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政府委員(谷垣專一君)
畜産の
奨励をいたしまして、これを市場に持って参り、これをまた流通部面に回し、
消費をいたしまするこの一環の仕事は、
農林省の設置法に明確に責任を負わされております。枝肉から以降の仕事云々という問題にとど
まりませず、一環した政策を要求せられておるのであります。設置法において明確に期待されておるのでありまして、いろいろと私たちが従来やっておりまする有畜農家の創設事業でありますとか、あるいは中央市場によりますいろいろな売り買いの問題でありますとか、家畜
取引法の問題でありますとか、あるいは
小売業者その他流通段階におられます方々の組合を結成さし、あるいはその諸君に融資をいたしますあっせんとかいうようなことをいろいろ実はやって参ったわけであります。また、国会の方でも、家畜
取引法あるいは有畜農家創設の事業を
法律を通します際に、家畜増殖の前提としては、家畜及び
畜産物の
価格の維持安定ということが第一条件であって、これなくしては、
畜産のこの
法律を通すことは意義が非常に少くなるというような非常に強いおしかりを含めた付帯条件をつけられながら、実は今まで
畜産をやって参ったわけでございます。先ほど御指摘になりましたように、まだ十分な安定策が講ぜられていないことははなはだ残念でございますが、ずいぶんとこれは今後ともに努力をいたしてやって参らなければ相ならぬと思っております。現在やっておりまする問題は、従来増殖の方にある程度
重点を置きましたものが、むしろ
消費流通の面に
重点を置かなければいけないというふうにおしかりを受けながら参っておりますので、そういう方向に
重点を逐次移して参ってきております。昨年家畜
取引法を御承認願ったわけでありまするが、その後、昨年から引き続きまして、現在枝肉の
取引という問題について苦心をいたしております。現在約三億ほどの予算でその
取引が、生産地から
消費地に参ります仲介といたしましての枝肉市場の
取引がやれるように、全国の重立ちました大都市にそれの設置をいたしておるような次第であります。現在のところ、大体、農家の庭先で渡します相場と
消費者に渡ります
小売価格とは、大体倍とは申しませんが、約倍に近い
価格の形成になっております。もちろんこれはそのときの
消費流通あるいは生産の
関係で随時の変化があるのであります。この両三年の状況では
消費が非常に伸びておりまして、子供の家畜まで倒す状況に相なっておりますので、海外からの肉の輸入をある程度入れまして、そうしてせっかく需要面におきまする
消費者に対するこの需要を維持しつつ、また、その間に内地の
畜産の生産を進めて、この需給を大きな変動を少くしながら保っていって拡大していくように、こういうところに実は苦心をいたしておるわけであります。でありますので、このどっちかの一点で一種の
カルテル行為的な
価格の統制が行われまするというと、おそらくこれはずっとおしまいまで、あるいはもとにさかのぼりまして
相当な
価格規制というような形が行われ得るでありましょうし、また、そういう方向に行く可能性があると思います。でありまするから、末端におきまする
消費価格をカルテルいたしますような場合においては、これはよほど十分なる
考え方があって、しかも一貫いたしました産業政策の立場から
考えてのやり方が望ましいと、かように
考えておる次第であります。
なお、先ほど密殺の問題がございました。これは私たちも非常に腐心をいたしておるところでありますが、戦後の混乱の時期から脱却いたしまして、現在は密殺の問題は大家畜におきましてはほとんどないと思っております。ございますのは大体綿羊、ヤギ等の、中家畜のうちでもそういうものがある程度、あるならばあるであろうと推定をいたしております。この問題はむしろ屠殺政策の問題でございまするが、同時に、より重大な点は、経済政策、
価格政策の問題であろうと思います。酒の密造を取り締るのは警察
取締りも同様大切でございましょうが、おそらく
価格問題も大きな問題があるでありましょうが、同様にこの密殺問題はこういう中小の家畜を倒しまする場合に屠殺場まで参りまする距離が非常に離れておる、遠隔であるというようなときに起きてくる場合が、ケースとして非常に多いように思われます。現在綿羊あるいはヤギ等の子供はほとんど
価格はないくらいのものでありまするが、成畜になりましても大体二千円見当のものでございます。ところが、これも屠殺いたしまする許可料と申しますか、検査料と申しますか、大体これは三百円程度かかると思いまするが、まあそういうような問題でありまするとか、屠場に対しまする距離の問題でありますとか、そういうようなところが問題であろうかと思います。そういうところの集荷の設備、あるいはだいぶこれは
厚生省の方の御協力を得ましてゆるやかになっておりますが、自家屠殺の拡大でありまするとか、あるいは綿羊等の集荷をいたしましてそれを大市場に持って参りますまでのいろいろな
販売組織と申しますか、集荷組織と申しますか、そういうところにやはり政策を私どもは向けなければならないと思いまして、ことしの予算等にもそれを要求いたしましたが十分には参りません。しかし、その一部を実現させたいと思って現在指導をいたしております。まあそういうような問題を含んだ実は密殺問題は問題であろうと私たちは
考えておるのであります。
なお、大都市におきまする場合に、現在
相当馬肉も売られておる現状でございます。でありまするが、これは馬肉が売られたといたしましても、馬肉自体に対しまする認識は需要者の方々の中で漸次深まっておられると広まっておると思います。それぞれの経済事情に応じた肉が売られてくることは、これは食生活が広
まりまする場合当然のことかと
考えます。また、家庭の主婦たちのこれに対しまする見方も逐次広がっておると思います。もしもこの問題を徹底的に解明いたそうといたしまするならば、これは
衛生的
見地から申しておるのじゃございませんが、産業的な
見地から申しまするならば、おそらく現在の一枚々々薄くはいでやっておりまするあのやり方が、もう少し外国にありますようなかた
まりとして、肉塊として売るということ、また、肉塊として家庭で
消費されるというような段階に逐次今後進んでいくことと思いまするけれども、そういう形に相なりますれば、これは現在の馬肉あるいは牛肉というものがまぜて売られるような、しかもそれが牛肉というような名前において売られるということは逐次やまると思います。要は馬肉がまずいというのではございませんので、馬もかなり生産されておるわけでございまするから、馬肉は馬肉としてそれにふさわしい
消費が拡大されるように私たちは今後指導していくべきだと
考えます。