運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-08-12 第26回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十二日(月曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員異動 七月二十九日委員成田一郎辞任につ き、その補欠として井村徳二君を議長 において指名した。 八月三日委員松永忠二辞任につき、 その補欠として加瀬完君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            成瀬 幡治君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            館  哲二君            安井  謙君            占部 秀男君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            加賀山之雄君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   説明員    内閣総理大臣官    房審議室長   磯田 好祐君    警察庁警備部長 山口 喜雄君    自治政務次官  中島 茂喜君    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁行政局振    興課長     吉浦 淨眞君    大蔵省理財局総    務課長     堀口 定義君    厚生省社会局長 安田  巖君    建設省河川局長 山本 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (今次九州地方における水害対策に  関する件)  (財政投融資の繰延べに伴う地方起  債の延伸措置等に関する件)  (町村合併処理状況に関する件)  (静岡市における市当局市職員組  合との間の紛争問題に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  七月二十九日成田一郎君が辞任されて、井村徳二君が補欠選任されました。また、本月三日松永忠二君が辞任されまして、加瀬完君が補欠選任されました。  以上でございます。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、中島自治政務次官より、就任のごあいさつのため発言を求められておりますので、この際発言を許可いたします。
  4. 中島茂喜

    説明員中島茂喜君) 私今回自治庁政務次官に任命されました中島茂喜でございます。  地方自治につきましては、ずぶのしろうとでございますので、皆様方の御指導御鞭撻をこの機会に特にお願いを申し上げたいと思います。  どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。   —————————————
  5. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本日は、まず今次九州地方における水害対策に関する件を議題に供したいと存じます。  災害状況並びにこの対策について、まず説明を聴取いたします。
  6. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 私、磯田でございます。  災害の概況並びにそれに対する対策につきまして、私からごく大ざっぱな説明を申し上げたいと思います。  今回の西北部九州水害につきましては、御承知のように、去る七月二十四日から二十六日にかけまして、九州西北部を襲った豪雨のために、災害が発生したわけでございますが、今回の災害の特徴は、端的に申し上げまして、物的な被害割合少いのに対しまして、人的な被害が非常に多かったということであろうかと思います。これを最近の資料について申し上げますと、今回の九州地方水害によりまする死者は八百二十名、負傷者は三千八百六十名、行方不明は百六十三名ということになっておりまして、非常な人的な被害が大きいのでございます。  これに対しまして、政府といたしましては、災害緊急救助及び復旧のために、去る二十七日に中央災害救助対策協議会事務局会議を開きまして、翌二十八日には内閣総理大臣関係大臣事務次官等を帯同いたしまして、災害地に飛びまして、災害状況の視察をするとともに、被災県の要望聴取等を行なったのでございます。そうして帰京いたしまして、直ちにまた七月の二十九日、八月の五日、さらに一昨八月の十日にも、関係次官局長会議等を開きまして、その後の対策を協議いたしたのでございます。この間にとられました緊急救助及び対策の概要は、お手元に差し上げてありまする資料通りでございますが、その大筋を申し上げますと、緊急救助対策のために、まず人命救助警備緊急輸送等につきまして、警察、自衛隊、海上保安庁、消防団等が非常な活躍を示されまして、その効果をあげたのでございます。  次いで、緊急の災害救助のための救援物資手配輸送につきましても、まず現地において非常に不足いたしておりまする毛布を舞鶴より三千五百枚、福岡県より一万枚を現地に急送いたしたのでございます。また食糧緊急手配を行いまして、食糧事情は、現在におきまして不安はないという状況になっておるのでございます。さらにまた、日本赤十字社、米国の赤十字社国際宗教団体国際児童福祉連合、さらに諸外国からの援助もありまして、こういう方面の救援物資現地に直ちに伝達を行なったのでございます。さらに第三といたしまして、災害地にいろいろな疫病等の発生いたしませんように、防疫対策といたしまして、給水、井戸消毒等飲料水措置防疫班の派遣を行いまして、医療救護対策といたしまして、国立病院日赤等医療救護班現地に派遣いたしたような次第でございます。そういたしまして、この緊急救助対策のために、当初予算におきまして七千万円の災害救助予算が計上してあったのでございますが、現実におきまする災害状況等から申しまして、救護期間が長くなった等の関係によりまして、この予算に不足を来たしまして、先週予備金よりさらに千九百四十一万三千円を支出計上いたした次第でございます。  以上が救助対策あらましでございますが、今後の復旧対策の問題といたしましては、まず住宅対策といたしましては、公営住宅法に基きまして、滅失戸数の約三割の第二種公営住宅を建設し得ることになっておりまするので、善処いたしたいと思っておる所存でございます。また、同じく住宅金融公庫におきましては、滅失戸数の約四割につきまして、災害復旧住宅資金貸付及び災害特別貸付を行うことができるようになっておりまするので、これにつきまして、でき得る限り善処いたしますとともに、この貸付の円滑をはかるために、現地相談所を設けまして、その金融の円滑をはかるようにいたしておる次第でございます。次に、中小企業金融対策でございますが、今回特に諫早地区等におきましては、中小企業等災害を受けておる者も多いようでございまするので、皆さん御承知のように、中小企業のための資金を、国民金融公庫におきましては、長崎県に二億円、その他の災害県に一億円、中小企業金融公庫におきましては三億円、商工組合中央金庫では長崎県に二億円、熊本県に一億円の特別の融資ワクをそれぞれ設定いたしまして、その資金疎通に遺憾なきを期するようにいたした次第でございます。なおその貸付期間担保条件等につきましても、できるだけその金融疎通をはかるために、その条件の緩和をはかることといたしたのでございます。  次に、災害に対する租税減免措置並びに徴収猶予でございますが、これにつきましては、すでに御承知通り災害被害者に対する租税減免及び徴収猶予に関する法律という規定がございまして、この規定に基きまして、災害を受けた者は所得税を全免または軽減することとなっておりますし、また既往の源泉徴収税額も一定の条件のもとに還付することと相なる次第でございます。なお、七月三十一日の第一期分の所得税の納期をニヵ月間延長する措置を講じた次第でございます。  次に、公共土木施設等復旧対策でございますが、公共土木施設農地等災害復旧につきましては、でき得る限りすみやかに緊急査定を完了せしめまして、国の補助及び負担を行うことといたしておる次第でございます。  それから地すべり、山崩れ等につきましては、現在、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法対象とならない事業があるのでございますが、防災上緊急に施行する必要がある地域につきましては、現在既定予算緊急治水につきまして四億円、砂防につきまして三億円の予算が計上いたしてありますので、この予算ワクの中におきまして緊急対策を講じたいと考えておる次第でございます。  それからまた、災害復旧事業は、単に原形復旧にとどめずに、災害関連事業施行をはかる所存でございまして、たとえば諫早地区の本明川等につきましては、その幅員が非常に狭いということに問題があるようでございまして、その本明川の川幅を広げ、あるいはそれに伴いまして都市計画も変えるというような問題も今後検討されることに相なるのではないか、さように考えておる次第でございます。  なお、被災地におきまする復旧用材を確保するために、国有林から五万石余を用意いたしまして、また板材なり柱材一万石ないし二万石を供給し得るよう措置を講じておるのでございます。なお、こういうものにつきましては、駅の土間に用意いたしまして、いつ何どきでも需要のある際には引き渡しに支障のないように措置いたしておるのでございます。  また、建築復興用の資材といたしまして、亜鉛鉄板丸釘等が不足する事態も考えられますので、それぞれ三十トン、十五トンを緊急特別手配をいたしておるのでございます。  なお、国鉄の関係でございますが、これは、長崎線等につきましては、被害が大きくて、なかなかその開通をすることが困難であったのでございますが、八月七日現在では、全線開通をみておる次第でございます。  それから農林水産対策でございますが、被災地区における水稲補植のために、余剰の苗を現地にあっせんを行なったほか、灌漑用のポンプを貸与し、また、ふすま二百四十トンの売り渡しを指示いたしたような次第でございます。  それから被害農林漁業者等に対する経営資金及び事業資金につきましては、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法に基き、できるだけその経営資金及び事業資金につきまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。  それからまた、農林漁業金融公庫よりの農林復旧つなぎ資金として六億三千三百万円の融資ワクを割り当てたような次第でございます。  次に、地方財政対策でございますが、これは、以上の災害府県におきまして、さしあたり資金を必要とする向きに対しましては、中小企業者あるいは住宅金融資金等につきまする個人の資金のほか、府県からその復旧のための経費につきましては、できるだけすみやかにその緊急査定をいたしまして、その査定ののちにはつなぎ資金を出すような措置をいたしておる次第でございます。  さらにまた、先般すでに発表になりました通り災害地区における各地方公共団体に対する地方交付税交付に対しまして、次の表にあります通り、県の分として六億円、市町村の分として三億三千万円の地方交付税の繰り上げ交付をいたした次第でございます。なお、この関係府県に対する一般交付税の繰り上げ交付金額は、この九億三千万円を含めまして、約五十億円ということに相なっておる次第でございます。  なお、災害地区における各地方公共団体に対する短期資金融通につきましては、各関係市町村あるいは府県からの申請がありましたならば、一ヵ月ぐらいで融通し得る態勢を整えておるのでございますが、現在までのところ、島原からの要求がございまして、島原に対して一千万円の短期資金融通をいたしておる次第でございまして、その他の府県または市町村からは、いまだに短期資金融通の申し出が出ていないような次第でございます。  以上、ごくあらましでございますが、今まで政府の方としてとって参りました緊急救助対策または復旧対策を申し述べた次第でございますが、この詳細につきましては、関係各省の方がお見えになっておりますので、そちらの方から御説明をいただきたいと思います。
  7. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいま総括的な説明を終りまして、これより質疑に入りますが、政府側からは自治庁中島政務次官山口警察庁警備部長山本建設省河川局長安田厚生省社会局長小林自治庁財政局長、以上の諸君が出席されております。御質問がありましたら、順次御発言願います。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま御説明をいただきました中に、災害復旧事業は、単に原形復旧にとどまらず、災害関連事業施行をはかるという措置の御説明がございましたが、二度と再びこういうことを繰り返さぬためには、これまでのような原形復旧でないこの措置の方が適当だと思うのですが、これは現行法でできるのですか。
  9. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 現行法でできます。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすれば、これは単に今回の災害地帯だげでなしに、全国的な規模において原形復旧中心主義のような改良を含めたような、そういうことに転換されるのですか。あるいは九州だけの措置ですか。
  11. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今までも、全国的にそういう災害のひどいものにつきましては、そういう措置をとって参りました。ことに今回の災害におきましては、局地的に非常に大きな被害を受けておりますので、たとえば河川などにおきまして、もとの川に戻すことができないというような場合が非常に多いのでありまして、特に今回の場合におきましては、そうしなければならぬ場合が非常に多いということでございます。従いまして、今回はそういう措置をとることが非常に多いというように考えております。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 大蔵省おいでになっておりますか。
  13. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 来ておりません。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはどうなりますか。外貨危機を救うためにとられた公債費繰り延べがあるのですが、それとは別に、公共事業はどうなっておるのですか。繰り延べというような措置が一割五分とか、これはどうなっておるのですか。もし伝えられるような……、新聞に伝えられているので、その真偽のほどははっきりしませんが、公共事業を一割五分も繰り延べされたりして、ただでさえ少くなったワクで、こういう大風水害措置をすれば、非常に他に波及するところが大きいのではないかというふうに考えるのですが、中島次官の方で、これはどうなっているでしょうか。
  15. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 建設省関係にも関係がありますので、私が聞いておるところをお答えいたしますると、繰り延べということは考えていない、事業計画通りに遂行するということになっております。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすれば、投融資地方債だけですか。まあ公共事業をどうするかということが非常に大きな問題であったと思うのですが、これは審議室ではわかりませんか。総合対策一環としてとられたのは、投融資計画地方債等繰り延べだけですか。
  17. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) ちょっと今、手元に正確な資料の持ち合せがありませんので、後刻取調べの上お答え申し上げたいと思います。
  18. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 公共事業繰り延べの問題は、大蔵省各省それぞれお話し合いが進められておりまして、今、河川局長からお話がありましたように、河川局の方でそういう問題がないということなら、それぞれ具体的にない所もあるのだろうと思います。各省それぞれの御決定に従って、われわれは跡始末を考えたいという自治庁の立場でございまして、まだ正式にどこからもどうなったという報告は受けておりません。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは結局、外貨事情を立て直す総合対策一環として、公共事業繰り延べ考えられているように聞いておったのですが、あるいは貿易収支均衡等とにらみ合せて、もっと先に送るというようなことになっておるのでしょうか。その辺はどうなのですか。毎年やはり一割五分とか二割とかは、どうせ事業繰り延べがあるのだからというようなことで、もう手はつけない。私の懸念しますことは、もしそういうことが行われるとすれば、ただでさえ少いワクの中で、こういう大風水害……まあ予備金も出るでしょうが、他に波及するかしないかということ、そうして九州の方も十分措置ができないのじゃないかということを心配するからお伺いするのですが、大蔵省おいでにならなければ、この点はあとでけっこうです。  それではもう一つ、これだけの復旧をいたしますのに、災害復旧その他の法的な措置によって、当該年度にどれだけ要るかという計算が出ておりますか。今いただいた資料では、大体どれくらいなのですか。
  20. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) ただいまの御質問でございますが、これは、各項目にわたりまして、これは一応現在まで各省がとりたいということの措置を取りまとめをいたしましただけで、現実の問題といたしまして、各地の災害に対する査定が完了いたしませんければ、これに対してどれだけの資金が要るかということは、現在まだ判明いた上さない次第でございます。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、えらい怠慢ではないかと思うのですがね。それぞれの所管省を動員されて、災害復旧でしたら当該年度幾らやってどれだけ要る、そうせんと予備金から幾ら出すというようなこともわからないのですが、一体その作業が、大よそでもいいですから、大体建設省なんかどうなるのですか。災害復旧法によって、まあ年次別復旧する法的なあれがあるでしょう。それに基いて、今年度どのくらいな復旧費が要るでしょうか、そういうことをはっきりしていただきたい。
  22. 山本三郎

    説明員山本三郎君) お手元に差し上げてあるのでございますが、建設省所管公共土木施設災害額の現在の報告は、熊本長崎、佐賀、福岡、鹿児島の五県でございますが、それで総計いたしますと、約六十五億という報告になっております。これももちろん査定をいたしまして、国庫補助対象総額がわかるわけでございますが、査定の方は、いろいろ準備をまとめまして、長崎県がちょっとおくれまして、今月の下旬になりますが、その他の府県は、今月の中旬には緊急査定ができると思います。まだその緊急査定だけでは総額がわかりません。もちろん本査定全部を終りまして、復旧総領がわかるわけでございますが、六十五億というものがある程度確実性があるものといたしますると、これを公共土木施設災害国庫負担法によりまして国が負担をしていくわけでございますが、法律の趣旨によりますると、災害のうち緊急を要するものを三ヵ年で復旧するということに相なっておるわけでございまして、これはおのおのの工事緊急性に応じまして、三ヵ年の中でも、それを加減いたしまして負担していくわけでございますが、大体六十五億というものを査定し、国庫負担額計算いたしまして、それの年次割三ヵ年に緊急工事を割っていきますと、約十億くらいの今年度所要の金額、私の方の関係はそういうふうになっております。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、建設省だけでなしに、各省にまたがっているのですが、大まかにただいま言われたような建設省のような作業をしてみて、一体トータルがどうなるのでしょうか。その作業ができていないのに質問をせいというのは、ただ承わっておくというようなことになるのですが、一体どうなるのですか。
  24. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 自治庁の方でわかっております概数だけを申し上げますが、今建設省の方で、公共土木関係が約六十五億とおっしゃったのですが、そのほかに港湾が大体四億、農地関係が四十一億合計百十億、正確な数字はわかりませんが、大体そういう概数が出ております。これは、自治庁といたしましては、これが正確な査定がきまって、国の例の三・五・二の負担割合で本年度施行区分がきまるわけですが、それの一応概数を私の方で予定されておる数字が、土木関係では、建設省では約十億とおっしゃいましたが、地方費は五、六億になるかと思います。それは、建設省とまたは各府県負担区分によって違いますが。農地関係が大体国費がやっぱり六億ぐらいになって、地方費が五億ちょっとだろうという計算です。港湾国費が六千万で、地方負担が四千万ですが、合計して大体地方負担が十一億前後になるのじゃないか、こういう大体の見当を立てております。それで、自治庁といたしましても、これに対する手当は既定計画で十分まかなえる、こういう前提で対策考えておるわけであります。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 学校なんかはどうですか。それはどこに出ているのですか。
  26. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 学校は、きょう内閣の方からお配りになりました資料で、文部省関係資料がございます。そのうしろの方に各県別の、ちょっとこれは集計が出ておりませんが、建物の被害その他が出ております。これは、われわれの方へまだはっきりした集計に基く地方負担分についての数字がきておりませんが。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 地方負担分はどうなのです。
  28. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、どうせ学校は、災害に伴う補助以外はみな地方負担せざるを得ないのでございまして、その数字は、まだ正確な数字は出しておりません。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、地方負担の分もかなりあるようですが、交付税は繰り上げと特別分で見ると、こういうような措置のようですが、自然増収等を勘案しても、この地方財政がどうなるのですか。特に災害該当府県はなかなか財政多難のようですが、それらはどうですか。
  30. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 災害府県は、いずれも金持ちの県じゃない府県が多いのでございまして、これは、率直に申しまして、楽じゃないと私も考えております。ただ災害に伴いますあと措置としましては、それぞれの法律の定むるところに従って、各省負担すべきものがあります。それに見合う復旧関係事業は、どうせ全額地方債でやる建前になっておりますから、これもそういう措置をいたしたい。ただ公共災害対象として、まあ単独債の問題がありまして、これも単独債で必要なものはもちろん見ざるを得ない、見る考えでおります。それから税の減収等が当然ありますのも事実ですから、そういうものは、それぞれ特別交付税でしかるべく措置する考えでございます。それでございますから、この程度の災害なら、まあ現地は非常に苦しいと思いますが、国の予算計画なり、あるいは交付税ワクなり、あるいは起債ワク等におきましてはもちろん十分まかないがつく、こういう見通しをつけて措置をいたしておるのでございます。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 三十一年度都道府県税徴収実績等を見ても、若干の伸びはありますが、災害地帯はそう多くもないよらうすし、ただいまのような措置で果してやれるかどうか、負担分はまあ交付公債をやるといっても、これは利子も要るし、償還もせねばならぬし、この港湾農地学校等の、ただいま小林局長が言われたようなことで、それぞれの府県負担分と、それに対するおよそ交付税特別分幾ら交付公債幾ら、税の伸びでどれだけというような、そういう大まかな見込みは立ちませんか。
  32. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 現在の段階では、今申しました公共災害数字見通しと、それに伴う地方負担概数だけができておるのでございまして、現実にまだ、こういう復旧工事だけじゃなしに、応急工事につきましても、相当金が要ることは明瞭でございます。それから税の減免等措置は、今後にこれは現われる問題でございまして、全部締めくくりをつけてみなければわからぬと思います。それで、起債でまかない得べき復旧事業は、御案内の通り、これは今年度は、例の交付税で元利の九十何パーセントまでは見ております。この部分は将来そう心配する必要はないと思います。減免措置その他、あと起債で見られない経費は、特別交付税で見る仕組みになっておりますので、これは実際の減免状況に応じまして、特別交付税の配分で遺憾のないようにはぜひいたしたいと、こういうふうに考えております。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、ただいまいろいろ県の方からの報告あるいは各省現地調査等を完了しないと、はっきりしないと思うのですが、内閣審議室からいただいたような各省別のもっとはっきりした数字を出していただいて、そうしてそれの年次別復興計画、そうしてそれが地方財政にどれくらいな負担が来るかというような資料を一つ早急に、まだ調査の途中ですから、こまかいところはわからないでしょうけれども、大まかな数字をいただきたいと思うわけです。  それと、もう一つ、小林局長に申し上げておきたいことは、昭和二十八年に佐賀県に大風水害があって、その復旧にからんだ地方財政の赤字というものがたくさんの教員の整理になり、それが原因で、ああいう佐賀県の教組の問題も起きておるので、今回はそういうことのないように一つ気をつけていただきたい。しわが寄らぬようにしていただきたいということと、果してしわが寄らぬかどうかということを見るためには、やはり正確な資料を出していただいて、ほんとうに地方も努力せねばならぬが、大体努力すれば無理がないのだという判断をする資料としても、一つ早急におまとめいただきまして御提出のほどを、委員長を通じましてお願いしておきます。
  34. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今回の西九州災害につきまして、その救助のために警察並びに自衛隊が非常に適切な活動をされたということについては、新聞でも報じられておりますし、国民も非常な関心を持っておるし、感謝せられておると思います。果してその活動の状況はどういうふうであったかということと、ことに救助のために犠牲者を自衛隊において生じたということも伝えられておるのでありますが、果してどういう状況であったか、それらについて伺いたいと思います。
  35. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 私の方から、水害状況についてお手元資料をお届けしてございます。長崎県、佐賀県、熊本県の場合におきまして、相当雨が激しく降りましたので、警察では、たびたび災害もございますので、大体長崎におきましては、午後三時ごろから警戒態勢に入っており、長崎県は二十五日の午後四時には警備本部を設置いたしております。熊本県が午後六時、佐賀県が午後十時というように、大体事前のいろいろな警備配置等はやっておったのでございますが、何分にも災害が、非常に急激な雨のために、局地的に非常に大きく起りましたということで、十分な活動と申しますかまでにも達しなかった点もあったかと存じております。警察のおもな活動につきましては、印刷物の四ページ以下に詳細に記載をしてございますので、ごらんをいただければけっこうと存じますが、大体現在、いろいろな県に災害がございますので、各県では、機動隊その他で災害救助の訓練を平生からやっております。それから、ゴムボートなども、長崎県におきましては、数は十分でございませんが、二十数隻は持っておったと思います。これを十分に活用いたしまして、孤立したり、あるいは流されようとした方々をある程度救助いたしておるような状況であります。  なお、自衛隊が出動いたしましてから、自衛隊と警察との間の任務の分担につきましても、双方で話をいたしまして、警察といたしましては、主として、災害の場合の救出はもちろんでありますが、事後におきましては、死体の捜索あるいは交通の整理あるいは親戚等をたどって探してお見えになる方々に対する御相談、あるいはまた、いろいろな町の中の治安の維持というような面に主力を注ぎました。自衛隊の方は、災害地の跡片づけ、道路の整備、給水あるいは橋梁、堤防の補修というような方面に主として御活動をいただいたのであります。  出動しました総人員は、別表一というのに記載してございますが、一万四千人ばかりでございます。警察官の出動総数、延べでございます。自衛隊の方は七万三千人でございます。  大体以上のような状況でございます。なお御質問等がございますれば、お答えを申し上げたいと思います。  なお最後に、一番災害のひどかった諫早市のその後の状況について申し上げますと、九ページに書いてございますが、大体八月六日ごろからおおむね平常の状況に帰りつつある、物価その他の状況も、大体平常に戻りつつあるということでございます。八月十日現在、諫早市における罹災者の収容状況は、学校、お寺合計六カ所に千五十九名収容されておる状況でございます。  なお、自衛隊におかれましては、今回の災害救助の活動におきまして、二名の犠牲者を出されております。
  36. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 九州地方水害救済の措置については、いろいろ御報告がありましたのですが、私も実地を視察した一員といたしまして、感じた点を申し上げまして、なお政府当局の御意向を聞きたいと思うのですが、第一、緊急の措置については、あとでまた一、二お尋ねしたいと思うのですが、災害について警察の活動については、今お話のあった通り、実によくやったと思われるのでありますが、ただ、非常に遺憾なことは、その措置を始めるに当って、気象についての観測が非常に不十分であったということだと思います。暴風雨の警報その他注意というようなことも非常におくれておって、また気象の雨量の観測の設備が非常に不十分であったために、全然用をなさなかった、またその観測所の配置が非常に少かった、また無線等の設備によっての連絡が十分でなかったというようなことで、いかに警察が活動しようと思っておっても、活動の時期が非常におくれたということは非常に遺憾だと思うのです。今度の水害は、いろいろ特徴はありますが、一番の大きい特徴は、局部的に非常なレコード的に雨量が多かった。多い雨量であったということに関連しまして、死亡者が非常に多い。実にわずかな地方において、千名以上の犠牲者を出したということは、特徴中の特徴だと思うのです。従って、いろいろ土木等の災害予防の方途もむろん大切でありまするから、講じなければなりませんが、それと同時に、人命救助に対する根本的の施設が全然不十分であったと私は極言したいのです。それは、気象を十分に利用するということを全然等閑に付してあったと言ってもよろしいと思うのです。  それから、も一つ遺憾なことは、各所の降雨の注意報というようなものも非常に時間が違うのです。大体のことを申しまするというと、大村、諫早地方、島原地方、それから熊本地方、みな一時間以上の差があるのです。でありまするから、もう少し早く降雨の状況を知らせ、それに対する措置を講じたならば、人命の救助は私はできたと思うのです。そういうような設備が非常に不十分であり、またその連絡通報が不十分であったということが、今度の災害をして一つの大きく特徴づけたものだと思うのです。そういうような点から見まして、私はどうしても、土木その他の方法によって災害を予防するということを考えると同時に、今日文明の利器というべき気象観測なり、あるいはそういうような雨量の観測、予知あるいは予報というようなことに最善の力を尽さなければならぬと思っているのですが、こういうようなことについて、今度の災害対策について何かお考えをされておりまするか、あったらお聞きしたいと思うのです。
  37. 山本三郎

    説明員山本三郎君) お尋ねの点につきましても、私どもも非常に考えている点でございまして、気象の観測であるとか、あるいはその予防等の問題は、運輸省の所管に相なっているわけでございまするが、私どもといたしましては、ただいまお話の土木関係の面でそれに対処するわけでございますが、運輸省とも、そういう点につきましても、いろいろお話し合いはしているわけでございますが、梅雨の局地的の雨というのは非常に、台風等に比較いたしますると、その観測であるとか、あるいは予知というものが非常にむずかしいというのが従来の実績のようでございました。しかし最近は、レーダーであるとか、あるいはその他のいろいろの方法によりまして、雲の様子等をつぶさに観察いたしますと、どのくらい雨が降るというのは事前に予知できるというような段階にだんだんきているという点でございますが、気象庁等のお話によりますと、それに要するいろいろ施設あるいは予算等の面におきましても不足しているというような点をしばしば私ども耳にしております。これが的確に予報できまするならば、たとえば諫早等の川のふち等におります人々に対しましては、事前に避難していただくというような方法はとることができるのではないかというふうに考えているわけでございまして、私どもといたしましても、ぜひそういう方面の施設を増強されまして、しかも研究をして、同じ雨が降りましても、被害を最小限度にとどめ、しかも人命等の被害は極力軽減する方に持っていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
  38. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の御説明によって、むしろこの問題についての不備な点がよく現われていると思うのですが、第一所管がどうのとかいうようなことで、始終まま子扱いにされるおそれがあるので、従って実地の活用というようなこともまた、非常に不十分であるということがあるのでありますから、これらの事務の所管並びにその他との連絡については、一段と考慮を要するものだと思うのです。ことに気象のごとき、非常に関係の広いものについてほ、特にこれは、どこの所管だからどうということで割り切る筋のものではないと私は思っております。それから、予算が少いからということを言っておりますが、現在の予算は少かった。少かったから多数の人を殺したのだと極言もしたいのです。ですから私は、こういうような機会に、どうしても気象というものをもう少し利用する面に力を入れていただきたいと思います。これは、政府がそれに力を入れると同時に、実際の状況を見ますと、警報が出ましても、人民はあんまりそれに注意を払っておらん、軽く見るというような欠陥もあるようです。でありますから、信頼すべき警報を出すと同時に、その警報に従って進退をすることが非常に私は必要なことだと思うのです。そうしますならば、今度の人命の問題なんというのは非常に違っておると思うのです。でありまするから、この点について十分の考慮をいただきたいと思うのですが、もし総合対策等のことについてまだその点に触れてなければ、ぜひこの点について強く私は要望する次第であります。  それから、先ほどはちょっと触れたようですが、今度の水害は、降雨量が非常に多いというような関係で、一つは地すべりの問題が大きく取り上げられて参りました。一つは山くづれの問題が大きく取り上げられて参りました。山くずれの問題は、従来も往々水害にあったことでありまするが、今度こういうような、非常に多かったというために、またあの辺の地勢が急斜面であり、土質が非常に工合が悪かったという関係もありますから、悲惨な災害を起したのでありますが、この地すべりについては、従来あんまり言われてなかったと思うのです。ところが全国には、局地的ではありまするけれども、地すべりが非常にあるので、これに対して適当な方策を講ずることが必要でありますが、今日の構成においては、特にそういうようなものはございません。従って、緊急臨機の処置をとることも非常に不十分であるように思うので、これはこの機会に、この水害の一つの特徴として現われたことについて対策を講じていただきたいと思うのです。これについて、何か政府の方でもお考えになっておるように承わりますが……。
  39. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 先ほど私御説明いたしたのでありますが、現在の公共土木施設災害復旧事業国庫負担法によりまして、その対象にならない地すべり、山くずれ等があるのでございますが、これは、先ほども御説明いたしましたように、本年度予算におきまして緊急の治山費が四億円、砂防費が三億円計上してありまして、この予算によりまして、こういう場合は一応救助されるようになっておりますので、さしあたりの措置といたしましては、既定予算をもって緊急対策を執行していく、かように考えておる次第でございます。なお今後、これに対しまして特別の立法をするかどうかという問題は、目下関係各庁の間で研究中でございまして、まだ結論に到達していないのでございます。
  40. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 災害についても、総合的に救助に当るとか、いろいろ実施されたようでありますが、これは、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのですが、従来こういう災害については、警察の所管であるというふうに思われておったようでありますけれども、実際には関係するところが非常に多方面でありまするから、どうしても総合的にこういうふうな緊急対策を講ずる組織を考えておくことが必要であると思うのです。それと関連しまして、私は水害防止についての土木関係あるいは農耕関係等について、十分総合的な考え計画を立てられることが非常に必要であると思ったのでありますが、その最もはなはだしい例は、私は熊本市だと思うのです。ああいうようにりっぱに河川も整理され、市街も舗装その他文化的にできているにかかわらず、数尺の、あるいは二階まで浸水するというような水害というものは、私はどうしても想像もできない変なことだと思うのです。これについて、だんだんいろいろのことを聞いてみますと、これは、昔からあの地方は、水害ということは、一つの築城、城を作ることあるいは戦争の関係等も考えておったのだという伝説もあるくらいですが、一面には、そこには農耕用の堰堤があるわけです。あれで水を堰き止めているというようなことで、よけい浸水が多かったと思うのです。とういうような、農耕関係土木関係とは常に密接に関連をしていかなければならぬことは当然でありまするが、実際の例を見まして、特にさような感じをしております。のみならず、熊本郊外の土地改良の問題等も、あまり手がついておりません。そうしますというと、土地改良の問題と土木関係というものも関連しまして、総合的の水害対策を立てることが必要であると思うのです。要するに、水害防止についても、総合的な立場において予報なりあるいはまた救助なりすることが必要だと思うのですが、その点について私は、幸い大臣もお見えになっておりますから、御意見を承わりたいと思います。
  41. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 仰せられましたような感じが、熊本市について特におっしゃったのでありますが、理由も十分あり、また考えるべき問題があろうと思います。関係閣僚によく伝え、また、将来の根本的な施策を立てます上に、十分考慮いたすことにいたしたいと思います。
  42. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 災害救助法が適用されて、期限が切れるというようなことで、たとえば諫早地方は非常に不安の念にかられている。一、二度延長したように思うのですが、こういうようなことは、他にもしばしば起る例だと思うのですが、ああいう緊急な措置については、何かそこに弾力性を持たせるような臨機の措置をし得るようにするととが必要ではないかと思うのです。これはどうなっていますか。
  43. 安田巖

    ○説岨員(安田巖君) 災害救助法の内容については、たとえばたき出しとか避難所設置、これは、たき出しでありますと六日、避難所の設置でありますと十日でありますが、その間に、さらにたき…しを続け、避難所の設置を継続しなければならぬような状況がありますならば、府県と厚生省と連絡がいつもとれておりますから、いつでも、そういったような状態にありましては、その継続を許し得るような方針をいたしております。諫早につきましては、先般私も、政務次官のお供で参ったのでありますが、現地で、そういうようなことはけっこうであるというような指示をして帰った次第であります。
  44. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の点ですが、実際だいぶ諫早の地元では不安に思っておったのです。幸い政務次官が見えて、言質を得たから喜んだというような実情です。もし政務次官の出張がなければ、事務的にも相当おそくなり、従って不安の念が高まったと思うのですが、こういうふうなことについては、何か適当な措置をとることが必要だと思うのですが、県なりあるいは本省なりにおいて、臨機の措置をするという法文の規定を実際にもっと生かすようにすることが必要だと思うのですが、これについて何かお考えがあるならば、伺いたいと思います。
  45. 安田巖

    説明員安田巖君) 諫早の例をおあげになりまして、非常に不安の念にかられておったというようなことでございますけれども、普通は災害救助法の責任者は府県知事でございますので、まあ自分の責任次第でこれだけのことはできるのでございますが、なおまた国庫補助等の関係もございますので、一応の基準を作っておるという次第でございます。今までの例でございますと、話し合いで十分、しかも六日とか、十日とかいう期限でございますから、その間に交通も回復いたしますし、通信網も回復いたしますので、今のところは、大体それでお話のようなことは御期待に沿い得るのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  46. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 災害土木の個所の算定ですが、ずいぶん地方によりますると、わずかばかりの距離をへだてて災害がある、これを一ヵ所にすることがきわめて妥当であるにかかわらず、ある規定のもとにニカ所にする、従っていろいろ経費の面においても不便であるというようなことのよく陳情があったのですが、災害個所についてどういうふうに見ておられますか。
  47. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 災害個所を数ヵ所、あるいはつながっているものを一ヵ所にとれというお話のようでございますが、現在の状況によりますると、事情によっても違いますけれども、建設省災害のとり方といたしましては、大体その終端から終端までの距離が二十メートル以上のものは別個所として勘定する、それ以外のものは個所を同じ個所として計算するというふうなことを従来からもとっております。
  48. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいまのそういう規定に基いての個所の算定等は、実際についてはずいぶん不合理なものを生ずるのじゃないかと思うのです。そういうような点を勘案して、もう少し実際に即して、しかも早く工事のやれるように、また経費もできるだけ便宜に処理できるようにする方が適切だと思うのですが、こういうようなものは、これらの実情に照らしまして、相当規定を改正し、運用をなめらかにする必要があると思うのですが、いかがですか。
  49. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまのお話は、続いておるものは、少しの距離があっても一緒やらなければならぬものは、そういうふうに考えろというようなお話のようでございます。そういう場合には、もちろんまん中のはさまっておる部分も、そのままにしておいてはだめだというようなときには、それももちろん続けて全部一緒にするというふうな処置はとっております。従いまして、経費の面で不経済になるとか、あるいは災害復旧したものが、離れておるニヵ所がまん中の分と続かなかったという面におきまして不合理が起るというようなことはないように処置したいと思っております。
  50. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 水害について、農林関係については割合にいろいろのことが具体的に調査が早く済み、またその復旧等についても強く要望され、実現も早いように思うのですが、中小企業については、ずいぶん私は見劣りするのじゃないかと思うのです。今度の被害地の中小企業水害のために非常に困っておる実際を見まするというと、いかにも気の毒であるが、しかしそれに対する処置というものはどうも手薄であり、非常におくれておるというように感ずるのですが、今度はだいぶその点については努力されたように承わっておりますが、それでも私は実際に当るとずいぶん不満の点が多いと思うのですが、これらの中小企業水害等による救済については、どういうお考えをもって今後進めて行こうとしておられますか、お聞きしたいと思います。
  51. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 中小企業に対しまする災害復旧の問題でございますが、先ほど御説明をいたしましたように、中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは商工中金にそれぞれ特別のワクを設定いたしまして、その運転資金等に遺憾なきを期さしめるとともに、また災害復旧の住宅等につきましても、先ほども御説明いたしましたように、住宅金融公庫からの特別の貸付を行うというような措置によって遺憾なきを期しておる次第でございます。なお、これにつきまして、従来、被災農家に対しましては天災法によるいろいろな恩典がございまして、これと同等の扱いをしてはどうかという問題もあるのでございまして、この点につきましては、関係各省と目下どういうふうに中小企業者に対しまして取り扱いをするかということにつきまして検討をいたしておる次第でございますが、中小企業者の場合におきまして、災害の認定等が非常にむずかしいのではないかというような意見も出ておるような次第でございまして、今後この問題は慎重に検討いたしたいと思っておる次第でございます。
  52. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいまもお話あったように、手続が非常に困難で、それで急いでできないというようなことも、あるいはおそらくはそういうふうに自分で想像しておそれているのかもしれませんが、そういうような声もありますから、十分に御留意をいただきたいと思います。  次に、地方交付税の問題でございますが、この算定基準等に災害のことをできるだけ入れてもらいたいというような要望が非常に強いのですが、この地方交付税の算定等について、今の問題どういうふうにされるお見込みでありますか。
  53. 小林與三次

    説明員小林與三次君) あるいはちょっと、質問がよくわかりませんでしたので、違うかもしれませんが、またお尋ねを願いたいと思いますが、特別交付税の算定の方法は、一つは、つまり当然得らるべく予想されておった収入が得られなかった。結局、災害によって租税減免、減収が行われたときには、その部分を穴埋めをする、歳入減の穴埋めが一つございます。それからもう一つは、災害によって新らしく生じた需要と申しますか、普通では見られない新らしい災害経費が当然出ますので、その経費をそれぞれ現地で計上してみまして、それの妥当なものは歳出として、その両方プラスいたしまして特別交付税を配分する基準にいたしておるわけでございます。
  54. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいまのは従来のやり方でしょうが、こういうような実例をみまして、何とか相当将来考えなければならぬということを私は申し上げているのですが、地方では、この地方交付税の十三条の三項を改正して、そして基準財政需要額の補正をやってもらいたい、こういうような要望も出ているのですが、もう災害が非常に年々できるような地方においては十分考える余地のある問題ではないかと思いますが、これに対する御所見を伺いたい。
  55. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは一般的に、いわゆる災害常襲地帯というものに対して、むしろ災害を防渇というか、予防というか、そういうものについての施策をもっと積極的にやるべきではないか、こういう一般的な問題がございまして、その問題の一環として地方財政の面においても考えるべきじゃないか、こういうことだろうと私は考えるのでございます。この災害常襲地帯という問題はいろいろございますが、なかなか技術的にも、常襲地帯とはどこをどういうのか、そういうところに対するどういう措置をどうするかという問題が、いろいろむずかしい問題もございまして、党の方でもいろいろ御研究のようですし、政府部内でもいろいろ御検討しているようでございますが、まだ的確な結論には到達いたしておらぬのでございます。それで、ほんとうに自治庁の立場からいたしまして、基準財政需要額を算定する上におきまして、ほんとうに合理的な、どうしても見なくちゃならぬ経費というものがあるなら、当然これは財政需要額の算定上是正すべきものは是正しなくちゃなるまい、こういう考えを持っておるのでございまして、その経費になりますというと、むしろそれぞれの各省の、主管省におかれましてのそうした方面の対策についての結論も、われわれといたしましては待つべきものではないか。一般的な基準が出れば、そういうことで見る必要があろうと思います。どうしても今の現行制度で見られない部分につきましては、当然、特別交付税で操作すべき問題でございまして、それで現在はそういう仕細みにいたしておるのでございますが、なお、そういう点につきましては研究いたしたいと考えております。
  56. 安井謙

    ○安井謙君 中田君からさっき災害対策資料について委員長にさらに要求があったのですが、あれはどっちでまとめてくれますか。一体、審議室がやってくれるのか、自治庁がやってくれるのか。というのは、今の出ている資料はいろいろ各省別に出ているのだが、もうちょっと総合的に、財政的な見地で一覧表というのか、総括したようなものをほしいと思うのだが、まだそれは数字的に固まっていないものがたくさんあろうと思います。緊急的に今までこういうものをやった、あるいは年度内にこういうものをやる、それから恒久対策としてはこうだというような、各省を総合してのちょっと一覧表的なものを、今までの資料をさらにコンクリートに総合したというようなものにしてもらいたいと思うのだが、どっちでやってもらえるか、そしていつごろこれはできるか。
  57. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 先ほど自治庁の方から大体の見積りがあったのでございますが、先ほど私も話しましたように、まだ現地緊急査定官が行って査定いたしておりまする段階で、従いまして、これは数字をまとめるためには、ある程度の時間をかしていただいた方がいいんじゃないかというのでございますが、緊急査定でも今月一ぱい緊急査定にかかるのじゃないかと思っております。
  58. 安井謙

    ○安井謙君 それで、それは審議室が中心で責任を持って資料を出してくれるという建前なんですか。
  59. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 関係各省にわたりますし、大蔵、自治、その他関係各省から資料を集めまして、審議室の方でまとめたいと思っております。
  60. 安井謙

    ○安井謙君 それで、今これは実態調査もやらなきゃいかぬだろうし、予算関係もあるだろうから、なかなかそれはできぬだろうと思うし、今月一ぱいかかってみても、それは恒久的なものはできないと思うのだが、現在とにかくやらなきゃいかぬと思われるもの、今の交付税関係にしても、あるいは応急的な措置にしても、それは総合的なもので、現在の段階における一つの総合的な資料にまとめてもらいたいという希望が委員にも強いと思うのだ。それから、あすの委員会までにそれは間に合わぬとしても、この次の委員会は九月になるのか知らぬと思うが、それまでに、こちらのいろいろの準備や参考のために、ここ数日中にぜひ一応現段階におけるものをまとめてもらいたい。そしてこれはやはり地方財政関係、あるいは予算、あるいは財政的な目でこれをまとめてもらいたいのだから、主として作業自治庁自体にも相当あれしてもらわなきゃいかぬじゃないか。その点で、私はできれば、あすまでにと言ったって無理だろうが、今週中くらいに、文章でもいいのだが、一覧表のようなものができるかどうか、それをちょっと相談してみてもらいたいと思います。
  61. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 地方経費にかかるものは当然私の方でまとめなくちゃならぬと思っております。ただ災害対策になってきますというと、今のたとえば中小企業対策のように、自治庁がタッチしない問題もございますので、そういう問題全部という場合になれば、あるいは審議室の方にお願いせざるを得ないだろうと思います。自治庁としては、地方財政関係はできるだけ早くまとめたいと思っておりますが、ただ、今の段階では、各省査定の真最中でございまして、先ほどの被害総額というような程度のものをまとめる以上には、現在の段階では無理だろうと思っております。ですから、各省査定を待ちまして、そうしてある程度復興計画についての現地のめどが確定しなければ、ほんとうの跡始末についての具体的な対策が出ないのじゃないか。それですから、これはもう少し時間的なゆとりをお与え願った方がいいのじゃないか。被害状況ならば、審議室から出されました程度以上は無理だと、こういうふうに存じております。
  62. 安井謙

    ○安井謙君 大体、自治庁はだいぶ難しく出てきておるわけなんだが、たとえば今一番心配するのは、これをやるのについて、地方の財政負担がどうなるか、見通しは、持ちこたえができるかどうかというような点が非常に大きなものになると思う。中小企業緊急対策というものも、むろん総合的には必要なんだけれども、そういうものの目安のつくもの、たとえば災害復旧公共事業の国のこの程度の率からいったら、この程度は見られるから、将来この程度にやって行かれるという、こういう何かもうちょっとコンクリートの目安のつくようなものがほしい。そういうことなんだが、そういう意味の資料はできませんか。どうせ数字を固めたもので、将来何と何ということはできないと思うが、これはばく然としておってめどがつかぬ。
  63. 小林與三次

    説明員小林與三次君) それはごもっともでございます。われわれの方といたしまして、その点一番気にして、早く集めなくちゃいかぬと思っておったのでございますが、今の段階では、現地市町村も、むしろ跡始末に狂奔しておるという格好が現状でございまして、まだその復旧についての査定をやるにいたしましても、査定をやるとなれば、ある程度復旧工事の設計も必要だと思いますが、そんなことは現地でなかなかやっておるひまはないというのが真相だろうと思います。それでございますから、各省が今査定を急いでおられますから、その査定のめどをつかしていただかないと、なかなかはっきりとした数字が、具体的な数字が出ないのじゃないか。そうでなければ、今までの被害総額から適当に私の方で想定する以外に手がないのが実情でございまして、九月に入るころまでお待ちを願えれば、私はもう少しコンクリートな数字をお示しすることができるだろう、こういうふうに存じております。
  64. 安井謙

    ○安井謙君 それじゃ、そこまでは数字がなかなか困難だということだが、たとえば災害復旧については、公共事業はこういうような目安で国が半分持つ、あるいは三分の二持つからやれる、大まかな被害状況はこうなんだ、こういう程度だ、それから、さっきも話が出たように、原状復旧だけでなく、さらに改良をやるという場合には、どういう法的根拠でこれからこういうような目安でもってやるのだ、こういうこと、それからこれは小柳さんの質問に出たように、災害救助の期限切れというようなものについては、こういう対策があるというように、今やり得るもののめどになるものを、もう少し列挙してでもいいから、一つ一まとめにして、総合的に政府がこれだけやって行くいう、被害状況はたくさんあるし、だれを派遣したとか、かれを派遣したとかいうような問題はいいから、これからやること、めどのつくものを何か一覧表のようなもの、これはできるだろうと思う。一つ審議室と相談して、ぜひ出していただきたい。これは委員長に……。
  65. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これは審議室から出された九州災害対策要綱、ずっとこう並べてあるが、この要綱の一つ一つについて金額を織り込んだものをこしらえれば、大体わかるようになるのじゃないか。ですから各省審議室が中心になって連絡されて、この要綱の一つ一つについて裏づけの金額を入れてもらうようなことを、それを自治庁と一つ相談して、その結果、自治庁の、地方財政にどういう影響を及ぼすかということを自治庁の方から検討されたものを付していただけば、大体まとまったものになるのじゃないかと思いますから、そういうふうに準備をしていただくようにお願いいたします。
  66. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この資料に、中田さんは資料にならないとおっしゃったが、この資料に基いてお尋ねするわけですが、厚生省関係で申しますと、その点はこうだ、伝染病等の心配はない、何もないから書く必要がないというので書いてないのか、その辺はどうなっているのでしょうか。
  67. 安田巖

    説明員安田巖君) 伝染病につきましては、予防措置として近々そういうふうな措置をとったということでございまして、当時一名も発生いたさなかったのでございますが、ごく最近に、諫早に六名と大村に、名、島原一名、赤痢患者が出たのであります。しかし、これが平年の数字と別に特にふえた数字ではございませんので、特にこの災害による伝染病の発生というふうには見られない状況であるのであります。
  68. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 対策で特別なものはないと、こういうことですね。  次にお尋ねしたいのは、地すべり、あるいは山すべりというお話を小柳委員の方からお話が出ましたのですが、愛知県でも、瀬戸でやはり二十二名ですか、陶土の上土を盛ったボタ山の上に家を建てて落ちた。今度の災害の特徴は、局所的なものなんですが、要するところは、その穴埋めは考えるということは、磯田審議室長からお聞きしたのですが、それとあわせて、問題は、一つ砂防なんかに例をとりますと、建設砂防と農林砂防とは、何か食い違ったところがちょいちょいわれわれは河川を中心として見るわけなんです。ですから、そういうのが一貫してやるようなことにやはりならないと、治山治水緊急対策要綱とか何とかというものを、治山治水協会ですか、あるいは道路の方からですか、いろんなものが出ておるのですが、そういうのを勘案しても、ネックは一つやはりそういうところにあると思いますから、一つこの災害総合対策を立てられるときに、ぜひ一つ、砂防等は一貫して行われるべく、農林省と建設省とまたがるようなことがあっても、それが一貫されて行われるような、あるいは道路ともそれがにらみ合せて行われるような一つ十分注意をしていただきたいと思います。これは要望であります。  それから次に、第三点になりますが、実は筑後川沿岸の田主丸とか、実は二、三の町村をこの前委員長と一緒に視察いたしました。それは、昭和二十八年ないし二十九年度災害で、そして復旧をしたのですが、ここに、第三項に書いてあるように、原形復旧にとどめず、非常にいいことをしてやろうというようなことを宣伝をされます。そうすると、その町村は張り切って実は仕事をやったんであります。ところが、査定をおやりになると、それがだんだんだんだんと切られてしまって、しかも査定がむずかしい。ああだ、こうだと言っているうちに、まだ実際金も支払われておらない。それで、町村はどうするかというと、高利を借りて、起債が八分だとか一割、一割二分というような起債をしてやっておるわけなんです。ですから、そういうことのないように、今お聞きしましたら、河川局長の方からお聞きしますと、何か三年計画でこれをやっているというような、これが方針なのか、私はわかりませんけれども、そういうことのしわ寄せが、中田委員も言われましたけれども、ほんとうは地方自治体はえらい目にあっている。こういうことが出ると、地方によろしくないと思うのです。だから、早くそういうことは指導して、地方にしわ寄せがされないように、もう一つは、原形復旧では災害復旧はできません。現地の人は不安ですから、どうしてもかさ上げ等をやるのですよ。そういうものに対しては、法が許すなら、これは一つ見て上げていただきたい。これもお願いになるわけですが、一つ下さる資料等にも、そういうものを十分織り込んだ、万全の対策を立ててもらいたい。これも要望ですが、申し上げておきます。
  69. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私も、今回の西九州災害に関連しまして、お伺いかたがた、災害対策について当局に要望しておきたいのでございますが、今回の災害について、私ども国政の責めの一端をになっておるものとして、真に不可抗力の災害であったかどうかということについて考えさせられるわけでありますが、従来、災害復旧については、先ほどもお話がありましたように、五・三・二の比率で三年間に復旧を完了すると言いながら、実際は予算の都合その他でこれが完了しない。復旧が完了しない間に、さらにまた新しく災害を受けて繰り返すという、さいの河原のようにこの災害を繰り返しているというようなことを常に訴えられておるわけであります。今回の災害について、果してそういう事実があったかなかったか。たとえば、本明川等災害については、もとより未曽有の豪雨によるものでありますが、いろんな関係で、改修されるべきところが改修されておらなかったので、被害を激甚ならしめた。少くとも、この豪雨を防ぐ道はないとしても、被害を軽減する道はあったのではないかということが反省されるわけであります。今回の西九州災害等については、そういう復旧について、予算の不足その他で完了しなかったために被害を大ならしめた点はあったかなかったかということ。  それからもう一つは、この災害について、単に復旧ということだけでなく、先ほどこの原形復旧の範囲をこえる回復というような問題もありましたが、さらに進めて、この災害の防除の仕事、いわゆる防災事業というものについて、現在政府の法制的な措置なり、あるいはまた、予算的な措置なりが非常に貧弱ではないか。災害が起きてからこれを復旧するということでなく、とれを未然に防ぐということをもっと、法制的にも、また予算的にも政府考えていかなければ、福祉国家の建設なんということはおかしいではないかということを、私は痛切に反省されるわけであります。明年度予算も今編成中でありまするから、こういう点についてどういうふうにお考えになっているか。  以上の二点について、お伺いかたがた要望しておきたいと思います。
  70. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今回の災害によりまして、諫早を流るる本明川、ことに本明川におきましては、非常な災害を惹起いたしましたわけでございますが、もちろん、本明川の改修工事は現在施行中でございまして、これができ上っておりましたならばどうであったかという問題でございますが、これができ上っておりますならば、今回のような災害が減少できたということは考えられると思いますが、全然被害がなかったというようなことには、現在の改修の規模では私はできなかったというふうに考えております。被害は少くて済むことはできたと思いますが、全然なかったというふうには考えられないと思います。また、それじゃ災害が、本明川等におきまして、災害復旧工事がおくれておったために、そういう結果になったのではないかというふうなお尋ねでございますが、本明川につきましては、多少の災害はあったのでございますが、今回のような大きな災害は、もちろん最近においてなかったのでございます。聞くところによりますと、六十年とか七十年前に、大きな災害があったということは聞いておりますが、最近におきましては、公共施設の災害等は非常にわずかながらはありましたけれども、根本的の今回の被害の原因をなすような災害復旧が残っていたという状況ではないのでございます。それからまた、それじゃ改修はどういう、状況であったかという問題でございますが、この問題につきましても、長崎県にはそう大きな川はないわけでございまして、小ちゃな川がたくさんあるわけでございます。本明川は、このうちでも一番大きな部類に属するわけでございまして、国といたしましても、これに対する助成は重点的に考えておりまして、事業施行して参ったわけです。最近におきまして、地方財政関係等におきまして、最高の予算をつけておった時代よりも多少は減っておりますが、施行はいたしておった状況でございます。  それから、最後の問題でございますが、治山治水事業をもっと強力にしておけば、ああいうふうな被害はなかった、こういうことでございますが、この点は、私どもといたしましては、最も考えなければならぬ問題でございまして、特に山に対する考え方等におきましては、今までの施策におきましては、今回のような被害はとても防ぐことはできないのでございます。中小河川の上流の山の状況等は、非常に各地とも、ああいうふうな豪雨がありまするならば、今回のような災害を受ける箇所は全国に非常に数多いのでございまして、それらに対しては、早く何とか事前に処置をとらなければならぬというようなことを考えておるのでありまして、これらの点につきましては、私ども、大臣以下の御支持をいただきまして、今後とも大いに努力したいというふうに考えております。
  71. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、他に御発言もなければ、本件はこの程度にいたしたいと思います。自治庁大蔵省関係の方以外は、まことに御苦労様でございました。お引きとり願います。   —————————————
  72. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、財政投融資繰り延べに伴う地方起債等の延伸措置等に関する件を議題といたします。本件につきましては、前回の委員会におきまして決議を行い、政府に申し入れをいたしたところでございますが、この際まず、その後の政府のとられた処置状況等について説明を聴取いたします。
  73. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 地方債繰り延べの問題につきまして、その後の状況を御報告申し上げたいと存じます。当委員会におかれましては、地方債の性質その他にかんがみまして、地方債繰り延べは反対であるという問題と、特に公営企業金融公庫債につきましても、繰り延べ等の議論が一部ありましたので、これは性質上全く筋が合わないということで、強い御意見を伺ったのでございます。それで、それにつきましては、その一般の地方債の問題につきましては、われわれといたしましても、大体この前の委員会で御報告申し上げましたような次第でございまして、地方債のことしのワクは、縮減することはこれは絶対にできない、これはもちろんいたしません。それでございますから、地方債年度内に全部許可はする。しかしながら、この仕事の面におきましては、国におきましても、たとえば官庁営繕等の庁舎につきまして繰り延べ等の措置をとっておるから、それに類似するような大きな建物等につきましては、これはやっぱり地方におきましてもある程度協力する措置をとるべきではないか、そういうふうなものも一部ございますし、それからなお、従来の実情から見ますというと、起債が許可になりましても、必ずしも年度内に全部消化しておらぬ、仕事の進捗その他で、特に大規模な仕事につきましては、仕事の実施上の関係におきまして、おくれておるものも従来相当ございまして、そういうふうなものにつきましては、その実情に合わして、事実上この起債の許可の時期等を調整することによって、資金の運転につきまして大蔵省考え方に協力することもやむを得ないじゃないか、また、協力しましても地方の実際の仕事の遂行に支障がない、そういうものにつきましては、個別的に協力措置をとろう、こういう考え方で大蔵省とも話をしておるのでございます。でございますから、一般的な起債は、もうその通り詮議を進めておりまして、できるだけ早く措置をいたしたい。そういった特殊なものにつきましては、仕事の実施等から考えて、調整できるものは時期的な調整によって、一般的なこの金融措置に対する協力に地方も協力する態勢をとろう、こういう考え方で参っておるのでございます。  それからもう一つ、公営企業金融公庫債の発行につきましては、これは、当委員会で御決議の通り、われわれといたしましても、ほかの公庫公社債とは全く性質が違っておるのでございまして、一般の公共団体に許された公庫債の引き受けを、今度地方団体にかわって、低利に長期に有利な条件で始末をしてやろうという問題でございますので、これにつきましては、われわれといたしましても、当委員会の御決議の方針に従うべきだと考えておる次第でございます。ただ、公庫債の発行につきましては、いわゆる市場公募するものが相当あるわけでございますが、とれにつきましては、実際のこの公募の消化というような問題も考えなくてはならないのでございまして、これは、今日の状況その他等から考えまして、七十億全額そういう形をとることは、なかなか実際問題として困難でございまして、それで、公庫債につきましては、三十億繰り延べという説が流布されておりましたのですが、実際の消化は四十億かそこら程度でなければなかなかむずかしいのじゃないか、こういう問題が現実の問題としてあるのでございます。それで、こちらといたしましては、できるだけ可能な限度でこれは消化に努めなくちゃならない、しかしながら、かりに公庫債がそういうことになりましても、縁故募集その他の方法で、公庫債の消化の道もこれはあり得るのでございまして、自治庁といたしましては、そういう方法も活用することにして、全体として公庫の運営に支障のないように、発足当初でありますし、公庫の仕事が挫折しちゃいけませんので、そういう方向で公庫の運営に支障のないように運用はいたしたい、こういう考え方でございまして、大蔵省とも話を進めておるのでございます。  大体まあそういうような考え方のもとに事を進め得るように、われわれも考えておるのでございます。それでございますから、全般的な問題といたしましては、地方債現実計画の運用なり、あるいは地方の個々の団体の仕事の執行なりにつきましては、一般的にはそういう支障のないように措置したい、しかしながら、協力すべき部面におきましては、自治庁といたしましても、これは当然協力する態勢はとって参りたい、態勢をとりながら支障のないように措置したい、こういう方針で参っておるのでございます。
  74. 中田吉雄

    中田吉雄君 政府の全般的な方式に協力するために、五十八億の繰り延べは協力する、しかし年度内には許可する、こういうようなことでしたが、もう本年の起債の割当、市町村もほとんど確定していると思うのですが、五十八億というのは、府県と五大市、市町村で、どういう比率になってこれをこなされるのですか、それはどうなっていますか。
  75. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 起債は今、一生懸命に大蔵省と相談しながら進めておりまして、できるだけ早くけりをつけたいと思っておりますが、まだ実は最中でございまして、(中田吉雄君「発表されているでしょう」と述ぶ)きまっておるものからもう逐次発表して参っておるのでございます。ですから、まだ残っておるものは少しございます。それで、今の事実上繰り延べの問題につきましては、具体的にまだどこの部面のどの仕事をどうするかというところまでは、最後の締めくくりはついておりませんので、ちょっと今ここで申し上げる段階じゃないと思います。もう少し、起債が全部一般的な措置が終るまで、時間的なゆとりを一つお与え願いたいと思います。
  76. 中田吉雄

    中田吉雄君 しかし、起債の総ワクの中から五十八億というものをやっぱり対象別にきめちゃって、それからでないと、私は府県や五大市、市町村に割れぬと思うのですがね。きちんときめて、たとえば地下鉄をどうするとか、あるいはただいま言われたような、大きな水道はどうとかいうようなことをきめちゃって、それからでないとやっぱりできないと思うので、もう府県なんか割り当てられたのじゃないですか。
  77. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 問題のないものは、みんなどんどん割当を進めております。ただ、今お話の通り、たとえば地下鉄の問題は、実際の仕事の進捗を見て、まだそこまで資金の必要のないというようなものは、まだ一部リザーブいたしておるものもございます。そういうものの一部リザーブがございますが、その他の問題につきましては、もちろん継続とか大規模な仕事につきましては、大体措置をしておりますが、新規分その他につきましては、まだこれは詮議の最中でございます。それでございますので、全部の一応の許可の手続が済むころまで、もう少し具体的の数字は一つお許しを願いたいと思うのでございます。今まで大体決定しましたものを申し上げますというと、電気関係の継続分、水道関係の継続分、交通企業も大きなもの、病院も継続分、まあ新規関係のやつはまだ残っております。それから市場とか、ガス、国際観光施設とか、一部分だけが残っております。その他収益的建設事業につきましても、一部残っております。単独事業も、今府県市町村のものをやっておりますが、これもまだ一部残っております。義務教育関係も、早くやりたいというような形で、非常に急いでおりますが、全部の問題のないものを片をつけて、あとに、今申しましたような問題を具体的に締め上げていきたい。こういう考えでおるのでございます。
  78. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろ、どれを対象にするということになると、陳情その他もあって、めんどうなこともあると思うのですが、起債繰り延べ対象になるものは一体何と何ですか。
  79. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、繰り延べ対象になるものというのは、結局初めからワクを、これとこれと何パーセントずつという、こういうやり方をすべきじゃないのでありまして、あるそれぞれの仕事について見まして、今申しました仕事が、実際、たとえば大阪の地下鉄というふうな問題になれば、その路線その他の点がはっきりしてから一応ワクを予定するのです。そういうものは今すぐつける必要はない。そういうことで、必要のないものをずらしていげば、大蔵省のいう基本方針にも協力できる分野がある。しかし、最後には全部始末をつける。こういうことで、個別審査という建前でむしろいきたい。だから一般の市町村の、一般に問題のないものは、たがを締めていこうじゃないか、こういう考え方でいっておるのです。ですかう、これとこれとを何日ずつ繰り延べるのだというところには今のところ参っておらぬのでございまして、その点は一つ御了承願いたいと思うのでございます。
  80. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは私は、非常に問題があると思うのです。特に岸内閣のような、社会党と対決するということを言っておる際に、一般的な基準をきめずに、県として、これは社会党のものということで、これは各党が推薦したのだからというようなことでやられては困るのす。やはり一般的な基準を示して、そういう党派性によって起債繰り延べ被害を受けるというようなことでなくて、そういうことは一般的な基準を示して、無用な陳情請願等をして、出張旅費等を使わせずに、きちんとした基準でやるべきだと思うのです。そういうことははなはだしく問題を起すので、なるべくさっと割って私はやるべきだと思うが、どうです。
  81. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今おっしゃいましたのも、ごもっともな点があろうと思いますが、こちらはそういう意味で申し上げておるわけじゃないのでございまして、たとえばそういう地下鉄の問題とか、電気の大きな問題とか、そういう問題につきまして、これは団体の仕事の進捗の段取りの問題もございます。新規の発電なら、電発の審議会でもきまっていないということなって、おのずから時期がおくれるように大規模な仕事はなっていく。そういう意味で、時期を調節すればそれで済むのでございまして、一般の市町村の一般の起債は、一般の方針で全部始末をつける。そういう御心配は全然ないように、われわれももちろん責任をもっていたす予定でおるのでございます。
  82. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは、小林局長発言で了とします。繰り延べが最終的にきまったら、どことどこを繰り延べしたという報告をしていただいて、それで私たちは、公正であるかどうかを点検したいと思う。
  83. 小林與三次

    説明員小林與三次君) もう一ぺん申し上げます。起債の許可は全部します。ただ、許可の時期が多少おくれるものと、普通の通りいってしまうものとがある。詰り時期がおくれるものは繰り延べというものに該当すると見ていい。それで、中田委員のおっしゃいますものは、一部おくれて、起債の許可がおくれたものは何と何であったかということを示せということで、そういう点は、もちろんきまったところで報告を申し上げます。
  84. 中田吉雄

    中田吉雄君 電気の継続は繰延べはですね。実は私は、二、三の府県に参りまして、県営発電をやって来年完成というようなことがおそくなれば、非常に発電売電等にもなかなか大きな影響があるので、地方銀行からでも借りてでもとにかくやってしまわねばならぬという二つの県を私は拝見したのですが、これはどうなんです。これは少しおくれても影響するのですが、その点はどうです。
  85. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは本年度に当然完成するような仕事と、実際資金の要るようなところにわれわれは繰り延べ措置は講じたくないと思います。実際は、仕事の進捗と現実資金の需要の問題を考えて、必要のないというものはできるだけずらしていく、どうしても必要なものはやっちゃう、こういう形で行きたいと思います。
  86. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 あなたのお話で、なかなかはっきりつかみづらいところがあるのですがね。許可はする、年度内に許可をする、事実上繰り延べになるような形をとり、それからいま一つは、繰り延べの額はやはり五十八億なんですか、その点を一つ。
  87. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 許可は全部いたしますから、つまり許可の時期がおくれるから資金の動きが、早く許可になったものは資金をくれるようになるかしらぬが、おくれたものは資金の入るのもおくれる、それから金額は、大体その金額をめどにしてやりたい、事実上従来でも起債の許可がおくれて、三月近くはいっておるものがたくさんある。われわれ、原則としてそういうものをやめて、早く許可をしたいという方針で進んでおるのですが、最後にずれておるものはその程度をめどにして、ほかの時期を調節していきたい、こういう考えでおります。
  88. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そのずれる程度ですがね。実際年度はこの年度計画しております仕事が、それが今言ったような措置でできるのかできないのか、できないとすれば、事実上繰り延べだと思うのです。これは、さっきも申し上げたように、あなたのお言葉は含みのあるようなお言葉でございますけれども、その点一つ。  それからもう一つ、これは大臣にお聞きいたしたいのですが、この前に、ここでちょっと大臣が就任のごあいさつのときでしたか、何かここでなされた際に、委員会で、実は起債繰り延べの問題について付帯決議があがったのですが、話を聞いておると、これはやはり事実上の形はいろいろ考えておられるようですが、事実上繰り延べと私どもは言わざるを得ないと思うのですが、これに対して、私どもの委員会の決議を政府部内ではどういうふうに検討して、どういうふうに取扱っておられるのか、この点、大事な問題と思いますので、あとで大臣から一言お答えいただきたいと思います。
  89. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 私たちの気持は、一般の市町村で、つまり国が官庁営繕を繰り延べるといって、そういう国の政策で、国の仕事について措置するものに準ずるものは、地方においても実質上ある程度やってもらわなくちゃいけない。それ以外の仕事につきましては、一般的に支障のないようにしたい。しかしながら、現実資金の動きは、起債の許可をしてでも現実の仕事の進捗その他資金の必要な関係で、従来から見ましても、許可をしても繰入れができないものが相当あります。その程度の大体五、六十億の数字が今年もこれは私はあろうという、大体検討をつけておるのでありまして、そういう性質のものに五十何億というものを当てたい。それですから、一般の仕事は、普通、従来計画通り地方がやっておられる仕組みでやり得るように全部いたしたい。しかしながら、資金関係は、仕事の進捗その他の関係で調節、まあ実際の仕事にマッチするような形で資金の流れを調整したい、こういうのがわれわれの本心でございまして、また、そういうふうに事実上大体できる、こういう見通しをつけておるのでございます。
  90. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは、財政局長から御説明いたしておりますように、事実起債の許可をいたしましても、時期がずれて参るものが総額の中である程度、これは毎年起りますことと、本年度のいろいろな大きい企業の中でも、その全部と申し上げるわけではございませんが、しかし、その一部分というものは、年度の終りに許可をいたしまして、ちょうどほどほどのものが事実上ございます。従いまして、御決議の地方債計画を圧縮するという事態は起りませんように十分検討を加えて、本年度地方債計画というものを進めて参りたいと思っております。従いまして、一方の公営企業金融公庫債の発行につきましては、先ほど財政局長からも申し述べました通り、これは現に申し出がございまして、縁故募集の額が相当の額に上ると思います。これは、そのこと自体がけっこうなことでありまするから、従いまして、御決議は、きわめて地方財政の上に適切な御決議をいただいたのでありますし、これをその通り尊重いたして、実施して参っておるわけでございます。公営企業金融公庫の公庫債につきましては、十分御趣旨の通り措置をとり得るわけでございます。
  91. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 お答えのこととは、ちょっと順序が違って、公営企業公庫債のことですが、これは、念を押しておきますが、私どもが決議した趣旨に沿うておやりになると、こういうことでございますね。
  92. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) はい。
  93. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それからいま一つ、前にお答えになったことでありますが、今までの実績からしまして、許可をしても、実際の資金調達等がおくれて、繰り延べのような形になっておるものがある。そういうことで、そういうふうな、今回とられる措置にも事実上の支障がない、こういうお答えだったと思います。小林さんのお管えもそういうようなお答えだったと思いますが、そこで過去のそういう実績があるかもしれませんが、こうして事実上許可をおくらせることによって、さらにまた、そういう実際仕事が進まないという事態があるのじゃないか、こういうことが私心配されると思うのですがね。はっきりですよ。あの大きな、たとえば地下鉄の仕事なんかで、まだはっきりした計画なり、あるいは事業の実施に当っておらないというふうな所は、これはまあそうでしょうが、しかし、他の部面においておくらせることによって、今言ったような、大蔵省とあなた方で何かでれでれとやって、これで事実上繰り延べをするのだということから、だから、事実上今年度内にやろうと思っておることも、金のないためにやれないのだ、こういうことが私起ってくるのじゃないかと、こういう心配を持っておるのですが、その点いかがでしょうか。
  94. 小林與三次

    説明員小林與三次君) この点につきましては、先ほどもちょっと申しました通り、たとえば今の大規模庁舎のように、国自体がもう抑制しよう、こういうようなものは、一応はこれはそれにばつを合して、ある程度調子を合せるべきじゃないか。これは、実質的にある程度仕事をおくらかすということが一つだろうと思います。そういうものは、やはり地方公共団体は、これは国と同じ式で私は協力せざるを得ないと思います。そうでなしに、一般の、学校をどうするとか、病院をどうするとか、道路をどうするとか、そういったような一般の仕事は、それは支障のないようにしよう。だから、一般の市町村のそういう仕事については、こっちをおくらかすために仕事をおくらかすということのないように、むしろ従来の起債の許可がおくれる、そういう事例が多かったのを、むしろ今年はできるだけ早く繰り上げる、起債を許可したい、こういうのがわれわれの気持でございます。それですから、結局非常に大規模なもので、資金の流れが仕事と調節するゆとりのあるものにつきまして、この措置を当てはめていった方が適当であろう、こういうふうに考えているわけであります。
  95. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 最後に、大蔵省の方にお尋ねしますが、今までお聞きしたような自治庁の態度で、これは大蔵省の方として、いわゆる国の財政投融資繰り延べ一環としての地方債繰り延べ、これは完全に了承ができているわけですか。
  96. 堀口定義

    説明員(堀口定義君) お答えいたします。大体自治庁の御説明通りで、大きな筋につきましては、自治庁との間に解決のめどがついたようなことになっております。それで、さっきの繰り延べの額ですが、七月三十一日現在で、今年度ワクとして承認されたもの三百八十一億になっておりますから、従って、総ワク一千七十億に対しまして、まだ相当程度残っているわけであります。これは、今年に限らずに、いつの場合でありましても、さっき局長からお話がありましたように、いろいろの懸案がありまして、一度にワクを配分できないものがたくさんあります。それから、新規のものなんかがある程度おくれます。そういう意味で、現在の段階においては、一つ一つについて厳密にどれということにはなっておりませんが、年度うしろの方にいきますと、相当はっきりしてくるのじゃないか、また、今それをはっきりするほど、うしろの方が詰まっているわけでもございません。  それから、公営企業公庫の問題につきましては、自治庁の方から公募債等について市場の状況もありますし、そう出してみても、いろいろ実際問題として消化に困難な場合があり、われわれもその点をいろいろ憂慮しておりますので、なお縁故募集等につきまして努力して、それによってカバーする問題についてはどらかというようなお話もありましたので、そういう点につきましては、この委員会といたしましても御要望もありましたし、大蔵省としても弾力的に考えていこうじゃないかというふうになっておるのでございますので、大体におきまして、大きな筋では解決の方向に来ているというふうに考えております。
  97. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっと気がかりなんですが、大筋だけ、大体にというような表現を使われて、いろいろまあ自治庁査定をして、どこにどうずすというようにして、地方資金課長のところへ持っていったり、やる際に、いろいろ口実を設けてとは言わぬが、ずずっと延びていって、実際大蔵省の所期の目的をそういう仕方で、あすこはなかなか地方財政が困難だとか、いろいろのことで五十八億ぐらい、地方資金課長のところでやられてしまうのじゃないか、そこらに大筋、大体というようなことがあるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  98. 堀口定義

    説明員(堀口定義君) お答えいたします。まあ良心的に申し上げましたものですから、そういう言葉を使いましたのですが、そういうことでありましたら、片づいたと申し上げた方がよろしいと思います。私のところでどうという、それほどの権限もございませんし、十分自治庁の意見を尊重いたしまして、また内部の意見を調整しまして、支障のないようにやっていきたいと思います。
  99. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、本件はこの程度にいたしまして……
  100. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 現在まで許可しましたやつを、項目ごとの総ワクでけっこうですから、あしたまでできませんか……。
  101. 小林與三次

    説明員小林與三次君) それはできます。
  102. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件はこの程度にいたします。  午後二時より再開いたします。    午後零時五十一分休憩    —————・—————    午後二時三十五分開会
  103. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  午後は、まず町村合併処理状況に関する件を議題に供します。まず、現在の段階における合併の状況を、合併に伴う各種紛争の処理状況について、政府説明を聴取する次第でありますが、特に合併問題に関する残る紛争の問題でありまして、越県合併、分村合併、計画通りの合併について未解決のもの、これらの状況のほかに、勧告済みのものの状況、知事が調停に付しあるものの状況、また勧告の、調停のないもので、自治庁が陳情等で知り得たもの等についての対策というような事柄について、なるべく本日は、ここに具体的に経過並びに今後の処理方針をお伺いしたいと存じます。  それでは、以上の趣旨により、これより政府説明を聴取いたします。
  104. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) お手元に差し上げております町村合併に関する調べというものにつきまして御説明申し上げまして、さらに、この表にございません紛争の処理の問題でございますとか、都道府県の境界にわたる合併問題等について御説明を申し上げます。  調べの第一ページが、各都道府県における町村合併進捗状況総括表でございますが、左の方にございます「国の合併全体計画に対する進捗率」という欄がございますが、その欄の一番左の端にございますのが、国の当初立てました合併計画によります減少予定の町村数でございます。その計画に対しましては、昭和二十八年十月一日以来約三年半余りを経過しておりますが、その間、各都道府県及び関係町村のきわめて熱心な合併に対する熱意によりまして、六千三百十六町村の減少を見たわけでございまして、計画よりも相当オーバーしておるわけでございます。達成率は一〇〇%をこえておるわけでございます。ところが、都道府県の合併計画は、実際の図面を広げまして、関係町村の組み合せを種々考慮いたしまして定めたわけでございますが、これは、昨年の十月以降新たに設けました新市町村建設促進法に基きまして町村合併計画をやり変えたわけでございますが、その結果、国の立てました合併計画よりも相当シビアになって参りまして、六千九百三十七町村を減少する計画に相なったのでございます。当初六千九百九町村ということで参ったのでございますが、それよりもさらに減少予定町村数がふえたわけでございます。  この各都道府県別に立てました進捗率によりますと、この方は、わずかにまだ九%を残すということで、現在九一%の進捗率に相なっておるのでございます。  ここに各都道府県別の比率が出ておりますが、最も進んでおりますのは山形の九九%あるいは神奈川の九九%、その次は茨城あるいは栃木等が進んでおるわけでございまして、最も進んでおりませんのは、鹿児島県の六四%あるいは奈良県の七三%というところでございます。この進んでおります県におきましては、合併が最終段階に入っておりますために、相当な混乱も生じておるようでございまするけれども、最も進んでないといわれます鹿児島県におきましては、そもそも合併以前から人口規模が非常に大きかった県でありまして、合併計画そのものが相当大きい町村を組み合せるという方式に相なっておるのがその原因と相なっております。  次の第二表は、年度別合併基本計画に対する町村合併の進捗状況調でございますが、これは、一番上の方に書いてございますように、昭和二十八年、これは半年間でございますが、二十九、三十あるいは三十一年を二つに分けまして、九月以前と十月以降に分けた表でございます。このようにいたしまして、進んで参ったのでございますが、説明は省略さしていただきたいと存じます。その結果、市町村の増減がどのようになったかというのが第三表でございまして、市町村の増減数の調べでございますが、昭和二十八年九月三十日と申しますのは、町村合併促進法が実施される前日の数でございまして、市町村合せまして九千八百九十五、いわば一万になんなんとする町村があったわけでございますが、第四欄目をごらんいただきますと、昭和三十二年八月一日現在の市町村数が出ておるのでございますが、市が現在五百一、町が千九百二十、村が千三百九十三、合計いたしまして三千八百十四ということに相なっておるのでございます。この特色は、市の数が相当にふえまして、つまり新市の誕生がございまして、約倍にふえておるのが特徴に相なっております。町の数はほとんど増減がございませんが、村に至りましては、実に六千二百四十七村が消滅いたしたというように、現在の町村合併の特色を現わしておるわけでございます。  第四表は、新市町村建設促進法によります合併勧告状況の調べでございますが、合併勧告をいたしましたものは、件数にいたしまして、全国を通じて五百八十九件、未合併町村の数にいたしまして八百八十八町村に対しまして合併勧告が出されたわけでございます。この合併勧告に基きます減少予定の町村数は七百八十五町村ということに相なっておるのでございますが、すでに現在の残された未合併町村は、いずれも困難なものばかりでございまして、今までのような合併計画によってのやり方では、これ以上にっちもさっちもいかないというのが非常に多かったわけでございまして、昨年の十月以降新市町村建設促進法の新しい精神によりまして、従来の合併計画を多少変更することによりまして、合併がスムースにいくものにつきましては、各府県に設けられました新市町村建設審議会の意見を聞いた上で、十分に現地の意向をも入れて定めたものでございますが、なお、今後における合併の進捗状況といたしましては、新市町村の建設促進というものに重点を指向いたしまして、新市町村の発展を見本として見せることによって合併を進めるという方向を打ち出しておりますので、さまでわれわれが予期する以上には進んでおらないのでございますが、現在いずれも合併問題に熱心に取り組んでおる現状でございます。  以上のような状況のもとに合併を進めておりますけれども、合併済みのものにつきましては、件数にいたしまして百四十一件、減少の町村数は百三十六町村にとどまっておりまして、この進捗率につきましては、あまり芳ばしいものではないのでございますが、現在の未合併町村は、それぞれ合併困難な事情が伏在しておりまして、これ以上強硬な措置をとるということもなかなか困難でございまして、もっぱら住民に対する啓発宣伝を主として進めておる状況でございます。  その次の表は、合併計画完了時における町村数、平均人口及び平均面積に関する調べでございますが、町村数といたしましては、これは市が別に五百あまりございますので、町村数といたしましては二千六百六十四に相なるわけでございますが、一町村あたりの平均人口なり平均面積は、それぞれ三倍近くになりまして、五千三百九十六人でございました人口が一万三千七百人程度になるようになっておりまして、面積の方は、三倍以上の三四・八九平方キロメートルでありましたものが百九平方キロメートルに相なる予定になっております。  以上、合併の状況についてごく簡単に御説明をいたしたのでございますが、実は、お手元に配布する資料を本日用意してこなかったのでございますが、町村合併に関する争論という問題がございまして、いろいろ現地において騒いでおるのでございますけれども、その争論の状況について申し上げますと、争論の事項といたしましては、もちろん境界変更をめぐる争論、つまり一部地域の分離に関する争論が圧倒的に件数といたしましても多いのでございますが、そのほかにも、市町村の名称、事務所の位置、あるいは財産処分等をめぐりまして、かなりな争論が発生をいたしておるのでございます。この争論の中には、合併前に役場の位置なりあるいは新町の名称なりをめぐって争論が行われておりますものと、合併後事務所の位置なり、財産処分なりをめぐって争論が行われておるものとの二通りに分けられるわけでございますが、名称のごときは、その地区にとってきわめて重大な事項でもございますので、できるだけ合併前に、新しくつける名前を調整いたしまして、そうして持ち込むように指導しておるのでございますが、名称が問題になりまして合併できない所も、全国に数件あるわけでございます。簡単に、現在発生しております件数について申し上げますと、事務所の位置の問題で争論になっておりますのは、現在全国で四件でございます。実はもっと伏在しておると思いますが、そこまで話がいかないために、市町村の名称についての問題は現在四件ということに相なっております。事務所の位置に関する争論はかなり多いのでございまして、全国で三十八件ございます。財産処分に関する問題については、これは、その後相当に片づいておるだろうと思いますが、現在われわれの手元資料といたしましては、わずかに全国で十八件にとどまっておるのでございます。その他の争論といたしまして、これは合併条件の履行その他の問題でございますが、十七件がございまして、全部で、境界変更を除きまして、七十七件の争論が発生をいたしておるのでありますが、そのうち十八件につきましては、現在調停に付しておりまして、県の審議会の委員の中から選ばれた審議委員によって調停を試みられておるのでございます。  次に、争論の中で最も激越でございます、一部地域の分離に関する問題につきましては、これは、きわめて合併後の問題として発生しておるのが多いのでありますが、全国で件数にいたしまして三百四十二件が争われておるわけでございます。一県平均五、六件程度が問題になっておるわけでございます。このうち調停委員のあっせんなり調停なりに付したものの件数は、二百八十三件というふうな大きな数字に上っておるのでございます。その最も深刻な問題になっておりますのは、あるいは納税拒否の形になり、あるいは通学を拒否すると、もっとさらにひどくなりますと、自治体の独立宣言を行いまして、自治体の役場を置くというふうなことで、不法行為に出るものもございまするけれども、ともかくこの種の争論は、全国でも各地に頻発しておるような状況でございますが、これはどうも、われわれといたしましても、これだけ、六千に余る町村を減少していった過程におきましてでき上った、実はやむを得ない問題だと存じておりまするけれども、この種の分離問題が引き続いて存在いたします限りにおきまして、新市町村の建設はもちろんのこと、住民の福祉を阻害する点も多々あるのでございますので、極力その解決に奔走をいたしておる次第でございます。ただ、問題の発生の要件がそれぞれ千差万様でございまして、従来の経緯がそれにからまっておりまして、なかなか一つ一つを解きほぐしていくということに困難をきわめておるような状況でございます。その大体のやり方といたしましては、都道府県の知事が選びました調停委員が、三人あるいは五人程度の委員がございますが、これが調停に乗り出しまして、そうして調停案というものを作成いたすのでございます。調停案を関係町村に示しまして、調停に持っていくわけでございます。そのうち調停によって成立するものが約半分、調停によって成立しないものが約半分程度あるんじゃないかと、その数字は現在とっておりませんが、要するに、調停で成立しないものも数多くあるわけでございます。これらにつきましては、調停の打ち切りということが行われまして、その後におきまして、知事はなおこの地区を分離させなければならないという場合には、主観的要件と客観的要件を勘案いたしまして、住民投票の請求というものを当該市町村の選挙管理委員会に対して行うわけでございます。その場合当該選挙管理委員会がすなおに投票を執行すれば、ともかくも問題は解決するのでございますが、地元の市町村の選管が投票を執行しない場合が間々あるわけでございまして、その場合は、そのまま問題を打ち切るわけに参りませんので、県の選挙管理委員会が代執行をするという段階に立ち至るわけでございます。そういったケースが現在までに約十五件発生しておりますが、それぞれにつきまして、自治庁の協議という段階手続を経まして、問題を解決いたしておるわけでございます。まあ一歩一歩解決いたしておりまして、相当日にちもかかっておりますけれども、着実に解決して参りたいというふうに存じておるわけでございます。  最後の問題といたしましては、都道府県の境界にわたります町村合併ないし境界変更の問題でございますが、これは、お手元に配布してあります資料の——非常に恐縮でございますが、古い資料でございますが、その内容は違いませんからお開きを願います。三十二年の三月に配布申し上げました資料の七ページのところに、一番最後のページでございますが、「都道府県の境界にわたる町村合併及び市町村の境界変更に関する調」というのがございますが、このうち「町村合併の動向」と書いてございますものは、当該町村がそれぞれ円満に議決いたしまして、町村同士の間では話が済んでおるケースでございます。問題は、放す方の府県がどいしても反対だという立場にございますために合併できないでおるというケースでございます。次に、「境界変更の動向」と申しますのは、これは、当該市町村そのものがすでにその分離に反対をいたしておりますものの一部分離の問題でございます。これはもちろん、県の方でも反対であるし、当該市町村の議会なり当局なりも反対であるというふうなケースでございます。現在のところ、町村合併の方といたしましては、上から順番に申し上げまして、埼玉県の元狭山村、福井県の石徹白村、三重県の木曽岬村、奈良県のこれは月瀬村、愛媛県の生名村、それから、ここに書いてないのでございますが、長野県の神坂村というものが発生をいたしておるのでございます。今申し上げましたように、いずれも関係町村の間では、合併したいという意向に燃えておるのでございますが、その後におきまして、県の段階できわめて強力な反対に遭遇いたしまして、そのうち反対派の手入れが行われておるような状況でございます。現在、これらのうち一、二につきましては、相当ひどい混乱状態に入っておるのでございます。このまるまる町村合併の方の問題は、法律的な手続といたしましては、すでに町村の段階の議決はそれぞれ済んでおります。関係府県に申請がなされておるわけでございますが、受入側の府県がそれぞれその申請を受付けまして、受け入れる態度を表明いたしておるという状況でございますが、放す方の府県がきわめて反対であるというふうな事柄から、現在内閣総理大臣といたしましては、中央に置かれております新市町村建設促進審議会という委員会がございますが、その審議会の現在審議に付してあります。四月十七日にその審議会の意見を聞くというわけで審議に付したわけでございますが、現在審議会といたしましては、学識経験者よりなる十一人の委員を選任いたしまして、小委員会を作りまして、この問題の解決に当っておるのでございまして、現在のところ、自治庁に置かれております調査官の調査が終了いたしまして、ほとんどのものにつきましては、小委員会の中から選ばれました担当の委員、各地区に二名ずつ担当するように相なっておりますが、その二名の委員調査も大部分が終ったというふうな状況でございまして、現在それらの調査によりまして、近く小委員会を開催するという運びに相なっております。小委員会の態度が決定いたしましてから審議会の態度を決定していただき、さらに審議会の意見によりまして、でき得ればその意見を最大限に尊重いたしまして、内閣総理大臣が決定するということになるであろうと存ずるのであります。境界変更の方は、一部の区域の問題でございますが、そこに書いてありますように、栃木県の桑絹村の一部、京都府の亀岡市の寺田及び牧の二部落、岡山県の日生町の福浦、最後に、静岡県の熱海市の泉という、四つのケースがございますが、これは、離す方の市町村がすでに強硬な反対を唱えておるケースでございます。そのために、この種の問題は、先ほど説明申し上げました、一部境界変更の一般の解決の仕方にのっとりまして、現在同じく中央に置かれております審議会の委員の中から町村合併調整委員というものを選任いたしまして、それぞれ三名の委員をつけて、解決に乗り出しておるわけでありますが、ただ、熱海市の泉の問題だけは、すでに一昨年の十二月、自治紛争調停委員という別個の制度による委員会の調停が成立いたしておりますので、この解決については、別途の方式をとる予定でおるわけでございます。この境界変更の解決につきましては、先ほど申し上げましたような方法でございますが、やはり関係委員の御視察を終りまして、現在の段階では、調停案の作成あるいは事実上のあっせんというふうなものに手をかけておるわけでございまして、京都府の亀岡市の寺田及び牧の両部落につきましては、現在すでにあっせんの段階を相当深く突っ込んでおりまして、近く何らかの結論が出るのではないかと思っておるのであります。都道府県町村合併及び境界変更の問題は、ともかく府県の側で相当な本腰を上げられておりまして、なかなかその解決につきまして、相当慎重に考慮をいたしておるのでございますが、現在のめどといたしましては、十月ごろにはいずれも何らかの結論が出るのではないかというふうに考えておるのでございます。  以上、大体町村合併に起因いたしまして発生した問題を含めまして、未合併町村の合併等について、その後の状況を御紹介申し上げたわけでありますが、現在一番問題になっておりますのは、町村合併によって新たに誕生いたしました約二千三百のいわゆる新市町村をどのようにしてレベル・アップしていくかという、いわゆる新市町村建設の促進の問題でございまして、この点につきましては、過日御審議していただきました予算によります、新市町村の建設につきまして現在各都道府県を通じて、補助金の交付等を進めておりまして、及ばずながら最大限の努力をいたしておる状況でございます。  以上で説明を終ります。
  105. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件について質疑がございましたら、御発言願います。
  106. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まことに丁寧な説明をいただきまして、よくわかったわけですが、最初に越県合併のことですが、これは古い資料で、申請書提出済というのが愛媛県までになっておりますが、以下全部申請書が出ておって、そうしてしかも、中央審議会の審議に付されておる。しかも、今お話を聞きますと、大体十月ごろに何らかの結論が出る、こういうふうに承わってよろしゅうございますか。
  107. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 非常に急いで御説明申し上げましたので、お聞きとりにくかったと存じますが、申請書の提出済と出ております最初の五つのケースにつきましては、いずれも四月十七日新市町村建設促進中央審議会の審議に付しております。その後の、あとに書いてあります四つのケースにつきましては、そのうち最後から二番目の、長野県の神坂村だけが実は議決申請をいたして参っておりまして、あとはどういう現地状況か存じませんけれども、これは合併するであろうという予想を書いたわけでございますが、その後法的な手続をとっておりませんので、これは、現在のところ、やはり動向ということで御承知おきを願いたいと思います。そういう動きがあるということで、申請書を提出しておりますものは、この表以外には、長野県の西筑摩郡の神坂村だけでございます。この神坂村の提出月日は、三十二年の三月二十五日でございます。
  108. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はよくわかりませんが、この申請書が出されないということは、離す方の県議会の圧力に屈してまあ絶対に出させない、こういう意味から申請書が出ないのか、それとも、当該町村の方が積極的に出さずにおるのか、その辺はどんなふうになっておりますか。
  109. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 実は、これは詳しく調べたわけでございませんので、大体の状況を申し上げますと、県の圧力がかかりますのは、これは、合併の申請が出たあとだろうと思います。やはりとの当該村内をまとめるのに苦労しているのではなかろうか。やはり全員が合併派というわけに参りませんので、まとめるために時間がかかっているのではないかと存じております。
  110. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、これは、普通申請書を出すのは、当該市町村が議決をして自治庁に申請すればよい、それでよかったのですか。
  111. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 手続といたしましては、関係町村が議会の議決を得まして、町村長名でもって関係府県、つまり両方の府県を経由して出すわけでございます。ところが、その受け入れ側の県は、すぐ書類が上に参っておりますが、離す方の県は、そとで握りつぶしますから、上に参っておりませんが、一方の県から参りましたものを、ずでに申請書が出たということで手続を進めておるわけでございます。
  112. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 申請書が出たというその六つのところは、大体十月ごろに結論が出るという御説明に聞いたのですが、それは違うのですか。
  113. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 大体そういうめどでおやりいただいておるわけでございますが、今申し上げました説明が不十分であったと思いますが、その申請書を提出済みと書かれております最初の五件につきまして、現在、審議会にかかっておるわけでございますが、全部につきましてその結論が出るかどうか、あるいはきわめてはっきりしたものから出されて行くかどうか、その辺審議会の審議の状況をもう少し見ませんとはっきりわかりませんけれども、大体そういう目安で、十月ごろお出し願うというふうな目安で進めておる、こういう意味でございます。
  114. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたのお気持はよくわかりますが、実際、関係町村、たとえば私はほかのことはよくわかりませんが、三重県の木曽岬村ですね、ここなんかの様子を見てみますと、実際半年も一年もおかかりになると、関係町村の住民等はたまらないわけですね。実際あなたがおっしゃっているように、同盟休校というような、子供まで中に巻き込んじゃって変なことになるわけですから、一つ審議会は審議を慎重に尽されるということは非常に必要なことだと思いますけれども、しかし時間はやはり急速につめて結論を一つお出し願うように、やはり十月ごろに、まあ四月から十月と半年かかっておるじゃないかというようなところで一つ締めくくっていただくと、非常に住民はいいのじゃないかと思いますから、一つそんなようなことで、あなたの方からも一つ側面的な御進捗の方法をお願いしたいと思います。これは要望でございますが、その次に、境界の一部変更の問題でございますが、これは県も市町村も反対をしておると、どういう手続で申請がなされるわけですか。
  115. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) これは境界変更の動向というところに書いてございます。栃木県の桑絹村、京都府の亀岡市、岡山県の日生町は、いずれもいわゆる合併した新市町村でございまして、合併する当時から、同じ合併をするならば自分の部落だけは離れて、この右に書いております結城市なり、あるいは大阪府の東能勢なり、兵庫県の赤穂市なりへ行きたかったわけでございます。ところが合併の際は、そういった問題はあとにしてはどうか、あるいは全然無視されまして、いわゆる議会の議決で、多数決で持って行かれたような地区なんでございます。この種の問題は、いわゆる一部の分離問題として、県内においても数多く、ただいま御説明申し上げましたように発生しておるわけでございますが、つまり地方自治団体としてのいわゆる議会、議会主義の原則では片がつかない問題でございます。しかしながら、町村合併調整委員の御努力によりまして、あっせんなり、調停なりを試みまして、それが成功するということに相なりますれば、これは非常にけっこうな話でございますが、調停が成立しないで打ち切らざるを得なくなった場合には、あらためてこの地区を、調整委員の出した結論というものはおよそわかりますから、調整委員がどうしてもこれは離すべきであるというふうな結論を得た上で打ち切った場合には、これはいわゆる内閣総理大臣が住民投票を請求をすることになる可能性があるわけでございます。なるのだということは、ここでは申し上げられないわけでございますが、そういった手続きが残されているわけでございます。住民投票をやりました場合には、当該区域におります選挙人名簿に載っておりますいわゆる有権者の三分の二が、投票総数の三分の二が分離に賛成をいたしました場合には、当該町村の議会が議決したと同様の効果を生ずるというふうに法律規定をしてあるわけでございまして、つまり住民投票で三分の二の数を獲得することによりまして確定をいたすわけでございます。
  116. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 越県の方はわかりますが、やはり県内で分離する場合に、説明を聞いておりますと、知事が大体調整委員を任命いたしますね。そうして調停案を示す。そのときに調停案で行かなければ住民投票をやって行くのだというような御説明なんですが、実際、県が示した案は分村ではなかった。そうして分村が出てくるのですから、どうも結論は知事の任命した人なら違った結論が出そうな気がするのであります。そうしてその調停はどうも成立の見通しが少いのじゃないか、聞きますと五〇%くらいだ、そこで次に住民投票に入って行く、そうすると当該の選管は大体拒否する。だから大体、県選管がやるのだ、そんなふうな場合に、そこの選挙管理委員長と言いますか、何かが選挙人名簿を持って逃げてしまう、そこでハチの巣をつついたようになってしまって、どうにもしようがないというような場合は、これは中央で自治庁で協議ができるということをおっしゃったのですが、そういうような場合には早く上へ上げた方がいいと思いますが、それはどういう手続きによるのですか。
  117. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 今県内の問題になったわけでございますが、同一府県内におけるこのような問題が発生した場合には、ただいまお尋ねのような当該選挙管理委員会で、どうしても投票を執行しないということから、県の選挙管理委員会が、代執行をしなければならないことになるわけでございますが、その場合、知事が当該府県の選挙管理委員会市町村にかわってやれということで、代執行を請求するわけでございます。この請求という言葉を使いましたのは、直接選挙管理委員会が知事の部下ではございませんので、命令という字を使わなかったわけでございますが、請求をいたすわけでございまして、その際は、つまり市町村の選挙管理委員会がすでにやらないという段階は、事が相当重大な段階でございますので、内閣総理大臣に協議する、つまり言いかえれば、自治庁に協議をしてやるということになっておりますので、現在、知事の方ではそういう問題がございます際に、自治庁と協議をしてやることになっているわけでございます。今まで経験いたしました中では、そういったことが一時あったように聞いておりますが、最終的には全部選挙管理委員会の方で県の方へ名簿を渡しておりまして、最終的にはそういった投票ができなかったという例はございませんです。
  118. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 二百八十三件のうち、調停あるいはあっせんに付したものが二百十三件あるという御説明でして、三百四十二件のうち二百八十三件調停、あっせんに付せられているのですが、あと残っている六十ほどのものはそのままになっていると思いますが、私が聞いているのは、今の法律で、あなたの方としては大体やって行ける、しかしどうもこれでは何と言いますか、なぐり込みもありますし、いろいろなことがあって、やり切れないと思うのですが、そういうような場合に、国がやった方がむしろいいのじゃないかというふうなことは、やっておみえになるあなたの方として、何かそういうことについての御意見があるのかないのか、今の現行法でずんずん押し進めて行けば片づくというお見通しなのか、しかも片づくのが五年も十年もかかっては大へんなことで、町村合併をやってから二年あるいは三年ということになってくるのですけれども、問題の起きているのは二、三年ぐらいもみ続けているのがあると思いますが、そういうようなことについては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  119. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 今お尋ねの件でございますが、分離問題と申しますのは、決して分離する方にのみ理論があるわけではございませんので、離す方の側にも、やはりそれ相当の理論的根拠を持っておりまして、やはり客観的にみましても、なかなか平静な状態にございましたら離すべきでなかったというものも、この中には相当含まれているわけでございます。いわゆるあっせんなり、調停なりに付さなかったものは、実は住民は非常に騒いでおりまするけれども、県の目から見ると、あるいはもっと言いますと、客観的に見ると、どうも住民の騒いでおる方がおかしい、というのは、これはあっせん、調停に付さなかったであろうと思います。中には、騒いでおりますものの、実はごく一部が騒いでおりまして、住民投票なんかにかけたって、どうせ勝てないというようなものにつきましても、争論の件数としましては、ここにあげましたけれども、これはもうどうせかけたってしょうがないわけです。はずされたことであろうと思います。ともかくこの二百八十三件という件数につきましては、いわゆる調停、あっせんの労を試みる、ともかく置くにしましても離すにしましても、やるだけやってみようということから、かけられたものでございます。ただ、今お話のこういったやり方だけで実は解決するかどうかというお尋ねでございますが、現在すでにまあ二百八十三件、平均いたしまして各府県五、六件かけておるわけでございますので、今この法律以外の方法を考えますと、おそらくは、これまたちょっと想像が入るかもしれませんけれども、ようやくおさまって、その新市町村の建設に協力しかかっておるというようなものまでも、新しい方法によって誘発する可能性もあるのじゃないか。つまりおさまりかけたものが再び紛糾を盛り返して参りまして、またやれるのだということで起ってくるケースも考えられますし、現在のところでは、でき得ればこのやり方が最上ではないにしましても、このまま推し進めて行きまして、むしろ調整委員の御苦労は御苦労だろうと思いまするけれども、相当数多くこなしていただきまして、早く片づけていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。県によりましては、同じ調整委員が、そういったあっせん、調停を数件お持ちになっておりまして、一つずつ片づけて行っておるわけでございますが、日数は相当たつと思いますけれども、発生の順序に従ってやっていただいておるわけでございますので、早く発生したものにつきましては、なるだけ早く片づける、こういう方式で指導いたしておるわけでございます。
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はむしろ騒いでおる方が実際は圧力がいろいろかかるわけです。たとえば農協に対してはめんどうを見ないとか、学校に対してもめんどうを見ないというふうに、分散をして行こうというものに対する当該当局からの圧力が強いわけですよ。それをこたえてやって行くのですから、私は住民投票か何かにした場合には、区域と申しますか、当該住民というものの解釈が非常に問題でございますけれども、住民投票をやれば、その一部の人は確かに離れたいのですから、一〇〇%とはいかないけれども、三分の二以上だろうと思うのです。そういうときに、当該区域と申しますか、それは当該市町村だって、まあ愛知県に例をとりますと、西尾というところの一部が碧南市に分離して行きたいと、こういって騒いでいるところがあるのですが、ここは西尾へ合併したところ、今度は出たいのですが、住民投票の場合、その当該市町村と言いますか、選挙区の設定ということは、これはそういうものは、どういうところで、だれがきめているわけですか。
  121. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 投票する区域のきめ方でございますが、やはり最初からそういった争論の生じている区域というものは、おのずから確定してくるわけでございますが、そのうち現地調査等を行いまして、住民の意向なり、あるいは反対、賛成者の分布状況なり、そういったものを調査いたしまして、結局は先ほど申し上げました調停案というものを作るときには、もう地図に図面が入りましてでき上るわけでございますが、知事から住民投票の請求を当該市町村の選挙管理委員会に対して行います場合には、そういった図面を添えて請求することに相なっております。その辺の段階で調整委員の調停の段階なり、あるいは知事が住民投票の請求をする段階ではっきりしてくるわけでございます。その区域でのみ、この住民投票というものが行われるわけでございます。今お話のございました圧力の問題は、これは私いろいろ関係をいたしましたけれども、当該町村当局の圧力というものは、これは非常に上品な圧力でございますが、分離地区内に入りますと、相当これは団結力ということから、また別の圧力がかかっておりますので、この圧力の問題は、なかなかどちらがかかっているかということは判定しにくいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  122. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 この分離問題について、関連してちょっとお伺いしたいのですが、多くの場合に、この分離問題で紛糾しておりまする、実際の経過を見ますると、合併の際に、町村の当局者なり、あるいはまた有力者なりが、なるべく合併後の自分たちの立場を有利にするという点から、全村合併ですね。なるべく多くの区域、多くの住民をひっさげて合併したいというような考え方で、分離ということを好まない。それでまたいろいろその裏には選挙の関係とか、何とかで、合併する場合においては、なるべく自分の選挙地盤のところに全村合併してきて、そして自分の地盤を広げたいというような、いろいろな関係があって、それで結局なかなか分離ということを、よほどのことでなければ認めない。そういうことから分離問題で紛糾しているところが多い。そういう場合には、いよいよということになると、とにかく一応合併しよう、合併後に分離を認めてやるからということで、どうやらこうやら合併になって、遠隔となる地区あたりの、他の隣接町村への合併を、何とかだましすかしして合併してしまう。いざ合併してしまうと、あとはもう手の裏を返したように、もういよいよ大きくなった町村全体で反対をして、分離を認めない。それでせっぱ詰まって、同盟休校になるとか、あるいは滞納するとか、いうろいな事態を起していることが多いと思うのですが、要するに合併の場合に分村合併を認める。一つの町村と隣接した地域住民の生活の利便等を考えて、隣接の市町村に合併を認めて行くという気持でなくて、しゃにむにいろいろの手続の関係その他から、全村合併をやりたがるということによって起っていることが非常に多いと思うのですが、これらの点について自治庁はどういう方針を立て、どういう実際指導をしているのか、その点ちょっと伺いたい。
  123. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 現在発生しております分村問題の多くは、ただいまおっしゃいましたように、合併当時から、すでに合併すべき方角が違っておりまして、一部の少数者の方の意見が押し殺されて、全村合併で引きずられて行ったというのが非常に多いわけでございます。その多くは、また県の段階で、県議会にかかるときなどにいろいろ調停がなされまして、あとで離してやるよというようなことを条件につけられて発足を認められたという例が多いのでございます。おっしゃいます通り、一たん合併したとなりますと、またなかなか、その同じ区域内に分離反対というものも出て参りまして、なかなか約束通りいかないのが通例のようでございます。そういったまるまる合併そのものに無理があるというふうなものも、現在の合併町村の中には相当残っておるわけでございます。先般の新しい町村合併計画の策定に際しましては、そういった村内が一体として行動できないようなものは、分割合併を認めてはどうかということから、その線を打ち出しまして、現在勧告をいたしておりますものの中には、同時分村で合併させるように認めたのが非常に多いわけであります。その数は、今お手元に配付しました中の四枚目に、未合併町村の数が八百八十八でありますのにもかかわらず、減少予定町村数が、それとほぼ近い七百八十五という数字に相なっておることでもわかるのでございますが、つまり件数に比較しまして……。そのまた合併した方をごらんいただきますと、合併済の件数が百四十一件に対して減少町村数の方が百三十六で少い。それは合併の件数が多いということは、一ヵ村が二つに割れて、件数としては二件であるが、減少の方は一件ということになりまして、最近の傾向としましては、分村は同時に分れて合併するというのがだいぶ多くなってきているのでございます。われわれの方としまして、一つ一つの地方の例につきまして全部指導するわけにも参りませんので、そういった方針を打ち出しまして、なるたけあとに尾を引かないような合併の仕方というものを進めておる状況でございます。
  124. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 合併に際して同時分村を認めるという方針をとられたようでございますが、その点は非常にいいと思います。ただ現実地方庁で問題を処理する場合には、また現実にその市町村で合併問題を取り扱う場合には、何としてもその手数の上からいっても、またいろいろな合併後における町村等においての立場の上からいっても、どうしても無理しても全村ひっさげて行こうというふうに、町の当局とか、有力者というものは動きがちなんですね。それで実際にその生活上の不便を受ける地区住民が、これはどうしてもその意思を抑圧されがちなんです。現実府県の当局の指導なり、何かが一つもっとはっきりするようにする方が、私は紛糾を少くする上において非常にいいのではないか。やはり県の当局等は、これはどうしても一たん合併して、それから分離するという方向にどうしても持って行く、そういう方針に自治庁がなっているのならば幸いですから、よく一つ徹底させて、労をいとわない、そして住民の意思をどこまでも尊重して、長い間の自治生活のことですから、住民の意思と利便ということを中心にして進めて行くように私としては希望いたします。具体的問題についていろいろありますが、これは略します。
  125. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私先ほどあなたの御説明で、三百四十二件のうちで二百八十二件が調停に付されている。それで切り捨てたものが六十くらいあるじゃないか。その六十については知事が認めて、あるいは当該市町村等が認めて、大体妥当だから切り捨てたのだというような大体御意向に承わっているわけだが、全部がそういうふうになって来て、はい、そうですかとも私はちょっと心配で、たとえば知事が強引に切り捨ててしまった、あるいはその市町村が強引に切り捨ててしまって、調停にも、あっせんにも付さない、こういうふうに出ておるようなところが、かりにこの中にあったとするならば非常にお気の毒だと思います。今、大沢委員質問に対しまして、大体同時合併、いわゆる分村というようなものも認めて行くのだ。それを認めて行くのも一つの方法と申しますか、原則としては分村合併というようなことも、その住民の意思であるならば、それを尊重して行くという原則があるとしても、もう一度こういうところを御調査になり、あるいはこういうところの人たち、いわゆる知事も強引に切り捨ててしまう、その市町村の人たちも切り捨てるというようなところは、何らか救済方途というものは考えられないものか、泣き寝入りさせる以外に方途というものはないのか、その辺のところを一つ承わりたいと思います。
  126. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 紛争の中から調整委員会の調停に付さなかったものも相当あるわけでございまして、その中の大部分が、先ほど私が申し上げましたように、紛争そのものに正当性のないものが多いのでございますが、実は中にも、私自身も存じておりますが、数件は切り捨てたこと自身がすでに問題になっているというのも確かにあるわけでございます。これらをどのようにして解決するかという点が、現在われわれも非常に苦心をしておるわけでございますが、事実上の調停、あっせんというものをやらせまして、最終的に住民投票までは参りませんけれども、できるだけのあっせん、調停を試みるということで、当該問題をそのまま泣き寝入りさせるのではなしに、どちらにいたしましても納得の行く解決方法というものを講じません限り、当該地区の紛乱がおさまらないわけでございますので、できる限りそういう措置をとりたいということで、一、二につきましては現在指導をいたしております。ところが実際問題といたしまして、陳情を誘発するわけではございませんけれども、実はわれわれの手元にも、耳にも入ってこないのが大部分でございまして、そういったものにつきましては、県内でどのように処理をいたしておりますか、はなはだ不分明でございますが、考え方といたしましては、もしこの取り上げなかったものの中に、なお取り上げなければならないものがあるといたしましたら、それはその措置につきまして、どのような救済方法を講ずるかということについて、事実上のあっせん、調停を行わせるか、あるいはさらに、それではできないということが判明をいたしましたならば、法律を改正いたしまして、若干期限を延長するかという点が考えられるわけでございます。今のところ実際上のあっせん、調停によってできるだけ解決して行きたい、そういうふうに考えております。
  127. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 吉浦さんのお気持はよくわかるわけですが、かりに強引な知事があったとか、あるいは市長があって、自治庁も何ら法的な根拠があるわけではなくて、事実上のところでやって行くのだと、こうおっしゃっても、まあ大体あっせん、調停を断わるような入ならば、大体あなたの方のことも断わるだろうと思うのですよ。ですから、そういうところを何か救済するようなことを、ほんとうは一応考えた方がいいのじゃないか。もはやこういうときには、努力は何もしないとか、あなたの方がおやりにならないというのではなくて、何かこういうところに対しては立法的な措置を講じなければ、事が解決しない段階になってきておるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、どうでございましょうか。
  128. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) その件につきましては、一応実情を調査いたしました上で、どの程度の数がございますか、その辺を検討した上で、あらためて御回答申し上げたいと存じます。
  129. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 一、二ちょっとお尋ねしてみたいと思いますが、一つは、合併の知事勧告ですね。知事勧告の状況は、これはここへ資料をいただきましたが、これについて、現在残っておるのは、先ほどあなたもおっしゃったように、非常にむずかしいところが残っておるわけなんです。で、知事勧告は出したけれども、おいそれとは聞いてもらえないようなところが残って、あなた方もいろいろ心配をしておるんじゃないかと思うのですが、そこで、事情をよく見たり何かしますと、また合併をがえんじない気持もわからなくはないというようなところが、たとえば小さいけれども、相当の村有財産なり、将来の、従って村の財政のことを考えてもあまり心配がない、ところが合併せよと言われておる相手側はどうかというと、赤字々抱えておる、こういうようなところがありますね。それから同じようなことですが、財産じゃないけれども、今の税制の上からすれば他の町村に見られないような税金、たとえば固定資産税とか、何か鉱産税とか、そういうようなことで、たんまり税金が入ってくるのだ、これで税制の改革でもない限りは、ここしばらくは人手も借りなくてもやって行けるのだ、こういう実際的な問題があるわけなんですね。それから残されておるところで合併を勧告されておるところが、ずっといわばへんぴなところで、地域が非常に広い。それで合併された場合に、今合併せよ上言われている相手側からすれば、中心から非常に遠いところになって、いろいろな面で将来不便になる。支所とか、何とかいう格好ができたにしても、いろいろな面で不便になるというようなところ、そういうようなところが今残っている。私の知り得た範囲ではですよ。私、うちのほうの県の状況を言っているわけで、ほかではどういうような状況かよくわかりませんが、大体そんなところじゃないだろうか。感情的な問題でしこりがまだ残っておって、合併できないというところもあるかもしれませんけれども、今私が言ったような条件のところが多いんじゃないか。そこで勧告する知事の側にしてみても、やっぱりそういう事情はわかる。しかし勧告せざるを得ない、合併計画によりまして。そこで勧告するわけなんだが、一体あなた方の方で、そういうような勧告されておるところに対する態度と言いますか、どこまでもほんとうにやらせるつもりなのか、まあ勧告しておいて時のくるのを待つという戦法なのか、ここら辺において私相当、これは微妙な言い方になってまことに恐縮ですが、問題の解決というようなものの時期的な見通しは、これは変ってくるんじゃないかと思うわけなんですね。そこら辺どうでしょう。  それからもう一つ、会談になるようなことでございますけれども、当初のあの二十八年ごろに県で合併の計画を策定した場合には、あの法にあるように、人口八千とか、ああいうまあ一応の基準にして立ててのだ。そうすれば今残っておって、知事から合併せよと言われて勧告を受けておるようなところは、大体それに合うというようなところもある。人口も八千くらいあるじゃないか、今言ったような財産も相当あるじゃないか、こういうことなんですね。その後、県の方ではいろいろな形で、実際こう合併を進める場合には、当初の計画ではいけないというので変更をして、今になって、君のところは当初こうであったけれども、今度はこうなんだ、合併すべきだ、こういうふうな進め方をしてきておるいきさつなんかもあるわけなんで、一がいに横着にかまえておってというようなことで、しかってばかりおれないようなところがありますので、実際問題になると、知事も非常に苦しんでおると思うのですよ。そこで結論を申しますが、国が立てました合併計画からしますと、まあ大てい一〇〇%、全国的に言えば一〇一%ということになっていますが、これでいいという段階にあなた方考えられておるのか。さらに県が立てましたこれは、どこまでも多少の無理があっても推し進めて行かなければならないというふうに考えておられるのか、ここら辺のお考え自治庁の態度と言いますか、あなた方の立場をお聞きしたいと思う。
  130. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 今お話しの通り町村合併は、その目標というものを九割以上達成いたしておりまして、今後におきましては、町村合併を行いました新市町村の建設の促進というものに重点を置きながら、引き続き未合併町村の合併を進めて行くというふうに進めたいと考えておるのでございますが、実際この辺でやめてはどうかという意見が、実はかなりあるのでございますけれども、また、今まで国の方針なり、県の方針なりに率直に応じまして、進んで合併をしたものはばかをみたのだ、残ってがんばったら実は合併しなくても済んだというふうなことであっても、これまた非常に政府の施策としては困るのでございまして、町村合併の目的が地方自治の基盤を強化するということにある限りにおきましては、今後もそういった合併の手を緩めるということはできないのではないかと思っておるのでございます。ただ個々の未合併町村においては、それぞれ合併できないという事由が違うわけでございまして、中には、先ほども申し上げましたように、事務所の位置とか、あるいは役場、市町村の名称とかいうことの、いわゆる合併条件についての意見の一致をみないために合併ができないようなものにつきましては、これはそういった意見の調整もはかりながら合併を進めて参らなければならないものでございます。都道府県の合併計画に対しまして、つまり合併町村の組み合せの仕方が気にくわないということについての反対のものにつきましては、多少ともそれを変更するということによってなし得るものもあるわけでございます。また村内の合併の気持が相当に出て参っておりますが、一部の住民の間で対立がございまして、合併の障害になっておるものもあるわけでございます。そういったそれぞれの事由というものを相当深く分析をして、随時適切な対策を立てて、具体的には、個々の町村によってそれぞれ違うという事由によっての分析を試みなければならないわけでございますが、今お話しのありました、特に不可能町村か、未合併町村かの非常にすれすれの問題、あるいは人口におきましても、すでに八千程度あって、合併しなくてもやって行けるというふうな町村の問題、そういった特別な事由にありますものにつきましては、これは合併がもっと困難であろうと存ずるのであります。さらに固定資産税がございましたり、あるいは別に村有林の膨大なものを持っておりまして、それを売り食いをしておるというふうなものにつきましても、これはなかなか広報宣伝等に努めない限り、非常な困難な問題であろうかと思いますけれども、ただそういったものが一つ、二つその地方に残っておりまして、全体としてのバランスを欠くこともいささかどうかと思いまして、できるだけ啓発宣伝に努めまして、そうして合併に持って行きたいと考えておりますが、ただ現在の地方自治団体という性格からいたしまして、やはり相当無理な合併というものは、これはやりようがないのであります。最後には議会の議決なり、あるいは住民投票なり、そういった方法を講じて、少くとも民主主義のルールというものを守りながら合併を進めるより手はないのでありまして、そういった点を十分考慮して、決して無理な合併というものは進めませんけれども、啓発宣伝の手をゆるめたり、あるいはもう合併しなくていいという宣言をしたりすることは、これは慎しまなければならない問題であろうと存じておるのであります。非常にくどくど申し上げましたが、無理な合併はいたしませんけれども、でき得る限り合法的な方法で合併というものを途中で打ち切らないようにいたしたいと存じております。
  131. 中田吉雄

    中田吉雄君 郡大臣は留守でしょうか、大体一ヵ月に一度か二度の委員会に、前もって予告してあるでしょうが、委員会を軽視するもはなはだしいと思うのです。一ヵ月に一ぺんか二へん、まだ一ぱい重要問題が山積しておるのです。われわれが聞きたいことは、中島次官がおられるからけっこうですが、内務省出身だというので若干のことは知っておるかもしれませんが、はなはだふまじめだと思う。今後、委員長としては前もって連絡して、一つやりくりして出ていただきたいと思います。
  132. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 承知いたしました。
  133. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは微妙なところだと思いますが、あなた方の口からは、勧告したのだが無理じいはしない、やめろということはこれはまあ言えないと思います。しかし実際問題としては今言ったようなことがありますので、そういった場合には住民投票までさせるというようなお考えなんでしょうか。これは議決をしてこないんですよ。そうした場合に、知事が住民投票までさせるというところまで行きますか、それから行った場合に、何と言いますか、住民投票がそれほど効果をあげないで負ける、負けるという言葉はおかしいが、成立しない場合がありますね、そういう場合には、知事のいろいろやらした面子の問題がからんでくるようなところが僕らのところにあるのです。やってもてんで問題にならないというところもあるのですが、そういうようなところを私は心配するのですが、そこで関連してきますが、あなたのお話の通り、今後の考え方、いわゆる新市町村を育成して行く、推進をよくやって行くのだというお考え方はけっこうです。ただそれは今年の予算等に現われた問題からいたしますと、それはなかなか啓蒙のいい材料にもならぬし、じゃといって、踏み切る好材料にもならないわけですよ、あのくらいの金ではやっぱり合併してみたところがきっぱりよくならたいじゃないか、国の方だって大してよくないじゃないかと、こういう見方が偽わらざる現地における見方なんです。多少、今年あたりついたところはまあまあというところですが、つかないところは大部分だ、いつおれたちの番に回ってくるのか、こういう考え方です。五年先になるか、十年先にたるかわからないと、そういったような調子で行ったんではと、こういうふうな見方をしておるわけなんで、こういう問題とからみ合って、今の合併の勧告等もなかなか今後に問題を残すのじゃないかと僕らは考えるわけなんです。そこで、現在のできておるいわゆる新市町村の中には、当初の計画は隣の二つの町村の合併でいいんだ、八千あるし、面積もこれくらいあるんだしということで発足したところと、あとで県の計画が大きくなったとか、県の計画以上に、自発的という言葉は当らないかもしれませんが、計画以上に合併計画が周辺の人たちによって計画されて申請されてきた、事実上既成の事実と認めざるを得なくなって大きくなったところがあるんです。そうしてできた結果は大きなところ、中には十二、三ヵ町村の合併、さっき言ったようにわずか二つの町村の合併、しかも貧乏な二つの村が合併になったってさっぱりよくない、こういうバランスのとれない、アンバランスの状況が心配される、心配じゃなく、事実上そうなってきておるわけですね。そこで私お聞きしたいのは、いわゆるほんとうに新しい考えで今後の市町村というものを考えて行く、そういう意味においての私は合併だと思いますが、それをやるためには、その過程においてはいろいろな問題がありましたけれども、今の段階になってみても、今言ったような未合併町村というものがなお残っておる、言葉はどういう言葉を使っていいかわかりませんが、第二次合併みたような、あるいは合併の手直しと言いますか、まあそういうようなことでも考えないと、これはもうできた今の結果からすれば困る問題が起るんじゃないか、町村のいろいろ行政力、財政の力、それのアンバランスが非常に出てきておるわけですから、この問題について今後どういうふうに考えておられるのか、この点を一つお聞きしてみたいと思います。
  134. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 当初の合併は、今お話のございましたように自主的な合併というものが相当取り入れられておりましたために、ただニヵ村だけが合併して、たとえば人口八千の小規模の団体を作ったにどどまったと、さらに他の地区では大合併が行われて相当大きい規模の新町ができ上ったということで、いろいろ差がついておることは事実でございます。なお未合併町村がその間に点在いたしておりまして、それぞれ現在の状況で眺めますときには、なるほどいかにも不釣合いな新町村なり、あるいは未合併町村なり、大きい型の市なりがまことに不釣合いに点在をしておるという現状は、全く否定できないわけでございますが、少くとも未合併町村につきましては、何らかの方法によりまして、民主主義的に合併をさせるということでこれを完成するといたしましても、しばらくはその小規模な町村と、それから大きな規模の町村がまじり合うということは避けられないことであろうと思います。ただ理論の上からはまことにその通りでございますが、現在の段階では、その未合併町村を片づけるということすら相当に困難な問題でもございますので、実はその方に熱中をしなければならないのと、さらには分村問題等も数多く発生を見ておる現状でございますので、その問題を片づけて参りたいと存じております。まあ将来の問題といたしましては、実は適正規模の町村を作るということは、新市町村建設促進法なり、あるいは先の町村合併促進法なりの特別法がある間だけやるべき問題でないんでございまして、自治法の中にも適正な規模の町村を作らなければならないというふうに規定はあるわけでございます。まあ一般法的な規定をさらに適用して、指導でもって進めて参りますか、あるいは特別法の期間を延長するなり、その他の方法でさらに完成をはかって行きますか、その点につきましての詳細な検討は現在まだ終っていないわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の町村合併が一応一段落いたしましても、これで町村が適正規模であり、町村の地方自治団体としての基礎的な基盤が確立したというふうに断定することは早急であろうかと存ずるのでありまして、でき得れば、粒のそろった基礎的な団体を形作って行くというのがわれわれの将来の理想でございますので、でき得る限りそういった考え方に立脚いたしまして進めて参りたいと思っておりますが、今直ちに次の段階を法的に考慮するということについては慎重に考えて参りたい、そういうふうに考えております。
  135. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 最後に一つ、これは局地的な問題でして、こういう席で公けに私論議するつもりじゃございませんし、まあどういうようなものかという見解をちょっとお聞きしますが、あるところで分村して行きたいという運動があって、相当前から行われておった。そこでこれは投票をやったんですが、投票をやる前に、すでに子供を自分たちの行きたい町へやっちゃったんです。それで投票したが負けた、負けたというのは成立しなかったんですね。ところが子供を帰さない、そのままにして、おれたち今後あくまでもやるんだという問題が起っているところがあるんですね。子供の今まで行っておった学校では欠席の取扱いをせざるを得ない、子供をよこされた学校は、正式の児童ではないがほうってもおけない、実際問題として帰れと言っても帰らないしということで非常に長い間まだ片づかないでおる。このままいったら、いわゆる学年のおしまいの、卒業期なり新学期なりに、一体子供たちの扱いをどうするんだと言って、こぼしておるところもありますが、これは私どもは何とか近いうちに解決しなければいけないと思っておりますが、解決した場合にも、一体子供の学校へ通った通わない、いわゆる規定の単位なり課程なりというような問題をどう処理して行くか、ややこしい問題が実際問題としてあるわけなんですが、こういう問題はどう処理されるべきでしょうか。子供を帰す帰さないじゃないんですよ、帰った場合でも、今言った学校の課程の問題があるんです。
  136. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 直接児童の就学の問題については、これはちょっと御返答申し上げるには私の知識が不足しておりますが、要するに、そういった非合法的な闘争というものが分離問題について通常起り得る形態でございますので、それがまあただいまお話のように、いわゆる投票に負けたあとまでも尾を引いておるということにつきましては、これは何と申しましても、残りますものは住民感情だけがいわゆる累積して残っておるという状態でございますので、これは一定の時日をかけ、また第三者の適当な仲介、あっせんという手段によって、そういったチャンスを実は待っておることも多いんじゃないかと思います。それからこういった夏の休暇でございますとか、あるいは学年の変り目でございますとか、そういった場合に、相当な第三者が入って、よくことわりを分けてあっせんの労をとることによって、おそらくはそう長くならないうちに解決すると存じますけれど、ともかく、そういった一つの民主主義的ルールによって負けた方がフェア・プレーにやらないということにつきましては、これはまことに遺憾に存じておりまして、なるたけ早目に、すっきりした形に戻るようにわれわれの方からも指導をして参りたいと存じております。
  137. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 課長さん、私お聞きしたいのは、そういう帰す帰さない……これは近く解決すると思うんですが、そこで帰った場合であっても、子供の一体取扱いをどうするか、今までみんな欠席にしてあるんです、全部こないものですから。戻ってきたら今度前の分まで有効かどうかということで、実は学校の校長たちがほんとうに真剣に心配しておるわけですよ。そこら辺、これはあまり妙なケースですから、一つ文部省あたりとよく話をして、あとでまた御教示を仰ぎに行くかと思いますから研究してみて下さい。戻ってきたら、いや今までよその学校へ行っていて、欠席の取扱いじゃない、まあ来ているからやむを得ない、正常じゃないけれどもやっておった、で、戻ってきたら、向うへ行った期間も出席にして取り扱えば、まあまあということになりますが、ちょっと法規の上から考えると、今までみんな欠席にして届けておって、出席数が何ぼとやっておいて、今度帰ってきたら、前のやつはみんなそれはよくなったのだと、これでは困るし、どうしたらいいかといって悩んでおるのですね。主あちょっとこれは妙なケースですから、こういう席でどうせい、こうせいということはちょっとむずかしい問題だと思いますから、あとで、あるいはそういうことについてお伺いに行くかもわかりませんから……。じゃ、よろしうございます。
  138. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 二つばかりちょっと伺っておきたいのですが、一つは、これはもうこの委員会で論議されたり、あるいは御質疑があったと思うのですが、私新しいものですから、この機会に直接伺っておきたいと思います。  それはいわゆる越県合併と称せられる、これについてはそうたくさんのケースじゃないと思うが、各地でそういうケースがある。これはその地方の住民としてはかなり重要な問題として騒いでおるわけです。それに対して自治庁としては、法律以外に、法律で解決できるのは問題ないわけでしょうが、それ以外に何か指示なり、御指導なりしておられるか、あるいはその問題について、どういうふうに一般的にお考えになっておられるか、伺いたい。
  139. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 先ほど御説明したわけでございますが、現在、都道府県の境界に当ります町村合併の問題が全部で六件ほど発生をいたしておりまして、そのうち四ヵ月を経過したものの、五件は中央に置かれておりまする中央審議会の意見を聞くということで審議会にかかっております。なおその都道府県の境界に当ります一部の境界変更の問題は、全国で四件ほど発生しておりますが、静岡での問題を除きまして、あとの三件は同じく中央の審議会の委員の中から選んだ町村合併調整委員の調停の段階に入っておるわけでございまして、いずれも新市町村建設促進法に基きます法律的な解決の方法で現在その手段をとっておるわけであります。ただ遺憾なことには、この問題につきましては、相当長い間の懸案ではございましたけれども、われわれの段階で、解決に乗り出す以前に、すでに離す方の府県がきわめて強硬な反対的態度を表明いたしまして、相当なてこ入れをやっております。つまり住民のなまの意向が徐々にその県の圧力によりまして、ある程度変更を余儀なくされておるというふうに見受けられるのでございまして、ほうっておけば、だんだんそういう状況に入るわけでございますが、現在われわれの手元ですでに問題の審議なり、解決をいたしておるわけでございまして、まあ大部分は現地調査を終りまして、その後の手続に入っておるのでございますので、現地といたしましては、両方の府県ともお互いに平静にこの問題の解決を見守ってもらいたいというのが、われわれの心底からの要望でございますが、事実上はなかなかその通りにいかないのでございます。以上、簡単でございますが、そういった解決をはかっておるわけでございます。
  140. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今離す方の県からの働きかけが非常に不当なあれを与えておるようなお話もございましたが、中には逆に、逆にと言っちゃおかしいけれども、隣の取る方の町村から非常な強いあれがくると言っている例もなきにしもあらずだ。そこで調整委員会で早く解決すればいいのに、これが長引きますと、町村合併の促進法の精神に全く反するばかりでなくて、非常に住民感情にあと味の悪いあれを残す。ですから、これはもう極力早く根本方針をきめて、早く解決する。まあ何とかなるだろうというような態度では、なかなかこれは解決がむずかしいのじゃないかということを考えるのですが、どうですか。
  141. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 実はお話の通りでございまして、われわれもできるだけ早期に解決いたしまして、住民の安定した姿を一日も早く見たいものと存じておるのでございますが、いろいろ委員の方には兼任でお仕事願っております。お一人の委員が境界変更の調整委員にもなられますし、また町村合併の方の担当の委員にもなられまして、遠くは愛媛、広島の方からお回りいただいておるわけでございます。決していたずらに逡巡をいたしておるわけでございませんが、何分にも非常に御多忙な委員をそれぞれお願いをしておりまして、まあ誠心誠意、現在、事務的に進めておる段階でございます。予想といたしましては、秋ごろには大体の結論が出るのじゃないかというふうに予想いたしておりますが、できるだげ早急に解決いたしたい、そういうふうに存じております。
  142. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 きょうのこの町村合併に関する調査並びにその御説明で、大体九〇%ぐらいその目的を達したというお話を伺ったのですが、これはまあどちらかというと、今まで政治的に扱われ、それから政治的な面における合併が九〇%ということであって、本来の法律的精神からいうと、真の合併の目的を達成しているかどうかということは、これはこれからの問題だから、そういった内容の調査で、すでにまあ九〇%合併ができて、目的を法律が達しているならば、まあ法律ができてまだ間がないから、まだそういう段階じゃないと言われるかもしれませんが、私はまあ見本ができているわけだと思うのですね。あるいは大きすぎた、そういう区域の問題もあるだろうし、あるいは経済事情なり、社会事情なり、文化の事情なんかがどうなっているか。あるいは人事の状態がどうなっているか。そういった実質的調査に入って、そうしてそういう実例ができているのだから、そういう実質的調査から今後の残っている合併をどういう方針でやって行くかという示唆にもなろうし、さらに、まあ申すまでもないが、この建設促進法は、これは新しい地方行政の解決のかぎになるもので、今後府県制度の問題といい、およそどうして行くかという問題を考える場合にも、この町村合併の成否いかんが非常な問題になるわけなんです。そうしてみると、直ちにそういった合併によって実質上行財政の内容がどうなって行っているか、真にいわゆる自治体として、完全自治体としての運営に向っているかどうか。そういった実質的の調査というものが私は非常に必要だと思う。この形式面から見たり、また政治的な問題が方々で大きかったのでしょうし、今後残っているものは、ますますこの政治的な扱い方で困難が多いだろうと思うのですが、私はそういう問題も、それはもちろん重要な問題として取扱いを気をつけてうまくやっていただかなければいかぬが、しかし一番大事なのは、その実質いかんということだと思うので、そういった調査に、もちろん手をつけられていると思うが、その段階はどんな程度で、ただいまのところどういう御見解であるか、伺っておきたい。
  143. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) 今回勧告をいたしております八百八十八の未合併町村につきましては、それぞれ地勢、交通、経済その他の状況について詳細な調査をいたしまして、さらに現在の民意の状況というものの各合併の方向につきましての調査を完了いたしまして、そうして各県に置かれております新市町村建設促進審議会の意見を聞いて、そこで慎重に審議いたしました上でこしらえたものでございまして、一応われわれといたしまして、その中の一部には、政治的なにおいが入っておるものが皆無とは言えないと存じまするけれども、大体正当な方向づけができておるように存じておるのでございます。今までのそれまでの合併は、ややもすると、早急に話をつけたり、あるいは他の町村合併の行き方に急に同調をしたりいたしまして、あまり考えないで合併した向きもあるかと思いますが、少くとも今残っております五百有余の町村につきましては、現在なお慎重に当該町村が考慮いたしておる状況でございまして、間違った合併というものは、これはもうやりようがないと思われるのであります。もとよりこの町村合併をいたしました新市町村のすべての調査につきましては、現在のところ、その一部しか手をつけておりませんけれども、これらにつきましては、新しく新市町村建設という立場から、その客観的な情勢であります自然的条件、あるいは産業の構成、その他の現状を詳細に基礎調査を行なっておる段階でございまして、これらはやがて新市町村建設の理念なり、あるいは建設計画の問題として利用されるわけでございますが、非常に数字だけをもてあそんだように見えまするけれども、実は相当内容に深く入り込んでおるのでございまして、ただここで提出いたしました資料は非常に急いで作りましたために、上っつらだけを眺めたわけでございますが、今後の問題の重点は、町村合併をしただけでは実は何の効果も上ってないわけでございまして、これらの町村合併の効果は、ほんとうに合併をしないような姿になる、個々ばらばらのものが、ほんとうの意味で融合いたしまして、一体性を確保して、その上で住民の福祉を増進する、新市町村建設をやって行くというのが、その終局の目標でございますので、そういった準備を進めておるような現状でございます。
  144. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 希望です。今のお話でよくわかりましたが、十分一つ調査して行くつもりだということで安心したのですが、私の願いとしては、今お話の中に、ただ数字だけじゃない、ただ範囲が広いとか、狭いとかいうことじゃなくて、実質的な行財政がどう運営されて行くか、果して運営能力があるのかどうか、そういったことについて調査をしておられるという話で、これはお話の中に、一部手をつけているのだというお話だったが、それを私は一つ鋭意そういった調査を全国的に進めていただいて、これは非常に今後の私は地方行政のあり方の何というか、今後の示唆というか、範囲というか、非常に重要な意味を持つものになろうと思うので、この点をぜひお願いしておきたい。
  145. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は郡大臣と藤井行政部長等もおられませんし、質問はたくさんけさ勉強してきているのですが、やめますが、ただいま吉浦課長の申されたようなことでは、私は五百の残った町村がなぜ難航しているか、もっと基本的な立場から、昭和二十九年に町村合併促進法ができて、その当初の計画から問題にしなくちゃならぬが、郡大臣並びに藤井部長、さきに申しましたように、委員会ですが、御出席がない。従って、私は一つ委員長ざんと理事の各位にお願いしまして、相当前もって予告していただいて、そうして部長と課長が出張等があればやりくりして差しとめてもらうというふうにして、今後のせっかくの委員会ですからお願いしたいことと、地方制度調査会もあり、さらに一萬田大蔵大臣は地方交付税を二七・五にしないというような発言もあり、義務教育費国庫補償制度等もあり、なかなか当地方行政委員会は重要なことだと思いますので、一つ長官以下主要な局部長をそろえて、前もって準備をしてやっていただくように。同僚ながら参議院出身の郡君がこういうことでは、はなはだ先が思いやられると思うわけであります。当初から、一月に一回しかないような委員会に、衆参両院同時に開いて時間をやりくりするというのなら私は了といたします。しかし、そうでもないようですし、衆議院を調べてみるとそうでもない。非常に私は遺憾として、大へんくどいようですが、一つよろしくお願いいたします。
  146. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの中田委員の次回についての構想、全く同感でございますので、本日、委員会終了後の懇談会において皆さんの意見もお伺いし、理事会においてもそういう趣旨に取り計らうようにいたしたいと思います。  私は最後に、ただいま議題となっている問題について、さらに質問を重ねるようでありますけれども、繰り返しておきたいと思いますが、成瀬委員から御質問のあった通り、調停に付していないもの、しかもそれは自治庁において調査して紛争のあることを知っているものが六十以上もある。それは県の上から見ても不適当なものであるから、結局客観的には不適当だろうということで切捨てられているということは、これはまことに非民主的だと思います。なぜかと申しますと、県は県案を立てて、非常に強力にこれを押したのでありまして、その責任を負っていた人が相当自分の意見にとらわれて、これに反対する意見は抑えようとしたことは間違いなかろうと思いますから、たとえそれが少数であっても、大きな町村から見るというと、地域的には集団であっても少数の場合がある。こういうものをただ切り捨てにしておかないように、事実あっせんで努力すると言われましたが、事実あっせんだけでは結局できないという調子で、なだめてしまうということになってしまうおそれもあるようにも考えられます。場合によっては法律を延長して、調停申し立ての期間を延ばして救済する方法もあるという御説明でありましたが、そうなると陳情を誘発するおそれがあるということですけれども、その陳情は、それは合併問題当時強く主張されたところであって、それがずっと続いているものであるかどうか、全くもう風波のないところに新たに波乱を巻き起すものであるかどうかということは認定ができることですから、法律の制限もできると思いますので、この点は強く慎重な対策をお考えになる必要があるのではないか。結局、住民自治の本旨を実現するためには、居住地に、ついて不満を持っていたのでは、これは安定もできないし、協力もできないのでありますから、その自分の住まっている土地についてだけは、できるだけ大多数の納得を得て、そうして自治の本旨の実現に努力せなければならぬと思います。分離問題について、今後は分離でうまく行くところは分離を認める方針にしたというお話でありましたが、合併当時から分離を希望していたところ、しかもいまだにそれが尾を引いて猛烈な運動が続いているというようなところについては、特に考えなければならないと思います。その分離したいという問題を起している町村全部の中には、賛成派もあり、反対派もあるでしょうけれども、結局右につくか、左につくかという問題であって、右に近いところは、ほとんど大多数が右につきたいと言っており、左に近いところは左の方につきたいと言っているわけでありますから、両方二つに割れば、その中に賛成と反対が乱れておるわけでもございません。そうなるというと、そういう問題は、全然だれが見ても、とてつもないことだということであれば別ですけれども、そうでない限り、分離、合併をしてやることによって安定するとしたならば、問題がずっと継続しておるものについては、思い切って裁断を下して処理してやるべきではないか、その方がまた全部の完了を早からしむることにもなるのであって、あるいは当局では分離、合併等が済んだあとに、最後に回そうという考えがあるかもしれませんけれども、同時にやっても少しも弊害はないと思います。この辺は特に考えてもらいたい。すなわち合併が済んだものについての分離、合併問題、その賛成、反対がほんとうにまぜこぜに分布しているという状態ならば、これはなかなか処置が困難と思うけれども、今言う通り、二派に分れておるというような場合には、はっきり適当な線で割ってあげれば、安心して安定できるわけですから、この点にはことに留意してもらいたいことと、それから調停に付されておらないものの救済方法については、特に民主的に考慮していただかなければならぬと思いますので、この点特に私からも努力を要請いたしておきます。
  147. 吉浦淨眞

    説明員(吉浦淨眞君) よくわかりました。
  148. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本件についてはこの程度にいたしたいと存じます。   —————————————
  149. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、静岡市における市当局市職員組合との間の紛争問題に関する件を議題に供します。  本件につきましては、前回の委員会におきまして、調査室の職員を現地に派遣し、実情を調査させることと決定されました。よって委員長といたしまして、先般、調査員に命じて現地調査を行わしめ、すでに委員長手元調査報告書が提出されておる次第でございます。  ちょっと速記をやめて。    午後四時二十九分速記中止    —————・—————    午後五時十四分速記開始
  150. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて。  次回は追って公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会