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国務大臣(
河野一郎君) ただいま
お話の
通り、自由
経済のもとにおきまして、
経済の
見通しを立て、またあやまちなきようにこれが
運営をいたして参りますことが非常に困難なことは、御
承知の
通りであります。しかしさればと申しまして、われわれの見解をもっていたしますれば、わが国のごとき人口非常に多く、国土峡小にして、天然資源にもあ
まり恵まれない国におきましては、あくまでも
国民各位の労働意欲の高揚ないしは創意工夫を十二分に生かしまして、これを乗り切ってゆくことが一番いい
施策である。言葉をかえて申しますれば、企業の自由の上に立ちまして、全体の
国民の創意工夫を活発にいたしまして、そうしてこの困難を乗り越えていくことが非常に妥当適切なものであろうと、こう考えておりますので、その間におきまして、政府並びに
国民各位の十分な
連絡、緊密なる
運営によりまして、あやまちなきようにいくことが必要であろうというために、政府といたしましては、今後の
景気の観測にいたしましても、国際的な
経済の動向はどういうふうにあるだろうか、またいく
情勢にあるだろうかということにつきまして、十分
資料を収集いたしまして、この
資料の上に立って経験者、学識者の意見を十分伺いつつ、ここに
方向を定めていきたい。で、この政府並びに官民の意見の一致いたしました、もしくはその総合的な見解を、
国民各位に十分御
承知を願って、そうしてこの線で
経済界に
協力を願い、そうしてたとえて申しますればこの春等に起りましたような非常に過大な
設備投資でありますとか、原材料の
輸入でありますとかいうことのないようにいたしつつ、現実に
経済の
成長を期していきたい、こういうふうに考えているわけであります。そこで
経済の当面の
見通しでございますが、これは先ほど事務当局からも御
説明申し上げました
通りに、春以来、
設備投資、原材料の
輸入等がここに
相当に活発に行われましたために、この経験等を貴重な
資料として生かしまして、そうして大体の政府の見解に十分に御
協力を願うということでやって参りますれば、たとえて申しますれば、昭和二十九年の朝鮮ブームのあとに起りました緊縮
政策、その結果国際
物価水準に対して、わが国の
物価の安定値が非常に好適なところに参った。これを大体三一年の六月前後と見ておるわけであります。そういう状態に
経済を安定さしますれば、おのずから
輸出は
伸びて参りまして、そうしてわが国の
経済は非常によくなったという経験等もあるわけでございますから、これらについてあらためて再認識をいたしますると同時に、
経済界全体の御
協力を願いますれば、現在の異常な
経済の状態はおのずから、ただいま政府がとっておりますような総合的な
施策によりまして、むろんその間には多少のでこぼこはあると思います。あると思いますが、順次そういった
情勢を馴致すべく
努力をいたしますとともに、ただいたずらにこれを取り急いでやるということも、その
影響するところが非常に大きい場合もありますので、不自然な状態でなく自然な
経済の
運営を期待いたしつつそういうところに持っていきたい。この機会に一言申し添えさせていただきたいと思いますことは、
物価引き下げ、引き下げということが非常に強く伝わっておりますけれ
ども、決してわれわれの期待いたしますものは、いたずらなる
物価引き下げにあらずして、ただいま申し上げましたような国際
物価水準に対してわが国の
生産卸売物価の安定値が大体これをやや下回る
程度に下ることを期待する、そういう状態になりましたところで安定いたすことが希望でございまして、あくまで
物価は適切なる
価格に安定せしめるということが一番必要だと考えておるのでございまして、そこまでいく間今申しましたような適切な
施策を講じて参りたい。そうすることによって、これも先ほど御
説明申しました
通り、明年の
経済の
伸びも順次いくだろう。ただそれだけで
輸出は非常にふえて
輸入を押えることができるという安易な気持は決して持っておりませんので、それには通産
大臣その他通産行政の面において十分に
輸出振興をやることについては御考慮願いたいということをわれわれとしては期待いたしておるわけでございます。むろん一通産行政だけでその目的はよく達するところではございませんから、大蔵
方面からも農林
方面からも十分これらについて御
協力を願うということに、
企画庁といたしましてはその点強力に
輸出振興についての
施策を講じていただくように期待をいたしておるわけでございまして、
輸入につきましては先般為替の
予算を一応立てたんでございますが、為替もいたずらにしりを合せるということにのみ専念いたしておるのでないのでありまして、国内
物価がこれの刺激を受けて一時的にも上るというような現象のないように、一応在庫等についても十分考慮いたしまして、一応
国民経済全体から見て、この
程度の
輸入をいたせば大体適切にいくだろうという
見通しのもとに
予算を作りまして、で、やや安定した状態にあるんじゃないか、こう考えておるわけであります。