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1957-10-09 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月九日(水曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員異動 本日委員増原恵吉君辞任につき、その 補欠として土田國太郎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            木島 虎藏君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋進太郎君            土田國太郎君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            河野 謙三君            梶原 茂嘉君            大竹平八郎君   衆議院議員            小平 久雄君            春日 一幸君   国務大臣    厚 生 大 臣            堀木 鎌三君    通商産業大臣            前尾繁三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  尾村 偉久君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  先ほど理事諸君との打合会を開きましたが、その際に今明日の委員会終了後、閉会中に再度委員会を開くこと、九州へ現地調査のために委員を派遣することなどを申し合せましたが、その細目については、あらためて本日の委員会終了後に委員長及び理事打合会を開き協議することにいたしました。右御了承を願います。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、委員異動について御報告いたします。  本日増原恵吉君が辞任され、後任として上田国太郎君が委員に選任されました。   —————————————
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、先日委員長に一任いただきました名古屋における現地調査会派遣委員の選定につきましては、その後各派の推薦に基きまして、大谷贇雄君土田國太郎君、阿部竹松君、梶原茂嘉君、それに私の五名が現地におもむくことになりましたので、以上御報告をいたします。   —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより議事に入ります。前回に引き続き中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣にお伺いいたしますが、昨日と一昨日の質疑過程におきまして、同僚相馬議員あるいはまた島議員質問に対しまして、これは両党の修正であるから知りませんというような御答弁がございました。ここに自民党小平さんと、社会党春日さん、お二人がお見えになっておりまするけれども、これは参議院規則第四十一条、衆議院規則第六十条の二によりまして、修正個所趣旨説明することができる、こういうことで参っておるのでございます。従いまして、大臣といたしましては、憲法第七十三条によりまして、当然この法律の忠実なる執行者でございまするから、知りませんという御答弁は当を得た答弁でないというように考えまするが、質問に先だちまして、との点を明確にさしていただきたいと思います。
  7. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 法律修正案に対しまして、あるいはその趣旨とか、そういう点についての御質問ではなしに、党内でどういうような事情があったかと、こういうようなお話しでありまして、そういうような事情については私存じませんので、その点を申し上げたのと、もし時間を許していただきますなら、いろいろその後の事情を聞きましてお答え申しあげたいと思っておりますが、その点はあしからず御了承願いたいと思います。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますると、前尾通産大臣は前水田通産大臣から引き継ぎのときにお話は一向承わらなかった、こういうことでございましょうか。
  9. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) もちろん引き継ぎはいたしたのでありますが、こまかい点、あるいは党内事情については、これは私としては引き継ぎ事項の問題でもありませんので、そういう事情については聞いておりません。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に大臣にお伺いいたしますが、前回議院運営委員会において、愛知官房長官は、本法案は半月や一カ月延びても何ら差しつかえないものである。従って急ぐ必要がないという御答弁がございました。これは明確に速記録にも載ってございます。しかし、同じ閣僚の一人であるあなたが、火急に成立しなければならぬというようなことをおっしゃるわけであります。それからもう一つこれは小平自民党議員の方にお伺いしたいわけですが、商工委員会で熱心に討議をされたと、衆議院のですね、従ってこれを早急にきめていただきたい、こういうお話が一昨日三度ほどあなたがお話しなされました。しかし、これは私どもの方に回ってきた衆議院商工委員会議事録ですが、九回やってございます。しかし九回の中でほとんどやっておらないわけですね、それはもう慎重審議、私は必ずしも時間的のことばかり言っておるのではありません。時間を膨大にかけるのが慎重審議とは判断しておりませんけれども、あなたがおっしゃったのとは、この記録が私の読み違いであれば、大へん失礼でおわびいたしまするが、そう慎重審議をやったように見受けておらぬ、それをなぜあなたが慎重審議をやったから、早くきめてくれ早くきめてくれと言わなければならぬか、そういう理由を一つお伺いしたいと思います。
  11. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 愛知君がどういう話をしましたか実は存じないのですが、私といたしましては先般来申し上げておりますように、との団体法が基本の問題であります。何としてももう私はここらで踏み切っていかなければならぬ時期に到達しておると思うのでありまするし、また審議につきましては、衆議院においてすでに十分審議を尽されておりまする以後におきまして時日もありますので、私としましてはもうできるだけ休会中にお願いをして皆さん方の十分な御審議を尽していただけるようにしたい、そういたしますと早急な、一番すみやかな時期といいますと、臨時国会でもありまするし、さらに一般の世論で、私あちこち参りまして、団体法についてはなぜ早く通さんかというような声もずいぶん聞かされておりまするのと、ぜひとも早急に国会において成立をさせるという声が非常に一般的な世論、また私自身に至るところでそういう要求も受けておりますので、その点も反映して、かようにお願いしておる次第であります。
  12. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) お答え申し上げます。ただいまの御質問衆議院商工委員会で慎重に審議したと私が申し上げましたが、速記録から見るとそうでもなさそうだという御趣旨のようでございますが、私も今団体法案あるいは社会党提案組織法案等が、商工委員会において何日間、また通算して何時間審議されましたか、その計数的な記録は私記憶がございませんが、いずれにいたしましても、社会党の側の委員も、また自民党の側の委員も、それぞれの立場において政府提出の案並びに社会党提出の案について質疑を何回かやりましたことは事実でありまするし、また、その間におきまして大体政府案社会党案との相違ないしは自民党社会党側との考え方というか、方針の相違点等も明らかになりましたので、両党で話し合いの結果、単に委員会の席上で正式に質疑応答を繰り返すばかりでなく、むしろ両党の代表者を三人程度ずつ出して、お互いに一つ腹蔵なく話し合って何らかの共通点を見出す、つまりいわゆる超党派的な一つ結論を出すことによって円満に成案を得ようじゃないか、まあこういう話し合いになりました結果、御承知通り、五月の二日から七日に至ります間、速日連夜両党の代表の者が話し合いをいたしまして、その結果が現在御審議になっておりますような修正案、こういうことになったわけであります。従いまして阿部先生のおっしゃいますように、速記録の表向きの面から申しますと、あるいは十分に論議がされていないのじゃないかという御見解も成り立つかとも思いまするが、しかし現在の両党でやっておるいわゆる議会政治というか、政党政治という広い面から見ますならば、衆議院段階においても十分慎重に論議が尽されたものと申し上げて差しつかえなかろうかと考えまして、先日来の御答弁をいたしたようなわけであります。
  13. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  14. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 この際緊急な問題についで一点大臣にただしたいと思いますが、当委員会における各委員質問に答えられまして、金融の問題について年末金融円滑化を期すために、できることならば臨時国会補正予算を要求し、その他万般の政策をこれに合せて万遺漏なきを期したい旨の通産大臣お話があって、この問題について与野党を超越して心配をいたしておりまする当委員会としては、一同満足の意を表していたのでありますが、一萬田蔵相が帰朝されまして、まず一番先に申したことは、補正予算は一切組まない、しかもかなり強硬な腰で岸首相にももうすでに進言をした、かように伝えられておりまするが、本日経済閣僚懇談会があるそうでございまするが、これは一萬田蔵相前尾大臣の話はもう明らかに食い違っております。従いましてこの年末金融に関しては、かつて経済閣僚懇談会等においてどんな話がされていたのか、それからまた補正を組むという考え方は、あなた個人の意思であったのか、また一萬田さんの補正は組まないというこの見解に対しては、どのように考えておられるのか、この際とくと通産大臣の御所見を承わっておきたいと思います。私の質問は、閣僚答弁の食い違っていることを激しく追及したい、その責任を追及したいという気持を含めておるのでありますが、事は冷静に処さなければなりませんので、そういう感情めいたとは一切言わずに、お尋ねの形で承わっておるのでありまするが、かなりしかとした答弁をお願いしたい所存です。
  16. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この前の委員会におきまして、実は私は年末に間に合いますためには、通常国会劈頭であれば間に合うというふうに御答弁したと思います。また、事実そういうふうにも考えておりましたのでありますが、劈頭と申しましても、やはり十二月の十五日以前に通過するということでなければなりません。従って通常国会が十日とか、あるいはもう少し早めに開かれるということでなければ、通常国会では間に合わぬというふうに考えまして、万全を期しますためには、やはり臨時国会でなければならぬということを、実は最近になって考え参ったのであります。従いましてこの問題につきましては、一萬田蔵相が渡米以前には何らの話し合いができておりません。また経済閣僚懇談会でも話はできておりません。その後に党の方々といろいろ相談しました結果におきましては、まあ一応何とか臨時国会にはやっていこうじゃないかという話し合いにはなっておりますが、大蔵大臣につきましては、その事情が話してありません。従いまして私としましてはちょうど帰られて間がない、昨日帰られましたので、蔵相と十分この点を話し合っていきたいと、かように考えておりまするし、また先般もまあ一萬田氏の帰国を待って決定したいということは当委員会においても申し上げたのでありますが、何としましても、必要なときに必要量を出すという大原則につきましては、これはもう変らぬ信念でありますので、万全を期しますためには、臨時国会提案すべきだと、かように今もって考えております。十分大蔵大臣話し合いたいと、かように考えております。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 ことしの年末金融対策は特殊な状況で一月から三月までの予算をすでにもう食ってしまっておる。従ってその面からの調節は不可能であるという問題と、それから預金部資金の運用によってカバーするということには限度があると、こういう角度から、前尾通産大臣としては、必要の場合には臨時国会追加予算をも提出せしめる用意があると、こういう御発言であったと承知をいたしております。ただいまの御答弁を聞きますと、依然としてその精神は変らずに、蔵相とは十分話し合いはしていないけれども十分話し合いをして、通産大臣としてはそのような見解に基いて、すなわち必要の場合には追加予算をしてこの年末金融を何とか善処していくと、こういう御所見には変りはないものと、しかもまた、経済閣僚懇談会においては同一の趣旨をもってあなたはがんばるものと、かように本員は了解してよろしいのですね。
  18. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) けっこうです。
  19. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大臣が退席されて遺憾でありますけれども、先ほど阿部委員質問されたことに関連するのでありますが、本法案審議を、大臣から極力急いでおられる事情についてお話があった。それに関連して私は伺いたいのです。団体法案内容審議する上において、また、これが実施される場合において非常に重要なことは、問題が政令にまかせられておるのであります。すでに衆議院においても十分の審議をされたそうであります。また、今日まで相当の時間があった。従って、審議を本委員会において促進する上において、どうしても、重要な政令内容等はもはや大体きまっておるといいますか、案の大要はあると考えていいのかどうか。言いかえますると、重要な政令内容について、資料をいただき、また、その説明をこの委員会で聞き得るというふうに了解していいかどうか、これを伺いたい。
  20. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 政令の重要な政令等につきましては、要綱程度内容に盛るべきものは、大体用意いたしておりますので、適当な時期に御説明申し上げます。
  21. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 内容に盛るべきものではなくて、その内容であります。盛るべきものは大体わかっておるのであります。内容に盛られるものが大体きまっておるかどうかということであります。
  22. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) それは内容であります。
  23. 相馬助治

    相馬助治君 ただいまの梶原委員質問は非常に重大だと私は思うんです。で、小笠次官答弁は、その予定される省令その他それに準ずる行政執行上必要なものの内容が、もうすでにあらかた決定しているに近いという意味の御答弁でございますが、そうしますと、今のところ、政府自体としては衆議院回付案成立を期待し、また、その成立を予想して各種各般作業を行い、あるものはその終局に達していると、かような積極的な内容を含む御答弁でございますか。それとも、梶原委員からの質問に答えて一応さようなる御答弁をするという意味なのでございますか。事は、きわめて重要でございまするので、念を押しておきたいと思うんです。
  24. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 本法律案を見ますと、政令にゆだねられておる個所相当ございます。もちろん、政令にゆだねられておりましても、前後から当然の制約があることは申し上げるまでもありません。従いまして、その内容を、どういうふうな内容政令で規定していくか、そういうような用意をいたしておる、こういう趣旨であります。
  25. 相馬助治

    相馬助治君 その点はよくわかりましたが、御承知のように、今ここで問題に供されておるのは、政府提案法律案ではございませんで、衆議院より修正されて回付された法律案でございます。従って、このものについて、法解釈、それから、今言うたような、省令等における出すべき内容、これらについては相当作業が進んでおると、こういうことでございまするが、同時に、このことは、たとえば法六十九条の、いわゆる不況対策としての本組織を持つというこの場合に、不況対策というような緊急な事態でなくなって、むしろこの団体そのものが解散すべき段階であるというような判断というものは、最終的には通産大臣がされることになっていて、いわば、この法律というものは、その法律をどういうふうに読んで、そうしてどのような基準によってどのように結果を生むかということが、非常に主観的な面が多いと思うのでありまして、そういうものに対しても、政府部内においては、衆議院回付案の各条項に対してすでに研究が終っておると、かようなことに了解をしてよろしいのですか。
  26. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) ただいまのお尋ねの点、明瞭でございませんが、法文の上におきまして政令もしくは省令で定めることになっておる点についての内容用意いたしておると、こういう意味であります。今、相馬さんがお引きになりました法案第六十九条によっていわゆる商工組合設立要件が欠けたときにこれに解散を命ずることができると、こういうことを書いてあるのでありますが、本法案におきまする最も重要ないわゆる主観性という問題がお話がございましたが、主観性の出てくるのは、法案第九条であろうと思うのであります。不況要件の認定のところが問題であろうと思うのでありますが、その点につきましては、衆議院におきまして、主観的になり得る、行政機関によって不統一運営が行われ得るおそれがあるというような趣旨から、法案第四十二条第三項に追加をいたしまして、不況要件を客観的に安定審議会の議を経て基準を示す、そうしてできるだけ客観的に統一行政が行い得るようにいたしておるのであります。それで、これは衆議院修正になったところでございますが、そういうふうな趣旨におきまして、私どもといたしましては、省令の具体的にどういう事項、どういう内容というものを考えて、本法案成立いたしました場合には、なるべく明確に客観的に運用できるような方向を準備しておると、こういう趣旨でございます。
  27. 相馬助治

    相馬助治君 実は、この委員会を進めていくについては、先ほど同僚阿部委員が指摘したように、非常にある意味では不幸だと思っておるのです。というのは、ただいま議題に供されておりまする法律案修正された非常に大切な部分というのは、衆議院衆議院意思によって修正されたのでありまして、直接にはここに御列席の小平春日委員にものを尋ねなければならないと、こういう形になっておるのです。しかし、これは、阿部委員も指摘いたしましたように、憲法第七十三条が明瞭に規定しておりますように、法律を誠実に執行する義務政府にはあるのでありまして、この法律政府自体としては修正が好ましかろうと好ましからざるものであろうと、かりにこの衆議院回付案が本院において成立いたしました場合には、これを忠実に執行しなければならない義務政府が負うわけなのです。そこで、私どもといたしましては、先ほど梶原委員がお聞きになりましたことに連関をして尋ねておるのでありますが、まことにこれは妙な話しですが、そこに小笠さんがいることが実はこの審議を進める上において非常によい場合と、ほんとうに信頼していいのかと首をかしげざるを得ないような場合と、あるのであります。私は、これは誹謗するような意味にお聞き取り願っては困るのでありまして、まじめにこの問題を考えておるのです。すなわち、小笠政務次官は、実を言えば、この修正案の生みの親であって、春日小平儀士と並んで当然ここに並んでいただくことが予想された方なのでありまするが、今般政府委員としてそちらにおすわりになっておる。したがって、梶原委員の非常に重要な質問に対しても、そつなくお答えになっておる。それは、小笠さんといたしましては、もちろんその修正された方でありまするから、それに見合うところの省令内容、それから関係法案の整備、その作業ができていようといまいと、あなた自身の頭の中では構想がまとまっておるのです。従ってわれわれがいかについていこうと、あなたはちゃんと答えられる。ところが、通産省自体の中がそういうふうにまとまっているかどうかということになると、はなはだ失礼な言い分だけれども、どうも首をかしげざるを得ない。これは通産省が怠慢だとか怠慢でないとかいうようなことを言っておるのじゃない。タイミングから考えてみて、政府自信を持って、すなわちその場合に、作業通産省自信を持って出した法律案がかなり大幅に修正されてこちらに回されている。こういう場合に、一体政府の置かれておる立場というのはきわめて微妙である、かように考えておるのでございます。従いまして、非常に失礼なことを政務次官に申し上げて恐縮なんですが、今の御言明の通り一つ万々作業を急がれ、ごく近い将来に梶原委員等からも資料提出があろうと思いまするし、われわれとしても資料提出を要求したいと思っておりまするので、一つその点はよく政府部内の意思統一されて、小笠私見というもののさらさらないように、ぜひ本委員会の円満な通常のためにお願いしておきたいと思うのです。と言っていることがおかしいことのようですが、おわかりいただけると思うのですが、いかがでございましょうか。
  28. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) どうも答弁忌避されたようなことで…。通産省の原案といたしまして、要綱を早急に皆様にお目にかけて御批判を仰ぐと、こういうことにいたしたいと思います。
  29. 相馬助治

    相馬助治君 重大ですから、答弁忌避なんか私いたしておらない。あなたの綿密な系統的な答弁によってこの委員会が非常に円滑に進んでおるので、忌避なんかということはさらさらないのであります。この権威ある速記に残るのですから、冗談とは存じまするが、一つやんわりと取り消しておいていただきたい。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 質問を始めたところで、大臣要件でありましょうとも退席されたので、はなはだほこ先が鈍ったわけですが、再び大臣がおいでになったときに発言を許していただきたいと思います。  公取横田委員長がお見えになっておるようでございまするから、横田委員長に一、二点お伺いしたいと思います。横田委員長はきのうお見えになっておりませんので、きのうの討議内容は御承知なかろうと思います。そこできのう質疑過程におきまして、小笠政務次官より、このような御答弁がございました。島委員質問に対しまして、本法案は、この公取ですね、この委員会におけるところの内容と、それからまた独禁法にかかるやいなやという点が質問されたわけであります。そのときに政務次官から、これは本法案は直接関係ございません、なぜならば、こうこうこういう点を除外いたしましたと、こういう御答弁がございました。しかし、私どもは本法案の一条から九条まで見ましても、全部この独禁法にかかると、かかるがゆえに除外例を設けたのではないか、こういうように判断するわけであります。そこで委員長にお伺いしたいことは、この法案は御承知通り昭和二十二年の七月にできました。それから二度ほど大修正がございました。今度もまたうわさでございまするけれども、大改正をやらなければならぬ、あるいはやらないと、こういうようなうわさがございまするが、公取委員会としては本問題についてどういう態度をもって臨まれたか、こういうことを簡明にお伺いしたいわけであります。きのうもいろいろと質疑過程におきまして、これは消費者に影響するとか、あるいはほかのまた団体に影響するとか、こういう質問がございました。しかし、答弁ははなはだ抽象的でございましたけれども、本法案ができましても消費者その他には影響しませんと、こういうような御答弁がございました。従いまして私どもの心配することがその答弁で満足できるのであればけっこうでありまするが、決してその答弁で私は満足しておるわけでないのであります。ここは立法府でございますから、あらゆる法律を作りまするけれども、この法律ができた場合においては、施行されるに当って、日本国民がどういうふうに影響されるかということを常に判断して法律を作るわけであります。ところが、本法案ができ上りますと、具体的に申し上げて、大きな一つ団体ができて、たとえ一個の物価でも協定を作る、そうしますると、これは経済法案でありまするから、この団体にもよろしい、消費者にもよろしいということには絶対ならない、こういうふうに私は判断するわけであります。そういう点について抽象論でなくて、この法案がもし実施される場合においてはどういうように消費者に影響し、どういうようにこれが企業者団体に影響するかということを判断されたか、この点をお伺いしたいわけであります。従って独禁法ができてから今度で三度目でありまするけれども、どんどん改正されて、ほとんど骨抜きになってしまう。きのうのお話しでありますると、これは次官の御論議でありまするが、公平な立場で、ざっくばらんに御意見を伺って、改正するやいなや、こういう問題を討議する、こういうお話しでございました。しかし法案があるにもかるわらず、あらゆる法律を作って除外例を設ける、しかも改正する余地がないほど独禁法というものが役立たなくなっておる。こういうことについて、その最高責任を持って執行されておる委員長見解を簡明にお伺いしたいと思います。
  31. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 独禁法改正問題につきましては、たしか八月の何日でございましたか、当委員会におきまして、大体公正取引委員会考え方という点は、あまりはっきり申し上げませんでしたが、当時までにやって参りましたことにつきまして、簡単な御報告を申し上げたと存じます。  御承知のように、独占禁止法が二十八年の改正がございましたそのままの形で今日に及んでおるわけでございますが、一方におきましていろいろな適用除外法令が出ております。この中小企業団体に関する法案もその一つでございます。そういうような状態で独禁法そのものが二十八年の状態におかれておるにもかかわらず、いろいろな適用除外が出てきております。私どもといたしましては、ちょうど法律施行後十年経過いたしまして、二十八年の改正後もすでに数年を経過いたしておりますので、この際独禁法につきまして、全面的に検討いたしてみたいということを考えたのでございます。従いまして一昨年の暮ごろから公取独自の立場で検討を始めて今日に及んでおるわけでございます。一方、通産省におきましても、産業合理化審議会等の組織を通じまして、並行的に研究を続けておられたようでございますが、われわれの研究は単に改正の声が一般業界等にあるという、そういうことだけでなく、先ほど申しましたような一つの法制といたしましてこの際検討すべき点もございまするし、あらゆる面からごく客観的に、かつじみに研究して参るということで今日まで来ておるわけでございます。従いまして最近独禁法審議会というものが設けられまして、その審議会において政府の諮問のもとにおいて検討が続けられることになっておりまするが、もちろん、公取もその審議会に参加いたすことになっておりまするが、われわれといたしましては、あくまでも先ほど申しましたような観点から、慎重な態度をもちまして検討いたして参りたいというふうに考えております。なお、公取の今までの研究の結果どういうところに到達したかという点でございますが、これはいろいろな考え方がございまして、なおまだ検討中でございまして、ここではっきりお答え申し上げるほどの結論が出ておりませんのでございます。この点は引き続き鋭意検討を進めて参るつもりでございます。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 大へん失礼でございまするが、ただいまの御答弁と合せて、本法案独禁法にかかるでしょう。かかるがゆえに除外例を設けたのでありましょうけれども、しかし、このようにして本法ばかりでなく、今まで幾つかの法律除外例を設けたわけです。従ってもうこれから検討して衆知を集めて、よりいい法案を作っていってみたところで、次から次へと除外例を設けて、ひさしを貸しておもやを取られたという形の独禁法が、どういうふうに効力を発生するか、また検討して建て直す余地があるかということをお伺いしておるわけです。
  33. 横田正俊

    説明員横田正俊君) その点は非常にむずかしい問題でございまして、つまり適用除外法例が相当出ておりまするこの現状において、それと独禁法をどういうふうにかみ合わせていくかということでございます。ただこういうことは申し上げられるかと思うのでございますが、なるほど今まで適用除外の数は相当法案の数にしては相当ございますが、また、その間に相当のでこぼこがございます。その内容を詳細に検討して参りますと、いわゆる輸出に関する問題と、それから中小企業に関する問題につきましては、かなり大幅に緩和されておるということが言えると思います。ことに今回のこの団体法案が、もし成立いたしますといたしますれば、中小企業に関する部門につきましては、かなりの適用除外というものが設けられる結果になると思いまするが、その他の適用除外につきましては、一般に言われておりまするほど、その適用除外の範囲というものは広くはないのでございまして、従いましてその間のいろいろのアンバランスは、そのときどきの法律のでき工合によります偶然的な要素であるとかというようなものが混っておりまするけれども、それほど範囲が広くはないのでございます。従いまして、そこにいわゆる財界等からの強い改正の要望の余地が残されておる。言ってみれば結局大企業に関する関係において、独禁法をもっと大幅にゆるめてほしいという要請がそこにあるわけでございます。その点を私どもが特に今後検討いたしまして、その要請の中にしかるべきものがあるかどうか、もしありとすれば、どの範囲においてこれを認めるかというようなことが、今後の問題になると思います。また一方におきまして、独禁法施行につきましては、むしろもっとこれを強化して今の法律では規制できないような場面も取り上げてほしいというような要求もございまして、この点はむしろ強化の面において今後検討いたして参りたい、そういう点も合せてただいま研究しておる次第でございます。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 財界で言う大幅にゆるめてくれというのは、おそらく本心は、なくしてほしいということに通ずると思います。そこでもう一度お伺いしたいことは、一例をあげてみますると、関西とか、中京あるいは東京もあるかも知れませんけれども、電器メーカーが協定値を作ってワクをはめた、これに対して委員長のところでは違反ではないかという達しを出したというように新聞紙上に出てございましたが、この法案が通ると、これはどういうことになりますか、違反になりますか、違反でないということになりますか。
  35. 横田正俊

    説明員横田正俊君) この法案とは団体法案でございますね。
  36. 阿部竹松

    阿部竹松君 団体法です。
  37. 横田正俊

    説明員横田正俊君) この団体法案では、いわゆる中小企業自体が価格を決定してそれを維持する。これはかなりいろいろ要件がございまするが、また認可と公正取引委員会の同意ということにかかっておりますので、かなり価格協定はむずかしいことになっておりますが、そういう段階における協定というものは、ある程度認められることになっておりますが、しかしあの場合の問題は、生産者がそういう価格を指示いたしまして、これを下のおろしなり小売りの段階に守らせて、それを守らないものには出荷停止をするというような、そういう問題を含んでおりますので、この問題はそう簡単に、中小企業に関する法律で、簡単に適用除外というような扱いにはならないと考えております。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうするとああいう問題は、この団体法案が通っても、やはり違反行為になるという御判断になるわけですか。
  39. 横田正俊

    説明員横田正俊君) つまり中小企業自身が、いろいろ自主的に操作いたします形をとりますならば、問題は、もちろんいろいろな要件はございますが、ないわけでございますが、ああいうようなメーカーの方に指導性があるというような場合は問題になります。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 横田委員長にお願いするわけですが、正直に申し上げて、皆さん方の御答弁によって、私どもは賛成なり反対なりの態度をきめなければならないわけです。しかしこれは重大だ、あるいはこれはこうだといって抽象論をお伺いしては、非常に判断に苦しむわけです。従ってそのものずばりということで、法案内容の善否は別ですが、明快に御答弁願いたいと思うわけであります。従いまして本法案が通った場合に、あなた方の除外例を設けるわけでございまするから、これは法的に問題ないといたしまして、一般消費者その他に、取引委員会委員長としては、どういう影響があるのかということを、一つお伺いしたいと思います。
  41. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 実はこの法案が、だいぶ前から各方面で、ほとんど同時と申していいかと思いますが、政府あるいは中政連、あるいは協同組合系統の方その他で、並行的に検討されておりまする当時から、私どもとしましても非常に注目をしておったのでございます。これはもちろん中小企業につきましては、独占禁止法自体が、非常にある種の理解を示しておりまして、これは御承知の二十四条におきまして、中小企業の団体につきましては、ほとんど特殊の場合を除いて、独占禁止法の適用を除外するという、きわめて理解のある態度をとっているのでございます。私どもといたしましては、中小企業が団結してその地位を保持し、外部に対抗していく、このために中小企業の団結が必要であるということは、十分に認めているわけでございますが、その団結の結果が、いろいろ行き過ぎた面に及んで参りますれば、先ほどからお話もございますように、消費者なり、あるいは一部の中小企業その他にいろいろな影響を及ぼしますので、単に団結がよろしいということだけで、これを安易に認めるわけにはいかないわけでございます。従いまして、この中小企業団体に関するこの法案につきましては、いろいろ検討して参りました結果、結論的に申しますと、公正取引委員会としては、どうしてもそれは行き過ぎであると思われまする数々の点がございましたので、これは中小企業庁と数次折衝いたしまして、私どもの方で、これは消費者なりあるいはその他の関係に影響が当然及ぶであろうと思われます重要なポイント、ポイントにつきまして、いろいろな修正をお願いいたしました結果、ほとんどその多くがいれられまして、この法案になっているわけでございます。もちろん、私ども申しました点のすべてが、その通り修正になっているわけではございませんが、重要な点はほとんど修正をしていただいて、との法案として出ているわけでございます。  なお、この法案自体の中にははっきり盛り込まれておりません問題でも、これはこの法案は私の考えによりますると、一応規定の建前から申しますると、もしこれらの厳格な要件を文字通りに解して、文字通りに適用いたしますれば、かなり弊害を防げるということに役立つと思うのでございますが、問題は運用でございますので、この運用の面に当りましての、いろいろな中小企業庁方面とのお打ち合せも、この法案提案される前に、いろいろいたしておるわけでございます。その二、三を申し上げますと、簡単に申し上げますが、中小企業の範囲を政令で場合によりまして指定することになっておりますが、これらにつきましては十分に中小企業庁とこの政令を定めまする際にはお打ち合せをするということを覚書を交換してもよろしいということで、そういう了解を得ておりまするし、それから第九条の先ほどからいろいろ問題になっておりまする組合の設立の要件、従ってこれがいろいろな調整行為をする場合の要件になるわけでございますが、そのところにその経営が不安定というようなあまりはっきりしない言葉が使ってございますのを「相当部分の経営が著しく不安定」いうようなふうに直していただきました。これは法制局も、もちろんそういうような私どもとほとんどいろいろな点につきまして意見が一致しておったのでございますが、そういうような修正をしていただきました。あるいはこの組合に大企業が入るということは、非常なそこに危険がございますので、この大企業の加入ということに、かなり私どもは神経をとがらしたのでございます。でこの種の組合を結成することのできる事業は、やはり中小企業が主でなければならない。そういう種類のものでなければならぬというようなことからいたしまして、中小企業のウエイトが非常な大きな業種についてだけこの組合が認められるというようなふうにいたしました。これも条文の中にそういう規定を盛り込んでもらいました。あるいは十七条が御承知のいろいろな調整行為に関する規定でございますが、ここで一番特に消費者に影響がございますのは、先ほど阿部さんが御指摘になりましたように、この組合で価格を協定しまして、これを消費者に押しつける、もしその価格が非常に不当なものでございますれば、しわはわれわれ消費者にかかってくるということになりますので、この点につきましては調整行為の中で、いわゆる価格に関する、対価に関する部分につきましては、特に別な取扱いをいたしまして、これは認可をいたします際に、必ず公正取引委員会の同意を得るということにしてあるのでございます。  それから他の同意を必要としない部分、すなわち公正取引委員会との協議で足る部分にいたしましても、実際の取扱いといたしましては、公正取引委員会の意見を十分に尊重いたしまして、ほとんど同意と同じ扱いにするということを通産省側とは話し合っているわけでございます。  それからなおいろいろこまかな点もございまするが、大体今申しましたような調子で、いろいろな点に、条文自体にあるいはその解釈の統一と申しますか、あるいは運用のやり方等につきまして、かなり通産省と折衝いたしました結果、提案されましたものがこの法案でございまして、ただ、さきに申し上げました通り、強制加入の点につきましてだけは、ついに最後まで両者の意見の一致をみなかったのでございます。従いまして次官会議におきましても、あるいは閣議の席におきましても、公正取引委員会の意見が文書をもって提出されました結果、閣議ではいろいろ考えられましたと思いまするが、やはり政府案のままで提案するということで、この点は私どもの意見がいれられないで提案になっておるというような次第でございます。従いまして、いろいろこまかな点につきましては、なおわれわれといたしまして、必ずしもこの法案がベストの法であるとも思っておりません。ことにこの運用につきましては、なお一まつの不安を持っております。私どもは、あるいは協議権、あるいは同意権を持っておりますが、しかしその運用につきましてはなお一まつの不安は持っておりまするが、しかし、これはこれからの問題でございまして、これを運用する人の心がまえにかかることでございますので、この際それをとやかく申してもいたし方がないことでございまして、私どもとしましては、その将来の運用の問題につきましても、その指導権を持っております通産省との話し合いによりまして、間違った運用のないように運ばれるようにできる限りの、手は打ったつもりでございます。大体団体法につきましては、私どもの今まで考えて参りましたこと、並びにこの法案ができますまでの折衝はそういうようなことになっております。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 五十五条の点については、これは委員長を責めてもどうにもならない問題ですから、通産大臣、あるいは岸総理の御出席を願ったところでお話をしたいと思います。そこで、ただいままでいろいろお伺いしましたが、こういう点もいれられた、ああいう点も了解していただいたということになりますると、これは除外例を設けなくてもよろしいというような気持にもなります。それからもう一点は、委員長中小企業庁長官との文書の取りかわし、こういうようなお話しもございましたが、本委員会としては、皆さん方が法を施行するに当って、文書を取りかわしておかなければ、成案をみないような法律をやはり作ることはできない。やはりそういう心配があれば、委員会の席上で明確にして法文の中に入れなければ、必ずしも横田委員長、あるいは現在の中小企業庁長官がいつまでもこのいすにいるとは思われませんので、そういう点は後刻明確にしておかなければならぬと思います。ただ心配になるのは、そういうようにして毎回々々法案が出るたびに除外例を設けてしまうということは、一つの既成事実を作ることにたりまするから、今後の審議会でどういうような結論が出るかは別といたしまして、非常に影響するということについて御心配はございませんか。そういう点についてお伺いしたいと思います。
  43. 横田正俊

    説明員横田正俊君) この法案だけでなく今までできましたいろいろな特例、除外法案も含めまして、もし今回検討を開始されております独占禁止法の改正というものが、もし非常な大幅なものを意味するというようなことになって参りますれば、今までの適用除外法というようなものは、非常に妙なものになってしまうように思います。先ほどから申しておりまするように、中小企業については大体寛大な、独禁法さえ寛大な扱いをするといいまするが、一方においてやはり認可制をしいたり、非常にかなり厳格な要件を設けたりして、できるだけ弊害のチェックをするという態度が一応出ておるわけでございますが、もし本家本元の独占禁止法そのものをゆるめてしまう、あるいは中小企業のこの法律よりももっとゆるめてしまうというようなことになりますれば、あるいはこの法案は何のためにこのようなものを作ったかというような問題にもなろうかと思いまするので、結局これは独禁法の今後のそのものの持って行き方をどこへ持っていくかということに、非常に重大な関係があると思います。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は公取委員長に対する御質問はこれで終ります。  次に、小平先生と春日先生にお伺いしたいと思うのですが、きのうから、あるいは一昨日からいろいろとこの法案について質問がございましたが、法案国会に出されると同時に、消費者団体とか、あるいはまた御婦人の団体とか、こういうところからこの法案に対する反対がございました。あるいは中政連とか中小企業団体からは、こういう法案を作って中小企業を助けてくれという切実な要望がありました。私は消費者団体に軍配を上げようとか、あるいは中政連とか中小企業に軍配を上げようとか、そういうことは考えておりません。ただ一番心配になるのは、との法案施行された場合、どういう影響があるのかという点が非常に心配されるわけです。ですから、きのうまでの御答弁は、これはだれにも影響がないというように聞えるような政府の御答弁がございました。しかし、衆議院の方では、この法案施行されれば、中小企業がつぶれるから、消費者はこのままがまんしなければならないということで割り切っているのか、それとも一切だれにも影響がないままに中小企業が助かるということで判り切っておるのか、そこを一つ明快にお伺いしたいと思います。
  45. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) この点につきましては、昨日でありましたかもお答え申したと思うのでありますが、元来今回のこの中小企業の団体組織法のねらい、特にその中の商工組合のねらいというものは、この組合の成立要件にもありますように、中小企業の非常ないわば非常事態というか、第九条でありましたかの事態を備える場合に限ってできるわけであります。従ってこの商工組合を作ること自体が、中小企業が非常にもう困っておる、成り立たないような事態になっておる、概括していえば、そういう事態において初めてできるものであり、しかもその行える事業としても、最初は生産であるとか販売の方法であるとか、そういうものについての事業が行えるのであって、最後にどうしてもそれでもなお中小企業全般が、この業種が参りそうだという場合に限って、それぞれの手続を経た上に価格の規制もできる、こういうことになっておりますので、元来が非常に困っておる中小企業者を組織の活動によって救おう、そのことがまた国民経済全般から考えても妥当だと、こういうときに本法が全面的に発動されるわけでありますからして、この法律ができても、どの階層というか、どの商売の方にも影響がないのだとは、われわれはもちろん考えておりません。こういう、今申したような非常な事態の場合には、中小企業者も本法を活用することによって、非常の事態から脱することもできましょう。その意味ではこれは中小企業者にもためになり、利益になる法案だと考えております。その過程においてかりに価格の規制にまで参りましたならば、あるいは価格が若干上るという面も、これは出てくるかもしれません。しかしながら、そのことは国民経済全般から考えてまたやむを得ない、こういう立場で考えておるわけでありまして、価格の上るという面だけをとらえますれば、あるいは消費者には不利益だと、こういうことも言えるかと思います。その点は昨日も申し上げたのでありますが、しかし、それは繰り返して申しますが、その業種に属する中小企業者全体が参るということは、結局国民経済全体から考えても、これは非常に困ることである。従ってそれを救うということが国民経済全体のためによろしいのだという建前から、これはやるわけでありますからして、若干のそういう非常の場合における値上りというものが、消費者に不利益をかりにもたらしてもやむを得ないのじゃなかろうか、われわれはそういう見地で本案を衆議院においては通過さしたわけであります。
  46. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 大体の考え方はただいま小平委員によって述べられたところとわれわれの考え方はそんなに違いはないと思いますが、なお蛇足を加えまするならば、きのうの御質問の中で、私、御答弁申し上げたのでありますが、ちょっと落したところがありますので、重複いたしまするけれども、さらに加えてわれわれの理解するところを申し述べて御参考に供したいと存ずるのであります。  まず第一番に、問題は、調整事業の大衆消費生活者に対する悪い影響という点でありますが、これはまず第一番に、商工組合の設立要件というものが、今お話しのありました通り、この不況事態が現存するということが大前提である、病気になってからでなければ治療を行わないという、こういう事柄に規定されておるのが一つであります。それからもう一つは、そういう場合、その組合がいろいろな基準を備えても資格を備えて、そうしてその組合の認可を得た場合、さて、その調整事業というものを調整規定の中でいろいろと計画をいたしまする場合でも、これは理事者たちが単独に、あるいは即興的にそういうものをきめることはできない。組合員が二分の一以上出席して、しかも三分の二以上の議決がなければならないという、そういうむずかしい条件が付せられております。それから組合がそういう大衆討議によって公正なる論議の結果、調整規定を作りましても、大臣がこれを認可する場合には、幾つかの要件が付せられておるわけであります。その場合には、むろん消費者関連事業者の立場というものが、最高度に重視せられなければならぬことになっております。その結果といえども大臣が自分の自意識をもって、自由裁量をゆだねられていない。すなわちいろいろな生産方式については公取に協議しなければならないし、価格の調整については、これは公取の同意を得なければならない、こんなことになっております。それから今度は不況事態がなくなったと思われるとき、その基準の条項を欠格してきたときには、大臣がこれに対して変更の命令、あるいは組合自体の解散の命令、そんなものが発せられなければならないと、行政庁にこれを義務づけておるわけであります。それから消費者立場を守るための、すなわち調整機能を確保するためには、五十五条、五十六条、五十七条、五十八条以下、大臣命令が発せられることにはなっておりますけれども、その場合もやはり広く一般の意見を聴聞しなければならないことになっております。その結果、命令を受けた本人がなおかつ異議がある場合は、大臣に対して異議の申し立てができる。ずっと数え立てて参りますると、チェックを受ける場所が七カ所あることになるわけであります。私は七つの機関にそれぞれ公正なるチェックを受けていくという形になりますれば、これは私は関連業者の立場が不当に侵害される場合も、消費者立場が不当に侵害される場合も、その関所々々において私はチェックを受けて修正されていく、救済されていくものと考えているわけであります。ただ問題は、じゃこの法律が具体的に施行された場合に、消費生活者の結論として、理由はどうあろうとも、結論としてある物によっては物が高くなるというようなことはありはしないか、こういう阿部さんの御質問でありまするが、私は終局的にはある物についてはそういう事態が予想されるわけであります。しかしながら、そのことに対しまするわれわれの理解は、これはあくまで第九条の設立要件に基いて考えまするとき、とにかく今ある物資の物価が安い。その安いことによって消費者が利益を受けておるとする。すなわちそれで幸福な生活が営まれておるとする。ところが、消費者が安い物資でその仕合せを受けておるというその基盤が、すなわち物資を提供するところの他の国民が自分が原価を切って売っておる。出血営業によって物が安くなっておるという、まあ言うならば関連業者にとっては、それはきわめて不幸な立場にあると私は考えるわけであります。すなわち他人が不幸な立場にあることを基盤として、消費者がみずからの消費生活の仕合せをこいねがうということは、全体的な立場として健全な考え方ではないと、こういうふうに考えまして、消費生活者も幸福でなければならぬが、同時に関連業者たちも、これは自由にして公正なる競争の原則の上に立って、そうしてその商売をやる限りは、そこから発生する利潤によってまず生活ができ、言うならば親にも孝行ができて、さらに言うならば子供の教育もできる。しかしさらにそんなにだんだんと余分なものを望んでいけば、はなはだ物が高くなりますので、その限界をどこにおくかということは、この七つの機関がそれぞれの場所においてチェックをいたしまして、これを不況事態を克服することに必要なる最小限度にとどめておく、こういうことでありますから、私は大体においてこの消費生活者を不当に圧迫するというような事態は予想されないということを考えておるわけであります。
  47. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 公正取引委員長ですね、二人まだ残っておるそうだが、もう時間もだいぶ過ぎましたので、公正取引委員長に先に質問して下さい。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 一言公正取引委員長にお伺いしますが、先ほど阿部委員からあった弱電器関係の価格協定、これについて一応公取としては態度を明白にしたわけですが、メーカーに主導性がある場合においては、これは違反だというように言われていますが、実際問題として今度これは問屋あたりで価格が協定されてくるという場合には、それはどういうことになりますか。
  49. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 結局との団体法のもとにおいてでございますね。これはいわゆる中小企業もこの法律の範疇に入ります。まあ商業は大体入ると思います。そういうものにつきまして卸売の段階におきましても、小売の段階におきましても、先ほど申しましたような趣旨の協定は一応できることになっておりますが、これがやはり野放図に認めるわけではなくて、いろいろ要件がございますし、特に一般消費者、あるいは関連業者の利益を不当に侵害してはならないという規定もございますので、結局その規定あたりに触れますれば許されない、こういうことになると思います。
  50. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうも規定に触れれば許されない言うけれども、実際問題として価格が安いとか、高いということは、これはむずかしい問題で、原材料は絶えず変更していますし、一般の景気、不景気という問題も大きな要素になってくると思うので、そういうふうに客観的に一つのものさしを与えて、そうしてこれが抵触する、抵触しないというふうに明確になっておれば、われわれとしてもある程度までこれは消費者にはそれほど影響しないというふうにも確信できるのですが、ただ、今言ったような抽象的な問題で内容として重要部分は政令にゆだねられておるということから見て、運用が心配であるという点で、すべて運用にかかってきているというわけなんです。そういうふうになってくるというと、どうしても団体法が通過した場合に、そういうふうな価格協定というものから、特にその裏づけとして強制加入という問題とからんで、これは非常にむずかしい問題になってくるということを心配せざるを得ないと思うのです。そういうふうな点で、たとえばそのほかに、最近においてふろ屋の価格の問題についても、片方からいえば十七円は安いことはないという、一方の方からいえばこれは高いということはないといって、水かけ論、ふろかけ論になるかもしれないけれども、水かけ論の形になって、今東京都自体も調査するということで口実を設けておりますが、聞くところによれば、十二月ごろにおいてはこれが値上げの方向にいくのじゃないかといわれているわけであります。そういうふうな点でそのときどきで、じわりとじりじりと、運用その他の、面によって高くなってしまう。そのときは法律はすでに施行されたあとで、国民大衆というものに対してはそうではないと言っても、事実というものはそういうふうに発展してくるということを非常におそれてお伺いしたわけですが、どういう場合に問屋が価格協定をしてもそれは心配ない、こういうことになるんですか、それを教えてもらいたいと思います。つまり問屋の方で価格協定しても、それは消費者には影響しないということは、どういう場合になるのか、それを一つ教えてもらいたいと思います。私はやはりこの場合は大メーカーの方で主導性を持っていくということは違反であるし、そうなったらならばメーカーは今の産業自体の中において考えてみて、問屋の方に相当金なりその他融資して、そうして問屋自体の中間段階において価格というものを規制していこうという考え方は、私は起ってくると思います。そういうような場合において、そういうものを実証するということはなかなかむずかしいということを考えてみた場合に、問屋の価格協定に対してこれは消費者に影響しない場合はどういう場合があるんだか、それを一つ教えてもらいたいと思います。
  51. 横田正俊

    説明員横田正俊君) それはいわゆる流通部門については、そういう価格の決定ということが非常にむずかしい問題でございまして、今まで多く適用除外を認められておりまするものは、生産協定あるいはまれに価格協定が構成上入っているものもございますが、多くはそれは生産に関する状態でございます。御承知のように今の中小企業安定法もそういう建前でございますが、今度それが商業部門その他の部分まで広がりました結果、御指摘のような非常にむずかしい問題が出てきているわけでございます。しかし、これは抽象的にお答えすることは困難な問題でございまして、先ほどから春日議員からも御説明がございましたように、結局具体的には認可制とか、あるいは審議会というようなものもできておりますることでもございますので、そういうふうなところで慎重に検討されてきまっていく問題ではないかと考えます。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 ふろ屋の問題ですがね。認可しないと言いましても、ふろ屋の方では時間の制限をやり、そうしてやった場合には、順法闘争とでも申しましょうか、結局消費者の方が困ってくる。また、経済的に引き合わないといっているふろ屋の方にも道理があるでありましょう。そういう際にはどういうふうにされますか。その点をお伺いしておきたいと思います。決して許されないからといって、それで通るものではない。おか湯を出すふろ屋の時間の制限をしてくるというようなことになったら、どういたしますか。
  53. 横田正俊

    説明員横田正俊君) そのふろ屋の問題は実はまだ私どもの方でも真剣に検討はいたしておりませんので、十七円がいいか十五円がいいか、その辺のところはお答えできませんが、しかし問題になって参りますれば、いろいろ諸般の事情を検討いたしまして、まあ公取といたしましては、環境衛生の場合につきましては、協議にあずかることになっておるのでありますが、その協議の際に、十分に検討いたしたいと思っております。なお、実はすでに独禁法の二十四条にそういうことが規定がございまして、あの場合も規定ははなはだ抽象的で、組合の協定は一応認められますが、対価を不当に引き上げるという場合には、これは認めないということになっております。従いまして対価を不当に引き上げたことになるかならぬかということは、非常にむずかしい問題でございます。たしか豆腐屋の問題につきまして、豆腐の値段が十円がいいか十二円がいいか、十五円がいいかということで、だいぶ苦労いたしたこともございます。そういうふうにやはりその個々の場合につきまして、諸般の事情を検討いたしましてきめて参るよりほかないと思います。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 春日衆議院議員に御質問したいのですが、さいぜん横田公取委員長お話しでは、あらゆる点について話がついたけれども、五十五条の問題について意見の一致をみなかった、こういう御答弁がございました。公取委員長の五十五条の点について意見の一致をみなかったということは、公取委員長は五十五条はこういう案文であれば、この独禁法にかかるぞと、こういうことで意見を述べられたと思います。そうしますると、本法案が今度の臨時国会で通過するか、あるいは通常国会で通過し法律になるかこれはわかりません。ただし、今度独禁法改正もやるというのですが、いずれにしろ、本法案の方が先になるということは、これは明白です。そうしますと、あとで独禁法改正すれば別ですが、改正したとしても、その間法律に反するような法律ができ上ることになるわけです。法律違反の法律をわれわれが作るということになる、そうするとあらゆる問題について意見の一致をみたけれども、その問題が残っておるというのですが、これは衆議院では両党で修正したわけで、いろいろな点で意見の一致をみた中で、この五十五条はどういうわけで修正されなかったか、なぜこれが残っておるか、これは公取委員長の意向がどういうふうに反映されたか、そういう点について五十五条がどういう論議過程を経て残っておるか、こういう点について春日先生にお伺いしたいと思います。  なおもう一点お伺いいたしますが、さいぜん申し上げました主婦団体なり消費者団体が非常に反対しておることは、いろいろな問題があっても、中小企業団体法はけしからんと言っても、やはり消費者としては物価が上るのじゃないかということが根本問題だと思います。主婦団体といえども、あるいはまた労働組合といえども消費者団体といえども、中小企業のお気の毒な状態をまのあたりに見ておるのですから、中小企業法を作ることに何も反対はないと思います。最近春日先生からいろいろな対策を聞きましたが、あれだけの対策しかないのかどうか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  55. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 大体五十五条の強制加盟に関する条項は、私ども社会党の原案にはむろんありませんし、なお政府原案に対しては社会党が絶対賛成することができないと、こういうことで最も強烈に反対いたしました個所でございました。従いまして、これはただいま公取が述べられた御意見と、私どもの党の意見とは全く合致いたしておりました。で、それについてちょっとわが党がなぜ反対をしたかと申しますと、独禁法の二十四条の三の四の四の条項すなわち不況カルテルを認可する場合の絶対要件といたしましては、加入と脱退とが自由の原則、これが確保されなければ、不況カルテルといえども容認してはならないとはっきり明記されておるわけであります。これにはそれぞれの事由があるでありましょうが、私ども社会党が特にその二十四条の三の四の四の条項に基いてこれが加入脱退自由の原則が確保されなければならないと主張いたしましたその理由は、まず私たちはこういうあらゆる共同経済行為には、アウト・サイダーというものが必要である、で、アウト・サイダーがあって、そうしてそういう協定に対してブレーキの役割を果さしめなければならぬと、こういう考え方、それからもう一つは、これは制度的に無用である、なぜかならば五十六条、五十七条で調整機能の効力を確保することのための大臣の服従命令、こういう条項がありますので、これは屋上に屋を架すという制度であるから、さらにまた、これに対しては本人の意思に反して身分の変更を来たすことは、これは憲法論から申しましても多大の疑義の存するところであります。ですからこれは制度的には無用であるということ、第三には、本質的にこれは危険である、なぜかならばそれはこの加入命令が兆せられました場合、結局その加入せしめられた本人が服従せなければならない調整規定というものは、それは組合が定めたところの調整規定であるのである。ところがこの五十七条と、五十六条の服従命令は、組合が申請をいたしましても、大臣がそれを参酌して自主的にこれを調整いたしまして命令を発することができることになっておりますが、この加入命令によりますると、組合がきめたところの規定そのものに服従していかなければならぬ、言うならば行き過ぎのものにも服従せなければならぬという、そういう意味でこれは本質的に危険である。それからこの組合のボスの支配的の傾向を強化せしめる心配があろう。それからもう一つは、この組合自体が団体法の第一条にも規定されておりまする通りに、自主的に事業活動を調整するとうたっておりながら、その大臣の命令によって調整機能を確保するということは、やはり共同経済行為に対する官僚の権力の介入である、そういう意味でこの法律の精神にも反するであろう。それからもう一つは、これが大企業と中小企業を差別待遇しておる、結局加入命令が発せられるのは中小企業だけでありますから。こういう工合にずっと私どもの方の党でこの五十五条を検討いたしました結果、大体七つの項目に従ってこれは容認することができない。こういうことで私ども最も強烈にわが党はこれに対して反対をいたしました。しかしながら、この法律全体の立場においてこの法律を通さなければならないとまあ考えました。私たちはそれならばこの五十五条をいかに修正したらよろしかろうかと、これはただいま阿部君が述べたところの立場に立って、私どももこの条項の修正のために最も精力的に努力を払った次第でございます。かくてこの五十五条はその立場に立ちまして、わが党の主張が全的ではありませんけれども、ある程度認められまして、ただいまお手元に御提示されておりまする修正案、そこの中には大臣がその命令を発しましても、命令を受けた本人が加入することがいやならばそれを行政庁に、この場合の行政庁は知事でありますが、知事のところへ私は入るのはいやだと言うて届け出て認証を受けなければ入らなくてもいい、こういうふうに修正をしたわけでございます。で、これにつきましては自民党の御了解を得まして、社会党憲法論、それから独禁法論から来たるところの主張は、とにかく今回の修正案の中に大幅におくみ取りを願いまして、かくて大臣が加入命令を発しても、いやな人は入らんでもいい、しかもそれは許可、認可を必要としない。ただ大臣が発したものを知事のところへ行って、わしはいやだと、こういうふうに認証を受ければ入らなくてもいい、こういうふうに修正をされたのでありますから、従いましてわが党の憲法論、それから独禁法のいろいろな関連から来たりますところの心配が、相当程度にまたがってこれが解消されたものと考えまして、この範囲でもって十分ではありませんけれども衆議院段階においてはこの修正案に賛成をいたしたものであります。しかしながら申し述べておきますが、これはあくまでいずれにいたしましても大臣命令というものの持っておりまするところの精神的な影響力、またその形式的には国民の意思に反して身分の変更を来たすというような立法措置は、あくまでもこれは結社の自由、この憲法に定められておりまする基本的人権を侵害する心配ありと考えまして、この点は相願わくは参議院の良識において御修正を願いたいものと期待をいたしておる次第であります。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 知事が認証しない場合はどうなりますか。
  57. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) これは承認ではございませんでして認証でございます。この点につきましても法律専門家を加えまして、両党の修正に携わりました当事者間で深く検討をいたしたのでありまするが、認証ということは届けっぱなしを意味すると、こういう工合の了解に到達をいたしている次第であります。従いまして、知事に加入いたしませんということを承認を求めるものではなく、そういうことを届けたということを認証してもらうということでございますから、これは届ければ自動的に認証の手続が完了する。こういう工合でございますから、結局承認を受ける必要は全然ないのでございます。
  58. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。ただいまの春日議員の御説明の最後に付加されたものは、第五十条は相なるべくは参議院の良識において修正が望ましいという御発言がございましたが、これは衆議院側を代表しての御説明ではなくて、春日議員の気持をまあ率直に現わしたものと了解をいたしておりますが、これに関連して自民党小平議員は何か見解があるかどうか、あるとすれば御参考に参議院の良識を守るためにお伺いしたい。
  59. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) まずただいまの点からお答えいたしますが、この点も一昨日来何回か御質問のあった点でありますが、われわれの立場といたしましては、今回御審議を願っておるこの修正案なるものが、衆議院での審議過程において自民党社会党と両党の間でそれぞれの機関も経、それぞれの首脳者の了解も得て共同修正案ということで衆議院を通過し、ただいま御審議を願っているのでありますからして、その政治的な信義の点からいっても、あるいはまた、われわれの現に御審議を願っておるわれわれの提案を、どうも私どもから適当に御修正下さいとは、まあ私の立場からはそういうことは申し上げかねるのであります。私どもはどこまでもこの修正案をわれわれの立場から、希望から申しますならば、一つ御通過願いたい、こう申し上げておくよりほかないのであります。(「共同提案だから共同してそういう点……」と呼ぶ者あり)まあそういう点からいえば、春日議員の御心中は私どももよくわかるのであります。しかし二人でかれこれ言うのは何かと思いますので、その点はまあ御遠慮申し上げまして……。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 国会内の発言は自由でございますから、春日議員がいかよう発言あろうとも、小平議員がいかよう発言あろうとも、われわれが各自で判断するのですから、それはもう差しつかえなかろうと思います。  そこで私はただいま横田委員長からいろいろお伺いしましたが、どうもこの法律案内容は別として法的にこれは差しさわりあるというように判断しておるわけです。そこで、憲法上の問題については後刻大臣がおいでになるそうでありますから、ここで論議したくないと思います。どうもこれは憲法上にも抵触するというふうに考えております。しかし、これは私の個人的解釈になるかわかりませんので、時日もあるので、午後理事会があるそうでありますから、法学者を数人呼んで見解一つ承おりたいというように考えておるわけであります。参議院の良識とかおだてられても、おだてられる気持は毛頭ございませんので、その点を委員長に取り計らっていただきたいと思います。  それから議事進行についてですが、十二時も過ぎましたので、一つここで一時間ほどの休憩をお願いしたいと思います。
  61. 島清

    ○島清君 私は阿部委員質問に関連して関連質問を許していただいておるので、それだけ許していただきたい。私は本日の委員会におくれて参りましたので、私どもの同僚の委員諸君からお聞きして御答弁があったといたしまするならば、お答えをしなくてもけっこうでございます。横田公正取引委員長小平さんに一つお聞きしますけれども、それは阿部委員質問に関連をいたしまして、私は阿部委員質問に対する公正取引委員長の御答弁で、独禁法改正はこの団体法と重大な関係を持つ、こういう御答弁でございましたが、私どもも重大な関係を持つものである、こういうような判断をいたしまして、昨日政府に御答弁を求めたのであります。ところがきょう、そちらに見えておられまする小笠政務次官関係はないと、それで大臣もきのう関係ないようなことをおっしゃっておられました。私はあると思いまするけれども、あなたもあるとおっしゃっておる。そこで、独禁法改正はどういうところが一体この法の運行に当って不都合があるのか、どういうところを改正したいのか、こういうことをお聞きいたしましたところが、これまたもうろうとしてつかみどころがなかったのです。そこで私たち考えまするに、経済法の諸法律の最も憲法的な基本的な法の性格を持っておりまするのは、独禁法だと考えております。その独禁法の番人でありました横田さんは、この長年にわたりまする番人的役割の中において、この独禁法をどういうところが一体不都合で改正をしなければならないのか、独禁法改正と関連をいたしまして横田さんがどういうところを改正しなければならないと思っておられるのかというようなことについてお答えをいただきたいと思います。  さらに、大臣は昨日私の質問に対して、独禁法改正世論化しておる、こういう御答弁でございましたが、それは一方的に資本力の集中を独禁法によってせばめられておるいわゆる大資本家の諸君、大企業家の諸君はこれが窮屈でありまするから、改正をしてもらいたいという考え方を持っておるのかもしれないけれども、しかしながら、さりとてこれが国民的な世論化しておると私は考えませんと、こういうことを申し上げげておきました。そこで、果して独禁法改正というものが、大臣が言われるがごとくに国民世論化しておるものという判定の上にお立ちになっておるかどうか、これを御答弁いただきたいと思います。それはたとえば今阿部委員質問に対しましての、五十五条の強制加入の問題についても、残念ながら私たちは政府の機関において、しかもその経済法の最も取締り的な、最も番人的な立場に立っておられまする横田委員長の意見が通らずに、調整されずに、そこで政府考え方として提案をされたということについて、非常に私たちは残念に思っております。そこで果してこの独禁法に抵触するかどうかというような問題等についても、私たちは非常に重大な関心を払っておるわけであります。そこでどうぞ虚心たんかいに御答弁をいただきたいと思います。  それから小平衆議院議員お尋ねいたしたいことは、本法のねらいというものは、九条の不況要件をいかにして克服するかというところに、私は本法の基本的な考え方があると思うのであります。しかしながら、その基本的な考え方をこれだけの法律にまとめて、いろいろの設立のことであるとか、あるいはその調整の機能であるとか、いろいろ規定しておりますけれども、しかしながら根本とするところは、私はこの価格のつり上げではないと思います。そこで、私は御答弁をいただくときに、この法律施行された場合には価格のつり上げもやむを得ないんだ、価格のつり上げが国民経済全般からみた上に結論的にそうなってもやむを得ないんだということは、私は提案者のあなたたちからお聞きするということはすなおには受け取れないわけです。国民は、消費者立場からすると、一般国民からいたしますと、物価が上らないことを念願にするわけです。これは生産者であろうと消費者であろうと、物価が大体安定をして上らないことを念願としておるわけです。しかも国民がこういう法律ができたならば物価のつり上げに非常に利用されるんじゃないか、こういうふうに懸念をしておりまするやさきに、懸念ばかりじゃなくこれが実現されるであろうというて強力に反対の政治運動を展開しておりまする場合に、これが価格のつり上げになるかもしれないというようなことについては、私は言葉の端をとらえるのじゃなくて、その根本精神を疑わざるを得ないと思います。そこで結局は、かりに価格のつり上げということではなくして現状維持であるとか、下りつつある物価があるいは現状においてブレーキをかけられる役割は、これはできるかもしれません。しかしながら、ぐっと下っていったものを、これをぐっと価格で私はつり上げてくるということは、これは政治の貧困を物語るものであると思います。もしかりに業界一帯が過当の競争をして価格がぐっと下っていって、そこでこの調整規定を発動しなければならないというようなことになると、私はそこには社会政策的に物価つり上げによるところの政策ではなくして、ほかの国家的な施策が当然に並行して行われなければならないと思うのですよ。従って私は、結局あなたたちの、すぐ単純にこれが不況要件ができてくると、物価が下りかけてくると物価を引き上げてやるんだというような印象を与えるような説明では納得しかねる。ですからどうしても非常に品物が過剰になって、そこで過当の競争が起ってぐっと下っていったときには、下って底をついたときに法律を発動させて価格をつり上げてやるというような措置じゃなくて、そのときには私はほかの施策というものが行われなければならぬ、そう考えるんです。そういうことについて一つ明快に御答弁をいただきたい。
  62. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 独禁法改正問題につきましては、先ほど簡単にお答えをいたしたのでございますが、繰り返して申し上げますと、ただいま公正取引委員会でもだいぶ前から独禁法法制全体につきまして検討いたしておりまして現在に至っておるわけでございますが、われわれといたしましてはなるほど各方面、ことに財界方面からだいぶ前から改正の要望もございまするが、単にそういうものだけを取り上げてここで問題にしているのではなく、独禁法法制実施後十年経過いたしました今日、また、その後いろいろな適用除外等も出ておりまする今日、これをもう一度全面的に検討いたしまして、わが国に最も適した独占禁止法というものはどういう形であるべきかということを、ごく客観的に検討いたしたい、こういう態度をもちまして今日に至っておるわけでございまして、従いまして簡単にここで、こういうような点が問題になって、こういうふうにしたいということを申し上げる段階にまだ達していないということを申し上げたわけでございまして、要するに謙虚な気持で各方面の意見を聞くと、そして結論を出し、もし改正の必要があれば、改正をしていきたいというのが現在の私たちの気持でございます。世論がどこにあるかということは、私から申し上げるまでもなく非常にむずかしい問題でございまして、一つの問題については必ず反対意見がございますので、そのいずれが正しいかということは、各方面から徹底的に検討しなければならぬというように考えております。大体そういう気持でこの問題に臨んでいる次第でございます。
  63. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) 島先生のお話まことにごもっともだと思います。先ほど終局的に、あるいは最後の手段として若干そういう物価の値上りという問題が起るかもしれぬと、それも中小企業が非常なる事態にあるのを何とか救おうという立場から考えて、またそれが全体の国民経済から考えてやむを得ないと考えておるという趣旨のことを申し上げましたが、その際物価のつり上げとなるというような表現を用いたために、あるいはただいまのようなお言葉になったかと思いまするが、もちろん、われわれは物価をつり上げるとかいうようなことの好ましくないことは、万々承知をいたしておりまするし、その点を特に消費者立場から非常に御心配なさっておるということも承知をいたしております。従ってことさらこの物価をつり上げるというようなことは、われわれは毛頭考えておりません。ただ先ほど御指摘の通り、第九条に規定されておりまするような要件に相成りました場合に、価格の規制以外のあらゆる調整事業をまず行われて、しこうしてそれでもなおかつ第九条の要件を克服することができないというような場合に限って、いわゆるこの規制のもとに物価の価格の適正化と申しますか、何人も納得のいく価格というものに規制をすることが、法の手順を経て認められるということもあり得るということを私どもは申しあげたのでありまして、決してこの物価を不当につり上げるというようなことをわれわれが容認しようというようなことは毛頭考えておりませんので、その点は御了承を願いたいと思うのであります。
  64. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) ちょっと一言申し添えておきたいと思うのでありますが、私ども提案をいたしました組織法の原案の中には、こういう不況事態を克服することのために共同経済行為に対する規定のほかに、ただいま島さんが御指摘になりましたような、いわゆるそれに及ばざる前に他の方法によってという、他の手段を講ずることによってという御意見がございましたが、そういう内容に触れての施策も組織法の中には盛り込まれておったのであります。しかしながら両党の共同修正過程におきまして、わが党のそれらの主張は、これはただいま同時に併託されておりまする中小企業等協同組合法の一部改正法律案の中に、団体協約による事項とか、あるいは子組合を結成することによって、零細業者に対する特別の措置とか、さらにまた火災共済措置というような問題等、いわゆるその他の方法をあわせ行う、また事前に措置していく、こういうわが党の主張が、中小企業等協同組合法の一部改正法律案の中に盛り込まれておりますことを一つ御了承願っておきたいと存ずるわけであります。従いましてこの二つの法律案は、この団体法を御審議願います上におきまして、全く、一体不可分の関係にあると考えております。今御指摘になりましたように、物が高くなるであろうというような御心配でありますが、この団体法の中におきましては、これはあくまで病人を治療する、病気になってから治療を始める、これをきわめて厳粛に局限して規定をいたしております。そこで、その健康体にホルモン剤を打つというようなことは、絶対この組織法の中にはないと考えております。で、そういうような中小企業の経営を合理化したり、経済的地位を向上せしめるということの積極的な施策は、もっぱら中小企業等協同組合法の中にこれが取り入れられて、衆議院段階におきましては、自民党の御賛成を得て、わが党の施策が実現を見つつあるわけでございまして、まあこういう意味でわれわれはこの両案に賛成をいたして本日に至っておる次第でございます。さように御了承を願いたいと思います。
  65. 島清

    ○島清君 横田さんの、何か憲法調査会みたように、改正するかしないか、それを調査してみる、こういったようなことで、すこぶるどうもわけのわからないような御答弁でございまするが、一体この今、阿部委員が指摘を、いたしました通り、その五十五条は独禁法違反ではないか、こういうようなこと、そこで、しかしながらここで独禁法改正すると、こうおっしゃる。そうすると、独禁法改正ということを見た上でなければ、この法律は五十五条を修正するか、でなければこの法律は通すことはまかりならぬ、まあ、こういうことになるわけですが、私は、しかし、もしそういうことになったら、非常に私たちの本意でないところで、すこぶる遺憾なことだと思うのですが、そこで、少くとも長い間独禁法の番人としておられた横田さんのことでありまするので、そういったような、憲法調査会みたような政治的な表現ではなくって、一体、今まで独禁法運営に当ってこられて、今の経済の事態にこの法律施行されるに当って、どういうところが不都合であると思われるのか、こういうことを、まとめて委員会の方に一つ御披露いただきたい、こう思います。それは通産大臣の方からは、輸出の振興をはかるために独禁法改正したい。あとで私は、それじゃ輸出の振興をはかるために、独禁法のどこが一体不都合なのか、これもまた、あとで大臣の方に一つお示しをいただきたいと思っておるわけですが、ややもいたしまするというと、りっぱなものでございましても、それが占領時代にできた法律であるから不都合である、そういうことで、悪く法律を改悪をする傾向が、近ごろ非常に流行になっておるように私たちは思うのであります。そういう意味もございまして、あなたの御提示になりまするこの独禁法改正の構想といいますか、これと今度の法案審議とも、おっしゃるように、重大な関係があると思いまするので、私は今、あなたの御説明では十分に理解することができませんでしたので、はなはだ過大の御要求を申し上げておるようで恐縮ではございまするが、後日一つそういったような構想等を委員会の方に御提示をいただきたい、こういうふうに考えます。
  66. 小幡治和

    ○小幡治和君 先ほど春日代議士のおっしゃいました発言の中で、私、非常に重大だと思うのですが、小平春日両代議士は、衆議院の共同提案者としてこの席に出ておられると思うので、先ほどの強制加入命令に対する問題について、春日代議士は、まあ修正してほしいというふうなことを言われまするし、小平代議士は、まあ無修正でやってくれ、これでは共同提案者じゃなくて、不共同提案者で、そういうことでは、この問題の共同提案者として発言が食い違うようなことじゃ困ると思います。いやしくも審議過程においては、いろいろな事情もあったでしょう、論議もあったでしょう。またそれぞれの個人、あなたの考えにおいてはいろいろな考えもあると思いますけれども、ここで御答弁され、ここで発言されるということにおいては、あくまでも共同提案者としての立場をしっかり守って、そうして発言していただきたいということを申し上げておきます。そういう点について、一つ春日代議士の御意見を承わりたいと思いますが、途中のそういう審議過程の問題じゃなくて、こうしてほしい、またこういうことを希望するということを共同提案者としては私はやるべきである、そういうふうに考えます。
  67. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの御発言ですが、私の質問に対してお答えになったわけです。私は五十五条に関連して、社会党として賛成して共同修正して意見の一致をみたあり来たりを質問したから、当然社会党としてはこうだ、こういうことを答弁になったんだろうと思うんです。困るであろうというようなことは、これは議事録をごらんになれば、一切明白だと思うんです。春日衆議院議員の御答弁は、私の質問に対して、百パーセントの御答弁であると、こういうふうに私は判断しております。
  68. 相馬助治

    相馬助治君 せっかくの御発言ですが、そういう御発言であると、衆議院側の自由な発言を、ある意味では制限することになりはしないかということを私はおそれますので、ただ、しかしあなたが指摘されたような心配もありますので、私は直ちに小平衆議院議員発言をお願いしているんです。で、こう振り返って考えられればわかりますように、阿部委員質問は、第五十五条の修正点及びその修正点に達した経過についてお聞かせ願いたいと、こういうことを申したと思うんです。従って春日衆議院議員答弁されている趣意は、修正案を通していただきたい、非常に苦労した結果、修正案がこういうことになったんだから、修正案を通していただきたい。しかし個人というか、自分の気持からして、この際参議院の良識に期待したい、こういうふうにおっしゃったので、やや表現が過剰ではあるかもしれないけれども、(笑声)これを事荒立てることはないと思います。しかも参議院規則第四十一条、それから衆議院規則第六十条の二によりまして、衆議院則を代表して発言することができると書いてある。われわれはこれを発言せしめなければならないということで要求し、このお二人を拘束することは法律的にできないので、いや、そういうことは言いたくないといわれれば、規定から申しますと、われわれは手も足も出ない。これはそういうふうに規則に書いてある。で、どういうふうにするかしないかという前に、発言するかしないかは、規則上は御自由なんです。従いまして、小幡委員の意見はわれわれはわかりますが、これは相共に了解し合って、事を荒立てないようにして進んでいただきたい。
  69. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 横田委員長に一点だけ団体法独禁法関係を伺いたいと思います。相当法案の雑則で、独禁法が排除されている。その中で、団体交渉、組合交渉ですか、あるいは組合規約、こういうものはその対象が個々の大きな企業者、大企業者の場合が想定されていると思うのです。これは除外されているのでありますか。私の質問は、おそらく反射的に、また、必然的に組合交渉の相手方である大企業者と申しますか、そういう面にもおのずから団体的な行動が行われるであろう。大企業者間における協定ですね。この団体に対抗するわけではありませんけれども、この商工組合に対して一つ団体的な話し合い、協定が行われるであろう。これはここで除外された趣旨から見て、やはり独禁法から除外されるのか。それは当然やはり適用があるのか。その点であります。
  70. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 簡単にお答えいたしますと、大企業の間の話し合い独禁法にさらされております。こういう解釈であります。
  71. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 解釈上はおそらく横田委員長の言われる通りだと思うのです。別段それについての規定は何もありません。ただ実質的に考えますと、一方の方は、言いかえれば交渉の一方の方は独禁法が除外されておる。一方の方は独禁法の制約を受けるということに実際上なるわけであります。果してそういうことが円滑に働くかどうか、その点に私若干の疑念を持つわけであります。
  72. 横田正俊

    説明員横田正俊君) 御指摘のようなむずかしい問題は、いろいろの問題について実はございます。これはやはりカルテルというものを認めますると、必然的にその対抗、いわゆる対抗カルテルというものが出てくる。これはカルテルを認めることの一つの弊害の大きなものとして説かれておることでございまして、現実の問題としまして、たとえばくず鉄の問題につきまして、鉄鋼メーカー側にカルテルを認めますれば、自然にくず業者の側の団結というものが出てくるという問題がございまして、先ほど申しました適用があるというのは、これは独占禁止法の本来の建前でございますが、実際の運用の面になりますと、御指摘のような非常なむずかしいものがございまして、かなりわれわれといたして苦労する場合もございまするが、その点は結局その場合、その場合に、相手方の団結の程度と申しますか、やり方その他いろいろな点が、それを違法としてわざわざ公正取引委員会が取上げ、審判の対象にするに値いするかどうかという問題につながって参ると思います。
  73. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は二時から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  74. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中小企業団体法案関係法案を一括して質疑を継続いたします。  なお、本委員会の、要求によりまして堀木厚生大臣が出席されました。御出席の時間も約一時間ということで限られておりますので、この際主として厚生大臣に対する質疑をお願いいたしたいと存じます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  75. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私はただいま審議中の法案に関連いたしまして、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の問題につきまして、しばらく大臣お尋ねをいたしたいと思うのであります。御承知通りこの法律は参議院の修正案衆議院が承認しないので、衆議院原案通り可決をいたしました法律でございます。参議院の総意というものがほとんど無視をせられまして、むざんに衆議院でこれが否決をせられたという、法律といたしましてはまことに珍しい例だと私どもは考えておる次第であります。この法律くらい各方面におそらく評判の悪い法律も少くないと思うのであります。もし後世、悪法の見本を出せと申しましたらば、おそらくこの法案ほど、その例にあげられるのに適正なものはないのではないかと考えるのであります。環境衛生法であるということを現在予言しても、おそらく誤りでないと思うのでございます。現在中小企業団体法案に、反対をするものがこの案に反対する例に引用するのは、すべてこの環境衛生法であるのでございます。この法律の悪い点が団体法におきまして一部の人たちの説によりますると、これが拡大強化をされるのではないかと、かように心配をせられる向きもあるのであります。この法律を非難する者は団体法の、反対者のみではないのでありまして、団体法成立を希望する者もまた同様に非難をしておる現状であります。それは環境衛生法が非難されるから非難する者と、いま一つは、環境衛生営業法の消費者に当る者の非難があるのであります。団体法成立を希望するところの中小企業者も、先般私から大臣に指摘をいたしたように、その四〇%というものが消費者階級に入るものであるということ、すなわちサラリーマン、主婦、労働者と、この中小企業自体がその消費者に入るわけなのであります。この大衆をして環境衛生法が値上げ法案であるという点において、最も強く非難すべきものと見られるのは、けだし当然といわなければならぬと思うのであります。しかしながらここで特に強調をいたしたい点は、団体法成立を希望する人たちが、環境衛生法が不評判なるがゆえにそれを非難し、あるいはこれを困ったことと見ることでございます。言葉をかえて申しまするならば、団体法論者が環境衛生法に先を越されて、環境衛生法が団体法の欠点を先例として示すために、団体法が通過しにくくなるのではないかというこういう懸念でございます。環境衛生法がさきに成立いたしましたことは、団体法の道をふさぐのではないかという一部の心配も当然と思うのでございます。中小企業者も、中小企業庁でも、すべての団体法賛成者が持っているということは実に重大なことであります、すなわちこの懸念でございます。それはこの二つの法律案がほとんど同一のことを目的といたしまして、長所と短所という点を持っておるのでありますが、これは当然でありますが、ここに私は環境衛生法につきまして査問を試みるに当りまして、とりあえず団体法案をとって勢い質問をせざるを得なくなるのでありますが、まず第一にお尋ねをいたしたいことは、環境衛生法の目的は環境衛生の改善ということと、それから同業者の過度の競争の救済というこの二点でございます。この一体いずれが目的であるかという点であります。おそらくその目的は第二の過度競争という点に集中をせられて、この法律案が作られたものと思うのでありますが、まず大臣にその点の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
  76. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) おっしゃる通り、第一条におきまして、過度の競争により適正な衛生措置を講ずることが阻害され、または阻害されるおそれがある場合に、組合員の経営の安定をもたらすための措置を自主的に講じ、もって公衆衛生の向上を期するということを法の目的として明らかにいたしております。要するに厚生行政といたしましては、実は適正な衛生処置が講ぜられることを阻害され、または阻害されるおそれが非常にあるというときに初めて起る問題でありまして、目的はあくまで衛生基準の順守というところに問題を置いておるのであります。それらの起ります原因の多くの場合が中小企業関係におきましては、過度の競争によって起る場合がございますので、かかる条文をいたしたような次第でございます。
  77. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 環境衛生法を実施しなければ衛生施設がよくならないというようなこと、衛生状態を改善するための法令は今まで一体存していなかったのか。それから行政措置というものが全然とられていなかったのか。他の法令や行政措置等でそれが実施をできるとするならば、環境衛生法は完全な過度競争の防止、それから料金協定の法律に一本化されていくのではないかと思うのでありますが、これについての御所見を承わりたいと思うのであります。
  78. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) おっしゃいます通りに、これらの営業につきましてはその重要性にかんがみまして、おのおの単独的な衛生基準を守るような法令の処置が行われておったのでありますが、本規定によりましてそれらについて従来の規則を、何と申しますか、必ずしも従来の規定が新しい民主主義の社会状態に応じているかどうかという問題から考えますときには、一例をあげますれば審議会を作る。そして審議会に消費者代表も入れそして業者代表も入れ、公益代表等も入れてやるような事柄を加えますとか、あるいはその他の種々なる法令を、条文を補完いたしまして、一括してこの法令にいたしましたような次第でございます。
  79. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 環境衛生の改善は競争によって実現せられると思うのでありますか。あるいはそれとも独占によって実現せられると思うのでありますか。過度と思われるほどにお互いが競争の激しいところで、かえって衛生的には非常にりっぱに営業が行われているという例も非常に多いのであります。ある場末の、地域的にはほとんど独占に近いような環境におきまして、理髪屋とかあるいは映画館等が非衛生的である場合が非常に多いのでありますが、同業組合を作りまして地域制限を行い、あるいは料金の協定を行うとき、かえって非衛生的になるのではないかというおそれがあるのでありますが、これに対する御意見をお伺いいたします。
  80. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 御承知通り、終戦後私はこれらの問題につきましては、相当社会の実情に適するように進歩して参ったということは考えられますし、それを維持する上において、むろんサービス競争というものが同業者間に活発に行われるということも一つの方法でありましょうが、厚生行政といたしましては、少くともある程度基準というものだけは守ってもらうようにするということがぜひ必要ではないか、こういうふうに考えますために、この法令ができたということは申し上げるまでもないことと思います。
  81. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に、環境衛生実施後でありますが、これは九月二日から施行せられたものでございますので日はなお浅いのでございます。その間すでに業者の間におきまして値上げの動きがあり、御承知通り毎日の新聞紙上にもその点についていろいろ書かれておるのでありますが、これらにつきまして正式の届出がおそらく大臣のお手元にも入っておるだろうと思うのでありまするが、もし大臣が御自身おわかりにならなければ、そういう点につきまして概数でもよろしいですが、所管局長からお答えを願いたい。いわゆるその実施後の値上げの実相でございます。
  82. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私の承知しているところでは、まだ認可を申請して参っておりますところはないように思うのであります。これは政府委員が参りましてから、さらに正確に伺ってもけっこうでございます。しかし、今まで九月三十日現在で創立総会の開催広告を行なったものが四十一件でございます。内訳では理髪業が一番多うございます。これは従来の過程から参りまして当然のことでなかろうかと考えております。それから創立総会を完了いたしましたものは二十七件でございます。これも内容的にみますと理容業が多くを占めておるというふうな状況でありまして、従いまして設立認可申請の書類を提出済みものは、十月五日現在までにはないようでございます。
  83. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 こまかい点はまた局長にお尋ねをいたしまして、次に環境衛生法には御承知通り組合への強制加入が認められていないという点でございますが、業者はこの組合の強制加入という問題につきまして、その後要望する声があるかどうか。また、組合の交渉権もないが、それを要望するというような声が業者の中にあるかないか。そういう点につきまして大臣のお手元に必ず何らかのそういう声の報告があってしかるべきと思うのでありますが、その点についてお答え願いたい。
  84. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 事実不幸にして私の耳にまだ入っておりません。事実そういう動きが強く出ているように私自身は思っておらないのでございますが、政府委員が来ましたから、もしもそれらについて私の申し上げたことが違うようだったら、ここから政府委員に、実情でございますから、答弁させてもようございます。
  85. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間の関係大臣質問を集中しますので、後にお聞きすることにいたしまして、次にこれは非常に法案審議に重大な関係があるのでございますが、環境衛生法これはもうこれだけでは不十分だ。従って団体法がまあ近く成立をするだろう。その団体法成立をするならば、いわゆる商工組合に乗りかえようというような動きが現在大臣の手元にそういう報告があるかどうか。これはまた、もし報告がなくも、この問題は非常に本案の審議に大きく関連をいたしますので、もし大臣答弁ができなければ所管局長でけっこうでありますが、これは一つ明確にしていただきたいと思うのであります。
  86. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 中小企業団体組織に関する法律案と関連いたしましてそういう問題が起ってくるかと思っておりますが、私の耳には現在までのところはございません。組合としてこちらを受けたいという意向が出ましたときには考慮する、十分考慮いたしたい、こう考えております。
  87. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまのところ、もうすでに設立総会を完了いたしまして、これはもうしてございますが、これらの方から今の団体法にこの組合をやめて乗りかえる、そんなような声は全然聞いておりません。というのが、三日前にこの所管の各府県の衛生部長会議を招集しまして実情をいろいろ聴取いたしましたが、ただいまのところ、もっぱら新しい同業組合を作ることにそれぞれ熱心にやっておるそうでございまして、全然そういう声は今のところないそうでございます。
  88. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 環境衛生法と団体法とは非常に御承知通り似ているのでありますが、しかし、これは団体法が一般法で、環境法とかあるいは以前二十六国会で通過いたしました小型船海運組合法とか、これはいわば特殊法というような形であるのでありますが、従って環境法の同業組合と団体法の商工組合ともこれはまた二者択一的に選ぶことができる、こういうような状態でございまして、そのような各種の組合を作らせるということは、いたずらに将来組合の繁煩を促すというようなことになるのではないかと思うのであります。そこで団体法で商工組合を作られる業種として環境衛生業を除くか、あるいは団体法成立のとき付則でこの環境衛生法というものを廃止をするとか、そのいずれかを行なってもよいのじゃないかとかように思うのでありますが、これに対する一つ大臣所見を、お伺いいたしたい。
  89. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) これはよく御承知だと思いますが、似ているところも相当ございますが、法の目的が違いますために異なるところもずいぶんございます。そういう関係から、私どもとしてはことに現在業者自身の方の声といたしましては、先ほどから申し上げますように、一応この環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律施行を受けるつもりで全体が動いております。こういう情勢でございますから、私どもとしては必ずしもこの法律は困るのだ、こういう民間の声に従って考え直す必要はない、事実としてない、こう考えているような次第でございます。
  90. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 厚生大臣は御承知通り協定料金の認可をすることになるのでありますが、この料金は一体何を基準におきめになるのか、こういう私の質問でありますが、まあ安く経営をしておるものもあり、また安く経営をしてそうしてお客に喜ばれて商売繁盛しているところもありますし、また高くして非常に不合理的な経営方法をやっているというような点もあるのでありますが、これに対して料金の協定というものの標準をどこに置くかという点をお尋ねいたしたいのでありますが、御承知通りこれは大臣もお読みかと思いますが、ここに十月一日の朝日新聞がございます。これは十五円ではもうけ過ぎ、値上の必要はない、がんばる板橋の十二円ふろ屋さん、こういうのがあるのでございますが、これは大臣もすでにお読みと思うのでございますが、一つその点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  91. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 適正な、何と申しますか、料金をきめますということは、私どものところに申請がありました場合には、よく原価計算その他営業の状態を見まして、そうして衛生基準を守って行く上においてそれが必要であるということを標準にいたしたい、こう考えております。ただ、根本的には御承知通りに、この種の営業は中小企業及び零細企業が多いのでありまして、経営形態が必ずしも近代的な経営形態となっていないということを私考えますので、この法の施行に当りまして、一応地方においてこれらの問題を所管する、そうしてその上でどうしても上げる必要がある場合には厚生大臣に協議をしてもらいたい、こういうふうな方針をとっておる次第でございます。
  92. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 料金の協定は、必然に何か基本的な根拠がなければならないことは、これは言うまでもないのでございます。料金算定の基礎となるべき数字を、政府は当然お持ちになり、またこれは当然大衆の前に公表すべきではないかと、私どもはかように考えておるのであります。さらに、これは個々の業者の経理状態がわかっていなければ、協定のいわゆるこの正当性というものが立証できないはずなんであります。従ってアウトサイダーを規制してまでも協定料金を実施させようとするならば、個々の業者の営業実績というものを届けさして、そうして常にその料金でなければならぬという根拠について、政府は大衆を納得させるべきであると思うのでありますが、この点について大臣の御所見をお伺いいたしたい。
  93. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 個々の営業に関しましては報告も取り得るし、立ち入り検査もできるようになっております。しかし御承知通りにこの法律に基きまして指定した業種は、実に数が多いわけでございますし、また、その個々の営業の中に特殊性と地方性を持っておるというふうな状況でございますので、実は厚生省として最初からその問題について考えるよりは、地方の実情に応じたものを出して参ったときにこれをよく検討し、ほんとうに消費者の利害をそこなわないで、そうして実際にいけるかどうかということを考えてみたい、こういうふうな方針で参っておるのでございます。
  94. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次のお尋ねは、厚生大臣にはいささか酷かもしれませんが、この際お尋ねをいたしたいのでありますが、組合の権限が強くなるので、自然にそこに業界のボス化の弊害というものが出て参るわけであります。現に旅館の組合を作る話で、温泉旅館も一本にするかどうかをめぐり、政治的な争いも出たということが、新聞紙上にも出ておる通りでございます。政府は行政指導でその心配はないとお答えになるかもしれませんが、現に現政府が三悪追放を大きくスローガンといたしておりながら、いまだにもって暴力の追放ができないというような現状でございます。従いまして、そういったボス化の問題をこれをいかに一掃をでき得るか。まあ実を言えば、ボスの言うことを聞いて政府団体法案を作り、環境法も同じ線で成立したきらいがあるのだと思うのでありますが、いかにしてこのボス化を防ぐかということについて、具体的な一つお答えを願いたいと思うのであります。
  95. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 法的処置では、御承知通りに、そういう場合に法六十一条に、組合または連合会の役員が、法令の規定、法令の規定に基く処分または定款に違反したときは、その役員を解任することを勧告することができる、というふうな規定すらあるわけでございますが、しかしながら、法的処置はともかくといたしまして、今大竹さんがおあげになったように、私どもはいわゆるボスによって支配されないということを信条にいたしまして、そして合理的にものをきめて参りたいということを考えております。今大竹さんがおあげになった旅館及び温泉業の問題も、私どもが一番こうあるべきだという姿を守りましたことは、すでに御承知通りだと、決して他の運動によってこの法案の適用を乱すようなことはいたさないつもりでおります。
  96. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私がただいまの質問を申し上げましたのは、これは私がその質問をするのに立場上といたしまして一番適任である、かように自負をいたしまして質問を申し上げたわけでありますが、それはその程度にいたしまして、次は、団体法では御承知通り、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」というような条文が第七条にあるのでありますが、同じ組合でも中小企業等協同組合法にもあるのであります。ところがこの環境法には全然この問題に触れていないのであります。で、団体法の条文も、変なものではございまするが、いろいろな意味において私は先ほど申し上げました、ボス化、政治化、さらに私が先般大臣にも指摘を申し上げましたファッショ化、こういうような問題が出ないといかにおっしゃっても、そういう傾向というものはこれはあり得るのであります。私は、この問題につきましては、いずれあらためて首相あるいは法務大臣等にもお尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、このいわゆる組合は、特定の政党のために利用してはならないというこの条文がないことについて、私どもはその点を非常に心配するのでありまするが、その点重ねてお尋ねをいたしまして、他に公正取引関係の問題もございますが、これは次回に譲るといたしまして、一応これによって私の質問を終りたいと思います。
  97. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 大竹さんの、法令上及び組合の運営上民主的な組み立ては、実は私はこの法律には相当行き届いて行われておると思います。しかしながら、実際には大竹さんのおっしゃるようなことも私は十分理解することができると思います。私どもとしては、あくまでも何と申しますか、他の勢力によって支配されずに、あくまでも法本来の目的に従って環境衛生法を運用いたしていく決心でおります。この点だけを特につけ加えて御答弁といたします。
  98. 海野三朗

    ○海野三朗君 厚生大臣お尋ねいたしますが、ふろ屋の値上げ問題は、あれはどうなったのでありますか。このふろ屋の実情を御承知になっての上でありますかどうなんでありますか、あれはどうなんでしょうか。
  99. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 浴場料金につきましては、いろいろ世上取りさたをされておりますので、申し上げたいと思いますが、実は浴場料金につきまして、前大臣以来この問題について研究がされておりまして、私どもとして厚生省で一応原価計算を試算いたしましたような次第でございます。それによりますと、実は浴場料金を構成する各種の要素につきましては、相当の値上りをみておる。なかんずく労働賃金についても、相当の実際の高騰を来たしておるということで、前内閣時代、一時はこれを上げなくてはならないのじゃなかろうかというふうな状態になっておったように了承いたしております。ただ、岸内閣といたしましては、御承知通りに低物価政策をこの際とることが、国際収支を改善して参ります上において必要である。しからば他の方法によって物価等を上げない方法があるならば、それらについて十分考慮すべきであるというふうな考え方に立ったのでございます。従いまして業者としては、その当然の、要求として各種の、労銀を初め、各種の料金が上っているとすれば、これを上げたいという希望がありましたが、過般この問題を地方庁に移管いたしますと同時に、実は念のために、物価の騰貴を抑制する見地からも十分考えてもらわなければならぬ。またわれらの施策が浸透いたしますならば、これらの要素についても違った状態が起ってくるであろうというふうな考え方に立ちまして、決してこの機会に料金を上げるということは慎しんでもらいたいというふうなことを、通牒で出しました次第でございます。さらに、この法律施行に当って、各種のうわさを払拭するような、何と申しますか行政処置の方向をはっきりさしたいというので、先ほど環境衛生部長から申し上げましたように、全国の衛生部長会議を招集いたしまして、今お尋ねの浴場料金についても、その趣旨の徹底を期しましたような次第でございます。
  100. 海野三朗

    ○海野三朗君 銭湯屋に大臣はおいでになった御経験がおありにならないのではないかと私は思うのでありますが、一方に非常に熱いお湯を作っておる。一方にはちょうどいいあんばいのお湯を作っておる。そのいいあんばいの温度のふろの方には、芋子汁のように一ぱい入っておる。ところが熱いふろの方にはほとんど人が入っていない。それでありますから、カロリーの点から言えば、そういうところを多少改善すれば、幾らか燃料費も安くなるのではないか、こういうふうに思うのですが、厚生省としては銭湯屋にあまりおいでなさっていないように私は思うのでありますが、いかがなものでありますか、この点一つと、それから物価が上ってきたから、従ってやっていけないというのに対しまして、これを許可しないというときになりますと、このふろの時間を制限するいわゆる順法闘争をやっていく、そういうことになると、勢いこれを上げなければならぬことになるのではありませんか。私はこの環境衛生法が通ったので、こういうふうな現象がぽつぽつふろ屋と限らず今後起ってくると思います。従ってこの団体法ども通った暁においては、こういうふうな値上りのことが起ってくるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点についての厚生大臣の御所見を承わりたいと存じます。
  101. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) まことにお言葉を返して申しわけありませんが、私は銭湯の経験は十分持っておるのであります。いろいろ御注意はございましたが、率直にこの際御理解を得たいと思いますことは、実は水道料、燃料費、電気料金等が相当上っておるのでありますが、実は人間の費用が一番上っておるのであります。私ども一番この問題の処理に当って困りますことは、低物価政策をわれわれとしては内閣の方針としてとって参りたい、しかしながら実際のところ、過渡的に中小企業は御承知通りに労銀がたださえ安い、大企業と比較すると相当低位にあるということがありますので、従ってしわ寄せが労銀に入って参っても困る。しかし一方この種の企業におきましては、実は今おっしゃったように、ほんとうに近代的な、科学的な経営をしておるものがすべてだとも考えられない、だから本来指導の方向なりあるいは本人が経営上よほど意を用いますならば、必ずしも上げないで済むかもしれないという場合が相当ある。従いまして私どもこういう場合を彼此勘案しなければならない。そうして果して衛生基準を守って参りまして、公衆衛生上遺憾なきを期し得るかどうかという問題を考えなければならないのであります。今後の経済政策というものが、なるべく低物価政策で参りたい。そして衛生基準を落さないで合理的な経営、科学的な経営というものに、だんだんこれらの企業も移って参らなければならない、こういうように考えておるような次第であります。
  102. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは近く風呂の値上げを許可なさるというお考えなんでありますか、どうなんですか、率直に。
  103. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) ただいまのところ、私どもとしては風呂の料金を上げるつもりはございません。
  104. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまのところとおっしゃるけれども、年末までのうちにはどうなんですか。来年なら来年まで上げないというお考えならば、また状況によっては、今は考えないと言われても、来月あたりさっそくこれを認可なさるということはないですか。その辺のところ低物価政策、低物価政策と口でうたわれておっても、実際はそれができなくなってきたときには、ぽつんと認可なさるというお考えなんですか。その点御所見を承わりたい。
  105. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 今、御承知通り内閣といたしましては、国際収支を改善するための各般の施策を行なっておる、従いまして、むろんごく最近にはやや反騰に転じたものもあるし、あるいは横ばいのものもあるし、全体として見ました場合には、四月からやはり下っておる状態でありますが、まだこれがほんとうに実効をおさめますには、まだ私は時間がかかるのじゃないか、実際にその効果の模様とにらみ合せて、物事を考えなければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、私どもとしてはなるべく現在の料金でもってやっていただきたいということを、ただいまとしては申し上げるよりほかないと、こう考えておるのであります。
  106. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは私重ねてお伺いいたしますが、あなたのお見通しはいかがなんですか。いつごろになったら国際収支もよくなり、上げる時期になるだろうとお考えになりますか、あなたのお見通しを…。
  107. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) どうもまことに申しわけありませんが、私経済閣僚でございませんので、実はその期待はいたしております、しかしここでもって……その物価政策の何は担当の方面でお見通しを願いたい、こういうように考えております。
  108. 海野三朗

    ○海野三朗君 米価の問題にいたしましても、この前の前々国会においても、上げる気か、上げない気かということを激しくわれわれ野党としては詰め寄った。ところが、その際に上げないというようなことを言っておられた。ところが、一年たつか、たたないうちにもうぽかっと上げてしまう。どうも実に政府のあり方は信念なきやり方であって、都合によってあるいは低物価政策だなどと言って、また貧乏追放などと言ったって、貧乏増進の内閣ですよ。私はそういう点についてあなたの偽わらざる御信念を承わっておるのであります。いつだかわからぬと言ってごまかしになっても、私は納得いかぬ。正直にいつごろになったらこれをやるつもりだということをおっしゃって下さい、ごまかしでは通りませんよ、世の中は。私は率直にあなたの御所見を承わりたいと思うのです。
  109. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) まことに申しわけございませんです。しかし私が上げるとか上げないとかいうことで、上げる上げないがきまるものではない。およそこの法の規定する順序に従ってその問題が提起されるわけでございまして、現在の段階において私が上げるんだとか、上げないんだとかいうことは、むしろおかしいんじゃなかろうかということを私は考えております。
  110. 海野三朗

    ○海野三朗君 それはどうも私納得いかないんですが、あなたは厚生大臣でしょう、厚生大臣としてのお考えがあるはずである。それはまあ内閣全体としてはその総合意見によって進んでゆくのでありましょうけれども、あなたが閣僚の一人としてお考えになっておる、よく銭湯にもおいでになるというお話しでありますから、おわかりになっておると思いますが、大体もう見通しというものがおありにならなければならないんじゃなかろうか。政府というものは未来を見ることなんです、未来を見ることが政治なんです。政治を担当しておられるあなたとしては、私はもう少しはっきりした御答弁を承わりたいと思います。
  111. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私としてむろん先を非常に見られればけっこうなんですが、しかし法の運用に従って、この審議会の議を経て私は問題が提起されると思うのであって、その前に厚生大臣として上げていいものであるとか、あるいは上げちゃ困る……しかし現在の状況で、私どもはこの浴場料金につきましても九月十三日の各都道府県知事にあてました通牒におきましても、またつい二、三日前にありました衛生部長会議におきましても政府の方針を示しまして、そうしてこれらの料金については上げないように協力してもらいたいということをはっきり言っておるわけであります。従いまして今その口の下から上げるということは、言ったらおかしい話しで、そういうことは現在のところ考えていないと申し上げるよりしようがない、こういうふうに考えておるのであります。
  112. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はあなたのお見込みを伺っておるんです。でいつごろになったら国際収支がどうなると、そうなったならばそのときは考えようというような御答弁を私はいただけるものと思っていたんでありますが、一つもわからないというようなことでは、全く一寸先がやみになって、つまりお考えはないのでありますか、そのとき、そのときになってただやってゆこうというお考えなんですか、どうなんですか。そこをはっきりあなたの御信念を聞いておるんですよ、私は。
  113. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 単純な信念としては私どもは上げたくない、こういうふうに考えておるのであります。で今ここしばらくがまんしてもらいたい、そうすればわれわれの経済政策も逐次浸透いたしまして、そうして今考えておる国際収支も改善されるんじゃなかろうか、そういうふうにならなければ、非常に個々の業者としてはお気の毒な点もございますが、しかしながら先ほどから申しますように、この際は国民があげてそういう経営の合理化、そうして経営の近代化に進んでもらうことが至上命令じゃなかろうか、それでなければ、とうてい日本の経済は立ち直りにくいというふうに考えておりますので、ただいまのところは、私どもの信念としては上げないでいっていただきたい、こういうことでございます。
  114. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど私が伺いました、順法闘争でもって時間を制限して、大衆に迷惑をかけるような態度に出てきた場合には、いかようにおやりになるお考えでありますか。
  115. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私どもとしては順法精神がどこにあるのか存じませんが、実際の営業状態が低下いたしまして、そうしてことさらに、何と申しますかサービスを低下して、そうして料金を、やむを得ず現在の料金で守るよりほかはないのだというふうな考え方は起り得ない。事実あまり時間の制限によりましては、非常に不衛生なものが現出しないとは限らないと考えております。
  116. 海野三朗

    ○海野三朗君 それではそういうことが、現象が起ってこないということをあなたはおっしゃるのですね。たとえば朝八時から夕方八時まで営業しておったのだけれども、今度は朝九時から夕方四時までに切り上げようということが、必ず私は起ってくるだろうと思う。そういうことは起らないとお考えになりますか。それを私は順法闘争と言うたのです。時間を短縮してしまうのです。その短縮した間に、一定の人数をどっとイモ子汁のように入れる。そうすると燃料費もかからない。そういうことが起ってくると私は思うのでありますが、あなたはどう考えになりますか、そこをお伺いいたします。そういうことは起ってこないとあなたはおっしゃるのかどうか。
  117. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 公衆浴場につきましては、別に公衆浴場法がございますので、私どもはそれによって取り締って参るというのが適当である。むろんこれ自体も、府県知事に権限を委譲はいたしておりますが、そう考えているような次第でございます。
  118. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは取り締るとおっしゃったが、そういうことをやっちゃならないという、つまり命令をお出しになるお考えなんですか、どうなんですか。
  119. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 府県知事の一応の判定を待ってこのことを処置してもらいたいということであります。
  120. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 先ほどの大臣答弁に関連をいたしまして、きょうは公取見えておりませんし、それから物価関係では今大堀企画庁調整局長がお見えのようでありますから、二、三お尋ねをいたしたいのですが、環境衛生法施行後でございますが、今の海野委員質問にも関連をするのでありますが、実施後の値上げの状況なんでありますが、私どもの調べたところによりますと、理容業が、長崎県で、九月の中旬に決定せられたものが、百二十円のものが百六十円になって、四十円の値上りをしている。それから熊本県が百五十円のものが百七十円になって二十円の値上げになっている。それから北海道は従来より二十円、それから大分県も同じく二十円値上げになる。さらにクリーニングの業者として、ワイシャツの例をとってみますと、長崎県が三十円のものが三十五円になって、五円の値上げになる。東京が二十五円のものが三十円になって五円値上げになっている。それから大分県が大体一〇%値上げになっている。それから飲食業としまして、これはうどん、そば類でありますが、東京の全域にわたって九月上旬にもり、かけ二十五円のものが三十円、それからきつね、これはうどん、そばが入るのでしょうが、こまかいことではなはだなんだが、三十円のものが三十五円になっている。こういう実例がある。この九月二日の環境衛生法施行後にこういう値上げになっておるのですが、あなたの方としては、これについてどういうお考えを持って処理をせられたか、ということをお尋ねいたしたいのです。まあこれが正当なものであるかないかという点であります。大堀さん、関係じゃないの。これは非常に重大なんだ、今後とのあれで……。
  121. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) ただいま御指摘の個々の価格の値上げにつきましては、はなはだ申しわけございませんが、私どもまだ十分調査をいたしてございませんが、全般といたしまして、こういう経済情勢の中でございますので、消費者物価につきましても、特にこの政府の認可にかかっております料金等につきましては、極力自粛をしていただいて押えて参りたいという考え方をしております。
  122. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今一つ。それは大堀さん、あなたの方にはこういうこまかいデータは、何ですか、作ってないのですか。
  123. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 私の方は全体の物価の傾向を取り上げまして調査いたしてございますが、個々の、どの地区でどういう値上げがあったということにつきましては、各所管省で調べておると思いますが、私の方では実はそこまで手足を持っておりませんので、調査してございません。
  124. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 環境衛生部長ですか、いかがですか。
  125. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) まだ環境衛生同業組合の方は、今組合を作っておるとこでございますので、この同業組合の方の法律によってさようなことを行なっているはずはないのでございますが、単に従来の理容業とか、そういうようなものが、任意の団体を作りましていろいろなことをやっておったわけでございますが、あるいはその方でやった事例ではないかと推察いたしますけれども、そういうようなことがこの環境衛生法、同業組合法の方を利用して瞞着してやるといかんと思いまして、去る五月の下旬に、法律が通過後、通牒を各府県に出しまして、これに注意を厳重に促がしたのであります。それの趣意は、料金の値上げを企画したり、あるいは消費者、利用者を不当に刺激するような諸行為は、今度の法律が通っても絶対そういうことが起らぬようにということで、各府県の担当者に、厳重に通牒を出した次第でございます。従いまして今のようなことが具体的に起っておりますると、これは同業組合の一つのバックを受けての問題では全然ないのでございまして、公取、私的独占禁止法の方にもし引っかかれば、これは将来といえどもそちらの方の活動によりまして、事態がもしあれば、取り締られる、こういうようなことになっているわけでございます。
  126. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今の点には大臣の御意見はいかがですか。
  127. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 実はこの法律案で私非常に心配いたしましたのは、この法律案が値上げ法案で、先ほどもおっしゃったように値上げ法案の世評が強いのでございますので、これ自体が発効する前に値上げをしてもらっては困る。で、ままそういうふうな傾向がなきにしもあらず、むしろ実際の状況から言いますと、この法律案の適用前に、自分たちの自主的な組合できめておいて、そしてここへ入りたいという傾向すらある。それに対して厳重に、そういうことのないように、私どもとしてはいたして参りたい、こう考えております。
  128. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今私が申し上げたのは、法律施行前じゃないのですよ。法律施行後の値上げの状況なのです。ただ今あなたの言われる、そういう法律による組合がまだできていないからだと…。ところが大衆は組合ができょうができまいが、値上げをされたということが、一番の打撃なんで、事実二割から二割五分というものが法律施行後に行われているのです。だから、それが法律が——この組合ができる、できぬにかかわらず、そういうような状況を厚生省がこれをとらえることができないで、報告にも接していないということは、これは全く大衆を瞞着しているものなんです。私は特に要望いたしたいのですが、私どもの調べたものが間違いであるならば、これはやむを得ないにいたしましても、よく大臣はさっそくこれをお調べ下すって、適正な一つ処置を講じてもらいたい、それによって私はまた質問を繰り返したいと思いますが…。
  129. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど衆議院春日議員に聞いたんでありますが、組合を脱退したいというときには、県庁に届け出せばいいのだ。認証してもらいさえすればいいのだと言われますけれども、県庁ではそういう書類を受け付けないという例が多々あるのです。県庁ばかりでありません。農林省にしたって、通産省にしたって都合の悪い書類は受け付けない、こういう場合はどういたします。それは必ず受け付けなければならないというようなことにしなければいかぬと思うのですが、いかがですか。春日委員
  130. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 衆議院で共同修正をいたしましたときには、この認証を求めることができる。この場合においては当該行政庁はこの認証を二十日以内にしなければならない、こういう工合に日限を切っておるわけであります。  なお、先般午前中に御答弁申し上げた中で、十分意を尽していない点があるかと思いますので、さらに補足をして申し述べたいのでありますが、この認証ということは、明らかに承認とは違うことは御承知を願っておる通りであろうと思うわけでありますが、私たちの当時の話し合いの共通の理解といたしましては、これを本人が支障ある場合でありまするから、支障の限界というものは、支障を感ずるというのは、大臣から命令を受けたその本人であります。本人がいかにこれを支障を感ずるかということは、それは本人によって決定される事柄と理解をいたしておるわけであります。たとえば本人がこれは憲法に違反をする。加盟脱退自由の原則、結社の自由の原則が憲法に保障されているのに、なおかつ大臣がこんな命令を発するということは、承服するについては憲法の保障の点から考えて私は支障を感ずるといえば、それでも支障になろうと考えまするし、あるいはまたあの組合長ははなはだボス的だから、あの組合長のもとで一組合員として共同の行為を行うということはいやだ、こういうことは支障を感ずると、本人が支障を感じますれば、結局それは認証し得る一つの条件が満たされるものと理解をいたしておるわけであります。で、そういうような支障を感じた本人が、その感じた支障条項を掲げて認証を求めて参りました場合、知事は二十日以内に認証しなければならないと、まあこういうことに相なっておるわけでありまするから、実際的には入るのはいやです、服従することはできませんといって届出をすることと同じような拘束力、同じような効果、このように理解をいたしておるのでありますが、この点は小平議員の方にも御意見があろうと思いますが、私どもはそういう工合に理解をして、この修正案に賛意を表して参ったのであります。
  131. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) ただいまの直接の御質問は認証を求めようとしても、それを受け付けないことがあるから、それは不可能じゃないかという御趣旨だと思いますが、この点はもちろんこの法文上、申し入れがあったら必ず受け付けるという文句はございませんが、行政庁において、この法律で認証を求めることができるという、この点を国民に認めているんですから、その申し出があった場合に、行政庁がこの申し入れを受け付けないということはわれわれはないものと考えますし、そういう御心配がかりにあるとすれば、これは法の執行者の側においてそういうことのないように十分御注意を願いたいと思っています。  それからただいま補足的に認証の意味について春日議員の方から話があったわけでありますが、大体私も当時の話し合いのいきさつから申しまするならば、春日議員の御説明のようでよろしかろうと思っているわけですが、実はこの点はずいぶんいろいろ論議が当時されまして、命令にどうしても服従しなければいかぬ、すなわちあくまでもこの強制加入をやるべきだという論も一方には確かにございました。というのは、今までのこの調整組合等の実績にかんがみますと、アウト・サイダーがありまして、そのためにこの調整活動というものがどうしても円満に行い得ない、どうもあの調整組合に入らぬ方がよろしい、入りたくないという者のために非常にこの事業が円滑を欠いたという実績というか、そういうものであるものですから、その点だけは何とかこの際しなければならぬ、こういう議論と、一方には社会党の皆さんのように、あくまでも加入と脱退の自由がよろしいという御議論もある。これはいわば相反した主張を、何といいますか折衷し、まあいわば妥協といいますか、そういう考えをとの文字に表わしたわけでありまするからして、果してどういう表現が一番妥当なのか、この点はずいぶん論議がありまして、あるいは承認という案も出ましたし、あるいは届出という考えも出たわけでありまするが、結局、いわばその中間的な感じにおいて、この認証という表現が一番適当なんじゃなかろうか、当時衆議院の法制局でありますか、そこの職員の何といいますか、サゼッシヨン等もありまして、この認証という表現を用いることによって、両者の話し合いをつけた、こういういきさつになっていますので、大体は先ほどの春日議員説明でよろしかろうと私もさように考えております。しいて申しますならば、形式的にはこの承認という方に近い感じであり、実質的には届出ということに近い感じの表現であろうかと、私は私なりに解しておるわけであります。
  132. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は昨日前尾産産大臣に御質問申したのでありますが、御説明が私は納得いかない点を、今もう一度繰り返して私はお伺いしたいと思います。それは石油の関税問題である。国法をもって税率がきめてあるのにかかわらず、当分この税を一割安くしあるいは五分安くするというところの便法を使って、そうして精油業者を利しておる状態であります。しかるに中小企業の方におきましては、物品税であるの、事業税であるのといって容赦なしに取る。これは昨日の大臣の話しには、事業税は県に入るんだ、関税は政府に入るんだというようなことで、私はごまかしなさったとしか考えられない。あなたが内閣の一員として、全体税というものの本来の性質から考えましたる際に、県庁に入ろうが、国家に入ろうが、税というものの性質に二つはないはずである。それを一方においては精油業者を援護し、そうして一方においては中小企業をいじめている。何も事業税を私は撤廃しろと言うんじゃありませんよ。物品税をなくせと言うんじゃあないけれども、との税の負担にあえいでおるのが、日本の中小企業の現状である。しかるに、一方においては関税を法規があるのにかかわらず、その法規に従わずして、ことし一年だけ税率を下げようというのが、昭和二十六年以来大蔵委員会において毎回きめられておる。ところが聞くところの話によると、精油会社、大きな精油会社には役人の古手がたくさん入り込んでおるという話し、そのときの調査によりますると、約二十名からの人間が相当の位置についておる。それでこういうような法案を出すんだということの話さえも私は聞いておる。で、税という性質から考えなさった際に、一方においては精油業者を助けておりながら、中小企業の方は容赦なしに物品税、事業税、こういうふうなものを容赦なく取り立てておるというこの現状は、私は全体から見ましてあなたは妥当であるとお考えになっておるかどうか、そのはっきりした御答弁を承わりたいと思います。
  133. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) その点は昨日も申し上げました通り、石油関税というのは、国内へ外国から入ります場合の消費税的な性質を持ったものでありまして、税の建前としてはあくまでも消費者の負担すべき、言いかえれば価格に織り込まれてくるものであります。これは精油業者の所得には関係ない。従って精油業者が現在所得が多いからと申しまして、そのものに対する課税はあくまで法人税その他の直接税でいくべきものであります。御承知のように精油会社におきましても非常にもうかっておる会社もありまするし、また非常に最近できました精油会社におきましては、決して大きな従来からの会社ほどの利益をあげておらぬというような会社もあるのであります。ただ一律に、石油関税を課税したからどうこうという建前のものではないのであります。ことに石油関税につきましては、建前として課税する建前でありますが、その後毎年まあ課税せずに繰り延ばしてきておるというのは、まあ結局石油の価格の引き上げということについては国内全般に非常に影響があるという意味からでありまして、それをなぜそれならその課税のままの建前にしたままにして臨時措置として課税せずにおくかということになりますと、これは全くまあ非課税で消し去ってしまいますと、課税をしなければならぬ場合におきまして復活というのは非常に困難だと、従って臨時措置としてまあ課税をしないという建前のもとにそういう状態を続けておるのが事実であります。また物品税、事業税につきましても、事業税につきましては、これは商工業者の負担になるのでありますが、それにつきましては中小企業の皆さんにも非常に御迷惑ではありますが、しかし今度は地方の収入、財政ということを考えます場合には、極力国税を減税して、中小企業者の方々に迷惑にならぬように、事業税は現在府県の税種としましては、他になかなかいい税種がないのであります。まあ一時は付加価値税その他の問題が論議されましたが、その形態よりも、むしろ日本におきましては事業税はやむを得ぬということで参っておるのであります。しかし、極力これも中小企業者の方々に迷惑にならぬようにといういろいろな配慮はでき得る限りはいたしておるのであります。物品税につきましても、消費者の負担すべき税金でありますが、それが転嫁がうまくいかぬために、中小企業者の皆様方がお因りだという品目につきましては、極力課税しないように、あるいは課税しましたものはやめて現在来ておるのであります。まあ、それぞれ税金でありまするから、もちろん金であり、また支払う人は同じである場合もありますが、建前としては消費者が負担する税金の場合もありまするし、事業者自身が直接税として負担すべき建前もあります。また、その収入が国に入るもの、あるいは地方団体に入るもの、いろいろとあるわけであります。その組み合せをうまくやっていくのが税制全体のまあ最も政策として考えていくべき問題でありますので、その点まあ現在までのいきさつから考えますとやむを得ない、かように考えておるのであります。
  134. 海野三朗

    ○海野三朗君 この関税は規則通りにかけると消費者の方にかかるとあなたはおっしゃるけれども、しからば精油にどれだけの金がかかっておりますか。それをまずお伺いいたしたい。精油にどれだけの金がかかっておりますか。私はそういう方面が非常に今日まで通産省はずさんであると私は思う。精油をするためにどれだけお金がかかっておりますか。それからその精油会社が非常に困窮しておる会社もあるというお話しでありますが、それは一々名前をあげて私はお伺いをいたしたい。それから日本の内地における二十幾つのこの会社が相当な利潤を上げておる。パイプがアメリカから直送である。そうしてしかもこの関税を免除しておる。過去の状況から考えましても私ははなはだ納得いかざるこの税金の免除といいますか、税金の低率はどうも私は納得いかないから、重ねて昨日から私は聞いておるのでありますが、それはすぐ消費者にかかるとあなたはおっしゃるけれども、しからば精油にはどれだけ金をかけておりますか。それを私はお伺いいたしたい。
  135. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 手元に資料がありませんから、後刻また調べましてお答え申し上げます。
  136. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは事務当局の方に私は、要求するのでありますが、輸入したところの油を精油するのにキロ当りどれだけずつかかっておるか。そういうことを精細調べた上で承わりたい。それと多くお役人の古手が精油会社に皆入り込んで常務とか取締役になっておるという話を私は聞く。この前の調査によると約二十名ほど入り込んでおる。そういう人たちがこの精油会社の利益のみを考えておって、そうして一般大衆のことを考えない。とにかく国法をもってきめておる税金をそれを低率にするというようなことをするならば、二十六年以来そういうことをやっておるのであるならば、むしろ法律改正した方がよろしいのである。法律を改めた方がよろしい。法律が厳として存在しておる以上は、これをことし二年だけ一割低減というようなことをやっておるのでは、法の精神というものは保たれるものではない。直ちに法律改正したらどうか、税法を。私はそういうふうに思うのでありますが、あなたは閣僚の方の一人としてどういうふうにお考えになりますか。正しいやり方であるとお考えになっておりますか。
  137. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、関税というのは、輸入しました量に対して比例税率をもって課税しておるわけであります。従って、結局消費者に転嫁する建前であり、また、事実転嫁される租税であります。さらにまた、この税をやめずに一応旧来のままの建前にして毎年非課税にしておるというのは、国内法でもそういう場合がずいぶんありまして、御承知のように、臨時措置法という所得税その他についてもそういう措置をやって、かなり長期にわたっておりますが、当分の間そういう措置をやるというような建前の法律もあります。ことに、関税につきましては、対外国との関係もあります。で、復活に非常に困難である。適当な時期には復活したいというものにつきましては、そういう臨時緊急な措置といたしましてやっておる場合は多々あるのであります。これもまたその一つの例にすぎないのであります。
  138. 海野三朗

    ○海野三朗君 一ときそういうことをおやりになるというような場合もありましょう、臨時措置法として。しかし、もう七年になりますよ、二十六年以来七年。これはどうなんですか。七年もこういうことをやっておるんであるならば、むしろ法律改正したほうが早道じゃないですか。
  139. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 国内法の臨時措置法におきましても、七年以上やっておるものもずいぶんあるのであります。必ずしも、そういう状態が何年か、当分の間と考えておりますのが、まだその状態を脱し切らぬというので、かなり長年月にわたってやっております場合は、何もこれ一つではありません。いろんな場合があるのであります。
  140. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して。結局、今海野さんが言っていることは、中小企業に対して政府があたたかい手を差し伸ばす、特に、この団体組織法というものについても早う上げてくれと、こう言っているわけですね。それで、臨時国会補正を出して、そうして、年末融資、特に繰り上げ後の対策を立てるということも言っておるが、それとあわせて、前回から大臣が言っているように、事業税ですね、こういった面についての配慮というものもあわせて考えていかなければ実際はだめなんじゃないかと、まあそういうふうな意見もあったと思うのです。それで、全体的に三十三年度の予算ですね、これを構想しておられるわけですが、大蔵大臣は、食い過ぎたから、その下痢をとめるためには絶食せにゃならぬとか、おかゆを食えとか、こう言っているわけで、なかなかうんと言わないで、それだけはまあ使わぬようにしようと言っているわけです。ところが、実質的に食い過ぎたのは一体だれか。中小企業はさっぱり私は食い過ぎておらぬと思う。食い過ぎたほうは別にして、食い過ぎてないものを絶食しようというんだから、これは私は無理だ。食い過ぎていないものを、あなた、助けていこうというのが、今回の御措置だと思うんです。それで、いろいろ補正なり繰り上げなりしてここまで来たならば、もう一歩、こういったように中小企業の問題をやるならば、事業税の問題について大臣はなぜもっと積極的にやらぬのかというのが、海野委員のほんとうの趣旨だと私は思うんです。それで、大臣は、この前、やはりそういった点についても勘案しなくてはいかぬということをおとといだかおっしゃられたと思う。で、その点について、大臣の誠意というものを、おのずから限界がまたあると思うんですが、やはり中小企業全体の問題として事業税を何とかしたいと思っておられると思うんで、その点についてひとつ誠意を披露していただければ、海野委員の方向が質問としてはっきりしてくるんじゃないかと思うんですがね。
  141. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先般も申し上げましたように、事業税につきましては、極力税率を低減していきたいという気持は持っております。しかし、これは、先ほど来申し上げておりますように、所得税と事業税というものは、おのずから入る場所が違うのであります。従って、地方財政という面から考えますと、事業税を軽減するかわりに極力所得税を軽減して、そうして中小企業者に風当りの強くならんように、また、楽になるようにというのを現在までやってきたわけです。従って、来年度の予算につきましても、ただいまここで私が実現できるかできんか、当てずっぽうなことを申し上げることは、はなはだ不謹慎でありまして、極力そういう気持は持っておりますが、来年度の予算の組み方も考えまして、ことに、国全体の国際収支という問題もあります。従って、それらの見通しをつけていろいろ善処して参りたいと思っておりますが、ただいま申し上げましたように、それは今どうこうということを私は申し上げられない。私の気持は、ただいま申し上げた通りであります。
  142. 岡三郎

    ○岡三郎君 前尾大臣の気持はよくわかります。そうして非常に学究的であるし、はったりを言わんというところは、けっこうなんですが、その向こうに控えているところの一萬田大蔵大臣という人は、なかなかそうはいかんと思うのです。最近においては、金融をバックにしてなかなか相当なものです。しかも、経済閣僚として河野一郎さんというなかなか力強い人があるわけでね。そうなるというと、一に頼むところは、やはり何といっても、中小企業法案審議しているこの段階においては、融資の問題をうんとがんばってもらわにゃならんし、それから今言ったようにそういうふうな事業税なり税の軽減という問題についても、相当迫力をもって大臣にやっていただかんと、私は、なかなか前途多難だというふうに考えているわけなんです。ですから、今の答弁一応了承しますが、あんまり温厚過ぎて、ちょっと時間的に間に合わなかったということにならんように、大臣の御健闘を祈らざるを得ないと思うのですね。そういうふうな全体的な税の観点からいって、いろいろな矛盾があるということを海野委員が指摘しているのですから、一つそういう点について、ほかのことは別にしても、その問題については積極的にやると、こういうふうに伺ってよろしゅうございますな。
  143. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 気持は、ただいま申し上げた通りであります。しかし、来年度の予算というものを考えます際には、果して減税に主力を置くべきか、あるいは現在の財政規模を保ちながら、その内容を今度質の面において中小企業者に回していくべきか、これは私はいろいろ議論があると思う。従って、必ずしも減税をしませんでも、従来から申し上げておりますように、信用保証の強化とかそういう方、面に積極的に使っていくというやり方もあると思います。それらにつきましては、今後の推移によりまして、決して温厚とかあるいはおとなしいだけが私の身上ではないのでありまして、その点は十分善処して参るつもりでありまするから、よろしくお願いします。
  144. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は、この団体法審議するに当って、今岡委員から私のところを補足していただきました通り政府はかけ声ばかり中小企業どうこうと言っておっていて、税の点から見るというと、えこひいきをやっておるように見える。私はむしろ、政府提案法案でありますけれども、誠意を疑っておる、根本は。今まで大臣の御答弁がございましたけれども、私はまだ納得いかないものが多々ございます。しかし、これは、時間も何でありますから、私は質問を保留いたしまして、私は今日の質問を打ち切ります。
  145. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 時間がありませんので、大臣にきょうのところは一点だけお伺いしたい。団体法は、実費的な統制権は、それには官庁といいますか、大臣の方の統制権能があるわけでありますから、どうかすると独善的に流れる懸念がないわけではないのであります。それと直接関連するわけではありませんけれども、私は名称のことを伺いたい。商工組合という名称が新しく設けられるわけであります。工業組合及び商業組合ということに実際はなるんでありましょう。そのいい悪いをここで言うわけではありません。名称の禁止の問題であります。従来この種の団体法制において名称の使用が禁止されるというのは、これは御承知通り慣例であります。しかしながら、多くの場合において、私の承知いたしておりますところでは、大体世の中を見渡して、そういう名称がないときに新らしい名称が生まれて、そうして法律施行されれば、類似の名称が出ることがよろしくないというので禁止するのが慣例じゃないかと思うのです。ところが、現在商工組合とか、いや小売商業組合とかいう名称は、ほとんど普遍的であって、私は相当世の中に行われておると思う。これは全部に行われておる。これはこの法律施行されると一定の期日内に禁止されてしまう。使っていれば罰則だということに相なるのであります。果してこういうような立法が適当かどうか、非常に疑問なのです。どうも民主的とは思えない非常に独善的な感じが私にはするのであります。それについての大臣一つ所見を私は伺いたい。
  146. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 前、工業組合あるいは商業組合といっておりましたものは、最近におきましては私は皆協同組合という名前に変っておると思うのです。あるいはこれに類似の名前は商工会というのがありますが、これは私ははっきりして、類似には入らぬと思います。従って商業組合、工業組合あるいは商工組合という名前につきましては、従来からこれを使っておる例はあまり聞いたように思わぬのであります。その点はさらに補足して政府委員から御答弁を申し上げます。
  147. 川上為治

    説明員(川上為治君) 今、大臣からお話がありましたように、私どもの方としましても、やはりこの名前については今先生からお話がありましたようなことを心配しまして、一応その調べもしてみたのですが、これは完全に調べはできておりませんけれども、まあ最近におきましては商業組合とか、特に工業組合とか、そういう名前のものは比較的少くなっているのじゃないかというふうに私どもは考えているわけでありまして、別にこの商工組合とか、あるいは工業組合、商業組合という名前をこの際この法律によって名づけましても、そう支障は起きないのじゃないだろうかというふうに考えまして、この名前をとったわけであります。
  148. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 どういう調査をせられたか知りませんけれども、工業組合という名前は比較的少いかもわかりません。しかし何々商事組合とか、何々小売商業組合とか、あるいは商工組合という名前は私相当あるように思います。現に私知っているのもあるのであります。従来の立法の場合とその点が非常に違うのじゃないかと思います。たとえば法律に、今商工組合中央金庫、これはぶつかるのであります。これはどうなるかわかりませんけれどもぶつかる。それはいいとして、町に相当私商店街あたりに商工組合というのは少くないように思うのであります。調査の結果ほとんどなければこれは問題はないわけであります。あれば、やはり名称を禁止する以上、あるものに対しては何と申しますか、財政的な補償でもしなければ筋が用立たないのじゃないかと、かように考えるのであります。もしはっきりした調査があれば、それでけっこうであります。
  149. 川上為治

    説明員(川上為治君) 先ほど申し上げましたように、商業関係のものについては、これは私どもの方でも若干あることは聞いておりますけれども、これは徹底的な調査はしておりませんが、非常に多数であるとは私は実は考えていないのですが、この法律施行につきましても、相当の期限を与えておりますので、その間にわれわれとしましてはそういう名称の組合は別の組合の方へ乗りかえるように一つ指導したいというふうに考えております。
  150. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは理事会における協議の都合もございますので、本日はこの程度にとめたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。それでは明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会