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政府委員(
東條猛猪君) お
手元に
金融制度調査会関係資料という印刷物を御配付申し上げてございます。これから御
説明をいたしまする四つの
法案は、それぞれ
金融制度調査会の報告を受けて立案いたしましたものでございますので、
関係資料を
皆さん方に、引用しながら御
説明申し上げたいと思います。
第一番に
準備預金制度に関する
法律案でございますが、これは
先回お聞き取りを願いました
提案理由の
説明でも申し上げましたように、
一般大衆から
預金を取っておりまする
金融機関に対しまして、その預かりました
預金額の
一定割合の
現金を
日本銀行に預入させるという
制度を
法律的に作りまして、その
日本銀行への
預入割合を、その当時の、そのときそのときの
金融情勢に応じまして、その
割合の
調整をはかりまして、
通貨、
金融、
信用の
調整に充てたいというのが
制度の骨子でございます。お
手元のこの
資料の十ページをごらんいただきますと、
準備預金制度に関しまして、
金融制度調査会から本年の二月二十一日にございました
答申の「
準備預金制度に関する
答申」というものが出ておるわけであります。以下申し上げますことは、いずれもこの
金融制度調査会からの、ここにございます
答申をほとんどそのまま法文化したということが申し上げられると存じます。
右申し上げましたような
制度でございますので、項目として申し上げたいと思いますのは、どういう
金融機関を
対象にするかという
対象金融の
種類が第一点の問題でございます。
第二の点は、そういう
金融機関が
大衆から預かっておる
預金が
対象預金になるわけでございますが、その
預金の
種類をどういうふうに定めるかという
対象預金が第二の問題でございます。
それから、
日本銀行に
現金によってそれらの
金融機関から
預金させるわけでございますから、その
割合、
準備率というものをどういうふうにしてきめるかということが第三の問題でございます。
第一の
対象金融機関の点でございまするが、
法律上は、
法律案の上におきましては、
銀行その他の、あるいは
長期信用銀行、
外国為替銀行、
相互銀行、
信用金庫、
信用金庫連合会、農中、商中というようなものまで及ぼし得るということにいたしておるのであり、よすが、少くとも
制度の
すべり出しの当初におきましては、こういう
制度の
運営をなるべく機動的に、しかも簡素に行い得るという
観点から、さしあたりのところといたしましては、
銀行と
長期信用銀行、
外国為替銀行というこの三つに限定をいたしまして、
対象金融機関を定めるということが適当じゃなかろうかと、こう実際の
運用の面におきましては考えておるのであります。
第二に、
対象のこれらの
金融機関の受け入れます
預金の
範囲をどの
程度にするかということでありますが、これはやはり
制度の
趣旨から考えまして、あまりこまかい区分けを
制度の
すべり出しのときは考えない、むしろ総
預金というものをとりまして、ただし
為替銀行等におきましては、
外貨預金を預かっておる
現状におきましては、相当
部分政府から
外貨預金が行われておるのでありますが、
外貨預金は
国内の
金融、
通貨には直接の
関係がございませんので、
預金からは
外貨預金を除くということが実際
制度の
運用としては望ましい、こう考えております。
それから
準備率はどういうふうに定めるかという
決定の
仕組みの問題でございますが、申すまでもなく、この
制度は
通貨信用の
調節ということが
主眼、
目的でございますので、この
準備率の
決定につきましては、
中央銀行たる
日本銀行がその主体になるということが適当であると思います。他の
通貨調節手段でありますところの
公定歩合政策あるいは
公開市場操作と相待って本
制度の
運用を行うという
意味におきまして、
日本銀行がその
運用に当って参るのが適当であると考えておるわけでございます。ただしこの
準備預金制度は、いわば
法律案ができますれば、
金融機関の
意思いかんにかかわらず、
日本銀行が
一定の
割合をきめますれば、
市中金融機関といたしましてはいわば強制的に
預金をいたさなければならないという行政権的な
色彩の強い
制度でございまするし、またこの
準備率のきめ方というのが
通貨金融政策の相当大事な問題でございまするので、
主管大臣としての
大蔵大臣の
責任を果すという
意味合いからいたしましても、
日本銀行がこの
準備率をきめるに当りましては
大蔵大臣の
認可を受けるということが適当であると考えまして、さような
法律案の
内容に相なっております。
準備率でございまするが、これは申すまでもなく、そのときそのときの
金融通貨情勢によって
日本銀行が定めるわけでございまするが、やはり
最高限は
法律上きめておく必要があると存ずるわけでございます。本案におきましては百分の十という
最高限で一応
法律上
最高限度としておるわけでございます。過去の
朝鮮事変直後の
日本の輸出が非常に伸びましたような
事例、実際の
実例等を考えてみますると、
朝鮮事変後におきましては一年間にやはり
市中金融機関の百分の十
程度の幅をもって
日本銀行の
市中銀行に対する貸し出しは動いております。そういう過去の
実例から考えまして、
最高限といたしましては百分の十、従いまして百分の十の
範囲内におきまして
日本銀行がきめる、こういうことに相なるわけでございます。ただもちろん百分の十ときめましても、そのときの
通貨情勢で、この率は慎重にきめらるべきものでありまして、今日のごとき
金融情勢におきましては、そう大幅な高い率ということは実際問題として行われない、かようにわれわれは考えておるわけでございます。
あとはきわめて技術的な点でございまするが、
市中金融機関は、
日本銀行で定めました
準備率によって
計算をいたしました
現金の
預金を
日本銀行にしておらない、月中
——この
制度の実際の
仕組みは一カ月間で区切りまして、一カ月の間に
金融機関が
日本銀行にしておる
預金と
一般大衆からとっておりまする
預金と比較いたしまして、果して十分預けておるかどうかという
計算をいたすわけでございます。預け足りない場合におきましては、
日本銀行の
商業手形の
割引歩合、現在二銭一厘でございますが、それに一銭を加えました三銭一厘のいわば
納付金を
関係金融機関から
日本銀行に出す、
日本銀行はその
納付金を国庫に納付する、これは罰金的な
色彩を持っておるものでありますが、
預金が率に達していないという場合におきましてはさような罰則的な
規定を設けた次第でございます。
以上が簡単でございますが
準備預金制度の
内容でございます。
—————————————
第二は、
預金等に係る
不当契約の
取締に関する
法律案要綱、いわゆる
導入預金の
取締りに関する
法律案の
要綱でございますが、
導入預金につきましてはもう今さらくだくだしく申し上げるまでもないのでございまするが、この
法律案におきまして
取締っていただきたいと考えておりまするのは、
金融機関に
預金等をいたしまする
預金者が
正規の
預金等に伴いまする
正規の
金利のほかに
特別の
金銭上の
利益、
裏利とか
特利とか通常申しておりまするが、そういう
特別の
金銭上の
利益を得る
目的をもちまして、
特定の
第三者と通じまして、自分の
預金を
金融機関にするから、その
金融機関から
特定の
第三者に見合いに
貸付をしてもらいたいという、いわゆる
預金と
ひもつきの
貸付が
第三者に行われる、しかもその
預金者は
正規の
金利以外に
金銭上の
利益を得る、しかもこれは申すまでもないことでありまするが、その
預金が
金融機関から
第三者に貸し付けられました
債権の
担保にならない場合
——担保になっておりますれば、期限が参りますれば、しかも
債務の返済が行われぬ場合におきましては、その
預金債務を
金融機関として免れるわけでありますから弊害はございませんが、
預金債権が
担保にならないというような場合におきましては、その
預金等をいたしました者はそういう
契約をすることができないという、
禁止をしたいという
趣旨でございます。
次のカテゴリーといたしましては、そういうふうに
預金者が直接
金融機関に、あるいは
特定の
第三者と通ずるということもあるわけでありまするが、その間に
媒介者が立っておる、
ブローカーがおるという
事例もあるわけであります。
ブローカーがあります場合におきましては、やはりその
媒介をいたします者が、
預金債権に関連をいたしまして、
預金者にやはり
特別の
金銭上の
利益を得させるという
目的で、
特定の
第三者なり、あるいは
ブローカー本人に対しまして
金融機関から金を貸す。しかもその
預金債権というものは
担保にならないという
事態におきまして、そういう
契約をしてはならない、
禁止いたしたいというのが、この
導入預金の、しかも
媒介者の、
ブローカーのある場合の
事例でございます。この場合におきましては、
法律上の
要件といたしましては、
正規の
金利以外に
特別の
金銭上の
利益を得ますのは
当該預金者であるということを念のために申し上げておきたいのであります。
媒介者が取得いたしまする
手数料の
最高限度につきましては、
資金受入れ等に関する
法律というものがありますのは御承知の
通りでありますが、その
法律をもちまして
媒介者の
手数料は別途規制されておりますので、本
法律案におきましては、
特別の
金銭上の
利益というのは、
預金者に関して、
法律上の
要件を定めておるわけでございます。かようなことで、
預金者あるいは
媒介者を取り締るわけでありますが、同時に、さような相手方となっております
金融機関も同様に、そういう事情を知っておりながら、あるいは知るべきであるにかかわらず、そういう
契約をいたすということは
金融機関も不都合でありますので、
金融機関についても
禁止規定を置きたい、かようなことでございます。こういう
禁止規定に
違反をいたしました者につきましては、他の法令上の
処罰関係との権衡も考えまして、
違反者に対しましては三年以下の懲役または三十万円以下の罰金、あるいはこれの併科ということも罰則の
内容として考えておる次第でございます。
—————————————
次に、
先ほど提案理由の
説明を
政務次官から申し上げました、
預金保障基金法案の
要綱でございますが、先ほどお聞き取りいただきましたことで
法案の
内容は尽きておると思いますが、これにつきましては、お
手元の
金融制度調査会関係資料の八十九ページに、「
預金者保護等のための
制度に関する
答申」というのが
金融制度調査会から一月二十三日に出ておるわけであります。この総論に出ておりますことは、
預金者保護等のための
制度として、以下申し上げますような
制度は必要でありますけれども、同時に十分こういう
金融機関について、こういう不始末の生じないように、
監督官庁として
事前の
監督あるいは
検査指導に遺憾ないように期すべきである。つまりこれからお聞きとりいただきますような
経営困難に陥った場合に対処するようないろいろな方策というものは、いわば
処置といたしましては適当なことでないのであって、こういう
事態に立ち至らないような
事前処置を
十分監督官庁としてはいたすべきである、ということを
答申の中に織り込みつつ、しかも今日のいろいろな
事態にかんがみまして、万一
経営困難に陥ったような場合は、この
預金保障基金でありまするとか、あるいは
経営管理でありますとか、そういうようなことはやむを得ないだろうということに、この
答申はなっておるわけであります。
なお申し落しましたが、ただいま御
説明申し上げました
導入預金の
取締りに関しましても、この今ごらんをいただいております「
預金者保護等のための
制度に関する
答申」の一番終りに、
導入預金の
取締り等ということで、ごく簡単ではございますが、最近の
事態にかんがみて、やはり
導入預金の
取締りをやったがよろしかろうという
趣旨が出ておりますので、はなはだ前後いたしましたが、御
説明を付け加えておきます。
そこで、この
預金保障基金の
法律案が成立いたしました場合の実際の姿を申し上げて参った方がむしろよろしかろうと思いますが、これは各
金融機関別にこの
預金保障基金を作るという構想でおりますが、
関係業界といろいろ打ち合せをいたしました結果、
法律といたしまして成立いたしました場合におきましては、
相互銀行に
一つ、それから
信用金庫に
一つ、こういうふうに
基金を作るという
申請が出る打ち合せになっております。そうして
基金の総額といたしましては、さしあたり各三十億、つまり
相互銀行の方に三十億、
信用金庫の方に三十億、そうしてこの三十億の
金額を大体十年間にできますように、各
関係の
金融機関から、この
法律のいわゆる
出えんをして参るということであります。そこで
出えんの
割合でありまするが、
相互銀行にいたしましても
信用金庫にいたしましても、大体概数ではなはだ恐縮でありますが、各三千億をこえますところの
預金がございますので、大体その千分の一以内ということにいたしまして、年額三億円見当の
出えん金を積み立ててもらいまして、そうしてこの
基金を十年間ぐらいに作って参りたい、三十億の
金額を積み立てて参りたい、こういうわけでございます。そこで、この
基金の設立は、もちろん強制でまございませんで
大蔵大臣に
申請をいたしまして、
認可を得て作ることになるのでありますが私どもといたしましては、この
基金が終局的には
預金者の
保護と、いう
観点から見まして、
制度のスタートが望ましい。
基金のできることが望ましい、こう考えますので、できるだけ各
業界の全員の参加を希望いたしておるわけであります。そうして
申請がございました場合に、
申請の
内容を
審査いたしまして、この
程度の
申請内容であるならば、
基金を作っても十分その
目的が達成できるという場合に限って、設立の
認可をいたす、こういう考え方をいたしておるわけでございます。さようなことでこの
基金ができ上るわけでありますが、この
基金の性格はいわゆる社団的な法人ではございません。社団的な法人でございますると、いわば出資者総会というもの、がございまして、そういう総会でいろいろ大事なことは
決定して参るということになるわけでありますが、この
基金の
目的と申しますのは、お聞き取り願っておりまするように、多分にいわば公共的なものである。しかも
一つの
基金の
目的は、
経営が困難になりましたが、金を出してやれば立ち直るという
金融機関に
再建資金を供給する、これが主たる
業務でございますが、ある
金融機関で、万一この
金融機関、がもう
再建の見込みがないという場合におきまして、この
基金の当事者、
責任当局が、
理事が、その閉鎖いたしました
金融機関の
預金者、しかも低額の
預金者に、
当該金融機関にかわって代払いをしてやることが適当であると認めました場合においては、代払いもできるという
基金の役目を
一つ課したのであります。そういうことで、この
基金の性格はいわば普通の社団の
資金を
運用していくというような観念とはだいぶ違いまして、公共的なもの、しかも場合によってはある
程度規制もこうむらざるを得ないというようなものでございますので、むしろこれは財団的なものに近いという
法律的な性格を考えております。従いまして、出資という言葉を使わないで、
出えんという言葉を使っておりますが、これも御承知のように、
信用保証協会というものの
基金が、やはり同じような
法律的性格であるということで、あえて
出えんという言葉を使っておるのも、きょうなこの
基金の性格から出たものであります。さようなわけで、多分に財団的な
色彩が強いわけでありますが、やはりこの
基金の性格から、
加入金融機関の意思というものを相当生かしてやりたい。また、できるだけそういう
加入金融機関の自主的考え方というものによって、この
基金の
運営、
管理ができるようにということで、先ほどお聞きとり願いましたように、出資者総会、
出えん者の
加入金融機関の総会というものを、いわば
基金の外に
——法律的に厳格に申し上げますならば、
基金の中ではなしに、
基金の外に
加入金融機関の総会を作るというようなことに相なっておるわけであります。そういうわけでございますので、この
基金の
運営あるいは
管理には、できるだけ自主的な
運営ができるようにということで、相当いろいろのことを
定款で
規定ができる。かようなことに
法律の
仕組みをいたしておるわけでございます。
なお、先ほど申しましたように、三十億という
基金にいたしましても、十年間もかかるということでございまして、万一その間にいろいろ
資金の必要が生じまして、積み立てた
資金では十分でないということも予想されますので、ほかの、
政府あるいは
銀行その他の
金融機関からの借り入れができる。また、
政府は
国会の議決を経た
金額の
範囲内におきまして、そういう
基金が借り入れをいたす場合におきまして
債務の保証をすることができる、
基金の
債務について保証ができるという
規定を置きまして、そういう場合の一時的な
資金のつなぎ対策ということをやって参りたい。こう考えておるわけであります。本
法律案の付則に、本年度の問題といたしましては、五十四億円を限って国庫が
債務の保証ができるという
規定を置いてございます。五十四億円と申しますのは、先ほど申しましたように、二つの
基金ができるという予定で、二十七億円ずっと、こうなります。三億円は初年度に大体
出えんによって積み立てができるということでございますので、三十億円から初年度の三億円を差し引きました二十七億円が
政府の保証
債務の
対象になっておる。かような
仕組みに相なっておるわけであります。
—————————————
次に
金融機関の
経営保全等のための
特別措置に関する
法律案要綱でございますが、実はこれは今御
説明いたしました
基金と多少の関連もあるわけでございます。と申し上げまするのは、
預金保障基金によりまして
再建資金を出すという
事態を考えてみますると、やはり
一般大衆から
預金の受け入れをいたしたものでございますので、できるだけ
金融機関自体といたしましては、
再建の可能性があるならば
再建させたい。そうして、
大衆の
預金に迷惑をかけたくないということでありますけれども、やはりそういう不始末を生ずるに至った場合、多く
経営者に
責任があるわけであります。そういうことを考えますると、
経営が困難に陥った
金融機関につきましては、
金融機関自体は存続せしめるけれども、やはり不始末のあった
経営者には
経営者としての
責任はとってもらうということが必要であろう。こういうふうに考えておるわけであります。
先ほどお聞きとりいただきましたように、第一の
内容は
経営管理ということに相なっております。そこで
経営管理を実際にどういう場合に発動すべきかということでありまするが、私どもの考え方といたしましては、かりに
経営者が適当でないという場合におきましても、やはり
役員を交替をしてもらう。そうして、任意に
役員の交替ができないという場合においては、そういう、
経営が困難に陥ってほおっておくと
預金者に迷惑をかけるという場合においては、
役員に対しまして解任命令を出すということをいたせば、多くの場合、
経営陣の刷新もできますし、
金融機関の立ち直りもできると思うのであります。たとえば、株主総会でありますとか、あるいは総代会でありますとか、いろいろの実際上の
実情から、
経営者にはかわってもらいたいが、新しい後任の
経営者が、迅速に、しかも適任者が、どうも株主総会とか、総代会にまかしておいたのでは適当な人の選任がむずかしい、あるいはおくれるというような場合におきまして、初めてこの
経営管理という、いわば強い国家の権力を背景にいたしましたようなことを発動すべきである、こういうように考えております。それからなお事柄の重大性に考えまして、あとで申し上げます
金融機関管理審議会というものを作りまして、
審議会にかけまして初めてこの
管理命令は発動するという、慎重な
手続が必要であると、こういう
法律の
内容に相なっておるわけであります。そこで具体的にどういう場合かと申しますると、
金融機関から
経営管理をやってもらいたいという
申し出があった場合、あるいは
金融機関の
業務、
財産の
状況がいちじるしく不良でございまして、その
再建のために
再建姿金の貸し付けを受けておる、あるいはこれから受ける必要があるという場合に、その
再建資金の供給をする側から
申し出があった場合、それから
申し出がありませんにいたしましても、ほおっておけば
預金者に
損害を与えるおそれがある場合ということであります。
なお申し落しましたが、この場合の
金融機関と申しますのは、
相互銀行、
信用金庫に限定するというつもりではございませんで、
銀行法に
規定いたしまする一般の
銀行、それをも含めまして、
銀行、
相互銀行、
信用金庫という三者に
適用があるわけであります。
それから、そういう
経営管理の命令を出しました場合におきましては、これはやはり
経営管理人というものを置く必要があるわけであります。これは
金融機関でありますとか、あるいは
金融に関しまして十分な知識と経験を有するという者から
大蔵大臣が選任いたすことになるわけであります。こういう
経営管理人という、いわば特殊の
法律的な立場にございますので、その
経営管理人の
法律上の地位をどうするか、どういうふうに
規定すべきか。またその権限をどういうふうに
規定いたすべきか。それから
経営管理人が漠然と
経営管理いたすのでは、もちろんその実をあげるわけに参りませんので、
再建計画を立てる必要があるわけであります。
再建計画を立てまして、はっきりした計画に基いてこの
経営管理人が
再建に当って参る。そうして、その
再建計画は、やはり
大蔵大臣の
認可を受ける必要があるということで、その
再建計画をどういうように立て、またどういうように実施して参るかというような、極めて
法律的に技術的なこまかい
内容まで立ち至りまして、この
経営管理に伴いまする
法律関係を律してございます。従いまして、この
要綱でも、はなはだごたごたいたしておりましてお見苦しいと思いまするが、そういう、きわめて技術的な
法律関係に相なっております。なお会社更生法がいわばこれに類するような
法律関係にございまするが、一言で申し上げますと、会社更生法の場合におきましては、会社に対する
第三者の権利
関係にも相当影響があるような
法律構成に相なっておりまするが、この
金融機関の
経営管理の場合におきましては、
金融機関の内部の機構をしっかり立てるということで、この
経営管理人の地位でありますとか、あるいは
再建計画というものは、しっかりしたものを作らなければなりませんが、
預金者でありますとか、あるいは
銀行との取引を有する
債務者でありますとか、そういう対
第三者の
関係は影響を与え得ないよう、内部の陣容を立て直すという点が、会社更生法と
預金保障基金法と比較的似ておりまするが、根本的に違っておる点であるということを申し添えておきます。
それから先ほどもちょっと触れましたが、
経営管理といいますのは、そういうきわめて異例の場合でございまするが、
経営の不始末になりました場合におきましては、こういう
事例も、良識ある
金融機関としてはきわめてまれな
事例でありまするが、やはり
役員の解任をいたさなければならない。しかも自発的にはなかなか急速に立て直しができないという場合におきましては、
金融機関管理審議会の議を経て
役員の解任命令ができるという道を開いていただきたい、こういうわけであります。
それから
合併等の命令でございまするが、これは先ほども申し上げましたような、たとえば
経営管理を受けておりますというようなふうに、やはり
預金者の
保護等をはかりますためには、その弱小の
金融機関に
合併等をせしめることが適当であるという場合におきましては、相手方
金融機関の合意がありまするような場合におきましては、強制的にその問題になっておりまする
金融機関に
合併の命令ができる。もちろんこれも大事なことでありまするから、
管理審議会に諮るということは当然なことであります。そういうことでありまするが、これは
提案理由でもお聞き取りいただきましたように、私どもといたしましては、あくまでも一般の
金融機関にこんなことがあるということは毛頭考えておりません。ごく例外的に、困った
事態が起りまして、いわば
経営の困難に陥りまして、
再建のためには
特別の
措置を要する、しかも放っておけば
預金者に迷惑をかけそうだという場合に、
金融機関管理審議会というものの議を経まして十分慎重にやる。従って
法律の構成にいたしましても、そういう
特別の
事態にありますところの
金融機関に対して、慎重な
手続を経て、
特別の
措置を講ずる道を開いていただきたいというのが、この
法律案の
内容でございます。一応御
説明を終ります。