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1957-10-23 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月二十三日(水曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員高野一夫君辞任につき、その 補欠として小滝彬君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            木島 虎藏君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋進太郎君            土田國太郎君            岡  三郎君            島   清君            松澤 兼人君            梶原 茂嘉君            河野 謙三君            大竹平八郎君   衆議院議員            小平 久雄君            春日 一幸君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    公正取引委員会    経済部長    小沼  亨君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員異動についてでありますが、本日高野一夫君が辞任され、後任として小滝彬君が委員に選任されました。以上御報告いたします。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、昨日委員会散会後、委員長及び理事打合会を開き、団体法案等審議方法を協議いたしました。昨日まで三つの法案を一括して議題として、従来の例に従いまして総括とか、逐条とか区別することなく質疑をいたして参りましたが、格別に支障もありませんようですから、今まで通り方法で進めていくことを申し合せました。それでよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阿部竹松

    阿部竹松君 その委員長の報告されんところは、それでけっこうですけれども、なおそのほかにお互いに自民党、社会党、緑風会等国会正常化という話し合いがきまっておるので、中同で質疑打ち切りとか、あるいはこのくらいでもうよろしかろうというようなことでなしに、質問があれば最後までやりましょうということもきまっておりますので、つけ加えていただきたい。
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 阿部理事のただいまの発言の点も昨日の申し合せにございましたから、それでよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 別に御異議なければさよう取り計らいます。  それではこれより議事に入ります。前回に引き続き中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して質疑を行います。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 小幡治和

    小幡治和君 きのう一つ残しておきましたのでその点について御質問をいたしますが、これは修正の部分でありますから、修正衆議院先生方に御答弁をお願いしたいと思います。小組合の問題なんですが、事業協同小組合銀第十三号の問題で、そこにこの「小組合組合に対し税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」という、非常法律条項としてはおかしな条項が入っているわけで、この中でまず第一に問題になるのは、小組合というのはこういうふうにして作られるかということで、これを見てみますると、この改正案の二の事業協同小組合、その中に「主として自己の勤労によって商業工業、鉱業、運送業サービス業その他の事業を行う事業者であって、おおむね常時使用する従業員の数が五人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については二人)をこえはいもので定款で定めるものとする。」ということになっておりますが、おおむね五人と、こういっておりますけれども、まあここで組合員に対しては税制上、金融上特別の措置を講じられるということになって小組合設立条件というか、そういうものについては非常にあいまいなような書き方になっておる、しかもこの小組合というものは作ろうと思えばいつも勝手に作れるものである、またこの五人というのが六人になったらもう小組合ではくなってしまう、また今まで六人使っておったものが五人にあしたからするということになれば、これはもうすぐまた小組合というものが作り得る、そういうふうで小組合というものは非常にいつでも作り得るし、いつでも小組合でなくなり得る、そういうようなものに対して一体税制上特別の措置を講ずるというふうなことがあり得るのかどうか、ここに非常な疑問がある。その点について一つ答弁願いたいことと、もう一つは、税制上の問題は、少くともこういう税というものは、法の前に平等でなくちゃいけない、それがこういうふうに小組合になるということによってそれが不平等になっていく、しかもその不平等になっていくのはやろうと思えばいつでもそれが平等にされ得るような態勢の中において不平等になっていくというようなことは、税制の上から考えられないことです。また税制というようなものはこれはあくまでも法定主義でありまして、国会できめることなんです。政府国会においてきめるべきこの税制の問題Nつきまして、こういうところで抽象的なこういう条文を設けておくということは、すなわち国会の義務づけというふうなことになるので、これは非常N法律の体裁からいってもこういうことはあってはならないことじゃないか、こういうふうに考え得るわけであります。そういうようなこの条文というものは、まあ早々の間に作られたのと、これはもう一つ要綱みたいなものに譲るべきものである、あるいは付帯条件でやっておくべきものが誤まってこういう法律法文の中に入ってきたのじゃないかというふうにわれわれとしては感じられるわけなんですが、その点について一つ答弁をお願いしたいと思います。
  8. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) ただいまの小幡先生の御質問事業協同小組合法律では二十三条の三の条項についての御質問でありますが、これは私たちはこういうような考え方でこの修正を行なったのであります。それはただいま御指摘通り協同組合と、この現行協同組合法による中小企業者とは、これを工業については三百人以下、商業サービス業については三十人以下と、こういう大まかな規定をいたしておるわけでございますが、そこで協同組織は第一条においてうたっておりまする通りに、こういう協同して事業を行うことによって経済活動の機会が確保されて、そうして自主的な経済活動を促進することによってその地位向上をはかっていきたいと、こういうのがねらいではあるのでありますが、しかるところ、実例について申し上げますると、たとえば鉄鋼について申しますならば、職工を三百人も使っておりますような大工場と、自分で旋盤を回しておりまする町工場のおやじさん、この企業形態の中には、経済的にも非常な断層がございまして、言うならば、利害関係の中に共通性というものが乏しいのではないか。商業について申しまするならば、たとえば番頭さんを三十人も置いておる問屋のだんなと、繊維について申しますならば、かりに背負って売って歩いておるような振り売り行商というような、そういうような零細な繊維業者の間にもこれはほとんど共通性がない。従いまして、共通性がないから共同事業をやろうといっても、たとえば工場関係なんかでは、では一つ裁断共同施設を持とうといったところで、七十人、百人、二百人工員を持っておるような工場では、あらかじめそのような設備はすでに自工場の中に完備されております。零細工場にはそれがない。ほしいと思っても協同組織の中に提案が行われましても、それはもう皆持っているから、そんなものは要らぬというようなことで、この法律が第一条によりまして、単一業種についての共同経済活動を通じて自主的な発展をはかろうといたしましても、なかなかその共同事業というものが必要な肝心な点に触れて実施いたしがたい、こういうような状況にあるのが現状ではないかと考えたわけでございます。従いまして私たちはこの税制上も金融上もさることながら、とにもかくにも大体においてその共通利害の上に立つ、そういうような大体相等しいものは一つ協同組織の中にやはり区分して、そうしてこの第一条の法律目的にかなったような経済活動態勢をこの際作った方が、この中小企業政策として、この法律趣旨目的にかなったものになるのではないかと考えまして、今回特にこの零細業者だけのための協同組織をここに新しく作らんといたしたわけでございます。御質問の中に、きょうまで五名であって、あした六名になればすでに失格するのではないか、きのうまで、六人であって資格を持たなかったものが、一名減ったからこれはこれで資格が新しく発生する、ことにまた商業なんかで見ますと、二名と五名の差はこれは常時不断であろう、こういうような御不審も当然その通り、われわれがこの法律を共同修正いたしましたときの過程において論ぜられた点でありますが、この問題についてはおおむね年間を通算いたしまして、そうしてたとえば、この工業については、五人に三百六十五日をかけて、そうしてその年間雇用日数がこの基準に合うものは大体これにする、こういうことにいたしまして、さればこそここにおおむね常時使用と、おおむねという字を冠することによりまして、かつ定款の中にそれをうたうことによって、行政庁がそこで許可、認可を与えますとき、おおむねということで六人の場合も五人の場合も、また商業につきましては三人の場合も二人の場合もこれに包括できていけるように、こういうような配慮が加えられてあるということを御了承願いたいと存ずるわけであります。  さてこの二十三条の税制上、金融上とは一体どういうことかと考えますると、御指摘になっておりまする重要な個所は、国民法律の前に平等である、いわんや法律はことごとく法定主義であるのだから、従ってこの零細業者だけに対して、すなわち事業協同小組合組合員に対してだけ特別の措置を講ずるということは、これは、法律国民の前に平等の原則をじゅうりんするという形になりやしないか、という御指摘でありますが、この条文の真の意義は、これは国民との間の関係ではなくして、事業協同組合組合員に比べて、この小組合は、特にこの零細業者たるのゆえんをもって特別に一つ格段措置が講ぜられるべきであるという、まあこういうことをうたっておるわけでございます。従いましてその法律ができますると、当然そういうような同一資格にありまするところの、組合員に入っていないところの、他の零細業者にもそのフェイバーは当然拡大的に及ぶことは当然のことでございますが、ただ一つ実例を申し上げて御判断を願うといたしますれば、たとえば現在この金融の問題について申し上げますると、国の政策金融機関といたしまして、商工中金あり、あるいは中小企業金融公庫あり、国民金融公庫あり、なかんずく国民金融公庫零細業者を主たる融資対象にいたしておりまするから、しばらくおくといたしまして、中小企業金融公庫商工組合中央金庫につきましては、中小企業に対する政策金融機関の特別の任務を負うておるにもかかわりませず、やはり中小企業者から融資の申し込みがありますると、勢いそれは金融べースでこれを審査いたしますので、中小企業者の中においても、なかんずく信用度の高い者が優先的にまあ融資を受ける形になって参りまして、これは資金総額におのずから限度がありまする関係からいたしまして、零細業者にはこの両公庫資金というものがなかなか浸透していかないというのが現状であるのでございます。で、こういうような立場からいたしまして、一つの具体的な構想として述べられましたものは、この中小企業金融公庫商工組合中央金庫の総資金量の中で、これはことごとく中小企業者対象とするものだが、今までの実績はことごとく中小企業の中においても、比較的有力な中小企業にのみに行って、零細業者は、この両公庫の金を使うことができなかった。この非難にこたえまして、この両公庫年間資金総額の中で、これを二〇%といたしまするか、二五%にいたしまするか、ある程度の額を、これを零細業者、すなわちこの小組合組合もしくは組合員のための特別ワクを設定いたしまして、この資金については、この事業協同小組合もしくはその組合員融資しなければならない、こういうような形にいたしまして、中小企業の中でも、これを比較的大きなものにのみこれが偏向をいたしておりまする現在の両公庫のあり方について、こういう制限を加えることによって、零細業者へもひとしく融資のパイプを通していきたいので、これが一つ金融上の特別措置に対する、まあ具体的な構想の一案であるわけでございます。  税法上の問題といたしましては、これはどういうことを考えられておるかと申しますると、これは現在事業所得に対しましては、これは法人税なり所得税なりが課せられておるわけでございますが、しかしながら現在所得を生ずる企業の中には、資本性企業と、勤労性企業と二つあると考えまして、そのなかんずく資本性企業というのは、その資本の額が比較的に大きいので、従いましてその資本をもって生産設備を調達いたしまして、かつはその資本自体をもって、言うなれば管理者をも雇用することによって、資本自体の運行を通じてその事業運営され、所得が発生していく。これをば資本性企業と大まかに規定いたしまして、そうしてその勤労性企業とは、比較的資本の額が小さいのでその資本だけをもってしては、たとえば店舗とかあるいは事業所とか、そういうものを調達することはできるけれども、しかしその経営者みずからがその労働力を合せて出さなければその企業が成り立たない、八百屋さん、とうふ屋さんあるいは自転車の修繕屋さん、洋服屋さん、さまざまあるであろうと思うのでありますが、そういうようなこの勤労性企業については、これはやはりその勤労対価として所得が発生しておるはずだ、勤労対価として発生した所得をも現在の税法ではことごとく事業によって発生した所得としてこれが事業税対象として、一本として取り扱われておるのでございます。申し上げるまでもなく、これらの勤労事業の中におきましては、朝は朝星、夜は夜星と申しますか、終日深夜業、とうふ屋さん、うどん屋さん、その他ことごとくしかりでありますが、そういうような密度高き労働によって、そうして辛うじてその程度の所得しか発生いたしておりません。従いまして密度高き労働力に対しては、それだけの労働経費がかかっておるであろうから、これをことごとく労働経費というものを見ないで、これを事業所得一本としてみなしてしまうということについては、これはその企業実態に沿わないではないか、こういうような理論の中から、ならばこういうような零細業者のためには、一つ税法特別勤労控除という制度を考慮すべきである、しかしながらこの団体法ができまする過程におきまして、そのことにまで及んで完璧を期したり立法を行うことは、タイミングに、これは不可能であろう、こういうことで特にこの二十三条の三の中には一つ宣言規定とでも申しましょうか、とにもかくにもこの協同組合法の第一条が、零細業者の共同的の事業活動によってその経済的地位向上をはかるというのは、言うならば国家の悠久的な性格を持っておる目的一つだから、この法律の中にこういう宣言規定を設けて、絶えず中小企業者のために、なかんずく特に零細業者のために税法上、金融上特別の措置を講じていくということは、この協同組合法第一条の精神ともからみ合せてそんなに行き過ぎたものではないであろう。で、言うならば宣言規定といたしましてこういうような一条を設けて、後日この法律成立をいたしました後において、政府に対してそういうような半ば義務づけると言っては行き過ぎであるかもしれませんが、政府国会を含めてそういうことが期待されておる、まあこういうのが偽わらざる実情であると思うのでございます。で、なお詳細にわたりまするけれども、結局この政府が特別の措置を講ずるということは、租税法定主義たりとはいえ、これは法律事項もありましょうし、あるいはまた省令もありましょうし、あるいは国税庁の長官通達もありましょうし、まあその他いろいろな事柄を通じて、零細業者税法上、金融上、特にこの零細事業者たる実態に応じて保護が受けられる、こういうことをここの中に宣言いたしておるというのが実情でございまして、そんなにおかしいことはないと考えております。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。ただいま春日衆議院議員からだんだんの御説明で、二十三条の三の規定についての立法趣旨がわかったのですが、これは昨日も私は別な問題で触れたように、立法者意思を離れて法律成立をいたしますと、法は自身の性格意思とを持つものでありまするし、この法律によって現在の行政機関がこれは運用して参りまするものでありますから、この際私は中小企業庁長官に対して、今春日議員の言ったことに対してあなたの意見を合せ聞き再確認しておきたいと思うのです。  第一点は、この規定宣言規定としての性格を持っておる、こういうことがわかりましたが、組合員とか、あるいは組合に対する助成の方法として、補助金を与えるとか、あるいは金融上の特別の措置を考慮するという事例を私は知っておりまするけれども税制上特別の措置を講ずるということについて他に例がありやいなや。あるとするならばその法律のタイトルだけでけっこうでございますから承わっておきたい。  それから二番目には、金融上特別の措置を講ずるということについて今春日衆議院議員から立法者としての意思説明されたが、政府としてもそういう態度を承認し、しかもまた企業庁長官としては最終的に責任持つ通産大臣に進言をし、意見を具して、今春日衆議院議員がおっしゃったような方向に努力する意図ありやいなや。これは政治問題でないのでありまして、行政上の問題ですから私は長官に聞いておきたいのです。従って信念とか何とかということは大臣に譲ればいいのでありますから、端的に事務当局としての御見解を承わっておけば足りるのです。  それから、第三は、税制上この資本性企業勤労性企業というものを一本に律して事業税一本でやっているという現行法について、これは春日議員から批判がありましたが、私どもも賛成です。しかしながら法治国家としての現段階においては、不満ではあるけれども事業税一本でとにかくやられているという事実はこれはいなめないのでありまして、そういう際において、これは宣言規定であるからして積極的に他の法律をも拘束するものでもないから、まあ大へんに差しさわりはないと、こういうお話ですが、いささか差しさわりがあるということは、これは言葉の裏を引っ返せば言えるというようなニュアンスを持った春日議員のきわめて微妙なる発言でございます。御承知のように、春日議員も私も同じ党に属しております、従ってその同じ党に属しておるものでそんな疑義を差しはさむことはいささかおかしいといえばおかしいかもしれませんが、われわれは参議院の良識において、立法府に席を置く者の当然の責任としてただすべきものはただしておかなければならないと、かように存じておりましたことについて小幡委員が賢明にただされたのであります。しかも春日議員からはその立場における率直にしてしかも明快かつ大胆な説明がなされたわけなんです。これに対して政府当局としてその通りにお考えかどうか。これは追っては大臣に尋ねるのですけれども、やはり当の行政官としての、その行政を遂行していく何といいますか、当の責任者といいますか、としての長官意見をこの際承わっておきたいと、かように私は存ずるのです。
  10. 川上為治

    説明員川上為治君) この条文趣旨につきまして今春日代議士の方からお話があったのですが、そういうふうに解訳されますれば私どもとしましてはそういう趣旨によって運営をしなければならないものと考えています。従いまして先ほど御質問のありました税法上において組合員だけに特別な措置がとられておるものがあるかという問題でありますが、私の記憶しておるところ、調べておるところではそういうものはないと考えております。ただ金融の問題につきましては、先ほどもお話がありましたように、商工中金等につきましてはこれに対しまして一般中小企業は別に特別な措置がとられておるわけであります。従いまして、実際これを運営する場合におきましては、税法上の問題としましては、組合員だけ特別な措置をとるということは、これは非常にむずかしいのじゃないか。もし組合に対しまして特別な措置をとるということになれば、やはり一般のこれと全く同じような零細企業者に対しましても同様な措置をとるべきじゃないだろうかというふうに考えております。ただ金融問題につきましては、従来からそういう措置もある程度講ぜられておりますので、こういう零細な小組合員に対しまして、中金あたりから特別な措置をとるということは可能であろうと考えております。  それから、これは宣言規定である、しかしながら相当政府を縛っておる規定であるというようなお話がありましたので、私どもとしましては、極力その趣旨に沿うように運営をして参る考えでございます、この法律通りますれば。そういう考えでございますので、零細企業につきましては、まあこれは率直に申し上げまして、やはり私は現在の税法上から言いましても、たとえば事業税とか、法人税とか、所得税とか、いろんな点におきまして、特に零細企業についてはもっと軽減するなり、減税するなり、そういうような特別措置を講じていく必要があるのではないかというふうに考えております。中小企業者のうちでも特に零細企業については、そういうことをもっとやるべきじゃないだろうかというふうに考えておるわけでありまして、これは全く私の個人的な意見でありますが、私としましては、今先生からお話がありましたように、大臣にも申し上げ、あるいは大蔵省その他の方面にも特に零細企業については、税についての減税措置なり、あるいは特別な措置を講じていただくように私としましては努力したいというふうに考えております。これは単に事業税だけではなくて、ほかのものにつきましてもそういう気持を持っておるわけであります。
  11. 小幡治和

    小幡治和君 ただいま春日代議士からいろいろ詳細な御説明でありますが、それについてもう一度一つ押し返して明快な御答弁をまたお願いしたいと思うのですが、要するに小規模のもののみで組合を作るということがあり得るのだし、またそういうことが必要なんだ、しかし現在の法律案の建前においてはできないということが言われる、だからここに小組合というものの法文をわざわざ作らざるを得なかったのだと言われますが、われわれは、小組合法文というものがここに特別に作られなくても、原案のこの団体法の中において、小規模のみの業者が集まってこの協同組合というものを作ることはできるのじゃないかというふうに思うんですが、その点政府としてはどう考えられますか、一つそれを伺いたい。
  12. 川上為治

    説明員川上為治君) この中小企業団体組織に関する法律案における商工組合におきましては、これは中小企業ということになっておりまして、特にそのうちで零細企業だけが商工組合を作るということにはなっておりません。ただ協同組合法によりましては、これは零細企業だけで任意に協同組合を作るということはできることになっておるわけであります。
  13. 小幡治和

    小幡治和君 そうすると、小組合を作るということは、結局協同組合としてはできる、しかし商工組合としてはできないと、こういうことだと思うので、そうすると、商工組合として小組合ができた場合にいかなる利益点というものが出てくるかということになるわけなんですが、まあそういう点については、大体大きなやつをみんな一緒に合わしたやつも同じなんだということなんで、ここに特に「税制上、金融上特別の措置」というものをはさんだというふうに解釈いたすわけでありますが、そうなって参りますると、とにかく第二段の、いつでもこいつはなり得るんじゃないか。もし、税制上相当こういう小組合というものが優遇されるということになるならば、年間を通算というふうなことを先ほどおっしゃいましたが、そうなると、年間通算して小組合になるようにいろいろな事業を分けていくというふうなことも考え得まするし、また、毎年々々そうすると小組合の範囲というものも変更されてくるというふうなことも考えられまするし、そういう面について、非常に煩瑣な、また、そういうふうな勢いを助長するというふうなことにもなってくると思います。で、非常に税制の上——金融の面においちゃそれほどでもないかもしらぬけれども税制の上において非常に不安定な、また、不明確なものがそこに生じてくるということになるし、あるいは、これから少し税を減免するということになれば、脱税の一つの方式というふうなものもやられてくるということにもなってくる。そういう面で、非常に危険なものだというふうに私は考える。その点についての御説明をさらにお聞きしたいということと、もう一つは、この組合員に対して特別のこういう措置を講ずるということは宣言規定なんだということをおっしゃいましたが、私は、今春日議員が言われた、要するに金融の面においてほんとうに零細なる業者というものがその恩恵にあずかっていないということは、われわれもそれは痛感するわけなんです。政府は、いろいろ中小商工業者のために金融措置を、あらゆる公庫、特に両公庫を通じてやっておりますが、それじゃ、その両公庫の窓口にほんとうに零細なる者が行くと一体借りられるかというと、これはほんとうに絵にかいたぼたもちで、借りられない。要するに、担保もないじゃないか、保証人をつけてこい。そうすると、保証人をつけていくと、この保証人も破産に瀕しているものですから、それじゃ保証の価値がないじゃないかというふうなことで、結局、もう零細なる者は、幾ら政府が中小商工業者のために金融のめんどうを見るんだと言っても、さて窓口に行ってみりゃ、一つもそれが借りられる体制になっておらない。そして借りる人たちというのは、大体中から中以上の業者が借りるということなんです。だから、現在のいろいろな金融公庫法がありますが、その公庫法というものの根本的な考え一つ是正してみなくちゃいけないじゃないかというふうに考えておる。で、そういうようなことは、ここに一条文、「組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」ということでは、絶対これは考え得られないことなんです。むしろ、これは両公庫法の法律改正をやって、両公庫法の法律改正の中にこういうような問題は少し詳しく打ち込んでいくべき筋のものだというふうに思います。また、税制の問題にいたしましても、今、いわゆる自分の勤労的な所得というものも入っていなくて、すぐ事業税がぶちかけられる。なるほど、今の個人事業税と法人事業税を見てみますると、個人事業税というものは非常にかわいそうである。何かというと、少くとも法人事業税というものは会社というものの格好において相当何とか工作し得る余地というものはあり得るわけなんですが、個人事業税というものは、まことに自分一人でこつこつやっている者に全部ぶっかかってくるわけですから、もうごまかしも何もできっこない。そのままぶっかけられて取られていくということで、こういう面についても、ほんとうの特別勤労控除というものを考えてやるべきだということは、これは税制上のところにおいて議論されて、そして、そういう地方税法の中における個人事業税の賦課というものは、そういう面も考えてやらなくちゃいけないんだ。そこで、これは、ほかのそういう事業税を納める人たちと一緒になって考えられてこなけりゃならない問題の筋だと思うのです。それを、一体この団体法の中に小組合というものだけぽっこり飛び出してそして、これについて「税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」ということを、まるでこれは宣言なんだというのならば、これから農林省が立案するところの農林省関係の中小の農林業者に対して何か法律を作るときに、そこにも農林の関係零細業者に対しては「税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」、労働立法をやるときにも、そこの中でまたこういうかわいそうな小さな労働組合に対しては、大きなりっぱな労働組合よりもやはりここに「税制上、金融上特別の措置」、みんなあらゆる法律にこういうような宣言規定というものが挿入されてくることになりゃせんか。それじゃったら、税制の問題、金融の問題、とんでもない話なんで、そういうことになる一つの悪例をここに残すというふうなことに私はなると思う。こういう面は、もしここで中小商工業者のために一応宣言しておくというならば、将来農村のためにも、水産業のためにも、いろいろなそういう法律案宣言規定が出てくるということになる。これは非常に困ったことだと私は思う。これはそういう困ったことになると思うのですから、これは共同提案者の人たちは自分で修正したんだからちょっと困るのですが、それは一つあわせて大臣からも御答弁を願いたいと思う。以上二点を一つお答え願いたいと思います。
  14. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 先ほど社会党の春日議員から御答弁になりましたので、私から今度御答弁申し上げます。小幡先生お話、私どももよくわかるのであります。実はそういった御趣旨の建前で衆議院の段階において社会党の諸君とずいぶん話し合ったのであります。しかしまた、一面、われわれの気持といたしましても、従来長い間中小企業者特に零細企業者に対しまして、あるいは税の面で、あるいは金融の面で何とか現在よりもよりよい方途を講じなければいけないのじゃないかということ、これはまああらゆる機会に唱えられて参っておるわけでありますが、しかし、なかなか思うように実現が実際はいたしておらない。そこで、社会党の諸君は最初は勤労事業協同組合という案を出されたわけでありましたが、それを両者の話し合いによって、小組合という制度を設けて、しこうしてこの小組合に、あるいはこの条文から申しますと組合員ということになっておりまするが、要するに零細企業者税制上、あるいは金融上特別の措置政府に講じてもらうということを一つこの際入れてもよろしいのじゃなかろうかという結論になったわけなんであります。そこで、ただいまお話しのうちに、こういう宣言的な規定が、あるいは労働者の関係において、あるいは農林漁業者関係においてそれぞれ現われてくるというような弊害も想像されてむしろ悪例になるのじゃないかというお話もございましたが、もちろん、われわれといたしましても、そういった非常に零細な各層の人たちに対する税の面で、あるいは金融の面で施策が講じられれば、宣言的なこんな規定がなくても一番よろしいわけです。ですから、逆に申せば、そういうことが実際に行われるようになりますならば、こういった宣言規定はむしろ削除をしてもよろしいのじゃないかとさえ考えておるわけなんでありまして、別段悪例というほどにも実は考えなかったわけなんであります。また、一面、お話の中にありました通り金融から申せば両公庫法の改正、あるいは税の面では税制そのものの改正によればよろしい。まことに、その通りなんでありますが今申す通り、そういうことを、まあ率直に申せば、刺激すると申しますか、そういうくらいの役には立つのじゃなかろうか、こう考えておるわけなんであります。また、小組合の機能といたしましては、広く組織の強化という面からも相当これが役に立つのではなかろうかと、先ほど春月議員からお話が出ましたが、現在の中小企業協同組合組合員たる資格というものは相当幅が広くできております。そこでひとしく中小企業者と申しましても、その業態からいうとずいぶん違っておる。従ってこれがなかなか一つ協同組合にはまとまりにくい。零細企業者零細企業者同士で小組合を作るということによって、零細企業者組織化ができる。しかもその小組合といたしまして、今度はさらに協同組合に加入もできるというふうに今度の案でなっておるわけでありますが、そういう面で中小企業者自体の組織にも大いに役立つのではなかろうかというふうに期待いたしておるわけであります。  さらにこの小組合員資格が非常に不明確だというお話がございましたが、この点もまことにごもっともなんでありますが、しかし一応こういう制度を設けます以上は、不明確ながら一つの線を引かざるを得ない。それらをどう扱うかということは、今後当局で行政上適当に扱ってもらえればよろしいのではないかと思うのであります。たとえば現在の健康保険などの関係でも、三人でありましたか五人でありましたか、以上を使用しているところは保険に入り得るというようなことにもなっておるのでありまして、今後小組合を認める際にも、この資格があるかないかということは、適切なる基準を出していきますならばやっていけるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  15. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) ただいま小平議員の御答弁によりまして大体の了解が得られたと思うのでありますが、ただこの際特に強調されましたこの小組合組織が制度化されることによって、現存の中小企業協同組合がいたずらに細分化される傾向になって、もって混乱するというようなことはないだろうかというような御質問でありましたが、これは今御答弁の中に明らかにされました通り、この小組合資格を持つ者たりといえども、これは従来通り組合にダブって加入しておることは妨げておりませんし、かつまた小組合自体としての協同組織で団体加入する道をも開いておるわけであります。そういうわけで、既存の組合に対して悪い影響を与えるという点はごうまつもございません。  それからもう一つは、今の御説明の中にありましたので蛇足になりますが、そもそも事業協同組合の行いまする事業というものが、まず第一が共同施設でございます。先ほども申し上げました通り、三百人も使っておる大工場と、一人親方の町工場とでは、共同施設をやるといったって、これはやりようがないわけであります。そんなものはみんな大工揚にあるわけでありまして、ほしいと思うものはこの零細業者が共同施設を行いたいと思っても、なかなか組合の議決を得て事業計画の中にはなかなか上ってこないわけであります。そういうわけで、共同施設を真に行わしめるためには、やはり利害共通性がなければなるまいと、こういうところから非常にこういう組織零細業者の経済発展のために役立つであろうということ、それからまた金を借りるにいたしましても、今御指摘にありました通り中小企業の中でも比較的有力な中小企業者がその組合を支配されておりまして、なかなか零細業者のための融資申請等については、どうも等閑に付せられがちである、こういう実情にかんがみまして、零細業者だけが一つの独立の協同組織をもって、その組織でもって公庫と直接の交渉の道が開かれますれば、今までの非難はこれによって大きく緩和されるのではないかと、こういう工合にも考えております。あるいは技術の改善、あるいは知識の普及のためにする情報交換等にいたしましてもそんなものは大企業には完備されておる。何ら協同組織を通じて整備する必要はない。しかし零細業者はその知識と情報がほしい。けれども現在の協同組織はその組合が比較的有力な中小企業者によって支配されておるので、零細業者が真に欲するいろいろな知識、技術改善のために必要ないろいろな情報、資料、これが得がたい。今回のこの小組合協同組織は今までなかったこと、そうして今まで法の盲点あるいは欠陥とされておりました事柄をこれによって補完しようというのでございまして、これは現行協同組合法運営に対して何ら妨害あるいは障害を生ずるというような事態は考えられないわけであります。それからこの中小企業金融機関を抜本的に整備統合すべしとの議論もありましょうし、さらにまた他の方法によってこれを拡大的に発展的に別個の措置を講ずべしといういろいろな御研究も進められておる様子でございますが、それはなおかすに時をもってしなければならない見通しにあるかと考えております。こういうようなときにこの零細業者に広く金融を及ぼして参りますためには、ただ私どもの一試案を今御参考に申し述べたようなそれぞれの両公庫の総資金量の中に零細業者のための資金ワクをかぶせるということだけでもって直ちに効を奏し得る、こういうようなことも考えられましょうし、あるいは行政官庁によるところの行政指導によりまして、そういう小組合または小組合員に対してかくかくすべしということによって、これはすぐにもやはりその対象が明確にされて参りますので、政策の効果はたちまちにして上ってくる。そういうこともまた考えておるわけであります。税法全般の問題は、御指摘通り軽減しなければならない問題は、これはひとり零細業者のみでなく、国民の広い階層にまたがりましてその趣旨の恩恵が及ぶということについてはこの法律は何ら妨げておりませんし、不当に課税されております者が税の軽減を受けるということは当然のことでありまして、あらゆる立法過程においてそういう凹凸がならされておることを望んでおるわけでありまして、この法律がそのことを妨げておるとは考えておりません。
  16. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 私に対する御質問もありましたので、私からお答え申し上げます。私は実は率直に申し上げますと、非常に疑問を持っております。ただいまの御趣旨、立案者の御趣旨はよくわかって宣言規定という意味も私十分わかるのでありますが、それにしますと、ちょっと法文がこのままでは読みにくいので、これは立案されて通過しましたらこの法案そのままで動いていくのじゃないかというふうに考えます。そうなりますと、非常にむずかしい問題を含んでおると思います。事業協同小組合自身に対して税制上、あるいは金融上の特別の措置、実際問題としてあるかどうかは別といたしまして、そういう措置があれば講じなければならぬということであろうかと存じますが、その組合員に対してということに相なりますと、ただいまの御趣旨によりますと、税制上これに類するもの全般的に特別の措置を講じたらいいじゃないか、こういうお話でありますが、もしそうなりますと、これは特別な措置でなくなりまして、またさらにこの組合員に対しては特別の措置を講じなければならないというふうに法文上読まれるのじゃないかと思います。私は零細なる事業に対しまして考慮していくべきだということは常常から心がけてもおりますが、実際の私自身がこういう仕事に携わった経験からいたしますと、この小組合組合員に該当するだけの人に対して特別の措置をするというようなことが考えられるかというと、なかなかそう参りません。いろいろもっとこの組合員のような人も含んで、あるいは一定の所得とか、あるいはまた事業の規模とか資本金をいろいろ考えていきませんと、いわゆる負担の公平という見地からできにくい場合が多いのであります。ただこの規定に該当した人だけに特別の措置を講ずるということは、逆に負担の公平から言いますと非常にまずい面が出てくるというような事例にしばしば私はあっておりますので、税制上という問題につきましてはまあ疑問を持っておるのであります。  また金融上の問題につきましても、ただいまお話のように、この規定に該当する人に対して特別ワクを作るということも十分わかりますし、またこれは可能であります。可能ではありますが、それならその中にどういうようにそのワクの大きさをきめるかというようなことになって参りませんと、実際上それが優遇になるのかならないのか、あるいはそのときの情勢によって、そういう人でないところに資金の需要があるというような問題もありますので、これらのことを法文規定し、あるいは制度上はっきりとさせることが果して妥当かどうかという点も非常な疑問を持っておりますので、これは率直に、はなはだ立案者に対しては申しわけないのでありますが、私としましては非常に疑問を持っておるということだけ申し上げたい。
  17. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 関連して。小組合についての御説明、一応私了解します。中小企業協同組合組合員の中に比較的大きなものと小さいものとがある。従って零細な業者のために特別の組合制度を考えるという考え方自体は納得ができるのであります。ただ現われましたこの案を拝見しますると、先ほど来論議がありましたように、これは明らかに現在の中小企業等協同組合法に基いてやろうと思えばできるのであります。おそらくそういう零細な業者だけの協同組合も私は少くないだろうと思う。従ってこの案では結局するところ税制上の特別措置の待遇、こういうような特別の待遇ということがあって初めてこの組合の意義があるということにならざるを得ない。で、御承知のように、これは社会党の立案でたしかできたと思いますが、中小企業の団体の中に企業組合、これはまあ勤労を中心にする業者の特殊の性格の団体、これについては税制上理論的に特別な措置だ、特別な措置と言えないと思いますが、特別な税制上の運営がされておるわけであります。これは過去、あるいはできまして今日までの間税の取扱いの観点から企業組合運営上種々の困難な、困難といいますか、試練といいますか、それをなめてきたのでありまして、いまだに企業組合に関連する税の問題ですっきりしない点が御承知のようにあるのであります。今回の小組合が税の関係金融関係だけで特別な存在の意味があるということになりますると、先ほど春日さんはほかに影響はなかろうという御見解でありましたけれども、おそらく現在の協同組合全体の制度の中で一つの何といいますか、このフリクションではありませんけれども一つの混迷状態になってくる。言いかえれば税関係対象にして組織がえをやるというふうなまあ動きが起って参りますることは、これは当然であります。同時に、中小企業協同組合の中で、零細な業者もいれば比較的中ぐらいもいるというふうなものにつきましては、零細のものは、零細のものだけに保護されない。とにかく組合を作らなければだめだということになりまして、一つの何といいますか、そのためにわざわざ団体を作るという結果になりはしないかということが懸念されるのであります。当初詳しくは私知りませんけれども勤労組合ですか、勤労組合ですかの考え方のあったときは、もう少し組合としての特別な性格といいますか、これがあったように思うのであります。この小組合ではそういう性格が全然なくて、単に税と金融の問題だけに性格づけられておるところに多大の私は実は疑問を持つのであります。こういう形でこのまま法案が通過いたしますと、やはりこの中小企業の団体制度の中に好ましくない一つの混乱といいますか、紛淆といいますか、そういう事態が起りはしないかという点であります。春日さんなり小平さんなり、あるいは通産当局からのその見通しについてお考えを承わりたい。
  18. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) ただいまでもこの税法零細業者のために特別な措置が講ぜられておるという例はこの梶原先生指摘になりました通り企業組合組合員が受ける従事分量による配当所得はこれは企業組合に対しては損金とみなし、実質的には事業所得であるけれども事業税を課さないでこれを賞与としてみなすというふうな特例もあるわけなんです。それから現在の零細業者の中で大工、トビ、左官、板金、植木職、こういうような諸君に対しては五十万円までの所得の中で何十パーセントまでは勤労所得、何十パーセントまでは事業所得とみなすという国税庁長官の通達も発せられておるわけなんであります。で、零細業者に対する特別の税法上の措置というものは現に多く行われておりまして、そしてそれはあるものは法律により、あるいは長官通達により、あるものは局長会議の含み事項などといたしまして、これはきちっと租税法定主義とは言いながら、ことごとくの事柄がその建前において処理されていないということは、これはお互いが、また主税局育ちの通産大臣もこれは率直にお認めいただかなければならぬと思います。だから私は非常にその頑迷な租税法定主義とか、またその他その考え方だけでこの法律をまあ御検討願うとすれば、非常にいろいろな面から非難が出てくるとは思うのですが、冒頭に申し上げました通り、これはあくまでも宣言規定でありまして、そういうような中身をも含んで、また現実の事態をも大いに参酌してこの精神によって後日政府零細業者のためにこのような措置を講ずるということについて義務づけたような形において、これは別に時間的な制約も何もありませんので、大まかな期待が持たれておると、こういうことでございまして、これは一向差しつかえのないことであり、またそういう事柄の措置が現にこの法律があろうとなかろうと、いわば租税全体の問題として懸案事項として今政治問題としてあるのでありますから、この機会に特にこういう一条を設けて、懸案事項として残されておるものを解決への方向へ進めて促進をしていくということは、そんなに弊害はないことであると思います。ただ問題は、そういうような事柄を法律条文、この法律条文の中に規定することがどうであろう、こうであろう、こういう実は御非難は当然あろうと思いますが、それにつきましては、結局事業協同の小組合、すなわち事業協同組合に対立いたしまして特に特別の措置を講じていく必要があるであろう、こういうことでございまして、結局この法律趣旨に基いて、かりに税法土の特別の措置が講じられますならば、この法律は「組合員に対し、」とここにうたっておりますが、組合員並びにこれに準ずる者に対して、その税法上の特別措置が講ぜられていく、こういう形になろうと存ずるのであります。  なお金融上の措置といたしましては、現在商工組合中央金庫におきましては、中小企業者のための政策金融機関でありながら、組合もしくは組合員に加入している中小企業者にあらざれば融資を受ける資格がございません、こういうように、やはりいろいろの行財政を通じて零細業者一つ協同組織をもって自主協同の立場において安定と振興をはかっていくという一つ行政技術が現在日本の国政の中に現存しておるのでございますから、その中において、やはり零細なる業者だけの協同組織に対して政策金融機関金融が及んでいくように特別措置を講ずるということは現在の商工中金の建前からいたしましても何ら矛盾はないのではないかと考えております。いろいろと細密な検討を加えますれば、前尾大臣ただいま御所見開陳されました通り、いろいろ困難性はあろうと存じますが、先般来申し上げておりまする通り、それは宣言規定であって、時期的にも、また内容的にもこれは大きく拘束しているものではない、条件を付して拘束しているものではない、そういう立場から、これはこの趣旨に基いて、そういう政策が行われるべきものである、こういう工合に御理解を願いまして、それでは、やってもやらなくてもいいならば、零細業者協同組織は意味をなさないのではないか、こういうただいま梶原先生の反論もそこに生じてくる心配もあると存じますけれども、このことは二十三条だけが零細業者協同組織の生命線ではないのでありまして、現実に協同組合協同組織を通じての経済的効果というものは、これは九条の二の中におけるそれぞれの事業、これが零細業者のために共通しておる、その共通性の上に立って、その経済効果というものが大きく伸びていく、かたがたもって、そういう組合活動を通じて、政府並びに国会から漸を追うてこうした保護政策が蓄積されていく、多少時間はかかりますけれども、この小組合は小組合として実力が確立されていく。こういう工合に理解を願っておけばそんなに弊害はないのではないかと考えております。
  19. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう十二時まであと二、三分しかありませんが、一点だけ午前中伺いたいのですが、それは調整規程の運用の問題ですけれども、実際ある組合、たとえば電気器具の組合が価格の協定をしたい、販売価格の協定をしたいという場合に、届出がありますね。その場合に、その価格の内容の検討、これはどの範囲にやられるか、これを伺いたい。
  20. 川上為治

    説明員川上為治君) 価格の検討についての範囲ですが、これは従来安定法に基きましての調整組合におきまして、価格協定しているものもあるわけでございます。これはきわめて一時的のものにすぎません。しかし、価格協定をしまして、それを申請して参りますると、その際におきまして、この前大臣から話もありましたように、私の方としましては、たとえば価格のいろいろな推移、現在と過去においてどういうふうにその価格が推移してきているか、それから、あるいはその在庫がどういう状態になっているか、在庫が非常に少くなっているか、あるいは別にこの際価格協定をしなくても、在庫の点から見るというと、大丈夫だというような在庫の状態になっているかなっていないか、在庫が非常に多くなっているが少くなっているかというような問題、あるいはまた倒産の状況はどうなっているか、最近ならば繊維業界におきましては相当問屋が倒産しているというような状況もありますが、ああいう倒産の状況がどうなっているかというような問題、それからさらにまた原価計算、これを実は出して参りまして、原価計算がどういう状態になっているかというような、そういうような問題を相当詳しく突っ込んで、これは現在各原局の方で通産省においてはやっておりますが、そういう点を十分検討した上で、その上で価格協定を認めるか認めぬかということを診断いたしておるわけであります。
  21. 河野謙三

    ○河野謙三君 言葉が足りませんでしたが、私が聞きたいのは、価格の検討の範囲と私が申し上げたのは、たとえばラジオならラジオ、ラジオ業者だけの一体調査にとどまるのか、ラジオを生産しているところの電気器具のメーカーの原価計算にまで入って検討するのか、仕入れ価格が妥当か妥当でないかというところから始まるのか、仕入れ価格はさておいて、仕入れたものの流通段階においての業態調査をして価格が妥当であるか妥当でないかということをあなたの方は決定されるのかどうか、こういうことを聞いている。
  22. 川上為治

    説明員川上為治君) これは単に電気器具の販売業者だけでなくて、その仕入れの価格が大体どういう状態になっているか、仕入れの価格そのものが果して妥当であるか妥当でないか、そういうものまでさかのぼって私どもの方といたしましては検討いたしておりますし、また、こういう制度ができますれば、この制度による価格協定についても、その点まで十分さかのぼって検討したいというように考えております。
  23. 河野謙三

    ○河野謙三君 およそ中小企業者が価格の協定をして販売しようという場合には、苦しみに耐えかねてやむにやまれずそういう措置を申請するわけですね、その場合には。原則として中小企業組合の内部において、もう利益どころか損がいくという段階なんですね。残された問題は仕入れ価格、大資本のメーカーの方の販売価格が妥当であるか妥当でないか、高いものを押しつけられて安く売らなければならぬという場合に、初めてこういう調整規程の運用の問題が出てくる。今のラジオの場合で、あなたの方ではラジオの生産費の原価計算をやると言われますけれども、今通産省の、失礼でありますけれども、もろもろの物資の原価計算をする能力がありますか。私はないと思っております。人的にも能力的にもないと思います。そういう大それたことを一体平気で私は言えるかどうかという疑問を持っている。私は、こういう調整規程の協定価格問題はメーカーの原価計算の問題が大部分だと思うのですよ。販売業者の各業態調査なんか簡単にできます。これは大して問題ないと思います。あらゆるものでできます。やるにはやるだけのその方面の陣容を整え、制度を整えなければできないと思う。あなたの方で原価計算をするのに、たとえば私は割合肥料のことに詳しいが、硫安の原価計算をするといったってできないじゃないか。実際の話が、原価計算するだけのすべての制度があって、帳面も行って検査ができる、在庫の調査ができる、何もかも権能を持っておりながらできない。しかるに、帳面を検査する権能もない。これは権能を与えられれば別ですよ。倉庫に立ち入って在庫調査をする権能があるか。この法案によってそういう権能は一切与えられておらないと思う。もしあなたの方でおっしゃるように、原価計算をそこまで立ち入ってやるなら、そういう権能を賦与されなければ通産省ではできないと思いますが、いかがでございます。
  24. 川上為治

    説明員川上為治君) この法律に基きます価格協定につきましては、これはよくよくのときだけでなければできないという仕組みになっております。従いまして、たとえばその生産数量の制限とか、あるいは設備の制限とか、販売制限とか、いろいろなことをやりまして、なおそれでもどうしてもうまくいかない、従って価格協定をしなければならぬというような、よくよくの場合において価格協定ということはなされるということになりますので、私どもの方としましては、現在もちろんその各原局におきまして、先生のおっしゃいますように、十分な、とにかく原価査定の能力は持っていないかもしれませんけれども、出てくるケースにつきましては、私どもの方としましては、こういうふうに価格協定は最後の最後の手段だというふうに考えておりますので、従って、まあ人数も少いし、能力は十分でないかもしれませんが、そういうまれなケースでありますから、何とか原価計算につきましてはできるのじゃないだろうかというように考えておるわけであります。また組合等につきましては、この法律によりまして検査なりそういうことができますし、報告を取ることもできますので、そういう点から一応原価計算の報告を取るとか、調査をするということもできることになっています。ただ先ほど申し上げましたように、現在のその能力におきましては十分ではありませんけれども、出てくるケースが非常に少いというふうに考えますので、われわれとしましては何とかできるものと考えておるわけでございます。
  25. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあ議論をしようとは思いませんが、認識の問題ですが、非常にケースは少いとおっしゃるけれども、あちらでも困った、こちらでも困ったという、そういうケースが多くなったからこの団体法が出てきたと思うのだ。そういうケースが非常に少いと予想されるなら、何も泡食って臨時国会まで開いてこんなことをやる必要はありませんよ、早い話が。認識の相違の問題だから仕方がありませんが、私がこのようにお尋ねするのは、この法案で私が一番心配しておるのは、私自身は強制加入でも何でもないと思うのだ、この法案が通った暁に消費物価にしわ寄せがいきはしないかということを心配するのですよ。この間大臣も次官もそういうことはないとおっしゃるけれども、とかく世の中の経済というものは、頭のいいやつが考えている通りにはいかないで、かえって町の井戸端会議のおかみさんの方が経済の見通しはいいんですよ。(笑声)そういう見通しのいい人が消費物価が上りはしないかと心配しておるのだ。私もこの方の見通しに賛成するのだ。それはなぜかというと、今協定価格についてのあなたの方に認可の届出があったと、これを調べても、組合ではすぐ調べられます。組合でそんなにいいかげんにできませんよ。問題は、結局メーカーから仕入れ値段の問題なんだ。大資本中小企業の利益の分配のアンバランスの問題なんです。だから物価を消費者に転嫁させないようにするには、どうしても生産者の原価計算というものにぐっと入っていかなければならぬと思う。これはぐっと入れるようになれば、そんなに消費者の方に転嫁されるおそれはないと思う。ところが、あなたは原価計算をされると言うけれども、これは先ほど申し上げたように、法的に、どこの工場にでも行って帳面を出して、在庫を調べるという権能はありませんよ、通産省には。特殊の物資を除いては……。ないでしょう。あるなら別なんです。あなたがそういうふうにおっしゃるなら、そういう権能を——帳面を検査し、在庫を調査し、工場に立ち入ることを自由にできるという権能を賦与されなければ、私はほんとうの原価計算はできないと思いますが、この点は間違いないと思いますが、どうですか。そのケースが少い多いの問題はあなたと認識の違いだから別ですが、権能はないでしょう。ありますか。
  26. 川上為治

    説明員川上為治君) とにかくどこの工場へ行っても調査できるというような権限はありません。しかしこの法案の第九十三条で、組合員資格を持っておるものについては、工場でありましても商店でありましても、調査なり検査ができるということになっておりますが、私どもの方としましては、そういうものの調査をいたしましても、それの仕入れ価格なり、あるいはその販売価格なり、原価計算なり、そういうのを調べまして、これはたくさん調べますというと、結局大体の想像はつくのじゃないかというふうに考えますので、それを参考にしまして原価計算の査定の基準にしたいというふうに考えております。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 くどいようでありますけれども、たとえば紡績会社へ行って検査できないでしょう。さっきラジオの話をしましたが、松下電器なり、日立なり、三菱の電気会社へ行って調べることはできないでしょう。問題は、ラジオを一万円のものを一万一千円に売りたいと言ってきた。一万一千円が妥当かどうかということは、それは電気機具商の扱い業者の口銭というのはすぐあなたの方は見当できる。ところが、仕入れ価格一万円で買って一万一千円で売る、その一万円が妥当かどうかという問題が一番大事なんです。その一万円が妥当かどうかという検査はできないじゃないですか。そうすると、結局一万円というものは検査できないから、一万円は妥当だという前提に立って、それから先の千円が中間マージンとして妥当かどうかということは検査できる。これが妥当だということになれば、一万円のものを一万一千円に売るのは承認せざるを得ない。消費者は一万円のラジオを一万一千円で買うことになってしまうじゃありませんか。私はそれを心配しておるのですよ。その心配ありやなきやということなんですよ。
  28. 川上為治

    説明員川上為治君) 今先生のおっしゃる通り、まあ紡績なら紡績について、これは組合を作っておりませんというと、その紡績である組合員を検査するということはできないのですが、従って仕入れ価格そのものが最も妥当であるか妥当でないかということはなかなかこれはむずかしいのですが、ただこの法律によりまして、中小企業者組合を作って組合交渉をするということになっておりますので、私どもとしましては、この組合交渉ということによって、いわゆるメーカーの方といいますか、大企業者の方の販売価格をこれでもってある程度抑制してもらうということが私は別な方法としてできるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  29. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は初めから多分そういう答弁になると思っておったんです。ところが、その答弁がなかったのがようやくあったんだが、そこで、中小企業は消費者と大企業の間にはさまつて、安定するというにはどちらかの壁をぶち破って利益を求めなければいかぬわけです。消費者の方の壁はすぐ破れる、あしたにでも破れる。こちらの壁は団体交渉とか何とかいってなかなか破れませんよ、実際の話が。あなたの方は第三者として見ておって、団体交渉した結果、ラジオ・メーカーはこれは一万円で売っていいはずなんだけれども原価計算から見れば、一万一千円で突っぱって中小企業の方が団体交渉で負けたというときに、その一万一千円は不合理ができます。あなたの方ではそれに対してどうすることもできないでしょう。これはただ力関係で、成り行きにまかせておくというだけですか。これはやはりそこまであなたの方で踏み込めるようにしておかなければ、団体交渉でやるのだからわれ関せず、えんだということでは結局結論は消費者へいく。私はそういうお話を聞いていると、依然としてやはり町の大衆が言うように、この法案が通ると物が上るぞというふうな見通しをせざるを得ない。こういう議論はむしろ討論みたいになっちゃうからこの辺でやめますけれども、もう少しこの調整規程の運用につきましては、原価計算を広い幅に、しかも十分あなたの方が自信を持って検討できるように措置をされることが私は必要であると思いますので、希望を申し上げておきます。
  30. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ただいまの河野さんの御質問に関連するのですが、価格協定もそうですが、その他のものにつきまして、まず通産省は本当ですから相当の、少ないながらも人的の能力もあるだろうと思います。ところが、現在の地方庁ですね、地方庁の陣容なり力からいいますと、なかなかそう簡単にいかぬのじゃなかろうか。ところが、調整規程の認可であるとか、重要な事柄は相当地方庁に権限を委譲されておるのであります。果して現在の地方庁の能力で今の価格の原価の適正であるかどうか、そういうものをきわめて短かい時間の間に判断してきめるということが大丈夫でしょうか、私その点を非常に懸念するのであります。
  31. 川上為治

    説明員川上為治君) 現在地方庁におきましては、協同組合の認可とか、協同組合の監督とか、運用とか、そういうことにつきましてある程度のスタッフを持ってやっておるわけであります。先ほども申し上げましたように、特に商工組合を作りまして価格協定をするというようなことにつきましては、これはよほどのことでなければできないという仕組みになっておりますので、ケースとしましても、私どもとしましては非常に少いのじゃないかというふうに考えておりますので、たといある程度の権限を地方庁にゆだねましても、その点は、私は十分できるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  32. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 現在地方庁にも相当人がおられるというのはその通り。ところが、その人は主として組合の監督であるとか、指導であるとか、言いかえますると、事務屋なんですね。事務をやっているのだ。たとえば生産制限をするとするならば、その生産に関する技術、あるいは価格協定の場合のその価格についての技術、そういうものを持った人はおそらく地方庁にもそうそうはおられないと思う。組合の監督とか、指導とか、いわゆる事務的な人は若干おられると思うのです。そうじゃなしに、事業実態についての専門家というか、専門的な知識をそう持ち合せている人がたくさんいるとは考えられない。結局何と申しますか、先ほど河野さんの言われたような懸念が、中央よりも地方において私は相当起る可能性があるということを申し上げたのであります。
  33. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほども申し上げましたように、価格協定につきましては一番私どもの方としましては問題にしておりますから、地方庁に権限を委任しましても、これは中央に協議しなければならぬ。特に公取の同意を得なければならぬということになっておりますから、この点については念には念を入れてやることになっておりますので、私どもの方としましては、その点はそう心配は要らないのじゃないかというふうに考えますと同時に、また地方におきましては、なるほど事務屋がたくさんおりますけれども、あるいは民間のいろいろな方々に諮問するとか、そういうような措置もとられるようになっておりますから、私どもとしましては、そういう意見も十分入れて、地方庁の方でこの措置ができるように指導をいたしたいというふうに考えております。
  34. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 後刻また伺いたいと思いますけれども、なるほど価格協定となりますと、それは表面上は価格協定だから、関係者、消費者はもちろんのこと非常に関心を持つきわめて重要なことであり、また長官もしばしば価格協定はごくまれなケースだと言われた、その通りだと思う。ところが、調整規程の内容を見てみますと、それぞれ価格に関係がある。生産制限もそうです。取引条件の調整もそうだし、それから生産数量のコントロールもそうだし、ほとんど全部価格に関係がある。従って価格の協定だけこれは非常にレアー・ケースということでは私はいかないと思う。ことごとく価格に関係のないものは私はないと思う。みんなそうだと思う。従ってわずか二カ月の間に、地方庁に申請があって、そこで諮問をしたりどうこうして、本省に協議をして果して適正な結果がわずかの時間の間に得られるかどうか非常に疑問です。その結果は、言いかえれば、消費者その他の面にしわ寄せがくるという懸念を河野さんも言われておる。
  35. 川上為治

    説明員川上為治君) 大体この組合がそんなに非常にたくさんできるか、できぬかという問題が、私は基本的な問題になるかと思うのですが、調整事業を行う組合というものは、やはり地域は相当広くなければならぬ。少くとも一業種について言いますれば、一県一つというようなことになってくるのじゃないだろうか、そういたしますというと、数というものは相当限定されてくるのじゃないだろうかというふうに私ども考えておりますので、これは一応期日は切ってありますけれども、そういう点から考えますというと、そう私の方としましても、事務的に無理だというようなふうには考えていないわけですし、また申請してきたものについて、相当ずさんな点がありますれば、これはその点についてたとえば照会するとか、そういう間においては期限を延長するということができることになっておりますので、私どもとしましては、その点についても何とかできるんじゃないかというふうに考えております。
  36. 島清

    ○島清君 もうそろそろ昼食のようでございまするけれども、午前中の質疑に関連をいたしまして、午前中に確かめておきたいと思いまして、その意味から関連の質問をさしていただきたいと思います。  事業協同小組合の問題について、小幡議員から質問がございましたことについての大臣の御答弁に関連する問題でありまするが、なるほど事業協同小組合ということは、小幡委員が提起されたような、幾多の割り切れないような問題が残っていると思うのであります。しかしながら、これは社会党の原案といたしましては、中小企業の中には、春日議員から御説明がございました通り資本事業形態と、労働事業形態、二つがある。ですから、こういう二つを明確に本質的に分けておいた方がよかろうというので、勤労事業協同組合として思想的にも明快に割り切って、そういうふうな組合の設立というものが可能であり、さらに組合活動が国の施策の恩恵を受けて中小企業が安定し、零細企業が安定し、振興していくようにということが盛り込まれておったわけでございます。しかしながら、共同修正ということになりました。ここに勤労事業協同組合という名称を使っておればこういったような疑問も起らなかったかと思いまするけれども、しかしながら共同修正がございまして、私の仄聞するところによりまするというと、与党自民党の方々はどうも勤労という言葉を非常におきらいでございまして、そこで勤労事業協同組合ということをおきらいになりまして、事業協同小組合と、こういうふうになったとかいうことを承わっているわけであります。そこで、その共同修正過程における議論はともかくといたしまして、私たち中小企業の安定と振興をはからなければならないという場合には、やはり本質を無視してそこで施策を行うということに矛盾がある。私は早いところこれを明確にしなければならないと、こういうような考え方を持っているわけであります。ところが、これはさておきましても、この協同小組合の問題について質疑が提起されました場合に、大臣の御答弁ははなはだ不満足でありますると同時に、疑問があるというようなことをおっしゃっておられるのです。私は非常にこれは重大な発言だと思うわけでありまするが、それは政府と与党自民党は、わが党に向いまして、昨日本法案を無修正一つ通過をさしてもらいたい、成立さしてもらいたいという正式な申し出をしておられるわけであります。私たちは参議院の立場におきまして、いやしくも心の中においては無修正を希望されましても、それを表明をされて公けな行動をされるということについては院議を無視するものである、参議院を無視するものであるというて非常に不満を持っているわけでございまするけれども、それはそれといたしましても無修正成立させることを正式に申し入れをされておりまする政府と与党の立場におきまする担当大臣が、一字一句といえども疑問を持っておられるのだというような委員会におけるこの発言としては私は一体そのいずれが真なりや、政府並びに自民党、与党の方で無修正成立させていただきたいということがほんとうなのか、それとも疑問のままで担当大臣が疑問があるということを委員会発言されて、なおかつわれわれは委員としてそういうものを無修正成立をせしめなければならないのかどうかというようなことについて、私は一体どういう方向に向って答弁をしておられるのかというようなことを大臣答弁に対して、並びに自由民主党の諸君に対しても非常に疑問なきを得ないわけであります。いずれこれはあとでそれぞれの会派で大いに問題になろうかと思いまするけれども、午前中の問題でございましたので、明快にしておきたいと思うのであります。さらに、これと関連をいたしまして、さらに火災共済組合についても若干また後刻問題になろうかと思うわけでございまするけれども、これもわれわれの方の社会党の原案でございまして、これはまあ政府自民党の方もこれを取り入れていただいて非常に感謝にたえないわけでございまするけれども、私はここで私たちがこの火災共済組合を入れておりまするその趣旨は、大体火災保険というものは今六百億ぐらい保険会社が持っておりまするけれども、一体これは憲法上の財産権の問題からいたしましても非常に疑問があるわけであります。たとえば東京、都会でございまするというと、地方自治体の予算でポンプを持ちまして消防施設を持っております。しかしながら保険会社は何も消防施設を持っているわけではございません。地方自治体の方に火が燃えたら、火事が起ったら消させるような施設をさせておいて、さらに保険会社の方はしこたまもうけておる、こういうことの矛盾をいけないというので火災共済組合をわれわれは入れているわけでございます。後刻これも問題になろうかと思うわけでありまするけれども、とにかくたちは原案の中に割り切ってこういうものを入れているわけでございますけれども、今さら協同事業協同組合については担当大臣の方がこれが法律施行される前にはなはだ疑問があるなんというようなことを言われまするというと、どうもわれわれの方としてはちょっとあらためて開き直って聞くほどのことでもなかろうかと思いまするけれども、とにかく真意はいずれにありやということを聞かざるを得ないのでありますので、一つ責任ある答弁をいただきたいと思うのであります。
  37. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) この法案につきましては無修正で通していただきたいということを申しております。また通りました際にはあくまでこれの御趣旨に従って善処したいと思います。ただ税制上、金融上特別の措置を講じなければならぬという言葉につきましては非常にばく然といたしておりまして、ただいまのお話のように特別のワクを作れという程度の話で、果して皆さん御満足がいただけるかどうか、税制上の措置にいたしましても何か特別の通牒でも出せばそれでよろしいというものであるか、実際問題としていろいろ研究して御趣旨のような相当な税制上の措置がとれるかどうかということにつきましては、私非常な疑問を実は持っておるのでありまして、まあ立案者の御趣旨があくまでこれは宣言規定であってそのために何らかやればいいのだという御趣旨ではこれはないと思います。あくまで相当な措置はやらなければならないということになりますると、いろいろ疑問があるということを率直に申し上げたのであります。もちろん成立しましたら十分これに対してわれわれは善処して御期待に沿うことは努力をいたしますが、そういう趣旨で申し上げましたので、実は税法上の問題につきましては私は具体的にこういう措置をとるとか何とかと書いていただきますのがこれは一番けっこうなことだと思うのでありますが、そういう意味で申し上げたのであります。
  38. 島清

    ○島清君 議論にわたることは差し控えますけれども、それは税法上の問題にいたしましても、そういう零細企業に対しましては特別な小組合ができることによって特別な効果が期待できるというような可能性が発生することもわれわれは考えられます。しかしながら、私はこの小組合が単なる宣言規定とは見ておりません。実際その協同組合を設立いたします場合には、何といたしましても、やはり地区の制限を受けるわけでございます。ところが、こういう工合に事業協同組合があり、さらに小さいものは小さいもの同士が寄って作れるということになりますと、いわゆるボスの支配から、この人たちが小さいもの同士で集まってボスの支配から民主的なこの協同組合を作って、そしてその自分たち同士の相互扶助の精神によって自分たち企業の安定をはかっていく、こういうことができるわけであります。ところが、こういうものの制度ができていませんと、たとえば東京の荒川あたりの例をとりますならば、これは零細企業の集合地帯でございます。ここで同じ業種であるからといって協同組合を作らせるということになりますると、依然としてこの連中に日銭を課しておるボスが結局協同組合という名において、そのワクの中においてボス支配をやるというようなことが考えられるわけでございます。しかしながら同じ地域内においても、こういったような小組合というものが作れるということになりまするというと、小組合という自分たちのその組合が作れるという口実のもとにボスの支配から脱却いたしまして、こういったような零細企業の小組合ができるという、こういう同じ地区内においてこういうものが作れるという結果が私はこの法律から期待できるわけであります。ところがこれがないとなかなか、地区に制限をされまして一つの同業種の組合がありますというと、なかなか大きい、小さいというだけで別のものが作れないというのが実情なんであります。ですからこれを単なる宣言規定と私は見ておりません。こういったような利益があるかないかということについて私は利益があると思っておりますけれども、利益がない、ただ単にこれは宣言規定である、さらに税法上の措置をしてもらいたいという、効果を期待しておるのでその点については私は疑問があるのだというような大臣のお答えでございましたけれども、私はこの条文は実利がある、こういうふうに思っておりますけれども、この点について御見解を承わっておきたいと思います。
  39. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) もちろん実利がなければその特別の措置というわけではございませんから、もちろん実利があるような立法をしなければならない。あるいは行政上の措置をしなければならない。これはもうはっきり私はそう思っておるわけでございます。ただ問題は、税制上におきましては先ほど申し上げましたように、この組合員だけが恩恵に浴するという立法はなかなか困難であります。で、どういうような具体的に恩典を与えるかというようなことにつきましては、かなりむずかしい問題で、果してただいまお話のような御期待に沿えるような規定が、あるいは制度がとれるかどうかということについては、まだ私個人といたしましては、疑問を持っておるということを申し上げた次第であります。
  40. 島清

    ○島清君 了解できない。それは政府自民党の方からそういう無修正成立を要請されておりながら、この法案の小部分といえども疑問があるという担当大臣答弁を拝聴いたしまして、それで了解できないことは事実なんであります。了解できないから質問をしているわけなんですが、しかしながら昼食でございますので、午後以後この問題をあらためて討議をする、こういうことで一応……。
  41. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは午前中はこの程度にとどめて、午後は一時三十分から再開することにいたしましてこれにて暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  42. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業団体法案ほか二件を一括して質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  43. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 商工組合性格といいますか、について若干伺いたいのであります。もちろんこの法案は、商工組合とは中小企業の団体であるという建前になっておるわけであります。ところで、内容を見ますると、この商工組合の構成員は中小企業者に限定されておるわけではない。むしろ中小企業者以外に、大企業も参加のできる建前になっておるわけです。なぜ中小企業者じゃない大企業も参加し得るという制度にしておるのかどうか、その点を伺いたい。
  44. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 商工組合の構成に当りまして、原則として御承知の通り、本法に定義する中小企業者をもって組織するのであります。ただ本法の目的が不況克服のために調整事業をやる、そういう場合におきましては、調整事業の円滑な遂行上、必要な場合は大企業を入れた方がベターな場合が考えられるのであります。そういうような場合には、業界が一致してそういうものの加入を認めるという場合に、初めて業界が一致するというよりも、組合の総会において認める場合において、これが加入を認めておるのであります。しかもこの構成におきましては、中小企業者がいわゆる相対的な多数を占めなければなりません。大企業が多くの分量をとることを、多数を占めることを禁止いたしておるのであります。で、そういうようなことは結局商工組合の行わんとする性格から見て、その遂行の円滑化をはかろう、こういう趣旨であるのであります。で、こういうふうないわゆる中小企業者にあらざるものを入れることによって、商工組合性格中小企業者の団体であるという性格に変質を来たすという心配はないであろうと私は考えるのであります。現在の中小企業等協同組合法におきましても、中小企業者の定義は法定の通りでありまするが、この法定を越えた場合におきましても、これの加入を定款で認めておる場合には認めておるのであります。ただそのときは公正取引委員会に届出をし、必要な場合にはこれが排除措置を公取においてなし得ると、こういう道を開いておるのでありまして、これと大体同じような考え方で商工組合におきましても大企業を認めておる、こういうような形であります。
  45. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 よく了解しかねるのでありまして、今度できまする商工組合というものは調整事業を行うことを主眼にするわけであります。それは例外的のものじゃない、調整事業を行うということが建前になって成立される団体である。そうしてねらいはもちろん中小企業における過当競争防止のための措置でありまするから、大部分が中小企業者であることが、その業界の事業面においても、大部分が数の上において中小企業者であるということは、これは当然のことであります。そういう前提のもとにおいて組合ができるのであります。従ってそういう場合において、もちろん定款によってきめ得るわけでありまするけれども、大企業が加入し得るということ自体が、私は中小企業の団体であるという性格がはっきりとそこで変貌すると思う。現在の調整組合は、御承知のように、調整事業をやる安定法におきまする調整組合は、これは中小企業の安定のためではありまするけれども、調整組合自体は必ずしも中小企業団体とは言い得ない、それはその業種を行うものが大企業といわず、加入し得る建前なんです。これは当然なんです。調整事業という観点からいえばその関連する大企業も入っていくことはむしろ筋であろうと思う。現在の安定法はそういう建前になっておる。ところが、その建前を変えてこの団体法においては商工組合を作る、作るけれども、内容的には、調整組合のごとくに大企業は入り得るということでは、私はこれが中小企業の団体だということをそう強調することはできないだろうと思う。どうせ大企業は数は少いということは御指摘通りなんです。本質的に少い。少いものが入ったから性格が変らないという筋のものではあるまい。御指摘協同組合の場合におけるその一部資格を越えたものという性格と非常に違うのです。あれは御承知のように、たとえば協同組合の方の場合においては、もちろん公正取引委員会の個々の審査といいますか、これを受けるわけですけれども、かりに商業面において三十人に限定されておる。ところが三十五人とか四十人という場合がある。さしたる区別がない。たまたま法律上制限があるから、それを多少越える場合の例外的な措置として認められておるのであります。決して中小企業協同組合の場合に大企業が入るということを、個々の場合においても認められておるわけじゃない。その点は非常に違うと思う。中小企業の団体であれば、団体としての性格をはっきりして大企業は加入しない建前にして運営されるべきじゃないかと思うのでありますが、もう一度一つ御所見を伺いたい。
  46. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) まず第一に、中小企業者の団体という観念であります。中小企業者の団体というものは、中小企業者ばかりの構成する組織でなければならぬかと、こういうことだと思うのでありますが、これは私はそうじゃないと思うのであります。主力を中小企業者をもって構成をし、たまたまその行わんとする事業の遂行上ベターな場合に、一部の中小企業者でない大企業を認めたということによって、中小企業者の団体である性格をこわしてくるとは考えられないと思うのであります。で、昔のたとえば工業組合法あるいは商業組合法、こういうものを見まするときに、これらは中小の工業者、中小の商業者という観念でいたしておるのであります。そうしてそれには相当数の従業員を含めた大きな企業が入りましても、大多数のものがいわゆる中小企業である場合は、これを中小企業の団体として観念して参ったと思うのであります。また現行中小企業等協同組合法におきましては、今梶原さんの御指摘のように、たまたま三百人で規定しているから三百人の線から若干上回ったものだけを入れておるということではございません。現在少数のこの線を上回ったものを入れておる例も多々あるのでございます。これを入れることによって、たとえば協同組合等におきましては、地域的に同業者としての一つのまとまりがついていく。泉州の綿織物工業関係をとってみますと、あそこには相当、約六、七百人を使っておる機場も、いわゆる中小企業協同組合として入っておるが、六、七百人使っておる綿布織工場は、十大紡の経営するいわゆる織布工場に比べますとこれまた中小であると言わざるを得ません。そういうふうな相対的な観念から見まするときに、いわゆる三百人という一つの定義を越えて入れるということによって、私はその組合中小企業の団体であるという性格を変質するとは考えられない。これは少し意見の持ち方の相違になるかと思いますが、中小企業の実体は、私はそういうことの便宜をはかることによって、よく中小企業者自体の私は自主性と団結が確保できる。こういうような事例が現実には多々ある。こういうふうに考えておるのであります。
  47. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は議論するつもりはありません。今政務次官の言われる考え方それ自体を私とやかく言うつもりはありません。法律としてある一つの限界を引く、中小企業にある線を引く、そこに無理が出るということは当然のことである。それを実際に即して調整するといいますか、適当な調整を現実の上で加えていくということは、これは御意見通り、むしろ当然のことであろうと私も思う。しかしながら、今度の商工組合は半面において団体交渉、あるいは調整規程に対する強制的な命令、あるいは何と申しますか強制加入、強制加入の対象はもちろん中小企業者でありますけれども、そういう一つ性格を持った団体である。従ってそういう団体に通常のその考え方の調整、若干上回るというようなことはいいのですけれども、大企業も当然に入り得るというふうにすることについてはいささか私は疑問があり、それはこの団体の性格を変えるものだと、まあかように考えられるのであります。見解の相違になるでしょう。ただそこが調整組合においてはそうじゃなくて、それは資本の大小を問わず一応入り得る建前になっている。これはおそらく調整事業というものの持っているその性質から来るのであろうと思う。そういう性質を一面に与えて、一面において中小企業団体として作り上げるというところに一つの無理があるように実は感ぜられるのであります。見解の相違になるでしょうからこの程度でいいと思います。  それから第二段は、やはり商工組合性格に関連する問題でありますが、経済事業を行うことを建前にしたわけであります。現在の調整組合において経済事業が行い得ない、その面から本来の調整事業運営する上において不便がある、不便があったという御説明でありましたが、おそらくそういう面があったのであろうと思う。しかしながら、この案のごとく、当然に経済事業というものを普通の協同組合と同じように認めていくということについて、私団体の性格として異論があるのであります。こういう経済事業というものは、これは言うまでもなく臨時的のものじゃない。恒久的な団体としての仕事であろうと思う。ところが、調整事業というものは性格的には臨時的のもの、短期的のものというふうに一応考えられるのであります、現実はそうでないかもわかりませんけれども。そういう短期的な仕事を本来の建前としながら、しかも長期的な経済事業というものを当然に認めていくということが果して適当かどうかという点であります。どうしても経済事業をやることが必要だとすれば、また私もその必要性を是認する一人でありますけれども、調整事業運営していく上において必要な限度において認めていいのじゃないか、こういうまあ感じがするのでありますけれども、御説明を願いたい。
  48. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 商工組合が本来の事業を調整事業に置いておることは、十七条の第一項にこれを規定してあります。第一項の事業のほかに経済事業を行う。いわゆる兼営を認めておる。こういう形に本法案は相なっておるのであります。そこで梶原さんのお話のいわゆる調整事業を行う商工組合というものは、本来性格的に見れば、観念的に見ればこれは短期的のもの、臨時的のものだ、私もそう考えます。しかも一方においていわゆる経済事業というものは通常の場合においては長期にわたる可能性の多いものだというお説もごもっともだと思うのであります。そこで商工組合に経済事業を兼営せしめる多くの必要性というものは、第一項の調整事業が円滑に行われる素地を作るために、いわゆるこれを補完する意味においての事業が多くの場合に考えられるものだと私は考えます。その点も全く同様な考え方を持っておるのであります。ただ、しからば二つの制度を別々に置いておくということになりますと、いわゆる商工組合がその目的を果してしまえば新しく協同組合組織がえをするということが困難でございますので、この商工組合が普通の協同組合のいわゆる組織がえを容易にして調整機能と事業というものの使命が完遂したときにはいわゆる協同組合への移行規定を、容易に移行できるような規定を置いておるのであります。それによりまして本来の両者の持つ性格の調和をはかっておる、これがこの案になっております。それでこの条文の中に、梶原さんの言われるような趣旨ならば、第二項のいわゆる経済事業をいま少しくしぼった書き方にすべきではないか、こういうふうな御趣旨であろうかと思うのでありますが、しぼり方がなかなか実際上むずかしいということで、今申し上げましたように調整事業が済んだらすぐ通常の事業協同組合組織組織がえを容易にするという規定を置いてその間の連絡をとろう、こういうふうにいたしたものであります。
  49. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 まあ移行の問題につきましては後ほどまた御質問する機会があろうと思うのでありますが、実際問題としてしぼること、制度的にしぼることは困難な面もお説のようにありましょう。しかし、適当なしぼり方でしぼれないわけでもないと思います。ただ、私がこれを繰り返し申し上げますのは、昨日も論議のありました強制加入に関連して来るのであります。経済事業をやります以上はおのずから協同組合といえども危険が伴うのであります。もちろん商工組合でも危険が伴うのであります。従ってそういういわゆる経済事業の機関、一つ企業体であります。それに強制加入の方法によって権力をもって組合員にもって来るというところに私無理が重なると思う。もちろん加入命令を受けて入ったものは経済事業を利用しなくてもいい、あるいは出資をしなくてもいいというお説がありましょうけれども、大体経済事業をやる性格企業体に出資をしないとかということ自体がこの団体の性格からいえばはなはだ、何と申しますか、不安定であり、不明確なんであります。金額は少くともやはり出資をさしてやるのがこれは当然なんであります。出資を今度はしなくてもいい建前になっているようであります。こういう経済事業、本来の経済事業をやるところに強制加入でひもをつけていくという点が納得ができない理由の一つであります。移行の関係はまた別の機会に御質問いたします。  それから中小企業者以外に農業協同組合とか、あるいは普通の事業協同組合、それも加入の道が開かれておるわけでありますが、現実の問題としてその必要性があるかどうか。
  50. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 現在の農業協同組合の例を見ますと、ごくわずかな部分においてその必要があるのであります。たとえば輸出のミカンのカン詰を製造をしておる場合、農協のいわゆる共同工場と各経営者の場合と一致の歩調をとるという場合が起っておることは御承知の通りであります。ただいまミカン・カン詰とか、カン詰類の生産等においてその必要を感じております。それからその他の、いわゆる本案では森林組合、水産組合等を規定いたしておりますが、その必要性を現在は認めておりません。ただその必要がある場合に、組合の種類と、その行いますたとえば業種、ミカン・カン詰製造業というふうに、必要に応じて政令で規定していく、こういう考えでございまして、ただいま大きくその必要性というものを認めておりませんが、現実にはただいま申し上げたような状態であります。
  51. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それに関連しての一つの私の疑問でありますが、先ほどの中小企業者でない大企業の場合も同様でありますが、今回のこの法案においては、組合員たる資格を有しない者ですね、今の協同組合もそうでしょうし、それから農業協同組合あるいは大企業もそうであります。そういうものが員外にいて自由なる行動をする、従ってこの組合の使命である調整事業が円滑にかつ的確に行い得ない。その場合に処するために団体交渉といいますか、組合交渉の道が開かれておる。従ってたとえば今御指摘のミカンの組合あるいはその他の大企業、同じ仕事をやる立場のものに対して組合交渉としてこの組合で決定をし、政府の認可を受けて実行するところの調整事業に協力を求める、これに従ってもらうという意味合で、私この組合交渉なり、あるいはそれに基く組合協約ですか、この制度ができておると思うのであります。それが活用されることによって組合員以外のそういうものの協力、それが期待されてくるのです。中小企業の安定が期し得る、こういう建前じゃないかと思うのです。そういう説明も聞いたと思うのであります。そうだとすれば、そういう中小企業者性格の違うものをわざわざ組合員にする道を開かなくても目的を達するのではなかろうか、こういう感じがすることが第一点。  それからそういうものが果して組合員としての資格を持つか持たぬかということは、これはだれがきめるかといえば、組合自身がきめるのです。組合自身がきめれば、反射的に大企業者も、いやあそこではああいう定款をきめたから、おれは何か組合員としての資格ができたのだ、反射的に出てくるのであります。もし組合がきめなければ、それは組合員たる資格がない、そういう点はきわめて私は適正じゃないように思われるのであります。組合のきめ方いかんによって、組合員資格が出てきたり、なかったりする、それはそれでいいといたしましても、そういう面に対してこそ、初めて組合協約、団体交渉、組合交渉、そういうものの意味合いが、価値があるのじゃないか、こう私は実は思って伺ったわけであります。
  52. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 今のお尋ねの、組合員たる資格の問題が一つと、お尋ねの点は二点あると思うのであります。組合員たる資格の問題、いま一点は、組合交渉の相手方の問題、二つになると思うのであります。組合員たる資格考える場合におきましては、いわゆる定款で定める組合員たる資格と同一の業を営むものが対象になると思うのであります。たまたまいわゆるその企業の経営の基礎が違ったり、組合とか個人とか、あるいはその経営の大きさが違うというところから、本来のいわゆる組合員でなく、組合員たる資格としてこれを定款で広げるという必要がある、しかし、あくまでもその行う経済行為と同一の業態に属する場合に限るのであります。組合交渉の場合は、こういうふうな同一業種というふうな考え方の場合も予想されまするが、さらにいわゆる組合の同一業種でない部門に対する組合協力、間接的にその中小企業事業経営に関連する場合、原料のたとえば買い先、あるいは製品の売り先というような場合が、一つの例として考えられるのであります。従いまして、対象が二つの場合において必ずしも一致しておりません。ただ同一業種のやっておる場合で、中小企業者にあらざるものに対して組合の行う調整事業の協力を求める方法として、一つ組合に加入してもらって、定款の定めるところによりまして、それに従って資格をきめ、そうして組合に入って、員内において協力をしてもらうという行き方がありますし、そうでない場合におきましては、組合協約、交渉という形において交渉ができる、こういうようなふうに実は考えておるわけでございます。
  53. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その趣旨はよく承知しておるわけであります。組合交渉にいろいろ種類があることも御指摘通りであります。私のお尋ねしておるのは、組合員と同じ仕事、同一業種の場合ですね、これは一応大企業とか、あるいは性格の違うものは、これは組合員でない建前をとることは普通だと思うのであります。先ほど、そういう道を開くこともけっこうです。けっこうだといたしましても、そういう団体交渉の一つのねらいは、そういう組合員でない同一業種あるいは大企業者とか、そういうものがこの調整規程に従うということを団体交渉は私は期待しておるのであろうと思う。これが団体交渉といいますか、組合協約というものの最も大きな役割の一つだろうと思います。それがあれば、その組合に加入する道を開かなくともいいのじゃないか、こういうことを言ったわけであります。それはそれでけっこうであります。  話が出ましたから、組合協約の点についてお聞きしたいことがあります。団体交渉をする場合に、対象によって方法が変っておるようであります。もちろん組合交渉といいますか、これの性格によりましょうけれども、調整規程に関する交渉、調整規程に関する組合協約というものに一応限定して考える場合に、組合員たる資格を有する者との間に行われる組合交渉なり、組合協約というものは相当慎重な手続がとられておる。たとえば主務大臣の認可を得なければ効果が出ない。ところが、そうじゃない者に対する組合交渉なり、組合協約というものは別段主務大臣の認可とかそういうものの必要がないようでありますが、なぜそういう区別が行われておるのか、ちょっと私理解しかねるのでありますが、御説明をお願いしたい。
  54. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 法案第二十八条の規定は、同一業種でいわゆる中小企業者にあらざる者等々の交渉を中心とするものでございます。その場合におきましては、その調整規程の事業の内容につきまして、内容というよりも調整事業の遂行方に関して同一歩調をとってもらいたいという場合が多々多いのであります。そういうような趣旨におきまして、調整規程の遂行と同様な話がまとまればなりますので、主務大臣の認可を受けさせるということにいたしておるのであります。  それから同一業種にあらざる他のいわゆる組合員たる資格を有しない業者に対する場合におきましては、調整事業の遂行の補完的な意味におきましての協力をお願いする場合が多々多いのであります。そこで各種の事態が予想されますので、そういう場合に一応あらかじめ主務大臣の認可を得るということなしにやっても差しつかえないのではないか、こういうふうな考え方で実は書き分けておる。これが一応手続の慎重さを異にしておる、こういうふうにいたしたわけであります。
  55. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 こういう質問なんでありますが、組合員たる資格を有する……、例をとりますと、大企業者——大きな企業者は組合員たる資格を持つ場合と、持たない場合があるわけであります。それは定款できめれば資格は出るし、もし定款できめない場合これは資格がないのであります。それをどうきめるかはほかに条件がありまするけれども組合の任意であります。従って同一業種の大企業者でも、場合によれば組合員資格ができ、場合によれば組合員資格を持たない場合が出てくるのであります。そうすれば組合員資格を持った場合は、これはお話のように慎重な一つの手続のもとに事柄が処理される。ところが、同じ業種に属していながら組合員資格を持っていない大企業者は事柄が同じであっても、慎重な手続の範囲外におかれる。どうもこれは私は納得がいかないのであります。もしこれ以上御説明がなければそれでもけっこうであります。  それからやはり組合交渉の場合でありますが、調整規程に関連して交渉をする場合に、何といいますか、調整規程ではなしに、その案をもって交渉してもよろしい、その場合において一方は誠意をもって措置をしなければならない責任が出るわけであります。案でなくて、調整規程については、これは主務大臣なり行政庁の認可にかかっている。あるいは公取の審査を得てでき上るのであります。案となりますと、そこまでいかないであります。その案が果して適正なのかどうか、これはわからないわけであります。その案をもって折衝をする場合においても相手方は誠意をもって措置をしなければならない、こういうことになるわけであります。なぜ誠意をもって措置をするのか。私この言葉は法文上相当の意味合いと価値があると思うのであります。それだけにこの場合に限ってその案でよろしいというふうに軽く処理されるその必要が果してあるのかどうか、なぜ調整規程にいかないのか。この点を一つお伺いしたい。
  56. 今井善衛

    説明員(今井善衛君) 第二十九条の四項によりまして、この相手方と組合が交渉する場合におきましては、調整規程じゃなくて、事前に総会の決議を経ました案でもよろしいということになっておりますが、もし調整規程だけで、調整規程が成立しました場合でなければ相手方に交渉できないということになりますと、非常に狭くなると思います。もちろん調整規程は主務大臣の認可も受けておりますので、従いまして非常にまあ内容の確定したはっきりしたものでございますので、調整規程に基いて相手方と交渉する場合には弊害はございません。しかしながら、それのみに限るということは、実際の交渉の必要性からいいまして、非常にまあ場合を狭く限定し過ぎはしないか、組合があらかじめこういうことをやりたい、しかも総会の特別決議によりまして、総会の組合員の多数によりまして、もしこれが相手方と交渉が成立すれば調整規程として実施したいというその程度のコンクリート、具体性を持ちました調整規程の案ならば、交渉を認めても差しつかえないのじゃないか。こういう趣旨で書かれたものであります。
  57. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 調整規程の内容というものは先日来いろいろ御論議のありましたように、きわめて重要な内容を持っているわけであります。中には価格協定のものもありましょうし、生産制限の条項もあるかもわかりません。きわめて重要な事柄であると思うのであります。さればこそ調整規程は大臣その他の行政庁の認可が要る、また公取の審査も必要だ、こうなっているわけであります。その点慎重な手続を得ることは当然のことであろうと思うのであります。しかもその調整規程、調整事業が、いろいろの関連において一面においては大きな企業が、二面においては消費者にも重大な関連がある。その折衝を始めて、しかも相手方は誠意をもってこれに対して措置をするというのでありますから、やはり少くとも国が見て、これは適当だという調整規程を基礎にして折衝が行われて、初めてその相手方も誠意をもってこれに対するということが言い得るのではないか。しかも、組合員資格を持っておる場合においては、これは調整規程に準拠して調整が行われる、それと対比して、片っ方の取扱い方というものは、きわめて私は、おざなりといいますか、軽過ぎると思う。今、今井さんの御説明の、実際上の事情は、これはわからぬわけではない。そういう実際上の事情は、これは実際上処理をすればいい。おそらくそういう調整規程を作る上においては、関連する他の面に対してもあらかじめいろいろ話し合いをするということは、これは現実行われるであろうと思う。二十九条といいますか、ここにいう折衝というものは、これは正式の折衝なんで、これに応諾しなければ誠意を疑われるわけであります。またあとで大臣の方から勧告もあるのであります。大体そういう、まだ大臣としても目を通しておらないような案を基準にしいて折衝が行われて、それに対して勧告をするとかしないとかいうこと自体が、私ふに落ちないのであります。これはやはり、正規の調整規程に基いて折衝をするということであっていいんではないか、むしろそれが当然じゃないか、こう思うのであります。  それから、この誠意をもってそういう折衝にこたえる場合、いろいろ相手方が限定してあります。限定する必要が一体どこにあるのかということであります。たとえば、生活協同組合対象にならない、あるいけ農業協同組合ですかも対象にならない。事業協同組合対象にならない。なぜこういうものを一体除外する必要性があるのか、除外することが一体どういう合理性があるのか。先ほど来論議がありましたように、強制加入までしてやらなければ、その中小企業の安定が保てないという場合に、その調整規程に準拠して、そして同一業種なり、あるいは他の業種の立場の方に協力を求める、その協力を求められたものは、ある範囲のだけは誠意をもってこたえなければならぬ、他のものは誠意をもたなくていいという区別をする理由はどこにある、折衝を受けたものはみな誠意をもって措置していいんじゃないか、こういう感じがしきりにするのでありますけれども、一体その限定した理由はどこにあるのか。
  58. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 二十九条の規定は、いわゆる組合交渉の相手方を規定して、その相手方が正規の交渉を受けた場合に誠意をもってこれに応じなければならぬ、こういうことを規定いたしておるのでございます。同条第一項第四号にございます、いわゆる農業、水産業、消費生活協同組合及びこれらに類するもので政令で定める、こういう問題でございますが、いわゆる生協、水産業、農業協同組合あるいは購買会、こういうようなものを交渉相手にしないことに相なっておるのでありますが、これをなぜこれらのものだけ除いたか、こういうことになるのでございますが、この点は衆議院におきまして修正をしてこちらに回付されたわけでございますが、農業協同組合、水産業協同組合等におきましては、現在のところ組合交渉というような事例が比較的まだ少いのであります。こういうふうに考えております。消費生活協同組合及び購買会との関連におきましては、これは小売商との間にいろいろ問題もあることもまた事実でありまするが、この問題は別の面において消費生活協同組合にはそれぞれの目的、消費生活協同組合法規定する目的の領域がございまするし、たまたまそれの行為と小売商との摩擦面というものが問題に相なりますので、それは別の面で一つ解決するというのが適当ではないか、こういうふうな御趣旨修正されたものと考えておるのであります。私はそういう趣旨において、ここでそれらの問題を解決せずに、別の面において解決することでけっこうだろう、こういうふうに考えております。
  59. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は、あるいは誤解をしておったのかもしれません、二十九条に列挙してあるのは、組合交渉の相手方を限定しておる趣旨でありますか、ただ法文を読みますと、限定のようには読めないのでありまして、こういうものは誠意をもって措置しなければいけないというふうに読めるのであります。それはいいとしまして、およそ交渉する対象というものはいろいろあり得ると思うのであります。ここに列挙したものだけじゃあるまい、特にその中で誠意をもって措置するものはこういうものだ、こういうふうに読んだのでありますが、読み方が間違いならばそれはそれでいいのでありますが、しかし少くとも中小企業組合員たる資格を有する中小企業者ですね、それは中小企業者内部の問題であります。強制加入命令は、昨日もお話がありましたように、なかなか簡単には出ないであろう、従って組合員資格を有する中小企業者というもので、組合員にまだならないものが相当ある、そういうものに対しても、やはり組合交渉、団体交渉ですか、これが当然まず第一に行われるべきものだ、中小企業自体の問題であります。大企業ももちろんでありますが、まず同業者であって中小企業者組合に入ってこないこれらに対して交渉があってしかるべきだ、そういうものは、私はやはり誠意をもって措置すべき当然の立場のものじゃないかと思うのでありますが、大体その中小企業者自体の内部のものは別にしちゃって、対外的のものに非常に重点を置いておるというところに問題があるのじゃないか、かように感ずるのであります。それから初めの問題に関連するのでありますが、調整規程の内容ですね、内容はどの程度具体的なものが規定されるのか、たとえば生産の制限であれば、生産の制限の数量、価格であるならば価格それ自体の具体的なものが調整規程として現われるのか、やはり抽象的な、基準的な方針、規定、こういうものが内容になるのか、その点非常に重要であってあいまいでありますので、一つはっきりしていただきたい。
  60. 川上為治

    説明員川上為治君) 調整規程の内容につきましては、私どもの方としましては、相当具体的なところまでちゃんと作って、しかも総会の承認を経て、そうして交渉させるということにして考えております。
  61. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それから組合交渉に戻るわけでありますが、組合協約ですか、まあ概算といいますか、調整規程に基かない組合交渉、これはもちろんあるわけであります。組合が経済事業をやり得るのでありますから、私の考える第一点は、組合の行う経済事業と調整規程の関連が調整規程においてきめ得るかどうかということであります。言いかえれば、例をあげますれば、調整規程として組合員のたとえば販売するものはこの組合を通じて売るとか、組合員の使う原材料はこの商工組合を通じてのみ購買するとか、これは一つの取引関係の制限であります。そういうことは調整規程の内容になり得るかどうか。
  62. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 御指摘のような場合は調整規程の内容になり得ると思うのです。二十六国会成立いたしました輸出入取引法の改正法律案におきましては、特にその点を追加いたしました。いわゆる一手買い取り、一手販売の機関を通ずるという規定を設けて、そういうふうな形において調整規程の内容たることを得るものと考えております。
  63. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その点私は心配した点でありますが、そうしますると、本来の経済事業、輸出入組合とか、特別の場合は別といたしまして、本来の経済事業、それが商工組合において行われ、半面において統制権能をもって組合員をして自分の組合を通じてでなければ売れない、原材料は自分の組合のみが一手に買うのだ、そういう規定ができ、それが強制的な性格を持ち、しかも員外の者まで強制加入をして、そういう一つの経済的な活動それ自体を制約するということになるのであって、私これはまあ見解の相違もあるかもわかりませんけれども、それは明らかに調整規程の内容というか、そういうことになるであろうと、こう思うのであります。やはりそういう点ははっきりと区別をして、調整規程というものはそういう面に及ばないという考え方が正しいと思います。しかし、これはおそらく見解の相違ということになるかもわかりません、はなはだよろしくないことだと私自身は思います。  それから協同組合法改正に関連するのでありますが、協同組合法においては団体交渉というか、組合交渉、団体協約がまずできるわけです。その場合において、折衝してうまくいかないとかいう場合においては、この不服調停の申し立てができる道が今度の改正でできておるようであります。私この改正は非常に適切な制度であると思うのです。今度も、調整規程に関連しての場合でもけっこうでありますが、相当この団体交渉というか、組合交渉からくるトラブルがあり得るのであります。協同組合にそういう改正ができてそういう道が開かれたとすれば、それ以上に重要性を持っておるこの団体法における組合交渉の場合にも、そういう道があってしかるべきじゃないか。片一方政府は勧告することだけはできますけれども、調整の役割というものはないのであります。そういう道を考えていいじゃないか。なぜ片一方においてはそういう方法ができてこないか、あるいはどこか準用の規程があって解決しているのかもわかりません。
  64. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 梶原さんの先の方の問題でありますが、私は中小企業の、たとえば販売方法の規制、あるいは規格の統一というふうなものを考える場合において、一手買い取り、あるいは一手販売という組織を利用するということが当該調整事業の遂行をより効果的ならしめる場合が多々予想される、従ってその範囲内において認めることは私は必要である、こういうふうな考え方をいたしておるものでありまして、このことが調整事業の乱用になるのだと、こういうふうな考え方は実はいたしておりません。調整事業は当該与えられた不況要件を克服するために必要な諸種の調整事業を行う、その目的達成のために効果的な方法としてそういう一つ方法をとらせるということはやむを得ない事実だというふうに考えておるのであります。それで輸出の場合につきましてはもちろんいいというお話がございましたが、輸出に限りませんで同じような事例というものを予想し得ると思うのであります。  第二点にありまする組合交渉に関連いたしまして、中小企業等協同組合法の一部改正案、これは衆議院修正になったところでございますが、これにおきましてはいわゆる調停委員会、いわゆる行政庁のあっせんまたは調停を行なった場合におきまして、いわゆる調停委員会を設けるという制度を設けておりまするが、商工組合におきまする組合協約におきましては、この調停審議会の制度を準用しておるのであります。これは一方におきましては、いわゆる政府の、主務大臣の監督権というものを与えておりますので、一応その方向で問題は解決されるのじゃないか、こういうふうに考え事業協同組合のいわゆる組合協約に関する問題と、商工組合組合協約に関する問題との扱いを異にいたしておるのでありますが、両方ともそれによりまして目的を達成し得ると思うのであります。お話通り、両者に調停審議会を準用しておるということはないのであります。
  65. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 まあいいですけれども、この商工組合組合交渉にも二つの種類があって、小笠さんお話しのように調整規程に基くものが一つと、それから経済事業をやる面において普通の意味の団体交渉、組合交渉というものはこれはあり得るのであります。従って普通の意味での組合交渉の場合においては、これは協同組合の団体交渉と同じなので、何ら私相違はないと思う。別にその面で調停とかそういうものでなくたって、それはそれでけっこうでありますが、片手落ちであるということは、これは免れないのであります。  それからついでですからお伺いしたいのでありますが、この調整規程に基く組合交渉と、調整規程に基かない組合交渉、その限界がはなはだあいまいだと思う。何かそこに一つの目安がつくのですかどうですか。
  66. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 商工組合の行いまする組合交渉というものは、調整事業に関連して行う場合でありまして、調整規程に規定しておる問題を特に交渉する場合と、これに関連する場合、この二つになると思うのでありますが、限界が明確になるというふうな点につきましては、一応の限界は引き得ると考えますが、不明確なボーダーラインというような場合は一応考えられる、こういうふうに思います。
  67. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 おそらく実際上は政務次官の言われる通り相当不明確な面が出てくると思います。しかしこれを運用する上においては相当その限界をはっきりしてかかることが非常に大事じゃないかと思います。特に調整規程それ自体に基くものと、それに関連するものと、それからもう一つその調整規程に関係のない、しかも実際上関係のある面と、三つの種類が制度的に出てくるわけであります。そういう点は相当明確にしてかかられることが円滑に実行する上においてはきわめて大事なことではないかと思います。
  68. 古池信三

    ○古池信三君 関連して。ただいまの組合交渉の問題でありますが、一点だけお尋ねをしたいと思います。その第二十九条の列挙されたその各号の一に該当するものが組合協約の締結の交渉の申し出を受けた場合に「正当な理由がない限りその交渉に応じなければならない。」というふうに修正されてきておるのであります。この場合に「正当な理由」とは何か、どういうことを考えておられますか、それについてお尋ねいたします。
  69. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) これは読んで字の通り、義務応諾の条項と申しまして、とにかくここに制限列挙されております相手方はとにかく応諾しなければならない、応諾しなくていいときはよほどの理由がなければならないもの、よほどの理由たるやこれはだれが見ても正当な理由でなければならぬ、こんなようなことを考えております。そこで、ただいま小笠政務次官からもこの第四号の中に特にカッコの中で義務応諾の相手方として除外しておる団体、これはどういうわけかという梶原先生の御質問に答えられておったのでありますが、みなこれらの団体はそれぞれ別個に使命と性格を持っておりまして、そしてまたこの協同組織が指向いたしておりまする一個のまた目的を持っておるわけであります。そういう大目的を持って現に運行しておりまするこれらの協同組織に対して、この新しい法律によって組合交渉の応諾方を義務づけるということは、今まで他の法律によってその活動が特に支持されている形のものに対して一つのブレーキをかけるような形になりやしないか、従いましてこれらの団体の経済活動現状にかんがみまして今そのブレーキをかけるべきでないであろう、義務づけるべき段階ではないであろう、こういう意味でことさらに除外規定を設けたのでございます。さよう御了承願いたいと思います。
  70. 古池信三

    ○古池信三君 立法に当って申請をされました、その理由については私も了承できますけれど、しかし法文に「正当な理由」と記載されまして、正当な理由があればその交渉には応じなくてもよろしいと、こういうことになっている。ただ読んで字のごとくでは少しこれはあいまいでありまして、立案者としてはいろいろな場合を予想されて「正当な理由」という文言を入れられたものと考えられますので、もう少し具体的な例をあげて正当な理由について御説明を願いたいと思います。
  71. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) これは申し上げるならば、とにかくその交渉に原則として応じなければならぬと、こういうような工合に読み切っていただきたいと思うのであります。しかしながら、たとえば組合協約を申し込まれて参りましたときに、もうすでに年末であって仕事を休んでしまっておるとか、あるいは年初であって交渉しようにも資料を集めることができないとか、こういうような場合もありましょうし、あるいはここに制限列挙されておりまするその資格条件に変更を来たしたような場合もあるでありましょうし、いろいろな場合があると思うのです。それは万人がこれを見て、ひとしくそれはもっともだと、こういう場合以外はここに定められておりまする方々はその組合交渉の申し出に対してはことごとく応諾しなければならない。よほどのことでなければ避けることはできない。よほどのことは今申し上げたようなことであります。
  72. 古池信三

    ○古池信三君 御趣旨はよく私も了解はするのですが、ただもう一ぺん確かめておきたいことは、この相手方が正当な理由があるからと言って応諾をしないと、これに対して商工組合の代表者は、いやそれは正当な理由にならないから応諾せよと、こういう紛争が起る可能性があると思うのです。そういう場合に、一体だれが正当な理由であると判定するのか。この交渉の相手方の方が判定をして権威があるものになるのか、あるいは申し込んだ方が、それは正当な理由とは認めないといって主張した場合にはそれが認められるのか。当然そういう紛争が起ると思いますので、先ほどの梶原さんの御質問に関連して、そういう場合にはいかに処置するのか、それをお尋ねしたいと思います。
  73. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) この法律の制定に伴いまして中小企業調停審議会が中央、地方に持たれるわけであります。ただいま梶原先生の御質問の中にも、普通の協同組合に対する組合交渉については、これは知事に申し出ができまして、知事があっせんを開始いたしまして、あっせん案を提示いたしまして、まとまらないときにはこれを公開告示して世論の批判に訴えるとか、いろいろな手続規定があるわけでありますが、今御指摘になりました通り、この商工組合においてはそういう明確なる手続の段階が規定されてはおりません。しかし三十条の中で、大臣がその勧告を行うことができるわけでございまして、結局そういうような事柄は、大臣に申し出を行い、大臣がこの調停審議会に諮問を発しまして、この調停の審議会が公正なる第三者としてこれを検討いたしまして、まあ最終的には正当か、それが不当か、そういう判断が出てくるものと考えております。
  74. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 関連して。この二十九条の第一項の第四、ただいま御説明がありましたが、農業協同組合、水産業協同組合、その次に消費生活協同組合等を衆議院の共同修正によって除かれておりますが、一応の御説明は聞いたのでございますけれども、私の考えを率直に申し上げますと、商業関係、各商店でこの組織法に、団体法に期待しておるところは非常に大きいように思われますが、小売業の内部の問題は別としまして、小売業の敵といいますか、相手方というのは、大きく分けますと、一つには百貨店がある、一つにはここにいう生活協同組合がある。もちろん生活協同組合の使命というものは非常に貴重でございまして、これが正しい発展は望まなければなりませんけれども、しかし今回のこの団体法でこれを除いておるということは、非常にこれは手落ちじゃないか、百貨店の方に対しては組合交渉ができるのに、生活協同組合、これは非常な販売量を持っておる。これに対して除外を設けておるという点が、どうもはっきり了解ができないのでございまして、いま一度御説明を願いたいと思います。
  75. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 消費生活者に、消費生活をできるだけ安全なものにしていかなければならないということについては、ひとしく異論のないところと存ずるのでありますが、そのためにできておりまするこの消費生活協同組合法が、その組合運動の実践を通じまして、なお、かつ、わが国においては初期的な段階にあるとわれわれは認識をいたしておるのでございます。たとえばイギリスなんかにおきましては、消費生活協同組合の大デパートが建設され、あるいはまたデンマークその他におきましては、この消費生活協同組合によって、消費生活者の相当部分の消費生活がまかなわれておる事例等もあるのでございます。こういうような諸外国の実例等を勘案いたしまして、わが国の消費生活協同組合運動は、なお、かつ、後進性を認めなければなりませんし、さればこそ、いろいろな施策を通じて、これを助長育成しなければならぬ、言うならば、なお保育を要すべき種苗的な状態にある、こういう工合に考えまして、言うならば、その弱いものを相手にして、団体交渉によってこれをさまざまに痛めつけるというのは、実態に沿わないではないであろうか、こういうようなところから、これは今のところはそういう状態だから、やはり消費生活協同組合法に定められておる消費生活者を保護していく、こういう精神から、この際は、とにかくこれを応諾義務から除外することがよろしかろう、こういう結論に達した次第でございます。
  76. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、日本の特殊事情から考えますと、人口が非常に多くて、これらの人がいく職業には、やはり小売業というものが、自然に人口問題から必要になってくる、そういう状況から考えますと、これを全部許可営業のごときものにすれば、小売業の安定ということは期せられますけれども、憲法のいわゆる営業の自由というところからいうと、小売業というものがどんどんふえてくるわけであります。そうなって参りますと、デンマークとかその他の国における消費組合の問題は、その国の国情に応じて私は発展しているんだと思いますが、日本においても、それがまあ消費組合の使命というものはあると思います。しかし国全体のこの小売業というものを、真に安定させ、発展させようとするには、どちらに重点を置いていくのがいいかというふうに考えますと、今、春日先生は、育成中の消費組合は非常に弱いというお言葉がございましたけれども、小売業の方はなお弱いのじゃないか。私が申します小売業というのは、大きな資本のものじゃございませんで、いわゆる子組合に該当するような方々のことを申し上げておるのでありますが、そういう人が営業をやっていくには、どうしても片方に百貨店があれば、片方に生協というものが相手方になるのが正しい姿ではないかと思うわけなんでございまして、決してその生活協同組合が悪いとか何とかいう考えはないのでございますけれども、交渉の一応の相手方にするぐらいのことはしなければ、小売業の保護はできないんじゃないかという懸念が感ぜられるわけでございまして、その点に対する日本の実際の小売の現状からして、どうお考えになっておるか、その点をお願いいたします。
  77. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) ただいま青柳先生の御意見を裏返しにいたしますと、たとえば小売商を保護するためには、この際この段階において、生活協同組合と団体交渉をさして、そうして消費生活協同組合をして、その活動をある程度制限をするにあらざれば、小売商が保護できないじゃないか、こういうような裏返しの反論もなし得ると考えるわけであります。私どもの小売商に対する理解が何であるかは、衆議院に現在わが党から出しております商業調整法をごらん願いますと、よくわかるのでありますが、わが党は、大胆に小売商をこのように規定いたしております。それは消費生活者に消費物資を供給する機関として、小売店があり、百貨店がある、生協があり、職域購買会があり、市場があり、さまざまな小売機関がございます。けれども、北海道から九州まで、わが国の九千万の消費生活者が、どこから最も多く品物を買っておりますかと申しますと、それは統計によりますと、九〇何パーセントは、ことごとく小売商からお買いになっておる。この実績から考えまして、私たちは、小売商こそは消費生活者に消費物資を供給するの本来の任務を背負っておる正当な、いわば国家的な機関である、こういうふうに大まかに分析いたしまして、そこで小売屋さんが小売をやればやっていける体制の確立、小売屋さんが小売をやろうとしての障害になる面の排除、そのためにこの商業調整法を作りました。そこで、今御指摘になりましたように、百貨店がどんどんとできて参りまして、これが小売商を圧迫しておりまするから、あの百貨店法について抜けております点を補完するためのこれまた改正案を出しておりまするし、その他市場関係で、これも百貨店と同じように、これが乱立をすることによって小売商を圧迫をいたしておりまするから、これまた公設市場、私設市場が、今までのように自由に乱立することができませんように、私設市場については、これは五大市については市長の許可認可、公設市場については通産大臣の許可認可、こういう工合にそういうものの乱立を防止いたしておるわけであります。そういうようなさまざまな小売商の保護の立法を行うことによりまして、別途にも、ただいま申し上げましたように、小売商を保護するところの施策というものがたくさんあるし、そのことごとくがいまだなされてはおりません。そういうような段階において、今生活協同組合だけを対象に、しかもその生活協同組合たるや、今まさに伸びていかんとする小さな苗にしかすぎません。百貨店が抜け穴だらけである、市場もどんどん乱立しておる、こういう状態をほうっておいて、今この弱い生協だけを交渉相手にして、このときにさまざまなブレーキをかけたり、くつわをはめたりすることは、今の段階としてはいかがなものであろうか、こういうことでありまして、かつはこの諸外国の実例等をも勘案いたしまして、今この際こういう策をとるべきではない、こういうことで義務応諾の相手方からこれを削除いたしたわけでございます。
  78. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 簡単にいま一言申し上げますが、私は生活協同組合が、正しい運営のもとに発展することはけっこうだと思いますが、ただ日本全国のこの全体の統計は、今、春日先生のおっしゃったような、わずかなものかもしれませんが、局部的に見ると、非常にこれが発展といいますか、小売商を圧迫しておるような事例も耳にしておりますので、小売商といいますか、この中小企業、ことに商業者の非常な期待を持っておるこの団体法成立させるには、その点もよく考慮して、この期待を裏切らないようにすることが必要じゃないか、こういう意味で申し上げたのでありまして、生活協同組合等は、一面におきましてはいろいろの特典を受けておるのでございます。しかるに小売商というようなものは、全然特別な恩典もなしにおる。むしろ非常に弱体である。生活協同組合は、まあ消費者の合理的な団体でございますからけっこうでありますけれども、これがまあ線を逸脱すると一つの営業的なものになりまして、かえって小売業を圧迫するというような面が出てくると、むしろ弊害が多くなるんじゃないか、かように思いまするので、せっかくこの法案に対して非常な期待を持っている中小業者——日本に非常に多いこういう方面に対して、十分一つ御考慮を願っていきたい、こういう趣旨で申し上げているわけでございます。
  79. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 この団体交渉というものは、一般には何と申しますか、労働組合における団体交渉のように、一つの強力な団体のプレッシャーを相手方にかけるというふうに、まあそういう響きを一般に与えていることは事実であります。しかし、必ずしもそうじゃないのじゃないかと私は思うのであります。そういう面もある。しからざる面もある。で、そういう面がどこによって規制されるかというと、結局この調整規程自体に私は基いてくると思う。調整規程というものが、その業界において、その業界の何といいますか、不況を克服して安定するという実態の上に、一つの調整事業というものが仕組まれるのである。その調整事業を基礎にして交渉が行われる筋合いのものなんです。そうだとすれば、私は生活協同組合にしても、他の農協にしても、それぞれの特別の性格を持ち、特別の構成を基礎にし、特別な役割を持っていることは、これはもう疑問の余地がないのであります。しかしながら、そういう事態に処しての臨時的な特別の措置というふうに考えれば、これはまたおのずからそれらの特殊な団体としても、協調し、協力し得る余地も私はあり得るであろうと思う。で、そういうのを一応の交渉の上に乗っけて、そうして話し合いをする。協力すべき点があれば協力する。性格上協力し得ない点があれば、これはもうはっきりした正当の理由であってお断わりする。そこにもつれがあれば、行政官庁が一つさばいていくということは当然あってもいいのではないか。こういう立法をする以上は当然それがあってもいいのではないか、こう実は考えて、先ほども質問したわけであります。従って本来から言えば、生活協同組合なり、他の団体の特殊の性格、これはそれとして伸ばしていかなければならぬことは当然であります。しかしながら、調整事業の中で当然協力し得るようなものも私は少くあるまいと思う。そういう意味でこの修正についてはいささか疑問を持つわけであります。  それからこれはちょっと春日さんにお伺いしたいのでありますが、先ほどの正当な理由の点であります。この修正の意味合いなり、趣旨は私はよく理解するのでありますが、先ほども申しました、「この案を示して」という場合であります。これは、かりに生協なり、他の農業協同組合にしましても、あるいは大企業にしても、誠意をもって一つ交渉に応じようという場合に——これは総会の決議を得たかもしれないけれども政府自体はまだどういうふうにきめられるかわからない。また安定審議会ですか、審議会にもかかるのでしょう。そこでいろいろ協調をやったりやって、きまっていく。その結果を待って一つ交渉に応じようということはむしろ常識的であって、まだその世の中の批判を受けないいわゆる案で、話があってもちょっと困ります、お断わりするということは、一応正当の理由のように思いますけれども春日さん、だめでしょうか。
  80. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) それはまことにどうも何ですけれども、これは御承知の通りこの総会の承認を得たり、ただ漫然とこの交渉を申し込んでいけば、法律によって応諾方を義務づけておるほどの、法律による拘束力があることでありますから、従いましてその提示すべき案というものは、提示すべき案件というものは、やはり調整規程としての権威を有するものか、あるいはそれに準ずる案と、まあこういうことでございます。で、そういうわけでございまして、少くともまずこのことは商工組合が設立した後のことでございますから、設立をするということは不況要件があるわけですね。不況要件が厳存しますから、それを克服するために組合ができるのですから、調整規程はこれは同時並行的にできていくものだと存ずるわけでございます。従いましてこういうような場合は正面に出て参りまするものは調整規程であり、さらにプラスその案という場合もありましょう。で、やはりそういうような、いわば一体不可分で、調整規程だけではなく、さらにその精神から一歩前進した案が出て参る場合もあり得ると、こう予想いたしまして、特にこの案でも、それは拒否することのまあ理由にはならないと、まあこういう工合に理解をいたしておるのでございます。
  81. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 議論をするつもりはありませんけれども、調整規程を根拠にして、それから一歩前進する案であれば、お説の通りきわめてけっこうであります。ところが、この法案が調整規程に至る手前の案だと思って、そこにまあ問題があり得るということを申したのでありますが、おそらくこの相手方の立場から言えば、一つの正式の規程ができた上で御相談いたしましょう——これは私春日さんの修正されたこの正当な理由にまさしく該当すると、かように考えて申し上げたわけであります。同じ条文の中に、ちょっと何といいますか、ぶつかることになりまして、一般の者ははなはだ当惑をするわけであります。後日また御検討をお願いしたいと存じます。  それからこの団体の性格にやはり関連するあれでありますが、この商工組合国家行政事務の一端をになうことになるわけであります、になるのです。それはどういうふうな行政事務をこの団体にまかせるのかどうか、一つ具体的にお示しを願いたい。
  82. 今井善衛

    説明員(今井善衛君) ただいまの御質問は、六十四条事務の処理に関連する御質問だと思いますが、この法律によりまして、第五十六条、第五十七条によりまして、アウトサイダーがおって、その活動が業界に非常な混乱をもたらしておるという場合、しかもこの組合自体に自主的統制能力がないために、強制加入の対象にはならないという場合におきましては、国が直接服従命令をこの当該業界の全員に対して出すという建前になっております。その際におきまして、組合は、ある意味におきまして、国から一種の行政事務を委託されたという形になるわけでございます。で、その際に、国がたとえば設備の登録なり、あるいは個々の事業者に対する数量の割当なり、責任を持って下々まで見ていくということは、非常に困難でございますので、従いまして六十四条によりまして、この一定の基準に基きまして、それよりこまかい具体的な事務は組合にまかせる、こういうふうなことになっているわけでございます。そこでこの五十六条、五十七条におきましてそれぞれ服従命令は省令によって出すことになっておりますけれども、その省令の基本となるべきことはまず政令で定める。その際に、たとえば生産割当につきましては一定の基準を設けなければならない。その基準を設けるに当りまして、たとえば特に零細企業法というふうな意味合いからいたしまして、何と申しますか、人頭割と申しますか、零細企業が仕事をしていけるための最低必要限度を設けなければならぬというふうに、国が政令によりまして一定の基準を設けていくわけでございますが、それに基きまして省令が出る。省令というのは、先ほど話がありましたように、非常に具体的なものが出るわけでございます。全体の生産数量がきまるし、それから一定の計算方式によりまして個々の割当がきまっていくというようなことになるわけでございます。この個々の具体的の割当を計算しなければならぬわけでございますが、それは全部、たとえば組合にまかせる、あるいは設備の登録という場合に登録商標を張るというようなことは、これは全部組合にまかせる。そういうふうな範囲内において事務の委任というものが行われることになるわけでございます。
  83. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 五十六条なり、五十七条は部長お話のように、その組合自体が、言いかえれば調整事業を円滑に遂行し得るだけの力がないといいますか、能力がないという、そういう事態においてやむを得ずというか、国自体か直接全員に対する規制命令を出す、そういうことであろうと思います。ところで、その基準は一応政府自体がきめる。しかしその基準に基いて現実に各個の多数の業者に割当数量をきめていくとかいうふうな事柄自体は、そのさまつな事柄自体が私は各個の業者にとっては重要なことなんです。死命を制せられることなんです。そういうことが団体に、そういう当然国が持つべき大事な権能を便宜やらす、どうも行政庁にはそれだけの余裕がないということははなはだこれをやる以上は無責任のように思われるのであります。実際上商工組合の能力なり人員を活用せられることは、これは当然のことであろうと思います。どういう調査をさすとか、いろいろと計画の、何と申しますか、案を作成さすとか、こういうことはけっこうでありまして、やはり大事な個々の業者にとっては死活に関することなんでありますから、国なり、行政庁自体の責任において当然やるのが筋道じゃないか、こう考えられるのですけれども、やはり組合にやらせなければ間に合わない、こういうことでしょうか。
  84. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) この六十四条の規定の場合に組合に委任し得る範囲というのは、申すまでもなく、いわゆる非常に事務的な……新しく意思決定をするような問題は政府においてやる。それの施行上の事務的な手続、一種の手足として使っていこう、こういう考え方でございます。御承知の通り、五十六条命令が出た場合は、いわゆる解釈の相違はございましょうが、五十六条命令は政府命令であります。政府命令でありまするから、一切の末端の事務まで政府責任を負ってやるべきものが私は建前だと思います。安定法第二十九条ないし第二十九条の二の命令にしても私は同じだと思います。ところが現実にはいろいろな組合の機能を便宜使っておる。こういう形に相なっておるのでありまして、それははっきりと秩序をただしていく、組合員の、いわゆる営業の基本に関するような重要なものはあくまでも政府責任においてきめ、かつ事務的な、手足的な作業をいわゆる組合にやらしていく、こういう形が、制度が筋が通っている。こういうような趣旨でこれをおいたのでありまして、率直に申しますと、現在安定法等によってやっているのはこの道が明確でないというふうなきらいがあるのであります。お話しのように、組合員の個々の経営の利害に関するものに対して自由裁量の余地を与えるような事項について組合に委任するということはございません。あくまで手足的なことでやっていく、こういう考え方であります。
  85. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 御説明それ自体はそれでけっこうなんであります。問題は、事務的、事務的と言われるけれども、その事務的の内容がきわめて重要な内容をときに持っているということであります。そういう事務的なことであれば、昨日もお話しがありました府県庁にも相当の職員がいるわけなんです。通産省の出先もあるわけなんです。便宜実際上そういう人を使って事務的であってもその責任は官庁なり、行政庁自体が持つということにすっきりすることが必要じゃないか。安定法自体においてこの点が不明確であったというのは、本来政府自体が、行政庁自体の責任においてやるべきことを、何といいますか、便宜やらすことかいうことはおそらく原因があったんじゃないか。むしろこういう点を政府がはっきり責任をもって事務的なことまでやる、実際上お使いになることはけっこうなんでありますが、行政権能というものを事務的だから、軽易だからということで、公務員じゃない第三者にまかせるということはどうも納得ができないということを申し上げたわけであります。
  86. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) お話の点はわからないでもないのでありますが、ここに命令の事務の一部をやらせる、こう書いてありますので、御趣旨の点は十分に頭に置いて命令の施行等において考えて参りたい、こう考えております。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 時間がないようですから……。午前中の調整規程の価格に関連して、この申請があったときに、あなたの方では業者実態調査をする、そうしてこの業者のその当時の業績が安定しているか、不安定であるか、不健全であるか、健全であるかを調査するわけですね。その場合の実はあなたの方のこういう形のものが安定なんだ、こういう形のものが健康なんだというこの尺度が聞きたいのであります。理屈になりますけれどもね。その中小企業の安定という、その内容は、たとえば利益率をどのくらいに見ておるとか、取引条件において一体どの程度の延べ取引を一体中心に考えておるとか、それから従業員の給料は一体どの程度が妥当であるかということがそれぞれあなたの方の手持ちがなければいかぬわけです。だから一つ中小企業安定というものの経営の健全というものに対してリソースをあなたの方で持っておって、それを尺度にして検討するのか、それとも現在の中小企業の非常に安い給料で、非常に安い利益率でそうしてやっておると、それをそのままを基準にしていくのか、ここらのところは一体どうなんですか。
  88. 川上為治

    説明員川上為治君) これは業種、業態によって非常に違ってきますが、たとえば繊維の機屋なら機屋につきましてそういう問題が起きまして、どうしても価格の協定を、これを申請して参りまして調査するという場合におきましては、これは従来私どもの方におきましても原局の繊維局というものがあるわけでありますが、繊維局におきまして常時いろんな調査もしておりますので、そういう調査だけではこれはとても十分ではないと思いますが、やはり基準につきましてはそういう今までの調査を参考にいたしますし、また業界からいろんな調査を、いろんな資料を報告させるわけなんですが、そういう報告もできましてその上でさらに業者のところへ行きましてそして検査をする、調査をするというようなことをいたしまして、そういう上で私の方で大体どういうようなところが適当ではなかろうかというふうに考えまして、そしてそれを一案としてこれは安定の基準等につきましては安定審議会等におきましてここで一応検討するということになっておりますから、その審議会にも諮りまして、そしてまあ十分な価格協定についての一つの安定を作っていきたいというふうに考えておるわけでありまして、最初から原局の方でこういうものが最も妥当な案ということは、これはまあなかなか出せないのじゃないかというふうに考えるわけであります。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 非常にむずかしい注文かもしれませんけれども、しかし一定のあなたの方で基準、ものさしを持っておりませんと、人によってそのものさしが伸び縮みがあるということは、これは非常に民間にとっては不安なことなんですよ。私は言葉をかえて申しますと、現在でも国が価格をきめておるマル公の物資もありますね。それから価格を指示しておるものがありますね。要するに国が流通価格につきまして直接、間接に指導、監督しておるものがありますね。そういう価格をきめる場合に、一つのものさしをもってきめておりますね。利益率は幾らであるとか、取引条件はどうであるとかきめているでしょう。そういうものをとってもって、これからものさしにして行政を行なっていくのか、そうでなくて、今あなたのおっしゃるように、貧困な生活で、安い月給で働いておる、今までこれでやっておるのだから、お前たちはこれでがまんしろ、今まで非常に有利な条件で取引をしておる、有利だけれども、その有利の中にもこのごろは利益が下った、それであなたの方に持っていった、そういう場合に今までの有利な条件をそのままものさしにするということじゃ私は非常に不公平だと思う。そういうこと自体が、そこらがはっきりしていないから私は小売り物価に非常に影響が起ってきて、消費者に迷惑をかけるのじゃないかという心配をするわけでありまして、ぴしっと一つのものさしがなくちゃいかぬ、むずかしいことですよ。むずかしいことだとはわかります。わかりますけれども、何かむずかしいといっても全然持たないで、出たとこ勝負で、ぶつかったところでやられたのじゃたまったものでない。あなたのような公平な人ばっかりおればいいけれども、中には好きな人には甘く見てやって、あのやつは虫が好かぬから辛くやってしてやれということにならざるを得ないのです。そこで何かものさしがあるだろうと思う。マル公を決定するときに政府は協定した基準がありますね、たとえばたばこの価格、塩の価格その他そういうものが大体基準になれば一番公平だと思うのですが、そういうふうにはいかないのですか。
  90. 川上為治

    説明員川上為治君) 私は午前中にも申し上げましたが、価格協定については、よくよくの場合でなければ認めないし、また要求もしてこないだろう、しかしながらいよいよ出て参りましたときは、これは私の方でも、物価庁時代の係数に詳しい者もおりますし、通産省自体においても原局にはそういう者もたくさんおりますので、その所管の物資についてやはりどういうところが大体適当な価格であるかということは、一応その原価計算を作ってみまして、その上でさらにまた業界のいろいろな資料を集め、また同時に報告も聞き、あるいはまた検査もいたしまして、最も妥当な線を作っていく、しかもこれは安定審議会なり、あるいは公取の同意を得るというようないろいろな手数をかけてやることになっておりますから、そういうところを経て参りますれば、おそらく私はそう心配のない価格が制定されるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。今、先生のおっしやいました、何か基準をやはりそういう場合においては作って、その基準にはめるようにやはりすべきではないかという点につきましては、実際問題としてわれわれとしてはそういう措置をとりたいというふうに考えております。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 何か私の話に賛成されたような、またそうでないような……、原価計算をされるのでしょう、その原価計算のやり方を聞いているのですよ、私は。経費を幾ら見る、利益を幾ら見る、こういう原価計算の一つの前提条件があるのでしょう、それを聞いている。それがなくて、そのときどきによって原価計算のやり方が変ったらたまらない、こういうことを言っている。それは公取とか審議会とか、そんなことを聞いているのじゃない、あなたが今度やるのだから、あなたの手元でどういうことをやるかいうことを聞いている。当然原価計算をやるのですが、利益率を、一体基準を幾らに見る、賃金や経費をどういうふうに見るかという一つの基準があるのでしょう、それがなければ私はおかしいと思う。それを実態あるそのままを基準にして、どこまでそれを伸び縮みさしていくのかどうか。それならば、来国会に賃金法を出すことになっているが、安い賃金で働いているところはそのままにして……、賃金も、一つの基準のところに賃金を安定させる、こういうのでしょう。こういう問題もすでに出ておりますから、原価計算のやり方を、一体何か基礎があるかないかということです。
  92. 川上為治

    説明員川上為治君) 今ここに原価計算の基礎を私の方では用意はいたしておりませんが、そこでこの法律成立を見まして、これを実行するという場合におきましては、やはり今おっしゃいましたようなそういう基準というものをはっきり作って、その基準に原価計算というものをどのように具体的に当てはめていくかということを考えてやることになると思います。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 なると思いますではなくて、大臣から一つ伺いたい。私は今ここですぐということを言いませんが、一つのものさしを持たなければならぬと思う。このものさしを作るのか作らぬのか。今川上さんのお話では作るようになると思います。これは絶対必要条件だと思う。これは私はきょうここですぐにどういうものさしを使うかということを聞いているのじゃない。ものさしを作るか作らないかということを、作りますならば作りますということをお答え願いたいと思います。
  94. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) この基準につきましては、おそらく私は安定審議会なりが一応のものさしを、いろいろな問題として審議を経てこしらえていかなければならぬと思います。もちろん原価計算につきましても、ただいまお話のように官庁関係ではいろいろな原価計算の要綱とかいろいろなものがあります。それらも参照して、最も合理的な基準を設けていかなければならぬということは、十分考えております。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、これは当然のことでありますけれども、賃金関係におきまして中小企業従業員の俸給等につきましても、一つの基準ができる以上は、だんだんその時を経るに従って一本化される、こういう傾向にはなるわけであるし、またそういうことを政府は期待しているわけですね、そういうことになりますね。
  96. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 賃金につきましても、もちろん地域によって違いますが、あるいはだんだん何段階かに分けて、そこに事業によっていろいろな基準を考えていかなければならぬ、かように考えております。
  97. 岡三郎

    ○岡三郎君 少しばかり聞きたいのだがね。先ほどまあわが党の委員の方に対して、特に消費協同組合に対して質問があったわけですが、そのときに、今回はこの面からこれをはずすと言っておりますが、先ほどの小笠政務次官の意見だと、別の面においてこれは解決したいと言っておるわけですが、それは小売商業特別措置法をさしておるのかどうか。その点を一つお聞きしたいと思う。
  98. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 私は小売商業部門におきまして、小売商業者、中小小売商業者と生活協同組合あるいは購買会との間に、地域的な、場所によりましては摩擦があるという事実を率直に認めておるものであります。で、問題をどういうふうな形において、それぞれの立場を尊重しながら調整するか、こういう問題が残されております。そういうような問題があるので、この中小企業団体法の、団体交渉の面で解決をはかるということも、いろいろな事情でできなかったのであります。その問題の解決は、他の面で考えていくという考え方をいたしたのでありますが、その具体的な例として、目下政府提出、衆議院に継続審議になっておりまする小売商業特別措置法案にも、消費生活協同組合及び購買会の員外販売に関する規制の規定がございます。これも員外販売に関する問題として、その審議に当って私はいろいろと議論を詰めていったらいいと思います。  もう一つの問題は、小売商業特別措置法案におきましては、これら生協等の員外販売だけの問題を取り扱っておるようでありますが、生協との関連においては、さらに販売方法等の問題のトラブルが起っておる地域もございます。で、そういう問題をどう扱う、どういうふうに調整するか、こういう問題は、少くとも他の面と申しましたのは、私は団体法においてそういう問題を取り扱わず、他の団体法以外の面において、これを、問題を取り上げていく。いわゆる相談をしていく、こういうふうにしたらいい、こういう意味で申し上げたのでありまして、他の面とは、小売商業特別措置法案だけをさしておるわけではございません。今申し上げましたように、少くともこの団体法においてこの問題を、いろいろな、まあ両党の話し合いによりまして、この際この団体法からは生協の問題を避けていこう、こういうところにおきまりになりましたので、そういうふうにしたらどうか、こういうふうな趣旨で申し上げたのであります。
  99. 岡三郎

    ○岡三郎君 先ほどの春日議員答弁だというと、われわれも納得するのですが、結局この環境衛生に関する法律案が通って、まあこの法律については強制加入というものがはずされておる。ところが団体法に関してはこの強制加入が出てきて、これで両党は大体一致したといっておりますが、後続部隊として出てくる小売商業特別措置法というやつになると、今度はずされたものが、大体全面的とはいわないけれども対象物として登場してくる。ある部分だけの接合点だけは一致しているが、双方においてなかなか一貫した態勢というものになっておらぬと思う。そういうふうな点でわれわれとしては、こういうふうな関係法案というものを一体として十分に検討するということでなければ、筋の通った話にならぬじゃないか、それを環境衛生法案は一生懸命に参議院で審議して修正したが、衆議院においては元へ戻っちゃって、丸呑みにしちゃって、そうして今度は中小企業団体法にきたら、これは団体強制加盟だ、これは認証の問題がありますが、それは幾分微弱に直されたと思いますが、ところが、今度はわが党の調整法ならばいいのだが、小売商業特別措置法が出てくると、またはずされたものが半分くらいなわをかけられている。こういうふうなことを考えるから、われわれとしてはこのこま切れ審議はごめんだというので、危いところはずっと先国会において、環境衛生に関する営業の適正とか何とかいう法律を十分に審議をしたわけです。それが向うへいくとみんな引っ繰り返っちゃって元のもくあみできているんだから私は信用ならぬというのではないけれども、どうも分断審議という形が非常にあるんですが、そういうふうな点について十分検討して今後いきたいと思うんですが、それは一つとして、私はやはり現状においてはですね、一般の流通経済全体をいって中間マージンが多過ぎると思う。この中間マージンが多いということからいろいろと、一業者はあるいは乱売といい、あるいはある業者は抵当に取ったものを安くやっていろいろと業者を困らしておるといいますが、結局中間マージンが多い。特にその例としては電気器具なんかが指摘されておると思う。そういうふうな点で、もう少し安いものがほしいと、こういうところで消費者の方から言えば生協とかその他、でき得る限り工場と直結して消費者のもとに入らなければ困るじゃないかという意見はこれは私は当然だと思う。もう一面において牛乳の問題にしても、これはちょっと違いますけれども、中間マージンが非常に多過ぎる。そうして生産者の方は非常に困らして、消費者の方も困らしておる、こういうふうなことも言われておるわけですが、そういうふうな面で、通産政策として私は小売商人が繁栄していくということについては大いに賛成するけれども、零細なる国民、零細なる小市民ですよ、こういったものがどれだけ困っておるかという実態、生活の実態から見てですよ、何といっても商売しているものは、困るには困っても、この人たちよりももっと最下層の国民というものがあるということをお考え願わなければならぬと私は思う。もっと最下層のいわゆる消費者というものがある。これは商売をするにしても商売もできぬ、そういういわゆる勤労者というものがうんとあると思うんですよ、そういう部面に対して、ほんとうの適正なる価格でやるというならばいいですよ、いいですが、これは話がちょっとできますが、たとえばふろ屋の例にしても石炭がうんと安くなった、暴落した、石炭の株なんというものは買うやつはいなくなった、こういうときにはふろ屋だとか、そういうところはぬくぬくとして一言も言わないんですよ、燃料が安くなったからふろ賃を少し下げましょう、こういうことを少しも言わないで、そのときにはしこたまもうけておいて、時期至るというと、石炭が高くなったからどうだこうだ、へちまを言うわけだ、消費者の方から言わせれば、いいときはだまっていて少し何か条件が出てくるとこうだ、こういうふうな形でやられることに非常に困っておるわけです。そういうふうな点で私は今指摘したいのは環境衛生に関する業種ですね、これは私はやはり価格統制というか、調整といいますか、協定料金というものが私はどうしても強化されてくると心配せざるを得ない。今百円床屋あり、百二十円、百五十円、百七十円とありますよ、銀座あたりへ行けば五百円床屋がある。そういうふうな床屋の中で、銀座あたりの床屋は別にしても、大体百八十円程度にさや寄せしていこうというふうな機運が非常に強い。しかもそれを二割程度上げなければいわゆる環境衛生を十分にすることはできぬといっておる新聞記事等もあるわけです。パーマネントにしてもそうですよ、やはり安いところへだんだんしわ寄せして、それに従わないものは、強制加入ですから言うことをきかないものは今度は何ともならぬ。今ならばまだいいんですよ、今度これが全部が全部入れて、そうして業界でしぼってそうしてこれを価格というものに従わせる。たとえば今何本かあるやつをAかBぐらいの二本建ぐらいにしぼっていくというふうになっちゃえば、結局消費者はどうしてもその方向へやっぱりつれていかれるということを指摘しているわけなんです。こういうふうな点で、環境衛生については、いわゆる団体加入というものについては抜かれておるんですが、しかしこの法案が通るということになると強制加入によってこれは全部びっしりになる。そうなればあの業界は勇ましくて、運動もなかなか利口ですから、衆議院はころっと参っちゃったと私は思うんで、そういう経緯から考えるとわれわれは心配でたまらぬわけです。こういう点について、そういう心配がないかどうか、これを一つ大臣の方と、それから春日議員の方からお聞きしたいと思うんです。
  100. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 御指名でありますからお答え申し上げます。御指摘のように中間マージンが多過ぎるということについては私十分同感いたしておるわけであります。これはまあおそらく終戦後いろいろ生産品が非常に少かったというところから起っておるんじゃないかと思います。従って生産数量がだんだんふえて、取扱品がだんだん多くなって参りますると、だんだんマージンも下げていいというような状況がすでに起っておるわけです。ただこの団体法関係は、たびたび申し上げるように、不況打開という、そうしてまた臨時的といいますか、一時的な現象を取り扱っていくのでありまして、そうして半数以上が不況でどうにもならぬという場合にだけ発動をされるものであります。従って適正な利潤ということについては、先ほどもいろいろお話がありましたように、非常にむずかしい問題ではありますが、十分考えていかなければならない、その運用に当りましては適正利潤ということについて最も頭を悩ましていかなければならぬ問題でありますが、いずれにいたしましても不況の打開というもので、これは継続的に実行するというようなものじゃあ決してありません。しかもただいま言いましたように、運用に当りましては十分これを注意して参りたいと思っております。まあ環境衛生の場合にはいろいろ御批判もあると思います。しかしあの法律によって値上げを意図したわけでは決してありませんで、まあこれも今後の運用によって極力ただいま御指摘のような弊害のないように運用していかなければならぬ、かように考えております。
  101. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 生活協同組合に対する組合交渉をこの団体の組織法では応諾義務から省いたが、あとの商業調整法、あるいは特別措置法の中において結果的に出てくるんじゃないかと、ならばだめじゃないかと、こういう御質問であろうと存ずるのでありまするが、そのいきさつにつきましてはただいま小笠政務次官から御答弁がございました。少くともこの際はこの法律によってはそういう義務応諾の相手方としては規制しないで、他の機会に他の方策を講じてまあそういう施策を講ずる必要があるであろうという御意見もありました。それから私が申し上げましたような消費生活者の立場をやはり支持、育成して参りまするためには、むしろ生協活動というものは行財政を通じて今後とも一そう助長すべき段階にあるという、まあそういう理論も行われました。こういう二つの理論が激しく応酬されまして、熱心なる討議の結果得ましたところの結論は、すなわち世紀の大法典であると言われるこの団体の組織に関する法律の中で、これは明確に省かれておるんです。この省かれておりますることの現実は、他の立法の場においても、またその立法の機会においても私はそのプリンシプルは同じような意見がこもごも交えられて、その結果やはり省かれる形になるものと期待をいたしておる次第であります。従いまして当面御心配を願っておりまする事柄は当然内在をいたしてはおりまするが、しかしこのような中小企業者経済活動、一切の団体の基本となるこの機会にはずされたものが、他の末梢的機関とは申しませんけれども、他の場所において変貌して再び舞台に上ってくると、まあこういうようなことはあり得ないものであると、こういう工合に私どもは期待をいたしておるものでございます。
  102. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう四時になったからぼつぼつやめますが、もう一つお尋ねしたいのですが、たとえば地域々々においていろいろと消費者団体等が指定店というものを最近やっておる例を見ると思うのです。この指定店というものにおいて特にそのサービスがいいとか、あるいは安いとか、まあいろいろと消費者に利便を与え、また共存共栄という建前で指定店というものをやる。ところがこのような法律が一応通過すると全部やはりまあ商工組合等にそれが集められて、そうしてああいうふうな行き方は非常に工合が悪いというふうな形で、そういうふうなことができないようなその組合運営というものがなされるのではないかということが考えられるのですが、その点はいかがなものでしょうか。
  103. 前尾繁三郎

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 個々ばらばらに指定店というものが指定されておりまして業種も違うということであります。これがまた今度はその一つ一つが同業種の関係で調整組合に入る。まあ調整規程には従わなければなりません。しかし調整規程はただいま申し上げましたような、まあ不況の打開というので、これよりほかに方法がないというような問題でありまして、おそらくただいまお話の指定店のやっておりますようなことは、これは大いに勉強し、サービスをよくしていこうというので、それと相反するようなことをやっておるのではなしに、また不正なおとり販売とかいろいろなそういうことをやっておるのではないと思いますので、おそらくそれとこれが矛盾し両立しないというようなものではないと私は考えておるのであります。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 それが具体的に言うと、まあ先ほどの生協活動とは別に、地域地域によってはこれは相当指定店というものを活用して消費者が共存共栄の立場からやっているところが多いわけなんです。そういうふうな点で同業組合の方からやはりねたみとか、あるいは業者間のいろいろなまあ感情的な問題等で一応全部強制加入されるというふうな形の中からそれが実行できないような形で、もしもそれを続けていくならば、やはり組合の方からまあいろいろと制肘を加えるというふうなことにならぬともわからぬと、こう私は考えておるわけなんですが、そういう点については春日議員はどう考えておりますか。
  105. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) あの調整計画が立てられて、その規程が大臣の許可、認可を受けまする場合には、大臣は必ずそのことが関連業者を不当に圧迫しないと、消費生活者の立場を脅かさないと、そういう場合でなければ許可してはならぬことになっておりますから、従いましてただいま前尾大臣からも御答弁がありました通りに、そういういわば消費者団体の指定店活動なるものがそういうことを行うことによって消費者の立場を有利にいたしておる現実の効果があるといたしますと、そういうことを指定せんとするところの調整規程は、これは明らかに消費生活者の立場を脅かすの事項に抵触すると考えますから、調整規程としてはそういう事柄を掲げて参りましても許可にはならないと考えております。
  106. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 もう時間がありませんから、通産当局に対する質問は明日に譲ることにいたしまして、先日私は岡委員から指摘をいたしました環境衛生法に関しまして堀木厚生大臣にまあしさいに質問をいたしたのであります。そのときに独禁法の問題が出たのでありますが、ちょうど関係者もおらなかったので、きょうは公正取引委員会経済部長がおられるので一点お聞きをいたしたいのでありますが、この環境衛生法の第十条に、独禁法の適用除外ということがあるのでありますが、これはまことに私どもはけっこうだと思うのであります。しかしながら、ほかの関連法律に必ずというほど書いてございます、いわゆる不公正な取引方法を留保することであります。これが留保全然していないのであります。これを言葉を返して申しまするならば、不公正な取引は勝手にやってもいいのだ、こういうことにも解釈ができるのであります。そういうわけでございまして、この環境衛生法と本法案というものは非常な関係が深いのであります。しかもこれはすでにもう九月の二日から実施をせられておる法律で、また一面から申しますると、天下にこれくらいの悪法はないといわれるくらいこれはえらい法律なんです。そういうことがもうすでに発効されておるだけに、本法案というものについて各委員がいかに慎重にいかなければならぬかということはこれは当然なんであります。そういう意味からいいましてこの一点を一つお聞きをいたしたいのであります。
  107. 小沼亨

    説明員(小沼亨君) 環境衛生法は、これは御承知の通り議員立法でございまして、当初の案には、ただいま御指摘のありました、「ただし、不公正な取引方法を用いる場合には、この限りにあらず」という従来の適用除外の立法と同じ規定が入っておったわけでございますが、これを御審議されております過程で、小委員会におきましてこれは必要ないんじゃないかというようにおきめになったわけでございます。そこで、私の方の意見も聞かれましたので、やはり従来の例から見ましても、この条項は生かしておいていただきたいということを主張したわけでございます。ところが、適正化、環境衛生法では適正化規程でございますが、適正化規程を認可するという場合に不公正取引方法を用いるような規定ならば認可する必要はない、そしてなお今後不公正取引方法が行われるおそれのあるようなあいまいな字句の入っておる適正化規程ならばそこを直して認可すべきじゃないか、だから公取は協議を受けた場合に、そこを指定して十分公正な取引の行われるような適正化規程にするのが義務であって、そういう意味からこれは必要ないように思う、小委員会においてきまったので、そのように了解してもらいたいということでございまして、もしこれを運用しておるうちに不公正取引が行われるというような事態が発生するのならば、あらためて修正案ということで次の国会あるいは必要な時期において修正案を出したらいいじゃないか、そういうことで最後は何というのですか、折れたということになっております。
  108. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは本日はこの程度にとどめることにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  次回は、明日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会