○
説明員(
降矢敬義君) 私から、ただいまお
手元に御配付申し上げました
地方制度調査会の
特別委員会案について、これに至るまでの概要並びにこれについて今まで討議されました
事項並びに
考え方について、
概略御
説明申し上げます。
地方制度調査会は、
前文に書いてあります
通り、二月の末から、
府県制度を
中心とする
地方制度の
改革の問題について
論議を始めたのでございますが、その
やり方といたしまして、まず
学識経験者、
国会議員、
地方団体側からの
出身者をもって構成いたします
特別委員会を設けまして、果して
府県制度について
根本的改革を
検討する必要あるかどうかということについての
論議をまずやるということで、三月の初めから六月の末に至るまで、
やり方といたしましては、各省庁並びに
地方公共団体側の御
意見をヒヤリングの方法で聴取いたしますとともに、
特別委員会で
聴取事項をきめましたものに基きまして、御回答を文書でいただいたわけでございます。そいうことをまずいたしまして、それから、七月の五日に
特別委員会で、さらに
特別委員各位の御
意見の御披露がございまして、その結果、
特別委員会としては、
府県制度について
根本的改革を
検討する要がある。こういう
結論になりまして、それが七月の二十二日の
総会で報告をされ、
総会で承認を受けまして、さらに
特別委員会で今度は
内容について御審議をいたす。こういうことになったわけでございます。七月の二十五日に
特別委員会としての
意見の御開陳がいろいろございまして、そうしてそこで、今度は具体的な案を練るということについて小
委員会を設け、これで審議してもらう。こういうことになりまして、小
委員といたしましては、十九人の
学識経験者だけでこれを構成する、こういうことにいたしたわけでございます。小
委員会といたしましては、八月の二十日、二十一日、二十八日、九月十日、十一日と、合計五回の会合を重ねたわけでございますが、その間、各位の御
意見についていろいろの
相違があったわけでございます。そこで、たぶん十一日と記憶しておりますが、そういうふうにいろいろの
考え方があるのを
一つの案にまとめあげるということは、なかなか困難であるので、どういうふうにしてこれをやるかということがございましたときに、東大の
田中先生だったと思いますが、それならば、
大綱としては、お
手元に配付いたしましたような
地方案と申しますか、道州案という
考え方と、それから二、三
府県統合という
考え方に分けられますので、各
委員はおのおのその
立場があって、
考え方の
相違はあるが、かりに道州をとったらどういう
考え方が一番いいか、かりに二、三
府県案を採用するならばどいいう
考え方が一番妥当であるかということを、小
委員の方々の間で
一つ議論をしてみようじゃないかと、こういうことになりまして、その見地でいろいろ御
議論をたたかわしたわけでございます。その大体出たところで、九月十一日に小
委員会の中に、さらに
起草委員九人を設けまして、その
起草委員に
起草をお願いする、こういうことになったのでございます。
起草委員会といたしましては、九月の十八日、二十一日、二十四日、二十六日、二十七日と、計五回
起草委員会をやったわけでございますが、どちしても
考え方について、道州案、
地方案と申しますものと二、三
府県案というのが一致しない。そこで、その
考え方を支持する
起草委員の中で、それぞれグループを作って
考え方を
起草すると、こういうことになりまして、道州案につきましては四人の
委員の方、二、三
府県については二人の
委員の方が直接の
起草に当られたわけでございます。その結果、道州案と申しますか、
地方案と、それから三、四
県案が作られたわけでございます。
最後の
起草委員の会として、九月の二十七日に、この案を
起草委員会案として決定いたしまして、十月の四日に小
委員会を開いたわけでございます。そこで、この案を
中心に、それぞれ御
議論がございましたが、
大綱について、
一つ考え方だけをはっきり、
起草小委員会はどちらをとるのかということをはっきりしようというので、
最後に決をとつたわけでございますが、そのときには、
出席委員が十六名、
委員長を入れまして十七名になりますが、
委員長は入りませんので、十六名中、九対七で
地方案が小
委員会の多数案ということになったわけでございます。ただそのときに、多数案と
少数案とにいたしますが、その価値はどういうふうに違うかということがかなり
議論になったわけでございます。端的に申し上げますと、この小
委員会で、多数となったものだけが
特別委員会で
論議の
対象となり、
少数意見というものは
論議の
対象にならないのかなるのかということでございましたが、その点はもちろん、小
委員会が
特別委員会に報告する場合には、
両方が
論議の
対象に当然なる、しかしながら、小
委員会としてどちらが多数であったかという
ウェイト、小
委員会での
ウェイトはつけるべきだ、こういう了解のもとに決がとられ、そして小
委員会としては、
地方案を多数、三、四
県案を
少数、こういうことで
特別委員会に報告することになったわけでございます。
特別委員会は、十月の七日、八日に開かれまして、この両案を
中心に、活発な御
議論がございました。
最後に、やはり小
委員会で行われたと同じ
意味で、
総会に報告する態度として、
特別委員会の方はどちらに
ウェイトを置くか、こういうことで、決をとることになったわけでございます。採決に加わりました
委員の方は、当時二十二人出席しておったと思いますが、決をとるときは十五人で、
地方案が八、三、四
府県案が四、それから、いずれも賛成しない方が二人ございまして、
地方案を
特別委員会としては多数ということで
総会に報告いたすということにきまつたわけでございます。ただいまお
手元に配付いたしました、私の方で印刷いたしました
特別委員会案というのは、
最初に書いてありますのが
地方案でございまして、十三ページ以下に書いてございますのが、「
少数意見」というふうに頭の方に表示してございます。これが三、四
府県の
統合案でございます。
以上の経過をもちまして、
特別委員会としては、ここに御配付申し上げたような
格好で
総会に報告申し上げるということになっております。なお、
総会は、十四日、十五日、十七日、三日間予定されておりまして、これでどういう
議論をするかということは、まだ全然予想がつかないのでございます。
大体この案につきまして、
概略内容を御
説明申し上げます。
最初に、
地方案、道州案というものと、三、四県
統合案の
建前の
考え方の違いというものが非常にはっきりしておるのでございまして、
両方とも、
広域行政と申しますか、そういう観点から見ますと、
府県の
区域は必ずしも満足すべきでない、むしろ拡張すべきだという御
意見では、形の上では一致しておるのでございますが、中身に入りますと、三、四
府県案は、
現行の
建前をあくまでも堅持する、
現行の
地方制度上とられておる
建前、
府県、
市町村という二つの構造というもの、それから
中間団体を、現在のように、いわゆる
完全自治体とするという
建前を堅持して、その上で、
現行制度上工合の悪い、つまり
欠陥と考えられる点をできるだけ是正していくという
考え方が三、四
府県の
統合案でございます。従いまして、
首長の選任問題というようなものも、
現行通り考えられておるわけでございます。ただ、それに対しまして
地方案は、
区域も狭いということでございますが、そのほか、
前文に書いてあります
通り、
市町村自治というものをあくまでも強化して、そこに重点をおけば
地方自治が十分であって、
中間団体というものは、国と
市町村との
中間にあり、むしろ広域的な
行政を担当すると同時に、国の仕事も相当担当してもらわなければいかぬ、同時に、現在非常にたくさんあります
出先機関といもののもすべてことに
統合して、そうして
一元的行政の
総合運営というものを
中間機構において確保しなければならぬということをかなり重視しておるわけでございます。そういうふうに、両者の
考え方というものが根本的に違っておるのでございます。
第一番に、
地方案の具体的な
内容について若干御
説明申し上げますと、三ページ以降でございますが、
現行府県は廃止をして、そして「
地方」という
中間団体を設けるというのがこの
地方案の最大の骨子でございます。
地方は、
地方団体としての側面と、
国家的性格を併有する
一つのいわば不完全な
自治団体だということも言えるわけでございます、それから、
区域の点でございますが、
区域は、七ないし八
ブロックというふうにされております。この点は、必ずしも激しい
論議があったわけでございません。ここに
参考案として、七ページの
うしろの方に、七、八、九
地方という三案の
参考案をつけてございますし、この
参考案の
備考には、こういう県についてはなお
検討を要するというふうに書いてあります
通り、厳密な
検討の上に、七ないし八
ブロックというものは確定された案ではないわけでございまして、そういう
意味では、
一つの
参考として案を考えたという
程度でございます。もちろん、このときにも御
議論がございましたが、ほんとうにこの問題を
検討するならば、
区域について、たとえばバウンダリー・コンミッションというものを別に設けて、慎重に
検討を要する問題であるということは、
特別委員会の
論議のときにも、はっきり
委員長から言われておる
通りでございますし、また、小
委員会のときにも、そういう御
議論があったわけでございます。この
区域の点は、三、四
府県の
統合の場合についても、
参考案として述べられておるのでございまして、具体的な
検討に当っては、別な
機関を設けて
調査するということは、両案とも大体同じ
考え方でございます。
それから、
組織の点でございますが、
地方にも
批判機関として
議会を置くということについては、御
議論がなかったのでございまして、定数が四十人から百二十人というふうに一応限定したのは、これは、現在の
府県の最低の
定員から最高の
定員の間できめたがよかろう、こういう
委員の考えであったわけでございます。
それから2の、「「
地方」に
執行機関として「
地方長」(
仮称)を置く」、
地方長の選任は、(1)に書いてあります
通り、「「
地方」の
議会の同意を得て
内閣総理大臣が任命する」、こういうことになっておりますが、この点は、いろいろの
考え方が
総会あるいは
特別委員会、小
委員会で述べられたのでございます。しかしながら、ここにおいて、みないろいろな
意見がありましたが、
地方と国の意思といろものが適当に調和されるような
選任方法ということで、結局、
最後にはこういう案がとられたわけでございます。
それから(2)は、「「
地方長」は、
国家公務員とし、その
任期は三年とする」、
任期については、四年とするか、三年とするか、あるいは
任期をつげないかと、いろいろ御
議論がございましたが、
地方の
公安委員会とかというような
委員会について、三年というのがあるというようなことが
参考になって、三年ときまったように記憶しております。
それから三番目の、
地方長の資格でございますが、ここに、「政党その他の
政治的団体の
構成員でないことを要するものとすること。」こういう
表現でございます。これは、小
委員会では、
任期の三年ということも関連いたしまして、
任期もあることだし、政治的な
立場を離れて、中正的な
立場でやることを期待するのだという御
議論があって、こういう
表現になったのでございます。「ないこと」というのは、そのときにも
議論がありましたが、それではやめればいいのかといえば、それはやめればいいのだというのが小
委員会で
議論があったことを記憶しております。
それから四番目でありますが、これは、
地方議会の方から今
現行法では
罷免請求の議決ということはあり得ませんので、
総理大臣に対して
罷免請求をすることができる、こういう
制度を四番目に置いたわけでございます。
それから五番目は、これは
公務員法上の
懲戒事由に相当する場合には罷免できるということ、「職務上の
義務違反等一定の要件」というのは、
懲戒事由ということを考えて、こういう
表現をしたのでございます。
それから三番目に、
行政委員会のことが書いてございますが、ここでは、「
特定事項に関する裁定、審査の機能を行うものを除き、
執行機関たる
行政委員会は置かない」、ころいうことがございます。これが
特別委員会のときに、警察とか教育とかというものについては、
行政委員会というものの
建前をどうするのだという
質問が二、三の
委員からございました。この問いに対して
特別委員長から、この御
議論の過程でそういうことがございまして、しかしながら、そういう重要な
行政事務については、
地方庁が執行する前提として特定の
審議会と申しますか、
諮問機関と申しますか、そういうものに諮って必ずやるようにするとか、あるいはそういうものの議を経てやるようにしたらどうとか、こういう
意見が事実ありまして、この
表現にはないけれども、そういうことがこの
考え方の基礎にあるということが、
特別委員長から
特別委員会において
説明されております。
それから4、5は、特別に御
説明申し上げることはございません。
それから、(5)
事務でございますが、
事務の
考え方は、三、四
県案もこの案もあまり変っておらないのでございます。1に書いてあります
通り、
地方は、「現在国が処理している
事務で「
地方」又はその
機関に移譲できるもの、」国から持ってくるものと、それから後段の
市町村に移譲できないものを処理する、これが第一番の
考え方でございます。
第二は、「国の
地方出先機関が処理している
事務は、極力「
地方」又はその
機関に移譲し、これに伴い、
当該地方出先機関は廃止すること。」このことが
地方案では非常に重要視されているのでございまして、
出先機関が
ばらばらになってやっているのを、
地方という
地方団体に
事務を移譲して、総合的に
地方における
行政を
運営させたい、こういうことを非常に強くこの案は強調しているわけでございまして、従いまして、この2というのがこの案の
一つの眼目になっているのでございます。
それから3は、
市町村に対する
事務移譲、これは、現在
府県が処理しているもので
市町村が処理できるものは移譲する、この場合においては、
市町村の規模の能力に応じて移譲する
事務に差異を設ける、こういうことにして、
市町村に対する
事務の移譲ということを積極的にやろうという
考え方でございます。この点もあまり変っておらないわけであります。
そこで、1、2、3を通観いたしまして、
特別委員会で御
議論になりましたのは、具体的にもっと
事務をあげるべきではないか、どういう
事務を
市町村に移譲し、どういう
出先機関を一体
地方というものに
統合するのか、具体的にあげるべきじゃないか、むしろそういう
議論が
中心ではないか、こういう御
議論がございました。これにつきましては、
参考案の二に、一応どちらの案も十一ベージに書いてありますが、
参考として、どういう
事務を移譲するものと考えるかという、ことでございますが、この
表現も「たとえば、次のような
事務につき
検討を加えること」というふうになっております
通り、
委員「
会自体として、
個々の
事務について、この
事務を
市町村に移譲する、この
事務はどうする、この
出先機関はどうするということは、時間の制約もございましたし、また
委員会自体としても、そこまで詳しく
論議するのはいかがかということでございまして、
一つの
考え方の方向を示すということで、
参考案として付け加えられた次第でございます。
それから、六ページの(6)に「
財政」が書いてありますが、この1と3に
議論があったのでございますが、この
地方は、先ほど申し上げました
通り、
性格は
地方団体の
性格を一面持っております。従いまして、当然
課税権を与えるということがその第一の問題であり、それから第二は、
起債能力をどうするかということは、その点も明瞭に書くということで、三に書いた次第であります。それで、
特別委員会で特に
議論になりました点は、じゃ
課税権の
内容をどうするのかということが
一つ問題になりました。この点は、小
委員会でもいろいろ
議論があったのでございますけれども、何せ、どういう
出先機関に
事務が
統合されるのか、どういう
事務を
市町村に移譲するのかとか、具体的な
事務の
内容がまだ明確になりませんので、
個々の税目をどうやるかということは、とうてい
結論を出し得るものではない、こういうことでございました。それからもう
一つは、1の「
課税権を有するものとし、その
賦課徴収の
事務は極力簡素化する」、この「極力簡素化する」というのは、どういう
意味かという御
質問に対しまして、この
起草に当られました一
委員から、このことは、たとえば
地方が
独立性を持つのでございますが、それをかりに
所得税付加税というような
格好で、税源の
課税権を認めるということもその
一つの
内容である、こういう発言がございました。
それから、六ページの三でございますが、「「
地方」の
区域を
管轄区域とする国の
総合地方出先機関(「
地方府」(
仮称))を置く、」このことがございます。ここがさらに
議論があった点でございまして、ちょっと読みます。「(一)「
地方府」の
首長は、「
地方」の
執行機関たる「
地方長」をもってあてること。(二)国の
地方出先機関のうち、その処理する
事務を「
地方」又はその
機関に移譲することができないものは、
原則として「
地方府」に
統合すること」、この
地方府という
考え方は、国の
総合出先機関でありまして、五ページの
事務のところの二で申し上げました
通り、
原則として
地方出先機関の
事務は、
地方またはその
機関に移譲して廃止するのだ、こういう
建前をとっております。そこで、この
原則を貫いても、なお
地方府というものに移譲できない
出先機関が残るかもしれない。残り得る。そういう場合は、その
出先機関をまた現在のように
ばらばらに設置して、
ばらばらに
運営きせるということは望ましくない。そこで、少くともそういうふうにして残る
出先機関があれば、その
地方府という
総合出先機関全部
統合してしまえ、そうしてその
地方府の長は、
地方の
執行機関たる
地方長をもって充てる。つまり一人が
地方の
首長であるとともに、
総合出先機関である
地方府の
首長を兼ねて、そうして
行政の総合的な
運営をはかる、こういうことで、との三の構想が生れたわけでございます。
原則は、あくまでも
出先機関の
事務を
地方に移譲するという
考え方でございますが、その
考え方をとっても、なお移譲できないものがある場合に、
行政の総合的な
運営というものを確保するために、こういうものを設け、
首長を共通にする、こういうことでございます。
それから四は、
大都市制度、
首都制度でございますが、
大都市制度は、
事務配分の
特例、
事務処理上の
特例、監督上の
特例というものを十分考慮すればいいじゃないかという
考え方があったのでございます。
首都制度につきましても、少しわかりにくい
表現をとっておりますので、御
趣旨を
説明したいと思いますが、「
首都制度については別途考究するものとし、「
地方」の設置に伴い、
現行特別区の存する
区域については、
基礎的地方公共団体を設ける等、必要な調整を講ずること。」これは、
首都制度というものについては特に考えるけれども、この
地方案を実施して、
現行府県というものを廃止する。つまり、都というものを廃止します結果、特別区の
区域については、現在のように、不完全な
自治団体である特別区というものが残るということは、基礎的な
地方公共団体でないある
区域ができてしまうという結果になります。そこで、それは憲法の規定に直ちに違反する結果になるのではないか。そこで、そういう状態の発生しないように、特別区の
組織、
区域については、基礎的な
地方公共団体を設けるというようなことを特別に考慮する必要があるということを特に加えたわけでございます。そこで、こういう
表現に相なったのでございます。
それから
備考につきまして、
府県制度の
改革に伴い、国の中央、
地方を通ずる
行政事務処理そのほかの
地方行政機構の全般的の
改革についても根本的な
検討を加える。こうなっておりますが、この点につきましては、
調査会といたしまして、
地方制度調査会でもあるし、国の
行政機構全般について触れるという任務も持っておらない。しかしながら、このことが同時に伴わなければ、その
地方制度の
改革というものは
意味がない。そこで、こういう
趣旨を明確にここにうたう必要があるということで、
備考という
格好でこういう
趣旨がとられたことになったわけでございます。
それからその次は、二、三
府県の
統合案について、その
概略を申し上げますが、この
考え方は、先ほど申し上げました
通り、あくまでも
現行制度、つまり、
府県、終戦後行われました
地方制度の
改革の
建前というものをあくまで尊重する。しかしながら、
欠陥もないことはないので、その点を是正する、こういう
程度にとどむべきだということでございます。なお、この点につきまして特に申し上げますと、この
考え方を強くとられている点は、十五ページの第三、第二はこの
区域の問題でありますが、第三がかなり拡張されてくるのでありまして、ことに書いてありますのは、現在、
市町村、
府県、特に
市町村が合併の結果、だんだん能力というものが充実して参る。そうすることが
府県と
市町村との間に機能の衝突を来たし、あるいはひいて
行政の非能率というものを導く。そこで、
府県のある姿というものは
完全自治体であっても、両者の機能、つまり、
市町村と
府県とがどういう機能を果すかと、そういう任務を明確にすることによって、二重構造といわれる非難も是正できるし、そのことが
府県の本来あるべき姿ではないか、そのことを
田中先生のお考えによりますと、今後の
府県というものは、広域的な
行政事務というものを担当する、そういう完全
自治団体として存在すべきであるということが考えられておるのでございます。そこで、第三のところに、両者の機能、
府県、
市町村間の機能、配分の明確化ということが非常に強調されておる次第でございます。
で、その具体的な
内容に入りまして、この十七ページから簡単に
内容を御
説明申し上げますが、
最初の方にこの案の
趣旨が出ておるのでございまして、十七ページの一行目から三行目まででございますが、すなわち、「
現行府県の
完全自治体としての
性格は、これを維持しつつ、おおむね三、四の
府県を
統合して
府県の
区域を再編成するとともに、国、
府県及び
市町村を通じて
事務の合理的配分を行い、各々の機能を相互の重複なく、十分に発揮きせるような体制を確立する。このことがこの案を貫いている根本的な
考え方でございます。そして、
統合ざれた
府県は、全部統一して、府とか都とかというものをなくして、県とすることで一ができておりす。
二は、この
府県の
区域の
統合の
考え方でありますが、これは、先ほど
地方案で申し上げたことと同じような
考え方、つまり、バウンダリー・コミッションというものを設けて、もっと慎重に具体的にやるのだという
考え方が背後に包まれております。
それから
組織でありますが、
組織の第一番の
議会の議員の定数、これは「五十人から百人までの範囲内において人口に応じて定めるものとし、」との
考え方ほ、
田中先生の御
説明によれば、現在よりも少くともよろしいが、しかし、衆議院の議員の
定員よりも少いということはあってはならないということで、こういう大体の基準を自分は考えたのだということを
特別委員会で御
説明しております。
それから、知事については
現行通りでございますので、特に選挙のことは触れないのでございますが、任命の方は触れておりませんが、「
任期は四年とするが、引き続き再選を認めないこと。」こういう、引き続き再選を認めないというのは、
特別委員会であったですか、
総会でありましたか、知事の
一つの弊害として、在任中選挙運動について相当やるというのが
一つの弊害として数えられておる。それならば、引き続き再選を認めない。引き続きの再選を禁止すれば、その点は相当ためることができるのではないか、こういう御
意見があって、こういう
表現になっておると思っております。
三番目は
行政委員会、これは、
現行通りでございます。
四番目に、支分庁は
原則として置かない。しかし、当分の間、簡素な支分庁を置く。これは、
田中先生の御
説明によりますと、支分庁というものはできるだけ置かないで、一方では
市町村に
事務を移譲する、一方では
広域行政というものを担当していく、こういう
格好で、
原則としてはやはり置かないということを貫くべきだ、こういう
考え方で
表現になったのでございます。
それから四の
事務でありますが、
事務の一番目は、ここにおいては、かなり
市町村に移譲するものは日常生活に直結する
事務、
府県は、その1、2。
つまり
地方の総合開発計画の策定、治山治水事業、それから教育の水準の維持と、こういうような仕事をやるのが
府県である。基礎的な
地方団体である
市町村は、日常生活に直結する
事務をやはりやるべきではないか。それで両者の機能をはっきり分けようという
考え方を一番目に出したわけでございます。
なおこの十八ページの中ごろに、
市町村の
事務移譲については能力に応じて段階を設けるとともに、「「県は」、過渡的に
市町村の能力を補完する機能を担当することができるものとする。」つまり、県の補完的機能というふうに一般にいわれておりますが、それは、この案によりますと、過渡的にやるべきであって、その
格好が永遠に続くということは、依然として二重機構とか二重
行政とかいう弊を招くことになるので、あくまでも過渡的であり、将来は補完
行政もできるだけなくしていきたい、こういうことで、「過渡的に」という
表現を特別に使われたわけでございます。
その次の(二)は、これは、
出先機関の
事務は、極力
市町村あるいは県に、現在国が処理している
事務のらち、県あるいは
市町村の処理するものは移譲する、なかんずく
出先機関、特にここにわざわざあげております、こういう従来より県単位に置かれている
出先機関は県に
統合する、こういうことをいっておるわけでございます。この点も
参考案についてあります
通り、具体的な
参考案、二十四ページに、
出先機関の
検討すべきものとして掲げられておりますこの点も、具体的に綿密に研究は尽されておりませんので、なお
参考としてこういうことを考えているという
表現をしたわけでございます。
それから(三)といたしまして、十九ページの二行目に、「現在
府県の
機関に委任されている国の
事務は、できるだけ「県」の自治
事務とすること。」これは、現在県が、御承知の
通り八〇%といわれますか、その
程度の国の
事務を
機関に委任されて、処理しているわけでございますが、それは、できるだけ県の自治
事務にしろということを
表現したわけでございます。
第四番目に、特にここに少し、この案の特色といえば特色でございますが、
考え方が出ているのでございます。この(四)を読んでみますと、「「県」又はその
機関の処理する
事務のうち、
国家的性格の強いものについては、違法な処分の取消を認め、又は違法に処分を行わない場合の代執行について
現行制度よりも更に簡素な
制度を設けることにより、国家目的の達成に遺憾なからしめること。」現在の
府県につきましていろいろ言われておりますのに、国の意思の浸透が十分ではないのではないか、こういうことが
議論になったのでありまして、この点に対して、
田中先生の
一つの考えがあったのでありますが、非常に
国家的性格の強い場合、明瞭に違法であるというなら、それは取消を認めてもいいじゃないか。それから違法に全然処分をやらないというならば、
現行制度よりもさらに簡素な、と申しますのは、現在
地方自治法には職務執行命令、マンディマス・ブロシーディングという
制度がございまして、二回裁判所の手をわずらわしてからでないと代執行ができないことになっておりますが、それを少し簡素化することによって、代執行という方法を認めてもいいのではないか、こういう
趣旨でございます。ただこの場合、
田中先生は、特に今、マンディマス・プロシーディング
制度の中に羅免の
制度がございます。
市町村長や知事の罷免の
制度がございますが、この罷免の
制度につきましては、あくまでも
現行通り二回の裁判を経て後にやるべきであって、この点については、主文は
現行通りのことを主張しているのである、代執行の点については、
現行制度よりももう少し何か簡素な手続を考えていいじゃないか、こういう御
趣旨であるということを
説明されております。どういうことによって、一面国家目的が達成できないという非難に対して、違法な場合には国の意思の達成を確保する道を開きたい、こういうことで(四)の
表現がなされたのでございます。
それから
財政につきましては、特にこういう
事務の再配分がどうなるのか、まだはっきりいたしませんということで、抽象的な
表現になっており、具体的な
検討がなされていないということは
地方案の場合と同様でございます。
それから第六は、特に
地方案と違っておりません。
第七であります。この
首都制度については、特別区の存する
区域を
中心とした合理的な
区域をもって別途考究する。この案に、この三、四県の
統合では、
基礎的地方公共団体というものが存在いたしまして、存在しないという状態が予想されましたので、特に
地方案のような
表現にはいたしておりませんので、ここでは単に
首都制度というものを別に考究する、こういうことを
表現したまででございます。
備考については、大体
地方案と同じような
考え方で、こういうい
表現になっておる次第でございます。
それから
区域につきましても、この二、三
府県統合案については、
参考案として十五県、十六県、十七
県案というのが載っておりますけれども、これはあくまでも
参考でありまして、具体的にやるときにはさらに
検討を要する、こういう
趣旨でございます。
以上、大体この案の
内容について御
説明申し上げます。