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参考人(
池田亀三郎君) 私は先だって
衆議院の方にも
参考人に呼ばれまして、またきょう重ねて申し上げることはないと思っておったのでございますが、きょう呼ばれましたので申し上げますけれ
ども、なおきょう一時から私は
衆議院の方へまた
参考人で呼ばれておりますので、だいぶ時間も経過いたしましたし、なるべく簡単に申し上げたいと思いますが、私はちょっと
加藤さんとは違った
立場からこれを見るわけでございます。そのおつもりでお聞き取りを願いたいのであります。
技術振興というような問題につきましては、どなたも
反対の力はございません。
皆さんがそうおっしゃいます。ただこの
振興の
必要性の認識の
程度が非常に違うのじゃないかと思います。私
どもが
わが国の大体のこの資源なり、人口なり、その他
世界の中に置かれた
立地条件からしまして、どうしてもこの
技術振興というものは、むしろ行き過ぎたくらいに、
国家の
最高政策としても考えていただきたい、こういうふうにかねがね考えておるものであります。大体
皆さんが賛成するようなことは、
皆さんもやらないのです、大体。私
どもかつて、
PBリポートの問題も、今
お話がありましたのですが、ちょうど
吉田内閣のときでございましたが、何かこの与野党の共同の広場として、
技術振興というものを考えたいということで、
科学技術振興協議会というものを作りまして、それはその当時の
衆議院の
議長さんに
会長になってもらいまして、
参議院の副
議長、社会党の三木さんでありましたか、この方に副
会長になってもらいまして、私が
常任委員長ということでいたしましたのですが、そのときちょうど今
PBリポートという
お話しも出ましたから申し上げますけれ
ども、これは実際買うのに非常に金もかかる、たまたま
吉川総理は非常に御理解があって
予備金から出して下さいました。それで
加藤さんのおっしゃった
通り国会図書館に備えつけることができた、こういうことをおもになされました。その後、だんだん
技術振興のことがやかましくなりまして、
議員連盟というもの、かたしか二百五十何人くらいおったと思いますが、これが、
議員連盟が非常にいろいろな弊害があっておもしろくないということで、解散しようということで解散なさったようでございますが、そこで、その後にこの
関係で生まれましたのがこの
経済団体連合会ですが、そんなことで、いろいろ私
ども民間人としてちょくちょくそんなところに呼ばれて参りましたのでございますが、どうしても
科学技術庁というものを、そういったものをぜひ作りたい。これは最初の
科学技術振興協議会の時分から問題になっておったのでございます。たまたま一昨年の秋に、私
ども行政審議会に
科学技術庁の
設立についての諮問をされまして、結局できたものが
答申案より非常に弱いものでございまして、遺憾ではありましたけれ
ども、とにかく一応
科学技術庁というものができ上ったのであります。そこで、でき上った結果の第一の問題といたしますと、きょう問題になりました
科学技術情報センター、それから
技術開発公団、それから
分析センター、こういったものが企画されたのでございますが、不幸にして
技術開発公団は私一番必要と思っておったのでありますけれ
ども、これはいろいろ
反対もございましたようです。結局はただ
調査費だけで二百四十万円ですか、そのくらいのものがちょっと頭を出してきたということのように伺っております。なお、
分析センターの方は
科学技術庁にはできませんで、結局
工業技術院の中に一部そういう
設備ができたということのようでございます。
そこで、
情報センターでございますが、これの大体の
機関なり規則を私拝見しますと、今
加藤さんから
お話がありましたように、まことに
程度の低いもので、
予算も非常に少いので、私も実際にこれで十分やり得るかどうかということは疑いを持つのでございます。しかし、このできましたのも非常におそ過ぎたと思ったくらいですから、まず一応こういうものでもできたということは、私
どもも非常に喜んでおる次第でございます。そこでこの
情報センターにつきましては、大体初めから大きな
いろいろ衆議院でも希望がございました。伺っておりますと、これはみな
理想論でございまして、結局そういった大きな将来での大
理想を掲げていくことはけっこうだと思います。しかし、今の
国家財政の
関係から、一足飛びにこれをやるということは、困難じゃないだろうか、一応ここで、この辺のところで一番
能率よく考えて成果を上げるようにやっていくということが、第二要務じゃないかと、こういうふうに考えたわけでございます。
それでなお
情報センターの
必要性でございますが、今
お話し伺いますと、
科学図書館ができればいいということでございましたけれ
ども、私
ども仕事をしておる者からいいますと、相当それぞれみな
情報を取るには金と労力を使っております。そうしていろいろ
お話があった
通り、大体とります
文献も調べておるところのおよそもう同じ
程度のものを見ているのじゃないか、こう思います。これならばおのおのがいろいろ苦労して金を使ってやりませんでも、中核的な
国家機関がでまして、そこでやって下さるということでありますと、大へん仕合せであります。われわれはこの上の
専門が必要だという
お話であったなら、やむを得なければ買おうじゃないか、こういうことを考えております。例を申しますと、私
どもずっと十年ほど引っ込んでおりました。いろいろ
技術振興だとか
工業教育とかといった問題があるのですが、そういうのをずっと考えてみますと、最近この
技術の
進歩、
原子力とか、オートメーションとか、あるいは
石油化学とかいうことを申されます。私は昨年の四月にこの年寄りでいろいろな今までの主張もいたしまして、
石油化学会社を創立いたしました。さて考えてみますと、今度発足する
会社が十社ございますが、どれもこれも全部
外岡技術を導入する、
特許、ロイアルティに莫大な金が要る。大体私の存じ上げているところでは、
国家研究機関そのほかで一年の
予算が大体百六十億くらいじゃないかと思いますが、今度
外国技術からとるものが、どのくらいになりますか。今私はっきり覚えませんけれ
ども、相当の金額になります。これはいつまでも
外国技術を導入していくことであっては、とうてい資源も少い、人口の多い
日本は外に立ち向っていくということはできないと思います。結局は
技術振興以外には
日本は生きる道はない、私はふだんからこういうふうに確信しておるものでございます。それで戦争中からかけまして、戦後ずっとますますそういう
先進国との間に
技術程度の格差が、むしろ近づくよりは離れんとしておる、こう申し上げてもよかろうかと思います。
そこで
石油化学工業ということを申し上げたのですが、これも
石油化学というと簡単でございますけれ
ども、作るものが大体従来石炭あるいは
発酵工業等で作られておるものにかわるものを作るということだけでありませんで、全然新
製品を作るということでございます。これは
天然物にかわるもの、あるいは鉄、金属にかわるもの、御
承知のように全部新
製品でございます。たとえば
ポリエチレンの例をあげますと、
ポリエチレンの名は安定したものでございますけれ
ども、
内容から申し上げますと、何十種があるわけです。これは次々と非常な遊歩を遂げております。これの
情報を取るということも、そう簡単ではございませんで、今の
進歩ですとそういうとったものは何にもならないと思うのです。なるべく迅速に的確に
情報を得たい、こういうことを考えます。
そんなことをも考えまして、まず大体この
技術振興の基礎をなすために、その
一つの一翼として、
情報を得たい、こういうふうに思っております。これは発行されました、公刊されたものを見るだけではいけませんので、その他のものを使いまして、今言った
情報の一部を使ってやっておる、こういうことがあるのであります。それから国と国との間で、われわれの手ではどうしてもできないものを、
国家間で公刊してやるということでありますれば、これは容易にたくさん出てくるのではないかと思います。そんなことも考えまして、何といってもなるべく早く
情報センターを作って、これを拡張して
理想的なものにやっていただきたい、こういうふうに私は考えております。
なお、遺憾ながら
日本は、ヨーロッパのまん中でもありますといいのですが、交通が不便でございますから、またあるいは
会議に出るとか、
会議の
資料をもらうとかいうこともございますが、なかなか
日本のように離れておって、言語も違いますので、この点が非常に不利でございまして、むしろ、われわれは
アメリカ、ヨーロッパ等で考えておる、あるいはやっている以上のことをわれわれはやらなければ、この
技術振興に対処することはできないのじゃないかということを心配しております。そんなことで今
加藤先生がおっしゃった
通り、なるべく早く確実な
情報を取り入れまして、これは今言ったような状態でばらばらでございます。これを一括して、各
図書館でもけっこうでございますけれ
ども、
図書館だけでは、なかなかそこへ足を運んでいくということは困難でございますから、やはりこれは
整理し、そうして分数もしましてこれを消化しまして、そうして一般に普及していただきたい。ただし、これは用のないものはこの限りではない。
会社に投資しますが、これは利益配当の必要はありません。この辺のところは
技術的にどうするかということは、今後の問題だと思います。私たちが
会社を経営する場合でも、こういうものをやりますには企画が一番大切だと思います。企画をやりますについて、金を使って、融資をして、まずこの企画を十分に、やっていただきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
なお、これにはむろん集める、そうしてそれを消化する、分数するということになりますと、自然系統的にもなります、総合的にもなります、非常に便宜があるのじゃないか、こんなふうに考えるのであります。そうしてこれを
技術的な問題になりますけれ
ども、適時適宜に必要な方面になるべく効果的に流していくということが、絶対条件であろうかと、こんなふうに思っておるものであります。こういったことが、この運営についての非常に重要な問題となると思います。
で、この前に
衆議院の
委員会でも問題になりましたのですが、一体
科学技術とは何ぞやというふうな問題もありました。私にはこれはお答えはできません。行政
審議会のときも、これはすぐ問題になったのでございますが、たまたま
根本長官が、これは産業
技術が
科学技術だ、こういうことをおっしゃられまして、初めて私
どもはその
審議会の諮問の
意味もはっきりいたしまして、ああいった答申を出した次第でございました。
科学技術といえば、一応人文科学も入ることになります。それは、将来の
理想としてはけっこうでございますけれ
ども、なかなか二億や三億を一年に使いましてこの面までこれを伸ばしていくことは、これば絶対不可能だし、また、やってもむだだ、こう考えておりますので、私の希望から言いますと、自然科学を基礎とした
技術振興をやって、なお、その中でも重点的に一番効果のあるような
日本の
技術振興、国民経済に影響を来たすような問題を取り上げた方がよくはないかというふうに希望を申し上げたいのであります。せんだって、長官から経団連の幹部を呼ばれまして説明会があったときも、石川君から、実際の自分の
経験から言いまして、そういった方面の
意見がございました。私もかねがねそう思っております。少くともこの面では、この
情報センターは、一番確かなもので一番効果的なものだというふうなことからだん、だん始めていきたいと、こういうふうに私は希望いたします。
それからなお、法律を見ますと、協力
関係のことが書いてございますが、これは、
国会図書館そのほか大学の
図書館等、その方面での
政府の行政
機関の強力な御協力を得ないことには当然むずかしいと思います。ことに、初めて店を開きましたらば、なかなか人が新たに、仕事も新しくやるのでございますから、この
情報センターがそういったような
図書館またそのほかに協力するというよりは、むしろ、当初は、この
国家施設のもとに
民間の施設の十分な協力を得るということが当然必要かと、こんなふうに考えておるものでございます。
なお、今中しました行政
機関、これがもしかりにでき上りましても、各行政
機関がそっぽを向いておって理解がないということでは、もうとうてい成功がむずかしいと思います。私
ども民間の者も、できるだけ物心両面でも御協力申し上げたい、こういうことをお約束した次第でございます。
私はちょうど経団連の産業
技術委員長をしておりましたりして、説明も聞きました。私
どもの年来の熱望でもありましたから、さっそく当局の
お話も伺いまして、それでたびたび
委員会も聞きまして、その結論としまして、ぜひ早くこれをやってほしいということを要望もいたした次第でございます。それには、私
どもの
委員会のほかに、顧問会にかけ、あるいは推薦
委員会にかけ、
理事会にかけ、常任
理事会にかけまして、それぞれの
機関を通しまして
研究した結果、いつでしたか、要望書を出したのでございます。そんな結果としまして、こういうふうなものが今生まれるということは、私
どもとしてまことにありがたいことと考えておる次第でございます。
なお、私もう
一つ希望を申し上げさしていただきますと、一体この幹部はどういう人がなるのかということでございます。これはもう事業も人なりです。やっぱりこういうものも人なりでございますから、できるだけりっぱな者を
理事長に持ってきていただきたい、こういうふうにしていただきたいと思います。また、待遇があまりよくないらしいので、私
どももあの人だと思うような人が仕事をやって下さるかどうかということを疑問に思いまして、大体兼任を許さないということになっておるのでございますが、ただ、総理大臣の認可を得ますと兼任を認めるということになっておるようでありますが、私の希望は、最初はそういう適当な人がございますれば、兼任でもやむを得ない、やがておいおいと基礎もできましたときに、専任の人を持ってくるということになるのじゃないだろうか、こんなふうに考えをするのでございます。
なお、私
どもが一番問題にしておりますのは、大体規模が非常に小さいし、ほんとうは
政府が独自でやって下さるのがいいと思うのですけれ
ども、これまた
財政難の
関係もございますと思いますから、
民間も当然これに協力申し上げなくちゃいかんだろう、こう思っております。そこで、むろん一番大きく受益するのは
民間でございますから、当然の資金上の御協力を申し上げなくちゃいかんということは、よく私
どもも
承知しておりまして、これはせんだって長官がいらしったときも、はっきり石坂
会長からもお約束申し上げた次第でございました。これからその人もきまりまして、どうなりますかわかりませんが、小さく生まれるのですけれ
ども、なるべく大きく育っていくことを私は切望して、やみません。
なお、この人事、機構のほか、
政府の監督でございますが、当初からあまりむずかしい監督をされますと、動きにくいのじゃないか、こう思います。まあ結局は、あまりむずかしい機構、人事、監督で、官僚的にならないように、私
ども希望を申し上げる次第でございます。