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衆議院議員(
春日一幸君) ただいまの
小幡先生の御
質問の
事業協同小組合、
法律では二十三条の三の
条項についての御
質問でありますが、これは私
たちはこういうような
考え方でこの
修正を行なったのであります。それはただいま御
指摘の
通り協同組合と、この
現行協同組合法による
中小企業者とは、これを
工業については三百人以下、
商業、
サービス業については三十人以下と、こういう大まかな
規定をいたしておるわけでございますが、そこで
協同組織は第一条においてうたっておりまする
通りに、こういう協同して
事業を行うことによって
経済活動の機会が確保されて、そうして自主的な
経済活動を促進することによってその
地位の
向上をはかっていきたいと、こういうのがねらいではあるのでありますが、しかるところ、
実例について申し上げますると、たとえば鉄鋼について申しますならば、職工を三百人も使っておりますような大
工場と、自分で旋盤を回しておりまする
町工場のおやじさん、この
企業形態の中には、経済的にも非常な断層がございまして、言うならば、
利害関係の中に
共通性というものが乏しいのではないか。
商業について申しまするならば、たとえば番頭さんを三十人も置いておる問屋のだんなと、
繊維について申しますならば、かりに背負って売って歩いておるような振り売り行商というような、そういうような零細な
繊維業者の間にもこれはほとんど
共通性がない。従いまして、
共通性がないから
共同事業をやろうといっても、たとえば
工場関係なんかでは、では
一つの
裁断共同施設を持とうといったところで、七十人、百人、二百人工員を持っておるような
工場では、あらかじめそのような
設備はすでに自
工場の中に完備されております。
零細工場にはそれがない。ほしいと思っても
協同組織の中に提案が行われましても、それはもう皆持っているから、そんなものは要らぬというようなことで、この
法律が第一条によりまして、
単一業種についての
共同経済活動を通じて自主的な発展をはかろうといたしましても、なかなかその
共同事業というものが必要な肝心な点に触れて実施いたしがたい、こういうような状況にあるのが
現状ではないかと
考えたわけでございます。従いまして私
たちはこの
税制上も
金融上もさることながら、とにも
かくにも大体においてその
共通の
利害の上に立つ、そういうような大体相等しいものは
一つの
協同組織の中にやはり区分して、そうしてこの第一条の
法律の
目的にかなったような
経済活動の
態勢をこの際作った方が、この
中小企業政策として、この
法律の
趣旨と
目的にかなったものになるのではないかと
考えまして、今回特にこの
零細業者だけのための
協同組織をここに新しく作らんといたしたわけでございます。御
質問の中に、きょうまで五名であって、あした六名になればすでに失格するのではないか、きのうまで、六人であって
資格を持たなかったものが、一名減ったからこれはこれで
資格が新しく発生する、ことにまた
商業なんかで見ますと、二名と五名の差はこれは常時不断であろう、こういうような御不審も当然その
通り、われわれがこの
法律を共同
修正いたしましたときの
過程において論ぜられた点でありますが、この問題についてはおおむね
年間を通算いたしまして、そうしてたとえば、この
工業については、五人に三百六十五日をかけて、そうしてその
年間雇用日数がこの基準に合うものは大体これにする、こういうことにいたしまして、さればこそここにおおむね常時使用と、おおむねという字を冠することによりまして、
かつは
定款の中にそれをうたうことによって、
行政庁がそこで許可、認可を与えますとき、おおむねということで六人の場合も五人の場合も、また
商業につきましては三人の場合も二人の場合もこれに包括できていけるように、こういうような配慮が加えられてあるということを御了承願いたいと存ずるわけであります。
さてこの二十三条の
税制上、
金融上とは一体どういうことかと
考えますると、御
指摘になっておりまする重要な個所は、
国民は
法律の前に平等である、いわんや
法律はことごとく
法定主義であるのだから、従ってこの
零細業者だけに対して、すなわち
事業協同小組合の
組合員に対してだけ特別の
措置を講ずるということは、これは、
法律は
国民の前に平等の原則をじゅうりんするという形になりやしないか、という御
指摘でありますが、この
条文の真の意義は、これは
国民との間の
関係ではなくして、
事業協同組合の
組合員に比べて、この小
組合は、特にこの
零細業者たるのゆえんをもって特別に
一つ格段の
措置が講ぜられるべきであるという、まあこういうことをうたっておるわけでございます。従いましてその
法律ができますると、当然そういうような同一
資格にありまするところの、
組合員に入っていないところの、他の
零細業者にもそのフェイバーは当然拡大的に及ぶことは当然のことでございますが、ただ
一つの
実例を申し上げて御判断を願うといたしますれば、たとえば現在この
金融の問題について申し上げますると、国の
政策金融機関といたしまして、商工中金あり、あるいは
中小企業金融公庫あり、
国民金融公庫あり、なかんずく
国民金融公庫は
零細業者を主たる
融資対象にいたしておりまするから、しばらくおくといたしまして、
中小企業金融公庫、
商工組合中央金庫につきましては、
中小企業に対する
政策金融機関の特別の任務を負うておるにもかかわりませず、やはり
中小企業者から
融資の申し込みがありますると、勢いそれは
金融べースでこれを審査いたしますので、
中小企業者の中においても、なかんずく信用度の高い者が優先的にまあ
融資を受ける形になって参りまして、これは
資金総額におのずから限度がありまする
関係からいたしまして、
零細業者にはこの両
公庫の
資金というものがなかなか浸透していかないというのが
現状であるのでございます。で、こういうような
立場からいたしまして、
一つの具体的な
構想として述べられましたものは、この
中小企業金融公庫と
商工組合中央金庫の総
資金量の中で、これはことごとく
中小企業者を
対象とするものだが、今までの実績はことごとく
中小企業の中においても、比較的有力な
中小企業にのみに行って、
零細業者は、この両
公庫の金を使うことができなかった。この非難にこたえまして、この両
公庫の
年間資金総額の中で、これを二〇%といたしまするか、二五%にいたしまするか、ある程度の額を、これを
零細業者、すなわちこの小
組合の
組合もしくは
組合員のための
特別ワクを設定いたしまして、この
資金については、この
事業協同小組合もしくはその
組合員に
融資しなければならない、こういうような形にいたしまして、
中小企業の中でも、これを比較的大きなものにのみこれが偏向をいたしておりまする現在の両
公庫のあり方について、こういう制限を加えることによって、
零細業者へもひとしく
融資のパイプを通していきたいので、これが
一つの
金融上の
特別措置に対する、まあ具体的な
構想の一案であるわけでございます。
税法上の問題といたしましては、これはどういうことを
考えられておるかと申しますると、これは現在
事業所得に対しましては、これは
法人税なり
所得税なりが課せられておるわけでございますが、しかしながら現在
所得を生ずる
企業の中には、
資本性企業と、
勤労性企業と二つあると
考えまして、そのなかんずく
資本性企業というのは、その
資本の額が比較的に大きいので、従いましてその
資本をもって
生産設備を調達いたしまして、
かつはその
資本自体をもって、言うなれば
管理者をも雇用することによって、
資本自体の運行を通じてその
事業が
運営され、
所得が発生していく。これをば
資本性企業と大まかに
規定いたしまして、そうしてその
勤労性企業とは、比較的
資本の額が小さいのでその
資本だけをもってしては、たとえば店舗とかあるいは
事業所とか、そういうものを調達することはできるけれ
ども、しかしその
経営者みずからがその
労働力を合せて出さなければその
企業が成り立たない、八百屋さん、とうふ屋さんあるいは自転車の
修繕屋さん、
洋服屋さん、さまざまあるであろうと思うのでありますが、そういうようなこの
勤労性の
企業については、これはやはりその
勤労の
対価として
所得が発生しておるはずだ、
勤労の
対価として発生した
所得をも現在の
税法ではことごとく
事業によって発生した
所得としてこれが
事業税の
対象として、一本として取り扱われておるのでございます。申し上げるまでもなく、これらの
勤労事業の中におきましては、朝は朝星、夜は夜星と申しますか、終日深夜業、とうふ屋さん、
うどん屋さん、その他ことごとくしかりでありますが、そういうような
密度高き
労働によって、そうして辛うじてその程度の
所得しか発生いたしておりません。従いまして
密度高き
労働力に対しては、それだけの
労働の
経費がかかっておるであろうから、これをことごとく
労働経費というものを見ないで、これを
事業所得一本としてみなしてしまうということについては、これはその
企業の
実態に沿わないではないか、こういうような理論の中から、ならばこういうような
零細業者のためには、
一つ税法上
特別勤労控除という制度を考慮すべきである、しかしながらこの
団体法ができまする
過程におきまして、そのことにまで及んで完璧を期したり
立法を行うことは、タイミングに、これは不可能であろう、こういうことで特にこの二十三条の三の中には
一つの
宣言規定とでも申しましょうか、とにも
かくにもこの
協同組合法の第一条が、
零細業者の共同的の
事業活動によってその
経済的地位の
向上をはかるというのは、言うならば
国家の悠久的な
性格を持っておる
目的の
一つだから、この
法律の中にこういう
宣言規定を設けて、絶えず
中小企業者のために、なかんずく特に
零細業者のために
税法上、
金融上特別の
措置を講じていくということは、この
協同組合法第一条の精神ともからみ合せてそんなに行き過ぎたものではないであろう。で、言うならば
宣言規定といたしましてこういうような一条を設けて、後日この
法律が
成立をいたしました後において、
政府に対してそういうような半ば義務づけると言っては行き過ぎであるかもしれませんが、
政府、
国会を含めてそういうことが期待されておる、まあこういうのが偽わらざる
実情であると思うのでございます。で、なお詳細にわたりまするけれ
ども、結局この
政府が特別の
措置を講ずるということは、
租税法定主義たりとはいえ、これは
法律事項もありましょうし、あるいはまた省令もありましょうし、あるいは国税庁の
長官通達もありましょうし、まあその他いろいろな事柄を通じて、
零細業者が
税法上、
金融上、特にこの
零細事業者たるの
実態に応じて保護が受けられる、こういうことをここの中に宣言いたしておるというのが
実情でございまして、そんなにおかしいことはないと
考えております。