○
政府委員(鈴木義雄君) それではまず
自転車競技法の一部を
改正する
法律案のおもな
内容について御
説明申し上げます。
昭和三十年第二十二
国会におきまして、
自転車競技法等の臨時特例に関する
法律の有効期間の延長に関する
改正法律案の成立に際しまして、
参議院商工
委員会において付せられました付帯決議の御趣旨に基きまして、
政府といたしましては、競輪の運営につき不断の改善をはかって参りますとともに、
通商産業大臣の諮問機関として設置されております競輪運営
審議会に競輪の改廃に関し諮りました上、その答申に基き、競輪の弊害を最小限度にとどめてこれを健全化する
方針のもとに競輪制度に改善を加えますとともに、その他の
機械産業振興費の取扱いに関する制度に
改正を加えました上、
自転車競技法の一部を
改正する
法律案を立案いたしました次第でございます。
改正法律案のおもな
内容といたしましては、まず、第一に目的の
改正でございますが、これは第一条の
改正となっておりますが、
機械産業の振興をはかることは、
自転車競技法等の臨時特例に関する
法律にすでに規定されておるところでございまして、これを本法であります
自転車競技法に規定いたす趣旨でございます。
第二には、市町村の指定に関する規定を整備いたすことでございますが、従来、指定の取消に関する規定がございませんので、権利の上に眼るものを整理することと、競輪運営上の不安定を除くため、競輪施行者としての指定を受けた市町村が、一年以上引き続き競輪を行わなかったときは、自治庁長官は、その指定を取り消すことができる旨の規定を加えることであります。これはやはり条文的に申しますと、第一条の
関係でございます。
第三には、競輪場及び場外車券売場の設置の許可に関する規定を整備いたすことでございますが、競輪場及び場外車券売場の設置の許可については、従来、期限または条件を付し得る規定及び許可の取り消しに関する規定がございませんので、第三条及び第四条に、その趣旨の規定を設けることといたしましたわけでございます。なお、競輪場及び場外車券売場の設置者は、その競輪場及び場外車券売場の
位置、構造及び
設備を命令で定める
基準に適合するように維持しなければならない義務を課することといたしております。これは第十一条に関するものでございます。
第四には、車券購入等の禁止
範囲を拡大いたすことでありますが、従来も、車券購入等の禁止に関する規定はございますが、競輪運営に
関係するものが、車券を購入したり、または、譲り受けたりすることは好ましくないので、車券の購入等の禁止
範囲を第八条で
改正いたしますように拡大し、かつ、明確化することにいたしたわけであります。
第五には、競輪の賭博性を薄めるための措置に関する規定を設けることでございますが、競輪等の射幸性を伴う競技につきまして、その賭博性を薄めて
内容を健全化する必要が認められますので、射幸性を稀薄化するとともに、的中の確率を増大して
内容を改善するため、次の
通り改正することといたしました。
その第一には、払戻金額について最高限度額を定めることができるものとしたことであります。これは第九条の二に関するものでございます。
その第二としましては、投票無効に関する規定を整備することでありますが、その趣旨は、従来、投票無効に関する規定は、単勝式、複勝式および連勝式投票法のみを前提として規定してありましたが、新たに、連勝複式勝者投票法、これは第一着および第二着の選手をその順位及びその逆の順位で一組とする勝者投票法をいうのでありますが、これを採用し得るよう投票無効の規定を整備することでございます。これは、第九条の三に関するものでございます。
第六には、競輪運営の経費に関する
改正でございますが、まず、中央業務の経費につきましては、競輪の中央業務を担当する新団体すなわち、日本自転車振興会に対し、競輪施行者から一回の開催による車券売上金の額の千分の三以内において命令で定める金額を交付することであります。これは第十条に関するものでございます。従来は、都道府県自転車振興会が会費として自転車振興会連合会に納入していたものでございます。
次に、都道府県自転車振興会の経費につきましては、従来、都道府県白紙車振興会に対し施行者が交付すべき業務委任費は、一律に、車券売上金の額の百分の三以内となっておりますのを、委任する業務の
範囲及び車券の売上金の額に応じて命令で定める金額を交付することといたしまして、交付金額の算定
方法を合理的に改めることでございます。これはやはり第十条に
関係するものでございます。なお、この交付率に関する命令は、委任業務の増加に伴って逓増し、車券の売上額に伴って逓減するように定められるのでございますが、
法律では別表をもって、車券の売上額ごとに、交付金の最高限度を定めております。
次に、第七といたしましては、自転車その他の
機械産業振興費の取扱いに関する制度を改めることでございます。競輪施行の目的に掲げられております自転車その他の
機械産業の振興のための経費の取扱いに関する制度は、
昭和二十四年度から二十八年度までは国庫納付金の三分の一以内の金額を国の予算に計上する制度であり、
昭和二十九年度以降は、競輪施行者から車券売上金の額の平均百分の一・一を自転車振興会連合会に納入し、同連合会は、振興費に関する業務を包括的に商工組合中央金庫に委託し、同金庫は、
通商産業大臣の
計画及び指示に従って支出しなければならない制度になっておりますが、
法律改正後においては、
改正後の
自転車競技法に基き設立されます日本自転車振興会に対し、従前と同率の振興費を競輪施行者から交付せしめることとし、日本自転車振興会が
通商産業大臣の認可を受けて振興
事業に支出する制度を採用することとしております。この場合において、
通商産業大臣は、振興
資金の運用については、
通商産業大臣の諮問機関として、従来の
機械工業振興協議会にかわり設置されます自転車等
機械関係事業振興
資金協議会に諮ることとし、振興費の運用に遺憾のないようにいたしております。これは、第十条、第十二条の十六、第十七条の二に
関係する
事項でございます。
なお、自転車その他の
機械産業振興費の交付受入等、振興費に関し規定する条項につきましては、この
法律施行の日から三年を
経過する日以後においては、別に
法律で定めるところによることを附則第十七条において規定しておりますが、これは、振興費の制度について、このような制度は廃止すべきであるか、存続すべきであるかといろ基本的な問題のほかに、徴収の
方法についても、国庫に納入せしめるべきか、臨時特例法のような
方法によるべきか、あるいは、また、
改正後の本法に定める
方法によるべきか等について更に
検討することとし、三年間は、本法に定める
方法によって振興費を運用することといたしますが、その間、
政府において
検討し、三年
経過後にはあらためて取扱
方法を定めるという趣旨に基くものであります。
第八といたしましては、都道府県自転車振興会に対する監督を
強化いたすとともに、
改正後の
自転車競技法に基く法人として、日本自転車振興会を設立することでございます。都道府県自転車振興会に対する監督を
強化するためへ次のような措置を講ずることといたしております。まず、自転車振興会の役員の選任及び解任は、
通商産業大臣の認可を受けなければその効力を生じないこととする。これは第十一条の二でございます。次に、自転車振興会は、毎
事業年度
開始前に、その
事業年度の
事業計画及び収支予算を作成し、
通商産業大臣の認可を受けなければならないこととする。これは第十一条の三に関するものでございます。
日本自転車振興会につきましては、第十二条以下第十二条の二十五までに規定してございますが、従来、自転車振興会連合会が行なっていた競輪運営に関する業務並びに自転車その他の
機械産業振興費に関する業務を取り扱う機関として、
改正後の
自転車競技法に基く法人として日本自転車振興会を設立することといたしております。
日本自転車振興会の目的は、競輪の公正かつ円滑な実施をはかるとともに、自転車その他の機関に関する
事業の振興に資することでございます。これは第十二条に関するものでございます。
役員及びその欠格条項並びに兼職禁止等に関しましては、第十二条の七、第十二条の八、第十二条の九、第十二条の十、第十二条の十一等に規定してございますが、役員といたしましては、
通商産業大臣の任命する会長、副会長それぞれ一名、監事二名のほか、会長が
通商産業大臣の許可を受けて任命する
理事八人以内ということになっております。なお、役員は、
通商産業大臣の承認を受けたときを除いては、みずから営利
事業を営み、または営利の業に従事すること等を禁止することといたしております。さらに、役職員の身分は罰則の適用については、公務に従事するものとみなすことになっております。これが十二条の十二及び十二条の十四でございます。
次に、この団体の業務のうち、競輪運営に関する業務の公正かつ円滑な実施をはかるため、競輪に関し学識経験のある者をもって構成する運営
委員会を置くこととし、競輪に関する業務を掌理する
理事の任命または解任、競輪に関する業務
方法及び
事業計画の作成等については、会長は運営
委員会の意見を聞かなければならないことといたしております。これは第十二条の十五に関するものでございます。
日本自転車振興会の業務につきましては、十二条の十六に規定してございますが、これは審判員、選手、自転車の登録、競輪の実施に関する自転車振興会の指導、審判員、選手等の養成または訓練、自転車その他の
機械産業振興のための銀行に対する融資、自転車その他の
機械産業振興のための補助金の交付、本法及び小型自動車競走による自転車その他の
機械産業振興費及び本会の運営費用の施行者からの受け入れ等でございます。
日本自転車振興会の業務は、大別すると競輪
関係業務と自転車その他の
機械産業の振興とでありますが、そのおのおのの経理について明確に区分して処理することとし、振興費を競輪
関係業務に充当することは罰則を設けて、厳に禁止することとしております。第十二条の十七及び第二十一条の二がこれでございます。
そのほか業務
方法書、
事業計画等、
資金の借り入れ、業務上の余裕金の運用等の認可、決算書類の提出等につきまして、それぞれ
法律で規定してございます。
また、監督につきましては、
通商産業大臣がこの
法律を施行するために必要があると認めるときは、日本自転車振興会の業務に関し、監督上必要な命令が出せることとしております。これは第十二条の二十四でございます。
なお、日本自転車振興会の設立に必要な手続、日本自転車振興会連合会からの財産等の承継につきましては、付則に所要の規定を赴くこととしております。
次に第九には、従来から
通商産業大臣の諮問機関として設置されております競輪運営
審議会の名称を競輪
審議会と改め、調査
審議事項を競輪全般に拡大することといたしております。これは第十七条に関するものであります。
第十には、従来臨時特例法に基いて設置されております
機械工業振興協議会の名称を、自動車等
機械関係事業振興
資金協議会と改めることにいたしております。これは第十七条の二に関するものでございます。
第十一といたしましては、日本自転車振興会の設立に伴う罰則の規定を
改正するとともに、本
改正法律案の施行に必要な
経過規定を置くことにしております。
なお、この
法律は
昭和三十二年十月一日から施行することといたしておりますが、日本自転車振興会の設立に関する規定等につきましては、公布の日から施行することにいたしております。
以上が
自転車競技法の一部を
改正する
法律案のおもな
内容でございます。
次に、
小型自動車競走法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
同法案における
改正点は、おおむね競輪の場合にならってこれに準じております。ただ異なるところは、小型自動車競走からの振興費は、小型自動車競走施行者から日本自動車振興会に交付すること、全国小型自動車競走会連合会は、従来のまま社団法人とすることとなっている、この点が異なるだけでございます。この点を申し上げて、詳細なる
説明は省略させていただきたいと存じます。