○山本經勝君 まず、
伊能労働政務次官にお伺いしたいんですが、今お話があった
佐賀の問題とケースが若干違っております。しかし、やはり争議にからまる問題なんです。その問題というのは、
山口県の厚挟町にあります三興鉱業
生田鉱業所という炭鉱の問題なんです。実は御承知のように、この春闘に、炭労傘下の一
組合として闘争を遂行した。たまたまこの闘争の過程で払った問題を、
警察——これは厚挾
警察署ですが、威力
業務妨害ということで、この
組合長の木田虎夫、それから副
組合長の小原量、それから
山口炭労の事務局長をやっております島田兼雄、この五名を不法に逮捕し、不法に勾留を長期にわたって継続したという問題なんです。この鉱業所は、経営者が村井朝一という人で、直接現場の責任者は、不二語という所長です。
問題の起ったのは、今年の三月二十一日から、
山口炭労の指令に基いて、無期限ストに突入した。これは言うまでもなく、賃金要求が入れられないためなんですが、ところが、この二十一日にストに入った際に、ストライキの効果を確保するためには、坑内に出炭があってはならない、あるいは
会社のトラックで石炭の精み出しが行われる、こういうようなことは、当然争議の効果を確保するために、ピケその他の方法によってこれを阻止するわけでありますが、特にここで
政務次官にはっきりとお伺いしておきたいのは、この
生田鉱業所と生田炭鉱
労働組合との間には
労働協約がある。その
労働協約には、争議中に、
会社が雇っておる従業員のストライキが行われるのでありますから、それを切りくずすために、組夫等に就業をきせるようなことはしてはならない、また、しない、こういう協定がある。ところが、ここでは二十一日、ストに突入いたしますというと、
会社側が組夫数十名を使って——この組夫というのは実は非
組合員でありまして、そして請負師の下で働いている。で一定のこの
事業所内における区域を定めて、あるいは業種を定めて、請負にまかせてある仕事があるわけなんですが、そこで働いている
労働者で、申し上げるようにこれは
組合員ではない。ところが、
労働協約は、この
組合員ならざる組夫なるものを、争議のときには争議切りくずしのために使うようなことはいたしません、してはならない、こういうような協定がある。ところが、二十一日の朝、たまたま石炭の積み出し作業や、あるいは選炭機の運転や、あるいは坑内に、箱に積んだ荷箱というのがございますが、こういうのの搬出を試みたわけでる。そこで、
組合側はこれを阻止する対抗手段として、まず第一番に、二十一日の午前六時ごろ、坑口付近に集まって、全
組合員約二百五十名が、決起大会を開いた、要求貫徹の決起大会を開いた。そしてまあ坑口からも……ただいま申し上げますように、坑内の道に箱を立てて、その箱に石炭が積んである。そいつの搬出をさせないようにする、これは今申し上げたような組夫等が入ってやるのですから、これを説得し、阻止する、こういうことであった。
それからいま一点は、
会社の方が五トン積みの大型トラックに石炭を積んで出そうとしたところが、それらについては、そのトラックの運転手等に、現場におった
組合員が、いろいろな意味で、おれたちは正しい要求を掲げて貫徹のために戦っているのだ、従って、皆さんもまたともに働く従業員ではないかということで、説得これ努めて、これまた阻止をしたということ。
それからこのトラック積み出しによる阻止が、二カ所ばかりで行われた。梶橋というところがあるようですが、その橋の近くでも、同様な問題が起っている。そういうようにして積み出しを阻止した、こういうことが連絡があっている。
それからいま一つは、
会社の事務所前の路上に、
組合員が多数押しかけて、なぜ
組合員の切実なこの要求を受け入れてくれないのかという叫びをあげている。特にこれは中小炭鉱でございますが、昭和二十九年、三十年の春等には、非常に苦難な
状態でございましたが、今は石炭ブームとも言われるほど非常な好景気である、しかも石炭は何ぼ掘っても足りないというような状況でございますから、賃金値上げによる要求を——切りくずされた要求を旧に復するという切実な訴えを、この事務所の前の道路上に集まって多数が要求し、そこにすわり込んだ、こういうようなことが行われた。
それからもう一つは、この二号炭坑というのですか、この炭坑は一号、二号というふうにこうして分れている。二号炭坑の石炭を掘り出したのを選別するところの選別所のスイッチを切ったとか何とかいうような問題が起ったようであります。これはだれが、どうして、どうしたのか、いつ、したのかというようなことははっきりしておらない。
そういう
状態の中で、以上申し上げましたような主要な点、四つの問題がある。こういう
状態であったのでありますが、二十一日にストライキに突入してから、約十日間で問題は解決がついている。しかし、二十一日の初日にこういう
事態が発生しただけであって、事後には問題は残っておらない。
ところが、たまたま今月の、四月の十九日になって、にわかに
警察の方が調べを始めた。そうしてさらにあとでお伺いを——
警察庁長官並びに法務省の刑事局長等に、法解釈、あるいは運用面での問題は御
質問申し上げますが、
経過を申し上げますと以上のようなことである。
ところが、もともとこの問題は、最初申し上げたように、
労働協約によって、非
組合員ではあるけれども、争議中には組夫は就業させないという条項があるにもかかわらず、それらを使ってこういう作業を強行しようとしたところに、以上申し上げましたような四点のトラブルが若干起っている。で、こういうような
状態があって、そこに直ちに
警察から、いわゆる
検束、あるいは検察庁の勾留、それが昨日の夕方まで続いている。こういうことなんですが、こうして争議の
経過を見て参りますと、不当な争議とは
考えられないのですが、ことに
労働協約の建前から言って、当然
会社側に責任があるにもかかわらず、
労働者側に責任があるかのごとき取扱いを受けたということは、きわめてこれは不当な、いわゆる争議に対する干渉ではないかと
考えるのですが、
労働省当局としての
次官のお
考え方はどうでありますか。はっきりとお答えを願っておきたいと思う。