○国務大臣(神田博君) ただいま議題となりました
水道法案につきまして提案の理由を御
説明申し上げます。
水道は、広く国民の日常
生活に直結した公衆衛生上の基本的施設であるばかりでなく、
生活環境の
改善による国民
生活の合理化、
生活水準の向上等のため、まことに不可欠な要素であるとともに、産業の発達等近代国家の整備の上からも重要施設であります。近年
水道布設に対する要望は、都市農村を問わずほうはいとして起りつつありますのもまことにゆえなしといたしません。
政府におきましても、従来
水道の普及には特に意を用い、その所要資金の確保、維持管理の徹底、国
庫補助金の支出等をはかって、この国民の要望にこたえてきたのでありますが、これを規制する
水道条例は古く明治二十三年に制定されたもので、その規定もはなはだしく簡単であり、その規模が著しく拡大され、技術的にも高度化されて参りました現在の
水道を律するにつきましては、種々実情に沿わない点があるのであります。
政府といたしましては、かねてからこの
水道条例の根本的な
改正について慎重に
検討を重ねて参ったのでありますが、このたびようやく成案を得て、ここに本法案を提出いたしました次第でございます。
本法案の策定に当りましては、
水道施設が国民
生活に不可欠の要素であるにかんがみ、まず、国民の利便とこれによる
生活の合理化とを念願しつつ、その積極的な育成をはかり、かつ、市町村の公営を基本といたしますとともに、他方水資源の総合的合理的利用の
促進、近代技術力の確保等を意図した次第でございます。
次に、本法案の
内容についてその概要を申し上げますと、まず第一は、
水道を大別して、
一般国民を対象とする
水道事業と、特定個人を対象とする専用
水道とに分け、それぞれにつきまして、水質基準、施設基準、技術者による布設及び管理、水質検査、従業員の健康診断等の規定を設け良好な水の確保とその管理の適正を期したことであります。
第二は、市町村等の
水道事業の経営者に対し、給水の義務、供給規程設定の義務、消火せん
設置の義務等を課し、住民の利便に資するとともにその公共性の確定を期したことでございます。
第三は、各戸への給水装置の基準を設け、あるいは需要者の求めによる水質、給水装置の検査等を規定する等、需要者の保護をはかるとともに、
水道水の汚染防止を意図したことであります。
第四は、市町村等の
水道事業経営者に対して、浄水を供給する事業を規制し、また、
水道事業の合理化のための
勧告、市町村による買収の規定を設ける等極力
水道事業の総合的な発展と水利用の合理化とをはかったことであります。
第五は、
水道事業の認可、その取り消し、専用
水道の布設工事の確認、
水道施設の
改善命令、給水停止命令その他の監督規定を設けたことでございます。
第六は、給水人口五千人未満の簡易
水道に対する国
庫補助、その他
水道事業に対する助成の規定を設けたことでございます。
以上が、この
法律案を提出いたしました理由であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。