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1957-04-25 第26回国会 参議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十五日(木曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員西田隆男君辞任につき、その 補欠として武藤常介君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川平治君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋  衛君            武藤 常介君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    公正取引委員会    経済部長    小沼  亨君    通商産業省通商    局次長     樋詰 誠明君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電子工業振興臨時措置法案内閣提  出) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (貿易事情に関する件) ○参考人に関する件   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  まず、前回に引続き電子工業振興臨時措置法案を議題として質疑を継続いたします。ただいま通産当局のほか、公正取引委員会から小沼経済部長、その他が御出席になっております。鈴木重工業局長から先般保留となっております豊田委員の御質問に対する答弁のため、発言を求めております。これを許します。
  3. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この前、豊田先生から下請に対する代金支払状況に対する御質問がございました。お答え申しますが、実は下請代金支払い状況につきましては、中小企業庁調べました実態調査がございますが、これは三十一年の十月に出ておりまして、三十一年の上期になっておりますので、少し資料が古いものでございますので、あと重工業局で所管の部分につきまして、おもな工場につき調査いたしました結果を申し上げます。これは三十二年の一月から三月の支払い状況を三十一年の前年の同期と比較したものでございます。  そこで、現金払い手形関係でございますが、電気機械メーカー七社について調べました結果、これを算術平均いたしました結果を申し上げますと、本年の一月—三月の現金手形支払いの割合は八〇%が現金でございまして、手形が二〇%になっております。昨年の同期は現金が七四%、手形が二六%、かようなことになっておりまして、改善状況を示しております。  それから次に、自動車関係でございますが、自動車関係の四社について調べました。これも算術平均でございますので、生産量の多いところをウエートを置いて集計しておりません。結論から申し上げますと、一月—三月の本年度現金払は五五%、手形支払が四五%、かようになっております。昨年の同期は現金が五三%、手形が四七%、かようになっております。ただ、自動車関係で申しますと、一番多く生産しておるような会社では、現金払いが九五というようなところもございます。  それから時計について申し上げますと、三会社平均でございますが、算術平均いたしまして、本年の一月—三月は、現金払いが八四%、手形が一六%となっております。前年は平均が、同期は現金が七七%、手形払いは二一%、かようになっております。  それから化学機械関係で、二社をピック・アップして算術平均いたしますと、それは現金払いが一月—三月で九五%、手形払いが五%と、かように相なっております。これは昨年も同様になっております。  それから鉱山機械は一社でございますが、これは現金払いが一月—三月一〇〇%、かような状況になっております。  次はミシンでございますが、ミシン三社につきまして調べました結果は、算術平均いたしますと、現金払いが本年一月—三月は三五%、手形が六五%、かように相なっております。昨年はこれよりちょっと現金払い状況が悪うございまして、同期におきましては、三四%、手形が六六%、かように相なっております。  それから自転車につきまして三社の算術平均でございますが、一月—三月の算術平均は、現金払いが二五%、手形払いが七五%と相なっております。昨年の同期は、現金払いが一八%、手形払いは八二%、かように相なっておりますので、その点で改善を示しております。  大体かような状況でございますが、なお、手形の分につきましては、大部分は九十日以内になっておりますが、ミシン自転車になりますと、九十日をこえます長期のものがございます。これはミシン自転車それ自身がほかのものに比べますと、企業的にも若干規模が小さいという点もあろうかと存じますが、さような状況に相なっております。  以上、お答え申し上げます。
  4. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 たとえば電気通信機械七社というのは、これは全部ですか。
  5. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まだたくさん数はございますが、とりあえず代表的なものにつきましてピック・アップをして調べたものでございます。
  6. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 いいところばっかり調べて、悪いところを捨てたということじゃないのですね。
  7. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) そういうふうなことはないと思います。大体これが平均状況を示すのではないか。ですからこれと実は中小企業庁調べました昨年の上半期のものとの平均をしていただきますと、ある程度わかるわけでございますが、電気機械について申し上げますと、この算術平均では、昨年が現金で七四%、手形が二六%となっております。昨年の非常に大きな、集約しました調査報告によりますと、昨年度電気機械現金払い平均が六一・六、それから手形が三八・四と、若干昨年度の分と違っておりますが、従いまして、昨年度の分を考えながら、今年度のこの七社の傾向をたどっていただければ、ある程度全体の傾向がつかめるのではないか、かように考えます。
  8. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体下請に対する代金支払い状況が漸次よくなっているということは、神武以来の景気だというのですから、当然のことかと思うのでありますが、しかし、必ずしも末端にはその好景気が浸透しておらぬ。具体的に言えば、下請等に対する代金支払い状況もよくないものがあるというようなことを今なお聞くのでありますが、これに対して公取の方はどういうふうに見ておられるか、具体的によくなっておるならばよくなっておる状況、また、問題の点が残っておるならば残っておる点を説明してもらいたいと思います。
  9. 小沼亨

    説明員小沼亨君) ただいまの御質問でございますが、その前に、私どもの方で昨年度一応下請状況調べましたものがありますので、かいつまんで御報告申し上げます。  この調査は大体京浜中京阪神北九州の親工場業種にしまして二十七、工場の数三百余を調査したものでございます。  まず納品検査日数でございますが、親事業者下請から納品を受領しまして、検査を終りますまでに要した日数が、全部の業種平均いたしますと十日以内でございまして、まずこの点では問題ないように思われます。中には例外としまして四十日、五十日というようなものもある。これは非常にまれなケースでございます。  下請代金支払い状況でございますが、昭和三十一年度におきます調査で、月平均支払率、この支払率と申しますのは、私の方で調べましたものでは、同月、たとえば四月にいたしますと、四月に実際支払いました支払額を、三月末の買掛残高と四月中の納入額、これを寄せたもので割ったものでございます。この率が三十一年度六七%、そういうことになっておりまして、それを前年の公取調べました月平均支払率の四四%に比べますと、ある程度改善されておるということが見られるわけでございます。ただ、これは前年に調べましたものと調査対象が若干変っておりますので、前年と同じ業種だけを抽出して比較しますと、ただいま申しました六七%が五〇%ということでございます。それにしましても、改善はされておるということになります。業種別に見ますと、六〇%以上の支払率を示しておる業種としましては、紡織製品アルミニューム製品、陶磁器、その他でございます。それから業種全体として支払いの率がよくないと思われますものとしましては、電気機器通信機器鉱山機械機械部品等がございます。それから業種全体としましては、比較的支払率がよいのでありますが、中に支払率不良の親事業者が比較的多いと認められるものに、車両、自動車オート三輪、オートバイ、原動機、工作機械、こういった事例がございます。その他業種平均としましては、支払い状況がよいものでも、個々の親事業者について見ますと、支払い状況のよくないものというのが業種全体に見られておるという状況でございます。  それが支払い状況でございますが、ただいまも重工業局長からお話しのありました、現金手形との比率でございますが、私どもの方の調査では、全業種平均現金が大体五五%、手形が四五%でありまして、現金支払率が五〇%以下の親事業者は全体の大体四七%ある状況でございます。この現金支払率が五〇%以下の親事業者の多い業種は、大体自動車電気機械通信機器鉱山機械ミシン、医薬、こういったものであります。   次に手形サイトの問題でございますが、全業種について見ますと、概して九十日以内のものが多くなっておりまして、ある程度改善の跡が見られるわけでございます。中に例外としまして、百二十日以上のものも、依然飛び飛びに存在しているわけでございます。九十日以上こえるサイト手形を発行しておる親事業者が多い業種としましては、オート三輪、電気機械通信機時計等がございました。非常に特異な例としまして調べましたものの中に時計がございまして、百八十日などというのもありました。これは非常にまれなケースでございます。全体としてみますと、大体前年よりは改善されておるというふうに感じております。  公取としましてこのような調査をいたしまして、措置をしたわけでございますが、三十一年度一般調査の結果、比較的支払いがおくれておると認められるものと、それから下請事業者側からの申告のありましたもの六十五件につきましては、実地精密調査を行いまして、現在まで公取としまして十九件につきまして措置をとりました。その内容は下請代金支払改善を促したものが大部分でございますが、そのほかには給付の受領から支払までのいろいろの事務手続のおくれておるのが原因して支払がおくれる、そういうものもありますので、その改善を促すもの、それから注文書の交付を励行すること、それから書類の記載事項を完備せしめることを促したもの、こういうような措置をとったものが十九件でございますが、その他のものにつきましては、こういった実地調査の過程におきまして、それぞれ親工場側で事態の改善をはかられたものでございます。  ただいま豊田先生の御質問の最近の状況でございますが、好況の影響を受けまして、ただいまも申しましたように漸次改善されておるところもありますが、しかし、最近の金融逼迫事情に影響され、また、親工場としましても運転資金の増加を要するもの、それから設備資金を要するもの等のために、つい下請の方へしわ寄せがいく傾向が必ずしもないとも見えませんので、その点につきましては、なおわれわれの方としまして、法律のもとに漸次調査をして、改善するように努力したいと思っております。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま公取からの報告によりますと、支払いぶりの悪い業種電気機械通信機械、あるいは鉱山機械、特に時計なんかはなはだしいというわけですが、その配られた通産省からの資料によりますと、むしろ悪くはないようなふうに見られ、またそういう説明があったのでありますが、その食い違いはどういうところにあるというふうに公取は考えられますか。
  11. 小沼亨

    説明員小沼亨君) これは私ども調べは、ただいま申しましたように京浜中京阪神北九州という三百四工場、相当広く調査いたしましたので、まあ大小いろいろ混っていると思います。その関係重工業局でお調べになったものと、調査対象ずれと時期のずれ等で、幾らか食い違いがあるかもしれないと思います。その点はよくあと重工業局の方と事務的に打ち合せてみます。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 幾らかのずれじゃなくて、極端極端の違いなんですね。通産省の方からの調べだと、むしろいい方にとれる、公取の方からの話だと、最も悪いのが電気機械通信機械だということなんですが、公取としてはこういう業種業態についてたえず調査はせられておるのか、それからまた、密告があったら、直ちに出動して調査を開始し、それぞれの措置にうったえるというようなふうに、支払遅延防止法はなっておるのですが、密告に応じて直ちに出動したような事例はどの程度あったのか、その結果はどういうふうになっているか、その点を伺いたい。
  13. 小沼亨

    説明員小沼亨君) 調査の点でございますが、これは昨年度三百四工場調査いたしましたが、本年度はさらにこれを一千工場まで広げてやりたいと思っております。それから密告のありましたものが、昨年度は二十件ございましたが、これに対しましては、それぞれ出向きまして、先ほど申し上げましたように支払い改善、その他いろいろ手続的に改善すべきものを勧告といいますか、行政的に御注意申し上げて改善していただく、こういう群例がございます。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その結果、実績が上ったのかどうか、それからその密告対象になっておる会社をあげて下さい。
  15. 小沼亨

    説明員小沼亨君) 実際に密告のありましたものにつきましては、こちらが注意したものは、その後の監視といいますか、いろいろ報告を引き続き毎月取っておりますので、それで非常に改善されております。具体的な密告のあったものは、後ほど資料先生のお手元にお届けしたいと思います。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 公取はこういう不公正取引に対して存在しておるということは言うまでもないのですが、もう少し支払い遅延に対してわれわれから要求があれば、直ちに資料を配るなり、また、今の答弁などを聞いても、必ずしもぴんと来ないのです。もっと具体的にわれわれに答弁のできるように常時そういう用意をされておってしかるべきだと思うのです。公正取引委員会廃止いろいろ議論が一部にはあるわけですが、公正取引を守るために、ああいう制度が必要であるということは、われわれは十分に認めておるのだし、それだけにその実を上げるように上下一致してやってくれなければいかぬと思うのです。そういう点で、もう少しはっきりした資料を提供して、また、密告対象になっておったような会社等支払い遅延防止法制定当時の経緯から言うと、そういうものは公表ぐらいしなければいかぬのですが、公表しておるのですか。
  17. 小沼亨

    説明員小沼亨君) 法律によって与えられた権限によりまして勧告をし、なお改善の実の上らないものにつきましては、これを公表することになっておるわけでございますが、現在まで具体的に密告されたものは、いろいろ御注意した結果、改善の実がありますので、公表までの手続とっておらないわけでございます。    〔委員長退席理事近藤信一着席
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 だからさっきから改善の実を上げてくれと言っておるのですが、それがはっきり答弁できぬでしょう。
  19. 小沼亨

    説明員小沼亨君) 私の方では、公取委員会にそういった具体的に調査して措置したものの具体的な工場別資料がございますので、これはその後、改善されておるわけでございますが、それについては、後ほど資料をお届けしたいと思います。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それではこれ以上追及しませんが、帰ったら公取委員長によく伝えてもらいたいのでありますが、公取委員会というものの必要性は、ただいま申します通り十分に認めるのですが、それだけにしっかりした活動をしてもらわないことには意味がないと思うのでありまして、そういう点で、どうも本日の答弁から見ると、私は十分に活動をし、また、遠慮なく不公正をただそうという気魄に欠けておるように思うのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)そういう点において、公取委員長に十分伝えてもらいたいと思います。また、時間が許すならば、公取委員長自身出てきてもらうように取り計らってもらいまして、その真意を十分に確めたいと思います。これをもって私の質問は終ります。
  21. 近藤信一

    理事近藤信一君) ただいま豊田委員から小沼経済部長に、公取委員長によく伝えてもらうことと、それからこの次の委員会にはぜひ一つ出てもらって、十分なる答弁を用意していただく、その点を一つ伝えていただきたい。……。他に御質問ありますか。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 今の豊田委員質疑の中に、経済部長に対する要求と同時に、できることなら公取委員長を本委員会においで願って、その辺の事情を確かめたいという希望が述べられておりますが、委員長におかれては、一つこれは委員長理事会に諮られて、相なるべくは豊田委員の願望が満たされるように、処置されることが望ましいと思うのです。
  23. 近藤信一

    理事近藤信一君) そういうことにいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕    〔理事近藤信一退席理事西川平治着席
  24. 西川彌平治

    理事西川平治君) 速記を起して。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 二、三の点について質問したいと思いますが、日本電子工業は、欧米諸国に比べまして非常に立ちおくれていることは、重工業局長も言っておられますように、非常にその点わが国の産業分野においても、電子技術というものが非常に重要視されてきている。しかも、それが今後基幹産業として、どうしてもこれを育成していかなければならぬというような段階に進んできておりますけれども、実際の面において、技術面においてはまだ非常に日本はおくれておる。そこで、何としてもこれは技術者が不足しているということが、一番大きな原因じゃないかと私は思うのです。そこで、今後どのようにして技術者確保ということに努力されていくのか、その点の御所見をお伺いしたいと思います。
  26. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 御質問の点、まことにごもっともでございまして、技術者確保と養成という点については、電子工業の今後の育成の大きな問題となっております。実はこの前資料としてお配りいたしました「電子工業振興策についての中間報告」という通産省機械工業審議会電子工業振興特別部会におきまする答申案もこの点に触れております。そこで、考え方といたしましては、さらに大学教育を拡充して、電子工学増設をはかるとか、それの人員を増加するとか、あるいは教育の施設を充実するとか、あるいは試験研究所における技術者の待遇について考える、いろいろ問題があげられております。この点については、実はこの答申と本年度予算偏成の時期との間に隔たりがございましたので、今年度予算化することはむずかしかったわけでございますが、今後は科学技術庁文部省あたり科学技術庁中心となりまして文部特等と打ち合せをいたしまして、かような措置を講ずるように、われわれの側からも要請いたしておりますし、また、この答申を作りました際には、科学技術庁あるいは文部省関係責任者が出ておりまして、今後そういう方向に最善の努力を払っていきたいと、かように考えております。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 そこで今局長が言われましたように、今後文部省科学技術庁とよく相談していろいろと努力をしたいと、こういう御説でございますが、おおむね現在これらの教育をする機関、いわゆる大学とか高等学校、こういうところにおいて一元化された教育、こういうものが私はなされていないのではないかと、こういうふうに思うのです。そこで、将来電子技術者を養成していくということになれば、専門的な教育ということに重点を置かなければならぬのではなかろうかというふうに私は思うのです。その点文部省の方と具体的に何かお話し合いになったことがございますか。
  28. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 実は審議会での特別部会で検討いたしました際に、文部省関係の方も出ていただきまして、この問題について相当論議を重ねました。現在大学におきまして、専門電子工学というところを持っておられるところが、ごく少のうございまして、こういうふうな意味で、先ほど申し上げました電子工学科増設とか、あるいは電気の部門をやられるところにおきましても、電子工学について十分教育ができるような方策、かようなことについて論議をいたしたことがございます。しかしながら、具体的にこれをどんなふうに進めるか、結局予算措置が伴うものでございますから、さような点については、実は今年度予算的措置ができなかったわけでございまして、今後さらに、来年度の場合においては、こういう点を文部省、特に科学技術庁中心になりまして、われわれからも要請いたしまして、そういう点の推進に努力をいたしていきたい、かように考えております。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 予算措置がなされていないから、今年度はまだ十分なことをされておらない、こういうことでございますが、私はやはり欧米諸国より立ちおくれておるというところは、そういう点にあるのではないか、現在日本の現状を見ておりますると、特にこれは民間で電子関係については非常に研究をしておられる。それに対して、まあ政府の方はおぶさったような形で、まあ、これに対する補助をするとか何とか、こういうような抜本的な解決のためにやっておられるだけで、実際に政府本腰を入れてやるということになれば、これは将来私は何としても日本産業発展ということは、電子関係が十分にこれが寄与することになるんだから、こういうことには、やはり政府がもう少し本腰を入れて、ほんとうにやる気になってやらなければ、いつまでたっても、私は欧米諸国に追いつくことはできないと、こう私は思うのですが、その点どのように考えておられますか。
  30. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まことに御趣旨通りだと存じます。そういうふうな趣旨で、実は今回通産省といたしましては、三億三千万予算確保いたしまして、ただいま御審議いただいておりますこの電子工業振興臨時措置法案というものを提案して、とにかく電子工業振興をはかっていきたい、こういうことで強く努力を払っていきたい、かように考えております。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 電子といわず、電気関係でも、私はそういうことは言えるのじゃないかと思うのです。たとえば今の日本学校教育というものが、まあ中学校、小学校当時からそうでございますが、特にこれは産業教育を施す中等学校以上になりますと、電気の学科と他の機械科とが分離されて教育されておる。ところが、今日は全部関連した問題であって、何でも電気関係してくる。一つ機械を動かすにしても電気関係してくる。家庭の一つの器具を扱うにしても電気関係してくる。こういうことになれば、それはやはり分離された教育でなくて、この点は一貫した教育ということに重点が置かれなければならぬと私は思うのですが、将来その点はどのように考えておられますか。
  32. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、これは通産省の方でお答えすることかどうかわかりませんが、御趣旨はわれわれとしても全く御同感であります。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 それから、私は外国でちょっと見ましたあれは、実際目で見たり、耳で聞いたり、手でいじったりして、電気なんかの教育は、非常に子供の時代からなされておるのですが、たとえばシカゴの電気博物館、あそこに行きますと、まあ子供から大きな大人まで、一切が電気関係で一日遊べるようになっておる。そういう国の施設という所で、だんだんと実際の教育をしていく。こういう関係で諸外国においては教育がなされておる。そういう点からいっても、日本はそういう施設がほとんどない、ほとんどではなくて、私は全然ないといってもこれは過言でないと思いますが、そういう点、将来政府は何とかしょうというような考えはないのですか。
  34. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、今後あらゆる博覧会とか展示会、さようなものも電子工業について考えていきたいと考えております。ただ、教育その他の施設の問題につきましては、まあ通産省と申しますよりは、科学技術庁とか文部省中心になってやることだと思いますが、われわれとしても、電子工業振興上必要なそういった実地教育の問題とか、あるいはそれを効果あらしめるような博覧会とか展示会、こういうものについては、通産省としても、大いに将来推進していきたいと、かように考えております。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 それから、この電子工業がだんだんと発展していくに従って、昨日も豊田委員からも御質問があったと思うのですが、一流のメーカーの会社ですね、この会社と、それからそれらに対する下請工場、こういう関係が今度は微妙なことになってくるのじゃないか。そうしてその下請の小さなのが、大企業の犠牲をしょっていかなければならぬのではないかというふうにまあ考えられるのです。その点はどのように考えておられますか。
  36. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、機械工業、電子工業もさようでございますが、結局親会社下請関係とは、持ちつ持たれつの関係に立っておりまして、結局親会社といたしましても、下請からくる部品が、品質がよくて安いものでなければ、国際競争上太刀打ちできない、かようなことになっておりまして、従いまして親会社の方でも、下請の育成について十分考えていることと存じます。特に今度提案いたしました電子工業振興臨時措置法案におきましては、昨年御審議いただきました機械工業振興臨時措置法と同じように、特に部品工業として、材料部門の中小企業者の設備を合理化し、あるいは品質をよくするというふうな点で十分考慮を払って、特にそういう点に重点を置いて立案されておるような次第でございまして、まあ、国といたしましても、さような方向から部品方面を育成していき、特に専門メーカーの育成ということを考えていきたいと思うわけであります。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 それと、昨日視察に行きましたときに、ちょっと向うで私聞きましたんですが、非常に材料が少くてできる。そこで日本にとっては、非常にこの電子工業というものは、将来発展性がある、こういう話しで、そうしますると、これが今、局長が言われましたように、諸外国と競争していかなければならぬ、こういうことになると、どうしてもダンピングということが考えられてくる。そうすると、ますます下請の中小企業は、その犠牲が大きくなってくると私は考えるんですが、この点どのように考えておられますか。
  38. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、一般論の問題と電子工業自体の問題とあると思いますが、電子工業あるいは機械工業につきましては、先ほど来申し上げておりましたように、結局セットに対するメーカーと下請との関係は、持ちつ持たれつの関係になるわけでございます。従いましてわれわれとしましては、この法案の趣旨にもあります通り、中小の部品メーカー等は、大いに専門メーカーとして育成していく。かようなことで優良な品ができる部品メーカーを育成する考え方でございます。  それから、ダンピングの問題でございますが、これはまあ電子関係といわず、日本産業としては、相当輸出に関しては、従来こういう点にいろいろ問題がございましたが、それに対する措置は、輸出組合とか、あるいは輸出関係の方で、それぞれ措置をいたしておりますが、それにつきましても、まあ生産面を持つわれわれといたしましては、共倒れにならないように、できるだけ行政指導もしますし、また、従来そういった経験がございます業種の経験から見まして、事前にとるべき手があればとるし、また、何らかさような事態が起きました場合には、それぞれそれに応じて、業界がともに無理なことのないように、そうしてできるだけ輸出が伸びるような方向で指導していきたい、かように考えております。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 局長は、持ちつ持たれつということを盛んに力説しておられますが、現状からいくと、ほとんど持たれっ放しということで、犠牲は中小企業がその犠牲をしょっているばかりで、ちっとも持たれるところがないと思うんです。こういう点から考えると、また、大企業が非常に小さな家庭用の製品までも、どんどんとこのごろはやっているようなわけで、中小企業の分野までどんどんと進出している。そういうことになると、これは持ちつ持たれつなんということは考えられないと思う。中小企業は、いつも犠牲ばかりしょっていなければならぬ、こういう傾向が私はますます大きくなってくるんじゃないか、こういうふうにも考えられるんですが、まあ、これは何回繰り返しても、局長は持ちつ持たれつということで力説しておられるから、しょうがないとしましても、やはりそのことが、ひいては中小企業の労働者のところにしわ寄せされ、労働者の生活条件というものが脅かされる私は危険性が、私は十分にあると思う。この点過日も労働次官が、次官通牒で、大企業業者に対して、最低賃金の話し合いというような次官通牒を出された。そういう点からいっても、もう労働次官自身がそういうことを、労働条件がどうなってくるかというようなことも、もう見通しておられるわけなんですが、こういう点について、私は小企業、中小企業というものが、この科学の技術がだんだんと発展していくと比例して、それがだんだんと向上していくならいいが、ますます、ギャップというものが大きくなっていくということが予想されるわけなんです。その点中小企業に対しての何らか電子技術の点なんかでも育成していく、保護していく、こういうようなことはお考えになっておられますか。
  40. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 何か大企業と中小企業が対立しているような御意見でございまするが、結局電子工業の場合、機械工業一般の場合でもそうでございますが、もちろん、先ほど豊田先生から御質問がありましたような、下請代金支払いとか、そういう点については十分の措置をとらなければならないと考えますが、結局大企業のセット・メーカーは中小企業でできます部品を買ってそれによって伸びていくということでございます。大企業がどんどん市場を開拓され、伸びていく過程におきましては、やはりそれによって中小企業は潤うわけでございます。逆にまた、中小企業の品質がよくなれば、コストが安くなれば、それだけに大企業としてはマーケットが拡大される、かようなことでございますので、さような観点で見ていきたいと存じますが、特にこの法案では、実は御質問の中小企業を育成する意味におきまして、電子工業のうちの中小企業で行われております、すなわち部品部門、あるいは材料部門につきましては合理化計画を作りまして、それによって専門化をはかる、あるいは合理化設備をやっていく、この合理化設備に対しては、特に昨日も御説明したかと存じますが、日本開発銀行の特別の融資、最低の六分五厘の金利をもって持ち込み担保方式で融資できるような、相当長期の金融も確保いたしたい、かようなことで措置していくように考えておるわけであります。この第六条で政府が資金の確保に努めなければならないと書いてありますが、さような趣旨であります。こういうふうな観点から、設備の合理化に対して資金を確保し、あるいは専門化を行う、この本法案に規定されております独禁法の除外令によりまして、材料の共同購入を行う等、いろいろそういった方面から育成策を講じていきたい、かように考えております。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 今日本電子工業技術は、先ほども局長が言われましたように、ほとんど民間の研究機関にゆだねておるような形でございますが、国独自の何か研究機関というようなものはありますか。
  42. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ございます。通産省では電気試験所に電子部というのがございますが、これが電子工業関係の試験研究を行なっております。そのほか郵政省の電技研究所がございます。それから防衛庁では技研がございます。それから運輸省の技術研究所及び気象研究所、それらが電子の利用方面、そういった方の関係の研究も、それぞれやっておられます。また、各大学の付属研究所、それから一番、相当大きなものは電電公社の電気通信研究所等がございます。これらがそれぞれ連絡をしつつ基礎的な研究、あるいは試験、さようなことをやっておるわけでございます。
  43. 近藤信一

    近藤信一君 今承われば、各省各別々で研究機関を持ってやっておられるようでございますが、それを一貫して一つにして強力なものにしたら私はいいのじゃないかと思うのですが、その点どのように考えておられますか。
  44. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これについてはいろいろ御議論があろうと存じますが、しかし、研究といったふうなものは、それを一つにまとめれば必ずしもうまくいくかどうかという点にも問題がございます。連絡は十分とっていかなければならないと考えますが、研究というふうなものは、一元的機構でうまくいくかどうかというと、新しく作る場合には、さようなことが言えると思いますが、この現在現存しているものにつきまして、それを機械的に一本にしたらうまくいくかどうかということについては、なお研究しなければならない点があると思います。しかしながら、それぞればらばらにやっていくというわけではまずいわけでございますから、それにつきましては、密接な連絡をとってやっていきたい、かように考えております。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 まあ、ばらばらでやっていくのを、これを一つにするということは困難だ、それで各別々にそれぞれの研究をやっておられる、こういうことですが、私はやはり小さなのが幾つかあるというのは、それだけの経費等もよけいかかる。そういうことであれば、一つにして、そこにしっかりと経費を、予算を注ぎ込んで、そうして強力なものにした方が合理的じゃないかというふうに私考えるわけであります。そういうような話し合いは今までしたようなことがありますか。
  46. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、いろいろこの点については今後検討を要すべき問題だと存じます。それで技術方面につきましては、各省それぞれやっておりますが、それをできるだけ御相談しつつ、また総合してやっていくような方法について研究していきたいということが、今政府の部内でも検討中でございます。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 それから電子工業の、将来技術がだんだん発展していき、それから機械の耐用年数なんというようなもの、こんな点はどのように考えておられますか。
  48. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 御指摘の点、確かにごもっともでございまして、われわれも電子工業関係機械の特別償却、さようなものについては、従来ある程度行われてきてはおりますが、今後もさらにそれを拡充して、電子工業の育成というものに合うようにやっていきたい。こういうことにつきまして大蔵省とも折衝いたしたい、こういうふうな方法も考えております。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 現在では、その耐用年数の制限なんというようなことはありませんですか。
  50. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 耐用年数につきましては、現在は総合あるいは個別耐用年数は十一年というふうになっております。ただし、真空管の専用機械につきましては八年というふうになっております。これらにつきましては、どうもまだ十七年というものは非常に長いような感じを持っております。われわれとしましては、これらにつきましては検討して、さらにこれをだんだんそういう専用機械につきましても、もう少しほかの業者につきましても、短縮方法を考えたいというふうに考えております。
  51. 近藤信一

    近藤信一君 機械関係になりますと、いつも耐用年数のことが問題になるわけなんです。そういう点は今後通産省としても、耐用年数を十分に適当、適正なものに考慮して、そうして将来紡織機の設備制限でまごまごするようなことのないように、十分これは考慮する必要があるのじゃないか、こういう点一つ通産省としても今後十分研究し、適正なものにきめていただきたい、このように私思います。私もあまり電子技術に対してはしろうとでございまするから、別にほかに質問はありませんが、耐用年数の点だけ一つ十分御考慮を願いたい、このように思いまして、私の質問を終ります。
  52. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行について。私は最近の輸入事情について、特に緊急にただしたいことがあるので、    〔理事西川平治退席委員長着席〕 大臣の出席を求めていたのですが、衆議院の関係で、次官のあっせんにもかかわらず、午前中は出席ができないとのことで、午後適当にそれを取り扱わしていただいて、なおかつ、豊田委員公取委員長出席を求めているようですから、それらも午後において扱うこととして、休憩することの動議を出したいと思うのです。
  53. 島清

    ○島清君 休憩に賛成ですが、休憩をされてからちょっと十分ばかりお願いがあるのですが、お取り計らい願いたいと思います。
  54. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) じゃ今相馬君から午後の日程について緊急質問があるし、通産大臣の出席を求めること、それでただいま休憩するということの動議があったようであります。御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) じゃさよう取り計らいます。  午後は一時半に再開することにして休憩いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより休憩前に引続き、委員会を再開いたします。  午前に引き続き電子工業振興臨時措置法案を議題といたします。  午前の御決定によりまして、横田公正取引委員会委員長出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  57. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 公取委員長にお尋ねをいたします。以下お尋ねいたしますことは、公正取引委員会を私は最も尊重する立場をとっておりますもので、それだけに尊重するのあまり、苦言を呈するというようなことになろうかと思いますけれども、そのおつもりでお聞きになり、また、そういうおつもりで率直な御答弁を願いたいと思うのであります。  言うまでもなく、この公正取引委員会は不公正取引を監視せられておるのでありますが、いろいろ不公正なる取引がありましょうけれども、大企業に中小企業が支払う場合は現金だ、それから中小企業に対して大企業が支払う場合には、現金が神武景気だというので漸次ふえてきておるようでありますけれども、やはり手形が多く、しかも手形サイトのやはり相当長いものがあるということでありまして、この両者の間の取引のアンバランスというものがはっきりした形では現われないが、それだけに非常に大きな不公正な取引だと思うのであります。で、これはよほどしっかりした取り締りをやらないと、せっかく支払遅延防止法を制定せられましたけれども、その実が上っておるのかどうかということに、多分の疑問を持つわけであります。もちろん、神武景気によっていい影響は出てきているだろうが、それは支払遅延防止法の直接の成果ではない。むしろ景気の好転から来るものであるというようなことであっては、私はならぬと思いますので、さような意味合いから質問をいたすのであります。  第一、この電子工業振興臨時措置法案の審議に当りまして、通産省から支払遅延の状況いかんということの質問に対しまして配られました資料を見ますると、電気機械あるいは通信機械等も相当好転しておるという数字が出てきておるのでありますが、公取関係当局から午前中に聞きましたところによりますと、最も悪いのが電気なり通信機械関係ということでありまして、そこにまあ大きな開きがあるのであります。多少のそこにずれがあるというような表現でありましたけれども、全く事実は極端極端が相対立しておるようなことになっておるのであります。そういう点から、問題は公取委員長においでを願ってお尋ねをしなければならぬというようなことになってきたのでありますが、支払遅延防止法によりますと、密告のあった場合には、直ちに公取調査に出動せられて、そうして成規の処置をとられるということになっておるのでありますが、今までに密告を受けられた件数がどの程度あり、そしてこれは業種別に申しますと一番どういうものに多いか、そうしてこれに対して勧告を出されたのでありましょうが、勧告の実績がいかに上ってきておるか、こういう点を午前中にも質問したのでありますけれども、遠慮をしておられるか、はっきりしなかったのでありますが、公正取引委員会が業界に対して遠慮をするようでは、私は公正取引委員会存在の意義は非常に薄くなると思う。きぜんとして業界にただすべきはただし、追及すべきは追及し、場合によれば公表も堂々とやられるところに、私は真の公正取引委員会存在の意義があると思うのであります。そういう点で遠慮をせられないで、勧告せられた結果がどうなったか、そうして密告を受けた会社というものはどういうものがあるか、これは前に支払遅延防止法制定審議の際にも、事態のよろしくないものは公表するというお約束をせられたと私は思うのであります。従ってこの密告を受けるようなものは、事態のきわめて悪いものではないか、それだけにその会社公表せられるということは、私は財界を粛正する意味において必要ではないかというふうに思いまするので、その点どうか御遠慮なく、きぜんとして御答弁を願いたいと思います。
  58. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 下請代金支払遅延等防止法施行後に申告がございました事件は、業種別に申し上げますと車両工業が三件、それから電気機械工業一件、通信機一件、産業機械となっておりますがこれが四件、原動機関係が三件、光学精密機械二件、ミシン一件、それから医薬品三件、それから雑貨関係が一件、合計二十件になっております。それはこの法律の施行せられます前は、この密告というのはほとんどございませんで、きわめて特別の関係のものが出て参ってきたにすぎなかったのであります、さすがにこの法律ができましてからは、数はそうたくさんはございませんが、しかし二十件という件数が出てきておりますので、やはり法律を作っていただきましたおかげかと考えております。  そこで、この申告のありましたもののこまかな内容は、私ただいまここで心得ておりませんが、処理の結果を申し上げますと、大体特別な勧告をするまでもなく、ほとんど大部分が片づいておりまして、中に三件だけ、まだ未処理のものがあるそうでございます。これはどうしてもやはり勧告まで進まなければならないのではないかというふうに事務局では申しております。
  59. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今まで勧告せられた結果、どういう実績、効果が上ってきたか、その点伺いたい。
  60. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) けさほど一般調査をいたしましたうちで、やや問題のありますもの五十件足らずだったと思いますが、その調査をいたしました結果、さらにそのうちから約十件、十の会社があまりおもしろくない結果に見えますので、これに対していろいろ勧告いたしました結果、大体けさほどお話いたしましたように、ずっと前には二〇何%というような、きわめて低率の支払い率でございましたものが、いろいろ勧告をいたしました結果、最近におきましては五〇%、四〇何%というふうに、その大部分がきわめて改善されてきております。これは毎月々々支払いの実績を報告をとって調査をいたしておりまする結果でございますが、非常によくなってきております。なお、そのうちに二件だけは、どうもこれは今後の推移を見まして、多少よくはなっておりますが、そのよくなり方が、私どもの考えるほどではございませんので、これはもう少し様子を見ましてから、もしこの状態が続くようでございましたら、正式の勧告をいたし、なおそれに従わない場合は、けさほどお話しのございましたそうでございますが、法律に規定してございまする公表の段取りに運ぶことになろうかと考えております。なお、これは支払い率の点でございますが、そのほかに実は事務処理のやり方が非常にずさんでございまして、たとえば納品がございましてから記帳をするまでに、いろいろ手続がルーズになっておりまして、御承知のように記帳になりましてから支払いの方へ手続がされるというような段取りでございますので、納品から記帳までに、非常に長い期間を要しておったというような会社がございまして、たとえば二十日ないし三十日というような非常に長い期間を浪費しておる会社もございます。これは全く事務処理の方の怠慢と申しますか、そこでどこの段階に、そういう支払い遅延の原因があるかということを、そういう問題の会社についていろいろ調べまして、ある会社のごときは、いろいろこちらで申しました結果、先ほど申しましたように、二十日、三十日というようなつまらない期間を浪費しておりましたものが、非常に短くなってきております。その他いわゆる事務処理上のいろいろそういう不整備と申しますか、合理的でない面が、二、三の会社では非常に改善されておるように聞いております。しかし、けさほども申し上げたと思いますが、対象にして調べました会社が、やはりある程度制限されておりますので、将来はこれを大いに広げて、もう少し全般的に目を配っていかなければならぬというふうに考えております。   —————————————
  61. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) この際、委員の異動について御報告いたします。本日付をもって西田隆男君が委員を辞任され、補欠として武藤常介君が選任されました。   —————————————
  62. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 手形サイトの最近一番長いものは、どの程度というふうに、公正取引委員会では聞いておられるんですか。
  63. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 九十日以内、大体割引のできるという九十日以内のものが非常に多くなっておりますことは事実でございますが、中には百二十日以上のものがまだ残っておりますことは、事実でございます。
  64. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最長のものをどういうふうに見ておられるかという、百二十口以上といいましても、百二十日なら、まあ過去の悪かった当時から見れば、大したことはないと言えるかもしれぬですが、御承知のごとく業界には台風手形、二百十日の手形だとか、あるいはお産手形などという、十月十日の手形があるなどといわれるものですから、そのお産手形や台風手形ならずとも、もっと激しいものがあるんじゃないか、そういうものをはっきり言ってもらいたい。
  65. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 時計の工業関係で百八十日というのが、公取調べました中にあったそうでございます。これは改善を命じまして、よくなっておるということでございます。なお、御承知のように、中小企業庁関係調べましたものもいろいろございますが、たしかその中には相当長いものがまだ若干あったように応じております。私ども調べましたうちでは、百八十日というのが非常に長いものでございます。
  66. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういう点を公正取引委員会としては至急にお調べを願いたいと思うのであります。さっきも申しましたように、法令違反だとか何とかいうものは、不公正な取引ということの判断もつきやすいでありましょうけれども、大企業と中小企業の力の相違により、非常に大きな取引上のアンバランス、これこそかくれた一番大きな不公正取引なんですから、そういう点について、現行どの程度の最長の手形が横行しておるかなんということは、言下に公正取引委員会としてはお答え願えるようにお取調べを願い、そうして適当な機会に、進んで商工委員会に発表していただきたいと思うのであります。それは業界ではお産手形だ、あるいは台風手形だと言っておりますけれども、これは要するに町の声でありまして、必ずしもそれが正しいことであるかどうかわからないだけに、公正取引委員会から責任のある手形の最長は、どの程度のものが今なお横行しているのか、これを他の機会に商工委員会で積極的に進んで御発表願いたいのであります。  それからもう一つ伺いたいと思いますのは、この密告事件のうち、事態の悪化したものについて公表せられた事実があるかどうか、私はなまじっか取調べしたりするよりも、公正取引委員会できぜんとして公表せられることが、一番支払いを粛正する上において効果的だろうと思うのでありまして、そういう点で慎重にせられるということも、もちろんわからぬことはありませんが、その立場はよくわかりますけれども公表することが、一番手っ取り早く粛正する方法であるだけに、この方法を相当積極的に活用せられることがいいんじゃないか。そういう意味で過去において公表せられたことがあるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  67. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) まだ公表した事件は一件もございませんが、先ほど公取で積極的に調べましたもののうちに、二件どうも結果のあまりかんばしくないものがございますのと、それから先ほどの密告のありましたうちの三件が、未処理になっておりまして、これが今後の推移によりましては、あるいは公表の段階にまで参るかもしれないというふうに考えております。
  68. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最初にお尋ねしました電気機械通信機械等、この電子工業関係の深いものについて公取の方では非常に悪いと言われ、それから通産省の方では、これはピック・アップして調査したものでありまするけれども、割によくなってきておるという結果が出ておるのでありますが、これに対する公取としての御見解はどうでありましょうか。
  69. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 多少通産省の方から出しました資料と、こちらのものとの食い違いがございますようでございます。私の方で調べましたのは、相当小さなものも入っております結果、そういうようなお答えをいたしておるのかもしれませんが、大体悪いと申しましても、だいぶよくはなってきておりますが、しかし、御承知のような景気であるにかかわらず、やはり悪いということを申し上げられるわけでございまして、実はこの電気機械関係につきましては、公取といたしましても、この下請の問題を調べ始めました当初から、やはり非常にマークして見てきております。今後とも、この点はそういう方針でもって特に注意して見て参りたいと考えております。
  70. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま公正取引委員会委員長の方からはお聞き取りの通りのお答えがあったわけでありますが、それによりますと、電気通信関係、依然としてやはりこの支払いはよくない、こういう点から見まして、今後この電子工業振興をはかり、そうして新規産業の育成強化をはかられることは、もとよりけっこうでありますが、同時に、これの下請関係であるとか、そういう方面の育成強化をはからないと、真の目的が達成できぬと思うのでありまして、そういう面から支払い遅延の粛正について、監督官庁である通産省重工業局長としてはどういう決意を持って今後進まれようとするのか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  71. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 私ども電子工業振興のためには、部品工業が非常に大事であり、これら中小企業において占めておりまする本法案においても、この部品工業を振興するために資金の確保とか、いろいろ専門生産の態勢とか、さようなことをとろうと思っております。それに対して専門メーカーとしての育成を考えておりますが、下請支払いの問題につきましても、もちろんこれは適正化するように、監督官庁としてもさらに努力を続けていきたいと考えております。
  72. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  73. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。
  74. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 さらに、造船関係について委員長にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、この造船関係について運輸省側の説明報告によりますと、全部支払い現金になってきておるということでありまして、全然手形払い等はないということであります。これは公正取引委員会としては、そういうふうに見ておられるか、どうか、この点を伺っておきたいと思います。
  75. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 支払いは非常によくなっておりますが、ただいま御指摘の手形現金の問題でございますが、公取調べました関係におきましては、まだ若干手形があるようでございます。
  76. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 手形サイトがおわかりでしたら、それも伺っておきたいと思います。
  77. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) ここにございます資料によりますと、十二件が手形支払いになっておりまして、そのうち六十日以下が四件、それから九十日以下が八件そのほかもう一件出ておりますが、最長日数百二十日でございます。
  78. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 運輸省からの報告によるものを見ましても、やはり公正取引委員会とその見方が違うようでありまして、今後公正取引委員会の方で、先ほど要求しました資料を出してもらいまして、同時に通産省並びに運輸省等関係省に出てもらって、その食い違っておるところをあらためて質問をいたしたいと考えておりますから、委員長において適当な機会にお取り計らいを願います。
  79. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 横田公取委員長に対する質問ございませんか。何か他に用件がおありのようですから、なければ……。   —————————————
  80. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) この際、相馬委員から貿易問題について通産大臣に対し緊急の質問の要望がございました。この際発言を願います。
  81. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際、最近の輸入事情について、特に緊急を要すると思量されまする点について、若干大臣の見解を承わりたいと考えております。貿易はもう明らかに俗な言葉で言えば、商買なのであって、当方の手の内を見せてはならない場合もあるし、商買には適機と、最も適当な方法というものが確保されなければならないということは申すまでもないと思うので、従前、輸入については特に穀物の輸入等につきましても、原局でありまする農林省側の意向というものと、通産省側の意向等が合致しなかったために不測の損害をこうむっているというような事例をまま潤いております。しかも、その際いつでも指導的な役割りを果してきたのは、農林省なのであって、私はこの際あえて質問いたします理由は、水田大臣のような、非常に、おせじ抜きに実力を持った大臣がこの省に在職中に、特にこの種の問題については、抜本的な一つの先例を作る意味からも、それから通産行政の確立の意味からも、この際御見解を承わっておきたいと、かように念じているわけです。最近雑穀の輸入をめぐって、種々なる風説といいますか、情報が流れておりますが、私の聞いた範囲内では、農林省が関係者を強く指導いたしまして、ある団体を作り、そこにある種の方法による特殊な方法をもって調整金なるものを集め、これを別途な方法でもって生産者に還元するというようなふうに伝えられております。で、もしもこういうことがかりに許されるとするならば、そういうこの種の調整金が、畑作改良補助金として出されることの可否は別といたしまして、国の通産行政を守るという角度からいたしますというと、きわめて財政法上からも私は問題がかもし出されると、こういうふうに考えるわけです。しかもまた、農林省が指導していた全購連の汚職の事実というものは、非常に大きなこの際教訓でもあろうとかように考えております。この種の問題に関して、通産当局責任者でありまする大臣は、原則的に、以上のような私の見解について、いかなる所見をお持ちであるか、まず承わっておきたいと思います。
  82. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 雑豆の輸入について、ただいまのようなお話は、私どもの方でも聞いております。で、調整金を取って、その金を関係者に還元するという方法はどうかというような話は、農林省の方からあったというお話は聞いておりますが、しかし、これは非常に問題でございまして、やはり通商政策上、特にそういう調整金的な考えが必要だとかりに言う場合がありましたら、それはやはり国費の収入になるべきものであって、もし関連業者へのいろんな助成金とか補助金が出したかったら、やはり国の予算によってそれを出せばいいので、ここらを混淆することが、国の財政上非常に問題を起すことになりますので、私どもとしては、そういう方法には賛成いたしません。従って、これにかかわる合理的な方法を関係当局で考えるように、私、事務当局にも申しまして、ただいまこれを関係者の間で検討させ、折衝させておる最中でございます。
  83. 相馬助治

    相馬助治君 ただいまの私の質問に対する御答弁のその範囲に限られたうちにおいては、もう全く私も同感で、また、水田通産大臣の見解は非常にけっこうだと思うのです。名目はどうあろうとも、特殊な団体が金を集めて、そうしてそれを寄付形式でどこかの方向にこれを還元し、ないしは寄付行為でどこかにこれを寄付するというようなことは、非常に問題を複雑にするばかりでなくて、汚職疑獄のもとにもなるということは、もう明瞭でして、かりに調整金式のものを吸い上げる場合においても、明らかに国の予算にこれを組み入れて、一般予算の形からこれを還元していく、こういう形を確保したいという大臣のお説には全く同感であり、また、そのようにしていただくことを強く期待しております。そこで、それには反対であるが、農林省自体として最も適法に善処すべく案を練っている、かようなことでございますが、これは、そうした案が外部へ漏れ、ないしは公表された場合には、私が前段に申しましたように、通商上わが方が損害をこうむるということもあり得るのでありまするから、どこまでもこれを具体的にその方法を示せと私は強調するわけではありませんが、もし、差しつかえなかったならば、その具体案の片りんをお示し願えるかどうか、これについての御見解を一つ承わっておきたい。
  84. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 調整金的な考え方は、今の雑豆の場合を見ましても、ガットとの関係とか、そういうようないろいろなものを生じやすい問題でございますので、その辺は支障のないようにやりたい。そのためには、従来もこの種の問題で相当いろいろ取り扱った経験もございますので、それらによって支障のないように、しかも、これは時期を必要としますので、急速にやりたいと考えておりますので、その方式は近く関係省の間で一応きまるのじゃないかと思っております。
  85. 相馬助治

    相馬助治君 大臣の方から今ガットの問題が出ましたが、四月二十四日の各新聞の報告するところによりますと、近く開かれるガットの委員会において、わが国としては欧州共同市場条約がガットに触れる点が少くない点を指摘して、条約を検討するために、早急に臨時総会を開けと強く要求する方針を政府が立てたと伝えられております。これは戦後非常に貿易上、条約の面において国交が回復しなかったり、あるいは複雑な情勢下において、わが国が損失をこうむっていた事実にかんがみて、ガットに対して、こういうことを強く要求するということは、まことに事宜を得たものだと私は考えますが、同時に人様にこういうことを、人様にというよりは、外国に向ってこういうことを強く要求するからには、みずからやはりガット違反のごとき事例を起してはならないのであって、そういう点については、ただいまも大臣は、そのような違反事項は起したくないという意味答弁と承わりまするが、その点は一つそのような危険のないように善処されたいと希望します。岸首相は経済外交を強力に推し進めるのが、岸内閣の基本的政策である、こういうふうに申しておるのでございまするから、特にこのガット問題については慎重を期して、真に経済外交が行われるような方向に持っていってほしいと思っております。  それから、具体的なことは近く各省間においてきまる、こういうことですが、それが一つ問題なのであって、各省閥においてきまるという場合に、財政の両からは大蔵省が強く主張し、それから数量その他の面においては原局である農林省が強くこれを主張し、常に通産行政が板ばさみになって苦難しておるというように言われている。この衝に当る担当官吏の中でも、非常な困難性を訴えているというような事実にかんがみて、この問題については、最初に私が申し上げましたように、一つ水田大臣といたしましては、通産行政を確立する意味合いから、指導的にこの問題については適期をはずさないように、そうしてまた、その方法が外交上も、国内の通商上も、問題を起さないように進めていただきたい、かように考えまするが、これに対する自信は当然おありだと思いまするが、念のため御見解を承わっておきたいと思います。
  86. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 板ばさみになることが、実に多くて弱っておりますが、しかし、こういう種類の問題は、やはり通産省の通産政策としてやはり一貫したものを持って、その線に沿ったことだけをわれわれとしてはどこまでも推進してやるという態度を持たなければ、なかなかむずかしい問題が今たくさんございますので、私どもは部内とも相談して、これが正しいのだという線だけは、どこまでも各省を説得して実現していこうという態度でやっておりますので、この問題もそういう方向で片づけたいと思っております。
  87. 相馬助治

    相馬助治君 この問題に連関して、ジェトロについて二、三見解をただしておきたいと思うのですが、財団法人の海外貿易振興会、俗に言われるジェトロというものは、本来海外市場の調査、研究その他貿易業務の円滑なるあっせん、こういうことを目途として年間十二億のうちの八億を政府補助金によってまかなっているように聞いておりますが、かつてこのジェトロがバナナを取扱って非常にいろいろの風評を立てられたことを大臣御存じだと思うのです。バナナ、レモンでもって当時農林省の某大官が巨額の利益を占めて、これが問題になった、そのバナナを今度は通産省がその処置を引き受けて、これをジェトロにゆだね、ジェトロがこれを取扱ってもうまくいかずに、現在のようにこれを特定物資に下してきた、こういうことを聞いておるわけですが、私はこれはジェトロにこの種のものをやらせることが悪いというのじゃなくて、今のジェトロの実力をもってしては、事務量の面からいっても、また、その法人格の立場からいっても、あるいは差益金を取り扱い、あるいは雑豆、この種の膨大な事務量を含む貿易業務を通産省から肩がわりして取扱うということが、ジェトロの性格からして、私は無理であると考える。むしろ、これはこの際ジェトロというものを強化、発展せしめて、もっとこれが有機的に、しかも効率的に動かすように、通産大臣としては指導していくべきではないか、要するに現在のジェトロをもってしては、あまり過大の期待を通産省はこれに託することは危険ではないか、かように考えまするが、通産大臣の御見解はどうでございますか。
  88. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私としましては、お説の通り、海外貿易振興会はもっと拡大して強いものにしたいと考えていますが、御承知の通り政府の金と民間の金でこの活動をまかなっておりますので、そういう民間から金を出させるというような面で、今のところは大体手一ぱいで、今の状態の活動をやっておりますが、今後これはもっと拡大、強化したい、こういう方針はお説の通りでございます。
  89. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 関連して、相馬委員の発言に、大臣の答弁がちょっと具体性がないような気がするのですが、端的にお伺いするのですが、初めこの問題は農林当局で計画をして、そうしてそれが今度は通産省でおやりになる、こういうことなんですか、輸入について。
  90. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 外貨の割当につきましては、閣僚審議会で定められた範囲内におきまして、そしてどういうふうに割当てるかということは、閣僚審議会から通産大臣に委任されておりますので、外貨割当をどうするかということ自体は、これは通産大臣の専管事項ということになっております。ただ、当該物資の所管大臣に対しまして、一応外貨の割当について協議するという定めになっておりますので、どういう時期に、どれだけの数量を、どういうふうにやれば、国内の関連物資の競合、その他から見て最も適切であるかということにつきましては、これは通産政策、産業政策との調整ということもはからなければなりませんので、十分主管大臣の御意見等も伺った上で、そして通産大臣の責任で決定する、こういう格好になっております。
  91. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私の質問はもう少し具体的なのです。たとえば一例をあげると、ビルマから雑豆なら雑豆が日本に入ってくる。それを農林当局で計画して、そして相当金額に差があるから、その差額を北海道の農民に還元してやるとか、あるいはどう利用させるとか、こういう計画を立っておったが、その問題が今度通産当局に宿がえした。こういう話を若干聞いたのですが、そういうことは全然ないのですか。
  92. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 今の御質問の宿がえという意味が、私よくわからないのでございますが、雑豆なら雑豆、これは元来平年作であれば、あまり入れる必要がないといったような種類のものでありまして、二十九年度あたりは三十年度の三分の一程度しか輸入しなかった。三十年度は二十九年度の約三倍程度入れたのでございますが、三十一年度は非常に国産が不作だったといったようなことのために、さらに相当数量入れておる。これがもし国内の豆も相当豊作、あるいは平年作であるということならば、輸入というものもあまりしなくてもいいといったようなことで、平年作であれば大体入れなかった。昨年はたまたま非常に不足だったということのために相当入れた。しかも、国内が不作であるということのために、輸入価格と国内価格の間に非常に差ができたといったような問題が事実生じまして、輸入数量や割当方法、その他について各方面から意見が出た。われわれとしては仕方がないので、現在特別外貨割当制度というのがございますので、それで三十一年度は処理したわけでございます。その三十一年度あとを受けまして、本年度も相当数壁不足するのではないか、現に国内の雑豆の価格の市価も相当高くなっておるということで、どうしてもある程度の数量を入れなければならないということで、どの程度入れるかということで、まず数量の問題が通産、農林の両省の間で討議せられたわけであります。食糧関係と申しますのは、輸入を入れ過ぎると暴落する。少し数量をしぼると暴騰するという、非常に複雑な関係がございますので、そこで、農林省の方で国内産業にも比較的迷惑をかけずに、しかも、消費者の方にもあまり不当の価格で売りつけないということのためには、そういう調整金でも取るということをしたい。そのかわり数量に制限はつけないといった案を考え出してきて、こういう方法はどうだといった相談を受けておるというのが事実でございますが、ただ、私ども通産省の考え方といたしましては、雑豆のような一般庶民の食前に直接供せられるといったものは、できるだけ安く供給すべきじゃないか、そういう点から国産に不足があるというならば、できるだけたくさん入れるということで、それから輸入価格よりも、国内価格がはね上るということのないようにすべきだ、こういうふうに通産省としては考えております。従って調整金を取って、そうして高いものを押しつけるという制度が、果していいかどうかということにつきましては、これは根本的に相当問題があるのではないか、ただ、食糧の主管省である農林省の方で、ある程度の価格であれば、国産との比較その他から見ても相当割安になるし、決して消費者に御迷惑はかけないのだということで、はっきりそこを踏み切られて考えられておるというのであれば、あるいはそういうこともやむを得ないのじゃないか、こう考えておりますが、かりにそういたしました場合にも、そういった集った金というものを、どう使うかということは、問題は別じゃなかろうか。これは国産保護といったような観点と、それから消費者にできるだけ安く供給したいという要請、その二つをからみながら、しかも相手国の相当興味を持っておる主要輸出品というものを、ある程度まとめて買うという場合の通商政策上の効果ということもあわせ考えなければならないのですが、それをたまたま数量制限をせざるを得なかったということで、こういう調整金を取るというのならば、これは国全体のいろいろな政策の総合した結果、そうせざるを得なかったということに対して、それから出る利益というものは、当然全国民のひとしく共有すべきものじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますがゆえに、それをすぐ関係の業界に還元するということについて、にわかに賛成しがたい。しかし、もしそういうことでやむを得ないというのであれば、どういうふうなやり方でやれば、一番こういう事態に対処するに適切な方法であるかということについて、今大臣からも申し上げましたように、関係各省の間で一番いい案を見出そうということで、検討しておるのでございますが、御承知のように、非常にやり方いかん等によって、デリケートな問題を起しますので、できるだけすみやかに具体的結論を得たいと思っておりますが、じゃ、どういうふうに通産省としてはやるつもりかということにつきましては、もう少し固まるまで、ちょっと控えさしていただきたい、そういうように考えるわけであります。
  93. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 相馬委員が、まだ質問が残っておるようですから、簡単にもう一点だけお聞きしますが、北海道へ持っていくため、農林省が計画か、草案の途中だったか、私よく聞いておりませんけれども、計画したときは豆が何トンでどうなるか、それまで知りませんけれども、とにかく金紙にして一億円である、ビルマで一俵三千円の豆が、これは船賃もかかりましょうし、荷揚賃もかかりましょう、しかし、日本に持ってきた場合は四千五百円、あるいは四千八百円で販売されるのだ、その差額をもって、合計が一億円になったのです。それを通産省でやるという話を若干聞いたものですから、皆さん方もお聞きの通り現在あるいは省で、大か小かわかりませんけれども、汚職のないのは最高裁判所だけだ、こういうふうに口の悪いのが言っておるので、非常に心配しておるのですが、しかし、そういうことは一切ない、これが行政官庁として正しいということであれば、これは私の申し上げるのは杞憂になってしまって、非常にけっこうなんですが、そのあたり大臣の、そういうことは毛頭ないという自信を持った御答弁一つ得ておきたいと思います。
  94. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そういう余地のない方法でやりたいというので、今検討しておりますので、これはそういうことはないようにいたします。
  95. 相馬助治

    相馬助治君 大臣並びに樋詰次長の答弁でほぼ明らかになったわけで、特に今の樋詰次長の答弁を聞いて、私は納得がいくのですが、とにかく生活必需品でありまする雑豆に対して、調整金であれ、あるいは差益金であれ、これを徴収するということは、明らかにそれだけの分値上りになるのであって、他の方法によってプレミアムがつくとかつかないとかということは、将来に属することですが、この種の調整金あるいは差益金を取るということについては、今樋詰次長御見解の通り、きわめてデリケートの問題があると私は考えております。ただし、北海道の生産者は圧迫しないために、数量制限はあくまでしなければならない、かようになってくるというと、この問題の取り扱いは、きわめて微妙であるということもわかります。従ってどういうふうにするつもりなんだか、今どこまで話が進んでいるのか、こういう具体的なことは、私はお尋ねいたしませんけれども、しかし、要するに差益金あるいは調整金、こういうものを吸い上げてそうしてこれを、特に団体等にまかせるということは、もう危険この上なしである、かつジェトロにまかせるにしても、今のジェトロの実力からいって、かなり問題が残されていると考えますし、外交的な観点から申し上げましても、国際貿易の関連の条約の違反の問題からいたしましても、この点は非常に微妙で、かつ重大な問題だと、こういうように私は考えるわけです。  そこで私は最後に、大臣に要望したいと思いますることは、ともかくビルマの雨期は六月からと伝えられておる、もう非常に迫っておる、この適期をはずすならば、国内価格は逐次暴騰しつつありますけれども、これに拍車をかけることにもなる。しかもまた、一部あまりにうがった説であって、耳を傾けるべきものではないかもしれないけれども、実は農林省と通産省の方があれこれ議論をしていて、輸入が不可能になることをねらっている人たちもある。具体的に言うならば、大手筋の業者がかなりの雑豆を手持ち保有していて、輸入が不能になったところで、恣意的に値段を釣り上げて、巨額の金をもうけようとして虎視たんたんとしている。むしろ、輸入がされないことを期待している向きもあると伝えられております。この事の真偽のほどは私わかりませんけれども、要しますに、この問題については、どうか諸般の事情を考えられて、この際水田通産大臣の御見識において、国の通商行政確立の意味合いからも、特段の善処をされることを私は強く期待しておきたいと思うのです。この総合的な問題に対して、大臣の御見解を承わって、私の質問をやめたいと思います。
  96. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) お説の通り、いろいろのおそれもございますので、時期を失しないように、なるべく早く方式をきめて、時期はずれにならんように善処したいと思います。
  97. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  98. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。  このまま暫時休憩いたします。休憩中に、委員長理事打合会を開会いたします。    午後三時二十四分休憩    —————・—————    午後四時十四分開会
  99. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  先ほどお打ち合せ申し上げましたように、先般、東北電力並びに北陸電力から電気料金値上げの申請が出ておりますので、本件に関し、参考人を呼んで意見を徴したいと存じますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議なければさよう決定いたします。  日時、参考人の人選等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) さよう決定いたします。   —————————————
  102. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、特需産業の安定に関する件について、やはり参考人を呼んで実態を調査し、対策を考究したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議なければ、さよう決定いたします。  その日時、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) さよう決定いたします。  それでは次回は明四月二十六日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会