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1957-03-29 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)    午後三時開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            塩見 俊二君            下條 康麿君            高橋進太郎君            土田國太郎君            苫米地英俊君            大矢  正君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    大蔵省理財局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     山下 武利君    中小企業庁振興   部信用保険課長  本多 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○資金運用部預託金利率特例に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○中小企業信用保険特別会計法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  まず、資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案について内容説明を聴取いたします。簡単に要領を一つお願いいたします。
  3. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今議題になっております法案の趣旨を簡単に御説明いたします。  法案内容はきわめて簡単なものでございまして、郵便貯金特別会計の収支が過去において非常に不均衡でありましたのを緩和いたしますために、昭和二十七年の四月に資金運用部預託金利率特例に関する法律というものが施行されまして、昭和二十七年以降当分の間の措置といたしまして、郵便貯金特別会計から資金運用部に預託された資金で、約定期間が五年以上のものに対しましては、資金運用部資金法規定をいたしております年五分五厘の利子のほかに、年一分以下の範囲で毎年度逓減、だんだん減らしていくような特別利子を付することとして、その特別利子利率政令で定めるということに、昭和二十七年にこの法案ができたわけであります。この特別利子利率政令で定めることになっておりますが、これは昭和二十七年度においては一分、二十八年度におきましては九厘、二十九年度におきましては八厘、三十年度においては七厘、三十一年度においては六厘と毎年度一厘ずつだんだん減らして逓減いたして参ったのであります。この間に昭和三十年の八月に資金運用部資金法改正ということが行われたのであります。新らたに約定期間七年以上のものが、先ほど申し上げましたように従来は約定期間五年以上のものについて五分五厘ときまっておったのでありますが、この新しい法律改正によりまして約定期間七年以上のものについて年六分の利子を付するということに法律が改められたわけであります。それに伴いまして特別利子の定め方もまたこれに応じて改めまして、約定期間が七年以上の預託金に対しましては、三十年度以降年二厘以下の範囲で毎年度逓減するような特別の利率により利子を付することにいたしたのであります。この具体的な利率は、三十年度におきましては二厘、三十一年度においては一厘ということに定めて参ったのであります。従いまして三十一年度におきましては約定期間五年以上七年未満のものに対しましては、資金運用部資金法に定める年五分五厘の利子のほかに六厘の特別利率によって利子を付して参る。約定期間の七年以上のものに対しましては資金運用部資金法に定める年六分の利子のほかに、一厘の特別利率によって利子を付して参ったのでありまして、両者を合せますと五年以上のものもあるいは七年以上のもの両者ともに六分一厘程度利子を支払うということになって参っております。非常に事柄は簡単なのでありますが、ややこしいやり方になっております。三十一年度までは要するに約定期間が七年以上のものも約定期間が七年未満のものも特別利率法律で定めております、普通の利率のものと合せて六分一厘の利子を払っておる、こういうことになっているのであります。  しかるに来年度以降の特別の利子につきましては、毎年度一厘ずつ逓減さして参るという方針をとって参ったのでありますから、約定期間五年以上七年未満のものにつきましては、資金運用部資金法規定いたします年五分五厘の利子のほか、年五厘以下の範囲で毎年度逓減いたすような特別の利率による利子を付することといたしたのでありますが、約定期間七年以上のものにつきましては、三十一年度におきまして特別利子一厘をつけております。これを逓減いたして参ると、三十二年度においてはこれがゼロになるわけであります。従いまして約定期間七年以上のものにつきましては、これに対する特別の利子は付さないことにいたしたわけであります。  これがこの法案を御提出申し上げました理由でありますが、きわめて今申し上げましたところは非常に複雑でおわかりにくかったと思いますが、事柄はきわめて簡単なことでありまして、特別利子を毎年一厘ずつ逓減して参り、七年以上の約定期間のありますものは、すでに特別利子を付する——一厘ずつ下げて参りました結果、三十二年度においてはその特別利率がゼロになります。従って七年以上の預託期間のものにつきましては特別利率を付さない、それに関連いたしまして、五年以上七年未満のものの預託金につきましては従来一分からだんだん一厘ずつ毎年下げて参りました結果、すでに五厘まで下ることに相なるわけでありますから、従来一分以内となっておりましたものを五厘以下の範囲内において逓減する、毎年逓減していくような特別利率を残す、こういうふうなごく事柄は簡単な法律改正であります。
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を願います。
  5. 大矢正

    大矢正君 これは不勉強かもしれませんが、ちょっと参考のためにお尋ねいたしたいのですが、資金運用部に預託されている郵便貯金の現在の額というのは一体どれくらいになっておりますか。
  6. 河野通一

    政府委員河野通一君) 最近の残高と、平均残高と両方とって御説明できるのでありますが、どちらがよろしゅうございましょうか、最近の残高でよろしゅうございますか。
  7. 大矢正

    大矢正君 けっこうです。
  8. 河野通一

    政府委員河野通一君) 郵便貯金資金運用部への預託金は六千四百億円というふうになっております。
  9. 大矢正

    大矢正君 これは資金運用部資金法できめられている約定期間三カ月未満から七年以上までのまあいろいろの区分がありますが、これでは郵便貯金の場合に、いろいろと何と申しますか、経費だか、あるいは事務費だかわかりませんが、そういう面で特別の利率を付加しなければならないということで今日までやられておるのでありますが、いつになったらこの特例がなくなる勘定になるわけですかね。
  10. 河野通一

    政府委員河野通一君) 従来ずっとやって参りましたように、毎年一厘ずつ逓減をいたして参りますといたしますと、三十二年度が五厘でありますから、一厘ずつ下げて参りますと五年でゼロになる、こういう計算になります。
  11. 杉山昌作

    杉山昌作君 どうもこれは読むとややっこしいのですが、結局結果はどうなんですか、三十二年度には五年以上のものは六分、七年以上のものも六分、三十三年度になりますと、五年以上のものが五分九厘になり、それから七年以上のものは依然として六分、こういうことになるのですか。
  12. 河野通一

    政府委員河野通一君) さようでございます。
  13. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を問題に供します。本案賛成のお方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  16. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     木内 四郎 西川甚五郎     平林  剛 天坊 裕彦     青木 一男 木暮武太夫     高橋進太郎 苫米地英俊     下條 康麿 大矢  正     椿  繁夫 杉山 昌作   —————————————
  17. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案について、内容を簡単に説明を願います。
  18. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま議題となっておりまする中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、内容を簡単に御説明申し上げます。  今回政府は、中小企業者に対する金融円滑化をはかりますために、全国にありまする信用保証協会に対しまして、その保証能力を増大するために必要な資金、並びに信用保証協会の行なっておりまする保証債務の履行を円滑にいたしまするために必要な資金を貸し付けることといたしまして、別途信用保証協会法の一部を改正する法律案を提出して御審議を願っているのでございます。この特別会計法は、今申しました信用保証協会法の一部を改正する法律案に伴いまして、所要改正を行おうとするものでございます。改正の要点は三点ございます。  その第一点は、従来この会計保険事業だけを行なっておったのでありますが、今回信用保証協会に対する資金貸付事業も行うこととなりましたので、その会計保険勘定融資勘定とに区分いたしまして、保険勘定におきましては、従来行なっておりました中小企業信用保険事業に関する経理を行い、融資勘定におきましては、信用保証協会に対する資金貸付事業によりまする経理をそれぞれ行えるようにいたしたのであります。  第二点は、信用保証協会に対する貸付金原資は、一般会計から、予算の定めるところによりまして、融資勘定に繰り入れることとしたことでございます。三十二年度予算に当りましては、一般会計から原資といたしましておよそ十億円を繰り入れることといたしまして、所要予算措置を講じてございます。  第三点は、融資勘定の歳入は、貸付金回収金及び利子一般会計からの繰入金並びに付属雑収入といたしまして、歳出は、貸付金事務取扱費その他の諸費としたことでございます。  以上が改正主要点でございまして、それ以外の所要規定の整備を行なったものでございます。  簡単でありますが以上をもちまして内容の御説明を終ります。
  19. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。
  20. 大矢正

    大矢正君 内容についてというよりは、今までの経過と申しますか、特に信用保証協会内容について質問をいたしたいと思うのでありますが、信用保証協会に対する貸付業務を行う場合に、保険料を徴収することになるわけですが、そうすると、この保険料というのは、実際に全国的にはどのような状況のもとに取られておるものであるか、この点をちょっとお尋ねをいたしたい。
  21. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 通産省から担当官が見えておりますので、そちらから答弁を願いたいと思います。
  22. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 御答弁申し上げます。ただいま御質問の中で保険料ということがございましたが、これはおそらく保証料のことだろうと思うのでありますけれども、この点について御説明申し上げます。  現在信用保証協会は、御承知のように中小企業者金融機関から金を借り入れる場合にそれを保証することを仕事としているのでございますが、その場合には保証料を取るのでございます。保証料は各協会ごとにまちまちでございますが、一応最高限度といたしましては年三分以内ということにきめておりまして、大体現在の平均保証料率は二分三厘ということになっております。
  23. 大矢正

    大矢正君 この法律によって政府が十億円の原資保証協会に与えるということなのでありますが、この十億円の金額では、実際的に各地方中小企業が必要とする資金を確保することは非常に困難ではないかというように感ずるのでありますが、具体的に申せば十億円でなくて、もっと政府保証する原資というものを増額する必要性があるのではないかというように感ずるのであります。十億円というものが出てきた根拠でありますが、十億円あれば実際に貸付業務を行う場合にはその何倍かになって拡大をされて貸付が行なわれる結果になると思うのであります。そういうような面から、大体中小企業が必要とする資金ワク保証できるような根拠があって、十億円という数字が出てきたのか、そうではなくて、全体的な予算の面で十億円という数字が出てきたのか、この点ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  24. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御質問の点でございますが、十億にしなければならぬという算術的な根拠に基いて計上いたしたものではありません。御承知のように保証協会地方自治団体出捐——出資中心といたしまして運営されておる機関でございまして、現在三十年度末における信用保証協会状況を見てみますると、保証基金としての保証能力は五十九億程度になっておりまして、これでは全国一円の信用保証協会信用能力に欠けるわけでございます。御指摘のよりに原資が多くなりまして保証能力が増大すれば、大きければ大きいにこしたことはないのでありますが、財政全体の需要等を勘案いたしまして、この際政府としては十億円をこの資金に繰り入れいたしまして、この繰り入れしました資金全国信用保証協会に貸し付けることによりまして、これを動かすことによりまして、短期の資金繰りを緩和し、また銀行に預金いたしまする信用保証協会保証能力を増大することに資そう、こういう見地からいたしたものでございまして、今後の政府貸付による金並びに地方からの出資増加等によりまして、先ほど申しました六十億の保証能力に対しまして、三十二年度におきましては七十四億程度保証能力になる見込みでございまして、現在中小企業者金融が非常に困っておる点につきまして、このように保証能力が増大することは相当な改善になるだろうと思う次第であります。
  25. 大矢正

    大矢正君 十億円では額的に不足であり、保証協会が営む貸付事業原資というものは、もっとやはり私は大幅に確保してやるべきではないかと思うのでありますが、この点は別といたしまして、かりにこの十億円の原資ワクを各地方保証協会に与える場合には、具体的にどういう形で与えるのか、その点参考のためにちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。
  26. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) お説の点は、どういうふうに貸付され、配分基準はどうであるかということであろうと思います。これは通産省の方から御答弁願うのが適当かと思いますが、やり方といたしましては、先ほど原資といたしまして政府からの繰入金は大きければ大きいほど中小企業者にとっては金融円滑化に資するのであると申し上げましたが、先ほども申し上げましたように、この協会は従来地方公共団体出捐中心といたしまして行なわれてきたものでございまして、いたずらに政府多額の金をこれに出資いたしますことは、従来伝統的に地方公共団体がこの方面に当っておりました熱意を冷却するというようなことになるおそれもございまするので、資付金のそういう点もあわせ考えまして、配分に当りましては地方公共団体出捐熱意を冷却することがないように、また特定団体多額資金が集中することのないように、各信用保証協会資金状況地方公共団体のその当該信用保証協会に対する出捐状況等を種々勘案いたしまして、適正なる配分をいたしたい、かように考えております。もし通商産業省におきましてさらに具体的な方針がありまするならば敷衍して御説明いたします。
  27. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 現在のところまだ具体的な配分基準というものは実は持ち合せておりませんが、ただいま大蔵省の方からお話がありましたように、いろいろ各種の要素がございますので、各協会等からの申請等も勘案いたしまして、必ずしも過去の実績とか今後の保証見込みなどにとらわれることなく、たま一方に偏するというようなことがなく、極力実情に即するような方法で遺憾のないように配分いたしたいというふうに考えております。
  28. 大矢正

    大矢正君 今年は十億円の原資保証協会に確保してやるということでありますが、明年度以降は実際的にどういうことになるのか、その点の考え方お尋ねします。
  29. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 明年度予算につきましては、ただいまから的確な御答弁はいたしかねます。しかしながら今回十億の資金の繰り入れをいたしましたのは、中小企業金融円滑化に資するという大政策からいたしたのでございまして、一年こっきりでやめていいものとは決して考えておりません。本年度の成績をよく勘案いたしまして、また来年度財政全体を勘案いたしまして、予算措置としては適当に講じて参りたい。かように考える次第でございます。
  30. 大矢正

    大矢正君 先ほどちょっとお尋ねをいたしましたのですが、保証料の問題ですが、三分以内という規制がある。ところが全国で五十以上の保証協会があるが、実際的には保証料というものに差がある。こういうように保証料に差があるということは決して好ましいことではないのでないかという感じがするのですが、その点についての見解を承わっておきたいと思います。
  31. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 御指摘通り保証料中小企業にとりまして相当実質的な金利負担になるという面で、問題が大きいのでございます。でき得べくんば極力これを軽減するということが最も望ましいわけでありますが、各協会のいろいろな経営状況なりその他によりまして、必ずしもこれが中小企業者の希望するような程度まで引き下げられておる段階にないのは、はなはだ遺憾でございますが、今回の融資等もございますし、将来逐次経営改善に努めると同時に、努める際には、ぜひともそういう引き下げるというような方向に私どもといたしましても指導していきたい、こういうように考える次第でございます。
  32. 木内四郎

    木内四郎君 ちょっとお聞きしておきたいのですが、特別会計のもとになる法律ですね、その関係において、今度十億円保証協会の方に貸すことになるらしいのですが、これは返済はどういうことになるのですか。返さないでいい金ですか。
  33. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) あくまでも貸付でございまするので、返済は所定の期限通り返済していただく、かような考え方に立っております。
  34. 木内四郎

    木内四郎君 そこで一つ伺いたいのですが、従来金融機関などの場合に、一定額出資があった場合、あるいは払い込みがあった場合に、その信用基礎にして、その何倍まで債券を発行していいとか、あるいは何倍まで保証していいとかいうことにきめるのが従来の常であったように思うのですが、ところがこの場合に、これが借金である。借入金であって、借入金というか、すなわち負債ですね、負債というのは信用基礎にするにはふさわしいものではないと思うのですが、それの何倍までかを保証し得るということにされるというのじゃないかと思いますが、何倍まで保証されるのですか。
  35. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 現在保証協会におきましては、保証基金というものがございまして、これには各都道府県なりあるいは市町村、金融機関、そういう方面からの出捐その他寄託金、種々いろいろございますが、借入金その他いろいろございますが、そういうものが基金として認められております。それの現在十五倍までが保証可能の限度であるというふうに定款で定めております。
  36. 木内四郎

    木内四郎君 そこで伺いたいのですがね、従来ののは、今お話があったように、株の払い込みとか、現実の出資とかいうものがあって、その資金元というか、信用というか、それを基礎にして、その何倍まではそういう機関なら債券を発行していいとか、保証していいとか、これはしごくもっともなことだと思います。今返さなければならない金、すなわち、借金基礎にしてその何倍まで保証していいというのは、従来のわれわれの考えておったところとは少し違うように思うのですが、そういうことに対する通産省の御説明を一つ伺っておきたいと思います。
  37. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 現在、ただいま申し上げましたように、保証協会基金として認められておるものの中には、都道府県よりの借入金というものがございますが、これにつきましては、二年以上の借入金というのが基金の中に繰り込まれることになります。そういう意味で、ある程度の、借入金でありますけれども、ある程度長期のものが基金の中に繰り込まれておりまして、及び、それ以外に出捐金補助金損失補償金等があり、そういうものを含めまして十五倍と、こういうようになっておるのでございます。
  38. 木内四郎

    木内四郎君 私は本質の問題についてはいろいろ疑問もあるのですが、今政府委員から、従来そういう出資金資金元として、その何倍まで、十五倍まで保証していいということになっておりますということですから、私はこれ以上は質問をいたしません。ちょっと私ども従来考えておるところと違うものですから、その説明だけを求めたのです。従来そういう慣例になっておれば、これはやはりこれも差しつかえないのじゃないかと思うのです。
  39. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 何ですか、この貸付は三分五厘以内ということのようなんですが、そうなんですか。
  40. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) さようでございます。
  41. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 そこで、今御説明を聞くと、これは原資に充てるように貸す、今の保険課長お話でも、原資に充てるように、こういうわけなんだが、地方自治体が出している原資というものは醵金ですね、金利のないただの金で、それの十五倍とか何とかいうものを年末や何かに保証しているわけですが、今の保険課長の話によると、信用保証料というものは大体三分以内で、平均してみて二分五厘とか二分三厘ということになる。そのほかに調査料を千分の二以内とっているものや用紙料をとっているものもあるが、だんだん減るのだ、だんだんなくなりましたが、大体信用保証料というものが年三分以内というようなことになっているときに、原資として貸し与えるところのものの利息が三分五厘では高いのじゃないですか、実際問題として、今の地方自治体が醵金している原資となるものはみんな無利息である。それから、こまかい話ですが、県などが県金庫に預託するかわりに信用保証協会に金を預けて、そうしてこれをほかの銀行定期預金にさせて、利ざやを稼がして、つまり一種の補助金のような形で、県によっては信用保証協会の運営を援助しているところが少からずあるのですね、こういう公共団体だから……。その場合などは大体県から貸すのは三分以内とか二分五厘とかいうものであるのが普通なんですね、私が全国を調べてみると。三分五厘というのは、信用保証協会公共性の上からみて、これは非常に、せっかく十億円出していただくことだが、金利が高いということは、今の信用保証料が二分三厘になって、これは実はおそらく大蔵省でも中小企業庁でも信用保証料なんというものはただにして中小企業を助けてやるべきところまでいくのがほんとうだと思うのです。そのもとになる原資に高い利息をつけておくというのは、少し矛盾しているのじゃないかと、こう思うのですがね。なるべく安くすべきがほんとうじゃないか、こういうふうに思うのです。
  42. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の点はごもっともな点がございます。できるだけ安い金利にすべきことは政策上考えられる点でございますが、三分五厘にいたしましたのは、政府一般会計からこういう金を貸し付ける場合、あるいは特別会計で貸し付ける場合、その場合におきまするいろいろな各省関係の事例を調べてみましたところが、大体平均いたしまして五分五厘程度のものが多うございまして、三分五厘というような低利のものはほとんどない現状でございます。それと、いま一つは、原資の点に触れられましたが、この保証協会に対する特別会計からの貸付金は二つございまして、一つは保証債務の額を増大するために必要な原資、いま一つは、いろいろな保証協会が非常に短期的な金詰りにあう場合がございます。その短期的な金詰りを打開いたしますために、この会計から短期的に貸し付けるものと二つございます。これらをプールいたしまして運用するわけでございまして、短期のものと、長期のものとプールいたしました場合に、三分五厘以内であるならば大体バランスがとれているのじゃないか、その他の政府貸付金との間のことを考えまして、適当ではないか。また非常にこれを安くいたしますと、極端な場合、無利子にするというようなことになりますと、先ほども説明いたしましたように、地方公共団体熱意なり信用保証協会熱意というものも、健全な方向に動く方に水をかけるというようなおそれもございます。その点もあわせ考えまして、三分五厘以内といたしたのでございますが、今後運営に当りましては、期間の長短に応じまして、極力これ以内におきまして、短期のものはできるだけ低くするように、政令でもって定めるように善処をいたしたいと、かように考えております。
  43. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 今の御説明だと、原資にする分が一部で、また他の部分は保証協会の金詰りを助けてやる、こういうふうなことなんですね。さあそこで、保証協会の金詰りというのは一体どういうところにあるのですか、保証協会というのは御承知のように——1ちょっとお聞きなさい、保証協会というのは、御承知通り保証をするだけの仕事で、もし保証協会に金詰りがあるとするならば、それはおそらく代位弁済のことなんです、あなたのおっしゃるのは。それでわかった、それで代位弁済のことなんだが、しかしこの代位弁済は御承知通りそれを少くするために今再保険の制度があるわけだから、普通の今の保証協会に金詰まりがあるというようなことになると、いかにも保証協会が金を貸すような印象を受けますから、これは言葉を少し気をつけていただく方がいいと思いますが、その場合に代位弁済の資金としてお貸しになるとしても、保証協会の運営の方からみると、先ほど中小企業庁の方が言ったように、だんだんと保証料というものは下げて、中小企業者の今は一番の問題になっておるのは、銀行金利の上に信用保証料が加わって、それから用紙代が一件二十円とかあるいは調査料が千分の二ということがあることは、信用保証協会はいけないという議論になっておる、それをだんだん減らしていっているのですね、今平均してみて幾らですか、今のお話ですと二分三厘というお話ですが、だんだんこれは減ると思うが、そういう運営を一方中小企業庁はやらしておるのに、大蔵省の方が国の金一だから五分五厘以下はなかなかないのだから、三分五厘は恩恵だというような考え方では中小企業金融を円滑にする意味の信用保証協会を助ける意味から言うと、少し通産省の方と大蔵省の方と考えが食い違っておるのじゃないですか、通産省の方はそれでいいのでしょうか、そんなに高くて。どうなんですか、通産省の方は。
  44. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 私どもの方といたしましても極力低利でやることが望ましいのでございますが、一応他の貸付の問題との均衡ということもございましょうし、そういう点も勘案いたしまして、よく大蔵省当局と打ち合せの上で、三分五厘ではございません、三分五厘以内ということで、なるべく低い線でいきたい、こう考えております。
  45. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 これは水かけ論になりますし、意見になりますから、質問でないから言いませんけれども、これはなるべく、おそらく今の信用保証協会の金繰りに使うということは少いのです。どういうことにするかというと、必要な原資としてこれは使うわけですから、そこで国からお借りしたものを、これをほかに定期預金か何かに回してその差額によって運営を助けて、そうして信用保証料を下げていこう、こういうのが国のねらいでもあると私は思うのですが、それですから、これはあまり高くならないようにすることにして、この質問はやめておきます。  それからこれは課長さんの方に伺うのですが、信用保険の対象の業種をもう少し拡大した方がいいのじゃないかと私は思う。たとえば地方信用保証協会信用保証をして、そうして銀行や何かで年末金融や何かを受けておる者にして、再保険につけようという場合に、保険の方が対象が非常に狭いために、せっかく国の信用保険の再保険がつけられる道がありながら、信用保証協会とすればどうも再保険がつけられないのだからこれはやらぬと、こういうようなことができて、中小企業者は非常に困っておるのです。たとえてみれば苗を売る種苗業であるとか、あるいは薪炭業というようなものは、私は群馬県ですが、薪炭業なんかは中小企業者にむしろ多い、ところがこういうものが信用保険がつけられない、おそらくほかの委員の方はそんなにひどいものかと驚くだろうが。それからたとえば石屋さんなどが信用保険がつけられない。そういうことは少しあなたの方で気をつけて、これは政令か何かですか、どうぞそれを何とか拡大するようなお考えがあるかどうかをちょっと伺っておきたいと思うんですがね。
  46. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) 現在信用保険において保険につけ得る対象業種は二十四業種ございますが、それ以外にも今お話が出ましたように、いろいろ御要望なり御意見があると思うのであります。ただ多少いろいろ業態といたしましてなかなか的確につかみにくいものもございまするので、できるだけ利用の範囲を広めるという御趣旨には全く同感でございますが、その辺の検討もいろいろございますので、現在できるだけ広めようというような方向については十分考えておりますが、なお検討中でございますので、今後そういう結論を得ました上で善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  47. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 ちょっと保険課長さんに、これは質問ともお願いとも何だが、実際信用保証協会にあずかっている者が、いつも再保険の国の信用保険をつける場合に問題になるのは、非常に保険金の支払いが遅れることなんですね、これはどこに原因があるのか、これを伺いたいと思うんですが、まあ保険料の納入は御承知通り非常に厳格で、期限経過をしたあとでは延滞利子をとるとか、なかなかむずかしいことをやって、それをみんな全国信用保証協会が実行しているんですが、一たび保険金の支払いということになると請求をいたしましてから大体八カ月から一年かかるんですがね、これはどういうわけですか、これを伺いたい。人手が足りないんですか。
  48. 本多俊夫

    説明員本多俊夫君) ただいまお話がありましたように、従来は非常に保険金の請求に対しまして支払いの速度がおそかったことは事実でございまして、はなはだ遺憾にたえないところであります。その原因といたしまするところは、非常にこの審査に当りましては、何分にも実際に現地で調査をするということは限られた人員、経費等の面で困難でございまするので、勢い書面審査ということに重点を置かざるを得ない次第でございまするが、その場合に、この保険の制度開始以来いまだ日が浅いというようなことがございまして、というのは、現在出ておりまする請求は相当開始以後早い時期に保険につけられたものの請求が出ておると思いますが、それにつきましてはそういういろいろ事務上の当事者のふなれとか、そういうふうな面から書類面において相当不備な点もあるというようなこともございまして、その照会ないしその口頭といいますか、そういう点に多少時間がかかるというようなこと、さらには何分にも国の機関においてこの事務を行なっております関係上、人員の点においても必ずしも満足すべき数が持てないというようなこともございまして、多少遅延をいたしておるというような状況でございます。しかし保証関係の保険につきましてはもう一つ融資保険というのがございまして、これに比しまして、一応保証協会があらかじめ個々に審査をいたしましたものを保険につけるというようなことで一つのルートをつけております関係上、そう厳密な審査ということは必ずしも必要ではございませんので、その点割合にスピード面においては早いということもございますし、その後逐次いろいろ手続等も簡素化に努めまして極力この仕事の促進に努めております。その結果、昨年末におきましては従来相当滞貨をいたしておりました点をほとんどなくしまして、現在ではなお多少このきらいはございましょうけれども、ほとんど正常に近いような状況ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、おいおいいろいろな面で改善策が講ぜられますれば、なお今後とも御期待に沿えるようにできるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  49. 杉山昌作

    杉山昌作君 ただいままでのお話しを承わると、この政府貸付金は、保証能力を増大するために必要な原資となるべき資金にもなるのだと、そうなりますと、これをもとにして信用保証事業が相当拡張されるわけですが、そうするとだんだん事業が大きくなるのでしょうから、期限が来たとすればそれを返すのだという、さっきのお話しでしたけれども、返せばそれだけほかの方で資金がふえるということでなければ事業を縮小せざるを得ない。ほかの方で資金がふえるというのは、結局地方自治団体出捐するとか、あるいはこれで、もうけをだんだん貯めるということでしょうが、信用保証協会なんというのはそうもうけを貯めるというふうな計算にもなっていないのじゃないかと思いますが、従ってこれは貸付金とは言いますが、実はもう回収はできなくなるような事態じゃなかろうか。そうすると、むしろ貸付金なんということにするものだから回収の問題が起きたり、また今の貸付利息が三分とるとか、何ぼとるとかいうような問題が起きている。利子が高いというような説明も出ているわけです。思い切ってこれを出資ということにしてしまえば、そういう点は解消されるのじゃないかと思いますけれども、そういうことのお考えはなかったのでございますか。
  50. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 出資という考え方が全然なかったわけではございません。一つの考え方ではあるのでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、信用保証協会は今までのおい立ちから見まして、もっぱら地方公共団体出捐が九割くらいを占めて、地方公共団体機関としてできておるのでございまして、まあ地方公共団体の、せっかく全国的にこの信用保証協会を盛り上げていこうという気運が、政府から大きな命を出資いたしますると、地方公共団体熱意も自然と冷却をして参るだろう。やっぱり地方公共団体熱意によってやっていくことが第一じゃなかろうか。それに出資となりますと、おのずから一般会計から繰り入れる原資も限定されてきますので、特定のところに固まってしまうおそれがある。まず名目的な保証能力よりも実質的な保証能力を増大し、地方出捐増加等と相まち、また保証協会経営の健全化によりまして、漸次積極的な活動ができるように持っていくのが適当ではないか。そのためにはむしろ貸付金としてぐるぐる回転資金的に運転をして幅広く使っていくことが適当ではないかと、かように考えまして、貸付として行うようにきめたわけでございますが、杉山委員指摘のように、一つの考え方として出資という考え方はございますけれども、現在のところ政府といたしましては貸付による方が適当ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  51. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連して。今、杉山君から一つの構想を述べられたのですが、私も実はそういう工合に、政府出資に一刻も早く、これがなるようにあなた方に努力をしていただきたいと思います。理由はまあ二、三ありましょう。特に金利の問題が、先ほど木暮委員からもお話しがありましたが、私が痛感しているのは、やはり中小企業が種々な努力をして、そうしてやっと手に入れた金が現実において非常に高金利だということですね。それは高利貸しの金よりは安いにしても、とにかく大企業と比較すれば、開銀の六分五厘の融資を受けていることを思えば倍にも近いところの金を借りている。これはなかなかほんとうの意味の中小企業の振興にはならないと思いますので、金利を少しでもふくらませるような素因のあるものは政府みずから切っていく、こういう格好でやはり出資をしていくという考えがなくちゃならぬと思うのです。とくにことしの一月ですね、木暮、椿、両君と九州へ私ども、この大蔵委員として議員派遣で出張をいたしました。そして福岡と熊木の財務局管内のいろいろな中小企業金融状況を伺ったのですが、このときに私はそういう点を特に痛感いたしました。なぜならば九州地区の金利が、おそらく御承知だと思いますが非常に高いのです。これはもう統計的に高く出ております。種々理由をただしてみまするというと、九州の工業地帯全体として考えた場合に、九州にある石炭、鉄鉱等の大企業、その金融措置はほとんど中火に直結してしまう。ほんとうに九州の地元で金融を受けるのはほんとうの地方金融になるわけです。地方金融が非常に金利が高いということであります。さらにどんどん突っ込んで調査をするというと、保証協会の利用率が非常に悪い。これはおそらくお気づきになっていると思いますが、福岡は特別に悪い。これは他府県のおそらく五〇%以下になっているのです。そういうことを考えてみまするというと、やはり中小企業金融を円滑にする一番大きな要因の一つは、やはり金利政府みずから旗を振って下げるべきではないか。これに尽きると思います。もちろん原資をふやすことはもちろんのことでありますけれども、そういう意味で杉山委員のおっしゃったことに私はさらに声をつけ加えて、政府当局に善処をお願いしたいことなんです。この点についてはもう一ぺん一つそういう福岡の、九州の事情なんかお考えになっているかどうか。特に最近は北海道だとか東北方面財政投融資がありまして、後進地域の開発というような格好でやられておりますが、われわれ九州を見て参りましても、南九州の方は産業的には非常におくれているという実態がわかりました。しかしそういうところに何ら措置は加えられておりません。おそらく四国でも同じでしょうし、裏日本でも同じだろうと思います。従って、ブロック的な政策を進めることもあるいは必要かもしれませんけれども全国的に同じ方針のもとにやはり進めていかなければならない、片手落ちになるのではないか、こう考えますので所信を伺いたい。
  52. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御意見傾聴いたしました。ただいまのところでは先ほど来述べておりまするように、融資が適当と考えまして、さような法的措置並びに予算措置を講じている次第でございまするが、なお御意見のあるところはよく検討いたしまして、三十三年度以降の予算編成の際には十分これを考慮に入れて検討を加えたいと思います。  なお、金利の点につきましては、今回は中小企業金融といたしまして国民金融公庫、中小企業金融公庫等につきましては、他の一般金利との比較を考えまして、特に引き下げの措置を講じなかったのでありますが、商工中金に対しましては十億の出資をいたしまして、現在一割以上の金利になっておりますのを一割以下に引き下げるように措置いたしております。なお、金利低下の点につきましてはできるだけこれも考慮に入れて参りたいと存じますので御了承願います。
  53. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を問題に供します。本案賛成の方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  56. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名    木内 四郎  西川甚五郎    平林  剛  天坊 裕彦    青木 一男  稲浦 鹿藏    岡崎 真一  木暮武太夫    塩見 俊二  高橋進太郎    土田國太郎  苫米地英俊    下條 康麿  大矢  正    栗山 良夫  椿  繁夫    杉山 昌作  前田 久吉   —————————————
  57. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  以上二案を一括議題として質疑を行います。山下税関部長が見えております。
  58. 平林剛

    平林剛君 最初に法律の形についてちょっとお尋ねをしますが、税関部長ではどうも困るのですがまあいいでしょう。どうも関税定率法の一部を改正する法律案だの、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、ああいうのはほんとうにわれわれ困る、ときどきこれはもうどっちだったかなということになってしまって、一つ忘れてしまったり、書類に閉じ込むときにも困るし、大体物事を判断する場合にも、私はなかなか判断がしにくいことがあるのじゃないか、これはどうして一つにまとめないのですか。何か特別な理由があるのですか。これは税関部長に聞いてもわからないでしょうか、あなたは答弁をするつもりでそこに座ったのだから、一つ答えていただきたい。
  59. 山下武利

    説明員(山下武利君) 簡単に御説明申し上げます。全くこれは法律形式だけの問題でございまして、実は関税定率法の付則として規定できれば非常に都合がいいわけでありますが、現在、関税定率法の暫定適用に関する部分が関税定率法の一部を改正する法律としてできておるから、それを改正する場合にはどうしてもこういうふうな名前になってしまうということでございます。
  60. 平林剛

    平林剛君 適当なときに整理できないのですか。
  61. 山下武利

    説明員(山下武利君) 関税定率法の付則というものも別にございますが、関税定率法の一部を改正する法律と申しますのは、必ずしも、この関税定率法の付則だけに限定された問題ではなくて、むしろ、関税定率法の適用に関する暫定的な別個の法律であるという体系から、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  62. 平林剛

    平林剛君 そうすると、結局この法律は、税法でもよく議論した関税の中の特別措置法、こういうふうに理解すればいいわけですね。もしそうだとすれば、そういうふうな名前をつけた方がはっきりしていいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  63. 山下武利

    説明員(山下武利君) 大体においてそういうふうな性質をもったものかと考えますが、必ずしも特別措置といったものでもないのでありまして、どうもやはりこういうふうな名前をつけるほか適当な名前がないということから、毎年この方法を踏襲しておるということであります。
  64. 平林剛

    平林剛君 まあ性格をみてみますと、大体関税をこれだけおまけしますとか、免じますとかいうのが多いわけですから、税法上からいえば租税特別措置に類するものじゃないかと私は思うのです。適当な方法がないと、こう言われるが、私、今具体的に関税特別措置法か何かというような名前は、今ちょっと言っただけのことですけれども、もう少し中身がぴったりとわかるような題名を一つ御研究になって、一般の国民でもすぐわかるように所要改正をすることを希望いたしておきます。  そこでもう一つ、この説明を前の委員会であなたからなさったときに、私の方の天田委員から質問がありましたね、税関という言葉について。それでこの税関というのは一つの機関なんだけれども、その税関のだれだ、どういう職責の者が認定をするのだということで指摘をされたことがありますけれども、あれは、その指摘はそのままになっておりますか。それとも何か所要改正をあとで議会にお出しになりましたか。
  65. 山下武利

    説明員(山下武利君) 関税定率法の中には、今お話にありましたように、税関と税関長という字を使い分けております。税関長という字は、主として認可とかその他それに類する法律行為の主体として規定されたときに用いられておるようであります。一方、税関と申しますのは、はなはだばく然とした言葉でありますが、これは各国にもそういう例があるのでありまして、個々の窓口でもって、非常に迅速に、たとえば通関手続をするとか、あるいは輸出の認可をするとかといったような場合に、必ずしも税関長の権限に基いてやるというのではなくて、その税関の、その窓口におる人間の裁量でもってやる場合がかなり多いわけであります。これは各国の法制もそうなっておるわけでありますが、日本の関税定率法もそれを受けまして、そういう場合には便宜に税関という名前でもって処理されておるわけでございます。
  66. 平林剛

    平林剛君 そうすると、この関税定率法の一部を改正する法律案の中身だけでは全般がわかりませんけれども、十九条の二を見ると「あらかじめ税関長の承認を受けて」というふうに「税関長」と、こうなっている。ところが天田委員指摘した十五条のところでは「税関」となっておる。あなたのお答えでは、それはそれぞれ、今お答えになったような性格で明確に区分をされておる、従って差し支えないという解釈をとっておる、こう理解していいですか。
  67. 山下武利

    説明員(山下武利君) その通りでございます。
  68. 平林剛

    平林剛君 まあ、一応法制上そういうふうにととのっているとすれば、けっこうであります。  もう一つお尋ねをいたしますが、養殖真珠のことについて法律規定がありますが、ここに「(主として輸出されるものに限る。)」とこう書いてありますがね、輸出されるものに限るとしないで、「主として」と表現をしたのは、何かほかに特別なものがあると思うんですけれども、どういうことですか。
  69. 山下武利

    説明員(山下武利君) その点につきましては、前回にも御説明申し上げましたことの重複になるかと思いますが、これは主として豪州またはベルギーあたりで日本人が向うの資本と提携をいたしまして、日本人が技術を輸出して、向うで養殖いたしました、主として白蝶貝の養殖真珠の半分は技術の対価として日本に輸入し、半分はこれを日本が買いとって、要するに全部日本に集めまして、そうしてそれを適当に加工したりあるいはいろいろと交換会のようなものがあるようでありますが、交換をしたりいたしまして、そうして粒をそろえて、ほとんど全部これはアメリカあたりに輸出されるものであります。ただ「主として」ということをつけましたのは、必ずしも全部は、百が百まで輸出されるかどうかということの確認が税関では実はつきかねるわけであります。ごくわずか、日本内地で使用されるものがあるかもしれませんですが、現在のところではほとんど全部が輸出されるということでありますので、そういう認定のつきます白蝶貝等の養殖真珠につきましては、便宜、今のところ免税にしておいた方がいいのじゃないかということでやったわけであります。「主として」ということは、法律文としていかがかと御指摘になる点は、その通りだと思うのでありますが、ただ養殖真珠で、政令の指定するものというふうに書きますと、幾らか政令に委任される範囲が広きに過ぎやしないかというところから、その輸入されますところの真珠がほとんど全部輸出されるという事実があるものに限って、政令で指定するものは免税できるということにいたしたわけであります。この前例は、前回申しましたように、十四条の十五号に、ミンクの輸出について同様の例がございます。
  70. 平林剛

    平林剛君 今度は中身のことについてお尋ねをいたします。この関税定率法の一部を改正する法律案、それからもう一つ、一部を改正する法律案がついている、この二つの法律で関税を免減税をしておる種類は、大体提案理由の説明に、それぞれおもなものは書いてありますけれども、それのもとの免税額ですね、あるいは軽減額、ちょっとおもなものを並べてみてくれませんか、総体として幾らになっておるか。
  71. 山下武利

    説明員(山下武利君) 前回、天田委員の御要求によりまして、当委員会に提出申しました資料がございますが、そのほかに何か御要求でございましょうか。
  72. 平林剛

    平林剛君 資料が出ているとすればよろしいです。それを見てわかりますから。  それでは、私らこの法律の中で、従来から批判をしておりましたのは、重油、原油、軽油などの免税措置について、先回の委員会でもいろいろ議論をしたわけでありますが、最近はこういうものの値段が、スエズ問題などの影響を受けて大へん値上りを示しておりますね。私は全般的な調べはしておりませんけれども、この結果、相当石油会社、石油精製株式会社のようなところでは利潤を上げておるのじゃないかと思うのですよ。株の値上りを見ておっても、相当この会社は値段を上げていますからね。そういうふうに大へん利潤を得てきておるような現在の状況になってくると、何もこれらの重油、原油、軽油などの免税を続けなくてもいいのじゃないだろうか、こういう議論が生まれてくるわけです。なぜこの関税定率法で特別の保護を加えておるかということは、聞かなくてもわかっておりますから、政府説明は知っていますけれども、最近のような事情になってくると、情勢の変化があったというふうに認定をしてもいいのじゃないだろうかというふうに私は思うのですけれども、その御見解はいかがですか。
  73. 山下武利

    説明員(山下武利君) 御承知のように、原油につきましては、基本税率一割を盛ってあるわけでございます。これは二十六年の関税率改正のときにできたわけでありますが、しかし、同時にそれが暫定免税品目に加えられまして、一割の税制が適用されたことはいまだかつてないわけであります。三十年の八月に至りまして、当時非常にタンカー・フレートが安かったし、それからまた国産の原油を保護しなければならないという要請等もありまして、その一部を復活いたしました。原油につきましては二%、重油につきましては六%半の暫定的な減税措置がとられており、そしてそれが今日に至っているわけであります。これをもとの一割に戻してはどうかという御意見かと思いますが、何分にも日本の揮発油の生産量というものが非常に少くて、九〇%以上を海外に仰いでいるわけであります。また石油類は、御承知のように日本の工業にとりましてもきわめて重要な原材料でありますので、これの関税を引き上げるということにつきましては、よほど慎重な考慮が要るのではないかと思っております。石油の市価は、スエズ問題以来タンカー・フレートの値上り等もありまして、相当に上って参っておったのでありますが、昨年の十一月、十二月くらいを頭といたしまして、ほぼ現在では落ちついてきているような状況でありますので、現在の暫定的な減税措置は、もう一年これを継続した方がいいのではないかということが、先般の関税率審議会の答申にもございましたので、その答申に従ってこれをもう一年延ばすということを御提案申し上げている次第でございます。
  74. 平林剛

    平林剛君 単価でちょっと説明して下さい。今のスエズ問題が発生したときの当時のそれぞれの単価、それからさかのぼって昭和三十年八月の法律改正した当時の単価、現在の状況、こんなくらいに分けて、今のあなたのお話は少し抽象的だから、具体的にちょっと説明をして下さい。
  75. 山下武利

    説明員(山下武利君) 日本の中の卸売価格でございますか、石油の製品別の東京の卸売価格を御説明申し上げます。まず揮発油でありますが、三十年の春ごろには大体一万八千円くらいがベースでございました。これが三十一年の七月、八月、九月あたりには非常に生産過剰の現象で、値段がくずれて参りまして、一万四千七百円といったような非常に低い値段が出ておりました。それがスエズ問題等もありまして、去年の十一、十二あたりからだんだんに上って参りまして、ことしの一月には一万八千円、ちょうど三十年の春ごろの水準に返っている次第であります。  それから、重油の中でA重油でございますが、A重油は現在国税を免除されているわけでございます。A重油につきましては、三十年の春ごろには一万三千二百円のところにありました。現在に至るまでほとんどその価格は変っておりません。去年の十二月に一万三千三百円、ことしの一月になりまして一万三千八百円、若干上向きになっておりますが、その程度でございます。それからB重油でございますが、B重油並びにC重油、これがさっき申しましたように六・五%の関税がかかっておるところの重油でございます。この、たとえばB重油について申し上げますと、三十年の春ごろには一万五百円の値段でありました。それが三十年の九月に関税がかけられた際に五百円の値上りをいたしまして、一万一千円になりました。この一万一千円があまり動きませんで、三十一年の十二月には一万一千八百六十円、ことしの一月には一万二千三百円、そこらあたりは若干タンカー・フレートの影響等もありまして上って参っております。しかしながらタンカー・フレートには相当長期契約のものもありますので、現在のスポットのタンカー・フレートがそのまま重油の値段に反映するということではありませんで、ただいま申しましたように、比較的値上りの幅は少いわけでありまして、先ほども申し上げましたように、ことしの初めあたりからだいぶ値段も落ちついて参っておるというふうに承知をいたしております。
  76. 平林剛

    平林剛君 大体関税定率法の一部を改正する法律案などは、一年ごとに区切って提案をしてきておりますね。今度の法律でも、昭和三十二年三月三十一日に期限が到来する関税の減免制度について一年間延長する。そうすると重油とか揮発油などの特例を設ける理由から考えると、日本の産業の原材料になるべきものであるから、どうしてもこの措置が必要だ。この間のほかの例でもちょくちょくこういうことがありますけれども、ある程度国の経済の基盤になっていくことになりますから、この理由はいつまでたっても消えるということはないわけです。そうすると一体どういうふうな条件になったならば特別の措置をやめられるのか、こういう疑問が生まれてくるわけですね、どういうふうにお考えになっていますか。
  77. 山下武利

    説明員(山下武利君) 炭化水素油の関税は、国産保護を目的としておるわけでございますから、国産の原油が相当の生産量になり、そしてそれの生産費が下ってくるということになりますというと、初めてそこに保護関税としてこれをどう考えるかという問題が起ってくるわけであります。現在何と申しましてもあまりに国産原油の数量が少いわけでありまして、そこで需要者の方の利益を考えてこれは暫定的に減税しておくという要請が生まれて参るわけであります。ただいま通産省で計画されておるように、五カ年計画で百万キロといったような日本の原油の生産に成功いたしますれば、だんだんと日本のコストも下って参る。そうしますというと、初めて海外との間の競争をどうするかという問題がそこで起ってくるのではないかと考えております。
  78. 平林剛

    平林剛君 私の承知しておるところでは、大体原油等は国内消費量の九五%ぐらい占めている。あとの五%が国内で生産をされる。最近は帝国石油は大体いい油田を発見したそうで、今までと違った状況のようでありますけれども、これが政府の石油資源開発五カ年計画によって拡大されていきまするというと、大体その割合はどの辺になるのですか。今私が言わんとしておることは、あなたはこういう関税の特別措置がそこにかかっておると、こう言われるわけであります。まあそれと関係がありますから、大体その割合はどういうふうになっていく見込みを立てておられますか。
  79. 山下武利

    説明員(山下武利君) 何と申しましても日本の石油資源そのものが非常に少いわけでありまして、たとえ百万キロ出ましたにしましても、そのときの日本の需要というものは現在よりもまた相当になっておるということから、一割までいくことは相当むずかしいのではなかろうかと考えております。
  80. 平林剛

    平林剛君 そうするとこの関税の特例というものは、どういう条件のもとで正常なところに返っていくのか、こういう議論が生まれてきそうですね。そういう意味で、私どもがこの問題については従来から批判をしておったわけであります。もしどうしても国策として必要であるというならば、こういうように一年々々ちょくちょく限って出すようなことをしないで、ずっと基本政策としても続けるというなら理由はわかりますよ。そういう点で私は従来から疑問を持っておるのであります。まああなたと議論してもしようがありませんから、この辺でやめますけれども、最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思います。日本の独占産業である石油産業の、各石油の会社ごとの当期末の純益のようなものを今お持ちになっておりますか。日本石油とか丸善石油、それぞれ会社の当期における純益について参考のためにお聞かせを願いたいと思います。
  81. 山下武利

    説明員(山下武利君) ただいま手元にあります資料では、会社別の数字はあがっておりませんが、石油精製量全体としての純利益は持ち合せがございますので、御参考までに申し上げます。  三十年上期におきましては、売上高に対しまする純利益の割合は九・八%でありまして、下期におきましては八・九%、三十一年の上期におきましては八・三%、だんだんと下ってきておるような状況でございます。
  82. 平林剛

    平林剛君 金額にして。
  83. 山下武利

    説明員(山下武利君) 金額にいたしますと、三十一年の三月末の純利益は四十三億四百万円、九月末の純利益は三十二億五千八百万円でございます。
  84. 平林剛

    平林剛君 独占企業としての石油産業が大へんもうかっておるということは、今のお話でもよくわかるのであります。そういう意味では私はもう少し工夫すれば、こうした手当でなくとも、日本の基幹産業に影響を与えることなく、またこれに対する私どもの批判を消していくことができるのではないだろうかと思うのであります。これは本日の場合には、皆さんにこう申し上げましても、この法律を提案したわけでありますから、やむを得ませんけれども、とにかくわれわれとしては十分考えておかなければならぬ問題だということだけは言えると思うのです。特に石油会社のほとんどは、そのうちの半分あるいは半分以上が外国の資本、そしてまた重役の過半数を外国人が占めている。そういうところから見ても、私は現在における措置でもってこういう恩典を与える、外国人だからどうのこうのというわけじゃ、ありませんけれども、全般の国民の税の負担、あるいはこうしたものに対する課税の公平という面から当を失しておると思うのであります。これは意見として申し上げまして、適当な機会に、今私が質問をいたしましたこまかい資料を出してもらいたい。石油会社の最近の状況、今、概括しかお伺いしませんでしたから、前回のときにも少し資料をいただきましたが、それと比較をしてわかるようなものを出していただきたいと思います。  私の質問はこれで終ります。
  85. 大矢正

    大矢正君 これ衆議院の大蔵委員会では社会党の委員が一部の一部、ダブル一部の方に反対をしたというのですが、その点でちょっとまだ、ほんとうに反対をしなきゃならぬのか、あるいは賛成はしないけれども……、うすうすは反対の理由もわかって参ったんですが、そこで最終的にお尋ねをいたしたいのは、鉄鋼の一部というものが丙号物品という名前において減免税が行われる、しかしどの程度の減免税であるか、あるいはまた内容的にはどの程度までという点については政令にゆだねてもらいたい、白紙委任状をいただきたいという趣旨の提案でありますが、昭和三十五年三月三十一日までに輸入されたものに限ってこの関税を減免税するということなんでありますが、三十五年の三月三十一日まで、三月三十一日というのは年度末でありますから、この点はわかるのでありますが、三十五年という年数の区切りについては何か特別の理由があるのかどうか、これを一つお伺いしておきたい。それから付随して——一つ質問答弁をしてもらうのも、三つしてもらうのも同じでありますから、この際、かためて二つほど簡単にお伺いいたしたいのですが、第十五条の特定用途免税の中で、外国人が入国の際に引っ越し荷物として持ってくる自動車、船舶、航空機、飛行機を引っ越し荷物に持ってくるのはおかしいのですけれども、こういうものに対する課税の減免税については、入国の前が六カ月を一年にすると、こういうふうに法律改正になるようでありますが、実際問題として六カ月が一年になってみたところで、これが事実一年を経過しているものであるかどうかという点については、非常に不明確ではないかと私は思うのでありまして、何か全然効果のない条文がこの中にあるような感じがする。事実外国から非常に税関をのがれてくる自動車がふえていることは、新聞その他において指摘をされておる通りでありますが、ここに第九項としてこういう条文があり、しかも今度は六カ月を一年に直してみても、結果においては何ら益するところがない、このように考えるのでありますが、この点に対する御見解を承わりたい。  以上二点についてお答えを願います。
  86. 山下武利

    説明員(山下武利君) 最初のお尋ねは三年間という期限をどういうわけでつけたかということでございます。これはあくまで暫定的な免税でございますので、期間を切らなければならないわけでありますが、しかし大体三年間くらいでもって相当鉄鋼の生産も増加いたしますし、現在のようなはなはだしい需給のアンバランスは解消するのではないかという見通しから、一応三年という期限を切ったのでございます。  それから第二のお尋ねの、六カ月を一年にしてもあまり効果はないのではないかというお尋ねでありますが、実はこの六カ月使っておればよろしいという規定を最近悪用いたしまして、その引っ越し荷物でないにかかわらず、それに仮装いたしまして、その年次の新しい車がどんどん輸入されておるというような事態がありますので、それを防ぐ意味におきまして一年間使用ということに限定をいたしたわけであります。この一年間使用したかどうかということは、向うの売買証明書、それから出国のときのパスポートというものを照らし合せてみて十分に認定がつくわけであります。一年にいたしますということは、要するにその年次の型の車は入れない、引っ越し荷物とは認めないということでありまして、現在の引っ越し荷物に仮装して入ってきておるところの不正輸入は、これで大幅にチェックできるのではないかというふうに考えておるような次第でございます。
  87. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言もないようでありますが、両案に対する質疑は終了したものと認めて御異議がございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。  まず、関税定率法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を問題に供します。本案賛成のお方の御挙手を願います。    [賛成者挙手
  90. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西川甚五郎  平林  剛     青木 一男  稲浦 鹿藏     岡崎 真一  木暮武太夫     塩見 俊二  高橋進太郎     苫米地英俊  下條 康麿     大矢  正  栗山 良夫     椿  繁夫  杉山 昌作     前田 久吉   —————————————
  91. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  92. 平林剛

    平林剛君 私はただいまの法律に対しては社会党を代表して反対の意見を述べます。  ただいま採決になりました関税定率法の一部を改正する法律案、また今討論をしようとする法律案も、いわば関税定率法の中で特に定められておる関税を減免するものでありまして、いわば関税の中の特別措置法ともいうべき性質のものであります。そしてこの中には特に関税上の特別の手当を必要としないものも含まれておる実情から見ても適当でないものがあると思うのであります。その一つは、たとえば今日の独占企業であります石油産業に与えておる関税の軽減の措置のごときものであります。私どもは今日の実情から見まして、法律の全般的な検討を要望いたしますとともに、特定の産業に不当な利潤をもたらしておるこの法律案に対しては賛成しがたいものであります。これが反対の理由であります。
  93. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発露もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決を行います。関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を問題に供します。本案賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  95. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 多数でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  青木 一男     稲浦 鹿藏  岡崎 真一     木暮武太夫  塩見 俊二     苫米地英俊  下條 康麿     杉山 昌作  前田 久吉
  96. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会