○豊田
雅孝君
輸出保険法の一部改正
法律案が
提案せられておりまするにつきまして、これに関連して大臣に
お尋ねをしたいと思うのであります。
輸出保険
制度は、御
承知のように普通の
輸出保険、それからまた
輸出手形保険というのが別にあるわけですが、そのほかに海外に広告してその実収が上ってこない場合には、そのリスクをカバーする海外広告保険というようなものまであります。それから今問題になっております、海外投資をやって、そうしてそれの収益が上らぬという場合には、海外投資保険
制度というのがあるわけなんでありますが、今回はさらに海外投資の元本だけでなく、配当金まで送金ができぬというような場合には、これについて保険をやろうということになっておるわけでありまして、実にかゆいところに手の届くように、この保険
制度が
輸出関係については行われているわけなんですが、その恩典に浴するのは、御
承知のように
輸出商社であります。ところが、この
輸出商社には、かつての例を引き合いに出しますと、岩田商事なんていうのは不渡手形を……、自分が海外へ
輸出するその商品を国内の中小企
業者から納入させる、そうして手形を振り出す、その手形がたちまち不渡りになるというようなことになってくると、これについては何らの保険
制度もないわけなんです。要するに中小企
業者お互いの間では、やっぱり不渡手形を出しておりますが、十万や十五万の不渡りならば、中小企
業者はお互いに何とかできるのですが、岩田商事のような
輸出商社に対して、物を納入し、それの手形となると、二百万、三百万の手形になるわけですが、それが前日までに有料手形で割引せられたというのが、一夜にして不渡りになるということになりますと、二百万、三百万の手形一枚の不渡りで、この中小企
業者は、日ごろどんなにまじめに経営し、どんなは遺漏のないいき方をしておっても、たちまちそこで倒産せんならぬというようなことになってくるわけなんです。そういう点で、中小企
業者に大商社から振り出しておる手形のごときものが不渡りになったという場合には、日ごろから中小企
業者も保険料を出す、国の方もこれについてある
程度の
負担をするという
一つの保険
制度があれば、いよいよこの不渡手形が出てきたというときに、しかもそれが大口で、何とも中小企
業者としては処置ないという場合に、その八割の保険金がもらえるということになると、中小企
業者は自分の罪でなくて倒産せんならぬときのその危険というものを脱し得ることになるわけです。この問題を私ここで大臣に申し上げるのは、その岩田商事というものが海外に
輸出した場合については、その危険についてあらゆる危険をカバーできるように、微から細に入ってこの保険
制度が、だんだんに改善せられてきているわけですね。今申し上げるように、商品を
輸出した場合のその危険についてはもちろんのこと、また
輸出手形についての危険が出てきたときにはそれの保険、海外に広告した場合には、それに相応の利益がないときには、それの尻始末をするような保険もできておる。海外へ投資をやって、たとえば呉羽紡績がメキシコで
仕事をやるというときには、海外投資の危険に対して保険
制度がある、今度はまたその元本だけでなくて、それの配当金が何かの工合いで国内に送金にならないというときには、その配当金に対する危険まで、日ごろから保険料さえ払っておれば、いざとなったときに七五%の保険金がもらえる、そこでいけるということになっております。それから次の段階になって、この国内の中小企
業者対
輸出商の
関係になりますというと、
輸出商がどんなことをやっても、中小企業というものはその
責任を転嫁されて、そうしてそこで倒産のうき目を見る。これはちょうど農業
関係につきまして、御
承知の風水害があるというと、風水害に対して共済保険
制度がある、この共済保険で風水害の危険に対してのカバーができるというようなことになっておるのですが、中小企
業者からしてみるというと、大商社に納入しても、それらの手形が一夜で不渡りになったりするのは、まことに風水害にあったようなものです。そういう場合についての保険
制度というものが全然ないのですね。そういう点で、農家についてはそういう天然の危険に対しては共済保険がある。海外へ
輸出する場合については、こまかいどんな危険でも大体カバーできるような保険
制度がある。ところが、そういう相手方になっておる国内の中小企
業者は、全然自分の罪なくして滅びる場合の危険も、全然カバーする道がないというのはいかにも……。大に対してはかゆいところに手の届くように国の施策というものができておるし、また、そういうふうにしようというふうになってきておるのでありますが、小のもの、これに対しては全然手が届いておらぬ。あんまりアンバランスではないか。これに対して
通産大臣、いかにお
考えでありましょうか。ことに、政調会長として大いに自民党内で御研究になり、重きをなしてこられ、また、将来も必ずそういうふうになられると思うのでありまして、今すぐということではなくてもいいのかもしれませんが、将来必ずバランスのとれるように、大と小との間について、保険
制度などについてもお
考えにならなければいかんのではないか。そういう点から、
一つ大臣の率直なる御
意見を伺っておきたいと思います。