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1957-02-08 第26回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月八日(金曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   委員異動 一月三十一日委員高良とみ君辞任につ き、その補欠として早川愼一君議長おいて指名した。 二月六日委員榊原亨辞任につき、そ の補欠として寺本広作君を議長おい て指名した。 二月七日委員寺本広作辞任につき、 その補欠として榊原亨君を議長おい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     千葉  信君    理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君            山本 經勝君            早川 愼一君    委員            勝俣  稔君            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            近藤 鶴代君            鈴木 万平君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            山下 義信君            田村 文吉君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 神田  博君    労 働 大 臣 松浦周太郎君   政府委員    厚生政務次官  中垣 國男君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 高田 浩運君    厚生省保険局長 高田 正巳君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君    労働政務次官  伊能 芳雄君    労働大臣官房会    計課長     松永 正男君    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      百田 正弘君    労働省婦人少年    局長      谷野 せつ君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    労働大臣官房労   働統計調査部長  堀  秀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選労働情勢に関する調査の件  (昭和三十二年度労働省関係予算に  関する件) ○社会保障制度に関する調査の件  (昭和三十二年度厚生省関係予算に  関する件) ○派遣委員の報告   —————————————
  2. 千葉信

    委員長千葉信君) それではただいまから、社会労働委員会を開会いたします。  委員異動についてこの際御報告いたします。一月三十一日付をもって、高良とみ君が辞任し、その補欠として、早川愼一君が選任されました。また、二月六日付をもって、榊原亨君が辞任し、その補欠として、寺本広作君が選任されました。次いで二月七日付をもって、寺本広作君が辞任され、その補欠として榊原亨君が選任されました。   —————————————
  3. 千葉信

    委員長千葉信君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。委員外転出の前理事早川愼一君補欠互選を行いたいと存じます。その方法は、成規の手続を省略して、委員長の指名といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。それでは早川愼一君理事に指名いたします。   —————————————
  5. 千葉信

    委員長千葉信君) 新任の松浦労働大臣発言を求めております。これを許可いたします。
  6. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 昨年末の石橋内閣の成立に伴いまして、不肖私、労働大臣の任命を受けたわけでございますが、今後、労働行政のために専心努力いたしたいと思いますから、御協力賜わらんことを切にお願いを申し上げます。まことに簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。   —————————————
  7. 千葉信

    委員長千葉信君) 次に、伊能政務官発言を求めております。これを許可いたします。
  8. 伊能芳雄

    政府委員伊能芳雄君) 一月三十日をもちまして労働政務次官を拝命いしました。まことに不敏でございますが、誠心誠意努力いたしたいと存じますので、格別な御協力をお願い申し上げます。   —————————————
  9. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは議題に入ることにいたします。労働情勢に関する調査の一環として、昭和三十二年度労働省関係予算概要について、労働大臣及び労働省当局説明を聴取いたします。御説明を願います。
  10. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) この機会昭和三十二年度予算中心に、労働行政一般につきまして、私の所信を申し上げたいと存じます。  御承知のように、わが国経済現状は、まことに好調な推移をたどっておりますが、政府はこの機会に、多年の懸案である完全雇用達成経済政策目標に掲げ、各般の積極政策推進しようとしているのでありますが、労働行政分野におきましても、おのずからわが国経済発展段階に即応した諸施策推進すべきものと思うのであります。私はこの際、雇用対策中小企業対策労使関係等に問題を集約して御説明を申し上げたいと存じます。  第一は雇用対策推進ということであります。御承知のごとく、最近のわが国経済はきわめて活発な発展を続け、三十一年度おいては、鉱工業生産は二一%、国民所得は十二%も上昇しており、失業情勢も漸次改善されましたが、基本的雇用問題の改善は前途はお容易ならぬものがあるのであります。すなわち、ここ一、二年、完全失業者の数は漸減し、企業整備による離職者失業保険受給者等も急速に減ってきておりますが、なお多数の不完全就業者が存在しているのみならず、今後約十年間にわたり、毎年約百万人に達する労働力人口増加が見込まれ、学校卒業者の就職問題もまた依然として困難なものとなっているのであります。私は完全雇用達成というからには、増加する労働力就業機会を確保することはもちろん、多数の不完全就業者を解消することを究極のねらいとしなければならないと存ずるのであります。政府はこのような見地から、昭和三十二年度予算の編成に当り、道路、港湾等公共事業費大幅増額をはかり、また、電源開発住宅建設等に一段と積極的な財政投融資を行い、国民経済拡大をはかるとともに、直接間接の雇用機会増加に努めたのであります。しかしながら、私どもも完全雇用達成が一朝一夕で実現できるとは考えておりません。いなむしろ、人口の過剰なわが国おいては、これは相当長期にわたる基本政策の問題であると考えておりますので、政府は新たに内閣雇用審議会を設置し、各界の有識者の御参加を願い、本格的な雇用政策を樹立するため、今国会雇用審議会設置法案を提出いたす所存であります。  次に、現に失業している人々に対する失業対策といたしましては、まず、比較労働能力の高い失業者吸収をはかるため、特別失業対策事業費として、前年度と同額の三十五億円を計上し、一万八千人の吸収計画いたしましたほか、前年度を五億円上回る七十四億円の予算をもって臨時就労対策事業を実施し、これに二万人を吸収することといたしております。また、一般失業対策事業につきましては、百五十二億六千万円の予算をもって一日平均十八万七千人の失業者吸収するとともに、労力費単価を七%引き上げ失業者生活の安定をはかったほか、失業者が多数発生しかつ財政事情の苦しい地方公共団体に対しては、前年度に引き続き高率国庫補助を行い、事業遂行に万全を期した次第であります。  また政府は、日雇い労働者生活改善するために日雇失業保険給付額引き上げることとし、今国会失業保険法の一部を改正する法律案を提出いたす考えであります。  以上のごとく、失業対策事業につきましては、吸収人員は前年度に比し若干減少しましたが、その内容は一そう充実いたしました。のみならずすでに述べましたごとく、経済発展による民間需要拡大及び公共事業財政投融資事業等による大幅な雇用吸収増加等あわせ考えますと、来年度における失業対策は遺憾なきを期し得るものと考えておるのでございます。  次に私は、一般的な経済の活況の陰に主として中小企業労働者諸君比較的恵まれない状態にあることにつきまして重大な関心を持っているのであります。  中小企業は御承知のごとく、その雇用の不安定、労働条件低位等から判断いたしましても、多くの不完全就業者をかかえているものと思われますので、中小企業労働問題の解決がなければ、完全雇用の理想への接近はできないと思いまして、労働省といたしましても、一般的な中小企業振興方策と併行して適切な労働対策を進めて参りたいと考えているのであります。  中小企業労働問題においては、とかく労働基準法が問題となりますが、中小企業に対する同法の運用に当りましては、単なる取締り摘発主義に堕することなく、実情に即した指導監督を徹底いたし、労働者保護の本旨の実現達成いたしたいと考えております。  また、低賃金問題につきましては、すでに最低賃金制が世上広く論議せられておりますが、わが国中小企業問題の複雑困難な現状にかんがみまして、これが実現には十分慎重な配慮が必要であると考えておるものであります。  労働省ではさきに主として輸出産業中心とする中小企業におきまして、業種別地域別に業者間の自主的協定により、最低賃金の実施をはかることが、最も現実的な方法であると存じ、労働問題懇談会にも諮って参ったのでありますが、同懇談会おいて近く適当な結論を得ることができると信じておりますので、さらに具体的な措置を研究し、これが実効をはかって参る所存であります。  このほか、中小企業近代化を促進いたしますために、技能労働者養成をはかるとともに、中小企業労働相談所の拡充、労務管理改善指導等を進め、さらに中小企業に働く年少労働者福祉対策として、本年度より労働青少年ホーム建設にも着手いたしたいと考えております。これがため技能者共同養成施設に対し、九百万円の予算を計上したほか、労働青少年ホーム建設補助金として一千万円を計上いたしました。また、現在失業保険等対象外となっております五人未満事業所に対し、社会保障充実を期する必要があることを痛感いたしておりますので、失業保険のこの面における拡張適用については、具体的な検討に着手いたす方針で、その準備に必要な予算措置を講じた次第であります。  なお、これら中小企業問題の処理に当り最も困難を感じますことは、何分にも実情の把握がきわめて困難であることでありまして、中小企業雇用及び賃金等について詳細な統計資料がまずもって基礎とならなければならないのであります。この意味におきまして、従来三十人以上の規模の工場事業場にとどまっておりました毎月勤労統計調査対象を、三十人より五人以上にまで拡大し、また、五人未満のものにつきましても臨時調査を行うことといたした次第であります。これがため、毎月勤労統計調査費として従前の経費のほかに、新たに一千六百万円を追加した次第であります。  以上のごとく、産業の各分野にわたり、本格的に完全雇用実現をはかって行きます以上、これが目標達成のためには、国民経済のさらに顕著な拡大発展が前提とされますことは当然であり、労働の面におきましても労使協力による生産性飛躍的向上をはからなければならないと思うのであります。私は就任以来、労使関係あり方といたしまして、資本と経営と労働の三位一体の協同を提唱しているのでありますが、これは労使の深い相互信頼とその責任の認識の上に立って初めて可能であると思うのであります。  戦後十年困難な復興の過程におきまして、労働運動は幾多の曲折を経験して参りましたが、経済の新たな発展段階に到達いたしました現在は、労使双方ともその本来のあり方につき、謙虚に反省を加え、今後の進路を見出すべき時期ではあるまいかと考えるものでありまして先般、労働省が従来の基本的考え方の上に立って、労働教育の指針として労使関係及び労働組合運動あり方について体系的見解を明らかにしたゆえんもまたここにあるのであります。  このような新たな労使協力の基調に立って、労働政策の面におきましても、新時代の要請に応じ、技術の革新に対応した本格的な職業訓練行政の展開をはかり、また、生産性本部の活動と相待って、全産業にわたる労働生産性向上に努めなければならぬと考えているところであります。  最後に婦人行政の重点として、内職公共職業補導所家事サービス公共職業補導所等の一そうの整備充実をはかり、売春防止法の施行を控え、更生を望む婦人のための相談職業補導等の強化をはかって参る所存であります。  さて、このような労働施策を実施いたします場合、私の最も痛感いたしますことは、社会政策等との連繋を密にし、総合的効果をはかる必要があるということでありまして、労働行政では特にそのような総合機能を重視すべきであると考えまして、労働省官房長を新設することとし、今国会に、労働省設置法の一部を改正する法律案を提出いたす所存であります。  以上、私は労働行政について考えますところを申し上げたのでありますが、今後とも、各方面の御意見に十分耳を傾け、政策推進に当って参る覚悟でございますので、何とぞよろしく御協力を賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。
  11. 千葉信

    委員長千葉信君) 次に、事務当局から、年度予算の細部について説明を願います。
  12. 松永正男

    政府委員松永正男君) お手元にお配り申し上げております横書きの資料につきまして、昭和三十二年度労働省関係予算につきまして、概要を御説明申し上げたいと思います。  まず最初に、一般会計につきまして御説明を申し上げます。資料一般会計の方をごらんを願います。一番最初総括表が出てございますので、一ページの総括表を御説明申し上げます。総括表の一番下をごらんを願いますと、昭和三十二年度の予算案の額が一番左の欄にございます。これが三百三十五億四千九百三十一万三千円と相なっております。その次の欄は三十一年度の予算額でございます。これが三百三十八億五千九百八十七万一千円でございます。従いまして、比較増減におきまして三億一千五十五万八千円の減と相なっております。この三億一千万円の減と相なっておりますのは、一番上にございます失業対策に必要な経費、これが八億七千五百万円の減となっておりますのと、それから国際協力に必要な経費、これが——第七、下から二つ目でございますが、これが一千三百三十五万五千円の減と相なっております結果でございます。この減になりますた点につきましては後ほど御説明を申し上げます。で、失業対策費が大幅に八億七千五百万円の減でございますので、三億一千万円の減に相なっておりますが、差引その他の事務費事業費におきましては結局五億七千万円ほどの増になっておる次第でございます。  では、順を追いまして二ページに移りまして御説明申し上げます。二ページの第一は失業対策に必要な経費でございます。これは中身が三つございまして、二ページの一番上にあります失業対策事業費とそれからその次の三ページの一番下にございます失業保険費負担金、それから飛びまして五ページにございます政府職員等失業者退職手当、この三つ失業対策に必要な経費として組まれてございます。  まず、この中の最初失業対策事業費につきまして申し上げます。失業対策事業費は百八十七億六千三百万円でございます。昨年は百九十一億八千万円でございますので、約四億円ほどの減になってございます。失業対策事業費の中に(1)といたしまして、一般失業対策事業費とそれからその次のページの(2)の特別失業対策事業費、それから(3)の臨時就労対策事業費三つございます。このうちの臨時就労対策事業費は七十四億円カッコ書きで上ってございますが、これは建設省所管でございますので、労働省予算には入っておりません。従いまして、失業対策事業費といたしまして、先ほど二ページのところで申し上げました百八十七億六千三百万円というのは、労働省所管分だけでございます。カッコ書き臨時就労対策事業費の七十四億円を加えますというと、二ページの一番上に書いてございます二百六十一億六千三百万円という数字に相なります。労働省所管建設省所管、両方を合せまして失業対策事業経費といたしましては、二百六十一億六千三百万円になるわけでございます。これを昨年のそれと比較をいたしますと、昨年は二百六十億八千万円でございますので、約八千万円の増と相なるわけでございます。失業対策事業費全般といたしましては、八千万円程度増額に相なっておるということが申し上げられるわけでございます。  この二ページの要求概要のところに具体的な内容が書いてございますので、まず吸収人員について申しますと、一般失事業特別失事業臨時就労対策事業、それぞれ三十一年度と三十二年度の対比がございます。合計におきまして、三十一年度は二十四万八千人、三十二年度におきましては二十二万五千人の吸収人員を見込んでいるわけでございます。そこで、二十二万五千人の吸収人員でやっていけるかどうかという点が問題になるわけでございますが、この点につきましては、先ほど大臣の御説明にもございましたように、経済一般好況は、三十二年度におきましても引き続き持続するであろうということが考えられますし、また、失業対策事業実績につきましても、一般好況を反映いたしまして、民間の就労者が非常に大幅増加をいたしております結果、失対事業就労者の数は、実績におきまして大体二十二万人、毎日二十二万人程度の線を推移いたしておりますので、来年度におきまして二十二万五千人程度就労見込みで十分やっていけるというふうに考えております。なお、大臣も触れられましたように、公共事業費、それから財政投融資等が三十二年度におきましては大幅に増額をされましたので、この面におきます雇用吸収の効果も相当大幅に期待ができるわけでございます。  次に、その要求概要の下の方に書いてございますのは、一番下の欄に労力費というのが書いてございます。人数は二十二万五千人を予定いたしてございますが、その内容におきましては、充実整備をいたしまして、特に労力費単価引き上げ、それから事務費単価の若干の引き上げをいたしております。労力費につきましては、二ページの一番下にございますように、三十一年度におきましては、二百八十二円の補助単価を計上いたしておるわけでございますが、三十二年度におきましては、三百二円と増額をいたしてございます。約七・一%の増をいたしてございます。  失対の賃金につきましては、二十八年以来増額をしていないのでございますが、一般賃金上昇、同種の労働者賃金上昇等がございましたので、一般失対の就労者につきましても七%のアップを計画をいたしまして、二十円の増額をいたして三百二円といたした次第でございます。従いまして、失業対策事業につきましては、吸収人員は若干減りましたけれども、労力費その他の経費増額をいたしまして、内容充実いたしたという次第でございます。  それから就労日数につきましては、三ページにございますように、三十一年度と同様、二十一日の就労を予定いたしてございます。  なお、このまん中辺に註として書いてございますが、高率補助適用につきましては、三十一年度と同様に、吸収人員の約一割に対して適用をするという予定でございます。高率補助につきましては、労力費が五分の四、それから事務費が五分の四というふうに増額をされるわけでございます。  それから特別失業対策事業費につきましては、昨年と同様、三十五億円でございます。  それから建設省所管臨時就労対策事業費は、昨年に比べて、五億円増の七十四億円を計上したわけでございます。  次に、三ページの失業保険費負担金について御説明申し上げます。失業保険費負担金は、失業保険法規定に基きまして、失業保険保険給付に要する経費の三分の一、それから事業費の一部、これを国庫で負担をいたすことになっておりますので、それに要する経費八十一億九千九百万円を計上してございます。これは先ほども申し上げましたように、経済一般好況のために、企業整備によるところの解雇者の数が大幅に減少をいたしてきておりまして、失業保険受給者数におきましても、三十年度に比べまして三十一年度は大幅に減少をいたしております。三十二年度におきましても、保険金受給者の数は減少するであろう、従って保険金額におきましても、三十一年度よりは三十二年度の方が若干減少する見込みになってございます。その内訳につきましては、四ページに書いてございます。四ページの右の方が三十一年度の予算見込みでございまして、まん中が三十二年度の予算見込みでございます。月平均初回受給者は同数を見込みます。それから月平均支給人員につきましては、三十一年度は三十三万六千人でございますが、三十二年度においては三十万五千人程度であろうという見込みを立ててございます。これは三十一年度の四月以降の実績におきましても、約三十万三千人程度実績でございますので、三十二年度におきましても、この程度支給人員であろうという見込みでございます。それから一人当りの支給月額は五千八百三十九円を六千百六十八円と上昇を認めております。保険金総額が三十一年度度に比べて減少をいたしますので、その三分の一顧につきましても、七十八億が七十五億というふうに減少をいたしております。  それから、その次にございます日雇い失業保険でございますが、これは先ほども御説明がございましたように、日雇失業保険保険金の日額が、非常に低きに失すると考えまして、三十二年度におきましては、保険金日額増額をいたすという計画でございまして、法律案を提出いたすことになっております。現行は、この一番下に書いてございますように、一級は百四十円、二級が九十円となっております。賃金が百六十円以上の者につきましては、保険金を百四十円支給する、百六十円未満の者につきましては、九十円支給するというのが現行規定でございます。これに対しまして、改正の案といたしましては、百四十円が最高であるというのは低きに失しまして、実情に沿いませんので、最高を二百円のクラスを設けたいということでございます。それと同時に、二級の九十円というのは、実際に適用がほとんどございません。現在の受給者の一%足らずという程度適用しかございませんので、この九十円の段階をはずす、やめまして、現在の一級の百四十円を二級としまして、その上に一級の二百円を作るという案でございます。従いまして、これに対応して、保険料の方も、百四十円は現行通り六円、それから二百円につきましては十円、労使五円、五円負担ということにいたしたいという考えでございます。この二百円につきましては、日雇失業保険の被保険者賃金実績から計算をいたしまして、二百円というのが適当であろうということでございます。  次の五ページの移転費は、これは前年通り計上してございます。  それから事業費負担は、昨年四億四千万円でございましたが、今年は二億円と減少をいたしております。これは事業費の総額が二十七億八千四百万円でございますが、それに対しまして、積立金運用収入あるいは雑収入等が二十五億円ございますので、その差引の二億円を国が負担をするということでございます。  それからその次の大きな三の、政府職員等失業者退職手当、これは国家公務員並びに三公社等職員に対しまして、失業保険金に見合う退職金支給するという暫定措置法がございまして、それに基く経費でございますが、これは人員増、それから給与の上昇等見込みまして、昨年よりやや増額をいたしまして、四億三千万円計上してございます。  以上で失業対策費の御説明を終りまして、次の六ページの労使関係安定促進に必要な経費につきまして、御説明を申し上げます。これは労政局関係の経費でございまして、第一は、労使関係対策費でございます。このうちの労働情報蒐集費三千百十七万円、これは労使関係の安定、労働組合の健全な発展のために労使関係実情を正確に把握をするというための経費でございます。昨年に比べて増額をいたしておりますのは、主として地方における都道府県知事に事務を委託いたしますので、その地方費の関係の増額でございます。  次の労働教育費は千七百四十二万八千円、昨年とほぼ同額でございますが、やや減少いたしておりますのは、「週刊労働」の発行を昨年よりもやや部数を減らしたという点でございます。それと労働大学の講座開設を昨年は二カ所でありましたのを、本年は一カ所とするというための減でございます。  中小企業労使関係指導費は、これは中小企業労働問題相談所というものを全国主要な都市に百個所ほど置いてございますが、それのための活動費でございまして、前年同額三百三万円でございます。  それからその他、労政局の一般行政費といたしましても、労政懇談会経費労働金庫の監督指導の経費、在日米軍直用労務者紛争処理の経費労働関係法施行に要する経費等々を合せまして三千一百五十九万円、昨年より若干増額をいたしてございます。それから労働委員会の経費は、中央労働委員会と、公共企業体等労働委員会の経費でございますが、これも昨年とほぼ同額でございますが、若干増額されております。  次に八ページの第三の労働保護行政に必要な経費について御説明申し上げます。これは労働基準局系統の経費でございます。  最初最低賃金制度実施促進費があげてございます。これは先ほど大臣からも御説明がございましたように、業者間協定等によりまして、地域別産業別に自主的な最低賃金の協定を促進するという方式で実質的な最低賃金制度をやったらどうかという考え方に基きまして、中央賃金審議会の経費、それから地方における協議会、委員会等の経費、それから実態調査経費出等、金額はわずかでございますが、三百十三万三千円計上してございます。  それから次の技能者養成促進費は、これは昨年と同額の九百万円を計上してございます。  次の三のけい肺等特別保護費でございます。これは一億四千二百五十三万四千円となっておりまして、昨年よりだいぶ増額になってございますが、これはけい肺及び外傷性脊髄障害に関する特別保護法が三十年の九月から施行になりまして、これに基きまして休業給付、療養給付、転換給付の給付をいたしております。それと同時に、けい肺につきましての最初の健康診断は事業主にかわって国が直接行うという規定になっておりますので、その健康診断に要する経費でございます。給付に要する経費と、健康診断に要する経費でございます。これの二分の一を国庫で負担するという法律の規定になっておりますので、二分の一相当額の一億四千二百五十三万四千円を計上いたしまして、これを労災保険特別会計に繰り入れまして、労災保険特別会計におきましては、事業主から半額相当の負担金に徴収をいたしまして、それによりまして給付と健康診断を実施するということになっております。その国庫負担分の計上でございます。増額されておりますのは、けい肺並びに外傷性脊髄障害の給付は二年間にわたりますので、初年度、次年度に比べまして給付対象が増加をして参っておる結果でございます。その内訳につきましては、九ページの下の方に対象人員等が書いてございます。実績によりまして推計をいたしました数字でございます。健康診断につきましても、十ページの上に掲げてございますように、今年度は五万九千五百五人を予定いたしております。三十年度におきまして約七万人、三十一年度におきまして、ここに書いてございますように二十万人の健康診断をいたし、三十二年度におきまして約六万人いたしまして、これで粉塵職場に働いております労働者の健康診断は三十二年度で完了するという予定でございます。それから就労施設につきましては、同じくけい肺法に基きまして、国が配置転換を要する労働者のための就労施設をやるということになってございますので、それに必要な経費、昨年度と同額三百四十八万六千円を計上してございます。それからけい肺対策審議会等の経費九十三万一千円でございます。  それから四の労働保護行政費は、その他労働基準局において行われますところの本省、地方を通じての事務費、人件費等でございまして、十三億八千四百四十二万二千円、昨年に比べまして約一億一千八百万円の増になってございます。  労働衛生研究所につきましては、二十万円を計上してございますが、これは三年計画建設中でございまして、三十一年度から一部業務を開始いたしました。計画といたしましては、三十二年度において完成をいたす予定でございます。で、三十二年度におきましては二十名の増員を行いまして、合計四十名によりまして労働衛生研究所を運営いたす予定になっておりまして、そのための人件費、研究費等でございます。  それから次の十一ページの産業安全研究所でございますが、これは前からございます研究施設でございますが、そのための研究費一千八百八十万四千円を計上してございます。  次に第四の婦人及び年少労働者保護に必要な経費でございます。これは婦人少年局関係の経費でございます。一番上にございます年少労働者福祉施設費一千万円、これは先ほどもごあいさつの中にございましたように、勤労青少年ホームを設置するための経費でございます。年少労働者の保護福祉施設につきましては、従来国が持ちます施設がなかったわけでございますが、年少労働者の実態に即しまして何らかの厚生施設が必要であるということを考えまして、本年度におきましては、とりあえずーカ所東京に設置をいたしたいという計画でございます。補助率は三分の一補助でございますので、施設といたしましては、東京都が二千万円負担をいたしまして、合計三千万円の施設ができる予定でございます。  それから婦人の職業対策費でございますが、これは二つございまして、内職職業補導所の経費と家事サービス職業補導所の経費でございます。内職職業補導所につきましては、昨年度同様八カ所を運営いたす経費をあげてございます。それから家事サービス職業補導所は、中がまた二つに分れまして、家事サービス職業補導所と簡易家事サービス補導施設と二つございます。家事サービス職業補導所の方は、未亡人等の職業補導をいたすのを目的といたしまして、全国で二カ所現在設置されておりますが、主として大都会の需要に応ずるという目的で、東京、大阪に二カ所設置してございます。簡易家事サービスの補導施設は、女子労働者の供給地に設置をいたしまして、簡易な家事サービスについての補導をいたしまして、消費地、需要地に送出するというねらいで供給地に十カ所設置してございます。昨年と同額の五十万五千円を計上してございます。それからこの経費が昨年が七百六十四万に対しまして減少をいたしておりますのは、昨年は家事サービスの新設費を一カ所計上してございましたが、三十二年度におきましてはすでに設置されたものの運営を充実するという趣旨で、新設の経費が入ってございませんで、その分が減になっておるわけでございます。  次の売春問題対策費でございますが、これは転落防止保証更生指導費特別広報活動費、売春実態調査費、周旋行為等規正強化費、職業補導施設費等の経費でございますが、このうちで職業補導の施設費が三十一年度二百四十万円でございましたのが、三十二年度がゼロになっておりますが、これは三十一年度におきましてもこの二百四十万円は職業安定局系統におきまして一般の職業補導所に予算を流しまして、そこで保護なり、特殊婦人のための職業補導をやるという建前になっておりますので、本年度におきましては後に申し上げますが、職業補導所の経費を大幅に増額いたしておりまして、その中に含めて行うという趣旨で、こちらに計上いたさなかったわけでございます。その他の婦人及び年少労働者保護行政費につきましては、本省及び地方の婦人少年室の活動費、人件費等でございます。昨年より若干増額されてございます。  次の雇用対策に必要な経費、第五でございますが、これは職業安定局系統の日常の業務の事務費、人件費等でございます。職業紹介事業費につきましては、昨年二十五億三千七百四十九万八千円でございますが、本年度は二十七億九千六百七万八千円と約一億五千万円の増額がいたされておるわけでございます。  それから二の職業補導費でございますが、これが先ほど申し上げました一般公共職業補導所と、夜間職業補導施設、身体障害者職業補導所と三つございましてこれらの職業補導所の運営の経費でございます。昨年の四億六千万円に対しまして四億九千万円と約三千万円の増額になっております。一般補導所、夜間補導所はそれぞれ若干増額になっております。それから身体障害者の職業補導所はこれは国が直営の補導所で、全額国が負担をいたすものでありまして、八都府県に委託経営をいたしております。これも若干の増額がなされております。  その他の職業安定行政費、これは人件費、事務費等でありますが、三億千四百万円に対しまして三億四千六百万円、若干の増額になっております。  次に、第六の労働統計調査に必要な経費、十七ページでございます。これは労働統計調査部の関係の経費でございますが、第一の毎月勤労統計調査費は、先ほど大臣の御説明にございましたように、現行は常雇規模三十人以上の事業所に対しまして調査をいたしておるのでございますが、中小企業対策の面から考えまして、確たる信頼すべき統計が現在中小規模についてはございませんので、二十九人未満、五人以上の対象にまで三十二年度からこの調査拡大いたしたいという計画でございます。そりほかに、五人未満につきましても年に一回の調査を行う、このまん中辺に書いてございます特別調査というのがそれでございますが、年に一回調査を行う。それでこれによりまして中小企業につきましての賃金雇用労働時間というような実態が明確にされてくるわけでございます。主としてその拡充のための経費の増でございます。  それから二の職種別等賃金実態調査につきましては、ほぼ前年と同規模の調査を実施する予算を計上してございます。  それからその他の労働統計調査のための経費といたしまして前年よりは若干増額をされた一億七千七百五十六も万二千円が計上されてございます。  それから第七は、国際協力に必要な経費でございます。これは昨年の七千九百七十万六千円に比べまして本年は六千五百十九万五千円で、減になっておりますが、これはILOの日本に課せられました分担金が減少いたしました結果の減でございます。その他の経費については若干増額になっております。  それから第八は、その他一般行政に必要な経費といたしまして三億四千万、人件費、事務費、諸支出金というようなものを合せてこれだけ計上してございます。  以上で、労働省所管一般会計につきましての概要の御説明を終りまして次に二つ目資料に特別会計の資料がございます。労働省の所管の特別会計は、労働者災害補償保険特別会計と、失業保険特別会計との二つでございます。一ページをごらんを願いますというと、三十二年度におきまして労災保険特別会計の方は歳入歳出とも二百六十二億と昨年に比べて約八億九千万円の増になってございます。  それから失業保険特別会計の方は三百九十六億でございまして、昨年に比べまして歳入歳出とも四十三億の増になってございます。内容につきましては、二ページ以下に掲げてございますが、これは特に詳しく御説明を申し上げる要もないかと思うのでございますが、まず労災保険特別会計につきまして重点だけ御説明を申し上げます。  保険料収入につきましては、三十一年度の実績によりまして毎年と同様な方式によりまして保険料収入の累計をいたしてございます。保険料収入の項として、中身は労災保険の保険料の收入とけい肺法に基きますところの事業主から徴収する負担金収入、この二つが入りまして保険料収入として二百三十六億計上してございます。積算基礎等はここに書いてあります通りであります。  それから三ページの前年度繰越資金受入、これは二つございまして、未経過保険料の受入、これは年度を越えて有期事業等が施行されます際に、前年度中に三十二年度分の保険料の受入があるわけでございます。それを年度区分をして三十二年度に受け入れるという金でございます。  それから次の支払備金の受入は三十一年度の収支の見込みによりまして出て参ります余裕金を計算をいたしまして、これを支払備金として受け入れる額が十四億でございます。以上、合計しまして歳入が二百六十二億五千八百六十九万九千円と相なるわけでございます。  それから歳出面につきましては、五ページにございますが、保険費でございます。これも三十一年までの実績に基きまして、三十二年の保険金の推計をいたしまして、毎年同じような方式でございますが、百九十三億一千六百八十万六千円の保険費を計上してございます。  それからその次の六ページに病院等新営費が計上してございます。これは労災病院は全国で二十四カ所ございまして、まだその中で未完成建設中のものもございますので、それら建設を要するものと、それからさらに既設のもので整備を要するもの二十カ所につきましての建築費を十二億二千万円計上してございます。昨年と大体同額でございます。労災病院の新しい設置はいたさない計画でございます。  それから保険施設費でございますが、これは労災保険法の二十三条の規定に基く保険施設の経費でございまして、労災病院の機械器具の経費とか、あるいは労災病院の経営のための委託費、その他保険施設、労働者の福祉施設のための経費として五億四千万円計上してございます。  それから次のページに参りまして、七ページのけい肺等特別保護費がございます。これは先ほど一般会計のところで御説明を申し上げました半額、一般会計から繰り入れまして、半額は事業主から徴収いたしまして、合計二億八千六百五十二万四千円の支出を計上いたしております。中身は先ほど申し上げましたような積算の基礎であります。  それから労災保険の日常事務の運営費といたしまして、業務取扱費十四億二千六百九万八千円を計上してございます。  公務員宿舎の施設費は去年と同額の千二百七十四万二千円を計上してございます。  で、その他予備費三十四億を見込みまして、歳出合計して二百六十二億五千八百六十九万九千円の計算と相なっておるわけでございます。  それから失業保険特別会計につきましては九ページに書いてございますが、保険料収入、これは被保険者数の増加賃金上昇等見込みまして二百七十七億六千二百万円計上してございます。  それから運用収入につきましては、積立金を預金部資金として資金運用部に預託をいたしまして、それから生ずる利子収入を二十億九千六百七十万円計上してございます。  それから次の十ページの一般会計よりの受入は、先ほど説明申し上げました八十一億九千九百万円を計上してございます。  それから郵政特別会計からの受入は、日雇失業保険に要しますところの失業保険の印紙の売上代金その他を郵政特別会計から十億五千五百万円受け入れるというのを計上してございます。その他延滞金、追徴金等々の雑収入四億八千七百八十九万円、合計いたしまして三百九十六億の歳入を予定してございます。  次に、失業保険の歳出につきましては二百三十九億九千七百万円の保険金を予定してございます。昨年度に比べまして若干減少いたしておりますのは、先ほど説明申し上げましたように、失業保険保険給付が大幅に減少しつつありますので、三十二年度としてはこの程度であろうという推計でございます。  それから保険施設費につきましては九億七千万円の予算を計上してございますが、これは昨年度が六億円であったわけでございますが、これを大幅に増額をいたしまして九億七千万円として、総合補導所、簡易宿泊所、総合福利施設というような被保険者のための福利施設の建設並びに運営資金といたしまして計上いたしてございます。総合補導所は十一ページのまん中に書いてございますが、三十一年度におきましては二十三カ所の設置でございますが、三十二年度におきましてさらに七カ所の新設を予定いたしまして合計三十カ所といたしたい。補導人員は四千四百二十人に対しまして五千六百十五人という予定でございます。このための経営費、機械器具、建築費等を計上いたしまして八億七千四百七十六万二千円を予定してございます。  それから簡易宿泊所につきましては十二ページにございますが、三十一年度におきまして十二カ所の設置をいたしておりますが、三十二年度におきましてはさらに四カ所を新設いたしまして、十六カ所を設置運営をいたしたい。そのための新営費、事務費等を計上してございます。五千五百二十九万二千円でございます。  それから総合福利施設でございますが、これは託児所とか食堂とかの施設を総合的に運営する施設でございます。昨年は一カ所でございましたが、三十二年度におきましては日雇労働者のための託児所等の設置の要望がございますので、これを六カ所ふやしまして七カ所を予定いたしまして、予算額おいて三千二百五十四万六千円を予定してございます、このための新営費、事務費等を計上してございます。  その他雇用促進費七百四十万円を合せまして、九億七千万円の保険施設費を計上したわけでございます。  それから業務取扱費は、これは保険事業運営のための本省、地方を通じての人件費、事務費等でございまして、十七億二千百二十九万円、昨年より若干増額になっております。  それから公務員宿舎施設費は昨年と同様千二百七十四万三千円でございます。  予備費は百二十九億円、合計におきまして、歳出が三百九十六億百十九万七千円ということに相なっております。  以上きわめて急ぎましたが、一般会計並びに特別会計の三十二年度の予算概要につきまして御説明申し上げました。
  13. 千葉信

    委員長千葉信君) ただいまの説明に対して、御質疑がございましたらお願いいたします。  なお、午後は厚生省関係予算説明を聴取することになっておりますので本日の労働省関係の予算に対する御質疑は、なるべく午前中にとどめて残余の質疑については次回に譲りたいと考えております。それでは御質疑をお願いいたします。
  14. 山本經勝

    ○山本經勝君 詳細な質疑がずいぶん多いと思うのですが、まずここで御説明が願えるならば、失業対策事業費に関してですが、特に三十一年度の都道府県別失業者の実態並びに三十一年度おいて実際上失業対策事業吸収された都道府県別の今員数がおわかりであれば御説明を願いたい。もし今すぐ説明ができなければ、資料にして提出方をお願いしたい。
  15. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま手持資料がございませんので、後ほど資料として差し上げたいと思います。
  16. 山本經勝

    ○山本經勝君 続いてお願いしたいのですがそうしますと、ただいまの御説明を伺っていますと、三十二年度では就労見込人員を十八万七千というふうに押えられた。そうしますと、約二万一千の昨年に比べまして就労人員減少するわけでございます。これについて、民間事業の振興に伴う失業人員吸収というものが予定されている。あるいはまた、政府財政投融資に伴う労働力吸収ということもお話になっている。その見込みがきわめてこれは抽象的なものです。だから民間事業の振興に伴う吸収がどのような形で、でき得れば地方的に分割して、その見込数を一応御説明がいただきたいのです。並びに政府財政投融資等に関する事業の関係で吸収される人口等についても同様なのであります。従ってただいま御説明願えなければ、あとから資料にして御提出方をお願いしたいと思います。
  17. 松永正男

    政府委員松永正男君) それも、後ほど一緒に資料として提出いたしたいと思います。
  18. 山本經勝

    ○山本經勝君 それでは続けて資料をお願い申し上げておきます。けい肺に関する法律が制定されまして、昨年度当局で検診を努力していただいたことは私どもよく存じておるのですが、しかしながら、ここでは単に総数が一応並べられているということでありまして、この点については、これまた詳細な資料を必要とすると思います。それで産業別の昨年度検診しました実績資料をいただきたい。これは産業別というのは、御承知のように、けい肺が主として起るであろうことを予想されて、石炭とかあるいはその他金属鉱山、特に地下産業に最も多いのです。あるいは鉄鉱業、窯業、土建、石切りといったようなたくさんな産業分野に一応わたるわけですが、これらの各分野にわたって検診をなさったその実績を、でき得れば地方別に表示していただきたいのですが、その点はどうでしょうか。
  19. 百田正弘

    政府委員(百田正弘君) ただいまけい肺の検診の実施につきましての御質問でございました。今手元に全国的な状況がございますので、それだけ御説明申し上げたいと存じます。  三十年度に約七万、三十一年度に二十一万やっております。三十一年度分につきましては、いまだ全部終っておりませんで、現在症状決定中でございます。現在までまとまっておりますのは、三十年分の約七万一千人についてでございます。それによりますと、全然けい肺にがかっていない、つまり正常の者が約五万八千、第一症度が一万九百、第二症度が千二十、第三症度が四百四十八、第四症度が四百五十、従って療養を要するといわれる第四症度については検診人員の〇・六%という程度であります。最初年度にやりましたのは、比較的に粉塵職歴の長い人についてやったので、三十一年度の結果を見ないと、この点は大体同じ率で推移するかどうかは見当がつきませんが、三十年度の七万については以上のような状況でございます。これを先ほどお話のありました産業別に見ますと、一番検診の多かったのが性質上、金属、石炭、陶磁器その他の窯業等でございまして金属につきましては二万七千の受診者のうちに約二万二千が正常である。いわゆる第四症度と申しますのは百八十程度でございます。これも約〇・六%であります。  なお地方別には現在手持ございませんので、御要求ございますれば七万人分しかまだございませんが、以上で御了解願えますれば……。
  20. 山本經勝

    ○山本經勝君 それで一応大綱はわかるのですが、今後の審議上の問題もあり、それからまた、けい肺法の施行に関するいろいろな問題がありますので、一応ただいまの御説明はわかるのですが、一応資料として、同時に御提出をお願いしたいのです。それから今の産業別に分けたのは、できるだけこまかに数字を出していただきたい。それから地方別というのは都道府県別というふうに必ずしも分けんでもいいのですが、大きく地方別でもいい。そういうことで一つ資料の提出方をお願いしたい。
  21. 百田正弘

    政府委員(百田正弘君) 今御要求資料につきましては、その通り御提出申し上げたいと思います。  なお、産業別につきましては、現在金属鉱業、石炭鉱業、隧道その他十六に分けております。その程度で御了承願います。
  22. 高野一夫

    ○高野一夫君 この機会に、労働省資料をお願いしておきたいと思うのですが、売春問題対策費が計上されておりますが、すでに従業婦の更生保護については、三十一年度も各府県にわたって多少なりとも手をおつけになっていると思うのです。各府県の従業婦の数もすっかりわかっているわけでありますから、どういうような保護更生方法を講ぜられたかという点に主点をおいての資料要求いたします。  それから次に家事サービス、それから簡易家事サービス、そのほか総合職業補導所、あるいはいろいろな職業補導所がございますが、夜間職業補導、それから身体障害者職業補導、これの全国の数が書いてある。さらにまた、新設の予定も書いてありますが、現在どこどこにあるかということの場所並びに新設についての予定地、そういうものの表を作成してお出しを願いたい、それだけをお願いしておきます。
  23. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) ただいまの各県の従業婦の数につきましては、私どもに調査いたしたものがございますので、後ほどお目にかけたいと存じますし、また、地方の婦人少年室がいろいろ売春婦の措置につきまして保護更生の相談に乗っておりますので、その実態につきまして、どのような結果になっておりますか、資料として差し上げたいと存じます。なお家事サービス、職業補導所と簡易家事サービスの職業補導施設の設置場所その他業務の運営の状況につきましても、後ほど資料としてお目にかけたいと思います。
  24. 江下孝

    政府委員(江下孝君) ただいまの補導所関係のものは後ほど資料として提出いたします。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 特別失業対策事業の問題について、どういう状態でやっておられるか少しお聞きしたいのです。
  26. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 特別失業対策事業は本年度予算三十五億でございまして、その三十五億につきましては労働省予算に当初計上いたしました。実施いたします場合には関係省に移しかえをいたしております。そこでこの内容といたしましては、建設省、通産省、厚生省、農林省と関係省が相当ございます。その区分の数字につきましては後ほど申し上げます。そこでこれにつきましては、現在ごく少額を除きまして全部各省に移しかえをして実施をいたしております。吸収人員は約二万人でございまして、失業者の発生いたしております地域に重点的にこの事業を実施いたして安定所の窓口におきまして失業者吸収するという考えでおります。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の特別失事業というのは、国家が経費をもってやるという建前になっているのでしょう。地方負担じゃなしに国家が直接……。
  28. 江下孝

    政府委員(江下孝君) いやそうじゃございませんで、その特別失事業も、大体その特別失事業内容と同じ公共事業の補助率によってやっているのであります。
  29. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 第二番目にお尋ねしたいのですが、経済発展によって民間需要、要するに求職、就労拡大というものを見込んで失業対策費の問題が削減されておると思うのですけれども、こういう昨年度民間就労の状況、どういうものを基礎にしてこういう立て方をされたかということをお聞きしたいのです。まあわれわれから考えてみますと、決して失業者が減っているという状態じゃなしに、一面では、就労拡大があっても、一面と申しますか大きく言いますと失業者がふえている、こういうように思っているのですが、そこらのあたりの説明、それから資料を一つお願いしたい。
  30. 江下孝

    政府委員(江下孝君) いわゆるこの完全全失業者と申しますのは、藤田委員も御承知通り、最近若干減少の傾向になっております。しかしながら、労働力人口は依然として相当大きくふえておりますので、雇用としては私は相当改善はされておりますけれども、全体としてまだ相当大きな問題が残っておると考えております。そこで安定所の窓口に出て参ります失業者の状況を見ておりますと、これは数年来のこの不況期にはウナギ上りに上昇いたしましたが、最近の日雇い労働者は大体頭打ちで、特に本年度に入りましてからはあまり動きがない、停滞状況でございます。  そこでこの失対事業予算を減らしということでございますが、実は本年度のこの予算のワクで私ども処理いたしまして、実は来年度予算に組みました十八万七千というこの数字は決して無理じゃない、つまり安定所の窓口の失業者一般失事業をもって吸収する分についてはこれで大体やっていけるという見通しでございます。来年度も引き続き経済好況が期待されますので、日雇い労務者がそうふえるということは予想いたしておりません。さらに、公共事業財政投融資のお話も先ほど出ましたが、公共事業は、御承知通り、二百五十七億増額いたしております。現在の、本年度公共事業予算で、大体吸収人員を荒くはじきまして七十万ございます。その一割五分以上がふえておりますので、吸収人員としましても相当伸びるのじゃないか、安定所の窓口で計算いたしております日雇い労働者は、これは失対、あるいは特別失対ということで大体処理できる見込みでございます。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 公共事業の労務者吸収状態というのは、今おっしゃったような状態で私はないと思うのですけれども、まあ議論になりますからこれはあとに譲りまして、中小企業の振興策云々というところから始まって、労働基準法の問題で、単なる取締り摘発主義に堕しないで、指導監督をしたいという工合に大臣も言われて、こういう建前で予算が組まれていると思うのですが、どういうことをする予定なのか、ちょっとお聞きしたい。
  32. 百田正弘

    政府委員(百田正弘君) 労働基準法の施行後十年近くなるわけでございまして、今日におきまして、労働基準につきまして何人もこれを疑う人はないと思います。十年たちました今日におきましてなお相当数の問題があるということは、特に中小企業等に、実際の最低基準との間に、現実に懸隔があるということは、率直に言いまして、われわれ監督実施いたしまして感ずることでございます。何ぼやりましても、また同じようになって出てくるというような状況にあるということは、われわれとして非常に遺憾に思っております。単に畳の上のハエを追うようなことだけしておったのでは、ほんとうに労働基準が向上しない。従って違反が出るという実態を率直に見つめながら、単にこれを摘発してしかりつければいいのだということじゃなくてそういうことと並行しながら、いかにしたらこうした違反が是正できるのか、そのみずからの力でやれるもの、あるいはまた、企業自体の努力のみでは直ちにはできない部面もあるかと思います。そうしたことをいかにしたらこれが一日も早く、少くとも最低基準の線まで是正できるかというような工合にもっていく必要があるのでございます。こういうふうに考えております。そういうような気持で大臣はおっしゃったと思います。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃこれはだんだん大臣に開かんならぬ質問になっていきますから、具体的な問題として資料をお願いしたいのですが、労災保険の、今の二十カ所の病院ですね、病院の資料をお願いしたい。それをお願いしておきます。
  34. 百田正弘

    政府委員(百田正弘君) ちょっとお尋ねいたしますけれども、病院のどの程度資料でございましょうか。病院の内容、あるいは現在までの進行状況……。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ええそうです。病院の個所、それからたとえば大まかにいってどれだけの収容力があるかどうか、設備の簡単な、あらましだけでけっこうです。
  36. 百田正弘

    政府委員(百田正弘君) 承知いたしました。提出いたします。
  37. 田村文吉

    ○田村文吉君 ちょっと伺いますが、この中にあります八大産業というのは何と何でありますか。
  38. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 八大産業と申しますのは、鉱山業、建設業、製造業卸売及び小売業、金融及び保険業、運輸通信及びその他の公益事業、不動産業、サービス業、以上でございます。
  39. 田村文吉

    ○田村文吉君 それは何かあれですか、法律か何かに出ている用語ですか。
  40. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) はあ、産業分類というのがございまして、それに基く区分でございます。
  41. 田村文吉

    ○田村文吉君 じゃ、あらゆる産業が全部入っているのですね。
  42. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 大体重要な産業は入っておると御了解願って差しつかえないと思います。
  43. 田村文吉

    ○田村文吉君 次に、勤労青少年ホームの構想というのは、どういうふうの考え方を持っておられますか。
  44. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 勤労青少年ホームにつきましては、とりわけ中小企業に働いております年少者の福祉を進めますために設けたいと存じましたわけでございます。中小企業に働いております年少者は、一般労働条件もほかと比べまして恵まれておりませんし、また、せっかく就職いたしましても、なかなか定着がむずかしいような状況にございますし、また年少者が働いておりながら、いろいろ将来の市民として成長して参らなければなりませんのですが、中小企業では事業主が自分で施設を整えて年少者の成長をはかるということは、むずかしい状態にございますので、何か地域社会の皆様と御一緒に年少者のよりどころを作りまして、年少者の相談に乗りますと同時に、そこでいろいろな教養施設、あるいは健康診断、それから身の上相談、それからレクリエーションといったようなものをその施設で設けまして、年少者の定着を高めますとともに、働きます意欲を高め、しかも将来の労働者としての、市民としての成長が願えるような施設にしたい、こういうような考え方を持っておるものでございます。
  45. 田村文吉

    ○田村文吉君 これは何か外国にこんな例があるのですか。
  46. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 勤労青少年ホームといったような名称で設けているところは割合に少いと存じますがたとえばヨーロッパの英国などの例をとりましても、地域社会が非常に年少者の保護につきまして、とりわけ中小企業の年少者の保護につきまして関心を持っておりまして、民間の方々が有志として全くのボランタリーサービスといたしまして、年少者の組織を作って、年少者団体のような組織を作って、その組織を通して個人の好意によってそのような仕事をしております。それからまた、アメリカなどに参りますと、このような施設はございませんけれども、地域社会が、たとえば都市その他が公民的な施設を設けまして、年少者のよりどころになっておりますし、また、多くの国ではそのような施設、学校訓練施設、技能養成施設が非常に発達いたしておりまして、おもにそのような市民教育的な施設というようなものは、地域社会の有志のサービスによって設けられておるというような状態でございます。役所が設けているというような例は割合少いように私は承知いたしております。
  47. 田村文吉

    ○田村文吉君 予算も非常に少いようでありますが、本年度あたりからどういうことを実際に着手なさろうと考えておりますか。
  48. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 予算をちょうだいいたしましたのは一カ所分でございますので、先ほど会計課長説明の中にございましたように、とりあえず東京一カ所と考えております。まだ正式に話を進めて東京に御了解いただく段階には至っておりませんが、この施設につきましては、特に民間の皆様の御援助がなければ、将来の運営につきましても相当効果を上げていくことがむずかしいと存じておりますので、この施設ができますと同時に、その地域の同一業種の使用者の皆様の御援助もいただきたいと存じますし、その施設の運営につきましても、皆様の御意見を十分取り入れまして、できればこの施設の、ちょっと言葉が違うかもしれませんが、PTA組織のようなものを作りまして、十分その施設が浮かないように、運営の効率を高めるようにいたして参りたいと存じております。
  49. 田村文吉

    ○田村文吉君 伺いたいのは、地方の公共団体にやはりその費用を負担してもらうのですか。
  50. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 先ほど説明申し上げましたように、この施設は三分の一の国の補助でございまして、地方公共団体が三分の二を負担していただくことになっております。地方財政の建前からなかなか困難であると存じますが、中小企業の恵まれない年少者の福祉を高めます上から、非常に大事な施設であると存じますし、特に東京の知事さんなども御理解をいただけることを私どもは期待いたしております。
  51. 田村文吉

    ○田村文吉君 会計課長に伺いますが、人件費単価一人当り、今年度は幾ら増しておるのですか。
  52. 松永正男

    政府委員松永正男君) 人件費、労働省職員全体ですか。
  53. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうです。
  54. 松永正男

    政府委員松永正男君) 労働省職員につきましては、各省共通の単価でございます。計算の仕方におきましては、昭和三十一年の七月の現員現給をとりまして、それをもとにいたしまして、四、五%の昇給原資を見込んでおります。それと、さらに来年度におきまして給与改訂の計画がございますので、そのための増額分といたしまとて、約六五%の増額を見込んで計算をいたしておる次第であります。
  55. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうすると、一割一分ふえるというように見たらいいのですね、去年の七月一日に比べて。そういうことですか。
  56. 松永正男

    政府委員松永正男君) 大体そういうことでございます。
  57. 田村文吉

    ○田村文吉君 大体とおっしゃるのですが、はっきりしておるのじゃないですか。
  58. 松永正男

    政府委員松永正男君) そのほかに勤務地手当等の関係がございまして多少の変更がございますけれども、ただいま御説明申し上げました分は四・五%プラス……先ほどちょつとラフな数字を申し上げましたが、四・五%プラス六・二でございます。そういたしますと、一〇・七%の増を見込んでおります。
  59. 田村文吉

    ○田村文吉君 労働省の中に婦人の職業対策に関する予算があるのでありますが、これは厚生省なんかの、ことに未亡人関係の内職補導というような問題については、別に厚生省あたりの仕事と重複するような部面はないのでございますか。はっきりその辺は区別はついておりますか。
  60. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 内職を提供いたします施設といたしまして、厚生省には特に生活保護を対象にいたしました家庭の保養の施設として授産場が設けられておりますし、また、一般の家庭の主婦のためにやはり内職を出します施設といたしまして内職斡旋所のような施設が設けられております。ところが、この内職公共職業補導施設におきましては、内職を紹介することはもちろんでございますが、この機能といたしましては内職の把握のための必要な調査、それから現在内職しております方々のための賃金その他につきましての問題点についての相談に乗ってあげること、あるいはまた、内職というのは家庭を外にして働くことの困難な方々でございますので、内職についての技術指導につきましてもできるだけ場内指導ということではなくて家庭の近間において指導するというような建前にしておりまして、そのような上の技術指導を行うというような機能を持っておるのでございまして、厚生省の設けられております授産施設が十分に運営されて参りますためにも、労働省の持っておりますこの公共職業補導施設の運営に待つところがとても大きいような実情になっております。
  61. 田村文吉

    ○田村文吉君 もう一つ伺いますが、売春問題の対策関係でございますね、これも法務省の関係等と重複しているような点はないでしょうか。限界がはっきりしているものなんでしょうか。
  62. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 売春防止法が成立いたしまして、売春問題についての法律の直接の施行の部分、とりわけ売春業者それから売春婦自体の違反につきます取締り関係につきましては法務省が主として主管をしておられると存じますが、私どもの労働省におきましては、婦人問題としての立場から全体の問題といたしまして、とりわけ売春婦の転落防止の立場から調査啓蒙活動を実施いたしておりますし、この法律の施行を助けます意味におきましての調査啓蒙活動を実施いたしております。このほか、婦人少年室におきましては、特に婦人問題の第一線の相談機関としての従来の任務を持っておりますので、売春婦も婦人問題といたしまして婦人少年室に相談に来られた場合に、一般婦人問題の立場から相談に応じまして保護更生のための手伝いをしているような状態でございまして、そこには何ら重複するようなところはないと存じます。
  63. 田村文吉

    ○田村文吉君 たとえば特別広報活動でございますとか、あるいは周旋行為等規正教化、こういったことは何か法務省の問題と重複するような点があると思うのですがそういうことはないのですか。
  64. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) 特別広報活動につきましては、婦人少年局の仕事になっておりますが、この活動を進めます前には、売春問題を扱っておりますすべての官庁の皆様と御相談申し上げまして、それぞれの立場からの御意見を伺いながらこの広報活動を実施いたしております。
  65. 田村文吉

    ○田村文君 これは議事進行の問題でありますがやがて労働大臣が出られまして、この予算関係についての総括的な質問のチャンスがあるわけですね。
  66. 千葉信

    委員長千葉信君) 先ほど申し上げましたように、きょう大体午前中で簡単な質問を終っていただいて、残余のこの労働省関係の予算についての質疑については、次回の委員会でやるということを御了承を得てありますから……。
  67. 山下義信

    ○山下義信君 私資料をお願いしたいのですが、その前にその資料を出していただくについて伺っておきたいことは、伝聞しますところによると、勤労者の福利厚生施設公団ですか、営団ですか、そういう特別の団体を作るという考え労働省にあったということですが、今回はそれはつまり実現ができなかったのですか、どうなったのですか。
  68. 伊能芳雄

    政府委員伊能芳雄君) 労災病院は、今まで御承知のように、労災協会が経営を委任しておった……。
  69. 山下義信

    ○山下義信君 いや労災病院でなくして労働省の持っているいろいろな福利厚生関係の仕事を一まとめにして別箇に経営主体を作るという考えがあったと新聞などに出ていたように思うのですが、それはやめましたか。簡単でよろしいのです。やめたか、やめなかったか。
  70. 伊能芳雄

    政府委員伊能芳雄君) それは労災病院の経営とそれから総合職業補導所、これは現に委託してやっております。労災病院の方は労災協会、この形が非常に国がやる上において無責任な形になっていやしないかと、こんなように考えて、これらの総合した運営をする機関を作りたい、かように考えてただいま着々準備を進めておるのでございますが、近く法案として提出して御審議を仰ぐことになると、かように考えております。
  71. 山下義信

    ○山下義信君 それではその法案が出ましたときでよろしいですが、私もしそれがさたやみになったならば、あなたの方のいろいろ、今おっしゃったような主として特別会計に属しておるあらゆる福利厚生関係その他の労働行政に随伴する施設を持っておられる、その特別会計のそういう運営の中身は一ぺんいつか機会があったら勉強したいと思ったのです、実際のところ。そういう公団の設置の法案をお出しになるならば、当然そのときに御資料等も出ましょうから、そういうときに入ってからにしましょう。
  72. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、労働省関係の予算についての質疑は、本日はこの程度にしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後一時五十六分開会
  74. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、休憩前に引き続き、社会労働委員会を開会いたします。この機会に、新任の神田厚生大臣発言を求められておりますから、これを許可いたします。
  75. 神田博

    国務大臣(神田博君) 私、先般石橋内閣の成立に当りまして、厚生大臣として、現下の厚生行政を担当することに相なりました。ごらんのように、まことに浅学非才、また経験も至って乏しいのでございまして、この重責を全うして参りますこと、なかなか容易ならぬことと考えておるのであります。幸いにして、参議院の皆様方の御鞭撻と御支援をお願いいたしまして、十分この職責を果して参りたい、かように念願いたしておる次第でございまして、最初からまことにぶしつけのごあいさつで恐縮でございますが、今後とも何分よろしくお引き回し願いたいと存ずるのでございます。簡単でございますが、就任のごあいさつを一言申し上げます。   —————————————
  76. 千葉信

    委員長千葉信君) 続いて中垣政務次官から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  77. 中垣國男

    政府委員(中垣國男君) つつしんで一言ごあいさつを申し上げます。  私は、このたび厚生省政務次官の重責を汚しました中垣國男でございます。全く文字通りしろうとでございましてこの厚生行政の重大性を考えますときに、非常に緊張を覚えるものでございます。力はございませんけれども、皆様の御協力、御指導を得まして、この職責を果して参りたいと存じます。どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。   —————————————
  78. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは議題に入ります。社会保障制度に関する調査の一環といたしまして、昭和三十二年度厚生省関係予算概要について、厚生大臣及び厚生当局から説明を聴取いたします。御説明を願います。
  79. 神田博

    国務大臣(神田博君) 昭和三十二年度の厚生省所管予定経費要求額の概要について、御説明申し上げます。  昭和三十二年度厚生省所管一般会計予算要求額は一千百十四億六千二百十二万二千円でありまして、これを昭和三十一年度予算九百三億一千七百万円に比較いたしますと、百十一億四千五百十二万二千円の増加となっております。  次に右予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  まず第一は、医療保障制度の確立に必要な経費であります。現在国民のうち約三千万人が疾病保険の対象となっていない状況にかんがみ、昭和三十五年度目標として国民皆保険の実現をはかることとし、三十二年度におきましては、特に大都市を含む市部に重点を置きまして、国民健康保険の普及に力を注ぎ、新たに通年五百万人の被保険者増加をはかり、前年度の三千万人と合せ被保険者数を三千五百万人に推算いたしました。これに伴い、国民健康保険の助成に要する経費は、療養給付費の二割に相当する金額八十六億七千九百万円、事務費の補助金二十九億七千五百万円、直営診療所建設費補助金三億円、被保険者の画期的増加をはかるために新たに計上しました普及促進費の補助金二千三百余万円、及びその他の経費を合せて合計百二十一億八千五百余万円となり、前年度比較して三十三億六千五百余万円の大幅な増加と相なっております。なお、事務費の一人当り単価につきましては、実績等を勘案し、前年度単価六十八円六十銭を八十五円に引き上げて積算いたしております。  次に、健康保険につきましては、最近その財政に若干好転のきざしがうかがわれるとは申しますものの、いまだ楽観の域には達せず、目下継続審議をお願いいたしております関係諸法律の成立と相待って、前年度と同じく一般会計より三十億円を給付費財源として繰り入れを受け、保険財政の再建整備をはかることといたしております。  船員保険の疾病部門につきましても、健康保険と同じく、一億円を一般会計より繰り入れることといたしております。  また、日雇健康保険につきましては、昨年八月給付内容改善充実をはかった結果、給付費の増高はきわめて著しく、多額の赤字が予想されますので、三十二年度おいては、国庫負担率を従来の一割から一割五分に引き上げ、前年度より四億三千二百余万円増加した六億五千五百余万円を計上いたしました。  次に、医療保障制度の確立には不可欠の条件であります医療機関の整備拡充に必要な経費であります。  まず、国立病院施設の整備改善のため、十二億七千四百余万円を国立病院特別会計に繰り入れ、六カ年計画をもって実施いたして参りました第一次基幹病院の整備を三十二年度おいて完了し、新たに第二次基幹病院の整備に一部着工いたしますとともに、その他の老朽不良施設の改善をはかることといたしております。  次に、公的医療機関の整備でありますが、前年度に引き続き、都道府県単位に医療サービスの基幹となるべき病院の整備を行うほか、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない無医地区に国立病院六カ所、公的病院二十カ所の出張診療所を開設せしめ、新たにその運営費の赤字に対しても、補助を行うこととし、右に必要な経費四千五百万円を計上いたしております。  次に精神病床は、現在入院治療を必要とする患者に比して病床が過少な実情にありますので、引き続いて三千三百床を整備拡充するため、二億三千四百余万円を、また、伝染病院の隔離病床一千床の整備に必要な経費九千六百余万円をそれぞれ計上いたしております。  次は、原爆被爆者の医療等に要する経費であります。  原子爆弾による被爆者については、その置かれている健康上の特別の状態にかんがみ、また、人道上の見地からも、国が健康診断、医療等を行うことにより、その健康の保持、向上をはかるべきものと考えられますので、健康診断を行うための費用として七千余万円、医療費として一億円余、その他の経費を加えて合計一億十千三百余万円を計上し、昨年度比較して一億四千七百余万円の増加となっております。  第二は結核対策の強化に必要な経費であります。結核は年々その死亡数が著しく減少しているにもかかわらず、今日なお多数の結核患者が存在し、国民生活に重大な脅威を与えている実情にありますが、一方治療薬品、治療方法の目ざましい発達進歩により、早期に発見し、適切なる治療を行えば短期間に治癒可能の疾病となって参りましたので、三十二年度におきましては、全額公費負担で健康診断、予防接種を徹底的に行うこととし、そのために要する経費六億八千百余万円を計上いたすとともに、医療費についても結核治療指針の改正に伴う三剤併用の採用、並びに手術の際における輸血、麻酔等を公費負担の対象としてその範囲を拡大する等の措置を講じ、十六億四千余万円を計上いたしております。  結核病床の整備はかなりの進歩をみているのでありますが、地域的にはなお偏在不足している地方もありますので、一千床の増床を予定し、五千二百余万円を計上いたしております。  右のほか、国立結核療養所百八十一カ所の経営のための経費百十六億三千余万円を加え、百四十九億八千余万円と相なり、前年度比較しまして、十四億二千九百余万円の増加となっておるのであります。  次に、保健所については、新設五カ所の整備、X線機械等の購入、職員の給与改善等に要する経費のほか、新たに医師充足対策の一環として、修学資金貸与制度を設ける等の措置を講じ、前年度より二億六百余万円を増加し、二十一億七千四百余万円を計上いたしております。  第三は、環境衛生対策の推進に要する経費であります。最近における屎尿の農村需要の激減と、都市人口の膨張等に起因して余剰屎尿の処理が全国的に困難性を加え、国民の生活環境が次第に汚染され、このまま放置し得ない状態となって参りましたので、まず人口の最も密集しております東京湾、大阪湾周辺の都市については三カ年計画をもって、屎尿の海洋投棄を禁止して、陸上処理を行うこととし、そのために要する清掃施設、下水終末処理施設の整備費として、三億四千五百万円を、また、一般都市の清掃施設、下水終末処理施設の整備として三億四千万円、合計六億八千五百万円を計上いたしております。  次に、明るく健康な生活環境を作るため、蚊とハエのいない実践運動を前年度に引き続き強力に推進いたしたい所存でありますが、このため、蚊とハエの駆除に好成績をあげた市町村に対してその効果を持続せしめるため、溝の改善整備、簡易ごみ焼却炉等、恒久施設の整備補助として三千三百余万円を計上しております。  次に、水道施設の整備については、農山漁村に対し、簡易水道の普及をはかつて伝染病発生の予防と生活改善に資するため、前年度より一億六千万円を増加し、十億円を計上いたしております。  以上環境衛生対策に必要な経費の合計は十七億二千百余万円に上り、前年度の八億九千二百余万円に比し、八億二千九百余万円増加となっております。  第四は、生活保護に必要な経費であります、最近におけるわが国経済の著しい伸長発展の結果、国民の消費水準も大幅な上昇を来たして参りましたので、去る昭和二十九年一月改訂されたままとなっておりました保護基準を六・五%引き上げ、扶助内容向上をはかることといたしました。これに要する経費は十一億五千万円で、これを東京都の標準五人世帯の額で申し上げますと、現行生活扶助月額八千二百三十三円が八千八百五十円となり、六百十七円の増加となっております。  また、母子世帯に対しては、母子年金を含む本格的な国民年金制度創設までの暫定措置として、現在実施いたしております生活保護の母子加算月額五百円を一千円に引上げ支給することといたし、これに要する経費四億五千万円を計上しております。しかしながら、経済の好転の結果、逐年著しい増加を来たしていました扶助人員が、漸次減少の傾向にあるので、生活保護費総額では三百六十二億九千四百余万円となり、昨年度に比し、二億二千七首余万円の増となっております。  第五は、児童保護に必要な経費であります。  まず措置費につきましては、施設の増加に伴う収容児童の増加見込みますとともに、収容児童に対して新たに一日五円の間食費と被服費を若干引き上げることとしたほか、これら施設に勤務する職員の給与の改善を行うこととし、六十一億八千五百余万円を計上いたしております。  次に、身体障害児の福祉をはかるため実施して参りました育成医療につきましては、その実施成果に照して、さらに一そうこれを助成促進することとし、従前の実施人員の約二倍を見込み、補装具の支給等に要する経費と合せて、身体障害児の援護のため一億三千四百余万円を計上いたしております。一次に、児童福祉の施設につきましても、昨年度に引き続き整備拡充する予定でありまして、これに要する経費四億円を計上するほか、今年新たに繁忙期における農漁村の乳幼児のため、季節保育所一万カ所を設置することといたしております。  さらにまた、児童福祉行政関係者の長年の念願でありました重度の精神薄弱児を収容する国立の施設を新設いたすことといたしましたほか、新たに児童福祉行政の機構の強化のため、各都道府県に全額国費の指導職員百八名を設置することといたしたのであります。  以上、児童の保護福祉に要する経費は総計七十億四千八百余万円で、昨年度に比して、六億一千六百余万円の増加となっております。  第六は、母子及び低所得階層等対策に必要な経費であります。母子及び老齢者の福祉の根本的な解決策として、国民年金制度の確立は焦眉の緊要事でありますが、昭和三十二年度おいてはとりあえず、臨時に厚生省に学識経験者からなる五人の委員を置いて、その具体的方策の調査企画を願うことといたしておるのでありまして、その設置並びに資料調査等のために必要な経費として一千余万円を計上いたしております。  母子対策といたしましては、暫定策として、先に申し上げました生活保護の母子加算を増額して支給いたすこととしたほか、従来行なって参りました母子福祉資金の貸付金に対する補助率を地方財政の現状にかんがみ、二分の一から三分の二に引き上げる等の処置を講じて、前年より一億四千万円を増加して五億九千万円を計上しております。  次に、いわゆるボーダー・ラインの低所得階層に対しては、その自立更生を促進するため、世帯更生資金の貸付金として、昨年度より二億円を増加し三億円、新たに医療費の負担に悩む人々のために医療費貸付金制度を創設し、これに要する経費として二億円、合計五億円を計上いたしました。これらの制度に対しては母子福祉資金と同様地方財政の現況にかんがみ、補助率を三分の二に引き上げる等の処置を講じ本貸付制度が有効適切に効果を発揮できるよう配意いたしたのであります。  第七は、婦人保護その他社会福祉の増進に必要な経費であります。売春防止法の施行に伴い、これら転落婦人の保護更生対策を強化するため、本年度に引き続き、婦人相談所を未設置の三十八県に新設いたすとともに、新たにその更生のための保護施設三十九カ所の設置、婦人相談員、相談職員の増員等合計三億七百余万円を計上いたしているのであります。次に身体障害者の保護更生のため、更生医療の実施と、補装具の支給に必要な経費として三億七千五百余万円を、庶民階層の金融機関として重要な意義をもつ公益質屋の整備のため二千五百余万円を、民間の社会福祉施設の整備充実を促進助成するたえ社会福祉事業振興会に対し、さらに追加出資を行うため一億円等を計上いたしております。さらにまた、身体障害者福祉法でその設置を義務づけられておりながら、今日まで実現をみなかった国立ろうあ者更生施設を新設して、これらの人々の再訓練、社会復帰のために貢献することといたしております。  第八は、引揚者等戦争犠牲者の援護に必要な経費であります。昨年秋締結された日ソ間の国交回復により、終戦以来の懸案であったソ連地区よりの引き揚げも一応完了したとはいいながら、いまだソ連中共地区等には生死不明の未帰還者六万一千余人が存在いたしておりますので、今後ともこれら未帰還者の調査究明に一段の努力をいたすとともに、三十二年度には引揚予定者を約二千五百人と推算し、これに要する経費七千三百余万円を計上しております。  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金及び障害年金の支給に必要な経費として、五十七億七千百余万円が計上され、前年度に比し、二十一億七千七百余万円の増加となっておりますが、この大半は従来恩給局より移しかえたものを当初から厚生省予算に計上したために増加したものであります。  また、未帰還者留守家族援護法に基く留守家族手当、障害一時金及び療養費の支給等のため十三億八千四百余万が計上され、前年度に比し若干減少しておりますのは、引き揚げ、調査究明等の進捗による対象人員減少によるものであります。また、海外戦没者のうち遺族に引き渡すことができない遺骨を納めるため新たに無名戦没者の星を建立することとし、これに要する経費を五千万円計上いたしております。最後に、受胎調節運動につきましては、前年に引き続き推進いたしますとともに、その地方第一線指導機関たる実地指導員に対する手当を五百円から一千円に引き上げ、これに要する経費一千百余万円を計上するのほか、国立公園、国定公園の施設の整備のため直接国が行う施設整備費五千万円、新たに二分の一の施設金整備補助金五千万円を計上し、その他保健衛生費、社会福祉等の各費目についてもそれぞれ所要の経費を計上いたしております。  以上昭和三十二年度厚生省所管の一般会計予算についてその概要を御説明申し上げたのでありますが、次に、昭和三十二年度厚生省所管の特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてであります。先に申し述べましたように、一般会計より健康保険給付費財源繰り入れ、三十億円、日雇健康保険給付費財源として一割五分の国庫負担額六億五千五百余万円を見込みまして、健康勘定におきましては、歳入、歳出とも六百七十二億七千七百九十一万一千円、日雇健康勘定におきましては、歳入、歳出とも四十六億五百三十八万八千円、年金勘定におきましては歳入五百三十一億四千四百五十七万三千円、歳出百十一億五千七百三十五万二千円、業務勘定におきましては、歳入、歳出とも三十七億九千八百八十万円をそれぞれ計上いたしております。  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、先に申し述べましたように、大体健康保険と同様の措置をとることといたしておるのでありましてこれに要する経費といたしまして、歳入五十七億六百六十三万五千円、歳出四十五億一千五百六十二万一千円を計上いたしております。  第三は、国立病院特別会計についてであります。先に述べましたように、国立病院の施設改善のため、所要財源を一般会計より繰り入れするのほか、三億円の国庫債務負担行為を計上いたしております。また新たにアレルギー疾患、リウマチ等の治療センターをそれぞれ若干個所整備する予定であります。右に要する経費として歳入、歳出とも八十七億二千六百三十六万六千円を計上いたしておるのであります。  最後にあへん特別会計についてであります。本年度のあへん買入れ予定量は、輸入三十七トン、国内産三トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは四十トンを予定いたしております。右に要する経費として、歳入、歳出とも二億二百九十六万二千円を計上いたしています。  以上昭和三十二年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計り予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別のお力添えをお願い申し上げる次第であります。
  80. 千葉信

    委員長千葉信君) 引き続いて、事務当局からその細部についての説明を求めます。
  81. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) お手元にお配りいたしました横刷りのプリントがありますが、それで御説明申し上げます。  一番当初から表紙を入れまして二枚をめくっていただきまして、一番下の方に、厚生省所管合計という欄がございます。ただいま大臣から御説明申し上げましたように、三十二年度要求額は千十四億六千二百十二万二千円で、三十一年度の九百三億一千七百万円に比較いたしますと、百十一億四千五百十二万二千円の増になっております。この三十一年度予算額は九百三億でございますが、これは別途国民健康保険の過年度赤字十億五千万円ばかりと、遺族年金等の補足分二十八億円を、別途補正予算でもってお願いすることにいたしておりますので、それがきまりますと、この九百三億が変ってくることになりますが、ただいまのところは大体九百三億ということで、差引百十一億四千五百万円でございます。  それでは、その裏をめくって、事項別に概略御説明申し上げます。第一番は人口対策でございますが、人口対策で(1)の受胎調節実地指導員費とありますのは、先ほど説明ありましたように、第一線の実地指導員の手当を月額五百円から千円にするということで、五百五十二万五千円の増額をやっておる次第であります。  それから(2)の生活困窮者受胎調節普及費は前年度と同様で、生活保護法の適用者並びにボーダー・ライン層にそれぞれ無料または低額をもって器具の支給を行うというための経費であります。  それから三番目の優生保護相談所費は七百七十九万円の増加になっておりますが、これは相談所の内部の器具等の整備をいたしますほかに、相談所が行います講習会等の開催回数の増を含むものでございます。  それから(4)のその他といたしまして、三百三十九万の増加と相なっておりますが、これは主として人口問題研究所における研究費の増でございます。  次が二の国民年金制度準備費、これは裏をめくっていただきますと、二ページの上欄の方でございます。先ほど説明ありましたように、学識経験者の五人の委員をお願いいたしまして、その方にいろいろの御考究を願い、かつ御調査を願うということで、その調査委員費が百八十三万一千円、(2)の年金等受給者実態調査費並びに全国未亡人母子世帯生活実態調査費を合せますと、約一千万円の経費を計上いたしたのでございます。  次の三の保健所の費用でございます。(1)の運営費でありますが、運営費の人件費はベース・アップでございます。その他は所内の庁費等でございます。  (2)の整備費は、在来保健所の新設はここ数年いたしておりません。ところが、相当人口数がふえた都市がありまして、どうしてもふやさなければならぬというところが、あるいは新潟市でございますとか、札幌市でございますとかございますので、新設いたすことにいたしました。その整備の費用が、前年度比較いたしまして二千四百三万八千円の増となっております。  それから(3)の設備整備費の方は四千六百九十九万三千円、これは前年度比較いたしましてかなり大幅にふえておりますが、これは保健所の中の諸般の機械の整備を要するというここで、内部の機械がおくれておりますので、それらの整備費を増加するということで一億一千九百九十九万七千円を三十二、年度に計上いたした次第でございます。  それから(4)の医師充足対策費でございますが、保健所の人件費の基礎となります充足率は七一・五%ということで、前年度と同様にいたしておりますが、中でも医師の充足が悪いことは皆様御承知通りであります。そこで三十二年度に新しく修学中の医科学生に学費を貸付いたしまして、そして保健所に将来勤務してもらう。保健所に勤務をちゃんとやってもらうならば、その金は返さないでよろしい。そうでない場合には返さす。こういう点を考えまして、大学の医学部におきましては、月額四千五百円、それからインターン中は六千円ということで、大学の医学部学生は二百五十人、インターンの学生は五十人として合計三百人を予定いたしております。なお経費積算の内訳としましては、初年度のことでございますので、医学部在学中のものは六ヵ月分、インターンのものにつきましては九ヵ月分を計上しました。本件につきましては、ただいま申し上げましたごとく、将来貸付金を免除するという関係もございますので、別途法案を提出いたしまして、国会の御審議を願う予定であります。  次が四の結核対策費でございます。第一番の健康診断及び予防接種費でございますが、これは在来二十円、三十円の少額の金額をとっておりましたが、なかなかこれの実施は思うように参りません。結核の根本は何といいましても、健康診断あるいは予防接種であるということは申し上げるまでもないのであります。そこでこの際、それを全額公費負担といたしまして国と地方の補助率は変えませんが、全額公費で無料でやるということを予定いたしております。なおこれの実施率は、学校とか、あるいは工場とかによっていろいろ違いますが、問題の中心であります一般住民につきましては約五〇%の実施率という予定であります。  次に(2)の医療費であります。医量費につきましては、負担率は国と地方との負担率は変えません。本人の公費負担率も変えませんが、中身はその裏をめくっていただきまして、四ページの冒頭の摘要に記載しておきましたが、まず、先般学界から御答弁を願いました結核治療に関する新しい治療方針に基きまして、パス、ヒドラジット、ストマイの主剤併用を認める。その他の新薬を用いること、なおかつまた適用期間の延長等を認めるという主としてこの三点でございますが、それらの方針を採用するということ、並びに在来公費負担の対象としなかった手術中における輸血並びに麻酔の賞用の公費負担を認める等、範囲の拡張をそれぞれ含めまして、金額としまして二億一千九百五十四万三千円の増加額を計上いたした次第であります。  (3)につきましては、前年度同様でございます。  (4)の患家指導費でございますが、結核患者の家庭が伝染源であることは申し上げるまでもございません。そこでここに重点を置きまして予防等に当るということでございますが、今回さらに在来のやり方に加えまして、これらの患者の事後措置として、精密検査をさらにやるという点を取り入れまして、それに要する費用が主として増加額の中身でございます。  それから(有)の居宅隔離室費というのは本年度は計上いたさないのでございますが、これは御案内の通り一・二坪の小さい部屋を作りまして隔離と治療に充てるという目的でやっておりましたのですが、だんだん普及をいたしまして本年度は国の所要経費を計上いたさなかったのでございます。  次は(6)の病床装備費でございますが、結核のベッド数はほぼ所期の数に達しておりますけれども、依然として地域的に偏差がございます。そこでその地域的偏差を直しますために一千床の増床を行う予定をしております。増床の経費五千二百七十五万を計上いたしました。公立と法人立との別は備考に記載の通りでございます。なお一般整備費と申しますのは、これは国立療養所の整備はだんだん進んでおりますけれども、御案内のようなボロでございますので一割強の増加をいたして六億五千万円の金額を計上いたしたのでございます。  それから(7)の療養所の運営費でございますが、厚生省所管の国立の百八十一カ所の療養所の運営費でございまして、一般的なベース・アップ等のほかに先ほど申しました新しい治療の採用による特薬の購入費等がかなり大幅に増額いたしております一般的費用でございます。  それから(8)の結核後保護費でございますが、施設の増設につきましては前年度同様二カ所作り、なお運営費は毎年ふえておりますので年間の伸びを計上いたした次第でございます。  それから(9)のその他でございますが、その他で百十一万四千円の減と相なっておりますが、右は三十一年度に計上いたしました結核実態調査の金額が百二十二万一千円という金額を計上しております。前年度限りの経費として三十二年度には計上いたしませんので、差引百十一万四千円の減少と相なっておる次第でございます。その他は大体ほとんど大同小異でございまして、備考欄に記載いたしましたので説明を省略させていただきたいと存じます。  次は五のらい対策費でございますが、らいの療養所国立十一カ所の療養所の運営費でございますが、これも職員のベース・アップ等のほかに寝具の整備を新しく始めましたことと、それから不自由患者の慰安金を単価百円からら二百円に上げるというような措置を講じておりますので、それらを含めまして九千五百一万九千円の増となり、十五億円を計上いたした次第でございます。  次に六ページの私立らい療養所の運営費につきましては前年度と同様の金額でございます。  それから(2)の療養所整備費でございますが、国立の療養所整備費におきまして三千二百三十五万一千円の減と相なっておりますが、右は三十一年度に加入いたしました職員の宿舎の整備費、その他看護婦宿舎等及び予防法に基きますところの学校の施設、たとえば岡山等にあります高等学校の整備費等が完了いたしましたので、予算面上は三千万円の減と相なっておる次第でございます。  次は(3)のらい患者生活援護委託費でございますが、これは前年度九百三十四世帯を見込みましたが、本年度は百世帯を増加いたしまして千三十四世帯を見込んでおります。そのほかに生活保護基準改訂をいたしますのでそれにスライドいたしましてその改訂をいたしました単価を上げましたので合計千百四十八万円の増と相なっておるのであります。  それから(4)のその他の経費におきまして三百七十七万五千円の増と相なっておりますので、藤楓協会に委託しておりました更生指導の費用を前年度は半年分、三十二年度は二年分その他若干の内部における単価増ということにいたしましたのでございます。  それから事項六の伝染病予防費についてでありますが、(1)の法定伝染病予防費は、これは市町村、地方公共団体の精算のものでございます。従ってそれによる減と、それから部分的には幸い伝染病は減少いたしておりますので、金額としては三千七百万円の減ということに相なっております。  それから(2)の伝染病院隔離病舎の整備補助金でございます。前年度の千三百床、本年度は一千床を予算に計上いたしましたので、九千六百三十三万九千円を計上いたした次第であります。  (3)の防疫業務委託職員費、これは人数は動きませんが、一般職員に準じますところのベース・アップの金は八百二十八万四千円の増額と相なっております。  次は(4)の地方病予防施設整備補助金でございますが、例の日本住血吸虫に対する予防施設として、山梨県、岡山県等に行われます田のコンクリトの溝でございますが、前年度三万間三十二年度は六万間を予定いたしましたので、ちょうど倍の金額四千五十万円を計上いたしたのであります。  (5)の地方病予防補助金、右によりますところの予防接種等でございますが、単価の減によりまして、八十一万六千円を減じたのであります。  (6)は前年通りでございます。  七は精神衛生対策費でございますが、まず病床整備費でございますが、前年度に引き続きまして三千三百床の増床を予定いたしております。百四十四万五千円の増は若干の単価直しでございます。ただ三十一年度におきましても病床数は同じでございますけれども、ヒロポン対策を若干含めておりましたのは、もうヒロポンについては増床の必要は認めておりませんので、三十二年度におきましてはこの三千三百床は全部一般精神病床として予定いたしておるのであります。  次は一般整備費でございます。国立療養所の一般整備費でございますが、右の減少をいたしておりますのは、らいのときに申し上げましたように、看護婦の養成所の完了、在来の健保で行なっておったものの整備が完了いたしましたので、予算面上は減と相なっておる次第であります。  それから(2)の療養所の運営費は国立の三カ所の療養所でございまして、これは一般的なベース・アップでございます。  それから次の裏へめくっていただきまして、八ページの措置入院補助金でございますが、二割強の一億二千六百六十四万二千円の増をいたしております。おもな中身はまず一番に対象ベッドでございます。三十一年度八千二百四十三床を、三十二年度は九千百九十七床増加いたしましたことと、実費徴収率を三十一年度二五%といたしておりましたのを、一五%に切り下げて、患者から費用をとりますのを二五%と押えたのを、実態にかんがみまして一五%しかとれないということで押えております。それらの関係上金額といたしましてはかなり大幅の増額計上をお願いしておる次第であります。  それから(4)の精神衛生相談所の五十四方八千円はベース・アップでございます。  (5)は前年度限りの調査費でございますので、今年度は計上いたしておらない次第でございます。次は八の性病予防費でございますが、性病予防費は強制健康診断補助金、性病病院診療所補助金、委託入院治療補助金、いずれも(1)(2)(3)とも前年同様でございまして、(4)の思想普及補助金は五十二万六千円の減となっておりますが、これは後ほど売春対策のところで申し上げますが、そのように組みかえるということで、五十二万六千円と減となっております。  その次は九の原爆対策でございますが、在来原爆の関係は、治療研究費として(4)に記載しておりますような五百六十八万二千円の金額を計上いたしておりましたが、今回はこれにつては広島、長崎在住の被爆者、それからその後県外へ行っておられる方々の数を押えましてそれの三〇%を検査をすると、それから広島、長崎以外の方は大体一五%程度検査する、年二回の検査をする。さらに精密検査につきましては、その二五%を検査するという構想のもとに出発いたしまして在来の治療研究等で行なっておりました実績を参酌いたしまして、それらの精密検査の結果の一八%について具体的な治療を行うということで治療対象人員はそこに記載しましたような人員を想定いたしたのであります。  なおこの際医療費の単価について申し上げますと、内科につきましては、在来二万五千円、今回は四万円、外科につきましては二万円を二万五千円に、眼科につきましては前年度同様一万五千円というふうに算定いたしております。  なお(3)の研究費はケロイドの治療法においてどうするかというような研究を三科へお願いするということで百八十万円を計上したのであります。これにつきましては別途法案を国会に提出しまして御審議を仰ぐ予定をいたしております。  それから十の環境衛生対策でございます。(1)の簡易水道につきましては、一億六千万円の増として、十億円を算定いたしております。そのうち一般の分は九億五千九百万円、備考欄に記載いたしました通り。それから離島の関係は離島振興法の関係がございますので、補助率を十分の三・五ということで、二千五百万円、観光地関係につきましては、一般と同様の四分の一補助で、一応千六百万円と予定を組んでおります。  次が東京湾、大阪湾し尿海洋投棄禁止対策費でありますが、一応三カ年計画をもちまして、全部を陸上処理に変えたいということで、清掃施設費二千万円、それから裏にいきまして、下水終末処理施設費につきましては、二億二千五百万円というものを計上いたしております。ただ一応ここで御説明を加えておきますが、補助率につきましては、東京湾、大阪湾周辺に、三年間をもって集中的にこれを行おうという関係上、若干引き下げまして、一般の補助率より引き下げておる次第であります。(1)の清掃施設補助、四分の一を五分の一にいたしております。それから十ページの冒頭にあります下水終末処理施設補助は、三分の一を四の一ということで、若干の減少をいたしております。  次が(3)の一般清掃施設整備費でありますが、一億五千万円増加いたしまして、二億円を計上いたしました。なお一応観光地の予定といたしましては九百万円と予定をいたしております。  それから(4)の下水終末処理施設整備費でありますが、別途これは法をもって国会の御審議を仰ぐ予定でありますが、在来水道等については、建設並び厚生の所管で、いろいろの問題がございましたが、上水道については厚生省の専管とする、それから下水につきましては、下水の導管、溝の中に管を埋めます、あの処理は建設省、その上の処理は厚生省ということに所管の変更をいたしまして、下水終末処理施設整備費につきましては、一億四千万円を計上いたしました。  なおカッコ内の一千万円は、北海道分として、北海道開発庁に計上いたしております。実行のときに厚生省に所管変えをしまして、厚生省において執行をするということになっております。なお、下水の関係の経費は、在来は労働省特別失対の方に計上いたしておったのであります。  次が(5)の蚊とハエ駆除運動費に対してでございますが、これは蚊とハエの駆除のいろいろの運動をされて、効果が上った市町村に、その効果を永続せしめるために、物的施設を作ろうということで、その内訳にございますように、溝の改善でありますとか、簡易ごみ焼却炉、あるいはし尿の簡単な貯溜槽で、ありますとか、というようなものを作る予定で、二分の一の補助率で三千三百万円を計上いたしたのであります。  その他といたしまして、百二十三万円の増は、この備考欄にあります指導、用教材費でありますとか、ネズミ駆除指導費でありますとか、若干少しずつふえたり減ったりするものもあります。  ここで特別に申し上げておきますのは、その(5)の環境衛生調査研究費としまして三十六万円計上いたしております。環境衛生調査費の問題は、非常に問題がありますので、この際新しく調査研究をいたしたいということで、新規に計上いたしたのであります。  次が十一ページの、番号十一番の、医療機関整備費であります。医療機関整備費は、前年度より四千八百二十七万円の増であります。そのカッコとして三億円とありますのは、これは債務負担行為を計上いたしたのであります。  (1)の国立病院の整備でありますが、一般会計よりの繰り入れは、前年度比較いたしまして、ただいま申し上げましたように、四千八百二十七万円の増で、備考にありますように基幹病院整備、その他の病院整備、各所修繕、その他ということでございます。この基幹病院の整備は、在来継続しておりました六カ所につきましては、三十二年度をもって完了する予定であります。なお、第二次基幹病院計画として東一を、本年度、三十二年度に全部は整備できませんけれども、整備に着手する予定で、所要の経費を積算いたしたのであります。  (2)の公的医療機関でございますが一般公立病院の方の経費につきましては若干減額いたしましたが、問題の僻地診療所につきましては、三十二年度は二十六カ所を作るということを予定、いたしております。そうして問題でありました運営費の補助につきましては、その裏を見ていただきますと十二ページのところに記載いたしておきましたが、七百七十万円を計上いたしております。これは三十一年度に作ります三十二カ所と、三十二年度に作ります二十六カ所のうちの二十カ所分の運営費の赤字補てんをやるということで所要経費を計上いたしたのでございます。三十二年度の二十六カ所のうち六カ所を、国立病院特別会計において試みにこれの経営を引き受ける。基本方針としましては、地方病院において経営をさせるのが最も適当であろうということの基本方針は在来と変っておりません。  (3)の債務の負担行為は前段申し上げた通りであります。  十二番の保健婦等養成建設補助金は、前年度の二分の一の九百万円を計上いたしたのであります。  十三番は科学試験研究費。  (1)番の科学試験研究補助金は前年度と同額でございます。  (2)番の薬業合理化補助金、大蔵省の一般方針に示されました二割の減ということで、四百七十三万二千円計上いたしたのでございます。  十四番の輸出振興対策でございますが、カッコ内の数は通産省の所管であるということでございます。約百万円の増額になっておりますが、これは三十一年度に設置いたしました香港の輸出斡旋所の運営、活動費の増額でございます。  次は十五番の国立病院特別会計へ繰り入れ。  (1)の整備費財源は、前段申し上げた通りであります。  (2)は一般財源、一般財源としましてはその他の財源繰り入れでございます。  十六番生活保護でございますが、生活保護は三百六十六億九千六百三十七万一千円でございます。  (1)の生活保護補助金は前年度比較しまして二億二千七百九十二万二千円の増と相なっております。これは母子加算としまして五百円を千円に、母子加算は十ヵ月分予定いたしております。六月から一応実施という予定をいたしております。なお基準会計において十一億五千万円、母子加算においては四億五千万円という金額を予定いたしましたが差引二億二千七百九十二万二千円の増と相なっておりますのは、最近補助人員減少傾向が相当見られまするので、それを折り込んだことと、それから無限大に減るものではありませんので、三十二年度におきましては一%の人口増を折り込んだ。なおまた基準会計並びに母子加算の限度引き上げということによる新規の被対象人員の増、それらを合せて積算の根拠といたしておる次第でございます。  それから次の(2)の社会福祉施設整備補助金、前年度と同様の金額を計上いたしたのでございます。  (3)の生活保護指導監査委託費、これは在来と変りありませんが、七百八十三万二千円のベースアップでございます。  それから次の第十四ページの十七番、低所得階層対策でございますが、これはこの内訳の(1)は世帯更生資金貸付金は前年度比較して二億円の増であります。中身は補助率二分の一を三分の二に引き上げましたことと、それから生活資金を貸し付けの中に入れたということであります。生活資金と申しますのは、技能修得中でありますとか、あるいは病気のために、医療費の貸し付けを、受けているというような間における生活費の貸し付け等であります。  医療費の貸し付けは新規の三十二年度より行いたいと思います。ボーダー・ライン層の対策として、病気の場合の医療費の貸し付けを行う限度額は大体五万円、六カ月間の治療期間ということで予定いたしております。なお返還には相当の猶予期間を設けますが、返還を開始してからは世帯更生資金同様に年三分ということを予定しております。  十八、社会福祉振興会出資金、これは前年度同様追加計上いたしております。  十九、身体障害者保護でございます。  (1)一般身体障害者のための更生医療でございますが、これは在来の実績にかんがみまして、単価を一万五千八百二十四円から二万五千七百五十三円と大幅に増額をいたしたのでございます。言うまでもなくかなり高度の外科手術等でございますので、それらの単価引き上げをいたしたのでございます。それから補装具につきましては、支給対象人員は昨年度の二万二千八百七十六人から二万三千六百八人というふうに改訂いたしましたので、四百九十九万二千円の増加計上をいたしておる次第であります。  それから(2)の戦傷病者の分でありますが、これは対象人員は初めからきちっと固定いたしておりますので、だんだん減るということで、前年度の約半分ということで計上いたしております。それから補装具につきましてはこれはそういうわけには参りませんが、補装具は前年度支給人員五千六百六十六人を本年度五千九百四十九人と  いうことで約三百人の増加を見込んでおります。  それから次の(3)の更生援護施設事業費補助金でございますが、これは施設の増に伴う収容人員の伸びでございます。  それから(4)、(5)はそれぞれいずれも前年度通りであります。  それからその他につきましても、前年度通り予算を計上いたしておる次第であります。  それから次が十六ページの事項ニ十の婦人保護関係の費用でございます。  まず(1)の婦人相談所でございますが、在来八カ所をこれを四十六カ所にふやしまして各県全部設置するということでその費用の増加でございます。  それから2の相談職員は右に伴いますところの相談所の職員を増員いたしますのでその人件費でございます。  それから(8)の婦人相談員四百六十八人増でございますが、これは年間の伸びでございます。  それから(4)の保護施設設置費、これは収容でございますが、いまだ未設置の県に三十九カ所作るということでその所要資金が九千八百十九万八千円、こう計上いたしておるのであります。大体一カ所収容は、クラス別でございますが、五十人、三十人というふうな収容を予定いたしております。  それから婦人相談所一時収容保護費、これは単価の改訂でございます。  それから(6)は婦人保護施設運営費、これは新しく婦人保護収容施設を作りますので、在来分のほかに先ほど申しました三十九カ所を作ります分の収容費でございます。  それから連絡協議会の補助金三十一万五千円は年間の伸びでございます。  それから(8)の婦人相談事業費補助金、これも運営費の年間の伸びでございます。  それから(9)の接触調査費補助と申しますのは、先ほど性病の方で申し上げましたが、思想普及費補助五十二万六千円を減額いたしましたので、売春防止法の関係上きわめてこの関係の調査等は困難でありますので、性病診療所を通して根元をつくという意味で、接触調査を相当強く行わしめるという意味でその活動費を計上いたしたのでございます。
  82. 片岡文重

    ○片岡文重君 ちょっと説明中ですが……。せっかく説明してもらうのですからもうちょっと数字なんかがわかるように、数字なんかのときに特にメモできるようにしてほしいと思うのです。これは言葉がむずかしくて大へんわかりにくいところがありますのでお願いいたします。
  83. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) 二十一番の消費生活協同組合貸付金は、職域の組合よりも地域の組合に重点的に資金を回すということを考えて、職域等におきましては、在来かなりその関係の会社等から資金の運用を受けておりますので、二百万円の減少をして一千万円を計上いたしたのでございます。  二十二番の事項の社会福祉施設費でありますが、(1)の公益質屋でございますが、三十一年度は十八カ所、三十二年度におきましては内訳に書いてございますように合計四十五カ所を用意いたしまして、非常に各県から要望が多いものでございますから増額計上いたした次第でございます。  (2)の地方改善施設費は前年度と異なりますのは、内訳にございます隣保館は昨年は三カ所であったというその違いだけでございます。共同浴場は前年度も本年度も五カ所でございます。  二十三の児童保護費でありますが、(1)は措置費補助金であります。措置費の補助金におきまして五億円の増と相なっております。その内訳は第一番には備考欄にございますような施設職員の給与の改訂、これが二億二千二百四十一万円で、(2)の収容児童の待遇改善、児童直接の費用としまして新しく間食費を一日五円認めましたことと、児童の被服費の一日二円八十銭を加算いたしましたものがおもなる内容でございます。なおその他は当然のことでございますが、施設が伸びておりますので、対象児童数の収容の伸びを計算いたした次第でございます。  それから児童相談所費補助でございますが、これは児童相談所はABCDと四つのクラスになっております。Aの方がいいんでありますが、いい方をふやすということでAを七カ所を十二カ所にするということで、全体はふやしませんが中身充実ということで四百八十八万五千円の増加と相なっておる次第でございます。  (3)の一時保護所費の補助は施設の増によるものでございます。  その次の十八ページの(4)法施行事務費補助におきまする八百八十万七千円は、地方の活動費が生活保護の法施行事務費と比べましてかなり低かったので、施設の監査等の増を含んで八百八十万七千円の増といたしたのでございます。  (5)の保母養成所運営費補助、これは施設数の伸びによる金額の伸びでございます。  (6)の季節保育所設置費補助でございますが、数年予算に計上できなかったのでありますが、本年度は新しく一万カ所、一カ所九千円として三千万円の予算を計上いたしておる次第であります。  それから(7)の妊産婦乳幼児保健指導員補助は前年度と同様でございます。  それから(8)の身体障害児援護費補助でございますが、内訳をごらん願いたいのでありますが、まず育成医療費でありますが、三十一年度の対象人員五千百二十二人を九千九百九十四人と大幅に人数を伸ばした次第でございます。  それから(8)の補装具につきましても若干人数の伸びを見ました。それらによって積算した金額が一億三千四百十二万円、三十二年度おいてお願いをいたしておる次第でございます。  それから(9)の児童福祉施設整備費補助は前年通り四億。  (10)の児童保護指導職員設置費というのは新規でございますが、これは近年地方の機構改革等によりますというと、一番弱い保護関係がだんだんつぶされますので、この機関職員については全額国庫をもって各県に二人なり三人と思いますが、その機関職員を把握してこの行政の進展に充てたいという意味で百八人の職員費を計上いたしております。中身は九ヵ月分として積算をいたしております。  それから二十四番の母子福祉対策でございますが、貸付金は貸付率は在来二分の一を三分の二に引き上げました。それに伴いまして一億四千万円の増で五億九千万円ということにいたしております。  それから二十五の社会保険国庫負担でありますが、社会保険の(1)、(2)は、これは名称の変更でありまして、前年度と同様であります。ただ(1)は本年度の分でありますが、健康保険給付費財源繰入、(2)は三十一年度には健康保険再建資金繰入ということになっておりましたが、今般継続審議で国会にお願いいたしております法律の趣旨と合っておるのが(1)の名前であります。  それから(3)の日雇健康保険給付金財源繰入は、日雇保険の疾病給与の内容拡大をいたしましたので相当膨大な赤字になっております。そこでこの際国庫負担の率を十分の一から十分の一・五に引き上げることによって、これの財政の再建をはかりたいというれ国庫負担率を引き上げたのであります。給付の伸びと、国庫負担率の引き上げによって前年より大幅な六億五千五百四十八万六千円を計上いたしておる次であります。  それから(4)の厚生年金保険給付費財源繰入は予定発生件数によるものでございまして、国庫負担率は前年度同様でございます。  (5)の船員保険給付費財源繰入は、疾病給付の関係は健康保険と同様であります。失業保険並びに年金の方はそれぞれ予定発生率の減少によりまして、国庫負担金は変りませんけれども、金額として減少している次第であります。  その他の二十一億九千九百九十一万五千円は主として業務勘定の人件費の財源繰り入れ、それから日雇い等の印紙売りさばき手数料によるものであります。  それから二十ページの二十六の健康保険組合等の補助金でございますが、被保険者数において約六万人の人数の伸びをみております。単価については前年度と同様であります。  二十七番の国民健康保険の助成費であります。これはまず冒頭に大臣が申し上げました通り、この年間被保険者数において五百万人の増をみまして国民皆保険を進めるということで、これを基礎にいたしまして、経費の積算をいたしておるのであります。まず事務費でございますが、事務費につきましては内訳に記載しております通り、人件費と物件費におきまして、合計前度六十八円六十銭を八十五円として、年間被保険者数三千五百万人ということで計上いたしたのでございます。なおこの事務費単価につきましては、今後厚生省並びに大蔵省が共同調査をしまして、適当な単価に直すということは両省間において約束いたしておるのであります。なお保健婦の設置費でありますが、これはベース・アップをいたしましたけれども、減額になっておりますのは実数に合わせてその員数を補正したということであります。前年度の四千七百人を実数に合わせて四千四百人にいたした結果であります。(2)の療養給付費の補助金でありますが、これはそれぞれ一人当り、一点当り単価を最近の実績に照らしましてそれを是正いたしました。それによって総給付費の算出をして、八十六億七千九百万円を計上いたしたのであります。それから(3)の直営診療所の建設補助金は五百万人も被保険者数をふやしましたので前年度より一億円増の三億円を計上いたしました。(4)の指導監査職員の設置委託費は人数は百三十八人で三十一年度と同様であります。金額増は年間の伸びであります。それから二十二ページの(5)の普及促進費補助金でありますが、五百万人という画期的な被保険者数の増を行おうというものでありまして、これの実施に当りますところの都道府県並びにその主体である市町村に対しまして、事業調査あるいはそれに要する旅費、あるいは宣伝費等についての補助を行いたいということで、二分の一の補助率をもちまして、一応の経費を計上いたしたのであります。  二十八番の引揚者等の援護費でありますが、まず引揚見込人員の二千五百十一人はこれは実は全く自信のない数字でありますが、いろいろ計算いたしまして、二千五百人という程度で全くの見込みであります。あらかじめ釈明申し上げておきます。(2)は前年度に引き続きまして北海道の集団加圧宅の補修費の補助金でございますが、補助率は前年と同様国が二分の一、道庁が六分の一、地元市町村が三分の一ということになっております。  二十九の留守家族等援護費でありますが、これは引き揚げが促進いたしますと調査究明が進みますので、若干の金額の減少と相なります。地方公共団体委託費として、三十六万円増とありますのは、旅費の増額であります。  三十番の戦傷病者戦没者遺族等の援護費でありますが、これは遺族年金及び障害年金におきまして、二十一億の増額と相なっております。これは在来の法律改正等による分も全部積算の基礎に加えてございます。これはもちろんでありますが、その他に過去においてこれは恩給局の経費をこちらへ移しかえをいたしておりましたが、本年度におきましては移しかえをしないで所要経費を当初から計上するというここで増額を示しておるのが大部分の内容であります。なお御参考までに申し上げておきますが、三十年度の移用額は十三億六千六百万円、二十九年においては八十億、二十八年においては七十五億という金額を厚生省に移しかえしております。冒頭申し上げましたごとく、この経費につきましては三十一年度おいてなお二十八億の不足がございますので、この分につきましては補正予算をもってお願いをいたす予定であります。三十一、国立戦没者の墓苑でございますが、名称は今後の問題ですが、千鳥ヵ淵に遺族の判明しない遺骨を納める墓地を作るということで五千万円を計上いたしております。なおこのほかこの関係の道路の費用でありますとか、あるいはあそこにある宿舎の移転費でありますとか、そういうものは宮内庁並びに建設省に計上いたしておりまして、全体を合せますと大約九千万円の金額に相なるということでございます。  それから三十二の国立公園等整備費でありますが、まず(1)の国立公園の内訳表をごらん願いたいのでありますが、施設費が五千万円、それからここ一、二年計上しなかった補助金につきましては四千万円を計上しまして九千万円は補助金、その他は直接のあれであります。(2)の国民公園でありますが、これはおもなものを申し上げますと、備考欄の(1)にございますように、新宿御苑の温室が非常に荒れておりましてこれを建てかえしたいというので、その所要計費を二年計画でもって、初年度は二千九百六十五万二千円を計上したのがこの増額の大部分の中身でございます。それから(3)の国定公園でございますが、これは一気に二分一の補助率をもちまして国定公園の公共の施設整備の補助金として計上いたした次第でございます。  それから二十四ページの三十三の事項国立施設新設でございますが、まず(1)の口腔衛生部設置でございます。これは歯科の関係で予防の研究等は厚生省としてはどこでもやっておりませんでしたので、今回国立予防衛生研究所に口腔衛生部というものを新設するということで、その所要の運営費並びに建物整備九百十六万二千円を計上いたしたのであります。それから(2)は国立ろうあ者更生指導所、百人収容で運営費三ヵ月、(3)は国立精神薄弱児収容施設、百人収容で三ヵ月の運営費ということでそれぞれ新設の施設の設置費並びに運営費を計上いたした次第であります。  三十四はその他の残りの雑件でありまして、これにつきましては昨年より三千九百八十四万八千円の減となっております。  以上合計してそこの欄にありますように、冒頭申し上げた通りでありますが、一千十四億六千二百十二万二千円というものを三十二年度一般会計の厚生省所管経費としまして計上をお願いしておる次第であります。  それからそれ以下は特別会計でございますが、要点だけを申し上げておきます。まず健康勘定の保険料収入でございますが、それの積算の基礎を備考欄にそれぞれ記載いたしておきましたが、被保険者数におきましては、最近の増加傾向からみて六十三万人程度増加見込み、標準報酬は最近の傾向からみて前年度より約四百円増の一万二千六百五十九円を見込む。こういうことで保険料率は改訂いたしませんが標準報酬が変りますので、そこにありますように一人当りの被保険者保険料年額は九千八百八十四円と算定いたしております。なお等級につきましては四千円から五万二千円ということで、これは継続審査をお願いしております健康保険法の改正の中に予定いたしておりました等級区分を積算の基礎にいたしております。  それから裏にいきまして一般会計よりの受入れは、これは一般会計の方で申し上げた通りであります。そこで健康勘定の歳入が六百七十二億七千七百九十一万一千円ということでございます。  歳出につきましては、最近の傾向のみを折り込みましてそれぞれ備考欄に記載いたしましたように一人当りの給付費年額を基礎にいたしまして勘定いたしたのでございます。  それから二十八ページの日雇健康勘定につきましては、これも被保険者数を積算の基礎としまして、被保険者数は最近の傾向にかんがみ約十四万人の増を見込み保険料は変りません。そこで一人当り被保険者の年額保険料がそこにありますように四千百七十八円となっております。これがおもなるものでございます。  それから一般会計よりの受け入れでございますが、ここでは一般会計の際に申し上げたように、給付費財源としての繰り入れば、前年度の一〇%を一五%に織り込むということで、これはその伸びに比例しますのでかなり大幅な増額と相なっておる次第であります。  それから三十ページのところに、日雇勘定の保険給付費の見込みを出しております。これも昨年の趨勢から、その伸びを織り込みまして、一人当りの医療給付費を算定いたしたのであります。  それから年金勘定につきましては、三十一ページでございますが、それぞれ被保険者数につきましては、最近の伸びからしまして、これは男子、女子、坑内夫、それぞれ別になっておりますが、さような数を算定して、それに基いてそれぞれの所要経費を積算いたしたのであります。標準報酬につきましても、健康保険と同断でございます。  それから裏をめくっていただきまして、三十二ページ。一般会計よりの受け入れば、一般会計の際に申し上げたのと同様、これは国庫負担率は全然在来と同様でございます。  それから三十三ページの歳出につきましては、保険給付費は在来通りで、特段ここで申し上げることはございません。  それから裏へめくっていただきまして、三十四ページの業務勘定でありまするが、これも一般会計の繰り入れの際に申し上げました通り、主として人件費のベース・アップがおもなものでございます。三十五ページにはこれの業務勘定の歳出をそれぞれ記載しておりますが、ただいま申し上げたことが中心でございますので、御説明を略させていただきます。  それから三十七ページの船員保険特別会計の経費の内訳を記載しておきましたが、これにおきましては、被保険者数は備考欄のごとく、最近の傾向を見込み、標準報酬につきましても最近の傾向を見込んで積算する。それから保険料率につきましては、これも現在継続審議をお願いいたしております料率の引き上げを織り込みまして、所要保険料を計上いたしたのであります。  それから三十九ページの歳出でございますが、これも保険給付費は、それぞれ現在の、今日までの傾向を織り込みまして計算いたしたのであります。  それから四十ページの国立病院特別会計でございますが、それは先ほど説明申し上げた通り、料金収入につきましては、若干の、一件当りの増を見込みまして一億九千三百十五万の増を見込んでおります。  それから歳出でございますが、四十ページの裏をごらん願います。おもな点だけを申し上げたいと思いますが、国立病院の十三番目からでありますが、高血圧の治療センターに必要な経費、これで三ヵ所新設する。それからガンの治療センター、これを三ヵ所新設する。それから特殊小児疾患治療センターを二ヵ所、それから心臓病の治療センターを二ヵ所作りまして、国立病院の特色を発揮して、大方の要望にこたえたい、こう考えております。なお、十七番と十八番にリウマチ治療センター、アレルギー治療センターをそれぞれ一ヵ所新設をしまして、これも諸般の要望にこたえたいということで新設する経費を計上いたした次第であります。それから、なお、先ほど二十三という事項に、国立病院僻地診療所に必要な経費ということで四十万六千円を計上いたしております。これは僻地医療のところで、一般会計の御説明の際にも申し上げましたが、国立病院が試みにやる三ヵ月分の運営費を計上いたしたのであります。  以上が国立病院特別会計の御説明概要であります。  それからその裏をめくっていただきまして、四十三ページのあへん特別会計の、これは買入売払勘定でありますが、合計四十トン、国内産は三トン、輸入が三十七トンということで、単価等は動かしておりません。それによって特別会計の経費を積算いたしたのであります。  非常にざっぱくで恐縮でございますが、以上が厚生省所管の三十二年度予算概要の御説明でございます。
  84. 千葉信

    委員長千葉信君) それではただいまの説明に対して、順次御質疑を願います。
  85. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、これは詳細はいずれ追ってお尋ねしたいと思うのですが、資料をお願いかたがた伺っておきたいのは、十六ページに消費生活協同組合貸付金が計上されております。これはどういうのですか。
  86. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) これは消費生活協同組合の運転資金の貸付金であります。
  87. 高野一夫

    ○高野一夫君 生協の問題は、これは厚生省が監督して指導しておるものだと思うんですが、厚生省は現在の全国の職域あるいは地域の生協が、どういう実態にあるかということをお調べになっておるかどうか、そういう運営費の貸し付けをしなければならないような生協だとお考えになっておるんですか。われわれの調査では、ほとんど全くデパート然として、しかも税の対象にもならず、不当な利益を得ておるようなやり方をしておる。これは工場の購買であれ、生協、至るところそうです。米子を初め、私は見て回っております。これは私は生協というものは大事なものだから、正しい姿で育成しなければならぬと思うけれども、現在の生協のやり方というものは、私はこの法律の精神とは全然相反しておるやり方をやっていると思う。そういう点について厚生省はどういう調査をされたか、一応それを概略を伺っておきたい。それによって、あと資料を請求します。
  88. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 消費組合の貸付金は、ただいまちょっと運転資金ということでございましたけれども、間違いでございまして、施設の分でございます。これは国の方から二千万円出しまして、そうして府県の方で同額を持ちまして、そうして地域なりあるいは職域の組合の施設につきまして金を出す、こういった工合でございます。それでお話のように、消費組合というのは、実態は私どもつかんでおりますが、いろいろ千差万別でございます。たとえば地域の生協で申しますというと、兵庫県の灘の生協のごときは、これは非常に大きなものでございます。それからまた非常に小さいものもございます。職域の方は割合に安定をいたした経営をいたしておりますが、その業態、経営内容も千差万別だといってよいのじゃないかと思います。それで今お話の点は、主として中小の商業者、小売業者との摩擦の問題ではないかというふうに考えておるのでありますが、これはまあ最近中小企業の振興の審議会等におきましてもそういう点に問題が起っておりまして、員外利用、つまり組合員でない者がその消費生活協同組合の店舗を利用いたしますことを取り締るということで、現在そういうような方針でやっておる次第でございます。
  89. 高野一夫

    ○高野一夫君 きょうは予算説明ですから、私はこの問題に深く触れない。他日深く触れてみたいと思うんですが、員外利用を禁止するということが、現在事実において行われておるかどうか、どういう方法でもって員外利用を禁止することができるかできないか。絶対にできていない。やろうといっても、現在のやり方では絶対にできません。そういう点について数年来小売業者に不当なる圧迫を加えるような営業政策をやって、税金を逃れて、そうして不当な利益をかせいでおる。あなたは千差万別だとおっしゃったけれども、いかにも千差万別で、取るに足らぬような小さい生協もある。ある地域には、米子、大牟田、あるいは八幡あたりには、その地域そのものが、地域生協そのものが非常な利益をかせいで、それでどんどん増築をする。だれだって買える。私ども行ってすぐ買える。だれだって買える。そうして、ただ員外利用をしてはいかぬという札がかかっているにすぎない。こういう点について、私はこれは貸付金もけっこうかもしれませんけれども、私は十分に一つ厚生省は調査していただきたい。そうしてこれに対してどういうようなふうにすれば正しい姿で生協がいけるかということについて、至急に対策を考えていただきたい。これは委員会を改めて、次の別な委員会でお尋ねします。あるいは予算委員会なんかでお尋ねするかもしれない。そこで私は資料として要求いたしますが、全国の主要なる生協の実態、どこどこにどういう生協があるか、そうしてどれくらいの組合員を持っておるか、こういうような点、全国における大きい、まあ群小なものは要らぬですけれども、大きい生協の実態について資料を提出していただきたい。その資料に基いて、あらためてこの問題については論議をしたいと思います。その資料はできましようか。
  90. 安田巖

    政府委員(安田巖君) さっそく帰って調べまして御期待に沿うようなものを出したいと思っております。
  91. 高野一夫

    ○高野一夫君 十二ページに僻地診療所の運営費が七百七十万ですか、ことしは計上されているわけです。これはまあ前ページにある僻地診療所の建設費によって建設された診療所に対してのみこの運営費の補助をされるのであるか。たとえば奄美大島が復帰いたしまして、奄美大島の復興予算というものがある。その復興予算の中から診療所ができている。これに対しての運営費の補助というものは、この僻地診療所の運営費の中から補助ができるのであるかどうか、これを伺っておきたい。
  92. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) それは今のところはこの七百七十万の金は、今おっしゃったのは含めておりませんが、こしらえて補助金を出して作るという、その指定された診療所の運営費のものだけを積算して計上しております。
  93. 高野一夫

    ○高野一夫君 奄美大島の復興予算であっても、やはり国から出た金、この運営費もやはり国から出る金、そこでこの僻地診療所の建設費からできた診療所に対してだけでなくして、別のそういうような特殊な復興予算がある、その予算の中からせっかく診療所を作ってくれたのだから、その診療所の運営ができないというのならば、この僻地診療所の運営費の中から多少の補助をするということは、これは当然のことではないかと思うが、なぜそれがいかぬのですか。これは金の使い方ですから、私はちょっと伺っておきたい。
  94. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 今回の予算に計上せられましたのは、今回の予算建設費の補助を与えたその僻地診療所の赤字に対する運営費の補助でございます。従いましてこれ以外の他の既設の僻地診療所に補助を与えると、今回実施をいたしますところの僻地診療所の運営費の赤が埋まらないということになるのであります。従いましてまことに残念なことでございまするが、来年度予算は、今回のこの予算で表われております診療所の赤字補助のみをお願いする、こういうことにしてあるのでございます。
  95. 高野一夫

    ○高野一夫君 これは説明として伺っておきます。いずれこの問題については、他日の委員会でさらに繰り返してお尋ねしたいと思います。
  96. 木下友敬

    ○木下友敬君 結核の病床を一千床増すのは、現在空室が方々に見られるけれども、それは地域的であるから、新たに一千床増すということでございますから、私は資料をお願いしたいのは、地域的に空床のある状況がわかるような資料と、なおかつその部屋があくというのは、たとえば結核の外科的治療をしているところは空床がないけれども、外科的治療をしておらぬところは空床があるのだというようなこともあるかもわからない。そういうことがわかる資料を一つ作っていただきたいということと、それともう一つ、これも資料に関係しますが、四十一ページの十三、十四、十五、十六というようなところで、高血圧、あるいはガン、小児麻痺とか、心臓病のセンターがございますが、こういうものはどこにあって、どういう成績を上げているか、どういう仕事をしているかというような資料を与えてもらいたいということ。それからこれは質問でございますが、この厚生省の予算のどこを見てみてもガンの研究というようなものについてのことを一つももくろんでいないようでございますが、今結核というものが大体目鼻のついた今日では、心臓病とか、ガンとか——特にガンは世界中が、これが研究を一生懸命やっている。この研究というものを国立のような大きな基盤の上にもくろんでいないというのは、大きな欠陥のようですが、これについて厚生大臣はどういう考えを持っておりますか。お尋ねしておきます。
  97. 千葉信

    委員長千葉信君) 資料について小澤医務局長資料要求はいかがですか。
  98. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 医務関係の資料は後ほど提出いたしたいと思います。
  99. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 結核病棟の空床があちこちにある、あるいは非常にまた待機患者の多いところがあるということについての資料について提出を命ぜられましたが、後ほど資料を整えてお出しいたしたいと思います。  ガンの研究につきましては、御指摘の通り、世界各国でガンの研究をどんどん進めているわけでございますが、今回の予算の中で、ガンの研究という項目がはっきりは出ておりませんが、これは金額がごくわずかでございますが、十二ページの科学試験研究費、これは過去数年間継続で、ガンの疫学的研究、あるいはガンの診断方法、あるいは治療方法の基準というようなことに関する研究費を、わずかずつではございますが、学者に集まっていただいて委員会を作っていただいて、その研究を続けていただいているわけでございます。金額はわずかでございますが、研究費としてはそういうふうなことでございます。  それからもう一つ、これは別のことで、三十二年度予算には計上いたしてございませんが、御承知のように、民間に財団法人のガン研究会、ガン研究所というものがございますが、ガン研究所が戦災で非常にこわれましたのに対しまして、二十八年から三ヵ年計画で、ガン研究所の再建に対して、厚生省が補助金を——これは建設費でございますが、補助金を出して、ガンの研究を進める、その施設の整備ということをいたしておりますのが、三十二年度予算にはそういうものは計上いたしてございません。
  100. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の問題につきましてはまたあとでよくくわしくお尋ねすることにしますから、きょうはこの資料だけでお願いしておきます。
  101. 山本經勝

    ○山本經勝君 先ほどの高野委員の御質問に関連するのですが、これは生活協同組合は御承知のように、もともと低額所得者や、あるいはいわゆる勤労者が安い給与生活を実質的にカバーするために作ったいわゆる組合、そういう関係から、いわゆる厚生省で援護され、また法的な措置も講じておる、こういうことだと思うのです。そこで先ほどの高野委員のお話を反駮する意味ではございませんが、不当な利益をあげているという意味になると、これは大へん問題だと思います。そこで私ども直接これについてだいぶ意見も伺っているし、後ほど十分検討はいたすとしましても、ただいま求められた資料で、私の方の追加をお願いとておきたい。  それは一般——その当該地方における一般の小売商店における物価と、それからこの種消費生活組合等が取り扱っている商品の販売価格の相違、あるいは大きな各事業所にありますいわゆる購買会なぞの販売価格、こういうものを対比した大体の表を提出願いたい。これはいずれ、たとえば神戸、あるいは大阪、あるいはまた福岡、東京といったような場所を指定して資料をまとめられるでありましょうから、そこの一般的に取り扱っている物価の状況等を対比してみないとよくわからないのです。  それからもう一つの問題は、この私の方の最近聞くところによりますというと、政府でも中小企業を擁護する、援護する立法措置を用意されている。また業界からもそれらの法案の提出が用意されている。こういう状況のもとで、最近も全国各地に公聴会がなされている。ところがこの中小企業の援護をする、あるいは零細商工業の援護をするという立法措置についても、直ちに消費者の側からは相当批判的な意見も出ておるように承わっておる。ですからそれらの点も十分取り入れて考える必要があろうと思う。そういう意味で、今申しましたように、調査をなさる消費生活協同組合、あるいは購買会等の所在地にある一般商工業者あるいはまた商店等における販売価格の対比を是非とも一つまとまった表にして御提出を願いたいということをお願いしておきたいと思います。
  102. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 今の御注文でございますけれども、何しろ何千という数でございますので、各組合につきまして一つ一つこの商品は幾ら、それと同時に各組合とその地域におけるところの差を書いて出すということはなかなか実は困難だと思います。
  103. 山本經勝

    ○山本經勝君 それでは先ほど高野委員の御注文は、全般的にこの消費生活協同組合がどういうところに作られてどういうふうな運営をやっているかということを全国的に求められたのです。私の方では主要な点で、たとえば今何かの例も出たのでありますが、福岡においては大牟田あるいは八幡あるいは筑豊炭田一帯にございます、かなり有力な規模をもっていることは事事であります。ですからそういう点についてはその地方で小売商店が販売している物価との比較ができるのだと思うのです、大体において。その地方を限定すれば。そういう資料なら提出願えますかね。
  104. 高野一夫

    ○高野一夫君 関連して……。これは一つ私は山本さんの資料を私もほしいのですが、そこで山本さんに御相談かたがた厚生省に頼みたいと思うのですが、たとえば米子、大牟田、久留米、八幡、そういうところ、それから釜石、そういうようなところは主要なる生協が非常に活発に動いているところでありまして、従ってそういうところは比較的日本商工会議所においても、あるいは地方の商工会議所においても相当の資料があるはずだと思うのです。そういうふうなところで地域を限定したいのですが、何ヵ所……。
  105. 千葉信

    委員長千葉信君) 今の地域指定の問題は二人で御異議がなければお出し願うことにしたいと思うのですが、いかがですか。今山本君が言われたような地域を限定して、先ほどの価格の相違等の点についてはその地域を限定してお出し願うことにしてこの点はけりをつけたいと思うのですが、いかがですか。
  106. 山本經勝

    ○山本經勝君 たとえば福岡の場合に、これは特に例に引かれましたので、私地元だし申し上げておきたいのは、筑豊にもございます。これは私どもの直接関係のあるものも実はあるわけです。そこらの状態も総合的に見ていただかないとわからないと思うのです。ですから、筑豊は一つ場所の中に入れておいていただきたい。その中で選べば飯塚あたりでしょうが、その点は資料等の関係もありますから、当局の方でしかるべくお願いをしたい。
  107. 千葉信

    委員長千葉信君) 安田社会局長、今山本、高野両君から御発言がありました点を十分御考慮に入れて、今急に広範の調査ということはなかなか困難と思いますが、できるだけ一つ努力をして取り急いで出していただきたい。お願いします。
  108. 安田巖

    政府委員(安田巖君) もう一ぺん確かめておきたいのですが、高野委員のお話は、全国の生協の実体のわかる資料ということでございますので、これは比較的まとまったものがあるかと思いますが、調べてみたいと思います。それから山本委員のお話は、これは今のお話でございますと、大体米子と久留米と八幡と釜石、それに飯塚、大牟田でございますかを入れまして、それでそこにありますところの協同組合のこれは主として売っております品物の値段を比較するということでございますか。
  109. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうですね。そういうことになりますね。
  110. 安田巖

    政府委員(安田巖君) そういうことですね。
  111. 山本經勝

    ○山本經勝君 それで今の点ですね、購買会というお話ですが、購買会と生活協同組合とは全く性格が違うのですから、この点も一つご了解願う方が便宜だろうと思いますからたとえば八幡において八幡製鉄の購買会が持っている商店というものは、これはデパートのごときもの、日用品のすべてを扱っております広範なものです。これと生協とが間違われては困りますから。それだけではありません。これは、九州には大きな事業場がたくさんありますから、それの購買会とかいろいろなものもやはり一応参考資料に大体品目が共通になって参ると思いますから、御調査をお願いしたい。
  112. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 今の購買会の方は私どもの所管ではございませんが、これは御承知のように工場なり、あるいは会社事業場の方でまた補助をしたりいろいろなことをしているわけであります。その方ではなくて、今問題になっておりますところの生活協同組合の取り扱っておるおもな品物の値段と、それからその地域における一般の物価との比較を調べてみていかがでしょうか。
  113. 山本經勝

    ○山本經勝君 それはごもっともな一つのお話ではあると思うのですが、とにかく購買会は厚生省の所管でないことは申し上げるまでもない。またこのような一般商店の商品に対する問題も厚生省の所管ではない。ですからその物の公平……先ほど非常に私は過激に聞えたけれども、悪い意味じゃないのですからご了解願いたい。不当な利益を上げているというお話ですが、そういう事実は私はないと思うのです。そういう価格の比較は必要だと思うのです。ですからそういう意味でこの資料は、私は案外購買会は楽にとれると思う。おそらく所属の会社に要請されれば提出をいたすと思う。ですからそういうものも一つ引き合いにやはり対象していただくようにお願いしたい、こういう意味でございます。
  114. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 承わりましたが、ただこれはどうせ地方長官の方にお願いして調べるよりほか方法がございませんので、多少一つ時間的な御猶予を願いたいと思います。  それから今の市価と、それから生活協同組合の取り扱っているものの値段のお調べでございますが、これは山本委員のお考えと高野委員のお考えとでは、出てきた調査について全然別のことも出てくるのではないかと考えるのでございますが、実は生活協同組合はいわゆる市価主義というのをとりまして、一般の市価と同じような値段で売るといういき方と、それから多少割引をして売るものと二つあるわけでございます。おそらく生活協同組合の方の値段が低いということになりますと、また高野先生の方から言えば、これはけしからぬということになるのでしょうが、山本先生の方から言えば、そういうふうに消費者の方に利益を持っているという資料になるだろうと思います。利益は決してそれは不当な利益を上げているというのではなくて、やはり出ました利益をこれは組合員に割り戻しをいたすのでございますから、そういう点は多少事情が違うように思います。
  115. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は購買会の問題でもそれに関連して取り上げて、調査のできやすいところは早くお調べを願いたいのですが、これを広範な資料にしますと、もっと大きい鉄道物資部というのがある、その購買物、これは膨大なものです。この方も調べなければほんとうの材料にならぬわけなのです。これは他日あらため別な方面に頼む、こういうことにして、主として私の方は生協の問題でとりあえず厚生省の所管でありますから、お願いしたい。
  116. 千葉信

    委員長千葉信君) では安田局長も十分御理解のようですから、両君の希望に沿うようなことにして、資料要求であまり時間をとるのも何ですから……。  次に御質疑がありますか。
  117. 片岡文重

    ○片岡文重君 詳細な点については一応さらに検討さしていただいてから御質問いたしますが、これは二十四ぺ一ジ、これに国立施設の新設で新たに一億二千四百万円からり経費が計上されております。この中の精神薄弱児の収容施設ですが、これはどこへ建設されるか。それから収容させるものはどういう程度の精薄児でありますか。たとえばろう精薄児とか、あるいは盲精薄児とかいう不自由児の収容も考えておられるのか、そういう点について。  それからこのろうあ者の更生指導所の新設個所はどこなのか、この口腔衛生部の新設という設置についても、これはどこへ設けられる予定なのか。それからこの運営費三ヵ月というのはこの三十二年度に新たに工事に着手して、事業開始後の運営費が、この場合ですと三十二年の十二月末までかかるからという意味なのか、その点についてもう少し詳しく教えてほしい。
  118. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国立精神薄弱児収容施設の設置場所は、東京ないし東京に最も近いところというふうに考えております。  それから収容する精神薄弱児は今お話のようにどちらかといえば重度の精神薄弱児ないし盲でありますとかあるいはろうあでありますとか、そういうまあハンディキャップをかねてる精神薄弱児、そういうものを対象にいたしたいと考えております。  それから運営費三ヵ月だけ計上いたしておりますのは、今お話のありました通りでございまして、なるべく早く設立を完了いたしまして、少しでも早くこういった不幸な児童を収容いたしたいと思いますけれども、いろいろ準備の手間等もございますので、こういうふうにいたした次第でございます。
  119. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 国立ろうあ者更生指導所の設置につきましては、これは土地の購入ということについての費用は見ておりませんので、実は国有地を市内に求めております。
  120. 片岡文重

    ○片岡文重君 都内という意味ですね。
  121. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 都内に、全国的ないわばセンターになりますので、ぜひ一つ都内にいたしたいと、せっかく今探しております。  それから経営費はやはり先ほどの児童局関係の精薄児の施設と同じよう長三ヵ月分でございますから、明年の一月から三月までの分で、できるだけそれまでに何とか店開きをいたしたいと考えております。
  122. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今のろうあに関連して、兵庫県の人が非常に熱心なようなんのでありますが、兵庫県にどういう関係があるか。
  123. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 兵庫県と申しますか、関西に全日本のろうあ連盟というのがございまして、これは大阪の市立のもとのろうあ学校の教頭をしておった人が理事長になっておりますので、おそらく兵庫というのはそういった関西……。
  124. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 兵庫県に設置するというわけではない。
  125. 安田巖

    政府委員(安田巖君) いや、そういうことではございません。
  126. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これの分所か何かというものを建てるということじゃない。
  127. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 今のところそういうことはございませんです。
  128. 片岡文重

    ○片岡文重君 この精薄児収容施設に関連してお伺いしたいのは、現在の法規によりますとすでに収容されておる——まあ国立のものは今までなかったのですが、そのほかにおいて公立その他で収容されておっても、十八才ですか、二十才になりますと、すでに収容の期限が切れて退所しなければならぬという。しかし家庭的に非常に恵まれないこれらの不幸な子供たちが自立することはできないですから、これで出されてしまって行き場所もないし、引き取った家族も非常に困る。その子供のおるために働きにも出られないという状態になって非常に困難しておるということも聞いておりますが、それらに対する対策として何か三十二年度以降お考えになっておられますか。
  129. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ここにあがっております国立の精神薄弱児の収容施設におきましては、これは特例といたしまして、十八才をオーバーいたした者、すなわち児童でなくなった者につきましても、まあ社会生活に適応できるまでは収容いたしたい、そういう方針にいたしております。  それから一般の問題につきましては、これはお話の点につきましては、私どもも常々頭を痛めておる次第でございますけれども、やはり法律なり制度なりの建前もございますので、児童福祉施設で、ずっとあとあとまでごめんどうをみるということも、これもいたしかねますので、こちらはやはり一般のおとなの方の、そういった収容施設を拡充をしていく、そういうことで解決の道をたぐっていきたい、かように考えております。
  130. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣おられるようですから、ちょうどいい折ですから伺っておきたいんですが、今のような場合、これは法律や規則があってできないということなんですが、問題は経費だろうと思うんです。金があれば、結局その法律なんというものは直せばいいんですから。しかしこの経費の点は、しからばそう多額に要するのかといえば、これはそう驚くほどに——大体どの程度になるかわかりませんけれども、少くとも数百億なんという金ではなかろうと思う。せいぜい二、三億もあればとりあえずの——おそらく私はそんなにも要らんと思うんですが、少とも二、三億あればとりあえずこの危険な状態は脱せられると思うので、そういう方向に一つ努力をしていただきたいと思うのですが、大臣はどうでしょう。
  131. 中垣國男

    政府委員(中垣國男君) 片岡さんのお尋ねに対しましてお答えいたします。実はこの問題につきまして、省内での固まった意見をお答えできないのはまことに残念です。私個人の考え方では非常にごもっともだと思いますので、省に持ち帰りまして一応その問題を大臣を加えて検討させていただきたい、努力をしたいと思います。
  132. 片岡文重

    ○片岡文重君 ではもう一つ伺いますが、最近——最近ばかりじゃありませんが、新聞や雑誌に売薬の広告というのが非常に派手に出ております。特に強壮剤とか回復剤とか保健剤とかいうものは、お医者さんに聞いてみると、ほとんどお医者さんは名前すら覚えていられないというほどにたくさん出ております。しかもこれらの薬が、その新聞広告通りにきくのかということになると、昔から、薬能書ほどきかずというたとえがある通り、ひどいのに至っては、効能がないだけならまだしものこと、有害ですらあり得る。しかもこれが堂々と白昼販売されて、しかも広告費がたくさん使われておるものほど有名に販売されております。こういうことはやはり厚生省あたりで、もっとその薬の内容を厳重に検査されるなり、あるいは効果を厚生省の責任において、何か国民に知らしめるなり、適当な方法をとるべきだと思うんだが、今、一体厚生省ではこの売薬についてどういう、そういう面における措置をとっておられるか、ちょっと伺いたいと思う。
  133. 中垣國男

    政府委員(中垣國男君) 片岡さんにお答えいたします。現在でも実は薬事法で過度の広吉ですね、たとえば全く虚偽であるとか、そういったことにつきましては、その取締りができるんです。ところが単にその内容を紹介するのに、真実を広告する場合、それがあまりにも新聞のスペースを取り過ぎるとか、あるいはテレビ等で、あまりにも回数激しくやり過ぎるとか、そういう問題につきましては、現在のところ厚生省としては製薬会社等と努めて話と合いをしましてですね、まあ強制的なんじゃないんでありますが、指導をしていっている、まあそういう形でやっているわけであります。ただいまのところ法律の範囲ではそういうことのようであります。まだ専門家じゃありませんから、局長から御答弁いたさせます。
  134. 森本潔

    政府委員(森本潔君) ただいま政務次官からお答えがございました通りでございます。現在の薬事法におきましては取締りの線といたしまして虚偽誇大なものはいかね、これが線であります。従いましてまあ売薬というお話がありましたが、法律上は売薬というのじゃなくて医薬品一般でございます。それは大体製造します際に成分、それから分量、効能につきまして一々審査をいたします。それによって許可をいたします。従いましてその成分、分量、効能、これについて虚偽、誇大がありますならばこれは取り締らなければいかぬ。それで一般に虚偽、誇大じゃないかという印象を与えやすいという点が一つあると思います。この点につきましては十分実は注意をいたしております。おりますが、なかなかそれが虚偽か誇大かという判定、これは非常にむずかしい点でございまして、いろいろまあ現在出ておりますのをつめて参りますと、虚偽の線にはならない、それは表現は少しあれかもしれないが真実であるということでありますと、これは押えることはできないのであります。そういう限界のものが若干ございまして、実は取締りの点に苦労している点がございます。しかしかりそめにもそういう印象を与えるものがございますれば極力やって参りたい、これは内容の点でございます。それからいまもう一つの点につきまして、回数が多いとか、あるいは一回の量が大きいとか、この問題が一つあろうと思います。この点につきましてはこれはただいまの虚偽、誇大の線を逸脱せぬ限りは保健衛生上これは取り締る必要がない。取り締るということはこれは根拠はないことになっております。それから広告をするから医薬品の代が高くなるんじゃないかという点でございますが、これもいろいろ検討いたしますと、一がいにそういうことも言えぬという事情もあり得ることでございまして、なおもう少し検討いたさなければいかぬのでありますが、なかなかこれは広告費があるがゆえに薬価が高いという結論は出ない。むしろ逆のことになるかもしれぬというような感じを持っております。まあただいま申しました内容の点につきましては虚偽、誇大を押える。それから回数と量等につきましては法律では押えられないと、ただ先年でございましたか、まあ回数、量について何か一つ規制はできぬものだろうか……まあ法律上はこれはできませんので、業者と話し合いをいたしまして一回の量の大きさ、それからあるいは回数等につきましてもある程度の自発的に自粛線を出しておりまして、それによって指導いたしております。一応以上のようでございます。
  135. 片岡文重

    ○片岡文重君 量とか回数もおっしゃる通り注意していただくのもけっこうですが、問題はこれは国民保健衛生といいますか、国民の——深く考えていけば体質にまで影響してくるような薬が売られていると思うんですね。特に保健剤などといっているもの、強壮剤というようなもの、疲労回復剤というようなたぐいのものは非常に刺激をする。一時的に効果が出て、あとはもう習慣性になるようなもの、そういうようなものがきわめて巧妙な宣伝で広く販売されておる。こういう薬品に対しては厚生省あたりではもっとやはり試験研究所で検定をされるなり、あるいは会社からの認許を求める——たとえば電気器具なんかはこれは検定を受けている。ああいうようなことも考えられて、長く国民のからだに悪い影響を与えるような薬は、あまり市場に出回らないように、厚生省あたり、もっと僕は注意すべきじゃないかと思うのだが、そういう方面の研究費なんというのは、一体この予算の中にはどこに見込まれておるか。見込まれておるとするならば、どの程度見込まれておるのですか。
  136. 森本潔

    政府委員(森本潔君) ただいまの御質問の要点は、それをしろうとが使用するといろいろ保健上の害を及ぼすおそれが考えられると、それについてどうしておるかということでございます。それでまあ薬の分類はいろいろございますが、今のような観点から申しますと、医者の指示または処方せんがなければ使ってはならぬという薬が一つでございます。これは要指示医薬品と申しておりますが、それともう一つ医者の診断がなくても各自が買ってもいい、この二つに分けてございます。  それで今お話のまあ一例かと思いまますが、保健剤のごときもので、連用しておると副作用を生じたり、あるいは耐性を生ずるとか、弊害を生ずるおそれがあるのじゃないか、それについてどうしておるかということでございますが、まあ今お話のようなものを要指示にするかうかということにつきましては、その前提として連用する——あるいは一回にしてもしろうとが使ったならば害があるという、明確な一つの判断がつかねばならぬわけでございます。一応現在の分け方で私は足るとは思っておるわけでございます。なおそういうものもあれば、これは検討いたしたいと思っておりますが、多分私の感じでは、現在その一々新しい薬を出します場合には、厳密に審査をいたしております。  それから役所で審査をいたすことはもちろん、ことに新しい薬につきましては相当多くの臨床例、もちろん国立衛生試験所においてもやりますし、それから予研でもやります。そのほか各大学から資料を求めまして、まあこれであれば間違いない、副作用はこの程度であるという判定を下しておりますので、まあそれが非常にその程度の判定で間違いがあるとまあ実は考えないわけでございますが、しかしあるいは具体的のものにつきまして真にそういう事例がありますれば、なお再審査をいたしておりますが、一応今の程度の審査方法、それから臨床例、あるいは結果例の調子によりまして、足るのじゃないかと考えております。
  137. 片岡文重

    ○片岡文重君 予算はどういうふうになっておりますか。
  138. 森本潔

    政府委員(森本潔君) 予算としましてはこれは本省におきますところの審査の事務費があります。
  139. 片岡文重

    ○片岡文重君 何か研究所があるのじゃないですか。
  140. 森本潔

    政府委員(森本潔君) 研究所は国立衛生試験所がございます。あそこの予算は全部で約一億あると思いますが、その研究費だけというのは、ちょっと今はっきりいたしかねます。  それから大部分の——この一番その際にいい資料になりますのは、やはり各大学でございますが、この臨床例でございます。これは国ではいたさずに申請者において所要の資料を集めるという方式によっております。
  141. 千葉信

    委員長千葉信君) 本日の本件に対する質疑はこの程度にいたしまして……。    〔勝俣稔君発言の許可を求む〕
  142. 千葉信

    委員長千葉信君) まだあとでやりますから……。    〔勝俣稔君「ちょっと今の」と述ぶ〕
  143. 千葉信

    委員長千葉信君) それじゃ勝俣君。
  144. 勝俣稔

    ○勝俣稔君 生活保護の予算というものは、補助費は毎年これはふえているような調子になっておるのでございますが、生活保護の対象の人が内職なり何やらでかせいだ費用はそれだけ差し引いて渡しておるというように聞いておりますが、一体その額はどのくらいになるのでしょう。  いま一つ伺いたいのは、そういうように差し引かれると、どうも勤労意欲をなくしてしまいはしないか。まあたとえてみれば、四千円、三千円かせいだならば、千円ぐらいは政府の方で取ってもいいが、あとの二千円ぐらいは内職でかせいだという人に渡した方がいいのじゃなかろうか。そうでなくして、今のような調子に全部もし取り上げるということになるならば、これは働いても働かぬでも同じだというような調子になって、惰民を作りはしないか。何かやつぱり順次生活保護の対象がボーダー・ラインの方に上っていくような生活が望ましいと、こういうように思うのですが、現在はどうなさっておりますか。ちょっと伺いたい。
  145. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 大へんごもっともな御質問でございまして、働いてもそれが差し引かれるということになりますというと、勤労意欲に影響することも十分承知いたしております。そこで差し引いたものが幾らになるかという御質問でございますが、これはたとえば三人家族で六千円なら六千円という、その家族の男であるか女であるか、あるいは年令が何才であるかというようなことで経済生活費をきめるわけでございます。三人家族で六千円だとかりにいたしますというと、もし四千円の収入があれば、足りない二千円だけをやるということになります。その二千円の方が生活保護になりますが、その差し引いた額というものは今のところちょっとわからないわけでございます。それから今の差し引くのは少しかわいそうじゃないかというようなお気持もあると思いますけれども、私ども働きますのに必要な経費といたしまして、勤労控除という制度を設けておりまして、大体月に六百円から九百円くらいまでは、それだけのものは働いたためによけいかかったというふうな計算をするわけでございます。もしたとえば三千円働きまして、それでその人の生活の基準というものが五千円だといたしますと、それを差し引かなければその人は八千円の生活を国から保障されたということになります。一方において五千円の生活費が要る人が、これは病人をかかえているとか、あるいは子供ばかりであるとかというので収入が皆無といたしますと、その人は、結局国としては五千円だけの生活を保障しているということになります。経済生活を保障するという建前からいたしますと、この人には八千円、この人には七千円、この人には五千円というような生活を保障することになるものでございますから、そこをやはり無差別平等にやるというところに生活保護法のいいところがあるわけでございます。今のお話の勤労いたしましてかせぎがありました場合に、それをなるべく残すというようなやり方は、やはり必要経費として勤労控除をどういうふうにするかという点に実はあると思いますので、そういう点につきましてはなお十分一つ研究いたしたいと思っております。
  146. 中垣國男

    政府委員(中垣國男君) ただいまの生活保護者に対しますその法律の内容というものが、生活要保護者の生活実態というものを中心に行なって参りますので、やはりそこに収入があれば両経費の差し引いたものを差し上げるということがこの法律の趣旨には合致しておると思います。ただ勝俣先生がおっしゃったように、そういうことをやると勤労意欲がなくなるのじゃないか、その点はもちろんあると思うのです。でありますから、むしろこれは査定をしますときに、必要経費というものをどんなふうにみてやるのか、こういう運用の点に実にむずかしいところがあるのじゃないかと思うのです。もちろんこれは非常に注意して、そういう勤労意欲を低下させないような考え方で取り扱う必要があろうと思います。それからまたこういう人たちを早く要生活保護者からなるべく出すような、そういったようなことが必要なので、それに伴いましては、今度の予算では大へん工夫がされておりまして、たとえば医療費の貸し付けであるとか、いろいろ場合によっては技術を修得するとか、そういう期間中そういう生活費等も別にまた考えられているようでありますから、うまくいくのじゃないかと思います。
  147. 勝俣稔

    ○勝俣稔君 医療費の貸し付けというのは、あれはボーダー・ラインの方じゃないですか。そうじやなかったですか。
  148. 中垣國男

    政府委員(中垣國男君) ただいまお答えしました中の医療費の貸し付けはボーダー・ラインの方であります。
  149. 千葉信

    委員長千葉信君) 本日の本件に対する質疑はこの程度にいたしまして、残余は次回にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。    —————・—————
  151. 千葉信

    委員長千葉信君) 引き続いて派遣委員の報告を議題といたします。昨年十二月二十四日からソ連地区引揚者の実情調査のため委員派遣を行いました。その報告をお願いいたします。
  152. 横山フク

    ○横山フク君 第十一次ソ連地区引揚者の実情調査委員派遣の報告を申し上げます。  第十一次ソ連地区引揚者の実情調査のため、藤田藤太郎委員高良とみ委員及び私が、当委員会の決定により、十二月二十四日から四日間の日程で舞鶴に派遣せられたのでありまするが、その概況を簡単に御報告いたします。  引揚船興安丸はナホトカにおける引揚者乗船等の都合によりまして最初予定いたしておりました二十五日より一日おくれて二十六日午前八時舞鶴に入港いたしました。私どもは午前九時三十分より、舞鶴地方援護局長室において、宇野局長より従前の引き揚げの概況及び今次引揚者の取扱いについて説明を聴取した後、午前十時舞鶴桟橋にて第一次揚陸の引揚者及び遺骨を出迎え、直ちにランチで引揚船興安丸に船長を訪問し御苦労を謝し、次いで船内を回り、上陸準備中の引揚者に対して参議院を代表して慰問を行い、長い間の御労苦を謝し、各位の健康を祝した次第でありまして、次いで援護局長室において今回の引き揚げに際し引揚者受領のため現地に行った日赤代表及び政府代表からナホトカ在留中の状況、引き揚げについての状況等について意見を聴取したのであります。今回の引揚者は千二十五名でありまして、ほかに遺骨二十四柱であります。引揚者の内訳は、夫復員者七百十一名、一般邦人二百二十七名、戦後の渡航者等八十三名、外国籍者が四名となっておりまして、引揚前の居住地点別人員は、ハバロフスク第一分所百三十四名、第二分所二百十三名、第三分所二百五名、第四分所二百七十名、中央病院七十三名、ツエーレンツ四十九名、ほかに抑留漁夫が千島、樺太、タイセット、ハバロフスク八十二名でありまして、大部分はハバロフスクに集結した後帰還となった者であります。これらの引揚者はマリク名簿に掲載されているもの、引揚者九百四十一名、抑留船員四十一名、計九百八十二名、赤十字名簿に掲載されているつもり、引揚者四名、名簿外の者三十九名であります。引揚者中入院を要する者は三十五名でありますが、うち担送を要しますもの二名、護送を要しますもの五名、独歩二十八名であります。政府代表が現地におけるソ連側との引き揚げ等についての質疑応答により、ソ連側の千三十四名の引き揚げ通知が千二十五名に変更された理由については、引揚者の希望により澤太に移送した者——全部樺太居住者——が若干名あった。またマリク名簿による未復員者千三十一名と今次引揚者数との関係については、ただ千二十五名引き継ぐようにとの任務だけであって、他のことはよくわからないとの返答があったとのことでありました。また今回の引き揚げに当り、ソ連側は階級等によって被服等に差別をつけたので、従来からハバロフスクに収容されていた全員がこれを断わったとのことであります。以上名簿との照合及び現地におけるソ連側との問答の結果等から判断し、現地にはまだ相当数の残留者がある模様で、それらの引き揚げについては今後政府及び関係機関を通じ各種の方法をとり引き揚げをなさしめるよう努力すべきであります。援護局においては今回の引揚者はその数が非常に多数でありますので、その出迎え家族の収容に対しては二千六百名の施設を準備し、食堂、浴場等の建築、改善等の努力をなし、また支給被服等についても従来のものを改良するなどの配慮をいたしたとのことであります。引揚者の就職についてもその重要性を痛感して、引揚船中において職業あっせん等を行わしめたとのことで、時期的にみてその家族とともに正月を迎え得るよう、引き揚げ処理を遠距離の者については早めるようの努力をなすとのことでございました。今回の引揚者は元満鉄等の技術者及び幹部級の者と、関東軍関係の本部関係者が多く、その大部分が相当の年配者で、いずれも相当衰弱している状態に見受けられ、かつインテリでありますので、今後の生活方針を定めるには相当の苦しみをなすものと思います。十数年間故国を離れており、今後の生活戦線への復帰にはなみなみならぬ努力が必要であり、就職その他について格段の考慮を払う必要があると認められるのであります。  次いで引揚者休憩所に休憩中の引揚者を訪問して挨拶を行なった後、午後二時三十分より行われた今回の引き揚げの遺骨に対する慰霊祭に参列いたしました。なお参議院議長の弔詞を贈呈し、派遣議員代表がこれを代読いたしました。今回の引き揚げに際しては従来の場合と異なり、前記慰霊祭を行なったため、所要時間を相当使用することとなり、引揚者代表と派遣委員との座談会はこれを開くに至らなかったのでございます。  以上簡単ながら御報告いたします。
  153. 千葉信

    委員長千葉信君) ただいまの報告について御質疑がございましたら、田邊引揚援護局長が出席しておりますので御質疑願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  154. 千葉信

    委員長千葉信君) 速記を始めて。  それでは御質疑がなければこれをもって本日の委員会は散会いたします。    午後四時十二分散会