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1957-05-16 第26回国会 参議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            大川 光三君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            三浦 義男君            阿部 竹松君            相馬 助治君            加藤 正人君            豊田 雅孝君   政府委員    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衞君    中小企業庁指導    部長      川瀬 健治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   参考人    日本中小企業家   同友会常任理事  束原誠三郎君    灘生活協同組合    専務理事    次家 幸徳君    日本中小企業政   治連盟政策局長  松崎 健吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法の施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○商業調整法案衆議院送付予備審  査) ○小売商業特別措置法案衆議院送  付、予備審査) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開きます。  昨日に引き続き、中小企業関係法案について、参考人方々から御意見を伺い、質疑を行うことになっております。  参考人方々には御多忙のととろ、当委員会のために御出席下さいましてありがとうございました。特に松崎参考人には昨日質疑を残して、本日また御出席願うことになりまして、まことに恐縮でございます。一応松崎参考人に対する質疑が残っているわけでありますが、まず東原、次家御両人から御意見を伺い、その上御三人に対し質疑を行うことにいたしたいと存じます。  束原次家参考人に申し上げますが、遠路をわざわざ御出席わずらわしましてありがとうございました。ただ、法案の審議の状況もございますので、大体十分程度の御意見の御開陳にお願いいたしたいと存じます。  それでは日本中小企業家同友会常任理事束原誠三郎君にお願いいたします。
  3. 束原誠三郎

    参考人束原誠三郎君) 御指名によりまして私は大多数の声のない、また声の出せぬ中小企業者を代弁いたしまして、中小企業団体組織に関する法律案に対する反対を申し上げます。  特にお願いしたいのは、このような重大な法案でありますので、多少時間が延びましても、御容赦願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なるべく簡単に。
  5. 束原誠三郎

    参考人束原誠三郎君) それと、最初にお断わり申し上げておきたいことは、私が人に頼まれたからとか、また何か野望があって反対をするのでは断じてございません。これは反対と一応申し上げますが、私は反対でなく、これは正義叫びであると申し上げても差しつかえないと思うのであります。  日本の現在の国情から判断いたしますと、この法案は決して中小企業を救い、また保護するものでないと深く信じているからでございます。それならばお前たち中小企業の中からもっとたくさんの反対の声が出ないではないかとお思いになると思います。出ないのがこれは当然でございます。と申しますことは、二つの理由がございます。  その一つは、政府お役人に対する尊敬と信頼の念、これがまだ残っておりますことと、私どもがともどもにお選び申し上げました議員先生方への信頼心、それから業界幹部影響力のまとに微妙なる作用によりまして、法案に関心を持つ一部の中小企業者は、本法案が悪いように思うが、まきかそんなに悪い法律をお考えになることはまさかないだろうという思いをいたしまして、行きつ戻りつしておるのが現状でございます。  次の一つは、一般中小企業者は日常の種々なる仕事に追われておりまして、法案国会上程をも知らず、また法案名称団体組織に関する法律案では、これは見せものの前口上だけでございまして、さっぱりわけがわからない実情でございます。本法案を推し進める方々内容にふさわしき名称に変えれば、たくさんの反対の声が出ると思われます。御参考に申し上げますれば、はなはだ失礼になるかもしれませんけれども一つ中小企業団体職員安定法一つ中小企業税金吸い上げ法、一つ中小企業新規規律法一つ中小企業取締法一つ零細企業排除法一つ、大企業中小企業紛争誘導法等でございます。  本法案に対しましてのおそろしき数多くの弊害は、種々の機会に文書その他をもちまして私ども考えを申し上げて参りました。さらに前回衆議院公聴会におきましておそろしき弊害実情を申し上げました。その反響はさっそく現われまして、また誤解も飛びまして、圧力も出て参りました。しかし、私はこれにおそれるものではございません。間違って報道されますと、ただ業界の混乱と相剋を招くだけで、益することはありませんから、今日は個々の業界に起きております問題の実情は省略させていただきます。  日本現在の政治は申し上げるまでもなく国民大衆の福利を基盤とされてお考えの上に、その施策を講じられておられることと拝察申し上げておるのであります。本法案は一部の者の利益のため考えられた感度が非常に強いのであります。しかも、いかなる業種にも適用される一般法として考えられておるところに問題がございます。そのために各層からいろいろの声が出てくるのも当然でございます。範囲が広く適用される法律だけに、立案された官民の方々と、特に取り上げておられる委員の御説明を聞きますとまちまちで、一貫した法の精神がないようでございます。その例をちょっと申し上げますと、自由主義的立場からの中小企業対策金融税制技術経営指導の面でやるべきだが、日本中小企業は、それよりも以前の状態で、金融一つにしても、ざるに水を注ぐようなものであるから、組織を強化して規律一つ作らせることが先決である。その趣旨から本法案ができたのだとか、また、別の方は本法案ができても幾つかのむずかしい条件がついてあるから、適用を受ける業界はそうたくさんないから、物価の上る心配はないとか、そうかと思いまするとまた、中小企業が日々数千軒倒れていると申されます。数千軒と申されますことは、千の上は万でございまして、その中間をとりますと、まず五千軒ではございませんでしょうか。毎日五千軒ずつつぶれるとしたならば、一年に大部分の中小企業が消えてなくなるのであります。私どものこの中小企業というものは、そう簡単につぶれるものではございません。まあ、私のことを申しまして大へん申しわけないのでございますけれども、大正九年のガラと申します、皆様御案内と思いますが、それから昭和八、九年の不況のどん底、このときが一番私ども商売をしておりましてもうかりました。それは自分の力以上のことはいたさないからでございます。われわれと同様の方は、日本にもだいぶおります。こういうところを一つよく御研究をお願いしたいのでございます。また、この法律通りますれば中小企業が全部税金を納めなければならなくなるから、国家の財政がよくなるとも申されます。何だかまことに、真に日本中小企業を保護育成して経済的の地位を高める法律案ではないように思われます。また、経済統制で味をしめた者と、団体運動家等の一部には、本法案業界安定の万能薬のごとく一流の話術をもちまして、われわれの心をひきつけるものもございます。強権によってできた組織は表面的の団結でございまして、精神的団結ではございません。精神的なつながりがなくては、よい結果の生まれるわけがございません。さらにまた、事業活動規制して自由競争から生まれる生産性の向上とか、品質改善、または価格の適正、サービス徹底等幾多の美点を生かすことがこの法律規制によってもできるように話を持っていかれますが、これはできない相談でございまして、手足を縛り、芸当をやれと言われましても、大衆を満足させるような演技のできるわけはございません。日本中小企業は長き歴史の上に一経済人として常識を心得、社会的信用を第一として鋭意営業いたして参りましたが、この一般中小企業家を縛って、新しく規律を作らせる等とは、あまりにも私どもを無視したことでありまして、権力には簡単に屈服するものではございません。数多き中小企業者の中には、自由を取り違えて勝手気ままをふるまう者もあることは否定できませんが、この方々も食うために西も東もわからず商売を始めるため問題を起しますが、その方々を保護し、育成するお考えなれば、話はわかります。それならば別の法律で、かりに申せば、未熟零細企業保護育成法でもお作り願いたいと思うのでございます。  次に、弊害の要点について少々申し上げたいと思いまするが、過当競争法律規制によって防止いたしますときは、同じ業種でありましても、立地条件の差、本業、副業の差、新旧の差、健全、不健全経営の差、技術優劣の差、等の幾多の差異は、はなはだしき企業を画一的に規制することとなりまして、正直者ほど損をし、弱小企業は窮地に陥る危険が大でありまして、権力のみ世に栄えることは当然過ぎるほど当然でありまして、私の申し上げるまでのこともございません。さらに、過当競争根本原因は、市場が狭き上に過剰生産が大きな原因で、この根本原因を取り除く政策をおとりにならず、法律規制によって防止するには一、設備制限、二、生産制限、三、価格協定、四、出荷制限、この一の設備制限とは、設備の新増設の禁止でありまして、そのため現在ある機械の調査登録に伴う多数の監察検査員雇用任命等、莫大な恒久的費用は、組合員全額負担となります。二の生産制限は、日々の生産数量から生じる収入のみによりまして生活しております零細企業は、即食えなくなることは当然でございます。そこで必然的に価格の引き上げをせねばならぬのでございます。三の価格協定には、生産する種類をきわめて少く、減じまして、そして規格を統一し、品質規格検査所価格査定所の設置、そのために必要な多数の委員職員雇用、莫大な費用と手数と時間を要し、流通は不円滑となり、業者負担は増大し、その莫大な費用は、当然商品に加算されるのであります。四の出荷制限は、物資流通の不円滑はもとより、さらに長年にわたる美しき融合取引は当然阻害され、その損害ははかり知ることができません。さらに進んでは、完全に効果を上げるためには、経済警察も必要になるのではないでしょうか。申し残しましたが、生産制限すれば、人手が要らなくなりますことは当然、今度はさらに失業者の過剰となります。価格協定は品物がなくてのときと違いまして、まあやや多いときで安く売ると困るためでございますから、当然高くなります。自分の扱う商品が多少値上りいたしましても、他の商品が高くなれば、結局同じことで、一般消費者大衆利益も害し、また、中小企業者消費者でございますから、自分の首を自分で絞めることに相なりますことは、明白なほど明白でございます。  この一点だけでも規制弊害については無学の私が唱え続けておりますおそろしき団体法理由はおわかりと思います。決して反対病や何かではございません。これは正義叫びでございます。今日物の一応あるとき、中小企業経済行為のみを規制する法律ができましても、守る者がないではありませんでしょうか。守らなくてもこの法律ができることは中小企業の一歩前進であると団体屋さんは申されまするが、真の中小企業家はそのようには思えません。また、守らない法律を乱造することは、まことにここでなまいきなことを申し上げるようでございますけれども、お許し願いまして、これは国会を乱用し、国民の苦しみを顧みないものではないでしょうか。また、新規開業等ができなくなれば、私どもで実習中の青少年、学業を終えて巣立つ青少年から、独立の大きな希望を奪い、中小企業への就職者はなくなり、中小企業はやせ細る一方で、自然消滅よりほかございません。何とか一つ考え直して、守れる法律にしていただけませんでしょうか。  本法案最初から見ますると、だいぶ修正されましたようでございまするが、ところどころに政令々々という字が見え、運用の幅が広がって参りました。民主的な団体運営は、まだまだ遠いのでございます。まだまだ二十年先ではないでしょうか。団体幹部行政官庁話し合いで、私どもの知らぬうちにだんだんと官僚が介入して、また組合ボス化のおそれが前よりも強くなったように見受けられます。団体交渉権は私どもから見ますと、これは少し言い過ぎかもしれませんですが、大企業などを仮想敵といたしまして中小企業とかみ合せる。これは国内戦争を誘発するおそれがある法案と申しても、決して私は過言でないと思うのでございます。戦争犠牲者は大がい兵卒でございます。国内戦争犠牲者弱小企業者であることは当然でございます。益する者は、この戦いを指導する野望家一人であります。  今まで申し上げたことは私の申し上げたいことのほんの一部分でございます。本法案に対する不安と危惧は、先般衆議院で行われた修正によりましても、基本的には何ら解消していないのでございます。  最後に、恒久的一般法として、規制を伴う組織法制化には絶対反対でございます。中小企業の困難の解決はいろいろございます。今さら申し上げるまでもなく、税制金融市場の拡大、人口問題、完全雇用の実現、社会保障の充実、治山治水平和的大量移民など、幾多抜本的施策が本筋でございまして、この施策大量人口失業者をかかえた日本の現在の国情といたしまして、当然過ぎるほど当然であることは申し上げるまでもございません。  なお、法案の立案に当っては、業界実情をよく調査研究し、また、その内容を事前に周知徹底せしめ、業界人の真の声を引き出して、慎重に慎重を重ねていただき、急がず時間をかけていただきたいのであります。  さらに、現在たくさんある法律によらない、話し合いの自主的な団体組織がございますが、それをよく調査していただきまして、健全なるものはこれを認め、育成することに考えを切りかえていただきたいのでございます。しこうして本案は廃案とせられることを切に切にお願いして、一応終ります。  さらに、この際つけ加えて申し上げたいのでございますが、このことは議員の諸先生方にはぜひ御一考をお願いいたしたいのでございます。日本中小企業関係の人員は、従業員、家族を含めまして約一千五百万ではないかと称されております。いわば、いずれをお聞きになりましても、団体法がいいんだ、いいんだという賛成の声ばかりでございます。これにまどわされて、選挙のときにこの票を失うのをおそれて、本法案に御賛同の向きも一部おありかと存じます。しかし、この法案の実害は、過去の経験でも明白であります通り、二、三年後には必ず業界に現われて参ると思います。そのときに、中小企業はびっくりして、現在声のない大多数の中小企業の票がどこに向うかは、今日すでに明らかと存じます。国民の期待いたしておりまする参議院の特異性を十分に生かされまして、何とぞ党の決定として簡単にお通しにならないように、どうか遠い先見の明を持たれ、本法案に対し特に御善処せられんことを切にお願いいたします。  最後に、まことに失礼を申し上げました。私の意見を終ります。
  6. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、灘生活協同組合専務理事次家幸徳君にお願いいたします。
  7. 次家幸徳

    参考人次家幸徳君) ただいま御指名にあずかりました灘生協次家でございます。本日当商工委員会参考人としまして私の意見を聞いていただくということは、非常に光栄でございますが、ただ一つ自分立場一つ了解おきを願いたいと思うのでございますが、私たち長年消費者のために運動して参ったのでございますが、生協運動の中には、政治的には中立であるという百十二年前からのテーゼを守り続けております。従いまして社会党さんの方にどうであるとか、民自党さんの方にどうであるとかというふうなことはございません。ただ、消費者立場において、今回の団体法に対しまして徹底的に反対であるということを表明せざるを得ないのでございます。  一つは、消費者大衆利益が、本法案がもし実施されました場合に、いろいろ業者方々は、これを推進される方々は、消費者に迷惑はかけないのだということを繰り返しておっしゃっておられるのでございますが、われわれ長年あの戦争中からのあの統制時代を通って参りまして、この法案が実施された場合に、消費者物価の値上げによって、いかに迷惑を受けるであろうかということを実に憂えるものの一人でございます。  もう一つは、中小企業振興のために、非常に努力をされまして、これがこの団結を強化して、そして振興をはかろうと言われることはわかるのでございますが、今も言われましたように、弱小業者がこの法律によって果して救われるであろうか。決して救われないということを申し上げざるを得ないのであります。  次には、この法案がもし実施されるということになりますれば、あの最もいやな思いをいたしました戦争中の配給時代における、官僚と、組合の一部幹部の結託によりまして、いろいろな消費者大衆を惑わし、また業者の、小さい弱小業者を苦しめる多くの事柄が生れるであろう。そうして正しい民主主義の歩みが害されるのであるということを感ぜざるを得ないのでございます。  根本的に見まして、この本法案矛盾と無理があるということを最初に申し上げざるを得ないのでございますが、それはどういうことかと申しますと、実は今度の法案は、社会党から出されております組織法案民自党側で支持されます、この団体法案、われわれ静かに考えますのに、これは全くこの逆ではなかろうかということを考えざるを得ないのでございます。社会主義社会を望む社会党とされましては、社会主義を行う上においては計画経済でいく。計画経済でいく以上、ある程度統制経済がそこに入って参るのでございます。従いまして、ある程度そこに規制であるとか、わがままを許さないというような、統制的な行為が行われるのは無理からないと思うのでございます。一昨年もソビエトなり、中国を回りまして、それらの実情を見ましたときに、統制経済計画経済になりました場合に、そこにある程度の規制が行われるということは、当然なのでございますが、今度の法案を見ますと、社会党の出されておりますものは、全く業者の自主的な団結によって、業者振興をはかろうとしていらっしゃいます。ところが、もともと自由主義経済を唱えられます自民党におかれます案は、強制加入である、員外者規制命令であるというようなことで、全く両政党のお考えが、この法案に関しましては逆に表われてきておる。ここにわれわれが根本的に矛盾と無理が存在しておるのではなかろうかということを感ぜざるを得ないのでございます。  また、業者方々は絶えず自由の経済自由主義の原則に立ってこれを唱えておられるのでございますが、この団体法を支持される方々の一部に向って、あなたたちはいつも自由を唱えておられるじゃないか。それにあの強制加入であるとか、官庁指導権指揮権許可権が強力になるあの戦争中の状態を支持されるとは、何事だということを言いますと、どうもやはり虎の威を借らないとできにくいのだというようなことを言われます。根本的には反対である、官庁からのいろいろな指図があり、これらの許可命令が、業界において、自由主義経済において行われることは反対であるが、今のところこれを借りないとやれないのだというようなことを、説明を、返答をされるのであります。そういうところにほとんど本法案が根本的に矛盾がある、無理があるということを感ぜざるを得ないのでございます。  ことに、この法案が実施されて参りますと、これは工業部門から、商業サービス部門から、きわめて広範囲に行われております。従いましてこれが商業なり、サービス部面に行われる場合におきまして、カルテル化が急速に進むであろうと思います。カルテル化が進む場合に、なるほど販売の方法なり、またはいろいろな生産の面におきましても、計画的ないわゆる話し合いはなされると思うのでございますが、少くとも末端消費者に向って、小売業者団結をするということは、何を意味するのか。なるほど、上の生産に向って共同交渉ということもけっこうだと思います。大生産小売業の中において、末端流通過程の中において、非常に中小企業の中において差がある、これの地ならしをしなきゃいかん、共同交渉をしなきゃいかんと言われることも、一部わかるのでございますが、ことに、小売の面なんかにおきましては、団結を強化するということは、イクオール価格協定して、これを消費者に押しつけるということにほかならないのでございます。中政連方々のパンフレット、政党なり政府当局への陳情書を見ますと、われわれは決して消費者大衆犠牲にするものではない、われわれはただ団結して大資本家に向って労働条件を統一にし、その取引条件において改善をしていただくのである、そうして貿易の振興をせしめるのだ、決して消費者に無理はかけないのだということを言われております。もし、消費者に無理があれば、生活協同組合存在は許されておるではないか、購買会存在は許されておるではないか、また、調整委員会もできるではないか、こういうことでこれを十分押え得るのだと書いてございます。ところが、私は神戸市でございますが、神戸市の商店街に、また市場に配られておりますビラをごらんになるとよくわかります。この法案ができたら、今まで生協なり購買会なりがある程度安くする、従って多くもうからなかった。この法律ができたら、これらを根こそぎやっていけるのだ、押しつけられるのだ、従って皆さんは賛成してほしい、この法律が、団体法が通ったら、そのときこそ生協なり購買会の活躍は停止せしめるのだということを書いてございます。同じ法律に向って指導される中央の団体政府なり政党に言われることと、末端において、またわれわれ神戸におきましても、兵庫県当局がいろいろ骨折り願いまして、業者方々とも数度にわたって研究会をしたのでございますが、市場の問題なり、その他においては意見が一致する場合もございますが、しかし、それらの本法案が通ることによって、消費者に迷惑をかけないと言われること自体、これを追及いたしますと、やはりこの法案によってわれわれが値段を協定して、そうしてある程度の利潤を得るのだ、そうでないと食えないのだということを率直に言っていらっしゃるのでございます。そういう面から見ましたときに、このカルテル化カルテル化に通じて参ります。ますます物価は上っていく。もしこの法律ができまして、それが正しく運営されないといたしますと、ことに第三次産業部門におきましては複雑でございます。従ってこれが正しく運営ができない、いわゆる規約破りができるというようなことになりますれば、せっかく法律ができましても、これらの実施についてはなかなか困難があり、従って法律というものに対する不信はますます高まっていくということを考えざるを得ないのでございます。ことに、われわれ多少小売生産部門にも関係しておるのでございますが、すでに神戸におきましては、この法律通りますと、小売共販制にしようということをすでに業者は話し合っております。共販制にするということは、すべてを一本にして価格を統一し、やっていこうとするのでございます。結局は価格のつり上げ以外何ものもないのであります。それはイクオール消費者に非常なる影響を与えるのでございます。それらの面から考えましたときに、どうしてもわれわれはこれに賛成できないのであります。現在の状態においてすら、すでに書籍において、生協に書籍を流すな、購買会に流すなということが各面できめられております。化粧品の箱の表面には、この品物は生協購買会に卸してもらっては困るということが印刷にしてはってございます。また、電気の器具の一部におきましても、すでに大メーカーはこれらを流さないということを申し合わされております。法律的な権限を与えられなくても、事実そういうことが次々と行われておる現状におきまして、これに法律的な武器を加えられたといたしましたら、一そう強力に、一そう広範囲にこれらのことが行われてくることは、火を見るよりも明らかでございます。そういう面から見ましたときに、何をもって消費者のためにこれは害にならないということが断言できるでございましょう。そういう面におきまして、絶対にわれわれはこれを賛成いたしかねるのでございます。  ことに、カルテル化が強化されて参りますと、強行されて参りますと、ますます独占の傾向は強くなりまして、そこに善意の競争がなされないというようなことも起って参るのでございます。よく話にいわれるのでございますが、一昨年もイギリスなり北欧を視察をしたのでございますが、あれらの資本主義の社会におきましても、なるほど生協も発達いたしております。一〇%なり一五%の力を小売の面において持っておりますが、これらの善意の競争が、いかにその国のインフレを防いでおるかということを、目のあたり見て参ったのでございます。ことに、イギリスのごときにおきましては、卵二円の値上げが、全国の反撃によって上らなかったということは事実でございます。それは生活協同組合、いわゆる労働者による、ともに守ろうとする運動が発達いたしておりますためにそれが牽制になって、そういう運動が続けられ、それが成功をおさめておるのでございます。今日本におきましては、わずかに〇・八%しかない生活協同組合が、こういう法律によって押えられ、活躍を停止されるということになりますと、勢い国内の物価はますます上昇する以外に手はないということを感ずるのでございます。ことに、スエーデンのごときなんかになりますと、かりにあるメーカーが物を作りまして、高くこれを売ろうといたしましても、すでに消費者団結は強固でございまして、原価計算をいたしまして、もしこれ以上に売るようなら、自分の方で再び同じものを工場で作るということの団体交渉権を持っておるのであります。従ってそういう面から消費者団結が強固であるだけに、物価は上らんで公正な取引がなされていくのでございます。  ただし、商業における発展というものは、独占ではいけない。消費者に向ってのサービスというものは、善意の競争があってこそ、ほんとうに真に達せられるのであって、組合一つ業種々々が強固になって、それのみが独占してその市場を握る場合には、必ず問題は起ってくると思います。そういう事態におきましても、単独の独占ということが、いかにわれわれに多くの弊害を与えたかということは、論を待たないのでございます。そういう面におきまして、県単位に一木の組合におきまして、もちろんオンリーであり、それできまったものは、いなかから都会まで同一であるというようなことがきめられました場合に、正しい競争ができるであろうか。経済の発展が期せられるであろうかということを考えざるを得ないのでございます。  ひいてはこれらが国内の小売物価を上昇するということは、イクオール貿易を侵害するのでございます。イギリスの労働組合のテーゼを皆さんがごらんになりましてもわかりますように、労働組合のテーゼが、貿易か、しからずんば死かということをいっておりまして、これは賃上げ闘争のかわりに、物価を引き下げる運動をしなければいけないということであります。あの小さい島国におきましては、貿易以外に生きる道はない。現在の日本と同様であります。その中においてものが上るということは、イクオール輸出の力を弱めるということでございます。そういう面から見ました場合に、この法律の実施によって、カルテル化が促進され、物価が上っていくということは、イクオールやはり貿易を阻害する、日本経済を阻害していくということになるのでございます。  当然、今度の法律によってわれわれは、生協とか、なるほど購買会は除外されたといいましても、現実には団体交渉権がなかった問屋に向って、メーカーに向ってなされる場合におきましては、すでに品物が入らない、入手ができないということに相なるのでございます。入手ができなければ、いかに労働者が団結をしまして生活を守ろうといたしましても、これは不可能になってくるのであります。これがすでに毛糸なり、書籍なり、多くの商品に現実になって現われてきつつあるのであります。これらのことを考えましたときに、当然、小売部面においてそういう団結権ができ、そうして物を上げられる権利が与えられるといたしますならば、われわれ消費者の側におきましても、団体交渉権が必要である、そうして業者団結に向って、価格はこれ以上に上げてもらっては困るという権利が与えられなければいけない。生産はイクオール最終の消費の目的に作られるのでありまして、消費者主権の立場から見ましたときに、消費者団結がない、消費者はばらばらである、業者だけがこれをきめていく。現におふろの問題におきましても、とうふの問題におきましても、最近全国で上っております散髪の問題にいたしましても、全く一方的にこれらが上げられて参っておるのであります。これらが再びわれわれの、労働者の活躍、消費者団結というものを無視されていくということになりますれば、ゆゆしい状態になってくるということを憂えざるを得ないのであります。強制加入の云々というようなことの法律的なことは、われわれにはわからないのでございますが、しかしながら、今までの調整行為というようなものを考えました場合に、いろいろな委員会がございます。消費者の代表も入っておりますが、しかし、今までかつて鉄道の運賃値上げにおきまして、米の値上げにおきまして、消費者の主張が、意見がほんとうに実現したことがあるであろうかということを考えざるを得ないのであります。事実は有名無実になってしまうではないかということを考えざるを得ないのでございます。  ことに、小売商業特別措置法の点なんかに至りますと、全くこれは生協の抑圧法案であるということを言わざるを得ないのでございます。なるほど市場が非常に乱立する、きのうも神戸の代表の坪上さんが言われましたが、われわれもよく坪上さんなんかとは神戸で話し合っております。その点では意見が一致しておるのであります。決して反対してはおりません。それは建築業者がもうけるために市場を立てて、そうして業者をごまかしてどんどんどんどんと作っておるというような事実でございます。そういう面についてのいろいろな法律上の規制ということがあるいは必要であるということもわかるのでございますが、生活協同組合員が買いものをするのに、組合員証を呈示しなければいけないというようなことがうたってあるようでございますが、これをもし皆さんが今の時代に、あの戦争中の物のない、行列を作って物を買う時代であればいざ知らずであります。また一年に一回か、二年に一回買う洋服を買うときに、その証明を出せと言われるのならばいざ知らずであります。毎日の青物を買い、毎日の魚を買い、毎日の果物を買う場合に、一々証明書を出さなければ、組合員は買いものができないのだというようなことが果して実現できるであろうか。奥さんがもし証明書を持っておったら御主人が店へ来たときにはどうするのだ、子供さんが買いものに来たらどうするのだ、そうして女中さんが来たときにはどうするのだ、証明書を何枚も持たなければいけないじゃないか、ことに着物を着かえたポケットへ入れて忘れた、着物五枚持てば五枚の証明書を持たなければいけないというようなこと、全くちょっと考えただけでも、実現のできないというようなことが、麗々しくこの特別措置法の中にうたわれておる。何を意味するのか、どこに、われわれ、この生協に対し、購買会に対して恨みがあるのかというふうにまで言いたいのでございます。実際問題として、今の時代に一々買いものをするのに、菜っぱを買うのに、証明を出して買いものをせなきゃいかぬというようなことが、ことに企業庁なんかで立案されているということにわれわれは大いなる不満を持つものでございます。  一部におきまして、生協の発展はわれわれ中小企業者を苦しめ、この人口の多い日本において苦しめるじゃないかということをよく言われるのでございます。現に、私の方で三百五十の従業員を持っております。もし、これが個人商店になりますれば、三百五十の個人商店がふえるのみでございます。いかに購買会であろうと、生協でありましょうと、小売商店でありましょうと、市場でありましょうと、流通部面においてこれに作業する人員は要るのであります。現に兵庫県におきましても、工場をやめられました方々が、労働者のために生協を設立して、そうして自分の生活を守るとともに、労働者の生活の向上のためにやっていらっしゃるのでございます。形がいかようでありましょうとも、生協が発達するから業者が困るのだ、人口過剰の日本において困るのだという理由は立たないのでございます。生協といえども、やはり人を要するのであります。やはり自由な競争の中におっては、もうけるのを目的とす商人、そうでないもうけ主義でないほんとうの生活改善を目ざすわれわれとがともに共存してこそ、住みよい正しい社会が生まれるのであるということを感ぜざるを得ないのでございます。スエーデンなり、さっきも申しましたように、イギリスなり北欧の諸国を見ましても、それらの正しい競争、公正な競争の中から正しい経済の発展がなされておるという事実、これが日本において、わずかに、さっきも申しましたように〇・八%程度しかない生協が、かくこの措置法のごときものによって根こそぎこれを撲滅しようとする動きは、われわれとしてはとうてい承服し得ないのでございます。なるほど、一部米子の土地におきまして異常なる生協が発達を遂げた。あの点から非常に日本における中小商業方々が覚醒をされ、強く生協に対する反対を打ち出されてきたということは事実でございます。しかしながら、米子をつぶさに皆様がお調べ願いましたらわかりますように、ことしの春も全国から五百の業者があの地に集まったのでございます。そうしてあれを解剖したのでございます。ところが、その結論は、鹿児島から北海道の業者が集まっての結論は、米子の業者がいけなかったんだということの結論を出されたのでございます。従来米子の土地におきましては、価格表がありましても、それを値切って買わなければ損である、まだ今四国でも徳島の一部にそういうことが行われておりますが、定価で買うものはばかである、値切らなければいけないのだ、ちょっとやみ市のような行き方が米子の市においてなされておったことは事実であります。そうして、三割なり三割五分の利潤を取っておられた。従って、労働者によって生協ができまして、一割五分なり一割六分の公正な価格で始めた。そこに一割五分の差がある。生協が発展するのは当然であります。従って、一面米子十万の市民は、従来よりもはるかにいい生協の出現によって、組合員であろうとなかろうと、物価が下ってきたということは当然であります。従って米子の業者が惰眠をむさぼることができなくなったということもまた当然であります。しかし、われわれ神戸の土地におきまして三十六年間いたしておりますが、業者方々とは非常に円満にやっております。価格におきましても決して無理はいたしておりません。員外販売ももちろんとめるのが当然であります。組合組合員のために存在するのであって、員外に売るのが目的ではないのでございます。しかしながら、非常に移動の激しいとき、また変ってみえたときに組合が果してどんなものか、一カ月なり、三カ月なりわからないときに、試験的に組合を利用してみたいという人もあるのでございます。そういう面におきましては、農協なり、今度の団体法にも認められておりますように、われわれは絶えず一割なり、二割までいかなくても、せめて一割でもいいから、その範囲におきまして、これらの試験的な利用を認めてほしいということを立案に当って政府に依頼して参っておるのでございます。そういう意味におきまして、われわれの存在が決して中小業者、商業者方々を苦しめるというような考え方は持っておらないのでありまして、ともに手を携えて日本経済の発展のためにやっていきたいというように考えておるのでございます。そういう意味におきまして、ただ単に消費者のエゴによって、われわれはこの法案反対するものではないのであります。  中小企業の、ことに弱小業者の多くの方々が、この法案によって果してどれだけ救われるであろうかということ、ことに官僚統制が強化されました場合に、いろいろな問題が起ってくるであろうというようなことを考えました場合に、この団体法がどうか一つ参議院の良識ある諸先生方の慎重なる審議によりまして、これが成立のできないように一つお骨折りを願いたいと思うのでございます。非常にわかりにくかったとも思うのでございますが、われわれはどこまでも小さい国にあるわれわれ九千万日本人といたしまして、ここに過激な争いを起すことは、決して日本の歩む道でない、北欧なり、イギリスのように、繰り返して申し上げますが、ともにともに手を取り合って、そうして正しい社会の建設に向っていくのでなければ、今、一方的に単なる小売業者だけが、また、中小企業者だけがいいというようなことで、この法律が通って参りまして、そこに一部の行き過ぎがあり、そこに摩擦が起りますと、収拾のできない状態が繰り返されてくる、惹起してくるということを憂えざるを得ないのでございます。どうか一つ良識ある参院におきまして、衆院の場合におきましても、われわれは皆さんにお願いをしたのでございますが、残念ながら参院に回って参ったのでございまして、新しい角度から参院の諸先生方におかれまして、これらのいかに重大な影響が、消費者に、また弱小業者に、また官僚統制の強化に、また貿易の振興に、なってくるかということを十分慎重に審議されまして、本法案の取扱いにつきましては、慎重なる御審議をお願いいたしたいと思うのでございます。  以上、非常に時間超過いたしまして恐縮でございましたし、またわかりにくかった点もあるかとも思いますが、どうかそういう意味におきまして、どこまでもわれわれはこれに対して消費者立場からだけでなくして、中小企業の正しい発展のためにも反対であるという意向を表明させていただいた次第でございます。
  8. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  それではこれより束原松崎次家、三参考人に対して質疑を行います。
  9. 加藤正人

    ○加藤正人君 まず、松崎さんにお伺いしたいと思いますが、その前に過日某新聞に出ました記事に対しまして、あなたから御叱正をいただいたことを感謝いたします。ただ、あげておらない所論に対する御批判の仕方、態度、要望というような点には、多少いかがかと思う点もありますが、これはその当否が読者によって判断されることと存じます。しかし、きょうはあなたは当参議院に参考人としておいでを願ったのでありますから、礼儀上そういう点はおきまして、昨日来のあなたの御所見に対する質問をいたしたいと思います。  まず第一に、強制加入の問題でありますが、アウト・サイダーを規制命令によって縛るよりも、組合に入れて話し合いの場を作ってやることの方がより民主的であるとの御説であったのです。言葉も使いようで、一応はなるほどと思う人もあるかもしれません。そういう言い回わしをすれば……。話し合いの場を作ってやって、話し合いが成立しなかった場合は、またアウト・サイダーの立場にもどしてやるというのなら、まさにお説の通りでございます。しかし、事実は全然違うのであります。一体基本的人権を制約する度合いは、アウト・サイダー命令と、強制加入命令とどちらが多いか。つまりどちらがより強権的であると思われるか。中小企業振興審議会の答申が、まずアウト・サイダー命令でやって、これでどうしてもだめという場合に、初めて強制加入命令を出し得ると、実際強制加入は憲法違反のおそれがあるほど強権的なものであるから、なるべくこれを避けたいという趣旨のものとは思わないのでありますか。この点についてまず第一に伺いたい。
  10. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) ただいまの御意見に対しましてお答え申し上げたいのでありますが、ただいまお話しありましたように、私どもはアウト・サイダーに対しまして規制命令で縛って参るよりは、組合の内部に入っていただいて、話し合いの場を持つということが民主的であるということを、きのう申し上げたのであります。これはいろいろ考えようでございますが、アウト・サイダーの規制命令も、やはり営業撰択の自由をある程度拘束するものであり、加入命令もやはり結社の自由の一部を拘束するものである。基本人権を拘束するにおいては、やはり同じような問題があると思うのであります。ただアウト・サイダーの命令につきましては、中小企業安定法の二十九条にすでにその立法例があるというので、割合に一般にはのみ込みやすいんじゃないかと思うのであります。しかし、よく考えますと、似たようなものじゃないかと私たち考えるのであります。ことに、これは少し理屈になるのでありますが、アウト・サイダー命令違反になりますと、すぐに罰則が適用になる。加入命令の場合には違反ということがないのでありまして、組合の内部にだけ過怠金の問題が起るかもしれませんが、罰則問題は起らない。こういったいろんなことを考えますと、どちらが強権的であるかということも、そう一概に言えないのじゃないかというような気がするのであります。内部に入りまして、多数決の結果、もしも少数意見が破れますれば、これはもうやむを得ないのでありまして、しかし、そこで十分に議を戦わす機会を持つということは、重大な意義があると思うのであります。その意味で私はアウト・サイダー命令も、加入命令も憲法上の問題、あるいは強権発動の問題といたしましては、そう大して片寄ったものじゃないと思うのであります。この点はいろいろ御議論があると思いますが、われわれ中政連研究の結果としては、さように考えております。
  11. 加藤正人

    ○加藤正人君 いや、それは大へん異論があります。しかし、これは討論会じゃありませんから、ほかの委員の御質問がありますから……。  ただ、これから私伺いますことについての御答弁を伺っておくのみにとどめます。しかし、公取の反対で、政府部内が最後まで意見の調整がつかなかったのも、けだしこのためではなかったかと私は思うのであります。さらにまた、アウト・サイダーがアウト・サイダーの立場をとっているのには、それ相応の理由があってのことであると、こう思うのであります。従って、ただ調整規程を守らせるために、アウト・サイダーとして地位まで奪ってしまうということは、規制命令よりも、より大きな人権制限となるものと、われわれは考えております。  次に、組合交渉について承わりますが、組合交渉に関する規定は、きわめて遠慮がちなもので、労使の団体交渉とはまるで違うということをあなたはおっしゃられました、もちろん、人数の制限、応諾義務に対する罰則の有無等、第二義的なものについてはそれは相違がありましょうが、団結の力で自己の主張を貫徹せんとする、その本質的なものについても、労働法に言う団体交渉権とは趣きを異にするものとあなたはお考えになるでありましょうか。この点伺いたいと思います。
  12. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) お答え申し上げますが、私ども組合交渉がきのうもお話し申し上げたように、ばらばらの業者が一緒になりまして、お話し合いの機会を持つということによって、初めて対等の立場でお話し合いができることを主眼としておるのであります。その点において、やや労働組合団体交渉に通ずるものはあるのでありますが、そこには本質的な違いもあることを認めておるわけであります。特にただいまの中小企業者考え方というものは、きわめて保守的でありまして、同じ形の組合交渉のようなものでありましても、非常に先鋭化したりするようなことはないと考えるのであります。もちろん、だいぶたくさんの業者の中でありますので、そういう場面も絶対ないとは保証いたしかねるのでありますが、大体の傾向といたしましては、大産業家方面で御心配になるようなことはない。これで初めてほんとうの秩序ある公正な取引ができるのではないか、そういうふうにわれわれは強く期待しているわけであります。また、労働組合団体交渉権法律的保護条文を、一つ御参照願えばよくわかると思うのでありますが、いろいろまだ労働組合団体交渉については、ただいまお触れになりました以外に、いろいろ保護規定がございます。それらは全部こちらの団体法におきまして、組合交渉におきまして実は抜いておるわけでありますが、この点は一つ大産業家の立場として、おおらかな気持を持ってお取り入れ願いたい。これがわれわれの中政連のお願いでありますと同時に、意見であります。
  13. 加藤正人

    ○加藤正人君 そこで承わりたいのでありますが、その交渉の内容が、たとえば加工賃について、組合交渉をする場合において、その加工賃を認めなければ、一切賃加工には応じないぞという、団結の力でその主張を貫徹せんとする場合には、労使の賃上げ交渉と本質的にはどう違うか、それは同じじゃないかと私は思うのであります。需要と供給との関係によって律せられている経済関係を、このような労働法センスで処理せんとすること自体が、私は重大な誤りではないかと思うのであります。しかし、お説がそうであれば、それだけ承わっておきますが、次には、統制経済化についての、われわれの心配についてのあなたのお説は、法案の構想は中小企業を不安定から救い、過度の競争から来る害を防止する自衛手段として、商工組合による必要最小限度の自主的調整を行おうとするものである。商工組合の設立や調整規程、組合協約の認可基準はきわめて厳格で、商工組合の調整事業は決して積極的ではない、また、全面的でもないのに、あたかも自由市場経済に大変革でも起るように騒ぐのは、風声鶴唳におびえるノイローゼである云々と、こういうふうに言われたのでありますが、それで次に日本経済はこれによって統制化されるようなことはないかというような心配は全然杞憂で当らない、これは国家目的のためにするコントロールではなくて、ただ過度の競争を事業家自身の手で、自主的にアジャストするにすぎないのだというお説のように拝聴したのでありますが、もちろん、お説のように、最初から何らかの目的のもとに、日本経済の統制をはかろうとする意図のもとに、この法律が作られるというものであるとは、だれも考えておりません。しかし、ひとたび不況が到来すれば、あるいは不況が来なくても、現在でも中小企業のあらゆる分野が、いわゆる調整事業を開始して、生産数量制限設備制限、あるいは価格協定を行う、これをアジャストというのが正しいのか、コントロールというのが正しいのか、そんな言葉の使い分けはどちらでもよろしいが、とにかくそういう状態になると、日本経済全体が統制的色彩を帯びてくる、これは争われない。何も官側統制というのではないけれども、民間自体の行うコントロールによって、そういう状態になってくるのであります。しかも、これが四年、五年あるいは半永久的に続くとすれば、統制経済のもたらす弊害も当然に起ってくることが予想されるのでありまして、お説のごとく、簡単に割り切ってしまうようなわけにはいかないのではなかろうかと思うのである。  そこで承わっておきたいことは、一体過当競争をアジャストして、業界の安定をもたらすのには、どのくらいの期間が必要かと思っておられるか、ということであります。もし、これが半永久的に続くものといたしますれば、幾ら民間自身で行うアジャスト措置にすまないと強調されましても、これは大問題であって、私はそのおそれは強制加入制度下にあっては、多分にあると思うのであります。これをあなたのいわゆるノイローゼであると片づけてしまうように、安易にわれわれは考えておらぬのであります。この点についてまず伺いたい。
  14. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) お答え申し上げます。私が新聞に掲げました加藤先生の御意見に対する批判は、つとめて敬意を表しながら、言葉も書いたつもりでおりますが、もしお気にさわる点がありましたら、この機会におわび申し上げておきます。なお、ただいまの御質問でございますが、調整的な機能の続く期間は、どのくらいかということでございますが、これはきわめて困難な問題でありまして、私もどのくらいということを、的確にお答え申し上げることができないことを残念に思っております。ただ私は、ただいまの御質問に関連いたしまして、自由経済と申しましても、これは十八世紀式のレッセフェールで全部処置できない。やはり自由主義には必要な批判もあり、必要な反省もあると思うのであります。その意味におきまして、公正なる取引が、実際の自由主義経済のもとにおいて破壊されている場合には、その程度において、やはり調整的な機能を持たせなければいかぬだろう、これが今問題になっております中小企業の場合に、公正取引を維持するための調整ではないかと考えているのであります。法律でも、調整事業の認可基準といたしまして、必要な最小限度をこえないこととうたっておりますのも、そういう意味であります。われわれはその程度で十分であると考えております。ただ、期間につきましては、残念でございますが、お答え申し上げられないわけ、であります。
  15. 加藤正人

    ○加藤正人君 お説のようにレッセフェールのように何でも手放しにしておいていいとは思いませんが、国家にもいろいろな時代がありますので、それに応じて策を打っていかなければならぬことは当然でありますが、しかし、こういう画期的な法律を作るには、その影響が幾年続くだろうというようなことは、一応にも二応に、も私は考えておく必要があろうと思う。たとえば中小企業安定法の経験によりますと、綿、スフ、タオル、絹、人絹等、四年の長きにわたって調整事業を行い、なおこれが継続しておるのであります。工業部門商業部門とおのおの事情は違いますが、およその目途としてどの程度の期間が必要とされるかについて承わったわけでありますが、わからぬとおっしゃるのですが、四年、五年の調整措置のおかげで、業界が幸いにして安定し利潤も上がるようになってくる、そこで、調整事業をたとえば解除するといたしますとすると、今まで新規開業を押えられていた多くの連中が、どっとそこに割り込んでくる、また安定がそこなわれる、こういう心配は当然に予想されるのであります。これがむしろわが国の人口問題から来る中小企業の宿命的な重大問題であります。そこで、こういう心配が先に見えておるから、かりに業界が安定したとしても、なかなか調整事業が解除できない、勢い半永久化して、業界は勢いカルテルの上に安眠をむさぼるようなこととなるおそれがある。そういうことがないとあなたは考えておりますか。
  16. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 今お話しの中に、新規開業が押えられているというお話がありましたが、団体法におきましては、新規開業の抑制の問題は全然ないわけでございます。何かほかの問題からのお話かと思いますが、私どもの初めからの考え方にも、政府案にもそういう考えは入っておらないわけであります。なお、ただいまお話しのように、失業群がとうとうとして中小企業界に入ってくる、これが中小企業の苦悩の根本的な原因であり、また、中小企業の弱みであるという点におきましては、まことに同感であります。私ども団体法ができたからといいまして、もう中小企業者がこれによって安閑としておるようなことは絶対にないのじゃないかと思っております。むしろ、これによってやや人並みな立場に立って仕事ができるということが望みでありまして、これによって努力しなくてもやっていけるのだというようなことは、考えも及ばないことであります。その意味でただいまの御懸念はなかろうと考えております。
  17. 加藤正人

    ○加藤正人君 それではもう一つ、系列関係について御質問申しあげたいのであります。いわゆる系列関係が阻害されて悪平等化が起るようなことはあり得ないとのお説であったのでありますが、たとえば優秀な中小企業が大企業との提携のもとに、その技術指導はもちろん、資金的援助を受けて安定した需要を持っている。こういった場合に、一般的不況の名のもとに、二割操業あるいは三割の設備制限を行うという画一的な規制が行われた。しかも、これが四年も五年もの長きにわたって行われるような場合、その中小企業自体にとっては悪平等化以外の何ものでもないのであります。また、大企業にとっても必要数量が手に入らなくなるわけです。こうなると自然その中小企業の必要とする資金的援助、その他の援助もその必要なだけを与えるわけには、大企業としてもいかなくなってくる、これが輸出にも影響してくるのであります。優秀企業組合内部でも強いから、その心配はないと昨日おっしゃったのでありますが、輸出制限の恒久化に伴って、下請関係もますます少数経営主義になってくると、ますますこの傾向が強くなるのであります。この機械工業、特にジェット機の製造というような場合の下請企業の問題の場合、あるいは造船関係で一そうの新造船を作るのに下請関係が三千、四千人要るというような場合には、これは普通、物を作って売るというような場合とまた違う問題がそこに起ってくるのであります。こういう点について、そう簡単に心配はないと、悪平等が起るような心配はないというように、簡単にお片づけになっているが、それでいいでありましょうか、この点ちょっとお伺いしたい。
  18. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) お答えいたしますが、ただいまの系列化にある優秀な産業が悪平等化されて、非常に輸出の振興等に悪影響があるという点につきましては、実はわれわれもこの点につきましては、相当慎重に実は研究したつもりでおります。しかし、ただいまの調整組合等の実際の実例を見ましても、そういった御心配は事実ないというような結論に到達したわけであります。で、実際の場合におきましても、先ほど申し上げましたり、また、加藤先生からも申されましたように、商工組合ができましても、系列化に入っておるような優秀な産業家でありますれば、相当の発言力もありますし、勉強しないで済むような、企業家として自殺的なような措置に賛成するはずもございませんでしょうし、また、事実そんなことはないだろうと考えております。これは一つ企業側におきましても、十分に系列産業の方と一つ話し合い願いまして、その間は十分にお話し合いができるのじゃないかと私ども思っておるわけであります。依然としてきのう申し上げましたようなそういった御心配はまずなかろう、たくさんの事例の中には、あるいは起るかもしれないのでありますが、私どもどこまでも大体の傾向の問題として申し上げておるわけであります。大体の傾向としてはそういう御心配はなかろうと思っております。
  19. 加藤正人

    ○加藤正人君 先ほどから研究の結果そういう心配はないという結論に達したと申されるのでありますが、中政連傘下の優秀な人々がいろいろ御相談になって、そういう心配はないという御結論でありまし、ようけれども、遺憾ながらわれわれはその心配が、そういうお話がありましても、解消するわけにはいかぬのであります。それでとかくそれはお前のノイローゼだというふうにお話しになりますが、しかしきのう来、またきょうも、ほかの参考人方々から統制の弊害とか、ボス支配の弊害とかいうようなことを言われましたが、これもわれわれは非常に心配しておるのでありますが、これは次家さんの今の御所論の中にもあったように、これは現地の実情報告を見るべきものであって、やはり次家さんもノイローゼにかかっている感じかもしれませんけれども、どうもそう方々に患者があると思わないのですがな。この点について、次家氏の報告などは、どうあなたはお考えになっておりますか。それもやはり、あなたの方の御研究で差しつかえないという結論になっておりますかどうか。
  20. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) お答え申し上げます。ただいまの御質問でございますが、先ほど次家さんのお話を聞いておりまして、私実は非常に意外に感じたのであります。その点をお答えのついでに一つ申し述べさせていただきたいと思うのであります。実は生協団体法の関係でありますが、私ども団体法の構想におきましても、また、事実条文に現われておる面におきましても、生協を商人がやっつけるというようなことは一つもありませんで、生協というものはどこまでも国家的に、法律によって保護され、育成されているのだ、従って適正な仕事を生協がやっております以上は、手をつないで相ともに国家のためにやるべきだ、こういう観念でおるのでありまして、いろいろ業者との話し合いがありますときにも、生協は適正な競争者としてあなた方勉強するのだということをよく言っておるのであります。ところが、生協方面の団体法反対のビラ、書類その他を見ますと、団体法はわれわれ生協を圧殺するのだ、押し殺すのだということをでかでかと冒頭に書きまして、宣伝しているのであります。その宣伝文書を業者がわれわれのところへ持って参りまして、生協消費者団体では、団体法生協を押しつぶすのだと書いてあるが、それはほんとうなんですかと、こういうわけなんです。私どもはそういうことは絶対ないのだ、これは手をつないでいくべきだというわけで、そこに実はこれは生協が心配し過ぎるのだというので、いつも笑い話になるのでありますが、それが実は反射的にいろいろな言葉になって現われて参りまして、たとえば神戸の先ほどのお話しでありますが、おそらくは生協が出した宣伝文書の反作用といたしまして、商人で、それじゃわれわれが立てば生協をやっつけられるのだというようなことを言ったかもしれないのであります。で、実際におきましては、商人はそういうことは考えておりません。また、米子の例をあげられたのでありますが、この点につきましては、私はわざわざ米子に参りまして、西部生協の実態も十分に調べました。また、米子生協の前で店を張って仕事をしております商店主にも特別に会いまして、十分にお話を聞きました。また米子の商工会議所の専務理事の坂本氏にも会いまして、いろいろ研究したのであります。その結果、先ほど次家さんのお話しのように、米子ではまさに商人が不勉強だったということも承知しております。しかし、米子における西部生協の宣伝文書を見ますと、われわれ生協は中間搾取者たる商人を撲滅するのだ、生産者から消費者へということを大々的に宣伝されておるのであります。これはむしろ……、その宣伝文書を実は私は持って参っておらないのでありますが、これこそ、まさに商人撲滅論でありますが、これではまことにたまらないと、それで坂本専務理事の話しによりますと、米子では約九万の消費人口がある、そのうちで六万五千を生協の傘下に収めてしまう。そのために町では惰眠をむさぼっているのじゃなくて失業しておるのであります、商人は。そのために米子市では事業税が漸減いたしまして、非常に市の財政上困っておる、これが現状なんでございます。で、われわれといたしましては、商人が生協をやっつけるなんということは一つ考えておりません。そう言っているのは生協自体なんであります。また、実際商人撲滅論を唱えられておりますのは、これは全部じゃないかと思うのであります。おそらく次家さん自身知らないことかと思うのでありますが、現地ではそういった宣伝文書を盛んに出しておられる、こういうわけでありまして、私どもは決してそういった他に迷惑をかけてまでも、漁人を保護するというようなことはないのであります。非常にふつつかでございますが、私どもはどこまでも国家全体の繁栄、国家全体の経済の健全化ということを念頭に置いておりますので、そういう点は十分に注意しておるつもりでございます。それからいろいろ説明いたします場合にも、必ず全部を間違いなく業者には伝えるよう、あらゆる努力を払っておるわけであります。また、いろいろ生協の方で心配しておられますことも、まだ十分に法律内容等に御勉強が足らないのではないかと思われる節もありますので、どうぞ生協方面におきましても団体法内容、その他につきまして十分に御検討をわずらわしたいのであります。  それから小売市場のお話が次家さんからあったのであります。私も実はこの問題非常に大事な問題と思いまして、この間の月曜日に大阪の会合がございましたので、わざわざ時間を作りまして西成区の十四区の小売市場のうち四つの小売市場を見たわけです。花園北、花園南、橘公設市場ほか一つを見た。その結果まことに激しい過当競争が行われておる。これは小売商業特別措置法によって新設の制限措置を講ずるととも、登録制によることも必要かと思うのでありますが、まさに団体法の適用によってこの過当競争を防げるいい例ではないかと思うのであります。お互いに小売市場が安売り競争をやる、しかも、チケットのようなものを出しまして、保津川下りあるいは富士五湖めぐりの特別券を出しておる、こういうような過当競争がありましては、とても商人はやっていけない。小売市場幹部の皆さんにも会って一々聞いたのでありますが、これではもうお互いにやっていけないと、やっていけないが、お互いにやめれば自分たちがつぶれるというので、非常にその間の事情を嘆いておるのであります。こういったことも過当競争のいい例といたしまして、団体法では十分に処置できるのじゃないか、こう考えておる次第であります。
  21. 加藤正人

    ○加藤正人君 先ほどの新規開業制限云々のことについてお話がありましたが、衆議院の修正によりまして強制加入命令、アウトサイダー命令発動中は、新規設備制限もしくは禁止し得ることになっている。これは当然に新規開業を含むものと考える、そのように解釈しております。それだけを申し上げておきます。いろいろ御答弁いただきましてありがとうございました。
  22. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は松崎参考人に若干の点をお尋ねしたいと思うのですが、まず第一にお尋ねしたいことは、御答弁にあるいはなるかならぬかわかりませんが、なるべく御答弁を願いたいと思うのですが、五月五日の週刊新潮の紙上にゴシップ風に書かれた記事でございまするけれども、中政連の総会において鮎川会長が発言されたというその内容の記事が載っております。その内容はおそらく政策局長お読みと思うのですが、二つの内容を持っているようです。前段は立法措置を行うためには、政治運動を起さなければならない。そのためには政治献金をして云々ということで、政党を対象として中小企業者の諸君を激励されている内容と私は承知いたしております。これについても若干の私は意見がないわけではございませんが、その問題はしばらくおくといたしまして、後段の記事は実に私を驚かせたのであります。すなわち、社会党委員等に本法案を成立せしめるためには一人十万円程度云々という、こういう記事なのでございます。大体これは金をやって委員会を通すということの考え方が、大体私どもに対する重大な侮辱であるばかりでなく、何を単価としたか知らぬが、十万円と評価されたことも、はなはだもって私どもとしては噴飯ものではありまするけれども、当事者としては問題なきを得ません。しかも、この記事が社会党議員総会その他において問題となりまして、実は本法審議に対して目に見えない若干の支障となったことは事実ですが、この真相をもしお知りであるならば承わって、私もまたその事情を正確に承知したいと思いまするので、一つ鮎川発言というよりは、鮎川放言の内容をとくと承わりたいと、かように存じます。
  23. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) お答え申し上げます。この週刊新潮の記事は私も読んでおります。その週刊新潮の記事の種になりました場面に私はおりましたものですから、十分にお答えできると思うのであります。大体先般会合がありまして、そのあとの余談の席になりまして、鮎川総裁が、これは冗談話として聞いてくれと、ほんとうに受け取ってもらっては非常に困るのだ、ただ政治というものには非常に金がかかるものだというので、実はこういう話をされたわけであります。ただいまの参衆両院の議員各位は、非常にその忙しい。こういう皆さんに中小企業の問題に興味を持ってもらうには、相当調査をしていただかなければならぬと、そのために調査費として十万円ぐらいのお金を上げると興味を持ってもらえるんだと、そうするとそれだけでも衆参両院でありますので六、七千万円の金がかかるんだと、政治というものはそんなものだよと、こういう話を冗談にされたのであります。ところが、それが回り回りまして週刊新潮にああいう形で出たということは、私たちには非常に意外でありますと同時に、申しわけなく存じております。特に社会党議員さんにというふうに書いておりましたことは、これはどういうわけですか、非常に社会党の皆さんには御迷惑だったと思うのであります。そこで、私どもはさっそく週刊新潮に厳重に抗議をいたしまして、佐藤編集長からわび状を正式にとっております。で記事といたしましても修正することになっておりますが、とにかく私どもはそういう冗談話からああいった記事になり、議員諸公の品位を傷つけるような結果になると、特に社会党の皆さんには社会党議員と書いてあります関係で、最も申しわけないと思っておりますので、その点はこの席を借りまして、その原因を作りました中政連といたしまして深くおわび申し上げたいと思います。
  24. 相馬助治

    ○相馬助治君 で、その辺の事情は明確になりました。ともかく鮎川さんという方が過去の経歴その他から申しましても、俗にいう大物でして、その発言が、冗談だといってそういう発言をされてもですね、そのことの持つ影響というものはやはりきわめて大きいのであって、しかもその発言は、あなたたちが念願としている本法成立に非常なる支障になったという事態を私は見まして、このことは公的な立場において明瞭にすべきであり、そのととが相互にとって仕合せでないかと、かように考えてまあ今の質問をいたしたわけでございまして、その点了解をいただくとともに、私また御発言を信じてですね、了解いたしますが、一つ週刊新潮に対してはですね、わび状をとったなぞといううちうちの問題では、私は解決つかぬのではないかと、真に議会を侮辱し、ないしは特に社会党議員のわれわれを侮辱する意思がなかったとするならば、一つ何らかの形でですね、この週刊新潮に同じスペースをもって、彼らは出さぬとは思いますけれども、しかるべき処置をとることを私は期待いたします。  で、次に質問をいたしますが、最近大企業がこの従来中小企業生産分野と見なされていた産業分野へどんどん進出して参りまして、中小企業者経営が圧迫されて生産秩序の混乱を招来しているということを私は承知して、非常にこれは問題であると、かように考えています。この日本経済の特殊性にかんがみて、中小企業者が大半を占めておるというこの状態からいたしましても、このことは容易に見捨てがたい問題だと、かように考えております。そういう立場からいたしまするならば、今回ここで審議の対象となっておりまする法律案を提案したという政府に対して、私は一応の敬意を持っておるのでございます。ただし、内容について不幸にして社会党はその見解を異にいたしておりまするけれども、こういう法案が今日国会において審議の過程に乗っているというこの事態は、私はきわめて意義のあるものだと了解しているんですが、そこでお尋ねしたいことは、今後中小企業者が今問題になっているような法案の成立によって団体ができ、組織が強化されるならば、大企業との間に自主的にこの産業分野の調整をはかって中小企業者がみずからの力をもって救済されていくとお考えになるか、それともまた、こういう組織ができれば自主的にやると同時に、一方においては政府がその権力をもって、また、中小企業者救済の意味を含めて大企業中小企業生産分野に別法をもってこの進出を押えるところの法律を併用して出す必要があるとお考えであるか、その辺について御所見を承わっておきたいと思います。
  25. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 大産業と中小企業との生産分野の確定の問題に対する御質問でございますが、この問題は、事実非常に中小企業の苦悩の原因になっておることは私もまことに同感であります。ただ、私どもはこの団体法の問題だけに主として取り組んで参りまして、ただいまのような問題につきまして、実は深く研究しておらなかったのでありますが、いろいろ社会党の御案を拝見しますと、ごもっともと思うのであります。それで、団体法ができまして商工組合が結成され発達して参りますれば、ある程度の部面は解決し得るかと思うのでありますが、全面的にただいまのお話しのようなものを解決できるかどうかは私もちろん自信がないわけであります。それで団体法が幸いに成立いたしまして商工組合ができ、商工組合の力によってただいまの問題の解決にできるだけ進むべきだと、と同時に、場合によりましてはやはり社会党の御案のような法制的な措置もとることが必要がある時期が来るのじゃないか、こう考えるわけであります。その辺につきましては、私まだ十分な確信を持ってお答えできないことを残念に思います。大体の見当はそう考えております。
  26. 相馬助治

    ○相馬助治君 私ども立場からいたしますと、何らかの形で中小企業者組織については立法措置が必要であろうと、しかし同時に産業分野における中小企業者の位置確保に関するところの立法措置がこれに平行していかなかったならば、とうてい力関係で、しかもまた、本質的に組織化の困難な中小企業者を包含する組織自体の力をもってしては、中小企業者立場は守り得ないと、まあかような立場をわれわれはとっているわけでして、あとに問題にした法律が成立しないくらいならば、むしろこの際拙速主義をとってこの団体法を作るということは一体いかがなものであろうかと、こういう疑問を党自身が持っておりますると同時に、また一方においては、であるからこそ、一つ教訓的な意味で啓蒙的な意味でこの際漸進的な効果をねらっても、その団体法を成立せしめて、まず組織させ、組織させた暁においてやはり社会党が主張するような法律が必要であるということを中小企業者自身に発見せしめて、そのような方向に持っていくということがよいのかと、こういうふうないろいろな思いやり、考慮、議論がわが党の内部においても分れておることは事実なんです。従って松崎さんにお聞きしたいことは、政治的考慮をもってこの団体法一つを通すのですら、与党並びに政府を動かすのに往生したのだから、いわんや大企業が目を回すような産業分野における中小企業の位置確保に関する法律なんというものを出したならば、こっちがぶちこわれてしまうから、そこでまあ言いたいのだけれども言わないという考慮なのか。それともいや、やっぱりまだ研究不足で、団体法さえ作ってくれれば、あとはわしらはわしらで考えますから、まあ取りあえずこれを作れと、こういう御意見なのか、一つ端的に承わっておきたいと思います。
  27. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 団体法一つ通すのに非常に骨を折ったと、こういうお話しでございましたが、われわれは団体法の提唱者ではございますが、通していただくのは自民党、社会党両党のお力でありまして、また、政府の御援助なのであります。一つ通すのに非常に骨を折ったという言葉は、少し語弊もあると思います。気持は、われわれ団体法だけでも相当大へんな法律である、ここにまたつけ加えて産業分野の確定、実は私いろいろざっとは研究したのですが、やはり職業選択の自由という基本人権に触れるところがあるわけです。こういった問題のあるものを一緒に出しますと、非常にむずかしいのじゃないか、まあ、今回は一応団体法によって基本的な組織法を作る、これによって商工組合ができ、ある程度までやって、その上もし必要だったら、またこういう問題をぜひお願いしたい、こういった先ほどのお話しのあったような線で考えております。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の問題で関連して御質問申し上げますが、きのうの松崎さんの御説明をお聞きしましても、中政連というのは中小企業の安定をはかるためにできたのであって、いわゆる団体法はその一環である、こうおっしゃったと思うのです。私もそうでなかったならばおかしいと思うのですが、これは純然たる政治結社であると私は思うのです、中政連という名前から見ましても。そういたしますと、今中小企業者が一番困っておる問題、きのうも十四人の方からお聞きしたのですが、大企業の圧迫だということを口をそろえて言っておられる。われわれもそれを認めてこういう審議をしておるわけなのです。ところが、この国会でも一番問題になる下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案とか百貨店法の一部を改正する法律案というのも同じ国会で、同じこの委員会にかかっておるわけでございます。それには松崎さんが言わんとすることは、ほとんど入っているのです。親事業者が下請事業者に対して支払う下請代金の額が不当に低いものであってはならない、引き延ばしてはならないとか、いつまでに払わなければならぬとか、あなた方のおっしゃるようなことが、これに書いて法案として出されてあるのですけれども、政治結社である中政連からは、ただの一回もこれを通してくれという陳情は受けておりません。そういたしますと、中政連は口では中小企業者の安定ということを言っておられるけれども、ただ団体法だけであって、百貨店も攻撃されておるけれども、それならば百貨店法の一部を改正する法律については、何ら一言も言われておらない、下請代金もその通り、そうなれば性格が疑われてくる。そうでなかったならば、社会党が出した法案については、いかに中小企業者のためになる法案であっても、これに対してはわれわれは賛成しないというお考えであるのかどうか、関連で質問いたします。
  29. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 御承知かと思うのでありますが、中政連立場といたしましては、どこまでも不偏不党でございます。言いかえますれば超党派でございまして、中小企業の最大公約数的な政策国会にお願いして、立法的な手段、あるいは予算的な手段によって実現してもらう、こういうねらいでございまして、社会党の提出関係の法案であるからどうこうという考えは毛頭持っておらないことをはっきり申し上げておきたいと思います。なお、中政連はいろいろ金融税制社会保障組織法の問題、あるいは出血輸出の防止の問題、その他最大公約数的な問題を取り上げまして、すでに結成と同時にスローガンとして打ち出しておるわけです。これは全部いつの日か実現したいと念願しておるわけでありますが、その実現の方法として、あるいは戦術と申しましょうか、二兎を追えば一兎も得ずというたとえもありますように、なかなかあれもこれもということはむずかしいという考えで、本国会におきましては、非常に不本意でございますが、団体法一本に努力をしぼったわけでございます。他の法案に対しては熱意がないという御批評もあるわけなのでありますが、これはわれわれ甘んじて御批評を受けよう。しかし、真意は重点を置かないからその政策反対という意味では決してないのであります。重点政策の結果、影が薄くなっているというだけでありまして、今のようなお話は、中政連としてはむしろ意外に感ずるくらいでありまして、社会党の案でありますから反対ということは絶対に考えておりません。その点を十分御了解おき願いたいと思います。
  30. 相馬助治

    ○相馬助治君 阿具根委員の質問を、唐突意外だとおっしゃったのですが、私は阿具根君の質問をいささか援助したいと思うのです。というのは、中政連というこの大きな団体の本部の方と私が話するのは、あなたとここで初めて話をするのです。しかも、私は本法にきわめて興味を持っていて、鮎川さんの冗談じゃないが、私どもも十万円いただかなくちゃならないという口なんですね。興味を持たせるために十万円要るというなら、銭やらないうちから興味を持っているのですから、これはおそなはりました言うて、十万円早く持ってこなくちゃならない口なんですね。これはいささか皮肉なんです、もちろん。ところが、中政連の当の方と話をするのは私は初めてだ。阿具根委員もおそらくそうだと思う。なぜこういう言葉が出ますかというと、毎朝毎朝東京の中小企業方々が陳情にお見えになる。私は心から敬意を表しております。国会というものに対して、こういうふうに陳情に来られるということを通じて、私はやはり中小企業者が政治的に何というか目ざめていくということに対して、心から敬意を表して、どんなに忙しくても心がけて私は会っております。そのときに、はなはだ意外なことは、先生、社会党のお立場もございましょうが、反対であることはもうわかっておりますが、お立場もございましょうが、先生通して下さいと言われるのです。私は目を白黒させた。私は現在ここで審議されているものを反対だからぶっつぶすなんと言ったことはない。私は本気になってこの法案と取り組んで研究をしている。多くの疑問を感じております、本気になってこれと取り組んでいる。そこでそういう事態を見たときに、一体この中小企業政治連盟というものは、社会党というのは、話がわからぬやつだからもうしゃべっても仕方ないというので敬遠しているのかなあと思わないでもなかったわけなんです。その辺端的に阿具根委員が聞いたのであって、阿具根委員の話を唐突意外だということでしたから、あえて中政連に私は好意的に申し上げますが、一つ運動の方法等についても、御一考をわずらわした方がよいのではないかと、かように私自身は考える。下請代金支払遅延防止のための適正化の法案などというものは、私は早急に作らなければならないものとして熱意を持っております。こういうものに対しまして、あなたのところから何にも言われないというのは、まあ、率直に言うてどのような御意思かなあと、こう考えたことが私自身もあるので、ちょっと長話しになって恐縮だが申しておきます。  それで第二の質問は束原理事が指摘されておりますが、実は本法によって零細事業者がどうなるかということが、私どもにとっては問題なのであります。従って中政連としては、この零細事業者というものは、もうこれは社会保障制度で救うべき分野であって、中小企業政策立法をもってしては、これはもう処置のないものなんだと、ふるいにかけて下に落ちた、これはごみみたいなものだと、こういうふうにしておくならば、これはまたいい悪いを言うのじゃないのですが、明確だと思うのです、話は。そうしてその落ちてきたごみみたいなものは、社会保障制度で救うのだと、こういうことになれば、話の筋は明確なんですね。そこでお伺いいたしたいことは、この特に零細企業者が金融面で困難を感じて、みんな小売資金に依存して、経営の破綻を来たして貧困化していくということも事実です。本法によってこの中小企業の名に値しない零細事業者、しかも概念的に、常識的には零細企業者もわれわれは中小企業者と言っている。この零細企業者が現在審議されている本法が成立することによって、一体どのような形になると御期待になるか、率直に御所見を承わりたい。
  31. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) ただいまの問題にお答えします前に、先ほどの問題につきましてちょっと申し上げさせていただきたい。私ども非常に努力が足りませんで、相馬先生、阿具根先生とお話をするのは初めてなんでありますが、私ども社会党の機構を通じまして、たとえば水谷先生、春日先生あたりとは、ずいぶん何回か御相談しております。最後社会党が、数点につきまして中政連の構想とも違いますし、また、政府案とも違った点がありますので、実はお話が切れてしまった時代があるのであります。それにもかかわらず私どもはできるだけ連携を保つべく努力して参ったことをはっきり申し上げます。そうして業者の連中が社会党の皆さんのととろに参りますときに、御反対でしょうがと言ったのは、おそらく社会党が別の案を出しておって、社会党の案と団体法が違うということを知っておるために、そういうごあいさつをしたのかとも思います。これはそう悪意のないことと考えております。御了承を願います。  それからただいまの御質問でありますが、零細企業金融の問題でありますが、実は私も金融税制にはいささか興味を持っておるものなのであります。零細企業者の金融問題につきましては、これは何とかしなければいかぬというので、団体法の観点から見ました場合には、商工組合を結成する、そうしてこれは協同組合事業として資金の借り入れができるわけです。で、結局商工組合の線を通して財政投融資の資金を相当大量に流さなければならぬ。そういたしますれば、商工組合のチャンネルを通って、ただいまのお話しの零細企業にも相当回り得る余地がある。むしろ方法はこれに限るのじゃないかと考えております。そのためには、やはり信用保険あるいは中小企業の信用保証協会のただいまの機構を相当画期的に強化されなければうまくいかないだろう。一筋の法律だけでなくて、他のいろいろな法律を加味しますと同時に、財政的な措置も講ずることによって、何とかいくのではないか、また、いかせなければいけないのじゃないか。これ以外に当座の問題としていい方法は考えられないと思っております。
  32. 相馬助治

    ○相馬助治君 最後に、私は束原参考人と、松崎参考人にお尋ねをしたいと思います。本委員会参考人同士で討論をやることは許されておりません。これをまあ念のために申し上げておきます。  束原参考人の御所見に私は興味をもって耳を傾けた理由は、お説の珍奇なるをもってではなくて、あなたは、あなたの所属されておる団体中小企業家同友会常任理事ということですから、早くこの法律案を通せということをぶつのだと思っておったところが、これは反対だ。しかも、きわめて明快、しかもかなり大胆に……、ちょっと失礼な用語ですから、まあ明確ながいいですか、明確な御所見だった。そこで私は束原参考人にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、中小企業家同友会というのはどのような組織で、どのような綱領を掲げた組織でいらっしゃいますかということをお尋ねすることが一点、それから松崎参考人に対しては、先ほど零細企業家の問題や何かについて、束原参考人が指摘されたものに対して、その反論的なことを今、承わったわけなんですが、束原参考人の御所見を概括して、特にあなたの立場からこれは誤解であると、従ってこの点についてはかように、われわれとしては見解を持つという点がございましたならば、きわめて簡潔にお述べいただくと、大へん参考になると思うので、両参考人にそのことをお願いいたします。
  33. 束原誠三郎

    参考人束原誠三郎君) お答えいたします。この日本中小企業家同友会、これについてどういう性格かという御質問のように思うのですが、これは先ほどいろいろ申し上げました意見の中にもたしか出ておったと思いますけれども団体法または政府の立案する組織法、これがだんだんわれわれ中小企業界にも伝わって参りまして、これはまことにどうもおそろしい法律だというわけで、まあこれを申し上げましてはどうかと思いますけれども、先ほど松崎さんへのどなたかの御質問があったのですが、これもどういう意味かわかりませんが、縛るという声が入りましたな……、これです、問題は……。われわれどういう悪いことをして縛られるか、あるいは特別な、私ども企業に対して何にも政府の特別な御援助はいただいてないのです。特別な御援助、これはなるほど国民金融公庫、中小企業金融公庫というものができました。それらから金融を受けております。しかし、これも微にわたり、細にわたった御調査、これならもう貸しても間違いないというところでは、むしろあなた方は借りなくてもいいんじゃないかということを言われるくらいです。しかも利息を払って借りて、完全に御返済しています。ですから私どもがふたたびまたこういう組織へ申し込むときは、もう実に簡単に貸してくれます。そうして税金の面においても、それはもう今の税制でもって全部きちんとお払いしたら立ちゆかないのですよ。ようございますか……。ですからわれわれは何も縛られたり、取り締まられたり、排除を受けたりするようなことは、もってのほかだと私は思っております。私は決死の覚悟でこれをやっています。そこをけみしていただきたい。であるから、われわれは中小企業家だという矜持のもとにやっておることを申し上げておきます。そうしてそういう考えを持った同士が集っておる。まだまだ声の出ない同士が相当私どもの味方をしておりますから、どうぞそういう意味におきましてこの法案がもう少し実情を調査していただきまして、そうしてまず廃案にしていただきたいとお願いして、これを御答弁にいたします。
  34. 松崎健吉

    参考人(松嶋健吉君) お答え申し上げますが、束原参考人の御所見に対しまして、私どもはまことに残念でありますが、徹底的に同感いたしかねるのであります。ほとんどお話しの全部に対して反対せざるを得ない。従って話が非常に長くなりますが、その点のうち幾つかの点につきましてお話申し上げたいと思うのであります。聞くところによりますと、束原参考人は縛られるということが非常にいやだと、統制的なことに、非常に反対されると、そのためにデパートの法律に対しても反対をされると、いろいろ聞いているのでありますが、束原参考人が全中協の一員としてどういう行動をされたかということも、われわれの方には全部わかっているのでありますが、ほんとうにわずかの人で今度の同友会を作られた。それで反対の気勢を上げられたということもよく存じているのであります。なるほど束原さんの立場から言えば、その気持もわからない点はないことはないのでありますが、団体法に対しまして、先ほどの御議論のような、徹底的な反対ということはよほど変っておられるのだと、こう考えるのであります。ことに、問題は零細企業家が、大企業のために、中小企業のために非常にやられてしまうというお考えに対しましては、昨日私の意見の中に述べましたように、零細企業といえども、自覚して今度の団体法の運用に当りますれば、十分に利益が確保できまして、ボス支配等のことは絶対に行われないと思うのであります。これは繰り返すことになりますので、これ以上は申し上げませんが、東原参考人のその御意見に対しましては全く反対でございます。また、輸出の問題につきましても、ちょっと触れられたのでありますので、この機会に申し上げます。われわれは団体法の当初の解釈といたしまして、中小企業の出血輸出の防止ということを、団体法一つのねらいとして考えたくらいでありまして、ただいま非常に輸出がよけい出ておりますが、そのうち六〇%あるいは六五%が中小企業製品であるといわれておるのであります。そういった非常な輸出額の伸張の裏には、出血輸出で泣いておる中小企業者が非常に多いのであります。たとえば新潟県の燕市の洋食器でありますが、同じ品物がアメリカの市場におきまして、西ドイツあるいはイタリアの製品の三分の一、激しいときには五分の一の価格で売られている。これは業者の輸出競争の結果なんでありますが、そういったことによって輸出が出ましても、これは出ないよりはけっこうかと思うのでありますが、非常に悲惨な裏面史がつづられつつあるのであります。こういうことのないように、日本利益のために商工組合の形によって、お互いに利益を守ろうというところにねらいがあるわけでありますが、これが輸出の阻害になるかどうかという点につきましては、相当疑問があるのであります。問題があると申しますのは、値段を上げればやはり輸出はしにくいのであります。それでは三分の一になっておる商品を、すぐ三倍にすればどうかということでありますが、すぐこれは輸出の阻害になる、そういう点がありますが、長い間の努力によって、出血輸出を防いだということは、組合の結束によって初めてできるのじゃないかと思うわけであります。こういったねらいが、団体法一つの大きな問題であるわけでありますが、これが逆に輸出の振興を阻害するということは、今のわれわれの考えと全く違うのでありまして、勉強しなくなるために品質が落ちる、値段が上る、その結果輸出が減るというような御議論に対しましては、われわれは全く違うのでありまして、組合を作ったから努力をしないということは、全く初めのお考えと違うのであります。その点につきましていろいろ申し述べたいのでありますが、われわれは輸出の振興を阻害するということにつきましても、束原参考人の御意見とはだいぶ違う。それから、これは先ほどの加藤先生の御質問に対してお答えしたと同じでありますが、決して官僚統制や全面的な統制をねらっておるのではない、束原さんの言葉で申し上げますれば、統制経済を復活するというようなことでありますが、この統制経済を復活をするということは、非常に攻撃的な言葉としては、非常に格好な言葉なんでありますが、事実は決してそうではない。われわれといたしましては再三申し上げておりますように、やむを得ず最小限度の調整を自主的にやらせるというのが目的でありまして、官僚統制はできるだけ避ける。そのために民主的な審議会によって官僚統制の弊のないような措置も講じてやろうではないかと申し上げたのであります。われわれといたしましても、官僚統制に反対であることは前から申し上げております通りで、その点も束原参考人の御心配は、どうもこれこそ誇大妄想狂ではないかと思うのであります。どうぞこの点は束原参考人におかれましても、もう一度十分に法律内容を御検討願いたいと思っております。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して御質問申し上げますが、中小企業の代表者の方が、二人で、全く相反した御説明をしていただいておるわけでございます。そこで非常にうがった質問でございますから、間違っておったならばもうお答え願わんでもよろしいのでございますが、私今お二方のお話を聞いておりまして、ははあ強制加入というものはこういうところにあるのかなと、ちょっと考えたわけであります。極端に申し上げますと、束原さんみたいな人がいるから、強制加入で入れるのだ、こういうふうに松崎さんが言っておられるのじゃないか。束原さんからみれば、おれも中小企業者で、これだけりっぱな意見を吐いているのに、誇大妄想狂だ、こういうことを言って、おれを縛りつけようとするから、おれはいやなんだ、こういうふうに私は聞えるのですが、そういうことなんですか、両方の方からお伺いいたします。
  36. 束原誠三郎

    参考人束原誠三郎君) その通りですね、その通りであります。  それから先ほど松崎参考人から、輸出の振興を何とかおっしゃいましたが、私は輸出の振興については一言も申し上げておりませんから、誤解でございましょう。それから全中協の問題が出ましたが、私もまだ全中協に籍を置いておりまして、全中協を脱退したのでも何でもございません。同志が集まって別のこういう団体を作ったのであります。私も全中協の常任委員、しかも十年全中協に働いております。そうして大へんどうも、私ついこういう席に出ることになれておりませんし、話も下手でございますし、それからまた、自分商売ならば、人に負けないのですけれども、どうもちょっと興奮しちゃいまして、大へん変な御答弁申し上げて、何ですか、失礼思いますけれども、それはどうかあしからず、なるべく興奮しないように、落ちつけてやります。全中協の中の者も私の方へ参加しております。しかもみんな有能な、私は残念ながら尋常小学校卒業の免状がないのであります。はなはだ残念であります。それで今の全中協内部の若い方々で大体慶応とか、明大とか法政とか出た方が、だいぶ私の方へ参加しておりますけれども、やはりこの方々も全中協に籍を置いている、それから全中協以外の方もずいぶんおるのですが、その点よく一つ松崎さんも……全中協の副委員長委員長事故あるときは副委員長これにかわるという副委員長はそういう最高責任者、相当の責任者じゃないかと思うのでありますが、こういう方々が三名も全中協より参加、こうなっておりますから、よくその間の事情はわかっております。私の方はただそのために、われわれの声が外に出ない、届かないために、また先ほどのようにやたらに、私たちをばかにしたような言葉が入りますものですから、それでこういう団体が生まれたわけですから、よろしく一つかわいがってやってください。これから出ることは、ほんとうにまじめな声です。今おっしゃられた松崎さんは、実際そういっちゃ失礼かもしれませんが、私は中小企業五十年の経験でございます。松崎さんは何年の御経験があるかわかりませんが、あまりお知りにならない、中小企業の実体をお知りにならない。だから私の害うことが、てんで話がわからないのじゃないですか、全面的に反対だなんて、とんでもない話です。どうぞ一つ、よろしく願います。決して病人じゃございませんから、どうかよろしく。つねっても痛いのはすぐわかりますから、どうかよろしくお願いします。
  37. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) こういう問題に真正面からお答えするのはどうかと思うのでありますが、御答弁せざるを得ないので、やむを得ず御答弁申し上げるわけであります。先ほど輸出の問題云々と言いましたのは、実は私束原さんの書きました書類を前に見ておりましたので、潜在意識で出て来ました結果、申し上げたのであります。きょうの御発言にはなかったことだということで、失礼申し上げたわけであります。束原さんが、強制加入に絶対的反対だ、全中協でも、全中協自体としては強制加入の必要を認めるということで、決議になっているわけでありますが、束原さんはそれに服さないというので、二、三人の人で別な会合を作った、それがおそらく同友会だと思う。その後参加者が他にあるかと思うのでありますが、私どもは昨日申しましたように、団体法期成同盟には、多少の重複はございますが、すでに全国各地に、約二百近い支部その他ができております。そうして参加人員は一千万をはるかに突破しておるのであります。で、一千万をはるかに突破して、期成同盟の皆さんが非常に熱心にこの今国会における実現を期して努力しておるわけでありますが、その中で中小企業界で数人の人が反対いたしましても、これは別に奇異とするには当らないのでありまして、むしろもっと非常な大きな反対があってもやむを得ないのじゃないか、比率から言いますれば、おそらくは顕微鏡で見てもわからない程度の束原さんのグループだと思うのであります。どうぞ全体の数から推しはかって、この発言のウエイトをお考え願いたい、こう思うわけであります。
  38. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) どうも……、ちょっと申しますけれども、あまり個人的なことにわたることは、本委員会の本旨でもございませんから……。(参考人束原誠三郎君「もう一言」と述ぶ)それではもう一度だけ発言を許します。
  39. 束原誠三郎

    参考人束原誠三郎君) 今松崎さんのお話の全中協は、強制加入に賛成というようなことが通ったというのは、ちょっと私は間違いかもしらぬけれども、そういうふうな言葉がどうも私耳に入ったのでありますが、これは全然間違いでありまして、全中協の中央委員会においては、原則的には強制加入反対ということがきまっております。どうか一つよろしくお願いいたします。それも、昨日ここに参考人に見えた五藤委員長が、これを個人的意見として、この法案に賛成というような新聞発表をいたしました。これは五藤委員長の個人的意見でありますから、やはり顕微鏡で見たような小さなものでありまして、(笑声)全中協の中央委員会は絶対にそういうことは決定いたしておりません。はっきり申し上げます。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 松崎さんにお伺いいたしますが、衆議院の決算委員会では参考人の方を三日間お呼びして、人権問題が起きた、こういうことなんですから、きのうからおいでになって、もう一時近くなるので、非常にお気の毒なんですが、一つ、二、三点だけをお伺いしたいと思います。  この法案内容と、きのうお話になった内容をお伺いする前に、私もこの商工委員なものですから、この法案を通してくれという人と、内容を直してくれという人と、反対だという人と、今まで二、三百名の人に会ってきたわけなんです。その二、三百名の人の中に、鮎川義介さんもおられた。そこで鮎川義介さんから、この法案をぜひ通してくれという話が、はっきり記憶しておりませんけれども、先月の大体二十四日か、五日にあったわけなんです。ところで、その鮎川さんの話の内容を、松崎さんにお伺いするのはどうかと思いますけれども、とにかくこの百数ヵ条ある法案であるから、十分審議しなけりゃならぬでしょう。それから社会党からも法案が出ておるので、とにかく四月一ばいかかっても、この法案はおそらく衆議院で十分論議することができない。ですから参議院で論議する時間がなくなるので、鮎川先生の御意思はわかるけれども、そう簡単なものでない、こういう話を私がした。ところが鮎川先生は、もう今月の三十日に絶対この法案は上ります、こういう話が鮎川先生から出たわけです。私は鮎川先生が自民党の総裁か、幹事長であれば、話がわかるけれども、一人一党ですからね。どうしてこういう自信を持って答弁されるかということで、非常に不審に思って、それは不可能でしょう、いや、大丈夫だということで、法案は横へすっとんでしまって、大丈夫だ、大丈夫でないで、鮎川先生と議論をやったところが、それから二、三日たったところが、今度はたまたま社会党の向うの方の商工委員に、二十七日に質疑打ち切りで、そのときはまだ四時間くらいしか論議しておらぬ、論議しておらないときに、質問打ち切りだ、三十日に上げますということで、強硬に自民党さんの方から連絡があったわけです。社会党の方にですね。ですからまあそういう点について、全く自民党と了解しておったのか。自民党さんの方が引き受けたものか。たまたまさいぜん相馬さんの発言にあったように、鮎川先生が全部の代表を集めて、三億円の金を集めて、どことどこに幾ら幾らというような話が出たときに、私は非常に不可解に思うのですね。ですから全購連事件が起きてびっくりするわけではないけれども、この参議院も、法案を審議する前に、そういう話が、つうつうできまっておるような気分がする。少くともあなたは局長なんですから、鮎川さんと表裏一体で、その間の事情はよく御存じだと思うのです。なぜ鮎川さんが三十日ぴっしゃり……。で、その三日前に、自民党の責任者からわが党の責任者に明白に申し込んできた。そういう事実もあるわけですから、私はもうともかく法案内容もさることながら、どうも臭気ふんぷんとしている中で論議しなきゃならぬという、非常に残念なわけなんですね。ですからここで明確に、これはこうで、あれはああでということを明確にお伺いしたいわけなんですがね。
  41. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) ただいまの御質問は非常に微妙な問題でございますが、私の知っている範囲で、ざっくばらんにお答え申し上げたいと思います。実は先ほど申し上げましたように、立案はどこまでも不偏不党で、これは団体法が通過しても、社会党にも、自民党にも同じような格好でずっとお願いして参ったのでございます。ただ最後に、社会党は別案を国会に出されるということになりましたが、団体法の構想を、幸いに政府案で相当ほとんど全部盛り込んでいただいておりますので、政府案と合流いたしまして、何とか今国会で通したいという気持にならざるを得なかったわけであります。そうすると、勢い自民党の方によけいお願いする格好になる。そして与党たる自民党では、非常に御承知の通り政府案を取り上げまして、推進していただいたわけであります。そうすると、鮎川総裁としても、……ここからは想像でございます。おそらく与党の幹部といろいろ話をされた結果、与党では、いつ幾日くらいには通るのだろう、また通すつもりであると言われた結果、ただいまのようなお話が出たことと思います。これは与党たる幹部との話し合いということであろうと、私はまあ考えるのであります。こまかいことは存じておりません。それからお金の問題がちょっと出ましたが、鮎川総裁も、われわれも、この法律のために金を使うということは絶対にやっておりません。これは中政連が多少資金があるということから、いろいろのデマがとぶのでありますが、実際におきましては、そういうことは絶対やっておりません。そういうことをやることによって、かえって通るべき法案も通らなくなるというようなことも、われわれはよく知っておりますので、そういうことは絶対にありませんので、何かありましても、それは流説とお考え願いたいのであります。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ私もこれは自民党でも、社会党でも、そういうお金はもらっておらぬと信じます。ただ、そういうことがあれば、まあ法案が通らなければ政治献金で終るし、法案が通れば、これは収賄罪ということになって、問題になるので、おそらくそういうことは良識ある人はやっておるとは思いません。そこで、もう一ぺんお伺いいたしますがね。きょうの束原さんもおっしゃいましたが、きのう大阪からおいでになった小西さんという方が、もう私以外に中小工企業問題のことを知っている人はおらぬと言うのだ。これは松崎さんもおいでになったかもしらぬけれども、断言してお話をされておったようでありますけれども、そうしますと、その政治連盟というものの勢力分野は、日本にたくさん団体がある。全体の何割くらいを占めているものか、それをお伺いしたいのです。この問題とは違いますけれども、科学情報センターという法案がここに出たときに、これは中小企業の代表の方もおいでになった。そのときに、明確に名称は忘れましたけれども、全国中小企業何とか副会長さんに三菱鉛筆の社長さんが入っておられた。三菱鉛筆はとにかく日本の国産の六割くらいまで生産しておられるのですから、あれは私は中小工企業だと思わなかった。会社の内容を見て、中小工企業じゃない。ですからその中小工企業の定義についてお伺いすると同時に、今言った通りあなた方の政治連盟というものは、どのくらいまでまあウエイトを占めているものか、そこを一つお伺いしたいと思います。
  43. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 私ども政連考えております中小企業は、現行法で大体常時使用する使用人が三百人以下、商業サービス業については特に三十人以下ということになっておりますので、大体そういう概念で考えておるわけであります。従って今度の団体法中小企業の定義と大体同じようなつもりでやっております。  中政連にどのくらいのなにが、傘下中小企業者があるかというお尋ねでありますが、これは実は中政連の問題がだんだん認識されますと同時に、会員が非常にふえて参っておるのであります。しかし、ただいまのところ、特に特別に中政連の会員をよけい入れるような運動をやっておらないのであります。と申しますのは、御承知のように、今国会でぜひとも団体法をものにしたいという考えがありますので、中政連が音頭をとりまして団体法期成同盟というものを作ったのであります。中政連の事務機構も、中政連の各機関がこぞって期成同盟の方の仕事に主力を注ぐ、その結果中政連の会員獲得という問題をことさらに強く押し出さないようにしておる。そのために期成同盟の方では、先ほどもお話ありましたように、全国ですでに一千万の中小企業者の加盟を見ておるわけであります。で、結局中政連の傘下の団体というのは、この期成同盟の傘下の団体と大体似たようなものになるのではないか。もちろん、多少のズレがあります。中政連にはすぐ入りたくないが団体法には賛成だという向きもありますので、その点に一致してはおりませんが、相当数の人は中政連にも非常に好意を持っております。従って時期至れば、中政連の会員になるべき人だと考えておるのであります。だんだん時期がたちますと、それがはっきりわかるわけでありますが、われわれはあらゆる階層の、あらゆる業種中小企業者が中政連の支持者であると考えております。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 昭和二十一年の六月ですか、第九十国会、帝国議会といった当時から昨年の二十五臨時国会まで中小工企業の皆さんに対して、それぞれの法案が百件くらい国会で成立しておる。もちろん、その社会情勢が変りましたから、必要がなくなった法律もあり、あるいはまた現在も必要な法律もありましょう。けれどもそれが全部実行されておるとお思いになっておりますか。
  45. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 私は昨日申しましたように、戦前戦後を通じまして、中小企業に対する国家的な諸施策はいずれもきわめて不徹底であると考えておるのであります。私財政金融関係に特に興味を持っておりますので、その方面をずっと調べましても、まことに驚きにたえない状況でございます。これらはなるほど当時の政府あるいは国会の皆さんにおいては、そのときそのときの御努力はしていただいたと思うのでありますが、ただいまから振り遮ってみますと、非常に弥縫的であると思うのであります。その意味で今までの諸施策に対しましては感謝の念を全然持っておりません。今後十分な施策によって今までのおくれを取り返していただきたいと思っております。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それから昭和二十五年の三月に、今も大蔵大臣をやっておるのですが、池田勇人さんが中小工企業のある大部分はつぶれてもやむを得ないということを国会で発言しておる。その次の日、皆さん方がそれはけしからんということで大会を開いておる。まあ、松崎さんはそれに参加されたかどうかわかりませんけれども、これは資本主義社会の矛盾で、池田さんがまあ思っていることずばりと言ったのだろうと思うのです。しかし統計を見ると、これは総理府の統計ですが、とにかく戸数にして、三年間のうちに軒数にして大体十万軒、それから人員にして百二十万くらいのとにかく小売業者とか、あるいは中小企業がふえておるのですね。減ったのと比較して、減ったやつを埋めても……。この理由はどういうところにあるのでしょうか。その点を一つお伺いいたします。
  47. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 中小企業者が倒れるとまたふえるという御質問かと思うのであります。これは結局日本の人口構造の自然的な情勢だと考えております。と申しますのは、大産業の方面におきましては、これは終戦後、しかも最近においては最も顕著でございますが、生産設備改善によりまして従業員の増加を伴わずして生産の数量を上げておるという傾向が非常に顕著であります。ですから大産業方面におきます人口の吸収力は非常に少い。それに対しまして中小企業方面におきましては、比較的小企業な関係上、仕事が始められるというので、過剰人口がとうとうとして中小企業界に流れ込む、この傾向は特に商業部門に強いのであります。きのうも申し上げたのでありますが、昨年の一月から十二月までの統計局の月別平均就労人員の統計を、また一年間平均いたしまして、それで見ますと、四千二百万人ある。この四千二百万人のうち千六百八十万人が農民であって、大企業は三百九十万、中小企業は千九百八十万という数字が出ています。これは推定がまざっておりますので、正確ではございませんが、以前は経営者を含めましても、中小企業は千五百万といわれておった。それが一年、二年の間に、とにかく二千万人近い数字が出るようになりました。これは結局中小企業、特に商業部門に失業人口が吸収されておるという格好であります。しからばこの問題をどう解決するかということにつきまして、きのうもいろいろ意見が出たようでありますが、私どもは新しい大産業を起すか、しからずんば国の巨額の財政資金をもって失業救済事業をやる、あるいは社会保障をやるということでなければ、救済できないのであります。それをただいまでは、中小企業がスポンジ的な役目で吸収している。ですから中小企業がこれ以上吸収できるかというと、すでに飽和状態にあるのじゃないか、これ以上無理をいたしますれば、いつか爆発する。爆発するということは、とりもなおさず社会不安であります。これはよほど考えなければならぬ、こう考えているわけであります。
  48. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後一つお伺いいたしますが、組織を作ってお互いに中小企業を守らなければならぬということはわかりますし、それは全くよく了解できるわけです。ただ、組織を作った場合に、今度それを守るために手段が必要なわけですね。そうすると松崎さんの御見解でいきますと、その戦う場所がどちらになるかというわけです。そうしますと、さいぜんも阿具根委員が若干発言しておったのですが、百貨店法案、デパート法案が出て、とにかくデパートは通産大臣の許可が要るとか、坪数は何千平方メートルということにきまっておっても、今度はデパートの方が百貨店法案にかからぬような小さい店をたくさん作って、そこでダンピングをやる。ですからあなた方のお話でいくと、とにかくデパートと太刀打ちしなければならぬということを言っているけれども、実は、実際はデパートではなく商社、それから中小企業の人、一般消費者生活協同組合がけんかするようなことばかりにこれはなる。デパートの方は悠然たるもので、この法案を通してくれとか、通してくれるなと全然言ってこない。通してくれるなというのは、毎日とうふを買ったり、納豆を買ったりする、こういう人が通してくれるな、こう言っている。それで手段と目的と全然違うことになってきはせぬかということを私は非常に心配しておるのですが、こういう点については、どういうお考えを持っておりますか。
  49. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 私どもといたしましては、どこをどう敵とするということはないのであります。中小企業が、中小企業を取り巻くいろいろな世界から一歩おくれている。同じ人並みの待遇を受けていない、これは大産業に比べましても、組織労働者に比べましても、また農家に比べましても、だいぶおくれている。これを人並みのところまで上げてもらいたいと、いわゆるレベル・アップをしてもらいたいということであります。大産業を特別に敵とするという気持もないのであります。また、ことに消費者と戦う、あるいは農民と戦うといった気持は全然ないのであります。もし、大産業で不当なしわ寄せをやっております部分がありましたならば、それを少し分けてもらいたいと思う。それから消費者におきましても、中小企業者はつぶれてもいいんだと、安売り競争をやってつぶれてもかまわないんだと、また新しい商人ができるだろうと、だから安く買えば自分たちも助かるという気持でなく、中小企業者もお互いの友だちとして手をつないでやってもらいたい、こういう気持であります。ことに農家に対しましては、本質的には農家といえども中小企業者であると、気持は相通ずるものがあるというので、農民とも手をつないでいきたいと、結局私ども考えといたしましては、全部手をつないで国家のために働きたいと、今まで人並み以下の待遇を受けておりましたのでは手もつなげないと、どうぞ人並みの待遇をさしてもらいたいということなんであります。ところが、今回の法案を見ますと、中小企業者は人並みの固い御飯をいただきたいと要求しておったのでありますが、いろんな関係でこれが薄められまして、水のようなおかゆになっておるのであります。しかし、おなかがすいておるのでありますから、おかゆでもけっこうだと、一口でも早く食べさしてもらいたいと、こういうわけでありますので、われわれは戦闘的なことは全然考えておらない。その点御了解願います。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がありませんから、二、三点御質問して、次家参考人にお伺いしたいと思います。きのうからお伺いしておりますと、松崎さんの御意見では、中小企業千九百八十万と、農民千五百万、農民よりも中小企業が多いんだと、こういうことを言っておられますが、これは中小企業に従事しておるその家族を全部含められたのであってですね、中小企業というのではなくて、中小企業家経営者というものは私の聞いた範囲内においては商業関係が百五十万、工業関係が五十万、サービス関係百万、合計三百万と私は聞いております。そういうように解釈して私はこれから質問を進めたいと思いますが、どなたにお聞きしてもですね、中小企業は二千万だということをおっしゃいます。これは鮎川さんもそういうことをおっしゃいますが、私ども中小企業としてでなくて、その中の労働者が千数百万おるのであって、その企業家というものは三百万だと、こういうように解釈しております。そうしませんと、非常に誤解があるようでございますから、この点私どもの調査が間違っておったら御指摘を願いたいと思います。きのうも御説明の中に、労働組合団結をして交渉をするのを見てもわかるではないかと、こうおっしゃったわけです。そうすると、その通りなんですね、それは皆さんが団結されて大企業その他に交渉されるのは、私どもは最も強く望んでおるものでございます。ところが、そうなりますと、労働組合にはあなた方がおっしゃるような強制加入というものはこれはありません。そういうことはできません。そうしますと、もしも松崎さんの意見が正しいとするならばですよ、労働組合にもそれを適用していくかと、労働組合はそれを望んでおります。なぜかならば、あなたがちょうど心配されておるように労働者の中にも、利害の相反する点も人もあります。それがゆえに第二組合、第三組合というのができて組合が分裂して非常に苦しいことをやっておるのでございます。そういたしますと、この理論からいくならば、労働組合も全部四分の三がきめたならばあとは強制加入、そうして組合の言う通りに聞かなければならないということになるのでございますが、それに御賛成でございましょうか。それを一点お伺いいたします。  それから非常に中小企業者立場はむずかしいのであって、私どもは何とかこれに対してやらねばならないと思っておりますが、ただいままでの皆さんの御説明を聞いておっても、中小企業はふえるばかりだと、先ほども戦前のお話までございましたように非常にふえておるということになって、飽和状態、これ以上は中小企業を抱きかかえたならば爆発します、その通りだと思うのです。そうしますと、この法律でいけば、その爆発しないようにシャット・アウトができますか。いわゆる中小企業がふえないように、あるいは中小企業でもまあ特に貧しい人はこれから出ていくように、こういうようにして整理をする、極端な言葉で言えば中小企業企業整備だと、こういうようにとれないでもございませんが、もしもそうでなかったならば、ふえてくるその失業人口、この失業者たちが唯一のよりどころとして、なけなしの金を使って商売を始める人方をどういうようにしてやっていこうとお考えになられますか。この法律でそういうことができるかできないか、これをお尋ねいたします。  それからもう一つ、もう一つはこれまた非常に微妙な問題でございますが、この中小企業にしろ、大企業にしろ同じでございますが、特に中小企業はきのうも私が申し上げましたように、中小企業の皆さんも自分で自立自営ができないのです。これは皆消費者なんです。そうでしょう。大きく言うならば日本国民九千万は皆消費者なんです。その消費者とのタイアップをどうしていっておられるか。おそらく松崎さんは私の質問に対して物価は上げませんと、消費物価は上げませんとおっしゃるかもしれませんけれども、私は上ると思います。全部が上るということでなくて、私はこの法案を通す場合には、消費者方々にも一部上ることは了解してもらはなければならないと私は思う。そういたしますと、消費者立場というものはどういうようにお考えになるか、あなた方が大企業、デパートと交渉されるように、消費者とも交渉の場を持とうと思っておられるのか、消費者に対してそういう一つのグループを作るようなことを考えておられるかどうか、この三点について御質問を申し上げたいと思います。  それから次家さんは諸外国もお回りになったそうでございまして、非常にこの問題については該博な知識を持っておられると聞いております。特に先ほどの御説明におきましては、卵の値段が一個二円上るということは、家庭経済に非常に響く、だから消費者団体はこれは上げてはできないのだということをやって、遂にこれが成功したと、こう言われるわけなんです。ところが、非常にこの法律案を悪く解釈するならば、これは売る値段を全部統制されます。そういたしますと、安いところから買おうと思っても、これは規制されておりますから、安く売れない。そうした場合にどういう手段をとっておられるであろうか、諸外国の消費者立場はどれだけ認められておるであろうか、また、そういうことになった場合を私が考えるときには、たとえば戦時中の問題を考えますならば、消費者方々が持てる方、あるいは生産する方、その方々のところに自分の着ておる着物をぬいでいってお願いしますといって買って来たことを皆さんも御承知の通りだと思っております。そういたしますと、生産制限をする、販売価格規制するというようなことになってきました場合に、消費者はどういう態度をとるべきであろうか、こういうことを私どもは十分、一つ教えていただいて、そうして消費者の方も中小企業者の方も満足される点があるならば、そこにいましょうし、しんぼうしてもらわなければできない点があるならば、中小企業者の方にも、あるいは消費者の方にもごしんぼう願わなければならないところは、ごしんぼう願わなければ、集団生活というものはできません。政治というものはあり得ません。そこを私どもによくわかるように言って聞かしていただきたいと、これは次家さんにもお願いいたしますし、松崎さんにも一つお願いいたします。
  51. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) 三点の御質問に答えます前に、数字の問題でちょっとつけ加えさしていただきたいと思うのです。先ほどお話ししましたように、私が中小企業者千九百八十万と申し上げましたのは、もちろん経営者を含めました全従業者であります。それで、そのときの農民の数字が、私の計算では千六百八十万と出ております。大企業が三百九十万。これは昨年の一月から十二月までの統計局の月別就労人員、それを、季節的な変動は非常にありますので、農業も他の産業もすべて一月から十二月まで平均したわけです。そうしますと、全国の全産業の就労人員が四千二百万人、この四千二百万人に対しまして、二十九年の七月一日にできております事業所統計のパーセンテージをずっとかけたもので、その結果出た数字であります。最近の新しい数字がないために、そういう計算方法をとったわけであります。まあ、その点は推定でございます。で、従業者を含んでおる、ただし、家族を含んでおりません。これだけちょっとつけ加えて申し上げます。  御質問の第一点でございますが、労働組合にも強制加入が必要と思うかどうかということでございますが、私、労働問題につきましては常識的なこと以上に、深く研究しておりませんので、よくわからないのです。目下中小企業の労働問題は及ばずながら研究しておりますが、組織労働者の点について研究が足りないもので、はっきり確信あるお答えを申し上げられないのでありますが、中小企業がアウト・サイダーで非常に困っておる。私どもが聞いておりますような状態が、もし、組織労働者の社会にもございますれば、同じように必要かと、こう感ずるのであります。そういう事情がありますかどうかということにつきましては、私はっきり認識を持っておらないために、何とも申し上げられないわけであります。  それから、第二の点で、中小企業企業整備が必要となるが、団体法との関係はどうかというお尋ねかと思うのでありますが、私ども団体法につきましては、企業整備的なこと、あるいは新規開業者のシャットアウトというようなことは実は考えておらないのであります。で、ただいまの、失業人口が中小企業に入ってきて非常に困るという状態は、別途の方策で処置すべきである。団体法では処置できない。団体法では、むしろ現在の中小企業界をこれによって多少でもよくしていけば、多少、あとから入ってきても、まだ吸収ができるんじゃないか、これが国家全体としてはやむを得ないんじゃないかという考えさえ持っているのであります。実はシャットアウトしたいのでありますが、シャットアウトは事実上できない。もし、これを急にやるということになりますれば摩擦がある。そうかといって、さっきお話ししたような、これ以上どんどん入ってきますと爆発する。まあしばらくの間のつなぎとして団体法というものが役に立つんじゃないか。それで、ほかの方法で失業人口の問題を解決した場合に、初めて団体法がほんとうの効果を得て、中小企業界のほんとうの安定をもたらすんだ、こういうふうに実は考えておるわけでございます。  それから第三の、消費者とのタイアップの問題でありますが、私どもは、これも先ほどお話ししましたように、消費者とはどこまでも手をつないでいくべきだ、消費者の不利になるようなことは、商業者の本質としてできない、またメーカーとしても結局そうであります。高い物を作りますれば、必ず売れない。これは、私ども机上で考えるんでありませんで、商業者の方あるいはメーカーの方と、いろいろな意見を徴しますと、結局、うっかり価格なんかいじったりすると大へんだ、それで、消費者にはできるだけサービスするということがわれわれの精神であって、それ以上のことはできないんだと、こう申しております。まだ消費者とのタイアップの問題については、いろいろな論点から考えられるのでありますが、消費者との提携ということにつきましては、団体法の運用につきましても、よほど真剣に考えていかなければいかんと思います。
  52. 次家幸徳

    参考人次家幸徳君) 今の阿具根委員からの御質問に答えたいと思いますが、事実さっきも申しましたように、この法律ができましたら消費者小売価格といいますか、物価は上ってくるということはまあ確信を持って言えると思います。それで、どういうことをやっていけばいいか、実はこれはどういうふうにやっていけばいいかという御質問だったと思いますが、向うにおきましては、今イギリスなんかにおきましては、全国におきます一五%以上が生協によって労働者が組織をされております。従いまして業者団体においてこれを値上げしようというふうに思いましても、もう全国の一割五分という小売の高が消費者団結でございますから、これは上げる必要はないのだ、要するに計算上そう上げる必要はないんだ、これで十分やれるんだという計算が立ちましたときにはそれらが中心になりまして、全労働者、また全婦人の団体を動かしまして、そしてさっき申しましたような運動を重ねておりまして、そこに公正な牽制といいますか、お互いの牽制が行われまして、消費者団体と、いわゆるもうけようとする団体との間に両者がいろいろな話し合いの過程においてそれが中庸をとられていく。そして消費者が守られていき、物価も上らない。それがイクオール輸出振興に関係するんだというような見解で成功をおさめております。スエーデンなんかにおきましてもさようでございまして、町における一番大きな百貨店は、ストックホルムでも生協の百貨店でございますが、それらの百貨店が上げない限りにおきましては、組合の百貨店が上げない限りにおきましては、市内の物価は上らないということになっております。ところが、日本の現状を見ましたと幸に、なるほど今こういう国会でわれわれの代表がいろいろ議論される、要するに中小企業の方からはじゃま扱いされておりますが、われわれから見ますと、まだまだ問題じゃないんだ。私事を申し上げて非常に恐縮なのですが、日本では一番大きいといわれておりますわれわれの灘におきましても、まだ阪神間におきましてわずかに一〇%たらずの力しか持たないのであります。しかしながら、その一〇%の力をもちましてあの阪神間が別荘地帯といわれたようなところが今住みやすい土地になっておるということは、現実にわれわれの三十数年の経験を通じまして物価が非常に高い。そして店舗を出す、そうすると直ちに一割なり一割五分の価格が、その土地の価格が下るのでございます。そうしてそれがやがて一月たち、二月たちますと、だんだんと差がなくなって参ります。そうしますと消費者は一面勝手な面もあるわけでございまして、もう組合価格が変らなくなった、そうすると生協の価値はないというようなことになります。目的を達すればそれじゃ引き上げようということで引き上げますと、また直ちに上って参ります。兵庫県における播磨造船の七千名のあの町、いわゆる工員があります相生市におきましても神戸よりも戦前は七分ないし八分物価が高かったのであります。そして現在どうかといいますと、市内に十数戸の店舗を播磨造船生協が持ちましてから現在神戸よりも七%ないし八%安いのでございます。従いまして上下いたしますと一割から一割五分価格が違って参ったのであります。従いまして播磨造船会社とされましても、いわゆる労働攻勢に対しまして要するに呼び値の高いということが労働者は望みではないのでありまして、生活が安定さえすれば問題はないのであります。いろいろ議論がありますように商業者商業部門によって生活をすべきだ、労働者はその賃金によって生活をするんだ、中小企業の労働者ももちろんそうだ。これはもちろんわかるのでありますが、食えるだけの賃金が全部ありまして、幾ら高くても払えるだけの賃金がもらえて、生活が安定しておるのなら、何も苦労はないのであります。食えないからこそ、労働者は最後までどんな状態がありましょうとも、またどんな圧迫がありましょうとも、労働組合の二木の柱、一つは、生産利潤の分配に対して戦いとろうとする動き、一つは、お互いの協同組合によって、生活を、消費を合理化しようとする動き、これは否定できないと思います。中国なんかにおきましても、すでに皆さん御承知の通り、消費合作社が、今全都市の二〇%を占めております。国営商店が三一%でございます。残り三九%がプライベートの個人商店でございます。これらの生産者が互いに善意の競争に当って、そして新中国を建設しておる姿を見るのでございます。これらのことを思いますと、今のわずかに〇・八%しかない日本における生活協同組合、労働組合の労働者の福祉活動というものを、あらゆる角度から圧迫しようとする動き、こういうことで、今はなるほど押しつぶされればつぶれるでございましょう。踏みつぶせばそれまででございましょうが、しかし、そうなった暁に日本の将来の発展、労働者の生活というものがどうなるであろうかということを、われわれは憂慮せざるを得ないのでございます。従いまして今お尋ねのように、値上りに対して消費者立場、今阿具根委員も言われましたように、消費者に別の団体を全部作らして、この交渉があれば、商業組合がいかにこれをきめても、これはそれに応じなければいかぬというような法律ができれば別でございます。しかし、それはなかなか言うべくして困難だと思います。それであればあるだけに、生活協同組合なり、労働組合なりがお互いに手を取り合って、安い月給の中から、いささかでも生活をよりよくしようとしていく動きに対しましては、善意をもってこれが成長を見守ってもらうことが、日本の勤労大衆の生活を守っていくゆえんであるというふうに考えるわけであります。従いまして、今の中小企業団体法にいたしましても、小売商業のいろいろな特別措置法にいたしましても、すべてわれわれはこれを一貫して見ましたときに、さっきも松崎さんからお話がありまして、生協の方から挑戦するのだと言われました。しかし、神戸におきまして、さっきも言いましたように、われわれは現実を知っております。全市場なり全業者に回覧が回りまして、その回覧もよく拝見いたしております。それには、生協なり購買会なりを、これによって撲滅できるのだから、判をつけというふうなことになっております。そしてわれわれが話しまして、中政連では国会にこういうふうに陳情しているではないかと、その文書を見せたのであります。そうしたところが、神戸市の代表者の言われるのに、そうしなければみんな判をつかない、やはりこれはそうしなければいかぬのではないかというふうな笑い話でございました。これは決してうそではございません。小売業者に全部判をつかせるためには、そういうふうにして小売物価が要するに高く売れるということにしなければ、みんな判をつかない。ですから中政連のあれを見せたら皆これは反対だ、君たちの言われるように、工合が悪いけれども、そうしなければみな判をついてくれない、こういうふうな返答でございました。そういうような面から見まして、われわれとしましては決して消費者の自我を唱えるわけではないのでございますが、そういうふうな先進国における円満な豊かな生活の実態を見ましたときに、いかなる場合におきましても、やはり公正な競争者というか、一つの一元的な統制、しかも法律的な権限によってあいくちを持たす、統制によってやっていくということについては、われわれは非常な危惧を感ぜざるを得ないのでありまして、これらのものを持たせないというような面から見ましても、そうして勤労大衆の生活を守るという面におきましても、商業組合として自発的に団結を強化されまして、これの発展に向われる、また、政府当局がこれに向って税金なり、金融なり、あらゆる援助を与えられることに対して反対では決してないのでありますが、ただ消費者大衆という発言力を持たない無害の者は、この法律が生まれることによりまして、そのすべてのものがなるほど大企業に向っての闘争、これは当然でございましょうが、同時に、それが下の消費大衆に向って発せられてくる、発動されてくる、しわ寄せされてくるということは当然でありまして、そういう面におきまして、われわれはこの法案がたとえできるにいたしましても、今申しましたような民主的な労働組合の自発的による団体に対しましてはあたたかい気持でもって、これは政党とか党派とかいうことでなくして、やはりそこに善意の競争をする団体というものを認められてしかるべきじゃないか、その中にあって物価の抑制がなされ、そして公正な競争がなされ、よりよい社会を建設するのだと考えざるを得ないのでございます。神戸市なんかにおきましても、われわれの運動は神戸当局と手を取り合いまして、市民の生活向上のために、われわれの全機能をあげて協力いたしております。市からも多くの金を出していただき、ともに生活改善、むだのないように、少い金を使って、今の収入の少い日本の現状で、よりよく生活を守っていこうという運動を進めておる一員といたしまして、今度のこの法案につきましては、どうか今御質問されましたように、との消費者物価の上り、そうしてそれに対して抗議の道はない。生協におきましても、今言いましたようなことで、小売にかりに共販制がしかれれば、もうそこに競争も何もないのであります。そういうふうな面から考えまして、ぜひ一つ参議院の良識において、これを慎重に審議を賜わりたいというふうに思うのでございます。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 じゃもうこれでやめますが、その点でございますが、松崎さんの話を聞いてみましても、今日まで十六名の方にお聞きしましたが、きのうお聞きしました小西さんも、政治連盟の一部の方だと思いますが、また、その他の業者の方にも、私の質問に対しては、私の考えとほとんど変らない。そこで松崎さんに最後に御質問いたしますが、一番心配なのは、失業人が中小企業に流れ込むのだ、これはこの法律ではとめられない、消費者には物価は上げません、こうおっしゃると、この法律では何をにらんでおるか、こういうことになるわけです。この法律は何をにらんで作られようとしておるのか。そうなりますと、いわゆる中小企業者団体を作って大企業と交渉し、資材その他を安く入れて、百貨店その他に太刀打ちができるようにしたいのだ、これが目標だという以外にないようなことになって参ります。そういたしますと、それに反対する人はおそらくないであろうと思われますのに、なぜ強制加入をしなければならないかということが、これが私にはどうしても解けないなぞでございまして、皆さんに御質問いたしますと、これはよりベターで、ないよりもあった方がいいからという方と、小西さんのごときは、私どものように、これは自主的な問題で強制加入なんかは考えておりません、こういうお考えもあるわけなんですが、松崎さんの言をかりて束原さんにまことに失礼だけれども、顕微鏡で見てもわからないような束原さんがおられるから、こういう方を規制するということになれば、束原さんはばい菌の一種になってしまいますが、そういう方は私はおらないと思うのであります。そうすると、中政連が一枚看板で強制加入だと言っておる真意が私にはわからないものですから、これを最後一つ
  54. 松崎健吉

    参考人松崎健吉君) ただいまのお話しのうち先の半分のお話は、私全く同感でございます。中小企業者消費者を痛めるのでもなし、大企業と話し合って、もしそこに吐き出していただけるものがあれば、組合交渉によって吐き出していただく。また、お互いに経費の節約等をやりまして、そこに余裕を持ってくる。現在商業者が非常な過当な競争のために、むだな金を使っておることは、非常におびただしいものであります。広告を使いましたり、必要以上の装飾をいたしましたり、競争のためにいろいろなことをやっておることは、御承知の通りでございます。こういう冗費を省いて、適正な価格で従来通り売りましても、やりようによっては相当余裕が出てくるはずだと考えておるのでありまして、ここに商工組合の妙味もあろうかと思うのであります。そうしてそれならば、加入命令制度は要らないのじゃないかというお話しかと思うのでありますが、私はその点になりますと、少し違うのであります。と申しますのは、大体うまくいくからといって加入命令制度の必要は全然ないということは言えないのであります。たとえて申しますと、加入命令制度は一種の外科手術で、事好んで外科手術をする必要はございませんので、内服薬やその他の方法ではれものがなおればそれでけっこうでありますが、どうしても外科手術をやった方が早くいく、また結果もいいのだという目安がつく場合には、外科手術の必要があります。事好んで外科手術をする必要はないのでありますが、外科手術の道を開いておいた方が回復するのが早いということがあろうかと思うのであります。そのために、加入命令制度というものは、少くとも今の形で残していただきたいと思うわけであります。
  55. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 参考人方々に申し上げます。本日、本委員会に長時間にわたり御出席下さいまして、委員質疑にお答えいただきまして、まことにありがとうございました。御意見参考にして中小企業関係法案の審議をいたしたいと存じます。重ねてお礼を申し上げます。   —————————————
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、本日地方行政委員長から文書をもちまして、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につき、連合審査会開会申し入れがございました。文書を朗読いたします。    商工委員会に対する連合審査会開会の申入れ   中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案内容を見るに、火災共済協同組合については、地方公共団体が当該組合のために一定金額の支払いを保証することを当然に予定しているやに見られる規定がある。これは地方財政困難の実情に照らし、果して適当かどうか十分検討を要するものと認める。よって当委員会としてここに決議をもって商工委員会に対し連合審査会の開会を申入れる。   昭和三十二年五月十六日       地方行政       委員長            本多 市郎          商工委員長松澤兼人殿  右の申し入れに応じて、地方行政委員会との連合審査会を開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の開会日時等については、先例により両委員長間の協議により決定することにいたします。  午後二時より連合委員会開会することとして休憩いたします。    午後一時三十三分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕