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参考人(島田兵蔵君) 私ただいま御紹介をいただきました
中国電力の島田でございます。御質問の点につきまして、
中国電力の過去におきまして行なって参りました
開発、それから将来に対しまする
計画等について
お話し申し上げたいと思います。
当社の
電力需用についての伸び方の実績を申し上げます。
昭和二十六年度の
需用電力量は、常態におきまして十八億キロワットアワーであったのでありますが、その後年々平均一〇%程度の増加を示しまして、三十年度には二十七億キロワットアワーとなったのであります。これは資料の一にございます。これが三十一年度に入りますと、予想外の増加を示しまして、上半期の実績を前年同期に比べますというと、二二%の増加を示したのであります。その
需用の
構成内容を見ますというと、二十六年度は電燈が二四%、小口
電力が二七%、大口
電力四九%、こういうふうな状態であったのでありますが、三十年度に至りましては電燈が一九%、小口
電力が二五%、大口
電力が五六%、こういうふうに変って参ったのであります。この大口
電力の
需用の伸び方が非常に大きく、内訳においても現われておるのであります。特に当
中国地方は、御
承知のように硫安、ソーダ、化繊のごとく、化学工業が主でありまして、次いでパルプ、セメント、
鉄鋼、造船などの
産業用の大口
電力の需要が大きいのであります。
次に、将来における
需用を想定いたしますると、最近の
需用動向から見ました想定では、資料の二にございますが、三十五年度は五カ年
計画を少し上回っております。キロワットアワーでもって四十八億キロワットアワーくらいになる見込みであります。これも実は私
どもできるだけ正確を期したいと存じまして、
需用家の、大部分は実際をよく当りまして、いろいろ
計画等も承わりまして想定したものでありまして、特別な
経済情勢の変化がない限りは、大体この見込みの数字になると私
ども考えているのであります。この想定によりますというと、今後の
需用の増加は、依然大口
電力の伸びが大きいのでありまして、硫安、ソーダ、パルプ、化繊、セメント、
鉄鋼、造船、そのほか、ただいま
中国地方で非常に熱望しております
国鉄の
山陽線電化、あるいは石油化学などがおもとなっているのであります。
当社におきまする
電源開発の実績と将来の
計画を申し上げますというと、当
地方の
電源開発につきましては、
電気事業再編成前から、日発
中国支店、
中国配電が共同いたしまして
電力拡充
計画を立てまして、
電力不足の早期解決を企図いたしたのであります。再編成実施とともに、その
計画を確立いたしまして、本格的にこれが実施に着手いたしたのであります。自来今日まで当社の発
電力拡充は
水力新設が十二カ所でありまして、その出力は十六万二千七百キロワット、
火力の新増設五カ所でありまして、その出力は十万キロワット、合せまして二十六万二千七百キロワットが完成しているのであります。これを再編成当時に比較いたしますと、大体四〇%の増加となっておるのであります。現在の発
電力は
水力が四十八万三千キロワット、
火力が三十八万六千キロワット、合計八十六万八千キロワットであります。
次に将来の
電源開発計画につきましては、前述いたしましたような
需用の動向に応じまするため、工事中のものの促進はもとより、
計画地点の繰り上げ着工というような点を考えまして、
開発の進度を一段と高めている次第であります。特に
江川開発は量といい、質といい、その発
電力は当
地方といたしましてはきわめて
重要性を有するものであります。すなわち
江川開発につきましては、つとにその
調査研究を続けていたのでありますが、二十六年五月当社の発足とともに、直ちに
電源開発五カ年
計画を立てまして、この
計画には
江川開発として問題となっております高梨、潮、明塚、川本、川越の諸
地点の一貫
開発を構想したのでありますが、その後二十七年九月
電源開発会社が設立せられ、右
地点の中で高梨、川本、川越
地点はその
開発規模から見て、むしろ電発の
開発によることが適当と認められました。二十八年六月の
電源開発調整審議会におきまして、
江川を電発の
調査河川として
指定されたのであります。また右
地点のうち潮、赤塚
地点は、すでに当社の手によりまして完成をみておるのであります。高梨の
開発も当初構想
通り早期に実現し、
江川水力の総合運用の効果が、一日も早く発揮されることを切望いたしてやまない次第でございます。
江川の
水力資源の問題について申し上げてみますというと、
水力資源としての
江川の自然的に持っております条件は、御
承知のように
中国地方は雪解けの水と梅雨期の水、台風期の水、この三回水があるのでございまして、降水になるのでありまして、それぞれ季節を異にする水の
資源を有しておるわけであります。特に
島根、
広島両県境の山脈地帯は、年間降雨量も当
地方といたしましては多いのでありまして、
水力開発上非常に有望な地帯であります。この地帯を流域とする
河川で大きなものを申し上げますと、山陰側に入っております
江川、山陽側に入っております太田川があるのでありますが、特に
江川地点は全国的にも有数な流域を有しておるのであります。従いまして
江川の三次盆地以降の下流は、水量がはなはだしく豊富であります。一方
河川勾配がゆるやかでありますので、
ダムを築造いたします上から、非常に適当な
地点であるということが申せるわけでございます。
先ほどお話しのありました水
火力の併用というような面から申し上げてみますというと、当社の今後の
需用の動向は、過去の実績以上の増大を予想されるのでありまして、
電力需用量は二十六年度には、先ほど申し上げましたように、十八億キロワット、三十五年度には四十八億キロワットアワー、四十年度には六十七億キロワットアワーとなる見込みであります。これに対しまして十二月の最大
電力、これは発電端でありますが、二十六年度では四十一万キロワット、三十五年度では百万キロになります。また、四十年度には百三十万キロワット、こういうふうな数になってくる見通しでございます。かように
需用が大きく伸びていきますが、これに応ずる今後の発
電力拡充につきましては、大容量の
火力をもって、
ベースロードをまかない、大
容量貯水池をもって負荷の変動に応ずるという
方式をとるのが、天然
資源の活用上、最も効果的な
方法であるのでございます。この
方式によりまして、
水力電源の
開発を進めるべきだと確信いたしておるのであります。なお、
原子力発電が出現する、すなわちそういうふうな
設備を
日本としてもやり出すというようなことになりますというと、さらに自由自在にこの出力を
調整し得るところの
水力発電所が一そう必要になって参るのであります。
これらの点を考えますときに、
江川の
高梨地点は当
地方に残されました唯一の大容量
発電所でありますので、当社はその
開発に大きな期待をかけざるを得ないのであります。
江川水力資源のウエィトについて申し上げますというと、現存の電発で
計画されておりまする
江川開発は、
高梨地点におきまして九万二千キロワット、最終出力が十五万と承わっております。それからその水を利用いたします川本が一万七千キロワット、川越が二万二千キロワット、さらに当社の既設の明塚の二万五千キロワット、これは今二万五千キロワットの
発電所がありますのが、それが倍になって参るのであります。それらが全部完了いたしました暁には、
江川としての最大は十六万キロワット程度になります。最終的のものは二十万キロワット程度と承わっております。かような
調整力を持ちますので、非常にこれが大きな役割を持ってくれることになるわけであります。これは前にも述べたのでございますが、四十年度の
需用電力は百三十万キロワットという数字から見ますというと、その
調整としての
江川の
水力の持ちます効果は、非常に大きなものであると私
どもは確信しておるのであります。この
江川四十年度におきます
調整の能力はどういうふうなものであるかということがおわかりになりますように、資料三というのを差し上げてございますから、ごらんいただきますと大体おわかりと思います。
右のほか多少技術面になるのでありまするが、今後の
需用増加によりまする
需用規模はだんだん大きくなりまして、それに応じまして、負荷の時間的変動も一そうその程度を増してくるということを考えなければならないわけであります。従いまして、周波数の安定性、こういうことも年とともにその
対策を講じていかなければならないのであります。
高梨地点のような大容量
発電所は、その目的のために非常に有効でありまして、自動周波数の制御装置を設置することによりまして、きわめて
中国地帯の周波数の安定性を確保することができる、こういうふうなわけであります。こういう大きな発電地帯にそういう
設備をすることは、非常に望ましいことであります。
また、
江川方面の発
電力の輸送につきまして、それでは送電線はどうなっているかと申しますと、当初の明塚、潮
地点を
開発いたしました際に、当社といたしましては将来を考慮いたしまして、新
江川幹線の設定
建設をすでに終っているのであります。
最後に、以上電発について
計画されております
江川発電
計画の
重要性について述べたのでありますが、当社はかねてから
国家資金によりまする電発の
開発が、ぜひ
中国地方にも実現することを強く要望いたして参っておるのでありまして、この
江川計画については、他のいろいろと
調整関係もございますと思いますが、ぜひうまくすみやかに御解決をいただきまして、
江川の
開発が早くできますことを念願しておる次第であります。
この
計画につきましては、
中国地方の
産業界の発展と密接な
関係がありますので、
電力需要者たちの皆さん方も、非常にこれを強く熱望されておりますことを、ここに付言いたしまして、一応私の御
説明を終ります。