○
政府委員(
川上為治君)
商工組合中央金庫法の一部を
改正する
法律案につきまして簡単に御
説明申し上げます。
要綱をお配りしてありますので、この
要綱につきまして御
説明申し上げます。
「
商工組合中央金庫法施行後の経過にかんがみ、
商工組合中央金庫法の一部を次のように
改正するものとする。」
第一は、「
商工組合中央金庫に対する
政府出資を
昭和三十二年度において十五億円増額すること。」現在
商工組合中央金庫の
出資総額につきましては、合計二十八億四千万円ということになっております。この二十八億四千万円の内訳としましては、
政府出資が十二億四千二百十万円、それから
組合出資が十五億九千七百九十万円ということになっておるわけであります。来年度におきましては、
予算措置によりまして、
政府の方でさらに十五億を増額して
出資するということにいたしたわけでございます。その
理由としましては、
商工中金の
金利が
一般の
市中銀行よりもむしろ高いというようなことが言われておりますので、この際、どうしても
金利を
引き下げたいということで、無
利子の
政府出資をいたしたわけでございます。現在
商工中金の
利子につきましては、
短期の
手形割引、これが
日歩二銭七厘、それから
手形の
貸付が
日歩二銭七厘五毛ということになっております。それから
長期ものにつきましては、一年以上が
年利一割一分、それから二年以上につきましては一割一分五厘ということになっておるわけでありまして、
長期を見ましても、
一般の
市中銀行よりもはるかに高いというような
状況になっておりまして、これが
金利の
引き下げにつきましては、各
方面から強く要望をされておるわけであります。もちろん、現在までに
昭和二十六年九月におきましても、あるいはその二十年の八月におきましても、また、三十一年の四月におきましても、この数回にわたりまして
金利引き下げの
努力をいたしたわけでございますけれ
ども、
先ほども申し上げましたように、現在なお
一般の
市中銀行よりも非常に高い、また、
中小企業金融公庫と比べますというと、非常に高いということになっておりますので、
政府としましては、この際大幅の
増資をいたしまして、そうして
金利を
引き下げるということにいたしたわけでございます。これが第一の問題でありまして、この十五億を増額しましたことは、
商工中金の
原資をふやすという問題よりも、むしろ
金利を相当下げるということに重点を置いてやったわけでございます。
この
金利を
引き下げる、この
増資によりまして、どの
程度下るかというまあ問題でありますが、
先ほど申し上げました
手形割引の二銭七厘、あるいは
手形貸付の二銭七厘五毛という
短期のものにつきまして、二銭六厘五毛
程度にしたいというふうに
考えております。それから一年以上のものにつきましては、
年利一割一分でございますが、これを一割
程度にしたい。さらにまた、二年以上のものにつきましては、現在一割一分五厘でございますが、これを一割五厘
程度にしたいというような
考えでおるわけであります。これを
短期、
長期平均いたしますというと、現在
年利にしまして一割五厘六毛九糸ということになっておりますが、これを一割以内、すなわち九分九厘四毛七
糸程度に
引き下げたい、大体現在よりも六厘二毛二糸という
程度引き下げられると思うのでございます。まあ、この
程度にさしあたり
引き下げますというと、大体
長期ものにつきましては、
一般の
市中銀行とまあ同じ
程度になってくるのじゃないだろうかというふうに
考えております。しかしながら、
中小企業金融公庫と比べますというと、まだある
程度割高であるわけでございます。
それから第二につきましては、「
金庫は、
所属組合またはその
構成員以外の者のためにも
内国為替業務をすることができるものとすること。」、これは現在の
法律の一十八条の五のところに「
所属組合又
ハ其ノ
構成員ノ為二
内国為替業務ヲ為
スコト」ということになっておりまして、現在の
所属の
組合あるいはその
構成員のためには、
内国為替業務ができるわけなんですが、実はこの
構成員だけにいたしますというと、非常に不便でありまして、どうしても
構成員以外の者についても、やはり
内国為替業務ができるようにしませんというと、非常に不便でありまして、実際問題として、
所属組合またはその
構成員に対しましても、
内国為替業務ができないというような面が出て参っておりますので、この際これを拡張いたしまして、
構成員あるいはその
所属組合これ以外のものにつきましても、できるようにしたいということでございます。
それから第三につきましては、「
金庫は、
金融機関等の
貸付業務を代理したときは、その
貸付につき、
所属組合またはその
構成員以外の者のためにも
債務の
保証をすることができるものとすること。」これも現在
商工中金法の第二十八条の第四に「
所属組合又
ハ其ノ
構成員ノ為二
債務ノ
保証ヲ為
スコト」ということになっております。私
どもとしましては、
商工中金と
中小企業金融公庫との
関係を密ならしめるということと、それからまた、現在
中小企業金融公庫の直接貸しというものが非常に少くありますので、
商工中金を利用いたしまして、なるべく
中小企業金融公庫の金を
商工中金の
構成員以外の者に対しましても貸していくというようなやり方を、ある
程度来年からはとりたいというふうに
考えています。現在
中小企業金融公庫の金が、
商工中金の
構成員に対しましてはもちろん貸し出されておるわけでございますけれ
ども、
構成員以外の者に対しましても、
商工中金を通して貸した方がよくはないか、これももちろん限度がありますけれ
ども、ある
程度はそういう
措置をとった方がよくはないかというようなことで、来年度からそういう
措置をとりたいと思っておるのですが、その際におきまして、やはり
債務の
保証をするという
規定がありませんというと、非常に不便でありますので、ここにありますような
措置をとることにいたしたわけでございます。
それから第四につきましては、「
金庫は、
中小企業等協同組合またはその
構成員の
事業の発達を図るため必要な
施設を行う
法人に対し、
主務大臣の認可を受けて
短期貸付をすることができるものとすること。」、これは現在第二十九条におきまして、
余裕金の運用の
制限規定が置かれておるわけでございますが、たとえば、
中小企業等協同組合中央会とか、あるいはまた、この
協同組合とうらはらをなしております
共販会社でありますとか、まあそういうものが結局この
金庫を利用して
貸付を受けるということができないような
状態になっておりまして、たとえば、
中小企業等協同組合中央会におきましては、金を借りますときは、
金庫の方からではなくて別のところから借りなくちゃならぬというような、非常に不便な
状態になっておりますので、この際これを
改正いたしまして、
余裕金の
短期貸付につきましては、そういう
中央会でありますとか、あるいはその
共販会社でありますとか、そういうものが利用できるような
措置をとりたいということにいたしたわけでございます。「必要な
施設を行う
法人」、これは個人は除外しておりますが、この「必要な
施設」というのは、
先ほども申し上げましたように、
中小企業等協同組合中央会とか、あるいはまた
共販会社とか、あるいはまた
調整組合とか、まあそういうようなものを指しておるわけでありまして、そういうような
法人が、これは「必要な
施設」とありますが、決して物的な
施設だけではありませんので、
短期の
資金につきましても借り入れができるような
措置を講じたいというわけでございます。
ただいま申し上げましたような、この四点が今回の
法律改正の要点でございます。
それから、
信用保証協会法の一部を
改正する
法律案要綱につきまして御
説明申し上げます。
御
承知の
通り、
信用保証協会につきましては、現在
全国に約五十二の
協会があるわけでありまして、特に
零細企業に対しまする
銀行等の
金融について
保証いたしまして、非常な成績を実は上げておるわけでございます。ところが、現在この
保証関係の
基金といたしまして、約七十五億
程度、
全国総計でございますけれ
ども、
地方財政の
関係から、最近におきましてはだんだんこれが、減少するというところまではいっておりませんけれ
ども、なかなか伸びないというような
状況になっておるわけでありまして、これはどうしても国である
程度の助成なり、めんどうをみるということが必要ではないかというようなふうに
考えますので、この際特別な
措置を講ずるということにいたしたわけでございます。この
措置につきましては、いろんな案をわれわれとしましても
検討をいたしましたが、結局、さしあたりの
措置としましては、
中小企業庁にあります
信用保険特別会計を通しまして、
政府の金を十億この
全国の各
信用保証協会に対しまして
貸し付けるというような
措置をとったわけでございます。
「
信用保証協会に対して、その
業務に必要な
資金を融通し、もってその
業務の充実を図り、
中小企業者に対する
金融の
円滑化に資するため、
信用保証協会法を次のように
改正する。」、第一としましては、「
政府は、
信用保証協会に対し、
予算の
範囲内において、
政令の定めるところにより、
保証について、その額を増大するため必要な
原資となるべき
資金及びその
履行を円滑にするため必要な
資金を
貸し付けることができるものとすること。」、この、
政府は実際問題としましては、
信用保険特別会計、これは
中小企業庁の中にあるわけなんですが、この
特別会計の中に
融資勘定という
制度を設けまして、この
融資勘定を通しまして
全国のそれぞれの
信用保証協会に対しまして
貸付を行うわけでございます。
先ほども申し上げましたように、現在
全国に五十二の
信用保証協会があるわけでございますが、金額としましては
予算の
範囲内において、これは来年度は十億ということになっております。それから「
政令の定めるところにより、」といいますのは、これは
償還期限でありますとか、あるいはその
償還の
方法とか、そういうことにつきまして、この
政令で定めることにいたしております。
期限、
方法につきましては、まだ細目について、
大蔵省との間にまだきまっておりませんけれ
ども、まあ私
どもの方としましては、大体長いものにつきましては三年くらい、それから
短期につきましては一年以内というようなふうに現在
考えております。
それから「
保証について、その額を増大するため必要な
原資となるべき
資金」これは結局
原資をふやすということ、それからもう
一つは、その下に書いてありますように、「その
履行を円滑にするため必要な
資金」、ですからこれは大体
短期資金ということになるかと思うのですが、たとえばこの
資金の交付が非常におくれておるというような場合に、この金を使ってもらうというようなふうに
考えておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、この
原資を増額するということが、基本的な問題でありますので、もちろんこの
内容につきましては、
原資となるべき
資金の方が、はるかに大きな額となると思うのであります。従って
長期のものが非常に多いということになると思うのであります。
それから
貸し付けるということにいたしたわけなんですが、
貸し付けるということにつきましては、われわれの方でも、いろいろその
意見もありまして、
検討をいたしたのですが、とにかく
貸し付けるということにいたしたわけでございますけれ
ども、やはりこれは現在
保証協会に対しまして
県等がやっております
出損というような形ですというと、これはまあ
渡し切りというようなことになりますので、
渡し切りよりも、やはり
低利で
貸し付けて、そして
保証協会の
責任態勢をとらせる、またその
保証協会においてその
経営なり、合理化なり、そうした
方面に
努力が足りないときは、場合によっては、
ほんとうに
努力している
方面にむしろよけい貸していくというような、そういう機動的な
措置ができるような
制度にした方がよくはないか、言いかえれば
回転基金制度にした方がよくはないかというようなふうに
考えましたので、
貸し付けというような
制度に一応いたしたわけでございます。
第二は、
政府は「前項の
貸付を行う目的を達成するため必要があるときは、
貸付に
条件を附するものとすること。」これは
先ほど申し上げましたように、これは
回転基金というような形で運転されることになりますので、やはりこの
保証協会に対しまして、たとえばこの
経営内容についての改善とか、あるいはその
業務の
実施方法についての注文とか、そういうようなこともいたしたいというような
考えでございます。
第三は、「
貸付金の
利率は、年三分五厘以内において、
政令で定めるものとすること。」これは大体三分五厘という
金利については高いじゃないかというような御
意見もありますし、
衆議院のこの
委員会におきまして
付帯決議をいたしておりますが、私
どもの方の
考えとしましては、これはなるべく低い方がいいんですけれ
ども、大体現在
政府の
貸付金の
利率を見ますと、低いところで大体三分
程度というようなことになっておりますので、その
程度でよくはないだろうかというようなふうに
考えましたことと、それからもう
一つは、実際その三分五厘以内で
貸し付けを受けまして、この
保証協会がその金を他の
金融機関にこれを預けたりしますときは、大体一年ものにつきましては六分とか、半期につきましては五分というような
程度で
預金ができると思いますので、そうしますというと、やはり三分
程度と、その差額というものがとの
協会の収益に入って参ります
関係もありますので、大体この
程度で、そういう点からみましても、よくはないだろうかというふうに
考えたわけでございます。なお、この三分五厘の
範囲内におきまして
政令で定めることになっておりまして、これは
先ほど申し上げましたように
衆議院の
委員会の方からも
付帯決議もついておりますので、私
どもはその
付帯決議を十分尊重いたしまして、なるべく
低利にきめるように
大蔵省と話し合いをつけたいというふうに
考えております。
それから第四は、これは「
要綱第一及び第二に関する
主務大臣は、
通商産業大臣とすること。但し、
貸付又は
条件の附加を行おうとするときは、
大蔵大臣に協議するものとすること。」
以上申し上げましたように、
保証協会法の一部を
改正する
法律案につきましては、要するに
政府の方から来年度におきまして十億の
貸し付けをするということになりましたので、これをどういうような
方法でやるかということをきめるために、この
法律の
改正をすることにいたしたわけでございます。