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山下義信君 実際は、この
食品衛生監視員の実情は私は非常に不十分なんじゃないかと思うのですよ。それでこれはもう前回も御
質疑もあり、問題となったのでありますが、従いまして、
食品衛生のこの
監視ということが非常に弱体化してきておるということが年来の実情なんです。
厚生省当局は非常にいろいろ
努力なり心配しておりますが、組織が完備強化しなければ実績は上らないんでしてね。ほんとうを言うと、
食品衛生監視員がこれはいわゆる身分を何といいますか、あるいは国費の
職員くらいにして、業務を十分強化していかなければならぬ性質のものだと私は思うのです。これは元来昔のことはあまりつまびらかにしませんが、言うまでもなくこの仕事は従来警察の
衛生行政であった、警察行政の一環であった、それを保健所の制度ができると同時に、これを警察行政の中から、いわゆる
衛生行政として、皆
厚生省に移し、保健所業務に移した、言いかえると、この制度はいわゆる占領行政の申し送りの制度なんです。当時は警察行政は、ああいうふうに自治警察も作りましたから、いろんな
関係から全般の民主化ということもありまして、警官が一々飲食
業者にタッチするということも、非民主的なので、この制度も非常にわれわれとしても民主的な制度として一応は納得したのです。しかし、その移された
食品衛生行政というものが、非常に弱体であって、全国で四千という、そのうち半数が兼任だという、しかも実際の
食品衛生監視員はほとんど大半は獣医さんが多くて、そしてただ屠殺場だとか、そういう
牛肉関係の仕事を大半やっておる、一般の
食品の
衛生監視の仕事はしておらないという、手が回りかねるというよりは、していないというのが実情だと私は承わっている、これはあるいは私の説は逆行するかしらぬけれ
ども、私は警察担当の国務
大臣を呼んで所信を質してみたいと思うのは、
食品衛生監視というのは、もう警察行政です。これは
取締り行政、この
法律はほとんど
取締り、全部が
取締り、指導も助長も何もない、これは全部
取締りだ、
取締りならば、
厚生省が
取締り行政ができないならば、警察行政に移した方が完全無欠な
食品衛生監視ができる、国民生活は明日からまくらを高くして寝ることができる、
法律を作ってもその
監視をする
取締りができないというようなことでは何にもならない、どのような学問的な言葉を使っても、
法律の上で見るというと、至れり尽せりの注意が施してあるけれ
ども、それにそむいたというものはことごとく
取締り行政、あなたの方で、
厚生省でこの
食品衛生行政の実があがらなければ私
どもは、九千万国民生活が非常に日々危害を加えられている、この実があがらぬということになるというと、この国民生活の不安を除去するためには、これは今日津々浦々まで国家警察になった今日においては、この
取締りは警察行政に移した方が実があがるのじゃないかと思うような気がするのです。私の議論は行き過ぎかしらぬけれ
ども、そこで今回
食品衛生法を
改正して、この
法律を実施していくということは
食品衛生行政についての背水の陣だ、私はそう思う。これで実があがらずして、次々また非常な不良な
業者が横行ばっこする不正品が多い、非常に危険な
食品が市井にばっこしてくる、集団中毒事件が続々起きてくる、それによって犠牲者が出てくるというようなことになったら、これはもう
厚生省からこの行政はやめるがよろしい、私はそう思う。それでただ単に、いつも
衛生関係の
法律案になりますというと、簡単に当
委員会も
審議をしていくのでありますが、今回に関する限りは、一年以上も——、森永の粉ミルク事件が起きて、そうしてあの数百名の乳児を犠牲にしているんです。しかも
業者は横行ばっこしている、ますます繁盛している、実に許しがたい、その結果、
食品衛生法を
改正して、強化しようじゃないかというので、本法が提案をせられて一年有余になるのです。数回の
国会を
継続してきておる。私は今度この
食品衛生改正案が成立の上、本法が実施せられて、もし実績があがらないならば、私はこれは
考えなくちやならぬ、こう思うのです。それで、これをよく見るというと、本質は
取締り行政だ、そこで私は
食品衛生行政についても一貫性を持たせなきゃならない、たとえば栄養改善なんという仕事も
考えてみなければならない、これも
食品衛生とは別個の行政システムにあなたの方ではなっておる、
環境衛生部長のもとを離れて栄養行政は別になっておるが、栄養行政、栄養行政と、中身を割ってみると、
食品衛生の指導行政でなくちゃならぬ、そういうような
食品衛生に対するところの
食品行政というか、それに対する一貫性がなくちゃならぬ、総合性がなくちゃならぬと私は思う。従って
食品衛生に対するこれは背水の陣だと、あなた方も覚悟しなくちゃならぬと思うのですね。それだけの
一つ根本的な
検討を私
どもいたしたいと思うんですが、また、あと警察担当の国務
大臣が参りましたらいろいろ尋ねてみますが、そう思うんです。
私はそういう、非常に心配をして
質問をしておるのでありますが、次にこの罰則を
改正しましたね、第九章、
法律で言いますと、第三十条、第三十条の二、その他ですね、これはもっと厳罰にしたらどうですか。私は何も厳罰主義者じゃありません、罰は軽きをもってよしとすです。しかしながら、従来の「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」以外に、非常に軽いところをこしらえたですね、軽度の罰を設けたですね。そうして第七条の違反あるいは第九条の違反あるいは第十一条の違反というようなものは、割に軽き罰に処することにしましたですね。どうして、第三十条のあの「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」に皆すべて該当するということにしてはどうして悪いんです。