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1957-10-08 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第9号 公式Web版

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  1. 中小企業団体法案(内閣提出、衆議 (会議録情報)

    昭和三十二年十月八日(火曜日)    午前十時四十四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            木島 虎藏君            小滝  彬君            高橋進太郎君            増原 恵吉君            海野 三朗君            島   清君            松澤 兼人君            河野 謙三君            梶原 茂嘉君            大竹平八郎君   衆議院議員            小平 久雄君            春日 一幸君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国 務 大 臣 河野 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君    労働政務次官  二階堂 進君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (近江絹糸紡績株式会社の紛争に関  する件)  (ガット会議に関する件)  (エネルギー対策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  きのうに引き続き中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して質疑を継続いたします。  なお、ただいま衆議院から小平衆議院議員及び春日衆議院議員政府側から小笠通産政務次官川上中小企業庁長官小沼公正取引委員会経済部長が出席されております。なお、前尾通産大臣閣議終了次第出席される予定であります。  それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 島清君(島清)

    島清君 私は昨日松澤相馬委員質問関連をいたしまする質問を申し上げたのでございました。それは自由民主党の立場におきまする小平衆議院議員に回答を求めたのでございますが、それと関連をいたしまして、政府側答弁を私は保留をいたしまして求めなかったのでございます。従いましてきのうの質問の続きといたしまして、政府側答弁を求めたいのでございますが、きのうの質問要点は、中小企業団体に関する組織法、これだけでは私たち中小企業の安定と振興をはかるのには不十分であると、従って中小企業の三法といわれておりまするその組織法の中の中身でございまする商業振興をはかるため、さらに大企業中小企業分野確保し、しこうして確立する、こういったような法案が相ともに成立することが望ましいばかりではなくして、必要である。こういうことを申し上げたのであります。  そこでそれぞれの法案は、社会党から衆議院の方に提案をされまして、衆議院において継続出審議になっておる。衆議院において継続審議になっておるのであるから、衆議院においても、われわれこの参議院商工委員会と同様に、それらの法案審議を促進をされて、来たるべき臨時国会に同時に並行的に成立せしむる熱意があるかどうかということについてお聞きをしたのでありました。それにつきましては小平衆議院議員から、御意思を持ち帰って、委員長理事会等に諮って、その趣旨に沿うようにしたいというような、すこぶる誠意あふれる御答弁に接したわけであります。  そこで関連して政府側にお聞きしたいことは、きのうの大臣答弁などを承わっておりますと、半ばこの法律だけで当分は中小企業の安定と振興ができるんだ、さらに自余の法律の成立は望ましいことではあるが、そう急ぐ必要もない。その理由として、まだ作業がそこまで進んでない。必要性は認めるけれども作業がそこまで進んでないと、こういう答弁でございました。作業が進んでないといたしまするならば、それは政府側における作業が進まないのか、さらにこれはどなたからでもよろしゅうございまするけれども自民党側としての作業が進んでないのか。しかし私たちが承知する限りにおきましては、中小企業団体法も、中小企業組織法提案刺激をされて、四十五日でございましたか、四十八日でございましたか、おくればせながら衆議院の方に提案になったいきさつがあるのでありまするから、この間業調整法刺激をされて、商業振興のための法律、これは出て参っておりますが、さらに中小企業と大企業分野を確立するというような、この法案社会党刺激を受けてお出しになっても、そういったような前歴があるのであるから、一向に差しつかえはないのではなかろうか、こういう工合考えております。そこで作業が進まないとするならば、虚心坦懐に衆議院の方で審議されておりまする社会党提案によりまする法案のどこに不備があるのか、さらに衆議院の共同の責任においてこれを取り上げて、そして法律化するだけの熱意がないかどうか。私は政府に向って質問しておるようであり、あるいはまた小平さんに向って質問をしておるようでもございまするが、やはり政府自民党を代表しておられる限りにおいて、それぞれどなたからでもけっこうでございますから、そこらの点について誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  4. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 島さんの御質問でありますが、まず答弁立場をはっきり申し上げておきたいと思います。今自民党を代表して政府もしくは代議士の立場というお話でございましたが、私は政府側立場においてお答えをいたしたいと思います。  中小企業対策のための法案でございますが、どういう種類の法案が最も大事であるかと、こういう問題が一つ問題になると思うのであります。そのことは現下の中小企業の現況から見てどういう、手を打っていくことが基本的に中小企業の安定に役立つかと、こういうことになると思います。中小企業団体法中小企業現状から見まして、まずその組織強化する、特に不況時におきまする不況の克服のために組織強化することが基本的に必要である、こういうふうな見地から申しまして一つ対策の基本的な要点をなすものと考えておるのであります。中小企業の安定が組織強化だけで達成できるというふうに考えているのではないかというお話でありまするが、そうではないのでありまして、中小企業組織強化に並んで、一つの問題は広く一般的な立場から申しますと、その経営近代化、あるいは生産性の向上をはかっていくような施策を必要とするものを私は考えるのであります。第三点といたしまして、そういうふうな立場に立ってこれを動かしてより円滑に動いていくような形にするためには金融の問題がどうしても強く現状から見て取り上げられなければならぬと考えます。特に現在の日本中小企業問題は一口で中小企業と言っておりますが、これを分けて考えますと、工業部門商業部門サービス部門というふうに分けてみていかなければならぬと思うのでありまして、これらの三部門に共通的に必要なものが組織強化であります。特に現在の日本中小企業のうち、中小商業問題というものが、いろいろな意味において重要な段階に入っておるのでありまして、その意味から中小商業、特に小売商というようなものを対象とする施策がこれに加えられなければならぬと思うのでありまして、その趣旨から考えまするときに、前国会におきまして衆議院に提出され、継続審査になっておりまする社会党提案商業調整法案政府提出小売商業特別措置法案、こういうふうな案をすみやかに国会において慎重審議して成立させることが私は望ましいと思うのであります。さらに社会党提案産業分野確保に関する法律案でございまするが、この問題は特に商業部門に関するものに限られておりません。日本生産部門及び商業部門を通じていろいろなる分野において大企業経営を認め、中小企業経営部門を専属的にどういう方向にするかという考え方であるようでありますが、この考え方につきましては、日本の現在の経済情勢から考えますると、いろいろな角度から研究をしなければならぬものがあると私は考えておるのであります。もちろん日本経済政策が総体的にその能率を発揮し効果を上げていき、日本経済力全体としての経済力を上げていく方向のもとにこれを考えていかなければならぬと思うのであります。私はこの問題は今申し上げましたような案の内容でありますので、衆議院において十分に審議をしていただきたいと思うのであります。こういうふうな点につきまして昨日小平衆議院議員から御答弁がありましたように、衆議院理事会の議を経て、すみやかに審議が進められることを私は希望いたしておるのであります。  なお、昨日の質疑応答関連して特に産業分野確保に関する法律案作業が進んでいない、こういうふうな答弁があったかのようでありまするが、この点につきましては、作業というよりも、こういうふうな考え方をやる場合には、考え方が妥当と仮定いたしましても、その妥当な範囲をどこで区切っていくか、また現在の諸法制との関連においてその可能性がどうなるか、等々の問題が私はなお検討を要するものがあり、それらの点についての検討をただいま政府の内部で検討を進めておる、こういう状況であるという意味において答弁をいたしたと思うのであります。  私に島さんからこういう産業分野確定といいますか、確定に関する法案自民党を代表する政府立場において提案用意があるか、こういうような御質問があったようでありますが、ただいまのところ目下議会に提案されている法律検討をいたしておる、こういう段階でありまして、特に政府が独自の考えからこの種の法案を出すという用意までまだ着手いたしておりませんことを率直に申し上げたいと思います。
  5. 衆議院議員(小平久雄君)(小平久雄)

    衆議院議員小平久雄君) ただいまの島先生の御質疑は、大体昨日承わりましたところと同様と思います。衆議院商工委員の一人としての立場、あるいは自民党員の一人としての立場からの私の考えは、昨日申し上げた通りでありますから、御了承願いたいと思います。
  6. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 同僚島委員質問に答えられて、小笠政務次官より関係法律については、他の法律との関連上、いわばその基本的態度がコンクリートされていない、作業が進むとか進まないということではございませんという率直な答弁がございましたが、私はどうもさようであろうと考えるのです。そしてまた今までの段階としては、それもある程度やむを得ないであろうと考えるのです。そこで私は、きょうは一歩進んで、この団体法自身が持っている性格から、これに連関する問題をどのようにお考えになっているかという点を、政務次官にお尋ねしておきたいと思うのです。  まず第一にお伺いしたいことは、この政府が出しました中小企業団体法というのは、自民党のしきりなるPR活動にもかかわりませず、実のところは、商工組合設立経過規程を明確にするだけの話であって、現在困難な状態に置かれている中小企業者を救うところの万能薬的な効果はさらさらないものであることは、衆議院修正によって明らかであると思うのです。いわば衆議院修正によって、政府提案中小企業者のためにはよりよき方向に一歩前進していると私ども考えるのです。そこで、それならばなぜ参議院は通さないのだというまぜっ返しの議論はしばらく御容赦願って、私どもは、さような衆議院修正そのものに対しては敬意を持つものなのであります。しかしながら、その衆議院修正案によりましても、肝心の事業協同組合であるとか、信用協同組合とか、あるいは企業組合中小企業等協同組合法に定められるそれらのものにつきましては、法第四条によって、これは別途考究するというふうに規定されておるのでございます。そういうことになりまするというと、これは当然通産省独自の立場から、もっとせんじ詰めて参りまするならば、中小企業庁自身立場から、この現存いたしまするところの中小企業等協同組合法を、何らかの形において変更いたしまして、そうしてこの企業組合あるいは信用協同組合等が持っておる今日の種々の問題を解決してやるとの熱意がなければならないと私は考えるのです。御承知のように、今日衆議院から回付された修正案に対しましても、生活協同組合関係の諸君が熱心なる反対運動を展開いたしております。それが中小企業団体法によって、むしろ他の事業協同組合であるとか、企業組合生活協同組合等も含めて、より困難な立場に追い込まれるのではないかというところの危惧を持つからであろうと思うのであります。簡単に考えてみましても、企業組合におきましては、法人認定の問題であるとか、あるいは利用分量規定の問題であるとか、幾つ企業組合自体が今日解決を迫られている――別な面から申しまするならば、法律規定によって、ないしは中小企業庁行政上の指導によって、解決してもらわなければならない諸種の問題を、彼ら自身が持っているわけなのであります。従いましてこういう問題を政府自身が積極的に解決して参りまするならば、これら企業組合あるいは先ほど来申しましたような組合筋から出ている本法に対する反対運動というのは、だいぶ形が変ってきて、あるいは積極的な賛成論者にも変り得る可能性も私はないではないと、かように了解するのです。従いまして政府が真に中小企業者を救わんとする熟慮を持つならば、しかもまた問題となっておりまする団体法を、近い将来において成立せしめたいと念願いたしまするならば、これら関連のある企業組合、あるいは信用協同組合、それらを規定するところの法改正を早急に企図すと同時に、行政指導の面において可能なるものについては、一歩歩を進めて、これらを指導するところの熱意と、その用意と、その構想がなければならないと考えるのです。従いましてこれらの問題に関して政府――この場合は通産省が、どのようにお考えになるか、小笠政務次官の明快なる、しかも本員をして一ぺんで満足せしめる答弁を、特段期待するものでございます。
  7. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) いろいろお話がございましたが、まず中小企業団体法案という銘を打っているならば、商工組合に関する規定が中心ではないかというようなお話がございましたが、お話しの通りあるいは第四条におきまして、中小企業等協同組合法を準用いたしておりますので、組合組織に関する基本的な事項をこの法律でまとめようと、こういう考え方にいたしたのでありまして、その点から申しますると名が体に合わずというふうな意味の御質問であったように思います。(相馬助治君「それほど侮辱はしてないです」と述ぶ)それは名は体に合っているものと考えるのであります。  それから第四条によって援用いたしております昭和二十四年法律第百八十一号、中小企業等協同組合法運用並びに施行以来の経過から見て、修正すべき点がなお多々あるのだ、こういう点についてどういうふうに考えているかということでございますが、私はここ十カ年にわたります中小企業等協同組合法施行経過から考えますと、実を申しますと部分的に修正すべきものがあると考えております。この修正すべき部門につきましては、できるだけ早い機会に御審議国会においてお願いいたしたい、こう考えているのでありまして、特に中小企業等協同組合法制定当時におきまして最も新しい形として登場しておりまする企業組合、この企業組合に関しましてはいろいろの問題がその後あり、それをなお拡大強化する必要を私は実は感じておるのであります。こういうような意味におきまして、企業組合の制度をもう少しはっきりしていく、強いものにしていく、こういうようなことも今申し上げました修正一つ方向として考えておるわけであります。  なお、この修正案を御審議願って、施行に至るまでの間におきまして行政上の運用上可能な範囲において適正化に努めて参りたい、こういうふうな考え方でおるのであります。  で、中小企業等協同組合法改正につきましては、他の農業協同組合法、あるいは水産業協同組合法及び森林組合法というような同じ系列にあります法律等組合法制とのつり合いも考える、そこにかつ中小企業者の特色を織り込んでいく、こういうふうな必要がございますので、なお十分に各方面の御意見も伺って修正の案を考えて参りたいと考えておる次第であります。
  8. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 ただいまの質問に対して次官答弁はきわめて率直でしかも積極的で、私はその意味では満足です。私が先ほど来述べましたように、どうしてもこの中小企業等協同組合、その他関係の現存する法律の中で修正を試みなくちゃならないものについては、積極的にそれを進めていく態度政府の中になければならないと、かように考え質問をしたのでありまするが、その用意ありとのことでございまして、私はその答弁に、一日も早くこれが実行に移されることを含めて満足をいたします。そこでそのことのついでにいま一歩、いささかこまかいことでございまして、逐条審議の際に詳細に触れたいと思いまするが、基本的な問題を含むので関連してお尋ねして参りたいと思うのですが、たとえばこの企業組合等にしましても、法律規定は明確になっておるのであるけれども、事実上の問題として必ずしも明快でない事例幾つかあると思うのです。具体的に例をあげて参りますならば、企業組合のもとにおける労働組合がこの企業組合に対して労働協約に基く団体交渉権がありやなしやという問題に関しましては、過去の事例を見まするというと、労働省並び中小企業庁はそのような権限ありと規定して、日本のこの中小企業者の中に含まれるいわば気の毒な労働者に対して好意的な解釈をいたしております。私はきわめてこれは当然のことであると存じております。ところが、法務省は企業組合内容というものは個々の人格と個個の設立内容を持ったものが集まってでき上っているものであるから、これに対してその企業組合のもとにあるところの労働組合団体交渉をすることは当を得たものでない、別な言葉で言えば、法的に見て団体交渉というものができないではないかという意味解釈を下しておるのでございます。かように同一の問題に対して政府部内におけるその見解を一にしないというようなデリケートな問題も過去の事例に現存するのです。従いまして、ただいま次官が述べられましたように、関係法律の必要あるものの分については修正を急ぐという答弁とともに、その精神によって今私が指摘いたしましたような問題に関しまては、政府部内見解を統一し、そして行政指導運用上の円滑を期すべきであろうと、かように考えるのでございますが、本法提案いたしまする側としての政府側におけるこれらの問題に関しての御見解を、この際小笠次官に承わっておきたいと思うのであります。
  9. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) お尋ねの点は企業組合をどう見るかというところによって解釈が違ってくるんだと思うのであります。企業組合一つの、いわゆる経営体と見ますれば、中小企業等協同組合法事業、第九条の二に規定する条項の適用がなくなるのであります。これを、企業組合一つ経営体と見ず、多数の経営体組織する一つ法人格と見るという場合には、当然に第九条の二の適用がありまして、そこにお話のような九条の二の規定する団体協約というものが動いてくる、こういうふうに思うのであります。私は中小企業等協同組合法昭和二十四年の制定当時に、責任局長としてちょうど当ったのでありますが、当時の考え方におきましては、企業組合一つ経営体であって、経営体集合体たる法人ではない、こういうふうな解釈で本案を作ったように記憶をいたしておるのであります。こういうふうな形から申しますと、現行組合法制におきましては、第九条の二に規定する団体交渉権というものが企業組合にはないというふうな結論になろうかと思うのであります。もちろん企業組合の発達の現段階から考えまして、そういうものを認めた方が実際の運用に合うんだ、こういうところがございますれば、今後の修正に際して当然に考え検討して参りたいと、こういうふうな考え方をいたしております。
  10. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 今の次官答弁法解釈の問題ですから、これは議論すべき問題ではなくて、また議論して参ったら果てしない問題だろうと思います。また事実上その必要があるときには法解釈考える幅もあるという意味答弁と承わったので、それで私はこの質問は打ち切るのでありますが、この際中小企業庁長官にお伺いしたいことは、この種事案の実例に対して、行政指導中小企業庁は従来どういう態度をとって参ったのですか。どのような法解釈見解を持って参ったのですか。
  11. 説明員(川上為治君)(川上為治)

    説明員川上為治君) 私どもの方としましては、従来一応の解釈としましてできるのじゃないかというふうに考えまして、そういう通牒も実は流しておりまして、必要によりまして今まで行政指導をもやってきております。
  12. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 ちょっと速記……。
  13. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 速記やめて。    〔速記中止
  14. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。
  15. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 ただいまの川上中小企業庁長官の御答弁、よく了解しました。また事実そういうふうな非常な幅のある、また実態に即したよき指導を本日まで中小企業庁は試みて参った。しかるところ、先ほど、次官の御説明によると、この中小企業等協同組合法制定当時における精神と、それからこの法律の正しい読み方、こういう見解からすれば、正規の団体交渉はあり程ないように思う、という旨の御答弁で、いきさか食い違っているようにも思うのでございまするが、再度一つ次官のお考をただしておきたいと思います。
  16. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 私は先ほど立法当時の法的な考え方について御説明を申し上げたのであります。結局、経済立法でありまするから、弊害の伴わない限りにおいて上手に行政運用するということは当然であります。でありまするが、そういうふうに法律論と実際の行政慣行が食い違うというようなことは私は適当ではないので、必要な機会に、やれるようにはっきり明文を作った方がいいのじゃないか、こういうふうな趣旨の御答弁を申し上げたのでありまして、現在やっておることは、弊害がない限りにおいて私は一向差しつかえない、こういうふうに考えております。
  17. 島清君(島清)

    島清君 中小企業団体に関する組織法律案質疑応答をしておりまする間に、中小企業とは何ぞやというようなそのつかみ方が非常におぼろげになっておるような気がするのであります。もちろん、中小企業とは何ぞやというような明確な一線を引いて定義するということはすこぶる困難でございまするけれども、しかしながら、中小企業というものはこういうものであるという一つ構成要素というものがなければならないはずであります。ところが、私たち中小企業とは何ぞやという場合には、もちろん、この資本力をある程度やはりつかまなければならない。これもやはり中小企業構成要素一つであると考えております。労働者の数ももちろんそうでございましょう。そこで、その法案は、あるいは三十人、あるいは三百人と、こういう工合労働者の数の面から中小企業というものを押えておるように見受けられる。経済行為をいたしまするその事業体において、社会党は一千万までが中小企業であるというて一応は資本力において線を引いて、その中小企業のよってもって立つところの構成要素に対して明確に出しております。ところが、この法案については、こういうものが出てきておりません。経済行為をやりまするこの主体性において、最もこれが欠けるということは非常に中小企業の本体をもうろうとさせるものであると、私はこういう工合考える。そこで、中小企業とは一体政府側の力はどういったような構成要素によって成り立つものであるというふうに考えておられるかどうか、これを一点お伺いしたい。  それから加入脱退の自由の原則というものが強制加入になって、これは憲法の違反ではないか、独禁法の違反ではないか、こういうことにいわれておりました。議論をされました。憲法問題については、同僚の阿部君が用意をしておりまするので、阿部君の質問におまかせをいたしますが、独禁法との関連においては、衆議院段階においてもかなり激しく質疑応答が行われておるようであります。私は、それはそれといたしまして、仄聞するところによりますというと、政府は独禁法の改正を発表しておられるのであります。政府が独禁法の改正をしなければならないというて発表をされておる限りにおいては、その独禁法が今の経済の運営に対して支障があるのか、あるいは足りないところがあるのか、いずれかでなければならないはずであります。そこで、この独禁法をどのように改正されようとするのか、そしてこの独禁法改正のねらいと団体法との関係においておそらく関係があると思いますが、その関係を御説明願いたいと思います。
  18. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 中小企業とは何ぞや、こういう御質問でありまして、非常にむずかしい質問であります。中小企業は大企業に対する対句としてあるのでありまして、大と中との境をどこで切っていくか、こういうことになりますと、私は率直に言って絶対的に適正な線はないものと思うのであります。島さんからお話がありました一千万がいいのか、千二百万がいいのか、当時の価幣価値等と会社の構成要素、構成の現状等から考えて、絶対値をもって表わすところはなかなか見つけにくいと、こういうふうに実は考えておるのでありますが、抽象的に申しますと、中小企業というのは資本力が小さく、かつ従業員も比較的少い企業というふうに常識的に考えておるのであります。現在の日本の情勢から申しますときに、大部分の日本企業体は、その常時使用する従業員の数によって大としからざるものとを区別することが一番普通的なものさしになり得るのではないか、こういうふうな考え方で、本案におきましては従業員の数というものを一応の標準にとったのであります。もちろん従来の慣行といたしまして、中小企業安定法あるいは中小企業金融公庫法等々、関連中小企業に関する法律案におきましては資本金一千万円、または従業員三百人以下と規定して参っております。こういうこれまでの関連考えまして、また現在の貨幣価値、多くの会社の資本力というふうなものを考えますときに、従業員一本をとるというのが比較的簡単で、しかも率直に言い得るのではないか、こういうふうな考え方でいたしたのであります。もちろん企業に資本というものは第一条件でありますから、企業経営の第一条件である資本を無視するということはおかしいじゃないか、こういうふうな御議論ごもっともだと思うのでありますが、現在の諸情勢から考えますと、従業員という方が比較的明快にわれわれが常識的に考えておる大企業と、しからざるものとの区別の標準に適当ではないか、こういうような趣旨考えておるのであります。  第二点でありますが、憲法の問題は後ほどにしまして、独禁法との関連をどう考えておるか、特に独禁法の改正に関する審議会が近く設けられることになっております。これにはあらかじめ独禁法改正の一応の予定案があるのではないか、こういうようなお話でございますが、独禁法改正に関する審議会におきましては、独禁法というものをこの際現経済段階に応じましてどういうふうに考えていくかという自由な立場において検討を願う予定でありまして、政府側としてあらかじめこういうふうな線においての改正を希望するというか、予定しておる、こういう段階には実はございません。独禁法の日本経済におきまするその位置につきましては、私が申し上げるまでもなく非常に基本的な法律として日本産業の一つのよりどころをなしておるのでありますが、これのこれまでの運営の経過等から見てなお一応振り返って考えてみる必要もまたあるのではないかというふうに考えておるのでありまして、そういう程度のことでありまして、具体的な案を立てておらないのであります。従いまして中小企業団体に関する組織法と、この独禁法改正との関連というものにつきましては直接にはございません。御承知の通りに、中小企業等協同組合法中小企業安定法等につきましては独占禁止法の適用除外の規定を多く盛り込んで参っておるのであります。それは中小企業者であるという立場から独禁法の適用を排除して参っておるのであります。その後各種の部門につきましては御承知の通り、二十八年の独禁法の改正以来、合理化カルテル、不況カルテルの成立を認めるような方向になっておりまするが、中小企業団体法中小企業の安定と過当競争その他経営の不十分なところから来る困難さを克服させるために中小企業団体強化しよう、こういうねらいでございまして、率直に言って独禁法のねらいと中小企業部門における団体法のねらいとは私は若干ずれておるのではないかと、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。直接の関係をもってこれを考える、こういうことではございません。
  19. 島清君(島清)

    島清君 議論にわたることは、これは申し上げませんが、ただいまの御説明では納得が参りませんので、納得いきまするように御説明を願いたいのでありまするが、それは中小企業とは何ぞやという形で明快に定義づけるということは困難であるということの前提のもとに御質問を申し上げたのであります。従いまして私も大企業に対する中小企業、その規模の大小によってのきめ方、あるいは従業員の数によってのきめ方、あるいは資本力の多少によるきめ方、いろいろあるわけでありますが、多方面から把握する仕方があるわけでございますが、私はそういったような学説的なことを申し上げておるのではなくして、少くとも中小企業と言ふ限りにおいては、それを成り立たしめておりまする構成要素というものが必要である。それはもちろん資本力もそうである。その資本力を一千万にきめるか、あるいは一千五百万円にするか、はたまた一億にするかということは、これは固定的なきめ方ではまずいと思いまするけれども、しかしながら資本力を否定することができないということは今政務次官申された通りであります。そこで私は社会党の出しました資本力一千万円においてなぜその資本力を一千万に切らなかったかというようなことを申し上げておるのではございません。一千万円にするのもよし、一千五百万円にするのもようございまするけれども、しかしながら少くとも中小企業とうたう限りにおいては資本力を無視することはできないのではないか。その私の質問に対して小笠さんは、まあ安易な道をとったんだ、こういう御答弁でございまするけれども、しからばそういう構成要素に対するきめ方をおやりにならないで安易の道をとったんだということをおっしゃって、そうして言葉を返しまするならば、まだ十分に論議を尽せばそこまで当然にきめなければならないのだというふうにも解釈できるわけであります。その言葉の裏からは、もう当然に衆議院側においても、社会党の方は中小企業と言う限りにおいては一千万円ということを出しておられる。しかしながらこれが共同修正ということになって最大公約数でこれが参議院の方へ回って参った。しかしながらこれが政府の方から早く成立せしめたいという要請があるわけであります。少くとも私は中小企業というものの構成要素を欠かしてこれを法律化するということはいかがなものだろうか。だから、その当時は急がなければならなかったんだという理由があったにしても、安易な道をとらずにさらに法律の中に中小企業というものの構成要素資本力であり、さらに従業員の数によって規定しなければならないのだということが当然に法律の条項の中に入ってしかるべきではないか、こういうことをお聞きしておるわけであります。これが労働立法であるとかいうことでございまするならば、私は何にも申しません。しかしながら少くとも経済行為をやり、さらにこれの活発な活動を期待するというような経済立法に関して、最もその根本である資本力を無視したということについてはどうも、今の小笠政務次官説明では不十分のように考えられまするので、もう一ぺん一つ説明をいただきたい。
  20. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 過去の中小企業規定は組合に関する法制におきましては、大体従業員の人数で制限をして参っております。金融関係法制におきましては資本金と従業者とこの二つの事項を作って規定しておる立法例になっておるのであります。それで中小企業団体法はそういう事情から従業員という一つのものさしを使ったのであります。まあ理論として考えますときに、一つ経営体に関する法律でありまするから、経営体の基礎要件である資本を無視するのはおかしいのではないか。こういう御議論は私は一つの御議論であると思うのであります。思うのでありまするが、従来の一千万円ということが低きに過ぎていることも、これは申し上げるまでもないのであります。特に従業員と資本力とのつり合いがとれないという点もあるのであります。そこで幾らのところで切るのが適当であるとか、現在の実情に合うかということになりますと非常に困難な事情にありますので、従来の例に従いまして、従業員だけを一つのものさしにしておる、こういう事情でございます。
  21. 島清君(島清)

    島清君 理論を伺っておりまする間にだんだん私はわからなくなってくるのでありますが、私たちが、この法律案と取り組んでおりまするのは中小企業の安定と振興をはかるための基本法律である、こういう工合に理解をいたしておるのであります。そこで、私たちは繰り返して申し上げるようでございまするけれども、この基本立法制定いたしまして、さらにその中に中小企業の諸君が工業部門においても商業部門においてもサービス業の部門においてもこれが振興する策を講じなければならぬ、これを立法化しなければならぬ、従ってこれがわれわれの中小企業の三法であると、こう申し上げておるのであります。そこで、きのうの質疑応答の中から言外に私たちがくみ取りましたのは、やっぱり私たちと同様に政府側においても、自民党側におかれましても、これが中小企業の基本的な法律であるということにおいての御認識のように私たちは理解をしておったのであります。ところが、そうではなくして今までの組合にはしかじかかようかようの規定があったのだからこれにならったのだということになりますというと、どうもやっぱり基本立法をしようとするところの基本的な考え方が私は動揺しておるように思うのでありまするけれども、その点はどんなものでございますか。
  22. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 中小企業団体組織に関する法律案中小企業対策におきまする基本的な法律であることにおいては私はかわりはないと思います。前にお答えを申し上げました通りであります。少くとも先ほど申し上げましたように工業、商業、サービス業各業界を通じての一つのノルムでありますので基本法であるということは間違いないと思います。ただこの基本法を作るに当っての中小企業者の定義をどうきめていくか、ものさしをどこにとっていくかというところにおきまして、資本力を入れるか、従業員だけでいくか、こういう一つ考えの相違ということでありまして、法案の重要性というものについてはその点から私はいささかも影響を受けるものではないと思うのであります。ただ現実の日本中小企業の実態から申しますと、できるだけ多くの中小企業者というものが本法を利用し得る態勢に置くということが私は必要だと思うのであります。そういうような趣旨から考えまするとき、現在の日本の各企業体の中で従業員三百人以下ととります場合に、ほとんど九九%近くのものがこの範疇に入り得るのでありまして、そういう趣旨からして、日本の産業構造がほとんど中小企業で構成されているこれらの人々が私はこの組織法を利用する道を与えておるということが必要ではないか、こういうふうにも実は考えておるのでありまして、もしも資本力というところになりますと、従来中小企業協同組合法、あるいはまた中小企業安定法などで組織を利用しておった人々が脱落していく、こういうことになるおそれがあるのでありまして、組織体としてなるべく多くの人たちを包含し、かつ従来より縮小するということでないような形に持っていくことが適当である、こういうような考え方を実はいたしているのであります。
  23. 島清君(島清)

    島清君 それはそれとして、条文に入りましたときにまたお尋ねをいたしたいと思いますが、独禁法の改正の問題についての御答弁もはなはだ不十分で納得するわけには参りません。それはどうもやっぱり自民党は憲法の改正においてもその通りでございますが、改正するのかしないのかわからないが、改正をするのかどうするかということを調査するというのです。おそらくその権力を持っておられる立場の人の言としては受け取りにくいのです。それは匹夫野人が言ったというならばそれで通りますけれども、少くとも権威ある国家権力を代表されまする政府が独禁法の改正をしなければならない、それを審議会を設置してそこで審議を願うということでありますならば、今までその独禁法のどこが悪くてどこが訂正、修正をしなければならないのだというようなことがはっきりとしなければならないはずであります。  そこで私たちがその独禁法と団体法関係において、あるいはその改正の仕方によっては私は非常に関係が深いと思うのであります。全然ないとは言えないと思います。それはどちらかといいますと、今まで独禁法の対象になっておりましたのは申し上げるまでもございませんが、資本力の集中によって消費者が不当な利益を侵害されることを防止するというところに、表現は違いますけれども、大体そこにねらいがあったと思います。これは、私は国際的にそういうことは、資本力の無制限な活動から消費者階級を守っていくということは、今日資本主義を国是といたしまするどこの国においても認められていることであります。ところがまあ政務次官とは非常に仲のよい間柄でありまするから言いにくい点ではありますけれども自民党政府はこの世界の進歩的な歴史的な歩みとは逆の方向に逆行いたしまして資本力の無制限な活動の分野を広げていかれようとするところのねらいがあるのではないか、そういう方向に努力しておられるのではないかと、こういうふうに私たちも懸念をしておりまするし、おそらく国民もそういうような懸念をしておると思うのであります。そうすると、片っ方においては独禁法を改正して資本力の活動分野を無制限に広めていこう、ある程度制限するかもしれませんが、そういうことをお考えになる。ところが、今また御説明の中では、中小企業というものは大企業に対する大小によっての区別の仕方がある、そういたしますると、独禁法から解放された大企業中小企業の力に圧迫を加えてくるということは、これは火を見るよりも明らかなんです。そこで私たちが心配をいたしておりまするのは、弱肉強食の形がこの経済界においてできたのでは、中小企業振興を百万たら唱えてみたところで、期待できるものではない。従って大企業資本力による無制限な活動の分野に国家的な規制を与えて、さらに中小企業も並立して安定し振興していくような方策を立てなければならないというのがこれは中小企業を口にするものの考え方であると申し上げて私は政党政派を越えて、立場を越えて中小企業安定振興を念願とするものの立場であろうと思うのであります。私は独禁法の改正とこの団体法関係において全然無関係だとは思っておりませんし、そういうような関係を持ってくる、さらにまたおっしゃったように、通産省が独禁法のどこを改正してもらいたいかということの原案なくして、考え方なくして、原案とまではいかないにしても、そういったような構想なくしては、私は審議会等を設置されて独禁法を改正したいといわれるということについては、この場におけるところの答弁の、言いのがれにはなるかもしれませんが、さりとて権威ある委員会としては、どうしてもやはり了解をするわけには参りません。ですから、どうぞ一つ議論にわたるような言葉ではなはだ恐縮でございまするけれども、どうぞ一つわれわれが納得いくように御説明願いたい。もしそれがないといたしますならば、独禁法を改正しない、これは業界の力からあるいは独禁法を改正したいというならば、それはまた別の形が出て参りましょう。政府としてないとするならば、独禁法を改正するということを天下に向って公言するということは、いささかこれは権力を乱用し過ぎる、言葉も少し過ぎる、こういうふうに私は考えるわけであります。
  24. 説明員(小笠公韶君)(小笠公韶)

    説明員小笠公韶君) 非常にむずかしい問題でありますが、私は中小企業の安定振興をはかるという立場は、中小企業者の中だけにおいての措置において達成し得るものであるとは考えておりません。従って中小企業以外の面、すなわち大企業の動き方その他の動き方というものが、中小企業に大きく影響してくるのも事実であります。ここに中小企業対策が非常にむずかしいところは私は一つはそこにあると実は考えているものであります。従いまして独占禁止法の改正資本力の集中を野放しにしていくのだ。こういうような考え方は私は考えられないと思うのであります。少くとも現在の日本の国の現状から見ますると、大企業中小企業ともに総体的に日本の国の経済力を上げていく方向に持っていかなければならぬと思うのであります。そこで独禁法の改正に関する具体的な予定案といいますか、予定案というようなものは今、先ほど御答弁申し上げましたようにございません。ただ現実の問題として狭義におきまして現在認められている独禁法二十六条でありましたか二十四条でありましたかの規定する合理化カルテル及び不況カルテル、あの条章の運用につきましていろいろ不便な点、困難な点があることも事実であります。そういう点をどうしていくかという問題があります。また独禁法の基本的要件になっております不公正な競争、公正な競争の概念が一般指定あるいは特殊指定をもって不公正を告示いたしているのでありますが、この不公正競争の範囲をはっきりさせるということは、私は日本の産業界の指導一つ必要性があると思うのであります。そういうふうな点等々いろいろ大きな基本に関係なくとも、現在のねらいの中で検討、もう少しベターな態勢というか、手続その他の関係になり縛る面があるのではないか、そういうような問題が出ておりますので、そういうふうな問題を、これは現実の問題でありますが、そういうふうな問題を一つの手がかりとして独禁法に対する検討機会を持ちたい、こういうのが私は独禁法を取り上げていこうとする動機だと実は了解いたしているのであります。この問題は非常に重要問題でありまするから私は島さんから大臣に、一つ責任大臣にお聞きを願いたいと思うのでありますが、私といたしましては、少くとも島さんのおっしゃるような資本の独走を認めていくというふうな考え方は絶対にとり得ない、こういうふうな考え方を実はいたしているのでございます。
  25. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) それでは午前中はこの程度にとどめ、午後は一応から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十三分開会
  26. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き中小企業団体法案関係法案を一括して質疑を継続いたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  27. 島清君(島清)

    島清君 大臣にお伺いをしたいのでございますが、午前中の質問で、独禁法の改正団体法との関係についてお聞きしたのでございます。その要点は、多分政府委員の方から耳打ちがあったかと思いまするけれども、要約して申し上げまするというと、独禁法は私たちが了解するところによると、資本の過度の集中によりまする事業の支配力を廃止いたしまして、そして消費者の利益を守ろうとするところにあるのではないか、これが基本精神であると了解をする。そこで政府はこれを改正をされようとしておられると、そこで一番目の質問についてその関連性をお聞きしましたところが、関連はないという御答弁でございました。そこで私は関連がないということは私は了解をいたしかねる。二度目質問をいたしまして、それで思うに、政府は独禁法の改正は、要するに資本力の集中排除という問題をワクをはずして、そうして野放しとまではいかないにいたしましても、今より以上に楽な形の資本活動を認めようとしておられるのではないか。もしそうであるといたしまするならば、中小企業一つの脆弱の面は大企業からの圧迫である。その大企業からの圧迫に対して中小企業も守ってやらなければならない。そこで中小企業の安定と振興をはかるというその言葉の裏には、当然に大企業の圧力を排除してやろうという配慮がなければならないはずだと、その関連がないとは私たち考えません。そこで独禁法を改正されようといたしまするならば、どういうところを改正しようとするのであるか、こういうことをお尋ねいたしましたところが、小笠政務次官答弁を御遠慮なさいましたので、そこで大臣一つ答弁をいただきたい、こう思うわけであります。
  28. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 独禁法の改正につきましては、実は御承知のように、二十八年に根本的改正をいたしました。その後いろいろ特別法によって独禁法を排除するような法律がたくさん出て参っております。また世界的に考えましても、ドイツには競争制限禁止法といいますか、というようなものが制定されたりいたしておりました。ここらでもう一度振り返ってみるべきではないかというのが相当世論になっております。従って、必ずしも改正という意味でなくても、独禁法の長年の施行状況にかんがみて、もう一度見面していかなければならぬのじゃないかというような意味合いから、一応知識経験のある方々に論議をしていただくという必要はあると私考えております。  さらに、現在御承知のように、輸出の振興ということが当面の問題でありまするし、それにつきましても、今までの単なる輸出に直接関係いたしておりまする面だけ、輸出入組合法その他の規定で果して円滑に輸出が促進できるかどうかということについて、いろいろ疑問に思われておるような点もあります。  さらにまた、御承知のように昨年来の、現在も経済問題の中心でありますところの投資の過剰というような面につきまして、これはあるいは独禁法と関連なしに考えていける問題であるかもわかりません。しかし、やはり独禁法との関連において何らか考えるべきではなかろうかというような問題がいろいろ論議されております。また、われわれといたしましても、それが輸出に阻害があり、あるいはまた、現在のような問題を引き起すことを回避する必要から、独禁法に何らかの改正を加えるのが必要でもあるのではないかというような考え方がありまして、現在学識経験者によりまして、純粋な中立的な立場の方々の御意見を伺うという諮問機関を設けまして、それによって審議をされ、答申を受けまして、われわれ研究して参りたいと、かように考えておるのであります。それ以上の独禁法緩和という、資本の集中の関係において緩和していこうという考えは現在持っておらぬのであります。まあその点、ただいま申し上げました点を検討してもらうということが現在の私ども考えであります。
  29. 島清君(島清)

    島清君 私が大臣に御質問を申し上げましたのは、実はその程度の御答弁でございまするならば午前中の小笠政務次官の御答弁でもよろしかったわけであります。私たちは二十六国会におきまして輸出振興に関する法律案審議いたしましたが、その折に寡聞にいたしまして、私は独禁法との関係においての説明を承わる機会がなかったわけであります。今輸出の振興をはかるために独禁法を改正しなければならぬと、こういうことでございますならば、二十六国会におきまする輸出振興に関する法案審議に際しまして、当然にそういうふうな説明がなされなければならなかったはずであります。その折には私たちは拝聴する機会を得ませんでした。そこでなぜ急に国会が終ってからこの独禁法と輸出振興関係が突如として大臣説明の材料にならなければならないかというようなことを御説明いただきたいということと、さらに独禁法の改正は世論化しておる、こういうことでございましたが、それは一部の大企業の諸君からはもちろんこれは不便な法律でありまするから大幅に緩和をしてもらいたい、こういう強い要望があるということはわれわれは承知をいたしております。しかしながら私はこれが国民世論になっておるとはいささかも考えておりません。従いまして委員会において、世論化されておる、世論化されておるからどこを改正するかということについては中立的学識経験者の答申を待つのだと、こういうことは少し万人をして納得せしめるような御説明にはならないと思うのであります。やはり政府の方でも、なかんずくあなたの責任において通産省が独禁法を改正しなければならない、こういうふうに発表されるからには、どこそこがいけなくて、どういうところはこういうふうに変えてほしいというようなところまで、やはり法の施行にかんがみてその欠点を是正するためにかくかくでなければならぬというようなお考えをお持ちにならなければ、私は審議会を設置されて、そして中立的な学識経験者の答申を待つということは少し、ある何ものかを隠されて、ちょうど今内閣に憲法調査会というものが持たれておるのと同じように、実は憲法を改正したいのであるけれども、しかしながら改正するということになると、一体どこを改正するのだというて突っ込まれて参りまするというと、再軍備のために憲法を改正するのだということが言えないので、そこでそういうことをお隠しになりまして、まあ改正するかしないかは調査してみてからきめるのだと、こういうふうな表現を用いておられるわけでありまするが、それと同じように独禁法は申し上げるまでもございません資本家の圧力から中小企業を守ってくれるための私たち一つの圧力防止の法律である、こういう工合考えております。そこで非常に団体法審議いたしまする際に重大関係があると思っておりまするので、もっと具体的に御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
  30. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 独禁法の改正を要望する世論と言いますのは、まあいろいろ業界からも以前から話のあるところでありまするし、それがもし輸出入を阻害するということになりましてはわれわれといたしましても本意でありません。ただいませっかくお話でありますが、私どもといたしましては具体的にどうこうという実は考えを持っていないのであります。少くとも輸出に阻害があり、あるいはまた各国の国際競争から考えましても諸外国のやり方につきましても十分な調査検討をしなければならんというような考えからでありまして、独禁法の緩和によって集中を容易にしようというような考えは毛頭持っておらないのであります。その点はあるいはお答えが不十分であるかもわかりませんが、現在のわれわれの考えといたしましては、さように思っておるのであります。
  31. 島清君(島清)

    島清君 独禁法の関係はその程度にいたしまして、昨日中小企業の安定と振興のためにしばしば税制関係の面においてどの程度の配慮がなされているか、地方税の撤廃ということについてはどうかというて相馬委員から質問を受けましたときに、撤廃は考えていないというような、大蔵大臣のような御答弁に接して私は非常に意外に思ったわけでありますが、そのことはそれといたしまして、事業税の撤廃と並行いたしまして物品税――これは天下の悪税といたしまして中小企業の諸君があらゆる会合において決議をしている問題でありますが、事業税は事業税といたしまして物品税の撤廃については大臣はどういうふうに考えておられるのか。あるいは事業税みたようなふうに御答弁になられるかもしれませんけれども、それでは私は通産行政を担当されまする、なかんずく中小企業の安定と振興をはかられようというその大前提のもとにこの法案審議しておりまするこの場合におけるところの大臣答弁としては私は非常にふさわしくないと思います。それは私たち個人的な立場において申し上げているのではなくして、物品税と事業税の撤廃は天下の悪税といたしまして中小企業者の諸君がこの団体組織法よりも前に実現をしてもらいたいという要望であるということを大臣は承知しておられるかどうか。承知しておられるといたしますならば、そういうような声に、満天下の中小企業者の声に、いかようにお答えをされようとしておられるか。その点を御説明いただきたいと思います。
  32. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 事業税その他の税の問題につきましては実は私個人的にそういう仕事に携わったことがありますので、あるいは個人的な意見を交えておるかもわかりませんが、事業税の問題につきましても税制の現在の体系から申しますと、私は撤廃はできない。全般的に、これは御承知のように、付加価値税とかいろいろな問題がありまして、税制全般的な大きな大改正をやるということになりますと考えられましょうが、この際としては私は撤廃ということにつきましては、これは言いましても実現がまあ可能ではない、かように考えて申し上げた次第であります。物品税につきましても従来から中小企業の方々に迷惑になるようなものは極力やめて廃止して参っておるのであります。現在におきましては大企業家によって製造されているものについて課税するというような行き方になっており、これが実際の捕捉なり、税務行政の面から考えますと、そうあるべきだと思っております。ただ御承知のように、消費の節約というような問題が非常に現在としましては必要でありますので、物品税を直ちに撤廃ということは、私は実現不可能じゃないかと思っております。また、ものによりましては課税をしなければならぬというふうな問題も起るのじゃないか。しかし極力中小企業者の商工業者の方々に迷惑になるような品目は極力排除していくべきだと、かように考えておるのであります。
  33. 島清君(島清)

    島清君 大臣があえて大蔵省におられた当時のお話をなさいましたので、私は大臣が大蔵省におられた時分の税の、事業税に関係するお話を申し上げまするならば、大体日本の標準家族で年収百万円の収入のある方々を四段階に分けて私たちが調べてみた。そういたしますると、銀行預金利子で生活される方々は、東京におきましては七百円の住民税を納めればあとは税金を納めなくてもよくなっておりました。株の配当利子によって生活をされる方々もそうでございました。ところが、それが給与所得者になりますというと、三十一万何がしかの税金をお払いになります。ところが、中小企業者事業税をお払いになります方々は三十六万何がしの税金をお払いになっております。こういったような、これは幾らかこの前の国会改正になりましたので緩和はされましたけれども、あえて大臣が大蔵省におられた時分の負担というものはこういうふうに不均衡になっておったのであります。こういったような数字的な事実に基いて、通産大臣として中小企業者の諸君が訴えておるということを、私たちはこの法案審議に際しまする、これからまあずっと長く続くわけでありまするが、どうか一つ通産大臣としてのお立場において大いに一つ御配慮をいただいて御答弁をいただきたい。もしそれに対しまして御答弁がありまするならば拝聴しておきたいと思います。
  34. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 私は撤廃というところまでいけるかどうかについては疑問を持っておるのでありまするが、まあ軽減いたしますと同時に、問題はこういうような税収によって極力今度は中小企業者の補強という面に努力をしていきまするならば、必ずしもこれは撤廃しなくてもいいのじゃないかというふうな考えを実は持っておるのであります。まあ今後いろいろ検討し、まあ最近のデータもとっていろいろ考えたいと思っておりますが、実はまあ最近まで党におりまして税の問題に関係いたしております。現在のまあ実は税制については私自身責任がある、あるいは通産大臣として不適当じゃないかというおしかりはこうむるかもしれませんが、われわれとして、ただいま私個人としましても、現在やってきました点についてまあ多少の弁解といいますか、理由があってこういうふうになっております。あるいは今後さらに事情の変化につきましては十分考えていきたい、かように考えております。
  35. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 昨日相馬委員の触れられた、ただいま島委員も触れられたのでありますが、この中小企業団体法案審議する、これはまことにけっこうな法案であって、ぜひこれは通さなければならないとわれわれは考えておるのでありますが、そんなら今のお話事業税ですね、これに対しては大臣はどうお考えになっておりますか、私はちょっと過重であると思うのです。一方において税金で締めつけておいて、団体法でもって中小企業も救うんだなんという前に、この税金についてはもう少し検討しなければならないのじゃないかと私はこう思うのですが、大臣はこの税は税法によって当然であるとお考えになっておりますか、所信をまず私は承わりたい。
  36. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 現在までのいわゆる税体系として考えます場合には、事業税を存置すべく一時はいろいろ付加価値税とか、いろいろな税が提案されましたが、それらを考えますときにおいて事業税を存置すべきだ。ただ極力負担は軽くして、そうして所得税といろいろ補完し合って行くというような考え方でやっておりまするし、さらに所得税につきましても中小企業者にきつくならぬようにというので、御承知のように、法人税につきましても定率課税をやり、あるいは一般の所得税につきましても小所得者にきつくならぬようにということで、まあいっておるのであります。これらはみな事業税その他と組み合わせていろいろ考えてさような結果になっておるのでありまして、ただいま直ちにこれを撤廃するのが妥当であり、適当であるというふうには実は私は考えておらぬのです。
  37. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 撤廃するかせぬかを私は伺っておるのではなくて、これは妥当であるとあなたがお考えになっておるかどうか、あなたのその信念を私は伺っておるのです、どう思っておるかという点なんです。
  38. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) これはいろいろ直接税体系、あるいは間接税体系、両々相待って行くべきものでありまするし、また直後税の体系におきましてもいろいろな税を組み合わせて行くということが必要でありまして、そういう意味から補完税としての事業税が直ちに私は悪税と考えておりませぬ、従ってこれを直ちに撤廃するかどうか、これは税でありますからないのに越したことはないのでありますが、税の体系として考えます場合には、私は事業税はただいまのところ存置すべきものだという考えで参ったのであります。
  39. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 私はそれを廃せとか廃すなということを伺っておるのではなくて、これは過重であるとあなたは考えていないか、これで適当であるとお考えになっておるか、その点を私は伺っておるのです。これが一つと、今税の体系とおっしゃったが、そうすれば石油なんぞの輸入税はどういう体系になっておりますか、それを加えて伺いたい。
  40. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 石油ですか。
  41. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 原油税です。
  42. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) やはりこの税の体系から、ただいま事業税について申し上げたのでありますが、石油に関する税、あるいはこれはまあ関税で取る、あるいは御承知のように消費税で取る、あるいはこれを目的税というような方向で、御承知のように道路の建設費に使うというようなことをいたしておるのであります。まあ現在石油に対する課税が非常に高いというようなことも言われておりますが、その反面その税が道路がよくなり舗装してよくされるということになりますから、それだけ効率が上るというような意味で、目的税として十分その機能を発揮しておるのじゃないかと思います。ただ過重であるか、過重でないかということになりますと、これはいろいろ問題があると思います。日本の課税は全体として過重であるということは確かに言えると思います。しかし、また二面から考えますと、それだけの収入を必要とするという面もあるのであります。また積極的に道路に対して、石油に対する消費税を、道路をよくするというようなことになりますと、必ずしも税率が高いから過重だと言えないような点も出て参ります。これはあらゆる問題を総合して考えなければならぬのでありまするから、直ちに私は過重であるか過重でないかということは申し上げられないと思います。ただ全般として税が重過ぎる、そのためにいろいろ脱税その他の問題が起りますが、できることならできるだけ引き下げていきたいということは常にわれわれは考えているところであります。
  43. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 石油の輸入税については法規で定まっておる税率を実行しないで、去る二十六年以来当分一年の間一割減税というようなことを今までやってきているんじゃないですか。そういうことを一方においてはやってきておりながら、この事業税とか物品税に対しては容赦なくせめつけておる、そうしてしかも石油の輸入というものは大会社を救うものであって、一年間のあの一割の税率を下げて、本年だけ税率を下げる、本年だけ税率を下げるということで去る二十六年以来年々やってきておる。そういうことをやっておりながら、この中小企業に対しての事業税、物品税に対してはどういう態度であるか、そこを私伺っておるんです。あなたは閣僚として全体を見てということを先ほどおっしゃっておるが、全体を見ていられないじゃないか。そういうことをすでにやっておる。やっておりながら、この中小企業に対してだけ今まで事業税、物品税で容赦なくせめつけておる、そういうふうなあり方が、正しいあり方であるかどうか、それを私は伺いたい。石油の関税の問題、これは特に年一年と――ことし一年だけ税率を一割下げる、ことし一年だけと言って、去る二十六年からきておるんでしょう。これはどうしたものですか、私はそれを伺いたい。
  44. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 石油の輸入課税につきましては、これは御承知のようにいろいろいきさつがありまして、当初課税をやめておりました。しかしその後におきまして、依然として一年々々延ばして参っておりますのは、これは全体にエネルギー資源が非常に乏しいのでありまして、どうしても石油を入れなければならぬ、しかも石油の値段を上げましたのでは、各種の企業、これは結局回り回って国民経済全般に及ぼす影響のあるものでありますので、それはやめて、建前としては課税すべきものだというふうに考えておりますが、そういう状態の続きます限りにおいて課税を押えているというのが現状でありまして、私はこれは、何も大企業者だけにという関係ではなしに、国民経済全般に及ぼす影響から考えてやっておるのだと、かように考えておるのです。
  45. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 ただいま大臣は税をかけるというと全般に及ぶとおっしゃるけれども、石油会社が精油するのにどれくらいのもうけを上げているか、あなたそれを御承知でありますか、それを伺いたい。どれくらいあぶら太りをやっておるか。
  46. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 石油に対する課税は、これは消費的な……、あるいは関税でありまするから、結局転嫁されて物価に織り込まれるわけであります。石油会社が直接税をかけられる所得が多いか多くないかという問題とは、私は別個の問題だと考えます。しかし必ずしも石油会社が不当にもうけるということは、決していいことだとは思いません。しかし御承知のように、直接税、法人税その他の税は、所得に応じて課税をされるのでありまするが、その面でもし過当にもうけておる者から税を取るということであれば、そういう別個の観点から税金を取るべきものだと、かように考えております。
  47. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 石油を輸入いたしましてそうして民間にこれを売り出すという際に、その仕事の上でどれだけの利益を得ておるのが妥当であるかどうか、それを私は言っているのです、論点は…。何億というもうけを上げておる。二十億の資本の会社が二十八億の利益を上げておる。こういうふうなのがたくさんあるのです。あるいは十億の会社が十五億も現金をもうけておる。そういうふうなことがあるのに、税金を特に免除しておる。そうすると今、税金をかければ大衆に及ぶと大臣は言われるけれども、もうけをほしいままにさしておる。そうして中小企業者に対して、事業税とか物品税とかいってせめつけておるのは、はなはだ当を得ないあり方であると私は思うので、その石油の税率のことと関連いたしまして、私はこの事業税については激しくあなたを追及して注意を喚起したいと思うのですが、石油会社の方はよくあなた大蔵省の方で関係がありましょうが、よく御承知だと私は思うのです。どうしてあの際に、年一年と大蔵委員会においては、ことし一年だけ、ことし一年だけといって税を減税しておるのであるか、そういうことがありながら、中小企業に対してはさらにその事業税、物品税に対して減税しておらぬじゃないか、そういうことは、全体から見て、あなたは閣僚の一人として、私はどうも納得がいかないのでありますから、その点に対してあなたからはっきりした御答弁を私は承わりたい。
  48. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 石油の輸入税は、これは関税でありまするから、当然転嫁をするものであります。これをかけましたから石油会社の所得が少くなるという性質のものではありません。また事業税は御承知のように現在は府県の収入になっておるのであります。府県の全般的な繁栄ということを考えており、また府県税として適当な収入というものを考えます場合には、事業税を存置していかなければならぬ。これは全く税の体系上の問題でありまして、ただいまある会社が非常にもうかっておる、あるいは石油につきましてももうからぬ会社もあるのであります。これらは結局所得税なり法人税という問題で解決すべき問題でありまするので、それとこれとを混同するわけには参らぬ、かように考えております。
  49. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 あなたは県が取るからとか、国が取るからというてお話しになりますけれども、税という立場からごらんになって、どうですか。中小企業に対するこの税率を今まで減税したためしがない。そういうことと、一方においては税というものを、国家の収入になるのでありましょうけれども特免しておる。そういうことが正しいのであるとあなたはお考えになっておるのですか。
  50. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 直接税につきましては、中小企業者に対する課税の、極力圧迫の強くないようにというので、法人税も下げ、あるいはまた所得の額によりまして、低率課税もいたしておるのであます。また事業税につきましても極力下げて参っておるのであります。もちろん出すふところは同じでありまするから、事業税を下げるかわりに所得税をさらに下げるというふうなことも結局においてふところは同じでありますが、府県の収入にするか、あるいは国の収入にするか、いろいろそういうふうな考えのもとにやっておりますが、もちろん税は低いにこしたことはありません。また中小企業者には極力風当りの強くないようにということについてはもちろん考えるべきでありますので、従来もそうでありましたが、今後におきましても何らその方針は変えるつもりはありません。極力善処いたしたいと、かように考えております。
  51. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 私は税に対する大臣の御答弁はどうも納得いきません。重ねてこれは御質問を申し上げることにいたしまして、これは保留をいたしておきます。  それからこの団体法が通過いたしました際に、消費組合の反対しておる、いわゆる物価が高くなりゃせぬか、そういうことに対してはどういうふうな措置をおやりになるつもりでありますか、その点お伺いいたします。
  52. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 消費者が非常に不利益をこうむりはせぬか、価格が上りはせぬかという御質問だと思います。この点につきましては、この団体法を一貫してそういうことを心配いたしておりますが、調整規程につきましても御承知のように、主務大臣の認可を得なければなりません。それにつきましては一般消費者、あるいは関連事業者の利益を害しない、不当に害しないようにというようなことも明記いたしております。もちろん行政認可の際につきましては、消費者が不当に圧迫を受けないようにということについてあらゆる努力をするつもりであります。ことに価格につきましては、これはまた厳重な規定を設けておるのであります。中小企業者が非常に困った場合におきましても、その他の種類の制限あるいは方法の制限というので、いろいろ手を尽しました際に、さらにその不況を克服することができないという場合において、初めて価格の制限ができるというようなことをいたしておりまするし、もちろんそれにつきましては審議会なり公聴会、いろいろ手を尽したあげくこれでなければどうしても中小企業者が救えぬという場合において初めて許されるのでありまして、あらゆる手を尽した上で、合理的に判断をいたしまして、消費者には迷惑をかけないということに最善の努力を払っておるのであります。私はもちろん運営に当りましても、十分この点は注意をしなければなりませんし、法律の建前もかなり厳格に制限されておる、かように考えておるのであります。
  53. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 衆議院の方にお伺いをいたしますが、衆議院ではその点についてはどういうふうに了承をなさったのでありますか。自民党の方にお伺いいたします。
  54. 衆議院議員(春日一幸君)(春日一幸)

    衆議院議員春日一幸君) わが党の見解について申し述べたいと存ずるのでありますが、第一この商工組合設立できる場合、これはこの本法の第九条で、下況事態が現存するか、あるいは不況事態に陥るおそれのある場合に限られるわけでございまして、これは言うならば、不況事態を克服することのための特別措置、かっこの事態が克服されたときには、これは解散を命ぜられる形にもなりましょうし、みずから解散する場合もあるわけでありますから、これはすなわち特別臨時措置とでも称すべき協同組織であろうと存ずるわけであります。初めて商工組合が結成されまして、さてこれからいよいよ協約、あるいはその調整規程、そういうようなものをいろいろやっていこうという形になりますると、これはまあ非常な手続を必要とすることに相なっております。まず第一段階には十八条で、主務大臣の認可を得なければなりません。で、どういう調整事業を行うかということをやはり列挙いたしまして、そのやり方について大臣の許可を得なければならない、大臣の許可を得る前にはどういうことをやるかということを組合の総意に諮らなければならない、こういう二つの手続がとられまして、大臣がこれを許可されようといたします場合には、これは不況事態を克服するための最小限度のものであるかどうか、それから関連業者に不当な、あるいは差別的な待遇を与えるものではないかどうか、これがさらに消費生活者について不当な圧迫を加えるようなことになりはしないかどうかということを大臣がよく認定をいたしまして、そうしてそういうおそれのないときでなければ許可を発することができない、こうなっているわけであります。で、なおそういうような場合でも大臣が独断でその許可が与えられない、特にこの十七条で規定されております値段協定以外の事柄については公正取引委員会に協議をしなければならないけれども、特に価格の問題については公取の承認を得なければならない、こういうような形に相なっておるわけでございます。で、こういうようないろいろの手続過程がたくさん法律によって定められておりますので、大体商工組合を作ること自体がそんなに容易ではないということ、作って調整規程を、大臣の許可を取りつけるということ自体については幾つかの手続を経なければならないし、多くの関所をくぐっていかなければならない、そのつど消費者の立場に立つ、あるいは自由にして公正なる競争の立場に立つところの関所守がその場所においてまなこをさらして十分これを検討する、こういう法律の構成に相なっておりますので、すなわちこの協同組織の行います調整事業、こういうことが不当に消費者の立場を、みだりに消費生活を脅かす、こういうようなことがあり得ないものと考えておる次第でございます。
  55. 衆議院議員(小平久雄君)(小平久雄)

    衆議院議員小平久雄君) 本法が成立いたしますというと、一般消費者に不当の損害を与えるんじゃないかということが一番大きな心配として論議されておりますことは、われわれもよく承知をいたしております。そこで衆議院商工委員会審議の過程におきましてもこの点はあらゆる角度から論議をされたのでありますが、先ほど来通産大臣の御答弁、あるいはただいま春日議員の御説明通り、大体商工組合を作ること自体がこれは御承知の通り第九条でありますか、の規定の要件を備えて初めてできるのでありますし、その後いろいろの段階を経てこの価格の調整に至るまでに幾つ段階があり、いざ価格の調整をやるという場合におきましては、これまたあらゆる角度からもうしぼっておりまして、ぎりぎり決着のところでなければこれはできないという仕組みに相なっておるわけであります。従って商工業者という単にその立場からいたしますならば、むしろ本法はどうもわれわれのためにあまりこれは役に立たぬのではないかという議論すら、半面成り立つほどに厳重に法の規定がなっておるのであります。そこでわれわれとしましては、このように法の規制が厳重になっておる以上は、それでもなおかつどうしても価格調整までやらなければならぬというような事態に至りますならば、これはもうその中小企業界というものが、いわばもうつぶれるという段階でありまするからして、それをこの正常な業態に取り戻すために万やむを得ざる策としては、われわれは認めてもよろしいのじゃないか、従ってその際において価格調整を発動する場合にはもちろん価格が若干上るという事態が起りましょう。起りましょうが、それはほんとうの最後の最後であるのだ、その場合にはこれは国民生活の全般から考えましても万やむを得ないものだ、かように私ども考えておるわけであります。
  56. 河野謙三君(河野謙三)

    河野謙三君 ちょっ今の海野さんの質問関連してお尋ねしますけれどもね、消費者に迷惑をかけないように万般の制度上また法律上の制限が加えてある、こう言われますけれども、私はそういう制度とか法律の力とかいうことで抑えられない一つの矛盾があると思うのですよ。そこで伺いたいのは、この法案通りました後におきまして企業許可制をしくのですか、新たに商工業の業を営もうとする者に対しまして、何か制限がございますか。私は時間の関係で、自分の尋ねたいことを、もっと気持を申しますと、この前百貨店法案のときに通産省から資料をいただきますと、百貨店の掘り上げがふえたことによって、中小企業の売り上げが減ってないのです。百貨店の売り上げもふえたけれども中小企業の売り上げも同様にふえておる。売り上げが減ったから、中小企業は困っているのじゃない。通産省のデータによりますと、中小企業の業者が非常に乱立して、その競争の状態が一年増しに激しくなるところに中小企業の過当競争の問題が起るわけなんです。従ってこれは当然消費者その他の業界の影響はいろいろありますけれども中小企業の安定だけを考えるならば中小企業の数を制限することが一番抜本的な方法だと思います。ところが、中小企業は新しく幾らでも始めることができるのだ、数はどんどんふえるのだ、そうしておいて数は幾らふえてもお前たちが仕事をしたその利益というものは保障してやるということになれば、十人のものがやったのを十五人になれば、どうしてもそこに扱い口銭の値上げその他価格の問題に入っていかなければ、中小企業の保障はできないと思う。私が伺いたいのは、今とりあえずはこういう規定はありますけれども、将来この安定法の目的は企業の許可制を業種別に順次拡張していくというような意図を持っておられるかどうか、それを私は伺いたい。  それともう一つ私はお尋ねします。もう一つは、今度の団体経済行為を行うことになっておりますが、団体の行う経済行為とは一体どういうことであるか、具体的にどういう経済行為を行うのか、それを一つお答え願いたい。
  57. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 企業の許可制ということについては考えておりません。ただいまお話通りにどんどん業者がふえていくということは不況の原因だと思います。しかしこれは人口問題から考えましても、どんどん人口がふえていけばみな生きにくくなるということと同様であります。確かに全体的に申しますとおっしゃる通りです。ただ企業全部について制限してそして人数をきめるとか、あるいはそういうことは憲法上の問題もありまするし、不適当だと思います。これは要するにある一定時期において非常に不況だという点を救って行こうというのがこの団体法考えであります。大きな目で大勢としてそういう問題がありますことをこれで救うというわけにも参りませんし、将来ともそういうことは非常に困難だと思います。  それから経済行為と申しますのは、従来から御承知のように企業組合が行なっております諸種の共同の購入とか、あるいは加工場を作って施設をいろいろやるとか、そういうことが経済行為ということだと思います。
  58. 河野謙三君(河野謙三)

    河野謙三君 最初の問題は、企業許可等は考えていない、それは影響するところが大きいから大臣としては今そういうふうに言わざるを得ないと思うが、私は中小企業の安定というものは、まず数の制限ということを何らかの形で一歩踏み出さなければこれはほんとうの安定にはならないと思う。これはまた後刻賛同の機会委員長に与えていただいてゆっくり質問しようと思いますが、これは私は納得していないのです。  それから今の経済行為というのは共同購入、金融、その他万般の共同行為をやると言うのですが、団体が共同行為を――それらの経済行為をやるということは、問屋の存在というものと非常に私は相競合すると思う。相場のリスクを負う、金融の事業をやる、金融と相場のリスクを背負っているのが問屋であり卸であります。そういう業界とこの団体経済行為というものとは全く衝突すると思う。そういう点におきましても、この団体法通りまして団体経済行為を行なった場合には、問屋というものとの競合は一体どういうふうに処理されていくのか。これは私は非常にめんどうな問題と想像するのでありますが、これは川上長官おられますから何か明快な御答弁を得られればけっこうでありますが、明快な御答弁が得られなければまたこれは答弁を後日に譲ってもいいと思いますが、一体これはどういうふうに考えておられるか。問屋と団体の競合の問題、これをお尋ねします。
  59. 説明員(川上為治君)(川上為治)

    説明員川上為治君) たとえば小売業者が商工組合、あるいはその協同組合を作りまして、生産者の方から問屋を抜きにして直接協同購入をする、そのために問屋が非常に困る、そういう点において問屋と今の団体とはいろいろその問題が起きるということは、これは私は事実だろうと思います。従来におきましても、協同組合法によりまして現在約三万ぐらいの組合ができているわけなんですが、中にはやはりそういうような組合で共同購入して、そうして問屋を排除してやるというようなものもあるかと思うのですが、私どもといたしましては、極力行政指導等によりまして、問屋と摩擦が生じないように、なるべく問屋の方から物を買うようにそういうような措置をとっていきたいと思うのですが、ただ問屋が中間にございまして非常に高い値段で販売する、そのために小売業者の力が非常に困る、そのために小売業者が団体を作って、生産者の方からある程度の共同購入をするということは、問屋を牽制するという意味から申しましても、私どもは妥当ではないかというふうに考えております。
  60. 河野謙三君(河野謙三)

    河野謙三君 もう一つだけ。問屋もいろいろありますけれども、大体中小企業範囲に属しますね、小売業者と同様に。小売業者だけが中小企業団体法の対象であって、問屋はそうでないというなら別でありますが、同じこの団体法の保護を受くべき対象の中に入っているので相矛盾するところの問題にぶつかるわけです。これも私は川上さんの御答弁は全く納得いたしません。私もゆっくり勉強いたしますが、あなたもゆっくり勉強して、この点についてもっと明快な御答弁をいただくことにして質問を打ち切ります。
  61. 衆議院議員(小平久雄君)(小平久雄)

    衆議院議員小平久雄君) 先ほどの河野さんの御質問関連して、衆議院の方での考えをちょっと申し上げておきます。  お説のように、結局数が多いということが中小企業者の悩みの根本原因だと思いますが、しかし今直ちに衆議院の論議の中でも、中小企業者事業について訴可制をしこうというところまではまだもちろんいっておりません。ただし、この政府の原案中にはたとえば生産の規制をやったというような場合におきましても、全然新たな、じゃあ、生産を開始するものはどうするかと、つまり組合員になっておらぬいわゆるアウト・サイダーであるとかいうものが全然新規に仕事を始める、まあそういうものに対する規制の規定が欠けておったものですから、これは御承知のように従来の安定法にも、そういった規制を出す場合、あるいは規制の命令が出ておる期間中に限っては、この新規の開業というものはやはり規制する必要があるだろう、こういうようなことなので、ここに、五十八条ですね、衆議院修正によって追加いたしておりますので、御参考までに申し上げます。
  62. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) ただいま河野経済企画庁長官が出席されましたので、河野長官に対する団体法関係の御質問のほか、他の緊急を要する問題についても、この際あわせて御質疑を願いたいと存じます。  御質疑のおありの方は発言を願います。
  63. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 先般、私は河野長官に若干の質疑を試みたのでございますが、本日は中小企業団体法案関連してきわめて基本的な問題を二点に要約してお尋ねし、見解を承わりたいと存じます。  もともとこの自由主義経済の社会またそういう政治体制のもとにおいて中小企業者の置かれる運命というものは大体予見できると思うのです。で、まさに今日、日本中小企業者は悲境のどん底にあり、またそういう経路をたどりつつあるということは否めない事実だと思います。この際政府中小企業者に対して、革命的であるとまで言われるこの種の法案政府みずからが提案いたしまして、審議し、その立法を急がれるということに対しましては、先般も私は通産大臣質疑の中に触れたのでありますが、その基本的態度に対しては敬意を表するにやぶさかでございません。しかし自由主義経済のもとにおいては中小企業者に対する万能薬はないとまで極言されております。私がかようなことを冒頭に申し上げることは、従って万能薬がないから立法措置の必要がないというのではなくて、だからこそ立法措置が必要であるということを述べたいのです。その場合問題になりますることは、日本の産業構造について経済企画庁長官として、日本経済の万般についてにらみをきかすことのできるあなたとして、どのようにこの問題を考えるかということであります。  御案内のように、日本の産業構造は、業種の方面から見ますれば、最近は多少重工業化してはおりまするけれども、依然とし軽工業と農業を主体としておりますことは、あえて統計を示すまでもありません。そしてこの両種の産業の生産物を配給する商業、それも中小企業と言うよりはむしろ零細小売業者が非常に大きな役割を持っております。他方、規模別から見れば、大企業の比重が漸次増大しつつあることは事実でありまするけれども、依然として中小企業企業数において全体の九割以上を占めておりますし、生産量におきましても、かつまた配給の面におきましても、いずれもこれは九割をこえておりまするし、特に配給の面においては小売商によって非常に大きな部門が担当されております。こういうふうな中小企業の占める役割の重要性というものは、端的に申しまして、日本の産業の特徴である中小企業性とも言うことができるのでありまして、それであればこそ政府も今回この種の立法考えられたのであると、かように存じまするが、長官といたしましては日本経済機構、産業構造はこのままの姿で発展していくという見通しに立たれるのであるかどうか、この点をまず承わりたいのであります。なぜこういうことを聞くかと申しますれば、乏しい私の研究によれば、学者の中には大企業の優位を認めまして、早晩、中小企業というものは淘汰される運命にあるというこことを予見する者もありまするし、いかなる政治が、いかなる経済運用されるとも、中小企業というものは決して滅び去るものでないと説く者もあるのでありまするが、それらの点を考慮されまして、長官としてはどのようにお考えになるか。  次に、その問題について中小企業団体法案を見て参りまするというと、卒直に申しまして、現存の機構を温存しようとというのがそのねらいであります。私は三十日の委員会におきましても長官に対しまして、最近自民党が自由競争をやめ、統制経済、計画経済に向ってある種の考慮をめぐらすのではないかというような方向にものを考えているやに見えるが、そしてある意味においては社会党にこれは屈服しつつあるというふうな印象も受けるがどうかというふうなことを御質問いたしましたときに、それは基本的にはそのようなことは考えていない。経済の現実から必要欠くべからざる措置を行うにとどまるというきわめて当然な、しかも賢明な御答弁をなさったのでございまするけれども団体法におきましては強制加入を認めて、あるがままの態勢の中に能率よき者と、能率あしき者の現在の地位を確保せしめ、できることならば新たなる競争者の出現を設備制限その他で抑制しようとする、法律の建前であることは同僚河野委員質問をした通りであります。しかも政府原案にはなかったのでありまするが、衆議院修正を見まするというと、第五十八条におきまして主務大臣であるところの通産大臣は、設備新設の制限命令権をもっております。この事実は明らかに企業許可をするとかしないとかいう問題を議論するまでもなく、これは必要な場合には企業許可権を政府自身が持つことを意味していると思うのであります。  かくのごとき団体法のねらいというものは、別な面から見ますれば、先ほど来、るる述べて参りました、私の言っている産業構造の変移を強いて認めないとする立法措置であるともいうことができるかと、かように考えております。従いまして長官は産業構造の変動に対して、団体法が通過いたしました場合に、その役割がいかなるものになるとの予見を持たれるか。まず第一点の問題としてこの二つの内容をお尋ねいたします。私の質問はもう一点残っております。
  64. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 現在の産業界における科学の進歩でありまするとか、機械の改良でありますとかというようなことから、産業構造の上にいろいろな変革を及ぼしまして、従来の中小企業者経済上非常に圧迫を受ける。その分配の面においても非常に不利益な立場に立つようになってきている。特にこれを産業別で申しますれば、一次産業と三次産業との間に利潤の分配が、取得が不均衡になっているというような現実を見ますときに、ここに相当の国民経済全体の円満なる発展もしくは国民生活の向上等の立場からいたしまして、施策を講じなければなりませんことは当然でございまして、そこに産業構造の日本の将来の見通し等も立てましていろいろ施策考えていかなければならぬと思うのでございますがしかし、それはそれとして、大きな方向はそういかなければならぬことは当然でございますけれども、さればと申して、現在置かれておりまする中小企業者立場を直ちに、産業構造の改変を意図いたしておるから、それを飛躍してその線に行けばよろしいんだと、そこヘ持っていくようにするのだということでは、現実の政治といたしましては必ずしも妥当でなかろうと私は思うのでございます。また、お話のように、大きな資本でありますとか、大きな設備でありますとか、ないしはまた重工業がよろしくて軽工業が悪いとかいうように一がいに割り切ることもまた困難な点があるのでありまして、たとえて申しますれば、御無礼な申し分でございますけれども、スイスの工業等を勉強いたしてみましても、必ずしも転工業とか小さなものの組合の組織でありますとかいうようなものは、それぞれ実情に応じまして、その国の置かれておりまする立場について妥当な施策考えていく必要がある、またその発展の方向もいろいろあるというようなこと等を考えますれば、今申し上げますように、必ずしもこの案をやりますから産業構造の改変をこれで阻止して現状で維持していこうというようなこととは、また別でございまして、申し上げますことがちぐはぐになるかもしれませんが、これを要するに、産業構造の改変は改変として、大局的、乗大的立揚に立って指導して参らなければなりませんし、また当面の置かれておりまする地位をなるべく妥当性を持つようにしていく上においてこのことが必要である、こういう考えでいくべきじゃなかろうか、こう思っております。
  65. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 ただいまの御答弁経済の現象の面からながめまして、具体的にあれこれ批判をいたしますればより発展して参り、またそれらの点について長官の御見解を承わることは相互に理解を深めてこの団体法審議に便利であるとは思いまするけれども、きょうは何か時間も制限されているやに承わっておりまするので、基本的な問題としてただいまの経済企画庁長官としての見解をその点については承わったにとどめたいと思っております。  第二点に伺いたいと存じますることは、これも先般私はただしたことですが、失業対策の問題でございます。雇用人口の問題からいたしますれば、経済の成長率はつとめて大きい方がよろしいし、国際収支の面から見れば日本の将来の経済の安定のためには非常識な経済の成長力の拡大をこの際とるべきではないという、この矛盾の中において与野党の立場を離れてこの雇用問題を一体どのように考えたらよろしいかという私の質問に対しまして、長官は非常にその雇用問題は重要であるからして経済の現実の動きを見つつそれらの矛盾に対処して善処して参りたい旨の答弁がありました。その善処の内容については、私は深くたださなかったのでありまするが、その質問後いまだ旬日を経ておりませんので、私といたしましても、ここでその具体策を示せと、かように申すのではないのでありまして、きょうも私は基本的な問題について長官の意見をただしておきたいと思うのであります。今、中小企業団体法案について審議するに当りまして、この雇用問題というものは現実に非常に重要な問題となって参りました。それは御承知のように、わが国の雇用は戦後どこまで増大しておるかといえば、農業の面でもありません。また、大企業の面でもありません。大企業は伸びておりまするが、オートメイション化が急がれておりまして、雇用人口の消化という面からいたしますれば、実は中小企業の面においてこれが増大しておる。別な立場から申しまするならば、日本の失業問題は中小企業者の犠牲において、そのプールにおいてやや解決したかのごとき状態を呈しておるということについては、長官においても私の見解におそらく異論がなかろうと思うのでございます。ところが、ここに団体法案が成立いたしまするというと、この団体法案ねらっておるところは、中小企業の特権的確立であります。これは先ほどいみじくも同僚河野委員が申しておりまするように、実は中小企業者をこれより一人もふやさないという強制法案でもできてしまえば、実は現存する中小企業者の運命というものはずんと楽になるということも、これは明瞭なのであります。そこで、少し酷な表現をもってすれば、中小企業をこれ以上増さないこととして、その利権を擁護する法律案ではないかというような批判もなされると思うのです。それは先ほどの河野委員質問にも、端的にそういう危惧が表われておると思うのであります。そういたしますと、第一の問題として、産業分野について中小企業者分野確保する法律案を相伴って成立せしめない限りにおいては、一体どうなるかという問題であります。この法案に対しまして、大企業者はいずれも熱心に反対をいたしております。これは系列化した中小企業が分離することをおそれておるのでありまするし、中小企業が大企業の系列に反対して参りまするときに、おそらく実力を持つ大企業はみずから中小企業分野に進出して参りまして、中小企業的な事業までも営むであろうということが予見されて参ります。そういたしまするというとこの中小企業者がやっていた仕事まで大企業者によって食い込まれることによって、その大企業は例のオートメーション化、その他いろいろな方法をもって人員を少くして、いわゆるかれらの言う合理的経営を行わんとする方向に向いて参ると、かように思います。そうしますと、この団体法が成立いたしますると、産業分野確保に関する法律が伴わない限りにおきましては、中小企業者団体法のためにますます大企業に侵食され、みずからの生活基盤を縮小していくことになり、これが現実の面では雇用の圧縮になるということが言えるのではないかと、私はこのことをおそれるのでありまするが、このことに対して長官はどのようにお考えになるか、まずその点を一つ明瞭に承わって、雇用問題についてあと一点尋ねたいと思うのであります。
  66. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) だんだん御意見、御質問の点は、この法案施行いたしました際に十分注意をいたさなければならぬ重要な点であると私も考えます。しかし、御承知の通りに、この法案はあくまでも中小企業の育成強化に役立たせようということでございまして、この中小企業の発達いたしましたその目的が国内経済にのみしぼられておりまして、国内経済のワクの中でぐるぐる回りいたしますならば、一方が伸びて一方が引っ込むとか、もしくは大企業との間に絶対相いれない点があるとかいうことになりましょうけれども、それは目的とするところは、日本経済の発展があくまでも国際経済に対する進出であって、その進出の点においてわれわれは大小企業が円満に協調していくことを期待いたすのでございます。そういう面から参りまして、これにはこれの非常な長所もある、非常ないいねらいもあるという点で、現在非常に行き詰っておりまする中小企業に対して、一つの力を与えて、そしてそこにその発展を期し、もって逆に雇用の面においても幾らかプラスになるようにしていかなければいかぬのではなかろうかというふうに私は考えておるのであります。ただこれを御意見のように、ねらうところが全部国内経済だけをもってこの目的にいたしますれば、これが直ちに新たなる企業を抑えなければいかぬとか、ないしはまたこれに逆行して大企業はますます近代化し、オートメーション化されるだろうとかいうような点もありましょうけれども、それらはそういうふうにして、むしろわが国産業の地位が国際経済の中において非常に高度化される。そこに日本経済の力が非常に国際経済の中に強く解け込んでいくことができるということをむしろ将来の大きなねらい、希望として持って行きたい。こういうふうに考え、そういうふうにまた行政部門においた指導されることを私は期待いたしておるわけでございます。
  67. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 話の筋は全く長官の言ふ通りそれで通っております。国内経済の面からのみ見てそのような懸念される悲観論が生れるのだが、経済問題はもっと広いのであるから、国際貿易を伸張せしめて、その面等から総合的に考えれば雇用の圧縮にはならないであろう、それはきわめてごもっともでございますが、私が今問題にしておりまするのは、そのような面から雇用の圧縮にならないようなよりよき政治が行われることを期待いたしますが、同時に中小企業が、この産業分野における位置というものが大企業から侵犯されないように、立法措置によって確保されなければならないであろうとする私ども日本社会党の主張からいたしますれば、そしてまたものの解釈からいたしますれば、さようなることが懸念されるので、この問題について私は質問をいたしたのでありまして、この産業分野確保に関する法律についての積極的な御見解はただいま承わらなかったのでありまするが、この点についても御所見をこの際承わっておきたいと思います。そして具体的なことを次に付しまして私の質問を終りたいと思いまするが、この団体法によりまして、中小企業者中小企業分野に進出してくるところの同業者の数を勢い制限することになると、かように思うのです。すなわち衆議院修正の五十八条が、明らかに設備の増設を制限することを規定しておりまするし、また一方におきましては、強制加入によりましてボスの支配下にないものの新たなる進出というものは事実問題として極度あります。で、人口過剰なわが国において失業者の比較的少い数学が現われているというのは、中小企業に進出する余地が残されているからであると、私は先ほどから申しております。それは長官もおわかりでありまするように、会社か何かを定年で首を切られた、当然これが失業者として統計の上に現われてくる、それらの人がわずかばかりの退職金をもってあめ菓子を商って、いわゆる零細小売商人の列に加わっていくと、こういう現実はおわかりであろうと思うのであります。そういうこの社会の現実の前に、この団体法が成立することによって、今までの潜在失業者のよりどころ、プールされた場所、そういうものがなくなって参りまするというと、一方社会保障が完備していない現状では、この潜在失業者を新たなる顕在的な失業者といたしまして、社会の大きな問題に供せざるを得なければならない。すなわちこの団体法の成立によって、政府は意図したことと別な意味において失業問題について気をやかなければならないという事態が予見されはしないということを私は考えるのであります。従いましてそのような予見は全く杞憂であると片づければそれまでの話でありますけれども、私は政治というものは現実を正しく見きわめると同時に、遠き将来に向ってやはり高き理想を掲げるとともに、陥るであろうところの危険を予見いたしまして、これに予防的な措置を加えることがそのよりよき政治の建前であろうと、かように存じます。そういうふうに考えて参りまするならば、団体法提案いたしました政府としては、当然ここで経企画庁長官といたしましては、失業救済の別途の新たなる構想がなければならぬ、おそらく長官においてはあられるであろう、かように考えまするがゆえに、この団体法審議関連をいたしまして、私は御所見を承わっておきたいと思うのであります。しかも先ほど申しましたように、産業分野確保法律案であるとか、あるいはまた別途この最低質金法の問題であるとか、あるいは商業調整法案であるとか、いわゆる団体法と並行いたしまして中小企業者の置かれておる悲境を何らかの形で救おうとする諸種の法案も必要であるというふうにわれわれは考えるのであります。従いましてこの総合的な経済政策考える当面の責任者でありまする企画庁長官といたしましては、この雇用問題と関連をいたし、これらの関係諸法規、諸立法等に対しましても、政府一つの意思として、また長官の一つの意思として、どのように考えておるか、これら基本的な問題について、この際とくと御見解を承わりたいと存じます。
  68. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 御承知の通り中小企業に対する対策がこの法案の実施のみによって生まれるものではありませんことはもちろんであります。もちろん積極的な資金の融通等によりまして、その設備の改善でありますとか、ないしは近代化でありますとかというようなことについて十分施策を講じつつ、その地位の安定と相関連して積極的なものが生まれてくるということもこの際つけ加えて申し上げて了承を得たいと思うのであります。それはそれといたしまして、今お話のように、失業の問題でありますとか、その他最低賃金制の問題でありますとかいうような問題につきましては、これはまたそれとして、この問題と決して別個とは申しませんけれども、それはそれとして、当然今の社会情勢もしくは経済情勢から見まして、行政を担当いたしますものといたしましては、十分研究、考慮いたさなければならぬ問題であろうと思うのであります。それぞれせっかく労働大臣その他において検討中のものと私は了承いたしております。どうか、もし必要があればそれぞれの所管大臣から御質問の上、御答弁を求めるようにお願いいたしたいと思います。
  69. 島清君(島清)

    島清君 私はこの際近江絹糸の問題について通産大臣と、幸い河野さんもお見えになりましたので、労働省関係の方々からお聞きいたしたいと思います。
  70. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 労働大臣が所用があって来られないので、二階堂政務次官が来ております。
  71. 島清君(島清)

    島清君 申し上げるまでもございませんが、先年近江絹糸は、人権争議という今世紀においては愚まわし名に値するような争議が行われたのでございます。この問題については、あるいは私たちの側から申し上げまするというと、今ごろ人権争議のごとき忌まわしい争議という言葉を使いまするというと、あるいは御議論があるかもしれません。しかしながら当時は日本の世論の支持を受け、国際的な世論の支持を受けて、そして労働争議が労働者の勝利によって終ったのであります。それはその当時は労働争議でありまするから、夏川社長を含みまする夏川一派の退陣ということによってめでたく終止符を打ったわけでありまするけれども、しかしながら数カ月経過をいたしまして、過般公取の審決とかという決定に基きまして、労働争議の直後に経営者陣がかわりましたことは、独禁法の精神を侵犯するものであるという審決のもとに、そこで若干の金融関係の代表者の方が経営者陣から退陣をされたのであります。新しくまたこの審決によりまして、心ならずも新しい経営者の方々が、私たちの目から見ますと近江絹糸ばかりではなくして、紡績事業とは無関係の方々が経営者陣の方に参加になりまして、そうしていわゆる金融関係の方々と、そういう方々との内部のヘゲモニーの奪還闘争といいましょうか、とにかく内部の紛争に発展をして参ったのであります。その結果といたしまして、内輪争いをいたしまして、企業が健全にいくはずはないのでございまするので、そこでただいまの現状を残念ながら誘致をいたしておるのであります。私はすでに政府におかれましても、五日、閣議におかれまして、この問題を取り上げられて、そして何とか善処しなければならないということで、新聞の報ずるところによりますというと、河野さんの了解を得て、石田労働大臣があっせんに乗り出される、こういうようなことを承わっておるわけであります。このことは私は河野さんから一本とってやろうというようなさもしい根性で賢明をしているわけではございません。むしろ非常に時期を失した感はございまするけれども政府といたしましては、見上げた処置であった、こういうふうに思うわけであります。ただいまの現状からいたしまするというと、まあ八千八百有余名の従業員が、男女合せておるわけでありまするが、しかし丹波何がしという、ただいまの代表取締役が中労委の方に出しておりまする近江絹糸再建計画書、これによりますというと、もちろんこれは中労委の方では経営者の内部紛争のために労働者が迷惑をするということは、これはわれわれとしては審理するわけにいかんというて受け付けてはございませんけれども、しかしながらこれによりますというと、一千四百有余名の人が指名解雇を受けまして、さらに一時離職をする数が、六千二百有余名というふうになっております。指名解雇者並びに一時職場を離れなければならないという者を合せますというと、七千六百九十有余名ということになっております。そういたしまするというと、在籍八千八百八十有余名の労働者に対しまするこの比率は、わずかに一千何百余名が残ると、こういうことになるのでありまして、そこで申し上げるまでもなくして、近江絹糸はすでにすべての機関が活動を停止しておるというような状態であります。このことについては閣議においても取り上げられておることでございまするので、私は詳しいことは申し上げません。すでにこの詳しいことは承知の上で取り上げられたと思いまするので省略をいたしまするが、いずれにいたしましても、こういったような中小企業団体法案が審議をされておりまするさなかにおいて、この工場の周辺には、いわゆるこの工場に働いておりまする従業員を相手にいたしまして商売を営んでおられまするところの、この団体法の中に当然に包含をされまする階層の方々が多いのであります。私が聞くところによりまするというと、冨士官工場の従業員を相手にして商売をされた方々が今百万程度の売掛金が取れなくてお困りのように聞いておるのであります。そこで近江絹糸という一つ企業体、各地に散在をしておりまする工場の周辺の、この団体法の中に当然に包含をされまする階層の商売人の方々の売掛金は二千万前後だろうと、こういう工合に言われておるのであります。一つ企業が、しかも経営者の内部の紛争によって、いたずらにその経営権を握りさえすればよろしいと、この醜い争いの結果は、八千名に近い従業員の諸君に生活の、生存権を奮奪し、さらにはそれに関連をいたしまする中小企業の方々にも非常に迷惑を及ぼしておるという実態でございます。これに対しまして私は率直に申し上げまして、この事態を何とかしなければならないというて政府が取り上げられ、さらに石田労働大臣河野さんの了解を得てあっせんに乗り出された。そして石田労働大臣経営者内部の争いであるからそれによって労働者に、首切りや迷惑を及ぼすということは断じてさせないと、こういったような意味のことを発表されまして、新聞は報じておるのであります。私はそれがその通りであるといたしまするならば、まことに近来にない岸内閣の大ヒットだと、こういう工合に思いまして、この考え方を全面的に支持し、さらにこの方法によって強力に一つあっせんの役をとっていただきたい。それはただいま申し上げたような理由によって考えているわけであります。  私のお聞きをいたしたいと思っておりまする点は、幸い新聞の報ずるところによりますというと、仄聞するところによりますというと、河野さんの了解を得て石田さんがあっせんに乗り出された、こういうことでございまするので願わくは、一つ閣議がどういったような考え方でこの問題をお取り上げになり、さらにまた石田さんが新聞の伝えるような方向においてこの問題の収拾に乗り出された、さらにまた閣議といたしましては、難渋するであろうこの近江絹糸の石田労相のあっせんに対してさらに今後もこれを御支援なさいまするお考えのもとに石田さんのあっせんを了承されたかどうかと、こういう一点についてまずお聞きしたいと、こう思います。
  72. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) ただいまの近江絹糸のお話はだいぶ誤解があるように私は承わったのでございます。と申し申すのは御承知の通り近江絹糸の問題が閣議の事項でもございませんし、また閣議で了解を得るとか何とかという筋合いのものではないと思うのでございます。ただ一般労働の情勢について労働大臣から閣議にいろいろお話がありました際に、その一こまとして近江絹糸の労働者賃金半額払いですか、という問題について御報告がございました。そうしてこれは今お話のように、経営者の内部紛争が賃金の不払いということでいざこざがあるということは、はなはだ労働行政の上において遺憾なことでございますので、従ってそういうことのないようにいたさなければならぬと思います。という旨のお話が石田労働大臣からございました。で、閣僚一同はそのお話を承わって困ったものだなということでございまして、別に、私も企画庁長官として、近江絹糸に私の了解とか私の云々というようなことの筋合いのあるべきことじゃないのでございまして、ただしいて申せば、今お話の丹波秀伯さんとは私は朝日新聞の記者時代からの友人でございますので、そんなことで丹波さんのお話が出ますと、私も友人の一人としてその後どうなっているか、こうなっているかということの話を耳にはさまぬことはございませんけれども、しかし現在私の心境といたしましては、私自身がこの近江絹糸の問題についてとやかくくちばしを差しはさもうとか、別に今これについて何らの協力を依頼を受けておるわけでもございませんし、一切、現状におきましても、また将来も、今のままの紛争の渦中に、現在の私の立場からいたしましてこれに関係をするとか、もしくはこれに発言するというようなことはいたしたくないというのが私の現在の心境でございます。  大体そういうことでございますから、さように御了承を願います。
  73. 島清君(島清)

    島清君 新聞などの報道が真実でないと、こういう工合河野さんは否定をされたわけであります。それはまあそれであればけっこうでございます。  そこで私は労働省の政務次官にお聞きをしたいのでありまするが、石田さんがこの近江絹糸の今の問題に対して労働争議ではないと、経営者の内部の争いから労働者の方に迷惑をかけるということは大へん遺憾であると、こういうようなお気持から何とかしなければならぬというてあっせんに乗り出されたというて私たちに――たしか十月の五日の新聞だと思いますが――新聞はそういう工合に報じてくれております。私はもしそうであるといたしまするならば、先刻も申し上げたように、大へんにりっぱな態度であると、こういう工合考えておりますが、政務次官は石田労働大臣と多分にお話し合いをしていただいて本委員会の方にお出ましをいただいたと思いますが、石田労働大臣を含みまするあなたたち首脳部のお考え一つ御ひ瀝をいただきたいと思います。
  74. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 実はつい先ほど本委員会に出席しろという連絡を受けまして、従ってけさほど来大臣とまだお会いいたしておりませんので、閣議でどういうお話があったかということについては、石田労働大臣から直接伺っては参っておりません。まことに申しわけないと思っておりますが、しかし河野企画庁長官のお話にもありましたようなことではなかったろうかと思っておりますが、しかし労働省といたしましては、御承知の通り近江絹糸の争議はきわめて複雑な問題であるように私は伺っております。こういう争議が長く続くことは労使双方にとりましても、特にまた私ども労働省の立場といたしましても、働く労働者の方方に非常に不幸なことになると考えておりますので、一日も早くこういう争議が正常な状態に復して仕事ができるようにすることが労働者のためにもなるであろうと考えまして、極力何らかの具体的な案をもって解決に当ることが至当ではなかろうかと、こういうようなお考えで労働大臣お話をされたのではなかろうかと考えております。先ほど来申し上げまするように、このためには各省――労働省だけではどうにもならない問題だと思っておりますので――各省ともよく連絡をとりまして善処すべきだと、こういうような御趣旨で労働大臣お話になったのではなかろうかと考えておりますし、またそうすべきだという建前で今後も努力をいたすつもりでございます。
  75. 島清君(島清)

    島清君 私は労働大臣があっせんに乗り出されたと、こういうふうな新聞報道を信じましたのでさよう労働省関係の方々においでを願ったわけでありますが、もし石田労働大臣があっせんに乗り出すか乗り出さないかまだわからないという情勢でありまするならば、私は非常に遺憾なことだと思っております。それはずっとあの経営者の白黒の紛争がありました直後から労働組合の従業員の諸君は労働省に文書をもちまして心からなる請願と陳情をしておるはずであります。これに対しましては、労働省といたしましては当然に問題を取り上げて何とか善処しなければならない問題だったと思っております。そこで、今もってこれがなされてないといたしまするならば、これは本委員会においてお尋ねをするようなあるいは筋ではないかもしれませんけれども、もののいきさつという関係からいたしまして、私をして言わしめまするならば、今の岸内閣は官公労の諸君が憲法に保障されておりまする労働者の基本権に基いて行動いたしまする場合に、やれ社会福祉を侵犯するなどというて、むしろ労働者を保護するというような役所の建前をお忘れになりまして、そうしてあたかも警察にでもなったような立場で少くとも総評を中心にいたしまする労働組合の動きに対しましておとりになっておりまする労働省の態度というものは、そういう工合に見受けるわけであります。私はそういうふうに見受けられながら、なおかつ、今回のこの近江絹糸の問題に対しては、まさしく裏と表のような形において何とか善処しなければならぬ。あれは労働争議でなくて、内部の白黒の争いからしてこれだけの人間が、従業員が生存を脅かされるというような形の事態が招来されているということは断じて黙認できないというようなお考えからあっせんに乗り出されたものであると、こういう工合に信じたかったのであります。ところが、今の政務次官の御答弁からは、私はそういうふうな信頼感は受け取れないのであります。この点について、今までもその問題は複雑であるから、困ったものだというふうにながめておられたのであるから、あるいはその複雑性を大いに検討をされて、そうしてあっせんに乗り出すという決意をお持ちになるのであるか。さらにまたその決意のもとに、どの程度内部の情勢を把握されて、検討されて、どういったような見通しと、どういったようなお考えを持っておられるか。率直にその辺の御説明を願いたいと思います。
  76. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 労働省といたしましては、全然この問題に対しまして無関心であったとは私は申し上げておりません。事実非常に重大なこれは一つの問題であると考えまして、何とか労働大臣も解決の方図はなかろうかということで、個人的と申しますか、あるいは大臣のお立場と申しますか、いろいろな人とも会っておられるようでもあります。そういうことで、全然争議を傍観しておるということに終っておるということは私はないと考えております。なおまた、今後も積極的にこの問題の解決に当ろうと、こういうふうに大臣もお考えになっておることと思っております。  また、今までにおきましても、労働省といたしましては、たとえば賃金の半額支払いのことにつきましても、労政局長が会社の重役に対して資金計画を早急に立てて、そうして、全額支払え、その計画を早急に立てろというような指示もいたしておるのでありまして、決して労働省といたしましても、全然この問題に対して今日まで無関心であったということもないのであります。
  77. 島清君(島清)

    島清君 私が冒頭に申し上げましたこの近江絹糸再建計画書、これは労働次官もごらんいただいたと思いますが、しかし、中労委から、こういうものは審議の対象にならないというので、これは断わられております。この計画案に対しましても、どういうふうにお考えでございますか。
  78. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 私はこの案につきましては詳細に勉強いたして参っておりませんが、御承知の通り、中労委といたしましても、拒否いたしておることは承知いたしております。私はこの問題は、第三者が、たとえば政府が介入して、このように解決せよということをいう前に、労使双方があくまでも自主的に解決に当られるべきだ。もし、それができない場合には、中労委等の機関もありますので、その機関を通じて解決に乗り出すべきである。こういうふうに考えておりますので、会社側の再建案も中労委に提出されておりますが、この案につきましてはどうかというなら拒否的な御回答がなされておることも事実であります。
  79. 島清君(島清)

    島清君 政務次官は、何か近江絹糸の事実を少しも御存じないのではないかと、こういう工合に思っておりますが、あれは御承知の通り労働争議じゃないのです。人権問題のときには労働争議でした。ところが夏川一派が退陣をいたしまして、さらに銀行関係の方々が経営面の方へ乗り出してこられた。こういうことが独禁法に触れるというので公取の審決があって、そうしてこういう方々が退陣をされて、融資の面がつかなくなってしまった。原綿が入らない。そこで送電が停止をするというようなことなんです。九月の賃金の五割払いというのは、これは金がないからそうなんです。労働争議でそうなったのではない。金がない。金がないということは融資の面が断たれてしまった。だから五割しか払えない。そこでたとえば送電を停止されて操業ができないということも、これは労働争議の結果じゃない。金がないから、しかもその金というものが、富士宮の工場の送電を停止されているということですか、これはわずかに百五十一万円だというのです。しかも仄聞するところによると、丹波何がしなんというものは、現場にも工場にも顔出しもしないで、三十万から六十万の月給を取っておるというのです。こういう事態です。労使間において話をしろといったって経営者陣の方が白だ黒だといってやっている。そこで、それではいけないというので山内さんですか、社長さんが大阪の商工会議所の会頭の杉さんにあっせんを御依頼をされて、そうして御自身は御退陣になったんですか、そういうことの問題なんですね。だから根本的において事実を見誤まっておられる。あれは労働争議であるからその労働争議を労使間において解決してもらいたいと、こういうような筋合いではない。もしこれが労働争議のよってもってそこでそういうことになったとするならば、本委員会において何も取り上げる問題じゃないのです。経営者陣による内部紛争の結果が近江絹糸企業部門を麻痺させて停止させて、よって来たるところが中小企業にも、それから従業員にも非常に迷惑を及ぼしているのじゃないか。これに対してどういうふうにお考えになり、どういうふうな処置をとられ、処置をとられようとするかと、こういうことをお聞きしておるわけなんです。
  80. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 私の答えがどうも的はずれのことがあったかと思いますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、こういう事態が長引くことは労使双方、特に労働省の立場といたしましては働く方々に非常に不幸になる。だから早く正常な姿に会社を持っていきたい。そのために何らかあっせん調停をする方法はないか、こういう御意思が労働大臣にあることは、これは私は確かであろうと思っておりますが、具体的にどういうふうな案を持ってしからばこれに当ろうとしておられるかということにつきましては、実は私、先ほども申し上げました通りに、けさほどお聞きもいたしておりませんので、ここで私から申し上げることはできないのでございますが、そういうようなあっせんに対する熱意と申しますか、何とかしてやらなければいけないという御意思は十分に持っておられるのではないかと考えております。
  81. 島清君(島清)

    島清君 どうも、私が労働省に対して近江絹糸の問題を、何も争ってない。労働者の諸君に迷惑を及ぼすということはしのびないというので労働者を保護するという建前に立ってあっせんに乗り出されたというふうに信じておったことが、あなたの答弁からくつがえされたようです。はなはだ残念でございまするけれども、それは、このこと自体は、何べんも何べんも従業員の諸君がお訴えをしておるのです。けさその質問があるというて聞いて、そして何か初めてお開きになるような答弁なんですが、私のあなたにお尋ねをしておりますることは、繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれども、従来にない、かつてないりっぱな態度だ、こう思いまして、ほんとうにしっかりやってもらいたい、これで、場合によると、岸内閣の労働組合に対する弾圧というものは帳消しになるのかもしらぬ、こういったような期待を持って私はお願いをしながら、そして、具体的な労働省の考え方というものをお聞きしたがったのです。ところが、けさ何かきょう委員会でそういうことに質問があるから、初めて聞いたのだ――それはきょう二時から質問があるということは、けさお聞きになったかしれません。しかしながら、私が聞かんとする問題自体というものに対しては、私の質問があろうとなかろうと、労働省としては、すでに何らかの手を打ち、そうして、何らかの見通しをお持ちにならなければならなかったはずでございます。そういうことを私はお聞きしておるのであって、それがないとおっしゃるならば、それはそれでけっこうなんです。そこで、繰り返して申し上げておるようだけれども、複雑であればあるだけに、それは白の方でも黒の方でも解決ができないと思うのです。従って、関係各省の衆知を集める、国家産業を当然に庇護し、そうして産業の隆盛をはかっていかなければならないという政府といたしましては、いたずらなる関係のない人々に迷惑を及ぼすということは本意ならざるところでありますから、当然にこれはおやりになるべき筋合いである。そこで、私は当然におやりになっておられるであろうというような期待のもとに、さらにまた、やられた過去の成果、並びに現在、将来に対する見通しということ、これをお聞きしたかったのです。なければないでけっこうです。
  82. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 私は、先ほどから申し上げておりますように、全然、この問題に対して、労働省あるいは大臣熱意がなかったのだ、またそういうような対策について全然何も打ち合せていなかったのだということを申し上げたつもりではございません。これは、閣議において、労働大臣が、河野企異庁長官も先ほどお述べになりました通り、発言をされて、困った事態だから何とかしなくちゃいかぬということを申されたことによってもおわかり願えると思うのでございますが、私は、ただ労働大臣が具体的にこの問題に対してどうすればこれは解決されるのであるかというふうなはっきりした一つめどをつけておられるかどうかということにつきましては、実は具体的に承わっておらない、ただ、私は、この問題をけさ承わったということを申し上げましたが、このことにつきましては、労働省内におきましても、今までも二、三回にわたって意見は聞いております。具体的に、いろんな人にも大臣がお会いなさったようなことも承わっておりますが、私は、そのことにつきまして、具体的にどういう人とお会いなさって、どういうようなことをお話しになったかということについては、ここで私から申し上げることはできないだけのことでございまして、一日も早くこの争議が妥結するように努力すべきだと、また、しておられるものと考えております。また、この争議の解決につきましては、ただ労働省一省だけで、あるいは大臣お一人だけで私は解決のめどがつくものでもなかろうと考えております。従いまして、各省とも十分連絡をとりながら、また、中労委等の意見、あるいは財界の第三者のあっせん等もあるようでございますので、そういうこと等もよく勘案いたしまして、慎重に善処されておるのではなかろうかと考えております。また、そうされておるものと私は考えております。繰り返して申し上げますが、労働大臣とされましては、全然この問題に対して積極的な解決の方法を考えておられないということではないことを重ねて申し上げておきたいと思います。
  83. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 労働政務次官にお伺いすると同時に、経企長官にも重ねて御所見を承わりたい。この近江絹糸の問題は、もう聞き飽きるほどわたしら聞いておるのです、前から。これは、近江絹糸の、つまり社長の地位にある人が、思想が、おれが一人でやったんだから、いやならやめてしまえというような、非常に現代の思想とかけ隔たった思想を持っておる場合、そういう場合は、いかようにしてこれをおやりになるお考えでありますか。努力を払うとおっしゃっても、根本の考えがそこに違えば、おれが一人でやった仕事なんだ、なまいきなことを言うなという思想が頭の中にある以上は、これはとうてい一朝にしておさまらない、幾らお骨折りになっても、結局するところ、平行線であると私は思うのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか、重ねて関係閣僚の方に御所見を承わりたい。
  84. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) やはり私は、この争議は、経営君側の力にも相当な混乱を来たした責任があるのではなかろうかと考えております。この問題につきましては、非常に深い原因があるように承わっておりますが、それらのことについて詳細に私は承わっておりませんけれども、しかし、大体承わったところから推察いたしますと、経営当の内部のいろいろな摩擦等も相当大きな原因になっておるように考えておりますので、この問題の解決がまず大切ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  85. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 私は、夏川さんとはどういう人か、そういう人に会ったことがありませんから、今お話のような、おれが一人でやったんだから、おれがどうしようと勝手だという考えを持っておられるかおられないか、知りません。
  86. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) この近江絹糸の問題につきましては、通産省として非常に重大な関心は持っておるのです。もとよりそれが事業そのものの問題でありますとか、あるいは金融だけの問題でありましたら、われわれとしてもいろいろあっせんする道もあるのです。問題は、経営者あるいは株主間の紛争であります。従いまして、官庁が、当然の職務として、あっせんするとか、あるいはそういう関連関係においていろいろ処理するという問題ではありませんので、従って、ちょうど最もいい仲介者といいますか、杉道助氏がごあっせんになっておりますことに非常な期待も持ち、お願いもしておったのでありますが、遺憾ながら結果が得られておりません。従って今後大いに関心は持っておりますが、ただいま直ちにどうこうしようというわけには参らぬ問題であります。もとより最近労使間の関係として問題が取り上げられて参っております。あるいはその面から打開するということも考えられるかと思いまするが、その当事者の企業内部のいろいろな方々の人物批評といいますか、そういうことにつきましてはわれわれとしては差し控えたいと思います。
  87. 海野三朗君(海野三朗)

    ○海野三朗君 聞くところによりますと、夏川という人は非常に信心家であって云々ということを聞いておりますが、聖徳太子の和をもって尊しとなすということは、納得づくの上に立った和のことである。納得づくの上に立った和であって、和をもって尊しというのはそういうことである。ところが不平はあってもお前は言うちゃいかぬ、これで満足しろと言って押しつけることは聖徳太子の教えを冒涜するもはなはだしいと私は思うのであります。納得づくの上に立った和でなければならぬ。子供がお菓子をくれと言ってあばれた際に、貴様なまいきだからと言ってぐずぐず言って、子供をなぐったり、あるいは飯を食わせなかったりするようなあり方というものは決してほめたやり方では私はないと思います。そういう際には、ちょっぴりお菓子をなめさせるとか、そうしておいて、おもむろにこれを納得せしめて、この納得づくの上に立った和でなければ私はならないと、こう思うのでありますが、そういかないところは何であるかというと、私は政治の貧困であると思うのでありますが、労働次官はいかにお考えになりますか。
  88. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) あくまでも労使間の紛争は納得づくで解決するのが建前であろうかと考えております。
  89. 島清君(島清)

    島清君 どうも政務次官、繰り返して言いますけれども、労使間の紛争じゃないんですよ。どうして労使間の紛争でないものを労使間の紛争とおっしゃるのですか。あれは政務次官、公取の審決があって銀行を代表される金融代表団が退かれて、さらに夏川さんがカムバックされた。そこで内部争いになって、それから良心的な社長がおやめになってそこで杉さんにあっせんを依頼されて、その杉さんのあっせんが失敗いたしまして、そこで銀行金融関係の道がつかなくて、操業停止の悲運に陥った。その結果労働者が迷惑をしておるということなんです。そこで労働組合としては、従業員といたしましては、夏川さんが、夏川一族というのが一割程度の株を持っておる。近江絹糸は二十億の資本金です。株の口数は四千万株、それを夏川一族と言われておりまする七名の方々がわずかに四百万株しか持っておられない、一割程度…。それで夏川さんは近江絹糸はおれのものだ、こういうことを寝言をおっしゃっておられる。世間がそうであるかのふうに盲信しておるわけですよ。わずか一割程度の株しか保有しておられない。その夏川さんが、おれのものだ、そうしておれのものをおれがどう経営しようとおれの勝手じゃないか、こういうことを言っておるわけなんです。こういうむちゃくちゃが世の中に通るといたしますならば、これは無理が通って道理が引っ込むということなんです。こういうことに関して一体どういうようにお考えになるのか、どういうふうに処置をとらるべきであるか。処置をとられてきたかどうかということをお聞きしておるのである。それをあなたは、労使の紛争でもないのに、労使の紛争でございますと、事を曲げて御答弁になる必要はない。おわかりにならなければ、わかりませんと、そうして、その次に石田労働大臣を出席させますとおっしゃってくれれば、それでよろしいのですよ。
  90. 説明員(二階堂進君)(二階堂進)

    説明員(二階堂進君) 御意見はよく拝聴いたしましたが、しかしながらこの近江絹糸の紛争が、ただ経営者内部の問題でかりにありましても、あるいはお説によりますと、それであるとおっしゃるわけでございますが、それであるにいたしましても、この紛争の影響がやはり労働条件に波及いたしてきておるのでありますので、私は労働紛争で全然ないということは言えないと思っております。また、組合の力からも中労委に対しまして、あっせん調停の依頼があることも御承知であるかと思います。従いましてこれが全然労働の紛争でないということは、私は言えないと考えております。
  91. 島清君(島清)

    島清君 ここであなたと議論をしようとは思っておりませんので、あなたに対する質問はこれで打ち切りますが、私は通産大臣にお聞きしたいのです。それは、あなたの内閣が完全雇用をお約束されたのです、選挙のときに。もし約束してないとおっしゃるならば、岸内閣は民主主義のルールを侵犯したということになる。鳩山内閣から石橋内閣、石橋内閣から岸内閣、岸内閣も改造内閣になっておるのです。ところが、鳩山内閣が選挙されたときには、完全雇用を国民に公約されたのです。ところが、御承知の通り完全雇用どころではない。失業者がちまたに充満をしておる。そうして中小企業にしわ寄せをされて、先ほど相馬委員が心配されたようなことが現にある。そこで完全雇用をうたわれた自民党政府において、果してこの完全雇用の線から、今、近江絹糸のあの姿を何とごらんになるか。  さらには、もう一点、生産性向上の問題がありましょう。生産性向上の問題についてはも少くともあなたの考え方も、岸内閣も、それを高めなければならぬ、こういうことを言っておられる。私たち生産性の向上と、あなたたち生産性の向上とは、いささか趣きは違いまするけれども、しかしながら少くともあなたたちはあなたたちなりに生産性を高めなければならないということをおっしゃっておられる。ところが、ゆえなき理由によってそうして生産がストップしておる。その生産性向上という建前と完全雇用という看板の手前、ゆえなくして生産がストップをしておるというこの事実に対して、通産大臣の今、海野委員質問に対する答弁は、それはおざなりとしてはいいかもしれません。私は、少くともこの委員会を通じて、今のあなたの答弁では、私たちも納得をいたしませんし、それから、いかに岸内閣が言うことと行なっておることが夜と昼のごとくに相違があるかということを私はあなたが証明をするようなものだと思う。願わくば聡明なるところの通産大臣にそういうところの汚名を着せたくない。日本の産業の振興のためにという題目で今、中小企業団体法も私たち審議をしておりまするし、また、あなたたち説明もそういうふうな説明でございました。これと関連をいたしましても、ゆえなく工場の操業が停止をする。その周辺の小売商業の方々が困っておる。これでも私は、通産大臣が今海野さんに答弁をされたような形でよろしいかどうか。もう一ぺん深い御反省の上に、どういうふうに一つ持っていきたいというような誠意があってよろしいのじゃないか。また、あなたの義務でもあると私は思う。どうぞ一つ誠意を持って御答弁を願いたい。
  92. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 完全雇用、あるいは全員の就労の問題につきましては、もとよりわれわれとしても看板にもし、あらゆる努力をいたしております。その努力につきましては、必ずしも企業の自主性に対して介入するという態度ではなしに、全般的な日本全体の観点に立ちまして、その役所の行動の限界を保ちながら行かなければならぬ問題であります。従って、近江絹糸の問題につきましては、官庁側があっせんするというのは、そのあっせんすべきやはり筋合いをもってやらなきゃならぬと思います。先ほど申し上げましたように、ただいまの近江絹糸の問題ということにつきましては、私は、杉さんのような方にお願いして、あっせんしていただくというのがまあわれわれの通産行政立場からいたしますと最も適当であるというふうに考えて、いろいろお願いもし、またいろいろ事情も聞いて参ったのでありまするが、遺憾ながらそれが最終的ないい結果をまだもたらしておらぬのであります。もとより、私も労働組合の諸君にお会いしまして、また、いろいろ善処することもお約束いたしております。しかし、これはあくまで役所の問題というのではなしに考えていかなければならぬ問題だと思います。また、現在におきましては、労働問題として、労働者の方方と経営者の方方の問題として取り上げられております。あるいは、その面から打開する道がないかということをいろいろ苦慮いたしておるのでありまするが、根本におきましてはちょっと企業の内部にわたるのであります。従って普通の行き方、あるいは政府のいろいろの施策としてのやり道はないのであります。誠意は持ち、また今後において努力し得る点におきましてはあくまでその努力を惜しむものではありませんが、ただいまのところこういう答弁をしなければやむを得ない状況にありますことを申し上げておきます。
  93. 島清君(島清)

    島清君 私は、時間がございまんのでこの質問をもって一応私の時間を終らしていただいて、松澤委員に時間をお譲りをいたしまして、さらにまたその時間が皆さんからいただけまするならばあとで質問を続けさしていただきたいと、こう思っておりますが、その意味で最後の御質問をいたします。それは、前尾通産大臣に私は行政権をもって関与してもらえるかどうかというようなことではいささかでもないのであります。国家の通産行政を担当されまする通産大臣といたしまして、ああいう事態が起ったことに対し、もっと積極的にこの事態を収拾されるために何らかの善処をされる御用意があるのかないのかということをお聞きしたがったわけであります。私は、あなたに単に政府説明委員程度のお話をお聞きしようとは考えておりません。少くとも紡績にしろ鉄鋼にしろ、こういったような生産の増大ということについては、もっとも、紡績は今操短時代に入っちゃおりますけれども、いずれにいたしましても、操短なら操短でこれもやはり国家の産業政策上からしてなされることではある。しかしああいう工合に、非常に天下世人が納得をしないような形において生産がとまるということ、そのとまる結果が周辺の中小商店にも迷惑を及ぼすということ自体に対して、単に行政権ではどうにもならないのだというようなことではまことに心細い話だ。そこで通産大臣に言質をとって、何とかやってもらいたい、何とかやらせよう、こういうような立場質問をしておるわけではございません。どうかその点をおおそれにならないようにお考えをいただきたいと思うのでありまするけれども、ただいま申し上げておるように、大局的な立場に立ってああいう事態を収拾されるための積極的な用意がおありであるかどうか、まことに、あの事態を是認されることはないと思います。是認しないといたしまするならば、何らかの形において善処されてしかるべきだと思います。それは私は、二面には私あなたの義務でもあると考えておる。それは行政権の義務ではないかもしれませんけれども、広い立場に立つところの通産大臣としての私は政治的義務ではなかろうか、私はそういうふうに考えております。であるがゆえに、本委員会でこの問題を取り上げて質問をしておるわけであります。私は、こういうことは考えたくございませんけれども、あの問題を紛糾させておりまするのは、あなたの所属をされておりまするところの自民党の中の大幹部の「二田」「二野」――その二人の田のつく方はどなたかわかりません、野のつく方はどなたかわかりませんが、こういう方々が裏で糸を引いて、そうして紛糾させて、こういったような丹波何がしかの跳梁を許しておるのだ、こういうことを私たちは聞いております。もしそうであるといたしまするならば対決をする、これはこの場ではございません、ほかの場において対決をいたしますけれども、それはそれでよろしいでしょう。しかしながら、通産大臣としては、そうした「二田」「二野」のそういう「二」があって、あるいは裏において糸を引こうとも、やはり通産大臣としては天下の通産行政をあずかるのでありまするから、そういうものに左右されずして、世間が納得するようなやっぱり手をお打ちにならなければならぬのじゃないか。こういう意味であなたに説明を求めておると同時に奮起を促しておるわけです。
  94. 国務大臣(前尾繁三郎君)(前尾繁三郎)

    ○国務大臣前尾繁三郎君) 個人的な立場といいますか、役所を離れての立場としましては今までも私はいろいろ善処をしてきたつもりです。遺憾ながらその結果が表われておりませんし、ただいまのところ手を尽す方法がない。従いまして、決して傍観しておるわけでもありません。ただ何らかの糸口を見出したいという気持は持っておりますが、ただいまその方法がないのであります。これが率直に申しまして、いろいろ職務上の問題と関連いたしておりますと、そういうような糸口が見出しやすいのでありますが、ただいまそういう段階にありませんので、率直にそのままお話を申し上げておる次第でございます。   ―――――――――――――
  95. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 通産大臣に対しましてはいずれまた御質問する機会があると思います。きょうは経済企画庁長官として河野国務大臣に、二、三お尋ねしたいと思います。時間に制限があるのをよく承知しておりますので、いろいろと私の方から意見がましいことは申し上げない。率直に河野国務大臣の、経済企画庁長官のお考えを承わりたいと思います。  第一点は、経済企画庁長官はガットの会議においでになるということであります。そこで私この問題について中小企業、あるいは通産行政関連のある問題について一、二お伺いしたいと思います。  第一点は、ガットの会議ができまして、わが国の貿易の伸張のために、あるいは公正なる国際競争のために非常に期待をしておったのでありますが、どうも最近様子を考えてみますというと、いろいろ、たとえば三十五条の留保条項があったり、あるいは一たんアメリカがガットの線に沿って関税の引き下げをやったにかかわらず、いろいろ国内的な事情からさらにこれを前の関税の率に引き戻そうとする動きがあります。これは通産省の通商局から出ている書類の中に、現在アメリカがとっております輸入制限について、いろいろの形のものがここに報告されているのであります。しかも、これらの商品は、たとえばステンレスの食器であるとか、あるいはこうもりがさの骨であるとか、あるいは体温計であるとか、あるいは綿製品であるとかいうようなものは、いずれも日本におきましては中小企業が主としてこれを生産している。これを商社が一括して対米に輸出をしているという形のものである。こういう形のものが、国内にはいろいろアメリカの事情があると考えられますけれども、たとえばステンレスの洋食器の例をとって考えてみましても、大体一七%から一九%にガットの交渉で引き下げになって、それを引き下げ以前の二五%から四〇%に引き戻そうとする動きがある。あるいはこうもりがさの骨は、ガットの関税交渉によって六〇%から三〇%に下げられた。これを再び国内の事情から前の率に引き戻そうとする。あるいは体温計について考えてみると、五〇%から二五%に下げられた。これを再び引き下げ以前の五〇%に引き戻そうとする動きがある。これはアメリカの事情によることでありましょうけれども、少くともガットというものが国際協定であるならば、その線に従ってやはり国内的にも善処してもらうことが必要だと思います。あるいはガットの問題につきましては、すでに日本がガットに加入する際に、イギリスであるとか、あるいはインドであるとか、十数国の国国がガット規約の三十五条を適用して、日本品に対しガットの税率を適用することを留保する旨の宣言が行われております。こういうことが行われるならば、せっかく河野長官がおいでになりましても、私は多くのことを期待することはできないんじゃないかと思います。  で、問題は二つに分れます。一つはこの三十五条のガットの留保条項について、これを削除するなり、あるいは撤廃するなりというような、お話し合いができるものであるかどうか、これが第一点。それから、せっかくガットというものができていて、ガットの交渉によって税率が引き下った、たとえばアメリカのような場合、これをまた国内の事情によって引き下げ以前の税率に引き戻そうとする、こういう動きに対しては、今回河野長官がガットにおいでになる、どういう方途をもって、どういうことを言ってまとめてこられるか、この点を率直にお話し願いたい。
  96. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) ただいまお示しになりました点は、私も深く関心を持っておるところでございまして、アメリカに参りましても政府のいろいろな関係の方面にお目にかかるように申し入ればいたしております。その際にはできるだけこれらの経過並びに現状等につきまして話し合いまして、わが方の期待を深く先方に了承するように努力をいたして参りたいと思っております。  ガットの点につきましてもお話通りでございまして、はなはだ遺憾なことでございますが、何分にも経過のありますことでありまして、それが直ちに御期待するようになるかどうかということにつきましては、深く私も関心を持って努力をするつもりでありますけれども、直ちに御期待通りにいき得るという今すぐここで自信を持ち合せているわけではないのでございます。しかし、さればと申してこのままにしておいてよろしいものではありませんので、あらゆる機会にできるだけ努力をいたそうと、こう考えておるわけであります。
  97. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 御熱心なお考えはよくわかります。私どももこの問題が一朝にしてわれわれの考えるような方向に進むとは思っておりません。しかし日本政府としては、もちろんこの問題については非常に大きな関心を持っておられるはずでありますし、努力をされるべきであると思います。一回、二回で成功しませんとしましても、その努力を続けていただきたい。  具体的にどういうことをガットにおいてお述べになるか、この点につきましては国際会議でもありますので、あまり明瞭なことは言えないと思いますけれども、どういうことをガットの会議において主張されようとするのか、もし差しつかえなければお漏らし願いたい。
  98. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 御承知の通り、なかなかめんどうなことでもありまするし、また私としましてはジュネーヴに参りましてから十分これら関係国の、幸いに経済関係大臣も見えておるようでございますから、あらゆる機会に懇談をいたしまして、全体の空気を見つつ主張は主張としていたしたいというようなことで、せっかく事務当局も前もって先方に派遣しておりますから、これと現地におきまして十分打ち合せをした上で最後の主張を固めたいと考えております。
  99. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 今の松澤委員質問関連して河野長官にただしておきたいと思うのですが、今度ガット会議にお出かけになるということは非常に御苦労なことであって、先ほど松澤委員が指摘されたように、いろいろ困難な情勢も予想されるのであって、まことにそういう意味では重ねて申しますが、御苦労なことと思うのです。で、ガットの税率の引き上げの傾向に対して十分戦っていただくと同時に、現在のガット条約はそのままにして、ガット違反事件というものが各国ともあると思います。そういうものに対しましても断固たる態度を持って対処していただきたいと同時に、私はこの委員会において水田通産大臣当時にたびたび日本政府がガット違反のことをしてはならないということを強く忠告し、要請しておいたのでございますが、おそらく長官もお聞き及びだと思いますが、対ビルマの雑穀の輸入等に関しまして、例の農林省の強腰でいわゆる調整金問題、ある意味では二重関税的な、あるいはガット違反条項ではないかと思われるような行為も実のところあるのでありまして、それらの問題については私は国際的な関係をもおそれまして、追及したいことも追及せずに今日に至っておりまするがゆえに、長官とされましては出発に先だたれて、国内におけるガット条項違反として諸外国から追及されることもあるということをも予想の中に入れて十分な研究をされ、断固たる態度をもって、一つ日本の貿易振興のためにがんばられんことをただいまの松澤委員の発言に関連して私はお願いし、その御見解をただしておきたいと思います。
  100. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 御注意の点まことにありがとうございます。十分検討いたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  101. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 第二点は、これは大へん大きな問題で、実は恐縮なんでございますが、ただ一点もやはりこれも経済企画庁長官としての河野大臣の御見解を聞いてみたいと思うのです。現在の政府あるいは自民党におきまして、来年度予算の編成あるいは構想ということにいろいろと御苦心をなさっていらっしゃる、これはまことに現在のような外貨不足の場合、石橋さんが言っておりましたように積極均衡というような政策のとれないことはよくわかります。しかし、少くとも経済企画庁の長官といたしまして、来年の経済の見通しといいますか、あるいは予算編成の基礎となる昭和三十三年の日本経済の見通しというものはどういうふうにお考えになっておりますか。
  102. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 先般閣議決定いたしました通り、当時、なおまたその後の推移等も十分調査いたしまして、最終的には十一月末までに各方面の数字を積み上げまして最終決定はいたすつもりでおりますけれども、おおむね現在のところといたしましては、現在の国際収支改善に重点を置きまして、そうして一応わが国の物価の正常なる安定を目途といたしまして、これは大体あまり急激に行くこともどうかと思いますので、まず来年と申しますか、今年度末程度までかかるだろうという見通しを持っておるわけでございますが、しかし、さればと申して明年度の四月一日から直ちに経済は拡大していけるかどうかということになりますと、これまた非常に慎重を要することでございますので、明年度におきましてはその経済の伸びも一応三%程度に目標を置きまして、これを基準にして全般の経済のあり方をそこに置いていきたいと、というふうにいたしますと、輸出入の関係から申しますると、経済の伸びを一応三%程度といたしましても、なおかつ貿易の面におきましては輸出貿易を三十一億五千万ドル程度にいたして参りませんと、外貨予算の関係等に非常に悪影響もありますので、国内消費の面におきましては、あまりこれを刺激しない程度にいたしまして、もつぱら輸出振興に重点を置いて、明年の経済を進めて参りたいという大目的を達成いたしますためには、予算の編成におきましても、今申し上げました通り、これらの国内消費を刺激しないで、という点に重点を置いて、明年度予算を編成することが必要であろう、こういうふうに考えておるわけであります。しかし何分にもただいま申し上げます通りに、これは非常に総括的な大筋だけでございますので、さらに今後各般の情勢を見、予算の実際最終的な決定時でございますところの本年末までに経済の動きをさらにしぼりまして、そうしてその実勢を見つつ最終的な明年度予算の決定はいたして参りたいというふうに考えておるわけであります。
  103. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 いろいろ議論いたしたいのでありますけれども、時間が迫っておりますので省略いたします。ただ経済企画庁でお出しになりました三十三年度経済運営の基本的な態度、この中には非常に引き締める結果、雇用の面及び中小企業部門において問題が生ずる、こういうふうに言っておるわけであります。これはそうだろうと思います。ところが、予算の基本的構想の中におきましては、これらの雇用なり、あるいは中小企業に対する基本的な考え方というものが一つも出ておらないのでありまして、私どもが中小企会団体組織法、この成立というものにいろいろと問題がございまして、こうして休会中をも審議しているわけであります。政府にもし中小企業に対する非常にあたたかい気持があるならば、やはり予算編成の基本的な態度一つの柱として考えて、失業の問題と、それから中小企業に対する対策の問題というものは、柱の中に入れておかなければならぬわけです。これを入れて考えないということは、私は非常に不可思議に思っております。この点はいかがでありますか。
  104. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) 御指摘の通りでございます。むろん今やっておりますことが、中小企業者に対して相当の影響を及ぼしますと同時に、明年度の経済を拡大率等々から申しましても、その点に非常に大きく関心を持ち、施策を払っていかなければならぬと実は考えております。これは予算の編成に当りましては、すでに通産大臣からも中小企業対策については相当のお考えを明年度予算の上において施策をしておられると私も考えております。またそう承わっておるわけでございます。これらは実際明年度予算の編成に当りましては、失業対策中小企業対策、これにつきましては、ただいま申し上げます通りに予算全体の数字から申しますれば、あまり拡大した予算を組むことは避けたいと考えておりますが、予算の数字の中におきまして重点的にこれらのものが当然取り上げられ、そうして明年度の施策の上に現われていくというふうに考えております。
  105. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 第三点でございますが、それは、経済企画庁として現下のエネルギー対策に関する御意見を承わりたいと思います。  実は民間の原子力発電会社ができます前に長官にお尋ねしたいと思っておったのでありますが、ちょうど大阪の方においでになりまして、この機会を逸してしまいました。今となれば民間会社はすっかりでき上ったような形でございますが、今後この問題についていずれお尋することがあると思いますけれども、ここではエネルギー対策として承わってみたいと思います。もちろん原子力発電という問題は、将来の問題として、これはどうしても考えていかなければなりません。しかもあなたの経済企画庁で考えておられるようなコストの安いものならば、これは仮定であります、安いものならば、だれだって原子力発電がいいということになると思います。しかし四円六十一銭でありますか二銭でありますか、という発電コストというものは、これは一つの架空の数字じゃないかと思うのであります。私はとてもそんなに安くはできないと思います。コストの問題は別といたしましても、それが一つの流行みたいになりまして、あるいは正力国務大臣が原子力発電に飛びついて、もう今にもコールダー・ホール型ですか、これを輸入しようというようなことを考えていらっしゃる。イギリスのメーカーでさえも六十年ぐらいにならなければはっきりしたデータが出ないと、こう言っているのに、今度は会社の方からまた調査団がおいでになる。あるいは原子炉の輸入協定というものも相当に進んでいるように聞いております。だんだんとそううい方向にいくような情勢にありますけれども、ここで私たちは、当面のエネルギー対策ということを忘れてはならないと思うのであります。この点は、あるいは現在の新鋭火力の問題であるとか、あるいは水力発電の開発の問題であるとか、さらに石炭の問題であるとか、これを何か、原子力発電ができれば、こういうものは一切やらないでもいいんだ、そういうものは不必要になるのだというようなもしお考え政府の一部にでもあるといたしますれば、これは大へんなことだと思います。私たちは、なるほど日本の石炭の採掘限度というものが、あまり遠い将来でなくくるかもしれないと思いますけれども、しかしまだ、新しい機械的な方法によって、あるいはまたは縦抗を掘るというようなことや、あるいは新炭鉱の探鉱であるとかいうようなことをやれば、まだ可能性があると、これを私たちはまず第一に考えて、そのためにあらゆる施策を研究していかなければならない、こう考えます。私は議論を申し上げるよりは、このエネルギー対策について経済企画庁長官としての御所見を承わってみたいと思います。
  106. 国務大臣(河野一郎君)(河野一郎)

    ○国務大臣河野一郎君) お話しのように、原子炉によるところの発電を、政府といたしましては今直ちにこれを取り上げて云々ということではございませんので、イギリスの現状も調査をし、いわゆるコールダー・ホール型でよろしければ、これを買ってきてやるということもあるかもしれませんし、また、あるいはその他世界各国の現状について、常に注意を怠らずこの現状を調査いたしております。で、これをまたさらに積極的にある場合にはわが国に持ってきてその建設をし、技術者の養成をするというようなことは、当然なさなければならないことだと思うのであります。  またさらに現在のコストが幾らであるかということのみに驚いているわけには参りませんで、将来の発明発展がどういうふうに飛躍的になるかということも深く注意をいたさなければなりませんし、わが国内におきましては、十分研究を続けていかなければならないという意味合いにおいて、原子力によるところの動力源については、万全の処置をとって参りたい。そのためにさしあたり会社――普通民間会社組織によるところの一つの機関を作ってゆくということで発足いたしているわけでありますが、しかし御指摘のように、この原子力によるところのものはそれといたしまして、それが今どういう経過をたどってわれわれの前に出てくるかということのみを待つわけには参りませんので、あくまでも現実に石炭の開発をいたさなければならぬということには、深く私たちも研究をいたしているわけであります。  で、なるべく近い機会に石炭の開発計画を具体的に決定いたしまして、そうして従来よりもさらに飛躍的に石炭の増産、新鋭火力によるところの発電というようなものについても、意を用いて参りたいというふうに考えているのでありまして石炭等につきましては、ただいま御指摘の通りわが国の石炭の深層等まだ十分に活用の余地はあるというふうに考えているのでございます。これにつきましても具体的な成案を得て、近い機会に着手して参りたいと考えているわけであります。
  107. 西川彌平治君(西川彌平治)

    ○西川彌平治君 本日はこの程度で散会を希望するとともに、明日からの委員会の運営の方法並びに相馬委員からだと私は記憶しておりますが、北九州が非常に中小企業としては重要なる場所であるから、近い機会において公聴会なり、参考人なりの意見を附く必要があるということのお話がございましたのでございますが、もしもそれをやるといたしまするならば、早く手配をする必要もありまする関係もありまするので、明日のこの委員会を開会をいたす前に、理事会一つ開いていただくことをお願いいたします。
  108. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  109. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 速記をつけて下さい。
  110. 相馬助治君(相馬助治)

    相馬助治君 今の西川委員の御提案は、議事進行上ごもっともなことと存じまするので、委員長理事会をいつどんな方法で開くかは万事委員長に一任して、賛成でございます。
  111. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 相馬君の御意見に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは残余の質疑は明日に譲りまして、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 委員長(近藤信一君)(近藤信一)

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会