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1957-09-30 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月三十日(月曜日)    午後一時四十分開会   ―――――――――――――   委員異動 九月二十一日委員阿部竹松辞任につ き、その補欠として田畑金光君を議長 において指名した。 九月二十六日委員田畑金光辞任につ き、その補欠として阿部竹松君を議長 において指名した。 九月二十八日委員小幡治和君及び小西 英雄辞任につき、その補欠として木 島虎藏君及び松平勇雄君を議長におい て指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            西川彌平治君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            木島 虎藏君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋進太郎君            高橋  衛君            松平 勇雄君            海野 三朗君            島   清君            大竹平八郎君   国務大臣    国 務 大 臣 河野 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    経済企画庁政務    次官      鹿野 彦吉君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁計画    局長      大来佐武郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠互選経済自立発展に関する調査の件  (経済政策基本方針に関する件) ○委員派遣に関する件   ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開きます。  先ほど委員長及び理事打合会を開きまして、本日の議事順序並びに今後の委員会日程等につき打ち合せをいたしました。  まず本日の委員会を開くに至った経過でありますが、前回の委員会において、河野企画庁長官委員会出席日程の申し出を待って委員長理事打合会を開き委員会の日取りをきめることになっておりましたが、今回は青柳理事より河野長官が三十日午後に出席する旨の通知があり、期日も迫っておりましたので、正式の委員長理事打合会を開くことなく委員会日程公報で御通知申し上げたので、この点につき理事諸君の御了解を得ましたが、委員諸君におかれても御了承を賜わりたいと存じます。  次に、本日の議事順序でありますが、第一に河野大臣のあいさつ並びに経済政策基本方針について説明を聞き、第二に企画庁調整局長から三十三年度経済見通し計画局長から長期計画基本構想につき簡単に説明を聴取した上、河野長官並びに企画庁当局一般質疑を行うことにいたしました。  次に、今後の委員会日程でありますが、これに関しては、打合会におきましてもいろいろと議論もあったのでありますが、結局十月七日から約五日間にわたって、継続審査になっておりますところの中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の三法案を主とし、その他の緊急案件もあわせて審議するために委員会を開くことにいたしました。以上が打合会において協議決定したことでありますが、以上の通り取り計らって差しつかえありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に委員異動について御報告いたします。去る九月二十一日阿部竹松君が辞任され、補欠として田畑金光君が選任されましたが、同二十六日阿部君は再び委員に復帰されました。九月二十八日小幡治和君、小西英雄君が辞任され、後任として木島虎藏君及び松平勇雄君がそれぞれ委員に選任されました。以上御報告いたします。   ―――――――――――――
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではこれより議事に入ります。まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。ただいま御報告いたしました通り阿部君が一時委員辞任されておりましたため、現在理事に欠員を生じているのでありますが、阿部君の委員復帰に伴いまして、この際同君を再び理事に選任いたしたいと存じます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは河野経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私、先般内閣の改造によりまして経済企画庁長官に就任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。  先般来、当委員会から出席の御要求がございましたが、たまたまその当時、関西方面に旅行をいたすことになっておりまして、しかもこれは私用ではございませんで、企画庁といたしましては従来から、企画庁長官が隔月に関西中京経済事情調査に参り、かの地の事情を聴取するという慣例になっておるそうでございまして、私といたしましてもこの慣例通り大阪商工会議所、名古屋の商工会議所、もちろんその周辺の会議所代表者にお集まりを願って、いろいろ事情を承わるということにいたして、前もってその準備がいたしてありまして、たまたまその前日に当委員会からの出席要求がありましたので、はなはだ遺憾でございましたが、当委員会の方を欠席させていただくことにお断わりを申し上げましたような次第でございまして、いろいろ委員各位も、休会中御多用のところをお差し繰りの上委員会を開催されるものと了承いたしておりますが、そういう都合で委員会出席ができませんで、大へん御迷惑をかけましたことをここにあらためて御了解願いたいと思うのであります。で、さしあたりまして、ただいま経済企画庁といたしまして、これからやって参りたいと考えておりますことについて一、二申し上げて御了承を得たいと思うのでございますが、それは、御承知通り今年初めから貿易事情が、だんだんと輸出伸びが十分でありませんで、輸入の方が非常に多くなって参りましたので、前内閣におきまして、これが緊急処置をとられました結果、この当面の諸施策を完全に遂行できますように、また、かたがたこれが施行について、今後の経済事情等を十分勘案いたしまして、善処いたさなければならぬ点も多いと考えますので、内閣におきましては従来より一そう経済界の動向を十分に検討いたし、しかも今後の経済状態等について誤まりなきよう財政経済運営をいたしていく、ことに企画庁におきましてはこれが資料の収集ないしは経済界の実態の見通し等について、せっかく勉強をいたしておるわけでございます。  なお、これが見通し等につきましては、政府におきまして明年度予算編成ないしは外貨予算編成等中心にして、十分に現在の経済に対処し、日本経済基礎を十分に固めるようにいたして参りたいということにつきまして、せっかく努力をいたしております。と同時に、今後の経済のあり方をどう持っていくかということにつきましては、新たに産業五カ年計画等編成しましてそうしてやって参りたいという所存のもとに、せっかく目下これが準備をいたしておるわけでございます。遠からずこれを作成いたしまして、各方面の御批評を仰ぎたいということでございます。その他、物価ないしは産業基本に関するものでございまする石炭とか電気というようなもの等につきましても、十分勉強いたしまして、今後これらをどういうふうに持っていったらよろしいか等につきましても、せっかく勉強いたしたいと考えておるわけでございますが、何分まだ私も就任早々でございまして、その結論を得るに至っておりませんが、委員各位のいろいろ御協力によりまして、ぜひあやまちなくこれらの施策を進めて参りたいと考えておる次第でございます。  その他の点につきましては、お尋ねによりまして、わかることはいろいろ申し上げたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
  7. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、鹿野政務次官から発言要求がありますので、これを許します。
  8. 鹿野彦吉

    説明員鹿野彦吉君) 私が企画庁政務次間に就任いたして以来初めて皆様方にお目にかかるわけでございます。非常にふつつかものでございますが、皆さんの御指導を基礎にいたしましてこの職務を遂行いたしたいと考えておりますので、何分よろしくお願い申し上げます。
  9. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、経済企画庁調整局長に三十三年度経済見通しについて説明を願います。
  10. 大堀弘

    説明員大堀弘君) 調整局長大堀でございます。御指名によりまして、三十三年度経済運営基本的態度及び経済見通しにつきまして御説明申し上げたいと思います。  お手元資料がお配りしてございます。先刻閣議決定、あるいは閣議了解を得まして、八月三十日に公表になっておりますので、皆様すでに御承知のことと存じますが、補足的に要点だけ御説明申し上げたいと思います。  この作業をいたしますにつきまして、私どもとしましては、来年度経済具体的指標について固めていかなければならぬわけでございますが、現在のように経済が非常に動いております際に、具体的指標見通しをつけるということは非常に困難なことでございますが、私どもとしましては一応の指標を求めまして、これから経済方向をつかみ、これによって見通しを書いておるわけでございます。最終的には、来年度予算が具体的にきまります場合に、この具体的指標については確定的な数字を申し上げることになるかと思いますが、現在におきましては、これを頭に置きまして一応の方向を求めまして見通しを作成したわけでございます。  内容について簡単に御説明申し上げますと、先ほど大臣からお話がございましたように、昨年来の経済活動が非常に急速に上昇カーブをたどりましたために、国内需要、特に投資増加によって輸入増大という結果が生じました。これが国際収支の面から非常な問題に相なりまして、その結果緊急総合施策が実施されたのでございます。金融引き締め中心とした総合施策が実施されたわけでございまして、その後一般的に申しますと、在庫調整、あるいは卸売物価の急速な下落ということが四月以降非常に顕著に現われておりまして、現在ではだんだん生産調節段階に進みつつあるというように考えられるわけでございます。  なお、国際収支につきましては、輸入の急速な減少によりまして、七月、八月と時を追って改善をされて参りまして、上期におきましては四億数千万ドルの赤字を見ておりますが、下期につきましては、一応国際収支は均衡の線にもっていけるのではないかというふうに判断されるわけであります。  下期の一般的な見通しといたしまして、設備投資につきましても御承知のように金融引き締めによりまして一五%の削減計画を立てておりますが、大体その線に沿って新規投資抑制ないしは既定計画繰り延べ等によって、この計画程度投資に押えられるのではないかと考えております。  製造工業につきましては、第一・四半期が非常な上昇をいたしまして、前年度対比で一九%も伸びておりますが、現在八月、九月と時を追って生産調節が逐次各産業部門に現われて参っておりまして、私どもとしましては今年度全体といたしまして、最終的には対前年度比八%程度増加水準に、平均といたしまして落ちつくと、かような見通しを立てておりますが、この場合の国民経済成長率は約五%弱というふうに考えておるわけでございます。卸売物価も多少季節的関係、特殊なものの動き変動がございますが、現在まで相当に下って参りました。今後も一般的に特殊な物資を除きましては、逐次下るものは下る、下り過ぎたものは多少落して安定するという方向に進むものと考えております。  来年度見通しにつきましては、第一にやはり国際収支の問題でございますが、世界の経済情勢ドル不足でありますとか、引き締め政策をとっておるというような関係とか、あるいは日本品に対する輸入制限といったような問題がございますので、必ずしも楽観はできないと考えておりますが、来年度輸出目標といたしまして、三十一億五千万ドル、本年度はかれこれ二十八億ドル程度輸出達成は可能ではないかと考えておりますが、本年度に比べまして約三億五千万ドル程度輸出を伸ばす、この輸出目標といたしまして、あらゆる施策をこれに集中して輸出を伸ばしていく、この場合の経済規模はどの程度に考えられるかということでございますが、これだけの輸出が達成できました場合の経済成長率は、来年度は三十二年度に対しまして約三%の成長率ということに相なるわけでございます。この目標を達成するためには非常な努力が要ると考えられますが、その目標達成した場合の成長率は三%、この場合の製造工業成長率は約四%に相なります。この点でいろいろと御質問があるのでございますが、われわれの方で作業いたしております長期計画におきましては、年の伸び率が六・一五%という数字が発表されておるわけでございますが、これと、ただいま申し上げました三%の来年度成長率、これとの関係についていろいろと御質問がございますので、御説明申し上げておきたいと思います。  長期計画の場合には、三十一年度基準年度という数字をとりまして、これに対して六・五%、これは過去からの伸び傾向をとりまして基準年度を定めまして、それに対し年々六・五%の成長率というふうに計画を組んでおるわけでございます。私どものただいま申し上げました三%というのは本年度に対する三%でございまして、三十一年度実績は、すでに先ほど申しました基準年度に対してすでに三・四%高いところへ行っているわけでございます。三十二年度、本年度は先ほど申し上げましたように、成長率が約五%弱という水準をとりました場合、三十二年度目標に対しまして一・九%上回ったところへいくわけでございます。三十三年度は三十三年度に対して三%の伸びということでございますと、この三十三年度目標に対しまして、一・三%程度低いところへいくわけでございます。従いまして長期計画との関係におきましては長期計画の直線に対しまして、実際の経済動きはこれを縫って動いていくという格好に相なりまして、三十三年度としては多少一・三%低い。ポイントにいくのが三%の成長率になる。こういう関係に相なりますので、一応御説明申し上げておきたいと思います。  来年度見通しにつきまして要点だけ申し上げますと以上の通りでございますが、経済運営基本的態度につきましては、七つの項目が掲げてございまして、第一に国際収支大幅改善目標として経済全体としましては控え目な態度成長をほかっていき、その着実な、将来の発展に備えまして、行き過ぎた経済調整しているわけでございますので、来年度は多少控え目な成長をはかっていく。それがただいま申し上げました三%の線で考えておるわけでございます。  この経済拡大のために輸出増大が先決問題でございますので、輸出増大にあらゆる施策を集中する。同時に価格につきましては、国際競争力の見地から見まして適正な価格を、なお高いものは是正をいたしますとともに、全体といたしましては安定するように努力をする。財政あるいは投資国民消費につきましても、要するに輸出を伸ばしますためには内需を極力抑制していかなきゃならぬ、これが根本的な考え方でございまして、財政規模につきましても、景気に対しまして刺激的要因とならないよう抑制をする、投資につまましても適正な規模にとどまりまするように、産業界金融界協力を求めてやっていく、消費につきましても、こういう際でございますので、国民の御協力を得て、また消費が直接外貨面に非常な影響を持っておる点も考慮いたしまして、国民の認識を得て、御協力を願って、この点でもできるだけ抑制をしていく、そして輸出増大に努めていこうというのが根本的な考え方でございます。  最後に、こういった経済調整をいたしますまで、過渡的には多少雇用面なり、あるいは中小企業部門に対して若干の影響も考えられますので、その対策に遺憾なきを期していきたい。これが全体の見通し及び基本的態度概略説明でございます。  なお御質問によりましてお答え申し上げます。
  11. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、企画庁計画局長から長期計画基本構想を承わることにいたします。
  12. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 計画局長でございます。  ただいま調整局長から来年度の問題についてお話がございましたが、長期計画の問題につきましては今年の当初以来企画庁の内部においていろいろとこの計画改訂の問題について研究を進めておったわけでございますが、御承知のように一昨年にできました経済自立五年計画がございますが、三十年、三十一年と非常な経済規模拡大が起りまして、従来の計画では長期目標としての計画の役割が思うように果せないという事情もございまして、新たな計画の作成ということになったわけでございます。  で、今回の作業は従来の経験にもかんがみまして経済成長率を何%にとるか、この成長率選定ということが長期経済計画中心的な課題にもなりますので、これを誤まりますと他の関連産業部門全体の見込みが変ってくるという事情もございますので、実は約半年ぐらいの間経済審議会総合部会に諮りましていろいろと内外の情勢検討しまして、成長率選定作業と申しますか、何%ぐらいの平均的な経済拡大率を見込むべきかという検討をいたして参ったわけでございます。で、きょうお手元に参っております資料の中に「経済成長率検討資料」という横紙の資料がございますが、これは日本経済の、まあ資本バランスと、国際収支バランスと、雇用バランス、この三つのバランス経済の最も中心的なバランスになるわけでございまして、いろいろな経済成長率を見ました場合に、どの辺がそう非常な破綻なしに達成し得る最大の成長率であるかという見当をつける作業をやったわけでございます。  それで結論的に申し上げますれば、雇用バランス――就業問題から言えば少くともこの十年ぐらいはできるだけ高い経済成長率を実現しなければならないので、急激な労働人口増加がございますので、成長率雇用の面からすれば高ければ高いほどがよろしい。ところが他方におきまして国際収支の面から申しますと、経済規模拡大すれば消費及び生産の両面で原料、食糧その他の輸入増大いたします。それに見合う輸出をいたしていかなければならないわけでございます。他方において特需の減少等も予想されるわけでございますから、相当輸出増大をやつていかなければならない。輸出の面で非常識な拡大テンポを予想いたしますと、これはやはり相手がございますので計画全体が無理になる、雇用からはなるべく高い成長率貿易の面から安全を見ればあまり高い成長率は見られない、両面相矛盾する要請があるわけでございますが、いろいろデータを検討しました結果、大体年平均にして六・五%ぐらいの成長率が妥当なんじゃないか、これでも相当努力は要るわけでございますが、実現可能な目標になるのじゃないか。その点についてはやはりお配りしました資料のグラフの「経済成長率実績と将来」というところに簡単に示してございますが、実はこういうふうに六・五%という成長率はこういう傾向線を示しておりますので、実際の経済の推移はこういう長期経済成長と短期の景気変動が組み合わさって伸びて参るわけでございますが、実際にこの線上に経済が推移するということは考えられないわけでございまして、実際はただいま調整局長が申しましたようにこういう傾向線の上下をゆれながら伸びていく、ただゆれの幅をできるだけ少くすることができればいわゆる安定成長――まあ景気の動揺のなるべく少い形で経済拡大をはかり得るということになるわけでございます。  それから長期計画は、たとえば輸送力とかエネルギーのような非常な長期の大資本投資を必要といたしまして、もしかりに急激にそういう輸送力エネルギーに対する需要伸びました際に急いでも間に合わないという基本的な施設につきましては、やはり長期見通しに基いて早期に手を打っていかなければならないということになるわけでございますから、長期計画はそういう基礎部面増強計画の手がかりにもなるわけでございます。そういうことで大体八月一ぱいに総合部会でこの基本的な成長率選定、それに基く今の資本国際収支雇用バランス概略を作成いたしまして、九月早早から八つ部会経済審議会が――従来から部会がございますが、八つ部会で今度は部門別問題点を審議いたし始めておるわけでございまして、目下連日のように部門別部会が開かれております、大体今の見通しでございますと来月の上旬ぐらいに一通り部門別検討を終りまして、それからいろいろと調整段階を経まして、月末ぐらいまでに一応の総合計画試案程度のものをまとめるという段取りで、この企画庁並びに経済審議会の各部会作業が進行しておるわけでございます。  概略経過及び考え方は以上のようでございますので、また御質問がございましたら必要に応じてお答えさしていただきます。
  13. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上にてそれぞれ御説明が終りましたので、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 この際河野長官に三、四点経済基本的な問題についてお尋ねをいたします前に、先般の委員会出席できなかったことに関連をいたしましてお尋ねを一点、委員会運営――今後の運営のためにただしておきたいと思います。  九月十一日の委員会に御出席になれなかった事情が公的な理由に基くものであるという先ほどのお話、全く了解をいたしました。私どもといたしましては、河野長官に対しましては八月一日に経済政策基本方針について説明を承わりたいために御出席お願いをいたしましたところ、秘書官からの通知として、いまだ政策について語り得る段階でないから、他日なるべく早い機会に出席したい旨のお答えがあったので、理事会といたしましては了解をいたしました。その後二、三日過ぎて、閣議その他において重大なる基本的な経済見通しその他の発言があったことも承知をいたしておりましたし、かつまた八月の末に至りまして、長官閣議において、経済見通しその他について重要なる発言をなされていることを承知いたしたものですから、九月十一日に委員会を開きまして、御出席お願いしようとし、委員長理事会においてこれを諮り、当時自民党遊説計画が伝えられておりましたので、これを照会いたしましたところ、これは二十日以降であって、十一日ごろならばきわめてよろしいということであったので、十一日に御出席お願いをいたし、出席する旨の御答弁があったので委員会を開きました。そうして八月の二十七日も正式に出席要求をいたし、委員会開会前の十日前に、すなわち九月一日か二日にも秘書官にその出席について念を押しました。ところが、当日の十一日の朝になって、公報担当官より出席できない旨の御返事があり、その理由に、先ほど長官が申された通り大阪経済調査のためにおいでになるということがわかったのでございまして、私どもといたしましては、その事情がよくわかりましたけれども、その連絡の不備について了解しがたいものがあったのでありまして、官房長出席を求めましたところが、所在不明でございました。しかも企画庁よりは一名の係官も出席をしていないのであります。そういうような事情で、団体法という大きな法案を抱えた本委員会理事の一人として、自民党諸君をも含めて非常に困った事態であると考えまして、長官の確たる出席のない限りは委員会が開けない旨の異例な話し合いが行われたという事情にございまして、今後一つ事務当局を督励されて、十分なる連絡方お願いしておきたいと、かように存じます。
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま段々のお話でございますが、連絡不十分でございまして、大へん御迷惑をかけましたことを重ねてこの際おわび申し上げます。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 ただいまのお話了解いたします。  この際私は、長官経済基本的問題につきまして、段々と質問をいたして参りたいと存じますが、長官が就任以来、企画庁では景気観測機構を強化したり、あるいはまた統計事務の連絡統一等の強化を各省に向って発したりいたしまして、将来の経済政策を統一的な見通しの上に立てようとして努力を払っている点につきましては、私どもとしても率直に長官に対して敬意を表するにやぶさかでございません。しかし自由経済のもとで見通しを立てることはまことに困難な作業でありまして、今日国際収支の問題をめぐって、かなり政府が苦境に立っておるというのも、いわば前の内閣における見通しの甘かったことに基因していることは、長官も認めざるを得ないと思うのです。言葉をかえて言えば、この急速な金融引き締め段階に、この重責を担当する長官の立場は、まことに同情に値するとも言い得る、かように考えております。ともかくこの自由経済のもとにおいて、将来の見通しをどうするかということについて、その的中性についてはかなり困難であると思いまするが、この問題に関連してどのような方途をお考えになり、かつまたどのような自信を持たれているかということを伺いたいのであります。  しかもこの経済見通しというものが、来年の予算編成基礎になると思うのでありまするけれども、最近の閣議その他において、各大臣は自分の省の予算獲得の前駆戦とも見られるかなり勝手な発言がなされているのではないかとも思われる節があるのでございまするが、これらの問題を含めて、長官はこの経済見通し関連してどのような御見解であるか、将来どのような構想をお持ちであるか、承わっておきたいと思います。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお話通り、自由経済のもとにおきまして、経済見通しを立て、またあやまちなきようにこれが運営をいたして参りますことが非常に困難なことは、御承知通りであります。しかしさればと申しまして、われわれの見解をもっていたしますれば、わが国のごとき人口非常に多く、国土峡小にして、天然資源にもあまり恵まれない国におきましては、あくまでも国民各位の労働意欲の高揚ないしは創意工夫を十二分に生かしまして、これを乗り切ってゆくことが一番いい施策である。言葉をかえて申しますれば、企業の自由の上に立ちまして、全体の国民の創意工夫を活発にいたしまして、そうしてこの困難を乗り越えていくことが非常に妥当適切なものであろうと、こう考えておりますので、その間におきまして、政府並びに国民各位の十分な連絡、緊密なる運営によりまして、あやまちなきようにいくことが必要であろうというために、政府といたしましては、今後の景気の観測にいたしましても、国際的な経済の動向はどういうふうにあるだろうか、またいく情勢にあるだろうかということにつきまして、十分資料を収集いたしまして、この資料の上に立って経験者、学識者の意見を十分伺いつつ、ここに方向を定めていきたい。で、この政府並びに官民の意見の一致いたしました、もしくはその総合的な見解を、国民各位に十分御承知を願って、そうしてこの線で経済界協力を願い、そうしてたとえて申しますればこの春等に起りましたような非常に過大な設備投資でありますとか、原材料の輸入でありますとかいうことのないようにいたしつつ、現実に経済成長を期していきたい、こういうふうに考えているわけであります。そこで経済の当面の見通しでございますが、これは先ほど事務当局からも御説明申し上げました通りに、春以来、設備投資、原材料の輸入等がここに相当に活発に行われましたために、この経験等を貴重な資料として生かしまして、そうして大体の政府の見解に十分に御協力を願うということでやって参りますれば、たとえて申しますれば、昭和二十九年の朝鮮ブームのあとに起りました緊縮政策、その結果国際物価水準に対して、わが国の物価の安定値が非常に好適なところに参った。これを大体三一年の六月前後と見ておるわけであります。そういう状態に経済を安定さしますれば、おのずから輸出伸びて参りまして、そうしてわが国の経済は非常によくなったという経験等もあるわけでございますから、これらについてあらためて再認識をいたしますると同時に、経済界全体の御協力を願いますれば、現在の異常な経済の状態はおのずから、ただいま政府がとっておりますような総合的な施策によりまして、むろんその間には多少のでこぼこはあると思います。あると思いますが、順次そういった情勢を馴致すべく努力をいたしますとともに、ただいたずらにこれを取り急いでやるということも、その影響するところが非常に大きい場合もありますので、不自然な状態でなく自然な経済運営を期待いたしつつそういうところに持っていきたい。この機会に一言申し添えさせていただきたいと思いますことは、物価引き下げ、引き下げということが非常に強く伝わっておりますけれども、決してわれわれの期待いたしますものは、いたずらなる物価引き下げにあらずして、ただいま申し上げましたような国際物価水準に対してわが国の生産卸売物価の安定値が大体これをやや下回る程度に下ることを期待する、そういう状態になりましたところで安定いたすことが希望でございまして、あくまで物価は適切なる価格に安定せしめるということが一番必要だと考えておるのでございまして、そこまでいく間今申しましたような適切な施策を講じて参りたい。そうすることによって、これも先ほど御説明申しました通り、明年の経済伸びも順次いくだろう。ただそれだけで輸出は非常にふえて輸入を押えることができるという安易な気持は決して持っておりませんので、それには通産大臣その他通産行政の面において十分に輸出振興をやることについては御考慮願いたいということをわれわれとしては期待いたしておるわけでございます。むろん一通産行政だけでその目的はよく達するところではございませんから、大蔵方面からも農林方面からも十分これらについて御協力を願うということに、企画庁といたしましてはその点強力に輸出振興についての施策を講じていただくように期待をいたしておるわけでございまして、輸入につきましては先般為替の予算を一応立てたんでございますが、為替もいたずらにしりを合せるということにのみ専念いたしておるのでないのでありまして、国内物価がこれの刺激を受けて一時的にも上るというような現象のないように、一応在庫等についても十分考慮いたしまして、一応国民経済全体から見て、この程度輸入をいたせば大体適切にいくだろうという見通しのもとに予算を作りまして、で、やや安定した状態にあるんじゃないか、こう考えておるわけであります。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 長官は八月三十日の閣議経済見通し経済運営基本的態度なるものを提出しましたが、これは予算編成基礎になるものとして、与野党をあげて大きな期待を持ってながめた資料ですが、まあ率直に申しましてこの見通しなるものはこうすればこうなるという成り行きを明瞭に示したものでなくて、企画庁としてはこういうふうにしてこういうふうにしたいという努力目標を掲げたにすぎなかったと思うのです。ただいまの答弁で拙速を排して慎重なものにしたいというお話で一部は了解いたしますが、長官としてはもう少しこの見通しについては別な意図を持って、別な見方を持っているのではないかと一部臆測する向きもありますが、あまり渋い見通しを立てて、自民党の選挙対策上党の政務調査会あたりから横やりが入っては困るというようなことも政治家河野一郎として考慮されて、そこらも適当にオブラートに包んで発表したやのうがった見方もありますが、私はさようだと断定するのではないのでございますが、こういう見通しの問題につきましても、この際しかとお尋ねしたいことは、河野長官のほんとうの腹です。すなわち長官は最近における政策発表におきまして動力炉受け入れ会社、あるいは為替銀行育成の問題、電力会社の石炭貯蔵義務等について計画経済的な動きを示しているように思います。計画経済、あるいは基幹産業の社会化ということは、すでにわが党がかねてより主張しておるところでありまして、大いにけっこうと言わなければならないものでございますけれども長官自身としては企業の自由の上に各個人の創意、工夫を勘案してこの経済の困難を乗り越えたいと、かように発表しておりますけれども、ほんとうのところは自民党自体としても、あるいは河野長官としても中小企業団体法案などを初めとして統制的な立場に動かざるを得ないとお考えになっているのかどうか、すなわち政策的に見れば、社会党に屈したかとまで思われるほどの、いわゆる計画経済、そうして基幹産業の社会化、そうして国力発展のためには個々の大企業がある程度国家の利益の前に犠牲に供せられる、かようなる態度をも是認するものであるかどうか、基本的なものの考え方をこの際承わっておきたいと思います。
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お言葉を返すようでございますが、基本的には先ほど申し上げた通りであります。しかし何分経済動きでございまして、客観的と申しますか、国際的と申しますか、いろいろ相手のあることでございますから、また国内的にもそのときの動きによりまして、時に多少のでこぼこのあることはやむを得ぬと思うのであります。ただこの際に誤解があるといけませんからお聞き取りいただきたいと思います。  動力炉の問題について世間往々にして私の主張に誤解があるようでございます。これは決して私は原子動力炉の受け入れについて国有、国営というような思想は持っていないのでございます。これはあくまでもその青写真は政府が持っておって、将来あらゆる国民が平等にこれが利用について機会が与えられるようにいたしたいと考えておりまして、もちろん十分にその最終の目的が達せられるならば民間会社でもけっこうであるということを申したのでございまして、これを終始こういう産業革命の基礎になるような動力炉の受け入れば国有でなければいかぬ、国営でなければいかぬということを考えておらないわけでございます。その点は一つ御了承をいただきたいと思うのであります。なおその他の問題につきましても、今お話のよう計画経済でなければいかぬだろうとか、計画経済の方がいいと思っているだろうとかいうことでありますが、たとえば石炭の問題にいたしましても、石炭の開発につきましては、どこまでも価格の安定が必要である。ああいうふうな産業の性質から申しまして、価格の不安定な、たとえば重油の価格が始終動いておる、この圧迫を受けて石炭の炭価が非常に不安定である、これが石炭産業全体に対して不安定な状態を与えるというようなことは、これが育成上支障があるだろうというような考えからいたしまして、石炭産業の企業はどこまでも自由に創意工夫をこらしてやっていただくのでございますが、最終的に炭価はこれをある程度安定するように方向づけていく方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますから御了承願いたいと思います。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 政府は今回発表されました外貨予算につきましてはこれを大いに切り詰めて輸出入振興をはかろうとし、企画庁見通しでは三十三年度国際収支を約二億ドルの黒字と見込んでいるようでありますが、この見込みは一応正しいと思いまするし、またこの成功を私ども期待するのでありますが、ここで問題となりますことは、輸入を削減すれば国際収支はなるほど黒字になりますけれども、元来わが国の輸入長官もお知りの通りに、原料品であるとか食糧品が多くありまして、輸入を削減すれば従って輸出も衰えて勢い縮小均衡にならざるを得ないという根本的な運命を持っていると思うのであります。で、問題は何といっても輸出振興でありまするし、先ほど事務当局の話にも長官御自身の話にもあくまで輸出振興をしなければならない、すべての施策をこれに向って統一していくという、こういうことでございまするし、このことは非常に正しいのでありまするが、御承知のように、わが国の貿易品は輸入すればもうかり、輸出すればもうからないという種類のものが多いのでありまして、商社は輸入にきわめて熱心でありまするが、輸出にはさほどでもないという傾向は非常に困ったことだと思うのでありまして、この際この問題についてどのようにお考えになるか。具体的にお尋ねした方がよろしいと思うので、二、三こちらからものを尋ねて見ますれば、長官は為替銀行の統合整備育成ということを考えて、それぞれ施策をなさんとする旨のことが新聞に見えておりまするが、この際その構想等について基本的なものをお尋ねすることができたならば大へんけっこうだと思います。  なお、これは非常に重大な問題でありましてぜひとも御答弁いただきたいと思いますことは、為替レートの問題でございます。世上往々にしてこの為替比率を変更して円を切り下げて現在の輸出不振の逆境を切り抜けるべきであるというような議論がなされております。しかるところ先般のIMFの会議等においても日本側としてはそういうふうな意図が現在ではない旨の発言があったように存じまするが、フランスではこのレート切り下げをやりまして急に世界の関心を高めておりまするし、イギリスでは御承知のように公定歩合の引き上げで対処しておりまするが、日本だけがこの際ぼんやりしていることが果してよいかどうか。ところが一方為替レートの問題は国全体の国力の問題、経済の問題、国際的な諸情勢の問題に連関を持つものであって、にわかに結論を出すべきではないとは思いまするが、きわめて創意に富む長官においてはこの問題についても閣議等においてコンクリートはもちろんされないし、企画庁自身においてもこの問題が議論されてはいまだいないと思いまするが、何か長官として積極的にお考えの面があるかどうか。あるとするならばぜひとも承わりたいと、かように存じます。  次に、通産行政の中の特別外貨制度、これが最近一年間の誤まれる通産行政によって、私はあえて誤まれると申すのでありますが、非常にこの特別外貨制度なるものが無規され、そのプレミアム等は全然発生しない程度にまで落ちて参っておりまして、中小企業者の輸出振興のためにせっかく設けられたこの制度が空文化しております。これらについてはどのようにお考えであるか。また輸出輸入等について積極的指導的な立場に立たなければならない、そうして国費を相当つぎ込んでやっておりまするところのジェトロの育成等についても長官としてはどのようにお考えであるか、これらの点についてお尋ねしたいと思います。  ただ一言つけ加えたいことは、特別外貨の問題、ジェトロの問題はきわめて部分的な問題でございますので、事務当局において答弁させることもけっこうでありますが、特に私は為替銀行の育成の問題と為替レートの問題につきましては、率直な長官の見解をこの際承わりたいと、かように存じます。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 第一は外貨予算編成に当りまして輸入を非常に押えておるが、輸入を押え過ぎた結果、原材料の不足が起り、輸出がかえって悪くないか、こういう御意見でございますが、御意見ごもっともでございます。しかし今回作成いたしました外貨予算は御承知通り、石油、油にいたしましても、あるいは羊毛にいたしましても、それから砂糖にいたしましても、これらが割合に辛くしてありますが、これらのものはいずれも相当に前期におきまして輸入をいたしました関係から、まだ十分に原材料として残っておるというような関係から輸出に支障のあるようなこと、もしくは国内の需要に支障を来たし、それによって物価が上るだろうというような見通しがないという意味合いからこの予算を組みましたので、これは先ほども申し上げました通り、今回作成いたしました予算において一応輸出の原材料に支障を来たすとか、ないしは国内の物価に刺激を与えるとか等につきましては、十分勘案考慮いたしまして組んだわけでございまして、万一それらのことが発生いたしますれば、予備費に相当の量を組んでありますから、いつでもこの予備費を振り当ててでも今申しました目的に背反しないように運営して参るということにいたしてあるわけでございます。  次に、為替銀行の問題でございますが、これは御承知通り、戦後銀行におきまして、為替業務を相当多数の銀行で現在やっておるわけであります。そういうことからいたしまして、今年上期に起りましたような現象が、もし戦前にありましたような為替銀行が画然といたしておりますれば、これらにおいて適当にこの為替の上において操作することができたり、また十分これらの対策についてあまり大きなカーブをとらずにいけたろう、また今後の経済運営、ことに輸出貿易の面におきましてはそういうことも必要ではなかろうかというようなことで、せっかく勉強をいたしているわけでございます。しかし何分にも既成の事実でございまして、戦後、戦前と違いまして、各銀行がそれぞれ外国支店等を開設いたしております現状、その他すでにこれらの銀行が支店を中心にいたしましていろいろ商取引を行なっておりますので、これを急激に今申しましたような為替銀行の整備統合というようなことを打ち出しますことは非常に困難な情勢にあるわけでございます。従いまして私といたしましては今後これらの点を目的達成の上にどういうふうに、あまり刺激を与えずに目的達成ができるかどうかということについて勉強はいたして参りたいと考えておりますけれども、今さしあたって急激にこれら為替銀行の整備統合をやるということはできにくい事情にあるわけでございますので、さよう御承知願いたいと思います。  次に、為替レートのことでございますが、これは私といたしましても大蔵大臣とも意見は全く同じでございまして、絶対に比率に変更を加えるということはいたすべきでない、現行の比率を堅持して日本経済は完全に育成していくことができるという見通しに立っているわけでございまして、今これを変更するとか、フランス・フランがどうなるとか、ポンドがどうなるとかいうことの影響をもってこれを運営する必要はない、また将来の輸出貿易の助長の上にこれが変更して安易な方策をとろうというようなことは絶対いたすべきでないという見解に立っておるわけでございます。さよう御承知を願いたいと思います。  なお、通産行政の点についてお尋ねでございましたが、私よくまだ勉強しておりません、お許し願いたいと思います。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 事務当局から答弁願えるでしょうか。あとの機会にしましょうか。
  23. 大堀弘

    説明員大堀弘君) ただいまお尋ねの特別外貨制度等の強化の問題につきまして、これは通産省の方におきまして現在検討中の問題でございます。私どもといたしましても、十分打ち合せをして善処して参りたいというふうに考えております。ただ特割の問題につきましては、従来は相当広範にやっておりましたのでございますが、貿易の正常化という意味で、逐次制度を縮小して参ったわけでございます。現在あるいは有効期間を短縮したのをもとへ戻したらどうか、多少広げたらどうかというふうな御意もございます。ただ国際的な関係もございますので、この辺は相当慎重に検討して参らなければならぬ問題だと思います。通産省ともよくお打ち合せして参りたいと思っております。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 あと二、三点ばかりお尋ねしたいのですが、このことに連関して他の委員から御発言があります場合にはどうぞ発言を願いたいと思うのですが、次に私は一点失業の問題について長官の意図をただしたいと思うのです。  わが国では現在雇用問題が最も重大な問題となっておりまして、自然増人口が最近少くなっておりまするけれども、問題は職業戦線に出てくる人口は少しも減っておりません。現在十五才から二十才ごろまでの人口というものは、戦前の生めよふやせよの時代に生んだ人口でございまして、これが今日高等学校や大学を卒業して就職戦線におどり出よううとしております。ところが、この人たちにとって、今般の岸内閣金融引き締め政策に基くデフレ政策は暗い就職問題となって暗影を投げかけております。明年度三%程度経済成長率では、七十五万人に職を与えるにすぎません。先ほどの事務当局の説明によれば、六・五%程度成長率が妥当であり、これが見込めるとのことではございまするけれども、この点について長官としてはどのように御見解を持たれるか。雇用人口からいたしますれば、経済成長率を少しでも高めたい。国際収支の面から見ますれば、日本の将来の経済の安定のために非常識な拡大はこの際とるべきではない、こういう矛盾の中にあって、特に経済企画庁長官としてこれらの問題の両面をにらみ得る立場にある長官といたしまして、この雇用問題についてどのようなお考えであるか、この点を尋ねたいと思うのです。なお念のために申しますと、社会保障制度でかくかく救うというようなそういう面を尋ねておるのではなくて、この基本的な問題について経済的な面から政治的な面から長官の御心境並びに構想をこの際承わりたい、かように存じます。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御説ごもっともでございまして、就業人口を増加して失業をなからしめるためには、現在のわが国の経済成長率をもってしては不可能である、またこれをいたずらに拡大して参りますれば、一方において国際収支の点において非常に困難な問題に当面する、そこでいずれをとるか、何といたしましても経済の健全な発達、国際収支改善ということは、すべての大前提でございまして、ただいたずらに一時の安易な道を歩むということは、将来に禍根を残すことになるのでございまして、絶対にとるべきではないという見解に立っているわけでございます。しかし何といたしましても、政治の理想は失業者をなからしめ、国民生活を向上せしめるというところにありますことは申すまでもありませんので、そこにわれわれといたしましてもあらゆる面から努力をいたしまして、なるべく健全なうちにも経済拡大をはかって、そしてこの失業問題の解決をできるようにしていかなければならぬのでございますが、さしあたりまして企画庁といたしまして計算をいたしまして、また各種の資料もしくは客観条件の勘案等からいたしますれば、明年度におきましては、先ほど事務当局より御説明いたしましたような見通しを立てて、そうして経済運営をはかっていくことが一番妥当であろうという見地に立っているわけでございます。従いまして雇用の点につきましては、今お話しのような計数も出て参るのでございます。当面これが解決につきましては別途考慮して参るよりほかに仕方がない。ただし将来の見通しといたしましては、今お示しの通り、ここ一両年は何といたしましても就業人口は決して減って参りませんのでございますけれども、これを近き将来におきましては現在の人口増加率等が漸次影響して参りますし、一両におきましてわが国の経済発展して参りますのでございますから、近き将来にこれが解決の見通しに立っている、十分見通しはできる、その間どういうふうな施策をもってこれを解決していくかということは、今申し上げました通り、別途これを考慮すべきものであるという考えでいるわけでございます。
  26. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 長官に二、三お尋ねをいたしたいのでありますが、まず最初に、これは非常に重要な問題であるのでありますが、予算の執行権の問題につきまして御所見を伺いたいと思うのであります。この予算執行の問題につきましては、戦前の旧憲法時代でもしばしば問題になっていたのであります。大蔵省が中心にやられまする予算編成というものは、御承知通り主として財政というものを中心に、ややともすると片寄った予算編成に陥りやすいのであります。これにはどうしても経済産業という面も加えて初めてほんとうの予算というものができるのでありまして、勢い従来の予算編成の成り行き等を見まするというと、各省とも何かぶんどり合戦のような傾向を来たしておりまして、いわゆるセクショナリズムというものが非常に強く出ているわけであります。元来からいいまするならば、終戦後にできましたこの経済企画庁のあたりが中心になって、そうした財政と同時に一般の経済産業面というものを十二分に勘案せられて、そうしてこの予算執行権ということをやられるの適当ではないかと思うのでありますが、しかしこれは何も経済企画庁に置くとか、あるいは内閣に置くとか、これは別でありますが、ただ従来のような大蔵省一本でやっているということについ非常に現在も問題があるわけなんでありますが、幸いにいたしまして閣内の唯一の実力者でありまする河野さんが経済企画庁長官になられたのでありますが、ちょうどもしそういうことを実現するのならば機会としては一番いい機会じゃないかと思うのでありますが、この点につきまして非常にこれは重大な問題でありますが、一つ御感想を拝聴することができれば仕合せだと思っております。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話でございますけれども、実は内閣におきましてすでに閣議了解して決定いたしました通りに、経済企画庁といたしましては経済見通し、ないしは運営基本のあり方等の勉強はいたします。これに基きまして予算につきましては大蔵省においてこれを編成をして参る、その他の行政につきましてはそれぞれ各省所管大臣においてやって参るということを基本的に決定いたしておるわけでありまして、行政機構の改革につきましてはこれまたおのずから別に意見があるかもしれません。今私といたしまして申し上げられますことは、閣議了解決定いたしました程度でお許しをいただきたい、こう思うわけでございまして、これをいたずらに発言をいたしまして、行政に混淆を来たしますことは非常によくないことと考えますから、この程度でお許しいただきたいと思います。
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次にお尋ねいたしたいのは、先ほど相馬委員から明年度予算編成につきましてその基本的な問題についていろいろお尋ねがあったようでありますが、政府は先般明年度予算基本構想というものを発表いたしたわけであります。その中で歳出の実質内増加を押え、これによる財源のゆとりは景気調節資金の財源として保留をする、こういうことが出ておるのでありますが、一面におきましては、これは与党内部にも相当そういう声があると思いますが、本年度の剰余金を千五百億と称し、あるいは二千億と称する面もあるのでありますが、これを減税方面に向けるのが至当ではないか、こういう意見もだいぶあるようなんでありますが、この点につきまして景気調節資金の財源とするというように語られているのでありますが、この景気調節資金というものが実際に保留せられた場合に、どういうような構想でこれをお使いになるか、この点を明かにしていただきたいと思います。
  29. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) この点はただいまお話もございましたが、政府といたしましては、明年度予算編成に当りましては、基本的に購買力を刺激して、そして国内の景気に刺激を与えることのないように、そして輸出の振興を十分可能ならしめるということに基本的な考えを置いておるわけでございまして、従いまして景気調節資金と申しましても、それをどういうふうにいたしていくかということにつきましては、むろんまだ相談もいたしておりませんし、大蔵大臣の御意見もまだ何っておりません。ただ基本的には、今申し上げましたように、予算編成は、あくまでも国内の景気を刺激するということのないようにということを基本の方針といたしております。その程度以上にはやっておりません。言葉をかえて申しますれば、ただいまお示しになりました通り明年度予算はおおむね本年度予算程度において、そしてこれを緊急やむを得ざる必要なものに重点的にやっていくという程度のことをきめてあるわけであります。
  30. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからいま一点お尋ねいたしたいのは、これはすでに長官が御就任の以前から起った問題でありますが、本委員会でもしばしば問題になつたのでございますが、企画庁中心にいたしまして、各省の経済見通しに対しまする発表というものが非常に区々になっていたわけであります。従いまして同じ政府部内にありましても、各大臣によって、従来本委員会等で拝聴をいたしましても、その表現と申しますか、御所見等が非常に異なってきたわけであります。たとえて申しますならば、本委員会の担当であります通産大臣、前水田大臣また現在の前尾通産大臣になりましても、相当輸出等の見通しにつきましては、私どもが憂えておりますことと違いまして、かなり楽観的なんであります。しかしこれらは私どもが一々検討を加えまするならば、たとえてみまするならば、本委員会の席上において同僚諸君質問に対しまして、たとえば中共貿易一つを取り上げてみましても、私どもは私どもなりの見解をもって一応の見通しをつけておるのでありますが、ことに最近の中共の内部事情というものは、これはもう想像以上に政治的に、経済的に大混乱を生じておる。従いまして例の禁輸緩和があれだけ発表をせられましても、その後の経過を見まして、前年度と比較をいたしてみますると、輸出の状況などというものは非常に低いのであります。そういうようなさ中にありましても相変らず大臣は一億ドルの輸出をここで堂々と述べられておられるというようなことで、これは一つの例なんでありますが、そういうようなことで、実際に私どもの憂えていることと、政府部内、ことに通産関係等の発表等は相当食い違いもあり、また一面政府の部内におきましてそういった通産当局の発表、発言等に対しましてかなり反駁もしておるというようにも私どもは考えておるのでありますが、こういうような問題につきまして、統轄統制と言っちゃ語弊がございますが、そういう点において非常な責任のある経済企画庁長官といたしまして、この問題について一つ御所見を承わりたいと思います。
  31. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通りに、通産当局とせられましては、あくまでも理想を高く輸出の振興を実現していきたいという立場におられますことは御承知通りでございます。従いましてすべてのものにつきましてそういう希望的な観測を時には持たれましていろいろ施策をしておられる。また一面大蔵当局その他の関係方面におきましてはあくまでも堅実にこれを進めるというふうなこと等がありまして、時に今お示しのようなことがありやもしれないと考えますけれども、しかし御承知通りに、政府におきましては大体の見通し閣議了解をいたしまして、企画庁中心になって思想の統一をしてそこに施策を取りまとめていきたいというふうにいたしておるわけでございまして、今お話しの通り、中共貿易等につきましては、これは物価関係にあらずして、政治的な面が非常に多いことはお話しの通りと私は考えます。しかし、それなればこそまたわが方におきましてもこれらの配意のもとにいろいろ施策を講ずる点もあるだろうというようなことから考えまして、なるべく中共貿易を伸ばしていきたいというようなことから、いろいろ政府におきましても、また特に通産当局におきましても、いろいろ考えておられることがあろう。何を申しましても三十一億五千万ドルという数字を実現いたしますためには、可能な貿易振興の施策はすべてこれを達成してそして貿易振興、輸出振興に資していかなければならない、こう考えておりますので、なかなかむずかしいことでございますけれども、いろいろ通産当局にも御苦心になっておられる点は私了承しておるわけであります。
  32. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次に方面を変えまして、近く長官はアメリカにおいでになると聞いておるのでありますが、失礼ですが、アメリカにいらっしゃるその一番大きな目的はどういうところにあるのですか。お差しつかえない限り一つ御発表願いたいと思います。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は来月下旬にゼネバでガットの会議がござごいまして、そのガットの会議に私は出席することに内定いたしておるわけでございますが、そういう関係からガットの会議出席するのに、途次アメリカに寄りまして、余剰農産物の交渉がまだ十分でない点がございますので、これについてアメリカの当局と打ら合せをいたしたい、こう考えて、アメリカに寄ってワシントンをたずねたい、こう考えております。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこでこれは私どもの要望なんでありますが、あなたがアメリカにいらっしゃるということは、岸総理、それから藤山外相、それからただいま渡米中の一萬田蔵相、そういう意味で、何かこうあなたがいらっしゃるのは最後のそういった日米関係経済的ないろいろな問題の締めくくりを、まああなた自身はそういう気持でおられるかどうかしりませんが、そういうことが必ず実際問題として私どもは出てくるのではないか、これはまたいらっしゃる国務大臣の立場としても、そういう問題が出て参りまするならば、それに対応して検討するということはこれは当然だと思うのです。そこで私どもはぜひ要望をいたしたいことは、従来岸内閣になりましてから経済外交ということを非常に強調をされておるわけであります。本委員会におきましても岸兼任外相、それからまた先般就任された藤山外相に来ていただきまして、各委員よりこの経済外交に対しましていろいろ質問を申し上げたのでありますが、どうもわれわれとしては納得のいく実は答弁に従来接していないのであります。その一番の問題はどういうところにあるかと申しまするというと、一連の輸出振興に関しまするアメリカの例の輸入制限の問題なんであります。これは御承知通り、アメリカが貿易の自由化ということを一番叫んで今日までこられておるのでありますが、半面におきまして日本が一番輸出をする製品のいわゆる軽工業的なものがアメリカといたしましては産業としては非常に弱いのであります。一面において、重工業的方面は盛んにその貿易の自由化を唱えておりますけれども、そういう弱体産業の方はどちらかといいまするというと、それは逆なんであります。こんな関係からいたしまして、輸出の三〇%に近いところの日本輸出品というものは、まあたとえてみまするならば陶磁器であるとか、こうもりがさであるとか、繊維品であるとか、こういう一連の対米輸出品というものが、非常な実は輸入制限にあっているわけなんでありまして、これが、しかもこの輸出品に携わる者というのは御承知通り大体が中小企業者が多いのでございまして、そういう点で私どもはこれが打開策につきまして、しばしば所管大臣お願いをいたしておるのでありますが、これにつきましてまだ具体的なあれはないのであります。そういう意味で今度われわれは藤山さんが向うへ行かれたことについて大きな期待を持ったのでありますが、これは電の伝うるところによりまするというと、藤山さんの渡米というものはあまり芳ばしくない、そう向うに受けていないというようなことを聞いておるのでございまして、この問題はかなり私どもは悲観的に見ておるのでありますので、日米の間の親善をほんとうに促進いたすのには、どうしてもこの問題からかかっていかなければならぬと思うのでありますが、あなたが、いらっしゃるということになりますれば、必ずこの問題が出てくるのでありますが、これにつきまして一つ御所見を伺いたいと思うのであります。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私渡米いたしますのはただいま申しげた通りでございますが、今お話しのような点は、わが国といたしましてぜひ何とかアメリカ全国民協力了解のもとに円滑に両国間の貿易が円満に伸展するように強い希望を持つわけでございまして、何分アメリカ国務省もしくはアメリカのワシントン政府当局といろいろの面で話し合いをいたしましても、アメリカ政府自体は非常によく理解もしてくれますし、協力的に従来とてもいろいろ努力してくれておるように私は考えます。が、何分にも各州でございますとか、各業界においていろいろトラブルがございまして、これがわが方に必ずしも有利でないというようなものの動きに相なっておりますることは非常に遺憾なことでございますけれども、これはあらゆる機会に官民すべての努力によって日米間の貿易の伸展、もしくは円滑なる貿易発展に資するように努力しなければならぬことと考えております。これは決して私ごとき者がこの問題を参りましてどうなる、こうなるということに、なかなかなる問題でないと思いますが、まあできるだけ私も努力してみたいと考えておりますので、その辺よろしくお願いいたします。
  36. 島清

    ○島清君 河野さんに二、三お尋ねをしたいのでありますけれども、若干おくれて参りましたので、あるいは事務当局、あるいは御答弁なさっておられれば、後ほど速記録を拝見さしていただきますから、御答弁をいただかなくてけっこうでございます。第一点は物価の問題と、第二点は総合エネルギーの対策について承りたいのであります。  先般九月二十日のあなたの所属しておりまする自民党政策発表の演説会の席上で通産大臣は、金融引き締めのために七%くらい物価は上っておる、しかしこれはやむを得ないことであるからがまんしてもらいたいというような趣旨の御演説をしておられる。ところが、同じ演説会の席上におきましてあなたは、卸売物価価格が大体七%ぐらい平均して下っておる、そうして引き下げに努力をするというような御演説をしておられる。私どもはもちろん国の政治家といたしましては、経済企画庁長官といたしましては、物価の引き下げが当然の努力目標でなければならないということにおいてはあなたの御演説を了解いたしたのであります。ところが、明日からはお米も上りまするし、すべての諸物価が上るような勢いを示しておるのであります。はなはだ残念ではございまするけれども、前尾通産大臣のおっしやることが――七%上っておるが、しかしながらこれはやむを得ないことである、がまんしてもらいたいということが、政府の本音のように思うのであります。また実際もそういうふうに上ってきておる。ところがあなたは、一割五分の引き下げが実現しておる品物もある、しかしながらそうでないものもある、でこぼこではあるけれども平均すると七%ぐらい下っておる。卸売物価価格につきましてはそういう品物もございまするけれども、しかしながら消費物価につきましては前尾通産大臣がおっしゃっておられまするように上っておるのであります。申し上げるまでもないことと思いまするけれども、今岸内閣は、あなたのせっかくの努力にもかかわらず、諸物価の引き上げ内閣と言うて院外におきましては国民大衆から物価引き下げの運動がなされておりますることは私が申し上げるまでもない事実でございます。そこで私どもははなはだどっちの方が政府の主義であるのか、通産大臣がおっしゃることがほんとうなのか、それともあなたがおっしゃることがほんとうなのか、実はその真意を了解するに苦しむわけであります。そこで一つ経済企画庁長官としてこういったような二律相反する姿が出ておりまするけれども、一体どういう方向に今あって、さらにまたどういったような物価に対する見通しを持っておられるものか、その辺のことについて御説明をいただきたいと、こう思います。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私先ほどもお話し申し上げました通りに、輸出を振興して国際収支を健全なものにいたしますためには、生産資材の引き下げを意図いたしまして、輸出物資の価格の引き下げというところにいかなければ輸出の振興は第一条件として不可能である、従いましてあくまでもわが国のこれは物価の引き下げ安定というところにいかなければ、経済の建て直しは困難であるということは申し上げるまでもないことでございまして、最もその間に私申しまする通り卸売物価、特に重点を置いて考えたいのは、生産資材の卸売物価の引き下げをわれわれはあくまでも期待いたしていかなければならないという点を基本的な方針として考えておりますることは、間違いないことであります。ただその間にあって小売物価が従来の惰性等もございます。で、御承知通り、なかなか小売の物価は急激に上下が動いて参りにくいものでございまして、従来の惰勢からいたしまして、今お話のように多少小売物価の方は上向いております。けれども、これとても順次卸売物価に刺戟されまして、安定して参るようにいたしていきたいということが基本的な考え方でございます。
  38. 島清

    ○島清君 ここで河野さんと討論をしようとは考えておりませんが、消費物価を値上げをされておりまして、そして物価の引き下げをおやりになるのだということの矛盾、これは私たちは非常に理解しかねるのでございまするけれども卸売物価価格が下ったということは、私ははなはだ言い過ぎのようではございまするけれども景気変動からながめてみまするならば、輸出景気が出て参りまして、設備景気が出てくる、そこで消費景気が出てくるという、その三段階で参っておるのでありまするから、大体において卸売物価というものは政府がその引き下げの努力をされなくとも、経済の自律作用によって下ってくる段階にあったのではないか、こうふうに私は見るわけであります。そこで今はせっかく物価は下げるのだと、こうおっしゃられながらも、政府の施策といたしましては物価を上げるような形において、しかも長官だけが物価を下げるんだ。こうおっしゃっておられるので、これが先ほど大竹委員発言にもございましたが、伴食大臣でございますならば私たちも国民もこれはまあ聞いて聞かぬふりができるかもしれませんが、名実ともに岸内閣の実力者をもって目されておりまするあなたがそうおっしゃられる。ところが、おっしゃられる反面においては、逆な形が出てくるというところに私たち非常に理解しにくい点があるのでありまするけれども、あるいは頭が悪いので理解しにくいのかもしれませんけれども、そこらを一つこのマイクを通じて国民がよく理解できるような御説明をもう一ぺんいただきたいと思うのでございます。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り、この春以来外貨が非常に悪化して参りまして、今お話しのように、設備投資、原材料の輸出入が相当にあったが、ほうっておいてもそれは今順次下るようなことにそのうちなるだろう。またもしくは、それが、そういう段階に来ておったんだというお話のようでございますけれども、まああの当時の情勢からいたしますれば、なかなかそういうことにはいかぬだろう。また、たとえば、その結果はいずれにいたしましても、どうしてもそういうふうに安定をいたさなければならないし、安定をさせなければならないことは御承知通りでございます。為替のしりを見ましても、臨時にいろいろの借り入れをいたして決済をしていくことが必要なような見通しも立ったわけでございます。そこで前内閣におきまして緊急施策を講ぜられまして、その結果といたしまして、われわれも全く同意見で、この方向を堅持いたしていくことによりまして、順調に物価はいくだろう、また持っていかなければいかぬというふうな考えを持っておるわけであります。もっとも、何を申しましても、いろいろ生鮮食料品その他いろいろございますから、時の天候もしくは一時的な影響によりまして、多少上下いたしますことはあるにいたしましても、今の政府の施策によって、一応原材料を中心といたしまする卸売物価は下っていくことを期待いたしておるわけであり、またそう順次なっていくだろうと思っておるのでありまして、先ほどお話しの通りに、小売物価につきましては急に上る際にも下る際にも、すぐにこれについてくるということは、日本経済の実態から申しまして、これがそういう実情に、事実にないということは御承知通りであります。従って順次われわれの意図いたしまするような方向に行くだろうと思いまするし、またそうしていかなければ将来、ここらで一ぺんきちっと経済のあり方を安定せしめて、そうしてその堅実な基礎の上に立って輸出の振興をはかり、経済拡大基礎を作っていくということが必要であるという意味から、全体の国民諸君には、時に御迷惑をかけておる点もあるのでございますけれども、政府としてはこのような処置をとっておる、こういう見解を御了承いただきたいと思います。
  40. 島清

    ○島清君 物価の問題はこれぐらいにいたしまして、総合エネルギー対策についてお聞きしたいのでありますが、電力の問題あり、さらに石炭の問題あり、油の問題があるわけでありますが、さらにその中に原子力の問題が入ってくるわけでありますが、石炭の問題を一つ取りましても、石炭の価格が不安定であるというのは、輸入石油の、重油の影響を受けるのだ、そこで不安定であるので、何とか安定していくような策を講じなければならない、こういうような相馬君の質問に対する御答弁のようでございましたが、全くその通りだと思います。そこで、政府は石炭を緊急処置の対象外に置かれたようでございますが、今のあなたの御答弁と政府の施策の一致しておりまする点を申しまするならば、おっしゃる通りのように私たちは了解できるのであります。そこで輸入石油が圧迫をしておりまするのは、石油に限らず、私は国内の石油資源に対してもそういうことがあるのではないかということを心配をする者の一人であります。たとえば、緊急処置の対象の中にその石油を入れておられる。石油の開発ということは、あなたがおっしゃられるように、輸入の重油が石炭の価格に不安定を与えておる要素であるといたしまするならば、しかもあなたがおっしゃっておられるように、国土が狭小にして資源が貧弱であるといたしまするならば、その貧弱である国内石油資源を大いに開発をしなければならないはずであります。その少いところの資源を開発いたしまする開発のための資金に対して、それを緊急処置の中に入れて処置されるということに対する私はあなたの御答弁と、実際現われておりまするところの矛盾を感じないわけにはいかないのであります。そこで私たちはこの石油資本というものは、これは世界的にも非常にその巨大なるところの独占資本である。その巨大なるところの独占資本の圧迫を受けて、政府が今おっしゃっておられまするところの、狭小なる貧弱なる国内資源を開発を怠って、さらにその資本に奉仕をしておるような態勢でおられるのじゃないかということを心配するわけであります。特に私なんかは再軍備に対しましては反対でございまするけれども、特に自民党におかれましては、防衛力の漸増ということを主張しておられる。そういたしまするというと、今の防衛力の最も必要なものは油なはずであります。そしてその油というものが国際市場においていつも動揺しておるのだということの理由でさらにそれに対する対策を私は怠ってはならないはずだと思うのであります。特に自民党から見まするならば、この油の問題はほんとうに、戦争の時代の言葉を使うわけではございませんけれども、血の一滴に匹敵できるはずであります。そこでこの外から運んでこなければなりませんところの石油に対して総合的なエネルギーの対策といたしましてどういったような考えを持っておられるか。今のような形においては非常に私たちは理解に苦しむのであります。一つの条件といたしましては、石炭の価格が不安定になるのはその入ってきますところの石油の影響である。国内産業にまで重要な影響を及ぼしておりまするところのこの石油の問題をほうっておっていいはずはないのであります。ですから関連をいたしまして、どういったような石油対策を持っておられるかどうかということが一点でございます。  それからもう一点は電力の問題と関連をいたしまして、もう水の電気は行き詰まって、石炭だ、ところが石炭も日本産業の構造上からいたしまして、必ずしも十分に火力を起すだけの石炭は掘りにくい現状にある。そこで、原子力という問題が登場したわけでございまするけれども、そこで民間、あるいはあなたのお説の通り、まあ一つ国家が青写真を持たなければならぬというような考え、いろいろあるようでございまするけれども、これをほんとうに電気を起して、そして民間に供給するまでには一体見通しとしては何年ぐらいでどういったような困難な条件があるか、その条件を克服して一体何年たてばどこの原子力で、日本で原子力の火を民間の方へ送ることができるかというようなことについて一つ見通しを、確信を御説明いただきたい、こういう工合に思います。
  41. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの御質問でございますが、原子力の問題につきましては私まだ十分勉強が足りておりません。これは一つ正力国務大臣からお答えを申し上げていただく方が適当でありますし、さよう一つお許しをいただきたいと思います。  それから国内石油源資の開発につきましてはお話通り、石炭の開発と同様な意味合いにおいてなすべきものである。これらの施策につきましては通産大臣からお話があることですが、私といたしましては先ほどお答え申し上げました通りに、国内資源の開発、特に石炭につきましては相当の資源もすでに、石油の方とは多少違いまして、調査等も済んでおり、施策いかんによりましては相当の増産か可能なふうに考えられるわけでございます。従ってこれら国内資源の開発をいたしますには、先ほどお答えいたしました通りに、外から入って参りますものについて、国内のものにまず優先的に重点を置いて施策をする。そしてその不足の分について外から入ってくるものでこれを補っていくということに基本的な方針を置いて考えていくように政府としてはいきたい。こう考えておるわけでございまして、お答えが不十分であるかもしれませんが、たとえば石炭につきましては相当の開発資金、もしくは現在の資金計画相当長期化する、その他政府として考えられる増産施策を十分に考慮いたしまして、そしてある程度の炭価の引き下げと増産に目標を置きましてやって参る。それと同様な意味において石油資源の開発についても歩調を合せていくことが必要であろう、こういう意味合いに立ってあくまでも、動力源に不安を与えるとか、動力の増大について支障を与えるとか、まあわかり切ったことでございますけれども、国内資源の開発に急であって動力源に支障を来たすというようなことがあってはなりませんことはもちろんでございますが、あくまでも動力源の基本考え方を、石炭その他石油のような国内資源の開発を価格の引き下げを意図いたしつつ生産拡大をはかっていくということに置きたい、こう考えておるわけであります。
  42. 島清

    ○島清君 もう一点だけ、関連をいたしますのでお聞きをいたしたいと思いますが、実はその河野さんが産業の再建と繁栄のために、安定化のために労働意欲というものが必要であるということを相馬委員質問に対してお答えになったわけでありますが、あなたたちの演説会を承わっておりましても、総評攻撃の演説のように世間も見ておりますし、マスコミの機関もそういうふうに書いておるのであります。そこで資本の労働者の特異性というものは申し上げるまでもないことでございまするけれども、英米のような先進国のように十分な労働の再生産に必要なところの賃金を保障されているという労働者は非常に少い部類に属するのであります。そこでやむを得ない、生きるために中小企業の分野に吸収されて、労働に値する賃金ではないけれども、生きるためにという労働賃金に甘んじておるというのが日本の労働者の実情だと私たちは思っております。そういったような広範な、賃金が労働再生産に必要なところのものを保障されていない労働者を抱えて、そしてその労働意欲をどういう工合に高揚させて、そして日本経済の繁栄と安定の恒久化のためにおやりになろうとされるのか。今のように総評がちょっとばかり赤旗を振りますればおっかなびっくりをされて、そしてその角をためようとされる労働政策しか持ち合せされてないような、この現岸内閣におきまして果して労働意欲の高揚が期待できると思われるかどうか。そしてできると思われるならばどういうふうな具体的な形にこれが日本経済に寄与するという労働意欲の高揚を考えておられるのか。せっかく石田君の答弁の範囲に属するかもしれませんけれどもお話がございましたのでそれと関連をいたしまして御説明をいただきたい、こういう工合に思います。
  43. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 労働対策につきましては、お話通り労働大臣からお話があるものと考えますけれども、ただいまお示しになりました通りにわが国の国情からいたしまして農村人口の過剰、中小商工業者の現状、これらの問題の解決こそほんとうに日本国民生活の安定もしくは大衆の労働意欲の向上に、ひいては日本産業の健全な発達に非常に大きな点があるということにつきましては私も全く同感でございます。そこでこれも私の単なる私見でございまして、こういう席で私の私見を申し上げますとはなはだ御無礼でございますけれども、もし申し上げてよろしいならばごく簡単に大雑把に申し上げたいと思います。私は今申し上げます通りに農村政策、もしくは中小企業に対する新たな見解に立ってこれが施策を講じていく必要がある。今申し上げましたような意味で必要がある。すなわち従来の農村政策を、赤城新農林大臣がすでに発表いたしておりまする通り相当に飛躍した施策をこれに持ち込むことが必要である。と申しますのは、たとえば農村における畜産、酪農の振興等につきましても、従来の有畜農業によるところの反当収穫量の助長というような意味合いでなしに、畜産それ自身の収益を十分に上げまして、そうして農家収入をふやしていく、その他農村の経営を多角化、合理化――合理化というのはちょっと言葉が当りませんが、多角化ないしは新たな農業生産方向検討いたしまして、そうしてあくまでも農業経営を農業収益の増大という方向に持ち込みまして、そうしてこれもはなはだ御無礼でございますけれども、私多年考えておりまする新農村建設の方向に持っていく、すなわち個々の農家の経営の改善にあらずして、集団的な農業生産もしくは集団的な農業経済の確立の方向に持ち込みまして、個々の農家の収益を上げるということに政府は十分意を注いで参りまして、そこに農家の収益を上げることを考える必要があろう。その他中小商工業者にいたしましても、まあくだらぬ考えでございますけれども、スイスの工業でありますとか、その他の例等も十分勘案いたしまして、たとえばイタリアの繊維の加工でありますとかいうようなもの等も大いに参考にいたしまして、さらに申しますならば中小企業家につきましては、設備の改善等につきまして、各段の政府は施策を講じて、そうしてこれら経済基本的に変えて収益を多からしめるようにいたす工夫をして参って、そうして農村、さらに中小企業者、さらに商工業者等の経営等につきましても、改革改善をはかっていく必要があるだろう、そこに社会の改革をはかっていく、そうしてこれらの収益を多くするように、なかなか問題が非常にむずかしいことでありますから、簡単にこれができるとは考えておりません。しかしその道はいかに険しくても、政府としては一そうの努力をして参る必要があると考えております。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど相馬委員質問に対しまして、河野長官は、この前の委員会に御出席にならなかった理由をいろいろお述べになりましたが、その前に委員長の方から通知があったと私は思うのでありますが、われわれは、もっとこの国会というものを重要視しているのでありますが、どうもその点についてはあなたが御説明になりましたけれども、もう少し虫のおきどころを変えていただかなければならないのではないかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  45. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど申し上げました通りに、はなはだ手違い、不行き届きでございまして、その点一つ御了承いただきたいと思います。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは今後そういうことがないようにしていただきたいと私は思います。
  47. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 了承いたしました。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 なお続いて……。それから余剰農産物のことで先ほどお話がありましたが、農民が困らない程度にお考えになって、この余剰農産物の受け入れをおやりになっておるだろうと思いますけれども、今まで往々にしてよけいなものをくっつけて押しつけられておるという状態だったと思うのですが、そういうことがないようにしていただきたい。そうでないと実際は百姓たちが困るのです。で、そのことに対して御所見を承わりたい。  それから先ほど島委員から御質問のありました重油の価格についてでありますが、石炭はもう今日発熱量を使うという時代ではないと私は思うのです。で、発熱量を使うのであれば、もう重油の時代なんです。それで石炭はそういうこと以外に、いわゆる化学工業の方面に使うべき時代に今なっておるのではないか、こう思いまするので、特にその点については、長官はいかようにお考えになっていらっしゃるか。それから重油を入れますのに、関税の問題でありますが、これは税法に従っていない、そのうちの何%かをこの前増してやったという程度でありまして、国法で定められた税法があるならば、それをそのまま実行していくのがほんとうじゃないか、で、石油、重油についての税法を、規則ではこうなんだけれども、法律ではこういうふうになっておるのだけれども、当分一年間だけ税金を下げていこうというようなことを二十六年からやっております。年々実に、政府はお金持だからそういうふうなことをおやりになるのかもしれないけれども、もう少しこの重油、石油に対しては税金をはっきり国法で定めた通りに従っておやりになったならばいいのではないか、それはまた石炭の方に対してもいい助けになるのではないか、こう思うのでありますが、そこの御所見いかがでございますか。
  49. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 余剰農産物につきましては、すでにアメリカ側に申し入れいたしておるのでございますが、明年度におきましては、今年の麦の作柄等からいたしまして、大麦、小麦を買う、それから綿花を買う、この三種目について申し入れをいたしております。これらはいずれも国内の農家もしくは農業生産を絶対に圧迫しないという点の計算を十分いたしましていたしておるわけでございます。御趣旨の点は十分考えまして交渉するつもりでございます。  次に石炭のことでございますが、これは私はあまり深くは了承いたしませんけれども、化学原料として使います石炭は、ごく程度の低い、カロリーの低いものが適当だそうでございまして、カロリーの高い、今動力源に使っておりますものは、むしろ石炭化学の方にはあまり適当でないというので、用途が比較的別のように承わっております。なお、よく勉強はいたしますが、そういうふうに言うておるわけでございまして、それらの点あやまちのないようにいたしていきたいと思います。  それから最後に、ただいまお話しになりました重油――油の輸入関税の問題でございますが、これは承知いたしておりますからなおよく勉強いたしまして御期待に沿うように善処いたしたいと思います。
  50. 海野三朗

    ○海野三朗君 それからもう一、二点お伺いいたしたいと思うのです。これは通産大臣の管轄であるのでありましょうが、電力の問題です。東北電力と北海道電力では、価格相当違うのですね。たとえば工場を東北に持っており、北海道に持っているというのに、東北の方に工場がある方が少し安くて、北海道が非常に高い、こういうふうな不均衡はどういうふうにして将来是正をしていったらいいとお考えになっていらっしゃいますか。これが一つと、またこのごろ復元の問題が起っておりますが、この復元に対してはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。  それからもう一つ、日雇い労務者でありますが、この実情をいろいろ調査してみますと、一カ月働けない、二十日そこそこ、多くても二十二、三日きり働けない、そうして諸物価の値上りに対しましてはさらにそれに応じた給料にはなっていないので、ますます貧乏に追いやられておる状態でありますが、今の内閣といたしましては――三悪追放をモットーといたしておるようでありますが、三悪追放にあらずして、まず貧乏促進というようなふうに一般大衆は考えておるのでありますが、あなたの御所見はいかがなものでございますか、それをお伺いいたします。
  51. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今のお尋ねでございますが、私よりもそれぞれの所管大臣から御説明申し上げました方が明瞭になるかと思いますので、私この際は一つごかんべんいただきたいと思います。あまりはっきりしたことをお答えできませんので、かえって混淆いたしますので、一つ所管大臣からお答え願う方がいいかと思います。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 閣僚の重要なるポストを占めていらっしゃるあなたとしての御所見はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか、それをただ私は御所見として伺えばいいんであって、何もそれであなたと議論する考えも何もありません。この電力の許可なんというものは、これは通産大臣の許可でしょうが、企画庁長官としてあなたはどういうふうにこれを見ていらっしゃるか、ほおかぶりしていらっしゃるかどうかということなんです。この日雇い労務者の給料の問題にいたしましても、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、その御所見をただ私は承わりたい。どうも了解できないものですから、企画庁長官としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、それを私はお伺いしたい。
  53. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 電力再編成と申しますか再々編成と申しますか、現在の電力会社の九分割の現状は、分割の当初以来、いろいろこれが運営して参られた現状等から考えまして、ただいまお話しの通り東北と北海道、さらに東北、北陸等の会社の現状、これと東京とか大阪とか名古屋とかいうように非常に有利な電力源を持ち、しかもこれらの比較的高く電力を消費する地域を持っておるというような点等から、これが各種の産業編成の上にいろいろの影響がますます今後及んでくる、これが地方の開発等につきましても、いろいろな面において支障があるというようなことは、当然われわれとしても考えなければならぬ点でございます。しかし現在すでに九電力が経営しておられます現状でございますので、これをにわかに再々編成して政府が案を立ててこうあるべきだ、あああるべきだと申しますことも、またいたずらに摩擦を多くする点もあるかと思いまして、十分官民の間に意見の交換をいたしまして、そうしてわれわれといたしましては、今お話しの通り電力はなるべく全国一律にすべての地方の産業がそれぞれ興りまするようにしていくようにしていかなければなりませんと思いますると同時に、また反面におきましては、一例を肥料にとりますれば、農村の現状から肥料価格の引き下げはできるだけこれを実現して参らなければならぬ、ところがこれも御案内の通り肥料の価格決定に当りましては、各会社別に生産費を調べてその平均価格でやっておるわけでございまして、この肥料工場の分布等の実情から見ましても、今の電力編成が必ずしも妥当ではないようにも考えられまする点もございまするので、現に電力料金の将来、または電力の見通し等もなるべく早く一つつけるようにいたしたいというようなことを考えて、肥料の価格等につきましても今申しましたような政府の目的が具現するようにしていきたいということを実は考えて、せっかく民間の各有力な関係者の諸君には、一つ政府の意のあるところをお話しいたしまして、そうして民間において自発的にその実現のために御協力いただくようにせっかく話し合っているわけでございます。で、私は――むしろわれわれが一方的にこうあるべきだ、ああしたいということを申しますよりも、今申し上げましたように民間で自主的に自発的に方向を話し合って、だれが考えましても国民全体の希望するところについてはそう意見は違うわけじゃないのでございますから、世論の動向を見定めつつ民間業界におかれましても、この方向に順応されるように、なるべく早い機会に再編成について実現することを期待いたしているわけであります。さればというて、われわれの期待が非常に裏切られまして、いつまでたっても絶対にそういうことはならない、そうして北海道や東北や北陸の各会社の経営状態が悪くなり、これらの方面の電力はさらに料金の引き上げをしなければならぬというような事態がありますれば、これは決していいことじゃございませんから、政府としても最後的にはもしそういう場合には相当の考えをいたさなければならぬと思っておりますけれども、そういう事態の起らぬようにそれぞれ業界において善処せられることを期待いたしているわけでございます。  次の日雇い労務者諸君の労働賃金のことでございますが、これは私非常に不案内でありまして、これは労働大臣において特に専管をいたしておられますることでありますから、この点労働大臣からお話をいただきますようにお願いいたしたいと思います。
  54. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はこの機会に二つの点について長官にお伺いしたいと思います。  まず第一点は、先ほど大堀局長から昭和三十三年度経済運営基本的方針についてのお話がございました。その中に、輸出の増進という点が常に根幹になっているようでございますが、同時にいただきました「今後の経済見通し」という中に、今までと違って非常にドル貨がアメリカなり、あるいは西ドイツなりに偏在しておって、なかなか従来のような、いわゆる国内物価なり、あるいは国際物価なりを引き下げるというだけでは輸出は簡単には実現しないのじゃないかというような趣旨のことが書いてあるわけであり、またそうであろうと思うのであります。そういう点から考えますと、従来のように単に国際物価なり国内物価を下げるというだけでは簡単に日本輸出力というものが増進されないし、またそれだけで今後の輸出を増進するという基本方針と申しますか、あるいはまたそれだけにたよるということはできないのじゃないか、そうすると何かそうした新しい事態に応じて一体どんな形において輸出を今後増進する見通しと申しますか、あるいは増進する具体的な考え方、そこいらに何か従来とは違ったものがあるべきじゃないかと考えるのでありますが、いただいた資料だけでは十分その点が伺えないのですが、そこいらはどういうふうにお考えになっているか、一つ御説明を願いたい。
  55. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話通り国内物価の点でございますとか、従来の慣行通りにいきにくい点があろうと思いますることは、お話通りでございます。従いまして外交の上におきましても、御承知通り相手国との間に貿易協定をいたしますとか、これらの点を経済外交を活発にいたしまして十分促進をして参るということで、せっかく新外務大臣において御努力を行なっており、また国内的に輸出奨励の意味におきまして、先般一応閣議決定いたしましたように、税制の上におきましても奨励の処置をとる。その他必要な点につきまして今後いろいろな角度から検討いたしまして、そうして目的達成に努力していきたい。それらにつきましてはそれぞれ通産、大蔵、農林これら関係の各経済省において一そうの御努力を願うということにお願い申し上げておる次第でございます。
  56. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうもまあ具体的な方策につきまして非常に抽象的でございますから、どうも十分わからないのですけれども、ただ、いずれにしても今の長官お話しのように、今後総合的な施策が必要であるというように考えられるのであります。  そこで第二点といたしまして、私は、まあ経済企画庁のあり方と申しますか、あるいは今後の日本経済の持っていき方、ただいまの長官お話しの輸出増進にしても総合的な施策がそれぞれ必要だというようなお話があるのですが、先般の、昨年の暮あたりまで、あるいは今年の当初まで神武景気だと、こう言っていたのが、一ぺんにどうも神武以来のデフレだと、こういうような表現に変るほど非常に急激な経済の変移があり、しかもそれが日本銀行の金利の引き上げというような形で急激に来る。国民の受けた感じというのは非常に何か計画性がない。それならそれでもう少し何か……。下手な運転手が急にブレーキをとめたような形という印象を受けただろうと思うのです。それは要するに現在の日本経済基本になっている自由経済と申しますか、あるいは放任経済と申しますか、そこにもっと計画的な経済運営というものがやはり国際的にも国内的にも要請されているのじゃないかと思うのです。そういうような経済の実態において、先ほど相馬委員なり大竹委員からお話しのあったように、そうした日本の放任経済と申しますか、自由経済の中で何か計画性ある、あるいは五年なり十年なりな先を見通し日本経済の持っていき方というものがやはり終戦後の日本経済の再建の上に強く打ち出されており、要求されておるというのが実態でないかと思うのです。そういうときにあって日本の現在の状態におきましてこれを計画的に、あるいは長期的にものを考えるというときに、その方法手段として、昔のように物動計画があるわけじゃなし、諸般の統制規定があるわけじゃなし、そこでそれらを動かすというものはどうしても予算編成の問題と、これは金融の流れをどうやっていくかという、そういう問題、あるいは政府の投融資なり、あるいは場合によっては進んで公債政策といったようなもので、これは日本経済というものの長期的な計画性を保持する以外にないのじゃないかと思うのです。そうしますと、やはり経済企画庁あたりが日本の総合的な観点からそういうようなものを打ち立て、それで先ほどのいろいろなお話にも日本経済成長率を三%程度に持っていくのだとか、あるいはどうするのだとかいういろいろな何と申しますか、計画といいますか、観測と申しますか、そういうのがあっても、それをそれなら強力に裏づけ、それを方向づけるというときにおいて、私は現在日本経済の引っ張り方で残っているものは予算編成なり、あるいは金融、あるいは財政投融資に対する、そういうものだろうと思うのです。従ってそういうものに対する経済企画庁との関係、そういうものがやはりはっきり打ち立たなければ、なかなか先ほどの経済企画庁日本経済を三%に持っていくとか、いろいろないわゆる観測的な問題が、計画性の裏づけがないのじゃないかというふうに考えられるので、従って先ほどの輸出貿易についても、長官お話でもこれを総合性を持ってやるのだという形であるべきであるのに、それならそれのこれは裏づけが、あるいは日本の総合的な、そういう経済を推進する一つの母体なり、あるいは参謀本部なりというものが必要じゃないかと思うのですが、従ってそういうことについての、私は経済企画庁というものが、もっとやはり大きな役割を持ち、日本経済というものの計画性の保持のために必要だと思うのですが、それに対する河野長官の御所見を一つ承わりたい。
  57. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は戦後日本経済が非常に困窮な立場に立ちまして、物資の不円滑というような際には御承知通り経済企画庁の前身も、非常に強力に各種の物資についていろいろこれが配給の統制等もいたしたわけでございます。ところが、これが終戦以来順次生産拡大して参りまして、経済相当に急激な成長をいたしまして順次改善いたして参りましたので、その結果経済の企画性とか、もしくは経済の総合性とかいうようなものに対する期待、もしくは希望が順次薄らいで参りまして、そうしてそこに個人の自由、企業の意欲というようなものが非常に強くなり、従って経済企画庁の活動等は将来の見通しの指針等を打ち立てるということに、ある程度その使命が尽きているというようなことが一応の世論になったと思うのであります。また政治の上におきましても大体そういう方向を持ちつついけば、それでむしろ官僚統制というようないらざることの、制約を除去して、そうして自由に民間の意欲を向上せしめるということの方が、経済の発達に非常に好都合であり、その方が好結果であるというような世論もございまして、一応現在のような企画庁の姿になってきたと思うのでございます。ところが、たまたま昨年から今年にかけてだんだん強固になり、成長いたして参りましたわが国の経済が、一部民間の非常な生産意欲と申しますか、企業の投資意欲と申しますか、というように経済の実態に対する、しいて申しますれば、多少の行き過ぎ、観測の誤まり等が出て参りまして、日本経済の実態から申しますれば、負担過重の実態に陥りまして、そこに輸出入のバランスが極端に悪くなってきたというようなことのために、政府が今回の処置をとる、とまた一面において今申しますように今後再びこういうことのないように、ここに相当な企画性を持っていくべきだという御議論も、相当に強く出たわけでございます。しかしわれわれといたしましては、あくまでもわが国の企業の工夫、創意等を生かしていくことが、日本経済発展のためによろしいというような見地に立ちまして、しかも一方は再びこういうことのありませんように、国民経済の統合、ないし国内経済の実態、将来の見通し等を十分に調査勉強いたしまして、そこに国民諸君との間にその見通し等について十分な談合、御理解の上に円満に堅実に経済発展を企図して参りたいということを考えておるのでございます。従いまして、それでは不十分だというような御意見もあるかもしれませんが、私たちはここに今申しましたように、日本経済の実態をきわめまして、これを十分国民各位、もしくは企業家等に支持していただきまして、そうしてその上に立って円満な経済発展を見ていきたい。あくまでも将来の見通しにつきましては経済産業の五カ年計画等を一つものさしとして立案をいたし、これが達成に御協力を願い、政府もまた予算編成その他ただいまもお話のありましたような点において努力いたしつつその実現を企図いたしまするとともに、また世界経済の動向等も取り入れまして、時々誤まりのないようにしていく、その間に、たびたび繰り返すようでございますが、民間各方面の非常な創意工夫等を十分御発揮願って、そうして経済発展に御協力願うということでいきたいと、こう考えております。
  58. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御質疑ございませんか。  ちょっと速記をとめて。    午後四時一分速記中止    ―――――・―――――    午後四時二十五分速記開始
  59. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。
  60. 相馬助治

    相馬助治君 けさほど団体法の取扱いについて委員長理事において打ち合せが行われ、その日取りが決定したのですが、議案の取扱いの細目については決定を見ていないので、開会の時刻、出席要求の政府委員並びに修正者である衆議院議員、こういうこと等については万事委員長に一任してはいかがかと存じます。なお四日間審議をいたしまして、最終の一日は名古屋地区における公聴会を開くことをこの委員会において議決し、出席する議員その他の選任についてはこれも委員長に一任する、かようにしてはいかがかと存じます。  なお、九州地区における公聴会はぜひとも必要であるという意見も述べられ、もっともでございまするから、これは日程間には公聴会を開くことはできませんけれども、その後において委員派遣を行うという旨をあらかじめここで議決しておいてはどうかと思います。以上三つの内容を含んだ点を議事進行上発言して大方の諸君の賛成を得たいと思います。
  61. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいまの相馬君の御意見に対し、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会