○
公述人(吉田秀夫君) 法政大学の吉田でございます。私は、今回の
政府提出並びに
衆議院で可決になりました
健康保険の一部
改正案に全面的に
反対だという
立場で、若干その
理由を申し上げたいと思います。まず第一に、
社会保障制度の中で
医療保障制度がここ二、三年余り最大の比重をもって論ぜられ、また、非常に鋭い
社会的な政治的な問題になって参りました。御
承知のように、私の隣におります近藤先生を差しおいて言うのはおかしいですが、
昭和三十年の十月に七人
委員会の膨大な
発表がありまして、さらに、最も権威を持っておるはずの内閣の
社会保障制度審議会の昨年十一月の
医療保障制度に関する勧告がございました。この二つとも、前者は約半年余り、後者は約一年半という非常に長い時間をかけてなされたものであります。さらに、昨年の秋ごろから、またあらためて、数多い
医療保障に関する
改革の
意見がいろんな団体から出されております。たとえば、
日本経営者連盟、また、
日本労働組合総評議会、また、
日本医師会等々であります。これらすべては、まあそれぞれの
立場により私え方も違っておりますし、また、長所も短所もありますし、私から言いますと若干批判もないわけではありませんが、いずれも、抜本的な
医療保障の
改革を目ざして出されたものだということは、否定できないと思います。にもかかわらず、今回の
政府提出並びに
衆議院で修正を見ました
健康保険の一部
改正案は、こうした
委員会あるいは
審議会、あるいは諸団体の権威に対していきさかの配慮もなく、依然として旧態依然たるきわめて官僚的な、また、こそく的な
手段で対処しようとするものであるということを言わざるを得ないわけであります。午前中の参考人であります
清水玄先生のお話によりますと、今回の
健康保険の
改正案は、
社会保険審議会も
社会保障制度審議会も多数をもって承認したということだそうであります。しかし、これはだいぶ前の話で、ここ二年余りの間に情勢はかなり変ってきたということを注意しなくちゃならないと思います。特に、今回の
政府提出の
健康保険の
法律改正案は、当然諮問さるべき
社会保険審議会に正式に諮問を経ずして、ただ了解事項として国会に提出を見たというような、こういういきさつを持っております。
さらに、午前中平田あるいは沢田両氏からの指摘の
通り、抜本的といいましても、
社会保障制度全体からいいますと、一番大事な肝心な
結核対策に対しての配慮がほとんどないこと、それから
国庫負担に対して毎年の予算の範囲内で適当にやるというようなそういう
法律改正案、こういう点がきわめて問題だろうと思います。大体これらの
委員会や
審議会や及びいろいろな団体の
意見の中に共通して見られますのは、何かいろいろな
社会保障制度の危機がありますと、その当該の
社会保険制度あるいは
社会保障制度のワクの中で
技術的に問題を解決しようというようなそういう傾向がございます。これは、私から言わせますと、根本的な解決にはならないという感じがいたします。なぜならば、現在の
日本の置かれておる
状態の中で、たとえば労働者階級を見ますと、
一つは、一方に神武以来の景気をたたえる大企業及びその傘下の労働者がおります。もう
一つは、神武以来の景気にほとんど日の当らない零細中小企業及び数百万人の労働者層がおります。ところで、この日の当らないそういう好景気の恩典にあまり浴さないという零細企業の場合には、実は大企業の労働者と比べまして、
社会保険――といいますと、具体的に言いますと、
健康保険なり厚生年金なり失業
保険、あるいは労災
保険というようなこういう
社会保険の仕組みが唯一最大のカバー――労働者のいろいろな生活、労働条件その他をカバーする福利厚生施設的な役割を演じているということであります。まあこのうち、日常直接に一番
関係の深い
健康保険の問題に今度メスが入ったということであります。さらに、そういう大企業と零細企業及びその傘下の労働者の非常に大きな格差、みぞ、こういう問題、さらに完全雇用の問題、また、最低賃金制の問題というようなことに関連しまして、結論的に言いますと、勤労者全体の生活の向上ないし
国民大衆全体の生活の向上ということが前提条件であります。こういう前提条件を無視して、単に
制度のワクの中でこそく的な
手段をやりましても、本質的な解決の道には非常に遠いということであります。従って今回の
健康保険の
改正案につきましては、やはり根本的な出直しを要請せざるを得ないわけであります。これが第一の
理由であります。
第二の
理由としましては、これは率直に言いまして、第一次の
健康保険の
改正案も、また昨年六月流産しました第二次
健康保険の
改正案も、あの当時の情勢と現在の情勢とでは非常に大きく違っておるということであります。三十年度六十億という
赤字の見通しが、実際には収支決算で四億二千六百万円の黒字を生んだというようなこと、これに対しては六十億円の大蔵省からの借金があるからそれも含めるという反論が出るかもしれませんが、とにかく現実には四億何千万円かの黒字になったということであります。また三十一年度も当初におきまして六十六億円という膨大な
赤字を
政府当局は示しました。ところがだんだん減りまして、最近はたな上げの三十億を加えまして、さらに予備金等を操作しますと、とんとんの
保険財政かあるいは逆に十億円くらいの黒字になる、こういうことであります。なぜこういう好転の
状態を生んだかというようなことは、今までの参考人の
意見にもございましたが、私は次のような点にあると思うのです。それは三十年の六月に
社会保険診療報酬支払基金に
医療担当者側の若干の
反対を押し切りまして、
相当多数の専任
審査員が置かれました。それから同じ年の九月にいわゆる抗生物質等の
点数を下げ、さらに結核の一点加算というようなこともやり、これで数億節約になったと思います。それから去年、三十一年の八月には約四十六の支払基金ほとんどに十万の
歯科医師、
保険医の
審査録の整備がなされております。さらに九月にはこれも若干国会で問題になったようでありますが、三百数十名の
保険調査員の設置などを見ました。これらの一連の行政措置によりまして、とにかく
医療費はかなりきつく引き締められ、一方事業主並びに被
保険者等に対するかなりきびしい調査の上で収入の増加も来たしたということ。さらに
健康保険は
赤字だと、こういう声に有形無形の
医療担当者の萎縮
診療というような影響があったと思います。さらにもう
一つは
政府の謳歌する未曽有の好況、神武以来の景気ということも、若干は大企業あるいは大資本につながる下請けの中小企業その他に反映したに違いないと思うわけです。
こういうふうに非常に情勢の著しく違った中で、何を好んで昨年の六月に
審議未了、流産しました
健康保険改正案とほとんど
内容の同じそういう法案をあえて強行しようというのであろうかということが、実は私は非常に疑問を持ちます。もしもたな上げになった当然いただけるはずの
政府管掌に対する三十億の国庫補助がほしいのだと、それだけの
理由であるならば、これは非常に不見識もはなはだしいと私は思うわけであります。もちろん三十億がほしければ、これは別に
健康保険改正というような非常にこそく的な
手段でなしに、これは別個に厚生
保険特別会計の一部
改正で三月末までにやれば十分出る話であります。それからもう
一つ赤字対策ではない、これは
政府の公約であります
国民皆
保険のための地ならし、まあいい言葉で言いますと、
医療保険の健全な運営だ、あるいは不均衡の是正だというような言い分が通っているようでありますが、これは一部
負担を含めて、あとから申し上げます一連の官僚統制を含む今回の
改正案を見ますと、明らかな後退だと言わざるを得ません。特に
政府管掌の
健康保険の労働者の一年間に平均して保障された
医療費は年額六千五百円だ、家族は二千円だ。それから日雇
健康保険が本人が三千円で家族は千円だ。
国民健康保険は年間にしますと千三百円くらいだ。全然未適用の
国民は何と一年間に七百円、八百円だ。こういう
医療費のアンバランスの姿を
社会保険制度審議会の勧告は前文にうたっております。実はこれだけ数字を見ますと、確かに
政府管掌の労働者が一番たっぷりした
医療給付を受けておるというような感じを持ちます。しかし実際には御
承知のように
政府管掌の
健康保険には、まともな
法律による国庫補助の措置は全然ございません。自前で年間八千円。九千円あるいは一万円近い
保険料を払って、その中で、自分の
保険料の中で六千五百円程度の
医療給付を受けることは当然のことであろうと思います。こういう点を全然触れないで、ただ
政府管掌の労働者が一番ぜいたくだというような形でこの数字が実は悪用されておることを非常に残念だと思っておるわけであります。
ところで、問題は
国民皆
保険のことでありますが、これは先ほ
ども平田先生から御指摘がありましたように、私はほんとうに皆
保険をやるならば、もう少し
日本の現状、特に肝心の
国民健康保険の現在の姿を徹底的に究明してから始めてもらいたいと思うわけであります。これは最も権威のあるといわれております
厚生省の去年十二月の厚生白書によりましても、まだ
医療費の問題その他の問題が非常にうるさくない
昭和二十九年度において全体の約四割、三千のうち約四割の
国民健康保険が
赤字だ、あとの六割は辛うじて国庫補助二割五分、並びに市町村の一般会計からの補助一割二分というような補助を前提としてやっとやっておるのだ、こういうことであります。これは御
承知のように三十年度を経まして三十一年度の場合には、地方財政整備、いわゆる地財法という
法律の施行によりまして市町村の財政は極度に窮迫しております。従って四割という
赤字は、私は五割ないし六割あるいは七割近い程度に今日の
段階では
増大しておるかとも思います。さらにことしに入りまして、
政府から
発表になりました
国民健康保険の
実態調査を見ますと、現在
国民健康保険の被
保険者になっております人たちのうちで、一年間に七万円以内の収入きりないという世帯が二割七分もあるということであります。これは現在をもってしましても、まともな
国民健康保険の
保険料の
負担には耐えきれないということであります。さらに御
承知のように一部
負担は標準としまして五割なんです。その五割の一部
負担を払えないために、数多い貧農やあるいは低額
所得の
国民層が実際
保険料を払っても
国民保険を利用できないという事情がございます。こういう点から見まして、大体二年や三年あるいは四年というようなことで年度を限って
国民保険を作らなければ
政府の奨励金や助成金は出さないというようなことまでかぶして、
国民皆
保険を強行するということには私は非常に疑問があると思いますが、
国民健康保険の普及の地ならしだということでありますと、その地ならしは明らかに後退だということであります。さらにもう
一つ問題にしたいと思いますのは、現在の
国民健康保険の法的な規制によりましても、五人以上の事業所に働く労働者が、御
承知のように行政管理庁の査察報告によりますと、平均しまして五割、東京の場合には七割適用外、大阪の場合には三割適用外、こういう報告でございます。そうしますと、実際には
国民皆
保険と言いながら、当然
法律をもって強制的に適用になる事業所が
相当数適用除外になっているということであります。
それからもう
一つは任意包括という
制度があるはずでありますが、これはあまりと言うよりも、ほとんどこれを認めない方針が当局にあるやに聞いております。事実私がタッチしたいろいろな事例によりましても、最近五人あるいは十人、二十人というような事業所におきましては、せめて
健康保険くらいはほしいのだということで、末端の
社会保険出張所の事務所に参りましても、
保険料をもし半年かあるいは一年分、あるいはもっとさかのぼって三年分を払いますと、
健康保険の適用を認めるという、ほとんどおどかしに近いような行政措置が末端にあるということを聞いております。こういう現在持っております矛盾を解決することが一番大事なことなのです。そういう前提の中で、五人
未満の労働者にもまともな
健康保険の
制度、さらにまともな
国民皆
保険制度という形でしなければならないと思うわけであります。
それから第三の
理由としまして、これはおそらく国際的にもあまり前例のない、そして
日本国憲法並びに国内の各種の
法律との
関係から言いましても、これに背馳するのじゃないかと思われるような一連の官僚統制的な措置が今回の
法律改正案にあるということでございます。その代表的なものが
検査権の強化であり、また
保険医療機関のいわゆる二重
指定という問題であります。このことは第二十四国会におきましても、また今次の国会においても、それぞれ専門
委員会においてしばしば指摘せられているやに聞いております。たとえば
検査権の強化につきましては、罰則を含めて本
改正法案中の項目のうちで、随所にわたり最大の比重を持って詳しく規定されているところでありますが、これは事業主、被
保険者、
医師、
歯科医師、薬剤師もしくはその
医療の手当を行なった者すべてに共通のことでございます。役所の、特に末端の役所の当該の職員の
質問に返事しなかった、あるいは虚偽の答弁をしたり、また報告や
関係書類、物件の提出をしなかったりした場合、一万円以下の罰金ないし過料に処せられるということでございます。ただしこれらの
質問や
検査は、身分証明書をその当該職員が持っておれば、第九条三項その他にもわざわざ断わってありますように「犯罪捜査ノ為認メラレタルモノト解スルコトヲ得ズ」とわざわざ断わり書きがございます。この断わり書きを見ましても、これは立案者である当局自身が国の憲法で保障されております基本的な
国民の人権を侵害することを憂慮しての文句の投入ではないかとさえ思われます。すなわち
質問の強制は、これはたとえば殺人罪というような犯罪を犯しましても黙秘権、否認権があります。さらに施設へ強制的に立ち入りますことは、
国民の住居の自由を侵害するということになります。大体
国民の福祉あるいは労働者の健康を保障するというような、こういう
健康保険制度の中に、なぜ往年の治安維持法やあるいは特高警察的な捜査権の発動に近い、そういう
法律強制権を入れる必要があろうかということであります。特に被
保険者の場合には、――大体約十万の
保険医を
指導し、あるいは
監査する場合にいつも唯一の材料になりますのは、これは
患者に対するいろいろな調べであります。ところが
患者にとりましては、被
保険者にとりましては、自分の受けた数カ月前の
保険給付の中で
注射を何本受けた、往診を何回してもらった、あるいはその他の諸種万般について正しい記憶があるはずがないわけです。大体そういうものを材料にして、まず
指導あるいは
監査の対象にするということにも
一つの問題がございます。これはおそらく
政府当局自身が、
国民の被
保険者もあるいは
医療担当者もあまり信用できないというその意識から出ているのではないかと思います。これは不幸です。しかし
社会保険制度は、一八八一年のドイツ、ビスマルクの近代
社会で初めて作られたあの当時を振り返ってみてもわかりますように、これは
社会不安あるいは労働争議、その他そういう
社会的ないろいろな諸問題が激化して、その緩和剤として、そのあめとしての役割りが作られた当時から非常に強いということはこれは否定できません。しかるに今回の
改正案によりますると、肝心のあめの中にさらにむちを入れる、そうして改悪しようというようなきらいすらも考えられるわけであります。
また二重
指定にしましても、いかにその運営に万全を期しましても、またいかに
付帯決議で適当にやれというようなことがありましても、これは有形無形のいわゆる官僚的な圧迫に対しまして、おそらくすべての私的
医療機関には
相当の影響を与えることはこれは必至でございます。すべての私的
医療機関とは、
改正法律案によりますると非常に巧妙に表現されております。たとえば第四十三条によりますと、
医療機関は三つに分類されております。その
一つは知事の
指定する
保険医療機関であり、二番目には特定の
保険者の直営ないし
指定医療機関であり、三番目は
健康保険組合直営
医療機関と三つに分れております。このうち三年の任期制を受けるのは第一の
医療機関すなわち私的
医療機関ないし
開業医のみということであります。これは明らかに私的
医療機関抑圧、あるいはだんだんに
開業医制度を抹殺するという、そういう政策の具体化というふうに考えざるを得ないわけであります。特に全
国民に対しまして
医療保険をという皆
保険政策が進行し、あるいは将来完了せんとする
段階におきまして、もし
指定からはずれるということになれば、これは一体どういうことになるのであろうかということであります。ある意味ではもし
指定からはずされれば、実際には医者としての仕事ができなくなる、これは
医師の免許状剥奪であるというような理解の仕方を持っている
医療担当者もおるわけであります。
大体
わが国の現在の
保険医療機関のみじめな姿は次の諸点にあると思います。それは国際的に言いましても、あるいは国内の諸物価から言いましても、格安の
保険診療報酬と、それから
保険医のすべてをまるで不正請求者扱いにするがごとききびしい
審査、
監査と、もう
一つは繁雑きわまる事務手続と、最後に
医学技術の進歩向上を絶えずはばむような、良心的な
診療ができないようなそういう
制限診療にあると私は思うわけであります。これに輪をかけてさらにみじめな統制下に置こうとするのが、今回の
検査権の強化及び二重
指定であろうかと思います。国
会議員の中にはかなり諸外国の
社会保障の事情を視察されてお帰りになられた方も少くないと思います。一体どの国に
わが国のようなこういうみじめな姿があるのか、またどの国にこういう
医療機関に対する、ことに被
保険者その他に対するこのような統制の仕方があるのかということを逆にお伺いしたいぐらいだと思います。それは私がお伺いしましたある長老の参議院議員のお話によりましても、少くともヨーロッパ諸国にはあまりこういう非常にめんどうくさい事務的な手続や、あるいはこのような、
医師が大体まともな品位のある
人間として扱われないような、こういう統制はないというお話を聞いたことがございました。
最後に、こまかく言いますと、たとえば一部
負担につきましても、家族の
制限につきましても、あるいは標準報酬の最低を四千円にするということにつきましても、あるいは継続給付につきましても、それぞれ言い分がございます。まあいずれも率直に言いますと、最もみじめな零細企業の、
政府管掌の労働者に対しましても、特に低収入と悪い労働条件であえぐ、そういう零細な企業の労働者に対しましても、その中でも病気になったという非常に不仕合せな
患者に降りかかる問題でありますし、さらに
保険財政的にはあまり大して努果もないだろうというようなことを考えあわせましても、これは人道上の問題でさえあろうかと思われます。これらすべては明らかに後退、改悪であると思います。
以上の指摘で私の
立場は明らかなように、今回の
健康保険の
改正案には全面的に
反対であります。本来ならばこれを撤回して、
政府当局自身、冒頭に述べましたような諸勧告、諸
意見書、諸団体の
意見等を謙虚にくみ入れて根本的な対策をはかり、出直すべきであるというふうに思いますが、すでに
衆議院を通過した今日、参議院の良識を信頼する以外にはないということを非常に残念に思います。すなわち徹底的な慎重
審議されるということであります。たとえば
国民皆
保険と今次健保
改正案の
関係、健保財政好転の事情の分析と見通し、さらに
改正各項目につきまして、実際の現状との関連とその影響、昨年
発表されました行政管理庁の
政府健康保険の行政査察の報告の検討、さらに諸外国の
医療保険のあり方、特に手続、
監査、
指定などは、実情などのほか、少くともこういう諸点を十分に国会で御
審議を明らかになされまして、少くとも
国民各層が
納得するような審理を期待したいと思うわけであります。
最後に、参議院で過日イギリスの原水爆の実験禁止の要請をなさいました。ところが二、三日前の新聞によりますと、イギリスのある有名な、著名な哲学者ですら、今回のイギリスの原水爆の実験は愚かなる大国の虚飾だという、そういう表現だそうであります。こういう愚かなる多数党、あるいは愚かなる云々というようなこの言葉が文字
通りそのまま私の方から提示をできないようなふうに、慎重な御
審議を切にお願いしまして、私の
公述を終る次第であります。