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説明員(三井武夫君)
お話のように主として果樹に及ぼしました影響が
相当認められるようでありまするが、その他の農作物にもそれぞれ影響があるということでありまして、高松の地方局といたしましては、とりあえずこの事実に対して応急の措置を塩業者とも協議いたしましてとらせることにいたします。なお今後の恒久的な対策につきましては、先ほど申し述べました現地の
調査及び
公社本社から参りました派遣員の
調査の結果によりまして、十分に慎重な措置をいたしたいと
考えておるのでありますが、先般、現地の塩業者も
相当多数この
状況の
説明に上京して参りまして、私
どもも詳細な
説明を一応塩業者側からは聴取いたしておるのであります。塩業者の態度もまことに率直に、この被害を及ぼしたことを認めておるのでありまして、今後の被害防止につきましては非常な熱意をもって全面的に協力するという態度に出ておりまするので、私
どもも今後の対策につきましては、各方面に円満にこの措置がとられることを期待いたしておる次第であります。とりあえず現地地方局でとらしておりまする応急の措置といたしましては七つほどありまするが、それを順次申し上げますると、まず第一には、やはり風力の強い場合、なお風の向きによりまして、この被害の多寡が生じて参るものと認めまするので、被害を及ぼすと
考えられるような風力のときには、枝条架の可動を中止させるということをまず第一に業者に
指導いたしております。なお、すでに
関係の塩業組合の事務所にサイレンを備えつけまして、風速計によりまして毎日の風速を測量いたしまして、風速六メートル以上のときはそれぞれサイレンを吹鳴して塩業者の注意を喚起し、枝条架の作業を制限する、あるいは中止させるというような措置をとらしております。
それから二番目といたしましては、枝条架の周囲に適当な四散の防止壁を設備させることを
指導いたしております。これは他の地域あたりにもそういう防止壁を設置いたしまして、これによりまして付近の農作者との間に円満に話し合いがついているというような例もございまするので、それらにならいまして適当な防止壁を作る。
それから第三といたしましては、枝条架に海水または鹹水を供給いたしますためのといでありますが、そのといをふたをいたしました密閉型にするということを
指導いたしております。
それと第四番目の措置といたしまして、この給水のといと枝条架の枝条の間隔をなくしまして、海水または散水がこのといから枝条に直接に滴下するように
指導いたしております。
この第三、第四の措置は、給水樋から枝条架の枝条にかかります間にすき間がありますると、そのすき間から非常に海水、鹹水のしぶきが飛ぶということが認められますので、こういう装置にいたしますことによりまして、しぶきの四散することを
相当制度防げるという
考えでかような
指導をいたしておるのであります。
それから第五番といたしましては、ただいま申しました条項とも多少
関連いたしまするが、気象条件に適応いたしました枝条架の可動
基準を作りまして、この枝条架操作の全面的休止あるいは一
部分の休止といったような所要の措置をあらかじめ定めておきまして、常に風向、風速を観測して、組合から統一的に各塩業者に指令を発して可動休止の徹底を期する。組合が責任を持ってかような
指導的な役割を果すということを厳重に
指導をいたしておるのであります。
それからその次の措置といたしましては、以上のような措置をとり得ない場合、あるいは以上のような措置で十分な効果をあげ得ない場合、すなわち農地または住宅が枝条架に近接しておりまして、枝条架の可動
状況の調整ではどうしても塩害が防止できない場合には、枝条架につきまして一部の撤去を
考えることもやむを得ない。あるいはまたこれを他の適当な場所に移転するということもやむを得ない、かようなことも塩業者としては
考えさせることにいたしております。
そして第七番目といたしまして、以上のような措置をとりました場合にも明らかに塩害が防止できないで、
相当の塩害を生じたという場合には、塩業者から被害を与えました
相手方に対して補償金あるいは見舞金を支払うことを慫慂する。かような対策を立てまして塩業者に話しかけ、塩業者の方でもこの方針に従って全面的に協力するということで、それぞれ相手先と相談をいたしておるような
状況であります。
なお
お話の現に生じております損害につきましては、従来塩業者としては決してこれを等閑にいたしていたのではないのでありまして、各塩業組合ごとに付近の農民とはそれぞれ話し合いをいたしておるのでありまして、現に話し合いがついて見舞金を支払っている例もたくさんございますし、また現にそういう話し合いをいたしまして、適当な見舞金の支払いによって
相手方の納得を得るというような段階に至っているものが多いのであります。過去の損害につきましては、塩業者といたしましてもできるだけの誠意を持ってこれに対処するということで当っておるのでありまするが、今後の防止対策といたしましては、さしあたり今申しましたような対策を用意いたしておるのであります。
なお、先ほど申しました全面的な現地の
調査並びに
公社の
調査が出まして、明らかに枝条架の害が認められる。これをこういう
方法によって防止しなければならないという結論が出ましたならば、これを高松の地方局管内だけでなしに、全国的に指令いたしまして、十分な防止対策を講じたいというふうに
考えておる次第であります。