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1957-05-06 第26回国会 参議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月六日(月曜日)    午後一時五十一分開会   ―――――――――――――   委員異動 四月二十七日委員勝俣稔辞任につ き、その補欠として西田隆男君を議長 において指名した。 五月二日委員西田隆男辞任につき、 その補欠として三浦義男君を議長にお いて指名した。 五月六日委員白川一雄君及び大谷贇雄辞任につき、その補欠として高橋進 太郎君及び後藤義隆君を議長において 指名した。  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            藤田  進君            豊田 雅孝君   政府委員    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省公益    事業局長    岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    東北電力株式会    社社長    内ケ崎贇五郎君    北陸電力株式会    社副社長    西  泰蔵君    電気事業連合会    専務理事    松根 宗一君    日産化学工業株    式会社社長   栗西  清君    株式会社鉄興社    専務取締役   前島 憲平君    福島県中小企業    等協同組合中央    会副会長川俣精    練株式会社取締    役       直橋 利吉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○経済の自立と発展に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件) ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより商工委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。去る二月二十七日勝俣稔君が辞任され、西田隆男君が再び選任されましたが、五月二日西田君は委員辞任され、その補欠として三浦義男君が選任されました。また、本日付にて白川一雄君及び大谷贇雄君辞任され、高橋進太郎君、後藤義隆君がそれぞれ委員に選任されました。以上御報告いたします。   ―――――――――――――
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本日は、東北電力及び北陸電力電気料金改訂に関する調査を行う予定になっております。その参考人について最初内定いたしましたところと、若干変更がございましたので、御報告いたします。事業連合会長菅礼之助君は病気のため出席できないとのことで、医者の診断書を添えて欠席届が参っておりますが、かわりとして専務理事松根宗一君が出席されております。また、北陸電力社長山田昌作君は、出席するとの通知をいただいたのでありますが、本日になりまして、急病のため乗車不可能の状態となりまして、出席ができないとのことで、かわりに副社長西泰蔵君が出席されております。また、鉄興社社長佐野隆一君も所用のため、どうしても出席できないとのことで、専務前島憲平君が出席されております。以上御了承をお願いいたします。  参考人の方々には御多忙のところ、当委員会調査に御協力、御出席いただきまして、まことにありがたくお礼を申し上げます。これから順次御意見を承わることになるのでありますが、時間の点につきまして、本日は参考人の方も大ぜいお見えでございますので、大体十分から十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  今回、東北電力及び北陸電力から、それぞれ電気料金値上げ申請が通産大臣あて申請されました。当委員会としましては、電気料金値上げ国民生活上、また産業発展に重大な影響のあるところから常に関心を持ち、現行電気料金改訂された昭和二十九年十月の実施の際、また本年四月から一部改訂されました三割頭打ち制度改正に際しましても、各方面から検討を加えて参ったのであります。今回は今まで九社一斉に値上げ申請が行われていた例を破り、東北北陸の両電力会社だけから申請がなされたわけでありますが、両社の値上げ申請を中心とし、それぞれ御出席参考人の方から、忌憚ない御意見を伺いたいと存じます。  内ケ崎、西両参考人からは料金改訂理由、その概要について説明をいただきたいと思います。また、今回の料金改訂により、今後の会社収支の見通し及び地元産業界一般需用家に与える影響をどのように見ておられるかなどに関しまして所見をお伺いしたいと思います。なお、西参考人からは特に、今回の北陸電力供給規程改正に際し、特別料金制度を設けられたようでありますが、その理由必要性について御説明を願いたいと思います。  松根参考人からは、今回東北北陸電力会社から値上げ申請が行われましたが、今後他の七社における料金改訂必要性と、その趨勢をどのように見ておられるか。今後は各社独自の値上げ申請が行われると思われるが、連合会としては、その間の調整をどのように考えておられるか。また、今回北陸電力会社が行わんとしている特別料金制度に対する所見及びこれと他社供給規程との関係をどのように見ておられるかなどについて、御意見を伺いたいと思います。  栗西前島高橋お三方からは、地元需用家として、今回の電力会社電気料金値上げについてどのようなお考えをお持ちでありますか。また、その影響として、地元産業界及び製品原価並びに一般中小企業者にどのように響くかなどについて御意見を伺いたいと思います。  それでは、まず東北電力社長内ケ崎五郎君からお願いいたします。
  4. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 東北電力社長内ケ崎贇五郎でございます。よろしくお願いいたします。  このたび、弊社電気供給規程変更認可申請をいたしました。その理由を御説明申し上げますが、それに先立ちまして、本年早々一月から四月に及ぶ長期間電力制限を実施するの余儀なきに至りまして、皆様に深刻な御迷惑と御高配とをわずらわしましたことにつきまして、ここに深くおわびを申し上げる次第でございます。  この事態は、最近の需用激増に加えて、全国的にまれに見る長期気象異変によるものであるため、相当の火力を有する他地域においても、長期告示制限の発動をみた実情でありまして、当社管内のごとく未曾有需用激増した水力地帯では、特に一般需用家初め産業界に多大の御迷惑をおかけするに至ったことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。今後恒久対策として、一段と電源拡充、とりわけ大容量新鋭火力建設を推進し、少くとも昭和三十五年度までには電力設備拡充整備いたしまして、需給の万全を期したいと存じております。  さて、電気供給規程変更について申し述べますが、今回は昭和三十二年度原価三百十六億九千万円を基とし、昭和三十二年度五月二十日以降平均二十一・二%の値上げとなる料率変更と、一部供給条件変更を認可していただきたく申請したものでございます。現行供給規程は、昭和二十九年十月から、これはお手元に差し上げました参考資料の一ページにございますが、全国最低位料金をもって実施し、すでに二カ年半を経過したのでございます。この間弊社公益事業の本旨にかんがみ、逐次増大する需用に対処し、その供給責任を果すとともに、他面企業合理化を推進しつつ、増高する原価吸収に努めて参ったのでございます。これらの合理化の成果と相待って、この一両年幸い良好な出水状況に恵まれまして、収支均衡を持続し得たのでございますが、最近に至り新規の発、送、変、配電、各設備拡充に伴う資本費増高は、漸次企業経理の上に重圧を加えるようになって参ったのでございます。  これに加うるに近年東北開発の急速なる進展に呼応して弊社管内電灯電力、特に電力需用は急激に増加いたして、これは参考資料の一ページにございますが、これに対応するため、昭和三十二年度において九億キロワット時に及ぶ大量の融通受電を余儀なくされるに至り、しかも、その料率現行原価算入平均率単位三円二十五銭三厘に対しまして約四円四十八銭の高率となったのでございます。もともと弊社現行料金昭和三十二年度需用端平均単価が三円七十三銭、これは参考資料の八ページのチの方にあります。全国最低位に属するものでありまするが、このことは必然的にこのような高率他社受電料金、あるいは新規稼働設備による割高原価影響をきわめて顕著に受ける素地をなしているのであります。従って、これらの事情に基く膨大な原価増加は、企業努力による吸収限度を越え、現行料金をもってしては、とうてい収支均衡を保ち得ない状態と相なったのでございます。一方、このような需用の新情勢に対応して、弊社は新たに大規模な新鋭火力建設を企図し、すでに八戸火力十五万キロワット、仙台火力十七万五千キロワットの工事を推進するとともに、水力電源開発関連供給設備の増強に邁進いたしておりまするが、これら建設工事の遂行のためには五カ年間に約千五百億、これは五カ年計画資料の中にあります。千五百億円をこす巨額資金を要する次第でございます。これが調達のためには、収支均衡企業健全化とが必須の条件でありますことは申すまでもないことでございまして、現行料金による弊社経営現況をもってしましては、この調達も危惧せざるを得ないものがあります。  以上のような理由で今回電気料金改訂せんとするものでございます、まするが、電気料金が当管内の民生安定、産業振興に及ぼす影響をも慎重に考慮いたしまして、値上げ総額必要最低限にとどめ、改訂をお願いいたした次第でございます。  以下、なおその理由を詳しく申し述べます。弊社発電設備昭和三十年九月においてその出力は百十三万五千キロワット、その建設費総領は約六百二十二億円でありますが、それ以降昭和三十二年度末までに竣功したもの及び竣功予定のものは合せて約十七万一千キロワット、その建設費総額は百八十九億円に達し、出力において約一五%建設費において約三〇%の増加となっております。最近竣功する水力発電所建設費キロワット当り約十二万八千円、キロワット・アワー当り二十五円五十銭でありまして、現行料金に算入されている発電設備平均建設費キロワット当り五万四千円、キロワット・アワー当り十円三十銭に比較すると、著しく高率となり、約二倍に相当するのでございます。この傾向は、ひとり水力発電所だけに限られた現象ではなく、送電変電配電の各設備についても全く同様でありまして、大口電力小口電力あるいは電燈等各種需用増加に対応して設備拡充を行う場合には、必然的にその建設費は割高とならざるを得ないのでございます。特に、弊社供給区域はその面積七万九千平方キロメーターに及ぶ本州の約三分の一でありまして、全国一の広大な区域を擁しておりますし、その産業構造も、農業並びに地下資源活用のいわゆる基礎産業を主としているため、その需用地点海岸地帯より山間僻地にわたって疎散いたしております関係上、需用増加に伴って送電変電配電設備には特に多額の建設費を要し、昭和三十年九月末の建設費総額に対する三十二年度末予想の増加率は、発電設備において三〇・三%の増であるのに対し、これは設備別帳簿原価推移の中に書いてありまするが、送電において三八・六%の増、変電において六一・八%の増、配電設備においては七九・一%もの増加と相なっております。このような割高な建設費を必要とする新規設備増加は、必然的に資本費増高をもたらし、原価高を招来する大きな原因となっております。  一方、昭和三十年九月末、弊社の総供給設備簿価は、帳簿価格は約九百億円でありますが、その平均金利は、この九百億円のうち約四八%が、いわゆる再評価資産でありまして、再評価差額に対する資本報酬がほとんど皆無にひとしい関係上、約五%でありますのに対し、新規設備工事資金は一部の内部留保、すなわち減価償却引当金のほかは、あげて外部資金に待たなければなりませんので、八・二%前後の高率金利と相なっております。すなわち、資金コストの面から見ましても非常に高率金利負担となり、原価を割高ならしめる原因になっておるのでございます。  次に、弊社管内需用は、昭和二十一年度以降、全く類例を見ないほどの激増を示しました。この需用増加は、前回料金改訂時の計画年間四十三億八百万キロワット・アワーであったのに対し、今回三十二年度は六十七億三千五百万キロワット・アワーで、二カ年半の間に、当時の約五六・三%の増加と相なっております。このような急激な需用増加に対応するため、弊社電源開発五カ年計画を町検討いたしまして、すでに計画していた水力発電設備早期竣功を期するとともに、八戸仙台の両新鋭火力発電所の新設に鋭意努力を傾けることといたしました。しかしながら、昭和三十二年度においては、これら新火力発電所竣功を見ないため、とりあえず他電力会社よりの電力融通強化をもって、これに対処することといたしたのでありまするが、その受電量は九億キロワット時余の未曾有の量に達することと相なったのでございます。この融通電力は、もっぱら他社火力発電所の余力に依存するものであるため、この購入料金は四十億円余の巨額に達し、平均一キロワット時当り約四円四十八銭で、現行原価算入の三円二十、五銭三厘に比べますと一三八%の高率となっております。この融通電力購入料金高もまた著しい原価高騰を来たす一因でございます。  以上の通り料率改訂を必要とするに至った主因は、新規設備の稼動に基く原価増高と、他社よりの融通電力壁著増及びその料金高率であるという二点に帰するのであります。これら経費増高に対しまして、弊社経営の各部門にわたり合理化に努め、これが吸収努力いたして参りました。すなわち、たとえば電力損失につきましては、これは参考図表の二ページでございます。現行料金算入総合ロス率に二三・四%のものを今回は一六・七%と、六・七%もの低下を見込み、また従業員数についても、現行料金算入は一万五千二百人余で、その後設備拡充需用激増にもかかわらず、これを一万五千人にとどめ、その他一般経費も真にやむを得ないもの以外は、極力抑制に努めて参ったのでございます。一方、収入面においても電灯従量化の推進、貯水池、調整池運用適正化等合理化に努めるところがございました。これら企業努力によって相当効果を収めたのでありまするが、原価増高はあまりにも著しく、これのみによっては、とうてい吸収し得ない実情に立ち至りましたので、やむを得ずここに電灯電力とも、原価主義にのっとり、このたび最小限度料金改訂申請するに至った次第でございます。  次に、供給条件変更についてでありまするが、今回は弊社のいわゆる従量制一本料金を基本とする料金制度については変更いたしませんが、現実の需給関係変化に伴って、供給種別の一部を変更いたすことといたしました。すなわち、現行規程においては、期間常時電力を三種に区分しておりまするが、昭和三十二年度以降における需給関係変化を考慮し、第二、第三の各期間常時電力を廃止いたしまして、現行第一期間常時電力に相当する一種類に整理するとともに、送電期間調整をなし得る取り扱いといたしました。なお、負荷率の割引の制度は、弊社需給関係及び原価事情より見て、現在不適当となりましたので、これを廃止いたしました。また、需用家サービスの一そうの向上をはかるため、電球引換料の低減、検査料の廃止、従量電灯灯数制限撤廃等を実施するとともに、工事費負担金について毛、漸減するよう考慮いたしました。  以上のように、現行電気供給規程変更について、やむを得ざる原価増高に伴う料率変更と、一部供給条件適正化並びにサービス向上を期するよう、供給条件変更について認可申請をいたしましたが、この改訂によってもなお全国的には低位に属するものでありますし、また、弊社東北開発の伸展に伴う急激する電気需用にこたえて、今後ますます供給力拡充、諸設備を整備し、恒久的電力対策を遂行することにより、東北地方振興に何分の寄与をいたしたいと存じておりますので、これらの事情を御賢察の上、何とぞ今回の改訂を御了承下さるようお願い申し上げる次第でございます。以上。
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、北陸電力株式会社社長西泰蔵君。
  6. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) 北陸電力の西副社長でございます。本日は、先ほど委員長からお話がございましたように、社長急病のために出席不可能になりまして、私から御説明申し上げます。北陸電力説明概要につきましては、そこへ供給規程変更認可申請概要というのと、同じく電気料金改訂に関する資料という二通差し上げてございます。詳しく申し上げますというと、一時間はどうしてもかかりますので、十五分というお話でございますから、ごく簡単に御説明を申し上げます。  まず、この概要という方の書面につきましてごらん願いたいと存じます。北陸電力では、従来今日まで昭和二十九年の十月に改訂いたしましてから二カ年半を経過いたしたのでありますが、その間電源開発並びにサービス向上と、この二大目標につきまして、今日まで鋭意やって参ったのでございます。そうして昭和二十九年の改訂以来今日までに、四万五千七百キロを開発いたしましたし、さらに三十二年度は三万一千キロが竣功する予定になっております。  一方地方産業界の好況に伴いまして、管内電力需用は、電灯小口電力並びに大口電力ともに急に増加いたして参りまして、今年度は想定でいきますというと、需用端で約四十八億キロワット・アワーの、需用申し込みがあったのであります。さらにこれを二十九年の料金改訂のときと比較いたしますと、一六五%、すなわち六割五分の増加需用申し込みがあったのでございますが、先ほど申し上げましたように、電源開発は鋭意やっておりますけれども、とてもそう大きな需用には追いつきませんので、このたび他地区から、関西電力、中部電力九州方面から、約年間九億キロワット・アワー融通電力を受電することにいたしたのであります。そうしまして、九億キロワット・アワーでは四十八億の需用をまかないすることができませんので、それが圧縮されました結果、四十三億五千万キロワット・アワー計画いたしたのでございます。  こういうふうで、非常に融通電力をたくさんいただいたのでございますが、九億キロワット・アワーと申しますと、電力では約三十万キロに相当いたします。そういうような実情でありまして、この融通電力は、私どもの方は一キロワット・アワー四円五十二銭で平均参ることに決定いたしました結果、総額では約四十一億円に上るのでございます。この融通電力と新電源開発コスト、そのほかいろいろ一般経費公租公課水利使用税その他いろいろなものが上って、おりますが、企業努力は十分いたしましたけれども、差し引き三十二年度におきまして、約三十億の赤字が見られるのであります。それで今回は、今後いろいろな企業合理化の問題は、この資料の十ページにございますが、当社におきましても電力損失逓減等につきましては十分にやりまして、昭和二十六年が一八・五三%であったものが、三十二年度は一一・一%を想定しております。  そういうふうに合理化は推進して参りました。また、生産性向上に万全を期しましておりますが、今後、今私どもの方で計画いたしておりまする有峰開発というのがございますが、有峰開発を含めまして約四十四万キロの水力発電所計画いたしております。それで先日の電源開発審議会でも追加地点毛三部認められまして、引き続き施工いたしておりますが、なおそれでもなかなか昭和三十五年の将来のことを見通しますというと、とても需給バランスがとれませんので、関西電力さんと協約いたしまして、北陸電力向け火力を大阪に設置していただくことに決定いたしたのでございます。これが十五万六千二百五十キロでございますが、この新鋭火力を作りまして、昭和三十五年度には、ぜひとも需給バランスができまするように努力しておるわけでございます。こういうようなことでありまして、そうして需給の安定をはかりまして、今後りっぱに基礎を固めていきたい、こういうふうに思っておるのでございますが、今回の改正をいたします要点としましては、純原価は約百五十五億九千万円に相なるのでございますが、それは資料のこの概要の中の十一ページにございますからあとから御説明申し上げます。  そこで、一番大きな制度上におきまして変りましたことは、後ほどまたあらためて御説明申し上げますけれども、五百キロワット以上の大口電力に特別の料金制を設けたことでございます。これは三十二年の三月三十一日までを既設の需用家といたしまして、四月一日以後の新増設分につきましては、一般料金よりも割り高特別料金をいただく、こういうような方法をとったのでございます。これはいろいろあとで御説明申し上げますが、一般需用家大口需用家新規増設分需用家との公平化をはかった、こういうつもりでございます。従いまして純原価百五十五億九千万円のうち約三十億円の赤字、どういうふうにこれを配分といいますか、改正料金吸収することにしたかといいますと、その三分の一の十億円に近い九億九千万円ほどを特別料金吸収することにいたしまして、あとの二十億、三分の二を一般料金改正に持って参ったのであります。その結果一般料金、すなわち小口電力一般大口電力平均一六・二%と相なったのでございます。  なお、今需用分別値上げ率の内容の御説明をいたしますというと、まず電灯につきましては、総需用需用家数は五十四万軒でございますが、そのうち九万軒を占めます定額電灯は、これを現行料金のままに据え置きまして、これは値上げをいたしません。従量電灯と、大口電灯料金の一部を改正いたしまして、電灯全体では平均一三・三%の値上げをいたしたのであります。これで増収額が三億七千万円の値上げとなります。次に、電力の方で申し上げますと、業務用電力は一八・七%、これは非常に少いのでございますが、増収の分は三千万円ほどでございます。小口電力平均一六・二%、増収額は三億五千万円でございます。大口電力一般分が一七・六%、これで増収は十二億五千万円、こういうようなことになりまして、あと特別料金分が十億円、こういうようなことになるのであります。また、農事用電力につきましては、特に当地方特殊事情にかんがみまして、平均五%の値上げにとどめたのでございます。電気料金改正一般生活なり、産業全般に及ぼす影響は非常に重大であるということは十分に存じておりまして、できる限りこれを避けたいと今日まで努力して参ったのでございますが、何とかして一般値上げは避けて、特約料金で、現在の供給規程運用によりましてやっていきたい、こういうふうに念願いたしておったのでありますが、先ほどから御説明いたしましたように、非常に原価高と、並びに融通料金関係原価が非常に膨張いたしましたので、この際ぜひともこういうふうの値上げを御承認を願いたいという申請を申し上げた次第であります。  そこで、この供給規程の主要点をちょっと申し上げてみますと、この特別料金の設定でございますが、これは先ほど概略申し上げましたが、特別料金は私どもの方では前回料金改訂のときに、従来のいわゆる超過料金、罰金と申しますか、従来超過料金というものがあったのを全廃いたしまして、ほかの七社は二段料金制をとられましたが、東北と私どもの方は一本料金にいたしましたのであります。これは電気の本然の姿にするには、どうしても、一本の料金にしたいというので、前回のときにいたしたのでございますけれども、そのときより新電源も相当に増強いたしまして、荷編成以来約六五%を開発して参ったものでございますから、それで一応はこれで需給バランスが安定した、その後は他地区には融通して毛こっちの方は大丈夫であろうという見通しから、一応そういう予想から相当期間この一本料金で行けるということを十分考えまして、そうして行ったのでございますけれども、その後、非常に経済界の事情が御承知の通りの神武景気でございますので、予想以上の速度で伸展いたしまして、この資料の第一ページにございますが、やはり先ほど申しあげました数字を見ていただきますというとよくわかりますけれども、二十九年の改正のときと、三十二年度の計画とを見ますというと、ここでは一五〇・六%という数字になっております。それで、この四十三億五千二百万キロワット・アワーということに、今年決定いたしたのでございますが、これは私どもの方の三十年度におきまする五カ年計画において、昭和三十五年に四十二億という数字を決定いたしておったのでありますが、三十五年度の四一三億を上回って、四十三億というのに三十二年度に達したわけであります。年間八%くらいの増加趨勢にあったのが、三十一年度には一九%、三十二年度は二一%増加しているような数字がここに出ているのであります。そういうような事情でありますので、ことに一本料金制にいたしました関係か、電解工業等一斉に北陸東北に集中いたしましたのでございますが、そのために約二ヵ年半の間にそういうように需用が非常に殺到して参った。そこで、どうしても私どもの方ではこれは一般料金に全部対すべきものじゃないので、大口産業電力というものは一応何か基礎がはっきりせないというと、毎年料金を上げたのでは、各工場の見通しが立つまい。ことにまた、電気会社の方で考えますというと、新電源開発に見合うコスト産業計画を立てていただきたい、これが大きなねらいであります。それで私どもの方の、先ほど申し上げました四十四万キロの発電所の完成後におきまして、やはり今回の四円五十銭の融通料金に近い原価で必ずや完成する。そういたしますというと、この後は二段料金特別料金制をもって新電源原価だと考えていただきまして、今後は私どもは絶対に、これが認可になりますれば、この通りでここ、五、六年十分にやっていける、こういうふうの見通しを立てたのでございます。そこで、大口需用家の方に対しましては、どうしても新電源コストでやっていただけるということを目標にしていただくためには、この特別料金制度を設けて、これを基盤に一つやっていただきたい。一般料金の方には、それには影響をそこまで考えていただかなくてもよろしいというようなことにいたしたのでございます。そこで、今回こういう特別料金制度を、五百キロ以上の需用家に設けたような次第でございまして、その点を十分に御認識いただけるようにお願いしたいと思います。  なお、このほかに大口電力の基本料金制度の採用、これは従来需用電力料金制というのになっておりまして、契約がございましても、実際に使った最大電力料金をいただいておった。そうしますというと、契約を、非常に過大に契約される例がございますので、  非常に需給計画上困るのでありまして、その過大契約防止ということをねらいにいたしましてやったのであります。  なお、負荷率割引の廃止、これも現在の電気事情がこういうことでございますので、負荷率がいいから非常に安くしてあげるというような事情事情が異りますので、一応負荷率割引を廃止する。それから調整電力に力率条項を設定する。こういうようなことをいろいろやったのでございますが、なお、大口電力につきまして、一応電力を制限した場合に割引制度を合理的に改めるとか、使用電力壁を制限した場合には、割引料を新たにどうするとか、割引を強化するというようなこともいたしたのでございます。小口電力に対する使用電力の一部を制限した場合の割引方法についても明確に規定をいたした、こういうようなことを、大体の方針といたしたような次第でございます。  そこで、この資料の十四ページを見ていただきますというと、私どもの方の今度の料金値上げのパーセンテージが出ております。そうして改訂料金の一番下の方を見ていただきますというと、一キロワット・アワー当りが三円五十八銭二厘、現行料金ではじきますと二円八十銭です。それですから日本全国的にお考え下さいましても、また、現在が二円八十銭と改訂いたしまして、こういうことになりましても三円五十八銭二厘でございます。こういう数字でございますことをお含み願いたいと思います。全国的には五円三十何銭になっております。  それからその次のページ十五ページに、これは参考までにここへちょっと記録したのでございますけれども融通電力の契約の概要がここへちょっと出ておりますが、平均四円五十二銭、これにはいろいろ形の変ったものがたくさんございますので、非常に複雑性を持っておりますが、こういうふうに一日のうちに四時間を制限してさましたり、九時間を尖頭時に制限しましたりする電気も全部受けまして、そうしてそれを全部うまく料理をしまして消化して、需品家に差し上げるいろいろの苦心をして融通を受け取るということをお含み願いたいと思います。  以上申し上げましたような次第でございますが、ぜひとも今回の料金は、申請通り御認可していただきたいことをお願いいたします。
  7. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、電気事業連合会専務理事松根宗一君。
  8. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 私、電気事業連合会専務理事をいたしております松根でございます。きょうは会長の管がまかり出ましていろいろ御説明を申し上げるはずであったのですが、寒いので、急に神経痛を起しましてこの間から寝込みましたので、私がかわりに参上いたしました。  ただいま東北北陸両社から料金改訂のことについてそれぞれ御説明がありましたので、その点につきましては私意見を申し述べませんが、全体として日本の電力事業の電気料金というもの、あるいは電気コストというものはどういうふうになってきただろうかということを最初に申し上げてみたいと思います。  この電力需用増加に応じて計画的に電源開発をいたして参るわけですが、普通の状態でありますと、普通の需用増加というものは年に六%か七%ということで、従ってそれに応ずる電源開発をやって参ったわけであります。ところが、この新規の発電所の原価というものは、先刻からるるお話がありましたように、水火力ともに従来のものより非常に高いということが、電力料金の問題にむずかしい問題を生じてきて、普通の商売であればたくさん売れば、だんだん安くなるというのが、たくさん売ればだんだん高くなるという妙な現象に相なっておるわけであります。全国平均で申し上げますと、たとえば火力の場合だと、従来の古いものでも、一キロワット・アワーあたりが六十三銭ぐらいになっておりますが、新しく作りますものは一円五十八銭、これは今申し上げたのは大体火力でございます。水力におきましては、古いものは九十四銭、新しいものは三円七十六銭というふうに、三、四倍近く水力においては上っておる。従いまして、需用が六、七%というふうに緩慢にふえて参ります場合は、その間、技術の改良なり、ロスの軽減なり、あるいは企業合理化によりまして、ある程度それが吸収していけたのでありますが、昨年来その需要の増加が、三十一年度においては一七%、今年度においても少くとも一五%はふえるだろう、従って電力は足りない、こういうふうに非常に需用がたくさんふえますために、新しい高いコスト電源開発していく、そういうコストが入ってくるということに相なるわけでございまして、全体的に見まして、こういうふうに急に需用がふえますと、その電力が不足する以外に、非常に収支の上に大きな影響を、つまり吸収し得ない分が出てくるわけであります。特に今回料金改訂申請された東北北陸の両社は、もともと水力地帯の安い原価の地底でありましたために、料金も比較的安いところであったのでありますが、そこへ持ってきてその地区に特に需要がふえ、たくさんの工場がそこに集まったために非常に需用がふえた。昨年のごときは、なかなか両社だけの手持の電源では間に合いませんで、他の七社が総動員いたしまして、古い火力まで動員いたしまして融通を行なった。それでも相当の期間、御迷惑をかけるような状態であったのであります。ともかくもそういうふうに特に需用が急増するところほど、採算が悪くなるという現象を呈しておるのであります。  しかし、この傾向は他の七社におきましても同様でありまして、特にこの両社以外の東電、中部、関西、九州、その他、火力を使っておりますところは、最近新鋭火力という非常に優秀な火力ができまして、石炭の消費量は減ったのでございますが、炭の値段が非常に上って参りまして、今年一部値上げのきまりかかったところ等の標準を見ましても、一年に八十億ぐらいの石炭の値上げを負担しなければならないという状況であります。従って先刻来申し上げましたように、ある程度の需要の増加でありますれば、その値上げ吸収できると思いますが、こういうような急激な膨張に対しましては、とうていそういう企業合理化、新鋭化等で原価値上げ吸収できないという状態になっておるわけでございます。そこへ持ってきまして、特に皆さんにお聞き願いたいのは、コストの上がる方では、水利権の使用料が値上げになりますとか、従来ありました資本税の軽減措置というようなものが廃止になるというような悪い方の材料がここに重なって出て参りました。一段と電気事業の収支を悪化させております次第であります。従来比較的需用の伸びも普通であり、また、過去数年割合豊水に恵まれておったという時代は、割合に黒字で、従ってそういう社内留保が収支の上に返りまして、非常によかったのでありますが、先刻来申し上げましたような事情から、この東北北陸両社のほかにも、おそらく赤字になります会社が、数社私は出てくるのではなかろうか、赤字になりますということは、多少ともそれを補うために、料金値上げを必要とするという会社が、今後数社出て参るのではなかろうかと想像されるのであります。  これは電力料金のような政府の認可を必要とする料金というものの一つの考えなければいけないことは、事業を発展させ、言いかえますれば、電気事業の場合に、電源開発を積極的にやるというようなことは、あまり料金を押えますと、非常にその企業意欲といいますか、企業努力というものが萎靡するのではないか、これはかえって日本の電気事業、ひいては日本の産業全体に、かえって悪い影響を与えるのではないかという反省が、私は必要じゃなかろうか、これは単に電気事業だけではないと思うのでありますが、料金を政府で認可される事業については、特にそういう問題がある。この問題は社会上、あるいは産業上、非常に影響を与える問題で、ただそれじゃ上げたらいいという問題ではないと思うのでありますが、そこにおのずから一つの合理的な線があるのではなかろうか、こういう意味において、電気事業の料金につきましても、その辺のことを、他産業とにらみ合せて考えなければいけない時期に来ておるのではなかろうかと存じます。  たとえば、同じような性質の料金を戦前と比べてみますと、大体電気料金というのは戦前に比べまして百五十倍くらいになっております。これに対して鉄道、ガス、郵便というようなものは、大体二百倍から三百倍くらいになっております。これは一般の消費物価が三百何十倍になっております、それから見ますと、まだこれでも低いのでありますが、特に電気はそういうふうに低い料金でもいけたということは、いろいろ理由もあると思うのでありますが、割合に設備の近代化が、これを補ったのではなかろうかというふうに考えておりますが、それにいたしましても、先刻来申し上げたように、こういうふうな急激の膨張では、吸収しきれない現状に来ておると思うのであります。  それから外国等の料金に比較いたしましても、これは一、二の例でありますが、アメリカ等の電灯料金は十一円くらいのものが多うございます。それから電力につきましても、五円台のものが多いようでございます。従いまして日本の産業……、特に安い料金はアメリカ等にもございますが、普通の料金といたしましては、そういう程度のものでありますので、特別に安い料金で、日本の産業が海外に競争する必要はないのであります。ある程度に、世界の水準までの程度は、電力事業の発展も考慮してやる必要があるのではなかろうかと存じます。  それからさっき委員長から御質問がありまして、両社の今度の料金制度は、特に北陸電力特別料金制度の問題についてどうかというお話でございますが、もともと九電力料金につきましては、従来は一斉にいろいろお取り扱いを願っておったのでありますが、その後は各社も独立採算になり、しておりますので、個々にその需用に応じて処理するということになっておりますので、今回もたまたま、両社の二つの会社がそういう事情が起ったのでありますが、特別料金の問題、あるいは一本料金の問題等は、これはまあ理屈から言えば、いろいろあると思うのでありますが、特に北陸さんの特別料金は、今後は電気は高いのだ、その分だけは高く買ってもらいたい、まことに原価計算主義といたしましては、はっきりした考え方だと存じます。しかし、この料金というようなものは、大体需用家の方がお払いになるわけでありまして、その間の長い歴史といいますか、取引といいますか、この需用家の方の御納得の上でできる、御都合のいいような制度がいいということになりますので、それぞれの地区の特殊の事情を勘案して、各社でおきめ下さることが、あまり違ったものは工合悪いと思いますが、少々の違いはそれでもかまわんのじゃないかというふうに考えております。そのうちにいずれが、やっておりますうちに、これはこっちの方がいいというような問題から、自然に統一される時期がないとは言えないと思います。  それから、去年やりました電力の融通の問題でございますが、ことしも電源開発が間に合いません。といいますのは、予定以上に電力需用がふえましたので、九柱間で電力の融通をやって、急場をしのごう、大体年間十億キロワット・アワーぐらいのものをかき集めて融通しよう。それでもなかなか電力が足らぬというような状態でございますが、この状態も極力昨年末からこういう事態に備えて、電源開発を促進しておりますので、おおよそ三十四年か五年になりますれば、大体需用に追いつく供給力が得られると思います。  現在行われております融通料金の単価の問題でありますが、これは大体運転実費と申しますか、石炭代に運転する人間の費用等を見ました程度でありまして、それで各社がもうけを出す、もうけを取って融通するという建前はとっておりません。ただ、そういうふうに融通いたしますときは、どうせ電力が足りないときでございますので、非常にコストの高くなる古い発電所も一緒に使うというようなことになりますので、勢い先刻来お話しのありましたように、融通料金原価が高いということに相なるのかと存じます。  大体私から申し述べたいことば以上であります。
  9. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  それでは需用者側の御意見といたしまして、日産化学工業株式会社社長栗西清君にお願いいたします。
  10. 栗西清

    参考人栗西清君) 栗西でございます。私ども電力の消費的の立場から、少しばかり申し上げてみたいと思います。  私ども北陸電力管内にあるものでございまして、北陸電力さんが、近年非常に電源開発に力をいたされまして、非常な努力を払われたことには、私ども需用家として、非常に敬意を表するものでございます。  ところが、新規開発とか、並びに融通電力増加というものは、需用のふえるに従ってこれは昨今のような状況を来たしておりますが、このために、今松根さんからも申し述べましたように、そのために電力料金が多少アップするということは、私どもやむを得ないことじゃないかと思いますが、しかし、企業というものはそれぞれの立地条件、それからその時の状況、歴史的の状況によって、いわばこの現在の日本の状況におきましてはいろいろの物価の、価格の基礎をなしてきておるのが実情でありまして、これを一挙にして非常なアップにしたときにはこの価格体制、そういったものも相当こわされるのじゃないかと思います。しかも、電気というものは御承知の通りいろいろ原料用に使ったり、あるいは動力用に使ったりする面において、おのおの質的のその使い方の差があるものでございまして、わずかな電気の量から価格の非常に大きな物を生産する工業から、あるいは電解、電炉工業のように非常な電気を原料として使うものは、その製品のコストの面に占める電力の量の価値というものは、価格というものは非常に大きい。これが一挙にして大量に上るときには、その物の価格のはね返りによって、いわゆる私が今申しました物価の体系というものも、急速に変化しなければならぬような事情があります。    〔委員長退席、理事古池信三君着席〕  そこで、たとえばまあ肥料のようなものにいたしましても、いろいろ肥料審議会だとか何とかいうような席上におきまして、原料が上ろうが上るまいが、一挙にして政治的の圧力によりまして、価格はこれでなければならぬというような一応の原価はとるようなものの、非常な何といいますか、政治的強制力のあるものによって、そういう原料の価格の吸収というものはなかなか認められないような工業もあります。そういうことはむろん政治上の情勢からいろいろおありになることとは思いますが、公益事業たる電気と同様にそういったものについても、同じような取扱いを、これは一例なんですが、されるということは、はなはだ需用家の立場としてはあまり賛成できがたいものでありますので、まあとにかくいずれの業種にしても、原則的には電気の大幅な値上げをするというようなことは、私どもは賛成できないのであります。  で、たとえばわれわれの地区におきましても北陸の電解、電炉工業というものは二十五工場をもって連盟を作ってございますが、この連盟によって、その消費する電気を一応北陸電気さんの計算上からいえば、三十億以上の赤字が出るということなんでございますが、これらが非常に今の計算によけい使う面からおそらく二十四、五億くらいなものはこの大口電力によって負担されるような計算になるのじゃないかとさえわれわれは考えております。今のこういう急激な、大幅な電力の値上りというものはあまり私どもは賛成できないのであります。しかしながら、これをまず電気会社の側に立って考えましても、なぜこんな大幅な電気値上げが来るんだというと、とにかく九億キロワット・アワーからの年間融通電力を受けている、この融通電力の値段というものがまあ北陸電気の値段に比べて非常に大きな値上りであり、しかも、全体の使用から見て、大きな量的ファクターも占める、こういうところにこの融通電力値上げの大きさがあって、しかもこれのはね返りが、ほとんど大口の需用する工場に負担が来るというようなことで、こういうようなことは、われわれ消費者もそうだし、電力会社もそうでありますが、一応やはり国家的の見地から考えていただいて、いろいろの物価体系をあまりこわさないように、しかも、徐々にいくということならばなんですが、昨今のようななんでは、なかなか徐々というような形ではありません。で、聞くところによると、融通電力の単価というものも相当の値段のようでございますが、しかしこれとても、たとえば北陸は水力地区でありますが、この水力地区が二十五年から二十九年かくらいの間に火力電気の非常に困っている時代には、おそらく北陸電気から火力地帯に、価格にすると十数億というようなものを融通して、これは北陸電気が応援した形になっていると思うのであります。しかるに、昨今北陸のこの地区におきまして、いろいろな工業の勃興から、この電気の使用量が急速にふえたということでありますが、今も松根専務理事からも申されたように、まずこの二、三年たてば、相当の電気開発もできようというような際でありますので、こういうようなことも勘案されて、要するに地区的な問題も、国家産業的に、もう少し大きな角度から割り切っていただいて、非常に物価体系をこわすような措置をとっていただくことは望ましくないのでありますので、この辺を政府御当局がお考えいただきたい。  しかも、私ども電気はしろうとですが、北陸は富山といえば日本一の電気王国なのでありますが、この電気王国に電源をどっさり持っているにかかわらず、北陸電気というものは、九電力・会社に比べて送量が小さなものであります。しかも、自分のところには、電気をうんとかかえているので、水力から応援するときは応援するんだが、火力から今度応援される場合には、これは何も送電線によってずっと来るわけではないので、北陸電気の持っている電源から、それをただ帳簿の上で、あるいは実際的には交換するような形において電気の援受が行われるので、電力会社の計算はこまかいことは知りませんが、おそらくロスの計算なんというものについて、かなり私どもの考えによれば、サバを読んでいるのではないかとさえ考えられるので、こういうようなところもよほどお考えになってやっていただかないと、非常に私は困ると思います。  それから特別料金制の北電のお取扱いですが、これは私ども大賛成するわけであります。なぜかと申しますと、一本料金制度電気の本質から言ったらば、あるいはほんとうの理屈的にはそうかもしれませんが、わが国のこの電気事情というものは、これはずいぶん発送電になったり、九分割になったり、いろいろ変遷は経てきておりますが、何のかんのと産業構造上、あるいは先ほど申した物価体系、そういった需給のバランス、これらのものがうんと錯綜して今日の過程を踏んできておりますので、無条件にこれらを御破算にして、この電気料金をきめるということには大反対でございます。そういう意味におきまして、今回の北電の特別料金制度に関しましては、私は賛意を表するものであります。で、まあ、この北陸地区の電源地帯、こういったものはいわゆる昔でいうと、豊富低廉な電気があるから、電気を使う工業として立地的によろしいんだというようなことからきておりますが、昨今の状態では、こういう優位性はまことにおかしな格好でだんだんくずれ去らんとしております。こういうのも新規需用増加によるものでありますが、しかし、今申しましたようにいろいろな物価体系や需給の状況、産業の構造、こういったものが織り込んできておるわけでありますので、こんなものを一挙に御破算にしたときには、あとは悪天候と輸送の非常な不利な状況のみが残るものでありまして、決して、私はもう少し大きな電気産業的な意味から見て、この値上げに対しては無条件な大幅な値上げに対しては賛成できない、こういうことでございますので、どうぞよろしく一つ……。
  11. 古池信三

    理事(古池信三君) ありがとうございました。  それでは次に、株式会社鉄興社専務取締役前島憲平君にお願いいたします。
  12. 前島憲平

    参考人前島憲平君) 私は鉄興社専務前島でございます。  鉄興社としましては、総合電気化学工業を経営しております関係上、各種の業界団体に参加しております。すなわちソーダ工業会とか石灰窒素工業会とか、その他いろいろの会に関係しておりまして、これらの関係しておる業界としては、今回の電力値上げはある事業につきましては致命的な影響があります関係上、反対をしておる次第であります。従いまして私としましてはこれらの団体には関係なく、鉄興社独自の見解におきまして申し上げたいと思っております。当社は先ほど申し上げましたように、総合電気化学工業を経営している関係上、電力は相当多く使用しております。一カ年に約五億キロワット・アワーに達する状況でございまして、今回の電力会社申請通り値上げをするとすれば、年間に二、三億の支出となります。しかもまた、一方おもに電力を使用して作る製品の輸出というものは、当社だけでも年間に約三十億の輸出をしておる次第でございまして、輸出先はアメリカとか、ドイツ、イギリス、スエーデン等で、契約は最低一カ年、米国のごときは三年の長期にわたる契約をしておる次第でございます。従いまして現在の電力の単価で国際競争入札をいたしまして、これだけ輸出ができておるのでございますが、今後電力値上げが行われれば、だいぶ輸出が減退するのじゃないかということを案じておる次第でございます。特に今年の春に、かかる、天災かもしれませんが、非常な電力の不足を来たしまして、輸出品も数千トンの未納をきたしまして、国際信用を害してはなはだ残念に思っておる次第でございます。    〔理事古池信三君退席、委員長着席〕  しかし、電力会社社長より、るる陳述されましたように、料金値上げをして新鋭火力の増設とか、新規水力の開発等を行い、電力の量並びに質の向上をはかるという話しであり、この点につきましては私としても大いに賛意を表する次第であります。現在の電力単価は、あるいは見かけ上安価のように見えますかもしれませんが、実際には年中を通じて完全使用はできず、使用できる期間は二カ月とか三カ月程度であって、あとの月は月により、日によりはなはだ増減があって、工場の能率は非常に悪く、これらを考慮すれば、少々の単価は上っても、電力を豊富に得られることは、われわれとしては非常に喜ばしいことで、この点についてはある程度の電力値上げはやむを得ないと考えておる次第でございます。この値上げについて申請の内容を見ますと、大口電力のみにしわ寄せをしておるような観があり、値上げは公平に、小口電力もまた一般電灯電力についても及ぼしていただきたいと考えておる次第でございます。  もう一つ電力について失礼でございますが、皆さんあまり詳しいことは御存じないと思いますが、今回の申請中に負荷率の割引きというものを廃止するように書いてございますが、これは工場としましては、従来電力会社の非常な慫慂によりまして、相当の費用をかけまして、負荷率向上をはかった次第でございますから、この負荷率向上を簡単にこの際やめるというようなことは不賛成でございます。  その他いろいろ申し上げたいことがありますが、私の意見としまして、これだけを申し上げておきます。
  13. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、特に中小企業の立場からお話願いたいのでありますが、福島県中小企業協同組合中央会副会長、川俣精練株式会社取締高橋利吉君。
  14. 直橋利吉

    参考人(直橋利吉君) 私は福島県の高橋であります。大体中小企業、率直に申し上げては小口需用の立場から一応申し上げます。  私は川俣精練に関係しておるのでございますが、私の地方、福島県といたしましては、大体私は織物ですから、あまり電気のことあるいは全般のことはわかりませんが、福島県を土台として一応申し上げます。私の県では広幅織機、二十七インチ以上の織機が八千七百台、それから小幅織機が一千三百台、合計一万台であります。それで大体におきまして年の生産が五十一億と、こういうような生産を持っております。それで電力量は非常に小さいので、小口でありますから、お話しにならんかもしれませんが、大体現在におきまして三千三百六十万支払いをしております。それを区分しまするというと、大体において広幅において三千七十万、小幅において二百九十万、これを匹に換算、まあ割当ててみますると、電力料金が広幅で三十円七十銭、現在の動力であります。それから小幅において十円三十銭支払っておる。これにかりに会社の御要望の二割一分というものを加算されれば、これ以上になると思うのであります。いずれにいたしましても、われわれといたしましては大体三十二年度の生産目標は一〇%増産というように考えております。従いましてそれによって採算いたしまするならば、料金は三千八百円ほどになります。これは二割一分を加算いたしまするならば、四千五百九十八万という新しい料率によるところの料金になると思うのであります。それで仕事が御承知の通り中小企業でありますので、なかなかその価格差の負担というものは、われわれ業界は小さいのでありまして容易でないのであります。ことにわが国の繊維は化学繊維が非常に発達して参ましたために、すでに生産が過剰になっておるのであります。それで販売の方におきましても相当無理がございますので、なかなかこういったようなことは、容易でないとこう考えておるのであります。どうしてもわれわれといたしましてもこれを調整して品質のいいものを作り、また優良な品物をコストを安く上げる。こういった場合にそれの反対の現象を生ずるようなことは、これはなかなか容易でないと考えるのであります。それでどうしてもわれわれといたしましては、全面的にこの値上げということに対しては反対であります。しかしながら、先ほどお話しのように、三十五年度には大体に第一目標に対して、豊富なる電力量をわれわれに供給して下さるということでありますので、ある程度はわれわれもそういうような大きなる考えから、まあわれわれといたしましてもできるだけしのがなければならぬと思うのでありますけれども、全面的に賛成はいたしかねるのであります。  今回の東北電力さんの値上げは、平均が二割一分、最高が四割六厘、こういうふうになっておりまするが、わが福島県といたしましては、御承知のように発電県でありますにもかかわらず、今回の値上げが、かりにこれが実施になりまするとするならば、東京電力よりは、いな九電力会社の中でも相当高率なる電力料を払わなければならぬ、こういうような状態にありますので、需用家といたしましては全面的の賛成は絶対いたしかねるのであります。これはいろいろ事情がありますが、異常渇水期によるところの欠損を大衆に転嫁するというような、これは語弊がありますが、そういうようにわれわれとしては考えられるのであります。いやしくも独占企業でありまするところの東北電力さんが、値上げする前に、もっと真剣な会社自体の内部の合理化をはかっていただくことが当然でないかとこうも考えております。三十一年度の上半期におきましても、あまり私は詳しいことはわかりませんけれども、大体借入金六十七億のうち、安い金利をお使いになって六分五厘で、わずかに八億円だけ開発銀行からお借りになる、その他は市中銀行から相当高率でお借りになっている。こういうようなことも一応考えてみなければならぬ、こう考えておるのであります。ことにまた、経営面から見まして渇水準備金、あるいは利益準備金等の計上はいたしておりません。ことに高率高率といっては語弊がありますが、一割でもずっと継続的に配当を続けている。また従業員のベースにおきましても二万百六十円、三公社のベース一万七千円と比較いたしますならば、まあまあ高率なる支払い、こうも考えております。また役員の手当でありますが、三十一年度から三十二年度、三十年度から三十一年度の比較を見ますと二千二百九十八万円ばかり増額しておる、これは二・六倍こういうような増加になっているように記憶しております。少くとも設備の近代化をはかりまして、機械化を十分に活用されまして、でき得る限り人件費を軽減し、もちろん、そのほかにもいろいろございまするが、もしこのままに会社の値上げをうのみにして、これが実施に入るというようなことになりまするならば、わが福島県、いな東北の恵まれないところの中小企業は、振興どころか、実に沈滞の一途、あるいは破滅に追い込まれるような状態になるのじゃないか、こういうようなことも考えておりますので、どうか電気会社さんにおきましても、最小限度にとどめておいていただいて、あまり大幅なこの値上げは十分御自重願いたい、こう考えます。以上であります。
  15. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  では、参考人の六君の御意見の御開陳は終りました。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  16. 藤田進

    ○藤田進君 時間がないようでありますし、それぞれ委員の皆さんの御質疑もあるようでありますので、若干の点についてお伺いをいたしたいと思います。お伺いをいたします大きな点としては、新規設備が順次増大して、これに関するコスト高、それから他地域からの融通電力料金影響、こういったような点が主たる実情のようでありますが、先ほど高橋さんからも述べられたが、この前の二十九年の十月にきめられたときの条件としては、三十年の四月以降料金については、一そうの企業努力をするのだという点と、それから税及び金利の負担の軽減の措置をこれは政府がはかるのだという、こういうことになって昭和三十年四月以降再検討しよう、それが今日まできたわけでありますが、単純に電気料金を上げた方がいいか、上げない方がいいかといえば、これは安いほどいい、上げない方がいいということは、これはだれも言うことだ思うのですが、ただそこに、そう簡単にいかないところに、関係者の悩みがあるわけであります。ことに本年度国家予算との関係、この影響するところが、あるいはインフレの傾向になりはしないか、諸物価の値上げに大きなやはり電気料金が役割を演ずるということも、政策としては問題がありましょうしいたしますので、この際企業努力がどの程度、資料を見ますとロス率の低減とありますが、その他企業努力の点、どういうふうにおもな点を努力されておるかお伺いをいたしたいし、それから公租公課、税、あるいは金利その他の主として施策に待つ面で、どの程度の軽減がはかられてきたのか、はかられてこなかったのか、まあ私の見るところでは、税制上の関係は、金利等を含めて、必ずしもこの前の決定のときの条件とは逆行したようなふうに考えるのでありますが、しかし、この点が、東北北陸並びに松根さんの方でどういう恩恵を受けてきたか、こないか、この点をお伺い申し上げたいと思います。一つ一ついきましょう。
  17. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) ただいまの御質問でありますが、企業努力をどれだけやったかというお話しでありますが、それは先ほどの陳述でも申しあげましたが、ロス率これがまた非常に大きな問題でありますが、前回申請の際には二三・四%でありますのが、それを今回の申請におきましては一六・七%に減っておりますので、相当にロスの低減ということには努力をいたしたつもりであります。それから人件費の問題でありますが、従業員の数が一番はっきりわかると思いますが、これは、先ほどの陳述にも申し上げたのでありますが、前回申請では二万五千二百人を基準として申請いたしましたが、今回は一万五千人、二百人減っております。しかるに、設備は先ほど申し上げましたように、五六%も発電力において増加いたしております。そのほか、いろいろな設備も先ほど申しげたように相当に増加いたしております。それにもかかわりませず、人間の数はかえって減っております。このことで大体おわかりいただけるのではないか、かように考えるわけであります。  それから金利、税の軽減の問題でありまするが、これは連合会の方から松根専務出席いたしておりますから、全般的の問題として、これはひとり東北電力だけの問題ではありませんので、全般的にお答え願う方がいいと思いますが、ほとんど税の軽減は、軽減の方じゃなく増税になっておりまして、きわめて最近におきましても、設備使用料は相当値上げになっております。金利の方は、何がしか下った面もありますが、御承知の通り足踏み状態になっておりますので、一時は何がしか減りましたが、開発銀行関係の六分五厘は据え置く、一、二厘いわゆる長期金利、市中銀行なり、あるいは債券発行銀行からの金利は何がしか下っておりますが、これはあまり大きな額にはなっておりません。そういったような状態でありますが、詳しいことは、おそらく連合会の方に、何か数字的の根拠が、あるいはあるかもしれませんが、私は大体以上だけをお答え申し上げます。
  18. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) 北陸から御回答申し上げます。先ほど差し上げました資料の方で、資料の十ページにロス率の数字が出ておりますが、私の方は一一・一%という、非常に低い数字でございます。全国的には一五・五になっておりますが、これまで一八・五三から一一・一までやりますには、いろいろな設備の改良から、技術的に非常な努力をいたしておったのであります。なお、その下に「一人当り販売電力量の推移」というのがございますが、これはむろん電源開発が進みましたから、人のふえない割合に電気がふえた。しかし開発いたしますというと、発電設備がふえ、変電設備がふえ、送電線がふえるわけでありますが、いずれもそこに人が配置されるのであります。そういうふうに、増加すべき人が、あとで申し上げますけれども、かえって数が減っておりますので、従って二十六年のときには三十五万三千キロワット・アワー余りの一人当りの販売電力量が、三十一年の実績で六十六万でございます。三十二年の推定では、七十三万キロワット・アワーくらいの予定でございます。そういうふうな状況でございまして、九ページのところでも、二十九年度と三十二年度の原価関係の比率が出ておりますが、人件費のところでは、二十九年のときには、六千八人ということで申請いたしておったのでございますが、今回は五千九百四十二人でございます。先ほど申し上げました電源開発で、約六五%、二十三万五千キロほど増加いたしましたのと、今回また三万一千キロ増加いたします。そういうふうな状態にあるにかかわらず、かえって人数は百名ほど減っておる、こういうふうに御承知を願いたいのであります。こういうふうで、いろいろ機械化もいたしますし、また、技術的にもいろいろな研究もいたしますし、あらゆる面で企業努力をいたしておることを申し添えておきます。  それから金利の問題は、今、内ケ崎社長からもお話がございましたように、これは電気事業の全般の問題でありますが、なかなか下りません。やはり開発銀行の金をできるだけよけいいただくようになっておりますけれども、これもやはり一定の基準がありまして、工事量に比例してお借りすることになっておりますから、やはりあとは市中あるいは興銀、長銀の金利の商い方でございますので、あのときのお約束通りにはなかなか下っておりません。これだけ申し上げておきます。
  19. 藤田進

    ○藤田進君 全般的に、これは要するに東北北陸のみならず、ひいては全社的に、いわゆる全国的な電気料金値上げの発端になるんじゃないか。これに関連して、今比較的反対というか、需用家の皆さんの御意見もお聞きの通りあるわけで、これは必ずしも東北北陸ばかりでなく、他地方からも反対的な意見需用家の側から述べられておる。これは無理からぬことだと思います。これについては、昭和三十年の四月以降は、企業努力もするし、税なり金利なり、そういう面で料金値上げはしないようにやろうではないかというような条件があったように思うんです。企業努力の点については、今若干の点について触れられたのでありますが、その後、たとえば財政投融資については、優先的に電源開発に多量に回して金利の軽減がはかられて、キロワット当り開発資金コストも、かなり軽減したとか、あるいは高橋さんのお話を聞くと、かなり電源会社はけしからぬようにも私ども聞いておるわけでありまして、そんなに高い金利のものを借りなくてもよさそうに思う。それから税の問題については、これは政府が議会に提出すべき性質のものですけれども、これについても、若干その後料金値上げに関連して話があったのかどうか。現在のところまだ電気その他基礎産業に対する直接的減税とかいうふうなものは、あまり多くは見当らないわけですけれども、それらについて、もしおつかみになっておるものがあれば、この際お聞かせを願いたい。
  20. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 今、藤田委員からお話がありました通り、ぴったり合いますかどうですか。今の企業努力の点を、もう一ぺん九社の現状を申し上げますと、大体人間は減っております。約当時に比較しまして、二%ぐらい減っております。それから販売電力職、つまり電力の方は七〇%ぐらいふえておりますので、結局一人当りの販売電力量というものを出してみますと、一人の扱い高が約六九%ふえておる。これはまあそういう一つの機械化、合理化企業努力ということになるだろうと思います。それからもう一つはロスの問題でありますが、これは二十九年当時が約二二%でありましたのが、今九社平均では、一八%に下っております。これは累年ずっと低下してきております。それから石炭消費量でございますが、これは需用者には関係ございませんが、間接にしかございませんが、これも大体キロワット当りの消費量が、二十九年が〇・七二、三十一年が〇・六四というふうに大幅に下っております。まあこういうふうに、わかりいい企業努力の結果を申し上げてみますとそういうことです。  それから金利の問題は、今ちょっとここに計数を持っておりませんが、まあ開銀資金の問題は、一昨年非常に金融緩慢になりまして、まあそういうときは政府の金を使わないで、長岡の金を使えということで一時開銀資金が減りまして、たしか昨年は百二十億に減りました。当時われわれが要望しておりましたのは、三百五十億を要望しておったのでありますが、百二十億しか使えなかった。ところが昨年のくれからことしになりまして、だんだん金融が逼迫してくるし、電気も足らぬ、これは大へんだというので、昨年のくれに追加して、四十億開銀利子をつけて借りました。ことしはこういうふうに大幅な電源開発をやらなければならぬというので、四百億をお願いしたのでありますが、これも削られまして、二百四十億というように減っております。そこで一般金利は、当時から見ますと、確かにお話しのように、社債、市中金利ともに低下しておりまして、おそらく一割が八分ぐらいになっていやしないかと思います。従って全体としての金利の率は下っておると思います。ただ、最近は金利もまた上りかげんのところへもってきて、非常に資金が足りない。今年度の全体の九社の所要資金が約二千四百億ほど要るのでありますが、とりあえず二千二百億程度までいこうとしておりますが、社債の発行も非常に窮屈でありますし、市中の方も相当融資がむずかしいものですから、一応二千二百億としても、二百億くらいお金が足らぬ勘定に今なっております。これをどういう形で調達するか、今政府の方にも政府の余裕資金の放出を、社債市場なりあるいは開銀融資を通じてなり、やってもらうことをやっておりますが、金利自体ということよりも、むしろ金の総量に相当問題がことしはあるように思います。  それから税金の問題は当時私連合会関係しておりませんので、前のときのお約束をはっきり覚えておりませんが、少くとも税金額を負けてもらったという事実は一つもないようでありまして、むしろ逆にさっき申しましたように増資免税が廃止になる、これで三十二年度だけで約十億くらい負担がふえると思います。それから重要物産免税、これも廃止になりまして約五億、それから水利使用料が上りましてこれは約十億、これで全体で二十五億ないし三十億くらいの公課といいますか、そういうものがふえる勘定になっております。これらについては、たびたびそのつど各政府、議会方面にも陳情をいたしましたのですが、お取り上げを願えませんで、逆に税金がふえるというような格好になっております。
  21. 藤田進

    ○藤田進君 東北北陸両社にお伺いするのですが、要するにかつての再編成のときに電源の帰属ということでずいぶん話し合いがなされた結果、現状のようなことに当時落ちついたと思うのですが、振り返ってみると、東北北陸のようにいわば電源地帯の会社におかれては当然行政区域とかあるいは配電せられる区域とか、そういうものからこれを単純に見れば、あるいは東北の場合に猪苗代を中心とする電源というものは東北に帰属すべきではなかったろうか、あるいはまた、北陸について黒部も同様言い得るわけですね。他社配電区間を通したタコの足のように長いところに、ぽつんとどっかに東京電力関西電力の発電所がある。今日見ると、そういう電源の帰属に若干やはり問題があるからして、将来の見通し等の誤まりもあったのか、会社の力というか、要するに少し無理な開発需用の伸びに従ってなされ、その開発の結果は大口需用という形で、比較的料金の安い需用構成が占めている。そう考えてくると、需用に応じてどんどんもう料金あとの話だ、損得は別として、需用を満たしていこうということで、どんどん作られたような気がするわけですね。これから先の開発について、かかる料金改訂をしなければ、自今開発ができない。そういうことよりも、過去の少くとも昭和二十九年十月以後の開発にかかるものを含めて料金改訂を必要とされる。こうなりますと、やはり今申し上げたように、振り返って見ると、その電源の帰属ということについても、これは今とやかく言うわけじゃありませんが、将来の参考のために、若干やはりあなた方両社の地域から他の方に帰属が移っているのがかなり大きいのがあるわけで、そういう点については、今日どういうお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) お答えいたしますが、再編成の際に、ただいま藤田さんからお話があったようなことが非常に論議の中心になっておりまして、九つの会社にするとか、あるいはもっとほかの数の会社にするとか、それに伴って電源の帰属の問題、これは非常に大きな問題として論議されたのでありまするが、あの当時におきましては、あの程度に落ちつかないというと、再編成ができなかったといったような関係から、われわれ水力地帯のものとしてはまことに遺憾千万であったのでありまするが、ああいうところで一応しんぼうしたということでありますから、いわゆる電源が属地主義によって、その地域にあるものはその地域の所属であるということは、今でもわれわれ大いに望んでおる次第であります。しかし、これを望むからと申して、それを実行に移せといったようなことには、われわれはちゅうちょせざるを得ない。と申しますのは、ただいま電力業界は一応の落ちつきを見せております。これはまだ再々編成とか、そういったようなこととして取り上げることは、私個人としては少くとも日本の発展のためにはよろしくない。ごたごたするのが一番いけない。日本は現在総力をあげて、総力を結集して再建をはからなければいかぬ時代である。その際でありますから、がたがたすることが一番それの支障になる問題になるというふうに私は考えております。それでわれわれといたしましてば、はなはだ不満ではあるけれども、しんぼうせざるを得ないのだというふうに考えております。ことに、ただいまお話しのように、東北にありながら東京電力に帰属している水力発電所は約五十万キロワットありますが、これがかりに東北に移ったために東北が非常によくなる。しかるに東京はその影響を受けないということであれば、大へんけっこうだから、ぜひとも一日もすみやかにこれを実行に移すようにわれわれは努力したいと思いますが、逆に東京電力の側から申しますと、これは非常な大打撃になりますということで、がたがたするだけであるということで、われわれは一応しんぼうするのでありますが、私が東北七県に供給責任を持っておる者としては、それでははなはだ冷淡ではないかといったことにもなるわけでございますが、それは必ずしも冷淡ではないと自分は確信をいたしております。第一、がたがたするようなことは、日本全体としていかぬという問題、それから東北に局限してこれを考えてみますというと、現在東北現行料金は、今申請しているのを除いて、現行料金は最も安い料金でもって大口電力を供給いたしております。帰属はただいまのようになっておっても、東北の地域は一番安い大口電力を供給しておる。こういう状態でありますからして、わが東北七県民に対しては、私は責任は十分とは申せませんが、責任を怠っておるといったように考えておりません。おかげをもって東北開発は相当に進行いたしております。工場も続々立地されておる、かような状態でありまするから、できるだけよその会社には迷惑にならないように、自分らの区域においては独立独歩でもって、最も立地条件のいい、電力の面から申せば最も立地条件がよくなるような立場に東北電力を持っていこう、かように考えまして、今回申請をいたしたわけでありまするが、今回の申請の結果ですね、大口の電力におきましては、まあお隣りの北陸さんの方も一緒に申請しておりまするので、全国的に五百キロワット以上の大口電力は、この申請がそっくり御認可をいただいたとしても、その次に安いところの東京電力には、すれすれの線まで参っております。別に高くなっておらぬといったようなことから、東北産業興隆にはあまり大きな影響を与えずに済むのだ、かように考えておりますので、とにかく日本全体の復興のためには、この際こういうことでしんぼうして、自分らの方は、できるだけ企業努力によって、自分の区域電力供給の安定をはかる、かように考えておるわけであります。
  23. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) 北陸電力の方にも御質問があったようでありますから、一応お答えを申し上げます。再編成当時に、今内ケ崎社長からお話しになったように、この地方帰属、属地主義、これが非常に叫ばれたのでございます。それで九分割が一応きまりまして、ちょうどそのときに、属地主義にした九分割にするか、あるいは現在のような潮流主義の九分割にするか、だいぶ議論があって、まさにその属地主義に近くきまりそうなときに、非常な問題で、議会でもやかましくなりましたが、結局ポツダム政令で現在のような潮流主義になったのであります。この点は藤田委員も十分に御存じだと思います。  そこで、一応こうなりました以上は、われわれといたしましては、責任上、ことに北陸の地帯には、その水利地点が非常にたくさんございましたので、一番安い水利地点からどんどん開発をいたしまして、それで今お話しのように、無理な開発という面でなしに、非常にスムースに開発したつもりでございます。それで今日まで、先ほども申し上げましたように、一応前回のときには需給バランスもとれた。それで本然の姿に帰ろうということで一本料金にした、こういうふうに申し上げたような次第でありまして、今回私どもの方でまだ水利地点は北陸地区に百数十万キロ、あるいはそれ以上の地点が残っておりますが、だんだん経済的には価値が非常に高くなるようなふうになっております。それでも、ここの資料の六ページにございますように、現在の再編成当時の帰属の分は、一キロワット四万二千八百円でできる。ところが、その後にできたものは、三十一年までのやつは八万六千円でできている。それからことしのやつは十一万二千円というようなことになっておりますが、これはいろいろキロワット・アワー当りのやつもいろいろここに出ておりますが、要するに日本的に見まして、まだ非常に安い水利地点がたくさんある。  そこで今回私どもの方で申請いたしました特別料金は、先ほど申しましたように、今後開発するものはどうしても高くはなるが、一応長期安定料金にする。またことし一本料金にしますというと、また二、三年して上げなければならぬじゃないかという心配が起りますので、これは産業界を混乱するもとでもある。それで長期安定するには、一応二段料金にしておいていただきまして、二段といいますか、特別料金制をとらせていただきますというと、必ず五、六年長期安定料金となり、ことにこの有峰開発ができますれば、需用構成にもよりますけれども、りっぱに仕上げができる。そして今のように特別料金制を幾分、調整といいますか、ができる、こういうふうに考えておりますので、北陸地方としましては、十分御認識をしていただけると思います。  ただ、その属地主義については、北陸地方では今でも非常にやかましいのであります。ちょうどその黒部川の電力を関西に持っていっておることは非常に不合理だ。ことに関西では、今度火力料金融通料金を持ってきて、そうして向うはある電源を……、水力は向うは一円数十銭のものを持っていっている。非常に不合理だということで、非常にやかましい論議をされております。されておりますから、これは遺憾ながら仕方がないのでありますが、われわれ電気事業としては、先ほど内ケ崎社長がおっしゃったように、非常に電気事業全体を混乱に陥れぬように、お互いが緊密に手を握っていきたい。そして一般産業に支障のないようにやりたいというので、今日こうして、ないところの融通電力をお互いに無理して協力してやろうということになっておる次第でございます。その点十分お考え願いたいと思います。
  24. 藤田進

    ○藤田進君 北陸特別料金を今回新しく構想されているわけですね。で、これもバラエティに富んたやはりやり方を、テスト・ケースとしてでもやってみた方がいいのじゃないかというのが、電気事業連合会の趣旨のように聞えたわけです。で、これはおそらく現行法法規上からいけば、やはり原価主義を貫かれる建前で、このことは進められると思いますが、法の改正のない限りそうなると思いますが、その特別料金を設定されると、自然原価主義から見ても、これは常識的にはわかるのですよ。既得権を擁護する趣旨から、既設の事業ですね、電気を多くお使いになる需用家が、電気代が安いと思って設備をしたのだから、その後他の事業場その他がふえて、事業量がふえてですね、新しい発電所を作る、よって電気代が高くなる。おれたちは安いときに、安いと思って投資的な計算もやってきたのに、他の事業がふえたために、おれの方までしるというのじゃけしからぬという、この素朴な声はわかるし、それにこたえようとされる点も、新規事業に対して特別料金として高くしようというのもわかるが、ただこれを技術的に見ましてね、ことに全国的な料金設定という一つの大きなやはり目から見ると、若干やはり問題があるのじゃないだろうか。年々減価償却ももちろんされるのでしょうが、この点について、まああくまでもこれを是とされて出されたのでしょうけれども、もし北陸だけというわけにほいかなくて、これが特別料金というあの形が認められないならば、別の形の用意があるのかどうか、東北流な、やはり計算の方法になるのかどうか。  それから東北電力社長にお伺いしたいのですが、東北の場合、同じ水力を主として、今度火力を若干考えられているようですが、大体しかし条件北陸と似ていると思うのですが、北陸においてはかような特別料金を出す。東北においては出さない。それで、その点が東北振興といったような事情もあるというふうにも聞えるわけですけれども、それじゃ北陸北陸振興を考えていないのかということになる。どうも同社同席になってお答えになり、むずかしい点もあろう。そこにどうしても独特の事情がそれぞれあるとすれば、一木料金を従来と多少違った点でおやりになった点は、われわれある程度わからぬでもないのですが、今度新たに特別料金というものが出てきた場合東北の方はそれはお考えになっていないのか。これはやはり私電気事業連合会というものが全国的に見ても、料金の体系とか、論議というものが、そんなにばらばらになることは、私は危険性があるように思います。電源地帯はそれじゃ電気代安くしろというような問題も、高知県あたりにはかつて出たと思うのですね。電気事業連合会では、かなりこれは問題になったろうと思うのです。そういうことは、必ずしもバラエティに富んだ、まことに妙味を発揮するというように聞えるが、これは一つ私は政府に、そういうことを認可するかどうか、これは政府について改めてただしますが、問題があるのじゃなかろうか。そうすれば第二段がどういうふうに考えられるか。東北ではなぜ考えなかったのだろうかという点を、お伺いいたしたいと思います。
  25. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) ただいまの御質問でございますが、もちろんこれは原価主義でございまして、原価主義の基準に従って配分をいたしております。先ほど申し上げましたように、非常な急激な需用増加いたしましたのは、大口産業の、そういう電解、電炉の工業がおもなのであります。そのために原価配分いたしますというと、今の大口の五百キロ以上の需用家原価が非常に集中して参ります。集中して参りますので、それを一般的に全部に開きますというと、いろいろ先はとからちょっとお話があったように、旧来の需用家にも非常にかぶるところが多い、そういうようなところから、いろいろ研究いたしました結果、将来の新規電源開発をやります原価は必ず高くなる、申し上げましたように高くなるのを、この際はやはり産業需用家の方で計画をお立てになるのに、正しい基盤に立ってお立てになった方が間違いない。それにはどうしてもこの特別料金制の方が、かえって需用家の方の工場計画に安定感が与えられるということを考えたのであります。それでちゃんと一計算はこっちはやっております。それで万一にも一本料金になりましこの大口の三千キロ以上工は二一%になっておりますが、この二段料金を一本料金にしますと、二八%になります。それから三千キロの一般の方は三五・六%、それから特約の方が三〇%になります。こういうふうに非常にそこの率が旧来の需用家にもよけいかぶりますので、新規需用の方は実は今回需用に応じます前に、増加をなさいますのはよろしゅうございますけれども電源がなかなかあなた方の需用に追っつかない。そこで新しく融通電力をもらってくるが、融通電力もないのだ、ないから結局は火力料金になるのだが、そういう料金でもあなたは計画は立ちますかということを十分に念を押しまして、新しい設備には高くてもよろしいということが、お互いに黙契がついてあるのでございます。そこで新しい工場の方の分だけを二段料金にして、将来の正しい基盤を一つ作っていただくということの方が正しいと考えたのであります。
  26. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) まあこの問題は、だいぶいろいろな議論が出ることと思いますが、電気料金の正しきあり方と申しますか、そういう方面から申せば、まあ私は三段料金なんというものは考えられぬというふうに考えております。それは自由主義経済といったような立場から見れば、もう当然これは問題、議論はないと、こう考えますが、ただそれを今の日本の状態において実行に移す場合に、そこまでいくかどうかというところに議論が分れるのではないかと考えておりますが、まあこの問題が実際できましたのは、前回料金値上げのとき……、ただいま藤田さんからもお話がありましたように、あの際に三社と七社に分れたのです。まあ議論がありますれば、あの際に相当に議論があったはずではないかと、こう考えておるのであります。まあ、どちらでもその地区の事情に応じてやるのがよかろうという公聴会あたりの意見も参照されて、通産大臣が認可されたと考えておりますが、あの当時の事情と今も変りはないのだというふうに私は考えております。そうしておのおのその地区の状況によって、これを判断して採用したらいいじゃないか。それでまあ北陸のように、今回はああいう程度のことをやるということも、これは考えられることでありましょうし、また、私どもの方はただいま鉄興社前島さんの方からもお話がありましたように、負荷率割引もとにかく残しておいてほしいというお話しでありますが、あの程度のことだけは一つ御勘弁願おうと、それで完全に一本にするといったような程度にするのが、東北のために最もいいのだ、いろいろなお話し、御意見を各方面から値上げ申請について承わったのでありまするが、それを総合的に私判断いたしまして、やはりこれから東北の総合開発を相当に強力に進めていかぬければならぬ立場にある東北としては、どうも妙に高い料金を新しい需用家におかけするということは、総合開発のためにこれはとっちゃいかぬことじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、これを一口に申せば、赤ん坊が生れる、日本の人口が増加する、赤ん坊には高い電気料金を課するといったようなこと、これはどなたがお考えになってもちょっと変な話じゃないか。新しい需用、赤ん坊ですね。この新しい需用の赤ん坊には商い料金を課する、これはちょっと考えられぬ。それは理屈でありますから、しかし何かそういったようなことも考えざるを得ぬ時代、あるいは産児制限をやるとか、そういったようなことも考え得ることでありまするからして、ときと場合によっちゃ必要であるかもしれぬ。しかし東北としては、今総合開発を推進しようという立場におるのでありますから、それには電力が非常に大きなファクターになってくる。そういうことから東北の現実の状態から考えてやはりとるべきではないというふうに判断いたしております。以上であります。
  27. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 簡単に一、二点お尋ねをしておきたいと思いますが、今回の電気料金の引き上げに関連いたしまして、先ほど高橋さんから、ほとんど致命的な影響中小企業として受けるというような意見の陳述があったのであります。要するに、この大企業にも、もちろん大きな影響を与えるでありましょうが、それは損得の問題である。しかしながら、中小企業関係については、ほとんど生死の問題になるというような意見陳述があったと思うのであります。こういう点について、電力会社として、零細な中小企業に対してどういう今後電気料金中心にして考慮をめぐらされるおつもりであるか、その点電力会社側と、電気事業連合会松根専務にお答えを願っておきたいと思うのであります。  それともう一点は、すでに今までに藤田委員がお尋ねになったことかもしれぬですが、私、中座しておったものでありますから、もし重複しておれば、それなりにお答え願っていいと思うのであります。その問題は、九分割せられたその後の事情は、当時と相当変ってきている点があろうと思うのであります。要するに、今後電力の増強をはかる上において各社間の電力の融通の問題、特に昼間電力と夜間電力の融通の問題等があろうと思うのでありますが、九分割が電力会社経営合理化、特に電気料金の問題について有利であると見られておったのはどういう点であるか、あるいは今後不利であるというように見られている点はどういう点にあるのか、この点を電力会社側と電気事業連合会、両者の方から伺っておきたいと思うのであります。
  28. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それでは私から最初にお答えいたしますが、中小企業電気料金の問題でありますが、ただいま高橋さんから、東北電力においては二割一分二厘の値上げになる、こういうお話しでありましたが、中小企業関係に対しては、そうじゃございませんで、平均が一二・二でありますから、大口電力の方に主として大きくかかりまして、大体中小企業関係電灯等の方は約一割値上げのつもりで、大口の方が約三割見当であるということでありますので、平均は二一・二でありまするが、平均して中小企業の方にも御負担願う、かようなつもりはないのでありまして、従いまして中小企業の問題に対しては、電力会社としても十分に考慮を払ったというつもりでございます。中小企業の問題は国家的の大問題でありますから、われわれといたしましてもその点は十分に念頭に置いて、できるだけの御負担は一つ軽くお願いする、こういうことで、ただいま申し上げたようなふうに今申請いたしておる、こういう事情でございますから、御了承をいただきます。  それから九分割の問題でありますが、これはただいま藤田委員から御質問ありまして、私の所信を申し上げましたが、まあ現在せっかくああいう九分割という線を出したのでありますが、あれが、六年前にあの線が出ますまでには、たしか二年半くらいと思いますが、三年近くがたがたやっておりまして、やっときまったのであります。それを今さらまた、何がしかどういう点かにおいて便利だというわずかの理由でそういうことをかりにやったといった場合には、その利益よりも寄港の方がはるかに大きいのじゃないか、電気事業は安定しておりますから、今日だいぶおしかりは受けておりますけれども、相当に社会に貢献いたしておると私は考えております。それがまた、そういったような再編成とか何とかといったような問題、国内相剋とまでにはいきませんでも、そういったようなことのために、電気事業の発展が、私はおくれる方の損失の方がはるかに大きいのじゃないか、かように考えておりますので、私どもとしては現在のこの九分割の線で進んで参りたいと、かように考えております。なお、そんなことをするというと、お前の方と北陸の方だけ早く料金値上げをせんければならんということになって、需用家に非常な迷惑をかけるというような、こういったようなことになろうと思いますが、その点につきましては、先ほども説明したのでありますが、決して東北北陸地方は動揺いたしておりません。日本中でとにかく最も安い電力供給をなし得る立場にあるのでありますから、今回の料金値上げの結果としても、ほかの会社は据え置きだといたしましても、そう見劣りはしないのだ、こういうことでありまするから、御迷惑はかけない、日本全体としてがたがたするといったようなことで、日本の再建が足踏みするといったようなことにもならんで済むといったようなことから、われわれ三社において、まず自分らの態勢を整える、かようなことにいたしたわけでございます。
  29. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) 北陸としてお答えいたしますが、中小企業料金につきましては、実は先ほど私どもの方で特別料金を設けた、これは明らかに中小企業なり一般電灯需用家の方を上げないという思いからでございまして、従って二八・二%ほどに上るのでございますけれども、十分にその点は配慮をしまして、将来いろいろ送電並びに工事負担金とかそういう問題もございます、送電いたしますのに。そういうところに十分に配慮いたしますように今回は心がけております。  それから九分割の経営合理化の結果、有利であったか不利であったかという御質問でございますが、今内ケ崎社長からもお話がありましたが、同感でございますけれども、結局九分割をしましたために、北陸東北がああして水源地帯の区域ができたのです。従って非常に料金の安いしかも化学工業、いわゆる電気を原料にしました工業が北陸東北にできた、これは電気を原料にする、そのできた製品が初めて大阪その他名古屋とかいうところに参りまして、製品化するわけであります。これがかりに九分割がしてなかったとしますと、大阪と北陸と中部と一緒にもなっておりまするから、料金が同じといいますか、そういたしますと、いわゆる電気を原料にする製品と加工する製品との違いから見まして、やはり九分割にされておった方が、電気的に非常に有利だろう、需用家から見ましてそういうふうに考えております。  そこで今回は、融通電力の問題で、いろいろ火力電気を融通してくるというようなことになるわけでございますが、これはあくまでも私は暫定的のものだと思います。われわれの方でも有峯開発なり今後の開発を一生懸命やりますが、これが一応三十五年に需給バランスのとれるほどに考えておりますので、今それができますというと、先ほどの料金も幾分調整ができはしないかと思います。従いまして融通電力等の今回の融通電力は一応暫定的なものだと考えていただけばよくはないかと思います。以上でございます。
  30. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 中小企業の問題につきましては、今両社からお話がありましたように、できる限りの配慮をいたしておられるようでございまして、この点につきましては、私から別段申し上げることはないのであります。  経営形態の問題についてお話がありましたのですが、事業の経営形態というものは、必ずいい面もあれば、悪い面もある、これはもう絶対理想的なものだということは、必ずしもある時期には言えるかもしれませんが、長い時期には必ずしもそうは言えないというようなものの見方が私は正しいのじゃないか。たとえば今九分割に反対の立場をとりますと、全国一社にしたら、こういう御意見もよく承わりました。また、これはこれでいい面もある、また一面九分割することによる不利の面もある。そこで、われわれがこの前、電気関係しておりました時分に、いわゆる軍による国家世理というものが行われまして、日発というものができたわけであります。当時、もちろん戦争の影響もあったでしょうが、果してこれが非常に能率的な経営であったかどうかということを考え、顧みますと、必ずしもこれは全国一社がいいと、今言い切れないのであります。あるいは、あの状態で戦後今日まで来ておりまして、果してこの間これだけの電源開発なり、電気事業の発達ができたかどうかということを考えてみますと、必ずしもそういう答えが出ないと言えるだろうと思います。そこで、それでは九分割して、おのおの独立してやるところに、お互いに競争をして、切磋琢磨してやるところに、なかなかいいところがあると私は見ております。しかしながら、そうかといって、二面電力の融通その他のことにつきまして、また、最近この燃料の問題等につきまして、非常に協力していかなければならぬ面も出て参っております。最近問題になっております原子力発電等の問題も、同じようなケースだと思います。こういう問題が起るたびに、九電力がいいとか、一社がいいとか、どこどこに合併したがいいというようなことをやっておりますと。さっき内ケ崎さんもお話がありましたように、一々そのたびに企業の形が変るということは、ほんとうに混乱があるだけであって、得るところは少いのじゃなかろうか、もちろん、今の九電力の形は完璧とは私思いませんが、しかし、この時期においてもう少し様子を見て、それからおもむろに最善の方法をみんなで一つ考えてみるということが一番正しい考え方じゃないか、こういうふうに考えます。
  31. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 松根さんにお伺いいたしますが、劈頭のお話しの中に、この東北さんと北陸さん以外に、赤字で数社がまた値上げをしなければならぬというような状態にある、三社か四社でも数社ですし、五社、六社でも数社というふうに判断できるのですね。もう少し具体的に、大体どことどことどこだというようなお話はお伺いできんですか。
  32. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 実はまだ私今期の決算数字をはっきり承知しておらないのでございます。この期の各社の。しかしまあ大体推察してみて、さっき申し上げたので、さらに今期の一番問題になる点は、石炭がどうきまるかということが、非常な大きな私はファクターだと思うのです、黒字になるか、赤字になるかというところの。さっき申し上げましたように、大体今年度の石炭の使用量が千四百万トンでありますが、せいぜいそのうち四百万ぐらいのものは油でやるといたしましても、油は石炭よりもまだ高いのでありますが、そういう燃料事情が、値上りがまあ八十億から百億ぐらいになりやしないか、これは九社に分けますと一社十億ぐらいになるわけでありますけれど羊、実際は火力を使いますところは固まっておりまして、その影響がまあ非常に違うわけでございます。従いまして火力を特に使います九州のようなところは、私はこの石炭の価格の推移によりまして、非常に私は採算が悪くなってくるのではないか、同様に火力に大きく依存しておるところでは、そろばんが悪くなってくる、ただし従来の収益力に余裕のあるところでは、それは必ずしも、採算は悪くなるけれども料金値上げをしなければいけないまでいかないかもしれない。こういうようなところでございまして、どことどことは、どうしても何月から値上げしなければいかぬというはっきりした実は私見通しを持っておらぬのでございますが、もう少しすると、それがはっきりするのじゃないかと思っておりますがこの辺で一つどうぞ御了承願います。
  33. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 火力が主でないようですから、東北さんとかあるいは北陸さんには直接影響ないかもしれませんけれども火力を使っておるところから、相当高価な電力を買っておるようですから、今ここでもし申請された額でよろしいということになったといたしましても、火力の方が高くなれば、またプラス・アルファーしてほしいというような状態になれば、まことに困りますのでお伺いしたわけで、ただそうしますと、最前松根さんのお話しでは、大体八十億ほど、これは全国火力発電所の石炭の使用量の値上りをおっしゃった……。
  34. 松根宗一

    参考人松根宗一君) そうでございます。
  35. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 こういうことでしょう。今より三年ぐらい前は、関西電力さん等においても一トン三千円、今の石炭の半分以下の石炭を使っておったわけですね。ですから、今年の、三十二年度分は別といたしまして、昨年度の下半期は二百五十円から三百七十円ぐらいが値上りの最高だったのです。それでこういう赤字になるということになれば、半額で石炭たいておるときはそのまま数百億の黒字になっておる。これは私逆算してみますとそういうことになるわけです。そうしますると、石炭が半額で入るときは黙っていて、今とたんに、炭価が二、三百円上ったときに、直ちにこれはこうしなければならぬというようなことは、どうも納得ができないのですが、こういう点はどうなんですか。二年前、三年前の経理内容についてお伺いしたいんですが……。
  36. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 今のお話し、ごもっともでございまして、お話しのように数百億の黒字が出たという例はあまりないんでございますが、豊水で石炭が要らなかったということと、石炭が安かったためにいわゆる黒字が出まして、それによってさっき申しあげた、いろんな原価の高騰も吸収し、同時に社内保留としてそれが安い建設費に回って、需要家に還元されておるという状況は、一応言えると思うのでございます。それで、それではなぜ、そのときに料金を、値下げをしないかという問題でございますが、これは石炭が上ったり下ったりする場合に、こういう電気料金を動かすということは、むしろ需用家として困るのでありまして、ある程度の期間は安定した料金で供給するというのが、この事業の性質上ほんとうだと思います。そこで電気会社の赤字がだんだん出て参るということは、それが耐えられるまでは料金の位上げはしないということになりまして、過去の蓄積でそれだけ値上りを食い延ばしておる。どうしてもいかぬところで、これは値上げを行わざるを得ない状態になってくる。過去の、お話しのような豊水であったり、石炭が安かったりした当時の蓄積は、決してこれは外に流れ出ているわけではありませんので、全部社内に蓄積されまして、それが需要家に還元されておるのが、今の電気会社の経理の姿なんでありますので、言いかえますと、増配をするわけでもありませんし、役員賞与をたくさん取るわけでもありません。従業員のベース・アップでは相当ありますけれども、それが多難に社外に流れ出るということはないのでありまして、ほとんどそれが大部分社内に蓄積されて、それが安い設備となって需用家に還元していくという形をとっておりますので、そういうものが蓄積されて値上げを今日までだんだん押えてきておった。その蓄積の差が、早く料金値上げをせざるを得なくなってきた会社と、蓄積の多いところは割合にその値上げをする時期が先になるというような、差を生ずる一つの大きな原因にもなっておるかと思います。御質問、そういうことでよろしゅうございますか。
  37. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もう一つ委員長、発言を許していただきたいんですが、さいぜん、これもお話しの中にございましたが、ほかの品物であれば、多く生産すれば生産するほど安くなる、しかし電気は生産すればするほど高くなる、こういうお話がございましたね。なるほど都会を中心にしてだんだん発展していくんですから、今度遠くへいくと電線架設ですか、つまり電柱もたくさん建てなければならぬでしょう、電線も延ばしていかなければならぬ、しかし、その割には使用するキロは少いので、コストが高くつくという意味は私わかります。しかし北海道においては、北海電力は、これを受益者負担だといって十万円かかるところを、五万円から六万円も取っておるところがあります。それが北陸さん、あるいは東北さんでも、受益者負担だといって、相当受益者に対して、金額を出してもらって電柱を建てたり電線を引き延ばして、そうしてやっておられるそうですからね。どらも松根さんの御意見はちょっと逆にとれるんですが、これはどうなんですか。
  38. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 私の説明が悪かったのか、お聞きとりようが悪かったのかしりませんが、私、たとえばだんだん作れば作るほど高くなるといろ理由は、電線をたくさん引っぱるから高くなるということを申し上げたのではないので、今までの、戦前の発電所が非常に安かったわけです。それから終戦後も割と安かった。ところが、最近になりましての水力の地点が、一番大きい問題は補償費がたくさん取られる、同時に建設費自体も高くなってくる、地点がだんだんいいところがなくなってくるわけでございますね。従ってさっき西さんのお話しになりましたように、昔は、数年前まではキロ当り十万円以下の発電所があったようなものが、今は二十万円でなければできないというふうな水利地点のだんだん悪くなっていく、不利になっていくというところが、このコストの値上りの大きな原因でございまして、もちろんお話のように配電線、送電線も単価が上っております、昔から見れば。しかしそれだけではない。むしろ大きい補償費の高騰というのが、発電所を中心にしたものが、大きな原因でございます。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ことしのあれですね、日本中のあれですか、皆さん方の大体の資金は、建設資金ですか、二千五百億使われるわけですね。そのらち政府が大体二百四十五億ですか、そうすると、まあ政府の分は除いて――まあ二千五百億使われるか、二千四百億使われるかわかりませんけれども、大体まあ銀行によって金利は違うでしょうけれども平均、大体でよろしゅうでございますけれども、大体どのくらいの金利で使うということになりますか。これは両方の電力会社さんにお伺いしたいと思います。
  40. 西泰蔵

    参考人西泰蔵君) 北陸の方は平均金利が八分七厘になっております。これは開発銀行が六分五厘、社債が七分三厘、それから一般の市中銀行が、少し安いのもございますけれども、二銭三厘とか、あるいは長銀、興銀いろいろございますが、平均八分七厘になっております。
  41. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 東北電力平均は八分二厘、先ほど陳述で申し上げました。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 よろしゅうございます。
  43. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) いかがですか、この程度で……。別に御言もなければ、時間もだいぶ経過しておりますので、本件に関する調査は、本日はこの程度にとどめたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは参考人の方に申し上げます。本日は御多忙のところ、わざわざ本委員会のために御出席下さいまして、貴重なる御意見を御開陳下さいまして、ありがとうございました。委員一同にかわり厚くお礼を申し上げます。御意見並びに質疑応答の中にございました通り電気料金の問題は、きわめて重要でありますし、電源開発電力会社の経理等、今後検討を要する一のが多々あると存じます。特に大口と言わず中小企業といわず、需用者に対する影響は相当大きなものがあると思われますので、これらについては、さらに今後十分検討いたしたいと存じます。ま、政府に対しても、これが認可についてはいろいろ質疑応答の中で明らかにされました点も考慮して、十分慎重を期してもらわなければならないこともあると存じます。具体的にはこれを後日に譲りまして、本日の調査は一応これをもって打ち切ることにいたします。  参考人の方々には重ねてお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  ちょっと速記をとめて。    [速記中止〕
  45. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をつけて。   ―――――――――――――
  46. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、さきに提案理由説明を聴取いたしましたので、本日はその内容につき当局から説明を願います。
  47. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私から東北興業株式会社法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして補足を申しあげたいと存じます。これを逐条的に一々申し上げますことは、あるいは御迷惑かと存じますので、改正要点だけをかいつまんで御説明申し上げたいと存じます。  一番今回の改正の重点になりますことは、従来東北興業株式会社という名称によっておりましたのを、東北開発株式会社ということに名称を改めたわけでございます。昭和九年の東北地方の凶作にかんがみまして、昭和十一年にこの会社ができたわけでございますが、この会社は東北地方産業振興ということを建前にいたしておったのでございます。それを今回の改正によりまして、業務内容といたしまして産業立地条件整備的な業務をも、採算の許す範囲内において実施することといたしました。そういう意味におきまして、従来の振興という言葉は適当でございませんので、開発ということに名称を改めたのでございます。  で、この今回の改正の重点になりますのは、ただいま申しましたように現行法にございますところの十条の各号列記事業の中の五号に「産業立地条件ヲ整備スル為必要ナル施設二関スル専業」、これを入れたことが重点になるわけでございます。  それ以外におきまして各種の条文につきまして修正をいたしておりますが、これはこの法律が現在商法の以前のものでございますので、現在の新商法とのつり合いを保つ、均衡を保つという意味におきまして、この際に改正を加えておるものが大部分でございます。ただ一つその中で違っておりますのは、従来東北興業につきましては、政府保有株の後配制と、それから債券に対する元利保証の規定を当初持っておったのでございますが、これが終戦後の措置によりまして、御承知の通り法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律、この法律によって停止されておったわけでございます。この二つの項目の中で社債の政府の元利保証の問題は、昨年、東北興業株式会社がセメント事業を開始する際に、この制限の解除になったわけでございます。  次に、今回の改正におきましては、政府保有株の後配制の問題につきましても、先ほど申しました政府の財政援助の制限に関する法律の制限を撤廃いたしまして、後配制度を復活いたしたわけでございます。この点が今回の改正の一つの重要な点になっておるわけでございます。法律的に申しますれば、今回の会社法の改正は、従来の産業振興中心でなくて、立地条件整備のこともやる、また、従来、先ほど申しました終戦後の法律によって停止されておりました後配制度を復活する、こういうことに、この一つに尽きるのではないかと考えております。  それでは、事業内容といたしまして、今後御審議になります際の御参考に申し上げておきますと、三十二年度予算におきましては、この開発株式会社に対しまして、政府出資が五億追加されることになっております。  なお社債の発行の元利保証に対しまして、二十億の金額が予算総則によって認められておりますので、この会社といたしましては、二十五億の資金をもって、三十二年度新しい事業を実施するということになっておるわけでございます。この二十五億の資金の内容でございますが、ただいま企画庁として考えております事柄は、新規産業に約十億程度、それから既存事業の強化のために八億程度、既存事業という言葉で申し上げますと、昨年度開始いたしましたセメント事業が入るかのような印象でございますが、セメント事業の問題は、この既存事業という中には入れておりませんで、そのほかに現在やっておりますところの福島の石灰窒素工場、あるいは木友の亜炭の鉱業所、及び子会社として一番重要でございますところの東北ドックの再建、こういうことのために一応八億程度を予定したらどうかという考え方でございます。しかしながら、これらの工場につきまして、今後、検討した結果、もしも八億の資金が要らないということでございますならば、この資金はできるだけ新規の事業の方に持って参りたいと考えております。  なお、今回追加になりました産業立地条件整備の方の費用でございますが、これにつきましても一応七億円を予定いたしております。  なお、別途御審議を願っております東北開発促進法におきまして、東北開発審議会を設置することになっておりまして、その審議会におきましては、東北開発株式会社に関する重要な事項を御審議願うことになっておりますので、ただいま申しました金の使い道等につきましても、重要な問題につきましては、この審議会で御決定願うことにいたしておる次第でございます。  これをもって、簡単に、御説明にかえます。
  48. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  49. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記とって下さい。  自後の審議は後日に譲ります。本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会