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1957-03-26 第26回国会 参議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十六日(火曜日)    午前十一時二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            西川平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            古池 信三君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋  衛君            阿部 竹松君            相馬 助治君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   政府委員    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衞君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省主計局主    計官      新保 實生君    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君    大蔵省理財局経    済課長     庭山慶一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○信用保証協会法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (中小企業信用保険特別会計に関す  る件)  (中小企業資産評価特例に関  する件)     —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開きます。  先ほど委員長理事打合会を開き、今後の日程について協議をいたしましたが、四月一日施行予定している法案を先に審議する方針に決定いたしました。で、現在この委員会に付託されております法案は、お手元に差し上げております六つの法案であります。この中で衆議院通りましてこの委員会に本付託になっている法律案は、商工中金法の一部を改正する法律案日本科学技術情報センター法案二つ法案であります。信用保証協会法の一部を改正する法律案は本日ぐらいに衆議院を上りまして、こちらの方に来る予定でございます。大体先ほど申しましたように、四月一日から実施予定しております法律案につきましては、三月一ぱいに上げたいと存じますので、御協力を願いたいと思います。  それでは本日は中小企業金融関係二つ法律案を議題といたしまして、前回やる予定にしておりまして都合で延びております政府側内容説明をまず求めて聴取することにいたします。
  3. 川上為治

    政府委員川上為治君) 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして簡単に御説明申し上げます。要綱をお配りしてありますので、この要綱につきまして御説明申し上げます。  「商工組合中央金庫法施行後の経過にかんがみ、商工組合中央金庫法の一部を次のように改正するものとする。」  第一は、「商工組合中央金庫に対する政府出資昭和三十二年度において十五億円増額すること。」現在商工組合中央金庫出資総額につきましては、合計二十八億四千万円ということになっております。この二十八億四千万円の内訳としましては、政府出資が十二億四千二百十万円、それから組合出資が十五億九千七百九十万円ということになっておるわけであります。来年度におきましては、予算措置によりまして、政府の方でさらに十五億を増額して出資するということにいたしたわけでございます。その理由としましては、商工中金金利一般市中銀行よりもむしろ高いというようなことが言われておりますので、この際、どうしても金利引き下げたいということで、無利子政府出資をいたしたわけでございます。現在商工中金利子につきましては、短期手形割引、これが日歩二銭七厘、それから手形貸付日歩二銭七厘五毛ということになっております。それから長期ものにつきましては、一年以上が年利一割一分、それから二年以上につきましては一割一分五厘ということになっておるわけでありまして、長期を見ましても、一般市中銀行よりもはるかに高いというような状況になっておりまして、これが金利引き下げにつきましては、各方面から強く要望をされておるわけであります。もちろん、現在までに昭和二十六年九月におきましても、あるいはその二十年の八月におきましても、また、三十一年の四月におきましても、この数回にわたりまして金利引き下げ努力をいたしたわけでございますけれども先ほども申し上げましたように、現在なお一般市中銀行よりも非常に高い、また、中小企業金融公庫と比べますというと、非常に高いということになっておりますので、政府としましては、この際大幅の増資をいたしまして、そうして金利引き下げるということにいたしたわけでございます。これが第一の問題でありまして、この十五億を増額しましたことは、商工中金原資をふやすという問題よりも、むしろ金利を相当下げるということに重点を置いてやったわけでございます。  この金利引き下げる、この増資によりまして、どの程度下るかというまあ問題でありますが、先ほど申し上げました手形割引の二銭七厘、あるいは手形貸付の二銭七厘五毛という短期のものにつきまして、二銭六厘五毛程度にしたいというふうに考えております。それから一年以上のものにつきましては、年利一割一分でございますが、これを一割程度にしたい。さらにまた、二年以上のものにつきましては、現在一割一分五厘でございますが、これを一割五厘程度にしたいというような考えでおるわけであります。これを短期長期平均いたしますというと、現在年利にしまして一割五厘六毛九糸ということになっておりますが、これを一割以内、すなわち九分九厘四毛七糸程度引き下げたい、大体現在よりも六厘二毛二糸という程度引き下げられると思うのでございます。まあ、この程度にさしあたり引き下げますというと、大体長期ものにつきましては、一般市中銀行とまあ同じ程度になってくるのじゃないだろうかというふうに考えております。しかしながら、中小企業金融公庫と比べますというと、まだある程度割高であるわけでございます。  それから第二につきましては、「金庫は、所属組合またはその構成員以外の者のためにも内国為替業務をすることができるものとすること。」、これは現在の法律の一十八条の五のところに「所属組合ハ其構成員ノ為二内国為替業務ヲ為スコト」ということになっておりまして、現在の所属組合あるいはその構成員のためには、内国為替業務ができるわけなんですが、実はこの構成員だけにいたしますというと、非常に不便でありまして、どうしても構成員以外の者についても、やはり内国為替業務ができるようにしませんというと、非常に不便でありまして、実際問題として、所属組合またはその構成員に対しましても、内国為替業務ができないというような面が出て参っておりますので、この際これを拡張いたしまして、構成員あるいはその所属組合これ以外のものにつきましても、できるようにしたいということでございます。  それから第三につきましては、「金庫は、金融機関等貸付業務を代理したときは、その貸付につき、所属組合またはその構成員以外の者のためにも債務保証をすることができるものとすること。」これも現在商工中金法の第二十八条の第四に「所属組合ハ其構成員ノ為二債務保証ヲ為スコト」ということになっております。私どもとしましては、商工中金中小企業金融公庫との関係を密ならしめるということと、それからまた、現在中小企業金融公庫の直接貸しというものが非常に少くありますので、商工中金を利用いたしまして、なるべく中小企業金融公庫の金を商工中金構成員以外の者に対しましても貸していくというようなやり方を、ある程度来年からはとりたいというふうに考えています。現在中小企業金融公庫の金が、商工中金構成員に対しましてはもちろん貸し出されておるわけでございますけれども構成員以外の者に対しましても、商工中金を通して貸した方がよくはないか、これももちろん限度がありますけれども、ある程度はそういう措置をとった方がよくはないかというようなことで、来年度からそういう措置をとりたいと思っておるのですが、その際におきまして、やはり債務保証をするという規定がありませんというと、非常に不便でありますので、ここにありますような措置をとることにいたしたわけでございます。  それから第四につきましては、「金庫は、中小企業等協同組合またはその構成員事業の発達を図るため必要な施設を行う法人に対し、主務大臣の認可を受けて短期貸付をすることができるものとすること。」、これは現在第二十九条におきまして、余裕金の運用の制限規定が置かれておるわけでございますが、たとえば、中小企業等協同組合中央会とか、あるいはまた、この協同組合とうらはらをなしております共販会社でありますとか、まあそういうものが結局この金庫を利用して貸付を受けるということができないような状態になっておりまして、たとえば、中小企業等協同組合中央会におきましては、金を借りますときは、金庫の方からではなくて別のところから借りなくちゃならぬというような、非常に不便な状態になっておりますので、この際これを改正いたしまして、余裕金短期貸付につきましては、そういう中央会でありますとか、あるいはその共販会社でありますとか、そういうものが利用できるような措置をとりたいということにいたしたわけでございます。「必要な施設を行う法人」、これは個人は除外しておりますが、この「必要な施設」というのは、先ほども申し上げましたように、中小企業等協同組合中央会とか、あるいはまた共販会社とか、あるいはまた調整組合とか、まあそういうようなものを指しておるわけでありまして、そういうような法人が、これは「必要な施設」とありますが、決して物的な施設だけではありませんので、短期資金につきましても借り入れができるような措置を講じたいというわけでございます。  ただいま申し上げましたような、この四点が今回の法律改正の要点でございます。  それから、信用保証協会法の一部を改正する法律案要綱につきまして御説明申し上げます。  御承知通り信用保証協会につきましては、現在全国に約五十二の協会があるわけでありまして、特に零細企業に対しまする銀行等金融について保証いたしまして、非常な成績を実は上げておるわけでございます。ところが、現在この保証関係基金といたしまして、約七十五億程度全国総計でございますけれども地方財政関係から、最近におきましてはだんだんこれが、減少するというところまではいっておりませんけれども、なかなか伸びないというような状況になっておるわけでありまして、これはどうしても国である程度の助成なり、めんどうをみるということが必要ではないかというようなふうに考えますので、この際特別な措置を講ずるということにいたしたわけでございます。この措置につきましては、いろんな案をわれわれとしましても検討をいたしましたが、結局、さしあたりの措置としましては、中小企業庁にあります信用保険特別会計を通しまして、政府の金を十億この全国の各信用保証協会に対しまして貸し付けるというような措置をとったわけでございます。  「信用保証協会に対して、その業務に必要な資金を融通し、もってその業務の充実を図り、中小企業者に対する金融円滑化に資するため、信用保証協会法を次のように改正する。」、第一としましては、「政府は、信用保証協会に対し、予算範囲内において、政令の定めるところにより、保証について、その額を増大するため必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするため必要な資金貸し付けることができるものとすること。」、この、政府は実際問題としましては、信用保険特別会計、これは中小企業庁の中にあるわけなんですが、この特別会計の中に融資勘定という制度を設けまして、この融資勘定を通しまして全国のそれぞれの信用保証協会に対しまして貸付を行うわけでございます。先ほども申し上げましたように、現在全国に五十二の信用保証協会があるわけでございますが、金額としましては予算範囲内において、これは来年度は十億ということになっております。それから「政令の定めるところにより、」といいますのは、これは償還期限でありますとか、あるいはその償還方法とか、そういうことにつきまして、この政令で定めることにいたしております。期限方法につきましては、まだ細目について、大蔵省との間にまだきまっておりませんけれども、まあ私どもの方としましては、大体長いものにつきましては三年くらい、それから短期につきましては一年以内というようなふうに現在考えております。  それから「保証について、その額を増大するため必要な原資となるべき資金」これは結局原資をふやすということ、それからもう一つは、その下に書いてありますように、「その履行を円滑にするため必要な資金」、ですからこれは大体短期資金ということになるかと思うのですが、たとえばこの資金の交付が非常におくれておるというような場合に、この金を使ってもらうというようなふうに考えておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、この原資を増額するということが、基本的な問題でありますので、もちろんこの内容につきましては、原資となるべき資金の方が、はるかに大きな額となると思うのであります。従って長期のものが非常に多いということになると思うのであります。  それから貸し付けるということにいたしたわけなんですが、貸し付けるということにつきましては、われわれの方でも、いろいろその意見もありまして、検討をいたしたのですが、とにかく貸し付けるということにいたしたわけでございますけれども、やはりこれは現在保証協会に対しまして県等がやっております出損というような形ですというと、これはまあ渡し切りというようなことになりますので、渡し切りよりも、やはり低利貸し付けて、そして保証協会責任態勢をとらせる、またその保証協会においてその経営なり、合理化なり、そうした方面努力が足りないときは、場合によっては、ほんとう努力している方面にむしろよけい貸していくというような、そういう機動的な措置ができるような制度にした方がよくはないか、言いかえれば回転基金制度にした方がよくはないかというようなふうに考えましたので、貸し付けというような制度に一応いたしたわけでございます。  第二は、政府は「前項の貸付を行う目的を達成するため必要があるときは、貸付条件を附するものとすること。」これは先ほど申し上げましたように、これは回転基金というような形で運転されることになりますので、やはりこの保証協会に対しまして、たとえばこの経営内容についての改善とか、あるいはその業務実施方法についての注文とか、そういうようなこともいたしたいというような考えでございます。  第三は、「貸付金利率は、年三分五厘以内において、政令で定めるものとすること。」これは大体三分五厘という金利については高いじゃないかというような御意見もありますし、衆議院のこの委員会におきまして付帯決議をいたしておりますが、私どもの方の考えとしましては、これはなるべく低い方がいいんですけれども、大体現在政府貸付金利率を見ますと、低いところで大体三分程度というようなことになっておりますので、その程度でよくはないだろうかというようなふうに考えましたことと、それからもう一つは、実際その三分五厘以内で貸し付けを受けまして、この保証協会がその金を他の金融機関にこれを預けたりしますときは、大体一年ものにつきましては六分とか、半期につきましては五分というような程度預金ができると思いますので、そうしますというと、やはり三分程度と、その差額というものがとの協会の収益に入って参ります関係もありますので、大体この程度で、そういう点からみましても、よくはないだろうかというふうに考えたわけでございます。なお、この三分五厘の範囲内におきまして政令で定めることになっておりまして、これは先ほど申し上げましたように衆議院委員会の方からも付帯決議もついておりますので、私どもはその付帯決議を十分尊重いたしまして、なるべく低利にきめるように大蔵省と話し合いをつけたいというふうに考えております。  それから第四は、これは「要綱第一及び第二に関する主務大臣は、通商産業大臣とすること。但し、貸付又は条件の附加を行おうとするときは、大蔵大臣に協議するものとすること。」  以上申し上げましたように、保証協会法の一部を改正する法律案につきましては、要するに政府の方から来年度におきまして十億の貸し付けをするということになりましたので、これをどういうような方法でやるかということをきめるために、この法律改正をすることにいたしたわけでございます。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 今の二法案について質疑のある方は、御発言願います。
  5. 西川彌平治

    西川平治君 それでは私から商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして二、三質疑をいたしたいと思います。今回の商工中金法改正は、要するに十五億の資金政府から入れまして、そして組合金融のこれを中枢として商工中金利子を幾らでもいいから引き下げるという点にその理由一つがあると、私は思いますが、今の御説明を聞きますと、その引き下げ利子というものは、ほんとうに少額のようでございまして、大事業に対して大銀行、あるいは政府資金でやっております開銀等から貸しておるものから考えますと、まだまだ非常に高いように、私は感じておるのであります。開銀融資はたしか九分というように私承知しておるのでありますが、開銀利子が九分であるとすると、今政府が十五億の要するに資金を導入いたしまして、この商工中金が運用いたしましても、わずかに年利にいたしまして一分かそこそこしか下げられないというような状態でありますが、一体中小企業に対してもう少しく、やはり大企業と同じように金利を下げてやらなければ、私は今日の日本の中小企業対策としては、当を得ておらないのではないかというふうに考えますが、この点に対しましては、どういうふうにお考えになりますか。
  6. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今西川先生のおっしゃいましたことは、まことにごもっともなお話しでありまして、やはり早急に商工組合中央金庫金利一般市中銀行のそれ以下に下げるということが、私どももきわめて必要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。もし一挙にこの際、中小企業金融公庫並み引き下げるというようなことになりますと、これは現在九分六厘ということになっておりますが、そういたしますというと、少くとも五十億ぐらいの政府出資が、無利子の金が必要ではないだろうかというようなふうに考えておるわけでございます。これはやはり予算なり、あるいは財源関係からいいまして、思い切ってそこまでやるということも、なかなかむずかしい問題もございますし、また、商工組合中央金庫性格からいいましても、政府出資を大幅に上げるということがどうかというような意見もありますし、かたがた政府出資以外の措置によりまして、何か金利引き下げ方法がないか、たとえば預金をもっと集めるというような方法なり、あるいは現在政府が預託しておりますこの資金をこれを引き揚げないというような措置、そういうようないろいろな措置を講じまして、この際金利をだんだん引き下げていくということがまあいいんじゃないだろうかというようなふうに考えまして、一面におきましては先ほど申し上げましたように、この預金を集める方法、これをいろいろ今後検討いたしまして、早急に預金がもっと集められるような措置を講ずるようにしたい、たとえば今回信用組合中金の指定の代理店といたしたわけでありますが、そういうような方途を講じまして、信用組合の方からも中金の方へ金が入ってくるとかいうような、そういうまあ措置を講ずるとか、あるいはまた、政府預託金につきましても、この際引き揚げないで、できればこれを増額していくというような措置を講ずるとか、あるいは府県の余裕金についてのその預託金中金にするとか、そういうような措置を二面に講じて、金利引き下げていくというような措置を私どもとしては一面においては講じたいというふうに考えておりますし、また、商工債券につきましても、だんだん利率は低くなっていくような状況になっておりますし、そういう点からいいましても、今後は金利はだんだん下ってくるのじゃないだろうかというようなふうに考えましたので、先ほども申し上げましたように、財源関係もありますし、商工組合中央金庫性格関係もありまして、来年度は十五億増資ということになったわけでございます。西川先生がおっしゃいますように、思い切ってこの際やはりもっと増額したらどうだというようなお話しでございますが、もちろん、私どもとしましてもそういうことも十分考えましたけれども、一応来年度においては十五億の出資増資ということにいたしたわけでございます。
  7. 西川彌平治

    西川平治君 参考までに聞いておきますが、商工中金と同じような性格を持っていると私は承知をしておるのでありますが、農林中金でございますが、農林中金一体国出資がどのくらい入っておりますか。それから農林中金金利はどのくらいの程度になっておりますか、参考に伺ってみたいと思います。
  8. 川上為治

    政府委員川上為治君) 農林中金出資総額、ちょっと今数字を調べておりますからあとお話し申し上げます。利率につきましても正確なものは今ちょっと調べておりますから……。
  9. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、この際申し上げておきますが、ただいま審議しております二法案につきまして、別に大蔵委員会に付託されております中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案、同じく大蔵委員会に付託されております中小企業資産評価特例に関する法律案は、現在審議中の二法案に非常に関係がございますので、先般の委員長理事打合会におきまして、大蔵当局からの意見を聞くということになっておりました。ただいま大蔵省主計局鳩山主計官が出席されております。申し上げておきます。
  10. 西川彌平治

    西川平治君 それではその農林中金出資等あとから伺うことにいたしまして、私は今回の改正でちょっと奇異に感じておりますことは、われわれは商工中金というものは、いわゆる商工業者組合金融であって、どうも中小企業がこの組合金融一つの組織の強化をはかり、そしてお互いにこの中小企業結束がうまくいくようにというふうなことを、われわれは実は考えておったのでございまするので、従って中小業者商工中金をいわゆる系統的な金融機関として、その組合に入っておらない者は金を借りられないというように、われわれは今まで感じておったのであります。ところが、今度の改正で、今度はまあだれでも商工中金から金を借りられるというように、一面から考えて非常に便利になったようにも考えられまするが、また、半面考えてみると、せっかく今まで組合結束を固くして、そして金融等もその組合の力によって経営をしておったというような一つ結束力が、もう勝手気ままに自分自分だけで商工中金に行っても金を借りられるというようなことになりますと、そういう点については、ちょっとこういうふうにして金を借りられるということに対しては、大へんいいことではございますが、一方組合というものの結束をにぶらせるというような傾向があるのではないかと思いますが、こういう点についでどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  11. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは要綱の第三の問題と思うのですが、まあ私どもの方としましても、この点は非常に心配いたしまして、組合強化というような点からいたしますというと、あるいはこれは矛盾することになりはしないだろうかということを一面考えたわけでございますが、また、一面からいいますというと、やはり中小企業金融公庫の金を商工中金を通しましてそしてその構成員以外の者に貸すということが、また、その構成員中金とある程度関係をつけさせて、そして中金を利用させるというようなことにもっていくことになりやしないだろうか。言いかえれば、やはり組合に入るというようなことにもなってきやしないだろうかというようなふうにも考えますと、この組織の強化に対しまして、その面からはある程度のプラスになってきやしないだろうかというようなふうにも考えましたので、組織の強化とこの方法とにつきまして、若干の矛盾がありますけれども、その点は運用によりまして、そういう矛盾が生じないような措置を極力講じていきたいというようなふうに考えておるわけでございます。
  12. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、大蔵省からは理財局庭山経済課長、主計局新保主計官が見ております。
  13. 西川彌平治

    西川平治君 ただいまの説明で大体はわかりましたが、まあ、これは商工中金の運用の方法でというような意味であると私は考えておりますが、そうすると組合員に対しては、優先的に貸すとか、あるいは組合員でない者に対しては、まあ第二次的にするとかというような、単刀直入に言いますればそういうようなことにもお考えになっているという意味でございますか、いかがでございますか。
  14. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私どもの方としましては、なるべくその組合員の方を優先的と申しますか、そちらに重点を置きまして、公庫の金を貸し付けていくというようなふうにしたいというように考えております。ただ、この際はっきりと、じゃそのワクを設けてどうするかというような問題につきましては、これはその時期的な問題もありましょうし、この際そういう措置をとった方がいいかどうかという点については、なお研究したいというふうに考えております。
  15. 西川彌平治

    西川平治君 今まで中金の金を借りるときは、組合理事等が連名でこれに対して保証を与えておったのでございますが、今度はこの組合員以外の人が借りる場合には、どういうふうなことで保証をやられることになりますか。
  16. 川上為治

    政府委員川上為治君) これはやはり関係する者が保証するというようなことになるかと思うのですが、これはあとで——私の方としましても、ちょっと私もはっきり覚えておりません。あとで申し上げます。
  17. 西川彌平治

    西川平治君 もう一つ伺っておきますが、こういうふうに組合員以外の人にまあ金を貸し出すとするというと、保証の問題、かなり私はむずかしい問題になるのじゃないかということを考えておるのであります。まあ、人で保証をしなければ、あるいは担保物件というようなことになるのではないかと思いますが、そういうことはどうお考えになっておりますか、担保を取るというようなことにお考えになっておりますか、どうですか。
  18. 川上為治

    政府委員川上為治君) これはもちろん担保を取って貸し付けることになるかと思うのであります。
  19. 西川彌平治

    西川平治君 それじゃ、私一応この中小企業金融公庫の問題はこれだけで質問を打ち切ります。
  20. 近藤信一

    ○近藤信一君 私はまことにしろうとで、ピントのはずれた質問かもしれませんが、今回の商工組合中央金庫法の一部改正は、その目的はやはり中小企業強化と育成、そのために考えられた一部改正法案であるわけなんです。そこで問題になりますのは、私どもがこれを見まして考えた場合に、中小企業金融公庫への政府資金の投入は、投融資が二百億で昨年より六十五億まあ増加しておるわけなんです。今般の商工中金への出資は十五億円でありまして、そのほかに商工債引受金が二十億円、合せまして三十五億円でございまするから、昨年よりは二十五億円ふえたことに相なるわけなんであります。そこで、この要綱の中にもございまするように、今度は構成員以外の者にも貸し出しのできるように相なるわけでございます。そういたしまするというと、構成員以外の借り手がふえることを予想した場合に、今度の政府出資が、中小企業金融公庫と比較すると、非常に少いのではないかというふうに私は考えるわけなんですが、この点いかがでございましょうか。
  21. 川上為治

    政府委員川上為治君) 所属組合または構成員以外に貸し付ける場合というのは、これはその商工中金自分の金を貸し付けるということではなくて、中小企業金融公庫の金を、この代理店となって、その公庫の金を、その組合または構成員以外のものに貸していくということでございますので、十五億の増資の問題とは、これは別な問題だというふうに考えられます。
  22. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうすると、これは中小企業金融公庫を通じて借りるということですか。
  23. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは先ほども申し上げましたように、現在中小企業金融公庫におきましては、直接に本店なりあるいは支店から金を貸しておる金額は少いのでありまして、ほとんどこれは大部分のものにつきましては、代理店を通しまして貸しておるわけでございます。これは一般市中銀行がその代理店になっておるのが多いわけでございますが、この商工組合中央金庫につきましても、代理店となってそして中小企業金融公庫の金を貸していくというようなことになるわけでございまして、その分だけは本来の商工組合中央金庫資金よりもふえるということになってくるのでございます。
  24. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから利子の点でございますが、これは昨年より六厘二毛二糸ですか、これだけ引き下げると、こういう予定になるわけなんですが、それだけ引き下げたときのバランスというものは、どれくらいになりますか。
  25. 川上為治

    政府委員川上為治君) 十五億増資をいたしまして、その結果短期長期も合せまして、年利、今先生がおっしゃいました六厘二毛二糸程度下るわけなんですが、そういたしますと、平均年の金利が九分九厘四毛七糸ということに大体なります。そのうち短期長期を見ますと、長期につきましては現在の一割一分五厘というのが、これは二年以上でありますが、これが一割五厘程度になるかと思います。それから一年以上二年未満のものにつきましては、現在一割一分というのが一割ということになるかと思います。そうしますというと、長期ものにつきましては平均金利が一割二厘、一割三厘程度になると思うのであります。一割三厘といいますと、現在中小企業金融公庫金利が、これは大体長期ものが多いわけなんですが、これが九分六厘でありますので、なお相当の開きが生じております。しかしながら、一般市中銀行金利を見ますと、たとえば興銀とか、そういうようなものと比べますと、大体一割三厘という程度ではないだろうか、長期につきましては。そうしますと、まあ大体商工中金長期ものにつきましては、一般市中銀行長期ものと、大体おつかつというような程度になってくるんじゃないかと思いますけれども先ほども申し上げましたように、政府の機関であります中小企業金融公庫と比べますと、まだはるかに高いわけでございまして、われわれとしましては、商工中金金利は今後におきまして、さらにもっと下げていくような策を講じなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  26. 近藤信一

    ○近藤信一君 今長官のお話しで、やはり高いという事実を認めておられるわけなんですが、そうすれば、もう少しこれは金利を下げていくというようなことはお考えになりませんですか。
  27. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは先ほども申し上げましたが、一応これは財政の関係とか、あるいは商工中金性格の問題とか、そういうような問題からいたしまして、来年度におきましては十五億の増資ということにとどめたわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、やはり、商工中金金利を下げるということはどうしても必要でございますので、先ほども申し上げましたあるいは政府預託金をもっとふやしていくとか、あるいはまた預金をもっと集める。その預金を集める方法としましては、信用組合中金とを密接な関係を持たしめる。そして、信用組合のあるいは余裕金というようなものを、たとえば銀行信用組合が預けておるような預金をむしろ中金の方へ預けてくるというような措置をとって、預金をもっとふやすというようなことで金利を下げるということにいたしたいと思いますし、また、商工債券につきましても、その利率につきましてはだんだん低くなって参っておるような情勢にもなっておりますので、そういうことによりまして、何か金利をもっと下げるというような措置を講じたいと考えておりますが、それ以外の方法としましては、衆議院委員会におきましても問題になりました、政府の方から直接融資を受けるというような道も開けるようなことも検討したいというふうに考えておるわけでございます。まあ、そういういろんな措置を講じまして、もっと金利を下げるような努力を払いたいと思っております。
  28. 近藤信一

    ○近藤信一君 やはり、借りる側からいきますと、これはのどから手の出るぐらい借りたいんだが、今もおっしゃってみえるように、金利が高いから、ここでちゅうちょする、こういう結果になると思うんです。そういたしまするというと、やはり金利を下げていくということになりますると、やはりこれは政府出資ということが大きく考えられなきゃならぬ、こういうふうに私は思うのであります。そこで、今年度の十五億ですか、十五億ということは、ほかから比較いたして見ますると、国民金融公庫等から比較いたしましても、非常に額が少いというふうに私考えるんですが、その点長官はどのように考えておられますか。
  29. 川上為治

    政府委員川上為治君) まあ、これは非常にいろいろ議論があるところでありまして、中小企業金融公庫とか、あるいは国民金融公庫というのは、これはもう純然たる政府の機関でございまして、政府出資なり、あるいは政府の財政投融資、まあこれだけで実はまかなっておる機関でございます。従いまして、たとえば預金の受け入れとか、あるいはまた債券の発行とか、そういうことは現在のところいたしておりません。ところが、商工組合中央金庫につきましては、これは長年の歴史を持っておりますが、やはり組合系統の機関として、特別な性格を持っておるのでありまして、言いかえれば、まあ民間的な色彩が非常に強いというような金融機関になっておるわけでございまして、政府出資につきましても、民間出資とにらみ合わしてやるべきではないかというような、これはまあ性格論からいたしましてそういうような考え方があるわけであります。従いまして、政府出資が非常に大きな額になるというようなことになりますというと、民間出資というものが非常に少いですから、そういたしますというと、従来の商工中金性格が非常に変ってくるというようなことになってくるのではないだろうかというようなふうにも考えますので、まあそういう点を考えまして、やはり、従来の組合系統機関としての性格というものを強く考えますというと、政府出資というのを非常に大きくするということがどうかというような基本的な見解があるわけでございまして、私どもとしましては、政府の援助もある程度し、同時にまた、自分預金を集めるということも努力すべきである。また、商工債券を相当発行して、なるべくこれは現在の利率よりも低くするとか、あるいはその発行の額を上げるとか、そういうような措置をとって、だんだん金利を下げるというようなことにして、商工組合中央金庫性格そのものをあまり変えないように持っていった方がよくはないだろうかというように考えたのでございますけれども、しかし、最近の商工中金金利状況からいたしまして、やはりこの際政府がある程度援助しなければ、とても金利が下らないというようなふうに考えましたので、先ほども申しました十五億の出資をこの際やることにいたしたわけでございます。
  30. 近藤信一

    ○近藤信一君 今、長官が、国民金融公庫、それから中小企業金融公庫は純然たる政府の機関だ、それからこの商工中金の方は、政府と民間両者でやっておると、私はそういう考えがいかんと思う。政府の方だから政府の方には力を入れる、民間と共同だから、この方にはあんまり力を入れなくてもいいというふうなことでは、実際に取り扱っておる商工中金の方からいっても、もう少し政府で力を入れて、そうして政府出資を大幅にやってくれるならもっと金利を下げられるのじゃないか、そうすればもっと利用度もふえてくるというようなことも考えられるのであるから、これは政府のほうだから力を入れる、民間と共同の方だからこいつはだめだ、こういうふうな考えでは、いつまでたっても、中小企業の振興ということの努力をなさる点が非常に欠けておるのじゃないかと、こういうふうに私思うのですが、その点いかがですか。
  31. 川上為治

    政府委員川上為治君) 商工中金あるいは中小企業金融公庫に対する政府の力の入れ方、これは、私どもの方としましては、政府の援助そのものについては同じように考えておるわけなんですけれども、ただ、商工組合中央金庫というのは、先ほども申し上げましたように、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫とは性格がある程度違う。従って、その性格の違うという点は、言いかえれば、全面的な政府の援助を受けるということではなくて、やはり自分の力において預金を集めて金利を低くするように努力するとか、あるいはまた、商工債券につきましても、金利を低くするように持っていくような発行のいろいろな努力を払うとか、そういうようなとにかく措置商工中金そのものにおいても努力することが、その性格上必要ではないかというようなふうに考えられますので、そういう努力をいかにしてもなかなか金利が下らない、どうしても政府としてはもっと大きく財政的な援助をしなければならんというようなことでございますれば、われわれとしましても、もちろんこれに対しましてさらに大幅の増資を必要とすることでございましょうが、一応来年度におきましてはさしあたり平均金利を一割以下にするということに第一段の措置をとりたいということで、政府の十五億の出資を増額いたしたわけでございますけれども、さらに反面におきましては、さきほども申し上げました現在の預金を集めるやり方でありますとか、そういうことを中金そのものも、もっと一つ努力して、そうして預金を増額して金利を下げるというような方向に持っていくべきだというふうに、私ども考えておるわけでございまして、今、先生おっしゃいましたように、われわれとして商工中金中小企業金融公庫と全然援助の仕方が違うじゃないかというようなお話しなんですけれども、援助といいますか、政府出資なり、あるいは政府の財政投融資の額そのものは違いますけれども、やはりこれは商工中金性格からいいまして、政府だけの貸付なり出資なりということではなくて、民間の金も集めて、それがやっぱり資金源にする努力を払うべきじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、まあ、そういう努力をいかにしましても、なかなかその金利が下らないというような場合におきましては、今後われわれは、さらに政府の援助を大きくしていくというような方向に持っていきたいというふうに考えているわけでございいます。
  32. 近藤信一

    ○近藤信一君 その方はもうそれくらいにいたしまして、まだあとの方もあろうから……。  先ほどあわせて説明を願いました信用保証協金の資料をちょっと出していただきたいと思うのですが、国の貸付の基礎を計算した資料ですね、そういうものはあるでしょう。昼から審議しなければならぬこの信用保証協会の方の資料は、この資料が一つ出ているだけなんですが、国の貸付の基礎を計算した資料ですね。これと、それから保証協会中小企業に浸透しておる度合、この度合を示しておる資料、この二つを、一つ昼から審議する資料にしたいと思うから、出していただきたいと思います。
  33. 川上為治

    政府委員川上為治君) 浸透度の方はよくわかりますが、貸付の基礎ですね、貸付の基礎といいますと、貸付の基準でしょうか。
  34. 近藤信一

    ○近藤信一君 信用保証協会の現況を説明した資料だな。
  35. 相馬助治

    ○相馬助治君 長官に一点お尋ねしたいのですが、今度のこの法改正で、政府出資を十五億出して、金利引き下げるために努力をしておるということに対しては、私、非常に敬意を表しますし、この金利引き下げに今後も努力していただかなければならぬと思いますが、同時に、もう一つ問題なのは、との商工中金資金量をふやして、もっと貸し出しが可能であるようにしていただかなければならぬと、こう思うのです。で、一般中小企業者というのは、驚くほど素朴というか、わからぬというか、中金というものと中小企業金融公庫というものの区別もわからないというような人が実は多いわけです。長官なんかが想像されるよりも、はるかにわからないわけです。そこで私がお尋ねしたいと思っておることは、今度の第三の改正というものは、非常によい改正だと私も思うのです。具体的な実例を栃木県あたりにとってみますと、商工中金に金を借りに行く。そうしてこの組合並びにその構成員でなければ金が借りられないということを、窓口で初めて聞かされる。そうしてあなたたちは中小企業金融公庫というのがあるから、そこで借りなさいと教えられる。そうすると、栃木県ではこの中小企業金融公庫というのがありませんので、市中銀行の、たとえば足利銀行なら足利銀行が代行しておるというので、その窓口へ行く。そうしてまことに簡単にあしらわれて、金が借りられない。こういう状態なんです。私なんかもたびたび経験していますが、商工組合中央金庫の窓口の人たちというのは、中小企業金融公庫の窓口の人に比べると非常に親切であり、丁寧です。これはやはりその半分民間だという空気が作用しているんだとは思いますが、とにかく商工中金の人たちというのは、公庫の人たちに比べると親切であり丁寧です。しかし、一向に金が借りられないというわけなんです。そこで、この第三の改正は、内容的にはこういうことになりますか。今のような実例の場合に、金融公庫へ行って頼みなさい、そうしてこちらに書類が回って来れば、中金の方として何とかしてあげましょうというような実際の形になるのか。それとも商工中金の窓口だけで解決して、あなたは組合でもないし、組合構成員でもないから、ここから直接にお貸しすることはできないが、金融公庫の方と話し合いをつけて、この窓口を通じてあなたたちに融資をしてあげますと、こういうふうに積極的な事務手続が可能であると期待してよろしいこれは改正なのでしょうか。その点を具体的にお尋ねしたいのが一点。  それから第二点は、政府出資があまりにも多くなると、性格が変ってしまうというお話しですが、私は性格が変ってもやむを得ないし、また、いいじゃないか、近藤委員が質問したと同じことなのですが、できるだけ政府出資を多くして、もっと中小企業者金融難にあえいでいるこれらの人を救うという立場を、特に長官はとってしかるべきものであるし、現在の政府もまた、そういう政治的な責任があろうと私は考えておるわけです。従って性格が変るからこの程度ということでなしに、将来もっと政府出資も多くし、同時に商工中金をがっちりしたものにして、預金ももっと自然にふえるという形に持っていくべきだと、かように考えますが、その点についてはどういうふうにお考えであり、将来どのような見通しでございますか、以上二点お尋ねいたします。
  36. 川上為治

    政府委員川上為治君) 第一の問題につきましては、今、先生から最後におっしゃいましたように、これは商工組合中央金庫が、中小企業金融公庫代理店になって中小企業金融公庫の金を貸すということになりますので、そのワクをどの程度にするかという問題は、これからいろいろわれわれとしましては、具体的にきめていかなければなりませんが、たとえば宇都宮なら宇都宮におきまして、商工中金の支店がありますというと、そこへ商工中金本来の金を借りに行くのではなくて、組合員外の者がその宇都宮の支店に行って、その公庫の代理店としての金を貸してもらいたいということであれば、そのワクの範囲内においてそこで話がつくというようなふうにしていきたいというふうに考えております。
  37. 相馬助治

    ○相馬助治君 市中銀行との関係はどうなんでしょうね。
  38. 川上為治

    政府委員川上為治君) 市中銀行につきましても、現在公庫の代理店になっておるものもあるわけでございます。同じ宇都宮におきまして、これははっきり私も知りませんが、おそらく公庫の代理店になっている金融機関があるわけですが、その場合におきましては、どちらから借りましても、同じような金利ということになってくるかと思うのであります。  それから第二の問題につきましては、これは非常にわれわれとしましてもむずかしい問題でありますが、やはり商工組合中央金庫というものは、中小企業金融公庫とか、あるいは国民金融公庫とは性格が違う。これは先ほども申し上げましたように、一種の半官半民の機関だ、しかもその資金源というものは国に一切頼らない。これは国民金融公庫と、中小企業金融公庫というものは、一切国が出しておるわけであります。これはその方法としては出資金、あるいは資金運用部の金を貸し付ける、そういうやめ方でいっておるわけでありますが、商工組合中央金庫というものは、これは一種の半官半民の金庫でありまして、民間の組合系統の金を集めて、そうして集めた金を資金の源として、一面においては貸し付けをしていくということと、もう一つは、それに対して政府の方がある程度援助をいたしまして、そうして援助したその金と一緒になって、この組合員の方へ貸し付けをしていくというようなことになっておりまして、中小企業金融公庫に対する監督と、それから商工組合中央金庫に対する監督それ自体についても、法律上若干の差異があるわけでございまして、中小企業金融公庫に対しては、予算、会計経理その他については、むしろ商工組合中央金庫の場合よりも監督が厳重であるというような、そういう違いを持っておりますので、この商工組合中央金庫に全面的に資金を援助するということになりますと、その性格に対してどうかというような議論もあるわけでございまして、そうなったら一歩進んで、むしろ純然たる政府機関ということにすべきじゃないかというような議論もあったのでありますので、私どもとしましては、そういう点も十分考えまして、しかし、かといって、現在の金利の高いのを、そのまま放置することはできませんので、やはりこり際政府も思い切って援助して、そうして金利を下げるというような方向に持っていくべきじゃないかというようなことにいたしまして、さしあたり、来年度におきましては十五億を増額いたしたわけでございます。なお、この根本的な問題につきましては、私どもとしましても今後さらに検討いたしまして、どういう形が一番いいのか、どういう措置をとったらいいのか、その点は十分検討して、そうしてなるべく金利が下るような措置を講じていきたいというふうに考えておりますし、資金量そのものにつきましても、もっとふやすような措置を、何らかの方法で講じられないかということも、もう少し検討をさしていただきたいと思っております。
  39. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 貸し出しの基準の問題なんですが、実は先般決算委員会で私から指摘したのでありますが、これは直接当事者に伺うことが一番いいのでありますが、しかし、これは非常な重要な問題でありますので、特に当局の意向を伺いたいのでありますが、大体これは半官半民でありましても、その目的というものは、あくまで中小企業を対象にして参らなければならぬはずなんであります。ところが、二十九年度の決算を見ておる中におきまして、北海道に二つの会社があったわけでありますが、その二つの会社は、いずれも資本金が、百万円なんです。なるほどそれは今の経済現象からいえば、百万円というのはごく小さいものにすぎないのでありますが、ところが、この百万円の資本金の会社に商工中金一つは七千万円以上、一つは一億円以上の融資をして、そうして一つが焦げついた、こういう事案があったわけなんです。それでいろいろ聞いてみまするというと、当事者は、非常に資本金は少いけれども、売り上げが非常に多かった、百万円でありましても、何十億の売り上げをしたのだ、こういうことになる、それはただ単に営業成績の面から見るだけなら、まことにけっこうなんだけれども、しかし、そういうことは、これはいわゆる商工中金の範疇以外の問題である、市中の銀行、市中の金融業者と同じようにこういうことを繰り返して、そうしてこういった一億以上の貸金というものを平気でやられるというようなことになりますと、非常に一般中小企業というものが押えられていくという傾向になってくるわけなんであります。この点について、一つ長官の御意向を伺いたいのであります。
  40. 川上為治

    政府委員川上為治君) 決算委員会で問題になりました北海道の問題につきましては、私どもとしましても、これは非常に実は遺憾に思っております。従いまして、今後におきましては、ああいうことがないように、私どもといたしましても、監督を極力強化したいと思うのですが、従来の例にいたしますというと、大体中金の方で組合に貸し出しをする場合におきましては、一億以上のものについては政府の方へ報告をする、こういうことになっております。それから組合員につきましては、個々については一千万円以上のものについて報告するということになっております。これはやはり中小企業金融公庫商工組合中央金庫とは、やはり先ほど申し上げましたように性格が違いますので、中小企業金融公庫につきましては、少くとも一千万円以上のものにつきましては、政府の方と相談しなければならないということになっておりますけれども、やはり中金の方につきましては、組合金庫という性格からいたしまして、まあ比較的そういう点については何と申しますか、ゆるやかな措置をとっているわけでございますが、この前の問題もありますので、私どもの方としましては、今後もう少し監督を厳重にしまして、各方面に迷惑がないような措置を、一つ講じていきたいというふうに考えております。
  41. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ただいま申し上げたような会社は、これはあえて商工中金を経なくても、相当市中銀行からも融資できる立場でもあるし、それから最近の、いわゆる神武以来の景気というようなものが世間にうたわれているのでありますが、中小企業という一応範疇内に入っておるものも、すばらしい景気に浴せられている階層というものが、かなりあるわけなんであります。こういう人たちは、同じ中小企業をうたっておりましても、今申し上げました通り、どこでも金融ができる立場なんです。こういうものがどんどん設備資金等の関係から、中小企業者が唯一の綱としている商工中金に押しかけてくるということになると、非常に迷惑をするわけなんでありますが、今の二つの例のごときは、これは非常に問題になった例なんでありますが、どうか一つ、当局においても、そういう点は十分に御注意を願いたいと思います。
  42. 小幡治和

    ○小幡治和君 いろいろ各委員の御質問で、問題点には触れてきているのですが、どうも、ずっと中小企業長官の御答弁を聞いていて、まだ食い足りないといいますか、気がするのです。今度の要するに政府出資の十五億の増というものは、結局商工中金の取扱い資金をふやしてやろうというのでなくて、まあ金利を低下させるということが目的だとおっしゃったのですが、そうなんですか、要するにこの問題は、現在の中小商工業者がいろいろ借りに行っている、しかし、資金源がなくてどうにもならない、結局高利貸しの方へ行ってしまうということで、そういうことをやめるためにやるということなのか、それとも金利を下げるということが重点なのかその点どうですか。
  43. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私の方としましては、やはりこの十五億の増資というのは、金利を下げるというととろに重点を置いたわけでございます。ただ、じゃその中金原資については、もっと援助すべきじゃないかというようなお話しでありますが、これはその大部分については、現在御承知通り商工債券でまかなっておりますので、政府の方で来年におきましては二十億預金部におきまして債券の引き受けをするということにいたしまして、少くとも原資の増大についても、政府の方ではそういう形において援助をするというようなことを実はいたしておるわけでございます。
  44. 小幡治和

    ○小幡治和君 先ほどから長官は、この利率が高いという面については、商工中金性格上ということを非常に強く言われておるのですけれども、その性格上高くならざるを得ないというその具体的説明一つお聞きしたい。
  45. 川上為治

    政府委員川上為治君) 結局まあ具体的に申しますというと、まあ出資とか、そういうような金が全体の割合としては低い。それからまた、預金が思ったよりも比較的そんなに集まっていない。要するにその全体の資金のワクの中で半分あるいは半分以上のものが商工債券でまかなっておる。商工債券利率が大体七分以上でありますが、それが結局この商工中金原資になっているというところに、一番問題があるかと思うのでありますので、今後におきましてはこの商工債券利率を下げるということ、あるいはその発行価格を上げるということ、あるいはまた預金をもっと集めるということ、それから出資をもっとよけいやるとか、あるいは場合によりましては、政府の金々一借りるというようなそういうような措置を講じなければ、この商工債券で大部分をまかなっております以上は、どうしてもその金利を急激に低下するということがなかなかむずかしいというところにあるんじゃないかと思います。先ほど農林中金との関係につきましてお話がありました。政府がどの程度出資をし、組合の方からどの程度出資しておるかという問題があるのですが、農林中金は一月末で出資総額が二十四億二千万円となっておりますが、そのうち政府の優先出資が十六億二千万円、組合出資が八億ということになっております。しかし、まあ農林中金につきましては、御承知通り米穀、米の方の回米代金が相当入りますので、そういうものが中心になって貸出資金原資となっておるわけなんですが、従いまして金利も非常に安くなっておりまして、預金ももちろんこれは非常に集まっておりますので、そういう関係から金利につきましては商工中金と比べますというと、はるかに低い状況になっておりまして、短期につきましては大体二銭一厘から二銭四厘程度ということになっております。それからまた、長期も一年以上のものにつきましては大体九分一厘から一割六厘、大体まあ九分五厘とかというようなところが、中心になっておるようでありまして、これはやはり何と申しましても、農林中金預金をこれは相当よく集めておる。集めておりますということは、一つ商工中金の方は先ほども申し上げましたように支店の数が全国で六十一でございます。まあそれから今度はこの信用組合を活用することになっておりますけれども、まあそれにしましても、農林中金と比べますというと、そういう支店網というのが非常に小さい。従って預金の集まりということも、なかなか農林中金ほどいってない。それに加えて回米代金という特殊なものが農林中金にはある。そういうことで金利商工中金よりもはるかに低いということになっておると考えるのであります。
  46. 小幡治和

    ○小幡治和君 まあ、今いろいろ伺いましたが、結局そうすると今度の措置というものは政府の十五億によって金利を下げた。しかし、これは十五億ということで、先ほど説明のありましたような金利のごくわずかの低下ということを所期し得たわけなのですが、もう少しこの際政府が十五億出すことによって金利を下げた、それとあわせて今商工債券の話及び組合出資及び預金の吸収、そういうような面を具体的にこうこうこういうことをして、なお下げ得るのだという一つの目安というものを、長官としては持っていただきたいというふうに私は思うのです。ただ政府の金だけをふやして、その分だけでもって、ごく少し金利を下げたいというだけでは、どうしても効果としては少い。せっかくこれをやったならば、もっとその商工債券なり組合出資なり、預金の吸収について、もう少し具体的にこうこうこういうふうにして、なおこれを一つの契機としてなお何厘下げるのだということを一つ特にお考えを願いたい。われわれとしてはもっと各預金吸収、いろいろな点の割引債券とかいろいろ出しているのですが、そういう点にもっと出し得るのではないか。こういう点について大蔵省あたりでいろいろ制限をしておるのだろうか、今利率の点なども、いろいろお説がありましたが、農林債券との問題、興業債券との問題、いろいろあると思うのですが、同じような内容のこういうものといろいろ比較してそうして商工債券というようなものが、どうも金利を上げておる要因というものが多い。それとほかの債券と比べてもっと下げるという努力をする必要がある。また、大蔵省もそれに対して助力をする必要があるのじゃないかというように思っておりますが、それについて長官、あるいは大蔵省の御意見を聞きたい。
  47. 川上為治

    政府委員川上為治君) 先ほど申し上げましたように、まあ私どもとしましては現在平均金利が一割をはるかにこしておるものを、この際少くとも一割以下九分九厘というようなところまで持ってきようじゃないかという、これは第一段の措置として、来年度においてはそういう措置をとることにいたしたわけでございまして、今先生からお話がありましたように、まあこれではやはり農林中金とかその他のものと比べるというとどうしても高いので、何とかもっと引き下げ方法を具体的に講ずるべきだというようなお話しなのですが、私どもの方としましても、じゃあどの程度まで下げるかという問題になりますと、一応私としましては現在の中小企業金融公庫長期が九分六厘でありますので、せめてあの程度まではどうしても引き下げていくように持っていきたいというふうに考えるのですが、もし九分六厘まで長期ものを切り下げるということになりますと、短期につきましても同様の措置をとらなければなりませんが、そうしますと、先ほども申し上げました大体五十億円くらいの、しかも無利子の金がどうしても必要であるということになりまして、これは予算の財政関係その他の問題から、なかなか来年度におきまして一躍そこまで持っていくということは、非常にむずかしい状態でありましたので、さしあたりは先ほども申し上げましたように、まあ一割以下の九分九厘くらいに少くとも平均持っていくということに実はいたしたわけでございます。  その他のいろいろな方法も、もちろんわれわれとしてはもっと講じなければならぬ、たとえば預金を集めるためには信用組合との連携をもっとつけて、あるいは支店網というものをもっとたくさん持たなければ、とても預金は集まるものではないというふうに考えますので、そういう措置を講ずるとか、あるいは県なり国なりの預託金というものを、最近は引き揚げる方向にありますけれども、なるべく引き揚げないで、余裕金がありますれば、預託金をもっとふやしていただくというような措置を講じてもらいますとか、あるいは商工債券については、これはなかなかその関係金利を下げるということはむずかしいのですが、これにつきましても発行条件をもっとその金利引き下げるような方向に持っていけるようにするとか、まあそういう措置を講じなければならぬと思っておるのですが、まあ先ほども申し上げましたように、一挙にしてその九分六厘というようなところまで持っていくということは、今のところなかなかむずかしい点がありますので、差し当りは第一段の措置として九分九厘幾らというところに持っていくということにしたわけでございます。
  48. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 実は、私は直接担当でありませんで、主務はやはり銀行局の方がお見えになっていないものですから、聞き及びのところでございますので、大へん恐縮でございますが、ただいまの御質問に対しまして川上長官が御答弁になりました。大蔵省の、銀行局の方の意見といたしましても、極力あらゆる措置を通じて商工中金金利引き下げについて努力しております。特に預金の吸収につきましては、昨年度からいろいろ預金の預託の金利などに特に配慮いたしまして、預金の吸収に努力をいたしておったのであります。それが、昨年一年の経過を見ましても、そういう預金の伸びが考えたように伸びておりません。それからそのほか経費の点につきましても、いろいろ経費率が割合高うございまして、この点なども金利引き下げるのに非常な障害になっておるのでございますが、また一方には、やはり金融機関といたしまして必要なやはり準備金等も持っていきませんと、こういう中小企業相手のものでございますので、金融機関の健全性も維持しなければなりません。そういうようないろいろな点も考えまして、できるだけの努力をいたしておるところでございまして、今後とも御趣旨の点につきまして、中小企業庁と一緒になりまして、努力して参りたいと思っております。
  49. 小幡治和

    ○小幡治和君 今の長官は国並びに府県の歳計現金の預託というようなことも、大いにやっていくということを言われたのですが、これについて府県あたりの裁計現金の預託というものはこういうふうにやっていく、これは中小商工業者の要望によってやりますと、これに対して大蔵省の方では府県が非常に困っておるのに、そういうようなものを、そういうようなところに現金預託することはいけないというふうなことを指示されたようなこともあるのですけれども、現在はそういう点については通産省と大蔵省意見一致して、そういうような歳計現金はこういうふうなものに預託してもいいというふうに考えられておりますか、この点どうですか。
  50. 川上為治

    政府委員川上為治君) その国の預託金について、まあいろいろ議論が実はあるのですが、これをだんだん今までは減らしてきておりますけれども、これを減らしますというと、結局まあ金利の問題に中金あたりは非常に関係が深いものですから、やはり大蔵省と相談をいたしまして、もっとふやすという問題については、十分な話し合いはついておりませんが、少くとも現在国が預けておるものについては、これを早急に引き上げないということに実はいたしておりまして、これはまあ私どもとしましては、なるべくふやして参りたいという気持を実は持っておるわけなんですが、この問題については、もっと大蔵省とも今後相談をいたしたいというふうに考えております。それから県につきましては、これまた最近はだんだん減っていくというような形になっておるのですが、まあ私どもの方としましては、やはり県に余裕金のある場合におきましては、ほかのいろんな金融機関に預託するというようなことよりも、やはり中小企業関係の、こういう中金でありますとか、あるいはその他の中小企業関係のものに預託してもらいたいということを、県に対しても要望を実はしておるわけでございまして、それは余裕金につきましては極力そういう運用をしてもらいたいということを、県にもお願いをしておるわけでございます。
  51. 小幡治和

    ○小幡治和君 その点大蔵省どうですか。
  52. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 銀行局の方で担当しておりますので、あとで取り調べまして御答弁いたしたいと思います、担当が違いますので銀行局の方から……。
  53. 小幡治和

    ○小幡治和君 それじゃ保留しておきます。
  54. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど来いろいろ御質問がありましたが、中小企業庁長官中心で答弁のあったことにつきまして、お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、まず第一には、今回の商工中金金利引き下げがある程度できた、それによって興銀並みぐらいになってきたということは、まあ一応けっこうだと思うのでありますが、御承知通り、これは長官に特にお尋ねするのですが、この金利の開きについて問題になるのは、中小企業専門金融機関の間において特に問題になるのだという点で、具体的に言うというと、中小企業金融公庫の貸し出し金利が九分六厘だと、今度商工中金金利が非常に努力の結果下ってみたところで、長期資金の貸し出し平均金利は一割三厘、そこに七厘の差があるわけでありまして、組合政府の方では中小企業対策の根幹だということで、非常に主張をせられておるのだけれども、その組合に対する金利の方が、中小企業金融公庫から中小企業者がそのままの姿で借りた場合に金利が安くなるということでは、実際組合中小企業対策の根幹にしておるとか、何とかいったって実が上らぬ、また実が伴わぬということになるんですが、そういう点で今後特にこの中小企業専門金融機関、具体的にいうと中小企業金融公庫商工中金との間の金利は、少くとも同一に持っていかなければならぬというふうに考えるんでありますが、その点は中小企業庁長官は強く認識せられ、また、そういう前提に立ってお考えになるでありましょうか、その点を伺いたいのであります。
  55. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは先ほど申し上げましたように、少くとも中小企業金融公庫とは同じ程度まではどうしても持っていきたい、むしろ私は組合の組織の強化という点からいたしまして、むしろそれ以下に持っていきたいというような、これは特に長期についてでございますが、そういう気持を持っております。
  56. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それではそれを前提にしてお尋ねしますが、先ほど来、預金を大いに商工中金として吸収したらというようなお話があったのでありますが、御承知のように商工中金は、大体各県一つの店舗というのが原則になっておるのでありまして、これは組合金融を中心にする以上は、そんなに普通の金融機関のように、町という町には支店を出すというわけにはいかぬので、そういう点において今後いかに店舗をふやしていっても、おのずから限度があるということが第一点。  それからもう一つ信用組合によって資金を集めていったらというお話がありましたが、御承知のように信用組合中小企業者相手なんですから、中小企業者というのは預けるんではなく借りたい一方なんですね。それで預金を集めるということになると、どの金融機関でもそうなんでありますが、消費者階級というか、そういう方面預金が集まらぬということであったならば、そんなに預金に期待をするということ自身が非常に無理なんです。これが第二点。  それから第三点としては、農中の預金との比較論がありましたけれども農林中金は御承知のように食管制度というものがあって、あの米穀統制に伴う買い上げ、それから資金の放出、それが系統金融機関に当然じっとしておっても集まってくるんで、もしも食管制度をやめてしまったら、農林中金だって預金はほとんど集まりませんよ。だから農林中金とは比較にならぬということが第三点なんですね、そういう三つの点についての御見解を伺いたいと思うんです。
  57. 川上為治

    政府委員川上為治君) この支店を増加するという問題、これは非常にむずかしいというお話しなんですが、私も実際これは中小企業金融公庫にしましても、支店をふやすということは非常にむずかしい状態になっておりますので、この中金につきましても、その支店をふやすという問題は、なかなかこれは簡単にはできないというふうに考えております。その点は全く同感でございますが、しかしまあわれわれとしましては、なるべくやはりその一つの組織網というものをふやしていくというような点からいいましても、できるだけ支店も私はもっとふやしていきたいというふうに考えております。  それから信用組合代理店として使うという問題、これは系統機関として十分に活用するという問題につきましては、これは信用組合が今先生からお話がありますように、なかなかそういう余裕はないという問題でございますが、現在信用組合はほかの銀行なんかにある程度預金をいたしておりますので、そういうのを中金の方へ肩がわりできないか、また肩がわりさせるためにはどういう措置を講じたらいいかということをわれわれとしましてはもっと検討いたしまして、そうして極力信用組合余裕金というのを、中金の支店の方へ肩がわりさしていくような措置を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、その問題としてはいろいろ残っておりまして、なお今後検討の問題になっておりますが、これはいわゆる員外者の預金を何らかの形において集めるということはできないものだろうかという点について、われわれとしましてはもっとこれから検討を進めていきたいというふうに考えております。  それから農中の関係につきましては、今お話がありましたように、基本的に非常に違っておりますので、なかなか農中みたいに商工中金預金などが集まるということは、非常にむずかしいだろうというふうには私は考えております。そういたしますというと、この三つの点についてなかなかむずかしい点があって、そう簡単に預金なり、そういうあるいは原資というものが集まるものではないということは、まことにおっしゃる通りでございます。従いましてまあわれわれとしましては、ほかにいろいろな手はないのかという点について出資の問題、あるいはまた債券の、政府の引き受けの問題、あるいはまた衆議院委員会でも問題になりましたいわゆる政府の金を低利で直接中金に貸すという問題、この問題についても、さらに大蔵省といろいろ相談をいたしまして、今後善処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そこで預金には、これは吸収に大いに努力はするけれども、おのずから限度があり、しかも、その限度というものはなかなか低い限度だということが前提になりますのと、それからもう一つ先ほど預託金については増額はできぬ、引き揚げはしない程度だということになりますと、これはまあ実際額としてはしれたものなんですね。それから考えてみますると、結局資金運用部資金を積極的に活用しなければいかぬのだということになるわけなんでありますが、というのはこの政府出資を大いに増額しなきゃならぬが、今後おのずからそれも努力してもらっても限度が出てくるということになりますと、どうしても資金運用部資金を中心に考えなきゃならぬ、その場合に債券の引き受けのことでありますが、債券の引き受けの金利が市中と同じ金利資金運用部資金で引き受けるということ自身が、これほど中小企業対策をやかましくいう際であり、それからまた、政府出資したくも、中金性格からむずかしい点があるということになると、同じ政府資金のことですから、資金運用部資金をもって債券を引き受けるときに、特別安い金利資金運用部資金資金コストすれすれのところで出すくらいのことはやらなければ問題にならぬと思うのですが、その点どうでしょうか。
  59. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今のところは、これはやはり一般の市中並みに実はいたしておるわけでありまして、われわれとしましても、まあなるべく資金運用部の方でやはり一般の市中よりももっと中金金利を下げる方向にやってもらいたいという気持ではおりますけれども、まだ今のところは話は十分ついておりません。今後におきましては、われわれとしましてもそういう問題について、さらにその関係方面と話し合いをして、金利を下げる方向に極力持っていきたいというふうに考えます。
  60. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうしますと、特にこの際考えていかんならぬと思いまする問題は、資金運用部資金の直接貸の問題ですね、これは御承知のように戦前は今の商工中金と同じ性格のものでありながら直接貸ができておった、それによって低利資金の運用ができておったわけですね。むしろ郵便局から吸い上げた資金運用部資金低利資金として商工中金に扱わしたことがいい、その方が銀行から吸い上げた金は大企業の方へいくものだから、昔からそのアンバランスを補うために、商中工金には資金運用部資金を直接貸し付け低利資金運用をやらせるというために、実は商工中金というものができ、商工中金法という特別法までできたということは、長官よく御承知だろうと想うのですが、そういう点から見ますと、どうしても戦前の資金運用部資金の直接貸の行き方を復活するということが、最も中心になると思うのです。これについて御見解はどうでしょうか。
  61. 川上為治

    政府委員川上為治君) この問題につきましては、衆議院の商工委員会におきましても非常に論議されまして、そしてまた付帯決議にもなっております。われわれとしましては、やはり先ほども申し上げましたように、中小企業金融公庫性格という点からいたしまして、まあ関係方面との話し合いがなかなか簡単についておりませんが、そういう付帯決議の趣旨もありますので、早急にこの問題については、これは法律改正も必要でございますので、そういう点について相談をいたしたいというふうに考えております。これは私個人の意見を申しますというと、やはり商工中金というものは特別な監督を受けておりますし、なるほど中小企業金融公庫とは違ってあるいは予算なり、あるいは経理なり、そういう点については、純然たる政府機関である中小企業金融公庫の方がはるかに監督は強いですけれども、また一面におきましては、役員の任命制度については、むしろ中金の方がやかましく監督を受けておるというようなこともあったりしまして、まあそういう点からいいましても、そう中小企業金融公庫と商工組合中金とは政府機関という点からいいますというと、それほど大きな隔りはないのじゃないかというようなふうにも考えますので、従って政府が直接中金に対しまして貸し付けをするということも、あながちこれは矛盾したことでもないのじゃないかというような、私自身としてはそういうような気持を持って、いろいろ大蔵省その他の方面にも話し合いはしておるんですが、そこはやはり一つそのせきを破りますというと、ほかにもいろいろなものが出てきて、たとえば農林中金と同じような問題になると思うのですが、いろいろな問題がありますので、やはり非常に純然たる政府機関というものを強く考えておるところでは、やはりそこまでそのせきを破っていくということはどうかというような意見がありまして、話がついていないわけでございます。その点については、われわれももう少しいろいろ検討いたしましてしたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 時間がないようでありますから、簡単にやりますが、政府機関であるとかないとかいうことをよく言われるのですけれども、あれは御承知のようにアメリカの占領中にGHQの金融財政方針がだんだん浸透するようになって、そうしてアメリカ方式にならうようになって急に出てきたことなんで、昔は政府機関だとか政府機関でないとかいうことはあまり言わないで……、あまりじゃない、特別法が出ておれば全然言わないで、やはりこれは政府機関で、その特別法の商工中金法というものは何も内容は変っておらぬのですから、昔やっておったことを独立日本になってからやるのは困るということ自身がおかしいのですね。ですから大体政府機関だとか何だとかいう考え方は形式論であり、観念論であり、しかも日本本来の姿には合っておらぬのですから、だからここらで清算されて、そうして昔のあるべき姿であった当時の行き方に返すということをここでやらなければいかぬと思うのです。そういう点から資金運用部資金法の直接貸しを認めるような法律は、これは新規に作るのでなくして昔の姿に戻すのですから、そういうつもりで勇敢にやってもらいたいと思うのです。その際に農林中金をどうということも一緒に片づけたらいいと思うけれども、かりに問題があっても、農林中金は供米制度の金でいやでも応でも莫大な金が余ってきて、春から秋ごろまでにかけては金の使いようがなくて、日本銀行のかわりみたいなことをいろいろやるぐらいでしょう。ですからそういうものと一緒にやっておったのでは、中小企業金融対策というのは全然だめなんです。ですからここで昔の姿に、独立日本として、ことに中小企業金融対策の緊急を叫ばれているときですから、勇敢にやっていただきたいという考えを持っているのですが、これについての御意見はどうです。
  63. 川上為治

    政府委員川上為治君) もちろん、私どもとしましても、やはり中小企業金融難の是正のためには、勇敢に一つそういう問題は解決したいと思いますが、先ほども申し上げましたように、まあ関係方面におきましては一つのせきを破るというと、いろいろなものもたくさん出てきて困る。やはり一つの線というものは引かなければならぬというのが、いわゆる純然たる政府機関であるか、あるいはまた半官半民というような、そういう機関であるかというところに線の引き方がございますが、まあその点については、この商工委員会におきましても、また衆議院委員会におきましても、いろいろ議論がありましたので、私どもとしましては、十分に大蔵省とも話し合いをして、善処をしていきたいというふうに考えております。
  64. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 最後に何ですが、中小企業庁長官は大体わかっておられるようですからこの程度にしまして、あと根本論について大蔵省銀行局長に少くとも出てもらって、明日以降大いに質問したいと思いますので、この点は本日はこの程度にしておきます。
  65. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 午後二時再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後二時五十六分開会
  66. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を再会いたします。  午前に引き続きまして、中小企業関係の二法案を議題にして審議をいたします。  なお、この際、中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案中小企業資産評価特例に関する法律案、この二案はいずれも中小企業金融と密接な関係がありますので、また、中小企業の将来につきましても、非常に重要な問題でありますので、この際この二つ法律案について政府から説明を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議がなければ、さよう取り計らいます。大蔵省主計局の新保主計官。
  68. 新保實生

    説明員(新保實生君) 中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に御説明申し上げます。  この特別会計法の改正法律案は、信用保証協会法の一部を改正する法律案に伴いまして本国会へ提出されたものでございます。信用保証協会法の一部を改正する法律案は、午前中から御審議の通り政府中小企業に対する金融円滑化をはかるため信用保証協会に対しまして、その保証能力を増大するために必要な原資となるべき資金、それから信用保証協会保証債務履行を円滑にするために必要な資金、この二つの種類の資金貸し付けることができるようにするために、この信用保証協会法の一部改正案が提出されておるわけでございます。この法律案に伴いまして、信用保証協会に対する資金貸付事業に関する政府の経理を、中小企業信用保険特別会計において行うことといたしまするために、ここに中小企業信用保険特別会計法改正法律案を提出した次第でございます。  で、この特別会計法の一部改正法律案の概要を申し上げますと、改正の第一点は勘定の区分設定でございます。すなわちこの会計を、保険勘定と融資勘定に区分いたしまして、保険勘定におきましては従来行なっておりました中小企業信用保険事業に関する経理を行う、それから融資勘定におきましては信用保証協会に対する資金貸付事業に関する経理を行う、そういうふうに規定してございます。  改正の第二点は、信用保証協会に対する貸付金原資一般会計から予算の定めるところによって融資勘定に繰り入れるという規定をいたした点でございます。  第三の改正点は融資勘定の歳入歳出の規定でございますが、まず、融資勘定の歳入はいかなるものから成るかと申し上げますと、信用保証協会に対する貸付金の回収分、それとこれに伴う利子、それから一般会計からの繰入金並びに付属雑収入、これらのものが融資勘定の歳入となります。一方歳出は特別会計から信用保証協会に対する貸付金、それからそれに伴う事務取扱費及びその他の諸費、こういうものから歳出は構成されます。以上のほか、これに伴いまして所要の規定の整備を行なっております。これが中小企業信用保険特別会計法の一部改正法律案内容でございます。
  69. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは資産評価特例に関する法律案について、理財局の庭山経済課長
  70. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 中小企業資産評価特例に関する法律案について内容を御説明申し上げます。  資産の再評価は第一次再評価昭和二十五年に行われまして以来、三度にわたってすでに実施したのでございますが、当時すでに好況で収益状況が非常によかった産業、主として大企業がそれらの第三次までの制度を十分利用いたしまして再評価したのでございますが、中小企業一般的にまだその当時収益状況が必ずしもよくございませんでしたので、せっかくの制度を利用することができなかったわけでございます。  ところが、最近非常に全体の経済がよくなりましたので、その好況の波が中小企業にも漸次押し寄せて参りまして、中小企業も非常に利益が出るようになりましたので、どうしてもこの際従来できなかった再評価をもう一度やらせてやって、そしてこの再評価によって減価償却額をふやして、適正な所得を計算して、それに基いて課税をすることにしてやらなければいけないということになりましたので、この法律案を提出することにしたわけでございます。従ってこの法律によりまして再評価を行うことができるものは、以前十分再評価をできなかったものに限っておるわけでございます。すなわち資本金が五千万円以上、あるいは資本金は三千万円以上だが再評価をできる資産が一億円以上あるような大法人は、もちろん今度の再評価からは除外しておりますし、中小企業でありましても、この前の機会に任意に再評価限度額の八〇%以上の再評価をすでにいたしましたものは、今度の再評価からは除外しておるということになっております。ですからそれ以外のものは今度の法律によりまして再評価ができることになるわけであります。  再評価の基準日でございますが、これは第三次再評価と同じ昭和二十八年の一月一日とする。今度の再評価はあくまでも第三次再評価の補完という意味を持っておりますので、特別の規定のない限り、全部第三次再評価の例によってやるということになっております。ですから再評価の基準日は昭和二十八年一月一日、すなわちその日にすでに存在いたします資産についてのみ、再評価が行われるという意味でございます。  再評価資産範囲でありますが、これはその基準日、すなわち昭和二十八年の一月一日から再評価をいたします日までずっと引き続いて持っておる減価償却資産に限ります。すなわち昭和二十八年一月一日に存在いたしましても、再評価をいたします日までにすでに譲渡したとか、消滅したとかいうものは、もちろん再評価できないわけでありますし、昭和二十八年一月二日よりあとに取得した資産は、もちろん再評価の対象にはならないのであります。両方の日に存在しているものに限るわけであります。  しかも、その範囲は減価償却資産であります。今度の資産評価先ほど申しましたように中小企業の減価償却を適切にやらすということが目的でございますので、中小企業の減価償却の対象にならなく資産はこの再評価資産には入らないのであります。  次に再評価日でありますが、これは法人の場合と個人の場合で違いまして、法人は所得の計算が事業年度主義によっておりますので、昭和三十二年中に開始する事業年度の開始の日といたしました。つまり昭和三十二年中に二回開始する、六月、十二月の事業年度の会社につきましては二回あるわけでありまして、その場合はどちらによろうと、その法人の任意であるということであります。それから個人の場合には、昭和三十二年一月一日を再評価の基準日といたしております。  再評価の基準でございますが、これは第三次の再評価の基準と同じであります。第三次再評価以後物価の値上り等ございませんので、そういう再評価限度額を引き上げるということは、全然考えておりません。それから昭和二十八年の第三次再評価からすでに四年経過いたしておりますので、その四年に見合う減価償却額を控除した額を再評価の限度額としておるわけであります。  次に再評価税の税率でございますが、これは再評価差額の二%といたしております。この点についてはいろいろ議論もございましたが、従来の再評価を行なったものとの権衡を考えましたし、それから中小企業の税負担の実情も考えまして二%を適当と考えたわけでございます。前の第三次再評価の場合には強制をいたしましたので、再評価限度額に対して八〇%以上の再評価をした場合に限って再評価限度額の六五%までは三%を取り、それをこえるものについては免税したのでありますが、今度はそういう強制でない任意でありますので、一律に二%にした。また対象が中小企業でありますので、あまりややこしい制度を作りまして使いにくくなっても困りますので、わかりやすく全体に二%といたしたわけであります。二%といたしましても、再評価することによって二%の税金を納めましても、これによる償却の増加による法人税の減がこの二%の数倍ございますので、たとえ二%税を納めましても、これが中小企業の再評価をした場合に負担にはならないと考えております。  その次は、再評価の申告期限でございますが、これは法人の場合には再評価日を含む事業年度分の確定申告期限と同一とし、個人につきましては昭和三十三年一月十六日から三月十五日までとしたわけであります。原則的な考え方は、法人につきましても、個人につきましても、それぞれ確定申告のときに、法人の場合は法人税の確定申告のときに、個人の場合は所得税の確定申告のときに同時に納めていただく。これが実情にも即しますし、簡単でもございますので、実際に再評価すべきかどうかということの最後の腹をきめますのは、やはり税金の申告のときにならないとわかりませんから、それに合せたわけであります。ただ、法人の場合には法人税の確定申告期限と同日とだけきめておきますと、中小企業の場合は事業年度が一年の法人が非常に多うございますので、たとえば三十二年十二月に開始する事業年度の一年決算の法人の場合について見ますと、その申告がうんとおくれることになりますので、事務上の問題その他個人の再評価の申告が来年の三月十五日でありますこともあわせ考えまして、法人の場合にも最終期限は来年の五月三十一日までといたしたわけでございます。  次に、再評価税の納付でございますが、これは二%でございますので、二年間に均分に納付しまして、毎年一%ずつ納めるということであります。それから再評価税の本来の行き方は、延納でありますとか、繰り上げ徴収とかいろいろ複雑な制度がございますが、これを使うものが中小企業であるということにかんがみまして、そういう複雑な制度はなるべくやめて、全体の税率も非常に低うございますので、納付方法を簡単にする措置を講じております。  なお再評価に関する経理などにつきましては、第三次再評価の例によることといたしております。すなわち再評価積立金の十分の九は、再評価をいたしますと資本にすぐ組み入れていいけれども、十分の一につきましては再評価税を完納しても、昭和三十五年一月一日前は資本に組み入れることができないこととしております。どういうわけでそういうことをいたしまするかと申しますと、再評価をした資産についてその後譲渡損、評価損が出ました場合に再評価積立金を取りくずす必要がございますので、そういうことにいたしたのであります。  以上で説明を終ります。
  71. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  72. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。  それでは中小企業資産評価の件については、豊田委員からの資料提出の要請がありましたので、資料検討の上その取扱いをあらためて御協議申し上げることにいたしまして、先ほどから継続しております中小企業金融の二法案の審議に入りたいと思います。
  73. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど中小企業庁長官から信用保証協会法の一部改正法律案につきまして説明を承わったのでありますが、今回十億原資資金、それからまたその利用を円滑ならしめるための資金として貸し付けんがために出されることになりましたが、この十億円というのは先ほどもお話にありました五十二の協会に割り当てるということになりますと、平均すると二千万足らずのものになるのでありまして、今日信用保証の画期的強化をはかって、これを中心として零細金融の円滑迅速化をはかろうという点から見ると、実にあまりにもスケールが小さいという感じがするのでありますが、これについての御見解を承わりたいと思います。
  74. 川上為治

    政府委員川上為治君) 十億の貸付金では資金的に非常に小さいというお話しなんですが、私どもとしましても実はもっと資金としてはよけい出した方がいいということは考えていたわけでございますけれども財源関係からかようなことに、来年度はなったわけなんですが、将来におきましては、もっと国の援助の金をふやしていきたいというような考えではおるわけでございます。
  75. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この十億を何倍かにしてみたところで、現在のこの協会全体の基金七十五億に比べてみるというと、そこまでいくのかどうかというような程度のことに終りやしないかという懸念が出てくるわけでありまして、従って十億を年々ぽちりぽちりとふやしていくというようなことでは、もうそのうち零細企業なんか、どういうことになってくるやらわけがわからなくなってくるというようなことになるのであります。そこで、信用保証協会の一元化をこの際はかって、そうしてそれに対して政府が大幅に資金も出していくということになると、初めて画期的な強化ができると思うのでありますが、御承知のように、現在各県にありまする信用保証協会というものは、うまく行っているものもあるが、資金源等から、実にあるやらないやらわからぬというような状態もありますので、この際、各府県の信用保証協会を一元化して、そうして基金も統合し、それだけにこの際政府の方からも政府出資を大幅にやるということで、制度の画期的な強化をせられようという御意思はないでしょうか。この点お伺いしたい。
  76. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は私どもの方で最初考えましたことは、現在の信用保険特別会計制度とこの保証協会関係とを一本にいたしまして、そうして中央に特別な機構をこしらえまして、この機構に対しまして、政府の方から相当援助するというような形にいたしまして、そうしてこの信用保証関係の充実をはかろうというような考えであったわけでございます。もちろん、この考え方につきましては、いろいろ問題がありまして、現在地方にあります保証協会をすべてこれを解散さして、そうしてこの中央の機構と一本にして、そうして地方に対しましては、その一本になりました機構の支所なり、あるいは支店というような格好にするか、あるいはそれとも中央の機構は一元化されても、地方の保証協会そのものは現在の姿で残す、そうしてその信用保証協会に対しまして、この中央の機構から、あるいは貸し付けなり、あるいは出資なり、そういうような形にやるかというような問題につきましては、なおいろいろ検討すべき点があるわけでございますけれども、一応私どもとしましては、いずれにしましても、そのどちらの形でありましても、この中央の機構をこの際思い切って充実した方がよくはないかというようなふうに考えまして、最初、現在中小企業庁にあります特別会計制度基金をその機構に移し、同時にまた、保証協会に対する援助関係の金もその機構に打ち込んで、そうしてこの際少くとも五十億以上の金をもってそうして中心機構にしようというような考えでいたわけなんですが、いろいろ検討している最中に、現在の信用保険特別会計制度そのものについても、なお検討すべき問題がいろいろ起っておりまするし、かつまた、財源の問題もありまするし、また、地方の保証協会については、いま直ちにこれをつぶして中央の機構に吸収、合併するというような問題につきましても、各府県の意見もいろいろありまして、この大きな一つの機構の問題につきましては、今後さらに検討するということにいたしまして、さしあたりは現在提案になっております信用保険特別会計融資勘定を設けまして、その融資勘定から各地方の信用保証協会貸し付けするということに一応なったわけでございまして、私どもとしましては、これで今後も十分であるということは毛頭考えておりません。何とかして将来、先ほど申し上げました保険特別会計というものと保証業務というものにつきましては、非常な関連もありますし、また、地方の財政関係からいいましても、現在の保証協会そのものが、果して現在のままでいいか、あるいはこれを若干強化するというような程度でいいか、そういう点については、なお十分その検討すべき問題が残っておりますので、そういう問題もあわせまして、今後どういう強力な機構にするかという問題は検討してみたいというふうに考えておりますが、いずれにしましても、この保証業務というのは非常に大事な仕事でありますので、これを何かの形において、中央も強化し、また地方も強化するというような方面に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  77. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今お話しの、若干強化するというお話がありましたが、この若干強化する程度だと、さなきだに出し渋るこの財政当局の方からは、なかなか政府出資を大幅にというわけにはいかないのじゃないかと思います。そこで、信用保証業務と、中小企業信用保険特別会計を一緒にするということももちろんでありますが、まず第一に、この地方の弱小なる信用保証協会等を一元化しまして、そうして大きな組織機構に改めて……。そうなれば、財政当局でも相当の出資をせざるを得なくなると思うのであります。そういう意味で、この若干の強化じゃなく、もう全然建前を変えて、そして、画期的強化策をとるというふうに持っていきたいというふうに思うのでありますが、御意見はどうでありましょうか。
  78. 川上為治

    政府委員川上為治君) この問題につきましては、衆議院の商工委員会におきましても非常に問題になりまして、やはり付帯決議として、この一元化の問題については検討しろというようなことになっておりますので、かたがた先ほど申し上げましたように、私どもの方としましても、最初から実はそういうような気持を持っていたのでありますけれども先ほども申し上げましたように、現在の保証協会の地方の実情、特に府県がこれに対しまして非常な関係を持っておるということ、あるいはまた、現在の信用保険特別会計状況、それから財源関係、いろいろな問題に、なお今後におきまして検討すべき点が残っておりますので、そういう点を十分検討いたしました上で、私は飛躍的な強化をはかるように持っていきたいというふうに考えておるわけであります。さしあたりは、こういう措置をとりましたが、私どもとしましてはやはりこれを強力な、一つの一元的な機構に持っていきたいというような気持を、少くとも中小企業庁としては強く考えておるわけでございます。
  79. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 わかりました。それから同時に確かめておきたいのでありますが、この衆議院商工委員会付帯決議に対して、おそらく政府側から見解を表明せられたと思うのでありますが、いつもは大体においておざなりの、言質を取られぬように、適当に政府の見解を表明せられるのでありますけれども、この付帯決議に対してどういう表明をせられたのか、そしてまた率直に言って、今中小企業庁長官が言われたような、飛躍的強化をするという線について、本格的にやるというつもりでもって政府の見解を述べられたのかどうか、その点を念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  80. 川上為治

    政府委員川上為治君) まあこれは私からそういう御説明を申し上げた方がいいか、あるいは大臣から御答弁願った方がいいか。むしろ大臣から御答弁願った方がいいのじゃないかと思いますが、少くとも衆議院の商工委員会の決議にしましても、また豊田先生の御意見に対しましても、少くとも私としましては、非常にこれはぜひともそういうようなふうに持っていきたいという気持を持っておりますことを申し上げたいと思うのであります。衆議院の商工委員会におきましては、政務次官の方からも、この趣旨について十分検討して、そしてその趣旨に沿うように措置したいということをおっしゃっていますので、私からはぜひとも将来におきましてはそういうふうに持っていきたいという気持を持っておるということを申し上げたいと思うのであります。
  81. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これで終ります。
  82. 西川彌平治

    西川平治君 一つ伺っておきたいと思いますが、都道府県におきまして信用保証協会がございまして、そうしてその保証協会におきましていろいろと調査をいたしまして、それに基いて保証をつけた上で、金融機関から金を借りるというようなことを今やっておるのでありますが、現在この都道府県の信用保証協会と国との組織上のつながりはどうなっておるのでしょうか。その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  83. 川上為治

    政府委員川上為治君) 現在、各保証協会は、これは県の関係のものもありますし、市の援助しておるものもありますし、そういうものが五十二あるわけでございまして、これとまあ全国のいわゆる連絡機関である中央の機関というのはございますけれども、これは別に国の方から特別に出資をしたり、あるいはその政府機関的な措置をとっておるわけじゃございません。今回のこの改正によりまして、中小企業庁に現在設置してあります信用保険特別会計というのがございまして、この信用保険特別会計融資勘定というのを設けまして、この融資勘定の方から、この地方の五十二の保証協会それぞれに十億の金を貸し付けていくという形になるわけでございます。
  84. 西川彌平治

    西川平治君 そうすると、地方の信用保証協会基金はどういうようになっているわけですか。
  85. 川上為治

    政府委員川上為治君) 保証協会保証基金というのが、最近におきましては地方財政関係等から足りなくなってきております。従って保証の契約というのが大きくなっていかない。従って中小企業者金融難をなかなか解決されないというような状況にありますので、この信用保証協会に対しまして国の方から金を貸してやって、しかも低利に貸してやって、そうしてその保証協会基金をふやして、そうしてその保証業務をもっと充実さしていこうというのが、今回のねらいでありますので、各府県の保証協会と国との関係というのは、この中小企業庁にあります特別会計からこの保証協会に金を貸してやる。保証協会の方では、この特別会計の方から金を借りていくというような形になるわけでございます。
  86. 西川彌平治

    西川平治君 今回の保証協会への貸し付けについては、大体わかってきましたが、そうしますと、念のために伺いますが、信用保証協会に関しまして中小企業信用保険のいわゆる保証保険はどんな形になっていますか。
  87. 川上為治

    政府委員川上為治君) その制度ももちろん、現在やっておるわけでありまして、その保証協会がこの地方におきまして保証いたしますというと、その保証について国の信用保険特別会計に保険をつける、こういうことはいわゆる保証保険として現在やっておるわけであります。その保険制度は現在のまま続いていくわけでありまして、それは別勘定になるわけでありまして、先ほど大蔵省の方から説明がありましたように、その信用特別会計の中でいわゆる保険勘定というものと融資勘定と、こう二つある。この保険勘定というのが、現在やっておりますものをそのまま続けていく意味の一つ特別会計の中の勘定制度であります。もう一つ、その融資勘定というのを設けるというのは、今度はその保険の関係ではないのでありまして、この地方の保証協会というものを強化するために、政府の方からこの特別会計融資勘定を通しまして金を貸してやるということでありまして、これは両方とも密接な関係はありますけれども、仕事そのものについては別な問題でございまして、今までは先生のお確かめになりましたような保障制度については、現在やっておるわけでありまして、それはそのままにしておいて、別に保証協会強化するための金をこの特別会計を通しまして出すということに相なるわけでございます。
  88. 西川彌平治

    西川平治君 よくわかりましたが、そうすると、十億くらいの金を五十二の保証協会に出しますということは、ただいま豊田委員からもお話があったように、まあ一カ所に平均いたしまして二千万円というような額になりますが、その二千万円もそれは保証協会自体が保証するだけであって、金を貸さぬのでありますが、その二千万円は保証協会でどういうふうに扱うことになるのですか。
  89. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは一応平均いたしますとまあ二千万円となりますが、あるいは困っていて余裕もなかなかないというところに対しましてはもっとよけい……金はその平均額よりも多くなると思います。しかし、いずれにしましても、この保証協会低利で金を貸しますというと、その金自体は、一つは、もし事故が起きまして、そうして保証の代位弁済ということをやらなければならないということになりますというと、この金から代位弁済をしていくわけであります。同時にまた、やはりその保証業務保証額の拡大ということにつきまして、大体現在それぞれの協会におきましては定款によりまして基金の十倍なら十倍、十五倍なら十五倍、あるいは十二倍なら十二倍ということで、その程度保証してもよろしいということになっておるわけなんですが、結局基金がふえますというと、その保証の額というのがふえて参りますので、それだけ中小企業者にとっては、金融機関の方から金を借りやすくなる、また金額もそれだけふえるということに相なるわけでございます。
  90. 西川彌平治

    西川平治君 大へんよくわかりましてありがとうございましたが、そういうことになりますと、まあこれを借りるんだから、あまりぜいたくなことも言えませんが、実際問題になりますと、衆議院で今度付帯決議をいたしましたのにもありますが、金利というものは、実は低利に貸していただかなかったら、非常に困る問題でないかと思うので、衆議院におきましては二分五厘ということを書いてございますが、むしろこれはもう無利息で貸すというようなことでなければならぬような感じがいたしますが、それはいかがでございますか。
  91. 川上為治

    政府委員川上為治君) まあ無利息というような御意見もだいぶありまして、私どもの方としましても無利息ということがいいか、それともある程度金利を取った方がいいか、いろいろその点につきましては検討したわけなんでありますが、一応現在政府の方で貸し付けをしておりますものについて、少くとも大体これくらいが低い方であろうというところをとりまして、三分五厘以内ということにいたしたわけなんですが、衆議院の商工委員会といたしましては三分五厘というのは高いからもっと低く、少くとも長期については二分五厘、短期については二分程度というようなお話がありまして、私どもの方としましても、これは大蔵省とも話をしまして、極力その御趣旨に沿うように善処をしたいというつもりでございますが、ただ、やはりなぜ金利を取って貸し付けるということにしたかと申しますというと、やはり保証協会の実は経常の健全化ということをわれわれとしましてははかるべきじゃないか。ですから出損制度ということにいたしまして、渡し切りというようなことになりますと、どうも保証協会そのものがはなはだその金を有効に使えるかどうかという点については若干の危惧が、あるいは疑問もございますので、やはりある程度ひもをつけておくということにいたしまして、低利で金を貸すということにした方が、むしろそういう意味からいいますといいのじゃなかろうか。もし、この私どもの方が考えておりますような、あるいはこれも条件をつけてもいいということになっておりますが、そういう条件をつけてなかなか保証協会の事務当局がこの経営についていろいろ努力をしないというような場合につきましては、その努力をして成績をあげておる方面に対して、むしろその金を回していくというような、そういうような責任態勢保証協会にとらせるということの方が、かえっていいんじゃないだろうかというような実は意見もありまして、貸付制度、ということにしました。しかし、貸付制度ということにいたしますと、あまり金利が高いとよくないから、少くとも政府で現在やっておりますもので比較的低いところの三分程度ということにいたしまして、そういう意味でこういうことにしたわけなんですが、それもある程度高いというようなお話しでありますので、われわれとしましては、なるべく衆議院の商工委員会の御意見も尊重し、また皆様方の御意見も尊重して、この率については大蔵省とも相談しまして決定したいというふうに考えておるわけであります。
  92. 西川彌平治

    西川平治君 じゃもう一つだけ伺っておきます。それは御答弁にございまする信用保証協会に対するこの監督権は一体どこが持っておるのであって、もし、この協会が優良な協会であれば、これはもう問題ございませんが、非常なむちゃくちゃな保証をしてしまって、これがついに破産のうき目を見るというようなものがかりにあるならば、これに対しては、かなり監督を強化しなければならぬような感じがいたしますが、その監督の所在はどこにありましようか。
  93. 川上為治

    政府委員川上為治君) 法律によりまして、やはり大蔵大臣と通産大臣の共管の制度になっております。しかし、相当程度につきまして各府県知事にこれを委任いたしております。従いまして保証協会に対する第一次的な監督は各府県の知事が行なっておるということになっております。
  94. 近藤信一

    ○近藤信一君 ちょうど留守にしておりましたものですから、重複する点があるかもしれませんが、二、三の点について御質問をいたします。信用保証協会に対する国の出損の点でございますが、保証基金が三十年度の末で八十三億、それからこれを別の保証協会関係資料によりますると、三十一年末には七十五億、従って九カ月間に八億を減じたことになっておるのですが、一体これはどうなっておるか、それとも名目的に保証基金が二十三億あるので、これを差し引いてさらに新たに増加した実質保証基金が五十九億から七十五億に増加したものかどうか、その意味は一体地方公共団体は保証協会について努力しているのかどうか、こういう点について知りたいと思うのであります。  それから資料でちょっと見ますると、どうもはっきりしない点があるのですが、来年度十億円を貸し付けいたしたとしたら、保証協会保証残高などがどうなるのか。という意味は、十億円を貸し付けたことによって、保証残高を増す額はどのくらいか。端的に言えば十億円の効果いかんを示して、そうして今後の方針というものをお聞かせ願いたい。
  95. 川上為治

    政府委員川上為治君) 三十一年の四月におきまして大体八十三億ぐらいの基金がありましたものが、その後減って参りまして七十五億程度になった。といいますのは、これは各府県等からいわゆる預託金というのがあるわけなんですが、これが若干引き揚げられまして減ったということ、あるいはこの基金の中にはいわゆる出損だけではないのでありまして、補助金とか借入金とか、そういうものを全部入れていわゆる基金というのができておりますが、今申し上げましたように預託金をある程度引き揚げたとか、あるいはまた、損失保証契約がこれを縮少したとかいうようなこと、あるいは代位弁済をある程度やったとか、そういうようなことによりまして実は七十五億程度に現在におきましては、なっているわけでございます。しかしながら、まだ各地方におきましては、今後さらに出損も増加するものも、これは大体きまっているものもありますし、あるいは保証契約をもっと広げるというようなところもありますし、従いまして、また三十二年度におきましてはそういうものがある程度ふえるということになっております。それからまた、政府の力で今回新しくこれに加えましてその十億を貸し付けるということになるわけなんですが、そういうことにいたしまして、大体まあ現在のところは毎年毎年保証の額というものは約百億ぐらいずつふえて参っております。やはりこれは基金がふえますというと、保証金額そのものもふえるわけでございますけれども、まあ従来は大体百億程度ふえてきているわけなんですが、先ほども申し上げましたように、最近におきましては府県の出損額も急激には伸びて参っておりませず、減るというようなことでは必ずしもないのでありますけれども、そうふえない状況にありますので、果して従来通りの傾向で保証の金額がふえていくかという問題については、相当疑問に考えておりますが、しかし、一面国の方から今回十億出すということにいたしまして、それからまた各府県の方からも大体来年度におきましては四億か五億円ぐらい出損金その他を入れまして、各府県の方からその程度新しく出すというような計画にも聞いておりますので、それらを合せますというと、この七十五億に対しまして来年度においてはさらに十四、五億ふえることになるかと思うのですが、そういたしますというと、現在保証額が八百億程度になっておりますので、来年度におきましては九百三、四十億ぐらいまでにはいくのじゃないだろうかというようなふうに私どもの方としましては一応計算をしているわけでございます。なお、各府県の方が来年度においてどの程度さらに出損を増額するか、あるいは給付金なり、あるいは損失保証契約というのをどの程度広げるかということについては、今後さらに地方を私どもとしましては鞭撻して、なるべく地方においてもよけい出してもらうように努力をしたいというふうに考えております。
  96. 近藤信一

    ○近藤信一君 今回の改正で、保証基金を増してやる、こういうようなことに対しましては賛成でございますが、その貸付金利率、これにも衆議院付帯決議として出ておりまするが、これについては三分五厘、せいぜい三分五厘以内、こういうことになっております。そこで、衆議院付帯決議ではおおむね二分五厘、短期のものが二分程度 こういうことにしたらどうかということで、こういう付帯決議になっておるわけでありますが、まあ低い方にこしたことはないと思うのですが、今のところ政府の方としては一体どれくらいにきめようとされておりまするか。三分五厘は動かないものかどうか。
  97. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは三分五厘以内ということにしたのですが、大体私どもの方の考えとしましては、衆議院付帯決議もありますし、また、先生方の御意見もありますので、そういう点を十分尊重いたしまして、長期につきましてはおおむね二分五厘、短期につきましては二分程度というようなところで、何とかして大蔵省との間に話をつけたいというふうに考えておるわけであります。
  98. 近藤信一

    ○近藤信一君 大蔵省との間のその話し合いは、ほぼ了解されておりますか。
  99. 川上為治

    政府委員川上為治君) これはまあ、これからいろいろ相談しなくちゃなりませんが、大蔵省の事務当局の方からも、この前衆議院委員会におきましても、衆議院付帯決議につきましては十分尊重して、その趣旨に沿うようになるべく努力をしたいというようなことを言っておりますので、大体話し合いにつきましては、この趣旨に沿うように話がつけられるのじゃないかというふうに考えております。
  100. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから貸し付けに今度は条件をつけることができるというようなことが言われておりまするが、どんな条件をつけられるつもりか。また、それとも貸付金の配分の方法、これらについてどのように考えておられるか。そういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  101. 川上為治

    政府委員川上為治君) この保証協会につきましても非常にいろいろありまして、中には必ずしもわれわれの方から見まして内容のよくないものもあります。中にはまた、非常にその内容がよくて、しかもその基金に対する保証額も非常に大きいというようなものもあるわけであります。従いまして私どもの方としましては、ただ漫然とその悪いものも、いいものも一律にしてとにかく金を貸すということは、これはよほど考えなくちゃならぬというように考えますので、その貸し付ける場合におきましては、少くとも業務内容が改善されるように、あるいは経理内容についても、これが充実改善されるように、そういうことを実は念願しておるわけでありまして、貸し付けの場合におきましては、特にその内容が必ずしもよくないというものに対しましては、そういう業務改善についての、あるいはまた、経理内容の改善についての努力をしてもらいたいということを条件として金を貸し付ける。もし、そういう努力をしない場合においては、その金を引き揚げてあるいは他の方へ回すとか、あるいは貸し出しの金額を少くするとか、そういうような措置をとらざるを得ぬ場合があるのではないかというふうに考えますので、こういう貸し付け条件を付したいというふうに考えておるわけであります。  それから配分の基準につきましては、今のところまだ実ははっきりした決定はいたしておりませんが、やはりこの配分も今申し上げましたように、たとえば実績とか……、全く実績主義でいくということもこれはどうかと思いますし、それかといって、その内容の非常に悪いところで、もうなかなか幾ら条件を付しても改善しないというような、そういうものについては金を注ぎ込むというのも、これまたどうかと思いますし、そういう点十分考えまして、それから地方の保証協会から計画は見せてもらうことになっておりますので、その計画を十分検討をした上で、今申し上げましたようなことを勘案して、貸し付けの標準を作っていきたいというふうに考えております。
  102. 近藤信一

    ○近藤信一君 貸し付けや配分の決定の方法、それからそれはどこの官庁がやっておられるか、その点……。
  103. 川上為治

    政府委員川上為治君) この貸し付けをいたしますときは、私どもの方の特別会計から出すことになりますので、中小企業庁におきまして、その問題は詳細に検討いたしまして、それから大蔵省と協議をいたしまして、決定したいというように考えております。
  104. 近藤信一

    ○近藤信一君 この改正案で、保証協会へ十億円貸し付ける。そうすると再来年度も十億円貸し付ける、こういうことになりますか。
  105. 川上為治

    政府委員川上為治君) まあ来年度におきましては、先ほども申し上げましたように、一応貸し付けるということにしまして十億を計上したわけなんですが、まあ私としましては、これは十億程度ではとても済まないと思っておりますので、再来年、さらに十億というような程度ではなくて、実はもっと私としては大きくふやしていきたい。しかも、この制度につきましては、もう少しいろいろ検討いたしまして、特別な機構を作ることについても、これは先ほど豊田先生からも御質問があったのですが、私どもといたしましては、その点も十分検討したいというふうに考えているわけでございます。
  106. 近藤信一

    ○近藤信一君 保証協会へ貸す貸付金、これが基金に加えられ、そして大体が中小企業者の信用度によって保証が与えられて、金融機関から貸し出されるわけですが、そうすると、中小企業者が大体六、七十億以上の金が地方銀行の中からよけいに借りられる。こういう勘定になりますか。
  107. 川上為治

    政府委員川上為治君) その定款によりますというと、大体基金の十倍とか、十五倍とか、いろいろあるわけなんですが、大体十億その産金がプラスになりますというと、少くとも今、先生がおっしゃいましたような銀行の、あるいは金融機関の貸し出しというものが六十億、あるいはそれ以上に、私はもっとふえてくるというふうに考えております。
  108. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますると、信用保証協会への貸し付けが六倍とか、七倍とかということになって、この金を中小企業者が使う勘定になるわけなんです。そうすると、その資金効率の上から見て、はなはだ有利のようでありますが、中小信用保険特別会計の中へこの十億を置いて、そこで保険にかけ得る限度を増しても同じ結果を生むことになるだろうと思いますが、その点いかがですか。
  109. 川上為治

    政府委員川上為治君) この保険制度というのと、保証制度というのとは、これはまた非常に緊密な関係はありますけれども、やはり制度そのものとしては違ったものでありますので、一面におきましては、金融機関中小企業者に貸し出すものについて保証協会保証し、そうしてその保証したものについて政府が援助するというようなやり方と、もう一つは現在の信用保険特別会計でやっておりますような、金融機関中小企業に貸しましたものを、それを国の保険にかける。また同時に保証協会保証したものについて、それをまた国の保険にかけるというようなことは、私どもとしましては、これをどちらか一方にするということでなしに、やはり両々相待って中小企業金融の便をはかるということがいいのではないかというふうに考えますので、やはり現存の保証制度そのものは残して、さらにこれは強化すると同時に、また一面においては現在の信用保険そのものについても、これまただんだん強化していくというような、両方これはやるべきではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  110. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、ぜひお伺いいたしたいのですが、同じ国家資金を使うにいたしましても、これをいかに使うのが効率的であるか、中小企業対策として有効であるか、こういう問題になると思うのですが、政府関係金融機関の貸し出しの原資として出されておるのか、また、信用保険の基金として使うのか、それとも信用保証協会基金として貸し付けられるのか、もしそれが政府で調査がございましたり、また御意見がございましたならば、一応お聞かせ願いたい。また、あわせて大蔵省の方からも、意見をお聞きしたいと思います。
  111. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今回の保証協会法改正におきましては、この保証協会のいわゆる基金というものを、もっと充実させてやりたい。そういう意味から、政府の方からこの保証協会に対しまして金を貸し付けるという措置をとったわけであります。それ以外のいろいろの措置としましては、午前中問題になりました商工中央金庫に対しまして、政府の方が出資をするとか、あるいは中小企業金融公庫とか、あるいは国民金融公庫に対しまして、政府が財政投融資を飛躍的にやるとか、そういうような措置を講じて、いろいろの機関を動員いたしまして、それに対して政府が援助をして、そうしてそれによって中小企業金融のあり方をはかりたいということにいたしておりまして、この保証協会に対するものについては、その一つの手段だというふうに考えておるわけでございます。
  112. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 今、近藤君からいろいろ貸し付け基準の問題について話が出たのですが、せっかく十億の新しい貸し付けをやろうという場合に、貸し付けの基準がなければ、あるいはそれが示されなければちょっと私どもとしても審議に困るじゃないかと、こう思うのですが、ほんとうにその基準というものができておるのか、今後それを検討するというのか。できておるけれども、今は公表するのが困るというのか、そこのところをもう少しはっきり言明してもらいたいのですがどうですか。
  113. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は貸し付けの基準につきましては、実はまだできておりません。従いまして大蔵省との間には、まだ話がついておりません。と申しますのは、来年度におきまして各保証協会がどういう保証の計画を持つか、それからまた、基金がどの程度になって、どういうやり方によって保証をするのか、保証の額をどの程度にするかというようなものを、実は今各保証協会に要求しておりますけれども、まだ出て参っておりません。従いまして、そういうものが出そろいまして、そうして各府県の保証協会においてはそれぞれこういうやり方でいく、限度はこの程度だというようなことがはっきりいたしまして、それから従来の実績と比べまして、そうしてこれは非常に多すぎるじゃないか、これはまた小さすぎるじゃないかというような点も、いろいろ検討をそれでいたすわけであります。それからまた同町に、この協会については、果してこの程度出していいかどうかという点については、先ほど申し上げました各協会の実は経理の内容とか、あるいは業務実施状況とか、そういう点を十分検討いたしまして、出すわけになるわけでございますから、その点は今後協会の方からその要求が出て参りましたものを、私どもの方としまして十分検討して、貸し付けの金額をきめていきたいというふうに考えておるわけであります。きわめて簡単にしますというと、従来の実績でみんな割り振ったらいいじゃないかというような御意見もありますけれども、それで割り振るということも、これはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えますので、今申し上げましたような措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  114. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) もう一つほんとうに十億という金額をきめる前にに、各都道府県、市の信用保証協会から、三十二年度の業務計画というものを徴して、これを、府県、市の出損金は幾らである、あるいは前からの残が幾らである、そこで、新しくこれだけ資金需要があるのだから、それに対する保証としてこれだけの金額が必要である、どうか国の方としても、貸付金をめんどうみてくれ、こういうものが集まって十億という金ができる、こういうことが当り前の筋だと思う。ただ十億というものをつかみ金的でこさえて、そうしてそれを、今後要求に従って配分するということじゃ順序が反対になるような気がするのですが、そういうことはないのですか。
  115. 川上為治

    政府委員川上為治君) まことにごもっともな御質問でございまして、実は私どもの方としましても、そういうような手続を経て、そうして積み重ねて十億をどういうようなふうに配分するかという措置をとるべきであったのですが、何分この問題につきましては、来年度初めて実行するというようなことでございますし、私どもの方と各保証協会との資料の提出とか、そういうようなものについての連絡というものも、必ずしも十分じゃないわけでございまして、一応どの協会においてはどれぐらいという程度のことは、今でも一応わかっておりますけれども、これはきわめて粗案でありますので、やはりこの現実の問題として、あるいは県の出損の問題とか、預託金の問題とか、いろいろな問題とかみ合せまして、ほんとうに来年においては強化したいという保証協会の要求をいれまして、まず来年度においては、これは初めてでありますので、今申し上げましたような手続で進めたいというふうに考えております。これは委員長のおっしゃいますことは、まことにごもっともでありまするので、再来年度におきましては私どもは、そういうきちんとしたものを前もって出してもらって、それに対応して配分していくということを、あらかじめ基準を作ってやりたいと思っておりますが、何分早々の問題でありましたので、実は来年度については、そういう措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  116. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一点お尋ねしますが、本法案が提出せられたということは、これはまことに拡充されることでけっこうなんでありますが、しかし同時に、当局としては運営面において格段の留意をいたしてやっていただかなければならないのですが、ちょうだいいたしました三十年度の事業状況表というものを見ますと、期間別の保証状況という欄がありますが、なるほど三カ月以下が、比率にして四九・二四、それから六カ月以下が三五・九一、一カ年以下が一〇%八九、これはまあ当然だと思うのでありますが、私どもが解せないのは、いわゆる二年以下、三年以下、それから三カ年を超越しているというようなものがあるのであります。一般金融常識から言えば、大体六カ月あるいはまた長期の面からいきましてせいぜい一カ年に切りかえるということ、私どもの計算が間違いかどうか知りませんけれども、大体二カ年以下というものを、そういう意味において見てみますと、八千四百五十件、三十年度において件数としてあるわけであります。金額にいたしましてこれは四十三億以上になっているのでありますが、このことにつきまして一つ説明願いたいと思います。
  117. 川上為治

    政府委員川上為治君) この期限の長いものにつきましては、あるいは商工中金でありますとか、あるいは中小企業金融公庫、こういうような機関において、その長期資金貸し付けたときに、それを保証協会の方で保証するというような場合に該当するものが多いと思うのでありますが、まあ、私の方としましては、今先生もおっしゃいましたように、保証基金そのものも、現在におきましてはそう潤沢でありませんし、むしろ政府の方から、わずかではあるけれども十億程度貸し付けなければならぬというような状態になっておりますので、なるべく長期資金よりも、この短期の金について保証するということの方が、広く中小企業全般にわたりまして、保証することになりますので、その方が私はいいと思いますけれども、従来のあれとしまして、一応中金とか、公庫あたりで長期の金を出しているものについても、保証しているという結果がこの数字に出ているのではないかと考えます。しかし、基本的には今申し上げましたような考え方で進みたい。もしそういう線に十分乗っていないものについては、なるべくその線に乗るようにさしていきたいと思いますが、それかといって、長期のものについては、もう全然これはやめるということではどうかと思いますので、非常にその期限の長いものは、これはなるべくこの保証は慎んでもらうように監督していこうという考えでございます。
  118. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 内規の上からいって、期限について何か特別の制定があるのですか。
  119. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は今のところそういう内規は、私の方としましてはありません。保証協会それ自身につきましても、これはそれぞれある程度内規は持っていると思うのでありますが、別に非常にむずかしいことにはなっていないようであります。
  120. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ただいま長官も言われた通り、どうもこの三カ月、六カ月以内のものがパーセンテージにして半分以上も占めているのですから、一カ年くらいまでは、こういう性質の問題でありますから、私どもは当然であると思うのでありますが、三カ年以上をこえるものがとにかく二百十七件かあるのでありますから、こういう点につきましては、よほど一つ厳格に御注意をしていただいて、円満な一つ遂行をしていただきたい、こう思うのでありますが、あまりこまかいので、あるいは資料が出しにくいかもしれませんけれども、大体二カ年以上三ヵ年をこえるものの、一つの何と申しますか、ケースでありますね、どこそこの、これに出ているかもしれませんが、金融機関とか、あるいはその金額とかいうようなものについて、特に著しいものがあったら、一つ。三カ年以下でもけっこうです、二年以下ですとだいぶ多いのですが、三カ年以下、あるいは三カ年をこえたものについての何か一つの実例がありましたら、そこのお手元にありましたら、一つ説明を願いたいと思います。
  121. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実はその実例を持って参っておりませんが、実は衆議院の商工委員会でも、むしろ反対の御意見もございまして、現在商工中金にしても、保証協会にしても、あるいは中小企業金融公庫にしましても、どうも期限が短かい、もう少し長くやるべきじゃないか。たとえば病院を建てる場合において、非常に貸し付け期限が短かいために非常に弱っている。だからああいうものについては、もっと長くしてもらいたい。また保証協会保証についても、そういうものを特例として扱ってもらいたいとか、現在その病院等については、最高五年という期限になっておりますが、どうもそれはもっと延ばしてもらいたいというような御意見もあったわけなんですが、私どもの方としましては、そういうこの特殊の例については、たとえば火災が起きた、火災のために金を借りて新しくその建物を建てるというような、そういう場合等については、特別な長い期限措置をとるけれども、どうも一般的にそういうことを認めるということは非常に困る。やはりこの中小企業金融公庫であっても、保証協会でありましても、あるいは商工中金でありましても、非常に借りたい人はたくさんありますので、その人々になるべく金を貸してあげるためには、しかも限りある金でありますの外、それをやるためには、なるべくその期間を長くせん方がいいのだ、よほど特殊なものでなければ、そういうものは認めないのだというようなお話をしたわけなんですが、それに対しても、しかし何か病院とか、そういうようなものについては特別な措置をとってもらいたいというような御意見が実はあったほどでありますが、私どもの方といたしましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、たとえばその火災の場合とか、そういう非常に特殊な場合を除きましては、なるべくは長期のものはやめたいというふうに考えておるわけでございます。
  122. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点お伺いしますが、そういたしますと、これはかりに最初は一カ年の契約であって、そしてさらにこれを書きかえるという普通の金融界の常識でなくて、最初から三年とか、あるいは四カ年という——これは三カ年をこえるとあるのですから、三カ年以上のものでありますが、最初から四年とか、三年とかというものをきめてかかっておるのですか。その点を伺いたいのですが。
  123. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは私こまかくは調べておりませんが、今話を聞きますというと、最初から一応長期のものもあるのが大部分であるそうでありまして、あるいは中にはずるずると長くなっておるものもあるけれども、これは比較的少いというふうに聞いております。
  124. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 あなたの方の御関係金融機関、これは全額政府が出しておるものでもけっこうなんですが、一番大体今までの例として長いものはどの程度ですか。
  125. 川上為治

    政府委員川上為治君) 中小企業金融公庫におきましては、長いのはこれは十年ということになっております。しかし、その十年みたいなものにつきましては、先ほども申し上げましたように、よほど特殊な事情のあるもの……、ですから、まあ病院の建設なんかについては、これはその中には入れておりません。ところが病院なんかは、この際やはり非常に長いものに入れるべきじゃないかというような御意見が、実は衆議院の方であったわけでございます。しかし非常に特殊な場合にならんと、そういう長いのは認めないようにしておりまして、なるべく三年とか、二年とか、そういうところに重点を置いてやっておるわけでございます。
  126. 近藤信一

    ○近藤信一君 信用保証協会の金を借りるというのは、中小企業者が特にこのごろ若干づつふえてきておるのであります。しかし、これはふえてきておるが、政府において一体これに対する宣伝活動、いわゆる浸透方法ですね、これは一体どのような方法でやっておられるか、宣伝活動をやっておられるか、その点ちょっとお聞かせ願いたいと思いますが……。
  127. 川上為治

    政府委員川上為治君) 現在のその浸透度の計算につきましては、この保証件数を、その保証協会の扱っておりまする保証件数、その保証件数をその地区内の中小企業者の従業者数で割ったのを浸透度ということにいたしておるわけでございます。これは各地区によりまして、もちろん中小企業者の非常に多いところ、あるいは少いところ、まあそういうところによって浸透度というのが非常に実は違ってくるわけでございますが、この従業者、事業所というのも、中小企業の定義そのものについて、実はこれは総理府の統計でいっておるものですから、総理府の統計というものが従業員二百人以下ということになっております。で、私の方の実際今扱っている中小企業者というのは、これは従業員三百名以下ということになっておりますので、そういう点からいきますというと、必ずしも正確な浸透度ということには言えないかもしれないと思いますが……。
  128. 近藤信一

    ○近藤信一君 保証協会によってだいぶ差があるように思われるのですが、この点はどういう結果ですか。
  129. 川上為治

    政府委員川上為治君) 結局これは保証協会そのものについての信用度と申しますか、これが一番大きな問題ではないかと思うのであります。保証協会そのものの基金が充実し、また経理の内容がよくて、また運営のやり方が非常にいいというようなことになりますというと、結局保証を受けるものが非常に多いということにまあなってくるのじゃないかというようなふうに考えるわけでありまして、その点につきましては、私どもの方としましてはなるべく保証協会を、経理の内容を改善し、業務の運営を改善し、保証協会そのものを強力にするということによって、この保証の件数なり、あるいは額なり、そういうものをもっとふやしていくようにすべきであるというふうに考えております。大体その倍率につきましては、基金の六・五倍というような程度になっております。定款におきましてはいわゆる十倍なり十五倍までは保証できるということになっておりますけれども、現実の問題としましては平均約六倍少しということになっておるわけなんですが、しかしその中でも十倍以上のものもありますし、あるいは六倍以下のものもあるわけでありまして、それは結局保証協会基金の問題、あるいは運営の問題、経理の内容の問題、まあいろんな、そういう信用度と申しますか、そういうことから起因すると考えられますので、私どもとしましてはやはりこういう十億の金を政府の方から出すということを機会にしまして、さらに保証協会内容を充実するように監督もしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  130. 近藤信一

    ○近藤信一君 私どもがよく聞くことは、保証協会から金を借りたいが、とにかくその手続や何かでこむずかしくてしようがないと、非常に煩瑣だから、もう少し簡単に借りられるような方法はないものかと、こういうことをよく聞くわけなんですが、一体どんな手続をしなければいけないのか、そしてもう少し簡素化するような方法を講じておられるのか、そういうことを将来考えられるのか、その点お聞かせを願いたいと思います。
  131. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実はこの手続の内容につきましては、私も詳しく聞いておりませんが、手続が非常に複雑であるということは、これはまあ保証協会関係だけじゃなくて、中小企業金融公庫にしましても、いろんな中小企業関係金融機関につきましては、しょっちゅう言われておることでありますので、私どもとしましてはなるべくその手続は簡素化するように実は努力しておるわけでありまして、現に中小企業金融公庫の手続につきましては、その書類につきましても、実は昨年の秋でありましたか、大体三分の一程度減ずる措置もとっております。それからまた、私の方にあります信用保険特別会計につきましても、なかなかその手続が複雑であるということをよく言われておりますので、これも改善するように実は今努力いたしております。保証協会保証業務についても、手続が非常にやかましいというようなことも聞いておりますが、なるべく私の方としましても、これを簡便化するように努力したいと思いますが、今、では手続が現実にどういうふうにこまかくなっておるかということについては、私自身実ははっきり言いますと知りませんので、これは一つ、きょう課長も来ておりませんが、あしたでも一つ詳しく御説明申し上げます。
  132. 近藤信一

    ○近藤信一君 それからせっかく書類を出して手続をして、これは特に中小企業は、忙がしい中をやるわけなんですが、書類を出したが銀行が何かブレーキをかけて、なかなか金が借りられないというようなこともしばしば聞くわけなんですが、それは一体どうしてそんな結果になるんですか。
  133. 川上為治

    政府委員川上為治君) やはりこの一般銀行におきましては、特に零細企業に対する金融というのは非常にやかましくやっておるようでありますので、そのためにこの協会がそれに対して保証するということで、少しでも、特に零細企業に対する金融が円滑にいけるようにということで、こういう制度を設けておるわけなんですが、まあ私どもの方としましては、普通の一般市中銀行が特に零細企業に対して非常に貸付についてやかましいことを言っておりますので、二面におきましては、銀行協会等を通しまして、なるべくその貸し出せるものはなるべく早く貸し出すとか、あまり複雑なことを言わないとか、そういうことを一つやってもらいたいという行政指導はやっておりますけれども、なかなかそうも参りませんので、やはりこういう保証協会を充実して、保証協会の方でその銀行がその中小企業者に対しまして十分貸し出しができるような、中小企業者の調査もして、そうして銀行に対してアドバイスするというようなやり方をやった方が一番いいんじゃないかと思いますので、やはりこの保証協会をこの際早急に強化するということが、一番大事ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  134. 阿具根登

    ○阿具根登君 一つだけ質問いたしますが、私はよくわかりませんので質問するんですが、この信用保証協会というものは中小企業、特に零細企業等で、自分が他の銀行から金を借る場合に、担保能力のないような方々を相手にするのが主目的である、こういうふうに解釈しておりますが、そうであるかどうか御説明を願います。
  135. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今お話し通りでありまして、中小企業者金融機関から金を借りますときに、金融機関の方がなかなか首を傾けて貸し付けそうでないというようなものに対しまして、この保証協会保証して借りやすくしてやるということでございます。
  136. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、ただいまいただきました資料を見ますと、まあ私どもが常識的に考えて一応五十万以下、特に二十万、十万という金額を借られる零細な方々が一番主要な対象になるべきものであると私は思う。ところが件数はなるほど多いのですけれども、十万以下の総貸出高を見れば七十二億四千万円、五十万円になれば九十八億一千四百万円、これが百万円になると百三十億ですね。   〔委員長退席、理事近藤信一君着席〕 五百万円になると二百二十億、こういう莫大なお金が、百万円以上五百万円くらいのところに出ておる。おそらくこのくらいになれば他の銀行から借りられるだけの余裕のある方もたくさんあるのではないか、こう思うのです。そうすると、私が最初質問して御答弁願った趣旨とだいぶん離れてきておる。いわゆる中小企業の中の部類に多額の金額が貸し出されておって、そうして最も対象になるべき十万、二十万の零細企業には比価的少く貸し出されておる。そういうところに先ほど近藤委員からも指摘された中小企業の方、零細企業の方々がこのわずかな金を借りるのに非常に手数もかかるし、借りにくいというような弊害があるのではないか、かように思うのですが、その点どうでしょうか。
  137. 川上為治

    政府委員川上為治君) その点につきましては、保証協会のものだけではなくて、あるいはその中小企業金融公庫あるいはその商工組合中央金庫につきましても、そういうような御意見も実はあるわけでありまして、私どもとしましては、なるべく保証をしなくてもこの金融機関の貸し出しの線に乗るものについては、極力保証協会保証しなくて、直接貸し出しができるようなふうに、各金融機関に対しましても行政指導をいたしておるわけなんですが、なかなか中小企業と申しましても、ピンからキリまでありまして、その通りいきませんので、勢いやはり比較的その大きな金額につきましても保証をしなければならぬという場面が出てくるわけでございます。しかし、まあ今先生のおっしゃいましたように、こういう保証協会の活動の分野というものは、なるべく大きな金額じゃなくて、小さな金額で広くこれを利用するようにすべきだというふうに考えますので、今後におきましては、極力そういうような考え方で、一つ指導していきたいというふうに考えます。
  138. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、ただいまおっしゃったその低い金額で広くということは、私もまあそれを念頭に置いてお尋ねしたわけなんですが、たとえば信用保証協会において保証して、貸し付けを受ける金額は五十万なら五十万以下であるというようなことで押えるという方法はないか。百万以上になりますと、これは信用金庫あり、信用組合あり、商工中央金庫あり、国民金融公庫あり、中小企業金融公庫ありという、あらゆる中小企業に対する金融機関があると、そういうところでやはり信用のある借り方をしてもらうようになるべくしていただいて、実はそういうところに信用のない五十万円以下くらいのところに押えて信用協会保証するのだ。そうしてそれだけの金額、たとえば今度国が十億なら十億を出すということでやっていかねば、これはたとえば貸し出した場合には、これは県、市がその負担をしておると私は思っておるのですが、そうであるとするならばましてのこと、五十万なら五十万というところで押えなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。担保を持たないから、当然これは県、市が出してくれておったと私は思うのです。そうすると、県市においてはこれの対象にするものをもう一つ小さく細分して、たとえば一つの小さい、五人なら五人単位の零細企業であっても、四つの企業なら四つの企業一つ組合を作って持っていきなさいとかいうことを言っておったのも、この問題ではなかったかと今思うわけなんですが、そういう点から考えてみましても、これを払えなかった場合には個人が負担するのではございませんから、五十万なら五十万、百万なら百万だというふうな一つの目標、限界額を示してやる必要があるのではないか、かように考えるのですが、そういう点いかがでしょうか。
  139. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今のその保証のワクについての問題ですが、これはまあ先生のおっしゃいましたようなことも、もっともなことでございまして、私どもこれは十分研究しなければなりませんが、たとえば私の方でやっております保険制度についても、たとえばその融資保険、この融資保険というのは御承知通り、この保証保険とは別に、いわゆる一般銀行が金を貸したものについて国で保険をつけるということなんですが、この融資保険等についても、実はこういうものはもっとワクを、この最低の線を引き上げて、たとえば二百万であるとか、あるいは百万であるとか、そういう以上のものだけに限定し、それからほかのものについては保証保険の方へ全部回すというようなことにした方がいいじゃないかというような意見もありますし、今またこの保証協会のこの問題につきましても、先生と同様な御意見もありますので、その辺につきましては、今後の私どもの問題として十分検討しまして、そうして真に保証協会の目的が達せられるようなふうに持っていきたいというふうに考えております。今いきなり五十万円がいいか、あるいは百万円がいいかという問題と、幾ら、どこで区切って、その区切った方がいいかという問題については、もう少し一つ検討さしていただきたいと思います。
  140. 阿具根登

    ○阿具根登君 もう一つお尋ねしたいと思いますのは、たとえば商工組合中央金庫、これは今度も十五億の金が出るようでございますが、こういうところで貸し付けておる口数ですね、そういう金額の数について、たとえば百万円以上、五十万円以上と、二十万円以下だと、そういうようなデータがあったならば、一つあとでけっこうですからお示し願いたい。そういたしませんと、私どもが漠然と考えるのでは、これだけ中小企業を対象にした金融機関があるけれども、それは中小企業の中の部類に一番恩恵を浴しておって、小の部類、零細部類には非常な恩恵が浴されておらない、こういうように感ずるわけなんです。全般的な銀行の貸し出し状況、あるいは保証協会保証状況等もにらみ合して、そうして片寄らないようにしなければ、幾らこういうのができてきても、結局零細企業は借りる率が非常に少い。今完全失業者が七十万もおるというような時期に、この、零細企業というものは無数にあると思うのです。ところが、東京だけ見てみても、わずか一万そこそこでございます。そういたしますと、私はこの一番零細企業で苦しんでおる方々に貸すべき金が、中以上の、いわゆる相当基盤の固まった方々には、協会保証してくれるし、あるいはその保証外からも、他の銀行からも借りられるということになってきて、零細企業が浮ばれないというようなことになりはしないかと思いますので、その辺の資料がありましたならば、御提出を願いたい、かように思います。
  141. 川上為治

    政府委員川上為治君) その資料につきましては、できるだけ私の方でできておりますものを明日出したいと思っております。しかし、現存国民金融公庫の大体一件当りの融資金額は二十万円足らず、それから商工組合中央金庫の方は大体百八十万円程度、それから中小企業金融公庫はそれよりももっと大きい、たしか二百四十万円くらいだと思っておりますが、その程度保証協会の一件当りの金額は三十万円程度と。もちろんここにありますように五百万円以上のものもありますけれども、全部平均いたしますというと、大体三十万円程度ということになっております。
  142. 近藤信一

    理事(近藤信一君) ほかに御発言ありませんか。……ほかに御発言がなければ、本日はこれにて散会いたしたいと思います。    午後四時五十分散会      —————・—————