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説明員(
横田正俊君) 実はこの
法案が、だいぶ前から各方面で、ほとんど同時と申していいかと思いますが、
政府あるいは中政連、あるいは協同組合系統の方その他で、並行的に検討されておりまする当時から、私
どもとしましても非常に注目をしておったのでございます。これはもちろん中小企業につきましては、独占禁止法自体が、非常にある種の理解を示しておりまして、これは御
承知の二十四条におきまして、中小企業の
団体につきましては、ほとんど特殊の場合を除いて、独占禁止法の適用を除外するという、きわめて理解のある態度をとっているのでございます。私
どもといたしましては、中小企業が団結してその地位を保持し、外部に対抗していく、このために中小企業の団結が必要であるということは、十分に認めているわけでございますが、その団結の結果が、いろいろ行き過ぎた面に及んで参りますれば、先ほどから
お話もございますように、
消費者なり、あるいは一部の中小企業その他にいろいろな影響を及ぼしますので、単に団結がよろしいということだけで、これを安易に認めるわけにはいかないわけでございます。従いまして、この中小企業
団体に関するこの
法案につきましては、いろいろ検討して参りました結果、結論的に申しますと、
公正取引委員会としては、どうしてもそれは行き過ぎであると思われまする数々の点がございましたので、これは中小企業庁と数次折衝いたしまして、私
どもの方で、これは
消費者なりあるいはその他の
関係に影響が当然及ぶであろうと思われます重要なポイント、ポイントにつきまして、いろいろな
修正をお願いいたしました結果、ほとんどその多くがいれられまして、この
法案になっているわけでございます。もちろん、私
ども申しました点のすべてが、その
通りの
修正になっているわけではございませんが、重要な点はほとんど
修正をしていただいて、との
法案として出ているわけでございます。
なお、この
法案自体の中にははっきり盛り込まれておりません問題でも、これはこの
法案は私の考えによりますると、一応規定の建前から申しますると、もしこれらの厳格な
要件を文字
通りに解して、文字
通りに適用いたしますれば、かなり弊害を防げるということに役立つと思うのでございますが、問題は運用でございますので、この運用の面に当りましての、いろいろな中小企業庁方面とのお打ち合せも、この
法案を
提案される前に、いろいろいたしておるわけでございます。その二、三を申し上げますと、簡単に申し上げますが、中小企業の範囲を
政令で場合によりまして指定することになっておりますが、これらにつきましては十分に中小企業庁とこの
政令を定めまする際にはお打ち合せをするということを覚書を交換してもよろしいということで、そういう了解を得ておりまするし、それから第九条の先ほどからいろいろ問題になっておりまする組合の設立の
要件、従ってこれがいろいろな調整行為をする場合の
要件になるわけでございますが、そのところにその経営が不安定というようなあまりはっきりしない言葉が使ってございますのを「
相当部分の経営が著しく不安定」いうようなふうに直していただきました。これは法制局も、もちろんそういうような私
どもとほとんどいろいろな点につきまして意見が一致しておったのでございますが、そういうような
修正をしていただきました。あるいはこの組合に大企業が入るということは、非常なそこに危険がございますので、この大企業の加入ということに、かなり私
どもは神経をとがらしたのでございます。でこの種の組合を結成することのできる事業は、やはり中小企業が主でなければならない。そういう種類のものでなければならぬというようなことからいたしまして、中小企業のウエイトが非常な大きな業種についてだけこの組合が認められるというようなふうにいたしました。これも条文の中にそういう規定を盛り込んでもらいました。あるいは十七条が御
承知のいろいろな調整行為に関する規定でございますが、ここで一番特に
消費者に影響がございますのは、先ほど
阿部さんが御指摘になりましたように、この組合で価格を協定しまして、これを
消費者に押しつける、もしその価格が非常に不当なものでございますれば、しわはわれわれ
消費者にかかってくるということになりますので、この点につきましては調整行為の中で、いわゆる価格に関する、対価に関する部分につきましては、特に別な取扱いをいたしまして、これは認可をいたします際に、必ず
公正取引委員会の同意を得るということにしてあるのでございます。
それから他の同意を必要としない部分、すなわち
公正取引委員会との協議で足る部分にいたしましても、実際の取扱いといたしましては、
公正取引委員会の意見を十分に尊重いたしまして、ほとんど同意と同じ扱いにするということを
通産省側とは話し合っているわけでございます。
それからなおいろいろこまかな点もございまするが、大体今申しましたような調子で、いろいろな点に、条文自体にあるいはその解釈の
統一と申しますか、あるいは運用のやり方等につきまして、かなり
通産省と折衝いたしました結果、
提案されましたものがこの
法案でございまして、ただ、さきに申し上げました
通り、強制加入の点につきましてだけは、ついに最後まで両者の意見の一致をみなかったのでございます。従いまして次官会議におきましても、あるいは閣議の席におきましても、
公正取引委員会の意見が文書をもって
提出されました結果、閣議ではいろいろ考えられましたと思いまするが、やはり
政府案のままで
提案するということで、この点は私
どもの意見がいれられないで
提案になっておるというような次第でございます。従いまして、いろいろこまかな点につきましては、なおわれわれといたしまして、必ずしもこの
法案がベストの法であるとも思っておりません。ことにこの運用につきましては、なお一まつの不安を持っております。私
どもは、あるいは協議権、あるいは同意権を持っておりますが、しかしその運用につきましてはなお一まつの不安は持っておりまするが、しかし、これはこれからの問題でございまして、これを運用する人の心がまえにかかることでございますので、この際それをとやかく申してもいたし方がないことでございまして、私
どもとしましては、その将来の運用の問題につきましても、その指導権を持っております
通産省との
話し合いによりまして、間違った運用のないように運ばれるようにできる限りの、手は打ったつもりでございます。大体
団体法につきましては、私
どもの今まで考えて参りましたこと、並びにこの
法案ができますまでの折衝はそういうようなことになっております。