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参考人(
中林貞男君) 私ただいま御紹介を受けました
日本生活協同組合連合会の
中林です。私
たち生活協同組合の運動は、
消費者、特に家庭の台所を守るという
立場でずっと運動をやっておるわけであります。そういうような
立場からこの
法律案をいろいろと検討をさせていただいたわけでございます。私
たちももちろん特にこれに出ておりますところの七
業者というようなものについての衛生的な措置というようなことの必要なことは、これは十分わかるし、そういうような点については、
国民生活の確保という見地から、十分私
たちは政府において御
配慮をいただきたいというふうに
考えるわけです。
それからまた、この
環境衛生関係の七
業者が、概して
中小企業だというような見地に立って、その
中小企業の経営の確保ということの必要であるということも、私
たち十分了承するわけでございます。私
たちは、
日本のようなところにおいて、何といっても
中小企業の
育成振興ということは、私
たちはやはりこれは
国民だれ一人として反対するものではなく、そのことの必要なことも私
たちは十分了承するわけでございます。しかしながら、そういうような前提に立ってその
法律の
内容を少しく私
たち検討してみますと、今度のこの
法律の
立法の仕方、立て方、その
内容というようなものを見ますと、これはやはり大きな資本を中心として、このような七
業者にも
カルテル化の傾向を促進していくということになるのじゃないか、そうしてその結果は、結局
価格の引き上げということになって、家庭の
消費生活を非常にこれは圧迫してくるということになるのじゃないか。そういうような点に立って私
たちは、こういうような、前段に申し上げたことは、十分
考えなくてはならないが、このような
法律の立て方、
内容というものに対しては、私
たちは反対せざるを得ないというわけでございます。
特にこの七
業者の
扱い方については、
中小企業安定法の法のときにも、適用問題が論議になりましたときに、なかなかむずかしい問題がたくさんあるということで、これは
適用除外になったのじゃないかという
工合に、私は当時の
立法の経過を
考えているわけでございます。
それから、
参議院の
先生方に私特にお願いいたしたいと思いますのは、
衆議院でこの
立法がなされますときに、非常に
短期間にこれが無理をしてやられた、そういうような過程において、
消費者なり、多くの人の
意見を聞く
機会を全然お持ちいただけなかった。きょうのようなこういう
公聴会のようなものをお開きいただきまして、あらゆる方面からのこの
法律に対する
意見というものを十分聞いていただきたかった。にもかかわらず、そういうことが全然なされなかった。特にこれが
国民生活に重要な
関係があるものであれば、なおさら国会においては、そういうような御
配慮が私は
衆議院において、
立法の過程において必要じゃなかったか。にもかかわらず、そのような
配慮が全然なされなかった。そのような、非常に
短期間でこの
法律をお作りになったというような点から、
内容を見ましても、いろいろの点についてたくさんな矛盾を持っておるというふうに私は
考えまして、従って、そういうような点につきまして、
参議院において、世間では
参議院の良識という
工合に
参議院における審議を非常に信頼しているわけでございます。
参議院の諸
先生方のそういうお
立場に立っての私は、十分なる御検討をお願いしたいという
工合に
考えるわけでございます。
特に先般、
衆議院において
中小企業団体の組織に関する
法律というものが通過して、
参議院の方に回って参っていると思うのでございますが、それとこの
法律というものは非常に関連をたくさん持っている。特にこの
環境衛生法の
内容を私説ましていただきまして、そうしてこれは衛生措置の必要ということが大きくうたわれているのではございますけれ
ども、
法律の
内容を見ますと、経済
立法であるというふうな色彩を非常にたくさん持っているのじゃないか。私、昨晩もこの公衆浴場法なり、あるいは旅館業法、
食品衛生法というものもちょっと読んでみたのでございますが、衛生措置に関するいろいろのことは、これらの
法律にいろいろと規定されているわけでございます。ところが、それでは不十分だということで、今度のこの
法律が出たのだろうと思いますけれ
ども、今度の
法律の
内容は、むしろそういうことよりも、何と申しますか、過当競争防止のためのいろいろの措置をしていくというところに重点があるように私見受けます。そうしますと、今出ておりますところの
中小企業団体組織法との関連はどうなるのかと、また、
内容においても
法律の立て方なり、この条文というものを比較してみますと、同じ国会において同じ過当競争防止の
法律であるにかかわらず、いろんな違っている点がたくさんあります。矛盾している点もあるわけでございます。そういうような点について、私はいろいろともっと十分検討してみる必要があるんじゃないか。そうしてより基本的には現在の
日本においてなぜ
中小企業が成り立たないのか、なぜ過当競争が行われているのか、そういうような点について国会においてはもっとメスを入れていただいて、そのような過当競争の根本的な原因をどうしてなくするのか、そうして
中小企業の安定をはかるのかというような見地から私は十分御検討願わなくちゃいけないのではないだろうか、そういうような
立場から私はこの
法律に反対せざるを得ないという
工合でございます。
ここに具体的に少しく申し上げますならば、この国会の方からお尋ねになっていることも幾つかあるわけでございますが、ほとんどはそれに関連をして私申し上げたいと思うのでございますが、特に今度のこの
立法は、その過当競争
——なぜ
中小企業が非常に苦しいかという根本的な原因に目をおおって、それに対する解決の
努力をなさずして、ただ
法律の力によっていろんなものを規制していこうとする。そこに非常に権力的な色彩が私は非常に強く出ているというふうに
考えます。特にこの
法律の六十一条に、厚生大臣がこの
組合の役員を解任できるという規定があります。それからまた六十二条に、
組合に対する解散命令を出すことができるようになっているのでございます。私は戦後のいろいろな
立法において、役員の
——こういう
団体の役員の解任とか、解散とかというような問題については、いろんなクッションが私は入っていると思います。聴聞の
機会を与えるだとか、あるいはこのなぜそうであるかという理由を述べる
機会があるというようなことがいろいろの
法律においてなっております。それが民主的な戦後の
立法の特徴だろうと思います。にもかかわらず、この
立法においては、そういうようなことが非常に簡単に取り扱われている。そうしてこういうような形で私はこの
組合に対する解散命令、あるいは役員の解任ということが簡単になされるということであるならば、私はそこに非常に行政権
——権力の介入があるということが非常に深く出てくる、そうして特に地方においては、知事の選挙というような、知事の公選というようなものとからんで、これが地方の権力なりいろんなものと結びついてこれがやられて、ボスのこれが支配下に置かれる危険性が私は非常に強いというふうに
考えます。特に問題になると思いますのは、このそれぞれの業種について一都道府県に一
組合ということになっております。そうして連合会は
全国的に一つだ、それぞれの業種に一つだとなっております。そういう
工合に、
組合が単一であり、そうして連合会が
全国で一つだというような形であって、しかもそれがこういうような形で作られるという点については私は絶対反対だということを申し上げたい。そういうような形は私は戦後のこういう
——これは
中小企業者の民主的な自主的な組織の育成だということの看板をかげながら、そういうような一つの権力的なものが残されていると、これはこの
業界においてどういう
立場に立たれようとも、こういうようなことに対しては皆さん御反対じゃないかというふうに私は
考えるわけでございます。特に、私は一つの例を申し上げますが、この四、五年前に、ある県で、床屋さんでございます。これは生活
協同組合、あるいは
労働組合、あるいは婦人
団体で、床屋さんとか、あるいはパーマをやっておりました。ところが、その一般の
業界の床屋とか、パーマの値段が非常に高いというような点から、生活
協同組合なりあるいは
労働組合、婦人
団体その他、この非営利の
団体が自主的にそういうものをやっているわけでございますが、ところが、その
組合に床屋さんの
組合にどうして入れ、入らなければ衛生材料の
配給をしてやらない、あるいはまた、その床屋さんとかパーマとかいうものについては技術の講習があるわけでございます。県の補助を得て技術の講習をやるときに、その講習会に
出席させないだとか、あるいは技術をみがく
機会を与えないというようなことで、
労働組合なり、生活
協同組合、婦人
団体でやっているそういう
人たちは値段を
消費者のために安くするが、しかしながら、実際問題としてはやっていけないようにいろいろに圧迫を受けたわけでございます。私はそのときその県に行きまして、床屋さん
たちのそういう集まりに私呼ばれて、どうしてわれわれはやっていったらいいのかという相談を受けて、私はちょうど県の
——県労
会議の
議長を県の職員
組合の
委員長が
議長をしておいでになって、その方が衛生
関係に非常に明るい方でございましたから、その方
たちと相談をして、県の
衛生部長に申し上げて、そういう非営利の床屋さん
たちの一つの
組合を別途に作って、そうして県の衛生部でこれを認めて、そうして衛生材料の
配給なり、あるいは講習をやるときに参加させるというような形をぜひとったらどうかということをみんなで相談をしまして、そうして県では、そういうこともこういうときには必要だ、やはり複数にしてそういうことをやって、そうしてお互いにはげみ合うと、そうして値段をみだりに高くならないような、やはりそういう抑制の
機会を与えることがどうしても
国民生活上必要だから、県ではそういうふうなことを
考えようということで、私
たちもそれをぜひお願いをして立ったのですが、どうも
組合の反対が強くてそれを正式に認めることができない、何か便宜的にいろいろ県が中に立って連絡することにしましょうということであったのですが、その後やはりその
組合の圧迫のためにそれがうまくいかなかったという、私
たちは苦い経験を持っておるわけでございます。従って、私
たちはこういうものについての適正な
価格ということは私は必要だし、そのことは十分私
たちはわかるわけでございます。しかしながら、適正な
価格をどうしてきめるかということについては、
消費者、利用者の発言の
機会を十分与えていかなくちゃならないにもかかわらず、これが業種ごとに
一都道府県に一
組合だ、そうして連合会が
全国一つだということで、非常に独占的な統制的な色彩の強い形でこれをやっていったならば、そういうような適正な
価格の調整、コントロールも私は自主的にできなくなる。県なりで判断をしてそうしていろいろやるということでございますが、私は民主的なこういう
運営の中においては、現在のようなこういう経済組織の中においては、それは複数にして、あまりたくさんできるということは、これはまた乱立とかいろいろな弊害ができると思いますが、私は複数にして、そうしてこの値段なり、
価格なり、料金の自主的なコントロールの
機会を私は与えるようにぜひ
考える必要があるのではないだろうか。従って、こういうようなこの一都道府県一
組合、そうして連合会が一つというような
考え方に対しては、私
たち消費者の
立場から絶対反対である。
それからこの
法律の五十七条でアウトサイダーに対する規制命令の条項があります。しかしながら、これを読みますと、すべての当該
業者に規制命令が及ぶことになっております。すべての当該
業者ということはどういう意味か、これを十分お
考えいただかなければ、農業
協同組合なり、生活
協同組合なり、そういういろいろの
団体のこういうような事業活動に対しても、やはりこの規制命令が及ぶということに私はなってくるのじゃないか、この点は
中小企業団体の組織に関する
法律の中においては、そういう除外規定がちゃんと
法律の中で明文化されております。そういうような
団体の自由な、
消費者の自主的な
立場に立つところのそういう
団体の自由な経済活動というもののあることによって
価格の不当なつり上げ、あるいは独占というものに対しては
消費者の生活を守るという自主的なコントロールがなされるわけでございます。にもかかわらず、この五十七条では、そういうすべての当該
業者にこの規制命令が及ぶことになっております。その点は、
中小企業団体の組織に関する
法律を検討いたしましても、非常な多くの矛盾を持っておりますし、より根本的には、
国民生活の確保と物価の安定というような点から
考えましても、既存の農業
協同組合、
法律で認められているそれらの
団体、あるいは婦人
団体、
労働組合の自由な活動というものを規制することに私はなって参るのじゃないだろうかという
工合に
考えます。特に、具体的なことでそれを申し上げますと、私は生活
協同組合の
関係でございますが、私
たちの傘下の、あるこれはりっぱな生活
協同組合です。せんだっても
日本能率協会からわざわざ来て、いろいろ経営分析、経営指導をやっていただき、近く能率協会の研究会で、その生活
協同組合の経営の
内容を、一つ一般の企業の方も参加してこれをモデルにして検討しようという
工合に、モデルになっている
組合でございます。そこの
組合では、実は
食肉を扱っております。そして屠殺まで、これはすべて認可をとって、屠殺までやっているわけでございます。生活
協同組合は、外国では生産工場まで持って、
消費者の生活を守るということで、イギリスを初め西欧諸国では全部これはやっているわけでございます。そこの
組合では、衛生施設とかそういう点は、私何回か行っているわけでございますが、いつも県から表彰されている生活
協同組合です。そこにおいては、屠殺まで自分のところでやっているわけでございます。そうして、
価格というものはどうなくちゃならないかということを、屠殺からずっと自分のところで
小売までやって、そうして肉の
価格はどうなくちゃならないかという適正なその間のマージンというものを出して、そうして肉の値段をきめて売っているわけでございます。従って、そこでそういうものをやってから、肉の値段とかいろいろなものの市価というものが非常に下って、そうして生活の安定、物価の確保ということに大きな寄与をしているわけでございます。にもかかわらず、もしもこの
法律ができて、アウトサイダーの規制命令が出るということになりましたならば、そういうような、
ほんとうにまじめにやっている
消費者の経済活動というものが、五十七条によって規制されるということになっていくということは、私はこれは大きな問題である、これは全く時代逆行と私は言わざるを得ないというふうに
考えます。また、せんだって私
たちの仲間から聞きますと、兵庫県におきまして、この
法律が近く出るということでやはり氷を作っている、これはやはり代表的な大きな生活
協同組合です。それは製氷事業をやっている、そうして氷の
配給までずっとこれはやっているわけでございますが、そこに対して、今度
組合ができて、そうして
小売のときには全部プール制にしてやるから、そこへ納めるようにしろ、そうしないと、いろいろ仕事がやりにくくなるということを言ってきているということでございます。そのことは、やはり戦争中の
協定価格というようなものがそこで生まれようとしている、もうすでにその
業界においては、そこの生活
協同組合にはそういうことを言ってきている。そうなりますと、氷の値段というものが不当につり上げられてくる、そこの生活
協同組合では、やはり生産費なりいろいろのコストをはじいて氷の値段を出しているわけでございます。その氷の値段をもっと上げろということで、
業界から盛んに言われている。しかし、生活
協同組合としては、そこの生活
協同組合などは、全く市価でやっているわけでございます。安く売るとかそういうことでなしに、非常にまじめにやっている生活
協同組合ですが、そこにそういうことで氷の値段を、これは戦争中においてはそういうことを強制されてプール制をやられて非常に困ったわけでございますが、戦後いろんなものが自由になってから、そこの生活
協同組合では、非常に夏の、暑くなって氷の値段がどんどんつり上げられるときに、生活
協同組合は、そういう投機的に氷の値段をつり上げないということで非常な信頼を受けているわけでございます。にもかかわらず、今度こういうような
組合ができた場合においては、氷の値段は不当につり上げられていくということに必然的にならざるを得ないのではないかという
工合に
考えます。
それからまた、せんだって私の方で
全国の役員会をやりましたときに、この問題で非常に、福岡、北海道の炭鉱地帯の生活
協同組合の諸君が出てきて、もうすでに、これができたらパーマとか床屋の値段は上げなくちゃならない、そうしたら、もしも値段を上げなかったら、おれ
たちの方からこういう
工合に言うんだということで、いろいろのことをそこへ言って参ったわけでございます。従って、福岡、北海道の炭鉱地帯の生活
協同組合の諸君は、この
法律が出たらとんでもないことになるということで、絶対反対だということで、中央でがんばってもらいたいということを、みんなで非常に切実に訴えてきておる。そうして、もうすでに床屋とかパーマの
業界では、いろんなそういう値段についての協定の値段をするための準備をしているということでございます。すでにそういうような、この
法律が国会を通るだろうということを前提として、そういうようないろいろのものの値段がつり上げられようとしている。そうしてこの七業種は、すべて家庭生活、主婦なり多くの大衆の生活に密接な
関係のある業種ばかりでございます。従って、そういうような点を私はいろいろ
考えますと、
参議院においても十分お
考えをいただかなくちゃいけないのではないだろうか、そうして、特にこういうような形で一つの
組合、いろんな形で統制されて参りました場合に、やはり
消費者へのサービス、自由な競争というものがあることによって
消費者へのサービスということも行われるわけでございます。そういうような点から言っても、こういう画一的な統制
立法ということは、
消費者の
立場から言って私
たちは反対せざるを得ないという
工合に
考えるわけでございます。そうして、この
法律でこういうような規定をやる場合において、諮問
委員会を設ける、あるいはまた、六十三条で利用者、
消費者の声を聞くということになっております。しかし、ただ
消費者や利用者の声を聞くということであって、ただ聞きおくということです。それではこの条文は何の効果も実際上はないのじゃないか。ただそういう
消費者に対するカムフラージュをした条文に私はすぎない、そういう結果になるのじゃないかというふうに
考えるのでございます。
環境衛生法に直接関連をいたしていることについて、まだいろいろと申し上げたいことはあるのでございますが、おもな点は大体以上のようなことでございますが、最後に、生活
協同組合と
小売との
関係、生活
協同組合についての御質問が出ているわけでございます。きょうの
参考人の中で、私は生活
協同組合の代表でございますので、この問題について特に簡単に申し上げておかなくちゃいけないと思いますので、
環境衛生法に関する私の
意見は以上にしまして、最後の点について申し上げたいと思いますが、私
たちは非常に世間では必要以上に誤解されている。私
たち生活協同組合は、決して
小売商人と対立するとか、あるいは
小売商人がなくなってもいいとか、つぶれてもいいというようなことは毛頭
考えておりません。私
たちは、生活
協同組合と
小売商業というものは、
消費者のためにフェアな競争をする。これは商人同士でも激しい競争をしているわけでございます。私
たち生活協同組合も、やはり商人同士の競争と同じく、商人の
人たちと生活
協同組合はフェアな競争をしていく。そうして、結論的には
消費者のためになるということでございます。ところが、その点について、この生活
協同組合と
消費者が、生活
協同組合と
小売のそういう競争ということは、私はこれはイギリスにしても、スエーデン、ノルウエー、どこにしたってみんな生活
協同組合はあるわけでございまして、ヨーロッパにおいては、生活必需品、特に食糧品などについては、大体
小売総額の二〇%から四四、五%は生活
協同組合が取り扱っているわけでございます。
日本においては、生活
協同組合は
小売総額の〇・八%しかの取扱量を現在まだ持っていないのでございます。そうして、にもかかわらず、なぜ生活
協同組合と
小売商人のことがいろいろ言われるか。これはむしろ現在の政府の商業政策の貧困から私はきておる。と申しますのは、過当競争で
中小企業が成り立たないということがよく言われるのでございますが、
東京においては、十五世帯に一軒ずつ商店があるわけです。山形においては、十世帯に一つずつ、問題によくなります米子においては、七世帯に一つずつ商店がある、そういうように、非常に商人が多いのでございます。なぜそういう商人が多いのか、この問題を解決せずして
中小企業の問題は解決しない。そうして、にもかかわらず、政府は経済五カ年計画において、
昭和三十五年までに、現在でもなお多いと言われている商人を二四%ふやすという計画を立てているわけでございます。そうして、
昭和三十五年までに商業人口を七百九十八万にするというふうに言っているのでございます。そして、このことは、
労働省が出しておりますところの
労働白書というようなものを見ましても、失
業者は、大企業と第一次産業部門というようなところには、ほとんど臨時工とか社外工とかいうような形で吸収されていて、
ほんとうの就業としては、サービス業と商業部門にしかふえていっていないわけです。このことは、つまり、商業人口というものが失
業者のプールに現在されているわけでございます。このことをやはり基本的に解決する必要がある。さらにもう一つは、現在の商
業界というものは、やはり、大きな資本ないしは独占資本の圧迫で商人はきゅうきゅうとしている。いわゆるデパートの進出、あるいはまた、大きなメーカー、一流メーカーは全部、各府県、各都市に販売網を持っております。いわゆる独占メーカーのそういう販売組織、最近は交通機関とまた独占メーカーとがタイアップして、ターミナル・デパートというものを作っております。銀座の町を私
たち歩いてみても、私
たち学生時代はいろんな商店がたくさんありました。ところが、銀座の町を歩いてみますと、いわゆる大紡績会社のサービス店が軒並み並んでいるというのが現在の姿です。いわゆる商人は上からは大きな資本のそういう圧迫と、下においては失
業者をどんどんと流し込まれる、ここに今日の中小商業問題の根本がある。この問題を解決せずして、ただ
法律で規制していろんなことをやっていっても、決して中小商業の問題は解決しない。そうして、そういう問題に目をおおって、
消費者が
——家庭の主婦なりあるいは勤労者が、自分
たちの生活を守るためにやろうところの自主的な生活
協同組合を規制しようということは、本末転倒であると私は
考えるわけでございます。私
たちは、この中小商
業者も、やはり、現在のこのような矛盾した商業機構あるいは市場制度、非常に封建的なボスによって支配されているところの市場機構というものをどうして直すかという問題について、生活
協同組合あるいは商人の人々、
労働組合の人々と一緒になって、そういう問題の解決を私
たちはやっていく。そういう中において、私
たちは、商人も生活
協同組合も一緒になって、
日本の
国民経済をどうして高めていくかというふうに取り組んでいきたい。そのためには、やはりヨーロッパにおけると同じく、
日本においてももっともっと生活
協同組合を育成していかなければ、現在のこの矛盾した流通機構というものを私らは民主化することはできない。従って、生活
協同組合が伸びるということは、この圧迫された矛盾の中に追い込まれている、谷間に追い込まれている商人を、むしろ救う道を私
たちは見出していくことじゃないかという
工合に
考えております。従って、私
たちは、生活
協同組合は商人の
人たちとけんかしようなどとか、商人をなくしようなどとい
考え方は毛頭持っておりません。生活
協同組合の中でも、悪いインチキなものはつぶれていくでしょう。私は、またそれもやむを得ない、生活
協同組合もまじめに
消費者のためにやっていかなくちゃならないという
工合に
考えております。従って、私
たちとしては、やはり
価格についてもあまり安売りはいけないという
工合に
考えております。そうしてまた、員外利用というような問題についても、私
たちは自主的に問題を解決していきたいという
工合に
考えておりますが、最近困ることは、むしろ商人の
人たちが、この国の商業政策の矛盾から、商人の
人たちが生活
協同組合の看板をかけていろいろなインチキをやるということがあちらこちらに出て参っておるのでございまして、そういうような点については生活
協同組合としてはむしろ迷惑をしている。そういうような問題については、政府の商業政策の中において私はもっと本格的に、いろいろとお
考えをいただきたい。そうして基本的には、私
たちはやはりこの失
業者のない完全雇用なりあるいは社会保障の問題とかあるいは
労働組合の最賃制の問題とか、そういうような問題と
ほんとうに取り組んで、やはり国会において、
日本の福祉国家をどうして作り上げるかという問題と、私はあわせてお
考えをいただきたいという
工合に
考えているわけでございます。
どうも失礼しました。