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1957-05-07 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月七日(火曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員異動 四月二十七日委員宮田重文君、西田信 一君、中山壽彦君及び小柳牧衞辞任 につき、その補欠として木内四郎君、 岡崎真一君、苫米地英俊君及び小沢久 太郎君を議長において指名した。 五月六日委員高橋進太郎辞任につ き、その補欠として白川一雄君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君    委員            塩見 俊二君            田中 茂穂君            土田國太郎君            苫米地英俊君            宮澤 喜一君            天田 勝正君            大矢  正君            椿  繁夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠の互選 ○小委員会設置に関する件 ○預金保障基金法案内閣送付予備  審査) ○金融機関経営保全等のための特別  措置に関する法律案内閣送付、予  備審査) ○準備預金制度に関する法律案内閣  送付予備審査) ○預金等に係る不当契約取締に関す  る法律案内閣送付予備審査) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入るに先立って、委員異動について御報告いたします。四月二十七日付をもって宮田重文君、西田信一君、中山壽彦君小柳牧衞君が辞任木内四郎君、岡崎真一君、苫米地英俊君、小沢久太郎君が委員に選任せられ、五月六日付をもって高橋進太郎君が辞任、その補欠として白川一雄君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それではまず理事辞任に関してお諮りをいたします。本日大矢理事より、都合により本委員会理事辞任いたしたい旨の申し出がありました。右申し出通り理事辞任を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。つきましてはこの際ただいま辞任を許可いたしました大矢理事補欠及び去る四月二十六日本内理事辞任に伴い欠員となっております理事補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により成規手続を省略し、委員長指名に御一任願うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。それでは理事江田委員及び木内委員指名いたします。   —————————————
  6. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に小委員会設置に関しお諮りいたします。本委員会におきましては、従来、毎国会請願に関する小委員会を設け、審査の便をはかって参ったのでありますが、本国会におきましても小委員会を設け、審査の進捗をはかりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。よって小委員会を設けることに決しました。なお小委員の数は七名とし、小委員及び小委員長の選定は、先例によりこれを委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それでは請願に関する小委員西川委員木暮委員苫米地委員大矢委員椿委員杉山委員天坊委員。小委員長西川委員指名いたします。   —————————————
  9. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に預金保障基金法案金融機関経営保全等のための特別措置に関する法律案、以上二案を便宜一括議題として、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  10. 足立篤郎

    政府委員足立篤郎君) ただいま議題となりました預金保障基金法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、預金保障基金制度を確立し、これに経営が困難に陥った金融機関に対して再建資金を供給する等の業務を行わせることにより、預金者保護をはかることを目的としているものであります。  金融機関経営困難に陥った場合、預金者保護のためには、再建の見込がある限り、再建資金を供給する等によって、その再建をはかることが、金融機関信用維持のため適当である場合が生ずると考えられ、現に、相互銀行相互保障協定信用金庫振興預金制度など、自主的にこの種の制度を設けている業界もあるのでありますが、たまたま、最近これを発動した一、二の例についてみましても、これが決して満足なものとはいいがたい現状でありまして、再建資金供給等のための適切な制度を整備確立することが必要であると考えられるのであります。  このような理由によりまして、先般来、金融制度調査会にはかりまして制度成案を得、ここに法律案として御審議を願う運びとなったのであり、よす。  以下この法律案につき、簡単にその内容を申し上げます。  第一に、基金は、金融機関種類別に、大蔵大臣認可を受けて設立されることとなっておりますが、大蔵大臣は、この基金預金者等保護をはかるのに十分な適格性を有すると認められるときに限り、これを認可することとしております。  第二に、基金に対しては、加入金融機関が、その資金量の千分の一以下で政令で定める一定割合に相当する金額出えんすることとなっております。なお、この基金公共的性格にかんがみまして、基金に対し政府資金貸付債務保証等財政的援助をすることを考慮しております。  第三に、基金業務は、経営が困難ではあるが、再建の可能な金融機関に対し、再建のために必要な資金貸付及び債務保証をすることとなっております。なお、基金信用秩序を維持するため、必要であると判断した場合においては、支払を停止した加入金融機関に代って、その預金を弁済することもできることとなっております。  第四に、基金運営には、理事及び監事が当ることとなっておりますが、加入金融機関の意向をも尊重する建前から、加入金融機関集会を設けることができることとし、役員の選任、定款の変更、会計の決算等につき、加入金融機関の同意または承認を要するものとするとともに、これらの事項は、定款により、この加入金融機関集会にかけることとしております。  第五に、基金に対しては、法人税事業税等につき免税措置を講ずることとしております。   —————————————  次に金融機関経営保全等のための特別措置に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。  この法律案は、経営が困難に陥り再建のための特別措置を要する金融機関について、経営管理その他の経営保全のための制度を整備し、その再建の促進をはかり、もって預金者保護に資することを国内とするものであります。  民間金融機関に対する現行の監督法規は、いかにして金融機関健全経営を維持せしめるかという点に主眼をおき、一旦金融機関経営困難に陥った場合については、業務停止を命ずる等の最後的手段のみを規定しているにとどまっておりまして、こうした手段は、金融機関を倒産に追いやる公算が多いため、実際問題としては容易に発動しがたいというのが実情であります。従って、最近一、二の金融機関につきまして、一部経営者業務運営が当を得なかった等のため、経営困難を招来した事例等にもかんがみまして、この際、経営困難に陥った金融機関について何等かの方法によって経営保全措置を講じ得るような制度を整備することが適当であると考えられるに至ったのであります。  このような理由によりまして、先般金融制度調査会にはかりまして制度成案を得、ここに法律案として御審議を願う運びとなったのであります。  この法律案内容とするところは、直接には金融機関自体経営保全目的としておりますが、その趣旨は、あくまでこれによって預金者保護をはかるということにあるわけでありまして、その意味から、適用範囲国民大衆預金と密接な関係のある普通銀行相互銀行及び信用金庫といたしました。また、この制度はもっぱら経営困難に陥った金融機関対象として考えられているものであり、適用範囲内にある金融機関一般に対する適用を考えているものではありません。従って、法律の形式としましては、一般監督法規の改正の形をとることなく特別法といたしたのであります。  以下この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、業務または財産状況が著しく不良であって、放置すれば預金者損害を与えるおそれのある金融機関等について、大蔵大臣の選任する経営管理人による経営管理制度を設けることとし、これにより当該金融機関経営保全の実を挙げ得るよう所要の規定を整備いたしました。  第二に、金融機関経営は多くその経営者の適否によって左右される実情にかんがみ、業務または財産状況が著しく不良であり、放置すれば預金者損害を与えるおそれのある金融機関について、大蔵大臣がその役員改任を命じ得ることといたしました。  なお、これに関連して、改任を命ぜられた金融機関役員就職制限規定を設けるとともに、金融機関役員責任追及について、訴訟手続上の特例を設けることといたしております。  第三に、経営困難に陥った金融機関合併営業譲渡等方法によって処理することが適当な場合において、これを円滑に推進するため、大蔵大臣合併等に関して必要な措置をとり得ることといたしました。  第四に、以上に述べました諸制度運用について慎重を期するため、大蔵大臣諮問機関として少数の民間有識者委員から成る金融機関管理審議会を設けることといたしました。  以上、預金保障基金法案及び金融機関経営保全等のための特別措置に関する法律案につままして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成賜わらんことをお願いいたします。
  11. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に準備預金制度に関する法律案預金等に係る不当契約取締に関する法律案預金保障基金法案金融機関経営保全等のための特別措置に関する法律案、以上四案を便宜一括議題として、政府当局より順次内容説明を聴取いたします。
  12. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お手元金融制度調査会関係資料という印刷物を御配付申し上げてございます。これから御説明をいたしまする四つの法案は、それぞれ金融制度調査会の報告を受けて立案いたしましたものでございますので、関係資料皆さん方に、引用しながら御説明申し上げたいと思います。  第一番に準備預金制度に関する法律案でございますが、これは先回お聞き取りを願いました提案理由説明でも申し上げましたように、一般大衆から預金を取っておりまする金融機関に対しまして、その預かりました預金額一定割合現金日本銀行に預入させるという制度法律的に作りまして、その日本銀行への預入割合を、その当時の、そのときそのときの金融情勢に応じまして、その割合の調整をはかりまして、通貨金融信用の調整に充てたいというのが制度の骨子でございます。お手元のこの資料の十ページをごらんいただきますと、準備預金制度に関しまして、金融制度調査会から本年の二月二十一日にございました答申の「準備預金制度に関する答申」というものが出ておるわけであります。以下申し上げますことは、いずれもこの金融制度調査会からの、ここにございます答申をほとんどそのまま法文化したということが申し上げられると存じます。  右申し上げましたような制度でございますので、項目として申し上げたいと思いますのは、どういう金融機関対象にするかという対象金融種類が第一点の問題でございます。  第二の点は、そういう金融機関が大衆から預かっておる預金対象預金になるわけでございますが、その預金種類をどういうふうに定めるかという対象預金が第二の問題でございます。  それから、日本銀行現金によってそれらの金融機関から預金させるわけでございますから、その割合準備率というものをどういうふうにしてきめるかということが第三の問題でございます。  第一の対象金融機関の点でございまするが、法律上は、法律案の上におきましては、銀行その他の、あるいは長期信用銀行外国為替銀行相互銀行信用金庫信用金庫連合会、農中、商中というようなものまで及ぼし得るということにいたしておるのであり、よすが、少くとも制度すべり出しの当初におきましては、こういう制度運営をなるべく機動的に、しかも簡素に行い得るという観点から、さしあたりのところといたしましては、銀行長期信用銀行外国為替銀行というこの三つに限定をいたしまして、対象金融機関を定めるということが適当じゃなかろうかと、こう実際の運用の面におきましては考えておるのであります。  第二に、対象のこれらの金融機関の受け入れます預金範囲をどの程度にするかということでありますが、これはやはり制度趣旨から考えまして、あまりこまかい区分けを制度すべり出しのときは考えない、むしろ総預金というものをとりまして、ただし為替銀行等におきましては、外貨預金を預かっておる現状におきましては、相当部分政府から外貨預金が行われておるのでありますが、外貨預金国内金融通貨には直接の関係がございませんので、預金からは外貨預金を除くということが実際制度運用としては望ましい、こう考えております。  それから準備率はどういうふうに定めるかという決定の仕組みの問題でございますが、申すまでもなく、この制度通貨信用の調節ということが主眼目的でございますので、この準備率の決定につきましては、中央銀行たる日本銀行がその主体になるということが適当であると思います。他の通貨調節手段でありますところの公定歩合政策あるいは公開市場操作と相待って本制度運用を行うという意味におきまして、日本銀行がその運用に当って参るのが適当であると考えておるわけでございます。ただしこの準備預金制度は、いわば法律案ができますれば、金融機関意思いかんにかかわらず、日本銀行が一定の割合をきめますれば、市中金融機関といたしましてはいわば強制的に預金をいたさなければならないという行政権的な色彩の強い制度でございまするし、またこの準備率のきめ方というのが通貨金融政策の相当大事な問題でございまするので、主管大臣としての大蔵大臣の責任を果すという意味合いからいたしましても、日本銀行がこの準備率をきめるに当りましては大蔵大臣認可を受けるということが適当であると考えまして、さような法律案内容に相なっております。  準備率でございまするが、これは申すまでもなく、そのときそのときの金融通貨情勢によって日本銀行が定めるわけでございまするが、やはり最高限法律上きめておく必要があると存ずるわけでございます。本案におきましては百分の十という最高限で一応法律最高限度としておるわけでございます。過去の朝鮮事変直後の日本の輸出が非常に伸びましたような事例、実際の実例等を考えてみますると、朝鮮事変後におきましては一年間にやはり市中金融機関の百分の十程度の幅をもって日本銀行市中銀行に対する貸し出しは動いております。そういう過去の実例から考えまして、最高限といたしましては百分の十、従いまして百分の十の範囲内におきまして日本銀行がきめる、こういうことに相なるわけでございます。ただもちろん百分の十ときめましても、そのときの通貨情勢で、この率は慎重にきめらるべきものでありまして、今日のごとき金融情勢におきましては、そう大幅な高い率ということは実際問題として行われない、かようにわれわれは考えておるわけでございます。  あとはきわめて技術的な点でございまするが、市中金融機関は、日本銀行で定めました準備率によって計算をいたしました現金預金日本銀行にしておらない、月中——この制度の実際の仕組みは一カ月間で区切りまして、一カ月の間に金融機関日本銀行にしておる預金一般大衆からとっておりまする預金と比較いたしまして、果して十分預けておるかどうかという計算をいたすわけでございます。預け足りない場合におきましては、日本銀行商業手形割引歩合、現在二銭一厘でございますが、それに一銭を加えました三銭一厘のいわば納付金関係金融機関から日本銀行に出す、日本銀行はその納付金を国庫に納付する、これは罰金的な色彩を持っておるものでありますが、預金が率に達していないという場合におきましてはさような罰則的な規定を設けた次第でございます。  以上が簡単でございますが準備預金制度内容でございます。   —————————————  第二は、預金等に係る不当契約取締に関する法律案要綱、いわゆる導入預金取締りに関する法律案要綱でございますが、導入預金につきましてはもう今さらくだくだしく申し上げるまでもないのでございまするが、この法律案におきまして取締っていただきたいと考えておりまするのは、金融機関預金等をいたしまする預金者正規預金等に伴いまする正規金利のほかに特別金銭上の利益、裏利とか特利とか通常申しておりまするが、そういう特別金銭上の利益を得る目的をもちまして、特定第三者と通じまして、自分の預金金融機関にするから、その金融機関から特定第三者に見合いに貸付をしてもらいたいという、いわゆる預金ひもつき貸付第三者に行われる、しかもその預金者正規金利以外に金銭上の利益を得る、しかもこれは申すまでもないことでありまするが、その預金金融機関から第三者に貸し付けられました債権の担保にならない場合——担保になっておりますれば、期限が参りますれば、しかも債務の返済が行われぬ場合におきましては、その預金債務金融機関として免れるわけでありますから弊害はございませんが、預金債権担保にならないというような場合におきましては、その預金等をいたしました者はそういう契約をすることができないという、禁止をしたいという趣旨でございます。  次のカテゴリーといたしましては、そういうふうに預金者が直接金融機関に、あるいは特定第三者と通ずるということもあるわけでありまするが、その間に媒介者が立っておる、ブローカーがおるという事例もあるわけであります。ブローカーがあります場合におきましては、やはりその媒介をいたします者が、預金債権に関連をいたしまして、預金者にやはり特別金銭上の利益を得させるという目的で、特定第三者なり、あるいはブローカー本人に対しまして金融機関から金を貸す。しかもその預金債権というものは担保にならないという事態におきまして、そういう契約をしてはならない、禁止いたしたいというのが、この導入預金の、しかも媒介者の、ブローカーのある場合の事例でございます。この場合におきましては、法律上の要件といたしましては、正規金利以外に特別金銭上の利益を得ますのは当該預金者であるということを念のために申し上げておきたいのであります。媒介者が取得いたしまする手数料最高限度につきましては、資金受入れ等に関する法律というものがありますのは御承知の通りでありますが、その法律をもちまして媒介者手数料は別途規制されておりますので、本法律案におきましては、特別金銭上の利益というのは、預金者に関して、法律上の要件を定めておるわけでございます。かようなことで、預金者あるいは媒介者を取り締るわけでありますが、同時に、さような相手方となっております金融機関も同様に、そういう事情を知っておりながら、あるいは知るべきであるにかかわらず、そういう契約をいたすということは金融機関も不都合でありますので、金融機関についても禁止規定を置きたい、かようなことでございます。こういう禁止規定に違反をいたしました者につきましては、他の法令上の処罰関係との権衡も考えまして、違反者に対しましては三年以下の懲役または三十万円以下の罰金、あるいはこれの併科ということも罰則の内容として考えておる次第でございます。   —————————————  次に、先ほど提案理由説明政務次官から申し上げました、預金保障基金法案要綱でございますが、先ほどお聞き取りいただきましたことで法案内容は尽きておると思いますが、これにつきましては、お手元金融制度調査会関係資料の八十九ページに、「預金者保護等のための制度に関する答申」というのが金融制度調査会から一月二十三日に出ておるわけであります。この総論に出ておりますことは、預金者保護等のための制度として、以下申し上げますような制度は必要でありますけれども、同時に十分こういう金融機関について、こういう不始末の生じないように、監督官庁として事前の監督あるいは検査指導に遺憾ないように期すべきである。つまりこれからお聞きとりいただきますような経営困難に陥った場合に対処するようないろいろな方策というものは、いわば処置といたしましては適当なことでないのであって、こういう事態に立ち至らないような事前処置十分監督官庁としてはいたすべきである、ということを答申の中に織り込みつつ、しかも今日のいろいろな事態にかんがみまして、万一経営困難に陥ったような場合は、この預金保障基金でありまするとか、あるいは経営管理でありますとか、そういうようなことはやむを得ないだろうということに、この答申はなっておるわけであります。  なお申し落しましたが、ただいま御説明申し上げました導入預金取締りに関しましても、この今ごらんをいただいております「預金者保護等のための制度に関する答申」の一番終りに、導入預金取締り等ということで、ごく簡単ではございますが、最近の事態にかんがみて、やはり導入預金取締りをやったがよろしかろうという趣旨が出ておりますので、はなはだ前後いたしましたが、御説明を付け加えておきます。  そこで、この預金保障基金法律案が成立いたしました場合の実際の姿を申し上げて参った方がむしろよろしかろうと思いますが、これは各金融機関別にこの預金保障基金を作るという構想でおりますが、関係業界といろいろ打ち合せをいたしました結果、法律といたしまして成立いたしました場合におきましては、相互銀行に一つ、それから信用金庫に一つ、こういうふうに基金を作るという申請が出る打ち合せになっております。そうして基金の総額といたしましては、さしあたり各三十億、つまり相互銀行の方に三十億、信用金庫の方に三十億、そうしてこの三十億の金額を大体十年間にできますように、各関係金融機関から、この法律のいわゆる出えんをして参るということであります。そこで出えん割合でありまするが、相互銀行にいたしましても信用金庫にいたしましても、大体概数ではなはだ恐縮でありますが、各三千億をこえますところの預金がございますので、大体その千分の一以内ということにいたしまして、年額三億円見当の出えん金を積み立ててもらいまして、そうしてこの基金を十年間ぐらいに作って参りたい、三十億の金額を積み立てて参りたい、こういうわけでございます。そこで、この基金の設立は、もちろん強制でまございませんで大蔵大臣に申請をいたしまして、認可を得て作ることになるのでありますが私どもといたしましては、この基金が終局的には預金者保護と、いう観点から見まして、制度のスタートが望ましい。基金のできることが望ましい、こう考えますので、できるだけ各業界の全員の参加を希望いたしておるわけであります。そうして申請がございました場合に、申請の内容審査いたしまして、この程度の申請内容であるならば、基金を作っても十分その目的が達成できるという場合に限って、設立の認可をいたす、こういう考え方をいたしておるわけでございます。さようなことでこの基金ができ上るわけでありますが、この基金の性格はいわゆる社団的な法人ではございません。社団的な法人でございますると、いわば出資者総会というもの、がございまして、そういう総会でいろいろ大事なことは決定して参るということになるわけでありますが、この基金目的と申しますのは、お聞き取り願っておりまするように、多分にいわば公共的なものである。しかも一つの基金目的は、経営が困難になりましたが、金を出してやれば立ち直るという金融機関再建資金を供給する、これが主たる業務でございますが、ある金融機関で、万一この金融機関、がもう再建の見込みがないという場合におきまして、この基金の当事者、責任当局が、理事が、その閉鎖いたしました金融機関預金者、しかも低額の預金者に、当該金融機関にかわって代払いをしてやることが適当であると認めました場合においては、代払いもできるという基金の役目を一つ課したのであります。そういうことで、この基金の性格はいわば普通の社団の資金運用していくというような観念とはだいぶ違いまして、公共的なもの、しかも場合によってはある程度規制もこうむらざるを得ないというようなものでございますので、むしろこれは財団的なものに近いという法律的な性格を考えております。従いまして、出資という言葉を使わないで、出えんという言葉を使っておりますが、これも御承知のように、信用保証協会というものの基金が、やはり同じような法律的性格であるということで、あえて出えんという言葉を使っておるのも、きょうなこの基金の性格から出たものであります。さようなわけで、多分に財団的な色彩が強いわけでありますが、やはりこの基金の性格から、加入金融機関の意思というものを相当生かしてやりたい。また、できるだけそういう加入金融機関の自主的考え方というものによって、この基金運営管理ができるようにということで、先ほどお聞きとり願いましたように、出資者総会、出えん者の加入金融機関の総会というものを、いわば基金の外に——法律的に厳格に申し上げますならば、基金の中ではなしに、基金の外に加入金融機関の総会を作るというようなことに相なっておるわけであります。そういうわけでございますので、この基金運営あるいは管理には、できるだけ自主的な運営ができるようにということで、相当いろいろのことを定款規定ができる。かようなことに法律仕組みをいたしておるわけでございます。  なお、先ほど申しましたように、三十億という基金にいたしましても、十年間もかかるということでございまして、万一その間にいろいろ資金の必要が生じまして、積み立てた資金では十分でないということも予想されますので、ほかの、政府あるいは銀行その他の金融機関からの借り入れができる。また、政府国会の議決を経た金額範囲内におきまして、そういう基金が借り入れをいたす場合におきまして債務の保証をすることができる、基金債務について保証ができるという規定を置きまして、そういう場合の一時的な資金のつなぎ対策ということをやって参りたい。こう考えておるわけであります。本法律案の付則に、本年度の問題といたしましては、五十四億円を限って国庫が債務の保証ができるという規定を置いてございます。五十四億円と申しますのは、先ほど申しましたように、二つの基金ができるという予定で、二十七億円ずっと、こうなります。三億円は初年度に大体出えんによって積み立てができるということでございますので、三十億円から初年度の三億円を差し引きました二十七億円が政府の保証債務対象になっておる。かような仕組みに相なっておるわけであります。   —————————————  次に金融機関経営保全等のための特別措置に関する法律案要綱でございますが、実はこれは今御説明いたしました基金と多少の関連もあるわけでございます。と申し上げまするのは、預金保障基金によりまして再建資金を出すという事態を考えてみますると、やはり一般大衆から預金の受け入れをいたしたものでございますので、できるだけ金融機関自体といたしましては、再建の可能性があるならば再建させたい。そうして、大衆の預金に迷惑をかけたくないということでありますけれども、やはりそういう不始末を生ずるに至った場合、多く経営者に責任があるわけであります。そういうことを考えますると、経営が困難に陥った金融機関につきましては、金融機関自体は存続せしめるけれども、やはり不始末のあった経営者には経営者としての責任はとってもらうということが必要であろう。こういうふうに考えておるわけであります。  先ほどお聞きとりいただきましたように、第一の内容経営管理ということに相なっております。そこで経営管理を実際にどういう場合に発動すべきかということでありまするが、私どもの考え方といたしましては、かりに経営者が適当でないという場合におきましても、やはり役員を交替をしてもらう。そうして、任意に役員の交替ができないという場合においては、そういう、経営が困難に陥ってほおっておくと預金者に迷惑をかけるという場合においては、役員に対しまして解任命令を出すということをいたせば、多くの場合、経営陣の刷新もできますし、金融機関の立ち直りもできると思うのであります。たとえば、株主総会でありますとか、あるいは総代会でありますとか、いろいろの実際上の実情から、経営者にはかわってもらいたいが、新しい後任の経営者が、迅速に、しかも適任者が、どうも株主総会とか、総代会にまかしておいたのでは適当な人の選任がむずかしい、あるいはおくれるというような場合におきまして、初めてこの経営管理という、いわば強い国家の権力を背景にいたしましたようなことを発動すべきである、こういうように考えております。それからなお事柄の重大性に考えまして、あとで申し上げます金融機関管理審議会というものを作りまして、審議会にかけまして初めてこの管理命令は発動するという、慎重な手続が必要であると、こういう法律内容に相なっておるわけであります。そこで具体的にどういう場合かと申しますると、金融機関から経営管理をやってもらいたいという申し出があった場合、あるいは金融機関業務財産の状況がいちじるしく不良でございまして、その再建のために再建姿金の貸し付けを受けておる、あるいはこれから受ける必要があるという場合に、その再建資金の供給をする側から申し出があった場合、それから申し出がありませんにいたしましても、ほおっておけば預金者に損害を与えるおそれがある場合ということであります。  なお申し落しましたが、この場合の金融機関と申しますのは、相互銀行信用金庫に限定するというつもりではございませんで、銀行法に規定いたしまする一般の銀行、それをも含めまして、銀行相互銀行信用金庫という三者に適用があるわけであります。  それから、そういう経営管理の命令を出しました場合におきましては、これはやはり経営管理人というものを置く必要があるわけであります。これは金融機関でありますとか、あるいは金融に関しまして十分な知識と経験を有するという者から大蔵大臣が選任いたすことになるわけであります。こういう経営管理人という、いわば特殊の法律的な立場にございますので、その経営管理人法律上の地位をどうするか、どういうふうに規定すべきか。またその権限をどういうふうに規定いたすべきか。それから経営管理人が漠然と経営管理いたすのでは、もちろんその実をあげるわけに参りませんので、再建計画を立てる必要があるわけであります。再建計画を立てまして、はっきりした計画に基いてこの経営管理人再建に当って参る。そうして、その再建計画は、やはり大蔵大臣認可を受ける必要があるということで、その再建計画をどういうように立て、またどういうように実施して参るかというような、極めて法律的に技術的なこまかい内容まで立ち至りまして、この経営管理に伴いまする法律関係を律してございます。従いまして、この要綱でも、はなはだごたごたいたしておりましてお見苦しいと思いまするが、そういう、きわめて技術的な法律関係に相なっております。なお会社更生法がいわばこれに類するような法律関係にございまするが、一言で申し上げますと、会社更生法の場合におきましては、会社に対する第三者の権利関係にも相当影響があるような法律構成に相なっておりまするが、この金融機関経営管理の場合におきましては、金融機関の内部の機構をしっかり立てるということで、この経営管理人の地位でありますとか、あるいは再建計画というものは、しっかりしたものを作らなければなりませんが、預金者でありますとか、あるいは銀行との取引を有する債務者でありますとか、そういう対第三者関係は影響を与え得ないよう、内部の陣容を立て直すという点が、会社更生法と預金保障基金法と比較的似ておりまするが、根本的に違っておる点であるということを申し添えておきます。  それから先ほどもちょっと触れましたが、経営管理といいますのは、そういうきわめて異例の場合でございまするが、経営の不始末になりました場合におきましては、こういう事例も、良識ある金融機関としてはきわめてまれな事例でありまするが、やはり役員の解任をいたさなければならない。しかも自発的にはなかなか急速に立て直しができないという場合におきましては、金融機関管理審議会の議を経て役員の解任命令ができるという道を開いていただきたい、こういうわけであります。  それから合併等の命令でございまするが、これは先ほども申し上げましたような、たとえば経営管理を受けておりますというようなふうに、やはり預金者保護等をはかりますためには、その弱小の金融機関合併等をせしめることが適当であるという場合におきましては、相手方金融機関の合意がありまするような場合におきましては、強制的にその問題になっておりまする金融機関に合併の命令ができる。もちろんこれも大事なことでありまするから、管理審議会に諮るということは当然なことであります。そういうことでありまするが、これは提案理由でもお聞き取りいただきましたように、私どもといたしましては、あくまでも一般の金融機関にこんなことがあるということは毛頭考えておりません。ごく例外的に、困った事態が起りまして、いわば経営の困難に陥りまして、再建のためには特別措置を要する、しかも放っておけば預金者に迷惑をかけそうだという場合に、金融機関管理審議会というものの議を経まして十分慎重にやる。従って法律の構成にいたしましても、そういう特別事態にありますところの金融機関に対して、慎重な手続を経て、特別措置を講ずる道を開いていただきたいというのが、この法律案内容でございます。一応御説明を終ります。
  13. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 以上四つの案の質疑は都合により後日に譲ります。   —————————————
  14. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題として、事務当局より補足説明を聴取いたします。
  15. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お手元日本輸出入銀行業務概況というプリントを差し出してございます。現行法律と御審議をお願いいたしておりまする法律案との対照につきましては、前回の委員会で御説明を申し上げましたので、きょうはもっぱらこの日本輸出入銀行業務現状から見まして、お願いをいたしておりまする改正法律案内容はどの程度のウエイトと申しますか、関係を持つのかということを、計数的な観点からごらんをいただきたいと思いまするのが、きょう御説明をきせていただきまする要旨でございます。  このプリントの十ページをお開きいただきたいと存じます。ここは日本輸出入銀行が昭和二十五年に開行いたしましてから本年の三月三十一日までの累計といんしまして、どういう融資状況であるかということであります。これは輸出入銀行が開行以来今日まで融資をしようという承諾をいたしました全額の累計でございます。ごらんをいただきたいと思いまするのは、まず合計の欄でございまするが、千九百二十七億八千五百万円というのが、今日までの融資承諾額の累計でございます。このうち日本からのブラント類の輸出に伴いまする融資の承諾の合計額は、輸出という欄がございまして、千九百七億八千九百万円ということでございまして、今ごらんいただきました合計の千九百二十七億のうち実に九九%、その下の欄のパーセンテージで九九とあげてございますが、全体の融資承諾額の九九%は、この輸出に伴いまするところの融資承諾額ででございます。なおまた千九百七億円の輸出の承諾額のうち、一番左の欄をごらんいただきますと、船舶という欄がございます。日本からの輸出のこの千九百七億のうちの千三百三十四億、これは船舶輸出に伴いまするところの輸出入銀行の承諾額でございまして、全体の一〇〇%の六九・二%が船舶の輸出であるのでございます。つまり輸出入銀行は千九百二十七億の融資承諾がございますが、もう九九%までは輸出であり、そのうち約七割は船舶の輸出であるというのがこの実態でございます。なおまたこの船舶の欄をごらんいただきますると、中南米あるいはアフリカというのが船舶輸出の仕向地の大手筋でございまして、アフリカは申すまでもなくリベリア共和国、まあ、あすこの資本が相当米国系の資本が有力であるということは御承知の通りでありまするが、こういうようなところが船舶輸出のしかも大手筋であるという表でございます。  なお、ついでをもって恐縮でありますが、その次をめぐっていただきますと、十一ページには、今ごらんをいただきました千九百二十七億の融資の累計が年度別に見るとどういうことに相なっておるか、つまり二十五年から開行いたしまして二十七年の末までは百九十四億の融資承諾ということで、あまり伸びなかったのでありますが、二十九年度ぐらいから伸び始めまして、二十年度六百十二億、三十一年度五百八十億、最近におきまして輸出の承諾もふえるという年度別、しかも、また品目別にごらんをいただきたいという表でございます。  その次に十二ページで、これは年度別に、しかも仕向地別にこれをごらんをいただきたいということでございます。時間があまりありませんので、一応説明を省略させていただきますが、そういう表でございます。  それから十三ページ、これはやはり品目別に、しかも年度別に、特に大口の輸出金融を分けてみるとどうなるかという表でございます。そこで、先ほど申し上げましたように九九%までは輸出でございますけれども、海外投資ということも若干はあるわけでありまして、それは一体どういう内容のものであるのかというのがこの十四ページの欄でございます。つまり輸銀が開行以来十八億六千六百万の融資承諾をいたしておるわけでございます。輸銀の融資承諾のほかに、もちろん企業といたしましては、自己資本あるいはその他の金融機関から調達をいたしました資金があるわけでありますので、投資の金額といたしましては、左の欄の三十一億でございますが、十八億六千六百万の投資についての輸銀の承諾があるわけであります。それを個々に……、これを十六件しかございませんので、品目別——1品日別と申しますよりは、投資の事業別それから相手国別に掲げましたものが、その下の品目別相手国別内訳という欄でございます。これによりまして輸銀が開行以来承諾をいたしました海外投資はどういうようなものがあるのかということは、この表で  ごらんをいただきたい、こう思うわけでございます。  その次に海外資源開発金融、これはちょっと角度を変えまして、海外の資源を開発いたします場合におきましては、日本からブラント輸出の形で輸出が行われる場合もございますし、それから今ごらんをいただきましたような海外投資——合弁事業に対して日本から投資をするという、合弁事業の形で出て参りますこともございますし、それから日本の会社あるいは日本人が海外で自分の名前において事業をいたす——合弁形態をとらないという海外事業という形があるわけでありますが、それらを通じまして、いわゆる海外資源の開発金融はどれくらい行われておるかというのが、その次の表でございまして、この表でごらんいただきますように、融資の承諾額といたしましては二十六億ある。投資よりは若干ブラントその他が上回るわけであります。それは一体どういうものがあるのかという細目表が、その次の十六ページに付けてあります表でございます。  以上申し上げましたように、現在まで輸銀の業務は、圧倒的大部分が輸出でございますが、今度法律案をもってお願いをいたしておりまするのは、たとえば例示的に申し上げますと、こういうブラントの輸出と付加一体的に日本技術が輸出せられるという場合におきましては、現在融資の対象になっておるのでありますが、最近、まだこれはもちろん商談が成立しておるというわけじゃございませんが、東南アジア方面の国では、たとえば現地に水力発電を興したい。日本の技術者に来てもらって調査とか設計をしてもらいたいというような話があるわけであります。調査、設計をいたしました場合に、そのあと果して日本からの機械とかあるいはプラント類の輸出が伴いますかどうか、これは設計ができて今後の問題でありまして、見当はつかないわけでありますが、ともかくあとの機械、設備類は別として、この際としては、日本人の技術者に来てもらって、調査設計をしてもらたいという実例があるわけであります。そういう場合には、やはり水力発電でございますので、相当長期の、向うといたしましては延べ払いでやりたいという事例があるわけでありますが、現在の輸出入銀行法では、どうもプラント輸出を現在において伴わないという場合におきましては融資の対象にならないということになっております。それでは不便でございますので、調査、設計だけをとりあえずやる、あとのことはわからないが、調査、設計だけをやってやるという場合におきましても、輸銀から必要によっては融資ができるという道を開いておいていただきたいというのが、御説明申し上げましたような技術の輸出の場合だけでも輸銀の融資対象にしていただきたい、こういう事例でございます。  それからお願いいたしておりまする第二の事例として申し上げて参りますると、たとえば今ブラジルで鉄鋼業、製鉄事業をやりたいというような、いわゆるミナスの製鉄事業というような計画があるわけでありますが、これを日本側としてはどういうふうに協力をすべきか、これは今後の話し合いの問題でございますが、考えられる一つの形といたしましては、日本にありまする複数の会社がやはりそれに参加すべきである。しかし、ばらばらにやったのではうまくいかないという場合に、日本に投資会社を作りまして、対外的にはその投資会社が、トンネルと申しますか、一つの会社として現地には臨む。しかしその投資会社には、内地のメーカーなり、いろいろのものが出資をいたしましてこの投資会社ができるわけでありますが、そういうふうに投資会社に対して出資をいたしまする資金につきましても輸銀が融資の道をあけるようにしていただきたい。現在海外投資について輸銀の融資の対象となりますのは、日本のプラント輸出を伴います場合あるいは日本が輸入をいたします場合の市場が有利に転換ができる場合というように、海外投資の場合を限定いたしております。今申し上げましたような製鉄会社の資金というようなことでございますと、どうもそのいずれにも必ずしも明確に該当しがたい。しかしやはりいろいろの観点から考えまして海外投資が適当であるという労働におきましては、そういう内地の投資会社に対する出資資金も輸銀の対象にしていただきたいというのが一つ事例でございます。それからなお海外投資の一つ事例といたしましては、たとえば東南アジア方面におきまして合弁会社をやるという場合におきまして、先方では日本の株の持ち分が五〇%をこえるというようなことは、先方の民族感情と申しますか、感情からして、やはり日本の株の持ち分は半数以下ということを要望する事例が多いことは、御承知の通りでございますが、ところがいよいよ合弁事業をやるというような場合におきまして、向うの株主側において株の払い込み資金の調達がすぐにできないというような事例もあるわけであります。そういう場合には、日本の出資者が相手方の株主の払い込み資金を一時融資してやるということも実際問題として考えられるわけであります。そういう場合におきましても、輸銀が国内のそういう出資者に対しましてそういう資金の融資ができるというような道もお開き願いたい、こういうふうに考えるわけであります。  それから、これからいろいろと経済協力関係の話が進んで参りますと、海外におきましていろいろの開発事業が行われる。その開発事業の一方の当事者は、政府自体あるいは地方公共団体あるいは外国の政府関係機関があるわけでありますが、そういう場合に、その開発をせられました資源の大部分が日本に来る。しかもその開発をするにつきまして、その設備資材というものが相当部分が日本からの輸出を伴うというように、はっきりいたしました場合におきましては、輸銀が直接その外国の政府あるいは外国の地方公共団体あるいは外国の政府関係機関というものに対しまして融資ができるという道をやはりお開き願う方が、今後の経済協力関係のために妥当であるというふうな考え方をいたしているわけであります。  以上が大体海外投資関係でありますが、右に申し上げましたように、輸銀の現状からいたしますと一%未満のものでありまして、非常に大げさに聞えるかも存じませんが、業務自体としてはきわめてウエートの軽い問題でありまするが、今後の事態を考えますると、そういう投資の場合にそういういろいろの事態に応じ得るような道をお開きいただきたいということでございます。  その次は、輸銀の貸付金の償還期限の問題でございますが、現行制度におきましては、輸出入金融は五年、海外投資金融は十年という原則を立てまして、その原則によりがたいものはおのおの五年まで延長できるということに相なっております。最近起っている事例といたしまして、アラスカ・パルプの事例がございます。アラスカ・バルブは、申すまでもなくアラスカで山を拓きまして木を切ってパルプを作って日本に持ってくる。現地でももちろんパルプを売りますが、そういう構想でございますが、この事業資金を一部、一千万ドルないし千二百万ドルをニューヨーク市場におきまして調達したいということで、ただいま会社側で努力いたしているわけであります。ニューヨークで起債ができますためには輸出入銀行の保証が必要でございます。つまり会社が金を借りますが、日本の輸出入銀行がその債務の保証をしてもらいたいということを先方が申しているわけでありまするが、そういう調達資金の保証ということは、これはやはり事業が適当であるならば輸銀の業務として適当であると思うのでありますが、そういう事例におきましては、十年間とかあるいは例外的に十五年というように期限を限定いたしておきますことは、その外国におけるそういう起債との関係でかえって実は日本の立場を悪くすると申しますか、もう少し長い金を借りたいというときに実は不便であるというようなこともございますので、この際、償還期限の輸出入金融五年、海外投資十年という原則はあくまで原則でございますが、例外的にやむを得ない場合におきましては、必ずしも五年ということに拘泥することがないというように伸縮性をもたしていただきたいというのが、償還期限に関します今度の法律案内容になっております。  なお、はなはだ蛇足でございますが、以上の道をお開き願いましても、輸出入銀行は現在まで業務運営はきわめて堅実に経営が行われておりますし、制度をお開き願っても乱に流れることのないように、輸銀当局者といたしましても従来通り経営に当って参りたいというつもりでおりますし、また私どもとしましても十分その辺につきましては配意をいたして参りたいと思っております。  なお、今申し上げましたようなことで、相当今後いろいろな輸銀の業務もだんだんと繁忙を加えて参るということが予想されます。現在輸出入銀行の陣容は総裁一名、副総裁一名、理事五名ということになっておりますが、そういうことでございますので、この際、理事二名の定員の増加をお願い申し上げたい。開銀が理事七名ということになっておりますが、さような観点から考えまして、二名の増員をお願いいたすことは決して多過ぎることはないであろうということで、定員の増加も、はなはだこまかい問題でありまするが、お願い申し上げたいということも、あわせて付け加えて申し上げたいと思います。以上であります。
  16. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。
  17. 天田勝正

    ○天田勝正君 こまかい問題からお伺いしますが、一番最後の説明にありました理事の定員をふやす。それは開銀との比較においてむしろ少な過ぎるからという意味だったと思います。ところが、その開銀の比較などよりも、一体輸出入銀行それ自体としては、今の定員で足りないのか足りるのか、こういうことについては説明がなかったわけなんです。開銀の方が七名ならば、それがむしろ用がなければ、そっちを減らした方がいいという議論になるのであって、これは一体どうしてここへ理事を二名加えなければならぬのですか。私らは大体副総裁などというものも全く無用の長物だとさえ考えておる。総裁が何ならば、定款変更で理事の、だれかが代ればいいということでもいいのであって、むだな人員を配置する必要はないと思うのですが、輸出入銀行としては、どうしても理事という形で、つまり役員という形で二名ふやさなければ仕事が差しつかえがあるのですか。
  18. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 私の御説明がまずうございまして申しわけございが、開発銀行は現在理事七名になっておりまするが、現在の役員の定員をもっていたしましても手一ばいの仕事をいたしておるというのが実は開発銀行業務実情でございます。なお、輸銀の問題でございます。輸出入銀行は、いろいろ事柄の性質上、対外的な話し合いも多うございますし、また外国関係状況を相当的確に把握いたしておる、また取引条件その他にいたしましても、刻々に海外の金利情勢がどうなっておるか、また諸外国の延べ払い、諸外国はどういうような条件を出しておるか、これはもちろん商社でありまするとか、あるいは一般の金融機関等におきましても、そういう情報を集めておるわけでありまするけれども、やはり政府関係機関といたしまして、相当プラント輸出に大事な役割を占めております輸銀といたしましては、そういう対外的ないろいろな関係あるいは情勢の把握ということには力をいたさなければならないわけでありまして、また今後、日本の対外的な経済協力というような問題がだんだんと重要性を加えて参ると思うわけでありまするが、そういう場合におきましては、従来とはまた変った、新らしいと申しますか、というような部門も出て参りまするし、ただいままで五人の役員でもってはなはだ手一ぱいの仕事をいたしておったという現状から考えまして、開銀の比較とか何とかいうことでございませんで、輸銀自体の業務実情から判断をいたしまして、この程度の増員はぜひお願いいたしたいというふうに考えております。
  19. 天田勝正

    ○天田勝正君 私がこのことを一番先に聞いたのは、実はここへ新聞を持ってきていませんが、たしか十数日前の新聞だと思いましたが、それによりますと、今回国会明けに大蔵省の次官初め勇退及びその行き先きということが、言葉が悪いですが、ちゃんと出ておった。そうして開発銀行へ幾ら配給する、どこへ幾ら配給する、専売公社へだれがどうなっておる——全部名前は忘れました。まあ必要ならば取り寄せてきますけれども、とにかくそういうわけで、実にこの法律は、今われわれが審議を始めているわけだが、その前にちゃんと、こういう理事のいすも、もうあてはまっちゃっているのですね、大蔵省の方で。およそ不可解至極の話なんです。それで私はもう、この各役所とも外郭団体というのは根本的にこれは考え直さなければならないと考えておるわけですが、大蔵省関係の、輸銀にしても開銀にしても、その他の外郭団体という言葉が当るかどうか知りませんが、とにかく初めは外郭団体としてでなしに法律は通るのだけれども、結果においては、大蔵省におった人がどうも主要な役職についてしまう、こういうことなんです。農林省だったらみんな農林省の上の方にいた人がその外郭団体の主要な長につく、こういうわけなんですね。そこで私は聞きたいのは、今開銀とか輸銀とかあるいはその他の外郭団体と通称されるものの役職の前歴、そういうものを一つ全部ここへお示し願いたいのです。
  20. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 今手元資料を持ち合せておりませんが、輸出入銀行につきまして、私の記憶で申し上げますと、総裁は日本銀行出身でございます。日本銀行理事をいたしており、ました方が総裁になっておられます。輸出入銀行の副総裁も同様、日本銀行理事をしておられた方が出ております。それから理事五名でございまするが、一名は元の正金銀行におりました為替関係の専門家の方が理事でございます。それからいま一名は、興業銀行に長く勤務いたしておりまして、いわば日本の実際の産業金融のエキスパートが出ておられます。いま一名は、やはり日本銀行の外国為替関係をやっておられた方が理事としてございます。輸出入銀行につきましてはさようなことに相なっております。
  21. 天田勝正

    ○天田勝正君 ほかの分については後ほど一つ御提出を賜わりたいと思います。  それから、さっき冒頭の御説明で、融資の承諾額のうちの大部分は、一千九百七億円というものは輸出関係の承諾分だ、こういうことですが、そうすると自然に残りは輸入関係、こういうふうに推定されますが、わが国の現在において、輸入するものでも、かような特別の融資をしなければならないというものがあるとすれば、どういうものでしょうか。
  22. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 輸入の場合は、申すまでもなく、普通もうこれは商業ベースでいくわけでありまするが、外国の資源を開発いたしまして、日本にその品物を持って参るという場合に、前払いをいたしまして、そして、その実際問題といたしましては、資源の開発資金に充てられるといういわば前払いの長期の輸入資金というものでありまして、実質的のいわば資源の開発資金というものが多いというふうにお考えいただきたいと思います。短期の輸入資金につきましてはもちろん輸出入銀行は関与いたしません。
  23. 天田勝正

    ○天田勝正君 具体的例は、どこのどういうものでしょうか。
  24. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) たとえば、仏領ニューカレドニアにおきまして、ニッケル鉱石の採掘をいたしまして日本に持って参っておりますが、この場合には、今申しました輸入の前払資金といたしまして、開発銀行から、金額は僅か四千四百万円の融資の残高でありますが、かようなのがございます。
  25. 天田勝正

    ○天田勝正君 第一点の技術提携の改正は、まことに今の国際情勢からすればけっこうな改正だと私ども思いますが、現在予定されておるものはどういう所との技術提携ですか。
  26. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) はなはだ具体的な事例でございますので、申し上げにくい面もありますし、それからお話を申し上げても商売の関係でありますから、うまくいかなかったじゃないかという、おしかりがあるかもしれませんが、私どもの聞いておりますところでは、ビルマで水力発電の調査設計をしたいという話が参っておるというように承知しております。またベトナムあたりでもさような計画があるやに聞き及んでおります。
  27. 天田勝正

    ○天田勝正君 中近東と通称言われておるところは、要するに両陣営の入り乱れたような角逐の場といってもいいくらいの状態になっておりますが、ああいう所に対する技術提携などは目下のところ何ら計画はございませんか。
  28. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) まだこの席で申し上げるほどの具体的なものは聞いておりません。
  29. 天田勝正

    ○天田勝正君 通商の関係を深く言いますと、これは通産関係になるでしょうから、またあらためてそういう人に出ていただいて御質問いたします。  この改正の第五点、借入金と、それから債務保証の限度を改める、こういうことであります。この借入金と債務保証の合計額が自己資本額以内であった、今までそうであったわけです。ところが、今度これを、借入金については自己資本の二倍とするし、貸付債務保証の合計額は自己資本と借入金の限度額の合計額以内、こういうことに直すというわけです。そこで、今までに制限のあった借入金及び債務保証で現実に非常に支障があったという事態が生じたのですか。
  30. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 今まではお話の通りに借入金は自己資本ということになっておるわけでありまするが、本年度の財政投融資のところでも御審議いただきましたように、ことしは、いわゆる出資はございませんで、資金運用部からの借り入れで参るわけでございます。そういう状況でありますので、この際といたしまして、やはりこの借入金の限度を自己資本の二倍というふうにお改め願っておくことが必要である。計数的に申し上げますと、本年度末におきまして、現在のように自己資本そのものということにいたしておきますると、約四十五億くらい不足を生じて参るおそれがありますというふうに考えておるわけであります。  それから後段の点でございますが、貸付債務保証の合計額が自己資本と借入金の合計額の限度を超えないということは、実は今申し上げましたことのうらはらになりまして、こういうふうに借入金の限度を自己資本の二倍というふうに拡張を願うということでありますれば、積極的な貸付なり債権、あるいは将来債権になり得ますところの潜在的な債務保証というものの合計額がこの自己資本と借入金との合計を超えるというような、つまり、自分の資力を超えた運用というものはやるべきでないだろうというふうに考えるわけでありまして、まあ直接の関係はございませんが、前段との関連において、こういうかんぬきと申しますか、限度を確立しておくことが適当であろう、こういう考え方でございます。
  31. 天田勝正

    ○天田勝正君 これはまあ前段と後段とは、前段がきまれば後段もきまってくるという関係ですから、問題は前段のところなんですが、借入金の限度額というものが、食管特別会計であるとか、ああいう特別会計のものならば、一々本国会に承認を求めて法律改正という形もとるわけですが、これは限度額をずっと幅広くしますと、あとはそのランクで自由操作ができる、こういうことになるわけで、そこで私としては、一挙にこう倍にしないで、何かそこにやはりワクを——これだってワクはワクですが、小刻みのワクというか、そういうふうに徐々にやっていった方がいいんではないかという気がするのです。特段の根拠があるわけではありません。しかし、それはどうしても一挙に倍にしなければならない御説明があれば、別にこれにこだわるつもりはないのですけれども、どうしてもこの点、倍にしなければ不都合ですかね。
  32. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) この点が、従来の輸銀の業務の実際の運営の仕方をごらんいただきますと、私からこういうことを申し上げますのは手前みそに聞こえて非常にお聞き苦しいと思いますが、ほんとのビジネス・ベースで輸銀の業務運営というものは実は手がたく行われておるわけでありまして、自己資本の二倍ということにしておいていただきますと、一見どうも野放図になるのじゃないかとお感じになるかもしれませんが、やはりある程度幅をちょうだいをいたしまして、いろいろの国際情勢に応じまして、輸銀といたしまして資金の調達を必要とするということが出て参るわけであります。そういう場合に一般会計からの出資はいろいろな状況から困難であるということでございますと、勢いこれは借入金によらざるを得ないということになりますので、自己資本の現在倍、自己資本の増額でございますが、これを二倍という程度でございますれば、従来の輸銀の業務の執行の実情また預金というものの性格から、相当国際的な幅を持たしていただくことが望ましいという観点から、御了承賜わればありがたい、こう存ずるわけでございます。
  33. 天田勝正

    ○天田勝正君 別段これは反対の意味で質問申し上げているものではございませんけれども、問題は要するにその融資力いかんということにかかってくると思うんです。さっき融資の承諾額の説明を聞いたんですが、今現在——今現在という時点もいろいろあるけれども、年間野放しといいますか、にしておいて、融資希望をそのままとるとすれば、どのくらいその融資希望があるものですか、融資希望の年間の総額。
  34. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 三十二年度といたしまして、融資承諾額でなくて現実の貸し出しの見込みと申しますか、これは六百九十二億円を一応見込んでおります。
  35. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは申し込みでなく、輸出入業者からの申し込みということでなく、資金量がそうだということですか。
  36. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) もちろん業者からの申し込みでございませんので、通産省あたりもいろいろとプラント輸出の計画の見込額を持っております。そういう役所側から見ましたこの程度は要るだろうという実際の資金の所要額でございます。融資承諾額ではございません。
  37. 大矢正

    大矢正君 この中共、ソ連、俗にいう共産圏との貿易についても、やはり輸出入銀行では金を貸すのですか。
  38. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 法制的には別に制限はございません。それから実際そういうものがあるかというお尋ねでございますれば、ただいまのところはございません。
  39. 大矢正

    大矢正君 法律的にまさか中共貿易だからこれには金を貸してはいかぬ、ソ連貿易だからいかぬ、ということは、もちろん法律の建前からあるべきではないと思いますが、実際の姿として、中共貿易ないしソ連、特に東欧諸国との貿易も最近活発になってきたにもかかわらず、輸出入銀行からの資金貸付ということがいまだにないということは、これは一体何に起因しているのでしょうかね。
  40. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 言うまでもなく、輸出入銀行の立場というものは、実はあくまでも受け身の立場でありまして、プラント輸出が民間で商売ができた、そうして自己資本ではこれだけしか調達できない、その他の残りについてはぜひ輸出入銀行から金融を受けたい、その申し込みを受けまして、その業者の申し出通り資金が不足しておって輸銀として融資すべきかどうか、という審査を十分いたしまして、そうして初めて、しかもそのうちの何割か、六・四とか七・三とかいろいろありますけれども、一定部分を民間の金融機関で持って、残りを輸出入銀行が持つというふうに、何段階かステップをつけて輸銀の融資をするのであります。あくまでも民間においてそういう商売取引ができるということが前提でございます。今までのところ、これらの中共、ソビエトではございませんけれども、比較的それに近いところとしては——近いかどうか知りませんけれども、ユーゴスラビアでは相当大きなプラントをやっていることは御承知の通りでございますが、とにかく既存の商取引があったかなかったかということが問題でありまして、輸銀としてはそれを受けてあくまでいくというのが建前でありまして、私は今までのところは、そういう現実の、そういう長い取引というものがないということが原因であろうと、こう考えております。
  41. 大矢正

    大矢正君 プラントを伴った場合のときはこれは問題がないのですが、一応それはそれで伏せて、かりに今度新しく……今までも投資金融というのは行われておりますけれども、特に今度窓口が広がり、中共なんかのように、何といいますか、国交と申しますか、そういうものが回復をしていない場合は別でありますけれども、ソビエトがまさか日本に金を貸してくれということもあり得ないと思うけれども、それ以外のすでに国交回復しつつあるような現状の一かりに俗な言葉でいうと共産圏には、投資金融や事業金融というものが行うことができるのかどうか、その点ちょっとお尋ねしてみたいと思います。
  42. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 法律的にはできるわけであります。現実問題は、現実のビジネスの問題としてそういうことがあるかどうか、というところに問題がかかって参ると思います。
  43. 大矢正

    大矢正君 結局プラントを伴う、いわゆる輸出金融の場合は銀行との協調融資がこれは原則ですがね。それからまあ銀行が金を貸すくらいだから輸出入銀行が金を貸したって間違いないだろうということがそこから出てくると思いますけれども、実際に海外の投資金融や事業金融というものはこれは協調融資というものが伴わない。いうならば輸出入銀行単独で行わなきゃならぬいわゆる金融だと、こう私は思うのですが、そうでない場合もあるでしょうけれども、大部分はそういうことになってくると思う。そこでまた逆戻りするようですけれども、先ほどのあなたの説明を聞くと、法律的にはかりに共産圏に対して取引のされる内容についても輸出金融は認めるのだ、しかし実際的には、それじゃそういうところに対して銀行の協調融資というものが得られるかどうかということになると、なかなかこれは今の情勢ですから、もちろん得られてやっているところもあるでありましょうけれども、非常に少いじゃないか、圧迫をされるというか押えられるというか、そういうことになってくると私は思うのですが、協調融資ということを原則にして、それがなければ輸出入銀行は金を出さないのだということにこだわっておると、非常に対共産圏との貿易の面では伸び悩みをむしろ金融の面から来たす危険性があるのではないか、この際もしそういう資格要件に欠けるものが、それは業務方法書の内容によってか何かは別として、資格要件に欠けるものがあるならば、積極的にむしろ大蔵省としてはバックアップをして、ますます今の共産圏との貿易も拡大をするという方向に努力をしてやることが妥当ではないかと、私はそう思うのですが、これは政治的なことかどうか、そう解釈をされる面もありますけれども、いかがでしょうか、そういう考え方については……。
  44. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 私、先ほど申し上げましたのをちょっと訂正させていただきたいのですが、ソ連の関係で船舶の修理をいたしまして、その代金が延べ払いになりまして、それに対して輸銀が融資をいたした実例がございますので、実例がないと申し上げましたのは、その点ちょっと訂正させていただきます。  それから投資金融にいたしましても、あるいは輸出金融にいたしましても、私どもの考え方からいたしますると、あるいは銀行家の考え方からいたしますと、実は円金融でございますので、国内で金を貸す場合、一体償還能力があるか、担保があるかという問題は、いわば国内担保物件で判断いたすわけであります。輸銀は決して政治金融をやりませんので、非常に手がたい金融をいたしておりますから、ここに借りたいという意図が、国内的に信用があるか、それから担保の場合は、一体国内に融資の担保としての価値のある物件があるか、ということから判断いたしております。私どもの考え方からいたしますと、これが共産圏であるから優先的に考えるとか、あるいはこれは共産圏であるから優先的な順位を落して考えるという考え方をすべきじゃなくて、やはり基本的な商取引というものが成立をする。その商取引というものは、どこから見てもりっぱな取引だ、そうして国内的には輸銀の融資の担保としてりっぱなものがあるということであるならば、平等な立場においてビジネスの問題として輸出入銀行はやるべきだ、私はそう考えます。
  45. 大矢正

    大矢正君 きのうちょっとお願いしておいたのですが、外資の導入という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、世界銀行からの借款の内容、条件、それからそれ以外に、世界銀行以外の民間を含めた外資が日本に入ってくる場合の条件の資料をいただきたいということを申し上げておいたのですが、それはどうなっておりますか。
  46. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 実は非公式にごらんいただこうかと思っておりましたが、委員会の御質問でございますので、概略だけちょっと申し上げてみますと、現在までに……十二月三十一日現在を便宜とりますと、世界銀行からは合計七千七百九十万ドルの借入金と申しますか、外資導入と申しますか、それが七千七百九十万ドルでございます。条件はいろいろでございますが、四%四分の三から五%までいろいろでございます。それから期間は十二年から二十年というようなことになっております。数日ございます。それからワシントン輸出入銀行でございますが、これは電力関係の火力発電設備の借り入れがございまして、この金額は一千七百四十二万八千ドルでございます。条件は年五分でございまして、期間は十九年二カ月、以上がいわば政府——政府という言葉は悪いのでございますが、純民間以外の相手方でございますが、一般の借入金といたしましては相当数まとめてございますが、一億五千七百万ドルということになっております。これば相手方は主にアメリカの市中銀行でございまして、やはり利率は四分から大体六分、それから期間は三年ないし五年というようなことでございまして、その金額は先ほど申しましたように一億五千七百万、従いまして世銀の七千七百九十万、ワシントン輸出入銀行の千七百四十万その他の一億五千七百万、合せますると二億五千二百万ドルというのが昨年までの実績でございます。あと詳細は別途ごらんいただきます。
  47. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 きょうはこの程度にしていただいて、残余の質疑は明後日続行されるように要望いたします。
  48. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 本案の質疑は本日はこの程度にとどめ、本日は散会いたします。    午後三時九分散会