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1957-02-21 第26回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋  衛君            島   清君            相馬 助治君            藤田  進君            加藤 正人君            大竹平八郎君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君    建 設 大 臣 南條 徳男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    経済企画政務次    官       井村 徳二君    経済企画庁調整    部長      小出 榮一君    経済企画庁計画    部長      大來佐武郎君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省公益    事業局長    岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    電源開発株式会    社副総裁    岸田 幸雄君    中国電力株式会    社社長     島田 兵蔵君    電気事業連合会    専務理事    松根 宗一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立と発展に関する調査の件  (電源開発実情に関する件)  (江川開発に関する件)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより商工委員会を開きます。  本日は、前回に引き続きまして調査を行う予定になっております。  その前に、通産省官房長から発言させてほしいという申し出がありますので、これを許します。
  3. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 先般の当委員会におきまして、通産大臣から昭和三十二年度における通商産業省重点施策についての説明をいたしたのでありますが、そのときに、私どもの全く事務的な手違いから、一カ所数字の間違いがございましたので、訂正をさしていただきたいと思います七それは、中小企業対策の中で、中小企業相談所補助五千二百万円というふうに申しましたのは、六千二百万円の誤りでございましたので、ここで訂正することをお許し願いたいと思います。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまの訂正について、御異議がなければ、さよう訂正いたします。   —————————————
  6. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、先般委員会決定しておりました電源開発株式会社総裁内海清温君は、診断書を添えまして病気のため本日欠席いたしますが、代理者として副総裁岸田幸雄君を推薦して手続を終了し、本日出席をされております。この点御了承願いたいと思います。  それでは電源開発実情及び江川開発に関する件を議題として調査を進めます。電源開発に関しましては、先般企画庁長官並びに通産大臣発言中にも、電力鉄鋼不足が顕著になってきて、わが国経済拡大に重大な隘路となりそうだというお話がありました。また、当委員会でも一月委員派遣を行いました節、派遣委員は各地で電力、石炭、鉄鋼不足を訴えられてこられたのであります。そこで、本日は電源開発実情調査するとともに、やはり派遣委員報告で問題となりました、中国地方江川電源開発に関する点を取り上げようとする次第であります。  江川の問題は、過般の調査報告で御承知通り広島県に源を発し島根から日本海に注ぐ河川でありまして、この川の上流ダムを築き、最大出力九万二千キロの発電所建設しようとしているのでありますが、電源開発会社調査がさようになっているのでありますが、現地におきましては、国鉄三江線既定計画との調整問題、あるいは七百二十余戸に上る水没家屋の補償問題など、いろいろの問題が起って参りまして、まだ開発準備地点としての指定がなく、従って清工の見通しがつかないということであります。しかし、中国地方電力需給関係から見て、江川開発は急を要するという声も強く、現に先日は、そのために中国からわざわざ陳情の方が上京されて、非公式でありましたが、この委員会でもその実情を聴取したのであります。この問題について審議し、それに対して適当な方策を検討したいというのが、本日の委員会を開く理由の一つでございます。先般の委員会皆様の御同意を得て参考人の御出頭を願っており、本日午後当委員会出席を願うことになっております。電源開発会社関係では、先ほど申しましたように、副総裁岸田幸雄君にすでに出席願っております。午前の委員会には、関係大臣出席していただき、政府側の本問題に関する所見中心質疑を進めたいと存じております。  議事の運び力でありますが、皆様方のお許しが得られれば、各大臣発言を先にいただきまして、一般的なエネルギー対策の問題及び江川の問題に関する関係大臣からの御所見の開陳を願う、その上で委員から質疑を願うということにしたらどうかと考えます。この点いかがでございましょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議がなければ、さよう取り計らいます。  それでは、まず企画庁長官から、電源開発に関する基本方針を明らかにしていただきたいと存じます。
  8. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 電源開発長期計画につきましては、昨年十二月に電源開発調整審議会の議を経まして決定いたしました計画案がありまして、これは先般お手元に差し上げたと思っております。長期電源開発の目標としては、昭和三十五年度に消費端八百三十七億キロワット・アワーと予想される電力需用を充足するために、昭和三十一年度から三十五年度までに水力三百六十万キロワット、火力四百八十万キロワットを完成させることにいたしてあります。これによりまして、昭和三十五年度末の設備は、水力一千二百四十万キロワット、火力九百八十万キロワットとなりますが、この設備を稼働させますときに、昭和三十五年十二月末の尖頭時におきましては約四・三%の設備余裕を持つという計画であります。また、この開発に要する資金は、一兆三千二百億円であります。  なお、この計画では、原子力発電は見込んでおりません。が、火力用の燃料の顕著な増加傾向にかんがみまして、原子力発電に対する期待は、今後急速に高まるものと考えております。従ってこれに対する対策は、原子力委員会中心といたしましてただいま検討中であります。  そのほかの申し上げたい点につきまして、政府委員から説明をさせることにしたいと思いますから、それにお譲りしたいと思います。
  9. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、電力五カ年計画という資料がすでに出ておりますが、これにつきまして具体的な説明経済企画庁計画部長大來君に願います。
  10. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) お手元にございます五年計画は、ただいま大臣からお話しのございましたように、昨年の暮の電力開発調整審議会決定を見たわけでございます。その前に六年計画がございましたが、御承知のような電力需用の急増がございまして、この一年間に二割近くの需用増加もございました。経済規模も非常に拡大して参っておりますので、従来の計画では間に合わないということで、昨年の暮に改訂を行なったわけでございます。で、この経済規模との関係におきましては、経済の伸びの率を大体七%ぐらいに想定いたしまして、それに見合った鉱工業生産規模を考えまして、それに必要な電力ということで、本改訂計画はできておるわけでございますが、一方におきましては経済自立五年計画自体改訂が行われる予定になっておりまして、一応電気の方は本来ならば、その経済計画改訂を待って、電気長期計画改訂すべきはずのものでございましたけれども、ちょうど三十一年度の計画の追加、あるいは三十二年度の着工計画は、四月と五月の審議会にかかると思うのでございますが、それにも従来の計画ではワクが足りないという事情もございまして、電気長期計画だけ一歩先に改訂をいたした経緯になっておるわけでございます。  大体の方針は、ただいま大臣お話しになりましたが、二、三の点を追加的に申し上げますと、一つには、先ほどお話しのありましたように、五年後には四%余りの供給余力というものを持つように考えている、これは従来の計画にはございませんのでしたけれども、だんだん経済の回復に従って、ある程度の供給力を持つということと、それから水力火力開発方針につきましては、水力については大容量貯水池による尖頭負荷供給ということに重点を置きますし、火力におきましては高能率の火力、近代的な設備をできるだけとり入れると、そういう建前になっておるわけでございます。なおまた、電力損失の軽減をできるだけはかり、供給力の増大に資する、そういう点をねらいにしておるわけでございます。  以上でございます。
  11. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 特に江川開発に関しまして、経済企画庁長官として御所見があれば、この際伺っておきたいと思います。
  12. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 江川開発計画につきましては、これは通産省経済企画庁とで十分に意見の調節をはかって決定をいたしたいと存じまして、通産省の意向を、われわれは江川開発計画についてはあらためて聞き合せて、打ち合せ中であります。それで江川開発の問題で経済企画庁に参っておりまする情報の中に、鉄道の新しい建設計画がありまして、鉄道の新しい建設計画と、そうしてこの江川電源開発の問題とが、技術的に非常にうまくこれが組み合して開発可能である、そういう情報もわれわれは聞いております。そういう点につきましては、十二分に運輸省ともこれは話し合いをすべき点もあります。従ってそういう点につきましては、遺憾のないようによく調整をいたして、そうして開発を、中国地方電力不足に対する対策を、いかに適当な方向に持っていくかということにつきましては、積極的にこれは考えるべきものである、こういうふうに思っております。その点については、通産省とあらためて協議を重ねていきたいと思っております。
  13. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、通産大臣から御説明を願いたいと存じますが、電力増強につきましては、確固たる方針を伺ったのでありますが、今後の水力電源開発についてどういう御意見であるか。特に江川開発必要性の問題につきまして、御所見を承わりたいと存じます。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 水力開発につきましては、先ほど宇田長官からお話がありましたように、政府で立てた五カ年計画の線に沿って、これから開発を進めていくという方針でございます。  で、中国地方電力需用は、もう毎年一割くらいずつふえておって、このままで行ったら昭和三十五年、六年先に非常な危機が来るということはわかっておりますし、そのためにこの電力開発をやろうと、少くとも中国地方で百万キロの開発が必要だろうといわれておりますが、それをやるためには、江川地方をおいてほかに大容量地帯がない、どうしてもここの開発をしなければ、この電力計画的な開発はできないという実情でございますので、江川電力開発はどうしても私どもとしてはやりたいと考えております。  ところが、これは私に少し責任のあることでございまして、運輸省建設審議会委員をやって、これを鉄道をきめるときの私が責任者でしたが、小委員長をやっておって、この問題が若干あったことは当時承知しておりましたが、そう大きい問題でなかろうと思って、とにかく鉄道は今予定されておるこの線で作るんだということを、当時きめてしまったという関係がございますが、今度通産省へ来て、電力開発計画と取り組んでみましたところが、あのとききめたような形では、この開発が非常な支障を来たすという問題にぶつかりましたので、私としましては、この電源開発はあくまでもやる、そのかわりに前の鉄道はすでにやるときめたんだから、何かここに両方がやれる方法はないか、それがあれば一番円満にこの問題を解決できるんじゃないかと考えまして、運輸通産企画庁、この三省でそういう方針のもとに、一つ具体策をお互いに考えてくれ、事務折衝をまずやってくれということを要望しまして、三省でその折衝をさせておる、こういう経過になっておりますが、詳しいそういう問題について、もし御必要ございましたら、政府委員からいろいろ具体的な問題は御説明をさせたいと思います。
  15. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 江川昭和二十八年の電源開発調整審議会調査河川指定されまして、電源開発株式会社調査して参ったのであります。その結果が昨年の三月でありましたか、四月でありましたかに提出されましたのは、中間報告でありまするが、概要は島根県の都賀行村の高梨地点に約七十メートルのダムを作って大きな貯水池を設けまして、第一期として約九万二千キロ、第二期になりますれば十五万キロ近い発電所を作って、主として尖頭負荷、つまりピークロードに充てる計画が、一番適切だという報告に接したわけであります。  ところが他方、今大臣から申し上げましたように、この江川中流河底は数年前から三江線、つまり広島県の三次から島根県の江津に出ます三江線建設予定になっております。すでにちょうど折あしくと申しまするか、昨年の二月の鉄道建設審議会におきまして初年度の工事費もすでに配当済みになったという地点、実はわれわれ事務当局も若干立ちおくれた感がございますが、鉄道の方が先に具体的な建設の一歩に踏み出したという事情になってきたわけでございます。しかしながら、今大臣が申し上げましたように、中国の将来の電力事情を考えますると、どうしてもこの地点に大きな貯水池式開発を行わなければ、将来の中国地方電力事情は安定しないということでございます。簡単に申しますれば、中国におきまする水力包蔵資源は約残存しますもの百万キロ近くでありますが、あまり大きな地点はございません。この江川を全部本支流合せますれば、三十万キロ以上になります。大体残存資源の三割はここで占めておる。ほかにも吉井川あるいは太田川などございますが、いずれも小さいものばかりで、ことに中国地方は前々から御承知のように火力発電の多いところでございます。こういう最近の火力発電傾向は御承知のようにベースロードを負担しまして、ピークロードあるいは季節的変動需用は、これを貯水池に期待するというのが最近の日本給電方式でございます。今後需用がふえるに従いまして、どうしても大きな貯水池を持たない火力発電意味をなさない。いわんや、この中国地方では将来山陽線幹線電化計画もあります。こういうふうな鉄道のような公共事業の、しかもピークの出ます需用が多く入って参りますから、どうしても貯水池の大きいものを持たなければ、この地方電力は安定せずに、サイクル・ボルテージが変動する、いわんや事故の際は処置なしということになるので、どうしてもこれはぜひ江川地点には、貯水池式の大きな発電所建設する必要があるというのが、われわれの事務当局の考え方でございます。  そこで何とかこの地方年来の懸案であります三江線の開通と、ダム建設とを両立する方式がないものかという点、昨年の秋以来、経済企画庁中心に、あるいは直接国鉄当局ともいろいろ打ち合せて参りました。経過を簡単に申し上げますれば、技術的に三江線を開通させる方式がないでもないというようなことになっておりました。湛水地域の上に上げて、右岸ないし左岸を通る、あるいは左岸で大きく迂回していく、いろいろな案が考えられますが、技術的に比較的勾配の少い線を通って建設できないことはない。ただ問題は、非常に上に上げます結果、トンネル、鉄橋等がふえて、駅舎の建設が割合困難になる。それから湛水区域人口減少等もあって、陰陽連絡という意味は持ちますが、そろばんの点からいうと、収支状況は悪化するから、鉄道の方としてはあまり歓迎はしないというふうなのが、目下の状況でありまして、私の方も建設費増加等については十分考える余地もある、何とか一つ鉄道も上を通るということで、一つ両立案を考えようじゃないかということで、国鉄あるいは運輸省当局協議を進めておりますが、まだ今日現在の段階では、国鉄なり運輸省としては、この上に上げる案を承知したという段階に実はなっておりません。もう少しまだ検討する余地があるのじゃないかというふうなのが先方の意見でございます。  なお付加いたしますが、若干の問題を御参考に申し上げますれば、量あるいは質の点から、中国地方には水力資源としては、これ以外に期待するものがないということは、今申し上げた通りでありますが、一説によりますれば四国方面から送電してきたらいいじゃないかというような意見もあるようでございますが、われわれの計算によりますれば、四国吉野川中流あるいは那賀川の上流、奈半利川、四万斗川というような残された水力資源四国に相当ございますが、果してこれを中国に送り得るほどの余裕があるかどうか。四国需用も相当急速に伸びておりますので、瀬戸内海を渡りまして中国に送るほどの余裕は、あるいは困難ではないかというふうに見ております。  それから原価の問題になりますと、四国の西部から島伝い広島に送るといたしましても、これはなかなか技術上の難点は、あるいは克服できるといたしましても、相当の建設費、従って送電経費を要します。われわれの試算によりますれば、約一円近い送電経費がかかるようでございますから、結局かりに余裕があって送れたとしても、高いものにつきはせぬか。中国側から見れば、むしろ江川を若干の鉄道建設費を負担しても、開発した方が安価につきはせぬか、かつ、地元でじかにやれるという利点があるかと思います。  それから火力発電ないし将来の原子力発電との組み合せ方式につきましては、先ほど申し上げた通りでありまして、貯水池のない火力発電あるいは原子力発電は、機能を十分発揮し得ないということは先ほど申し上げた通りであります。従って今大臣が申し上げましたように通産省としましては、何とか三江線とこのダム建設とが両立するような調整案を得て建設に着手したい、こういうのがわれわれの気持でございます。
  16. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、運輸大臣も見えておりますので、運輸省関係から、輸送力隘路電化によって克服しようという計画もありますし、国鉄電力の大きな需用者でありまする山陽線電化計画と、それに必要な電力、特に江川開発に関しまして、開発三江線予定計画との競合等の問題につきまして、運輸当局としての御所見を承わりたいと存じます。
  17. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お答え申し上げます。  江川電源開発ということは、ただに私ども電化計画のみならず、一般の日本産業として、これはもうこういうことができれば非常にいい、こうむろん一般的な問題としてはさように考えます。ただ、この三江線計画を、これを両方やるとしますと、今の三江線をずっと上の方に上げていかなければならない。上げていって技術的にできないかといいますと、国鉄その他の話を聞きますと、技術的にはできないことはない、できるそうであります。金をかければ、今までの予定が三十億ですが、それを七十億円くらいかける、四十億円くらい多くすればできる。ただ、できた後における三江線の効果というものがどれだけあるかということは、まだはっきりわからないことであります。従って電源開発とこの三江線の問題とは、もう少し関係各省において十分検討をしていくべきものだと、こういうわけで、今慎重にそれぞれ事務当局において話を進めておりますので、その経過を今待っておるわけです。こういうような次第であります。
  18. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは建設大臣が後刻見える予定になっておりますが、まだお見えになっておりませんから、この際、電源開発会社としまして電源開発の問題、及び特に江川問題の開発に関する御所見を承わりたいと思います。
  19. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいま御指名もございましたので、私より簡単に電源開発現状と申しまするか、将来に対する当会社のあり方というようなことにつきまして、まず申し上げます。  だんだん先刻来お話もございました通り、最近わが国経済規模ないし産業構造なるものが、ますます高度化の一途をたどりまして、いわゆるエネルギー源、特に電力への依存度が急激に増大しつつあるのであります。しかも電力のうちでも、一方火力の方は、いわゆる新鋭火力というものがどしどし新設され、やがては原子力へと移行していくというような状況でもあるのであります。この結果、わが国発電構成は、従来の水力ベースとして、火力補給用とする構成から逆になって参りまして、新鋭火力自流式水力を常時的のベースロードといたしまして、これに大きな貯水池式水力を尖頭負荷用、いわゆるピーク用、または補給用とするというような構成に転換して参っておるのでございます。このために、当会社の担当しておりまする貯水池式水力というものの開発は、単に電源増強水力有効利用というためだけでなく、さらに新鋭火力あるいは原子力発電が実現されるような場合には、その原子力発電なるものを経済的に成り立たせるために、ますますその重要性が加わってきているというのが現状でございます。  ところが、わが国水力資源は在来の調査によりますると、残りざっと十四万キロワットしかないということになっておりまして、これを従来のような安易な方法開発いたしまするためには、貯水池式の大電源開発はとうてい不可能となりまして、この天与の循環資源を減殺してしまうというおそれが多分にあります。ところが、大規模なる貯水池式水力開発は、非常に多額な資金が要ります。その資金の調達、また、水没関係で補償問題が非常に困難な問題がだんだん出てくるのでございまするが、その補償問題の解決、さらには国全体としての国土総合開発との関連等というようないろいろの問題とまた関係して参りますので、今後ますます困難な事情もそこにあろうと予測されます。  そこで、これらの困難を克服しながら、この残り少い電源をもっとも有効に開発していくには、従来の観念を一擲いたしまして、新しい開発方針をここに打ち立てて、国家百年の資源政策とせねばならぬということを、われわれは痛感いたしております。そのためには、どうしても水利権が当会社にあるとか、ないとかいうようなことに関係なく、この残されておる資源国家的開発を使命といたしておりまする当会社が、できるだけ完全な開発計画を樹立するためには、いろいろと全国の各河川を通じて、その河川調査を積極的にやることのできまするように、この際さらに新規の調査河川等指定を御当局から大量に御追加願うような必要が多分にあろうと思います。  もともと当会社は、大規模にして困難なる電源を、国家資金をもって開発を行うという、まことに高度の公共性を持っている特殊会社でありまして、その開発した電力は、それぞれ各地域の九電力会社供給する関係になっておりまするので、当会社とこの九電力会社との間は相協力すべき関係になっておりますので、当会社のこの開発方針電力会社経営方針と抵触するということは全然ないと考えておるのでございます。  それから、これはもう一般的な電源開発に関する当社の態度でございまするが、ただいま問題になっておりまする江川のことにつきましても、つけ加えて申しまするが、これもだんだん先刻来お話がございましたように、この川筋については、去る昭和二十八年の六月の第八回の電源開発調整審議会におきまして、当会社調査河川指定されました。以来約三カ年にわたりまして、鋭意調査を続行して参ったのでございまするが、現在最終的な計画案を確定いたしまして、いつでも工事の準備段階に入る態勢を整えて参っておるわけであります。  しかしながら、すでにお話もございました通り、この地点開発に当りましては、開発する前にあらかじめ解決せねばならぬ二つの懸案問題が控えておるのであります。その一つは、申すまでもなく、国鉄三江線予定線のルートと現在の予定ルートが、この江川水力開発のために水没しまうということ、また、いま一つは、約八百戸になんなんとする今までにない大きな水没家屋の補償問題、処理問題でございます。このような事態に対しまして、当会社といたしましては、現在の計画案確定までに技術面は申すに及ばず、経済面もあわせて広く検討いたしました。  まず、需給面でございますが、最近の電力需用の上昇傾向は、全国的にまことにめざましいものがございまするが、特に中国地域は、増加率において、全国平均を上回る著増、著しい増加を示しております。電力調査委員会の最近の想定を基礎に検討いたしましたるところ、中国地区においては昭和三十七年、三十八年度におきましては相当な不足が予想されまするが、その時期に江川開発が実現されることによりまして、この不足は一気に緩和されてしまうということになります。また、この江川は大容量の貯水池を持った発電所でありますので、その機能上、電力負荷のピーク部分を受け持つ、いわゆる尖頭負荷の部分を受け持つのでありまして、新鋭火力ベースロードとすることによりまして、最も効率的に運転させるという、いわば質的に良質的な電気供給するという効果を持っておるのであります。このほかに、さらに拡大して参りまする電力系統の中心地域にあって、大容量火力の事故に即時対応して、常時安定した電力供給に資する効果も実に大きなものがございます。このような効果は、特に江川を小規模階段式に開発しますならば、一切つぶれてしまうというようなことでありまして、それと同時に、中国地区の他の水力資源にこれを求めましても、とうていこれは得られないのであります。また一方におきましては、西日本を総合して考えまして、中国不足を補うのに先刻もお話がありましたが、四国の那賀川、吉野川、奈半利川、三河川約六十万キロ・ワットに期待するということも、江川のこともあるので、一応検討したのでございますが、それは工期的に申しまして、昭和三十七、八年ごろに起る中国のこの大きな不足には、とうてい間に合わないのでございます。  以上電力需給の関係から、また、水資源有効利用の上から、四国水力との比較というようなことなど、あらゆる面について検討いたしましても、江川の大規模早期開発は、絶対に必要とわれわれは考えております。  さて今申しました事情でございまするが、この二つの懸案問題につきましては、まず三江線の問題について申しますならば、これは昨年の五月通産大臣に総合的な調整方をお願い申し上げまして、その後企画庁を初め、関係官庁の御努力によりまして、事態は相当好転しておると承わっておるのでございまするが、問題の性格上、これはどこまでも国家的見地から解決せらるべきでありまして、そのためには、当社といたしましても、最大限の努力を惜しまないつもりでございます。政府の御方針に即しまして十分に協力をいたす用意をいたしております。また、もう一つ水没家屋の補償につきましても、もとより現地及び地元関係の御当局の十分な御援助が必要でありまして、その御協力が得られまするならば、これまた、今後会社のわれわれの努力におきまして、できるだけ公正な、また水没家屋の方々の御納得のいくような補償をいたしまして、予想されるような社会的影響なしに、公正妥当に解決し得ると確信しておるのでございます。  以上御説明申し上げました。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 運輸大臣に対しまして、他の委員からも質問があるようですし、非常に忙しいようですから、私は簡単に企画庁の長官に、二点だけお尋ねいたしたいと、かように考えております。先般の委員会においても、長官の意見を聞いて見ますと、原子力の問題については、まだ見通しはついておらない、こういうことを言っておられるが、その反面には、二十四トンのウランを入れれば、石炭の七千万トンの発電ができるんだと、しかも、アメリカにはあり余った油があって、アメリカにはそういう必要がないから、非常に有望だということを言っておられるのに、こういう計画をされる場合に、この原子力という問題は全然考えておられない。われわれは四、五年前を想起するならば、朝鮮動乱のときには、あれだけの石炭不足をきたして、そうして外国からたくさんの石炭を入れてきた。ところがその直後にはどうです。発電所は、湯水用の金は百五十億も余っておりながら石炭は山積みになって、そうして海底に投じなければならない、こういうような事態まで引き起したのでございます。それを今、世界的な好況の波に乗って、今度はこういうことを計画されているが、二年後、三年後、五年後、しかもそれを目標にして、今までにかつてない膨大な予算を組んで、科学の研究をやっている、原子力の研究をやっている。それを全然考えずにこういう計画が成り立っていくものか、今度の問題を一応考えてみたいと、かように思う。その点についての長官の考え方。  それから私は先般佐久間ダムに参りました。三百六十億の膨大な国家資金を使って、三十五万キロワットの電力が出されている。しかも、それは御承知のように東京に四割、中部、名古屋地方に六割、こういう配分になっている。そうして聞いてみますならば、国家の膨大な予算、国民の金を使った電力であるならば、これは全国民に均霑するような電力でなからねばならない。ところが東京は東京、名古屋は名古屋、九電力が、それぞれの私企業の立場において、その電力を取ってしまうから、東京にはネオンサインがあかあかとついておりながら、隣の県では電力を節約しなければならない、こういう事態ができているということになるならば、電気公共性から考えて見ても、ただ電源開発に金を投費するということだけじゃなくて、その電源、その電気を全国民に非常にフルに均霑させるためには、何らかのここに機構の改革を考えなければ、私はでき得ないと、かように思うわけです。この二点について、大臣まあ非常に時間がないそうですから、専門的な立場で質問したい方もたくさんおられますから、私はこの二点だけでやめますから、その二点について一つ説明願いたいと、かように思います。
  21. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 第一点の原子力発電の問題につきましては、昨年派遣いたしました石川調査団の報告が、一月十七日づけで、委員会に正式に提出されております。それの報告に基いて、原子力発電計画を立てるということになっております。その報告の要点は、イギリスのコールダーホール・タイプの、そうして出力約十万ないし十五万キロワットのものを日本に輸入するのが適当である、こういう報告であります。それがためには、原価計算、採算計算を再検討する必要があると、それが第一点で、第二点は、日本の独特の地震によって起るところの危険をいかに予防するかということが第二点、そのほかにこまかい部分で、原子力発電によって当然起るところの冶金とか、その他のいろいろの炉台とか、そういうことについて、まず何らかの疑問点が残っておるということを申し添えております。そういう点が解消すればもイギリスのコールダホール・タイプを購入することに、まず歩を進めるべきである。それがために第二回目の調査団を、すみやかに派遣をしてもらいたいという報告であって、それについては原子力委員会といたしましては、今年の六月前後にはその目的のために調査団を派遣したい、そうして十万キロないし十五万キロの発電に必要な動力炉を日本に入れるということを前提に話を進めていく、そういうことであります。従ってそれがいつ発送電が可能であるかと申しますと、大体石川報告に基きますと、四年という見通しを持っております。発注して四年ということを言っております。しかし、その数字については決定的なデータはないから、第二回目の調査団が行ってその点もあわせて具体的に話を進める方がよかろう、こういうことであります。それに対して委員会の内部では、全部がイギリスのものを使わなくてもいいんだろう、日本の技術で解決し得る部分が何ぼかあるはずなんだから、それは日本の現在の企業の中において、できるだけ国産のものでもって充当し得るものがどれくらいあるかということは、技術的に第二調査団が行った場合に、あわせて検討すべきである、こういうことがただいままでの経過であります。それが一つであります。  それからもう一つ先ほどお話しの石炭の需給体制をどうするかということでありますが、それは自分たちはこの世界景気に対する見通しというものをもちろん考えておりますが、基本線は国民の分配所得の額を年々伸び、七ないし八%の線で押えていった場合に、十年ないし十二年でもって完全雇用の目的を達成したい、こういうのを基本線に持っておりまして、それに必要な石炭及びエネルギーは、どういうふうに進めていくかということであります。その点につきましては、別にエネルギーの数字を御報告申し上げる資料を持っておりますから、もう差し上げた分があるかもしれませんが、なお差し上げたいと思います。それがパニックが来た場合に、どういうふうにするかということでありますが、これは非常に重要なことでありまして、自分たちとしては現在の国際環境の中において、自分たちの経済力は七ないし八%の伸びを持っていることは、非常な不都合にはならないであろう、こういう見通しに立っております。また、ヨーロッパ、あるいはアメリカ、東南アジア、その他の諸国との貿易関係から見て、貿易そのものの伸びも七%前後の伸び率になれば、現在の国際的な環境から見て非常な行き違いが起らないだろう。その前提のもとに、燃料対策としての石炭の年度計画は不都合なことは、ただいまの採炭計画あるいは増産計画は、非常な迷惑をかけることは起らないという見通しに立っておる、こういうことであります。  それから電力関係の機構の問題がただいまありました。この機構の問題、要するに発電計画と送電計画の問題でありますが、発電計画、送電計画等につきましては、何といってもこれは実施機関の通産省意見をよく聞いてみたい、そうして通産省とともに研究していきたいと考えております。現状が非常に理想的な形とは考えておりません。しかし、これをどういうふうに希望を入れるかということは、はなはだ重要な案件でありますから、よく現場の行政官庁である通産省意見を、あわせて考えたいと思っております。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 その問題は通産大臣からお答えを願いますが、長官の御説明では七%ないし八%の上昇によって、そういうパニックは来ないのだと、こういうことは言っておられる。すべてそれによって完全雇用線まで打ち立てられていることは、この前にも明らかになっておりますが、それでは昭和二十六、七年ごろの伸びは二十五年ごろと比べて、どれだけ伸びておったか。この前の朝鮮動乱によってのみの伸びであったかどうかということを考えた場合に、また二十九年に至って石炭鉱業合理化法、案を作ったときの見方から考えても、ああいう法律案を作らなければならなかったのか、……とにかく近々一、二カ年の間に。ところが、ちょうどそのピークというものが世界的なピークかもしれないが、この好況の波に乗っていることは事実であるが、もしもこれがくずれた場合には、水力発電は水を流せば何も問題はない。人間は七十名か六十名で済みます。しかし、五千三百万トンからの石炭を出せといって設備をさせて、それを出したところの人間は、これは減らせといっても、急に減らすことはできない。掘った石炭が地上で煙をはいているような実情がまたないとは限らない。そういう点に対する心がまえをお聞きしているわけです。  それから先ほどの問題は、通産大臣からお答えを願います。
  23. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 石炭燃料についての対策をどう考えるかということは、これは自分たちの基本の考えといたしましては、単にこれを燃料に用いるというだけでなくて、これを科学的に高度な原料として、将来これを独得の技術を加えて加工していかなければならない、かように考えております。従って科学技術庁はこの石炭そのものの合理的な活用については、単に燃料対策としてこれの増産計画を考えるというよりも、もっと本格的に石炭そのものの持つ科学的高度な利用計画を立てなければなりません。それによってもしも燃料としてこれの需給のバランスが破れるという場合の対策というものは、将来の科学的な処理によって新しい輸出資源として活用すべきものである。こういうように考えております。それについてはいろいろの研究対策も今立ててあります。それは一つであります。  ただいま申されましたような現在の日本の送電計画、発電計画の中には、何といっても水力に対しては火力発電をもっと伸びをきかさなければならない。そしてまた、現在のわれわれの輸出規模を下げないために、また、世界的な競争力をふやしてゆくためには、どうしてもこれはオートメーションはもちろんでありますけれども、技術的な新しい導入によって、たとえば繊維でも、化学繊維の問題がどうしても不可分な産業構造の中にある、質的変化を要求される。そうすると、どうしても火力発電というものは水力発電のアジャストに必要になってくるわけでありまして、それだけ考えましても、昭和三十五年度末の石炭千七百五十万トンと思っておりますが、なお詳細な数字は、あとから間違っておったら、訂正しますが、千七百五十万トンばかりのものが新たにわれわれはどうしても求めてこなければならないものを、ただいまのところ持っている。従ってお説のように。パニックが来るということに対する心配というよりも、足りないことによって国の新しい貿易の質的変化に伴うところの産業構造の変革が可能であるかどうかということが、われわれとしてはただいまのところは実は心配をしている点であります。従って石炭の需要が伸び率が非常に高いということ、しかもそれが火力発電でも八百四十万キロの中で四百八十万キロの火力は、どうしても三十五年中に発送電設備を完了しなければならないという当面の問題だけを考えてみても、石炭はほんとうはむしろ足りないで困るということで、実は不安を持っておる。こういうのでありまして、お説のような事件が起るということは、ただいまのところ非常に重要な時期が来るというふうには実は思っておりません。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 もっと機構の問題に入りたかったのですけれども、時間がないようですから、通産大臣の御説明を願いたいと思います。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 電力料金の問題について、あるいは電力需給の地域差と、こういう問題を中心にして、いろいろ電力事業の態勢の問題にまで発展していろいろな議論が行われていることは、事実でございますが、まあさっき岸田さんからお話がありましたように、電源開発開発として一つの使命をもって発足してまだ五年しかたっていない。ようやく五十万キロの開発をやって、そして電力需給の改善に非常に寄与しているという段階でございますし、一方九電力の方も再編成後まだ五年しかたっていない。しかして九電力のあり方と電力開発のあり方をどう調整するかというような問題も、この問題を解決しなければ困るというようなところまでまだ来ておりません。ですから、それぞれの計画に基いてそれぞれ今この需要に対応する開発をやってもらうということで、当分私はいいんじゃないか、機構をいじることを考えるよりも、今はそっちの方が急務であって、まだ五年くらいしかたたないのですから、この功罪を論じてこの問題を語るよりも、開発を急ぐということを私どもとしては力を注ぎたいと思っております。今度の異常な渇水にぶつかりました際でも、各電力会社は自主的に相互の融通をやって、この危機を切り抜けているというようなことで、この運営についても非常に弾力性を持った経営を現在やっておりますので、この事業態勢をどうするかというような問題については、私どもしばらくあまりこれを考えないでいきたいと考えております。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の通産大臣の御答弁には、私はどうしても納得できない点がたくさんあります。一つの問題にいたしましても、それは電力はできた、だけれどもそれを送電する送電の柱、電線を引くだけでも問題が所々に起っておる。非常に政治的な問題であるから、お答えになっていないと私は思うのですが、この問題はあとで続けたいと思います。宇田大臣運輸大臣がお帰りになるようであるから、同僚議員の質問が残っておりますから、一応私の質問はこれで保留いたしておきます。
  27. 藤田進

    ○藤田進君 本日は三大臣電源開発については、特に江川開発運輸大臣関係もございますので、三大臣の御出席をいただきましたのでありますが、私ども商工委員会といたしましては、過般現地の江川その他の調査に派遣せられて、それぞれ所要事項については、当委員会報告をいたしておるわけであります。この江川開発についてしぼって若干の事情を申し上げまして、大臣所見を承わりたいのでありますが、現地に参りまして、より深刻に私どもが考えた第一の印象は、すみやかに現内閣におかれても諸般の関係省庁における調整をはかられて、この江川電源開発と地元住民が熱望しておる多年の、三江線のすみやかなる開通、こういう点について検討せられ、結論を出される時期に到達しておる。しかるがゆえに国政に重大な誤まり、そごを来たす情勢下にありますので、今日特に委員会の議をもちまして、この調査を進めることに相なったわけであります。  現地の三江線関係地域の皆さんが反対しておられる江川開発の理由は、大きな理由として三江線を従来促進してきて、ようやくその緒についた時期に当って、ここに電源開発がなされるならば、この三江線が中止せられ廃案になるという、あるいはまた廃案にしないまでも、大きく路線変更をして、つけかえになるということになれば、予定の線と違う関係からここに利害が生ずるから、その多くは従来の予定線を進めてもらいたいという点が、電源開発の大きな反対の理由になっておると考えられるのであります。関連しては、水没地域等を中心に若干その立ちのき等の点について反対があるように思われます。また、これに対しては積極的なその地域における賛成もあって、過般来当委員会はその賛成、電源開発促進の陳情を受けて参っておりますが、この賛成の側としては、あの膨大な国家資源三江線のみにとらわれて失ってしまうということは、まことに忍びがたいということであります。  そこで、私ども電力関係調査を従来進めてきた立場といたしまして、何とかこの二者択一の、国鉄路線をとるか、電源開発方法をとるか、そういうこと以外に解決の道はないかということを、私自身実はそういう実務にも当ってきた一技術者でもありますが、そういった点を考慮いたしまして、ただいま通産大臣並びに企画庁長官、あるいは電源開発会社の副総裁から述べられた線、内容をまだ議論いたしておりませんから、その個々について同一であるかどうかは別といたしまして、大きな線としては、ここに両立のやはり計画検討いたしまして、年間膨大な出力を持ち、ことに需給の調整、操作からみても不可欠の中国地域における唯一の水資源をここで失うということは、今後の数カ年を見通しただけでも、まかない切れない現状にある。企画庁におかれて計画されておる現在、大臣説明された需給のバランスの見通しは若干の余裕があると言うが、私はこまかく検討してみるときに、全国的には言い得るであろうが、現状の大きくは九つの地域に分れておるその中における需給のバランスの調整ということについては、江川開発がない限り、中国地域においては火力水力の割合から見ても、また絶対的需要量から見ても、これは開発せられなければならぬという建前で、開発をするということにやはり踏み切るべきではないだろうか。この際に地元の熱望しておられるその希望は、これをやはり取り上げていかなければならぬところに苦心があるわけでありますが、私は現地に参りまして、現地地元のあの狭隘ではあるが長い山間の地域を見て、さらに実地測量部の図面によるペーパー・ロケーションその他をやってみましても、技術的には運輸大臣も言われた通り可能である。しからばここに国鉄の存在価値、将来の営業的な関係、また、他面電源開発との国家的施策の関係、この調和であって、私はここに両立論をやはり打ち立てて、この線によって、すみやかに現内閣におかれては結論を出されるべきではないだろうかという確信を持つに至っておる一人であります。  ついては、運輸大臣も、あるいはその他の大臣からも御答弁がありましたように、現在事務当局においてその調整をやらせているのだということでありますが、要するに今日の行政を見ておりますと、それぞれの立場において自己の主張を通さんとするあまりに、大きな国家の総合的な開発というものが、いわばタイムリーにそこに調整ができないために、早く着手した方がやはり文字通り優先先行いたしまして、事をあやまる結果になる憂いなしとしない。国土総合開発審議会もありますし、私もその一人のメンバーでありますが、これまた現状において多くを期待するには力が足りないというふうに感じます。このこまかい必要性等については、なお午後関係者を参考人として招致しておりますし、関係大臣はもとより御検討になっておるところでありますから、これを省きますが、結論的にこの段階においては三十一年度の国鉄三江線の工事は執行せられておりますし、引き続いて、三十二年度四月以降の予算が国会に出されておりまして、これが通過することをわれわれも望んでおります限り、現在の最も経済価値のある開発、すなわち九万数千キロの高梨ダムを作るということになりますと、三十二年度の国鉄工事にもぶっつかるわけで、ここに時間的にどうこれを結論づけるかが急がれるゆえんであります。そうなりますと、事務当局においてそれぞれ検討調整をほかられることも、これまた必要でありますが、今日の政治機構、ことに通産行政、企画等にも明るい石橋総理が不幸にして病気でありますために、ここで関係大臣、すなわち運輸大臣通産企画庁長官の三国務大臣の間におかれて、いわば閣僚間の話し合い調整ということを急いでいただく以外にこれは道はないのではなかろうか。三十二、三年度のコストであるとか、国鉄の今後の利用価値がどうだとか、いわば事務的折衝などについて、事務当局の議論は結局まとまらないままに、三十二年度予算執行という形で国鉄路線をつけてしまう、相当ついた暁に、元へ返して手戻りのある国鉄路線の変更ということも、直接の運営としては好ましくありませんし、また、地元の感情としてもこれをとるところではないと思われますから、今後七年ないし十年かかるとも言われておりますが、この三江線の促進もしていただかなければなりませんが、しかしかなり長期を開通のために要する現段階における三江線の路線の設置ということも急がれるが、より急がれるのが再三申し上げるように、電源開発国鉄との調整というものがここ一、二カ月の間に行われないならば、これはとうてい至難な問題になるのではないか。後世の人たちがどう批判するかは将来の人たちにまかせなければなりませんが、当院においてこれを取り上げた記録は私は残るわけでありますが、これがさらに実をのせて、そして将来振り返って遺憾のないようにしていただきたいと思うわけで、運輸大臣並びに企画庁長官通産大臣におかれて、今後積極的にこの問題を二者択一の形でなくて、地元住民の希望を生かしつつ水資源開発して、わが国電力需用に応じるという建前で、早急に閣僚閥の話し合い調整をやってみる所存があるのかどうか。ぜひともそうしていただきたいと思うわけでありますが、この点についてお伺いを申し上げたい。
  28. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) ただいまの藤田委員の言われたことは、根本において私は全面的にそうならなければならぬと思います。それで鉄道建設と、そうして電力開発とが技術的に両方とも、可能であるという線が出て、そうしてこれがうまく運輸省通産省で、事務的にも調節ができるように、われわれはまず第一に努力を払うべきであると考えております。その次に、これがどうしても都合が悪いという線はどういう点であるかということを、なおこれは深く掘り下げて研究しなければならない。おそらく先ほど運輸大臣からお話がありましたように、三十億のものが七十億というふうなことになると、予算措置等もなかなか簡単にこれはきめがたい条件も起るだろうと思っております。従って経済企画庁といたしましては、何といっても中国地方電力不足ということはこれは十分わかっておりますので、この地区に対しては、従来ともに特別の対策を早急に立てなければならぬものである、これは十分承知いたしております。従ってそういう線の要請については、私は通産省意見は、これは大いに考えなければならぬものだとそれは思っております。いずれにいたしましても、両方とも技術的にうまく調節のできるようなことということを第一目標にいたしまして、話し合いを両大臣としてみたいとは考えております。
  29. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) ただいま藤田さんからのお話しの、三十二年度というものが迫っておって、三十二年度の計画を進める部分が、もし電源開発をすれば水没する部分に当るというような問題もありますので、この方針は早急にきめなければならぬことだと思いますから、ただいま企画庁長官お話し通り一つ関係各省においてさっそく相談をいたしたいと思います。
  30. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私も全く同感でございます。さっき話しましたように、鉄道審議会委員として、こちらの方の計画を少し無視して、私は三江線をきめた責任者でございますので、今非常にその責任を感じておりますから、これは事務折衝で今やらせておって、これが少しおくれるということになりますと、ことしの審議会の予算の決定等が迫られておりますので、あるいは間に合わないかもしれないと思いますので、方針は至急三省間できめて、そうしてこまかい点の打ち合せば、事務当局にまかせるというような方法でもとらなければいかぬのではないかと私自身は考えておりますので、元のあのときの鉄道審議会委員に対しても、管轄外であっても、そこへいろいろ相談をかけたり何かしまして、急速に私はこの解決に骨を折りたいと考えております。
  31. 藤田進

    ○藤田進君 運輸大臣お急ぎのようでありますから、この際要望いたしたいのでありますが、私ども現地なりその他のペーパー・ロケーションにおける概略、従来の経験に基いて判断してみましても、今指摘せられておる七十億というのは一応こちらの数字で、これをとやかく申しませんが、ややもすると、やはりこういう競合する場合に、国鉄のあるいは運輸省事務当局におかれては、みずからの職務を遂行するために、万全ならしめるために、工事費等についても、比較的余裕のある完全な仕事にするということに熱心のあまり、思わざる経費を一応予想されることが多いように思われるわけであります。これは他の同様同種の事案についても、私ども経験しているところでありますが、私どもの見たところでは、今言われておる七十億というのが一応のちょっとにらんだところの概算的なものであり、さようにはかからない。およそ五十億も見れば、これは完全な現行鉄道建設の諸規程に基いてできるし、将来の維持もできていくというふうにも考えられます。これも精査したものじゃありませんが、こういう点も十分一つ有力閣僚である運輸大臣とせられても、国家的視野に立たれて、この処理に当っていただきたいことをお願い申し上げておきたいと思います。
  32. 白井勇

    ○白井勇君 運輸大臣、お急ぎのようですからちょっと一言、簡単ですからお伺いしたいのですが、先ほどのように、今藤田君からもお話のありました、さばを読みますことによって三十億が七十億という経費の問題があると思いますが、そのほかに、今運輸大臣からお話しのありました、問題となっておりますあれですが、かりにかさ上げをしまして敷設をしましたあとの、その地帯の経済効果というものがどうなるかという問題があるというお話がございましたが、私たち現場へ行ってみまして、私もただ川筋を通っただけでありますが、ほとんど耕地らしい耕地というものは、農業を営んでおります者でも、せいぜい四反未満の……一町という者は、ほとんどそれは何人か、数えるくらいしかない。山という山は、川から、道からはずれますればほとんどはげ山で、地元のいろいろな人の話を開きましても、それほどの資源というものはないのですね、あの地帯には。問題は、長くああいう要望事項がたまたま出ているのは、要するに裏と表というものを鉄道でつないでもらいたいというのが、端的な要望であって、まあそれにかわりまして、最近は、河岸ふちあたりから、何といいますか、あの三瓶山を中心としました半耕地を作りたいという意向もあるようでありますが、そういう程度のものでは、経済価値その他の要望というものは、むしろその両端にあるのであって、あの地帯というものを鉄道ではどういう考えを持っていらっしゃいますかね。そう大きい経済価値というようなものは考えられぬのじゃなかろうかと思うのですが、あれが一体埋まりますと、どのくらい鉄道の初めから予定になっておりました効果というものは、どういう積算になっておりますか。
  33. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お答えいたします。その資源開発のやはり一つの路線になっておりますが、現在のところで一番ねらっているところは、森林資源であります。それから以外の点は、これからの科学の進歩によるなには別として、現在では森林資源です。ですから、その森林資源が現在においても大してないということであればなんですが、かさ上げすることによって森林資源というものは、ほとんど取れなくなってしまうということだけは明らかですが、今の両線をつなぐということだけになってくる、そういうことはあると思います。八百戸になにする、そのなにが、ほかへ移ってしまえば何もそれはその人たちの、おのずから鉄道を敷くことはないということになるのじゃなかろうかと思います。そうすると、もう連絡だけのことでありまして、経費の点はただいまお話し通りで、七十億で上るか、五十億で上るかはわからないことで、もっと精密にやらなければわかりません。まあ今までの話しによると、その経費のよけいの分は、電源の方で出そうということもあるそうでありますから、その問題ではなくて、この路線の森林資源開発ということが、あなたのお話しのように全然大したものじゃないと言えば、これは両線をつなぐだけの問題ですが、両線をつなぐだけの問題ならば、かさ上げをして、それはむろん輸送力その他は減退しますけれども、連絡だけはつく、こういうことになると思います。
  34. 白井勇

    ○白井勇君 これはまあ私の立場から見るだけですから、いずれまた事務当局からでも、お調べがありましたら、資料としてお出しいただきたいと思います。  それから、字田大臣にちょっと一つ私からお伺いしておきたいのですが、日本では電力も足らぬし、ことに中国地方はそういうことで、中国地方は将来電源開発はここだけしかないのだ、四国から敷くにしたって、これは設備になるかもしれないし、設備費用がうんとかかってしまう。こういうことでそこが縛られているのですね。そういう段階で、二十八年に一応あすこが調査地に指定になって、その後電発か何かでずっと調査をいたしましても、去年の四月に一応結論を通産大臣は出しております。そうしますと、これはもちろん問題のあり場所というものは、今各大臣お話しになられるようなことは、その当時から私は問題になっていると思うのですね。ところでその経過を調べてみますと、その後八月くらいに、今おそらく企画庁中心になっていると思いますが、各省に関係がありますので、調整をやりますね。そういう会合というものを持たれたのが八月くらい以来、何回かという程度のものであります。その後もう約一年になろうとしておるのですね。なおかつ、その間の調整がとれないと、片一方においては電力が足りない、足りないと言っている。こういうことは、なぜ企画庁中心になって、そういうことが国全体の要望として早く調整できるようなことができないものであるかということを、非常に疑義を持つのですがね。私たちはこの間現場に行って見ましたけれども、出先の通産省のお役人あたりも、まあそれは各関係の知事が反対しているのだから、ほうっておけばいいじゃないかというようなことで、まことにこれは投げやりのような感じを受けたのであります。一体これは通産省では、電源開発についての大いに推進をするという職務がある。あなたの方には、調整をしていくという重大な使命があるのですね。今のようなことが実際どういうふうに行われているのか、まるきり私はその判定に苦しむわけですが、一年もたって、なおそういう調整がつかないというところに、どういう隘路があるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  35. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) これは率直に申し上げますと、参議院の方にはよくおわかりにならないので、衆議院の議員の方から言って、非常な影響力があるので、水没地区の補償の問題、その府県に、ここにいらっしゃる藤田さんのような、これはもう十分におわかりの方もありますが、衆議院の諸君に聞くと、非常な、これは水没していく地区の有権者諸君の不安というものが非常に大きく浮んできて、それに対する社会問題としての対策が十分に講ぜられるかどうかということは、島根県については非常に大きな政治問題になっているのであります。そういう面について、簡単に電気のキロワットだけから見て、そういうような大衆の必要な生活をスポイルするようなことがないようにしてやる、特に衆議院関係の諸君から切々たるお話があり、また非常に深刻な陳情もあります。そういうことを承わってみたときに、経済企画庁には一体おれを見殺しにするのか、あんなことになっているのに、というようなことも出て参ります。実際それは全く参議院とは違って、衆議院には独特な、そういうことについてのあれが……(笑声)ということもありますが、どうか一つ、いずれこれはもう三省間でよく話し合うようにいたしますから……。
  36. 白井勇

    ○白井勇君 これは意見みたいになりますけれども、この間行って見ましても、前にやられたところが一戸当り二百万円くらいの金をもらいまして、この現地で……。私が行ってみても、農業をやろうとしても、結局は土地を取られてしまうということになりますと、現在やっている者が、賠償をもらう前の四割くらいの収入しかないような生活に落ちているのだ、こういう例をあげまして、反対者が陳情しているわけですね。これは私たちはむしろ将来はやはり通産省が主に当られるのか、あるいは県を通じてやるのか知りませんけれどもね。やはり島根県なり、広島県だけの、関係県だけではやはりいかない面がありましょう。実際これは耕地を、例えば岡山に与えるとか、十分そういう具体的のめんどうを見てやって、補償をはっきりこういうふうにやってやるのだ、むしろこういう地帯の恵まれない農村なり、山村の人たちというものは、これを機会に新しい天地が開けていくのだという補償を、積極的に政府がめんどうを見てやるというところの世話までいきませんと、現金を二百万円返せばそれで済んでしまう、こういうような扱いは、私は非常に将来に禍根を残すものだと、私は見てきたのです。そういうようにはっきり線を出しますれば、今おっしゃるような、地元の衆議院の方の御心配になるような点も解消するのじゃないかと思うのですが、そういう具体的な、むしろいい面があるのだということについての趣旨の徹底も、努力もないようですね。まあこれは意見ですけれども……。
  37. 小幡治和

    ○小幡治和君 今大体私が質問をしようと思ったことを、藤田委員、並びに白井委員から御質問あったのですが、私実は今運輸大臣のおっしゃいました約三十億円の予算というものが、今度高く上ることによって、四十億プラスになる、七十億かかるというふうな計画で、しかも、その四十億というものは開発会社の方で担当するからいいじゃないかというふうな御意見もあったようですがね。私はこの問題は、こういう一つの発電という問題と、鉄道建設という問題が競合した場合に、そいつを調整する、そういうときに一体建設費の三十億円の倍以上のものがそのことによってさらに増額をするというふうなことをそう簡単に……、一体開発会社で負担するからいいというふうな議論で処置すべきものではないというふうに私は考えるので、この場合に、先ほど白井委員の御質問に対して、大臣はまあ森林資源に対する一つ鉄道ということで、要するに両端を結びつけるのが目的なんで、森林資源ということも、かさ上げする、高くすることによって、それほどの効果はないということであるならば、むしろそういう高くするということじゃなくて、別の路線を考えるなり、また別の計画を立てるなり、この際この競合というものは、やはり電力というものをまず中心にして考えて、鉄道計画というものが二の次に根本的な改訂というものを考えなくちゃならぬ段階じゃないかというふうに私は思うんです。で、まあそういう点について単に技術的にまあ何とか調整する、あるいは金の方は会社の方で負担するから、三十億が倍以上の七十億になってもかまわぬというような今の調整では困るというふうに私は思うんですが、これについての御答弁を承わりたい。
  38. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お答えいたします。ただ金の問題でかまわぬというだけでなく、この問題は、この三江線については両県並びに地元の非常な強い要望がある。なかなかこれは実際問題として、今のお話しのように国家的の見地から電源開発のためにはこれを犠牲にしてもいいと、国家全体の立場からお考えになっても、実際問題としてこの地方民の熱烈なる要望をしりぞけるということは、なかなか私は困難じゃないかと、こう思うんです。すでに予定線として工事まで進めている。従ってこれらのことはやはり両方考えて調整をしていかなければならない。また、簡単に言えば八百戸のなにを、今のような生活をするよりも、もっと岡山県のそこへ持っていってよくさせると言いますけれども、果してそれはできることであっても、住民がそれを了承するかどうか、これに何年かかるか、こういうことを考えれば、まあ普通考えれば、十年や十五年じゃとてもできないだろう。まあ私どもの郷里についても、わずか五十戸か六十戸でも、六年かかってなかなかできません。八百戸移すのに、十年や十五年でちょっとこれができるとは考えられない点もあるんじゃないか。それらのことをいろいろ考えて、これはみんなできるようにしていかなければいけないんじゃないかと、つまりまあ今のなにの問題は、この住民の移転その他の問題は、私どもの方でかれこれ言うことじゃない。それぞれの関係省においてやるべきものとしておやりになれば、それはいいんですけれども、それからまた両県の問題にしても、それらの問題をすべて考慮して十分にあわせてこれは考えていかなければならない。ただ、これを藤田さんのお話しのように早急に考えなければならないということだけは明らかで、そうでなければ、これをやるとすれば、もう三十二年度の計画を進めていってそれは水没の方に入っている。それから他の線というものも考慮されております。これは非常に迂回するとともに非常に傾斜があって、今のような線がほかにない。それでも今度はかさ上げすれば、非常に高いところを通らなければならないということになる。それらのことをあわせてこれは関係各省において十分協議しなければいけないんだと思います。
  39. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は水田、宇田大臣にお尋ねしたいんですが、まず最初に、このエネルギー源の転換という大きな問題について御質問申し上げたいと思うのであります。まあ御承知通り道路、それから電源というものが日本産業の基幹であることは、もうこれは論議するまでもないのでありますが、御承知日本の貿易の立場から見ましても、最近の日本の輸出品というものが非常に割高になっておるわけであります。まあ、御承知の戦前はいわゆるダンピング、コスト・ダンピングというような問題がありまして、相当太刀打ちができたのでありますが、現状においてはそういうことは許されない。その日本の商品のコストの高いのは、一体どこにあるかということになると、結局この石炭という問題が多いようにまあ考える次第であります。で、御承知電力開発に使う石炭量がまあ来年度が千二百五十万トンですか、それから今宇田国務大臣お話しによりまするというと、まあ何年か後に火力だけで使う石炭が千七百万トン要するのだと、こういうお話しになって、一面において水力電気開発は盛んにやっておられますが、なおかつ、この火力発電に待つところが非常に多いように考えておるのであります。で、日本の石炭の高いということは、決して労力が高いということじゃないのであります。最近の例を見ましても、西ドイツ並びに英国あたりに比べまするというと、大体二倍、アメリカに対しては二倍半も日本の石炭というものは高い。これは申し上げました通り、労力にあらずして、非常な不生産的な山まで掘らなければならぬというようなことで、また、基本になりまする輸出品というものが、こういう高い燃料を使って出しているということになると、これは世界的に太刀打ちできない、こういう問題になってくるのであります。それから一面において電力開発を盛んにやっておりますが、日本にはややともいたしますると、電力開発に伴う原価高という悪循環さえもあるわけなんです。それから一昨日私が長官にもお尋ねいたしましたが、原子力の大衆的な利用というものについての見通しをお尋ねしたのでありますが、これはまだはっきりしていないようでございます。そういう点から言いまするというと、ますますまだこの火力発電に待つところが多いのじゃないかと思うのでありますが、こういう点からいって、この石炭に対しまして、この石油に大幅にある程度転換をするというようなお考えがあるかないかということ、つまりまあ石油は御承知通り、世界市場に一つの統一をされたこれは商品でありますので、相場もそう大きな開きもない。まあ現に来年度の千二再五十万トンのうちのおそらく百五十万トンくらいは石油を使わなければ、この電力関係の今の石炭目算だけでも足らないのじゃないかと、こう思うのでありますが、いわゆるエネルギー源の転換について、将来石炭に対して石油にある程度これを転換するという、こういうお考えがあるかどうか。これをまずお伺いしたいと思います。
  40. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) それはただいまのお話は、大体私の考えと同じように思いますが、いずれにいたしましても、エネルギー源としては火力発電をますます拡大していかなければならぬと思います。そうして石炭は日本に五千万トン以上のものは、これは出炭能力はありますけれども、御承知のようにコストが高いのですが、しかし、これから非常な急ピッチに伸びる需要に対して、これが合せ得るだけの石炭量があるかどうかと申しますと、必ずしもそれは伸びに石炭が追いつけないという実情になるだろうと思われます。従ってそれは重油によって多きを補っていくということに必ずなる、またそうせざるを得ないと、こう考えております。
  41. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 質問をかえて通産大臣にお尋ねいたしますが、電気事業法の改正というものが、この前の予定報告の中にあるようにも聞いておるのでありますが、まあこの中で私は一番将来大きい問題になりますのは、電源開発に必要なこの河川のまあ権利といいますか、河川の問題だろうと思うのでありますが、幸いそこに建設大臣もお見えなのでありますが、やはりこれはまあ所管の争いというと、ちょっと大げさなんでありますが、やはり通産省河川というものを握らない限りは、この電源開発というものがこう自由にいかないのじゃないかと思うのでありますが、その点は御所感はいかがでございますか。
  42. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは長い間の問題でありまして、……まあこちらはそう言いたいところですが、(笑声)従来からの問題でございまして、これはやはり関係庁の共管というようなことで円満に片づけていくという処置をとるよりほかには、現実的なこの方法はないだろうと思っております。
  43. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいま建設大臣が見えました。河川総合開発の見地から、電源開発に関連いたしまして水利権の問題、漁業権の問題などについて御説明を願いますとともに、この委員会で問題となっております江川開発の点につきましても、御所見を承わりたいと思います。
  44. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) お答えします。水利権の問題について、河川の管理は建設省が当っておりますが、その方針としては、公けの利益を増進しまして、公けの弊害になるようなものをなるべく除去するような方向へ管理をして、そうして認可するように今まではきております。江川につきましては、その方針できめるのでありますが、いまだ申請書が参っておりません。聞くところによりますと、まだ運輸省との話し合いがついておらんようでありますので、これらの申請が参りました後に考慮したいと思っております。
  45. 藤田進

    ○藤田進君 特に建設大臣をお招きしたのも、今委員長から指摘いたしました点、同僚委員の方からも質問がありましたが、今日の河川行政が、実態的には電源開発その他の施設等々で、これまた調整に非常に悩んでいるような実情にあると思います。これに中央政府関係とさらに地方庁、知事との権限の関係もあります。私も河川法はかなり多年その運営をとってきた一人でありますが、確かに古い法に対して、自後最小限の改正を若干加えてきたというのが、その歴史的な経過だと思うのであります。現状において国土の総合的な開発をする、ただいま問題に供せられているのは中国地方島根広島に関連する江川であります。河川大臣の直轄もありましょうし、地方庁に全くゆだねたものもありましょうが、この江川につきましては、国鉄三江線の開通の問題と電源開発の問題とが、ここに総合調整しなければならない段階にきているのであります。こういうときに、ただいまも質問が出ましたように、少くとも直轄河川等について少し法的な検討をせられるべき時期ではないだろうか、それぞれなわ張りがあって、国鉄国鉄、関連して運輸省という形になるし、通産省通産省の立場があるし、それぞれ一家をなして、その間に国土総合の開発ということが円滑に進まないままに、時の力関係において先行すべきは先行する、こういう実情にあるのが遺憾ながら現在の政治機構であるように思われるわけであります。それが江川の場合ここにはっきり出てきて、まあ現内閣としては出発早々でありますから、過去の内閣を責めてみてもいたし方ないことでありますが、現内閣におかれても、さような直轄河川に対する、その沿岸を通る国鉄なり、河川そのものを資源として水資源開発をする電源開発、その他これに関連しては、漁業補償といったようなものが必ずつきまとってくるわけで、あるときには漁業補償についても建設省、特に事務当局が、われわれが見ていて必要以上にその場に出て、かえって問題を困難ならしめている事例もなしとしないのであります。これは本日具体的事例を申し上げてという時間がございませんが、建設大臣河川の監督をせられる立場から、以上のような建設大臣におなりになって、どういうこれらの点について御所見をお持ちであるのか、これをお伺いいたしたいと思ってお呼びいたした次第であります。
  46. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) お説のように、国土総合開発という立場から申しますと、今までの古い河川法では、なかなか解決しにくい面も多々ありますので、新しい時代に照応した改正もしなければならんと目下検討中でございます。なお、お説のように、江川の問題についての各省との関係のために、国家目的がだんだんおくれるじゃないか、また、国土の開発がそれがために遅延するじゃないかという御懸念につきましては、ごもっともでありまして、今までの行き方は、なるべく中央政府がこれに、地元のことに関与して、そして行き過ぎたことのためにかえってためらかにいくことが逆効果をするようなこともありますので、できるだけ地方府県知事等のあっせんによりまして当事者と話し合いをしてもらって、そして円満な解決をつけた後に申請をしてもらって、これに対する態度をきめる方向でおるのでありまして、何か江川の漁業権等の補償につきましても、建設省が少し行き過ぎたような措置があったようなことのお話しでありますけれども、この点はさような方向には行っておらんのでありまして、できるだけ地方の円満な解決を待って進めたいという態度をとっておるわけであります。
  47. 藤田進

    ○藤田進君 電源開発が一応代表でありますが、水資源開発ということが中心で、諸般の問題が起きる、わけでありますが、直轄河川に対して建設大臣としての発言権というか、これは水利権の許認可が知事にあるという関係において、その多くは知事にゆだねられた形になっておりますが、しかし、建設大臣はその河川の管理その他監督について重大な責任があるわけでありますし、日本の大河川、少くとも直轄する河川はことごとく電源開発を持っているし、また、将来ただいまの五カ年計画その他の計画を見ても、水資源開発を包蔵しているわけでありますが、これらについては、今後建設大臣としては、あげて企画庁なり通産省なり、さらに関連があれば運輸省、こういう関連省において、あるいは地方知事間に、そういう形で建設大臣としてはたとえそれが直轄河川であろうとも、円満な解決をひたすらに待っておるという態度なのかどうなのか。ただいまの漁業補償についてはわかりました。新大臣としては、少くとも問題の解決はできるだけ建設省が中に入って問題をかえって複雑にすることのないようにするということでありますが、その他の最も大きい、根本である電源開発等についても同様な態度なのか。  また第二の点は、河川法等関連した法律を今読んでみましても、旧憲法下における法の制定ということであったので、相当そぐわない点もあるが検討中ということで、その実体はよくわかりませんけれども、一方通産省におかれては、ただいま本国会に電気事業法の提案をしたいという希望を持ち、これが提出のリストに載せてきておられるわけであります。これに関連しては、かなり広範な河川行政一般について、電力行政の問題について、あるいは現行の電力事業に対する機構上の問題等、広範に論議せられることだと思うわけであります。これは当然河川の監督官庁として建設大臣がどういう意志であるかということも、われわれは将来日をあらためてたださなければなりませんが、あらかじめこの関係をただしておきたいと思います。
  48. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) ただいまの御質問につきましては、十分通産省運輸省その他と直轄河川の問題について協議をいたしまして、万遺漏ないように措置したいと考えておるわけであります。河川法の改正につきましては、十分、先ほども申した通り、皆さんの御意向も尊重いたしまして、その方向に行きたいと思っております。
  49. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほどの質問の続きになりますが、先ほどの通産大臣の御答弁では、九電力になってからまだ五年しかたたないから、そういう電気の配分を考えるよりも、まず作るんだと、こういうことを言っておられる。私も、その言われる意味はわかるんです。ところが、政治的にこれは非常にむつかしい問題ではあろうと思いますが、高い立場に立って全国の企業を考え、電力事情を考える場合に、これは政府が莫大な金を投資して電気を起したやつを、なるべくどの地方にもやられるように、あるいは、片一方が非常な渇水で困った——同じこういう水力電気でも、あるいは渇水によっては非常に差ができてくる。そのときの場合もそれは言える。そうした場合に、いつでも供給ができるんだというようなことは、当然私は考えるべきであろうと思う。五年たったからどうだこうだということよりも、そんな金の要る問題でもないと思う。これは、もっと政治的な問題が私はからんでおると思うが、そういう問題は別にして、これは行政の最高責任者にあられる通産大臣が考える場合に、今のような機構が一番いいとお思いになるのか、それともこれはだめだ——これは国策会社です、国策会社にこれだけの仕事をさしておいて、あとは九電力で、自分の独立採算制でやりなさいというようなことが、いいのか悪いのかという私は根本的な考え方をお聞きしておる。その点の御答弁を願いたいと思いますのと、参考人の方にまことに失礼ですが、まあ電発会社としての考え方もおありでしょう。また、お答えにくい点もあると思いますが、私は、電発とか九電力とか、あるいは自民党とか社会党とか、そういうことでなくて、国民の税金を使って、莫大な金を使って電源開発しておるならば、それを、一方にはあかあかとイルミネーションをつけといて、そして一方では電気を制限せねばいかん、そういうことがいけないと、私はこういう見地に立って御質問申し上げておりますから、一つ岸田総裁も御迷惑でしょうが、お教えを願いたい、かように思います。
  50. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、電力再編成のときに今のような形の再編成に賛成しなかった方の者でございまして、それには、理由としましては、今あなたの言われるような立場から見て、こういう形の事業体制がいいかということについては、根本的に問題があろうと思います。ですから、その将来のあり方については、十分私どもは研究をこれからいたすつもりでおりまが、さっき申し上げましたのは、とにかく問題があったにしろ、こういう形で電力の再編成が行われてしまった、そうして、まだ発足して五年ぐらいのところであって、しかも、それが今問題になっている地域差そのほかの問題を中心にして、現実に大きい支障が来ておるかと申しますというと、来てはおりますが、これに対して今やっていることは、もう自主的に今度の場合でも非常にお互いの電力の融通ということをやって、危機を切り抜けている。来年度の電力計画にいたしましても、やはり二十億キロワット・アワーくらいの全体としての不足というものは見越されておりますし、これをどうするかということにつきましては、事実上東北とかあるいは北陸という不足地帯に対しては、他地区からの融通をするというようなことも考えておりまして、それが実際にできるかできないか、できないというような場合にぶつかったら、この体制自身に対してここですぐ手を入れなければ、この需給の状態に対して対処できないということになりますので、これは体制自身の問題にすぐ入って参りますが、今のところでは、不足地帯に対する融通というようなことも来年はできる。そうして特に電力の困る部門というものに対して対策が持てたいという状態ではございませんので、それよりも、この問題に手をつけて行くよりも、今計画された発電をやることに私どもとしては力を入れて、この体制の問題に手を触れるというようなことはもうちょっと様子を見たいということを言ったまででございますが、根本的に日本電力事業体制のあり方というものについては、私はやはりこれはこれからの問題として検討したいと思っております。
  51. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいまの御質問の件でありまするが、私も過去において電気事業には相当長い期間従事しました者といたしまして、現在の機構が最も完全無欠であるとは考えておりません。ただ、今の状態において九電力が相互間の融通を相当いたして、この電力の渇水に対して善処したということは、また見るべきものがございますので、かような形で電力の相互融通が行われることも、今後できるだけ高能率に実行されることが望ましいと考えておりますし、そこで、今私の電源開発会社の立場から申しますると、御承知通り水力開発地点というものは地域的に制約をされておりまする関係上、たとえば東北の発電所電力を直ちに関西に供給するわけにもいかん。また、中国電力を東北まで送るということは、その間送電連絡がない現段階においては不可能でございまするが、できるだけ会社としましては、佐久間発電所のような大きないわゆる大貯水池を持っておる発電所は今後各地域にできますので、その間の連絡送電線を建設いたしまして、会社としても各地域における相互融通、また、地域的に余剰のある電力不足しておる地域にこれを融通するということには今後とも努力をいたしまして、いずれにいたしましても、全面的に不足状況にある電源開発には、全社をあげて開発建設に邁進しておるような次第でございますので、その点よろしく御了承をお願い申し上げます。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ、私も専門家でありませんから、詳しいこともわかりませんし、大臣の言葉じりを取って御質問申し上げようとは思っておりませんが、九電力の問題を考えるよりも、電源開発だと言われた。もちろん、電源開発を私は反対しておるのじゃない。電源開発は当然やらなきゃいけない。これは大いにやっていただきたい。しかし、それには、国が投資してやっておる国策会社である。それではその国策会社の作った電力を、今度は独立採算制でいきなさいといって九電力会社にこれを譲っておいて、そうしてそこで調整をして、それで今融通はできておるとおっしゃるけれども、調子のいいときはいい。自分のところまで犠牲にして隣の県に送ってやるか、東北に送ってやるか、ということは、これは不可能だと私は思う。そういうことのないようにこれはやれないか。それをやれば電源開発ができませんぞとおっしゃるならば、これはまた別です。それをやるから電源開発ができないという問題でないならば、電源開発を大いにやりましょう、しかも、電源開発電気は一番困る所にいつでも流されるように、たとえば、一つ発電所くらいはとまっているでしょう、いまじぶんは。ところが、東北なら東北では電気がなくて規制しなければできないというような事態が生れてくると思うのです。そういうことのないために、そういうことをやれないか、送電線等は私は簡単にできると思う。電源開発だけのことを考えておるならば、その送電線ぐらいのことは問題じゃないと私は思う。今岸田総裁は非常に何か意味のあることをおっしゃって、はっきりしたことを言われませんけれども、私どもは現場に行って、現場で電気を作っておる人に聞いてみると、実際これだけ国民の力でこれだけりっぱな発電所を作っていただいて、そうして電気はこれだけ出ておるのだ、ところが一方は規制しておる、中小企業が因っておる、これでは因りますというのが、私はほんとうの声だと思うのです。そこで今大臣にそうしますというようなことは、これは政治的にできないと思うのです。だからそういうことを考えるよりも電源開発が主だということでなくて、電源開発大いにやります、そうしてそれが不公平にならないように十分考えるべきだと、こういう立場になっていただけないだろうかと、こういうことをお聞きしておるわけです。
  53. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 再編成の体制を変えるというような問題に手をつけないと言っただけでございまして、今おっしゃられたようなことの方には今後大いに努力いたします。現に今度の場合を申しますと、たとえば千葉の火力発電があれだけ発電を開始したことによって、猪苗代の電力を東北に回すというようなことで、相当行政指導と申しますか、行政措置というような点で、そういう問題には百パーセントの対処をしたいと思っております。東北がああいう状態になりましたので、技術的にできるだけの電力は各地から回す、そのために東京のネオンサインもとめる覚悟をいたしまして、あと一、二日でやろうというときに雨が降ってきましたので、それで大体そういう措置をせずに今度は済みましたから、いろいろ東北からの陳情もあって、東京はネオンサインがついておるのに、われわれはという非難も私どもは今しょっておりますけれども、もう二日待てば、やはり東京もそういう態勢にするというふうに、行政的にはその間の欠陥を補うことについては、十分気をつけて運営していきたいと思っております。
  54. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記とって。ではこれにて暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩    —————・—————    午後二時二十分開会
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電源開発実情に関する件並びに江川開発に関する件を議題とし、調査を進めます。  本件に関し関係の深い参考人といたしまして電源開発株式会社総裁岸田幸雄君、中国電力株式会社社長島田兵蔵君、電気事業連合会専務理事松根宗一君の三君が見えております。  参考人の方々には御多忙中特にお差し繰りの上御出席下さいまして、まことにありがとうございました。委員長より厚くお礼を申し上げます。午前中の会議が宇田国務大臣、水田通産大臣宮澤運輸大臣、南條建設大臣の四君に対する質疑で大へん手間取りまして、午後再開の時間がおくれて申しわけございません。この点深くおわび申し上げます。  そこで議事の運び方でございますが、午前中と同じように、まず参考人の方から御意見を御開陳願いまして、その上で委員各位から御質疑申し上げるということでよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) さように取り計らいます。電発副総裁岸田君からは、先ほどの委員会におきまして御意見の御発表を願いました。この点は後刻また御所見を承わることといたしまして、まず電気事業連合会の松根専務理事並びに中国電力の鳥田社長から御意見を承わりたいと存じます。電気事業連合会専務理事松根宗一君から、特に今後の電力需給計画電源開発の実施状況、これに関連いたしまして、江川開発問題等に関する連合会の御所見を承わりたいと思います。松根参考人
  58. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) ただいま御紹介をいただきました電気事業連合会の専務理事をいたしております松根でございます。ただいま御質問のありました点を大略今九電力が考えておりますこと、並びに実情について簡単にお話を申し上げたいと思います。  御承知のように、昨年特に下半期から非常に電力需用が急増いたしまして、昨年あるいはその前から何カ年計画というふうなことで、電力開発計画を立てておりましたけれども、それを非常に上回りました需用増加を見ましたために、なかなか供給が追いつかない。特に昨年末、今年春にかけましてこれまた不幸にして何十年来の渇水にぶつかるというようなことで、一部には電力の制限を行わなければならぬというような遺憾な状態が起きたのでありますが、結局こういうことは需用の増加に対して、供給が間に合わないというのが現状なのであります。大体それで最近のそういう趨勢に応じまして、新しい五カ年計画というものを練り直してみましたのでございますが、それを一応御披露申し上げたいと思います。  大体三十年から三十五年の間をとってみまして、三十五年末には約七百四十億キロワット・アワーぐらいの需用がある。これは従来の立てておりました計画から非常にこれが多くなっておるのであります。これを実際の増加率を見てみますと、三十年度は一一%の増、三十一年度の上期は二〇%弱というふうな非常に異常な情勢なのであります。普通電力事業者が長い間の需用増加を想定します場合には、大体六%ないし七%というのが従来の増加率の趨勢になっておるのでありますが、今申し上げましたように二〇%もふえるというようなこと、これは申すまでもなく日本経済が一ワク、ワクがふえたということから来ておるのだろうと思いますし、また、今後この趨勢がある程度続くという想定のもとに立てました大体の予想が、先刻申し上げましたように三十五年度において七百四十億キロワット・アワーぐらいの電力が要るだろう、これが大体平均いたしまして一カ年間の増加率を、一・八割ぐらいの増加率を見ております。これは大体お役所の方のお見込みとも一致した数字なのであります。こういうふうな従来の予想しておりました以上の需要の増加が起りましたために、昨年来これに応ずる電力開発計画というものを九電力の方でも立てまして、大体初めは五年間約六百万キロワット・アワーくらいの設備をしたらよかろう。その内訳を申し上げますと、水力が約三百四十万、火力が二百六十万これくらい、合計いたしまして六百万くらいのものを開発したらよかろうというふうに考えておりましたのですが、先刻申し上げたような非常な需用の趨勢から考えまして、とうていこういうことではおっつかないというところから建て直しまして、この六百万キロという数字を八百四十万キロワット・アワーに計画を変えてふやしたわけであります。これは五カ年間にでございますが、その八百四十万の内訳は大体火力が四百八十万、水力が三百六十万、火力の方が多くなる。これはどうしても水力開発は長年月かかりますし、火力の方が比較的短期間にできるというようなこともありまして、こういうふうな中身になっているわけであります。一応こういう計画に基きまして、昨年から特に九電力側といたしましては大容量の新鋭火力の発注をすると、また、それについて特別に電力審議会等も開いていただき、資金等についても特別な御配慮を願っているのでありますが、大体そういうふうなこの需用に応ずる態勢が、一応五カ年間にできておりますわけであります。ただ、火力発電所と水力発電所の組合せになるのでありますが、大体近ごろの新鋭火力というものは二十四時間ぶつ通しで使うことによって非常に能率がいいというふうな性質のものでありますだけに、一日の間の負荷の変動、朝晩の非常に高くなります負荷のとき、あるいは渇水等における調整というような問題につきましては、なかなか現在の新鋭火力に適さない問題がありまして、どうしてもこれは大容量の貯水池によりまして、そういうピークをまかなうというのが、今日の最も新しい発電の仕方と申しますか、水火力の組合せと申しますか、そういうことになっておるわけであります。何分にも、先刻も申しますように、水力開発というものは、どうしてもひまがかかるという関係から、だんだん火力の方の率が多くなりまして、そのピークを持たせる大容量の貯水池水力開発がおくれるというような関係になって参りました。特に電源開発の方でも、非常にこういう大容量の貯水池開発をやっていただいておりますが、なおこれでも実は十分ではないというので、九電力の方でも、昨年来黒部の発電所、あるいは北陸の方では有峰の発電所というような、大容量の貯水池建設にとりかかっておるわけであります。どうしても先刻来申し上げておりますように、火力発電所をやる場合には、こういうふうな大容量の大貯水池によりまして、尖頭を持たせるという必要から、大貯水池式発電所というものの必要が、ますますふえて参るわけなんであります。特に最近問題になっております原子力発電等のできます場合を考えてみますと、一そう従来の石炭ボイラーよりも、総出力を上げたり下げたりできない性質の原子力炉でありますために、一そうそういう操作を水力でやらなければいけない。言いかえますと、原子力時代になればなるほど、ますますそういう大容量の大貯水池発電所の必要が起きてくるというのが、今日考えられております定説であります。  そういうふうなことから、限りある大容量の大貯水池地点というものは、無限にふえて参りまする電力に対してどうするかという問題は一つあるのでありますが、これも先刻来開会まで待ち合せておる時間に、岸田さんその他と雑談をいたしておったのでありますが、むしろこういうものは、海の水を上げて——ポンピング・アップして、夜間の電力でそこへ一つの大貯水池を設けて、ピークを持たせることまで考えなければ解決しないのじゃないか。ぜひそういう点については、電源開発の最も得意とする土木技術を発揮して、御研究願いたいという雑談をいたしておったわけでありますが、とにかく電力需用に応ずる、ベースの方の負荷は新鋭火力で持つといたしましても、どうしてもこれに組み合せる大容量の大貯水池の必要というものは、ただいま申し上げたような次第で、これは主として電源開発、また、一部には九電力もやるという態勢で、一応態勢を整えて、今やっておりますわけであります。  第二番目の江川発電所につきましては、実は私は詳細のことは知りませんが、中国というところは、先刻申し上げました需用の増加ということは、先刻申し上げた平均数値よりも遥かにこえるところの需要の増加を来たしておるところであります。従いましてそういう供給面の、設備の増加ということについては、中国電力の方で着々やっておいでになるのでありますが、やはり今申し上げましたピークを持たせる。大貯水池発電所というものにつきましては、やはり非常に足りないわけでありまして、特に水利地点のあまり多くないところでもありますので、今後需用の増加、それに応ずる供給力の増大という、一番大きな点は、やはりこういう大容量の大貯水池を、一日も早くあの地区に開発していくということが、非常に必要ではなかろうか、伺いますところによりますと、その時期も非常に進んでおるようにも伺っておるのでありますが、電気事業全体といたしましても、特にあの種の大容量の大貯水池というものが、あの地区について非常にそういう意味において必要であるというふうに考えます次第でございます。  大体電力開発に関するまだいろいろ問題はございますが、大体の考え方と、特に江川についての私見を申し上げました。
  59. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に中国電力社長島田兵蔵君に中国地方における電力需要の見通しと、江川開発に関する御意見を伺いたいと思います。
  60. 島田兵蔵

    参考人(島田兵蔵君) 私ただいま御紹介をいただきました中国電力の島田でございます。御質問の点につきまして、中国電力の過去におきまして行なって参りました開発、それから将来に対しまする計画等についてお話し申し上げたいと思います。  当社の電力需用についての伸び方の実績を申し上げます。昭和二十六年度の需用電力量は、常態におきまして十八億キロワットアワーであったのでありますが、その後年々平均一〇%程度の増加を示しまして、三十年度には二十七億キロワットアワーとなったのであります。これは資料の一にございます。これが三十一年度に入りますと、予想外の増加を示しまして、上半期の実績を前年同期に比べますというと、二二%の増加を示したのであります。その需用構成内容を見ますというと、二十六年度は電燈が二四%、小口電力が二七%、大口電力四九%、こういうふうな状態であったのでありますが、三十年度に至りましては電燈が一九%、小口電力が二五%、大口電力が五六%、こういうふうに変って参ったのであります。この大口電力需用の伸び方が非常に大きく、内訳においても現われておるのであります。特に当中国地方は、御承知のように硫安、ソーダ、化繊のごとく、化学工業が主でありまして、次いでパルプ、セメント、鉄鋼、造船などの産業用の大口電力の需要が大きいのであります。  次に、将来における需用を想定いたしますると、最近の需用動向から見ました想定では、資料の二にございますが、三十五年度は五カ年計画を少し上回っております。キロワットアワーでもって四十八億キロワットアワーくらいになる見込みであります。これも実は私どもできるだけ正確を期したいと存じまして、需用家の、大部分は実際をよく当りまして、いろいろ計画等も承わりまして想定したものでありまして、特別な経済情勢の変化がない限りは、大体この見込みの数字になると私ども考えているのであります。この想定によりますというと、今後の需用の増加は、依然大口電力の伸びが大きいのでありまして、硫安、ソーダ、パルプ、化繊、セメント、鉄鋼、造船、そのほか、ただいま中国地方で非常に熱望しております国鉄山陽線電化、あるいは石油化学などがおもとなっているのであります。  当社におきまする電源開発の実績と将来の計画を申し上げますというと、当地方電源開発につきましては、電気事業再編成前から、日発中国支店、中国配電が共同いたしまして電力拡充計画を立てまして、電力不足の早期解決を企図いたしたのであります。再編成実施とともに、その計画を確立いたしまして、本格的にこれが実施に着手いたしたのであります。自来今日まで当社の発電力拡充は水力新設が十二カ所でありまして、その出力は十六万二千七百キロワット、火力の新増設五カ所でありまして、その出力は十万キロワット、合せまして二十六万二千七百キロワットが完成しているのであります。これを再編成当時に比較いたしますと、大体四〇%の増加となっておるのであります。現在の発電力水力が四十八万三千キロワット、火力が三十八万六千キロワット、合計八十六万八千キロワットであります。  次に将来の電源開発計画につきましては、前述いたしましたような需用の動向に応じまするため、工事中のものの促進はもとより、計画地点の繰り上げ着工というような点を考えまして、開発の進度を一段と高めている次第であります。特に江川開発は量といい、質といい、その発電力は当地方といたしましてはきわめて重要性を有するものであります。すなわち江川開発につきましては、つとにその調査研究を続けていたのでありますが、二十六年五月当社の発足とともに、直ちに電源開発五カ年計画を立てまして、この計画には江川開発として問題となっております高梨、潮、明塚、川本、川越の諸地点の一貫開発を構想したのでありますが、その後二十七年九月電源開発会社が設立せられ、右地点の中で高梨、川本、川越地点はその開発規模から見て、むしろ電発の開発によることが適当と認められました。二十八年六月の電源開発調整審議会におきまして、江川を電発の調査河川として指定されたのであります。また右地点のうち潮、赤塚地点は、すでに当社の手によりまして完成をみておるのであります。高梨の開発も当初構想通り早期に実現し、江川水力の総合運用の効果が、一日も早く発揮されることを切望いたしてやまない次第でございます。  江川水力資源の問題について申し上げてみますというと、水力資源としての江川の自然的に持っております条件は、御承知のように中国地方は雪解けの水と梅雨期の水、台風期の水、この三回水があるのでございまして、降水になるのでありまして、それぞれ季節を異にする水の資源を有しておるわけであります。特に島根広島両県境の山脈地帯は、年間降雨量も当地方といたしましては多いのでありまして、水力開発上非常に有望な地帯であります。この地帯を流域とする河川で大きなものを申し上げますと、山陰側に入っております江川、山陽側に入っております太田川があるのでありますが、特に江川地点は全国的にも有数な流域を有しておるのであります。従いまして江川の三次盆地以降の下流は、水量がはなはだしく豊富であります。一方河川勾配がゆるやかでありますので、ダムを築造いたします上から、非常に適当な地点であるということが申せるわけでございます。先ほどお話しのありました水火力の併用というような面から申し上げてみますというと、当社の今後の需用の動向は、過去の実績以上の増大を予想されるのでありまして、電力需用量は二十六年度には、先ほど申し上げましたように、十八億キロワット、三十五年度には四十八億キロワットアワー、四十年度には六十七億キロワットアワーとなる見込みであります。これに対しまして十二月の最大電力、これは発電端でありますが、二十六年度では四十一万キロワット、三十五年度では百万キロになります。また、四十年度には百三十万キロワット、こういうふうな数になってくる見通しでございます。かように需用が大きく伸びていきますが、これに応ずる今後の発電力拡充につきましては、大容量の火力をもって、ベースロードをまかない、大容量貯水池をもって負荷の変動に応ずるという方式をとるのが、天然資源の活用上、最も効果的な方法であるのでございます。この方式によりまして、水力電源開発を進めるべきだと確信いたしておるのであります。なお、原子力発電が出現する、すなわちそういうふうな設備日本としてもやり出すというようなことになりますというと、さらに自由自在にこの出力を調整し得るところの水力発電所が一そう必要になって参るのであります。  これらの点を考えますときに、江川高梨地点は当地方に残されました唯一の大容量発電所でありますので、当社はその開発に大きな期待をかけざるを得ないのであります。  江川水力資源のウエィトについて申し上げますというと、現存の電発で計画されておりまする江川開発は、高梨地点におきまして九万二千キロワット、最終出力が十五万と承わっております。それからその水を利用いたします川本が一万七千キロワット、川越が二万二千キロワット、さらに当社の既設の明塚の二万五千キロワット、これは今二万五千キロワットの発電所がありますのが、それが倍になって参るのであります。それらが全部完了いたしました暁には、江川としての最大は十六万キロワット程度になります。最終的のものは二十万キロワット程度と承わっております。かような調整力を持ちますので、非常にこれが大きな役割を持ってくれることになるわけであります。これは前にも述べたのでございますが、四十年度の需用電力は百三十万キロワットという数字から見ますというと、その調整としての江川水力の持ちます効果は、非常に大きなものであると私どもは確信しておるのであります。この江川四十年度におきます調整の能力はどういうふうなものであるかということがおわかりになりますように、資料三というのを差し上げてございますから、ごらんいただきますと大体おわかりと思います。  右のほか多少技術面になるのでありまするが、今後の需用増加によりまする需用規模はだんだん大きくなりまして、それに応じまして、負荷の時間的変動も一そうその程度を増してくるということを考えなければならないわけであります。従いまして、周波数の安定性、こういうことも年とともにその対策を講じていかなければならないのであります。高梨地点のような大容量発電所は、その目的のために非常に有効でありまして、自動周波数の制御装置を設置することによりまして、きわめて中国地帯の周波数の安定性を確保することができる、こういうふうなわけであります。こういう大きな発電地帯にそういう設備をすることは、非常に望ましいことであります。  また、江川方面の発電力の輸送につきまして、それでは送電線はどうなっているかと申しますと、当初の明塚、潮地点開発いたしました際に、当社といたしましては将来を考慮いたしまして、新江川幹線の設定建設をすでに終っているのであります。  最後に、以上電発について計画されております江川発電計画重要性について述べたのでありますが、当社はかねてから国家資金によりまする電発の開発が、ぜひ中国地方にも実現することを強く要望いたして参っておるのでありまして、この江川計画については、他のいろいろと調整関係もございますと思いますが、ぜひうまくすみやかに御解決をいただきまして、江川開発が早くできますことを念願しておる次第であります。  この計画につきましては、中国地方産業界の発展と密接な関係がありますので、電力需要者たちの皆さん方も、非常にこれを強く熱望されておりますことを、ここに付言いたしまして、一応私の御説明を終ります。
  61. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。いかがでしょうか。電発会社として何かございますか、午前中の……。ほかにございませんか。
  62. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ええ。
  63. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは質問がありましたら、またお答え願うことにいたしまして、以上で三人の参考人の方々の御説明を終ったわけでございます。どうぞ御質問を願います。
  64. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 参考人電源開発株式会社岸田総裁にお尋ねしたいのですが、資料があるいは出ておるかもしれませんが、まだ私よく見ていないのですが、ごく概略でけっこうなんですが、電源開発の来年度の開発計画のごく概要をちょっと伺いたい。
  65. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいまの御質問につきまして、ごく簡単にお答え申し上げます。  実は資料として昭和三十二年度資金計画という、こういう表を差し上げてございまするので、それをごらんいただくと御了承願えると思いまするが、ごくかいつまんで申しますると、来年度で——来年度と申しますか、昭和三十二年度におきまして、つまり本年の四月から来年の三月末に終る事業年度でございまするが、この期間におきまして、会社としましては五百十一億程度の資金をもって開発しようと思うのでございます。  それでまず財源の方から申しますると、そのうちで、政府の方の出資額が百億円、出資以外の資金運用部の融資資金でございます、それが三百四十六億、両方合計の四百四十六億円なるものが、この年度の財政投融資の総額になるのでございます。そのほかに、会社自身の電力収入が六十六億円ほどございます。それを総計いたしまして、先刻申しました五百十一億六千万円程度の事業、と申しまするか、開発をいたそうと考えております。  そこで今支出と申しまするか、開発の方の内容でございまするが、継続工事といたしまして、従来から開発いたしておりまする北海道方面で、これは糠平水系と申しておりまするが、十勝川水系の糠平水系でございます。その地点で、すでに糠平発電所と、足寄という発電所開発して運転しておりますが、その中間にある芽登第一、第二、この二つの発電所の工事は、実は継続と申しまするものの、この二つの発電所そのものにつきましては、第一はすでに着工中でありまするが、第二は近くいよいよかかるという段取りになっております。それからなおほかに、幾春別川の方の石狩川水系の方で、熊追の発電所、桂沢発電所、この二カ地点、これは両方ともすでに工事着工中でございますけれども、両方とも昭和三十二年度に完成することになっております。申しおくれましたが、先刻申しました芽登第一、第二の出力は、第一の方が二万七千四百キロワット、芽登第二が二万八千百キロワットでございます。それからただいま申しました、本年度完成の石狩川水系の方の熊追は四千八百五十キロワット、これはまことに小さい発電所でございますけれども、それから桂沢の発電所が二万五千キロワット、いずれも北海道の総合開発計画の一環といたしまして、ダムは国の直営工肝と申しまするか、国の工事としてやられまして、発電所の方は当会社建設するという段取りになっております。  それからその次が東北の只見川水系——下流の方へ参りますと、阿賀野川と申しておりまするが、只見川の二つの発電所がございまして、その一つは田子倉発電所、その第二が奥只見発電所、いずれも佐久間発電所に匹敵する、場合によっては、出力だけから申しますると、佐久間発電所よりも幾らかさらにそれよりも大きな大貯水池水力発電所でございまして、田子倉発電所は全出力では三十八万キロワット、さしあたり第三台目の計画、つまり三台分まで直ちに建設するという計画で、二十八万五千キロワット、これに今もっぱらその建設に取り組んでおるようなわけでございます。それから奥只見発電所というのは、その上流地点にございまして、これまた三十六万キロワットの大出力の水力発電所で、大貯水池式発電所でございます。これが東北、並びに東京電力地域ピーク用発電所電源になるわけでございます。  それに関連いたしまして、その近くに信濃川水系の黒又川の支流で目下建設しておりまするが、黒又川第一発電所でございまして、この出力が六万一千五百キロワット、これも本年中に完成する予定で鋭意工事を進めております。そのすぐ近くに末沢という、比較的小水力でございまするが、千五百キロワットの発電所、これも黒又川の発電所と同時に工事を進めておりまして、これまた本年末に完成する予定でございます。  その次が天竜川の方に移りまして、ちょうど佐久間の下に、佐久間の逆調整池の働きをいたしまする秋葉という地点に、秋葉の第一、第二の発電所を工事中でございます。これも第一発電所は本年の十月、第二発電所は来年の三月までに完成の予定でございまして、両方、第一と第二合せまして八万二百キロワット、これは相当大きな水力発電所の中に入るであろうと思います。  その次が北陸の方の水系でございますが、庄川の御母衣発電所でございます。これは相当早い時期から、すでに三、四年前からいろいろと調査をいたし、準備工事にかかっておったのでございまするが、いろいろ地元の交渉とか、またその発電地点の地形などの関係で、いろいろと調査に手間取りまして、いよいよ本年から本格的に着工する段取りになっております。この堰堤は、わが国では従来あまり例のないロックフィル・ダム形式の大堰堤を築造することになっておりますので、会社といたしましても、この工事には特に慎重を期しておるような次第であります。  それからその次が近畿の地区になりまして、奈良県、三重県から流れて和歌山県の新宮の方へ流れて参っております熊野川水系、上流は十津川と北山川の二つに分れておりまするが、この熊野川水系で四方地点水力発電所計画いたし、これは発電所の数は四つでございまするが、堰堤は大体三つと、ほかに調整地を一つということで、四カ所で二十六万キロワットになるのでございまするが、これも最近の電力の利用状況にかんがみまして、予定より早めて本年から着工することで、鋭意目下準備を進めております。このうちの十津川水系の芦廼瀬発電所、椋呂発電所、この二つは両方合せますると十三万三千キロワット程度でございまするが、京阪神の産業地における相当大きな電源一つになろうと考えます。できるならば、これは予定を早めまして、三十四年末までに完成すべく、目下特に準備をいたしておるような次第でございます。  それからその次が四国の方で、高知県の奈半利川に開発計画を立てまして、これもすでに電源開発審議会の御審議を経まして、これも予定より早く、本年から着工するということになっております。そのうちの最初の発電所の長山という発電所は、できるならば昭和三十四年の秋までに完成させるという段取りをしております。  その次が、今お話の出ておりまする江川でございますが、これは先刻申し上げましたように、いろいろと国鉄関係なり、地元の水没関係等もございまして、昭和三十六、七年ごろにならんと、ただいま直ちに着工いたしましても、完成はむずかしいのではないかと、かように考えております。  それからいま一つ九州地域で熊本県の球磨川水系で瀬戸石という地点発電所建設しておりまするが、これが一万九千八百キロワットの出力でございまして、これも来年の夏には完成させるという計画でございまして、大体大きな開発計画を申しますると以上の程度でございます。    〔委員長退席、理事近藤信一君着席〕  それで、ついでに申しまするが、当会社といたしましては、創立後ちょうど四年半ほど経過いたしましたが、その間にすでに五十一万九千七百キロワットの水力発電所建設して、これらはすでに運転に入っておりまするが、昭和三十二年度におきましては今申しましたような地点の工事を進めまして、約十九万キロワット完成する予定になっております。そうしまして、ただいま申し上げました各地点水力発電所が全部完成いたしますると、ちょうど昭和三十六年度になろうと思いまするが、昭和三十六年には既設分を合せまして百九十八万キロワット、約二百万キロワットの水力発電所を竣工させるという計画でございます。つまり目下工事中の発電所の出力合計が百五十万キロワット程度のものを今手がけておる、こういう次第でございます。  ごくあらましを申し上げましたが、さようなことで一応御了承願います。
  66. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 伝えられる電気事業法の改正という大きな法律案が近く出ようということなんですが、そこで一番大きな問題になりますのは、さっき私通産大臣に質問いたしました河川の問題、それから官僚統制の問題、それから府県のいわゆる復元の問題、こういう三つが非常に同案の大きな骨子になっておるように聞いておるんでありますが、どうも最近のこれは新聞紙上で、その真相はどこまでかわかりませんが、官僚統制ということは非常な時代の逆転であって、おそらく九電力会社も決して好んでおらんと思うのでありますが、最近の新聞紙上におけるとあなたの方の総裁が、従来の開発という使命を一歩逸脱して、何か九電力会社の、統制というとちょっと語弊がありますが、たとえば送電線の問題なんかについても、電源開発株式会社が握っていきたいというようなことが新聞に見えておるのでありますが、また、そういうことを下の人たちが非常に要望しておるというようなことも聞いておるのですが、この点について電源開発会社としてはどういうお考えを持っておるんでしょう。
  67. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいまの御質問にまた私お答え申し上げます。電源開発会社の本来の使命が大規模水力開発であって、今お話しの九電力では、工事をやろうと思っても非常に資金を多額に要して、工事がまことにむずかしい地点を特に開発するために国家資金を導入してやるという建前になっておるということは、午前の委員会でも申し上げたと思うのでございまするが、それが本来の使命として創立以来鋭意その目的完遂に努力して参っておるような次第であります。その例の優なるものは、佐久間発電所の三十五万キロワットの大水力の完成でございまするが、それに引き続きましてただいま申し上げましたように、目下東北の方で田子倉発電所、あるいは奥只見発電所、また北陸の庄川水系の御母衣発電所、これは二十一万五千キロワットでございますが、いずれも佐久間に匹敵するような大貯水池水力発電所でございます。先刻来だんだんお話がございまするように、現在の電気の運営、ことに発電の方法が、新税火力の出現によって、ベースロード新鋭火力と従来の既設の水力発電所でいわゆる基礎的な普通の昼夜ぶっ通しの負荷を持つ。そうして朝晩の尖頭時に、電気の本来の需用の性質から申しまして、時間的に非常に需用の伸びるとき、その負荷、あるいは渇水期において既設の水力発電所の出力が減退するときに、特に補給するというような意味の役目をする大貯水池水力発電所建設、これが当社として今鋭意努力しておりまする問題であります。その点は、当社といたしましては、何ら従来のあり方と変っていないのでございまして、総裁もそのことをやめて九電力地域に何か別の新しい開発をやろうというようなことは決して申しておりません。もしさようなふうにお考えになっておりますのならば、もちろんそれは誤解であろうと思います。それに関連して、送電線の問題というようなお話がございましたが、これも実は現在の佐久間発電所が、ちょうど東京電力と中部電力の両会社供給する関係におきまして、東京と名古屋へ、大容量の水力発電でございまするから、今日わが国で行われておる一番高い電圧の二十七万五千ボルトの超高圧の送電線で送電いたしまして、供給しておるようなわけで、これによって両地域電力電源補充には相当大きな役目をいたしておると考えておるのであります。ところが、先刻申しましたように、目下只見川水系で田子倉及び只見の両水力発電所、いずれも三十六万キロワットとか三十八万キロワットという大容量の水力発電所でございますので、これは地域的に申しまして、東京とか、あるいは東北の両電力会社電源になるわけでございまして、これを両者に供給する関係において、やはり田子倉の発電所と東京電力地域にある西東京変電所との間に二十七万五千ボルトの超高圧に連係することが、会社の発電運営上まことに好適である、望ましいことである。これをなすにあらずんば、この両発電所、さらには佐久間発電所と組み合わせる、田子倉、只見の三大貯水地の三発電所の運営に非常に不便が生ずるという考えから、会社としましては、この送電線をぜひ建設したいということで、目下通産省へもお願いしておるような次第でございます。これを作るがゆえに、九電力と別のあり方で会社電気事業の運営をいたそうというようなことは考えていないのでございまして、つまり大きな貯水池の間は、会社の直接の送電線で連係するにあらずんば、十二分の活用ができないという意味から、これを申しておるわけであります。手近い例を申しますると、昨年の渇水期以来本年にわたりまして、中部電力などでは、ずいぶん何回か、あそこの大きな火力発電所の機械故障のために、電気供給に支障を生じたことがあったのでございまするが、幸いに佐久間の大水力発電所の貯水容量も大きく、また東京電力と両方へ供給しておった関係で、東京電力の方の荷の軽いときは中部電力の方の火力発電所の七万キロワットとか、あるいは五万キロワットという大きな火力発電の機械の故障による臨時の大きな電力需用も、すぐに会社の方で受け答えをして供給できるというような事例があったのでございまするが、ちょうど田子倉発電所と佐久間発電所の間に、会社の直接の送電連絡がございまするならば、たとえば東京電力火力発電所にさような故障があった場合に、東北電力とか、あるいは中部電力に何らの連絡をしないで、会社の意思で直ちにさような操作ができる。これが、送電の連絡がないといたしますると、一々関係の東北電力とか、あるいは中部電力、東京電力、それぞれの方へ連絡をいたしまして、いろいろスイッチを切りかえるとか、荷の取り分けをしてやらなければならん。さような関係で、事故の場合にも不便でございましょうし、また、事故以外の渇水の時期における関係電力会社間の荷の工合で、会社として自由自在に配給できる。たとえば、佐久間の発電所の方はまだ水が満水しておる。しかるところ、只見水系の方の発電所は、相当その水を使って発電してしまっておるというような場合には、東京電力の荷とか、あるいは東北電力需用もあるけれども、佐久間発電所と只見系発電所を連絡する会社の送電線がある場合には、自由自在に運営ができるというようなことは、いやしくも電気事業を運営する者から言いましたら、わかりやすい議論で、当然これは発電所建設いたす場合といえども、やはりある程度需用の負荷の中心地との送電連絡、あるいは電気連絡があることが最も望ましいことは自明の理でございまして、さような意味から、会社としてもこれを強くお願いしておるようなわけでございます。別段そういう面で九電力側と対立しておるとか、九電力電気事業の配給にまで電源開発がタッチしようとは考えておりませんので、その点よく御了承をお願いしたいと思います。
  68. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 先ほど通産大臣からもお話があった通り、未曾有の渇水期に当っても、九電力会社は有無相通ずるといいましょうか、非常にお互いに助け合って、そのよろしきを得ておるわけでありますが、今岸田総裁から、伝えられるところの問題についていろいろ御答弁になっておるようでありますが、どうか通産当局にお願いしたいことは、その意味において、九電力会社とそれから電源開発会社の少くとも権限争いといいますか、摩擦といいましょうか、こういう大きな公共事業でありますから、そういうことの起きないように、格段の努力をお願いしたい。  それから、いま一つついでに要望しておきたいことは、先ほど申し上げました電気事業法改正の問題について、河川の問題とか、あるいは府県の復元問題ということは、これは非常に大きな政治問題で、簡単にいかんと思いますが、しかし、こうこまかい官僚的な統制ということについては、大臣やあなた方の意向一つで、これは相当運営していけるのじゃないか、かように考えるのでありますが、立案を今しつつあると思いますが、その点を十分一つ含んでやっていただきたい。これを要望して私の質問を終ります。
  69. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 九電力と電発の間の対立があるやに、新聞ではいろいろ伝えておるようでありまするが、私の見ますところでは、そういうふうな問題は、昨年の夏以来ずっと少くなったように思っております。電発の方の総裁がかわられましたのを契機に、いろいろ九電力側との接触を密にされておりまするし、九電力側の方も、世間にそういうふうなうわさが立つことを非常に気にしておられまして、定例的な会談等を持たれておる。まあその辺はいろいろ新聞等に伝えられるほどではないというふうに御了承願いたいと思います。送電線問題のときも、これもいろいろただいま電発側からのお話もありましたし、他方東京電力にも一部の契約がございます。これがいずれも給電操作、あるいは系統運用上のきわめて技術的な考慮が多い問題と思っておりますので、私の方は専門家の技術的意見に即して処理したいと考えております。  それから電気事業法の関係お話がございましたが、これも目下立案を急いでおりますが、主体は現在の公共事業令にございますように一般供給を行います電気業者と、これに対して電気を卸売いたします卸売供給事業者との二本立になるわけでございます。一般供給の方は直接需用家大衆へ当てておりますので、いろいろ供給責任という問題もございまするし、また公益事業、パブリック・ユーティリティーズという点が最も要望される点でございますので、ある程度の監督等はこれは行わざるを得ないと思っております。不必要なことはなるべく避けたいと思いまして、そういう点は今後も十分注意したいと思っております。一般の株式会社企業とちょっと違いますので、その点はある程度立ち入った監督が入るということはやむを得ぬかと思っております。  卸売の供給事業の方は若干一般供給とは違いまして、直接磁気事業者を相手に電気を売る事業でございますので、この方はかなり監督の程度も異ってくると思っております。ただし、電発の方はこれまた政府出資の特殊会社でございますから、これは特殊会社としての性格上、相当強度の監督を持ちますことは、いろいろな立法例もございますので、そういう点で処置したいと考えております。
  70. 藤田進

    ○藤田進君 まず最初に津田副総裁にお伺いしたいのでありますが、すわったままでお答えいただいてけっこうでございます。電源開発会社ができましたときの事情等は、申し上げるまでもなく電力需用にこたえて大規模、しかも急速に開発をするということ、言いかえれば、かなり困難性のある地点等について開発を進めるというのが主体で、特殊会社を作り、促進法を作ったように思うのですが、従来佐久間あるいは只見川水系その他今質問にお答えになりました各地点開発を進め、かつ進めようとされておるわけでありますが、今後比較的容易に着手し得る地域というものはまれになって参りますから、願わくばやはり困難性のある地域電源開発会社が担当して、電力会社や、あるいは地域あるいはまた政府その他の協力のもとに仕事を進めてもらわなければならぬと思うわけです。この点について私の見たところでは比較的低コストであり、開発の事業自体が容易であるところが優先して、佐久間なりあるいは只見川なりということにもなってきたと思われるので、これを翻ってみますと、その現状、九地域に分れているそれぞれの需給のバランスとか、あるいは水火力調整であるとか、そういうことの方が、結果的に見て比較的軽んじられたような気がするわけであります。今後開発をせられる今大竹議員の質問に答えられた地域はわかるのでありますが、本日問題になり午前中からお聞きの通り当面の江川開発については国鉄路線との競合がある、これに加えて他地域でも天なり小なりあるが水没地域との関係がある。こういうことでやはり世間で見ておる目としては、電源開発会社もそういう困難性のあるところは、まず保留しながら進むということで、立ち返って考えると、特殊会社を作った立法の精神に若干もとるような点もなしとしないのではなかろうかというようなこと、これが発展しては、企業の面々編成だとか、あるいは電源開発会社をどうするとかいうような議論にもなって            きておると思うのであります。この際、今後の江川のごとき困難性のあるところは、より積極的に開発の方向でこれを進め、地域問題については合理的かつ円満に調整をはかっていくというお考えなのか、やはりできるだけ容易なものから着手する、これは自然でありましょうがそういうことなのか、江川中心に考えたときに、私どもまだどうも安心のできないような水資源開発等について考えを持つわけであります。まず第一に、この点の基本的な態度につきまして、電源開発会社がいかに処していかれるのか、お伺いいたします。
  71. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいまの藤田さんの御質問にお答えいたしますが、電源開発といたしましては、現在相当各所に大きな水力開発建設事業をやっておりますが、いずれもそれぞれその地域電力事情なり、またその開発をいたすについての地形とか、技術上の問題などを考慮してやっておるわけでありまして、ちょうど今の情勢で申しますと、大体北海道から九州にわたって各地域に相当適当なものがあるわけであります。たまたま今お話し中国筋では、江川地点としてはまことに優秀なところでありますが、まだ建設に着手していないという点で、会社としてはあるいはかたきを避けて、まずやすいところからやろうという気持であるのじゃないかというようなお気持があるやに拝察したのでありますが、これは全く誤解でございまして、会社としてはその事業、その開発の仕事の難易ということは問題にしない。もちろんその重要性から考え、また電力のその地域における需給の関係から申しまして、いやしくも開発すべきところはいち早く調査し、また着手もしておるわけでございますが、たまたま江川につきましては、相当前から一つ地点ということにはなっておりましたものの、あまり地形的に申しまして水没家屋が多くなる、こういうような点の難色があり、また国鉄計画があるということで、その関係の調節ができるならば、いつでも開発しようという気持でいろいろ調べてきておるわけでありまして、これも今日の中国電力事情から申しますならば、いち早く着手すべき地点でもあろうかと存じますので、今日の午前の委会員でもお願いしました通り国鉄の問題につきましては、極力政府の御当局の間で適正なる御調整をいただいて、この問題の解決をお願いする、同時にまた、地元の水没家屋また補償関係につきましては、地元の県、市町村の絶大なる御協力を賜わりたいという気持でございますが、さればといって、そういううるさいことは不問にしておるということは毛頭ございません。むしろ会社としてはさような困難なところは、また新しい熱意を振い起して、他の地点よもむしろ一そう熱意をこめて、これと取り組むというだけの建設意欲は十分にございまするし、また実際上、工事上の問題については、相当練達した技術陣営なり、さらに最近の優秀な土木機械をそろえておりまするので、さような困難などには、毛頭辟易することはございません。その点御了承願います。
  72. 藤田進

    ○藤田進君 現地等の声を聞きますと、江川に関する限りは、場合によれば二、三地点に分割をして、小さい規模にして数をふやす、そうしていったならば、一つ方法があるのではないかと言われております。電源開発会社においても、相当検討をされておるが、そういう建設方式というものが果して経済的にどういう効用をなすのか、九万二千キロ上回るか、下回るか、どれほどどうなのか、簡単でよろしいが、その形についてお伺いしたい。
  73. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) それにつきましてはけさほどもちょっと申し上げたと思うのですが、何分にも今日の電力の発電と申しまするか、給電の方法から申しまして、貯水池の大水力ピークロードを持つということでないと、十分の効果を上げ得ないうらみが多分にございます。従って中国水域で残されておる貯水池式は、こういうように九万キロワットとか、十万キロワットの発電のできる地点は、江川のあの地点以外にはちょっとないようで、もしあそこを開発するということならば、やはり現在の会社で考えておる、今皆さんも御意見を下さっておる十万キロワット、九万二千キロワットの出力の発電所をまず第一に作ることが、最も適当である。これをさらに分割するということになれば、発電所としての経済的効果において、まことに低下する部分が多分にあろうと思いますので、会社としては、やるなればやはりあの程度の計画をぜひ実行したいという気持を持っております。
  74. 藤田進

    ○藤田進君 中国電力についてちょっとお伺いいたしますが、資料の3を示されておりますが、この一ページの方を見ますと、約六十万キロワットから倍余りの百三十万キロワット、そういう時間的に見て二十四時間を割って示されておりますが、深夜の一時、二時、三時ないしその辺から急激に、朝の九時ないし十二時、午前中のこういうところは、倍以上に急激に電力を使う。そうしてお昼飯の間になるのが、十二時、十三時の間は急に落ちて、さらにこのカーブに示されているようなわけですが、もし江川がないならば、火力運転の場合で、点線で示されている、そうするとまかなえれば運転さえとめたらいいじゃないかという論も成り立つように思うわけですが、この点水力火力の操作上の時間的には、あるいは火力が相当石炭その他でコスト高になることはわかるが、操作上の面で、これが水力との関係において、どのような難点があるのか、御説明いただきたい。
  75. 島田兵蔵

    参考人(島田兵蔵君) この資料3は、最初にありますのは昭和四十年度の渇水期の負荷曲線図、それから一番しまいの後にありますのが昭和四十年度豊水期の負荷曲線図です。大体に渇水期と申しますのは、大体年度のうちで十一月から十二月にかけて出て参ります。それから豊水期は御承知のように山の雪解け、それから梅雨期、その時分が豊水期になっております。ここに大体にもしも江川水系がなかったときには、点線のようなカーブに火力を運転しなければならない。これは実は非常にむずかしいのでありまして、御承知のように最近のレヒート・タービンになりますというと、とめるのに数十時間を要してとめるのが理想的のとめ方である、こういうふうにまで言われておるのであります。で、一日のうちに再々とめたり運転をするということは、非常に危険が伴いますとともに、また、石炭の使用量が多くなってくる。経済的な問題と機械の方の問題と、両方から非常に好ましくない状態が出てくるわけであります。それを江川でありますというと、大体赤線のようなフラットな時間が相当長く運転できる、こういうふうなわけなんです。でありますからして、江川でなければ点線のような、赤線の上へ点線を加えたような火力の運転の仕方をしなければいけない、こういう意味でございます。
  76. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ちょっと今の藤田さんの御質問に対する私の説明といいますか、答弁について補足いたしまするが、さっきの階段式発電計画を実行いたしますると、先刻申しましたように、昭和三十六、七年ごろに約十万キロワット程度の、あの地域における電力の需給の不足が出るわけでございます。階段式ではとてもそのとき十万キロワットの開発ができませんので、その点からいって、やはり階段式は不適当であろうと思います。  それからまた、新鋭火力との組み合せは階段式ではできない、貯水池式発電所でないとできないということは、さきに申した通りであります。  いま一つは、階段式計画は、下流の既設の発電所並びに計画中の当社発電計画が全然無効になるというような難点もあるのでございます。その点も御了承いただきたいと思います。
  77. 小西英雄

    ○小西英雄君 本日は大体中国にある江川開発に関する件が主体のようでございますので、私たちはよくその件について承わりましたが、九州、中国は特に水力のいろいろと経済的に採算上非常によろしい点が少いということを、われわれよく承知いたしておりますが、今日のところ各関係大臣も参りまして、非常にこれを進行するという熱意を示したように思いますが、ここでわれわれが大いにはっぱをかけなければ、江川には運輸省鉄道建設とからんで、これらの運輸省の考え方と相当大幅に路線の変更等についても、予算的にいろいろな開きが見えたのでありますが、一たいわれわれ中国現状は、山口県を中心とする非常な重化学工業の状態が非常に進んでおる。特に今後われわれ貿易上にも期待する点が特に山口、広島等にも多いのでありまして、こういう地帯については、地元の多少のいろいろな反対の力も相当多く動くと思いますが、なるべく早い、一日も早く、運輸省の協力によって、国家の将来を考えたときに、早くこれを進めてもらいたいという、私たちは委員としての希望を申し上げます。と同時に、先ほど同僚議員の中からも、通産大臣に質問いたしましたが、私たちもちょうど衆議院の通産委員にありました当時でも、この日本電力を九分轄することに対しまして、非常な困難も伴い、われわれもこういうことあることを察知いたしまして非常に反対いたしましたが、与党の主力に押し切られて今日の九電力会社ができ、そのあとすじに小日発のような電源開発が作られて、その後の動きが今日いろいろまだ論議になっているというような通産大臣意見もございましたが、私たちはいろいろその後における九電力会社の幹部の努力の結果、電力事情は相当よくなったようにも考えておりますが、なおかつ、電源開発会社ができまして、以来五カ年間の歩みをもう少しわれわれは検討して、これは開発と別の立場から大いに検討してみたいという考えを持っておりますので、電源開発ができまして九電力会社電源開発がどこの地帯にどれくらいな資金を投じ、どれくらいの電力が今日できておるという資料と、そうして今後五カ年内の間に、各九分割地帯はどういう計画を持っておるかという一つ資料をお出しいただきたいと通産省にお願いしたいと思います。  もう一つは、九電力会社が再編成になりまして、九州地帯は火力を今日まで何キロ申請した、水力を何ぼ開発した、その後御承知のように、会社の内容等についても相当な変動を九電力会社は来たして、株価においても相当な差がついておる。われわれはこういう点から、公共事業としての電力会社が今後このままでよいかどうかということを再検討するために、九電力会社の方の五カ年の歩んできた状況をわかるような資料を、一つこの次にお願いしたいと思います。私たちはこの電源開発の五カ年間の歩みをみまして、岸田総裁は御存じかどうかと思いますが、電源開発会社が、われわれが法案をいろいろ作った際の趣旨に全部のっとって開発をしておるかどうかという点にも多少の疑点があった。たとえば四国におきまして、四国の地元の方で開発資金能力があるにかかわらず、特に電源開発が乗り出してかからねばならないようないろいろな政治的な交渉が持たれ、奈半利川等におきましても、いろいろな問題が起きましたが、そういう点につきまして、今後ともやはり電源開発は所期の法案の基本原則にのっとりまして、かつ資金的に、あるいは土地のいろいろな買収等のむずかしい地帯に重点を置かれ、そうしてかつ、公平に資金を導入し、そうして需要供給の面から一つ公平な開発をわれわれは特にお願いしたいと存じております。そういう観点に立って、われわれが再編後の九電力会社の歩みと、電源開発会社ができまして以来の一つ資金状況を、先ほど申し上げた資料をいただいて、さらに次の機会にいろいろお尋ねしたいと考えていますので、その点をお願いすると同時に、現在公益事業局長の、これは大臣でなくてもけっこうですが、九つに分割したことが非常に現在の心境でよいと思っておるかどうか、このままでよいと思っておるかどうか、ひとつ所感でもありましたら、一応承わっておきたいと思います。
  78. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) いわゆる電力の再編成の行われましたのは、昭和二十六年五月でありますが、そのときの改正は、当時の日本発送電と、それから九つの配電会社を一緒にいたしまして、発送配電を一貫した九つの会社を設立する。それに供給の地理的な独占権を与える、まあこういうふうな構想だったのであります。その当時一番憂えられたものは、相互間の融通の不円滑と、それから地域差、つまり各地域におきまして、料金の格差が出るということが一番国会等で御議論のあった点だと思います。再編成後五カ年半になりますが、状況を見ておりますると、これはいろいろ見る人によりまして意見もあるかと思いますが、私たちが見ておりますところで、かつ、どなたにも御了承得られると思っておりますのは、一つはいい意味の相互間の競争が行われまして、開発意欲が向上し、自分の責任をもって、自分の供給区域の需用に応ずるという態勢でございまして、その結果五カ年間に約五百万キロの開発ができております。まあ一応需給の関係も、やや当時よりは緩和したかに見えております。それから内部経理の面におきましても、あるいはロス率の改善とか、経理統制の実施等によりまして、各社内部に、いわゆる合理化というものが相当行われているように思っております。それから憂えられました不円滑という問題でございまするが、これはいろいろ当時の、そのときの出水の状況どもありまするし、また、融通施設の、何といいますか、まあ物的限界もございますが、午前、通産大臣が申し上げましたように、この冬の渇水におきましても、相当各社の相互援助協力態勢によりまして、まあ何とか各地そうひどいことにならんで切り抜けられた。明年度も、普通におきますれば、各地域には相当需給のアンバランスが出て参りますが、これを各社の融通連絡協議会というのができておりますが、そこで約三、四カ月間にわたりましていろいろ協議された結果、大体現在のところでは、明年度におきまして、総計約十九億キロワットアワーの融通が行われることに大体きまっております。まだ最終的には仕上げができておりませんが、こういうことで、大体需給が逼迫いたしましたと思われた東北並びに北陸両地域の需給態勢も、何んとかまあやっていけるというのに近い状況になりまして、これ以上は全体の供給能力不足でございまするから、もはや何ともならぬというところまで、一応各社の融通協力態勢ができていまして、これはまあ昨年に比べますると、非常な、何といいますか、進歩と言うと言葉は悪いんですが、改善のあと目ざましいものじゃないかと思っております。それから地域差の問題でございますが、これはいろいろ各会社地域の原価の相違、あるいは需用構成の浮動等がございまして、なかなか一律には参りません。それから、当初から行われておりました水火力調整金といったものも、昨年の五月で廃止になりました。従って、各会社地域それぞれの自分の、自力でまあ対処するという態勢になったのでありまするが、御承知のように、火力の方は新鋭火力という新しい、高能率の発電様式の採用に伴いまして、燃料費の高騰を熱効率の上昇で食いとめるという、非常にいい武器が現われて、その結果火力地帯の会社の方は、何といいますか、料金原価が低下ないし安定して参った。それから水力の方は、これはまた逆に大容量の貯水式の開発を進め、あるいは自流式によりまして、どうしてもだんだんと条件の悪いところの開発を行うわけでありますから、料金原価は次第に向上して参る。従って突っ込んで言いますれば、今まで水力地帯であって料金原価の低いところも、自然、次第に高くなって参る。おまけに最近のような需用の増高になりますと、どうしても火力を持たなければ、水だけではもはや営業をやっていけないという状況でございます。東北電力も明年は火力発電の運転に入りまするし、また北陸電力も三十四年か五年に、関西地区に専用の火力発電所を、まあこれは他に委託して建設になりましたが、いずれにしても自分が専用できる発電所を持てるという事態になりました。従って各地とも火力発電を入れます結果、水力原価の高騰と相待ちまして地域差が縮まってくる。裏から言いますれば、水力地帯の会社の原価が上って火力地帯の方にさや寄せするということになりますが、いずれにしてもそういうことで当時憂えられました地域差が、さらに広がっていくのではないかということも、むしろ今日では縮まってくる方向になりました。従って私の考えでは以上総合いたしますと、現在の九社の体制は、これはいろいろ各社各様の需要と供給のあれを持っておりますので、なかなか一律に同じような歩みはできませんが、しかし、それぞれの地域の特性に応じてうまくやっておるのじゃないかと思っております。従って再編成の功罪は私はむしろ罪とすべきものがかなり改善されて、むしろいい面の方が現在よけいになっているのではないか、こう思っております。これはいろいろ見る人によりまして御意見もありましょうが、私の見るところはそういうところでございます。
  79. 小西英雄

    ○小西英雄君 ちょっと関連して、大体事業局長のあれでわかりましたが、もう一つ水力開発でいつもガンとなっている水利権の問題ですが、それはどうですか、今後国会へも出して、中央なら中央に決定権があるようにする考えはどうなんですか、現在の通産大臣の御意見は。
  80. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この水利使用の許可の問題になりまする点は、いろいろございまするが、現在御指摘のように各府県知事に河川法上の処分権があって、中央はその意見を知事に伝達するにすぎないという点の欠点もかなりあるかと思っております。これは各種の水利使用によりまして、いろいろ実体は違っておると思いますが、海潮のごとき非常にローカルな問題の多い水利使用の行政行為と、それから発電というふうに比較的大規模の視野で考えるべき水利使用の処分と、これは若干違っていると思っておりますが、私たちとしましては少くともこの発電用の水利使用の処分につきましても、やはり全国的視野で考える方がいいのじゃないかと思っております。その仕組みを今御指摘がありましたように中央の主務大臣で許可するといたしまするか、あるいは出先で許可しましても、その出先のやり方を中央の意思が十分に反映するようにした方がいいかという点は、これは法律技術の問題としましてもなお若干研究すべきことと思っております。それからもう一つは治水の面と発電、灌漑、あるいは上水道のごとき利水の面との調整の問題でございます。多目的ダムでわかりますように、いろいろ同じ地点の水をめぐりまして、各種の治水利水上の要請が総合され言い争うわけであります。そこでそういう調整をどういうふうにしたらいいか、極端に言いますれば、利水官庁がそういう水利処分の許可をした方がいいのか、あるいは河川管理官庁つまり治水官庁でまとめてやった方がいいのか、あるいはその間の調整機関が要るかどうか、これは御承知のように水制度部会等でもかなり議論がありましてやったわけでありますが、まだ統一した結論になっておりません。電気事業法を出します際に、その点の解決をどうするかということで実はいろいろ考えてみたのでありますが、水の処分に関しまする在来の行政慣行等は、相当根強いものがありまして、一挙に発電用水利の面だけでその点を改正できるかという点は、われわれとしましても相当見通し難になっております。他方現在ちょうど多目的ダムの特別会計が今度できますが、それにからみまして、このダムの管理に関する法律も出るわけであります。その点につきまして実は目下建設省ともいろいろ折衝しておりますが、なかなかこの点は在来の行政慣行と新しい利水上の要請との調整と申しますか、実はまだ最終的な結論に至っておりません。そういう点もありますので、実は電気事業法の方の体制を、どういう原案でもってゆくかという点については、まだ結論を得ておりません。まあ問題点だけを申し上げたのであります。
  81. 小西英雄

    ○小西英雄君 もう一言。これは電源開発の副総裁一つお願いをしておきたいのですが、奈半利川の問題について先ほど長山の着工を始めましたが、あれを竣工させるということにあれがはっきり決定しておりますが、その点で奈半利川の問題は高碕総裁、進藤副総裁の当時に地元がやるという決意をいたして、非常に短期間に相当話が進んでいたのでありますが、電源開発がそれをいろいろな関係から着工するということになって、地元においてもそのときのいろいろな諸般の状況から重大関心を持っておりました。電源開発地方にやる能力があるのを、自分の方にそれを受けて立って開発に臨んでおりますので、この点について、一つ過去のいろいろないきさつをよく検討されて、電源開発でやった方が非常によい結果をもたらしたということになるように進めていかれたいということをお願いしておきます。    〔理事近藤信一君退席、委員長着席〕
  82. 岸田幸雄

    参考人岸田幸雄君) ただいまの御意見について一言申し上げますが、奈半利川地帯の第一の地点の長山が目下のところ三十四年の九月竣工という目標で準備しております。そこで今あなたの御意見では、奈半利川のごときは四国電力が地元で開発する意向であったのを、電源開発が、むしろ横取りというと言葉が悪いかもしれませんが、やることになったというふうな工合に仰せられましたが、過去のいきさつはいざ知らず、着工することになった段階においては、さようなことは全然ございません。実は昨年来地元の電気会社の社長なども、何とかあれを早く電源開発の方で取り上げて工事を進めてもらいたい、四国地域電力の需給関係からいっても、奈半利川の開発は最も急を要すると、かなり強い要望に基いて会社としてはやっているわけでありますので、その点は誤解のございませんように御了承を願いたいと思います。  なお、その他の地域でも九電力の方でやりたいところを、電源開発の方でやりたがっているというような御意見のようにも拝聴いたしたのでありますが、あの地点も、すべてそういうところは今調査したり、あるいは着工している地点の中でそのようなところは一つもございません。むしろわれわれから申しますならば、九電力で工事を進めたいところは御遠慮なくやっていただいて、九電力側でまことにやりにくい、むずかしいところだけ、やれないというところを、喜んで幾らでも引き受けるという意図においてはやぶさかでないのであります。そういう意味から、九電力地域で現在調査もされていない地点がなお相当あるのでありまして、これなども、できるならばわれわれの方の手で直接現場に入って、地質を調査したり、あるいはまた、地形を検討しまするならば、思いのほかよき条件で大きい開発ができるところもあるのでありまするが、いささか、やはり九電力側ではそういう点について十分な御了解の得にくい点があるくらいでございまして、むしろ私どもから申せば、事情は小西さんの御観測と逆のようなきらいもありますので、その点もあわせて御了承願いたいと思います。
  83. 白井勇

    ○白井勇君 せっかくですから松根専務さんにちょっと私伺っておきますが、おたくは非常に重要なお仕事をやっております連合会のようですが、先ほどお話がありましたたとえば国全体の電力供給量が昨年から非常にまあ需用が増しまして、六百万キロワットのものが三十五年にはとても間に合わない、八百四十万キロワットですか、なければいかぬと、こういう計画を立てておられる。そうしますと、その八百四十万キロワットを三十五年まで確保するために、連合会とされましては、たとえばこの地帯のものはこうしなければならない。それに従って資金計画を、これだけ要るのだから、大蔵省にあるいは開発銀行にこういう資金ワクをほしいというような世論の喚起といいますか、鞭撻といいますか、そういうようなこともやられまする連合会でありますか。ただ机上で九社からの資料を集めまして六百万キロワットで間に合うと思っておったものが、最近の情勢を見ると、八百四十万キロワットなければいかぬのだという、こういうただ机上の計画をやっていらっしゃいます連合会でありますか、そこはどうでありますか。
  84. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) 今の御質問私申し上げたくって、実はうずうずしておった問題なのでありますが、実はきょうのお話し重点江川の問題であると思いまして、あまり皆さんに御時間をかけるのもいかがかと思って用意はしてきておったのですが、申し上げなかったのであります。簡単に、先刻申し上げたように五年間に六百万キロワットのところをどうしても八百万キロを開発しなければいかぬということになりますと、むずかしい問題は二つあると思うのです。一つは、先刻御指摘になりましたような資金の問題、これはこの金というやつは、御承知のように非常に緩慢になりましたり、今日のごとく窮屈になりましたり、従ってわれわれの普通の常識からいたしますと、こういう金の窮屈になったときには、国家資金を十分に一つ出していただいて、これは単に開発銀行を通じて出すということ以外に、金融市場においてもたとえば政府の事業債を発行する、このごろ社債がなかなか売れないのですよ。まあ来年度の計画なんかも約七百億ないし八百億の社債を九電力で出さなければならない。そうしますと、月に六、七十億出さなければならない状況であります。最近の状況はこの一、二月でも大体五、六十億というものを九社で出しております。これは実は売れないのです。それでいろいろ大蔵省も心配されていわゆる買オペレーションというやつで、多少資金を放出されて、何とかこなしていっているのであります。来年度なかなか私はそういう多量に社債の消化ができるかどうか、今の日本経済の情勢からいって非常にむずかしいのではないかということを心配しております。それから開発資金につきましては、九電力として大体四百億来年ぜひお願いいたしたいと思っておりましたのですが、現政府隘路打開政策から申しましても、一番多く取り上げられております電力増強という問題につきまして、それがどういうことか二百五十億に減らされまして、実は非常にその点も資金の穴があくような状態なんです。従いましてそういうようなものはあるいは増資でまかなうとか、その他の方法でやるとかいうことになりますと勢い原価に響いてくる。電力原価が高くなってくる。これを非常に心理的の問題では心配いたしております。また、そういう点について主務官庁の方にも、また大蔵省の方にも、また金融界の方にもそれぞれ話をし、またお願いをしておるわけであります。  それからもう一つの問題は、先刻申し上げましたようにこの火力発電所が八百四十万キロのうち過半が火力発電所、この食べさせる燃料が実は問題になって参りますわけです。日本の今までの火力発電所の燃料は石炭であったのですが、日本の石炭の生産額というものは、昨年の後期以来非常に好調を呈しまして増産になっております。確かになっておりますが、電力だけで申しましても昨年、昨年といいますのはこの三月までに使います石炭が約九百万トンくらいのものだろうと思います。それが来年度は千三百万トンくらい要るのでございますね、石炭にいたしましても。そういたしますと日本の出炭ではなかなか間に合わないという問題が起って参りまして、それでどうしても油の問題、重油をたくということを考えざるを得ない時期になりまして、これもやはり通産省の方にもいろいろお願いし、どうせこれは外貨の問題にすぐ関係いたしますので、その辺の今計画を立てまして、大体来年度の内地の石炭の、これは明日石炭業者と電力業者と会見をいたしまして、大体の来年度の内地の石炭の数量、需給の約束をするつもりでおりますが、おそらくこれは千万トンか千百万トンということではなかろうか。そういたしますと、残りました二百万トンなり二百五十万トン、三百万トン近いものを油なり、あるいは外国から持ってくる炭なりでまかなわないと電気が足りない。こういう建設と油の問題と二つ実は問題が起って参りました。資金の方の問題はいろいろ金融情勢の変化で変ると思いますので、この燃料の問題は実は非常に絶対的に足りない。日本の出炭が来年度五千三百万トン掘ると石炭業者は言っておりますが、まずこれもぎりぎりのところ六千五百万トンくらいのところがせいぜいではないか。そうした場合に電力に向けられるのは千六百万トンから千七百万トンといいますと、先刻申し上げたように火力がふえるのは非常にふえるものですから、そうするとどうしても大部分を重油でまかなわなければならない。この重油と申しましても、簡単に油を持ってきたらいいとは参りませんので、外貨のほかに内地に原油を持って参りますと、それがガソリンと重油のできます率が大体きまっておりまして、重油だけ使おうとしますと、ガソリンが余るというような問題がありまして、なかなか簡単に重油に大量に切りかえるということについても、われわれ確信を持っておらぬのであります。もちろん、重油だけの輸入という問題もあると思いますが、ともかくも供給量の確保ということは何とかできるといたしましても、価格の方の変動がこれは船賃が非常に影響をいたしますので、現にスエズの問題が起りましてから非常に暴騰いたしまして、一万二、三千円のものが一万六、七千円くらいになるというふうにフラクチュエーションが多いのでございます。こういうものをどういうふうに安定させるかという問題、いろいろこの重油に一応重点を置くといたしましても、問題が相当ある。従って一面原子力発電というようなものを急がなければならぬというような今気持でおりますが、取りあえずこの五カ年について考えてみましても、それだけの膨大なる開発をやるといたしますと、そういうふうないろいろな問題点と申しますか、むずかしい問題がある。これはどうしてもやらなければいけませんので、やる計画を立て実行に移っております。そういう意味におきましてよく一つ事情を御理解願いたい、何かと一つ御援助をお願いしたいということでございます。
  85. 白井勇

    ○白井勇君 もう一つの今のお話しの八百四十万キロワットの中には、その江川開発も入っておると思いますね、——入ってないのですか、——入ってないそうですが、けさほども問題になっております江川開発みたいな問題でありましてですよ、中電さんの方は、少くとも三十五年度くらいの末には、供給力に耐えるような御計画のように私は今聞いておったのですが、ところがけさほど電発さんのお話によりますと、早くて三十六、七年だとこういうことになるのですね。そうすると連合会としてはそういう場合にそれじゃ困るのだ、こういうことでその関係方面を大いに鞭撻をして、それが中電さんの御希望の、三十五年度までに間に合うような方向にやるというようなことも、やはりあなた方の方のお仕事にあるわけですか。
  86. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) 今の抽象的に申しますと、電源開発と九電力は協力する、これはもともと一つの仕事をやっておるのでありまして、先ほど岸田総裁お話がありましたように、ぜひ協力態勢が必要なんであります。特に水力地点開発がおくれますことは、さき申し上げたような火力を、要らぬものを置かなければならぬということになりますわけですね、ことに置いた火力が非常に今逼迫している燃料を食うということからいたしましても、水力開発をどうしてもこれはこの際急いでいただくということは、九電力側といたしまして非常にこれは大事なことなんです。従いまして今年の電発さんの資金等につきましても、やはり連合会といたしまして、ぜひたくさんの金を電発につけてもらいたい、そうせぬと困るのだということを大蔵大臣その他にも陳情に歩いたわけでありまして、その辺はできるだけのことはわれわれやっておるつもりでおりますし、またやれると思っております。また電発で必要な土木人のごときも、おおむね九電力から行っておるのが多いのでありまして、それが大量に従来援助いたしておりますし、ただ、一番電発さんとしてお困りなのは、むしろ金とか技術面とかいうことでなくて、実際の何といいますか、用地関係といいますか、そういうふうなことのためにおくれる面が多いのじゃなかろうかというふうに私ども推測いたしておりますが、われわれの今のような事情もしょっちゅうお会いしてお話しまして、なるべく水力開発を急いでいただきたいということをしょっちゅうお話し合いをいたしております。
  87. 白井勇

    ○白井勇君 ちょっと私は通産事務当局に伺ってみたいのですが、けさほど来、江川電源開発につきましては、各大臣が重要度をお認めになって、ただ多少各省の調整を要する点があるから、これを至急やる計画だと、こういうことでありますから、今後急速に進むと私は思うのですが、事務的に見まして、どういうところまではこれは話し合いが通じて、どういう点において運びかけておるのだというような事情は、けさほどちょっとお話がありましたが、もうちょっと……。
  88. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 実はけさほど来ちょっと申し上げるのを落しておりましたが、一番の問題は、これは地元といいますか、両県の知事並びに県会等の、いわゆるわれわれから見まして、地元の有力者の方の動向でございます。これは実は非常に電源開発の場合に問題になるわけでございます。でずっと従来の経過を見、最近の県当局等の動きを見ておりますと、三江線だけはこれは年来の宿望だから、ぜひ懸案通り早くやってくれというお話は再々あったわけでございますが、ダム建設すれば三江線がおくれたり、あるいはだめになりはせんかというふうに、誤解といいますか、疑念といいますか、あるようです。従ってダムも一緒にやってくれという声はついぞ聞いたことはありません。湛水区域関係の町村の方には、これはダム建設促進期成同盟ですか、というふうなのがございまして、ダム建設を急いでくれというお話がわれわれの方にずいぶん参っております。また、署名も参っておりますが、そういういわば県内の有力者ないし県の意思を決定される方々の力では、ダム反対とまではいっているかどうかはわかりませんが、少くともダムをやってくれという声はついぞわれわれの方に参っておりません。これが電源開発の場合には一番問題になりまして、ことに補償の問題あるいは水利権等の場合には、県当局の反対を無視しては、まずできないというのが、今までの実情でございまして、従来の例に徹しましても、相当戸数の水没があるというようなところでも、必ず補償問題の解決は、県当局にも介入していただきまして、なおかつ二、三年かかるというのが実情でございます。従って、中央のわれわれの考え方が現地両県の当局者に十分に了解されてないのに、これはわれわれのやり方の問題もあろうかと思いますが、実はそれよりも、現地ではとにかく三江線を取ろうということで、もしダムをやればどうも三江線の工事がおくれそうだ、完成期限も延ばされそうだ、まかり間違えば、路線も変るかもしれないというような危惧の念が非常にあるようでございます。そこで、それを何とか早く疑念を解いてもらって鉄道も急いでもらいたいし、ダムも早くというふうな両立案に、両県の当局並びに県会等の有力者の方々に動いてもらうことが、この際は一番の早道だと思っております。今後とも、そういう点にわれわれの力を入れたいと思っておりまするが、何分ちょっと離れておりまするし、また、三江線の方は、すでに二カ年目の工事でございまするので、なかなかその点の誤解を解くのはちょっとむずかしいように思っております。これはしかし、私どもの方は何とかいたしますが、またいろいろ御協力を得たいと思っております。
  89. 白井勇

    ○白井勇君 これは突っ込んだ話で恐縮ですが、今のような場合ですね、事務局に話します場合、今お話しの点もっともだと思うのですが、それをつまり認識を深めて、三江線もこれは計画的にやられる、あるいは賠償の問題もこういうことを考えられるというならば、さらに地方民に対しまして非常に助かるのだというような、反対せんがための反対に対しまするそういう働きかけを運んで参りまするのは、一体どこがやるわけですか。企画庁がやる筋合いのものですか、あるいは通産省が、これはもちろん一省ではないと思いますが、その中心をなして運んで参りますのは、一体どこになる筋合いなんですか。
  90. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは仕事の関係を言いますれば、やはり通産省の方が中心にならなければいかぬと思っております。現地の出先の機関を通じましても、その点は今までもやっておりますが、今後とも十分両県の方の御協力を得るようにしたいと思っております。  それからまた、中国五県の電気需用者関係の団体、あるいは地元の補償に関係ありまする町村の方々等も、これは早期開発の賛成論でございますから、このような方々とも一ついろいろ、両県当局の方にもいろいろ動いていただいておりますし、両立論で十分いけるし、また、国の考え方もそうらしいということで、その方面の工作をお願いしたいと思っております。
  91. 白井勇

    ○白井勇君 私も現場へ行った感じで、非常に今まで疑問に思ったのですが、その賠償を有利にするための反対、あるいはその他のいろいろな、何といいますか、それをまた利用するような者も、中に入ってくるというような面も出てくるのじゃないかと思いますが、もうちょっとやはり、これはただ地方地点とかいうような、そういう地域的の利益だけの問題でもありませんし、やはり国全体、国民全体としてこれは考えて開発せざるを得ないという問題に、私はなるのだろうと思いますがね、この問題は。そうしますと、そういうことをもう少し、何といいますか、企画庁がやるのか、通産省がやるのか知りませんけれども政府としまして、こういうものだということを、ただ地元があるいは反対があるからとか、あるいは代議士が反対するからというようなことにとらわれない、何らか一つの線というものはやはりどこかに流れていないと、どうもおかしなものじゃないか。これは江川だけの問題じゃない、全国にいろいろな問題……、こういう問題の扱い方に対して、僕はどうもちょっとふに落ちない点でありましてね。それでちょっと伺ったわけです。
  92. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本日は長時間にわたりまして、三人の参考人の方にこの委員会に御出席いただきまして、委員の質問に対しましても、詳細に御答弁いただきまして、ありがとうございました。   ほかに御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会