○
説明員(吉浦
淨眞君) お
手元に差し上げております
町村合併に関する調べというものにつきまして御
説明申し上げまして、さらに、この表にございません紛争の処理の問題でございますとか、都道
府県の境界にわたる合併問題等について御
説明を申し上げます。
調べの第一ページが、各都道
府県における
町村合併進捗
状況総括表でございますが、左の方にございます「国の合併全体
計画に対する進捗率」という欄がございますが、その欄の一番左の端にございますのが、国の当初立てました合併
計画によります減少予定の町村数でございます。その
計画に対しましては、昭和二十八年十月一日以来約三年半余りを経過しておりますが、その間、各都道
府県及び
関係町村のきわめて熱心な合併に対する熱意によりまして、六千三百十六町村の減少を見たわけでございまして、
計画よりも相当オーバーしておるわけでございます。達成率は一〇〇%をこえておるわけでございます。ところが、都道
府県の合併
計画は、実際の図面を広げまして、
関係町村の組み合せを種々考慮いたしまして定めたわけでございますが、これは、昨年の十月以降新たに設けました新
市町村建設促進法に基きまして
町村合併計画をやり変えたわけでございますが、その結果、国の立てました合併
計画よりも相当シビアになって参りまして、六千九百三十七町村を減少する
計画に相なったのでございます。当初六千九百九町村ということで参ったのでございますが、それよりもさらに減少予定町村数がふえたわけでございます。
この各都道
府県別に立てました進捗率によりますと、この方は、わずかにまだ九%を残すということで、現在九一%の進捗率に相なっておるのでございます。
ここに各都道
府県別の比率が出ておりますが、最も進んでおりますのは山形の九九%あるいは神奈川の九九%、その次は茨城あるいは栃木等が進んでおるわけでございまして、最も進んでおりませんのは、鹿児島県の六四%あるいは奈良県の七三%というところでございます。この進んでおります県におきましては、合併が最終段階に入っておりますために、相当な混乱も生じておるようでございまするけれども、最も進んでないといわれます鹿児島県におきましては、そもそも合併以前から人口規模が非常に大きかった県でありまして、合併
計画そのものが相当大きい町村を組み合せるという方式に相なっておるのがその原因と相なっております。
次の第二表は、
年度別合併基本
計画に対する
町村合併の進捗
状況調でございますが、これは、一番上の方に書いてございますように、昭和二十八年、これは半年間でございますが、二十九、三十あるいは三十一年を二つに分けまして、九月以前と十月以降に分けた表でございます。このようにいたしまして、進んで参ったのでございますが、
説明は省略さしてい
ただきたいと存じます。その結果、
市町村の増減がどのようになったかというのが第三表でございまして、
市町村の増減数の調べでございますが、昭和二十八年九月三十日と申しますのは、
町村合併促進法が実施される前日の数でございまして、
市町村合せまして九千八百九十五、いわば一万になんなんとする町村があったわけでございますが、第四欄目をごらんい
ただきますと、昭和三十二年八月一日現在の
市町村数が出ておるのでございますが、市が現在五百一、町が千九百二十、村が千三百九十三、合計いたしまして三千八百十四ということに相なっておるのでございます。この特色は、市の数が相当にふえまして、つまり新市の誕生がございまして、約倍にふえておるのが特徴に相なっております。町の数はほとんど増減がございませんが、村に至りましては、実に六千二百四十七村が消滅いたしたというように、現在の
町村合併の特色を現わしておるわけでございます。
第四表は、新
市町村建設促進法によります合併勧告
状況の調べでございますが、合併勧告をいたしましたものは、件数にいたしまして、全国を通じて五百八十九件、未合併町村の数にいたしまして八百八十八町村に対しまして合併勧告が出されたわけでございます。この合併勧告に基きます減少予定の町村数は七百八十五町村ということに相なっておるのでございますが、すでに現在の残された未合併町村は、いずれも困難なものばかりでございまして、今までのような合併
計画によってのやり方では、これ以上にっちもさっちもいかないというのが非常に多かったわけでございまして、昨年の十月以降新
市町村建設促進法の新しい精神によりまして、従来の合併
計画を多少変更することによりまして、合併がスムースにいくものにつきましては、各
府県に設けられました新
市町村建設審議会の意見を聞いた上で、十分に
現地の意向をも入れて定めたものでございますが、なお、今後における合併の進捗
状況といたしましては、新
市町村の建設促進というものに重点を指向いたしまして、新
市町村の発展を見本として見せることによって合併を進めるという方向を打ち出しておりますので、さまでわれわれが予期する以上には進んでおらないのでございますが、現在いずれも合併問題に熱心に取り組んでおる現状でございます。
以上のような
状況のもとに合併を進めておりますけれども、合併済みのものにつきましては、件数にいたしまして百四十一件、減少の町村数は百三十六町村にとどまっておりまして、この進捗率につきましては、あまり芳ばしいものではないのでございますが、現在の未合併町村は、それぞれ合併困難な事情が伏在しておりまして、これ以上強硬な
措置をとるということもなかなか困難でございまして、もっぱら住民に対する啓発宣伝を主として進めておる
状況でございます。
その次の表は、合併
計画完了時における町村数、平均人口及び平均面積に関する調べでございますが、町村数といたしましては、これは市が別に五百あまりございますので、町村数といたしましては二千六百六十四に相なるわけでございますが、一町村あたりの平均人口なり平均面積は、それぞれ三倍近くになりまして、五千三百九十六人でございました人口が一万三千七百人程度になるようになっておりまして、面積の方は、三倍以上の三四・八九平方キロメートルでありましたものが百九平方キロメートルに相なる予定になっております。
以上、合併の
状況についてごく簡単に御
説明をいたしたのでございますが、実は、お
手元に配布する
資料を本日用意してこなかったのでございますが、
町村合併に関する争論という問題がございまして、いろいろ
現地において騒いでおるのでございますけれども、その争論の
状況について申し上げますと、争論の事項といたしましては、もちろん境界変更をめぐる争論、つまり一部地域の分離に関する争論が圧倒的に件数といたしましても多いのでございますが、そのほかにも、
市町村の名称、事務所の位置、あるいは財産処分等をめぐりまして、かなりな争論が発生をいたしておるのでございます。この争論の中には、合併前に役場の位置なりあるいは新町の名称なりをめぐって争論が行われておりますものと、合併後事務所の位置なり、財産処分なりをめぐって争論が行われておるものとの二
通りに分けられるわけでございますが、名称のごときは、その地区にとってきわめて重大な事項でもございますので、できるだけ合併前に、新しくつける名前を調整いたしまして、そうして持ち込むように指導しておるのでございますが、名称が問題になりまして合併できない所も、全国に数件あるわけでございます。簡単に、現在発生しております件数について申し上げますと、事務所の位置の問題で争論になっておりますのは、現在全国で四件でございます。実はもっと伏在しておると思いますが、そこまで話がいかないために、
市町村の名称についての問題は現在四件ということに相なっております。事務所の位置に関する争論はかなり多いのでございまして、全国で三十八件ございます。財産処分に関する問題については、これは、その後相当に片づいておるだろうと思いますが、現在われわれの
手元の
資料といたしましては、わずかに全国で十八件にとどまっておるのでございます。その他の争論といたしまして、これは合併
条件の履行その他の問題でございますが、十七件がございまして、全部で、境界変更を除きまして、七十七件の争論が発生をいたしておるのでありますが、そのうち十八件につきましては、現在調停に付しておりまして、県の審議会の
委員の中から選ばれた審議
委員によって調停を試みられておるのでございます。
次に、争論の中で最も激越でございます、一部地域の分離に関する問題につきましては、これは、きわめて合併後の問題として発生しておるのが多いのでありますが、全国で件数にいたしまして三百四十二件が争われておるわけでございます。一県平均五、六件程度が問題になっておるわけでございます。このうち調停
委員のあっせんなり調停なりに付したものの件数は、二百八十三件というふうな大きな
数字に上っておるのでございます。その最も深刻な問題になっておりますのは、あるいは納税拒否の形になり、あるいは通学を拒否すると、もっとさらにひどくなりますと、自治体の独立宣言を行いまして、自治体の役場を置くというふうなことで、不法行為に出るものもございまするけれども、ともかくこの種の争論は、全国でも各地に頻発しておるような
状況でございますが、これはどうも、われわれといたしましても、これだけ、六千に余る町村を減少していった過程におきましてでき上った、実はやむを得ない問題だと存じておりまするけれども、この種の分離問題が引き続いて存在いたします限りにおきまして、新
市町村の建設はもちろんのこと、住民の福祉を阻害する点も多々あるのでございますので、極力その解決に奔走をいたしておる次第でございます。
ただ、問題の発生の要件がそれぞれ千差万様でございまして、従来の経緯がそれにからまっておりまして、なかなか一つ一つを解きほぐしていくということに困難をきわめておるような
状況でございます。その大体のやり方といたしましては、都道
府県の知事が選びました調停
委員が、三人あるいは五人程度の
委員がございますが、これが調停に乗り出しまして、そうして調停案というものを作成いたすのでございます。調停案を
関係町村に示しまして、調停に持っていくわけでございます。そのうち調停によって成立するものが約半分、調停によって成立しないものが約半分程度あるんじゃないかと、その
数字は現在とっておりませんが、要するに、調停で成立しないものも数多くあるわけでございます。これらにつきましては、調停の打ち切りということが行われまして、その後におきまして、知事はなおこの地区を分離させなければならないという場合には、主観的要件と客観的要件を勘案いたしまして、住民投票の請求というものを当該
市町村の選挙管理
委員会に対して行うわけでございます。その場合当該選挙管理
委員会がすなおに投票を執行すれば、ともかくも問題は解決するのでございますが、地元の
市町村の選管が投票を執行しない場合が間々あるわけでございまして、その場合は、そのまま問題を打ち切るわけに参りませんので、県の選挙管理
委員会が代執行をするという段階に立ち至るわけでございます。そういったケースが現在までに約十五件発生しておりますが、それぞれにつきまして、
自治庁の協議という段階手続を経まして、問題を解決いたしておるわけでございます。まあ一歩一歩解決いたしておりまして、相当日にちもかかっておりますけれども、着実に解決して参りたいというふうに存じておるわけでございます。
最後の問題といたしましては、都道
府県の境界にわたります
町村合併ないし境界変更の問題でございますが、これは、お
手元に配布してあります
資料の——非常に恐縮でございますが、古い
資料でございますが、その内容は違いませんからお開きを願います。三十二年の三月に配布申し上げました
資料の七ページのところに、一番最後のページでございますが、「都道
府県の境界にわたる
町村合併及び
市町村の境界変更に関する調」というのがございますが、このうち「
町村合併の動向」と書いてございますものは、当該町村がそれぞれ円満に議決いたしまして、町村同士の間では話が済んでおるケースでございます。問題は、放す方の
府県がどいしても反対だという立場にございますために合併できないでおるというケースでございます。次に、「境界変更の動向」と申しますのは、これは、当該
市町村そのものがすでにその分離に反対をいたしておりますものの一部分離の問題でございます。これはもちろん、県の方でも反対であるし、当該
市町村の議会なり当局なりも反対であるというふうなケースでございます。現在のところ、
町村合併の方といたしましては、上から順番に申し上げまして、埼玉県の元狭山村、福井県の石徹白村、三重県の木曽岬村、奈良県のこれは月瀬村、愛媛県の生名村、それから、ここに書いてないのでございますが、長野県の神坂村というものが発生をいたしておるのでございます。今申し上げましたように、いずれも
関係町村の間では、合併したいという意向に燃えておるのでございますが、その後におきまして、県の段階できわめて強力な反対に遭遇いたしまして、そのうち反対派の手入れが行われておるような
状況でございます。現在、これらのうち一、二につきましては、相当ひどい混乱状態に入っておるのでございます。このまるまる
町村合併の方の問題は、
法律的な手続といたしましては、すでに町村の段階の議決はそれぞれ済んでおります。
関係の
府県に申請がなされておるわけでございますが、受入側の
府県がそれぞれその申請を受付けまして、受け入れる態度を表明いたしておるという
状況でございますが、放す方の
府県がきわめて反対であるというふうな事柄から、現在
内閣総理大臣といたしましては、中央に置かれております新
市町村建設促進審議会という
委員会がございますが、その審議会の現在審議に付してあります。四月十七日にその審議会の意見を聞くというわけで審議に付したわけでございますが、現在審議会といたしましては、学識経験者よりなる十一人の
委員を選任いたしまして、小
委員会を作りまして、この問題の解決に当っておるのでございまして、現在のところ、
自治庁に置かれております
調査官の
調査が終了いたしまして、ほとんどのものにつきましては、小
委員会の中から選ばれました担当の
委員、各地区に二名ずつ担当するように相なっておりますが、その二名の
委員の
調査も大部分が終ったというふうな
状況でございまして、現在それらの
調査によりまして、近く小
委員会を開催するという運びに相なっております。小
委員会の態度が決定いたしましてから審議会の態度を決定してい
ただき、さらに審議会の意見によりまして、でき得ればその意見を最大限に尊重いたしまして、
内閣総理大臣が決定するということになるであろうと存ずるのであります。境界変更の方は、一部の区域の問題でございますが、そこに書いてありますように、栃木県の桑絹村の一部、京都府の亀岡市の寺田及び牧の二部落、岡山県の日生町の福浦、最後に、静岡県の熱海市の泉という、四つのケースがございますが、これは、離す方の
市町村がすでに強硬な反対を唱えておるケースでございます。そのために、この種の問題は、先ほど
説明申し上げました、一部境界変更の一般の解決の仕方にのっとりまして、現在同じく中央に置かれております審議会の
委員の中から
町村合併調整
委員というものを選任いたしまして、それぞれ三名の
委員をつけて、解決に乗り出しておるわけでありますが、
ただ、熱海市の泉の問題だけは、すでに一昨年の十二月、自治紛争調停
委員という別個の制度による
委員会の調停が成立いたしておりますので、この解決については、別途の方式をとる予定でおるわけでございます。この境界変更の解決につきましては、先ほど申し上げましたような方法でございますが、やはり
関係委員の御視察を終りまして、現在の段階では、調停案の作成あるいは事実上のあっせんというふうなものに手をかけておるわけでございまして、京都府の亀岡市の寺田及び牧の両部落につきましては、現在すでにあっせんの段階を相当深く突っ込んでおりまして、近く何らかの結論が出るのではないかと思っておるのであります。都道
府県の
町村合併及び境界変更の問題は、ともかく
府県の側で相当な本腰を上げられておりまして、なかなかその解決につきまして、相当慎重に考慮をいたしておるのでございますが、現在のめどといたしましては、十月ごろにはいずれも何らかの結論が出るのではないかというふうに
考えておるのでございます。
以上、大体
町村合併に起因いたしまして発生した問題を含めまして、未合併町村の合併等について、その後の
状況を御紹介申し上げたわけでありますが、現在一番問題になっておりますのは、
町村合併によって新たに誕生いたしました約二千三百のいわゆる新
市町村をどのようにしてレベル・アップしていくかという、いわゆる新
市町村建設の促進の問題でございまして、この点につきましては、過日御審議してい
ただきました
予算によります、新
市町村の建設につきまして現在各都道
府県を通じて、
補助金の
交付等を進めておりまして、及ばずながら最大限の努力をいたしておる
状況でございます。
以上で
説明を終ります。