○
説明員(山崎五郎君) 鈴木化学の争議について説明申し上げます。
鈴木化学工業株式会社は、東京工場の争議でありまして、現在の所在地は、墨田区にあります。主要な製品は、水あめ、葡萄糖。従業員数は、六十四名であります。組合員数は、五十三名。現行賃金が一万五千五百円。
今度の争議の発生の原因は、組合役員の解雇と賃上げ二千百円の要求でありますが、途中から八百円の要求に切り換えられております。
経過は、本年二月六日に、柴田勇吉が一月二十六日定刻前に退社する際にタイムレコードのカードを押さずに帰ったことについて守衛が注意を与えたところ、柴田の職場
責任者である保戸塚孝一が——組合幹部でありますが、この守衛の処置をおもしろくないとして暴行を加え負傷せしめた、こういうことを会社側では言っておりますか、こういうようなことから端を発したのであります。会社側は、保戸塚が代理してカードを押すよう依頼されたのを失念し、それを注意されたのでは面目立たぬと称し暴力を振った、こういうことを言っておりますが、組合側の万ではそうでないと言っておるようであります。守衛は、二月の七日、八日の両日会社を休みまして、さらに二月十日に診断書を提出しまして二月十六日まで欠勤するというような事件が起きたのであります。組合側では、これは守衛とちょっとしたいざこざがあったが、その後双方で話し合い、万事
解決して別れたのであると、こういうことを言っております。でありますので、この点につきましては、双方の言い分が相違があります。そこで、会社側は、退勤時タイムレコードのカードを代理して押すようなことや、暴力を起さないため再三注意したが、改俊の情なしとして、解雇する
方針をきめまして、二月十九日以降二十日、二十三日と組合に対して
事情説明をし、あるいは組合の
意見の聴取をしたと申し立てております。そこで、組合では二月二十三日、一方的な処罰は受け入れることはできないとの態度を決定しまして、その旨
意見書を会社側に提示するとともに、二月二十六日、別に、先ほど申し上げましたような賃上げの要求を出しております。三月一日、組合は大会を開いて、賃上げと解雇処分撤回について強力な態勢をもって対処することを決議しております。三月二日、会社側は、組合
委員長、副
委員長同席の場所で、保戸塚に対し、三月二日付で懲戒解雇にする、賃金一カ月分を支払う旨の通知書を読み上げたが、本人はこれを拒否したため、会社は同日
内容証明郵便で保戸塚の自宅あてに解雇通知書を発送しております。
三月五日、解雇通知書は会社に返送されております。同日の団体交渉では、会社は解雇問題については譲りません。賃金問題につきましては、向う一カ年間賃上げを要求しないという
条件付で五百円アップの
回答をいたしました。
三月七日、会社は保戸塚に対し、賃金二カ月分と解雇予告手当一カ月分を支給する旨を伝えたが、本人はこれを拒否しております。
三月八日、会社は保戸塚に対し、会社内の立入禁止を申し渡すとともに、再び
内容証明郵便をもって解雇通知書を発送しております。
三月十三日、関東化学小林
委員長、飯崎書記長同席で第三回団交を開いたが、進展は見られません。
三月十五日には闘争宣言を組合は発しております。
十七日には、全食品の役員六名が会社側と会見し、保戸塚と守衛との当事者間の話し合いの
状態に戻すように
要望いたしておりますが、会社はこれを聞き入れません。
翌日、団体交渉を開きまして、会社は解雇は撤回しない、賃金は一年間据え置で六百円を
回答しております。
三月の二十日、組合側は三月二十八日二十四時間ストを
実施することを通告しております。
二十一日、組合側は二十九日から四十八時間ストを通告いたしました。
三月二十三日、三十一日から七十二時間のストをやることを通告しております。
三日二十七日、団体交渉で、会社は組合
事務所及び北門から
事務所までの通路及び便所を除く立入禁止を組合に通告しております。
三月二十八日、組合側はストに入りました。その後四月二日、二十七日、五月十日、三十日、六月三日、十日、十五日、十九日、七月一日、十八日、八月三日、七日と団体交渉を行なったが、進展いたしておりません。
八月十九日の午前八時ごろ、会社側から組合側に電話で、工場内にある澱粉を運び出したい旨を通告するとともに、トラック三台で約二千貫を運び出そうとしたとのことであります。組合側は直ちに支援団体に連絡しまして、約百三十名が動員されて搬出を阻止しようとしたために紛争を生じまして、同日は搬出ができなかった。で当日は負傷者あるいは検挙者等は出なかったと、こういうふうに聞いております。組合は不当介入として取り上げ、警察に抗議を行なったという話を聞いております。
八月十八日、搬出阻止のために、ピケ隊三十名を待機、午後二時から七共闘会議代表者は会社側と団体交渉を行いました。
で、組合側は、この賃上げは八百円として、配分は今後労使で
協議する。なお、先に会社案として出された、今後一年間は昇給、賃上げを据え置くと、こういう
条件を撤回してもらいたいというのが第一点。
第二点として、立ち上り
資金として、スト中の賃金相当額の八割を支給せよ。
第三は、保戸塚の懲戒解雇を撤回し、十五日間の出勤停止とせよ。
第四として、告訴事件は一切取り下げ、
責任を追求しないこと。
第五は、早期
解決のためにお互いに刺激的行為を取りやめる。澱粉の出荷は
解決まで取りやめる。こういうような要求をいたしました。これに対して会社側は、賃上げは六百円、配分は従来
通り、ただし、八月中に承認しない場合白紙に返す。
立ち上り
資金は一切支給できない。
保戸塚の解雇は撤回しない。
組合の争議中における不法行為は
責任を追及する。
争議中といえ
ども、営業行為は継続する、すわち澱粉の出荷は行う。こういうような
回答をいたしまして、組合はこの
回答を不満としてストライキの続行を決定いたしました。
八月十九日、会社は中田運送のトラック三台で澱粉を搬出のため表門から入ろうとしたところ、ピケ隊と紛争を生じて、ピケ隊の中にいた近江教蔵はトラックの下敷となり、骨折で四—五週間の重傷を負い、直ちに救急車で病院に入院したということでございます。この点につきましても、会社側は、組合員近江が会社の差し回したトラックの前に寝ころんで、バンバーにしがみついて身をもって妨害行為をあえてしたということを言っております。一方、組合側は、トラックを組合員に向けて暴走させたために組合員が二名重傷、十数名が負傷したのだということを言っておりますので、この点も会社側の主張と組合側の主張とが対立しております。
また、その際付近におった重役玉田氏も倒れたが、これについては会社側は、組会員に局部をけられて重傷であるということを発表し、組合側は、脳貧血を起して倒れたもので、組合側は何ら暴行を加えた事実はない、こういうことを言っております。
八月二十一日、組合側は十九日の事件につきまして、殺人未遂罪として告発しております。
八月二十七日、会社側は東京地裁に製品搬出妨害排除の仮処分申請を行なっております。
八月二十九日、東京地裁第一回審問に、西川裁判長は
解決のための試案の提出を会社側に求めております。
八月三十一日、第二回審問、会社側和解案として、解雇を撤回しない、賃上げ七百円。一人当り三千円の貸付。争議中の違法行為は追及する、こういうことを裁判長に提示しておりますが、組合側はこれを拒否しております。
九月四日、組合側は都労委に
あっせんを申請しております。第一回の
あっせんが九月十日に行われたのでありますが、会社側ではこの
あっせんに応諾できない、こういう態度を表明した、こういうような
報告を受けております。
以上概略を申し上げましたが、だいぶ長くなったのでわれわれも記憶が十分でない点もありますし、下部の方からの
報告も十分でない点もあると思いますが、大よそ今申し上げたのが概略でありますので、
報告を終ります。