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1957-05-14 第26回国会 参議院 建設委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十時二十四分開会   ―――――――――――――   委員異動 五月十三日委員西田信一君、斎藤昇 君、中野文門君及び武藤常介君辞任に つき、その補欠として鈴木万平君、野 本品吉君、成田一郎君及び小滝彬君を 議長において指名した。 本日委員鈴木万平君、野本品吉君及び 成田一郎辞任につき、その補欠とし て西田信一君、斎藤昇君及び中野文門 君を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            中野 文門君            内村 清次君            大河原一次君            坂本  昭君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁財務部長 小林與三次君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選国土調査法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○日本道路公団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○東北開発促進法案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。五月十三日西田信一君、斎藤昇君、中野文門君、武藤常介君が辞任され、補欠として鈴木万平君、野本品吉君、成田一郎君、小滝彬君がそれぞれ指名されました。また本日鈴木万平君、野本品吉君、成田一郎君が辞任され、補欠として西田信一君、斎藤昇君、中野文門君がそれぞれ指名されました。   ―――――――――――――
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) お諮りいたします。委員異動に伴い理事一名が欠員になっておりますので、この際その補欠互選を行いたいと存じます。つきましては、この互選方法成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  それでは私より西田信一君を理由に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、国土調査法の一部を改正する法律案を議題に供します。  御質疑のおありの方は順次御発言をお願い申し上げます。
  6. 田中一

    田中一君 きょうは田中自治庁長官が見えておりますので、最後の質問をしたいと思いますが、現在経済企画庁で実施しておりますところの国土調査法に基く地籍調査によりまして、企画庁から提出されております資料を見ましても、一つの例として、広島古川村の全域にわたる調査の結果、これは実際の数字ではないそうでありますけれども全国平均から割り出したところの固定資産税だそうでありますが、大体においてこの吉川村一村で三万八千四百四十六円の固定資産税の増徴を見なければならぬということになっておるそうであります。前々回の委員会奥野政府委員は、この徴税方法については村単位程度徴税していきたいと、いった方がいいんではないかというような見解を持っておりました。しかし、われわれは税というものは御承知のように当然な義務でありまして、われわれ国会議員としては非課税とせよということは言えない実情であります。しかしながら、隣接町村というものはそれこそ全くくっついておるんです。そこで傾向として見られるなわ延び実態というものを考えた場合に、一村だけでははなはだ不均衡であるという考え方政治的な配慮として持たなければならないものと考えるわけであります。地方税所管大臣であるところの田中さんは、こうした現状全国一斉に行われる場合ならいざ知らず、飛び飛びにこうした問題が起きるために受けるところの農民負担というものに対して、ある時期まで、ある方法をもって、むろんこれは政治的配慮をもってあなたの権限範囲で適当な措置をとっていただきたいように私ども考えておるんです。そこで自治長官としては、この現実を見てどのような措置をとるかという点を伺いたいのであります。
  7. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これは申し上げるまでもなく、この実際の、事実上ある地籍に基いて課税をするということが、申し上げるまでもなくこの税法の精神でございます。そこで原則地籍調査ができて、従来の登録の坪数と変化が生ずるという場合には、その変化のあった調査に基く新しい地籍に基いて課税を行うということが原則となるわけでございます。なるわけでありますが、本来これは市町村税でもあるということになりますので、市町村単位考えていくことが正しいのではなかろうか。市町村の一部について調査完了したと、こういう場合に一部について調査に基く課税をやる、一部は未調査のままで従来の通り課税を行うということは、その同一市町村の中における不均衡ということも生じて参りますから、やはり課税やり方としましては、まあ理屈外理屈となるわけでありますが、市町村単位として、それの完了を持って、そして少くとも市町村に関する限りは全体の調査完了するのを待った上で課税をしていくというふうに持っていくことが妥当ではなかろうかというふうに思うのであります。これは自治庁長官がそういうふうに言明したからできるとかできないとかいう問題ではなくて、言明があろうがなかろうが、変化のあることが明瞭になれば、明瞭になってそれが登録されたら、土地台帳登録された瞬間から徴収する、これが原則法律でございます。しかしながら、従来までのいきさつもありますので、同一市町村のもとにおいてはその全部が完了するまで従来の課税をする、全部が完了するのを待って新しい調査の結果に基いて課税を行うというふうに、これを行政指導という形において、そうすることが望ましいという意味指導を私どもの手によって行うことが妥当ではなかろうかと、こういうふうに思うわけであります。  なお、つけ加えて申し上げますが、それはその市町村は、その市町村土地で隣接しておるので、日本全国隣接しておるわけでありますから、離れ小島以外は全部隣接しておるというわけでありますが、日本全国調査完了を待ってやることにしてはどうかというふうに私は実はいささか考えてみたわけであります。そこで、どれくらいの期間を待てば、大体今の調査やり方からいえば完了するのだろうか、まあ国庫の負担をする補助金もわざわざ改正いたしまして、三分の二に引き上げるという努力もするわけでございますから、早くはなりましょうが、やはり今後十年間くらいはなお必要ではなかろうか、五、六年ではとうていやれるものではないということが大体の見通しのようでございます。これは担当の経企長官に直接に責任を持って調べてもらったわけではないわけでありますが、私の方の役所の観測を聞いてみますと、どうも十年前後はかかりそうだ。そうすると、せっかく国費を投じまして補助金まで引き上げまして努力をなさしめて、一刻も早くという考え方課税をやるわけでございますが、それを十年間そのままに捨て置いてということになりますと、この点がいかがなものか、こういうふうにも考えますので、現在のところの考えとしましては、市町村につきまして、当該市町村全体の調査完了するまでこれを待つようにしたい、こういうふうに一応考えておるわけであります。
  8. 田中一

    田中一君 先ほど私も申し上げたように、むろん登録された実績によって課税されるのは当然であります。当然でありますが、農民生活というものは現状のままの消費生活生産消費を行なっておるのであって、そこに金額の多寡によって考慮するのみでなく、現実においてそうした意味の現金がない場合があるというようなことを考えられておるのでしょうか。今ここで企画庁から示されたところの増徴されるであろうという金額は、これは的確なものではございません。むろんその生産される収入によって、あるいは立地条件によっていろいろ違いがあると思うのです。そこでこうしたものを、たとえば新潟県なら新潟県を一県を対象として現在やるんだというような方法でやるか、さもなければ、現在のように飛び飛びにこれを実施するのは、市町村並びに土地改良区がやっておるのですから、それらが地籍調査をやろうという意欲がなくなるのではないかと思うのです。むろん固定資産税はその市町村に入るでございましょう。市町村がこれを実施するのでありましょうけれども実態というものが、農民はなわ延びを承知しながらやっておる者もあれば、承知しないでやっておる者もあると思う、現在の自分所有地を。そういう場合に、地籍調査そのものは、国土調査そのものはおくれるのではないかという危険を感ずるわけなんです。従って経済企画庁としてはどういう計画全国的なこの調査をしようとするのか。今この点のお話を聞きますと、この前奥野さんが言っておるのと同じように、町村単位でもって新しい税を課していくという見解のようでありますけれども、どういう形でやろうとしておるのか、また現在はどういう方法調査をやっておるのですか。
  9. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 現在の法律におきましては、地籍調査はいわゆる任意調査でございまして、法律には基いておりますけれども町村が実施したいということの申し出がございまして、企画庁の方から補助金を出しますと、その分を実施をいたすわけでございます。地籍調査に熱心な町村におきましては、先日も申し上げましたように、毎年三ないし五万キロ程度のものを実施いたしまして、数年かかりまして一町村をあげておる、こういう形でございまして、各町村間の連係というものがないわけでございます。そこで今回の改正によりまして、それを計画的にやる。計画的と申しましても、国で強制するわけにも参りません。国と都道府県知事とが共同いたしまして、計画的に何町村は今年やる、来年は隣の何町村がやる、こういうような工合にいたしまして、県を通じまして町村ごと計画を立てていただきまして、それを全国計画にまで盛り上げて参りまして、毎年計画的に、従いまして計画が確立されますれば、毎年の予算におきましてもその計画に合うように国の予算も計上する、こういうことにいたしまして、強制する方式ではございませんけれども町村納得をお願いいたしまして、そうして町村自分の約束したる年度が来れば必ず実施する、こういうふうに持って参りたいと考えておるわけでございます。
  10. 田中一

    田中一君 農民はなわ延びになったということがはっきりしても、自分らの収入というものがそれによってふえるものではないのです。従って国がそういう調査を行わした場合に負担が重くなるということがあるわけなんですね、これは。そうしますと、その意欲を失うのではないかという危険が多分にあるのです。私ども三十二年度予算を組む前に、植田君は企画庁としては百億程度調査費を要求して、そうして一気にやってしまいたいというような希望もあったように聞いておりますが、そういう形で行きますならば、これまた早期に解決しまして、大きな区域が一県なら一県単位でもって完成されると思うのです。そうでなく、何ら農民の場合に立ちますとプラスになる面が一つもないのです。しいてプラスになる面といいますと、国が税金というものが取れるというプラス面と、国が自分の、自分というか、国の領土というものの分布がはっきりすることなんです。正しいものがつかめるということにすぎないと思うのです。これは何も日本を、日本という国を、国土を売るわけじゃないのですから、外国に。そういたしますと、そこにおいては相当考慮を払わないと、この事業というものは進まないのではないかという懸念を持つわけなんです。今のように計画的にやるといっても、どういう具体的な計画を持ってお立てになっておるか、まだ私は伺っておりませんけれども、三十二年度はどういう計画でおやりになるつもりなんですか。そうして、予算が幾らあって、その予算をどういう形でもって、今までの申し出通りやっていくかということですね。これは明らかになりますか。
  11. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 昭和三十二年度におきましては、予算書におきまして一億三千万円の補助金負担金を計上願っております。これは今後地籍調査農村地帯、あるいは里山地帯奥地と、こういうふうに縮尺の程度が違いますので、それによって単価の差がございまして、面積につきましては確定するところまではいっておりませんが、ほぼ八百方キロ実施できるものと心得ております。それでこの八百方キロにつきましては、先ほど申し上げましたような全国全国計画、これを全国計画と申しましては、あまりに大げさ過ぎます、と申しますのは、面積におきましてわずか三万五千方キロでございますので、全国計画という言葉を使いませんで、特定計画という言葉を使っておるわけでございますが、この特定計画の線に沿いまして、三十二年度市町村に実施していただく予定にいたしております。
  12. 田中一

    田中一君 日本国土全部を調査した場合にはどのくらい費用がかかります。
  13. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国土が約三十七万方キロございます。その中には奥地山林もございますし、また国有林等地籍調査として実施する必要もない、ただ全体の面積を確定すればいいという地域もございますので、そういう地域を除きますと、十万五百方キロ程度になります。で、そのうちにすでに実施したところもございますし、また土地改良事業確定測量によりまして、その成果を確認することによって地籍調査同一の効果を上げるものもございますので、そういうものを合せますと、四万八千方キロ、そういうものを除きまして、経済企画庁予算をとりまして、計画的に実施いたします面積におきますと、先ほど申しましたように三万五千方キロということに相なるわけでございます。で、この三万五千方キロ対象といたしまして、特定計画を立てるわけでございますが、一方キロ当り単価を二十五万円程度予定いたしますと、この三万五千方キロ実施いたしますために九十数億の事業費が要るわけでございます。それに対しまして国が三分の二の補助をいたしますと、六十数億の補助金が計上にならなければならぬ。現在の一億三千万円の予算に対しまして、これをほんとうにこの通り実施するというためには、相当予算の増額を要するわけでございまして、この点がこの負担率の引き上げにつきまして、大蔵省相当かかって交渉いたしました問題でございます。大蔵省も現在のところは、負担率を三分の二に引き上げた以上は、当然相当申し出があって、予定通りに実行できるものと考えておりまして、この九十億という一つ事業費目安にいたしまして、大蔵省も今後の予算の検討の基準にしてもらえるのではないか、かように考えているわけでございます。
  14. 田中一

    田中一君 自治庁長官に伺いますが、今のような考え方企画庁は持っているわけなんですが、十年ではとてもこれは済まないのですよ。そうすると、一方補助率が上るといいながら、何ら生産されないものに対して地籍調査という事業費用を分担しなればけならぬ、その上に、なわ延びがあるのは、これはもう常識なんです。従って、零細農民が当然負担されるということになるならば、この事業というものはなかなか進まぬということが実情なんです。そうして、四十年、五十年後に初めて全国計画ができる、こういうことを考えますと、見つかったから不当に税金をとられるのだという印象を農民に与えるという点を非常におそれるわけなんです。むしろ経済企画庁といたしましても、生産を伴わない事業であります。まあこれは一種の国勢調査なんです。国勢調査をして、日本国土実態がわかったということですらこれは大きなプラスである上に、その線に引っかかった、その地域に引っかかった農民が金銭的な税を負担しなければならぬということになりますと、これは大きな問題が起きると思うのです。従って、私はそうしてはっきりしたところの地籍というものに対する課税をやめろとは言えません。当然の義務であります。義務でありますが、他の農民との間に、あるいは国民との間に、担税の不均衡ということがはっきりするわけなんでありまして、これは政治家としては、政治の面としては相当考慮しなければならぬと思うのです。あなたの言っているように、十年、五年で終るものならいざ知らず、数十年かかるこういうものに対しては、今長官が言っているような、一村単位でもって徴税していきたいということでは、官僚出身でない田中さんの面からいけば、はなはだあきたらないと思うのです。官僚は、やはり取るものは早く取るのだという考えを持つかもしれないけれども政治的な配慮というものを行わなければ、おそらく県知事にしても民選知事なんでありまして、たとえ国が強要しようとも、まあまあといって、なるべくそういう負担がかかった上に農民に余分に税金がかかるというような事業には協力しない態勢が生れると思うのです。これはもう衆議院の選挙も近いと思いますので、われわれにはいい目安になります。しかし、だからといって徴税をしないでよろしいのだという議論は、私は申されません、当然でありますから。幸い企画庁長官もおられるのですから、一つ自民党の政策としても、あるいは政治的な配慮としてこの問題をどう扱うかということを一つできるなら御相談願って、はっきり答弁していただきたいと思うのです。農民自身は何ら直接的な利益はございません。費用は全部国が持って、そうしてまあこの程度ならよかろうという国民全体の均衡された担税方式を打ち出すのがいい政治なんです。一つその点腹をきめて、田中自治庁長官答弁願います。
  15. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これは地籍調査を行う施行主体市町村であり、ことに村落の一部である改良区である、まま府県でやっているところもあるようでありますが、府県でやっております場合でも、実際の施行をしておりますのは市町村の、または改良区がやっているわけでありますから、どうもそれを単位として考えてみて、不均衡是正方法は、それらの市町村全体が調査完了を待って、新しい調査の結果に基く課税を行う、こういうこと、これはまあだいぶ譲与をしている主張のごとく見えますので、どうもこれ以外に道はないのではないか。私は日本全国調査完了するのを持ってやることで、大へんな不都合はなかろうというふうに一応考えていたのであります。ところがそこはなかなかしろうとの考えというものは悲しいもので、くろうとを呼びまして、どうじゃと話を聞いてみますと、どうもくろうとの言うことに理屈がある、こういうことで私も押し切りかねて、それでは市町村単位完了を待とうじゃないか、こういうようなことで決意をしておるわけであります。しかし今先生のお説を承わってみますと、これはやはり政治的配慮をさらに一段とする必要があるのではなかろうかと、どうも理屈が合うようで合いにくい、合いにくいようで合うようなことであります。そこでこの問題は、そうただいま休憩をして両長官相談をして、政府意見をきめて、党の方針をきめるということは、これは簡単明瞭には参りませんから、一つおまかせを願いまして、何らか御意向に沿うような、理屈以外の理屈に合うような話を一つ考えていく、こういうふうに誠意をもって一つ両庁の間で考えてみることにいたします。何分にもこのままでいきますというと、四十年も五十年もかかりそうな、ただいまの企画庁の御説明によりますと感じがいたしますわけで、そんなに長い間調査をしておいて、課税はそのまま従前の通り放っておく、何のための調査かということも一面において論としては起って来そうな感じがいたします。しかしそのままには放っておけぬ、こう考えますので、何か御高説に沿い得るような、また同時に意欲の減退をしないような、農民の人々の納得なさるような、こういう方法を何か一つ名案として考えていきたい。これは宇田長官と私との間に慎重協議を遂げていきたいと思います。しかしながら、その協議をいたしますについては、やはり大蔵当局意向も一応は聞いてみないというと、結論を出してお答えを申し上げるということにはなるまいと思いますから、一応われわれ両名の間でよく相談、打ち合せを遂げました上で、意見をまとめました上で、一つ大蔵当局とも相談いたしまして、政府納得のする線で、しかも御意向に沿えるような方法を誠実に考えてみたいと思います。
  16. 田中一

    田中一君 奥野さんに伺いますが、これは当然地方交付税はこの並みに増加するわけですね、地方交付金です。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方交付税を計算いたします場合の基準財政収入額の算定に当っては、自治庁が示しております平均価額課税台帳面積を乗じて算定しております。従いまして台帳面積が変れば、自然基準財政収入額は増加すると思います。
  18. 田中一

    田中一君 そういう点において何らか考慮される面がないかと思うのです。結局国勢調査というものは国がするのです。むろん国民は協力いたし出すけれども、これは国が一斉にする場合には、均等の義務を負うわけですからいいのですが、何と言っても、五年間なら五年間を通じて五年間でこれを終るのだというような予算措置が累進的にとられるものなら、これまた五年間で押えて累進的にだんだん減していくという、均衡を保てるという計算が成り立つかもしれない、特別措置でもって。しかし何と言っても数十年でいいか、あるいは百年かかるか、これはわからないわけです。その場合に農民に計算さしてみる場合に、この一村で三万八千円上るとするならば、これは容易なことじゃないですよ、負担というものは……。そこで、今田中長官からそのような配慮をしようという御答弁があったのですから、一応了承はしにくいのですが、あなたの良心を信じて、適当な方法をとられると思うのです。もしとられなければ、これはまことにわれわれにとってはいい目標ができたことになりますので、十分に御配慮を願いたいと思います。私の質問をこれで終ります。
  19. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 田中長官にちょっとお伺いしておきます。今田中長官田中氏に対する答弁は、これから一応一つ考えてみようというような、まあ決意だったと思うのです。いやしくも政府一つ法律案を出されるというのに、これから一つ考えてみようじゃ、ちょっと私どもとしては納得はいかない。やはり法律案をお出しになるときには、単に地籍を明確ならしめるのがこの法律改正の目的か、あるいは明確ならしめた上に立っての固定資産税を増徴するというところにねらいがあるのか、そういう点を一つはっきりとおっしゃっていただかないと、これから考えようじゃ、あまりに矛盾じゃないかというような感じもしますがね。その点はどうでしょうか。
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 政府目標が明確に定まっておらないのに法案を出すということは、責任がないじゃないかというお言葉に対しては、お言葉通りと思います。ところが、政府の態度は大へんはっきりしておるので、地籍調査完了すれば、完了した結果に基いて土地台帳登録を改める。減る場合もありましょうが、ふえる場合が多うございましょう。改まったならば、改まった帳簿に基いて当該年度から税金を取ると、これはもうはっきりしておるのです。何らそこにあやふやな点はございません。そういうふうにはっきりものを割り切りまして、この法案を提出しておるということが事実でございますが、さて委員会の御審議を通じてお話しを承わってみると、どうも何十年もかかりそうな調査である、そうするとその中間においては、まあ経過的な不均衡なんでございますが、相当永年にわたる不均衡が生ずる、これをどの土地から先に調査をするかは政府がきめると、その調査の結果が決定していくことである、早く調査をされたものは幾らにしても負担がふえることになってくる、こういうことになって参りますと、そこの不均衡というものをどうするかというお言葉をちょうだいをしてみるというと、いささかこれは考えてみる必要があるのではないかというふうに、委員会の誠実な人々のためを思う、同氏を思うその熱意のお言葉を承わって考える点があるわけで、そこで私がここに現われて、何かそういう御意向に沿うような、しかもこの政府の提出いたしました当時の方針にあまり違わないような何か便法がなかろうか、こういうことを私は考えてみることは、まじめな考えで、決して無責任な思いつきの考えではないと、こう私は考えますので、ここでそういうことを申し上げたという事情でございます。そういう点はよく御了承願いたいと思います。
  21. 中山福藏

    委員長中山福藏君) その調査の遅速によって課税の不均衡というものは生ずる、これはもうこの法律を作ったらすぐわかります。そういうことは今からお考えになる必要はないと思う。私としては、そのぐらいのことは法律の素案を作るときに一応頭に浮ばなければならぬ。たとえばあなたが十年かかるということをおっしゃるのは、ある部分は調査が済み、ある部分は済まない、そういう場合に、市町村調査が済んだからそこに固定資産税というものを増徴するということになれば、これはいわゆるあなたのおっしゃる不均衡ということも出て参ります。しかし、もしほんとうにこの国土調査というものを生かそうとすれば、同時調査でなければならぬ、全国的に……。これは当然考えられる問題なのです、この法律というものを改正するということになりますれば……。それが少しも考えられていない。今から考えようでは、これは確かに政府は怠慢だと私は思う。それでいいのでしょうかね、そういう調子で……。これはいつ済むかわからぬということでは、法律改正の趣旨は没却されると私は考える。どうですか。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 事柄の性質上、どうも短期間の間に一斉調査を行うということがなかなか経費のかかることでもあり、困難なことではなかろうかということで調査をしておるわけであります。三が五千方キロにいたしましても、なかなかこれを一斉に行うということがむずかしいのではないか。そうすると漸次行なっていくという結果は、委員長仰せのごとき不均衡が予想されるのです。予想されるのでありますが、とにかく理屈は、課税実態が実際の面積に基いて課税をするということば当然であるという一応の理屈の筋は立っておるわけでありますから、政府は結果に基いて順次新しい課税をしていくという考え方でこの立案をしたものであります。ですから、新しい結果に基いて課税をいたしますという答弁だけで、政府答弁としてはそつはないという考え方でございますが、だんだんお話を承わってみると、それではどうも少し考えなければならぬ点が起るのではないか、こういうふうに考えるものでありますから、御審議の過程において私がそういうふうに思い、これからそういう努力をしてみよう、――いい結果か得られるかどうかは全くわからないわけであります。わかるならここでお答え申し上げるわけでありますから。でありますから、無責任のそしりをいただきますこともどうかと思うわけでありまして、理屈はしっかり立っていて、調査の結果に基いてそのつど課税を改めていく、これでもう理屈の出るところはないのであります。
  23. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 田中自治庁長官は非常におりこうな方と、ふだんから私は考えておりますから、ですから、一つそういう点をお考え下さって、法律の精神を議会に提出して死なせないようにしていただかないと困る、改正するならするように、その法律というものが生き生きとして歩かれるような法律を作っていただかないと、雲をつかむような、いつこれが調査せられるようになるかわからないようなことで、しかも課税対象になるところの新地籍というものに対して、全国を同時に徴税をするのか、全国的に。それから調査の済んだところだけやる――というような漫然たる答弁では、私はどうもはなはだ田中自治庁長官に似合わない答弁だと実は考えて申し上げました次第で、どうか一つそういう点を十分御吟味下さるようお願いしたいと思います。
  24. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ちょっと一言。はなはだお手数をかけて申しわけありませんが、これは要するに私が先ほど答弁を最初にいたしましたように、市町村単位としてこれを考えていきます。その当該市町村の必要なる調査の全体が終るならば、これによって新しい登録に基いて課税をする、この方針をとっていく、こういう方針は狂いはないわけであります。狂いはないわけでございますが、何か一つその便法がなかろうか、何か便法がなかろうかということを考えてみまして、一定の期間をどうするこうするということについては、何らか便法がなかろうか、こういうことを考えてみました上で、誠実にこれを考えてみたいということをつけ加えておるわけでありまして、市町村単位調査ができても、まだぐすぐずしてどうなるかわからないということは決してないわけであります。
  25. 村上義一

    ○村上義一君 ただいまいろいろお話を伺いましたが、この改正の表面上の筋は御説明によってよく理解しております。改正点の主要点は、今まで地方自治体もしくは土地改良区等が自発的に申し出て、そうして国がそれに応じて調査をしたという現状改正して、そうして国がまずもって指定する、そうして地方機関に協議して執行するというのが根本の改正の要点のように承知するのであります。この協議という――協議といえば協議ですが、協議がととのわないときにはどういうようになるのですか。
  26. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) これは国の計画を立てるには都道府県、都道府県計画を立てるにつきましては市町村意見を聞くわけでありまして、協議がととのわなければ、市町村はやはりこの今回の特定計画から外しまして、次の段階のときに実施いたすより仕方がないわけであります。しかしながら、費用におきましても、先刻申し上げましたように、そうかかるわけでもございません。できるだけ協議はいたしますけれども、強制する力はないわけでございます。
  27. 村上義一

    ○村上義一君 協議といえばそういうことになると思うのですが、そういう前提で考えますと、先刻来いろいろ不均衡という問題が現われておりましたが、この地籍調査について県は六分の五、調査費負担する。地元の公共機関がまた六分の一を負担するということをやって、そうしてなおその上に大体においてなわ延びがあるということをそんたくされまするがゆえに、課税がふえるという結果に相なるのであります。いずれの地方においても、この政府協議には協力できないという事態が発生するのではないか、これは想像にかたくないのであります。それで、今の田中長官のお話によりましても、筋は当然なことをお話しになっておると思うのです。またそれで法律としては表面上整っておると私は思いますが、しかしながら、事実この法律は実施できないという結果に陥るのじゃないか。今回改正せんとする趣旨は実現できない。現行のように自発的にやるというところ以外は、そういう気持を持っているところ以外は実行できないんじゃないかというふうに私は思うのでありまして、予算の面から数十年を要するということもお話がありましたが、私は国と地方との意志の合致ができないという点から、これはもう大へんな期間を要する問題じゃないかというふうに思うのであります。どうも筋はりっぱに第一段階では整った法案でありまするが、内容を検討してみると、非常に未熟な法律案のように私は解するのであります。この点いかがなものでございますか。
  28. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいままでのところにおきましては、特定計画の範囲内に含まれます市町村におきましては、これをことわって国の計画に応じないという傾向はないと考えております。従来この仕事が伸びません一番の根本理由は、この仕事がきわめてじみな仕事でございまして、先ほど来お話のございますように、直接的な目に見えた利益が出てこないということでございますが、一番大きな理由といたしましては補助率が低いという点でございます。一昨年までは三分の一を市町村が持ち、昨年から二分の一を市町村と県とが持たねばならぬ、こういうところにあったわけでございます。従来からもこれを実施しております。市町村側の要望といたしましては、負担率の引き上げ及び土地登記の関係での各種の繁雑な手続を簡易化してもらう、あるいは土地の場合の相続の登録税の負担がめんどうだから、これを免除してもらいたい、こういう要望面が強かったわけでございまして、その面の解決をはかったわけでございます。もちろんなわ延びがございますから、その面におきましては課税のふえることもございます。また、これによって公正化されるという点をねらう面もあろうかと存じます。また税率は市町村単位できまるわけでございまして、非常になわ延びがございますれば、あるいは税率を下げる面もあろうかと思います。しかしながら税率を下げるという問題は、これは激しくなって参りませんと、ちょっと今そういう問題がございませんので、その税率の問題までこない問題におきましては、先ほど来問題になっておりますところの農耕地を所有される農民負担増という事実はあることは当然でございます。その範囲内におきまして、従来とも固定資産税のふえるということは一つの問題ではございましたが、一番根本的な問題は、国庫負担が低かったということでございます。この問題の解決をはかりますれば三万五千方キロ特定計画の実施はできるものと考えておるわけでございます。
  29. 田中一

    田中一君 まだ質疑するならば質疑はたくさんあるのです。今まで過去において調査をした区域とそれから規模、場所、それをお出し願いたい。来てますか、資料として。
  30. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 資料としてできております。
  31. 田中一

    田中一君 それから本年度に実施をしようという同じような資料、それから明年度、明後年度当初計画性ある調査案を立てなければこれは不可能です。従って一番短かい計画でけっこうです。第一計画なら第一計画というものがあるならばお出し願いたい。それから全国計画があるものならば、全国計画も一緒にお出し願いたい。
  32. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 全国計画につきましては、市町村計画にいたしましても、県の計画にいたしましても、先ほど申し上げました特定計画によってきまるわけであります。特定計画国土総合開発審議会の議を経て決定することにいたしております。
  33. 田中一

    田中一君 三十二年度のやつはわかっておりますか。
  34. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 三十二年度におきましては、八百方キロ目安にいたしまして、各県と折衝を始めておりますが、まだどこを実施するかということは決定いたしておりません。これは特定計画の一部となるわけでございまして、特定計画がきまりまして、そしてその中での年度計画ということに相なってくるわけでございます。
  35. 田中一

    田中一君 そういうことになると、これはもう大きな問題が起きるのです。起してみせますよ、ほんとうに。これはやはり相当決意をもってやらないと不可能になりますよ。負担をした上に余分に税金をとられるということになるでしょう。低くなるということはない。必ず余分に税金をとられるということになるのですから。こういう点はやはり計画を明らかにして、そして納得づくでしなかったらできっこないと思うのです。それじゃこの法律でもって強制はできますか、国がやった場合に。これはむろん都道府県、あるいは土地改良区がやっているのですから、向うからの申し出によって補助金を交付するのですか。それはどういうことになっておりますか。
  36. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この法律によりましては、強制する道はございません。先ほど申しましたように、今後十年間の計画を立てまして、今年度は実施できないが、来年度は実施する、あるいは毎来年度は実施する、こういうふうな計画を立てていただきまして、その自分たちの町村の実施します年度に参りますまでにそういう心がまえをしていただきまして、その年度について、すみやかに地籍調査予算町村としては計上していただき、また県を通じて国に申請していただく、こういう心がまえを作っていただく、こういうつもりで特定計画というものを立てて参りたい、かように考えております。
  37. 田中一

    田中一君 これは今村上さんも質問していましたけれども、これはとうていそういう地籍調査をしようという意欲を地方は持てないことになります。この点について宇田長官はどういう信念をお持ちですか。
  38. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) お説のような、固定資産税をめぐっての調査進行に伴って起る故障は、当然あり得ると私は考えます。従ってそういう点については、何といっても長年月を要するという非常な条件が付帯いたしているだろうと思いますから、自治庁長官とも十分に協議をすることにいたしまして、先ほど来申し上げましたように、その地籍調査そのものの必要はありますが、それと課税の問題との矛盾をどういうふうに解決してゆくか、こういうことでありますから、十分に話し合いをしたいと考えております。
  39. 田中一

    田中一君 今主税局長に来てもらっておりますが、主税局長と自治庁とそれから事業をする方の企画庁と並んでいただいて、それぞれの言質を一つ取っておきたい、速記録に残しておきたいと思いますから、しばらくお待ち願いたいと思います。
  40. 村上義一

    ○村上義一君 この地籍調査をやることについて、地主はどういう立場にあるか、いろいろと想像しているのでありますが、特に地主がやりたいという意欲を持つ点がありますか。あれば一つお話しを願いたい。
  41. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 個々の地主の立場から申しまして、自分土地面積を明確にするということの要望が常に強いとばかりも申すことはできないかと思います。しかしながら、土地台帳による面積、あるいは不動産登記簿の面積が実際と違っている。それをこういう調査をする機会においてはっきりさせるということになるわけでございます。また境界の明確でないところがこの調査によって境界が明確になるわけでございます。またもう一つつけ加えて申しますれば、土地台帳なり不動産登記簿に載っております面積と実際の面積が違うわけでございますので、これを明確にいたしまして、土地台帳なり不動産登記簿に明確に記載するということにいたしますと、その面積の範囲内におきましては土地の所有権が保護されるということになりますから、そういう意味におきまして、地主の個々の立場から申しましても、これにそう反対する理由はなかろうかと考えております。
  42. 西田信一

    西田信一君 一点伺いますが、内閣総理大臣が都道府県協議をしていわゆる特定計画を定める、こういうことになっておりますね。その特定計画はいつまでに定めるのですか。
  43. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 特定計画と申しますのは、先ほど申しましたように各府県計画でなくて、これを全国的にまとめた計画という意味でございますが、これは法律に従いまして、国の負担率を三分の二にいたさなければならぬ関係がございますので、三十二年度の専業を実施するまでに決定いたす予定でございます。従いまして至急に各府県協議し、資料を取り集めまして、先ほども申しましたように、国土総合開発審議会の議を要することになっておりますので、この次に開かれますところの国土総合開発審議会の御意見を承わりたいと思っております。現在の予定といたしましては、六月末か七月初めに国土総合開発審議会にかけたいと存じております。
  44. 西田信一

    西田信一君 そういたしますと、六月末の審議会のころまでに都道府県政府協議を遂げて、そうしていわゆるあなた方が考えておられる三万五千平方キロですかの何年かかるかわからぬ、あなたは十年と言っておられるが、その全体計画を六月までに確立する、このようにお考えになっているのですか。
  45. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 三万五千方キロにつきまして、六月末までに計画を立てるということでございます。
  46. 西田信一

    西田信一君 そうして都道府はその計画が定まりますと、いつまでに都道府県計画を確立するという見通しですか。
  47. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 都道府県と国とが計画を立てるわけでございますから、同時に全体としての県の計画はきまるわけでございます。
  48. 西田信一

    西田信一君 その答弁はちょっと違うと思うのですが、国の計画に基いて都道府県は都道府県計画を定めるということになっておりますね。その計画はいつ定まりますか、こういう質問なんです。
  49. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国と県とが協議いたします場合におきまして、県といたしましても、県だけで引き受けましても実行できないと困るわけでございますので、ある程度町村方面との連絡もいたしておるわけでございます。ある程度町村方面の原案を持ちつつ、国とも交渉するわけでございます。従いまして、国の計画がきまりますれば、今度は県の段階におきまして、審議会の議を経たりいたしましてきめるわけでございますので、国の計画がきまりますれば、県の計画がきまるまでにそう時日は要しないと考えております。
  50. 西田信一

    西田信一君 そういたしますと、あなたの御答弁から逆に推測をしてお伺いいたしまするが、この法律ができないうちに、もうすでに都道府県並びに市町村は、この制定されるであろう法律の精神を体して、すでに計画を進めつつあり、しかも、その計画に基いて、六月の審議会までには全国市町村の意志を取り入れたところの全国計画ができ上る、このように政府側は確信をしておられる、こういうことでございますか。
  51. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国会で御審議されております法律を、それが確実に成立するものといたしまして、私どもが仕事をいたすというわけには参りませんし、そういう不遜な考え方を私ども持っておるわけではございませんけれども、通過いたしますれば、それを円滑に実施いたすだけの準備はいたさなければならぬと思っております。そういう意味での準備は、私ども事務当局も、県の事務当局もいたしておることは事実でございます。
  52. 西田信一

    西田信一君 今の最初の質問で、六月までに全国のいわゆる長期計画ができ上ると、こういう御答弁であった。そういう長期計画というものは、都道府県協議をしてやる、その都道府県は、都道府県単独の考えはいけないから、市町村協議をしたものを持ってくる、従って全国計画ができ上るということは、都道府県計画ができ上ることであり、また市町村計画がその中に取り入れてある、こういう御答弁であったので、私が逆にお尋ねしたわけなんです。そうすると、十カ年計画というものは、先ほどもういろいろ何年かかるかわからぬとか、いろいろ国の予算の関係もありますから、そういう議論も出てきますが、計画の上では、あなたは十カ年なら十カ年計画というものを先ほどから言っておられますがその大体の政府考えに基いて、市町村考えまで取り入れたところの国全体の計画が早々に六月末ころまでには取りまとめができ、また全体計画が成り立つ、こういうふうに確信をしておられるのか、こういうことです。
  53. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この法律案政府内で御決定を願ったときから、こういう法案で準備しておるということは、都道府県にも流しておりますし都道府県でも準備してくれておりますので、現在の段階におきましては、三万五千方キロを十カ年でやる計画は終る大体の見通しはつけております。
  54. 西田信一

    西田信一君 最後に、要するに先ほどから非常にこれは何年かかるかわからないというような議論もありましたし、いろいろありまして、特に市町村が、せっかく国がこういう計画を立てても、市町村の意思によっては何といいますか、この計画に乗ってこないところもあるんじゃないか、こういう心配があって、いろいろな議論が出ておりましたけれども、大体あなた方の見通しとしては、三万五千方キロ面積、これが全国市町村にまたがるところの計画が大体順調に六月ごろまでに、今年度事業を開始するころまでには全体計画が整うと、こういうふうな確信を持っておられると解してよろしいのですね。
  55. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) その点はその通りでございます。それから先ほどの税金の問題につきましても、無用の問題が起らないように注意をしておりますので、そういう点は相当反映されるものと考えております。
  56. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ほかに御質疑ありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。
  59. 田中一

    田中一君 この法律案につきましては、社会党としては、衆議院においても、もはや賛成して参っております。しかし、衆議院の審議の段階においては、ここまでの論議がかわされていないように私どもは承知しておるのです。むろん、社会党といたしましては、党議の決定に基きまして不本意ながら賛成はいたします。いたしますが、不当ではない税金の増徴でありましょうけれども、不均衡であるということは間違いございません。同時にまた、その負担というものは、国民のうちの何万分の一の、あるいは何十万分の一、何百万分の一の特定な農民その他国民がその担税を不当にしなければならぬということは、これは政治的に見て好ましくない現象であろうかと思うのです。宇田長官並びに田中自治庁長官は、この点につきまして、十分に徴税方法については考慮するというような言明が審議の過程にございましたので、その言葉に一応の信頼をいたしまして、社会党としてはこの法案に賛成いたします。しかし、今後に残されております問題としては、この事業がスムースに進むかどうかの問題は今後に課せられた大きな課題であって、この実相がわかるならば、おそらく農民は強い反撃をするであろうということを予想できるわけであります。従って、特定地域をきめる際には、地元の完全な納得というものが必須条件であります。この法律は、その点を強制しておりませんけれども、その点は、行政画において他の方法で報復的な手段をとらないように、農民の理解と納得の上に立つ施行こそ望ましいということを一言つけ加えて、社会党としては賛成するものでございます。
  60. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御発言はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行います。国土調査法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の力は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  62. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 全会一致でございます。よって、本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成、その他の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  それから、例により、賛成された方の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     田中  一  岩沢 忠恭     石井  桂  西田 信一     坂本  昭  中野 文門     稲浦 鹿藏  大河原一次     村上 義一  小山邦太郎     斎藤  昇  内村 清次   ―――――――――――――
  64. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、日本道路公団法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは速記を始めて下さい。
  66. 坂本昭

    ○坂本昭君 第十九条に新しく公団は、「次の業務を行う。」ということの中に、給油所その他の建設及び管理を行うことという二項がつけ加えられていますが、この給油所の建設及び管理を行うことということは、すべての場所について通ずる意味においてこういう法の改正を行われようとするのでございますか、その点を一つお聞きいたしておきたい。
  67. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 高速自動車国道法が通りましたあとでございますが、高速自動車国道を建設いたしますと、これに伴いまして当然給油所、休憩所等が必要になって参るわけでございます。この休憩所、給油所の施設を公団が建設、管理することができるように公団法の一部を改正いたす考えでございますが、これは高速自動車国道に限るものでございます。高速自動車国道は長距離にしかも高速で走る必要がございますので、必要な場所に給油所が必要でございます。高速自動車国道の建設に当りまして、給油所の施設も考えて、用地の手当をし、施設をするということにし、その業務を公団が管理することにする改正でございます。
  68. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、その休憩所というものは旅館は入らないと思いますが、休憩所あるいは給油所を一般的にいかなる所にも設置するということになると、これはずいぶん民業を圧迫するのじゃないかという懸念があるわけですが、その点はいかがですか。
  69. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 給油所を設置する場所でございますが、これは大かたは出入り口に施設することになろうと考えております。たとえば名古屋――神戸間に例をとりますと、これは出入り口が十一カ所ほどございますが、その部分に給油所が施設されることになるだろうと考えております。また休憩所につきましては、これは簡単な食事ができる程度にし、その他洗面所等の施設を備えることになるわけでありますが、その施設は公団が建設いたしますが、その管理する場合につきましては、この十九条の三項でございますが、この三項に掲げます基準、政令で定める基準によってこの管理をいたさなければならないわけでございます。この政令で定める基準につきましては、原則として第三者に経営を委託し、あるいは施設を賃貸するということにしまして、特別の場合、第三者に金がないというような場合に、道路公団がみずから経営するというように考えておるわけでございます。
  70. 坂本昭

    ○坂本昭君 特に高速自動車国道に限って、給油所を一般の民間の建設及び管理にゆだねないという積極的な根拠はどういうところでございますか。
  71. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 高速国道は、長距離高速で自動車が走りますので、これに給油いたしますことは、計画的に距離を考えていたさなければならないわけでございます。たとえて申せば、鉄道における給水所のようなものでございまして、道路と一体として計画をいたさなければならぬものでございます。また、各国の例によりましても、給油所、休憩所等を道路と一体として計画しておりますが、その経営につきましては、これは第三者に委託し、あるいはまた給油所等の施設は賃貸しするという方法をとっておりますので、そういう方法をまねておるわけであります。ただ、一般の経営が期待されない場合、これは名古屋―神戸等においてはそれはないと考えるのでございますが、将来建設されます高速国道の一部につきましては、そういうことも予想される区域がございますので、そういう場合には、公団みずから経営するということにいたしたい考えでございます。
  72. 坂本昭

    ○坂本昭君 神戸と名古屋のような間ではないと思いますが、将来山の中あたりで、不便な所の場合には、公団がそういうサービスをするのは適切であると思いますが、名古屋から出るような場合、十一カ所の出発点のある所に公団の管理する給油所を設ける、別にそこで油を入れなければ通さぬというわけではないと思うのですが、それほどの必要が果してあるかどうかと思うのです。特に法律で規定するということは、一般の給油関係の業者に対して非常な圧力をかけることになりはしないか、その点を一番懸念するものでございます。今の御説明だと、どうもその点、山の中など、これは別ですけれども、出発点の所に一般的に設けられるというような、そういう御趣旨に聞こえましたが、その点もう少し明らかにしていただきとうございます。
  73. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは、名古屋―神戸に例をとりますと、ガソリンを一ぱい積みますと、途中で給油する必要はないのでございますが、途中でガソリンがなくなるというような場合も予想されるわけでございますから、適当な区間に給油所を設けるわけでございます。出入り口と申したのでございますが、これは発地あるいは着地もその中に入るわけでございます。それからまた途中の他の道路との連絡点もこの中に入るわけでございますが、これらの場所に給油所を施設いたしまして、これを第三者に賃貸する、あるいは経営を委託するという考えでございます。この施設の建設は、初めに道路を建設するときに一緒にやった方が効果的でございますので、建設については公団がやり、施設の運用経営につきましては第三者に委託あるいは賃貸する、こういう考えでございます。
  74. 坂本昭

    ○坂本昭君 質疑を打ち切ります。
  75. 斎藤昇

    斎藤昇君 この前の質疑でまだはっきりしない点がありましたから、二、三確かめておきたいと思いますが、こ委託に基づいて事務所等を建築いたしました場合に、まず、事務所等の建設物の登記は、これは道路と一体をなしておるという前提でありますから、どんな形で登記ができるのか、道路の公物の部分と、それから事務所の部分というものが明確に区別して登記ができるかどうかという問題がありましたが、研究の結果はどうなりました。
  76. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 委託に基きまして、公団が建設いたしました事務所などの財産は、これは委託者に帰属いたすわけでございます。道路を構成する物件を利用する部分、これはその財産から除外されることは言うまでもないのでございますが、この登記につきましては、建築等につきましてもそういう例があるのでございまして、委託者に帰属いたします建物だけについて、その所有権を登記することになるわけでございます。建築物等につきましては、下が店舗で上がアパートであるというものがあるのでございますが、店舗はこれは個人の所有であり、アパートの方は公団あるいは地方公共団体の所有であるというものがあるわけでございますので、それらの登記の方にならいまして、この場合におきましても登記を実施いたしたいつもりでございます。
  77. 斎藤昇

    斎藤昇君 そうすると、技術的に具体的に明確に区分ができる、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  78. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) さようでございます。
  79. 斎藤昇

    斎藤昇君 それからこの委託によって作った事務所等の転売を、これはおそらく禁止するわけには行かぬだろうと思います。委託契約に当りまして、そういう条件をつけてもそれは無効であろうと私は思います。その場合に転売をしたその場合、道路占用といいますか、ということも転売を受けたものに当然しなければならぬであろう、占用条件に違反をしない限りはやはり道路占用の許可を与えなければならぬだろう、こう思いますが、その点はいかがですか。
  80. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) お話の通りでございまして、高架の下の占用の許可を受けて建築物等を設けた者がこれを売買するということは、公団が委託を受けて建設した占用物件の場合にも、また、占用の許可だけ受けて占用者が設けるという占用物件についても同様であるのでございます。従いまして、占用物件の売買によって弊害が生ずるかどうかということは一般に生ずる問題であると考えるのであります。占用物件が売買されました場合には、占用物件を取得した者は新たに占用の許可を必要とするのでありますが、道路法上の占用許可は、道路の敷地外に余地がなく、占用の目的、期間、場所、占用物件の構造、占用の公示法等が一定の基準に該当する場合について行うのでありまして、道路の構造なり、道路の交通に支障を及ぼさないように占用させることが判断の基礎になっておるわけでございます。従いまして、占用物件の分割、転売などによって、直ちに弊害が起きるとは言えないわけでございまして、分割して買い取った者の占用の状態いかんが道路管理上に影響を与えるものでありますから、占用物件の売買をなすことの適否は道路の占用の問題ではない、別な問題と考える次第でございます。
  81. 斎藤昇

    斎藤昇君 そういう場合には、村上委員からも指摘されましたように、やはり一種の権利金みたいなものがついてくるおそれがある。土地の占用料が非常に安いというような場合には、そこに相当な権利金がついてくる、こういう場合の占用料も一定年限を限って、経済の状態によって上下し得るような配慮が望ましいのじゃないかと思いますが、それらについてはどういう意見ですか。
  82. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは、公団が実施いたします高架の道路、これの敷地を公団が収得する場場合と取得しない場合とがあるわけであります。取得した場合につきましては、公団が実施することに、この建物の方も合せて実施するわけでありますが、この土地を取得しない場合につきましては、第三者の委託を受けてそういう建築物を作ることもあり得るわけでございます。また占用だけ受けまして、土地を持っているものが建物を作るという場合もあるわけでありますが、そのように具体的には区分して実施するわけでございます。ただ今お話のように、占用の料金につきましては、これは他の物価とスライドさせる方法考えたいと思いますし、また契約の期間などにつきましても、一定の制限を設けたいと考えておるわけでございます。
  83. 斎藤昇

    斎藤昇君 委託に基いて建設をいたしますことは、まあいろいろな問題が建設後起ってくるおそれもあると思うわけですが、従ってこの法案では委託に基いてこういうことができるという権能といいますか、が与えられたということに解して、できるだけこの委託に基いて作らせることを奨励をしていくのだ、こういう方針はあまり望ましくないように思えるわけでございますが、従って土地の買収その他の事情でどうしてもこれは委託を受けてやらなければうまくいかぬという場合にむしろ限定をされて、そして委託に基いてどんどん――むしろ建設費あるいは費用その他の関係から委託に基いてやった方がいいのだという考え方でいかれるよりも、委託は万やむを得ない場合に限るのだという考え方の方がいいようにも考えられますが、当局はどういうお考えでございますか。
  84. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これはお話の通りでございまして、委託に基く業務というものはできるだけしぼりたい考えであるのでございます。積極的に委託して建築するということは考えておりませんので、やむを得ない場合に委託を受ける、そういう方法も設けておかなければならぬということで、この規定を設けたわけでございます。またこの第三項に政令で定める基準に従って前項の業務を行うということになっておりますので、政令を定める際におきましても、委託の問題につきましては十分考慮いたしたいと考えております。
  85. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと私からお尋ねしておきます。倉庫というのはこれは普通の倉庫業にいう倉庫ですか。倉庫業法に掲げてある倉庫なのですか。または単に倉庫の形をしておるという意味ですか。
  86. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 倉庫の形をし、倉庫として使われておるという意味でございます。
  87. 中山福藏

    委員長中山福藏君) そうすると、倉荷証券、預証券、質入証券というのは普通の倉庫並みに取り扱うということになるのですか。そこまで踏み込んでおるのじゃないじゃないのですか。単なる倉庫じゃないかと思うのです。
  88. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) お話の通り、そこまで踏み込んでおるものではございません。公団が倉庫業を営むという意味ではございません。
  89. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御発言者はございませんか。  それでは質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行います。日本道路公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  91. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 全会一致でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成、その他の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから例により、賛成された方は、順次御次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     田中  一   岩沢 忠恭    石井  桂   西田 信一    中野 文門   稲浦 鹿藏    村上 義一   斎藤  昇    大河原一次   坂本  昭   ―――――――――――――
  93. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは東北開発促進法案を議題に供します。  まず本案の逐条の御説明を政府委員からお願いいたします。
  94. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発促進法案について、その概要を逐条的に御説明申し上げます。  まず第一条はこの法律の趣旨でございまして、この法律は東北地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項、すなわち以下各条において規定しておりますように、東北開発促進計画、東北開発審議会、開発促進計画に基く事業の実施及び調整、並びに事業実施のための特例措置について定めるものといたしておるのでございます。  第二条は、この法律に用いております「東北地方」の定義でございまして、東北六県とともに、これと地理的、自然的条件において共通の点を持っております新潟県を含めて、七県をもって東北地方と規定いたしておるのでございます。  第三条は、東北開発促進計画に関する規定でございまして、東北地方における土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発促進に関する計画でございます。開発計画は内閣総理大臣が東北開発審議会の審議を経て作成するものといたしておるのでございます。なお関係地方公共団体は開発促進計画に関し、内閣総理大臣に対し意見申し出ることもできることとし、関係地元の意見が促進計画に反映するようにいたしておるのでございます。  第四条から第八条までは、東北開発審議会に関する規定でございます。第四条は、審議会は総理府に置くことにいたしておりまして、これに伴いまして、付則第二項において、総理府設置法の一部を改正することにいたしております。  第五条は、審議会の所掌事務に関する規定でございまして、審議会は東北開発促進計画の作成の基準となるべき事項、東北開発株式会社の事業基準となるべき事項、その他東北地方の開発の促進に関する重要事項について調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、または建議することといたしておるのでございます。なお、開発促進計画の総合性を保持しますために、審議会は開発促進計画について、必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じ、関係行政機関の長に対し意見申し出ることができることといたしております。  第六条は、審議会の組織に関する規定でございまして、審議会はここに列挙されております委員三十五人以内をもって組織することにいたしておるわけでございます。二項以下におきましては、この組織に関する事項、委員の任期でございますとか、会長、専門委員等に関することを規定いたしております。  第七条は、審議会の事務をつかさどる機関あるいは審議会の議事運営に関する必要な根拠規定でございます。  第八条は、審議会の調査審議が円滑に行われますように、審議会は関係行政機関の職員に対して資料の要求等をできる道を開いておるわけでございます。  第九条は、開発促進計画に基く事業の実施に関する規定でございまして、この事業を実施する者は、国、地方公共団体その他計画に基いて決定いたしますところの国鉄、電力会社、その他の者であるということを明確にいたしておるわけでございます。  第十条は、ただいま九条について申しました各種の事業主体が毎年度開発促進計画の実施について計画を立てるわけでございますが、その計画の内容につきまして、翌年度事業計画経済企画庁に提出いたしまして、経済企画庁はこれに基きまして調整をするという規定でございます。  第十一条は、開発促進計画の実施に要する経費の規定でございまして、政府は開発促進計画を実施するに必要な資金、これはいわゆる公共事業費はもちろんでございますが、それ以外に財政投融資、それから地方の起債財源、こういうものを含めまして、必要な資金の確保をはかり、かつ国の財政の許す範囲内においてその実施を促進するという原則をうたっておるものでござ  います。  第十二条は、開発促進計画に基く事業を実施するための特例でございます。御承知の通り東北七県のうち青森県を除きまして、すでに財政再建団体に指定されておるわけでございますが、この財政封建団体につきましての特例をここに掲げておるわけでございます。第十二条の第一項は、財政再建団体である県が開発促進計画に基く事業で、その当該県にかかるものを実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、その変更の承認に当って、これらの事業の実施が確保せられるよう特に配慮しなければならぬとしまして、事業の実施と再建計画との調整をはかることにいたしておるのでございます。次に第二項でございますが、財政再建団体である県が――これは県だけでございまして、市町村は入っておりません。県がこの開発促進計画に基く事業で、財政再建法に指定する指定事業、これは財政再建法の十七条に基きまして政令で規定いたしております大部分の公共事業がこれに入っているわけでございますが、この指定事業に該当するもののうちで、自治庁長官経済企画庁長官協議して定める重要な事業の経費につきましては、国の負担割合の百分の百二十とする、すなわち二割上げということにするわけでございます。これは県の実施いたします、すなわち国の補助等に基きまして、県に補助金の出ますものばかりでなく、その県内におきまして、国が直轄で実施するものも含まれるわけでございます。なお、この二項の三行目で、「政令で定めるところにより、」というので、政令をここで持ち出しておりますが、この政令によりまして負担割合をきめるわけではございません。これはこの政令におきまして、現在地方再建整備の関係でやっておりますように、負担金の二割増しになった分につきましては、翌年度清算にするということと、それから地元負担金につきましては、この特例を認めません関係で、二割アップにいたしますと、地元分担金につきましてこの特例を認めないと、こういう趣旨を欠くわけでございます。そこで、その終りの方にございますただし書きによりまして、地元分担金のあるものにつきましても、県の負担割合は、百分の十以下にはならないということに規定いたしております。すなわち、国の負担は、幾ら高い場合におきましても、九割にしかならないということになっておるわけでございます。  その次の三項でございますが、これは先ほどの県の例で申しますれば、青森県は、財政再建団体に現在なっていないわけでございますが、財政状況におきましては、他の六県とほとんど同一でございますので、再建整備法の二十二条第二項の規定によって、準用団体といたしまして、財政の再建を行う場合につきましては、その県につきまして、先ほど申し上げましたと同様の措置を講ずる、こういうことを規定いたしたわけでございます。  以上がこの法律の概要でございますが、この法律施行に伴う経過措置といたしまして、前年度の繰り越し分に関する規定その他を付則として掲げておる次第でございます。
  95. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、暫次休憩いたします。  午後一時半に再開いたします。    午後零時九分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十三分開会
  96. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 休憩前に引き続き、これより委員会を再開いたします。  東北開発促進法案の質疑に入ります。御発言のおありの方は順次御発言を願います。
  97. 石井桂

    ○石井桂君 この東北開発促進法案の六条に審議会構成が出ております。そこの五に関係市長を代表する者が一人、六が関係町村長を代表する者が一人、四は関係県の知事七人、こういうふうになっておりますが、この関係市長の代表を一人だけというふうに限定し、町村の方も一人と、こういたしますのは、県を代表する各県一人々々に比べて少し少な過ぎやしないかと、ほかの法令の前例等によってこういう構成をお考えになったのか、どういうのですか。その点伺いたい。
  98. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 審議会の数をどうするかという問題からきまってきた問題でございまして、従来こういう性質の審議会におきましては、大体三十五人種皮でございます。そういたしまして、この二項の第三号にございます「関係行政機関の職員」、これは次官クラスでございますが、関係が深い役所が非常に多うございまして、どうしても十人とらなければならない。また衆参両院から指名されます方が八人というのも、これも他の例にならったわけでございまして、そういたしますと、地方公共団体の代表者を知事とそれから市町村長との間でどう振り当てするかという問題になるわけでございます。知事が七人おられますのを、代表的にその半数の三名、四名ということもいかがかということになりまして、どうしても知事はやはり全部出なければいかぬじゃないか。そういたしますと、市長、町村長を代表する人はそうたくさん出すわけにも参りません。幸い東北の地方につきましては、東北だけで市長会を作っておりまして、市長会長もきまって参ります。そうすると、町村長会長もきまって参りますので、市一長会長、町村長会長をこれに充てて、市町村から見たところの意見を代弁してもらうのが適当じゃなかろうか、こういう考え方でございます。  それからもう一つは、先ほども御説明申し上げましたように、開発計画市町村段階での事業というものは比較的少うございます。おもに県段階でございますので、県の代表は厚いようでございますが、そういう意味におきまして県の方は知事全員出ていただく、こういうことになるわけでございます。
  99. 石井桂

    ○石井桂君 御説明で大体わかりましたが、この関係市町村はいろいろ団体を作っているから一人でいいだろうと、あっさり片づけることが果してできるかどうかというのがまだよく私にはわからない。今ちょっとこの審議に入る前に、離島振興法というのをあげて見たりなんかすると、関係の知事が何名、それと同じくらいな数になっているのですね。それからほかの審議会もそういう例もあるように思うのです。そこで、まあ開発関係のことは府県単位で片づくのだということならば、関係市町村長はゼロで要らないということにも極端に言えばなるじゃないか。で、何かこう少し構成が私はうまくいっていないのじゃないかと思うのが一つなんです。これはあとで御説明願いたい。  それからもう一つ二のことを、今植田さんからは次官級と、こういう御説明がありました。たぶんそうでしょうと思いますが、私の関係しているまあいろいろな会議など出ますと、次官なんというのはあまり出て来ないのですね。そうすると、並べてみても意味ないのじゃないか、大がい職員が出て来てすわっているのを見るのですね。おたくの国土開発審議会は皆次官が出ていらしているかどうか、私は局長級、部長級がすわっている場合が多いんじゃないか、まあ体裁上ということだったらば、その下の部長、局長まで下してもいいんじゃないかとこう思う。何かこう委員会というものは、ほんとに何と言うか、体裁でこう飾られていて、少しも仕事本位に考えてないようにも思えるのですが、その辺いかがでしょう。
  100. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまの点でございますが、先ほど私が説明いたしました趣旨から申しますと、市町村長の代表はそう重要性がないようなことにもなるわけでございますけれども、しかし、この東北開発という仕事に対しましては、市長、町村長も非常に関心を持っている仕事でございますので、少くとも一人程度代表を入れまして、県知事ばかりで審議するよりも、市町村の気持も若干取り入れる場合もあるのじゃないか、こういう意味で、人数としましてはバランスを失するかもしれませんけれども、一人ずつ入れることにいたしたわけでございます。  第二の関係行政機関の職員に次官級を充てる問題でございますが、この点は確かに石井委員のお話しになる通り、大ていの委員会におきましては次官が出ることはめったにございません。私どもの方の所管いたしております国土総合開発審議会におきましても、次官が出るということはきわめてまれでございます。まれであると申しますのは、審議会には常に幹事会がございまして、幹事会で相当審議して参りますので、幹事会でまとまったものをそのまま審議会に移し、そこで審議を円滑にして参ります場合におきましては、これは次官が他の用事がございまして出席いたしかねる場合には、代理を差し向けるということもあろうかと思います。しかし、審議が紛糾する予想がある、こういうふうな場合におきましては、大てい次官も出るわけでございまして、従来の審議会の経過から申しますと、あまり紛糾いたしませんものですから、代理を差し向けたかと思いますけれども、やはり審議会におきましては、本来幹事会で審議したものをてのまま審議するという性格でもございませんので、やはり代表権限としては次官クラスにしておくのが適当ではないかと考えておる次第でございます。
  101. 石井桂

    ○石井桂君 その関係はそのくらいにしまして、本法に東北開発促進計画という条文が第三条にありますが、この法律による仕事というのは、開発促進計画だけを作ることが仕事であって、実行に移す場合には、東北開発株式会社とか、あるいは公共事業などは行政官庁の事業としてやるのでしょうが、その辺はどういうふうになっております。
  102. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発促進計画は、ただいまのお話のございましたように、この審議会の議を経て決定するわけでございますが、経済企画庁が主務をとりまして決定いたしますものは、東北開発促進計画のみでございます。もちろん別途御審議願っております東北興業株式会社法の一部改正法律案によりまして、経済企画庁の所管に従来の東興が移るわけでございますし、また北海道東北開発公庫の貸し出し資金のうち、東北につきましては経済企画庁が監督いたします。それ以外の公共事業的なものにつきましては、これは経済企画庁予算を一括計上するというふうなことは、現在のところも考えておりませんし、将来も、そのことは北海道とは違いまして、内地分につきまして、一つ地域予算一つのところに計上するということは、各省との関係が円滑に参りますかどうか、その辺のところを考えますと、相当慎重に進めねばならぬ問題かと思っております。この法律におきましては、従いまして、予算を一括計上するかしないかという財政上の問題には触れておりませんけれども、趣旨といたしましては、九条にございますように、それぞれの機関が実施するということにいたしておるわけでございます。それではせっかく促進計画を作っても、実が入らなければ意味はないのじゃないかということになるわけでございますので、第十条におきまして、経済企画庁が、国土総合開発法にありますと同様な調整をいたして参りたい、経済企画庁は、必ずしも予算を一括計上するばかりが能じゃなくて、調整権能を十分に果すことによって所期の目的を達し得るのではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  103. 石井桂

    ○石井桂君 これは、例を東京にとりますと、首都圏整備法というのがあって、東京を中心として百キロの円の中に属する区域を一つの地方計画としてまとめる機関があるわけです。東北としては、この法律に基いてそういう計画をまとめるのですか、あるいは国土開発総合審議会ですか、あの議を経てまとめるようになるのですか、どっちなのですか。
  104. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 御承知の通り国土総合開発法におきましても、地方計画というのがございます。この地方計画は、七県が連合して作りまして、それを国土総合開発審議会で審議していただく、こういう程度の若干軽い扱いになっております。促進計画というものは、これは各県が作って中央に狩って来るのじゃなくて、もちろん地方の意見も尊重いたしますけれども、国としてこれを計画づける、こういう分でございます。従いまして、この促進計画に関する限りにおきましては、国土総合開発とは別途の審議会なり別送の計画が決定されるということになるわけでございます。従いまして、東北地方総合開発計画という国土総合開発法の地方計画もあり縛るわけでございますけれども、こういうふうな別の法律ができた以上は、東北分に関する限りは、地方計画は要らないという解釈になろうかと存じております。  それからつけ加えて申し上げますと、東北地方にも特定地域があるわけでございます。特定地域の審議を東北だけこの審議会の方にゆだねて、国土総合開発審議会の方はそれにはタッチしないということになりますと、これは非常に問題にもなりますので、この審議会にはあるいは任意的に御相談することがあろうかと思いますけれども、正式には国土総合開発審議会の方で特定地域計画を決定いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 石井桂

    ○石井桂君 私がもう一つお聞きしたいと思うことは、まあ東北開発促進法というのができて、審議会がまたできる。それによって一つの一貫した計画ですね、計画を立てる意味においては、首都圏整備法によるああいう計画と一貫した一ということは、同じような仕組みになっておると考えていいかどうか。
  106. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 首都圏整備法が国土総合開発法の特別法であると同様な意味におきまして、これも特別法になろうかと存じます。
  107. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと私からお尋ねいたします。これは石井さんの質問に関連してお尋ねしておきます。ここに町村長代表、市長代表とかいうように一人ずつ選ばれておりますが、これは民間の声を聞くという意味で、市町村議長議長とか、あるいは市議会議長議長とか、そういうものはなぜここへお入れにならぬのですか。
  108. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 先ほども申し上げましたように、関係行政機関の数が多くなりまして、これが十人、すべて三十五人、ワクが減って参りますので、地方に割り当てる数が限定せられるわけでございまして、他の審議会におきましては、先ほど石井委員からお話のございましたいわゆる離島審議会の場合でございますと、議長代表を県の段階、市町村の段階でいずれかへ入っていただくことになっておりますが、それを入れて参りますと、八人の学識経験者の入る余地もないわけでございますので、まことにその点は、また均衡のとれない問題もあろうかと思いますが、県市町村理事者側の代表だけしかここには御参加を願えないような状況に相なるわけでございます。
  109. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 直接実際の実情がわかるのは、むしろそういう人の方がよくわかるように思うのですがね。どうでしょうか。そこは。
  110. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 地方の生活実情ということになりますと、議長の方がよくおわかりになる場合もあろうかと存じます。しかし、県知事にいたしましても、また市町村一長にいたしましても、すべて公選でもございますし、また、他の方面から申しますと、この計画それ自体は、県の財政負担にもなり、また、県が実施しようという計画でございますので、県の意図と反するような考え方があまり表面に出ましても、またその県内での均衡のとれない場合も出て参るかと思うのでございます。その点は、県内におきまして、県の理事者側と議会側との十分な御連絡さえとっていただければ、知事が県を代弁せられましても大して支障がないのではなかろうかと、かように考えたわけでございます。
  111. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この審議会を構成する関係行政機関の職員十人というのは、これは大体次官の方を数え上げると十人になるのですか。
  112. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 今申し上げました、数が足りないと変でございますので……。たとえば防衛庁でございますとか、文部省でございますとか、こういう関係のなさそうなところを外しますと、大体十人になるわけでございます。
  113. 中山福藏

    委員長中山福藏君) もう一つ、これも石井委員質問に関連してお尋ねしておくのですが、第三条ですね、東北開発審議会の審議を経て東北開発促進計画を作成するものとするということになっておりまして、その次に二項のところに、土地、水、山林、鉱物、電力とこういうことが書かれてありますが、これは大体もう国土総合開発の点から考えられても、政府においては予想とか、大体これをやろうとかいう見込みはつけられておるものと思うのですが、そういう点がもしありましたら、一つこの際お知らせを願いたいのです。
  114. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話の点は、東北開発についての最も重要な点でございまして、お手元にもたしか東北開発会社の法案が参っておるかと存じますが、あの会社の法律にいたしましても、従来は東北地方の振興ということに重点を置いていたわけでございまするが、それに、国民経済の発展に寄与せしめるということを東北開発会社の法案の第一条におきましてもしるしておりまするように、この東北開発というものは、東北地方の救済ではなくて、東北地方の資源の有効利用をはかって国民経済の拡大に寄与いたしたいと、こういう建前になっているわけでございます。と申しましても、東北の開発度というものは、その中における産業構造でございますとか、あるいは一人当りの県民の所得水準等に現われておるわけでございまして、県民の所得水準から申しますと、最近はよくなっております。全国の一人当り平均の七三・八%程度に向上いたしておりますけれども、これは最近の豊作等の影響を受けておりまするので若干高いのでございますが、それ以前におきましては、七県平均いたしましても、一人当り平均の七割以下であると、こういう状況でございます。また、産業構造というものが地方の開発度を示すわけでございますが、従いまして、この開発度を示す場合において、産業構造の中における第二次産業、第三次産業の比率がどの程度かということが一つの問題になって参るわけでございまして、東北地方の産業構造から申しますと、これは産業構造という一つの抽象的な数字だけで判断するわけでございますが、その面だけから申しますと、明治の末とか大正の初年程度日本の全体の産業構造程度にとどまっておる。こういう意味から申しまして、東北の開発はおくれておるわけでございます。  そこで、その開発する余地がどの程度にあるかという問題が委員長のただいまお話しになりました点であろうかと存じます。そこで、土地につきましては、農地の問題もございますが、農地の開発の余地におきましては、東北地方は全国におきまして一番多いのでございます。それから山林につきましても、主として広葉樹が多うございますが、未開発の広葉樹が相当残っておりまして、これを開発することが、東北の民生向上ばかりでなく国民経済の発展にも寄与するかと思うのでございます。特に、東北につきまして最も重要な意義を持つものは鉱物でございます。鉱物につきまして、この法案を準備いたします際に民間の会社の方々とよく会ったわけでございますが、やはり将来の日本の鉱産資源として期待いたしますものは東北地方にございます。石炭については別でございますが、金属山につきましては、将来期待できるものは東北でございます。現在でも、鉱産額の全国の三〇%は東北が占めておるという状況でございまして、鉱産開発を通じて東北開発が促進できるものが非常に多いだろうと思うわけでございます。特に銅あたりになりますと、全国の五〇%は東北に埋蔵されておると推定されるわけでございます。また、鉱物の中で最近特に脚光を浴びておりますのは砂鉄でございます。砂鉄の重要性につきましては、ただいまくどくど申し上げませんがそのほかに、最近重要性を増しておりますのは天然ガスでございまして、天然ガスは、地方という分野に分けてみますと、東北が一番多いのじゃないか。東北でも新潟、秋田、山形、この辺の所、中でも新潟全国一でございますが、それに次ぎまして千葉県が出て参ります。その次が東北の裏日本側の県ということでございまして、こういう方面での日本の将来の窒素系肥料の増産、あるいは天然樹脂、その他の化学工業の発達に寄与するのじゃないかと考えておるわけでございます。
  115. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 重ねてお尋ねいたしますが、東北地方にはたくさんのダムがこしらえられてあって、相当の電源が開発されておる現在、その発電の母であります電源の開発された量というものに、これからあなた方の大体企画されておるところの電力の増加はどのくらいの見込みをしておられるのですか。東北について湖沼とか滝とか、そういうものを開発してどれだけの一つ発電をやろうという御計画になっておりますか。ちょっと知らしてもらいたいのです。
  116. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 電力につきましては、これはキロワット・アワーとキロワットをとらなければならぬわけでございますが、ただいま手元に持っておりますのはキロワットの分しかございませんが、既開発といたしましては二百二十万キロワット、全国の二五%を東北地方において開発いたしております。東北地方に電力の資源として、水力資源として残っております未開発包蔵水力と申しますものは、これは四百九十六万キロワットでございまして、これも全国の三六%程度包蔵されているものと推定されております。
  117. 西田信一

    西田信一君 この法律の目的は、第一条にしるされておるようでありますが、東北地方の資源の総合的開発を推進するということははっきりしておりますが、国家的な目的というようなことが載っておらない。そして東北鉱業株式会社法には東北開発を推進した結果、国民経済の発展に寄与する、こういうことが明記されておるわけでございます。私はむしろ東北開発促進法にそういう国家目的を明確にすべきでなかったか、こう思うわけですが、これが載っておらなくて、会社法の方にそういうものが載っておるのは、これはどういう理由によるものでしょうか。
  118. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発促進法にもそういう趣旨を響く必要があったかと存じまするが、資源の総合的開発ということが、すなわち国内における資源の開発が国民経済の発展に寄与するという趣旨からいたしまして、若干ダブる気味もございまするので、ここに書かなかったのでございますが、なお、北海道開発法におきましても、これと大体よく似た表現を使っておりますので、その表現をそのまま――若干字句は違っておりますけれども、それにならいましたので、他意があるわけではございません。
  119. 西田信一

    西田信一君 御答弁でございますけれども、これは私は非常に受け取れない御答弁でございまして、北海道開発法の方は明らかに、「国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、」と、このようにはっきりと国家目的を明らかにしておるわけです。ところが北海道開発法に載っておらぬから、それにならったという御答弁でございましたが、御調査を願いたいと思うのです。  それからもう一つ、会社法の方にこれは載っておるからダブるきらいがあるから載せなかったとおっしゃいますけれども、むしろダブることを避けるならば、この促進法の方に国家目的を明らかにすべきであって、逆に会社法の方に載っておるからダブるということは、もしダブることがいけないならば、これは逆にすべきものである、こう思うのでありますが、御見解はいかがでございましょうか。
  120. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私は会社法に載っておるからこちらにダブるという意味で申したのではありませんので、資源の総合的開発促進ということによりまして、国民経済の開発、国民経済の発展ということにとれるものと解釈いたしまして、この第一条のこのような表現を用いたわけでございます。東北開発会社の方におきましては、成立の経過からいたしまして、東北振興というものが非常に強く成立当初において出されておりましたものでございますから、ああいうふうな表現を東北開発会社の方で使ったわけでございまして、お説の通り東北開発促進法の第一条にも、その点を明確にしておいても何ら差しつかえなかったものだと思いますが、北海道開発法の第一条にならって書きましたわけでございますので、そういう点は若干不明確かと存じますが、資源の総合的開発という言葉でその意味が現わせるのではなかろうか、かように考えております。
  121. 西田信一

    西田信一君 深く申しませんけれども、載っておっても差しつかえはない、もちろん差しつかえないと思うのですが、私は載せることが適当であったと、こう考えておるのでありまして、むしろ載っておらないことが何かもの足りない、この東北開発の大きな目的というものがはっきりしない、この点では載せるべきであった、差しつかえないじゃなくて載せるのがほんとうであった、こう思うのですが、しいては主張しませんけれども一つそういう意味ではどのようにお考えになるか。
  122. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまの西田委員のお話の通りでございまして、今度法律ができましたゆえんは、単に東北の振興という目的ではございません。東北振興を通じて国民経済の発展に寄与するということでございますので、むしろその点をはっきりした方があるいは適当であったかと存ずるわけでございます。
  123. 西田信一

    西田信一君 次に、この東北開発促進計画の作成についてお尋ねをするのですが、この第三条によりますと、東北開発審議会の審議を経て作成する、こう書かれてあるわけであります。そこで「東北開発審議会の審議を経て、」ということは、いわゆる第五条に言うところの「開発促進計画の作成の基準となるべき事項」等がありますが、このことを指しておるのでございまするか、あるいはこの基準によって内閣総理大臣に報告あるいは建議をする、それを基礎にして作られた促進計画というものは、さらに内閣総理大臣から審議会の審議を経て最終確定をすると、こういう意味の条文であるか、この点はいかがでございますか。
  124. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 第三条におきまして、東北開発促進計画は東北開発審議会の審議を経るということになっておりますので、単に政府の方から提案します原案を審議会の議を経て決定するというだけでございますれば、第三条だけで足りるわけでございまして、第五条まで響く必要はございません。第五条を書きました理由は、審議会が自発的に開発促進計画基準となる事項を自発的に調査審議し、内閣総理大臣に報告をしたり、あるいは建議をする、こういうふうに第三条に書いてあります審議会の権能よりも若干広く審議会が自発的に意思表示をできる道を開いている、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  125. 西田信一

    西田信一君 それは御答弁が私の質問にぴったりきませんが、私がここでお尋ねをしているのは、東北開発促進計画というものは、東北開発審議会の審議を経て作成すると、こうありますが、審議を経るということは、第五条によって基準となるべき事項を調査あるいは審議し、その結果を建議する、こうありますからこの審議をさしておるのか、あるいはまたさらにこれによって作られるところの促進計画というものを、計画全体をさらに審議会にかけて審議をするということをさしているのであるか、どちらかということをお尋ねしているのです。
  126. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 三条に書いてございますように、東北開発促進計画というものは、東北開発審議会の審議を経なければ成立いたしません。その範囲内におきましては、「審議を経て、」という字句には非常に強い意味がございまして、審議を経ないものを内閣総理大臣は決定するわけには参りません。
  127. 西田信一

    西田信一君 それはそれで明瞭になりましたが、この審議会の所掌事務の中には自発的に調査審議をして、報告あるいは建議をする、こうございます。それから第三条では、「内閣総理大臣は」、とありますから、おそらくこれは計画を諮問するということだらうと私は思うのでありますけれども、審議ということで、諮問というこの字句はこの法文に表れておらない、これはどういう関係にあるのか、審議ということはどういう形において審議が行われるのであるか、この点を一つお聞きいたします。
  128. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 三条に諮問という言葉を使っていないわけでございますが、諮問の場合には、多くの場合その会の意見を問うというような諮問をいたしまして、それに対して答申があるわけでございます。多くの場合その答申通り政府として決定するわけでございますけれども、必ずしもその審議というものは政府に対する拘束力はないわけでございます。しかし第三条にありますような「審議を経て、」と書いてございます以上は、審議を経ないものは追加もできませんし、削除もできませんし、審議会の審議の結果に拘束せられるわけでございます。従いまして、原案はもちろん内閣総理大臣といいますか、これを補佐いたしますところの経済企画庁で作るわけでございます。初めから審議という体制でこの審議会で調査、審議していただきたいと考えております。
  129. 西田信一

    西田信一君 そういたしますと、現在現存している北海道開発法で設置されておる審議会に諮問をして答申をするということになっておりますが、それをもっと強めてこちらの方では審議をするということであって、その審議の結果というものは政府において取捨選択できない、そのままこれを執行する義務を負う、こういうふうにこの条文からははっきりしているわけですね。
  130. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 北海道開発計画の場合には、諮問ということにいたしておりますが、この審議会の権威を高める意味から申しますと、審議を経てという方が権威を高くするわけでございます。その意味でこの法律におきましては、「審議を経て、」ということにいたしたわけでございます。
  131. 西田信一

    西田信一君 私のお尋ねするのは、それは権威の問題ではなくて、その決定された計画というものは、これは政府においてそれをつけ足したり、あるいはまたそれを修正する、削除するというふうなことはできない。そのまま実行をする義務政府は負うという意味の審議が行われるのであるかどうかということをお聞きしたいのです。
  132. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この計画を一たん作りまして、これを追加し、あるいはこれを減らす場合におきましては、当然この審議会の議を経なければならぬものと心得ます。
  133. 西田信一

    西田信一君 次にお尋ねするのは、開発計画は「東北地方における土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発の促進」と、こうありますが、ここに北海道開発法の場合には、「水面」という言葉が使ってある。東北の場合には特に「水」という言葉を使ってあるのですが、水面と水とはどういうふうにその意義が違うのか、この点をお伺いしたい。
  134. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 水面という言葉を北海道開発法に使っておりますが、水面ということだけでも説明はできないことはないと存じますが、しかし、むしろ水というものは、下に書いてあります電力にもなるわけでございますし、農耕用の用水にもなるわけでございますので、水面と書くよりも水と書いた方がより妥当であるだろうと、こう思いまして、今回は水という字を使ったのでございまして、前の法律をあまりけなす意味ではございませんが、この方が正確ではなかろうかと存じております。
  135. 西田信一

    西田信一君 まあ、よくわかりました。法律で水というのを使ったのは今度初めてですから、私はお聞きしたわけです。  次に第三項ですが、これは北海道開発法にもあるのですけれども、私はその必要がなかろうと思ってお尋ねするのですが、地方公共団体がこの計画について意見申し出ると、こうございますが、地方公共団体は地方自治法において、公益に関しては意見申し出ができるという道が開かれているわけでありますが、特にこの法律上こういう条項を制定しなければならない特別な理由があるかどうか、お伺いします。
  136. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話のように、地方自治法にもこういう規定があるわけでございますが、この開発促進計画は、国が立てるということを建前といたしております関係で、関係地方公共団体の意見を尊重しないのではないかというふうな印象を、この法文だけ読みました場合に持たれるおそれもございますので、念のためにこの条項を入れたわけでございます。
  137. 西田信一

    西田信一君 次に、審議会の所掌事務の中で書かれております「開発促進計画の作成の基準」、あるいは「東北開発株式会社の事業基準となるべき事項」、この基準というのはどういうことを意味しますか。具体的に一つお伺いしたい。
  138. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発促進計画基準は、その大綱というふうに申し上げてもあるいはいいかと存じますけれども、たとえば基準という印象から受けます観念からいたしまして、開発促進計画等、将来の開発の目標をどの程度におくか、あるいはその内訳を申しますと、将来の人口の伸びに応じまして、東北地方における生産年令人口、労働力人口もふえるわけでございますが、その人口をすべて東北地方へ収容する建前でいくか、それとも現在のように年々七、八万ぐらい東京地方に流入いたしておりますが、それをどの程度流入せしめる態勢でいくか、あるいは所得水準を全国平均並みまで持っていくことを目標にするか、あるいは現在七割程度の水準でありますけれども、せめて、全国が高くなっても、この七割程度まで持っていくかと、こういうことも一つ基準になろうかと存じます。また別にこれを有形的な問題で申しますれば、東北地方の幹線道路を舗装化すべきであると、こういうようなことも一つ基準になろうかと思います。それから横断道路をすみやかに完成すべきである、こういうようなことも一つ基準になるのかと存じております。  次に東北開発株式会社の事業基準でございますが、東北開発株式会社は、御承知の通り二十五億の資金が三十二年度確保されておるわけでございます。御承知の通り東北開発株式会社に対しましては、東北七県のうち新潟県はまだ出資する段階には参っておりませんけれども、六県が出資しておりまして、この会社の事業がどういうことになるかということに非常に関心を持っているわけでございますので、会社と監督官庁である経済企画庁との間に、独断的な事業の執行のないように、地元民の意向を十分反映させるという意味におきまして、会社の事業基準になることを決定するわけでございまして、この基準につきましては、そう細部の計画まで入るわけにも参りませんけれども、三十二年度にどういう事業を興したい、またその工場敷地はどこにするものかと、こういう問題につきましては、この審議会の議を経ることにいたしたいと考えているわけでございます。
  139. 西田信一

    西田信一君 大体わかりましたが、また私が今お尋ねすることは、今後審議会の審議の課題であるかもしれないのですが、一応政府としてはこの東北開発促進法を制定しようとする精神の中に、国民経済の発展に寄与するということは先ほどの御答弁で明らかになりましたが、ただいまの御答弁の中にありました、人口を東北に一つ移入しようと、移入といいますか移動させようと、こういうようないわゆる人口収容と、こういうような構想をもってこの法律が立案されているのかどうかということについて、政府側の一つ考えを伺っておきたいと思います。
  140. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北地方は北海道とは違いまして、人口密度は稀薄ではございますけれども、人口は千二百万という相当の人口を持っております。その上に東北地方の人口の増殖率は、全国に比しまして高いわけでございまして、東北は一・六%の伸びになっております。将来は若干減るかと思いますが、それでも一・四%程度の増殖率になろうかと思います。全国平均いたしますと一・一%でございますので、東北の人口がそれでなくてもそう少くはない、その上に人口もふえるわけでございますので、従いまして北海道のように、他の地方から東北地方に入植するということは、これを期待をすることは無理ではなかろうかと思い、出す。むしろ東北地方にふえる人口を、総所得水準、生活程度を下げることなしに、むしろ全国が上りますれば、それにつれて上る程度生活水準を保たせつつ、しかも増殖する人口を収容する、こういうことにいたさねばならぬと思っております。そのためには東北地方の未開発の土地の開墾でございますとか、あらゆる産業を誘致いたしまして、収容の機会を多くすると、こういうことに持って参らなければならぬ。ただ先ほど来西田委員のお話のございましたように、東北のみの観点からものを考えることは不適当でございまして、やはり全国民的な観点から産業等も選んで参らなければならぬと、こう思っております。
  141. 西田信一

    西田信一君 次に審議会の構成についてお尋ねいたしますが、先ほどからこの問題について質疑がございまして、御答弁があったわけでありますが、このことは委員長からも御意見が出ましたが、関係する県の県会の議長の代表ぐらい入ってしかるべきじゃないかというくらいの考えを持っておりますが、北海道の場合にも入っているのですが、これは除かれている。そうして北海道の場合にない関係行政機関の職員というのが大幅に十人も入っております。北海道の場合にはこういう委員はないのです。そこでしかも、これは大体各省の次官であるとか、文部とかその他関係のない省を除いてほとんどこれは網羅するという御説明だったのですが、特にこのような関係行政機関の職員の次長級、次官級を十人も入れなければならぬ理由はどこにございますか、それを一つ
  142. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 北海道の場合はだいぶ東北と違うわけでございまして、北海道は委員が二十名でございます。この東北につきましては三十五人で構成いたしたいと考えているわけでございますが、北海道の場合におきましては、知事は一人でございますが、東北につきましては七人でございますから、その中のどの県だけを選ぶというわけにもなかなか参りかねますので、どうしても知事は七人持ってこなければならない。そうしますと、知事を七人出せば、県会議長まではどうもこの三十五人のワクには乗りきらぬ、そういうところで一つの問題があったわけでございます。それから北海道開発につきましては、関係行政機関の職員というものを入れる必要がないわけでございます。と申しますのは、北海道の開発予算は北海道開発庁に一括計上になっております。そういう意味におきまして、公共事業予算は北海道開発庁だけで独自に組んでいけるわけでございますが、東北開発につきましては、予算は各省に計上になるわけでございますので、そういう意味におきまして、関係各省との連絡をよくするということを特に考えなければならぬわけでございますので、どうしても各省の代表の方に入っていただかなければならぬ、こういうことになりまして、他の民間の方々にもっと入っていただきたいわけでございますけれども、定員的に縛られております関係で、議会議長等の御参加を願うことが困難なような事情になっておるわけでございます。
  143. 西田信一

    西田信一君 次に、財政再建団体に対して特例を設けることになっておるようでございます。普通の国の負担の二割増し、ただし、その負担が百分の十未満の場合には百分の十までその地方公共団体に負担をさせるという条件つきになっておるようでありますが、そこでこれは国の負担の場合をうたっておるのですが、国の補助の場合、これについては何かお考えがないのかどうか、この点はいかがですか。
  144. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この負担という言葉で表わしましたのは、地方財政法にございます負担補助という観念から別でございまして、負担という言葉補助金として支出される面も当然含よれているわけでございます。
  145. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと申し上げますが、自治庁の小林財政部長がお見えになっておりますから、もし必要であれば御質問を願いたいと思います。
  146. 西田信一

    西田信一君 特にこの財政再建団体に限ってこのような特例を設ける、そしてその財政再建団体の何というか、資格を失うというとおかしいですが、それがなくなれば、こういう特例は認めないということになるように思われるわけですが、東北のような開発がおくれている地域については、こういう再建団体に対する特別の配慮は、これはあってしかるべきと思いますけれども、さらにこの全地域の何といいますか、そのような特別の国の財政援助というものがあってしかるべきじゃないか、またなくてはほんとうの開発がむずかしいのじゃないかというふうに考えますが、そういう点に対する配属はなさっておらないのでしょうか。これは経企とそれから自治庁側からも一つお答え願いたいのであります。
  147. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北地方は七県のうち六県が再建団体でございます。青森県につきましては、二十九年度基準による再建団体とはなっていないわけでございますが、財政状況におきましては、それとは大した差はないわけでございます。そこで十二条の一項、二項におきまして、二十九年の赤字団体の再建団体であります六県につきまして特例を設けまして、三項によりまして、これに準用されますところの青森県の分につきましても、同様の措置を講ずることにいたしたわけでございます。東北地方は財政的にも従来は困難でございましたし、今回開発計画を実施いたしますとすれば、財政再建計画との調整という非常にむずかしい問題が出て参るわけでございまして、この十二条によりまして、財政再建計画との調整をはかるとともに、三十一年度各財政再建団体に認められておりましたところの補助率の二割アップというものを法律によって明記をいたそう、こういう趣旨でございます。
  148. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今植田さんの方からお話がございましたが、東北の開発を進めるためには、結局東北の各県に仕事をやらせる以上は、各県はほとんど皆再建団体でございまして、おまけに開発計画に基く事業というものは大体再建法に言っております指定事業の中の一部に当るのでございまして、ほんとうにやろうとすれば、このいわゆる指定事業というものを全般的にどう考えるかということを考えなければ、この開発の目的がとうてい達成しがたいというのがわれわれの考え方でございまして、それでこの再建法に基く指定事業負担割合につきまして、何らか措置をするということが実質的に開発を進めていくための基本的な問題であり、これが十分にできれば――もちろん十分にできればこれ以上のもっと高率の補助考えたらいいじゃないかという問題はありましょうが、これにつきましては、全国全体の補助負担の政策との関連の問題もございますし、いろいろ難点もありまして、実質的に問題を解決する方策によって事を進めていこう、こういうことでこういう措置をとることになったものと存じております。
  149. 西田信一

    西田信一君 財政再建団体に対する特別の配慮の必要なことは私も同感なんです。しかしながらこのような開発がおくれておる、しかも気象的にも特異な地域にあるところの地方の開発については、再建団体であること以外に、この開発の促進を積極的に進めるという意味において、これはマイナスをあるレベルまで水平に直してやろうということで、水平から上のことは考えておられない。そういうような特別な高率な補助について配慮があってしかるべきだと思うのですが、そういうお考えはなかったのか、あったけれども、どういう事情でこれは実現できなかったか、その辺の関係等も、もしお差しつかえなければ伺っておきたいと思います。
  150. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 東北開発の根本になりますものは、先ほども申しました節一次産業にいたしましても、第二次産業にいたしましても、これが振興をはかりますためには、産業基盤の造成でございます。そういう意味におきまして、道路、河川、港湾等の公共事業費の増額ということがまず考えねばならぬ問題でございます。そのほか電力でございますとか、鉄道等の問題がございますが、この面におきましても同様考慮される問題でありますが、公共事業におきましては、従来とも東北に力を入れていなかったというわけにも参りませんけれども、いずれかと申しますと、公共事業費の配分の結果をふたをあけてみますると、毎年百五十億台、昭和三十一年度におきましては百五十九億でございましたか、大体百五十億円台でとどまっておりまして、これは各省の予算というものは、大体その地方における前年度とにらみ合せて配賦されるわけでございますから、そういうことになっているわけでございますが、それでは東北開発は促進せられないわけでございまして、三十二年度におきましても、この公共事業費相当増額になっております。まだ各省の配分は決定いたしておりませんから、まだはっきりしたことはわかりませんが、三十億以上の公共事業費は増額になっていることは明白なわけでございます。そういうふうに公共事業費が増額になりますと、すぐ問題になって参りますのは再建団体との関係でございまして、昨年度におきましても、東北の各県は財政再建の例の七五%というワクに制約せられまして、相当苦しまれたのでございます。県によりましては、再建のワクにはまりませんために、せっかく配賦を受けました予算の返上もいたしておる県もございます。そういう意味から申しまして、再建計画の運用というものを開発計画にあわせてやっていただく必要があるわけでございまして、そういう意味から申しまして、東北の開発計画を立てる際におきましては、どうしても再建計画とのつながりという問題からスタートせざるを得なかったわけでございます。そういう意味におきまして、十二条の第一項ができておるわけでございます。第二項はもちろん開発計画があれば手放しで何でも再建整備計画をはずしてやってもいいという意味ではございませんけれども、その点について合理的な調整をはかるという趣旨でございます。  そこで第二点の負担率補助率の引き上げの問題でございますが、これはやはり再建整備計画ということをどうしても第一項で引き出して参ります以上は、その三十一年度で認められておりますところの負担率の二割アップというところに一つのつかまえどころがあるのでありまして、それを確保するということによって解決する道が最も容易でございます。もちろんこの立案の過料におきましては、いろいろ地方からも北海道並み等の要望もあったわけでございますが、なかなか北海道並みにするということは、これは北海道の従来の沿革から考えましても、また内地における他の地方との割合から考えましてもそう容易にできるわけでもございません。そこでその再建整備法の三十一年度における補助率の二割アップということを足がかりにいたしまして、それを確保することによって、実質上は九割補助に近いものを獲得できることに相なるわけでございます。四分の三補助のものでございますれば二割アップで九割になります。直轄事業は大体四分の三補助でございまして、しかも東北の公共事業の中で、指定事業の中で直轄事業は約半分でございますから、半分につきましては大体九割補助ということになるわけでございます。形式から申しますれば、再建促進計画の方に乗っかっていったような感じでございますけれども、この辺のところが現在東北開発のために政府として決定し得る方針として、まあやむを得ない最高限のところではないだろうか、かように考えておるのでございます。
  151. 西田信一

    西田信一君 わかりましたが、ちょっとこれは私愚問になるかもしれませんが、ここでお聞きしておきたいんですが、第二項のところでございますが、「自治庁長官経済企画庁長官協議して定める重要なものに要する経費に係る国の負担割合は、政令で定めるところ」云々とございますが、「定める重要なものに要する経費、」これは具体的にどういうものをさしておるのでしょうか。
  152. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) まず、午前も申し上げましたように、政令で定めるというこの政令は実質的な内容の問題をきめるというだけでございませんで、翌年度清算の問題でございますとか、地元負担金、たとえば土地改良等で地元負担金がございますが、これは二割アップにならないのだ、こういうようなことの政令を再建整備法で規定するのと同じような意味で書いてございます。そういうようなことで、そういうような事業ということの決定は自治庁長官経済企画庁長官協議して決定するわけでございます。これにつきましてもう一つの問題は、それぞれの事業が所管に分れておるにかかわらず、自治庁経済企画庁だけがきめるのはおかしいじゃないか、こういう議論があるわけでございます。これは法文上は自治庁長官経済企画庁長官協議してすることになっておりますけれども、事実上幹事会その他で決定するわけでございまして、関係各省の意見を十分尊重するつもりでおります。  これは前置きでございまして、重要な事業の内容でございますが、明確なところはただいまのところは決定するところまで参っておりません。衆議院の審議の際におきましても御質問がございまして、私お答え申し上げたのでございますが、まず直轄事業は、これは重要な事業考えて間違いがないのじゃないか。その次に道路でございますと、縦貫、横断の道路は、これも重要事業考えられるのじゃないだろうか。それから港湾になりますと、これも重要事業になる。漁港にいたしましても、漁港全部というわけにも参りませんけれども、重要な漁港は当然考えられるということに相なろうかと思うのでございまして、重要事業の範囲は相当広くは考えて参りたいと思っております。これは大蔵省の財政当局の意向も十分尊重しながら、しかも東北開発という観点に立って、自治庁と私ども大蔵省にお打ち合せいたしたいと考えておりますが、それにつきまして、先日衆議院国土特別委員会におきまして、政令で定める指定事業は重要事業にみな指定するようにと、こういうふうな付帯決議もございまして、この際におきまして大蔵省の当局も、できるだけその趣旨に沿ってやりたいということの御答弁がございましたので、政府部内としましてもそういう答弁を一致していたしております関係で、できるだけ早く、またできるだけ多く重要事業に指定するように努力いたしたいと考えておるわけでございます。
  153. 坂本昭

    ○坂本昭君 続いて……。未開発地区、特に財政の困難な地区に対して、こういう開発促進法という法案ができるようになりましたことについて、私は全面的に賛成するものであります。特に先ほど西田委員質問されまして、だいぶ明らかにしていただきましたので重ねて申し上げる点もございませんが、一番大事な点は、やはり財政上の資金の確保であろうと思います。ただいまの植田さんの御説明で、従来百五十億円台であったのがまあ二割アップされて三十億ふえる。そういう内容的な御説明があり、それから特に、開発促進という意味における特性ですね、特性について数ヵ条あげられて御説明がありました。まだ何かこの辺では少し物足りない点があるのですけれども、ただその第十二条の二項にある「事業の実施が確保されるよう特に配慮しなければならない。」ということ、それと十一条に「国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。」、この十一条の言葉などはきわめて積極性がないように思うのですね。もっと何か強い、西田委員言葉をもってするならば、国家的見地に立ってこの未開発地区の促進をすべきではないか。そういう点でまだまだ何か手ぬるい感じが私はするのであります。で、この第十二条についての「特に配慮しなければならない。」ということについて、一つどういう御決意のほどであるか承わっておきとうございます。
  154. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは私の方から便宜お答え申した方がよかろうと思います。十二条の二項の問題は財政再建計画の変更の問題でございまして、現在の再建団体の再建計画だけでは、当然この法律の予想する開発事業は実施でき得ないのでございまして、この趣旨に基いてやろうとすれば、当然再建計画に変更を加えざるを得ないのでございます。そこで自治庁といたしましては、その再建計画の変更の承認の責任を持っておるのでございまして、われわれの考えは、この法律通りました以上は、財政の再建が可能である限りは、もう開発促進計画に基く事業はことごとく計画の上において認めていこうという考えでおるのでございます。それでございますから、いやしくも開発計画に基きまして実施しなくっちゃならない仕事につきましては、財政上支障がないという限りは全部最優先をして、これを認めて実施をはかっていこう、こういう法律の趣旨でございまして、その趣旨に従って実施するつもりでおります。
  155. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、開発の促進を規定せられたこの地区においては、全国に優先して資金面においても確保される、そういう趣旨だと思いまして、その点非常に私も賛成でございます。実は、先ほど説明もありましたが、東北地区が明治の末期から大正の初めの状態だということを言っておられましたですね。はなはだ、神武以来の好景気のときに、明治の末期が現われまして、実は驚いたのですが、実際はこういう地区は東北地区だけじゃないと思うのです。まだ日本にはたくさんあると思うのですね。そういう点で、私はこの法案の、趣旨に非常に賛成するのであります。ただ、そういう点で企画庁としては、今までは県単位であったけれども、こういうふうに一つの地区、ブロック単位としてこういう開発を考えられる。これは確かに水力発電だとか、そういうような場合には、水利の問題を伴ってこれは当然起きてこなければいけないと思うのです。ところで、これは自治庁にも、企画庁にも、両方関係してくると思うのですが、将来こういうような開発ということについて、あるいは九州のある地区、あるいは四国などは全部一つでもいいと思うのですが、一つにして、さらにこういう東北だけじゃなくて、未開発地区の促進をさせるために、行政的に、またこういう資金の面で積極的なお考えを持っておられるかどうか、その点を一つ企画庁自治庁の方にお尋ねしておきます。
  156. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 国土総合開発は戦後の日本においての重要な課題でございまして、終戦後しばらくたちまして、昭和二十五年には国土総合開発法ができたわけでございます。その後国土総合開発法の運用をいたしました際に、われわれが感じますことは、やはり開発は単に特定地域というふうな狭い範囲でものを考えるだけでは適当でない。少くともブロック単位にものを考えた方がいいのではないかと思っておるわけでございます。今回ブロック的な開発の第二番目といたしまして、すでに北海道はございますが、東北が取り上げられたわけでございまして、先ほど来御質問のございました十一条に基きますところの資金の確保でありますとか、財政の許す範囲内において実施を促進する、こういうふうなことを単に法文としてここに書いてあるばかりでなく、これをほんとうに実効あらしめるためには、この開発促進計画の立案に当りますところの私ども責任が最も重大であろうかと存ずるわけでございまして、この計画が世間でとかく批判されますような過大な計画に陥りまして、また国の財政とマッチしないということになりますと、せっかく計画を作りましても、その通りの実行はできなくなるわけでございます。御承知かと存じますけれども、現在経済企画庁は経済計画を改訂作業中でございますが、この改訂作業と並行いたしまして、国土総合開発法に基く全国総合開発計画を作ることになっております。この全国総合開発計画においては、東北なら東北の一つの地方が受け持つべき経済開発の役割をきめまして、それに必要な各種の施設の計画を立てたいと思っておるわけでございます。こういった経済計画それ自体がぴたりとその通り必ず実行できるというものではございませんが、相当程度実現の可能性のあるものでございますし、それを八つの地域に分割いたしました総合開発計画は、これは従来総合開発計画に対しまして、世間の非難を受けたような総花的な性格のものとは相当違って参るだろうと思うのでございまして、そういう経済計画に基いた総合計画を基にいたしまして計画を立てますれば、十一条の内容というものもそう空文に――空文という言葉は適当ではございませんが、そう無視されることはなかろうかと存じております。それで、第二段の問題になるわけでございますが、そういう形におきまして、経済企画庁は本年度内に全国総合開発計画を作り、四国なら四国のあるべき目標、姿を打ち出すことになって参るわけでございます。そういうことを機縁といたしまして、他の地方についても同じような開発計画を作ろうじゃないかというような話し合いが高まってくることも予想されるわけでございます。また、そういう際におきましては、私ども受けて立ちまして、十分御協力申し上げるつもりでおります。
  157. 田中一

    田中一君 資料を要求したいのですが、先般大蔵委員会で通過した北海道東北開発公庫ですね、これの一応の融資産業の分野、どういうものをねらっておるかということをあなたの方から出していただきたいと思うのです。融資先はどういう産業をねらっておるか、その分野と府県別。それから第二は、日本開発銀行が現在東北七県に融資をしておる融資先、これを事業別、府県別、資金の条件別。それから第三に、東北興業株式会社――今度東北開発株式会社になるのですね。この東北開発株式会社の現在の事業、これは昨年一部改正のときにちようだいしたのですが、これも一年たっておりますから、改めてお出し願いたい。これは投資先、府県別、同じようなものでけっこうです。それから第四に、昨年一部改正で増資をいたしましたね。この増資で行なっておる事業、岩手県下におけるセメント事業ですね。これの現状の御報告をお願いしたいと思うのです。とりあえずこれだけの資料を明日までにお出し願いたいと思う。明日もし間に合わなければ、会期末まででもけっこうですから、一つ出して下さい。
  158. 坂本昭

    ○坂本昭君 先ほどは企画庁の方から地区別の開発に対する企画庁の構想をお聞きしたのですが、それに伴って地方行政に対する自庁治の御見解をお聞きしたいと思います。それが漏れております。
  159. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 自治庁といたしましては、受けて立つ方でございまして、いろいろ開発計画をお作りになった際に、それが実現可能なように自治団体の財政上の始末をつけるというのがわれわれの役割でございます。で、われわれといたしましても、こういう計画は非常にけっこうでございますが、結局国だけではやり切れないのでありまして、府県の力に待たなければいかぬ。府県の力ということになりますというと、結局府県の一般財源の問題でありまして、再建団体は東北だけではございませんで、全国各地にありますし、それから再建団体にまでなっておりませんでも、赤字団体がほとんど大半でございまして、どうしても財源を増強していかなければいけないというのが基本的な考え方でございます。そこでその財源は、幸いに本年度予算では、先ほど来お話が出ましたように、調子がよいものでありますから、割と財源的な見通しが強いのでありまして、その一つの問題は、交付税の配分等の問題についてこういう開発地帯の措置をどう考えるかということが一つの問題だと思うのでございます。これにつきまして、われわれといたしましても、やはりこの未開発地帯の開発を促進する必要がありまして、そうすることが可能なように、できるだけこうした建設的な、投資的な経費に金が回るようにする必要がある、こういうのが基本的な考え方でございまして、これは、現在の交付税法におきましても、そういう意味考え方で開発地帯には相当な交付税が流れるように仕組んでございます。幸いにして、今年も交付税が少し増額になりますので、給与費の問題とか、ベースアップの問題とか、いろいろ問題はございますが、ゆとりのある限りは、こうした開発の促進に役立つように、そして、未開発地帯に普通並みのレベルにまで早く立ち上れるような財政的の基礎を与えるように配慮したい、こういうように思っております。
  160. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど田中さんの方から資料の要求があったのですが、私も同様にお願いしたい資料の要求があるのですが、それは、東北七県の山林、原野の総面積、これは山林と原野を別々にしたものがほしいと思うのです。それに加えまして、全国比もお出し願いたい。それから耕地、農地、これの総面積全国比、これだけ一つお願いしたい。もしできればあすお願いしたい。
  161. 田中一

    田中一君 あとのやつも一つ、あまりたびたび言うと御迷惑でしょうが、申し上げておきますが、三十二年度予算に盛られてある東北七県の公共事業費府県別、事業別に一つ資料として出してもらいたい。
  162. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっとお尋ねしておきますが、企画庁の資源という意味は、単に地下資源、地上資源というようなものだけに限局しているようで、観光資源というものの開発はちっとも局長の頭にないようですね。たとえば、一ノ関とか、志波城遺跡だとか、胆沢城遺跡だとか、あるいはあの雄大な観光の地帯、これを開発して東北の生活水準の向上に資するというような計画はちっともないように思うのですが、私は、外貨獲得なんかにも、これは妙な質問ですけれども、やはりこれは資源のうちに入ると思う。こういう観光資源というものの開発ということは、企画庁ではちっとも考えられていないようですね。これはどうですか。
  163. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この法文にございます資源は、「その他の資源」という表現で用いられておりまして、観光等におきましては、上の方に列挙した各種の資源の総合されたものでございます。観光も当然資源と心得ております。また、従来特定地域計画を立てる場合におきましても、その点は考えております。十和田、岩木を近く特定地域に指定する計画にいたしておりますけれども、他の地方には観光という字句を使ったことはございませんが、この開発計画は、観光というものを一つ事業目標として掲げたいと思っております。経済企画庁におきましても、私は観光打業審議会の幹事をいたしておりまして、企画庁内部では観光につきまして最も関係の深い人間でございます。ただ、御承知のことかと存じますが、先日、大蔵委員会におきまして、北海道東北開発公庫から観光に関する資金の貸し出しをしたらどうかという質疑がございました。その際におきましては、政府としてもまだ明確な答をいたすところまで行っておりません。むしろ、そういった観光に金を回すよりも、もっと産業の方に金を回すべきじゃないかというような強い反対意見がございましたので、そういう意味から申しまして、東北開発につきまして観光を軽視するわけではございませんが、公庫資金を通じて観光の開発をはかるというところまでは参っていないわけでございます。ただし、開発計画の中には観光をできるだけ取り入れていきたいと考えております。
  164. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 私は、一昨年中尊寺の宝物を全部見てきたのですが、それからいろいろとあの辺の地勢も見てきたのですが、今後よほど企画庁は頭を新たにして計画なさらないと、これは学識経験者が審議会の委員に入るようになっておりますけれども、学識経験というのは過去のことです。将来に対する独創力のある、洞察する力のある人が審議会委員にならなければだめだ。従来の各審議会委員のメンバーを見てみますと、どうも納得できぬ人がたくさんある。私どもは、これはほんとうに新世紀に相応する頭脳の持ち主、たとえば、過去の政治家で後藤新平みたいな、あらゆる方面に新機軸を出すというような人が審議会委員になることが必要じゃないかというようなことを痛感するのですがね。どうか一つ観光の資源開発などにも十分意を用いていただきたい、こういうことをお願いしておきます。
  165. 田中一

    田中一君 今植田君は、十和田、岩木地区を特定地区にしようと思うということを言っておりました。そうすると、仙台、塩釜地区、北奥羽地区が選に漏れておるのですが、私は国土総合開発審議会の委員ですが、そういうことを軽々にここで発言していいものですか。はっきり言って下さい。
  166. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私のただいまの言葉で足りない点が二点でございます。一つは、東北の関係の調査地域の中で、特定地域に格上げを要望せられております地域は、十和田、岩木と北奥羽と仙塩と三つございます。その三つにつきまして、国土総合開発審議会に諮りまして、特定地域の決定をいたしたいと考えております。そこで、もう一つは、審議会に諮りもしないで特定地域にしたいということを申し上げましたのは、言葉が足りませんで、その準備手続中でございます。
  167. 田中一

    田中一君 言葉が過ぎたんだ。(笑声)
  168. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 十和田、岩木をあげました理由は、十和田、岩木は従来は農産開発とか、河川総合開発という言葉で現われております事業目的のほかに、特に観光という字句を取り上げてやっておる、そういう意味におきまして、十和田、岩木に観光という事業目的を取り上げている以上は、国土総合開発の目標一つとして観光を無視しておるわけではない、こういう一例としまして、十和田、岩木を申し上げたわけであります。
  169. 田中一

    田中一君 仙塩地区として松島というものがあるのですよ。あれは入らないですか。
  170. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 仙塩地区につきまして、松島の観光資源を無視するわけではございません。十和田、岩木には特に十和田湖という一つ日本的の観光資源がございます。
  171. 田中一

    田中一君 松島も日本的なものじゃないですか。
  172. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 言葉は十分でございませんが、観光を十分どの特定地域につきましても取り上げるつもりであります。
  173. 田中一

    田中一君 今要求した資料はいつ出せる見込みですか。
  174. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまのお話しになりましたことは、たとえば、東北開発会社の関係でありますれば、別に商工委員会の方で御審議中の資料も用意いたしております。それと大体合いますから、その通り……若干ごしんぼう願わなければならぬ、あるいは……。
  175. 田中一

    田中一君 しんぼうしません。(笑声)
  176. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 御趣旨の線に沿いましたものをできるだけ準備いたしたい。他の委員会のために準備している資料もございますので、それを合せてできるだけ――全部とは申しませんが、できるだけ御要求になりましたものを、多くのものを明日のこの会議まで持参いたしたいと存じております。
  177. 田中一

    田中一君 そういう資料があるならば、なぜ出さないのです。そういう資料が準備してあるならば、なぜここに出さないのですか。そういう質問がなければ、そのままほっかぶりしようというつもりだったですか。そういうものを準備しているにかかわらず出さぬということは、これはわれわれをめくらにしようというつもりで出さないんですか。そういうこと言うならすぐ持ってきて下さい。すぐ持ってきてくれれば、すぐにでも審議が進むわけです。
  178. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 本日は東北開発会社法と提案理由が必要かと存じまして、持って参りまして先ほどお配りいたしました。それから田中委員の御要望になりました資料で、現在手元にありますものも、もしも御要望が出ればすぐでもお配りするつもりで準備をいたして参っております。また増し刷りいたしますものもございますので、明朝までお待ち願いたいと思います。
  179. 田中一

    田中一君 いや、明朝に限りませんから、どうぞ正確なものをお出し願います。  それから、これは宇田さんが来ておって質問したいのですが、国土総合開発との関連性の問題を私じっくりと質問いたしますから、それを説明してほしいのです。この点は非常にむずかしい大きな問題があるので、そこでこれはまあ宇田長官があすでも見えたらゆっくりやりますから、この辺で……。
  180. 石井桂

    ○石井桂君 一つだけ聞き漏らしましたから……。先ほど田中委員の資料の要求のなかで、東北興業株式会社の事業の中で、セメントの製造事業をやるという法律改正の案が昨年出まして、非常に難航しまして、ようやく多数で通ったんです。あれは事前に十分研究してあればまだよかったんだと思うのですが、今回はああいうものをこの東北開発審議会ですか、それにかけて十分研究して通そうということなんですか、この五条の第三号の「東北地方の開発の促進に関する重要事項、」そういうようなことでよく吟味して、そうして遺漏ないようにして通そうと、こういう意味なんですか。この前は政府計画そのままぱっと出たわけなんですが、この開発促進法との前と違うところですね。
  181. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 特に昨年度東北興業会社が経営いたしましたセメントの工場が難航をしたから、この法文を作ったという意味ではありません。しかしこういう事項はこういう審議会でじっくり研究するのが適当と思ってこれを条文にしたわけでございます。
  182. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  183. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは速記を起して下さい。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十四分散会