場合を御想定のようでございますが、その場合に投票されたその投票そのものはやはり有効として処置をされておるのでございます。でありますから、順位の低い人を当選きせるかどうかという問題は、おのずから期間その他の制約が当然出て来るのではないかというふうに考えます。同じ順位の同点者の場合ですと、これは考え方が別だと思いますが、現在の法制を一貫した考え方は、繰り上げの当選はできるだけストーリクトにやっていく、こういう考え方で貫いておるのではないか。でございますので、不正の手段による投票を差し引くかどうかという考え方と、それを有効に処理をするという考え方によってその辺の判断は違ってくると思いますが、今までの法制はそういう考え方で一貫して参っておるのでございますから、今後検討いたしましても、その考え方の大筋についてはそれほど違った結論が出て参らないのではないかと、このように考えております。
  139. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 考え方は違いますが、私は、一つの買収等の不正行為を防ぐというのは、なるほど官憲の眼によって、取締り等によってやることも非常に大切だと思います。ところが大衆によるところの何というのですか、そういうものの不正を防止するというようなことになれば、不正によって当選した者は選挙違反であったならば、それが決定をみれば、当然次の者が繰り上げ当選の道があるということになれば、おのずからそういう監視と申しますか、一般大衆が非常に何と申しますかきびしくなる。ひいて言えば、買収というようなことや、あるいはほかのとにかく不正行為というものが防げるということになる。ですから、なるほど投票はそれは有効であろう、しかしそれとは別箇に、有効は有効であるが、次点者というものは当然繰り上げていいじゃないか。そういう議論と申しますか、そういう考え方を持っておるのですが、どうですか。私が言うのは裁判所の決定後でいいですよ。繰り上げをもっと延ばしてもらいたい。失格したら繰り上げ当選をすべきじゃないか。
  140. 兼子秀夫

    説明員(兼子秀夫君) ただいまのような場合には現在の法制では当選を失わしめまして、もう一度選挙をさせるという考え方に立っておるのであります。でございますから、欠員が一定数にならなければ選挙の事由が発生しないという片方の法律制度から、直ちに選挙を行われない場合もございますけれども、おっしゃるような考え方と違った考え方をとっておるのでございます。
  141. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本件についてはこの程度にいたしす。   —————————————
  142. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、午前に引続き地方制度改革に関する件を議題に供します。午前に説明を聴取いたしました地方制度調査会答申案を主といたしまして質疑を願いたいと存じます。この際、午前の政府の説明に関連して質疑がございましたら、御発言を願います。
  143. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この答申案に対する大臣の熱意を一つ伺いたいと思います。それは地方制度調査会答申案には、自民党の方は当時棄権をしておいでになる、だから自治庁等では大体問題にせずにいってしまうのではないかというような考え方、自分に都合のいいようなものは取り上げ、そうでないものは廃するというような考え方で、この地方制度調査会答申案に対してどういうふうにお考えになっておるのか、一応自治庁長官の御見解を一つ承わりたいと思います。
  144. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 町村の大きい合併をいたし、その次に考えられますことは、どうしても府県制度改革であろうかと思います。しかも現に国の出先機関がきわめて大きい機構を持ち、今日の日本における地方の自治行政と申しまするけれども、住民の受けまする関係におきましては、全く一つ行政であるにもかかわらずきわめて雑然たる様相を呈しております。これについてこの際今後ことに何と申しましても、広域の行政が起って参る。各部の末端へのこまかい浸透ということももちろん大事でありますけれども、広域の行政が必要となって参りまする際に、現在の府県のままでよろしいかということについて、むしろ直さなければならないという考え方、これに対しては私はかなり強い熱意と期待を持っております。ただ来週月曜日から数日間開きまする地方制度調査会総会におきましても、現にどういう案と申しましても、地方制案と府県制案等とがありまするけれどもどちらに相なりまするか、重要な興味のある討議がなされることと考えております。私はこの地方制度改革というもの、これはどうしても大切なことであり、そういう一つ基礎ができてから今度課税権の問題でありますとか、またでき得る限り住民の負担を軽減して参るとか、赤字団体を解消して参るとかいろいろの問題の今後の発展が、現在の段階のままではなかなか発展しない。もう一度土台を考え直してから発展させていくということが私はどうしても必要だという感じが強いのであります。しかし地方制度調査会においていろいろと御検討に相なっておりまするように、なかなかそれではどういう形の改革にしたらいいかということは、地方制度調査会でいろいろの案を考えながら苦慮しておられると同じ問題があるのだと、これは私自身もいろいろの私見を持ちながら、また公けの立場から地方制度調査会の今後来週の数日間のまた答申などを拝見いたし、また確かにこういう点がございます、地方制度調査会のきょう御説明申し上げた中にも申したかと思いまするけれども、あれの中で触れるべきことで、いろいろな時間なり手不足の御都合でしょう、触れられていない点がございます。そうした点を一つ十分見直しまして、ぜひ、日本の地方組織というものは、ある程度思い切った改革が近い将来になされなければならぬものだ、熱意は十分持っております。しかしどの案をここに実行して参るかという点は、もうしばらく考えさしていただきたいと思います。
  145. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本件はこの程度にいたします。   —————————————
  146. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に占部君より、静岡市における市当局市職員組合との間の紛争の問題について、質疑の通告がございましたので、占部君に発言を許可いたします。
  147. 占部秀男

    占部秀男君 これはまあ藤井さんに最初お伺いいたしたいのでありますが、先月の二十六、七日ごろでしたか、自治庁として例の静岡の争議の問題について、われわれの方のお願いをまあ果して実地調査をされたようであります。こういうことを私たち聞いておりますが、その結果について一つ急所の点を御報告を願いたいと思います。
  148. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 公務員課長から……。
  149. 今枝義信

    説明員(今枝義信君) 静岡における紛争の実体につきまして、調査をいたしました点をかいつまんで御説明を申し上げたいと思います。  御指摘のありました事件のうち特に問題になりましたのは、組合の脱退届の用紙を配付をした点でございます。それから第二番目には、組合の役員を消防本部に配置がえをした点でございます。それから第三番目には、紛争の過程において消防団員が出動しておった事実でございます。これらの点につきまして実地につきまして、理事者側並びに組合側その他関係者につきまして、事情を聴取し、並びに現地について調査をいたしたのでございます。  まず第一点の、職員組合から脱退するという脱退届の用紙を配付した点でございますが、この点は組合の中央委員の方々が市役所の各課を回って、課長なりあるいは係長なりに一括して用紙を配付しておった事実があります。この事実の点については理事者側並びに組合側もその事実を認めているのでございまして、事実の点については争いはないわけでございますが、その用紙がどこで印刷され、その経費がどこから支払われて、どういう場所で配付されたかという点につきましては、いろいろと見解が分れておりまして、理事者側においてはその点は全然関知していない。それから組合側においては、おそらくそれは理事者側の指導に基くものであろうということで、見解が分れておりまして、それらの点につきましては、私どもの調査では最終的にどこがその用紙を印刷をし、どうして配られたかというふうな経過につき、突き詰めて調査をすることができなかった事情になっているわけでございます。  それから第二点の消防本部への職員の配置がえの点でございますが、この点につきましては、消防職員のうちに五名の欠員者がございまして、その欠員をそれぞれ若干日付はズレはございますが、五名を補充をいたしておりますが、その五名の中にさきの職員組合の副執行委員長、書記長並びに執行委員の職員組合の関係者の五名が入っておるのでございます。この点につきましては、配置転換に当りまして、給与その他の待遇につきましては、特別な考慮がなされておるのでございまして、市側の説明といたしましては、不利益な取扱いをしたということはなく、一般的な人事行政のワク内の問題である、こういうふうな申し立てでございます。この点につきましては、配置がえになりました五名から、不利益処分の審査請求の手続を出したいという意向がございまして、近くこの手続をとることに相なろうかと思うのでございます。従いまして、独立機関でございます公平委員会にあきまして、この事案を審査をする運びになろうかと思うのでございます。私どもといたしましては、そういう独立機関である公平委員会の審査が始められる前に、この点について、果してこの処置が不利益処分であるかどうかという点についての見解を申し上げることはいかがかと、かように思うような次第でございます。  それから第三点の、消防団員が紛争の過程において出動しておった、こういう事実でございますが、この点は、去る七月五日に職員団体と理事者側並びに議会側との間に若干のトラブルがございまして、その点が写真入りで新聞紙上に掲載をきれたのでございますが、その新聞紙上に載ったことが契機になりまして、二十数名の消防団員が市庁舎に入って数時間待機をしておった、こういう事実があるわけでございます。この点につきましては、いろいろと調査をいたしましたが、理事者側が出動の要請をしたという事実はございませんが、ただ、私どもの率直な気持を申し上げますと、こういう紛争の過程において消防団員がたとえ自発的であったにしろ、制服を着用して市庁舎に来るということについては、いろいろな疑惑を招くのではないかと、こういうふうな気がいたしまして、将来さようなことの絶対にないということを要望をいたしておるような次第でございます。  かいつまんで調査の結果を御報告申し上げました。
  150. 占部秀男

    占部秀男君 時間の関係もありますから簡略に申し上げますから、一つ急所だけをお答え願いたいと思うんですが、今、自治庁の方として調べられましたことを見まして、これは自治庁の立場から、こういうふうな事実を突き詰められないというところも起きてくるのかもしれませんが、私は非常に不十分な、いわば非常に不満を感じます。  第一に、印刷したというんですが、この印刷したのを組合の中央委員の方々が課長その他に一括して配付した、従って課長たちがこれを配付した、しかし、それをだれがやったかということになると最終的に調査ができない、こういうふうに言うんですけれども、しかしこれは、一体役所の中で労働組合の中央委員といえば組合員、この組合員が職制である課長にそれを一括して渡して、それを今度課長がこれを配ると、こういうことは果して行われていいものかどうか、特に課長さんというものは、あなたも御存じのように、組合員ではない、これは職制なんです。組合員ではない人が、たとえ組合員の中央委員から頼まれたといっても、それを配付していいのかどうか、こういう点は明らかに、もうこれは言うまでもなく、こういうことがあり得べきことではないと思う。こういうような事実が行われておる、こういう事実から見ても、そういうような印刷物を配付したということは、市役所の職制にこれをやらしておるということは、はっきりしておるのではないか、私はかように考える。  次に、役員の配置がえの点につきましても、確かに消防関係の方においては五名の欠員があったことは事実です。しかし欠員はあったけれども、その欠員はどういう人がほしいかというと、消防をする現場の人たちに欠員があったので、消防員並びに消防関係者をほしいというのが、その当時のこの欠員の補充の目的であったわけです。しかるに、この五人の人たちはそういうものでは全然ない。しかも配置された先は、これは事務である。こういうようなことは、これはもう明らかに自治庁の方として何十年——何十年と言っちゃ悪いけれども、十年二十年というように自治体の問題をあずかっているあなた方としては、こういうやり方は一体正しいやり方であるかどうか、なおしかも、争議の過程においてそういうことがあり得るものかどうかということくらいは、私はわかると思ろ。さらに、消防団員の問題についても、これは私直接聞いておるのですけれども、当日動員ざれた消防団員の方々の中には、これは名前は言いませんけれども、ある市会議員の方が職制から頼まれて、どうしても動員しなければならない。そこで、君済まないけれども出てくれないかというので、これをたくさんその人の声がかりで動員したという事実を私はつかんでおる。まあしかし、私は個々の問題ですから一々とこでその問題を云々言いませんけれども、そういうような自治庁の調査やり方では、今後こういう事実の問題が起きたときに、私は職員の方に非常に不利益なように行われていくという結果を招来しはしないかということを心配するわけです。そこで、との問題について自治庁の方として、一体その調査に基いて、果して市役所側のやり方がそれでいいのだ、正しいのだ、こういう見解を持たれておるかどうか。もしそうでないとするならば、それは市役所側のやり方というものについては、どういうふうな考え方を、いわゆる判断的に持たれたか。こういう点についてまず一お伺いをしたい。これはまあ局長に一つお願いします。
  151. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 最初にお断わりを申し上げておきたいと思いますのは、ただいま占部委員からの御指摘がございましたように、われわれ具体的な事件について調査をいたしまする際に、現在の建前ではおのずから限界がございます。これは強制的ないわゆる調査権というようなものもございませんし、その点おのずから限界がございまして、それぞれの地方団体側、あるいは関係者側の十分な御協力がなければ十分に調査が行き届かない。これは率直にわれわれも認めております。そういう点では、事実認定の問題等になりますると、事件が経過した後でもございまするし、なかなかそこについて真相を見きわめるということはむずかしい点が多々あるということは、遺憾ではございまするが、事実でございますので、その点はあらかじめ御了承を賜わりたいと存ずる次第でございます。  ただ、本件につきましては、長い間の実は紛争でございまして、皆さん方にも非常に御配慮をおかけいたしておりまして、実は非常に水ぎわだった解決、紛争の処理ということがなかなかむずかしいままで今日まで至っておりますことは、私たちといたしましても実は非常に遺憾に考えておるのでございます。ただ、全般的に申しまして、いろいろそれぞれの立場々々から言えば、言い分はございましょう。言い分はございましょうが、全般的に見まして、理事者側のやり方自体についても万全なことでなかったということは、これは言い得る事柄であろうと思います。もう少しやり方について十全の配慮を加えておりまするならば、このように紛争が長引かないで、もう少し事態は円満に解決を見たと思われるふしは多々ございます。私は、これは理事者側だけを申すのではございません。いろいろな点から申して、反省すべき点があると思います。このために、庁内の執務につきましてもかなり渋滞を見たことは事実ございます。また、そのために市民各位にも御迷惑をかけた面があるようでございます。こういう点につきましては、お互いにやはりもら少し合理的な、冷静な立場に立って事の円満な処理に当ってもらいたかったという一般的な感想を持っておるのであります。本件につきましても、経過の途中におきまして、いろいろむずかしい問題がございましたが、ただ、私たちといたしましては、相談がございましたときに、あるいは相談がなくても、ここで具体的に問題が指摘せられました事柄につきましては、直ちにいろいろな方法で実情について取調べを行いまして、こういう点については事実であれば反省を加えてもらわないと困るというような点は、刻々に申し伝えまして、指導をいたしてきたつもりでございます。しかし、全体としてそいつは非常にうまく参ったとは、この件については少くとも申せないということは、私も率直に認めております。ただ、今後といたしましては、一つできるだけ冷静に大局的な見地から人事行政、特に地方公務員法の精神というものにのっとりまして、それの円滑にして適正な運営をはかっていただくように、われわれといたしましては、一般の地方団体に対しても十分要望をいたしまするとともに、個々の具体的な事件につきましても、十分一つ処理を適正にしていきたい、かように考えております。
  152. 占部秀男

    占部秀男君 局長からまあ非常に熱のある御回答を聞きまして、私も非常に喜んでおるのですが、ただ、今、局長のお答えの中で感じたことは、局長の従来からの指導のやり方を見て、私ほ非常にこの問題についても自治庁のいわゆる責任者としての立場からは、まじめに取っ組んでいただけたと私は思っておるのです。思っておるけれども、それがやはり解決できなかった一番根本の問題は何かといろと、地方公務員法に私は盲点がある、法そのものが不備であるというところが、この問題を解決できなかった一番大きな点ではないか、特に局長があれだけ誠意を持ってやっていただいてもできないというところの原因はそこにある、特に、この団体であるところの組合の団結権の干渉されないというような問題、そうした一連の問題について、これはやはり法に不備があると私は考えるのですが、この点について、局長の御見解を承りたい。
  153. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいま質問者からも簡単、率直という要請でありますから、なるべく簡潔に願います。
  154. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 簡単、率直に申し上げます。私は、公務員法自体の成立の過程、精神等について、いろいろ申し上げる必要もないと思いますが、これは一般の企業の労働関係とは違った特殊性があるという面から立案をせられて今日に至っておるのであります。現在の地方公務員法自体が、すべての点において万全であるとは私も考えておりません。これが成立を見ましてから、かなり経過をいたしております。また、個々の事実問題の適用に当って、いろいろ問題となる点があると思います。今度の問題を契機として、その問題だけに集約するのでなくて、その他の問題についても考えるべき点はいろいろあると思います。その点は、私もそう考えるわけであります。ただ、公務員法建前と申しますのは、御承知のように地方自治法その他地方公共団体関係法規と申しますのは、それぞれ運営についてあまり罰則等を加えないで、その点はおのずから議会あるいは選挙における民衆の批判その他を通じて、おのずからなるそこに調和を保たしめようという考え方が、その基本になっておることは事実でございます。従いまして、これを直ちに罰則その他でもって規定をしていくという考え方も、これは直ちには承服はいたしかね難いというふうに考えるわけでありますし、なお、こういうような問題につきましては、大部分は、これは私の実はうぬぼれかもしれませんですが、大部分はそうむちゃなことはそう実はやっておらないのであります。大体は、まあまあ法律の精神を汲んで、円滑にやってきておるのではないかというふうに思うのであります。その点、まだ習熟の至らないという点が、今度のような事件になっておると思います。私といたしましては、まず第一義的には本法の精神をさらに普及徹底して、その習熟に一つ錬達せしめるという方向に重点を置いて参りたい、かように考えております。
  155. 占部秀男

    占部秀男君 これでおしまいです。ちょっと長官に伺いたいのですが、今、局長からのお話ですが、最近地方公務員法の改正の問題、修正といいますか、改正の問題といいますか、この前は停年制の問題もありましたが、そういう問題がまたあるということをちょっと新聞等で私は拝見いたしておるのです。そこで、長官にこれはまあ私の希望と同時に、御意見をお伺いいたしたいのですが、今、局長は法の不備の点について直ちに罰則で云々というようなことを言われましたが、私もこの公共団体である以上、なるべく罰則がなくてやっていけるような形が望ましい、そういうことはわれわれも考えておるのでありますけれども、ともかくも現在のような情勢を見てみますと、単に静岡だけの問題じゃなくて、あの問題は全国的に地方公共団体の職場に蔓延するような情勢が出ている、こういうようなことも、まぎれもない事実であります。そこで、公務員法の改正の問題で停年制のようなことばかりを考えずに、たまには一つ地方公務員法というものは地方公務員の保護規定であるというところをはっきりさせるような、急所の点の改正も私はしていただきたいと思うのです。特に今のこの組合のいわゆる団結権の問題、交渉権の問題については、これは今度の静岡の事件その他の事件を見ても、これは単に直接ストレートで罰則にいくのじゃなくて、これは改正して、もっとそうじゃなくやれるような方法が、法の改正の中にあり得ると思う。そういう点をもっと積極的に一つ考えていただくようなことができないかどうか、また、そうすべきであると私は考えるのですが、その点についての長官の一つ見解をお伺いしたい。
  156. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 地方公務員法はまことに重要な法律でありまして、これは地方公務員というものの特殊性も考え、また国家公務員との関連も考え、かつ地方公務員の態様というものは、国家公務員よりある意味において非常に複雑であり、いろいろな特徴を持っております。これは十分研究しなければならぬ問題だと思っております。私は、おっしゃる地方公務員法が、地方公務員のための法律であるという意味合いで十分な検討はいたしてみたいと思っております。しかし、これは御指摘にもありましたように、いろいろな面から考えなければいかぬ点がありまして、それで、ただいま行政局長の申しましたように、現行法の範囲において、でき得る限り完全な正しい運用をしてみるということを一つ考えてみようじゃないか、そういう意味合いで習熟させるということがまず第一段だろうということを、部内においても申しているところであります。しかし、地方公務員法についての検討、これは十分してみたいと思っております。また、しなければならぬ。ざきに政府が提出しました改正法は、廃案に現在なっておりますが、いろいろな点で、それ以外の点で考えなければならぬ問題のありますることは、私もいろいろな意味合いで、あるいは占部さんのおっしゃるような点であるかどうかしれませんが、いろいろな意味合いで私もかねて考えているところでありますから、十分検討したいと思っております。
  157. 占部秀男

    占部秀男君 私は、この際はっきりとお願いしておきたいのですが、こういうような組合員、職員に対して不利益のようなことのないように——理事者側をある程度制約するというような問題はそっちのけにしておいて、職員に対して不利益になるような点だけを検討ざれるのじゃこれはどうも困るので、まず地方公務員法検討のときには、必ずこういう点も一緒に検討してもらう、そういうことを一つ長官としてはっきり言明しておいていただきたいと思います。それをはっきりとしていただきたい。そらしないと、一方的じゃどうにもなりませんから。現に、きょうの社労でも、その点では労働省ももちろんそうだというので、これは労働省だから管轄違いかもしれませんが、労働政策の一環なんですから、そういう点、一つ安心のできるように、長官の言明を伺いたい。
  158. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 地方自治を発展させ、かつ地方公務員をより幸福、また安心して仕事ができますように、よい法律をこしらえますように、十分努力をいたします。どろぞいろいろとまた御援助をお願いいたします。
  159. 小林武治

    小林武治君 今、地方公務員法の話が出たが、私は、最近二、三県歩きましたら、どこへ行っても理事者も、議会も、地方公務員の停年制を、ぜひこの際やってもらいたい、こういうようなことを言っておりますから、その点十分善処してもらいたいと思います。地方公務員法が出たから、注文しておきます。
  160. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に昭和三十三年度の地方債計画に関する件を議題に供します。  まず、政府より本件について説明を聴取いたします。
  161. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) それでは昭和三十三年度におきます地方債計画の策定の方針といったものについて御説明申し上げたいと思います。  ただいまのところでは、まだ計数的なところまでいっておりませんので、明年度の地方債計画をどういう考え方で策定するのかという、その方針について申し述べたいと思います。一般会計におきましては、大体今年度と同様に、償還能力のある所になるべく起債を見て、貧弱な団体は一般財源でやっていくという考え方は、同様にとっていきたいと思います。一般会計全体といたしまして重点を置く点は、一つは災害復旧事業でございます。災害復旧事業につきましては、実は過年度の災害復旧につきまして、現在では地方負担の七割程度しか起債を見ておりませんので、十分この地方負担を見られるように、地方債の面でカバーしていきたい。それから現年債につきましても、まだ充当が不足しておりますので、この点につきましても充当率をある程度上げたい、かように考えております。それが一つの方針でございます。それから二番目には、最近都市の下水道事業とか屎尿処理事業が非常に都市行政の大きな問題になっておりますので、建設省の方でも目下二千億円で十カ年計画を立てておられますが、それに即応いたしまして、下水道、屎尿処理施設の拡充をはかって参りたい、かように考えております。  それから三番目は、義務教育施設につきまして、これは現在もら相当力を入れておりますけれども、なお、不正常授業の解消とか、あるいは危険校舎の改築とかいう事業が進んでおりますが、そういう点について重点的に一つ起債を充当したい。なお、学校につきましては、従来まあ木造と鉄筋の割合が非常に低くて、鉄筋の方の割合が二割程度でございますので、これを大幅に、少くとも半分くらいは鉄筋で建てられるようにして参りたい。  それから四番目には、学校を初めとしまして、公共建築物につきましては、もう不燃化をむしろ建前にしていく。その場合に、木造の分はむしろ一般財源で見て、鉄筋分についてその差額をむしろ起債で見ていく、そうして不燃化を大幅に促進して参りたいという工合に考えております。  かような四つの方針をもって明年度の一般会計の起債を立てたい。  それから収益事業の起債につきましては、これは独立採算の建前でございますし、なお、今年の九月からは特別会計をもって整備するようになっておりますので、港湾整備事業を中心としまして、なお大幅に一つ拡張いたして参りたいと思っております。  公営企業につきましては、主として今年に引き続きまして水道事業、それから大都市の地下鉄を中心にします歩通等に重点を置いて、地方債の計画を立てていったらどうかという工合に考えております。  そうしますと、大体全体としては、地方債計画は今年度より相当額上回ったものになるんじゃなかろうか、かように考えております。
  162. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、要請いたしておきますが、地方債計画の成案を得られましたならば、なるべく早く委員会に資料として提出を願いたいと思います。  これより、本件に対する質疑に入りたいと思います。御質疑のおありの方は、御発言を願います。
  163. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方債計画は、今の話だと、ワクが三十二年度より上回るのではないですか。そうすると、今までの考え方が、公営企業の方はふやしていくが、一般会計の分はだんだん漸減させようという方針を考えておったのでしょう。どうですか、今までの考え方と、この一、二年の考え方と、矛盾してきやしませんか、この全体の考え方が。
  164. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今のお話は、基本的な考え方はわれわれもそういろ考え方でおります。要するに、一般財源に振りかえるべきものはもちろん一般財源に振りかえたい、そういう意味でそういう起債を減らしていきたい。ただし、一般会計に属するものにつきましても、特別な必要があって起債でやらざるを得ない、あるいは起債でやる方が筋が通るという仕事につきまして、必要な経費はふやさざるを得ないじゃないか。たとえば、今の災害復旧に伴うような経費は、これは性質上起債が適当ですから、そのような必要なものはふやしたい。しかし、一般の補助事業のようなものは、これは減らしたいと思っております。どうせ一般財源も来年は多少は伸びるに違いないのでございますから、そういうものは減らしまして、そうでない災害とか、あるいは今議論になっております義務教育ですね、義務教育は、市町村の仕事でございますから、これはとても市町村の仕事では一般財源に振りかえる上のは無理だろうと思いますから、そういうものはふやさざるを得ないじゃないか。それからまあ下水でございますが、下水も市町村で巨額な金が要るのでございますから、そういうものはやむを得ずふやさざるを得ないじゃないか。そうでなしに、一般の補助事業とか、一般の単独とか、従来一般的にやっておったものは、思い切って減らせるだけ減らしていこうと、こういう考え方でおるわけでございます。
  165. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、本件については、この程度にいたします。   ————————————— 委員長本多市郎君)なお、成瀬君より福岡の四エチル鉛の被害に対する財源措置に関して質疑の要求がございましたので、この際、成瀬君に発言を許可いたします。
  166. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 すでに問題点も出ておりますから、十分おわかりだと思いますが、そこで、こういう災害に対して、自治庁としてはどういう態度でお進みになっておるのか。現状をお聞きしますと、応急対策あるいは恒久対策等で一億一千四百十八万ですか、かかっているのに対して、六千万円の何か起債が出ておるそうでございますが、それはそれとして、どういう方針でおいでになるのか、その点を承わりたいと思う。
  167. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 四エチル鉛のその後の水道の整備につきましては、自治庁といたしましては、この原因に伴うて、いろいろどこが負担すべき責任を持っておるかというような問題も、一部にあるのは承知いたしております。一つは、とりあえず、そんなことを言っておるひまはない、ともかくも水道を通じさして、上水を配給するということが根本でございますから、われわれといたしましては、その上水道の工事はすみやかにやれ、必要な経費は必要な経費としてあとで見ようじゃないか、こういう考え方でおる問題が一つ。それから、それに伴いまして、それまでのつなぎに、いろいろ水を配給したり何かするのに相当多額の金が市にかかっておる。これも事実でございます。この金につきましては、一体市だけにしりを負わせるのがいいか悪いかという問題がまた一つあるわけでございます。われわれといたしましては、ほんとうに市町村の負担として見ざるを得ないものならば、これはまあ自治庁の責任の分野で、必要な経費につきましては、まあ最後は特別交付税あたりの配分のときに、それは考えざるを得ないと思っております。その前には、それはある程度国も相当めんどらを見るべきものだということになれば、それは国で見てもらうものは見てもらい、そのあとの部分につきまして、自治庁の方としてほかの財政状況を考えて、それは始末をせざるを得まい、こういうのが自治庁としての基本的な考え方でございます。そこで、前の水道の建設事業につきましては、水道の新規の仕事としてのこまかい数字的なことは理財課長から説明を願いますが、仕事に必要な経費を、向うの水道会計の状況も見、それから実際の必要な状況も見まして、一応六千万円の起債をつけたのは事実でございます。大体もう必要な仕事はでき上って、よく覚えておりませんが、もうそろそろ通水も可能になるはずだと思っております。仕事がその程度にできております。また、これにつきましては、ああいう災害に伴う特殊なやつだから、水道復旧について、補助をむしろ一部出すべきではないか、こういう問題がありまして、これは厚生省の所管でございますが、従来似たような先例本もあるようにもわれわれも聞いておりまして、むしろ災害関係で下水道の補助を入れるべきものがあり、厚生省の方でゆとりがあるならば、私は見てもらった方か筋ではないかというようには考えております。しかし、これは、まだ論を得ておりません。それではともかくも自治庁として、とりあえず応急的に要る経費は見ざるを得ぬということで、水道経費として六千万円の起債をつけたのでございます。それから今中します通り、あとの、それまでの配水その他の経費につきましては、もう少し国と地方、各省の態度のきまるのを見まして、最終的に自治庁として必要に応じて考えざるを得ない、こういうふうに考えております。
  168. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 起債の六千万円ということはわかります。ですが、実際の応急対策の三千三百万円余に対しましては、当然あなたの方としては全額これはもう見なければならないというふうにお考えになっておるのか、それとも市が若干でも見るべきだ、こういう見解をとっておられるのか、そこら辺のところを明確にしてもらいたい。
  169. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、起債は補助と違いまして、起債もどうせ市の負担でありまして、借金であるだけのものでございますから、市の水道会計なりその他でさばきがつくものならばきばきをつけて、足らぬ分だけを借金してやるという建前をとるべきものだと私は考えております。しかしながら、応急対策の問題ですが、応急対策の問題は、われわれとしましてもこれは全部市におっかぶせるというのはいかがなものか、自治庁といたしましては、なおこれは少し疑問を持っております。相当多額な経費でございますし、それから原因が原因でございますし、これは全部市にやらしてしまえというのもいかがなものか、これは関係各省でも研究しておるはずのものでございますが、その結論を見ぬといけませんが、自治庁といたしましては、ある程度見てもらえるものならば、見てもらった方が筋ではないか、そういうふうに考えております。
  170. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 普通災害の場合は、全額補助率が四分の一まであると思いますが、それは普通火災でくる災害ですね。いわゆる台風等でくるとか……。これをそういうので見ると、これは天災ではなく、実に人災できておると思います。もともと四エチル鉛というものは、航空機燃料にしか使われなかったということは、はっきりしておる。その処置が非常に不備なためにこういう災害にあったと思う。ですから、もとをただせば、国の処置の悪い点がその地方住民にかぶさってきたというほかにないわけなんです。だから、その結果からいえば、当然国が負うべきだと、だから私は国家賠償法がどらだとか、そういうことでなくて、国は、地方で起きたけれども、それはそうでない。見てくれというのではなくして、根本原因はどこからきておるのかと、とするならば、どこが最終の責任か、その所在を明らかにするか。国と地方は一緒のようなものだ、困るときは交付税を出しておるからと、この問題はそういうことではないから、応急対策費は国が全額見る。それから水道の補助、そういうようなものもこれと関連して水道をやらなければならなくなったのですから、それに対してどれだけ起債を見るか、それに対して災害補助を何割見るかという態度でなければならぬと思いますが、どうでございますか。
  171. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは成瀬委員のおっしゃいましたのは、ごもっともでございまして、私はやはりああいう事態の問題ですから、全部市におっかぶせるのも無理なところがありはせぬかという気がいたしております。ただ、今お話の通り、国家賠償法とかその他の問題になりますと、解釈上いろいろ疑義がありまして、国に責任ありという結論までは出ていないようでございます。私は、だから最小限度ともかくも応急的に水道建設をせざるを得ないから、水道建設費につきすして、普通の水道の災害につきまして補助の道もあるよでございますから、そこの制度を活用して、何か補助に特別の扱いというものができないものだろうかと、要するに、市の一般財源を救ってやるというのが根本でございますから、そこでその水道の補助を通じて、国も責任を一部果すという建前が一番合理的な解決じゃないだろうかと、率直に申しまして、そういう気もいたしておりまして、できたら水道の復旧の応急の道が開かれることを期待いたしておるのでございます。しかし、これもまだ結論が出ておりません。われわれといたしましては、そういうことで、まず、国として見るべきものは見る。それからあとは、地方でも放っておけない問題ですから、地方の問題となった部分につきまして、福岡市単独でさばきのつかないものは、特別交付税でもある程度これを計算に入れて配分を考えざるを得ないじゃないだろうかという感じをいたしておるのでございまして、できたらそういう考え方でうまく合理的に解決をしたいものだと存じておるのでございます。
  172. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 恒久対策に対する考え方は、私はそれでいいと思う。ただ、応急対策のことは、これはあなたの話を聞いておると、これはどうも全部福岡におっかぶせるのは気の毒だ、だからちょこつと見てやろうというふうに聞きとれるのです。どうもそうではないので、先ほど言ったように、なぜこういうことが起きたかということを考えれば、当然この応急対策費というものは、国が全額見るのが妥当ではないか。特に前の田中長官はあっちへ行かれまして、相当住民に対して約束もして来られたようです。だから市当局もなかなか困難な立場にあるようです。ですから、長官が何を言われようが、そのことは別として、私は筋道として、応急対策費というものは全額国が見る。そして恒久対質については、災害として起債をどれだげ見る、それに対して補助をどれだけ見るというふうに、筋を通していくのが妥当ではないかと思っておりますが、どうですか。
  173. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 問題は、応急措置について国がどれだけめんどうを見るかという問題で、結局それについては国の責任の問題になってくるのでございまして、国といたしましては、例の国家賠償法というようなもので、必要な場合に国が責任を持つという制度は、これはありますが、この制度の運用については、いろいろまた問題がある。しかし、それ以外には、国としてああいうものに処する現在制度もなければ予算もない。率直に申しましてそういう現状じゃないかと思うのでございます。そこで、関係省もいろいろ苦慮しておるのが実情でございまして、自治庁の立場からいえば、そういう特別な経費なんだから、何か特別に考えてもらいたいという気持は万々持っておりますけれども、なかなか今の制度の上、予算の上においてそう簡単に解決がつくという見通しも、私は率直に申しまして、ないのではないか。これはあけすけな話でありますが、そういう気がいたしておるのでございます。しかし、まあそういう道が開かれるものならぜひ開いてもらいたい。それで開いたって、百パーセントどうこうということは、事実上できぬのですから、あとの問題は市が考えざるを得ない。その市が考えるものにつきましては、自治庁もバツク・アップせざるを得ないというふうに考えておるのでございます。考え方の基本はその通りだと思っておりますが、それを具体的にどう解決するかということになるというと、そうなかなか簡単にいい道がない。率直に申しまして、それが実情じゃないかと存じておるのでございます。   —————————————
  174. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、調査未了報告書の提出についてお諮りいたします。来たる十一月には臨時国会の開会が予定せられておりますので、当委員会といたしましては、特段の事柄のない限り、閉会中の委員会は本日をもって終了いたすわけでございます。従いまして、この際、閉会中の調査報告書の提出について、あらかじめ御承認を得ておきたいと存ずる次第でございます。  本院規則第七十二条の三によりますと、委員会が閉会中その審査または調査を終らなかった案件について、その旨の報告書議長に提出しなければならないことになっております。よって、報告書内容、提出時期等につきましては、委員長に御一任願うこととして、当委員会の継続調査事件でありますところの地方行政改革に関する調査につきましては、今期閉会中調査を終了するに至らなかった旨の報告書を、議長に提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会