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1957-05-14 第26回国会 参議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衞君            三浦 義男君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            藤田  進君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   衆議院議員            小笠 公韶君            松平 忠久君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君   政府委員    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省軽工    業局長     斎藤 正年君    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衛君    中小企業庁指導    部長      川瀬 健治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○自転車競技法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○小型自動車競走法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○中小企業に対する官公需確保に関  する法律案衆議院送付予備審  査) ○下請代金支払遅延等防止法の一部を  改正する法律案衆議院送付予備  、審査) ○百貨店法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○小売商業特別措置法案内閣送付、  予備審査) ○合成ゴム製造事業特別措置法案(内  閣送付、予備審査)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  まず、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を継続いたします。質疑に入る前に、鈴木重工業局長より昨日の答弁につき、発言を求めております。これを許します。
  3. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 昨日、たしか阿部先生からかと思いましたが、選手合宿期間中の問題について御質問がございました。それについて契約関係で……、法律関係あるいは契約関係等で何か縛っておるのじゃないかというお話があったわけでございます。その点について調べましたことを申し上げますとともに、昨日私の申し上げたことで若干訂正さしていただきたい、かように存じまして申し上げます。  実は、選手出場関係出場契約がございますが、昨日それに書いてあるというふうなことを申し上げましたが、それには実は書いておりませんので、選手出場契約は非常に簡単な出場契約になっております。それについては、特にさようなことは書いてございません。ただ、選手につきましては、選手登録を受けます場合に、登録以前に誓約書というものを入れております。それには、これも抽象的でございまして、法律をよく順守して自転車振興連合会の指示に従うということを誓約するというふうなこと、これも簡単なものでございます。ただ、選手につきましては、現在登録前に競輪学校に入学して一応教育を受ける、それからいろいろ関係法規を習熟し、また、競技上の注意事項も受けるわけでございます。その中に選手心得というのがございますが、いろいろ選手として心得べき事柄が書いてございますが、その中に合宿中は、たとえばみだりに外出を許可を受けないでしてはならないというようなことになっております。かようなことから、昨日御質問があったような点が出ているわけでございます。しかしながら、これらの点も結局要するに選手協力を得て行えるわけでございますので、かような点で、実際問題として行き過ぎ等がございますれば、さらに通産省としても注意して参りたい、かように考えております。
  4. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの鈴木局長の御答弁でわかりましたが、私は誓約書であろうが、協約書であろうが、そういうことは問題にしておらぬわけです。あるいはきのう通産大臣からも、目的がこうであるから、目的完遂のためにこういう手段もやむを得ないという話もございました。しかし、私は、そういうことをやるというよりも、その目的がどういうことであってもいいとか、悪いとかでなくして、たとえば中小工企業一つの店がつぶれる、店がつぶれるからこれは中小工企業経営者とあるいはまたそこに働く従業員と話し合って、とにかく労働法規に違反してもどうしてもよろしいというような協定を結んで、店の再興のためにお互いに努力しても、これは厳然として労働基準法がある以上は、やはり労働基準法に適用されて処罰される、こういうことになるわけですから、その手段はわかります。こうしなければこうだという手段はわかりますけれども目的完遂のためには、どういう手段であってもよろしいと、こういうことにはならないわけでございまして、たとえば協定であっても、あるいは誓約書であっても、選手に対す心得であっても何であっても、とにかく許可を得なければ面会ができないなどという意味協定を、あるいは誓約書を、あるいは心得を作ることが、即、もうすでに違反であるというように判断するわけです。そこで、きのうから大いに論争を無し返したわけですが、これは私、たとえば憲法の十八条にひっかかってくる、あるいは民法にひっかかってくるというように判断しておるわけですが、それは絶対そういうあらゆる誓約書であろうが、協約書であろうが、そういうことをやっても、一切法律に適用しないという自信があれば、これは確たる御答弁を、通産大臣でも局長でもけっこうですから、明快に一つお願いしたいと思います。
  5. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 問題は結局先ほど申し上げました選手協力をもって行われる事項でございますから、従ってこの点が、実際問題としては非常に行き過ぎであるということになれば、これは問題は起ります。しかしながら、さような点であるかどうかという点にかかるわけでございまして、通産省といたしましては、さようなことのないように、十分今後も注意していきたい、かようなことであります。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 ないようにやるということは、これは畳みかけるようで、非常に工合が悪いのですが、そういうことをやらないということですか。
  7. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 行き過ぎのないようにしたい、かようなことでございます。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、こういう問題は行き過ぎであるというように、局長御判断なされるわけですか。
  9. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これは選手の、先ほど来申し上げております選手協力をもって行われることでございますから、選手に対して非常に不当といいますか、行き過ぎがあるようなことがあれば、これはやはり是正すべきであると、かように考えます。
  10. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 私の言うのは、選手とか、あるいは施行者ですか、あるいは審議会ですか、とにかく選手を管理する人ですね、これが両方納得しても、こういうことをやることが、もうすでに行き過ぎであるというように私は判断しておるわけなんです。ですから、局長の御答弁はどうも私の聞かんとするところと若干違いますけれども、これ以上論争をやっても、これは法務省の御見解でも承わらなければ、これはどうもらちのあかぬ問題ですから、一応この問題はこれで打ち切ります。  そこで、話はほかの方へ移るわけですが、二五%の内容ですね、七五%は一切還元するのですから、二五%の内容を少しく詳しく一つ説明願いたいと思います。    〔委員長退席理事近藤信一着席
  11. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 二五%の内容でございますが、その中で開催経費としまして施行者が使います分が、これは昭和三十年度の平均実績になっておりますが、一一・九%、それから振興会交付金が三%、それは競輪実施委任経費でございます。それから納入金が、説明は全部平均でございますが、一・一%、これが自転車あるいは機械産業振興費として使われております。それからそのほかに施行者の結局純収入でございますが、これが一〇・二%、かようなことに相なるわけでございます。なお、もう一ぺん申し上げますと、開催経費が一一・九%、それから振興会交付金が三%、それから納入金が一二%、納入金と申しますのは、これは自転車とか機械産業振興費に使います分でございます。それからそのほかに施行者の純収入としまして一〇・二%、ただし、この純収入の中には車券売上収入以外の入場料収入等も含んでおります。従いまして、これを全部合計しますと、施行者の純収入に、全部合計いたしますと二六%ぐらいになりますが、その中には入場料収入を含んでおるわけでございます。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は競輪施行するに当って、内容の問題よりも国家の政治として、政策として、大体こういうことで地方財政をまかなうとか、こういうような趣旨に反対ですから、小さい内容の問題にはあまり触れたくないわけです。ただ二、三点お伺いしたいことは、競馬の場合も二五%でやっているわけですね。
  13. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) さようでございます。平均さようになっております。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、競馬の場合は、これは入場者も少いし、開催回数もほとんど十分の一か十五分の一しか全国的に開催されておらぬのに、同じ二五%ずつ取って、選手賞金としてあげる、一例をとっても、競馬の場合は一着二十万も三十万ももらえる。ところが、競輪の方は、選手は一回千六百メートル走っても一着が一万八千円か幾らである、副賞などついたところで三百円か五百円の置時計一個だというように私は聞いたのですが、そうなると、どうも競馬の場合も競輪の場合も同じ二五%ずつ天引きして、あまり差がひどいというように判断するわけですが、これはどういうような内容になっておるのですか。
  15. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) どういうふうにお答えしたらよろしいかわからないのでございますけれども、大体同じようなギャンブルでございますので、大体払い戻しの額を同じしように考えておるのでございます。従いまして、競輪が七五%であり、モーター・ボートが七五%払い戻ししておりますし、また、競馬についても平均してさようなことになっております。かような実情でございます。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから一・一%というのは、自転車振興費に使うわけですか。
  17. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来は、昭和二十九年までは自転車関係振興費でございました。それから昭和二十九年臨時特例法ができましてから、自転車産業振興と、それから機械産業振興機械技術あるいは機械輸出、さようなこととあわせて使っております。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、この法律目的は、とにかく地方自治体赤字財政とか、あるいはまた赤字財政でなくても、自治体の財政を豊かにして、福利厚生施設に使うとか、学校を建てる、橋をかける、道路を作るというような意味を含んでいるのですが、もう一つは、自転車工業振興費に充てるのだ、大きなのは二つです。ところが、今お伺いしてみると、自転車工業発展のためには、わずかに一%しか使っておらぬ。それから施行者の方は九%とるのだが、しかし地方財政確立のためにと、こういう美しい言葉でやるのであれば、日本には四十三都道府県があって、どの県が金持ちで、どの県が貧乏か、私わかりません。しかし、私ども常識的に判断して、神奈川県、東京都あるいは埼玉県、大阪府、こういう所は日本でも地方財政が豊かな所だというふうに私は判断しておるわけです。ですから、日本四十三都道府県で、貧しい所がやっておるのであれば、これは非常にけっこうであるけれども、しかし、日本で有数な地方財政の豊かな所がやっておるし、一方目的一つである自転車工業発展のために使う費用は、わずかに一%であるということになれば、もう目的が達したためにこういうことになったか、あるいはこの法案がとにかく出発当初の趣旨完遂されたか、あるいはもうてんで問題にならなくなったということになりませんですかね、この点は局長どうお考えになりますか。
  19. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 自転車産業振興につきましては、本法制定の際、この競輪というものが地方財政に寄与するとともに、自転車産業振興に寄与するという目的を持ってできたわけでございます。当初は、実は昭和二十九年までは大体年々二十億円ばかりのものを国に納入されまして、そのうち三分の一、七億円程度をずっとこれは自転車産業への振興費として使って参ったわけであります。それが臨時特例法によりまして、その範囲    〔理事近藤信一退席委員長着席〕 を広げて、自転車産業以外の機械産業振興に使う、かようなことになって現在まできておるわけであります。今度の改正法におきましても、これと同じ趣旨で一二%を使うようになっておりますが、その使い方につきまして改正案では、いろいろ先般説明いたしました通り、監督の行き届くように、本法に基きます法人によりまして運用していく、かようなことになっております。  それから競輪制度地方財政関係でございますが、従来から本来の目的に従いまして地方財政に寄与するというわけで、地方公共団体、特に市町村等は指定を受けて、それによって競輪の利益を均霑されるわけでございます。さようなことで従来ずっとやってきておる次第でございます。ただ、実際申し上げますと、競輪を今後新しく許可しないということを、はっきり制度としてとってきておりますので、新しい競輪場が実はできません。従いまして、従来やっておられたところに一応しぼられるわけでございます。そういうような点で若干、公、不公平という点があるかとも思いますが、今後はできるだけ与えられた制度範囲内で、均霊化ということも十分考えていかなければならないと考えている次第でございます。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 その新しく許可しないというところが、私わからぬのですよ。きのうからの御答弁で終始一貫しておることは、これをずっとやります、それから地方財政のカバーをする、自転車振興のためにとにかく寄与するのだ、こうおっしゃるのですから、そうすると将来自転車工業発展さして、日本で余れば外国輸出する。現在でも輸出物資のおもなるものだそうですけれども、将来も外国に出さねばならぬということになると、将来今の一%を二%にしなければなりませんでしょうし、地方財政のためにもやるのだというと、あなた方の御議論からすれば、今後やりませんという理屈は成り立たぬでしょう。そういうことになりませんか。もうこれからは新しくやりません、しかし今あるところは一切やります、地方財政をカバーするのだ、自転車工業振興のために金を使うのだということになれば、今後自転車競技場はふやしませんなんていう理屈は、あなた方の御答弁趣旨からいけば相ならぬはずですが、非常に私は矛盾したように承わるのですが、あなた方のきのうからの御答弁理論でいけば、当然どんどんふやして、かえって東京都とか神奈川県にやめてもらって、もっと貧乏な佐賀県とか、あるいは徳島県、愛媛県、こういうところに通産省が肝いりしてもやらなければならぬと、こういうことにあなた方の理論発展していけばなりますよ。そう局長はおとりになりませんですかね。
  21. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これについていろいろ考え方があると存じますが、まあ、競輪としてはギャンブルという性質のもので弊害も相当多いので、従ってできるだけ弊害を少くするという趣旨でございますので、われわれとしては今までできたものは認めるといたしまして、今後新しくできますものは認めないような方式でいきたい、かようなことで新しいものを認めないという考え方でございます。それから今までのものにつきましても、できるだけ競輪のやり方、運営の方法、そういうふうなものについても健全化する方向でいきたい。それから同時に、それをできれば均霊化するというような努力もしていきたい。かようなことを考えておるわけで、新しいものは、やはり何といいましても、競輪弊害という点から認めるべきじゃないという考え方から、さような方法をとったわけであります。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると端的な言葉で言えばできたものは仕方がない、しかし、弊害があることは認める。これから将来は場所はふやしません。従来できたものは仕方がありません。ほおかぶりでいくのだ。端的に言うと、お答えはこういうことになるわけですか。
  23. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これにつきましては、昨日も御説明したかと存じますが、この委員会におきまして一昨年付帯決議がございましたので、われわれとしても競輪制度をどうするかということについて審議会に諮りまして、十数回審議いたしました結果、いかにすべきかということにつきましては、とにかくギャンブルとして弊害が多い。ほかのギャンブルともにらみ合せてみなければならぬ事情にもあるし、それから実際問題として現在実際に地方財政に寄与する部面が相当多いですからにわかにこれを廃止することはできない。さようなことであるので、もちろん新しいものは認めないにしても、現在あるものもできるだけ弊害を少くしてギャンブル性を薄める、あるいは内容を改善していく、さようなことで弊害最小限度に少くするという方法でやるべきであるという結論からこの法案を出したわけで、そのような方向でわれわれとしては今後やっていきたい、かような考え方であります。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣にお伺いいたしますが、この競輪場のある地方自治体都道府県とかあるいは市町村、これに対する場合とそうでないところに対する場合と交付金が違いますか。そういうことは全然関係ございませんか。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その点ちょっとよく存じておりませんので、あとから調査してお答えします。交付金は違っておると私は思っております。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは通産大臣のおっしゃる通り質問中気がつきましたが、これは自治庁関係ではなかろうかと思いますので、今の御答弁でいいかと思うのですが、それではきのう若干質問したのに触れるわけですが、選手の大体の平均所得、それからA級B級に分けまして二万円何がし、三万円何がしという話がありましたね。しかし、大体選手の寿命はどのくらいですか。私ども選手が五十五まで全部がやっておれるというなら二万円何がし、三万円何がし、これも理届に合わぬでもないと思うのですが、選手の最高のピークが二年とか三年とか承わっておるのですが、そうすると最後はまことにみじめだ、さように判断するのですが、そこがわかりかねるので、一つお聞かせいただきたいのですが。
  27. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 大体選手平均の勤続は五、六年というふうに聞いております。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 この選手のもらう賞金ですかあるいは副賞ですか、これは一体何になるわけですか。賃金ということになりますか、何になりますか。
  29. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 収入だと思います。賃金というのじゃなく収入だと思います。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 収入……まあ収入でしょう。(笑声)それはまあそれでいいでしょう。そうすると一体この選手という職業は、まあ賃金をもらっておる労働者であれば労働基準法が適用されるとか、商売をやっておる人はそれぞれの法律によってカバーされますね、こういう人たちはどの法律によって守られているわけなんですか、ただ日本国憲法だけですか。
  31. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 選手につきましては、実はこの自転車競技法にも規定があるわけでございます。二つございますが、一つは、選手登録制度に関する規定がございます。それからもう一つは、選手出場条件に関する適正化ということを何といいますか、命ずる規定がございます。さようなことである程度規定はございますが、それ以外については規定してございませんので、選手制度というものにつきましては、従来いろいろのしきりができておりまして、それによって運用されておるわけであります。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 その規定というのは、選手を守るとかどうするとかという規定でなくて、こうしなければならないというだけで、保護的な法律じゃないんでしょう。
  33. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 選手出場条件適正化と申しますと、これは選手保護になるわけであります。要するに出場中の選手に対して、どういうふうな措置をとらなければならないかというふうな問題でございます。従いまして、広く言えば賞金制度とか、災害補償とか、あるいは何回ぐらい出場させなければならないとか、いろいろそういうふうな保護的な規定を含んでおるわけでございます。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 それはどういう名称の法律ですか、競輪法ですか。
  35. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 競輪法の条文にさような選手出場条件適正化に関する義務が施行者に課されておるわけであります。
  36. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは私も通産省からいただいておるあれには、選手保護的な条件を書いたものは一冊もないんですがね。
  37. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 自転車競技法現行法の十三条に「競輪施行者及び自転車振興会は、競輪場内の秩序」、それからいろいろ書いてありますが、それの維持、それから、「選手出場に関する適正条件確保」、それから以下いろいろありまして、「その他必要な措置を講じなければならない」ことが十三条に書いてございます。それから今度の改正案におきまして十四条を改正しまして、「設置者に対し、選手出場又は競輪場若しくは場外車券売場の貸借に関する条件適正にすべき旨の命令」をなすことができるというふうなように第十四条を改正して、選手出場に関する条件適正にすべき旨の命令通産大臣が出せるように改正することを、今提案いたしておるのであります。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 前の十三条は局長解釈が半分くらいで、半分くらいは選手を拘束しておるということになるわけでしょう。必ずしも選手身分保障のためにある法律じゃないわけですよ。ここで私は局長法解釈論争をやろうとは思いませんけれども、そういうつもりでお書きになったのでしょう。
  39. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この点は昭和二十七年度の改正で、現行法の十三条ができておるわけであります。改正されたわけでありまして、そのときの経緯は、やはり選手保護をするための趣旨から、この条項が入ったというふうにわれわれは聞いております。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、これは私ども委員会はこの自転車競技法オートレースだけですが、これは局長管轄外で御質問するのはどうかと思いますけれどもオートレースとか、あるいは競馬、これも大体似たり寄ったりだと思うのですね。それから野球、こういうなもの、まあ果して給料であるか、賃金であるか、収入であるか、局長のように収入であると答弁されれば、一番簡単にこれは解決するわけですが、こういうものの一般に対する法律はないわけですか。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して……。今ちょっと非常に大事なことを阿部委員質問で、それに対して局長答弁があまりなかったので関連して質問しますが、十三条、十四条、まあ十三条の方についての説明で、選手出場に関する適正条件確保ということを言われているのは、これは選手待遇その他だという御答弁があったと思いますが、それでは今まで阿部委員質問しました選手の今の待遇は、適正条件確保にかなっておると思うかどうか。適正条件確保とはどういうことか、その点一つすっきりさせていただきたい。第十四条の方は阿部委員から指摘されたようにこれは全然別個です。十三条だけに選手適正条件というのが入っているのは……。十四条の方は選手を出すためのこれは命令規定です。
  42. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の阿具根先生の方の御質問を先にさしていただきたいと思いますが、これにつきましては、選手出場条件に関する適正条件、これにいろいろ広い意味考え方があるわけでございまして、たとえば選手の褒賞、あるいは懲戒の措置とか、あるいは選手の災害の問題とか、あるいは先ほど来問題となっております賞金制度、かような問題とか、それから選手競輪出場については一カ月最高幾ら、最低幾らくらいをやるとか、そういうふうにいろいろの問題がございます。一番問題は、賞金制度が結局収入になるかという関係でございます。これについては昭和二十八年から二十九年にかけましていろいろ問題がございまして、検討しました結果、当時選手等の要望もございまして、一二%ばかり賞金も増額を行なって、昭和二十九年の四月から発足をいたしたわけでございます。現在も実はまた最近の状況に応じまして増額の問題が出ておりまして、これは目下委員会でいかにすべきか検討中の段階にございます。  阿部先生の方の御質問は、何かかような、同じような仕事をする選手とか何かに対して、これを共通に規制する法律とか、保護するものはないかというような御質問ですが、現在のところは、私の知っておるところではないと思います。それぞれの各法規に関係の部分がカバーされていると、かように聞いております。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 賞金選手収入であるということですが、それは収入に間違いないのでございますが、それでは収入というのは、選手の生活条件の上において、その賞金によって、それが生活をカバーするものを賞金と言っているのか、あるいは賞金というのは全然別個だと、これは収入に間違いはございませんが、選手が一番いいコンディションのもとに競争ができるための生活の維持、は十分みた上での収入だ、賞金だと、こう考えておられるのか、それとも賞金をかち得ないような人は、これはもうつまらぬのだというお考えか、その点をはっきりさしてもらいたいと思うのです。
  44. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 賞金制度には二つございまして、一般の賞金と、それから参加するものに対して出ます賞金と二種類がございます。参加賞金については、これは画一的にだれにでも出るというようなものでございます。一般賞金の方は、これは優勝劣敗によって、一方は幾らでも相当賞金を得ますし、うまくいかない人は非常にまずいことになる。かような制度になっております。先ほど来、昨日も申し上げましたが、その平均が約五万五千円、それをそれぞれに分けますと、この前申し上げたような数字になると、かようなことでありまして、まあほかの同種のものの選手競輪とか、オートレース、モーターボートなどと似たり寄ったりのものになっておりまして、われわれとしましては、もちろん選手というものなのですから、優勝劣敗の原則によって処理される建前でございますが、ある程度やれば、何とかやっていけるものではなかろうかと、かように考えております。しかしながら、全般的の問題としては、ただいま申し上げましたように、最近の情勢から見て、またこれの増額の問題が起っておりまして、そういう点についても十分かような問題を、検討していきたい、かように考えております。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 賞金をはずして平均収入はどのくらいですか。賞金を含めて平均額五万五千円と言っておられますから、賞金というものは、その選手の生活を対象にしたものではないのですから、だからその賞金をはずしてしまって一般収入はどのくらいになりますか。
  46. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほど申し上げました通り選手収入は全部賞金によっておるわけでございます。賞金の中にいわゆる賞金と参加賞金と二つございます。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 その参加賞金だけで……。
  48. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 参加賞金だけ申し上げますと、さっき申し上げました平均五万五千円のうち一万九千円、ですから約二万円が参加賞の分でございます。そのあとの三万六千円程度が一般の賞金による収入でございます。
  49. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連だからあまり長くやりませんが、その一般収入の三万六千円というものは、旅費から宿舎全部入っておりますか。それとも旅費、宿舎、その競走中の食事、すべては振興会が持つことになっておるのか。
  50. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の三万六千円の賞金は、もちろんそれと無関係賞金として入るわけでございます。そのほかに昨日も御質問がございました旅費とかいうふうなものは、競輪の開催のその方から別に出ておる。しかしながら食べる費用、そういうようなものはやはり自分の収入の参加賞から支弁しなければならない、かようになっておるわけであります。
  51. 阿具根登

    ○阿具根登君 きのう質問があっておれば御答弁なくてけっこうです、議事録で拝見いにしますが、そうしますと一人の選手が一年間のうちに何回出場するか、三万六千円というのは一年間の平均であるのか、競輪開催当時の平均収入であるか。
  52. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいま申し上げました数字は昭和三十年の一月から十二月まで、しかも一年間を通じて出ております選手平均でございまして、一年間の平均でございます。一年間の平均した一カ月分の平均でございます。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは一年間を通じて出場した人の一カ月の平均だというのですね。だからそういう一番条件に恵まれた人でなくて、一年間を出場できない、いわゆる全部の平均を一番いい人だけの平均を取ったらこれはみんないいのです。官庁の給料を幾らかといったら、局長平均でも出されたらこれは六万も七万もなるわけです。だから局長平均じやなくて一般公務員の平均、それを聞いているのです。
  54. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 統計が別になりますが、今度は三十年の一月から十二月まで全部出なかった方が干名ばかりございます。その連続して出ないその平均を申し上げますと、その平均が大体三万四千五百円、そのようになっております。その中で参加賞の部分は一万四千円程度でございます。一般の賞金が二万円、かようなことになっております。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、これは登録させておきさえすれば、出なくても平均の三万四千円というのは入るのですか。
  56. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 出なければ出ません。従いまして今申し上げました数字は一年間引き続いて出なかった方が、かりに半年出た、あるいは一カ月出た、そういうふうな出た場合だけの平均を取りました平均の数字でございます。
  57. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 一年を通じて出なかったけれども、出たときだけの平均を取ればそういうふうになる。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはそうなるわけです。それを聞いているのじゃないのです。それは登録しておっても、これがいろいろな事情で出られない方がたくさんあるだろうと思います。また、出たくても出場させられない人がたくさんあると思うのですよ。そういう人たちが出たときだけの平均、それは困るのです。それはさっき言ったように局長平均です。だから全部の登録している人が、出た日と出ない日と全部含めてどのくらいになっておるのですか。出たときだけを見たらだめですよ、一年間出た人と同じことですから。
  59. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) お答え申し上げます。三十年の平均で大体全部賞金が出ました分が三十二億でございます。それから選手は五千三百七十五人おります。そうすると、三十二億を登録選手、それで割りまして、十二で割りますと、四万九千九百十一円、こういう数字になるわけでございます。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは賞金が入っておるでしょう。二つの賞金ではなくて、勝ったときの特別の賞金が入って三十二億でしょう。
  61. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) さようでございます。両方を含めております。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は一着なり、二着なりになったりして優勝の賞金をもらったときの、それはこれから度外視して聞いておる。最初から言っておるように、これは度外視していただかなければできない。それを度外視しなければ三十二億を登録選手で割って、十二で割って四万九千九百十一円になったと、これではほんとうの数字にならない……。
  63. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) さようにいたしますと、大体先ほど申し上げました三十二億の中に、一般賞金が二十億円でございまして、参加賞金というのはだれにでも入る賞金が十二億でございます。従いまして今の数字の三分の一が大体参加賞金だけの頭割りの数字というふうになるわけでございます。そうしますと、約五万円でございますので、一万五、六千円というのが平均された数字でございます。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 それが十三条に言う「選手出場に関する適正条件確保」と、一万五千円ばかりが適正な額である、というふうにお考えになっておるのですか。
  65. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 直接さようなことになるかどうか存じませんが、結果から見まして、参加賞を員数で割りますと、そういうような結果になります。それが従来の選手の参加賞による収入であったわけでございます。それについて最近賞金制度全般に増額という意見がございまして、目下最近の状況に応じて検討しておるという段階でございます。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連ですからこれでやめますが、ただいまのお話を聞いてみましても、競輪をやって、これは賭博性のもので私どもは反対しておりますが、莫大な利潤を上げて今度七五%は……、参加者に賞金を返すようになると思いますけれども、結局その中にちょうどサル回しのサルみたようにあの千数百メートルの競技場を走り回って綱づけされておるような格好で、そうして一万五、六千円の収入でたくさんの人の射幸心にこれが利用されておる。こういうことがいいか悪いか、先ほど阿部君の質問にもありましたように、この人たちは四年か五年の選手の寿命しかない。こういうことで適正な労働環境にあるかどうかという問題になってきますと、私は非常な疑問がある。それからまた、この競輪をやるためにはたくさんの従業員が使われておりますが、その人たちにも労働法なり基準法なりできめられた恩典は、ほとんど浴されておらないで、その日その日をその競輪だけの契約でやられておる。こういうことを考える場合に、莫大な利潤がありながらしかも、それを地方自治の経済の興隆に寄与するといって吸い上げておきながら、それに参加している従業員諸君は、非常なみじめな生活をされておる。こういうことは私はまことに考えるべきことであると思うので、阿部委員質問が済みましたならば、この点については再び言及したいと思っておりますので、一質問はこれで終ります。
  67. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  68. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をつけて下さい。
  69. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっきの御質問でございますが、交付税の中で、九二%が普通交付税、八%が特別交付税になっており、普通交付税の方では変りませんが、特別交付税の場合は、前年度の競輪等の事業収入の実績を考慮して差し引くという措置をとっておるそうでございます。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 鈴木局長は、衆議院の商工委員会の方では、ばくちならばくちといって、明確に割り切ってやろうという質問が多く出るし、こちらでは、何とかばくち性はなくする方法はないかというので、非常に答弁に困ると思うんですが、これは三十一年度の後楽園か川崎の一カ年間の総収入というか、一体その収入と支出のデーターをいただくわけにいかんですか。これはおそらく通産省にはないと思うわけですけれども、これは向うの、後楽園のは、責任者は安井さんですね。これは一つ連絡していただきたいと思うんです。それから競輪選手の中で、女の選手が百何十名、二百名ですか、五百名ですか六百名ですかおりますね。それはパイロットさえ女の人がいるんですから、どうかと思うんですが、実際からだの障害には、影響はないんですか。
  71. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 女子の数は、三十二年一月末現在で四百九十三人、約五百人でございます。からだの問題については、まあ十分注意しておると思いますが、特に今までわれわれの聞いておりますところでは、非常に大きな問題というものは聞いておりませんが、それはもちろん選手をいたしますから、それぞれ、それに応じた問題もあるかと思います。
  72. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜん男子の場合は、選手としての寿命が三年四カ月ということでしたが、女子の場合はどのくらいですか。
  73. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 男子は、先ほど申し上げました四、五年とか、五年、六年というふうな程度が多いと思います。それから女子の方は、これは結婚するとやめるケースが多いものでございまして、統計等は出ておりません。男子よりは少いんじゃないかと考えております。
  74. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから競輪開催場へ行って見ますと、相当多数の警官が、警備のためですか、出ておりますね。いかに通産局長や重工業局長が、健全化したといっても、やはりあなたの御答弁のように思っておらぬと見えて、警官がたくさん来ております。ほんとうに健全化したんだったら、あんなに警官が出てくる必要がない。しかし、ああいうふうに警官がたくさん出てくる場合、競輪があるために警官が必要だということになりましょう。従ってああいう予算は、一体どういうことになるんですか。それから振興会で、一〇〇%の中から、三%費用で天引きするわけですね。そうしますと、その振興会の方は膨大に金がある。これはうわさでしょうけれども、そういうことを聞くのですが、振興会は三%をどういうところに使うわけですか。その二点を一つお伺いいたします。
  75. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 競輪開催の場合の競輪場内の警備のために派遣される警察官に対する警備費の問題であります。これはもちろん当該のそれぞれの役所から支出がされるわけでございますが、従来施行者がその経費の一部を負担しておりまして、実は一昨年の国会でこの参議院の商工委員会でも、その取扱いについて御質問がございまして、そういった取扱いを統一しろということでございましたので、通産省競馬とか、モーター・ボート関係にも同様な問題がございますので、関係各省が相談しまして、自治庁とも相談しまして、各当該の競輪施行者から、負担する一部の経費については当該都道府県の支出長に納入するという方針をきめまして、それで合理的に一致した結論によって処理している次第でございます。  それからその次の第二番目、三%の問題でございますが、地方の振興会は三%以内の経費をもらいまして、競輪の開催実施の実務をやっておるわけでございます。従いまして競輪の開催の実務を各施行者から委託を受けてやっておる、かようなことでございます。それに費用は使われるのが原則でございます。
  76. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、たとえば実務ということはあれですか、審判員にお金を払ったり、それからあそこで計算する人が、整備員なら整備員というような人が五百人くらいおりますね。そういうものの一切の給与を払うということですか、実務ということは。賞金やなんかはこの三%に入っておらんというふうに、さいぜん御答弁があったようですが。
  77. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ちょっとお調べ中だけれども、関連質問……。今の阿部委員交付金三%というものについて、この資料を見ると、上に開催経費というのが載っているのです。開催経費というのと今局長のお答えになった、まだはっきりはしないけれども、いろいろな経費が要るというのの区分ですね。開催経費というものは全部含んでいるのなら、今のなんかは僕にわからないのですがね。ですからその点をはっきりしていただきたい。
  78. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 青柳先生のあとの方の御質問から先に申し上げますと、結局開催経費として一一%程度使っておるわけでございますが、その開催のいろいろの仕事の中で、一部を施行者が地方の振興会に委託するわけでございます。その委託する場合の費用が三%以内といいますから、結局開催経費の一一%の中にその三%が含まれる関係に相なるわけでございまして、そこからその次、あとの方の地方の振興会が委託を受けてやる仕事でございますが、これは自転車競技法施行規則の第一条にその範囲が書いてございまして、「競輪の開催及び内容決定に関する事項」それから「入場券の発行に関する事項」「車券の発行に関する事項」それから「払戻金の交付に関する事項」「勝者に対する賞金及び賞品の支給に関する事項」「開催執務委員の組織及び任命に関する事項」というふうなものの範囲で、それぞれ施行者が地方の振興会に委任するわけでございます。……失礼しました。今の申し上げましたのはこれを除くのでございまして、これ以外のものを一切委任することができるわけでございます。
  79. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 そうしますと、開催経費というもののほかに、まだ開催経費に準ずる費用があるということなんでございますか。そういう、準ずる費用は三%の中から払っている、こういうわけなんですか。私は、開催経費という中にも、全部一切がっさい入ってしまえばその方がはっきりして……。三%というものが何かわからないのだな。そういうものに対して一つ……。
  80. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほどちょと間違いました。私の答弁が、一番初めの阿部先生からの質問にお答えした点と一致するわけでございまして、ちょっと私勘違いをしておりまして、開催経費は、施行者が使います開催経費は一一・九%、振興会に交付します金が三%、従いまして、これは別でございますが、ですから全部施行者の委任を受けてやる仕事は三%でございますので、一回の施行による費用というのは、施行者開催経費の一一・九%と、振興会の部分の三%を加えた一四・九というのが、開催の全部の費用でございます。間違いましたので訂正  いたします。
  81. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 くどいようですが、三%ですね、三%というものは、次の納入金というのは、一・一%、これは自転車その他機械産業振興に使うとはっきりしておるのですが、振興会には三倍くらいの三%というものが出ている。この三%というものは一体どういうことに要り用なのか、要点だけでいいのですけれども開催経費は上に一一・九となれば、開催経費関係はない国の機械工業の振興には一・一%をとってあります。どういうために三%が要るのだか、僕にはちょっとわからないのですがね。そこのところだけ簡単でよろしゅうございますから、御説明願いたいと思います。
  82. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 競輪の開催の仕事の実施を委任するわけでございます。たとえば、競技の検査とか、あるいは審判員の問題とか、さような意味のことについて実施の委託を受けることによりまして、使う費用になっております。
  83. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 いま一つ。それが私には、上の開催経費というのと、どうもそこのところがちょっとわかりにくいのですけれども、そういうので政府としてはいいのでございますか。そういうふうに何か……、不明瞭なんですがね。開催経費といえば、一切開催の費用を一括して委託しようが何だろうが、一切施行者が払うべきものだ、それが私は普通の行き方だと思うのですけれども、どうも開催経費じゃ足りないのだというところがはっきりしないのですが、いま一回一つお答えを願いたい。
  84. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の問題でございますが、実は省令によりまして施行者自身がやらなければならないものを除いては、施行者が地方の振興会に委任することができるわけでございます。従いましてどの程度範囲までを委任するかということは、施行者のきめ得ることでございます。その意味において、委任しました以上は、施行者が自分の仕事を分けてやるのでございますから、施行者は十分それについて監督していくわけでございまして、その費用として現在百分の三以内ということでもってそれを交付しておるわけでございますが、実はこの改正案でも、この点についてもう少し具体的にするために、施行範囲を広げますが、省令によりまして実際の百分の三以内のきめ方を委託する仕事によりまして具体的にきわめていこう、それから同時に、また売上金の額によりまして、それも率をきめていこうということを省令で規定するように考えておるわけでございます。
  85. 阿部竹松

    阿部竹松君 何べんも繰り返しておそれ入りますが、そうすると、国で振興経費ですか、自転車工業発展のために使うのが一・一%、それから振興会が三%、それから施行者が一一%ですから合計幾らになりますか、一九%になりますかね。そうしますと、あとの六%が実際選手にいく、こういうことですか。
  86. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) そうとは思いません。施行者の使います開催経費は一一・九%でございます。
  87. 阿部竹松

    阿部竹松君 一一・九%ですね。
  88. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 振興会交付金は、これは施行者振興会に委託してやります費用、これが三%、それから国への納入金が一・一%、そうしますと合計して一六%になります。それからあとの残りは施行者地方財政と申しますか、純収入として取るわけでございます。それから今の選手賞金開催経費の中から支弁されるわけでございます。
  89. 阿部竹松

    阿部竹松君 九%がですか。
  90. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 一一・九の中から出るわけでございます。
  91. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで一切の経費はこの一一%から払う、それから国へは一・一%お払いする、施行者がとにかく九%を取って都道府県なり地方自治体財政に繰り入れる、そうすると振興会で三%、六百億ですから二十億ぐらいの金があるのを、一体どこへ使っておるのか、それをお聞かせ願いたいというのがさいぜんの質問です。
  92. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 大体施行者振興会に委託しましてやらしております仕事のおもなものは、競技実施上のいろいろのことでございまして、選手の管理とか、自転車の検査とか、競技審判とか、番組の編成とか、さようなものでございます。そういうふうなものを委託を受けまして地方の振興会がやっておる。その委託する範囲は経費的にしぼられておりまして、百分の三以内ということで地方の施行者がそれぞれ地方の振興会に委託しておる、かようなことでございます。
  93. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、内容的にいって、とにかく後楽園のようなところも三%、あるいはは徳島県の小松島、新潟県の弥彦、こういうところも三%、まことにむちゃくちゃです。そこで、もう一つわからないのは、とにかく一一%を取って一切がっさいやるとあなた方おっしゃっておるのですから、そのほかに大体後楽園のようなところは三%必要ない、何のために三%使うか、これが〇・〇一ぐらいだったら話がわかりますが、何のために使うか僕は不思議でたまらぬ。そういうところから、私は信じませんけれども振興会の金が余ったとか何とかいうデマが飛ぶ。そこのところをもう少し明確にお知らせ願いたい。
  94. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 法律は三%以内というふうになっておりまして、それぞれ施行者が委託する範囲によってきめておるわけでございます。それから先ほど申し上げました開催経費の問題は、施行者として過去の昭和三十年度の実績として、施行者開催経費として使ったのは一一・九であったということでございます。それから振興会交付金が三%、これは地方の振興会施行者から委託を受けて開催に使った経費がこれであるということでございまして、この合計が実際の開催経費になっておるわけでございます。ですからむしろ単純に開催経費が幾ら使われるかと申し上げますと、この合計が開催経費である、そのうち施行者の使ったものが二・九であり、施行者から委託を受けて振興会が使ったものが三%、かようなことになるわけでございます。実は率のきめ方等もいろいろございますが、結局施行者振興会に委託をしてやる仕事でございますから、委託の関係におきまして施行者としては十分振興会を監督して、むだのないようにこの三%を一交付し、そしてやり方については十分監督しておるわけでございます。しかしながら、ときによりますと予定以上に売り上げが多くあったというようなことで、余裕のある場合がございます。これにつきましては一部積立金というようなことにも使われておりますが、余裕がありますと、施行者としてはいろいろ考えがありますので、余りがあれば、さらに委託してやるというふうにして、できるだけ余裕のないようにやっておるわけでございます。従来はそういうことでございますが、これからこの改正におきましては今度率も変えますし、やり方も法律に基きまして最高限度の範囲内で、何といいますか、委託の仕事の範囲ごとに率をさらに変えていく。それから非常に売り上げの多いところと少いところの率を変えていくというようなことを考えて、省令等によりましてこの内容をもう少し具体的に変えようというのが、今度の改正案に基きましてわれわれがやりたいという考え方でございます。
  95. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長、ここでべらべら答弁かなさっても今より二年前、きのうも論争になったけれども、参議院で付帯決議がついた。その決議に従ってあなた方審議会で十四回お集まりになって答申した。そうしたらとにかく一週間おやりになっておるところがやめたって一日くらいしかやめていない。少くとも最低五日間か六日間ぶつ通しやっておる。あなたごらんになったかどうか知らぬけれども東京中の駅にみな競輪場のビラをはり、勇ましいところは、ただで自動車をもって迎えに出ておるというふうに盛んなものです。自粛も何もない。あなたはここでそういう御答弁をしておるが、実際の問題と違うことを言っている。それはそれとして三%以内であるから、監督官庁でうまくやっておるだろうということですが、私どもは後楽園で三%取ったということを聞いた。これは私の誤まりかもしれぬ。それは三%の範囲内であるから三%は取らぬという局長の御答弁は間違いないですね。
  96. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 御質問がちょっとわかりませんが、後楽園のことですと賃貸料のことでございましょうか。……これは振興会に委託するのですから、後楽園でなしに東京自転車振興会がやるわけでございますから、後楽園自体とはちょっと違うわけでございます。
  97. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは後楽園ばかりじゃない。競輪場を借りておるところは西武園なんかもそうでしょう。あれは堤さんから借りておる。ボロクソ競輪場で一回三百万円くらい取るらしい。あれは局長通産大臣実際行って見てもらいたい。赤土がどろどろして、走るところはコンクリートで設備しておるが、雨ガサをさして競輪を見ておる。泥沼と一緒だ。あれで三百万円取る。こういうのをあなた方黙って見ておる。私の方には監督の権限はありませんとおっしゃるかもしれませんが、振興会でとにかく二十億近くの金を取っておるのですから、今局長が御答弁になったくらいでは十億も二十億もかかりませんよ、ですからもう少し懇切に説明して下さい、そうすればわかりますよ。
  98. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の御質問の点は、おそらく競輪場の賃貸料の問題かと思います。これは過去においていろいろ調べてみますと、所によっては三%取っていましたり、もっと少いところもございます。また四%程度になっておるところもございます。これは従来は私契約で、競輪設置者とそれから競輪場所有者との間の契約になっておるわけであります。さようなことになっておりますが、実は今度の法律でやはり先ほど選手について申し上げましたが、競輪場の賃貸に関する条件についても、適正化について通産大臣措置できるような道を開くことにいたしております。従いましてわれわれといたしましては、今後全般的にかようなものについては十分調べまして、適正化のラインに沿うように努力して参りたいと考えておるわけであります。
  99. 島清

    ○島清君 ちょっと関連して。局長、こういうことじゃないかと思うのですが、たとえば振興会の方の三%、あれがきめられた当時は、大体後楽園の売り上げが今のような状態を予想しなかったときだった。多分私の記憶が誤まりでなければ、あの当時には後楽園の売り上が一億程度だというふうに見て三%というものがはじき出されたのじゃないかと思うのですが、今じゃ五億か六億ある。そこでそういうところでも三%、それから大分とか弥彦みたいなところ、赤字のやりくりにあくせくしてつぶれるかどうかというところでも三%、こういうところに何か不合理なものがあるのじゃないか、そこで、こういう改正案を出されるときに、こういう問題に対しても、経済的な規模に立って、こういうことの改正がほしかったのじゃないかということを私も聞きたいのですが、阿部さんの質問の要点もそこらにあるように思えるのですが、これはどうなんですか。
  100. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 賃貸料の問題につきましては、過去におきましてはさような状況で、いろいろ私契約によってできておりましたので、設置者施行者とそれから競輪場の所有者との関係になっておりましたわけでございますが、今度の法律では賃貸の条件に関する適正化について通産大臣命令し得る道が門かれるわけでございます。従いまして、今後はわれわれとしても十分この点について調査をし、必要な場合には適正化方向によって、できるだけかような問題を善処するように努力していきたいと考えております。
  101. 島清

    ○島清君 競輪場の賃貸料の問題じゃない、三%の問題です。あの当時、三%をきめたのは、売り上げというのが少し低かった時代じゃないか、今日のような隆盛を考えてきめられたのじゃないのだから、だからこういう場合にはやっぱり三%という問題も考慮に入れるべきではなかったかということを私も聞きたかったのですが、阿部さんの質問の要点もそこにあると思うのです。
  102. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の振興会に対します交付金は、従来は画一的に百分の三となっておりましたので、今度は売上高によりまして変えたいということが一つ改正案考え方にあるわけでございます。従いまして、小さいところと大きいところと区別をいたしまして、最高限を小さいところをもう少し上げ得るように配慮し、それから同時に一括してやりますと、これもいろいろ弊害がございますが、内容もさっき御説明いたしました通り、委託する仕事の別に率をきめていく、従いまして、法律に基いて、省令ではちょっと複雑でございますが、売上金額の大きさによって率を考えるということと、それから委託します率の範囲内によって。パーセンテージを変えていく、この二つをかみ合せながら省令でそれを具体的にきめていこう、かようなことを配慮しているわけでございます。
  103. 島清

    ○島清君 そうすると、振興会交付金は最低は三%、それから売り上げの低いところでは、それ以上もやり得ると、こういうふうに省令をきめたいというわけなんでございますか。
  104. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 最低三%以内ということでございます。最高は千分の六五、六・五%以内でございます。
  105. 島清

    ○島清君 最高は六・五%以内、最低は三%と、こういうことなんでございますね。そこで適正に省令できめていこうと、こういうわけなんでございますか。
  106. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 法律で申し上げますが、今の地方に対する交付金は、法律によりまして、第十条で、別表に掲げる金額をこえてはならない、かようなことになっておりますので、全部以下になります。別表におきましては、一番売上金額の多いところは千分の三十以内、それから一番多いところは、四千万円以下の売上金の場合には千分の六五、すなわち六・五%以内、それを省令できめて、いずれもきめます場合の最高限を見まして、売上金額ごとに最高額をきめまして、それ以内で省令できめるということになっております。
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 今のことに関連して一点局長にお尋ねしたいのですが、阿部委員、島委員が問題にしておるのは、今の十四条の改正で所期の目的は私は達せられると思うのです。いわば別な言葉で言えば、適正な法改正を政府が提案してくれたと思うのです。ただ今の局長の御答弁で、非常に問題になると思うことは、通商産業大臣競輪施行者、あるいは振興会、あるいはその連合会に適正にすべき旨の命令が行い得ると、この法律にはこう書いてあるので、私はこれで了解していたんですが、この内容が、省令をもって数字上の定木を当てて、これだけの売り上げのものに対してはこれだけやるんだ、これだけの売り上げのものに対してはこれだけやるんだと、こういうふうにするような御答弁ですけれども、さようなのですか。
  108. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 御質問の点がちょっと……。
  109. 相馬助治

    ○相馬助治君 たとえば施行者と、それから競輪場を持っておる者、具体的に言えば東京都と後楽園、あるいは千葉県と松戸、こういうふうなものが私の調査した範囲において、非常に私契約で契約の内容が違うということを私は発見したわけです。従いまして私どもの、たとえば後楽園なんかはべらぼうに高いテラ銭を取っているんじゃないかと、こう常識的に考えてみていろいろ研究してみると、この競輪場が作られた歴史的経緯というものを一応やはり考えてやってみなくちゃならない。当時はもうかるんだかもうからないんだかわからなくて、あの区だか何だか競輪場を作るということで許可をとった、金を出す者がない。どうしようもこうしようもなくて、あれは後楽園へ持ち込んだそうです。後楽園は、もうからないかわからないけれども、とにかく頼まれたからやってみようかということでやったら、大当りに当ってどえらくもうけているのが歴史的経緯だそうですね。こういうことの問題が一つと、やはり競輪場を持っている考が危険手当は彼らみずからが分担してやっているという競輪場とそれから地方公共団体が金を出して、もうかればうまいことになるが、損した場合には国民の税金でまかなったんだから大したことがないという歴史的経緯で作られた所と、それからある所のごときはテラ銭をずっと……テラ銭という言葉は悪いが、売上金の交付金をもらって、そうして施設の減価償却ができたときには、その競輪施行者にただで上げますという契約をしておるところがあるんですね。そうすると、一がいに施行者とそれから競輪場所有者というけれども、これは千差万別なんです。歴史的条件、経済的条件、これ千差万別なんです。そういう条件を考えた場合に、何百万までの売り上げは何ぼ取るんだ、それから上は何ぼ取るんだという省令をきめてやるというと話は簡単だけれども、現実に非常に即しないものができると思うのだが、省令へというものはどういうふうにして作るのか、その内容を聞かなければならない。そうしてその内容が明確でないならば、かかる重大な問題を省令にゆだねる本法というものは、きわめて不備であるとわれわれは言わなければならない。本法の中に書かなくちゃならない、こういうことになるので私は局長に聞いておるのです。わかり切って聞いておるのじゃなくて、私は私なりの意見を持っておるけれども尋ねているんです。
  110. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まず私の島先生に対する説明がちょっと区別されておりませんので、初めにお断り申し上げておきますが、先ほど省令で額をきめると申し上げましたのは、第十条の地方の振興会に対します交付金の問題でございまして、先生の御指摘の賃貸料の問題ではないわけでございます。交付金につきましては、売上金額ごとに最高限度を法律できめておりまして、その範囲内で省令でさっき言った問題の内容について細目をきめる、かようなことでございます。それから賃貸料の方の問題は適正化の方の規定によりまして、適正化に関して通産大臣命令できることになっておりますので今までは実は放任されておったと申しますか、施行者と所有者との関係になっておりましたが、今後はそれを十分調べた上、適正化方法に従って善処したいということを申し上げたわけでございます。
  111. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると十四条の規定のうちのこの適正云々の通産大臣命令というのはケース・バイ・ケースによって適正なことを命令するのであって、今から省令を予定しているのじゃない、こういうふうに了解してよろしいのですね。
  112. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 省令は今現在われわれとしては予定しておりません。ただ、考え方としましては、個々のものに対してやるのがいいか、あるいは全体をよくバランスをとりながら見てやるのがいいかということは考えなければならないと思います。省令としては現在予定しておりません。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 全く了解しました。
  114. 加藤正人

    ○加藤正人君 きのう局長から第十項目に及んでいろいろ御説明が、設備の問題とか、あるいは車券購入に関する賭博性を薄めるということ、それから今いろいろ他の委員が御質問になったような重要な点があると思うのでありますが、これはこの法律が実行される場合には、もちろん重要な問題であるのでありますが、私はこの問題に触れる前に根本問題について質疑をいたしたいと思うのであります。そのことは第二十二国会における付帯決議に関連しておるのであります。一体付帯決議というものは、一つの立法を行うに当っての立法院としての希望を表わしたものである、あるいはまた、その立法に付した条件ででもあるのです。この意味において法律の運用に当る行政府といたしましては、十分これを尊重しなければならないことはもう当然のことであります。二十二国会における付帯決議は尊重したと政府は考えておられるのでありますか。その付帯決議を私はここで再確認をしたいと思います。自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議「一、競輪競馬オートレース、モーター・ボート・レース等、一切の射倖的行為は現下の社会情勢にかんがみ、すみやかに禁止もしくは制限せらるべきものであり、特に、競輪について政府は現行制度に検討を加え、その改廃に関し次の通常国会までに適切な措置を講じなければならない。」こうなっておるのであります。この点について政府はどう考えておられますか、それをまず第一にお伺いしたい。
  115. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう御決議がございましたので、その趣旨を尊重しまして競輪運営審議会等を作り、そこでこの改廃の問題、あるいは現行制度にもし改正を加える点があればということで、この審議会を通じて論議されました結果、一応の結論が出ましたので、これを昨年中間報告として私どもは当委員会に提出する、そうしておいてさらに政府の中でもこの問題を検討した結果、今度の改正案になった、こういう次第でございます。
  116. 加藤正人

    ○加藤正人君 この付帯決議の第一をただいま読み上げました趣意は、禁止もしくは制限ということでありまして、これはわれわれが第二十二国会において法律を成立せしむるに当っての条件であったわけです。政府はその趣意をどう考えておられるかということを伺ったのですが、今の大臣のお答えでは、どうも実際問題と一致しておらないように思う。その改廃に関してという意味は、一挙にこれを廃止ということがかりに無理であるとしても、少くとも改正方向は制限の方向に向うべきである、これは常識であります。しかるに、今回提出された改正案には、何らの制限的なものが含まれていない、のみならずむしろ政府は競輪の恒久化をはかっておるような感じを与えておる。これはこの付帯決議を無視しておるものとこれは思わなければならない。この点はどうお考えですか。
  117. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 私からお答え申し上げますが、いろいろ御意見もあるわけでございますが、競輪の運営審議会に出ました結論によりまして、政府におきましても検討を加えてこの改正法律案を提案いたした次第でございます。本法の中には、やはり競輪弊害を除去するという点も考えまして、たとえば賭博性を薄めるとか、現在あります許可制度につきましても、取り消しができ得る道を開くとか、あるいは監督を厳重にするとか、そのような点で十分改正といいますか、競輪制度弊害を除去するような努力をいたしておるわけでございます。  それから同時に、競輪場の新設につきましては、従来この法律改正案と並行いたしまして、新しく出た新設、昭和二十六、七年以来出ておりました新規の許可は全部却下するという措置をとり、また場外車券場につきましても、十一カ所ばかりの場外車券場につきましては、これをやめさせるというような措置をこの一、二年来とって参りました。かような経過でございます。  ただいま申しましたように競輪弊害を除去するという意味で、さようないろいろの問題を検討の結果、この法律案を提案いたしておるわけでございます。
  118. 加藤正人

    ○加藤正人君 そういうこまかいことは、この法律が実行されるという場合には、そのくらいの用意のあることは当然だと思う。これがちっとも改正方向が制限の方向に向っておらぬということは、私は非常に遺憾であります。先ほど大臣は競輪運営審議会の議を経て本法を提出したといわれますが、それはこの付帯決議無視ということの言いわけには一切なっておらぬ。政府は一体審議会に何を付議したのか、白紙の状態でこの改廃を付議したのではないでしょうか。政府が付帯決議を尊重するのであるならば、いかにして禁止、制限すべきかということを付議しなければならないはずであると思う。審議会にどういう態度で付議されましたか、ちょっと伺いたい。
  119. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 審議会を開催いたしまして参議院の経過を全部お話と、またこの付帯決議を配りまして、それに基きまして慎重審議をしていただいたわけでございます。一
  120. 加藤正人

    ○加藤正人君 そういう意味を付して審議会に諮ったとするならば、かりに付帯決議の趣意が審議会に今申されるように十分伝えられたといたしましても、審議会の出した結論が付帯決議の趣意に反するものであれば、政府自身がわかっておるわけですから、これを採択するのは誤りである。私はこの付帯決議の趣意が誠意をもって実践されないようなことならば、われわれはこの二十二国会においてこの法律は成立せしむるのではなかった、こう思うのでありますが、この意味において、われわれは行政府の責任を追及しなければならぬと考えます。適当な時期に政府はこれを確定的に制限または廃止するということを、具体的に法文に明記する御意思はございませんか。
  121. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これを廃止すべきかどうかという問題は、御承知のようにいろいろ異論があってむずかしい問題でございますので、あらゆる方面の意見を聞くために審議会を開いた、その結論として今これをすぐに廃止するという方向は妥当ではない、当分この弊害を除去する方向でこの現行制度改正をはかるのがいいというのが、大体結論でございましたし、その結論を検討した結果、政府もその答申が大体妥当だろうという考えをきめまして、この法案を出した次第でございますので、政府としましても、いつこれをやめるというようなまだ考えは持っておりません。
  122. 加藤正人

    ○加藤正人君 突然これをやめるというような非常識なことは、地方財政にも非常な激動を与えるのでありますから、きょうな非常識なことを申すのではないのでありますが、その改正方向が幾分でも制限の方向に向っておるなら、まあこれを了とするのでありますが、この第一条にあるように、「自転車その他の機械の改良及び輸出振興並びに機械工業の合理化に寄与するとともに、地方財政の健全化」をはかるというようなことをうたう以上は、これは当分この法律を続けていくという意思でなければ、こういうことは書けぬと思うのです。私はもう今日敗戦日本も終戦後十幾年もたったのでありますから、こういう姉が。パンパン行為をして弟の学資をみつぐというような不体裁なことを早くやめなければならぬということは、私は国民の矜持として痛切に感じておるわけであります。どうぞ政府ももう少しそういう点に思いをいたされることを、私はこの際特に大臣に申し上げたいと思う。これをもって私の質問を終ります。
  123. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいまの加藤委員質問に関連いたしまして、まず第一点として伺いたいのでありますが、第二十二国会において参議院商工委員会付帯決議につきまして政府の方でも審議会にかけられ、その結果改善をできるだけはしたつもりだという趣旨の御答弁があったわけでありますが、これについては、この立法措置として今回指定の取り消しだとか、あるいは競輪場あるいは場外車券売場設置の許可の取り消しだとか、あるいはこの連の複式採用によって射幸性を希薄にするとか、あるいは監督を強化するとかいろいろ出ておる点は一応私どももわかるのでありますが、前の付帯決議があるだけに、立法措置としていろいろやられたけれども、それを皮相的にずらずら言われたのでは、なかなか専門家ぞろいでもないのですから、ぴたっとこれがきめ手で、なるほど改善されたなという点がわかりが悪い点は私はあると思うのです。そういう点において前の付帯決議との関連においても、今回とられたこの立法措置のうちこれこそあの付帯決議に沿い得るきめ手であるというふうに自分らは確信を持っているのだ、それによってやっていくのだ、それで付帯決議趣旨は、十分とまではいかぬとしても、とにかく全うできるんだという確信、信念がおありになるならば、それを大臣並びに事務当局の方から伺っておきたいと思うのであります。
  124. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 禁止もしくは制限というんですが、制限の方向は、はっきりあれ以来私どもはとっておるつもりでございます。従って各地から申請されても、もう受けつけないし、従来の申請分もみんな却下するというように、新設を許可しないという方針をきめましたので、制限的な方向はとっておるつもりでございます。それから結局社会的な弊害があるから、こういうものは廃止すべきだという御議論になりますので、その弊害を除く、最小限度にするというための立法措置を、今度の改正では考えておると私どもは思っております。で、とりあえずそういう改正をやって健全化をはかって、この現在すぐに廃止するということは不適当だというのが、一般の意見であります以上、この改正をやってさらにその後どうするかという問題ですが、私自身はこの問題について、いろいろ意見を述べておりますが、政府部内でまだきまっておりませんので、とりあえずこういう程度改正でしばらくやっていくというふうに考えたわけですが、将来こういう射幸的なものを全部廃止するか、あるいは廃止しなくっても、これ程度弊害であるならば、これは置いてもいい。ただし、そのときに一体ここから上る収入はどう使うべきか。で、地方財政に寄与するとかというようなところに使うべきであるか、あるいはもっと政治としては大きい構想で、将来社会保障制度のあり方をどうするかというようなものに関連して、国家予算の一定金額というものはもう社会保障費に使う。それからこういう種類の収入というものは、あげて社会保障のひもつき財源にするというようなことをやって、国民の負担のうちの何%というものは社会保障の費用に使うのだというようなものを予算の上でもこれを明確にしていくというような方向をとるというと、この国民全体が自分の納めているお金のうちで、お互いに貧しい者とかあるいは病気であるというような不幸な人へ、そのうちの分がどのくらい回っているかということもはっきりしているんで、将来予算の立て方なんかとも関係して、そういう構想をとったらどうかということを長い間主張しておりましたが、これはなかなか技術的にむずかしい問題で今与党の中では研究問題になっております。将来そういうようなその費用の硬い方について、これをどうしたならば今の社会としても一応存在を合理化するか、あるいは合理化しなければやめるとかそれをもう少し別個の大きい問題と関連せしめて解決するのがいいのじゃないかと、私自身こう考えまして、この問題をあとに延ばしましても、とりあえず現行制度から来るいろいろの弊害最小限度にとどめるということをやって、この設備の償却も御承知のようにたくさん残っておりますし、そういう関係者に損害をかけるということも大へんですから、一挙にやめるという方針はやはりやめて、今の現行制度改正するというような形でもう少し存続させてそのあとで国会としてこのあり方についての本格的な御討議を願うのが、やはり一番いいのじゃないかと考えて、この改正案を出した次第でございますので、将来の問題についてということは、永久にやっていくということは申しませんで、適当な機会において別個の構想と関連させて、やはり国会でこの問題について考える時期がやはりあとから来るのじゃないかと、まあそのときに御討議を願いたいというのが、率直な私どもの気持でございます。
  125. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 大臣のお気持は一応わかりましたが、事務当局として今回のこの法律改正によって今大臣が述べられた廃止はしないが制限は強化するのだ、そういう点からどの条文を最もきめ手として動かして、その実を上げていこうというふうに考えられておるのか、その点を側いたいと思います。
  126. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) いろいろ検討の面があるわけでございますが、やはり弊害を除去するという点から、量的、質的の競輪に対する制限という問題があり得るわけでございます。それにつきましては、競輪場の設置の問題につきましては、先ほど大臣が申しました通り競輪場の新しい許可はしない、それからまた、従来ありました場外車券売場も一年くらい前におきまして十カ所ばかり廃止させたというようなこともございますので、この法律におきましては競輪場の、現在ある競輪場につき寂して、ある一定の場合に取り消しができ得るというふうな規定があるわけであります。一年以上使用しなかったとか、あるいは業務停止命令に反した場合、かような場合には競輪場が取り消しできるという規定を新しく設けまして、どちらかといいますと、競輪場の数を制限するという方向に向いつつあるわけでございます。また、質的な問題としましては、ギャンブル性を薄めるという観点から最高限の制限とか、あるいは的中の確立の問題等を取り上げておるわけでざいます。  それからそのほか、競輪制度施行の改善の問題といたしましては、やはり地方の振興会に対する監督、それから中央の振興連合会に対する監督、この二つがございますが、地方の振興会に対しましては役員の認可制、あるいは事業計画の認可制によって十分監督を実施する、それから中央の連合会に対しましては、今回この法律に基きまして特殊の法人といたしまして監督を強化すると同時に、先ほどお話がございましたが、従来扱っておりました自転車機械振興費をこの法人に扱わせ、通産大臣が十分な監督をして、それによって運用を期するとかようなことになっておるわけでございます。そのほかたとえば先ほども質問がありましたが、選手出場条件適正化命令であるとか、あるいは競輪場の賃貸条件適正化命令であるとか、その他通産大臣の一般の監督権の問題とか、かようないろいろの規定があるわけであります。また、法律に実は規定できませんで、審議会の中間答申のいろいろな趣旨につきましては、さらに法律の実施と並行いたしまして、行政上いろいろ運用していきたい問題がございますが、それについては、さらにそれによりましてしていきたいとかように考えております。
  127. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 行政措置として、今回の改善の趣旨にも合致するものをめぼしいものを、簡単でいいですからあげておいて下さい。
  128. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 行政措置につきましては、まだ全部列挙してございません。たとえば先ほど申し上げました競輪場の新設の許可とか、あるいは場外車券場の新設の許可の制限、かようなことはもちろん……。
  129. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それはしかし立法措置であるけれども……。
  130. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 行政措置として新設の許可はできることになっておりますけれども、行政で押えることになっております。そのほか選手の指導の強化とか、選手管理の改善とか、あるいは競輪のスポーツ性の要素が多い競技の採用であるとか、あるいは競輪場の環境の明朗化、あるいは事故防止の対策、さらに安全を期する方向、さような点、それから同時に、競輪場の開催の回数の均霑化、かようなことをできるだけ考えていきたいと、かように考えております。
  131. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは大臣にお尋ねしたいのでありますが、競輪場の射幸性の問題はこれは別としまして、現在の行き方、あるいは今回の改正の行き方でいこうとすると、交付金日本自転車振興会に交付する、それを機械あるいは自転車振興費に充当していくという行き方になっているわけですが、交付金はああいう団体に持っていかないで納付すべきものは国庫に納付し、そうして機械工業の振興、あるいは自転車工業振興というものには、予算の形で堂々とこれを要求すべきじゃないか、そういう行き方をしないことから、通産省の商工関係の予算の拡大などが非常にいつも微々たるものになるのじゃないかという説が、相当強いのであります。これに対して通産大臣としてはいかにお考えになり、また今後どういうふうにしようというお考えでありますか、この点を伺いたい。
  132. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私自身はそういう考えで、そうする方がいいと思っておりましたが、これはいろいろ御承知の通りいきさつがございまして、元はそうなっておったものを、いわゆる一兆予算を組んだときに、こういうものは国家の収入にすべきじゃないという意見があって、国家収入に入れないという措置をとって、あのときにこの臨時措置法を作ったといういきさつがございまして、一ぺんそういう国として措置をとってしまった以上、これをまた元通りに戻すかどうかということについては、政府部内でもいろいろ議論がございまして、当然国の収入に入れて、そうしてそういうものの振興費は予算できめて出せばいいのだというのと、そうじゃなくて、元来そういうものは国家の収入にならなくてもいいのだ、そうしてすでに施行者収入になっているのだから、施行者から一定の団体にそういう振興費を納めさせるという措置をとってもいいのだ、地方団体に入った金なんだから、それをあらためて国に出さなくてもいいのだ、こういう、国の十分監督のきく特殊機関を作ってそこに納付する。そうして、そこからいろいろな振興費に使ってもらうという措置も決して不当じゃないのだという意見も、政府部内に相当ございましたが、結局そういう措置を一ぺんとって、振興会というものができておるのだから、これを法人にして政府が監督できるという形になれば、一ぺん地方団体に入った金を、あらためて国庫に納めるという措置をとらなくてもいいのだという意見に最後に落ちついて、こういうことになったのでございますが、昔はおっしゃる通りにやっておりました。また、それを変更しなければ、そのままで私はよかったと思いますが、政府が一ぺん制度を変えてしまったんですから、変えしまったという事実に基いて、これをもっと合理化する方法を考えるのが実際的だということに、最後にわれわれの意見が落ちついた、こういういきさつでございます。
  133. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいまの大臣のお話しによりますると、いいとは決して思っておらぬというお考えなのでありまして、これを漸次是正をしていくと同時に、今後の措置なり、使用の道といたしましては、あるいは地方財政の強化であるとか、あるいはこういう機械工業の振興であるとかというような、予算によってはっきりいこうと思えばいけるという面以外の、たとえば結核の関係であるとか、あるいはガンの予防研究の問題であるとか、そういう予算化するのには容易でない。しかもきわめて重要な社会施設、あるいは社会政策費、そういう方面に重点を置いて使っていくというふうに漸次切りかえていこうという御意思があってしかるべきじゃないかと思いますが、この点について具体的に御意見を伺いたい。
  134. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 大臣からお指図がございましたので、お答え申し上げますが、実は競輪の今の機械自転車振興費は先ほど大臣から申し上げました通りでございますが、今の社会福祉とか、あるいは国庫補助施設のためのいろいろの、ガンとか、そういうふうな問題につきましては、実は衆議院におきましても付帯決議がございまして、「競輪施行者は、車券売上高の百分の一に相当する金額を社会福祉と公共施設のために支出するよう措置すること。」というふうな付帯決議がございますので、これに基きまして通産省といたしましては関係者官庁、いわゆる施行者、さようなところと相談しまして、さような問題についての処理を考えていきたい、かように考えております。
  135. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一つは、今後競輪というものの射幸性を漸次稀薄にして健全なる運営をしていくと同時に、経費の余剰金の使用の道としては、ただいま申す社会福利施設、それから社会政策、こういう方面に重点を置かれてしかるべきだと思うのです。一面において完全雇用、失業問題の救済という面において相当貢献をしていくように持っていくべきだろうと思うのであります。そういう点から考えると、一般従業員の品位の向上、あるいは生活の安定、こういうことが最も必要になってくると思うのでありますが、従来選手の訓練、養成、こういう点についてはなかなか力を入れておられるようでありますが、一般従業員というものは、全く日雇い同様であって、生活も安定しておらなければ、もう品位の向上をはかるなんということはもちろんできない。こういう状態でいくということは、これはやはり競輪全体の品位を上げ、また健全なる運営をはかっていこうという上から非常に問題だと思うので、そういう点で一般従業員の日雇い同様の形を、これを地方公共同体のやはり正式な使用人にきせて、そうしてそれに応ずる給与体系を作り上げるとか、あるいは健康保険、失業保険についても普通の職員同様な扱いをしていくということが、競輪全体の品位の向上上私は必要だと思うのです。こういう点について、直ちに私は日本自転車振興会なり、あるいは地方の公共団体に指示をしてしかるべきじゃないかというふうに考えるのでありますが、この点について大臣並びに事務当局の見解をお伺いしておきたいと思うのであります。
  136. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 競輪従業員の問題でございますが、選手については従来から申し上げておる通りでございます。その他の従業員につきましても、いろいろ競輪実施の上で役目を果しておるわけでございます。従来臨時雇いとかさような点で、十分実情もはっきりしていない点もございますが、通産省といたしましても十分これらの実情を調査しまして、その待遇について適切な処置をとるように研究していきたい。それに基きましてさらに施行者、あるいは関係の団体に対して適正な指導をさしていきたい、かように考えております。具体的にどのような方法がいいか、もう少しこれは研究いたしたいと思いますが、方向としてはさようなことで指導していきたい、かように考えております。
  137. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう時間がないので、これで終ります。
  138. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を起して。  暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後三時二分開会
  140. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 委員会を再開いたします。  午後は主として中小企業関係法案について説明を聴取することになっておりますが、法案提出の経過等について、大竹委員から、通産大臣に対して質疑の御要求がありました。この際発言を願います。
  141. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、中小企業団体その他の法案につきまして内容説明を拝聴する前に、一言通産大臣に御所見を伺いたいと思うのでありますが。御承知の通り、本関係法案は、非常な重要な法案でございまして、これは本国会を通じての最大な法案といっても私はあえて過言ではないと、かように信ずるのであります。こういう点から考えまして、当初本委員会におきまして予定法案説明が政府当局からなされたことがあったのであります。それからその説明後におきまして、私は特にこの中小企業団体関係法案を政府が出す決心ならば、できるだけ早く出してもらいたい、こういうことを非公式にたびたび申し上げておいたわけなのであります。しかしながら、その後、杳として提案の状況も見ませんので、実はどうしたかと思っていたのでありますが、本院に突如として五月四日に回ってきたというようなわけでございまして、しかも、十八日の本院閉会をまぎわにいたしまして、本日初めてその法案内容説明を聞くというようなことはです、いかにわれわれが原則的に本問題は賛成をいたして通さなければならぬといたしましても、あまりに何かわれわれに責任をシフトするものではないかというように考えるのでございます。私自身から申し上げまするならば、本案が提案をせられたときに、その以前に社会党からも出ておるのであります。私としましては、何とか社会党案と自民党案との折衷を見て、そうしてそこに修正案が提案をせられるということを、一般中小企業のために望んでいたわけなんです。幸いにいたしまして、そういうことには結果においてなったのでありますが、本日ここに初めて審議をするというような状態なんでございます。私は昭和四年でございますか、はっきり記憶はいたしておりませんけれども、おそらく私が日本中小企業の政治団体を作るときに際しまして、私は一番最初の火の手をあげた、かように私は確信を持って申し上げることができるのであります。といいますことは、当時の中小企業の状況というものが、寡頭資本の圧迫によって今日以上な悲惨な状況になっておりまして、われわれ並びに同好の人たちが見るに忍びずいたしまして、政治団体を作ったことがあるのであります。この問題につきましては、財団法人協調会が出しております社会政策時報におきまして、私と当時日本労農党の委員長でございました麻生久君が、この問題を取り上げて大論争をやったことがあるのであります。これは余談ではございますが、そういう意味におきまして、私はこの中小企業団体が政治的な大きな進出をするためには、どうしてもこれを結束をしなければいかぬ。結束をするのには、法的な裏づけがなければならぬということが、そういう意味において私の多年の念願であったわけであります。しかるに、ただいま申し上げましたようにこういうような重大法案が今ごろになってやって参って、わずか一週間かそこらでこれを慎重審議をしろと申しましても、なかなかむずかしいのであります。ことに本案に対しましては、一般の消費階級の反対もございます。それから大企業方面の反対もございます。こういうようなわけでございまして、私どもが全力を尽しましても、これがどの程度に審議が進みまするや、これはわからないのであります。そういう意味で私の大臣にお伺いいたしたいことは、なぜ、当初からこういう問題、しかも水田通産大臣は清廉をもってその人格をうたわれ、なおまた、政策審議会会長として特に政策に明るい方なんであります。そうして時代感覚もまことに鋭いものを持っているにもかかわらず、なぜ今少しく早く本院に回るように御努力せなかったか。一説によりますというと、一部の非常な抑圧によって急転してこれが上程せられたというような風聞も私どもは聞いているのであります。政治は夜作られるというようなことが、たまさか日本の一部の資本家階級その他にはあるのであります。私も現にこの間藤山愛一郎氏に向って申したことがあるのでありますが、この大法案に対しまして、関西経済連合会等においては非常な熾烈なる動きをした、経団連はきっぱりやっておらぬ。ということはどういうことであるかというと、経団連の人たちは、おれは岸に会って言っておくとか、通産大臣にいって話をしたとかいうようなことを私どもはよく耳にするのでありますが、そういうようなことによって政治が夜作られるということになりますならば、国会軽視もはなはだしいのでありまして、これは与党、野党を問わず、われわれは警鐘を乱打して、これを攻撃するにやぶさかではないのであります。そういうふうに急にこういう問題が急転直下して取り上げられたという、そういう風聞の出どころが事実であるか、あるいはどういう事情にて今日までこの大法案が遅延をしたかというようなことにつきまして、大臣の明快なる一つ答弁を促したいと思うのであります。
  142. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、中小企業振興策につきまして、どういう措置を行なったらよいかというものを中心とした審議会ができまして、そこで討議されましたときに、結局中小企業振興策としてはいろいろの措置がある、金融とか、税制、こういうもので中小企業を助けるためにいろいろな措置をとると同時に、中小企業の経営の安定というものをはかるために、過当競争を押える措置がとられなければならない。これは結局中小企業の組織化によって行う以外には、事態の克服はできないと、こういうことから、中小企業についての組織法案を政府は出すべきである。同時に小売商の振興に関していろいろの問題があるし、また、中小企業の分野と大企業の分野を調整するための法律も必要だというので、大体審議会の答申としましては、中小企業について三つの法案を準備し、これを柱としてこの振興をはかるのがいいという答申が出て参りましたので、政府もその答申を検討した結果、大体それらの答申にのっとって法案の準備をしようと、こういうことになっておりまして、これは私どもが、就任しましたときにおいて、すでに前大臣においてその方向がきめられ、準備が進められておりましたのを私が引き継いで、それを今国会に提出できるように準備を急いだわけでございましたが、なぜそれが予定よりおくれたかと申しますというと、非常にこの法案は重要な問題を含んでおりますために、政府で一応の政府案の準備をいたしましたが、それと与党との意見の調整に相当ひまをとりました。で、与党と政府との調整が大体できましてからこれを法制局、政府法案は全部法制局にかけることになっておりますが、法制局における段階で、法理論上いろいろな問題が出てきましたし、同時にこの法案については、公取委員会からもいろいろな意見が出てくる。法制局と公取委員会の意見調整というものを完全にしないというと、政府法案として政府部内が一致した、意見が一致したものということにはなりませんので、この間の調整に非常に手間取ったという事情から、提案が少しおくれたというようなことでございまして、その間、最初からの方針を変えたとか、あるいは突如としてこれを取り上げたというような事情は、この法案については全くございません。提出はおくれましたが、参議院におきましては、同時に本会議におきまして提案理由の説明をいたしましたし、また、この委員会におきましても、社会党の提案と政府提案と両方の趣旨の御説明もいたしてございまして、衆議院が通過しましたので、衆議院における修正のいろいろ御趣旨説明を今日行うという段取りになったわけでございまして、時間がおくれたことは、非常に申しわけないのでございますが、非常に重要な法案だと存じますので、ぜひこれを一つ今国会で御審議御可決下さるようにお願いしたいと存じます。
  143. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは、まず中小企業団体法案及び中小企業団体法施行に伴う関係法律の整理に関する法律案につきましては、先日政府原案についてその提案理由の説明を聴取したのでありますが、その後衆議院において修正されましたので、この際、その修正の内容について衆議院商工委員会の代表者から御説明を願いたいと存じます。
  144. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 中小企業団体法案に対する修正案につきましては、お手元に修正案のプリントが配付されていると思いますので、それに伴いまして御説明申し上げます。  第一点は、法案の名前の問題でありますが、中小企業団体法という名前を「中小企業団体の組織に関する法律」というふうに直したのであります。これは中小企業団体法とか、あるいは中小企業組織法と申しましても、実質は中小企業団体、すなわち組合の組織に関する規定内容とする法律案でありますので、こういうふうに直したのであります。  次は、第三条の第一項の中に、中小企業団体の種類として新たに二つを加えたのであります。その一つは事業協同小組合、その第二は火災共済協同組合であります。この二つの中小企業団体を加えましたので、関係条文のところをそれに伴いまして修正を加えたのであります。  次は、第二十九条の組合交渉、組合協約のところで、交渉に行く人の資格を、原案では商工組合の代表者に限られておりましたのを、「その商工組合が会員となっている商工組合連合会の代表者を含む。」と加えまして、上位団体の代表者を加えることにいたしたのであります。  次は、字句でありまするが、交渉を受けた相手方におきましては、「その交渉に応ずるように誠意をもって措置しなければならない。」とある原案を、「正当な理由がない限りその交渉に応じなければならない。」と、表現を強めたのであります。  その次は、交渉の、組合交渉の相手方から「農業協同組合、水産業協同組合、消費生活協同組合及びこれらに類するもので政令で定めるもの並びに資格事業を営む者」といたしまして、農協、水産業協同組合、消費生活協同組合をこの対象としないということにいたしたのであります。  次は、商工組合の代表者の「調整規程が設定又は変更される前にその案に係る調整事業に関し、」、これは字句的な修正であります。  第四十二条に、第三項として、「主務大臣は、前項第一号に適合しているかどうかについて中小企業安定審議会に諮問して定める判定の基準に従わなければならない。」と入れましたのは、原案第九条におきまする不況要件の認定が、各都道府県におきまして異なっては、本法施行上都合が悪いというふうな考え方で、なるべく第九条の不況要件を、一つの基準によって行政庁に扱わしめることが適当であると考えまして、第三項を四十二条に入れたのであります。  あとは字句上の整理でございますが、五十五条のところに参りまして、プリントの三ページの終りごろにございますが、五十五条の組合加入の命令につきまして直したのでありまして、それは組合加入の命令があった場合におきまして、原案におきましてはすべての者が組合員になるということになっておるのでありますが、特定の場合に組合員にならなくてもいいという趣旨におきまして修正を加えたのでありまして、これが三ページの四、最後に四項と書いてございまして、続いて次のページにある事項でございます。これは加入の命令があったときに、その命令の対象となっておる中小企業者のうちで、商工組合に加入することに支障がある者は、その命令があった日から起算して二週間以内に行政庁にその旨の認証を求めることができる。加入に支障のあることの認証を求めることができる。この場合におきまして当該行政庁はその認証を第一項の規定による命令の実施の日から二十日以内にしなければならぬ、この認証を受けた者は従って組合に入らなくていいのでありまするが、外におりましても、その商工組合の行う調整事業にかかわる制限に従わなければならない。すなわち、組合の中に入らなくても、組合の行う調整事業に従う、協力をするという趣旨でございます。これに伴い、員外におりまする者に対しては、その組合の調整規程で定める例に従いまして、その調整事業にかかわる制限を実施するため必要な限度において検査を行い、手数料、経費、及び過怠金等を納めさせることができる、こういうことにいたしたのであります。  第七は、加入命令が出たときから九十日以内に、その商工組合の実施している調整規程を変更するかどうかについて総会の議決を経なければならないことといたしたのであります。これは当然の規程でございますが、調整事業を行なっている組合が、その途中において五十五条に基きます加入の命令があったときに、新しく人が入って参るのでありますから、九十日以内にその調整規程を検討する機会を持つことが適当と考えまして、そういうふうにいたしたのであります。  あとは字句上の整理でございますが、五ページの設備新設の制限命令でございます。これは原案第五十六条あるいは五十七条によりまして、政府命令をもちまして員外者に規制命令を発した場合におきまして、特にその命令が生産設備の制限に関する命令である場合におきましては、その命令の有効期間中に限って、政令の定むるところによって新しくそれと同種の生産設備の新設をすることを制限または禁止することができることといたしたのであります。これは現行中小企業安定法第二十九条の二の規定を取り入れたのであります。  その次は六ページの冒頭にございますが、商工組合の調整規程あるいは五十五条、五十六条、五十七条、あるいは五十八条の命令とか、あるいは五十五条一項の命令にかかわる商工組合の規程に不服のある者に対して、いわゆる不服の申し立ての道を開いたのであります。  その他の点につきましては字句上の整理でございますが、最後に、第五十五条第四項に規定しておる行政庁は都道府県知事とするといたしまして、原案で比較的不明確なところをはっきりさしたのであります。  以上簡単に趣旨説明を終ります。   —————————————
  145. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、同じく衆議院提出中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について、提出者から提案理由の説明を願います。商工委員会理事小笠公理君。
  146. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) ただいま議題となりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  本改正案の骨子は、現行法規定されております事業協同組合等のほかに、新たに事業協同小組合及び火災共済協同組合の制度を設けること等の改正を行おうとするものであります。  中小企業者の中には種々の階層があり、むしろ零細とも申すべき経済単位にもなりかねない小規模の商工業もありまして、これら資本性の脆弱な、むしろ生業ともいうべき勤労事業を営む者に対しましては、格段の助成措置を講ずる必要があるものと考え、事業協同小組合の制度を新設しようとするものであります。  次に、わが国の損害保険事業は、一部を除いては、少数の営利会社に独占されておりまして、ためにその普及率も二〇%内外という、不燃性建築の多い欧米諸国に比してすら、著しく低率であります上、保険料率もいささか高きに失するために、一般中小企業者は容易に加入し得ない状態に置かれております。  かかる事情のもとに、終戦後、今日に至るまですでに中小企業者は独自の立場において、高家保険の態勢を着々確立して参っておるのでありまして、これが着実な成果を上げている例が少くないことをあわせ考え、火災共済協同組合の制度を法制化しようとするものであります。  本件につきましては、すでに衆議院を通過して参議院において審議されております中小企業団体の組織に関する法律案の修正案をまとめる際にも、与野党間において十分この点を話し合いました結果、事業協同小組合及び火災共済協同組合の構想は、現行中小企業等協同組合法改正によって実現させるのが適当であるということに、意見が一致し、委員会提出の形式をもって、衆議院に提案、その可決を得ましてここに御審議を願うこととなった次第であります。  本改正案内容につきまして簡単に御説明いたします。  まず、事業協同小組合につきましては、第一に、組合員の資格は、主として自己の勤労によって商工業、鉱業、運送業、サービス業等を行う事業者であって、使用従業員数は工業等にあっては五人以下、商業、サービス業にあっては二人以下のものであります。  第二は、政府は、小組合の組合員の助成に関しまして、金融上その他特別の措置を講じなければならないこととすることであります。  次に、事業協同組合及び事業協同小組合に対しまして、中小企業団体の組織に関する法律による商工組合と同様の団体交渉権を与え、これに関するあっせんまたは調停の規定を設けることであります。  次に、火災共済協同組合につきましては、  第一に、組合員の資格は、組合の地区内における中小企業者であることとすることであります。  第二に、出資金の総額は、組合にあっては二百万円、連合会にあっては、五百万円以上とし、組合員数は、千人以上を要することとすることであります。  第三は、共済金額の制限であります。すなわち、契約者一人について、百五十万円を限度とし、共済金額の総額は出資、準備金、積立金、支払保証額等の合計額の百分の十五を限度とすることであります。  なお、事業協同組合及び小組合が福利厚生事業として火災共済契約を締結いたします場合には、契約者一人につき、三十万円を限度とし、特例として、以前から、火災共済事業を行なっている組合は、これをこえることができることとしております。  第四は、募集の制限についてでありまして、募集に当るのは、当該組合の役員または職員に限ることとすることであります。  第五は、保険業法の報告徴収、立入検査、監督命令、その他の監督規定を準用することであります。  第六に、所管行政庁は、通商産業大臣及び大蔵大臣とし、なお、組合設立の認可及びその他の権限の一部は、都道府都知事に委任するものとすることであります。  以上が本改正案提案の趣旨でありまして、何とぞすみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  147. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、衆議院商工委員会松平理事が出席しております。別段、ただいま補足的な説明をするという御発言がないようでありますから、次に移ります。   —————————————
  148. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 政府原案につきまして、さらに詳細な内容説明を徳政するわけでありますが、その前に水谷長三郎君外十三名提出にかかる中小企業に対する官公需確保に関する法律案、下請代金支払遅延防止法の一部を改正する法律案及び百貨店法の一部を改正する法律案につきまして、発議者衆議院議員松平忠久君から提案趣旨説明を願います。
  149. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) ただいま議題となりました三法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。  まず第一に、中小企業に対する官公需確保に関する法律案の提案理由の御説明を申し上げます。  戦後の経済復興過程を通じ、保守党政府の一貫せる独占資本擁護の経済政策によって独占資本は再建されたが、それは一方で中小企業を犠牲としてのみ可能であったのであります。中小企業は残された狭隘なる市場をめぐって、その相互間の過度競争は激化するばかりでありまして、さらに最近では大企業による中小企業分野への進出は製造、販売その他すべての部門で顕著となり、中小企業者の存立に重大な脅威を与えているのであります。今日、中小企業問題は単なる経済問題としてあるばかりでなく、重大な社会問題として存在しているのであります。こうした中小企業問題の基本的な解決は国の財政、金融その他万般に及ぶ総合的な施策を待って初めて可能であることはいうまでもないことであります。しかし、現実にはこのような施策が望み得ない今日の段階において、せめて中小企業の事業活動の分野を可能な限り確保してゆく措置がとられていかねばならないと信ずるものであります。その意味においてまず国及び公共企業体等が卒先してこの問題に対処すべきであると考えるのであります。アメリカにおいては国防省の総予算のうち一割以上を中小企業に発注しなければならないとの規程が施行せられているのであります。このことは、わが国における官公需品の発注が大企業に偏し、中小企業はほとんど顧みられないのと比べて特に重視されなければなりません。昭和三十一年度における国及び公共企業体並びに地方公共団体等の物件費の総額は九千億をこえる膨大な額に上り、かりにこのうち一割以上を中小企業確保するとして毎年一千億に及ぶ需要が保証されるわけであります。そこでまず国及び公共企業体のなす物資の調達、工事の請負その他の契約について、中小企業に対し一定割合を確保せんとするのが本法律案目的なのであります。  この法律案内容の大要は次の通りであります。  まず第一に、学識経験者を中心に構成された中小企業官公需確保審議会において、国及び公共企業体か中小企業者となすべき官公需契約の割合を調査審議せしめ、その答申に基ずき内閣総理大臣がその割合を公表することといたしたのであります。  次に、各機関にその公表された割合に達するよう努力する義務を負わしめ、その割合を達成するために必要ある場合は契約の特例を設けて、中小企業者のみに対して競争入札密行うことができることとしているのであります。  第三に、毎会計年度において中小企業者となした官公需契約の実績について主務大臣または内閣総理大臣に対し報告をなさしめ、一方官公需契約を達成するため、内閣総理大臣または主務大臣に必要な勧告を行わしめることといたしているのであります。  以上が本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらむことをお願い申し上げる次第であります。  次に、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を申し上げます。  去る二十四国会で成立をみました下請代金支払遅延等防止法施行後の経緯を見まするに、一般に好景気がうたわれた経済の情勢にもかかわらず、下請代金の支払遅延は依然として改善されず、また、下請代金の額が不当に低く抑えられているため、そのしわは結局下請事業の労働者賃金に寄せられ、大企業と中小企業における賃金格差はますます大きく開きつつあるのであります。すなわち、法の施行後本年の二月までにおける下請代金の支払い状況を、公正取引委員会の実態調査によって見まするに、一千の下請工場のうち、いまなお半数が九十日をこえる手形の交付を受けている状態であります。また、最近労働省が発表した三十一年度職種別等賃金実態調査によりますと、全産業について一千人以上の企業に働く労働者賃金を一〇〇とすると、五百人から九百九十九人までの企業の賃金は八四、百人から四百九十九人までが七七、三十人から九十九人までは七一、十人から二十九人までの企業における労働者賃金に至っては、僅かに六〇という状態であり、前年度に比し大企業と中小企業賃金格差は一段と大きくなっているのであります。従いまして、こうした下請事業者並びにそこに従事する労働者の利益を守り、下請取引の公正を確保せんとするものであります。  本法律案内容は次ぎの通りであります。一つには、親事業者が下請事業者に対して支払う下請代金の額は、不当に低いものであってはならず、下請事業の労働者賃金が、親事業の労働者賃金に比して著しく不均衡となることが当然予想されるような下請代金の額を下請事業者に押しつけることのないように規定しているのであります。  その第二は、親事業者が下請事業者に対し交付する書面には、単に下請代金の額だけでなく返品の条件、検収期日、支払期日、支払手段を明記させることといたしたのであります。次ぎに、下請代金の支払が不当に遅延することを防止するため、検収期日を物件の引渡し後十五日、支払期日を検収後六十日と規定することにしたのであります。従いまして、これらの期日を経過したものは不公正な取引の対象として規制せられることになるわけであります。これによって従来支払期日の不明のために骨抜きとなっていた法の内容を充足し、本来の目的の達成をはからむとするものであります。  以上が本法律案の提案理由ならびに内容の大要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のために御賛成あらむことをお願い申し上げる次第であります。  次に、百貨店法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。  去る二十四国会におきまして特に百貨店業の事業活動を調整し、中小商業の事業活動の機会を確保する目的をもって百貨店法の制定をみたのでありますが、施行後約一年を経た今日、その経緯を顧みまするに、法の目的はかえって無視せられ、逆に既存の百貨店を保護するように運用されて参ったのであります。すなわち、同法付則第三条にいう工事施行中のものにつきましては許可の申請をなしたもの七十四件のうち七十件に対し営業の許可を与え、その売場面積は三十万平方メートルも激増いたしたのであります。さらに加うるに、同法第六条に基く店舗の新設の許可は、すでに十三件の多くに達しているのであります。法の運用を適正ならしめるため、特に衆参両院において行われた付帯決議は公共団体の土地または施設の利用、並びにターミナル施設の設置を禁止し、また、中小商業者の利益を阻害するような不公正な事業活動を厳に戒めていたのでありますが、これらはすべてほごと化し、通商産業大臣はむしろ積極的に既存の百貨店の保護育成に努力を払い、百貨店審議会もまた、法の公正な運用に何らの貢献もいたさなかったのであります。  そこで、わが社会党はここに百貨店法の一部を改正する法律案を提出し、法の本来の目的を達成するため、百貨店の事業活動を規制し不当な店舗の拡張を制限し、もって中小商業者の公正な利益を確保せんとするものであります。  その内容のおもなるものは次の通りであります。  まず第一に、店舗の床面積について従来の物品販売業を営むもののほかに飲食店営業又は喫茶店営業を営むものも加算することとし、百貨店の不当な売場面積拡張の手段を封ずることにいたしたのであります。  第二は、割賦販売、積立金組織による予約販売その他特定の営業方法に関し、それが中小商業の利益を著しく害するおそれある場合は、通産大臣許可を行なってはならないこととしているのであります。  第三は、百貨店がその優位な立場を利用して、仕入先たる中小企業者に対し、返品、値引きその他不公正な仕入行為を行うことを禁止しているのであります。  第四は、百貨店審議会の公正な運営を期すため、学識経験者のほかに中小企業者代表委員に任命すべきことを明記し、中小企業者の利益を公正に守る道を開いたのであります。  次に、国、地方公共団体その他政府関係機関の所有する土地または施設を百貨店業の店舗の用に使用させることを禁じ、最後に、百貨店業者の不公正な販売行為、仕入行為を規制するため、特に公正取引委員会にその判断をゆだねることといたしたのであります。  以上がこの法律案の提案理由並びに内容の大要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。   —————————————
  150. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは次に、中小企業団体法案及び中小企業団体法施行に伴う関係法律の整理等に関する法律内容について、政府から詳細御説明を願います。
  151. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 中小企業団体法案につきまして、おもなる条文につきまして御説明を申し上げます。  この法律目的につきましては、第一条で「中小企業者その他の者が協同して経済事業を行うために必要な組織又は中小企業者か自主的に事業活動を調整するために必要な組織」というふうになっておりまして、いわゆる協同組合組織、それから商工組合組織と両方の組織ができるようにいたしておるわけでございます。それから第三条におきまして、中小企業団体等の種類につきまして書いてございます。これは従来の制度に対しまして新しく商工組合制度というものを書いておるわけでございまして、この組合制度につきましては、先ほど衆議院の方からお話がありましたように、小組合制度及び火災共済制度につきまして新しくさらに追加を受けることになっておるわけでございます。  それから第四条におきまして、私どもの方としましては、最初この協同組合につきましても、全部この法律にぶち込みまして、百数十条をこの中に入れまして、いわゆる協同組合制度とそれから商工組合制度を両方取り入れる予定になっていたのでありますけれども、いろいろ政府部内におきまして研究がおくれて参りましたので、今回は商工組合制度をこの中に取り入れて協同組合制度につきましては、現行のままとして、後日これが修正をいたしましてこの中にぶち込もうというような考えで、第四条はそういうふうになっておるわけでございます。  それから第五条におきましては、この商工組合制度につきましての中小企業者の定義でございます。この条文によりまして中小企業者というのは、第一は製造業者でございますが、製造業者につきましては、「常時使用する従業員の数が三百人以下の者であって」というふうなように従業員の数が三百人以下でなければならないというふうにいたしたわけでございます。  それから第二号におきましては、これは商業者でございますか、商業者及びサービス業につきましては、これは三十人以下ということにいたしたわけでございます。しかしながら一号、二号に該当しない、これは実際の実情からいいまして、どうしても特別な措置をとらなくちゃならないというようなものにつきましては、第三号によりまして「常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の者であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの」というふうに、政令で特別な業種につきましては指定をいたしまして、そうしてその例外的な措置ができるということにいたしたわけでございます。その例外的な措置に該当するものにつきましては、私どもの方としましては、差しあたり石炭鉱業あるいは金属鉱業というようなもの、これらはやはり例外的な措置をとらなければならないのじゃないかという工合に考えているのでございます。また、商業者につきましても、問屋などにおきましては、やはり特別な措置をとらなくちゃならないのではないかというふうに考えているわけでございますが、大体何名ぐらいが適当であるかという点におきましては、なお検討をいたしたいというふうに考えております。この三号によりましては、第一号、二号の従業員の数よりも多いものもありますし、また、たとえば化学工業等につきましては、これよりも少くするというような場合もあろうかと思うのであります。  なお第五条におきましては、私どもの方としましては従業員の数でいっておりますが、ほかに何か、たとえば資本金とか、そういうもので規定した方がよくないかというような意見もいろいろございますが、私どもの方としましては、現在そうした方面についての調査が進んでおりませんので、この際は従来の安定法等の例によりまして、人数だけでこれを限定することにいたしたわけでございます。  それから第八条におきまして、この商工組合の名称でございますが、原則としては商工組合という名前にするわけでございますけれども、あるいは製造業につきましては工業組合、商業方面につきましては商業組合という名前をつけてもよろしいということにいたしたわけでございます。  それから第九条が設立でございますが、「商工組合は、一定の地域において一定の種類の事業を営む中小企業者の競争が正常の程度をこえて行われているため、その中小企業者の事業活動に関する取引の円滑な運行が阻害され、その相当部分の経営が著しく不安定となっており、又はなるおそれがある場合に限り、設立することができる」ということに規定されておりますが、要するに過当競争が行われており、同時にまた、中小企業の相当部分の経営が署しく、不安定となっていると、この「相当部分」というのは大体過半数でございますが、そういう過半数の中小企業者の経営が著しく不安定になっており、またなるおそれが多分にあるというような場合に限り、商工組合は設立することができるということにいたしたわけでございます。現在中小企業安定法によりましては、業種を指定し、また製造業種だけに限定をされておりますが、私どもの方としましては、商業者につきましても商工組合を作り得ることにいたしましたので、業種を選定、指定をすることにいたしませんで、製造業あるいは商業につきましては、広く商業組合ができるようにいたしたわけでございますが、しかし、それには過当競争が行われていて、しかも相当部分の経営が著しく不安定になっておるというような場合におきまして設立することができることにいたしたわけでございます。  それから第十条におきましては、これは一業種につきましては、その地区内においては一組合だということにいたしたわけでございます。しかし、商店街の組合につきましては、重複しても差しつかえないということにいたしたわけでございますが、これはやはり調整事業を行う以上は、原則として一地区におきましては一組合がこれは当然であろうかと考えますので、そういう措置をとったわけでございます。この点は協同組合とは違う点でございます。  それから第十一条におきましては、商工組合の組合員たるの資格を規定しておるわけでございますが、ここにおきましては、原則としましては、中小企業者であるということにいたしたわけでございますが、中小企業者以外の者の入り得る者は定款で定めたものであって、次の一号、二号に該当する者であるということにいたしたわけでございますが、第一号の方は、これはいわゆる大企業者でございます。それから第二号におきましては、事業協同組合、あるいは企業組合、商工組合、あるいは農業協同組合、こういうようなものであって、そして政令でその業種については定めるというようなことにいたしておるわけでございます。従いまして、たとえば消費生活協同組合というようなものは入らないわけでございます。また、農協につきましては、たとえば購買組合のごときものは考えておりませんが、しかし、ミカンカン詰などを製造して販売するというようなものは、便宜そういうものを指定いたしまして、組合加入ができるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第十二条におきましては、組合を設立する場合におきましては、組合員たる資格を有する者の二分の一以上が組合員でなければならないということにいたしたわけでございますが、その第二号によりますと、中小企業者以外の者が加入する組合におきましては、特別な措置をとっておるわけでございます。  それから第十四条におきましては、商工組合連合会を設立し得るのですが、連合会につきましては、原則として地区は全国だということにいたしたわけでございますが、商業とか、あるいはサービス業につきましては、道府県の区域によることができるということにいたしたわけでございます。それから第十七条におきましては、商工組合の事業につきまして規定をいたしておりますが、これは第一項におきましては、現在中小企業安定法によりますものとほとんど同じであります。要するにいろんな調整事業をなし得るけれども、少くとも価格協定につきましては、これは特別な場合に限りいろんな調整事業をやってみて、なおそれで十分いけないというような場合に、初めて価格協定というような特にその消費者に対しまして影響の大きいものについては、最後の手段としてそれがなし得るということにいたしたわけでございます。それから第二項におきましては、この調整事業のほかに、いろんな経済的な共同事業ができるということにいたしたわけでございまして、これは現在の調整組合あるいは協同組合等から相当要望されておりますので、私どもの方としましては、この商工組合が調整事業は行わなければならないけれども、経済的な共同事業につきましては、これをあわせて行うことができるということにいたしたわけでございます。    〔委員長退席理事具根登着席〕  それから第十八条におきまして、調整規程の認可につきましては、主務大臣の認可を受けなければならないということにしておるわけであります。  また第十九条におきまして、その調整規程を認可する場合におきましては、一号、二号、三号にも書いてありますように、たとえば不当に差別をしてはいけないとか、あるいは一般の消費者とか、関連事業者の利益を害してはいけない。こういうふうなことがあって、初めて認可ができるということにいたしておるわけでございます。なお、その調整規程の制定あるいは変更、廃止、そういうものにつきましては、二十三条によりまして総会の決議を経なければならないということにいたしておるわけでございます。  また二十一条によりましては、この調整規程の内容が第十九条各号に適合するものでなくなったと認められる場合におきましては、調整規程を変更すべきことを命じ、またその認可を取り消さなければならないということにいたしておるのでございまして、あくまでも商工組合というのは、いわゆるその必要要件が備わっておる場合だけに、この組合を作って調整事業が行えるのだ。そういう必要がなくなった場合におきましては、この組合におきましては解散をしなければならないということにいたしておるわけでございます。  それから特にこういう調整事業につきましては従業員に対しまして、いろいろな問題が起るかもしれませんので、二十六条、二十七条におきまして、この組合の従業員に対しましては、特別な配慮を加えるようにいたしておるわけでございます。  それから二十八条、二十九条、三十条は、これはいわゆるその団体交渉といいますか、組合交渉の規定でございますが、二十九条によりまして、組合交渉をしますときは、商工組合の代表者でなければならない。これは政令で定めるところによりということになっておりますが、少くとも大ぜいのものが押しかけて団体交渉をするというようなやり方でなくして、なるべく紳士的にやってもらいたい。従いまして政令で定めるところによりというのは、人数につきましても、三人以下とか、あるいはその組合の理事者でなければいけないとか、こういうようなことにいたすわけでございますが、そういうように制限をいたしておりますし、また交渉する場合におきましては、調整規程あるいはその案を示しまして、そして交渉をしてもらいたい。そういうようなふうにして交渉しましたときは、その交渉に相手方は誠意をもって応じなければならないということにいたしたわけでございまして、交渉の相手方につきましては、一号から四号までございますが、この第一号におきましては、取引関係のある大企業者がその相手になるわけでございます。第二号におきまして、これは中小企業者の場合におきましては、中小企業者の団体が相手になるということにいたしておるわけでございます。一号、二号につきましては縦の関係でございますが、横の関係におきましては、三号、四号のところで書いてございます。三号におきましては、「商工組合の組合員たる資格を有する者であって、中小企業者以外のもの」、すなわち大企業者ということになるわけでございます。四号におきましては、この資格事業を行なっておるものであって、これは営むものではございません。行なっておるものであって商工組合の組合員たる資格を有しないもの、たとえば生協とか、そういうものを、われわれの方としましては考えていたわけでございまして、これは政令で定める者に限定するということにいたしておるわけでございます。  それから商工組合の代表者がこういうことにつきまして申し出をしようとする場合におきましては、その組合協約の内容とか、あるいはその相手方につきまして総会の承認を得なければならないということにいたしておるわけでございます。  なお、いろいろ交渉しましてなかなか話がつかないというような場合、あるいはその交渉になかなか応じないというような場合におきましては、第三十条におきまして主務大臣がそれぞれに対しまして必要な勧告ができることにいたしたわけでございます。  なお、その二十八条におきましては、この商工組合が相手方と組合協約をしました場合に、特に組合員たる資格を有する者、これは横の関係でございますが、そういう者との間に締結するものにつきましては、主務大臣の認可を受けなければならないということにいたしたわけごでざいますが、これはやはり独占禁止法との関係もありまして、横のカルテルの形成の関係もありますから、これは認可事項にいたしておるわけでございます。  それからそれ以外のいろんな事項につきましては、設立、その他出資、その他についてのいろいろな手続とかそういうものを規定してございますが、第五十五条、これは四十一ページでございますが、これはいわゆる強制加入の命令でございます。「主務大臣は、次の各号に掲げる要件を備える商工組合の地区内において資格事業を営む中小企業者であって組合員以外のものの事業活動が第九条に掲げる事態の克服を阻害しており、このような状態が継続することは」、云々とありまして、「その商工組合に加入すべきことを命ずることができる。」というようになっておりますが、要するにこれは現在の安定法にはない規定でございますけれども、私どもの方としましては、この中小企業者だけに限定いたしまして、中小企業者につきましては、このアウトサイダーに加入命令を発しましてそして加入をきして、その組合において中小企業者が自主的にいろんな調整事業ができるように、この強制加入措置によってそれに対する政府の援助をするというような考え方でこの制度を置いたわけでございます。要するに中小企業者の大部分が組合を作っていろいろその調整事業をやっておるけれども、一部の中小企業者が入っていなくて、そのためになかなかうまくいかない。ところが、その一部の者を加入させるというと、この組合におきましては自主的に調整事業ができる能力を持っておる。そしてまた、それがきわめて適当である。ひいては、これが国民経済に対しましても支障を生ずるようなおそれはないというような場合に限定いたしまして、このアウトサイダーである中小企業者をこの組合に加入させまして、そして自主的な調整事業を行わせるというようなことにいたしたわけでございます。  ところが第五十六条におきましては、これは従来安定法にありますいわゆるアウトサイダー規制の命令であるわけでございまして、たとえば中小企業者の組合が自主的に、いろいろ調整事業をやろうとしましても、なかなかその能力がない。しかしながら、どうしてもアウトサイダーを規制しなければその調整事業がうまくいかない、同時にまた、それは中小企業者の安定に非常な支障を及ぼす、同時にまた、国民経済に対しましてもよくないというようなそういう場合におきまして、これは政府の方からいわゆるそのアウトサイダー規制の命令を出しまして、アウトサイダーを規制するわけでございます。これは五十五条と違って、要するにこの五十五条というのは、どこまでも中小企業者が自主的に調整能力があるというような場合、その組合におきまして、同時にまた、中小企業者だけに限定しておるというようなところに、この五十六条と五十五条の違いがあるわけでございます。この五十六条につきましては、先ほども申し上げましたように、現在の安定法にそういう規定があるわけでございます。それからなお、五十六条あるいは五十五条につきましても、それぞれ一号、二号、三号、四号というようなふうに、いろいろその人数とか、そうしたものにつきまして限定をいたしておるわけでございます。  なお、その価格協定をいたす場合におきましては、特にあとの方に出て参りますが、公取の同意を得なければならないということにいたしておるわけでございます。その他の問題につきましても、公取に協議をしなければならないということにいたしておるわけでございます。また、強制加入の問題につきましても、公取に協議をしなければならないというようなことになっておるわけでございます。  それから四十七ページの六十条におきましては、この五十五条の第一項の命令とか、あるいはは五十六条、五十七条の命令を出す場合におきましては、広く聴聞を行なって、一般の意見を聞かなければならないということにいたしておるわけでございます。  それから六十一条におきましては、この五十五条の第一項とか、あるいは五十六条のそういう命令をしようとするとき、あるいは命令をした後におきまして、特に必要があると認める場合におきましては調整規程、またはこれは連合会の場合におきましては、総合調整規程でございますが、これは変更命令を出すことができるというようなことにいたしておりますし、六十二条におきましても、命令の変更または取り消しをしなければならないというようなことになっております。    〔理事具根登退席理事近藤信一着席〕  それから、なお第七節におきましては、五十一ページでありますが、いろいろな監督の規定がいろいろ置いてあるわけでございまして、特に六十八条におきましても強制加入の命令関係のものにつきましては、特に役員の解任につきましての規定も置いてございます。  それから七十条におきましては、不服の申し立てができるような措置にいたしております。  それから五十四ページにおきましては、第七十二条におきましては、中小企業安定審議会通産省に置くわけなんですが、これにつきましては、組合の調整事業に関する重要事項を調査審議することにいたしておるわけでございます。従いまして、たとえば加入命令の問題とか、アウトサイダー規制の問題とか、その他調整事業に関するおもなるものにつきましては、ここで調査審議をすることにいたしております。  それから安定審議会におきましては、委員の数は三十五名以内ということにいたしておりますが、私どもの方といたしましては、国会議員の方々も学識経験者の中に加えまして参加していただこうという工合に考えております。  それから先ほど申し上げました組合交渉の問題につきましては、第八十一条によりまして通産省に中央中小企業調停審議会を設置することにいたしております。同時にまた、都道府県に対しましても同様な審議会を置くことにいたしまして、そしてこの組合協約にございます重要な事項を調査審議することにいたしておるわけでございます。  それから第九節におきましては、独占禁止及び公正取引との関係につきまして、いろいろこの適用除外の規定を設けております。  それから第九十条におきましては、先ほど申し上げましたように、特にその価格協定につきましては、この第一項の第一号によりまして、公取の同意を得なければならないということにいたしております。また第二号におきましては、調整規程とか、あるいはその組合協約の認可、あるいはその他の命令につきましては、公取に協議しなければならないということにいたしておるわけでございます。  それから九十四条におきましては、要するにこの所管大臣につきましては、組合の資格事業を所管する大臣とするということにいたしておるわけであります。  それから六十五ページの第四章以下につきましては、これは現在の事業協同組合から比較的簡単に商工組合に乗りかえることができる、また商工組合におきましては、調整事業をやめた場合におきましては、協同組合に組織がえすることができるというようなことを書いておるわけでございます。  それから七十ページにおきまして、この中小企業関係のいわゆる中央会というものは現在中小企業等協同組合中央会というのがございますが、商工組合もこれは包括して中小企業団体中央会ということにいたしたわけでございます。  それ以下の問題につきましては、大した問題はありませんので、以上この法案内容につきまして御説明をいたしたわけでございますが、なお衆議院におきましてこの修正を受けました点につきましては、先ほど小笠先生からお話申し上げました通りでございます。  それから中小企業団体法施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、これにつきましては、大体商工組合につきましても税法上のいろいろな特別な扱いを協同組合と同じようにやる、あるいは現在の安定法に基く調整組合で受けておりますような恩典を与えるというようなことにいたしましたのと、もう一つは、商工中金から融資を受けられるということにいたしたという点でございまして、別に詳しく御説明申し上げる必要はないかと存じます。   —————————————
  152. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、小売商業特別措置法案につきまして内容説明を願います。
  153. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 簡単に御説明いたします。現在購買事業を行なっているもの、たとえば会社などで購買事業をやっておりますが、これは全く自由になっておりまして、特別な監督を受けておりません。ところが、地方によりましては小売商といろいろ問題を起しておりますので、この第一条によりまして、そういう事業者につきましては、これは従業員以外の者に対しまして、その購買事業を利用させる場合におきましては、それを禁止することができるというようなことにいたしておるわけでございます。そしてまたこの禁止をいたしましたときは、都道府県知事はこれはこの第一号、第二号、第三号のような、こういう措置をとるべきことを命ずることができるというようなことにいたしまして、いわゆる小売商と購買会との調整をこれではかろうということにいたしておるわけでございます。  次それからその次は、消費生活協同組合の関係でございますが、これは現在法律がございまして、それによりまして厚生大臣の所管のもとにいろいろやっておりますけれども、特に小売商との関係につきましては、なかなか十分にいっていないところがありますので、二条、三条によりまして、ある程度の調整をしたいという考え方でございます。第四条、第五条、第六条、これにつきましては、これは現在地方におきまして、主としてこれは大都市でございますが、小売市場がございますので、小売市場が全く自由にされておりまして、そのために小売商といろいろな問題を起しておりますので、    〔理事近藤信一退席委員長着席〕 私どもの方としましては、最初これを営業の許可制ということにしたいと思ったのですが、法律的にいろいろ疑問がありますので、さしあたり登録制を実行したいというふうに考えましてこういう条文を設けたわけでございます。  なお、この小売市場における不公正取引については、公正取引委員会におきまして、特別にいろいろな指示を与えられるとか、勧告ができるとか、あるいは都道府県知事から公取に対しましていろいろな請求ができるというような規定を置いたわけであります。  それから第七条におきましては、現在これは小売市場だけじゃありませんか、いろいろな大企業との関係とかいうものと小売商がいろいろ問題を起しておりますので、そういう紛争が生じた場合におきましては、都道府県知事はこの紛争の解決のためにあっせんをしなければならないという規定を置いておるわけであります。  大体そういう規定でございまして、購買会、あるいは生協、あるいは小売市場等の調整をこの法律でやりたいというふうに考えて提案した次第でございます。
  154. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは以上で中小企業関係法案についての説明は一応終了することにいたします。   —————————————
  155. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、合成ゴム製造事業特別措置法案につきまして内容説明を聴取いたします。
  156. 斎藤正年

    政府委員(斎藤正年君) 合成ゴム製造事業特別措置法案につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、なぜこういう法案を提出しなければならなかったかということについて御説明いたしたいと思うのでございます。  ゴムの消費量というものは、世界的に年々増加する傾向にございます。当然日本におきましてもそういう趨勢でございます。それに対しまして天然ゴムの方は、これは主たる栽培地が御存じのように、マレー、インドネシアというような地域でございまして、政治的な不安定というような問題がございまして、新しくなまゴムの生産を増加するような措置、すなわち、新しくゴムの栽培を増加するようなことが、数年来ほとんどとられておらないとう事情のために、今後天然ゴムの供給の増加はほとんど期待できないというのが世界的に確認されております予想でございまして、その間の事情はお配りしてございます資料の(1)に詳しく書いてございます。そういうことが結局世界的に見まして今後のゴムの消費の増加分につきましては、どうしても合成ゴムをもってまかなわばなればならないということになるわけでございまして、日本も昨年は天然ゴムで約十一万トン消費いたしておりますが、その資料にございますように、今後数年たちますと、それが十三万トンないし十五万トンくらいにまで需要が伸びるということが当然予想されますので、その昨年輸入しました数量程度に対して、今後増加いたします分はどうしても国産をしなければならない。合成ゴムでもってまかなわなければならないということになるわけでございます。ところが、合成ゴムにつきましては、現在世界的に見まして各国でこの国産化の努力をやっております。また設備の拡張もある程度行われておりますが、現在までに判明いたしました範囲では、いずれもその当該国の需要をまかなうに精一ばいというような見通しでございまして、従ってどうしても日本といたしましては、日本の必要とする合成ゴムについては国産をしなければその確保に非常に不安があるわけでございます。  また一面、この合成ゴムの国産をいたしますれば、外貨の面から見ましても相当の節約になります。大体天然ゴム並みといたしまして、一トン七百ドルといたしますれば、四万五千トン程度の合成ゴムの需要になりますと、約三千万ドル程度の外貨が要るわけでございまして、これは日本の外貨収支の面から見て、決して無視できない大きな要素でございます。また合成コムは、これは原料は石油の廃ガスから製造いたしますものでございますために、非常にまあ価格が安定しておりまして、天然ゴムのように価格の変動が非常に多いものと全然違っております。従って、合成ゴムを国産化いたしますれば、原料ゴムの価格の安定にも非常に役に立ちまして、その面から最近急激に伸びて参りましたゴム製品の輸出に対しても非常に効果があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。まあ、そういった見地はほとんど各国共通でございまして、現在西欧諸国——イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、いずれも現在合成ゴムの工場を建設中でございますので、日本としても、どうしてもそれにならって早急に国産化をやらなければならない。日本のゴムの消費量は、大体ソ連を除きまして世界で五番目くらいになっております。そういうゴム消費国としては世界の一流国でございますので、どうしてもやはり国産化をしなければならないということになるわけでございます。この点は、何も最近起った問題ではございませんで、実は数年前から合成ゴムの国産化については研究をされて参ったわけでございます。ただこの国産化がどうして成り立たなかったかと申しますと、一つは、原料の問題でございまして、合成ゴムを作りますのには、アルコールからいく方法と、それから石油の廃ガスから参ります方法と、二つあるわけでございますが、アルコールにつきましては、日本のアルコールの原料であります農産物の価格が非常に高いために全然そろばんがとれない。それから石油の廃ガスにつきましては、比較的最近までその廃ガスの生産量が少なかったために、その実現がおくれておったわけでございます。ところが、最近自動車の普及に伴いまして、高級ガソリンの需要が非常にふえまして、そのために石油の廃ガス——石油精製の際の廃ガスが相当出るようになりましたので、原料的な面からは十分需要をまかなえるようになったのでありますが、ここで一番今障害になっておりますのは、価格の問題でございます。  で、これは合成ゴムにもいろいろ種類がございます。それは資料の(2)に記載してございまする通りでございますが、そのうちで、ほとんど大部分、米国の例で申し上げますれば九〇%まではGRS、Sタイプと申しておりますが、GRSと俗に言われておりますタイプの合成ゴムでございまして、これはほとんど天然ゴムと同じように使われているゴムでございます。従って、これを普及させますためには、どうしても価格が相当安くなければいけない。  天然ゴムと合成ゴムにつきましては、それぞれ長所も短所もあるわけでございますが、このGRSというのは大体天然ゴムと同じような性能を持っております。ただこれを使います場合には、若干使いにくいと申しますか、加工しにくいような性質がございます点と、それから大体ゴム工業は相当中小企業が多いのでありますが、こういった中小企業が合成ゴムの使用に非常に不なれでありますために、少くともスタートの当初は天然ゴムよりは相当安くしなければいけない。また輸入の合成ゴムと少くとも国内の、日本に到着しますCIF価格くらいのバランスがとれなければ、将来輸出競争におきまして相当ゴム工業としては不利を受けよるうなことになりますので、そういう点から考えますと、輸入の合成ゴムの国内CIF価格が二百二十円くらいでございます。これはキログラム当り。それから天然ゴムの現在の輸入価格がキログラム当り二百三十円くらいでございますので、このGRSを国産化いたします場合にも、どうしてもまあその二百二十円程度でやらなければならないとわれわれ考えるわけでございます。で、そのくらいの価格にしようといたしますと、日本はむしろ原料的に見ますと諸外国よりも非常に不利でございます。特に米国等に比べますれば、合成ゴムの原料になります石油の廃ガスの価格は大体米国の倍以上の価格でございますので、この不利を少しでも軽減する意味も含めまして考えますと、どうしても装置の規模を非常に大きくしなければならない。この石油化学工業のうちでの基礎的な製品一般にこれは通ずる原則でございますが、合成ゴムにつきましてもやはり設備を最初から大きな設備でスタートするということは、装置工業という性格上どうしても必要でございまして、設備が大きくなりますと、小さい設備に比べまして装置費が、結局生産単位当りの装置の費用が非常に安くつきますし、運転その他の間接経費も非常に安くなりますので、どうしても設備を大きくする以外に安くする方法はないわけでございまして、われわれが検討いたしましたところでは、どうしても四万五千トン程度が必要だという結論でございます。この点は、大体諸外国でもそうでございまして、イギリスにおきましても、今建設中のものは五万トン程度、それからドイツのもの四万五千トン程度でございまして、これらはいずれもその関係するゴム会社なり、あるいは化学会社なりが共同出資をいたしまして、全国一工場としてスタートいたしております。なおフランス、イタリアは三万トンの規模でスタートいたしておりますけれども、これはフランスについては、特殊ゴムが中心でございますし、イタリアにつきましては、これは相当政府の援助を受けておるそうでございまして、また需要の規模から考えましてもそういうことになったのではないかと思うのでございます。どうしても四万五千トン程度のものが必要だということになります。その程度にいたしますと、大体原価といたしまして終局的には二百円くらいのところまで下げられますので、二百二十円で売って、経営の採算が立つということになるわけでございます。その程度の設備をいたしますためには、これも資料に詳しくございますが、大体約百四十億程度の資金が要るわけでございまして、これを調達するということは相当困難がございまして、従って政府としてはかなり突っ込んだ援助をしないと、これがむずかしい。それからもう一つは、四万五千トン程度の設備で最初スタートをいたしましても、これがスタートいたしますのは建設を始めましてから二年程度かかりますので、昭和三十四年でございますが、昭和三十四年になりましてもやはり需要といたしましては三万トン程度しかない、その後逐次増加いたしまして、四年目にやっと生産能力がフルに発揮できるようになるわけであります。生産能力がフルに発揮できるようになりますれば、この事業はペイいたしますわけでありますが、結局通算いたしまして、建設の最初から通算いたしますと六年間というものは、あとで申しますような政府の援助をいたしましても、なお、かつ、配当もできない、採算が赤字であるというような状態でございます。これは政府のもし援助がなければはるかにそれがまた長引きまして、結局そういう事業は事業としては成り立たないということになるわけでございます。  以上のような理由によりまして、政府といたしましては開発銀行から十億を出資をし、さらに出資金を除きました全資金の大体半分程度を開発銀行から六分五厘の特別低利で貸し出すことにいたしまして、そのためにこの法案を提出いたした次第であります。  そこで法案内容でございますが、  この法案の一番中心になりますのは第二条でございまして、結局政府資金を出資する場合に、開発銀行を通じて出資することにいたしまして、そのために開銀法十八条の規定によりますと、開発銀行は、金融機関から供給を受けることが困難なものへの融資とか、あるいは債務の肩がわりとか、あるいは保証とか、社債の引き受けとかいうようなことしかできないというふうになっておりますので、この会社に関してだけ十八条の例外規定を設けるということでございます。この政府資金を出資いたします場合に、開発銀行を通ずる場合のほかに産業投資特別会計で出資するなり、あるいは一般会計から出資するなり、そういう別の方法もございますが、これは、この法案を提出することが最終的にきまりましたのはすでに予算の決定がございましたので、開発銀行から出資することにいたした次第でございます。  それからこの第四項に開発銀行法の関係について、こまごました規定がございますのは、これは開発銀行法の中に、収入支出についてもこまかい規定がございますので、この合成ゴム会社の配当なり、あるいは譲渡損益なりが収入支出の中に入るのだということを規定してございます。  それから先ほどこの会社に対する出資は十億円であるということを申し上げましたが、現在のところ全体の総資本は二十五億円を予定しておりまして、そのうち十五億が民間出資、十億が開銀出資の予定でございます。従ってこの第二項以下には、政府資金を開発銀行から出資いたします場合に、それが総資本金の二分の一以上をこえない、常に二分の一以上をこえない、それからその最高限度を十億円ということを規定した次第でございます。で、このあと第三項というものがございますが、これは、この会社の出資につきまして、いわゆる特殊会社の形態をとっておらないわけでございます。従って、どういう会社に出資するかということを定めるために、第三項の規定があるわけでございまして、大蔵大臣と通産大臣とが、基準というものを協議してきめまして、政令で決定するわけでございますが、その内容に合致したものについて出資ができるということを定めたものでございます。その内容といたしましては、大体生産能力あるいは生産費、あるいは生産の方法、そういうものにつきまして規定をいたす考えでございまして、生産能力としては四万五千トン以上、それから生産費につきましては先ほど申しましたように、目標としてキログラム当り二百円、それから生産方法といたしましては、原料のブタジェンから一貫して生産するもの。それから合成ゴムの種類につきましては、先ほど申し上げましたGRSという種類を作るということをきめる予定でございます。  それから第三条は、資金の確保でございますが、これは先ほど申し上げましたように、総所要資金量百四十億のうち、出資金二十五億円を除きました分の大体半額程度を、開発銀行から六分五厘の特別金利で融資するという予定にしております。ただし、これは本年度から三十四年度にわたる三カ年間の合計でございます。  それから第四条以下は監督の規定でございますが、これは大体一般の特殊会社の規定にならってできておりますので、特別に御説明することを省略いたします。  それからもう一つこの法律で重要な問題は、付則の第三項、第四項でございますが、これは先ほど申しましたように、予算等の関係から、本年度は開発銀行から出資するということにいたしたわけでございますが、政府資金を出す方法として、開発銀行から出資するということは適当ではないということになりましたので、これは来年度におきましてあらためて政府出資に切りかえるということにする。ただし、政府出資に切りかえます場合に、具体的にどんな形で切りかえるかということにつきましては、なお先例等もございませんので、十分研究をして、最も適当な形で切りかえるべきであるということにいたしまして、その点につきましては、あらためて来年度におきまして国会の方へ法律を提出いたしまして、御承認を受けて切りかえるということにしたわけでございます。  なお、関連しまして、合成ゴムのこの会社の計画について、ごく概要を御説明申し上げますと、工場設置の場所その他はまだ決定いたしておりません。これは新会社がスタートいたしますと、その新会社と政府と相談をしてきめるわけでございますが、ただ、石油の廃ガスを処分するのに最も適当な、都合のいい場所を決定するわけでございます。それからこの合成ゴム自体の製造、及びその原料でございまするブタジェンの製造は、いずれも日本におきましては製造技術と大量生産技術というものが確立いたしておりませんので、外国の技術を導入する予定でございます。  それから、会社の設立につきましては、これは国会で御承認を得られますれば、直ちに準備をいたしまして、一、二カ月のうちに発足をいたします。それから設計その他の、及び技術導入等の問題が片づき次第、建設に着手いたしまして、大体二カ年間の建設期間がかかりますので、昭和三十四年の半ば過ぎごろにこの会社が事業を開始することができるようになる、生産を開始することができるようになる、このようにわれわれは考えております。  以上法案内容について申し上げます。
  157. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  158. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとって。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会