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1957-02-09 第26回国会 参議院 社会労働委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年二月九日(土曜日) 午前十時五十一分開会
—————————————
委員
の異動 本日
委員近藤鶴代
君及び
木下友敬
君辞 任につき、その補欠として
寺本広作
君 及び
坂本昭
君を議長において指名し た。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
千葉
信君 理事 高野 一失君
谷口弥三郎
君
山本
經勝君
委員
勝俣 稔君
紅露
みつ君 鈴木 万平君
寺本
広作君 横山 フク君
坂本
昭君
藤田藤太郎
君 藤原 道子君
国務大臣
労 働 大 臣
松浦周太郎
君
政府委員
労働政務次官
伊能 芳堆君
労働大臣官房会
計課長 松永 正男君
労働省労政局長
中西
實君
労働省労働基準
局長
百田 正弘君
労働省婦人少年
局長
谷野 せつ君
労働省職業安定
局長
江下 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁己君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
労働情勢
に関する
調査
の件 (
労働教育行政
の
指針
に関する件)
—————————————
千葉信
1
○
委員長
(
千葉信
君) それでは
社会労働委員会
を開会いたします。
労働情勢
に関する
調査
を議題といたします。
労働教育行政
の
指針
に関する件を問題に供します。まず、
昭和
三十二年一月十四日
付労働事務次官名
をもって、各
都道府県知事
に
通牒
をいたしました
団結権
、
団体交渉
その他の
団体行動権
に関する
労働教育行政
の
指針
について、
労働省当局
の
説明
を願いたいと存じます。
中西實
2
○
政府委員
(
中西實
君) ただいま
お話
しのございました
団結権
、
団体交渉
その他の
団体行動権
について、これは
通牒
にもございまするように、
労働教育指針
として、いわば私
ども
の
執務参考書
というものでございます。従ってこれが
行政解釈
とか、そういった
種類
のものではございません。これがわれわれの方で作成いたしました
目的
といいますかについて申し上げますると、実はかねがね私
ども
の方の
行政
をやっていきます上においての、私
ども部内
でのこの問題についての
考え方等
について確たるよるべき
基準
がなかった。従って、従来
行政解釈
あるいはわれわれが
行政
の衝に当りまして、
個々
の問題について処理いたしていきます場合に、そのときどきにおいて、その具体的な
事象ごと
に見解を述べ、問題を解決していくというような
態度
でおったのでございますが、ちょうど昨年、御
承知
のごとく、
労働組合法
が施行になりまして十年になりました。そこで昨年の春には、いろいろの十周年行事が行われたのでございますが、その十周年の記念の
一つ
の企てとして、この際に、
労働組合運動
また
労使関係
、そういうものの
あり方
、すなわち、われわれが
行政
をやっていきます上においての
考え方
の
基準
というものを一応系統的に
一つ基準
として作ってみようじゃないかということで、検討を重ねてきたわけでございます。何分にも問題が
広範多岐
でございますので、相当日数を要しまして、大体昨年中に一応の案ができまして、
政府部
内の各
関係部局
とも打ち合せを遂げまして、ようやく仕上りましたので、去る一月十四日にこれを
労働教育指針
として十分に活用するようにということで、
次官名
をもちまして、各
都道府県知事宛
にこれを送達したのでございます。趣旨は全く今申しましたことに尽きるのでございまして、それ以外に何らの他意はないということを申し上げたいと思います。 その
内容
でございまするけれ
ども
、これはあるいはもうお
読み
いただいたかとも思いますけれ
ども
、きわめてまあ今までもわれわれ
ども
としまして、
行政解釈
その他において
考え
ておりました
考え方
を
基礎
にして出ておりますので、わかりやすい、私
ども
としましては当然のことを記述してあるにすぎないのでございます。で、ごく概略この
内容
を申し上げますると、
考え方
の
基礎
にありますのは、わが
憲法
に流れておりまする基本的な
考え方
、すなわち
自由民主主義
の
考え方
、この上に立ちまして
わが国
の
労使関係
、また、
労働組合運動
というものがどうあるべきかということを述べておるのでありまして、そこでわが
憲法
には御
承知
のごとく、二十八条におきまして、一条特に設けられました
団結権
、
団体交渉
その他の
団体行動権
を
保障
するという
規定
、これの
解釈
から出発しておるわけであります。そこで
自由民主主義諸国
においてとっております
通り
、この
近代企業
におきまして
労使関係
というものは
集団的労使関係
を確立するということが、これが
労働者
の
利益
を擁護するとともに、産業の平和をもたらすゆえんである。このことは
西欧諸国
の長年の
歴史
が証明をいたしておりますので、この
集団的労使関係
の確立ということを目標とし、また、
集団的労働関係
をもってこの
労使関係
を律していくということを
制度
として認める、しかも、それを
憲法
に定めた
制度
として認めていくということから、この
憲法
二十八条があるのじゃなかろうか。すなわち、経済的に
地位
の低い、また、弱い
労働者
は団結しまして、そうして対等の
立場
をもちましてそれで
経営陣
に当る
集団的労使関係
を立てまする場合に、
経営者
の相手方として、つまり
集団的労使関係
の
当事者
として
労働組合
というものが必要なんだ、そこで
団結権
、つまり
労働組合
を結成し、また、これに加入するということにつきましては、
労働組合法
においてこれが干渉されてはならない。
使用者
がこれに干渉し、あるいはまたこのことのために
労働者
に不
利益
な処分をしますれば、これは
不当労働行為
としてその
行為
を排除するという方法がなされておる。で、
労働組合
というものは、
集団的労使関係
を打ち立てる当時者として、これが
制度
として認められておる。そうして
労働組合
によって
労働者
の
意見
というものが集約されまして、その
代表者
が選ばれ、その
代表者
と
経営人
が対等の
立場
で
話し合い
をする、これが
労働組合
の本来の使命である。 次に、
団体交渉
、これは
集団的労使関係
、つまり集団的に
労働条件
を
決定
するということのために
労使
が話し合うのが
団体交渉
だ。で、わが
労組法
におきましては、
団体交渉
をすることについて
経営人
に義務づけいたしております。で、もし、正当な事由なくして拒めば、これは
不当労働行為
だということになっております。で、そういうふうに
団体交渉
を
保障
しておりますのは、結局集団的に
労働条件
をきめるという
制度
を円滑に運ばせるために、今申したような
団体交渉
に
法律
的な
保障
があるということであると、そこで
労働組合
と
使用者側
との
話し合い
は、何でもかでも
団体交渉
というものではないので、やはり
集団的労使関係
、
労働条件
を
決定
するということが
団体交渉
の本来の任務であるということを説いております。 次に、
団体交渉
によってきまりましたものは、これは
労働協約
として書面に作成して、記名、捺印あるいは署名をいたすことによって、ここに集団的な
労働条件
が
決定
される。そうしてわが
労組法
におきましては、
労働協約
には、
個々
の
労働契約
に優先する
効力
を持たしております。それはなぜかというと、
労働契約
は、
個々
の
労働者
あるいは
使用者
との
契約
だ、従って経済的に
地位
の弱い
労働者
は往々にして
経営人
に圧倒される。そこで集団的に結びました
労働協約
、それに優先する
効力
を持たせまして、それによって
個々
の
労働者
が
経営者
に圧倒されることを防いで
労働者
の
利益
を擁護する、これが
労働協約
である、こういうことでございます。従って、たとえば、
組合事務所
を貸すとか、借りるとかいうような問題、これは
集団的労働条件
を
決定
するという
労働条件
に入らないで、
一般
の建物あるいは部屋の賃貸借あるいは
貸借関係
とちっとも変らない。で、
労働協約
というのは、やはり集団的な
労働条件
の
決定
の所産である、こういうふうに
考え
られるわけであります。 その次に
争議行為
でございますが、
争議行為
というのは、集団的に
労働条件
を
話し合い
によって
決定
していく。で、
団体交渉
でそれが妥結いたしますれば、それに越したことはございませんけれ
ども
、もしも妥結しないという場合、
労働者
は今のような
条件
ではわれわれは働くわけにはいきません。こういうことで、
労働組合
が
決定
をいたしまして、集団的に
労務提供
を拒否する。これが
争議行為
である。すなわち、
争議行為
は
経営人
にも
損害
を与えまするが、
組合側
にも
損害
が予想される、
犠牲
が予想される。そこでその
損害
、
犠牲
を比較考量しつつ、しかもそれでもやむにやまれず総員が
労務
の
提供
を拒否する、すなわち、
団体交渉
が行き詰まった場合にその
打開手段
として行われるのが
争議行為
だ。
争議行為
とは、
団体交渉
の
打開
のために集団的に
労務提供
を拒否するのがその本来の
あり方
であるということをまあ述べておるのでございます。従って
労働組合
、
団体交渉
、
労働協約
、それに
争議行為
というものは、集団的に
労働条件
を
決定
するというこの
労使自治
の
制度
を打ち立てるための一連の
一つ
の筋道でありまして、これがばらばらとして理解されるべきものではないというのがこの
教育指針
にすっと貫かれておる根本的な
考え方
でございます。 しからば、集団的な
労働条件決定
のため以外のいろいろな
活動
というものはどうかと言えば、それは
労働法
の
保護保障
の対象じゃないということでございまして、直ちにそういうことが違法かどうかということは、これはまた、それぞれ
関係
の法令によって律せられる。ただ、それは本来のものでないから、
労働組合法
その他のいわゆる
労働法
上の
保護保障
は受けないものである、こういうことになるわけでございまして、この点はまあくれぐれも誤解がないようにということは各所に出ております。 以上が大体これの
内容
でございまして、まあこういった
考え
のもとに、われわれ部内の
事務処理
に当っては念頭に置いてやるように、またできますれば、広く
労使
あるいは
一般社会
の方々にも御理解いただいて、まあこういう基本的な
考え
のもとに、
憲法
に
保障
された権利が、それが適正に行使されるようにということを念願いたしておる次第でございます。今の基本的な
考え方
から出ましてさらに具体的なことを敷衍して相当長文になっておりますが、底に流れております
考え方
は以上のようなことでございます。
千葉信
3
○
委員長
(
千葉信
君) それでは順次御質疑を願います。 なお、
大臣
は
衆議院予算委員会
の
関係
がございますので、なるべく最初、
大臣
の方に御
質問
を願いたいと存じます。
藤田藤太郎
4
○
藤田藤太郎
君 少しお尋ねをしたいと思うのです。まず第一に、今の
中西労政局長
から
説明
があったのですけれ
ども
、あくまで
教育指針
の
立場
から出した、こういう
工合
に言われたのですけれ
ども
、この
内容
をずっと見てみますと、法の
解釈
、
法解釈
の断定的な問題に非常に
多岐
にわたって入っている。元来
労使関係
というのはやっぱり日本では具体的には十年の
歴史
でありますが、十年の
歴史
の中でいろいろの問題が過去において、戦後あったでございましょうが、その中から
労使
の
慣行
というものが作り上げられていく。むろん
労組法
、労調法という
労働法
の
建前
によってこの
労使
の
慣行
というものが作り上げられてきたというのに、そういう
実態
というものを見きわめて、今の
教育指針
だ、あくまで
教育指針
だと言われたけれ
ども
、このような領域まで
教育指針
と
考え
ておられるか。
法解釈
の
分野
に非常にたくさん入っている。また、こうあるべきだと断定しているような面がたくさんあるが、どういうお気持なのか、
大臣
からまずこの問題についてお答えを願いたいと思います。
松浦周太郎
5
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) 今の法の
解釈
ですか。
藤田藤太郎
6
○
藤田藤太郎
君 いや、
解釈
じゃない、
教育指針
として出したと言われるが、この
内容
には
法解釈
の問題、断定的な問題がたくさん含まれておる。今の
説明
とちょっと違うじゃないかという……。
中西實
7
○
政府委員
(
中西實
君) ちょっとその前に私から……。
千葉信
8
○
委員長
(
千葉信
君)
質問者
が
大臣
からお聞きになりたいというのですから。
松浦周太郎
9
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) ただいま
中西局長
が
説明
いたしましたように、あくまで
労働教育
の
指針
として出したものであるということ。それはその
解釈
については、そのことの起ったためにたびたびいろいろな
解釈
を発表するけれ
ども
、それを総合的にまとめてやったものでありますから、従って
法解釈
の問題も多少は出ているだろうと思いますが、底に流れているものは、一貫した
労働教育
の
指針
として出したものであるということをお答えいたします。
藤田藤太郎
10
○
藤田藤太郎
君 どうも、それだけじゃなかなか納得がいかない。これは
大臣
、この
指針
をお
読み
になっていることだと思うのです。だからお
読み
になってかみ分けられれば、この
教育指針
、単なる
教育指針
であるか、
法解釈
の
分野
にたくさん入っているかということがよく私はわかると思うのです。が、この問題はなかなか納得いきませんので、続けてお伺いしたいのですけれ
ども
、たとえば、この
内容
にたくさん入っていきますといろいろな面で、ことさらに特徴的な、ほんとうの特徴的な問題を誇大に宣伝といいますか、そういう
工合
にたくさんとり上げる。’そういうことを
考え
てみますと、
労働組合
の
立場
からして
労使
の
慣行
というものをことさらにこういう
工合
に、私らから言えばゆがめられて、そしてこういう上から抑圧するような感じを持つ
通牒
というものを出された。今日の時期に特別の
目的
があって出されたのか、そこのところをお聞きしたいのです。
松浦周太郎
11
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) そういう
考え
をもって出したものではありません。
先ほど
中西局長
が申し上げましたように、昨年来
調査
研究いたしまして、ようやくでき上ったものですから、そういう今
お話
のような、たとえば春闘に備えてというような
考え方
で出したものではなくて、ちょうどでき上ったものですから出したと、こういういきさつでございます。
藤田藤太郎
12
○
藤田藤太郎
君 でき上ったから出したという
お話
ですけれ
ども
、こういう
工合
に
多岐
にわたって
法解釈
の
分野
まで入っているような問題、
労使関係
というのは生きて、一定の限られた期間に起きるものじゃなしに、あらゆる労働問題その他の問題が
労使
の間において、
団体交渉
その他によって
関係
というものが生まれてくる、そういうものを、こういうことで出すというお
考え
、一年間かかったと言われますけれ
ども
、それなら
争議
の
実態
、または
当事者
の
意見
を聞く、またはたとえば、こういう
労働委員会
でその
意見
を聞くとか、
専門家
の
意見
を聞く、そういうことをなぜされなかったか。
松浦周太郎
13
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) この問題に対しましても、この間、
労働問題懇談会
でそういう御
意見
がありました。けれ
ども
、これは
次官通牒
でありますから、一々お聞きはしなかったのですが、今後は、大きな問題については、
労働問題懇談会
に諮問するということを約束したのですが、この問題は単なる
次官通牒
でありますから、お聞きしなかったのでございます。
藤田藤太郎
14
○
藤田藤太郎
君 単なる
次官通牒
と言われますけれ
ども
、よく
労働省
の中でもいろいろの面から研究され、個人がその研究した結果を、
意見
をどこかで発表されるということであれば、これは自由でございましょうけれ
ども
、
労働次官通牒
として出すということになると、単なる
意見
と違って、やっぱり
行政面
の大きな力というものがこれに加わって流れていく、こういうことに私はなると思うのです。また、そういう
工合
に受け取られやすいと思うのです。そういう重要な要素を
実態
の中に組むということであれば、今私が申し上げましたように、
労使関係
というのは、あくまで自主的に問題を解決するというのを
建前
にとっている。これは今、
中西局長
の
説明
にもありましたし、
労働関係法
がそういう
工合
に
規定
しているわけです。
憲法
の
三権
の
保障
、それから
労組法
の
保障
、こういう
工合
にして
関係
というものが生まれていると思うのです。だからそこで、今のような格好で出ていますと、私らの
考え
るところでは簡単にお
考え
になっているようですけれ
ども
、非常に重大な
関係
があるように思いますが、どういう
工合
にその点お
考え
になっているか。
松浦周太郎
15
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) これは
労使
の
関係
の
仲裁役
というか、
アンパイヤ
というか、
政府
はあくまでも
厳正中立
といったような
立場
に立たなければならぬと思うのです。それの物さしをやはりこの正当な
解釈
で出しておくということは必要だと思うのですね。でありますから、事の起ったたびに、その
事象
々々によって、一貫した
考え方
によって
解釈
はするのでありますけれ
ども
、前もってやはり一貫した総合的な
解釈
を発表しておくことは、
アンパイヤ
の役として当然のことではなかろうか、こう思うのです。 それから今
いろいろお話
がありましたが、
労働関係
の方に強く当って、
使用者
の側の方に弱いじゃないかというような
意味
の御発言もあったのですが、これは
団結権
であるとか、
団体交渉権
であるとか、その他の問題であるとかということでありますから、主として
労働関係
のことに対する
解釈
が多くありますから、
労働者
の側の方に強く当るように見えますが、それは公平に
判決例
であるとか、あるいは、
法制局
その他最高裁判所その他すべて調べまして作り上げてきたものでありますから、片寄っていないとは思っておりますが、あくまでも
厳正中立
の
立場
において公平にやったつもりであります。
藤田藤太郎
16
○
藤田藤太郎
君
労働大臣
は、
解釈
の統一、こういう
労組法
の
三権
の
解釈
の
基準
を明確にしたのだと、こう言われた。
中西局長
は単なる
教育指針
だと言われた。その点はどうなんですか。
中西實
17
○
政府委員
(
中西實
君) この基本的な
考え方
は、これはやはり全く
法律
を離れてはこれは出てきません。早い話が、たとえば
団結権
、
団体交渉権
、
団体行動
、これにつきまして、各諸外国の
立法例
をみましても、
憲法
に
規定
してあるところもありますし、ないところもある。それから
規定
しているところだけでも、
団結権
だけを
規定
しているところもある。それからさらに
憲法
を受けて、その
関係
の直接の
法律
になりますと、これはもうその国々のいろいろな
特殊事情
で、いろいろな
規定
をしている。従って、
わが国
でこのことについての根本的な
考え方
を立てる場合に、やはりある
法律
の上に立って
解釈
を
考え
なければならない。それからまた、
考え方
を持たなければいけない。しかしながら、御
承知
のごとく、
労働関係
の
法律
というものは
内容
が
多岐
であるにかかわらず、非常に大筋だけしか
規定
がない。これは御
承知
のように、たとえば、
労組法
の一条二項、正当な
労働組合活動
には、刑法三十五条の適用があるとありますけれ
ども
、さあ正当ということはどの範囲かというのが、これはえらい大きな問題であります。そうしますと、根本的に、この
労働関係
の
法律
に立ち向う
考え方
というものは、これは非常に問題になってくるわけであります。従って、もちろんわれわれとしましては、現在ある法ということを無視しないで、その法の
解釈
に当ってどういう
態度
で
解釈
すべきか、これが結局正しい
労使関係
、あるいは
労働組合運動
の
あり方
だということにつながってくるわけであります。そこでこれは
行政解釈
でございまして、しかしながら、法を
解釈
する場合の
態度
といいますか、
解釈基準
といいますか、それに当るわけでございます。それがすなわち、
労働教育指針
だというふうに
考え
ておるわけであります。
藤田藤太郎
18
○
藤田藤太郎
君 像は
労政局長
に重ねしお尋ねするのですけれ
ども
、
労使関係
の
法律
の
解釈基準
をたとえば立てるというような場合には、アメリカの
一つ
の例をとって悪いですけれ
ども
、
斡旋調停局
というのがあって、この
斡旋調停局
が具体的な
事例
によって
解釈
を、最終的には裁判所がむろんきめることでしょうけれ
ども
、そういう
慣行
が行われ、
中西
さんも
中央労働委員会
の
事務局長
の時分に、
労働委員会
の
労相法
に対する
解釈
というようなものが、
行政解釈
、こういう時の
政府
が勝手に
解釈
するのじゃなしに、
労働委員会
とかいう三
者構成
のような機関で、この
一つ一つ
の
事例
によって
解釈
をししいく、こういう
慣行
といいますか、こういうものが私はあったと思うのですけれ
ども
、そういう点について、どういう
工合
にお
考え
になっておられますか。
中西實
19
○
政府委員
(
中西實
君) これは法の
解釈
のものではありません。
教育指針
であるということははっきり申し上げておきますが、今の
法解釈
の場合に、
労使
の
意見
を聞いてそれを
解釈
するということは一度もやったことはございませんし、そういう
性格
のものじゃないのじゃなかろうかと思います。それで、
行政解釈
をします場合に、
労働委員会
に
関係
のあるような事項は、
労働委員会
と
意見
が違っても悪いので、連絡するということはしております。しかしながら、
労使
に御
意見
を聞いてやるとかいうようなことは、これは事の
性格
上妥当じゃないのじゃなかろうか。つまり、われわれが
法解釈
をいたします場合に、
関係
の
法制局
とか、あるいは法務省とか、そのほか
関係官庁
と連絡いたします。そういう
意味
において、
労働委員会
にも必要に応じて連絡するということはいたしますけれ
ども
、特にこの
利害関係
のあるところに
意見
を聞いてやるというようなことは、やはり筋としてはおかしいのじゃないか。で、この
指針
は、これはもう
先ほど
来言っておるように、
行政解釈
じやございませんし、
考え方
の
基準
を示しておるのであり、しかもそれは
自由民主主義
の原則からいいますれば当然のことをするのだ。従来からの
考え方
、当然の
考え方
を
基礎
にしてこの
基準
を作ったという
意味
において、私は
政府
の責任において、
執務参考
としてこういうものを作るということは、決して妥当を欠くものじゃないと思います。で従来でも、たとえば、
労働協約
の
内容
はこういうふうにした方が完璧だとか、こうすべきだとかいうように、相当こまかい、しかも重要なことにつきまして、いわゆる
指針
というようなものも出しておりますので、この例は今回始まったものではないというふうに
考え
ております。
藤田藤太郎
20
○
藤田藤太郎
君
中西局長
、今もまた
解釈
ではない、さっきは
労働大臣
は法の
解釈
を統一したものだと、こういうふうに言われた。
大臣
どうなんですか。そこのところは。
松浦周太郎
21
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) それは、
法解釈
と申し上げたかもしれませんが、大体、
労働行政
あるいは
労働教育
というものの
解釈
を統一したものであるというふうに、こういうふうに申し上げておるのであります。
山本經勝
22
○
山本經勝君
労働大臣
にお伺いしたいのですが、今の
お話
だと、
法解釈
をしたものじゃない、総括的に
労働組合
の
運動
の
実態
を
基礎
にして、どうあるべきかということをそう
解釈
されたものなんですか。つまり、
労働法
の
法解釈
の問題じゃない、
労働組合運動
はどうあるべきかという
実態
に即した
解釈
をなさった、こういうわけですか。
松浦周太郎
23
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) 大体そうであります。
山本經勝
24
○
山本經勝君
そこで続いてお伺いしたいのですが、
労政局長
の
お話
だと、
行政解釈
ではない、これははっきり言われておる。ところが
行政解釈
の
基準
だと言われた。この
行政解釈
と、
行政解釈
の
基準
というのは一体どういうふうに違うのですか。
中西實
25
○
政府委員
(
中西實
君) まず
先ほど解釈
という問題が御議論になっておりますが、この
内容
の中には
法解釈
的なところがございます。しかしながら、これ全体が、結局、
団結権
、
団体交渉
その他の
団体行動権
に対する正しい
解釈
の仕方ということでございまして、従ってこの全部が
行政解釈
というものじゃない。われわれの方はよく
地方
に
執務参考
としまして、その時々の
労働情勢
とか、あるいはまた、
裁判例
の
解釈
とかいろいろなものを出します。それと同じ
種類
のものでございます。ただ、
内容
が、
団結権
、
団体交渉
その他の
団体行動権
、つまりこの
考え方
の
基準
を書いてあるというところで特徴がございますので、つまり
参考書
として、従来とも常にわれわれは、
中央
で作ったものを
地方
に流す、こういうことをやっております。
山本經勝
26
○
山本經勝君
そうすると、こういう
工合
に理解していいのですかね。単なる
執務参考書
、あるいは
局長
の言葉を借りれば十周年を期して、過去の十年間の
労働運動
の歩みを振り返ってみるというふうにも
お話
があったのですが、単なる執務上の
参考書
ということであれば、これはどういうことなんですか。
労働省
内における
関係
お役人の方々の
執務参考書
とか、あるいは全体に、その他の広範な節囲に流される
執務参考書
なのか、そういう点はどういうふうに
考え
ておられますか。
中西實
27
○
政府委員
(
中西實
君) これは事務
次官名
をもちまして、この本の
通牒
がございますけれ
ども
、事務
次官名
で、各
都道府県知事
へ、今般これを別添の
通り
労働教育指針
として送ると、従ってこれを
指針
として
労働教育
にさらに努力願いたいと、こういうことでございます。従って形式からいいますと、部内の
参考書
、
労働教育
における
参考書
ということになります。この
内容
は、しかしながら、できるだけ時に触れ、
労使
初め
一般
の方々に御理解いただきたい、こういうものであります。
山本經勝
28
○
山本經勝君
労働大臣
にお伺いしたいのですが、この
労働運動
を十年間過去の
実態
について振り返ってみて、いろいろ希望もあり、御
意見
もあるのだから、そういう場合にいろいろな記念事業も行われるだろうし、あるいはそういう場合に、組合
運動
の
実態
を振り返ってみた
歴史
的なものを編集されて、そうしてこれを十周年の記念にするというようなことは、これは当然あり得ることだ。ところが、今のこの
通牒
は、一応前文は
通牒
であると言われている。
通牒
の
内容
に盛られているものは、
団結権
、
団体交渉
それからその他
団体行動
と言われると、
労働者
が集団的に
労働条件
をきめる場合に
法律
的保護を与えているという
労働法
の
建前
から、当然この一番中心になるのは何かといいますと、
労働者
の団結であり、そうして
団体交渉
であり、
団体行動
だと、これは当然一連のつながりを持った必要な要件なんですよ。そうすると、
労働運動
全体をながめて、しかも
憲法
との
関係
においてどうあるべきかということはしばしばこの
通牒
の
内容
に具体的に述べられておる。しかも
裁判例
まで引用してそれがなされている。そうしますと私
ども
の
考え方
では単なる執務の
参考書
というのはこれはおそらく
労働省
内におけるそれぞれの部署のお役人方の
参考書
であるのは当然わかる。
通牒
という名前のものはそもそも
行政
上の
指針
になっていくと思うのです。執務上の参考と言われるような単純のものではなくて、むしろ
労働行政
上のこういうふうにやるべきだという命令に等しいものである。こういうふうに私は当然解されると思うのですが、この点
労働大臣
としてはどういうふうにお
考え
になりますか。
松浦周太郎
29
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) いろいろに
解釈
はできると思いますけれ
ども
、われわれのこの
通牒
を出しました意図するところは、
先ほど
からも何べんも申し上げておりますように、従来断片的に出ておった法の
解釈
とかその他の問題について、その精神に従って
労使関係
の
あり方
について
労働教育
の
指針
として出したにすぎないのでありますから、あくまでもやはり
労働教育
の
指針
としてお取り扱いを願いたいと思っております。
山本經勝
30
○
山本經勝君
大臣
の
お話
は初めから
労働教育
の
指針
として使ってくれと言われた。ところが
労働者
側からこれを見ますと、これは
労働運動
の
指針
としては使えません、こんなものは。この
労使関係
と
労働法
制という第一項に書かれているような、第一番に言われていることは、自然発生的なものだと言われている。自然発生的なものだということは、雇用と労働という
関係
において
労使
の
関係
が生まれて、そしてこれを集団的に賃金その他
労働条件
の取りきめをしていくという筋は、もっとも言われる
通り
自然発生的なものでしょう、
歴史
は。しかしながらこれにいろいろな国家権力の介入や圧迫があって、
労働者
の団結が阻害され、
労働者
の
利益
が守られないところにこの
法律
が出てきた。そういう
関係
がほんとうに自然発生的にその法の抑圧にもかかわらずこうして長い苦難な闘争で世界の
労働者
は闘争を続けてきた。日本でもまた同様に戦後の
労働運動
とは違って、さらに戦前におきましても
労働運動
は私
ども
もやっていた。そこで
労働者
が団結しようとしても当時の警察、あるいは治安維持法とかその他の取締規則が団結することに対してあった。そういう状態のもとですから、いわゆる団結し、
労働条件
を集団的に改善しようとしてもできなかったのが実情であった。これは
大臣
といえ
ども
御承認願える点だと思う。ですから自然に作り出され、雇用と労働という
関係
において双方が話し合って
一つ
の
慣行
を作り上げて、しかもともに立っていくようにしたいということが念願の
基礎
であったことは申すまでもないと思うのです。それが自然発生的に
歴史
とともに流れて長い間に
慣行
ができ上って、それが
制度
化されたことは一応日本の場合はわかりますが、しかしこういうような
慣行
は
労使
の間の自然の姿で、民主的に行われていくのが本来のものだと思う。ところがそれができなくて、ここで言われている占領という事態が起って敗戦によってさらに占領下における
行政
によって立法化されたという
歴史
は事実としてありますが、しかし言われているように自然のものであるなれば、皆さんの方からしいて、いわゆる
労働省
からしいて
労働運動
の行き過ぎを是正しようという意図のもとに立ったと判断されるように受け取れるような
意味
の
通牒
を出して
行政
指導をしようというところに問題があるのじゃないかと私は思う。ですから私が今伺っていることは、むしろさかのぼって言えば、
大臣
に伺いたいのは、
労働省
は一体何をするところかということを伺いたい。
松浦周太郎
31
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) これはお説のようにいろいろの
解釈
ができますけれ
ども
、
労使
の
関係
が円滑にいきまして日本の経済力が伸張するというところにわれわれの
考え
があるのでありまして、別に
労働関係
に特に重圧を加えるということは毛頭も
考え
ておりません。特に私はそういうことに対しましては
一つ
の経験を持っておりますし、そういう
考え
を毛頭持っておりません。
労働省
としては、これは御
承知
のように、
労働省
設置法の中にこういうような宣伝啓蒙するとか、あるいは
労働省
の組織令の中に
労働教育
課というものもありますし、またその十五条には
労働教育
において、「左の事務をつかさどる。」ということで、「前各号に掲げるものの外、
労働組合
及び
労働関係
の調整に関する教育及び啓もうに関すること。」を行うということが
規定
してあるのです。そういう
意味
から将来望ましい方向はこの方向であるということを
労使
の間に知っていただくように教育、啓蒙というようなことをすることは日本の
労働行政
といたしまして日本の
政府
としてやるべきことじゃないか、かように思っております。
山本經勝
32
○
山本經勝君
一応
労働省
設置法のあれは私も概略は存じております。そこで今の
労働教育
、あるいは
労働関係
の調整、これも重要なことだと思う。しかし
労働省
そのものの持っている本質的な任務というものは、私
ども
はやはり職場を求める
労働者
に職を与えるという、つまり就労その他広範な
労働者
の勤労に関する権利を保護するということにあるのじゃないかと思うのですよ。この点はどうなんですか。
松浦周太郎
33
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) 同感であります。
山本經勝
34
○
山本經勝君
そうしますと、問題は
労働者
の雇用、つまり就労の機会を与え、全国民の
憲法
が
保障
している勤労の機会を拡大して、そうして働きたい者に働き得る職場、または生活の
保障
できるような職場の確立を指導することが私は
行政面
では最も大きな課題ではないかと思う。それからそれに今の教育あるいは調整ということが紛争等には必要でありますが、その紛争調整等はいわゆる
行政
上の指導というよりも、自発的な
労働者
の持っている教育調整というものに期待するところが私は中心であろうと思うのですが、その点は
労働省
が直接それを手がけていくというお
考え方
を持っておられるのですか。
松浦周太郎
35
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) まあ事態の起り方によっていろいろあろうと思いますが、われわれはやはり
労使
の間の中間に立って調整して行くべきであると思っております。
山本經勝
36
○
山本經勝君
まあここで調整と教育と
一つ
一ぺん分けてみましょう。そこで従来とも
労働者
の教育ということは
労働省
は言っておられる。しかし教育の機会を与えるということについては私
ども
はわかる。
労働省
がそれでは
労働者
の教育と称して学校を作って何とかするとか、あるいは勤労時間以外の、就労時間以外の適当な時間を使って、集めて教育するということはあえて聞かないのですよ。教育の機会を与える、それに対する
行政
的な援護を与える、こういう点では私
ども
十分理解している。その点はどうなんですか。教育なら教育というものだけ切り離して
考え
ると、直接
労働省
が
労働者
の教育と称してしかも
労働省
が
考え
ているような、今の
大臣
の言葉を引用すれば、つまり公平な第三者的、中立的
立場
に立って
労働者
を教育する、こういう
お話
なんですが、直接やられるのかどうかということ、それと
労働者
自身はみすから、
先ほど
申し上げましたように、いろいろの多くの経験を積み重ねつつ実質的に研究もし、検討もし、自分たちの生活の改善向上のために努力していると思う。さらに国家社会にある多くの機関がこれらを援護しつつ、あるいは共同しつつやっていくこの自然の姿が私はあると思うのですが、その点はっきりしておいていただきたいのは、
労働省
が直接
労働者
に対する何といいますか、国民的教育というのか、あるいはどういう教育をされるのか知らぬが、
考え
ておられるような、どういうものかわかりませんが、
労働省
でお
考え
になっているような型の中に
労働者
を養成しよう、こういうふうにお
考え
になっているかどうか、そこをはっきりしておいていただきたい。
松浦周太郎
37
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) まあ
労働省
として
労働教育
を直接やっている問題も、青少年の問題とか技能者の養成の問題であるとか、直接教育の問題もありますが、今お問いの問題は団体に対する問題だと思うのでありますが、それに対しましては、今とっているような方法をもって教育の
指針
としたいと、こういう
考え方
でございます。でありますから、従って知事あるいは
基準
局というようなものを通じてやっていきたい
考え
であります。
山本經勝
38
○
山本經勝君
私の伺っているのは、今申し上げたような
行政
的ないわゆる教育指導というもの、
労働省
がやっているのじゃなくて、そして県知事とか、あるいは都道府県の担当
労働関係
の官吏、こういうところを通して、
労働者
というのは現在組織
労働者
約七百万見当ありましょうが、これらの
労働者
に対する教育をなさる、しかも、その教育の基本
指針
をこういう
通牒
の
内容
においてやろうとなさっておる、こういうことが、今言われる
労使
のいずれの
立場
にも立たない公平な
立場
でと
お話
しになっているのですが、この
大臣
の言われる、
労働省
が
労働者
のいわゆる就労の機会、勤労者に就労の機会を与え、それからしかも
憲法
でいう生活権の
保障
へ努力するという趣旨と、その教育の
指針
とはどういうふうな
関係
になりますか。この点を解明願っておかなければいかぬと思う。これは
大臣
に聞いておるのです。
松浦周太郎
39
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) 今の問題は、私は従来やってきましたような方向でいって差しつかえないと思うのですが、
労働者
の生活権の擁護及び就労の機会を与えることに対しましては、
政府
といたしましては、財政経済の許す限り、失業の問題に対しましても、あるいはその他の雇用
関係
に対しましても、努力いたしておりますから、これを一そう強化していきたい、かように思っております。
山本經勝
40
○
山本經勝君
まことに
大臣
の
お話
を聞いておるとたよりない話で、従来やってきたと言うが、従来何をやってきたか、その具体的なことを私は伺っておる。
教育指針
という名で
通牒
を出されたから、私はそれを伺っておる。これははっきりしておいてもらわないと困る。従来どういうことをなさってきたのか。
大臣
が従来とおっしゃっているが、従来はどういうことがあるのか、その点を御解明願いたい。
松浦周太郎
41
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) 今従来と申しましたが、従来やって参りました方向の、今の生活権の擁護、あるいは就労の機会という
お話
がありましたから、そのことを従来と申し上げたのですが、教育の
指針
の問題については、今回やりました方向によって進んでいきたいと、かように思っております。
山本經勝
42
○
山本經勝君
こういうことを私は伺っているのです。つまり就労の機会を増大するような、これはまあ技術のこともあろうし、いろいろな問題があろうかと思うのです。こういう
種類
の
労働者
の
一般
的教育ということについては、これはよくわかる。こういう点でこういうふうな仕事をし、こういう施設を設け、こういうふうな教育をするのだという、
労働教育
と言われることになりますとわかる。そうすると、
大臣
の言葉を裏に返して言えば、これは
労働組合
に対する
教育指針
ですか、この
通牒
の
内容
は。
松浦周太郎
43
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) やはり
労使
双方に対しまして総合的に
教育指針
ど
考え
ております。
山本經勝
44
○
山本經勝君
私はますますわからなくなる。
労使
双方に対する
指針
でもしあるとするなれば、この中に盛られているこの
通牒
の
内容
ですよ、私もこれは詳細に読んでいる。そしてまた
専門家
の
意見
も聞いておるのですから、こまかに知っているつもりです。そこでこの
内容
から一々具体的なことを、あとから逐次この
委員
会において解明して参りたいと思うから、
内容
には触れませんが、一応この中身を見ますと、
労使
の
関係
においてかくあるべきことであるという点は指摘されているけれ
ども
、
労働者
の教育として
一般
的な就労の機会を与えるために、あるいはまた失業者に対する対策をどうとかというような、失業者の就労のための技術補導や何かについての重大な
指針
は何らないのです。しかも
労働大臣
の昨日の施政方針の話を伺っておりますというと、国の中にはいまだ多数の不完全就業者がある、これは重大な問題であるから取り上げて対策を講じなければならぬと、こうおっしゃっておりますが、この種の人々に対する、たとえば
労働教育
の機会があるということはわかる。ところが、それらのことには何ら触れていない。
労働者
の
教育指針
として出された
通牒
の
内容
なるものは、もっぱら
労働組合運動
に限定されておる。その点を一体はっきりしてもらわないと、
先ほど
局長
から
お話
しになった、これは単なる
参考書
である、あるいはまた十周年記念事業の
一つ
として、
労働運動
の過去十年を振り返ってみたものであるというような、でたらめな御
説明
では納得いかない。責任のある最高責任者である
労働大臣
から、はっきりとこの点を解明願わなければならぬ。御
説明
願います。
松浦周太郎
45
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) これはいろいろ
考え方
がありますけれ
ども
、私
ども
の
考え
は、就労の機会を増大するということも、やはり
労働教育
の
一つ
だと思うのです。本
通牒
もそういう
意味
において、やはりお問いのような線に達しておると思っております。
山本經勝
46
○
山本經勝君
これはちょっとこの点は一応
質問
を留保しておきますが、今の
お話
は、就労の機会等に対する指導もこの
通牒
の中に入っておると言われますが、この点、
内容
に私は、
先ほど
申し上げましたように触れません。 そこで基本的に次の問題を伺っておきます。調整
関係
は
労働省
の所管に属する
労働委員会
がやっておることは、よく存じております。私も長い間労働
委員
をやらしていただいておりますから、そういう
関係
で知っておりますが、調整に関する指導という場合には、特に今まで戦後再三
次官通牒
なるものが出た。この
次官通牒
が出るたびに、この
委員
会で問題になり、
労働関係
の相互の力が均衡を保って、対等の
立場
で
話し合い
をして解決がつくということが前提でありますから、勢い、一方的に
政府
が公平な
立場
と称して出される——しばしばお聞きしたことですけれ
ども
——
通牒
が災いをして、むしろ
労使
の
関係
がこんがらがったような
事例
も少くないように思う。そこで、少くとも重大な
通牒
が出される場合には、
労働委員会
等において要望が出ておると思う。これは、もっとも松浦さんが
大臣
でなかったのだから、その当時の事実を具体的に御存じないかもわからない。しかし、そういう要請があり要望があったことは、ここにおいでの
専門家
の皆さんはよく御存じだと思います。ですが、調整について、どういうふうな指導をしたら、最も妥当な公正な
労使
周の
関係
になるのか、この点を
一つ
大臣
から、これまた明確に御解明を願っておきたい。
松浦周太郎
47
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君) その調整の問題に対しましても、いろいろな審議会、
委員
会等を通じまして今後もお世話になっていかなければならぬと思っておりますから、それが不十分であるならば、さらに機構を拡充していかなければならぬと思っております。調整はやはり
委員
会、審議会を通じてやっていきたいと思っております。なお、今の
お話
につきましては、
先ほど
も申しましたように、この間の
労働問題懇談会
におきまして、なぜこの
通牒
を出す前に
委員
会に諮らなかったかというお問いもありました。けれ
ども
、すでに出ておりましたし、この問題は
次官通牒
でありますから、
一つ
の大きな
制度
を変革するとか、あるいはこれを創設するとかいうような場合はとにかくにいたしまして、
次官通牒
でありますからわれわれもそのまま御相談せずに出したのでありますが、今後はまあ機会あるごとに
一つ
御相談をいたしたい、かように思っております。
山本經勝
48
○
山本經勝君
今の調整については
委員
会、審議会等に相談をしてなさる、またそういう要望があっていたことは御
承知
の
通り
ですから一応その筋だと思うのです。ところがこの調整に——たとえば
労働委員会
、これは
中央労働委員会
、
地方
労働委員会
とございますね、あるいは労働
基準
その他広範な審議会
制度
が設けられている。こういうものは調整的な役割を果す
行政
機関の
一つ
としてある。それらがいろいろ調整をするのですが、その調整機関から
通牒
を出すに当っては
個々
の事件に対する処理をどうするという——
先ほど
中西労政局長
から話のあった、
通牒
についてもそれぞれあったのですよ、私もたびたび見ておる。ところがこの
教育指針
と銘打って出された
内容
にはこの調整問題が中心になっている。
団結権
それから
団体行動権
、あるいは
団体交渉権
、こういった労働の基本
三権
と言われる三つの権利を中心にして
労働組合法
がこれを保護している、あるいはまた
労働関係
調整法がいろいろな
意味
において監視をしたという形に置かれているのですが、そういう
関係
の中心がこの
通牒
の
内容
をなしている。それで
先ほど
お話
しになりました教育に関する場合、
一般
的に
労働者
の教育と銘打つなれば少くとももっと広い問題になるはずです。ところがここで取り扱っているのは、もっぱら
労働関係
の調整を中心にした事柄が具体的な
事例
を引用して
通牒
と銘打って出されている、こういうことになっている。それほど重大でもしあるなれば、事前にこの
委員
会の要望等を尊重されるというお
考え
にのっとって、あるいはまた審議会の
意見
を徴してしかるべきものじゃなかったか。それで今後はそうしますという
お話
ですが、事すでにおそい。私
ども
聞くところによると、この
通牒
なるものは前倉石
労働大臣
が就任早々に、
憲法
と
労働関係法
規との
関係
を解明せよということを事務当局に命じてはっきりしている。そこで当時
法制局
におられた某事務官を教育課に配置がえをしてそうしてそこでこの編集をなさっている。そしてしかも聞かれた人々の
意見
はあるいはその徴された人々というのは特定の人々なんです。そういうふうにして、しかも最初編成されたこの
通牒
の
内容
は広範な
労働法
規と
憲法
との
関係
の法理的解明であった。そこでこれはまずいというので、こういうものを出せば大へんなことになるだろうということで法規
関係
の分を削除して、そして
一般
的な
労働運動
に置きかえた、こういうことを私
ども
聞いているのですが、これをまさか私がこの公式の席上で
大臣
に聞いてもそういうことはございませんとおっしゃるのでしょう。しかし事実は明らかなんです。しかも取り入れられた
内容
には日経連の労働協定なるものの要素が多分に取り入れられている。こういうようにして
大臣
の言われる公平ないわゆる
政府
機関としての
行政解釈
になったり、あるいはまた正しい
意味
における自然発生的な時間とともに流れる洗練された
労使
慣行
の指導ということになるのかどうか、ここに私は重大な疑問を持つわけです。そこら辺をもう一度、
先ほど
の事務的な
中西局長
の解説ではなくて、総括的ないわゆる
大臣
の御
説明
を願わなければ絶対に納得いかない。そこで
一つ
時間等の
関係
もあるようですが、とりあえず急速にそれを
一つ
やっていただきたい。
松浦周太郎
49
○
国務大臣
(
松浦周太郎
君)
大臣
としての責任のある総括的なこの問題に対する解明をせよということでありますから、次の機会までに十分
考え
て参りますが、今直ちに即答をすることはできないのであります。
千葉信
50
○
委員長
(
千葉信
君)
委員長
としても非常に心苦しいのですけれ
ども
、特に現在のように非常に重要な段階に質疑が入っておりまするけれ
ども
、
先ほど
から衆議院の方の予算
委員
会の
関係
で何度もこちらの方へ
大臣
をお呼びに参っておりますし、私
ども
当初
委員
会を開くに当って
大臣
と連絡しましたその約束の時間が大体参っておりますので、ただいま
大臣
の方から今答弁できないという御答弁ですから、これはまことに遺憾ですが、答弁できないものをこれ以上何ともできませんので、また次回に、この問題についてやっていただくことに御了解願えれば、この際
大臣
に衆議院の方に行っていただくことにしたいと存じますが、
一つ
御了承願いたいと存じますが、いかがでしょうか。
山本經勝
51
○
山本經勝君
もっともこれは予算の問題ですからやむを得んと思うのですが、しかしこれは
労政局長
が答弁をしたいような模様ですが、私はそれでは納得できない。やっぱり最高責任者の
大臣
にその点ははっきりしておいてもらわんと、今後の
労使関係
の運営上非常に重大な
意味
を持ちますから、そういう
意味
で、
委員長
の指示の
通り
にいたしますが、次回には
一つ
御
説明
を願います。
千葉信
52
○
委員長
(
千葉信
君) わかりました。(「聞けば聞くほどわからなくなるような答弁でなくして、はっきりわかるような答弁をしていただきたい」と呼ぶ者あり) お諮りいたします。
大臣
は出かけられましたので、このまま、政務次官、
中西労政局長
がおいでですが
質問
を続行することにいたしましょうか。どういたしましょうか。もし
大臣
がおいででなくても御
質問
続行差しつかえなければこのまま
委員
会を続けたいと存じますが……。
山本經勝
53
○
山本經勝君
実は労働予算を中心とする
行政
一般
の問題に対しても
説明
を聞かなければならない、あるいは資料の要求もありますから、一応昨日理事会の中にもきょう午前中で議事を打ち切ってという御
意見
もあったようですから、むしろ会を改めまして
一つ
十分意を尽したいという希望がありますからそういう
意味
に……。
千葉信
54
○
委員長
(
千葉信
君) いかがでしょう。御異議なければ——じゃ。
藤田藤太郎
55
○
藤田藤太郎
君 お尋ねしたいことがたくさんあるのですけれ
ども
、そういう事情なら打ち切ることに異議ありませんが、この中に出てくる
争議
の状態を中心に、いろいろのまあ
解釈
であるか
指針
であるかはっきりしないような状態でたくさん書かれてあるわけです。だから私はやはりもっと
実態
をつかむために、
争議
の
実態
の資料を
一つ
出してもらいたいと思うのです。そんなここに書いてあるようにスムーズに、机の上でやるような状態に
争議
というものはいっていないと思うのです。たとえば公益事業であるとかその他の民間事業であっても交渉という段階では一銭も金を出さない、何かの行動が出てこなければまとまらぬ、こういう状態がもう
歴史
的な事実です。だからここに言われているようにすなおにいろいろの問題が並べてあるのですけれ
ども
、そういう
実態
では私はないと思う。だから
一つ
争議
の、特徴的な
争議
でもいいし、全体的な
争議
の資料というものをできる限り資料を集めて出していただきたい、これをお願いしたい。
中西實
56
○
政府委員
(
中西實
君) ちょっとばく然としておりますので、またあとであなたと御相談して、ぴたっとする資料にしたいと思いますから……。
千葉信
57
○
委員長
(
千葉信
君) いかがでしょう。その問題については直接その御希望をはっきりお述べになる機会があると存じますから、またあとで打ち合せを願いたいと存じます。
—————————————
千葉信
58
○
委員長
(
千葉信
君) この際
委員
の異動を報告いたします。 二月九日付をもって近藤鶴代君及び
木下友敬
君が辞任し、その補欠として
寺本広作
君及び
坂本昭
君が選任されました。 本日はこれで散会をいたします。 午後零時一分散会