○
政府委員(川上為治君)
中小企業団体法案につきまして、おもなる条文につきまして御
説明を申し上げます。
この
法律の
目的につきましては、第一条で「
中小企業者その他の者が協同して経済事業を行うために必要な組織又は
中小企業者か自主的に事業活動を調整するために必要な組織」というふうになっておりまして、いわゆる協同組合組織、それから商工組合組織と両方の組織ができるようにいたしておるわけでございます。それから第三条におきまして、
中小企業団体等の種類につきまして書いてございます。これは従来の
制度に対しまして新しく商工組合
制度というものを書いておるわけでございまして、この組合
制度につきましては、先ほど衆議院の方からお話がありましたように、小組合
制度及び火災共済
制度につきまして新しくさらに追加を受けることになっておるわけでございます。
それから第四条におきまして、私
どもの方としましては、最初この協同組合につきましても、全部この
法律にぶち込みまして、百数十条をこの中に入れまして、いわゆる協同組合
制度とそれから商工組合
制度を両方取り入れる予定になっていたのでありますけれ
ども、いろいろ政府部内におきまして研究がおくれて参りましたので、今回は商工組合
制度をこの中に取り入れて協同組合
制度につきましては、現行のままとして、後日これが修正をいたしましてこの中にぶち込もうというような考えで、第四条はそういうふうになっておるわけでございます。
それから第五条におきましては、この商工組合
制度につきましての
中小企業者の定義でございます。この条文によりまして
中小企業者というのは、第一は製造業者でございますが、製造業者につきましては、「常時使用する
従業員の数が三百人以下の者であって」というふうなように
従業員の数が三百人以下でなければならないというふうにいたしたわけでございます。
それから第二号におきましては、これは商業者でございますか、商業者及びサービス業につきましては、これは三十人以下ということにいたしたわけでございます。しかしながら一号、二号に該当しない、これは実際の実情からいいまして、どうしても特別な
措置をとらなくちゃならないというようなものにつきましては、第三号によりまして「常時使用する
従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の者であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの」というふうに、政令で特別な業種につきましては指定をいたしまして、そうしてその例外的な
措置ができるということにいたしたわけでございます。その例外的な
措置に該当するものにつきましては、私
どもの方としましては、差しあたり石炭鉱業あるいは金属鉱業というようなもの、これらはやはり例外的な
措置をとらなければならないのじゃないかという工合に考えているのでございます。また、商業者につきましても、問屋などにおきましては、やはり特別な
措置をとらなくちゃならないのではないかというふうに考えているわけでございますが、大体何名ぐらいが適当であるかという点におきましては、なお検討をいたしたいというふうに考えております。この三号によりましては、第一号、二号の
従業員の数よりも多いものもありますし、また、たとえば化学工業等につきましては、これよりも少くするというような場合もあろうかと思うのであります。
なお第五条におきましては、私
どもの方としましては
従業員の数でいっておりますが、ほかに何か、たとえば資本金とか、そういうもので
規定した方がよくないかというような意見もいろいろございますが、私
どもの方としましては、現在そうした方面についての調査が進んでおりませんので、この際は従来の安定法等の例によりまして、人数だけでこれを限定することにいたしたわけでございます。
それから第八条におきまして、この商工組合の名称でございますが、原則としては商工組合という名前にするわけでございますけれ
ども、あるいは製造業につきましては工業組合、商業方面につきましては商業組合という名前をつけてもよろしいということにいたしたわけでございます。
それから第九条が設立でございますが、「商工組合は、一定の地域において一定の種類の事業を営む
中小企業者の競争が正常の
程度をこえて行われているため、その
中小企業者の事業活動に関する取引の円滑な運行が阻害され、その相当部分の経営が著しく不安定となっており、又はなるおそれがある場合に限り、設立することができる」ということに
規定されておりますが、要するに過当競争が行われており、同時にまた、
中小企業の相当部分の経営が署しく、不安定となっていると、この「相当部分」というのは大体過半数でございますが、そういう過半数の
中小企業者の経営が著しく不安定になっており、またなるおそれが多分にあるというような場合に限り、商工組合は設立することができるということにいたしたわけでございます。現在
中小企業安定法によりましては、業種を指定し、また製造業種だけに限定をされておりますが、私
どもの方としましては、商業者につきましても商工組合を作り得ることにいたしましたので、業種を選定、指定をすることにいたしませんで、製造業あるいは商業につきましては、広く商業組合ができるようにいたしたわけでございますが、しかし、それには過当競争が行われていて、しかも相当部分の経営が著しく不安定になっておるというような場合におきまして設立することができることにいたしたわけでございます。
それから第十条におきましては、これは一業種につきましては、その地区内においては一組合だということにいたしたわけでございます。しかし、商店街の組合につきましては、重複しても差しつかえないということにいたしたわけでございますが、これはやはり調整事業を行う以上は、原則として一地区におきましては一組合がこれは当然であろうかと考えますので、そういう
措置をとったわけでございます。この点は協同組合とは違う点でございます。
それから第十一条におきましては、商工組合の組合員たるの資格を
規定しておるわけでございますが、ここにおきましては、原則としましては、
中小企業者であるということにいたしたわけでございますが、
中小企業者以外の者の入り得る者は定款で定めたものであって、次の一号、二号に該当する者であるということにいたしたわけでございますが、第一号の方は、これはいわゆる大企業者でございます。それから第二号におきましては、事業協同組合、あるいは企業組合、商工組合、あるいは農業協同組合、こういうようなものであって、そして政令でその業種については定めるというようなことにいたしておるわけでございます。従いまして、たとえば消費生活協同組合というようなものは入らないわけでございます。また、農協につきましては、たとえば購買組合のごときものは考えておりませんが、しかし、ミカンカン詰などを製造して販売するというようなものは、便宜そういうものを指定いたしまして、組合加入ができるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
それから第十二条におきましては、組合を設立する場合におきましては、組合員たる資格を有する者の二分の一以上が組合員でなければならないということにいたしたわけでございますが、その第二号によりますと、
中小企業者以外の者が加入する組合におきましては、特別な
措置をとっておるわけでございます。
それから第十四条におきましては、商工組合連合会を設立し得るのですが、連合会につきましては、原則として地区は全国だということにいたしたわけでございますが、商業とか、あるいはサービス業につきましては、道府県の区域によることができるということにいたしたわけでございます。それから第十七条におきましては、商工組合の事業につきまして
規定をいたしておりますが、これは第一項におきましては、現在
中小企業安定法によりますものとほとんど同じであります。要するにいろんな調整事業をなし得るけれ
ども、少くとも価格
協定につきましては、これは特別な場合に限りいろんな調整事業をやってみて、なおそれで十分いけないというような場合に、初めて価格
協定というような特にその消費者に対しまして影響の大きいものについては、最後の
手段としてそれがなし得るということにいたしたわけでございます。それから第二項におきましては、この調整事業のほかに、いろんな経済的な共同事業ができるということにいたしたわけでございまして、これは現在の調整組合あるいは協同組合等から相当要望されておりますので、私
どもの方としましては、この商工組合が調整事業は行わなければならないけれ
ども、経済的な共同事業につきましては、これをあわせて行うことができるということにいたしたわけでございます。
〔
委員長退席、
理事阿
具根登君
着席〕
それから第十八条におきまして、調整規程の認可につきましては、主務大臣の認可を受けなければならないということにしておるわけであります。
また第十九条におきまして、その調整規程を認可する場合におきましては、一号、二号、三号にも書いてありますように、たとえば不当に差別をしてはいけないとか、あるいは一般の消費者とか、関連事業者の利益を害してはいけない。こういうふうなことがあって、初めて認可ができるということにいたしておるわけでございます。なお、その調整規程の制定あるいは変更、廃止、そういうものにつきましては、二十三条によりまして総会の決議を経なければならないということにいたしておるわけでございます。
また二十一条によりましては、この調整規程の
内容が第十九条各号に適合するものでなくなったと認められる場合におきましては、調整規程を変更すべきことを命じ、またその認可を取り消さなければならないということにいたしておるのでございまして、あくまでも商工組合というのは、いわゆるその必要要件が備わっておる場合だけに、この組合を作って調整事業が行えるのだ。そういう必要がなくなった場合におきましては、この組合におきましては解散をしなければならないということにいたしておるわけでございます。
それから特にこういう調整事業につきましては
従業員に対しまして、いろいろな問題が起るかもしれませんので、二十六条、二十七条におきまして、この組合の
従業員に対しましては、特別な配慮を加えるようにいたしておるわけでございます。
それから二十八条、二十九条、三十条は、これはいわゆるその団体交渉といいますか、組合交渉の
規定でございますが、二十九条によりまして、組合交渉をしますときは、商工組合の代表者でなければならない。これは政令で定めるところによりということになっておりますが、少くとも大ぜいのものが押しかけて団体交渉をするというようなやり方でなくして、なるべく紳士的にやってもらいたい。従いまして政令で定めるところによりというのは、人数につきましても、三人以下とか、あるいはその組合の
理事者でなければいけないとか、こういうようなことにいたすわけでございますが、そういうように制限をいたしておりますし、また交渉する場合におきましては、調整規程あるいはその案を示しまして、そして交渉をしてもらいたい。そういうようなふうにして交渉しましたときは、その交渉に相手方は誠意をもって応じなければならないということにいたしたわけでございまして、交渉の相手方につきましては、一号から四号までございますが、この第一号におきましては、取引
関係のある大企業者がその相手になるわけでございます。第二号におきまして、これは
中小企業者の場合におきましては、
中小企業者の団体が相手になるということにいたしておるわけでございます。一号、二号につきましては縦の
関係でございますが、横の
関係におきましては、三号、四号のところで書いてございます。三号におきましては、「商工組合の組合員たる資格を有する者であって、
中小企業者以外のもの」、すなわち大企業者ということになるわけでございます。四号におきましては、この資格事業を行なっておるものであって、これは営むものではございません。行なっておるものであって商工組合の組合員たる資格を有しないもの、たとえば生協とか、そういうものを、われわれの方としましては考えていたわけでございまして、これは政令で定める者に限定するということにいたしておるわけでございます。
それから商工組合の代表者がこういうことにつきまして申し出をしようとする場合におきましては、その組合協約の
内容とか、あるいはその相手方につきまして総会の承認を得なければならないということにいたしておるわけでございます。
なお、いろいろ交渉しましてなかなか話がつかないというような場合、あるいはその交渉になかなか応じないというような場合におきましては、第三十条におきまして主務大臣がそれぞれに対しまして必要な勧告ができることにいたしたわけでございます。
なお、その二十八条におきましては、この商工組合が相手方と組合協約をしました場合に、特に組合員たる資格を有する者、これは横の
関係でございますが、そういう者との間に締結するものにつきましては、主務大臣の認可を受けなければならないということにいたしたわけごでざいますが、これはやはり独占禁止法との
関係もありまして、横のカルテルの形成の
関係もありますから、これは認可
事項にいたしておるわけでございます。
それからそれ以外のいろんな
事項につきましては、設立、その他出資、その他についてのいろいろな手続とかそういうものを
規定してございますが、第五十五条、これは四十一ページでございますが、これはいわゆる強制加入の
命令でございます。「主務大臣は、次の各号に掲げる要件を備える商工組合の地区内において資格事業を営む
中小企業者であって組合員以外のものの事業活動が第九条に掲げる事態の克服を阻害しており、このような状態が継続することは」、云々とありまして、「その商工組合に加入すべきことを命ずることができる。」というようになっておりますが、要するにこれは現在の安定法にはない
規定でございますけれ
ども、私
どもの方としましては、この
中小企業者だけに限定いたしまして、
中小企業者につきましては、このアウトサイダーに加入
命令を発しましてそして加入をきして、その組合において
中小企業者が自主的にいろんな調整事業ができるように、この強制加入
措置によってそれに対する政府の援助をするというような
考え方でこの
制度を置いたわけでございます。要するに
中小企業者の大部分が組合を作っていろいろその調整事業をやっておるけれ
ども、一部の
中小企業者が入っていなくて、そのためになかなかうまくいかない。ところが、その一部の者を加入させるというと、この組合におきましては自主的に調整事業ができる能力を持っておる。そしてまた、それがきわめて適当である。ひいては、これが国民経済に対しましても支障を生ずるようなおそれはないというような場合に限定いたしまして、このアウトサイダーである
中小企業者をこの組合に加入させまして、そして自主的な調整事業を行わせるというようなことにいたしたわけでございます。
ところが第五十六条におきましては、これは従来安定法にありますいわゆるアウトサイダー規制の
命令であるわけでございまして、たとえば
中小企業者の組合が自主的に、いろいろ調整事業をやろうとしましても、なかなかその能力がない。しかしながら、どうしてもアウトサイダーを規制しなければその調整事業がうまくいかない、同時にまた、それは
中小企業者の安定に非常な支障を及ぼす、同時にまた、国民経済に対しましてもよくないというようなそういう場合におきまして、これは政府の方からいわゆるそのアウトサイダー規制の
命令を出しまして、アウトサイダーを規制するわけでございます。これは五十五条と違って、要するにこの五十五条というのは、どこまでも
中小企業者が自主的に調整能力があるというような場合、その組合におきまして、同時にまた、
中小企業者だけに限定しておるというようなところに、この五十六条と五十五条の違いがあるわけでございます。この五十六条につきましては、先ほ
ども申し上げましたように、現在の安定法にそういう
規定があるわけでございます。それからなお、五十六条あるいは五十五条につきましても、それぞれ一号、二号、三号、四号というようなふうに、いろいろその人数とか、そうしたものにつきまして限定をいたしておるわけでございます。
なお、その価格
協定をいたす場合におきましては、特にあとの方に出て参りますが、公取の同意を得なければならないということにいたしておるわけでございます。その他の問題につきましても、公取に協議をしなければならないということにいたしておるわけでございます。また、強制加入の問題につきましても、公取に協議をしなければならないというようなことになっておるわけでございます。
それから四十七ページの六十条におきましては、この五十五条の第一項の
命令とか、あるいはは五十六条、五十七条の
命令を出す場合におきましては、広く聴聞を行なって、一般の意見を聞かなければならないということにいたしておるわけでございます。
それから六十一条におきましては、この五十五条の第一項とか、あるいは五十六条のそういう
命令をしようとするとき、あるいは
命令をした後におきまして、特に必要があると認める場合におきましては調整規程、またはこれは連合会の場合におきましては、総合調整規程でございますが、これは変更
命令を出すことができるというようなことにいたしておりますし、六十二条におきましても、
命令の変更または取り消しをしなければならないというようなことになっております。
〔
理事阿
具根登君
退席、
理事近藤信一君
着席〕
それから、なお第七節におきましては、五十一ページでありますが、いろいろな監督の
規定がいろいろ置いてあるわけでございまして、特に六十八条におきましても強制加入の
命令関係のものにつきましては、特に役員の解任につきましての
規定も置いてございます。
それから七十条におきましては、不服の申し立てができるような
措置にいたしております。
それから五十四ページにおきましては、第七十二条におきましては、
中小企業安定
審議会を
通産省に置くわけなんですが、これにつきましては、組合の調整事業に関する重要
事項を調査審議することにいたしておるわけでございます。従いまして、たとえば加入
命令の問題とか、アウトサイダー規制の問題とか、その他調整事業に関するおもなるものにつきましては、ここで調査審議をすることにいたしております。
それから安定
審議会におきましては、
委員の数は三十五名以内ということにいたしておりますが、私
どもの方といたしましては、国会議員の方々も学識経験者の中に加えまして参加していただこうという工合に考えております。
それから先ほど申し上げました組合交渉の問題につきましては、第八十一条によりまして
通産省に中央
中小企業調停
審議会を設置することにいたしております。同時にまた、
都道府県に対しましても同様な
審議会を置くことにいたしまして、そしてこの組合協約にございます重要な
事項を調査審議することにいたしておるわけでございます。
それから第九節におきましては、独占禁止及び公正取引との
関係につきまして、いろいろこの適用除外の
規定を設けております。
それから第九十条におきましては、先ほど申し上げましたように、特にその価格
協定につきましては、この第一項の第一号によりまして、公取の同意を得なければならないということにいたしております。また第二号におきましては、調整規程とか、あるいはその組合協約の認可、あるいはその他の
命令につきましては、公取に協議しなければならないということにいたしておるわけでございます。
それから九十四条におきましては、要するにこの所管大臣につきましては、組合の資格事業を所管する大臣とするということにいたしておるわけであります。
それから六十五ページの第四章以下につきましては、これは現在の事業協同組合から比較的簡単に商工組合に乗りかえることができる、また商工組合におきましては、調整事業をやめた場合におきましては、協同組合に組織がえすることができるというようなことを書いておるわけでございます。
それから七十ページにおきまして、この
中小企業関係のいわゆる中央会というものは現在
中小企業等協同組合中央会というのがございますが、商工組合もこれは包括して
中小企業団体中央会ということにいたしたわけでございます。
それ以下の問題につきましては、大した問題はありませんので、以上この
法案の
内容につきまして御
説明をいたしたわけでございますが、なお衆議院におきましてこの修正を受けました点につきましては、先ほど小笠先生からお話申し上げました
通りでございます。
それから
中小企業団体法の
施行に伴う
関係法律の
整理等に関する
法律案、これにつきましては、大体商工組合につきましても税法上のいろいろな特別な扱いを協同組合と同じようにやる、あるいは現在の安定法に基く調整組合で受けておりますような恩典を与えるというようなことにいたしましたのと、もう
一つは、商工中金から融資を受けられるということにいたしたという点でございまして、別に詳しく御
説明申し上げる必要はないかと存じます。
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