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説明員(山下武利君)
関税法の一部を改正する
法律案につきまして、さきに提案の際申し述べました提案
理由説明に補足して御
説明を申し上げます。
この法案は、最近におきます関税犯則事件の状況等にかんがみまして所要の規制を加え、
関税法の施行を容易ならしめるために、同法の一部を改正しようとするものであります。主な数カ条につきまして簡単に御
説明を申し上げます。
まず第十五条でありますが、現行法では、外国貿易船または外国貿易機が開港に入港したときには、入港届の提出その他所要の入港
手続が
義務づけられておりますが、その他の船舶または航空機で本邦と外国との間を往来するものにつきましては、何らの入港
手続をしないでいいことになっております。しかしながらこれらの船舶または航空機につきましては、関税定率法によって外国貿易船などと同じように、船用品または機用品の免税が認められており、また乗組員などが外国で購入した物品を輸入する場合がありますので、これに対する
関税法上の取締りのために必要最小限度の
手続として開港へのへ港の際には、入港届けの提出を必要とするということにいたしたのであります。
次に第二十四条でありますが、本邦と外国との間を往来する船舶または航空機との間の交通につきまして、貨物の輸出入の取締りの見地から、税関におきましては所要の規制を行う必要があるわけでありますが、現行法におきましては、単に交通の場所のみが制限されており、税関はそれ以上制限を加えることができない実情にあります。しかるに最近外国往来船に出かけて外国産品の不正買出しを行い、その他船員などに金を払って不正輸入をしようとするなどの
事例が少くない傾向にありますので、この際、
関税法上の成規の
手続を経ない貨物の授受を目的とする外国往来船への交通につきまして、税関長の許可を要することといたしました。ただしこの交通をしようとするものが、
関税法その他貨物の輸出入に関して罰則の定めのある法令に違反して間もないものであるなど、いわゆるこの違反のおそれの多い
特定の場合には、税関長はそれを許可しないでもよいということにいたしまして、密輸取締りの確実を期そうとするものであります。
次に、三十一条でありますが、現行法におきましては保税地域に貨物を入れ、またはこれから貨物を出そうという場合には、その貨物が外国貨物輸入の許可を受けた貨物または輸出しようとする貨物である場合に限って税関に届け出をすることになっており、これ以外の
一般の内国貨物の出し入れば自由になっております。しかるに最近に至りまして、このことを悪用いたしまして、保税地域内において輸出の許可を受けた貨物と
一般の内国貨物とをすり変えまして、架空の輸出実績によって輸入原料の割当を受けるといったような違反事件が少なからず
発生するに至りましたので、改正案におきましては、臨港地区にある保税地域などで、この種の違反の行われやすい保税地域につきましては、
一般の内国貨物の出し入れについて外国貨物の場合と同様の届け出を要することにいたしたのであります。
次に、百一条でありますが、これは手数料の軽減または免除に関する
規定であります。改正案で新たに第三項を付け加えましたのでありますが、その
趣旨は今国会において成立いたしましたトン税法及び特別トン税法におきまして開港に入港する外国貿易船に課せられるトン税及び特別トン税が合せて純トン数一トン
当り十八円になりますので、これとの均衡上、外国貿易船が不開港に入港する場合の許可手数料もこれと同額に引き上げたのでありますが、一万トン税と特別トン税とは一年分として三回
相当額を一度に納付することができる
制度があるのにかんがみまして、同一の不開港に一年に四回以上入港する外国貿易船につきましては、四回目以後の許可手数料を減免することができるということにいたしまして、手数料負担の調節をはかったわけであります。
次に、面十三条から百十七条までは罰則の
規定を整備いたしたものであります。いずれも簡単な改正でありますが、
一つ百十三条の二につきましてだけ御
説明を申し上げます。百十三条の二は虚偽申告犯に関する罰則であります。最近におきましては輸出禁止貨物または輸入の承認の得られない貨物を不正に輸出入する手段といたしまして、税関に対して品名を詐称し、または虚偽の証明をするといったような
方法によりまして、税関
職員を欺罔してその目的を達する事犯が激増いたしております。これらの違反につきましては、現行法では百十四条第二号に
規定する虚偽申告犯、つまり五万円以下の罰金に処する以外に処罰
規定がないために、取締りの効果を期し得られない実情にありますので、本事犯を百十四条から抜き出して、一年以下の懲役または十万円以下の罰金またはその併科として、予防と取締りの徹底を期することといたしたのであります。
以上おもな個条について簡単に御
説明を申し上げました。