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1957-05-19 第26回国会 参議院 社会労働委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十九日(日曜日)    午後六時五十四分開会   —————————————   委員異動 本日委員大川光三君、千葉信君及び奥 むめお君辞任につき、その補欠として 横山フク君、木下友敬君及び田村文吉 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            榊原  亨君            高野 一夫君            山本 經勝君            早川 愼一君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            斎藤  昇君            西岡 ハル君            西田 信一君            武藤 常介君            横山 フク君            片岡 文重君            藤田藤太郎君            藤原 道子君            山下 義信君            田村 文吉君   衆議院議員            野澤 清人君            床次 徳二君   国務大臣    厚 生 大 臣 神田  博君    労 働 大 臣 松浦周太郎君   政府委員    総理府南方援護    事務局長    石井 通則君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    厚生政務次官  中垣 國男君    厚生大臣官房総    務課長     牛丸 義留君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君    労働政務次官  伊能 芳雄君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働省労働基準    局長      百田 正弘君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○南方同胞援護会法案衆議院提出) ○医師国家試験予備試験及び歯科医師  国家試験予備試験受験資格特例  に関する法律案衆議院提出) ○労働福祉事業団法案内閣提出、衆  議院送付) ○水道法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動を申し上げます。  五月十九日付をもって、奥むめお君、千葉信君、大川光三君が辞任され、その補欠として、田村文吉君、木下友敬君、横山フク君が選任されました。   —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 南方同胞援護会法案議題といたします。御質疑を願います。
  4. 藤原道子

    藤原道子君 私は本法の意図するところは大体賛成なんでございますが、若干の御質問を申し上げてさらに内容を明らかにしたいと思います。  まず第一に、南方同胞援護会はきょうまでどういうふうなお仕事をしておいでになったか。さらに、対象とされておる人員はどのくらいあるのか、あわせてその生活状況等はどのようになっておるかということについてお聞かせを願いたいと思います。
  5. 床次徳二

    衆議院議員床次徳二君) 南方同胞援護会は、財団法人として昨年の夏発足いたしまして、国から一千万円の補助を受けまして、あと民間寄付をもって事業を営んでおります。事業目標といたしますことは、お手元に寄付行為があるのでありますが、簡単に申し上げますと、第一には、南方沖縄並び小笠原に関する啓蒙宣伝事業で、これは御承知の通り、これらの沖縄小笠原等には内地復帰ということが国民の大きな熱望になっておりますので、その目標を達するためにいろいろ宣伝ということをいたしておるのでありまして、内容的に分けますと、あるいはアメリカに対しまして宣伝をいたしますとか、あるいは内地に対して、また、沖縄小笠原等本島自体において行うというような啓蒙宣伝事業をいたしております。なお、事業といたしましては、戦争によります犠牲者現地におきまするところの戦傷者戦争未亡人等対象といたしまして職業補導をいたしております。  その他事業といたしまして、学校援助その他に対しましてもできるだけのことをいたしたく、今日事業をいたしておる次第であります。たとえば学童問題に関しましては、新入学児童に対する教科書の配付、あるいは援護物資送付、あるいは無医村の巡回診療、あるいは現地高校生に対する育英資金貸付等を、これはただいまあとに申し上げましたことは将来の事業として予定しておる仕事でございまして、これらの仕事政府援助を受けつつ、また、一般国民寄付等資金をもって今後実行いたそうとするものであります。
  6. 藤原道子

    藤原道子君 その現地に残されている人たち生活状況はどんなふうなんですか。
  7. 床次徳二

    衆議院議員床次徳二君) これは戦争犠牲者でございますので、私ども実はこの提案者の一人といたしまして、佐竹先生と一緒に過般参ったのであります。参議院の方からも吉田、鶴見両先生が行かれまして、現地を見ていただいたのでありますが、やはり戦争による犠牲というものは非常に大きく残っているということを考えておるのであります。なお、特に現在、われわれ沖縄におきまして感じますのは、何と申しましても、軍用地として接収せられました跡始末、直接土地軍用地に接収せられた人たち生活というものが一番中にもひどいと考えております。もちろんこれらの土地接収者におきましては多数の戦災者等を含んでいることは当然でありますので、こういう方々を最も私どもの対象として考慮すべきものではないかということを考えておるのであります。
  8. 藤原道子

    藤原道子君 そうした大切な仕事をしていただくこの援護会でございますので、今回のこの法律によって内閣総理大臣会長及び監事任命する、こういうふうになっておりますが、これがまた、官僚のうば捨て山的なものになったり、あるいは官僚式愛情のないものにゆがめられる危険性はないでしょうか。
  9. 床次徳二

    衆議院議員床次徳二君) 今回特に役員総理大臣任命、すなわち南方援護会の場合は主管大臣内閣総理大臣でありますので、内閣総理大臣任命という形になっておるのでありますが、これは提案の御趣旨を御説明申し上げましたときにも申し上げたのでありますが、本会がいわゆる公けの支配に属する団体として発足いたしましたかような意味におきまして特に考慮せられたのですが、今日までのいろいろな事例を調べてみますと、公けの支配に属するということは、やはり役職員役員におきまして政府任命せられた者が役員になっておるということが公けの支配に属する大きな条件になっております。しかし、本会の性質上、できるだけ公けの支配に属する範囲を少くいたしたいと、実は官僚政治になりますことを避けたいという考慮を払いまして、特にこの役員規定の中におきまして、この第十一条でありますが、役員任命に対しまして多少考慮を加えております。会長監事あるいは副会長専務理事は、これはそれぞれ内閣総理大臣任命になっておりますが、理事に関しましては、評議員会の同意で任命するという形をとりまして、できる限り一般のいわゆる評議員の戸というものが反映いたしまして、官僚色に陥いることを避けるように配慮いたしておるのでありまして、この点は他のいわゆる公けの支配に属する団体よりも幾分ゆるやかになっておるということを申し上げることができると思います。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 私はそうでなければならないと思うのです。ことに愛情を持ってあたたかい仕事をしていただく上におきまして、十分考慮を今後とも払っていただきたい。  さらに、その問題の評議員でございますが、三十名以上四十名以内となっておりますが、それはどういう人選を予定されておるのですか。
  11. 床次徳二

    衆議院議員床次徳二君) この人選は、現在の運営におきまして沖縄並び小笠原両島の地元の方々並びに援護事業その他この事業仕事をいたします場合の関係の深い方々というものを網羅いたしまして、大体他の団体の例を見まして所要と考えられます評議員を一応網羅いたしたような次第であります。
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ほかに御質問ございませんか。——他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。修正意見がおありの方は、討論中にお述べを願います。  御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより南方同胞援護会法案について採決いたします。  本案原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長に提出する報告書作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     山下 義信  山木 經勝     片岡 文重  藤田藤太郎     藤原 道子  早川 愼一     西田 信一  高野 一夫     勝俣  稔  横山 フク     西岡 ハル  紅露 みつ     斎藤  昇  武藤 常介   —————————————
  17. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。
  18. 野澤清人

    衆議院議員野澤清人君) ただいま議題となりました医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  現在医師または歯科医師になるためには、国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、終戦前に朝鮮、満州、台湾、樺太等の地において、その地の制度によって免許を得て開業していた者に対しましては、医師法または歯科医師法付則等により選考または特例試験により内地免許を得る措置が講ぜられ、また、別に国家試験予備試験を受験する資格が与えられておったのであります。しかるに選考及び特例試験制度は、昭和二十八年三月以降の引揚者を除きましては、すでに期限が切れており、また、予備試験受験制度も昨年末をもってその期限が切れておるのであります。  また、終戦満州方面向け医師の養成を目的として内地に設けられた医学校を卒業した者等につきましても、従来国家試験予備試験受験資格が与えられておりましたが、これまた昨年末をもってその期限が切れておるのであります。  従いまして、これらの制度によってなお資格を得ることができなかった者に対しましては、現在医師または歯科医師となる道が閉されてしまっておるのでありますが、これに該当する者がなお相当数あるのであります。よって、今回更に昭和三十四年十二月三十一日まで予備試験を受験し得ることといたしまして、これらの人々の将来に希望を持たせることが適当と存じまして、本法律案を提出いたした次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  19. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御質疑を願います。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この適用者は何人くらいありますか。
  21. 野澤清人

    衆議院議員野澤清人君) 普通の医師の方の受験者が百六十二名ございます。それからすでに予備試験を通った者が四十二名おりまして、合計二百四名でございます。ただそのうち、すでに予備試験を受けなくても差しつかえない、二十八年に廃止になりました法律特例によって救われなかった者等だけが、この中にまた含まれておりますので、実際にこの法律で救われる者は九十四名でございます。医師が九十四名、それから歯科医師の方は、厚生省当局の調べで大体二十名程度、ころいうお話しでございます。
  22. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ほかに……他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がおありの方は、討論中にお述べを願います。別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律案について採決いたします。本案原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  25. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長に提出する報告書作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     山下 義信  山本 經勝     片岡 文重  藤田藤太郎     藤原 道子  早川 愼一     高野 一夫  勝俣  稔     横山 フク  西岡 ハル     紅露 みつ  斎藤  昇     武藤 常介  西田 信一   —————————————
  27. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 労働福祉事業団法案議題といたします。  御質疑を願います。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この法案内容を見てみますと、まず第一に、労働者災害労災保険というのがありますが、この災害者治療保護に関する労災病院の問題、それから総合職業訓練の問題、二つともこの法案に含まれているものは労働者保護をやる建前のものが主たる内容だと考えます。そこで、私のお尋ねしたいことは、労災病院経営業務というものを一つとり上げてみましても、いかにこれが今の労災保険建前労働者業務上の災害によって起きた労働者の災難をいかにして治療給付をするかというところに、より一そうの労働行政立場から、社会保障立場からいたしましても、これはやってもらわなければならぬと思うのです。そこで、私のお尋ねしたいのは、今後理事会においてこれの運営はおやりになると思うのですけれども、実際問題として、労災保険はむろん労働大臣諮問機関になっている労災審議会というものがございます。しかし、ここには三者構成によって運用の努力をされている、こういう三者が一体となって、この保護をしていくという精神が、この事業団に移行して業務が行われなければならないと私は思うのです。そこで、このたとえば執行せられる理事者の面を見ますと、そういう要素がうかがわれない。そこで問題は、このように労働者または使用者代表がこの事業経営に対していかなる形で参与していくか、私はまずそれを聞きたい。
  29. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいまの藤田委員の御質問はしごくごもっともでございまして、民主的な運営をはかるためには労使代表事業団業務運営に参画せしめる考えはないかと、大体大約されると思うのでありますが、これに対しましては、労働福祉事業団民主的運営をはかるために、労使代表を各五名ずつ労使団体より推薦を求めまして、参与の名のもとに事業団業務運営に参画せしめたいと思っております。このことは事業団の設立の際、労働大臣より監督命令により処理いたして御期待に沿いたい所存でございます。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それに関連してでございますけれども、私は考えまするに、私も労働者災害労働者保護というものについては人以上に熱意を持ってきたものであります。そういう立場から考えて、今のような病院施設、それからたとえば訓練施設もございますが、そういうものができてくる、この熱意というものが私はやはり労災審議会でもまたはこの病院業務と申しましょうか、その中でも私は伸ばしていただきたい、うんとより伸ばしていただきたいということを私は考えるわけであります。でありますから、その点、労働大臣といたしましては、今までやってきた労災病院その他、訓練その他について今後どういう工合にお考えになっておるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  31. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 内容をもう少し……何かちょっとつかめなかったのですが……。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たとえば今の労災病院というものが、具体的に申し上げますと、地域的に十分で私はないと思うのです、労働者の。そういう問題、その他これはもう保険というか、やはり事業から起きた何と言いますか、負担、業者の仕事の上からくる賠償とは言えないにしたって、そういう性格が業務上起きてきた災害者に対するものとしてあるわけですから、そういうその保険精神というものを十分生かすためにも、やはり施設の増強であるとか、それから治療、その他の内容の完備であるとか、そういうものについて私は十分に心をいたしていただきたい、こう思うのです。その点について……。
  33. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お問いの点に対しましては、施設の不十分なる点、あるいは時代におくれておるような点、あるいは経営に対する勤労者全体に愛の欠除しておるような点につきましては、御趣旨精神を体しまして、万全を期していきたいと思っております。
  34. 片岡文重

    片岡文重君 労災病院が初めて設置されましてからすでに八年も経ておりますし、総合職業補導所は設置されてから今日まで五年も経ております。その間、労災病院は二十四カ所、総合職業補導所は二十三カ所、これは四十六、七カ所もある都道府県の中で大体半数の設置個所しかないわけでありますが、このことは言いかえれば、この二十四カ所なり、二十三カ所の府県においては、困難な財政の中からどうしてもこれを設置しなければならないという特殊事情下に置かれたからこそ、この努力をしてこれらの施設を設置したものと私は考えます。従って、これらの、特に総合職業補導所等についてのその地域における特殊事情というものは十分しんしゃくされなければならないと考えますが、この法案によりますると、これらの運営事業計画等は、一切この事業団において、つまり中央においてなされ、従って、今まで都道府県知事が鋭意行なってきたところの特殊的な事情に基く指導運営、管理というものがなされなくなっておる、こういうことを考えますと、むしろこの事業団に持ってくることがマイナスになるのではないかと考えますけれども、これに対して、事業団提案される政府としては今後どういうようにこの面を補っていこうとざれるのか。その点をお伺いしたいと思います。
  35. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいまのお問いの問題でございますけれども、片岡さんのおっしゃるように、従来知事にまかしてやってきたものでありますから、急にこれを取り上げて中央集権的にやっても、よい結果は得られないと思いますから、地方実情を十分考えまして、知事との連絡をとっていきたい、こういうふうに考えております。なお、これに対しましては、総合職業補導所業務運営については、従来通り都道府県知事指導、監督できるように労働省令をもって明示して処置をいたし、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  36. 片岡文重

    片岡文重君 運営の面について、その特殊的な事情ができるように省令をもって定められる。従って、特殊的な事情について十分取り入れられるようにするという御答弁については了承いたします。  もう一点お伺いしたいのは、これはひとりこの本法案に掲げられる事業団ばかりではありません。他の住宅公団その他のすべての公団に対して当てはまる問題でありますが、その公団におられる職員諸君退職後の問題であります。もちろん在職中に退職後の老後生活保障のできるよう蓄積のできるほどの余裕ある給与がなされるならば、これはまた別問題でありますけれども、そうでなくして、年々ぎりぎり一ぱいの生活を続けられるような諸君がほとんど大部分でありますから、これらの諸君退職後における、つまり老後生活保障という点について考えなければならぬと思います。今までの実情では、たとえばこの職業補導所等に勤務されておる諸君地方公務員としてやってきたはずである。そこで、この事業団に引き継がれますと、地方公務員として勤続してこられた年金に対する年数がここで打ち切られて、年金を受ける資格があるまで地方公務員であったものは別として、その途中においてその事業団に引き継がれた諸君は、その老後保障が失われるわけでありますから、これについては、事業団においてこの事業団だけでそういう組織ができないとするならば、全事業団を包括するなり、とにかく事業団職員共済組合法というようなものを作られて、それにこの退職後の生活保障等についても考えられるような措置をとられたらどうかと思うのでありますが、これは今すぐどうこうということはできぬでしょう。けれども、取りあえずこの労働福祉事業団に引き継がれる諸君事業団退職後におけるそういう点についての御措置考えておられるのかどうか。もし考えておられるとするならば、なるべく具体的にその点について御説明をいただきたいと思うのです。
  37. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) この点も片岡委員のお問いになるのはごもっともでありまして、これについていろいろ考慮いたしておりますが、事業団退職金規程制定の問題であろうと思うのでありますが、その制定に際しましては、御指摘の点を十分考慮いたしまして、適正な退職金規程を定める考えでございます。
  38. 片岡文重

    片岡文重君 適正な退職金制度を設けられるということでありますが、これは退職金の中には一時金と長期給付とがもちろん考えられると思うのですが、この事業団に収容される人員は、この前の委員会における御説明では、せいぜい三、四千名の程度でありました。従って、長期給付をするような積立金はなかなか困難であろうと思いまするし、政府がこれに補給をするということも、他の共済組合に対しての振り合い上これも困難だと思う。従って、この適正な退職金制度というお考えの中には、大体短期給付——つまり一時金だけが考えられておつて、長期給付の点についてはあまり考えておられないのではないか。かりに考えたとしても実施が困難ではないかと思われますが、国家公務員の場合には——事業団を退いてさらに国家公務員となるような場合には、この本法の中にも若干その規定が触れられておるようでありますから、共済できる面もあろうかと思いますけれども、地方公務員の場合にはそういう点、はなはだ心もとないような気がするのですけれども、それらの点については、地方公共団体等についても十分な話し合いをなさって、その点を円満に解決する御意思があるのかどうか。あるとするならば、どういうふうにこれを解決されようとするのか、お伺いしておきたいと思います。
  39. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいまのお話、しごくごもっともでありますが、この立案当時——その後におきましてもいろいろ私の省で研究いたしまして、それで実際に合うように——理論と実際が合うように、大体まあ構想を持っておりますから、村上総務課長からこまかしく御答弁いたさせたいと思います。
  40. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 片岡先生の御指摘ごもっともでございますが、御指摘にございましたように、一時金が中心ではないかという点でございますが、まあ最もやりやすい方法としては御指摘のような形になるかと存じます。ただ先般来いろいろ御意見もお伺いいたし、今御指摘のようにアイデアもお示しいただきましたので、事業団の職員だけではすこぶる困難な問題がございます。これは率直に認めざるを得ないのでございますが、それをもっと大きな形において取り上げる方法はないかと、こういう点につきましてせっかく検討を進めておるところでございまして、この退職金規程はいずれ事業団が発足いたします際に事業団において決定される規定でございますので、その際、事業団において退職金規程を作る場合の有力な資料となるようなものをここ一両月の間に至急作りたいと、かように考えておる次第でございます。
  41. 山下義信

    山下義信君 この際、私は一点だけお尋ねして労働大臣の御所見を承わっておきたいと思うのであります。  本法によりますと、この事業団が設置せられまして、政府のお考えでは責任体制がこれによって確立せられる。事業経営の主体が強化せられるという御趣旨でありまして、従って、理事長も労働大臣任命ということに相なっておる。監事任命ということになって労働大臣の指揮下に置かれる建前になっておるというのであります。実はわれわれが——社会党が本案に対しまして難色を示すゆえんのものは、従来この種の労働者対象とするすべての問題に対しては、できるだけ労働者の利益を代表する者が参画すべきであるということが一貫した方針でありまして、先般、社会保険審査会審査委員等の任命に対しましたときもこの趣旨を一貫して議論しておったので至ります。本法には、その点が、先ほど藤田委員質疑にありましたように、欠けておりますし、かつまた、本案提案をせられまする動機等につきましても、若干納得しがたい節がありまして、それらがわれわれの難色を示す一つの理由にもなっておるわけであります。労働省におきましては、この労災保険は実に労働行政の中心であり、ことに基準行政の裏づけであって、これを離されますというと、基準行政の確保はまことに困難をきわめるという御趣旨でありまして、かつて、われわれが社会保障制度審議会で、これらの保険も他の保険と統合、あるいはその範疇に入れようじゃないかと言ったときに、当時の寺本労働次官は、委員の一人として、労災保険が労働省から切り離されるということがあっては労働省の致命傷になる、基準行政は全く困難に陥るものであるということで、この分災保険について、労災保険と労働省との密接な関係について力説せられたわけであります。われわれはその意見に耳を傾けたことがある。これは、直ちに労災保険をどうこうではありませんが、労災保険施設をいたしますことはやはりその趣旨でありまして、今日まで労災保険施設が、失業保険施設も同様でありますが、別して、労災保険施設が労働省のいわゆる基準行政の手元にあるがゆえに、車の両輪と言いますか、表裏一体と言いますか、基準行政の大きな裏づけとして一応この役目が果されておる。これがいわゆる外に出されて、独立の経営主体となって、なるほど強化せられて、そして責任体制が確立されるという形には、その点は一応の特徴がありましょうけれども、あるいはこの事業団理事長等がいかなる人が将来任命されるか知りませんけれども、相当な立場の人がこの理事長に就任する、事業団経営の首脳者になる、これがために、この案の建前では、労働大臣の管轄下にあることになって、その指揮命令に服することになっておるが、実際に運営をしていくと、いわゆる労働省の先輩と言うか、古参と言いますか、そういう人たちがこの職につくがために、この事業について密接な関係のある、具体的に言いますというと、あるいは基準局長であるとか、あるいは労災部長であるというような主管の責任者が、それらを駆使する、いろいろ叱咤鞭励するということも遠慮しなければならぬというようなことに相なっては、基準行政というものが非常に将来心配せられるのである。従いまして、いかなる人がこの理事長となり、経営の首脳者に相なりましても、いわゆる労働省におけるそれらの所管の責任当局が呼びつけて叱責し得るというような運営のやり方でなければ、のこのこと本省の局課長がお伺いに行くような形になりましては、私は将来非常に憂慮せられる状態になると思う。そういう点につきまして、労働大臣が、将来の事業団の指揮監督上の心得だとかあるいは運用の点につきまして、どういう御方針を示されるかということを承わっておきたいと思います。  なお、関連いたしまして、先ほど同原委員質疑の中にありましたが、ただ単に、今の事業程度の看板塗りかえの程度では意味がないのでありまして、将来これらの事業内容あるいは施設等が非常に拡大強化せられねば無意味でありますので、将来、それらの点につきましても、積極的に拡充強化される御方針であるかどうか、この点をこの際承わっておきたいと思います。
  42. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 山下委員の非常に御丁寧な御意見は十分心に入れまして善処していきたいと思いますが、事業団指導については、御注意の点を十分ただいま申し上げましたような心情をもって万全を期していきたい、かように思っております。労災保険給付につきましては、従来通り労働基準局が行う、こういう考えの上に立っております。病院等の施設のみを一応事業団で取りあえずやっていく、こういう考えでございます。御指摘の基準局は従来通り労災保険給付等はやっていく、こういう考えでございます。
  43. 山下義信

    山下義信君 私の質問とずれておるのでありますが、給付内容を十分にするというのはもとよりでありますが、施設の数などもどんどんとふやしていただくという方針で積極的に一つ事業団事業計画を……、これは本来言えばどういう御予定であるかということを承わりたいのでありまするが、しかし、時間の関係上省略いたしますが、そういうふうに積極的に事業計画をお立てになる御方針でありますかということをお尋ねしておる。
  44. 松浦周太郎

    政府委員松浦周太郎君) 労働大臣といたしましては、この種の団体指導監督する責任を持っておりますから、理事長また理事会等に対しまして十分指導監督を徹底していきたい、かように存じます。  なお、ただいまのお問いの中に事業を今後拡大するかというような御意見もございましたのでありますが、福祉活動は今後積極的にやっていきたい、かように思います。
  45. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がおありの方は、討論中にお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それではこれより労働福祉事業団法案について採決いたします。本案原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  48. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
  49. 片岡文重

    片岡文重君 私は、この法律案可決に当りまして、附帯決議をつけていただきたいという動議を提出いたします。決議の案文を読み上げます。    附帯決議(案)   政府は、労働福祉事業団が、その業務として行う保険施設の設置及び運営について、左の事項を実現するよう努力しなくてはならない。   一、労働者及び使用者意見が充分反映されるよう措置すること。   二、地方の実状と特殊性を尊重するよう措置すること。   三、事業団の職員の給与、退職金その他労働条件等について万全の措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  50. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいま片岡君提出の付帯決議案を議題といたします。  提案理由説明を願います。
  51. 片岡文重

    片岡文重君 本法案に対する私どもの意向としては、すでに同僚山下委員から述べられておりますが、さらに時間が許しますならば、本案内容に対して、先ほどの御答弁以上に御質問申し上げたい点も多々あるのでありますが、本国会もすでに数時間の後に迫っておりまするので、一応先ほどの質疑をもって質疑を打ち切ったわけでありますが、この質疑を通してみましても、労災病院の今後の運営についてはいろいろな問題を腹蔵しておると考えられます。特にこの運営について労使意見が十分に反映され、なかんずくこれの運営に当り労働者側の意見というものができるだけ多く反映されるようにいたさなければならぬと思います。この措置をまずしていただきた。次に、先ほどの御質疑にも申し上げましたが、この労災病院はもちろん総合職業補導所等の特殊性、地方性というものを尊重するように具体的な措置を講ずることであります。  それから職員の給与や労働条件等については、申し上げるまでもなく、政府においても十分な考慮が払われておると思いますけれども、日常生活並びに老後生活についてはほとんど保障らしい保障考えられないようでありますが、それらの点について具体的に早急に決定をされるように希望をいたしておく次第であります。  これが付帯決議を提出いたしました理由でございます。  願わくば同僚諸君の御賛成を得たいと存じます。
  52. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御質疑ございませんか。(「質疑なし」と呼ぶ者あり)御質疑もないようですからこれより採決いたします。  片岡君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  53. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致と認めます。よって片岡君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長に提出する報告書作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     早川 愼一  田村 文吉     武藤 常介  西田 信一     榊原  亨  高野 一夫     勝俣  稔  横山 フク     西岡 ハル  紅露 みつ     斎藤  昇
  55. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 松浦大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  56. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいまの付帯決議の御趣旨を十分尊重いたしましてその実現に努力いたしたいと思っております。
  57. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  58. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記起して。  この際申し上げます。水道法案については、きのうの委員会決定に基きまして、今期国会開会中審査を終了することを困難と認め、閉会中継続審査することとし、議院の承認を得たのでありますが、会期が一日間延長となりましたので、会期内において審査を進めることにいたします。  水道法案議題といたします。御質疑をお願いします。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この法案についてます、第二条からお尋ねしたいと思うのです。  この第二条には「水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持に心掛けなければならない。」ということが書いてあります。この水源及び水道施設その他については、いろいろとこの法案の中を見てみますると書いてありますけれども、水源というのは、水源に水がどういう形で入ってくるか。固定した水源地に水がどういう工合に、水源地と申しましょうか、そういうところへ入ってくるときの、たとえば汚染の問題、その他のそのような問題についてどういうことをおやりになるのか。防止ですね。汚染防止についてどういうことをおやりになるのか。それをまずお聞きしたいと思います。
  60. 神田博

    国務大臣(神田博君) 二条にもございますように、「水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持に心掛けなければならない。」いわゆる水道の源が水源地でございますから、水源地は上流からずっともってくる場合もあれば、あるいはまた、途中から取り入れる場合もあり、あるいはまた、復流水をとるというような、いろいろの、これはその水源地、片々々によって違いもありますが、要するに、水道水というものの汚染防止を考えて参りたい。十分その予防をいたしたい、こういうような考えをもちまして、水道施設というものは健康を守るために欠くべからざるものでございまするから、清潔保持をしなければならないということを表わしたわけでございまして、ことに今日のように放射能の汚染というような問題もございまするし、さらに、近時鉱業の開発、工場の設置等によって非常に汚染されるというような関係が多いものでございまして、政府といたしましては、関係各省ともいろいろと目下協議をいたしておりまして、この鉱害の防止と申しましょうか、河川の汚染というものにつきまして、河川だけに限らず、農業その他一般国民生活環境の汚染をも防止したいという意味で、鉱害の防止法というようなまとまった一つの基本的な法律を作りたい。こういうような意図をもちまして、それぞれ目下検討を加えておる。こういうような状態にございます。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今のような問題は、二条、三条、四条にずっと書かれております。そこでいま少し原子性物資の問題に触れられたのでありますが、将来その問題を考えて、たとえば私の聞くところによりますと、今の原子性物資を病院その他医学研究用に使っておられる。それは私は的確なことはよくわかりませんけれども、たとえば川の上流の所に都会があって、そうして病院、学術的に学校その他で使われて、そのものがそのまま小さいどぶから川になり、大川になって、下でその水を水源にとっておるという場合があると思うのです。そういうものについて、私の聞くところによりますと、そういう防止的な処置というものが講ぜられていない。今日雨が降れば何万カウント、何十万カウントということの問題が放射能の灰によって社会的にも起きて、たとえば水爆のビキニの問題が起きた。こういうような工合になって、濃度の問題はどの程度に人体にどのような障害を与えるかどうかということは専門的に御研究なさっておると私は思うのです。だからその今の実態を一つお聞かせ願いたい。これは将来という問題じゃないと思う。今日今直ちに私はその問題が重要な問題として起きておる問題だと思う。これをお聞かせ願いたい。    〔委員長退席、理事山本經勝君着席〕
  62. 神田博

    国務大臣(神田博君) ただいま藤田委員の御指摘になりました放射能による汚染の問題は、これは水道用水のみに限らず、われわれ生活環境のすべてに含まれた問題でありまして、政府といたしましては、各機関を動員いたしまして、目下この防止をどういうふうにするかというような検討を加えておりますが、これはしかし、科学的の面が多いのでございまして、一つ政府委員から詳しく説明させることにいたしたいと思います。
  63. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答えを申し上げます。ただいま大臣からも申し上げましたように、今後放射性物質等によりまする水の汚染は、新しい一つの事態としてきわめて重要な問題だと存じております。放射能の汚染対策につきましては、総合的には科学技術庁が総括的な窓口としてその所管をいたすことになりますが、特に生活環境の汚染防止あるいはその対策につきましては、政府部内において話し合いをいたしまして、すみやかに厚生省におきまして総合的な対策を立て、つまり空気の汚染あるいは水の汚染、かようなものをどの程度にするか、あるいはその基準をどうするかというような点をすみやかに確立いたしまして、それぞれの末端を通じてその徹底をはかるということに決定をいたしておる次第でございます。従って、私どもとしては、現在最も問題になりますのは、どの程度まで放射能というものが許容されるかということに主力をおいてその基準を検討をいたしております。一方、この日本の現状がどの程度まで果して汚染されておるか、特に空気汚染、それに伴いまする雨並びにそれに従いまする飲用水、あるいは農作物等にいかなる影響を与えておるかということを根本的に調査することといたしておる次第でございます。これらの調査並びに基準の決定と相まちまして、すみやかにこれらの基本的な対策を講ずる所存でおる次第でございます。
  64. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、今の上流の病院で使っている放射性物質の処理という問題は、それはこれから研究するというそんな簡単な問題じゃないと思うのです。川下の水を飲用水などに使うというのに、上流の病院学校その他で放射性物質が使われていて、それが蒸発とか何とかいう処置が講じられず、そのままでおるという状態について、私は総合的な問題は今御答弁を聞いてわかるのですけれども、今直ちにやらなければならぬ問題があるのではないかと私はそう思うのです。これが第一点。それから今研究するというのはいつか、いつまでにその見通しがつくのか、結論をいつごろまでに出すのか、この二点をお伺いしておきたい。
  65. 神田博

    国務大臣(神田博君) 今藤田委員の御指摘になりました問題も非常に重大な問題でございまして、厚生省といたしましては、大体そういうような医学的な操作方法を研究しておるというような病院あるいは学校等は大体マークすると申しましょうか、わかっておりますので、個々の問題としては、十分連絡をとって除外の措置を講じるようなことをいたしております。そこで、これはまあまだ初期のことでございますから、特定の学校とか、病院のみに限られておるわけでございまするが、これが急激にすべてのそうした医学部あるいは農学部等を持っている大学において研究の対象になる、あるいはもう相当の病院はみんなこれを一つ扱うというようなことになりますると、これはなかなか非常に今御指摘の通り、不安な問題が出て参ると思っております。そこで、厚生省といたしましても、この取扱いにつきましては、最善の措置を講じたいという考えを持ちまして、各関係局あるいは研究所等を動員いたしまして、目下検討を加えながらその準備、対応するような態勢を今整えておりますので、そう遠くかかる問題ではない、こういうふうにまあ考えておるのでございます。なお、一そう一つ成案を得るようにいたしまして、そうしてこれらの問題がそういうものを扱う方々だけの問題ではなく、一般国民が十分これは関知するような処置もあわせてとらなければならない、こういうふうに考えております。  それからなお、総合的な措置方法の問題につきましては、これも今申し上げたような事情でございますのと、最近——今回イギリスにおきましても大きなああいった実験がとられておるようでありまするし、あるいは米ソ関係におきましても、なお一そうそういう空気があるように聞いておりますので、この点につきましても一つ関係当局、特に科学技術庁と十分に連絡をとりまして、総合的に立案をいたしまして十分な措置を講じて参りたい、こういうふうに考えております。  なおもう一つ、水道水の汚染の問題につきましては、近時工場が盛んになって参りまして、工場の廃水によって水道用水汚染が大きな問題になっておりまして、これにつきましても、鉱害防止と申しましょうか、至急一つ立法措置を講じまして、除外の措置のできるような法規をすみやかに御審議願うような方法をとりたい、こういうように思って進めております。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 重ねて私はこの問題について申し上げておきたいと思うのだが、総合的な研究を法律化して処置するという問題は近いうちとおっしゃいますから一応了承いたします。しかし、宇治に原子炉を置くということで、要するに淀川の水を大阪、尼ヶ崎神戸が水源地に持っている、そういう関係から宇治に原子炉を置いて、その汚染した水をどう蒸発するか、この問題が発展して天災地変が起きたときに、その原子物質が水にまじって流れたときに、生命の関係ということでいろいろ大問題になっていることも、私は厚生省や大臣はよく御存じのことだと思う。ところが、今お聞きすると、やはり数は少くとも病院、大学その他で研究用に使っているというものの十分な処理というものがまだできていないということにお聞きするわけです。これは現実に、たとえば大阪の例をとれば、京都府にそういう所があるのかどうかという問題に発展するわけでございます。だから、この問題は至急に処置を講じていただきたいということを私は重ねてここで強く要望しておきたいと思います。  それから次の問題は、簡易水道には国家が十億の補助金を出している。四分の一の補助金を出して府県の負担は、市町村またはグループによって起債、その他で、簡易水道というものが今行われているということなんですが、今の対象人員が五千人になっているが、五千人では町村合併その他から見て、私は少し無理があるのじゃないか。今日の町村合併後の町村というものは、大体一万以上二万くらいのところをめぐってなっていると思うのです。そうなると、この簡易水道をやるのに五千人以下ということでは、なかなか適用という問題がむずかしくなってくるのじゃないか、私はそういうことを考えますときに、第一点としては、私はやっぱり簡易水道を作る補助金を予算化して、たとえば四分の一を二分の一にするとかという措置も講じていかなければなりませんと同時に、この対象の町村合併の実態の上に立って、簡易水道の増強のために、もっともっと心をいたしてもらいたいと思うので、その点について、今後どう処置をされるか、御見解を承わっておきたい。
  67. 神田博

    国務大臣(神田博君) ただいま藤田委員の御指摘になりましたことは、私ども全く同感でございまして、基本的にはそういう考えを持っておりまして、そういうような方向で進めて参ったのでございますが、御承知のように、町村合併は進んで参りましたが、やはり部落単位と申しましょうか、個々の町村にいたしますと、まとまった一万というようなものは少いのでございまして、大体数千程度——五千未満の部落単位が幾つも合併している、こういう状態になっておりますので、将来の問題としては御指摘のように変えて参りたいと思っております。しかし、これをするならば、今御指摘になった事情にある一万人を単位とするというようなものにつきまして、これは特殊の状態にあると申しましょうか、特殊の事情があるというふうに考えまして、これにつきましては特別に補助がし得ると、こういうようなことに大蔵省とも了解済みでございまして、今御指摘のようなものがございますれば、五千人というものを一万人でも引き上げて一つやっていく、こういうようなお考えでございますので、今の段階においては、御指摘の問題については対処できるのではないかと考えております。将来の問題についてはそういう方向で進んで参りたい、かように考えております。なお、四分の一の補助があるということ、それから非常に簡易水道の要望が強いのでございまして、今年は非常に率からいくと上つたということになっております、十億ということは。しかし、おそらく十億をもってしても期待通りには参らぬと思います。そこで、基本法としての水道法を今年御審議願って、これを母法として、将来相当一つ大幅な補助費を増額していただいて、十分な一つ普及をはかりたい、こういう所存でございます。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ第三条の関係なんですが、「給水人口が百人以下である水道によるものを除く。」と書いてあるのですね。これはどういう工合に法律を適用される、どういう監督をおやりになるわけですか。ここのところを一つ聞いておきたい。
  69. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答え申し上げます。なるほど御指摘のように、この法律対象となりますものはすべて百人以上になるわけでございます。従いまして、百人以下の水道につきましては、一応この水道法の規制を受けないこととなるわけでございます。と申しますのは、現在これらきわめて小規模の水道におきましては、それぞれ地方において小規模水道の取締条例を作っておるところ等もございますが、これらを一々調べてみますと、大体百人以上が条例の対象となっております。従って、あまり小さいものをとりますことは、そこに無理にこの水道法を適用いたしますことは、かえってその実情に沿わないんじゃないか、ことに最近は井戸を相当何軒かで使うというような事例も出ておりますから、かようなものをも、しからば水道法の対象になるかというような懸念もございまして、一応百人以上といたしたわけでございます。しかしながら、井戸をも含めまして飲料水全般の問題といたしまして、百人以下のようなきわめて小規模の水道につきましては、今後この法律趣旨にのっとりまして、十分行政指導をもって間違いのなきを期していきたい、指導啓発をしていきたい、かような計画でおる次第でございます。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ百人以下の行政指導というのですが、私はよくわからないのですが、行政指導を直接やる出先というのはどこですか。
  71. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 保健所が直接これを担当することといたしております。しかしながら、保健所だけでは、なかなか数も多いことでございます。ことに飲料水の問題は数も多いことでございますので、保健所はもちろん責任を持って行いますが、なお、手の足らぬところ、末端に徹底いたしませんところは、衛生主任というものが各町村におりますので、これらに保健所で講習会その他を十分にいたしまして、さらに末端はこれらの町村の衛生主任者をして十分衛生上の見地から、これらの井戸をも含めたきわめて小規模水道の指導をいたしておる次第でございます。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 次に、都道府県に委任するという事項が、権限委任の問題が四十六条にあるわけですけれども、たとえば五大市という場合にはどういうことになりますか。
  73. 神田博

    国務大臣(神田博君) 五大都市には、できるだけこの権限の委譲をしたいと、こういうふうに考えております。
  74. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 委任をしたいという、この条文ではないのですから、聞くところによると、地方自治法施行令の百七十四条の四十二ですか、これによって厚生省が自治庁に手続をするというようになっていると私はこう見たところ考えるのですが、そういう手続をおとりになるわけですね。
  75. 神田博

    国務大臣(神田博君) お尋ねでございますが、ただいまの水道条例と委譲との関係においても、委任をいたしておりますので、本法におきましても、施行された場合には委任して参る、こういうふうに考えております。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 刑事局長がお見えになっていると思うのですが、おいでになっておりますか。
  77. 山本經勝

    理事山本經勝君) おいでになっております。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この罰則の問題なんでございますけれども、五十一条から五十六条まで罰則がございます。そこでまず第一に五十一条なんでございますが、「水道施設を損壊し、その他水道施設の機能に障害を与えて水の供給を妨害した者は、五年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」「2みだりに水道施設を操作して水の供給を妨害した者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」3で、どちらかその行為の重いものにするという工合に、水のことでございますから、監督取締りということは、まことに貴重でございましょうけれども、このような形で供給を妨害したということになって、刑法の関係からいきますと、浄水した給水ということに限られていると思うのですが、水道となりますと、水源地から、池からそこに入る水の状態、施設、あらゆる問題に関係すると思うのです。そうなりますと、この供給を妨害したとか、機能に障害を与えたという簡単なことで、非常に広範囲な格好で刑罰規定があるわけなんです。私は第一に、この刑罰は重過ぎやせぬかと思うわけです。もう一つは、こういう妨害したという格好で非常に広い意味のことになっておりますと、これは非常にそこで働いている者からすれば、五十六条の関係を見ましても不安な問題があると思うのです。だから私は故意にこの供給を妨害したとか、破壊を目的としてやった場合に、こういうものが、この法が適用されるのだ、そういう形にでもならないと、どうもここのところあたりが、あまりにもぼやっとした中で非常に重い刑罰がかけられているということに、なかなか理解がしにくいのですが、そういう点について御意見をお聞かせ願いたい。
  79. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 俗にガス、水道というようなことを申しますが、電気並びにガスにつきましては、御承知の通り、公共事業令の第八十五条、それからガス事業法の第五十三条に供給に障害を与えるようなことに対する罰則規定がある、本法の五十一条は、ガス事業法の五十三条とごく似たような条文でございまして、それの差異を申し上げますというと、ガス事業法の五十三条の四項が削ってございます。これはお読みいただけばわかることでありますが、念のため申し上げますと、第三項には「ガス事業に従事する者が正当な事由がないのにガス工作物の維持又は運行の業務を取り扱わず、ガスの供給に障害を生ぜしめたときも、前項と同様とする。」ということが書いてございます。これは第一項、第二項が結局積極的に何らかの行為をした者に対する処罰規定でありまして、第三項は不作為に対する処罰規定でございます。なお、第四項には「第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。」と、こういう規定がございます。これは第一項、第二項のような供給を妨害したというような者に対する未遂罪の罰則というので、現実に供給妨害がなくても罰せられることがあり得る規定で、この水道法の第五十一条に比較いたしますると、ずっといろいろな点から取締りをしておるわけでございます。  この規定は、ただいま申し上げましたように、第一項と第二項に供給妨害を処分する規定を設けたのでございますが、確かに刑法の規定の百四十七条に比較いたしますと非常に重くなっておりますが、刑法の百四十七条の水道の損壊、壅塞というような、まあこれは非常に高度の規定でありまして、刑法の二百六十一条などの一般毀棄罪などの規定に比較しまして、水道を全然とめてしまうというような非常に高度のものの処罰規定でございます。  なお、この刑法の水道はごく狭い観念でございますので、刑法の程度ではいろいろな複雑になりました現在の状況から言いまして、われわれの取締り上からもいま少しく広くしてもらいたいということで、水道施設というようなことの条文を設けまして、第三条の七項に水道施設の定義ができております。従って、刑法の水道よりもこれは確かに水道施設の方が範囲が広くなっておりますが、刑法の水道と申しますると、結局浄水を供給する水路の部分というようなことになっておりまして、これには貯水池あるいは水道——浄水に導く施設などは、場合によっては含まないというような趣旨の判例もございまして、非常に狭い観念でございまするが、今度の水道法の水道施設というものは、取水施設とか、貯水施設、あるいは導水施設などの原水の段階に入るものも取締りの対象になるわけでございます。    〔理事山木經勝君退席、委員長着席〕  かような規定を設けましたことにつきまして、刑法の非常に高度のものを省いて規定するわけにもいきませんので、どちらかに比較いたしまして、重い場合にはその重い方の規定に従うという趣旨の第三項の規定がございますけれども、これは刑法等の刑罰規定におきましては、かような例文的な規定は往々用いられるやり方でありまして、このごく狭い範囲の刑罰の規定のようなものを五十一条から特に除くということではないので、場合によっては、刑法にも触れ、この三条にも触れるような場合には、刑法の百四十七条の一年以上十年以下の刑罰でございますから、そういう高い程度の損壊、壅塞したというようなごく狭い範囲の水道につきまして行われたというような場合には、刑法の規定を適用するというようなことになると考えるわけでございます。  なお、罰則が少し重いのではないかということでございますけれども、結局これはガス事業法の五十三条と同じ程度の刑罰法規でございまして、刑法の二百六十条、二百六十一条の、建造物を損壊もしくは器物損壊の規定と比較いたしまして、大体この程度であれば適当ではないかと私どもは考えている次第でございます。  なお、この冒頭に申し上げましたように、この規定は特にガス事業法の五十三条の三項、四項というような規定が省いてございますので、消極的な不作為の行為につきましては処分する規定にはなっておりません。従って、違法なストライキというようなものでも、積極的に作為をしたものでない単なるウォーク・アウトと申しますか、仕事をやめてしまったというような程度では、これは五十一条の一項、二項には触れないという考え方でございます。  それに未遂の点が省いてございますので、現実に水の供給の妨害をやらなければこれは犯罪にならない。未遂の程度では犯罪にならないのでございますので、さような点から、ストライキの問題はこの建前からは対象になっておらないというように御了承になってけっこうだと考える次第でございます。  それから五十二条以下の罰則規定は、行政関係の罰則規定でございますから、それは厚生省の方に御説明願うことにいたしまして、五十六条は法人の関係の両罰規定でございまして、これはこの末条に規定がございます通り、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十二条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」という規定でございまするが、結局これは違反行為があった者が、この五十二条以下の罰則に触れると同時に、かような者が法人の代表者もしくはその代理人、使用人その他の従業者である場合には、その法人等を罰するという両罰の趣旨でありまして、罰則を犯さなかった者をも処罰処分するという趣旨規定ではな、わけでございます。さような両罰規定でございますので、これも何か行為をなさない者に対する処罰規定のように御了解いただかないように私は考えておるわけでございます。  簡単でございまするが、私どものこの罰則に対する考え方は以上の通りでございます。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 五十一条の考え方はわかりましたけれども、五十六条は大体この法文からいったら、事業全体からいうと、事業者を主体に罰則規定をこしらえるという工合に理解をしたいのですが、従業員というのが入っておりますので、何でもかんでも関連して罰則が適用されるような不安を働いている人は持つわけなんです。そこのところをもう一度お尋ねしたい。
  81. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 結局従業者が違法行為をやらなければその従業者は罰せられないわけでありまして、ほかの者の責任を従業者に課するということはないわけでございます。従って、合法的に働いていただけば、何ら従業者が処罰の対象になるというようなことは、この末条からは全然出てこないと考えておるわけでございます。
  82. 藤原道子

    藤原道子君 私はこの際ちょっとお伺いしておきたいのですが、簡易水道の補助率は四分の一国庫負担となっておりますが、私聞くところによると、非常に申し込みが殺到して、四分の一の補助では要求にこたえられないので、これをさらに小さく配分して、末端へ参りますと、非常に補助率が少くて地元負担に堪えかねておるということを聞いておりますが、その状況をちょっと聞かしていただきたい。
  83. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答えを申し上げます。ただいま御指摘の点まことにごもっともな点でございまして、実は以前はきわめて予算も少額でございました。しかもきわめて多数の要望がございましたために、勢い査定を厳重にいたしまして、一定の基準査定を厳重にいたしまして、個所数をふやしたというような例もございました。しかし、最近はおかけをもちまして、国庫補助金も逐次増額されておりますので、かような無理なことはせずに、逐次規定通りの四分の一補助を一定の基準に従って支出するという方向に進んで参っております。なお、地方がなぜ負担が困るかという点は、起債の問題が裏づけがないという点が一つの原因でございます。そこで本年からは特に七〇%以上、少くとも七〇%だけは起債を確保するということで、すでに財源も得ております。ただいま御指摘の点は今後逐次改善いたしまして、どんなところでも簡易水道が要望があれば引ける事態にいたしたい、かように考えておる次第であります。
  84. 藤原道子

    藤原道子君 この参考資料を見ますと、非常に伝染病等が減っておる。医療費の負担が激減しているのです。こういう点から参りまして、国家がほんとうに環境衛生、国民の保健ということを考えるならばもう少し努力して、逐次予算が増額していると言うけれども、わずか五千万円くらいだけ今度ふえているわけですか——こんなことでは、この重大な水道問題の解決にならぬと思うのです。ここに出ている参考資料を見ても、郡部へ行くと水道はわすかに一五%だ。イギリスは水道の普及率が九五%、日本は三八%、けれども、これは都市の高い比率を含めての全国平均でございますから、これがいなかに参りますと、わずかに水道が一五%、そしてたまり水だとか、流水を飲んでおるものが二四%、井戸水は六一%になっておりますね、お宅で出したこの参考資料は。ことに飲料水に適当な水質のものは三七%であります。あとの六三%は不適当な水を飲んでおるという資料がここに出ておるのです。ということになると、これはゆゆしき問題だと思う。従って、今後予算がどのくらい取れる見込みなのか、いつになったらこれらが普及、完全を期することができるか、このお見通しについて、これは保健衛生の見地から特にお伺いしたい。
  85. 神田博

    国務大臣(神田博君) お手元に差し上げておる資料によりましても、いかにわが国の水道施設の手おくれと申しましょうか、非常に急いで完備しなければならないという事情は御指摘の通りでございまして、厚生省といたしましても、本年は特に財政当局と協議をいたしまして、この基本法を一つ今年作りまして、そしてこれによって大幅な増額をして参りたいということで、これは長年の懸案を解決いたしまして、こうした御審議を願っておるわけでございます。今年の予算も従いまして、相当大幅に増額をしていただいておりますが、来年度以降におきましては、この水道法の施行に伴いまして相当大幅な増額をするという約束になっておりますので、急いで一つ今御指摘のようなことを取り除いて参りたい、こういうふうに考えております。
  86. 藤原道子

    藤原道子君 とかく厚生省は法律を作るときには熱心なんです。でも法律ができると安心してしまって非常に手ぬかりがある。保健所を作るときには大した意気込みだった。私たちも双手を上げて賛成してあの法律を作ったのです。ところが、できてみれば保健所に医者がいなかったり、保健婦さんは三分の一ぐらいしかいないような保健所がある。予算が削られましてというようなことで、食品衛生の監視員ですか、こういうものの数も足らないままになっている。こういうことでは法律審議しても私たち熱意がなくなってしまうのです。従いまして、今回はとにかく長年の希望であります水道法がようやく成立するのでございますから、ぜひ今後ほんとうに熱意をもってこれの普及のために御努力願わなければならないと思うのです。  さらに一点お伺いしたいと思いますのは、伝染病が非常に減ったことは、これは資料に明らかになっているのですが、私聞くところによると、農村の婦人は非常に遠くから水を運んでいるのです。こういうことでたださえ過酷な労働をしている農村の婦人がさらに水運びに尽す労力は非常なものです。今度簡易水道ができたというので、あの水道のじゃ口をひねったとたんに、ほんとうに神様に手を合わすような思いで水道に手を合せたというような手紙も私いただいております。こういうようなことから、簡易水道ができたことによって、農村にございました農村婦人の何と申しますか、異常産と申しますか、流産とか、早産とか、こういうものも相当減ってきたやに聞いているのですが、そういう何かデータはございましょうか。
  87. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 個々の事例につきましては、いまだ格別のデータを持っておりませんが、しかし、お手元に差し上げております資料でもごらんいただけますように、伝染病が約二割になっている。あるいは医療費が六〇%程度に減少するとか、あるいは水運びに今までどれくらいの時間をかけておったか、それがどの程度節約されて、その節約された時間がどういう方向に利用されたか、こういうようなことは、資料に書いてございますように、御指摘の通り、非常な効果を上げております。なお、火災の防止、火災も約五分の一程度にその被害が減るというような例も調査の結果出ている次第でございます。
  88. 藤原道子

    藤原道子君 いや、異常産、つまり流産とか早産のようなものが相当防止されたのじゃないかと思うのですが、そういうデータがあるかどうかということを伺っているのです。
  89. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) これは個々の例につきましては、さようなことも私どももきわめて小さな村の範囲等では伺っております。そこで、私どもはさらにこの医療費減少の内容を分析する意味で、目下調査を全国的に急いでいる次第でございます。
  90. 藤原道子

    藤原道子君 私はこの資料でも明らかなように、伝染病は二割くらいになった、あるいは火災の防止が非常にできている、それから医療費が減った、こういう点からいって、浮いた労力を仕事に振り向け、教養に振り向けている、こういう点からいって、この水道ができたことによってプラスされた面は非常に多いと思うのです、国民の経済の上から見ましても。従いまして、いつも厚生省は、何か交渉するときに、厚生省というところは消費面を担当しているのだからというようなことで大蔵省にやっつけられて、十分予算を取り得ないのです。けれども、国民の健康を守ることによって生み出すプラスの面をもっと強調されて、ぜひ水道法案審議されているこの際に、大臣におかれましては、ほんとうに全努力を払って保健衛生のため特に御努力を願いたいということを私は希望いたしまして、質問を終りたいと思います。
  91. 田村文吉

    田村文吉君 大臣に伺いますが、今度厚生省が水道を全部管理なさるようなわけですが、相当に衛生の方面のことは技術者がおそろいでございますが、実際水道の工事の監督、設計というものは非常にむずかしい問題なのでありますが、その御用意はよろしいのですか。
  92. 神田博

    国務大臣(神田博君) 十分お尋ねの点につきましては方途を講じておりますので、その御期待に沿えると、こういう心情でございます。
  93. 田村文吉

    田村文吉君 すぐ厚生省に移管した場合にまごつかれると困るのですが、そういう点について十分に手回しなさらぬと非常に迷惑する。その点を一つ特に御注意を喚起しておきたいと思います。  それから水道の供給事業というのがありますね、これはどのくらい数があるのですか。これは政府委員でけっこうです。どのくらい現在あるのでございますか。それからどんなような仕組みでそれをやっておるものなのですか、ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  94. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 現在、水道事業を行なっておる市町村は、簡易水道を含めまして約四千カ所に及んでおります事業が……。
  95. 田村文吉

    田村文吉君 いやそうじゃない。供給事業というものがございますでしょう、水道用水供給事業というのがあるでしょう、それのことですよ。
  96. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) まことに失礼を申し上げました。現在水道用水供給事業を行なっておりますところが全国四カ所でございます。大阪府営あるいは神奈川県営等が用水供給事業者としてその水を周辺に配っておるわけであります。
  97. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると、地方公共団体に限り、今度もその方針でいられますか、そうでなくても、そういうものを許す場合があるとお考えになっているのですか。
  98. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この法律全体の思想といたしましては、公営企業を優先することにいたしております。しかし、どうしてもいろいろな事情で私営の方がさらに能率的であるとか、そういう事情がある場合にはこれは考慮をいたしたいと、かように考えております。
  99. 田村文吉

    田村文吉君 もう一つ伺っておきたいのですが、東京都あたりでもときどき渇水で水がなくなってきたり、あるいは減水というような問題が起るのですが、この法律を拝見すると、十分に渇水時においても供給の間に合うような設備をせにゃならぬ。それは政令でおきめになると、こういうふうになっているようですが、こういうことは一つ、何ですね、実際におきめになる場合には何日分とか、どのくらいの量を保有しなければならぬとかいうようなことは明瞭にお書きになるだろうと思うのですが、そういう点を一つ明らかに……。
  100. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) まことにごもっともな御指摘でございますが、水道にはいろいろな施設の形態がございまして、貯水量がきわめて少くても供給量がきわめて多く、確実であり、円滑に参る場合もございます。一方、貯水量がきわめて多くてもその供給源がきわめて少いというような場合で、必ずしも一概に参りません。従いまして、この法律におきましては、今後この水の不足というようなものに対しましては、合理化の勧告、あるいは他の緊急応援、たとえば東京都の水が困った場合には神奈川県営からも緊急的な水の応援ができる仕組み等にいたしまして、かような問題を解決いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  101. 田村文吉

    田村文吉君 わかりました。
  102. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がおありの方は、討論中にお述べを願います。——別に御発言もないようですから、討論は終結したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それでは、これより水道法案について採決をいたします。  本案原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。    〔賛成者挙手
  105. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長に提出する報告書作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     山下 義信  片岡 文重     藤田藤太郎  藤原 道子     早川愼一   田村 文吉     高野 一夫  勝俣  稔     西岡 ハル  紅露 みつ     斎藤  昇  武藤 常介
  107. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  108. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十六分散会