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政府委員(
植田俊雄君)
東北開発促進法案について、その概要を逐条的に御説明申し上げます。
まず第一条はこの
法律の趣旨でございまして、この
法律は東北地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項、すなわち以下各条において規定しておりますように、東北開発促進
計画、東北開発審議会、開発促進
計画に基く
事業の実施及び調整、並びに
事業実施のための特例
措置について定めるものといたしておるのでございます。
第二条は、この
法律に用いております「東北地方」の定義でございまして、東北六県とともに、これと地理的、自然的条件において共通の点を持っております
新潟県を含めて、七県をもって東北地方と規定いたしておるのでございます。
第三条は、東北開発促進
計画に関する規定でございまして、東北地方における
土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発促進に関する
計画でございます。開発
計画は内閣総理大臣が東北開発審議会の審議を経て作成するものといたしておるのでございます。なお関係地方公共団体は開発促進
計画に関し、内閣総理大臣に対し
意見を
申し出ることもできることとし、関係地元の
意見が促進
計画に反映するようにいたしておるのでございます。
第四条から第八条までは、東北開発審議会に関する規定でございます。第四条は、審議会は総理府に置くことにいたしておりまして、これに伴いまして、付則第二項において、総理府設置法の一部を
改正することにいたしております。
第五条は、審議会の所掌事務に関する規定でございまして、審議会は東北開発促進
計画の作成の
基準となるべき事項、東北開発株式会社の
事業の
基準となるべき事項、その他東北地方の開発の促進に関する重要事項について
調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、または建議することといたしておるのでございます。なお、開発促進
計画の総合性を保持しますために、審議会は開発促進
計画について、必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じ、関係行政機関の長に対し
意見を
申し出ることができることといたしております。
第六条は、審議会の組織に関する規定でございまして、審議会はここに列挙されております
委員三十五人以内をもって組織することにいたしておるわけでございます。二項以下におきましては、この組織に関する事項、
委員の任期でございますとか、会長、専門
委員等に関することを規定いたしております。
第七条は、審議会の事務をつかさどる機関あるいは審議会の議事運営に関する必要な根拠規定でございます。
第八条は、審議会の
調査審議が円滑に行われますように、審議会は関係行政機関の職員に対して資料の要求等をできる道を開いておるわけでございます。
第九条は、開発促進
計画に基く
事業の実施に関する規定でございまして、この
事業を実施する者は、国、地方公共団体その他
計画に基いて決定いたしますところの国鉄、電力会社、その他の者であるということを明確にいたしておるわけでございます。
第十条は、ただいま九条について申しました各種の
事業主体が毎
年度開発促進
計画の実施について
計画を立てるわけでございますが、その
計画の内容につきまして、翌
年度の
事業計画を
経済企画庁に提出いたしまして、
経済企画庁はこれに基きまして調整をするという規定でございます。
第十一条は、開発促進
計画の実施に要する経費の規定でございまして、
政府は開発促進
計画を実施するに必要な資金、これはいわゆる公共
事業費はもちろんでございますが、それ以外に財政投融資、それから地方の起債財源、こういうものを含めまして、必要な資金の確保をはかり、かつ国の財政の許す範囲内においてその実施を促進するという
原則をうたっておるものでござ
います。
第十二条は、開発促進
計画に基く
事業を実施するための特例でございます。御承知の
通り東北七県のうち青森県を除きまして、すでに財政再建団体に指定されておるわけでございますが、この財政封建団体につきましての特例をここに掲げておるわけでございます。第十二条の第一項は、財政再建団体である県が開発促進
計画に基く
事業で、その当該県にかかるものを実施するために財政再建
計画に変更を加えようとする場合においては、
自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、その変更の承認に当って、これらの
事業の実施が確保せられるよう特に
配慮しなければならぬとしまして、
事業の実施と再建
計画との調整をはかることにいたしておるのでございます。次に第二項でございますが、財政再建団体である県が――これは県だけでございまして、
市町村は入っておりません。県がこの開発促進
計画に基く
事業で、財政再建法に指定する指定
事業、これは財政再建法の十七条に基きまして政令で規定いたしております大部分の公共
事業がこれに入っているわけでございますが、この指定
事業に該当するもののうちで、
自治庁長官が
経済企画庁長官と
協議して定める重要な
事業の経費につきましては、国の
負担割合の百分の百二十とする、すなわち二割上げということにするわけでございます。これは県の実施いたします、すなわち国の
補助等に基きまして、県に
補助金の出ますものばかりでなく、その県内におきまして、国が直轄で実施するものも含まれるわけでございます。なお、この二項の三行目で、「政令で定めるところにより、」というので、政令をここで持ち出しておりますが、この政令によりまして
負担割合をきめるわけではございません。これはこの政令におきまして、現在地方再建整備の関係でやっておりますように、
負担金の二割増しになった分につきましては、翌
年度清算にするということと、それから地元
負担金につきましては、この特例を認めません関係で、二割アップにいたしますと、地元分担金につきましてこの特例を認めないと、こういう趣旨を欠くわけでございます。そこで、その終りの方にございますただし書きによりまして、地元分担金のあるものにつきましても、県の
負担割合は、百分の十以下にはならないということに規定いたしております。すなわち、国の
負担は、幾ら高い場合におきましても、九割にしかならないということになっておるわけでございます。
その次の三項でございますが、これは先ほどの県の例で申しますれば、青森県は、財政再建団体に現在なっていないわけでございますが、財政状況におきましては、他の六県とほとんど
同一でございますので、再建整備法の二十二条第二項の規定によって、準用団体といたしまして、財政の再建を行う場合につきましては、その県につきまして、先ほど申し上げましたと同様の
措置を講ずる、こういうことを規定いたしたわけでございます。
以上がこの
法律の概要でございますが、この
法律の
施行に伴う経過
措置といたしまして、前
年度の繰り越し分に関する規定その他を付則として掲げておる次第でございます。