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政府委員(讃岐喜八君) それでは
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を
改正する
法律案、並びに臨時石炭鉱害復旧の
一部を
改正する
法律案につきまして、その
内容を簡単に御
説明申し上げます。
両案とも、この間大臣から提案の
理由を御
説明申し上げましたのでございますが、この両
法案は昨年十月に衆議院で決議がございました。鉱害
関係について
政府の善処を求められた事項が六項目にわたってあるわけでございます。そのうちの一部でございます。いずれもそのうちに含まれておるのでございます。
まず、
特別鉱害復旧臨時措置法から申し上げますと、これはお
手元に差し上げておりまする資料の中に、
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を
改正する
法律新旧対照表というのがございます。
一枚ずりでございますが、これによって見ていただきますと、
現行法では下の欄に書いてあります
通り、「この
法律は、施行の日から七年を経過した時に、その効力を失う。」となっておるのでございますが、今度
改正をお願いしておりますのは、この付則の
法律の有効期限を「この
法律は、
昭和三十三年四月一日にその効力を失う。」ということに
改正をお願いしている次第でございます。この
法律の存続
期間をさらに約
一年延長願いまする
趣旨は、提案の
理由に申し上げました
通りでございます。ほとんどつけ加える事項はないのであります。特別鉱書法は、今日まで
実施して参りまして、実は三十一年度に終る
予定のものが、家屋におきまして約一億円、農地におきまして約三億六千万円の
事業が、やむを得ず三十二年度に繰り越さざるを得なくなりましたに基きまして、
法律の存続
期間を延長していただきたいというのが
趣旨でございます。
それで、
昭和三十三年四月一日まで御延長願いましても、なお少し問題が残るのでございます。特別鉱害として認定されました物件のうち、さしあたり三百五十町歩ばかり、これに伴います農業用施設につきましても、さしあたり復旧できないものとして残るわけでございます。これはこの
法律の存続
期間が終りました後におきまして、一般鉱害として復旧いたしたいということでございます。
法律失効後も復旧に努力するということで、御了承をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
次に、
臨時石炭鉱害復旧法の一部を
改正する
法律案でございますが、これはお
手元に差し上げました
臨時石炭鉱害復旧法の一部を
改正する
法律案要綱でごらんいただきたいと思います。この
法律は非常に技術的にこみ入った構成になっておりまして、条文で申し上げるよりも、
要綱でお聞き取り願った方がはっきりするのではないかと存じまして、
要綱でお聞き取りをお願いいたしたいと思います。
まず第一に、「家屋等を復旧基本計画の対象に加えるものとする」というのがございます。御承知のように石炭の鉱害の問題につきましても、原則としましては
鉱業法の
規定によりまして、鉱害の賠償は金銭でもってするということになっておるわけでございます。ところが、石炭の鉱害におきましては、金銭賠償主義では足りない。これは今から六、七年前のことと思いますが、
昭和二十五年の
鉱業法の
改正の審議に当りまして、参議院の商工
委員会で石炭鉱害の復旧のために特別の立法をすべきだという決議をいただいたわけでございまして、その決議に基きまして、この
法律はでき上ったのでございますが、従来の考え方といたしましては、鉱害の賠償は原則として金銭賠償である、石炭につきましては、特別に
法律を制定いたしまして復旧をやるのだということでございます。しかし、その復旧の対象になりまする
事業は、道路とか、河川とか、鉄道とか、それから水道とか、そういう公共の施設を原則としまして、私有の財産と申しますか、につきましては、農地だけを例外的に取り上げるということになっておるわけでございまして、これは農地につきましては、国土の一部を復旧するという考え方と、それから食糧の増産という要請から、特別に農地を私有財産ではあるが取り上げる、こういうことになっておったのでございますが、家屋等、土地、家屋とか、あるいは店舗とか、そういうものにつきましては、私有財産のゆえをもって除外されておったわけでございます。ところが、被害者といたしましては、直接被害を受けるのは、むしろ家屋の方が痛切だというような事情から、この家屋を
現行法にあります復旧に加えるべきだという希望が非常に多うございまして、それに基きまして衆議院の商工
委員会におきましても、家屋復旧について特別の顧慮をなすべきだという決議をいただいたわけでございまして、本年度おかげさまで約七千万円の予算を獲得することができました。
昭和三十二年度から家屋の復旧も、国庫の補助対象としてやって参りたいということでございますし、従ってそれに基いてこの
法律の
改正をお願いしておるような次第でございます。家屋等を復旧基本計画の対象に加えるというのが、その第一点でございます。
次に二といたしまして、「国及び都道府県は、復旧工事の施行者に対し、家屋等を復旧するために必要な地盤の復旧工事およびこれに起因する家屋等の補修工事に要する費用の二分の一に相当する額の補助金を交付することとし、国および都道府県が交付する補助金の割合は
政令で定めるものとする」ということになっておりますが、まず家屋等を復旧するということをきめましたが、しかし、家屋の復旧に要する
経費全部ではないということをまず明らかにしておるわけでございまして、御承知のように家屋の復旧に要するということは、炭鉱が地下で採掘して進みまして、それで地盤が陥没いたしまして、そのために家屋がまがるとか破損するとか、そういう現象が起るわけでございまして、この
法律でねらいまするところは、その陥没しました地盤の復旧と、これに伴ってこれに起因して生じてきます家屋等の補修工事だけを対象にする、国庫及び
地方公共団体の補助の対象にするということでございまして、家屋の復旧費全部ということではございません。なお、その復旧に要する
経費の補助額は、その費用の二分の一に相当する額だということを明らかにしまして、なお、その補助の
負担の割合は、
政令で定めることになっておるわけでございます。これは大体四〇%を国庫で
負担いたしまして、一〇%は
地方公共団体が
負担するということでございます。
次に、三へ参りまして、「家屋等の復旧工事に係る
鉱業権者、租鉱権者または受益者が資力を有せず、またはその所在が不分明であるため、その納付金または受益者
負担金を免除された場合には」、
(1)「鉱害復旧
事業団は、免除された納付金または受益者
負担金であって家屋等の総復旧費から地盤等復旧費を控除したものに充てるべき額に相当する
金額を
負担するものとする。」
(2)「国および都道府県は、復旧工事の施行者に対し、この補助金に加えて、免除された納付金または受益者
負担金であって、地盤等復旧費に充てるべき額に相当する額の補助金を交付することとし、国および都道府県が交付する補助金の割合は、
政令で定める。」
(3)、(1)により
事業団が
負担する
金額は、
事業団が
鉱業権者または租鉱権者から徴収する賦課金をもって充てるものとする。」
これは一括して御
説明申し上げます。ただいま申し上げました
通り、家屋の復旧費のうち、補助対象になるものは地盤等復旧費でございまして、その二分の一が国もしくは
地方公共団体から補助金が出る、こういうことでございまして、従いまして
鉱業権者の
負担といたしましては、地盤等復旧費の二分の一と、それから補助対象にならなかった部分と加えたもの、が
鉱業権者の
負担になるわけでございますが、ところが、その
負担をなすべき
鉱業権者、租鉱権者または受益者と書いてありますが、まあ
鉱業権者とお考えになりまして、その
鉱業権者が無資力になりましたり、あるいは行方不明になって、鉱害だけが残るという場合があるわけでございます。そういう場合にはどうしたらいいか、こういうことでございますが、そこで鉱害復旧
事業団は地盤等復旧費以外の復旧費を
事業団が
負担すればいい。こういうことでございまして、それから国及び都道府県は地盤等復旧費のうちの二分の一は、前から補助金で出すことになっておりますが、二分の一をこえる額についても、国及び都道府県がこれを
負担する、しかしその国と都道府県の
負担の割合は、
政令で定めるというのがそれが原則でございます。ただし、その
鉱業権者が行方不明になりましたり、あるいは所在不明、無資力になりました場合におきましても、多少の財産を持っている場合があるわけでございまして、そこで多少の財産を持っておりまして、その復旧費に充てることができる場合におきましては、それだけ鉱害復旧
事業団と、それから国及び都道府県の
負担する割合等が按分して
負担できるようにするというのが、ここに書いてあります
趣旨であります。
次に
事業団の
負担する
金額は、
事業団が
鉱業権者から徴収しておりまする賦課金をもちましてこれに充当するということでございまして、これは
事業団の財源を
規定したものでございます。
次に四以下は、これはこのように新しく家屋等を復旧いたしますについて、現在ございまする条文の中で不用になりましたり、あるいは修正を要するものを整理したものでございまして、四、「
事業団の業務
内容から、家屋等の復旧に要する費用の貸付に関するものを削除するとございますが、これは家屋等は今日までは復旧の対象にしておりませんでしたものですから、これをその復旧を促進するために、
事業団から
鉱業権者に金を貸し付けておったものでございます。これも復旧することになりましたので、必要がなくなったわけでございます。
五の、「第四章(家屋等の復旧工事に関する協議および裁定に関する
規定)を削除する」。これも家屋の復旧を従来やらないという建前になっておりましたために、家屋等の復旧につきまして、
鉱業権者と被害者の問に紛争のありますときには、
地方の通産
局長が協議をあっせんしまして裁定することになっておりましたが、これも必要がなくなりましたので、削除するということでございます。
六の、「家屋等を復旧する場合における
鉱業権者又は租鉱権者の復旧基本計画に対する同意および被害者の
実施計画に対する同意等について、農地、農業施設および公共施設を復旧する場合におけると同様とする」となっております。これは現在の
法律の仕組みで、公共施設及び農地、農業用施設の復旧をやります場合に、まず基本計画を、鉱害復旧
事業団が立てるわけでございます。基本計画を立てる場合に、
鉱業権者の同意書を要することになっております。また、
事業団が
実施計画を立てるときにも、今度は被害者の同意を要することになっております。これは家屋についても全然これらと同様に扱って参りたいということで、
法律を
改正するわけでございます。
七、「その他必要な条文の整理を行う」とございますが、条文の中に相当数こまかい条文の整理があるのでございます。その点については、御
説明を省略さしていただきます。
以上が今回御提案申し上げました両
法案の
内容でございます。どうぞよろしく御審議をお願いする次第でございます。