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1957-10-24 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月二十四日(木曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君            青柳 秀夫君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋進太郎君            島   清君            河野 謙三君            梶原 茂嘉君            大竹平八郎君   衆議院議員            小平 久雄君            春日 一幸君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   事務同側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 昨日私の申し上げましたことについて、あまり適当でない言葉がありましたので、一応お断わり申し上げたいと思います。中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の第二十三条の三の趣旨につきましては、もとより政府としましては、極力その実現に努めたいというふうに考えておるのでありまして、政府が小組合組合員に対して特別な措置を講じますことは、今までのいろいろ税制上の体系から見まして非常にむずかしい、いろいろ工夫をしなければならんことが多いと考えております。私がきのう疑義あると申し上げましたのは、政府がその規定実現するにつきまして、ただいま申しましたように、いろいろ工夫をこらさなければならんという、容易なものではないという意味で申し上げたのでありまして、あるいは誤解をされる節もあったかと思いますが、そういう趣旨で申し上げましたので、あくまで政府といたしましては極力法文に従いましてその実現に努めたい所存でありますので、その点御了承願いたいと思います。
  4. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま通産大臣からきのうの御発言に対する疑義の点の解明がございましたが、わが社会党側委員といたしましては、十分速記録ができ上ってから検討して、本件に対し態度を表明したいと思いますので、本件に関する限り保留さしていただきたいと思います。
  5. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 関連して。ただいまの大臣の御発言でありますが、立案者は、この条項宣言規定であるという趣旨のことを言っておられるのであります。昨日の大臣の御答弁では、その点に疑義があるというふうに私は聞き取ったのであります。ただいまの御発言で、この条項法律として宣言的なものだと解釈されるのかどうかという点が私まだ問題だと思う。その点を一応はっきり願いたい。
  6. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は、私立案されました方の御意向もいろいろ伺いまして、いわゆる宣言規定であるということをお聞きして、私としましては了解した次第であります。
  7. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 連日にわたりまする本案の慎重なる、かつ、真摯なる両者の質疑応答を拝聴をいたしておりまして、本法案が実にいよいよもって重大だということを深く感ずる一人でございます。従いまして、私どもはできるだけ拙速を尊ぶというよりも、いわゆるこの参議院の良識が一にかかって本案にあるといっても過言でない、かように私は考えているものでございます。たびたび御指摘申し上げましたように、本案と関連せられる例の環境衛生法がああいうような状況になったこと、しかも昨日の公取の関係者からの答弁を聞いても皆さんは御納得いくのではないかと思う。こういうような点から考えまして、私はでき得る限りこの委員会におきまして各方面意見も一応披瀝をいたし、また紹介をいたしまして政府当局の懇切な御答弁をわずらわすのが至当ではないかと思うのであります。私はそういう意味におきまして、全くひものついてない立場でございますので、これから各方面の私どもに参っております陳情とか、あるいは私どもが疑念といたしております点等につきまして、政府当局お尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず第一に私はお尋ねをいたしたいことは、中小企業のこの定義の問題なんでございますが、御承知通り、戦争以前でも中小企業とは一がいに言わなかったのであります。中小商工業者、それから小商工業者、こういう工合に区別をしていたのでございます。最近は中小企業というように非常に大幅に一つ定義をつけておるようでございますが、この問題につきましては、どうしても零細企業というものが、おそらくこの中小企業の中に包含されておりまする大部分ではないかと考えるのでございます。その意味において先般二十六国会のときに、たしか水田通産大臣自身だと思うのでございますが、この中小企業実態調査について言明をせられていたのでありますが、これのその後の調査状況が果してどうなっておるかということをまず伺いたいのでございます。中小企業の問題につきまして、私は個人の生活は憲法で保障せられておるのでありまするからそんたくを許さないのではございますが、八月にちょうど委員長中心にいたしまして、われわれが本案継続審議のために大阪に参りまして、各参考人意見を聴取し、それから電源開発の視察に参ったときに、たまたま中小企業の会頭をいたしておりまする新新紡のある私の友人の社長の宅に案内をしたことがあるのでありますが、これもやはり中小企業なのです。まあその人の生活のことを云々することはどうかと思うのでありますが、これは社会党の力だけでなく、自民党の方もいらっしゃったのでありますが、実に広大なうちに住んでおりまして、相当な生活をやっておる、これも中小企業なのでありまして、一人、二人を使って旋盤をおやじ自身いじっておるのも、これも中小企業、こういうわけでただばく然中小企業ということにしておるということにつきまして、私どもはやはり零細企業中小企業というものをはっきりと、本案を出す前にこれは政府当局としてこれを完全に大きな一つ調査の結果として出すべきではないか、おのずからいろいろこの本案成立をして施行するに当りまして、必ず大きな、いわゆる中小企業の内部に私ども摩擦が出てくるだろうと、かように考えるのでございますが、その後二十六国会言明をせられましたそういった実態調査が、政府当局としてどの程度に進んでおるか、あるいは完了しておるのか、その点をまずお伺いいたしたいのであります。
  8. 川上為治

    説明員川上為治君) 中小企業調査につきましては、従来からある程度はできておるのでありますけれども、さらにもっとこまかく正確にどうしても調査する必要があると考えまして、本年度におきましては約四千万円の経費をいただきまして、いろいろ調査方法等を今まで産業合理化審議会中小部会等におきまして相談をいたしておりまして、ようやく調査方法とか、どういう内容について調査をするかという点がきまりまして、一月一日と思いましたが、来年の一月一日を基準といたしまして、書類を各方面に約十六万ほど送りまして、そして調査を開始することにいたしております。一年くらいやはりその集計はかかるそうでありまして、一月一日でありますというと、約一年ぐらいかかりまして集計ができるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。これは先ほど申し上げましたように、非常にこまかい、すなわちいろんな産業について中小企業性というのがどういうところにあるか。たとえば機屋なら機屋についての中小企業性というのはどういうところにあるのか。あるいは化学工業についてはどういうところにあるのか。またその実態というものが、たとえば金融の問題とか、あるいは税の問題とか、あるいはその経営内容とか、そういうことについてどういう状態になっておるかということを詳しくこれは調べるという意図のもとにやるわけでございまして、従来も、たとえば私の方の調査統計等中小企業の問題はある程度調査して、一応私どもとしてはある程度実態把握はしておるわけでございます。
  9. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  10. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今の御答弁を伺いますと、大体一年後に調査が完了する、これも予定だと、こうおつしゃられるのでありますが、率直に申し上げまするならば、こういう大きな法案を作るということの前提として、私どもはまずこの調査が完了せられてから後、こういう法案に取り組むのが私どもは当然じゃなかったか、こう思うのでありますが、この法案の提案に当りまして、この点は一体通産当局としていかなる考慮を払われたのでありますか、その点をいま一点伺いたい。    〔委員長退席理事相馬助治君着席〕
  12. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほども申し上げましたように、私どもの方としましては、いろんな方法によりまして従来からも中小企業の問題につきましては調査をいたしておるわけでございます。従いまして、これは先ほども申し上げました非常に詳しいところまではこれはわかっておりませんけれども、大体のところはわかっておりますし、また従来中小企業安定法におきましても、あるいはまた協同組合法におきましても、この中小企業についてはこの団体組織方の中に盛られておりますようなこの定義のもとに運営をして参っておりまして、それほど今まで問題は起っておりませんので、私どもとしましては先ほど申し上げました正確なる精密な訓戒をする前に、こういう法律を作っても差しつかえないのじゃないかというふうに考えて参っておるわけであります。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今の問題につきまして衆議院春日議員お尋ねいたしたいのでありますが、非常に春日さんは中小企業の問題につきましては、御答弁を拝聴いたしましても、私どもは非常に敬服に価するものがあるのでありますが、この修正のときに当りまして、その中心になられたあなたといたしまして、この中小企業中の零細企業中小企業との問題につきましてはいかなる考慮をお払いになられたか、その点を一つお伺いいたしたいと思うのでございます。
  14. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 私たちは今度の社会党原案では組織法でありましたが、その中小企業協同組織を定めるに当りまして、御指摘のありました通り中小企業というても、昨日も答弁の中に申し述べたのでありますが、職工三百人を使っているような比較的大きな工場と、自分で働いておる町工場のおやじさん、そういうようなもの、たとえば建築に比較いたしますると、三百人も従業員を使っておりまする建築会社と、たたき大工、こういうようなものの中には全く共通性がない。極端な例をいうと、まあこういうような理解をいたしておるわけであります。たとえばいろいろな動物の中で象や鯨を大企業とし、それからかりに牛や馬やシカ中小企業とする、そこで零細業者は何にたとえるかと申しますと、犬やネコウサギ、そこで犬やネコウサギと牛や馬やシカというような動物とは、同じ動物でもほとんどその共通性がない。だから極端にいうならば全く違った生態の中にある。従いまして、これは同じ中小企業でも別個の取扱いをせなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。さらにこの二十三条の三に関連いたしまして申し上げまするならば、一つ金融機関にいたしましても、商工中金にしろ、中小企業金融公庫にしろ、この牛や馬やシカと、それからウサギや犬やネコと、これを一緒のますの中で飼って一つえさ鉢でこれを養っておる、従いまして商工中金の金にしろ、公庫の金にしろ、えさ鉢一つでありますから牛や馬やシカや、中小企業の中でも比較的強力な、そうしてまあ生活力の旺盛なものがこれを食ってしまって、そして犬やネコウサギが食べに行ったときはえさ鉢は空である、そういうわけでありますから、この際牛や馬やシカは別な場所に、犬やネコウサギはさらにまた別な囲いをいたしまして、それぞれえさ鉢を別に当てがっていく、それでなければ零細なる企業者はいよいよ栄養失調になってしまう。そういうわけで、協同組合法改正案の二十三条の三の中にも書いてありますが、さらに協同組織の中でも小組合の制度を設けて、協同事業を比較的に大きな中小企業とは別個組織でやることにしております。私ども原案の中では勤労事業協同組合という協同組織を作るにあらざれば、御指摘のありましたように、零細業者には中小企業政策をかりに唱えましても、その政策の恩恵は実質的には及び得ざるものである。こういうように考えまして、今回のこの団体組織法と並行いたしまして事業協同組合法の中に所要の改正を加えた次第でございます。
  15. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 軽妙なたとえでまことにおそれ入りますが、まあその程度にいたしまして、政府当局にこれから具体的な問題につきまして、この本案成立した場合に、これはむろん政府当局といたしましては、ことに事務当局はもう予行演習をやられておると思うのでありますので、それを前提といたしまして二、三質問をいたすのであります。まず私どもが一番この問題につきまして大きく危惧の念を持っておりますのは、輸出振興という立場からなんであります。とにかく今日の日本経済は何といっても、輸出至上主義といっていいぐらい大事なものでございますが、緩和されたといっても強制加入ということが、これが本案の骨子でもあり、問題点にもなっておるのでありますが、こういうような点から考えまして現在の日本輸出の大体六〇%くらいは御承知通り中小企業の手によってなされておるわけであります。そういうような点から、これから団体交渉その他の問題が各業種部門にわたって行われるというと、これに対して輸出振興のために相当な幽霊の影響が出てくるのではないかということを私どもはまず非常に憂えるのであります。たとえて申しまするならば、綿製品一つあげますというと、御承知綿製品輸出日本は世界第一位であります。昨年の三十一年が全総額におきまして一四%三でございます。三十年の一三%九をはるかに上回っておるのであります。で、この日本綿製品の大体輸出市場中心というものは御承知のアジア、アフリカ等のきわめて生活水準の低い地域がお得意さんなんであります。  これらの地域綿製品は、御承知通り消費水準も非常に低いし、それから終戦後の各国の、いわゆる民族主義の勃興によりまして、各地域ともおのれの綿、工業を持つように漸次拡張されつつある状態であります。また戦前わが国の主要な綿製品輸出国でございましたインドにいたしましても、中共大陸にいたしましても、今日は自分のところで大体のものはまかない、なおかつ相当輸出もしておるというような状態でございまして、むしろ日本にとりまして非常な競争相手となっておる。こういうわけでわが国綿業の将来の進路としては一体どういうところかと言いますと、やはり米国とか、カナダ、欧州、そういうような生活水準のきわめて高いところ、こういうところに輸出振興をはからなければならないのでありますが、これらの地域は、先ほど申し上げました東南アジア地域と違いましてきわめて高級品を必要とするのでございます。そういうわけで相手国綿業との関係らいたしまして、どうしても労力を集中いたしまして、そしてどこの国にも負けない高級品を作っていかなければ実際問題として太刀打ちができないわけでございます。それからまた、さらには第二次製品というようなもの、これらの製品というものは御承知通りほとんど中小企業の手によってなされておるわけであります。申し上げますならば綿布染業者、あるいは縫製業者メリヤス業者などのこの生産分野に当るものはこれは皆中小企業の手によってやられているわけでございます。それから一面中小企業は資力も少いし、いろいろな関係らいたしまして海外市場調査を独力でやるとか、あるいは販路の拡大等に対して自力をもってやるというようなことは、申し上げました通り資本的にも人的にもなかなか自力ではできない。従いましてどうしてもそこには貿易会社であるとか、あるいは親会社の紡績会社等にこれは頼らなければならない。これは実情でございます。こういうようなことを見まして、ことに紡績会社にいたしましても、大商社にいたしましても的確の業者を選んで、そしてこれに対して相当な資本も与え、あるいはまた技術の指導もする。そこに勢い長くその連携をつないで参りますというと、おのずからそこに人情も出てくる、こういうようなつながりを持つわけなんでございますが、これが本案成立によりましてこの調節ががぜん破れて、そしていたけだかになって団体交渉をやらなければならんというようなことになって参るということになると、勢いそこに輸出振興上に大きな障害が出てくるのではないかと思うのでございますが、一つこれはあなた方が多分もうすでにこのことを予想していろいろ演習をせられておると思うのでありますが、その点を一つ具体的に、その場合についての当局の考え方を一つ明確にお答え願いたいと思います。
  16. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) お尋ね中小企業団体法による商工組合調整事業中心として輸出阻害を来たしゃせんか、こういう御心配でありまするが、私は本法案一つのねらい輸出振興をしていく、こういうふうなねらいを持っておるものと実は考えておるのであります。従いまして本法案施行によって輸出振興阻害を来かすというようなことは考えておらないのでありまして、もしそういうおそれがある場合には十分に運用上の注意を与えて参らなければならぬと考えておるのであります。今大竹さんは、なぜ輸出振興阻害されるおそれがあるかという理由について二つをあげられておる。一つは五十正条の強制加入の命令によってその問題が起りはせぬ九という問題が一つ、第二はいわゆる細く交渉によってその問題の心配が出やせぬか、こういうことであるように拝聴いたしたのでありますが、私は現存の日本輸出実態を見まするときに、昨年度輸出二十五億ドルの中で半分以上というものが中小企業の手によってなったものが多いのであります。原始生産物は別といたしまして、そういう状態から見まして日本輸出振興中小企業製品をどんどん出していく。しかもそれを高度な製品にして持っていかなければならぬ、こういうふうに考えておる一人でありますが、率直に言って現在の日本製品中小企業製品におきましての輸出上の一つの欠点は何かと申しますと、私は安売り競争一つは規格が整わぬ、品質がともすれば次々に落ちる、こういうところにあるのではないかというふうなことが一つ、もう一つは対米輸出に見られますように、光れるとどかっと安く売っていく。そこで相手市場にいろいろな不要な摩擦を起す、こういう点にあるのではないかと思うのであります。こういうような事態をできるだけなくして、そうして日本中小企業製品を安定して継続的に輸出をはかっていくというためには、何を申しましても輸出の出所において必要な規律確立をはかる。そのためには御承知通り国会で協賛を得て施行いたしておりまする輸出入取引法、これの円滑な施行に待つこともちろんでありまするが、同時に生産から輸出までに至る国内取引において、いわゆる秩序ある取引ができなければならぬ、こう考えておるものでありまして、そういう趣旨におきまして私は本案施行によりまして秩序の確立をはかる。同時に、それは中小企業者経営の安定に資し得るものと私は考えておるのであります。今いろいろ綿製品等についてお話がありましたが、まさにその通りでございまして、戦後の各国生活用品自給態勢に入っておるのでありまして、日本商品が出ていくためにはどうしても高度な商品に向って出ていかなければならぬ。そういう際にはどうしても手のこんだものというのは中小企業製品になる。中小企業製品になりますので、そういう趣旨らいいましても今言ったような生産から輸出への取引一つ規律一つ近代性を与えていく必要、があると考えております。特に日本生産一つ体系といたしまして、親企業下請企業との関係がある。特に綿製品あるいは絹、人絹製品等々におきましていわゆる賃機的な形の多いことも十分承知をいたしておりますが、そういう場合におきまして織布業者がいわゆる調整事業を行う。それによって従来の親企業下請企業との系列下にひびを入らせる、こういう心配がありやせぬかと、こういうことが言われておるのでありますが、私はそういう心配はないと思うのであります。現に日本輸出製品の大きい例として、綿、スフ織物、絹、人絹織物というものが、多くの輸出額を見ております。これらの面につきましては、すでに中小企業安定法によります調整組合によって、いわゆる必要なる年産数量制限等々行なっておるのでありますが、これによって系列阻害したという事実はまだ出ておりません。こういう事実から考えましても先ほども申し上げましたように、本法は中小企業の安定のためであると同時に、安定を土台として輸出振興をしていく、こういうふうなねらいをしておりますので、そういう御心配はないじゃないか、万一調整事業施行上、そういう心配があるという場合におきましては、調整規程の訂正、修正運用上の必要なる監督の規定を一当然に発動すべきもの、こういうふうに考えておるわけであります。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 小笠政務次官のお得意の貿易論を拝聴いたしてまことに恐縮なんでありますが、あなたは非常にりきみかえってそうおっしゃいますが、実際問題としてこの中小企業関係者が、今日まで輸出振興のために貢献をしているわれわれは実際の姿を常に見ているのでありますが、これはもうあなたがいろいろ政府の何か大きな庇護後援と申しますか、そういうものによって大きな一つ安定感を得ておるようにも私ども聞かれたのでありますが、これは全く御承知通り中小企業自体の実力によって今日までの輸出振興をなしておる、これもそれ自体ということは民間のむろん連関というものはたくさんあるわけです、そういう点が先ほど申し上げました大食業関係との系列という問題にもなっておるのであります。御承知通りこの綿業輸出等は非常にもう全く民間独自のもので、あれだけの日本輸出大宗品である綿業界というものは、いろいろな意味においてそう政府の御厄介にもなっていない、中小企業自体も、先ほど私が指摘したその問題も、その意味においては同じなんであります。それで、たとえば実際問題をいま一つ指摘をいたしますが、造船業が最近御承知通り日本輸出といたしましては、非常に、盛んになっております。大体造船業関連工業並びに下請企業に出します発注額は大体船価の約二〇%から四〇%に現在なっておるわけであります。それでわが国造船業界が今後一そう国際競争に立ち向って行くに当りましては私としてもどうしてもこの関連工業並びに下請業者経営強化、あるいは近代化によりまして輸出船のコストを下げていくということでなければ、実際イギリスその他に立ち向って行くわけにも参らないのであります。こういうようなことがまああなたが大上段に振りかぶった御答弁のようでございますけれども、こういうような問題が、実際問題として私は必ず起って来るのじゃないか、そういう場合には直ちに船のごときものは船価も非常に御承知通り高いものでございます、一ぱい何十億とするようなものでございますので、これも一つ支障がはいって参りますと、これまたここの綿業や何かの比でなくなるのでございますが、こういうようなことを業者なり一般が非常に憂えておるのでありますが、こういう場合ですね、今あなたの御答弁にありましたまあ対策についてお話があった、のでございますが、たとえば造船のこういうような問題が、コストを引き下げてそうして国際競争場裏に立ち向っていくということが、今度のこの法案成立によりまして、資金あるいは資材の援助、さらに技術指導というものが遮断されたという場合に、直ちにコストその他に大きな影響を来たしてくるわけなのでありますが、これは造船の問題を実際問題としてその場合にはどう対処されるかということを、一つ具体的にお話を願いたいのであります。
  18. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 日本造船業界実態につきましては、私は詳しくは存じておりませんから申し上げることは間違っておるかもしれません。ただこういうことだと思うのであります。大竹さんのお話のように、率直にお話を伺っておりますと、いわゆる国際競争日本のいわゆる船が勝つためにはコストを引き下げなければならない私ども全くそこは同感であります。コストを引き下げるのをどこで引き下げていくかというところに問題があると思いまして、いわゆるお話のように二〇ないし四〇%程度が下請に出されておる。この下請部分にコストの引き下げをしわ寄せしていくのだ、こういう考え方になりますと、私はちょっと了承いたしかねるのであります。コストの引き下げの問題は、材料の問題もありましょう、あるいはいわゆる工程管理の改善の問題もありましょう。いろいろな問題が総合して、ここに製品としての船の値段を下げていく、こういう方向に持って参るべきものと考えておるのであります。中小企業団体法でいわゆる商工組合で考えておりますものは、中小企業のそういう下請の中で特定の、たとえば鋳物なら鋳物というものの業界に非常な不況要件があって、その不況の打開のためにこの組合制度を活用していこう、こういうことであります。それは最小限の一つの安定へのてこ入れであるわけであります。従いまして、この商工組合の制度の活用によって、コスト引き下げを妨害するのだということには私はならぬと思うのであります。これは一面から申しますと、非常にむずかしい問題であります。いわゆる弱い中小下請業者の安定の問題と、国際的に船価自体の引き下げの問題、そことの関連をどう調整していくか、こういう問題になると思うのでありまして、もしも下請の部分に相当不合理があり、あるいは暴利を取るというようなことによって船価が割高になっておるということになりますれば、そういうようなときは不況要件がないということではなかろうかと私は思うのであります。そういうような趣旨で、私は造船業界におきましても他の業界におきましても、国際競争に打ち勝っていくという一つの要請と、中小企業の不況の状態を克服して安定へ持ってくる、こういう問題との間には同じ面ではないので、違った面からこの問題を解決していかなきゃならぬ要請があるのではないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。もちろん業種、業態の実情によりましていろいろな下態がございましょうが、その点が中小企業の安定と最小限の不況から切り抜けるという要件以上に出ておるというような場合におきましては、また別の角度から考えなきゃならぬと思うのでありますが、それから商工組合の運営によりまして、いわゆる親企業下請企業の間におきましてはいろいろな形態があることは御承知通りであります。専属下請の形態もありましょう、専属でないものもあります。そういうような場合にいわゆる技術指導をやっている場合が多いのでありますが、この技術指導をやるという場合は、おそらく専属下請の場合が多いのでありまして、こういう場合に組合法の施行によりまして技術指導を遮断ずるということはあり得ないことだと私は思うのであります。中小企業一つの要件は何と申しましても技術を向上していく、時代の要求に合ったいわゆる製品を作っていく、その方向に努力が集中されなければならない要諦でありますので、技術指導を組合法の運用によって遮断するということはあり得べからざることだと、こういうふうに考えております。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 同様の問題をいま一点お伺いいたしますが、これはやはり輸出問題といたしまして、商社との関連、すなわち貿易業者中小企業との関係になるわけでございますが、これはまあ御承知通り相手国輸出業者に対する信用の問題と、それから海外市場におけるいろいろのことは一切商社にまかしておるのが中小企業貿易の業者の現状なのであります。こういうような問題によりまして、この法案成立によりまして、つまり組合の規制によって縦の関係というものを一切考慮することなくして、両一的な生産とか、あるいは販売設備等の制限を招くおそれがあるのでございますが、そういう場合には勢い品質の低下になり、あるいはさらにまた価格の高騰になるというようなことになりますると、やはり輸出振興の上に相当影響を及ぼしてくるのではないかと思うのでございますが、この点をいま一点お伺いをいたします。
  20. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 画一的な調整方式というものがともすれば輸出振興に悪影響を与えるということは、もしも画一的調整ということになりますれば私はそういう場合は観念的に想像されると考えます。ただ現実の問題として国民的な常識において輸出振興というものが第一になっている、それを輸出向けのものと、国内消費向けのものとを同一に扱うという観念は私はむずかしいと思います。適当でないと考えておるのであります。従いまして調整事業の実際のやり方に当りましてはあくまでも輸出の伸びを阻害しないように、こういう方向でもっていかなければなりませんので、そういうことは具体的な調整規程の認可、あるいは監督を通じて直して参りたいと思うのであります。  それからもう一つは、この組合制度は同業者関係中心として主として考えており、いわゆる横の、大竹さんの言われる横の線においての一つのまとまりといいますか、そういうような考え方であります。輸出生産から販売、たとえば繊維のようなものになりますと、原糸から織布、整理、加工、卸、輸出業者、こういうふうな過程を通じて輸出をしておるのでございますが、この縦の流れに対しまして、この商工組合運用によって輸出への流れを遮断する、遮断というよりも阻害をすると言った方がいいかもしれませんが、そういうおそれがないかということでありますが、私はこの問題につきましては、実は日本輸出振興、特に安売り競争を防止して品質を統一して、安売り競争を防止していく、こういう意味におきまして国内におきまする生産、販売、輸出業者、この過程を一貫して一つの統一的な意思で調整といいますか、いわゆる規律を作っていく、こういう制度の樹立が実は望ましいと考えております。で、そういう場合にどうするかということになりますと、いわゆる国内の生産、販売等におきましては、本制度のいわゆる商工組合の活用により、輸出の面につきましては輸出入取引法の活用によって、この相互の間の話し合いによって一貫した流れを作っていく、こういうことにしたらいいのではないか、そういう趣旨から考えましても、この制度というものが少くとも輸出振興への一つの踏み台になると、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 輸出振興の問題はその程度にいたしまして、川上長官に次にお尋ねをいたしたいことは、この百貨店との問題なんでありますが、百貨店は御承知通り百貨店法を作りまして、そうして小売商保護の立場から営業の許可制であるとか、あるいは売場の新設及び拡張の許可制等を作りまして、そうして小売商をできるだけ保護をしておるというのでございますが、しかし、なかなか百貨店がそれほど押えておりましても進出というものは相当目ざましく、また売上げも相当上っておるように思うのでありますが、これは今の資本主義の非常に何といいますか、現状において非常な矛盾と申しましょうか、この大百貨店が大資本を擁しておることは事実なんでありますが、また一面においては大衆へのサービスということも、これは実際問題としてあるわけなんであります。そういうような関係から、昔は、きょうは三越、明日は帝劇といって、緋じゅうたんを敷いていた百貨店も、きょうは女房子供が下駄ばきで晩のお惣菜を賢いにいくように百貨店自体もある程度これは大衆のものになっておるわけなんでありますが、そういうことでこの百貨店は名前の通り凡百の商品を取り扱っておるのでございますが、これがつまり小売商組合であるとか、それからさらに地区の商店街の組合とかの交渉対象、また卸売組合とかそういう諸般の組合からこの協約の締結を求められる、これは法律によって誠意をもってこれは応ぜなければむろんならないのでございますが、こういう場合、この凡百の商品に対しまするその協約協定というものの煩瑣というものは、これは非常に私どもは大へんなものじゃ、ないかと思うのでございますが、これは百貨店の実例としてこういう場合にどう処置をしていかれるものか、その点を一つお伺いいたしたい。
  22. 川上為治

    説明員川上為治君) 百貨店の一般の消費者に対する関係につきましては、今お話がありましたように、私どもといたしましてもやはりその効果あるいは、その機能というものは認めておるわけでございまして、私はやはり百貨店の健全なる運営につきましてはどこまでもこれを伸ばしていくべきだというふうに考えるのでありますが、ただ百貨店のたとえばおとり眼光とか、あるいは不当廉売とか、あるい、は問屋との関係におきましては不当な返品とか、そういう問題が現在におきましてもまま行われておるわけでありまして、そういう関係から特に中小企業者であります問屋とか、あるいは小売商といろいろ問題を起しておりますので、私どもといたしましてはこういう商工組合を作りまして、商工組合として百貨店といろいろ交渉いたしまして、そういう問題がなくなるようにこの法律によってさせるということが妥当ではないかというように考えるわけなんですが、しかしながら、それが非常に行き過ぎになるというようなことがありはしないかという問題につきましては、この条文によりましても、たとえば交渉する場合におきましては、自分の方でも調整事業を必ずやって、その調整事業に関することだけしか交渉ができない、いわゆる百貨店の方でそういうことだけ応諾の義務があるというようなことにしてありますし、あるいはまた交渉する場合におきましては、少くとも組合の代表者でなければいけない、しかも人数につきましても制限するとか、そういうようなことによりまして、いたずらに百貨店と紛争を起すというようなことがないように私どもの方でも心がけておるわけであります。また凡百のたくさんの物資を百貨店の方では扱っておりますから、いろいろな商工組合から申入れがあって大へんだろうという問題でございますが、その問題につきましては、私どもの方といたしましてはこういった商工組合というものが無数にできるというようなことは全然考えておりません。少くともこの組合については、大体業種別のものについては一県一つというのが大体、原則になってくるかと思いますし、また商店街組合につきましてもこれは無数にできるというようなことは私は考えられないと考えますので、百貨店との間に非常にそういうような事務的な煩玖な問題が起きるということは実はそう予想いたしておりません。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、これは大臣に伺いたいのてありますが、知りませんので、審議の都合上——がまんするというわけじゃございませんが、一つ小笠政務次官からお答え願いたいのであります。  ボスの支配の問題。これは他の同僚委員から多分発言があったと思うのでございますが、本案によって組合内の何といいますか、発言方と申しましょうか、これが経営の優位な企業も、あるいはまた逆に劣悪な企業も、要するに一対一という状態になっていくわけなんでりまして、従って組合は事業経営よりもむしろ政治的な動きに熱心な一部業者に支配せられるといいますか、あるいは押えられるといいますか、そういうようなことが非常に懸念せられるのでありますが、もし御答弁があったならば、簡単でよろしいですから、一つこの点を伺いたい。一つ大臣のおつもりでお答え願います。
  24. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 組合制度の運用に当りまして、一番問題はやはり組合神部の態度、行動にあると考えるのであります。商工組合に限りませず、いろいろな組合構成を通じて全くそうだと思うのであります。ただ私は、この問題は組合員になる方々の自覚の問題だと思うのであります。この自覚さえはっきりいたしておりますならば、不況克服のために組合目的達成に最も有能な適切な人を選ぶというのが私は組合員としての義務だと思う。こういうふうな考え方で、私は中小企業者の方々の自覚というものを特に夢、請いたしたいと思うのであります。法律の字句上におきましては、組合は特定の政党に利用されちゃいかぬとかいろいろなことが書いてありますが、基本はそこにあると考えておるわけでございす。
  25. 島清

    ○島清君 関連。私は今小笠政務次官の、特に大竹委員から、大臣のつもりで御答弁を願いたいという前提のもとに御答弁願いましたことについては、根本的に非常に今までの御答弁と矛盾を感ずるわけであります。それは組合ボスの危険と可能性はある。しかしながら、それを排除するものは組合員の自覚である。こういうお話でございますが、しかしながら、組合員は自由意思によって組合員になる人ばかりではございません。御承知通り強制加入の問題がございます。そこで政務次官がお答えになっておられるような、どこまでも組合の百パーセントの運営というものが組合員の自覚であるということになりまするならば、組合員になるところの意思は自由でなければならないことは当然であります。片っ方においては、組合のボスの支配の可能性があるということを承認されながら、片っ方においては、自由意思の加入脱退を否定いたしまして、強制的に加入をさせると、ここにそもそも私は考え方の矛盾があると考えます。ですから、組合ボスの支配ということの危険性をお考えになるならば、当然に加入脱退というものは自由でなければならない。そういたしますると、組合員の自覚というものを期待をいたしまして組合の民主的運営というものを期待すること自体が誤まりであると申し上げざるを得ないわけであります。強制加入と脱退の自由と、さらに今御答弁になりました組合員の自覚を待つ以外にないという御答弁と非常に矛盾がありまするので、そこを一つ御解明を願って御答弁をいただきたいと存じます。
  26. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 今、島さんの御質問の要点は、組合員の自由なろ意思によって組合の加入脱退が可能であるという前提に立ってのみ、私が申し上げたようなことが裏づけられる。そうであるにもかかわりませず、強制加入、五十五条の規定があるではないか。こういう御質問のように拝聴いたしたのであります。私は五十五条の組合への加入の命令の運用という問題につきましては、これまでにしばしば御審議を願って、どういうふうな場合において、どういうふうにこれが運営されるかということはもうすでに明らかになっておりますので、特に衆議院から参議院へ送付されております案等におきまして、懸念の点は相当程度直されておるのであります。で、そういう点を考えますと、一般論といたしましては、私は組合員がその目的とする、共通の目的とする事業を遂行するに足る人々を組合員の役員にするということが何と言っても基本であると思うのであります。そういう点から考えまして、五十五条のいわゆる特殊なケースがあるから矛盾だ、こういうことには私はならぬと思うのであります。そういう点から申しますれば、たとえば五十五条の場合に、組合の命令があった場合に、加入に支障のある者は二十日間の間に府県知事の認証を求めることができる、これが先日も申し上げましたような形において、組合に加入することに支障があるかないかというものは、その命令を受けた各個人が主観的に判断する。こういうふうに解釈いたしますれば、私は組合に入って組合役員の選挙にも平等の権利を持ち得る。そういう点からいって、私の申し上げましたことが論理的に矛盾するとは私は考えておりません。ただ全的に普通のいわゆる五十五条の発動のない組合の場合と五十五条の命令の発動のあった場合、若干違いますが、これはあくまで特殊ケース、ただし書きに類する部分でありまして、そういう点から考えまして、私は、今申し上げましたように、基本的に組合ボスという問題を解決するという問題につきましては、これはあくまでも組合員の自覚を前提として、そしてその上に、まあ行政指導の上からも必要があれば、適当な指導を加えるということで、組合ボスというものの発生を防いでいく、こういうほかに道はないであろうと考えております。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 政務次官が、ボスの跳梁を防止するためには、組合員の自覚に待たなければいかん。その通りです。ただ組合員が自覚を持って、この本法案が通った暁ですよ、もろもろの組合組合員が自覚を持って、ボスの防止ができるかどうかというのが問題なんです。あなたがおっしゃるように、およそ健全な組合活動というのは、組合員が自我を持って、利己心を持って積極的に組合に働きかける、そういう組合員のもとに組合活動というものは健全に発達する。ところが、日本の現状はそういかないのですね。もうこの法律が通って、今度は皆がそういくということは考えられないのですよ。たとえば農村関係のいろいろな協同組合にしても、あなたの選挙区でもそうでしょうが、ボスばかりいるじゃないですか。それはどういうことかというと、結局自我がないのですよ。組合員に利己心がないのですよ。これは現状でわかると思う。その上に健全な組合活動を展開するということは非常に至難な問題です。これは教育の問題ですよ。あなたは教育者としての希望であり、御意見ならばいいですが、現実にこの法案が通って組合ができて、健全な組合活動を展開していくためには、これは何といっても心配な問題です。従って、これはボスができるということを前提にして考えなければいかん。その場合にボスの防止についてはどういう方途を講ずるかということは、これはちょっと大きな本法案の至上命令だと思うのですよ。これは今の現状からいけば、このボスの防止についてどういう配慮をせられているか。ボスができないなんということは言えないと思うのですよ。明日からすぐに中小企業組合員が自我を持って、利己心を持って健全なる組合活動に大いに協力するということは考えられないことですよ。だからむしろそういうことよりも、ボスの発生を妨ぐために、あらかじめいろいろな手を打っておくということは必要だと思う。それが実際の政治だと思う。
  28. 島清

    ○島清君 関連して。ボスの跳梁の危険性を感じますことは、四十一条の、設立する場合の発起人でございますがね。これもわずか四人以上あれば発起人になれるという。実に広範な地域にわたって、さらに多くの業者が集団をしておりまする地域において、わずか四人の発起人があれば、組合が作られるということは、これは当然に一つの会社を作ります場合でも、七人以上の発起人がなければ、会社が設立ができないといわれておりまするときに、こういったような大事業をやりましょう、やろうといたしまする場合に、わずか四人の発起人があれば組合が設立発起ができると、こういうところにボスの跳梁という危険性が非常に濃度が深い、濃い、こういうことが言い得ると思うのであります。  そこで大竹委員も、ボスの跳梁の危険性を御指摘になったと思いまするし、これは後日逐次審議に入りましたときに、私も質問しようと思っておったところなんでございますけれども、とにかく、ボスの跳梁に対して可能性のある条文が現にここにある。そこで当然に今、河野委員から御指摘のございました通りに、予想される現実の姿もそうである。そこでそれをますます拍車をかけるように、そうして強制加入というような問題も、あなたの方から言わせると例外的でただし書き的であるかもしれませんけれども、しかしながら本法のねらいとするところは、商工組合を作って不況克服をその業者の自由の意思いかんにかかわらず国家的意思によってやろうというんです。それは公共の福祉という名においてやろうとするのが本法のねらいであるということは、これは隠れもない事実なんですよ。そういう場合には公正にして妥当な、いわんや一人二人の、四人や五人のボスの手によって本組合が運営されてはまかりならぬということが、私たちのねらうところであり、心配をしておるところなんです。そういうところをあわせて一つ答弁をいただきたい。
  29. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 今河野さん のお話でありますが、私はいわゆる組合ボスの発生がないんだと、こういうことを考えておるわけじゃないのであります。これは御了解願えると思うんです。現実の問題としてそういうものが起り得るということも、これもまた群集であります。まあ明治三十何年の産業組合制度以来数十年の組合制度の歴史を持っておる今日においても、まだそういう事実がある、危険があるということは、私も認めます、率直に。この問題をどう解決していくか、こういうことになりますと、非常にむずかしい。私は、最終的には河野さんのおっしゃる教育だと思います。しかし、教育といっておってもどうにもなりませんので、特に中小企業者関係組合員の自覚を求めるということを私は第一に申し上げたわけであります。  第二に、いわゆる法制上の諸規定でこれが防止を十分にできるか、こういうお尋ねのようであります。私はその点につきましては、従来の法制におきましても、まず第一にいわゆる議決権を平等にしていく、こういうのが一つ。第二は、不適当ないわゆる組合事業遂行に不適任なる者の解任を認めていく。それから、組合員組合事業に対して不服の申し立てをするというふうな形の制度が従来とられております。本法案におきましても、そういうふうな形をとっておるわけであります。でありまするが、こういうふうないわゆる条章の規定によって阻止が完全にいけるかということになりますと、やはり心配を持っております。これ以上に法案の条章の規定を整備するのに適当な方法があるかどうか、これはなお検討を要すると思いまするが、ともかく従来の組合制度において特に心配のある点を防止する立法的な手を一応本法案においてもまあ織り込んだ、こういう状況でございます。  それから島さんのお話の、いわゆる四十一条において組合設立の発起人を四人以上と最低を書いております。この四人以上と書いてあることがいわゆる組合ボスの発生を容易にする一つの証拠になるというふうな御発言のように伺ったのでありますが、私は組合発起人の最小限度の員数をどうきめるかという問題につきましては、いろいろお考え方がありましょう。株式会社の発起人が七人を最低といたしておることも承知いたしております。でありまするが、現在の安定法におきましても、中小企業等協同組合法におきましても、農業協同組合法等一連の組合法におきましても、一応四人というものを最低限の発起人といたしておるのであります。そういうような趣旨で、従来の組合法制のいわゆる考え方を踏襲してきておるということでございます。ただ、この商工組合がお話のように大事な仕事をする、しかもいわゆる調整事業を行うということは、観念的に見ますれば、広域にわたって行わなければならぬ、協同組合と違って地域が広域にわたる、こういうふうな傾向を持つものと考えますので、運用に当りましてはなるべく多数の発起人を中心として入れていくような形に持って参りたいと、こう考えております。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 ボスが発生することは十分考えられるということは、完全に次官と私は一致したわけです。そこで、これをいかにして防止するかという問題です。それにつきましては、いろいろ法制上の措置をとらなければいけますまい。特に私は考えられるのは、監査・監督の規定だと思うのですよ。これはまあここにもあります。ありますけれども、この程度のことで今完全に一致したボスの発生について十分な備えができておるとは私は思わないのです。たとえば、農協関係の歴史から今ちょっとお話がありましたけれども、かつては監査連合会というものがございまして、十分に定期的に厳重な監査をやってきましたね。それでも相当な弊害がありましたが、その当時は現在ほどの弊害はなかったのであります。それにつきましても、今いろいろな意見があるわけです。かつてのように監査・監督の規定を厳重にして、定期的に漏れなく監査をやったらいいじゃないかというような意見もあるわけです。こういう際でありますから、こういう監査・監督の規定につきまして、もっと積極的に私はあってしかるべきだと、こう思うのですが、そういう点については次官はどうお考えになっておられますか。
  31. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 監督制度につきましては、お話の通りの普通一般に考えておりますような監督規定規定いたしておるわけであります。そこで、前にありましたお話のような監査制度というふうなものを認めていくのがよいのかどうか、実は結論がつきませんので、一応の従来の制度を中心とした監督規定を置いたわけであります。監査制度というものをもっと強力にしていく、しかも監査制度を能率の上っていくような監査制度にしていくということは、これから考えてみたいと思います。ただいまはっきりした案を実は結論的に持っておりません。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、十分その問題を今後考慮すると、こういうことですな。
  33. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) そうです。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 もう時間がございませんから、あと一点お伺いいたしまして、あとの質問は後日に譲りたいと思いますが、今のボス化の問題に多少関連もあるのでございますが、本案につきまして非常に憂慮を一般大衆がしておりますことは、官僚統制の傾向の問題なのであります。広範な行政官庁の各種の認可、あるいは取消権、強制加入の問題、あるいは員外者の規制、それからまた団体交渉の勧告等は、勢い官僚統制の傾向というものを誘致していくことになるのであります。    〔理事相馬助治君退席、委員長着席〕 現在でも通産当局は非常にたくさんの窓口を持っておりまするので、従いまして、まことに言いにくい点ではございまするけれども、最近の新聞紙上を見ましても、通産省ほど汚職の多いところはないのであります。まあこういうようなことは、これは現実の問題でありますから……。そういうようなことで、それから今までの例を一つ見ましても、そういう窓口が広く、権限を強く持っておる関係から、なかなか一課長、一事務官の権限もときに相当なものがあるわけなんです。たとえば、ある一課長の談話がその日の相場を左右するというようなこともあり得るのです。これは現実にでございます。それからまた一面、あるいは業者が一局長に面会するに一時間も一時間半も待たなければ会えないと、一課長に会うのにも三十分、一時間の時間を要するというように、それほど通産当局というものが大きな窓口を持っております。業者にとりましては、どうしても会って話をしなければならぬ、陳情しなければならぬという点でありまするから、どんな辛抱でもすると、こういうようなところへもって参りまして、今度のこの法案成立によりまして、一そう行政官庁、特に通産当局の権限というものが拡大をされていくわけなんであります。従いましてわれわれは、その官僚統制の傾向、こういうことは非常に心配しておるのでありますが、これはまた後日、大臣からもその所信のほどを一つお聞きをしたいのでありますが、一つ小笠さんから一応この問題について御言明を願いまして、本日の私の質問を終りたいと思います。
  35. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 本法案におきましては、許、認可にかかっておるところが相当多うございます。許、認可にかかっておるところが多いということは、ともすれば官僚の統制的な感覚を起しやすいということも私は全くそうだと思うのであります。でありまするが、いわゆるその運用に当りまして極力自戒して、非難のないように努力して参らなければならぬ、こう考えております。でありまするが、一面から申しますると、政府の、あるいは地方公共団体の許、認可にかけて、そこにできるだけ公正な意見のもとに判断を求めていくということは制度の上においてやむを得ないのではないか。ただ運用の上におきまして御指摘のような心配も予想されますので、極力自戒して参る、とう考えております。
  36. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 火災共済に関連して御質問したいと思ったのでありますが、春日議員おいでにならぬようでありますので、別の機会にその質問は留保したいと思います。なお、それに関連して、団体法との関係でありますが、火災共済においては中小企業等協同組合法によるものの火災共済が相当の制限をされておるようであります。それについては別の機会に春日さんに伺うつもりでおります。  この際、政府に伺いたいのは、中小企業等協同組合法による協同組合の共済事業としての火災共済は制限をされる。それには一応の理由があると思います。ところが、新しくこの法案によってできまする商業組合工業組合は議論はありますけれども、一応協同組織的な性格を持っておる相当強力な団体であって、組合員の数も一つの業種についてはきわめて多いことが予想されます。ところが、この商工組合においては協同組合と同じ仕事ができるのであります。ところで、この商工組合は、この原案にもありますように、当然組合員の福利厚生の仕事ができるのです。従って商工組合組合員の福利厚生のために火災共済をやろうと思えば当然にできるのであります。おそらく現在の協同組合でやる場合よりもより大きな規模においてできる。ところが、それに対しては何らの制限がないように思われる。一体これはどういうわけかということであります。時間がありませんので一括して質問を申し上げますから、一つ簡単にお答えを願いたい。  団体法の組合の認可の方針、あるいはいろいろの許可等の場合に、いわゆるこの法案においては二カ月間の期間をきめて、もしその期間内にイエス、ノーの回答をしなければ自然に効果を生ずる建前になっておるのであります。ところが、おそらく組合設立の認可をされる場合においても、一応その組合としての調整規程の見通しとかいうものを相当慎重一に検討されて、そして認可されることであろうと思います。そうしますると、ケースによってはとうてい二カ月内にイエス、ノーの返事ができ得ないという場合は私は出てくるであろうと思う。これを一律にすべての場合にそういう時間を区切って結末をつけるということは、もちろん申請者の立場から言えばけっこうなことであります。しかしこの組合の設立及びその行動の与える影響というものはきわめて広範であります。果して政府当局に、あらゆる場合に二カ月内にイエス、ノーがきめ得るという良心的な自信があるのかどうかであります。それが第二点、もちろん照会するとかいう場合においては計算外だということはあります。なかなかしかしながら実態を考えますると、そういかぬ場合が、私は良心的に考えてあるであろうと思う。そういう場合にはやはりその期間を延ばし得るという措置があっていいのではないかということが第二点であります。  それから少数意見というものを尊重するということが、民主政治のあり方として、行政面においても当然である。現在の安定法においてはそういう少数意見を尊重して、そういう少数意見発言の機会を与えて、政府当局はそれを聞く義務を、規定においては設けられておるのであります。今回はそういう規定は削除されております。少数意見を聞く責任もなくなっておるのであります。なぜそうされたか、私には不可解であります。  それから調整規程はももろん統制であります。それに関連していろいろの不満があり得る、不服があり得るわけであります。修正によってそういう不服を申し出る機会を広められたようであります。これは非常に私けっこうなことであると思う。ただその不服に対しての措置について締めくくりがついておらない。一応条文においてはカッコとしてはついておる。ただそれは従来の中小企業等協同組合法にある跡始末、それだけがあって、今回のようなこういう強力なる統制をやる場合において、しかも国家の権力で命令が出て、それに関連して不服があれば、その跡始末をはっきりイエス、ノーといいますかをする締めくくりが私は必要じゃないかと思います。それに対する配慮が考えられておらない。こういう点はさまつなことであるかもしれませんけれども、この法案の持っている意味合い、影響等から見まして、十分なる配慮が望ましいと思うのであります。  以上の数点についての一つ御見解を伺いたいと思います。  なお一つ調整規程等は、業種によっては県一円、また全国一円にわたる場合があるのであります。その業種にとってはきわめて重要なことであり、また産業全般から見ましても重要であります。そういう重要な事柄は、それが関係者のみならず一般国民に周知せしめる措置が必要である。ところが、そういうものを公告するといいますか、公けに示すという措置が不十分ではないかと思う。非常に重大なことがわずかの幹部の間できめられる、なるほど役所にはわかるでしょう。役所もそれを検討して許可したり不許可にするわけでありますけれども、一般から見ますると、それはさまってからわかるのであります。やはりその調整規程のごときは公けに示すだけの配慮がなくちゃならんじゃないかと思うのでありますが、そういう点についてははなはだ……あるいはどこかにあるのかもわかりませんけれども、不十分のように私には見受けられるのであります。その点についても一つ御説明をわずらわしたいと思います。
  37. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 非常にこまかい問題が多いようでありますので、間違うかもしれませんが、一つ……。第一点の、いわゆる中小企業等協同組合法に基く事業協同組合の共済制度、火災共済制度については限度が設けられております。一方商工組合におきまするいわゆる事業兼営の、経済難業兼営の組合においてはどうなっておるか、そのつり合いの問題であります。これは第何号でありまするかによって、福利厚生の施設をやり得るという一語がございまして、やり得ると考えます。その場合に共済限度をどう見ていくかという問題につきましては、事業協同組合規定を準用しておりますので、三十万円と同一になるわけであります。  第二点の組合の認可その他の許、認可につきまして二カ月間に行政庁は処理しなければならない。こういうことになっておるのでありますが、この間に十分な措置ができるかどうか、自信のほどをと、こういうふうなお話がございましたが、これはやらなければならんと考えております。これは戦時中等におきましても、いわゆる行政の事務の敏速化、簡素化という趣旨からこういう制度が生まれまして、今日多くの法令に取り入れられておるところでありまして、行政庁としてはぜひやらなければならんというふうに考えておるのであります。従いまして必要があれば延ばし得る規定を置くということはこの規定趣旨に反する、少くとも。少くともその期間内にやるという体制をしくことが私は適当であろうと考えておるのであります。  第三点は、少数意見の尊重に関する規定商工組合にないじゃないか、つり合い上おかしいではないか、こういうお話でございますが、御指摘のように、商工組合にそういう規定は持っておりません。ただ、いわゆる五十五条、五十六条等の命令の発動に際しては、広く聴聞を開いて多数の意見を徴しなければならない、こういうことに実はいたしておるわけであります。これに関連いたしまして、いわゆる不服の申し出の規定衆議院修正追加されておるのでありますが、これの不服の申し立てのあった場合に所管大臣がどう処理するか、跡始末を規定したらどうかと、こういう御意見でありますが、私もその方がいいと思うのでありますが、実は入っておらないのであります。  第四点の調整規程に関連して、調整規程の決定に際して、広く一般の人々にわかるような機会を与えたらどうか、いわゆる公告その他の方法によってわかる機会を与えたらどうか。こういう御意見でありますが、ごもっともでありますが、実はその点は規定をいたしておりません。その事業の内容によりましては、相当影響するところも多大でございますが、調整規程の、いわゆる商工組合の自主調整の範囲にとどまる場合におきましては、業界の総意できまるのでありますから、一応そういうことで公告の制度をとっておらぬのであります。ただ先ほど申し上げましたように、国家権力が介入する五十五条、五十六条、五十七条等の場合には、聴聞を開いて広く一般の意見を聞く、こういうことにいたしておるわけであります。
  38. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それでけっこうでありますが、自主的に調整をする場合はそれでよろしいという御見解ですけれども、なるほどその業者自体の問題にとどまればいいのでありますけれども、その調整規程の結果は多数の消費者に直接関係があるとか、関連する他の面に必然的に影響を及ぼすとかいうことが、この調整事業の性質上あり得るのであります。従って、たとえばその商店街の組合において自主的にきめたのだからということで、内部だけできめっぱなしでいくというようなことは私適当じゃあるまい。やはりそういうことをきめれば、一般に、こういうふうにきめたということが公けに知らされることが肝要じゃないか、こう思うのであります。御答弁は要りません。
  39. 相馬助治

    相馬助治君 私は特に中小企業庁長官に資料の要求をしておきたいと思うのです。それは、ただ単に文章上の資料を作ってわれわれに配付せよということだけでなくて、継続審議として休会中に取り扱って参った審議の経過からいたしまして、当然これが臨時国会において再び問題に供せられた場合において、ぜひとも本案を審議していく上に必要であるから、私は次の二点を要求するのです。これに関連して他の委員等からもおそらく本案の審議に万全を期するために資料要求等があろうかとも存じますが、私は二点お願いしたいというのは、まず第一点の問題は、中小企業安定法による中小企業界に及ぼした影響の実態調査の結果を知りたいということなのであります。その理由とするところは、中小企業庁長官である川上さんの答弁その他の態度等からいたしまして、社会党のわれわれの気持からいたしまするならば、長官の感覚というものは、さすがに中小企業者に対して愛護をたれようとする精神が強いことを私どもははっきりと認めます。ところが問題は、あなたの感覚がどうあろうとも、現在の政府部内において、そうして限られた予算内においてその気持が発揮でき得ないこともまたこれもおおうべからざる事実であろうと思うのであります。その第一点は、大臣がしきりに努力されておるにもかかわりませず、一萬田蔵相の頑迷固陋、今日に至るも中小企業者の年末金融に対する最終額の決定に至らないというこの一事をもってして明らかであると思います。今度の臨時国会に追加予算を出すという点はきまっておる。岸首相もこれを言明しておる。ところが、じんぜん口をむなしゅうしてその金額がきまらない。問題はその金額なんです。そういう意味で、この点等から考えてみまするというと、大臣がどう答弁しようと、中小企業庁長官がどう答弁しようと、もちろんその答弁そのものはわれわれにとって重大であるが、より客観性を持つ資料をわれわれはこの際必要とします。すなわち中小企業安定法というものは、工業部門における過重競争という現象にかんがみまして、中小企業の安定を確保して、国民経済の健全なる発展に資するを目的として作られた法律であって、昭和二十七年にできたときには臨時措置法であった。ところが数々の教訓を学びとって、法改正を行なって現在の安定法になって一おる。そうすると、この安定法というものが施行されて、その後においてどのような経済変化が工業部門にあったか、そしてそれがどのような形で貿易等に響いておるか、物価に響いておるか、これは現実の問題として調査が可能であるはずであります。そしてお手元に、企業庁にはあるはずであろうと思うのであります。そういうふうな経済の変化の実態を私は知りたいし、並びにこの法律は非常に今度の団体法案と精神において似ています。それでこの法律は、単に工業部門を律したのですが、今度の法律案は商業部門から流通部門まで含めた、より広範なものでありまするが、この団体法、案を政府が立案するについては、一番中小企業安定法というものをよりどころとして、参考基準にされた、かように考えるのです。そうしますと、中小企業安定法の法文の施行上の問題等の点が反省されているはずです。こういう規定はあったけれども、文句としてはりっぱであったが、いささかも効果はなかった、こういう規定はあったけれども、これが法文の解釈上疑義が存していたとか、こういう法律の条文があったけれども、行政指導上全く困ってしまった、こういうような反省点があろうと存じまするので、それらの点についての資料を各委員に配付されることはきわめて本案を推進していく上においては必要であろうと思いまするので、私は資料の要求をするのです。  第二には環境衛生法というのは、御承知のように厚生省がこれを管轄いたし、しかも本院においても社会労働委員会が立案にこれは専念したものでありまするけれども、この経済的影響というものは、当商工委員会が見のがし得ないものであります。従いまして中小企業庁といたしましては、この法律によってどのような物価変動が現われてきているか、また現われんとしているか、またそれが地域的に見るというと、どのような姿を呈しておるか、こういう問題は団体法案をめぐりまして、消費物価が云々されております際に、きわめて重要なるところの資料であると存じます。従いまして、賢明なる中小企業庁長官は団体法成立のための資料を出すのではなくて、環境衛生法が諸物価に対してどのような経済効果並びに経済影響を及ぼしたかというきわめて客観的な資料をわれわれに提示する必要があろうと思うのです。それが不幸にして団体法成立のための障害をなす資料であることがかりにあるとするならば、われわれはこの法案修正するまだ余裕があるのであります。従いまして私はこの二法律に関連して、この経済的変化並びに現象等に関する資料をこの際要求しておきます。
  40. 川上為治

    説明員川上為治君) 御趣旨の資料を極力早急に私の方から提示したいと思っております。(「できるかい」と呼ぶ者あり、笑声)
  41. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  42. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本委員会の閉会中における審査及び調査報告書についてお諮りいたします。  本委員会におきましては、前国会に引き続き中小企業団体法案ほか関係法案及び経済の自立と発展に関する調査につきまして、今閉会中においても別に審議を尽して参ったのでありますが、次期国会の開会を控え、いまだ審査を完了するに至っておりませんので、この際本院規則の定めるところによりまして、これら継続案件につきそれぞれ審査または調査未了の旨の報告書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書内容及び提出手続等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことにいたします。  それでは、本日はこの程度にとどめることにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会