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1957-04-18 第26回国会 参議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十八日(木曜日)    午前十一時十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            高橋  衛君            阿部 竹松君            藤田  進君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   政府委員    科学技術政務次    官       秋田 大助君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁調査    普及局長    三輪 大作君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○理事辞任及び補欠互選日本科学技術情報センター法案(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    理事近藤信一君) これより委員会開会いたします。  まず、先刻理事会を開きまして、今後の日程等を協議いたしましたが、その結果について御報告いたします。  今後の日程といたしましては、付託法案も多いことでございますので、与党委員の御出席が今後良好であるということを前提といたしまして、一応今週中は今明日の二日間午前午後開会することにいたし、来週は二十三日火曜日から二十六日の金曜日まで、連日開会予定とすることに意見が一致いたしました。   ―――――――――――――
  3. 近藤信一

    理事近藤信一君) それではこれより本日の議事に入ります。  まず、きのう先議で付託になりました輸出入取引法の一部を改正する法律案議題として政府提案拠出説明を聴取いたします。
  4. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 輸出入取引法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  輸出入取引法昭和二十七年八月に制定されて以来、二十八年八月、三十年八月の改正を経まして、今回第三回目の改正となるわけであります。  この間、輸出入取引法に基きまして輸出組合が三十四、輸出入組合一つ設立され、現在、約七十件の輸出または輸入に関する協定締結組合員の順守すべき事項の設定が行われ、関係業界自主的協調体制の強化も見るべきものがあります。  しかしながら、輸出輸入とも過当競争がなお依然として行われ、わが国貿易の健全な発展上、種々の障害を与える事例があとを断たないでいることは御承知通りであります。申すまでもなく、ひとり、わが国貿易の健全な発展をはかるためるみならず、国際貿易の円滑な遂行に寄与するためにも、一日も早く、かような過当競争排除し、輸出取引輸入取引秩序確立をはかることが、わが国貿易の当面している最も重要な課題の一つであります。  このたび提案をいたしました輸出入取引法の一部を改正する法律案は、かような過当競争排除貿易における協調体制確立を意図するものでありまして、その主要な改正点は、次の通りであります。  弟一に、輸入に関する協定締結来由の制限を緩和し、輸入業者が国際的な取引条件等に比較して不利な輸入取引条件を課せられる場合に、これを改善するために必要な協定締結することができることとし、また、外国における資源の開発に資するための協定も新たに認めることといたしました。  第二に、輸出輸入または輸出入調整に関するアウトサイダー規制命令が行われる場合に、その命令にかかわる事務の一部を輸出組合輸入組合または輸出入組合に処理させることができることとし、事務処理能率化簡素化をはかることといたしたのであります。  弟三に、輸出過当競争に伴う安値輸出が行われる結果、輸出価格の維持安定をはかることができないのみならず、生産業者または販売業者経営の安定も阻害されるために、これに対処して輸出業者生産業者または販売業者との中間に、共同の買い取りまたは販売機関が設立されている場合に、特に必要があると認められるときは、この機関法律上の一元的な買い取りまたは販売機関とし、その業務の公正を確保するため所要の監督を行うことといたしたのであります。  これを要するに、この法律案は、わが国貿易の特質と現状に即応するよう、輸出入取引法規定をさらに整備して、輸出取引及び輸入取引秩序確立並びにわが国貿易の健全な発展をはかろうとするものでございます。  以上が、この法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。   ―――――――――――――
  5. 近藤信一

    理事近藤信一君) 本案の審議は、さらに後日に譲ることにいたしまして、次に理事辞任の件についてお諮りいたします。白川一雄君から都合により、理事辞任いたしたいという旨の本日付文書をもって委員長までお申し入れがございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 近藤信一

    理事近藤信一君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。
  7. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、理事補欠互選の件についてお諮りいたします。ただいま白川君が辞任されました結果、理事に欠員を生じたわけでありますが、その補欠互選は、慣例により委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 近藤信一

    理事近藤信一君) 御異議ないと認めます。それでは理事に古池信三君を指名いたします。   ―――――――――――――
  9. 近藤信一

    理事近藤信一君) 前回に引き続き、日本科学技術情報センター法案議題として審議を進めます。政府当局に対し御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 まず弟一に伺いたいと思いますのは、衆議院付帯決議が出て「営利を排し、その公共性に徹するよう、特に留意すべきである」ということでありますが、この法案内容を見様すると、ほんとう営利を排し公共性に徹するようにするということになりますれば、利益関係規定のあることと矛盾することになりはしないかというふうに思われるのでありますが、政府側はこの付帯決議に対して、どういう御答弁に当時なっているのでありましょうか。その点をまず伺いたいと思うのであります。    〔理事近藤信一君退席、委員長着席
  11. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 当時どういう御返事を申し上げましたか、文字通りは記憶いたしておりませんが、趣旨はこうでございます。民間出資をお願いいたしました関係上、出資証券というものになり、かつその出資をしていただいて出資証券なるものを作った以上は、やはり形式と申しますか、法体系の上で利益を生じて一定の積み立てをして損失を埋め、積み立てをしてなお残余がある場合には、総理大臣の認可を受けて、出資者に対してそれぞれ分配をするという規定を置かざるを得ないというような、形式的な法体系上の必要性から、こういう規定を置いたのであって、これは、何もあくまでも利益追求意思をここにきめておるという趣旨に出たものではないと御返答申し上げたと存じております。この形は、日本原子力研究所法にもございまして、その五条の出資証券、三十条がそれを受けまして、損失を埋め、積み立てをして、残余があるときには出資の額に応じて分配をするという規定を置いております。法制局等も、やはりこういう形にやるべきであるという御見解もございまして、その例にならった次第でございまして、あえて利益追求を見ておるものではないの、で、一つ了承願いたいと思うのでございます。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいまお話し原子力関係では、前例のあることも承知をしておるのでありますが、要するに、民間の金を集めようというときに、羊頭狗肉的な行き方をやめて、お話しのごとく、形式だけをこういうふうにしていこうということ自体、私は非常によくない行き方だと思うのでありまして、そういう点では、過去は過去のこととして、今後こういう形が出ていくということは、政府提案としてやる場合に、特に問題をはらんでおるというふうに考えるのであります。特に、参考人意見を聞きましても、加藤助教授は、利益を初めから無視する行き方で行かなければならぬということを言っておるのでありますし、また、経団連の代表である池田氏は、利益配当などは当てにしない、どういう形になっておっても、金は出すということを言っておるのであります。そういう点から言うと、実体と形というものは一致さすべきだ、また、そうせられて政府は何ら差しつかえないのではないか、もしもこれが今お話しのような形式をとらぬというと、民間の金が集まらぬということだと、これはまた考え直さなければならぬということでありますけれども、形はどうでもよろしいのだ、出すべきものは出すというふうに参考人として財界代表が言うのでありますから、形と実体が合うような行き方というものが、私は政治の公明化の上から必要じゃないかというふうに固く信ずるのでありますが、その点について御見解はいかがでございましょう。
  13. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) これは、羊頭を掲げていくつもりもございませんし、また、財界方面でも、先刻御承知通り、そういうふうに伝えられているようなことはもう考えておられないのでございまして、よく実体は御承知のことでございます。従いまして、われわれといたしましては、これがなくてもいいじゃないかという御意見には、聞くべき点があろうかと思いますが、出資証券という形をとりますというと、法体系上、今日やはりこうなるのだというふうな説も有力にございまして、それによった次第でございまして、実体のところにおいては、利益追求意思は持っておらないことだけは確かでございます。その点、法体系上の形式整備によったと御了承を願いたいと思います。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今お話し出資証券行き方をとっておるからそういうことになったというのでありますが、初めから出資証券行き方というものをお捨てになって、公益を尊重し、公共性で一貫するような行き方にしようと思えばできるのでありましょうし、たとえば、公益法人にする、あるいはしいて特殊法人にせられたいというならば、特殊法人にしても、何も出資証券を必ずしも制度として取り入れなければならぬということはないのでありまして、そういう点で、名実ともに一体化する行き方にお改めになる、あるいは最小限度羊頭狗肉と言われてもやむを得ないような点をありありと見せる点だけは、これを是正する道についてお考えになる御見解はないでございましょうか。
  15. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 御所見まことに傾聴申し上げるべき点があると存じますが、われわれとしてこういう形をとりましたもう一つ理由は、何と申しましても、先般来質疑の中においても明瞭になりました通り、この日本科学情報センターなるものが、真にその企図する目的を有効に達成するためには、人的の機構なり、人そのものの人選に非常によろしきを得なければならないということを考えております。そこで、人を得る場合に、やはり経済的なものが問題でございまして、単なる公益的な性格ということになりますと、予算等にも縛られてくるということになりまして、自由がきかないということは、この機関の出発の最初に当りまして遺憾なことではなかろうかと感ぜられますので、経済的な金の面に拘束されずに公益性に真に徹すれば、これに職を奉ずる人も、その精神でやってもらわなければいけないので、そういう考えのない人は、初めから入らしちゃいかんのだという説も成り立つと思いますが、やはり実際運用よろしきを得て行くためには、その点もあわせて考慮したいという点から、民間的な色彩を取ってここに入れる特殊法人をとりたいということになって参りまして、そういう観点から、民間の人も相当の高給をもって最高の機関責任者をとにかく迎え入れなければならぬ。そうして最初運用に当りまして実効を上げていきたい、こういうふうに感じましたものでございますから、結局、利益は追求しないが、その業務の推進におきまして、能率的に、むだを徹底的に排除をしまして、経済的な能率を上げていくというような観点趣旨に出でまして、人を得たいという観点からこういう形をとって行った方が便利である、そこへ営利的な色彩というような観点が入って参ったのであります。ここにおいて貸借対照表を要求し、あるいは利益配分の形をとりましたゆえんは、利益追求の面ではなしに、むしろ公益性利益は追求するが、しかし、公共的の色彩の強い、とかく親方日の丸式になることを戒めておる、こういうのも一つ了承願えたならば、この仕組みを御了承願えるのではなかろうかと、かように思っておる次第であります。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま経営者選任についてのお話があったのでありますが、経営者を選ぶ際におきまして、衆議院付帯決議のような、営利色を排して公共性に徹しなければいかぬという決議が一方においておる。そういう点からは、経営者になった人は、またならんとする人は、あくまでも公益に徹する行き力をしなければいかぬ。要するに、サービスを広くやるし、あるいは利益は伴わないかもしれないが、やるべきことは大いにやらなければならぬという拘束を当然受けるだろうと思うのでありますが、しかしながら、法律内容を見ると、利益は上げられるときには、極力上げていくようにという仕組みになっておりまするので、監督官庁としましては、これはだんだん運営しておるうちに、もっとやりようがあるじゃないかというようなことを言われてくるということは、法のコントラクション自身から出てくる私は当然の帰結だと思うのであります。そうなりますと、経営者にならんとする者は、要するにサンドウィッチになるわけでありまして、そういう立場に立つのでは、せっかく重要な科学技術情報センター運営するという立場でこれに情熱を持とうといういい人があるとしても、将来のことを考えると、こういうサンドウィッチになるようなことでは、責任を持ってやれぬというようなことで、良心的な人はかえって辞退をするというようなことになりはしないかということを、私はむしろおそれるものであります。そういう点で、この建前自身はやはり形式実体は一致するものであって、安んじてその方針で、実際的にも終始し得るということが明らかになっておるような仕組みでないと、いい人がなかなかこういうところに入らないのではないだろうか、というふうに考えられるのでありまして、要するに人事の点、選任の点などを考えれば考えるほど、この体制自身が矛盾のあるところに将来非常に困った問題が生ずるのではなかろうかというふうに考えるので、そういう点について御見解はいかがでありましょうか。
  17. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 私どもの大体意図するところは、先ほど申し上げたところで尽きておりますので、大体あの程度で御了承願いたいと存ずるのでございます。繰り返しになりますが、まあこの機関運用はなかなかむずかしい面が確かに予想されます。そこで公共性をもちろん重んじ、それに徹して行かなければなりませんが、同時に、非常にむだ等排除する面において、やはり私的な色彩の機構のよいところを取り入れていかなければならない。それは決して利益追求精神ではないという観点から、ただいまのような法案仕組みにいたしておる次第でございまして、この点一つぜひ御了承願いたいと思います。衆議院方面におきましても、この点につきましてはだいぶ論議がございましたが、そういう点で御了承を願ったような次第でございます。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 前に原子力関係のときに先例があるということでありますが、当時から何かこの財政当局の方でこういう一行き方でないというと認めぬとか、そういう内部の事情というものがあるのではなかろうかという気もするのでありますが、要するにこの施行の責任をおとりになる関係当局としましては、私は何としても名実一体、一貫しておる行き方がいいと思うのでありまして、公益一点張りで行くようになっておっても、それらの上にあぐらをかいて、上げるべき利益も上げておらぬということ等については、それこそ十分に監督をせられればいいのであります。建前自身は、これがためにどうもヌエみたいな、どっちつかずの両頭のヘビみたいなものにしておかなければならぬということは、おかしなことであると思うのでありますが、そういう点で何かこれを立案せられた当局としては過去の実例から見て、やむなく、好む好まざるにかかわらずに、こういう行き方でせんならんというような事情があるのでありましょうか、その点伺っておきたいと思うのであります。
  19. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 三十条に利益配分の項目を取り入れたいきさつ等につきましては、この法案を作る初めにおきまして、大体原子力研究所、あるいは燃料公社というような同じ性格特殊法人であります性格のものの法案参考にいたしまして立案をいたしましたわけでございます。従いまして政務次官からお話がありましたように、公共性という形をとれば、どうしてもこの体系上こういうものを好むと好まざるによらず今までの習慣上、そういうことになっておるということで、三十条というものが入ってきたのでございまして、こういうことが書いてありますために、衆議院においても、これは政府監督をいたしまして、たとえば値段をきめるにいたしましても、これは商いとかということで下げさせることもできますし、利益を上げるような傾向に、もしもこの幹部が運営する場合は、厳重なる監督政府がせよという建前から、衆議院付帯決議がついたのでございます。そこで、特殊法人という形をとったのは、かような公共性のある重要な機関でございますので、政府監督を強化するためには、財団法人と比べまして特殊法人の方が非常に強いものでございますので、そういう面から見ましても、出資民間から仰いだ場合はやむを得ずこういう形になった。しかも、この運営において利益を追求することがないように、十分政府はこれを監督指導していくということで、豊田先生の御指摘になります非常に相矛盾する点は、政府さえしっかりしておれば、これはむろん理事長――責任者を選ぶわけでありますが、運営の画において私は誤まりはないと確信いたしております。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 出資のことをよく言われるのでありますけれども財界の方はさっきもお話ししますように、池田参考人答弁によっても明らかでありますが、何も出資式にしなくても初めから寄付のつもりでやってもいいのだということをはっきり言っておるので、この前も私、指摘したのでありますが、こういう羊頭狗肉なことで財界人をつろうと思っても、つられるものじゃない。それがはっきりしているにもかかわらず、こういう行き方をやられるということが、どうも私には納得がいかんのです。あるいは先例がそうなっておったから右へならえでやるのだということなら、私は先例がきわめて悪例と思う。これは科学技術を合理化しようというきわめて近代的なんですが、近代的な感覚を持って、その形式実体が一致するような行き方をして、そうしてその上で適正なる監督がやられればいいと思うのであります。これ以上いろいろ議論しておりましても何でありますから、私は納得のいかんことだけ、はっきり申し上げておきまして、一応質問を打ち切ります。
  21. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 今豊田委員から質問がありまして財政当局から何か指示があって、こういう形になったのじゃないかという質問があったのですが、原子力研究所先例があったというお話しですけれども、今度の法案を作成するに当って大蔵当局あたり意見を聞いて、その力の強い要望からこういう形、利益を予期して経理するという形のものが出てきたのじゃないかという質問に対してはっきりした答弁がなかったように思うのです。その点はいかがですか。
  22. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) その法案を立案するときに財政当局からのアドヴァイスはございました。これは事務当局がこの形が最もふさわしいという観点からいたしたものでございます。
  23. 小西英雄

    小西英雄君 大蔵当局は来てないのですか、それじゃ先にお尋ねいたしますが、この本法案は相当画期的な一つの新しい事業であるだけに、これは相当細心の注意をもって立案らせれたことだろうと思うのでありますが、そういう意味において先般私は参考人池田さんから一応民間協力というような問題についてお尋ねをいたしたのでありますが、具体的な問題といたしまして、この構想を見ますというと、大体十の専門部門というようなことが書いてあるのでありますが、実際に今の日本民間人が現に科学技術情報を得るために支払っておりまする大体の、何といいますか、金額といいますか、この間池田さんにちょっとお聞きしたのでありますが、そういう点について大体科学技術庁としてはお調べになったものはございませんか。
  24. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 先日の池田さんへの御質問は、海外の特許あるいはノーハウ等へどのくらい使っておったかという御質問であったかと思いますが、それでございますれば、私のただいま記憶いたしておりまするところでは、三十一年度でございましたか、約百億くらい、そうして、その前は七十億くらい使っておる、国家全体として。こういうふうに概算を輝いております。
  25. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういう実情があなたの方にわかっておりますれば、先ほど蟹田委員からいろいろ組織の問題に対して指摘があったのでありますが、これは最初から全く公共的な立場でいって、そうしてそれだけ大きく民間から支払っておる。これができたために、その点が補てんをされていくのだということになりますれば、民間の四千万や一億くらいの自然、寄付ということは、私は当然だろうと思うのでありますが、その点について当時の構想一つお聞きしたい。
  26. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 御説の通りでございまして、従って先般参考人として池田さんがやはりそのような趣旨のお答えがあったように記憶をいたします。また先日相馬委員からの御要求によりまして、私への質問についてガリ版刷りでお手元へ差し上げた中にも、財界への協力要請の今までのいきさつをやや詳細に申し述べておる中をお読み下さいましてもおわかりの通り財界もそういう精神協力を願えるわけでございます。それなら完全にもう公共的な性格機関に徹してしまえばいいじゃないかという議論が、そこから帰納的に結論づけられるようにも思いますが、同時に先ほども申し上げました通り民間の有能な人的要素をどうしてもここに導入をしたい、そうして機動的な性格を持たすことがこの日本科学技術情報センターの機能を有効に発揮するためにぜひとも必要であるという観点から、やはり民間人の採用を考えた。公共的な色彩に徹しますと、その点どうしても実際上の不便がある。こういう観点に出まして出資証券という形が出て、そこから法体系上三十条が出てくる、こういうふうな意味合いになろうかと思うのでございます。
  27. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからさらにお尋ねいたしたいことは、私ども民間といたしまするならば、この情報センターができたために自分たち負担金が非常に減るということになりますれば、先ほど申し上げました通り、一億であろうが、一億五千万であろうが、これは簡単だろうと思うのであります。そういう点において今後の情報センター活動というものを、われわれは格段の注意を払って見なければならないのでありますが、こういう点について、この説明を見ますというと、役員四人程度を含めて、大体六十人の人員とこういう構想なのでありますが、六十人くらいでわれわれが考えておりますようなほんとう活動ができるのかどうか、こういう点について、一つ具体的にお示しを願いたいと思います。
  28. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 六十人は三十二年度に集める人の人数でございまして、この計画は三カ年計画でやることにいたし、まして、三十三年度には百十名にふやします。それから最終年度の三十四年度におきましては百五十名程度にふやしてやつていきたい。しかし、百五十名でも、なかなかお話しのように煙嵐の面において十分な人間とは私ども考えておりませんので、その不足の面におきましては、学界あるいは協会その他民間の研究所あたりのこういうことに経験のある人たちにお願いいたしまして、部外の協力を求めて、その人たちの御協力によって人的不足の面は補っていきたい。これは各国ともそういう形式をとっております。これはセンターだけで膨大な情報活動をやるということは、とうていこれはできません。従って法の第一条にも、「科学技術情報に関する中枢的機関として」とあるように、いろいろあります情報活動を現在やっている機関の中心的役割を果してゆく。日本全体の情報活動を盛んにしてゆく。そうしてそれらの協力を得て、相互関係の助け合いによってこの仕事を完成させる。そういう意味では、むしろ部外におります専門家の御協力こそ、この仕事を完成させる非常に大きな一つのファクターになっているという考えで、私どもは百五十名の専属職員のほかに、千名ぐらいの部外協力者は少くとも得なければならない、こういうことについて学界その他にかねがねお話しを申し上げて、学界の方もできるだけ協力してやろう、またその他産業界においてこういう活動をしております機関におきましても、協力を惜しまないという話を伺って安心しているわけでございます。
  29. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから大事なことは、技術情報の収集、そうして単に収集だけではなく、これを迅速に関係方面に配付するということに、非常に関心を一般が持っておられるだろうと思いますが、これについて諸外国との連絡といいますか、提携といいますか、そういうことについての構想はいかがでございますか。
  30. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 諸外国におきまする提携につきましては、資料にもあげておきましたが、世界の多くの国々ですでにこういう機関を持っております。そういう機関とこちらの今度できますセンターと契約を結びまして、こういう情報は幾らでいただくとか、あるいは交換するということを取りきめまして、それらの機関を通じて早く有用なニュースあるいは情報を送ってもらう、あるいは諸外国に行っております科学技術アタッシェという人がありますが、そういう出先機関の御援助も得まして、できるだけ新しい情報をセンターに送ってもらう、また、情報センター自身も職員を予算の範囲内においてできるだけたくさん出して、それらの人々から、まだ発表されない、文献に載らないような有用な情報をとる、こういうように考えております。
  31. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は、こういう科学情報センターを作るという趣旨には大賛成なんですけれどもお話しを承わっていると、どうも二、三年たつと身売しなければならんというような不安を非常に感じているわけです。それで、そこらあたりの見通しをはっきりお伺いしたいということと、もし、ただいまの御提案説明の中でお伺いしている情報センターで発行する翻訳物なり資料、文献がこれだけ売りさばけない場合はどうするかということを、まずお伺いしたいのですがね。
  32. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) お手元に差し上げてありまする参考資料といたしまして収入のことが詳細に書いてございます。今期はどこから持ってきたかという点について御説明申し上げます。現在日本化学総覧、仙台の大学が中心としてやっておりますが、形は財団法人日本化学研究会で出しておりますが、化学総覧の売れ行きば年々ふえて参りまして、現在では約二千部出ております。それから製鉄技術総覧、これは鉄鋼関係の会社が集って向うの雑誌を翻訳して出しておりますが、これの売れ行きも約千七百部ぐらいはけております。これも逐次ふえている現象でございます。そういうように現在出ております専門分野におけるこのたぐいの情報の売れ方を見ましても、一部門において大体千七百から三千部程度のものは売れ得るというところに私どもは根拠を置きまして、速報が月に三回出ますが、初年度はまあ初めてですから千五百部ぐらいは売れるだろう、二年度は少しふえて千六百、三年度におきまして千七百部程度は売れるだろうという現在情報活動をやっておりまする機関の実績を参考にいたしましてこの計画を立っております。もちろん情報センターといたしましては、できるだけ安く広く情報を流したいということを考えておりますので、千七百で甘んじておるというわけではなしに、将来二千部になり、またそれ以上にも発展させていきたいというふうには考えておりますが、今期の、了算として一応私どもがただいま申し上げましたような基礎から割り出したものによって計画を立ってやっていくという次第でございます。
  33. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三輪政府委員の御説明は、日本で半官半代のたとえばこれは一例ですが新聞社を作るのだ、そうすると朝日が百二十万部で、読売が九十万部、毎日が八十万部で合せて二百数十万部になるから、それだけ売れるのだというような、どうもとらぬタヌキの皮算用のような気がするのですが、たとえば外国々々といって、これで二日目の質問になるのですが、諸外国といったらすぐアメリカを考えたり、あるいはイギリス、ドイツ、フランスこういう方面ばかり考えている。ところが、日本の政策というものはそういうアメリカとかヨーロッパを無視できぬでしょうけれども、しかし、輸出に力を入れておられる方は、当然東南アジアとか中共という方にも大いに注目して仕事をなさっているのですね。そうしますと、とにかくアメリカとかあるいはヨーロッパのように、政府機関なり、民間団体で、そういう機関が発送しているところの情報は取りやすいけれども、東南アジアへ行って、政情不安だというようなところは、みずから行って資料を集めなければならぬ、こうなるとどこへ連絡したらいいかわからぬ。こういうところには膨大な、金がかかる。中共もしかりです。ですからもちろん三年たった古新聞のようなものを求めるということなら別問題ですが、日産自動革で自動車を一台作る、ところが、日本の自動車は多くて三十五キロから五十キロのスピードに合せる自動車を作っている。東南アジアに行くと、国が三等国四等国といっても、百八十キロぐらい走る自動車を作っている。そういう研究もしなければならぬし、そういうところの文献を集めてくれと言ってもとても二千万円や三千万円の資金ではできないので、そういう点を具体的にお話を伺いたいのですがね、抽象論ではなくして。
  34. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 東南アジアにおいては、インドにもやはり科学文献センターというのが、ユネスコのモデル・ケースとしてあり、あそこはユネスコから補助をもらってやっております。中国は存じませんけれども、その他におきましても、こういう活動は大なり小なりやっております。そういうところと提携をいたしますれば、向うの情報は入りますし、なお、いろいろな雑誌が、科学技術に関する雑誌が全世界では五万種類ぐらい出ております。もちろん、それを全部取るわけには参りませんが、そういう雑誌発行者、有用な雑誌の発行者等とも契約をいたしまして、そういう雑誌ができたならば、すぐマイクロフィルムにとって航空郵便で送る。そうすれば一番早く着く。雑誌をそのまま航空郵便で送れば高くつきますから、フィルムにとりますれば安い。そういう形式をとりますれば、われわれが最小必要限度の資料は最もすみやかに入って来る。そういうことで予算も見積ってございます。
  35. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これはそうしますとあれですか、純然たる外国ばかりの受け売りであって、そうして日本でこの技術庁内に研究所を作ってその情報を流す。あるいは文献を作って参考資料としてあらゆる業界に流すというようなことはないのですね。あくまでも外国の受け売り機関である、こういうことですか。
  36. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) わが国の技術の後進性ということは、ひとしく認められておるわけでございまして、内外の科学技術に関する情報を早くとって流すというのが、一条に書いてございますが、センターといたしましてはどこに重点を置くかと申しますと、やはりこれは諸外国の新しい技術の情報を早く日本の産業に取り入れるというところに、重点を置かなければなりませんが、しからばといって、国内の情報をそのままにしておくというわけにも参りませんので、そういう体制を整えつつ、できる範囲から国内の方も新しいニュースはあまねく行きわたるように順次やって行きたいというふうに考えております。
  37. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、これは話が違うわけですが、この法案の第三十四条に「国立国会図書館その他の関係機関の文献及び資料の利用を図るほか、関係機関と緊密に協力しなければならない。」この「関係機関」というのは、どこを指すのですか。
  38. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 二十四条に書いてございます「関係機関」というのは、広い意味を私ども指しておりまして、たとえば政府の研究所とか、そういうところももちろん入りますし、地方自治団体の県立の試験所あるいはその他の団体、地方機関というもので、こういう活動をやっているところ、そのほかに学界、協会、団体でこういうような活動をやる、また蔵書を持っている、あるいは資料を持っているというものを対象にした広い意味の関係機関というものに対して、緊密に協力をしていく。向うでたとえば、こういう資料を交換しようといった場合に、この交換に応ずる。あるいは仕事の範囲をきめようじゃないかというような場合には、お互いに、タブらないよう取りきめをするように、先ほど申しましたように、センターがあくまで中心的な存在でございますので、こういう活動をやって、いるあらゆる機関と協調して能率的に、決して向うの仕事をじゃましたり、あるいは、取り上げるというようなことをいたさぬということで、緊密に協力していきたいというふうに考えております。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、あらゆる機関というものの限定がないようですが、内容はわかりました。しかし、そういうあらゆる機関の利用をはかるというようなことを、一つの法文によって押えることができるかどうかということをお伺いしたいのですね。あらゆる機関、この国会図書館その他があらゆる機関ですね、あなたが今説明された…。それを文献とか資料、これを法律でもって利用できることになるわけですね。そういうことになりましょう。そういうことを法文の解釈としてできるかどうか、そういう点を一つお伺いしたいのですがね。
  40. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) ここにも「できる限り」とうたっておりまして、この「できる限り」はどこにかかっておるかと申しますと、国立国会図書館と、今申し上げました関係機関というふうに、まあ向うがどうしてもいやだというのについては、これはやむを得ないのでありますけれどもセンターといたしまして、あくまでもできる範囲でそういう関係と協調してやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると「できる限り」という四字か五字が入っているから、法律で縛っても何ともないのだとこういうことですね。
  42. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) これは先ほど来から申し上げておるように、いやしくも文献活動をやっておる現在の機関におきましては、情報センターができて日本の文献活動が盛んになるということは皆さん賛成をしております。お配りいたしました参考資料にもございますように、私ども民間の研究所四百に対してアンケートを出しまして、こういうセンターを作る場合に、いかなる形のものがいいか、あるいはどういうものを要求しているかというアンケートを出しましたところが、そのうちまあ回答が二百何社参りまして、現在の推定いたしましたところは九〇%というものは、文献活動日本は非常に不足しておるという回答なのであります。また、従ってこのいろいろなセンターを作ることにつきましては、全面的に賛成をしております。そういうアンケートから見ましても、また、既設の情報活動をやっておる機関と話し合いをしたことから推測いたしましても、こういう機関ができて、日本の文献活動がこれを中心として発達するということにつきましては、非常に期待を持っております。従ってこちらから協力してほしいと申し出をした場合は、私は必ず向うの協力も得ることができるであろうというふうに考えております。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それはまあアンケートを四百社に対してされたと、こういう御答弁ですが、それは何人もと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、こういう趣旨については、まあ大多数の人が賛成すると思います。ただ、その問題は中身の問題になってくるので、これは最前豊田委員も御質問をされて、運用の面も御心配された御質問だと判断しておるのですが、そこで二つほど…。賛成はするでしょう。しかしながら、どういう方面からこの四千万円の出資を仰ぐか知りませんけれども、先日の参考人お話しでも、五年後の日本科学技術水準をどうするとか、十年後の技術水準はどうなるから、今から研究しなければならぬ、研究文献がほしいというよりも、あすどうなるか、今日の科学技術がどうなるかというふうに集中してほしいという意味の公述もございました。それでまあそういうふうなことを考えると、一方的に情報提供が片寄ってしまいやしないかと、なお極端なことを言うと、大造船会社とか、あるいは電力会社とか、あるいは化学工業とか、そういうところの一方的な力によって、その情報の頒布ということが片寄りやしないかということを私は心配しておるのです。  それからもう一つは、これも運用の面にかかると思いますが、まあこういうことになるのですね。運用の面でたとえばここで「できる限り」とあるから、法で押えても何ともないと言うけれども、いよいよこれは収支決算を毎年やるようですから、そうしますと、どなたが運用をやっても、まあ黒字にせぬでも赤字は出したくないというようなお気持になると思いますが、別に利益を上げなくても、情報センターを赤字にしないで、内閣総理大臣に決裁を仰いでお金を借りようということにはならないと思います。そういう場合に、あらゆる機関協力しないとか、あるいは国会図書館が文献を進んで提供してくれないとか、原子力研究所で膨大な資料があるにもかかわらず、提供してくれなかったというようななわ張り争いよりも、責任の転嫁ということが起きてこないか、こういう二つの点を心配するのですが、この点はどうですかね。
  44. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 片寄ったサービスに陥るおそれがあるのではないかという点に対しましては、センターが設立いたしますれば、参与、これは名前はわかりませんが、そういうような機関を設けさせて、これは中小企業あるいは大企業も入りましょうし、学者も入るでしょうし、研究所も入るでしょうが、参与のような形で広く意見を求めまして、片寄らないようなふうにしていきたいと思います。もちろん、役所の監督もそういう面において十分留意してやりますけれどもセンター自体もそういう一つの諮問機関と申しますか、スタッフと申しますか、そういうものを設けまして、運営にあやまりのないようにいたしたいと思っております。  第二点は、原子力研究所、あるいは国会図書館がこちらの申し入れに対して拒絶するおそれはないかという点につきましては、国会図書館につきましては、これはこの法案を作る前から御相談申し上げて、私どもの方は立案の当時、しばしば会議を開きまして、科学技術審議会の情報部会にも図書館からおいで願って、御協議を申し上げております。従いましてこちらからこういうものを貸してもらいたいというこまかい点につきましては、覚書を交換するという段取りになっております。この法律通りますれば、そのような覚書の具体的内容も打ち合せすることになっております。それから原子力研究所、あるいは原子燃料公社、原子力産業会議というような方面につきましても、事前にすでに打ち合せ済みで、研究所並びに産業会議におきまして十分文献その他は提供するから大いに一つやろうじゃないかというふうに話はついております。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それで国会図書館と連絡がついているというお話しですが、まあ、前回に図書館から来た人にお話を聞いてもそういうことでしたが、私がただそこで不思議に思うのは、本年度の予算査定をやって、いよいよ予算ができるというまで、そのときまで図書館の方でも一億円だと思いますが、情報センターを作るという要求を出しておったのですね、それからあなた万の方からも一億一千万円ですか、七千万円に削られたのですが、あなた方の要求は最初一億二千万円ですね、ですから一月まで政府としてはどちらに置くということが、明確にきまっておらなかったのだと思います。明確にきまっておったら、そちらのルートとこちらのルートと両方から予算の要求が出てくるはずがない。そこで、いつの間にかあなた方の方でやることになったのですが、その内容ですね、あなた方の方に置いたのが全く正しくて、発展して将来こうなるのだということでいったのか、そのときのとにかく経過を若干お聞きしたいと思うのですがね。
  46. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 昨日もそういうような御質問がありましたが、私どもがこの情報センターを作る構想は、科学技術岸ができた当初から、これはどうしても日本としてはやらなければならないということで、科学技術庁の重大政策の一つとして着々準備を進めて参ったが、これは昨年の五月十九日に科学技術庁ができたのでございますが、そこで先ほど申しました科学技術審議会に情報部会というものを正式に作ったわけでございますが、それが昨年のたしか八月十四日に第一回の会合が持たれました。従って私ども情報センターを作るという構想を実現させるために準備もし、部会も開き、また、広く学界関係の方々にお集りいただいて、この情報部会を中心として案を練ってきたわけであります。その場合に、国会図書館の方もこれは立法府ですから、委員になることがありませんけれども、オブザーバーとして参加を願ったのであります。こういう構想があるから、一つ参加してもらいたい、御意見を伺いたいという意味で参加願ったわけであります。そうしてずっと、予算を提出し、その説明をいろいろといたしたのでありますが、私寡聞にいたしまして、国会図書館が新たにこれと同じような機関を作るということは、いまだかつて私の耳には入りませんでした。従いましてこういう構想は、私自身としては、科学技術庁だけが三十二年度の予算としては、こういうものを新しい機関として設立するのだということを予算にも出しており、あるいはまた、法律の用意もしたというふうに私は承知しております。
  47. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 一言だけお伺いしたいのですが、この科学技術情報センターができますことは、科学技術の振興なり、日本の産業の発展のために、非常にけっこうだと思いますが、私がお伺いしたいのは、この第二条にあります、「自然科学を基礎とする技術に関する情報」こういうものには、いわゆる工業、電気とか、機械とか、そういう工学の方だけをここでやるのであって、自然科学というものに、農業あるいは水産というような方面はお考えになっていないかどうか。この資料によりますと、専門分野の中の第一には理学というのがありまして、その中に動植物というのが言葉ございます。しかし、十部門の大体はいわゆる工学方面でありますから、重点がそっちにあることは、よくわかりますが、私がお伺いしたいのは、それでは日本のいわゆる自然科学というものは、農業なり、水産なりは非常に発展していて、そういうことを考える必要がないというふうに政府はお考えになっておるのかどうか。今農業といえば、食糧が主でありますけれども、例の漁業問題等についても、北洋方面の漁業なんかについても、基礎になる魚の増殖といいますか、いろいろの点なんかは研究する必要があるのじゃないか。また、食糧も相当進歩はしておりますけれども、狭い日本でさらに増産するには、いろいろ問題があると思います。それからこの与えられました資料にも、よその国では、農学なり林業なりというものが、専門の部門として大きくあげられておるところもございます。そういうところから、私の質問の要点は、自然科学という、第二条の定義をどういうふうにお考えになっておるのかという点でございます。
  48. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 第二条の自然科学は、衆議院において修正された項目でございます。従ってここで申します自然科学というのは、人文科学のみにかかるものを除いた全部の自然科学ということになりますので、ただいま御指摘になりました農業とか、水産、医学、もちろん入るわけでございますが、ただし、センターの今後の計画といたしましては、急に何もかもやるというわけには参りませんので、一応三十四年が三カ年計画の終りになりますが、それが終ってから、農業と医学の方は次の段階でやっていきたいというように考えておりまするが、しかし、一般の関連ある、たとえばアイソトープの問題というようなものは、農業にも、水産にも、あるいは医学にも関係がございます。そういう関連のものは、三年後でなしに、直ちに鉱工業部門と同様に扱っていくのでありまして、純粋な農業あるいは水産オンリーのものについては、三年後に取りかかるという大体の予定でございます。
  49. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 よくわかりました。ですから重ねて御質問する必要はないのでありますけれども私は今度できますこのセンターが始まる根本の精神だものですから、これがいわゆる通産省方面との御折衝だけでなしに、関係のある農林省なり厚生省なりとも連繋をおとりになって、初めから間口を広くすることは不適当だと思いますけれども、しかし、やはり自然科学ということになっていれば、今お話しになったような点もさらに進められることが、国家のために必要ではないかと思いまして、私は消極的に、そういうものは研究しないこれが機関であるかどうか。もし、そうだとすれば、別のものをまた考える必要もあるだろうと思って伺ったわけでございますけれども、できるだけ一つ予算でもお取りになって、広くおやりに、まあ窓口を広げてぼけてはいけませんけれども、はっきり分けて、この方面はこの方面で進む。また、今申し上げましたような農業方面等もさらに大きく科学的に飛躍していただきたいと思って伺ったわけであります。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 図書館の方から見えておりませんので、その点は答えられるだけお答え願いたいと思いますが、先日の参考人の話を聞いてみましても、加藤教授の話では、これは科学専門の図書館にすべきである、こういうのが第一だったと思うのです。図書館側の話を聞いてみますならば、科学情報センターという、こういうのは図書館でやるべきだ、こういうような主張をされておったと思います。そこで、極端に申し上げるならば、屋上屋を作るような感じがしないでもない。図書館でなぜやれないのか。なぜ、これが独立してやらなければならないのか、一応説明の中には入っておりましたけれども、その点お尋ねいたします。
  51. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) この間、参考人のどなたかの御意見にもあったと思うのでございますが、一般的な関係と特殊的なスペシャリゼーションの関係、概念的に申し上げますとそういうことになるかと存じます。国会図書館の方は、国立国会図書館は国会側の要求を主とし、その他司法、行政、進んで広く一般の用に供するための図書その他をまず一般的に集めておく、そうしてこれをなお積極的に利用する面があります。その面において、この情報センター等と表面重複のような形が出てくるおそれも感ぜられる、見えるから、むしろ図書館でやったらどうかということになりますが、やはり国立国会図書館の本来の使命というものを考えますと、その科学技術振興のために、内外の科学技術に関する情報を迅速に収集し、これを必要な方面に頒布し、また、必要に応じてすぐわかるようにしておくというような、ごく特殊な任務を持った仕事まで、この機関において分化的にやっていくということは、実際上やはりできないのではないか、こういうことで盲点のできておる日本科学技術振興のために、最も必要なものでありながら、やはり従来できていなかった。幸いにして科学技術庁というようなものが、昨年の五月発足しましたがゆえに、先ほど三輪局長も申しましたごとく、科学技術庁として、まさに考うべき一つ機関として、重大なものとして考えたゆえんもそこにあるので、やはり特殊な、ごく分化された任務を遂行する、しかもそれが国家的に必要性がある、こういう点から、こういう機関をどうしても別個に作るべきである。こういうことは理論的にも、またことに実際的にも、その要請に合致するものでなければいかぬ、こう考えて、この機関の設立並びにそれに関係する法案を作りまして、御協賛を仰ぐ、こういうふうに思っておるわけであります。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 諸外国は知りませんが、日本の官庁は、自分の所管する仕事は自分の手元にすべてを集めたい、こういう考えが非常にあって、所管争い等がいつもなされておる。特に、科学についてはそういうことが言えると思うのです。なぜかならば、図書館の話を聞いて見ましても、昭和二十七年から今日まで、五年間の三分の二の予算は科学技術に使われておる。また、図書館に対する考え方が、衆議院の御説明でも違っておる。近代図書館としては、書物を集める、資料を集めるということが主でなくて、進んで実用に供するというのが、近代図書館の任務であるということを言っておる。そうするならば、この二億数千万円の金を使って科学情報収集をやっておる国立国会図書館が、政治面あるいは経済面だけに利用されるおそれが多分にあるというならば、図書館の中に、その性格を持たしていくならば、私はこの二億数千万円の使った金も相当生きていくであろうと思うのです。図書館からこの科学のものを抜かしてしまったならば、あとは三分の一の機構でいいということになってくる。これは機構の問題だろうと私は思うのですが、その点、科学技術庁のもとに置かなければならないという理由がなわ張り的に聞えるが、その点はいかがですか。
  53. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) 決してなわ張り的な考えから出たものではないのでございまして、先ほども申し上げました通り科学技術を振興するためという、ごく特殊な限られました仕事をしていくためには、やはりその方面の技術情報を取り扱い、これを分類し、頒布していくような方面に、経験もあり、また実際そういう方面関係も深いという人材を要するわけであります。特殊の人材を要するわけでございます。こういう人を図書館という―もちろん近代図書館としては、ただ図書を集めて閲覧に供するばかりでなく、これを積極的にいろいろ応用方面に利用される新しい分野のあることは、もちろんでございますけれども、特殊なそういう国家的目的を達成する必要があり、そういう機関を一般的なものの中に含めるということは、やはり実際上非常な不便があるのではなかろうか。それがために、やはりこういう専門的な分野としては、専門的な機関のもとに置く方が能率が上る、所期の効果も発揮できるのじゃなかろうか、こういう観点から、また、国会図書館もその点は御認識を願い、そうしてわれわれといえども、国立国会図書館にありまする国費をかけた図書というものは、別の機関ではない、もちろんわれわれのこの機関ができますれば、日本科学技術情報センターの書庫として、一体として利用していく、ここがヒンター・ランドになっておるのでありますから、決してなわ張り的な考えはないとお考え願いたいと思います。
  54. 三輪大作

    政府委員三輪大作君) 図書館と情報センターの相違でございますが、図書館は、図書館法にも書いてございますように、主たる目的は、やはり立法関係の資料、その他の図書館サービスをするということだと、あの法律の二条、十五条、二十一条を読んでみましても、そういうように考えられます。もし、余裕があれば、妨げない範囲において一般に図書館サービスをするようにというように書いてございます。従いまして、重点は、あくまでも、東西古今を問わず、あらゆる資料を図書館は収集いたしておきまして、それを立法の場合、あるいは行政司法関係参考として提供する、私どもは、ただいまの図書館法による国立国会図書館は、そこに重点があるだろうと推察されます。今度できまする情報センターは、情報をすみやかに流す、しまっておくだけではないので、来れば見せてやるというのではなしに、積極的に一線の産業界と緊密な連絡をとって、時々刻々変っていく科学技術の情報を流してやるというところに、動的な存在があるわけであります。性格的に申しましても、図書館と情報センターとは違うと思います。従いまして、このようなことは、欧州におきましてもすでに認められておって、先ほど申しましたインドの科学文献センターは、ユネスコでモデルケースで文献活動をさせておるわけであります。図書館と情報活動とは、欧州におきましてもはっきり区別をいたしまして、ただいま次官が申されたように、それぞれ協力し合ってこの仕事をやっていく。こういうような考えから、決して重点はダブっているものではない。従いまして、屋上屋を重ねる、国費のむだをやる、あるいは非能率なものでは決してない。また、そういうように双方で協力し合っていかなければ、図書館では効果が上らぬというふうに考えております。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これは午後もやる予定なんですから、大蔵省も来ないので、一応ちょっと休憩されたらどうですか。定員も欠けておるようですから。
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 質問はまだおありと思いますけれども、それでは暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕