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1957-04-02 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 四月一日委員佐野廣君辞任につき、そ の補欠として塩見俊二君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            木暮武太夫君            塩見 俊二君            下條 康麿君            高橋進太郎君            土田國太郎君            宮澤 喜一君            天田 勝正君            大矢  正君           小笠原二三男君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            野溝  勝君            杉山 昌作君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○揮発油税法案内閣提出衆議院送  付) ○地方道路税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入るに先立って、委員の変更について御報告いたします。  昨四月一日付をもって委員佐野廣君が辞任され、その補欠として塩見俊二君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それでは本日は揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題として質疑を行います。
  4. 大矢正

    大矢正君 揮発油税並びに地方道路税衆議院におきまして審議され、通過をして送付をされて参ったのでありますが、私は衆議院大蔵委員会論議の過程もある程度議事録を通じて読みまして、いろいろ感ずる点があるわけでありますが、まだ議事録が完全にこちらに回ってきておりません。その関係上、衆議院における質問あるいは論議と多少ダブって質問をする面もあろうかと思いますが、その点はよろしくお聞き取りをいただきたいと思います。  質問の第一番は、局長も御承知のように、国鉄がこのたび一割三分の運賃値上げを行いましたが、この国鉄運賃値上げをする最大の目的というものは、これは現在の国鉄の収支が赤字になっているから、これを黒字にするためにという、そういう理由ではなくて、戦争以降——戦争以前もそうでありましたが、比較的に国鉄の施設の改善その他というものが行われなくて今日に至ったために、非常に老朽化しているので、こういうものを五カ年計画に基いて整備をして、危険性のないように、そうしてまた同時に輸送力増強するという、こういう目的のために、運賃値上げをされるというように私どもは聞いているし、一割三分の値上げ根拠というものは、国鉄の五カ年計画にあるというふうに承わっているのであります。五カ年計画達成後におきましては、国鉄輸送力は一三四%に貨物は上昇するということでありまするので、これが達成の暁には、相当今日の日本経済実態から考えては隘路となっておる輸送方面では開ける面もあるのではないかと思いますけれども、同時にまた日本経済拡大の一途をたどっておりますし、経済も伸びていっておりますからして、五年後に三四%の国鉄輸送力増強されても果して日本の今の現状から推して五年後に輸送力というものが完全に確保されるかどうかという点については非常に多くの疑点があるところであります。そこで私は国鉄の一例を申し上げるのでありまするけれども戦前においては、たとえば庶民的な話でございまするけれども、荷物を輸送する場合に手荷物として送ってもらう、そうすると人間が着くときにはほとんどその手荷物目的地に到達しておったのが戦前実態であります。ところが今日は遺憾ながら相当長期におくれて手荷物が着くという状態でありまして、これも何と申しましょうか、輸送力がやはり弱いということから、こういう結果が出ておると思うのであります。このような今日の日本輸送力状態をカバーするには何によってやるかとすれば、海上輸送それから陸上におけるところのトラック輸送、こういうものを通じて日本の今の輸送力隘路というものを打開する以外に私はないと考えておるわけであります。従ってこういう輸送力隘路は当然に物価との関連において輸送力が高まり、あるいは輸送隘路ができ上りますれば、勢いこれが物価に響いてくるということは自明の理でありまして、かような点から考えまして、私はここで非常に大幅な揮発油税増徴をすれば、今非常に多くの力を頼っておる陸上輸送が非常に困難になり、ますます輸送隘路というものが私は深くなってくるのではないかと、このようにも考えるわけでありまするが、基本的な揮発油税増徴とそれから輸送というこの両面の判断の上に立ってどのようにお考えになっておられるか、まずこの点をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  5. 原純夫

    政府委員原純夫君) お話通り輸送力増強というのは非常に大事な問題でございまして、国鉄の側でもそれを大きな柱として運賃の改訂を行うということに相なっておりまするが、一方でこの道路整備ということは、まあ年来その急務を説かれております。特に最近においては自動車交通の伸びが非常に著しいということから、その必要が層一そう痛感されるということに相なってきております。従いまして道路整備計画も従来の五年計画では足らないということで、さらに新しい十カ年計画というものがただいま案ではありまするが、研究されておるというような段階になっております。私どもこの揮発油税の問題を考えました際にも、大前提としてそういう必要があるということを置いてそれに対していろいろと財源措置を講ずるということで考えてきた次第でございます。
  6. 大矢正

    大矢正君 あなたも今お認めになっておるように、輸送力増強というものが当面する日本経済においては非常に重要な部門であるということであって、私はこの輸送力が収縮することによってますます日本経済というものに対して大きな損失を与える、このように考えております。従って実際的に申しまして、このたびの値上げというものを分析してみますると、衆議院におきまして修正をされた意向といえども、なおかつ四〇%強の増徴になることは御存じの通りであります。いろいろな税金がこのたびの国会において論議をされておりまするけれども、四〇%強というような膨大な値上げを必要とした、あるいはまた実施をした法律は私はないように感じておりますが、このように揮発油税に限ってのみ四〇%以上の値上げをするということは、明らかにこれは先ほど来私が申し上げているように輸送力をむしろ拡大をするのではなくて収縮させる結果になる、このように感ずるのでありますが、あなたは具体的にそういう可能性はない、そういう危惧はないというふうにお考えになっておらるのかどうか、もしそのようなお考えがあるとすれば、その具体的な根拠を明らかにしていただきたいと考えております。
  7. 原純夫

    政府委員原純夫君) 四〇%強の大へんな、政府原案ですと五割の引上げということでございまするが、私どもこの問題を考えましたときの考え方を大略申し上げます。先ほど申し上げましたように道路整備は非常に必要である、それには多額資金が要る、もちろんそのために一般財源からできるだけ金を出すという態度を捨ててはならないわけでございますが、一方で減税ももちろん大きな政策でございまするし、また歳出面におきましても諸般の財政需要というものは御案内の通り非常に強く、大きいものがございます。それらを考え合せまして、なかなか一般財源でやり切るということはとてもできないという判断に相なりましたので、しからばこのガソリン税というものが目的税的なものになっているということから考えて、ガソリン税の方で何かできる余地があるかないかという研究をいたしました。その際いろいろな角度から研究をいたしたわけでありますが、一つには昔の税率ないし外国税負担というものを比較する、もう一つにはずばりそのものガソリン税を増微して余計負担していただくことによって、そうしてそれが全部道路改良、舗装に使われるということによって、どれだけ国民経済的に利益があるか、また端的には負担していただく方々に利益が行くかというような計算をすべきであろうと思っていたしたわけであります。そこで前者の過去との比較あるいは外国との比較というようなことになりますると、外国との比較におきましては、日本は現在一リットル当り三十七円という小売価格前提といたしますと、その中に十三円のガソリン税地方道路税が入っておる、これは三五%の割合になります。同様な比率各国について求めますと、米国・カナダというところがそれより若干低くて二〇%ないし三〇%というような次第でございますが、西欧諸国におきましては西独が四六%、英国は六三%、イタリアは七〇%というふうにそれぞれ日本よりもずっと高くなっております。比率だけでなくて絶対額においても小売価格日本の五割増しあるいは倍というようなのが西欧各国の例でございます。それらを見ましたのが一つと、それから第二にガソリン税増徴による道路からの受益関係につきましては、いろいろ計算いたしてみますと、結論としてガソリン税をある額増徴される、それが全部道路につぎ込まれる、そうすると、その道路を通る自動車経費が減る、経費が節約になる、その額を、自動車の数は今後全然ふえない、貨物の量もふえないというふうな、まあこれはあり得ない前提でありますが、そういう前提計算いたしましても、その受益の総額は、改良され舗装された道路が平均十五年持つであろうという前提で十五年間の利益計算いたしますると、当初の負担額の倍だけただいま申しました利益がある。貨物あるいは自動車の台数の増を考えますれば、それが十五年間には三倍、四倍になるということはきわめて明らかなことでございます。この数字は私どもだけの計算でなくて、鮎川さんが中心になってやっておられます調査会計算においても同様な数字が出ておりまするし、またはじきました書類については、関係の各省の専門の御意見を伺いながら作ったわけでございますが、そのように利益が相当大きい。これは直接自動車業者受益する額でございますが、間接にはなお広い範囲受益がいくということは申すまでもございません。そこで、十五年間にそれだけ利益があるというても、初めは苦しいじゃないかということがございます。確かにそういうわけでありまして、全部を初めから運賃を上げないで業者が吸収し切れるかどうかというあたりについては、どうも必ずしもそうはいかない、ある場合に運賃にも響くかもしれぬということは考えました。ただそれじゃどれだけ響くだろうかということを全部運賃に転嫁してしまうとしての計算をしてみますと、トラックとかハイヤーとかバスとかで若干違いますが、まずまず政府原案の六千五百円上げという線で三%程度の響きではなかろうかというふうに見ました。これはもちろん運賃引き上げは望ましくないところでありますが、そしてまた全部が響くとは私どもも思いません。ある程度受益によって当然相殺される、またある程度業者で吸収する、で残りが運賃に響く、実際には全部が平均して一%とか二%とかいうことにならずに、具体的な計数によって関係の筋が個々におきめになることと思いますが、そういうことが若干あっても、道路整備ということからしてやむを得ないのじょないか、ただその程度たるや全体としてはきわめて軽微なものである、道路整備の必要がこれだけ緊急なのだから、そこはやむを得ないのではなかろうか。半面逆と申しまして、全然運賃に転嫁しないという場合に、この業者に及ぼす影響というようなものを考えますと、ただいまの受益関係は別にいたしまして、全部業者がこれを自分の利益をさいて吸収するということにした場合の計算としては、やはりこれも業種によって若干違いまするが、収入に対する利益率を私ども別途出しておりますが、その利益率関係で二%前後利益率が落ちる、つまり利益率が六%か七%というものが、そのうち二%前後だけ落ちるというようなことに相なるのではなかろうかというふうに考えました。大よそ筋道は、荒く申しますとそんなような点をいろいろ考えまして、運賃関係とあるいは業者採算等かなり心苦しい面もありましたけれども総体道路整備の必要は大きい、そして国民経済的な利益も非常に大きいというようなことも考えまして、一般財源のできる限りのことをやって、他面こちらで六千五百円の増徴をやって、全体として道路整備をしっかりやって参りたいという結論に相なったわけであります。
  8. 大矢正

    大矢正君 ただいまの原局長の具体的な数字をもっての各国とのガソリン税比較、それから自動車が受けるところの受益率と申しますか、そういうものの数字の点については、私また後刻具体的に指摘をいたし、私の考え方を述べますが、その以前にちょっと基本的な点で大蔵大臣に私は質問をいたしたいのでありますが、私の質問するところは、国が道路を作るために金を出さなくてもいいものなのかどうかということなのであります。わかりやすく言うと、三十一年度においてはわずか四億しか国資金を出していないということは、皆さん承知通りであります。それじゃ三十二年度はどうかといえば、これは四十四億でございまして、五百億をこえる揮発油税税収との比較をすれば、もう十分の一以下にしか過ぎない金額、こういうわずかな金額しか政府道路財源として出しておりません。私はこういう点からみて、道路というものは、もちろんこれは自動車は非常に受益をするのでありまするからして、ある面では税を取らなければならないということは理解をするものでありまするけれども、今政府が行おうとしているように、あるいはまた行なっておるように、ちょうど昔の古い封建時代の殿様やあるいは悪大名が、金に困るとすぐ税金を取って、それで事業を起したり赤字負担をするというような、こういう一貫した思想が、まだ揮発油税の中におにいは生かされているような感じが私はしてならぬのであります。少くともこれだけの税負担をしても、なおかつ自動車業者がもうかっておる、あるはい莫大な収益をあげておるというようにも私は感ぜられない、大蔵大臣としては一体どのように考えてこれを増徴しようというのが、この面に対する見解を承わっておきたい。政府資金はほんとうにわずかである。わずかしか政府資金を出さないで大部分を、九〇%以上もの金額税収にまかなうところのこの考え方がどうも理解できないので、この面に対する大蔵大臣の御答弁を私はいただきたい。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) もともとはガソリン税を増収いたしまして、そうして一般会計から形式的にも実質的にも他の費目と同じ立場において出しておったのでございます。昭和二十八年か九年からガソリン税目的税的のものにいたしまして、これによっていこう、しかしガソリン税だけではいかない、やはり国もある程度負担すべきものであるということは、本委員会、参議院においても議決になったと思うのであります。で、その割り振りをどうするかという問題でございまするが、私もできるだけ一般会計の方からも出したいという気持がありますので、昨年度はお話通り四億円であったのを今回は四十数億円にいたしたような次第でございます。で、各国におきましても大体道路補修改良はおおむねガソリン税でやっておるのであります。最近アメリカでは今のガソリン税だけでやるか、あるいは一般歳出も持っていくかということで議論をしておるようでございますが、大勢はガソリン税引き上げでいくべきだという議論になったようでございます。で、これを要するにガソリン税一般税金との両方の建前でいくべきだと思いまするが、その比率の問題になって参りますと、私は今の日本財政状態では、そうして今のガソリン税率では、今回の程度でがまんすべきだと考えております。将来におきましてはそうたびたびガソリン税も激増するような措置もいかがかと思いますので、一般会計からもできるだけ負担していただきたいという気持でございます。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただいまの池田さんのお話は、池田さんの率いる大蔵省としては、従来そういうやり方反対であったのであります。いわゆる目的税として、道路整備のためにする議員立法のできたときには、皆さん目的税としてこういうものをとることは反対だという態度で、執拗にその反対闘争をしておった、それがその当時反対であった理由を、今度主税局長なり大臣答弁を聞くと、今はそのことを理由としてこのガソリン税をとらなくちゃならぬというふうに変ってきているんですね。やはり今では目的税としてこういうものを取って、そうして道路整備財源に充てるのが至当である、そう変ったわけですか。変ったら変ったでいいんです。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) もともとこの問題は昔はお話のようでございましたが、ガソリン税目的税的なものにするということは、多分昭和二十七年の十一月だったと思います。私が通産大臣として、向井さんが大蔵大臣でございました。そのときの閣議で私は向井さんの意見とは違って、これは目的税的のものにすべきだということを閣議で発言いたしました。そうしてこういう措置に相なってきたのであります。大蔵省がどうこうと申しましても、やはりいろんな点はその情勢によって変るものでありまして、私は目的税的のものとすべきだということを通産大臣として閣議で発言したのでございます。当時大蔵省はまだ向井さん初めその気になっていなかったようでございますが、国会のいろんな空気もございますし、私はただいま申し上げましたように、通産大臣としてこういうようにすべきだと言ったのでございます。だから今までの大蔵省考え方と違うといえば、そういうように違って参りました張本人は私からでございます。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 当時向井さんでなくて池田さんが大蔵大臣であったら、とても国会も一たまりもなく、してやられて、こういうものはできておらなかったはずです。あなたが当時大蔵大臣なら絶対目的税としてこういうものを認めるはずはなかった。たまたま幸いに通産大臣であったのでお認めになった。しかしこれはその当時も大蔵省で盛んに言われましたが、こういう措置か出るということは、次々と他に連鎖反応を起すということで極力反対されておった。私も建設委員として大いにその御高見を拝聴させられた方なんです。ところが今またこのガソリン税が、諸外国の例から見れば、まだまだ取り得るという考えで、こういう措置をやろうというのですが、大いに賛成である池田さんとして、客観的に日本現状においてはどれだけ最高限度に取れば、どれくらいこの揮発油税というものは取れるとお考えですか。今のところはこの程度に、——また衆議院修正もあるんですが、取ろうと思えばどの程度取ってやれるというお考えですか。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 税率最高限度というものは、やはりそのときの経済情勢によってきまるわけでございまして、われわれとしてはどこまでという見通しは持っておりません。やはり負担力考え、また必要性を考慮し、各般の事情から考えるべきものだと思います。六千五百円にきめます前にも、いろいろの数字がございましたけれども、われわれとしては六千五百円が適当ではないかというふうにしたのでございます。今後はどうかという問題になりますと、先ほど申し上げましたように、いろいろな経済情勢の変化によって考うべきものと思います。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連ですから最後に一点。経済情勢考える、その立場大蔵大臣として至当でございましょう。が、一方道路整備計画が、従ってそれに合せるようにどれだけの財源がなけりゃならぬということから逆算されてきて、単価幾らという税額が出てくるというようなのがこの種のやり方ではないのでしょうか。それとももう端的に、ガソリン一キロリッターの今の小売価格なら小売価格というもので、どれぐらい上げてもかまわぬということで上げた部分だけを財源として道路整備に使う、こういうんですか。私はそうでなくて、どうしても年次的な計画に伴う財源確保のための、これは税額というものが逆算されてきまってくるというふうに考えられるのですが、こういうものの税金額のきめ方についてどういうやり方なのか、まあ私一つ考えを申したのですが……。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ガソリン税自体目的税的な性質を持っておりますという前提からすれば、当然道路計画というものに即応してやるわけでございます。しかし片方の方では、やはり一般財政負担ということもございますので、道路計画ガソリン税収入と、そうしてまた一般会計負担する、それを考えてやるべきだと思います。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、このたびのように、衆議院修正で減額されたということは、あなたがたびたび申されておるように、日本産業発展経済の振興のため、道路整備にはもう渾身から力を入れるのだと再三言っておられた点からいえば、不本意である、不満足な結果であるということになると思いますが、これでもいいということで御承認になったのですか。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 衆議院におきまする修正は、道路計画にさしたる支障はないと考えまして、やむを得ないものと認めたわけでございます。従いまして歳入予算は動かないと思っておるのであります。歳入予算の動かない範囲内におきましての修正考えましたから、反対しないことにいたしたのであります。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは例年の例ですが、最初、当初予算を出すときには、歳入見積り……売上高を過小にみる、そうして税率を上げてくる。そうして自然増収が途中であって、地方にも分けてやるということがある。今度の場合、税率は下った、しかし総体事業そのものをやるのには、そう大した支障はないということは、結局売り上げが大きく出る。従って税率は下っても税額だけは当初の予定のまま確保できる、こういうことだろうと思います。そうですか。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今度の修正理由はそうじゃないのでございます。三十二年度の揮発油のあれは三百九十万キロ、これは動かないのであります。そうして今回こういう多額増税をいたしますので、業者におきまして、納税者にある程度の便宜と余裕をもたらしたらどうかというので、法律納税時期が移出後三カ月ということになっておりますが、それを従来は七十五日で納税しておりました。それを今回は三カ月という規定がありますので、政令で九十日と、十五日だけ日にちの余裕を与えよう、こうしておったのでありまするが、それを今まで通り、やはり納税義務者に七十五日でがまんしてもらおうというので、十五日早く納めることにいたしました。この点で七百円ばかり違って参ります。それからガソリン欠減を三・七%みておったのであります。それをいろいろ考慮の上、一・五%程度でいいのじゃないか、こういうことになりまして、これが五、六百円浮いてくる、こういうので、業者の方の増税によります苦しさを緩和しようというのをやめ、今までの欠減をもっと見積ることにして、総体消費量は動かしませんが、それによりまして税率を下げ得る、こういうことに相なったので、われわれとしては業者にはお気の毒でございますが、やむを得ないのではないかという結論になったのでございます。
  20. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 関連して。今の道路整備の問題と、揮発油税目的税であるということの問題に関連して、一言お聞きしたいのですが、今の問答で大蔵大臣の言われたように、とにかく揮発油税は、今もだいぶ安い、まだもっと取れるのだというお気持がある、そしてまた、道路整備はまだまだやらなければならぬ、私はそういうようにいくと思うのですが、だから来年でも、これはもっと上げなけばれならぬ問題は必ず出てくる。そこのところに、今のこの揮発油税を納める人たちの非常に大きな不安があるわけです。抽象的には、大蔵大臣は、今何らかの一般財源からも持ち出す分も考えなければいかんし、揮発油税からも取れる、無理のない程度でもう取れるだけは取るんだ、そしてどんどん道路整備をやっていきたい、しかし、そこに何か線を考えなければいかぬということを言っておられるのですが、やはり何かそこの割合というか、程度というものがなければ、税を納める方から言うと不安でしょうがないのですが、その点はどうお考えになりますか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この割合はなかなか今申し上げられないと思います。衆議院大蔵委員会では、昭和二十九年にもうガソリン税は上げないんだと、こういうことを政府が言っているじゃないか、それをなぜ上げるのだと、こういうきつい御質問がございましたが、ガソリン税の占むる部分一般会計の占むる部分の割合を今後どうだということには、やはり道路計画そのものも五カ年計画が十カ年計画に変りつつあるような状況から考えまして、今から考えましてもなかなかむずかしいと思います。ただ、一般会計の方のあれにつきましては、私は先ほど来申し上げておるように、昨年は四億円だったのを今度は四十三、四億にしたいと、こういう気持は持っておるの、あります。その割り振りにつきましては、ただいまから政府として言明はむずかしい問題だと思います。
  22. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 それはなかなかむずかしい問題で、ずっと長くその割合をきめておくということはむずかしいということは、当然その通りだと思いますが、しかし、五カ年計画——比較的短期の計画をされたときに、その途中で足りなくなったら幾らでも税を取っていくのだ、しかも、ある程度まで自然増収というものは相当ある、そういう中で、しかも相当な景気で、ほかの方では減税をしようというようなときに、五カ年計画の三年目というようなときに、これはまた税を取っていくのだというようなことでは、全くその割合がきめられないといっても限度がある。五カ年くらいはこの割合でいくのだというワクがきまっていなければ私はおかしいと思いますが、その五カ年計画をきめたときにワクは大臣御存じないのですか。ただ将来の十カ年計画というものができるとすれば、その間においては一つの割合みたいなものをなぜひきしめていかなければいかんと思います。ことしは自動車道路に関する整備の費用をおふやしになるのですが、その中で、とにかく一方で臨時就労対策事業費であるとか、失業対策事業費であるとか、道路公団の費用とかというふうなものが、たまたま百二十九億ですか、百三十億近く入っている。今度の揮発油税の増額が大体それに見合うような一格好になっているので、もちろん、その失業対策とか道路公団の仕事とかというものは当然必要なんで、やらなければならぬと思うのですが、しかし、それをまるまるこの揮発油税増税でまかなうような格好になると、どうも納税する方から言うと気持がよくない。これは、もう片方で予算はきまったことですから、別にどうということもないでしょうか、大臣は、そういうことが非常に遺憾だった、もし一般会計から入れ得る金があれば、そういう点はそっちの方でまかなえるような格好にして出すべきであったというふうにお考えになりませんか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど来お答えしております通りに、道路公団の方につきましては、財政投融資で昨年よりも相当ふやしております。これとて、やはり国土開発、運輸の円滑化ということでございまして、この程度道路公団の方もがまんしてもらう。また一般会計からの方も、私は今後もふやさぬというわけではございません。いろいろな財政の状況を見ながら、できるだけは一般会計から負担しようという気持を持っておるのでございます。
  24. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 まあ道路公団の話が出ましたが、大体、揮発油税道路整備費を出すという意味は、大部分、結局自動車が走って道路をいためる、それを補修していくのに相当大きな金がかかる。それを揮発油税で見ていこうというのが通俗的な意味で、私はそういう意味だと思うのです。で、これなんかにも道路を新しくこしらえるということに対して金を出すと書いてないので、改築とか改修とか補修という字句で響いてあるのですが、道路公団は明らかに新しい道路をしかも有料道路を作るという建前からできておるのですが、それが五カ年計画関連したところでは金が出せるということが書いてありますが、どうも新しい道路をこしらえる分まで出すということは、揮発油税目的税に近い格好になっているために新しい道路の分まで出すという格好は私は納得いかないのです。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 制度そのものにつきまして異論の存するところと思います。従いまして、出せるような建前になっておるのでございます。どれだけ出すかということは問題でございましょうが、私は新しい道路であってもやはり一応自動車が走る道路でございますし、またある程度のものはガソリン税でやって差しつかえない。ただその割り振りの問題になりますと、これまた議論のあるところだと思います。
  26. 平林剛

    ○平林剛君 大矢委員が、関連質問の他の委員につぶされておるから、基本的な質問をやっておる御本人が座を立っちゃった。これはやっぱり少し考えてもらわなければならぬことだと思います。それでちょうどいないから、わたしも一つ二つ関連質問をします。(笑声)  希望を申し上げておきますが、あとで一つ大矢委員に本格的な質問をしてもらうことにして、(「だれでも本格的に質問しているんだよ」と呼ぶ者あり)そこで大蔵大臣にお尋ねしますけれども、最初の揮発油税税率考えられたときから、衆議院の段階において、第一次修正、第二次修正、そして第三次修正があって、とどのつまりは五千三百円だ、しかるにこれだけ変化があったにかかわらず、財政収入については変化がないということはきわめて不思議なことだ。どうも初めから、政府の方は、俗に言えばぶっかけておいて、反対の運動があるのを見込んでおいて、初めからいろいろの数字を立てておいて、そして譲歩したような形にしているけれども、ほんとうは譲歩しているのでなく、初めからここら辺で押えるという腹があって、そして譲ってきたようにしか考えられないのですよ。先ほど御説明がありましたけれども、そこのところをもう少し私ども納得のいくような具体的な説明をしてもらいたいと思うのです。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそんな芸当のできる男じゃございません。(笑声)いろいろ新聞にはございましょうが、大体私が考え始めた当初は、八千円程度ということを考えたのでございます。そのときにこれは一般会計からどれだけ負担するということはまだきめておりません。八千円くらいならば大体やっていけるのじゃないか。一般会計から出さなくても済むのじゃないか。こういう考えでおったのでございますが、どうも道路というものは、自動車ばかりじゃなしに、自転車も通りますし人も歩きます。だからガソリンばっかりに負担させるのはひどいじゃないかという考え方もしますし、また委員会における過去の決議等もございますので、この際、まあ倍数でいくと昨年の十倍余りでございます。この程度は何とかやりくりをして一般会計から出すべきじゃないか。こういうことでいきますと、八千円ということが六千五百円に相なってくるという状況でございます。これも大体の数字でございます。そういう関係からいったので、初めからこれは五千何百円、そういう気持は毛頭持っておりません。だから私は六千五百円を非常に主張しまして、そうして総務会長その他にやっておったのですが、五千三百円になったというので叱られまして、総務会で私は釈明したような状況でございます。決してかけ引きなんかということは私にはできないことなんでございます。
  28. 平林剛

    ○平林剛君 それにしても、あまり幅が違ってきて、しかも財政収入に影響がないというのは、まさに数字というものは非常に便利なものだということがわかりますよ。そういう意味から言えば、どうも大蔵省の初めの基礎の数字についても疑いを持たれる。どうも揮発油税増徴するための手段としていろいろの数字をいじくっているとしか考えられませんよ。ここに一番問題がありますから、政府の事務当局の方から、こういうふうに三段階に変ってきたのは、基礎の数字がどことどこが違ってきて、そうしてこういう結論になったか。その理屈も、いずれも通ったのだから、それぞれの、一、二の修正があったでしょうけれども反対があるから、ここまできたのだということは、私に言わせれば、どうも大蔵省数字も大へん疑問がある。だからそういう意味では、政府は、私に言わせれば、どうも初めから譲歩していない。少くとも財政収入に変化があるということになれば、これは政府の方も実情を認めて譲歩したなと、こういうふうに言えるのですが、それがない以上は、政府の譲歩がないと判断せざるを得ない。そういう意味では、私はもう少し大蔵省数字について検討しないというと次の結論が出てきませんから、事務当局からその資料を出してもらいたい。これを要望いたしておきます。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通りガソリン消費量の見通しにつきましては、いろいろあるのでございます。当初三百五、六十万キロというのであれしておったのでございますが、御承知通り、最近の状況、すなわち三十一年度の消費、三十年度の消費の状況、伸び工合等を見まして、そうして最も新しい数字として、自信の持てる消費量を三百九十万キロときめたわけであります。これは大蔵省は一応これがいいだろうという結論を出しましたが、もとの資料は通産省でございます。で、三百九十万キロについて異論のないことはございません。運輸省の方では四百二十万キロぐらいになるだろう、こういう数字を言っておられますが、この問題はやはり通産省が従来から見通しの元を作るのでございます。見方といたしましては、三十一年度において、前年に比べて二六%ふえたから四百二十万キロという数字が出たのだと私は想像いたしまするが、昨年鉱工業生産が二一%、そうしてガソリンの消費が二六%、しかし鉱工業では昭和三十二年度は伸び率が落ちて、一二・五%になっておるのであります。われわれは昨年のような急激な増加は望めないというふうな観点から、三十年、三十一年と過去の実績をずっと精査しまして、そうして鉱工業の生産が一二・五%だから、たぶん一六%くらいが適当だ、こういうので、通産省に相談し、企画庁とも相談いたしまして、三百九十万キロと押えたのであります。その前には、これは三百五、六十万キロだった。こういうことで税率がだんだん変ってくるわけなんであります。そうして今回税収に変化がない。初年度においては変化はございません、先ほど説明したように。しかし次年度においては、七十五日を九十日に延ばしたことがこれは三十三年度から影響が普通になってくる。初年度だけの分を考えてみると、七十五日にしたことによっての分は、初年度は増収になるわけであります。そこで、七、八百円の差が出てくる、こういうことでございます。欠減の分は平年度には影響がない。これは数字のごまかしでも何でもありません。説明すればわかるわけです。われわれも予算を組みました関係上、三十二年度においてのガソリン税収入は動かない、こういうように見まして、やむを得ず反対しなかった、こういうことでございます。詳しくは主税局長から……。
  30. 平林剛

    ○平林剛君 私の資料の要求に対して大臣は答えられたが、私は頭が悪いから、数字でもっていじくらないと、なかなか疑問が解けませんから、資料だけは御提出願います。  そこで、あと一つ伺いますけれども、やはり政府の方では、道路整備に要する経費をほとんど揮発油税に求めて、一般財源から出しておらん、こういうところに、当初の五カ年計画がまた変更されて揮発油税率の変更という経緯をたどらざるを得なくなった、私はそう思うのであります。昭和二十九年からこの三年間に、揮発油税で課税をしての税収は八百九億になっている。一般財源から出した金はわずかに十九億しかない。こういうところに道路整備がおくれた根本的な理由があるのじゃないかと思います。そのおくれた理由を、また目的税と称して関係者だけに負担させるというところに、今日のような反対運動が起きてくるわけなんです。またその理由をいろいろ検討していきますというと、もっともなことであります。国会においてもこれ以上の揮発油税増徴は不可能だというように、いろいろの角度から検討をして出されたのを、政府が破ってきているのでありますから、ここはやはり政府の方も譲歩すべき点は譲歩しなければならん、私はこう思うのであります。そういう意味で、今年はあなたの方は今までわずかであったやつが四十四億と、四十億ばかりふやした、こう言われておる。なるほど今まで率が少かったから、四十四億になるならば十倍ぐらいふえたことになりますけれども、これは何ですか、大臣、今までの一般財源から出ているのが少いことを反省して四十四億にふやした、こういうふうに理解していいのですか。もしそういうふうに理解するとすれば、これでは少いということが言える。結局あなたが通産大臣のときでしょう、おそらくこれは。昭和二十九年五月二十日の閣議道路整備五カ年計画を立てて、そのときいろいろの割合を、少くとも四六%対五四%、俗にいえば半分ずつ、政府が半分、それから目的税として半分、こういうような割合を立てられたわけですね。今度四十四億円に幾らか反省をしてふやしてきたというのは、こういうような割合に近づかしめるための努力であるかどうか、そういう意味が含まれて今度修正されたのかどうか。この二つについて大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 道路五カ年計画のときは、私は閣僚ではおりませんでした。昭和二十七年の十一月まで閣僚でおったのであります。その後のことは知りませんが、先ほど来お答えしておりますように、とにかくガソリン税というものが目的税のものであるとすれば、一般の会計からもできるだけ出したい、こういう気持で、今直ちに昭和二十九年にきまったとかいうことの数字にするというわけにはいかないと思います。これは主税局長からも答弁すると思いますが、道路ガソリン税以外の負担につきましては、やはり地方負担もございますので、その割合がどうなっているか、今資料を持っておりませんが、いずれにいたしましても道路整備の絶対的必要性からかんがみまして、今回のガソリン税引き上げはやむを得ない。しかし将来におきまして、一般会計からの繰り入れもできるだけふやしていきたいという気持は、先ほど来お答えしている通りでございます。
  32. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいまの五カ年計画数字でございますが、五カ年計画閣議決定を見ました数字が、どういう道路を何キロやるというような量的な決定でありまして、数字はそれに基いて参考として積算されたものでありますが、おっしゃる二千六百億円のうち、ガソリン税を当てます分が、概略ではございますけれども、千五百億近く、千四百八、九十億でありまして、爾余は全部一般財源でやるというのでなくて、爾余の大部分地方財源負担する、その額がたしか七百八十億円程度であったと思います。さっき三百三、四十億円が一般財源に依存するというような計算に相なっておったと思います。これは当時御案内の通り、非常に一般財源が苦しいような事情も反映されておったと思いますけれども、約五四%がガソリン税で、四六%が一般財源だというふうに言えまするので、ちょっと、私、数字を補足して報告さしていただいた次第であります。
  33. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 先ほど来、この道路整備費を揮発油税財源一般財源との関係というようなこと、それに関連して天坊君から道路公団補助金が云々の話も出たのでありますが、私はやっぱりそれと同じような意味で、今回は揮発油税財源が五百億、一般財源で四十三億というようなことで、五百四十七億というふうなのが道路整備費になっておる。ところが五百四十七億五千六百万円というのは、特別失業対策事業費及び臨時就労対策事業費によるものを含めているわけなんです。それで、そういうことになっておるので、もしそういうものをやめればほんとうの道路整備費プロパーの金は、道路公団の補助金を含めても、四百五十八億と、こういうことになっておるわけであります。そこに八十九億くらい失対あるいは臨時就労対策というふうなことになっておる。それで揮発油税目的税のような形で道路整備するというふうなことで、しかしもこれが非常に負担する人が反対をしておる、負担が重いというにもかかわらず、道路整備上ぜひ必要だからといってとる金でありますからして、これは道路整備も最も能率的に使う必要が僕はあるのじゃないかと思う。そうしますと、この失業対策等の事業というものは、これは失業対策その他は国家目的からいって必要なことではあります、けれども道路整備という純粋に技術的なことからいったら、これは非常に能率の悪いものである。最近では道路整備に非常に大きな機械や何か使ってやっておる。ところが失業対策は機械を使わない、なるべく人を使ってということで、能率的に非常に悪いものですから、悪くてもその失業対策というような意味があるから、国家的においてはそれが要らぬとか不適当だとかいうわけじゃないのですが、ただいま申し上げたように、非常に血の出るような税金を特にその目的のためにとるという以上は、その金は最も道路整備を能率的にやるようにしなければならぬ。ところが今のような予算を見ますと、失業対策の関係の金が八十九億もあって、ほんとうの道路整備の方は四百五十八億、もし道路公団の補助金を、天坊君の言うごとくに、これもほかの国家の目的だということになると、百二十億くらいになる。そうすると、今度の揮発油税増徴をしなくても、それだけは全部国家の一般財源だということになれば、道路、プロパーのことなら、今度の増徴をしなくてもいいというような数字になる。もちろん失業対策というものも全部失業対策だけの問題じゃないので、道路整備もそれはありますけれども、非常に能率が悪いものであります。そういうことを考えますと、この予算で一百四十七億という道路整備のうち相当な失業対策事業というふうなものが含まれておる。このために非常に道路整備が膨大になる。それをまかなうためには、やはり揮発油税増徴するのだ、こうなりますと、納める側からすると、さっき、くどくど申し上げたように、能率の関係からいって、いやな気がする、余計負担が重いというような気がするのじゃないか。そこで先ほど大蔵大臣は、一般財源は昨年より十倍今度ふやしたというお話もあったのです。まことにけっこうなことで、今度はおふやしになるときは、今のような臨時就労とか失業対策というふうなことは、道路整備としては非常に能率の悪いものだからして、その負担揮発油税にやらないように、一般国費で十分持つのだというふうなお考えで、一つ一般財源の増加にも特段の御努力をお願いしたいと思うわけなんです。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろ衆議院などにもそういう御議論が多くございました。お答えといたしましては、臨時就労対策にいたしましても、特別失業対策にいたしましても、道路にばかり使っておるのであります。それは能率の点が悪い、それはお話の点もあるかもわかりません。しかしここにもやはりある程度機械類その他を使っております。今年は積雪寒冷地帯の道路につきましても、十億円程度出すようになっております。こういう点を加味しまして、実は一般財源の支出も四十三億にしたわけでございます。十分お話のような点はここではやっておるのでございまするが、その金額が少いという御意見は私もよくわかる。従って今後におきましては、一般会計からの分をできるだけ考えようというのも、そういうところから出ておるのであります。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これも天坊さんのお話や、今の杉山君のお話関連しているが、あなたはできるだけ今後において一般財源から道路費を見ようと、こういうことですか。一例にあげた積寒の冬期における道路確保の法律に対しても、これは道路財源としてガソリン税の増収から得る財源は今後の施策を行うのに足りないから、従ってこの冬期間の道路確保に関しては一般財源からこれを当てるべきであるということで、当時衆議院の田中君たちが議員立法で参議院に持ってきた場合にも、当該委員会で非常な論議があって、なるべくそういうことで措置したいということであるのだが、結局それもガソリン税の方に食い込んでおる。そうして今言うように、失対事業関係の方にも食い込んできておる。そこでそういう技術的な部面はあとでお答えを願いますが、池田さんは、千億減税、千億施策ということで、大いに今度の財政政策をみずから謳歌しておられる。千億の金がふえる。そうして産投会計にも入れる、翌年にも使い残すというくらい金があるのに、あなたが今おっしゃるような道路財源として一般財源からも相当出したいというのに、四十億程度しか金がない、ふえない、しかもあとはガソリン税増税増徴という形で道路整備財源を得ようとする。この点は常識論ですが矛盾しているように、私、考える。今のように金のあるときは一般財源をもって充てる。そして減税という立場にある場合に、一部特定の業者を対象としてガソリン税だけを大幅増税する。そして、それでなければ道路整備ができないというこの考え方に、わたしは納得いかない。どうして今年度のように、税の増収が千億も使われるという場合にこの増税を押えて、そして一般財源を充てて、池田さん本来の道路整備というものを積極的に推進しなかったか。しかも従来大蔵関係では、目的税としてこの種のものが拡大されることに、税体系の上から反対である。池田さん自身は、やはり税の神さまの次ぐらいの人です。(笑声)その方がこの部分だけは取ってやる。これでは一部の業者負担は重すぎると思う。そして、この方からまあ苛斂誅求みたいに取り上げて、そして失業対策だというようなことで金を使うが、零細な中小企業あるいはその従業員が、このことによって賃金その他にしわ寄せがくる。あるいはその経営がうまくいかぬということになって循環するかもしれない、失対事業が。まあこれは話が余談ですが、基本的には積極施策に使い得る金があるのに、あなたの眼目としている何項目かの一つ道路整備財源を、この向きに大いに出すことをしないで、これだけが増税という形でまかなわれる、なぜそういう考えになったのか。また税体系の上から言ってもこれはいけないことだとされているものを、なぜこういうことになったか、お伺いしたい。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三十二年度におきまして千億円余の減税を所得税においてやりましたことは、あまりにも税金が高すぎるので、私はこういう財源の出たときには実はもっとやりたいくらいの気持を持っておるのであります。しこうして、それなら今度は施策の千億円の中からもっと道路へ差し向けたらいいということですが、これはごらんいただきましてもわかりますように、なかなか千億円でどの方面へも十分というわけにはいかない。で、まあ昨年の予算に比べてこれだけふえるというような、十倍以上というのはこの費用だけです。今後におきましてもそういう気持でやるつもりでおりますが、そして片一方では道路五カ年計画から十カ年計画に移っていこうとする場合に、長い目で見てやはりこれだけの負担はしていただかなければ、整備がなかなかできない。一般会計からそう何百億と出せるものでもございません。かてて加えて、主税局長が説明しておりましたように、外国比較いたしましても非常に安いし、また負担力からいってこれが負担しきれないものでもないと考えまして、こういう案にいたしたのでございます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは言葉尻をとらえるようで、はなはだ恐縮しますが、一般財源から昨年度に比べて十倍という積極財源を生み出した、それが四十億だ、ほんとうにそういうことを池田さんともある方がおっしゃるのですか。昨年の四億というもの、そのものは、やはり今までの、前内閣等がやってきた道路財源を特定業者にまかなわせる、そういうような不都合な、またさっき平林君も言った中で、主税局長が、地方負担分も含まれるとは言っているけれども、相当、当初の道路整備五カ年計画では、一般財源からも金が出される、そういう裏打ちがあって、道路整備が行われるということについては、これは国会といわず政府側も十分覚悟しておった。大体四億そのものがべらぼうにしみったれなんです。池田さん、昨年大蔵省におられて、大臣をやっておられて、四億というのも非常に大事な金として無理して出した、そうは申せないと思うのですね。何ですか、たった四十億というのは。それで一千億はさまざまな方面に使われるのだから、四十億程度しか道路財源に回らんと、どれだけのパーセントですか。道路整備は現内閣の重要施策です。それをあまりに特定の業者にだけ千億積極施策という名のもとに、増税という形でしわ寄せされてきている。従って、ほうはいとしてこういう反対が起っているのだと思う。まして、さっき道路公団などに対する補助金の話をしましたが、道路公団が作る道路は産業開発道路というようなもののみではなくて、観光のための道路その他もあります。その方は一部地域的に限られた業者が利用する道路です。が、そういうものを抜きにしても、全部有料なんです。で、利用する業者としては、ガソリン税で多く金を取られる。そうしてできた道路そのものは、また有料で、そのつどつど金を取られる。言ってみれば二重負担です。こういうようなところにまで、道路税から出てくる財源が補助金として使われることは納得できないのです。そういう点はどうなんです。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今のガソリン税道路公団の方に参ります分は、これはやはり五カ年計画によって予定された道路道路公団がやる場合に、これを予定していっているのでございます。それからガソリン税負担し、そうして有料道路だから料金を負担する、二重課税じゃないか、こういうあれでございますが、これは料金を計算します場合に、ガソリン税の方から行った分は差引きまして、残りの分で料金を計算いたしているのでございますが、二重課税にはならないように計算しております。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうこまかいことは、まあ建設当局を呼んで、専門当局を呼んでお尋ねしますが、それほど池田さん御勉強であれば、では今のこのハイヤーなりトラックなりが一キロ走るのにどれだけの経費がかかる、そしてその分、このガソリンそのものはどれだけのものになっておるか。そういう負担の割合等を示す資料があると思いますが、あとでまあ、それをちょうだいしてみたい。それから有料道路関係の料金の取りきめについても基準があると思うので、公団側の方から取り寄せていただきたい。そこでまだ前半の答弁をいただかないのですがね。四億が四十億で、十倍にふやしたのだということを……そのことは言葉じりをとらえることですから、私もうやめますけれども、今後、ではどれほどに一般財源からこれを見なきゃならぬか。財政当局としてはこの程度のものは見なくちゃならぬと、何かそういうめどが示されなきゃ、さっきどなたかおっしゃったように、毎年々々増税という形でまかなえるめどがない、基準もない。そういうことでは税を取る原則に照らしても私は間違っておると思う。この際、池田大蔵大臣としては、今後の見通しも立てられ、そして業界に対しても、こういう形なんだということを明らかにされる必要があろうと思う。ただ何だかやらずぶったくりで取れるだけは取る。それだけで道路財源をまかなう。そういう形にまあ考えられてもやむを得ないだろうと思うのです。この際非常な問題があって、衆議院を通過して当委員会に参っているこの法案について、提案理由の説明があったかもしれませんが、補足せられて、将来の見通しについてしっかりした御言明を願いたい。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど天坊さん、杉山さんの御質問に答えた通りに、今一般会計からの負担額とか、ガソリン税がこうというはっきりした数字を申し上げるわけにいきません。私としてもそれだけの力がない。ただガソリン税増税になるわけでございますから、一般会計も昨年に比べても相当出せます。十分ではございませんが。将来におきましても道路整備の早期拡充ということを考えますと、できるだけ一般会計からも出していきたいという気持は持っておるのであります。それなら毎年々々ガソリン税を上げるかというお話でございますが、これはもう今の五カ年計画か、十カ年計画になりましても、大体われわれのただいまの見通しでは、この程度でやっていきたいという気持は持っております。そう税金というものを毎年上げるというわけにもいかない。これはやはりいろいろな点がございまして、新規課税の問題とか、増税の問題がございますが、なかなかそれは、おいそれといけるものじゃございません。いろいろな点をお考えになりましても、そうたやすく増税なんか、これはできるものじゃない。やむにやまれぬ必要性があってやむを得ずやることでございまして、従いまして今回のような増税をいたしました場合において、大体この程度で五カ年計画も遂行できる、十カ年計画もできるという、ただいまの見通しを持っておるわけでございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、衆議院修正税額をもって今後大体まかない得る。今後においては特段に増税ということを考えることはない。毎年毎年税金というものは高くするものではない。一般財源も今後極力利用する。こういうことですか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体ただいまのところではそういう考え方でおります。一般会計からもできるだけのことをして、この四十億円をふやしていきたい、こういう気持でおります。
  43. 平林剛

    ○平林剛君 関連して。これはやはり政府の方でも、大蔵当局とあるいは建設当局との考え方が違ってくることはございます。しかしやはり政府が重要施策の一つとして道路整備五カ年計画なり十カ年計画を立てるときには、やはりその点は政府部内においても意見の一致をして、そして増徴の率を考えるというのが必要なことだと思うのです。なぜかと言えば、例の昭和二十九年に道路整備五カ年計画を検討したときは、先ほど私の質問したときに、事業費二千六百億のうち揮発油税に依存するものはやはり千四百億円で五四%、他についてはこれは一般財源から振り充てるという、ある程度の基本的な考え方が明らかになっておったわけです。今度伝えられているところによりますというと、あらためてその後の事情が変化したから十カ年計画を立てる。この場合にもやはり一般予算目的税との割合はしっかり立ててもらわなければならぬ。立てないというと今後の事情によっては増徴するという心配も出てくるわけです。またその負担が非常に今まで重かっただけに、そういう心配が増大をするということに相なる。やはり私は、当初政府考えられた五四%対四六%という比率も無根拠でできたものじゃない。同じ政府が引き継いでおやりになっているわけであります。大蔵大臣がそのとき通産大臣であったり、閣僚でなかったり、今は大蔵大臣であったということだけの事情で、それは変るということはまことに首尾一貫しない。そういう意味では、やはりある程度これについては政府部内においても意見の一致を見なければならぬ問題だと思う。これはあれでしょうか。今度の揮発油税の課税の率をきめるときには大めどについても政府部内の意見は一致しているのですか、いないのですか。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今十カ年計画を立案中でございます。まだ確定した閣議決定ができておりません。しかしいずれにいたしましても五カ年計画を途中で変更しなければならぬというふうな状況でございますので、とりあえず十カ年計画を作成いたしました。そしてそれにはこれだけの財源が要る、ガソリン税を上げる必要がある、こういうところまできているのでございまして、将来のガソリン税負担と、それから一般会計からの負担との割合をまだきめる段階までいっておりません。
  45. 平林剛

    ○平林剛君 私はやはり当初に当って、その割合を十分政府の部内で意見の一致をみて、そして課税の率を考える、あるいは今後一般予算からどの程度道路整備に必要であるかということを明らかにすべき性質のものだと思うのであります。今度の場合でも、そのことが明確でなくて、そして初めは一万幾らやる、その次は幾らだというような順々に変ってくるということは、まことに定見のないことである。しかも四十四億円程度では保守党の道路整備政策は泣いてしまうですよ。これじゃ。やはりそういう点はこの際は私は政府の方も十分検討なさって、そして理のあるところがあるならば、私は、当然今のいろいろな検討結果から見ると、もう少し政府は譲歩しなければならぬという最終結論を持っているわけでありますけれども、やはり道路整備に要する予算についてはこの機会にも十分考えなければならぬ。この点はもう少しあとでいろいろ質疑を行いまして、もっとこまかい点についてお答えをいただきたいと思いますが、一応私はこれでやめておきます。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 一つ資料を要求いたします。それは昨日も要求いたしましたが、私のいう資料はまだ出ておりません。それに加えて、この問題を審議するには、この目的税なものですから受益がどうなるのか。ここにもちょっと出ておりますけれども大まかな数字で、これではわかりません。そこでもっと具体的な受益の項目を小さく分けて、そして出していただきたい。それは運輸当局でも大蔵当局でも、いずれでもけっこうです。これを要求いたしておきます。
  47. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 会議は暫時休憩いたします。  午後一時より大蔵、地方行政、運輸、建設の連合審査会が開かれますから、御出席をお願いいたします。    午後零時十分休憩    〔休憩後開会に至らなかった。〕