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政府委員(
原純夫君) 四〇%強の大へんな、
政府原案ですと五割の引上げということでございまするが、私
どもこの問題を
考えましたときの
考え方を大略申し上げます。先ほど申し上げましたように
道路整備は非常に必要である、それには
多額の
資金が要る、もちろんそのために
一般財源からできるだけ金を出すという
態度を捨ててはならないわけでございますが、一方で減税ももちろん大きな政策でございまするし、また
歳出面におきましても諸般の
財政需要というものは御案内の
通り非常に強く、大きいものがございます。それらを
考え合せまして、なかなか
一般財源でやり切るということはとてもできないという
判断に相なりましたので、しからばこの
ガソリン税というものが
目的税的なものになっているということから
考えて、
ガソリン税の方で何かできる余地があるかないかという
研究をいたしました。その際いろいろな角度から
研究をいたしたわけでありますが、
一つには昔の
税率ないし
外国の
税負担というものを
比較する、もう
一つにはずばり
そのものガソリン税を増微して余計
負担していただくことによって、そうしてそれが全部
道路の
改良、舗装に使われるということによって、どれだけ国民
経済的に
利益があるか、また端的には
負担していただく方々に
利益が行くかというような
計算をすべきであろうと思っていたしたわけであります。そこで前者の過去との
比較あるいは
外国との
比較というようなことになりますると、
外国との
比較におきましては、
日本は現在一リットル当り三十七円という
小売価格を
前提といたしますと、その中に十三円の
ガソリン税と
地方道路税が入っておる、これは三五%の割合になります。同様な
比率を
各国について求めますと、米国・カナダというところがそれより若干低くて二〇%ないし三〇%というような次第でございますが、
西欧諸国におきましては西独が四六%、英国は六三%、イタリアは七〇%というふうにそれぞれ
日本よりもずっと高くなっております。
比率だけでなくて絶対額においても
小売価格は
日本の五割増しあるいは倍というようなのが
西欧各国の例でございます。それらを見ましたのが
一つと、それから第二に
ガソリン税の
増徴による
道路からの
受益の
関係につきましては、いろいろ
計算いたしてみますと、
結論として
ガソリン税をある額
増徴される、それが全部
道路につぎ込まれる、そうすると、その
道路を通る
自動車の
経費が減る、
経費が節約になる、その額を、
自動車の数は今後全然ふえない、
貨物の量もふえないというふうな、まあこれはあり得ない
前提でありますが、そういう
前提で
計算いたしましても、その
受益の総額は、
改良され舗装された
道路が平均十五年持つであろうという
前提で十五年間の
利益を
計算いたしますると、当初の
負担額の倍だけただいま申しました
利益がある。
貨物あるいは
自動車の台数の増を
考えますれば、それが十五年間には三倍、四倍になるということはきわめて明らかなことでございます。この
数字は私
どもだけの
計算でなくて、鮎川さんが中心になってやっておられます
調査会の
計算においても同様な
数字が出ておりまするし、またはじきました書類については、
関係の各省の専門の御
意見を伺いながら作ったわけでございますが、そのように
利益が相当大きい。これは直接
自動車業者が
受益する額でございますが、間接にはなお広い
範囲に
受益がいくということは申すまでもございません。そこで、十五年間にそれだけ
利益があるというても、初めは苦しいじゃないかということがございます。確かにそういうわけでありまして、全部を初めから
運賃を上げないで
業者が吸収し切れるかどうかというあたりについては、どうも必ずしもそうはいかない、ある場合に
運賃にも響くかもしれぬということは
考えました。ただそれじゃどれだけ響くだろうかということを全部
運賃に転嫁してしまうとしての
計算をしてみますと、
トラックとかハイヤーとかバスとかで若干違いますが、まずまず
政府原案の六千五百円上げという線で三%
程度の響きではなかろうかというふうに見ました。これはもちろん
運賃の
引き上げは望ましくないところでありますが、そしてまた全部が響くとは私
どもも思いません。ある
程度は
受益によって当然相殺される、またある
程度は
業者で吸収する、で残りが
運賃に響く、実際には全部が平均して一%とか二%とかいうことにならずに、具体的な計数によって
関係の筋が個々におきめになることと思いますが、そういうことが若干あっても、
道路の
整備ということからしてやむを得ないのじょないか、ただその
程度たるや全体としてはきわめて軽微なものである、
道路の
整備の必要がこれだけ緊急なのだから、そこはやむを得ないのではなかろうか。
半面逆と申しまして、全然
運賃に転嫁しないという場合に、この
業者に及ぼす影響というようなものを
考えますと、ただいまの
受益の
関係は別にいたしまして、全部
業者がこれを自分の
利益をさいて吸収するということにした場合の
計算としては、やはりこれも業種によって若干違いまするが、
収入に対する
利益率を私
ども別途出しておりますが、その
利益率の
関係で二%前後
利益率が落ちる、つまり
利益率が六%か七%というものが、そのうち二%前後だけ落ちるというようなことに相なるのではなかろうかというふうに
考えました。大
よそ筋道は、荒く申しますとそんなような点をいろいろ
考えまして、
運賃の
関係とあるいは
業者の
採算等かなり心苦しい面もありましたけれ
ども、
総体に
道路整備の必要は大きい、そして国民
経済的な
利益も非常に大きいというようなことも
考えまして、
一般財源のできる限りのことをやって、他面こちらで六千五百円の
増徴をやって、全体として
道路整備をしっかりやって参りたいという
結論に相なったわけであります。