○
説明員(
小林與三次君) お
手元に「
昭和三十二
年度における
財政再建計画の
変更について」という
自治事務次官の
通達がございます。これを
中心にいたしまして
再建計画の
変更につきましての
自治庁の
考え方を御
説明申し上げたいと思います。この作りました
気持は、
再建計画が始まりまして、ことしが二年目になるわけでございますが、幸いにいたしまして
交付税その他
一般財源も相当に
伸びておりまして、
計画の
変更をどうしたってせざるを得ない
段階になっておるのでございます。で、今までも御
承知の
通りこの
再建計画は、非常に
財政が窮屈のどん底の場合に作られておりますので、全くもうぎりぎりの
計画でございまして、御
案内の
通り人件費その他にも、非常な整理を
前提にしておるし、
仕事も非常な圧縮を
前提にしておりまして、言ってみますと、無理な
計画がたくさんあるのでございます。それだけでなしに、
計画自体で
赤字を見込まざるを得ない。毎年々々
赤字を生ずる
計画を作ってみたりそのために再度借りかえ債を出す。そういうふうな
計画でもありまして、
ほんとうにこれじゃ
再建さえできぬというふうな
計画も現にあったのでございます。それで、幸いにいたしまして、
計画以上の収入がある場合に、できるだけその
計画の無理を直しまして、できるだけ
計画を安定さしたい。つまり
計画通りやってでも一
通り——まあ一
通りということに語弊がございますが、後
年度に至っていよいよ
仕事を圧縮することじゃなしに、少くとも第一
年度並みの
仕事ができる
程度に
計画をふくらみを持たせるということを、ぜひ
基本的に考えたいという
気持がございまして、この
変更の
基本的な
考え方をきめたのでございます。それとともに、もう
一つは、幸いにして多少の
増収がありましたけれども、こういうものが一体いつまで続くかわからぬという問題もございますので、やっぱり後
年度への配慮を考えて、
財政の
運営をやる筋道を考えなくちゃいかぬということも
基本的にあるのでございます。それで、まあある
程度ワクを持たせまして、そして一ぺん一ぺんに、
追加予算なぞをやる場合に
計画変更というふうな煩瑣を避けたいという
考え方で
基本的に
計画を考え直すという
方針で参ったのでございます。しかし、これにつきましても実は
ほんとうに根本的な
変更ということは現在の
段階においてはできません。と申しますのは、御
承知の
通り公債費の問題が一応本
年度限りという
措置になっておりまして、
明年度以降はまだ制度的にこれは確定しておるわけじゃございません。それで、そういう確定していない
前提で
計画変更をすることがこれはできませんので、
ほんとうはこの
公債費問題が根本的に解決しなければ
ほんとうの安定した
再建計画というものはできない、こういうのがわれわれの
考え方でございますが、一応本
年度きまりました国の制度、
措置というものを
前提にして、できるだけ長期的に安定をさしたいという
考え方で参ったのでございます。それで、大体九月
県会を目標にいたしまして、各
府県、
市町村におきまして、この通知に基いて
計画変更の
手続を進めて参っておる次第でございます。
もう少し詳しくその
気持を申しますというと、三ページ以下に「
財政再建計画変更の
基準」、そこに「
財政再建計画変更の
基本について」という項目で1、2、3、と書いてございまして、これで主要な問題があげられておると存ずるのでございます。
あとはまあ技術的な
手続上の問題を主として書いてあるのでございます。それで、第一番の
考え方は、先ほど申しました
通り、
再建計画が一応できたといいながら、その
計画の
中味に非常に不合理なものがございまして、これでは
再建さえできぬという
計画が、率直に申しましてあるのであります。たとえばまあ県の名前は言ってもどうかと思いますが、佐賀にしろ、徳島にしろ、つまり
計画上また毎年々々
赤字を見込まざるを得ない、そういう
計画があります。それからさらに毎年々々
赤字を見込まざるを得ないだけでなしに、なお
再建債の
対象にならなかった
赤字がその後発見されたりいたしまして、それを事実上
赤字として計上せざるを得ない、そういうものにつきましては、毎年々々生ずる単
年度の
赤字というものを、
計画上解消し得るようにするということが、何と申しましても根本でございます。それからもう
一つは、単
年度の
赤字でなしに
再建債の
対象にならずに現に残っている
赤字というものを、すみやかに
計画的に解消する、こういうことが私は
基本であろうと思うのであります。ともかく
再建ができるという形に
計画をできるだけ
調整しなくちゃならない、これを大
前提に考えざるを得ないと存じている問題が
一つあるのでございます。
それからもう
一つは、その
計画上の
赤字まではないかもしれませんが、大体そういう、……それ以外の
団体でもそうでございますが、今後
公債費その他義務的な
経費が
伸びていくに従いまして、
事業費等を極度に圧縮せざるを得ない、つまりそれはそうしなければ
計画が成り立たぬという
団体が、これまた少くないのでございまして、はなはだしいのは
計画の初
年度よりも、
仕事を半分か、もっと削ってしまう、こういう形の
計画を組んでいる所さえあるのでございます。しかしながら、そういう形で今後だんだん日がたっていくに従って、
仕事をだんだん押えていく、こういうことは
自治団体としては考えようのない問題でございまして、それは無理なよけいな
仕事をやっておったものならば押えぬといけませんが、そうでない
仕事をやっている以上は、少くとも現状の
仕事は
維持していかなければならぬ。その上に、なおときとして
仕事の
伸びというものがあるのでございますが、それはむしろふやしていく
可能性を与えなければ、
ほんとうの自治体としてのこれはもう
計画にはならぬ、こういうふうに考えているのでございまして、そこで、
計画上後
年度において著しく
仕事が押えられているような問題につきましては、それを充足し得るような
ゆとりをぜひ持たせたい、少くともそういう態勢を確保するように
計画変更上考えさせる必要がある。そういう
意味でこの
計画を再検討する場合に、後
年度にどうしても必要な
行政水準を確保できるように、
財源をある
程度できるだけリザーブする。ことし金があるからことし使ってしまうという問題でなしに、明年も少くともことし
程度の
仕事がやれる。その上になお明年以降に
伸びがあればそれに従ってレベルを上げていく、こういう形で、ともかくこの
計画をこのまま少くともやっていって、人
並みの格好が最小
限度できるというようなものに、できるだけ
計画をしなくちゃいかぬという
考え方が
基本になっているのでございます。
そこで、そういう
意味におきまして、
個々の
団体によって
計画の
中味は違っておりますので、それぞれの
団体に応じて策を立てなければなりませんが、今申しましたような
計画に当っては、それをまず是正させたい。それからまあその他の
団体——全部が全部そういう
団体でもございませんので、その他の
団体はまずまず
軌道に乗ったものと見ていいものがこれは多いことは多いのでございます。大体そういう
考え方でいきまして、ただ、まあ一応
めどをつける必要があると思いますので、そこでこの
計画以上の
増収につきましては、いわゆるその六割を
行政水準の
維持向上に充て、他の四割は
赤字解消と
財政調整に充当するという一応の
めどを作ることにいたしたのでございます。今申しましたような、
計画上非常に無理がありまして、
現実にどうしても要る
仕事があるのでございますから、何が何でもみな振り向けるということは、実際問題としてできません。ある
程度現在の
行政の実際に即応するように、
行政にも
ゆとりを与えなければいかぬ、そういう
意味で全体の六割を
行政の
実態を直すのに充てて、
あとのものを
財政調整に充てるという
考え方をとることにいたしましたのでございます。もっともこの
考え方につきましてもいろいろ
意見がございまして、現に
大蔵省あたりは甘過ぎるといって、だいぶ文句を言っておるのでございますが、私は、まあ現在の
再建団体の事情から見れば、この
程度がほどほどのところであろうという
考え方で参っておるのでございます。
そこで、この
赤字解消と申しましても、直ちに
赤字解消だといえば
再建債の繰り上げ
償還かと、こういう問題になるのでございますが、私は、まだそういう時期ではない、こういう
考え方でございまして、今日の
段階におきましては、むしろ
団体によっては、繰り上げ
償還が可能な所もあって、現に自主的に繰り上げ
償還をやって、早くけりをつけたいというので、本
年度すでにこの
再建期間短縮の
計画を進めている所もございます。そうでない
一般の
団体におきましては、まず
軌道に乗ったところで
安定性のある
計画運営ができるようにするということが、今日の
団体でありますので、
ゆとりがありましたものにつきましては後
年度に持ちこたえさせる。必要な場合には、特に高利な
公募債等の繰り上げ
償還を考える。場合によっては
財政調整の
積立金を考えて後
年度の
運営を考える。こういう式で考えまして、そしてなおかつ
ゆとりがあった場合に繰り上げ
償還を考える。これにつきましては、それぞれの
団体の自主的な意思を
中心にして考えたい。もう
一つ、来
年度以降の
基本的な問題が全部解決すれば、私はその問題をさらに将来積極的に考えるべき時期が参るだろうと思っておりますが、まあ今
年度はすべり出したところでもありますし、ともかくも
計画上まともに動くという建前で参りたい。これにつきましても
大蔵省あたりは、そういう
ゆとりがあるなら、繰り上げ
償還を強行すべきだというふうな強い意向を持っておりまして、これも全然あながち無理な
意見でもないと思いますが、全般的に見て、まだそういう時期ではないという
考え方でわれわれの方といたしましては指導して参りたいと存じておるのでございます。
そこで、ただこの
一般財源の
増収分と申しましても、御
案内の
通りことしは一番大きな
地方で義務的な
経費というのは
給与の切りかえの問題でございますので、
給与の切りかえにつきましては、これはもう前々から申し上げました
通り、
国家公務員並みにやるべきでございまして、現在の
給与が高かろうが低かろうが、ともかくも切りかえだけは百パーセントやらせたい、こういう
考え方でございまして、まず切りかえ
財源というものを除きましたその他の
経費につきまして、今申したような
一般行政水準の充足に充てるものと、
財政調整に充てるものと分けたい、こういう
考え方で参っておるのでございます。そこで、この
あとのこの四割の
赤字解消その他の
財政調整に充てる
経費につきましては、
自治庁といたしましてはあまり細かいことは言うまい、それはそれぞれの
団体の自主的な
判断によりまして、いかなる
仕事にいかに振り向けるかということは、もう
団体の自主的な
考え方というものを
基礎にして参りたい、
基本的にはそういうふうに考えております。ただ、
一つその点で注意しなくちゃならぬのは、従来の
財政運営におきましては、いわゆる
管理的経費と申しますか、まあその他
消費的経費がいささか
歳出の
構造上多過ぎる。それが従来の
財政を悪化しておった原因であると見られる
団体もございまして、そういうものにつきましては、これは相変らずできるだけ節約し、
合理化すべき
経費は、これは
合理化していく
基本方針をゆるめるわけに参らぬと存ずるのでございます。そうした
合理化の必要のある
経費は別といたしまして、その他の
経費につきましては、それぞれ自主的な
判断を
基礎にして参りたい。要するに
歳出の
構造が今後も乱れぬように、
合理化の線に沿いながら
バランスをとって、
消費的経費、
建設的経費、あるいは
人件費その他の
経費等が全部
バランスをとって
伸びるように、
調整をすることを認めよう。そうしなかったら、また再びもとへ戻るのでございまして、その
基本方針だけはこれは堅持して参りたい、しかし、まあその
ワク内におきましては、あんまりとやかく申すことはやめたい、こういうふうに存じておるのでございます。
そこで、現在この
計画変更の問題が進んでおるのでございまして、一部承認したものもございますが、そのうちで今主として問題になっているものは、おそらくは
給与の問題だろうと思います。
給与以外にもいろいろ問題がございますが、
給与の問題がいろいろ問題がございます。これにつきましてのわれわれの方の
気持だけをあらかじめ御報告申し上げておきたいと思います。
給与の問題につきましては、今申しました
通り、
給与の切りかえだけはこれはもう百パーセント理屈なしにやらしたい。その場合には、
財源が国で考えておった六・二五%とかいっておりますが、その
通りで済むものもあれば、率直にいって済まぬものもある。それぞれの
職員構成等によりまして、多少ちぐはぐはございます。これはちぐはぐのいかんを問わず、ともかくも切りかえは百パーセントやらしたいということは、これは
基本的な
考え方でございます。その上に、さらに従来この
委員会でもいろいろ問題になっておりましたが、従来、つまり
給与が延伸とか切り下げとかいろいろな形で非常に
給与に無理がかかっている。その無理がかかっているのを、
一般的な
財源の
ゆとりがある場合に、ある
程度調整をすることが可能じゃないかという問題がございまして、これにつきましては、われわれの方といたしましては、従来非常に不当に無理がかかって、
国家公務員の
基準等よりも落さざるを得なかった、私はそういうものはそうたくさんあろうとは思いませんが、
一般には、むしろどちらかといえば、
給与費が多過ぎて
赤字の種になったというのが多いのでございまして、大ていの場合は高かったからこれを
調整するという形で従来
給与対策が進んでおったと思うのでございますが、それはものによっては非常に不当に
国家公務員とか、その他の似たような
団体よりも低くなっている所も、これはあり得ると思うのでございます。そういうものにつきましては、全体の
計画上
支障がなければ、
支障のない
限度において
調整することは、それは私は考えられると思うのでございます。そういう
意味におきまして、それぞれ具体の
団体の
実態と、それから今後の
計画変更、将来にわたっての
影響がないという
限度においてならば、問題は考えてよろしいというふうな
方針で臨んでおるのでございます。それで、それぞれ現地におきましては
給与の額を
中心といたしまして、その他
一般の
事業の
伸び等も
中心にいたしまして
計画変更の作業が進みつつあるというのが
実情でございます。幸いにいたしまして、いわゆるこの
指定事業で従来
補助がついたけれども、金がないから返上せぬといかぬというふうな問題も、少からず
現実にこれはあったのでございますが、私の見るところでは、本
年度は少くともそういう
府県は
一つもない。いやしくも
指定事業等で
補助金のつくものはわれわれといたしましてもこれは全部
一つし遂げさせるようにしたいという
考え方でございまして、私は、まずそういう懸念はないと存じておるのでございます。それは、まあ
各省としても、
再建団体でございますからそれほどむちゃに
仕事はつけておらぬのが
実情でございまして、皆多少その手のうちを考えながら
補助金をつけたということもございましょうが、いずれにいたしましても、
各省がつけたものは全部消化をさせる。そうして、おそらくは過去の
基準年度から見れば、相当な
伸びを示しています。これはここにこまかい
数字はございませんが、各
府県とも
指定事業について相当な
伸びをしておる、なお
単独事業、道路の
維持、
補修費を
中心とした
経費にしましても、相当な
伸びを示しておりまして、
再建団体といたしましては、私は従来にない
行政の実を期待することができると思っておるのでございます。それだけに、あまり一時の騒ぎにふくれすぎて、後に累を残すことのないようにこれは引き締める必要がある、今年はやっぱりそこは引き締めながらゆるめるという
考え方でいかなければ、これは再び従来の轍を踏むということになろうと思うのでございます。大体そういう
考え方で物事を進めておるわけでございます。
これにつきまして、ちょうど三十一
年度の
都道府県の
決算の
状況がわかっておりますので、また多少は今の問題ともからみ合うかもしれませんので、この際、御
説明を申し上げたいと思います。お
手元に
中間発表といたしまして、
都道府県だけの
状況を、速報をとって集めたものでございまして、正確なやつは今
府県市町村を通ずるものとしてさっそく集計中でございます。これはどうしても十月に入らなければまとまらぬと思いますが、いろいろな問題を考えるために
府県の
部分だけをとりあえずまとめたのでございます。これも前に新聞に出しましたので、御
案内かもしれませんが、その概況を見ますと、第一は全
都道府県の
決算状況でございまして、これは
黒字団体、
赤字団体ひっくるめて書いてございますので、多少
説明を要すると思いますが、それを見ますというと、三十一
年度の
歳入歳出の総じりを見ますというと、
実質収支において百十五億の
黒字になっておるのでございます。それで、形は百十五億、えらい
都道府県は
黒字がふえたじゃないかというふうに一面において誤まって宣伝されておる
部分でございます。しかしながら、この百十五億の形の上の
黒字と申しますのは、実は
再建債の
借り入れ、こういう大きな問題があるのでございまして、
財政再建債を
借り入れて
借金をたな上げしただけでございますのが、形の上じゃ
黒字になる要因になっておる、そのほかに、去年は御
案内の
通りに
公債費の借りかえということをやりまして、当然払う
公債費を先に延ばしただけであります。それからなお
直轄事業の
地方負担分の
交付公債にした
部分でまた繰り残したというものもあるのでございまして、そういう
経費をずっと差し引いてみますというと、実質的におきましては、なお百十八億の
赤字が残っておるのでございます。それでございますから、形の上じゃ百十五億の黒のようになっておりますが、実はその
借金を
再建債その他に振りかえたために、形が消えておるのであって、そういうものを始末しなければ、
ほんとうの
健全財政にこれはならぬのでございまして、
再建団体が
黒字団体ということになりっこないのは明瞭でございまして、そういう
意味におきまして、なお百十八億の
赤字が残っておる、こういう
計算になるのであります。しかしながら、これは三十
年度の
実質赤字が二百三十六億でございまして、それから見ますというと、非常に減っておる、これも事実でございます。百十八億
赤字が減少いたしておるのでございまして、
赤字が減ったことは、これは間違いない。しかしながら減ったことは減ったけれども、なお現に
赤字が残っておる、こういうことも厳然たる事実なのでございます。そこで、二ページに過去の
実質収支の
動きを書いてございます。
昭和二十八年から二十九年にかけて
赤字がふえてきたわけです。二十八年は百五億ふえ、二十九年には三十七億ふえてきたのでありますが、それが三十
年度から形の上じゃ
黒字に転化した、
赤字がだんだん減ってきまして、三十年には十一億減り、三十一年には百十八億減り、なお
赤字が百十八億残っておる、こういうのが
実態であります。それからなお、
個々の
団体につきましても相当な
動きがございまして、これは二ページから三ページに
府県名をずっと書いてございますから、ごらんを願いたいと思います。それからもう
一つは、今申しましたのは、赤、黒をひっくるめた
計算を申し上げたのでございまして、問題は
赤字団体がどうなったかということが議論でございまして、
黒字団体があってみても、これは
赤字団体に何の
影響もないわけでございまして、そこでこの三十
年度に
赤字であった三十六県だけについて
状況を調べたのが第二でございます。そういたしますというと三十
年度で
赤字であった県の
状況から見まするというと、これも
赤字の方では十六億円の
黒字になっております。しかしながら、これは先ほど申し上げましたような
再建債の
借り入れ等の問題がございまして、その額が二百十八億で、これを差引するというと、実質的にはなお二百二億の
赤字が残っておる。つまり、去年
赤字団体であった
府県につきましては、まだこの二百二億の
赤字が残っておるのであって、これを全部まあ整理しなければ
ほんとうの
健全財政にならぬという
数字でございます。これにつきましても三十
年度の
実質赤字二百五十六億に比較すると、三十一
年度で五十四億円減っております。つまり
赤字団体を見ましても、その
赤字が相当減っておるのでございまして、これはわれわれといたしましても非常に喜んでおる
状況でございます。大体この
赤黒の形式の
数字はそういうことでございますが、しかしながら、第三番目に投資的
経費の
状況というのが書いてございます。この
赤字の解消は今申しました
一般のいろいろな
財源が
伸びたということもまた事実でございますが、一面におきまして
赤字団体が非常にいろいろな
経費を節減をしておる。特にこの投資的
経費につきましても従来非常に節減をしておりまして、これが一体どうなっておるか、この
仕事の
実態を見なければ、
赤字団体の
ほんとうの行
財政運営の本質がわからぬのでありまして、そのためにこの第三番目に一応投資的
経費の
動きを調べてみたのでございます。そうしますというと、こまかい資料を歴年のやつがございますので、ごらん願うとわかるのでございますが、いまだに
仕事は去年よりは確かにふえておるのであります。去年よりはふえておりますけれども、この二十八
年度に比較いたしますと、なお九%、百八十五億、二十九
年度に比較するというと一〇%、二百億、こういうように
数字がまだ足らぬのであります。つまり現在の
段階では、去年よりは
仕事が
伸びたけれども、まだその前の前
年度、前々
年度と比較しますと、その
仕事には及んでおらぬ、こういう
状況でありまして、過去二十八年、二十九年は
仕事をやり過ぎたから
赤字になったんだという理屈もそれは一面においてあるだろうと思いますが、実際の
府県の
行政面を見れば、その
程度のことをやっても少しもおかしくはないのでありまして、その
程度までは早く回復しなければ、
ほんとうに
財政が立ち直ったということには、これはならないというふうに考えておるのでございます。しかも、今申しましたパーセンテージは、
赤黒を通じた
数字でございまして、三十
年度の
赤字団体だけについて見ますというと、この六ページの初めの方に書いてございますが、その三十
年度に対しては五十七億円の増でありますが、二十八
年度に対してなお一三%、二百三億、二十九
年度に比しては一一%、百六十八億下回っておる
実情なのでございます。それでございますから、この問題を実質的に解決をしなければまだ
意味がない。そういう趣旨のことを第三の結語に書いてございます。三十
年度よりは収支は確かに改善された、そうして
仕事の中身においても多少は
伸びておる、しかしながら、
現実に実質的に
赤字というものは二百億をこえるものがあり、さらに
行政水準の低下というものを余儀なくされておって、これを
ほんとうに確保する必要がある。それからさらにこういう
状況では、
明年度以後では
公債費等の増があるのでございまして、そういうものにつきましての対策が十分でなければ、
ほんとうに
地方財政は安定しないというふうな
考え方を
自治庁といたしましては持っておるのでございます。これは、大体この傾向は、都市の
部分の概略を調べましても、似たような形になっております。まあ多少都市は、税が一部
伸びておるものもありますので、多少は違うかもしれませんが、大勢は、以上申し上げましたようなことで
説明がつくだろうと存じておるのでございます。なおこれは、
あとの資料がまとまり次第御報告申し上げたいと思います。